JP6855021B2 - 広告システム及び広告方法 - Google Patents
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Description
本発明は広告システム及び広告方法に関わる。
商品やサービスの広告は、「プッシュ型広告」と「プル型広告」に大別できる。プッシュ型広告とは、不特定多数の需要者(消費者)に向けて広告を強制的に提供し、認知してもらう手法である。プッシュ型広告の例として、インターネットのバナー広告、動画広告、及びメールマガジンが挙げられる。プッシュ型広告は、商品やサービスの認知度向上に効果があるという利点を有する一方、無関心の需要者に広告を配信するため、費用対効果の点で割高となってしまうという欠点を有する。プル型広告とは、特定のニーズを有する需要者の消費行動を待ち構えて広告を配信する手法である。プル型広告の例として、検索連動型広告(リスティング広告、サーチワード広告)が挙げられる。プル型広告は、消費者がすでに自発的に行動している中でそのニーズを満たす商品又はサービスの提供を提案するため、販促効果が高いという利点を有する一方、商品又はサービスの認知度向上には不向きであるという欠点を有する。このような事情を背景に、特許文献1は、需要者にプッシュ型広告を提供し、需要者の反応からプッシュ型広告の効果を測定する方法を提案している。特許文献2は、人の会話情報を音声認識エンジンでテキスト化してデータベースを作成し、そのデータベースの内容に基づいてサービスを提供する方法を提案している。
しかし、特許文献1に記載の方法により需要者に提供されるプッシュ型広告は、必ずしも、需要者のニーズを満たすものではないため、需要者に興味のある潜在的なニーズを満たす広告を提供することができない。また、特許文献2に記載の方法では、広告の提供を受けた需要者の反応から広告効果を測定することができないため、費用対効果の高い広告の提供が困難である。このように、従来では、広告の提供を受けた需要者の反応から広告効果を測定し、広告効果に基づいて、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供する技術は存在しなかった。
そこで、本発明は、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供する広告システムを提案することを課題とする。
上述の課題を解決するため、本発明に関わる広告システムは、音声処理装置と広告装置とを備える。音声処理装置は、第1及び第2のキーワードを登録するデータベースと、需要者の発話音声に含まれる第1のキーワードに関連するものとして広告装置から提供された第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声を収集する音声収集装置と、需要者の第1の反応を示す発話音声から第2のキーワードを抽出する抽出ツールと、抽出ツールにより抽出された第2のキーワードを広告装置に送信する第1の通信装置と、を備える。広告装置は、第1の通信装置から送信された第2のキーワードを受信する第2の通信装置と、第1の広告の効果を評価する評価値と第2のキーワードとを対応付けて記憶する評価テーブルと、評価テーブルを参照して第2のキーワードから第1の広告の効果を評価する評価ツールと、を備える。
本発明に関わる広告システムによれば、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供することができる。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に関わる広告システム10の構成を示す説明図である。広告システム10は、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供するコンピュータシステムである。広告システム10は、音声処理装置20と広告装置30とを備えている。音声処理装置20及び広告装置30は、通信ネットワーク40を通じて通信可能に接続されている。
図1は、本発明の実施形態に関わる広告システム10の構成を示す説明図である。広告システム10は、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供するコンピュータシステムである。広告システム10は、音声処理装置20と広告装置30とを備えている。音声処理装置20及び広告装置30は、通信ネットワーク40を通じて通信可能に接続されている。
