[0060] 例示的な方法およびシステムを本明細書で説明する。単語「例示的な」が、本明細書では「例、実例、または例示として働く」を意味するのに使用されることを理解されたい。本明細書で「例示的な」または「実例となる」として説明されるすべての実施態様または特徴は、必ずしも他の実施態様または特徴より好ましいまたは有利と解釈されない。図面では、文脈がそうではないと規定しない限り、類似する符号が、通常は同様の構成要素を識別する。本明細書で説明される例の実施態様は、限定的であることを意味しない。本明細書で全般的に説明され、図面に示される本開示の諸態様が、様々な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計され得、そのすべてが本明細書で企図されていることが、たやすく理解されよう。
I.概要
[0061] 車両が運転者からの入力がほとんどまたは全くない状態で環境を通ってナビゲートする自律動作を改善する、継続的な努力がある。そのような努力は、リモート・センシング能力およびおそらくは事故回避システムを備えた車両の開発を含む。たとえば、ライダ・デバイスなどの様々なセンサが、車両の環境内の物体を検出し、これによって自律動作および/または事故回避を促進するために車両内に含められ得る。
[0062] 一般に、ライダ・デバイスは、環境特徴までの距離(1つまたは複数)を推定するのを助けると同時に、環境内の反射表面を示す「点群」をアセンブルするためにシーンを通ってスキャンすることができる。点群内の個々の点は、光パルスを放出することと、環境内の物体から反射された戻る光パルスがある場合にはこれを検出することと、放出された光パルスと反射された戻る光パルスの検出との間の時間遅れに従って物体までの距離を判定することとによって判定され得る。ライダは、レーザー(1つまたは複数)または他の光源を含むことができる。レーザー(1つまたは複数)またはライダ全体は、シーン内の反射物体までの距離に関する連続的なリアルタイム情報を提供するために、シーンを横切って素早く繰り返してスキャンすることができる。この配置を用いて、測定された距離と個々の距離を測定する間のレーザー(1つまたは複数)の方位とを組み合わせることによって、3次元位置を各戻る光パルスに関連付けることが可能になる。この形で、環境内の反射特徴の位置を示す点の3次元マップを、スキャン・ゾーン全体について生成することができる。
[0063] コンピューティング・システム(たとえば、車両内の)がライダ・デバイスを動作させる時に、コンピューティング・システムは、あるタイミングに従って光パルスを放出し、検出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、周期的シーケンス(たとえば、1ミリ秒おきに1回の光パルスの放出)など、放出時系列に従う放出時刻に光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。この例では、コンピューティング・システムは、検出時系列に従って戻り光パルスを検出するようにライダ・デバイスを動作させることもできる。検出時系列は、ライダのあるレンジ内に配置された物体から返された光パルスを検出することを意図された検出期間を有することができる。この検出期間は、本明細書では対応する検出期間、公称検出期間、またはデフォルト検出期間と呼ばれる場合があり、このレンジは、本明細書では公称非曖昧検出レンジまたは公称検出レンジと呼ばれる場合がある。たとえば、所与の光パルスの対応する検出期間は、その所与の光パルスの放出の直後またはその後のある時刻に始まることができ、後続の光パルスの放出の前または後に終わることができる。この対応する検出期間は、ライダの公称検出レンジ内に配置された物体から反射する所与の放出された光パルスに対応する戻り光パルスの検出が、この対応する戻り光パルスをもたらすように配置され得る。公称検出レンジは、ライダからの最小距離x0から最大距離xmまでにまたがる。たとえば、最小距離x0は0メートルとすることができ、最大距離xmは60メートルとすることができる。他の場合に、たとえば物体検出が車両の操縦での入力になる可能性が低いか入力にならない場合に、最小距離x0はライダから距離>0mとすることができる。たとえば、ライダが航空機の下に取り付けられる場合に、x0を2メートルとすることができる。他の距離も企図されている。
[0064] 一実施形態では、ライダ・デバイスが戻り光パルスを検出する時に、コンピューティング・システムは、検出された光パルスごとにレンジ仮説を生成することができる。具体的には、コンピューティング・システムは、検出された光パルスごとに、直近に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってレンジ仮説を判定することができる。このレンジ仮説は、本明細書では、近レンジ仮説またはデフォルト・レンジ仮説と呼ばれる場合がある。
[0065] 公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射される光パルスは、公称検出期間内にライダ・デバイスによって検出されない。いくつかの場合に、ライダ・デバイスは、いくつかある可能性の中でも特に、光パルスの強度がライダ・デバイスに達する前に十分に減衰される場合に、そのような光パルスを検出することができない。
[0066] しかし、いくつかの状況で、ライダ・デバイスは、それでも、公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射される光パルスを検出することができる。たとえば、問題の物体が、公称検出レンジを超えて位置決めされた逆反射物体(たとえば、大きい高速道路道路標識)である場合がある。光パルスが、公称検出レンジを超えて位置決めされた逆反射物体から反射する時に、戻り光パルスは、公称検出期間の後の検出期間中にライダ・デバイスによって検出され、レンジ・エイリアシングまたはレンジ曖昧さを生じる場合がある。別の例では、問題の物体が、公称検出レンジの最小距離よりライダ・デバイスの近くに位置決めされた物体である場合がある。その結果、いくつかのシナリオでは、光パルスが、そのより近い物体から反射する時に、ライダ・デバイスは、公称検出期間の前の検出期間中にその光パルスを検出し、やはりレンジ・エイリアシングを生じる場合がある。
[0067] この問題の解決を支援するために、コンピューティング・システムは、擬似ランダム持続時間だけ周期性から外れて各それぞれの放出時刻をそれぞれシフトするために、すべてではないが一部の放出される光パルスのそれぞれの放出タイミングに擬似ランダム・ディザを適用することができる。この配置を用いると、ライダ・デバイスが、公称検出レンジ内に位置決めされた物体(1つまたは複数)から反射された光パルスを検出し、コンピューティング・システムが、これらの検出に基づいて近レンジ仮説を生成する場合に、近レンジ仮説が、それでも既知の物体に似る可能性があり、したがって、コンピューティング・システムは、それでも物体検出にこの近レンジ仮説を使用することになる可能性がある。しかし、ライダ・デバイスが、公称検出レンジの外に位置決めされた物体(1つまたは複数)から反射された光パルスを検出し、コンピューティング・システムが、これらの検出に基づいて近レンジ仮説を生成する場合に、近レンジ仮説は、上で述べた擬似ランダム・シフトに起因して既知の物体には似ない可能性がある(たとえば、近レンジ仮説のレンジが、お互いと実質的に異なる可能性がある)。したがって、コンピューティング・システムは、近レンジ仮説が不正であると判定することができ、物体検出に関して光パルスのそのセットにこの近レンジ仮説を使用しないものとすることができる。
[0068] 擬似ランダム・ディザの適用は、物体検出に近レンジ仮説を使用すべきか否かをコンピューティング・システムが判定することを可能にすることができるが、様々な状況で、どのレンジ(1つまたは複数)を物体検出の基礎として使用すべきかが、まだ不明瞭である場合がある。たとえば、光パルスが、公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射する時に、コンピューティング・システムは、近レンジ仮説を無視することができるが、それでも、その物体に関連するレンジ(1つまたは複数)を判定できず、したがって、物体がライダの公称検出レンジに入る前のその物体の検出が有用である可能性がある場合であっても、その物体を検出することができない。
[0069] 本開示の1つの例示的な実施形態によれば、レンジ曖昧さを解決するのを助けるために、コンピューティング・システムは、時間変動するディザを含む時系列に従って光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができ、戻り光パルスが検出された後に、複数のレンジ仮説を生成し、評価することができる。したがって、開示されるのは、複数のレンジ仮説を生成し、適当なもしくはより高い信頼または物体検出の基礎として使用すべきより高い尤度のレンジ(1つまたは複数)を判定するのにこれらのレンジ仮説を使用する方法およびシステムである。
[0070] いくつかの例で、レンジ仮説のうちの1つは、近レンジ仮説とすることができ、コンピューティング・システムは、近レンジ仮説に加えて、1つまたは複数の代替レンジ仮説を生成することができる。他の例では、近レンジ仮説を生成するのではなく、コンピューティング・システムは、2つ以上の代替レンジ仮説を生成することができる。
[0071] 様々な代替レンジ仮説が可能である。たとえば、検出された光パルスごとに、コンピューティング・システムは、検出時刻と光パルスが最後に放出された光パルスの前に放出された時刻との間の差に基づいてレンジを判定することができる。この例では、判定されるレンジが、物体が最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされている確率に対応するので、代替レンジ仮説を遠レンジ仮説と呼ぶことができる。
[0072] したがって、コンピューティング・システムが、ライダ・デバイスが2つ以上の検出期間中に戻り光パルスを検出したと判定する時に、コンピューティング・システムは、(i)複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってレンジの第1のセットを判定し、(ii)複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってレンジの第2のセットを判定することができる。
[0073] 1つまたは複数の要因に基づいて、コンピューティング・システムは、その後、物体検出の基礎としてのレンジの第1のセットの使用と物体検出の基礎としてのレンジの第2のセットの使用との間で選択することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットが既知の物体によく似ているが、レンジの第2のセットが既知のどの物体にも似ていないと判定することができ、システムは、これに応答して、物体検出の基礎として使用するためにレンジの第1のセットを選択することができる。別の例では、システムは、第2のセットが、お互いに実質的に類似するレンジを含み、第1のセットがお互いとは実質的に異なるレンジを含むと判定することができ、システムは、これに応答して、物体検出の基礎として使用するためにレンジの第2のセットを選択することができる。
[0074] この形で、たとえば、検出された戻り光パルス(1つまたは複数)が、公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射された光パルスであり、したがって、直近に放出された光パルスの前に放出された光パルス(1つまたは複数)に対応する時であっても、コンピューティング・システムは、物体検出の基礎として使用すべき適当なレンジを判定することができる。
II.ライダ・デバイスの例の配置
[0075] ここで図面を参照すると、図1は、例の実施形態による、ライダ・デバイス100の単純化されたブロック図である。図示されているように、ライダ・デバイス100は、電源配置102、エレクトロニクス104、光源(1つまたは複数)106、少なくとも1つの送信器108、少なくとも1つの受信器110、回転プラットフォーム112、アクチュエータ(1つまたは複数)114、静止プラットフォーム116、コネクタ配置118、回転リンク120、およびハウジング122を含む。他の実施形態では、ライダ・デバイス100は、より多数の構成要素、より少数の構成要素、または異なる構成要素を含むことができる。さらに、図示の構成要素を、任意の複数の形で組み合わせまたは分割することができる。
[0076] 電源配置102は、ライダ・デバイス100の様々な構成要素に電力を供給するように構成され得る。具体的には、電源配置102は、ライダ・デバイス100内に配置され、ライダ・デバイス100の様々な構成要素に電力を供給するために任意の実現可能な形でこれらの構成要素に接続された、少なくとも1つの電源を含み、または他の形で電源の形をとることができる。それに加えてまたはその代わりに、電源配置102は、1つまたは複数の外部電源(たとえば、ライダ・デバイス100が結合される車両内に配置された電源)から電力を受け取り、受け取られた電力を任意の実現可能な形でライダ・デバイス100の様々な構成要素に供給するように構成された、電力アダプタもしくは類似物を含み、または他の形でその形をとることができる。どちらの場合でも、たとえばバッテリなど、任意の形の電源を使用することができる。
[0077] エレクトロニクス104は、ライダ・デバイス100のある種のそれぞれの動作を容易にするのを助けるようにそれぞれ配置された1つまたは複数の電子構成要素および/または電子システムを含むことができる。実際には、これらのエレクトロニクス104は、任意の実現可能な形でライダ・デバイス100に配置され得る。たとえば、エレクトロニクス104のうちの少なくとも一部は、回転リンク120の中央空洞領域内に配置され得る。それでも、エレクトロニクス104は、様々なタイプの電子構成要素および/または電子システムを含むことができる。
[0078] たとえば、エレクトロニクス104は、コンピューティング・システムからライダ・デバイス100の様々な構成要素への制御信号の転送および/またはライダ・デバイス100の様々な構成要素からコンピューティング・システムへのデータの転送に使用される様々な配線を含むことができる。一般に、コンピューティング・システムが受信するデータは、いくつかある可能性の中でも特に、受信器110による光の検出に基づくセンサ・データを含むことができる。さらに、コンピューティング・システムによって送られる制御信号は、いくつかある可能性の中でも特に、送信器106による光の放出を制御することによって、受信器110による光の検出を制御することによって、および/または回転プラットフォーム112を回転させるようにアクチュエータ(1つまたは複数)114を制御することによってなど、ライダ・デバイス100の様々な構成要素を動作させることができる。
[0079] いくつかの配置では、エレクトロニクス104は、コンピューティング・システムを含むこともできる。このコンピューティング・システムは、1つまたは複数のプロセッサ、データ・ストレージ、およびデータ・ストレージ上に記憶され、様々な動作を容易にするために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なプログラム命令を有することができる。したがって、この配置を用いると、コンピューティング・システムは、下で説明する方法の動作など、本明細書で説明される動作を担持するように構成され得る。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムは、外部システムとライダ・デバイス100の様々な構成要素との間での制御信号および/またはデータの転送を容易にするのを助けるために、外部コンピューティング・システム、外部制御システム、または類似物(たとえば、ライダ・デバイス100が結合される車両内に配置されたコンピューティング・システム)と通信することができる。
[0080] しかし、他の配置では、エレクトロニクス104がコンピューティング・システムを含まない場合がある。そうではなく、上で述べた配線の少なくとも一部が、外部コンピューティング・システムへの接続性に使用され得る。この配置を用いると、配線は、外部コンピューティング・システムとライダ・デバイス100の様々な構成要素との間での制御信号および/またはデータの転送を容易にするのを助けることができる。他の配置も可能である。
[0081] さらに、1つまたは複数の光源106は、それぞれ、波長範囲内の波長を有する複数の光ビームおよび/またはパルスを放出するように構成され得る。波長範囲は、たとえば、電磁スペクトルの紫外線部分、可視部分、および/または赤外線部分とすることができる。いくつかの例で、波長範囲は、レーザーによって提供されるものなど、狭い波長範囲とすることができる。
[0082] 実際には、光源106のうちの1つは、光のパルスを放出するように構成されたレーザー・ダイオードとすることができる。具体的には、レーザー・ダイオードは、電流がp−n接合にまたがってデバイスを通って流れる間に、反対の極性を与えられ、エネルギを与えられた電荷担体(たとえば、自由電子および/または正孔)がその中で再結合する活性領域と共にp−n接合を含む半導体デバイスとすることができる。再結合は、電荷担体のエネルギ状態の変化に起因する光の放出をもたらす。活性領域が、そのようなエネルギを与えられた対を大量に投入される(たとえば、活性領域が励起状態の反転分布を有する可能性がある)時に、活性領域にまたがる誘導放出は、光の実質的にコヒーレントな波面を作ることができ、この波面が、その後、レーザー・ダイオードから放出される。再結合事象および結果の光放出は、デバイスを通って流れる電流に応答して発生し、したがって、レーザー・ダイオードへの電流のパルスの印加は、レーザー・ダイオードからの光のパルスの放出をもたらす。
[0083] したがって、本開示は、本明細書では、レーザー・ダイオードが主光源106として使用されるという文脈で全般的に説明される。しかし、いくつかの配置では、1つまたは複数の光源106が、それに加えてまたはその代わりに、ファイバ・レーザー、発光ダイオード(LED)、vertical cavity surface emitting laser(VCSEL)、有機発光ダイオード(OLED)、高分子発光ダイオード(PLED)、発光ポリマ(LEP)、液晶ディスプレイ(LCD)、微細電気機械システム(MEMS)、ならびに/または複数の放出された光ビームおよび/もしくはパルスを提供するために光を選択的に透過し、反射し、かつ/もしくは放出するように構成された任意の他のデバイスを含むことができる。
[0084] さらに、送信器108は、光を環境内に放出するように構成され得る。具体的には、送信器108は、光源106からの光を環境に向かって向けるように配置された光学配置を含むことができる。この光学配置は、いくつかある光学構成要素の中でも特に、物理空間全体を介する光の伝搬を案内するのに使用される鏡(1つまたは複数)および/または光のある種の特性を調整するのに使用されるレンズ(1つまたは複数)の任意の実現可能な組合せを含むことができる。たとえば、光学配置は、光をコリメートするように配置され、これによって、お互いに実質的に平行な光線を有する光をもたらす送信レンズを含むことができる。さらに、レンズは、たとえば、水平軸から+7°から水平軸から−18°(たとえば、水平軸は、理想的には環境内の地面と平行である)の垂直の光の広がりを引き起こすことによるなど、特定の形で光を広げまたは他の形で散乱させるように成形され得る。
[0085] 上述のように、ライダ・デバイス100は、少なくとも1つの受信器110を含むことができる。受信器110は、少なくとも、送信器108から放出された光の1つと同一の波長範囲内の波長を有する光を検出するようにそれぞれ構成され得る。それを行う際に、受信器110は、特定の分解能を伴って光を検出することができる。たとえば、受信器110は、0.036°(水平)×0.067°(垂直)角度分解能を伴って光を検出するように構成され得る。さらに、受信器110は、特定のFOVを用いて環境をスキャンするように構成され得る。たとえば、受信器110は、上述の水平軸から+7°から水平軸から−18°の範囲内の着信光を収束させるように配置され得る。この形で、受信器110は、+7°から−18°の範囲に沿った光の検出を可能にし、これは、送信器108が提供する放出された光の上述の例示的な垂直の広がりと一致する。この分解能およびFOVが、例示のみのために説明され、限定的であることが意図されていないことに留意されたい。
