JP6815322B2 - 色素体形質転換方法 - Google Patents

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Description

関連出願の参照
本出願は、2015年2月4日出願の米国仮出願第62/111,859号の優先権を主張し、この出願は、そのまま全体が本明細書中に参照として援用される。
発明の分野
本発明は、農芸バイオテクノロジーの分野に関連し、より詳細には、色素体の遺伝子形質転換の方法及び組成物に関する。
配列表の援用
ファイルサイズ6,619バイト(MS−Windows(登録商標)で測定)、作成日2016年2月3日、26のヌクレオチド配列を含む「MONS371WO_ST25.txt」という名前のファイルに含まれる配列表は、本明細書とともに電子出願され、そのまま全体が本明細書中に参照として援用される。
色素体形質転換は、遺伝子導入植物を作り出すための従来の核形質転換法に勝る著しい利点を提供する可能性があり、そのような利点として、恐らくは、より大量かつ信頼できる導入遺伝子発現、母性遺伝、サイレンシング機構の欠如などが挙げられる。しかしながら、色素体形質転換の既存の方法は、概して、形質転換の標的として発達したまたはカルス組織の使用を必要としてきたため、特定の植物種及び遺伝子型に限定されてきた。そのうえさらに、色素体形質転換の既存の方法は、時間がかかりかつ非効率的でもあったため、こうした方法は、プラストーム導入植物、特に農学上重要な作物のエリート生殖質でのそのような植物の迅速大規模生産に実用的ではなかった。
プラストーム導入作物の大規模商業生産のための色素体形質転換が実行可能になるように、プラストーム導入成果物を迅速かつ効率的に作製するための、及びカルス相を必要とせずにそれら成果物から植物を発達または再生させるための改善された組成物及び方法が、当該分野で必要とされている。
1つの態様において、本発明は、植物色素体の形質転換方法を提供し、本方法は以下の工程を含み:(a)植物の種子から外植片を調製する工程、外植片は、種子の胚の成長点組織を含む;及び(b)外植片の細胞の少なくとも1つの色素体を外来DNA分子で形質転換する工程、外来DNA分子は、以下:(i)第一の色素体ゲノム配列と相同な第一の腕領域;(ii)第二の色素体ゲノム配列と相同な第二の腕領域;及び(iii)外来DNA分子の第一の腕領域と第二の腕領域の間に配置された挿入配列、を含み、本方法において、外植片の細胞は、形質転換工程(b)の前にカルス組織を形成せず、かつ挿入配列は、第一の色素体ゲノム配列と第二の色素体ゲノム配列の間の植物細胞の色素体ゲノムに組み込まれる。ある特定の実施形態において、種子は、成熟胚を含む乾燥種子である。実施形態によっては、乾燥種子は、水分量が、約3%〜約25%の範囲にある。さらなる実施形態において、植物は、双子葉類植物である。例えば、双子葉類植物は、大豆、セイヨウアブラナ、アルファルファ、サトウダイコン、または綿花の場合がある。なおさらなる実施形態において、外植片の細胞の少なくとも1つの色素体は、光合成活性ではない。他の実施形態において、胚は、成熟胚である。
本発明の特定の実施形態において、挿入配列は、相同組換えにより色素体ゲノムに組み込まれる。実施形態によっては、形質転換工程は、微粒子銃を介して、外来DNA分子を外植片に導入することを含む。さらなる実施形態において、調製された外植片は、水分量が、約3%〜約20%の範囲にある。なおさらなる実施形態において、形質転換された色素体は、原色素体である。他の実施形態において、胚は、未熟胚である。ある特定の実施形態において、外植片は、形質転換工程の前に、色素体形質転換の受容性を維持しておりかつ発芽せず、さらには代謝停滞状態にあると定義することができる。任意選択で、本発明は、形質転換工程の前に、外植片を前培養することをさらに含む方法を提供する。前培養工程は、例えば、外植片を、少なくとも1種の浸透圧調節物質を含む水性媒体と接触させることを含むことができる。実施形態によっては、水性媒体は、糖またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。さらなる実施形態において、本発明は、形質転換工程後に、外植片を発芽させることを含む。色素体形質転換された植物は、発芽した外植片から再生させることもできる。他の実施形態において、本発明は、色素体形質転換された植物から色素体形質転換された種子を得ることをさらに含む方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、形質転換工程(b)の前に、外植片を発芽させることをさらに含む方法を提供する。
本発明の他の実施形態において、挿入配列は、色素体プロモーターに操作されるように連結された導入遺伝子を含むDNA発現カセットを含む。導入遺伝子は、例えば、導入遺伝子で形質転換された植物で発現した場合に農学上関心が持たれる遺伝形質を与える場合がある。農学上関心が持たれる遺伝形質の例として、修飾された炭素固定、修飾された窒素固定、除草剤耐性、害虫抵抗性、増加した生産量、真菌性病害耐性、ウイルス耐性、線虫耐性、細菌性病害耐性、修飾されたデンプン産生、修飾された油産生、修飾された脂肪酸含有量、修飾されたタンパク質産生、向上した動物及びヒト栄養価値、環境ストレス耐性、改善されたプロセシング遺伝形質、改善された消化性、改善された酵素産生、及び改善された繊維産生が挙げられる。導入遺伝子は、選択作用剤に対する耐性を与える植物選択性標識遺伝子を含むこともでき、そのような方法は、外植片を選択作用剤と接触させることにより、外植片の色素体形質転換細胞の発達に選択性を持たせることを含む。実施形態において、本発明は、発達中の植物を選択作用剤と接触させることによる淘汰圧下で、形質転換された外植片から色素体形質転換植物を発達させることを含む方法を提供する。
さらに他の実施形態において、本発明に従って使用される挿入配列は、第一のDNA発現カセット及び第二のDNA発現カセットを含むことができ、第一のDNA発現カセットは、第一の色素体プロモーターに操作されるように連結された第一の導入遺伝子を含み、かつ第二のDNA発現カセットは、第二の色素体プロモーターに操作されるように連結された第二の導入遺伝子を含み、第一の導入遺伝子は、植物で発現した場合に農学上関心が持たれる遺伝形質を与え、第二の導入遺伝子は、選択作用剤に対する耐性を与える植物選択性標識遺伝子である。実施形態によっては、本発明の方法は、形質転換工程の前に、約1時間〜約2年間、外植片を乾燥条件下で貯蔵することを含み、外植片は、貯蔵中も生存して形質転換の受容性を維持する。さらなる実施形態において、本発明は、形質転換工程の前に、外植片を乾燥させることをさらに含む方法提供する。なおさらなる実施形態において、本発明は、植物の種子から外植片を切り出すことをさらに含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、本発明が提供する方法により作製された色素体形質転換植物または種子を提供する。特定の実施形態において、植物は、双子葉類植物である。双子葉類植物の例として、大豆、セイヨウアブラナ、アルファルファ、サトウダイコン、及び綿花が挙げられる。
さらに別の態様において、本発明は、植物色素体の形質転換方法を提供し、本方法は以下の工程を含み:外植片の成長点細胞の少なくとも1つの色素体を外来DNA分子で形質転換する工程、外来DNA分子は、以下:(i)第一の色素体ゲノム配列と相同な第一の腕領域;(ii)第二の色素体ゲノム配列と相同な第二の腕領域;及び(iii)外来DNA分子の第一の腕領域と第二の腕領域の間に配置された挿入配列、を含み、本方法において、外植片の細胞は、形質転換工程の前にカルス組織を形成せず、かつ挿入配列は、植物細胞の色素体ゲノム中、第一の色素体ゲノム配列と第二の色素体ゲノム配列の間に組み込まれる。ある特定の実施形態において、本発明は、植物の種子から外植片を切り出すことをさらに含む方法を提供する。
ダイズ色素体形質転換ベクターpMON286766を示す。
ダイズ色素体形質転換ベクターpMON285270を示す。
ダイズ色素体形質転換ベクターpMON286706を示す。
ダイズ色素体形質転換ベクターpMON291978を示す。
乾燥種子から切り出された成熟大豆胚外植片の画像を示す。
ダイズ色素体形質転換に使用される構築物を示す。
ダイズ色素体ベクターpMON285270を照射した外植片からの大豆苗条の画像(右欄;「成果物1」)と、gus及びaadA発現カセットを含有する核発現ベクターpMON96999で爆破した外植片の画像(左欄;「対照構築物」)とを、明視野条件下で(上段画像)、またはLEICAソフトウェアによる「GFP2」設定(励起フィルター480/40nm(460−500nm);吸収フィルター(510LP))を用いて(中段画像)、または「GFP3」LEICA設定(励起フィルター470/40nm(450−490nm);吸収フィルター525/50nm(500−550nm))を用いて(下段画像)、比較して示す。
本発明の実施形態に従って、ダイズプラストーム導入成果物を作り出す方法の概要を示す。
推定ダイズ色素体形質転換体の分子解析用PCRアッセイを示す。暗灰色断片は、相同組換えによる組み込み後のダイズ葉緑体DNAの色素体配列延長を表す。
成果物1について色素体形質転換のPCRによる検証を示す。
成果物4、成果物5、及び成果物8(試料1〜3)について色素体形質転換のPCRによる検証を示す。推定形質転換体は、各画像のレーン1〜7に示され、一方、対照レーンは、レーン8、9、及び10に示される。レーン8は、10pgのpMON285270(環状、未消化)を示し;レーン9は、10pgの線形化プラスミドDNA(相同腕と隣接するKpnI部位で消化)を非形質転換ダイズDNA試料と混合したもの(導入遺伝子を含む色素体ベクターが天然色素体ゲノムとアニーリングして相同性腕外側のプライマーとであっても偽陽性PCR産物を生成する可能性を除外するため)を示す。対照レーンには、上部バンド産物(プライマー対に応じて約6.6kbまたは約6.4kb)は観察されなかった。レーン10は、陰性対照としてダイズ葉を示し、1kbのNEBラダーは、最終レーンMに示す。色素体形質転換を示す増幅産物を表した試料1、2、及び3は、それぞれ、成果物4、成果物5、及び成果物8と指定した。
gfp−HR結合断片及びaadA−HR結合断片の存在についての推定ダイズ色素体形質転換体のPCR解析を示す。試料1、2、及び3は、それぞれ成果物4、成果物5、及び成果物8と指定されており、それぞれが、gfp−HR結合断片及びaadA−HR結合断片の両方を含んでいた。
制限部位及び推定サザンブロットバンドを示す形質転換ダイズ色素体DNA分子を、ダイズ色素体形質転換体由来のDNAのNcoI消化と合わせて示す模式図である。
様々なプローブで標識したサザンブロットを示す。色素体形質転換体は、PstI/XbaIプローブで標識した場合は9,475bpのバンドを表すと予想され、一方野生型植物は、7,163bpの標識化バンドを表すと予想される。色素体形質転換体は、aadAプローブでも標識化バンドを表すと予想される。
プラストーム導入さや及び種子でのGFP発現を示す2組の画像を提示する。上段左欄の画像は、プラストーム導入未熟R1さやでのGFPレポーター遺伝子発現を対照さやと比較して示す(下部画像を参照;上部画像は明視野である)。上段右欄の画像は、プラストーム導入未熟R1さや及び種子でのGFP発現(種子を示すためさやは切開されている)を対照さやと比較して示す(下部画像を参照;上部画像は明視野である)。下段左及び下段右の画像の組は、プラストーム導入R1種子でのGFP発現を示す(下段左画像は、種皮を残したままの未熟種子を示し、一方下段右画像は、種皮を取り除いた未熟種子を示す)。
プラストーム導入成果物でのGFP定量を核内GFP成果物及び野生型対照と比較して示す。
R1プラストーム導入成果物中の組み込み部位のDroplet Digital(商標)PCR解析を示す。
図18A〜Cは、R1プラストーム導入成果物についてのPacBio(登録商標)配列決定データ(図18B及び図18C)を、野生型対照(図18A)と対比して示す。
色素体形質転換は、遺伝子導入植物を作製するのに、従来の核形質転換方法に勝る複数の潜在的利点を提供し、そのような利点として、プラストーム導入成果物からのタンパク質発現が概してより高レベルであることが挙げられる。そのような高レベルは、複数の色素体が各細胞に存在し1色素体あたり複数コピーのプラストームDNA分子が存在することによるところが大きい。そのように高いレベルでの発現は、例えば、農学上の遺伝形質の改善または有用産物の生合成の増加を提供するのに利用することができる。色素体はまた、オペロンとして遺伝子を転写することができ、これにより、複数の導入遺伝子がまたは全経路であってさえも、単独発現カセットから一緒に発現されることが可能になる。また、プラストームへの導入遺伝子組み込みは、部位特異的であり、概して機構をサイレンシングしない傾向にあり、このことは、所定の構築物について成果物の中でより一貫性があり信頼できる導入遺伝子発現レベルを提供する可能性がある。すなわち、そのような一貫性は、プラストーム導入成果物の作製に成功するための開発費用を削減する可能性がある。色素体は、一般に、母性遺伝であるため、所定の導入遺伝子についてホモプラストームである植物の全てのR1種子は、核内遺伝子導入成果物についてヘミ接合性である植物が、染色体分離ゆえに導入遺伝子の安定伝達を達成するためにさらなる交雑を必要とするのとは異なり、組み込まれた導入遺伝子を有することになる。プラストーム導入成果物は、さらに、遺伝子導入タンパク質が発現して色素体(または葉緑体)になることを標的とするまたは隔絶することができ、色素体はさらなる標的ペプチド配列を必要とせずに、それらの細胞小器官内のそれらの機能を指導するまたは含有することができる。結果として、導入遺伝子の色素体発現は、場合によっては細胞毒性を低下させる可能性がある。
様々な作物種の色素体で形質転換の試みが行われてきたものの、成功したのは、概して、ある種の組織標的に限られており、そのような標的として、成熟した葉、プロトプラスト、懸濁培養液、または胚形成カルス組織が挙げられる。例えば、Bock,R.,‘‘Engineering Plastid Genomes:Methods,Tools,and Applications in Basic Research and Biotechnology,’’ Annu. Rev. Plant Biol.,66:3.1−3.31(2015)を参照、その全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。しかしながら、多くの作物及び栽培品種は、そうした組織を標的とすることによる色素体形質転換に適していないか、カルス組織、懸濁培養液、またはプロトプラストを効果的に形成することができない。すなわち、色素体形質転換は、これまで、一般に、種及び遺伝型依存性であり、農学上重要な作物のより原始的な品種に限定されることが多く、そのような品種は、所望の遺伝子バックグラウンドで導入遺伝子発現を達成するためによりエリートのドナー系統と戻し交配するラウンドを複数必要とする。そのうえ、植物の部分、例えば葉またはカルス組織などを用いた色素体形質転換の従来方法は、一般に、推定色素体形質転換体を回収するために、長期培養及びスクリーニング工程をはじめとする莫大な努力を必要とする。結果として、そうした方法は、農業的に重要なプラストーム導入作物を大規模商業産生するには実用的ではないと見なされてきた。これらの制約を考えると、既存の色素体形質転換方法は、それらの潜在的利点及び利益にも関わらず、核形質転換に勝る大幅な改善を提供してきておらず、したがって、改善された色素体形質転換方法に対する需要が存在する。
