JP6845039B2 - 金属亜鉛の電解採取方法およびその回収方法 - Google Patents

金属亜鉛の電解採取方法およびその回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属亜鉛の電解採取方法およびその回収方法に関し、特には低電流密度における亜鉛電解採取方法である。
金属亜鉛の電解採取方法においては種々の改良がなされている。例えば特許文献1においては、アルミニウムのアルミカソード板が腐食することの原因として原鉱石由来のフッ素が電解液に混入することを挙げ、硫酸チタニルの添加により電解液中のフッ素イオン(フッ化物イオン)の濃度を低減し、カソードに電着した金属亜鉛の剥離性を向上させることが記載されている。
特開平6−57476号公報
亜鉛精錬における電解採取法では、電力コストの低減が経営課題としてある。電力コストの低減のため、種々の技術改善がされている。その中、電力の単位使用当たりの料金である電力単価は、電力の需要バランス、電力事情から設定されている。電力単価の設定を受け、国内では電解採取における電解条件を変え、電力コストの低減を図っている。特には電解槽への通電量を高低する調整を行う。
しかし、電解採取法において、通電量の高低は電極での電流密度に大きく影響し、電解槽内の電解液、電極表面において変化させてしまい、操業の安定には好ましい操作ではない。
そこで、上記のような通電量を変化させても、安定した操業が望まれており、特に望まれるのは亜鉛の電着状態の安定であり、さらには亜鉛の安定した回収である。一方、電解採取法によりカソード板に電着した金属亜鉛を剥離する際に、剥離が困難となる場合があった。剥離が困難な場合は、人手による剥離、化学的な溶解処理、またはカソード一体で廃棄となる。これでは、コスト増の要因となるため、剥離も安定して可能であることが望まれていた。なお、カソード板からの金属亜鉛の剥離は、通常は人手で簡易に剥がせる程度の密着状態である。そうでない状態のもの、すなわちカソード板に電着した金属亜鉛が人手で剥離困難になっているものを、本明細書では密着亜鉛と称する。
本発明の課題は、亜鉛電解採取法における通電量の高低変化において安定した電解操業が可能となる電解採取方法を見出すことにあり、特には、低電流密度において電着状態に問題があることを見出したことに基づき、亜鉛電解採取法における、低電流密度での安定した金属亜鉛の回収方法を見出すことにある。
上記の課題を解決すべく、本発明者は鋭意研究を行った。その結果、密着亜鉛の発生には、1.低電流密度、2.硫酸亜鉛電解液中の塩素イオン(塩化物イオン)の濃度、3.膠(にかわ)に代表される表面平滑化剤の濃度、が大きく影響を与えていることを突き止めた。この知見を得るまでの検証試験については実施例の項目にて詳述するが、この知見に基づきなされた本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際に、
電流密度を100A/m未満、かつ前記電解液における前記塩素イオンの濃度を300mg/l未満とする、金属亜鉛の電解採取方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
前記表面平滑化剤は、膠、ゼラチンおよびポリエチレングリコールの少なくともいずれかである。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、
前記電解液における前記塩素イオンの濃度を100〜200mg/lとする。
本発明の第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に記載の発明において、
電流密度を100A/m未満とし、次いで、電流密度を100A/m以上とする。
本発明の第5の態様は、
硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際に、
電流密度を100A/m未満、かつ前記電解液における前記塩素イオンの濃度を300mg/l未満として前記アルミカソード板に電着させた金属亜鉛を、前記アルミカソード板から剥離する、金属亜鉛の回収方法である。
本発明によれば、低電流密度での金属亜鉛の安定した採取、回収を可能にする。
引張強度試験の様子を示す図である。
本実施形態においては以下の順番で説明を行う。
1.金属亜鉛の電解採取方法
2.変形例等
なお、本明細書における「〜」は所定の数値以上かつ所定の数値以下を指す。
<1.金属亜鉛の電解採取方法>
本実施形態においては金属亜鉛の電解採取方法は簡潔に言うと以下の通りである。「硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際に、
電流密度を100A/m未満、かつ前記電解液における前記塩素イオンの濃度を300mg/l未満とする、金属亜鉛の電解採取方法。」
以下、上記の内容について具体例を挙げて詳述する。