[0086] 例の実施態様では、受信器110は、受信器110が上で説明した分解能およびFOVを提供することを可能にする光学配置を有することができる。一般に、そのような光学配置は、少なくとも1つの光学レンズと光検出器アレイとの間の光学経路を提供するように配置され得る。
[0087] より具体的には、受信器110は、ライダ・デバイス100の環境内の1つまたは複数の物体から反射された光を受信器110の検出器に収束させるように配置された光学レンズを含むことができる。それを行うために、光学レンズは、ある寸法(たとえば、約10cm×5cm)ならびにある焦点距離(たとえば、約35cm)を有することができる。さらに、光学レンズは、上で説明したように特定の垂直FOV(たとえば、+7°から−18°)に沿って着信光を収束させるように成形され得る。第1の受信器の光学レンズのそのような成形は、本開示の範囲から逸脱せずに、様々な形態のうちの1つ(たとえば、球面成形)を帯びることができる。
[0088] さらに、上述のように、受信器110は、光検出器アレイを有することができ、この光検出器アレイは、検出された光(たとえば、上述の波長範囲内の)を検出された光を示す電気信号に変換するようにそれぞれ構成された2つ以上の検出器を含むことができる。実際には、そのような光検出器アレイは、様々な形のうちの1つで配置され得る。たとえば、検出器は、1つまたは複数の基板(たとえば、プリント回路基板(PCB)、フレキシブルPCBなど)上に配置され、光学レンズから光学経路に沿って移動している着信光を検出するように配置され得る。また、そのような光検出器アレイは、任意の実現可能な形で整列された任意の実現可能な個数の検出器を含むことができる。たとえば、光検出器アレイは、検出器の13×16アレイを含むことができる。この光検出器アレイが、例示のみのために説明され、限定的であることが意図されていないことに留意されたい。
[0089] 一般に、アレイの検出器は、様々な形態をとることができる。たとえば、検出器は、フォトダイオード、アバランシュ・フォトダイオード(たとえば、ガイガー・モードおよび/または線形モードのアバランシュ・フォトダイオード)、フォトトランジスタ、カメラ、active pixel sensor(APS)、電荷結合素子(CCD)、極低温検出器、および/または放出された光の波長範囲内の波長を有する収束された光を受信するように構成された光の任意の他のセンサの形態をとることができる。他の例も可能である。
[0090] さらに、上述のように、ライダ・デバイス100は、軸の回りで回転するように構成される回転プラットフォーム112を含むことができる。この形で回転するために、1つまたは複数のアクチュエータ114が、回転プラットフォーム112を作動させることができる。実際には、これらのアクチュエータ114は、いくつかある可能性の中でも特に、モーター、空気圧アクチュエータ、油圧ピストン、および/または圧電アクチュエータを含むことができる。
[0091] 例の実施態様では、送信器108および受信器110は、これらの構成要素のそれぞれが回転プラットフォーム112の回転に基づいて環境に対して相対的に移動するように、回転プラットフォーム112上に配置され得る。具体的には、これらの構成要素のそれぞれは、軸に対して相対的に回転され得、その結果、ライダ・デバイス100は、様々な方向から情報を入手できるようになる。この形で、ライダ・デバイス100は、回転プラットフォーム112を作動させることによって異なる方向に調整され得る、水平ビューイング方向を有することができる。
[0092] この配置を用いると、コンピューティング・システムは、環境に関する情報を様々な形で入手するために、回転プラットフォーム112を様々な形で回転するようにアクチュエータ114に指示することができる。具体的には、回転プラットフォーム112は、様々な範囲で両方向に回転することができる。たとえば、回転プラットフォーム112は、ライダ・デバイス100が環境の360°水平FOVを提供するように、完全な回転を実行することができる。したがって、受信器110が、回転プラットフォーム112の回転に基づいて回転できることを考慮すると、受信器110は、水平FOV(たとえば、360°以下)を有し、上で説明した垂直FOVをも有することができる。
[0093] さらに、回転プラットフォーム112は、ライダ・デバイス100に様々なリフレッシュ・レートで環境をスキャンさせるために、様々な速度で回転することができる。たとえば、ライダ・デバイス100は、15Hzのリフレッシュ・レート(たとえば、1秒あたり15回のライダ・デバイス100の完全な回転)を有するように構成され得る。この例では、ライダ・デバイス100が、下でさらに説明するように車両に結合されると仮定すると、スキャンは、したがって、毎秒15回、車両の周囲の360°FOVをスキャンすることを含む。他の例も可能である。たとえば、回転プラットフォーム112は、ライダ・デバイスが小さい角度の水平FOV内で前後にスキャンするようにするために、ライダ・デバイスをスイベル回転させることができる。
[0094] さらに、上述のように、ライダ・デバイス100は、静止プラットフォーム116を含むことができる。実際には、静止プラットフォーム116は、任意の形状または形態を帯びることができ、たとえば車両の上部など、様々な構造体に結合するように構成され得る。また、静止プラットフォーム116の結合は、任意の実現可能なコネクタ配置118(たとえば、ボルト、ねじ、および/または接着剤)を介して実行され得る。この形で、ライダ・デバイス100は、本明細書で説明する目的など、様々な目的のために使用されるように構造体に結合され得る。
[0095] さらに、ライダ・デバイス100は、静止プラットフォーム116を回転プラットフォーム112に直接にまたは間接に結合する回転リンク120をも含むことができる。具体的には、回転リンク120は、静止プラットフォーム116に対する相対的な、軸の回りでの回転プラットフォーム112の回転を提供する任意の形状、形態、および材料を帯びることができる。たとえば、回転リンク120は、アクチュエータ114からの作動に基づいて回転するシャフトまたは類似物の形態をとり、これによって、アクチュエータ114から回転プラットフォーム112に機械的な力を転送することができる。さらに、上述のように、回転リンク120は、エレクトロニクス104および/またはライダ・デバイス100の1つもしくは複数の他の構成要素がその中に配置され得る中央空洞を有することができる。他の配置も可能である。
[0096] さらに、上述のように、ライダ・デバイス100は、ハウジング122を含むことができる。実際には、ハウジング122は、任意の形状および形態を帯びることができる。たとえば、ハウジング122は、いくつかある可能性の中でも特に、ドーム形状のハウジングとすることができる。さらに、ハウジング122は、ライダ・デバイス100の他の構成要素に対して相対的に様々な形で配置され得る。このハウジングが、例示のみのために説明され、限定的であることが意図されていないことに留意されたい。
[0097] 例の実施態様では、ハウジング122は、ハウジング122が回転プラットフォーム112の回転に基づいて上述の軸の回りで回転するように構成されるように、回転プラットフォーム112に結合され得る。この実施態様を用いると、送信器108、受信器110、およびおそらくはライダ・デバイス100の他の構成要素は、それぞれハウジング122内に配置され得る。この形で、送信器108および受信器110は、ハウジング122内に配置されながら、このハウジング122と一緒に回転することができる。
[0098] さらに、ハウジング122は、その上に形成されたアパーチャを有することができ、このアパーチャは、任意の実現可能な形状およびサイズを帯びることができる。これに関して、送信器108は、アパーチャを介して環境に光を放出するようにハウジング122内に配置され得る。この形で、送信器108は、ハウジング122の対応する回転に起因してアパーチャと一緒に回転し、これによって、様々な方向への光の放出を可能にすることができる。また、受信器110は、アパーチャを介して環境からハウジング122に入る光を検出するために、ハウジング122内に配置され得る。この形で、受信器110は、ハウジング122の対応する回転に起因してアパーチャと一緒に回転し、これによって、水平FOVに沿って様々な方向から着信する光の検出を可能にすることができる。
[0099] さらに、ハウジング122は、透明材料から構成され得るアパーチャを除いて、少なくとも部分的に不透明な材料から構成され得る。この形で、光は、アパーチャを介して伝搬し、これによって、環境のスキャンを可能にすることができる。しかし、ハウジング122が少なくとも部分的に不透明であることに起因して、ハウジング122は、少なくとも一部の光がハウジング122の内部空間に入るのを阻止することができ、したがって、熱の影響を軽減するのを助けることができる。たとえば、ハウジング122は、太陽光線がハウジング122の内部空間に入るのを阻止することができ、これは、これらの太陽光線に起因するライダ・デバイス100の様々な構成要素の過熱を防ぐのを助けることができる。さらに、ライダ・デバイス100の様々な構成要素がハウジング122内に配置されることと、ハウジング122がこれらの構成要素と一緒に回転することとに起因して、ハウジング122は、とりわけ雨および/または雪などの様々な環境災害からこれらの構成要素を保護するのを助けることができる。
[0100] しかし、他の実施態様では、ハウジング122は、ライダ・デバイス100と一緒には回転しない外部静止ハウジングとすることができる。たとえば、外部静止ハウジングは、車両に結合され得、ライダ・デバイスも、外部静止ハウジング内で回転するように構成されながら車両に結合され得る。この状況では、外部静止ハウジングは、外部静止ハウジングを介する光の伝搬を、したがってライダ・デバイス100による環境のスキャンを可能にするために、透明である可能性が高い。さらに、ライダ・デバイス100は、光がそれを介して伝搬できるアパーチャをも含むことができ、そのようなアパーチャは、ライダ・デバイス100の内部ハウジング上とすることができ、この内部ハウジングは、ライダ・デバイス100の他の構成要素と一緒に外部静止ハウジング内で回転することができる。他の実施態様も可能である。
III.ライダ・デバイスの例示的な実施態様
[0101] 図2Aは、例の実施形態による、ライダ・デバイス200を示す。ライダ200は、ライダ100に類似するものとすることができる。たとえば、図示されているように、ライダ・デバイス200は、それぞれ光学要素108、回転プラットフォーム216、静止プラットフォーム120、およびハウジング124に類似するものとすることのできる、レンズ208、回転プラットフォーム216、静止プラットフォーム220、およびハウジング224を含む。さらに、図示されているように、ライダ・デバイス200によって放出された光ビーム280は、レンズ108からライダ200の指す方向に沿ってライダ・デバイス200の環境に向かって伝搬し、環境内の1つまたは複数の物体から、反射された光290として反射される。
[0102] いくつかの例で、ハウジング224は、実質的に円筒形の形状を有し、ライダ・デバイス200の軸の回りで回転するように構成され得る。一例では、ハウジング224は、約10センチメートルの直径を有することができる。他の例が可能である。いくつかの例では、ライダ・デバイス200の回転の軸は、実質的に垂直である。たとえば、様々な構成要素を含むハウジング224を回転することによって、ライダ・デバイス200の環境の360度ビューの3次元マップが判定され得る。それに加えてまたはその代わりに、いくつかの例で、ライダ・デバイス200は、ライダ・デバイス200の視野を制御するためにハウジング224の回転の軸を傾けるように構成され得る。したがって、いくつかの例で、回転プラットフォーム216は、ライダ・デバイス200の回転の軸を変更するために1つまたは複数の方向で傾くことのできる可動プラットフォームを含むことができる。
[0103] いくつかの例で、レンズ208は、放出された光ビーム280をコリメートする屈折力とライダ・デバイス200の環境内の1つまたは複数の物体からの反射された光290をライダ・デバイス200内の検出器に収束させる屈折力との両方を有することができる。一例で、レンズ208は、約120mmの焦点距離を有する。他の例の焦点距離が可能である。コリメート用の送信レンズおよび収束用の受信レンズではなく、これらの機能の両方を実行するのに同一のレンズ208を使用することによって、サイズ、コスト、および/または複雑さに関する利点をもたらすことができる。代替案では、ライダ200は、別々の送信レンズおよび受信レンズを含むことができる。
[0104] 図2Bは、例の実施形態による、ライダ・システムの別の可能な実施態様を示す。図示されているように、ライダ・システム228は、第1のライダ230、第2のライダ232、分割構造体234、および光フィルタ236を含むことができる。
[0105] いくつかの例で、第1のライダ230は、たとえば1つまたは複数の光パルスを放出し、車両の環境内の物体からの反射された光パルスを検出すると同時に、連続的に軸(たとえば、垂直軸など)の回りで回転することによって車両の周囲の環境をスキャンするように構成され得る。いくつかの実施形態で、第1のライダ230は、環境内の物体の動きを素早く検出するのに十分に高いリフレッシュ・レートで環境をスキャンできるように、軸の回りで繰り返して回転するように構成され得る。たとえば、第1のライダ230は、10Hzのリフレッシュ・レート(たとえば、毎秒10回の第1のライダ230の完全な回転)を有し、これによって、毎秒10回、車両の周囲の360度FOVをスキャンすることができる。このプロセスを介して、たとえば、周囲の環境の3Dマップが、第1のライダ230からのデータに基づいて判定され得る。一実施形態では、第1のライダ230は、905nmの波長を有する64本のレーザー・ビームを放出する複数の光源を含むことができる。この実施形態では、第1のライダ230からのデータに基づいて判定される3Dマップは、0.2°(水平)×0.3°(垂直)角度分解能を有することができ、第1のライダ230は、環境の360°(水平)×20°(垂直)FOVを有することができる。この実施形態では、3Dマップは、たとえば車両から100メートルの中レンジ内の物体を検出しまたは識別するのに十分な分解能を有することができる。しかし、他の構成(たとえば、光源の個数、角度分解能、波長、レンジなど)も可能である。
[0106] 第1のライダ230とは異なって、いくつかの実施形態で、第2のライダ232は、車両の周囲の環境の狭いFOVをスキャンするように構成され得る。たとえば、第2のライダ232は、同様の軸の回りで完全な回転未満だけ回転する(水平に)ように構成され得る。さらに、いくつかの例で、第2のライダ232は、第1のライダ230より低いリフレッシュ・レートを有することができる。このプロセスを介して、車両は、第2のライダ232からのデータを使用して、環境のより狭いFOVの3Dマップを判定することができる。この場合の3Dマップは、第1のライダ230からのデータに基づいて判定された対応する3Dマップより高い角度分解能を有することができ、したがって、第1のライダ230の距離の中レンジより遠い物体の検出/識別ならびに距離の中レンジ内のより小さい物体の識別を可能にすることができる。一実施形態では、第2のライダ232は、8°(水平)×15°(垂直)のFOV、4Hzのリフレッシュ・レートを有することができ、1550nmの波長を有する1つの狭いビームを放出することができる。この実施形態では、第2のライダ232からのデータに基づいて判定される3Dマップは、0.1°(水平)×0.03°(垂直)の角度分解能を有し、これによって、車両から約300メートルのレンジ内の物体の検出/識別を可能にすることができる。しかし、他の構成(たとえば、光源の個数、角度分解能、波長、レンジなど)も可能である。
[0107] いくつかの例で、車両は、第2のライダ232のビューイング方向を調整するように構成され得る。たとえば、第2のライダ232は、狭い水平FOV(たとえば、8度)を有するが、第2のライダ232は、第2のライダ232のビューイング方向を、図1Bに示された指す方向以外の指す方向に調整することを可能にするステッパ・モーター(図示せず)に取り付けられ得る。したがって、いくつかの例で、第2のライダ232は、車両から任意の指す方向に沿って狭いFOVをスキャンするためにステアリング可能とすることができる。
[0108] 分割構造体234は、第1のライダ230を支持し、かつ/または第1のライダ230を第2のライダ232から光学的に隔離するのに適する任意の固体材料から形成され得る。例の材料は、いくつかある可能性の中でも特に、金属、プラスティック、フォームを含むことができる。
[0109] 光フィルタ236は、波長範囲内の波長を有する光に対して実質的に透明であり、波長範囲外の波長を有する光に対して実質的に不透明である任意の材料から形成され得る。たとえば、光フィルタ236は、第1のライダ230の第1の波長(たとえば、905nm)および第2のライダ232の第2の波長(たとえば、1550nm)を有する光が光フィルタ236を通って伝搬することを可能にすることができる。図示されているように、光フィルタ236は、第1のライダ230および第2のライダ232を囲むように成形される。したがって、いくつかの例で、光フィルタ236は、いくつかある可能性の中でも特に、ちりの累積または空中の破片との衝突など、第1のライダ230および第2のライダ232への環境損傷を防ぐようにも構成され得る。いくつかの例で、光フィルタ236は、光フィルタ236を通って伝搬する可視光を減らすように構成され得る。光フィルタ236は、第1のライダ230および第2のライダ232を囲むことによって車両の審美的外見を改善すると同時に、たとえば外部の観察者の展望からのセンサ・ユニット228の構成要素の可視性を低下させることができる。他の例では、光フィルタ236は、可視光ならびに第1のライダ230および第2のライダ232からの光を許すように構成され得る。
[0110] いくつかの実施形態で、光フィルタ236の諸部分は、異なる波長範囲が光フィルタ236を通って伝搬することを可能にするように構成され得る。たとえば、分割構造体234の上の光フィルタ236の上側部分は、第1のライダ230の第1の波長を含む第1の波長範囲内の光の伝搬を可能にするように構成され得る。さらに、たとえば、分割構造体234の下の光フィルタ236の下側部分は、第2のライダ232からの第2の波長を含む第2の波長範囲内の光の伝搬を可能にするように構成され得る。他の実施形態では、光フィルタ236に関連する波長範囲は、第1のライダ230の第1の波長と第2のライダ232の第2の波長との両方を含むことができる。
[0111] 図3Aから図3Dは、次に、車両300内のライダ・デバイスの実施態様を集合的に示し、具体的には、車両300内の例のライダ・デバイス200の実施態様を示す。車両300は、自動車として図示されているが、他の実施形態が可能である。さらに、例の車両300は、自律モードで動作するように構成され得る車両として図示されているが、本明細書で説明される実施形態は、自律的に動作するように構成されていない車両にも適用可能である。したがって、例の車両300は、限定的であることを意図されたものではない。
[0112] 具体的には、図3Aは、車両300の右側面図、正面図、背面図、および上面図を示す。図示されているように、車両300は、車両300の車輪302が配置される下側ではなく車両の上側に位置決めされたライダ・デバイス200を含む。ライダ・デバイス200は、車両300の上側に位置決めされるものとして図示され、説明されるが、ライダ・デバイス200は、本開示の範囲から逸脱することなく、車両の任意の部分 実現可能な部分に位置決めされ得る。
[0113] さらに、図3Bから図3Cは、次に、ライダ・デバイス200が、たとえば、1つまたは複数の光パルスを放出し、車両300の環境内の物体から反射された光パルスを検出するのと同時に垂直軸308の回りで回転することによって、車両300の周囲の環境をスキャンする(たとえば、15Hzのリフレッシュ・レートで)ように構成され得る。
[0114] より具体的には、図3Bは、ライダ・デバイス200が、+7°から−18°の上述した垂直の広がりを伴って光を放出することを示す。この形で、光放出は、環境のうちで車両300に相対的に近い領域(たとえば、レーン・マーカー)および/または環境のうちで車両300から離れた領域(たとえば、車両の上の道路標識)に向かって放出され得る。
[0115] さらに、図3Cは、ライダ・デバイス200が、+7°から−18°の上述した垂直FOBを用いて反射された光を検出でき、0.036°×0.067°の分解能でそれを行うことを示す。この形で、ライダ・デバイス200は、車両300の相対的に近くの環境の領域から反射された光および/または車両300から遠い環境の領域から反射された光を検出することができる。
