以下、本発明の実施形態の例を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
[システム構成]
図1は、本実施例の放送受信装置を含む放送通信システムの一例を示すシステム構成図である。本実施例の放送通信システムは、放送受信装置100とアンテナ100a、インターネット200等のブロードバンドネットワークおよびルータ装置200rとアクセスポイント200a、放送局の電波塔300tと放送衛星(または通信衛星)300s、放送局サーバ300、サービス事業者サーバ400、その他のアプリケーションサーバ500、移動体電話通信サーバ600と移動体電話通信網の基地局600b、携帯情報端末700、で構成される。
放送受信装置100は、電波塔300tから送出された放送波を、放送衛星(または通信衛星)300sおよびアンテナ100aを介して受信する。或いは、電波塔300tから送出された放送波を、放送衛星(または通信衛星)300sを介さずに、直接アンテナ100aから受信しても良い。また、放送受信装置100は、ルータ装置200rを介してインターネット200と接続可能であり、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器との通信によるデータの送受信が可能である。
ルータ装置200rは、インターネット200と有線通信により接続され、また、放送受信装置100とは有線通信または無線通信で、携帯情報端末700とは無線通信で接続される。前記無線通信は、Wi−Fi(登録商標)等の方式が使用されて良い。これにより、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器と放送受信装置100と携帯情報端末700とが、ルータ装置200rを介して、データの送受信を相互に行うことが可能となる。なお、放送受信装置100と携帯情報端末700との通信は、ルータ装置200rを介さずに、BlueTooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の方式で直接通信を行っても良い。
電波塔300tは、放送局の放送設備であり、放送番組の符号化データや字幕情報、その他のアプリケーション、汎用データ、等を含む放送波を送出する。放送衛星(または通信衛星)300sは、放送局の電波塔300tから送信された放送波を受信し、適宜周波数変換等を行った後に、放送受信装置100に接続されたアンテナ100aに対して前記放送波を再送信する中継器である。また、前記放送局は放送局サーバ300を備えるものとする。放送局サーバ300は、放送番組(動画コンテンツ等)および各放送番組の番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者情報、放送日時、等のメタデータを記憶し、前記動画コンテンツや各メタデータを、契約に基づいて、サービス事業者に対して提供することが可能であるものとする。なお、サービス事業者に対する前記動画コンテンツおよび各メタデータの提供は、放送局サーバ300が備えるAPI(Application Programming Interface)を通して行われるものであって良い。
サービス事業者サーバ400は、サービス事業者が用意するサーバ装置であり、放送局から配信される放送番組に連携した各種サービスを提供することが可能であるものとする。また、サービス事業者サーバ400は、放送局サーバ300から提供された動画コンテンツおよびメタデータや、放送番組に連携する各種コンテンツおよびアプリケーション等の記憶、管理および配信等を行う。また、テレビ受信機等からの問い合わせに対して、提供可能なコンテンツやアプリケーション等の検索や一覧の提供を行う機能も有するものとする。なお、前記コンテンツおよびメタデータの記憶、管理および配信と、前記アプリケーションの記憶、管理および配信は、異なるサーバ装置が行うものであっても良い。前記放送局と前記サービス事業者は同一であっても良いし、異なっていても良い。サービス事業者サーバ400は、異なるサービス毎に複数用意されても良い。また、サービス事業者サーバ400の機能は、放送局サーバ300が兼ね備えるものであっても良い。
その他のアプリケーションサーバ500は、その他の一般的なアプリケーションや動作プログラム、コンテンツ、データ、等の記憶、管理および配信等を行う公知のサーバ装置である。その他のアプリケーションサーバ500は、インターネット200上に複数あっても良い。
移動体電話通信サーバ600は、インターネット200と接続され、一方、基地局600bを介して携帯情報端末700と接続される。移動体電話通信サーバ600は、携帯情報端末700の移動体電話通信網を介した電話通信(通話)およびデータ送受信を管理し、携帯情報端末700とインターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器との通信によるデータの送受信を可能とする。基地局600bと携帯情報端末700との通信は、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)(登録商標)方式やGSM(Global System for Mobile communications)(登録商標)方式、LTE(Long Term Evolution)方式、或いはその他の通信方式によって行われるものであって良い。
携帯情報端末700は、移動体電話通信網を介した電話通信(通話)およびデータ送受信の機能やWi−Fi(登録商標)等による無線通信の機能を有するものとする。携帯情報端末700は、ルータ装置200rやアクセスポイント200aを介して、或いは、移動体電話通信網の基地局600bおよび移動体電話通信サーバ600を介して、インターネット200と接続可能であり、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器との通信によるデータの送受信が可能である。アクセスポイント200aは、インターネット200と有線通信により接続され、また、携帯情報端末700とは無線通信で接続される。前記無線通信は、Wi−Fi(登録商標)等の方式が使用されて良い。なお、携帯情報端末700と放送受信装置100との通信は、アクセスポイント200aおよびインターネット200とルータ装置200rを介して、或いは、基地局600bと移動体電話通信サーバ600およびインターネット200とルータ装置200rを介して行われるものであっても良い。
[MMT方式の概要]
図1に示した放送受信装置100は、映像や音声等のデータを伝送するメディアトランスポート方式として、従来のデジタル放送システムで多く採用されているMPEG(Moving Picture Experts Group)−2システムで規定されたTS(Transport Stream)(以下、MPEG2−TSと記述する。)に代替して、MMT(MPEG Media Transport)に対応可能なテレビ受信機であるものとする。MPEG2−TSとMMTの双方に対応可能なテレビ受信機であっても良い。
MPEG2−TSは、番組を構成する映像や音声等のコンポーネントを、制御信号やクロックと共に1つのストリームに多重することを特徴とする。クロックも含めて1つのストリームとして扱うため、伝送品質が確保された1つの伝送路で1つのコンテンツを伝送するのに適しており、従来の多くのデジタル放送システムで採用された。一方、近年のコンテンツの多様化、コンテンツを利用する機器の多様化、コンテンツを配信する伝送路の多様化、コンテンツ蓄積環境の多様化、等、コンテンツ配信に関する環境変化に対してMPEG2−TSの機能に限界があることから、新たに策定されたメディアトランスポート方式がMMTである。
図2Aに、本実施例のMMTにおける符号化信号の概要の一例を示す。同図に示したように、本実施例のMMTは、符号化信号を構成する要素として、MFU(Media Fragment Unit)、MPU(Media Processing Unit)、MMTP(MMT Protocol)ペイロード、MMTPパケットを有するものとする。MFUは、映像や音声等の伝送時の形式であり、NAL(Network Abstraction Layer)ユニット単位やアクセスユニット単位で構成されて良い。MPUは、MPU全体の構成に関する情報を含むMPUメタデータと、符号化したメディアデータの情報を含むムービーフラグメントメタデータと、符号化したメディアデータであるサンプルデータと、で構成されて良い。また、サンプルデータからはMFUを取り出すことが可能であるものとする。また、映像コンポーネントや音声コンポーネント等のメディアの場合、MPU単位やアクセスユニット単位で提示時刻や復号時刻が指定されても良い。図2Bに、MPUの構成の一例を示す。
MMTPパケットは、ヘッダ部とMMTPペイロードで構成され、MFUおよびMMTの制御情報を伝送するものとする。MMTPペイロードは、ペイロード部に格納する内容(データユニット)に応じたペイロードヘッダを備えるものとする。図2Cに、映像/音声信号からMFUを構成し、更にMMTPペイロードに格納して、MMTPパケットを構成するまでの概要の一例を示す。なお、フレーム間予測を用いて符号化を行う映像信号では、MPUをGOP(Group Of Pictures)単位で構成することが望ましい。また、伝送するMFUの大きさが小さい場合、1つのペイロード部に1つのMFUを格納しても良いし、1つのペイロード部に複数のMFUを格納しても良い。また、伝送するMFUの大きさが大きい場合には、1つのMFUを複数のペイロード部に分割して格納しても良い。また、MMTPパケットは、伝送路上におけるパケットロスを回復するために、AL−FEC(Application Layer Forward Error Correction)やARQ(Automatic Repeat Request)等の技術を用いて保護されて良い。
本実施例の放送システムにおいては、映像符号化方式としてMPEG−H HEVC(High Efficiency Video Coding)が用いられ、音声符号化方式としてMPEG−4 AAC(Advanced Audio Coding)またはMPEG−4 ALS(Audio Lossless Coding)が用いられるものとする。前記各方式により符号化された、放送番組の映像や音声等の符号化データは、MFUやMPUの形式とし、更にMMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化して、IP(Internet Protocol)パケットで伝送するものとする。また、放送番組に関連するデータコンテンツに関してもMFUやMPUの形式とし、更にMMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化して、IPパケットで伝送して良い。データコンテンツの伝送方式としては、放送に同期したデータのストリーミングに用いる字幕/文字スーパー伝送方式、放送と非同期のデータ伝送に用いるアプリケーション伝送方式、テレビ受信機上で動作するアプリケーションに対する同期/非同期のメッセージ通知に用いるイベントメッセージ伝送方式、その他の汎用データを同期型/非同期型で伝送する汎用データ伝送方式、の四種類が用意されるものとする。
MMTPパケットの伝送には、放送伝送路ではUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)が用いられ、通信回線ではUDP/IPまたはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が用いられるものとする。また、放送伝送路においては、IPパケットの効率的な伝送のためにTLV(Type Length Value)多重化方式が用いられるものとする。本実施例の放送システムのプロトコルスタックの一例を図3に示す。図中、(A)は放送伝送路におけるプロトコルスタックの一例であり、(B)は通信回線におけるプロトコルスタックの一例である。
本実施例の放送システムでは、MMT−SI(MMT−Signaling Information)とTLV−SI(TLV−Signaling Information)の二種類の制御情報を伝送する仕組みを用意するものとする。MMT−SIは、放送番組の構成等を示す制御情報である。MMTの制御メッセージの形式とし、MMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化して、IPパケットで伝送するものとする。TLV−SIは、IPパケットの多重に関する制御情報であり、選局のための情報やIPアドレスとサービスの対応情報を提供するものとする。
また、MMTを用いた放送システムにおいても、絶対時刻を提供するために時刻情報を伝送するものとする。なお、MPEG2−TSがTS毎に異なるクロックをベースとしてコンポーネントの表示時刻を示していたのに対し、MMTでは、協定世界時刻(Coordinated Universal Time:UTC)をベースとしてコンポーネントの表示時刻を示すものとする。これらの仕組みにより、異なる送信点から異なる伝送路で伝送されたコンポーネントを端末機器が同期して表示することが可能となる。UTCを提供するために、NTP(Network Time Protocol)形式のIPパケットを用いるものとする。
[MMTを用いる放送システムの制御情報]
本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムでは、前述したように、制御情報として、IPパケットの多重のためのTLV多重化方式に関わるTLV−SIと、メディアトランスポート方式であるMMTに関わるMMT−SIを用意する。TLV−SIは、放送伝送路に多重化されたIPパケットを、放送受信装置100が多重解除するための情報を提供する。TLV−SIは、『テーブル』と『記述子』で構成される。『テーブル』はセクション形式で伝送され、『記述子』は『テーブル』内に配置されるものとする。MMT−SIは、MMTのパッケージの構成や放送サービスに関連する情報を示す伝送制御情報である。MMT−SIは、『テーブル』や『記述子』を格納する『メッセージ』、特定の情報を示す要素や属性を持つ『テーブル』、より詳細な情報を示す『記述子』の三階層で構成されるものとする。本実施例の放送システムで用いる制御情報の階層構成の一例を図4に示す。
<TLV−SIで使用されるテーブル>
図5Aに、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムのTLV−SIで使用される『テーブル』の一覧を示す。本実施例では、TLV−SIの『テーブル』として以下に示すものが用いられるものとする。
(1)TLV−NIT
TLV用ネットワーク情報テーブル(Network Information Table for TLV:TLV−NIT)は、ネットワークにより伝送されるTLVストリームの物理的構成に関する情報およびネットワーク自身の特性を表すものである。
(2)AMT
アドレスマップテーブル(Address Map Table:AMT)は、ネットワークにおいて伝送される各サービスを構成するIPパケットのマルチキャストグループの一覧を提供する。
(3)事業者が設定するテーブル
その他、サービス事業者等が独自に設定したテーブルを用意することが可能である。
<TLV−SIで使用される記述子>
図5Bに、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムのTLV−SIに配置される『記述子』の一覧を示す。本実施例では、TLV−SIの『記述子』として以下に示すものが用いられるものとする。
(1)サービスリスト記述子
サービスリスト記述子は、サービス識別とサービス形式種別によるサービスの一覧を提供する。
(2)衛星分配システム記述子
衛星分配システム記述子は、衛星伝送路の物理的条件を示す。
(3)システム管理記述子
システム管理記述子は、放送と非放送を識別するために使用される。
(4)ネットワーク名記述子
ネットワーク名記述子は、文字符号によりネットワーク名を記述する。
(5)事業者が設定する記述子
その他、サービス事業者等が独自に設定した記述子を用意することが可能である。
<MMT−SIで使用されるメッセージ>
図6Aに、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムのMMT−SIで使用される『メッセージ』の一覧を示す。本実施例では、MMT−SIの『メッセージ』として以下に示すものが用いられるものとする。
(1)PAメッセージ
Package Access(PA)メッセージは、種々のテーブルを伝送するために用いる。
(2)M2セクションメッセージ
M2セクションメッセージは、MPEG−2 Systemsのセクション拡張形式を伝送するために用いる。
(3)CAメッセージ
CAメッセージは、限定受信方式の識別のためのテーブルを伝送するために用いる。
(4)M2短セクションメッセージ
M2短セクションメッセージは、MPEG−2 Systemsのセクション短形式を伝送するために用いる。
(5)データ伝送メッセージ
データ伝送メッセージは、データ伝送に関するテーブルを格納するメッセージである。
(6)事業者が設定するメッセージ
その他、サービス事業者等が独自に設定したメッセージを用意することが可能である。
<MMT−SIで使用されるテーブル>
図6Bに、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムのMMT−SIで使用される『テーブル』の一覧を示す。テーブルは、特定の情報を示す要素や属性を持つ制御情報であり、メッセージに格納してMMTPパケットで伝送するものとする。なお、テーブルを格納するメッセージはテーブルに応じて決まっていても良い。本実施例では、MMT−SIの『テーブル』として以下に示すものが用いられるものとする。
(1)MPT
MMTパッケージテーブル(MMT Package Table:MPT)は、アセットのリストやアセットのネットワーク上の位置などのパッケージを構成する情報を与える。MPTはPAメッセージに格納されて良い。
(2)PLT
パッケージリストテーブル(Package List Table:PLT)は、放送サービスとして提供されるMMTパッケージのPAメッセージを伝送するIPデータフローおよびパケットID並びにIPサービスを伝送するIPデータフローの一覧を示す。PLTはPAメッセージに格納されて良い。
(3)LCT
レイアウト設定テーブル(Layout Configuration Table:LCT)は、提示のためのレイアウト情報をレイアウト番号に対応付けるために用いる。LCTはPAメッセージに格納されて良い。
(4)ECM
Entitlement Control Message(ECM)は、番組情報および制御情報からなる共通情報であり、スクランブルを解除するための鍵情報などを配送する。ECMはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(5)EMM
Entitlement Management Message(EMM)は、加入者毎の契約情報やECM(共通情報)の暗号を解くための鍵情報などを含む個別情報を伝送する。EMMはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(6)CAT(MH)
CAテーブル(Conditional Access Table:CAT)(MH)は、限定受信方式の識別のための記述子を格納するために用いる。CAT(MH)はCAメッセージに格納されて良い。
(7)DCM
Download Control Message(DCM)は、ダウンロードのための伝送路暗号を復号するための鍵などからなる鍵関連情報を伝送する。DCMはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(8)DMM
Download Management Message(DMM)は、DCMの暗号を解くためのダウンロード鍵などからなる鍵関連情報を伝送する。DMMはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(9)MH−EIT
MH−イベント情報テーブル(MH−Event Information Table:MH−EIT)は、各サービスに含まれるイベントに関する時系列情報である。MH−EITはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(10)MH−AIT
MH−アプリケーション情報テーブル(MH−Application Information Table:MH−AIT)は、アプリケーションに関する全ての情報およびアプリケーションに要求される起動状態等を格納する。MH−AITはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(11)MH−BIT
MH−ブロードキャスタ情報テーブル(MH−Broadcaster Information Table:MH−BIT)は、ネットワーク上に存在するブロードキャスタの情報を提示するために用いる。MH−BITはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(12)MH−SDTT
MH−ソフトウェアダウンロードトリガテーブル(MH−Software Download Trigger Table:MH−SDTT)は、ダウンロードの告知情報のために用いる。MH−SDTTはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(13)MH−SDT
MH−サービス記述テーブル(MH−Service Description Table:MH−SDT)は、特定のTLVストリームに含まれるサービスを表すサブテーブルを有し、編成チャンネルの名称、放送事業者の名称など、編成チャンネルに関する情報を伝送する。MH−SDTはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(14)MH−TOT
MH−タイムオフセットテーブル(MH−Time Offset Table:MH−TOT)は、JST時刻と日付(修正ユリウス日)情報を伝送する。MH−TOTはM2短セクションメッセージに格納されて良い。
(15)MH−CDT
MH−共通データテーブル(MH−Common Data Table:MH−CDT)は、これを受信する全ての受信機を対象として、不揮発性メモリに格納すべき共通データをセクション形式で伝送するために用いる。MH−CDTはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(16)DDMテーブル
データディレクトリ管理テーブル(Data Directory Management Table:DDMテーブル)は、アプリケーションのファイル構成とファイル伝送のための構成を分離するために、アプリケーションを構成するファイルのディレクトリ構成を提供する。DDMテーブルはデータ伝送メッセージに格納されて良い。
(17)DAMテーブル
データアセット管理テーブル(Data Asset Management Table:DAMテーブル)は、アセット内のMPUの構成とMPU毎のバージョン情報を提供する。DAMテーブルはデータ伝送メッセージに格納されて良い。
(18)DCCテーブル
データコンテント管理テーブル(Data Content Configuration Table:DCCテーブル)は、柔軟で有効なキャッシュ制御を実現するため、データコンテンツとしてのファイルの構成情報を提供する。DCCテーブルはデータ伝送メッセージに格納されて良い。
(19)EMT
イベントメッセージテーブル(Event Message Table:EMT)は、イベントメッセージに関する情報を伝送するために用いる。EMTはM2セクションメッセージに格納されて良い。
(20)事業者が設定するテーブル
その他、サービス事業者等が独自に設定したテーブルを用意することが可能である。
<MMT−SIで使用される記述子>
図6Cおよび図6Dに、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムのMMT−SIに配置される『記述子』の一覧を示す。記述子は、より詳細な情報を提供する制御情報であり、テーブルに配置されるものとする。なお、記述子を配置するテーブルは記述子に応じて決まっていても良い。本実施例では、MMT−SIの『記述子』として以下に示すものが用いられるものとする。
(1)アセットグループ記述子
アセットグループ記述子は、アセットのグループ関係とグループ内での優先度を提供する。アセットグループ記述子はMPTに配置されて良い。
(2)イベントパッケージ記述子
イベントパッケージ記述子は、番組を表すイベントとパッケージの対応を提供する。イベントパッケージ記述子はM2セクションメッセージにて伝送されるMH−EITに配置されて良い。
(3)背景色指定記述子
背景色指定記述子は、レイアウト指定における最背面の背景色を提供する。背景色指定記述子はLCTに配置されて良い。
(4)MPU提示領域指定記述子
MPU提示領域指定記述子は、MPUを提示する位置を提供する。MPU提示領域指定記述子はMPTに配置されて良い。
(5)MPUタイムスタンプ記述子
MPUタイムスタンプ記述子は、MPUにおいて提示順序で最初のアクセスユニットの提示時刻を示す。MPUタイムスタンプ記述子はMPTに配置されて良い。
(6)依存関係記述子
依存関係記述子は、依存関係にあるアセットのアセットIDを提供する。依存関係記述子はMPTに配置されて良い。
(7)アクセス制御記述子
アクセス制御記述子は、限定受信方式を識別するための情報を提供する。アクセス制御記述子はMPTまたはCAT(MH)に配置されて良い。
(8)スクランブル方式記述子
スクランブル方式記述子は、スクランブル時の暗号化対象および暗号アルゴリズムの種別を識別するための情報を提供する。スクランブル方式記述子はMPTまたはCAT(MH)に配置されて良い。
(9)メッセージ認証方式記述子
メッセージ認証方式記述子は、メッセージ認証を行う場合にメッセージ認証方式を識別するための情報を提供する。メッセージ認証方式記述子はMPTまたはCAT(MH)に配置されて良い。
(10)緊急情報記述子(MH)
緊急情報記述子(MH)は、緊急警報放送を行う場合に用いる。緊急情報記述子(MH)はMPTに配置されて良い。
(11)MH−MPEG−4オーディオ記述子
MH−MPEG−4オーディオ記述子は、ISO/IEC 14496−3(MPEG−4オーディオ)のオーディオストリームの符号化パラメータを特定するための基本情報を記述するために用いる。MH−MPEG−4オーディオ記述子はMPTに配置されて良い。
(12)MH−MPEG−4オーディオ拡張記述子
MH−MPEG−4オーディオ拡張記述子は、MPEG−4オーディオストリームのプロファイルとレベルおよび符号化方式固有の設定を記述するために用いる。MH−MPEG−4オーディオ拡張記述子はMPTに配置されて良い。
(13)MH−HEVCビデオ記述子
MH−HEVCビデオ記述子は、ITU−T勧告H.265|ISO/IEC 23008−2の映像ストリーム(HEVCストリーム)の基本的な符号化パラメータを記述するために用いる。MH−HEVCビデオ記述子はMPTに配置されて良い。
(14)MH−リンク記述子
MH−リンク記述子は、番組配列情報システムに記載されているある特定のものに関連した追加情報を視聴者が要求した場合に提供されるサービスを識別する。MH−リンク記述子は、MPT、MH−EIT、MH−SDT、等に配置されて良い。
(15)MH−イベントグループ記述子
MH−イベントグループ記述子は、複数のイベント間に関係がある場合にそれらのイベント群がグループ化されていることを示すために用いる。MH−イベントグループ記述子はMH−EITに配置されて良い。
(16)MH−サービスリスト記述子
MH−サービスリスト記述子は、サービス識別とサービス形式種別によるサービスの一覧を提供する。MH−サービスリスト記述子はMH−BITに配置されて良い。
(17)MH−短形式イベント記述子
MH−短形式イベント記述子は、イベント名およびそのイベントの短い記述をテキスト形式で表す。MH−短形式イベント記述子はMH−EITに配置されて良い。
(18)MH−拡張形式イベント記述子
MH−拡張形式イベント記述子は、MH−短形式イベント記述子に付け加えて使用され、イベントの詳細記述を提供する。MH−拡張形式イベント記述子はMH−EITに配置されて良い。
(19)映像コンポーネント記述子
映像コンポーネント記述子は、映像コンポーネントに関するパラメータや説明を示し、エレメンタリストリームを文字形式で表現するためにも利用される。映像コンポーネント記述子はMPTまたはMH−EITに配置されて良い。
(20)MH−ストリーム識別記述子
MH−ストリーム識別記述子は、サービスのコンポーネントストリームにラベルを付け、このラベルによってMH−EIT内の映像コンポーネント記述子で示される記述内容を参照できるために使用する。MH−ストリーム識別記述子はMPTに配置されて良い。
(21)MH−コンテント記述子
MH−コンテント記述子は、イベントのジャンルを示す。MH−コンテント記述子はMH−EITに配置されて良い。
(22)MH−パレンタルレート記述子
MH−パレンタルレート記述子は、年齢に基づいた視聴制限を表し、また、他の制限条件に基づくよう拡張するために用いる。MH−パレンタルレート記述子はMPTまたはMH−EITに配置されて良い。
(23)MH−音声コンポーネント記述子
MH−音声コンポーネント記述子は、音声エレメンタリストリームの各パラメータを示し、エレメンタリストリームを文字形式で表現するためにも利用される。MH−音声コンポーネント記述子はMPTまたはMH−EITに配置されて良い。
(24)MH−対象地域記述子
MH−対象地域記述子は、番組または番組を構成する一部のストリームが対象とする地域を記述するために使用される。MH−対象地域記述子はMPTに配置されて良い。
(25)MH−シリーズ記述子
MH−シリーズ記述子は、シリーズ番組を識別するために用いる。MH−シリーズ記述子はMH−EITに配置されて良い。
(26)MH−SI伝送パラメータ記述子
MH−SI伝送パラメータ記述子は、SIの伝送パラメータを示すために用いる。MH−SI伝送パラメータ記述子はMH−BITに配置されて良い。
(27)MH−ブロードキャスタ名記述子
MH−ブロードキャスタ名記述子は、ブロードキャスタの名称を記述する。MH−ブロードキャスタ名記述子はMH−BITに配置されて良い。
(28)MH−サービス記述子
MH−サービス記述子は、編成チャンネル名とその事業者名をサービス形式種別と共に文字符号で表す。MH−サービス記述子はMH−SDTに配置されて良い。
(29)IPデータフロー記述子
IPデータフロー記述子は、サービスを構成するIPデータフローの情報を提供する。IPデータフロー記述子はMH−SDTに配置されて良い。
(30)MH−CA起動記述子
MH−CA起動記述子は、CAS基盤上のCASプログラムを起動するための起動情報を記載する。MH−CA起動記述子はMPTまたはCAT(CA)に配置されて良い。
(31)MH−Type記述子
MH−Type記述子は、アプリケーション伝送方式で伝送されるファイルの型を示す。MH−Type記述子はDAMテーブルに配置されて良い。
(32)MH−Info記述子
MH−Info記述子は、MPUまたはアイテムに関する情報を記述する。MH−Info記述子はDAMテーブルに配置されて良い。
(33)MH−Expire記述子
MH−Expire記述子は、アイテムの有効期限を記述する。MH−Expire記述子はDAMテーブルに配置されて良い。
(34)MH−Compression Type記述子
MH−Compression Type記述子は、伝送するアイテムが圧縮されていることを意味し、その圧縮アルゴリズムと圧縮前のアイテムのバイト数を示す。MH−Compression Type記述子はDAMテーブルに配置されて良い。
(35)MH−データ符号化方式記述子
MH−データ符号化方式記述子は、データ符号化方式を識別するために使用される。MH−データ符号化方式記述子はMPTに配置されて良い。
(36)UTC−NPT参照記述子
UTC−NPT参照記述子は、NPT(Normal Play Time)とUTCの関係を伝達するために用いる。UTC−NPT参照記述子はEMTに配置されて良い。
(37)イベントメッセージ記述子
イベントメッセージ記述子は、イベントメッセージ一般に関する情報を伝達する。イベントメッセージ記述子はEMTに配置されて良い。
(38)MH−ローカル時間オフセット記述子
MH−ローカル時間オフセット記述子は、サマータイム実施時に実際の時刻(例えば、UTC+9時間)と人間系への表示時刻に一定のオフセット値を持たせるときに用いる。MH−ローカル時間オフセット記述子はMH−TOTに配置されて良い。
(39)MH−コンポーネントグループ記述子
MH−コンポーネントグループ記述子は、イベント内のコンポーネントの組み合わせを定義して識別する。MH−コンポーネントグループ記述子はMH−EITに配置されて良い。
(40)MH−ロゴ伝送記述子
MH−ロゴ伝送記述子は、簡易ロゴ用文字列、CDT形式のロゴへのポインティングなどを記述するために用いる。MH−ロゴ伝送記述子はMH−SDTに配置されて良い。
(41)MPU拡張タイムスタンプ記述子
MPU拡張タイムスタンプ記述子は、MPU内のアクセスユニットの復号時刻を提供する。MPU拡張タイムスタンプ記述子はMPTに配置されて良い。
(42)MPUダウンロードコンテンツ記述子
MPUダウンロードコンテンツ記述子は、MPUを用いてダウンロードされるコンテンツの属性情報を記述するために用いる。MPUダウンロードコンテンツ記述子はMH−SDTTに配置されて良い。
(43)MH−ネットワークダウンロードコンテンツ記述子
MH−ネットワークダウンロードコンテンツ記述子は、ネットワークを用いてダウンロードされるコンテンツの属性情報を記述するために用いる。MH−ネットワークダウンロードコンテンツ記述子はMH−SDTTに配置されて良い。
(44)MH−アプリケーション記述子
MH−アプリケーション記述子は、アプリケーションの情報を記述する。MH−アプリケーション記述子はMH−AITに配置されて良い。
(45)MH−伝送プロトコル記述子
MH−伝送プロトコル記述子は、放送や通信等の伝送プロトコルの指定と伝送プロトコルに依存したアプリケーションのロケーション情報を示すために用いる。MH−伝送プロトコル記述子はMH−AITに配置されて良い。
(46)MH−簡易アプリケーションロケーション記述子
MH−簡易アプリケーションロケーション記述子は、アプリケーションの取得先の詳細を指示するために記述する。MH−簡易アプリケーションロケーション記述子はMH−AITに配置されて良い。
(47)MH−アプリケーション境界権限設定記述子
MH−アプリケーション境界権限設定記述子は、アプリケーションバウンダリを設定し、かつ領域(URL)毎に放送リソースアクセスの権限を設定するために記述する。MH−アプリケーション境界権限設定記述子はMH−AITに配置されて良い。
(48)MH−起動優先情報記述子
MH−起動優先情報記述子は、アプリケーションの起動優先度を指定するために記述する。MH−起動優先情報記述子はMH−AITに配置されて良い。
(49)MH−キャッシュ情報記述子
MH−キャッシュ情報記述子は、アプリケーションの再利用が想定される場合に、アプリケーションを構成するリソースをキャッシュし保持しておく場合のキャッシュ制御に用いるために記述する。MH−キャッシュ情報記述子はMH−AITに配置されて良い。
(50)MH−確率的適用遅延記述子
MH−確率的適用遅延記述子は、アプリケーション取得のサーバアクセスの負荷分散を想定して、アプリケーション制御を行うタイミングを確率的に設定した遅延量だけ遅らせるために記述する。MH−確率的適用遅延記述子はMH−AITに配置されて良い。
(51)リンク先PU記述子
リンク先PU記述子は、当該プレゼンテーションユニット(PU)から遷移する可能性のある他のプレゼンテーションユニットを記述する。リンク先PU記述子はDCCテーブルに配置されて良い。
(52)ロックキャッシュ指定記述子
ロックキャッシュ指定記述子は、当該プレゼンテーションユニットにおいてキャッシュし、かつロックする対象のファイルの指定を記述する。ロックキャッシュ指定記述子はDCCテーブルに配置されて良い。
(53)アンロックキャッシュ指定記述子
アンロックキャッシュ指定記述子は、当該プレゼンテーションユニットにおいてロックされているファイルのうちのアンロックするファイルの指定を記述する。アンロックキャッシュ指定記述子はDCCテーブルに配置されて良い。
(54)事業者が設定する記述子
その他、サービス事業者等が独自に設定した記述子を用意することが可能である。
<MMT方式におけるデータ伝送と各制御情報の関係>
ここで、図6Eを用いて、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムにおけるデータ伝送と代表的なテーブルの関係について説明する。
