JP6872829B1 - 異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法 - Google Patents

異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製品の異物の発生原因を精度高く推定することが可能な異物発生原因推定システムを提供する。
【解決手段】取得制御部201は、異物が存在しない良品の検査時刻と、異物が存在する不良品の撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを取得する。割付制御部202は、製品時系列データを熟練作業者に確認させて、前記不良品の撮影画像の異物に、高頻度発生原因又は低頻度発生原因を割り付けさせる。データ生成制御部203は、二つの異物間の異物発生時間間隔を関連付けた異物発生判定データを生成する。対応制御部204は、閾時間と閾個数とを決定することで、密のグループを高頻度発生原因に対応させる。機械生成制御部205は、密のグループの特徴量から、密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成する。推定制御部206は、新規製品時系列データと閾時間と閾個数と推定機械とに基づいて高頻度発生原因を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法に関する。
従来より、製品を画像で撮影して、製品の欠点を特定し、欠点の原因を推定する技術は多種存在する。
特開2000−353729号公報(特許文献1)には、歩留り阻害要因推定方法が開示されている。この方法では、製品の出来映え検査結果を演算して得られた画像情報と、中間工程の異物および外観欠陥の中間検査の結果を演算して得られた画像情報と、製品の各工程の作業実績情報と、製造装置特有の出来映え分布を装置別に予め求めて設定された装置別不良発生分布情報とを用い、これらの情報を互いに対照比較して不良発生原因の装置または工程を推定する。このように多くの画像情報の画像処理に基づいて阻害要因を推定するので、極めて確度の高い推定結果を確実に得ることが可能となるとしている。
又、特開2010−159979号公報(特許文献2)には、第1の学習ステップから第4の学習ステップまでを有する学習過程と、第1の検査ステップから第3の検査ステップまでを有する検査過程と、を有する外観検査方法が開示されている。第1の学習ステップは、学習時において、学習対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する。第2の学習ステップは、第1の学習ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラスを分類条件として教示することにより外観クラス分類器を学習する。第3の学習ステップは、第2の学習ステップで学習された欠陥種の特徴量に基づいて分類される欠陥種である外観クラス別に、機能検査装置を用いて最終的な機能検査によって判定される機能の良否である機能クラスの対応を教示することにより機能クラス分類器を学習して最終的な機能の良否を左右する検査途中の外観的特徴に関する定量的な記述である致命性要因を抽出する。第4の学習ステップは、第3の学習ステップで抽出された定量的な記述である致命性要因に基づいて致命性判定条件を決定する。第1の検査ステップは、検査時において、製造途中の検査対象物に生じた複数の欠陥について外観検査装置を用いて撮像して画像信号を検出し、該検出される画像信号に基づいて各欠陥の特徴量を算出する。第2の検査ステップは、第1の検査ステップで算出される各欠陥の特徴量に基づいて第2の学習ステップで学習された分類条件での外観クラス分類器を用いて前記欠陥種である外観クラスの分類を行う。第3の検査ステップは、第2の検査ステップで分類が行われた外観クラス別に、第4の学習ステップで定量的な記述である致命性要因に基づいて決定された致命性判定条件に基づいて致命性を予測判定する。これにより、着目すべき外観的特徴についての信頼性の高い知識を得られ、製造途中において適正な致命性判定基準を設定することが出来るとしている。
又、特開2018−163622号公報(特許文献3)には、第一の工程から第六の工程までを含む製造不良原因の探索支援方法が開示されている。第一の工程は、解析対象不良に関して製造現場から採取可能な実測データであって、複数種のデータ群の集合を含む実測データを取得する。第二の工程は、製造現場の製造工程の一部となる、解析対象不良に関連する工程範囲を選択する。第三の工程は、製造工程を区分けし、各工程で動作する装置及び各工程の処理パラメータを各工程に関連付けて格納する製造工程データベースの中から、選択された工程範囲に関連付けられている装置又は処理パラメータを特定する。第四の工程は、取得された実測データの中から、特定された装置又は処理パラメータに対応する一部の実測データを解析データとして抽出する。第五の工程は、解析データを用いて、確率推論モデルを構築する。第六の工程は、構築された確率推論モデルを用いて確率推論を実行する。これにより、製造不良の原因を高精度に推定し得る製造不良原因の探索支援技術を提供することが出来るとしている。
特開2000−353729号公報 特開2010−159979号公報 特開2018−163622号公報
プラスチック成形品等の製品の生産ライン(生産現場)で、最も発生頻度が多い外観不良品の原因は異物の混入である。製品に異物が混入した場合、異物の発生原因は所定数に限られており、それぞれの異物の発生原因では、経時的な発生頻度が異なるという特徴がある。一方、熟練作業者による製品の目視検査では、その知識を元に異物の発生原因を推定して、異物対策を行っている。
そのような熟練作業者の知識を活用して、異物の発生原因を精度高く推定することが出来れば、異物対策の迅速化や製品の生産性の向上に役立てることが出来る。
ここで、特許文献1に記載の技術では、画像情報と作業実績情報と装置別不良発生分布情報とを利用することで、不良発生原因の装置又は工程を推定する。又、特許文献2に記載の技術では、各欠陥の特徴量を外観クラス分類器で学習させて、検査中の外観的特徴から致命性要因を予測する。又、特許文献3に記載の技術では、実測データから確率推論モデルを構築して、製造不良の原因を推定する。しかしながら、これらの技術には、熟練作業者の知識を学習させる工程が無く、熟練作業者の知識を活用することが出来ないという課題がある。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、熟練作業者の知識を活用することで、製品の異物の発生原因を精度高く推定することが可能な異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る異物発生原因推定システムは、取得制御部と、割付制御部と、データ生成制御部と、対応制御部と、機械生成制御部と、推定制御部と、を備える。取得制御部は、生産ラインから順次製造される製品をカメラで撮影して検査し、異物が存在しない良品の検査時刻と、異物が存在する不良品の撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを取得する。割付制御部は、前記製品時系列データの良品の検査時刻と、不良品の撮影画像と検査時刻とを熟練作業者に確認させて、前記不良品の撮影画像の異物に、異物の発生頻度が高い高頻度発生原因又は異物の発生頻度が低い低頻度発生原因を前記熟練作業者に割り付けさせる。データ生成制御部は、前記製品時系列データから、二つの異物間の検査時刻の時間間隔を示す異物発生時間間隔を関連付けた異物発生判定データを生成する。対応制御部は、前記異物発生判定データの異物発生時間間隔に対して閾時間と、当該閾時間以下で連続して発生した異物の個数を示す閾個数とを決定することで、前記異物発生判定データの異物のうち、異物の発生頻度が高い密のグループを、前記高頻度発生原因に対応させる。機械生成制御部は、前記密のグループの特徴量から、前記密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成する。推定制御部は、新たに取得された新規製品時系列データを新規異物発生判定データにし、前記閾時間と前記閾個数とに基づいて、前記新規異物発生判定データから、密のグループに分類し、分類された密のグループの特徴量と前記推定機械とに基づいて、前記密のグループに対応する発生原因を推定する。