音声処理装置20は、需要者の発話音声を収集し、収集した発話音声からキーワードを抽出する処理を行うためのコンピュータである。「キーワード」は、需要者の潜在的なニーズや広告効果を判断するための指標となる単語である。需要者の発話音声から抽出されるキーワードが、例えば、「洋服」である場合、需要者の関心は、洋服にあるものと推定できる。また、洋服の広告の提供を受けた需要者の発話音声から抽出されるキーワードが、例えば、その洋服の製造会社の「社名」である場合、需要者が洋服の広告を的確に認知していることが推定できる。音声処理装置20は、需要者が利用する施設や店舗に設置されているコンピュータでもよいし、或いは、施設や店舗を利用する需要者が所有するコンピュータ(例えば、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話機や、タブレット端末など)でもよい。
音声処理装置20は、そのハードウエア資源として、プロセッサ21、記憶資源22、通信装置23、及び音声収集装置24を備える。
記憶資源22は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、メモリカード、光ディスクドライブ、半導体メモリ)の記憶領域である。記憶資源22には、音声処理装置20の動作(例えば、後述する音声収集処理、キーワード抽出処理、通信処理など)を制御するコンピュータプログラム200と、データベース220とが記憶されている。データベース220には、複数のキーワード(後述する第1のキーワード、第2のキーワード、及び第3のキーワードを含む)が予め登録されている。
プロセッサ21は、記憶資源22に格納されているコンピュータプログラム200を解釈及び実行することにより、音声処理装置20の動作を制御する。
通信装置23は、音声処理装置20と広告装置30との間の通信ネットワーク40を経由する通信を制御する。通信ネットワーク40は、例えば、有線ネットワーク(例えば、近距離通信網、広域通信網、又は付加価値通信網等)と無線ネットワーク(移動通信網、衛星通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)等)とが混在する通信網である。音声処理装置20と広告装置30との間には、両者間の通信プロトコルを変換するゲートウェイサーバが介在してもよい。
音声収集装置24は、例えば、パラボラ付きの集音板を備えた集音マイクである。音声収集装置24は、音声処理装置20の内蔵マイクでもよく、或いは外付けマイク(外付け型の有線式マイク又は無線式のマイク)でもよい。例えば、外付けマイクが接続されたタブレット端末は、音声処理装置20として機能する。音声収集装置24は、施設や店舗を利用する需要者の発話音声を集音し、集音した音声をA/D変換して、記憶資源22の一部の記憶領域(バッファメモリ)に一時的に保存する。
コンピュータプログラム200は、抽出ツール210を備えている。抽出ツール210は、データベース220に登録されている複数のキーワードのうち何れかに一致するキーワードを、需要者の発話音声から抽出する処理を記述するプログラムである。抽出ツール210は、音声収集装置24により集音された発話音声の情報をテキスト化してこれを文字列情報として認識し、文字列情報とキーワードとを比較することにより、発話音声からキーワードを抽出する。発話音声の情報をテキスト化する処理では、音声収集装置24により集音された発話音声の情報から発話区間が検出され、検出した発話区間について、統計言語モデルに基づくパターンマッチングが行われる。統計言語モデルは、例えば、単語の出現分布や、ある単語の次に出現する単語の分布などの言語表現の出現確率を計算するための確率モデルである。音声処理装置20のハードウエア資源と抽出ツール210との協働によって、需要者の発話音声からキーワードを抽出する抽出手段としての機能が実現される。
広告装置30は、音声処理装置20から送信されるキーワードを受信し、受信したキーワードから需要者の潜在的なニーズや広告効果を判断するコンピュータである。広告装置30は、通信ネットワーク40を通じて広告表示装置34に接続しており、広告表示装置34に表示される広告を変更することができる。広告表示装置34は、例えば、施設や店舗に設置されている電子看板(屋内電子看板又は屋外電子看板)である。この種の電子看板は、デジタルサイネージと呼ばれている。
広告装置30は、そのハードウエア資源として、プロセッサ31、記憶資源32、及び通信装置33を備える。プロセッサ31、記憶資源32、及び通信装置33のハードウエア構成は、プロセッサ21、記憶資源22、及び通信装置23のハードウエア構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。なお、通信装置23と通信装置33とを区別する場合、通信装置23を第1の通信装置と呼び、通信装置33を第2の通信装置と呼ぶことがある。
