JP6844059B2 - 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置 - Google Patents

磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のデータストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。磁気テープへの情報の記録および/または再生は、通常、磁気テープが収容された磁気テープカートリッジをドライブに装着し、磁気テープをドライブ内で走行させて磁気テープ表面(磁性層表面)と磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)とを接触させ摺動させることにより行われる。磁気テープとしては、強磁性粉末および結合剤に加えて研磨剤を含む磁性層を非磁性層上に有する構成のものが広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−243162号公報
磁気テープに望まれる性能の1つとして、磁気テープに記録された情報を再生する際に優れた電磁変換特性を発揮できることが挙げられる。しかし、磁性層表面とヘッドとの摺動を繰り返すうちに磁性層表面および/またはヘッドが削れてしまうと、磁性層表面とヘッドの再生素子との距離が広がる現象(いわゆるスペーシングロス)が発生してしまう。この点に関し、例えば特許文献1に記載されているように、磁性層に研磨剤を含有させることは、研磨剤により磁性層表面にヘッドクリーニング性をもたらすことに寄与し得る。磁性層表面にヘッドクリーニング性がもたらされることにより、磁性層表面が削れて生じた異物が磁性層表面とヘッドとの間に介在してスペーシングロスが発生することを抑制することができる。しかし他方で、磁性層表面のヘッドクリーニング性を高めるほど、磁性層表面との摺動によりヘッドが削れ易くなり、やはりスペーシングロスが発生してしまう。このようなスペーシングロスは、磁気テープに記録された情報の再生を繰り返すうちに電磁変換特性が低下する現象(以下、「繰り返し再生における電磁変換特性の低下」ともいう。)の原因となる。
ところで、磁気テープは、通常、磁気テープカートリッジに収容されて流通され、使用される。磁気テープカートリッジの1巻あたりの記録容量を高めるためには、磁気テープカートリッジ1巻に収められる磁気テープ全長を長くすることが望ましい。そのためには、磁気テープを薄くすること(以下、「薄型化」と記載する。)が求められる。磁気テープの薄型化のための手段の1つとして、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とをこの順に有する磁気テープについては、非磁性層と磁性層との合計厚みを薄くすることが挙げられる。しかし、本発明者らが検討したところ、非磁性層と磁性層との合計厚みを0.60μm以下に薄くした磁気テープでは、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm超の磁気テープと比べて、低温高湿環境下において、繰り返し再生における電磁変換特性の低下が発生し易いことが判明した。磁気テープは低温高湿環境でも使用され得るため、かかる環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制できることは望ましい。
本発明の一態様は、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下の磁気テープであって、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下が少ない磁気テープを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、
上記非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、
上記非磁性層と上記磁性層との合計厚みは0.60μm以下であり、
上記磁性層の表面ゼータ電位の等電点は5.5以上であり、
上記磁性層は酸化物研磨剤を含み、かつ
上記磁性層の表面に集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)を照射して取得される2次イオン像から求められる上記酸化物研磨剤の平均粒子直径(以下、「FIB研磨剤径」とも記載する。)は0.04μm以上0.08μm以下である、磁気テープ、
に関する。
一態様では、上記等電点は、5.5以上7.0以下であることができる。
一態様では、上記磁性層は、酸性基を有する結合剤を含むことができる。
一態様では、上記酸性基は、スルホン酸基およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸性基であることができる。
一態様では、上記酸化物研磨剤は、アルミナ粉末であることができる。
一態様では、上記非磁性層と上記磁性層との合計厚みは、0.15μm以上0.60μm以下であることができる。
一態様では、上記磁気テープは、上記非磁性支持体の上記磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有することができる。
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気テープカートリッジに関する。
本発明の一態様は、上記磁気テープと、磁気ヘッドと、を含む磁気テープ装置に関する。
本発明の一態様によれば、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下であって、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下の抑制が可能な磁気テープを提供することができる。また、本発明の一態様によれば、上記磁気テープを含む磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置を提供することができる。
[磁気テープ]
本発明の一態様は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、上記非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、上記非磁性層と上記磁性層との合計厚みは0.60μm以下であり、上記磁性層の表面ゼータ電位の等電点は5.5以上であり、上記磁性層は酸化物研磨剤を含み、かつ上記磁性層の表面に集束イオンビームを照射して取得される2次イオン像から求められる上記酸化物研磨剤の平均粒子直径(FIB研磨剤径)は0.04μm以上0.08μm以下である磁気テープに関する。
本発明および本明細書において、「磁性層(の)表面」とは、磁気テープの磁性層側表面と同義である。
本発明および本明細書において、磁性層の表面ゼータ電位の等電点とは、流動電位法(流動電流法とも呼ばれる。)により測定される磁性層の表面ゼータ電位がゼロになるときのpHの値をいう。測定対象の磁気テープからサンプルを切り出し、表面ゼータ電位を求める対象表面である磁性層表面が電解液と接するようにサンプルを測定セル内に配置する。表面ゼータ電位は、測定セルに圧力を変化させて電解液を流し、各圧力での流動電位を測定した後、以下の算出式より求められる。
[ζ:表面ゼータ電位、p:圧力、I:流動電位、η:電解液の粘度、ε:電解液の比誘電率、ε-:真空の誘電率、L:チャンネル(2つの電極間の流路)の長さ、A:チャンネルの断面積]
圧力は、0〜400000Pa(0〜400mbar)の範囲で変化させる。電解液を測定セルに流して流動電位を測定して表面ゼータ電位を算出することを、pHの異なる電解液(pH9から約0.5刻みでpH3まで)を用いて行う。測定点は、pH9の測定点から始まりpH3の13点目の測定点までの合計13点となる。こうして各pHの測定点について、表面ゼータ電位が求められる。pHが下がるにしたがい表面ゼータ電位の値は小さくなるため、pHが9から3まで下がる中で、表面ゼータ電位の極性が変化(プラスの値からマイナスの値に変化)する2つの測定点が現れる場合がある。そのような2つの測定点が現れた場合には、それら2つの測定点の表面ゼータ電位とpHの関係を示す直線(一次関数)を用いて、表面ゼータ電位がゼロにおけるpHを内挿により求める。一方、pHが9から3まで下がる中で求められる表面ゼータ電位がすべてプラスの値の場合には、最終の測定点である13点目の測定点(pH3)および12点目の測定点の表面ゼータ電位とpHの関係を示す直線(一次関数)を用いて、表面ゼータ電位がゼロにおけるpHを外挿により求める。他方、pHが9から3まで下がる中で求められる表面ゼータ電位がすべてマイナスの値の場合には、最初の測定点である1点目の測定点(pH9)および12点目の測定点の表面ゼータ電位とpHの関係を示す直線(一次関数)を用いて、表面ゼータ電位がゼロにおけるpHを外挿により求める。こうして、流動電位法により測定される磁性層の表面ゼータ電位がゼロになるときのpHの値が求められる。
以上の測定は、同じ磁気テープ(測定対象の磁気テープ)から切り出した異なるサンプルを用いて室温で合計3回行い、各サンプルについて表面ゼータ電位がゼロになるときのpHを求める。電解液の粘度および比誘電率としては、室温での測定値を用いる。室温は、20〜27℃の範囲とする。こうして求められた3つのpHの算術平均を、測定対象の磁気テープの磁性層の表面ゼータ電位の等電点とする。また、pH9の電解液は、1mmol/LのKCl水溶液を、0.1mol/LのKOH水溶液を用いてpH9に調整したものを用いる。その他のpHの電解液は、こうして調整したpH9の電解液を、0.1mol/LのHCl水溶液を用いてpH調整したものを用いる。
本発明および本明細書において、「酸化物研磨剤」とは、モース硬度8超の非磁性酸化物粉末を意味する。
本発明および本明細書において、FIB研磨剤径は、以下の方法によって求められる値とする。
(1)2次イオン像の取得
