JP6856261B2 - 電気ギター - Google Patents

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Description

本発明は、電気ギターの新たなデザインとその構造に関する。
電気ギターは、弦の振動をピックアップによって電気信号に変換し、その電気信号をジャックに接続したシールドを通じてアンプに伝え、アンプで電気信号を増幅させることでスピーカから音を出力する弦楽器である。電気ギターについては、ストラストキャスタータイプやレスポールタイプ等、歴史的に幾つかの代表的なデザインのものが普及しており、ユーザはその中から好みのデザインや音色等に応じて電気ギターを選んでいる。
その電気ギターの価値を決める音色については、ヘッド、ネック、ボディに使用する木材の材質の影響を受けることが知られている。弦の振動は弦と接するヘッド、ネック、そして弦のボディ側の端部を保持する保持部材であるブリッジやテールピースを通じてボディに伝達される。木製のボディは共鳴体として弦振動によって振動するが、そのボディを伝わる振動がブリッジやテールピースを通じて弦にフィードバックされて弦の振動に加わり、その弦振動をピックアップが電気信号に変換することで電気ギターごとに固有の音色を生じることになる。
このように、弦の振動が伝わるボディの材質によって弦にフィードバックされる振動が異なるため、ボディに使用する木材は電気ギターの音色に大きな影響を及ぼす。例えば、メイプル材は高音域に特長があり、マホガニー材は中低音域に特長があり、アルダー材は高音域から中音域に特長があり、メイプル材と比較して乾いた音質になることが知られている。
ところで、電気ギターに使用できる木材の種類には限りがあることから、木材の種類を変えることで既存の電気ギターと音色について差別化するのは難しい。そのため、木材に熱加工するサーモウッド加工を施した木材を使用する電気ギターや、木質繊維を接着材と共に熱圧成型した繊維板からボディを構成する電気ギターのような木材の加工方法を工夫した電気ギターが徐々に市場に出てきてはいるものの、木材の材質を超えて多様な音色を実現するものは知られていない。
そして木材の材質を変えることで音色を変える前述の方法に共通する課題は、これまでの電気ギターが前述した代表的な基本デザインを踏襲しており、そのため音色についてもデザイン上の制約を受けるということである。前述のとおりボディは電気ギターごとの固有の音色を作り出す弦振動の共鳴体として機能することから、自ずとボディにおける振動伝達性はその形状の影響を受ける。しかしながら、既存の電気ギターの形状は幾つかの基本デザインに固定化されており、既存の基本デザインを超えて多様な音色を実現しようとする新たな電気ギターは市場に出てきていない。即ち、デザインは成熟しており、その進化は止まったままである。
以上のような既存の電気ギターを背景としてなされたのが本発明である。その目的は、木材の材質に依存することなく音色を改善できる新たなデザインの電気ギターを提供することにある。
前記目的を達成すべく本発明は、以下の電気ギターを提供する。
本発明は、ネックと、木製のボディと、前記ボディに取付けられ弦の一端側を保持する保持部材と、を有する電気ギターについて、前記ボディが弦振動を伝達するフレームを備えることを特徴とする。
本発明によれば、既存の木材のみの電気ギターでは実現できない多様な音色を実現することが可能となる。即ち前記ボディが、弦振動を伝達するフレームを備えるため、木製のボディによる振動伝達のみならず、フレームによっても弦振動を木製のボディに伝達させることができる。
前記フレームについては、金属材でなるものとして構成できる。これによれば、弦振動をボディに対して効果的に伝達することができる。金属製のフレームとしては、具体的には内部減衰率が低い金属材料が好ましい。例えばアルミニウム、チタン、コバルトクロム合金等を使用することができる。
前記フレームについては、保持部材の取付部を有するものとして構成できる。これによれば、弦の端部(例えばボールエンド)を保持する保持部材(例えばブリッジ、テールピース)をフレームの取付部に取付けることができるので、弦振動を直接的にフレームに伝達することができる。そしてフレームは外部フレーム部や内部フレーム部を通じて振動をボディに対して伝達することから、ボディ全体の振動伝達性を活かした音色の変化をより確実で効果的に実現することができる。
前記フレームについては、前記ボディの外周を囲む外部フレーム部を有することができる。また、前記フレームについては、前記ボディの内部に配置する内部フレーム部を有することができる。
本発明によれば、既存の木材のみの電気ギターでは実現できない多様な音色を実現することが可能となる。即ち、ボディの外周を囲む外部フレーム部は、ボディの中心側から離れたボディの外周への振動伝達性を向上させることができる。つまりボディの外周が外部フレーム部により包囲されて、その内側に振動伝達を閉じ込めることができるとともに、弦を保持する保持部材から離れているボディの外周側における振動伝達性を高めることができる。したがって、ボディ全体の振動伝達性を活かした音色の変化を効果的に実現することができる。また、ボディの内部に設ける内部フレーム部は、ボディの厚みの内部における振動伝達性を向上することができる。
