JP6841409B2 - 整腸剤、抗アレルギー剤、免疫増強剤、乳酸菌の腸管接着性向上剤 - Google Patents

整腸剤、抗アレルギー剤、免疫増強剤、乳酸菌の腸管接着性向上剤 Download PDF

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Description

本発明は、整腸剤、抗アレルギー剤、免疫増強剤及び乳酸菌の腸管接着性向上剤に関する。
動物の腸管において乳酸菌の増殖を促進すると、病原菌の侵入や有害菌の増殖を抑制できること、このような整腸作用は、下痢や便秘の改善や予防につながることはよく知られている。乳酸菌が腸管へ定着して増殖する為には、腸管における乳酸菌の付着(接着)が非常に重要であると考えられている。
更に近年、乳酸菌は抗アレルギー作用とも関係することが報告されてきている。
人の免疫システムは複数種のT細胞が司令塔の役割を果たしている。T細胞としては、主としてIgA抗体産生を促し細胞性免疫を活性化させるTh1細胞と、I型アレルギーを引き起こすIgE抗体産生を促進させて液性免疫を活性化させるTh2細胞とが知られている。このTh1細胞とTh2細胞とはお互いに抑制しあい、Th1細胞よりTh2細胞が優位に働くとアレルギー症状がおこりやすい。
腸管には体内の免疫細胞の7割が集中して存在しているとされ、体の免疫システムの主要な役割を果たしている。この腸管免疫に乳酸菌が重要な働きをすることが解明されてきている。例えば乳酸菌の菌体成分は、腸管においてマクロファージや樹状細胞のサイトカイン分泌を促進し、これによりTh1細胞の働きを活発化することや、IgA抗体産生を促すことが知られている。これによりTh2細胞の働きが抑制されてIgE抗体産生が抑制され、アレルギーが改善されると考えられている。乳酸菌(及びその菌体成分)の腸管への接着は、このような腸管免疫刺激作用やそれに伴う抗アレルギー作用を高めるためにも非常に重要と考えられている。
従って、乳酸菌の腸管接着性を向上させる経口剤を用い、乳酸菌の腸管接着を促すことができれば整腸並びに抗アレルギーの予防及び改善が期待できる。そのような経口剤には安全性が高いことや安価に入手できることが求められるが、その開発は進んでおらず、患者・消費者の多様なニーズに十分に答えられていない。
一方、花の抽出物は、健康食品等に利用され、これまで種々の作用が検討されているが(例えば特許文献1)、新たな用途が求められている。
特開 2003-055249号公報
従って、本発明の課題は、新たな乳酸菌の腸管接着性向上剤、整腸剤、抗アレルギー剤及び免疫増強剤を提供することにある。
本発明者らは、乳酸菌の腸管接着性を高めることができる物質について鋭意検討した。その結果、安価且つ安全に入手可能な素材として、特定の花の抽出物を用いることで乳酸菌の腸管接着性を高めることができることを見出した。
本発明は前記知見に基づくものであり、ミソハギ科(Lythraceae)、キク科(Asteraceae)、マメ科(Fabaceae)、バラ科(Rosaceae)又はアヤメ科(Iridaceae)の花の抽出物を含有する整腸剤を提供するものである。
また本発明は、ミソハギ科(Lythraceae)、キク科(Asteraceae)、マメ科(Fabaceae)、バラ科(Rosaceae)又はアヤメ科(Iridaceae)の花の抽出物を含有する抗アレルギー剤、免疫増強剤及び乳酸菌の腸管接着性向上剤を提供するものである。
本発明によれば、安全に摂取でき、安価に入手でき、且つ乳酸菌の腸管接着性向上作用に優れた整腸剤、抗アレルギー剤、免疫増強剤及び乳酸菌の腸管接着性向上剤が提供される。
また、本発明によれば、特定の花エキスは乳酸菌の腸管接着性が高いことから、これを経口摂取することにより腸管における乳酸菌の作用を高めることができ、ダイエット、美容、健康増進に優れた効果が期待できる。
図1は、実施例1〜5及び比較例1の剤による腸管接着作用を評価した結果を示すグラフである。 図2は、実施例6〜10及び比較例1の剤による腸管接着作用を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の剤は、ミソハギ科(Lythraceae)、キク科(Asteraceae)、マメ科(Fabaceae)、バラ科(Rosaceae)又はアヤメ科(Iridaceae)の花(以下、特定の花ともいう)の抽出物を含有するものである。以下の説明は特に断らない限り、本発明の整腸剤、抗アレルギー剤、免疫増強剤及び乳酸菌の腸管接着性向上剤のいずれにも当てはまる。
(花の抽出物)
本発明は、ミソハギ科(Lythraceae)、キク科(Asteraceae)、マメ科(Fabaceae)、バラ科(Rosaceae)又はアヤメ科(Iridaceae)の花を用いることにより乳酸菌の腸管接着性を効果的に高めることができる。
ミソハギ科としては、ザクロ(柘榴、石榴)が好ましく挙げられる。ザクロは、ミソハギ科ザクロ属に属する落葉高木であり、学名をPunica granatumという。