本発明に係る異物発生原因推定方法は、取得制御ステップと、割付制御ステップと、生成制御ステップと、対応制御ステップと、生成制御ステップと、推定制御ステップと、を備える。異物発生原因推定方法の各ステップは、異物発生原因推定システムの各部に対応する。
本発明によれば、熟練作業者の知識を活用することで、製品の異物の発生原因を精度高く推定することが可能となる。
本発明の実施形態に係る異物発生原因推定システムの機能ブロック図の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る異物発生原因推定方法の実行手順を示すためのフローチャートである。 歯磨きチューブ用Sキャップの一例を示す写真(図3A)と、キャップの成形加工の一例を示す写真(図3B)と、キャップの良品の一例を示す写真と、キャップの不良品の一例を示す写真(図3C)と、である。 検査時系列データの一例を示す図(図4A)と、熟練作業者が製品時系列データの異物へ発生原因を割り付ける場合の一例を示す図とMCLの一例を示す図(図4B)と、である。 クレンジングの一例を示す図(図5A)と、異物発生判定データの一例を示す図(図5B)と、である。 異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分類する場合の一例を示す図(図6A)と、ACL(8、9)とACL(7,7)との分類の違いの一例を示す図(図6B)と、である。 閾時間tと閾個数nとの調整方法の一例を示す図(図7A)と、教師データの修正の一例を示す図(図7B)と、である。 ACLPに対するMCLの発生原因の修正の一例を示す図(図8A)と、決定木の使用方法の一例を示す図(図8B)と、である。 5分割交差検証法の一例を示す図(図9A)と、異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分類して特徴量を算出する場合の一例を示す図(図9B)と、である。 決定木分類器の一例を示す図(図10A)と、学習後の決定木分類器の5分割交差検証法の結果と学習後の決定木分類器の構成の一例を示す図(図10B)と、である。 学習後の決定木分類器の5分割交差検証法の結果と学習後の決定木分類器の構成の一例を示す図(図11A)と、学習後の決定木分類器を用いた推定結果の混合行列の一例を示す図(図11B)と、である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る異物発生原因推定システム1は、図1に示すように、カメラ10と、カメラ10に接続された端末装置11とで基本的に構成されている。
カメラ10は、生産ラインSの一部を被写体として撮影するインラインカメラであり、生産ラインSで製造された製品Pを撮影して検査する。
ここで、製品Pの異物を撮影することが出来るカメラ10であれば、カメラ10の数に特に限定は無く、1台でも良いし、2台以上であっても構わない。後述する異物は、製品Pの様々な位置に発生することから、カメラ10を複数台設けることで、製品Pを様々な角度で撮影し、製品Pに存在する異物を確実に撮影することが出来る。
端末装置11は、画面を表示する表示部(出力部)と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける受付部(入力部)と、データを記憶させる記憶部と、各部を制御する制御部と、を備えている。端末装置11は、ディスクトップ型端末装置等を挙げることが出来る。
端末装置11は、カメラ10からの撮影画像Iを取得し、撮影画像I内の製品Pに異物が存在するか否かを判定し、異物が存在しない場合は、その製品Pを良品Gと判定し、異物が存在する場合は、その製品Pを不良品Bと判定する。そして、端末装置11は、異物が存在しない良品Gを検査した検査時刻(撮影時刻)と、当該異物の製品Pを写した撮影画像Iと検査時刻とを記録する。
端末装置11は、良品Gの検査時刻と不良品Bの撮影画像Iと検査時刻とを熟練作業者に確認させて、熟練作業者からの異物の発生原因の入力を受け付ける。端末装置11は、熟練作業者からの異物の発生原因を活用して、新たに発生する異物の発生原因を推定する(後述する)。
端末装置11は、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各部を実現する。
次に、図1、図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。本発明に係る異物発生原因推定システム1は、基本的に、異物が発生する製品Pをカメラ10で検査するシステムに適用することが可能であり、異物の種類や製品Pの種類に特に限定は無い。本発明の実施形態では、例えば、図3Aに示すように、歯磨きチューブ用Sキャップ(以下、キャップとする)の異物の発生原因を推定するために適用した。
キャップの成形加工は、図3Bに示すように、射出成形機により、型締−射出−保圧−冷却−型開−製品取り出しを、一定の時間で繰り返す一連の成形加工である。一連の成形加工を1サイクルと呼ぶ。1サイクルに要する検査時間間隔T(sec/個)は、1サイクルに要する時間を示すサイクルタイムC(sec)と、1サイクルで製造されるキャップの製造数を示す取り数C(個)とを用いて、次の式(1)で表すことが出来る。
=C/C ・・・(1)
ここで、検査時間間隔T(sec/個)は、製品Pの種類によって異なるが、今回のキャップの製造では、サイクルタイムCは18秒であり、取り数Cは16個であったため、検査時間間隔Tは約1.1sec/個となった。
さて、キャップの成形加工は生産ラインSの射出成形機で行われ、この射出成形機で製造されたキャップは、取り出しロボットにより、金型内の配列順にインラインカメラ10に送られる。
端末装置11の取得制御部201は、生産ラインSから順次製造されるキャップをインラインカメラ10で撮影して検査し、異物が存在しない良品Gのキャップの検査時刻と、異物が存在する不良品Bのキャップの撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを取得する(図2:S101)。
ここで、取得制御部201の取得方法に特に限定は無い。例えば、取得制御部201は、インラインカメラ10を用いて、検査時間間隔Tを約1.1sec/個として、キャップの上面を撮影し、キャップの異物の検査を行う。
キャップの異物の検査は、取得制御部201が、インラインカメラ10で撮影されたキャップの上面の撮影画像Iを処理して、撮影画像I内のキャップの上面に異物があるかどうかを判定する。
判定の結果、図3Cに示すように、撮影画像I内のキャップの上面に異物がない場合は、取得制御部201は、キャップを良品Gとして判定し、そのまま生産系内に維持する。
一方、判定の結果、図3Cに示すように、撮影画像I内のキャップの上面に異物がある場合、取得制御部201は、キャップを不良品Bとして判定し、生産系外に排出し、良品Gと分離する。
ここで、取得制御部201は、異物検査において、キャップの検査時刻と検査結果(良品G又は不良品B)を記憶させるとともに、キャップが不良品Bの場合は、その撮影画像Iも記憶させる。このように、良品G又は不良品Bの検査時刻と、検査結果と、不良品Bの場合の撮影画像Iとを関連付けた検査時系列データを取得することが出来る。
さて、検査時系列データは、例えば、図4Aに示すように、縦軸を1サイクルで製造されるキャップの金型キャビティ番号(金型を識別するための番号)とし、横軸を時系列で連続的に実施した1サイクルの実施数とし、金型キャビティ番号のキャップが良品Gの場合は白丸を付し、金型キャビティ番号のキャップが不良品Bの場合は黒丸を付したグラフとして表すことが出来る。このグラフでは、縦軸の金型キャビティ番号が16個、横軸の1サイクルの数が100サイクルの場合を示している。
