以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の実施形態を説明する前に本発明が適用される一例としての操舵装置の構成、及び機電一体型の電動駆動装置としての電動パワーステアリング装置の構成について図1、図2、及び図3を用いて簡単に説明する。
まず、自動車の前輪を操舵するための操舵装置について説明する。操舵装置1は図1に示すように構成されている。図示しないステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト2の下端には図示しないピニオンが設けられ、このピニオンは車体左右方向へ長い図示しないラックと噛み合っている。このラックの両端には前輪を左右方向へ操舵するためのタイロッド3が連結されており、ラックはラックハウジング4に覆われている。そして、ラックハウジング4とタイロッド3との間にはゴムブーツ5が設けられている。
ステアリングホイールを回動操作する際のトルクを補助するため、電動パワーステアリング装置6が設けられている。即ち、ステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとを検出するトルクセンサ7が設けられ、トルクセンサ7の検出値に基づいてラックにギヤ10を介して操舵補助力を付与する電動モータ部8と、電動モータ部8に配置された電動モータを制御する電子制御装置(ECU)部9とが設けられている。電動パワーステアリング装置6の電動モータ部8は、出力軸側の外周部の3箇所が図示しないボルトを介してギヤ10に接続され、電動モータ8部の出力軸とは反対側に電子制御装置部9が設けられている。
図2に示すように、電動モータ部8はアルミニウム合金等から作られた筒部を有するモータハウジング11A及びこれに収納された図示しない電動モータ(三相直流電動モータ)とから構成され、電子制御装置部9は、モータハウジング11Aの軸方向の出力軸とは反対側に配置された、アルミニウム合金等で作られたECUハウジング11B及びこれに収納された図示しない電子制御組立体から構成されている。
モータハウジング11AとECUハウジング11Bはその対向端面で固定ボルトによって一体的に固定されている。ECUハウジング11Bの内部に収納された電子制御組立体は、必要な電源を生成する電源回路部や、電動モータ部8の電動モータを駆動制御するMOSFETやIGBT等からなるパワースイッチング素子を有する電力変換回路や、このパワースイッチング素子を制御する制御回路部からなり、パワースイッチング素子の出力端子と電動モータの入力端子とはバスバーを介して電気的に接続されている。
ECUハウジング11Bの端面にはコネクタ端子組立体を兼用する合成樹脂製の蓋体12が固定ボルトによって固定されている。蓋体12には電力供給用のコネクタ端子形成部12A、検出センサ用のコネクタ端子形成部12B、制御状態を外部機器に送出する制御状態送出用のコネクタ端子形成部12Cを備えている。そして、ECUハウジング11Bに収納された電子制御組立体は、合成樹脂から作られた蓋体12の電力供給用のコネクタ端子形成部12Aを介して電源から電力が供給され、また検出センサ類から運転状態等の検出信号が検出センサ用のコネクタ形成端子部12Bを介して供給され、現在の電動パワーステアリング装置の制御状態信号が制御状態送出用のコネクタ端子形成部12Cを介して送出されている。 ここで、蓋体12はECUハウジング11Bの開口部の全体を覆うような形状になっているが、各コネクタ端子を小型に形成して、ECUハウジング11Bに形成された挿入孔を挿通して電子制御装組立体と接続する構成にしても良いものである。
以上のような構成の電動パワーステアリング装置6においては、ステアリングホイールが操作されることによりステアリングシャフト2がいずれかの方向へ回動操作されると、このステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとをトルクセンサ7が検出し、この検出値に基づいて制御回路部が電動モータの駆動操作量を演算する。この演算した駆動操作量に基づいて電力変換回路部のパワースイッチング素子により電動モータが駆動され、電動モータの出力軸はステアリングシャフト1を操作方向と同じ方向へ駆動するように回動される。出力軸の回動は、図示しないピニオンからギヤ10を介してずししないラックへ伝達され、自動車が操舵されるものである。これらの構成、作用は既によく知られているので、これ以上の説明は省略する。
また、パワーステアリング装置としては、前述のような所謂ピニオンアシスト型のほか、ステアリングホイールが接続されるステアリングシャフト2が回転自在に保持されるコラム部に減速機とともに電動モータ部8及び電子制御部9が配置され、コラム部にアシスト力を付与する所謂コラムアシスト式とすることができる。
図3に電動パワーステアリング装置6の分解斜視図を示している。尚、モータハウジング11Aには通常は電動モータが収納されているものである。そして、上述したようにモータハウジング11AとECUハウジング11Bは別体のアルミニウム合金から作られているが、両ハウジングは同一のハウジングとしても良いものである。
電子制御装置部9は、モータハウジング11A内の電動モータの図示しない出力軸と反対側に結合されたECUハウジング11Bと、ECUハウジング11Bに複数の固定ボルトによって結合された蓋体(図示せず)とから構成されている。蓋体はコネクタ端子組立体を兼用するものであり、合成樹脂から射出成型によって形成されている。尚、この蓋体には各種のコネクタ配線部が同時にインサートモールドによって埋設されている。
ECUハウジング11B及び蓋体とから構成される収容空間には、電源回路部13が設けられ、ECUハウジング11Bの収納空間には電力変換回路部14、ガイドモール板15、制御回路部16が配置されている。電源回路部13、電力変換回路部14、ガイドモール板15、制御回路部16は電子制御組立体を構成するものである。
ECUハウジング11Bの内部にはアルミニウム、或いはアルミニウム合金等の金属から作られた放熱基体17が配置されている。この放熱基体17はECUハウジング11Bと一体的に結合されている。また、この放熱基体17の両面には片面実装によって電源回路部13及び電力変換回路部14を構成する電気部品が載置された金属製の第1実装基板18、第2実装基板19が固定されている。
上述した通り、金属製の第1実装基板18と金属製の第2実装基板19の間には所定の厚さを備えるアルミニウムやアルミニウム合金からなる放熱基体17が配置されており、この放熱基体17は放熱部材として機能するもので、ECUハウジング11Bと一体的に結合され、ECUハウジング11Bから外気に放熱できるように構成されている。ここで、金属製の実装基板18、19と放熱基体17は、熱的な接触を高めるため熱伝導性の良い放熱接着剤、放熱シート、放熱グリース等の放熱機能材が第1実装基板18、第2実装基板19と放熱基体17の間に介装されている。