集束イオンビーム装置により、FIB研磨剤径を求める対象の磁気テープの磁性層表面の25μm角(25μm×25μm)の領域の2次イオン像を取得する。集束イオンビーム装置としては、日立ハイテクノロジーズ社製MI4050を使用することができる。
2次イオン像を取得する際の集束イオンビーム装置のビーム照射条件として、加速電圧30kV、電流値133pA(ピコアンペア)、BeamSize30nmおよびBrightness50%に設定する。磁性層表面への撮像前のコーティング処理は行わない。2次イオン検出器によって、2次イオン(SI;secondary ion)信号を検出し、2次イオン像を撮像する。2次イオン像の撮像条件は、以下の方法により決定する。磁性層表面の未撮像領域3箇所において、ACB(Auto Contrast Brightess)を実施する(即ち、ACBを3回実施する)ことにより画像の色味を安定させ、コントラスト基準値およびブライトネス基準値を決定する。本ACBにより決定されたコントラスト基準値から1%下げたコントラスト値および上記のブライトネス基準値を、撮像条件とする。磁性層表面の未撮像領域を選択し、上記で決定された撮像条件下で2次イオン像を撮像する。撮像された画像からサイズ等を表示する部分(ミクロンバー、クロスマーク等)を消し、2000pixel×2000pixelの画素数の2次イオン像を取得する。撮像条件の具体例については、後述の実施例を参照できる。
(2)FIB研磨剤径の算出
上記(1)で取得した2次イオン像を、画像処理ソフトに取り込み、以下の手順により2値化処理を行う。画像解析ソフトとしては、例えば、フリーソフトのImageJを使用することができる。
上記(1)で取得した2次イオン像を8bitに色調変更する。2値化処理するための閾値は、下限値を250諧調、上限値を255諧調とし、これら2つの閾値により2値化処理を実行する。2値化処理後に画像解析ソフトによりノイズ成分除去処理を行う。ノイズ成分除去処理は、例えば以下の方法により行うことができる。画像解析ソフトImageJにおいて、ノイズカット処理Despeckleを選択し、AnalyzeParticleでSize 4.0−Infinityを設定してノイズ成分の除去を行う。
こうして得られた2値化処理画像において白く光る各部分を酸化物研磨剤と判断し、画像解析ソフトにより、白く光る部分の個数を求め、かつ白く光る各部分の面積を求める。ここで求められた白く光る各部分の面積から、各部分の円相当径を求める。具体的には、求められた面積Aから、(A/π)^(1/2)×2=Lにより、円相当径Lを算出する。
以上の工程を、FIB研磨剤径を求める対象の磁気テープの磁性層表面の異なる箇所(25μm角)において4回実施し、得られた結果から、FIB研磨剤径を、FIB研磨剤径=Σ(Li)/Σiにより算出する。Σiは、4回の実施により得られた2値化処理画像において観察された白く光る部分の総数である。Σ(Li)は、4回の実施により得られた2値化処理画像において観察された白く光る各部分について求めた円相当径Lの合計である。白く光る部分について、その部分の一部のみが2値化処理画像に含まれている場合もあり得る。そのような場合には、その部分は含めずにΣiおよびΣ(Li)を求める。
本発明者らは、上記磁気テープが、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下であるにもかかわらず、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制することができる理由について、以下のように推察している。
先に記載したように、非磁性層と磁性層との合計厚みを0.60μm以下に薄くした磁気テープでは、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm超の磁気テープと比べて、低温高湿環境下において、繰り返し再生における電磁変換特性の低下が発生し易いことが判明した。その理由としては、非磁性層と磁性層との合計厚みが薄くなることにより磁性層表面とヘッドとの接触状態が変化することが考えられる。この接触状態の変化により、磁性層に存在する酸化物研磨剤によってヘッドが部分的に削られ易くなることが、スペーシングロスの原因の1つではないかと本発明者らは推察している。
一方、上記FIB研磨剤径は、磁性層における酸化物研磨剤の存在状態の指標とすることができる値であり、磁性層表面に集束イオンビーム(FIB)を照射して取得される2次イオン像から求められる。この2次イオン像は、FIBが照射された磁性層表面から発生する2次イオンを捕捉することにより生成される。これに対し、磁性層における研磨剤の存在状態の観察方法としては、従来、例えば特開2005−243162号公報(特許文献1)の段落0109に記載されているように、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いる方法が提案されていた。SEMでは、電子線を磁性層表面に照射し、磁性層表面から放出される2次電子を捕捉して画像(SEM像)が生成される。このような画像生成原理の違いから、同じ磁性層を観察したとしても、2次イオン像から求められる酸化物研磨剤のサイズと、SEM像から求められる酸化物研磨剤のサイズとは、異なるものとなる。本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記2次イオン像から先に記載した方法によって求められるFIB研磨剤径を磁性層における酸化物研磨剤の存在状態の新たな指標として、FIB研磨剤径が0.04μm以上0.08μm以下となるように磁性層における酸化物研磨剤の存在状態を制御することに至った。このように磁性層における酸化物研磨剤の存在状態を制御することが、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下の磁気テープにおいて、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制できることに寄与すると本発明者らは考えている。詳しくは、FIB研磨剤径が0.08μm以下であることがヘッド削れの抑制に寄与し、FIB研磨剤径が0.04μm以上であることが、低温高湿環境下においてヘッド削れを抑制しつつ磁性層表面にヘッドクリーニング性を付与することに寄与すると本発明者らは推察している。
他方、上記FIB研磨剤径が0.04μm以上0.08μm以下となるように酸化物研磨剤が存在している磁性層は、FIB研磨剤径が上記範囲を超える磁性層と比べて、ヘッドクリーニング性は低いと考えられる。そのため、何ら対策を施さなければ、ヘッドに付着した異物が十分除去されずにスペーシングロスが発生し、ヘッド削れを抑制できたとしても電磁変換特性は低下してしまうと推察される。これに対し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下であり、かつ上記FIB研磨剤径が0.04μm以上0.08μm以下となるように酸化物研磨剤が存在している磁性層を有する磁気テープにおいて、磁性層の表面ゼータ電位の等電点を5.5以上とすることにより、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制できることを新たに見出した。この理由として本発明者らは、磁性層の表面ゼータ電位の等電点が5.5以上、即ち中性付近〜塩基性のpH領域にある磁気テープは、磁性層表面が削れたとしても削れにより生じた異物がヘッドに固着し難いこと等を推察している。
以上の通り、ヘッド削れの抑制とヘッドへの異物の付着の抑制とによりスペーシングロスの低減が可能になる結果、非磁性層と磁性層との合計厚みを0.60μm以下に薄くした磁気テープにおいて、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制することができると、本発明者らは推察している。ただし上記推察に、本発明は何ら限定されるものではない。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<磁性層>
(磁性層の表面ゼータ電位の等電点)
磁性層の表面ゼータ電位の等電点の測定方法は、先に説明した通りである。かかる測定方法によって求められる表面ゼータ電位の等電点は、磁性層の表面について求められる等電点である。非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下である上記磁気テープにおいて、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制する観点から、磁性層の表面ゼータ電位の等電点は5.5以上であり、5.7以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましい。磁性層の表面ゼータ電位の等電点は、詳細を後述するように、磁性層形成のために使用される成分の種類、磁性層の形成工程等によって制御することができる。制御の容易性等の観点からは、磁性層の表面ゼータ電位の等電点は、7.0以下であることが好ましく、6.7以下であることがより好ましく、6.5以下であることが更に好ましい。
(FIB研磨剤径)
上記磁気テープの磁性層の表面にFIBを照射して取得される2次イオン像から求められるFIB研磨剤径は、0.04μm以上0.08μm以下である。非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下である上記磁気テープにおいて低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下をより一層抑制する観点から、FIB研磨剤径は、0.05μm以上であることが好ましく、0.06μm以上であることがより好ましい。また、同様の観点から、FIB研磨剤径は、0.07μm以下であることが好ましい。FIB研磨剤径を調整するための手段の具体的態様は、後述する。
(強磁性粉末)
