JP6830597B2 - 生体信号処理装置、生体信号処理システム、および制御プログラム - Google Patents

生体信号処理装置、生体信号処理システム、および制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、生体信号を処理する生体信号処理装置に関する。
従来より、個体(生体)の評価(例:診断)を行うために、生体信号に所定の処理を施す技術が知られている。一例として、脳神経医学の分野では、脳波(ElectroEncephaloGram,EEG)が、処理の対象となる生体信号として適用され得る。
例えば、非特許文献1には、単電極から取得された脳波に離散ヒルベルト変換(Discrete Hilbert Transformation,DHT)を施し、当該脳波の位相を抽出する技術が開示されている。
また、非特許文献2には、2つの電極から取得された脳波のそれぞれにヒルベルト変換を施し、各脳波の位相を抽出する技術が開示されている。また、非特許文献2には、抽出した各位相間の差分を算出することも示されている。
また、非特許文献3および4には、2つの電極から取得された脳波の同期性に着目したネットワーク解析手法が開示されている。
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後述するように、本願の発明者ら(以下、単に「発明者ら」)は、上述の各先行技術文献には開示も示唆もされていない斬新な着想に基づく、個体の評価方法を新たに見出した。本発明の一態様は、従来よりも正確に個体の評価を行うことが可能な生体信号処理装置等を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体信号処理装置は、1つの個体から同時に測定された2つの生体信号のデータを取得するデータ取得部と、上記2つのデータから上記生体信号の位相成分の差分を生成する位相差分生成部と、上記差分に対してフラクタル解析を行い所定の指標値を算出する指標値算出部と、を備える。
本発明の一態様に係る生体信号処理装置によれば、従来よりも正確に個体の評価を行うことが可能となる。
本発明の実施形態1に係る生体信号処理システムの要部の構成を示す機能ブロック図である。 国際10−20法によって規定された、被験者の頭部における電極の配置位置を示す図である。 ヒルベルト変換を用いた位相成分の取得について説明するための図である。 脳波の位相成分の差分の時間変化を例示する図である。 健康対照者と統合失調症患者のそれぞれについて、脳波の位相成分の差分に対してフラクタル解析を行った結果を例示する図である。 図1の生体信号処理システムにおいて用いられるROC曲線を例示する図である。 図6のROC曲線における各データを示す図である。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、各実施形態では、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、図面で同一または類似の符号を付したものは、再度の説明を適宜省略する。
(生体信号処理システム1)
図1は、実施形態1の生体信号処理システム1の要部の構成を示す機能ブロック図である。以下に述べるように、生体信号処理システム1は、1人の被験者H(生体,個体)から生体信号を取得する。そして、生体信号処理システム1は、取得した生体信号を処理し、処理後の生体信号を解析することで、被験者Hを評価(例:診断)する。
実施形態1では、(i)個体の一例として人(被験者H)を、(ii)、生体信号の一例として脳波を、それぞれ例示する。但し、後述するように、本発明の一態様に係る個体は、人に限定されない。また、本発明の一態様に係る生体信号は、脳波に限定されない。
生体信号処理システム1は、生体信号処理装置10、電極50(データ提供部)、表示装置60、および記憶部90を備えている。生体信号処理装置10は、脳波の処理および解析を行う装置である。
生体信号処理装置10の詳細については、後述する。生体信号処理装置10の機能は、記憶部90に記憶されたプログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することで実現されてよい。なお、生体信号処理装置10に、生体信号処理システム1の各部を統括的に制御する制御部としての機能を併有させてもよい。
記憶部90は、生体信号処理装置10が実行する各種のプログラム、および当該プログラムによって使用されるデータを格納する。以下に述べるように、実施形態1では、電極50が被験者Hから同時に取得(測定)した2つの脳波のデータが、記憶部90に格納されてよい。
電極50は、被験者Hの生体信号を取得する。電極50は、被験者Hの身体の一部に装着可能であるように構成されている。実施形態1において、電極50は、被験者Hの頭部に取り付けられており、被験者Hの脳波のデータを取得できる。図1に示されるように、被験者Hの頭部には、2つの電極50が取り付けられてよい。以下、説明の便宜上、2つの電極50のうちの一方を電極50a(第1電極)、他方を電極50b(第2電極)とそれぞれ称する。
なお、被験者Hの頭部に電極50a・50bを取り付ける位置は、特に限定されない。一例として、電極50a・50bはそれぞれ、国際10−20法によって規定された頭部の位置に取り付けられてよい。なお、国際10−20法は公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
図2は、国際10−20法によって規定された、被験者Hの頭部における電極の配置位置を示す図である。実施形態1では、電極50a・50bが被験者Hの前頭部(Frontal)に取り付けられた場合を説明する。具体的には、電極50aは図2におけるF3の位置に、電極50bはF4の位置に取り付けられているものとする。
実施形態1では、電極50a・50bはそれぞれ、被験者Hから脳波のデータを同時に取得する。以下、電極50aが被験者Hから取得した脳波のデータを第1脳波データ、電極50bが被験者Hから取得した脳波のデータを第2脳波データと、それぞれ称する。