本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムでは、放送伝送路を介したTLVストリームや通信回線を介したIPデータフロー等、複数の経路でデータ伝送を行うことができる。TLVストリームには、TLV−NITやAMTなどのTLV−SIと、IPパケットのデータフローであるIPデータフローが含まれている。IPデータフロー内には一連の映像MPUを含む映像アセットや一連の音声MPUを含む音声アセットが含まれている。同様に、IPデータフロー内には一連の字幕MPUを含む字幕アセット、一連の文字スーパーMPUを含む文字スーパーアセット、一連のデータMPUを含むデータアセットなどが含まれても良い。これらの各種アセットは、PAメッセージに格納されて伝送されるMPT(MMTパッケージテーブル)により、『パッケージ』という単位で関連付けられる。具体的には、MPTにパッケージID(後述の図17に示す『MMT_package_id_byte』パラメータに対応)と、当該パッケージに含まれる各アセットのアセットID(後述の図17に示す『asset_id_byte』パラメータに対応)とが記載されることにより、前記関連付けが行われる。
パッケージを構成するアセットはTLVストリーム内のアセットのみとすることもできるが、図6Eに示すように、通信回線のIPデータフローで伝送されるアセットを含めることもできる。これは、当該パッケージに含まれる各アセットのロケーション情報(後述の図17に示す『MMT_general_location_info()』に対応)をMPT内に含めて、本実施例の放送受信装置100が各アセットの参照先を把握可能とすることにより実現できる。具体的には、前記ロケーション情報に配置される『MMT_general_location_infonolocation_type』パラメータの値を変更することにより、
(1)MPTと同一のIPデータフローに多重されているデータ
(location_type=0x00)
(2)IPv4データフローに多重されているデータ
(location_type=0x01)
(3)IPv6データフローに多重されているデータ
(location_type=0x02)
(4)放送のMPEG2−TSに多重されているデータ
(location_type=0x03)
(5)IPデータフロー内にMPEG2−TS形式で多重されているデータ
(location_type=0x04)
(6)指定するURLにあるデータ
(location_type=0x05)
など、様々な伝送経路で伝送される各種データを、放送受信装置100が参照できるように構成することが可能となる。
前述の参照先のうち、(1)は、例えば、後述する図7Aの放送受信装置100のチューナ/復調部131で受信するデジタル放送信号を経由して受信するIPデータフローである。MPTを通信回線側のIPデータフローにも含めて伝送する場合は、(1)の参照先が後述するLAN通信部121が通信回線を介して受信するIPデータフローになる場合もある。また、前記(2)、(3)、(5)、(6)は後述するLAN通信部121が通信回線を介して受信するIPデータフローである。また、前記(4)は、例えば、後述する図24に示す実施例2の放送受信装置800のように、MMT方式を用いるデジタル放送信号を受信する受信機能と、MPEG2−TS方式を用いるデジタル放送信号を受信する受信機能の両者を有する放送受信装置の場合に、MMT方式を用いるデジタル放送信号に含まれるMPTのロケーション情報(『MMT_general_location_info()』)に基づいて、MPEG2−TS方式を用いるデジタル放送信号を受信する受信機能で受信するMPEG2−TSに多重されているデータを参照する場合に用いることができる。
なお、『パッケージ』を構成するデータはこのように指定されるが、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムでは、当該『パッケージ』単位の一連のデータをデジタル放送の『サービス』単位として扱う。
更に、MPTには、MPTが指定する各MPUの提示時刻情報(後述の図13Bに示す『mpu_presentation_time』パラメータに対応)が記載されており、当該提示時刻情報を用いて、MPTが指定する複数のMPUを、UTC表記の時刻情報であるNTPに基づくクロックを基準に、連動して提示(表示、出力など)することが可能となる。当該NTPに基づくクロックを用いた各種データの提示制御については後述する。
図6Eに示される本実施例のデータ伝送方式では、更に『イベント』という概念がある。『イベント』は、M2セクションメッセージに含められて送られるMH−EITが扱う、いわゆる『番組』を示す概念である。具体的には、MH−EITに格納されたイベントパッケージ記述子が指し示す『パッケージ』において、MH−EITに格納された開示時刻(後述の図21に示す『start_time』パラメータに対応)から、継続時間(後述の図21に示す『duration』パラメータに対応)分の期間に含まれる一連のデータが、当該『イベント』の概念に含まれるデータである。MH−EITは、本実施例の放送受信装置100において当該『イベント』単位での各種処理(例えば、番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理)などに用いることができる。
[放送受信装置のハードウェア構成]
図7Aは、放送受信装置100の内部構成の一例を示すブロック図である。放送受信装置100は、主制御部101、システムバス102、ROM103、RAM104、ストレージ(蓄積)部110、LAN通信部121、拡張インタフェース部124、デジタルインタフェース部125、チューナ/復調部131、分離部132、映像デコーダ141、映像色域変換部142、音声デコーダ143、文字スーパーデコーダ144、字幕デコーダ145、字幕合成部146、字幕色域変換部147、データデコーダ151、キャッシュ部152、アプリケーション制御部153、ブラウザ部154、アプリケーション色域変換部155、音源部156、映像合成部161、モニタ部162、映像出力部163、音声合成部164、スピーカ部165、音声出力部166、操作入力部170、で構成される。
主制御部101は、所定の動作プログラムに従って放送受信装置100全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス102は主制御部101と放送受信装置100内の各動作ブロックとの間でデータ送受信を行うためのデータ通信路である。
ROM(Read Only Memory)103は、オペレーティングシステムなどの基本動作プログラムやその他の動作プログラムが格納された不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュROMのような書き換え可能なROMが用いられる。ROM103には、放送受信装置100の動作に必要な動作設定値が記憶されても良い。RAM(Random Access Memory)104は基本動作プログラムやその他の動作プログラム実行時のワークエリアとなる。ROM103およびRAM104は主制御部101と一体構成であっても良い。また、ROM103は、図7Aに示したような独立構成とはせず、ストレージ(蓄積)部110内の一部記憶領域を使用するようにしても良い。
ストレージ(蓄積)部110は、放送受信装置100の動作プログラムや動作設定値、放送受信装置100のユーザの個人情報等を記憶する。また、インターネット200を介してダウンロードした動作プログラムや前記動作プログラムで作成した各種データ等を記憶可能である。また、放送波から取得した、或いは、インターネット200を介してダウンロードした、動画、静止画、音声等のコンテンツも記憶可能である。ストレージ(蓄積)部110の一部領域を以ってROM103の機能の全部または一部を代替しても良い。また、ストレージ(蓄積)部110は、放送受信装置100に外部から電源が供給されていない状態であっても記憶している情報を保持する必要がある。従って、例えば、フラッシュROMやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性半導体素子メモリ、HDD(Hard Disc Drive)などの磁気ディスクドライブ、等のデバイスが用いられる。
なお、ROM103やストレージ(蓄積)部110に記憶された前記各動作プログラムは、インターネット200上の各サーバ装置からのダウンロード処理により、追加、更新および機能拡張することが可能であるものとする。
LAN(Local Area Network)通信部121は、ルータ装置200rを介してインターネット200と接続され、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器とデータの送受信を行う。また、通信回線を介して伝送される番組のMMTデータ列(或いは、その一部)の取得も行うものとする。ルータ装置200rとの接続は有線接続であっても良いし、Wi−Fi(登録商標)等の無線接続であっても良い。LAN通信部121は符号回路や復号回路等を備えるものとする。また、放送受信装置100が、BlueTooth(登録商標)通信部やNFC通信部、赤外線通信部等、他の通信部を更に備えていても良い。
チューナ/復調部131は、アンテナ100aを介して電波塔300tから送信された放送波を受信し、主制御部101の制御に基づいてユーザの所望するサービスのチャンネルに同調(選局)する。更に、チューナ/復調部131は、受信した放送信号を復調してMMTデータ列を取得する。なお、図7Aに示した例では、チューナ/復調部が1つである構成を例示しているが、複数画面同時表示や裏番組録画等を目的として、放送受信装置100がチューナ/復調部を複数搭載する構成としても良い。
分離部132はMMTデコーダであり、入力したMMTデータ列中の制御信号に基づいてリアルタイム提示要素である映像データ列、音声データ列、文字スーパーデータ列、字幕データ列、等を、それぞれ映像デコーダ141、音声デコーダ143、文字スーパーデコーダ144、字幕デコーダ145、等に分配する。分離部132に入力されるデータは、放送伝送路を介して伝送されてチューナ/復調部131で復調されたMMTデータ列や、通信回線を介して伝送されてLAN通信部121で受信したMMTデータ列であって良い。また、分離部132は、マルチメディアアプリケーションやその構成要素であるファイル系データを再生し、キャッシュ部152で一時的に蓄積する。また、分離部132は、映像音声字幕以外のデータの提示を行うプレーヤで利用するデータ若しくはアプリケーションに対するデータのストリーミングに用いるために、汎用データを抽出してデータデコーダ151に出力する。また、分離部132は、主制御部101の制御に基づいて、前記入力したMMTデータ列に対するエラー訂正やアクセス制限の制御等を行っても良い。
映像デコーダ141は、分離部132から入力した映像データ列を復号して映像情報を出力する。映像色域変換部142は、映像デコーダ141で復号した映像情報に対して、映像合成部161での映像合成処理のために、必要に応じて色空間変換処理を施す。音声デコーダ143は、分離部132から入力した音声データ列を復号して音声情報を出力する。また、映像デコーダ141および音声デコーダ143には、LAN通信部121を介してインターネット200上から取得した、例えば、MPEG−DASH(MPEG−Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)形式等のストリーミングデータが入力されても良い。また、映像デコーダ141、映像色域変換部142、音声デコーダ143、等は、複数種類の映像データ列や音声データ列を同時に復号処理するために、複数備えられても良い。
文字スーパーデコーダ144は、分離部132から入力した文字スーパーデータ列を復号して文字スーパー情報を出力する。字幕デコーダ145は、分離部132から入力した字幕データ列を復号して字幕情報を出力する。文字スーパーデコーダ144から出力された文字スーパー情報と字幕デコーダ145から出力された字幕情報は、字幕合成部146において合成処理を施され、更に、字幕色域変換部147において、映像合成部161での映像合成処理のために、必要に応じて色空間変換処理を施される。なお、本実施例においては、放送番組の映像と同時に提示される、文字情報を中心とするサービスのうち、映像の内容と関連するものを字幕と呼称し、それ以外のものを文字スーパーと呼称する。また、それらを区別しない場合は、字幕と総称するものとする。
ブラウザ部154は、キャッシュ部152若しくはLAN通信部121を介してインターネット200上のサーバ装置から取得したマルチメディアアプリケーションファイルやその構成要素であるファイル系データを、MMTデータ列に含まれる制御情報やLAN通信部121を介してインターネット200上のサーバ装置から取得した制御情報を解釈するアプリケーション制御部153の指示に従って提示する。なお、前記マルチメディアアプリケーションファイルは、HTML(Hyper Text Markup Language)文書やBML(Broadcast Markup Language)文書等であって良い。ブラウザ部154から出力されたアプリケーション情報は、更に、アプリケーション色域変換部155において、映像合成部161での映像合成処理のために、必要に応じて色空間変換処理を施される。また、ブラウザ部154は、音源部156に働きかけることにより、アプリケーション音声情報の再生も行うものとする。
映像合成部161は、映像色域変換部142から出力された映像情報と字幕色域変換部147から出力された字幕情報とアプリケーション色域変換部155から出力されたアプリケーション情報等を入力し、適宜選択および/または重畳等の処理を行う。映像合成部161は図示を省略したビデオRAMを備え、前記ビデオRAMに入力された映像情報等に基づいてモニタ部162等が駆動される。また、映像合成部161は、主制御部101の制御に基づいて、必要に応じて、スケーリング処理やMMT−SIに含まれるMH−EIT等の情報に基づいて作成されたEPG(Electronic Program Guide)画面情報の重畳処理等を行う。モニタ部162は、例えば液晶パネル等の表示デバイスであり、映像合成部161で選択および/または重畳処理を施された映像情報を放送受信装置100のユーザに提供する。映像出力部163は、映像合成部161で選択および/または重畳処理を施された映像情報を出力する映像出力インタフェースである。
なお、本実施例の放送受信装置100の提示機能は、マルチメディアサービスを提供者の意図通りに表示させるために、論理的プレーン構造を備えるものとする。図7Bに、本実施例の放送受信装置100の提示機能が備える論理的プレーン構造の構成の一例を示す。前記論理的プレーン構造では、最前面に文字スーパーの表示を行う文字スーパープレーンを配置し、次層に字幕の表示を行う字幕プレーンを配置する。三層目に放送映像やマルチメディアアプリケーション、またはその合成映像の表示を行うマルチメディアプレーンを配置し、最背面に背景プレーンを配置する。字幕合成部146および映像合成部161において、文字スーパー情報の文字スーパープレーンへの描画、字幕情報の字幕プレーンへの描画、映像情報やアプリケーション情報等のマルチメディアプレーンへの描画が行われる。また、MMT−SIに含まれるLCT等に基づいて背景色が背景プレーンに描画される。なお、三層目のマルチメディアプレーンは、映像デコーダ141の数に応じて複数用意することが可能であるものとする。ただし、マルチメディアプレーンが複数ある場合でも、アプリケーション色域変換部155から出力されたアプリケーション情報等は、最前面のマルチメディアプレーンにのみ出力されるものとする。
音声合成部164は、音声デコーダ143から出力された音声情報および音源部156で再生されたアプリケーション音声情報を入力して、適宜選択および/またはミックス等の処理を行う。スピーカ部165は、音声合成部164で選択および/またはミックス処理を施された音声情報を放送受信装置100のユーザに提供する。音声出力部166は、音声合成部164で選択および/またはミックス処理を施された音声情報を出力する音声出力インタフェースである。
拡張インタフェース部124は、放送受信装置100の機能を拡張するためのインタフェース群であり、本実施例では、アナログ映像/音声インタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、メモリインタフェース等で構成されるものとする。アナログ映像/音声インタフェースは、外部映像/音声出力機器からのアナログ映像信号/音声信号の入力、外部映像/音声入力機器へのアナログ映像信号/音声信号の出力、等を行う。USBインタフェースは、PC等と接続してデータの送受信を行う。HDDを接続して放送番組やコンテンツの記録を行っても良い。また、キーボードやその他のUSB機器の接続を行っても良い。メモリインタフェースはメモリカードやその他のメモリ媒体を接続してデータの送受信を行う。
デジタルインタフェース部125は、符号化されたデジタル映像データおよび/またはデジタル音声データを出力若しくは入力するインタフェースである。デジタルインタフェース部125は、チューナ/復調部131で復調して得たMMTデータ列やLAN通信部121を介して取得したMMTデータ列、或いは、前記各MMTデータ列の混合データをそのまま出力可能であるものとする。また、デジタルインタフェース部125から入力したMMTデータ列を分離部132に入力するように制御しても良い。ストレージ(蓄積)部110に記憶したデジタルコンテンツの出力、或いは、ストレージ(蓄積)部110へのデジタルコンテンツの記憶を、デジタルインタフェース部125を介して行っても良い。
デジタルインタフェース部125は、DVI端子やHDMI(登録商標)端子やDisplay Port(登録商標)端子等であって、DVI仕様やHDMI仕様やDisplay Port仕様等に準拠した形式でデータの出力或いは入力がなされるものであって良い。IEEE1394仕様等に準拠したシリアルデータの形式で出力或いは入力されても良い。また、イーサネット(登録商標)や無線LAN等のハードウェアを介してデジタルインタフェース出力を行うIPインタフェースとして構成しても良い。この場合、デジタルインタフェース部125とLAN通信部121とはそのハードウェア構成を共有しても良い。
操作入力部170は、放送受信装置100に対する操作指示の入力を行う指示入力部であり、本実施例では、図示を省略したリモコンから送信されるコマンドを受信するリモコン受信部とボタンスイッチを並べた操作キーで構成されるものとする。何れか一方のみであっても良い。また、操作入力部170は、モニタ部162に重ねて配したタッチパネルで代替しても良い。拡張インタフェース部124に接続したキーボード等で代替しても良い。前記図示を省略したリモコンは、リモコンコマンド送信機能を備えた携帯情報端末700で代替しても良い。
なお、前述のように、放送受信装置100がテレビ受信機等である場合、映像出力部163および音声出力部166は本発明に必須の構成ではない。また、放送受信装置100は、テレビ受信機の他、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダなどの光ディスクドライブレコーダ、HDDレコーダなどの磁気ディスクドライブレコーダ、STB(Set Top Box)等であっても良い。デジタル放送受信機能や放送通信連携機能を備えたPC(Personal Computer)やタブレット端末、ナビゲーション装置、ゲーム機等であっても良い。放送受信装置100がDVDレコーダ、HDDレコーダ、STB等である場合、モニタ部162およびスピーカ部165は備えなくとも良い。映像出力部163および音声出力部166或いはデジタルインタフェース部125に、外部モニタおよび外部スピーカを接続することにより、本実施例の放送受信装置100と同様の動作が可能となる。
[放送受信装置のクロック同期/提示同期のシステム構成]
図7Cは、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムにおけるクロック同期/提示同期のシステム構成の一例である。本実施例の放送システムでは、UTCを64ビット長のNTPタイムスタンプ形式で、放送送出システムから受信機(本実施例の放送受信装置100等)に伝送する。前記NTPタイムスタンプ形式においては、UTCの『秒以上』を32ビットで表し、また、『秒未満』を32ビットで表すものとする。しかしながら、実際には、1秒を32ビット精度で再現することは困難である。このため、映像システムの同期をとるためのシステムクロックやNTP形式の時計を動作させるためのシステムクロックとしては、例えば同図に示したような、『2の24乗』Hz(約16.8MHz)の周波数を用いるようにしても良い。なお、従来の放送システムにおけるシステムクロックが27MHzであったことおよび受信機のハードウェア構成を簡便に構築できること等を考慮すると、『2の24乗』〜『2の28乗』程度の、2のべき乗の周波数をシステムクロックとして採用することが望ましい。
なお、放送送出システム側や受信機側において、システムクロックを前述のように『2の24乗』〜『2の28乗』程度の2のべき乗の周波数に設定した場合、放送送出システム側から受信機側に伝送されるNTPタイムスタンプ形式における、前記システムクロックやNTP形式の時計を再生するためのPLL(Phase Locked Loop)系に参照されない下位の8〜4ビットは、『0』或いは『1』に固定するようにしても良い。即ち、システムクロックが『2のn乗』Hz(図7Cの例では、n=24)であれば、NTPタイムスタンプ形式の下位『32−n』ビットを『0』或いは『1』に固定するようにしても良い。或いは、受信機側において、前記NTPタイムスタンプ形式の下位『32−n』ビットを無視するように処理しても良い。
放送送出システム側では、NTP形式の時刻情報を外部から得ると、『2のn乗』HzのVCO(Voltage Controlled Oscillator)による32+nビットカウンタでPLL系を構成し、外部から与えられた時刻情報に同期する送出システム時計を実現する。また、『2のn乗』Hzのシステムクロックに同期して全体の信号処理系を動作させる。更に、前記送出システム時計の出力をNTP長形式の時刻情報として放送伝送路を介して受信機側に周期的に伝送する。
受信機側では、放送伝送路を介してNTP長形式の時刻情報を受信し、放送送出システム側と同様に、『2のn乗』HzのVCOに基づくPLL系により受信システム時計を再生する。これにより、受信システム時計は、放送送出システム側と同期した時計となる。また、『2のn乗』Hzのシステムクロックに同期して受信機の信号処理系を動作させることにより、放送送出システム側と受信機側のクロック同期が実現され、安定した信号再生が可能となる。また、映像/音声信号の提示単位毎の復号時刻および提示時刻が、放送送出システム側において、前記NTP形式の時刻情報に基づいて設定される。ここで、放送信号で伝送されるPAメッセージに格納されるMPTには後述の図13Bに示すMPUタイムスタンプ記述子が格納されている。図13BのMPUタイムスタンプ記述子における『mpu_sequence_number(MPUシーケンス番号)』パラメータがタイムスタンプを記述するMPUのシーケンス番号を示し、『mpu_presentation_time(MPU提示時刻)』パラメータがMPUの提示時刻を64ビットのNTPタイムスタンプ形式で示している。よって、受信機はMPTに格納されるMPUタイムスタンプ記述子を参照し、映像信号、音声信号、字幕、文字スーパー等のMPU毎の提示(表示、出力など)タイミングを制御することが可能である。
なお、前述の映像/音声信号等の提示単位毎の復号タイミングおよび提示タイミングの制御に着目した場合、『2の16乗』Hz(約65.5KHz)程度のクロックによっても映像/音声信号の同期は確保可能であり、この場合は、MPUタイムスタンプ記述子等に記述されるNTPタイムスタンプ形式の下位16ビットは参照しなくとも良い。即ち、復号タイミングおよび提示タイミングの制御にシステムクロックの分周等により生成した『2のm乗』Hzのクロックを用いた場合は、MPUタイムスタンプ記述子等に記述されるNTPタイムスタンプ形式の下位『32−m』ビットは参照しなくとも良い。従って、MPUタイムスタンプ記述子等に記述されるNTPタイムスタンプ形式の下位『32−m』ビットは『0』或いは『1』に固定するようにしても良い。
[放送受信装置のソフトウェア構成]
図7Dは、本実施例の放送受信装置100のソフトウェア構成図であり、ROM103、RAM104およびストレージ(蓄積)部110におけるソフトウェアの構成を示す。本実施例においては、ROM103に基本動作プログラム1001およびその他の動作プログラムが記憶されており、ストレージ(蓄積)部110に受信機能プログラム1002およびその他の動作プログラムが記憶されている。また、ストレージ(蓄積)部110は、動画や静止画や音声等のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶領域1200、外部の携帯端末機器や各サーバ装置にアクセスする際に必要な認証情報等を記憶する認証情報記憶領域1300、その他の各種情報を記憶する各種情報記憶領域を備えるものとする。
ROM103に記憶された基本動作プログラム1001はRAM104に展開され、更に主制御部101が前記展開された基本動作プログラムを実行することにより、基本動作実行部1101を構成する。また、ストレージ(蓄積)部110に記憶された受信機能プログラム1002も同様にRAM104に展開され、更に主制御部101が前記展開された受信機能プログラムを実行することにより、受信機能実行部1102を構成する。また、RAM104は、各動作プログラム実行時に作成したデータを、必要に応じて一時的に保持する一時記憶領域を備えるものとする。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部101がROM103に格納された基本動作プログラム1001をRAM104に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作実行部1101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
受信機能実行部1102は、本実施例の放送システムで伝送される映像や音声等のコンポーネントを再生するために放送受信装置100の各動作ブロックを制御する。特に、トランスポート処理部1102aは、分離部132のMMTデコーダ機能を主として制御し、MMTデータ列から分離した映像データ列や音声データ列等をそれぞれ対応するデコード処理部に分配する。AVデコード処理部1102bは、映像デコーダ141や音声デコーダ143等を主として制御する。アプリケーション処理部1102cは、キャッシュ部152やアプリケーション制御部153やブラウザ部154や音源部156を主として制御する。文字スーパー処理部1102dは、文字スーパーデコーダ144を主として制御する。字幕処理部1102eは、字幕デコーダ145を主として制御する。汎用データ処理部1102fは、データデコーダ151を主として制御する。EPG生成部1102gは、MMT−SIに含まれるMH−EIT等の記述内容を解釈してEPG画面を生成する。提示処理部1102hは、前記論理的プレーン構造に基づいて、映像色域変換部142や字幕合成部146や字幕色域変換部147やアプリケーション色域変換部155や映像合成部161や音声合成部164を主として制御する。
前記各動作プログラムは、製品出荷の時点で、予めROM103および/またはストレージ(蓄積)部110に格納された状態であっても良い。製品出荷後に、インターネット200上のその他のアプリケーションサーバ500等からLAN通信部121を介して取得するものであっても良い。また、メモリカードや光ディスク等に格納された前記各動作プログラムを、拡張インタフェース部124等を介して取得するものであっても良い。
[放送局サーバの構成]
図8は、放送局サーバ300の内部構成の一例を示すブロック図である。放送局サーバ300は、主制御部301、システムバス302、RAM304、ストレージ部310、LAN通信部321、デジタル放送信号送出部360、で構成される。
主制御部301は、所定の動作プログラムに従って放送局サーバ300全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス302は主制御部301と放送局サーバ300内の各動作ブロックとの間でデータ送受信を行うためのデータ通信路である。RAM304は各動作プログラム実行時のワークエリアとなる。
ストレージ部310は、基本動作プログラム3001および放送コンテンツ管理/配信プログラム3002と放送コンテンツ送出プログラム3003を記憶し、更に、放送コンテンツ記憶領域3200およびメタデータ記憶領域3300を備える。放送コンテンツ記憶領域3200は放送局が放送する各放送番組の番組コンテンツ等を記憶する。メタデータ記憶領域3300は前記各放送番組の番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、各番組コンテンツに係るコピー制御情報、等のメタデータを記憶する。
また、ストレージ部310に記憶された基本動作プログラム3001および放送コンテンツ管理/配信プログラム3002と放送コンテンツ送出プログラム3003はそれぞれRAM304に展開され、更に主制御部301が前記展開された各プログラムを実行することにより、基本動作実行部3101、放送コンテンツ管理/配信実行部3102、放送コンテンツ送出実行部3103を構成する。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部301がストレージ部310に格納された基本動作プログラム3001をRAM304に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作実行部3101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
放送コンテンツ管理/配信実行部3102は、放送コンテンツ記憶領域3200およびメタデータ記憶領域3300に蓄積された各放送番組の番組コンテンツ等および各メタデータの管理と、前記各放送番組の番組コンテンツ等および各メタデータを契約に基づいてサービス事業者に提供する際の制御を行う。更に、放送コンテンツ管理/配信実行部3102は、前記サービス事業者に対して前記各放送番組の番組コンテンツ等および各メタデータの提供を行う際に、必要に応じて前記契約に基づいたサービス事業者サーバ400の認証処理等を行っても良い。
放送コンテンツ送出実行部3103は、放送コンテンツ記憶領域3200に蓄積された放送番組の番組コンテンツや、メタデータ記憶領域3300に蓄積された放送番組の番組タイトル、番組ID、番組コンテンツのコピー制御情報等を含むMMTデータ列を、デジタル放送信号送出部360を介して電波塔300tから送出する際のタイムスケジュール管理等を行う。
LAN通信部321は、インターネット200と接続され、インターネット200上のサービス事業者サーバ400等と通信を行う。LAN通信部321は符号回路や復号回路等を備えるものとする。デジタル放送信号送出部360は、放送コンテンツ記憶領域3200に蓄積された各放送番組の番組コンテンツ等の映像データ列や音声データ列、番組情報データ列、等で構成されたMMTデータ列を変調して、電波塔300tを介して、デジタル放送波として送出する。
[サービス事業者サーバの構成]
図9は、サービス事業者サーバ400の内部構成の一例を示すブロック図である。サービス事業者サーバ400は、主制御部401、システムバス402、RAM404、ストレージ部410、LAN通信部421、で構成される。
主制御部401は、所定の動作プログラムに従ってサービス事業者サーバ400全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス402は主制御部401とサービス事業者サーバ400内の各動作ブロックとの間でデータ送受信を行うためのデータ通信路である。RAM404は各動作プログラム実行時のワークエリアとなる。
ストレージ部410は、基本動作プログラム4001および映像コンテンツ管理/配信プログラム4002とアプリケーション管理/配布プログラム4004を記憶し、更に、映像コンテンツ記憶領域4200およびメタデータ記憶領域4300、アプリケーション記憶領域4400、ユーザ情報記憶領域4500を備える。映像コンテンツ記憶領域4200は、放送局サーバ300から提供された放送番組の番組コンテンツを映像コンテンツとして記憶する。また、前記サービス事業者が制作した映像コンテンツ等を記憶する。メタデータ記憶領域4300は、放送局サーバ300から提供された各メタデータや、前記サービス事業者が制作した映像コンテンツに関するメタデータ等を記憶する。アプリケーション記憶領域4400は、各テレビ受信機からの要求に応じて配布するための、放送番組に連携したサービスを実現するための各種アプリケーション等を記憶する。ユーザ情報記憶領域4500は、サービス事業者サーバ400へのアクセスが許可されたユーザに関する情報(個人情報や認証情報等)を記憶する。
また、ストレージ部410に記憶された基本動作プログラム4001および映像コンテンツ管理/配信プログラム4002とアプリケーション管理/配布プログラム4004はそれぞれRAM404に展開され、更に主制御部401が前記展開された基本動作プログラムおよび映像コンテンツ管理/配信プログラムとアプリケーション管理/配布プログラムを実行することにより、基本動作実行部4101、映像コンテンツ管理/配信実行部4102、アプリケーション管理/配布実行部4104を構成する。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部401がストレージ部410に格納された基本動作プログラム4001をRAM404に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作実行部4101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
映像コンテンツ管理/配信実行部4102は、放送局サーバ300からの放送番組の番組コンテンツ等およびメタデータの取得、映像コンテンツ記憶領域4200およびメタデータ記憶領域4300に蓄積された映像コンテンツ等および各メタデータの管理、および各テレビ受信機に対する前記映像コンテンツ等および各メタデータの配信の制御を行う。更に、映像コンテンツ管理/配信実行部4102は、前記各テレビ受信機に対して前記各映像コンテンツ等および各メタデータの配信を行う際に、必要に応じて前記各テレビ受信機の認証処理等を行っても良い。また、アプリケーション管理/配布実行部4104は、アプリケーション記憶領域4400に蓄積された各アプリケーションの管理と、前記各アプリケーションを各テレビ受信機からの要求に応じて配布する際の制御と、を行う。更に、アプリケーション管理/配布実行部4104は、前記各テレビ受信機に対して前記各アプリケーションの配布を行う際に、必要に応じて前記各テレビ受信機の認証処理等を行っても良い。
LAN通信部421は、インターネット200と接続され、インターネット200上の放送局サーバ300や、ルータ装置200rを介して放送受信装置100と通信を行う。LAN通信部421は符号回路や復号回路等を備えるものとする。
[携帯情報端末のハードウェア構成]
図10Aは、携帯情報端末700の内部構成の一例を示すブロック図である。携帯情報端末700は、主制御部701、システムバス702、ROM703、RAM704、ストレージ部710、通信処理部720、拡張インタフェース部724、操作部730、画像処理部740、音声処理部750、センサ部760、で構成される。
主制御部701は、所定の動作プログラムに従って携帯情報端末700全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス702は主制御部701と携帯情報端末700内の各動作ブロックとの間でデータ送受信を行うためのデータ通信路である。
ROM703は、オペレーティングシステムなどの基本動作プログラムやその他の動作プログラムが格納されたメモリであり、例えばEEPROMやフラッシュROMのような書き換え可能なROMが用いられる。RAM704は基本動作プログラムやその他の動作プログラム実行時のワークエリアとなる。ROM703およびRAM704は主制御部701と一体構成であっても良い。また、ROM703は、図10Aに示したような独立構成とはせず、ストレージ部710内の一部記憶領域を使用するようにしても良い。
ストレージ部710は、携帯情報端末700の動作プログラムや動作設定値、携帯情報端末700のユーザの個人情報等を記憶する。また、インターネット200を介してダウンロードした動作プログラムや前記動作プログラムで作成した各種データ等を記憶可能である。また、インターネット200を介してダウンロードした、動画、静止画、音声等のコンテンツも記憶可能である。ストレージ部710の一部領域を以ってROM703の機能の全部または一部を代替しても良い。また、ストレージ部710は、携帯情報端末700に外部から電源が供給されていない状態であっても記憶している情報を保持する必要がある。従って、例えば、フラッシュROMやSSDなどの不揮発性半導体素子メモリ、HDDなどの磁気ディスクドライブ、等のデバイスが用いられる。
なお、ROM703やストレージ部710に記憶された前記各動作プログラムは、インターネット200上の各サーバ装置からのダウンロード処理により、追加、更新および機能拡張することが可能であるものとする。