記憶資源32には、広告装置30の動作(例えば、後述する広告表示処理、広告効果の評価処理)を制御するコンピュータプログラム300と、広告表示装置34に表示される広告を格納する広告データベース340と、広告表示装置34による広告効果を評価する評価テーブル350とが記憶されている。評価テーブル350は、広告効果を評価する複数の評価値と複数のキーワードとを対応付けて記憶している。なお、評価テーブル350は、広告表示装置34に表示される複数の広告のそれぞれについて、複数の評価値と複数のキーワードとを対応付けて記憶してもよい。例えば、評価テーブル350は、広告Aの効果を評価する複数の評価値と複数のキーワードとを対応付けて記憶するとともに、広告Bの効果を評価する複数の評価値と複数のキーワードとを対応付けて記憶してもよい。
コンピュータプログラム300は、評価ツール310、推測ツール320、及びデータベース更新ツール330を備えている。評価ツール310は、評価テーブル350を参照して、キーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、広告効果を評価するプログラムである。推測ツール320及びデータベース更新ツール330の詳細については後述する。
次に、図2を参照しながら、本実施形態に関わる広告方法の処理の流れについて説明する。
音声処理装置20は、需要者の発話音声(例えば、需要者同士の会話音声)からキーワード(以下、「第1のキーワード」と呼ぶ)を抽出し、これを広告装置30に送信する(ステップ201)。広告装置30は、第1のキーワードを受信すると、第1のキーワードに関連する広告(以下、「第1の広告」と呼ぶ)を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ202)。
音声処理装置20は、需要者の発話音声(例えば、需要者同士の会話音声)からキーワード(以下、「第1のキーワード」と呼ぶ)を抽出し、これを広告装置30に送信する(ステップ201)。広告装置30は、第1のキーワードを受信すると、第1のキーワードに関連する広告(以下、「第1の広告」と呼ぶ)を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ202)。
音声処理装置20は、第1の広告を視聴した後の需要者の反応(以下、「第1の反応」と呼ぶ)示す発話音声からキーワード(以下、「第2のキーワード」と呼ぶ」を抽出し、これを広告装置30に送信する(ステップ203)。具体的には、音声収集装置24は、需要者の発話音声に含まれる第1のキーワードに関連するものとして広告装置30から提供された第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声を収集する。抽出ツール210は、需要者の第1の反応を示す発話音声から第2のキーワードを抽出する。通信装置23は、抽出ツール210により抽出された第2のキーワードを広告装置30に送信する。
広告装置30は、第2のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第2のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第1の広告の効果を評価する(ステップ204)。具体的には、通信装置33は、通信装置23から送信された第2のキーワードを受信する。評価ツール310は、評価テーブル350を参照して第2のキーワードから第1の広告の効果を評価する。
広告装置30は、第2のキーワードに関連する広告(以下、「第2の広告」と呼ぶ)を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ205)。
音声処理装置20は、第2の広告を視聴した後の需要者の反応(以下、「第2の反応」と呼ぶ)示す発話音声からキーワード(以下、「第3のキーワード」と呼ぶ」を抽出し、これを広告装置30に送信する(ステップ206)。具体的には、音声収集装置24は、需要者の発話音声に含まれる第2のキーワードに関連するものとして広告装置30から提供された第2の広告を視聴した後の需要者の第2の反応を示す発話音声を収集する。抽出ツール210は、需要者の第2の反応を示す発話音声から第3のキーワードを抽出する。通信装置23は、抽出ツール210により抽出された第3のキーワードを広告装置30に送信する。
広告装置30は、第3のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第3のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第2の広告の効果を評価する(ステップ207)。具体的には、通信装置33は、通信装置23から送信された第3のキーワードを受信する。評価ツール310は、評価テーブル350を参照して第3のキーワードから第2の広告の効果を評価する。
