JP6803767B2 - 測定方法およびセンサー装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、汗の中の特定の化学物質の濃度を測定する技術が記載されている。
特許文献2には、生体液中の乳酸の量を、簡便且つ低コストに決定する技術が記載されている。
特許文献3には、生体情報を常時分析することができるように、小型化した生体センサーの技術が記載されている。
特許文献4には、生体の皮膚表面に装着して、皮膚表面の汗中物質に選択的に感応し、その汗中物質の量を測定するための技術が記載されている。
また、血液由来の物質の濃度等を計測するためには、血液を採取して目的の物質の量を計測する方法も考えられるが、血液を採取するためには、血管の一部に穴をあける必要があるなど、生体に対する負担が大きいという問題もある。
例えば、汗中物質の濃度を測定することによって血中物質の濃度の測定に代える場合には、測定点の近傍における筋肉由来のその物質が、濃度決定のための誤差要因となり得る。また、逆に、汗中物質の濃度を測定することによって筋肉由来の物質の濃度の測定に代える場合には、血液由来(動脈由来)のその物質が、濃度決定のための誤差要因となり得る。つまり、これらの両方の目的において、計測精度が低くなるという問題がある。
図1は、第1実施形態によるセンサー装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、センサー装置100は、第1収集部11と、第1濃度決定部12と、第2収集部21と、第2濃度決定部22と、第3濃度算出部31と、出力部41とを含んで構成される。
第1収集部11は、生体の筋肉のある箇所から分泌される汗を収集するものである。また、第2収集部21は、前記生体の筋肉のない箇所から分泌される汗を収集するものである。また、第1濃度決定部12は、第1収集部11で収集した汗に含まれる所定の化学物質(例えば、乳酸塩)の濃度である第1濃度を決定する。また、第2濃度決定部22は。第2収集部21で収集した汗に含まれる前記所定の化学物質の濃度である第2濃度を決定する。そして、第3濃度算出部31は、前記第1濃度から前記第2濃度を引いた値である第3濃度を求める。なお、汗等の収集された物質(ここでは、液体)に含まれる所定の化学物質(例えば、乳酸塩)の濃度を測定し決定すること自体は、既存の技術を用いて行うことができる。また、第3濃度算出部31は、数値データである第1濃度から数値データである第2濃度を減算する機能を有するが、減算機能自体は、既存の技術により電子回路等を用いて実現され得る。
第1収集部11は、生体(例えば、ヒト)から分泌される汗を収集するものである。具体的には、例えば、第1収集部11は、露紙や管により液体を吸収する部品を有している。使用者が第1収集部11を生体表面の所定の箇所に当てることにより、第1収集部11は当該箇所における汗を収集する。
第1濃度決定部12は、第1収集部11が収集した汗に含まれる特定の化学物質に感応し、当該特定の化学物質の汗内における濃度を決定する。特定の化学物質の濃度は、例えば、グラム毎立方メートルや、グラム毎リットルや、モル毎リットルなどといった単位の数値として決定される。なお、特定の化学物質の濃度を決定する技術自体は、既存の技術である。
第2収集部21は、上記の第1収集部11と同様の構成を有する。第2収集部21は、第1収集部11が汗を収集する箇所とは異なる生体表面の所定の箇所における汗を収集するためのものである。使用者が、使用者が第2収集部21を当該箇所に当てることにより、第2収集部21は当該箇所における汗を収集する。
第2濃度決定部22は、第1濃度決定部12と同様の機能を有する。そして、第2濃度決定部22は、第2収集部21が収集した汗に含まれる特定の化学物質に感応し、当該特定の化学物質の汗内における濃度を決定する。
また、第1収集部11は、生体の、筋肉のある箇所における表面(皮膚等)から汗を収集するために用いられるべきものである。例えば、ヒトにおける筋肉のある箇所とは、上腕部や大腿部などである。