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、各種磁気記録媒体の磁性層において通常用いられる強磁性粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましく、40nm以下の強磁性粉末を用いることがより好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることが更に好ましく、20nm以上であることが一層好ましい。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報の段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報の段落0013〜0030および特開2015−127985号公報の段落0029〜0084を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、金属粉末を挙げることもできる。金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141および特開2005−251351号公報の段落0009〜0023を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、ε−酸化鉄粉末を挙げることもできる。ε−酸化鉄粉末の製造方法としては、ゲータイト(goethite)から作製する方法、逆ミセル法等が知られている。上記製造方法は、いずれも公知である。また、Feの一部がGa、Co、Ti、Al、Rh等の置換原子によって置換されたε−酸化鉄粉末を製造する方法については、例えば、J. Jpn. Soc. Powder Metallurgy Vol. 61 Supplement, No. S1, pp. S280−S284、J. Mater. Chem. C, 2013, 1, pp.5200−5206等を参照できる。ただし、上記磁性層において強磁性粉末として使用可能なε−酸化鉄粉末の製造方法は限定されない。
本発明および本明細書において、特記しない限り、強磁性粉末等の各種粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、特記しない限り、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて測定された値である。本発明および本明細書において、粉末とは、複数の粒子の集合を意味する。例えば、強磁性粉末とは、複数の強磁性粒子の集合を意味する。また、複数の粒子の集合とは、集合を構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、後述する結合剤、添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。
粒子サイズ測定のために磁気テープから試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、特記しない限り、粉末を構成する粒子のサイズ(粒子サイズ)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚みまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)の場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、特記しない限り、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚みまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、特記しない限り、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。磁性層において強磁性粉末の充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(結合剤、硬化剤)
上記磁気テープは塗布型の磁気テープであって、磁性層に結合剤を含む。結合剤とは、一種以上の樹脂である。結合剤としては、塗布型磁気記録媒体の結合剤として通常使用される各種樹脂を用いることができる。例えば、結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等を共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルキラール樹脂等から選ばれる樹脂を単独で用いるか、または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、および塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、ホモポリマーでもよく、コポリマー(共重合体)でもよい。これらの樹脂は、後述する非磁性層および/またはバックコート層においても結合剤として使用することができる。
以上の結合剤については、特開2010−24113号公報の段落0028〜0031を参照できる。結合剤として使用される樹脂の平均分子量は、重量平均分子量として、例えば10,000以上200,000以下であることができる。本発明および本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記測定条件により測定された値をポリスチレン換算して求められる値である。後述の実施例に示す結合剤の重量平均分子量は、下記測定条件によって測定された値をポリスチレン換算して求めた値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmID(Inner Diameter)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
一態様では、結合剤として、酸性基を有する結合剤を用いることができる。本発明および本明細書における酸性基とは、水中または水を含む溶媒(水性溶媒)中でHを放出してアニオンに解離可能な基およびその塩の形態を包含する意味で用いるものとする。酸性基の具体例としては、例えば、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシ基、リン酸基、それらの塩の形態等を挙げることができる。例えば、スルホン酸基(−SOH)の塩の形態とは、−SOMで表され、Mが水中または水性溶媒中でカチオンになり得る原子(例えばアルカリ金属原子等)を表す基を意味する。この点は、上記の各種の基の塩の形態についても同様である。酸性基を有する結合剤の一例としては、例えば、スルホン酸基およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸性基を含む樹脂(例えばポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等)を挙げることができる。ただし、磁性層に含まれる樹脂は、これらの樹脂に限定されるものではない。また、酸性基を有する結合剤において、酸性基含有量は、例えば0.03〜0.50meq/gの範囲であることができる。「eq」は、当量( equivalent)であり、SI単位に換算不可の単位である。樹脂に含まれる酸性基等の各種官能基の含有量は、官能基の種類に応じて公知の方法で求めることができる。結合剤は、磁性層形成用組成物中に、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば1.0〜30.0質量部の量で使用することができる。
磁性層の表面ゼータ電位の等電点の制御に関して、磁性層の表層部分における酸性成分の存在量を低減するように磁性層を形成することは、上記等電点の値を大きくすることに寄与すると推察される。また、磁性層の表層部分における塩基性成分の存在量を高めることも、上記等電点の値を大きくすることに寄与すると推察される。酸性成分とは、水中または水性溶媒中でHを放出してアニオンに解離可能な成分およびその塩の形態を包含する意味で用いるものとする。塩基性成分とは、水中または水性溶媒中でOHを放出してカチオンに解離可能な成分およびその塩の形態を包含する意味で用いるものとする。例えば、酸性成分を使用する場合、まず酸性成分を磁性層形成用組成物の塗布層の表層部分に偏在させる処理を行った後に、この表層部分の酸性成分量を低減する処理を行うことは、磁性層の表面ゼータ電位の等電点の値を大きくして5.5以上に制御することにつながると考えられる。例えば、磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に非磁性層を介して塗布する工程において、交流磁場を印加して交流磁場中で塗布を行うことは、磁性層形成用組成物の塗布層の表層部に酸性成分を偏在させることにつながると考えられる。更に、その後にバーニッシュ(burnish)処理を行うことは、偏在させた酸性成分の少なくとも一部を除去することに寄与すると推察される。バーニッシュ処理は、部材(例えば研磨テープ、または研削用ブレード、研削用ホイール等の研削具)により処理対象の表面を擦る処理である。バーニッシュ処理を含む磁性層形成工程について、詳細は後述する。酸性成分としては、例えば酸性基を有する結合剤を挙げることができる。
また、結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤は、一態様では加熱により硬化反応(架橋反応)が進行する化合物である熱硬化性化合物であることができ、他の一態様では光照射により硬化反応(架橋反応)が進行する光硬化性化合物であることができる。硬化剤は、磁性層形成工程の中で硬化反応が進行することにより、少なくとも一部は、結合剤等の他の成分と反応(架橋)した状態で磁性層に含まれ得る。この点は、他の層を形成するために用いられる組成物が硬化剤を含む場合に、この組成物を用いて形成される層についても同様である。好ましい硬化剤は、熱硬化性化合物であり、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報の段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、磁性層の強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で使用することができる。