本発明は、胚成長点組織など成長点組織の細胞を標的とすることにより、どのような先行カルス形成工程も行うことなく、プラントでプラストーム導入成果物を効率的に作製する方法を提供することにより、当該分野での欠点を克服する。本方法に従って、標的とする外植片の形質転換の前にカルス相を必要としなくなることで、既存方法にまつわる遺伝子型及び種依存性が、大幅に低下または排除される可能性があり、したがって、農学上重要な作物種のエリート生殖質系統に直接入れる直接の色素体形質転換が達成される可能性がある。植物の胚外植片の成長点に微粒子銃を用いることで、どのような先行カルス形成工程も必要とせずに、遍在的に導入遺伝子を発現する色素体形質転換R0植物を迅速かつ効率的に産生することができることが、予想外に発見された。これまで、色素体(または原色素体)形質転換は、先行カルス形成または組織増幅及び光曝露なしでは胚組織で有効に達成することができないと考えられていた。なぜなら、未発達及び/または非光合成色素体標的は、数が少なすぎる及び/または形質転換を受け入れることができないだろうと思われたからである。言い換えると、色素体の発達及び増殖は、プラストームDNAの有効な形質転換に必須であるように見られていた。驚いたことに、本発明の方法に従って形質転換された胚外植片は、カルス相なしで、かつ小規模な培養及び/または再生工程のみで、かなり正常に成熟R0植物へと発達することができる。本発明の方法により作製されたプラストーム導入R0植物は、広範または遍在的な導入遺伝子発現を示すことがわかっただけでなく、さらに、形質転換された生殖系列であること及びプラストーム導入R1種子及び植物を産生することができることを示す。
形質転換の前に外植片を大規模に培養またはカルス形成させることなく高頻度でプラストーム導入R0植物を作製できることにより、本発明の方法は、より迅速かつ効率的に行うことが可能になり、すなわちプラストーム導入作物の大規模商業生産の可能性を現実のものにすることができる。胚外植片は、種子から採取することができ、ほぼ直接的に形質転換の標的として使用することができる。実施形態によっては、胚外植片は、成熟乾燥種子から採取する場合があり、それは恐らく最小限の濡らし、水和、または前培養工程のみで色素体形質転換の標的として使用することができる。したがって、貯蔵のできる乾燥種子または外植片を、色素体形質転換の標的として都合よく利用することができる。あるいは、未熟胚または「湿潤」もしくは「乾燥させた湿潤」胚外植片(例えば、薬物刺激したまたは発芽した胚外植片を含む)を使用する場合がある。同様に、吸水したもしくは水和した種子から「湿潤切り出し」外植片も、標的として使用する場合がある。本発明の方法は、当該分野で大きな利点となる。なぜなら、本発明の方法は、プラストーム導入作物の商業生産を妨げると思われるさらなるカルス形成、培養、及び/または再生工程を必要とすることなく、農学上重要な作物のエリート品種での可能性を含めて植物の迅速かつ効率的な色素体形質転換を可能にするからである。
I.色素体形質転換の方法
本発明の実施形態は、植物色素体を形質転換する方法を提供し、本方法は、外植片の少なくとも1つの細胞に外来DNA分子を導入して、その細胞の少なくとも1つの色素体にプラストーム導入成果物を作製することを含む。本発明の方法は、形質転換の前に外植片の大規模培養を行うことなく、収穫種子から切り出した胚外植片の成長点組織または細胞を標的とすることにより行うことができる。胚外植片は、成熟胚を含んでも未熟胚を含んでもよいが、好ましくは、貯蔵可能な乾燥種子から切り出したまたは取り出した成熟胚外植片を含むことができる。本発明の方法は、相同組換えを採用して、外来DNA分子由来の導入遺伝子を外植片の標的組織の少なくとも1つの細胞の色素体ゲノムDNA(すなわち、「プラストーム」)へと部位特異的挿入することを達成する。以下でさらに説明するとおり、外来DNA分子は、概して、挿入配列と隣接する2つの腕領域を含むことができ、これら2つの腕領域は、それぞれが、プラストームの標的部位に対して導入遺伝子の組換え及び挿入を駆動するように、それぞれの色素体ゲノム配列と相同である。相同組換えを介して外植片細胞の色素体ゲノムに導入遺伝子を部位指向性挿入することは、核ゲノム全体にわたり異なる部位で導入遺伝子が挿入された核形質転換成果物と関連する成果物多様性を低下させる。結果として、色素体での導入遺伝子発現レベルは、概して、同品質のプラストーム導入成果物間で一貫するはずである(核形質転換成果物では、導入遺伝子挿入部位に依存して導入遺伝子発現レベルが変わり予想できない可能性があるのとは異なる)。そのような一貫かつ予測可能な導入遺伝子発現は、特に、プラストーム導入成果物が効率的かつ十分な頻度で作製可能であるならば、それらを作製するための開発費用を低下させる。
実施形態によっては、植物種子から切り出された外植片は、任意選択で、形質転換の前に、時間を限定して水性媒体中で前培養することができる。そのような前培養培地は、種々の塩(複数可)(例えば、MS基礎塩、B5塩など)及び他の成分、例えば様々な浸透圧調節物質(複数可)、糖(複数可)、抗菌剤(複数可)などを含むことができる。前培養培地は、固体でも液体でもよく、1種または複数の植物成長制御因子または植物ホルモンをさらに含むことができ、そのような植物成長制御因子または植物ホルモンとして、オーキシン(複数可)、サイトカイニン(複数可)などが挙げられる。実施形態によっては、複数の外植片を、同一培地または容器中で一緒に前培養することができる。例えば、2〜100の範囲の外植片、例えば約25または約50の外植片などを、同一前培養培地上または中に播種することができるが、もっとも、多数の外植片が一緒に前培養できるかどうかは、外植片の種類、容器、皿の寸法などに依存する。実施形態によっては、前培養培地は、オーキシン、例えば2,4−D、インドール酢酸(IAA)、ジカンバなど、及びサイトカイニンまたは同様な成長制御因子、例えばチジアズロン(TDZ)、6−ベンジルアミノプリン(BAP)などを含むことができる。そのような前培養または前培養工程は、外植片の形質転換性及び/または再生性を向上させる可能性がある。重要なことは、前培養培地中のオーキシン及びサイトカイニン(または同様な成長制御因子)の相対量を、概して、外植片からのカルス形成が回避される(たとえ長時間にわたるものであっても)ように制御または予め決定できることである。実施形態によっては、前培養培地は、2,4−Dなどのオーキシン及びTDZなどのサイトカイニン両方を含むことができる。例えば、前培養培地中のサイトカイニン濃度は(存在する場合には)、ゼロ(0)〜約5ppm、例えば約0.3〜約4百万分率(ppm)などの範囲、または任意の他の中間範囲の濃度が可能である。TDZの場合、濃度は、好ましくは、2ppm未満、または約0.7〜約1.3ppm、または約0.5〜約1ppmの範囲、または約0.5ppm、または約1ppmが可能である。2,4−Dなどのオーキシンの濃度は、約ゼロ(0)〜約2ppm、または約0.1ppm〜約1ppm、または約0.1ppm〜約0.5ppmの範囲、あるいは任意の他の中間範囲の濃度が可能である。
前培養培地及び/または外植片周囲の温度に一部依存して、前培養工程の期間は変わる可能性がある。概して、前培養工程の期間も、約1または2時間〜約5日間、例えば、約12時間〜約60時間、または約12時間〜約48時間の範囲、あるいはその中で任意の他の範囲の期間に制御及び限定することができる。前培養工程の時間の長さを限定することによっても、植物成長制御因子の存在にも関わらずカルス形成を回避させることができる。前培養工程中、外植片は、同一培地に維持することも、1回または複数回新たな培地に移すこともできる。最適な前培養工程の照明及び/または温度条件も、制御することができる。例えば、外植片は、前培養工程中、16/8の光周期曝露に、または恐らくは様々な他の明暗周期もしくは期間に曝される場合がある。あるいは、前培養工程は、暗中で、または低照度条件で行われる場合がある。明中前培養条件は、標的外植片組織の細胞中の色素体発達及び/または色素体標的数の増加を促進する可能性があるものの(色素体形質転換には必要であると従来考えられていた)、暗中または低照度前培養条件は、より多数の原色素体(またはそれほど発達していない色素体)の形質転換を招く可能性があり、原色素体は、R0植物の発達中により大きな度合いで増殖して、R0植物の組織中での導入遺伝子のより広範、均一、及び/または遍在的な発現(例えば、ホモプラストーム発現)をもたらす可能性がある。外植片前培養培地及び周囲の温度も、約18℃〜約35℃、または約25℃〜約30℃、または約28℃で変わる可能性があり、全ての中間範囲及び値を含む。
実施形態によっては、前培養工程が行われるかどうかに関わらず、色素体形質転換用の外植片(複数可)は、任意選択で、前培養及び/または形質転換の前に、時間を限定して、水和または吸水培地に曝すことができる。そのような水和または吸水工程は、外植片、特に乾燥または乾燥させた種子由来の胚外植片を、色素体形質転換により適したものにする可能性がある。実際、水和または吸水工程は、形質転換前に前培養工程と分けることなく行われてもよい。水和培地は、水のみからなるものでもよいし、1種または複数の既知の浸透圧調節物質(複数可)、例えば糖(複数可)(例えば、スクロースなど)、ポリエチレングリコール(PEG)などをさらに含んでもよい。例えば、水和培地は、約10%スクロース及び/または約20%PEGを含むことができる。特に理論に固執するつもりはないが、浸透圧調節物質は、外植片の水和速度を調節または遅くする可能性がある。他の成分、例えば種々の塩なども、水和培地に含ませることができる。水和工程の期間は、概して短く、例えば、約2分〜約12時間、または約20分〜約6時間、または約30分〜約2時間、または約1時間などが可能である。水和または吸水工程は、胚外植片の発芽、または少なくとも何かしら観察できるほどの発芽もしくは発達変化を起こさないほどに十分短い時間であることが可能である。あるいは、以下でさらに説明するとおり、胚外植片は、形質転換の前に、発芽のために刺激しても、さらには発芽させてもよい。例えば、胚外植片は、濡らすことで発芽用の刺激を与え、次いで外植片を乾燥させて発芽を抑止してもよい(すなわち、「湿潤後乾燥させた」胚外植片を作製する)。そのうえさらに、「湿潤切り出し」胚(すなわち、水和したまたは濡らした種子から切り出した胚外植片)も、形質転換の標的として使用することができる。水和及び/または前培養工程(複数可)のいずれの前、最中、及び/または後であっても、様々なすすぎ工程も行うことができる。
本発明の実施形態に従って、水和及び/または前培養工程(複数可)は、形質転換、特には乾燥(または乾燥させた)外植片、例えば成熟及び/または乾燥(または乾燥させた)種子から採取したものなどの形質転換を改善するために含めることができるが、もっともこれら工程のうちいずれかまたは両方とも、色素体形質転換に使用される外植片の水分量及び/または種類に応じて、任意選択となる場合がある。しかしながら、水和及び/または前培養工程は、特に未熟胚外植片、または「湿潤」もしくは「湿潤切り出し」胚外植片を標的として使用する場合に、完全に任意選択となるまたは省略される(すなわち、含まれないまたは行われない)場合がある。なぜなら、こうした外植片は、効果的な色素体形質転換に十分なレベルの水和または水分量をすでに有している可能性があるからである。「湿潤」胚外植片は、それが種子から切り出された後に水和または吸水させる場合があるが、一方「湿潤切り出し」胚外植片は、すでに水和または吸水した種子から切り出される場合がある。
水和及び/または前培養工程(複数可)が行われていようがいまいが、外植片は外来DNA分子で形質転換されて、少なくとも1つのプラストーム導入細胞を有する外植片(複数可)を生成する。形質転換後、次いで外植片(複数可)を、外植片のプラストーム導入細胞(複数可)の成長及び発達を選別する淘汰圧下で、成長、発達、再生などさせることができる。概して、色素体形質転換工程に使用される外来DNA分子は、対応する選択作用剤の存在下でプラストーム導入細胞の生存、成長、及び発達が優先される可能性があるように、色素体発現可能な選択性標識遺伝子を含有するだろう。
遺伝子を植物組織細胞に移すための様々な方法が開発されてきており、そのような方法として、高速微量または微粒子銃、微量注入、電気穿孔法、PEG介在型形質転換、直接DNA取込み、及び細菌介在型形質転換が挙げられる。本発明の好適な実施形態に従って、外来DNA分子は、好ましくは、外来DNA分子のコピーを1つまたは複数保有する粒子を用いて外植片に照射する微粒子銃を介して、標的外植片の少なくとも1つの細胞に導入することができる。そのような微粒子銃は、当該分野で既知の任意の適切な粒子銃装置、例えばヘリウム粒子銃、電気粒子銃などを使用することができる。照射の前に、粒子に外来DNA分子のコピーを充填するまたは粒子をコピーでコーティングすることができる。粒子自身として、当該分野で既知の任意の適切な種類の粒子またはビーズ、例えば金ビーズまたはタングステンビーズなどを挙げることができる。本発明の実施形態に従って、ビーズ1mgあたり約0.5〜2.0μgの外来DNA分子の範囲、例えばビーズ1mgあたり約1.2μgの外来DNAという比で、ビーズ調製及びコーティングのために一緒にすることができる。ビーズを外来DNA分子でコーティングする方法は、当該分野で既知である。粒子銃の爆破条件も、当該分野で周知であり、様々な従来のスクリーン、ラプチャーディスクなどを、例えばヘリウム粒子銃用に使用することができる。電気銃は、形質転換に要する時間を削減する上で、及び使用することによるプロセスの消耗品が少なくなる利点をもたらす場合がある。
微粒子銃については、外植片を定位置に固定することができ爆破に適切な方向を向いた標的培地または基質上に、外植片を蒔くことができる。そのような標的培地または基質は、例えば、寒天などのゲル化剤及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を含有して培地または基質の粘度を制御することができる。外植片を、液体に、例えば水和、前培養、またはすすぎ媒体に蒔くことは、外植片の拡散及び配置を促進する可能性がある。本実施形態に従って微粒子銃の標的となる外植片は、外植片の成長点組織が優先的に爆破の粒子を受けるように配置することができる。例えば、外植片は、それらの成長点が照射中にコーティング粒子を優先的に受けるように上向きで、表面に置くことができる。各外植片は、様々な圧、力、及び/または1回または複数回、コーティング粒子で爆破することもできる。
本発明の実施形態によれば、外植片の色素体形質転換には微粒子銃が好適であるものの、他の非従来方法も、色素体形質転換での使用可能性が企図される。
本発明の実施形態に従って、標的となる外植片は、形質転換または照射後に、外植片の少なくとも遺伝子導入組織を、植物または植物部分、例えば根及び/または苗条などにさらに再生または発達させる、形質転換後または培養後選択培地(または一連の選択培地)上で(または培地中で)培養することができる。概して、こうした選択培地は、プラストーム導入成果物からの選択性標識遺伝子の発現に基づいて外植片のプラストーム導入細胞の生存、成長、増殖、及び/または発達を偏らせるまたは優先させる選択作用剤を含有することになる(すなわち、選択性標識遺伝子は、プラストーム導入成果物から発現した場合に、選択作用剤に対する耐性を提供する)。
しかしながら、実施形態によっては、外植片(複数可)は、標的外植片の形質転換または照射後すぐの最初の期間、選択作用剤を欠く第一の形質転換後または培養後安静培地上(または培地中)で、任意選択で培養することができ、それにより外植片を回復させる及び/または選択性標識遺伝子の発現を開始させることができる。そのような、安静工程は、約1時間〜約24時間、または約6時間〜約18時間、または約10時間〜約15時間、(例えば、約12時間または一晩)の範囲の期間が可能である。形質転換頻度は、回復のための非選択的期間(例えば、安静培地での培養)を設けることにより改善される場合があるものの、選択を開始するのが遅すぎると(例えば、照射後18〜24時間を過ぎてから)、形質転換頻度が低下する場合がある。培養後培地、選択培地、または安静培地はそれぞれ、標準の植物組織培養培地成分、例えば、塩類、糖類、植物成長制御因子などを含むことができ、こうした培地での培養は、標準のまたは様々な温度(例えば、28℃)及び照明条件(例えば、16/8時間光周期)で行うことができる。しかしながら、第一の培養後または安静工程は、形質転換及び選択スキーム、例えば使用される特定の選択性標識遺伝子及び選択作用剤に応じて、選択の前に、含まれても省略されてもよい。