[0116] 一般に、これらの検出距離は、図3Dの例によって示される。具体的には、図3Dは、車両300が周囲の環境をスキャンするのにライダ・デバイス200を使用する、上で説明したシナリオの車両300の上面図を示す。したがって、ライダ・デバイス200の水平FOVは、車両300の周囲の360°すべての方向に広がることができる。
[0117] 図3Dに示されているように、ライダ・デバイス200は、車両300までの距離のレンジ内の物体の検出および/または識別に適切である可能性がある。より具体的には、輪郭304の外で輪郭306によって画定される距離のレンジ内の物体は、ライダ・デバイス200からのデータを使用して正しく検出/識別され得る。これらの輪郭が、原寸通りではなく、説明の便宜のために図示のように示されていることに留意されたい。
IV.公称検出レンジおよびレンジ曖昧さ
[0118] ライダ・デバイスが、距離のレンジ内の物体の検出に適する可能性があることを考慮すると、ライダ・デバイスは、最小検出レンジから最大非曖昧検出レンジまでにわたる公称検出レンジを有する可能性がある。ライダ・デバイスの所与の検出期間に関して、最大非曖昧検出レンジは、物体がライダ・デバイスから離れて位置決めされ、指定された検出期間、たとえば公称検出期間内にライダ・デバイスによって検出され得る最大距離を定義することができる。最大非曖昧検出レンジを超える物体から反射された信号は、信頼できる形で検出されるには減衰されすぎている可能性がある。最小検出レンジは、物体が、指定された検出期間内にライダ・デバイスによって検出されるためにライダ・デバイスから離れて位置決めされなければならない最小距離を定義することができる。最小距離より近い物体から反射された信号は、指定された検出期間が始まる前にライダ・デバイスに戻る可能性がある。
[0119] より具体的には、コンピューティング・システムは、あるタイミングに従って光パルスを放出し、検出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、事前定義または擬似ランダムとすることのできる放出時系列に従う放出時刻に光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。この放出時系列は、その後、ライダ・デバイスがそれに従って戻り光パルスを検出する検出時系列を確立することができる。
[0120] たとえば、コンピューティング・システムが、所与の光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させた後に、所与の光パルスの対応する検出期間は、いくつかあるオプションの中でも特に、その所与の光パルスの放出の直後またはその後のある時刻に始まることができ、後続光パルスの放出の前または後に終わることができる。この対応する検出期間中に、ライダ・デバイスは、所与の放出された光パルスが公称検出レンジ内の物体から反射されて戻り光パルスをもたらす時など、所与の放出された光パルスに対応する所与の戻り光パルスを検出することができる。ライダ・デバイスが、所与の戻り光パルスを検出した後に、コンピューティング・システムは、所与の放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、所与の戻り光パルスに関連する特定のレンジを判定することができる。
[0121] 上で議論したように、検出期間は、最小検出レンジから最大非曖昧検出レンジまでにわたる公称検出レンジを確立することができる。
[0122] 具体的には、光パルスの放出時刻と検出期間の終了時刻との間の時間差は、その放出された光パルスからの戻り光パルスが検出期間中にライダ・デバイスによってそれでも検出されるために有することのできる最大時間遅れに対応することができる。たとえば、検出期間が、光パルスの放出の1ナノ秒後に始まり、その光パルスの放出の400ナノ秒(ns)後に終わる場合に、その放出された光パルスからの戻り光パルスが公称検出期間中にライダ・デバイスによって検出されるためには、この光パルスは、400ns以内にライダ・デバイスに戻らなければならない。さらに、コンピューティング・システムが、放出された光パルスと反射された戻る光パルスの検出との間の時間差に従って距離を判定することができるので、最大時間遅れは、物体がライダ・デバイスから離れて位置決めされる可能性がある最大距離を確立することができ、ライダ・デバイスが、この物体から反射され、ライダに返された光パルスを検出期間中にそれでも検出できるようになっている。一般に、この最大距離は、放出された光パルスの最大非曖昧検出レンジを定義することができる。
[0123] さらに、光パルスの放出時刻と検出期間の開始時刻との間の時間差は、戻り光パルスが公称検出期間中にライダ・デバイスによって検出されるために有しなければならない最小時間遅れに対応することができる。たとえば、検出期間が、光パルスの放出の50ナノ秒(ns)後に始まる場合に、戻り光パルスが、この光パルスがライダ・デバイスによって放出された後の検出期間中にライダ・デバイスによって検出されるためには、この光パルスは、50ns以上後にライダ・デバイスに戻らなければならない可能性がある。さらに、コンピューティング・システムが、放出された光パルスと反射された戻る光パルスの検出との間の時間差に従って物体までの距離を判定できるので、最小時間遅れは、物体がライダ・デバイスから離れて位置決めされなければならない最小距離を確立することができ、ライダ・デバイスは、物体から反射され、その後にライダに戻された光パルスをそれでも検出期間中に検出できるようになっている。一般に、この最小距離は、検出期間に関する最小検出レンジを定義することができる。
[0124] いくつかの場合に、異なる検出期間は、異なるそれぞれの公称検出レンジを有することができる。たとえば、検出期間の持続時間が増加する時に、その検出期間の最大検出レンジは、増加する可能性があり、逆も同様である。したがって、より長い持続時間の検出期間は、より長いそれぞれの最大非曖昧検出レンジを有する可能性があり、より短い持続時間の検出期間は、より短いそれぞれの最大非曖昧検出レンジを有する可能性がある。
[0125] これを考慮すると、別の態様では、公称検出レンジは、物体がライダ・デバイスから離れて位置決めされ、ライダ・デバイスのすべての検出期間を考慮に入れる時にライダ・デバイスによって信頼できる形で検出され得る距離を定義することができる。具体的には、ライダ・デバイスが、各検出期間が同一になるように動作させられる場合に、その検出期間は、ライダ・デバイスの公称検出レンジを確立することができる。しかし、ライダ・デバイスが、いくつかのまたはすべての検出期間がお互いと比較して異なるように動作させられる場合には、最長の最大時間遅れを提供する検出期間が、ライダ・デバイスの最大検出レンジを確立することができ、最短の最小時間遅れを提供する検出期間が、ライダ・デバイスの最小検出レンジを確立することができる。
[0126] この配置を用いると、光パルスが、公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射される場合に、コンピューティング・システムは、その光パルスに関連する距離を判定できず、あるいは、その光パルスに関連する不正な距離を判定する可能性がある。
[0127] たとえば、多くの状況では、光パルスが、最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた物体から反射される場合に、ライダ・デバイスは、そのような光パルスを検出しない場合がある。というのは、この光パルスが、ライダ・デバイスに達する前にその強度において大きい減衰を経験する可能性があるからである。しかし、いくつかの状況では、ライダ・デバイスは、それでも、その戻る光パルスを検出する場合がある。たとえば、最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた物体が、最大非曖昧検出レンジを超えて配置された大きい道路標識などの逆反射物体である場合がある。そのような逆反射物体から反射された戻り光パルスは、後続の検出期間中にライダ・デバイスによって検出される可能性がある。その結果、レンジ・エイリアシング弾力性がなければ、コンピューティング・システムは、最大非曖昧検出レンジを超えて配置された物体から減衰されない戻り信号を受信するとは期待されないので、光が移動した距離を計算する際に、より後に放出されたパルスの放出時刻に基づいて、逆反射物体がライダからの物理的な距離よりも近いと誤って判定する可能性がある。
[0128] 別の例では、いくつかの状況で、光パルスが、最小検出レンジより近くに位置決めされた物体から反射される場合に、ライダ・デバイスは、そのような光パルスを検出する場合としない場合とがある。しかし、ライダ・デバイスが、そのような光パルスを検出しない場合には、その光パルスは、検出期間の始まりの前にライダ・デバイスに達することができ、したがって、ライダ・デバイスは、その光パルスに関連する検出期間内にその光パルスを検出しない可能性がある。その結果、コンピューティング・システムは、その光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってその光パルスに関連する距離を判定しない可能性がある。
[0129] 図4A〜図4Cは、ライダ・デバイス200の公称検出レンジを示す。具体的には、図4A〜図4Cは、ライダ・デバイス200が、0メートルの最小検出レンジから60メートル(60m)の最大非曖昧検出レンジ400にわたる公称検出レンジを有することができることを示す。この例では、この最大非曖昧検出レンジ400は、光パルスの放出時刻406Aに続いて始まり、後続光パルスの後続の放出時刻406Bに終わる検出期間408によって確立される。したがって、検出期間408は、400nsの持続時間を有し、これは、最大非曖昧検出レンジ400が、ライダ・デバイス200から約60m離れることにつながる(最大非曖昧検出レンジ×2=パルスの速度×検出期間=299792458m/s×400ns)。
[0130] さらに、図4A〜図4Cは、近くの物体402(たとえば、近くの道路標識)が、最大非曖昧検出レンジ400以内に位置決めされ得ることと、遠くの物体404(たとえば、逆反射「高速道路入口」道路標識)が、最大非曖昧検出レンジ400の外に位置決めされ得ることとを示す。これに関して、図4Bは、近くの物体402から反射されたパルスが、検出期間408の終りの前にライダ・デバイス200に戻り、放出時刻406Aの後の350nsの検出時刻410にそれを行うことを示す。この検出時刻410は、52.5mのレンジに対応し、これは、近くの物体402がライダ・デバイス200から離れて位置決めされる距離である。対照的に、遠くの物体404は、ライダ・デバイス200から80m離れた距離に位置決めされ、これは、60mという最大非曖昧検出レンジ400を超える距離である。したがって、図4Cに示されているように、遠くの物体404から反射されたパルスは、検出期間408の終りの後にライダ・デバイス200に戻り、したがって、検出期間408中にライダ・デバイス200によって検出されない。他の例も可能である。
[0131] 放出された光パルスが、最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた逆反射物体から反射される時に、ライダ・デバイスは、このデバイスがその放出された光パルスからの戻り信号をリスンするのを停止した後の時、すなわち、このデバイスがその後に放出された光パルスからの戻り信号をリスンしている時間中に、この光パルスを検出する可能性があり、これは、レンジ・エイリアシングにつながる可能性があり、これによって、いくつかある可能性の中でも特に、誤物体検出につながる可能性がある。
[0132] 図5Aから図5Bは、戻り光パルスの例の検出を示す。
[0133] 具体的には、図5Aは、ディザの適用を含まない周期的放出時系列#1に従って放出時刻A〜Fにそれぞれ放出される光パルスA〜Fを示す。これらの周期的放出時刻は、それぞれ同一の400ns持続時間を有する検出周期A〜Fを確立する。図示されているように、光パルスA〜Fは、それぞれ遠くの物体404から反射され、その結果、それぞれ後続の検出期間中に検出される。
[0134] 一般に、コンピューティング・システムは、最大非曖昧検出レンジの外に配置された大きい逆反射物体の可能性を考慮に入れずに、検出された光パルスA〜Fに関連する候補レンジを判定することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200が、放出時刻Bに対して相対的に133nsの検出時刻Tn0に光パルスAを検出したと判定することができ、これは、図5Bに示されているように、20mのレンジに対応する。また、検出時刻Tn1からTn5によって示されるように、同様の手法が、光パルスB〜Fに関連するレンジの判定にも使用され得、これによって、物体がライダ・デバイス200から20mに位置決めされているという近レンジ仮説に対応する第1のレンジ502がもたらされる。
[0135] これを考慮すると、コンピューティング・システムは、お互いと同一であるレンジ502を判定し、その結果、これらのレンジ502を物体検出の基礎として使用すべきであると判定することができる。しかし、この近レンジ仮説は不正確である。というのは、光パルスA〜Fが、実際には、ライダ・デバイス200の最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた遠くの物体404から反射されたからである。したがって、物体検出に関するこの近レンジ仮説の使用は、近くの物体の誤検出につながる可能性がある。
[0136] 一実施形態では、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200が、放出時刻Aに対して相対的に533nsの検出時刻Tf0(図5に示されているように80mのレンジに対応する)に光パルスAを検出したと判定することができる。また、検出時刻Tf1からTf5によって示されるように、同様の手法が、光パルスB〜Fに関連するレンジの判定にも使用され得、これによって、物体がライダ・デバイス200から80mに位置決めされているという遠レンジ仮説に対応する第2のレンジ504がもたらされる。この遠レンジ仮説は正確である。というのは、光パルスA〜Fが、実際に、ライダ・デバイス200の最大検出レンジを超えて位置決めされた遠くの物体404から反射されたからである。
[0137] いくつかの例で、この遠レンジ仮説は正確であるが、コンピューティング・システムは、時間変動するディザも適用されない場合に、近仮説と遠仮説との間で曖昧さを除くことができない場合がある。具体的にはコンピューティング・システムは、そのレンジ502を含む近レンジ仮説が、お互いと同一であると判定し、これが、物体がライダ・デバイス200から20m離れて位置決めされていることを示すと判定することができる。さらに、コンピューティング・システムは、そのレンジ504を含む遠レンジ仮説が、お互いと同一であると判定し、これが、物体がライダ・デバイス200から80m離れて位置決めされていることを示すと判定することができる。その結果、コンピューティング・システムは、物体がライダ・デバイス200から20m離れてまたはライダ・デバイス200から80m離れて位置決めされている可能性があると判定することはできるが、追加情報なしで、これらの判定のどちらが実際に正確であるのかを判定することができず、これによってレンジ曖昧さにつながる可能性がある。コンピューティング・システムが2つのレンジの間の曖昧さを除くことを可能にすることのできる追加情報は、検出された物体が、より遠い距離で検出されるはずのサイズである可能性が高いのか低いのかの情報を含む可能性がある。たとえば、物体が、標識のような形状を有する場合には、その物体が遠くにある可能性がある。物体が小動物のような形状を有する場合には、遠くにある可能性は低い。他の例も可能である。
V.レンジ曖昧さを克服するための複数のレンジ仮説の使用および時間変動するディザの適用
[0138] 図6は、例の実施形態による、方法600を示す流れ図である。具体的には、方法600は、1つまたは複数の様々な状況で出会うレンジ曖昧さを解決するのを助けるために実施され得る。
[0139] 図6に示された方法600(および本明細書で開示される他のプロセスおよび方法)は、たとえば図1のライダ・デバイス100、図3A〜図3Dに示された車両300、および/または図17に示され、下でさらに説明される車両1700を含む配置内で(または、より具体的には、プロセッサと、本明細書で説明される機能をデバイスに実行させるために実行可能な命令を有する非一時的コンピュータ可読メモリとなど、その1つまたは複数の構成要素またはサブシステムによって)実施され得る方法を表す。それに加えてまたはその代わりに、方法600は、任意の他の配置およびシステム内で実施され得る。
[0140] 方法600ならびに本明細書で開示される他のプロセスおよび方法は、ブロック602〜610のうちの1つまたは複数によって示されるように、1つまたは複数の動作、機能、またはアクションを含むことができる。ブロックが、順次順序で図示されているが、これらのブロックが、並列におよび/または本明細書で説明されるものとは異なる順序で実行されることも可能である。また、様々なブロックは、所望の実施態様に基づいて、より少数のブロックに組み合わされ、追加のブロックに分割され、かつ/または除去されることが可能である。
[0141] さらに、方法600ならびに本明細書で開示される他のプロセスおよび方法に関して、流れ図は、本実施態様の1つの可能な実施態様の機能性および動作を示す。これに関して、各ブロックは、プロセス内の特定の論理機能またはステップを実施するためにプロセッサによって実行可能な1つまたは複数の命令を含む、モジュール、セグメント、またはプログラム・コードの一部を表すことができる。プログラム・コードは、たとえばディスクまたはハード・ドライブを含むストレージ・デバイスなど、任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、たとえばレジスタ・メモリ、プロセッサ・キャッシュ、およびランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような、短い時間期間の間にデータを記憶するコンピュータ可読媒体など、非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、たとえば読取専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気ディスク、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)のような、副長期ストレージまたは永続長期ストレージなど、非一時的コンピュータ可読媒体を含むこともできる。コンピュータ可読媒体は、任意の他の揮発性または不揮発性のストレージ・システムとすることもできる。コンピュータ可読媒体は、たとえばコンピュータ可読記憶媒体、または有形のストレージ・デバイスと考えることもできる。さらに、方法600ならびに本明細書で開示される他のプロセスおよび方法に関して、図6内の各ブロックは、プロセス内の特定の論理機能を実行するように配線された回路網を表すことができる。
[0142] ブロック602で、方法600は、時間変動するディザを含む放出時系列に従って放出時刻に光パルスを放出し、検出時系列に従って戻り光パルスを検出するようにライダ・デバイスを動作させることであって、検出時系列は、放出された光パルスごとに、対応する戻り光パルスの検出のための対応する検出期間を含み、対応する放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な戻り光パルスの検出時刻は、対応する放出された光パルスを反射した物体までのレンジを示す、動作させることを含む。
[0143] 上述のように、コンピューティング・システムは、あるタイミングに従って光パルスを放出し、検出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。
[0144] たとえば、コンピューティング・システムは、時間変動するディザの適用を含む放出時系列に従って光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。実際には、ディザの適用は、いくつかある可能性の中でも特に、信号への雑音の印加によるなど、周期性から離れる周期的信号の擬似ランダム逸脱を含むことができる。これに関して、コンピューティング・システムは、各それぞれの放出タイミングを擬似ランダム持続時間だけ周期性から離れてそれぞれシフトするために、放出される光パルスのすべてではなく一部のそれぞれの放出タイミングに擬似ランダム・ディザを適用することができる。この実施態様を用いると、上述のように、周期性のシフトに起因して、コンピューティング・システムは、不正な近レンジ仮説を潜在的に無視することができる。