(酸化物研磨剤)
上記磁気テープは、磁性層に酸化物研磨剤を含む。酸化物研磨剤は、モース硬度8超の非磁性酸化物粉末であり、モース硬度9以上の非磁性酸化物粉末であることが好ましい。なおモース硬度の最大値は10である。酸化物研磨剤は、無機酸化物粉末であっても有機酸化物粉末であってもよく、無機酸化物粉末であることが好ましい。具体的には、研磨剤としては、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の粉末を挙げることができ、中でもアルミナ粉末が好ましい。なおアルミナのモース硬度は約9である。アルミナ粉末については、特開2013−229090号公報の段落0021も参照できる。また、酸化物研磨剤の粒子サイズの指標としては、比表面積を用いることができる。比表面積が大きいほど酸化物研磨剤を構成する粒子の一次粒子の粒子サイズが小さいと考えることができる。酸化物研磨剤としては、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法によって測定された比表面積(以下、「BET比表面積」と記載する。)が14m/g以上の酸化物研磨剤を使用することが好ましい。また、分散性の観点からは、BET比表面積が40m/g以下の酸化物研磨剤を使用することが好ましい。磁性層における酸化物研磨剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜20.0質量部であることが好ましく、1.0〜10.0質量部であることがより好ましい。
(添加剤)
磁性層には、強磁性粉末、結合剤および酸化物研磨剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が更に含まれていてもよい。添加剤としては、一例として、上記の硬化剤が挙げられる。また、磁性層に含まれ得る添加剤としては、酸化物研磨剤以外の非磁性粉末、潤滑剤、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して、または公知の方法で製造して、任意の量で使用することができる。例えば、潤滑剤については、特開2016−126817号公報の段落0030〜0033、0035および0036を参照できる。非磁性層に潤滑剤が含まれていてもよい。非磁性層に含まれ得る潤滑剤については、特開2016−126817号公報の段落0030〜0031、0034、0035および0036を参照できる。分散剤については、特開2012−133837号公報の段落0061および0071を参照できる。分散剤は、非磁性層に含まれていてもよい。非磁性層に含まれ得る分散剤については、特開2012−133837号公報の段落0061を参照できる。
また、分散剤としては、酸化物研磨剤の分散性を高めるための分散剤を挙げることができる。そのような分散剤として機能し得る化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。「フェノール性ヒドロキシ基」とは、芳香環に直接結合したヒドロキシ基をいう。上記芳香族炭化水素化合物に含まれる芳香環は、単環であってもよく、多環構造であってもよく、縮合環であってもよい。酸化物研磨剤の分散性向上の観点からは、ベンゼン環および/またはナフタレン環を含む芳香族炭化水素化合物が好ましい。また、上記芳香族炭化水素化合物は、フェノール性ヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよい。フェノール性ヒドロキシ基以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシアルキル基等を挙げることができ、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基が好ましい。上記芳香族炭化水素化合物1分子中に含まれるフェノール性ヒドロキシ基は、1つであってもよく、2つ、3つ、またはそれ以上であってもよい。
フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素化合物の好ましい一態様としては、下記一般式100で表される化合物を挙げることができる。
[一般式100中、X101〜X108のうちの2つはヒドロキシ基であり、他の6つはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
一般式100で表される化合物において、2つのヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基)の置換位置は特に限定されるものではない。
一般式100で表される化合物において、X101〜X108のうちの2つがヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基)であり、他の6つはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、X101〜X108のうち、2つのヒドロキシ基以外の部分がすべて水素原子であってもよく、一部またはすべてが置換基であってもよい。置換基としては、先に記載した置換基を例示することができる。2つのヒドロキシ基以外の置換基として、1つ以上のフェノール性ヒドロキシ基が含まれていてもよい。酸化物研磨剤の分散性向上の観点からは、X101〜X108のうちの2つのヒドロキシ基以外はフェノール性ヒドロキシ基ではないことが好ましい。即ち、一般式100で表される化合物は、ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体であることが好ましく、2,3−ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体であることがより好ましい。X101〜X108で表される置換基として好ましい置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、アミノ基、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、メトキシ基およびエトキシ基、アシル基、ニトロ基およびニトロソ基、ならびに−CHOH基を挙げることができる。
また、酸化物研磨剤の分散性を高めるための分散剤については、特開2014−179149号公報の段落0024〜0028も参照できる。
酸化物研磨剤の分散性を高めるための分散剤は、磁性層形成用組成物の調製時(好ましくは後述するように研磨剤液の調製時)、研磨剤100.0質量部に対して、例えば0.5〜20.0質量部の割合で使用することができ、1.0〜10.0質量部の割合で使用することが好ましい。
磁性層に含まれ得る酸化物研磨剤以外の非磁性粉末としては、磁性層表面に突起を形成して摩擦特性制御に寄与し得る非磁性粉末(以下、「突起形成剤」とも記載する。)を挙げることができる。突起形成剤としては、一般に磁性層に突起形成剤として使用される各種非磁性粉末を用いることができる。これらは、無機物質の粉末(無機粉末)であっても有機物質の粉末(有機粉末)であってもよい。一態様では、摩擦特性の均一化の観点からは、突起形成剤の粒度分布は、分布中に複数のピークを有する多分散ではなく、単一ピークを示す単分散であることが好ましい。単分散粒子の入手容易性の点からは、突起形成剤は無機粉末であることが好ましい。無機粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粉末を挙げることができる。突起形成剤を構成する粒子は、コロイド粒子であることが好ましく、無機酸化物コロイド粒子であることがより好ましい。また、単分散粒子の入手容易性の観点からは、無機酸化物コロイド粒子を構成する無機酸化物は二酸化ケイ素(シリカ)であることが好ましい。無機酸化物コロイド粒子は、コロイダルシリカ(シリカコロイド粒子)であることがより好ましい。本発明および本明細書において、「コロイド粒子」とは、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンもしくは酢酸エチル、または上記溶媒の二種以上を任意の混合比で含む混合溶媒の少なくとも1つの有機溶媒100mLあたり1g添加した際に、沈降せず分散しコロイド分散体をもたらすことのできる粒子をいうものとする。他の一態様では、突起形成剤は、カーボンブラックであることも好ましい。突起形成剤の平均粒子サイズは、例えば30〜300nmであることができ、40〜200nmであることが好ましい。また、突起形成剤がその機能をより良好に発揮し得るという観点から、磁性層における突起形成剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、1.0〜4.0質量部であることが好ましく、1.5〜3.5質量部であることがより好ましい。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体表面上に非磁性層を介して設けられる。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。上記磁気テープは、非磁性支持体表面上に非磁性層を有し、非磁性層上に磁性層を有する。非磁性層は、少なくとも非磁性粉末および結合剤を含む。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機粉末でも有機粉末でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機粉末としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粉末が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報の段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報の段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細については、非磁性層に関する公知技術を適用できる。また、例えば、結合剤の種類および含有量、添加剤の種類および含有量等に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