これら外部フレーム部と内部フレーム部は、その何れか一方を有するものとしてフレームを構成できるが、その双方を合わせ持つフレームとすることで、ボディの外周側と中心側の双方での振動伝達性、即ちボディ全体を活かした振動伝達による音色の改善を効果的に実現することができる利点がある。またフレームはその剛性によって木製のボディの剛性を補強できる。したがって弦の張力や乾燥状態によってボディに生じる反りを抑制することができる。
前記外部フレーム部については、例えば以下の形態で構成することができる。
第1の形態は、ネックとの連結部位を除いてボディの外周全体を包囲する有端環状の形態である。
第2の形態は、ネックとの連結部位についてネック又はボディの裏面側に回り込む部位を設けたり、ネックとの連結部位を迂回するようにボディの内部に埋設する内部フレーム部を設けることで、ボディの外周を包囲する無端環状の形態である。
第3の形態は、ボディの外周に部分的に設ける形態である。これは例えばボディの長手方向に沿う左右の側面に設ける態様や、ボディの先端側に設ける態様等がある。
前記内部フレーム部については、外部フレーム部の少なくとも2つの部位に繋がる形状とすることができる。これによれば、外部フレーム部どうしが内部フレーム部によって繋がるので、例えばボディの右側面にある外部フレーム部の部位とボディの左側面にある外部フレーム部の部位とが内部フレーム部で繋がることにより、ボディの中心側から外周側に振動を伝えやすくなり、その逆もまた振動伝達性が向上する。その結果、ボディ全体の振動伝達性を高めることが可能となる。また、外部フレーム部の異なる部位どうしが内部フレーム部により繋がることで、反りや捻りに対するフレームの全体剛性を高めることができる。そしてフレームの全体剛性が高まることで、木製のボディの剛性の補強効果も高まるので、弦の張力や乾燥状態の変化等により生じる反り等のボディの変形を、さらに効果的に抑制できる利点もある。
このような内部フレーム部は、外部フレーム部の2つ以上の部位を繋ぐものであればよく、部位数については幾つであってもよい。また、内部フレーム部は、ボディの中心側からボディの外周に向かう放射状に伸長するものとして形成することができる。そして、その放射形状の中心には、保持部材の取付部を設けることができ、放射形状の外側端部には外部フレーム部を設けることができる。
前記ボディについては、前記フレームを挟み込んで保持する表板と裏板とを有するものとして構成できる。これによれば、フレームと表板と裏板との組み合わせにより実現できる電気ギターの音色を、木材のみでボディを構成する場合よりも多種多様なものとすることができ、音色の選択の幅を広げることができる。この場合、フレームと表板又は裏板とには連結部を設けるのが好ましい。具体的にはフレームに孔を設け、表板又は裏板にはその孔に圧入する突起を設けるとよく、これとは逆にフレームに突起を設け、表板又は裏板には孔を設けてもよい。これによりフレームに対する表板と裏板の密着性が高まりフレームとボディとの振動伝達性を向上することができる。
前記フレームについては、ボディを嵌め込む嵌合凹部を有するものとして構成できる。これによれば、木製のボディの外周縁がフレームの嵌合凹部に嵌り込むので、フレームにボディを密着させることができ、フレームとボディとの振動伝達性を高めることができる。また、木製のボディの外縁が嵌合凹部に嵌り込むため、ボディの外縁を破損等から保護することができる。
前記ボディは、先端側から中央に向けて切り込むように前記ボディを欠如するカット部を有することができる。このカット部を有する電気ギターによれば、ボディを大きく軽量化でき、それにより音色も改善でき、さらに既存の電気ギターと一線を画した斬新なデザインを実現することができる。
即ち、ボディの重量の違いが音色に影響を与えることが分かってきており、具体的にはボディの重量が軽いほど短い波長(高周波帯域)の音が生じやすく鮮明な音色となる傾向がある反面、ボディの重量が重いと長い波長(低周波帯域)の音が生じやすく不鮮明で鈍い音色となる傾向がある。したがって鮮明な音色を出すにはボディの材料として軽量な木材を使用することが好ましいとされているものの、大きくボディの重量を変えることは困難である。
これに対して本発明であれば、カット部によってボディの重量を軽減することが可能であり、高周波帯域の音が生じやすくなり、より鮮明でクリアーな音色とすることができる。また、ボディの軽量化を、カット部という斬新でありながら美観を損ねない形状要素によって実現していることから、これまでにない既存の電気ギターと一線を画した斬新なギターデザインを実現することができる。
なお、「カット部」は材料を切断して得られる形状部位だけを意味する用語ではなく、材料の切断によらずに形成される形状部位をも含む用語である。したがって、研磨、研削、溶解、材料の成形等、材料の一次加工や二次加工の別を問わず何れによって形作られる形状部位も含まれる。
前記フレームについては、前記カット部に沿う内周フレーム部を有することができる。これによれば、フレームがカット部に沿う内周枠部を有するので、カット部から外部フレーム部又は内部フレーム部に通じる振動伝達経路がボディに形成され、ボディ全体の振動伝達性を向上することができる。
前記保持部材については、内周フレーム部に取り付けることができる。これによれば、ブリッジやテールピース等の保持部材をボディのカット部にある内周フレーム部に取付けることができるので、弦の端部側をボディの表面側からボディの厚み内に位置するカット部へと屈曲させることができる。弦にそのような屈曲部を設けることで、弦の張力を維持しやすくすることができる。また、電気ギターのデザインについても、ブリッジやテールピースである保持部材をボディのカット部に配置するという、既存の電気ギターにない斬新で洗練されたデザインを実現することができる。さらに、ブリッジやテールピース等の保持部材がボディの表面に突出して配置されている従来の電気ギターと比較して、保持部材が奏者の手に当たることがなくなり、演奏の妨げになることを防止することができる。
