JP6802322B2 - 制御装置 - Google Patents
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Description
スピンドルを少なくとも有するボーリング用の掘削機に対する掘削の制御を実行する制御手段と、
前記制御手段による前記掘削の制御の実行の結果、前記スピンドルを含む前記掘削機から出力される1以上の出力パラメータの各値を取得する出力パラメータ取得手段と、
前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値に基づいて、掘削対象の地層又は硬さを予測判断する判断手段と、
を備え、
前記制御手段は、複数のモードのうち、前記判断手段により予測判断された前記地層又は硬さに応じたモードで、掘削の制御を実行する。
前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値を含む、複数のパラメータの値を説明変数として用いて機械学習を行うことで、前記モデルを生成又は更新する学習手段、
をさらに備えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を含む掘削機の概観の構成の一例を示す斜視図である。
x軸とy軸で規定されるxy平面のうち、z=0におけるxy平面が、水平面とされている。ここでは説明の便宜上、掘削対象の地面は水平面に形成されているとする。
z軸は、垂直方向の軸である。地面(水平面)からみて、上方向がz軸の正方向とされており、下方向が負方向とされている。掘削は地面に対して水平方向まで可能であるが、ここでは説明の便宜上、掘削機1は、地面に対して、z軸の負方向に掘削をするものとする。
ドリルヘッド12は、図1には図示せぬ給進・オシレータエンジン(例えば後述の図2の給進・オシレータエンジン22)により駆動されて、スピンドル11に接続されたロッドをz軸の方向に移動させる。なお、以下、このようなロッドのz軸方向への移動を、「給進」と呼ぶ。ドリルヘッド12は、さらに図示せぬオシレータを内蔵しており、このオシレータによりz軸方向への微小な振動(以下、「オシレーション」と呼ぶ)をロッドに与えながら、当該ロッドを給進させることができる。
図2は、図1の掘削機に対する掘削自動制御処理を実行する制御装置についての機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
制御部31乃至学習部35並びに地層モデルDB41の各存在場所は、特に限定されず任意でよい。ただし、本実施形態では説明の便宜上、制御部31乃至出力パラメータ取得部33は、制御盤13(図1)に内蔵される図示せぬ情報処理装置に設けられているものとする。一方、地層判断部34、学習部35、及び地層モデルDB41は、掘削機1の外部に存在する図示せぬ1以上の情報処理装置に設けられているものとする。
即ち、スピンドル11の回転の制御の入力パラメータとして、スピンドル11自体の回転数(以下、「スピンドル回転数」と呼ぶ)、スピンドル11を駆動する回転エンジン23の回転数(以下、「エンジン回転数」と呼ぶ)、及びスピンドル11のトルク(以下、「スピンドルトルク」と呼ぶ)が採用されている。
なお、図2の例では、スピンドル11の回転の制御として、主に回転エンジン23に対する制御が行われ、スピンドル11自体に対する積極的な制御は行われない。即ち、図2の例では、スピンドル11の回転数又はトルクが最大値を超えたときのみ、エラー処理が行われる。このため、図2の例では、スピンドル回転数及びスピンドルトルクは、最大値のみが入力パラメータの値として設定される。なお、エラー処理の具体例については図3及び図4を参照して後述する。
以上まとめると、図2の例では、入力パラメータ設定部32は、入力パラメータとして、スピンドル回転数(最大値)、エンジン回転数、及びスピンドルトルク(最大値)の各値を設定し、制御部31に通知する。
