JP6867949B2 - 肝細胞癌を治療する為のgaba類似体を用いたオルニチンアミノ基転移酵素の阻害方法 - Google Patents

肝細胞癌を治療する為のgaba類似体を用いたオルニチンアミノ基転移酵素の阻害方法 Download PDF

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Description

本出願は、2014年11月7日に出願された米国特許出願第62/076,980号の優先権および恩典を主張し、その全てが参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)より授与されたR01 DA030604の下で政府支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
肝細胞癌(HCC)は世界的に最も一般的な固形腫瘍であり、世界では癌関連死の主な原因の第3位であり、米国では癌による死亡の主な原因の第9位である。さらに、B型およびC型肝炎ウイルス感染の拡大により、米国でのHCCの発生率は上昇している。米国における約90%の原発性肝癌はHCCである。肥満者や糖尿病患者も、HCCならびに様々な他の癌のリスクを有する。HCCが原因である又は関与していると推定される死亡者数は、年間約1,250,000人に達し、従って、数的にもHCCは世界の主要な悪性疾患の一つである。
HCCの予後は不良であり、その世界的頻度は死亡率とほぼ同じである。診断後の生存期間中央値は、4か月未満である。診断後の生存が一年よりも長いと定義されている長期生存は稀にしか見られない。多くのHCC患者は、大量出血を伴う又は伴わない肝不全の合併症、または悪液質、栄養障害、感染症、ならびに敗血症を伴う大型腫瘍の負荷による全身的効果に屈する。遠隔転移は起こるものの(最大90%の患者は死亡時に転移性腫瘍を有する)、ほとんどの場合、生存は肝臓疾患により制限される。
臨床医が利用できる現行の治療法は、この疾患の治療としては概して無効である。外科的切除の候補者とならない進行したHCCを有する患者にとっては、肝臓移植、局所的な腫瘍焼灼法、または全身化学療法が今もまだ治療の中心となっている。残念なことに、HCCは相対的に化学療法抵抗性の増殖性疾患であり、従ってこの様な治療方法を用いた場合の結果は不満足なものである。化学療法に対する抵抗性は、悪性細胞の表面に普遍的に発現される多剤耐性遺伝子のタンパク質によるものであり得、それにより化学療法剤が積極的に排出される。化学療法は、一般的に良好な耐容性を示さず、肝機能障害を基礎疾患として有するHCC患者においては更に有効性が低いと見られる。B型またはC型慢性肝炎感染症による代償良好性肝硬変を有する若年患者は、アルコール性肝硬変およびその他の並存性の疾患を有する高齢患者よりも化学療法で良好な結果が得られている。
試験された単剤薬の中で最も活性を有するものは、ドキソルビシン、シスプラチン、およびフルオロウラシルである。応答率は約10%であり、治療は全生存への明らかな影響を示さなかった。より最近、ゲムシタビンおよびカペシタビンが臨床試験により評価されたが、応答率は低く、その期間も短かった。
オルニチンアミノ基転移酵素(OAT)は、オルニチンおよびαケトグルタル酸ならびにδ-1-ピロリン-5-カルボン酸塩およびグルタメートの間の相互変換が起こる可逆反応を触媒するミトコンドリア基質酵素である。この酵素は、肝臓、腎臓、小腸、脳、眼を含む多くの組織において発現されている。肝臓および腎臓由来の酵素はその制御が著しく異なり、二種の異なる酵素であると考えられてきた。しかしながら、DNA配列決定の結果、この二つの酵素は単一の遺伝子によりコードされていることが証明された。
上記のとおり、グルタメートは、OATに触媒された反応の産物である。この産物は、グルタミンを合成するためのグルタミン合成酵素により基質として用いられ得、グルタミンは増殖性細胞の成長、タンパク質およびヌクレオチド合成の支持、ならびに主要なエネルギー源の供給において重大な意味を持つ。従って、OAT活性の増加は、いかなるグルタミン源からも腫瘍細胞が独立することを可能にし、細胞に増殖優位性を与えることができる。従って、いかなる理論にも縛られること無く、OATの不活性化により組織グルタミン濃度のレベルを低下させることで、細胞増殖および腫瘍成長が阻害され得ると仮定し得る。
上記に鑑みて、本発明は、オルニチンアミノ基転移酵素の選択的阻害において用いられる化合物、組成物、および関連する方法を提供することで、上に概要を述べたものを含む先行技術の様々な欠点や短所を克服することを目的とする。本発明の一つまたはそれ以上の局面が特定の目的を果たすことができ、その一方で、一つまたはそれ以上の他の局面が特定の他の目的を果たすことができることが、当業者には理解される。各目的は、本発明の全ての局面に対して、あらゆる点で、同等に適用されないと考えられる。従って、下記の目的は、本発明の任意の一局面に対して別の視点から見ることができる。
本発明は、アミノ基転移酵素阻害を見せる一つまたはそれ以上の低分子非ペプチド化合物を提供することを目的とする。
本発明は、一つまたはそれ以上の哺乳類病態を示す条件下でのインビトロの使用および試験のための一つまたはそれ以上のそのような化合物を提供することを別の目的としうる。
また、本発明は、そのような病態のインビボ治療を可能にする一つまたはそれ以上のそのような化合物を提供することを目的としうる。
本発明は、単独で、または一つもしくはそれ以上の前記目的と共に、OATの阻害もしくは不活性化、細胞増殖の抑制もしくは調節、ならびに/または肝細胞癌、てんかん、および様々なその他の兆候の治療のための化合物または組成物を提供することを目的としうる。
本発明の他の目的、特徴、利益、および利点は、本概要、および、そのような化合物、組成物、および/または方法の特定の態様の下記の説明から明白となり、本明細書に記載の合成技術の知識を持つ当業者には容易に解るであろう。このような目的、特徴、利益、および利点は、付随の実施例、データ、図面および本明細書に組み込まれた参考、ならびにそれらから導かれる全ての適切な推測と併せることにより上記から明らかとなる。
一部において、本発明は、治療を必要とする対象における悪性病的増殖性疾患を治療する方法に向けることができる。そのような方法は、式
Figure 0006867949
(式中、R1およびR2はHおよびFより選択され;R1およびR2の少なくとも一つがFであり得る)の化合物またはその塩を、そのような対象に投与する工程を含み得る。特定の態様において、R1およびR2はFであり得る。限定するわけではないが、特定のそのような態様において、アミノおよびカルボキシ置換基はシス立体化学的関係を有していてもよい。
一部において、本発明は、治療を必要とする対象における悪性病的増殖性疾患を治療する方法に向けることができる。そのような方法は、式
Figure 0006867949
(式中、R1およびR2は独立してH、F、Cl、Br、および(CH2)nCF3より選択され;nは0〜2より選択される整数であり得;R1およびR2の少なくとも一つはHでない)の化合物またはその塩を、そのような対象に投与する工程を含み得る。これに限定されること無く、特定のそのような態様において、アミノおよびカルボキシ置換基はシス立体化学的関係を有していてもよい。
一部において、本発明は、治療を必要とする対象における悪性病的増殖性疾患を治療する方法にも向けることができる。そのような方法は、式
Figure 0006867949
(式中、RはCF3および[C(H)2-n(F)n]mCF3より選択することができ;nは0〜2より選択される整数であり得;mは1〜2より選択される整数であり得る)の化合物またはその塩を、そのような対象に投与する工程を含み得る。これに限定されること無く、特定のそのような態様において、アミノおよびカルボキシ置換基はシス立体化学的関係を有していてもよい。
一部において、本発明は、治療を必要とする対象における悪性病的増殖性疾患を治療する方法に向けることができる。そのような方法は、式
Figure 0006867949
(式中、R1およびR2は独立してH、F、Cl、およびBrより選択されてもよく、但しR1およびR2の少なくとも一つはHではなく;R3はH、F、Cl、およびBrより選択され得る)の化合物またはその塩を、そのような対象に投与する工程を含み得る。特定の非限定の態様において、R2およびR3はシス立体化学的関係を有していてもよい。にもかかわらず、これに限定されること無く、特定のそのような態様においてアミノおよびカルボキシ置換基はシス立体化学的関係を有していてもよい。
上記に関係なく、本発明に関連する有用な化合物は、立体化学的または立体配置的な制限を受けない。以下に説明し論ずるように、このような化合物および/またはその中間体は、単一エナンチオマー、異性体の分離がそこから可能なラセミ混合物、そこから対応するエナンチオマーを分離可能なジアステレオマーである。従って、任意の立体中心は任意の他の一つまたは複数の立体中心に対して(S)または(R)であってよい。別の考察として、他の置換に関わらず、例えばモノフルオロ置換またはジフルオロ置換であっても、上記アミノおよびカルボキシ置換基はシスまたはトランス間立体化学的関係を有していてもよい。また、モノフルオロメチルエニル態様に関して、これらの化合物は、立体配置がZまたはEであり得る。更に別の考察として、様々な化合物は、部分的または完全にプロトン化された酸性塩として存在し得る。特定のそのような態様において、アンモニオ置換基に対する対イオンは、プロトン酸の共役塩基であり得る。特定のそのようなまたは他の態様において、カルボン酸置換基に対する対イオンは、アルカリ、アルカリ土類、またはアンモニウムカチオンであり得る。更に、本発明の任意の一つまたはそれ以上の化合物は、治療法または薬品と組み合わせて使用するための薬学的に許容される担体成分を含む薬学的組成物の一部として提供され得ることが当業者には理解されるであろう。
一部において、本発明は、そのような治療を必要とするヒト対象における肝細胞癌を治療する方法にも向けられ得る。そのような方法は、上述または本明細書の別の場所に記載されたような化合物を治療効果のある量でそのような対象に投与(例えば、これに限定されないが、経口投与)する工程を含み得る。これに限定されること無く、そのような化合物の用量は、約0.001mg/対象60kg/日から約10,000mg/対象60kg/日であってよい。特定の態様において、そのような化合物は薬学的組成物の一部として提供され得る。
一部において、本発明は、ヒト肝細胞癌により発現されるオルニチンアミノ基転移酵素の活性を調節または低下させる方法にも向けられ得る。そのような方法は、上述または本明細書の別の場所に記載された様な化合物を提供する工程;および、そのような化合物をオルニチンアミノ基転移酵素を発現する肝細胞癌を含む細胞培地と接触させる工程であって、オルニチンアミノ基転移酵素活性を低下させるのに有効な量のそのような化合物を用いる工程を含み得る。そのような方法は、それによって上記細胞培地中のグルタメートの産生を低下または調節できる。これに限定されること無く、そのような化合物の用量は、約0.001mg/対象60kg/日〜約10,000mg/対象60kg/日であり得る。特定の態様において、同様の化合物は薬学的組成物の一部として提供され得る。これに関わらず、このような接触はインビトロまたはインビボであり得る。