前記保持部材については、ボディのカット部の内部で弦の一端を固定するテール保持部を有する。これによれば、ボディのカット部の内部からボディの表面側へ弦を張るように、テール保持部によって弦を確実に保持することができる。また、これまでの電気ギターにない斬新なデザインの保持部材を実現することができる。
前記フレームについては、ボディの先端側でカット部を介して対向する前記内周フレーム部の対向部位どうしを繋ぐ先端枠部を有することができる。これによれば、フレームの内周フレーム部どうしがボディの先端側で先端枠部によって繋がるので、カット部を介して離間する内周フレーム部どうしの間に振動伝達経路が形成されることになり、カット部を介して対向するボディの先端部どうしの間での振動伝達性を向上することができる。
前記本発明については、前記カット部に取付けた音響調節部を有することができる。カット部に音響調節部を有するので、ボディの表面又は裏面に音響調節部に配置しなくてもよく、したがって演奏中に音響調節部が奏者の手に引っかかることが無くなり、演奏しやすい電気ギターとすることができる。
前記ボディのカット部は、ボディの中央側から先端側にかけて幅広となる多角形状とすることができる。これによれば、ボディに先端側にかけて幅広となる多角形状のカット部によって、さらに斬新さを強調したデザインを実現することができる。こうした多角形状としては、例えば略台形状とすることができる。ボディの中央側から先端側に向けて広がる台形状のカット部を有することで、ボディがカット部を介して対向する双頭の尖頭形状となり、さらに斬新さを強調しながらも美観を損ねることのないデザインを実現することができる。
前記ボディについては、表面又は裏面から外周に向かう傾斜面を有するものとして構成できる。これによれば、ボディの周縁部分の体積を削減して軽量化することができる。そのため短い波長の音が生じやすくすることができ、電気ギターの音色を鮮明なものとすることができる。また、傾斜面が日本刀の刃文のような意匠的印象をもたらし、鋭利で迫力のある意匠的印象を奏することができる。
前記本発明の前記ネックと前記ボディについては、ネックジョイント構造として蟻組連結部を有することができる。
既存のネックジョイント構造には、ボディとネックをボルト(ネジ)で固定する「デタッチャブル・ネック」、ボディとネックを接着固定する「セットネック」、ネック材をボディエンドまで伸長させ、その左右にボディ(ウィング)を接着固定する「スルーネック」の3種類が知られている。しかしながら「デタッチャブル・ネック」は、ボディとネックをボルト止めするため、ネックとボディとの生じる僅かな隙間によってネックからボディへの振動伝達性が低下してしまうという課題がある。また、ボルト締めの強さの度合いによってボディとネックの密着性が変化するため、振動伝達性も変化して音色が変わってしまうという課題がある。「セットネック」は、接着固定するため、ネックの取外しが不可能であるか極めて困難であり、折れたネックの交換やメンテナンス性に劣るという課題がある。また、ネックとボディとの間に接着層が介在するため、そこで振動伝達の媒質が変わるため、振動伝達性の面でも劣るという課題がある。そして「スルーネック」についてもセットネックと同様の課題がある。
これに対して本発明では、ネックとボディを日本の伝統的な宮大工の技術を応用した前記蟻組連結部により連結する。エレキギターでは、弦1本あたり約5kgf(49N)を超える張力が作用しており、6弦を合計すると約40kgf(392N)を超える張力が作用しているのが一般的である。エレキベースはこれをさらに上回り、エレキギターよりも弦が太くて強いため、より大きな力で張っており、4弦を合計すると約80kgf(784N)を超える張力が作用しているのが通常である。
前記蟻組連結部は、こうした弦の張力をネックとボディの密着性を高める力として利用する。蟻組を構成する蟻溝と蟻との対向面が、前述した弦の大きな張力の作用によって相互に密着する方向に付勢され、デタッチャブル・ネックにおけるボルトの締付力よりも遙かに大きな力で密着させることができる。本発明ではこうした密着性の高いネックジョイント構造でネックとボディとを連結することが可能であり、その密着性の高さによってネックからボディに入力される振動の伝達性も大きく向上することができる。
強固な密着力を実現しながらも、セットネックやスルーネックのように接着剤を用いることは必須ではない。したがって弦の張力が解かれていれば、ネックとボディとの着脱は極めて容易であり、ネックやヘッドが破損した場合でもボディから容易に取外すことができて交換作業を楽に行うことができる。また、ネックとボディとの間に接着層がなければ、接着層による振動の伝達性の低下も起こらず、ネックからボディへの振動伝達性も良好であり、そしてボディの振動伝達性の向上により音の響きをよくすることができ、電気ギターの音色をより鮮明にできる効果がある。
前記蟻組連結部については、前記ボディの表面側に溝が開口する蟻溝部と、前記ネックの裏面に設けた蟻部とを有するものとして構成できる。これによれば、蟻溝部の長さ方向に沿って蟻部が挿入され、その長さ方向に対する直交方向(ボディの表面に対する垂直方向)で、ネックの蟻部の側面が弦の張力によってボディの蟻溝部の溝面を押圧して密着状態で係止することができる。