電極50a・50bはそれぞれ、取得した第1脳波データおよび第2脳波データを記憶部90に格納する。実施形態1では、生体信号処理装置10(より具体的には、後述するデータ取得部11)は、記憶部90から第1脳波データおよび第2脳波データを取得する。
但し、電極50a・50bはそれぞれ、データ取得部11に、第1脳波データおよび第2脳波データを直接的に供給してもよい。
表示装置60は、例えば液晶ディスプレイである。表示装置60は、各種情報を画像として表示する。一例として、表示装置60は、生体信号処理装置10の解析結果を表示してよい。
表示装置60は、生体信号処理装置10が出力したフラクタル解析の結果である指標値(例えば、後述のフラクタル次元D)を表示してもよい。あるいは、表示装置60は、生体信号処理装置10が当該指標値に基づいて判定した判定結果を表示してもよい。
表示装置60は、当該指標値および当該判定結果の少なくとも一方を表示してよい。これにより、生体信号処理装置10による被験者Hの評価結果を、外部(例:被験者H自身、または、被検者Hを処置する医療従事者)に視覚的に報知できる。
(生体信号処理装置10)
続いて、生体信号処理装置10の各部について、具体的に述べる。生体信号処理装置10は、データ取得部11、バンドパスフィルタ12(バンドパス部)、位相差分生成部13、フラクタル解析部14(指標値算出部)、判定部15、および出力部16を備えている。
データ取得部11は、記憶部90から、上述の第1脳波データおよび第2脳波データを取得する。データ取得部11は、取得した第1脳波データおよび第2脳波データを、バンドパスフィルタ12に与える。
(バンドパスフィルタ12)
バンドパスフィルタ12は、第1脳波データおよび第2脳波データのそれぞれに対して、周波数フィルタリングを行う。具体的には、バンドパスフィルタ12は、第1脳波データおよび第2脳波データのそれぞれに対して、所定の周波数帯(通過周波数帯)のデータを通過させるとともに、当該通過周波数帯とは異なる周波数帯(遮断周波数帯)のデータを遮断する周波数フィルタとして機能する。
すなわち、バンドパスフィルタ12は、第1脳波データおよび第2脳波データからそれぞれ、通過周波数帯のデータを取得する。以降、バンドパスフィルタ12が第1脳波データおよび第2脳波データのそれぞれに対して周波数フィルタリングを行ったデータを、第1フィルタ後脳波データおよび第2フィルタ後脳波データと称する。バンドパスフィルタ12は、第1フィルタ後脳波データおよび第2フィルタ後脳波データを、位相差分生成部13に与える。
バンドパスフィルタ12は、公知のデジタルフィルタであってよい。バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、被験者Hの評価に有効に用いることができる周波数帯であれば、特に限定されない。
一例として、バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、α波の周波数帯(概ね8Hz〜13Hzの周波数帯)として設定されてよい。例えば、当該通過周波数帯は、10.5Hzを中心周波数として、当該中心周波数(10.5Hz)から半値幅2.5Hzの範囲として設定されてよい。
このようにバンドパスフィルタ12の通過周波数帯を設定した場合は、バンドパスフィルタ12は、第1脳波データおよび第2脳波データからそれぞれ、α波のデータを選択的に抽出できる。つまり、バンドパスフィルタ12は、第1フィルタ後脳波データおよび第2フィルタ後脳波データとして、α波のデータを出力できる。
それゆえ、生体信号処理装置10において、α波に対する処理および解析を行うことができる。α波は、被験者Hの脳の安静状態を示す主要な指標の1つであり、意識障害、認知症、睡眠障害等の精神疾患(精神障害)の診断補助に用いられ得ることが知られている。このため、α波に対する処理および解析を行うことは、被験者Hが上述の各精神疾患に罹患していることの評価に有効となり得る。
あるいは、バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、脳神経医学の分野において公知であるその他の周波数帯に設定されてよい。例えば、当該通過周波数帯は、δ波の周波数帯(概ね2Hz〜4Hzの周波数帯)に設定されてもよいし、θ波の周波数帯(概ね4Hz〜8Hzの周波数帯)に設定されてもよいし、γ波の周波数帯(概ね26Hz〜70Hzの周波数帯)に設定されてもよい。
α波と同様に、δ波、θ波、またはγ波等も、それぞれ固有の脳機能に密接に関連しており、その波形が特定の疾患に対して依存性を有することが知られている。従って、生体信号処理装置10において、α波以外の周波数帯域の脳波に対して処理および解析を行うことによっても、被験者Hの認知機能、および、当該被験者Hの精神疾患の有無などを評価することが可能となる。
例えば、γ波の波形は、抑制性ニューロンであるGABA(Gamma-AminoButyric Acid,γ-アミノ酪酸)神経系の活動を反映することが知られている。また、自閉症は、GABA神経系の活動に密接に関連する疾患であることが知られている。それゆえ、生体信号処理装置10において、γ波に対して処理および解析を行うことにより、自閉症の診断を有効に行うことが可能になると期待される。
また、バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、脳神経医学の分野において公知である上述の周波数帯に限定されない。例えば、特定の精神疾患(例:てんかん)に罹患している患者の脳波では、特定の周波数成分が他の周波数成分に対して顕著に大きくなることが知られている。
このことから、バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、評価対象となる精神疾患の種類に応じて(つまり、分析すべき周波数帯に応じて)選択されてよい。例えば、バンドパスフィルタ12において、評価対象となる精神疾患ごとに、中心周波数および半値幅が個別に設定されてよい。
バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、複数の被験者Hに共通に設定されてもよい。あるいは、バンドパスフィルタ12の通過周波数帯は、被験者Hごとに個別に設定されてもよい。一般的に、脳波の周波数スペクトルには、被験者Hごとにある程度の個人差が観察されることが知られているためである。