第一の非選択的安静培地での外植片(複数可)の任意の初期回復及び培養に続いて、外植片(複数可)は、任意選択で、色素体形質転換向上工程を受けることができる。これらの実施形態に従って、外植片(複数可)を、第二の形質転換後または向上培地に曝す、または培地上(または培地中に)置くなどすることができ、培地は、浸透圧調節物質、例えばポリエチレングリコール(PEG)など、及び/または、カルシウム含有塩化合物、例えばカルシウム硝酸塩[Ca(NO32]などを含む。この色素体形質転換向上培地も、選択作用剤を欠いていてもよい。PEG介在型色素体形質転換については、例えば、Koop,HUら,‘‘Integration of foreign sequence into the tobacco plastome via polyethylene glycol−mediated protoplast transformation,’’ Planta,199(2):193−201(1996);Kofer Wら,In vitro Cell Dev Biol.,34(4):303−309(1998);及びSporlein,Bら,‘‘PEG−mediated plastid transformation:a new system for transient gene expression assays in chloroplasts,’’ Theor Appl Genet.,82(6):717−22(1991)を参照、これらの全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。例えば、硝酸カルシウムの濃度は、約0.1Mが可能であり、PEGの濃度は約20%が可能であるが、もっともこれらの濃度は、変更可能である。照射した外植片(複数可)を向上培地に曝すことは、コーティングした粒子及び/または外来DNA分子(複数可)が外植片細胞の色素体に入るのをさらに駆動するように機能する可能性がある。外植片(複数可)は、約30分〜約2時間の範囲、または約1時間などの短期間のみ、向上培地中または培地上に置く場合があり、次いですすぎ工程(複数可)を行ってから、任意のさらなる培養または選択工程を行う場合がある。しかしながら、GFP陽性外植片は、この任意選択の色素体形質転換向上工程を行わずに、本方法により回収することができた。
形質転換または照射後、一般に、外植片を、選択作用剤を含有する1種または複数の選択培地と接触させて、形質転換に使用された外来DNA分子由来のプラストームに組み込まれた選択性標識遺伝子を発現するプラストーム導入細胞の生存、成長、増殖、及び/または発達を偏らせることができる。選択性標識遺伝子は、選択作用剤を用いた選択に対して選択性標識遺伝子が耐性を与えるように、一般に、選択に使用される選択作用剤と対をなすことになる。例えば、選択性標識遺伝子は、選択作用剤としてのスペクチノマイシンまたはストレプトマイシンに対して耐性を与えるアデニリルトランスフェラーゼ遺伝子(aadA)である場合がある。
選択工程(複数可)に供するため、外植片(複数可)を、選択作用剤を含有する1種または複数の選択培地と接触させる、または培地上(または培地中)に置くことができる。淘汰圧をかけることに加えて、選択培地は、形質転換された外植片(複数可)からの苗条、根、及び/または植物全体の再生または発達を、同時にもたらすことができる。選択培地は、様々な標準植物組織培養成分、例えば、塩類(例えば、MSまたはB5塩類)、糖(複数可)などを含有することができる。選択培地は、任意選択で、植物成長制御因子(複数可)、例えばオーキシン及び/またはサイトカイニンなどを含むことができ、植物成長制御因子は、苗条及び/または根(及び最終的には植物全体)の発達、伸長、または再生を促進または補助することができる。選択工程(複数可)は、ある範囲の標準または様々な温度内(例えば、28℃)及び照明条件(例えば、16/8光周期)で行うことができる。選択培地上での形質転換した外植片からプラストーム導入R0植物へのそのような発達は、発芽及び植物発達の正常過程と大きく似ている可能性があるが、もっとも成長点の何かしらの再編成が淘汰圧に反応して起こり、苗条及び/または根及び成熟植物の他の植物部分を形成する可能性がある。重要なことに、色素体形質転換工程の前にカルス相が回避されるだけでなく、形質転換された標的外植片は、形質転換後、外植片から胚形成カルスを形成することなく、さらに形質転換R0植物へと発達することができる。
本発明の実施形態に従って、外植片(複数可)は、緑色苗条が形成されるまで第一選択培地(または一連の選択培地)中で培養することができ、次いで緑色苗条を、採取または切り取り、新たな選択培地へ移すことができる。移動プロセスまたは継代培養プロセスは、1回または複数回(例えば、2、3、4、または5回)繰り返して、複数ラウンドの移動、継代培養、及び/または選別を提供することができる。淘汰圧下での、最初の外植片(複数可)に由来する苗条の複数ラウンドの移動、継代培養、及び/または選別は、その後の発達または再生したR0植物全体にわたるプラストーム導入細胞の個数、割合、及び/または遍在性を拡大または上昇させる可能性があると思われる。
実施形態によっては、1つまたは複数の選択培地は、発根培地としても機能して、移動または継代培養した苗条(複数可)からの根(複数可)の形成及び発達を引きおこすまたは許容することができる。発根培地(単数/複数)は、それぞれ、1種または複数の植物成長制御因子(複数可)、例えば、オーキシン及び/またはサイトカイニンを含有する選択培地を含むことができる。最初の形質転換外植片(複数可)から発達または再生(淘汰圧下での系列移動または継代培養を通じて)した発根小植物は、プラストーム導入R0植物を継続して発達させるため、最終的に、PlantCon(商標)または他の適切な容器及び/または鉢植え土壌に移すことができ、次いでR1種子をこれらR0植物から収穫することができる。驚いたことに、最初の色素体形質転換した外植片(複数可)に由来する緑色苗を淘汰圧下で数ラウンド連続継代培養(及び最終的な発根)するだけで、広範にまたは遍在的に導入遺伝子発現するプラストーム導入R0小植物を形成させるのに十分であり、プラストーム導入R0小植物はさらに繁殖性植物へと発達することができ、繁殖性植物はプラストーム導入R1植物及び種子を産生することができるということが、見出された。本発明は、高頻度でプラストーム導入した植物の迅速かつ効率的な作製を提供することにより、当該分野での大幅な進歩及び改善を示す。実際、本発明の方法は、形質転換用の外植片を調製し、次いで外植片からプラストーム導入R0植物を発達または再生させる全プロセスの全体にわたりどの段階でもカルス相を必要としない。本発明とは対照的に、色素体形質転換の既存の方法は、一般に、その応用が特定の作物及び栽培品種のみに限定されてきており、しかも特定の植物種及び遺伝子型に利用可能な場合であってさえ、それらは、一般に、多大な労力及び時間を要するものであり、大規模培養プロトコルを必要とする。
本発明の実施形態に従って、選択工程(複数可)は、単独の選択培地で行われる場合もあるし、より好ましくは一連の選択工程または培地で行われる場合もある。選択培地中の選択作用剤の量または濃度は、使用される特定の選択作用剤に応じて変わる可能性がある。例えば、選択性標識遺伝子、aadAに対して使用されるスペクチノマイシンの量は、約50ppm〜約250ppmの範囲、または約100ppmもしくは約150ppmの場合がある。実施形態によっては、選択作用剤の量または濃度は、選択期間全体を通じて一定のままである場合もあるし、選択作用剤の量または濃度は、選択期間にわたり段階的または傾斜的に増大する場合もある。段階的アプローチは、プラストーム導入外植片細胞(複数可)に、それらが選択性標識遺伝子をより強固に発現してより強い淘汰圧に耐えられるようになるまで、回復する時間を与える場合がある。しかしながら、選択性標識遺伝子の発現は、段階的選択アプローチを必要としないほど、最初の淘汰圧の時点で十分な場合もある。いずれのアプローチを用いても、外植片は、周期的に新たな選択培地へと移動または継代培養することができ、または選択培地を周期的に新たな選択培地と交換して回復させることができる。実施形態によっては、外植片(複数可)は、約数日間(例えば、2または3日間)〜数週間(例えば、3〜4週間)、または約1週間〜約3週間の範囲、または約2週間の期間、選択培地のそれぞれ中(または上)に維持されて、それから次の培地へと移動または継代培養することができる。選択作用剤としてスペクチノマイシンを使用することを含む特定の実施形態に従って、スペクチノマイシンの濃度は、段階的様式で、約50ppmから約500ppmまで増加させる場合もあるし、あるいは、スペクチノマイシンの量濃度を比較的一定に(例えば、約100ppm、約150ppm、または約200ppmに)維持する場合もある。
本発明の方法は、1つまたは複数の形質転換した外植片(複数可)からプラストーム導入植物候補をより迅速に再生及び/または発達させることを可能にし、したがって色素体形質転換苗条及び植物の同定及び成長の効率を上昇させ、かつプラストーム導入植物を作製するのに必要な費用及び労力を減少させる。例えば、選択性マーカーを使用して推定色素体形質転換体を同定した後、選択作用剤の存在下または不在下で、小植物を土壌に植えるかまたは発根培地などの土壌代替物に置くことができる。外植片から伸長する苗条は、遺伝子導入されていることを当然のように示す。R0植物は、遺伝子導入R1植物及び種子を生み出すことをさらに示し、遺伝子導入R1植物及び種子は、それに続く後代を産生する見込があり、後代もまたプラストーム導入されている。すなわち、記載される方法は、選択条件下で費やされる時間及び選択作用剤の使用を大幅に削減することを可能にし、したがって、潜在的な費用も削減する。本発明の方法により作製されたプラストーム導入R0植物は、本明細書中、驚いたことに広範または遍在的にレポーター導入遺伝子(例えば、GFP)を発現することを示すものの、適切な選択作用剤を用いた淘汰圧を、任意選択で、R0植物から1つまたは複数の後続世代にわたり維持することで、ホモプラストームまたはほぼホモプラストームな植物を産生することができる。ホモプラストームまたはほぼホモプラストームな植物は、プラストーム組み込み導入遺伝子の遺伝に関して固定されているまたはほぼ固定されている(すなわち、後代の中で導入遺伝子の分離がない及び/または後代で自己交雑してホモプラストーム性が安定して維持される)として定義することができる。上記のとおり、外植片の培養、継代培養、苗条伸長、及び/または発根工程(複数可)中に選択作用剤を用いて淘汰圧をかけることによって、R0植物のプラストーム導入細胞の成長、生存、発達などを選択的に達成させるまたは優先させることでも、ホモプラストームまたはほぼホモプラストームなR0植物、あるいは均一、遍在的、もしくは広範に存在する遺伝子導入色素体をR0植物全体にわたり有するプラストーム導入R0植物を少なくとも作製することができるが、もっとも淘汰圧は、代替的に、R0植物の余寿命中(例えば、局所的噴霧、土壌または種子塗布などとして)継続される(例えば、周期的になど)場合がある。淘汰圧を、後続世代(複数可)にわたって継続または維持して、ホモプラストームまたはほぼホモプラストームな後代植物、または少なくとも植物全体にわたり遺伝子導入色素体をより均一、広範、及び/または遍在的に有する後代植物を作製することもできる。
多くの実施形態に従って、本発明の方法による色素体形質転換外植片から再生したまたは発達したR0植物は、所定の配列または導入遺伝子についてホモプラストームまたはほぼホモプラストームであると定義することができる。そのようなホモプラストームまたはほぼホモプラストーム状態は、本方法により作製されたプラストーム導入R0植物に由来する任意の後代植物を定義するのにも使用することができる。完璧にホモプラストームな植物または植物細胞または組織は、その色素体のそれぞれ中にプラストーム導入DNAのみを有するとして定義することができる(すなわち、100%プラストーム導入)。実施形態によっては、全植物または植物細胞または組織が、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%プラストーム導入であるとして定義することができる。例えば、少なくとも95%プラストーム導入である植物または植物細胞または組織は、挿入部位で野生型配列を有することに対立するものとして、その色素体DNA分子の少なくとも95%がプラストーム導入されたものである植物または植物細胞または組織と定義される。複数の既知の方法を使用して、例えば、定量的配列決定またはPCRアプローチ、ならびにハイブリダイゼーション法またはサザブロッティング分析、あるいはそれらの任意の組み合わせなどを介して、所定の植物試料中のプラストーム導入された色素体DNA分子の割合を測定することができる。例えば、以下の実施例10を参照。結果をさらに統計分析及び処理することも行われる場合がある。植物全体がホモプラストームまたはほぼホモプラストームであるかどうか(すなわち、プラストーム導入の度合い)を測定するため、1つまたは複数の組織試料を、植物から、例えば植物の1箇所または複数の異なる箇所(例えば、葉、茎など)からなど、採取することができ、個々の試料の試験結果を平均することができる。例えば、2つ以上の組織試料を植物から採取して試験し、各試料ごとにまたは平均として、プラストーム導入DNAのパーセンテージを求めることができる。すなわち、植物は、2つ以上の試料のそれぞれが少なくとも95%プラストーム導入であるならば、または2つ以上の試料が平均して少なくとも95%プラストーム導入であるならば、少なくとも95%プラストーム導入であると定義することができる。
あるいは、顕微鏡観察によりプラストーム導入成果物からレポーター遺伝子発現(例えば、GFP)を検出するまたは観察することにより、細胞または組織中の少なくとも1つのプラストーム導入DNA分子を有する色素体のパーセンテージを求めることができる。そのようなパーセンテージを求めるため、無作為抽出した組または集合で、または視野内で、プラストーム導入色素体または葉緑体の個数を計数し、同一組、集合、または視野内で観察された、集計された、視認されたなどの色素体の合計個数で割ることができるが、もっともこれは、植物細胞または組織試料でのプラストーム導入色素体DNA分子のパーセンテージとは異なる結果を与える可能性がある。
適切に補充された場合に、切り出された植物組織からの成熟植物の形成をはじめとする植物組織の成長及び発達を支持する様々な組織培養培地が知られている。こうした組織培養培地は、市販の調製物として購入することも、当業者が習慣的に調製及び修飾することもできる。そのような培地の例として、Murashige and Skoog,(1962);Chuら,(1975);Linsmaier and Skoog,(1965);Uchimiya and Murashige,(1962);Gamborgら,(1968);Duncanら,(1985);McCown and Lloyd,(1981);Nitsch and Nitsch(1969);及びSchenk and Hildebrandt,(1972)、または補充することで結果的に得られるこれらの培地の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。当業者には当然ながら、形質転換及び再生用の培地及び培地補充物、例えば栄養分及び植物成長制御因子は、通常、関心対象の特定の標的作物または栽培品種に対して最適化される。組織培養培地は、炭水化物、例えば、グルコース、スクロース、マルトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、及び/またはブドウ糖、あるいはある比率の炭水化物類を補充することができ、炭水化物はこれらに限定されない。試薬は市販されており、複数の提供元から購入することができる(例えば、Sigma Chemical Co.、St. Louis、MO;及びPhytoTechnology Laboratories、Shawnee Mission、KSを参照)。これらの組織培養培地は、安静培地として、または選択作用剤をさらに加えて選択培地として、使用することができる。