キャップの製造における1サイクルは、金型キャビティ番号の1から16まで連続して成形され、且つ、規則的に繰り返されるため、機械が停止しない限り、約53個/分の速度で、キャップが連続的に生産され、且つ、検査される。キャップの製造が開始されると、第1のサイクルでは、金型キャビティ番号が1から16までのキャップが順番に検査され、次の列の第2のサイクルでは、同様に、金型キャビティ番号が1から16までのキャップが順番に検査される。キャップの製造が継続するにつれて、3列目、4列目とサイクルの実施数が増加していく。
ここで、図4Aに示すように、第63のサイクルから第66のサイクルまでのサイクルでは、金型キャビティ番号が11のキャップに、サイクル毎に4回連続して、異物(不良品)が発生していることが分かる。又、第64のサイクルでは、金型キャビティ番号が4と11のキャップに、同時に異物が発生していることが分かる。このように、異物は、ある時刻で集中したり、稀に発生したりすることが分かる。
そこで、取得制御部201は、作成されたグラフから、異物が存在しない良品Gの検査時刻と、異物が発生している不良品Bの検査時刻と撮影画像とを時系列に取得することで、良品Gの検査時刻と、不良品Bの撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを得ることが出来る。製品時系列データは、どのような種類の生産ラインであっても入手することが出来る基本的なデータである。
さて、取得制御部201が取得を完了すると、端末装置11の割付制御部202は、製品時系列データの良品Gの検査時刻と、不良品Bの撮影画像と検査時刻とを熟練作業者に確認させて、不良品Bの撮影画像の異物に、異物の発生頻度が高い高頻度発生原因又は異物の発生頻度が低い低頻度発生原因を熟練作業者に割り付けさせる(図2:S102)。
ここで、割付制御部202の割付方法に特に限定は無い。例えば、図4Bに示すように、割付制御部202は、製品時系列データの良品Gの検査時刻と、不良品Bの検査時刻とを表示させながら、不良品Bに関連付けられた撮影画像Iを、表示パネル等の表示部に表示させて、熟練作業者に、不良品Bの撮影画像Iを確認させる。撮影画像Iには、不良品Bに含まれる異物が映し出される。
ここで、熟練作業者に、不良品Bの撮影画像Iだけを確認させても良いが、良品Gの検査時刻と、不良品Bの検査時刻とを確認させることで、熟練作業者に、良品Gの頻度と不良品Bの頻度とを感覚的に把握させて、撮影画像Iの異物の発生原因を具体的に想起させ易くなり、好ましい。
さて、撮影画像Iの不良品Bの異物を視覚的に具体的に確認した熟練作業者は、自身が想定する異物の原因である高頻度発生原因、又は低頻度発生原因を選択して、端末装置11の受付部に入力する。
ここで、高頻度発生原因と低頻度発生原因の種類に特に限定は無い。本発明の実施形態では、射出成形のキャップの異物の発生原因を想定しているため、低頻度発生原因として、例えば、第ゼロの発生原因C0を挙げることが出来る。第ゼロの発生原因C0は、原因自体が不明であり、対策を取らなくても、自然に消滅する発生原因である。この低頻度発生原因は、特に問題にならない。
一方、高頻度発生原因として、例えば、第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までの3種類の発生原因を挙げることが出来る。第一の発生原因C1は、長時間にわたる成形機停止によりシリンダー内の樹脂焼けによる異物を発生原因とし、シリンダーを洗浄することにより対策を行う。第二の発生原因C2は、異物の発生原因は金型から発生する潤滑剤の飛散や摺動による金属粉の異物を発生原因とし、異物発生時間間隔に周期性があるため、金型清掃やメンテナンスにより対策を行う。第三の発生原因C3は、樹脂原料内の異物やほこりを発生原因とし、原料タンクの清掃や原料の交換により対策を行う。尚、高頻度発生原因は、生産ラインの種類や構成、製品の種類や生産方法などによって適宜設計変更される。
本発明の実施形態では、第ゼロの発生原因C0から第三の発生原因C3までが想定されるため、これらの発生原因C0−C3を熟練作業者に選択可能に表示して、熟練作業者が想定する一つの発生原因C0−C3を選択するように構成すると好ましい。
そして、熟練作業者が、第ゼロの発生原因C0から第三の発生原因C3までのいずれかを選択すると、割付制御部202は、熟練作業者が選択した発生原因の入力を受け付けることで、撮影画像Iの異物に、熟練作業者が選択した発生原因を割り付ける。
このような作業を、製品時系列データの異物の撮影画像Iに対して繰り返し、全ての異物の撮影画像Iに割り付けることで、異物に割り付けられた発生原因を熟練作業者による教師データとして利用することが出来るのである。又、異物に割り付けられた第ゼロの発生原因の低頻度発生原因と、第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までの高頻度発生原因とが、熟練作業者の知識(暗黙知)により選択された原因であるため、特に重要となる。
ここで、発生原因の割付後の製品時系列データは、図4Bに示すように、第ゼロの発生原因C0から第三の発生原因C3までのいずれかを示す記号を時系列に表示することが出来る。第ゼロの発生原因C0は丸(〇)、第一の発生原因C1はバツ印(×)、第二の発生原因C2は四角(□)、第三の発生原因C3はひし形(◇)で表示している。尚、図4Bでは、良品Gのデータは省略している。このように異物の発生原因が異物毎に割り付けられた製品時系列データを手動分類ラベル(MCL:Manual Classified Label)と呼ぶ。
ここで、熟練作業者が異物に割り付けた発生原因について、データの質を向上させるために、発生原因の付け替えを適宜行っても良い(クレンジング)。
例えば、図5Aに示すように、割付制御部202は、MCLのうち、長時間にわたって異物の発生が生じる高頻度発生原因(例えば、第一の発生原因C1と第三の発生原因C3)が割り付けられた異物について、高頻度発生原因が最初に割り付けられた異物から最後に割り付けられた異物までの検査時刻の時間間隔を示す高頻度異物発生時間間隔が所定の判定時間以下である場合、割付制御部202は、高頻度異物発生時間間隔の異物に割り付けられた高頻度発生原因を、対策が不要な低頻度発生原因に付け替える。この場合、高頻度発生原因が割り付けられた異物であるにもかかわらず、短時間で異物発生が消滅していると想定され、熟練作業者が誤って高頻度発生原因を異物に割り付けている可能性が高い。これは、言い換えると、熟練作業者が曖昧に発生原因を割り付けた可能性が高い。そこで、高頻度異物発生時間間隔の長短により、高頻度発生原因を低頻度発生原因に付け替えて、修正することで、データの信ぴょう性を高めることが出来る。尚、本発明の実施形態の判定時間は、最小ロットの生産時間の20分に設定される。
一方、短時間でも異物の発生が消滅する可能性がある第二の異物発生原因C2については、その高頻度異物発生時間間隔が判定時間以下であっても、第ゼロの発生原因C0に付け替えない。このように、異物の発生原因の種類に応じて、発生原因の付け替えを行ったり、行わなかったりするで、異物と発生原因とを適切に割り付けることが可能となる。このように、異物発生原因の付け替えを行ったデータを、新たにデータとして生成して、付け替え後の手動分類ラベル(MCLP:Manual Classified Label Prime)と呼ぶ。
さて、割付制御部202が割付を完了すると、端末装置11のデータ生成制御部203は、製品時系列データから、二つの異物間の検査時刻の時間間隔を示す異物発生時間間隔を関連付けた異物発生判定データを生成する(図2:S103)。
ここで、データ生成制御部203の生成方法に特に限定は無い。例えば、キャップの生産において、不良品Bの数は良品Gの数よりも圧倒的に少ない。そこで、データ生成制御部203は、製品時系列データを、異物の発生頻度に着目した異物発生判定データに書き換える。