更に一般的に本発明は、癌性腫瘍により発現されるオルニチンアミノ基転移酵素の活性を調節または低下させる方法にも向けられ得る。そのような方法は、上述または本明細書の別の場所に記載された様な化合物を提供する工程;および、そのような化合物を、オルニチンアミノ基転移酵素活性を低下させるのに有効な量で、癌細胞を含む細胞培地と接触させる工程を含み得る。そのような方法によって、上記細胞培地中のグルタメートの産生を低下または調節できる。特定の態様において、そのような化合物は薬学的組成物の一部として提供され得る。これに関わらず、上記接触はインビトロまたはインビボであり得る。
更に一般的に本発明は、オルニチンアミノ基転移酵素を阻害または不活性化する方法にも向けられ得る。そのような方法は、薬学的組成物の一部であっても一部でなくても、上述または下記の様な化合物を提供する工程;および、オルニチンアミノ基転移酵素との接触のために、そのような化合物を有効量で投与する工程を含み得る。そのような接触は、当技術分野において理解されるように、実験および/もしくは研究の為であり得、または一つもしくはそれ以上のインビボもしくは生理的条件を真似るように設計されていてもよい。このような化合物は、下記の実施例、参照図、組み込まれた参照、および/または付随する合成スキームにより説明される化合物を含み得るが、これらに限定されない。特定のそのような態様において、そのような化合物および/またはその組み合わせは、OAT、細胞増殖、および/または腫瘍増殖の阻害に少なくとも部分的に十分な量で存在し得る。
更に、別の先行技術からの離脱において、本発明は、電子欠損型環外メチレン部分を用いることでオルニチンアミノ基転移酵素活性を阻害する方法にも向けられ得る。そのような方法は、式
Figure 0006867949
(式中、R1およびR2はH、F、およびCF3より選択され、R1およびR2の少なくとも一つがFまたはCF3である)の化合物、その塩を含む同様の化合物を提供する工程;およびそのような化合物をオルニチンアミノ基転移酵素と接触させる工程を含み得る。そのような化合物の環外メチレン部分は、結合することが可能であり、従って酵素の活性サイト残基に結合され得る。これらに制限されないが、このような化合物はモノフルオロまたはジフルオロ、トリフルオロメチルまたはビス(トリフルオロメチル)のいずれかで置換され、上述のあらゆる種類の構造的、イオン性、立体化学的、および/または立体配置的な考慮の範囲内で異なっていてもよい。上記にかかわらず、以下の考察および下記の実施例中に提供されているように、本発明の有用性に関する一つまたはそれ以上の局面を示すために、特定のシスおよびトランス異性体を使用しうる。
[本発明1001]
下記式:
Figure 0006867949
の化合物であって、式中、R 1 およびR 2 がHおよびFより選択され、R 1 およびR 2 の少なくとも一つがFである、化合物;またはその塩
を対象に投与する工程を含む、治療を必要とする対象における悪性病的増殖性疾患を治療する方法。
[本発明1002]
R 1 およびR 2 がFである、本発明1001の方法。
[本発明1003]
NH 2 およびCOOH置換基がシス立体化学的関係を有する、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記化合物が、アンモニオ部分、カルボン酸部分、またはその組み合わせを含む塩である、本発明1002の方法。
[本発明1005]
前記化合物がアンモニウム塩であり、対イオンがプロトン酸の共役塩基である、本発明1004の方法。
[本発明1006]
前記化合物がカルボン酸塩であり、対イオンがアミン、アルカリおよびアルカリ土類塩基の共役酸より選択される、本発明1005の方法。
[本発明1007]
R 1 およびR 2 がFである、本発明1006の方法。
[本発明1008]
下記式:
Figure 0006867949
の化合物であって、式中、R 1 およびR 2 がHおよびFより選択され、R 1 およびR 2 の少なくとも一つがFである、化合物;またはその塩
の治療的有効量を対象に投与する工程を含む、治療を必要とするヒト対象における肝細胞癌を治療する方法。
[本発明1009]
R 1 およびR 2 がFである、本発明1008の方法。
[本発明1010]
前記投与が経口投与である、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記化合物の前記量が約0.001mg/対象60kg/日〜約10,000mg/対象60kg/日である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記化合物の前記量が約32mg/対象60kg/日〜約200mg/対象60kg/日である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記量が約80mg/対象60kg/日である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記化合物が薬学的組成物中で提供される、本発明1009の方法。
[本発明1015]
下記式:
Figure 0006867949
の化合物であって、式中、R 1 およびR 2 がHおよびFより選択され、R 1 およびR 2 の少なくとも一つがFである、化合物;またはその塩
を提供する工程;ならびに
オルニチンアミノ基転移酵素を発現する肝細胞癌を含む細胞培地を、オルニチンアミノ基転移酵素活性を低下させるのに有効な量の該化合物と接触させることで、該細胞培地におけるグルタメートの産生を減少させる工程
を含む、ヒト肝細胞癌により発現されるオルニチンアミノ基転移酵素の活性を低下させる方法。
[本発明1016]
R 1 およびR 2 がFである、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記化合物が薬学的組成物中で提供される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記接触がインビボでの接触である、本発明1016の方法。
[本発明1019]
前記接触が、それを必要とするヒト対象との接触である、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記接触が経口投与を含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記化合物の前記量が約0.001mg/対象60kg/日〜約10,000mg/対象60kg/日である、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記化合物の前記量が約32mg/対象60kg/日〜約200mg/対象60kg/日である、本発明1021の方法。
[本発明1023]
前記量が約80mg/対象60kg/日である、本発明1022の方法。
[本発明1024]
前記化合物が薬学的組成物中で提供される、本発明1019の方法。
(a)OATおよびGABA-ATの両方、(b)GABA-ATのみ、および(c)OATのみに対する既知の不活性化剤(先行技術)。 特定の非限定的な本発明の態様に従った、様々な環状アミノ酸によるOATの阻害を示す(例えば、化合物10〜12)。 様々な他の環状アミノ酸による不活性化と比較した場合の化合物10による時間依存的なOATの不活性化を示す。
特定の態様の詳細な説明
本発明の様々な非限定的な態様は、HCCの発生および肝臓におけるWnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化との相関関係の理解と共に考慮され得る。Wnt/βカテニン経路は、進化的に保存された経路であり、成長、発達、生存、および再生などの正常な細胞プロセスにおいて必須である。Wntシグナル伝達の重要なメディエーターであるβカテニンは、幾つかの一般的な細胞機能を果たす:活動的なモードでβカテニンは複数の細胞部位において機能し、例えば、細胞膜においてβカテニンは細胞間接着複合体の安定化に重要であり;細胞質内では、そのレベルが制御され;核内では、βカテニンは転写制御およびクロマチン相互作用に関与することが含まれる。βカテニンは肝臓生理学において三つの主要な役割を果たす。Wnt存在下、βカテニンは核へ移行し、そこで肝臓の増殖、成長、および再生に必須な遺伝子を活性化するために機能する。βカテニンは肝細胞膜上のEカドヘリンと相互作用することで細胞間接着を媒介する。肝細胞増殖因子((HGF)の存在下、βカテニンは肝細胞表面に位置するMet(MetはHGFの受容体)と相互作用し、そこでリン酸化され核へ移行することにより、増殖および形態形成の為に遺伝子を上方制御する。しかしながら、肝臓における多様で重要な生理的機能に加えて、βカテニンは、一般的にWnt/βカテニン経路の構成員における変異の結果として、癌の発生および進行にも関連している。例えば、Metおよび変異を持つ活性型βカテニン間の相互作用は、HCCを促進することが明らかにされている。
Wnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化、および肝臓内で同時に起きるHCCの発生は、その経路のタンパク質であるOAT、グルタミン酸トランスポーターGLT-1、およびグルタミン合成酵素の上方制御と相関する。βカテニン活性の喪失は、それら三種のタンパク質の誘導を欠乏させるため、グルタミン合成をブロックする。肝臓、腎臓、小腸、脳、および眼を含む多くの組織において発現されているOATは、ピリドキサール5'-リン酸(PLP)-依存性ミトコンドリアマトリックス酵素であり、この酵素はオルニチン(1)およびαケトグルタル酸(2)、ならびにL-グルタミン酸セミアルデヒド(これはΔ1-ピロリン-5-カルボン酸(3)に環化する)およびL-グルタメート(4)の間の可逆性変換を触媒する(スキーム1を参照)。OATより形成されたL-グルタメートは、そこに蓄積することで細胞に対して毒性とならないように、GLT-1によってその場から別の場所へ輸送されて行く。その後、L-グルタメートは、グルタミン合成酵素によりL-グルタミンに変換される。
スキーム1 オルニチンアミノ基転移酵素に触媒されたオルニチン(1)からΔ1-ピロリン-5-カルボン酸塩(3)への変換
Figure 0006867949