本発明および本明細書において、非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体(以下、単に「支持体」とも記載する。)について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリアミドが好ましい。これらの支持体には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理等を行ってもよい。
<バックコート層>
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有してもよく、有さなくてもよい。バックコート層には、カーボンブラックおよび無機粉末の一方または両方が含有されていることが好ましい。バックコート層に含まれる結合剤、任意に含まれ得る各種添加剤については、バックコート層に関する公知技術を適用することができ、磁性層および/または非磁性層の処方に関する公知技術を適用することもできる。例えば、特開2006−331625号公報の段落0018〜0020および米国特許第7,029,774号明細書の第4欄65行目〜第5欄38行目の記載を、バックコート層について参照できる。
<各種厚み>
上記磁気テープの非磁性層と磁性層との合計厚みは、磁気テープの薄型化の観点から、0.60μm以下であり、好ましくは0.50μm以下である。また、非磁性層と磁性層との合計厚みは、例えば0.10μm以上、0.15μm以上または0.20μm以上であることができる。
上記磁気テープの非磁性支持体の厚みは、好ましくは3.00〜5.50μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量、ヘッドギャップ長、記録信号の帯域等に応じて最適化することができる。磁性層の厚みは、一般には0.01μm〜0.15μmであり、高密度記録化の観点から、好ましくは0.02μm〜0.12μmであり、更に好ましくは0.03μm〜0.10μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。2層以上に分離する場合の磁性層の厚みとは、これらの層の合計厚みとする。
非磁性層の厚みは、例えば0.10〜0.55μmであり、0.10〜0.50μmであることが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下であることが好ましく、0.10〜0.70μmの範囲であることが更に好ましい。
また、磁気テープの総厚は、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量向上の観点から、7.000μm以下であることが好ましく、6.00μm以下であることがより好ましく、5.50μm以下であることが更に好ましい。一方、磁気テープの取り扱いの容易性(ハンドリング性)等の観点からは、磁気テープの総厚は3.00μm以上であることが好ましい。
磁気テープの各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡によって断面観察を行う。断面観察において任意の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<製造工程>
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程を含むことができる。個々の工程はそれぞれ二段階以上に分かれていてもかまわない。各層形成用組成物の調製に用いられる成分は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。溶媒としては、塗布型磁気記録媒体の製造に通常用いられる各種溶媒の一種または二種以上を用いることができる。溶媒については、例えば特開2011−216149号公報の段落0153を参照できる。また、個々の成分を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、結合剤を混練工程、分散工程および分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。上記磁気テープを製造するためには、従来の公知の製造技術を各種工程において用いることができる。混練工程では、オープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダ等の強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報および特開平1−79274号公報を参照できる。分散機は公知のものを使用することができる。各層形成用組成物を調製する任意の段階において、公知の方法によってろ過を行ってもよい。ろ過は、例えばフィルタろ過によって行うことができる。ろ過に用いるフィルタとしては、例えば孔径0.01〜3μmのフィルタ(例えばガラス繊維製フィルタ、ポリプロピレン製フィルタ等)を用いることができる。
FIB研磨剤径は、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させることによって値が小さくなる傾向がある。磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させるための手段の1つとしては、先に記載したように酸化物研磨剤の分散性を高めることができる分散剤の使用を挙げることができる。また、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させるためには、粒子サイズの小さな酸化物研磨剤を使用し、酸化物研磨剤の凝集を抑制し、かつ偏在を抑制して均一に磁性層に分散させることが好ましい。そのための手段の1つとしては、磁性層形成用組成物調製時の酸化物研磨剤の分散条件を強化することが挙げられる。例えば、酸化物研磨剤を強磁性粉末と別分散することは、分散条件強化の一態様である。別分散とは、より詳しくは、酸化物研磨剤および溶媒を含む研磨剤液(但し、強磁性粉末を実質的に含まない)を強磁性粉末、溶媒および結合剤を含む磁性液と混合する工程を経て磁性層形成用組成物を調製する方法である。このように酸化物研磨剤と強磁性粉末とを別分散した後に混合することにより、磁性層形成用組成物における酸化物研磨剤の分散性を高めることができる。上記の「強磁性粉末を実質的に含まない」とは、研磨剤液の構成成分として強磁性粉末を添加しないことを意味するものであって、意図せず混入した不純物として微量の強磁性粉末が存在することは許容されるものとする。また、別分散のほかに、または別分散とともに、長時間の分散処理、サイズの小さな分散メディアの使用(例えばビーズ分散における分散ビーズの小径化)、分散機における分散メディアの高充填化等の手段を任意に組み合わせることにより、分散条件を強化することができる。分散機および分散メディアは市販のものを使用できる。また、研磨剤液の遠心分離処理を行うことは、酸化物研磨剤を構成する粒子の中で平均的な粒子サイズより大きい粒子および/または凝集した粒子を除去することにより、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させることに寄与し得る。遠心分離処理は、市販の遠心分離機を用いて行うことができる。また、研磨剤液をフィルタろ過等によってろ過することは、酸化物研磨剤を構成する粒子が凝集した粗大な凝集体を除去するために好ましい。そのような粗大な凝集体を除去することも、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させることに寄与し得る。例えば、より孔径の小さなフィルタを用いてフィルタろ過することは、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させることに寄与し得る。また、研磨剤液を強磁性粉末等の磁性層形成用組成物を調製するための成分と混合した後の各種処理条件(例えば撹拌条件、分散処理条件、ろ過条件等)を調整することにより、磁性層形成用組成物における酸化物研磨剤の分散性を高めることができる。このことも、磁性層において酸化物研磨剤をより微細な状態で存在させることに寄与し得る。ただし、磁性層において酸化物研磨剤を極めて微細な状態で存在させるとFIB研磨剤径が0.04μmを下回ってしまうため、研磨剤液調製のための各種条件は、0.04μm以上0.08μm以下のFIB研磨剤径を実現できるように調整することが好ましい。
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次もしくは同時に非磁性支持体表面上に重層塗布して乾燥させることにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報の段落0066を参照できる。また、磁性層形成用組成物の塗布を交流磁場中で行うことは、磁性層の表面ゼータ電位の等電点を5.5以上に制御することに寄与し得る。これは、交流磁場が印加されることにより、磁性層形成用組成物の塗布層の表層部分に酸性成分(例えば酸性基を有する結合剤)が偏在しやすくなるため、この塗布層を乾燥させることにより、表層部分に酸性成分が偏在した磁性層が得られるからではないかと推察される。更に、その後にバーニッシュ処理を行うことは、偏在させた酸性成分の少なくとも一部を除去して磁性層の表面ゼータ電位の等電点を5.5以上に制御することに寄与すると推察される。ただし以上は推察に過ぎない。交流磁場の印加は、磁性層形成用組成物の塗布層の表面に対して垂直に交流磁場が印加されるように、塗布装置に磁石を配置して行うことができる。交流磁場の磁場強度は、例えば0.05〜3.00T程度とすることができる。ただし、この範囲に限定されるものではない。なお本発明および本明細書における「垂直」とは、必ずしも厳密な意味の垂直のみを意味するものではなく、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。誤差の範囲とは、例えば、厳密な垂直±10°未満の範囲を意味することができる。
