JP6884873B2 - マイクロカプセル及びフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロカプセル及びフィルムに関する。
金属元素を含む溶液中において化学的な合成法によって得られるシングルナノサイズレベルのコロイド状の半導体ナノ粒子(量子ドット)は、一部のディスプレイ用途の波長変換フィルムにおける蛍光材料として実用化が始まっており、また、生体標識、発光ダイオード、太陽電池、薄膜トランジスタ等への応用も期待されている。
一方、量子ドットは比表面積が大きく、表面活性が高いため、安定化等のためにマイクロカプセル化する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2017−112174号公報
昨今、量子ドットの実用化が進むなか、量子収率のさらなる向上が求められている。また、量子ドットは空気中の酸素等により劣化し易いため、空気中に保管したときの量子収率の低下し難さ(耐久性)の向上が求められている。
このようななか、本発明者が特許文献1を参考にマイクロカプセルを製造したところ、その量子収率及び耐久性は昨今要求されているレベルを必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、量子収率及び耐久性に優れたマイクロカプセル、及び、上記マイクロカプセルを含有するフィルムを提供することを目的とする。
上述のとおり、量子ドットは空気中の酸素等により劣化し易いことが分かっている。
このようななか、本発明者がマイクロカプセルの芯物質の半径(マイクロカプセルの内部半径)と外殻層の厚みとの比に着目し検討を行ったところ、上記比と劣化との間に顕著な相関が見られること、そして、上記比を特定の範囲にすることで劣化を著しく抑えるとともに高いレベルの量子収率を達成できることが明らかになった。
本発明は上記知見に基づくものであり、その具体的な構成は以下のとおりである。
(1) 芯物質と上記芯物質を覆う外殻層とを有するマイクロカプセルであって、
上記芯物質が、量子ドットと25℃において液体である分散媒とを含有し、
上記外殻層の材料が、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、これらの2つ以上の共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であり、
上記芯物質の半径が、10nm以上10μm以下であり、
上記外殻層の厚みが、5nm以上9μm以下であり、
上記芯物質の半径に対する上記外殻層の厚みの比が、0.50以上0.90以下である、マイクロカプセル。
(2) 上記量子ドットが、
炭素数6が以上であり、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、ホスフィド基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、ホスホン酸基及びスルフィド基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する、疎水性リガンドを有する、上記(1)に記載のマイクロカプセル。
(3) 上記芯物質の半径に対する上記外殻層の厚みの比が、0.60以上0.90以下である、上記(1)又は(2)に記載のマイクロカプセル。
(4) 上記芯物質の半径に対する上記外殻層の厚みの比が、0.65以上0.90未満である、上記(3)に記載のマイクロカプセル。
(5) 上記芯物質の半径に対する上記外殻層の厚みの比が、0.65以上0.85以下である、上記(4)に記載のマイクロカプセル。
(6) 上記分散媒の沸点が、120℃以上である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(7) 上記分散媒の沸点が、180℃以上である、上記(6)に記載のマイクロカプセル。
(8) 上記外殻層の材料が、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、及び、ポリウレタンウレア系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載のマイクロカプセルを製造する、マイクロカプセルの製造方法であって、
量子ドットと25℃において液体である極性の低い分散媒と重合後に上記マイクロカプセルの外殻層の材料である樹脂となるモノマーとを含有する分散液と、上記分散媒よりも極性の高い溶媒と、界面活性剤とを少なくとも混合することで、混合液を得る、混合工程と、
上記混合液を攪拌しながら加熱することで、上記分散液のミセルを形成するとともに、上記ミセルの界面で上記モノマーを重合して、上記量子ドットと上記分散媒とを含有する芯物質を、上記樹脂を材料とする外殻層で被覆する、マイクロカプセル化工程と、
を備える、マイクロカプセルの製造方法。
(10) 上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有するフィルム。
以下に示すように、本発明によれば、量子収率及び耐久性に優れたマイクロカプセル、及び、上記マイクロカプセルを含有するフィルムを提供することができる。
図1は、本発明のマイクロカプセルの一実施態様の模式的断面図である。 図2Aは、本発明のマイクロカプセルを製造する方法の好適な態様の一実施態様の概略図である。 図2Bは、本発明のマイクロカプセルを製造する方法の好適な態様の一実施態様の概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[1]マイクロカプセル
本発明のマイクロカプセルは、芯物質と上記芯物質を覆う外殻層とを有する。
ここで、上記芯物質は、量子ドットと25℃において液体である分散媒とを含有する。
また、上記外殻層の材料は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、これらの2つ以上の共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
また、上記芯物質の半径は10nm以上10μm以下であり、上記外殻層の厚みは5nm以上9μm以下であり、上記芯物質の半径に対する上記外殻層の厚みの比は0.50以上0.90以下である。
本発明のマイクロカプセルはこのような構成をとることにより、所望の効果を発現するものと考えられる。その理由は詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明のマイクロカプセルにおいて、量子ドットを含有する芯物質は特定の樹脂を材料とする外殻層によって保護されている。上記外殻層は量子ドットを劣化させる因子(酸素等)を遮断する役割を有するものと考えられる。ここで、本発明者の検討から、単に外殻層を厚くしただけでは必ずしも耐久性は向上しないことが分かっている。例えば、外殻層を厚くしても、芯物質の半径(内部半径)も大きい場合には耐久性は不十分となることが分かっている。これは、外殻層を厚くしても、芯物質の半径(内部半径)に対する外殻層の厚みの比が小さい場合、マイクロカプセルに歪みが生じ、酸素等の劣化因子が十分に遮断されなくなるためと推測される。
一方、本発明のマイクロカプセルは、外殻層の厚みの絶対値が特定されているだけでなく、内部半径に対する外殻層の厚みの比が特定の範囲にあるため、マイクロカプセル構造の安定性が高く、上述したような歪みが生じ難い。結果として、本発明のマイクロカプセルは極めて優れた耐久性を示すものと考えられる。
