以下、実施形態の分散アンテナシステムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、分散アンテナシステム1の構成例を示す図である。分散アンテナシステム1は、親局装置2と、ハブ局装置3と、子局装置4と、アンテナ5とを備える。親局装置2は、基地局装置8と伝送路9により接続され、n台(nは1以上の整数)のハブ局装置3と伝送路6により接続される。n台のハブ局装置3をそれぞれ、ハブ局装置3−1〜3−nと記載する。ハブ局装置3−i(iは1以上n以下の整数)は、mi台(miは1以上の整数)の子局装置4と伝送路7により接続される。ハブ局装置3−iと接続されるmi台の子局装置4をそれぞれ、子局装置4−i−1〜4−i−miと記載する。アンテナ5は、子局装置4に接続される。同図では、親局装置2と、ハブ局装置3と、子局装置4とをツリー状に接続しているが、親局装置2は、子局装置4と直接接続してもよい。
図2は、分散アンテナシステム1aの構成例を示す図である。同図において、図1に示す分散アンテナシステム1と同一の部分には同一の符号を付している。分散アンテナシステム1aは、親局装置2と、ハブ局装置3と、子局装置4と、子局装置4aと、アンテナ5とを備える。子局装置4aは、ハブ局装置3に子局装置4の機能を搭載した装置である。同図に示すように、子局装置4aを縦続接続する構成としてもよい。
ハブ局装置3−1〜3−nはそれぞれ、子局装置4又は子局装置4aの一方又は両方と接続される。ハブ局装置3−i(iは1以上n以下の整数)には、子局装置4と子局装置4aとが合わせてmi(miは1以上の整数)台接続される。それらmi台の子局装置4及び子局装置4aを区別せずに1から順に番号を付与したときに、ハブ局装置3−iに接続されるj番目(jは1以上mi以下の整数)の子局装置4、子局装置4aをそれぞれ、子局装置4−i−j、子局装置4a−i−jと記載する。子局装置4a−i−jに接続されるk番目(kは1以上の整数)の子局装置4、子局装置4aをそれぞれ、子局装置4−i−j−k、子局装置4a−i−j−kとする。子局装置4a−i−j−kより下位の子局装置4又は子局装置4aも同様に表す。
屋内や地下街などの電波の届かない場所でも、基地局装置8は、分散アンテナシステム1、1aを経由して、図示しない無線端末と通信を行うことが出来る。また、分散アンテナシステム1、1aを介して基地局装置8と図示しない無線端末との間で送受する信号を無線信号と記載する。つまり、無線信号は、基地局装置8から有線信号により出力され、無線に変換されてアンテナ5から送信される信号、又は、アンテナ5が無線端末から無線により受信し、有線信号に変換された信号である。分散アンテナシステム1、1aは、全二重の有線伝送路により無線信号を光信号又は電気信号により伝送する。
また、以下では、分散アンテナシステム1、1aが無線信号Aと無線信号Bの2つの無線信号を伝送し、無線信号AがTDD方式の無線信号であり、かつ、無線信号以外の信号Cが重畳される場合について説明する。無線信号Bには、無線信号以外の信号Cは重畳されない。基地局装置8から無線端末方向への無線信号をダウンリンク無線信号、無線端末から基地局装置8方向への無線信号をアップリンク無線信号とも記載する。無線信号A、無線信号Bそれぞれのダウンリンク無線信号をダウンリンク無線信号A(D)、ダウンリンク無線信号B(D)とも記載し、無線信号A、無線信号Bそれぞれのアップリンク無線信号をアップリンク無線信号A(U)、アップリンク無線信号B(U)とも記載する。無線信号以外の信号Cは、親局装置2に接続される外部の装置からハブ局装置3又は子局装置4に接続される外部の装置宛ての信号、及び、ハブ局装置3又は子局装置4に接続される外部装置から親局装置2に接続される外部の装置宛の信号である。以下では、前者を信号C(D)とも記載し、後者を信号C(U)とも記載する。
図3は、親局装置2の構成を示すブロック図である。親局装置2は、信号インタフェース部201と、信号スイッチ部202と、無線インタフェース部203−1、203−2と、AD(アナログデジタル)変換部204−1、204−2と、親局Add/Drop部205と、マッパー部206と、無線フレーム構成設定部207と、分配部208と、伝送路インタフェース部209−1〜209−Nと、デマッパー部210−1〜210−Nと、加算部211と、DA(デジタルアナログ)変換部212−1、212−2とから構成される(Nは1以上の整数)。同図では、親局装置2が合計2台のハブ局装置3又は子局装置4と接続されており、N=2である場合を例に説明する。
信号インタフェース部201は、外部の装置と無線信号以外の信号Cを送受信する。信号スイッチ部202は、信号インタフェース部201との間の入力と出力とを切り替える。これにより、信号Cは、信号インタフェース部201と、信号スイッチ部202とを経由して、親局Add/Drop部205に入出力する。
無線インタフェース部203−1は、伝送路9を介した基地局装置8との間のインタフェースである。無線インタフェース部203−1は、基地局装置8からのTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)を入力し、基地局装置8へアップリンク無線信号A(U)を出力する。AD変換部204−1は、無線インタフェース部203−1から入力したダウンリンク無線信号A(D)をアナログ信号からディジタル信号に変換し、親局Add/Drop部205に出力する。親局Add/Drop部205は、ディジタル信号に変換されたTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)に、信号スイッチ部202から入力した信号C(D)を、ダウンリンク無線信号A(D)が無い期間に時分割多重し、ダウンリンク信号AC(D)を生成する。親局Add/Drop部205は、生成したダウンリンク信号AC(D)をマッパー部206に出力する。
無線インタフェース部203−2は、基地局装置8との間のインタフェースである。無線インタフェース部203−2は、基地局装置8からダウンリンク無線信号B(D)を入力し、基地局装置8へアップリンク無線信号B(U)を出力する。AD変換部204−2は、無線インタフェース部203−2から入力したダウンリンク無線信号B(D)をアナログ信号からディジタル信号に変換し、マッパー部206に出力する。
マッパー部206は、親局Add/Drop部205から入力したダウンリンク信号AC(D)、及び、AD変換部204−2から入力したダウンリンク無線信号B(D)を、親局装置2とハブ局装置3間、及び、親局装置2と子局装置4間の光伝送用のフレームのペイロードにマッピングする。マッパー部206は、さらに、このフレームのオーバーヘッドに制御用信号をマッピングする。マッピングされる制御用信号は、後述する親局装置2とハブ局装置3間、及び、親局装置2と子局装置4間の伝送路遅延計測のための信号(以下、「遅延計測用信号」と記載する。)、後述する無線フレーム構成設定部207で設定された情報、ならびに、後述するダウンリンク存在期間推定タイミング信号である。マッパー部206は、マッピングしたフレーム信号を分配部208に出力する。
分配部208は、マッパー部206から入力したフレーム信号を、親局装置2に接続しているハブ局装置3又は子局装置4の台数2(=N)と同じ数に分配し、それぞれ伝送路インタフェース部209−1、209−2に出力する。伝送路インタフェース部209−1、209−2は、ハブ局装置3又は子局装置4と伝送路6を介して信号を送受信するインタフェースである。伝送路インタフェース部209−1、209−2は、分配部208から入力したフレーム信号を、ハブ局装置3又は子局装置4に出力する。
親局装置2に接続されるハブ局装置3又は子局装置4それぞれからのアップリンク信号は、伝送路インタフェース部209−i(i=1,2)を経由して、デマッパー部210−iに出力する。デマッパー部210−1、210−2は、入力したアップリンク信号から、無線以外の信号C(U)が重畳されたアップリンク無線信号A(U)であるアップリンク信号AC(U)と、アップリンク無線信号B(U)と、制御用信号とを分離する。ここで分離される制御用信号は、親局装置2とハブ局装置3間、及び、親局装置2と子局装置4間の遅延計測用信号である。デマッパー部210−1、210−2は、アップリンク信号AC(U)を親局Add/Drop部205に出力し、アップリンク無線信号B(U)を加算部211に出力する。
親局Add/Drop部205は、デマッパー部210−1、210−2から入力したアップリンク信号AC(U)それぞれを、信号C(U)とTDD方式のアップリンク無線信号A(U)とに分離する。親局Add/Drop部205は、信号C(U)を信号スイッチ部202に出力する。信号C(U)は、信号インタフェース部201を経由して、外部に出力する。親局Add/Drop部205は、アップリンク無線信号A(U)を全て加算し、DA変換部212−1に出力する。DA変換部212−1は、親局Add/Drop部205から入力したアップリンク無線信号A(U)をディジタル信号からアナログ信号に変換し、無線インタフェース部203−1を経由して、基地局装置8に送信する。
加算部211は、デマッパー部210−1、210−2から入力したアップリンク無線信号B(U)を全て加算し、DA変換部212−2に出力する。DA変換部212−2は、加算部211から入力したアップリンク無線信号B(U)をアナログ無線信号に変換し、無線インタフェース部203−2を経由して基地局装置8に送信する。
なお、無線信号Bは、TDD方式でもFDD方式でもよく、二つ以上あってもよい。無線信号Bが二つ以上ある場合は、無線インタフェース部203−2、AD変換部204−2及びDA変換部212−2を無線信号Bの数だけ追加する。さらに、マッパー部206及び加算部211の入力数を無線信号Bの数だけ増やし、デマッパー部210−1、210−2の出力数を無線信号Bの数だけ増やす。