グルタミンは、体内に最も多く存在する遊離アミノ酸であり、正常細胞および腫瘍性細胞両方の成長に必須である。しかしながら、腫瘍細胞は正常細胞よりも効率良くグルタミンを取り込むため、グルタミンにより腫瘍の成長は促進される。(例えば、Souba, W. W. Glutamine and cancer. Ann. Surgery 1993, 218, 715-728;Medina, M. A. Glutamine and cancer. J. Nutr. 2001, 131 (9 Suppl), 2539S-2542Sを参照。)グルタミンに関して、癌細胞はその増殖を刺激するタンパク同化作用を補助するグルタミンを多く必要とする点で、正常細胞と区別される。グルタミンは、トリカルボン酸(TCA)回路中間体の貯えを維持するための炭素源、ならびにヌクレオチド、非必須アミノ酸、およびヘキソサミン生合成(アミノ基転移反応の為)の窒素源、を提供する。グルタミンの異化反応は、主要な細胞内抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)の生合成につながり得るため、グルタミンも酸化ストレスの抑制において重要な役割を果たしている。
グルタミンは腫瘍の成長に必要なため、発癌遺伝子によるその促進された生合成を阻止することは、腫瘍細胞の成長を阻害する。Wnt/βカテニン活性化によるOAT活性(L-Glnに変換されるL-Gluを作る)の増加は、グルタミン供給に依存しない腫瘍細胞の成長を促進させ、腫瘍細胞に制御された増殖優位性を許す。従って、腫瘍成長を阻害することとなる、高くなったグルタミン濃度を、OATの阻害により低下させる方法が提案されている。(Amadasi A, Bertoldi M, Contestabile R, et al. Pyridoxal 5’-phosphate enzymes as targets for therapeutic agents. Curr Med Chem 2007, 14, 1291-324;およびDekaney CM, Wu G, Yin YL, et al. Regulation of ornithine aminotransferase gene expression and activity by all-transretinoic acid in Caco-2 intestinal epithelial cells. J Nutr Biochem 2008, 19, 674-681を参照。更に、本明細書においてそれぞれ参照により組み入れられる米国特許第8,211,865号および同第8,686,041号を参照。)
OATは、γアミノ酪酸アミノ基転移酵素(GABA-AT)と同じPLP依存性酵素の進化的サブグループに属し、グリア細胞およびシナプス前ニューロンの両方に見られるこの酵素は、抑制性神経伝達物質GABAおよびαケトグルタル酸のコハク酸セミアルデヒドおよびL-グルタミン酸への変換を触媒する。これら二つの酵素は高い構造的相同性を有し、全てのアミノ基転移酵素と同様に、よく似た触媒機構を持つ。OATおよびGABA-ATの全体配列同一性は17%のみであるが、これら二つの酵素の活性部位に存在する残基は、57%類似している。(Markova, M.; Peneff, C.; Hewlins, M.J.E.; Schirmer, T.; John, R.A., Determinants of Substrate Specificity in ω-Aminotransferases. J. Biol. Chem. 2005, 280 (43), 36409-36416)リガンドに結合したOATおよびGABA-ATの構造をそれらのリガンド未結合の構造と比較した結果、大規模な立体構造変化は見られなかった。OATにおいて、オルニチンのαカルボン酸を認識する部位はR180であり、これはR413がE235に結合するからである。これはE270がR445と相互作用して塩橋を形成するGABA-ATと類似しており、GABAのαカルボン酸がR192と相互作用することでγアミノ基はアミノ基転移の為に補助因子に向かって正しく配置される。
OATおよびGABA-ATの活性部位残基の違いから、これらの酵素の基質(阻害物質)選択制を決定することができる。大きな違いとしては、OATのTyr55およびTyr85がGABA-ATにおいてはPhe351およびIle72に置き換えられていることである。GABA-AT活性部位のPheおよびIle残基は、活性部位を狭くすることおよび疎水性を増加させることに貢献する。OATにおいてチロシン残基は、基質の2位に存在する荷電アミノ基を固定するポイントである。分子モデリング研究の助けにより、Tyr85がかなりの度合いで構造的柔軟性を有し、そのため、我々が調査したほかのアミノ基転移酵素には存在しない付属の結合ポケットを曝すことが明らかとなった。
OATおよびGABA-ATが構造的に類似しているため、一部のGABA-AT不活性化剤は、OATも不活性化させる。この知見と一致して、GABAはOATの競合的阻害剤である。ギャバクリンおよび4-アミノヘキシ-5-イン酸(図1)は、GABA-ATの不活性化剤であり、これらはインビトロおよびインビボの両方において同じ作用強度でOATも不活性化する。ビガバトリンは、4-アミノヘキシ-5-イン酸とは異なり、spエチニル基の代わりにsp2ビニル基を有し、OATを不活性化させない。いずれも基質オルニチンの類似体である5-フルオロメチルオルニチン(5FMOrn)およびL-カナリンはOATの可逆的な阻害物質であるが、GABA-ATに対してはそうではない。L-カナリンはPLP補助因子と安定なオキシムを形成することでOATを不活性化する。5FMOrnに不活性化されたOATの結晶構造に基づいて、5FMOrnおよびL-カナリンのOATに対する特異性は、それらのαアミノ基との相互作用が起きた結果生じている可能性が示唆された。5FMOrnに不活性化されたOATでは、5FMOrnのαアミノ基がTyr55と相互作用し、αカルボキシル基はArg180により安定化される。GABA-ATのこの位置ではTyr55がPhe321に置き換えられているため、αアミノ基との水素結合は起こらず、それが不活性化が起こらない理由と思われる。従って、下に論ずるように、この一残基の差はOAT選択的阻害物質を今後設計していく上で重要であり得る。
上記のとおり、Wnt/βカテニンシグナル伝達経路のがん遺伝子による活性化は、OATの活性化に対応し、それがグルタミン濃度の上昇につながり、それにより腫瘍の成長が促進されることがよく知られている。それにもかかわらず、先行技術は、HCCの治療においてWnt/βカテニン経路を標的としておらず、またOATの阻害をメカニズムとするHCC治療薬の設計を進めていなかった。肝臓癌に有効な治療は不足しており、治療薬への新たな道筋を特定するという重要な満たされていない要求が存在する。本発明により取られるアプローチは、OATの機序に基づく阻害物質の設計であり、不可逆な阻害を引き起こす。治療薬の候補として、機序に基づく酵素阻害物質は幾つかの特徴から他の化合物と区別される。先ず、それらは標的酵素の基質に構造的に似た非反応性化合物であり、それを活性化するには標的酵素の触媒活性を必要とする。そのため、(一旦、結合選択制が組み込まれると)標的酵素のみがこれら阻害物質に対してそれ自身の触媒メカニズムの引き金を引くこととなる確率が高く、それにより標的酵素を不活性化させることが可能な活性型に変換され、このプロセスは、機序に基づく阻害として知られる。阻害物質が阻害活性を示すには、認識と触媒活性化の両方を必要とする為、このプロセスにより他の阻害物質よりも高い特異性がこれらの不可逆的阻害物質に与えられる。次に、可逆性阻害物質と異なり、低下したグルタミン酸の産生を継続させるために定常状態レベルを維持する必要が無く、これは酵素の新規合成により駆動されている。例えば、ラット肝臓のOAT生合成の半減期は、約1日であり、ラット腎臓のOATの場合は約4日である。HCCにおいても同様であれば、少量の不活性化剤は低下するグルタメート(従ってグルタミン)濃度に持続する効果をもたらすことができる。腫瘍細胞に対抗するには、不可逆に阻害することが特に望ましい。これらの医薬は相対的に短い代謝半減期を持ち得るが、非常に長い結合半減期を有することで大変効果的な医薬となり得る。これにより、腫瘍成長に対して望まれている有害な効果を持つのに十分な期間、グルタメートの産生が停止される。
多様なGABA-AT阻害化合物および関連する組成物が米国特許第6,794,413号、および同第7,381,748号に記載されており、それぞれ、本明細書において参照により組み入れられる。このような化合物の一例としては、これに制限されることなく、(1S,3S)-3-アミノ-4-ジフルオロメチルエニル-1-シクロペンタン酸(10、CPP-115、図2)が挙げられる。この化合物は、たとえ6mMの濃度であってもアラニンアミノ基転移酵素、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、グルタミン酸脱炭酸酵素を阻害しないが、OATを阻害/不活性化する。また、Cerepパネルを構成する111個の薬理学的な標的において活性を示さず;3種のヒトGABAトランスポーター、またはGABAA、GABAB、もしくはGABAC、にも結合せず;hERGチャネルに結合せず;チトクロムP450を誘起または阻害せず;肝細胞に代謝されず;呼吸に悪影響を及ぼさず;突然変異や染色体異常を発生させない。
前段落に記載した組み入れられた特許において使用された参照番号を採用し、本方法に関連する有用な化合物は、スキーム2および3に示すように調製することができる。このような態様を説明すると、化合物15は、12より調製された(スキーム2)。化合物13は、ホーナー・ワズワース・エモンズ反応により調製された。(Piettre, S.R.; Cabanas, L. Reinvestigation of the Wadsworth-Emmons Reaction Involving Lithium Difluoromethylenephosphonate. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 5881-5884.)次に、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を用いてそれを脱保護し、得られた14を加水分解することで15を得た。(Qiu, J.; Silverman, R.B. A New Class of Conformationally Rigid Analogues of 4-Amino-5-halopentanoic Acids, Potent Inactivators of γ-Aminobutyric Acid Aminotransferase. J. Med. Chem. 2000, 43, 706-720)(更に詳しくは下記の実施例8〜10を参照のこと。)
スキーム2
Figure 0006867949
前記’413特許に記載のとおり、化合物15は、2mMの2-メルカプトエタノール存在下でも大変強力なGABA-AT不活性化物質であることがわかった。スキーム2にはシス異性体が示されているが、同等の結果はトランス異性体からも得ることができ、これは当業者に理解されるように、本明細書に記載の合成手法を直接拡張することで調製可能である。
