JP6823684B2 - エチルベンゼンの向上した分離のための方法 - Google Patents

エチルベンゼンの向上した分離のための方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物とを含む混合物
からのエチルベンゼンの蒸留分離のための方法に関する。
エチルベンゼンは、商業的に広く利用される、価値の高い炭化水素化合物である。エチ
ルベンゼンは主に、ポリスチレン生産の中間体であるスチレンの生産に使用される。エチ
ルベンゼンは、ベンゼンとエチレンの間のアルキル化反応から得ることができる。エチル
ベンゼンを生産するための代替方法は、いくつかの石油化学プロセスから副生成物流とし
て一般に生産される、エチルベンゼンを含む炭化水素混合物からエチルベンゼンを回収す
る方法である。エチルベンゼンを含む炭化水素混合物は通常、エチルベンゼン、特にC8
芳香族異性体の沸点に近い沸点を持つ1つ又はそれ以上の炭化水素化合物も含む。
近沸点化合物の分離は通常、従来の蒸留よりも高度なプロセスを必要とする。抽出蒸留
は、この目的のために開発された技術のうちの1つである。抽出蒸留は、工業プロセスに
おいて応用されてきた。そして石油化学工業においてますます重要な分離方法になりつつ
ある。抽出蒸留の主な特徴は、通常、目標成分の比揮発度を大きくするために、分離され
る成分の混合物に高沸点の溶媒が抽出剤として加えられることである。
比揮発度は、液体混合物における、より高揮発性の成分の蒸気圧と、より低揮発性の成
分の蒸気圧との間の差の尺度である。比揮発度は、混合物中の2つの成分の分離可能性の
程度を示す。比揮発度の変更に加えて、さらに抽出剤が蒸留生成物から容易に分離可能で
あるべきであり、すなわち、抽出剤と、分離される成分との間の沸点差が大きいことが望
ましい。抽出剤は、抽出蒸留の設計において重要な役割を果たす。したがって、効果的且
つ経済的な設計にするためには、適した抽出剤の選択が極めて重要である。
炭化水素混合物からのエチルベンゼンの分離が試みられてきた。英国特許第11985
92号には、単一の多機能蒸留塔を使用してC8芳香族異性体を分離するためのプロセス
が記載されている。この蒸留は、高純度のエチルベンゼン生成物を得るために、少なくと
も250、好ましくは365の棚段及び100:1〜250:1の還流比を有する多段塔
において行われる。大きな蒸留塔は建設費が高いこと、及び運転中に多量のエネルギーを
消費することが公知である。
米国特許第3105017号には、エチルベンゼンに富む留分を分離する条件下、環上
、少なくとも2つの位置でクロロ基で置換された単一のベンゼン環を含む化合物の存在下
でC8芳香族炭化水素混合物を蒸留することにより前記混合物を分離するための方法が記
載されている。しかし、この方法では分離効率が高くならない。
米国特許第4299668号には、1つ又はそれ以上の他の化合物と共に主成分として
ペンタクロロフェノールを含む抽出剤の存在下、精留塔内でp−キシレン及び/又はm−
キシレンからエチルベンゼンを分離するための方法が記載されている。ペンタクロロフェ
ノールは、高い融点を持つ室温で白色の結晶性固体として生じ、したがって米国特許第4
299668号の方法は、抽出剤としてペンタクロロフェノールを使用する前に、適した
溶媒にこれを溶解するために、追加の工程及びエネルギーを必要とする。さらに、急性摂
取及び吸入暴露によるペンタクロロフェノールは人に対して極めて有毒である。
米国特許第5425855号には、蒸留における抽出剤としての5−メチル−2−ヘキ
サノンの使用が開示されている。この薬剤は、p−キシレンに対してエチルベンゼンの比
揮発度を改善すること、及び精留によりp−キシレンからのエチルベンゼンの分離を可能
にすることが明らかになっている。
しかし、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物、例えばo−キシ
レン、p−キシレン、m−キシレン又はこれらの混合物とを含む混合物からのエチルベン
ゼンの蒸留分離のための改善されたプロセスが依然として必要とされている。
英国特許第1198592号 米国特許第3105017号 米国特許第4299668号 米国特許第5425855号
したがって本発明の目的は、エチルベンゼンを高純度で得ることを可能にし、高い分離
効率を実現する、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物とを含む混
合物からのエチルベンゼンの向上した蒸留分離のための方法を提供することである。
本発明の別の目的は、蒸留分留方法におけるエチルベンゼンとキシレンとの間の比揮発
度を大きくすることである。
さらに、本発明の目的は、方法が単純で実施の費用効率が高く、できるだけ有害物質の