また、図3では、ダウンリンク無線信号A(D)が一つのみであるが、二つ以上あってもよい。その場合は、親局装置2に、無線インタフェース部203−1、AD変換部204−1、DA変換部212−1及び親局Add/Drop部205の組を、ダウンリンク無線信号A(D)の数の分だけ設ける。さらに、親局Add/Drop部205からマッパー部206への入力と、デマッパー部210−1、210−2の出力数をダウンリンク無線信号A(D)の数だけ増やす。また図3では、親局装置2に接続されるハブ局装置3又は子局装置4が2台(=N)の場合を上げているが、3台以上でもよい。
図4は、ハブ局装置3の構成を示すブロック図である。ハブ局装置3は、信号インタフェース部301と、信号スイッチ部302と、伝送路インタフェース部303と、デマッパー部304と、ハブ局Add/Drop部305と、マッパー部306と、分配部307と、伝送路インタフェース部308−1〜308−Mと、デマッパー部309−1〜309−Mと、加算部310と、マッパー部311とを備える。以下では、ハブ局装置3が2台の子局装置4(又は子局装置4a)と接続されており、M=2である場合を例に説明する。
信号インタフェース部301は、外部の装置と無線信号以外の信号Cを送受信する。信号スイッチ部302は、信号インタフェース部301との間の入力と出力とを切り替える。これにより、信号Cは、信号インタフェース部301と、信号スイッチ部302とを経由して、ハブ局Add/Drop部305に入出力する。
伝送路インタフェース部303は、伝送路6を介した親局装置2との間のインタフェースである。伝送路インタフェース部303は、親局装置2からダウンリンク信号を入力してデマッパー部304に出力する。デマッパー部304は、伝送路インタフェース部303から入力したダウンリンク信号を、信号C(D)が重畳されたダウンリンク無線信号A(D)であるダウンリンク信号AC(D)と、ダウンリンク無線信号B(D)と、制御用信号とに分離する。この制御用信号は、親局装置2とハブ局装置3間、及び、親局装置2と子局装置4間の伝送路遅延計測のための遅延計測用信号、親局装置2の無線フレーム構成設定部207で設定された情報、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号である。デマッパー部304は、ダウンリンク信号AC(D)をハブ局Add/Drop部305に出力し、ダウンリンク無線信号B(D)をマッパー部306に出力し、制御用信号をハブ局Add/Drop部305及びマッパー部306に出力する。
ハブ局Add/Drop部305は、ダウンリンク信号AC(D)からハブ局装置3と接続される外部装置宛の信号C(D)を抽出し、信号スイッチ部302に出力する。信号C(D)は、信号スイッチ部302及び信号インタフェース部301を経由して外部に出力する。また、ハブ局Add/Drop部305は、ダウンリンク信号AC(D)をマッパー部306に出力する。なお、ハブ局Add/Drop部305は、ダウンリンク信号AC(D)に、信号インタフェース部301及び信号スイッチ部302を介して入力した信号C(D)を時分割多重し、マッパー部306に出力してもよい。
マッパー部306は、ハブ局Add/Drop部305から入力したダウンリンク信号AC(D)、及び、デマッパー部304が分離したダウンリンク無線信号B(D)を、ハブ局装置3と子局装置4間の伝送用のフレームのペイロードにマッピングする。マッパー部306は、さらにこのフレームのオーバーヘッドに、制御用信号をマッピングする。マッピングされる制御用信号は、ハブ局装置3と子局装置4間の伝送路遅延計測のための遅延計測用信号、親局装置2とハブ局装置3間の遅延計測結果、親局装置2の無線フレーム構成設定部207で設定された情報、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号である。マッパー部306は、マッピングしたフレーム信号を分配部307に出力する。
分配部307は、マッパー部306から入力したフレーム信号を、ハブ局装置3に接続している子局装置4の台数2(=M)と同じ数に分配し、それぞれ伝送路インタフェース部308−1、308−2に出力する。伝送路インタフェース部308−1、308−2はそれぞれ、子局装置4と伝送路7を介して信号を送受信するインタフェースである。伝送路インタフェース部308−1、308−2は、分配部307から入力したフレーム信号を子局装置4に送信する。
ハブ局装置3に接続される2台の子局装置4それぞれからのアップリンク信号は、伝送路インタフェース部308−m(mは1以上M以下の整数、図4ではM=2)を経由して、デマッパー部309−mに入力する。デマッパー部309−1、309−2は、入力したアップリンク信号から、無線以外の信号C(U)が重畳されたアップリンク無線信号A(U)であるアップリンク信号AC(U)と、アップリンク無線信号B(U)と、制御用信号とを分離する。ここで分離される制御用信号は、ハブ局装置3と子局装置4間の伝送路遅延計測のための遅延計測用信号である。デマッパー部309−1、309−2は、アップリンク信号AC(U)をハブ局Add/Drop部305に入力し、アップリンク無線信号B(U)を加算部310に出力する。
ハブ局Add/Drop部305は、デマッパー部309−1、309−2のそれぞれから入力したTDD方式のアップリンク信号AC(U)を加算する。ハブ局Add/Drop部305は、加算後のアップリンク信号AC(U)に、信号インタフェース部301及び信号スイッチ部302を経由して入力した信号C(U)を時分割多重し、マッパー部311に出力する。なお、ハブ局Add/Drop部305は、加算前にアップリンク信号AC(U)からハブ局装置3に接続される外部装置宛の信号C(U)を分離し、信号スイッチ部302及び信号インタフェース部301を経由して出力してもよい。加算部310は、デマッパー部309−1、309−2から入力したアップリンク無線信号B(U)を加算し、マッパー部311に出力する。
マッパー部311は、ハブ局Add/Drop部305から入力したアップリンク信号AC(U)と、加算部310から入力したアップリンク無線信号B(U)とを親局装置2とハブ局装置3間の伝送用のフレームのペイロードにマッピングする。マッパー部311は、さらに、このフレームのオーバーヘッドに、デマッパー部309−1、309−2から入力した制御用信号(親局装置2とハブ局装置3間の伝送路遅延測定のための遅延測定用信号)をマッピングする。マッパー部311は、マッピングしたフレームを、伝送路インタフェース部303を経由して親局装置2に出力する。
図5は、子局装置4の機能ブロック図である。子局装置4は、伝送路インタフェース部401と、デマッパー部402と、子局Add/Drop部403と、信号インタフェース部404と、DA変換部405−1、405−2と、アンテナインタフェース部406−1、406−2と、AD変換部407−1、407−2と、マッパー部408とを備える。
伝送路インタフェース部401は、伝送路7を介した親局装置2又はハブ局装置3との間のインタフェースである。伝送路インタフェース部401は、親局装置2又はハブ局装置3からのダウンリンク信号を入力してデマッパー部402に出力する。デマッパー部402は、伝送路インタフェース部401から入力したダウンリンク信号を、信号C(D)が重畳されたダウンリンク無線信号A(D)であるダウンリンク信号AC(D)と、ダウンリンク無線信号B(D)と、制御用信号とに分離する。この制御用信号は、親局装置2と子局装置4が接続しているハブ局装置3があれば、それまでの遅延計測結果、及び、ハブ局装置3間と子局装置4間の伝送路遅延計測用の遅延計測用信号、親局装置2の無線フレーム構成設定部207で設定されたダウンリンク存在期間推定タイミング信号である。デマッパー部402は、ダウンリンク信号AC(D)及び制御用信号を子局Add/Drop部403に出力し、ダウンリンク無線信号B(D)を、DA変換部405−2に出力する。
子局Add/Drop部403は、ダウンリンク信号AC(D)から子局装置と接続される外部装置宛の信号C(D)を抽出し、抽出した信号C(D)を、信号インタフェース部404を経由して外部に出力する。また、子局Add/Drop部403は、ダウンリンク信号AC(D)から抽出したダウンリンク無線信号A(D)をDA変換部405−1に出力する。DA変換部405−1は、子局Add/Drop部403から入力したダウンリンク無線信号A(D)をディジタル信号からアナログ信号に変換し、アンテナインタフェース部406−1に出力する。アンテナインタフェース部406−1は、DA変換部405−1から入力したTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)を、アンテナ5を介して図示しない携帯端末へ送信する。
DA変換部405−2は、デマッパー部402から入力したダウンリンク無線信号B(D)をディジタル信号からアナログ信号に変換し、アンテナインタフェース部406−2に出力する。アンテナインタフェース部406−2は、DA変換部405−2から入力したダウンリンク無線信号B(D)を、アンテナ5を介して図示しない携帯端末へ送信する。
アンテナインタフェース部406−1は、アンテナ5を介して、図示しない携帯端末からTDD方式のアップリンク無線信号A(U)を受信し、AD変換部407−1に出力する。AD変換部407−1は、アンテナインタフェース部406−1から入力したアップリンク無線信号A(U)をアナログ信号からディジタル信号に変換し、子局Add/Drop部403に出力する。子局Add/Drop部403は、AD変換部407−1から入力したアップリンク無線信号A(U)に、信号インタフェース部404から入力した信号C(U)を時分割多重して得られたアップリンク信号AC(U)を、マッパー部408に出力する。