最初に図面を用いて本発明のマイクロカプセルについて説明する。ただし、本発明のマイクロカプセルはこれに限られるものではない。
図1は、本発明のマイクロカプセルの一実施態様の模式的断面図である。
図1に示されるマイクロカプセル10は、量子ドット1と25℃において液体である分散媒2とを含有する芯物質3と、芯物質3を覆う外殻層4とを有する。
ここで、外殻層4の材料は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、これらの2つ以上の共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
また、芯物質3は半径rの球状であり、この芯物質3を厚みdの外殻層4が覆う。なお、マイクロカプセル10は半径r+dの球状である。
また、芯物質3の半径rは10nm以上10μm以下であり、外殻層4の厚みdは5nm以上9μm以下であり、芯物質の半径rに対する外殻層の厚みdの比(d/r)は0.50以上0.90以下である。
以下、本発明のマイクロカプセルの各構成について詳述する。
[芯物質]
芯物質は、量子ドットと25℃において液体である分散媒とを含有する。
芯物質は、本発明の効果がより優れる理由から、複数の量子ドットを含有するのが好ましい。
〔量子ドット〕
芯物質に含有される量子ドットは、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有する半導体ナノ粒子を指す。
量子ドット(半導体ナノ粒子)の粒径は、一般的に1〜10nmの範囲にある。
量子ドットは、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。よって、量子ドットのサイズ又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。
<材料>
上記量子ドットの材料は特に制限されないが、具体例としては、炭素、ケイ素、ゲルマニウム及び錫等のIV族元素の単体、リン(黒リン)等のV族元素の単体、セレン及びテルル等のVI族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数のIV族元素からなる化合物、酸化錫(IV)(SnO)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化錫(IV)(SnS)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)及びテルル化鉛(II)(PbTe)等のIV−VI族半導体、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)及びアンチモン化インジウム(InSb)等のIII−V族半導体、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)及びテルル化インジウム(InTe)等のIII−VI族半導体、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)及びヨウ化タリウム(I)(TlI)等のIII−VII族半導体、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)及びテルル化水銀(HgTe)等のII−VI族半導体、硫化砒素(III)(As)、セレン化砒素(III)(AsSe)、テルル化砒素(III)(AsTe)、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)及びテルル化ビスマス(III)(BiTe)等のV−VI族半導体等が挙げられ、これらのうち1種を用いても2種以上を併用してもよい。本発明の効果がより優れる理由から、上記量子ドットの材料は、III−V族半導体及びII−VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
<疎水性リガンド>
上記量子ドットは、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数が6以上であり、カルボキシ基(−COOH)、アミノ基(−NR:Rは水素原子又は炭化水素基)、チオール基(−SH)、ホスフィド基(−PR:Rは水素原子又は炭化水素基)、ホスフィンオキシド基(−PR(=O):Rは水素原子又は炭化水素基)、ホスフィンスルフィド基(−PR(=S):Rは水素原子又は炭化水素基)、ホスホン酸基(−P(=O)(OH))及びスルフィド基(−S−)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する、疎水性リガンドを有するのが好ましい。
上記炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、8〜35であることが好ましく、10〜25であることがより好ましい。
上記基は、本発明の効果がより優れる理由から、チオール基であることが好ましい。
上記疎水性リガンドの具体例としては、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール及びトリオクチルホスフィンオキシド等が挙げられる。
上記量子ドットは、上記疎水性リガンドを表面に有するのが好ましい。
<好適な態様>
上記量子ドットは、本発明の効果がより優れる理由から、コアシェル粒子であることが好ましい。
上記量子ドットがコアシェル粒子である場合の第1の好適な態様としては、例えば、III族元素及びV族元素を含有するコアと、上記コアの表面の少なくとも一部を覆うII族元素及びVI族元素を含有するシェルとを有する態様(シングルシェル形状)が挙げられる。
また、上記量子ドットがコアシェル粒子である場合の第2の好適な態様としては、例えば、III族元素及びV族元素を含有するコアと、上記コアの表面の少なくとも一部を覆う第1シェルと、上記第1シェルの少なくとも一部を覆う第2シェルとを有する態様(マルチシェル形状)が挙げられる。
<コア>
上記量子ドットがコアシェル粒子である場合、コアシェル粒子が有するコアは、本発明の効果がより優れる理由から、III族元素及びV族元素を含有する、いわゆるIII−V族半導体であるのが好ましい。
(III族元素)
III族元素としては、具体的には、例えば、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び、ガリウム(Ga)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Inであるのが好ましい。
(V族元素)
V族元素としては、具体的には、例えば、P(リン)、N(窒素)、及び、As(ヒ素)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Pであるのが好ましい。
本発明においては、コアとして、上述したIII族元素及びV族元素の例示を適宜組み合わせたIII−V族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、InP、InN、又は、InAsであるのが好ましく、InPであるのがより好ましい。