使用を避け、又は少なくとも減らすことである。
本発明は、上述の目的が、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物
との混合物を含む供給流の下方に水性流が導入される抽出蒸留方法によって達成されると
いう驚くべき知見に基づいている。
したがって本発明は、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物とを
含む混合物からのエチルベンゼンの蒸留分離のための方法であって、
a)前記混合物を含む供給流を第1の蒸留塔に導入する工程と、
b)第1の蒸留塔に供給流の上方にヘビーソルベントを含む第1の流れを導入する工程
と、
c)第1の蒸留塔に供給流の下方に水性流を導入する工程とを含む方法を提供する。
もちろん、本発明の方法を実施する間、工程a)〜c)は、少なくともほとんどの時間
、同時に行われる。
本発明の方法において、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物と
の混合物は、供給流として工程a)の第1の蒸留塔に導入される。混合物のエチルベンゼ
ン含有量は、広範囲にわたって変更してもよい。しかし、エチルベンゼン含有量が非常に
低いと、方法が経済的にあまり魅力的でなくなる可能性がある。
1つの実施形態において、混合物は、5〜99重量%のエチルベンゼン、好ましくは1
0〜95重量%のエチルベンゼン、より好ましくは10〜85重量%のエチルベンゼンを
含む。
供給流は、例えば、第1の蒸留塔の中間部分に導入することができる。
供給流は、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物とを含む。
少なくとも1つの他のC芳香族化合物は、好ましくは、p−キシレン、m−キシレン
、o−キシレン及びこれらの混合物から選択される。
好ましくは、塔への全体の供給は、塔内への1つの供給流として、すなわち工程a)の
供給流として入る。
第1の蒸留塔に導入されつつある第1の流れはヘビーソルベントを含むか、又は、好ま
しくはヘビーソルベントからなる。また、用語「ヘビーソルベント」は(1つ又は複数の
)ヘビーソルベントと見なす化合物の混合物にも適用され、その時はこのような化合物の
全体を表す。
本明細書において用いられる用語「ヘビーソルベント」は概して、少なくとも1つの他
のC芳香族化合物の沸点よりも高い沸点を有する溶媒を表す。ヘビーソルベントは、好
ましくは150℃を超え、より好ましくは151〜290℃の範囲の沸点を有する。
第1の流れは、工程b)において第1の蒸留塔に供給流の上方に導入される。
例えば、供給流が第1の蒸留塔の中間部分に導入される場合、第1の流れは塔の上部に
導入される。
ヘビーソルベントは、好ましくは、少なくとも1つのCl、S、NもしくはO含有化合
物又はこれらの混合物を含み、或いはこれらからなる。
Cl含有化合物は、好ましくは、2,4−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロ
ベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ポリクロロベンゼン、ベンゼンヘキ
サクロリド、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、1,2,3−トリクロロプロパ
ン及びこれらの混合物から選択され、より好ましくは、1,2,4−トリクロロベンゼン
及び1,2,3−トリクロロベンゼンから選択される。
S含有化合物は、好ましくは、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン
及びこれらの混合物から選択される。
N含有化合物は、好ましくは、N−ホルミルモルホリン、アニリン、2−ピロリジノン
、キノリン、n−メチル−2−ピロリドン、n−メチルアニリン、ベンゾニトリル、ニト
ロベンゼン及びこれらの混合物から選択される。
O含有化合物は、好ましくは、メチルサリシレート、メチルベンゾエート、n−メチル
−2−ピロリドン、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンズアルデヒド、フェノール、テトラヒドロフ
ルフリルアルコール、ジエチルマレエート、エチルアセトアセテート、4−メトキシアセ
トフェノン、イソホロン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサ
ノン、2−オクタノン、2−ノナノン、3−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、5−ノナ
ノン、ベンジルアルコール及びこれらの混合物から選択される。
水性流は、工程c)において第1の蒸留塔に供給流の下方に導入される。