一方、アンテナインタフェース部406−2は、アンテナ5を介して、図示しない携帯端末からアップリンク無線信号B(U)を受信し、AD変換部407−2に出力する。AD変換部407−2は、アンテナインタフェース部406−2から入力したアップリンク無線信号B(U)をアナログ信号からディジタル信号に変換し、マッパー部408に出力する。
マッパー部408は、子局Add/Drop部403から入力したアップリンク信号AC(U)とAD変換部407−2から入力したアップリンク無線信号B(U)とを伝送用のフレームのペイロードにマッピングする。マッパー部408は、さらにこのフレームのオーバーヘッドに、デマッパー部402から入力した制御用信号をマッピングする。マッピングされる制御用信号は、親局装置2と子局装置4間、又は、ハブ局装置3と子局装置4間の伝送路遅延測定のための遅延測定用信号である。マッパー部408は、マッピングしたフレームを、伝送路インタフェース部401を経由して、親局装置2又はハブ局装置3に出力する。
図6及び図7を用いて、無線信号Aに用いられる無線フレームを説明する。
図6は、LTEのTDD方式の無線フレーム構成を示す図である。1ラジオフレーム(無線フレーム)は、10個のサブフレームに分割される。これらの各サブフレームには、ダウンリンク信号とアップリンク信号が割り当てられている。この割り当て方法として、7つの方法が規定されており(コンフィグレーションと呼んでいる)、同図は、そのうちの一つを例として提示している。同図における「D」はダウンリンクの期間を示し、「U」はアップリンクの期間を示す。「S」は、スペシャルフレームと呼ばれ、基地局と携帯端末までの遅延時間を調整するために設けられている。
図7は、TDD方式の無線信号のダウンリンク信号とアップリンク信号の期間を示す図である。同図に示すように、スペシャルフレームは、ダウンリンク側で用いるDwPTS(Downlink Pilot Time Slot)と、アップリンク側で用いるUpPTS(Uplink Pilot Time Slot)と、それらのどちらも使用しないGP(Guard Period:ガード期間)とに分けられる。スペシャルサブフレームにおけるDwPTSとUpPTSの構成も複数のパタンが決められており、基地局装置8のサービスエリアの大きさにより、スペシャルサブフレームの構成パタンを変えることで対応している。
同図では、ダウンリンク信号の期間とアップリンク信号の期間がわかりやすいように、時間軸の上下に分けて記載している。ダウンリンク信号とアップリンク信号とは各々、未使用期間が排他的に存在する。そこで、分散アンテナシステム1、1aは、TDD方式の無線信号Aに対して、この未使用期間に無線信号以外の信号Cを時間多重することで、伝送路の有効利用を図っている。
上述したように分散アンテナシステム1、1aは、1台以上の子局装置4と、親局装置2と、全二重の有線伝送路とを備える。子局装置4は、アンテナ5を介して無線端末と無線信号を送受信する。親局装置2は、子局装置4と直接、又は、1以上の子局装置4と接続されるハブ局装置3を介して、親局装置2から子局装置4へのダウンリンク無線信号と子局装置4から親局装置2へのアップリンク無線信号とを時分割複信により送受信する。全二重の有線伝送路は、ダウンリンク無線信号の伝送と、アップリンク無線信号の伝送とを、有線の異なる伝送路により行う。
親局装置2は、親局信号多重部と、親局信号分離部とを備える。親局信号多重部は、ダウンリンク無線信号に対して無線信号とは異なる第一信号を、時分割複信のアップリンク伝送期間に多重したダウンリンク信号をハブ局装置3又は子局装置4に送信する。親局信号多重部は、例えば、タイムスロットアライナ部222及びマッパー部206であり、第一信号は、信号インタフェース部301及び信号スイッチ部302を介して入力した信号である。親局信号分離部は、ハブ局装置3又は子局装置4からアップリンク信号を受信し、受信したアップリンク信号からアップリンク伝送期間に設定されたアップリンク無線信号と、ダウンリンク伝送期間に設定された無線信号とは異なる第二信号とを分離する。親局信号分離部は、例えば、デマッパー部210−1、210−2、ならびに、タイムスロットデアライナ及び加算部223である。
子局装置4は、子局信号分離部と、無線送信部と、子局信号多重部とを備える。無線送信部は、ハブ局装置3又は親局装置2からダウンリンク信号を受信し、受信したダウンリンク信号からダウンリンク伝送期間に設定されたダウンリンク無線信号と、アップリンク伝送期間に設定された第一信号とを分離する。子局信号分離部は、例えば、タイムスロットデアライナ部421である。無線送信部は、子局信号分離部が分離したダウンリンク無線信号をアンテナ5から無線により送信する。無線送信部は、例えば、アンテナインタフェース部406−1である。子局信号多重部は、アンテナ5が受信したアップリンク無線信号に対してダウンリンク伝送期間に第二信号を多重したアップリンク信号をハブ局装置3又は親局装置2に送信する。子局信号多重部は、例えば、タイムスロットアライナ部222であり、第二信号は、信号インタフェース部404を介して受信した無線信号以外の信号である。
ハブ局装置3は、第一分離多重部と、第二分離多重部を備える。第一分離多重部は、親局装置2からダウンリンク信号を受信し、受信したダウンリンク信号から第一信号を抽出する処理と、受信したダウンリンク信号のアップリンク伝送期間に第一信号を多重する処理との少なくとも一方を行って子局装置4に送信する。第一分離多重部は、例えばタイムスロットアライナ部321であり、多重する第一信号は、信号インタフェース部301及び信号スイッチ部302を介して受信した子局装置4宛の無線信号以外の信号である。第二分離多重部は、子局装置4からアップリンク信号を受信し、受信したアップリンク信号から第二信号を抽出する処理と、ダウンリンク伝送期間に第二信号を多重する処理との少なくとも一方を行って親局装置2に送信する。第二分離多重部は、例えば、タイムスロットデアライナ及び加算部322であり、多重する第二信号は、信号インタフェース部301及び信号スイッチ部302を介して受信した親局装置2宛の無線信号以外の信号である。
上記構成により、分散アンテナシステム1、1aは、伝送路として用いている全二重の光ファイバ伝送路の有効活用ができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、親局装置2が、基地局装置8から受信したダウンリンク信号に基づいてアップリンク無線信号及びダウンリンク無線信号の存在期間を推定し、この推定結果を元に無線信号以外の信号Cを多重するためのタイムスロットを生成する。
図8は、親局装置2におけるタイムスロット生成の説明図である。携帯端末からの無線信号は、携帯端末と子局装置4間の距離により、子局装置4に達する電力が小さい場合がある。そのため、アップリンク無線信号のタイミングを取得するのが困難な場合がある。一方、基地局装置8からのダウンリンク無線信号は、アップリンク無線信号と異なり、十分な電力レベルを有する。このため、親局装置2は、ダウンリンク無線信号が存在する期間を電力検波などの方法で抽出することで、ダウンリンク無線信号とアップリンク無線信号の存在期間を推定する。
親局装置2は、基地局装置8からのダウンリンク無線信号に基づいて、ダウンリンク存在期間、すなわち、アップリンク未使用期間と、アップリンク存在期間、すなわち、ダウンリンク未使用期間とを推定する。同図に示す様に、親局装置2は、推定結果に基づいてアップリンク存在期間推定タイミング信号及びダウンリンク存在期間推定タイミング信号(以下、タイミング信号とも記載する。)を生成する。親局装置2は、この生成したタイミング信号を用いて、無線信号以外の信号Cを時間多重するタイムスロットである付加タイムスロットを生成する。つまり、親局装置2は、アップリンク未使用期間には、アップリンク無線信号に付加タイムスロットを生成し、ダウンリンク未使用期間には、ダウンリンク無線信号に付加タイムスロットを生成する。なお、アップリンク未使用期間及びダウンリンク未使用期間それぞれの開始タイミング及び終了タイミングには、データが設定されないガード期間を設けて付加タイムスロットを設定する。
なお、付加タイムスロットに無線信号以外の信号Cを設定する際には、各付加タイムスロットの先頭に、付加タイムスロットの開始を示すデータが付加される。各装置は、このデータを検出することによって、各付加タイムスロットの開始タイミングを検出することができる。
タイムスロット生成のための装置構成の例を以下に示す。
図9は、親局装置2が備える親局Add/Drop部205の構成を示すブロック図である。親局Add/Drop部205は、ダウンリンク検出部221と、タイムスロットアライナ部222と、タイムスロットデアライナ及び加算部223とを備える。
ダウンリンク検出部221は、AD変換部204−1から入力したTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)に基づいて、ダウンリンク無線信号A(D)が存在する期間と存在しない期間を推定する。ダウンリンク検出部221は、推定結果に基づいてダウンリンク存在期間推定タイミング信号を生成し、タイムスロットアライナ部222及びマッパー部206部に出力する。タイムスロットアライナ部222は、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号に従って、TDD方式のダウンリンク無線信号A(D)に対して無線信号が無いダウンリンク未使用期間に、多重用の付加タイムスロットを生成する。タイムスロットアライナ部222は、生成した付加タイムスロットに、信号スイッチ部202から入力した信号C(D)を多重してマッパー部206に出力する。