アルミカソード板に対し、表面平滑化剤および塩素イオンを含有する硫酸亜鉛電解液(いわゆる硫酸亜鉛による電解液)から金属亜鉛を電着させる(電着工程)。そして本実施形態においては、アルミカソード板に亜鉛を電着する際(すなわち通電時)の電流密度(カソード電流密度 Dk)が100A/m未満であるとき、その際の硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とすることである。上記の条件を満たすことにより、密着亜鉛の発生を抑制することが可能となる。なお、アノードは、鉛アノード板、DSE電極板で良い。
通電時における電流密度を100A/m未満の低電流密度としても良く、次いで、上昇させても良い。すなわち、電流密度の高低を任意のタイミングで行っても、密着亜鉛の発生を抑制し、安定した操業が可能であり、電力事情に適応した経済合理性の高い操業が可能である。なお、本明細書において“電流密度ゼロ”とは、最低として、電着亜鉛の電解液の再溶解を抑制する電流密度としてあることを指す。具体的には、電圧として40〜50mV、電流として0.1mA以下の通電状態であり、電荷を電極板に微弱に通電している状態である。
電流密度を100A/m未満とする際の硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とするのが好ましく、100〜200mg/lとするのがより好ましい。ここで塩素イオンの濃度を上記範囲へと低減する手法には特に制限はなく、原料由来の塩素の入量制限や、公知の脱塩素の手法を採用すればよい。例えば、揮発、電解、吸着による除去、イオン交換膜を用いた除去や、銅(I)、水銀、銀を用いて生成された塩化物の沈殿の除去等が挙げられる。なお、塩素イオン濃度は、イオンクロマト法、化学滴定分析法により測定可能である。
電流密度を100A/m未満とする時間は30分間未満とするのが好ましく、20分未満がより好ましく、10分間以下がさらに好ましい。
また、表面平滑化剤は、その名の通りカソードに電着する金属亜鉛に対して電着表面の平滑化や、電着亜鉛の緻密化の作用をもたらすものであり、例えば膠、ゼラチンおよびポリエチレングリコールの少なくともいずれかを含有するものである。
アルミカソード板に電着された金属亜鉛を回収する(回収工程)。アルミカソード板から金属亜鉛を容易に剥離することが可能であり、従来の剥離方法および装置を用いて回収が可能である。なお、この剥離が安定すればアルミカソード板の損耗も抑制される。このようにして金属亜鉛の回収方法が実現される。
<2.変形例等>
(電着工程前の待機時間)
本実施形態においては電着工程においては開始から終了まで通電し続けることを挙げた。その一方、準備工程にて金属亜鉛の電解採取装置をセットし(アノード、カソードを、塩素イオンおよび表面平滑化剤を含有する硫酸亜鉛電解液に浸し)た後、電着工程を行うまでの間に時間がかかってしまう場合がある。金属亜鉛の電解採取を工業的に実施する場合、通常、このように通電を行わない時間は設けない。なぜなら硫酸亜鉛電解液は酸性溶液であり、通電が行われなければAlカソードが溶解するためである。ただ、このように通電を行わない時間を設ける場合であっても本発明の技術的思想は適用し得る。
具体的に言うと、「金属亜鉛の電解採取装置をセットした後、電着を行うまでの待機時間を30分以上設ける場合、電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とする」という規定も本発明の効果を奏するうえで有効である。
逆に、上記の待機時間を減らすという観点から見ると、「電解液における塩素イオンの濃度が300mg/l以上である場合、金属亜鉛の電解採取装置をセットした後、電着を行うまでの待機時間を30分未満とする」という規定も有効である。
(電着における電流密度)
本発明の知見として述べたように、密着亜鉛が発生するのはAlカソードに対する金属亜鉛の電着開始時(すなわち電解採取装置における通電時)での電流密度の低さが原因である。ということは、金属亜鉛の電解採取を工業的に実施する際に、電着工程の中でも電着開始時には電流密度を100A/m以上としたうえで、電着開始時以外の時間において電流密度を意図的に低下させれば密着亜鉛の発生を抑制できる。この知見を構成として表すと以下のようになる。
「硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際の電流密度を100A/m以上とし、電着開始時以外の時間の少なくとも一部において電流密度を100A/m未満とする、金属亜鉛の電解採取方法。」
(電解採取システムまたは易剥離化システム)
上記の実施の形態の内容を自動化しても構わない。例えば、上記の電解採取装置において、電着開始時の電流密度が100A/m未満となる予定である場合、その際の硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とするように脱塩素イオンを行う装置が制御部により作動させられる構成を採用しても構わない。