例えば、供給流が第1の蒸留塔の中間部分に導入される場合、水性流は塔の下部に導入
される。
水性流は、好ましくは水及び/又は蒸気を含み、或いは水及び/又は蒸気からなり、よ
り好ましくは水を含み、又は水からなる。
工程c)において蒸留塔に導入される水性流の量は、好ましくは、水性流の質量供給が
、蒸留塔へのヘビーソルベントの質量供給に基づいて、0,5〜25重量%、より好まし
くは1〜20重量%、さらにより好ましくは2〜15重量%、最も好ましくは4〜10重
量%になるような量である。
本発明の実施形態において、水性流は、水並びにCl、S、N又はO含有化合物及びこ
れらの混合物から選択される少なくとも1つのライトソルベントを含み、或いはこれらか
らなる。
本明細書において用いられる用語「ライトソルベント」は概して、少なくとも1つの他
のC芳香族化合物の沸点よりも低く、且つエチルベンゼンの沸点よりも低い沸点を有す
る溶媒を表す。また、用語「ライトソルベント」は(1つ又は複数の)ライトソルベント
と見なす化合物の混合物にも適用され、その時はこのような化合物の全体を表す。
ライトソルベントは、好ましくは135℃未満、より好ましくは130℃未満、さらに
より好ましくは125℃未満、さらにより好ましくは120℃未満、最も好ましくは11
0℃未満の沸点を有する。
Cl含有化合物は、好ましくは、クロロホルム、四塩化炭素及びこれらの混合物から選
択される。
N含有化合物は、好ましくは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、アセトニトリル及び
これらの混合物から選択される。
O含有化合物は、好ましくは、アセトアルデヒド、1−プロパナール、メチルイソプロ
ピルケトン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ペン
タノン、2−メチルプロパナール、1−ブタナール、シクロペンタノン、アセトン、エタ
ノール及びこれらの混合物から選択される。
本発明の方法は、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物、例えば
o−キシレン、p−キシレン及びm−キシレン又はこれらの混合物とを含む混合物からの
エチルベンゼンの分離に限定されない。
本発明の方法の特定の実施形態において、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC
芳香族化合物とを含む混合物はさらに、少なくとも1つの非芳香族化合物及び/又は少
なくとも1つの別の芳香族化合物を含む。
少なくとも1つの非芳香族化合物は、パラフィン、オレフィン、ナフタレン又は他の脂
肪族構造の炭化水素にすることができる。好ましくは、少なくとも1つの非芳香族化合物
は、C7〜C11非芳香族化合物、例えばイソプロピルシクロペンタン、2,4,4−ト
リメチルヘキサン、2,2−ジメチルヘプタン、cis−1,2−ジメチルシクロヘキサ
ン、1,1,4−トリメチルシクロヘキサン、2,3,4−トリメチルヘキサン、1,3
,4−トリメチルシクロヘキサン、2,3−ジメチルヘプタン、3,5−ジメチルヘプタ
ン、3,4−ジメチルヘプタン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、1−エチル
−4−メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、trans−2−ノネン、イソブ
チルシクロペンタン、3−エチル−4−メチル−3−ヘキセン、n−ノナン、cis−1
−メチル−3−エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、イソプロピルヘキサン及びこれ
らの混合物から選択される。
少なくとも1つの別の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、スチレン又はこれらの混
合物にすることができる。
また、特定の実施形態において、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC8芳香族
化合物とを含む混合物は、本発明の方法に、より適した供給流を調製するために、第1の
蒸留塔に入る前に前処理工程を通過してもよい。前処理工程は、例えば、9個又はそれ以
上の炭素原子を有する重炭化水素化合物の分離を含んでもよい。
第1の蒸留塔は、好ましくは、100mbar〜1100mbar、より好ましくは1
40mbar〜900mbar、さらにより好ましくは180〜700mbar、最も好
ましくは200〜500mbarの圧力で運転される。
第1の蒸留塔内の温度は、好ましくは、50℃〜250℃、より好ましくは60℃〜2
00℃、さらにより好ましくは70℃〜180℃である。