本発明においては、本発明の効果がより優れる理由から、上述したIII族元素及びV族元素以外に、更にII族元素を含有しているのが好ましく、特にコアがInPである場合、II族元素としてのZnをドープさせることにより格子定数が小さくなり、InPよりも格子定数の小さいシェル(例えば、後述するGaP、ZnSなど)との格子整合性が高くなる。
<シェル>
上記量子ドットがシングルシェル形状のコアシェル粒子である場合、本発明の効果がより優れる理由から、シェルは、コアの表面の少なくとも一部を覆う材料であって、II族元素及びVI族元素を含有する、いわゆるII−VI族半導体であるのが好ましい。
ここで、本発明においては、シェルがコアの表面の少なくとも一部を被覆しているか否かは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM(Transmission Electron Microscope)−EDX(Energy Dispersive X−ray spectroscopy))による組成分布解析によっても確認することが可能である。
(II族元素)
II族元素としては、具体的には、例えば、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、及び、マグネシウム(Mg)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Znであるのが好ましい。
(VI族元素)
VI族元素としては、具体的には、例えば、硫黄(S)、酸素(O)、セレン(Se)、及び、テルル(Te)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、S又はSeであるのが好ましく、Sであるのがより好ましい。
本発明においては、シェルとして、上述したII族元素及びVI族元素の例示を適宜組み合わせたII−VI族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したコアと同一又は類似の結晶系であるのが好ましい。
具体的には、本発明の効果がより優れる理由から、ZnS、ZnSeであるのが好ましく、安全性等の観点から、ZnSであるのがより好ましい。
<第1シェル>
上記量子ドットがマルチシェル形状のコアシェル粒子である場合、第1シェルは、コアの表面の少なくとも一部を覆う材料である。
ここで、本発明においては、第1シェルがコアの表面の少なくとも一部を被覆しているか否かは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)による組成分布解析によっても確認することが可能である。
本発明においては、コアとの界面欠陥を抑制しやすくなる理由から、第1シェルがII族元素又はIII族元素を含むことが好ましい。
ここで、第1シェルがIII族元素を含む場合は、第1シェルに含まれるIII族元素は、上述したコアに含まれるIII族元素とは異なるIII族元素である。
また、II族元素又はIII族元素を含む第1シェルとしては、例えば、後述するII−VI族半導体及びIII−V族半導体の他、III族元素及びVI族元素を含有するIII−VI族半導体(例えば、Ga23、Ga23など)などが挙げられる。
本発明においては、欠陥の少ない良質な結晶相が得られる理由から、第1シェルが、II族元素及びVI族元素を含有するII−VI族半導体、又は、III族元素及びV族元素を含有するIII−V族半導体であるのが好ましく、上述したコアとの格子定数の差が小さいIII−V族半導体であるのがより好ましい。
ここで、第1シェルがIII−V族半導体である場合は、III−V族半導体に含まれるIII族元素は、上述したコアに含まれるIII族元素とは異なるIII族元素である。
(1)II−VI族半導体
上記II−VI族半導体に含まれるII族元素としては、具体的には、例えば、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、及び、マグネシウム(Mg)等が挙げられ、なかでも本発明の効果がより優れる理由から、Znであるのが好ましい。
また、上記II−VI族半導体に含まれるVI族元素としては、具体的には、例えば、硫黄(S)、酸素(O)、セレン(Se)、及び、テルル(Te)等が挙げられ、なかでも本発明の効果がより優れる理由から、S又はSeであるのが好ましく、Sであるのがより好ましい。
第1シェルとして、上述したII族元素及びVI族元素の例示を適宜組み合わせたII−VI族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したコアと同一又は類似の結晶系(例えば、閃亜鉛鉱構造)であるのが好ましい。具体的には、本発明の効果がより優れる理由から、ZnSe、ZnS、又はそれらの混晶であるのが好ましく、ZnSeであるのがより好ましい。
(2)III−V族半導体
上記III−V族半導体に含まれるIII族元素としては、具体的には、例えば、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び、ガリウム(Ga)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Gaであるのが好ましい。なお、上述した通り、III−V族半導体に含まれるIII族元素は、上述したコアに含まれるIII族元素とは異なるIII族元素であり、例えば、コアに含まれるIII族元素がInである場合は、III−V族半導体に含まれるIII族元素はAl、Ga等である。
また、上記III−V族半導体に含まれるV族元素としては、具体的には、例えば、P(リン)、N(窒素)、及び、As(ヒ素)等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Pであるのが好ましい。
第1シェルとして、上述したIII族元素及びV族元素の例示を適宜組み合わせたIII−V族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したコアと同一又は類似の結晶系(例えば、閃亜鉛鉱構造)であるのが好ましい。具体的には、GaPであるのが好ましい。
本発明においては、得られるコアシェル粒子の表面欠陥が少なくなる理由から、上述したコアと第1シェルとの格子定数の差が小さい方が好ましく、具体的には、上述したコアと第1シェルとの格子定数の差が10%以下であることが好ましい。
具体的には、上述したコアがInPである場合、上述した通り、第1シェルはZnSe(格子定数の差:3.4%)、又は、GaP(格子定数の差:7.1%)であることが好ましく、特に、本発明の効果がより優れる理由から、コアと同じIII−V族半導体であり、コアと第1シェルとの界面に混晶状態を作りやすいGaPであることがより好ましい。
また、本発明においては、第1シェルがIII−V族半導体である場合、コアとのバンドギャップの大小関係(コア<第1シェル)に影響を与えない範囲で他の元素(例えば、上述したII族元素及びVI族元素)を含有又はドープしていてもよい。同様に、第1シェルがII−VI族半導体である場合、コアとのバンドギャップの大小関係(コア<第1シェル)に影響を与えない範囲で他の元素(例えば、上述したIII族元素及びV族元素)を含有又はドープしていてもよい。
<第2シェル>
上記量子ドットがマルチシェル形状のコアシェル粒子である場合、第2シェルは、上述した第1シェルの表面の少なくとも一部を覆う材料である。