様々なアッセイを行って、プラストーム導入植物中の外来DNAの存在を確認することができる。そのようなアッセイとして、例えば、分子生物学アッセイ、例えばサザンブロット及びノーザンブロット法、配列決定、PCR、in situハイブリッド形成法など;生化学アッセイ、例えば、タンパク質産物の存在を、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット法)により、または酵素機能により検出するもの;植物部分アッセイ、例えば、葉または根のアッセイ;あるいは再生した植物全体の表現型を分析することによるものが挙げられる。
本発明の実施形態は、本明細書中開示されるとおりの本発明の色素体形質転換方法により作製されたプラストーム導入植物及び/または植物部分も提供する。植物部分として、特に制限なく、果実、種子、胚乳、胚珠、花粉、葉、茎、及び根が挙げられる。本発明のある特定の実施形態において、植物または植物部分は、種子である。
II.形質転換性外植片
上記のとおり、色素体形質転換のこれまでの方法は、一般に、カルス組織、プロトプラスト、または植物の葉(場合により)を標的として使用した。しかしながら、胚または苗条の成長点細胞の色素体形質転換によるプラストーム導入植物の作製は、先にカルスを形成させるまたはそうした外植片組織を増殖させることなしに成功した報告がなかった。これまで、胚組織は、それらの色素体/原色素体の数が少なすぎるために、効率的な色素体形質転換に適していないと思われていた。すなわち、カルス形成による外植片標的組織細胞の増幅は、再生プラストーム導入R0植物を作製するために必要であると思われていた。しかしながら、対照的に、本発明の方法によれば、植物種子から切り出された胚外植片は、驚いたことに、どのような先行カルス相も形成させることなくR0植物で均一、遍在的、または広範に導入遺伝子を発現するプラストーム導入植物を作製するための色素体形質転換に適した標的であることが見出される。事実、プラストーム導入植物は、形質転換の前後いずれかでのどのようなカルス形成工程もなしに、胚外植片から作製する(すなわち、発達または再生する)ことができる。本発明者らは、さらに、本発明の方法が、標的外植片組織の緑化前であってさえも、外植片の色素体形質転換に有効であることを示した。実際、本発明の方法で用いられる外植片は、まだ光合成活性ではない場合がある形質転換性色素体または原色素体を含む場合がある。すなわち、本発明の方法に使用するのに適した外植片は、概して、植物胚外植片(すなわち、植物種子から切り出され、植物胚の少なくともの一部分を含む外植片)を含む場合がある。
本発明の方法は、さらに、任意の適切な手動または自動化方法により、形質転換前に植物種子から植物胚の少なくとも一部を切り出すための工程(複数可)、または切り出しを含む場合がある。本発明の実施形態に従って、適切な胚外植片は、さらに、胚の成長点もしくは成長点組織、または成長点の少なくとも一部分、または胚外植片の少なくとも1つの成長点細胞を含む。なぜなら、形質転換のために外植片の成長点細胞を標的とすることが、有効な色素体形質転換及びプラストーム導入植物の発達または再生に必要と思われるからである。胚外植片は、それが胚成長点の少なくとも一部分を保持している限り、1つまたは複数の胚組織、例えば、子葉(複数可)、胚軸(複数可)、及び幼根などを欠いていてもよい。本発明の色素体形質転換方法の標的として使用するのに適した植物胚外植片は、成熟及び未熟植物胚の両方を含む場合もあるし、少なくとも1つの成長点細胞または組織を含有するそれらの少なくとも一部分(複数可)を含む場合もある。色素体形質転換に適切な外植片標的は、「湿潤」、「乾燥」、「湿潤切り出し」、または「湿潤後乾燥させた」胚外植片、または刺激したもしくは発芽した胚外植片、または少なくとも1つの成長点細胞または組織を含有するそれらの少なくとも一部分(複数可)をさらに含むことができる。実際、任意の適切な胚外植片を、本発明の実施形態に従って使用することができる。乾燥種子から切り出された成熟胚外植片の使用は、本発明の多くの実施形態に従って好適な可能性があるものの、もっともそれらは、形質転換の前に特別に水和及び/または前培養工程(複数可)を必要とする場合がある。
植物種子から胚外植片を作製するまたは切り出すために、任意の適切な方法を、本発明の実施形態と併用することができる。そうした方法は、自動化されている場合も及び/または手動で行われる場合もあり、単体化プロセスを含む場合もバルクプロセスを含む場合もある。多くの実施形態に従って、胚外植片は、乾燥成熟植物種子から取り出しまたは切り出された成熟胚外植片(またはその一部分)である場合がある。どんな植物種についても、成熟種子または胚は、同種の植物の未熟種子または胚と区別するために受粉後日数(DAP)がある特定数以上であるという点で定義することができるが、もっとも所定の植物について未熟胚から成熟胚への経過は漸進的であり幾分時間が重なっている場合がある。一般に、未熟胚から成熟胚への経過は、当該分野で既知のとおり、種子及び胚の自然な乾燥または脱水過程を伴う(他の発達変化に加えて)。
種子及び胚の発達または成熟は乾燥を伴うため、本発明の方法で使用される成熟種子、胚、または胚外植片は、その水分量という点でも定義することができる。例えば、本方法に従って使用される種子または胚外植片は、植物の具体的な種に応じて、最初に、水分量が約3%〜約25%、または約4%〜約25%、または約3%もしくは4%〜約20%の範囲または範囲内、あるいはそのようなより広いパーセンテージ範囲内の任意のパーセンテージ値または範囲、例えば約5%〜約20%、約5%〜約15%、約8%〜約15%、及び約8%〜約13%などにあることができる。実際、植物種子は、種子及び胚が生存して形質転換の受容性を維持する限り、本発明の方法実施形態で使用する前に、胚外植片の切り出し前に人工的に乾燥または脱水させることができる。種子の乾燥は、種子からの胚外植片の切り出し及び/または貯蔵を促進する可能性がある。あるいはまたはこれに加えて、種子は、例えば、切り出し工程中の胚を切り出しやすくする、柔らかくする、切り出しに対する損傷を減らす、及び/または生存能を維持するためなどのため、外植片の切り出し前に水和または吸水させることができる。しかしながら、種子または外植片の水和は、たとえ種子または外植片を続けて乾燥または脱水するとしても、種子または外植片の貯蔵性を低下または排除する可能性がある。
胚外植片、ならびに乾燥、乾燥させた、及び/または成熟種子(これは先に水和、刺激、または発芽していてもよい)から胚外植片を切り出す方法のさらなる説明については、例えば、米国特許第8,466,345号、同第8,362,317号、及び同第8,044,260号を参照、これらの全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。使用する種子の種類及び種子から胚外植片を機械的に切り出す正確な方法に関わらず、追加工程及びプロセス、例えば、滅菌、淘汰なども、色素体形質転換に使用される外植片を調製する及び/または濃縮するために行うことができる。乾燥または乾燥させた胚外植片も、それらの切り出し後、ただし形質転換前に、水和、刺激、及び/または発芽させることができる。
本発明で使用される胚外植片は、本方法で使用されるまで1日未満のうちに、例えば使用の約2、6、12、18、または22時間前をはじめとする使用の約1〜24時間前までに、種子から取り出されてしまっていてもよい。しかしながら、他の実施形態に従って、種子及び/または外植片は、種子及び/または外植片生存能を維持するために使用する貯蔵条件に応じて、それらの使用前に数日、数週間、数ヶ月、さらには数年をはじめとするより長期間、貯蔵されてもよい。色素体形質転換に適した胚外植片を作製するまたは切り出すための提供元として乾燥成熟種子を使用することの利点及び利益は、乾燥成熟種子及び/または外植片が乾燥条件下で貯蔵可能なものである(すなわち、貯蔵中に発芽せず、生存して形質転換の受容性を維持する)可能性があることである。そのような乾燥貯蔵条件は、貯蔵された種子及び/または外植片が、本発明の形質転換方法で使用する前の所望の長さの時間、例えば約1時間〜約2年間、または約24時間〜約1年間、あるいはこれらのより広い範囲の時間内の任意の特定期間または期間の範囲の間、発芽せず、かつ生存して形質転換の受容性を維持するように、十分に低い水分レベルまたは湿度を有する環境または周辺中で貯蔵することと定義することができる。貯蔵可能な種子または外植片を使用することで、ドナー植物を必要とせずに種子または外植片の原材料の信頼できる供給を得ることができる。成熟乾燥種子の貯蔵能力は、乾燥成熟種子及び胚の自然の性質と関連する。言い換えると、乾燥成熟種子及び/または胚外植片は、その静止状態、停滞、または低い代謝状態もしくは活性という点で定義することもできる。すなわち、本発明の方法に従って使用される乾燥種子または外植片は、その低い代謝状態及び/またはその後の種子または胚の水和及び発芽までそれらの代謝または発達状態が静止または停滞にあるという点で定義することができる。
本発明の方法実施形態で使用するのに適した胚外植片として、さらに、「湿潤」プロセスにより種子から切り出された、例えば「湿潤」種子から切り出された未熟胚及び/または外植片の少なくとも一部分を含む外植片を挙げることができる。本発明者らは、今回、切り出された植物胚外植片を標的として使用して、外植片標的組織のどのような先行カルス相も緑化もなく、色素体形質転換に成功できたことを示したので、未熟胚外植片、さらには発芽した胚外植片さえも、形質転換の標的として使用できることがさらに企図される。湿潤した、未成熟の及び/または発芽した種子から胚外植片を切り出す方法は、当該分野で既知である。例えば、米国特許第8,466,345号、同第7,694,457号、同第7,658,033号、及び同第7,402,734号を参照、これらの全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。胚外植片の成長点の他に、発達中の胚から出現しているまたは成長している初期苗条芽または苗条頂端分裂組織も、本方法に従って色素体形質転換の標的となり得ることがさらに企図される。
実施形態によっては、胚外植片または種子の水和または発芽は、種子から胚外植片を切り出す前後いずれでも行うことができる。言い換えると、前培養工程のどれとも別に、胚外植片の切り出し前に、種子を吸水または水和させて種子に発芽及び/または発達を開始させることができる、あるいは代替的に乾燥胚外植片を種子から切り出し、次いで吸水または水和させて胚外植片の発芽及び/または発達の引き金を引くことができる。次いで、標的組織の先行緑化なしに、刺激されたまたは発芽した種子を、形質転換に供することができ、緑化は色素体形質転換工程前に光照射の時間の長さにより及び/または光照射を限定することにより制御することができる。しかしながら、上記のとおり、水和工程は、胚を発芽またはさらに発達させることなく、乾燥胚外植片を水和させて形質転換により適した「湿潤した」外植片を作るためだけに代わりに用いることができる(例えば、水和または吸水工程は、胚外植片の認識できる発達変化及び/または発芽が形質転換前に起こらないように時間を限定することができる)。
本明細書中提供される方法実施形態で使用するための外植片は、多種多様な双子葉類(双子葉)植物由来の外植片を含むことができ、そのような植物として、農業作物種、例えば、綿花、セイヨウアブラナ、サトウダイコン、アルファルファ、大豆、及び他のマメ科または豆類植物が挙げられる。
III.色素体形質転換用構築物
A.形質転換ベクター及び分子
本発明の実施形態に従って標的外植片組織を色素体形質転換するために、一般に外来DNA分子が使用される。外来DNA分子は、直鎖DNA分子を含んでも環状DNA分子を含んでもよいが、環状DNAプラスミド、ベクター、または構築物が好ましい場合がある。本発明の方法による色素体形質転換用のベクター及び分子は、植物細胞または組織に導入されるべき遺伝要素または導入遺伝子を1つまたは複数含むことができ、遺伝要素または導入遺伝子として、選択性標識遺伝子及び/または農学上関心が持たれる遺伝子を挙げることができる。これらの遺伝要素(複数可)または導入遺伝子(複数可)は、組換え二重鎖プラスミドまたはベクターDNA分子に組み込むことができ、組換え二重鎖プラスミドまたはベクターDNA分子は、一般に、少なくとも以下の構成要素を含むことができる:(a)少なくとも1つの導入遺伝子または発現カセットを含む挿入配列;及び(b)挿入配列と隣接する2つの相同性腕(形質転換されるべき植物種の色素体ゲノム配列に由来し、これに対応する)。挿入DNA配列の少なくとも1つの導入遺伝子(複数可)または発現カセット(複数可)のそれぞれは、さらに、以下を含むことができる(i)植物細胞で、より詳細には植物色素体で機能して、プロモーターに操作されるように連結された転写可能な核酸配列の発現を引き起こすまたは駆動する、少なくとも1つのプロモーターまたは調節エレメント、及び(ii)選択性マーカーまたは農学上関心が持たれる遺伝子産物をコードする転写可能な核酸配列(すなわち、選択性標識遺伝子または農学上関心が持たれる遺伝子)。挿入配列の少なくとも1つの導入遺伝子(複数可)または発現カセット(複数可)は、さらに、5’及び3’非翻訳DNA配列を含むことで、植物色素体での導入遺伝子発現に必要とされるまたは有益である追加配列を提供することができる。
一般に、相同性腕領域(複数可)間の挿入配列は、植物選択性マーカー導入遺伝子を少なくとも含むだろう。なぜなら、対応する選択作用剤を用いた淘汰圧が、概して、色素体形質転換体の作製の成功に必須であるまたは非常に必要とされると思われるからである。しかしながら、さらなる導入遺伝子(複数可)も、挿入配列内に存在して、選択性標識遺伝子とともに標的色素体DNA分子に挿入することができ、さらなる導入遺伝子は、1つまたは複数の農学上または産業上所望の遺伝形質を与える農学上関心が持たれる1つまたは複数の導入遺伝子を含むことができる。例えば、農学上関心が持たれる導入遺伝子は、以下の遺伝形質の1つまたは複数を与えることができる:修飾された炭素固定、修飾された窒素固定、除草剤耐性、害虫抵抗性、改善されたまたは増加した生産量、真菌性病害耐性、ウイルス耐性、線虫耐性、細菌性病害耐性、修飾されたデンプン産生、修飾された油産生、修飾された脂肪酸含有量、修飾されたタンパク質産生、向上した動物及びヒト栄養価値、環境ストレスまたは干ばつ耐性、改善されたプロセシング遺伝形質、改善された消化性、改善された酵素産生、改善された繊維産生など。外来プラスミドまたはDNA分子は、さらに、外来DNA分子またはベクターの維持に必要な他の配列エレメント、例えば細菌複製起点、細菌選択マーカーなどを、例えば、ベクター骨格中(例えば、相同性腕及び挿入配列の外側)に含むことができる。所望の遺伝要素及び配列を含むDNAプラスミド、構築物、またはベクターを調製する手段は、当該分野で周知である。
B.相同性腕