このように、広告装置30は、需要者の発話音声から抽出される第Nのキーワードに関連する第Nの広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する。音声処理装置20は、第Nの広告を視聴した後の需要者の反応を示す発話音声から第(N+1)のキーワードを抽出し、これを広告装置30に送信する。ここで、Nは1以上の整数とする(図2は、N=1,2,3の場合を例示している)。
需要者の発話音声から抽出したキーワードに関連する広告を需要者に提供し、需要者の反応を示す発話音声から抽出したキーワードに基づいて広告効果を評価する処理を繰り返すことにより、需要者の潜在的なニーズを探ることが可能となり、延いては、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供することができる。また、広告を視聴した後の需要者の反応を示す発話音声から抽出したキーワードに基づいて、需要者が広告の内容を的確に認知しているかどうかを評価し、更には、需要者の広告に対する関心の度合いを推測することができる。
ここで、再び、図2を参照しながら、本実施形態に関わる広告方法の処理の流れについて、具体例を挙げながら説明する。但し、ステップ206,207の処理は、それぞれ、ステップ203,204の処理と共通しているため、ステップ201からステップ205までの具体的な処理の流れについて説明する。
例えば、「服が欲しい。暖かくなってきた。」という会話が需要者同士の間で交わされる場合を想定する。音声処理装置20は、需要者の発話音声から「服」という第1のキーワードと、「暖かく」という第1のキーワードを抽出する(ステップ201)。このように、発話音声から抽出される第1のキーワードは1つに限られるものではなく、発話音声から複数の第1のキーワードを抽出してもよい。音声処理装置20は、第1のキーワードを広告装置30に送信する(ステップ201)。
広告装置30は、第1のキーワードを受信すると、第1のキーワードに関連する第1の広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ202)。第1の広告として、例えば、「春らしい黄色の上着を着たモデルαのアパレル会社A」の広告を挙げることができる。
図3は、第1の広告の効果を評価する評価テーブル350の一例を示す。同図に示す例では、広告効果が高い程、評価値が高くなるように予め設定されている。評価値の最高点は、例えば、10点であり、その最低点は、例えば、0点である。「A社」というキーワードに対応付けられる評価値は、例えば、10点である。その理由は、「A社」というキーワードから、第1の広告が「A社」の広告であることが需要者に的確に認知されているものと推定できるためである。「上着」というキーワードに対応付けられる評価値は、例えば、6点である。その理由は、「上着」というキーワードから、第1の広告の内容が上着に関わるものであることが需要者に認知されていることが推定できるものの、第1の広告が「A社」の広告であることが需要者に的確に認知されているとは言い難いためである。「モデルα」というキーワードに対応付けられる評価値は、例えば、5点である。その理由は、「モデルα」というキーワードから、モデルαが需要者に認知されていることが推定できるものの、第1の広告が「A社」の広告であることが需要者に的確に認知されているとは言い難いためである。「素敵」、「欲しい」、「好き」、「ダサい」、「いらない」、及び「嫌い」というキーワードに対応付けられる評価値は、例えば、0点である。その理由は、これらのキーワードからは、第1の広告が「A社」の広告であることが需要者に的確に認知されているか否かが不明であるからである。但し、「素敵」、「欲しい」、及び「好き」というキーワードから、肯定的な印象を需要者から読み取ることができる。一方、「ダサい」、「いらない」、及び「嫌い」というキーワードから、否定的な印象を需要者から読み取ることができる。このため、肯定的な印象を需要者から読み取ることができるキーワードを用いて、需要者の潜在的なニーズを探ることができる。このように、一部のキーワードについては、肯定的なキーワードであるのか或いは否定的なキーワードであるのかを予め分類しておいてもよい。
第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応として、以下の4つの場合を例示して説明する。