バーニッシュ処理は、部材(例えば研磨テープ、または研削用ブレード、研削用ホイール等の研削具)により処理対象の表面を擦る処理であり、塗布型磁気記録媒体製造のために公知のバーニッシュ処理と同様に行うことができる。バーニッシュ処理は、好ましくは、研磨テープによって処理対象の表面を擦る(研磨する)こと、研削具によって処理対象の表面を擦る(研削する)ことの一方または両方を行うことにより、実施することができる。研磨テープとしては、市販品を用いてもよく、公知の方法で作製した研磨テープを用いてもよい。また、研削具としては、固定式ブレード、ダイヤモンドホイール、回転式ブレード等の公知の研削用ブレード、研削用ホイール等を用いることができる。また、研磨テープおよび/または研削具によって擦られた表面をワイピング材によって拭き取るワイピング(wiping)処理を行ってもよい。好ましい研磨テープ、研削具、バーニッシュ処理およびワイピング処理の詳細については、特開平6−52544号公報の段落0034〜0048、図1および同公報の実施例を参照できる。バーニッシュ処理を強化するほど、交流磁場中で塗布を行うことにより磁性層形成用組成物の塗布層の表層部分に偏在させた酸性成分を多く除去することができると考えられる。バーニッシュ処理は、研磨テープに含まれる研磨剤として高硬度な研磨剤を用いるほど強化することができ、研磨テープ中の研磨剤量を増やすほど強化することができる。また、研削具として高硬度な研削具を用いるほどバーニッシュ処理を強化することができる。バーニッシュ処理条件に関しては、処理対象の表面と部材(例えば研磨テープまたは研削具)との摺動速度を速くするほど、バーニッシュ処理を強化することができる。上記摺動速度は、部材を移動させる速度および処理対象の磁気テープを移動させる速度の一方または両方を速くすることにより、速くすることができる。なお、理由は明らかではないものの、磁性層形成用組成物の塗布層中の酸性基を有する結合剤の量が多いほど、バーニッシュ処理後に磁性層の表面ゼータ電位の等電点が高くなる傾向が見られる場合もある。
磁性層形成用組成物が硬化剤を含む場合、磁性層形成のための工程のいずれかの段階において硬化処理を施すことが好ましい。バーニッシュ処理は、少なくとも、硬化処理の前に行うことが好ましい。硬化処理後に更にバーニッシュ処理を行ってもよい。磁性層形成用組成物の塗布層の表層部分から酸性成分を除去する除去効率を高めるうえで、硬化処理前にバーニッシュ処理を行うことは好ましいと考えられる。硬化処理は、磁性層形成用組成物に含まれる硬化剤の種類に応じて、加熱処理、光照射等の処理によって行うことができる。硬化処理条件は特に限定されるものではなく、磁性層形成用組成物の処方、硬化剤の種類、塗布層の厚み等に応じて適宜設定すればよい。例えば、硬化剤としてポリイソシアネートを含む磁性層形成用組成物を用いて塗布層を形成した場合には、硬化処理は加熱処理であることが好ましい。なお磁性層形成用組成物の塗布層以外の層に硬化剤が含まれる場合、その層の硬化反応も併せて進行させることもできる。または別途、硬化処理を行うこともできる。
好ましくは上記硬化処理の前に、表面平滑化処理を行うことができる。表面平滑化処理は、磁性層表面および/またはバックコート層表面の平滑性を高めるために行われる処理であり、カレンダ処理によって行うことが好ましい。カレンダ処理の詳細については、例えば特開2010−231843号公報の段落0026を参照できる。
磁気テープの製造のためのその他の各種工程については、公知技術を適用できる。各種工程については、例えば特開2010−231843号公報の段落0067〜0070を参照できる。磁性層形成用組成物の塗布層には、一態様では、この塗布層が湿潤(未乾燥)状態にあるうちに配向処理を施すことができる。配向処理については、特開2010−231843号公報の段落0067の記載をはじめとする各種公知技術を適用することができる。例えば、垂直配向処理は、異極対向磁石を用いる方法等の公知の方法によって行うことができる。配向ゾーンでは、乾燥風の温度、風量および/または配向ゾーンにおける磁気テープの搬送速度によって塗布層の乾燥速度を制御することができる。また、配向ゾーンに搬送する前に塗布層を予備乾燥させてもよい。配向処理を行う場合には、交流磁場中で塗布された磁性層形成用組成物の塗布層に対して、強磁性粉末を配向させるための磁場(例えば直流磁場)の印加を行うことが好ましい。
以上により、本発明の一態様にかかる磁気テープを得ることができる。磁気テープは、通常、磁気テープカートリッジに収容され、磁気テープカートリッジが磁気テープ装置に装着される。磁気テープの磁性層には、磁気テープ装置においてヘッドトラッキングサーボを行うことを可能とするために、公知の方法によってサーボパターンを形成することもできる。
上記磁気テープは、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下であるものの、低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下を抑制することが可能である。一態様では、低温高湿環境とは、例えば雰囲気温度10〜20℃かつ相対湿度70〜90%の環境であることができる。
[磁気テープカートリッジ]
本発明の一態様は、上記磁気テープを含む磁気テープカートリッジに関する。
磁気テープカートリッジでは、一般に、カートリッジ本体内部に磁気テープがリールに巻き取られた状態で収容されている。リールは、カートリッジ本体内部に回転可能に備えられている。磁気テープカートリッジとしては、カートリッジ本体内部にリールを1つ具備する単リール型の磁気テープカートリッジおよびカートリッジ本体内部にリールを2つ具備する双リール型の磁気テープカートリッジが広く用いられている。単リール型の磁気テープカートリッジは、磁気テープへの情報(磁気信号)の記録および/または再生のために磁気テープ装置(ドライブ)に装着されると、磁気テープカートリッジから磁気テープが引き出されてドライブ側のリールに巻き取られる。磁気テープカートリッジから巻き取りリールまでの磁気テープ搬送経路には、磁気ヘッドが配置されている。磁気テープカートリッジ側のリール(供給リール)とドライブ側のリール(巻き取りリール)との間で、磁気テープの送り出しと巻き取りが行われる。この間、磁気ヘッドと磁気テープの磁性層表面とが接触し摺動することにより、情報の記録および/または再生が行われる。これに対し、双リール型の磁気テープカートリッジは、供給リールと巻き取りリールの両リールが、磁気テープカートリッジ内部に具備されている。上記磁気テープカートリッジは、単リール型および双リール型のいずれの磁気テープカートリッジであってもよい。上記磁気テープカートリッジは、本発明の一態様にかかる磁気テープを含むものであればよく、その他については公知技術を適用することができる。
[磁気テープ装置]
本発明の一態様は、上記磁気テープと、磁気ヘッドと、を含む磁気テープ装置に関する。
本発明および本明細書において、「磁気テープ装置」とは、磁気テープへの情報の記録および磁気テープに記録された情報の再生の少なくとも一方を行うことができる装置を意味するものとする。かかる装置は、一般にドライブと呼ばれる。上記磁気テープ装置は、摺動型の磁気テープ装置であることができる。摺動型の装置とは、磁気テープへの情報の記録および/または記録された情報の再生を行う際に磁性層表面と磁気ヘッドとが接触し摺動する装置をいう。
上記磁気テープ装置に含まれる磁気ヘッドは、磁気テープへの情報の記録を行うことができる記録ヘッドであることができ、磁気テープに記録された情報の再生を行うことができる再生ヘッドであることもできる。また、上記磁気テープ装置は、一態様では、別々の磁気ヘッドとして、記録ヘッドと再生ヘッドの両方を含むことができる。他の一態様では、上記磁気テープに含まれる磁気ヘッドは、記録素子と再生素子の両方を1つの磁気ヘッドに備えた構成を有することもできる。再生ヘッドとしては、磁気テープに記録された情報を感度よく読み取ることができる磁気抵抗効果型(MR;Magnetoresistive)素子を再生素子として含む磁気ヘッド(MRヘッド)が好ましい。MRヘッドとしては、公知の各種MRヘッドを用いることができる。また、情報の記録および/または情報の再生を行う磁気ヘッドには、サーボパターン読み取り素子が含まれていてもよい。または、情報の記録および/または情報の再生を行う磁気ヘッドとは別のヘッドとして、サーボパターン読み取り素子を備えた磁気ヘッド(サーボヘッド)が上記磁気テープ装置に含まれていてもよい。
上記磁気テープ装置において、磁気テープへの情報の記録および/または磁気テープに記録された情報の再生は、磁気テープの磁性層表面と磁気ヘッドとを接触させて摺動させることにより行うことができる。上記磁気テープ装置は、本発明の一態様にかかる磁気テープを含むものであればよく、その他については公知技術を適用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。また、以下に記載の工程および評価は、特記しない限り、雰囲気温度23℃±1℃の環境において行った。
以下に記載の「結合剤A」は、SONa基含有ポリウレタン樹脂(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.20meq/g)である。
以下に記載の「結合剤B」は、カネカ社製塩化ビニル共重合体(商品名:MR110、SOK基含有塩化ビニル共重合体、SOK基:0.07meq/g)である。
[磁気テープの作製]
<実施例1>
(1)アルミナ分散物の調製