本発明の外来DNA分子は、標的外植片細胞の色素体またはプラストームDNA分子内の特定部位または遺伝子座で相同組換えするための少なくとも2つの相同性腕を含むことができる。外来DNA分子は、第一相同性腕(または左相同性腕)及び第二相同性腕(または右相同性腕)を、挿入配列が左相同性腕及び右相同性腕に隣接し挟まれるようにして含むことができる。これら相同性腕のそれぞれは、典型的には、最長約5キロ塩基(kb)の塩基対(bp)長を、例えば、長さ約0.1kb〜約5kbの範囲、または長さ約0.5kb〜約2kbの範囲、または長さ約1kb〜約1.5kbの範囲で、有することができる。相同性腕は、色素体またはプラストームDNA分子への挿入のため、1つまたは複数の導入遺伝子(複数可)を含む挿入配列の片側に配置される。相同性腕のそれぞれは、一般に、外植片細胞に存在する対応する標的色素体DNA配列と高い相同性を有するか、ほぼ同一であるか、同一であることができ、標的色素体DNA配列は、経験的に既知または明らかとなったものが可能である。例えば、各相同性腕は、対応する標的色素体DNA配列と少なくとも80%同一、または少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一などであることができるが、もっともこれより低い同一性パーセンテージも可能である。しかしながら、色素体ゲノム配列の標的を定めた変異または編集が望まれる場合を除いて、相同性腕は、一般に、対応する標的色素体DNA配列に対して完璧にすなわち100%同一であることで、色素体形質転換効率を改善させ、さらなる変異の導入を回避することになる。
相同性腕が対応する標的色素体DNA配列と同一であるまたは高い相同性を有することに加えて、対応する標的色素体DNA配列もまた、一般に、形質転換及び挿入事象の前(すなわち、外来DNA分子の挿入配列が色素体ゲノムに挿入された状態になる前)に完璧にまたはほぼ完璧に互いに連続していることで、色素体形質転換事象の結果として色素体DNA配列のさらなる変化または変異をどのようなものでも起こさないようにすることになる。対応する標的色素体DNA配列の結合部もまた、一般にまたは好ましくは、色素体DNAの遺伝子間領域または配列内にあって、導入遺伝子の色素体遺伝子またはコード配列への挿入を回避することになる。しかしながら、相同性腕のそれぞれは、それらの配列内に、1つまたは複数の色素体遺伝子、または色素体遺伝子の一部分(複数可)を、含むまたは包含することができる。代替実施形態に従って、相同性腕に対応する標的色素体DNA配列は、形質転換事象により介在配列が削除され、外来挿入配列に置き換えらえることになるように、互いに連続していなくてもよい(形質転換事象の前)ことが、さらに企図される。すなわち、このアプローチは、外来挿入配列を挿入することに加えて、形質転換事象により、色素体ゲノム及び/またはノックアウト遺伝子(複数可)の一部分(複数可)を削除するために使用することができる。
一般にそれほど好適ではないものの、本方法実施形態に従って色素体形質転換に使用される外来DNA分子が、1つの相同性腕のみを含み、この相同性腕が、1つまたは複数の導入遺伝子(複数可)、例えば植物選択性標識遺伝子及び/または農学上関心が持たれる導入遺伝子などを含む挿入配列と直に接するまたはその隣に来る可能性を考えることができる。しかしながら、1つしか相同性腕を持たないことは、概して、相当に好適でない。なぜなら、ベクター骨格のさらなる組み込み及び/または成果物品質のばらつきをまねく可能性があるからである。たとえ、細菌複製起点、選択性マーカーなど追加の望ましくないベクター配列を欠く直鎖外来DNA分子が使用されるとしても、そのような外来DNA分子は、非常に低い形質転換頻度及び成果物品質のばらつきを有する可能性がある。したがって、1つまたは複数の導入遺伝子(複数可)を含む挿入配列と隣接する2つの相同性腕が、一般に、外来DNA分子または構築物由来の形質転換成果物間のより高い形質転換効率及びより高い忠実度をもたらすために好適となる。
本発明の実施形態によっては、構築物及び方法は、標的となる色素体DNA分子(農学上関心が持たれる遺伝子のさらなる挿入の有無に関わらず)で、1つまたは複数の変異(例えば、点変異またはSNP、欠失、付加など)を操作する、作り出す、または挿入するためにさらに使用することができる。そのような場合、標的色素体DNA配列に対する1つまたは複数の所望の変異は、そうした変異(複数可)が相同組換え事象を介して色素体DNA分子に導入された状態になり得るように、外来DNA分子の相同性腕(複数可)の一方または両方に組み込むことができる。配列編集または標的とする変異の作成に使用される外来DNA分子内に農学上関心が持たれる遺伝子が存在しなかったとしても、植物選択性標識遺伝子は、依然として、外来DNA配列の2つの相同性腕の間に存在して、選択作用剤を用いた、形質転換細胞、組織、及び植物の選択を可能にすることができる。他の実施形態に従って、1つまたは複数の色素体遺伝子(複数可)、またはその1つまたは複数の部分(複数可)を含む可能性がある外来色素体ゲノム配列の標的とする欠失またはノックアウトもまた、対応する色素体標的DNA配列を有する2つの相同性腕により実行可能であり、2つの相同性腕は、連続しておらず、非形質転換色素体ゲノム中互いに離れている。
C.導入遺伝子発現カセット
本発明の実施形態に従って、色素体形質転換用の外来DNA分子は、一般に、植物または植物細胞の色素体DNA分子(すなわち、色素体ゲノムまたはプラストーム)に導入される、1つまたは複数の導入遺伝子(複数可)、転写可能な核酸配列(複数可)、及び/または発現カセット(複数可)を含む挿入配列を含むことができる。導入遺伝子、発現カセットなどはそれぞれ、一般に、農学上関心が持たれる遺伝子産物及び/または植物選択性標識遺伝子をコードする配列を含むことになり、配列はそれぞれ、導入遺伝子または発現カセットの色素体発現を調節するのに適した1つまたは複数の調節エレメント(複数可)、例えば、プロモーター、エンハンサー、リーダー、イントロン、リンカー、非翻訳領域、終結領域などに操作されるように連結することができる。本明細書中記載される調節エレメント及びプロモーター、例えばP−rrn及びrbcLプロモーターなどに加えて、他の既知の色素体調節エレメント例を、導入遺伝子または植物選択性標識遺伝子と操作できるように連結することができ、それらは、植物色素体での発現に適している。例えば、Kung,SDら,‘‘Chloroplast promoters from higher plants’’,Nucleic Acids Res.,13(21):7543−9(1985);及びLiere,Kら,‘‘The transcription machineries of plant mitochondria and chloroplasts:Composition,function,and regulation,’’ Journal of Plant Physiology,168:1345−1360(2011)を参照、これらの全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。色素体調節エレメントまたはプロモーターとして、形質転換されるべき植物種の色素体に自然に生じるもの、あるいは恐らくはそれら色素体調節エレメントまたはプロモーターと相同するDNA配列、あるいは恐らくは他の近縁、もしくは遠縁であっても、関連する種由来の異種色素体調節エレメントまたはプロモーターさえも挙げることができる。色素体調節エレメント及びプロモーターとして、さらに合成または遺伝子操作されたプロモーター、ならびに他の調節エレメントまたはプロモーター配列を改変したもしくはそれらに由来するプロモーターを挙げることができる。
本発明の目的に関して、「異種」という用語は、色素体プロモーター、調節エレメント、導入遺伝子、選択性標識遺伝子などが、形質転換されるべき植物種と異なる種に由来することを意味する。すなわち、本発明の外来DNA分子の色素体プロモーターまたは調節エレメントとして、形質転換されるべき植物種由来の色素体プロモーターまたは調節エレメント配列(複数可)と同一のヌクレオチド配列(複数可)に加えて、相同、異種、またはさらには共通点のないもしくは不一致色素体または調節エレメント配列(複数可)さえも挙げることができる。色素体調節エレメントまたはプロモーターは、色素体調節エレメントまたはプロモーター及び導入遺伝子が、形質転換されるべき植物種の色素体ゲノムに挿入または組み込まれる場合に、(少なくとも一時的に)調節エレメントまたはプロモーターに操作されるように連結された導入遺伝子の発現を駆動、または少なくともそれに影響を及ぼす任意のヌクレオチド配列エレメントを機能的に含むことができる。たとえ形質転換されるべき植物種由来のプラスミドプロモーターまたは調節エレメントが使用される場合であっても、プラスミドプロモーターまたは調節エレメントは、(まさにそのヌクレオチド配列そのものに関して)天然に自然に存在しない、あるいは少なくとも形質転換されるべき植物種に自然に存在しない様式、形態、または組み合わせで、導入遺伝子、転写可能なヌクレオチド配列、選択性標識遺伝子などと操作できるように連結することができる。
D.転写可能な核酸配列
標的外植片細胞の色素体ゲノムまたはプラストームDNAに挿入されるべき外来DNA分子の挿入配列内にある導入遺伝子または発現カセットの転写可能な核酸配列として、プラストーム導入細胞または植物で発現されるべき農学上関心が持たれる遺伝子を挙げることができる。本明細書中使用される場合、「農学上関心が持たれる遺伝子」という用語は、遺伝子導入植物組織または細胞の色素体で発現した場合に、農学上有益な遺伝形質または表現型を提供するまたは与える1つまたは複数の色素体調節エレメント(複数可)に対して操作的な転写性核酸またはDNA配列を含む任意の導入遺伝子または発現カセットを示し、農学上有益な遺伝形質または表現型とは、例えば、植物の形態、生理機能、成長、発達、生産量、栄養特性、病害もしくは害虫抵抗性、及び/または環境もしくは化学耐性と関連する望ましい産物あるいは特質などである。実施形態によっては、農学上関心が持たれる遺伝形質は、修飾された炭素固定、修飾された窒素固定、除草剤耐性、害虫抵抗性または防除、修飾されたもしくは増加した生産量、真菌性病害耐性または抵抗性、ウイルス耐性または抵抗性、線虫耐性または抵抗性、細菌性病害耐性または抵抗性、修飾されたデンプン産生、修飾された油産生、修飾された脂肪酸含有量、修飾されたタンパク質産生、向上した動物及びヒト栄養価値、環境ストレス耐性、改善されたプロセシング遺伝形質または果実熟成、改善された消化性、改善された味わい及び風味特質、改善された酵素産生、改善された繊維産生、他の生体高分子、ペプチド、もしくはタンパク質の合成、バイオ燃料産生などが可能である。
農学上関心が持たれる遺伝子または導入遺伝子として、さらに、未知の特質を持つ可能性があるが、植物に農学上関心が持たれる望ましい遺伝形質を提供するかどうか試験中、または提供すると提唱または理論化される可能性がある、関心が持たれる遺伝子または転写可能なDNA配列を含むことができる。実際、農学上関心が持たれる導入遺伝子として、プラストーム導入植物に農学上または産業上関心が持たれる遺伝形質または表現型を引き起こす、与える、または作り出すと思われる、またはそのような能力について試験もしくはスクリーニングされている任意の既知遺伝子(または任意の推定もしくは注釈付き遺伝子配列)を含むことができる。農学上関心が持たれる導入遺伝子は、さらに、植物に望ましい効果をもたらす任意の転写可能なDNA配列、例えば、害虫抵抗性などを与えるのに使用されるRNA分子(複数可)を含むことができる。
当該分野で既知の農学上関心が持たれる遺伝子の例として、除草剤抵抗性または耐性、増加した生産量、害虫抵抗性または防除、真菌性病害抵抗性、ウイルス抵抗性、線虫抵抗性、細菌性病害抵抗性、植物成長及び発達、デンプン産生、修飾された油産生、高油産生、修飾された脂肪酸含有量、高タンパク質産生、果実成熟、向上した動物またはヒト栄養価値、生体高分子、環境ストレス抵抗性、医薬ペプチド及び分泌性ペプチド、改善されたプロセシング遺伝形質、改善された消化性、低ラフィノース、産業用酵素産生、改善された風味、窒素固定、交雑種子産生、繊維産生、バイオ燃料産生などを提供する任意の既知のまたは今後発見される遺伝子、翻訳領域、または転写可能なDNA配列を挙げることができる。
色素体は、多シストロン性オペロンで形質転換することができ、また巨大な遺伝子導入挿入物を効果的に組み込んで発現することができ、それにより本発明の方法により色素体DNAに挿入される同一挿入配列由来の遺伝子の積み重ね及び/またはそのような遺伝子の同時発現を可能にする。上記のとおり、プラストームに組み込まれる導入遺伝子はまた、一般に、複数コピー核成果物で起こることが多い遺伝子サイレンシングを受けにくい。すなわち、本発明の方法による色素体形質転換は、高レベルの導入遺伝子発現が望ましい場合及び/または複数遺伝子もしくは恐らくは全経路(または生化学経路の一部分)さえも発現することが必要である場合に特に有用となる可能性がある。したがって、外来DNA分子の挿入配列は、以下を含むことができる(i)別々の調節エレメント(複数可)の制御下にある複数の導入遺伝子またはカセット、及び/または(ii)調節エレメント(複数可)の共通集合の制御下にある多シストロン性RNA分子を同時にコードする単独の導入遺伝子またはカセット。すなわち、そのような挿入配列は、単独色素体DNA挿入成果物から複数遺伝子産物を産生するのに使用することができる。
E.選択性マーカー
本発明の実施形態に従って、色素体形質転換用の外来DNA分子の挿入配列は、一般に、プラストーム導入R0植物の選別及び作製を成功させる少なくとも1種の植物選択性標識遺伝子を含むことになる。植物選択性標識遺伝子または導入遺伝子として、植物選択性マーカー導入遺伝子で形質転換された植物細胞が選択作用剤により加えられる淘汰圧に耐えて持ちこたえることができるように、対応する選択作用剤に対する耐性を与える任意の遺伝子を挙げることができる。結果として、外植片のプラストーム導入細胞は、選別下で、優先的に成長、増殖、発達などを行う。一般に、植物選択性標識遺伝子を使用して、選択作用剤に対する耐性を与えるものの、選択性マーカーに加えてさらなるスクリーニング可能標識遺伝子(複数可)も、恐らくは農学上関心が持たれる遺伝子とも併用して、使用することができる。そのようなスクリーニング可能標識遺伝子として、例えば、β−グルクロニダーゼ(GUS;例えば、米国特許第5,599,670号に記載されるとおり、これは本明細書により参照として援用される)または緑色蛍光タンパク質及びその変異体(米国特許第5,491,084号及び同第6,146,826号に記載されるGFP、これらは両方とも本明細書により参照として援用される)を挙げることができる。スクリーニング可能マーカーのさらなる例として、分泌性マーカーを挙げることができ、このマーカーの発現は、形質転換細胞を同定する手段として検出可能な分子(複数可)の分泌を引き起こす。