タイムスロットデアライナ及び加算部223は、デマッパー部210−1、210−2のそれぞれからTDD方式のアップリンク信号AC(U)を出力する。タイムスロットデアライナ及び加算部223は、各アップリンク信号AC(U)から信号C(U)とアップリンク無線信号A(U)を分離し、信号C(U)を信号スイッチ部202へ出力する。タイムスロットデアライナ及び加算部223は、2つのTDD方式のアップリンク無線信号A(U)の加算処理を行って、DA変換部212−1に出力する。
なお、無線フレーム構成設定部207に設定された無線フレーム構成の情報を用いることで、アップリンク期間とダウンリンク期間のコンフィギュレーションがわかる。ダウンリンク検出部221は、付加タイムスロットの生成時に、ダウンリンク無線信号A(D)が存在する期間と存在しない期間の推定結果と、このコンフィギュレーションとを比較し、推定誤りを検出することができる。よって、推定誤りに対して、保護をかけることが可能である。
図10は、タイムスロットアライナ部222の構成を示すブロック図である。タイムスロットアライナ部222は、ダウンリンク(DL)タイミング推定部231と、信号インタフェース部232と、FIFO部233と、フレーム生成部234と、タイムスイッチ部235とを備える。
ダウンリンクタイミング推定部231は、ダウンリンク検出部221から入力したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を元に、タイムスロットアライナ部222で使用するタイミング信号を生成する。信号インタフェース部232は、信号スイッチ部202から信号C(D)を入力してFIFO部233に出力する。FIFO部233は、信号インタフェース部232から入力した信号C(D)を一時保存し、ダウンリンクタイミング推定部231からのタイミング信号を元に、フレーム生成部234に出力する。フレーム生成部234は、ダウンリンクタイミング推定部231からのタイミング信号を元に付加タイムスロットを生成し、生成した付加タイムスロットの所定の位置に信号C(D)を挿入してタイムスイッチ部235に出力する。タイムスイッチ部235は、AD変換部204−1から入力したTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)と、フレーム生成部234が所定の付加タイムスロットに信号C(D)を設定して生成したフレーム信号とを時分割多重して、マッパー部206に出力する。
図11は、タイムスロットデアライナ及び加算部223の構成を示すブロック図である。タイムスロットデアライナ及び加算部223は、タイムスイッチ部241−1、241−2と、加算器242と、ドロップ部243−1、243−2と、スイッチインタフェース部244とを備える。
タイムスイッチ部241−i(i=1,2)は、デマッパー部210−iから入力したアップリンク信号AC(U)を、TDD方式のアップリンク無線信号A(U)と、信号C(U)が挿入されている付加タイムスロットとに時分割で振り分ける。タイムスイッチ部241−iは、アップリンク無線信号A(U)を加算器242に出力し、信号C(U)が挿入されている付加タイムスロットをドロップ部243−iに出力する。加算器242は、タイムスイッチ部241−1、241−2のそれぞれから入力したTDD方式のアップリンク無線信号A(U)を加算した後、DA変換部212−1に出力する。また、ドロップ部243−1、243−2はそれぞれ、入力した付加タイムスロットから信号C(U)が挿入されている付加タイムスロットのデータを取り出し、スイッチインタフェース部244に出力する。スイッチインタフェース部244は、ドロップ部243−1、243−2のそれぞれから入力したデータを、信号スイッチ部202を介して信号インタフェース部201に出力する。
図12は、タイムスイッチ部241−i(i=1,2)の構成を示すブロック図である。タイムスイッチ部241−iは、フレーム検出部251と、タイムスイッチ部252とを備える。フレーム検出部251は、デマッパー部210−iからアップリンク信号AC(U)を出力する。フレーム検出部251は、アップリンク信号AC(U)において信号C(U)が多重されている付加タイムスロットを検出し、検出信号を出力する。タイムスイッチ部252は、フレーム検出部251が出力した検出信号を用いて、アップリンク信号AC(U)においてTDD方式のアップリンク無線信号A(U)が多重されている区間と、信号C(U)が多重されている期間とを区別して出力先を変更する。タイムスイッチ部252は、アップリンク無線信号A(U)が多重されている期間については出力先を加算器242とし、信号C(U)が多重されている期間については出力先をドロップ部243−iとする。タイムスイッチ部252は、加算器242への出力の際、TDD方式のアップリンク無線信号A(U)の無線信号以外の部分には振幅「0」の値を挿入する。
上記のような構成により、親局装置2は、TDD方式の未使用期間に、信号Cをダウンリンクに対して挿入し、アップリンク信号から信号Cを抽出することが可能となる。
図13は、ハブ局装置3が備えるハブ局Add/Drop部305の構成を示すブロック図である。ハブ局Add/Drop部305は、タイムスロットアライナ部321と、タイムスロットデアライナ及び加算部322とを備える。タイムスロットアライナ部321は、デマッパー部304から入力したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を元に、信号C(D)の取り出しタイミングを作成する。親局装置2が取得したダウンリンク存在期間推定タイミング信号は、伝送路6を伝送する信号のフレームのヘッダ等を利用して送付され、デマッパー部304において抽出される。タイムスロットアライナ部321は、デマッパー部304からダウンリンク信号AC(D)を入力し、信号C(D)を抽出して信号スイッチ部302に出力する。また、タイムスロットアライナ部321は、入力したダウンリンク信号AC(D)をマッパー部306に出力する。タイムスロットデアライナ及び加算部322は、デマッパー部309−1、309−2のそれぞれから入力したTDD方式のアップリンク信号AC(U)の加算結果と、信号スイッチ部302から入力した信号C(D)とを時分割多重し、マッパー部311に出力する。
図14は、タイムスロットアライナ部321の構成を示すブロック図である。タイムスロットアライナ部321は、タイムスイッチ部331と、ドロップ部332と、信号インタフェース部333とを備える。タイムスイッチ部331は、デマッパー部304から信号C(D)が重畳されたダウンリンク信号AC(D)を入力し、信号C(D)が多重されている付加タイムスロットを取り出してドロップ部332に出力する。ドロップ部332は、所定の付加タイムスロットから信号C(D)を抽出し、信号インタフェース部333を経由して信号スイッチ部302に出力する。また、タイムスロットアライナ部321は、デマッパー部304から入力されたダウンリンク信号AC(D)をそのままマッパー部306に出力する。
図15は、タイムスロットデアライナ及び加算部322の構成を示すブロック図である。タイムスロットデアライナ及び加算部322は、タイミング生成部341と、FIFO部342−1、342−2と、信号インタフェース部343と、FIFO部344と、フレーム生成部345と、加算器346とを備える。
デマッパー部309−m(m=1,2)が出力したアップリンク信号AC(U)は、タイミング生成部341及びFIFO部342−mに入力する。タイミング生成部341は、デマッパー部309−1、309−2のそれぞれから入力したアップリンク信号AC(U)において無線以外の信号C(U)が多重されている付加タイムスロットのタイミングを各々検出する。フレーム生成部345は、タイミング生成部341が検出したタイミングに基づいて、後述するように子局装置4が生成するタイムスロット構成と同じ構成であり、信号C(U)が挿入される付加タイムスロットを生成する。フレーム生成部345は、信号スイッチ部302から信号インタフェース部343及びFIFO部344を経由して入力した信号C(U)を、所定のスロット位置に挿入したフレーム信号を生成する。なお、フレーム生成部345は、所定のスロット位置以外の残りの部分の付加タイムスロットには、「0」を挿入しておく。加算器346は、付加タイムスロットの期間が一致するようにタイミングを合わせてFIFO部342−1、342−2のそれぞれから入力した信号とフレーム生成部345から入力したフレーム信号とを加算し、マッパー部311に出力する。
上記のような構成により、ハブ局装置3においても、無線信号以外の信号Cを無線信号に多重して親局装置2と通信することが出来る。また、ハブ局装置3は、子局装置4からのアップリンク信号に付加したタイムスロットの期間において、タイミングを合わせる機能を持つため、回路構成が簡単な加算演算により構成することが可能である。
図16は、子局装置4が備える子局Add/Drop部403の構成を示すブロック図である。子局Add/Drop部403は、タイムスロットデアライナ部421と、タイムスロットアライナ部422とを備える。タイムスロットデアライナ部421は、デマッパー部402から入力したダウンリンク信号AC(D)を、TDD方式のダウンリンク無線信号A(D)と信号C(D)に分離し、それぞれをDA変換部405−1、信号インタフェース部404に出力する。タイムスロットアライナ部422は、AD変換部407−1から入力したTDD方式のアップリンク無線信号A(U)に、信号インタフェース部404から入力した信号C(U)を時分割多重したアップリンク信号AC(U)を、マッパー部408に出力する。