[0145] さらに、放出時系列は、それに従ってライダ・デバイスが戻り光パルスを検出する検出時系列を確立するのを助けることができる。一般に、この検出時系列は、それぞれ放出される光ごとの対応する検出期間を含むことができる。具体的には、所与の光パルスの対応する検出期間は、その所与の光パルスの放出の直後またはその後のある時刻に始まることができ、後続の光パルスの放出の前または後に終わることができる。この対応する検出期間中に、ライダ・デバイスは、所与の放出された光パルスが戻り光パルスをもたらすために物体から反射する時など、所与の放出された光パルスに対応する所与の戻り光パルスを検出することができる。ライダ・デバイスが、ある検出時刻に所与の戻り光パルスを検出した後に、コンピューティング・システムは、所与の放出された光パルスを反射した物体へのレンジを判定することができる。議論されるように、コンピューティング・システムは、所与の戻り光パルスの検出時刻と所与の放出された光パルスの放出時刻との間の時間遅れに従ってこのレンジを判定することができる。
[0146] ブロック604では、方法600は、ライダ・デバイスが、2つ以上の放出された光パルスのそれぞれについて対応する検出期間中に戻り光パルスを検出したことの判定を行うことを含む。
[0147] 一般に、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、それぞれ2つ以上の検出期間のそれぞれの間に1つまたは複数の戻り光パルスを検出したことの判定を行うことができる。たとえば、複数の放出された光パルスが、それぞれ、対応する検出期間をそれぞれ有することができる。そのような対応する検出期間ごとに、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが1つまたは複数の戻り光パルスを検出したと判定することができる。実際には、これらの光パルスの一部またはすべては、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体(1つまたは複数)から反射された光パルスである可能性がある。それに加えてまたはその代わりに、これらの光パルスの一部またはすべては、公称検出レンジ内に位置決めされた近くの物体(1つまたは複数)から反射された光パルスである可能性がある。
[0148] ブロック606では、方法600は、判定を行うことに応答して、(i)検出された戻り光パルスが、レンジの第1のセットを示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有し、(ii)検出された戻り光パルスが、レンジの第2のセットを示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有することを判定することを含む。
[0149] コンピューティング・システムが、ライダ・デバイスが複数の戻り光パルスを検出したと判定した後に、コンピューティング・システムは、これに応答して、これらの検出された戻り光パルスに関する2つ以上のレンジ仮説を生成することができ、このレンジ仮説のうちの少なくとも1つは、代替レンジ仮説である。たとえば、コンピューティング・システムは、近レンジ仮説と、1つまたは複数の代替レンジ仮説とを生成することができる。別の例では、コンピューティング・システムは、2つ以上の代替レンジ仮説を生成することができる。他の例も可能である。
[0150] 近レンジ仮説を生成する時に、コンピューティング・システムは、直近に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、それぞれ検出された戻り光パルスごとにレンジを判定することができる。議論されるように、所与の検出期間中に検出された所与の戻り光パルスに関して、直近に放出された光パルスは、所与の戻り光パルスがその間に検出された所与の検出期間に対応する光パルスである可能性がある。たとえば、図5Aでは、検出期間B中に検出される戻り光パルスAに関して、直近に放出された光パルスは、戻り光パルスAがその間に検出された検出期間Bに対応するパルスBである。したがって、コンピューティング・システムは、検出された戻り光パルスがライダ・デバイスの公称検出レンジ内に位置決めされた近くの物体から反射されたか否かを判定するために、近レンジ仮説を生成する。この例では、たとえばデバイス200の一部であるかこれに結合されたコンピューティング・システムは、検出された光パルスAが、光パルスBが放出された時刻に放出され、ライダ・デバイスの公称検出レンジ内に位置決めされた物体から反射され、したがって実際にそうしたように検出期間B内に戻ったという近レンジ仮説を生成する。
[0151] さらに、代替レンジ仮説を生成する時に、代替レンジ仮説は、遠レンジ仮説とすることができ、あるいは、「近接」レンジ仮説とすることができる。
[0152] 具体的には、コンピューティング・システムは、検出された戻り光パルスがライダ・デバイスの最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた遠くの物体から反射されたという遠レンジ仮説を生成することができる。遠レンジ仮説を生成する時に、コンピューティング・システムは、以前に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、検出された戻り光パルスごとにそれぞれレンジを判定することができる。1つの場合に、対応する放出された光パルスを有する所与の検出期間中に検出された所与の戻り光パルスに関して、以前に放出された光パルスは、所与の検出期間に対応する放出された光パルスの、時間的に直前の光パルスである可能性がある。しかし、他の場合には、以前に放出された光パルスが、2回前の光パルス、3回前の光パルスなどである可能性がある。
[0153] コンピューティング・システムは、検出された戻り光パルスがライダ・デバイスの最小検出レンジより近くに位置決めされた近接物体から反射されたという近接レンジ仮説を生成することができる。たとえば、時刻t0に、光パルスP0が放出され、時刻t1に、ライダが、P0の光の反射を監視し始める実施形態を検討されたい。さらに、時刻t2に、光パルスP1が放出されるが、ライダは、P0の光の反射を監視し続ける。その後、時刻t3に、ライダが、P0の光の反射の監視を停止し、P1の光の反射を監視し始める。この例では、予期されない物体が、ライダ・デバイスの最小検出レンジより近くに配置される場合に、その物体が、t3の前にP1の光を反射する可能性がある。一実施形態では、コンピューティング・システムは、たとえば、システムが、検出期間が始まる前のオフセットならびに検出期間と放出との間のオーバーラップがあることを知っているので、反射が、ライダがP0の反射を監視していた期間中に受信された場合であっても、P1の放出時刻に基づいて、P1の光を反射した物体のレンジを判定するという近接レンジ仮説を生成することができる。したがって、近接レンジ仮説を生成する時には、コンピューティング・システムは、後で放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、検出された戻り光パルスごとにそれぞれレンジを判定することができる。この、後で放出された光パルスは、所与の光パルスがその間に検出された検出期間に続く検出期間に対応する放出された光パルスとすることができる。
[0154] したがって、たとえば、コンピューティング・システムは、(i)複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってレンジの第1のセットを判定し、(ii)複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってレンジの第2のセットを判定することができる。レンジの第1のセットは、近レンジ仮説に対応することができ、レンジの第2のセットは、代替レンジ仮説に対応することができる。代替案では、第1のセットが代替レンジ仮説に対応することができ、第2のセットが近レンジ仮説に対応することができ、あるいは、第1のセットが第1の代替レンジ仮説に対応することができ、第2のセットが第2の代替レンジ仮説に対応することができる。レンジ仮説の他の組合せも可能である。どの場合でも、第2の放出されたパルスのうちの少なくとも1つが、複数の第1の放出されたパルスのそれぞれと異なるはずなので、第1および第2の放出されたパルスは、お互いとは異なる可能性がある。
[0155] ブロック608では、方法600は、物体検出の基礎としてのレンジの第1のセットの使用と物体検出の基礎としてのレンジの第2のセットの使用との間で選択することを含む。ブロック610では、方法600は、選択に従って物体検出に従事することを含む。
[0156] コンピューティング・システムが、検出された戻り光パルスの2つ以上のレンジ仮説を生成した後に、コンピューティング・システムは、これらのレンジ仮説のうちのどれが正しいのかを、したがってどのレンジを物体検出に使用すべきなのかを判定することができる。本開示によれば、コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、既知の物体(1つまたは複数)との比較に基づいておよび/または所与の仮説内の既知のレンジの類似性の考慮に基づいて、それを行うことができる。
[0157] 一例では、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットが既知の物体によく似ていることおよび/またはレンジの第2のセットが既知の物体に似ていないことを判定することができ、システムは、これに応答して、物体検出の基礎として使用すべきレンジの第1のセットを選択することができる。代替案では、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットが既知の物体によく似ていることおよび/またはレンジの第1のセットが既知の物体に似ていないことを判定することができ、システムは、これに応答して、物体検出の基礎として使用すべきレンジの第2のセットを選択することができる。
[0158] この例では、コンピューティング・システムは、物体認識技法に基づくなど、レンジのセットが1つまたは複数の既知の物体を表すか否かを判定することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、既知の物体(たとえば、道路標識(1つまたは複数))をそれぞれ示す複数の点群を記憶しまたは他の形でこれへのアクセスを有する可能性がある。したがって、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、その後、このアセンブルされた点群が複数の点群のうちの少なくとも1つと一致するか否かを判定することができる。アセンブルされた点群が、複数の点群のうちの少なくとも1つと一致する場合には、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットが、少なくとも1つの既知の物体を表すと判定することができる。そうではない場合には、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットが、少なくとも1つの既知の物体を表さないと判定することができる。
[0159] 別の例では、コンピューティング・システムは、第1のセットがお互いに実質的に類似するレンジを含み、かつ/または第2のセットがお互いとは実質的に異なるレンジを含むと判定することができ、システムは、それに応答して、物体検出の基礎として使用するためにレンジの第1のセットを選択することができる。代替案では、コンピューティング・システムは、第2のセットがお互いに実質的に類似するレンジを含み、かつ/または第1のセットがお互いとは実質的に異なるレンジを含むと判定することができ、システムは、それに応答して、物体検出の基礎として使用するためにレンジの第2のセットを選択することができる。
[0160] この例では、コンピューティング・システムは、セット内のレンジがお互いに実質的に類似するか否かを判定することができる。たとえば、コンピューティング・システムが、セットのレンジがお互いと実質的に一致する(たとえば、しきい公差内で)と判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、セットのレンジがお互いに実質的に類似すると判定することができる。そうではない場合に、コンピューティング・システムが、それに応答して、セットのレンジがお互いに実質的に類似しないと判定することができる。別の例では、コンピューティング・システムは、セット内の最小レンジとセット内の最大レンジとの間の差が、しきい差(たとえば、追加のエンジニアリング入力を介して確立される)を超えるか否かを判定することができる。コンピューティング・システムが、この差がしきい差を超えると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、セットのレンジがお互いに実質的に類似しないと判定することができる。しかし、コンピューティング・システムが、この差がしきい差を超えないと判定する場合には、コンピューティング・システムは、それに応答して、セットのレンジがお互いに実質的に類似すると判定することができる。他の実例および例も可能である。
[0161] 戻り光パルスが、複数の第1の放出された光パルスのそれぞれの対応する検出期間中に検出され、したがって、第1のセットが、近レンジ仮説に対応する状況で、コンピューティング・システムが最終的に選択するレンジの範囲は、検出された戻り光パルスが近くの物体(1つまたは複数)から反射されたのかどうか、または検出された戻り光パルスがライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた遠くの物体(1つまたは複数)および/もしくは近接物体(1つまたは複数)から反射されたのかどうかを示すことができる。
[0162] 具体的には、コンピューティング・システムが、物体検出の基礎としてのレンジの第1のセットの使用を選択する場合に、検出され得た戻り光パルスは、ライダ・デバイスの公称検出レンジ内に位置決めされた1つまたは複数の近くの物体から反射された光パルスである。コンピューティング・システムが、物体検出の基礎としてレンジの第2のセットの使用を選択する場合に、検出された戻り光パルスは、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた1つまたは複数の物体から反射された光パルスである。他の例の状況も可能である。
[0163] 一実施形態では、コンピューティング・システムが物体検出の基礎として使用すべきレンジのセットを選択した後に、コンピューティング・システムは、それに従って物体検出に従事することができる。一般に、物体検出への従事は、いくつかある可能性の中でも特に、物体の存在を検出すること、ライダ・デバイスから放れた物体の距離を判定すること、および/または物体を識別することを含むことができる。
[0164] 具体的には、コンピューティング・システムが、レンジの第1のセットを物体検出の基礎として使用すべきであると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、物体検出の基礎としてレンジの第2のセットではなくレンジの第1のセットを使用することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットに基づいて、物体が、ライダ・デバイスから離れた、あるレンジに位置決めされていると判定することができる。コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、このあるレンジが、第1のセットのレンジのうちの1つであると判定することができ、あるいは、このあるレンジが、第1のセットのレンジの平均値であると判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、物体認識技法(1つまたは複数)に従って、物体を識別するための基礎としてこの点群を使用することができる。
[0165] しかし、コンピューティング・システムが、物体検出の基礎としてレンジの第2のセットを使用すべきであると判定する場合には、コンピューティング・システムは、これに応答して、物体検出の基礎としてレンジの第1のセットではなくレンジの第2のセットを使用することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットに基づいて、物体が、ライダ・デバイスから離れた、あるレンジに位置決めされていると判定することができる。コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、このあるレンジが、第2のセットのレンジのうちの1つであると判定することができ、あるいは、このあるレンジが、第2のセットのレンジの平均値であると判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、物体認識技法(1つまたは複数)に従って、物体を識別するための基礎としてこの点群を使用することができる。他の例も可能である。
[0166] この実施態様を考慮すると、コンピューティング・システムは、1つまたは複数の検出された戻り光パルスが近接物体(1つまたは複数)および/または遠くの物体(1つまたは複数)から反射され、放出された光パルスに関連する検出期間が始まる前または終わった後に受信される時であっても、物体検出の基礎として使用すべき適当なレンジを判定することができる。
[0167] 次に、図7Aおよび図7Bは、複数のレンジ仮説およびディザの適用が、一緒に、物体検出の基礎として使用すべきレンジをコンピューティング・システムが選択するのをどのように助けるのかを示す。
[0168] 具体的には、図7Aは、ディザの適用を含む放出時系列#2に従う放出時刻A〜Fにそれぞれ放出される光パルスA〜Fを示す。これらの放出時刻は、様々な持続時間の検出期間A〜Fを確立する。図5A〜図5Bと一致して、光パルスA〜Fは、それぞれ、遠くの物体404から反射され、その結果、それぞれ後続の検出期間中にそれぞれ検出される。
[0169] しかし、この場合に、コンピューティング・システムが、近レンジ仮説に従って、検出された光パルスA〜Fに関連する候補レンジを検出する時に、レンジは、ディザの適用に起因して、実質的にお互いとは異なる可能性がある。たとえば、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200が、放出時刻Bに対して相対的に83nsの検出時刻Tn0(図7Bに示されているように、12.5mのレンジに対応する)に光パルスAを検出したと判定することができる。しかし、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200が、放出時刻Cに対して相対的に183nsの検出時刻Tn1(図7Bに示されているように、27.5mのレンジに対応する)に光パルスBを検出したと判定することができる。図7A〜図7Bに示されているように、同様の手法が、検出時刻Tn2、Tn3、Tn4、およびTn5に関してそれぞれレンジを判定するのに使用され得る。
[0170] これを考慮すると、図7Bに示されているように、コンピューティング・システムは、お互いとは実質的に異なるレンジ702を含む近レンジ仮説を判定し、その結果、これらのレンジ702を物体検出の基礎として使用すべきではないと判定することができる。レンジ702を使用すべきでないとの判定は、光パルスA〜Fが実際にはライダ・デバイス200の最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた遠くの物体404から反射されたので、正しいはずである。したがって、物体検出に関する近レンジ仮説の使用の回避は、近い物体の誤検出を回避するのを助けることができる。
[0171] さらに、コンピューティング・システムは、さらに、遠レンジ仮説に従って、検出された光パルスA〜Fに関連する候補レンジを判定することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200が、放出時刻Aに対して相対的に533nsの検出時刻Tf0(図7Bに示されているように80mのレンジに対応する)に光パルスAを検出したと判定することができる。検出時刻Tf1からTf5によって示されるように、同様の手法が、光パルスB〜Fに関連するレンジを判定するのに使用され得、これによって、物体がライダ・デバイス200から80m離れて位置決めされているという遠レンジ仮説に対応する第2のレンジ704がもたらされる。