キク科としては、ベニバナ(紅花)及びキク(菊)が好ましく挙げられる。ベニバナは、キク科ベニバナ属の一年草又は越年草をいう。学名をCarthamus tinctorius という。
またキクは、キク科キク属(Chrysanthemum)の植物である。キクとしては、キク科キク属のキク(学名:Chrysanthemum morifolium Ramatulle)又はシマカンギク(学名:Chrysanthemum indicum Linne)が好ましく挙げられる。
マメ科としては、クズ(葛)が好ましく挙げられる。クズは、マメ科クズ属(Pueraria)の植物である。クズとしては、プエラリア・トムソニイ(学名:Pueraria thomsonii )、プエラリア・ロバータ(学名:Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(学名:Pueraria thunbergiana)等を例示できる。
バラ科としては、サクラ(桜、櫻)、モモ(桃)、バラ(薔薇)が好ましく挙げられる。
サクラは、バラ科サクラ属の植物のうち、ウメ、モモ、アンズなどを除いた総称であり、一般にはサクラ亜属 (Subgen. Cerasus) に属する植物を言う。
モモはバラ科モモ属に属し、学名はPrunus persica BatschまたはPrunus persica Batsch var. davidiana Maximowiczという。モモの品種としては、例えば、ハクトウ(白桃)、オウトウ(黄桃)、ネクタリンなどが挙げられる。
バラは、バラ科バラ属(Rosa)の植物を言う。
アヤメ科としては、サフラン(学名:Crocus sativus)が好ましく挙げられる。サフランは、地中海沿岸を原産とするアヤメ科の多年草である。
花は、蕾から全開した花までのいずれの段階で採集した花であってもよい。また、開花後の花は、花の全体であってもよく、花弁、萼、雄しべ、雌しべ、柱頭、花床(未成熟期のもの)のいずれか1以上であってもよい。例えばサフランとしてはめしべを用いることが好ましく、クズは蕾を用いることが好ましい。
これらの花の抽出物を得るための抽出処理としては、水や有機溶媒等の抽出溶媒を用いた処理が挙げられる。抽出溶媒としては極性溶媒が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらのうち、水、メタノール、エタノール、含水エタノールが好ましい。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。また抽出溶媒を用いずに生の花を搾汁することも抽出処理に含まれる。
抽出は生の花に対して行っても良いし、乾燥、加熱、切断や粉砕等を施した花に行っても良い。また抽出時に抽出溶媒は加温してもしなくてもよいが、加温する場合の溶媒温度は特に限定されるものではなく、花の抽出物を得るために一般に用いられる温度、例えば40℃以上沸点以下が挙げられる。例えば、水であれば熱水であってもなくてもよい。熱水とは温度が70℃以上の水のことを指す。
得られた抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、最終加工品である抽出物を得る。精製方法としては、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理、シリカゲル処理、イオン交換樹脂、液−液向流分配、膜分離等の方法が挙げられる。本発明の花の抽出物は、発酵過程(例えば抽出前原料の発酵過程又は抽出液の発酵過程)を経て得られたものであってもよく、これらの発酵過程を経ずに得られたものであってもよい。
本発明の剤において、特定の花の抽出物は液状、ペースト状、ジェル状、固体状のいずれであってもよく、固体状であることが品質の安定性等の点から好ましい。固体状としては、粉末状、粒状、顆粒状、細粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状等が挙げられる。
本発明の剤は、乳酸菌の腸管接着作用が特に高い点から、特定の花の抽出物としてザクロ、ベニバナ、クズ、サクラ、サフラン、モモ及びバラから選ばれる少なくとも1種を含むことがとりわけ好ましい。
本発明の剤における特定の花の抽出物は、本発明の剤中、乾燥質量で0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の剤は、植物由来成分として、実質的に特定の花の抽出物のみからなるものであってもよく、その他の植物由来成分を有していてもよい。例えば、本発明の剤における特定の花の抽出物以外の植物由来成分は、例えば本発明の剤中、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