また、第2収集部21は、生体の、筋肉のない箇所(あるいは筋肉の極めて少ない箇所。以下においても同様。)における表面から汗を収集するために用いられるべきものである。例えば、ヒトにおける筋肉のない箇所とは、手の甲や、足の甲や、額や、頭蓋横や、耳裏や、耳たぶや、すねなどである。なお、自転車エルゴメーターを用いた運動によりヒトの身体に負荷をかけるテストを行った。この負荷テストにおいて、負荷は160ワット、運動の継続時間は10分間、そのときの室温は摂氏24度、湿度は30%であった。このテストの結果、上に列挙した筋肉のない箇所のうち、手の甲や、額や、頭蓋横の箇所からは、充分な量の発汗が得られることが確認された。一方、耳たぶと耳裏からの箇所からの発汗の量は不十分であることがわかった。また、すねと足の甲に関してはテストを行わなかった。このことから、手の甲や、額や、頭蓋横は、第2収集部21が汗を収集する箇所として適切であることが確認された。また、耳たぶや耳裏は、第2収集部21が汗を収集する箇所として適していないことが確認された。また、すねと足の甲に関しては、第2収集部21が汗を収集する箇所として適切である可能性があるものの、テストによる確認はまだ行われていない。
また、筋肉のない箇所から収集した汗に関して、第2濃度決定部22は、血液(動脈)由来の乳酸または乳酸塩の濃度(つまり、血液由来濃度)を決定する(これを第2濃度と呼ぶ)。
第1濃度=血液由来濃度+筋肉由来濃度 ・・・(1)
第2濃度=血液由来濃度 ・・・(2)
第3濃度=第1濃度−第2濃度 ・・・(3)
この式(3)と、前記の式(1)および式(2)とから、下の式(4)が得られる。
第3濃度=筋肉由来濃度 ・・・(4)
図2は、センサー装置100による処理の手順を示すフローチャートである。センサー装置100は、同図に示す測定方法を実行するものである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
ポリイミドシートにsilver/silver chloride (Ag/AgCl) ink (4001, Engineered Conductive Materials, LLC, Delaware, OH)とPrussian blue (PB) conductive carbon ink (C2070424P2, Gwent Group, Pontypool, UK)を、スクリーンプリンタを用いてプリントした。その後、アノード電極上に、ラクテートオキシダーゼ(東洋紡)水溶液を滴下、乾燥させた。
なお、本実施例の有効性を検証するために、本願発明者らは、下記の検証実験を行った。この検証実験の目的は、第2濃度決定部22が決定する第2濃度が、血液由来濃度に該当する(式(2)を参照)ことの確認である。
実験内容は、自転車エルゴメーターによる運動テストである。被験者であるヒトについて、自転車エルゴメーターによる負荷がかかっている状態で、センサー装置100の第1収集部11および第2収集部21で汗を収集した。ここで、第1収集部11(筋肉のある箇所から汗を収集)を、脚の大腿部に当てる状態を維持した。また、第2収集部21(筋肉のない箇所から汗を収集)を、手の甲に当てる状態を維持した。
第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とは、それぞれ、第1収集部11と第2収集部21によって収集された汗における乳酸または乳酸塩の濃度を計測し、出力した。
被験者の運動の負荷を約160ワット(W)として、自転車エルゴメーター(Power Magic Mag Plus)によるこの運動負荷を20分間継続視した後、被験者の運動を終了させた。また、運動終了後も、15分間、第1収集部11と第2収集部21によってそれぞれ収集された汗における乳酸または乳酸塩の濃度を計測し続けた。
また、このグラフによると、第1濃度に関しては、運動開始後10分経過時点までは、概ね単調に値が上昇している。その後、第1濃度は、概ね3分〜5分程度の周期で、上昇したり下降したりしている。運動開始後20分で運動が終了し、その後は、第1濃度は、短周期での上下変動はあるものの、大きく見ると徐々に値が低下している。特に、運動開始後25分以後は、第1濃度は、短周期での上下変動の振幅が小さくなり、概ね単調に値が減少している。
また、第2濃度に関しては、運動開始後10分経過時点までは、概ね単調に値が上昇している。その後、運動開始後23分経過時点あたりまでは、短周期での小さな上下変動が見られるものの、概ね単調に且つ緩やかに値が減少している。また、運動開始後23分経過時点以後では、第2濃度の値は、やや急激に低下している。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前実施形態において既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