図17は、タイムスロットデアライナ部421の構成を示すブロック図である。タイムスロットデアライナ部421は、タイムスイッチ部431と、ドロップ部432と、信号インタフェース部433とを備える。タイムスイッチ部431は、デマッパー部402からダウンリンク信号AC(D)を入力し、TDD方式のダウンリンク無線信号A(D)と、信号C(D)を多重する付加タイムスロット部分とを分離する。タイムスイッチ部431は、ダウンリンク無線信号A(D)に、信号C(D)が設定される付加タイムスロット部分の値を「0」として、DA変換部405−1に出力する。タイムスイッチ部431は、信号C(D)が設定される付加タイムスロット部分をドロップ部432に出力する。ドロップ部432は、入力した付加タイムスロット部分から所定のタイムスロット位置の信号C(D)を抽出し、信号インタフェース部433を経由して、信号インタフェース部404に出力する。
図18は、タイムスロットアライナ部422の構成を示すブロック図である。タイムスロットアライナ部422は、アップリンク(UL)タイミング推定部441と、信号インタフェース部442と、FIFO部443と、フレーム生成部444と、タイムスイッチ部445とを備える。
アップリンクタイミング推定部441は、デマッパー部402から入力したダウンリンク存在期間推定タイミング信号に基づいて、TDD方式のアップリンク無線信号A(U)に多重する付加タイムスロット信号を生成するタイミングと、信号C(U)を所定の付加タイムスロットに挿入するタイミングと、TDD方式のアップリンク無線信号A(U)と付加タイムスロットが設定されたフレーム信号とを多重するタイミングとを生成する。
信号インタフェース部404が出力した信号C(U)は、信号インタフェース部442を経由してFIFO部443に出力する。FIFO部443は、信号C(U)を一時保存する。フレーム生成部444は、アップリンクタイミング推定部441が生成したタイミングに基づいて、信号C(U)が挿入される付加タイムスロットを生成する。フレーム生成部444は、生成した付加タイムスロットの所定のタイムスロット位置に、FIFO部443が出力した信号C(U)を挿入し、所定のタイムスロット位置以外の付加タイムスロットには「0」を挿入したフレーム信号を、タイムスイッチ部445に出力する。タイムスイッチ部445は、AD変換部407−1から入力したTDD方式のアップリンク無線信号A(U)と、フレーム生成部457が出力したフレーム信号とを時分割多重して、マッパー部408に出力する。
上記のような構成により、子局装置4と親局装置2間で、無線信号以外の信号Cの通信を行うことが出来る。
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、子局装置4は、親局装置2が生成したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を用いて、アップリンクへの多重タイムスロットを生成していた。この場合、実際のアップリンクの伝送が開始されるUpPTSの開始時刻は未知のため、GP分アップリンクの無線信号以外の信号を多重するタイムスロット期間を短くする必要があった。また、アップリンクの終了期間も、子局装置4においては、親局装置2からの遅延時間分早く終了するが、終了期間が不明なため、遅延時間分タイムスロット期間を短くする必要があった。そこで、本実施形態では、子局装置4は、アップリンクの無線信号の開始タイミングを推定し、アップリンクの無線信号以外の信号を多重する期間を長くする。
図19は、親局装置2、ハブ局装置3及び子局装置4におけるTDD方式のダウンリンク無線信号とアップリンク無線信号の関係を示す図である。図19(a)は、各装置における信号の遅延時間を示す図であり、図19(b)は、子局装置4におけるアップリンク推定範囲を示す図である。同図において、Td1は、親局装置2とハブ局装置3間の信号送信にかかる遅延時間を表し、Td2は、ハブ局装置3と子局装置4間の信号送信にかかる遅延時間を表している。なお、基地局装置8と親局装置2間の遅延時間、ならびに、親局装置2、ハブ局装置3及び子局装置4それぞれの装置内部の遅延時間は0であると仮定して説明する。
基地局装置8は、図示しない携帯端末からのアップリンク無線信号の出力タイミングを、図19(a)の親局装置2に示すタイミングとなる様に制御する。このため、図19(a)のハブ局装置3及び子局装置4に示す様に、子局装置4におけるアップリンク無線信号の出力タイミングTuprは、ハブ局装置3及び親局装置2のアップリンク無線信号の受信タイミングTuph、Tupmよりも早い。つまり、子局装置4におけるアップリンク無線信号の出力タイミングは、遅延時間Td1及び遅延時間Td2に見合った時間分、ハブ局装置3及び親局装置2よりも早くなる。従って、遅延時間Td1及び遅延時間Td2を計測し、さらに、フレーム構成とスペシャルフレーム構成のコンフィグレーションがわかれば、子局装置4のアップリンクの出力タイミング及び終了タイミングを推定することが可能である。
1サブフレームの時間をTsub、DwPTSの期間をTpd、UpPTSの期間をTpuとし、親局装置2におけるダウンリンク無線信号の終了時刻をTdwdとすれば、アップリンク無線信号の開始時刻Tuprは、以下の式(1)のように推定できる。
Tupr=Tdwd+Tsub−(Tpd+Tpu)−(Td1+Td2) …(1)
図19に示す場合、アップリンク無線信号の終了時刻Tupdは、以下の式(2)のように推定できる。
Tupd=Tdwd+2Tsub−Tpd−(Td1+Td2) …(2)
また、アップリンク期間が複数のサブフレームにまたがる場合、アップリンク無線信号の終了時刻Tupdは、以下の式(3)のように推定できる。
Tupd=Tupr+Tpu+アップリンク伝送期間のサブフレーム数×Tsub …(3)
子局装置4は、TuprからTupdまでを除いたアップリンク未使用期間を、親局装置2宛の無線信号以外の信号の送信に使用する。親局装置2において推定されたダウンリンク存在期間(アップリンク未使用期間)を使用する第2の実施形態と比較し、本実施形態ではアップリンク未使用期間を長く使用することができる。
式(2)及び式(3)に使用される、1サブフレームの時間Tsub、UpPTSの期間Tpu、及び、アップリンク伝送期間のサブフレーム数は、親局装置2の無線フレーム構成設定部207への設定から取得可能である。親局装置2におけるダウンリンク無線信号の終了時刻Tdwd(ダウンリンク伝送期間の終了タイミング)は、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号により得られる。また、親局装置2とハブ局装置3間の伝送遅延Td1及びハブ局装置3及び子局装置4間の伝送遅延Td2については、遅延の計測を行った結果を取得する。なお、1サブフレームの時間Tsub、UpPTSの期間Tpu、予め測定された伝送遅延Td1及び伝送遅延Td2のうち一以上を子局装置4に人手により設定してもよい。
図20は、分散アンテナシステム1、1aにおけるアップリンク信号の期間推定のフロー図を示す。まず、親局装置2に、DwPTS、UpPTS及びサブフレームパターンを設定する(ステップS10)。分散アンテナシステム1、1aは、親局装置2とハブ局装置3との間の伝搬遅延、及び、ハブ局装置3と子局装置4との間の伝搬遅延を測定する(ステップS20)。この測定には、任意の従来技術を用いることができる。例えば、親局装置2から信号送信時刻を表すタイムスタンプを設定した遅延測定用信号をハブ局装置3に送信し、ハブ局装置3は受信した遅延測定用信号を返送する。親局装置2は、遅延測定用信号の受信時刻と、その遅延測定用信号に設定されているタイムスタンプの時刻との比較に基づき伝搬遅延を算出する。あるいは、ハブ局装置3が遅延測定用信号の受信時刻と、その遅延測定用信号に設定されているタイムスタンプの時刻とに基づき伝搬遅延を算出し、親局装置2に通知してもよい。ハブ局装置3と子局装置4においても同様に伝搬遅延を測定する。
親局装置2は、DwPTS、UpPTS及びサブフレームパターンの設定情報と、親局装置2において推定したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を子局装置4に通知する。さらに、親局装置2及びハブ局装置3は、測定した伝送路遅延を設定した測定データを子局装置4に通知する(ステップS30)。子局装置4のアップリンクタイミング推定部441は、ステップS30において通知された情報に基づいて自装置におけるアップリンク無線信号の存在期間を推定する(ステップS40)。具体的には、アップリンクタイミング推定部441は、デマッパー部402経由で、親局装置2とハブ局装置3間の伝搬時間と、ハブ局装置3と子局装置4間の伝搬時間と、親局装置2の無線フレーム構成設定部207の設定情報を取得し、上記の式(2)又は式(3)に示すように、自装置におけるアップリンク信号の開始時刻及び終了時刻を推定する。
これにより、子局装置4におけるアップリンク信号の存在期間を推定できるため、無線信号に重畳して送信可能な無線信号以外の信号の容量を増加させることが出来る。図19(b)に示す様に、増加する時間は、親局装置2から子局装置4までの遅延時間(Td1+Td2)の2倍と、子局装置4におけるGPの時間であるGPcとの合計である。例えば、親局装置2から子局装置4まで光ファイバで伝送する距離を1kmとした場合、往復の遅延時間は、10μsである。仮に分散アンテナシステム1、1aでディジタル化するサンプル時間を20ns(50MHz)とした場合、遅延時間分で500サンプル分増加する。1サンプル当たりのデータ幅を仮に20ビットとすれば、ラジオフレーム当たり、ダウンリンクからアップリンクへの遷移が1回の場合、(I/Qデータ各10ビット)、約1.2キロバイトの容量をラジオフレーム当たり増加することができる。特に、アップリンクの無線信号以外の信号の容量を増加させることは、ハブ局装置3や子局装置4の設置付近の監視カメラ映像等のデータ量の大きいセンサ情報を集める上で、有益である。