蓋体と放熱基体17の間には、電動モータを駆動するインバータ装置に使用される直流電源の生成を主たる機能とする電源回路部13が配置されている。
この電源回路部13は、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属からなる第1実装基板18の片面上に、コンデンサ、コイル、MOSFETよりなるスイッチング素子、バッテリからの電源側コネクタ端子が接続される電源側コネクタ、電力変換回路部14に高圧電源を供給する高圧側コネクタ端子が接続される高圧側コネクタ、制御回路部16に低圧電源を供給する低圧側コネクタ端子が接続される低圧側コネクタ等の電気部品が実装されている。第1実装基板18は、アルミニウム基板の上に絶縁層を形成し、この絶縁層の上に銅箔からなる配線パターンを印刷して構成されており、この上に電気部品が載置されて夫々の電気部品が電気的に接続されるものである。電源回路部13は、コンデンサやコイル、コネクタ等の比較的形状が大きい(=背が高い)電気部品が使用されている。また、第1実装基板18は消費電力が小さい場合は、樹脂基板にすることも出来る。
そして、放熱基体17の電源回路部13が位置する側と反対側には、電動モータの駆動を主たる機能とするインバータ制御を実行する電力変換回路部14が配置されている。この電力変換回路部14は放熱基体17を境にして電源回路部13としての第1実装基板18に対向するように、電力変換回路部14としての第2実装基板19を配置している。
この第2実装基板19と第1実装基板18との対向面は放熱基体17に熱が相互に伝わりやすいものとなっている。更に、第1実装基板18及び第2実装基板19と放熱基体17の間には熱伝導性の良い放熱接着剤、放熱シート、放熱グリース等の放熱機能材が介装されている。
電力変換回路部14は、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属からなる実装基板19上に、複数のMOSFET、或いはIGBTからなるパワースイッチング素子、及びこれの出力用の出力端子、及びスイッチング素子を制御するゲート、ドレイン、ソース等の入力信号の入力やスイッチング素子の動作状況を制御回路部16にフィードバックするためのコネクタ端子等が実装されている。また、電源回路部13から電力の供給を受けるインバータ側コネクタも設けられている。ここで、電力変換回路部14は、実装基板19と、この実装基板19に実装された電力変換回路からなるものである。
電力変換回路部14とモータハウジング11Aの間には、電力変換回路部14のスイッチング素子のスイッチング制御等を主たる機能とする制御回路部16が配置されている。
ECUハウジング11Bには、モータハウジング11A側に向けて樹脂基板取付ボス20が形成されており、この樹脂基板取付ボス20に制御回路部16の樹脂基板21が取付けボルトで固定されている。
制御回路部16は、合成樹脂等からなる樹脂基板21上に、電力変換回路部14のスイッチング素子等を制御するマイクロコンピュータ等が実装されている。尚、樹脂基板21上には図3に示しているように、マイクロコンピュータ32の周辺回路等の電気部品が配置されている。また、電動モータの回転数や回転位相を検出するための磁気検出素子(例えば、MR素子)も実装されており、電動モータの回転軸に固定されたセンサマグネットMGと協働して電動モータの回転数や回転位相を検出するようにしている。
このように、蓋体からモータハウジング11A側に向かって、電源回路部13、放熱基体17、電力変換回路部14、及び制御回路部16の順番で配置されている。このように電源回路部13から距離を置いて制御回路部16を配置することで、電源ノイズを除去した後に制御回路部16に安定した電源を提供することができるようになる。
さて、上述したように、電動パワーステアリング装置においては電力変換回路が故障した時のバックアップとして、同一機能の電力変換回路を2個用いる冗長化が必要となってきている。そして、この冗長化を実施する場合、今までの電力変換回路に加えて更に同じ電力変換回路が必要となることから、同じ実装基板に2つの電力変換回路を実装することが考えられ、これによれば個別の実装基板に電力変換回路を実装する場合に比べてECUハウジングの軸方向の長さを短くできる。
しかしながら、同じ実装基板を用いると、2つの電力変換回路を実装するためECUハウジングの半径方向の長さが長くなり、ECUハウジングの径方向の外形寸法が大きくなるという新たな課題が発生する。しかも、ECUハウジングの外径形状は、モータハウジングの外径形状に合わせて円筒形状になっているので、実装基板も円筒状のECUハウジング内に収容できる形状に形成されることが望ましい。
したがって、2つの電力変換回路を同一の実装基板に如何に高密度に実装するかが大きな課題となっており、この課題を解決するための実装技術の開発が強く要請されている。
本実施例はこの要請に応えるために、以下に説明する実装技術を提案するものである。
本実施例においては、電力変換回路部の実装基板の外縁から内側に向けてほぼ中央に2つの正極側電源経路を配設し、この正極側電源経路を基準にして実装基板の両側に負極側電源経路、電動モータを制御、駆動する電力変換回路を配設する共に、更に電力変換回路の外側の実装基板に電動モータに繋がる出力端子部を配設する構成を採用したものである。
このような構成の本実施例によれば、実装基板の中央側から周縁部に向けて電力変換回路を配設したので、配線距離を短くできて電力変換回路の実装面積を縮小でき、この結果、冗長化された電力変換回路が実装された実装基板が半径方向に大型化するのを抑制することができるようになる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施例で使用される電動モータMは三相直流電動モータであり、電動モータMにはU相、V相、W相のコイルがステータに巻回されている。そして、この各相のコイルに制御された電力を供給するために電力変換回路部14が設けられている。また、パワースイッチング素子としてMOSFETを使用しているので、以下ではパワースイッチング素子の代表としてMOSFETと表記する。
電力変換回路部14の電力変換回路は、一般的にはインバータ回路として知られており、インバータ回路は基本的には図4に示す構成となっている。
図4は一つの相の回路構成を示しており、正極(=電源)側電源経路22と負極(=接地)側電源経路23の間に、高電位側MOSFET24と低電位側MOSFET25とが直列に接続されている。更に、電動モータMの一つのコイル27に接続された相リレー用MOSFET26が設けられている。