また、電流密度を100A/m未満にしなければならないタイミングを記憶部にインプットしておき、制御部が記憶部から上記タイミングを引き出したうえで、電流密度を100A/m未満としなければならないタイミングにおいては電着を開始しない、言い方を変えると電流密度が100A/m以上としてもよいタイミングにおいて電着を開始し通電を行うよう制御部が制御するという構成を採用しても構わない。更に具体的には、硫酸亜鉛電解液の交換が完了して通電を開始するタイミングを、電流密度を100A/m未満にしなければならないタイミングからずらすように制御部が制御することが挙げられる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。例えば上記の各変形例の組み合わせや上記の実施形態にて例示した内容との組み合わせについても本発明の技術的思想の適用範囲である。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。また、先に述べたように本発明の知見を得るために種々の検証試験を行っており、その結果について述べる。なお、以下に示す試験例のうち、後述の引張強度試験にて“剥離困難な状態(密着亜鉛)”とならなかったもの、すなわち少なくとも一部が剥離不可な状態とならなかったもの、引張強度が147N未満(好ましくは100N以下、より好ましくは70以下)であるものが本発明の実施例に相当する。
(準備工程)
本工程においては金属亜鉛の電解採取装置の準備を行った。具体的には以下のものを用意した。
・1Lの電解槽
・アルミカソード板:5cm×7cmの1枚の純アルミニウム板をテープでマスキングしたうえで1cm×3cm分のテープを3箇所切り出して、3箇所において板を露出させたもの
・アノード板:5cm×7cmの1枚のDSE電極板(チタン板にイリジウム、タンタルをコート板)
また、硫酸亜鉛電解およびそれに添加する各物質としては以下のものを用意した。
・硫酸亜鉛電解液:純水に対しZn濃度が80g/lになるように硫酸亜鉛を添加したもの
・塩素イオン:NaCl(和光特級)
・フッ素イオン:NaF(和光特級)
・膠:動物由来のペプチド(市販品)
なお、硫酸亜鉛電解液の液温は45℃一定とした。
(電着工程:密着亜鉛の発生に影響を与える物質の特定)
上記の各構成および各物質をセットした電解採取装置によって電着工程を行った。具体的な条件としては、電解採取装置をセットした後、電着の際の電流密度を100A/m未満という規定を再現すべく、アノードを溶解させない程度の微弱な通電を行う時間を30分設けた。本明細書において電流密度ゼロ(例えば表1、表4における電流密度ゼロ、いわゆる“ゼロ通”)とはこのような微弱な通電を示す。
上記の微弱な通電時間を30分設けた後、整流器によって電流密度を600A/mとし、電着を6時間実施した。なお、その際に硫酸亜鉛電解液に投入する塩素イオン、フッ素イオン、膠の濃度を変化させたうえで試験を行った。それを示すのが以下の表1である。
なお、引張強度試験についてであるが、図1にその様子を示している。まず、電着工程を行った後のAlカソードは、3箇所において板が露出していることから、該3箇所において金属亜鉛が電着している。電着した長方形状の金属亜鉛の上に、加工したL字Al板の長辺部分を金属用接着剤で貼り付けて固定し、1晩放置する。L字Al板の短辺部分の先端には穴を設けておき、そこにフォースゲージに繋がるフックをかけて鉛直方法に引き上げる。その際の金属亜鉛をAlカソードから剥ぎ取る力をフォースゲージにより測定する。なお、本例においては、引張強度が200N以上だと、フックの破損または、アルミカソード板の変形、またはアルミカソード板の破損が発生した。
上記の表1を見ると、特許文献1が述べているようなフッ素イオンの濃度と密着亜鉛の発生との間には相関が見られなかった。その代わり、塩素イオンと膠とを硫酸亜鉛電解液に添加した際には密着亜鉛が発生することが明らかとなった。
(電着工程:密着亜鉛の発生に影響を与える電流密度の特定)
塩素イオン濃度と、膠濃度と電流密度について、密着亜鉛の発生を調査した。
具体的には、各々の試験において、電着開始時の電流密度を50A/m、100A/m、300A/m、600A/mとして30分維持した後、電流密度を600A/mとしてその状態を6時間維持した。それ以外の内容については先の試験(電着工程:密着亜鉛の発生に影響を与える物質の特定)と同様とした。その結果を示すのが以下の表2である。
上記の表2を見ると、電着開始時の電流密度が100A/mのときは、塩素イオンと膠とを硫酸亜鉛電解液に添加した場合であっても引張強度は良好であり、密着亜鉛は発生していない。その一方、電着開始時の電流密度が50A/mのときは引張強度が200Nを超えており、密着亜鉛が発生している。
その結果、塩素イオンと膠とを硫酸亜鉛電解液に添加した場合、電着開始時の電流密度を100A/m未満とすると、密着亜鉛が発生することが明らかとなった。