植物選択性標識遺伝子は、除草剤、例えばグリホサート及びグルホシネートなどに対する耐性または抵抗性を提供または与えるタンパク質をコードする遺伝子を含むことができる。当該分野で既知の有用な植物選択性標識遺伝子として、ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン(例えば、aadA、spec/strep)、カナマイシン(例えば、nptII)、ハイグロマイシンB(例えば、aphIV)、ゲンタマイシン(例えば、aac3及びaacC4)、及びクロラムフェニコール(例えば、CAT)に対する耐性または抵抗性を与えるタンパク質をコードするものを挙げることができる。除草剤抵抗性または耐性を与えるタンパク質をコードする既知の植物選択性標識遺伝子のさらなる例として、例えば、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼをコードする転写可能なDNA分子(グリホサート耐性のためのEPSPS;例えば、米国特許第5,627,061号;同第5,633,435号;同第6,040,497号;及び同第5,094,945号に記載されるとおり、これらは全て本明細書により参照として援用される);グリホサートオキシドレダクターゼ及びグリホサート−N−アセチルとランスフェラーゼをコードする転写可能なDNA分子(GOX;例えば、米国特許第5,463,175号に記載されるとおり;GAT、米国特許公開第20030083480号に記載される;フィトエンデサチュラーゼをコードする転写可能なDNA分子(crtI;例えば、ノルフルラゾン耐性に関してMisawa,ら,Plant Journal,4:833−840(1993)及びMisawa,ら,Plant Journal,6:481−489(1994)に記載されるとおり、本明細書により参照として援用される);ならびにbar遺伝子(例えば、グルホシネート及びビアラホス耐性に関してDeBlock,ら,EMBO Journal,6:2513−2519(1987)に記載されるとおり、本明細書により参照として援用される)が挙げられる。例えば、Bock,R.,‘‘Engineering Plastid Genomes:Methods,Tools,and Applications in Basic Research and Biotechnology,’’ Annu. Rev. Plant Biol.,66:3.1−3.31(2015)も参照、これらの全内容及び開示は、本明細書により参照として援用される。
外来DNA分子の挿入配列は、さらに、プラストーム導入植物(複数可)の作製及び/または確認に成功した後、特に導入遺伝子または発現カセットがもはや必要なくなった後、1つまたは複数の導入遺伝子(複数可)または発現カセット(複数可)、例えば植物選択性マーカー導入遺伝子など、あるいはそれらの任意の一部分または配列を除去するための配列を含むことができる。実施形態によっては、これは、除去されるべき導入遺伝子配列を、内因性または外部から提供されるリコンビナーゼ酵素(例えば、Cre、Flpなど)により認識されて除去されることが可能な組換え部位(例えば、LoxP部位、FRT部位)を後ほど発達させることが既知であるものと隣接させることにより、達成することができる。リコンビナーゼ酵素は、プラストーム導入植物をリコンビナーゼ導入遺伝子を有する別の植物と交雑させることなどによりトランスで導入及び発現させて、それにより導入遺伝子の切り出しを達成することができる。したがって、望ましくない配列エレメントまたは導入遺伝子は、いったんそれらの用途または目的が失効したら除去することができる、すなわち生殖系列でそれがさらに発現または伝達することを防ぐことができる。
IV.定義
以下の定義は、本発明の関連する実施形態に関連して、本明細書中使用されるとおりのこれらの用語の意味を定義及び明確化するために、及び当業者が本発明を理解するのを誘導するために提供される。特に記載がない限り、用語は、関連分野、特に分子生物学及び植物形質転換の分野でのそれらの従来の意味及び用途に従って理解されるものとする。
「カルス」という用語は、細胞または組織の脱分化した増殖塊を示す。
「胚」は、成熟植物の全部または一部に発達することができる前駆組織(例えば、成長点組織)からなる、植物種子の一部分である。「胚」は、さらに、植物胚の一部分を含むことができる。
「成長点」または「成長点組織」は、分化して複数種類の植物部分、組織、または構造体、例えば苗条、茎、根、葉、種子などをもたらすことができる未分化細胞または成長点細胞を含む。
「色素体」は、植物細胞の細胞質中の小器官のクラスを示し、これは、1つまたは複数の小さい環状二本鎖DNA分子(すなわち、プラストーム、プラストームDNA、または色素体DNA)を含有する。色素体の例として、原色素体、葉緑体、有色体、ゲロントプラスト、白色体、エライオプラスト、プロテイノプラスト、及びタンノソームが挙げられるが、これらに限定されない。
「再生」という用語は、植物細胞から植物が成長する過程を示す。
実施形態によっては、「a」及び「an」及び「the」という用語ならびに特定の実施形態を記載する文脈(特に以下の請求項のあるものの文脈)で使用される同様な記述は、特に具体的に記載がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈することができる。実施形態によっては、「or」という用語は、本明細書中、代替選択肢のみを示すか、選択肢が相互に排他的であると明白に示されないかぎり、「及び/または」を意味するとして使用される。
「comprise」、「have」、及び「include」という用語は、非限定的連結動詞である。これらの動詞の1つまたは複数の任意の活用形または時制、例えば「comprises」、「comprising」、「has」、「having」、「includes」、及び「including」もまた、非限定的である。例えば、1つまたは複数の工程を「comprises」、「has」、または「includes」する任意の方法は、その1つまたは複数の工程のみを保有することに限定されず、他の列挙されていない工程も含むことができる。同様に、1つまたは複数の特長を「comprises」、「has」、または「includes」する任意の組成物または装置は、その1つまたは複数の特長のみを保有することに限定されず、他の列挙されていない特長も含むことができる。
本明細書中記載される方法は全て、本明細書中特に記載がない限り、または文脈で特に明白に否定されない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書中ある特定の実施形態に関して用いられるありとあらゆる例示、または例示する言語(例えば、「such as」)の使用は、本開示の理解を容易にすることを意図するにすぎず、請求項に記載される以外の限定を、本開示の範囲にかけることはない。
本開示を詳細に説明してきたが、当然のことながら、添付の請求項でさらに定義されるとおりの本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、修飾、変更、及び等価形態が可能である。そのうえさらに、当然のことながら、本開示の全ての例示は、以下のものも含めて、非限定的例として提供される。
実施例1:ダイズ色素体形質転換用のベクター構築物
キメラ大豆16S rDNAプロモーター構築物:
BPROM分析(SoftBerry、Inc.)に従って−35モチーフ(ATTACA)及び−10モチーフ(GGCTATATT)を含む大豆16S rDNA 5’UTR配列(配列番号1)を、G10リーダー配列(配列番号2)と融合させて、大豆色素体形質転換で使用するキメラプロモーターを構築した。大豆16S rDNA 5’UTR配列は、葉緑体で恒常的発現を駆動することが示されている。G10リーダー配列と融合した16S rDNA 5’UTR配列を含有するpMON45263ベクター由来のP−Gm.rrn/G10Lプロモーター配列(配列番号3)は、葉緑体で2つの転写物の発現をもたらす可能性がある2つの潜在的プロモーターエレメントを含有することがわかった。この潜在的問題を回避するため、−35モチーフ及び−10モチーフの第二の組をpMON45263配列から削除して、P−Gm.16S rrnプロモーター配列(配列番号4)を持つ修飾pMON45263構築物を形成させた。このP−Gm.16S rrnプロモーター配列は、リボソーム結合部位(RBS)(AGGAG)を有することを確認して、プラストーム導入細胞で導入遺伝子発現を駆動するための成長点含有外植片の大豆色素体形質転換のための、形質転換構築物に使用した。
P−Gm.rbcLG10構築物:
大豆rbcL 5’UTR配列(配列番号5)を修飾して、G10リーダー配列由来のリボソーム結合部位を導入して、大豆色素体形質転換で使用するキメラP−Gm.rbcL/G10プロモーター配列(配列番号6)を構築した。このプロモーター配列は、−35モチーフ(TTGCGC)及び−10モチーフ(GTATACAAT)を有することがわかった(部分的に、ペチュニアrbcL X04976及びアルファルファrbcL及び細菌プロモーターのBPROM予測分析に基づく)。P−Gm.rbcL/G10プロモーター配列は、さらに、転写開始部位の前に、推定RBS配列(AGGAG)を有することがわかった。
T−Gm.rps16及びT−Gm.psbA:
T−Gm.rps16(配列番号7)及びT−Gm.psbA(配列番号8)を、大豆A3555ゲノムDNAから増幅させた。
葉緑体相同性腕を持つpMON286766ベースベクターの構築:
プライマーXd2574(配列番号9)及びXd2665(配列番号10)を用いて大豆ゲノムDNAから2kbの大豆rps12相同体断片を増幅させ、pUC18プラスミドのHindIII/EcoRI部位に挿入した。得られる中間体ベクターを、KpnIで開き、プライマーXd2676(配列番号11)及びXd2585(配列番号12)を用いて大豆A3555ゲノムDNAから増幅させた2kbの16S rDNA相同体断片を、オープンベクターに結合させて、pMON286766(図1)を作製した。
pMON285270の構築:
オリゴヌクレオチドで大豆葉緑体由来プロモーター配列を合成し、PCRにより大豆ゲノムDNAから大豆ターミネーター配列を増幅させた。PCRにより、これらの配列をaadA及びgfpコード配列断片と繋ぎ合わせ、pMON286766のKpnI/PstI部位に挿入して、配列決定により確認されるとおりのpMON285270(図2)を作製した。
pMON286706の構築:
aadA及びgfpカセットを、pMON30125(タバコ色素体ゲノム由来ベクター;例えば、Sidorov,VAら,‘‘Technical Advance:Stable chloroplast transformation in potato:use of green fluorescent protein as a plastid marker,’’ Plant J,19(2):209−216(1999)を参照、この全内容は本明細書により参照として援用される)からpMON286766のKpnI/PstI部位に動かすことにより、ダイズ色素体形質転換ベクター、pMON286706(図3)を構築した。aadA及びgfp配列を含むカセットを、プライマーXd2673(配列番号13)及びXd2691(配列番号14)を用いてPCRにより増幅させた。
pMON291978の構築:
pMON285270で形質転換したE.コリの液体及びペレットで、強いGFP発現が観測され、このベクターにgfpの発現を駆動する強力なプロモーター活性があることが示された。pMON285270中のgfp及びaadAの発現を駆動するプロモーター配列を交換して、pMON291978(図4)を作り出した。
実施例2:ダイズ外植片に照射するためのビーズ及びキャリアシートの調製
大豆種子由来の乾燥切り出し胚外植片に、PDS1000ヘリウム粒子銃またはACCELL電気粒子銃を用いて照射するためのビーズ及びキャリアシートを、以下のプロトコルに従って調製した。
1.DNA分解酵素、RNA分解酵素を含まない清浄な試験管に、0.6μm金粒子50mgを量り入れた。金を、100%エタノール1mlとともに超音波処理して洗浄した。
2.簡単な遠心により金粒子をペレット化して、エタノールを完全に除去した。
3.金粒子を、100%エタノール1mlに再懸濁させ、使用するまで−20℃で貯蔵した。粒子は、使用前に超音波処理により完全に再懸濁させた。
4.金粒子42μlを新たな試験管に移し、遠心によりペレット化して、エタノールを除去した。
5.滅菌水500μlを加え、金粒子を超音波処理により再懸濁させた。遠心により金粒子をペレット化して、水を完全に除去した。
6.水25μlを加え、金をピペットチップで洗浄してから、超音波処理により完全に再懸濁させた。
7.試験管にDNAを加えた(例えば、DNA2.6μg)。
8.DNAを加えてから直ちに、氷冷した滅菌水を加えて、DNA:金粒子混合物の最終体積を245μlにした。
9.氷冷した2.5MのCaCl2溶液250μlを直ちに加えた。
10.滅菌0.1Mスペルミジン50μlを直ちに加えた。
11.低速ボルテックスで、溶液を完全に混合した。試験管を氷上で少なくとも45分間インキュベートして、粒子のコーティングを行った。実験によっては、よりよい結果とするために、5〜10分ごとに溶液を完全に混合した。
12.金/DNAを、低速遠心により、例えば、エッペンドルフ5815微量遠心装置を800〜1000rpmで2分間用いることにより、ペレット化した。
13.ペレットをエタノール1mlで洗浄し、金粒子をピペットチップで洗浄し、遠心によりペレット化した。
14.エタノールを完全に除去し、100%エタノール36μlを加えて、低速のボルテックスで、金を完全に再懸濁させた。
15.調製物5μlを、各照射に用いた。
注:
・超音波処理工程は、45〜55kHzで1分間行った。
・上記工程(12)前の遠心工程は、金洗浄工程である−IEC微量遠心装置にて5000rpm(2300g)を10秒間で使用。
・遠心工程(12)及び(13)は、ビーズのDNAコーティング後である−IEC微量遠心装置にて1000rpm(100g)を2分間で使用。
・電気銃用の修飾調製物(Accell)については、36μl調製物を10個まとめてシンチレーションバイアルに入れ、100%EtOHを加えて最終体積20mlとする。
実施例3:微粒子銃照射用のダイズ外植片の前培養
乾燥切り出し大豆胚外植片を、微粒子銃照射の前に、以下のプロトコルに従って前培養した。成熟胚外植片を、概して米国特許第8,362,317号に記載されるとおりに乾燥大豆種子から切り出した。乾燥切り出し大豆胚外植片の例を図5に示す(例えば、米国特許第8,362,317号の図1も参照)。
1.爆破用の外植片を量りとり、20%PEG4000(Lynx 3017;表1)または10%スクロース培地いずれかで1時間再水和させ、十分にすすいだ。この工程には、Lynx 1595(表2)培地(またはLynx 1595に30ppmのクリアリー製品を添加)も使用することができる。
2.1プレートあたり約50の外植片を、EJW 1培地(表3)またはEJW 2培地(表4)上で前培養した。約0.5ppm〜2ppmの範囲のTDZレベルを用いた。
3.外植片を、16/8光周期を用いるか暗中にて、28℃で1〜2日間前培養した。外植片を3日間前培養するのも有効であった。
Figure 0006815322

Figure 0006815322
B5原液1:TC水750ml、硫酸マグネシウム100g、硫酸アンモニウム53.6g、及びリン酸ナトリウム(一塩基性)60gを混合する;完全に溶解して溶液が透明になるまで撹拌する;そしてTC水で1Lにする。
B5原液2:TC水750ml及び塩化カルシウム二水和物60gを混合する;完全に溶解して溶液が透明になるまで撹拌する;そしてTC水で1Lにする。
B5原液3:TC水750ml、ホウ酸0.3g、硫酸マンガン1g、硫酸亜鉛七水和物0.2g、ヨウ化カリウム0.075g、モリブデン酸ナトリウム二水和物0.025g、1mg/mlの硫酸第二銅2.5ml、及び1mg/mlの塩化コバルト2.5mlを混合する;完全に溶解して溶液が透明になるまで撹拌する;そしてTC水で1Lにする。
B5原液4:TC水750ml、ミオイノシトール10g、ニコチン酸0.1g、ピリドキシン塩酸塩0.1g、及び塩酸チアミン1gを混合する;完全に溶解して溶液が透明になるまで撹拌する;TC水で1Lにする;そして0.22ミクロンユニットで濾過滅菌する。
B5原液5:TC水750ml及びセクエストレン(sequestrene)2.8gを混合する;完全に溶解して溶液が透明になるまで撹拌する;そしてTC水で1Lにする。
Figure 0006815322

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実施例4:外植片の微粒子銃照射
PDS1000ヘリウム粒子銃:
1.銃の構成要素を1分間消毒した:ストップスクリーン、ラプチャーディスク、及びマクロキャリアホルダーには70%EtOHを使用;及びキャリアシートにはイソプロパノールを使用。