高電位側MOSFET24は、ドレインDA、ゲートGA、ソースSAを備え、ドレインDAは正極側電源経路22に接続されている。また低電位側MOSFET25は、ドレインDB、ゲートGB、ソースSBを備え、ソースSBは負極側電源経路23に接続されている。そして、高電位側MOSFET24のソースSAは低電位側MOSFET25のドレインDBに接続されている。
相リレー用MOSFET26はドレインDC、ゲートGC、ソースSCを備え、ドレインDCは高電位側MOSFET24のソースSAと低電位側MOSFET25のドレインDBの接続点に接続され、ソースSCはコイル27に接続されている。
したがって、制御回路部16から、高電位側MOSFET24、低電位側MOSFET25、及び相リレー用MOSFET26の夫々のゲートGA、GB、GCに制御信号を与えることで、電動モータのコイル27に制御された電力を供給することができるものである。
尚、図4は一つの相に関する回路構成であり、残りの二つの相についても同様に正極側電源経路22と負極側電源経路23の間に同様の回路が接続されるものであり、3相のブリッジ回路が形成される。これらの回路構成からなる電力変換回路が第2実装基板19上に複数(電動モータMの巻線系統数)に実装されるものである。
次に、本実施例になる電力変換回路部14の電子部品の実装状態について図5に基づき説明する。ここで、図5では、高電位側MOSFETをHgihを意味する「H」で示し、低電位側MOSFETをLowを意味する「L」で示し、相リレー用MOSFETをPhaseを意味する「P」で示している。
図5において、電力変換回路部14の第2実装基板19は、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属からなる実装基板であり、この第2実装基板19上に絶縁層を形成した後に絶縁層の上に銅箔からなる配線経路(配線パターン)を印刷し、この上に、複数のMOSFET、及びこれの出力用の出力端子、及びMOSFETを制御するゲート、ドレイン、ソース等の入力信号の入力端子やMOSFETの動作状況を制御回路部16にフィードバックするためのモニタ端子等が実装されている。
そして、第2実装基板19の表面には絶縁領域28がほぼ全面に形成されており、この第2実装基板19のほぼ中央C付近を基準にして、両側(図5上で左右)に第1電力変換回路30と第2電力変換回路31が形成されている。本実施例において、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31はほぼ同じ構成を採用されており、高電位側MOSFETの配置位置が相違している。これについては後述する。
そして、図4の参照番号27に示すモータの巻線はモータの筐体内に2系統内蔵しており、第1電力変換回路30によって第一の巻線へ通電し、同時に第2電力変換回路31によって第二の巻線へ通電している。
よって、パワーステアリング装置6として正常に機能しているときは、要求されるアシストトルクに対して、それぞれの駆動系統で約50%の出力で電動モータMの駆動を行うものである。
ここで、例えば第1電力変換回路30に素子の故障やモータ回路の地絡や短絡等の異常が発生すると、制御回路部16は第1電力変換回路30の動作を停止させるが、第2電力変換回路31の動作は動作を継続しており、電動モータに継続的電力を供給して正常時の最大電流の約半分を供給可能とするものである。一方、第二の巻線に接続された、第2電力変換回路31に故障が発生した場合は、その逆の動作となる。
また、このような制御に代わり、正常状態において、第2電力変換回路31の入出力は遮断しつつ、第1電力変換回路30によって電動モータを制御することもできる。
この場合、要求されるアシストトルクに対して相応の出力(例えばアシストトルクに対して100%となる出力)で電動モータMを駆動させることができる。
ここで、第1電力変換回路30に地絡等の異常が発生すると、制御回路部16は第1電力変換回路30の動作を停止し、これに代わって第2電力変換回路31の動作を開始し、電動モータに電力を供給してバックアップを行うことができる。
図5において、第2実装基板19の絶縁領域28の表面に各MOSFETのドレイン、ソース、ゲート等に繋がる各配線パターンが印刷されている。そして、第2実装基板19のほぼ中央C付近には、図5上で第2実装基板19を縦に横切るように、第1電力変換回路30の第1正極側電源経路32と第2電力変換回路31の第2正極側電源経路33が互いに間隔をもって絶縁された状態で配設されている。
この第1正極側電源経路32と第2正極側電源経路33は、所定の幅を備えてほぼ直線状に延びる形状に形成されており、第2実装基板19の中央C付近を通るように配設されている。また、これらの各正極側電源経路32、33は対応した第1正極側電源端子部34、第2正極側電源端子部35に接続されている。第1正極側電源端子34部、第2正極側電源端子35部は、図示しない電源回路部の正極に接続される。
言い換えれば、第2実装基板19の周縁(端部側)に絶縁した状態で隣接して形成された第1正極側電源端子部34、第2正極側電源端子部35から中央Cに向かって基板を横切るように絶縁された状態で隣接して第1正極側電源経路32と第2正極側電源経路33が形成されている。
また、第1正極側電源端子部34、第2正極側電源端子部35の両側には、後述する第1負極側電源経路38と第2負極側電源経路39が隣接して配置されるとともに、第1正極側電源経路32と第2正極側電源経路33の両側に沿って第2負極側電源経路38と第2負極側電源経路39が配線されている。
尚、第1正極側電源端子部34、第2正極側電源端子部35は、接続ランドとして形成されている。
そして、第1正極側電源経路32の上には、各相の高電位側MOSFET36U、36V、36Wが第1正極側電源経路32を共通にして配置されており、後述する第1正極側電源端子部34が配置される外周方向と反対の外周方向(図5で上側)から順番に、高電位側MOSFET(第1U相)36U、高電位側MOSFET(第1V相)36V、高電位側MOSFET(第1W相)36Wが配置されている。
同様に、第2正極側電源経路33の上には、各相の高電位側MOSFET36U、36V、36Wが第2正極側電源経路33を共通にして配置されており、図5で上から順番に、高電位側MOSFET(第2U相)37U、高電位側MOSFET(第2V相)37V、高電位側MOSFET(第2W相)37Wが配置されている。尚、これらの3相のMOSFETの配置位置の順序は任意であり、電動駆動装置の出力端子の位置に対応して適切な配置位置をとることができる。
ここで、第1正極側電源経路32、第2正極側電源経路33は、図4に示す各相の高電位側MOSFETの共通のドレインDAの接続部として機能している。