表1に示す酸化物研磨剤(アルミナ粉末)100.0部に対し、表1に示す量の2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成社製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡社製UR−4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶媒はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒)31.3部、溶媒としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ(ビーズ径:0.1mm)存在下で、ペイントシェーカーにより、表1に示す時間(ビーズ分散時間)、分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分離して得られた分散液の遠心分離処理を実施した。遠心分離処理は、遠心分離機として日立工機社製CS150GXL(使用ローターは同社製S100AT6)を使用し、表1に示す回転数(rpm;rotation per minute)で表1に示す時間(遠心分離時間)、実施した。その後、表1に示す孔径のフィルタでろ過を行い、アルミナ分散物(研磨剤液)を得た。
(2)磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末 100.0部
平均粒子サイズ(平均板径)21nmの六方晶バリウムフェライト粉末
結合剤Aおよび/または結合剤B(表1参照) 表1参照
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記(1)で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル(突起形成剤液))
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ:120nm) 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他成分)
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
ポリイソシアネート(東ソー社製コロネート(登録商標)) 2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
(3)非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
結合剤A 18.0部
ステアリン酸 2.0部
ステアリン酸アミド 0.2部
ブチルステアレート 2.0部
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
(4)バックコート層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 80.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
塩化ビニル共重合体 13.0部
スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂 6.0部
フェニルホスホン酸 3.0部
メチルエチルケトン 155.0部
ポリイソシアネート 5.0部
シクロヘキサノン 355.0部
(5)各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。
上記磁性液の各種成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散(ビーズ分散)することにより、磁性液を調製した。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
こうして得られた磁性液、上記の研磨剤液、シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒をディゾルバー撹拌機に導入し、周速10m/秒で表1に示す時間(撹拌時間)、撹拌した。その後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で表1に示す時間(超音波処理時間)、超音波分散処理を行った後に、表1に示す孔径のフィルタで表1に示す回数ろ過して磁性層形成用組成物を調製した。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミドおよびブチルステアレート)、シクロヘキサノンおよびメチルエチルケトンを除いた各成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散して分散液を得た。分散ビーズとしては、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバー撹拌機で撹拌した。こうして得られた分散液を0.5μmの孔径を有するフィルタを用いてろ過し非磁性層形成用組成物を調製した。
バックコート層形成用組成物を、以下の方法により調製した。
ポリイソシアネートおよびシクロヘキサノンを除いた各成分をオープンニーダにより混練および希釈した後、横型ビーズミル分散機により、ビーズ径1mmのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80体積%およびローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバー撹拌機で撹拌した。こうして得られた分散液を1μmの孔径を有するフィルタを用いてろ過しバックコート層形成用組成物を調製した。
(6)磁気テープの作製方法
厚み5.00μmのポリエチレンナフタレート製支持体の表面上に、乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記(5)で調製した非磁性層形成用組成物を塗布および乾燥させて非磁性層を形成した。
次いで、交流磁場印加用の磁石を配置した塗布装置において、非磁性層の表面上に乾燥後の厚みが表1に示す厚みになるように上記(5)で調製した磁性層形成用組成物を、交流磁場(磁場強度:0.15T)を印加しながら塗布して塗布層を形成した。交流磁場の印加は、塗布層の表面に対して垂直に交流磁場が印加されるように行った。その後、磁性層形成用組成物の塗布層が湿潤(未乾燥)状態にあるうちに、磁場強度0.30Tの直流磁場を塗布層の表面に対し垂直に印加して垂直配向処理を行った。その後、乾燥させて磁性層を形成した。
その後、上記ポリエチレンナフタレート製支持体の非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対側の表面上に、乾燥後の厚みが0.50μmになるように上記(5)で調製したバックコート層形成用組成物を塗布および乾燥させてバックコート層を形成した。
こうして得られた磁気テープを1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットした後、磁性層表面のバーニッシュ処理およびワイピング処理を行った。バーニッシュ処理およびワイピング処理は、特開平6−52544号公報の図1に記載の構成の処理装置において、研磨テープとして市販の研磨テープ(富士フイルム社製商品名MA22000、研磨剤:ダイヤモンド/Cr/ベンガラ)を使用し、研削用ブレードとして市販のサファイヤブレード(京セラ社製、幅5mm、長さ35mm、先端角度60度)を使用し、ワイピング材として市販のワイピング材(クラレ社製商品名WRP736)を使用して行った。処理条件は、特開平6−52544号公報の実施例12における処理条件を採用した。
上記バーニッシュ処理およびワイピング処理後、金属ロールのみから構成されるカレンダロールで、速度80m/分、線圧300kg/cm(294kN/m)、カレンダ温度(カレンダロールの表面温度)100℃にてカレンダ処理(表面平滑化処理)を行った。
その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間加熱処理(硬化処理)を行った後、市販のサーボライターによって磁性層にサーボパターンを形成した。
以上により、実施例1の磁気テープを得た。
<実施例2〜6、比較例1〜7、参考例1、2>
表1に示すように各種条件を変更した点以外、実施例1と同様の方法で磁気テープを作製した。
表1中、塗布中の交流磁場印加の欄およびバーニッシュ処理の欄に「あり」と記載されている実施例2〜6、比較例3および比較例5では、実施例1と同様の方法により磁性層形成用組成物の塗布工程以降の工程を実施した。即ち、実施例1と同じく磁性層形成用組成物の塗布中に交流磁場の印加を行い、かつ磁性層に対してバーニッシュ処理およびワイピング処理を行った。
これに対し、バーニッシュ処理の欄に「なし」と記載されている比較例7では、磁性層に対してバーニッシュ処理およびワイピング処理を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法により磁性層形成用組成物の塗布工程以降の工程を実施した。
塗布中の交流磁場印加の欄に「なし」と記載されている比較例6では、交流磁場の印加を行わない点以外は実施例1と同様の方法により磁性層形成用組成物の塗布工程以降の工程を実施した。
塗布中の交流磁場印加の欄およびバーニッシュ処理の欄に「なし」と記載されている比較例1、比較例2、比較例4、参考例1および参考例2では、交流磁場の印加を行わず、かつ磁性層に対してバーニッシュ処理およびワイピング処理を行わなかった点以外、実施例1と同様の方法により磁性層形成用組成物の塗布工程以降の工程を実施した。
実施例、比較例および参考例の各磁気テープの各層の厚みおよび非磁性支持体の厚みを以下の方法により求め、非磁性層の厚みおよび磁性層の厚みが表1に記載の厚みであることならびにバックコート層および非磁性支持体の厚みが上記厚みであることを確認した。
磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビームにより露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡によって断面観察を行った。断面観察において無作為に抽出した2箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めた。