工程b)において蒸留塔に導入されるヘビーソルベントの量は、少なくとも1つの他の
C8芳香族化合物に対するエチルベンゼンの比揮発度を改善するために十分多くあるべき
である。
工程b)において蒸留塔に導入されるヘビーソルベント流の量は、好ましくは、供給に
対するヘビーソルベントの質量供給比、すなわち第1の蒸留塔に導入される供給流の全質
量に対するヘビーソルベント流の全質量の比が1:1〜10:1、より好ましくは2:1
〜8:1、さらにより好ましくは3:1〜7:1であるような量である。
好ましい実施形態において、本発明による方法は、エチルベンゼンに富む第2の流れが
第1の蒸留塔から、通常は塔の最上部又は上部から取り出される工程d)を含む。供給流
中のエチルベンゼンに対する第2の流れ中のエチルベンゼンの比と定義されるエチルベン
ゼンの回収率は、好ましくは1より大きく、より好ましくは1,5より大きく、より好ま
しくは2より大きく、さらにより好ましくは2,5より大きく、さらにより好ましくは3
より大きく、最も好ましくは3,5より大きい。通常、この比は50より大きくない。
第2の流れ又は塔頂流は、水及びライトソルベントをさらに含んでもよい。このような
場合、本発明による方法は、好ましくは、工程d)の第2の流れ中に存在する水及びライ
トソルベントからエチルベンゼンを分離する工程f)をさらに含む。これは、例えば、塔
頂流が取り出された後、デカンタにおける相分離及び/又は別の蒸留塔における蒸留分離
によって行うことができる。
さらに好ましい実施形態において、本発明による方法は、少なくとも1つの他のC8芳
香族化合物に富み、且つヘビーソルベントをさらに含む第3の流れが塔から、通常は塔の
最下部又は下部から取り出される工程e)を含む。
本発明の方法のある実施形態では、第2の蒸留塔が使用される。この第2の塔は溶媒回
収塔とも呼ばれる。この実施形態において、方法は、好ましくは、ヘビーソルベントから
少なくとも1つの他のC8芳香族化合物を分離するために、工程e)のあらかじめ取り出
された第3の流れが第2の蒸留塔において処理される工程g)をさらに含む。
効率の理由で、本発明の方法において、流れを回収及び再循環することができる。例え
ば、工程e)の分離ユニット及び/又は工程g)の第2の蒸留塔から取り出される流れは
、第1の蒸留塔内に再循環することができる。好ましくは、水及び/又はヘビーソルベン
ト及び/又はライトソルベントは、第1の蒸留塔に再循環される。
本明細書において用いられる用語「還流比」は、留出物流に対する還流の比と定義され
る。好ましくは、本発明の方法の第1の蒸留塔において、1〜30、より好ましくは2〜
25、より好ましくは4〜20、最も好ましくは5〜15の還流比が適用される。
また本発明は、エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物との混合物
を含む供給流の下方に導入される水性流の、前記混合物からのエチルベンゼンの蒸留分離
における、分離の効率を高めるための使用に関する。
以下で説明する一例により、また以下の図を参照することにより本発明をさらに説明す
る。
本発明の1つの実施形態による典型的なプロセスフロースキームを示す。
抽出蒸留プロセススキーム
図1を参照することにより、本発明の1つの実施形態による方法をシミュレートするた
めの例示的なプロセスフロースキームを以下で説明する。
3つの流れは、第1の蒸留塔とも呼ばれる抽出蒸留塔10に導入される。第1の蒸留塔
の内部は、所望の効率を得るために様々に選ぶことができて、例えば蒸留塔は、いくつか
の充填床又は棚段で満たされてもよい。
エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物とを含む混合物を含む供給
流11は、導管を経由して塔10に、例えば塔の中間部分に導入される。混合物の温度は
、必要に応じて、例えば熱交換器を使用して調節されてもよい。同時に、ヘビーソルベン
トを含む第1の流れ12及び水を含む水性流13は、2つのそれぞれの導管を経由して第
1の蒸留塔10に導入される。第1の流れ12は、供給流11の上方、例えば塔10の上
部に導入され、一方、水性流13は、供給流11の下方、例えば塔10の下部に同時に導
入される。
ヘビーソルベントは、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物と共に、より高沸点の混
合物を優先的に生成し、第1の蒸留塔10の下方で蒸留され、一方、ヘビーソルベントと
の親和性が低く、より軽質の沸騰しているエチルベンゼンは、塔の上方で蒸留される。
第1の塔の最上部又は上部から、エチルベンゼン、水、及び任意選択でライトソルベン
トを含む第2の流れ14が取り出される。この第2の流れを相分離器20に導入すること