各正極側電源経路32、33から実装基板19の外周縁側(外側)には、第1負極側電源経路38、第2負極側電源経路39が配設されている。これらの第1負極側電源経路38と第2負極側電源経路39も、正極側電源経路32、33に沿って所定の幅を備えてほぼ直線状に延びる形状に形成されており、実装基板19に配設されている正極側電源経路32、33に隣接して配設されている。これらの各負極側電源経路38、39は、これに対応した第1負極側電源端子40、第2負極側電源端子41に接続されている。第1負極側電源端子40、第2負極側電源端子41は、図示しない電源回路部の負極に接続されている。ここでも、各負極側電源経路38、39は各相の低電位側MOSFETの共通のソースSBの接続部として機能している。
第1負極側電源経路38、第2負極側電源経路39と第1負極側電源端子40、第2負極側電源端子41の間には、対称位置にシャント抵抗29A、29Bが形成されている。
更に、正極側電源端子34、35と負極側電源端子40、41は夫々隣り合わせに整列させて一直線状に配置されている。
このように、各正極側電源経路32、33と各負極側電源経路38、39が隣接して配設されているため、配線距離が短くなり実装面積を縮小することが可能となる。また、正極電源経路32、33と負極電源経路38、39が隣接配線されることにより、配線が短くなりインダクタンス、ノイズを低減できるようになる。更に、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31の正極側電源端子34、35と負極側電源端子40、41は夫々隣り合わせに整列させて配置されているので、電源回路部13と接続される電源端子が集約でき、実装基板16の接続にかかる面積を集約することができる。また、その構造を簡略化することもできる。
各負極側電源経路38、39から実装基板19の更に外周縁側(正極側電源経路32、33とは反対側となる外側)には、第1接続配線領域42U〜42W、第2接続配線領域43U〜43Wが配設されている。この第1接続配線領域42U〜42W、第2接続配線領域43U〜43Wは、各相に対応して3分割されて夫々が絶縁されており、個々の配線領域に各相の低電圧側MOSFETと相リレー用MOSFETが配置されている。
また、第1接続配線領域42U、42V、42W(第2接続配線領域43U、42V、43W)の配置は、第1正極側電源経路32(第2正極側電源経路33)の配線方向に対して、各相の高電位側MOSFET36U(37U)、36V(37V)、36W(36W)の並び順に対応している。
つまり、第1接続配線領域42U〜42Wには各相の低電圧側MOSFETが夫々絶縁された状態で配置されており、図5で上から順番に、低電位側MOSFET(第1U相)44U、低電位側MOSFET(第1V相)44V、低電位側MOSFET(第1W相)44Wが配置されている。
同様に、第2接続配線領域43U〜43Wの上には各相の低電圧側MOSFETが夫々絶縁された状態で配置されており、図5で上から順番に、低電位側MOSFET(第2U相)45U、低電位側MOSFET(第2V相)45V、低電位側MOSFET(第2W相)45Wが配置されている。
また、第1接続配線領域42U〜42Wの上には、各相の低電位側MOSFETと共に、各相の相リレー用MOSFETの夫々が絶縁された状態で配置されている。第1接続配線領域42には図5で上から順番に、相リレー用MOSFET(第1U相)46U、相リレー用MOSFET(第1V相)46V、相リレー用MOSFET(第1W相)46Wが配置されている。
同様に、第2接続配線領域43U〜43Wの上には各相の相リレー用MOSFETが配置されており、図5上で上から順番に、相リレー用MOSFET(第2U相)47U、相リレー用MOSFET(第2V相)47V、相リレー用MOSFET(第2W相)47Wが配置されている。第1接続配線領域42U〜42W、第2接続配線領域43U〜43Wは図4に示すソースSA、ドレインDB、ドレインDCの接続部の機能を備えている。
図5からわかるように、各相の高電位側MOSFETと低電位側MOSFET及び相リレー用MOSFETの夫々は、正極側電源経路32、33の配線方向に沿って、整列されており、配線の引き回しが容易となり、実装基板19の小型化にも寄与するものである。
より好ましくは、正極側電源経路32、33と平行な状態でほぼ同一線上に配置することで、さらに配線の引き回しが容易となり、実装基板19の小型化にも寄与することができる。
更に、高電位側MOSFETが配置されている正極側電源経路32、33と低電位側MOSFETが配置されている接続配線領域42U〜42W、43U〜43Wの間には、負極側電源経路38、39が配設されている。このため、高電位側MOSFETと低電位側MOSFETの間にある負極側電源経路38、39を飛び越えて、高電位側MOSFETと低電位側MOSFETを接続する必要がある。
したがって、高電位側MOSFET(第1U相)36Uと低電位側MOSFET(第1U相)44Uの間にはジャンパ線48Uが設けられ、高電位側MOSFET(第1V相)36Vと低電位側MOSFET(第1V相)44Vの間にはジャンパ線48Vが設けられ、
高電位側MOSFET(第1W相)36Wと低電位側MOSFET(第1W相)44Wの間にはジャンパ線48Wが設けられている。
同様に、高電位側MOSFET(第2U相)37Uと低電位側MOSFET(第2U相)45Uの間にはジャンパ線49Uが設けられ、高電位側MOSFET(第2V相)37Vと低電位側MOSFET(第2V相)45Vの間にはジャンパ線49Vが設けられ、高電位側MOSFET(第2W相)37Wと低電位側MOSFET(第2W相)45Wの間にはジャンパ線49Wが設けられている。
ここで、第1電力変換回路30側においては、高電位側MOSFET36U〜36Wと低電位側MOSFET44U〜44Wとは互いに同じ位置で対向して配置されており、ジャンパ線48U〜48Wは図5上で各MOSFETの上側で相互のMOSFETを接続している。
これに対して、第2電力変換回路31側においては、第1電力変換回路30側の高電位側MOSFET36U〜36Wに対して、高電位側MOSFET37U〜37Wは高電位側MOSFET36U〜36Wとは互いに1つのMOSFET分だけずれた上側(第2正極側電源端子部35及び第2負極側電源端子部41が配置される外周方向と反対側の外周方向)の位置に配置されている。更に、高電位側MOSFET37U〜37Wと低電位側MOSFET45U〜45Wとは互いに1つのMOSFET分だけずれた下側(第2正極側電源端子部35及び第2負極側電源端子部41側の外周方向)の位置で対向して配置されている。
そして、高電位側MOSFET37U〜37Wのジャンパ線49U〜49Wの接続部は、第1電力変換回路30側の高電位側MOSFET36U〜36Wとは異なり、図5にある通り下側で低電位側MOSFET45U〜45Wと接続されている。したがって、各ジャンパ線48U〜48W、49U〜49Wは同じ位置に対称に配置されることになる。