本発明の剤は、乳酸菌を非含有であってもよいが、乳酸菌を含有していることが、乳酸菌の腸管接着効果をより高める点から好ましい。乳酸菌は生菌である場合は腸内環境改善の点から好ましいが、死菌であってもよい。これは生菌のみならず死菌の菌体成分も腸管免疫を刺激するものとされていることや、死菌の菌体成分が生菌乳酸菌と餌となることなどに基づく。なお死菌である乳酸菌は腸管において有害物質を吸着することも知られている。本発明で使用される乳酸菌としては、代謝産物として乳酸を産生するものであれば特に限定されず、ヒトなどの動物において従来経口摂取されているものが挙げられ、例えば、Bifidobacterium属、Lactbacillus属、Enterococcus属、Leuconostoc属、Pediococcus属、Staphylococcus属、Tetragenococcus属、Bacillus属のものが挙げられる。
Bifidobacterium属としては、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium mongolienseが挙げられる。
Lactbacillus属としては、Lactbacillus brevis、Lactbacillus gasseri、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus delburvecki、Lactobacillus casei、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus halivaticus、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacilus paracasei、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus sporogenes、Lactobacillus sakei、Lactobacillus fructivorans、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus fermentumが挙げられる。
Enterococcusとしては、Enterococcus faecalis(Streptococcus faecalis と称されることもある)、Enterococcus faesium(Streptococcus faesiumと称されることもある)、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis(Streptococcus lactisと称されることもある) が挙げられる。
Leuconostoc属としては、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc oenos が挙げられる。
Pediococcus属としては、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceusが挙げられる。
Staphylococcus属としては、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus xylosusが挙げられる。
Tetragenococcus属としては、Tetragenococcus halophilusが挙げられる。Bacillus属としては、Bacillus coagulans、及びBacillus mesentericusなどが挙げられる。
とりわけ、Bacillus coagulans、Enterococcus faecalis、Bifidobacterium bifidum、Enterococcus faesium、Lactobacillus acidophilusが好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の剤が乳酸菌を含有する場合、乳酸菌の含有量は特に限定されないが、例えば菌体数として、本発明の剤中、1×103個以上、好ましくは1×105個以上1×1020個以下、更に好ましくは1×107個以上1×1015個以下とすることが、製剤の容易性及び乳酸菌の腸管付着効果を高める点から好ましい。
本発明の剤は乳酸菌を含有する場合、乳酸菌と特定の花の抽出物とが同一剤に含まれていてもよく別々の剤に含まれていてもよい。別々の剤に含まれている場合は、本発明の剤は2剤以上の多剤型となる。同一剤に含まれている場合、本発明の剤は、1剤型であっても多剤型であってもよいが1剤型であることが摂取の簡便性等の点で好ましい。本発明の剤の剤形は、1剤型及び多剤型のいずれに関わらず、固体状、液状、ペースト状、ゲル状などが挙げられる。例えば、固体状としては、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、チュアブル状、スティック状等の各形態が挙げられる。液状としては例えば流動状、シロップ状等が挙げられる。これらは薬学的に許容される基材や担体を添加して、公知の製剤方法によって、各種の剤形に製剤可能である。