例えば、1人の被験者Hに対してあらかじめ脳波の周波数スペクトルを測定しておき、当該測定結果に応じて、バンドパスフィルタ12の中心周波数および半値幅を設定してもよい。これにより、上述の個人差を考慮した評価を行うことができる。
なお、生体信号処理装置10においてバンドパスフィルタ12が設けられない場合には、データ取得部11は、第1脳波データおよび第2脳波データを、位相差分生成部13に与える。但し、被験者Hの評価をより有効に行うためには、生体信号処理装置10にバンドパスフィルタ12を設けることが好ましい。バンドパスフィルタ12を設けることにより、分析すべき周波数帯のデータを選択的に取得できるためである。
なお、バンドパスフィルタ12に用いられるデジタルフィルタの一例としては、公知のFIR(Finite Impulse Response,有限インパルス応答)フィルタが挙げられる。この場合、例えば、各脳波の周波数帯(例:α波の周波数帯、δ波の周波数帯、θ波の周波数帯、またはγ波の周波数帯)のそれぞれにおける線形位相特性が保証されるように、FIRフィルタリングを行えばよい。
なお、FIRフィルタリングを行った場合には、当該FIRフィルタリングに起因して、周波数依存性を有する大きい位相遅れが発生する。このため、FIRフィルタリングの後に、ゼロ位相デジタルフィルリングを行って、上記位相遅れを補正することが必要である。
(位相差分生成部13)
位相差分生成部13は、自身に入力された2つの生体信号のデータから、位相成分をそれぞれ取得(抽出)する。一例として、データ取得部11から位相差分生成部13に対して、第1脳波データおよび第2脳波データが与えられる場合を考える。この場合、位相差分生成部13は、第1脳波データおよび第2脳波データから、第1脳波データおよび第2脳波データの位相成分をそれぞれ取得する。
また、バンドパスフィルタ12から位相差分生成部13に対して、第1フィルタ後脳波データおよび第2フィルタ後脳波データが与えられる場合を考える。この場合、位相差分生成部13は、第1フィルタ後脳波データおよび第2フィルタ後脳波データ(バンドパスフィルタ12が取得した、通過周波数帯の第1脳波データおよび第2脳波データ)から、第1脳波データおよび第2脳波データの位相成分をそれぞれ取得する。
具体的には、位相差分生成部13は、2つの生体信号のデータにそれぞれに対して、ヒルベルト変換を施すことにより、当該2つの生体信号のデータの位相成分をそれぞれ取得する。以下、位相差分生成部13が第1脳波データおよび第2脳波データから取得した位相成分を、第1位相成分θ1(t)および第2位相成分θ2(t)とそれぞれ称する。tは時刻である。
図3は、ヒルベルト変換を用いた位相成分の取得について説明するための図である。図3における信号S(t)は、時間領域において観測される生体信号(例:脳波)の一例である。tは時刻である。
一般的に、脳波は、振幅および位相の両方が時間的に変動する波形を示す。ここで、時間的に変動する振幅および位相をそれぞれ、振幅成分および位相成分とも称する。従って、信号S(t)は、以下の式(1)、
S(t)=A(t)×cos(θ(t)) …(1)
として表することができる。式(1)のA(t)は、S(t)の振幅成分である。また、θ(t)は、S(t)の位相成分である。
式(1)の信号S(t)は、以下の式(2)に示す極座標形式、
(t)=A(t)×exp(jθ(t))
=A(t)×{cos(θ(t))+jsin(θ(t))}…(2)
によって、信号S(t)として複素数表示できる。jは虚数単位である。
式(2)の信号S(t)を、直交座標形式で表すと、以下の式(3)、
(t)=I(t)+jQ(t) …(3)
となる。
式(3)のI(t)は、同相(In Phase)成分と称される。式(1)〜式(3)から理解されるように、I(t)=Re{S(t)}=A(t)×cos(θ(t))=S(t)である。
また、Q(t)は、直交(Quadrature)成分と称される。式(1)〜式(3)から理解されるように、Q(t)=Im{S(t)}=A(t)×sin(θ(t))である。
それゆえ、図3からも理解されるように、以下の式(4)、
θ(t)=Tan−1(Q(t)/I(t)) …(4)
が成り立つ。
信号S(t)(つまり同相成分I(t))は既知であるので、直交成分Q(t)を算出できれば、上述の式(4)によって、位相成分θ(t)を得ることができる。そこで、位相差分生成部13は、信号S(t)にヒルベルト変換を施し、直交成分Q(t)を算出する。そして、位相差分生成部13は、式(4)によって、位相成分θ(t)を得る。
ヒルベルト変換とは、同相成分I(t)に対する直交成分Q(t)を算出する数学的手法である。なお、同相成分I(t)と直交成分Q(t)とは、ヒルベルト変換対にあると称される。ヒルベルト変換のアルゴリズムは公知であるため、詳細な説明は省略する。
以上のように、位相差分生成部13は、ヒルベルト変換を用いて、第1脳波データおよび第2脳波データから、上述の第1位相成分θ1(t)および第2位相成分θ2(t)をそれぞれ取得できる。
続いて、位相差分生成部13は、以下の式(5)、
Δθ(t)=θ1(t)−θ2(t) …(5)
によって、第1位相成分θ1(t)と第2位相成分θ2(t)との差分Δθ(t)を算出(生成)する。位相差分生成部13は、算出した差分Δθ(t)を、フラクタル解析部14に与える。
より具体的には、位相差分生成部13は、式(5)において、位相を「アンラップ(unwrap)する」ことにより、差分Δθ(t)を算出する。
位相をアンラップするとは、式(5)を用いて、差分Δθ(t)を、−∞<Δθ(t)<∞の範囲における1つの値に規定することを意味する。例えば、θ1(t)=−π、θ2(t)=2πである場合を考える。位相をアンラップする場合、Δθ(t)=−3πとなる。
他方、「位相をラップ(wrap)する」とは、差分Δθ(t)を、角度2πの数値範囲内における1つの値に規定することを意味する。位相をラップすることは、「位相を畳み込む」または「位相を折り返す」とも称される。