制御部31は、スピンドル回転数(最大値)、エンジン回転数、及びスピンドルトルク(最大値)の各値に基づいて、回転エンジン23等に対して各種指示を行い、回転エンジン23を駆動させることで、スピンドル11の回転の制御を実行する。
従って、図2の例では、入力パラメータ設定部32は、入力パラメータとして、掘削限界上限速度、及びオシレータ周波数(初期値)の各値を設定し、制御部31に通知する。
制御部31は、設定されたオシレータ周波数(初期値)でドリルヘッド12のオシレーションの制御を開始させ、ドリルヘッド12の給進の速度が掘削限界上限速度を超えないように監視しつつ、ドリルヘッド12の給進の速度(現在値)に応じて、オシレータ周波数を変化させる制御を実行する。
なお、図2の例では、循環水圧力の積極的な制御は行われないため、循環水圧力については最大値のみが、入力パラメータの値として入力される。
制御部31は、設定された循環水圧力(最大値)を超えないように監視しつつ、循環水ポンプ21に対する指示等の各種指示を行うことで、循環水圧力及び循環水量の制御を実行する。
そして、循環水圧力の制御として、循環水圧力によるフィード制御とビット荷重の制御がある。
ここで、循環水圧力によるフィード制御とは、循環水圧力が設定された最大値を超えないようにドリルヘッド12をフィード(給進・後退、上下動)させることである。
具体的に例えば、掘削中にビット先端が掘削面より埋まっている状態が続くと、ビット先端から放出される循環水の出口が塞がってしまうため、循環水圧力が上昇する。そのため、循環水は、ロッドの中から送られてビット先端から放出されるので、掘削した孔壁とロッドの隙間から地上に排出される。
従って、循環水圧力が大きくなると、ロッドと結合されたドリルヘッド12を上げる(フィードさせる)ことで、制御部31は、掘削面に埋まったビット先端を引上げて隙間をつくり、圧力を逃がすよう循環水圧力によるフィード制御を実行する。
なお、循環水圧力が設定最大値を超えると、循環水ポンプが故障したり、掘削した孔壁が崩壊したり、機械自体がバランスを崩したりする危険性が発生する。
このような危険性を回避するため、制御部31は、循環水圧力によるフィード制御を実行する。
また、ビット荷重とは、先端のビットが掘削面に与えている力を意味する。そして、ビット荷重の設定は、対象とする地層によって異なる。そのため、掘削している深さが深くなるに従い、結合されるロッド本数は増加するので、ビット荷重も増加する。従って、制御部31は、引上げ力(バランス力)を作用させて所定のビット荷重となるように、ビット荷重の制御を実行する。
なお、制御部31は、ロッドを1本つなぐ毎にロッド荷重を調整することも可能である。
そして、循環水量の制御の意義は、ロッド内から送られビット先端から放出される水量について、地表面付近まで、ある一定の戻り量を確保することである。循環水量の戻り量は、地層の種類又は同じ層種でも粒度の違いにより逸水量が異なり、これらを考慮して適切な循環水圧力の範囲内で、適切な循環水量(送り量)の増減を制御する必要があり、このような制御が循環水量の制御である。
具体的に例えば、循環水の戻り量が少なくなると、ロッド等が地中で拘束されて回転不能となる状態(ジャミング)となり、掘削作業の停止、中止ならびにロッドの回収作業などが発生する危険性が発生する。そこで、このような危険性の発生を回避すべく、循環水量の制御が実行される。
また、スピンドル11に装着されるロッドには、掘削対象の地層に応じて適切なサイズが存在する。
従って、掘削対象の地層が既知の場合、当該掘削対象の地層に適した制御のモードが、入力パラメータ設定部32により設定される。
即ち、地層の層種毎に予め用意されている自動掘削の制御のモード(以下、「深度別掘削モード(層種)」と呼ぶ)のうち、当該掘削対象の地層に適した制御のモードを示す値が、入力パラメータの値の1つとして入力パラメータ設定部32により設定される。
また、地層の深度毎に予め用意されている自動掘削の制御のモード(以下、「深度別掘削モード(深度)」と呼ぶ)のうち、当該掘削対象の地層に適した制御のモードを示す値が、入力パラメータの値の1つとして入力パラメータ設定部32により設定される。