前記蟻組連結部は、前記弦の張力によって相互に当接するボディとネックに設けた一対の係止面を有するものとして構成できる。これによれば、ボディとネックに設けた一対の係止面が弦の張力によって相互に密着状態で係止することができる。その「一対の係止面」は蟻溝部の溝面と蟻部の側面により構成することができる。
本発明によれば、既存の電気ギターの基本デザインを超えて、音響面に優れており、これまでに無かった斬新なデザインを有する電気ギターを実現することができる。
このような本発明は、エレキギターやベースギター等、様々な電気ギターとして実現することが可能であるため、電気ギターのデザインや技術にカテゴリーを超えた革新をもたらすことができる。
一実施形態の電気ギターを示す斜視図。 図1の電気ギターの正面図。 図2の背面図。 図1の電気ギターのボディの分解斜視図。 図4のA−A断面図。 図1の電気ギターのフレームを示す斜視図。 図1の電気ギターのネック及びヘッドの斜視図。 図7のB−B断面図。 図1のテールピースの正面図。 図1のテールピースの取付状態を示す側面図。 変形例によるフレームの平面図。 変形例による蟻溝部を示す説明図。
以下、本発明の一実施形態による電気ギターについて図面を参照しつつ説明する。本実施形態では電気ギター1の例としてエレキギターを説明するが、本発明は適宜変更を加えることでベースギターとして実施することも可能である。
本明細書、図面では、例えば図1で示すように電気ギター1の長手方向(前後方向)をX方向とし、「+X」を電気ギター1の先端側、「−X」を後端側とする。同様に電気ギター1の幅方向をY方向とし、「+Y」を右側、「−Y」を左側とする。そして電気ギター1の厚み方向をZ方向とし、「+Z」を電気ギター1の表面側、「−Z」を裏面側として説明する。しかしながらこれらの方向の特定は電気ギター1の使用方法等を限定するものではない。
電気ギターの全体構成〔図1〜3〕:
電気ギター1は、ボディ2と、ボディ2に接続されたネック3と、ネック3の後端側(−X)に設けられたヘッド4と、ヘッド4からネック3を経てボディ2に張られた弦5を備えている。
ボディの構成〔図1〜6〕:
ボディ2は、表板6、裏板7及びフレーム8を備える。表板6と裏板7は、フレーム8の表面8aと裏面8bに固定されている。その固定方法として、本実施形態のフレーム8には、表面8aと裏面8bに嵌合凹部8cがそれぞれ形成されており、そこに表板6と裏板7を圧入して密着状態で嵌め込むことで固定している。
表板6と裏板7のフレーム8に対する固定力を高めるために、嵌合凹部8cの底面8dや側面8eの全部または一部に接着層を設けるようにしてもよい。但し、こうした接着層は弦振動が伝わる媒質として表板6、裏板7、フレーム8とは異質であることから、使うとしても部分的に設ける方が良い。
表板6、裏板7、フレーム8を組み合わせたボディ2は、表板6と裏板7との間にフレーム8の板厚に相当する図示せぬ空洞を有する。そしてボディ2は、弦振動の共鳴体として振動することで、その形状、構造、木材の材質等に由来する固有の振動を生成し、その振動が弦5の振動にフィードバックされて、この電気ギター1に固有の音色を生み出すことになる。
ボディ2には、中央側から先端側(+X)に向けて漸次幅広となる扇形孔9が形成されている。この扇形孔9は本発明の「カット部」を構成するものである。
ボディ2の周縁部分には、表板6及び裏板7の中央側から外周のフレーム8の側に向けて、表板6と裏板7の板面が滑らかに傾斜する傾斜面2aが形成されている。この傾斜面2aは、電気ギター1の後端側(−X)から先端側(+X)に向けて漸次幅広となる形状とされており、あたかも日本刀の刀身に見られる刃文のような外観上の印象を与えるデザイン要素となっている。これによって電気ギター1は、後端側(−X)から先端側(+X)に向けて徐々に刃文が広がることで、ボディ2に鋭利で迫力のある意匠的印象を奏するものとなっている。
表板の構成〔図1,2,4〕:
表板6は木材でなり、先端側(+X)には扇形孔9を構成する扇形状の切欠部6aを有する。切欠部6aは、表板6の先端側から中央側に向けて凹状に木材を欠如して形成されており、これによって表板6には切欠部6aを介して対向する一対の尖頭部6bが形成されている。表板6の材質としては、ヒノキ、セン、ハンノキ、イタヤカエデ、シナ等、楽器として用いた場合に音響特性に優れた木材や、それにサーモウッド加工等を施した加工木材を用いることができる。
表板6の表面には、弦5の振動を電気信号に変換するピックアップ10a、10bと、弦5を支持するブリッジ11が取付けられており、弦5はこれらの上に張り渡されている。ボディ2の内部にはピックアップ10a、10bと電気的に接続されるトーンコントロール、ボリュームコントロール、アンプへの出力端子となるジャック、それらを繋ぐ配線等の電気部品が配置される。フレーム8の外周面にはジャックの差込口8fが形成されている。
表板6のネック3側の先端部には、図4、図5で示すようにネック3との蟻組みのための蟻溝部12が形成されている。この蟻溝部12は本発明の「蟻組連結部」を構成するものである。
蟻溝部12は、溝底面12aの幅W1が上端の開口縁12bの幅W2よりも広く形成されている。また、蟻溝部12は、後述するネック3の蟻部13を挿入する挿入口12cから挿入方向奥側の奥壁12dにかけて、溝底面12aの幅W1と開口縁12bの幅W2が徐々に僅かに狭くなるように形成されている。