2.ラプチャーディスクを、ラプチャーディスク保定キャップに装填し(例えば、1350psiのディスクまたは約650〜2200psiの範囲のディスク)、ガス加速チャンバへとねじ入れた。
3.ストップスクリーンを、真鍮製調節可能ネストに設置した。
4.ヘリウム銃調製物5μlを、各照射用の各キャリアシートに分配した。キャリアシートを風乾させてから、それらを裏返して、真鍮製ネスト上の保定スクリーンの頂部に設置した。マクロキャリア発射部品を組み立てて、ラプチャーディスクの真下に設置した。ラプチャーディスクとマクロキャリア発射部品の間の間隙距離は約1cmであった。
5.前培養したダイズ外植片を、標的プレート培地#42(TPM42)プレートに、成長点が中心及び上を向く状態で配置し、爆破した。
6.TPM42培地は、蒸留水2リットルを4Lビーカーに計り入れ、洗浄した寒天16gを加えることにより調製し、次いで25分間オートクレーブ処理することにより、寒天を完全に溶液にした。TPM42は、低粘度用に8%カルボキシメチルセルロース(CMC)(または高粘度用に2%カルボキシメチルセルロース(CMC))及び0.4%の洗浄した寒天を含有することができる。溶液を少し冷やして、4Lブレンド装置に注ぎ、次いでCMC320g(低粘度)またはCMC80g(高粘度)を水2Lとともに加えた。混合物を十分に撹拌し、4Lプラスチックビーカーに移し、次いでこれを30分間オートクレーブ処理し、混合し、そして4つの1Lボトルに分けて入れた。次いでTPM42溶液をさらに25分間オートクレーブ処理し、約60℃に冷却してから、プレートに注いだ。60mmのプレートあたり約12〜15mlを注いで、約300の標的プレートを作ることができる。標的プレートは、4℃または−20℃で貯蔵することができる。
ACCELL電気粒子銃:
1.ビーズ調製物を、室温にしてボルテックスした。0.5 Mil 3.2cm2マイラーシートを、任意選択で除湿装置中、小プラスチック皿上に置き、ビーズ調製物320μlを、シート上に置いた。各シートを風乾させた。
2.前培養したダイズ外植片を、成長点が中心及び上を向く状態でTPM42プレート上に設置した。
3.最初の爆破はエネルギーのばらつきがあるため、ブランク爆破を最初に行った。
4.標的を保定スクリーン上に置き、スクリーンはキャリアシート上に直接置いた。部分ヘリウム減圧下(13.5Hg)、17.5〜20kVでコンデンサーを放電することにより水滴10μLを気化させた。滴の気化により衝撃を作りだして、シートを保定スクリーンへと発射した。スクリーンは、マイラーの大部分を止めるが、金ビーズがダイズ外植片成長点に入るのは許容した。
5.爆破と爆破の間、鉱物油の滴をポイント間に浮遊させて、次いで除去することでポイントをきれいにした。水10μLを、先ほどのようにポイント間に浮遊させた。アークチャンバをPVCブロックで覆い、マイラーシートを正方形開口部に置き、スクリーンフードをシート及びポイントの上に置いた。スクリーンは、シートと整列させて重ねた。成長点が保定スクリーンの上で正しい向きとなるように標的皿を上下逆にして保定スクリーンの上に置き、重りを皿に乗せた。装置をベルジャーで覆い、減圧にした。15秒後、減圧が13.5Hgになったところで、銃を放電した。

実施例5:微粒子銃照射後の外植片の培養
1.照射された外植片を、EJW 1培地(または他の前培養培地)に一晩表面播種した。1つの例では、プレートを、16/8光周期で、28℃でインキュベートした。
2.プラストーム形質転換については、照射の翌日に外植片を0.1MのCa(NO32を含む20%PEG4000中で1時間インキュベートし、次いですすいだ。
3.翌日、外植片を、50〜500ppmスペクチノマイシン含有B5培地(スペクチノマイシンレベルを修飾したLIMS 3485;表5)に表面播種、または包埋させ、16/8光周期で、28℃に維持した。1つの例では、250ppmスペクチノマイシンB5培地を使用した。B5カスタム培地混合物24.5gには、ガンボーグB5培地3.21g、スクロース20g、及びグルコン酸カルシウム1.29gが含まれていた。
4.培養物を苗条/緑化について観察し、必要に応じて継代培養した。GFPを、GFP導入遺伝子で形質転換された外植片のマーカーとして使用した。
Figure 0006815322
実施例6:ダイズ色素体形質転換成果物
乾燥切り出し大豆胚外植片のダイズ色素体形質転換に使用する構築物を図6に模式的に示す。表6に、これらの乾燥切り出し外植片を用いた複数の色素体形質転換実験の結果をまとめる。これらの実験において、陽性aadA含有形質転換体は、概して、照射後にスペクチノマイシンの存在下で外植片を培養することにより選別された。照射後培養工程は、苗条を選択培地で継代培養して最終的に苗条から発根させることを、さらに含むことができる。
Figure 0006815322
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実施例7:ダイズ色素体形質転換体の分子解析
pMON285270構築物で形質転換した大豆外植片から、GFP陽性苗条を、スペクチノマイシン淘汰して回収し、「成果物1」と指定した。成果物1は、pMON285270構築物を用いて作り出され、対照GFP陰性成果物と比較して、苗条で強いGFP陽性発現を示した。「成果物1」を構成するGFP陽性苗条から成長する植物は、強いGFP発現を示した。例えば、図7に示すとおり、LEICAソフトウェアを用い励起フィルター470/40nm(450−490nm)及び吸収フィルター525/50nm(500−550nm)を使用した「GFP3」設定下で評価した場合に、成果物1導入遺伝子を含むR0苗条は、強固かつ遍在的なGFP発現を表したが(下右側画像)、一方、核発現ベクター、pMON96999(pMON96999のプラスミドマップについては、例えば、米国特許第8,466,345号を参照)で照射した対照植物は、GFP蛍光がなかった(下左側画像)。図7の2つの中段画像は、励起フィルター480/40nm(460−500nm)及び吸収フィルター510LPを用いて作成した「GFP2」設定下の対照として使用した。GFP2のLEICA設定には、510nm超の発光が含まれるが、一方GFP3設定は、550nmを超える発光を排除する。葉緑素は、GFPと同じ光波長範囲近辺で励起させることができ600nm超の光を発するため、GFP2設定は葉緑素蛍光を含むが、しかしGFP3設定は、概してGFP蛍光に限定されるはずである。GFP2フィルターセットは、生きている組織と死んだまたは壊死組織を区別するためにも使用することができる。成果物1苗条組織から薄切片を取り出し、共焦点顕微鏡で検査して、色素体GFP発現を確認した(データは示さず)。本発明の実施形態に従って胚外植片成長点を直接色素体形質転換する(どのようなカルス相も用いない)ことによりプラストーム導入(GFP陽性)R0植物を作るのに使用されるプロセスの概要を、図8に示す。
プラストーム形質転換は、葉試料を用いたPCRによっても確認した(図9及び図10)。成果物1形質転換体は、挿入のない野生型色素体DNAと予想される小さい方の約4.3kbのバンドに加えて、色素体DNAプライマーが挿入物と隣接すると予想される大きい方の約6.6kbのバンドを示した。gfp右側結合部(Xd2971(配列番号15)/Xd2977(配列番号21);Xd2973(配列番号17)/Xd2977(配列番号21);Xd2973(配列番号17)/Xd2978(配列番号22))及びaadA左側結合部(Xd2974(配列番号18)/Xd2979(配列番号23);Xd2975(配列番号19)/Xd2979(配列番号23);Xd2976(配列番号20)/Xd2979(配列番号23);Xd2974(配列番号18)/Xd2980(配列番号24);Xd2976(配列番号20)/Xd2980(配列番号24))で断片を増幅させるためのプライマー対も、予想される色素体形質転換バンドを生成した(図9及び図10)。しかしながら、挿入物のrps12に隣接するプライマー(Xd2972)は、野生型でも推定色素体形質転換体試料でも増幅産物を生成せず、これは、プライマー合成が不良であったか非特異的であった可能性がある。
さらなるGFP陽性成果物が複数、pMON285270構築物で形質転換した外植片から回収された。これらの推定ダイズ色素体形質転換体のうち7つは、スペクチノマイシン淘汰下で苗条を生成したので、PCRを用いて色素体形質転換について評価した。図11に示すとおり、GFP発現を示し、目的とする色素体形質転換成果物と予想される約6.6kbの増幅産物をプライマーXd2971(配列番号15)及びXd2976(配列番号20)を用いたPCRで生成するこれらの推定形質転換成果物から、複数の陽性形質転換体が同定された。これらの形質転換体は、プライマーXd2973(配列番号17)及びXd2974(配列番号18)を用いたPCRでも予想される約6.4kbの増幅産物を生成し、色素体形質転換の成功を確認した。
これらの色素体形質転換体を、gfp−aadA結合断片の存在について、プライマーXd2599(配列番号25;gfpuvmフォワード)及びXd2606(配列番号26;aadAリバース)を用いて試料を増幅することによりさらに分析した。予想どおり、pMON285270を用いて作製されたこれらの成果物は、791bpのgfp−aadA結合断片産物をもたらしたが、一方pMON291978を用いて作製された成果物は、886bpのgfp−aadA結合断片産物をもたらした(図11)。
pMON285270を用いた形質転換体に由来する試料1、2、及び3は、GFP発現を表し、色素体形質転換を示すPCR増幅産物を生成したので、これらを、それぞれ、成果物4、成果物5、及び成果物8と指定した。しかしながら、試料4〜7は、予想されるPCRバンドを生成せず、GFP陰性であった(表7)。試料5は、図11ではgfp−aadA結合バンドを生成した可能性があるものの、挿入物と予想される大きいほうの約6.4または約6.6PCR産物は観測されなかった。
これら7つの推定ダイズ色素体形質転換成果物を、さらに、図12に示すとおり、プライマー対Xd2971(配列番号15)及びXd2977(配列番号21)を用いてgfp−HR結合断片の存在について、ならびにプライマー対Xd2974(配列番号18)及びXd2979(配列番号23)を用いてaadA−HR結合断片の存在について分析した。試料1、2、及び3(それぞれ、成果物4、成果物5、及び成果物8、と指定)は、それぞれ、gfp−HR結合断片及びaadA−HR結合断片の両方を含んでいたが、試料4〜7は含んでいなかった。これらの結果は、成果物4、5、及び8が、色素体ゲノム中の標的部位での外来DNA挿入物を用いた形質転換の成功を表すことを、さらに裏付ける。さらなる苗条及び/または発根外植片が得られたものの(試料4〜7を参照)、それらはGFP陰性であり、予想されるPCR増幅産物をPCRにより生成しなかったので、恐らくは切断型色素体成果物、ゲノム挿入物、及び/または選択性標識遺伝子のプロモータートラップの結果と思われる。
Figure 0006815322
葉肉の葉細胞中のGFP陽性葉緑体の存在も、色素体形質転換体由来の緑化組織の共焦点顕微鏡検査により確認した。複数ラウンドの微粒子銃に様々な処理条件を併用して得られた複数のGFP陽性植物を、表8に示す。
Figure 0006815322
Figure 0006815322
実施例8:選別によるダイズ色素体形質転換体のホモプラストーム性の上昇
爆破から47日後、成果物1の父性外植片を、新鮮な250ppmのspecB5上で継代培養した。最初の爆破から66日後、一次苗条を、150ppmのspec含有マメ発根培地(BRM)(LIMS 4055;表9)上で収穫し、親外植片苗条を、新鮮な250ppmのspec上で再度継代培養した。親外植片を、新たに切断して胚軸の壊死組織を除去し、最初の爆破から78日後、新鮮な250ppmのspecB5上で再度継代培養した。最初の爆破から116日後、得られる発根した外植片を、成果物4及び5から発根した苗条と一緒に、温室に移送した(表10)。最初の爆破から138日後、表10に示す成果物を、GFP青色光下、黄色フィルターを用いて画像化し、遍在的GFP発現の持続について植物全体にわたり観察した。
Figure 0006815322

Figure 0006815322
別個の実験で、外植片に、2倍の外来DNA装填率でコーティングされた粒子(すなわち、上記実施例で使用した1.2μgDNA/mgビーズの標準調製物の代わりに2.4μgDNA/mgの金ビーズ)を照射した。スペクチノマイシン淘汰下での外植片の継代培養から2つの発根苗条が回収され、これらを「成果物6」と指定した。これら2つの成果物6小植物を、最初の爆破から121日後、温室に移送したところ、両方とも強く遍在的なGFP活性を表した(表11)。これらR0植物を、頭上からの青色光(Orbitech)に曝して黄色吸収フィルターを用いてデジタルカメラで撮影した場合に、これら成果物6植物の両方でGFP発現の持続が観測された(ゲノム対照と比較して)。
Figure 0006815322
表10及び表11にまとめた5つのR0プラストーム導入植物(すなわち、成果物1、4、5、及び6に該当、成果物6には2つの植物が含まれる)を、さらに遅い時点(例えば、爆破から150日後以降)でGFP照明系に黄色吸収フィルターを用いて分析し、淘汰圧を除去して植物を土壌に植えた後でさえも均一で遍在的なGFPレポーターの発現が維持されるかどうかを観察した。これにより、これらR0植物の色素体形質転換成果物が、それぞれの寿命にわたり安定であることが実証される。なぜなら、これらプラストーム導入植物全体にわたる広範なGFP発現を維持するために選択作用剤の継続的な使用は、必要でなかったからである。
これらの5つのR0植物のプラストーム導入特質を、NcoI消化後のサザンブロット分析によりさらに確認した。図14に示すとおり、色素体形質転換体は、PstI/XbaIプローブとハイブリダイスして標識化されることで9,475bpのバンドを示すことが予想されるが、一方野生型植物は、DNA調製物の7,163bpバンドを示すことが予想される(制限部位を持つ遺伝子導入ダイズ色素体DNAとして予想されるものを図示する図13も参照)。実際、表10〜12にまとめた成果物はそれぞれ、9,475bpのバンドを示し、このことは、標的色素体DNA座位での色素体形質転換の成功を示す。aadA導入遺伝子用プローブを用いて、NcoI消化したブロットを標識化することにより、サザンブロット分析も行った。これらの実験では、プラストーム導入成果物に該当するレーンのみが、予想される大きさの標識化バンドを生成し(図14)、これら成果物を用いた色素体形質転換の成功をさらに確証させた。
GFP陽性であるさらなる発根外植片も得られ(表12)、根でのGFPシグナルも検出された(白色体でのものと推定される)。
Figure 0006815322
新たに切り出したものから得られた外植片。
実施例9:形質転換色素体の遺伝の確認
レポーターGFP発現を、成果物4(GM_A21178618)プラストーム導入R0植物由来の未熟さや及びR1種子(母性種皮あり及びなしで)でも観察して、後代への色素体遺伝を確認した(図15)。図15の上段左側の組の画像は、遺伝子導入未熟さやでのGFP発現(下左側画像を参照)を、GFP陰性対照植物(核形質転換ベクター、pMON96999を用いて照射)と比較して示し;図15の上段右側の組の画像は、遺伝子導入未熟さや及び種子でのGFP発現を示し(下左側画像を参照;さやは二分されて種子が見えている);図15の下段左側の組の画像は、遺伝子導入無傷種子でのGFP発現を示し(下左側画像を参照);図15の下段右側の組の画像は、種皮を除去した遺伝子導入種子でのGFP発現を示す(下左側画像を参照)。GM_A21178618R0植物由来の試験した13個のR1種子は全て、GFP陽性であり、このことは、プラストーム導入事象についてホモプラストームであるR0植物(または、ほぼホモプラストームもしくは遍在的R0成果物に少なくとも由来する)の後代について予想されるとおりだった。