この地層モデルは、本実施形態では図5を用いて後述するように、学習部35の機械学習により生成又は更新される。
なお、地層モデルは、任意の個数の任意の種類の出力パラメータの値に基づいて地層の層種及び深度を出力するものであれば足り、その形態等は特に限定されない。例えば本実施形態では、オシレータの圧力(以下、「オシレータ圧力」と呼ぶ)、スピンドルトルク、循環水圧力、及び掘削速度の夫々の現在値が、出力パラメータの各値として用いる地層モデルが採用されている。ここで、現在値とは、瞬時値(1回のサンプル値)のみならず、複数回のサンプル値に基づいて算出される値(例えば平均値)も含む。
地層判断部34は、出力パラメータ取得部33により取得された出力パラメータの各値を地層モデルに入力し、その地層モデルの出力に基づいて当該地層の層種及び深度を判断する。地層判断部34の判断結果は、入力パラメータ設定部32に供給される。
入力パラメータ設定部32は、地層判断部34の判断結果に基づいて、掘削対象の地層に適した深度別掘削モード(層種)及び深度別掘削モード(深度)の夫々を示す各値を決定して、制御部31に通知する。
制御部31は、通知された深度別掘削モード(層種)及び深度別掘削モード(深度)に切替えて、掘削の自動制御を実行する。
学習部35による機械学習の詳細については、図5及び図6を参照して後述する。
具体的には例えば、入力パラメータとして、次のようなパラメータa乃至lの初期値が夫々設定される。
パラメータaは、掘削時でのエンジン回転数である。
パラメータbは、循環水圧力(最大値)である。
パラメータcは、オシレータ周波数である。
パラメータdは、スピンドル回転数である。
パラメータeは、掘削限界上限速度である。
パラメータfは、スピンドルトルクである。
パラメータgは、ロッドサイズである。
パラメータhは、深度別掘削モード(層種)である。
パラメータiは、深度別掘削モード(深度)である。
パラメータjは、ビット荷重である。
パラメータkは、循環水量(送水)である。
パラメータlは、循環水圧力によるフィード制御を行う(ON)のかそれとも行わない(OFF)のかを示すパラメータである。
なお、上述のパラメータbは、循環水圧力の初期値(設定値)として、最大値を入力することを意味する。
また、上述のパラメータlは、循環水圧力が最大値、即ち、上述のパラメータbの初期値(設定値)が最大値を超えた場合にフィード制御を作動させるためのパラメータである。
即ち、制御部31は、第1パターンの判断行動として、出力パラメータ取得部33により出力パラメータの1つとして取得される循環水圧力の現在値が、ステップS1において設定された初期パラメータbの設定値を超えると、コア詰まりと判断し、上下運動(ドリルヘッド12のz軸方向の給進)へ移行させる。
また、制御部31は、第2パターンの判断行動として、出力パラメータ取得部33により出力パラメータの1つとして取得されるスピンドルトルクの現在値が、1.5kN・m(プログラム内での固定値)を超えると、孔曲りと判断して、上下運動(ドリルヘッド12のz軸方向の給進)へ移行させる。
また、制御部31は、第3パターンの判断行動として、出力パラメータ取得部33により出力パラメータの1つとして取得される掘削速度の現在値に応じて、オシレータ周波数を変化させる。
具体的には例えば、入力パラメータとして、次のようなパラメータa乃至lの初期値が夫々設定される。
パラメータaは、掘削時でのエンジン回転数である。
パラメータbは、循環水圧力(最大値)である。
パラメータcは、オシレータ周波数である。
パラメータdは、スピンドル回転数である。
パラメータeは、掘削限界上限速度である。
パラメータfは、スピンドルトルクである。
パラメータgは、ロッドサイズである。
パラメータjは、ビット荷重である。
パラメータkは、循環水量(送水)である。
パラメータlは、循環水圧力によるフィード制御を行う(ON)のかそれとも行わない(OFF)のかを示すパラメータである。