通信処理部720は、LAN通信部721、移動体電話網通信部722、NFC通信部723、で構成される。LAN通信部721は、ルータ装置200rやアクセスポイント200aを介してインターネット200と接続され、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器とデータの送受信を行う。ルータ装置200rやアクセスポイント200aとの接続はWi−Fi(登録商標)等の無線接続で行われるものとする。移動体電話網通信部722は、移動体電話通信網の基地局600bとの無線通信により、電話通信(通話)およびデータの送受信を行う。NFC通信部723は対応するリーダ/ライタとの近接時に無線通信を行う。LAN通信部721、移動体電話網通信部722、NFC通信部723は、それぞれ符号回路や復号回路、アンテナ等を備えるものとする。また、通信処理部720が、BlueTooth(登録商標)通信部や赤外線通信部等、他の通信部を更に備えていても良い。
拡張インタフェース部724は、携帯情報端末700の機能を拡張するためのインタフェース群であり、本実施例では、映像/音声インタフェース、USBインタフェース、メモリインタフェース等で構成されるものとする。映像/音声インタフェースは、外部映像/音声出力機器からの映像信号/音声信号の入力、外部映像/音声入力機器への映像信号/音声信号の出力、等を行う。USBインタフェースは、PC等と接続してデータの送受信を行う。また、キーボードやその他のUSB機器の接続を行っても良い。メモリインタフェースはメモリカードやその他のメモリ媒体を接続してデータの送受信を行う。
操作部730は、携帯情報端末700に対する操作指示の入力を行う指示入力部であり、本実施例では、表示部741に重ねて配置したタッチパネル730tおよびボタンスイッチを並べた操作キー730kで構成されるものとする。何れか一方のみであっても良い。拡張インタフェース部724に接続したキーボード等を用いて携帯情報端末700の操作を行っても良い。有線通信または無線通信により接続された別体の端末機器を用いて携帯情報端末700の操作を行っても良い。即ち、放送受信装置100から携帯情報端末700の操作を行っても良い。また、前記タッチパネル機能は表示部741が備え持っているものであっても良い。
画像処理部740は、表示部741、画像信号処理部742、第一画像入力部743、第二画像入力部744、で構成される。表示部741は、例えば液晶パネル等の表示デバイスであり、画像信号処理部742で処理した画像データを携帯情報端末700のユーザに提供する。画像信号処理部742は図示を省略したビデオRAMを備え、前記ビデオRAMに入力された画像データに基づいて表示部741が駆動される。また、画像信号処理部742は、必要に応じてフォーマット変換、メニューやその他のOSD(On Screen Display)信号の重畳処理等を行う機能を有するものとする。第一画像入力部743および第二画像入力部744は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の電子デバイスを用いてレンズから入力した光を電気信号に変換することにより、周囲や対象物の画像データを入力するカメラユニットである。
音声処理部750は、音声出力部751、音声信号処理部752、音声入力部753、で構成される。音声出力部751はスピーカであり、音声信号処理部752で処理した音声信号を携帯情報端末700のユーザに提供する。音声入力部753はマイクであり、ユーザの声などを音声データに変換して入力する。
センサ部760は、携帯情報端末700の状態を検出するためのセンサ群であり、本実施例では、GPS受信部761、ジャイロセンサ762、地磁気センサ763、加速度センサ764、照度センサ765、近接センサ766、で構成される。これらのセンサ群により、携帯情報端末700の位置、傾き、方角、動き、および周囲の明るさ、周囲物の近接状況、等を検出することが可能となる。また、携帯情報端末700が、気圧センサ等、他のセンサを更に備えていても良い。
携帯情報端末700は、携帯電話やスマートホン、タブレット端末等であって良い。PDA(Personal Digital Assistants)やノート型PCであっても良い。また、デジタルスチルカメラや動画撮影可能なビデオカメラ、携帯型ゲーム機やナビゲーション装置等、またはその他の携帯用デジタル機器であっても良い。
なお、図10Aに示した携帯情報端末700の構成例は、センサ部760等、本実施例に必須ではない構成も多数含んでいるが、これらが備えられていない構成であっても本実施例の効果を損なうことはない。また、デジタル放送受信機能や電子マネー決済機能等、図示していない構成が更に加えられていても良い。
[携帯情報端末のソフトウェア構成]
図10Bは、本実施例の携帯情報端末700のソフトウェア構成図であり、ROM703、RAM704およびストレージ部710におけるソフトウェアの構成を示す。本実施例においては、ROM703に基本動作プログラム7001およびその他の動作プログラムが記憶されており、ストレージ部710に連携制御プログラム7002およびその他の動作プログラムが記憶されている。また、ストレージ部710は、動画、静止画、音声等のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶領域7200、テレビ受信機や各サーバ装置にアクセスする際に必要な認証情報等を記憶する認証情報記憶領域7300、その他の各種情報を記憶する各種情報記憶領域を備えるものとする。
ROM703に記憶された基本動作プログラム7001はRAM704に展開され、更に主制御部701が前記展開された基本動作プログラムを実行することにより、基本動作実行部7101を構成する。また、ストレージ部710に記憶された連携制御プログラム7002も同様にRAM704に展開され、更に主制御部701が前記展開された連携制御プログラムを実行することにより、連携制御実行部7102を構成する。また、RAM704は、各動作プログラム実行時に作成したデータを、必要に応じて一時的に保持する一時記憶領域を備えるものとする。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部701がROM703に格納された基本動作プログラム7001をRAM704に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作実行部7101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
連携制御実行部7102は、携帯情報端末700がテレビ受信機との連係動作を行う際の、機器認証および接続、各データの送受信、等の管理を行う。また、連携制御実行部7102は、前記テレビ受信機と連動するアプリケーションを実行するためのブラウザエンジン機能を備えるものとする。
前記各動作プログラムは、製品出荷の時点で、予めROM703および/またはストレージ部710に格納された状態であっても良い。製品出荷後に、インターネット200上のその他のアプリケーションサーバ500等からLAN通信部721または移動体電話網通信部722を介して取得するものであっても良い。また、メモリカードや光ディスク等に格納された前記各動作プログラムを、拡張インタフェース部724等を介して取得するものであっても良い。
[放送受信装置の時刻管理]
本実施例の放送受信装置は2種類の時刻管理機能を備える。1つ目の時刻管理機能は、NTPに基づく時刻管理機能であり、図7Cを用いて既に説明した通りである。二つ目の時刻管理機能は、MH−TOTに基づく時刻管理機能であり、図6Bで説明したMH−TOTにより伝送された時刻情報に基づいて管理される時刻である。
NTPで伝送する時刻情報の構成の一例を図13Aに示す。また、前記MPUタイムスタンプ記述子のデータ構造の一例を図13Bに示す。前記NTP形式における『reference_timestamp』パラメータや『transmit_timestamp』パラメータ等は、64ビット長のNTP長形式の時刻データであり、また、前記MPUタイムスタンプ記述子における『mpu_presentation_time』パラメータも64ビット長のNTPタイムスタンプ形式の時刻データである。前記NTP長形式の時刻データや前記NTPタイムスタンプ形式の時刻データは、UTCの『秒以上』を32ビットで、『秒未満』を32ビットで表したデータである。即ち、NTP形式の時刻情報は、『秒未満』までの時刻情報を伝送可能である。更にNTP形式の時刻情報はUTC表記であるため、従来のデジタル放送におけるクロック管理と異なり、図3(B)に示すように通信回線経路(例えば、図7AのLAN通信部121で受信可能な通信回線)で受信する信号に含まれるNTPとも整合をとることができる。
これに対し、MH−TOTで伝送される情報は以下の通りである。放送受信装置100は、MH−TOTにより現在日付と日本標準時刻を取得可能であるものとする。図11Aに、MH−TOTのデータ構造の一例を示す。放送受信装置100は、前記MH−TOTの『JST_time』パラメータから現在日付および現在時刻を取得可能である。『JST_time』パラメータは、図11Bに示すように、修正ユリウス日(Modified Julian Date:MJD)による現在日付の符号化データの下位16ビットと、日本標準時(Japan Standard Time:JST)を6個の4ビット2進化10進数(Binary−Coded Decimal:BCD)で表した24ビットの情報を含むものとする。前記MJDの16ビット符号化データに所定の演算を施すことにより、現在日付を算出することが可能である。6個の4ビット2進化10進数とは、2個の4ビット2進化10進数により10進法2桁で『時』を表し、次の2個の4ビット2進化10進数により10進法2桁で『分』を表し、最後の2個の4ビット2進化10進数により10進法2桁で『秒』を表すものである。
よって、NTPに基づく時刻とMH−TOTに基づく時刻との相違点は、前者のNTPが前述のように『秒未満』までの時刻情報を伝送できるUTC表記の情報であるのに対し、MH−TOTで伝送される情報は、JST表記の『秒単位』までの情報であるという点である。
本実施例の放送受信装置100は、UTC表記の時刻情報であるNTPに基づく時刻管理機能を、放送信号のコンテンツである映像、音声、字幕、文字スーパー、その他提示データのデコードおよび表示の同期処理に用いることにより、より高精度の同期処理を実現できる。更に放送局のクロック表記ではなく、UTC表記の情報を参照することにより、放送信号で受信する放送信号のコンテンツである映像、音声、字幕、文字スーパー、またはその他データと、通信回線経路で取得する映像、音声、字幕、文字スーパー、またはその他データとのデコードおよび表示の同期処理を行うこともできる。
更に、本実施例の放送受信装置は、MH−TOTの6個の4ビット2進化10進数で表した24ビットの情報を含む『JST_time』に基づく時刻管理機能を、ユーザへの現在時刻の提示処理または図6Bで説明したMH−イベント情報テーブル(MH−EIT)を扱う各処理に用いれば良い。一般的に、放送受信装置におけるユーザへの現在時刻の提示処理においては、秒未満までの精度が要求されることはほとんどない。また、MH−イベント情報テーブル(MH−EIT)に記述される各時間情報は、MPEG2−TS方式で伝送される従来のデジタル放送のEITと同様に、6個の4ビット2進化10進数で表した24ビットの情報で10進法2桁ずつの『時』、『分』、『秒』で格納されている。このため、本実施例の放送受信装置100におけるMH−TOTに基づく時刻管理機能は、MH−EITを用いる処理と整合し易いためである。MH−EITを用いる処理とは具体的には、番組表の生成処理(後述する)や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等である。何れの処理も秒未満までの精度が要求されることは稀であり、1秒単位の精度で十分だからである。
また、当該番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理は、従来のMPEG2−TS方式を用いたデジタル放送システムの受信機でも搭載される機能である。すると、本実施例の放送システムにおいても、番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等の処理において、従来のMPEG2−TS方式のデジタル放送システムと整合性がある時刻管理処理で対応できるように構成しておけば、従来のMPEG2−TS方式のデジタル放送の受信機能とMMT方式のデジタル放送の受信機能との両者を有する放送受信装置を構成する際に、これらの処理(番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等の処理)において、処理アルゴリズムを別々に設計する必要がなくなり、コストを低くすることができる。
また、従来のMPEG2−TS方式のデジタル放送の受信機能を持たずMMT方式のデジタル放送の受信機能のみを有する受信機であっても、番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等の処理のアルゴリズムを完全に新規に作成しなくとも、従来のMPEG2−TS方式を用いたデジタル放送システムの受信機でも搭載される機能のアルゴリズムを流用できるので、より低コストに開発することができる。
よって、MH−TOTの『JST_time』パラメータに基づく時刻管理機能をこれらの処理(番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等の処理)に用いる構成にすることにより、MMT方式のデジタル放送の放送受信装置であっても、従来方式の放送システムとの整合性を高めることにより、より低コストに提供することが可能となる。
以上説明した通り、本実施例の放送受信装置100は、精度の異なる2種類の時刻情報を用いた時刻管理機能を備える。一方の時刻情報は従来のデジタル放送システムと整合性のある表記の時刻情報であり、他方の時刻情報は前記一方の時刻情報よりも分解能の高い時刻情報であり、後者の時刻情報を放送信号の各コンテンツデータの同期処理に用いることにより従来の放送システムよりも高度な情報提示処理を実現し、前者の時刻情報を番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理等に用いることにより放送受信装置を安価に提供することができる。
よって、本実施例の放送受信装置100では、以上説明した2種類の時刻管理機能を備えることにより、より高度な情報提示処理の実現と低コスト化とを両立することが可能である。
[時刻管理の第1の変形例]
次に、本実施例の放送システムにおける時刻管理の第1の変形例を以下に説明する。
第1の変形例では、図7Cを用いて既に説明したNTPに基づく時刻管理機能の当該管理時刻の精度を高めるために、時刻管理サーバ(図示省略)または放送局サーバ300から放送受信装置100までの時刻情報伝送における想定遅延時間に関する情報を放送信号に含めて送信し、放送受信装置100において、当該想定遅延時間に関する情報をNTPに基づく時刻管理機能のシステム時計の修正に用いるように構成しても良い。
この際、当該想定遅延時間に関する情報は図3(A)に示すTLV多重化ストリーム内ではなく、TLV多重化ストリーム外のTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)領域内で伝送するように構成しても良い。TMCC領域内で伝送すれば、放送受信装置100において、TLV多重化ストリームの分離処理(デマックス処理)を経ることなしに当該想定遅延時間に関する情報を抽出することが可能となる。即ち、放送受信装置100における前記分離処理による遅延の影響を受けにくい情報取得が可能であり、従って、高精度なシステム時計の修正処理を行うことができる。当該TMCC信号で伝送される時刻情報のデータ構造の一例を、図13Cを用いて説明する。当該時刻情報は例えば、TMCC拡張情報領域に格納して伝送すれば良い。図13CのTMCC拡張情報領域の時刻情報において、『delta』パラメータは、UTCを配信する時刻管理サーバまたはTMCC信号を作成するサーバ装置から一般的な放送受信装置までの伝送遅延の想定値を32ビットの符号付き固定小数点で表す。なお、上位16ビットは整数部を、下位16ビットは小数点以下を記述するものである。『transmit_timestamp』パラメータは、送信タイムスタンプであり、本TMCC信号が前記サーバ装置から送出される時刻をNTPタイムスタンプ長形式で記述するものである。上位32ビットは整数部を、下位32ビットは小数点以下を表す。
当該第1の変形例では、本実施例の放送受信装置100は、TMCC拡張情報領域に格納して伝送された当該時刻情報に記述された前記想定遅延時間に関する情報(例えば、前述の『delta』パラメータおよび/または『transmit_timestamp』パラメータ)を用いて、放送信号の各コンテンツデータの同期処理に用いるNTPに基づく時刻管理機能のシステム時計を、より高精度に修正することができる。
[時刻管理の第2の変形例]
次に、本実施例の放送システムにおける時刻管理の第2の変形例を以下に説明する。
前述の通り、本実施例の放送受信装置100においては、MH−TOTで伝送される情報により現在日付と日本標準時刻を取得して時刻を管理する時刻管理機能を有する。MH−TOTで伝送される情報により取得した現在日付と日本標準時刻は、放送受信装置100の映像合成部161で映像情報やアプリケーション情報等に重畳することにより、モニタ部162や映像出力部163に出力してユーザに提供可能である。前述の通り、MH−TOTは図11Aに示すデータ構造を有しており、放送受信装置100は、前記MH−TOTの『JST_time』パラメータから現在日付および現在時刻を取得可能である。
しかしながら、前述の『JST_time』パラメータでは、MJDの符号化データの下位16ビットのみを使用しているため、『2038年4月22日』を以って桁あふれを生じることとなり、前記所定の演算のみでは『2038年4月23日』以降の日付を表現することができない。そこで、本実施例の第2の変形例では、MJDの値が所定値以上の場合と所定値未満の場合とで演算方法を切り替えることにより、『2038年4月23日』以降の日付を表現できるように制御するものとする。
図12に、MJDの値が所定値以上の場合に使用する第一の演算方法と、MJDの値が所定値未満の場合に使用する第二の演算方法の一例を示す。例えば、前記所定値を『32768(0x8000)』とした場合、MJDが『32768』以上の場合には前記第一の演算方法を用いて現在日付を算出し、MJDが『32768』未満の場合には前記第二の演算方法を用いて現在日付を算出する。なお、MJDが『32768』未満の場合とは、MJDの16ビットデータの最上位ビットが『0』の場合と等価である。これにより、本実施例の放送受信装置100においては、『2038年4月23日』以降の日付を表現することが可能となる。ただし、前記所定値は任意に設定することが可能であり、前記所定値を『16384(0x4000)』や『49152(0xC000)』等と設定しても良い。前記演算方法の切り替え条件は、MJDの16ビットデータの上位2ビットが『00』の場合、MJDの16ビットデータの上位2ビットが『11』ではない場合、としても良い。なお、前記所定値を『32768』として前述の手段を用いた場合、『1948年9月4日』以前の日付を表現できなくなるが、テレビ受信機としての実用上、特に問題となることはない。
また、MJDと前記所定値との比較結果に応じて前記第一の演算方法と前記第二の演算方法を切り替えるのではなく、図11Aに示したMH−TOTのデータ構造における『reserved』パラメータの一部または全部を置き換えたフラグ或いは新たに追加したフラグに応じて前記第一の演算方法と前記第二の演算方法を切り替えるようにしても良い。例えば、前記フラグは、MJDの16ビット符号化データの最上位ビットが『0』である場合に、前記MJDが『2038年4月23日』以降を示すものであるならば『1』をセットし、『2038年4月23日』以降を示すものでないならば『0』をセットするようにすれば良い。そして、前記フラグが『1』の場合には図12に示した前記第二の演算方法を用い、前記フラグが『0』の場合には前記第一の演算方法を用いるようにすれば良い。または、前記フラグと同様の意味を有する記述子を新たに用意して、MH−TOT内に配置しても良い。
また、本実施例の放送システムでは、前述の通り、NTP形式の絶対時刻を伝送し、本実施例の放送受信装置100は、当該NTPに基づく時刻管理機能を有する。更に、本実施例の放送受信装置100では、MPU単位に設定されるMPUタイムスタンプ記述子に記載されたNTPタイムスタンプ等を参照することにより、映像/音声信号の提示単位毎の復号タイミングおよび提示タイミングを制御している。前述の通り、前記NTP形式の時刻情報は、図13Aに示す構成を有している。また、前記MPUタイムスタンプ記述子は図13Bに示す構成を有している。
このため、本実施例の放送受信装置100においては、前記『reference_timestamp』パラメータや『transmit_timestamp』パラメータ、或いは、『mpu_presentation_time』パラメータ等を参照し、前記参照した時刻データ等の値に応じて、前記第一の演算方法と前記第二の演算方法の何れを使用するかを選択するようにしても良い。即ち、例えば、前記64ビット長のNTP長形式の時刻データの最上位ビットが『0』の場合は前記第二の演算方法を使用し、『0』でない場合は前記第一の演算方法を使用する、等とすれば良い。
前記何れの方法によっても、本実施例の放送受信装置100においては、『2038年4月23日』以降の日付を表現することが可能となる。
[放送受信装置の選局処理(初期スキャン)]
本実施例の放送システムのAMTは、TLV多重化方式で伝送されるIPパケットを通信回線で伝送されるIPパケットと可能な限り区別なく受信するための、IPパケットのマルチキャストグループの一覧を提供するものとする。1つのサービス識別には、複数のIPマルチキャストグループをリストすることが可能である。また、連続するIPアドレスを効率的に記述するために、アドレスマスクを用いることが可能である。
本実施例の放送受信装置100では、初期設定の際のチャンネルスキャン時に、或いは、設定変更のための再スキャン時に、TLV−NITから取得したサービスの一覧をROM103やストレージ部110等の不揮発性メモリに記憶させることが可能であり、更に、前記各サービスに対応するIPマルチキャストグループの一覧を、IP関連情報として、前記各サービスに関連付けて、前記不揮発性メモリに記憶させることが可能であるものとする。前記サービスの一覧およびIP関連情報を不揮発性メモリに記憶させ、常時参照可能とすることにより、チャンネル切り替え時等に、TLV−NITやAMTを取得しなおす必要がなくなり、放送コンテンツの取得を効率よく行うことが可能となる。
図14は、本実施例の放送受信装置100におけるチャンネルスキャン(再スキャン)時の動作シーケンスの一例を示す図である。
チャンネルスキャンが開始されると、受信機能実行部1102は、チューナ/復調部131に対して周波数初期値を設定し、前記周波数値へのチューニングを行うように指示する(S101)。チューナ/復調部131において、前記設定された周波数値へのロックに成功する(S102:Yes)と、次に、受信機能実行部1102は、受信信号からTLV−NITを取得する(S103)。
S103の処理で取得したTLV−NITが有効なデータである場合(S104:Yes)、受信機能実行部1102は、前記取得したTLV−NITからTLVストリームID、オリジナルネットワークID、等の情報を取得する(S105)。図15Aに、TLV−NITのデータ構造の一例を示す。前記TLVストリームIDの情報は『tlv_stream_id』パラメータから、前記オリジナルネットワークIDの情報は『original_network_id』パラメータから、それぞれ取得可能であるものとする。更に、分配システム記述子から、各TLVストリームID/オリジナルネットワークIDに対応する放送伝送路の物理的条件に関する分配システム情報を取得し(S106)、サービスリスト記述子からサービスIDの一覧を取得する(S107)。図15Bに、衛星分配システム記述子のデータ構造の一例を示す。図15Cに、サービスリスト記述子のデータ構造の一例を示す。なお、TLV−NITが、TLVストリームID、オリジナルネットワークID、分配システム情報、サービスIDの一覧、等の異なるデータを複数有している場合は、S105〜S107の処理を繰り返す。次に、受信機能実行部1102は、S105〜S107の処理で取得したTLVストリームID、オリジナルネットワークID、分配システム情報、サービスIDの一覧、等のデータに基づいてサービスリストを作成し、前記作成したサービスリストをROM103またはストレージ部110等に記憶(再スキャン時は更新)する(S108)。
次に、受信機能実行部1102は、受信信号からAMTを取得し(S109)、更に、前記サービスリストに記憶された各サービスIDに関するIPマルチキャストグループの一覧を取得する(S110)。図15Dに、AMTのデータ構造の一例を示す。なお、AMTが複数のサービスIDに関するIPマルチキャストグループの一覧を有している場合は、S110の処理を繰り返す。異なるサービスIDに関するIPマルチキャストグループの一覧を有するAMTが複数ある場合には、S109〜S110の処理を繰り返す。次に、受信機能実行部1102は、S110の処理で取得したIPマルチキャストグループの一覧を、IP関連情報として、前記サービスIDと関連付けて、ROM103またはストレージ部110等に記憶(再スキャン時は更新)する(S111)。
なお、S102の処理で、チューナ/復調部131が前記設定された周波数値へのロックに成功しなかった場合(S102:No)、および、S103の処理で取得したTLV−NITが有効なデータでない場合(S104:No)、S105〜S111の処理は行わない。
S111の処理を終えると、受信機能実行部1102は、チューナ/復調部131に設定されている周波数値がチャンネルスキャン範囲の最終周波数値であれば(S112:Yes)、処理を終了する。一方、前記設定されている周波数値がチャンネルスキャン範囲の最終周波数値でなければ(S112:No)、チューナ/復調部131に設定された周波数値をアップさせて(S113)、S102〜S111の処理を繰り返す。なお、1つのTLV−NITで、当該放送ネットワークを構成する全てのサービスに関するサービスIDを取得でき、更に、前記サービスIDに関するIPマルチキャストグループの一覧を有するAMTを取得できる場合には、S112〜S113の処理が不要である。
前述の一連の処理により、本実施例の放送受信装置100は、初期設定の際のチャンネルスキャン時に、或いは、設定変更のための再スキャン時に、放送ネットワークを構成するサービスの一覧(サービスリスト)の作成/更新と同時に、前記各サービスに対応するIPマルチキャストグループの一覧(IP関連情報)の作成/更新を行い、更に、ROM103やストレージ部110等の不揮発性メモリに記憶させることが可能となる。
なお、前記設定変更のための再スキャンは、TLV−NITやAMTの『version_number』パラメータを参照することにより、テーブル内の情報に変化があったことを検出した場合に、自動的に行うようにしても良い。TLV−NITとAMTの一方の『version_number』パラメータの変化を検出した場合に、前記パラメータの変化が検出されたテーブルに関する情報のみを自動的に更新するようにしても良い。ただし、前述の自動更新を行った場合、再スキャンを自動的に行った旨をユーザに通知することが望ましい。また、前記テーブル内の情報に変化があったことをユーザに報知し、ユーザに前記再スキャンを行うか否かを選択させるようにしても良い。
[放送受信装置の選局処理(チャンネル切り替え)]
図16は、本実施例の放送受信装置100における選局(チャンネル切り替え)時の動作シーケンスの一例を示す図である。
ユーザが図示を省略したリモコン等を操作してチャンネルの切り替えを指示すると、受信機能実行部1102が前記リモコンから送信されたコマンドを解釈して目的のサービスのサービスIDを指定する(S201)。次に、受信機能実行部1102は、チューナ/復調部131の受信信号からのAMTの取得を開始する。所定時間以内にAMTの取得に成功した場合(S202:Yes)、前記取得したAMTから前記サービスIDに対応するIPマルチキャストグループの一覧に関する情報を取得する(S204)。一方、所定時間以内にAMTの取得に成功しなかった場合(S202:No)、ROM103またはストレージ部110等に記憶されたIP関連情報を参照することにより(S203)、前記サービスIDに対応するIPマルチキャストグループの一覧に関する情報を取得する(S204)。なお、S202の判断処理を行わず、常にROM103またはストレージ部110等に記憶されたIP関連情報を参照するようにしても良い。
次に、受信機能実行部1102は、チューナ/復調部131の受信信号からのTLV−NITの取得を開始する。所定時間以内にTLV−NITの取得に成功した場合(S205:Yes)、前記取得したTLV−NITから前記サービスIDに対応するIPデータフローを取得するための分配システム情報を取得する(S207)。一方、所定時間以内にTLV−NITの取得に成功しなかった場合(S205:No)、ROM103またはストレージ部110等に記憶されたサービスリストを参照することにより(S206)、前記サービスIDに対応するIPデータフローを取得するための分配システム情報を取得する(S207)。なお、S205の判断処理を行わず、常にROM103またはストレージ部110等に記憶されたサービスリストを参照するようにしても良い。S207の処理で分配システム情報を取得すると、次に、受信機能実行部1102は、前記取得した分配システム情報にて指示される周波数値を以ってチューナ/復調部131を制御し、前記サービスIDに対応するIPデータフローを受信し(S208)、前記受信したIPデータフローからMMTデータ列を抽出して、分離部132に出力する。
分離部132において、トランスポート処理部1102aは、前記入力したMMTデータ列からパケットIDが『0』であるMMTPパケットを取得し(S209)、更に、前記取得したMMTPパケットに含まれるMPTを取得する(S210)。次に、トランスポート処理部1102aは、前記取得したMPTが有する『MMT_package_id_byte』パラメータを参照し、前記『MMT_package_id_byte』パラメータの下位16ビットが前記サービスIDと同一値か否かを確認する。図17に示すMPTのデータ構造の一例において、前記『MMT_package_id_byte』パラメータの下位16ビットが前記サービスIDと同一値である場合(S211:Yes)、前記パケットIDが『0』であるMMTPパケットが前記サービスIDに対応する番組のデータを有するMMTPパケットであるものと判断し、前記取得したMPTの有する情報に基づいてMFUの取得を実行する(S216)。
一方、前記『MMT_package_id_byte』パラメータの下位16ビットが前記サービスIDと同一値でない場合(S211:No)、前記パケットIDが『0』であるMMTPパケットは前記サービスIDに対応する番組のデータを有するMMTPパケットではないと判断する。この場合、トランスポート処理部1102aは、あらためてPLTを取得し(S212)、前記取得したPLTを確認することにより、前記サービスIDに対応する『MMT_package_id_byte』パラメータを有するMPTを伝送するMMTPパケットのパケットID(xとする)を確認する(S213)。更に、トランスポート処理部1102aは、前記入力したMMTデータ列からパケットIDが『x』であるMMTPパケットを取得し(S214)、前記取得したMMTPパケットに含まれるMPTを取得する(S215)。更に、前記取得したMPTの有する情報に基づいて、MFUを取得する(S216)。
なお、S209〜S211の処理を行わず、常にS212〜S215の処理を行うようにしても良い。この場合、前記サービスIDに対応する番組のデータがパケットID『0』以外のMMTPパケットに格納されている際に、処理時間の短縮が可能となる。
S216の処理でMFUを取得すると、トランスポート処理部1102aは、前記取得したMFUから符号化映像データや符号化音声データ等を抽出し、映像デコーダ141や音声デコーダ143等に出力する。以下、AVデコード処理部1102bの制御に基づく映像/音声デコード処理や、提示処理部1102hの制御に基づく提示処理が行われるが、前記各処理に関しては公知であるため、詳細の説明を省略する。
以上の一連の処理により、本実施例の放送受信装置100は、選局(チャンネル切り替え)動作を実行することが可能である。特に、図14および図16を用いて説明したように、初期設定の際のチャンネルスキャン時に、或いは、設定変更のための再スキャン時に、サービスリストやIP関連情報を作成して、ROM103やストレージ部110等の不揮発性メモリに記憶させて常時参照可能とし、選局(チャンネル切り替え)時に、ROM103やストレージ部110等の不揮発性メモリに記憶させた前記サービスリストやIP関連情報を参照することにより、選局(チャンネル切り替え)時の動作の効率向上を可能とする。即ち、選局(チャンネル切り替え)時にAMTやTLV−NITの再取得を行う場合と比較して、選局(チャンネル切り替え)開始から選局(チャンネル切り替え)終了までの時間を短縮することが可能となる。
[放送受信装置の画面レイアウト制御]
本実施例の放送受信装置100では、LCTの記述に基づいた画面レイアウト制御が可能であるものとする。図18にLCTのデータ構造の一例を示す。
図中、特に、『left_top_pos_x』パラメータと『right_down_pos_x』パラメータは、全画面表示の左側を『0』/右側を『100』とした場合の、領域の左上の水平位置と右下の水平位置を、それぞれ水平方向の全画素数に対する割合で示すものとする。『left_top_pos_y』パラメータと『right_down_pos_y』パラメータは、全画面表示の上側を『0』/下側を『100』とした場合の、領域の左上の垂直位置と右下の垂直位置を、それぞれ垂直方向の全画素数に対する割合で示すものとする。また、『layer_order』パラメータは、領域の奥行き方向の相対位置を示すものとする。
前記各パラメータの設定に基づいた、レイアウト番号へのレイアウトの割当の例を、前記各パラメータの設定値と共に、図19A〜Dに示す。
図19Aは、本実施例の放送受信装置100のデフォルトのレイアウト設定であり、全画面に1つの領域のみを設定する例である。図19Bは、全画面を三つの領域に分割し、それぞれの領域を『領域0』、『領域1』、『領域2』とした場合の例である。例えば、全画面の画素数を水平7680画素/垂直4320画素とした場合、『領域0』は、『left_top_pos_x』パラメータが『0』、『left_top_pos_y』パラメータが『0』、『right_down_pos_x』パラメータが『80』、『right_down_pos_y』パラメータが『80』であることから、(0,0)−(6143,3455)の範囲に設定される。同様に、『領域1』は、(6144,0)−(7679,4319)の範囲に設定され、『領域2』は、(0,3456)−(6143,4319)の範囲に設定される。
図19Cは、図19Bと同様に三つの領域を設定する例であるが、『領域0』は、(0,0)−(7679,4319)の範囲に設定され、『領域1』と『領域2』は前述と同様の範囲で、『layer_order』パラメータの設定に応じて、『領域0』の前面に配置される。図19Dは、デバイス0(デフォルトのデバイス:本実施例では放送受信装置100)に『領域0』が設定され、デバイス1(本実施例においては、携帯情報端末700)に『領域1』が設定される場合の例である。
前述のように、本実施例の放送システムにおいては、LCTを用いることにより、マルチメディアサービスを受信機上でサービス提供者の意図通りに表示するための画面レイアウト制御を行うことが可能となる。
なお、前記『left_top_pos_x』等のパラメータの設定値に応じて画面を分割する際に生じた小数点以下の端数は、切り上げ若しくは切り捨て等の処理を行えば良い。四捨五入(或いは、二進数における零捨一入)の処理でも良い。例えば、全画面の画素数が7680画素/垂直4320画素で、『領域0』の『left_top_pos_x』パラメータが『0』、『left_top_pos_y』パラメータが『0』、『right_down_pos_x』パラメータが『51』、『right_down_pos_y』パラメータが『51』の場合、切り上げ処理により(0,0)−(3916,2203)の範囲に『領域0』を設定しても良いし、切り捨て処理により(0,0)−(3915,2202)の範囲に『領域0』を設定しても良い。また、映像圧縮処理の際のマクロブロックを考慮して、8画素単位や16画素単位等での切り上げ/切り捨て処理を行うようにしても良い。前記処理により、LCTに基づく領域設定や、前記領域におけるマルチメディアコンテンツの解像度変換処理を効率的に行うことが可能となる。
[放送受信装置の画面レイアウト制御の例外処理]