第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声として、例えば、「A社のデザインって、素敵だよね。」という会話が交わされた場合について説明する。音声処理装置20は、需要者の第1の反応を示す発話音声から「A社」という第2のキーワードと、「素敵」という第2のキーワードを抽出する(ステップ203)。このように、第1の反応を示す発話音声から抽出される第2のキーワードは1つに限られるものではなく、第1の反応を示す発話音声から複数の第2のキーワードを抽出してもよい。音声処理装置20は、第2のキーワードを広告装置30に送信する(ステップ203)。
広告装置30は、第2のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第2のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第1の広告の効果を評価する(ステップ204)。この例では、「A社」という第2のキーワードの評価値は10点であり、「素敵」という第2のキーワードの評価値は0点である。ここで、「素敵」という第2のキーワードは、肯定的なキーワードであるため、需要者は「A社の商品」に関心があるものと推定できる。そこで、広告装置30は、第2のキーワード「A社」に関連する第2の広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ205)。第2の広告として、例えば、「水色のパンプスを履いたモデルβのアパレル会社A」の広告を挙げることができる。
第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声として、例えば、「新しい上着欲しいな。」という会話が交わされた場合について説明する。音声処理装置20は、需要者の第1の反応を示す発話音声から「上着」という第2のキーワードと、「欲しい」という第2のキーワードを抽出する(ステップ203)。音声処理装置20は、第2のキーワードを広告装置30に送信する(ステップ203)。
広告装置30は、第2のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第2のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第1の広告の効果を評価する(ステップ204)。この例では、「上着」という第2のキーワードの評価値は6点であり、「欲しい」という第2のキーワードの評価値は0点である。ここで、「欲しい」という第2のキーワードは、肯定的なキーワードであるため、需要者は「上着」に関心があるものと推定できる。そこで、広告装置30は、第2のキーワード「上着」に関連する第2の広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ205)。第2の広告として、例えば、「春らしいピンク色の上着を着たモデルγのアパレル会社B」の広告を挙げることができる。
第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声として、例えば、「モデルαが好き。」という会話が交わされた場合について説明する。音声処理装置20は、需要者の第1の反応を示す発話音声から「α」という第2のキーワードと、「好き」という第2のキーワードを抽出する(ステップ203)。音声処理装置20は、第2のキーワードを広告装置30に送信する(ステップ203)。
広告装置30は、第2のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第2のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第1の広告の効果を評価する(ステップ204)。この例では、「α」という第2のキーワードの評価値は5点であり、「好き」という第2のキーワードの評価値は0点である。ここで、「好き」という第2のキーワードは、肯定的なキーワードであるため、需要者は「モデルα」に関心があるものと推定できる。そこで、広告装置30は、第2のキーワード「α」に関連する第2の広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ205)。第2の広告として、例えば、「モデルαを起用した化粧品会社C」の広告を挙げることができる。
第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声として、例えば、「モデルαは嫌いだけど、モデルβは好き。」という会話が交わされた場合について説明する。音声処理装置20は、需要者の第1の反応を示す発話音声から「α」という第2のキーワードと、「好き」という第2のキーワードと、「嫌い」という第2のキーワードを抽出する(ステップ203)。音声処理装置20は、第2のキーワードを広告装置30に送信する(ステップ203)。