例えば、乳酸菌を含有する本発明の剤の好ましい剤型としては、乳酸菌と前記特定の花の抽出物とを含み、粉末状、細粒状、顆粒状、錠状、ソフトカプセルやハードカプセル等のカプセル状、液状のいずれかである1剤型の形態や、前記特定の花の抽出物を含み、粉末状、細粒状、顆粒状、錠状、ソフトカプセルやハードカプセル等のカプセル状、液状である第1剤と、乳酸菌を含み、粉末状、細粒状、顆粒状、錠状、ソフトカプセルやハードカプセル等のカプセル状、液状のいずれかである第2剤とを有する2剤型の形態などが挙げられる。なお、本発明においては前記特定の花の抽出物を含む第1剤を単独で使用することにより、腸内に存在する乳酸菌やビフィズス菌の腸管接着性を向上させることもできる。本発明の剤が2剤に分かれている場合、上述した本発明の剤における特定の花の抽出物の好ましい割合は、2剤の合計量に対する割合とすることができる。
本発明の剤の経口摂取方法は限定されず、そのまま摂取するのであってもよく、また剤を水やお湯、牛乳、ヨーグルトなどに分散又は溶解させたものを摂取するのであってもよい。また本発明の剤が多剤型である場合は、複数剤を同時に摂取してもよく、別のタイミングで摂取してもよい。別のタイミングで摂取する場合は、例えば乳酸菌含有剤を花の抽出物含有剤より先に摂取してもよく、逆に花の抽出物含有剤を乳酸菌含有剤よりも先に摂取してもよいが、両者の摂取の時間差としては24時間以内が好ましく、18時間以内がより好ましく、15時間以内が特に好ましい。また2剤の摂取方法は、同じであっても異なっていてもよく、異なる場合は例えば、乳酸菌含有剤はそのまま摂取し、花の抽出物含有剤は水やお湯、牛乳、ヨーグルトなどに分散して摂取する、という例があげられ、これは逆であってもよい。
本発明の剤は前記特定の花の抽出物及び乳酸菌以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような成分としては、種々の賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の剤の形態等に応じて適宜選択することができる。また本発明の剤が多剤型である場合、いずれの剤にいずれの他の成分を含有するかについても、その剤の形態に応じて適宜選択される。
本発明の剤の1日の経口投与量は前記特定の花の抽出物の乾燥質量として0.1mg以上であることが好ましい。本発明の剤は、連続的に、例えば毎日でも投与でき、長期的、例えば1ヶ月以上の間投与を継続して差し支えない。
本発明の剤が乳酸菌を含有する場合もしない場合も、前記特定の花の抽出物の経口投与量を前提として、乳酸菌の1日の経口投与量は1×103個以上、特に1×105個以上1×1020個以下であることが好ましい。
本発明の剤は、後述する実施例の記載から明らかな通り、前記特定の花の抽出物の作用により乳酸菌の腸管接着性を高めることができる。ここでいう腸管接着性とは、好ましくは腸管上皮(腸管上皮細胞)への接着性をいう。腸管接着性としては、個々の乳酸菌の接着性であってもよく、また集合体としての乳酸菌の接着性(集合体中の腸管接着(付着)した菌の割合)であってもよい。
このため、本発明の剤はこれを経口摂取することで、腸管における乳酸菌の作用を高めることができ、例えば整腸剤として用いることができる。本発明において、整腸作用とは、有益腸内細菌(乳酸菌を含む)の増殖を促進する作用及び/又は有害腸内細菌の増殖を抑制する作用を意味する。例えば、特許文献1に記載された、モモの花による瀉下作用及びこれを用いた抗便秘作用は、本発明でいう整腸作用に含まれない。また例えば、PPAR活性化によりもたらされる抗炎症作用は本発明でいう整腸作用に含まれない。
本発明の剤は乳酸菌の腸管接着性を高めることができるため、腸管免疫等の免疫増強剤として用いることができるほか、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、湿疹、蕁麻疹等の発疹、下痢や嘔吐等のアレルギー症状の予防や改善を図ることができる。前記の免疫増強剤の作用は、腸管においてTh1細胞の働きを活発化したり、IgA抗体産生を促すことを含む。
本発明の剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)に対して適用することもできる。
本発明の剤により腸管接着(付着)性を高める対象となる乳酸菌としては、本発明の剤に含有されていてもよい乳酸菌として前記で上げたものと同様のものを挙げることができる。本発明は更に、本発明の剤を含有する食品又は医薬品、医薬部外品などを提供する。本発明は乳酸菌とともに本発明の剤を摂取して腸管における乳酸菌接着を促す方法(但し医療行為を除く)を提供する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。
〔実施例1〜10、比較例1〕
(被験物質)
特定の花の抽出物として、以下の粉末を用いた。
・ベニバナ:ベニバナの花を水で抽出して得られた、市販の抽出物の粉末
・クズ:クズの花を熱水で抽出して得られた、市販の抽出物粉末
・バラ:バラの花びらを熱水で抽出して得られた、市販の抽出物粉末
・ザクロ:ザクロの花を含水エタノールで抽出して得られた、市販の抽出物粉末