ができて、ここでエチルベンゼンは水から分離される。分離されたエチルベンゼンを含む
流れはエチルベンゼンリッチな流れとも呼ばれるが、次に、その一部を第1の蒸留塔内に
還流21として再循環してもよいし、又は単に貯蔵22に移してもよい。分離された水は
、さらに使用することもできるし、又は図1に示す通り第1の蒸留塔10内に水性流23
として再循環することもできる。
第1の塔10の最下部から、ヘビーソルベント及び少なくとも1つの他のC8芳香族化
合物を含む第3の流れ15が取り出される。この第3の流れ15は、少量及びさらに少量
のエチルベンゼンを含んでもよい。第3の流れは、第2の蒸留塔とも呼ばれる溶媒回収塔
30に導入することができる。そこでは、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物がヘビ
ーソルベントから分離される。溶媒回収塔30の最下部から、ヘビーソルベントが取り出
され、これは、第1の蒸留塔10内に第1の流れ32として再循環することができる。
溶媒回収塔30の最上部から、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物及びおそらく少
量のエチルベンゼンを含む流れ31が取り出される。この流れはエチルベンゼンリーンな
流れとも呼ばれる。
プロセスの条件を適切に調節するために、別の機器、例えば熱交換器、ポンプ又は圧縮
機がプロセスシステムの任意の適切な場所に追加されてもよい。プロセス内のすべての機
器の適した寸法及び構成は、供給流の厳密な組成、抽出剤及び使用される特定の運転条件
に合わせるために当業者によって変更することができる。
本発明の実施形態を以下の実施例においてさらに説明する。
実施例1
シミュレーションソフトウェア「Aspen HYSYS(登録商標)」を使用して、
14,66重量%エチルベンゼン、20,21重量%p−キシレン、43,35重量%m
−キシレン及び21,78重量%o−キシレンを含む供給流が133g/minの供給量
で18段を有する抽出蒸留塔に供給されることをシミュレートするコンピュータシミュレ
ーションを実施した。表1に示す様々な溶媒を段2、すなわち段10における供給流の導
入点の上方の位置において抽出蒸留塔に導入した。比較例として、溶媒を導入しない場合
のシミュレーションを実施した。運転温度は、塔に沿って75℃〜175℃の範囲内でシ
ミュレートした。塔内の圧力は、それぞれ200mbar及び1000mbarになるよ
うにシミュレートした(下表1参照)。供給流に対する溶媒の重量比は5:1に固定した
。シミュレーションモデルにはさらに、エチルベンゼンリッチな流れが塔の最上部で取り
出され、エチルベンゼンリーンな流れが塔の最下部で取り出されるという特徴が含まれて
いた。塔の最上部からのエチルベンゼンリッチな流れの一部は、還流として還流比10で
塔に戻されるようにシミュレートした。塔に水を加える影響を示すため、供給流の上方(
「上方の水」)及び下方(「下方の水」)それぞれに36g/minの供給量で水を導入
することをシミュレートした。比較のために、水を塔に導入しないこともシミュレートし
た。結果を以下の下表1に示す。表1において、システムへの水の導入は、運転圧力20
0mbar及び1000mbarそれぞれにおいて、使用したすべての溶媒についてプロ
セスの分離効率を改善することが分かる。塔の最上部から取り出された塔頂流において、
より高いエチルベンゼン含有量が得られたことが明らかになった(「塔頂のEB濃度」)
。特に、本発明による供給流の導入点の下方の位置で水が導入されたとき、より高い効率
が見られた(「下方の水」)。
下表1において、TCBは1,2,4−トリクロロベンゼン、NMPはn−メチル−2−ピロリドンである。

本願発明には以下の態様が含まれる。
[1]
エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物とを含む混合物からエチルベンゼンを蒸留分離する方法であって、
a)前記混合物を含む供給流を第1の蒸留塔に導入する工程と、
b)前記第1の蒸留塔に前記供給流の上方にヘビーソルベントを含む第1の流れを導入する工程と、
c)前記第1の蒸留塔に前記供給流の下方に水性流を導入する工程とを含む方法。
[2]
前記ヘビーソルベントが、少なくとも1つのCl、S、N又はO含有化合物及びこれらの混合物を含む、上記[1]に記載の方法。
[3]
前記Cl含有化合物が、2,4−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ポリクロロベンゼン、ベンゼンヘキサクロリド、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、1,2,3−トリクロロプロパン及びこれらの混合物、好ましくは1,2,4−トリクロロベンゼン及び1,2,3−トリクロロベンゼンから選択される、上記[2]に記載の方法。