第1接続配線領域42U〜42W、第2接続配線領域43U〜43Wから実装基板19の更に外周縁側(第1正極側電源経路32、第2正極側電源経路33とは反対側となる外側)には第1出力配線領域50U〜50W、第2出力配線領域51U〜51Wが配設されている。この第1出力配線領域50U〜50W、第2出力配線領域51U〜51Wは、各相に対応して3分割されて夫々が絶縁されており、個々の配線領域に各相の出力端子が配置されている。
第1出力接続配線領域50U〜50Wには各相の出力端子部が接続ランドとして夫々絶縁されて配置されており、図5上で上から順番に、第1U相出力端子部52U、第1V相出力端子部52V、第1W相出力端子部52Wが配置されている。同様に、第2出力配線領域51U〜51Wには各相の出力端子部が夫々絶縁されて配置されており、図5上で上側(第2正極側電源端子部35及び第2負極側電源端子部41が配置される外周方向と反対側の外周方向)から順番に、第2U相出力端子部53U、第2V相出力端子部53V、第2W相出力端子部53Wが配置されている。
したがって、第1電力変換回路30は、第1正極側電源経路32を基準にして、高電位側MOSFET(第1U相)36U、高電位側MOSFET(第1V相)36V、高電位側MOSFET(第1W相)36Wが配置され、これより周縁側(=外側)に低電位側MOSFET(第1U相)44U、低電位側MOSFET(第1V相)44V、低電位側MOSFET(第1W相)44Wが第1正極側電源経路32と平行に配置され、また、これより周縁側(=外側)に相リレー用MOSFET(第1U相)46U、相リレー用MOSFET(第1V相)46V、相リレー用MOSFET(第1W相)46Wが第1正極側電源経路32と平行に配置され、更にこれより周縁側(=外側)に第1U相出力端子52U、第1V相出力端子52V、第1W相出力端子52Wが第1正極側電源経路32と平行に配置されている。
同様に、第2電力変換回路31は、第2正極側電源経路33を基準にして、高電位側MOSFET(第2U相)37U、高電位側MOSFET(第2V相)37V、高電位側MOSFET(第2W相)37Wが配置され、これより周縁側(=外側)に低電位側MOSFET(第2U相)45U、低電位側MOSFET(第2V相)45V、低電位側MOSFET(第2W相)45Wが第2正極側電源経路33と平行に配置され、また、これより周縁側(=外側)に相リレー用MOSFET(第2U相)47U、相リレー用MOSFET(第2V相)47V、相リレー用MOSFET(第2W相)47Wが第2正極側電源経路33と平行に配置され、更にこれより周縁側(=外側)に第2U相出力端子53U、第2V相出力端子53V、第2W相出力端子53Wが第2正極側電源経路33と平行に配置されている。
このように、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31は、実装基板19の中央付近に配線された第1正極側電源経路32および第2正極側電源経路33を基準にして左右にほぼ対称に形成されるように展開されている。そして、周縁側(=外側)に向かって高圧側MOSFET、低圧側MOSFET、相リレー用MOSFETの順序で各素子が、正極側電源経路の伸長方向(図5で縦方向)に対して直交する方向に配置されているため、配線の長さを短くできるので実装面積を縮小できるようになる。また、正極側電源経路32、33と負極側電源経路38、39が隣接して配線されることによりインダクタンス、ノイズを低減できるようになる。
図5に戻って、第1電力変換回路30の各出力端子部52U、52V、52Wと、第2電力変換回路31の各出力端子部53U、53V、53Wは、図5に破線VLで示すように縦方向に同一線上に平行に配置されている。また、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31の正極側電源端子部34、35と負極側電源端子部40、41は、図5に破線HLで示すように横方向に同一線上に配置されている。
そして、図5にあるように、第1電力変換回路30の各出力端子52U、52V、52W、及び第2電力変換回路31の各出力端子部53U、53V、53Wの配置方向(破線VL)と、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31の正極側電源端子部34、35と負極側電源端部子40、41の配置方向(破線HL)は直交する形態で配置されている。
このような構成とすることで、円筒状のECUハウジング11Bの形状に沿って実装基板19の外形形状が形成されているので、第1電力変換回路30と第2電力変換回路31の各出力端子52U、52V、52W、53U、53V、53Wと、各電源端子34、35、40、41を円筒形状に合せて配置できるので、第2実装基板19の縮小化を図ることができるようになる。
また、図5において第1電力変換回路30の高電位側MOSFET36U、36V、36Wと第2電力変換回路31の高電位側MOSFET37U、37V、37Wとは、一段だけ段違いにずらされて配置されている。このような配置にすることで、一方の電力変換回路の端側のMOSFETが上側、或いは下側に位置するようになるので、ECUハウジング11Bの円筒形状に沿った形状の実装基板19の実装面を有効に活用できる。
すなわち、高電位側MOSFET36U、36V、36Wと高電位側MOSFET37U、37V、37Wを衝き合わせるようにして実装基板19の中央付近に集約させると、端側の高電位側MOSFETの部分は、実装基板19の外周縁に近くなるため、十分な実装面積を得られなくなる。このため、この部分の実装面積を確保するためには、実装基板を大きくする必要がある。これに対して、図5に示すような高電位側MOSFET36U、36V、36Wと高電位側MOSFET37U、37V、37Wの配置構成をとれば、実装基板19の外周縁に近い部分は1個のMOSFETだけとなるので、十分な実装面積を得られるようになる。
尚、モータ筐体の曲面に合わせて第2実装基板19をより円形とするときは、モータ筐体の曲面に沿って第1電力変換回路30の各出力端子52U、52V、52W、及び第2電力変換回路31の各出力端子53U、53V、53Wの配置や、正極側電源端子部34、35と負極側電源端部子部40、41の配置を変位させても良い。
また、図5に示すように各電力変換回路30、31の周囲には各MOSFETのゲート入力端子が配置されている。第1電力変換回路30の高電位側MOSFET36U、36V、36Wの対応するゲート入力端子部は、高電位側第1U相ゲート入力端子部54U、高電位側第1V相ゲート入力端子部54V、高電位側第1W相ゲート入力端子部54Wとして、図面上側の高電位側MOSFET36Uに近接して配置されている。