(第4の実施形態)
前述したように、LTEのTDD方式の無線フレームは、サブフレーム内のアップリンク信号とダウンリンク信号の配置が7通りあり、また、スペシャルフレーム内のDwPTS期間及びUpPST期間は、10通りある。分散アンテナシステム1、1aでは、これらのコンフィギュレーションパタンに柔軟に対応する必要がある。
これらコンフィギュレーションパタンの単位は、LTEの基本サンプリング信号Tsで定められているが、これらは、シンボル数に換算することができる。よって、シンボル数の整数倍で、多重するタイムスロット期間を調整できればよい。つまり、タイムスロット期間を、無線信号のシンボル時間の整数倍とする。そこで、本実施形態では、親局装置2が、前述のコンフィギュレーション情報を設定する無線フレーム構成設定部207を有し、これらのコンフィギュレーション情報を、無線信号を多重するタイムスロット期間の生成を行うハブ局装置3のタイミング生成部341に伝えることができる。また、分散アンテナシステム1、1aでは、無線信号をディジタル変換する時に、シンボル速度よりも十分早い速度でサンプリングするため、無線信号を多重するタイムスロット期間を該シンボルの整数倍で調整することが可能であり、コンフィギュレーションの違いに柔軟に対応することができる。
(第5の実施形態)
図21は、無線信号以外の信号Cを多重する付加タイムスロットの構成を示す図である。TDD方式の無線信号は、Iデータ、Qデータを、各装置のAD変換部においてで1サンプル毎にサンプルし、IデータとQデータを1ワードとして扱う。1ワードにおけるIデータ及びQデータはそれぞれ、8〜20ビットで表される。無線信号以外の信号Cを多重する付加タイムスロットについても同じサンプル単位で、IデータとQデータを1ワードとして扱う。同図に示す付加タイムスロット期間は、TDD方式の無線信号と同じワードのn個のサンプル単位t0〜tnで構成される。このようにすることで、後述する第6の実施形態におけるハブ局装置3における加算処理が容易になる。
図22は、無線信号以外の信号Cを多重するタイムスロットを、通信区間毎に使用する場合のタイムスロット構成を示す図である。同図では、付加タイムスロット期間における連続する複数のサンプル単位をまとめてグループ化して単位タイムスロット期間とする。そして、各単位タイムスロット期間をそれぞれ、親局装置2と子局装置4との通信、及び、親局装置2とハブ局装置3との通信に割り当てる。これにより、各装置における無線以外の信号の抽出を簡易に行うことができる。同図では、分散アンテナシステム1、1aにおける親局装置2を親局、n番目のハブ局装置3をハブ局#n、i番目の子局装置4を子局#iと記載している。
図23は、無線信号以外の信号Cを多重する付加タイムスロットを、ハブ局装置3毎に使用する場合のタイムスロット構成を示す図である。同図では、付加タイムスロット期間における連続する複数のサンプル単位をまとめてグループ化して単位タイムスロット期間とし、各単位タイムスロットをハブ局装置3毎に割り当てる。ハブ局装置3−i(iは1以上n以下の整数)をハブ局#i、ハブ局装置3−iの配下の各子局装置4−i−jを子局#i−j(jは1以上のmi以下の整数)とする。この場合、ハブ局#iに割当てられた各サンプル単位ti−0〜ti−miは、親局装置2とハブ局装置#iの間、及び、親局装置2と各子局装置#i−1〜#i−miとの間のそれぞれの信号Cに使用される。これにより、ハブ局装置3及び子局装置4において、無線以外の信号の抽出を簡易に行うことができる。
(第6の実施形態)
本実施形態では、ハブ局装置3は、複数の子局装置4から受信したアップリンク信号を、それらアップリンク信号間の遅延を調整した後に加算する。
図24〜図26は、ハブ局装置3におけるアップリンクの加算処理を示す図である。
図24は、子局装置4からハブ局装置3へのアップリンク信号の模式図である。ここでは、ハブ局装置3に接続される2台の子局装置4を子局装置4a、4bと記載する。同図では、ハブ局装置3に子局装置4a、4bから入力されたアップリンク信号AC(U)と、ハブ局装置3でアップリンク信号に付加する信号C(U)を、タイムスロットに配置した模式図を示している。なお、子局装置4a及び4bからのアップリンク信号AC(U)には、TDD方式のアップリンク無線信号A(U)が存在するが、ハブ局装置3では信号C(U)のみを多重するため、無線信号の期間には信号がないことを示す値”0”が設定される。
子局装置4a、子局装置4b及びハブ局装置3の信号Cが多重される付加タイムスロット群の先頭の付加タイムスロットには、この先頭の付加タイムスロットであることを識別する識別信号FHが挿入される。また、子局装置4a、子局装置4b及びハブ局装置3共に、各々3サンプルずつを単位タイムスロット期間としている。子局装置4a、子局装置4b及びハブ局装置3のタイムスロット期間はそれぞれ、サンプルt1、t2、t3である。このタイムスロット期間では、各子局装置4、各ハブ局装置3が、親局装置2と通信するための専用の期間として信号Cを挿入/抽出し、自装置が親局装置2と通信する専用スロット期間以外のスロット期間には”0”を設定している。
図25は、ハブ局装置3が生成する加算制御信号を示す図であり、図26は、ハブ局装置3において加算されたアップリンク信号の模式図である。ハブ局装置3は、タイミング生成部341において識別信号FHを検出し、図25に示す加算制御信号を生成する。タイミング生成部341は、この加算制御信号により、FIFO部342−1及び342−2からの出力を制御して、子局装置4aからのアップリンク信号AC(U)、子局装置4bからのアップリンク信号AC(U)、及び、ハブ局装置3における信号C(U)が設定されたフレーム信号のタイミングを一致させる。ハブ局装置3は、タイミングを一致させたこれらの信号を加算器346に入力することにより、図26に示すような出力を得ることができる。
このような仕組みによって、子局装置4の数の分だけのアップリンク信号AC(U)と、ハブ局装置3における信号C(U)を加算することで、ハブ局装置3は宛先別に信号C(U)を読み出す必要がなく、読出しが簡易となる。従って、回路の簡素化をはかりつつ、無線以外の信号を多重することができる。
(第7の実施形態)
以上の実施形態では、ハブ局装置3及び子局装置4は、親局装置2と無線信号以外の通信が可能である。本実施形態では、ハブ局装置3と子局装置4間、ハブ局装置3間、子局装置4間でも、無線信号以外の信号の通信を可能とする。図27〜図32を用いて本実施形態を説明する。
ハブ局装置3のハブ局Add/Drop部305は、図14に示すタイムスロットアライナ部321に代えて図27に示すタイムスロットアライナ部321aを備え、図15に示すタイムスロットデアライナ及び加算部322に代えて、図28に示すタイムスロットデアライナ及び加算部322aを備える。
図27は、タイムスロットアライナ部321aの構成を示すブロック図を示す。同図において、図14に示すタイムスロットアライナ部321と同一の部分には同一の符号を付している。同図に示すタイムスロットアライナ部321aは、ダウンリンク(DL)タイミング推定部351と、タイムスイッチ部352と、ドロップ部332と、スイッチ353と、フレーム生成部354と、タイムスイッチ部355と、信号インタフェース部333とを備える。
ダウンリンクタイミング推定部351は、デマッパー部304から、親局装置2で生成された、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号やフレーム構成などのコンフィギュレーション情報を入力し、各部の処理に必要なタイミング信号を生成する。タイムスイッチ部352は、デマッパー部304から信号Cとダウンリンク無線信号A(D)とが時分割多重されたダウンリンク信号AC(D)を入力し、TDD方式のダウンリンク無線信号A(D)と、信号Cが多重される付加タイムスロット部分であるタイムスロット信号とに分離する。タイムスイッチ部352は、TDD方式のダウンリンク無線信号A(D)をタイムスイッチ部355に出力し、信号Cが多重されるタイムスロット信号をドロップ部332に出力する。ドロップ部332は、タイムスロット信号の所定の付加タイムスロット部分から信号Cを抽出し、スイッチ353に出力する。
スイッチ353は、ドロップ部332と、信号インタフェース部333と、後述するタイムスロットデアライナ及び加算部322aとから信号Cを出力する。スイッチ353は、信号Cに設定されている信号の宛先に応じて、信号インタフェース部333、信号Cをフレーム生成部354、又は、タイムスロットデアライナ及び加算部322aのスイッチ376(後述する図28参照)に出力する。例えば、スイッチ353は、ドロップ部332から入力した信号Cの宛先が自装置に接続される外部の装置である場合は、信号インタフェース部333に出力する。また、スイッチ353は、ドロップ部332、信号インタフェース部333、又は、タイムスロットデアライナ及び加算部322aから入力した信号Cの宛先が配下の子局装置4である場合は、ダウンリンクタイミング推定部351からのタイミング信号に従って、フレーム生成部354に出力する。
フレーム生成部354は、ダウンリンクタイミング推定部351からのタイミング信号を元に、付加タイムスロットを生成し、スイッチ353から入力した無線信号以外の信号Cを付加タイムスロットに挿入する。フレーム生成部354は、ダウンリンクタイミング推定部351からのタイミング信号に従って、付加タイムスロットに信号Cを設定したタイムスロット信号をタイムスイッチ部355に出力する。