本実施例の放送受信装置100においては、前述のLCTにより画面レイアウトの領域制御が行われている場合であっても、ユーザによりEPG画面の表示が指示された場合等には、例外処理として、前記LCTの記述内容を無視した画面レイアウト制御を行うことが可能であるものとする。図20Aに、LCTに基づく画面レイアウト制御の例外処理の動作の一例を示す。
LCTの記述により図19Bと同様の画面レイアウト制御が行われ、『領域0』に放送番組映像が表示され、『領域1』および『領域2』に前記放送番組に連携する番組連携データ等の放送コンテンツが表示されている状態で、ユーザが図示を省略したリモコンによりEPG画面の表示を指示した場合、本実施例の放送受信装置100では、図20A(A)に示したように、LCTの記述内容に関わらず画面レイアウト設定をデフォルトの設定(即ち、図19Aと同様の画面レイアウト制御が行われている状態)に戻し、EPG画面を画面全体に表示するように制御するものとする。更に、ユーザがEPG画面の表示終了を指示した場合に、LCTの記述内容に従った画面レイアウト制御を再実行するようにする。
前述の制御を行うことにより、図20A(B)に示したような、画面レイアウトの領域制御を維持したままEPG画面の表示を行う場合と比較して、EPG画面を大きく表示することができ、見易さを向上させることが可能である。
なお、前記画面レイアウト制御の例外処理は、EPG画面の表示を行う際にのみ適用されるものではなく、図20Bに示すように、放送受信装置100の各種設定画面(図示の例では録画設定画面)の子画面表示時や二画面表示時に適用されても良い。
同図(A)に示した録画設定画面の場合、放送コンテンツの表示エリアは画面全体から画面右下の子画面部分のみに変更される。同様に、同図(B)に示した二画面表示の場合、放送コンテンツの表示エリアは画面全体から画面中段左側の分割画面部分のみに変更される。何れの場合も、放送コンテンツを表示するための表示エリアが、画面全体を使用する場合と比較して狭くなるため、前記表示エリア内で画面レイアウトの領域制御を維持したまま(即ち、領域分割を行って複数の放送コンテンツを同時に表示したまま)とすることは視認上好ましくはない。従って、本実施例の放送受信装置100においては、前記状況の際には、前記表示エリアに『領域0』の放送コンテンツのみを選択して表示するようにする。なお、直前の領域選択状況に応じて、『領域1』や『領域2』の放送コンテンツを選択して表示するようにしても良い。
前述の制御を行うことにより、画面レイアウトの領域制御を維持したまま各種放送コンテンツの表示を行う場合と比較して、前記放送コンテンツの見易さを向上させることが可能となる。録画番組一覧画面における子画面表示やインターネットコンテンツのブラウザ表示時、等においても同様である。
[放送受信装置のEPG表示]
本実施例の放送システムでは、放送ネットワークを構成する各サービスに含まれるイベント(いわゆる番組)に関する時系列情報をMH−EITで伝送するものとする。図21に、本実施例のMH−EITのデータ構造の一例を示す。MH−EITは、テーブルID(図中の『talbe_id』パラメータに対応)により二つのクラスに識別され、自TLVストリームの現在/次のイベントの情報と自TLVストリームの各イベントのスケジュール情報を示すことが可能であるものとする。本実施例の放送受信装置100は、前記MH−EIT等を参照してサービスID(図中の『service_id』パラメータに対応)による識別を行うことにより、各イベントの開始時間や放送時間等の情報を取得してEPG画面を作成することが可能であり、前記作成したEPGを映像合成部161で映像情報等に重畳してモニタ部162に表示することが可能であるものとする。
図22Aは、本実施例の放送受信装置100におけるEPG画面の一例を示す図である。EPG画面162aは、縦軸を時間表示、横軸をサービスID(チャンネル)表示としたマトリクス形状で、各時間帯に各チャンネルで放送される放送番組の詳細情報を表示するものとする。また、各放送番組の詳細情報162a1は、主としてタイトル領域162a2と詳細説明領域162a3で構成される。
タイトル領域162a2には、前記放送番組の番組タイトルおよび前記放送番組の属性を表す記号等を表示する。前記放送番組の属性を表す記号等とは、例えば、新番組であることを示す記号/文字や、再放送番組であることを示す記号/文字、等である。或いは、放送サービスによるデータ放送に対応していることを意味する『data』を記号化した印等でも良い。また、前記放送番組に関連するコンテンツやアプリケーション等をネットワーク上から取得可能であることを意味する『NetWork』を記号化した印162a4等であっても良い。また、詳細情報162a1の背景色を他と差別化することにより、或いは、太枠で詳細情報162a1の表示領域を囲むことにより、前記放送番組の属性を表す記号等を代替しても良い。
なお、本実施例の放送システムにおける各制御情報(メッセージ、テーブル、記述子、等)が、前記放送番組に関連するコンテンツやアプリケーション等がネットワーク上から取得可能であることを示している場合であっても、放送受信装置100のLAN通信部121にLANケーブルが接続されていない等、ネットワーク上の各サーバ装置へのアクセスができない状態である場合には、前記『NetWork』を記号化した印162a4等を表示しないように制御しても良い。
また、前記放送番組がインターネット200を介して配信される配信番組であり、放送波のみからの取得ができない場合であって、更に、前述と同様に、放送受信装置100がネットワーク上の各サーバ装置へアクセスできない状態である場合等には、図22Bに示すように、EPG画面162b上に表示される詳細情報162b1の部分をグレーアウトするように制御しても良い。即ち、視聴できない配信番組の詳細情報は表示しないように制御する。また、詳細情報162b1の背景色を他と差別化することにより、前記グレーアウト処理の代替としても良い。図示を省略したリモコンの操作により詳細情報162b1を選択した場合に、放送受信装置100がネットワーク上の各サーバ装置へアクセスできない状態である旨を、或いは、詳細情報162b1に関連付けられた配信番組を視聴できない旨を、ポップアップ等によりユーザに報知するようにしても良い。
前述の各制御により、放送受信装置100は、ネットワーク接続状況に応じて、ユーザに対してより違和感のない形式で各放送番組の番組情報を提供することが可能となる。
図22Cは、本実施例の放送受信装置100におけるEPG画面の別の一例を示す図である。図中、『M1テレビ』、『M2放送』、『M3チャンネル』、『M4TV』、『テレビM5』等は、各チャンネルの放送局名称であり、特に、『M2放送』局は、放送波により配信される放送番組とインターネット200を介して配信される配信番組(図中の『ネット放送』で示される枠の情報162c1)を同時に提供しているものとする。
同図に示したように、インターネット200を介して配信する配信番組のみを有するチャンネルがある場合、通常時は同図(A)のEPG画面162cに示すように(情報162c1を含む)全てのチャンネルの情報を表示するように制御する。一方、放送受信装置100がネットワーク上の各サーバ装置へアクセスできない状態である場合等には、同図(B)のEPG画面162dに示すように、インターネット200を介して配信する配信番組のみを有する『M2放送(ネット放送)』のチャンネルの情報(同図(A)における情報162c1)を表示しないように制御しても良い。
前述の各制御により、放送受信装置100のユーザは、自分の視聴できないチャンネルの情報の確認を不要とすることが可能となる。
[放送受信装置の緊急警報放送表示]
本実施例の放送受信装置100は、TLVストリームを含む伝送データに含まれるTMCC信号の緊急警報放送起動制御信号ビットが『0』から『1』になった場合に、緊急警報放送の受信処理を行うことが可能であるものとする。
前記緊急警報放送は、全画面表示のアプリケーションとして提供されても良いし、文字情報として文字スーパーで提供されても良い。前記緊急警報放送が文字情報として文字スーパーで提供されている場合、緊急警報放送の受信直前の放送受信装置100の状態に関わらず、前記文字スーパーの文字情報を表示することが好ましい。即ち、図23に示すように、ユーザが通常の放送番組を視聴し、モニタ部162に前記放送番組の番組画面162eが表示されている状態で緊急警報放送を受信した場合、前記緊急警報放送による文字情報162e1を番組画面162eに重畳して表示するようにする。同様に、ユーザがEPG画面の表示を指示し、モニタ部162にEPG画面162fが表示されている状態で緊急警報放送を受信した場合、前記緊急警報放送による文字情報162f1をEPG画面162fに重畳して表示するように制御する。
前述の制御により、本実施例の放送受信装置100においては、ユーザがEPG画面や各種設定画面、録画番組一覧画面、インターネットブラウザ等を選択して表示させている場合であっても、緊急警報放送を受信した際には、前記緊急警報放送に基づく重要な文字情報の見逃しを回避することが可能となる。なお、この制御は、緊急警報放送によらない通常の文字スーパーの文字情報に対して行われても良い。
[各種例外処理]
本実施例の放送受信装置100は、同一パッケージ内のTLVストリーム外データが取得できない場合、例えは、下記の様な例外処理を行っても良い。
図6Eで説明した通り、本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムにおいては、MPTに格納されるロケーション情報(図17の『MMT_general_location_info()』に対応)に基づいて、TLVストリーム内で取得するデータとTLVストリーム以外の経路で取得するデータとを同一のパッケージに含めることができる。しかしながら、ロケーション情報が指し示す、TLVストリーム以外のデータ伝送経路(例えば、IPv4データフロー、IPv6データフロー、放送のMPEG2−TSなど)は、TLV/MMTストリームの受信機能とは別の受信機能である。よって、放送受信装置100の動作中であっても、これらの伝送経路の受信機能が動作していない状況や、受信機能自体は動作していても中継装置等が動作していない状況や、これらの伝送経路の有線または無線接続がされていない状況や、そもそもこれらの伝送経路の接続できない環境に放送受信装置100が設置されている状況など、これらの伝送経路からデータが取得できない状況もありうる。
このような状況下で、MPTに格納されるロケーション情報が、TLVストリーム内で取得するデータとTLVストリーム以外の経路で取得するデータとを同一のパッケージに含めるように対応付けることを示しているイベントを受信した場合、本実施例の放送受信装置100は、例えば以下のような動作を行っても良い。
例えば、LCTが、図19Bや図19Cのように、画面内に複数の領域を設定しており、『領域0』にTLVストリーム内に含まれる映像を表示し、『領域1』や『領域2』にTLVストリーム以外の伝送経路で取得したデータが表示されるように対応付けられている場合であって、『領域1』や『領域2』に表示すべきTLVストリーム以外の伝送経路のデータが取得できない場合、LCTが指定する複数領域のレイアウト表示を禁止しても良い。具体的には、当該LCTを受信しても図19Aに示すデフォルトレイアウト表示の『領域0』にTLVストリーム内で受信する当該コンテンツの映像を表示した状態のままとし、図19Bや図19Cのような複数領域のレイアウト表示に移行しないようにすれば良い。また、更にこの状態で、デフォルトレイアウトからLCTの示すレイアウトへの変更指示が図7Aの操作入力部170に入力されたとしても、図19Aに示すデフォルトレイアウト表示のままとしたり、その他のデータ放送画面に切り替えるなどして、図19Bや図19Cのような複数領域のレイアウト表示に移行しないようにしても良い。
LCTが、図19Bや図19Cのように、画面内に複数の領域を設定しており、『領域0』にTLVストリーム内に含まれる映像を表示し、『領域1』や『領域2』にTLVストリーム以外の伝送経路で取得したデータが表示されるように対応付けられている場合であって、『領域1』や『領域2』に表示すべきTLVストリーム以外の伝送経路のデータが取得できない場合の別の動作例としては、一旦、LCTが示す図19Bや図19Cの複数領域の表示枠を表示し、『領域1』や『領域2』については背景色や所定の静止画を表示しておき、所定時間を経過してもMPTのロケーション情報が示すTLVストリーム以外の伝送経路のデータが取得できない場合は、図19Aに示すデフォルトレイアウト表示の状態に戻す表示切り替えを行っても良い。この場合は、図19A、図19B、図19Cのレイアウトの変更時も『領域0』にはTLVストリーム内に含まれる番組映像が継続して表示されるように動作すれば、ユーザの番組映像自体は継続するので好ましい。
また、『領域1』や『領域2』に表示すべきTLVストリーム以外の伝送経路のデータが取得できないことにより、図19Aに示すデフォルトレイアウト表示の『領域0』にTLVストリーム内で受信する当該コンテンツの映像を表示した状態となっているときに、本実施例の放送受信装置100の各種通信機能や各種受信機能の動作が開始したり、各種通信機能の通信環境、通信状況や各種受信機能の受信環境や受信状況が変化したことにより、『領域1』や『領域2』に表示すべきTLVストリーム以外の伝送経路のデータが取得できる状況になることもありうる。この場合、本実施例の放送受信装置100は、ただちに、図19Aに示すデフォルトレイアウト表示から、LCTが示す図19Bや図19Cに示すような複数領域のレイアウトに切り替えて、『領域0』にTLVストリーム内で受信する当該コンテンツの映像を表示し、『領域1』や『領域2』にTLVストリーム以外の伝送経路から取得したデータを表示するように切り替えても良い。また、当該レイアウト変更をすぐには行わずに、デフォルトレイアウトからLCTの示すレイアウトへの変更指示が操作入力部170から入力されてから当該レイアウト変更を実行しても良い。
[著作権保護機能]
本実施例の放送受信装置100が対応するデジタル放送システムにおいて、MPTにコピー制御情報を含めて伝送することにより、例えば、当該コピー制御情報により『無制限にコピー可』(『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』と『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理不要』の2種類に分けても良い)、『1世代のみコピー可』、『所定複数回数コピー可』(例えば、9回コピー可+ムーブ1回可ならいわゆる『ダビング10』)、『コピー禁止』など、MPTが参照するコンテンツのコピー制御状態を示して伝送するように構成しても良い。この場合、本実施例の放送受信装置100は当該コピー制御情報に応じて、当該コンテンツのストレージ(蓄積)部110への蓄積、リムーバブル記録媒体への記録、外部機器への出力、外部機器へのコピー、外部機器へのムーブ処理などを制御するように構成しても良い。なお、蓄積処理の対象は放送受信装置100内部のストレージ(蓄積)部110のみならず、放送受信装置100のみで再生可能となるように暗号化処理等の保護処理を施した記録を含んでも良い。具体的には、蓄積処理の対象には外付けの記録装置などのうち、放送受信装置100のみで記録再生可能な状態にしたものなどが含まれる。
当該コピー制御情報に基づく処理の具体例を以下に説明する。
まず、MPTに含まれるコピー制御情報が『無制限にコピー可』を示す場合は、本実施例の放送受信装置100は、ストレージ(蓄積)部110への蓄積、リムーバブル記録媒体への記録、外部機器への出力、外部機器へのコピー、外部機器へのムーブ処理を制限なしに行ってかまわない。ただし、『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』と『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理不要』とが分かれている場合は、『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』の際には、ストレージ(蓄積)部110への蓄積、リムーバブル記録媒体への記録、外部機器への出力、外部機器へのコピー、外部機器へのムーブ処理を回数に制限なく行うことができるが、何れも暗号化処理を施す必要がある。
また、MPTに含まれるコピー制御情報が『1世代のみコピー可』を示す場合は、本実施例の放送受信装置100は、ストレージ(蓄積)部110への暗号化しての蓄積を可能とするが、蓄積後のコンテンツを外部機器へ視聴用に出力する場合には、『コピー禁止』のコピー制御情報とともに暗号化して出力することとする。ただし、外部機器へのいわゆるムーブ処理(外部機器へコンテンツをコピーし、放送受信装置100のストレージ(蓄積)部110内のコンテンツは消去処理などにより再生不能化する処理)は可能とする。
また、MPTに含まれるコピー制御情報が『所定複数回数コピー可』を示す場合は、本実施例の放送受信装置100は、ストレージ(蓄積)部110へ暗号化して蓄積することを可能とするが、蓄積後のコンテンツを外部機器へ視聴用に出力する場合には、『コピー禁止』のコピー制御情報とともに暗号化して出力することとする。ただし、外部機器へ予め定められた数のコピーとムーブ処理を可能として良い。いわゆる『ダビング10』規定の場合は、外部機器へ9回のコピーと1回のムーブ処理を行って良い。
また、MPTに含まれるコピー制御情報が『コピー禁止』を示す場合は、本実施例の放送受信装置100は、ストレージ(蓄積)部110へのコピーを禁止する。ただし、放送受信装置100は予め定められた所定時間または放送信号に含まれる制御情報(例えば、図6Dに示したMH−Expire記述子等による)により指定される所定時間のみストレージ(蓄積)部110への保持を可能とする『一時蓄積』モードを有するように構成する場合には、MPTに含まれるコピー制御情報が『コピー禁止』を示す場合であっても、ストレージ(蓄積)部110への当該コンテンツの一時的な保持を可能とする。MPTに含まれるコピー制御情報が『コピー禁止』の当該コンテンツを外部機器への視聴用として出力する場合には、『コピー禁止』のコピー制御情報とともに暗号化して出力することとする。
なお、前述の外部機器への視聴用の出力は、図7Aの映像出力部163と音声出力部166、或いは、デジタルI/F部125やLAN通信部121などを介して行えば良い。前述の外部機器へコピーまたはムーブ処理は、図7AのデジタルI/F部125やLAN通信部121などを介して行えば良い。
以上説明した処理によれば、コンテンツと対応付けられたコピー制御情報に応じて、適切なコンテンツ保護を実現することができる。
また、コピー制御情報が、『1世代のみコピー可』、『所定複数回数コピー可』、『コピー禁止』などのコピー制限を示しているコンテンツのLAN通信部121を介した外部機器へのコピー処理については、放送受信装置100からの送信パケットの宛先である外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット内にある場合のみ可能とし、外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット外にある場合は、禁止しても良い。コピー制御情報が『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』のコンテンツも同様に扱っても良い。
同様に、コピー制御情報が、『1世代のみコピー可』、『所定複数回数コピー可』、『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』などのコピー制限を示しているコンテンツを一度ストレージ(蓄積)部110へ蓄積した後、LAN通信部121を介して外部機器へムーブする処理についても、放送受信装置100からの送信パケットの宛先である外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット内にある場合のみ可能とし、外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット外にある場合は、禁止しても良い。
放送受信装置100のストレージ(蓄積)部110へ蓄積したコンテンツについての視聴用映像出力、音声出力は、原則として、放送受信装置100からの送信パケットの宛先である外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット内にある場合のみ可能とし、外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット外にある場合は禁止する。ただし、当該外部機器が所定期間以内に、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット内で接続されており、かつ、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット外でも視聴可能な機器としての登録処理(ペアリング)がなされている機器の場合は、外部機器のIPアドレスが、放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット外であっても、当該外部機器への放送受信装置100のストレージ(蓄積)部110へ蓄積したコンテンツについての視聴用映像出力、音声出力を可能とするように構成しても良い。この場合、当該視聴用映像出力、音声出力はコンテンツに暗号化を施して行う。
以上説明した処理によれば、外部機器が放送受信装置100のIPアドレスと同一サブネット内にあるか同一サブネット外にあるかに対応して異なる処理を行うことでユーザの利便性とコンテンツ保護の両立を実現できる。
次に、図6Eで説明したように、本実施例の放送受信装置100が対応するデジタル放送システムでは、MPT内のロケーション情報(図17の『MMT_general_location_info()』)により、放送経路のTLVストリームで取得したデータと違う経路(IPv4、IPv6、MPEG2−TS、URL、等)で取得したデータもTLVストリームで取得したデータと同一パッケージかつ同一イベントに含まれることがありうるが、このときMPTにコピー制御情報が含められている場合のコンテンツ保護について説明する。
まず、MPTにコピー制御情報が含まれる場合、ロケーション情報で同一パッケージかつ同一イベントに含まれるデータは、放送経路のTLVストリームで取得したデータと違う経路(IPv4、IPv6、MPEG2−TS、URL、等)で取得したデータであっても、TLVストリームに含まれるコピー制御情報に従って、制御するようにしても良い。これらのコピー制御情報によって、指定されるコンテンツのコピー制御状態としては、前述の通り、『無制限にコピー可』(『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理要』と『無制限にコピー可かつ蓄積および出力時に暗号化処理不要』の2種類に分けても良い)、『1世代のみコピー可』、『所定複数回数コピー可』(例えば、9回コピー可+ムーブ1回可ならいわゆる『ダビング10』)、『コピー禁止』などを指定可能とする。
ここで、ロケーション情報が示すデータの位置が、他のデジタル放送信号で伝送されるMPEG2−TSのデータを含む場合、当該MPEG2−TSのデータは、他のデジタル放送信号でもコピー制御情報と対応付けられて放送されている。すると、当該MPEG2−TSのデータのコピー制御をどの情報に従ってどのように行うか(TLV/MMTストリームに含まれるコピー制御情報に従うのか、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報に従うのか)が問題となる。
本実施例のデジタル放送システムでは、この課題の解決策として、放送受信装置100において、下記複数の解決策の何れかの動作を行うようにすれば良い。
<動作例1>
第一の動作例では、MPTにコピー制御情報が含まれ、ロケーション情報で同一パッケージかつ同一イベントに含まれるデータに他のデジタル放送信号で伝送されるMPEG2−TSのデータを含む場合に、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態よりも、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態を優先して制御する。
例えば、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態が『1世代コピー可』であり、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態が『所定複数回コピー可』であれば、TLVストリームで取得したデータと違う経路(MPEG2−TS伝送形式のデジタル放送)で取得したデータであっても、『1世代コピー可』のコンテンツとしてコピー制御を行っても良い。例えば、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態が『無制限にコピー可』であり、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態が『所定複数回コピー可』であれば、TLVストリームで取得したデータと違う経路(MPEG2−TS伝送形式のデジタル放送)で取得したデータであっても、『無制限にコピー可』のコンテンツとしてコピー制御を行っても良い。
この動作の場合、TLVストリーム以外の経路で取得したデータについても本実施例の放送受信装置100が対応する放送システムにおいて管理したいコピー状態にすることができる。
<動作例2>
第二の動作例では、MPTにコピー制御情報が含まれ、ロケーション情報で同一パッケージかつ同一イベントに含まれるデータに他のデジタル放送信号で伝送されるMPEG2−TSのデータを含む場合に、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態とMPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態とを比較し、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態の方がTLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態よりも厳しい場合は、ストレージ(蓄積)部110などへの蓄積処理、リムーバブル記録媒体への記録処理、またはデジタルインタフェースからの出力処理をする際に、当該MPEG2−TSのデータを処理対象コンテンツから除外するように動作する。
この動作の場合、TLVストリーム以外の経路で取得したデータについては、当該データを伝送する放送システムで設定されたオリジナルのコピー制御情報を尊重しながら、本実施例の放送受信装置100上でのコピー制御状態の重複を解消することができる。
また、当該比較の結果、MPEG2−TSに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態が、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態と同じ状態または、より緩いコピー制御状態の場合は、当該ロケーション情報で同一パッケージかつ同一イベントに含まれるMPEG2−TSのデータについても、TLVストリームに含まれるコピー制御情報により示されるコピー制御状態のコンテンツとしてコピー制御を行えば良い。
この動作の場合、TLVストリーム以外の経路で取得したデータについては、当該データを伝送する放送システムで設定されたオリジナルのコピー制御情報を尊重しながら、本実施例の放送受信装置100上でのコピー制御状態の重複を解消することができる。
以上の説明において、本実施例の放送受信装置100の著作権保護機能は、MPTに含まれるコピー制御情報に基づいて行うこととして説明した。しかし、コピー制御情報を配置するテーブルはMPTに限定されない。MPT以外にも、図6Bで説明したMH−サービス記述テーブル(MH−SDT)やMH−イベント情報テーブル(MH−EIT)、或いはその他のテーブルに配置して伝送し、放送受信装置100はこれらに従って著作権保護処理を行っても良い。
以上説明した本実施例によれば、MMTのデジタル放送に対応した放送受信機を提供することができる。
(実施例2)
以下では、本発明の実施例2に関して説明する。なお、本実施例における構成、処理および効果等は特に断りのない限り実施例1と同様であるものとする。このため、以下では、本実施例と実施例1との相違点を主に説明し、共通する点については重複を避けるため極力説明を省略する。また、本実施例の放送受信装置は、メディアトランスポート方式として、MMT方式とMPEG2−TS方式の双方に対応するテレビ受信機であるものとして、以下、説明を行う。
[放送受信装置のハードウェア構成]
図24は、放送受信装置800の内部構成の一例を示すブロック図である。放送受信装置800は、主制御部801、システムバス802、ROM803、RAM804、ストレージ部810、LAN通信部821、拡張インタフェース部824、デジタルインタフェース部825、第一チューナ/復調部831、第二チューナ/復調部832、MMTデコード処理部841、MPEG2−TSデコード処理部842、映像合成部861、モニタ部862、映像出力部863、音声合成部864、スピーカ部865、音声出力部866、操作入力部870、で構成される。
主制御部801、システムバス802、ROM803、RAM804、ストレージ部810、拡張インタフェース部824、デジタルインタフェース部825、モニタ部862、映像出力部863、スピーカ部865、音声出力部866、操作入力部870、等は、実施例1の放送受信装置100における主制御部101、システムバス102、ROM103、RAM104、ストレージ(蓄積)部110、拡張インタフェース部124、デジタルインタフェース部125、モニタ部162、映像出力部163、スピーカ部165、音声出力部166、操作入力部170、等とそれぞれ同等の機能を有するものとし、詳細な説明を省略する。
第一チューナ/復調部831は、図示を省略したアンテナを介して、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスの放送波を受信し、主制御部801の制御に基づいてユーザの所望するサービスのチャンネルに同調(選局)する。更に、第一チューナ/復調部831は、受信した放送信号を復調してMMTデータ列を取得し、MMTデコード処理部841に出力する。第二チューナ/復調部832は、図示を省略したアンテナを介して、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの放送波を受信し、主制御部801の制御に基づいてユーザの所望するサービスのチャンネルに同調(選局)する。更に、第二チューナ/復調部832は、受信した放送信号を復調してMPEG2−TSデータ列を取得し、MPEG2−TSデコード処理部842に出力する。
MMTデコード処理部841は、第一チューナ/復調部831から出力されたMMTデータ列を入力し、前記MMTデータ列に含まれる制御信号に基づいてリアルタイム提示要素である映像データ列、音声データ列、文字スーパーデータ列、字幕データ列、等の分離処理、および復号処理等を行う。MMTデコード処理部841は、実施例1の放送受信装置100における、分離部132、映像デコーダ141、映像色域変換部142、音声デコーダ143、文字スーパーデコーダ144、字幕デコーダ145、字幕合成部146、字幕色域変換部147、データデコーダ151、キャッシュ部152、アプリケーション制御部153、ブラウザ部154、アプリケーション色域変換部155、音源部156、等に相当する機能を備えるものとする。MMTデコード処理部841は、実施例1で説明した各種処理を行うことが可能である。なお、前記各種処理の詳細は実施例1で説明した通りであるので、説明を省略する。
MPEG2−TSデコード処理部842は、第二チューナ/復調部832から出力されたMPEG2−TSデータ列を入力し、前記MPEG2−TSデータ列に含まれる制御信号に基づいてリアルタイム提示要素である映像データ列、音声データ列、文字スーパーデータ列、字幕データ列、等の分離処理、および復号処理等を行う。MPEG2−TSデコード処理部842は、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの放送波を受信する従来のテレビ受信機のIRD(Integrated Receiver Decoder)部と同等の機能を備えるものとし、詳細な説明を省略する。
映像合成部861は、MMTデコード処理部841から出力された映像情報や字幕情報やアプリケーション情報と、MPEG2−TSデコード処理部842から出力された映像情報や字幕情報やアプリケーション情報と、を入力し、適宜選択および/または重畳等の処理を行う。映像合成部861は図示を省略したビデオRAMを備え、前記ビデオRAMに入力された映像情報等に基づいてモニタ部862等が駆動される。また、映像合成部861は、主制御部801の制御に基づいて、必要に応じて、スケーリング処理やEPG画面情報の重畳処理等を行う。音声合成部164は、MMTデコード処理部841から出力された音声情報とMPEG2−TSデコード処理部842から出力された音声情報を入力し、適宜選択および/またはミックス等の処理を行う。
LAN通信部821は、ルータ装置200rを介してインターネット200と接続され、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器とデータの送受信を行う。また、通信回線を介して伝送される番組のMMTデータ列(或いは、その一部)やMPEG2−TSデータ列(或いは、その一部)を取得し、適宜、MMTデコード処理部841やMPEG2−TSデコード処理部842に出力する。
[放送受信装置の時刻表示]
本実施例の放送受信装置800では、EPG画面や各種設定画面等において、現在日付や現在時刻を表示可能であるものとする。前記現在日付や現在時刻に関する情報は、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスにおいてはMH−TOT等により送信され、また、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスにおいてはMPEG−2システムに規定されたSI(Service Information)が備えるTOT(Time Offset Table)等により送信される。放送受信装置800は、前記MH−TOTや前記TOTを参照することにより、前記現在日付や現在時刻に関する情報を取得可能である。
また、一般的には、映像合成部861がMMTデコード処理部841から出力された映像情報等を主として選択している場合には、前記MH−TOTから取得した現在日付や現在時刻に関する情報を前記映像情報等に重畳し、映像合成部861がMPEG2−TSデコード処理部842から出力された映像情報等を主として選択している場合には、前記TOTから取得した現在日付や現在時刻に関する情報を前記映像情報等に重畳するように制御すれば良い。
しかしながら、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスとメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスとでは、符号化処理/復号処理や伝送経路等に差異があるため、特に現在時刻表示において、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスの選択時とメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの選択時とで、不整合を生じる可能性がある。例えば、図25に示すように、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのチャンネル情報を表示するEPG画面162gからメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのチャンネル情報を表示するEPG画面162hに画面表示を切り替えた際に、現在時刻の表示が現在時刻表示162g1から現在時刻表示162h1に切り替わることによる不整合によって、視覚的違和感をユーザに覚えさせる可能性を有するものである。
本実施例の放送受信装置800では、前記ユーザの視覚的違和感を防止するために、映像合成部861がMMTデコード処理部841から出力された映像情報等を主として選択している場合であっても、前記TOTから取得した現在日付や現在時刻に関する情報を前記映像情報等に重畳するように制御する。即ち、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのコンテンツに、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスで提供される現在時刻情報を重畳するように制御するものである。
前記制御を行うことにより、本実施例の放送受信装置800は、現在時刻を表示する際に、常に前記TOTを参照して取得した現在時刻情報を表示するようになる。従って、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスとメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスとを切り替えた際にも、現在時刻の表示の不整合による視覚的違和感をユーザに覚えさせることを防止することが可能となる。