一例として、差分Δθ(t)の値が、−π<Δθ(t)≦πの範囲において規定されている場合を考える。位相をラップすることは、式(5)を用いて計算されたΔθ(t)の値が、−π≦Δθ(t)≦πの範囲外であった場合に、2πまたは−2πの倍数分だけ位相をシフトすることで、Δθの値を−π<Δθ(t)≦πの範囲内に収めることを意味する。以降、説明の便宜上、位相がラップされたΔθ(t)を、Δθw(t)として表す。
上述の通り、θ1(t)=−π、θ2(t)=2πである場合を考える。この場合、Δθ(t)=−3πであり、−π<Δθ(t)≦πの範囲外となる。それゆえ、例えば、Δθ(t)を4πだけシフトすることで、Δθ(t)の位相がラップされる。すなわち、Δθw(t)=Δθ(t)+4π=πとして、Δθw(t)が算出される。
位相がラップされた差分Δθw(t)のグラフを時間領域においてプロットすると、Δθw(t)=±πとなる点において、±2πの倍数分だけ位相の不連続性が生じる。それゆえ、差分Δθ(t)の位相をラップした場合には、時間領域における差分Δθ(t)の連続的な変化(時々刻々の変化)を、十分に表現することが困難である。
他方、発明者らは、時間領域における差分Δθ(t)の連続的な変化に基づいて、脳の機能的結合性(Functional Connectivity)を評価するという斬新な着想を新たに想到した。より具体的には、発明者らは、時間領域における差分Δθ(t)の連続的な変化は、脳の2つの部位における、時間経過に伴う同期状態と非同期状態との切り替わりを示す指標の1つとなり得ることを新たに見出した。
そこで、発明者らは、時間領域における差分Δθ(t)の連続的な変化を、生体信号処理装置10において十分に表現するために、位相をアンラップして(位相をラップせずに)、差分Δθ(t)を算出するという着想を新たに想到した。
なお、一般的な数式処理ソフトウェアでは、式(5)の計算において、ラップされた差分Δθw(t)が算出されることが多い。そこで、このような数式処理ソフトウェアを用いる場合には、差分Δθw(t)に対して公知のアンラップ処理を施して、位相がアンラップされた差分Δθ(t)を算出すればよい。
アンラップ処理とは、位相のラップ時における2πまたは−2πの倍数分のシフトを相殺する処理である。つまり、アンラップ処理とは、Δθw(t)=±πとなる点におけるΔθw(t)の不連続性を解消するための処理である。アンラップ処理は、位相を連続的に接続する処理であると理解されてもよい。
なお、発明者らは、位相がアンラップされた差分Δθ(t)を算出することを、「動的に」位相差を算出するとも称している。このことから、位相差分生成部13は、「動的位相差分生成部」と称されもよい。また、位相差分生成部13において算出された差分Δθ(t)は、「動的位相差分(動的差分)」と称されてもよい。
位相がアンラップされた差分Δθ(t)を算出すること(つまり、2つの生体信号(脳波)の位相差の変化の連続性を表現すること)は、上述の先行技術文献のいずれにも開示も示唆もされていない。
つまり、上述の先行技術文献のいずれにも、脳の2つの部位における同期性(2つの脳波の位相差)を、「動的に」表現するという技術的思想については、何ら考慮されていない。当該技術的思想は、発明者らによって新たに見出されたものである。
図4は、差分Δθ(t)の時間変化を例示するグラフである。図4のグラフにおいて、横軸は時刻(単位:s(秒))であり、縦軸は位相(単位:rad)である。なお、図4のグラフは、電極50aがF3(上述の図2を参照)の位置に、電極50bがF4の位置に取り付けられた場合の測定結果を示す。
なお、図4のグラフにおいて、差分Δθ(t)の算出(取得)は、60sごとに行われた。図4には、測定開始時刻(t=0s)から20分(t=12000s)に亘る、差分Δθ(t)の時間的な変化が示されている。
図4に示されるように、位相がアンラップされた差分Δθ(t)を算出することで(−π≦Δθ(t)≦πの範囲外においても、Δθ(t)の値を規定することで)、差分Δθ(t)の連続的な変化が十分に表現されていることが理解される。
なお、図4において、Δθ(t)≒0である時間帯では、F3付近における脳の部位と、F4付近における脳の部位とが、同期状態またはほぼ同期状態にあると理解される。他方、|Δθ(t)|>>0である時間帯では、F3付近における脳の部位と、F4付近における脳の部位とが、非同期状態にあると理解される。このように、差分Δθ(t)を動的に表現することにより、脳の異なる部位間の同期現象をより高精度に評価することが可能となる。すなわち、従来よりも正確に被験者Hの評価を行うことが可能となる。
(フラクタル解析部14)
ところで、一部の生体信号(例:脳波)は、時間領域においてフラクタル性(自己相似性)を有していることが知られている。この点を踏まえ、発明者らは、上述の差分Δθ(t)にフラクタル解析(非線形解析の一例)を行うことにより、脳の神経ネットワーク機能の動的特性を定量化するという着想を新たに想到した。以下に述べるフラクタル解析部14は、当該着想に基づいて想到されたものである。
フラクタル解析部14は、位相差分生成部13から取得した差分Δθ(t)に対してフラクタル解析を行い、所定の指標値(上記動的特性を示す量の一例)を算出する。
所定の指標値は、例えばフラクタル次元であってよい。以下に述べるように、上記指標値は、健康対照者と特定の精神疾患の患者(例:統合失調症患者)とを区別するために用いられる。
フラクタル次元を算出するためのフラクタル解析の手法は、様々なものが知られている。フラクタル解析部14は、公知の任意のフラクタル解析の手法を使用してよい。実施形態1では、フラクタル解析の手法として、Higuchi法(参照:非特許文献5)を採用する。Higuchi法の詳細は、非特許文献5に示されているため、説明を省略する。
Higuchi法は、様々なフラクタル解析の手法のうち、少ない計算コストでフラクタル次元を算出することが可能な手法であることが知られている。それゆえ、Higuchi法によれば、ハードウェア資源が比較的限られている場合(例:プロセッサの処理性能が比較的低い場合)であっても、生体信号処理装置10を実現できる。