具体的には、データ生成制御部203は、先ず、異物を含む不良品Bの検査時刻から、当該異物の前に発生した異物を含む不良品Bの検査時刻までの異物発生時間間隔TC(min)を算出する。異物発生時間間隔TC(min)は、不良品Bが発生した際に異物に順次割り当てた通し番号j(−)と、不良品Bが発生して撮影した検査時刻Tと、を用いて、次の式(2)で表すことが出来る。
TC=T−Tj−1 ・・・(2)
つまり、異物発生時間間隔TC(min)は、時間の経過に伴って順次発生した異物を含むキャップの検査時刻の間隔を意味する。
尚、異物発生時間間隔TC(min)は、二つの異物間の検査時刻の時間間隔を示せば、特に限定は無い。上述では、異物を含む不良品Bの検査時刻から、当該異物の直前に発生した異物を含む不良品Bの検査時刻までの時間間隔として定義したが、例えば、異物を含む不良品Bの検査時刻から、当該異物の直後に発生した異物を含む不良品Bの検査時刻までの時間間隔と定義しても構わない。異物発生時間間隔TC(min)の定義は適宜設定される。
そして、データ生成制御部203は、発生時間間隔TCと、異物が発生した際の不良品Bの検査時刻Tとを収集して、j番目の異物についての異物発生判定データの部分集合Xを生成する。j番目の異物についての異物発生判定データの部分集合Xは、次の式(3)で表すことが出来る。
={TC、T} ・・・(3)
データ生成制御部203は、全ての異物についての部分集合Xを収集することで、異物発生判定データを生成することが出来る。又、異物発生判定データは、図5Bに示すように、縦軸を異物発生時間間隔TCとし、横軸を異物の検査時刻とし、異物(不良品B)の発生の発生時間間隔TCに黒丸を付したグラフとして表すことが出来る。尚、図5Bの黒丸の検査時刻は、図4Aの黒丸の検査時刻と一致する。
ここで、図5Bに示すように、黒丸の数は、異物発生時間間隔TCの特定の時間を境にして、集中していることが分かる。つまり、異物発生時間間隔TCを指標とすることで、異物の発生頻度のパターンを確認することが出来るのである。
さて、データ生成制御部203が生成を完了すると、端末装置11の対応制御部204は、異物発生判定データの異物発生時間間隔TCに対して閾時間tと、当該閾時間t以下で連続して発生した異物の個数を示す閾個数nとを決定することで、異物発生判定データの異物の発生頻度が高い密のグループを、高頻度発生原因に対応させる(図2:S104)。
ここで、対応制御部204の対応方法に特に限定は無い。先ず、対応制御部204は、図6Aに示すように、横軸を検査時刻Tにしている異物発生判定データを、横軸を通し数jにした異物発生判定データに切り替える。
異物発生判定データでは、図6Aに示すように、通し数jに対して、異物の発生頻度が高い密のグループと、異物の発生頻度が低い疎のグループとが存在することが分かる。密のグループと疎のグループとを数値的に分類するために、先ず、対応制御部204は、異物発生時間間隔TCに所定の閾時間tを決定することで、異物発生時間間隔TCが閾時間tを超える異物のグループと、異物発生時間間隔TCが閾時間t以下の異物のグループに分類する。
次に、対応制御部204は、異物発生時間間隔TCが閾時間t以下の異物のグループについて、連続して発生した異物の個数に所定の閾個数nを決定することで、連続発生の異物の個数が閾個数n以上である異物のグループを、密のグループ(ここでは、「D」)として分類し、密のグループ以外の異物のグループを、疎のグループ(ここでは、「S」)として分類する。このように、異物発生判定データに対して閾時間tと閾個数nとを決定することで、複数の異物を、密のグループ又は疎のグループに分類することが可能となる。そして、対応制御部204は、密のグループに属する異物に「D」のラベルと付し、疎のグループに属する異物に「S」のラベルを付す。
このような分類方法を、閾時間tと閾個数nとをパラメータとするSD(Sparse and Dense)(疎と密)アルゴリズムと呼び、この方法により分離された異物のデータを自動分類ラベル(Automatic Classified Label)ACL(n、t)と呼ぶ。
ここで、閾時間tと閾個数nとの違いにより、特定の異物Iを起点として分離されるグループが、密のグループになったり疎のグループになったりし、グループの種類が変動する。例えば、図6Bに示すように、閾個数nを8とし、閾時間tを9とするACL(8、9)では、起点の第一番目の異物Iから、異物発生時間間隔TCがt=9以下の異物は、第一番目の異物Iから数えて第九番目のIj+9までであり、第一番目の異物Iから第九番目のIj+9までに連続して発生した異物の個数は閾個数n=8以上となる。そのため、第一番目の異物Iから第九番目のIj+9までの異物のグループは、密のグループD12と分類することが出来る。そして、この密のグループD12の終わりは、異物発生時間間隔TCjが9を超える異物は、第十番目の異物Ij+10であるため、その後、密のグループの条件を満たす異物が発生するまでは、第十番目の異物Ij+10が起点となった疎のグループS13に分類される。
一方、閾個数nを7とし、閾時間tを7とするACL(7、7)では、同じ起点の第一番目の異物Iから、異物発生時間間隔TCがt=7以下の異物は存在せず、又、閾個数nが7以上となる異物も存在しないことから、第一の異物Iから第九番目の異物Ij+9以上までの異物のグループが疎のグループS22に分類される。
つまり、閾時間tの値と閾個数nの値の違いにより、異物のグループが密のグループに分類されたり、疎のグループに分類されたりするのである。
そこで、対応制御部204は、閾時間tと閾個数nとを調整することで、分類された密のグループを、異物毎に割り付けた高頻度発生原因に対応させる。又、対応制御部204は、分類された疎のグループを、異物毎に割り付けた低頻度発生原因に対応させる。
ここで、対応制御部204の調整方法に特に限定は無い。例えば、図7Aに示すように、対応制御部204は、MCL又はMCLPの異物に割り付けられた発生原因(C0−C3)を異物の通し数j(又は検査時刻T)の順番に配置するとともに、ACL(8,9)の閾時間t=8と閾個数n=9とで分類された密のグループ又は疎のグループを異物の通し数jの順番に配置する。次に、対応制御部204は、特定の異物に割り付けられた発生原因と密のグループ又は疎のグループとを参照し、高頻度発生原因(C1−C3)が割り付けられた異物が密のグループに分類されている場合、又は、低頻度発生原因(C0)が割り付けられた異物が疎のグループに分類されている場合、対応制御部204は、当該異物の発生原因がグループに一致すると判定する。一方、高頻度発生原因(C1−C3)が割り付けられた異物が疎のグループに分類されている場合、又は、低頻度発生原因(C0)が割り付けられた異物が密のグループに分類されている場合、対応制御部204は、当該異物の発生原因がグループに不一致と判定する。そして、対応制御部204は、全ての異物に対して一致又は不一致の判定結果を算出し、全ての異物に対して、算出した一致の判定結果の割合を示す一致率を算出する。図7Aでは、例えば、ACL(8,9)は、全ての異物24個に対して一致の判定結果の異物数は23個であるため、一致率は95.8%となる。
次に、対応制御部204は、閾時間tと閾個数nとを変動させて、例えば、閾時間t=7と閾個数n=7とにして、異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分類し、同様に、MCL又はMCLPの発生原因と、分類後のACL(7,7)の密のグループ又は疎のグループとを参照して、発生原因が密のグループ又は疎のグループと一致するか否かを判定し、同様に、一致率を算出する。図7Aでは、例えば、ACL(7,7)は、全ての異物24個に対して一致の判定の異物数は20個であるため、一致率は83.3%となる。
そして、対応制御部204は、閾時間tと閾個数nとの変動前のACL(8,9)の一致率と、閾時間tと閾個数nとの変動後のACL(7,7)の一致率とを比較して、大きい一致率を有するACL(8,9)の閾時間tと閾個数nとを候補として選択する。対応制御部204は、選択した候補の閾時間tと閾個数nとを更に変動させて、異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分類し、分類後のACL(n,t)の密のグループ又は疎のグループを使って、再度、一致率を算出し、大きい一致率を有するACL(n,t)の閾時間tと閾個数nとを候補として選択する。