同様に、本発明は多様なモノフルオロ置換された化合物の使用を熟慮している。化合物20および22の合成をスキーム3に示す。先行技術の出発物質である12のフルオロメチルフェニルスルホンおよび塩化ジエチルホスホリルとの反応から16は二つの異性体の混合物として得られ、マグネシウムと塩化水銀を用いてこれらを還元することで得られた17および18は分離して、単離した。更にラクタムを脱保護し、次に加水分解することで20および22を得た。(下記の実施例15および16を参照のこと。)先行の内容と一致し、本発明に従って、化合物20および22も強力な時間依存型GABA-AT阻害物質である。対応するトランス異性体でも同様の活性を示すことができる。
スキーム3
Figure 0006867949
本発明の方法は更に、当業者に理解されるように、本明細書に記載されているような阻害化合物を含む薬学的組成物ならびに生理学的もしくは別の意味で適した処方を使用する方法もしくはそれと組み合わせた方法に拡張することができるか、またはそれらの方法を含むことができる。いくつかの態様において、本発明は、一つまたはそれ以上の生理学的に容認できるもしくは許容可能な希釈剤、担体、アジュバント、または媒体、即ち本明細書においてまとめて担体と呼ぶものと組み合わせて組成物として調製された上記の一つまたはそれ以上のOAT阻害物質を含む。そのような接触や投与に適した組成物は、無菌状態であるか否かに関わらず、生理学的に許容可能な水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液を含み得る。結果として得られた組成物は、本明細書に記載の多様な方法と組み合わせてオルニチンアミノ基転移酵素のとの接触またはその投与に用いることができる。薬学的組成物に関してか否かに関わらず、「接触する」ことは、オルニチンアミノ基転移酵素および一つまたはそれ以上の阻害化合物を、酵素にそのような阻害化合物と結合および/または複合体を形成させることを目的として引き合わせることを意味する。オルニチンアミノ基転移酵素の阻害に有効な化合物の量は、実験から決定してもよく、そのような決定をすることは当分野の技術の範囲内である。阻害またはオルニチンアミノ基転移酵素活性に影響することとしては、OAT活性、グルタミン酸の産生、グルタミン合成、細胞増殖および/または腫瘍成長の低下、軽減および/または調節、ならびに消失が含まれる。
用量は、特定の阻害化合物の活性、病状、投与経路、治療期間、および医薬および薬学の分野において公知である同様の要因に応じて変化することが、当業者には理解される。一般的に、治療的または予防的効果を生じさせるために有効な最低用量が、適切な用量となる。望まれる場合、そのような化合物、薬学的に許容されるその塩、または関連する組成物の有効量は、2回以上の分割用量で、適切な期間中に別々に投与してもよい。
薬学的製剤または組成物を調製する方法は、阻害化合物を担体および任意で一つまたはそれ以上の追加のアジュバントまたは成分と付随するように方向づける工程を含む。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PAに記載されているような標準的な薬学的製剤化技術を採用することができる。
組成または処方に関係なく、当業者は多様な薬剤投与手段と共に、そのような薬剤を投与に適した状態にする際に考慮する、投与手段に伴う要因およびパラメーターを認識するであろう。従って、一つまたはそれ以上の非限定的な態様に関して、本発明は、肝細胞癌の治療または予防における治療的な使用を目的とした薬剤を製造するための一つまたはそれ以上の本阻害化合物の使用を提供する。
一般的に、様々な態様に関して、本発明は病的増殖性障害を治療するための方法に向けることができる。本明細書中で使用される用語「障害」は、正常な機能に障害が起きる状態を指す。「疾患」とは、冒された人またはその人と接している者に対して不快感、機能障害、または苦悩を引き起こす、身体または精神的のいかなる異常な状態も意味する。時によってこの用語は、広い意味で使用され、傷害、能力障害、症候群、症状、異常行動、ならびに構造および機能の非定型的な変動が含まれ、その一方で他の状況において、これらは識別可能なカテゴリーと考えてもよい。なお、「疾患」、「障害」、「状態」、および「疾病」という用語は本明細書中で同等に使用されていることに注目すべきである。
特定の態様によると、発明の方法は、悪性増殖性障害の治療に特に応用可能であり得る。本発明を説明するために本明細書で用いられているとおり、「癌」、「腫瘍」、「悪性病変」は全て同等に、組織または臓器の過形成に関する。組織がリンパ系または免疫系の一部である場合、悪性細胞は、循環細胞の非固形腫瘍も含み得る。他の組織または臓器の悪性病変は、固形腫瘍を産生し得る。従って、本発明の組成物および方法は、非固形および固形腫瘍の治療に用いることができる。
本発明で考察される悪性病変は、メラノーマ、細胞腫、白血病、リンパ腫、および肉腫からなる群から選択されてもよい。本発明の文脈において、治療可能な、または利用可能であり得る悪性腫瘍としては、血液悪性腫瘍(白血病、リンパ腫、および骨髄増殖障害を含む)、低形成および再生不能性貧血(ウイルス誘発性および特発性の両方)、骨髄異形成症候群、全タイプの腫瘍随伴症候群(免疫媒介および特発性の両方)、および固形腫瘍(膀胱、直腸、胃、頸部、卵巣、腎臓、肺、肝臓、乳、結腸、前立腺、消化管、膵臓、およびカポジを含む)が含まれ得るが、これに限定されるものではない。特に、特定の態様によると、本発明と組み合わせて使用される化合物、或いは本発明に基づく同化合物を含む任意の組成物は、非固形癌、例えば、全種類の白血病などの造血器腫瘍、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、マスト細胞白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び多発性骨髄腫などの治療又は阻害、並びに固形癌、例えば、口唇及び口腔の腫瘍、咽頭、喉頭、副鼻腔、大唾液腺、甲状腺、食道、胃、小腸、結腸、結直腸、肛門管、肝臓、胆嚢、肝外胆管、ファーター膨大部、膵外分泌部、肺、胸膜中皮腫、骨、軟部腫瘍、皮膚の癌腫及び悪性メラノーマ、乳房、外陰、膣、子宮頸部、子宮体部、卵巣、卵管、妊娠性絨毛腫瘍、陰茎、前立腺、精巣、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、尿道、瞼の癌腫、結膜の癌腫、結膜の悪性メラノーマ、悪性メラノーマ、網膜芽細胞腫、涙腺の癌腫、眼窩の肉腫、脳、脊髄、血管系、血管肉腫及びカポジ肉腫の治療及び阻害に使用できる。
本明細書に記載の全ての障害は、本発明の方法、ならびに/または本明細書に記載されているような化合物および/もしくは組成物と組み合わせることにより治療され得る障害であることに注目すべきである。従って、多様なそのような化合物および組成物は、任意の適した方法で上記方法と組み合わせることにより投与できる。例えば、投与は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、非経口、経皮、膣内、鼻腔内、粘膜、舌下、局所、直腸または皮下投与、またはあらゆるそれらの組み合わせを含む。
他の態様によると、治療を受けた対象は哺乳動物対象であり得る。発明の方法は、特にヒトにおける増殖性障害の治療に向けたものであるが、その他の哺乳類も含まれている。非限定的例として、哺乳動物対象としては、サル、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびブタが挙げられる。
本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「治療する、治療している、治療」は、病的障害がある対象における疾患活動の一つまたはそれ以上の臨床的兆候を緩和することを意味する。「治療」とは、治療的処置を意味する。治療を必要とする対象は、任意の病的障害を患っている哺乳動物対象である。「患者」または「必要とする対象」とは、上記のような苦痛を防止、克服、調節、または鈍化させるために、本明細書に記載されているような任意の薬学的組成物または化合物の投与が望まれる任意の哺乳動物を意味する。「予防性の治療」または「予防的な治療」を施すとは、何か、特に症状または疾患から守る又はそれを阻止するために保護的に作用することを言う。
より一般的に、本発明は、Wnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化およびOAT活性の増加に関連する、悪性病的増殖性障害の発生、進行、および/または転移(例えば、肝臓から別の場所へ、または任意の他の臓器もしくは組織から肝臓へ)に影響を与え、それらを調節、減少、阻害、および/または予防する方法に向けられ得る。(例えば、Lucero OM, Dawson DW, Moon RT, et al. A re-evaluation of the “oncogenic” nature of Wnt/beta-catenin signaling in melanoma and other cancers. Curr Oncol Rep 2010, 12, 314-318;Liu Wei; Le Anne; Hancock Chad; Lane Andrew N; Dang Chi V; Fan Teresa W-M; Phang James M. Reprogramming of proline and glutamine metabolism contributes to the proliferative and metabolic responses regulated by oncogenic transcription factor c-MYC. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2012, 109(23), 8983-8988;およびTong, Xuemei; Zhao, Fangping; Thompson, Craid B. The molecular determinants of de novo nucleotide biosynthesis in cancer cells. Curr. Opin. Genet. Devel. 2009, 19(1), 32-37を参照。)
本発明の実施例
下記の非限定的な実施例およびデータは、肝細胞癌の治療および/またはそれに付随するオルニチンアミノ基転移酵素活性の減少を含む、本発明の方法に関する様々な局面および特徴を説明する。本方法は、先行技術とは異なる、驚異的で予想外な結果およびデータを提供する。本発明の有用性は、共に使用できる幾つかの化合物および組成物の使用を通じて説明されており、それらに匹敵する結果が、本発明の範囲と同程度の様々な他の一つまたは複数の化合物からも得られることを当業者は理解するであろう。