なお、上述のパラメータbは、図3と同様、循環水圧力の初期値(設定値)として、最大値を入力することを意味する。
上述のパラメータlは、図3と同様、循環水圧力が最大値、即ち、上述のパラメータbの初期値(設定値)が最大値を超えた場合にフィード制御を作動させるためのパラメータである。
また、パラメータc(オシレータ周波数)、パラメータj(ビット荷重)、パラメータk(循環水量(送水))、及びパラメータl(循環水圧力によるフィード制御)については、地層の各層種毎に異なる値が入力されるものであるが、図4の例では地層が未知のため、予測値として適当な値が夫々入力される。
パラメータmとは、オシレータ圧力である。
パラメータnとは、スピンドルトルクである。
パラメータoとは、循環水圧力である。
パラメータpとは、掘削速度である。
なお、パラメータoは、パラメータbと異なり、稼働中に出力される循環水圧力の値である。
換言すると、制御部31は、パラメータc(オシレータ周波数)、パラメータj(ビット荷重)、パラメータk(循環水量(送水))、及びパラメータl(循環水圧力によるフィード制御)の夫々を、ステップS13において判断された地層に適する各値に夫々更新する。そして、制御部31は、更新後の値を用いて掘削の自動制御を実行する。
即ち、制御部31は、第1パターンの判断行動として、出力パラメータ取得部33により出力パラメータの1つとして取得される循環水圧力の現在値が、ステップS1において設定された初期パラメータbの設定値を超えると、コア詰まりと判断し、上下運動(ドリルヘッド12のz軸方向の給進)へ移行させる。
また、制御部31は、第2パターンの判断行動として、出力パラメータ取得部33により出力パラメータの1つとして取得されるスピンドルトルクの現在値が、1.5kN・m(プログラム内での固定値)を超えると、孔曲りと判断して、上下運動(ドリルヘッド12のz軸方向の給進)へ移行させる。
「その地層への制御に変更」として、例えば、深度別掘削モード(層種)及び深度別掘削モード(深度)を、地層判断部34により判断された層種及び深度の夫々に適したモードへ変更する処理が行われる。
以下、このような地層モデルを生成又は更新するための機械学習の一例について、図5を参照して説明する。
図5は、図2の制御装置の学習部による機械学習の一例の概要を説明する図である。
パラメータa1は、掘削速度である。
パラメータb1は、ビット荷重である。
パラメータc1は、スピンドルトルクである。
パラメータd1は、スピンドル回転数である。
パラメータe1は、循環水量である。
パラメータf1は、循環水圧力である。
パラメータg1は、オシレータ圧力である。
パラメータh1は、エンジン回転数である。
パラメータi1は、油圧ポンプ圧力P1である。
パラメータj1は、油圧ポンプ圧力P2である。
パラメータk1は、ヘッド給油圧力である。
パラメータl1は、エア圧力である。
パラメータm1は、フレーム傾斜角Xである。
パラメータn1は、フレーム傾斜角Yである。
パラメータo1は、エンジン冷却水温度である。
なお、パラメータi1の油圧ポンプ圧力P1は、第1油圧ポンプ圧力を意味し、パラメータj1の油圧ポンプ圧力P2は、第2油圧ポンプ圧力を意味する。
ここで、第1油圧ポンプは主にオシレータモータを作動させるためのポンプであり、第2油圧ポンプは主にスピンドルモータを作動させるポンプである。
また、パラメータf1は、パラメータbと異なり、稼働中に出力される循環水圧力の値である。
例えば、掘削の自動制御として、掘削対象の地面の固さ(SPT)に応じた可変制御を採用してもよい。
学習部35は、既知の地層について制御部31による掘削の自動制御を実行させ、その際に出力パラメータ取得部33により出力パラメータとして取得されるパラメータa1乃至o1の各値を説明変数として用いて、アンサブル機械学習(Extra Tress)によるSPT判断を行う。学習部35は、このSPT判断を繰り返し行い、SPTモデルを生成又は更新する。
SPTモデルとは、掘削対象に対して掘削の自動制御が実行されている場合において出力パラメータの各値を入力することで、当該掘削対象のSPTを出力可能なモデルをいう。