このように、閾時間tと閾個数nとを変動させて、密のグループ又は疎のグループの分類と、一致率の算出と、一致率の比較とを繰り返すことで、最も一致率が大きいACL(n,t)の候補となる閾時間tと閾個数nとを最終の閾時間tと閾個数nとに調整する。つまり、密のグループの異物は高頻度発生原因に一致し、疎のグループの異物は低頻度発生原因に一致すると想定し、密のグループの異物が低頻度発生原因に対応する場合又は疎のグループの異物が高頻度発生原因に対応する場合の不一致(ずれ)が最も少ない閾時間tと閾個数nとを決定するのである。これにより、熟練作業者が異物に割り付けた発生原因に、密のグループ又は疎のグループを対応付けられる閾時間tと閾個数nとを決定することが可能となる。又、閾時間tと閾個数nとは、検査時間間隔Tに密接に関係する。
ここで、不一致の発生原因について、データの質を向上させるために、発生原因の修正を行っても良い(教師データの修正)。
例えば、図7Bに示すように、高頻度発生原因(C1−C3)が割り付けられた異物が、密のグループに分類されていない場合、言い換えると、疎のグループに分類されている場合、対応制御部204は、当該異物に割り付けられた高頻度発生原因(C1−C3)を、他の原因、つまり、疎のグループに対応する低頻度発生原因(C0)に付け替える。又、他の原因、つまり、低頻度発生原因(C0)が割り付けられた異物が密のグループに分類されている場合は、対応制御部204は、当該異物に割り付けられた低頻度発生原因(C0)を、当該低頻度発生原因の直前の発生原因であって、密のグループに関係する高頻度発生原因(ここでは、第一の発生原因C1)に付け替える。これにより、不一致の発生原因を修正して、データの信ぴょう性を向上させることが可能となる。
ここで、熟練作業者が発生原因を異物に割り付けた場合、生産ラインSの一時停止を考慮して発生原因を異物に割り付けているが、一方で、閾時間tと閾個数nとで生成されたACLには、生産ラインSの一時停止は、考慮されていない。生産ラインSの一時停止とは、休日や生産プロセスのトラブルにより成形機が生産を一時的に休止することを言う。そこで、ACLについて、生産ラインSの一時停止を考慮して、ACLの密のグループ又は疎のグループを分割しても良い。
例えば、今回の生産プロセスの特徴は30分を一定時間とし、一定時間以上、キャップの製造が停止していた場合は、生産系が変わったと考え、ACLの密のグループ又は疎のグループを生産停止の時点と生産再開の時点とで分割する。ACLの密のグループ又は疎のグループを生産ラインSの一時停止で分割することで、生産ラインSに対応するACLの修正を行うことが可能となる。尚、修正後のACLを、新たにデータとして生成して、修正後の自動分類ラベル(ACLP:Automatic Classified Label Prime)と呼ぶ。
また、ACLを修正してACLPを生成した場合、MCLの発生原因に対応して、ACLPの発生原因を更に付け替えても良い。ACLPの異物を分類した密のグループ又は疎のグループに対して、MCLの異物に割り付けられた発生原因を参照し、ACLPの密のグループに属する発生原因であって、密のグループに属さない発生原因が割り付けられている場合は、対応制御部204は、ACLPについて、密のグループに属する発生原因のうち、数が最も多い発生原因を、密のグループに属する発生原因として付け替える。
例えば、図8Aに示すように、ACLPのグループとMCLの発生原因とを参照し、密のグループに属する発生原因のうち、第ゼロの発生原因C0が4個、第一の発生原因C1が4個の場合は、対応制御部204は、密のグループに属する発生原因の第ゼロの発生原因C0を第一の発生原因C1に付け替える。一方、密のグループに属する発生原因のうち、第ゼロの発生原因C0が3個、第三の発生原因C3が9個の場合は、対応制御部204は、密のグループに属する発生原因の第ゼロの発生原因C0を第三の発生原因C3に付け替える。尚、付け替えの際に、第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までの発生原因に対して予め優先度が設定されている場合は、優先度に従って、密のグループに属する第ゼロの発生原因C0を、優先度の高い高頻度発生原因に付け替えしても良い。
一方、疎のグループに属する発生原因のうち、第ゼロの発生原因C0以外の高頻度発生原因(C1−C3)が異物に割り付けられている場合は、対応制御部204は、疎のグループに属する発生原因の高頻度発生原因(C1−C3)を第ゼロの発生原因C0に付け替える。このように、MCLを用いてACLPの発生原因を付け替えることで、データの信ぴょう性を更に向上させることが可能となる。
さて、対応制御部204が調整を完了すると、端末装置11の機械生成制御部205は、密のグループの特徴量から、密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成する(図2:S105)。
ここで、機械生成制御部205の生成方法に特に限定は無い。例えば、機械生成制御部205は、ACL又はACLPの密のグループの統計量の特徴量を算出する。
ここで、特徴量に特に限定は無い。特徴量は、密のグループを特徴付ける基本的な統計量であり、例えば、密のグループを構成する異物数Gw1、密のグループを構成する異物が発生する時間間隔の平均時間Gw2、平均時間Gw2の標準偏差Gw3、密のグループを構成する異物が発生するまでの良品の平均数Gw4、良品の平均数Gw4の標準偏差Gw5、1分当たりに発生する良品数Gw6、1回、16回又は32回のいずれかの異物の間隔毎に発生した異物数と発生した全ての異物数の比Gw7、生産再開後から異物が発生するまでの時間Gs1を挙げることが出来る。
機械生成制御部205が密のグループの特徴量を算出すると、次に、特徴量を用いて、推定機械を生成する。ここで、例えば、推定機械として、密のグループの特徴量から、当該特徴量を有する密のグループの異物発生原因を出力する決定木(分類器)を採用する。
ここで、決定木とは、意思決定や物事の分類を多段階で繰り返し実行する場合、その多段階の分岐過程を階層化した樹形図のグラフ表現を意味する。決定木の長所は、分岐条件に使用される特徴量(説明変数)について、どの特徴量が目的属性に対してどのように影響しているかの解釈が容易である点である。一方、決定木の短所は、特徴量が多い場合、特徴量に過剰に適応し過ぎる過学習を起こし易く、分類性能が低下する場合がある点である。
決定木の使用方法について説明すると、図8Bに示すように、例えば、目的属性が2個(Class1、Class2)あり、対象データの比較特徴量が2個(x1、x2)ある決定木を想定する。対象データの2個の比較特徴量のうち、最も分離性能が高い第一の比較特徴量x1に着目し、比較のための第一の基準特徴量aを設定し、x1<aの場合、対象データは目的属性のClass1に分類される。一方、a≦x1の場合、対象データは、目的属性のClass1又はClass2に分類される。
次に、a≦x1の場合において、新たに正しく分類し易い基準特徴量を選択する。ここで、選択済みの同じ第一の比較特徴量x1は選択可能であり、再度、第一の比較特徴量x1に着目する。比較のために第一の基準特徴量aよりも大きい第二の基準特徴量bを設定し、b<x1の場合、対象データは目的属性のClass2に分類される。一方、x1≦bの場合、対象データは、目的属性のClass1又はClass2に分類される。
次に、a≦x1で、且つ、x1≦bの場合、第二の比較特徴量x2に着目し、比較のための第三の基準特徴量cを設定し、x2>cの場合、対象データは目的属性のClass1に分類される。一方、x2≦cの場合、対象データは目的属性のClass2に分類される。
このように、決定木では、分岐条件に特徴量を決定するとともに、分岐条件により分類される目的属性に分類結果を決定することで、分岐が可能な限り、データの分類を進めることが出来る。図8Bでは、目的属性を2種類としているが、3種類以上でも良く、分岐条件も2分割にしているが、分割数を3以上にしても良い。尚、詳細は、技術文献(北村拓也著,「スッキリ!がってん!機械学習の本」,電気書院,2018年,p.78-80)を参照されたい。