タイムスイッチ部355は、タイムスイッチ部352から入力したTDD方式のダウンリンク無線信号A(D)と、フレーム生成部354から入力し、信号Cが設定されたタイムスロット信号とを、ダウンリンクタイミング推定部351からのタイミング信号に従って時分割多重し、マッパー部306に出力する。
図28は、タイムスロットデアライナ及び加算部322aの構成を示すブロック図である。タイムスロットデアライナ及び加算部322aは、アップリンク(UL)タイミング推定部371と、タイムスイッチ部372−1、372−2と、加算器373と、ドロップ部374−1、374−2と、信号インタフェース部375と、スイッチ376と、フレーム生成部377と、タイムスイッチ部378とを備える。
アップリンクタイミング推定部371は、デマッパー部304から、親局装置2で生成された、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号やフレーム構成などのコンフィギュレーション情報を入力し、各部の処理に必要なタイミング信号を生成する。タイムスイッチ部372−m(m=1,2)は、デマッパー部309−mからアップリンク信号AC(U)を受信し、TDD方式の無線信号A(U)と、信号Cが設定される付加タイムスロット部分のタイムスロット信号に分離する。タイムスイッチ部372−m(m=1,2)は、無線信号A(U)を加算器373に出力し、タイムスロット信号をドロップ部374−mに出力する。加算器373は、タイムスイッチ部372−1、372−2のそれぞれから無線信号A(U)を入力し、ハブ局装置3に接続される子局装置4の数の分(同図では2台分)の無線信号A(U)を加算し、タイムスイッチ部378に出力する。
ドロップ部374−m(m=1,2)は、タイムスイッチ部372−mからタイムスロット信号を入力し、無線信号以外の信号Cを抽出してスイッチ376に出力する。スイッチ376は、ドロップ部374−1、374−2及び信号インタフェース部375から信号Cを入力し、宛先などを参照して、信号Cを、信号インタフェース部375、タイムスロットアライナ部321aのスイッチ353、又は、フレーム生成部377に出力する。
例えば、スイッチ376は、ドロップ部374から入力した信号Cの宛先が自装置に接続される外部の装置である場合は、信号インタフェース部375に出力する。また、スイッチ376は、ドロップ部374又は信号インタフェース部375から入力した信号Cの宛先が親局装置2、他のハブ局装置3、又は、他のハブ局装置3の配下の子局装置4であれば、アップリンクタイミング推定部371からのタイミング信号に従って、フレーム生成部377に出力する。また、スイッチ376は、ドロップ部374から入力した信号Cの宛先が自装置の配下の子局装置4であれば、タイムスロットアライナ部321aのスイッチ353に出力する。
フレーム生成部377は、アップリンクタイミング推定部371からのタイミング信号を元に付加タイムスロットを生成し、生成した付加タイムスロットにスイッチ376から入力した信号Cを挿入する。フレーム生成部377は、アップリンクタイミング推定部371からのタイミング信号に従って、タイムスイッチ部378に付加タイムスロットに信号Cを挿入したタイムスロット信号を出力する。タイムスイッチ部378は、加算器373から入力したTDD方式のアップリンク無線信号A(U)と、フレーム生成部377から入力したタイムスロット信号とを、アップリンクタイミング推定部371からのタイミング信号に従って時分割多重し、マッパー部311に出力する。
このような構成となっているため、ハブ局装置3と子局装置4間、及び、ハブ局装置3に接続している子局装置4間で、無線信号以外の信号Cの通信が可能となる。
親局装置2の親局Add/Drop部205は、図10に示すタイムスロットアライナ部222に代えて図29に示すタイムスロットアライナ部222aを備え、図11に示すタイムスロットデアライナ及び加算部223に代えて、図30に示すタイムスロットデアライナ及び加算部223aを備える。
図29は、タイムスロットアライナ部222aの構成を示すブロック図である。同図において、図10に示すタイムスロットアライナ部222と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットアライナ部222aは、ダウンリンク(DL)タイミング推定部231と、信号インタフェース部232と、スイッチ261と、フレーム生成部234と、タイムスイッチ部235とを備える。タイムスロットアライナ部222aの動作は、図27に示すタイムスロットアライナ部321aの動作とほぼ同様である。ただし、タイムスロットアライナ部222aでは、ダウンリンク無線信号A(D)がAD変換部204−1から入力される点と、信号Cの入力と出力が各々一方向になっている点が異なる。
つまり、ダウンリンクタイミング推定部231は、ダウンリンク検出部221から入力したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を元に、タイムスロットアライナ部222aで使用するタイミング信号を生成する。信号インタフェース部232は、信号スイッチ部202から信号Cを入力してスイッチ261に出力する。スイッチ261は、信号スイッチ部202と、後述するタイムスロットデアライナ及び加算部223aのスイッチ262とから信号Cを出力する。スイッチ261は、入力したこれらの信号Cを、ダウンリンクタイミング推定部231からのタイミング信号に従って、フレーム生成部234に出力する。フレーム生成部234及びタイムスイッチ部235の処理は、図10に示すタイムスロットアライナ部222と同様である。
図30は、タイムスロットデアライナ及び加算部223aの構成を示すブロック図である。同図において、図11に示すタイムスロットデアライナ及び加算部223と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットデアライナ及び加算部223aは、タイムスイッチ部241−1、241−2と、加算器242と、ドロップ部243−1、243−2と、スイッチ262と、スイッチインタフェース部244とを備える。タイムスロットデアライナ及び加算部223aの動作は、図28に示すタイムスロットデアライナ及び加算部322aの動作とほぼ同様である。ただし、タイムスロットデアライナ及び加算部223aでは、アップリンク無線信号A(U)の出力先がDA変換部212−1である点と、信号Cの入力と出力が各々一方向になっている点が異なる。
つまり、タイムスイッチ部241−1、241−2と、加算器242と、ドロップ部243−1、243−2とは、図11に示すタイムスロットデアライナ及び加算部223と同様に動作する。スイッチ262は、ドロップ部243−1、243−2から信号Cを入力し、信号の宛先などを参照して、信号Cを、スイッチインタフェース部244、又は、タイムスロットアライナ部222aのスイッチ261に出力する。例えば、スイッチ262は、信号Cを、宛先が自装置に接続される外部の装置である場合はスイッチインタフェース部244に出力し、宛先がハブ局装置3又は子局装置4に接続される外部の装置である場合はタイムスロットアライナ部222aのスイッチ261に出力する。
子局装置4の子局Add/Drop部403は、図17に示すタイムスロットデアライナ部421に代えて、図31に示すタイムスロットデアライナ部421aを備え、図18に示すタイムスロットアライナ部422に代えて、図32に示すタイムスロットアライナ部422aを備える。
図31は、タイムスロットデアライナ部421aの構成を示すブロック図である。同図において、図17に示すタイムスロットデアライナ部421と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットデアライナ部421aは、タイムスイッチ部431と、ドロップ部432と、スイッチ461と、信号インタフェース部433とを備える。タイムスロットデアライナ部421aの動作は、図27に示すタイムスロットアライナ部321aと同様である。ただし、タイムスロットデアライナ部421aでは、ダウンリンク無線信号A(D)の出力がDA変換部405−1である点と、タイムスロットデアライナ部421aの信号Cの入力と出力が一方向になっている点が異なる。つまり、スイッチ461は、ドロップ部432から入力した信号Cを、信号インタフェース部433を介して信号インタフェース部404へ出力する。
図32は、タイムスロットアライナ部422aの構成を示すブロック図である。同図において、図18に示すタイムスロットアライナ部422と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットアライナ部422aは、アップリンク(UL)タイミング推定部441と、信号インタフェース部442と、スイッチ462と、フレーム生成部444と、タイムスイッチ部445とを備える。タイムスロットアライナ部422aの動作は、図28に示すタイムスロットデアライナ及び加算部322aとほぼ同様である。ただし、タイムスロットアライナ部422aでは、アップリンク無線信号A(U)がAD変換部407−1から入力される点と、信号インタフェース部442から入力した信号Cの入力と出力が一方向になっている点が異なる。つまり、スイッチ462は、信号インタフェース部442から入力した信号Cを、フレーム生成部444へ出力する。
このような構成により、ハブ局装置3間、子局装置4間、子局装置4と当該子局装置4が接続していないハブ局装置3間の無線信号以外の信号の通信が可能となる。
(第8の実施形態)
本実施形態では、付加タイムスロット期間を一つの単位タイムスロット期間として、親局装置2、ハブ局装置3、子局装置4がアクセス可能とする。