[4]
前記S含有化合物が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン及びこれらの混合物から選択される、上記[2]又は[3]に記載の方法。
[5]
前記N含有化合物が、N−ホルミルモルホリン、アニリン、2−ピロリジノン、キノリン、n−メチル−2−ピロリドン、n−メチルアニリン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン及びこれらの混合物から選択される、上記[2]から[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記O含有化合物が、メチルサリシレート、メチルベンゾエート、n−メチル−2−ピロリドン、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンズアルデヒド、フェノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチルマレエート、エチルアセトアセテート、4−メトキシアセトフェノン、イソホロン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−オクタノン、2−ノナノン、3−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、5−ノナノン、ベンジルアルコール及びこれらの混合物から選択される、上記[2]から[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記水性流が水及び/又は蒸気である、上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記水性流が、水と、Cl、S、N又はO含有化合物及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのライトソルベントとを含む、上記[1]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記Cl含有ライトソルベント化合物が、クロロホルム、四塩化炭素及びこれらの混合物から選択される、上記[8]に記載の方法。
[10]
前記N含有ライトソルベント化合物が、ジメチルアミン、ジエチルアミン、アセトニトリル及びこれらの混合物である、上記[8]又は[9]に記載の方法。
[11]
前記O含有ライトソルベント化合物が、アセトアルデヒド、1−プロパナール、メチルイソプロピルケトン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、2−メチルプロパナール、1−ブタナール、シクロペンタノン、アセトン、エタノール及びこれらの混合物から選択される、上記[8]から[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記少なくとも1つの他のC8芳香族化合物が、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン及びこれらの混合物から選択される、上記[1]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記水性流の質量供給が、前記ヘビーソルベントの質量供給に基づいて、0.5〜25重量%である、上記[1]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記供給に対するヘビーソルベントの質量供給比が1:1〜10:1である、上記[1]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法であって、
d)エチルベンゼンに富む第2の流れを前記第1の蒸留塔から取り出す工程、をさらに含む方法。
[16]
エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC8芳香族化合物との混合物を含む供給流の下方に導入される水性流の、前記混合物からのエチルベンゼンの蒸留分離における、前記分離の効率を高めるための使用。

Claims (15)

  1. エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物とを含む混合物からエチルベンゼンを蒸留分離する方法であって、
    a)前記混合物を含む供給流を第1の蒸留塔に導入する工程と、
    b)前記第1の蒸留塔にヘビーソルベントを含む第1の流れを導入する工程と
    (ただし、前記ヘビーソルベントは、150℃を超えた沸点を有し、且つ、前記少なくとも1つの他のC芳香族化合物の沸点よりも高い沸点を有する溶媒である)、