なお、Higuchi法以外のフラクタル解析の手法としては、例えば非特許文献6〜10に示されている手法を挙げることができる。一例として、非特許文献6の手法によれば、Higuchi法と同様に、少ない計算コストでフラクタル次元を算出することが可能である。
また、フラクタル性をより厳密に評価することが好ましい場合には、非特許文献7・8または非特許文献9の手法を用いてもよい。これらの手法では、相関次元という指標を用いて、フラクタル性を評価できる。
また、非特許文献10の手法は、マルチフラクタル解析手法とも称される。非特許文献10の手法では、一般化次元という指標を用いて、フラクタル性を評価できる。一般化元次元は、上述の相関次元をモーメントという量(相関次元は、モーメントが2である場合に相当)に拡張(一般化)した指標である。
発明者らは、健康対照者(Healty Control,HC)と特定の精神疾患の患者とのそれぞれについて、差分Δθ(t)に対してフラクタル解析を行い、フラクタル次元を算出した。その結果、健康対照者と特定の精神疾患の患者との間で、フラクタル次元の値に有意な差が存在していることを新たに見出した。以下、その一例について述べる。
図5は、健康対照者と統合失調症(SchiZophrenia,SZ)患者のそれぞれについて、差分Δθ(t)に対してフラクタル解析を行った結果を例示するグラフである。図5のグラフにおいて、横軸は、時系列データ(各時刻における差分Δθ(t)の値を示すデータ)のスケール(尺度)kを表す。また、縦軸は、スケールkに対する平均粗視化長さ<L(k)>を表す。
図5に示されるように、発明者らは、健康対照者と統合失調症患者とのそれぞれについて、様々なkの値に対して<L(k)>をプロットした。その結果、健康対照者と統合失調症患者とのいずれにおいても、kが特に大きい範囲を除いては、以下の式(6)、
<L(k)>∝k−D …(6)
の関係が成立することを見出した。式(6)におけるDは、差分Δθ(t)のフラクタル次元である。式(6)の関係が成立することは、差分Δθ(t)がフラクタル次元Dを有することを意味している。なお、Dの値は正である。
式(6)の両辺の対数を取ると、以下の式(7)、
log(<L(k)>)∝(−D)×log(k) …(7)
が得られる。
それゆえ、両対数グラフにおいて、kを横軸に、<L(k)>を縦軸にプロットすれば、kが特に大きい範囲を除いては、傾き(−D)の直線が得られる。フラクタル次元Dの値は、両対数グラフにおいて、式(7)の関係を示す直線の傾きに、「−1」を乗算することで算出されてよい。あるいは、フラクタル次元Dの値は、式(6)に対して公知のフィッティング手法を用いることで算出されてもよい。
さらに、図5に示されるように、発明者らは、健康対照者と統合失調症患者との間で、フラクタル次元Dの値に有意な差が存在していることを確認した。以下、健康対照者に対して算出されたフラクタル次元DをDHC、統合失調症患者に対して算出されたフラクタル次元DをDSZとして表す。
図5に示されるように、発明者らは、健康対照者の方が、統合失調症患者に比べて、kが小さくなるにつれて、<L(k)>がより大きくなる傾向を示すことを確認した。つまり、発明者らは、上述の両対数グラフにおいて、傾き(−DHC)の絶対値が、傾き(−DSZ)の絶対値よりも大きくなることを確認した。
換言すれば、健康対照者に対して算出されたフラクタル次元DHCが、統合失調症患者に対して算出されたフラクタル次元DSZよりも大きいことが確認された。当該確認結果を踏まえ、発明者らは、フラクタル次元Dを、健康対照者と特定の精神疾患の患者(例:統合失調症患者)とを区別するための指標値として用いるという着想を新たに想到した。
なお、実施形態1では、フラクタル次元Dを指標値として用いる場合が例示されている。但し、当該指標値は、例えば健康対照者と特定の精神疾患の患者とを区別するために用いられるものであればよく、フラクタル次元Dに限定されない。
例えば、式(6)または式(7)に基づいて、健康対照者と統合失調症患者とのそれぞれに対して、<L(kd)>の値を算出してもよい。kdは、<L(kd)>の値によって健康対照者と統合失調症患者とを十分に区別できるように設定された、所定のkの値である。
このようにkdを設定することにより、健康対照者と統合失調症患者との間で、<L(kd)>の値を十分に相違させることができる。それゆえ、<L(kd)>の値を上記指標値とすることもできる。
一例として、上述の図5のグラフの場合には、kが微小な場合において、<L(k)>の値によって健康対照者と統合失調症患者とを好適に区別しうる。
(判定部15)
上述の確認結果を踏まえ、発明者らは、フラクタル次元D(指標値)に対する閾値Dthを設定することで、健康対照者と特定の精神疾患の患者(例:統合失調症患者)とを区別するという着想をさらに想到した。以下に述べる判定部15は、当該着想に基づいて想到されたものである。
判定部15は、指標値に基づいて所定の判定を行う。実施形態1において、判定部15は、フラクタル解析部14が算出したフラクタル次元Dに基づいて、被験者Hの精神的な健康状態(所定の精神疾患に罹患しているか否か)を判定する。以下、判定部15が、フラクタル次元Dに基づいて、被験者Hが健康対照者であるか、または、統合失調症患者であるかを判定する場合について説明する。
図6は、生体信号処理システム1において用いられるROC(Receiver Operating Characteristic,受診者動作特性)曲線の一例を示すグラフである。図6のグラフにおいて、横軸は偽陽性率(False Positive Ratio)であり、縦軸は真陽性率(True Positive Ratio)である。なお、図6のグラフにおいて、「陽性」とは被験者Hが健康対照者であることを意味し、「陰性」とは被験者Hが統合失調症患者であることを意味する。
図6のグラフは、発明者らが複数の被験者Hに対して、フラクタル次元Dに基づく判定を行うことで、あらかじめ準備されている。複数の被験者Hは、従来の診断基準に基づく医学診断を行うことにより、健康対照者であるか、または、統合失調症患者であるかが事前に診断されたサンプル群であってよい。