[0172] これを考慮すると、図7Bに示されているように、コンピューティング・システムは、お互いに実質的に類似するレンジ704を含む遠レンジ仮説を判定し、その結果、これらのレンジ704を物体検出の基礎として使用すべきであると判定することができる。この遠レンジ仮説は、光パルスA〜Fが、ライダ・デバイス200の最大非曖昧検出レンジを超えて位置決めされた遠くの物体404から実際に反射されたので、正確である。したがって、コンピューティング・システムは、物体検出の基礎として使用すべき適当なレンジを判定する。他の例も可能である。
VI.追加の応用例および考慮事項
a.同一の検出期間内に複数の検出を伴うレンジ曖昧さ
[0173] 実際には、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスがそれぞれ1つまたは複数の検出期間中に複数の戻り光パルスを検出する時など、上で説明したもの以外の状況でレンジ曖昧さに出会う可能性がある。
[0174] より具体的には、ライダ・デバイスが、公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射された光パルスを検出する時に、ライダ・デバイスは、その光パルスに対応する検出期間の終りの後の検出時刻またはその光パルスに対応する検出期間の始めの前の検出時刻にこの光パルスを検出する可能性があり、これは、同一の検出期間内の複数の光パルス検出という文脈でのレンジ曖昧さにつながる可能性がある。
[0175] たとえば、もう一度図4Cを参照すると、ライダ・デバイス200は、放出時刻406Bに放出された別の光パルスに対応する検出期間中に、したがって検出期間408に続く検出期間中に、放出時刻406Aに放出された光パルスを検出する場合がある。このシナリオは、コンピューティング・システムが、ライダ・デバイスが同一の検出期間中に複数の戻り光パルスを検出したと判定することにつながる可能性があり、したがって、コンピューティング・システムが、この検出期間に対応する放出された光パルスに対する相対的な2つの可能な時間遅れを判定することにつながる可能性がある。その結果、このシナリオは、曖昧さにつながる可能性がある。というのは、これらの戻り光パルスのどちらが検出期間に対応し、したがって、これらの戻り光パルスのどちらを物体への距離の判定の基礎として使用すべきかが不明瞭になる可能性があるからである。
[0176] たとえば、図8A〜図8Bは、ライダ・デバイスが、同一の検出期間中に複数の戻り光パルスをどのように検出する可能性があるのか、および同一の検出期間中の複数の戻り光パルスのそのような検出がどのようにして曖昧さにつながるのかを示す。具体的には、図8Aは、周期的放出時系列#3に従って放出時刻AからGにそれぞれ放出される光パルスA〜Gを示す。上の議論と一致して、これらの周期的放出時刻は、それぞれ同一の400ns持続時間の検出期間A〜Gを確立する。図示されているように、光パルスA、C、E、およびGは、近くの物体402から反射され、したがって、それらに対応する検出期間A、C、E、およびGにライダ・デバイス200によってそれぞれ検出される。しかし、光パルスB、D、およびFは、遠くの物体404から反射され、その結果、それぞれ、後続の検出期間中にそれぞれ検出される。
[0177] その結果、ライダ・デバイス200は、各そのような後続の検出期間中に複数の戻り光パルスをそれぞれ曖昧に検出する。たとえば、光パルスBは、検出期間C中にライダ・デバイス200によって検出され、この検出期間Cは、光パルスBの検出用ではなく光パルスCの検出用に確立されたものである。これに関して、ライダ・デバイス200は、放出時刻Cに対して相対的に133nsの検出時刻Bに光パルスBを検出し(20mのレンジに対応する)、放出時刻Cに対して相対的に350nsの検出時刻Cに光パルスCをも検出する(52.5mのレンジに対応する)。検出期間E中の光パルスDおよびEの検出に関して、ならびに検出期間G中の光パルスFおよびGの検出に関して、同様の状況に出会う。
[0178] したがって、コンピューティング・システムは、それぞれ52.5mの値を有するレンジ802を含む、光パルスA、C、E、およびGの検出に基づいて近レンジ仮説を生成することができる。さらに、コンピューティング・システムは、それぞれ20mの値を有するレンジ804を含む、光パルスB、D、およびFの検出に基づいて近レンジ仮説を生成することができる。レンジ802および804のこれらの可能なセットを考慮して、ライダ・デバイス200を動作させるコンピューティング・システムは、物体がライダ・デバイス200から52.5m離れて位置決めされているのかどうか、および/または物体がライダ・デバイス200から20m離れて位置決めされているのかどうかを、確実性を伴って判定できない可能性があり、これが、レンジ曖昧さにつながる。他の例も可能である。
[0179] レンジ曖昧さの問題を解決するのを助けるために、時間変動するディザが、放出時系列に適用され得る。実際には、上述のように、ディザの適用は、いくつかある可能性の中でも特に、信号への雑音の印加によるなど、周期的信号の周期性からの擬似ランダム逸脱を含むことができる。これに関して、コンピューティング・システムは、擬似ランダム持続時間によって周期性から離れて各そのようなそれぞれの放出時刻をそれぞれシフトするために、すべてではなくいくつかの放出される光パルスのそれぞれの放出時刻に擬似ランダム・ディザを適用することができる。この実施態様を用いると、ライダ・デバイスは、それでも、複数の検出期間のそれぞれの間にそれぞれ複数の戻り光パルスをおそらくは検出する可能性がある。しかし、周期性のシフトに起因して、コンピューティング・システムは、これらの戻り光パルスのどれがそれぞれの検出期間に対応し、どれがそれぞれの検出期間に対応しないのかを潜在的に判定することができる。
[0180] より具体的には、それぞれの放出時刻に始まるそれぞれの検出期間ごとに、コンピューティング・システムは、それぞれの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って第1の戻り光パルスに関連する第1のレンジを判定することができ、やはりそれぞれの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って第2の戻り光パルスに関連する第2のレンジを判定することができる。コンピューティング・システムが、第1のレンジの第1のセットと第2のレンジの第2のセットとを判定した後に、これらのセットの一方は、上述のシフトに起因して、認識可能な物体に似る可能性が他方より低く、これは、コンピューティング・システムが、どのレンジを物体検出のために使用すべきかを判定するのを助けることができる。たとえば、第2の戻り光パルスが、遠くの物体から反射された光パルスである場合に、第2のセットは、認識可能な物体に似る可能性が第1のセットより低い。したがって、コンピューティング・システムは、第2のセットのレンジが、ランダムに散乱され、したがって、これに応答して、第1のセットのレンジが、物体検出のために使用されるべきであると判定することができる。
[0181] 次に、図9A〜図9Bは、ディザの適用がレンジ曖昧さを解決するのをどのように助けることができるのかを示す。具体的には、図9Aは、ディザの適用を含む非周期的放出時系列#4に従う放出時刻A〜Gにそれぞれ放出される光パルスを示す。上の議論と一致して、これらの周期的放出時刻は、一部は同一の持続時間を有し、一部は異なる持続時間を有する、検出期間A〜Gを確立する。放出時系列#3と同様に、光パルスA、C、E、およびGは、近くの物体402から反射され、その結果、それぞれ、それらに対応する検出期間A、C、E、およびG内にライダ・デバイス200によってそれぞれ検出される。また、放出時系列#3と同様に、光パルスB、D、およびFは、遠くの物体404から反射され、その結果、それぞれ、後続の検出期間中にそれぞれ検出される。しかし、この場合には、ディザの当然の適用 コンピューティング・システムは、同一の検出期間中に検出された複数の戻り光パルスの間で潜在的に曖昧さを除くことができる。
[0182] より具体的には、図9A〜図9Bは、光パルスA、C、E、およびGの検出に対応するレンジが、ライダ・デバイス200から52.5m離れていることを示す。しかし、図9A〜図9Bは、ディザの適用に起因して、光パルスB、D、およびFに対応するレンジが、実質的にお互いとは異なることをも示す。すなわち、ライダ・デバイス200は、放出時刻Cに対して相対的に183nsの検出時刻Bに光パルスBを検出し(27.5mのレンジに対応する)、放出時刻Eに対して相対的に158nsの検出時刻Dに光パルスDを検出し(23mのレンジに対応する)、放出時刻Gに対して相対的に133nsの検出時刻Fに光パルスFを検出した(20mのレンジに対応する)。この形で、コンピューティング・システムは、お互いと同一または類似するレンジの第1のセット902ならびにお互いとは実質的に異なるレンジの第2のセット904を判定する。したがって、コンピューティング・システムは、レンジ904がランダムに散乱され、したがって、これに応答して、レンジ902が物体検出のために使用されるべきであると判定することができる。他の例も可能である。
[0183] この実施形態の手法は、レンジ曖昧さを克服するのを助けることができるが、ある種の不足がある可能性がある。たとえば、コンピューティング・システムが、上の議論と一致してレンジの2つ以上の可能なセットを判定する時に、いくつかの場合に、レンジの各そのようなセットが、認識可能な物体に似ている可能性がある。その場合に、コンピューティング・システムは、レンジのこれらのセットのどれを物体検出のために使用すべきかを、高いレベルの確実性を伴って判定できない可能性がある。さらに、コンピューティング・システムが、高いレベルの確実性を伴って複数の戻り光パルスの間で曖昧さを除くことができるようとできまいと、既存の実施態様は、光パルスを反射し、レンジ曖昧さを引き起こす遠くの物体など、公称検出レンジの外に位置決めされた物体の検出を提供しない。
b.遠くの物体を検出するための代替レンジ仮説の使用
[0184] 図10は、例の実施形態による、方法1000を示す流れ図である。具体的には、方法1000は、代替レンジ仮説を生成し、その後、その代替レンジ仮説を使用して、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体を検出するために実施され得る。方法1000は、遠レンジ仮説の生成の文脈で全般的に説明されるが、方法1000が、それに加えてまたはその代わりに、近接レンジ仮説の生成の文脈で適用され得ることを理解されたい。
[0185] ブロック1002では、方法1000は、時間変動するディザを含む放出時系列に従って放出時刻に光パルスを放出し、検出時系列に従って戻り光パルスを検出するようにライダ・デバイスを動作させることであって、検出時系列は、放出された光パルスごとに、対応する戻り光パルスの検出のための対応する検出期間を含み、対応する放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な戻り光パルスの検出時刻は、対応する放出された光パルスを反射した物体までのレンジを示す、動作させることを含む。
[0186] 上の議論と一致して、コンピューティング・システムは、あるタイミングに従って光パルスを放出し、検出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、時間変動するディザを含む放出時系列に従って光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。議論したように、放出時系列は、ライダ・デバイスがそれに従って戻り光パルスを検出する検出時系列を確立するのを助けることができる。一般に、この検出時系列は、それぞれ放出される光ごとに対応する検出期間を含むことができる。
[0187] 具体的には、所与の光パルスの対応する検出期間は、所与の光パルスの放出の直後またはその後のある時刻に始まることができ、後続の光パルスの放出の前または後に終わることができる。この対応する検出期間中に、ライダ・デバイスは、所与の放出された光パルスが物体から反射されて戻り光パルスをもたらす時など、所与の放出された光パルスに対応する所与の戻り光パルスを検出することができる。ライダ・デバイスが、ある検出時刻に所与の戻り光パルスを検出した後に、コンピューティング・システムは、所与の放出された光パルスを反射した物体までのレンジを判定することができる。議論したように、コンピューティング・システムは、所与の戻り光パルスの検出時刻と所与の放出された光パルスの放出時刻との間の時間遅れに従って、このレンジを判定することができる。
[0188] ブロック1004では、方法1000は、ライダ・デバイスが、複数の第1の放出された光パルスのそれぞれについて対応する検出期間中に複数の戻り光パルスのセットを検出したと判定することであって、複数の戻り光パルスの各セットは、少なくともそれぞれの第1の戻り光パルスおよびそれぞれの第2の戻り光パルスを含む、判定することを含む。
[0189] 上の議論と一致して、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、それぞれ2つ以上の検出期間中に複数の戻り光パルスを検出したと判定する可能性がある。たとえば、複数の第1の放出された光パルスが、それぞれ対応する検出期間をそれぞれ有する可能性がある。しかし、近接物体(1つまたは複数)および/または遠くの物体(1つまたは複数)からの1つまたは複数の光パルスの反射に起因して、ライダ・デバイスが、その代わりに、それぞれ各そのような対応する検出中に複数の戻り光パルスを検出する結果になる可能性がある。したがって、そのような対応する検出期間ごとに、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、少なくとも、それぞれの第1の戻り光パルスならびにそれぞれの第2の戻り光パルスを検出したと判定することができる。さらに、各対応する検出期間内に、これらの戻り光パルスのうちの1つが、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射されたパルスである可能性があり、これらの戻り光パルスのうちの他の1つが、公称検出レンジ内に位置決めされ、したがって問題の検出期間に関連する物体から反射されたパルスである可能性がある。他のシナリオも可能である。
[0190] ブロック1006では、方法1000は、第1の戻り光パルスが、複数の第1の放出された光パルスに対応し、第2の戻り光パルスが、複数の第2の放出された光パルスに潜在的に対応することの判定を行うことを含む。
[0191] 本開示によれば、コンピューティング・システムが、ライダ・デバイスがそれぞれ2つ以上の検出期間中に複数の戻り光パルスを検出したと判定した後に、コンピューティング・システムは、これらの戻り光パルスのうちのどれが複数の第1の放出された光パルスに対応するのかを判定することができる。すなわち、コンピューティング・システムは、これらの戻り光パルスのうちのどれが公称検出レンジ内の物体(1つまたは複数)から反射されたのかを判定することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティング・システムは、いくつかあるオプションの中でも特に、レンジ曖昧さを解決するために上で説明した実施態様のいずれかを使用することによってそれを行うことができ、かつ/または方法1200による本明細書で説明されるレンジ曖昧さを解決する手法に従ってそれを行うことができる。どの場合でも、単純さのために、コンピューティング・システムが、上述の第1の戻り光パルスが複数の第1の放出された光パルスに対応すると判定し、したがって、これらの第1の戻り光パルスに対応するレンジが物体検出に使用されなければならないと判定したと仮定することができる。
[0192] 第1の戻り光パルスが複数の第1の放出された光パルスに対応すると判定した後または判定している間に、コンピューティング・システムは、上述の第2の戻り光パルスが、潜在的に複数の第2の放出された光パルスに対応すると判定することができる。具体的には、複数の戻り光パルスの間の曖昧さを除いた後に第2の戻り光パルスの検出を無視しまたは破棄するのではなく、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスが潜在的に対応する複数の第2の放出された光パルスを選択することができる。たとえば、第2の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、以前に放出された光パルスをそれぞれ選択することができ、この以前に放出された光パルスは、第2の戻り光パルスがその間に実際に検出された検出期間に先行する(たとえば、直前の)検出期間に対応する光パルスとすることができる。その結果、戻り光パルスのレンジを計算するのに使用される第2の放出された光パルスのうちの少なくとも1つは、複数の第1の放出された光パルスのそれぞれとは異なるものとすることができる。
[0193] たとえば、もう一度図8Aを参照すると、戻り光パルスA、C、E、およびGは、それぞれ、それらの対応する検出期間に検出され、したがって、複数の第1の放出された光パルスに対応する第1の戻り光パルスであると考えられ得る。したがって、その結果、戻り光パルスB、D、およびFは、遠くの物体から反射され、したがって、上の議論と一致して後続の検出期間中に検出された第2の戻り光パルスであると考えられ得る。
[0194] この例では、戻り光パルスB、D、およびFのそれぞれに関して、コンピューティング・システムは、以前に放出された光パルスをそれぞれ選択することができ、この以前に放出された光パルスは、戻り光パルスがその間に実際に検出された検出期間に先行する検出期間に対応するものとすることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、放出された光パルスB、D、およびFを選択することができ、これらは、それぞれ検出期間B、D、およびFに対応する。図示されているように、検出期間B、D、およびFは、光パルスB、D、およびFに実際に対応する検出期間である。他の例も可能である。
[0195] ブロック1008では、方法1000は、判定を行うことに応答して、第2の戻り光パルスが、レンジの特定のセットを示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有することを判定することを含む。
[0196] コンピューティング・システムが、検出された第2の戻り光パルスに潜在的に対応する複数の第2の放出された光パルスを選択しまたは他の形で判定した後に、コンピューティング・システムは、それに応答して、第2の戻り光パルスの遠レンジ仮説を生成することができる。具体的には、第2の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスがその間に検出された検出期間に先行する検出期間に対応する放出された光パルスとすることのできる、複数の第2の放出された光パルスのうちの1つの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、関連するレンジをそれぞれ判定することができる。この形で、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスの1つの可能な代替レンジ仮説と考えられるレンジの特定のセットをもたらすために関連するレンジを判定することができる。
[0197] たとえば、図11A〜図11Bに、遠レンジ仮説の判定を示す。具体的には、図11Aは、図9Aで紹介した放出時系列#4を示す。しかし、この場合に、戻り光パルスB、D、およびFが、第2の戻り光パルスと考えられると仮定すると、コンピューティング・システムは、以前に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従ってこれらの光パルスに対応するレンジをそれぞれ判定する。すなわち、図11Aに示されているように、コンピューティング・システムは、戻り光パルスBが、放出時刻Bに対して相対的に533nsの検出時刻を有し、戻り光パルスDが、放出時刻Dに対して相対的に533nsの検出時刻を有し、戻り光パルスFが、放出時刻Fに対して相対的に533nsの検出時刻を有すると判定する。図11Bに示されているように、戻り光パルスB、D、Fのこれらの検出時刻は、それぞれ、80mの対応するレンジを有する。したがって、これらの対応するレンジは、遠レンジ仮説と考えられるレンジ1100の特定のセットをもたらす。他の例も可能である。