一般的な化学的方法:全てのNMRスペクトルはVarian Mercury 400 MHzまたはVarian Inova 500 MHzのいずれかのNMRスペクトロメータで記録された。1H ケミカルシフトは、CDCl3中、内部基準としてのMe4Siから低磁場にδ値をppmとして示される。D2O中で測定された試料に関しては、HODの共鳴が4.80ppmに設定された。13Cケミカルシフトは、ppmとして示され、CDCl3の炭素ピークが77.23ppmに設定される。D2O中で測定された試料に関しては、外部基準としてDSSが使用された。19Fケミカルシフトは、ppmとして示され、CDCl3中で測定された試料に関しては外部基準としてCFCl3が使用され、D2O中で測定された試料に関しては外部基準としてTFAが使用される。マススペクトルは、VG70-250SE質量分析計で得られた。カラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(230-400メッシュASTM)を用いて行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)はEM Science社のシリカゲル60 F254を予めロードしたガラスプレートを使用して実施した。陽イオン交換樹脂は、Bio-Rad Laboratoriesから購入した。pH測定には、一般的な電極対を備えたOrion Research 702 pHメーターを用いた。全ての酵素アッセイは、Perkin-Elmer Lambda 10 紫外可視分光光度計を用いて記録した。
試薬:フルオロメチルフェニルスルホンは、TCI America, Inc.から購入した。他の試薬は全てAldrich Chemical Co.から購入し、精製せずに使用した。全ての溶媒はFisher Scientificから購入した。無水THFは、窒素下で金属ナトリウムから蒸留した。
実施例1
デブスナネズミ(Psammomys obesus)は砂漠のスナネズミであり、増殖性疾患のモデルとして使用され、また自発性肝新生物発生前状態および肝細胞腫はスナネズミにおいて記述されているため、肝細胞癌のモデルとして使用される。自発性肝細胞癌(HCC)は、12ヶ月齢のスナネズミにおいて観察され、その組織の検査から、過剰な多形性、線維柱帯パターンの減少、腫瘍の肝静脈壁への侵入、およびHCCを含む、悪性の変化が明らかにされた。DNAマイクロアレイに基づく遺伝子発現解析は、自発性HCCが発生している肝臓と正常な肝臓を比較することで行った。マイクロアレイデータの分析から、正常な肝臓と比較して腫瘍組織において発現レベルが増加した7種の遺伝子および発現レベルが低下した143種の遺伝子が特定された。OATは、全ての腫瘍において最も顕著に上方制御された遺伝子の一つであった。上記のとおり、OATはアミノ基転移によりオルニチンをグルタミンに変換させるミトコンドリア基質酵素であり、βカテニンが標的とする遺伝子であることが明らかになった。
実施例2
以前の方法よりも更に高感度なハイスループット読み出し、およびリアルタイムでの活性測定の為に、新たに2つのOAT用継続アッセイが開発された。(Juncosa, J. I.; Lee, H.; Silverman, R. B. Two continuous coupled assays for ornithine-γ-aminotransferase. Anal. Biochem. 2013, 440, 145-149)一つのアッセイは、Δ1-ピロリン-5-カルボン酸還元酵素1(PYCRI)による3の還元(スキーム1)に基づき、NADHの酸化を分光光度的に追うものであり、これはOATの低分子阻害物質/不活性化物質の活性を研究するのに適している。(それぞれのOATに対するKi値を図2に示す。)第2のアッセイは、L-グルタメートの形成に基づく(4、スキーム1)。これは低分子のOATに対する基質活性の測定に利用できる。これら2種類のアッセイを手に、GABA-AT阻害物質候補として過去に作成された様々な化合物の活性を調べた。(対応するKIおよびkinact値を図3に示す。)
ギャバクリンおよびCPP-115による時間依存的なOAT阻害:以下を用いてOAT活性のアッセイを実施した。OAT(0.25μg)は、様々な濃度のギャバクリン(0.1μM、1μM、5μM、10μM)またはCPP-115(10μM、25μM、50μM、100μM、200μM)と一緒に、1mMアルファケトグルタル酸を含むpH8.0の100mMピロリン酸カリウム緩衝液中、総容積を20μLとして、室温で保温した。時間間隔をおいて、pH8.0で100mMピロリン酸カリウム緩衝液にPYCR1(0.5μg)、12.5mMαケトグルタル酸、1mM NADH、0.03mM PLP、および25mM L-オルニチンを含む80μLのアッセイ溶液を保温した混合物に加え、OAT活性を測定した。
図2に関しては、最も強力な阻害物質は13(3μM)であり、これは10mMの濃度であってもGABA-ATを阻害しない。GABA-ATの結晶構造に13をドッキングさせた結果、長細い結合ポケット内に収めるには、2つのトリフルオロメチル基が大き過ぎることが示された。二番目に良いOAT阻害物質はCPP-115(10)である。OATの結晶構造へのドッキングは、より小さな10の大きさ、およびフッ素原子への水素結合を理由に、低い疎水性相互作用を示す。これらが、結合効率を決定する最も重要な相互作用であると考えられる。対応するジクロロメチルエニル化合物(18)がOATに対して(更にGABA-ATに対しても)とても弱い結合を示すことは興味深い。10、13、および18を比較するドッキング研究からこの結論が確認された。化合物10は活性サイトによくドッキングし、フッ素原子はGlu235およびTyr85と水素結合する。13のトリフルオロメチル基は大きく、Glu235とTyr85の間に収まらないが、Tyr85とTyr55の間には収まり、フッ素原子はこれらの残基と水素結合を形成する。18の塩素原子は、Glu235とTyr85の間に収まるには大き過ぎるため、塩素はフッ素のように水素結合を形成することができない;従って、ジクロロメチレン基は、この部位の外へ向いてしまい、Tyr85とTyr55の間に収まるための原動力が存在しない。
実施例2b
CPP-115によるOATの不活性化および不活性化された酵素の透析処理:OAT(30μg)と2mM CPP-115は、全体積が60μLの5mM αケトグルタル酸を含む100mMピロリン酸緩衝液(pH8.0)中、室温で24時間プレインキュベートする。不活性化剤の非存在下で保温したOATは対照の役割を果たす。24時間後、酵素溶液をD-Tube(商標)Miniダイアライザーに移し、光から保護しながら4℃で緩衝液(0.1mM αケトグルタル酸と0.1 mM PLPを含む100mMピロリン酸緩衝液、pH8.0)に対して透析を徹底的に行う。透析緩衝液は、3回、4時間ごとに交換した後一晩置く。48時間透析した後、各溶液中のOATの残存活性をアッセイする。
KIおよびkinact値の測定には、OATの残存活性のパーセンテージの自然対数を各阻害物質濃度におけるプレインキュベーション時間に対してプロットすることで、各濃度におけるkobs(勾配)値を得た。kobsは、各阻害物質濃度における不活性化を説明する速度定数である。非線形回帰分析(Graph-Pad Prism6;GraphPad Software Inc.)を用いてkobsを阻害物質濃度に対して再度プロットした。kinactおよびKIは、下記の式より概算された:
Figure 0006867949
ここで、kinactは不活性化の最大速度、KIは最大不活性化の半分に必要な阻害物質濃度、更に[I]は阻害物質のプレインキュベーション濃度である。ギャバクリンおよびCPP-115によるOATの不活性化は時間および濃度に依存する。この二つの化合物の様々な濃度における不活性化の初速度定数は、非線形回帰分析を用いて決定する。
一部の環状化合物は、OATの時間依存的な不可逆的阻害物質(0.1mM PLPおよびαケトグルタル酸を含むpH8.0の0.1M二リン酸カリウム緩衝液中で48時間の透析処理後、活性は戻らなかった)であることが明らかになった(図4)。再び、13は最も効率よく、その次が10である。5つの化合物(5、19〜22)は1mMの濃度において可逆的な阻害を示さなかったが、プレインキュベートした場合には酵素が減少した。また、これらの化合物は全てOATとの結合が弱い。(最も強力な不活性化剤は、ギャバクリン(5)であり、これはOATを不活性化することが知られている;しかしながら、ギャバクリンは毒性が高い。)
実施例3
それぞれ異なる8種のHCC細胞株に対してインビトロでギャバクリン(5)の試験を行った。20mMギャバクリンに48時間暴露させた後に3H-チミジンアッセイを用いてHCCの増殖を評価した。ギャバクリンは、3種のHCC細胞株、Hep3B、PLC/PRF/5、およびHepA1-6の増殖を著しく抑制し、46〜51%抑制した(図5A)。HCCのバイオマーカーとしてαフェトプロテイン(AFP)の分泌を評価した。ギャバクリンはHep3B細胞においてAFP分泌を20%にまで著しく低下させた(図5B)。他の2種の細胞株に関しては、AFPの抑制に著しい差は見られなかった。ギャバクリンの投与はインビボでの腫瘍成長を著しく抑制した。HCC担持マウスに単一量を投与して7日以内に血清AFP値は92%減少し、それと比較して、対照においては9.7倍に増加した(図5C)。
実施例4
インビボにおけるHCCの成長に対するギャバクリン効果の評価:無胸腺症のBalb/Cマウスは、致死量以下の放射線(400cGy)で条件付けした。照射24時間後、5x106個のヒト肝細胞癌Hep3B細胞を動物の右肩へ皮下注射した。球後穿刺により血液試料を毎週採取し、血清を分離し、アッセイに用いるまで-20℃で冷凍した。45日目にマウスを二つの群に分け(各治療群および対照群においてn=8)、基線レベルの血清AFPを測定した。実験群には500μg/kgのギャバクリンを単回腹腔内注射した。対照群のマウスには食塩水を注射した。腫瘍の成長と相関する血清AFPレベルは、一般的なELISA試験を用いて52日目に測定した。
実施例5
化合物13のインビトロにおけるAFPレベル抑制効果を2種類のHCC細胞株、Hep3BおよびHepG2、で試験し; HCC腫瘍成長の顕著な抑制が見られた(データ図示せず)。13の安全性は、各用量群当たりn=4のC57B1/6マウスに0.5〜5mg/kgの用量で13をインビボ投与することで決定された。各マウスへの投与は1日目および4日目に合計2回行われ、一週間後にマウスに対して肝臓酵素、体重、行動、毛の外見の検査が行われた。いかなる注目すべき効果も試験された用量では見られなかった(データ図示せず)。13の投与は、インビボにおける腫瘍の成長を著しく抑制した。いずれも治療を開始した日に規準化された血清AFPレベルおよび腫瘍体積の顕著な減少は、未治療の対照と比較していずれの治療群においても観察された。14日間の治療後、血清AFPレベルは抑制され、治療を受けた動物においては3.4倍の増加のみであったのに対し、対照では10.9倍の増加が見られた(それぞれ、7224〜24857pg/mL対2671〜29155pg/mL)。腫瘍サイズも抑制され、治療を受けた動物においては2.45倍の増加のみであったのに対し、対照では8.4倍の増加が見られた(それぞれ、0.24〜0.49cm3対0.034〜0.287cm3)。21日間の治療後、血清AFPレベルは、治療を受けた動物においては8.15倍に増加したのに対し、対照では49.8倍に増加し;腫瘍サイズは抑制され、治療を受けた動物においては3.05倍の増加であったのに対し、対照では24.2倍の増加であった。抗腫瘍効果に伴い、腫瘍細胞死は20%増加した。実験の終わりに腫瘍の生検を行い、ホスファチジルセリン検出キットを用いて腫瘍アポトーシスおよび壊死の程度を決定した。細胞懸濁液における細胞の外側のホスファチジルセリンへの暴露は、フローサイトメトリーにフルオロクロム標識されたアネキシンVを用いることでモニターした。