なお、図26Aに、本実施例の放送受信装置800における、各放送サービスの受信状況に応じた現在時刻情報参照元の選択制御の一例を示す。本実施例の放送受信装置800では、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの受信が可能な状態にある場合には、常に前記TOTを参照して現在時刻情報を取得するようにし、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの受信が不可の状態で、かつメディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスの受信が可能な状態にある場合にのみ、前記MH−TOTを参照して現在時刻情報を取得するように制御する。
また、前述の制御とは逆に、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのコンテンツに、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスで提供される現在時刻情報を重畳するように制御しても、前述と同様の効果が得られる。
なお、前述のように、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのコンテンツに、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスで提供される現在時刻情報を重畳するように制御する場合と、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのコンテンツに、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスで提供される現在時刻情報を重畳するように制御する場合の、何れの場合においても、実施例1の[放送受信装置の時刻管理]での説明と同様に、前記TMCC拡張情報領域の時刻情報の『delta』パラメータを参照することにより、前記現在時刻情報を補正することが可能である。
また、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスとメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの何れの場合においても、ネットワークを構成する各放送サービスが伝送するMH−TOTまたはTOTが送信側システムの不具合や伝送エラー等による誤りを有する可能性が考えられる。本実施例の放送受信装置800では、前記MH−TOTまたはTOTの前記誤りに対する対策として、受信中のサービスから取得したMH−TOTまたはTOTが誤りを有すると判断した場合には、同一ネットワークの他の放送サービスから、或いは、他のネットワークの任意の放送サービスから、MH−TOTまたはTOTを取得して現在時刻情報を参照することにより、内蔵クロックの時刻情報の更新処理を行うよう機能を有するものとする。
[放送受信装置のEPG表示]
メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのイベントスケジュール情報はMH−EIT等により伝送される。一方、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのイベントスケジュール情報はMPEG−2システムに規定されたSIが備えるEIT(Event Information Table)等により伝送される。従って、一般的には、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスで提供される映像情報等の表示を行っている際には、前記MMTを採用した放送サービスのイベントスケジュール情報(MH−EIT)が取得可能であり、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスで提供される映像情報等の表示を行っている際には、前記MPEG2−TSを採用した放送サービスのイベントスケジュール情報(EIT)が取得可能である。
しかしながら、本実施例の放送受信装置800は、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスで提供される映像情報等の表示を行っている際にも、或いは、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスで提供される映像情報等の表示を行っている際にも、前記MH−EITと前記EITの双方を取得可能とし、ユーザにとっての使い勝手を向上させている。
図27Aに、本実施例の放送受信装置800におけるEPG画面の一例を示す。図中、EPG画面162iはメディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのMH−EITに基づいて作成されたEPG画面であり、『M1テレビ』、『M2放送』、『M3チャンネル』、『M4TV』、『テレビM5』等は、それぞれメディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスの放送局名称であるものとする。また、EPG画面162jはメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのEITに基づいて作成されたEPG画面であり、『T6テレビ』、『T7放送』、『T8チャンネル』、『T9TV』、『テレビTA』等は、それぞれメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスの放送局名称であるものとする。
例えば、ユーザがメディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスで提供される放送番組を視聴中に、図示を省略したリモコンを操作してEPG画面の表示を指示すると、EPG画面の初期画面(図示省略)が表示される。前記EPG画面の初期画面は、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのMH−EITに基づいて作成されたEPG画面であり、『2014年10月7日(今日)』の『17時〜(現在時刻の近隣)』の各チャンネルの放送番組の詳細情報が表示される。次に、ユーザが『2014年10月9日』の『20時〜』の各チャンネルの放送番組の詳細情報を確認したいと所望し、図示を省略したリモコンを操作してEPG画面の更新を指示すると、EPG画面162iが表示される。
更に、ユーザがメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスで提供される放送番組の詳細情報を確認したいと所望し、図示を省略したリモコンを操作してネットワークの切り替えを指示すると、EPG画面162jが表示される。この際、本実施例の放送受信装置800においては、メディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのEITに基づいて作成されたEPG画面の初期画面(即ち、『2014年10月7日』の『17時〜』の各チャンネルの放送番組の詳細情報)ではなく、直前に表示されていたEPG画面162iと同日同時間帯(即ち、『2014年10月9日』の『20時〜』)の各チャンネルの放送番組の詳細情報を表示するように制御する。
前述の制御により、ユーザは、メディアトランスポート方式の異なる複数のネットワークの同日同時間帯の放送番組に関する詳細情報を、簡便な操作で、連続的に、確認することが可能となる。即ち、放送受信装置800の使い勝手が向上する。
図27Bは、本実施例の放送受信装置800におけるEPG画面の前述とは異なる一例を示す図である。EPG画面162kは、図27Aに示したEPG画面162iが表示された状態から、図示を省略したリモコンの操作により、チャンネル方向(横方向)にスクロールさせた状態を示している。即ち、図27Bに示した例では、EPG画面をチャンネル方向(横方向)にスクロールさせることにより、メディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのMH−EITに基づいて作成されたチャンネル情報とメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのEITに基づいて作成されたチャンネル情報とが、同一時間軸上でシームレスに表示される。
従って、ユーザがメディアトランスポート方式としてMMTを採用した放送サービスのMH−EITに基づいて作成されたチャンネル情報の確認中にメディアトランスポート方式としてMPEG2−TSを採用した放送サービスのEITに基づいて作成されたチャンネル情報を確認したいと所望した場合においても、図示を省略したリモコンの操作によるネットワークの切り替えの指示等を不要とすることができる。更に、ユーザは、メディアトランスポート方式の異なる複数のネットワークの同日同時間帯の放送番組に関する詳細情報を、同時に確認することが可能となる。即ち、放送受信装置800の使い勝手が向上する。
(実施例3)
以下では、本発明の実施例3に関して説明する。なお、本実施例における構成および効果等は特に断りのない限り実施例1と同様であるものとする。このため、以下では、本実施例と実施例1との相違点を主に説明し、共通する点については重複を避けるため極力説明を省略する。
本実施例の放送受信装置100は、映像コンテンツの持つ色の輝度幅を拡大する技術であるHDR(High Dynamic Range)や色域の拡大に対応可能であるものとする。また、本実施例の放送受信装置100が対応するメディアトランスポート方式であるMMTでは、ユーザが使用するモニタ装置(本実施例における放送受信装置100等)においてコンテンツ製作者の意図通りの映像再現を可能とするために、番組コンテンツの符号化データと併せて前記HDRや色域拡大に係るコンテンツ情報を伝送可能であるものとする。
[システム構成]
本実施例におけるシステム構成は、基本的に、図1に示したシステム構成と同様であるものとする。なお、電波塔300tから送出される放送波に含まれる番組コンテンツの符号化データは、図28に示すように、撮影機器390cから出力されたコンテンツデータを、放送局サーバ300への一時的な蓄積処理を行わずに、符号化処理および変調処理等を適宜施して送出したものであっても良い。或いは、撮影機器390cから出力されたコンテンツデータを放送局サーバ300へ蓄積処理し、前記蓄積処理を行ったコンテンツデータに編集機器390eで種々の映像/音声の編集加工を施して、更に、符号化処理および変調処理等を適宜施して送出したものであっても良い。
また、前記放送波には、番組コンテンツの符号化データや文字情報、その他のアプリケーション、汎用データ、等の他、前記番組コンテンツの輝度情報や前記番組コンテンツの作成/編集の際に使用した機器(撮影機器390c、編集機器390eのモニタ装置、等)の色再現性能等に関する情報を記載するコンテンツ情報記述子が、前記番組コンテンツに関する制御情報(コンテンツ情報)として、前述のMMT−SIの各メッセージ/テーブル/記述子と併せて送信されるものとする。
[コンテンツ情報記述子のデータ構造]
図29Aに、コンテンツ情報記述子のデータ構造の一例を示す。なお、コンテンツ情報記述子は、MPTまたはMH−EITに配置されて良い。コンテンツ情報記述子のデータ構造における各パラメータは、それぞれ、以下に説明する機能を有するものとする。
・『descriptor_tag(記述子タグ)』
記述子タグは、16ビットのフィールドで各記述子を一意に識別する機能を有するものとする。
・『descriptor_length(記述子長)』
記述子長は、このフィールドより後に続く各パラメータのデータバイトの総数を示すものとする。
・『component_tag(コンポーネントタグ)』
コンポーネントタグは、コンポーネントストリームを一意に識別するためのラベルであり、16ビットのフィールドで記述する。MH−ストリーム識別記述子に記述されたコンポーネントタグと同一の値とする。
・『content_type(コンテンツタイプ)』
コンテンツタイプは、コンポーネントストリームに含まれる映像コンテンツのタイプを、図29Bに従って表す。このパラメータが『0』の場合、映像コンテンツは、編集機器390eで映像の編集加工を施されたもの(録画番組等)であることを示すものとする。このパラメータが『1』の場合、映像コンテンツは、編集機器390eで映像の編集加工を施されたもの(録画番組等)であり、かつ、このコンテンツがHDRに対応していることを示すものとする。このパラメータが『2』である場合、映像コンテンツは、撮影機器390cから出力されたコンテンツデータ(生中継番組等)であることを示すものとする。このパラメータが『3』である場合、映像コンテンツは、撮影機器390cから出力されたコンテンツデータ(生中継番組等)であり、かつ、このコンテンツがHDRに対応していることを示すものとする。更に、その他の分類をこのパラメータを用いて行っても良い。
・『source_primaries_rx(ソース機器原色色度座標(Rx))』
『source_primaries_ry(ソース機器原色色度座標(Ry))』
『source_primaries_gx(ソース機器原色色度座標(Gx))』
『source_primaries_gy(ソース機器原色色度座標(Gy))』
『source_primaries_bx(ソース機器原色色度座標(Bx))』
『source_primaries_by(ソース機器原色色度座標(By))』
ソース機器原色色度座標は、ソース機器の色再現性能等に関する情報を示すパラメータであり、前記ソース機器が対応可能な色域をR(赤)/G(緑)/B(青)の各原色のCIE色度図(CIExy色度図)上における座標値で示すものとする。なお、前記ソース機器は、『content_type』パラメータが『0』または『1』の場合には編集機器390eのモニタ装置である。この場合、ソース機器原色色度座標は、前記編集機器390eのモニタ装置で表示可能な色域の色度座標値を示すものとする。また、『content_type』パラメータが『2』または『3』の場合には、前記ソース機器は撮影機器390cである。この場合、ソース機器原色色度座標は、前記撮影機器390cで出力可能な色域の色度座標値を示すものとする。
前記CIE色度図上における各座標値は、それぞれ『0.000』〜『1.000』の範囲の値で示されるものとし、10ビットのフィールドで『0000000000b』〜『1111101000b』の範囲で記述されるものとする。例えば、図29Cに示すように、BT.709規格におけるR(赤)の色度座標値であれば、『x=0.640(1010000000b)』、『y=0.330(0101001010b)』となり、BT.2020規格におけるG(緑)の色度座標値であれば、『x=0.170(0010101010b)』、『y=0.797(1100011101b)』となる。
・『source_white_point_x(ソース機器白色色度座標(x))』
『source_white_point_y(ソース機器白色色度座標(y))』
ソース機器白色色度座標は、ソース機器の色再現性能等に関する情報を示すパラメータであり、前記ソース機器が対応可能な白色基準点のCIE色度図上における座標値を示すものとする。なお、前記ソース機器は、『content_type』パラメータが『0』または『1』の場合には編集機器390eのモニタ装置である。この場合、ソース機器白色色度座標は、前記編集機器390eのモニタ装置の白色基準点の色度座標値を示すものとする。また、『content_type』パラメータが『2』または『3』の場合には、前記ソース機器は撮影機器390cである。この場合、ソース機器白色色度座標は、前記撮影機器390cが出力可能な白色基準点の色度座標値を示すものとする。
前記CIE色度図上における各座標値は、それぞれ『0.0000』〜『1.0000』の範囲の値で示されるものとし、14ビットのフィールドで『00000000000000b』〜『10011100010000b』の範囲で記述されるものとする。例えば、図29Cに示したように、BT.709規格やBT.2020規格における白色基準点の色度座標値であれば、『x=0.3127(00110000110111b)』、『y=0.3290(00110011011010b)』となる。
・『source_luminance_max(ソース機器最大輝度)』
『source_luminance_min(ソース機器最小輝度)』
ソース機器最大輝度およびソース機器最小輝度は、ソース機器が対応可能な最大輝度および最小輝度に関する情報を示すパラメータである。なお、前記ソース機器は、『content_type』パラメータが『0』または『1』の場合には編集機器390eのモニタ装置である。この場合、ソース機器最大輝度およびソース機器最小輝度は、前記編集機器390eのモニタ装置で表示可能な輝度の最大値および最小値を示すものとする。また、『content_type』パラメータが『2』または『3』の場合には、前記ソース機器は撮影機器390cである。この場合、ソース機器最大輝度およびソース機器最小輝度は、前記撮影機器390cが出力可能な輝度の最大値および最小値を示すものとする。
ソース機器最大輝度は、『1(cd/m2 :カンデラ/平方メートル)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。ソース機器最小輝度は、『0.0001(cd/m2)』〜『6.5535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。
・『num_of_scene(シーン数)』
シーン数は、コンポーネントストリームに含まれる映像コンテンツを構成するシーン(チャプタ等と称しても良い)の数を示すものとする。シーン数が『1』の場合、このパラメータは記述を省略しても良い。
・『scene_start_time(シーン開始時刻)』
シーン開始時刻は、シーン(チャプタ)の開始時刻を40ビットのフィールドで示すものとする。このフィールドの上位16ビットは修正ユリウス日(MJD)の下位16ビットを示し、下位24ビットは日本標準時(JST)の時分秒を六桁のBCD化符号で示す。シーン数が『1』の場合、このパラメータは記述を省略しても良い。
・『scene_duration(シーン継続時間)』
シーン継続時間は、シーン(チャプタ)の継続時間を24ビットのフィールドで示すものとする。このフィールドは、継続時間の時分秒を六桁のBCD化符号で示す。シーン数が『1』の場合、このパラメータは記述を省略しても良い。
・『max_light_level_of_content(コンテンツ最大輝度)』
コンテンツ最大輝度は、各シーン(チャプタ)内における最大輝度を16ビットのフィールドで示すものとする。シーン数が『1』の場合、このパラメータはコンテンツ全体を通した輝度の最大値を示すものとなる。コンテンツ最大輝度は、『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。
・『max_frame_ave_light_level(最大フレーム平均輝度)』
最大フレーム平均輝度は、各シーン(チャプタ)内におけるフレーム平均輝度の最大値を16ビットのフィールドで示すものとする。シーン数が『1』の場合、このパラメータはコンテンツ全体を通したフレーム平均輝度の最大値を示すものとなる。最大フレーム平均輝度は、『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。
・『max_light_level_of_frame(フレーム内最大輝度)』
フレーム内最大輝度は、各フレーム内における最大輝度を16ビットのフィールドで示すものとする。フレーム内最大輝度は、『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。
・『frame_average_light_level(フレーム内平均輝度)』
フレーム内平均輝度は、各フレームの平均輝度を16ビットのフィールドで示すものとする。フレーム内平均輝度は、『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示されるものとし、16ビットのフィールドで『0000h』〜『FFFFh』の範囲で記述されるものとする。
・『EOTF_identification(EOTF識別)』
EOTF(Electro−Optical Transfer Function)識別は、コンポーネントストリームに含まれる映像コンテンツの映像信号に施されたガンマ補正等の電気信号と光信号との変換特性(伝達特性)の種別を識別するものとする。例えば、図29Dに示す例では、このパラメータが『0』の場合、映像コンテンツは、BT.709準拠のディスプレイ特性のモニタ装置に適したガンマ補正が施されていることを示す。また、このパラメータが『2』の場合、映像コンテンツは、BT.2020準拠のディスプレイ特性のモニタ装置に適した10bit処理のガンマ補正が施されていることを示す。また、このパラメータが『3』の場合、映像コンテンツは、BT.2020準拠のディスプレイ特性のモニタ装置に適した12bit処理のガンマ補正が施されていることを示す。また、このパラメータが『4』の場合、映像コンテンツは、SMPTE2084準拠のディスプレイ特性のモニタ装置に適したガンマ補正が施されていることを示す。更に、その他の分類をこのパラメータを用いて行っても良い。また、前記『EOTF識別』パラメータは、カラリメトリの種別等が識別可能であって良い。なお、図29Dに示した電気信号と光信号の変換特性(伝達特性)の種別は一例であり、映像コンテンツの映像信号にその他の電気信号と光信号の変換特性(伝達特性)の処理を施し、その特性を前記『EOTF識別』パラメータで識別するようにしても良い。
ここで、映像コンテンツと『EOTF識別』パラメータを受信した放送受信装置100は、前記映像コンテンツに関連付けられた『EOTF識別』パラメータを参照し、更に、前記映像コンテンツの表示を行うモニタ装置のディスプレイ特性を参照して、両者に基づいて適切な電気−光変換等の処理を行うことにより、前記モニタ装置に好適な状態で前記各映像コンテンツの表示を行うことが可能となる。例えば、前記映像コンテンツに関連付けられた『EOTF識別』パラメータで識別される伝達特性が、前記映像コンテンツの表示を行うモニタ装置のディスプレイ特性に対応するものである場合、表示処理において『EOTF識別』パラメータで識別される電気−光変換をそのまま行えば良い。また、前記映像コンテンツに関連付けられた『EOTF識別』パラメータで識別される伝達特性が、前記映像コンテンツの表示を行うモニタ装置のディスプレイ特性に対応するものでない場合、『EOTF識別』パラメータで識別される電気−光変換をそのまま行うのではなく、『EOTF識別』パラメータの識別に応じた電気信号と光信号との変換処理が施された映像信号を前記モニタ装置のディスプレイ特性に対応する電気−光変換の処理に適した映像信号に変換する変換処理を行った後に、前記モニタ装置のディスプレイ特性に対応する電気−光変換を行う表示処理を行うようにすれば良い。
前述の、『EOTF識別』パラメータの識別に応じた電気信号と光信号との変換処理が施された映像信号を前記モニタ装置のディスプレイ特性に対応する電気−光変換の処理に適した映像信号に変換する変換処理に関して、以下に説明する。なお、以下では、前述の処理を伝達特性変換処理と称する。
なお、『EOTF識別』パラメータに『2』、『3』、『4』の値を有する映像コンテンツは、表現可能な明暗の範囲や色域等が広いHDR映像コンテンツである。これに対し、『EOTF識別』パラメータに『0』の値を有する映像コンテンツは、表現可能な明暗の範囲や色域等がHDR映像コンテンツよりも狭いSDR(Standard Dynamic Range)映像コンテンツである。
また、BT.2020準拠のディスプレイ特性の表示装置や、SMPTE2084準拠のディスプレイ特性の表示装置は、HDR対応表示装置と称することができる。これに対し、BT.709準拠のディスプレイ特性の表示装置はSDR対応表示装置と称することができる。更に、BT.709準拠のディスプレイ特性の表示装置であって、BT.2020やSMPTE2084などのHDRのディスプレイ特性に対応していない表示装置は、SDR対応表示装置の下位概念として、SDR対応表示装置(HDR非対応表示装置)と称しても良い。
ここで、前記HDR映像コンテンツをBT.709準拠のディスプレイ特性のモニタ装置などのSDR対応表示装置(HDR非対応表示装置)に表示する際に、前記伝達特性変換処理を行わない場合、前記HDR映像コンテンツの有する広い明暗の範囲や色域等を前記モニタ装置で表現しきれず、輝度つぶれや色つぶれを有する見づらい表示画像になってしまう。即ち、この場合、前記伝達特性変換処理において、前記HDR映像コンテンツの有する広い明暗の範囲や色域等を前記モニタ装置で表現可能な明暗の範囲や色域等に収まるように変換する処理を行えば良い。当該処理は、明暗のダイナミックレンジ縮小変換、色域縮小変換と表現しても良い。また、表現可能な明暗の範囲や色域等が広いHDR映像コンテンツを表現可能な明暗の範囲や色域等が狭いSDR映像コンテンツに変換する処理であるので、HDR−SDR変換処理と表現しても良い。
一方、『EOTF識別』パラメータに『0』の値を有する映像コンテンツは、表現可能な明暗の範囲や色域等が狭いSDR映像コンテンツである。前記SDR映像コンテンツをBT.2020準拠のディスプレイ特性のモニタ装置等のHDR対応表示装置に表示する際に、前記伝達特性変換処理を行わない場合、前記モニタ装置の有する広い明暗表示性能や色域表示性能等を充分に生かすことができない。即ち、この場合、前記伝達特性変換処理において、前記モニタ装置の有する広い明暗表示性能や色域表示性能等を充分に生かすことができるように前記SDR映像コンテンツに対して変換処理を行えば良い。当該処理は、明暗のダイナミックレンジ拡大変換、色域拡大変換と表現しても良い。また、表現可能な明暗の範囲や色域等が狭いSDR映像コンテンツを表現可能な明暗の範囲や色域等が広いHDR映像コンテンツに変換する処理であるので、SDR−HDR変換処理と表現しても良い。なお、当該SDR−HDR変換処理は必ずしも必要ではなく、前記SDR映像コンテンツをBT.2020準拠のディスプレイ特性のモニタ装置などのHDR対応表示装置に表示する際に、SDR−HDR変換処理を行わなくとも良い。この場合、明暗表示性能や色域表示性能はSDRのディスプレイ特性の範囲のままであるが輝度つぶれや色つぶれを有する見づらい表示画像となることはなく問題はない。
なお、放送受信装置100が受信した映像コンテンツに『EOTF識別』パラメータが関連付けられておらず取得できない場合(もともと伝送されていない場合)、または放送受信装置100が受信した映像コンテンツに関連付けられた『EOTF識別』パラメータの値が伝送エラー等により取得できず判別できない場合の処理の例としては、以下の処理を行えば良い。
第1の処理例としては、前記受信した映像コンテンツの『EOTF識別』パラメータの値を、例えば、『2』または『3』であるものとして扱うようにしても良い。即ち、『EOTF識別』パラメータの値が識別できない場合には、前記映像コンテンツをHDR映像コンテンツとして扱うようにすれば良い。このようにすれば、前記モニタ装置がBT.2020準拠のディスプレイ特性のモニタ装置などのHDR対応表示装置では前記伝達特性変換処理を行わないが、実際のコンテンツがHDR映像コンテンツであれば適切な表示がなされ、実際のコンテンツがSDR映像コンテンツであっても、明暗表示性能や色域表示性能はSDRのディスプレイ特性の範囲のままであるが輝度つぶれや色つぶれを有する見づらい表示画像となることはない。また、前記モニタ装置がBT.709準拠のディスプレイ特性のモニタ装置などのSDR対応表示装置(HDR非対応表示装置)である場合は、前記映像コンテンツをHDR映像コンテンツとして扱うことにより前記伝達特性変換処理を行うことになるが、実際のコンテンツがHDR映像コンテンツであれば適切にHDR−SDR変換処理がなされて表示され、実際のコンテンツがSDR映像コンテンツであっても、明暗表示性能や色域表示性能がSDRのディスプレイ特性の範囲よりも更に制限されてしまうが、少なくとも映像コンテンツの有する明暗の範囲や色域等を表現しきれない輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像になることは回避される。(実際のコンテンツがHDR映像コンテンツの場合にSDR−HDR変換処理を行ってしまう場合や、実際のコンテンツがHDR映像コンテンツの場合にSDR対応表示装置(HDR非対応表示装置)にHDR−SDR変換を行わずにそのまま表示する場合に、このような輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像が表示される可能性が生じるが、第1の処理例ではこの状況を回避できる。)
以上説明した第1の処理例によれば、『EOTF識別』パラメータの値が識別できない場合には、前記映像コンテンツをHDR映像コンテンツとして扱うことにより、前記モニタ装置がHDR対応表示装置であってもSDR対応表示装置(HDR非対応表示装置)であっても、実際のコンテンツがHDR映像コンテンツであってもSDR映像コンテンツであっても、ユーザにとって問題の少ない映像表示が可能となる。
また、『EOTF識別』パラメータの値が取得できない場合(伝送されていない場合、伝送エラー等の場合、無効な値の場合を含む)の処理の別の第2の処理例として、映像コンポーネント記述子等が有する映像信号の解像度に関するパラメータを参照して、HDR映像コンテンツとして扱うか、SDR映像コンテンツとして扱うかを決定するようにしても良い。
例えば、『EOTF識別』パラメータの値が識別できない場合であっても、前記映像信号の解像度に関するパラメータが前記映像コンテンツの解像度が3840×2160画素或いは7680×4320画素等の高解像度コンテンツであることを示している場合には、HDR映像コンテンツであると判断しても良い。具体的には、『EOTF識別』パラメータの値が『2』または『3』であると解釈すれば良い。3840×2160画素或いは7680×4320画素の高解像度コンテンツは、今後HDR映像コンテンツとして準備される運用が多いと予想されるため、このような処理により確率的に適切な表示が行われやすくなる。
また、『EOTF識別』パラメータの値が識別できない場合であっても、前記映像信号の解像度に関するパラメータが前記映像コンテンツの解像度が1920×1080画素以下であることを示している場合には、SDR映像コンテンツであると判断しても良い。具体的には、『EOTF識別』パラメータの値が『0』であると解釈すれば良い。1920×1080画素以下の解像度のコンテンツは、既存のSDRコンテンツが多数存在するため、このような処理により確率的に適切な表示が行われやすくなる。
以上説明した第2の処理例によれば、『EOTF識別』パラメータの値が識別できない場合に、前記解像度に関するパラメータを参照して判断することにより、確率的に適切な表示が行われやすくなる。
次に、放送受信装置100が受信した映像コンテンツに関連付けられた『EOTF識別』パラメータの値が、図29Dの表においてディスプレイ特性との関係が用意されていない値である場合の処理について説明する。ここで、図29Dの表においてディスプレイ特性との関係が用意されていない値とは、図29Dの表における『EOTF識別』パラメータの値が『1』や『5』〜『15』のような将来のためのリザーブになっている値や想定していない値などが格納されている場合である。これらの値は無効な値と表現しても良い。このような無効の値(ディスプレイ特性との関係が用意されていない値)の場合も、上述の第1の処理例または第2の処理例の何れかを行うようにすれば、それぞれ同様の効果が得られる。
以上説明した『EOTF識別』パラメータに応じた各種映像処理は、図7Aの構成図では、分離部132で分離したデータに基づく主制御部101の制御により制御された映像色域変換部142が行えば良い。
ここで、番組の変わり目やチャンネル切り替えで、表示すべき映像コンテンツがHDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツで切り替わる場合、図7Aの映像デコーダ141からのデコード映像がHDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツとで切り替わるタイミングと、映像色域変換部142の映像処理がHDR映像コンテンツ用の処理とSDR映像コンテンツ用の処理とで切り替わるタイミングとが揃うことが理想的である。しかしながら、実際には少なからずタイミングのずれを生じることが考えられる。
SDR映像コンテンツに対してSDR−HDR変換処理を行うHDR対応表示装置において、HDR映像コンテンツからSDR映像コンテンツに切り替わる際に、映像色域変換部142の映像処理の切り替わるタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも早くなってしまうと、HDR映像コンテンツにSDR−HDR変換処理を行ってしまう時間が生じ、輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像が表示される可能性が生じてしまう。よって、HDR映像コンテンツからSDR映像コンテンツに切り替わる際には、映像色域変換部142の映像処理の切り替わりタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも遅くなるように主制御部101が映像デコーダ141と映像色域変換部142の処理タイミングを制御すれば良い。または、両者の切り替えが処理を開始する前に映像を黒表示などの映像ミュート状態とし、両者の切り替えが完了したあとに映像の黒表示などの映像ミュート状態を解除するように制御しても良い。
また、SDR映像コンテンツに対してSDR−HDR変換処理を行うHDR対応表示装置において、SDR映像コンテンツからHDR映像コンテンツに切り替わる際に、映像色域変換部142の映像処理の切り替わるタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも遅くなってしまうと、HDR映像コンテンツにSDR−HDR変換処理を行ってしまう時間が生じ、輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像が表示される可能性が生じてしまう。よって、SDR映像コンテンツからHDR映像コンテンツに切り替わる際には、映像色域変換部142の映像処理の切り替わりタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも早くなるように主制御部101が映像デコーダ141と映像色域変換部142の処理タイミングを制御すれば良い。または、両者の切り替えが処理を開始する前に映像を黒表示などの映像ミュート状態とし、両者の切り替えが完了したあとに映像の黒表示などの映像ミュート状態を解除するように制御しても良い。
HDR映像コンテンツに対してHDR−SDR変換処理を行い、SDR映像コンテンツに対しては伝達特性変換処理を行わずに表示するSDR対応表示装置において、HDR映像コンテンツからSDR映像コンテンツに切り替わる際に、映像色域変換部142の映像処理の切り替わるタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも早くなってしまうと、HDR映像コンテンツを伝達特性変換処理を行わずにそのままSDR対応表示装置に表示してしまう時間が生じ、輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像が表示される可能性が生じてしまう。よって、HDR映像コンテンツからSDR映像コンテンツに切り替わる際には、映像色域変換部142の映像処理の切り替わりタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも遅くなるように主制御部101が映像デコーダ141と映像色域変換部142の処理タイミングを制御すれば良い。または、両者の切り替えが処理を開始する前に映像を黒表示などの映像ミュート状態とし、両者の切り替えが完了したあとに映像の黒表示などの映像ミュート状態を解除するように制御しても良い。
HDR映像コンテンツに対してHDR−SDR変換処理を行い、SDR映像コンテンツに対しては伝達特性変換処理を行わずに表示するSDR対応表示装置において、SDR映像コンテンツからHDR映像コンテンツに切り替わる際に、映像色域変換部142の映像処理の切り替わるタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも遅くなってしまうと、HDR映像コンテンツを伝達特性変換処理を行わずにそのままSDR対応表示装置に表示してしまう時間が生じ、輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像が表示される可能性が生じてしまう。よって、SDR映像コンテンツからHDR映像コンテンツに切り替わる際には、映像色域変換部142の映像処理の切り替わりタイミングが、映像デコーダ141からのデコード映像の切り替わりタイミングよりも早くなるように主制御部101が映像デコーダ141と映像色域変換部142の処理タイミングを制御すれば良い。または、両者の切り替えが処理を開始する前に映像を黒表示などの映像ミュート状態とし、両者の切り替えが完了したあとに映像の黒表示などの映像ミュート状態を解除するように制御しても良い。