[0198] ブロック1010では、方法1000は、物体検出の基礎としてレンジの特定のセットを使用すべきか否かのさらなる判定を行うことを含む。ブロック1012では、方法1000は、さらなる判定に従って物体検出に従事することを含む。
[0199] 上述のように、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体を検出するための基礎として代替レンジ仮説を使用することができる。具体的には、コンピューティング・システムが、第2の戻り光パルスの代替レンジ仮説と考えられるレンジの特定のセットを判定した後に、コンピューティング・システムは、レンジのその特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきか否かを判定することができる。コンピューティング・システムは、様々な形でそれを行うことができる。
[0200] 一例では、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットが1つまたは複数の既知の物体を表すか否かを判定することができる。上述のように、コンピューティング・システムは、物体認識技法に基づいてそれを行うことができる。この例では、コンピューティング・システムが、レンジの特定のセットが1つまたは複数の既知の物体を表すと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジの特定のセットをさらなる物体検出の基礎として使用すべきであると判定することができる。たとえば、上の議論と一致して、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、その後、このアセンブルされた点群が、コンピューティング・システムによって記憶された複数の点群のうちの少なくとも1つと一致すると判定することができる。この一致の判定に応答して、コンピューティング・システムは、いくつかあるオプションの中でも特に、遠くの物体を識別するための基礎としてアセンブルされた点群を使用することができ、かつ/またはアセンブルされた点群によって表される物体が位置決めされている、あるレンジを確立することができる(たとえば、あるレンジは、特定のセットのレンジの平均値になるように確立され得る)。しかし、コンピューティング・システムが、レンジの特定のセットが少なくとも1つの既知の物体を表さないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジの特定のセットをさらなる物体検出の基礎として使用してはならないと判定することができる。
[0201] 別の例では、コンピューティング・システムは、特定のセットのレンジがお互いに実質的に類似するか否かを判定することができる。この例では、コンピューティング・システムが、特定のセットのレンジがお互いに実質的に類似すると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジのその特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきであると判定することができる。しかし、コンピューティング・システムが、特定のセットのレンジがお互いに実質的に類似しないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジのその特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきではないと判定することができる。
[0202] 本開示によれば、コンピューティング・システムが、レンジの特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきではないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、レンジのその特定のセットを物体検出の基礎として使用しないものとすることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、いくつかあるオプションの中でも特に、信号を雑音として破棄しまたは無視し、特定のセットのレンジを信頼できないものとして破棄しまたは無視することができる。
[0203] しかし、コンピューティング・システムが、レンジの特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきであると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに従って物体検出に従事することができる。一般に、物体検出への従事は、いくつかある可能性の中でも特に、物体の存在を検出すること、ライダ・デバイスから放れた物体の距離を判定すること、および/または物体を識別することを含むことができる。
[0204] たとえば、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットに基づいて、遠くの物体がライダ・デバイスから離れたあるレンジに位置決めされると判定することができる。コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、このあるレンジが、特定のセットのレンジのうちの1つであると判定することができ、あるいは、このあるレンジが、特定のセットのレンジの平均値であると判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムが、レンジの特定のセットを物体検出の基礎として使用すべきか否かの判定の一部としてまだそれを行っていない場合に、コンピューティング・システムは、レンジの特定のセットに基づいて点群をアセンブルすることができる。また、コンピューティング・システムは、物体認識技法(1つまたは複数)に従って遠くの物体を識別するための基礎としてこの点群を使用することができる。他の例も可能である。
[0205] この形で、代替レンジ仮説は、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体を示す追加情報を提供するのを助けることができる。そのような追加情報は、コンピューティング・システムによって、いくつかある結果の中でも特に、自律モードで動作する車両のナビゲーション判断を最適化するのに使用され得る。
[0206] 図11A〜図11Bは、代替レンジ仮説がライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体(1つまたは複数)の検出をどのように助けることができるのかをさらに示す。上述のように、レンジ1100の特定のセットは、遠レンジ仮説と考えられる。したがって、レンジ1100の特定のセットのレンジが、お互いに等しいか実質的に類似するとの判定に基づいて、コンピューティング・システムは、レンジ1100の特定のセットのレンジを物体検出の基礎として使用すべきであると判定することができる。したがって、図示されているように、コンピューティング・システムは、遠くの物体がライダ・デバイス200から約80m離れて位置決めされていると判定することができ、これは、物体404が、ライダ・デバイス200から80m離れて位置決めされて図4Aに実際に示されているので、正確な判定である。他の例も可能である。
[0207] さらなる態様では、ライダ・デバイスが車両上に位置決めされる時に、コンピューティング・システムは、レンジ仮説を評価するための追加要因として車両の速度を使用することができる。具体的には、車両が物体に向かって移動し、ライダ・デバイスがその物体から反射された戻り光パルスを検出する時に、これらの戻りパルスの検出時刻は、車両が物体に接近する時に経時的により短くなる傾向があり、したがって、これらの検出時刻に基づいて判定されるレンジは、車両が物体に接近する時に減少する可能性がある。実際に、判定されるレンジの経時的な減少は、車両の速度に基づいて予測可能とすることができる。したがって、コンピューティング・システムが、そのようなパルスの検出時刻に基づいてレンジ仮説を生成する時に、コンピューティング・システムは、仮説のレンジが車両の速度に基づいて期待されるように経時的に減少するか否かを判定することができる。そうである場合には、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジ仮説が正しいと判定することができる。そうではない場合には、コンピューティング・システムは、それに応答して、レンジ仮説が正しくないと判定することができる。他の態様も可能である。
c.複数の検出期間中にそれぞれ検出された複数の戻り光パルスの間の曖昧さを除くための代替レンジ仮説の使用
[0208] 図12は、例の実施形態による、方法1200を示す流れ図である。具体的には、方法1200は、代替レンジ仮説を生成し、その後、その代替レンジ仮説を使用して、複数の検出期間中にそれぞれ検出された複数の戻り光パルスの間でより高いレベルの確実性を伴って曖昧さを除去するために実施され得る。方法1200は、遠レンジ仮説の生成の文脈で全般的に説明されるが、方法1200が、それに加えてまたはその代わりに、近接レンジ仮説の生成の文脈に適用され得ることを理解されたい。
[0209] ブロック1202では、方法1200は、時間変動するディザを含む放出時系列に従って放出時刻に光パルスを放出し、検出時系列に従って戻り光パルスを検出するようにライダ・デバイスを動作させることであって、検出時系列は、放出された光パルスごとに、対応する戻り光パルスの検出のための対応する検出期間を含み、対応する放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な戻り光パルスの検出時刻は、対応する放出された光パルスを反射した物体までのレンジを示す、動作させることを含む。
[0210] 上述のように、コンピューティング・システムは、あるタイミングに従って光パルスを放出し、検出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、時間変動するディザを含む放出時系列に従って光パルスを放出するようにライダ・デバイスを動作させることができる。議論したように、放出時系列は、ライダ・デバイスがそれに従って戻り光パルスを検出する検出時系列を確立するのを助けることができる。一般に、この検出時系列は、それぞれ放出された光パルスごとに対応する検出期間を含むことができる。
[0211] 具体的には、所与の光パルスの対応する検出期間は、所与の光パルスの放出の直後またはその後のある時刻に始まることができ、後続の光パルスの放出の前または後に終わることができる。この対応する検出期間中に、ライダ・デバイスは、所与の放出された光パルスが物体から反射されて戻り光パルスをもたらす時など、所与の放出された光パルスに対応する所与の戻り光パルスを検出することができる。ライダ・デバイスが、ある検出時刻に所与の戻り光パルスを検出した後に、コンピューティング・システムは、所与の放出された光パルスを反射した物体までのレンジを判定することができる。コンピューティング・システムは、所与の戻り光パルスの検出時刻と所与の放出された光パルスの放出時刻との間の時間遅れに従って、このレンジを判定することができる。
[0212] ブロック1204では、方法1200は、ライダ・デバイスが複数の第1の放出された光パルスのそれぞれについて対応する検出期間中に複数の戻り光パルスのセットを検出したと判定することであって、複数の戻り光パルスの各セットは、少なくとも、それぞれの第1の戻り光パルスとそれぞれの第2の戻り光パルスとを含む、判定することを含む。
[0213] 上述のように、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、それぞれ1つまたは複数の検出期間中に複数の戻り光パルスを検出したと判定することができる。たとえば、複数の第1の放出された光パルスが、それぞれ、対応する検出期間をそれぞれ有することができる。しかし、公称検出レンジの外に位置決めされた物体(1つまたは複数)からの1つまたは複数の光パルスの反射に起因して、ライダ・デバイスが、その代わりに、各そのような対応する検出中にそれぞれ複数の戻り光パルスを検出することになる可能性がある。したがって、そのような対応する検出期間ごとに、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、少なくとも、それぞれの第1の戻り光パルスならびにそれぞれの第2の戻り光パルスを検出したと判定することができる。さらに、各対応する検出期間内に、これらの戻り光パルスのうちの1つは、ライダ・デバイスの公称検出レンジの外に位置決めされた物体から反射されたパルスであり、これらの戻り光パルスのうちの他の1つは、公称検出レンジ内に位置決めされた物体から反射され、したがって問題の検出期間に関連するパルスである。他のシナリオも可能である。
[0214] ブロック1206では、方法1200は、(i)第1の戻り光パルスが、レンジの第1のセットを示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有し、(ii)第2の戻り光パルスが、レンジの第2のセットを示す複数の第1の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有し、(iii)第2の戻り光パルスが、レンジの第3のセットを示す複数の第2の放出された光パルスの対応する放出時刻に対する相対的な検出時刻を有すると判定することを含む。
[0215] 上の議論と一致して、コンピューティング・システムが、ライダ・デバイスが複数の検出期間中にそれぞれ複数の戻り光パルスを検出したと判定する時に、コンピューティング・システムは、それぞれ検出された戻り光パルスごとに、直近に放出された光パルスに対する相対的な時間遅れに従って対応するレンジを判定することができる。
[0216] たとえば、上述のように、複数の第1の放出された光パルスは、それぞれ、対応する検出期間をそれぞれ有することができ、そのような対応する検出期間ごとに、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイスが、少なくとも、それぞれの第1の戻り光パルスならびにそれぞれの第2の戻り光パルスを検出したと判定することができる。それぞれの第1の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、それぞれの第1の戻り光パルスがその間に検出された検出期間に対応する第1の放出された光の放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、対応する第1のレンジを判定することができる。さらに、それぞれの第2の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、それぞれの第2の戻り光パルスがその間に検出された検出期間に対応する第1の放出された光の放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、対応する第2のレンジを判定することができる。この形で、判定される第1のレンジは、レンジの第1のセットをもたらし、判定される第2のレンジは、レンジの第2のセットをもたらす。
[0217] 上の議論と一致して、コンピューティング・システムが、そのようなレンジの第1のセットおよびレンジの第2のセットを判定する時に、これらのセットは、レンジ曖昧さを生じる可能性がある。というのは、これらのセットのどれを物体検出のために使用すべきかが不明瞭である可能性があるからである。上述の既存の実施態様はこのレンジ曖昧さを克服するのを時々助けることができるが、本開示によれば、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットとレンジの第2のセットとによる 間のレンジ曖昧さの曖昧さを除くのをさらに助けるために代替レンジ仮説をさらに生成することができる。
[0218] より具体的には、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスが潜在的に対応する可能性がある複数の第2の放出された光パルスを選択することができる。たとえば、第2の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスがその間に実際に検出された検出期間に先行する(たとえば、直前の)検出期間に対応する光パルスである可能性がある、以前に放出された光パルスをそれぞれ選択することができる。その結果、戻り光パルスのレンジを計算するのに使用される第2の放出された光パルスのうちの少なくとも1つは、複数の第1の放出された光パルスのそれぞれとは異なるものとすることができる。
[0219] コンピューティング・システムが、検出された第2の戻り光パルスに潜在的に対応する複数の第2の放出された光パルスを選択しまたは他の形で判定した後に、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスの代替レンジ仮説をそれぞれ生成することができる。具体的には、第2の戻り光パルスごとに、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスがその間に検出された検出期間に先行する検出期間に対応する放出された光パルスである可能性がある複数の第2の放出された光パルスのうちの1つの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、関連するレンジをそれぞれ判定することができる。この形で、コンピューティング・システムは、第2の戻り光パルスの1つの可能な代替レンジ仮説と考えられるレンジの第3のセットをもたらす関連するレンジを判定することができる。さらに、この代替レンジ仮説が遠レンジ仮説である場合に、レンジの両方のセットが第2の戻り光パルスに関連するにもかかわらず、第3のセットのレンジは、上述の第2のセットのレンジより長い可能性がある。
[0220] ブロック1208では、方法1200は、レンジの第3のセットに基づいて、物体検出の基礎としてのレンジの第1のセットの使用と物体検出の基礎としてのレンジの第2のセットの使用との間で選択することを含む。ブロック1210では、方法1200は、選択に従って物体検出に従事することを含む。
[0221] より具体的には、本開示によれば、コンピューティング・システムは、レンジ曖昧さを克服するのを助けるために、生成された代替レンジ仮説を使用することができ、コンピューティング・システムは、様々な形でそれを行うことができる。
[0222] 一例では、コンピューティング・システムは、レンジの第3のセットが1つまたは複数の既知の物体を表すか否かを判定することができ、たとえば、上で議論したようにそれを行うことができる。
[0223] この例では、コンピューティング・システムが、レンジの第3のセットが1つまたは複数の既知の物体を表すと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しい可能性が高いと判定することができる。第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しい可能性が高いとの判定に基づいて、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットを含む第2の戻り光パルスの近レンジ仮説が正しくない可能性が高いと判定することができる。したがって、レンジの第3のセットが1つまたは複数の既知の物体を表すとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットではなく第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0224] 対照的に、コンピューティング・システムが、レンジの第3のセットが既知の物体を全く表さないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しくない可能性が高いと判定することができる。第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しくない可能性が高いとの判定に基づいて、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットを含む第2の戻り光パルスの近レンジ仮説が正しい可能性が高いと判定することができる。したがって、レンジの第3のセットが既知の物体を全く表さないとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットではなく第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0225] 別の例では、コンピューティング・システムは、第3のセットのレンジがお互いに実質的に類似するか否かを判定することができ、たとえば、上で議論したようにそれを行うことができる。