実施例6
化合物10は、HCC細胞株におけるAFPレベルの抑制ならびに腫瘍の成長抑制を評価するために、上記のとおり、インビトロおよびインビボで試験することができる。
実施例7
統計解析:全ての解析はExcel 2007(Microsoft, Redmond, WA、米国)を用いて実施できる。変数は、平均値±標準偏差(SD)として表すことができる。二つの独立した群は、Student t検定を用いて比較することができる。適用される全ての検定は、両側検定であってよい。P値が0.05以下の場合、統計的に有意とみなされる。
上記スキーム2および3、上記の組み入れられた’413特許および’748特許に記載の付随する考察および参照番号に関連して、実施例8〜16は、本発明の様々な態様に従って、参照された化合物の合成および特徴付けを説明する。
実施例8
(1S,4S)-6-ジフルオロメチルエニル-2-(4'-メトキシベンジル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン(13):撹拌したジエチル(ジフルオロメチル)ホスホネート(0.48mL、2.94mmol)の無水THF(15mL)溶液に、-78℃でゆっくりとtBuLi(ペンタン中に1.7M、1.73mL、2.94mmol)を加えた。-78℃で0.5時間撹拌した後、無水THF(20mL)中の12(0.60g、2.45mmol)をシリンジを用いてゆっくりと加えた。撹拌は-78℃で1時間継続し、次に溶液を室温に昇温するまで置いた後、24時間加熱還流した。化合物12は既知であり、当技術分野において入手可能であり、Qiu, J.; Silverman, R.B. A New Class of Conformationally Rigid Analogues of 4-Amino-5-halopentanoic Acids, Potent Inactivators of γ-Aminobutyric Acid Aminotransferase. J. Med. Chem. 2000, 43, 706-720に記載されているように調製することができる。反応物が冷めた後、THFを蒸発させ、その残渣に飽和NH4Cl溶液(20mL)を加え、これをEtOAcで抽出した(3×20mL)。有機層は食塩水(2×20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣は、ヘキサン類/酢酸エチル(2:1)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製し、13(0.47g、68%)を無色の油として得た。
Figure 0006867949
実施例9
(1S,4S)-6-ジフルオロメチルエニル-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン(14):化合物13(86.9mg、0.31mmol)はCH3CN(1.75mL)に溶解した。硝酸セリウムアンモニウム(512mg、0.93mmol)水溶液(0.87mL)をゆっくりと加えた。得られた溶液を室温で4時間撹拌した。次に、反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、食塩水(2×10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。減圧下で濃縮した後、残渣はヘキサン類/酢酸エチル(1:1)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製し、所望の産物を無色の油(33.6mg、68%)として得た。
Figure 0006867949
実施例10
(1S,3S)-3-アミノ-4-ジフルオロメチルエニル-1-シクロペンタン酸(15)(即ち、化合物10、CPP-115、図2):ラクタム14(20.0mg、0.13mmol)に4N HClを4mL加えた。溶液を70℃で10時間撹拌した。酢酸エチル(3×4mL)で洗浄した後、水層を減圧下で蒸発させることで、黄色固体を得た。エタノール/エーテルから再結晶化することで白色固体を得、次にこれを陽イオン交換カラム(AG50W-X8)にロードし、0.2N水酸化アンモニウムで溶出することにより遊離アミノ酸15を白色固体(16mg、72%)として得た。
Figure 0006867949
実施例11
(E/Z)-(1S,4S)-6-(1'-フルオロ-1'-フェニルスルホニル)メチルエニル-2-(4'-メトキシベンジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタン-3-オン(16):無水THF(3mL)にフルオロメチルフェニルスルホン(130mg、0.75mmol)およびクロロリン酸ジエチル(0.11mL、0.74mmol)を加えた。窒素下で-78℃まで冷却した後、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.0M、1.65mL、1.65mmol)をゆっくりと加えた。1時間撹拌した後、12(91.3mg、0.37mmol)の無水THF(3mL)溶液をカニューレを介してゆっくりと加えた。次に、溶液を室温まで温め、一晩撹拌した。飽和NH4Cl溶液(10mL)で反応をクエンチした後、THFを蒸発させ、得られた溶液を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。次にこの溶液を減圧下で濃縮し、ヘキサン類/酢酸エチル(1:0から1:2)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにて精製し、分離不可能なシス/トランス混合物(16)(NMRによると4.4:1、119mg、80%)を無色の油として得た。
Figure 0006867949
実施例12
(E)-(1S,4S)-6-フルオロメチルエニル-2-(4'-メトキシベンジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタン-3-オン(17)および(Z)-(1S,4S)-6-フルオロメチルエニル-2-(4'-メトキシベンジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタン-3-オン(18):化合物16(100mg、0.25mmol)は、窒素下で無水メタノール(10mL)に溶解し、氷塩浴に浸漬した。削り状のマグネシウム(0.30g、12.5mmol)および塩化水銀(II)(60mg、0.22mmol)を加えた。溶液を2時間撹拌した後、室温まで温め、一晩撹拌した。反応混合物を1N HCl(10mL)に流し入れた。減圧下でメタノールを蒸発させ、その結果得られた水溶液を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和NaHCO3溶液(2×10mL)と食塩水(2×10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。減圧下で濃縮後、残渣をヘキサン類/酢酸エチル(3:1)を用いたカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物17(33.8mg、52%)および18(12.9mg、20%)を、いずれも無色の油として得た。
17:
Figure 0006867949
18:
Figure 0006867949
実施例13
(E)-(1S,4S)-6-フルオロメチルエニル-2-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタン-3-オン(19):エッペンドルフチューブ内で17(10.2mg、39μmol)をアセトニトリル(0.22mL)に溶解した。この溶液に硝酸セリウムアンモニウム(64mg、117μmol)水溶液(60μL)を加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、食塩水(2×5mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。減圧下で濃縮後、残渣をヘキサン類/酢酸エチル(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーにて精製し、19を無色の油(2.0mg、36%)として得た。
Figure 0006867949
実施例14
(Z)-(1S,4S)-6-フルオロメチルエニル-2-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタン-3-オン(21):
Figure 0006867949
実施例15
(E)-(1S,3S)-3-アミノ-4-フルオロメチルエニル-1-シクロペンタン酸塩酸塩(20)(即ち、化合物11、図2):化合物19(2.0mg、14μmol)に4N HCl(4mL)を加えた。この溶液を70℃に加熱し、10時間撹拌した。次にこれを冷却し、酢酸エチル(2×4mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させることにより白色固体(2.0mg、72%)を得た。
Figure 0006867949
実施例16
(Z)-(1S,3S)-3-アミノ-4-フルオロメチルエニル-1-シクロペンタン酸塩酸塩(22)(即ち、化合物12、図2):
Figure 0006867949
実施例17
化合物10〜22(図2〜3)は、本発明に気付いた当業者には知られ理解されており、これらは、各々の全体が本明細書に組み込まれる対応する参考文献に記載されているとおりの合成方法および技術に従うことにより入手可能である。
化合物10〜12:実施例8〜16および上記の組み込まれた’413特許および’748特許に記載のとおり。
化合物13〜17:Lu, Hejun; Silverman, Richard B., Fluorinated Conformationally Restricted γ-Aminobutyric Acid Aminotransferase Inhibitors, Journal of Medicinal Chemistry (2006), 49(25), 7404-7412.
化合物18:Yuan, Hai; Silverman, Richard B., Structural Modifications of (1S,3S)-3-Amino-4-Difluoromethylenecyclopentanecarboxylic Acid, a Potent Irreversible Inhibitor of GABA Aminotransferase, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2007), 17(6), 1651-1654.