以上説明したようにデコード映像の切り替わりタイミングと伝達特性変換処理の切り替えのタイミングに関する処理を行うことにより、ユーザに対して輝度つぶれや色つぶれのある見づらい表示映像を提示することを回避することが可能となる。
以上説明したコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを用いた識別処理と各種映像処理に替えて、またはこれに加えて、符号化映像ストリーム内に前述の『EOTF_identification』パラメータと同様の識別を可能とするフラグを挿入し、前記挿入されたフラグを用いた識別処理と各種映像処理を行うようにしても良い。当該符号化映像ストリーム内フラグとしての『EOTF_identification』フラグを用いた場合の識別処理と各種映像処理は、前述のコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを用いた場合の識別処理と各種映像処理の説明において、コンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを参照することに代替して、符号化映像ストリーム内に挿入された『EOTF_identification』フラグを参照することにより行えば良いので、詳細の説明を省略する。
ただし、符号化映像ストリーム内フラグとしての『EOTF_identification』フラグを、例えば、フレーム単位やGOP単位等で符号化映像ストリーム内に挿入すれば、アセット単位や番組単位で設定されるコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを用いた場合よりも細かい時間単位で、HDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツとの切り替えと、各映像コンテンツに対応する各種映像処理の切り替えと、を実現することが可能となる。即ち、映像デコーダ141がフレーム単位やGOP単位等でHDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツの切り替えを把握でき、更に、後段の映像色域変換部142がフレーム単位やGOP単位等でHDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツの識別情報を参照することが可能となるので、映像色域変換部142における映像処理の切り替えタイミングの同期精度もコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを用いる場合に比べて向上するという効果がある。
また、符号化映像ストリーム内の『EOTF_identification』フラグの伝送とコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータの伝送とを併用する場合は、符号化映像ストリーム内の『EOTF_identification』フラグを用いた識別処理は映像色域変換部142の映像処理の切り替えに用いて、コンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータは、例えば、番組単位で番組表での表示や番組情報の表示において当該番組がHDR映像コンテンツ番組かSDR映像コンテンツ番組か等をユーザに伝えるための表示用に用いれば、より好適に両者の識別情報を使い分けることができる。
また、符号化映像ストリーム内の『EOTF_identification』フラグの伝送とコンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータの伝送とを併用する場合で、前記両者の識別情報に不整合がある場合の処理としては、以下が考えられる。第一の処理例としては、符号化映像ストリーム内の『EOTF_identification』フラグを優先的に使用する例である。この場合は、前述のようなHDR映像コンテンツとSDR映像コンテンツとの切り替えを、対応する映像処理の切り替えタイミングと精度良く同期可能であるという利点がある。第二の処理例としては、コンテンツ情報記述子内の『EOTF_identification』パラメータを優先的に使用する例である。この場合は、符号化映像ストリームを参照することなく迅速に前記伝達特性等の識別が可能であるという利点がある。
なお、前述のコンテンツ情報記述子は、図29Aに示したものと異なるデータ構造を有していても良い。例えば、前記各パラメータと異なる別のパラメータを更に備えていても良いし、前記各パラメータの全てを備えなくとも良い。また、前記各パラメータは、異なる名称を用いていても良い。また、前記各パラメータは、必ずしも1つの記述子に記述される必要はなく、例えば、二つの異なる記述子に分けて記述されても良い。また、前記各パラメータは、記述子に記述されてテーブルに配置されても良いし、テーブルに直接記述されていても良い。
[放送受信装置のEPG表示]
本実施例の放送受信装置100においても、実施例1と同様に、MH−EIT等を参照してサービスIDによる識別を行うことにより、各イベント(放送番組)の開始時間や放送時間等の情報を取得してEPG画面を作成することが可能であり、前記作成したEPGを映像合成部161で映像情報等に重畳してモニタ部162に表示することが可能であるものとする。
更に、本実施例の放送受信装置100においては、前記コンテンツ情報記述子の『content_type』パラメータ等を参照し、各放送番組の映像コンテンツのタイプが『1』または『3』の場合には、図30に示すように、前記放送番組がHDRに対応した番組であることを示す属性を表す記号等を表示するようにしても良い。前記属性を表す記号等とは、例えば、HDRに対応した放送番組であることを示す記号/文字であっても良いし、HDRに対応した放送番組であることを意味する『HDR』を記号化した印162a5であっても良い。前記属性を表す記号等は、詳細情報162a1のタイトル領域162a2に表示されて良い。或いは、詳細情報162a1にカーソルを合わせた場合に、ポップアップで表示されるようにしても良い。その他の方法で表示されても良い。
また、前記コンテンツ情報記述子が、前記放送番組の映像コンテンツがHDRに対応しているか否かを示すパラメータである『HDR_flag』等を別途有している場合には、前記『HDR_flag』パラメータを参照することにより、前記放送番組がHDRに対応した番組であることを示す属性を表す記号等を表示するか否かの制御を行うようにしても良い。なお、前記『HDR_flag』パラメータの名称は一例であり、異なる名称を用いても良い。
また、前記コンテンツ情報記述子の『source_luminance_max』パラメータや『max_light_level_of_content』パラメータや『max_light_level_of_frame』パラメータ等の全て或いは何れかが所定値(例えば、『100(cd/m2)』等)を超える場合に、前記放送番組がHDRに対応した番組であることを示す属性を表す記号等を表示するように制御を行っても良い。
なお、前記コンテンツ情報記述子の『content_type』パラメータ等を参照し、各放送番組の映像コンテンツのタイプが『1』または『3』の場合であっても、或いは、前記コンテンツ情報記述子の『source_luminance_max』パラメータや『max_light_level_of_content』パラメータや『max_light_level_of_frame』パラメータ等の全て或いは何れかが所定値(例えば、『100(cd/m2)』等)を超える場合であっても、放送受信装置100のモニタ部162がHDRに対応していなければ、前記HDRに対応した放送番組であることを示す記号/文字や前記HDRに対応した放送番組であることを意味する『HDR』を記号化した印162a5は表示しないように制御を行っても良い。
また、本実施例の放送受信装置100が、前記コンテンツ情報記述子の『EOTF_identification』パラメータを参照し、各放送番組の映像コンテンツに施されたガンマ補正の種別が放送受信装置100のモニタ部162のディスプレイ特性で対応可能な種別である場合には、前記放送番組が正しい輝度表現で表示可能な番組であることを示す属性を表す記号等を表示するようにしても良い。前記属性を表す記号等とは、例えば、正しい輝度表現で表示可能な番組であることを示す記号/文字であっても良いし、正しい輝度表現で表示可能な番組であることを意味する『True Contrast』を記号化した印162a6であっても良い。なお、前述の、各放送番組の映像コンテンツに施されたガンマ補正の種別が放送受信装置100のモニタ部162のディスプレイ特性で対応可能な種別である場合とは、例えば、映像コンテンツに係る『EOTF_identification』パラメータが『0』であり、放送受信装置100のモニタ部162のディスプレイ特性がBT.709に準拠している場合、等である。
前述のような属性を表す記号等をEPG画面162aの詳細情報162a1に表示することにより、ユーザはEPG画面162aに表示されている各放送番組が、HDRに対応しているか否か、正しい輝度表現で表示可能な番組であるか否か、等を簡単に把握することが可能となる。
[放送受信装置の色域変換処理]
本実施例において、録画番組である映像コンテンツは、図28に示したように、編集機器390eで映像/音声の編集加工を施されているものとする。即ち、映像コンテンツの提供者は、編集機器390eのモニタ装置で確認しながら映像コンテンツの編集加工を行っており、従って、前記映像コンテンツは編集機器390eのモニタ装置が有する色再現性能の下において好適な表示が行われるものとなっている可能性が高い。一方、ユーザが前記映像コンテンツの視聴に使用するモニタ装置である放送受信装置100のモニタ部162も、生産メーカや型式毎に異なる色再現性能を有することが一般的である。この場合、前記編集機器390eのモニタ装置が有する色再現性能と放送受信装置100のモニタ部162が有する色再現性能とが大きく異なると、放送受信装置100のモニタ部162上に前記映像コンテンツを表示する際に、映像コンテンツの提供者が意図した映像表現を正しく行えないという問題が発生する可能性が考えられる。
即ち、本実施例の放送システムでは、前述のように、MMT−SIの記述子としてコンテンツ情報記述子の送信を行っている。このコンテンツ情報記述子には、ソース機器の色再現性能に関する情報を示すパラメータとして、前記ソース機器が対応可能な色域のR/G/Bの各原色および白色基準点のCIE色度図上における座標値が示されている。
また、本実施例の放送受信装置100は、ストレージ部110の各種情報記憶領域に、モニタ部162の色再現性能に関する情報を示すパラメータとして、モニタ部162が対応可能な色域のR/G/Bの各原色および白色基準点のCIE色度図上における座標値を記憶しているものとする。前記状況で、前記コンテンツ情報記述子に記述された前記ソース機器が対応可能な色域のR/G/Bの各原色および白色基準点の座標が、それぞれ、図31Aに示すように、R0/G0/B0およびW0であり、ストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162が対応可能な色域のR/G/Bの各原色および白色基準点の座標が、それぞれ、R1/G1/B1およびW1である場合、特に前記ソース機器が対応可能な色域であるR0/G0/B0で構成される領域のうちの、モニタ部162が対応可能な色域であるR1/G1/B1で構成される領域と重ならない部分が、前記モニタ部162で正しく表示されない可能性を有する領域である。
本実施例の放送受信装置100は、前述の問題を解決するために、前記コンテンツ情報記述子に記述された前記ソース機器が対応可能な色域とストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162が対応可能な色域との間にずれがある場合に、前記映像コンテンツの映像データをモニタ部162での表示に好適な映像データに変換する色域変換処理機能を備えるものとする。以下では、放送受信装置100が備える前記色域変換機能に関して説明を行う。
本実施例の放送受信装置100が備える前記色域変換処理機能は、即ち、前記映像データが有する色域(図31Aに示した前記ソース機器が対応可能な色域であるR0/G0/B0で構成される領域と同等)をモニタ部162の色再現性能に基づく色域(図31Aに示したR1/G1/B1で構成される領域)に対応可能なように変換する機能である。
本実施例の放送受信装置100が備える前記色域変換処理機能は、前記映像データが有する色域を、前記コンテンツ情報記述子に記述された前記ソース機器が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標値とストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶された前記モニタ部162が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標値とを参照することにより、前記モニタ部162での正しい色再現が可能なように変換するものであって良い。
なお、線分R0/G0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のR/Gの原色座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のR/Gの原色の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。線分G0/B0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のG/Bの原色の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のG/Bの原色の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。線分R0/B0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のR/Bの原色の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のR/Bの原色の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。
或いは、図31Bに示すように、前記映像データが有する色域を三つの領域に分割して、分割領域毎に色域変換処理を異ならせても良い。例えば、前記映像データが有する色域のうちのR0/G0/W0で構成される領域では、前記ソース機器が対応可能な色域のR/Gの各原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のR/Gの各原色および白色基準点の座標値とを参照することにより、色域変換処理を行う。前記映像データが有する色域のうちのG0/B0/W0で構成される領域では、前記ソース機器が対応可能な色域のG/Bの各原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のG/Bの各原色および白色基準点の座標値とを参照することにより、色域変換処理を行う。前記映像データが有する色域のうちのR0/B0/W0で構成される領域では、前記ソース機器が対応可能な色域のR/Bの各原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のR/Bの各原色および白色基準点の座標値とを参照することにより、色域変換処理を行う。
また、前記分割領域毎に色域変換処理を異ならせる場合、更に、線分R0/W0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のRの原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のRの原色および白色基準点の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。線分G0/W0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のGの原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のGの原色および白色基準点の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。線分B0/W0上(若しくはその近傍領域)では、前記ソース機器が対応可能な色域のBの原色および白色基準点の座標値と前記モニタ部162が対応可能な色域のBの原色および白色基準点の座標値のみを参照することにより、色域変換処理を行う様にしても良い。
前記色域変換処理の一例を、図31Cを用いて説明する。同図において、R0、G0、B0は、前記コンテンツ情報記述子に記述された前記ソース機器が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標であり、それぞれ(R0x,R0y)、(G0x,G0y)、(B0x,B0y)の座標値を有するものとする。また、R1、G1、B1は、ストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶された前記モニタ部162が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標であり、それぞれ(R1x,R1y)、(G1x,G1y)、(B1x,B1y)の座標値を有するものとする。また、P0は、前記映像コンテンツの所定の色域データであり、(P0x,P0y)の座標値を有するものとする。この場合、前記P0の色域データは、前記色域変換処理により、P1に示す色域データに変換される。なお、P1は、(P1x,P1y)の座標値を有するものとし、下記に一例を示す前記色域変換処理の演算式により算出される。
<色域変換処理の演算式の例>
P1=αR1+βG1+γB1
ただし、
α={(G0y-B0y)(P0x-B0x)+(B0x-G0x)(P0y-B0y)}/{(G0y-B0y)(R0x-B0x)
+(B0x-G0x)(R0y-B0y)}
β={(B0y-R0y)(P0x-B0x)+(R0x-B0x)(P0y-B0y)}/{(G0y-B0y)(R0x-B0x)
+(B0x-G0x)(R0y-B0y)}
γ=1-α-β
なお、前記演算式は、映像コンテンツが有する色域の領域内の全ての色域データの色域変換処理を、前記コンテンツ情報記述子に記述された前記ソース機器が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標値とストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶された前記モニタ部162が対応可能な色域のR/G/Bの各原色の座標値とを参照することにより行う場合の例である。前記映像データが有する色域を三つの領域に分割して、分割領域毎に色域変換処理を異ならせる場合であっても同様な演算が可能である。(ただし、参照するパラメータは異なる。)また、前記演算式は重心座標系を用いた公知の演算式であるため、前記演算式の導出に係る詳細の説明は省略する。また、前記演算式はあくまでも一例であり、異なる演算式を用いて前記P1の座標値の算出を行っても良い。
また、前記映像コンテンツが有する色域の領域の全てが、モニタ装置(放送受信装置100等)が対応可能な色域の領域内に含まれる場合には、前記色域変換処理を行わなくとも良い。例えば、映像コンテンツが有する色域が、図29Cに示したBT.709系の色域と同等であり、モニタ装置(放送受信装置100等)が対応可能な色域が、同BT.2020系の色域と同等である場合、前記BT.709系の色域の領域の全てが前記BT.2020系の色域の領域内に含まれるため、前記色域変換処理を行う必要はない。即ち、モニタ装置(放送受信装置100等)は、映像コンテンツの有する全ての色域データを表示可能であるからである。
以上説明したように、本実施例の放送受信装置100の色域変換処理機能によれば、前記ソース機器が有する色再現性能と放送受信装置100のモニタ部162が有する色再現性能とが異なっている場合であっても、放送受信装置100のモニタ部162上に前記映像コンテンツを表示する際に、前記映像コンテンツを好適に表示することが可能となる。
[放送受信装置の輝度調整処理]
本実施例の放送受信装置100は、図32に示すような、画質調整項目を備えているものとする。前記各画質調整項目は、それぞれ、ユーザの操作により、ユーザの好みに応じた調整を可能とする。一方、前記画質調整項目のうち輝度調整に関する項目においては、前記コンテンツ情報記述子の記述を参照した自動輝度調整が可能であって良い。以下では、前記自動輝度調整の処理に関して説明を行う。
本実施例の放送受信装置100では、前記コンテンツ情報記述子の、(1)『source_luminance_max』パラメータおよび『source_luminance_min』パラメータを参照して自動輝度調整を行う、(2)『max_light_level_of_content』パラメータおよび『source_luminance_min』パラメータを参照して自動輝度調整を行う、(3)『max_light_level_of_content』パラメータのみを参照して自動調整を行う、ことが可能であるものとする。
本実施例の放送受信装置100は、ストレージ部110の各種情報記憶領域に、モニタ部162の輝度表示性能に関する情報を示すパラメータとして、モニタ部162で表示可能な輝度の最大値および最小値を記憶しているものとする。
前記(1)の方式の自動輝度調整は、前記コンテンツ情報記述子に記述された『source_luminance_max』パラメータと『source_luminance_min』パラメータ、および、ストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162で表示可能な輝度の最大値/最小値を参照して行うものである。
即ち、図33Aに示すように、前記『source_luminance_max』パラメータに示される輝度レベルが前記モニタ部162で表示可能な輝度の最大値の輝度レベルに概略一致するように、かつ、前記『source_luminance_min』パラメータに示される輝度レベルが前記モニタ部162で表示可能な輝度の最小値の輝度レベルに概略一致するように、映像コンテンツの輝度表現範囲の変換処理を行うものである。前記輝度表現範囲の変換処理を行うことにより、ユーザは、コンテンツ提供者がコンテンツの編集加工に使用した編集機器390eのモニタ装置と同様の輝度表現をなされた映像コンテンツを放送受信装置100のモニタ部162で視聴することが可能となる。
前記(2)の方式の自動輝度調整は、前記コンテンツ情報記述子に記述された『max_light_level_of_content』パラメータと『source_luminance_min』パラメータ、および、ストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162で表示可能な輝度の最大値/最小値を参照して行うものである。
即ち、図33Bに示すように、前記『max_light_level_of_content』パラメータに示される輝度レベルが前記モニタ部162で表示可能な輝度の最大値の輝度レベルに概略一致するように、かつ、前記『source_luminance_min』パラメータに示される輝度レベルが前記モニタ部162で表示可能な輝度の最小値の輝度レベルに概略一致するように、映像コンテンツの輝度表現範囲の変換処理を行うものである。前記輝度表現範囲の変換処理を行うことにより、ユーザは、放送受信装置100のモニタ部162が有するコントラスト性能を充分に生かして映像コンテンツの視聴を行うことが可能となる。
なお、前記コンテンツ情報記述子が、各シーン(チャプタ)内における最少輝度を示すパラメータ(例えば、『min_light_level_of_content(コンテンツ最小輝度)』等)を更に有している場合、前記『source_luminance_min』パラメータに代替して前記『min_light_level_of_content』パラメータを参照すれば、放送受信装置100のモニタ部162が有するコントラスト性能を更に有効に活用することが可能となる。
また、前記(2)の方式における輝度表現範囲の変換処理は、『num_of_scene』パラメータが『1』でない場合、シーン(チャプタ)毎に参照するパラメータを変えて行う様にしても良い。この場合、シーン(チャプタ)毎に放送受信装置100のモニタ部162における好適なコントラスト性能を確保することが可能となる。
前記(3)の方式の自動輝度調整は、前記コンテンツ情報記述子に記述された『max_light_level_of_content』パラメータおよび、ストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162で表示可能な輝度の最大値を参照して行うものである。輝度の最小値側は、それぞれ『0(cd/m2)』を基準とする。この場合、前記(2)の方式の自動輝度調整と同様の効果を得ることができ、更に、少ないパラメータの参照による簡易な演算で輝度表現範囲の変換処理を行うことが可能となる。
また、前記輝度表現範囲の変換処理は、それぞれ、前記コンテンツ情報記述子に記述された『source_luminance_max』パラメータや『max_light_level_of_content』パラメータがストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162で表示可能な輝度の最大値よりも大きい場合にのみ行う様にしても良い。
即ち、前記コンテンツ情報記述子に記述された『source_luminance_max』パラメータや『max_light_level_of_content』パラメータがストレージ部110の各種情報記憶領域に記憶されたモニタ部162で表示可能な輝度の最大値よりも大きい場合には、受信した映像コンテンツをそのまま放送受信装置100のモニタ部に表示した場合に輝度つぶれを生じる可能性があるが、逆の場合には、前記輝度つぶれを生じる可能性がないからである。
以上説明したように、本実施例の放送受信装置100の自動輝度調整の処理によれば、前記コンテンツ情報記述子を参照することにより、ユーザは、放送受信装置100のモニタ部162上における好適な輝度表現で映像コンテンツの視聴を行うことが可能となる。
本実施例によれば、放送波に含まれる番組コンテンツに付随するコンテンツ情報を参照することにより、HDRや色域の拡大に対応した前述の各処理が可能な、より有用なMMT対応の放送受信装置を提供することができる。
(実施例4)
以下では、本発明の実施例4に関して説明する。なお、本実施例における構成および効果等は特に断りのない限り実施例3と同様であるものとする。このため、以下では、本実施例と実施例3との相違点を主に説明し、共通する点については重複を避けるため極力説明を省略する。
[システム構成]
図34は、本実施例の放送受信装置を含む放送通信システムの一例を示すシステム構成図である。本実施例の放送通信システムは、放送受信装置40100とアンテナ40100a、接続ケーブル40200、モニタ装置40300、インターネット200等のブロードバンドネットワークおよびルータ装置200r、放送局の電波塔300tと放送衛星(または通信衛星)300s、放送局サーバ300、サービス事業者サーバ400、その他のアプリケーションサーバ500、で構成される。図示は省略しているが、実施例1の放送通信システムのシステム構成図(図1参照)と同様の接続で、アクセスポイント200a、移動体電話通信サーバ600と移動体電話通信網の基地局600b、携帯情報端末700、を更に有していても良い。また、その場合、携帯情報端末700は、ルータ装置200r等を介さずに、放送受信装置40100と直接通信が可能であっても良い。
また、図28に示したように、電波塔300tから送出される放送波に含まれる番組コンテンツの符号化データは、撮影機器390cから出力されたものであって良いし、編集機器390eで種々の映像/音声の編集加工を施されたものであって良い。
放送受信装置40100は、電波塔300tから送出された放送波を、放送衛星(または通信衛星)300sおよびアンテナ40100aを介して受信する。或いは、電波塔300tから送出された放送波を、放送衛星(または通信衛星)300sを介さずに、直接アンテナ40100aから受信しても良い。また、放送受信装置40100は、ルータ装置200rを介してインターネット200と接続可能であり、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器との通信によるデータの送受信が可能である。
接続ケーブル40200は、放送受信装置40100とモニタ装置40300を接続する通信ケーブルであり、放送受信装置40100から出力された符号化映像/音声データ等が伝送される。モニタ装置40300は、接続ケーブル40200を介して受信した符号化映像/音声データ等に対して所定の信号処理を施すことにより得た映像情報および音声情報を、液晶パネル等の表示デバイスおよびスピーカを介して、ユーザに提供する映像表示装置である。
また、モニタ装置40300は、ルータ装置200rを介してインターネット200と接続可能であって、インターネット200上の各サーバ装置やその他の通信機器との通信によるデータの送受信が可能であっても良い。また、モニタ装置40300は、アンテナ40300a(ただし、図示省略)を介して、電波塔300tから送出された放送波を受信可能としても良い。
[放送受信装置のハードウェア構成]
図35Aは、放送受信装置40100の内部構成の一例を示すブロック図である。放送受信装置40100は、主制御部101、システムバス102、ROM103、RAM104、ストレージ(蓄積)部110、LAN通信部121、拡張インタフェース部124、デジタルインタフェース部40125、チューナ/復調部131、分離部132、映像デコーダ141、映像色域変換部142、音声デコーダ143、文字スーパーデコーダ144、字幕デコーダ145、字幕合成部146、字幕色域変換部147、データデコーダ151、キャッシュ部152、アプリケーション制御部153、ブラウザ部154、アプリケーション色域変換部155、音源部156、映像合成部161、映像出力部163、音声合成部164、音声出力部166、操作入力部170、トランスコード処理部40181、で構成される。
本実施例の放送受信装置40100は、DVDレコーダやBDレコーダなどの光ディスクドライブレコーダ、HDDレコーダなどの磁気ディスクドライブレコーダ、STB等であるものとする。即ち、実施例1の放送受信装置100と比較して、モニタ部162とスピーカ部165が省略されて良い。
デジタルインタフェース部40125は、符号化されたデジタル映像データおよび/またはデジタル音声データを出力若しくは入力するインタフェースである。デジタルインタフェース部40125は、チューナ/復調部131で復調して得たMMTデータ列やLAN通信部121を介して取得したMMTデータ列、或いは、前記各MMTデータ列の混合データをそのまま出力可能であるものとする。また、デジタルインタフェース部40125から入力したMMTデータ列を分離部132に入力するように制御しても良い。
ストレージ(蓄積)部110に記憶したデジタルコンテンツの出力、或いは、ストレージ(蓄積)部110へのデジタルコンテンツの記憶を、デジタルインタフェース部40125を介して行っても良い。また、デジタルインタフェース部40125は、DVI端子やHDMI(登録商標)端子やDisplay Port(登録商標)端子等であって、DVI仕様やHDMI仕様やDisplay Port仕様等に準拠した形式で、映像合成部161および音声合成部164から出力された映像データおよび音声データ等を出力するように制御されても良い。
トランスコード処理部40181は、コンテンツを構成する各コンポーネントの符号化形式やビットレート、メディアトランスポート方式等を変換するトランスコード演算処理を行う信号処理部である。例えば、トランスコード処理部40181は、分離部132から出力されたMPEG−H HEVC形式の映像コンポーネントを含む放送番組のコンテンツのMMTデータ列をMPEG−2やMPEG−4 AVC(Advanced Video Coding)形式の映像コンポーネントを含む番組コンテンツのMPEG2−TSデータ列(或いは、MPEG2−PSデータ列)等に変換することが可能であるものとする。
また、コンポーネントの符号化形式やメディアトランスポート方式は変更せずにビットレートのみを変更する処理等も可能であるものとする。なお、前記トランスコード演算処理を施された番組コンテンツは、録画コンテンツとしてストレージ(蓄積)部110に記憶させることや、デジタルインタフェース部40125等から出力して外部のモニタ装置等に供給することが可能であるものとする。
[放送受信装置のソフトウェア構成]
図35Bは、本実施例の放送受信装置40100のソフトウェア構成図であり、ROM103、RAM104およびストレージ(蓄積)部110におけるソフトウェアの構成を示す。実施例1の放送受信装置100のソフトウェア構成図(図7D参照)と比較して、ストレージ(蓄積)部110にトランスコード処理プログラム41003と記録再生処理プログラム41004が追加されるものとする。
ストレージ(蓄積)部110に記憶されたトランスコード処理プログラム41003と記録再生処理プログラム41004は、それぞれRAM104に展開され、更に主制御部101が前記展開されたトランスコード処理プログラムと記録再生処理プログラムを実行することにより、トランスコード処理実行部41103と記録再生処理実行部41104を構成する。トランスコード処理実行部41103は、トランスコード処理部40181におけるトランスコード演算処理を主として制御する。記録再生処理実行部41104は、放送番組のコンテンツのコンテンツ記憶領域1200への録画処理およびコンテンツ記憶領域1200からの記録済みコンテンツの再生処理を主として制御する。
また、RAM104に展開された受信機能実行部1102は、出力制御部41102iを更に有するものとする。受信機能実行部1102の出力制御部41102iは、映像出力部163や音声出力部166、デジタルインタフェース部40125からのデータ出力に関連する各処理の制御を行うものとする。
なお、図35Bに示したソフトウェア構成はあくまでも一例であり、本実施例においては、図示した全てのプログラムおよび実行部を備えなくとも良い。
[放送受信装置とモニタ装置のインタフェース構成]
図36は、放送受信装置40100とモニタ装置40300の間のインタフェース構成の一例を示すシステム構成図である。本実施例においては、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の図示を省略した接続端子とモニタ装置40300側の図示を省略したデジタルインタフェース部の接続端子とが接続ケーブル40200で接続される場合に関して説明する。なお、モニタ装置40300は、図7Aに示した放送受信装置100と同様の構成であっても良い。この場合、デジタルインタフェース部125が前述のモニタ装置40300側のデジタルインタフェース部に相当し、その接続端子に接続ケーブル40200が接続される。
接続ケーブル40200は、図36に示したように、CH1〜CHnのnペアの差動伝送レーンと、VESA(Video Electronics Standard Association)で標準化されたDDC(Display Data Channel)ライン、HPD(Hot Plug Detect)ライン、CEC(Consumer Electronics Control)ライン、等で構成されるものとする。なお、前記差動伝送レーンは、差動伝送ラインと称しても良い。
前記nペアの差動伝送レーンは、1ペアのクロックレーンと(n−1)ペアのデータレーンであっても良い。例えば、n=4であって、1ペアのクロックレーンと3ペアのデータレーンとしても良いし、n=2であって、1ペアのクロックレーンと1ペアのデータレーンとしても良い。また、前記nペアの差動伝送レーンの全てが、クロックを重畳したデータを送信するデータレーンであっても良い。例えば、n=4であって、4ペアのデータレーンとしても良い。なお、前記クロックレーンおよびデータレーンは、それぞれ、クロックラインおよびデータラインと称しても良い。
前記データレーンには、映像合成部161や音声合成部164から、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の送信処理部40125bを介して、デジタル映像(R/G/B/Vsync/Hsync、Y/Pb(Cb)/Pr(Cr)、等)/音声信号やその他の制御信号等が所定の形式で出力されて良い。前記所定の形式はHDMI(登録商標)等の仕様に準拠して良く、詳細の説明を省略する。前記デジタル映像/音声信号やその他の制御信号等は、モニタ装置40300側のデジタルインタフェース部の受信処理部40325bで受信され、図示を省略した映像処理部や音声処理部で画質調整や音量調整等の必要な処理を適宜施されて、モニタ装置40300の表示部およびスピーカから出力される。