[0226] この例では、コンピューティング・システムが、レンジの第3のセットがお互いに実質的に類似すると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しい可能性が高いと判定することができる。第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しい可能性が高いとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットを含む第2の戻り光パルスの近レンジ仮説が正しくない可能性が高いと判定することができる。したがって、レンジの第3のセットがお互いに実質的に類似するとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットではなく第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0227] 対照的に、コンピューティング・システムが、レンジの第3のセットがお互いに実質的に類似しないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、生成された代替レンジ仮説が正しくない可能性が高いと判定することができる。第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説が正しくない可能性が高いとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットを含む第2の戻り光パルスの近レンジ仮説が正しい可能性が高いと判定することができる。したがって、第3のセットがお互いに実質的に類似しないとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットではなく第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットを使用すべきであると判定することができる。他の例も可能である。
[0228] 本開示によれば、コンピューティング・システムが、レンジの第1のセットを物体検出の基礎として使用すべきであると判定する場合に、コンピューティング・システムは、これに応答して、物体検出の基礎としてレンジの第2のセットではなくレンジの第1のセットを使用することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットに基づいて、近くの物体がライダ・デバイスからあるレンジだけ離れて位置決めされていると判定することができる。コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、このあるレンジを、第1のセットのレンジのうちの1つと判定することができ、あるいは、このあるレンジを、第1のセットのレンジの平均値であると判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムは、レンジの第1のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、物体認識技法(1つまたは複数)に従って近くの物体を識別するための基礎としてこの点群を使用することができる。
[0229] しかし、コンピューティング・システムが、レンジの第2のセットを物体検出の基礎として使用すべきであると判定する場合に、コンピューティング・システムは、それに応答して、物体検出の基礎としてレンジの第1のセットではなくレンジの第2のセットを使用することができる。たとえば、コンピューティング・システムが、レンジの第2のセットに基づいて、近くの物体がライダ・デバイスから離れたあるレンジに位置決めされていると判定することができる。コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、このあるレンジが、第2のセットのレンジのうちの1つであると判定することができ、あるいはこのあるレンジが、第2のセットのレンジの平均値であると判定することができる。それに加えてまたはその代わりに、コンピューティング・システムは、レンジの第2のセットに基づいて点群をアセンブルすることができ、物体認識技法(1つまたは複数)に従って近くの物体を識別するための基礎としてこの点群を使用することができる。他の例も可能である。
[0230] いくつかの実施態様では、第2の戻り光パルスに関して生成された代替レンジ仮説を、第2の代替レンジ仮説と呼ぶことができると仮定すると、コンピューティング・システムは、第1の戻り光パルスに関する第1の代替レンジ仮説をさらに生成することができ、この第1の代替レンジ仮説を使用して、レンジ曖昧さを克服するのを助けることができる。すなわち、コンピューティング・システムは、物体検出のためにレンジの第1のセットまたは第2のセットのどちらを使用すべきかを判定するためのさらなる基礎として、この第1の代替レンジ仮説を使用することができる。
[0231] 具体的には、コンピューティング・システムは、第1の代替レンジ仮説と第2の代替レンジ仮説との間で比較を行うことができ、比較に基づいて、物体検出にレンジの第1のセットまたは第2のセットのどちらを使用すべきかを判定することができる。
[0232] 一例では、比較は、第1の遠レンジ仮説が第2の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ているかどうかまたはその逆の判定とすることができる。たとえば、コンピューティング・システムが、第1の遠レンジ仮説が1つまたは複数の既知の物体を表し、第2の遠レンジ仮説が既知の物体を全く表さないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、これに応答して、第1の遠レンジ仮説が第2の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ていると判定することができる。コンピューティング・システムが、第2の遠レンジ仮説が1つまたは複数の既知の物体を表し、第1の遠レンジ仮説が既知の物体を全く表さないと判定する場合に、コンピューティング・システムは、これに応答して、第2の遠レンジ仮説が第1の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ていると判定することができる。
[0233] しかし、コンピューティング・システムが、第1の遠レンジ仮説と第2の遠レンジ仮説との両方が、それぞれ既知の物体(1つまたは複数)を表すと判定する場合に、コンピューティング・システムは、これらの遠レンジ仮説のどちらが既知の物体(1つまたは複数)によりよく似ているのかを判定するために、物体認識技法(1つまたは複数)を使用することができる。たとえば、コンピューティング・システムは、第1のレンジ仮説が、第1のレベルの確実性(たとえば、25%一致)で既知の物体と一致し、第2のレンジ仮説が、第2のレベルの確実性(たとえば、95%一致)で既知の物体と一致すると判定することができる。第2のレベルの確実性が第1のレベルの確実性より高いとの判定に基づいて、コンピューティング・システムは、これに応答して、第2の遠レンジ仮説が、第1の遠レンジ仮説と比較して既知の物体によりよく似ていると判定することができる。他の例の可能である。
[0234] この例では、コンピューティング・システムが、第1の遠レンジ仮説が第2の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ていると判定する場合に、コンピューティング・システムは、第1の遠レンジ仮説が第2の遠レンジ仮説より正しい可能性が高いと判定することができる。すなわち、第2の戻り光パルスが直近の検出期間にそれぞれ対応する可能性がより高く、第1の戻り光パルスが先行する検出期間にそれぞれ対応する可能性がより高い。したがって、第1の遠レンジ仮説が第2の遠レンジ仮説より既知の物体によりよく似るとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットではなく第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0235] 対照的に、コンピューティング・システムが、第2の遠レンジ仮説が第1の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ていると判定する場合に、コンピューティング・システムは、第2の遠レンジ仮説が第1の遠レンジ仮説より正しい可能性が高いと判定することができる。すなわち、第1の戻り光パルスは、直近の検出期間にそれぞれ対応する可能性が高く、第2の戻り光パルスは、先行する検出期間にそれぞれ対応する可能性が高い。したがって、第2の遠レンジ仮説が第1の遠レンジ仮説より既知の物体(1つまたは複数)によく似ているとの判定に応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、コンピューティング・システムが第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットではなく第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0236] 別の例では、比較は、第1の遠レンジ仮説のレンジがお互いにどれほど類似するのかと、第2の遠レンジ仮説のレンジがお互いにどれほど類似するのかとの比較とすることができる。たとえば、コンピューティング・システムは、第2の遠レンジ仮説のレンジが、お互いと一致すると判定し、第1の遠レンジ仮説のレンジがお互いとは異なると判定することができる。その結果、コンピューティング・システムは、それに応答して、第2の遠レンジ仮説のレンジが、第1の遠レンジ仮説のレンジの類似性と比較して、お互いにより似ていると判定することができる。他の例も可能である。
[0237] この例では、コンピューティング・システムが、第1の遠レンジ仮説のレンジが第2の遠レンジ仮説のレンジの類似性と比較してお互いにより似ていると判定する場合に、コンピューティング・システムは、第1の遠レンジ仮説が、第2の遠レンジ仮説より正しい可能性が高いと判定することができる。すなわち、第2の戻り光パルスは、直近の検出期間にそれぞれ対応する可能性が高く、第1の戻り光パルスは、以前の検出期間にそれぞれ対応する可能性が高い。したがって、この判定を行うことに応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットではなく第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットを使用すべきであると判定することができる。
[0238] 対照的に、コンピューティング・システムが、第2の遠レンジ仮説のレンジが、第1の遠レンジ仮説のレンジの類似性と比較してお互いにより似ているとの判定を行う場合に、コンピューティング・システムは、第2の遠レンジ仮説が第1の遠レンジ仮説より正しい可能性が高いと判定することができる。すなわち、第1の戻り光パルスは、直近の検出期間にそれぞれ対応する可能性が高く、第2の戻り光パルスは、以前の検出期間にそれぞれ対応する可能性が高い。したがって、この判定を行うことに応答して、コンピューティング・システムは、物体検出のために、コンピューティング・システムが、第2の戻り光パルスに関連するレンジの第2のセットではなく第1の戻り光パルスに関連するレンジの第1のセットを使用すべきであると判定することができる。他の例も可能である。
[0239] この形で、1つまたは複数の代替レンジ仮説が、レンジ曖昧さを克服するのを助け、したがって高いレベルの確実性を伴って近くの物体(1つまたは複数)を検出するのを助けることができる。そのような近くの物体(1つまたは複数)の強化された検出は、他の結果の中でも、自律モードで動作する車両のナビゲーション判断を最適化するのにコンピューティング・システムによって使用され得る。
[0240] 図13A〜図13B、図14A〜図14Bは、次に、1つの代替レンジ仮説がどのようにしてレンジ曖昧さを克服すするのを助けることができ、したがってより高いレベルの確実性を伴って近くの物体(1つまたは複数)を検出するのを助けることができるのかを示す。
[0241] 具体的には、図13Aは、上で紹介した放出時系列#4を示す。ここでは、やはり、コンピューティング・システムは、以前に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って光パルスB、D、およびFに対応するレンジをそれぞれ判定する。すなわち、図13Aに示されているように、コンピューティング・システムは、戻り光パルスBが、放出時刻Bに対して相対的な533nsの検出時刻を有し、戻り光パルスDが、放出時刻Dに対して相対的な533nsの検出時刻を有し、戻り光パルスFが、放出時刻Fに対して相対的な533nsの検出時刻を有しすると判定する。図13Bに示されているように、戻り光パルスB、D、Fのこれらの検出時刻は、80mの対応するレンジをそれぞれ有する。したがって、これらの対応するレンジは、レンジ1300のセットが、ライダ・デバイスから80m離れて位置決めされた遠くの物体の遠レンジ仮説と考えられることをもたらす。
[0242] この例では、コンピューティング・システムが、実質的にお互いに類似するレンジ1300に基づいて、遠レンジ仮説が正しい可能性が高いと判定することができる。遠レンジ仮説が正しい可能性が高いという判定に基づいて、コンピューティング・システムは、戻り光パルスB、D、およびFに関連する近レンジ仮説(たとえば、上述したレンジ904)が正しくない可能性が高いと判定することができる。その結果、遠レンジ仮説が正しい可能性が高いとの判定に基づいて、コンピューティング・システムは、それに応答して光パルスA、C、E、およびG(たとえば上述のレンジ902)に関連する近レンジ仮説を物体検出に使用すべきであることを高いレベルの確実性を伴って判定でき、これによって、それぞれ1つまたは複数の検出期間内の複数の戻り光パルスの検出に起因して生じる可能性があるレンジ曖昧さを解決することができる。
[0243] さらに、図14A〜図14Bは、追加の代替レンジ仮説が、どのようにして、さらに高いレベルの確実性を伴ってレンジ曖昧さを克服するのを助けることができるのかを示す。具体的には、図14Aは、放出時系列#4をも示す。しかし、この場合に、コンピューティング・システムは、それぞれ、以前に放出された光パルスの放出時刻に対する相対的な時間遅れに従って、対応する光パルスC、EおよびGに対応するレンジをそれぞれ判定する。すなわち、図14Cに示されているように、コンピューティング・システムは、戻り光パルスCが、放出時刻Bに対して相対的に675nsの検出時刻を有し、戻り光パルスEが、放出時刻Dに対して相対的に725nsの検出時刻を有し、戻り光パルスGが、放出時刻Fに対して相対的に750nsの検出時刻を有すると判定する。図14Bに示されているように、戻り光パルスC、E、およびGのこれらの検出時刻は、それぞれ、101.35m、108.8m、および112.6mに対応するレンジを有する。したがって、これらの対応するレンジは、別の遠レンジ仮説と考えられるレンジ1400のセットをもたらす。
[0244] この例では、コンピューティング・システムは、レンジ1300がレンジ1400の類似性と比較してお互いにより類似する(たとえば、レンジ1400は、レンジ1300より相対的に散乱されている)と判定することができる。その結果、コンピューティング・システムは、これに応答して、より高いレベルの確実性を伴って、光パルスA、C、E、およびGに関連する近レンジ仮説(たとえば、上述のレンジ902)を物体検出に使用すべきであると判定でき、これによって、1つまたは複数の検出期間内のそれぞれの複数の戻り光パルスの検出に起因して生じる可能性があるレンジ曖昧さを解決することができる。他の例も可能である。
d.選択された距離に基づく自律車両の動作
[0245] 図15は、例の実施形態による、方法1500を示す流れ図である。具体的には、方法1500は、反射された戻り光パルスに関連する受信された信号に対応する距離を選択し、その後、その選択に基づいて自律車両を動作させるために実施され得る。本明細書で説明される実施態様のどれもが、方法1500の文脈で適用され得ることに留意されたい。
[0246] ブロック1502では、方法1500は、自律車両のライダ・デバイスによって放出された光パルスの、物体による反射に関連する信号を受信することを含む。
[0247] ブロック1504では、方法1500は、第1の時刻に基づいて物体までの第1の距離を計算することであって、第1の時刻は、自律車両のライダ・デバイスによって放出された以前の光パルスに対応する、計算することを含む。
[0248] ブロック1506では、方法1500は、第2の時刻に基づいて物体までの第2の距離を計算することであって、第2の時刻は、自律車両のライダ・デバイスによって放出された、以前の異なる光パルスに対応する、計算することを含む。
[0249] ブロック1508では、方法1500は、第1の距離と第2の距離との間の選択に基づいて自律車両を動作させることを含む。たとえば、第1の距離と第2の距離との間の選択は、ライダ・デバイスによって放出された複数の光パルスの物体によるそれぞれの反射に関連する複数の受信された信号に基づくものとすることができる。一般に、複数の光パルスのうちの1つまたは複数は、擬似ランダム持続時間によって周期性から逸脱するタイミングに従って放出され得る。
VII.ライダ・デバイスによるスキャンに基づく車両の制御
[0250] 上述のように、コンピューティング・システムは、本明細書で開示されるライダ・デバイスから受け取られるスキャンに基づいて車両を動作させることができる。具体的には、コンピューティング・システムは、車両の周囲の環境のスキャンをライダ・デバイスから受け取ることができる。また、コンピューティング・システムは、少なくともライダ・デバイスから受け取られる環境のスキャンに基づいて車両を動作させることができる。
[0251] より具体的には、コンピューティング・システムは、環境に光を放出するようにライダ・デバイス100を動作させることができる。また、コンピューティング・システムは、反射された光の検出を表すデータをライダ・デバイス100から受け取ることができる。検出された光ビームを放出された光ビームと比較することによって、コンピューティング・システムは、環境内の1つまたは複数の物体の少なくとも1つの態様を判定することができる。
[0252] たとえば、複数の光ビームがライダ・デバイス100の送信器から放出される時刻と、ライダ・デバイス100の受信器が反射された光を検出する時刻とを比較することによって、ライダ・デバイス100と環境内の物体のとの間の距離を判定することができる。他の例では、形状、色、材料などの態様を、放出された光と検出された光との間の様々な比較に基づいて判定することができる。
[0253] この配置を用いると、コンピューティング・システムは、ライダ・デバイス100からのデータに基づいて環境の3次元(3D)表現を判定することができる。たとえば、3D表現は、ライダ・デバイス100からのデータに基づく、3D点群としてコンピューティング・システムによって生成され得る。たとえば、3Dクラウドの各点は、反射された光パルスに関連するものとすることができる。したがって、コンピューティング・システムは、(たとえば連続的にまたは時々)環境またはその一部の3D表現を生成することができる。また、コンピューティング・システムは、環境のそのような3D表現の評価に基づいて車両の動作を制御することができる。
[0254] たとえば、車両が、自律モードで動作している場合がある。この例では、コンピューティング・システムは、いくつかある可能性の中でも特に、障害物を回避することによって安全に車両をナビゲートする(たとえば、速度、方向などを制御する)のに3D表現を利用することができる。障害物または物体は、たとえば、画像処理アルゴリズムまたは、3D表現を分析し、様々な障害物もしくは物体を検出し、かつ/もしくは識別する他のコンピューティング方法を使用して検出され、かつ/または識別され得る。別の例として、車両は部分的自律モードまたは手動モードで操作され得る。この例では、車両は、車両内のディスプレイまたはスピーカに環境内の1つまたは複数の物体に関する情報を提示させることによるなど、様々な物体または変化する道路条件(たとえば、街灯、街路の標識など)の存在またはそれらへの距離について車両の運転者またはオペレータに通知することができる。他の例も可能である。