裏板の構成〔図3〕:
裏板7は木材でなり、表板6と同様に、先端側(+X)に扇形孔9を構成する扇形状の切欠部7aが形成されており、その両側には対向する一対の尖頭部7bが形成されている。裏板7も表板6と同様に、ヒノキ、セン、ハンノキ、イタヤカエデ、シナ等、楽器として用いた場合に音響特性に優れた木材やその加工木材が用いられている。なお、表板6と裏板7の木材の材質は同一である必要は無く、表板6と裏板7の材質を変化させることで、様々な音響特性の電気ギター1とすることができる。
フレームの構成〔図1〜4,6,10〕:
図6はフレーム8の斜視図である。フレーム8の材質としては種々の金属材料を用いることができ、例えばアルミ合金、チタン合金、コバルトクロム合金等を用いることができる。アルミ合金の場合には、切削加工性が良く製造が容易であり、また軽量なフレーム8が得られる。チタン合金の場合には、アルミ合金よりも硬くて軽量であることから、剛性が高く軽量なフレーム8が得られる。コバルトクロム合金の場合にはアルミ合金やチタン合金よりも高硬度、高機械強度を有する金属であることから振動伝達性に優れており、電気ギター1の音色をより鮮明なものとすることができるため好ましい。
フレーム8は、外枠部8A、内枠部8B、内周枠部8C、先端枠部8Dを有する形状となっている。
外枠部8Aは、ボディ2の外周に設ける部分であり、本発明の「外部フレーム部」を構成する。具体的には、左右の側面部8A1が形成されている。本実施形態の外枠部8Aにはカッタウェイ8A1a、8A1bが形成されている。即ち、ダブルカッタウェイであり、そのうちの比較的長く突出するカッタウェイ8A1aには、電気ギター1にストラップ(図示略)を取付ける際に、ストラップの端部をカラビナ等で取付けるための環状の取付孔8A1cが形成されている
内枠部8Bは、ボディ2の内部に設ける部分であり、本発明の「内部フレーム部」を構成する。本実施形態では、内枠部8Bとして、外枠部8Aの左右の側面部8A1の間を繋ぐ架設部8B1が形成されている。
内周枠部8Cは、表板6の切欠部6aと裏板7の切欠部7aと重なるように設ける部分である。この内周枠部8Cと、外枠部8Aの先端枠部8Dとは連続して繋がっており無端で多角形の環状枠部8Eを形成する。
内周枠部8Cには3つの側面が形成されている。即ち、ボディ2の中央側から先端側(+X)に向けて伸長する第1の長手側面8C1と、第2の長手側面8C2と、第1と第2の長手側面8C1、8C2の一端側を繋ぐ短手側面8C3である。
このうち第2の長手側面8C2には、「音響調節部」として複数のコントロールノブ14が取付けられている。本実施形態では3つのコントロールノブ14が取付けられている。短手側面8C3には、「保持部材」としてのテールピース15をボルトBでネジ止めする取付部8C3aが形成されている(図10)。
先端枠部8Dは、表板6と裏板7の一対の尖頭部6b、7bの間に架け渡して形成されており、外枠部8Aの一部を構成する。先端枠部8Dには、電気ギター1にストラップ(図示略)を取付ける際に、ストラップの端部をカラビナ等で取付けるための取付孔8D1が貫通形成されている。既存の電気ギターでは、ストラップピンが電気ギターの先端から突出しているため、電気ギターを立て掛けたときに姿勢が不安定になったり、ストラップピンが曲がったりすることがある。しかしながら、本実施形態では先端にあって突出しない取付孔8D1として形成されているので、そうした不都合は生じない。
以上のような内周枠部8C、先端枠部8D、そして内周枠部8Cと重なる表板6の切欠部6aと裏板7の切欠部7aによって、ボディ2には本発明の「カット部」を構成する扇形孔9が形成されることになる。扇形孔9は、ボディ2の中央側から先端側(+X)に向けて徐々に幅広となる扇形状の形態となっている。
テールピースの構成〔図1〜4,6,9,10〕:
この扇形孔9の内部には、弦5の端部を固定する「保持部材」としてのテールピース15が取付けられている。テールピース15は金属製であり、フレームと同様に、アルミ合金、チタン合金、コバルトクロム合金等が用いることができる。テールピース15も、弦5の端部と直接接触するとともに、ボディ2に直接固定されるものであるため、振動伝達性の高い材質で形成するのが好ましい。この点では、特に高硬度であり、機械強度の高いコバルトクロム合金が好ましく、電気ギター1の音色を顕著に鮮明なものとすることができる。このコバルトクロム合金としては株式会社エイワ製「COBARION」(登録商標)を使用することができる。
テールピース15には、図9、図10で示すように、テール保持部15aと取付部15bが形成されている。
テール保持部15aは、ブロック状に形成されており、複数の弦5の固定孔15cが形成されている。弦5の固定孔15cは、徐々に孔径が小さくなる形状とされており、ボディ2の先端側(+X)から弦5を挿通すると、弦5のボールエンドが引っ掛かることで抜け止めされる。テール保持部15aは、前面が幅方向Yで円弧状に湾曲する形状とされており、そこに開口する固定孔15cは縦長楕円状に並べて形成されていることで、既存のテールピースとは異質で斬新なデザインとなっており、特有の意匠的印象を発揮している。
取付部15bは板状に形成されており、ボルトBの挿通孔15dが形成されている。テールピース15は、取付部15bをフレーム8の内周枠部8Cの短手側面8C3に沿わせてボルトBで止めることでフレーム8に着脱可能に固定される。