この構成により、センサー装置101は、化学物質の候補の中から適宜測定対象の化学物質を選んで、その物質の濃度を測定することができる。つまり、センサー装置101が対象物質決定部51を有している点が、本実施形態の特徴である。
対象物質決定部51は、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とが対象とする化学物質の種類を決定する機能を有する。測定対象とし得る化学物質の群を、予め設定登録しておく、例えば、乳酸または乳酸塩や、グルコースや、リン酸またはリン酸塩や、脂肪酸や、ナトリウムや、カリウムや、その他の電解質などが、対象物質の候補として挙げられる。例えば、センサー装置101の使用者の操作に基づいて、対象物質決定部51は、候補の中から測定対象の化学物質を決定する。対象物質決定部51は、対象の物質を決定すると、その物質の種類を識別する情報を、少なくとも第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とに伝える。そして、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22とはそれぞれ、対象物質決定部51によって決定された物質を測定対象とする。具体的には、第1濃度決定部12と第2濃度決定部22は、例えば、多少物質の候補の各々に対応する部品を内部に備えており、対象物質決定部51から伝えられる対象物質の情報に基づいて、それらの部品を適宜選択的に切り替えて動作させる。
グルコースの濃度は、例えば、生体の糖代謝の指標値として利用可能である。
また、リン酸またはリン酸塩の濃度は、例えば、生体のエネルギー代謝の指標値として利用可能である。
また、脂肪酸の濃度は、例えば、生体の脂肪代謝の指標値として利用可能である。
また、電解質一般の濃度は、例えば、生体の水分状態の指標値として利用可能である。
最後に、対象筋肉由来成分と動脈由来とを切り分ける方法について説明する。ここでは、汗中の特定の化学物質の成分について述べる。
汗中成分の量は、測定点近傍の筋肉に由来する成分の量と、動脈に由来する成分の量とのたし合わせである。筋肉由来成分には、測定点近傍の筋肉からの寄与が含まれる。一方で、動脈由来成分には、全身からの寄与が含まれる。ここでの課題は、汗中成分のうちの、筋肉由来成分のみの量を知ることである。
12 第1濃度決定部
21 第2収集部
22 第2濃度決定部
31 第3濃度算出部
41 出力部
51 対象物質決定部
100,101 センサー装置
Claims (4)
- 生体の複数箇所から分泌される汗を収集するステップと、
前記複数箇所のうちの筋肉のある箇所から収集した汗に含まれる所定の化学物質の濃度である第1濃度を決定するステップと、
前記複数箇所のうちの筋肉のない箇所から収集した汗に含まれる前記所定の化学物質の濃度である第2濃度を決定するステップと、
前記第1濃度から前記第2濃度を引いた値である第3濃度を求めるステップと、
を含むことを特徴とする測定方法。 - 前記所定の化学物質は、電解質、グルコース、乳酸塩、リン酸塩からなる群から選択される化学物質である、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。 - 生体の筋肉のある箇所から分泌される汗を収集するための第1収集部と、
前記生体の筋肉のない箇所から分泌される汗を収集するための第2収集部と、
前記第1収集部で収集した汗に含まれる所定の化学物質の濃度である第1濃度を決定する第1濃度決定部と、
前記第2収集部で収集した汗に含まれる前記所定の化学物質の濃度である第2濃度を決定する第2濃度決定部と、
前記第1濃度から前記第2濃度を引いた値である第3濃度を求める第3濃度算出部と、
を備えることを特徴とするセンサー装置。 - 前記所定の化学物質は、電解質、グルコース、乳酸塩、リン酸塩からなる群から選択されるものである、
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサー装置。
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