ここで、決定木の分岐条件となる部分をノードと言い、一番上の分岐条件の部分の木の根ノードから末節の分岐条件の部分の葉ノードまでに記述されている分岐条件を繰り返し実行することで、対象データ(事例)を、特徴量に合った目的属性に分類することが出来る。本発明の実施形態では、この決定木を分類器として用いる。
又、分岐条件の基準として、CART(Classification and Regression Tree)アルゴリズムでは、GINI係数(Breiman,et al.,1984)、ID3やC4.5アルゴリズムでは、エントロピーなど(Quinlan,1986)を用いる。分岐条件の数を増やすと、過学習を起こすこともあるため、必ずしも全学習サンプルを正しく分類できるまで分岐条件の数を増やして木構造を深くする必要は無く、所定の分岐条件の数で最適な木構造の深さを決めればよい。
ここで、決定木の分岐条件の数を決定する際に、交差検証法を用いると好ましい。決定木による分類では、決定木の汎化性能(未知のデータに対する分類器の対応能力)を評価する必要があり、葉ノードの深さが深すぎると、過学習になり、一定以上の深さでは正解率が変化しないことがあり、最適な葉ノードの深さを決定する必要がある。葉ノードの深さが最適か否かを決定するために交差検証法を用いると好ましい。
交差検証法には、k分割交差検証法を挙げることが出来る。例えば、5分割(k=5)の交差検証法を説明すると、図9Aに示すように、先ず、検証データを5分割し、それぞれの分割データをA、B、C、D、Eと呼ぶ。次に、分割データB、C、D、Eを合わせたデータを訓練データとし、それを使って、決定木の分岐条件を決定して、モデルを学習し、分割データAで学習後の決定木(モデル)の性能を測定する。又、分割データA、C、D、Eを合わせたデータを訓練データとし、新たにモデルを学習し、分割データBで学習後の決定木の性能を測定する。このように、分割データA、B、C、D、Eを順に替えながら、決定木の学習と性能の測定を5回繰り返す。そして、それらの結果を平均したものを5分割の交差検証結果Sとする。5分割の交差検証結果Sは、性能の測定の結果siを用いて、下記の式(4)で表すことが出来る。
S=(s1+s2+s3+s4+s5)/5 ・・・(4)
ここで、siは、性能の測定の結果を示し、i=1は、分割データAで性能を測定した結果を示し、i=2は、分割データBで性能を測定した結果を示し、i=3は、分割データCで性能を測定した結果を示し、i=4は、分割データDで性能を測定した結果を示し、i=5は、分割データEで性能を測定した結果を示す。この5分割交差検証法により、決定木の分岐条件の数を最適化することが可能となる。尚、詳細は、技術文献(中谷秀洋著,「わけがわかる機械学習の本」,技術評論社,2019年,p.209-211)を参照されたい。
さて、機械生成制御部205は、決定木分類器の分岐条件に、算出した密のグループの特徴量Gw1−Gw7、Gs1を基準特徴量として設定し、決定木分類器の目的属性に、密のグループの第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までの発生原因と、密のグループ以外の疎のグループの第ゼロの発生原因C0とを設定する。次に、機械生成制御部205は、図9Bに示すように、決定後の閾時間tと閾個数nとを用いて、異物発生判定データの異物のうち、特定の異物を密のグループに分類し、分類した密のグループの特徴量Gw1−Gw7、Gs1を算出する。
そして、機械生成制御部205は、図10Aに示すように、決定木分類器の分岐条件の基準特徴量Gw1−Gw7、Gs1に従って、異物の密のグループ又は疎のグループを、目的属性の発生原因に分類し、分類した分類結果を、教師データである異物に割り付けられた発生原因と比較して、分類結果の発生原因が割付後の発生原因と一致するか否かを判定する。全ての異物について一致又は不一致の判定結果を算出し、密のグループの異物に対して、算出した一致の判定結果の割合を示す正解率を算出する。
機械生成制御部205は、基準特徴量Gw1−Gw7、Gs1の分岐条件と、分岐条件の数とを変更し、変更後の正解率を算出し、分岐条件とその数の変更と正解率の算出とを繰り返して、正解率が最も高くなる基準特徴量Gw1−Gw7、Gs1の分岐条件(a、b、c)と、分岐条件の深さ(3つ)とを探し出す。これにより、熟練作業者の知識を反映させた決定木分類器を作り出すことが可能となる。
尚、上述では、推定機械として決定木を採用したが、推定機械に特に限定することは無い。推定機械が、例えば、機械学習による論理を基本とした機械の場合は、例えば、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)、ニューラルネット等の機械(アルゴリズム)が挙げられる。これら機械を組み合わせたアルゴリズムでも構わない。又、推定機械は、論理的に密のグループの特徴量から異物発生原因を推定する機械であれば、機械学習による論理を基本としなくても構わない。
さて、機械生成制御部205が生成を完了すると、生成により作り出された決定木分類器は、新たに取得された新規製品時系列データに適用することで、新規製品時系列データの異物の発生原因を推定することが出来る。
例えば、新たに取得された新規製品時系列データが端末装置11に入力されると、端末装置11の推定制御部206は、新規製品時系列データを新規異物発生判定データにし、閾時間tと閾個数nとに基づいて、新規異物発生判定データから、密のグループに分類し、分類された密のグループの特徴量と推定機械とに基づいて、密のグループに対応する高頻度発生原因を推定する(図2:S106)。
ここで、推定制御部206の推定方法に特に限定は無い。先ず、推定制御部206は、新規製品時系列データから、異物発生時間間隔TCを算出し、異物発生時間間隔TCを関連付けた新規異物発生判定データを生成する。次に、推定制御部206は、上述で決定された閾時間tと閾個数nとを使って、生成した新規異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分類し、分類された密のグループの特徴量を算出する。
ここで、閾時間tと閾個数nとは、新規製品時系列データが、決定木分類器に用いた製品時系列データと同じ生産ライン(生産プロセス)であれば、密のグループを高頻度発生原因に対応させた際の閾時間tと閾個数nとをそのまま用いても良いし、生産ラインの外部環境が変更した場合は、変更後の製品時系列データを用いて、再度、閾時間tと閾個数nとを決定しなおしても良い。
そして、推定制御部206は、特徴量を算出した密のグループを、決定木分類器の分岐条件に従って分類し、分類後の密のグループに対して、分類結果となる目的属性の発生原因を当てはめることで、異物の密のグループの発生原因を推定する。推定制御部206は、推定した発生原因を、密のグループの異物毎に表示部で表示することで、生産ラインSの作業者や管理者に異物の発生原因を知らせる。
ここで、着目すべき点は、発生原因の推定において、新規製品時系列データの異物を含む撮影画像を画像処理する必要が無く、異物発生時間間隔TCを用いた異物発生判定データだけで済む点である。本発明では、異物発生判定データの異物を密のグループに分類し、且つ、密のグループの発生原因を推定機械によって推定する。推定機械は、密のグループの特徴量と密のグループの高頻度発生原因とを関連付けており、既に熟練作業者の知識(異物を含む撮影画像への発生原因の割付)が反映されていることから、本発明では、熟練作業者の知識(暗黙知)を活かして、異物発生の時系列を示す製品時系列データだけで、異物の発生原因を精度高く推定することが可能となるのである。特に、推定制御部206では、異物の撮影画像を一切使用しないため、異物の撮影画像を分析して異物の発生原因を推定する従来技術と比較して、構成としてシンプルで、且つ、汎用性を有し、様々な異物発生原因に利用することが出来る。