図10で示すようにテールピース15がブリッジ11よりも下側(−Z側)に設けられていることにより、弦5を張った際にブリッジ11からテールピース15に向けて屈曲し、その弦5の端部に下方(−Z側)に向けた張力が加わり、弦5を水平に一直線状に張って水平に保持する場合と比較して弦5の張りを強くするとともに張力を維持することができる。これにより電気ギター1の音色を持続的に鮮明なメリハリのあるものとすることができる。
ネック、ヘッドの構成〔図1〜3,7,8〕:
ネック3は、長板状の木製のネック本体16の表面に薄い長板状の指板17が取り付けられるとともに、指板17上には金属製のフレット18が取付けられている。
ネック本体16の先端側(+X)には、ボディ2と蟻組みで固定のための凸部である蟻部13が形成されている(図7)。この蟻部13は前述の蟻溝部12とともに本発明の「蟻組連結部」を構成する。ネック本体16の蟻部13は、図8で示すように上端部の幅W3よりも下端部の幅W4の方が広くなっている。
ネック本体16の蟻部13の上端部の幅W3は、表板6の蟻溝部12の開口縁12bの幅W2と略同一となっている。また蟻部13の下端部の幅W4は、表板6の蟻溝部12の溝底面12aの幅W1と略同一となっている。
ヘッド4は、ネック3に連続して形成されている木製の部材であり、弦5の端部を固定する金属製のペグ19及びペグポスト20が設けられている。
ネック3及びヘッド4は、ヒノキ、セン、ハンノキ、イタヤカエデ、シナ等、楽器として用いた場合に音響特性に優れた木材を用いて作られている。
電気ギターの組立方法:
次に、電気ギター1の組立方法について説明する。
まず、電気ギター1のボディ2を組み立てる。ボディ2は、フレーム8の嵌合凹部8cに表板6と裏板7をそれぞれ圧入して取付ける。このとき嵌合凹部8cに接着層を設けて固定してもよいことは、前述した通りである。なお、フレーム8にはコントロールノブ14等の電気部品が取付けられている。
次に、ボディ2とネック3を連結する。連結はボディ2の蟻溝部12にネック3の蟻部13を以下のようにして挿入することで行われる。
即ち、ボディ2の蟻溝部12の挿入口12cの側では、開口縁12bの幅W2はネック3の蟻部13の上端部の幅W3と略同一であり、蟻溝部12の溝底面12aの幅W1はネック3の蟻部13の下端部の幅W4と略同一となっている。
これに対して、ボディ2の蟻溝部12は、蟻部13の挿入口12cの側よりも奥壁12dの側の方が窄んだ形状となっている。
そのため蟻溝部12に蟻部13を挿入した嵌合当初の段階では、ほぼ抵抗なくスムーズに蟻部13を蟻溝部12に挿入できるが、その挿入抵抗は次第に強くなる。そして最終的には挿入抵抗に逆らうようにネック3を押圧することで、蟻部13が蟻溝部12に圧入されることとなる。このとき蟻部13の先端部分は蟻溝部12の奥端部である奥壁12dに当接した状態となる。
ボディ2とネック3との嵌合後には、蟻部13の挿入側先端部が蟻溝部12の奥壁12dに当接しているため、ネック3は挿入方向(+X方向)への移動が規制されている。他方、蟻部13と蟻溝部12との間の押圧力及び摩擦力によって抜去方向(−X方向)への移動には強い抵抗力が作用する状態となっているが、このままでは抜け止めはできておらず、ボディ2からネック3を抜き取ることができる。
また、蟻部13の下端部の幅W4は蟻溝部12の開口縁12bの幅W2よりも広いため、嵌合状態では、蟻部13が蟻溝部12から表板6の表面の上方に脱離しようとしても、蟻部13の側面13aが対向する蟻溝部12の側面12eと係止して抜け止めされる。したがって、ネック3はボディ2の厚み方向(+Z方向)の移動が規制された状態となる。また、蟻部13の底面13bは、対向する蟻溝部12の溝底面12aと当接するため、ネック3はボディに対して厚み方向(−Z方向)への移動も規制されている。
さらに、蟻部13の側面13aが対向する蟻溝部12の側面12eと当接するため、ネック3はボディ2に対して左右の幅方向(±Y方向)への移動が規制されている。
以上のようにしてネック3をボディ2に蟻組みした状態では、ネック3はボディ2に対して仮固定されて、例えばネック3だけを持ってボディ2を支えなくても、ボディ2が落下しない程度の強さで固定されることとなる。
次に、ボディ2からネック3を経てヘッド4に弦5が張り渡される。弦5の一端側はボディ2のテールピース15に固定され、他端側はヘッド4のペグポスト20に固定される。
弦5のテールピース15への固定は、前述のように弦5をテールピース15の固定孔15cに挿通し、弦5の端部のボールエンドを固定孔15cに係止させればよい。
弦5のペグポスト20への固定は、ペグポスト20のペグ穴(図示略)にボールエンドを切除した弦5の端部を通し、ペグ19を回してペグポスト20の周囲に弦5を巻き付けることで行われる。
こうしてボディ2からヘッド4にかけて弦5を張ると、弦5はその張力によって蟻部13と蟻溝部12とが相互に突き当たる挿入方向へそれらを引っ張るように作用する。これとともに蟻部13の側面13aが弦5の張力によって対向する蟻溝部12の側面12eに対して密着方向に付勢され、6本の弦5による大きな力で相互に密着させることができる。これによってネック3はボディ2に対する抜去方向(−X方向)への移動が規制された状態となり、ネック3のボディ2への固定が完了する。
電気ギターの作用効果:
上記構成による電気ギター1は、既に説明したものに加えて以下のような様々な特徴を有する。