・サクラ:サクラの花を含水エタノールで抽出して得られた、市販の抽出物粉末
・キク:キクの花を水で抽出して得られた、市販の抽出物粉末
・サフラン:サフランのめしべを含水エタノールで抽出して得られた、市販の抽出物の粉末
・モモ:白桃の花を熱水で抽出して得られた、市販の抽出物粉末
(接着能試験)
(1)ヒト結腸癌由来細胞Caco-2の培養および播種
(1−1)Passage 20の腸管上皮細胞株Caco-2細胞を用いた。
(1−2)トリプシン処理により浮遊させたCaco-2細胞を、75cm2フラスコから96 well plateに4.0×104/wellの細胞密度で播種した。
(1−3)培養培地を用い、37℃、5体積%CO2インキュベーター内で4日間培養した。この通常培地は、DMEMを10% FBS (Fatal Bovin Serum)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、1% NEAA(Non-Essential Amino Acids、SIGMA社)になるように調製した。この培養によりwell内でcaco-2の単層膜(腸管モデル)を作成した。
(1−4)(5)の試験の数時間前に試験培地に置換した。試験培地は、DMEMを2% FBS、1% NEAAになるように調製した。
(2)Bacillus coagulansのグリセロールストック及び前培養
(2−1)粉体状の乳酸菌Bacillus coagulansをMRS液体培地にて72時間、37℃で培養した。
(2−2)培養液を採取し、グリセロールが30%になるように培養液を混ぜ、試験を行うまで-80℃で保存した(グリセロールストック)。
(2−3)B.coagulansのグリセロールストックを室温に戻し、37℃で温めたMRS液体培地へ播種し、同温で24時間培養後に下記(3)の蛍光標識及び(4)の検量線用サンプルの作製に用いた。
(3)B. coagulansの蛍光標識
(3−1)B. coagulans菌を(2)で前培養した後の菌液100μL採取し、900mLのリン酸緩衝生理食塩液(PBS)へ懸濁、1000g×3分間遠心分離した。得られたペレットを1000μL PBSへ懸濁し、15μL carboxyfluorescein diacetate(CFDA、同仁化学研究所社製)を加え、30分間遮光、室温でインキュベートした。
(3−2)1000g×3分間遠心分離し、ペレットを1mL PBSで懸濁し、再度1000gx3分間遠心分離した。この操作を2回行った。
(3−3)ペレットを試験培地で懸濁し、得られた懸濁物を下記(5)の試験に用いた。
(4)検量線用サンプルの作製
(4−1)上記(3−1)で蛍光標識した乳酸菌の一部をホルマリン固定した。
(4−2)同じ前培養したサンプルをBCP培地にて37℃、3日間培養し、BCP培地上のコロニー数を測定した(plate count)。
(4−3)plate countから細菌数を計算し、(4−1)でホルマリン固定したサンプルを既知数サンプルとして検量線用サンプルとした。
(5)定着能比較試験
(5−1)下記表1の被験物質である 花抽出物粉末10mg量り取り、50mLファルコンチューブに入れ、1mg/mLになるように試験培地を加えた。ボルテックス後、各被験物質の最終濃度が下記表1の濃度となるように試験培地で希釈した。
(5−2)(5−1)において被験物質含有又は非含有の試験培地へ菌数を1x108/mLに調整した菌懸濁液を加え、B. coagulans濃度1x106/mLとした。(1−4)の細胞に1well当たり100μLとなる量で添加し(B. coagulans最終濃度1x105/well)、2時間37℃で培養した。なお比較例1では、被験物質非含有の試験培地を同量添加した。
(5−3) 培養終了後、各wellに150μL ホルマリン液を加え、4℃で30分以上固定した。
(5−4) PBSでwellを2回洗浄し、varioskanにて蛍光強度(励起光495nm、蛍光515nm)を測定した。
(5−5) (4−3)の検量線用サンプルをvarioskanにて蛍光強度を測定することで検量線を作成した。得られた検量線に基づき、(5−4)で測定した蛍光強度からCaco-2単層膜へ接着したB. coagulansの菌数を計算した。
(5−6)
得られた菌数の比較例1に対する相対値(%)を図1及び図2に示す。
Figure 0006841409
図1及び図2の結果から、特定の花の抽出物は、乳酸菌の腸管接着率を高めることが判る。また、本発明の剤は、乳酸菌の腸管接着性が高いことから、これを経口摂取することにより腸管における乳酸菌の作用を高めることができ、整腸作用や抗アレルギー作用、免疫増強作用、ダイエット、美容、健康増進に優れた効果が期待できる。

Claims (2)

  1. ザクロの花の抽出物を含有する整腸剤(ただし、潰瘍性大腸炎の炎症の減少のために用いる整腸剤を除く)
  2. ザクロの花の抽出物を含有する乳酸菌の腸管接着促進剤。
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