実施例10:R1世代での有効なホモプラストーム性の遺伝及び確認
8つのダイズ色素体形質転換成果物由来のR1種子を、温室条件中、淘汰なしで発芽させ、植物をGFPマーカーが見えるように画像化した。各系列由来のR1大豆小植物は全て、陽性であり、明らかなセクター形成はなかった。これらダイズ植物のうちいくつかを移植して、さらにR2世代種子を得た。植物高及びGFP活性を様々な時点で測定し、画像化した。またしても、均一なGFP発現が、淘汰なしに、これらR2植物全体にわたり見出された。葉緑体中のGFP存在は、R1葉細胞をレーザー共焦点顕微鏡観察下で検査することにより確認した。葉緑体中のGFPは、中心液胞を取り囲む細胞の辺縁で視認できた。対照的に、核形質転換した対照系統でのGFPシグナルは、細胞の細胞基質で視認できた。
R1大豆植物から、さらに試料採取して、BioVisionキット(BioVision、Inc.Milpitas、CA)を用いてGFPタンパク質発現レベルを推定し、Bradfordアッセイを用いて全可溶性タンパク質に占めるパーセンテージとして計算した。核GFP及び野生型対照と比較した、プラストーム導入成果物でのGFPの定量を、図16に示す。R1植物から、同じく試料採取して、これらの試料から調製した精製葉緑体DNAをサザンブロット分析したところ、またしても、予想される9.4kbバンドでそれらのプラストーム導入特質が確認された。これらの実験では、1コピー内部対照としてRuBisCOの巨大サブユニットも使用した。プラストーム導入系統の両方からの試料は、標的とする組み込み部位での予想される破壊(すなわち、プローブ標識された9.4kbのバンド)はあったが6.5kbの野生型バンドは検出されず、この野生型バンドは対照試料に存在した(データは示さず)ので、これらの遺伝子導入系統での有効なホモプラストーム性の状態が示された。2つのプラストーム導入系統のそれぞれについて6つの異なるR1植物由来の葉試料をプールし、これらの試料ならびに野生型葉試料からのDNA調製物(Shiら、2012のプロトコルに従って単離)を、デジタルDroplet Digital(商標)PCR(ddPCR(商標);Bio−Rad(登録商標))で分析した(図17)。予想される野生型PCR産物の喪失が、プラストーム導入成果物からの試料で観察された。これらの試料を、Illumina(登録商標)仕上げを伴うPacBio(登録商標)配列決定分析(図18A〜図18C)にも送り、その結果、野生型配列に対してプラストーム導入挿入配列がほぼ排他的に存在することにより、これらR1試料のホモプラストーム(またはほぼホモプラストーム)状態がさらに実証された。William82野生型大豆系統を、遺伝子導入試料の参照として使用した。これらのR1植物が均一にプラストーム導入されたものであることのさらなる証拠として、150ppmのスペクチノマイシンの存在下、野生型対照種子とともにR1種子を発芽させた。これは、対照組織で色素体を退色させるのに十分であったが、一方、R1植物では、セクター形成も分離も観察されなかった。
実施例11:R2世代での交雑結果及び遺伝
プラストーム導入成果物の父性遺伝の欠失を実証するため、4つのR1大豆植物(2つのプラストーム導入成果物系統それぞれからの2つの植物)由来の花粉を、野生型去勢植物に交雑させた。ホモ接合型GUS核導入遺伝子系統由来の花粉も、陽性対照として交雑させた。得られる種子を、10%クロロックスで約10分間消毒し、すすぎ、無選別B5培地または150ppmのスペクチノマイシンB5いずれか上で発芽させた。2週間後、表現型及びGFP活性を評価した。予想どおり、核GUS陽性植物由来の花粉は、F1スペクチノマイシン耐性(及びGUS+)ヘミ接合体をもたらしたが、一方、色素体GFP植物由来の花粉は、スペクチノマイシン感受性及びGFP陰性F1植物をもたらした。レーザー共焦点顕微鏡画像化を使用して、これらのGFP陽性植物で、予想される葉緑体発現が観察された。これらの結果を表13に示す。
Figure 0006815322
実施例12:代替選別及び前培養培地から生成したさらなるGFPプラストーム導入ダイズ成果物
pMON285270 GFP構築物を用いたプラストーム導入植物として確認されたものを、先行実験で用いたとおりの250ppmスペクチノマイシンではなく150ppmスペクチノマイシン選別を用いて得た。この植物はまた、その照射からわずか65日後に選別から外した。この代替プロトコルを使用して得られた苗条を、この短縮された選別期間がプラストーム導入大豆植物を産生するのに十分であったかどうかを判定するためのスクリーンとして、スペクチノマイシン上で発根させた。この成果物を含有する植物は、選別性を高めたプロトコルで生成したプラストーム導入植物と同様な均一なGFP発現を示した。
対照GFP構築物由来のプラストーム導入成果物も、前培養及び安静培地(LIMS 4859;表14)中のTDZを5ppmのキネチンに置き換えることにより得た。これらの成果物も、照射後の20%PEG2000+0.1MのCa(NO32すすぎを用いることなく、150ppmスペクチノマイシン選別を用いて、生成させた。個々の植物成果物は、同一外植片に由来するものであった(第一のものは、外植片から切り出された発根苗条であり、第二のものは、発根した残りの外植片に由来する植物であった)。これらの成果物は、均一なGFP発現及び葉肉細胞の葉緑体へのGFPシグナル共焦点局在化を示した。これらR0植物のサザンブロット分析を、上記のR1成果物のサザンブロット分析と合わせて図17に示す。
Figure 0006815322
pMON285270構築物を使用したプラストーム導入大豆成果物生成プロトコルのまとめを、以下の表15及び表16に提示し、総合したものを表17に示す。
Figure 0006815322

Figure 0006815322

Figure 0006815322

Figure 0006815322

Figure 0006815322

Figure 0006815322
実施例13:キネチン対TDZ、または無PGRとの比較
前培養培地に含まれるキネチンまたはTDZを、無PGR処置対照と合わせて比較する実験を、pMON304331(目的の遺伝子としてAFP1を;及び選別用にaadAを含む構築物)で行った。TDZ及びキネチン前培養の両方で緑化スペクチノマイシン抵抗性外植片が得られたが、TDZのほうが多く観察された(表18)。前培養培地にPGRのいずれもないこの実験では、スペクチノマイシン抵抗性外植片は観察されなかった。別個の実験で、GFP陽性外植片及び植物が、前培養培地にTDZを用いて得られた(データは示さず)。
Figure 0006815322
実施例14:未熟ダイズ成長点形質転換及び短期選別
単独の実験で、温室栽培の緑色未熟種子から未熟成長点を手で切り出して得て、LIMS 4859培地上で前培養し、pMON285270を照射した。この方法により、推定GFP発現成果物が生成した。この成果物からのGFP陽性組織は、苗条へと再生しなかったものの、この成果物から採取した組織試料を用いて、共焦点顕微鏡観察によりGFP発現を実証し、PCR分析を行って、GFP発現構築物の存在を示した(データは示さず)。これらのデータは、この成果物のプラストーム導入特質を裏付けるものであり、さらに、未熟胚が、本方法による色素体形質転換の標的として使用可能であることを実証する。
別個の実験で、プラストーム導入成果物は、成熟ダイズ胚外植片をpMON285270で照射後、150ppmのスペクチノマイシンでの非常に短期選別(1〜2週間)を行うことでも生成した。しかしながら、外植片をわずか1、2週間で選別から外した結果、GFP発現により測定した場合に、形質転換した色素体のパーセンテージの大幅な低下をもたらした(データは示さず)。

Claims (31)

  1. 植物色素体の形質転換方法であって、以下の工程:
    (a)植物の種子から外植片を調製する工程、該種子は成熟胚を含む乾燥種子であり、該外植片は該種子の成熟胚の成長点組織を含む;
    (b)該外植片の細胞の少なくとも1つの色素体を、外来DNA分子で形質転換する工程、該外来DNA分子は、以下を含み:
    (i)第一の色素体ゲノム配列と相同な第一の腕領域;
    (ii)第二の色素体ゲノム配列と相同な第二の腕領域;及び
    (iii)該外来DNA分子の該第一の腕領域と該第二の腕領域の間に配置された挿入配列、
    を含み;
    (c)選択培地上で外植片から色素体形質転換植物を発達させる工程
    を含み、該外植片の該細胞は、該形質転換工程(b)の前又は後にカルス組織を形成せず、植物成長制御因子は該選択培地に存在せず、かつ該挿入配列は、該第一の色素体ゲノム配列と該第二の色素体ゲノム配列の間の該植物細胞の色素体ゲノムに組み込まれる、前記方法。
  2. 前記乾燥種子は、水分量が約3%〜約25%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  3. 前記植物は、双子葉類植物である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記双子葉類植物は、大豆、セイヨウアブラナ、アルファルファ、サトウダイコン、または綿花である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの色素体は、光合成活性ではない、請求項1に記載の方法。
  6. 前記挿入配列は、相同組換えにより前記色素体ゲノムに組み込まれる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記形質転換工程(b)は、微粒子銃を介して前記外来DNA分子を前記外植片に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 工程(a)で調製される前記外植片は、水分量が、約3%〜約20%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  9. 工程(b)で形質転換される前記色素体は、原色素体である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記外植片は、前記形質転換工程(b)の前に、色素体形質転換の受容性を維持しており、かつ発芽しない、請求項1に記載の方法。
  11. 工程(b)で形質転換される前記外植片は、代謝停滞状態にある、請求項1に記載の方法。
  12. 以下:
    前記形質転換工程(b)の前に前記外植片を前培養すること、該前培養工程は、前記外植片を、少なくとも1種の浸透圧調節物質を含む水性媒体に曝すことを含む、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記水性媒体は、糖またはポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 以下:
    前記形質転換工程(b)後に、前記外植片を発芽させること
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. 以下:
    前記発芽した外植片から色素体形質転換植物を発達させること
    をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 以下:
    前記色素体形質転換植物から色素体形質転換種子を得ること
    をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 以下:
    前記形質転換工程(b)の前に前記外植片を発芽させること
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記挿入配列は、色素体プロモーターに操作されるように連結された導入遺伝子を含むDNA発現カセットを含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記導入遺伝子は、前記導入遺伝子で形質転換された植物で発現した場合に、農学上関心が持たれる遺伝形質を与える、請求項18に記載の方法。
  20. 前記農学上関心が持たれる遺伝形質は、以下のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法:修飾された炭素固定、修飾された窒素固定、除草剤耐性、害虫抵抗性、増加した生産量、真菌性病害耐性、ウイルス耐性、線虫耐性、細菌性病害耐性、修飾されたデンプン産生、修飾された油産生、修飾された脂肪酸含有量、修飾されたタンパク質産生、向上した動物及びヒト栄養価値、環境ストレス耐性、改善されたプロセシング遺伝形質、改善された消化性、改善された酵素産生、及び改善された繊維産生。
  21. 前記導入遺伝子は、選択作用剤に対する耐性を与える植物選択性標識遺伝子である、請求項18に記載の方法。
  22. 以下:
    前記外植片を前記選択作用剤と接触させることにより、前記外植片の色素体形質転換細胞の発達を選別すること
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 以下:
    工程(b)で形質転換された外植片から色素体形質転換植物を発達させる際に、該発達する植物を前記選択作用剤と接触させることにより淘汰圧をかけて発達させること
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記挿入配列は、第一のDNA発現カセット及び第二のDNA発現カセットを含み、該第一のDNA発現カセットは第一の色素体プロモーターに操作されるように連結された第一の導入遺伝子を含み、かつ該第二のDNA発現カセットは第二の色素体プロモーターに操作されるように連結された第二の導入遺伝子を含み、該第一の導入遺伝子は、植物で発現した場合に農学上関心が持たれる遺伝形質を与え、かつ該第二の導入遺伝子は、選択作用剤に対する耐性を与える植物選択性標識遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  25. 以下:
    前記外植片を、前記形質転換工程(b)の前に、約1時間〜約2年間の乾燥条件下に貯蔵すること、前記外植片は、貯蔵中も生存して形質転換の受容性を維持する、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  26. 以下:
    前記外植片を、前記形質転換工程(b)の前に乾燥させること
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  27. 以下:
    前記外植片を、前記植物の前記種子から切り出すこと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  28. 植物色素体の形質転換方法であって、以下の工程:
    (a)成熟乾燥種子から調製した外植片の成長点細胞の少なくとも1つの色素体を、外来DNA分子で形質転換する工程、該外来DNA分子は、以下を含み:
    (i)第一の色素体ゲノム配列と相同な第一の腕領域;
    (ii)第二の色素体ゲノム配列と相同な第二の腕領域;及び
    (iii)該外来DNA分子の該第一の腕領域と該第二の腕領域の間に配置された挿入配列、
    (b)形質転換した組織を加えた植物成長制御因子を含まない選択培地で選別する工程
    を含み、
    該外植片の該細胞は、該形質転換工程の前にカルス組織を形成せず、かつ該挿入配列は、該第一の色素体ゲノム配列と該第二の色素体ゲノム配列の間の該植物細胞の該色素体ゲノムに組み込まれる、前記方法。
  29. 前記前培養の期間が約1時間〜約60時間である、請求項12に記載の方法。
  30. 前記双子葉植物が大豆植物である、請求項4に記載の方法。
  31. 前記形質転換外植片細胞が成長点細胞である、請求項1に記載の方法。
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