図33は、本実施形態で用いられるタイムスロットの例を示す図である。同図では、付加タイムスロット期間全体を一つの単位タイムスロット期間として、単位タイムスロット期間別に親局装置2、ハブ局装置3又は子局装置4のいずれかからのアクセスを可能とする。オーバーヘッドは、単位タイムスロット期間ごとに設定される。これにより、タイムスロット期間全体を1つの装置において利用することが可能となるため、各装置に各タイムスロットを割当てる場合と比較して、大容量のデータが伝送可能となる。
(第9の実施形態)
第7の実施形態及び第8の実施形態では、各装置間で無線信号以外のデータを大容量で通信することが可能であるが、ある特定の装置や信号のみがタイムスロットを占有してしまう恐れがある。本実施形態では、優先度の設定によりこの占有を防ぐ。
図34は、本実施形態のスイッチ200を示す図である。同図に示すスイッチ200は、図27に示すスイッチ353、図28に示すスイッチ376、図29に示すスイッチ261、図30に示すスイッチ262、図31に示すスイッチ461、図32に示すスイッチ462として用いられる。同図に示すスイッチ200には、優先度設定が可能である。スイッチ200へは、装置毎に優先度を設定してもよく、宛先毎に優先度を設定してもよく、無線以外の信号毎に優先度を設定してもよい。なお、この優先度をフレームのオーバーヘッドに設定することで、信号を受信した装置においても単位タイムスロット期間に設定されている信号の優先度を把握可能である。スイッチ200に、複数段階で優先度を設定しておき、設定した優先度の重みに基づいて、無線以外の信号の送出を制御することで、無線信号以外の信号の通信のフローを制御し、特定の装置や信号のみによるタイムスロットの占有を防ぐことが可能である。
(第10の実施形態)
上述した実施形態では、TDD方式の無線信号A、TDD方式以外の無線信号B(たとえば、FDD方式の無線信号)を各々一つずつ、分散アンテナシステム1、1aで伝送する場合を説明してきた。しかし、TDD方式の無線信号Aが複数あってもよく、TDD方式以外の無線信号Bが複数あってもよい。
TDD方式の無線信号Aが複数ある場合の一つに、MIMO信号を扱う場合がある。MIMO信号では、アンテナポート数だけ分散アンテナシステム1、1aにおける伝送が必要であるが、MIMOを構成するアンテナポートグループのメンバである各アンテナポートのフレーム構成とそのタイミングは一致している。このため、ダウンリンク信号及びアップリンク信号の存在期間の推定を、アンテナポート毎に行わず、MIMOを構成するグループのメンバの一部のアンテナポートが行い、これを他のアンテナポートが使用することで、回路の削減が可能である。以下では、一つのアンテナポートが推定を行う場合について説明する。
図35〜図39を用いて、MIMO信号を扱う場合の装置構成の例を以下に示す。以下では、TDD方式の無線信号が2×2MIMOであり、二つのアンテナポートの無線信号Aに、無線以外の信号Cを多重する場合の例について示す。
図35は、本実施形態の親局装置2aの構成を示すブロック図である。本実施形態の分散アンテナシステム1、1aは、親局装置2に代えて、図35に示す親局装置2aを備える。同図において、図3に示す親局装置2と同一の部分には同一の符号を付している。親局装置2aは、信号インタフェース部201と、信号スイッチ部202と、無線インタフェース部203−1、203−2と、AD変換部204−1、204−2と、親局Add/Drop部205a、205bと、マッパー部206と、無線フレーム構成設定部207と、分配部208と、伝送路インタフェース部209−1、209−2と、デマッパー部210−1、210−2と、加算部211と、DA変換部212−1、212−2とから構成される。
図35に示す親局装置2aが図3に示す親局装置2と異なる点は、TDD方式の無線信号Aの伝送が一つでなく、二つである点、親局Add/Drop部205に代えて親局Add/Drop部205aを設ける点、加算部310を設けず新たに親局Add/Drop部205bを設ける点、親局Add/Drop部205aから親局Add/Drop部205bに、親局Add/Drop部205aが生成したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を供給する点である。
図36は、親局Add/Drop部205aの構成を示すブロック図である。同図において、図9に示す親局Add/Drop部205と同一の部分には同一の符号を付している。親局Add/Drop部205aが、図9に示す親局Add/Drop部205と異なる点は、タイムスロットアライナ部222に代えて、タイムスロットアライナ部222xを設けた点である。タイムスロットアライナ部222xは、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号を、後述する図38に示す親局Add/Drop部205bのタイムスロットアライナ部222yに供給する。
図37は、タイムスロットアライナ部222xの構成を示すブロック図である。同図において、図10に示すタイムスロットアライナ部222と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットアライナ部222xが、図10に示すタイムスロットアライナ部222と異なる点は、ダウンリンクタイミング推定部231に代えてダウンリンクタイミング推定部231xを設ける点である。ダウンリンクタイミング推定部231xは、後述する図39に示す親局Add/Drop部205bのタイムスロットアライナ部222yにダウンリンク存在期間推定タイミング信号を出力する。
図38は、親局Add/Drop部205bの構成を示すブロック図である。同図において、図9に示す親局Add/Drop部205と同一の部分には同一の符号を付している。親局Add/Drop部205bが、図9に示す親局Add/Drop部205異なる点は、ダウンリンク検出部221を設けず、タイムスロットアライナ部222に代えて、タイムスロットアライナ部222yを設けた点である。タイムスロットアライナ部222yは、親局Add/Drop部205aのタイムスロットアライナ部222xから、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号を受信する。
図39は、タイムスロットアライナ部222yの構成を示すブロック図である。同図において、図10に示すタイムスロットアライナ部222と同一の部分には同一の符号を付している。タイムスロットアライナ部222yが、図10に示すタイムスロットアライナ部222と異なる点は、ダウンリンクタイミング推定部231を設けず、親局Add/Drop部205aが生成したダウンリンク存在期間推定タイミング信号を外部から入力してFIFO部233、フレーム生成部234及びタイムスイッチ部235の各部に供給する点である。FIFO部233、フレーム生成部234及びタイムスイッチ部235は、供給されたダウンリンク存在期間推定タイミング信号に基づいて、無線信号以外の信号Cを多重するための付加タイムスロットを生成し、TDD方式の無線信号Aに信号Cを多重する。
このように、MIMOを構成するアンテナポートのグループに対しては、グループ内の一つのアンテナポートから、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号を生成して、他のアンテナポートに適用することで、回路規模の削減が可能である。
なお、MIMOを構成するアンテナポートのグループのメンバ数を二つで説明したが、二つ以上でも同様に適応可能である。あるいは、子局装置4における、ダウンリンク存在期間推定タイミング信号、アップリンク存在期間推定タイミング信号の生成においても、同様に、MIMOを構成するアンテナポートのグループに対しては、グループ内の一つから生成し、信号Cを多重するタイムスロットの生成や挿入に適用可能である。
上述した実施形態によれば、分散アンテナシステム1、1aが伝送路として用いている高速な光ファイバ伝送路の有効活用ができる。例えば、分散アンテナシステム1、1aを設置するビルなどの屋内では、館内放送用の放送信号、監視カメラ等の映像伝送、空調設備や照明設備の遠隔制御、ビル内のネットワーク伝送等、さまざまな有線伝送が行われている。これらは独立なシステムのため、二芯信号線、同軸ケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブルなど、さまざまな有線媒体を用いて伝送されている。このため、屋内のケーブル配線用の配管や、ケーブルラックの不足等、配線スペースの確保が課題となっている。特に、屋内のリニューアルによる配線変更や追加は、これらのケーブルから該当の配線を引き直す必要があり、工事の施工期間の長期化やコスト高につながっている。
上述した実施形態の分散アンテナシステム1、1aは、携帯電話システムだけでなく、他の有線信号を伝送できる。よって、屋内の配線スペースを削減でき、配線工事の施工期間の短縮化とコスト低減が図ることができる。また、本実施形態では、TDD方式でも伝送路の使用率を上げ、屋内の配線スペースを削減し、配線工事の施工期間の短縮化とコスト低減を実現できる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、親局装置が親局Add/Drop部を、子局装置が子局Add/Drop部を持つことにより、ダウンリンク無線信号に対してアップリンク伝送期間に他の信号を多重して伝送し、アップリンクの無線信号に対してダウンリンク伝送期間に他の信号を多重して伝送することができる。従って、無線通信をTDD方式で行う場合に基地局装置とアンテナ間の全二重の有線伝送路の伝送効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。