広告装置30は、第2のキーワードを受信すると、評価テーブル350を参照して、第2のキーワードに対応付けられている評価値を読み取ることにより、第1の広告の効果を評価する(ステップ204)。この例では、「α」という第2のキーワードの評価値は5点であり、「好き」という第2のキーワードの評価値は0点であり、「嫌い」という第2のキーワードの評価値は0点である。ここで、モデルαと組み合わされて用いられている「嫌い」という第2のキーワードは、否定的なキーワードであるため、需要者は「モデルα」に関心がないものと推定できる。一方、モデルβと組み合わされて用いられている「好き」という第2のキーワードは、肯定的なキーワードであるため、需要者は「モデルβ」に関心があるものと推定できる。そこで、広告装置30は、「β」に関連する第2の広告を広告データベース340から選択し、これを広告表示装置34に表示する(ステップ205)。第2の広告として、例えば、「モデルβを起用したアパレル会社A」の広告を挙げることができる。このように、第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応を示す発話音声に否定的なキーワードと肯定的なキーワードとが含まれている場合には、否定的なキーワードと組み合わされて用いられているキーワードに関連する広告を第2の広告として表示するのではなく、肯定的なキーワードと組み合わされて用いられているキーワードに関連する広告を第2の広告として表示するのが望ましい。
なお、第1の広告を視聴した後の需要者の第1の反応から、需要者が第1の広告を認知していないものと推定できる場合、又は、需要者が第1の広告に否定的な印象を有しているものと推定できる場合には、広告装置30は、第2の広告の提供を中止してもよい。
また、評価テーブル350は、キーワードが肯定的なものであるか又は否定的なものであるかを予め分類しておく必要はなく、評価ツール310が、需要者の発話音声のイントネーションから、キーワードが肯定的なものであるか又は否定的なものであるかを判別してもよい。ここで、イントネーションとは、音声言語において、発話全体に付けられた音の高低のパターンを意味し、音調又は抑揚とも呼ばれる。イントネーションの相違によって発話のニュアンスの相違(例えば、肯定的なニュアンスと否定的なニュアンスとの相違)を表現することができる。なお、肯定的又は否定的なキーワードと共に用いられるキーワードを、市場動向を分析するマーケティングデータとして活用してもよい。
なお、データベース220は、所定の契機で更新されるのが望ましい。ここで、所定の契機とは、データベース220のヒット率が予め定められた閾値を下回った時点でもよく、或いは、予め定められた一定間隔でもよい。ヒット率とは、データベース220に登録されている全てのキーワードのうち、需要者の発話音声に含まれているものと判定されたことのあるキーワードの割合を意味する。
音声処理装置20のコンピュータプログラム200は、データベース220を更新することを要求する更新指示を、通信ネットワーク40を通じて、広告装置30に送信する。広告装置30の推測ツール320は、音声処理装置20からの更新指示に応答して、データベース220に格納されているキーワードの関連語を推測するプログラムである。キーワードの関連語とは、キーワードと頻繁に同時に使われる語句を意味し、このような語句は、「共起語」とも呼ばれている。共起語は、同意語を必ずしも意味するものではない。推測ツール320は、例えば、人工知能を応用した共起語検索ツールである。このような共起語検索ツールとして、例えば、グーグルやヤフーなどの検索結果の上位となるウェブページのコンテンツで形態素解析を行い、同一文書に頻出する語句を共起語として提示するものが知られている。形態素解析とは、文法的な情報の注記のない自然言語のテキストデータから、対象言語の文法や、辞書と呼ばれる単語の品詞などの情報に基づき、形態素(言語で意味を持つ最小単位)の列に分解し、それぞれの形態素の品詞などを判別する作業を意味する。広告装置30のハードウエア資源と推測ツール320との協働によって、キーワードの関連語を推測する推測手段としての機能が実現される。
データベース更新ツール330は、音声処理装置20からの更新指示に応答して、データベース220を更新するプログラムである。データベース更新ツール330は、データベース220に格納されているキーワードと、推測ツール320により推測された関連語とに基づいてデータベース220を更新する。更新後のデータベース220は、需要者の発話音声から抽出されたことのあるキーワードとその関連語をキーワードとして登録している。更新前のデータベース220に登録されているキーワードのうち、需要者の発話音声から抽出されたことのないキーワードは、更新後のデータベース220から削除される。このような更新処理を繰り返すことにより、データベース220のヒット率を高めることができる。広告装置30のハードウエア資源とデータベース更新ツール330との協働によって、データベース220を更新するデータベース更新手段としての機能が実現される。