電気ギター1によれば、ボディ2に「カット部」としての扇形孔9を設けているため、電気ギター1を大きく軽量化することができ、短い波長(高周波帯域)の音を生じやすくすることができ、これにより電気ギター1の音色を鮮明なものとすることができる。
デザインの面では、例えばボディに小孔を多数形成して軽量化を図る態様のように、見る者に煩雑な印象を与える軽量化とは異なり、ボディ2に大きな単一の扇形孔9を形成することにより統一感のある印象を与えることができる。そして既存の電気ギターと一線を画した斬新なデザインを実現することができる。
ボディ2の周縁部分は、表板6及び裏板7側からフレーム8に向けて滑らかに傾斜する傾斜面2aを有することで、ボディ2の周縁部分の体積を削減することができる。これによりボディ2を軽量化できるため、短い波長の音が生じやすく、鮮明な音色とすることができる。また、デザインの面では、傾斜面2aが「刃紋」のような意匠的印象をもたらし、ボディ2が鋭利で迫力のある意匠的印象を奏することができる。
ボディ2を木製の表板6及び裏板7と、金属製のフレーム8とにより構成することにより、これらの部材の材質を変化させることで得られる音色を木材のみでボディが作成された場合よりも多種多様なものとすることができ、音色の選択の幅を広げることができる。
即ち、フレーム8の外枠部8Aは、ネック3と繋がるボディ2の中心側から離れた外周側における振動伝達性を向上することができる。
また、フレーム8の内枠部8Bは、ボディ2の内部における振動伝達性を向上することができる。特に外枠部8Aの側面部8A1どうしを繋ぐ架設部8B1として構成しているため、ボディ2の外周側どうしの振動伝達性を向上することができる。
したがって、ボディ2の外周側と中心側の双方での振動伝達性、即ちボディ2の全体を活かした振動伝達による音色の改善を効果的に実現することができる。
特に、架設部8B1より先端側(+X)には2つの多重閉ループによる振動伝達経路が形成されている。第1の閉ループは、架設部8B1と外枠部8Aの左右の側面部8A1と先端枠部8Dによる振動伝達経路である。第2の閉ループは、その内側にある内周枠部8Cと先端枠部8Dによる振動伝達経路である。この大小2つの振動伝達経路は、何れも弦振動を直接受けるテールピース15に直接繋がっている。したがって、ボディ2の全体を弦振動の共鳴体として効果的に機能させることができる。
また、架設部8B1より後端側(−X)には、後述する強固に相互に密着するネックジョイント構造によりネック3からボディ2への振動伝達経路が確保されている上に、外枠部8Aの左右の側面部8A1によってボディ2の外周の上半分がネック3の側面に至るまで取り囲まれた格好となっている。これによっても、ボディ2の全体を弦振動の共鳴体として効果的に機能させることができる。
フレーム8は、その剛性によって木製の表板6と裏板7の剛性を補強する。したがって、弦の張力や乾燥状態によってボディ2に生じる反りを抑制することができる。
弦5の張力が直接作用するテールピース15は、木製の表板6や裏板7に固定されているのではなく金属製のフレーム8に固定されていることから、これによって弦5の張力によって表板6や裏板7に反りが発生するのを抑制することができる。
ネック3とボディ2とのネックジョイント構造は、蟻溝部12と蟻部13の蟻組みと弦5の張力のみでネック3とボディ5を強固に密着させることができる。これにより従来の電気ギターにおいて生じていたネック3とボディ2との間の、接着層及びその分の間隙を無くすことができ、ネック3からボディ2への振動伝達性を高めることができ、ボディ2の振動による音の響きを向上させて、電気ギター1の音色をより鮮明な音色とすることができる。
従来のネック3とボディ2を接着剤で固定する電気ギターと異なり、弦5を取り外せばボディ2からネック3を容易に取り外すことができる。そのためネック3やヘッド4が破損するアクシデントが生じた場合でも容易に交換することができ、メンテナンス性を向上することができる。
コントロールノブ14が扇形孔9の内部に設けられていることにより、演奏中にこれらが奏者の手に引っかかることが無くなり、演奏しやすい電気ギター1とすることができる。
コントロールノブ14やテールピース15が扇形孔Cの内部に設けられていることにより、これらがボディ2から外部に露出している従来の電気ギターと比較して統一感のある洗練された美観を与えることができる。
実施形態の変形例〔図11,12〕:
本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
前記実施形態のフレーム8では内枠部8Bとして架設部8B1を有するものを例示したが、例えば図11で示すような構造としてもよい。即ち内枠部8Bの架設部8B2が、内周枠部8Cの取付部8C3aから伸長して外枠部8Aのくびれ部8A2に繋がる形態としたものである。このように内枠部8Bの架設部8B2によれば、テールピース15の取付部8C3aに対して繋がっているため弦振動の伝達を、前記実施形態よりもさらに効果的に外枠部8Aに伝えることができる。また、この変形例のフレーム8のように、テールピース15の取付部8C3aを中心として、架設部8B2、内周枠部8Cの第1の長手側面8C1、第2の長手側面8C2が伸長し外枠部8Aに繋がる形態であり、これによってボディ2の全体に弦振動を効率的に伝達することができる。
前記実施形態ではフレーム8の材質として金属材料を例示したが、金属材料だけでなく木材や樹脂等他の材料を用いることもできる。しかしながら、金属材料と木材等では内部減衰率等が異なることから、弦振動をボディ2に伝達するフレーム8としてより適しているのは金属材料である。