同様に、第2電力変換回路31の高電位側MOSFET37U、37V、37Wの対応するゲート入力端子部は、高電位側第2U相ゲート入力端子部55U、高電位側第2V相ゲート入力端子部55V、高電位側第2W相ゲート入力端子部55Wとして、図面上側の高電位側MOSFET37Uに近接して配置されている。
このように、高電位側第1U相ゲート入力端子部54U、高電位側第1V相ゲート入力端子部54V、高電位側第1W相ゲート入力端子部54W、及び高電位側第2U相ゲート入力端子部55U、高電位側第2V相ゲート入力端子部55V、高電位側第2W相ゲート入力端子部55Wは、実装基板19の外周縁に近接して配置されている。
また、第1電力変換回路30の低電位側MOSFET44U、44V、44Wの対応するゲート入力端子部は、低電位側第1U相ゲート入力端子部56U、高電位側第1V相ゲート入力端子部56V、高電位側第1W相ゲート入力端子部56Wとして、図面の上側及び下側の低電位側MOSFET44U、44Wに近接して配置されている。
同様に、第2電力変換回路31の低電位側MOSFET45U、45V、45Wの対応するゲート入力端子部は、低電位側第2U相ゲート入力端子部57U、低電位側第2V相ゲート入力端子部57V、低電位側第2W相ゲート入力端子部57Wとして、図面の上側及び下側の低電位側MOSFET45U、45Wに近接して配置されている。
このように、低電位側第1U相ゲート入力端子部56U、低電位側第1V相ゲート入力端子部56V、低電位側第1W相ゲート入力端子部56W、及び低電位側第2U相ゲート入力端子部57U、低電位側第2V相ゲート入力端子部57V、低電位側第2W相ゲート入力端子部57Wは、実装基板19の外周縁に近接して配置されている。
また、第1電力変換回路30の相リレー用MOSFET46U、46V、46Wの対応するゲート入力端子部は、相リレー用第1U相ゲート入力端子部58U、相リレー用第1V相ゲート入力端子部58V、相リレー用第1W相ゲート入力端子部58Wとして、図面の上側及び下側の相リレー用MOSFET46U〜46Wに近接して配置されている。
同様に、第2電力変換回路31の相リレー用MOSFET47U、47V、47Wの対応するゲート入力端子部は、相リレー用第2U相ゲート入力端子部59U、相リレー用第2V相ゲート入力端子部59V、相リレー用第2W相ゲート入力端子部59Wとして、図面の上側及び下側の相リレー用MOSFET46U〜46Wに近接して配置されている。
このように、相リレー用第1U相ゲート入力端子部58U、相リレー用第1V相ゲート入力端子部58V、相リレー用第1W相ゲート入力端子部58W、及び相リレー用第2U相ゲート入力端子部59U、相リレー用第2V相ゲート入力端子部59V、相リレー用第2W相ゲート入力端子部59Wは、第2実装基板19の外周縁に近接して配置されている。
以上の通り、高電位側MOSFET36U〜36W、37U〜37W、低電位側MOSFET44U〜44W、45U〜45W、及び相リレー用OSFET46U〜46W、47U〜47Wの各ゲート入力端子部54U〜54W、55U〜55W、56U〜56W、57U〜58W、58U〜58W、59U〜59Wは、第2実装基板19における各MOSFETの配列方向に沿った第2実装基板19の周縁部に配置されることになる。これによって各ゲート入力端子と各MOSFETをつなぐゲート信号線を負極側電源経路38、39や接続配線領域42U〜42W、43U〜43Wに沿って配線しやすくなり、配線距離の短縮ができるようになる。
また、高電位側MOSFET36U〜36W、37U〜37W、及び低電位側MOSFET44U〜44W、45U〜45Wのゲート信号線の配置等については図6に示すような構成とされている。尚、図6(第一変換部詳細)は第1電力変換回路30について示しているが、第2電力変換回路31についても同様の構成となっている。
図6において、高電位側MOSFET36U〜36Wのゲート信号線に繋がれたゲートや対応するソースが形成された各相の第1高電位側MOSFET接続領域60U〜60Wは、第1正極側電源経路32と第1負極側電源経路38の間に所定の間隔、好ましくは等間隔に配置されている。そして、第1高電位側MOSFET接続領域60U〜60Wの端子方向は第1正極側電源経路32に向いて配置されている。
これによって、電動モータのコイルの相毎に第1高電位側MOSFET接続領域60U〜60Wを第1正極側電源経路32に沿って配置可能となり、第1正極側電源経路32の形状の複雑化を抑制することができる。
同様に、第1接続配線領域42U〜42Wに対向する第1負極側電源経路38には、第1負極側電源経路38に沿って、第1高電位側MOSFET接続領域60U〜60Wが配置されている位置と対応する位置に、第1低電位側MOSFET接続領域62U〜62Wが配設されている。
つまり、各相の第1低電位側MOSFET接続領域62U〜62Wは、第1負極側電源経路38に所定の間隔、好ましくは等間隔に配置されている。そして、第1低電位側MOSFET接続領域62U〜62Wの端子方向は低電位側MOSFET44U〜44Wに向いて配置されている。
これによって、電動モータのコイルの相毎に第1低電位側MOSFET接続領域62U〜62Wを第1負極側電源経路32に沿って配置可能となり、第1負極側電源経路32の形状の複雑化を抑制することができる。
尚、第1低電位側MOSFET接続領域62U〜62Wと第1接続配線領域42U〜42Wの間に低電位側MOSFET44U〜44Wのゲート信号線64を配置する構成を採用している。これによって、特に低電位側MOSFET(第1V相)44Vのゲート信号線64Vをジャンパ線を用いないで配線することができる。図6からわかるように、低電位側MOSFET(第1V相)44Vのゲート信号線64Vは、低電位側MOSFET(第1U相)44Uを越えて横切るように配線されている。このため、低電位側MOSFET(第1U相)44Uと干渉しないで配線することが必要である。
本実施例では図7に示しているように、第1低電位側MOSFET接続領域62Uと第1接続配線領域42Uの間に、低電位側MOSFET(第1V相)44のゲート信号線64Vを配置する構成を採用している。そして、図7にある通り、第1低電位側MOSFET接続領域62Uと低電位側MOSFET(第1V相)44はCu材からなる端子リード66Vによってゲート信号線64Vを跨ぐように構成されている。これによって、ジャンパ線を削減できる共に、これに伴う実装面積の低減、コスト低減、インダクタンス成分の増加を抑制することが可能となる。
以上述べたように本実施例によれば、実装基板のほぼ中央に2つの正極側電源経路及び負極側電源経路を隣接して配設し、この2つの正極側電源経路及び負極側電源経路を基準にして実装基板の両側に、電動モータを制御、駆動する電力変換回路を構成する各相毎のMOSFETを正極側電源経路に直交するように配設する共に、更に電力変換回路の外側の実装基板に電動モータに繋がる出力端子を配設した構成とした。