化合物19:Wang, Zhiyong; Silverman, Richard B., Syntheses and Evaluation of Fluorinated Conformationally Restricted Analogues of GABA as Potential Inhibitors of GABA Aminotransferase, Bioorganic & Medicinal Chemistry (2006), 14(7), 2242-2252.
化合物20〜22:Qiu, Jian; Silverman, Richard B., A New Class of Conformationally Rigid Analogs of 4-Amino-5-Halopentanoic Acids, Potent Inactivators of γ-Aminobutyric Acid Aminotransferase, Journal of Medicinal Chemistry (2000), 43(4), 706-720.
実施例18
ラットにおける急性毒性:CPP-115の最大耐量(パートA)および用量範囲を見出す(パートB)試験は、ウィスターアルビノラットで実施された。研究のパートAにおいては、8つの治療群に配置した雄17匹および雌18匹のラットに0.5、5、30、50、75、100、150、または300mg/kgの用量でCPP-115を単回腹腔内注射した。臨床所見は、75mg/kg以上の用量レベルでCPP-115が単回腹腔内投与された後に見られ、最高用量(300mg/kg)の治療を受けた全てのラットは、低体温を理由に死の間際に安楽死させた。繰り返し投与では、ラットが重度の感情鈍麻を示し、投与後24時間経過後まで回復しなかったためこれらの高レベルは支持されないと見られる。
研究のパートBにおいて、5つの治療群に配置した雄25匹および雌25匹のウィスターラットは0、10、20、30、および50mg/kgの用量で毎日1回、14日間までCPP-115を腹腔内注射された。CPP-115の30mg/kg以上の用量での繰り返し投与には、累積的な効果あるとみられ、結果として体重減少、だらしない外見、感情鈍麻、および意識喪失が起きた。20mg/kg/日では、一部の動物の体重減少および毛繕い行動の減少が始まったが、感情鈍麻または他の神経症状は示されなかった。20mg/kgの治療を受けたラットは、治療を約5〜6日行った後、減少した体重が回復し始め、適切に自らの毛繕いを始めたため、薬の効果に耐性を持つようになった可能性がある。0mg/kgまたは10mg/kg群においては、用量に関連する臨床的知見は認められなかった。14日間の治療後、10mg/kgの投与を受けたほとんどのラットにおいて、有意な体重減少は見られなかった。しかしながら、10mg/kgで治療を受けた数匹の動物は、散発的な体重減少を時折試験日に示し、これはこの用量においては稀に鎮静が起こる可能性を示唆している。臨床化学結果は、明らかな病態生理学的な効果を示しているように見えなかったものの、被験物質が鎮静および活動性低下を引き起こしていることと一致する結果が得られ、摂食量の低下につながった。用量に依存するコレステロール、トリグリセリド、アミラーゼ、およびアルカリホスファターゼの低下は、栄養不良の指標となり得る。全体的に見て、ラットは、CPP-115を最大20mg/kgのレベルで14日間、毎日繰り返し投与されることに耐えたと見られる。
実施例19
ラットにおける繰り返し投与毒性:4週間の経口(経管栄養)毒性/毒物動態学試験は、Crl:CD(SD)ラットにおいてCPP-115を0(RO水)、2、6、および20mg/kg/日の用量で用いて実施した。ラットは被験物質を毎日1回、少なくとも4週間10mL/kgの用量容積で投与され、その後に4週間の回復期を与えられた。CPP-115は2および6mg/kg/日では良好に許容され、その結果、臨床所見または体重もしくは摂食の変化は見られなかった。CPP-115への暴露は用量レベルの増加と共に増加した。CmaxおよびAUC0-tの増加は、一般的に用量と比例した。複数回投与後、CPP-115の蓄積は見られなかった。
CPP-115は、肝臓に高度に抽出されない可能性があり、経口投与後には組織に高度に分散され得る。被験物質に関連する、主に外顆粒層における不規則な成長パターンに特徴付けられる、網膜異形成の悪性顕微鏡的所見が、CPP-115を6または20mg/kg/日投与されたラットで投薬および回復期に認められた。従って、CPP-115の有害作用が見られない量(無有害作用量(NOAEL))は2mg/kg/日であった。
実施例20
イヌにおける繰り返し投与毒性:4週間の経口(経管栄養)毒性/毒物動態学試験は、ビーグル犬においてCPP-115を0(RO水)、0.7、2.3、および7mg/kg/日の用量で用いて実施した。イヌは被験物質を毎日1回、少なくとも4週間7mL/kgの用量容積で投与され、その後に4週間の回復期を与えられた。CPP-115への暴露は用量レベルの0.7から7mg/kg/日への増加と共に増加した。平均CmaxおよびAUC0-24の増加は、一般的に用量と比例した。イヌに複数回投与後、CPP-115の蓄積は見られなかった。
毒性は、死亡率、臨床的所見、体重、体重増加、摂食、身体検査、バイタルサイン(心拍数、呼吸、および体温)、眼科検査、心電図検査、臨床的および解剖学的病理、左眼評価に基づいて評価した。ビーグル犬に投与されたCPP-115は、全ての用量レベルにおいて良好に許容された。0.7または2.3(雄のみ)mg/kg/日において、被験物質に関連する所見は認められなかった。7mg/kg/日を与えられたイヌの有害ではない被験物質関連の所見に含まれたのは、活動性低下、小脳白質および脳幹ならびに大脳皮質灰白質における小胞の最小限またはわずかな増加、ならびに最小限からわずかな小葉中心性肝細胞空胞化(2.3mg/kg/日を与えられた雌においても見られた)であり、肝機能を測定する実験室試験における悪い方向への変化は伴わないものであった。従って、作用がみられない量(無作用量(NOEL))は雄の場合2.3mg/kg/日、雌の場合0.7mg/kg/日であり、NOAELは7mg/kg/日であった。
実施例21
ラットにおけるCPP-115の網膜毒性:網膜毒性試験は、CPP-115(腹腔内20mg/kg/日)、ビガバトリン(腹腔内200mg/kg/日)、または媒体(腹腔内0mg/kg/日)による治療を1日1回45日間連続で(5匹/性別/群)または90日間連続で(10匹/性別/群)施されたウィスターアルビノラットで実施した。投薬の終わりにラットはウオッシュ・アウト期間に入り(5〜7日)、その後暗所視(杆体)、薄明視(標準的な組み合わせ)、明所視(錐体)の網膜電図(ERG)、ならびに10Hzおよび15Hz3フリッカーERG応答を各ラットから両目について収集した。ラットにおける中毒を治療するために必要な用量の20〜40倍のCPP-115による治療を受けたラットにおけるERG応答は、対照ラットと比べてERG応答の減少が示されたが、ラットにおける中毒を治療するために必要な用量と同じ量のビガバトリンで治療されたラットで見られた減少よりも少なかった。
全てのERG測定で、雄よりも雌において大きな減少が見られた。15HzERG応答は、より高い刺激周波数であることから杆体の寄与が比較的に小さく示され、その結果、錐体光受容体の回復時間をよりよく示すため、15Hzフリッカー応答のみを報告した。
本試験におけるビガバトリン治療のERG結果は、過去に報告された動物モデルおよび個人におけるERG欠損と似ている。本試験から得られた蓄積データは、CPP-115がビガバトリンに比べて網膜において改善された安全特性を有する可能性を支持する。Sinclair Laboratoriesにより統計学的に分析されたように、CPP-115では、52の統計学的比較の内7つの独立した平均ERGパラメーター値において統計学的に有意な差が散発的に観測された。振幅の所見におけるパターンまたは潜在的なタイミング効果の違いがCPP-115とプラセボの間に見られなかったため、これらの知見は偶発的と考えている。対照的に、ビガバトリンにより治療された群は、52の統計学的比較の内29において、ビガバトリンとプラセボの間に統計学的に有意な差を示した。加えて、振幅の減少および潜在的な時間遅延において性差があるように見え、雌の方が雄よりも大きく影響されていた。従って、ビガバトリンは200mg/kgの用量で、45日目に明らかになり、90日目まで維持された電気的網膜機能(electroretinal function)において有意な変化を引き起こした。その一方で、CPP-115の用量レベル(20mg/kg)は、45日目または90日目に杆体または錐体の活性における電気的網膜機能(electroretinal function)に一貫した有意な変化を引き起こさないと見られる。
本試験のラットの網膜について、定量的な組織学的検査も実施した。錐体受容体は、錐体アレスチン抗体で染色し、レッド染色で対比染色することで可視化し、数を数えた。網膜切片もH&Eで染色し、ONL核の数を数え、ONLの厚みを測定した。全ての場合において、測定は網膜上の下位3か所および上位3か所で実施し、網膜の周辺部位の最下部から周辺部位の最上部までほぼ等間隔に配置されていた。
この3群において、錐体受容体の数に統計学的に有意な変化は無かった。しかしながら、ビガバトリンと対照群の間ではONL核の数およびONLの厚みに統計学的に有意な変化があった。CPP-115と対照群の間では有意な変化は無かった。全体的に見て、データは、雄よりも雌が影響を受け、ビガバトリンに曝すことはCPP-115と比較して網膜の組織学的合併症を多くもたらす、というERG測定結果を実証するものである。
実施例22
遺伝毒性:CPP-115の、ヒト末梢血リンパ球(HPBL)を用いたインビトロ哺乳類染色体異常試験を、アロクロール誘導ラット肝S9代謝活性化系の存在下および非存在下の両方で実施した。被験物質で治療された群における構造的または数的異常を持つ細胞のパーセンテージは、試験されたいかなる用量レベル(535、1070、および2140μg/mL)においても、溶媒対照群と比較して有意に増加しなかった。従って、ヒトリンパ球でのインビトロ染色体異常試験において、CPP-115は染色体異常誘発性ではないという結論が得られた。