前記実施形態ではフレーム8が外枠部8A、内枠部8B、内周枠部8C、先端枠部8Dを有する例を示したが、その何れかであってもよく、またそれらを2つ以上有するものでもよい。
前記実施形態では「カット部」として扇形孔9を有するボディ2を例示したが、扇形孔9は省略してもよい。また、「カット部」としての扇形孔9は扇形ではなく他の多角形状や円形とすることもできる。
前記実施形態では、図4、5で示すようにボディ2の表板6に蟻溝部12を設ける例を示したが、図12で示すように裏板7に蟻組用突起21を形成して、ここに前記実施形態と同様の蟻溝部12を設けるようにし、他方表板6には蟻組用突起21が嵌まり込む蟻組用凹部6cを設ける構成としてもよい。表板6に蟻溝部12を設けると、表板6の塗装をする際に蟻溝部12をマスキングする作業が必要となり作業負担が大きい。しかしながら、図12のような変形例とすることで表板6のマスキング作業が不要であり、また裏板7の表板6と合わせる面は塗装が不要であり、しかも蟻組用突起21の長手側面は表板6の蟻組用凹部6cによって隠されて、蟻組用突起21の上面はネック3を挿入すれば隠されるため、蟻組用突起21を塗装する必要がなく作業負担を減らすことができる。
前記実施形態ではボディ2とネック3のネックジョイント構造として蟻溝部12と蟻部13を例示したが、こうした蟻組連結部のない構成としてもよい。ボディ2とネック3はボルト締結や接着剤で固定することもできる。
前記実施形態では、テールピース15をフレーム8にボルトBで固定する例を示したが、本発明ではこうした態様に限らない。フレーム8の一部にテールピースを一体形成されていてもよく、またテールピース15をフレーム2に溶接や接着等により固定する態様であってもよい。
前記実施形態では、電気ギター1としてエレキギターを例示したが、ベースギター等、様々な電気ギターに実施することが可能である
1 電気ギター
2 ボディ
2a 傾斜面
3 ネック
4 ヘッド
5 弦
6 表板
6a 切欠部
6b 尖頭部
6c 蟻組用凹部
7 裏板
7a 切欠部
7b 尖頭部
8 フレーム
8A 外枠部
8A1 側面部
8A1a カッタウェイ
8A1b カッタウェイ
8A1c 取付孔
8A2 くびれ部
8B 内枠部
8B1 架設部
8B2 架設部
8C 内周枠部
8C1 第1の長手側面
8C2 第2の長手側面
8C3 短手側面
8C3a 取付部
8D 先端枠部
8D1 取付孔
8E 環状枠部
8a 表面
8b 裏面
8c 嵌合凹部
8d 底面
8e 側面
8f 差込口
9 扇形孔
10a、10b ピックアップ
11 ブリッジ
12 蟻溝部(蟻組連結部)
12a 溝底面
12b 開口縁
12c 挿入口
12d 奥壁
12e 側面(係止面)
13 蟻部(蟻組連結部)
13a 側面(係止面)
13b 底面
14 コントロールノブ
15 テールピース(保持部材)
15a テール保持部
15b 取付部
15c 固定孔
15d 挿通孔
16 ネック本体
17 指板
18 フレット
19 ペグ
20 ペグポスト
21 蟻組用突起
B ボルト

Claims (12)

  1. ネックと、
    木製の表板と裏板とを備えるボディと、
    前記ボディに取付けられ弦の一端側を保持する保持部材と、
    を有する電気ギターにおいて、
    前記ボディは、
    前記表板と前記裏板のそれぞれの中央側から先端側に向けて切り欠いて形成されている切欠部で構成されるカット部と、
    前記表板と前記裏板との間に固定され、弦振動を伝達するフレームと、
    前記カット部に沿うように前記フレームに設けられている内周フレーム部と、を備えることを特徴とする電気ギター。
  2. 前記フレームは、金属材でなる
    請求項1記載の電気ギター。
  3. 前記フレームは、前記保持部材の取付部を有する
    請求項1又は請求項2記載の電気ギター。
  4. 前記フレームは、前記ボディの外周を囲む外部フレーム部を有する
    請求項1〜請求項3何れか1項記載の電気ギター。
  5. 前記フレームは、前記ボディの内部に配置する内部フレーム部を有する
    請求項4記載の電気ギター。
  6. 前記内部フレーム部は、前記外部フレーム部の少なくとも2つの部位に繋がる形状である
    請求項5記載の電気ギター。
  7. 前記保持部材は、前記内周フレーム部に取付けられている
    請求項1〜請求項6何れか1項記載の電気ギター。
  8. 前記フレームは、前記ボディの先端側で前記カット部を介して対向する前記内周フレーム部の対向部位どうしを繋ぐ先端枠部を有する
    請求項1〜請求項7何れか1記載の電気ギター。
  9. 前記カット部に取付けた音響調節部を有する
    請求項1〜請求項8何れか1項記載の電気ギター。
  10. 前記ネックと前記ボディは、ネックジョイント構造として蟻組連結部を有する
    請求項1〜請求項何れか1項記載の電気ギター。
  11. 前記蟻組連結部は、前記ボディの表面側に溝が開口する蟻溝部と、前記ネックの裏面に設けた蟻部とを有する請求項10記載の電気ギター。
  12. 前記蟻組連結部は、前記弦の張力によって相互に当接する前記ボディと前記ネックに設けた一対の係止面を有する
    請求項10又は請求項11記載の電気ギター。
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