ここで、本発明においては、第2シェルが第1シェルの表面の少なくとも一部を被覆しているか否かは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)による組成分布解析によっても確認することが可能である。
本発明においては、第1シェルとの界面欠陥を抑制し、また、欠陥の少ない良質な結晶相が得られる理由から、第2シェルが、II族元素及びVI族元素を含有するII−VI族半導体、又は、III族元素及びV族元素を含有するIII−V族半導体であるのが好ましく、材料自体の反応性が高く、より結晶性の高いシェルが容易に得られる理由から、II−VI族半導体であるのがより好ましい。
なお、II族元素及びVI族元素並びにIII族元素及びV族元素としては、いずれも、第1シェルにおいて説明したものが挙げられる。
第2シェルとして、上述したII族元素及びVI族元素の例示を適宜組み合わせたII−VI族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したコアと同一又は類似の結晶系(例えば、閃亜鉛鉱構造)であるのが好ましい。具体的には、ZnSe、ZnS、又はそれらの混晶であるのが好ましく、ZnSであるのがより好ましい。
第2シェルとして、上述したIII族元素及びV族元素の例示を適宜組み合わせたIII−V族半導体を用いることができるが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したコアと同一又は類似の結晶系(例えば、閃亜鉛鉱構造)であるのが好ましい。具体的には、GaPであるのが好ましい。
本発明においては、得られるコアシェル粒子の表面欠陥が少なくなる理由から、上述した第1シェルと第2シェルとの格子定数の差が小さい方が好ましく、具体的には、上述した第1シェルと第2シェルとの格子定数の差が10%以下であることが好ましい。
具体的には、上述した第1シェルがGaPである場合、上述した通り、第2シェルはZnSe(格子定数の差:3.8%)、又は、ZnS(格子定数の差:0.8%)であることが好ましく、ZnSであることがより好ましい。
また、本発明においては、第2シェルがII−VI族半導体である場合、コアとのバンドギャップの大小関係(コア<第2シェル)に影響を与えない範囲で他の元素(例えば、上述したIII族元素及びV族元素)を含有又はドープしていてもよい。同様に、第2シェルがIII−V族半導体である場合、コアとのバンドギャップの大小関係(コア<第2シェル)に影響を与えない範囲で他の元素(例えば、上述したII族元素及びVI族元素)を含有又はドープしていてもよい。
本発明においては、エピタキシャル成長が容易となり、各層間の界面欠陥を抑制しやすくなる理由から、上述したコアと、第1シェルと、第2シェルとが、いずれも閃亜鉛鉱構造を有する結晶系であるのが好ましい。
また、本発明においては、コアにエキシトンが滞在する確率が増大し、発光効率がより高くなる理由から、上述したコア、第1シェル及び第2シェルのうち、コアのバンドギャップが最も小さく、かつ、コア及び第1シェルがタイプ1型(タイプI型)のバンド構造を示すコアシェル粒子であるのが好ましい。
<量子ドットの製造方法>
上記量子ドットの製造方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
上記量子ドットがIII−V族半導体のコアと上記コアの少なくとも一部を覆うII−VI族半導体のシェルとを有するコアシェル粒子である場合、量子ドットの製造方法は、本発明の効果がより優れる理由から、溶媒中にIII族原料とV族原料とを添加し、加熱することで、III−V族半導体のコアを形成してから、II族原料とVI族原料とを添加し、加熱することで、上記コアの少なくとも一部を覆うII−VI族半導体のシェルを形成する方法が好ましい。
また、上述した疎水性リガンドを有する量子ドットを製造する方法としては、例えば、量子ドットを製造する際に疎水性リガンドを添加する方法、及び、量子ドットの原料として疎水性リガンドを使用する方法(例えば、VI族原料としてアルキルチオールを使用する方法)などが挙げられる。
(溶媒)
上記溶媒は、本発明の効果がより優れる理由から、非極性溶媒であるのが好ましい。
非極性溶媒としては、例えば、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンなどの脂肪族飽和炭化水素;1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどの脂肪族不飽和炭化水素;トリオクチルホスフィン;等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数12以上の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、1−オクタデセンがより好ましい。
(III族原料)
上記III原料としては、例えば、塩化インジウム、酸化インジウム、脂肪酸インジウム(例えば、酢酸インジウム、ミリスチン酸インジウム)、硝酸インジウム、硫酸インジウム、及び、インジウム酸;リン酸アルミニウム、アセチルアセトナトアルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、及び、硫酸アルミニウム;並びに、アセチルアセトナトガリウム、塩化ガリウム、フッ化ガリウム、酸化ガリウム、硝酸ガリウム、及び、硫酸ガリウム;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、得られるマイクロカプセルの量子収率及び耐久性がより優れる(以下、単に「本発明の効果がより優れる」とも言う)理由から、インジウム化合物であることが好ましく、塩化物などの不純物イオンがコアに取り込まれ難く、高い結晶性を実現しやすい酢酸インジウムを用いるのがより好ましい。
(V族原料)
上記V族原料としては、例えば、トリストリアルキルシリルホスフィン、トリスジアルキルシリルホスフィン、及び、トリスジアルキルアミノホスフィン;酸化砒素、塩化砒素、硫酸砒素、臭化砒素、及び、ヨウ化砒素;並びに、一酸化窒素、硝酸、及び、硝酸アンモニウム;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、Pを含む化合物であるのが好ましく、例えば、トリストリアルキルシリルホスフィン、又は、トリスジアルキルアミノホスフィンを用いるのが好ましく、具体的には、トリストリメチルシリルホスフィンを用いるのがより好ましい。
(II族原料)
上記II族原料としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、亜鉛カルボキシル酸塩、アセチルアセトナト亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、脂肪酸亜鉛(例えば、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛)、及び、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、脂肪酸亜鉛を用いるのが好ましい。
(VI族原料)