[0255] 次に、図16は、ライダ・デバイス200から受け取られた環境1600のスキャンに基づく車両300の動作を示す。本開示によれば、車両のコンピューティング・システムは、ライダ・デバイス200から受け取られたデータを使用して、たとえば道路標識404などの遠くの物体(1つまたは複数)を検出し、識別することができる。これに関して、コンピューティング・システムは、道路標識404が、車両300が所望の目的地に達するために理想的にたどるべき出口を表すことを、データに基づいて判定することができる。その判定を行うことに応答して、コンピューティング・システムは、レーン1上の運転からレーン2上の運転に切り替えるように車両300を動作させることができる。
[0256] 実際には、コンピューティング・システムは、環境1600の3D表現内のレーン・マーカーを認識することによってこれらのレーンを区別することができる。たとえば、車両のコンピューティング・システムは、レーン2からレーン1を分離する近くのレーン・マーカーを検出し、識別するために、ライダ・デバイス200から受け取られたデータを使用することができる。さらに、レーンを切り替えるために車両を操作する前に、コンピューティング・システムは、物体を検出し、識別するために環境をスキャンすることができ、その結果、コンピューティング・システムは、これらの検出/識別された物体を回避すると同時にレーンを切り替えるためにも車両300を操作する形で、車両300を操作することができる。
[0257] たとえば、コンピューティング・システムは、近くの車両1602を検出し、識別すると同時に、道路標識402を検出し、識別するために、ライダ・デバイス200から受け取られたデータを使用することができる。これらの検出/識別に基づいて、コンピューティング・システムは、車両1602および道路標識402を回避する形で車両300を操作すると同時に、レーン1上での運転からレーン2上での運転に切り替えるように車両300を操作することもできる。他の例も可能である。
VIII.車両の例の配置
[0258] 最後に、図17は、例の実施形態による、車両1700の単純化されたブロック図である。車両1700は、車両300に類似するものとすることができ、ライダ・デバイス100に類似するライダ・デバイスを含むことができる。さらに、車両1700は、方法800および/または方法1000など、本明細書の機能および方法を実行するように構成され得る。図示されているように、車両1700は、推進システム1702、センサ・システム1704、制御システム1706(コントローラ1706と呼ばれる場合もある)、周辺機器1708、およびコンピュータ・システム1710を含む。車両1700は、たとえば、自動車、鉄道車両、船舶、または航空機とすることができる。他の実施形態では、車両1700は、より多数、より少数、または異なるシステムを含むことができ、各システムは、より多数、より少数、または異なる構成要素を含むことができる。
[0259] さらに、図示のシステムおよび構成要素は、任意の複数の形で組み合わされまたは分割され得る。たとえば、制御システム1706およびコンピュータ・システム1710は、様々な動作に従って車両1700を動作させる単一のシステムに組み合わされ得る。
[0260] 推進システム1702は、車両1700の動力による運動を提供するように構成され得る。図示されているように、推進システム1702は、エンジン/モーター1718、エネルギ源1720、変速機1722、および車輪/タイヤ1724を含む。
[0261] エンジン/モーター1718は、内燃機関、電気モーター、蒸気機関、およびスターリング・エンジンの任意の組み合わせとするか、これを含むことができる。他のモーターおよびエンジンも可能である。いくつかの実施形態では、推進システム1702は、複数のタイプのエンジンおよび/またはモーターを含むことができる。たとえば、ガソリン電気ハイブリッド車は、ガソリン・エンジンおよび電気モーターを含むことができる。他の例が可能である。
[0262] エネルギ源1720は、エンジン/モーター1718に完全にまたは部分的に動力を与えるエネルギの源とすることができる。すなわち、エンジン/モーター918は、エネルギ源1720を機械的エネルギに変換するように構成され得る。エネルギ源1720の例は、ガソリン、ディーゼル、プロパン、他の圧縮ガスベースの燃料、エタノール、太陽電池パネル、バッテリ、および電力の他の源を含む。エネルギ源(1つまたは複数)1720は、それに加えてまたはその代わりに、燃料タンク、バッテリ、キャパシタ、および/またはフライホィールの任意の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態で、エネルギ源1720は、車両1700の他のシステムにもエネルギを供給することができる。
[0263] 変速機1722は、エンジン/モーター1718からの機械的パワーを車輪/タイヤ1724に伝達するように構成される。このために、変速機1722は、ギアボックス、クラッチ、ディファレンシャル、ドライブ・シャフト、および/または他の要素を含むことができる。変速機1722がドライブ・シャフトを含む実施形態では、ドライブ・シャフトは、車輪/タイヤ1724に結合されるように構成された1つまたは複数の車軸を含むことができる。
[0264] 車両1700の車輪/タイヤ1724は、自転車/モーターサイクル、三輪車、乗用車/トラック四輪フォーマット、またはレールを含む様々なフォーマットで構成され得る。6輪以上を含むものなど、他の車輪/タイヤ・フォーマットも可能である。どの場合でも、車輪/タイヤ1724は、他の車輪/タイヤ1724に関して差動的に回転するように構成され得る。いくつかの実施形態では、車輪/タイヤ1724は、変速機1722に固定して取り付けられた少なくとも1つの車輪と、運転表面と接触することのできる車輪のリムに結合された少なくとも1つのタイヤとを含むことができる。車輪/タイヤ1724は、金属とゴムとの任意の組合せ、または他の材料の組合せを含むことができる。推進システム1702は、それに加えてまたはその代わりに、図示されたもの以外の構成要素を含むことができる。
[0265] センサ・システム1704は、車両1700が配置される環境に関する情報を関知するように構成された複数のセンサならびにセンサの位置および/または方位を変更するように構成された1つまたは複数のアクチュエータ1736を含むことができる。図示されているように、センサ・システム1704のセンサは、全地球測位システム(GPS)1726、慣性計測装置(IMU)1728、レーダー・ユニット1730、レーザー・レンジファインダおよび/またはライダ・ユニット1732、およびカメラ1734を含む。センサ・システム1704は、たとえば、車両1700の内部システムを監視するセンサ(たとえば、O2モニタ、燃料計、エンジン・オイル温度など)を含む、追加のセンサをも含むことができる。他のセンサも可能である。
[0266] GPS 1726は、車両1700の地理的位置を推定するように構成された任意のセンサ(たとえば、位置センサ)とすることができる。このために、GPS 1726は、地球に関する車両1700の位置を推定するように構成されたトランシーバを含むことができる。GPS 1726は、他の形をとることもできる。
[0267] IMU 1728は、慣性加速度に基づいて車両1700の位置変化および方位変化を感知するように構成されたセンサの任意の組合せとすることができる。いくつかの実施態様で、センサの組合せは、たとえば、加速度計およびジャイロスコープを含むことができる。センサの他の組合せも可能である。
[0268] レーダー・ユニット1730は、車両1700が配置される環境内の物体を、ラジオ信号を使用して感知するように構成された任意のセンサとすることができる。いくつかの実施形態で、物体の感知に加えて、レーダー・ユニット1730は、さらに、物体の速度および/または機首方位を感知するように構成され得る。
[0269] 同様に、レーザー・レンジ・ファインダまたはライダ・ユニット1732は、車両1700が配置される環境内の物体を、レーザーを使用して感知するように構成された任意のセンサとすることができる。たとえば、ライダ・ユニット1732は、1つまたは複数のライダ・デバイスを含むことができ、そのうちの少なくともいくつかは、本明細書で開示されるライダ・デバイス100の形をとることができる。
[0270] カメラ1734は、車両1700が配置される環境の画像を取り込むように構成された任意のカメラ(たとえば、スチール・カメラ、ビデオ・カメラなど)とすることができる。このために、カメラは、上で説明した形のいずれをもとることができる。センサ・システム1704は、それに加えてまたはその代わりに、図示されたもの以外の構成要素を含むことができる。
[0271] 制御システム1706は、車両1700およびその構成要素の動作を制御するように構成され得る。このために、制御システム1706は、ステアリング・ユニット1738、スロットル1740、ブレーキ・ユニット1742、センサ・フュージョン・アルゴリズム1744、コンピュータ・ビジョン・システム1746、ナビゲーションまたはパシング・システム1748、および障害物回避システム1750を含むことができる。
[0272] ステアリング・ユニット1738は、車両1700の機首方位を調整するように構成された機構の任意の組み合わせとすることができる。スロットル1740は、エンジン/モーター1718の動作速度を、および車両1700の速度を制御するように構成された機構の任意の組み合わせとすることができる。ブレーキ・ユニット1742は、車両1700を減速させるように構成された機構の任意の組み合わせとすることができる。たとえば、ブレーキ・ユニット1742は、車輪/タイヤ1724を低速化するのに摩擦を使用することができる。別の例として、ブレーキ・ユニット1742は、車輪/タイヤ1724の運動エネルギを電流に変換することができる。ブレーキ・ユニット1742は、他の形をとることもできる。
[0273] センサ・フュージョン・アルゴリズム1744は、入力としてセンサ・システム1704からのデータを受け入れるように構成されたアルゴリズム(または、アルゴリズムを記憶したコンピュータ・プログラム製品)とすることができる。データは、たとえば、センサ・システム1704のセンサで感知された情報を表すデータを含むことができる。センサ・フュージョン・アルゴリズム1744は、たとえば、カルマン・フィルタ、ベイジアン・ネットワーク、本明細書の方法の機能の一部のためのアルゴリズム、または任意の他のアルゴリズムを含むことができる。センサ・フュージョン・アルゴリズム1744は、たとえば、車両1700が配置される環境内の個々の物体および/もしくは特徴の評価、特定の状況の評価、ならびに/または特定の状況に基づく可能な影響の評価を含む、センサ・システム1704からのデータに基づく様々な査定を提供するようにさらに構成され得る。他の査定も可能である。
[0274] コンピュータ・ビジョン・システム1746は、たとえば交通信号および障害物を含む、車両1700が配置される環境内の物体および/または特徴を識別するために、カメラ1734によって取り込まれた画像を処理、解析するように構成された任意のシステムとすることができる。このために、コンピュータ・ビジョン・システム1746は、物体認識アルゴリズム、Structure from Motion(SFM)アルゴリズム、ビデオ・トラッキング、または他のコンピュータ・ビジョン技法を使用することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ・ビジョン・システム1746は、さらに、環境の地図を作成し、物体を追跡し、物体の速度を推定するなどを行うように構成され得る。
[0275] ナビゲーションおよびパシング・システム1748は、車両1700の運転経路を判定するように構成された任意のシステムとすることができる。ナビゲーションおよびパシング・システム1748は、さらに、車両1700の動作中に運転経路を動的に更新するように構成され得る。いくつかの実施形態で、ナビゲーションおよびパシング・システム1748は、センサ・フュージョン・アルゴリズム1744、GPS 1726、ライダ・ユニット1732、および1つまたは複数の所定の地図からのデータを組み込んで、車両1700の運転経路を判定するように構成され得る。
[0276] 障害物回避システム1750は、車両1700が配置される環境内の障害物を識別し、評価し、回避するか他の形で通り抜けるように構成された任意のシステムとすることができる。制御システム1706は、それに加えてまたはその代わりに、図示されたもの以外の構成要素を含むことができる。
[0277] 周辺機器1708は、車両1700が、外部センサ、他の車両、外部コンピューティング・デバイス、および/またはユーザと相互作用することを可能にするように構成される。このために、周辺機器1708は、たとえば、無線通信システム1752、タッチスクリーン1754、マイクロホン1756、および/またはスピーカ1758を含むことができる。
[0278] 無線通信システム1752は、直接にまたは通信ネットワークを介してのいずれかで、1つまたは複数の他の車両、センサ、または他のエンティティに無線で結合するように構成された任意のシステムとすることができる。このために、無線通信システム1752は、直接にまたは通信ネットワークを介してのいずれかで、他の車両、センサ、サーバ、または他のエンティティと通信するためにアンテナおよびチップセットを含むことができる。チップセットまたは無線通信システム1752は、一般に、いくつかある可能性の中でも特に、Bluetooth、IEEE 802.11(すべてのIEEE 802.11リビジョンを含む)、セルラ技術(GSM、CDMA、UMTS、EV−DO、WiMAX、またはLTEなど)、Zigbee、dedicated short range communication(DSRC)、およびradio frequency identification(RFID)通信など、1つまたは複数のタイプの無線通信(たとえば、プロトコル)に従って通信するように配置され得る。無線通信システム1752は、他の形をとることもできる。
[0279] タッチスクリーン1754は、ユーザによって、車両1700にコマンドを入力するのに使用され得る。このために、タッチスクリーン1754は、いくつかある可能性の中でも特に、容量性感知、抵抗性感知、または弾性表面波処理を介してユーザの指の位置および動きのうちの少なくとも1つを感知するように構成され得る。タッチスクリーン1754は、タッチスクリーンに表面に平行のまたは平面の方向、タッチスクリーン表面に垂直な方向、またはその両方で指の動きを感知できる場合があり、タッチスクリーン表面に印加された圧力のレベルを感知できる場合もある。タッチスクリーン1754は、1つまたは複数の半透明または透明の絶縁層と、1つまたは複数の半透明または透明の導電層とから形成され得る。タッチスクリーン1754は、他の形をとることもできる。
[0280] マイクロホン1756は、車両1700のユーザからオーディオ(たとえば、音声コマンドまたは他のオーディオ入力)を受け取るように構成され得る。同様に、スピーカ1758は、車両1700のユーザにオーディオを出力するように構成され得る。周辺機器1708は、それに加えてまたはその代わりに、図示されたもの以外の構成要素を含むことができる。
[0281] コンピュータ・システム1710は、推進システム1702、センサ・システム1704、制御システム1706、および周辺機器1708のうちの1つまたは複数にデータを送り、これからデータを受け取り、これと相互作用し、かつ/またはこれを制御するように構成され得る。このために、コンピュータ・システム1710は、システム・バス、ネットワーク、および/または他の接続機構(図示せず)によって、推進システム1702、センサ・システム1704、制御システム1706、および周辺機器1708のうちの1つまたは複数に通信可能にリンクされ得る。
[0282] 一例では、コンピュータ・システム1710は、燃料効率を改善するために変速機1722の動作を制御するように構成され得る。別の例として、コンピュータ・システム1710は、カメラ1734に環境の画像を取り込ませるように構成され得る。さらなる別の例として、コンピュータ・システム1710は、センサ・フュージョン・アルゴリズム1744に対応する命令を記憶し、実行するように構成され得る。さらなる別の例として、コンピュータ・システム1710は、ライダ・ユニット1732を使用して車両1700の周囲の環境の3D表現を判定する命令を記憶し、実行するように構成され得る。他の例も可能である。したがって、コンピュータ・システム1710は、ライダ・ユニット1732のコントローラとして機能することができる。
[0283] 図示されているように、コンピュータ・システム1710は、プロセッサ1712およびデータ・ストレージ1714を含む。プロセッサ1712は、1つもしくは複数の汎用プロセッサならびに/または1つもしくは複数の特殊目的プロセッサを含むことができる。プロセッサ1712が複数のプロセッサを含む範囲で、そのようなプロセッサは、別々にまたは組み合わさって働くことができる。データ・ストレージ1714は、光ストレージ、磁気ストレージ、および/または有機ストレージなど、1つもしくは複数の揮発性ストレージ構成要素ならびに/または1つもしくは複数の不揮発性ストレージ構成要素を含むことができ、データ・ストレージ1714は、全体的にまたは部分的にプロセッサ1712に一体化され得る。
[0284] いくつかの実施形態で、データ・ストレージ1714は、様々な車両機能(たとえば、方法500など)を実行するためにプロセッサ1712によって実行可能な命令1716(たとえば、プログラム論理)を含むことができる。データ・ストレージ1714は、推進システム1702、センサ・システム1704、制御システム1706、および/または周辺機器1708のうちの1つまたは複数にデータを送り、これからデータを受け取り、これと相互作用し、かつ/またはこれを制御する命令を含む追加命令をも含むことができる。コンピュータ・システム1710は、それに加えてまたはその代わりに、図示されたもの以外の構成要素を含むことができる。
[0285] 図示されているように、車両1700は、電源1760をさらに含み、この電源1760は、車両1700の構成要素の一部またはすべてに電力を供給するように構成され得る。このために、電源1760は、たとえば、再充電可能なリチウムイオン電池または鉛バッテリを含むことができる。いくつかの実施形態では、バッテリの1つまたは複数のバンクが、電力を供給するように構成され得る。他の電力供給の材料および構成も可能である。いくつかの実施形態では、電源1760およびエネルギ源1720は、一部の完全電気自動車のように、1つの構成要素として一緒に実施され得る。
[0286] いくつかの実施態様で、車両1700は、図示の要素に加えてまたはその代わりに1つまたは複数の要素を含むことができる。たとえば、車両1700は、1つまたは複数の追加のインターフェースおよび/または電源を含むことができる。他の追加構成要素も可能である。そのような実施形態では、データ・ストレージ1714は、追加構成要素を制御し、かつ/またはこれと通信するためにプロセッサ1712によって実行可能な命令をさらに含むことができる。
[0287] さらに、構成要素およびシステムのそれぞれが、車両1700内に一体化されて図示されているが、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の構成要素またはシステムが、有線接続または無線接続を使用して、車両1700に取り外し可能に取り付けられまたは他の形で接続され得る(機械的にまたは電気的に)。車両1700は、他の形をとることもできる。
IX.結論
[0288] 図面に示された特定の配置を、限定的とみなしてはならない。他の実施態様が、所与の図面に示された各要素をより多くまたはより少なく含むことができることを理解されたい。さらに、図示の要素の一部を組み合わせるか省略することができる。さらに、例示的実施態様は、図面に示されていない要素を含むことができる。
[0289]さらに、様々な態様および実施態様が本明細書で開示されたが、他の態様および実施態様が、当業者に明白になる。本明細書で開示された様々な態様および実施態様は、例示のためのものであって、限定的であることは意図されておらず、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書で提示される主題の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施態様を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書で一般的に説明され、図面に示された本開示の諸態様が、様々な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計され得、そのすべてが本明細書で企図されていることが、たやすく理解されよう。