また、接続ケーブル40200は、図示は省略しているが、電源ラインやGNDラインや予備ラインを更に含んでいても良い。前記nペアの差動伝送レーンや通信ライン等は、GNDラインによりシールドされていても良い。前記予備ラインやDDCラインやHPDラインやCECラインの全部或いは一部は、ネットワーク通信を行う通信ラインの一部として兼用されても良い。例えば、前記予備ラインとHPDラインを以って、前記通信ラインの1本の送信線と1本の受信線、または、1ペアの送受信ラインを構成しても良い。前記CECライン等は省略されても良い。前記DDCラインは、放送受信装置40100の主制御部101とモニタ装置40300の図示を省略した主制御部の間のI2C(I−squared−C)通信ラインとして使用されても良い。
放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の送信処理部40125bは、前記DDCラインを介してモニタ装置40300側のデジタルインタフェース部の受信処理部40325bと通信し、更に、EDID記憶部40325cからEDID(Extended Display Identification Data)を読み取ることが可能であるものとする。即ち、放送受信装置40100は、EDIDを取得することにより、モニタ装置40300のディスプレイ性能を把握することが可能である。
なお、前記ディスプレイ性能とは、本実施例においては、モニタ装置40300で対応可能な入力解像度やフレームレート、ビデオ規格、3D映像表示への対応可否、または、モニタ装置40300がHDRや色域の拡大に対応した処理が可能であるか否か、等の項目であるものとする。
また、本実施例においては、放送受信装置40100がモニタ装置40300のディスプレイ性能を把握するための手段として、前記EDIDを取得する処理を例に、以下の説明を行う。しかしながら、前記取得する情報はEDIDに限られるものではない。例えば、EDIDとは異なる情報であって、モニタ装置40300のディスプレイ性能や機能を識別する性能識別情報を取得するようにしても良い。また、前記性能識別情報を取得する以外の手段でモニタ装置40300のディスプレイ性能を把握するようにしても良い。
また、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の送信制御部40125aは、送信処理部40125bの制御を行うと共に、前記HPDラインを介して、モニタ装置40300が接続されたことやモニタ装置40300の電源がオンされたこと等を検出することが可能であるものとする。また、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の送信制御部40125aは、前記CECライン等を介して、モニタ装置40300の電源をオンする処理等を行うことが可能であるものとする。また、モニタ装置40300側のデジタルインタフェース部の受信制御部40325aは、受信処理部40325bの制御も行うものとする。
なお、図36に示した接続ケーブル40200の構成や放送受信装置40100のデジタルインタフェース部40125の内部構成やモニタ装置40300のデジタルインタフェース部の内部構成は、あくまでも一例であり、異なる構成であっても良い。
[マスタリング情報の各パラメータ]
本実施例においても、実施例3と同様に、図29Aに示したコンテンツ情報記述子が、前記番組コンテンツに関する制御情報として、前述のMMT−SIの各メッセージ/テーブル/記述子と併せて送信されるものとする。一方、本実施例の放送受信装置40100は、ユーザに対して最終的に映像信号や音声信号を提供するモニタ部やスピーカを備えておらず、接続ケーブル40200を介してモニタ装置40300へ符号化映像/音声データ等を送信し、モニタ装置40300からユーザへの映像信号や音声信号の提供を行わせるものである。即ち、実施例3で説明したような色域変換処理や輝度調整処理等の処理は、モニタ装置40300側で、モニタ装置40300の表示部のディスプレイ性能に応じて行われることになる。
本実施例の放送受信装置40100は、モニタ装置40300側における前記各処理を可能とするために、放送波から前記コンテンツ情報記述子を受信し、前記受信したコンテンツ情報記述子に記述された各パラメータを適宜選択して、所定の形式のマスタリング情報として、接続ケーブル40200を介して、モニタ装置40300に送信する機能を有するものとする。なお、例えば、接続ケーブル40200がHDMI(登録商標)ケーブルであり、デジタルインタフェース部40125から出力される映像データや音声データやその他の制御信号等がHDMI(登録商標)仕様に準拠した形式である場合、前記マスタリング情報は、前記その他の制御信号等の一部として出力されて良い。
図37に、マスタリング情報として、本実施例の放送受信装置40100がモニタ装置40300に送信する各パラメータの一覧を示す。
『source_primaries_R[x,y]』、『source_primaries_G[x,y]』、『source_primaries_B[x,y]』は、ソース機器の色再現性能等に関する情報を示すパラメータであり、前記ソース機器が対応可能な色域をR(赤)/G(緑)/B(青)の各原色のCIE色度図上における座標値で示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『source_primaries_rx』、『source_primaries_ry』、『source_primaries_gx』、『source_primaries_gy』、『source_primaries_bx』、『source_primaries_by』の各パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『source_primaries_R[x,y]』、『source_primaries_G[x,y]』、『source_primaries_B[x,y]』パラメータとして出力して良い。
『white_point_x,y』は、ソース機器の色再現性能等に関する情報を示すパラメータであり、前記ソース機器が対応可能な白色基準点のCIE色度図上における座標値を示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『source_white_point_x』および『source_white_point_y』パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『white_point_x,y』パラメータとして出力して良い。
『max_source_mastering_luminance』は、ソース機器が対応可能な最大輝度に関する情報を示すパラメータである。『1(cd/m2:カンデラ/平方メートル)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『source_luminance_max』パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『max_source_mastering_luminance』パラメータとして出力して良い。
『min_source_mastering_luminance』は、ソース機器が対応可能な最小輝度に関する情報を示すパラメータである。『0.0001(cd/m2)』〜『6.5535(cd/m2)』の範囲の値で示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『source_luminance_min』パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『min_source_mastering_luminance』パラメータとして出力して良い。
『Maximum_Content_Light_Level』は、コンテンツ内における最大輝度を示すパラメータである。『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『max_light_level_of_content』パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『Maximum_Content_Light_Level』パラメータとして出力して良い。
『Maximum_Frame−average_Light_Level』は、コンテンツ内におけるフレーム平均輝度の最大値を示すパラメータである。『1(cd/m2)』〜『65535(cd/m2)』の範囲の値で示すものとする。前記コンテンツ情報記述子に記載された『max_frame_ave_light_level』パラメータを選択して、前記マスタリング情報の『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータとして出力して良い。
『Light Level Status』は、2ビットのフラグ信号であり、『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータの状況を表すものとする。
このフラグの値が『00b』の場合、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータは、コンテンツ全体を通しての最大輝度およびフレーム平均輝度の最大値を示す。このフラグの値が『01b』の場合、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータは、シーン(チャプタ)毎の最大輝度およびフレーム平均輝度の最大値を示す。
このフラグの値が『10b』の場合、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータが省略されていることを示す。このフラグの値を『10b』とする代わりに、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータの値を『0』としても良い。
以上説明した各パラメータを、マスタリング情報として、本実施例の放送受信装置40100がモニタ装置40300に、接続ケーブル40200を介して送信することにより、モニタ装置40300は、放送受信装置40100から送信された符号化映像/音声データ等に対して、モニタ装置40300の表示部が有するディスプレイ性能に応じた色域変換処理や輝度調整処理等の処理を施すことが可能となる。なお、前述のマスタリング情報の各パラメータは、図37に示した各パラメータと異なる別のパラメータを更に備えていても良いし、前記各パラメータの全てを備えなくとも良い。また、前記各パラメータは、異なる名称を用いていても良い。
[放送受信装置のマスタリング情報生成処理]
本実施例においては、前記コンテンツ情報記述子の『content_type』パラメータが『2』または『3』である場合、映像コンテンツは撮影機器390cから出力されたコンテンツデータ(生中継番組等)であり、前記コンテンツ情報記述子は、『max_light_level_of_content』パラメータおよび『max_frame_ave_light_level』パラメータを有しない。即ち、生中継番組等においては、番組コンテンツの終端になるまでコンテンツ全体を通した最大輝度および平均輝度の最大値が確定しないからである。
この場合、本実施例の放送受信装置40100は、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータの値をそれぞれ『0』として、マスタリング情報の出力を行う。或いは、前記コンテンツ情報記述子の『max_light_level_of_frame』パラメータおよび『frame_average_light_level』パラメータを以って、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータの代替としても良い。
一方、ストレージ(蓄積)部110のコンテンツ記憶領域1200に前記映像コンテンツの記録を行った場合、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータを、放送受信装置40100が作成しても良い。即ち、前記映像コンテンツの録画処理を行うことにより、放送受信装置40100は、前記映像コンテンツを始端から終端までスキャンすることが可能であり、従って、コンテンツ全体を通した最大輝度および平均輝度の最大値を確定させることが可能であるからである。
また、録画処理によりストレージ(蓄積)部110のコンテンツ記憶領域1200に記録した映像コンテンツを再生処理によりデジタルインタフェース部40125から接続ケーブル40200を介してモニタ装置40300に出力する場合には、放送受信装置40100が前記映像コンテンツを始端から終端までスキャンして作成した、コンテンツ全体を通した最大輝度および平均輝度の最大値を、前記『Maximum_Content_Light_Level』パラメータおよび前記『Maximum_Frame−average_Light_Level』パラメータとして出力するように制御を行っても良い。即ち、一旦録画処理を行った映像コンテンツの場合、前記コンテンツ情報記述子の『content_type』パラメータの値によらず、マスタリング情報の全てのパラメータを、モニタ装置40300に対して出力することが可能となる。
[放送受信装置のマスタリング情報出力制御]
前述のマスタリング情報の各パラメータは、接続ケーブル40200を介して接続されたモニタ装置40300に対して、常に出力されるものであっても良い。或いは、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125の送信処理部40125bがモニタ装置40300のEDID記憶部40325cから取得したEDIDを参照し、モニタ装置40300がHDRや色域の拡大に対応した処理が可能であることを把握した場合にのみ、前記マスタリング情報の各パラメータを、接続ケーブル40200を介してモニタ装置40300に出力するようにしても良い。或いは、前記コンテンツ情報記述子が、前記放送番組の映像コンテンツがHDRに対応している番組であることを示している場合にのみ、前記マスタリング情報の各パラメータを、接続ケーブル40200を介してモニタ装置40300に出力するようにしても良い。
なお、前述の前記コンテンツ情報記述子が、前記放送番組の映像コンテンツがHDRに対応している番組であることを示している場合とは、前記コンテンツ情報記述子の『content_type』パラメータが『1』または『3』の場合、前記コンテンツ情報記述子の『HDR_flag』パラメータが前記放送番組の映像コンテンツのHDR対応を示している場合、前記コンテンツ情報記述子の『source_luminance_max』パラメータや『max_light_level_of_content』パラメータや『max_light_level_of_frame』パラメータ等の全て或いは何れかが所定値(例えば、『100(cd/m2)』等)を超える場合、等である。
また、デジタルインタフェース部40125のインタフェース種別に応じて、前記マスタリング情報の各パラメータの出力を制御するようにしても良い。例えば、デジタルインタフェース部40125のインタフェース種別がHDMIインタフェースである場合には前記マスタリング情報の各パラメータを出力するように制御を行い、DVIインタフェースである場合には前記マスタリング情報の各パラメータを出力しないように制御を行う、等である。
或いは、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125のインタフェース種別とモニタ装置40300側のデジタルインタフェース部のインタフェース種別とに応じて、前記マスタリング情報の各パラメータの出力を制御するようにしても良い。例えば、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125のインタフェース種別とモニタ装置40300側のデジタルインタフェース部のインタフェース種別がともにHDMIインタフェースである場合には前記マスタリング情報の各パラメータを出力するように制御を行い、放送受信装置40100側のデジタルインタフェース部40125のインタフェース種別がHDMIインタフェースであってもモニタ装置40300側のデジタルインタフェース部のインタフェース種別がHDMIインタフェースではない場合(例えば、DVIインタフェースやDisplay Portインタフェース等である場合、即ち、接続ケーブル40200がインタフェース変換ケーブルである場合)には前記マスタリング情報の各パラメータを出力しないように制御を行う、等である。
また、デジタルインタフェース部40125が第一のデジタルインタフェース端子と第二のデジタルインタフェース端子で構成されている場合、前記第一のデジタルインタフェース端子と前記第二のデジタルインタフェース端子の何れの端子からデータ出力を行うかにより、出力するデータの形式を異ならせるように制御を行っても良い。なお、この場合、前記それぞれのデジタルインタフェース端子が、図36に示した構成若しくはその他の構成を有するものとする。
例えば、前記第一のデジタルインタフェース端子がHDMIインタフェースであり、前記第二のデジタルインタフェースがHDMIインタフェースではない場合、前記第一のデジタルインタフェース端子からデータ出力を行う際には、映像信号と音声信号と前記マスタリング情報とを含む出力データを生成して前記第一のデジタルインタフェース端子からデータ出力を行い、前記第二のデジタルインタフェース端子からデータ出力を行う際には、映像信号と音声信号とを含み前記マスタリング情報を含まない出力データを生成して前記第二のデジタルインタフェース端子からデータ出力を行う様に、出力データの生成処理およびデータ出力処理を制御すれば良い。
以上、本実施例の放送受信装置40100によれば、モニタ装置40300に対して、符号化映像/音声データと共にマスタリング情報を送信することにより、モニタ装置40300側における色域変換処理や輝度調整処理等を好適に実行させることができるようになる。即ち、より付加価値の高い機能を実行可能な放送受信装置を提供することが可能となる。
(実施例5)
以下では、本発明の実施例5に関して説明する。なお、本実施例における構成および効果等は特に断りのない限り実施例4と同様であるものとする。このため、以下では、本実施例と実施例4との相違点を主に説明し、共通する点については重複を避けるため極力説明を省略する。
[システム構成]
図38は、本実施例の放送受信装置を含む放送通信システムの一例を示すシステム構成図である。図38の放送通信システムは、図34の放送通信システムと同じ構成を有しているが、放送受信装置40100がコンテンツを出力する出力先を、モニタ装置40300に替えて外部映像処理装置50300としている。これは、コンテンツの出力先に、表示装置に加えてレコーダなどの映像再生装置も含める意味である。更に、本実施例の放送受信装置を含む放送通信システムでは、放送局の電波塔300tと放送衛星(または通信衛星)300s、放送局サーバ300を介して放送受信装置40100が受信するコンテンツとともに伝送される制御情報を「受信制御情報」と称している。これは、実施例1で説明した各種制御情報および本実施例において追加で説明する制御情報が含まれる。更に本実施例の放送受信装置を含む放送通信システムでは、放送受信装置40100がコンテンツをルータ装置200rを介するネットワーク経由で外部映像処理装置50300に出力する場合に、コンテンツとともに伝送する制御情報を「出力制御情報」と称している。
放送受信装置のハードウェア構成、放送受信装置のソフトウェア構成、放送受信装置とモニタ装置のインタフェース構成などについては、実施例4と同様であるため、再度の説明は省略する。
図35Aにおいて、LAN通信部121のハードウェアを用いてデジタルインタフェース部40125を構成することにより、ネットワーク上の出力先にデジタルインタフェース部40125出力を行うことができる。ここで、デジタルインタフェース部40125出力はMMTデータ列に限らず、トランスコード処理部40181でMMTデータ列からトランスコードしたMPEG2−TSデータ列(或いは、MPEG2−PSデータ列)等でも良い。これは、実施例1で説明した「IPインタフェース」として構成する例である。
ここで、図38の放送通信システムにおいて、放送受信装置40100がコンテンツをルータ装置200rを介するネットワーク経由で外部映像処理装置50300に出力する場合とは、放送受信装置40100が当該IPインタフェースを介してコンテンツを外部映像処理装置50300に出力する場合を意味している。
本発明の実施例3および実施例4で説明したように、本実施例の放送通信システムでは、解像度が1920×1080画素以下のSDR映像コンテンツだけでなく、解像度が1920×1080画素を超えるコンテンツや、HDR映像コンテンツなど、高品位コンテンツを伝送することが可能となる。ここで、放送通信システムで放送したこれらの高品位映像コンテンツを受信機がインタフェースを介して外部機器に再出力する際のコンテンツ保護は、解像度が1920×1080画素以下のSDR映像のコンテンツよりも高いコンテンツ保護が要求されている。
これを実現するために、インタフェース伝送技術としてDTCP−IPよりも高度なコンテンツ保護システムであるDTCP2(参考文献1に記載されている)によるコンテンツ保護が開発されている。
〔参考文献1: Digital Transmission Licensing Administrator DTCP2 Presentation to CPTWG January 27, 2016〕
具体的には、DTCP2には、図39に示す4つのフラグ(“L2-Only” Flag、“EI” Flag、“HDR” Flag、“SDO” Flag)が新たに用意される。例えば、図39の“L2-Only” Flagは、“0”であれば「DTCP-IP(L1レベルコンテンツ保護)でもDTCP2(L2レベルコンテンツ保護)でも何れのコンテンツ保護も適用可能」を示すものであり、“1”であれば「DTCP-IP(L1レベルコンテンツ保護)よりも高いレベルのコンテンツ保護(例えば、DTCP2などの L2レベルコンテンツ保護)が必要である」ことを示す。なお、DTCP-IP(L1レベルコンテンツ保護)については、以下の説明において「DTCP2」と区別するために「DTCP1」と称する。また、“EI” Flagは、“0”であれば、「コンテンツが“Non-Enhanced Image”である」ことを示すものであり、“1”であれば、「コンテンツが“Enhanced Image”である」ことを示す。ここで、“Enhanced Image”とは、画素数が1920×1080を超えている、または、 HDレベルの色空間(BT.709などのSDR)を超える色空間(例えばBT.2020やSMPTE2084などのHDR)の映像を有するコンテンツを意味する。また、“Non-Enhanced Image”とは、HD映像画質以下の映像(例えば、画素数が1920×1080以下、かつ、 HDレベルの色空間(BT.709などのSDR)を有する映像など。)の映像を有するコンテンツ意味する。また、“HDR” Flagは、“0”であれば「HDRからSDRに変換しても良い映像のコンテンツである」ことを示すものであり、“1”であれば「HDRからSDRへの変換が禁止されている映像のコンテンツである」ことを示す。また、“SDO” Flagは、“0”であれば、「“Enhanced Image”の場合は L2レベルコンテンツ保護でなければ再出力できないが、“Enhanced Image”を“Non-Enhanced Image”に変換した場合は、L1レベルコンテンツ保護で再出力が可能である」ことを示すものであり、“1”であれば、「コンテンツが、“Enhanced Image”または“Non-Enhanced Image”の何れの場合でも L2レベルコンテンツ保護でも L1レベルコンテンツ保護でも再出力可能であること」を示す。
以上説明したDTCP2によるコンテンツ保護を、本実施例のIPインタフェース出力に適用しようとする場合、図38の出力制御情報50200として、どのコンテンツにどのフラグを付けるべきかが問題となる。例えば、図39の4つのフラグと実質的に対応するフラグを図38の受信制御情報50100側にも用意するという考え方もあり得る。このようにすれば、実質的に、放送局のサーバをDTCP2のSink装置にすることが可能である。しかしながら、上記4つのフラグは1bitずつあり、これらのフラグを放送局側や制作側の意図で自由に設定可能とした場合、4つのフラグの全ての組み合わせを考慮すれば、2の4乗通り、即ち16通りのコンテンツの保護状態があり、非常に複雑となる。これは、多数の視聴者が同時受信し、更に、選局されているサービスにおいて番組の開始、終了が繰り返される「放送」技術においては、好適ではないと言わざるを得ない。「放送」技術が対象とする視聴者の数は膨大であり、視聴者が有するモニタ等もさまざまである。例えば、一部の視聴者が有するモニタがHDR非対応であった場合に、フラグによるコンテンツ保護制御により、当該コンテンツをこれらの視聴者に全く視聴できなくするということは、「放送」技術としてはできるだけ避けたい状況である。また、受信機器の普及のためにも「放送」技術で伝送されるコンテンツは、種類の体系がシンプルで多数の視聴者に理解しやすい必要がある。
また、受信制御情報50100に新たなフラグを用意するとコンテンツ制作側の設備も複雑化することとなる。
以上を考慮して本実施例の放送通信システムでは、図38の受信制御情報50100にDTCP2の上記4つのフラグに実質的に対応するフラグをそのまま導入しないこととする。そのうえで、放送受信装置40100からのIPインタフェース出力の際に、出力制御情報50200としてDTCP2のフラグを運用してより好適なコンテンツ保護を行うこととする。具体的には、本実施例の放送通信システムでは、受信制御情報50100として、コンテンツの映像の解像度の情報、コンテンツのデジタルコピーに関する制御情報、コンテンツの蓄積や出力に関する制御情報、および実施例3、4で説明したEOTF識別情報(伝達特性識別情報)を用いることとし、放送受信装置40100が、IPインタフェース出力の際に、これらの情報に応じて、DTCP2のフラグの付加を含めてそれぞれのコンテンツの出力保護を決定するものとする。
ここで、受信制御情報50100の1つとして用いるコンテンツの映像の解像度の情報について説明する。コンテンツの映像の解像度の情報は、本実施例の放送通信システムにおいて複数種類の情報が伝送されている。放送受信装置40100はこれら複数種類の情報の何れかを用いてコンテンツの映像の解像度(画素数)を判別すれば良い。例えば、本実施の放送システムのコンテンツの映像符号化方式であるHEVCの符号化ストリーム内に格納されている符号化パラメータを取得して判断しても良い。または、MPTに配置されるMH−HEVCビデオ記述子に記載の符号化パラメータを取得して判断しても良い。または、映像コンポーネント記述子に記載の映像解像度情報を取得して判断しても良い。
次に、受信制御情報50100の1つとして用いるコンテンツのデジタルコピーに関する制御情報とコンテンツの蓄積や出力に関する制御情報について説明する。図6に、本実施例の放送通信システムで伝送するコンテンツのデジタルコピーに関する制御情報とコンテンツの蓄積や出力に関する制御情報に関する記述子を示す。ここで、コンテンツコピー制御記述子には、コンテンツのデジタルコピーに関する制御情報または最大伝送レートを示す情報などが格納されている。また、コンテンツ利用制御記述子には、コンテンツの蓄積や出力に関する制御情報を記述した情報が格納されている。コンテンツコピー制御記述子とコンテンツ利用制御記述子とは例えばMPTに配置されて伝送される。
図41Aに、本実施例の放送システムにおけるコンテンツコピー制御記述子のデータ構造の一例を示す。図中の『digital_recording_control_data』パラメータがデジタルコピー制御情報であり、コンテンツのコピー世代を制御する情報を示すものとする。また、図41Bに前記デジタルコピー制御情報のパラメータ値とその意味の一例を示す。例えば、前記パラメータが『00』の場合には『制約条件なしにコピー可能(「無制限にコピー可」と同義)』を示し、前記パラメータが『01』の場合には事業者による定義が可能であり、前記パラメータが『10』の場合には『1世代のみコピー可』を示し、前記パラメータが『11』の場合には『コピー禁止』を示すものとする。前記パラメータが『00』の場合で『制約条件なしにコピー可能』を示す場合のみ、デジタルコピー制御情報による保護が指定されていない状態といえる。前記パラメータが『01』、『10』、『11』の場合は、デジタルコピー制御情報による何らかの保護が指定されている状態といえる。
また、図42に、本実施例の放送システムにおけるコンテンツ利用制御記述子のデータ構造の一例を示す。図中の『copy_restriction_mode』パラメータがコピー制限モードであり、個数制限コピーが可能(実施例1の『所定複数回数コピー可』に対応する)か否かを示すものとする。図42に示したコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータの値はIPインタフェース出力時の保護(暗号化)の制御に用いられる。前記『encryption_mode』パラメータの値が”0”で保護を要する(暗号化要)ことを示している場合にはコンテンツの出力時に暗号化処理を行うこととし、値が”1”で保護を要しない(暗号化不要)ことを示している場合にはコンテンツの出力時に保護(暗号化処理)を行わずに出力を行うこととして良い。
以上説明した、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータと、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータと、コンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータの組み合わせが、実施例1で説明した「コピー制御情報」の具体的な構成例である。
本実施例の放送受信装置40100は、上述のコンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータやコンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータなどを取得して、IPインタフェース出力のコンテンツの出力保護を決定の判断に用いれば良い。
次に、受信制御情報50100の1つとして用いるEOTF識別情報は、実施例3、4で既に詳細を説明したため、再度の説明を省略する。更に、本実施例の放送受信装置40100は、受信制御情報50100としてのEOTF識別情報だけでなく、放送受信装置40100において、コンテンツの映像の解像度変換処理の有無または結果、または実施例3、4で説明した伝達特性変換処理の有無または結果、またはコンテンツの蓄積処理の有無または蓄積後の状態を用いて、IPインタフェース出力のコンテンツの出力保護の決定を行っても良い。
[放送受信装置におけるIPインタフェース出力のコンテンツの出力保護の決定処理]
図43、図44、図45を用いて、放送受信装置におけるIPインタフェース出力のコンテンツの出力保護の決定処理の一例を示す。
まず、図43は放送受信装置40100が、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツの映像について解像度変換処理や伝達特性変換処理を行わずにIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理を示したものである。
図43において、本実施例の放送受信装置40100の主制御部101は、受信制御情報50100に含まれる情報に基づいて、IPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定を行う。具体的には、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータと、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータと、受信コンテンツの映像の解像度と、伝達特性(EOTF)識別情報の組み合わせに基づいて、IPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定を行う。以下、それぞれの組合せにおける決定例について説明する。
[図43組合せ1]
図43の組合せ1の例では、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示しており、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが、IPインタフェース出力時の保護状態が「保護しない」であることを示している。即ちこの場合、何れのパラメータによっても、コンテンツのコピー制限や出力保護が指定されていない状況と言える。
この場合、映像の解像度が水平1920×垂直1080画素を超えるコンテンツ(水平、垂直の何れかが当該画素数を超えるコンテンツ。以下「2K超コンテンツ」と称する)でも、水平1920×垂直1080画素以下のコンテンツ(水平、垂直の何れもが当該画素数以下のコンテンツ。以下「2K以下コンテンツ」と称する)でも、伝達特性識別情報がHDRを示す場合でも、SDRを示す場合でも、IPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護は不要である。出力時のコピー制御も不要(実質的なCopy Free)であり、出力時の暗号化も不要であり、当然DTCP2の出力制御情報を付加する必要はない。ただし、当該コンテンツをDTCP1(上述の「DTCP-IP」)またはDTCP2の保護を行って出力しても構わない。その場合は、出力時のコピー制御状態を「Copy Free」とし、暗号化をなしとすれば良い。更に、DTCP2の保護を行って出力する場合は、以下のように出力制御情報を決定すれば良い。“L2-Only” Flagを0とする。“EI” Flagは2K以下コンテンツで伝達特性がSDRの場合は0、それ以外のコンテンツの場合は1とする。“HDR” Flagは0とする。“SDO” Flagは1とする。即ち、IPインタフェース出力のDTCPの保護レベルはL1レベルでもL2レベルでも良く、コピー制御はCopy Freeであり、伝達特性変換は禁止されず、解像度や伝達特性の状態に関わらず、L1レベルでもL2レベルの何れの保護状態でも再出力が可能な状態で出力されることとなる。これは、本実施例おけるIPインタフェース出力の出力制御状態のうち保護状態が最も低い状態で出力されることを意味する。
[図43組合せ2から5]
図43の組合せ2から5の例では、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示しており、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが、IPインタフェース出力時の保護状態が「保護する」であることを示している。
この場合、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータにより、IPインタフェース出力時に保護を行うことが指定されていることから、何れの組み合わせにおいても、DTCP2またはDTCP1の何れかによる出力保護を行う。その場合のコピー制御状態は何れも、コピー制限はないが暗号化する必要がある状態を示す「EPN」とし、暗号化保護処理を行う。ここで、DTCP2またはDTCP1の何れのレベルの出力保護処理を行うかについては、受信コンテンツの映像の解像度と、伝達特性(EOTF)識別情報の組み合わせに応じて決定する。
例えば、組合せ5では、受信コンテンツの映像の解像度が2K以下コンテンツであり、伝達特性(EOTF)識別情報がSDRである。これはいわゆるHD画質コンテンツであるので、従来レベルの出力保護で十分であり、DTCP1を用いた出力保護を行う。この場合は、当然DTCP2の出力制御情報は付加しない。
また、組合せ2、3、4では、受信コンテンツの映像の解像度が2K超コンテンツであるか、伝達特性(EOTF)識別情報がHDRであるかの何れかの条件を満たす。この場合はHD画質を超える画質のコンテンツであるため、DTCP1よりも高度なレベルの出力保護であるDTCP2を用いてコンテンツ保護を行う。この場合に出力コンテンツに付加するDTCP2の出力制御情報は以下のように決定する。
ここで、“L2-Only” Flagについては、組合せ2、3、4の何れにおいても、“L2-Only” Flagを0とする。ここで、“L2-Only” Flagを1としてしまうと、出力先の機器でたとえ画素数変換や伝達特性変換処理を行ってHD画質に画質を下げた場合でもDTCP2などのL2レベルのコンテンツ保護行わなければ再出力ができないこととなる。視聴者が保有する機器によっては視聴が不可能となる可能性(視聴者が保有する機器がDTCP2非対応の場合など)があり、この状況は多数の視聴者が同時受信する「放送」コンテンツの保護としては望ましくない。以上が“L2-Only” Flagを0とする理由である。本実施例の以降の説明の何れのDTCP2の出力制御情報の決定においても、同様の理由で原則として“L2-Only” Flagを0とする。ただし、変形例として、放送コンテンツまたは放送サービスが「無料放送」と「有料放送」とに分けられており、放送受信装置40100においてこれが識別可能な場合、「無料放送」については“L2-Only” Flagを0とし、「有料放送」については“L2-Only” Flagを1としても良い。「有料放送」の視聴者は限定されるものであり、「有料放送」のコンテンツについては特に高い保護レベルが求められるためである。