具体的には、発明者らは、フラクタル次元Dに基づく判定において、「D>Dth」である場合に、被験者Hが健康対照者であると判定した。他方、「D≦Dth」である場合に、被験者Hが統合失調症患者であると判定した。
続いて、発明者らは、フラクタル次元Dに基づく判定結果(統合失調症の罹患の有無を示す判定結果)と、上述の事前の診断結果とを比較(照合)することにより、当該判定結果における偽陽性率および真陽性率を、閾値Dthごとに算出した。
図6のグラフにおける偽陽性率は、上記比較結果において、被験者Hが実際には統合失調症患者であるにも関わらず、閾値Dthを用いた判定において、当該被験者Hが健康対照者であると誤って判定された割合を示す。また、真陽性率は、上記比較結果において、実際に健康対照者である被験者Hが、閾値Dthを用いた判定においても、健康対照者であると正しく判定された割合を示す。
図7は、図6のROC曲線における各データ(数値)を示す図である。図7に示されるように、図6のROC曲線は、閾値Dthを様々に変化させ(閾値Dthをパラメータとして)、それぞれの閾値Dthに対応する偽陽性率および真陽性率をプロットすることで得られる。
判定部15において用いられる閾値Dthは、図7の各数値に基づいて、設定されてよい。例えば、図7に示されるように、閾値Dthを増加させると、真陽性率も閾値Dthに伴って増加する。但し、閾値Dthを増加させると、偽陽性率も閾値Dthに伴って増加する。
そこで、比較的高い真陽性率と比較的低い偽陽性率との両方が得られる閾値Dthを、判定部15における判定に使用すれば、判定結果の妥当性を高めることができる。一例として、発明者らは、閾値Dthを増加させてゆき、真陽性率が初めて0.8以上となる閾値Dth=1.0685を、判定部15において用いられる閾値として設定した。
以下、説明の便宜上、判定部15において用いられる閾値を、閾値Dth1とも称する。図7に示される通り、閾値Dth1=1.0685に対して、真陽性率=0.8000であり、偽陽性率=0.2778であった。
この場合、判定部15は、「D>Dth1」である場合に、被験者Hが健康対照者であると判定してよい。他方、判定部15は、「D≦Dth1」である場合に、被験者Hが統合失調症患者であると判定してよい。
さらに、発明者らは、図6のROC曲線に対して、AUC(Area Under the Curve)を算出した。AUCとは、図6のグラフにおいて、ROC曲線と、偽陽性率=1の直線と、真陽性率=1の直線とによって囲まれる閉領域の面積を意味する。AUCは、ROC曲線の下方の面積と理解されてよい。
AUCは、判定部15における判定の精度の高さを表す指標の1つとして用いられてよい。AUCは、0以上かつ1以下の所定の値をとり、その値が大きいほど(1に近いほど)、上記判定の精度が高いことを示す。発明者らが図6のROC曲線に対してAUCを算出したところ、AUC=0.8685であった。このように、発明者らは、判定部15において、十分に高い精度での判定を行うことが可能であることを確認した。
判定部15は、自身の判定結果を示す情報(判定結果情報)を、出力部16に与える。
出力部16は、生体信号処理装置10の外部の装置へと、データ(情報)を出力する出力インターフェースである。出力部16は、判定部15から取得した判定結果情報を、上述の表示装置60に出力してよい。
あるいは、出力部16は、フラクタル解析部14が算出した指標値(フラクタル次元D)を、当該フラクタル解析部14から取得してもよい。この場合、出力部16は、指標値を、表示装置60に出力してよい。
(生体信号処理システム1の効果)
上述のように、発明者らは、脳の2つの部位における同期性(2つの脳波の位相差)を、動的に表現することで、脳の機能的結合性を評価するという斬新な着想を新たに想到した。生体信号処理システム1は、当該着想に基づいて想到されたものである。
具体的には、位相差分生成部13において、上述の通り、差分Δθ(t)を算出することができる。位相がアンラップされた差分Δθ(t)によれば、時間領域における差分Δθ(t)連続的な変化を十分に表現できる。
そして、フラクタル解析部14において、差分Δθ(t)に対してフラクタル解析を行い、指標値(例:フラクタル次元D)を算出できる。当該指標値は、脳の神経ネットワーク機能の動的特性を示す量の一例である。上述の通り、発明者らは、当該指標値を、被験者Hの評価(例:被験者Hの精神的な健康状態の評価)に用いることができることを新たに見出した。
このように、生体信号処理システム1によれば、従来よりも正確に被験者Hの評価を行うことができる。
ところで、生体信号処理システム1による評価手法を適用する(脳の神経ネットワーク機能を評価する)ことを目的として、生体信号を測定するための測定方法については、脳波の測定以外にも、他の測定方法が知られている。例えば、MEG(MagnetoEncephaloGram,脳磁図)、NIRS(Near-InfraRed Spectroscopy,近赤外分光法)、およびMRI(Magnetic Resonance Imaging,磁気共鳴画像法)等の測定方法が知られている。
脳波の測定は、時間分解能に優れているため、脳の神経ネットワーク機能の動的特性を評価するために好適である。それゆえ、生体信号処理システム1は、脳波を測定および処理の対象とすることで、脳の神経ネットワーク機能を適切に評価できる。
また、脳波の測定は、電極または脳波計等を用いて、比較的簡単に行うことができる。つまり、脳波を測定対象とすることにより、上述のその他の測定方法に用いられる測定装置に比べて、測定装置の構成を簡単化できる。また、測定装置のコストを低減することもできる。
さらに、脳波の測定は非侵襲的に行われるため、測定時における被験者Hの心理的な負担も低減できる。加えて、被験者Hの測定時における、医療従事者の作業も簡便となる。
以上のように、生体信号処理システム1によれば、従来よりも簡便かつ容易に、被験者Hの評価を行うことができる。それゆえ、生体信号処理システム1によれば、汎用性の高い評価システム(診断システム)を提供できる。
なお、脳の神経ネットワーク機能を評価するための一般的な測定方法としては、PET(Positron Emission Tomograph,陽電子放射断層画像撮影法)およびSPECT(Single Photon Emission-Computed Tomograph,単光子放出断面撮影法)も知られている。