本実施例によれば、実装基板の中央から周縁部に向けて冗長系の電力変換回路をほぼ対称に配設できるので、配線距離を短くできて回路基板の実装面積を縮小できる。この結果、冗長化された電力変換回路が実装された実装基板が半径方向に大型化するのを抑制することができる。
次に本発明の第2の実施例について図8に基づき説明する。本実施例は基本的には第1実施例と同じ構成であるが、高電位側MOSFETの配置位置と、高電位側MOSFETと低電位側MODFETとをつなぐジャンパ線の配置位置が異なっている点で相違している。尚、基本的な作用、効果は実施例1と同じであるので、以下ではこれ以外の作用、効果について説明する。
また、図8においては実施例1と基本的に同じ構成なので、参照番号について必要な構成部品以外については省略して付していない。必要であれば図5を参照されたい。
さて、図8において、第1電力変換回路30の構成は実施例と同一である。一方、第2電力変換回路31では、高電位側MOSFET37U〜37Wは、第1電力変換回路30の高電位側MOSFET36U〜36Wと互いに同じ位置で対向して配置されている。ただ、ジャンパ線49U〜49Wの接続位置は、図8上で実施例1とは反対に高電位側MOSFET37U〜37Wの下側(第2正極側電源端子部35、負極側電源端部子部41側)に設定されている。
同様に、高電位側MOSFET37U〜37Wと低電位側MOSFET45U〜45Wとは互いに同じ位置で対向して配置されている。ただ、これもジャンパ線49U〜49Wの接続位置は、図8上で実施例1とは反対に低電位側MOSFET45U〜45Wの下側に設定されている。そして、ジャンパ線49U〜49Wは高電位側MOSFET37U〜37Wと低電位側MOSFET45U〜45の下側で夫々を接続することになる。
したがって、第1電力変換回路30の各ジャンパ線48U〜48Wに対して、第2電力変換回路31のジャンパ線49U〜49Wは1つのMOSFET分だけ下側(第2正極側電源端子部35、負極側電源端部子部41側)にずれて配置されることになる。このような配置にすることで、第2電力変換回路31のジャンパ線49U〜49Wが下側に位置するようになるので、ECUハウジング11Bの円筒形状に沿った形状の実装基板19の実装面を有効に活用できる。
例えば、高電位側MOSFET36U、36V、36Wと高電位側MOSFET37U、37V、37Wを衝き合わせるようにし、しかもジャンパ線を同じ位置で実装基板19の中央付近に集約させると、端側のジャンパ線は、実装基板19の外周縁に近くなるため、十分な実装面積を得られなくなる。このため、この部分の実装面積を確保するためには、実装基板を大きくする必要がある。これに対して、図8に示すようなジャンパ線の配置構成をとれば、実装基板19の外周縁に近い部分は1個のジャンパ線となるので、十分な実装面積を得られるようになる。
次に本発明の第3の実施例について図9に基づき説明する。本実施例は実施例1に示す正極側電源経路及び負極側電源経路の関係を置き換えたものであり、負極側電源経路を基準にして外側に正極側電源経路を配置した点、及びこれに伴って高電位側MOSFETと低電位側MOSFETの配置方向が異なっている点で相違している。
尚、基本的な作用、効果は実施例1と同じであるので、以下ではこれ以外の作用、効果について説明する。
また、図9においては説明に必要な構成部品以外については参照番号を省略して付していない。ゲート信号線等の構成は基本的には実施例1と同様、或いは等価であるので説明を省略する。
図9において、実装基板19の絶縁領域28の表面に各MOSFETのドレイン、ソース、ゲート等が接続される各配線パターンが印刷されている。そして、実装基板19のほぼ中央付近には、図9上で第2実装基板19を第1負極側電源端子72、第2負極側電源端子73から反対側周縁部に向かって縦に横切るように、第1電力変換回路30の第1負極側電源経路70と第2電力変換回路31の第2負極側電源経路71が互いに間隔をもって絶縁された状態で配設されている。
この第1負極側電源経路70と第2負極側電源経路71は、所定の幅を備えてほぼ直線状に延びる形状に形成されており、実装基板19の中央付近に配設されている。ここで、各負極側電源経路70、71は、図4に示す各相の低電位側MOSFETの共通のソースSBの接続部として機能している。また、これらの各負極側電源経路70、71は対応した第1負極側電源端子部72、第2負極側電源端子部73に接続されている。
また、各負極側電源経路70、71から実装基板19の外周縁側(外側)には、第1正極側電源経路74、第2正極側電源経路75が配設されている。これらの第1正極側電源経路74と第2正極側電源経路75は、負極側電源経路70、71に対して平行になる部分と、この平行部分から直交するように所定の幅を備えてほぼ直線状に、第1正極側電源経路74、第2正極側電源経路75と平行に外周縁側に延びる形状に形成されて第2実装基板19に配設されている。
即ち、第1正極側電源経路74と第2正極側電源経路75は、負極側電源経路70、71の両側に配線される第1配線部74aと、第1配線部74aから後述する第1U相出力端子86U、第1V相出力端子86V、第1W相出力端子86Wないし、第2U相出力端子87U、第2V相出力端子87V、第2W相出力端子87Wが配置されている外周縁側に向きを変えて屈曲して配線された第2配線部75bと、該第2配線部75bと絶縁領域を介して対向し、負極側電源経路70、71の配線方向に配線される第3配線部74cU,74cV、74cW、75cU,75cV、75cWとを備えている。
また、第3配線部74cU,74cV、74cW、75cU,75cV、75cWはモータMの各巻線相毎に配線されている。
これらの各正極側電源経路74、75は、これに対応した第1正極側電源端子76、第2正極側電源端子77に接続されている。尚、ここで、第1正極側電源経路76、第2正極側電源経路77は、図4に示す各相の高電位側MOSFETの共通のドレインDAの接続部として機能している。
そして、第1正極側電源経路74の第2配線部74b上には、各相の高電位側MOSFETが配置されており、図9で第1負極側電源経路70を基準として外周側に向けて順番に、高電位側MOSFET(第1W相)78W、高電位側MOSFET(第1V相)78V、高電位側MOSFET(第1U相)78Uが整列して配置されている。
同様に、第2正極側電源経路75のとなる第2配線部75b上には、各相の高電位側MOSFETが配置されており、図9で第2負極側電源経路71を基準として外周側に向けて順番に、高電位側MOSFET(第2W相)79W、高電位側MOSFET(第2V相)79V、高電位側MOSFET(第2U相)79Uが整列して配置されている。