また、“EI” Flagについては、組合せ2、3、4の何れにおいても、“EI” Flagは1とする。受信コンテンツの映像の解像度が2K超コンテンツであるか、伝達特性(EOTF)識別情報がHDRであるかの何れかの条件を満たすためである。
また、“HDR” Flagについては、組合せ2、3では、“HDR” Flagは0とする。これらの組合せは伝達特性(EOTF)識別情報がHDRであり、そのまま出力すると、IPインタフェース出力時のコンテンツの伝達特性もHDRである。ここで、“HDR” Flagを1としてしまうと、出力先の機器で伝達特性変換処理を行ってSDRコンテンツに変換することができなくなってしまう。この場合視聴者が保有する機器によっては視聴が不可能となる可能性(視聴者が保有する機器がHDRコンテンツ非対応の場合など)がある。この状況は多数の視聴者が同時受信する「放送」コンテンツの保護としては望ましくない。以上が“HDR” Flagを0とする理由である。本実施例の以降の説明の何れのDTCP2の出力制御情報の決定においても、同様の理由で原則として“HDR” Flagを0とする。ただし、変形例として、放送コンテンツまたは放送サービスが「無料放送」と「有料放送」とに分けられており、放送受信装置40100においてこれが識別可能な場合、「無料放送」については“HDR” Flagを0とし、「有料放送」については“HDR” Flagを1としても良い。「有料放送」の視聴者は限定されるものであり、「有料放送」のコンテンツは、高画質なHDR画質のまま視聴することに価値があると考えるサービス事業者が存在するためである。
また、“HDR” Flagについては、組合せ4では、伝達特性(EOTF)識別情報がSDRであり、そのまま出力すると、IPインタフェース出力時のコンテンツの伝達特性もSDRである。そのため、HDRコンテンツのSDRへの伝達特性変換処理の可否を示す“HDR” Flagは付加する必要はない。
また、“SDO” Flagについては、組合せ2、3、4の何れにおいても、“SDO” Flagは0とする。コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータにより、IPインタフェース出力時の保護が指定されている以上、解像度が2K超コンテンツや伝達特性がHDRのコンテンツには高い保護レベルで保護されることが望ましい。一方、多数の視聴者が同時受信することを前提とする「放送」技術において、L2レベルのコンテンツ保護に対応しない機器を使用する一部の視聴者がコンテンツを全く視聴できなくなる状況はできるだけ避けたい。ここで、“SDO” Flagを0としておけば、解像度が2K超コンテンツや伝達特性がHDRのコンテンツではL2レベルの高いコンテンツ保護が可能である一方、解像度変換処理や伝達特性変換処理により、コンテンツをHD画質まで下げた場合には、対応機器の多い従来のDTCP-IPレベル(L1レベル)のコンテンツ保護が許容されるので、「放送」技術により受信したコンテンツの出力の保護処理に求められるこの二つの要件と整合性が高い。以上が“SDO” Flagを0とする理由である。本実施例の以降の説明の何れのDTCP2の出力制御情報の決定においても、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータやコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータによってコピー制限やコンテンツの出力保護が指定されている場合、またはコンテンツの蓄積処理の状態がコピー制限やコンテンツ出力保護を示している場合は、同様の理由で “SDO” Flagを0とする。
[図43組合せ6から9]
図43の組合せ6から9の例では、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「1世代のみコピー可」を示している。この場合、コピー制限があることが指定されていることから、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが何れの値を示す場合でも、IPインタフェース出力時にもコンテンツ保護を行うことが望ましい。よって、DTCP2またはDTCP1の何れかによる出力保護を行う。その場合のコピー制御状態は何れも、1世代のみコピー可を示す「Copy One Generation」とし、暗号化保護処理を行う。
ここで、(1)DTCP2またはDTCP1の何れのレベルの出力保護処理を行うかの点、と(2)DTCP2で出力保護処理を行う場合の出力制御情報の決定、については、受信コンテンツの映像の解像度と、伝達特性(EOTF)識別情報の組み合わせに応じて決定する。しかし、図43の組合せ6、7、8、9におけるこれらの決定方法は、それぞれ図43の組合せ2、3、4、5と同様であるため、再度の説明は省略する。
[図43組合せ10から13]
図43の組合せ10から13の例では、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」を示している。この場合、コピー制限があることが指定されていることから、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが何れの値を示す場合でも、IPインタフェース出力時にもコンテンツ保護を行うことが望ましい。よって、DTCP2またはDTCP1の何れかによる出力保護を行う。その場合のコピー制御状態は何れも、コピー禁止を示す「Copy Never」とし、暗号化保護処理を行う。
ここで、(1)DTCP2またはDTCP1の何れのレベルの出力保護処理を行うかの点、と(2)DTCP2で出力保護処理を行う場合の出力制御情報の決定、については、受信コンテンツの映像の解像度と、伝達特性(EOTF)識別情報の組み合わせに応じて決定する。しかし、図43の組合せ10、11、12、13におけるこれらの決定方法は、それぞれ図43の組合せ2、3、4、5と同様であるため、再度の説明は省略する。
[図43の処理の例外処理例]
以上の通り、図43を用いてIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理の一例を説明した。
しかしながら、図43に記載していない幾つかの例外処理を行う必要が生じる可能性があり、これらの例外処理を以下に説明する。
例えば、コンテンツコピー制御記述子自体や、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『digital_recording_control_data』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示していると場合と同じ状態とみなして図43の決定処理を行えば良い。具体的には、図43の組合せ1から5の処理のうちから、他の受信制御情報50100を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、コンテンツ利用制御記述子自体や、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『encryption_mode』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが「保護しない」を示していると場合と同じ状態とみなして図43の決定処理を行えば良い。具体的には、図43の組合せ1、および6から13の処理のうちから、他の受信制御情報50100を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、伝達特性(EOTF)識別情報が、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、伝達特性(EOTF)識別情報を取得することができない。このような場合は、受信する伝達特性(EOTF)識別情報に基づく判断に換えて、放送受信装置40100は、該コンテンツをIPインタフェース出力で出力する際の映像フォーマットがHDRであるかSDRであるかに基づく判断を行えば良い。具体的には、図43の伝達特性(EOTF)識別情報の欄の記載を、該コンテンツをIPインタフェース出力で出力する際の映像フォーマットがHDRであるかSDRであるかという意味と読み替えてIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理を行えば良い。
[図43の処理の変形例]
図43の例では、HDRコンテンツをDTCP2による保護を施してIPインタフェース出力する場合(組合せ2、3、6、7、10、11)には“HDR”Flagを0として出力している。しかしながら、これらの組合せにおいては、何れも“SDO”Flagが0を示す状態であり、HDRからSDRへのコンテンツ変換が可能であることが前提となる。すると、図43の組合せ2、3、6、7、10、11において、DTCP2の出力制御情報として“HDR”Flagを出力しないという制御しにしても良い。この場合、何れの組合せにおいても、“HDR”Flagを出力しないこととなるので、放送受信装置40100のIPインタフェース出力制御がシンプルになる。
また、図43の例では、DTCP2の保護によりコンテンツを出力する場合には、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“0”として出力する制御が示されている。これは、上述の通り、出力先の機器がDTCP2対応機器だとしても更に当該DTCP2対応機器から先の他の機器に出力する場合を考慮して、当該DTCP2対応機器で解像度変換処理や伝達特性変換処理を行って、2K以下コンテンツで伝達特性がSDRのコンテンツに変換すれば、DTCP1などのL1レベルのコンテンツ保護方式での出力を許容するものである。しかしながら、図43の変形例として、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」ので、DTCP2の保護によりCopy Neverで出力される組合せ(組合せ10、11、12)においては、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“1”として出力する制御に代えても良い。この例は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」のコンテンツについては、よりコンテンツプロバイダのコンテンツ保護の必要性が高いものとみなして、よりコンテンツ保護を強化するものである。具体的には、”L2-Only”Flagを“1”として出力した場合、出力先のDTCP2対応機器から先の他の機器に出力しようとする場合、解像度変換処理や伝達特性変換処理を行ったとしても、その先の機器がDTCP2などのL2レベルのコンテンツ保護方式に非対応の場合は、出力することができなくなる。即ち、当該コンテンツは放送受信装置40100のIPインタフェースから出力されたあとは常にL2レベルのコンテンツ保護が施されることとなる。
以上説明した図43のIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理によれば、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツの映像について解像度変換処理や伝達特性変換処理を行わずにIPインタフェース出力を行う場合に、コンテンツの映像の画質に対する出力保護の観点と放送コンテンツの視聴者の利便性の観点の両者の観点においてバランスの良いコンテンツ出力保護を実現できる。
次に、図44は放送受信装置40100が、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツの映像について解像度変換処理や伝達特性変換処理を行ってIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理を示したものである。
図44の例においては、本実施例の放送受信装置40100が、受信したコンテンツの映像について解像度変換処理および/または伝達特性変換処理を行う。解像度変換処理は、図35Aの放送受信装置40100の映像デコーダ141と映像色域変換部142の間に解像度処理部を設けて、ここで実行すれば良い。伝達特性変換処理は実施例3および4で既に説明した通り、映像色域変換部142で実行すれば良い。
ここで、図44の例においては、IPインタフェース出力を行う前に、コンテンツの映像の解像度変換処理および/または伝達特性変換処理がなされてしまうため、受信制御情報50100に含まれる情報だけでは、適切なコンテンツの出力保護の決定ができない。
そこで、受信制御情報50100に含まれる情報に加えて、解像度変換処理後の映像の解像度および/または伝達特性変換処理後の伝達特性も考慮してIPインタフェース出力を行う際のコンテンツの出力保護の決定を行う。具体的には、図43の「受信制御情報」の「映像解像度」に換えて「出力時状態」の「出力時映像解像度」との項目を設け、「受信制御情報」の「伝達特性識別情報(ETOF)」に換えて「出力時状態」の「出力時伝達特性」の項目を設けている。ここで、受信制御情報50100の主制御部101は、以下の判断により、「出力時状態」の「出力時映像解像度」と「出力時状態」の「出力時伝達特性」を決定する。
まず、本実施例の放送受信装置40100が、受信したコンテンツの映像について解像度変換処理を行って伝達特性変換処理を行わない場合は、解像度変換処理後の映像の解像度を「出力時状態」の「出力時映像解像度」と判断し、「受信制御情報」の「伝達特性識別情報(ETOF)」に示される伝達特性を「出力時状態」の「出力時伝達特性」と判断すれば良い。
また、本実施例の放送受信装置40100が、受信したコンテンツの映像について解像度変換処理を行なわずに伝達特性変換処理を行う場合は、「受信制御情報」の「映像解像度」を「出力時状態」の「出力時映像解像度」と判断し、伝達特性変換処理後の伝達特性を「出力時状態」の「出力時伝達特性」と判断すれば良い。
また、本実施例の放送受信装置40100が、受信したコンテンツの映像について解像度変換処理と伝達特性変換処理の両者を行う場合は、解像度変換処理後の映像の解像度を「出力時状態」の「出力時映像解像度」と判断し、伝達特性変換処理後の伝達特性を「出力時状態」の「出力時伝達特性」と判断すれば良い。
図44の例において本実施例の放送受信装置40100は、以上説明した判断により決定した「出力時状態」の「出力時映像解像度」と「出力時状態」の「出力時伝達特性」を用いて、図44に示されるIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理を行う。しかし、既に説明した図43において、「受信制御情報」の「映像解像度」を「出力時状態」の「出力時映像解像度」に読み替え、「受信制御情報」の「伝達特性識別情報(ETOF)」を「出力時状態」の「出力時伝達特性」に読み替えた場合、図44の例と同様の制御となる。よって、図44の「受信制御情報」のコンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータと、「出力時状態」の「出力時映像解像度」と「出力時伝達特性」の組合せ1から13のそれぞれにおけるIPインタフェース出力制御は、図43の「受信制御情報」のコンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータと、「映像解像度」と「伝達特性識別情報(ETOF)」の組合せ1から13のそれぞれにおけるIPインタフェース出力制御と同様であるため、再度の説明は省略する。
[図44の処理の例外処理例]
以上の通り、図44を用いてIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理の一例を説明した。
しかしながら、図44に記載していない幾つかの例外処理を行う必要が生じる可能性があり、これらの例外処理を以下に説明する。
例えば、コンテンツコピー制御記述子自体や、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『digital_recording_control_data』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示していると場合と同じ状態とみなして図44の決定処理を行えば良い。具体的には、図44の組合せ1から5の処理のうちから、他の受信制御情報50100および受信機内変換処理を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、コンテンツ利用制御記述子自体や、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『encryption_mode』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが「保護しない」を示していると場合と同じ状態とみなして図44の決定処理を行えば良い。具体的には、図44の組合せ1、および6から13の処理のうちから、他の受信制御情報50100および受信機内変換処理を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、伝達特性(EOTF)識別情報が、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、伝達特性(EOTF)識別情報を取得することができない。このような場合でも、図44の例では、受信機内変換処理後のコンテンツがHDRであるかSDRであるかに基づく判断を行えば良いので、特にこの点において例外処理は必要ない。
[図44の処理の変形例]
図44の例では、HDRコンテンツをDTCP2による保護を施してIPインタフェース出力する場合(組合せ2、3、6、7、10、11)には“HDR”Flagを0として出力している。しかしながら、これらの組合せにおいては、何れも“SDO”Flagが0を示す状態であり、HDRからSDRへのコンテンツ変換が可能であることが前提となる。すると、図44の組合せ2、3、6、7、10、11において、DTCP2の出力制御情報として“HDR”Flagを出力しないという制御しにしても良い。この場合、何れの組合せにおいても、“HDR”Flagを出力しないこととなるので、放送受信装置40100のIPインタフェース出力制御がシンプルになる。
また、図44の例では、DTCP2の保護によりコンテンツを出力する場合には、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“0”として出力する制御が示されている。これは、上述の通り、出力先の機器がDTCP2対応機器だとしても更に当該DTCP2対応機器から先の他の機器に出力する場合を考慮して、当該DTCP2対応機器で解像度変換処理や伝達特性変換処理を行って、2K以下コンテンツで伝達特性がSDRのコンテンツに変換すれば、DTCP1などのL1レベルのコンテンツ保護方式での出力を許容するものである。しかしながら、図44の変形例として、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」ので、DTCP2の保護によりCopy Neverで出力される組合せ(組合せ10、11、12)においては、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“1”として出力する制御に代えても良い。この例は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」のコンテンツについては、よりコンテンツプロバイダのコンテンツ保護の必要性が高いものとみなして、よりコンテンツ保護を強化するものである。具体的には、”L2-Only”Flagを“1”として出力した場合、出力先のDTCP2対応機器から先の他の機器に出力しようとする場合、解像度変換処理や伝達特性変換処理を行ったとしても、その先の機器がDTCP2などのL2レベルのコンテンツ保護方式に非対応の場合は、出力することができなくなる。即ち、当該コンテンツは放送受信装置40100のIPインタフェースから出力されたあとは常にL2レベルのコンテンツ保護が施されることとなる。
以上説明した図44のIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理によれば、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツの映像について解像度変換処理および/または伝達特性変換処理を行ってIPインタフェース出力を行う場合に、コンテンツの映像の画質に対する出力保護の観点と放送コンテンツの視聴者の利便性の観点の両者の観点においてバランスの良いコンテンツ出力保護を実現できる。
次に、図45は放送受信装置40100が、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツについて蓄積処理を行ってその後にIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理を示したものである。蓄積処理の概要については、実施例1で既に説明したため、再度の説明は省略する。
まず、放送受信装置40100は、受信制御情報50100に含まれるコンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータとを用いて、蓄積対象コンテンツの蓄積制御状態を決定する。
ここで、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示し、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが「保護しない」を示す場合(図45の組合せ1の例)には、コンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータの値に関わらず、「コピーの制限なしに蓄積、かつencryption_mode保護なし」という蓄積制御状態とする。
また、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示し、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが「保護する」を示す場合(図45の組合せ2から5の例)には、コンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータの値に関わらず、「コピーの制限なしに蓄積、かつencryption_mode保護あり」という蓄積制御状態とする。
また、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「1世代のみコピー可」を示し、コンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータが「1世代のみコピー可」を示す場合(図45の組合せ6から9の例)には、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが何れの値を示す場合にも、「再コピー禁止」という蓄積制御状態とする。
また、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「1世代のみコピー可」を示し、コンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータが「個数制限コピー可」が運用できることを示す場合(図45の組合せ10から13の例)には、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが何れの値を示す場合にも、「個数制限コピー可」の蓄積制御状態を可能とする。
また、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「コピー禁止」を示す場合(図45の組合せ14から17の例)の場合においてコンテンツが蓄積可能な状態は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』とが何れの値を示す場合でも、「一時蓄積」の蓄積制御状態に限られる。「一時蓄積」の概要は実施例1で既に説明したため、再度の説明は省略する。
以上説明した通り、放送受信装置40100は、受信制御情報50100に含まれるコンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータとコンテンツ利用制御記述子の『copy_restriction_mode』パラメータとを用いて、蓄積対象コンテンツの蓄積制御状態を決定する。
次に、放送受信装置40100は、蓄積されているコンテンツをIPインタフェースから出力する際に、該コンテンツの蓄積制御状態と、該コンテンツを出力する際の「出力時映像解像度」と「出力時伝達特性」とに応じて、IPインタフェース出力のコンテンツの出力保護の決定を行う。ここで、図45の例においては、コンテンツの蓄積処理前後にコンテンツの映像について解像度変換処理および/または伝達特性変換処理がなされる可能性がある。これは、放送受信装置40100がコンテンツを受信してIPインタフェースから出力する前に解像度変換処理および/または伝達特性変換処理がなされる可能性がある点で図44の例と共通である。よって、放送受信装置40100における「出力時映像解像度」と「出力時伝達特性」の判断は、図44の例と同様に行えば良いため、再度の説明は省略する。
次に、図45のそれぞれの組合せにおけるIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定について説明する。
[図45組合せ1]
図45に示される組合せ1の例、即ち、「コピーの制限なしに蓄積、かつencryption_mode保護なし」という蓄積制御状態のコンテンツをIPインタフェース出力する場合には、図44の組合せ1と同様のコンテンツの出力制御を行えば良い。繰り返しになるため、再度の説明は省略する。
[図45組合せ2から5]
図45に示される組合せ2から5の例、即ち、「コピーの制限なしに蓄積、かつencryption_mode保護あり」という蓄積制御状態のコンテンツをIPインタフェース出力する場合には、図44の組合せ2から5と同様のコンテンツの出力制御を行えば良い。繰り返しになるため、再度の説明は省略する。
[図45組合せ6から9]
図45に示される組合せ6から9の例、即ち、「再コピー禁止」という蓄積制御状態のコンテンツをIPインタフェース出力する場合には、該出力処理が出力先の機器で視聴するための視聴用出力であるか、出力先の機器へのコンテンツのムーブであるかにより、出力時のコピー制御状態が異なる。具体的には、当該IPインタフェース出力が視聴用出力である場合には、コピー制御状態を、再コピー禁止を示す「No More Copies」として出力する。当該IPインタフェース出力がムーブである場合には、コピー制御状態を、「Move」として出力する。図45に示される組合せ6、7、8、9のそれぞれにおいて、IPインタフェース出力におけるその他のコンテンツ保護制御については、図44に示される組合せ6、7、8、9のそれぞれと同様であるため、再度の説明を省略する。
[図45組合せ10から13]
図45の組合せ10、11、12、13のそれぞれの例、即ち、「個数制限コピー可」という蓄積制御状態のコンテンツをIPインタフェース出力する場合のコンテンツ保護制御は図45の組合せ6、7、8、9のそれぞれの例とほぼ同様である。相違する点は、以下の通りである。蓄積制御状態が「再コピー禁止」のコンテンツをIPインタフェース出力する場合ムーブ処理を1回行うと放送受信装置40100において当該コンテンツを再生不能化する必要がある(なおコンテンツが再生不能化されるまでは何回でも視聴用出力が可能である)。これに対し、蓄積制御状態が「個数制限コピー可」はIPインタフェース出力を介して出力先の機器に対して複数回のコピー処理と最後にムーブ処理が1回可能である。例えば、一例としてコピー処理を9回行い、最後にムーブ処理が1回可能となる。最後のムーブ処理の際に放送受信装置40100において当該コンテンツを再生不能化する必要がある。ここで、放送受信装置40100としては、数回のコピー処理の1つ1つをコピー処理として扱うが、そのコピー処理の1つ1つのコンテンツは、IPインタフェース出力の保護処理においてはコピー制御状態を「Move」として出力される。
即ち、蓄積制御状態「個数制限コピー可」のコンテンツのコピー処理は、放送受信装置40100において当該コンテンツを予め複数個蓄積している状態を仮想的に設定し、蓄積した複数個のコンテンツの1つ1つを、IPインタフェース出力を介してムーブする処理として実行されるものである。ここで、実際に同一のコンテンツを予め複数個蓄積するとストレージ部の容量に対して非効率な蓄積状態となる。よって、実際には、当該コンテンツは1つだけ蓄積しておき、その蓄積個数情報を管理情報としてストレージ部やメモリ部に格納して管理するようにすれば良い。これが上記の「仮想的に」という説明の意味である。
以上説明した点以外は、図45の組合せ10、11、12、13の例におけるIPインタフェース出力する場合のコンテンツ保護制御は図45の組合せ6、7、8、9のそれぞれの例と同様であるため、再度の説明は省略する。
[図45組合せ14から17]
図45の組合せ14、15、16、17のそれぞれの例、即ち、「一時蓄積」という蓄積制御状態のコンテンツをIPインタフェース出力する場合のコンテンツ保護制御は図45の組合せ6、7、8、9のそれぞれの例とほぼ同様である。相違する点は、「一時蓄積」という蓄積制御状態のコンテンツは他の機器にムーブすることができない(ムーブ不可)であるという点である。その他の点についてのIPインタフェース出力する場合のコンテンツ保護制御は図45の組合せ6、7、8、9のそれぞれの例と同様であるため、再度の説明は省略する。
以上説明した図45のIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理によれば、受信制御情報50100とともにコンテンツを受信し、コンテンツの蓄積を行ってIPインタフェース出力を行う場合に、コンテンツの映像の画質に対する出力保護の観点と放送コンテンツの視聴者の利便性の観点の両者の観点においてバランスの良いコンテンツ出力保護を実現できる。
[図45の処理の例外処理例]
以上の通り、図45を用いてIPインタフェース出力を行う場合のコンテンツの出力保護の決定処理の一例を説明した。
しかしながら、図45に記載していない幾つかの例外処理を行う必要が生じる可能性があり、これらの例外処理を以下に説明する。
例えば、コンテンツコピー制御記述子自体や、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『digital_recording_control_data』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツコピー制御記述子の『digital_recording_control_data』パラメータが「制約条件なしにコピー可能」を示していると場合と同じ状態とみなして図45の蓄積制御およびコンテンツの出力保護の決定処理を行えば良い。具体的には、図45の組合せ1から5の処理のうちから、他の受信制御情報50100を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、コンテンツ利用制御記述子自体や、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、『encryption_mode』パラメータを取得することができない。このような場合は、放送受信装置40100は、コンテンツ利用制御記述子の『encryption_mode』パラメータが「保護しない」を示していると場合と同じ状態とみなして図45の蓄積制御およびコンテンツの出力保護の決定処理を行えば良い。具体的には、図45の組合せ1、および6から17の処理のうちから、他の受信制御情報50100を考慮して1つの処理を決定することとなる。
また、伝達特性(EOTF)識別情報が、伝送エラーなど何らかの原因により受信制御情報50100として伝送されなかった場合、放送受信装置40100は、伝達特性(EOTF)識別情報を取得することができない。このような場合でも、図45の例では、蓄積制御後の出力時にコンテンツがHDRであるかSDRであるかに基づく判断を行えば良いので、特にこの点において例外処理は必要ない。
[図45の処理の変形例]
図45の例では、HDRコンテンツをDTCP2による保護を施してIPインタフェース出力する場合(組合せ2、3、6、7、10、11、14、15)には“HDR”Flagを0として出力している。しかしながら、これらの組合せにおいては、何れも“SDO”Flagが0を示す状態であり、HDRからSDRへのコンテンツ変換が可能であることが前提となる。すると、図45の組合せ2、3、6、7、10、11、14、15において、DTCP2の出力制御情報として“HDR”Flagを出力しないという制御しにしても良い。この場合、何れの組合せにおいても、“HDR”Flagを出力しないこととなるので、放送受信装置40100のIPインタフェース出力制御がシンプルになる。
また、図45の例では、DTCP2の保護によりコンテンツを出力する場合には、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“0”として出力する制御が示されている。これは、上述の通り、出力先の機器がDTCP2対応機器だとしても更に当該DTCP2対応機器から先の他の機器に出力する場合を考慮して、当該DTCP2対応機器で解像度変換処理や伝達特性変換処理を行って、2K以下コンテンツで伝達特性がSDRのコンテンツに変換すれば、DTCP1などのL1レベルのコンテンツ保護方式での出力を許容するものである。しかしながら、図45の変形例として、DTCP2の保護によりNo More Copiesでコンテンツを出力する組合せ(組合せ6、7、8、10、11、12、14、15、16)においては、DTCP2の出力制御情報として”L2-Only”Flagを“1”として出力する制御に代えても良い。この例は、DTCP2の保護によりNo More Copiesでコンテンツについては、よりコンテンツプロバイダのコンテンツ保護の必要性が高いものとみなして、よりコンテンツ保護を強化するものである。具体的には、”L2-Only”Flagを“1”として出力した場合、出力先のDTCP2対応機器から先の他の機器に出力しようとする場合、解像度変換処理や伝達特性変換処理を行ったとしても、その先の機器がDTCP2などのL2レベルのコンテンツ保護方式に非対応の場合は、出力することができなくなる。即ち、当該コンテンツは放送受信装置40100のIPインタフェースから出力されたあとは常にL2レベルのコンテンツ保護が施されることとなる。
以上、本実施例の放送通信システムおよび放送受信装置40100によれば、コンテンツのデジタルコピーに関する制御情報およびコンテンツの蓄積や出力に関する制御情報、またはコンテンツの蓄積状態、およびコンテンツの映像の解像度およびコンテンツの映像の伝達特性などに応じて、コンテンツの映像の画質に対する出力保護の観点と放送コンテンツの視聴者の利便性の観点の両者の観点においてバランスの良いコンテンツ出力保護制御を行うことが可能となる。即ち、本実施例の放送通信システムおよび放送受信装置40100によれば、より好適なコンテンツ出力保護制御を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例を、実施例1〜5を用いて説明したが、本発明の技術を実現する構成は前記実施例に限られるものではなく、様々な変形例が考えられる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成と置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。これらは全て本発明の範疇に属するものである。また、文中や図中に現れる数値やメッセージ等もあくまでも一例であり、異なるものを用いても本発明の効果を損なうことはない。
前述した本発明の機能等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、マイクロプロセッサユニット等がそれぞれの機能等を実現する動作プログラムを解釈して実行することによりソフトウェアで実現しても良い。ハードウェアとソフトウェアを併用しても良い。
なお、放送受信装置100を制御する前記ソフトウェアは、製品出荷の時点で予め放送受信装置100のROM103および/またはストレージ(蓄積)部110等に格納された状態であっても良い。製品出荷後にインターネット200上のその他のアプリケーションサーバ500等からLAN通信部121を介して取得するものであっても良い。また、メモリカードや光ディスク等に格納された前記ソフトウェアを、拡張インタフェース部124等を介して取得しても良い。
また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも製品上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。