広告装置30は、更新後のデータベース220を音声処理装置20に送信する。更新後のデータベース220を受信した音声処理装置20は、更新前のデータベース220を更新後のデータベース220に差し替える。
説明の便宜上、図1では、単一の音声処理装置20が単一の広告装置30に接続している例を示したが、複数の音声処理装置20が複数の広告装置30に接続してもよい。また、複数の音声処理装置20が単一の広告装置30に接続してもよく、或いは、単一の音声処理装置20が複数の広告装置30に接続してもよい。
本実施形態に関わる広告システム10によれば、需要者の発話音声から抽出したキーワードに関連する広告を需要者に提供し、需要者の反応を示す発話音声から抽出したキーワードに基づいて広告効果を評価する処理を繰り返すことにより、需要者の潜在的なニーズを探ることが可能となり、延いては、需要者の潜在的なニーズを満たす広告を提供することができる。また、広告を視聴した後の需要者の反応を示す発話音声から抽出したキーワードに基づいて、需要者が広告の内容を的確に認知しているかどうかを評価し、更には、需要者の広告に対する関心の度合いを推測することができる。
10…広告システム 20…音声処理装置 21…プロセッサ 22…記憶資源 23…通信装置 24…音声収集装置 30…広告装置 31…プロセッサ 32…記憶資源 33…通信装置 34…広告表示装置 200…コンピュータプログラム 210…抽出ツール 220…データベース 300…コンピュータプログラム 310…評価ツール 320…推測ツール 330…データベース更新ツール 340…広告データベース 350…評価テーブル
Claims (3)
- 音声処理装置と広告装置とを備える広告システムであって、
前記音声処理装置は、
第1及び第2のキーワードを登録するデータベースと、
需要者の発話音声に含まれる前記第1のキーワードに関連するものとして前記広告装置から提供された第1の広告を視聴した後の前記需要者の第1の反応を示す発話音声を収集する音声収集装置と、
前記需要者の第1の反応を示す発話音声から前記第2のキーワードを抽出する抽出ツールと、
前記抽出ツールにより抽出された前記第2のキーワードを前記広告装置に送信する第1の通信装置と、を備え、
前記広告装置は、
前記第1の通信装置から送信された前記第2のキーワードを受信する第2の通信装置と、
前記第1の広告の効果を評価する評価値と前記第2のキーワードとを対応付けて記憶する評価テーブルと、
前記評価テーブルを参照して前記第2のキーワードから前記第1の広告の効果を評価する評価ツールと、を備える広告システム。 - 請求項1に記載の広告システムであって、
前記データベースは、第3のキーワードを更に登録しており、
前記音声収集装置は、前記需要者の発話音声に含まれる前記第2のキーワードに関連するものとして前記広告装置から提供された第2の広告を視聴した後の前記需要者の第2の反応を示す発話音声を収集し、
前記抽出ツールは、前記需要者の第2の反応を示す発話音声から前記第3のキーワードを抽出し、
前記第1の通信装置は、前記抽出ツールにより抽出された前記第3のキーワードを前記広告装置に送信し、
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から送信された前記第3のキーワードを受信し、
前記評価テーブルは、前記第2の広告の効果を評価する評価値と前記第3のキーワードとを対応付けて記憶しており、
前記評価ツールは、前記評価テーブルを参照して前記第3のキーワードから前記第2の広告の効果を評価する、広告システム。 - 需要者の発話音声に含まれる第1のキーワードに関連するものとして広告装置から提供された第1の広告を視聴した後の前記需要者の第1の反応を示す発話音声を音声処理装置が収集し、
前記需要者の第1の反応を示す発話音声から第2のキーワードを前記音声処理装置が抽出し、
前記抽出された前記第2のキーワードを前記音声処理装置が前記広告装置に送信し、
前記音声処理装置から送信された前記第2のキーワードを前記広告装置が受信し、
前記第1の広告の効果を評価する評価値と前記第2のキーワードとを対応付けて記憶する評価テーブルを前記広告装置が参照して、前記第2のキーワードから前記第1の広告の効果を評価する、広告方法。
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