    c)前記第1の蒸留塔に、水と、Cl、S、N又はO含有化合物及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つのライトソルベントとを含む水性流を導入する工程
    (ただし、前記ライトソルベントは、135℃未満の沸点を有し、前記少なくとも1つの他のC芳香族化合物の沸点よりも低く、且つエチルベンゼンの沸点よりも低い沸点を有する溶媒である)、
    を含む方法。
  2. 前記ヘビーソルベントが、少なくとも1つのCl、S、N又はO含有化合物及びこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヘビーソルベントの前記Cl含有化合物が、2,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ベンゼンヘキサクロリド、2,3,4,6−テトラクロロフェノール、1,2,3−トリクロロプロパン及びこれらの混合物からなる群より選択される請求項2に記載の方法。
  4. 前記ヘビーソルベントの前記S含有化合物が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記ヘビーソルベントの前記N含有化合物が、N−ホルミルモルホリン、アニリン、2−ピロリジノン、キノリン、n−メチル−2−ピロリドン、n−メチルアニリン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ヘビーソルベントの前記O含有化合物が、メチルサリシレート、メチルベンゾエート、n−メチル−2−ピロリドン、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンズアルデヒド、フェノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチルマレエート、エチルアセトアセテート、4−メトキシアセトフェノン、イソホロン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−オクタノン、2−ノナノン、3−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、5−ノナノン、ベンジルアルコール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記水性流が蒸気を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記Cl含有ライトソルベント化合物が、クロロホルム、四塩化炭素及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記N含有ライトソルベント化合物が、ジメチルアミン、ジエチルアミン、アセトニトリル及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記O含有ライトソルベント化合物が、アセトアルデヒド、1−プロパナール、メチルイソプロピルケトン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、2−メチルプロパナール、1−ブタナール、シクロペンタノン、アセトン、エタノール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの他のC芳香族化合物が、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記水性流の質量供給が、前記ヘビーソルベントの質量供給に基づいて、0.5〜25重量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記供給に対するヘビーソルベントの質量供給比が1:1〜10:1である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の方法であって、
    d)エチルベンゼンに富む第2の流れを前記第1の蒸留塔から取り出す工程、をさらに含む方法。
  15. エチルベンゼンと、少なくとも1つの他のC芳香族化合物との混合物を含む供給流に導入される、水とライトソルベントを含む水性流の、前記混合物からのエチルベンゼンの蒸留分離における、前記分離の効率を高めるための使用であって、
    前記ライトソルベントは、Cl、S、N又はO含有化合物及びこれらの混合物からなる群より選択され、135℃未満の沸点を有し、前記少なくとも1つの他のC芳香族化合物の沸点よりも低く、且つエチルベンゼンの沸点よりも低い沸点を有する溶媒である、使用。
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