上記VI族原料としては、例えば、硫黄、アルキルチオール、トリアルキルホスフィンスルフィド、トリアルケニルホスフィンスルフィド、アルキルアミノスルフィド、アルケニルアミノスルフィド、イソチオシアン酸シクロヘキシル、ジエチルジチオカルバミン酸、及び、ジエチルジチオカルバミン酸;並びに、トリアルキルホスフィンセレン、トリアルケニルホスフィンセレン、アルキルアミノセレン、アルケニルアミノセレン、トリアルキルホスフィンテルリド、トリアルケニルホスフィンテルリド、アルキルアミノテルリド、及び、アルケニルアミノテルリド;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルキルチオールを用いるのが好ましく、具体的には、ドデカンチオール、又は、オクタンチオールを用いるのがより好ましく、ドデカンチオールを用いるのがさらに好ましい。
<含有量>
上記芯物質中の量子ドットの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましい。
上記量子ドットは、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
〔分散媒〕
芯物質に含有される分散媒は、25℃において液体である分散媒であれば特に制限されない。
上記25℃において液体である分散媒は、極性の高い分散媒(高極性分散媒)(例えば、水)でも極性の低い分散媒(低極性分散媒)でも構わないが、本発明の効果がより優れる理由から、低極性分散媒であることが好ましく、水よりも極性の低い低極性分散媒であることが好ましい。
上記低極性分散媒としては、例えば、トルエン及びメシチレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルムなどのハロゲン化アルキル;ヘキサン、オクタン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン及びn−オクタデカンなどの脂肪族飽和炭化水素;1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンなどの脂肪族不飽和炭化水素;トリオクチルホスフィン;(メタ)アクリレート;等が挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、芳香族炭化水素及び(メタ)アクリレートが好ましく、(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ジシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグルコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、2−モルホリノエチル(メタ)アクリレート、9−アントリル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トランス−1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート及びジシクロペンタニルアクリレート(DCP)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ジシクロペンタニルアクリレート(DCP)が好ましい。
上記25℃において液体である分散媒の沸点は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。
上記25℃において液体である分散媒の沸点の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、350℃以下であることが好ましい。
なお、上記沸点は、1気圧における値とする。
上記芯物質中の上記25℃において液体である分散媒の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜99.9質量%であることが好ましく、70〜99.5質量%であることがより好ましい。
上記25℃において液体である分散媒は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
〔その他の成分〕
上記芯物質は、上記量子ドット及び上記25℃において液体である分散媒のいずれにも該当しないその他の成分を含有していてもよいが、芯物質中の上記その他の成分の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、5質量%以下であることが好ましい。
[外殻層]
上述のとおり、本発明のマイクロカプセルは、芯物質を覆う外殻層を有する。
上記外殻層の材料は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、これらの2つ以上の共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
ここで、「尿素系樹脂」とは、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合によって得られる樹脂であり、「メラミン系樹脂」とは、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合によって得られる樹脂であり、「ポリウレタン系樹脂」とは、主鎖にウレタン結合(−NHCOO−)を有する樹脂であり、「ポリウレア系樹脂」とは、主鎖にウレア結合(−NHCONH−)を有する樹脂であり、「ポリアミド系樹脂」とは、主鎖にアミド結合(−NRCO−:Rは水素原子又は炭化水素基)を有する樹脂である。
また、「これら2つ以上の共重合樹脂」としては、例えば、尿素メラミン系樹脂(尿素とメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合によって得られる樹脂)、ポリウレタンウレア系樹脂(主鎖にウレタン結合及びウレア結合を有する樹脂)、ポリウレタンアミド系樹脂(主鎖にウレタン結合及びアミド結合を有する樹脂)、及び、ポリウレタンウレアアミド系樹脂(主鎖にウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合を有する樹脂)などが挙げられる。
外殻層の材料は、本発明の効果がより優れる理由から、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する樹脂(ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、及び、ポリウレタンウレア系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂)であることが好ましく、主鎖にウレタン結合及びウレア結合を有する樹脂(ポリウレタンウレア系樹脂)であることがより好ましい。
[芯物質半径、外殻層厚み、及び、厚み/半径]
以下、本発明のマイクロカプセルにおける、芯物質の半径(芯物質半径)、外殻層の厚み(外殻層厚み)、及び、芯物質の半径に対する外殻層の厚みの比(厚み/半径)について説明する。
なお、芯物質及びマイクロカプセルは通常球状であるが、これに限られない。
〔芯物質半径〕
本発明のマイクロカプセルにおいて、芯物質半径は、10nm以上10μm以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