[磁気テープの物性評価]
(1)磁性層の表面ゼータ電位の等電点
実施例、比較例および参考例の各磁気テープから等電点測定用のサンプルを6つ切り出し、1回の測定において2つのサンプルを測定セル内に配置した。測定セル内では、測定セルの上下のサンプル台(それぞれサンプル設置面のサイズは1cm×2cm)に両面テープでサンプル設置面とサンプルのバックコート層表面とを貼り合わせた。これにより、測定セル内に電解液を流すと、サンプルの磁性層表面が電解液と接触するため、磁性層の表面ゼータ電位を測定することができる。各測定においてサンプルを2つ用いて、合計3回測定を行い、磁性層の表面ゼータ電位の等電点を求めた。得られた3つの値の算術平均を、各磁気テープの磁性層の表面ゼータ電位の等電点として、表1に示す。表面ゼータ電位測定装置としては、Anton Paar社製SurPASSを使用した。測定条件は、以下の通りとした。等電点を求める方法のその他詳細は、先に記載した通りである。
測定セル:可変ギャップセル (20mm×10mm)
測定モード:Streaming Current
ギャップ:約200μm
測定温度:室温
Ramp Target Pressure/Time:400000Pa(400mbar)/60秒
電解液:1mmol/LのKCl水溶液(pH9に調整)
pH調整液:0.1mol/LのHCl水溶液または0.1mol/LのKOH水溶液
測定pH:pH9→pH3(約0.5刻みで合計13測定点で測定)
(2)FIB研磨剤径
実施例、比較例および参考例の各磁気テープのFIB研磨剤径を、以下の方法により求めた。集束イオンビーム装置としては、日立ハイテクノロジーズ社製MI4050を使用し、画像解析ソフトとしては、フリーソフトのImageJを使用した。
(i)2次イオン像の取得
各磁気テープから切り出した測定用サンプルのバックコート層表面を、市販のSEM測定用カーボン両面テープ(アルミニウム製基材上にカーボン膜が形成された両面テープ)の粘着層に貼り付けた。この両面テープのバックコート層表面と貼り付けた表面とは反対の表面上の粘着層を、集束イオンビーム装置の試料台に貼り付けた。こうして、測定用サンプルを、磁性層表面を上方に向けて集束イオンビーム装置の試料台上に配置した。
撮像前コーティング処理を行わず、集束イオンビーム装置のビーム設定を、加速電圧30kV、電流値133pA、BeamSize30nmおよびBrightness50%に設定し、2次イオン検出器によりSI信号を検出した。磁性層表面の未撮像領域3箇所においてACBを実施することにより画像の色味を安定させ、コントラスト基準値およびブライトネス基準値を決定した。本ACBにより決定されたコントラスト基準値から1%下げたコントラスト値および上記のブライトネス基準値を、撮像条件として決定した。磁性層表面の未撮像領域を選択し、上記で決定された撮像条件下で、Pixel distance=25.0(nm/pixel)にて撮像を実施した。画像取り込み方式は、PhotoScan Dot×4_Dwell Time 15μsec(取り込み時間:1分)とし、取り込みサイズは25μm角とした。こうして、磁性層表面の25μm角の領域の2次イオン像を得た。得られた2次イオン像は、スキャン終了後、取り込み画面上でマウスを右クリックし、ExportImageでファイル形式をJPEGとして保存した。画像の画素数が2000pixel×2100pixelであることを確認し、取り込み画像のクロスマークおよびミクロンバーを消し、2000pixel×2000pixel画像とした。
(ii)FIB研磨剤径の算出
上記(i)で取得した2次イオン像の画像データを、画像解析ソフトImageJにドラッグおよびドロップした。
画像解析ソフトを用いて、画像データを8bitに色調変更した。具体的には、画像解析ソフトの操作メニューのImageを押し、Typeの8bitを選択した。
2値化処理するために、下限値250諧調、上限値255諧調を選択し、これら2つの閾値による2値化処理を実行した。具体的には、画像解析ソフトの操作メニュー上、Imageを押し、AdjustのThresholdを選択し、下限値250、上限値255を選択した後にapplyを選択した。得られた画像について、画像解析ソフトの操作メニューのProcessを押し、NoiseからDespeckleを選択し、AnalyzeParticleでSize4.0−Infinityを設定してノイズ成分の除去を行った。
こうして得られた2値化処理画像について、画像解析ソフトの操作メニューからAnalyzeParticleを選択し、画像上の白く光る部分の個数およびArea(単位:Pixel)を求めた。面積は、画像解析ソフトにより画面上の白く光る各部分について、Area(単位:Pixel)を面積に変換して求めた。具体的には、上記撮像条件により得られた画像において、1pixelは0.0125μmに相当するため、面積A=Area pixel×0.0125^2により、面積A[μm]を算出した。こうして算出された面積を用いて、円相当径L=(A/π)^(1/2)×2=Lにより、白く光る各部分について円相当径Lを求めた。
以上の工程を、測定用サンプルの磁性層表面の異なる箇所(25μm角)において4回実施し、得られた結果から、FIB研磨剤径を、FIB研磨剤径=Σ(Li)/Σiにより算出した。
[低温高湿環境下での繰り返し再生後の電磁変換特性(SNR;Signal−to−Noise−Ratio)の変化(SNR低下量)]
電磁変換特性(SNR)は、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて以下の方法により測定した。
記録は、ヘッド/テープ相対速度を5.5m/秒とし、MIG(Metal−In−Gap)ヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各磁気テープの最適記録電流に設定して行った。
再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μmおよびリード幅0.5μmのGMR(Giant−Magnetoresistive)ヘッドを用いた。270kfciの線記録密度で信号の記録を行い、再生信号をシバソク社製のスペクトラムアナライザーで測定した。なお単位kfciとは、線記録密度の単位(SI単位系に換算不可)である。信号は、磁気テープの走行開始後に信号が十分に安定した部分を使用した。キャリア信号の出力値と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をSNRとした。
以上の条件で、1パスあたりのテープ長を1,000mとして、雰囲気温度13℃相対湿度80%の環境において8,000パス往復走行させて再生(ヘッド/テープ相対速度:8.0m/秒)を行いSNRを測定した。1パス目のSNRと8,000パス目のSNRとの差分(8,000パス目のSNR−1パス目のSNR)を求めた。差分が−2.0dB未満であれば、データバックアップテープに望まれる優れた電磁変換特性を示す磁気テープと判断することができる。
以上の結果を、表1(表1−1および表1−2)に示す。
参考例と比較例との対比により、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm超の場合(参考例1および参考例2)と比べ、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下の場合(比較例1〜7)では、低温高湿環境下での繰り返し再生において電磁変換特性の低下が顕著であることが確認された。
これに対し、表1に示されている結果から、実施例1〜6の磁気テープによれば、非磁性層と磁性層との合計厚みが0.60μm以下であるものの、比較例1〜7の磁気テープと比べて低温高湿環境下での繰り返し再生における電磁変換特性の低下が抑制できたことが確認できる。
本発明の一態様は、データストレージ用磁気テープ等の各種磁気記録媒体の技術分野において有用である。

Claims (8)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末を含む非磁性層を有し、
    前記非磁性層上に強磁性粉末を含む磁性層を有する磁気テープであって、
    前記非磁性層と前記磁性層との合計厚みは0.60μm以下であり、
    前記磁気テープの総厚は5.50μm以下であり、
    前記磁性層の表面ゼータ電位の等電点は5.5以上7.0以下であり、
    前記磁性層は酸化物研磨剤を含み、かつ
    前記磁性層の表面に集束イオンビームを照射して取得される2次イオン像から求められる前記酸化物研磨剤の平均粒子直径は0.04μm以上0.08μm以下である、磁気テープ。
  2. 前記磁性層は、酸性基を有する結合剤を含む、請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記酸性基は、スルホン酸基およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸性基である、請求項に記載の磁気テープ。
  4. 前記酸化物研磨剤は、アルミナ粉末である、請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記非磁性層と前記磁性層との合計厚みは、0.15μm以上0.60μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記非磁性支持体の前記磁性層を有する表面側とは反対の表面側に、非磁性粉末を含むバックコート層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気テープを含む磁気テープカートリッジ。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気テープと、磁気ヘッドと、を含む磁気テープ装置。
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