尚、本発明の実施形態では、射出成形により製造されるキャップの異物の発生原因の推定に適用したが、これに限らず、熟練作業者が異物の発生原因を目視で判断するあらゆる製品の異物の発生原因の推定に有効である。
又、本発明の実施形態では、決定木分類器の分岐条件に利用する特徴量は、例えば、異物数Gw1、時間間隔の平均時間Gw2、平均時間Gw2の標準偏差Gw3等を採用したが、これらは、生産ラインSの製品Pの製造方法や製品Pの種類、異物の発生原因の種類に応じて適宜定義される。
又、本発明の実施形態では、製品時系列データに基づいて、推定機械を構成し、その後の新規製品時系列データに推定機械を活用して、異物を密のグループに分類し、分類後の異物に高頻度発生原因を推定するよう構成しているが、推定機械や閾時間や閾個数は、製品時系列データの量や時間に応じて、適宜設計し直すよう構成しても良い。生産ラインの製品時系列データは、外部環境により随時変動するため、その変動に推定機械や閾時間や閾個数を調整することで、異物の発生原因を精度高く推定することが可能となる。
又、本発明の実施形態では、異物発生原因推定システム1が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、当該装置が各部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
以下、実施例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
歯磨きチューブ用Sキャップの2017年2月1日から2017年4月30日の生産ログデータ(生産数:5954166個、異物数:11014個、不良率:0.185%)を製品時系列データとして使用して、上述した本発明の構成(取得制御部201、割付制御部202、データ生成制御部203、対応制御部204、機械生成制御部205)に従って、閾個数nと閾時間tと決定木分類器の分岐条件と分岐条件の数とを決定した。
S102において、信頼できる熟練作業者に依頼して、熟練依頼者が、良品の検査時刻と、不良品の撮影画像と検査時刻とを確認し、製品時系列データの異物に、高頻度発生原因、又は、他の原因の低頻度発生原因を割り付けさせて、MCLを生成した。MCLは、クレンジングによりMCLPに修正した。
S103において、製品時系列データから異物発生判定データを生成し、S104において、閾時間tと閾個数nとを決定することで、異物の密のグループと、他のグループの疎のグループとに分類したACL(n、t)を生成した。ACL(n、t)は、MCLPを用いてACLP(n、t)に修正した。
ここで、閾時間tと閾個数nとを調整して、密のグループを高頻度発生原因に対応させた。具体的には、密のグループの異物は高頻度発生原因に一致し、疎のグループの異物は低頻度発生原因に一致すると想定し、密のグループの異物が低頻度発生原因に対応する場合又は疎のグループの異物が高頻度発生原因に対応する場合の一致率が最も高い閾時間tと閾個数nとを決定した。一致率が最も高い閾時間tは8であり、閾個数nは9であった。そして、その一致率は91.7%であった。
ここで、ACLP(9、8)の密のグループの特徴量を用いて、決定木分類器に異物発生判定データを学習させて、決定木分類器の分岐条件を検証した。つまり、この段階では、閾時間tと閾個数nとを用いることで、密のグループと疎のグループに正確に分類出来ているか否かを、決定木分類器を用いて検証した。尚、ACLP(9、8)により分類された密のグループに属する異物の数が2個以下の場合は、異物の数が2個の密のグループの特徴量を計算することが出来ないので、異物の数が2個以下の密のグループは除外した。
決定木分類器の学習アルゴリズムにCARTを採用し、異物発生判定データを決定木分類器に学習させ、分岐条件として密のグループの特徴量と分岐条件の特定数とを決定した。そして、その結果を用いて、異物発生判定データを5分割して、5分割交差検証法を実施したところ、図10Bに示すように、葉ノードの数が3の時、正解率が99.0%と最大値になることが分かった。その時に得られた決定木分類器は、第一の分岐条件と第二の分岐条件とで構成された木構造であった。
第一の分岐条件では、グループ内の異物発生時間間隔TCの平均時間Gw2の標準偏差Gw3が9.15に決定された。これにより、先ず、異物発生判定データの異物を、疎のグループ又は他のグループに精度高く分離することが出来た。
次に、第二の分岐条件では、グループ内の異物数Gw1が8.5に決定された。これにより、先ほど分離された他のグループを、密のグループ又は疎のグループに精度高く分離することが出来た。
その結果、閾時間tと閾個数nとを用いることで、異物発生判定データの異物を、密のグループと疎のグループに正確に分類することが出来ることが分かった。又、異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループに分離するためには、特徴量の標準偏差Gw3の大小と、特徴量の異物数Gw1の大小とが重要であることが分かった。つまり、標準偏差Gw3が小さく、異物数Gw1が大きい場合の異物は、密のグループに分類され、標準偏差Gw3が大きく、異物数Gw1が小さい場合の異物は、疎のグループに分類されることが分かった。又、決定木分類器の正解率は100%に近いことから、異物発生判定データの異物を密のグループ又は疎のグループのいずれかのグループに精度高く分類することが出来る十分な能力があることが分かった。
次に、S105において、推定機械として、決定木分類器を生成して、分類された密のグループを、当該密のグループに属する第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までのいずれかに推定出来るかどうかを検証した。
ここで、疎のグループの異物の発生原因は、時間とともにその原因が解消される第ゼロの発生原因C0であるため、対策は不要であるが、一方、密のグループの異物の発生原因は、少なくとも第一の発生原因C1から第三の発生原因C3まで存在し、それぞれの発生原因によってその対策が異なる。従って、密のグループの異物の発生原因が、第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までのいずれかの特定の発生原因であることを推定することは極めて重要である。
そこで、推定機械として、決定木分類器を採用し、閾個数nと閾時間tと決定木分類器の分岐条件と分岐条件の数とを決定した。
先ほどのACLP(9、8)では、82個の密のグループが得られた。ここで、82個の密のグループのうち、明らかに誤りと思われる第ゼロの発生原因が割り付けられた異物が6個存在したため、その6個の異物を除外し、76個の密のグループの異物に割り付けられた第一の発生原因C1から第三の発生原因C3までの発生原因と、密のグループの特徴量を用いて、決定木分類器に、76個の密のグループの異物のデータを学習させて、決定木分類器の分岐条件とその数とを決定した。そして、データを5分割して、5分割交差検証法を実施したところ、図11Aに示すように、正解率が最も高くなるノードの数は5となり、その時の正解率は85.5%であった。従って、高い分離性能を確認することが出来た。
ここで、葉ノードを5にして作成した決定木分類器では、第一の分岐条件は、1回、16回又は32回のいずれかの異物の間隔毎に発生した異物数と発生した全ての異物数の比Gw7に関係し、同一の金型キャビティ番号からの異物発生率が32%を超えると、異物の発生原因は、第二の発生原因C2となり、異物発生率が32%以下になると、異物の発生原因は、第一の発生原因C1か第三の発生原因C3のいずれかとなった。つまり、第二の発生原因C2と、第一の発生原因C1及び第三の発生原因C3とを完全に分離することが出来ることが分かった。これは、驚くべきことに、第二の発生原因C2が金型起因の異物によるという原因と一致する分離基準を導き出している。
次に、第二の分岐条件は、生産再開後から異物が発生するまでの時間Gs1に関係し、この時間Gs1が555分を境界にして、第一の発生原因C1と第三の発生原因C3とが分離されることが分かった。これも、驚くべきことに、第一の発生原因C1が、成形機シリンダー起因による樹脂焼け異物であるという原因と一致する分離基準を導き出している。