ここで、芯物質半径は、マイクロカプセルの内部半径に相当する。芯物質半径(マイクロカプセルの内部半径)は、少なくとも20個のマイクロカプセルをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、外殻層の内側の投影面積と同一面積を有する円の半径を算出して、それらを算術平均することで求める。
〔外殻層厚み〕
本発明のマイクロカプセルにおいて、外殻層厚みは、5nm以上9μm以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
ここで、外殻層厚みは、マイクロカプセルの半径から芯物質半径(マイクロカプセルの内部半径)を差し引いた値に相当する。外殻層厚みは、少なくとも20個のマイクロカプセルをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、外殻層の外側の投影面積と同一面積を有する円の半径を算出して、それらを算術平均することでマイクロカプセルの半径を求め、次いで、マイクロカプセルの半径から芯物質半径(マイクロカプセルの内部半径)を差し引くことで求める。芯物質半径(マイクロカプセルの内部半径)の求め方は上述のとおりである。
〔厚み/半径〕
本発明のマイクロカプセルにおいて、芯物質の半径に対する外殻層の厚みの比(厚み/半径)は、0.50以上0.90以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、0.60以上0.90以下であることが好ましく、0.65以上0.90未満であることがより好ましく、0.70以上0.85以下であることがさらに好ましい。
[マイクロカプセルの製造方法]
本発明のマイクロカプセルを製造する方法は特に制限されないが、例えば、量子ドットと分散媒とモノマーとを含有する分散液のミセルを形成し、上記ミセルの界面でモノマーを重合して、量子ドットと分散媒とを含有する芯物質を外殻層で被覆する方法(方法1)、予め外殻層のみのマイクロカプセルを作製しておき、外殻層の内側に量子ドットと分散媒とを含有する芯物質を抽入する方法(方法2)などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、方法1が好ましく、下記好適な態様に記載の方法がより好ましい。
〔好適な態様〕
本発明のマイクロカプセルを製造する方法は、本発明の効果がより優れる理由から、下記(1)〜(2)の工程を備える方法(以下、「本発明の方法」とも言う)が好ましい。
(1)量子ドットと25℃において液体である極性の低い分散媒と重合後にマイクロカプセルの外殻層の材料である樹脂となるモノマーとを含有する分散液と、上記分散媒よりも極性の高い溶媒と、界面活性剤とを少なくとも混合することで、混合液を得る、混合工程
(2)上記混合液を攪拌しながら加熱することで、上記分散液のミセルを形成するとともに、上記ミセルの界面で上記モノマーを重合して、上記量子ドットと上記分散媒とを含有する芯物質を、上記樹脂を材料とする外殻層で被覆する、マイクロカプセル化工程
最初に図面を用いて本発明の方法について説明する。ただし、本発明の方法はこれに限られるものではない。
図2A及び図2Bは、本発明のマイクロカプセルを製造する方法の好適な態様(本発明の方法)の一実施態様の概略図である。
まず、混合工程において、量子ドットと25℃において液体である極性の低い分散媒と重合後にマイクロカプセルの外殻層の材料である樹脂となるモノマーとを含有する分散液と、上記分散媒よりも極性の高い溶媒と、界面活性剤とを少なくとも混合することで、混合液を得る。
次に、上記混合液を攪拌しながら加熱することで、極性の高い溶媒6中に上記分散液のミセル5を形成し(図2A)、ミセル5の界面で上記モノマーを重合して、上記量子ドットと上記分散媒とを含有する芯物質3を、上記樹脂を材料とする外殻層4で被覆する。このようにして、上記芯物質と上記芯物質を覆う外殻層とを有するマイクロカプセル10を得る(図2B)。
以下、各工程について説明する。
<混合工程>
混合工程は、量子ドットと25℃において液体である極性の低い分散媒と重合後にマイクロカプセルの外殻層の材料である樹脂となるモノマーとを含有する分散液と、上記分散媒よりも極性の高い溶媒と、界面活性剤とを少なくとも混合することで、混合液を得る工程である。
(量子ドット)
量子ドットについては上述のとおりである。
(分散媒)
分散媒は25℃において液体である極性の低い分散媒であれば特に制限されない。
25℃において液体である極性の低い分散媒は、本発明の効果がより優れる理由から、水よりも極性の低い分散媒であることが好ましい。上記水よりも極性の低い分散媒の具体例は、上述した低極性分散媒と同じである。
(モノマー)
モノマーは上述した外殻層の材料である樹脂となるモノマーである。
外殻層の材料が尿素系樹脂である場合のモノマーとしては、例えば、尿素及びホルムアルデヒドが挙げられる。また、外殻層の材料がメラミン系樹脂である場合のモノマーとしては、例えば、メラミン及びホルムアルデヒドが挙げられる。また、外殻層の材料がポリウレタン系樹脂である場合のモノマーとしては、例えば、ポリイソシアネート及びポリオールが挙げられる。また、外殻層の材料がポリウレア系樹脂である場合のモノマーとしては、例えば、ポリイソシアネートが挙げられる。また、外殻層の材料がポリアミド系樹脂である場合のモノマーとしては、カルボン酸(又は、カルボン酸ハロゲン化物等のカルボン酸誘導体)及びアミンが挙げられる。
例えば、モノマーとしてポリイソシアネートを含有する分散液と、水と、界面活性剤との混合液を用いた場合、後述するマイクロカプセル化工程においてミセルの界面でポリイソシアネートと水とが反応してポリウレア系樹脂を材料とする外殻層が形成される。
なお、後述するマイクロカプセル化工程において2種類のモノマーを反応させることで外殻層を形成する場合、2種類のモノマーのうち一方が分散媒に含有され、他方は水及び界面活性剤とともに分散液に混合するのが好ましい。例えば、二塩化イソフタロイルを含有する分散液と、水と、界面活性剤と、p−フェニレンジアミンとの混合液を用いた場合、後述するマイクロカプセル化工程においてミセルの界面で二塩化イソフタロイル及びp−フェニレンジアミンが重合してポリアミド系樹脂を材料とする外殻層が形成される。
(溶媒)
溶媒は、分散媒よりも極性の高い溶媒であれば特に制限されない。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、水が好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は特に制限されず、公知のものを使用することができる。界面活性剤の具体例としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<マイクロカプセル化工程>
マイクロカプセル化工程は、上記混合液を攪拌しながら加熱することで、上記分散液のミセルを形成するとともに、上記ミセルの界面で上記モノマーを重合して、上記量子ドットと上記分散媒とを含有する芯物質を、上記樹脂を材料とする外殻層で被覆する工程である。
加熱の条件はモノマーが反応する条件であれば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、温度は35〜100℃であることが好ましく、時間は0.5〜10時間であることが好ましい。
なお、芯物質の半径は、例えば、マイクロカプセル化工程の攪拌条件によって制御することができる。また、外殻層の厚み、及び、厚み/半径は、例えば、量子ドット及び分散媒とモノマーとの量比によって制御することができる。