(電着工程:電着開始時の電流密度が密着亜鉛の発生に影響を与えることの特定)
なお、電着開始時の電流密度時が密着亜鉛の発生に影響を与えることの特定も行った。その際、硫酸亜鉛電解液中のフッ素イオンの濃度を20mg/l、塩素イオンの濃度を800mg/l、膠の濃度を20mg/lとした。そして以下の4パターンにて試験を行った。その結果を示すのが表3である。
[パターン1]電着開始時にて電流密度を600A/mと高くしてその状態を7時間維持した例
[パターン2]電着開始時にて電流密度100A/m未満(微弱な通電)の時間を3時間とした後に電流密度を600A/mとしてその状態を4時間維持した例
[パターン3]電着開始時にて電流密度100A/m未満(50A/m)の時間を3時間とした後に電流密度を600A/mとしてその状態を4時間維持した例
[パターン4]電着開始時にて電流密度を600A/mとして2時間維持した後、電流密度100A/m未満(微弱な通電)の時間を3時間とした後、電流密度を600A/mとしてその状態を2時間維持した例
表3が示すように、電着開始時の電流密度が密着亜鉛の発生に影響を与えることが明らかとなった。また、表3の[パターン4]の結果が示すように、高い電流密度での通電を(例えば通電開始から10分以上(好ましくは開始から20分以上、より好ましくは開始から30分以上))行った後だと、電流密度が低い状態であったとしても密着亜鉛の発生への影響は少ないことが明らかとなった。
(電着工程:密着亜鉛の発生に影響を与える塩素イオンおよび膠の濃度の特定)
塩素イオンと膠とを硫酸亜鉛電解液に添加した際には密着亜鉛が発生することに焦点を当て、次に、塩素イオンおよび膠の濃度がどの程度のときに密着亜鉛が発生するのかについて調査した。
具体的には、塩素イオンおよび膠の濃度を以下の表4に示すように変化させて各々試験を行った。
上記の表4を見ると、膠の濃度と密着亜鉛の発生との間の相関が乏しかった一方で、塩素イオンの濃度と密着亜鉛の発生との間には相関が確認された。具体的には、塩素イオンの濃度が300mg/lのときには密着亜鉛が発生したが、200mg/lのときには密着亜鉛が発生しなかった。
その結果、電着開始時の電流密度が100A/m未満であったとしても、硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とすれば、密着亜鉛の発生を抑制できることが明らかとなった。
(電着工程:密着亜鉛の発生に影響を与える時間の特定)
なお、密着亜鉛の発生に影響を与える時間の特定も行った。その際、硫酸亜鉛電解液中のフッ素イオンの濃度を10mg/l、塩素イオンの濃度を400mg/l、膠の濃度を10mg/lとした。そして、電流密度100A/m未満(微弱な通電)の時間を実質ゼロ、10分、20分、30分、60分とし、各々、その後600A/mにて5時間電着を行うという試験を行った。その結果を示すのが表5である。
表5が示すように、電着開始時の電流密度100A/m未満の時間が30分未満ならば、その際の硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満としたとしても、密着亜鉛の発生を抑制できることが明らかとなった。
<まとめ>
以上の結果、電着工程において少なくとも電着開始時の電流密度が100A/m未満であるとき、硫酸亜鉛電解液における塩素イオンの濃度を300mg/l未満とすることにより、密着亜鉛の発生を抑制でき、ひいては低電流密度での金属亜鉛の安定した採取、回収が可能となることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際に、
    電流密度を100A/m未満、かつ前記電解液における前記塩素イオンの濃度を100mg/l以上且つ300mg/l未満とし、且つ、
    電流密度を100A/m 未満とし、次いで、電流密度を100A/m 以上とする、金属亜鉛の電解採取方法。
  2. 前記表面平滑化剤は、膠、ゼラチンおよびポリエチレングリコールの少なくともいずれかである、請求項1に記載の金属亜鉛の電解採取方法。
  3. 前記電解液における前記塩素イオンの濃度を100〜200mg/lとする、請求項1または2に記載の金属亜鉛の電解採取方法。
  4. 硫酸亜鉛による電解液の亜鉛電解採取方法において、当該電解液に、表面平滑化剤および塩素イオンを含有し、アルミカソード板に亜鉛を電着する際に、
    電流密度を100A/m未満、かつ前記電解液における前記塩素イオンの濃度を100mg/l以上且つ300mg/l未満とし、且つ、電流密度を100A/m 未満とし、次いで、電流密度を100A/m 以上とし前記アルミカソード板に電着させた金属亜鉛を、前記アルミカソード板から剥離する、金属亜鉛の回収方法。
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