尚、5分割交差検証法による正解率は、ノード数を3以上にしても、わずかしか上昇せず、ノード数が7以上になると、低下していた。つまり、決定木分類器において生じる第四のノードから第六のノードまでは過学習の可能性がある。
このように、密のグループの特徴量から、密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成することは可能であることが分かった。
次に、S106において、同一の生産ラインから新規に得られた他の製品時系列データを用いて、異物の発生原因を推定出来るかを検証した。他の製品時系列データは、上述で用いた製品時系列データと同じ生産ラインで、生産時期が異なる2018年8月24日から2018年10月5の生産ログデータ(生産数:3065790個、異物数:4846個、不良率:0.159%)を用いた。
そして、上述と同様に、本発明の構成(取得制御部201、割付制御部202、データ生成制御部203、対応制御部204、機械生成制御部205、推定制御部206)に従って、同一の閾個数nと閾時間tを用いて、決定木分類器の分岐条件と分岐条件の数とを決定した。
ここで、決定木分類器の分岐条件の数は5に設定され、決定木分類器で分類した24個の密のグループの異物の発生原因を推定したところ、正解率は75.0%であり、十分に原因推定能力があることが分かった。
今回の発生原因推定の結果について、混合行列{Raschka S.and Mirjalili V., Python machine learning(2017),pp.319−324,Packt publishing}を算出した。混同行列とは、機械学習の分類器やモデルの性能を評価する際に用いられる行列のことである。今回は、予測された3種類の発生原因を行とし、実際の3種類の発生原因を列として推定結果から混合行列を求めた。混合行列の第二の発生原因C2と第三の発生原因C3では、図11Bに示すように、高い正解率を示していたが、第一の発生原因C1では、第三の発生原因C3と適切に分離されずに、その正解率が45%と低い値になった。これは、発生原因を割り付けた熟練作業者が生産の一時停止時間に対して、明確な時間基準を設けずに曖昧な判断を行っていることが原因と考えられる。これは、機械学習された決定木分類器の結果が、熟練作業者が行った判断の曖昧さを修正することが出来ることを示唆している。いずれにしても、本発明の構成によって、製品時系列データから、熟練作業者の知識を用いて異物の発生原因を精度高く推定することが可能となることが分かった。
以上のように、本発明に係る異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法は、異物が発生するキャップをインラインカメラで検査する生産ラインに限らず、異物が発生するあらゆる製品をカメラで検査する生産ラインに有用であり、熟練作業者の知識を活用することで、製品の異物の発生原因を精度高く推定することが可能な異物発生原因推定システム及び異物発生原因推定方法として有効である。
1 異物発生原因推定システム
10 カメラ
11 端末装置
201 取得制御部
202 割付制御部
203 データ生成制御部
204 対応制御部
205 機械生成制御部
206 推定制御部

Claims (5)

  1. 生産ラインから順次製造される製品をカメラで撮影して検査し、異物が存在しない良品の検査時刻と、異物が存在する不良品の撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを取得する取得制御部と、
    前記製品時系列データの良品の検査時刻と、不良品の撮影画像と検査時刻とを熟練作業者に確認させて、前記不良品の撮影画像の異物に、異物の発生頻度が高い高頻度発生原因又は異物の発生頻度が低い低頻度発生原因を前記熟練作業者に割り付けさせる割付制御部と、
    前記製品時系列データから、二つの異物間の検査時刻の時間間隔を示す異物発生時間間隔を関連付けた異物発生判定データを生成するデータ生成制御部と、
    前記異物発生判定データの異物発生時間間隔に対して閾時間と、当該閾時間以下で連続して発生した異物の個数を示す閾個数とを決定することで、前記異物発生判定データの異物を、異物の発生頻度が高い密のグループ、又は、当該密のグループ以外の疎のグループに分類し、前記密のグループを、前記高頻度発生原因に対応させる対応制御部と、
    前記密のグループの特徴量から、前記密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成する機械生成制御部と、
    新たに取得された新規製品時系列データを新規異物発生判定データにし、前記閾時間と前記閾個数とに基づいて、前記新規異物発生判定データの異物を、密のグループ、又は、疎のグループに分類し、分類された密のグループの特徴量と前記推定機械とに基づいて、前記密のグループに対応する高頻度発生原因を推定する推定制御部と、
    を備える異物発生原因推定システム。
  2. 前記機械生成制御部は、前記密のグループの特徴量を分岐条件とし、前記密のグループに対応する高頻度発生原因を分類結果とする決定木分類器に、前記異物発生判定データを学習させることで、当該決定木分類器を前記推定機械として生成する、
    請求項1に記載の異物発生原因推定システム。
  3. 前記対応制御部は、前記閾時間と、前記閾個数とを決定することで、前記異物発生判定データの異物を前記密のグループ又は前記疎のグループに分類し、前記分類された密のグループを、前記異物毎に割り付けた高頻度発生原因に対応させ、前記分類された疎のグループを、前記異物毎に割り付けた低頻度発生原因に対応させるように、前記閾時間と前記閾個数とを調整する、
    請求項1又は2に記載の異物発生原因推定システム。
  4. 前記対応制御部は、前記高頻度発生原因が割り付けられた異物が、前記密のグループに分類されていない場合、当該異物に割り付けられた高頻度発生原因を前記低頻度発生原因に付け替え、前記低頻度発生原因が割り付けられた異物が前記密のグループに分類されている場合、当該異物に割り付けられた低頻度発生原因を、当該低頻度発生原因の直前の発生原因であって、前記密のグループに関係する高頻度発生原因に付け替える、
    請求項1−3のいずれか一項に記載の異物発生原因推定システム。
  5. 生産ラインから順次製造される製品をカメラで撮影して検査し、異物が存在しない良品の検査時刻と、異物が存在する不良品の撮影画像と検査時刻とを関連付けた製品時系列データを取得する取得制御ステップと、
    前記製品時系列データの良品の検査時刻と、不良品の撮影画像と検査時刻とを熟練作業者に確認させて、前記不良品の撮影画像の異物に、異物の発生頻度が高い高頻度発生原因又は異物の発生頻度が低い低頻度発生原因を前記熟練作業者に割り付けさせる割付制御ステップと、
    前記製品時系列データから、二つの異物間の検査時刻の時間間隔を示す異物発生時間間隔を関連付けた異物発生判定データを生成する生成制御ステップと、
    前記異物発生判定データの異物発生時間間隔に対して閾時間と、当該閾時間以下で連続して発生した異物の個数を示す閾個数とを決定することで、前記異物発生判定データの異物を、異物の発生頻度が高い密のグループ、又は、当該密のグループ以外の疎のグループに分類し、前記密のグループを、前記高頻度発生原因に対応させる対応制御ステップと、
    前記密のグループの特徴量から、前記密のグループの高頻度発生原因を推定する推定機械を生成する機械生成制御部と、
    新たに取得された新規製品時系列データを新規異物発生判定データにし、前記閾時間と前記閾個数とに基づいて、前記新規異物発生判定データの異物を、密のグループ、又は、疎のグループに分類し、分類された密のグループの特徴量と前記推定機械とに基づいて、前記密のグループに対応する高頻度発生原因を推定する推定制御ステップと、
    を備える異物発生原因推定方法。
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