しかしながら、PETおよびSPECTによる測定では、時系列の生体信号(例:脳波)を取得できない。このため、PETおよびSPECTを使用した場合には、生体信号処理システム1と同様の処理を行うことができない点に留意されたい。この点において、生体信号処理システム1による評価手法は、PETおよびSPECTを用いた従来の評価手法と大きく異なる。
〔変形例〕
上述の実施形態1では、簡単のために、2つの電極50(電極50a・50b)が被験者Hの頭部に取り付けられている場合を例示した。但し、被験者Hの頭部には、2つよりも多くの電極50が取り付けられてもよい。
例えば、図2に示される21個の点の位置のそれぞれに、電極50が1つずつ取り付けられてもよい。この場合、21個の電極50のそれぞれは、被験者Hから脳波のデータを同時に取得する。そして、21個の電極50はそれぞれ、取得した脳波のデータを記憶部90に格納する。
この場合、データ取得部11は、21個の電極50から、脳波のデータの取得対象とする2つの電極を任意に選択してよい。具体的には、データ取得部11は、21個の電極50のうちの1つを第1電極、もう1つを第2電極として選択する。データ取得部11は、21個の電極50から、(21×20)/2=210通りの、第1電極と第2電極とのペア(組み合わせ)を任意に選択できる。以下、当該ペアを電極ペアと称する。
データ取得部11は、記憶部90に格納された脳波のデータから、第1電極から取得された脳波のデータを第1脳波データ、第2電極から取得された脳波のデータを第2脳波データとして、それぞれ取得する。
その後、生体信号処理装置10において、実施形態1と同様の処理により、データ取得部11が選択した複数の電極ペアのそれぞれに対して、フラクタル次元D(指標値)を算出すればよい。その結果、各電極ペアに対応したフラクタル次元Dの分布を示す二次元マトリクスを生成することもできる。
なお、上述の実施形態1は、F3の位置に配置された電極50を第1電極、F4の位置に配置された電極50を第2電極とした場合の、電極ペアに対する演算結果に相当する。
〔実施形態2〕
上述の実施形態1では、生体信号の一例として脳波を例示した。但し、本発明の一態様に係る生体信号は、脳波に限定されない。例えば、当該生体信号は、脈波であってもよいし、心拍を示す波形であってもよい。また、当該生体信号は、皮膚電位反応を示す信号であってもよい。あるいは、当該生体信号は、生体の体温に関する信号(例:生体の表面温度と深部体温との差を示す電気信号)であってもよい。
生体信号が脳波以外である場合にも、1つの生体から同時に取得された、2つの生体信号の位相成分の差分Δθ(t)は、生体における2つの異なる所定の部位間の同期の程度を表す指標となり得る。当該同期の程度に基づいて、生体の状態(例:健康状態)を評価することもできる。
脳波以外の上記生体信号についても、実施形態1と同様に、差分Δθ(t)に対してフラクタル解析を行うことにより得られた指標値を、個体の評価に用いることができる。従って、本発明の一態様に係る生体信号は、フラクタル解析により得られた指標値に基づいて、個体を評価できるものであればよい。
また、実施形態1では、個体(生体)の一例として人(被験者H)を例示した。但し、本発明の一態様に係る個体は、人に限定されない。当該個体は、上述の生体信号を取得できる対象であればよい。一例として、当該個体は、例えば、犬または猫等の愛玩動物であってもよいし、牛または馬等の家畜であってもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
生体信号処理システム1の制御ブロック(特に生体信号処理装置10)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、生体信号処理システム1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る生体信号処理装置は、1つの個体から同時に測定された2つの生体信号のデータを取得するデータ取得部と、上記2つのデータから上記生体信号の位相成分の差分を生成する位相差分生成部と、上記差分に対してフラクタル解析を行い所定の指標値を算出する指標値算出部と、を備える。
上述のように、発明者らは、1つの個体から同時に測定された2つの生体信号(例:脳波)のデータの位相成分の差分を、当該個体における所定の部位間(例:脳の2つの部位間)の同期の程度を示す指標として用いるという斬新な着想を新たに想到した。
加えて、発明者らは、上記差分に対してフラクタル解析を行うことにより得られた指標値(例:フラクタル次元)を、個体の評価(例:個体の精神的な健康状態の評価)に用いるという着想を新たに想到した。
そこで、上記の構成によれば、位相差分生成部において差分を生成し、指標値算出部において当該差分から指標値を算出できる。このように、本発明の一態様に係る生体信号処理装置によれば、従来よりも正確に個体の評価を行うことが可能となる。
なお、上述のように、発明者らは、「上記位相成分の差分をアンラップする」ことにより、当該差分の連続的な変化を十分に表現できることを見出した。つまり、発明者らは、当該差分を「動的に」十分に表現できることを見出した。
そこで、上記位相差分生成部は、上記2つのデータから上記生体信号の位相成分の差分をアンラップすることにより、当該差分を生成することが好ましい。
本発明の態様2に係る生体信号処理装置は、上記態様1において、上記指標値に基づいて、所定の判定を行う判定部をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、指標値算出部において算出された指標値に基づいて、生体信号処理装置に、所定の判定(例:個体の精神的な健康状態の評価)を行わせることが可能となる。
本発明の態様3に係る生体信号処理装置は、上記態様2において、上記データ取得部が取得した上記2つのデータからそれぞれ所定の周波数帯のデータを取得するバンドパス部をさらに備え、上記位相差分生成部は、上記バンドパス部が取得した上記所定の周波数帯の上記2つのデータから位相成分の差分を生成してもよい。