[2]フィルム
本発明のフィルムは、上述した本発明のマイクロカプセルを含有するフィルムである。
このような本発明のフィルムは、優れた量子収率及び耐久性を示すため、例えば、ディスプレイ用途の波長変換フィルム、太陽電池の光電変換(または波長変換)フィルム、生体標識、薄膜トランジスタ等に適用することができる。特に、本発明のフィルムは、量子ドットの吸収端よりも短波の領域の光を吸収し、より長波の光を放出するダウンコンバージョン、または、ダウンシフト型の波長変換フィルムへの応用が好適である。
また、本発明のフィルムを構成する母材としてのフィルム材料は特に限定されず、樹脂であってもよく、薄いガラス膜であってもよい。
具体的には、アイオノマー、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、ナイロン等をベースとする樹脂材料が挙げられる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[量子ドットの製造]
J.AM.CHEM.SOC.2008,130,11588−11589を参考に量子ドットを製造した。
具体的には、ミリスチン酸インジウム0.1mmolをオクタデセン10mlに溶解し、N下で250℃に加熱し、その後0.1mmolトリストリメチルシリルホスフィンを投入し、250℃で1時間反応させることでInPのオクタデセン溶液を調製した。
続いて、250℃に保持したまま、ステアリン酸亜鉛0.1mmol及びドデカンチオール0.2mmolを加え2時間加熱することで、InP(コア)とZnS(シェル)とを有する量子ドット(疎水性リガンドとしてドデカンチオールを有する)のオクタデセン分散液を調製した。
得られた量子ドットのオクタデセン分散液10mlにトルエン10ml及びアセトン30mlを加え量子ドットの沈殿を生成させた。その後、遠心分離により沈殿を分離し、沈殿にトルエンを加え、量子ドットのトルエン分散液を調製した。
さらに、得られた量子ドットのトルエン分散液10mlにアセトン20mlを加え、沈殿を生成させた。その後、遠心分離により沈殿を分離し、沈殿に分散媒としてジシクロペンタニルアクリレート(DCP)(25℃において液体、沸点:279℃)10mlを加え、量子ドットのDCP分散液(A液)を調製した(分散液中の量子ドットの濃度:1.0質量%)。
[マイクロカプセルの製造]
以下のとおり、各実施例及び各比較例のマイクロカプセルを製造した。
〔実施例1〕
<混合工程>
上述のとおり製造した量子ドットのDCP分散液(A液)5mLと、ポリイソシアネート(三井化学社製タケネートD−110N)(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)に対して1質量%のポリオール(旭硝子社製エクセノール823)を加えた液(B液)10mLとを混合して分散液(C液)を調製した。そして、得られた分散液(C液)とPVA5質量%水溶液30mLとを混合することで混合液を調製した。
<マイクロカプセル化工程>
得られた混合液を激しく攪拌しながら75℃で2時間加熱してミセルの界面でポリイソシアネート及びポリオールを重合することで、量子ドットと分散媒(DCP)とを含有する芯物質を、主鎖にウレタン結合及びウレア結合を有する樹脂(ポリウレタンウレア樹脂)を材料とする外殻層で被覆した。このようにして、マイクロカプセルを製造した。
なお、量子ドットと分散媒とを含有する芯物質を覆うように主鎖にウレタン結合及びウレア結合を有する樹脂を材料とする外殻層が形成される理由は以下のように推測される。すなわち、得られた混合液を激しく攪拌しながら加熱すると、ポリイソシアネート及びポリオールがミセル内で拡散し、ポリイソシアネートはミセルの界面で水と反応してウレア結合を形成する。ここで、量子ドットの疎水性が高いため、量子ドットと分散媒は界面には寄りづらく、ミセルの中央に寄る。そして、ポリオールは比較的親水性が高いので、量子ドットと分離しようとして界面側に寄る。そのため、ポリオールは界面付近でポリイソシアネートと反応してウレタン結合を形成する。また、ポリイソシアネートとポリオールとがミセルの中央で反応しても、量子ドットとは反応せず、量子ドットとの相溶性も高くないため、界面側に拡散する。結果として、量子ドットと分散媒とを含有する芯物質を覆うように主鎖にウレタン結合及びウレア結合を有する樹脂(ポリウレタンウレア樹脂)を材料とする外殻層が形成されるものと推測される。
<芯物質半径、外殻層厚み、及び、厚み/半径>
得られたマイクロカプセルについてSEM観察を行い、芯物質の半径(芯物質半径)、及び、外殻層の厚み(外殻層厚み)を測定した。また、芯物質の半径と外殻層の厚みから、芯物質の半径に対する外殻層の厚みの比(厚み/半径)を求めた。結果を表1に示す。なお、芯物質の半径、及び、外殻層の厚みの測定方法の詳細は上述のとおりである。
〔実施例2〜15、比較例1〜5〕
上記A液と上記B液の量比、及び、マイクロカプセル化工程の攪拌条件を変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、マイクロカプセルを製造した。
なお、実施例14では、A液の分散媒として、DCPの代わりにメシチレン(25℃において液体、沸点:165℃)を用いた。また、実施例15では、A液の分散媒として、DCPの代わりにトルエン(25℃において液体、沸点:111℃)を用いた。また、比較例6では、量子ドットのDCP分散液(A液)の代わりにCy5.5(色素)のDCP分散液(分散液中のCy5.5の濃度:0.2質量%)を用いた。
各実施例及び比較例について、実施例1と同様に、芯物質の半径、及び、外殻層の厚みを測定した。また、厚み/半径を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例16〕
<混合工程>
上記A液に二塩化イソフタロイル3mLを加えて分散液(D液)を調製した。そして、得られた分散液(D液)とPVA5質量%水溶液30mLと10質量%p−フェニレンジアミン水溶液7mLとを混合することで混合液を調製した。
<マイクロカプセル化工程>
得られた混合液を激しく攪拌しながら75℃で2時間加熱してミセルの界面で二塩化イソフタロイル及びp−フェニレンジアミンを重合することで、量子ドットと分散媒とを含有する芯物質を、ポリアミド系樹脂を材料とする外殻層で被覆した。このようにして、マイクロカプセルを製造した。
<芯物質半径、外殻層厚み、及び、厚み/半径>
得られたマイクロカプセルについて、実施例1と同様に、芯物質の半径、及び、外殻層の厚みを測定した。また、厚み/半径を求めた。結果を表1に示す。
[評価]
得られたマイクロカプセルについて以下の評価を行った。
〔量子収率〕
得られたマイクロカプセルについて絶対量子収率測定計(浜松ホトニクス社製C11347−01)を用いて量子収率(初期)を測定した。その際、波長450nmにおける吸光度を0.1に調節して測定した。また、Cy5.5(色素)を用いた比較例1については波長658nmにおける吸光度を0.1に調整して測定した。
また、マイクロカプセルにする前の量子ドットについても同様に量子収率(マイクロカプセル前)を測定した。そして、下記のとおり減少率を求め、下記基準により量子収率を評価した。