尚、これらの3相のMOSFETの配置位置の順序は任意であり、電動駆動装置の出力端子の位置に対応して適切な配置位置をとることができる。
また、高電位側MOSFET(第1W相)78W、高電位側MOSFET(第1V相)78V、高電位側MOSFET(第1U相)78Uから延びた第1正極側電源経路74の第3配線部74cW、74cV、74cUには、各相の低電圧側MOSFETが夫々絶縁された状態で配置されており、図9で第1負極側電源経路70を基準として外周側に向けて順番に、低電位側MOSFET(第1W相)80W、低電位側MOSFET(第1V相)80V、低電位側MOSFET(第1U相)80Uが配置されている。
同様に、高電位側MOSFET(第2W相)79W、高電位側MOSFET(第2V相)79V、高電位側MOSFET(第2U相)79Uから延びた第2正極側電源経路75の第3配線部75cW、75cV、75cUには、各相の低電圧側MOSFETが夫々絶縁された状態で配置されており、図9で第2負極側電源経路71を基準として外周側に向けて順番に、低電位側MOSFET(第2W相)81W、低電位側MOSFET(第2V相)81V、低電位側MOSFET(第2U相)81Uが配置されている。
また、第2実装基板19の外周側には、第1負極側電源経路70とほぼ平行に各相の相リレー用MOSFETの夫々が絶縁された状態で配置されている。図9で上(第1負極側電源端子部72及び第2負極側電源端子部73が配置される外周側と反対側の外周側)から順番に、相リレー用MOSFET(第1U相)82U、相リレー用MOSFET(第1V相)82V、相リレー用MOSFET(第1W相)82Wが配置されている。
同様に、実装基板19の外周側には、第2負極側電源経路71とほぼ平行に各相の相リレー用MOSFETの夫々が絶縁された状態で配置されている。図9で上から順番に、相リレー用MOSFET(第2U相)83U、相リレー用MOSFET(第2V相)83V、相リレー用MOSFET(第2W相)83Wが配置されている。
更に、高電位側MOSFET(第1W相)78Wと低電位側MOSFET(第1W相)80Wとの間の第1正極側電源経路74の第3配線部74cWと、相リレー用MOSFET(第1W相)82Wとはジャンパ線84Wを介して接続されている。
また、高電位側MOSFET(第1V相)78Vと低電位側MOSFET(第1V相)80Vとの間の第1正極側電源経路74の第3配線部74cVと、相リレー用MOSFET(第1V相)82Vとはジャンパ線84Vを介して接続されている。
同様に、高電位側MOSFET(第2W相)79Wと低電位側MOSFET(第2W相)81Wとの間の第2正極側電源経路75の第3配線部75cWと、相リレー用MOSFET(第2W相)83Wとはジャンパ線85Wを介して接続されている。また、高電位側MOSFET(第2V相)79Vと低電位側MOSFET(第2V相)81Vとの間の第2正極側電源経路75の第3配線部75cVと、相リレー用MOSFET(第2V相)83Vとはジャンパ線85Vを介して接続されている。
尚、第1負極側電源経路70と低電位側MOSFET(第1U相)80U〜低電位側MOSFET(第1W相)80Wの負極側はジャンパ線88Aで接続され、第2負極側電源経路71と低電位側MOSFET(第2U相)81U〜低電位側MOSFET(第2W相)81Wの負極側はジャンパ線88Bで接続されている。
更に、実施例1と同様に第2実装基板19の最外周付近には、上(第1負極側電源端子部72及び第2負極側電源端子部73が配置される外周側と反対側の外周側)から順番に第1U相出力端子86U、第1V相出力端子86V、第1W相出力端子86Wが配置されている。また、上(第1負極側電源端子部72及び第2負極側電源端子部73が配置される外周側と反対側の外周側)から順番に第2U相出力端子87U、第2V相出力端子87V、第2W相出力端子87Wが配置されている。
以上説明した構成によれば、実装基板の中央から周縁部に向けて電力変換回路が配設できるので、配線距離を短くできて回路基板の実装面積を縮小できる。この結果、冗長化された電力変換回路が実装された実装基板が半径方向に大型化するのを抑制することができる。
尚、本実施例においては図10に示しているように、電動モータの回転数や回転位相を検出するための磁気検出素子も実装されており、電動モータの回転軸に固定されたセンサマグネットMGと協働して電動モータの回転数や回転位相を検出するようにしている。そして、電動モータの回転軸SHの先端にはセンサマグネットMGが固定されている。更に、このセンサマグネットMGの近くの制御回路部16には磁気検出素子MRが設けられている。センサマグネットMGは回転軸SHに固定されているので、磁気検出素子MRもこの回転軸SHの近くに位置することになる。
そして、磁気検出素子MRは電気的なノイズに対して影響を受けることがある。例えば、電力変換回路のMOSFETが近くにあると、このMOSFETのスイッチングによる電気的なノイズが磁気検出素子MRに影響する度合い高くなる。これに対して、本実施例では第1負極側電源経路と第2負極側電源経路が中央に存在するため、高電位側MOSFETや低電位側MOSFETの配置位置が、磁気検出素子MRから遠ざかる位置に配置されることになる。これによって、MOSFETのスイッチングによる電気的なノイズが磁気検出素子MRに影響する度合いと低くすることができる。
以上述べた通り本発明によれば、実装基板のほぼ中央に2つの正極側電源経路及び負極側電源経路を隣接して配設し、この2つの正極側電源経路及び負極側電源経路を基準にして実装基板の両側に電動モータを制御、駆動する電力変換回路を配設する共に、更に電力変換回路の外側の実装基板に電動モータに繋がる出力端子を配設した、構成とした。
本発明によれば、実装基板の中央から周縁部に向けて電力変換回路が配設できるので、配線距離を短くできて回路基板の実装面積を縮小できる。この結果、冗長化された電力変換回路が実装された実装基板が半径方向に大型化するのを抑制することができる。
また、この他に、第2実装基板19をECUハウジング11Bの外形に合わせた形状とすることができ、たとえば、本実施例よりさらに円形化することができる。また、他の形状として矩形状や、それらの組合せの形状、とすることが可能である。
また、MOSFETの数はインバータ回路を構成する上で第1電力変換回路および第2電力変換回路とも6個としたが、相リレーMOSFETを削減することも可能である。
また、制御回路部16、第1実装基板18、第2実装基板19をモータMに対しての積層順(配置順)を入れ替えてもよい。
制御回路部のすくなくとも一部の機能回路、電子部品を第2実装基板18に高密度実装して一体的にすることもできる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。