CPP-115が復帰変異を誘導する可能性は、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)の4種の試験株(TA98、TA100、TA1535、およびTA1537)および1つの大腸菌(Escherichia coli)試験株(WP2uvrA)を用いて、アロクロール誘導ラット肝S9の存在下または非存在下で評価した。初期毒性−変異アッセイ(各プレートに1.5、5.0、15、50、150、500、1500、および5000μg)または確証的変異原性アッセイ(各プレートに50、150、500、1500、および5000μg)において試験されたCPP-115濃度の範囲にわたって、陽性の変異原性反応は見られなかった。初期および確認アッセイにおいては、沈殿も明らかな毒性も見られなかった。従って、CPP-115は、インビトロ細菌性復帰変異アッセイにおいて変異原性ではないという結論に達した。
実施例23
CPP-115のGABAトランスポーターとの相互作用:hGAT-1、hBGT-1、hGAT-2、およびhGAT-3をコードするプラスミドをtsA201細胞に遺伝子導入した。翌日、4つのGABAトランスポーターサブタイプそれぞれを一過性に発現するtsA201細胞をプレートに蒔き、次に(36から48時間後に)[3H]GABA(30nM)およびCPP-115(1mM)を加えた。[3H]GABAの取り込みは、37℃で3分間保温した後に測定された。各GABAトランスポーターサブタイプのIC50は>1000μMであったため、CPP-115は、組換えにより発現されたヒトGABAトランスポーターにおけるGABAの取り込みに影響を及ぼさなかった。
チトクロムP450酵素のインビトロ発現:培養されたヒト肝細胞の調製物には、1日1回3日連続で、ジメチルスルホキシド(DMSO、0.1%v/v、媒体対照)、3つの濃度の内の1つのCPP-115(1、10、または100μM)、または3つの既知のヒトチトクロムP450(CYP)誘導因子、即ちオメプラゾール(100μM)、フェノバルビタール(750μM)、リファンピン(10μM)のうちの一つによる処理を行った。次に、細胞を適切なマーカー基質と共に保温し、CYP活性の解析を行った。媒体対照培養液と比較して、肝細胞培養液のCPP-115による処理は、試験されたいずれの濃度においてもCYP1A2、CYP2B6、およびCYP3A4/5の活性の増加も低下ももたらさなかったが、陽性対照は、期待されたCYP活性の増加をもたらした。従って、本研究の条件下では、最大100μMまでの濃度のCPP-115は、ヒト初代培養肝細胞においてCYP1A2、CYP2B6、およびCYP3A4/5活性の誘導因子ではなかった。
16人のプールからのヒト肝ミクロソームを、濃度が0.1から100μMにわたるCPP-115の存在下および非存在下で、2つの異なるマーカー基質と共に保温した。時間および代謝依存的抑制を評価するために、CPP-115は、b-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)産生系の存在下および非存在下で30分間ヒト肝ミクロソームと共にプレインキュベートし、それからマーカー基質と共に保温した。CYP酵素の既知の直接作用型および代謝依存性阻害物質は、陽性対照として含まれた。検討された実験条件下、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、またはCYP3A4/5がCPP-115に直接的に抑制されている証拠(テストステロン6β-ヒドロキシル化およびミダゾラム1'-ヒドロキシル化により測定)はほとんど得られなかった。その上、CPP-115により評価されたいずれのCYP酵素の時間もしくは代謝依存的抑制も、ほとんど見られなかった。
実施例24
冷凍保存されたヒト肝細胞における代謝安定性:CPP-115の代謝安定性は、LC/MS/MS法を用いて、冷凍保存されたヒト肝細胞で評価された。冷凍保存されたヒト肝細胞は3人のプールから調製され(1,000,000細胞/mL)、CPP-115(5μM)との0、10、60、120、および240分間の保温は3重に行った。保温の最中に起こったCPP-115の減少は小さく(10分で6%から240分で16%にわたる範囲)、初回通過代謝を受けず、血流中で幾つかの半減期を生き残る薬剤であることと矛盾しなかった。
実施例25
クローン化hERGカリウムチャネルに対するCPP-115の効果: hERG(ヒトether-a-go-go関連遺伝子)チャネル電流(急速活性化型の遅延整流性心臓カリウム電流であるIKrの代わり)に対するCPP-115のインビトロ効果を調べた。2つの濃度のCPP-115(10および300μM)を生理的温度付近で検査した。CPP-115によるhERGカリウム電流阻害は、平均して10μMで1.1%(n=3)、300μMで1.5%(n=3)、それに対して媒体対照では0.8%(n=3)であった。両方の試験濃度におけるhERG阻害は、媒体対照の値と比較すると、統計学的に有意ではなく(p<0.05)、これはCPP-115誘導性不整脈の危険がごくわずかであることを示すものであった。CPP-115のhERGカリウム電流に対する抑制効果のIC50は、有意な抑制が見られなかったため、計算されなかった。同一の条件下、陽性対照(60nMテルフェナジン)は、hERGカリウム電流を平均85.3%(n=2)阻害した。テルフェナジンの効果は、試験系のhERG阻害に対する感度を確認するものである。
実施例26
CPP-115を用いた臨床試験の結果:CPP-115の単回漸増経口投与に関して第I相無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、安全性、忍容性、および薬物動態試験を行った。各対象は、フルーツジュース(例えば、Ocean Spray(商標)ブルーベリーザクロジュース)を含む組成物に入ったCPP-115または釣り合う用量のプラセボを単一用量で投与され、その後、各試験目的の為の観察を繰り返した。
CPP-115のこのヒト初回投与試験に用いる初期用量は、イヌおよびラットにおける前臨床毒性試験で明らかにされたラットおよびイヌにおいてそれぞれ6および2.3mg/kg/日である「有害作用が見られない量」(NOAEL)(ラットおよびイヌにおいてそれぞれヒト相当用量[HED]=0.96および1.24mg/kg/日)に基づき、60kgのヒトに対して5mg/日と決定された。最も感受性の高い種(ラット)を用いて、重さ60kgを想定した場合、推奨される最大初期用量は5mgと計算された。この計算には、10の安全ファクターを適用することを想定している。
手順としては、6種の順次増加する用量レベルのCPP-115を5mgから始め、段階的に13、32、80、200、および500mgを経て進み、更に釣り合うプラセボを試験することができる。また、政府の規制により許可される最大用量から始めて、効果が見られなくなるまで用量を下方へ調整していくことで、用量反応関係を築くことができる。各用量コホートは8人の対象からなった。最初の13mg治療群(コホート2)で3日目に異常に高レベルのカリウムを有することが明らかになった時に、第二の13mg用量群を募った。各用量コホートにおいて、対象は無作為化され、CPP-115または釣り合うプラセボは3:1の割合で与えられた。試験的治療の単一用量を投与された後、安全のため、対象の経過観察を30日間行った。
この試験では、CPP-115の薬物動態(PK)を研究した。PK解析のための血液および尿試料は、試験中の複数の予定された時間、1日目の投与前から投与後48時間の間に採取した。血漿および尿中のCPP-115濃度を測定した。
用量漸増は、500mg用量コホートの完成まで継続してもよい。MTDは、容認できない試験薬剤関連毒性を全く引き起こさない、評価された中で最も高い用量と定義された。(試験された最高用量である500mgは、動物モデルから予想される有効量である15〜30mg/日の10倍を超える。)上述の代替用量プロトコールを用いることで、化合物CPP-115は約80mg/日まで効果的に用いることができる。
結果の要約:重篤または重度の有害事象が無く;心血管または呼吸器イベントが無く;急速に吸着し(最高血中濃度に到達するまでの時間は約30分);排出半減期が4〜6時間であり;試験された用量の範囲に渡ってcmaxが用量に比例して増加し、AUCの増加は比例した増加よりも大きかった。
この発明に従って、構造的、立体化学的および/または立体配置的に異なる様々な他の化合物は、このような組み込まれた合成手順および技術またはその直接的な修飾より入手可能であり、これらの修飾は、本発明に気付いた当業者には知られ理解されており、これらの手順、技術、および修飾は、任意の相当する試薬または出発物質が商業的または合成的に入手可能であるかどうかのみに制限される。

Claims (10)

  1. 下記式:
    Figure 0006867949
    の化合物であって、式中、R1およびR2がHおよびFより選択され、R1およびR2の少なくとも一つがFである、化合物;またはその塩
    の治療的有効量を含む、治療を必要とするヒト対象における肝細胞癌を治療するための薬学的組成物。
  2. R1およびR2がFである、請求項1記載の薬学的組成物。
  3. 経口投与されるように用いられる、請求項2記載の薬学的組成物。
  4. 前記化合物の前記量が約0.001mg/対象60kg/日〜約10,000mg/対象60kg/日である、請求項3記載の薬学的組成物。
  5. 前記化合物の前記量が約32mg/対象60kg/日〜約200mg/対象60kg/日である、請求項4記載の薬学的組成物。
  6. 前記量が約80mg/対象60kg/日である、請求項5記載の薬学的組成物。
  7. 前記化合物が、
    前記式中のアミノ基のプロトン化により形成されたアンモニオ部分-NH 3 + 、または
    前記式中のカルボキシル基の脱プロトン化により形成されたカルボキシレート部分-CO 2 -
    を含む塩である、請求項1記載の薬学的組成物。
  8. 前記化合物がアンモニウム塩であり、かつアンモニオ部分-NH 3 + の対イオンが、プロトン酸の共役塩基である、請求項7記載の薬学的組成物。
  9. 前記化合物がカルボン酸塩であり、かつカルボキシレート部分-CO 2 - の対イオンが、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類塩基カチオン、またはアンモニウムカチオンである、請求項7記載の薬学的組成物。
  10. R 1 およびR 2 がFである、請求項9記載の薬学的組成物。
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