減少率=[量子収率(マイクロカプセル前)−量子収率(初期)]/量子収率(マイクロカプセル前)
結果を表1に示す。実用上、A〜Cであることが好ましく、A又はBであることがより好ましく、Aであることがさらに好ましい。
・A:減少率が5%未満
・B:減少率が5%以上10%未満
・C:減少率が10%以上15%未満
・D:減少率が15%以上
〔耐久性〕
得られたマイクロカプセルを空気中に3日間保管した後に、絶対量子収率測定計を用いて量子収率(3日後)を測定した。そして、下記のとおり減少率を求め、下記基準により耐久性を評価した。
結果を表1に示す。実用上、AA〜Cであることが好ましく、AA〜Bであることがより好ましく、AA又はAであることがさらに好ましく、AAであることが特に好ましい。
減少率=[量子収率(初期)−量子収率(3日後)]/量子収率(初期)
・AA:減少率が1.0%未満
・A:減少率が1.0%以上1.5%未満
・B:減少率が1.5%以上3%未満
・C:減少率が3%以上5%未満
・D:減少率が5%以上
Figure 0006884873
表1中、蛍光材料の欄は、芯物質中の蛍光材料を表す。なお、「InP/ZnS」は、上述のとおり製造したInP(コア)とZnS(シェル)とを有する量子ドット(疎水性リガンドとしてドデカンチオールを有する)を表す。
また、表1中、分散媒の欄は、芯物質中の分散媒を表す。
また、表1中、外殻層の欄は、外殻層の材料を表す。
表1から分かるように、厚み/半径が0.50以上0.90以下である実施例1〜16は、優れた量子収率及び耐久性を示した。
実施例1〜7の対比(分散媒がDCPであり、外殻層の材料がポリウレタンウレア樹脂であり、芯物質半径が2μmである態様同士の対比)から、厚み/半径が0.60以上0.90以下である実施例2〜7は、より優れた耐久性を示した。なかでも、厚み/半径が0.65以上0.90以下である実施例3〜7は、さらに優れた耐久性を示した。そのなかでも、厚み/半径が0.65以上0.90未満である実施例3〜6は、より優れた量子収率を示した。そのなかでも、厚み/半径が0.65以上0.85以下である実施例3〜5は、さらに優れた量子収率を示した。
また、実施例8〜10の対比(分散媒がDCPであり、外殻層の材料がポリウレタンウレア樹脂であり、芯物質半径が3μmである態様同士の対比)から、厚み/半径が0.60以上0.90以下である実施例9及び10は、より優れた量子収率及び耐久性を示した。
また、実施例11〜13の対比(分散媒がDCPであり、外殻層の材料がポリウレタンウレア樹脂であり、芯物質半径が7μmである態様同士の対比)から、厚み/半径が0.60以上0.90以下である実施例12及び13は、より優れた耐久性を示した。なかでも、厚み/半径が0.65以上0.85以下である実施例12は、より優れた量子収率を示した。
また、実施例3と14と15との対比(外殻層の材料がポリウレタンウレア樹脂であり、厚み/半径が0.75である態様同士の対比)から、分散剤の沸点が120℃以上である実施例3及び14は、より優れた量子収率を示した。なかでも、分散剤の沸点が180℃以上である実施例3は、より優れた耐久性を示した。
また、実施例3と16との対比(分散剤がDCPであり、厚み/半径が0.75である態様同士の対比)から、外殻層の材料が主鎖にウレタン結合及び/又はウレア結合を有する樹脂(ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、及び、ポリウレタンウレア系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂)である実施例3は、より優れた量子収率及び耐久性を示した。
一方、厚み/半径が0.50に満たない比較例1及び2は、耐久性が不十分であった。また、厚み/半径が0.90を超える比較例3及び4は、量子収率が不十分であった。また、量子ドットの代わりに色素を用いた比較例5は、耐久性が不十分であった。
1 量子ドット
2 分散媒
3 芯物質
4 外殻層
5 ミセル
6 溶媒
10 マイクロカプセル

Claims (10)

  1. 芯物質と前記芯物質を覆う外殻層とを有するマイクロカプセルであって、
    前記芯物質が、量子ドットと25℃において液体である分散媒とを含有し、
    前記外殻層の材料が、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、これらの2つ以上の共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であり、
    前記芯物質の半径が、10nm以上10μm以下であり、
    前記外殻層の厚みが、5nm以上9μm以下であり、
    前記芯物質の半径に対する前記外殻層の厚みの比が、0.50以上0.90以下である、マイクロカプセル。
  2. 前記量子ドットが、
    炭素数6が以上であり、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、ホスフィド基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、ホスホン酸基及びスルフィド基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する、疎水性リガンドを有する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. 前記芯物質の半径に対する前記外殻層の厚みの比が、0.60以上0.90以下である、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
  4. 前記芯物質の半径に対する前記外殻層の厚みの比が、0.65以上0.90未満である、請求項3に記載のマイクロカプセル。
  5. 前記芯物質の半径に対する前記外殻層の厚みの比が、0.65以上0.85以下である、請求項4に記載のマイクロカプセル。
  6. 前記分散媒の沸点が、120℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
  7. 前記分散媒の沸点が、180℃以上である、請求項6に記載のマイクロカプセル。
  8. 前記外殻層の材料が、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、及び、ポリウレタンウレア系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを製造する、マイクロカプセルの製造方法であって、
    量子ドットと25℃において液体である極性の低い分散媒と重合後に前記マイクロカプセルの外殻層の材料である樹脂となるモノマーとを含有する分散液と、前記分散媒よりも極性の高い溶媒と、界面活性剤とを少なくとも混合することで、混合液を得る、混合工程と、
    前記混合液を攪拌しながら加熱することで、前記分散液のミセルを形成するとともに、前記ミセルの界面で前記モノマーを重合して、前記量子ドットと前記分散媒とを含有する芯物質を、前記樹脂を材料とする外殻層で被覆する、マイクロカプセル化工程と、
    を備える、マイクロカプセルの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有するフィルム。
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