上述のように、個体の評価の内容(例:評価対象とする精神疾患の種類)に応じて、分析すべき周波数帯は異なり得る。上記の構成によれば、バンドバス部において、所定の周波数帯(分析すべき周波数帯)のデータを通過させる周波数フィルタリングを行うことができるので、個体の評価をより有効に行うことが可能となる。
本発明の態様4に係る生体信号処理装置は、上記態様1から3のいずれか1つにおいて、上記生体信号が脳波であってよい。
上記の構成によれば、脳波を処理および解析の対象として、個体の評価を行うことが可能となる。
本発明の態様5に係る生体信号処理装置は、上記態様1から4のいずれか1つにおいて、上記脳波がα波であってよい。
上述のように、α波は、脳の安静状態を示す主要な指標の1つであり、所定の精神疾患の診断補助に用いられ得ることが知られている。それゆえ、上記の構成によれば、α波を処理および解析とすることで、個体が所定の精神疾患に罹患しているか否かをより有効に評価することが可能となる。
本発明の態様6に係る生体信号処理装置は、上記態様1から5のいずれか1つにおいて、上記指標値がフラクタル次元であってよい。
上記の構成によれば、指標値算出部においてフラクタル次元を算出することで、個体の評価を行うことが可能となる。
本発明の態様7に係る生体信号処理装置は、上記態様1から6のいずれか1つにおいて、上記指標値、および、当該指標値に基づいて判定した判定結果の少なくとも一方を、外部の装置へ出力する出力部をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、生体信号処理装置による個体の評価結果を、外部の装置(例:表示装置)へ出力させることが可能となる。
本発明の態様8に係る生体信号処理システムは、上記態様1から7のいずれか1つに係る生体信号処理装置と、上記生体信号処理装置が出力した上記指標値、および、当該指標値に基づいて判定した判定結果の少なくとも一方を表示する表示装置と、を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、生体信号処理装置による個体の評価結果を、表示装置に表示させることができる。それゆえ、当該評価結果を外部に視覚的に報知することが可能となる。
本発明の態様9に係る生体信号処理システムは、上記態様1から7のいずれか1つに係る生体信号処理装置と、1つの個体に装着され、当該個体から同時に測定した2つの生体信号のデータを、上記生体信号処理装置へ提供するデータ提供部と、を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、上記2つの生体信号のデータを、上記生体信号処理装置へ提供することが可能となる。
本発明の各態様に係る情報処理端末は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報処理端末が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記情報処理端末をコンピュータにて実現させる情報処理端末の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 生体信号処理システム
10 生体信号処理装置
11 データ取得部
12 バンドパスフィルタ(バンドパス部)
13 位相差分生成部
14 フラクタル解析部(指標値算出部)
15 判定部
16 出力部
50,50a,50b 電極(データ提供部)
60 表示装置
D,DHC,DSZ フラクタル次元(指標値)
H 被験者(個体)

Claims (8)

  1. 1つの個体から同時に測定された2つの脳波のデータを取得するデータ取得部と、
    上記2つのデータから上記脳波の位相成分の差分を生成する位相差分生成部と、
    上記差分に対してフラクタル解析を行って算出したフラクタル次元を、上記個体の脳の神経ネットワーク機能の動的特性を示す指標値とする指標値算出部と、
    を備えることを特徴とする生体信号処理装置。
  2. 上記指標値に基づいて、所定の判定を行う判定部
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の生体信号処理装置。
  3. 上記データ取得部が取得した上記2つのデータからそれぞれ所定の周波数帯のデータを取得するバンドパス部をさらに備え、
    上記位相差分生成部は、上記バンドパス部が取得した上記所定の周波数帯の上記2つのデータから位相成分の差分を生成する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の生体信号処理装置。
  4. 上記脳波がα波である
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の生体信号処理装置。
  5. 上記指標値、および、当該指標値に基づいて判定した判定結果の少なくとも一方を、外部の装置へ出力する出力部
    をさらに備えることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の生体信号処理装置。
  6. 請求項1からの何れか1項に記載の生体信号処理装置と、
    上記生体信号処理装置が出力した上記指標値、および、当該指標値に基づいて判定した判定結果の少なくとも一方を表示する表示装置と、
    を備えることを特徴とする生体信号処理システム。
  7. 請求項1からの何れか1項に記載の生体信号処理装置と、
    1つの個体に装着され、当該個体から同時に測定した2つの脳波のデータを、上記生体信号処理装置へ提供するデータ提供部と、
    を備えることを特徴とする生体信号処理システム。
  8. 請求項1から5の何れか1項に記載の生体信号処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記データ取得部、上記位相差分生成部、および上記指標値算出部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
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