ここで、図5と図6を比較するに、説明変数として用いるパラメータa1乃至o1は、地層に対する機械学習と、SPTに対する機械学習とで同一である。換言すると、学習部35は、同一の説明変数を用いて、地層に対する機械学習もSPTに対する機械学習も実行することができる。
なお、本出願人らにより実際に行われた掘削の自動制御の結果と、当該掘削の自動制御の結果により得られた図5及び図6に示す説明変数を用いて行われたアンサブル機械学習の結果とによれば、機械学習の説明変数として、スピンドル回転数、オシレータ圧力、及びスピンドルトルクを採用すると好適である。
なお、図7乃至図9の例では、制御装置51は、上述の図2に示す機能的構成に対して、地層判断部34を、掘削対象の地面の硬さ(N値)を判断(推定)する機能ブロック(図示はしないが、以下、「硬さ判断部」と呼ぶ)に変更した機能的構成を有している。
図7の例では、図2の学習部35を含む制御装置51は、掘削機1の制御盤13(図1)に内蔵される図示せぬ情報処理装置に設けられているものとされている。即ち、図7の例では、後述する図9の例とは異なり、掘削機1内の当該情報処理装置がインターネット等に接続されていない状態、即ち掘削機1単独の自立した環境の状態でも、学習(学習処理)と掘削(掘削自動制御処理)の繰り返しの実施が可能とされている。
ここでいう「事前学習」とは、後述のステップSL1及びステップSL2の掘削自動制御処理において使用(又は更新)されるSPTモデルを学習により生成する処理をいう。
このSPTモデルは、学習部35の機械学習により生成又は更新される。
即ち、入力パラメータ設定部32は、入力パラメータの初期値の設定を行う。
入力パラメータの種類は、特に限定されないが、本例では上述の図6に対応したものであり、例えば上述の図4の例のパラメータh(深度別掘削モード(層種))の代わりに、硬さ(N値)毎の深度別掘削モード又は暫定値が採用されている。
制御部31は、入力パラメータの初期値による掘削の自動制御を開始する。
ここで、学習済みデータとは、過去の熟練技術者操作により得られた掘削データ、又は後述のステップSL1で得られる掘削データをさらに加えたデータを用いて取得された出力パラメータの各値をいう。
ステップS53において、硬さ判断部は、掘削データの取得(要求)を行う。
ステップS63において、掘削機1は、より正確には掘削機1に内蔵された出力パラメータ取得部33は、ステップS62において保存した掘削データを所定の形式等に変換して、硬さ判断部に送信する。
ステップS54において、硬さ判断部は、掘削データに対して各種処理を施す。なお、このような各種処理をまとめて、以下、「掘削データ処理」と呼ぶ。
ステップS56において、入力パラメータ設定部32は、ステップS56において推定された硬さ(N値)に基づいて、掘削速度が最も早くなる条件(以下、「選定条件」と適宜呼ぶ)を選定する。
ここで、選定条件は、特に限定されないが本例では推定された硬さ(N値)に対して適したパターン(掘削モード)が採用されている。
即ち、複数の掘削モードと、複数の硬さ(N値)との対応関係(適するか否かの関係)については、事前学習等により予め求められている。掘削自動制御処理時における計算コストを低減させるためである。
そこで、入力パラメータ設定部32は、このような対応関係に基づいて、ステップS56において推定された硬さ(N値)に適したパターン(掘削モード)を、選定条件として選定する。
ステップS57において、入力パラメータ設定部32は、選定条件を掘削機1(より正確には掘削機1に内蔵される制御部31)に対して送信する。
ステップS64において、掘削機1(より正確には掘削機1に内蔵される制御部31)は、選定条件に則して掘削を行う。
制御部31の制御に基づいて、初期値で掘削を開始する。
制御部31は、ステップS64の処理として、設定された入力パラメータの各値による掘削の自動制御を実行する。
第1ループ処理SL1は、掘削の深さが所定の深さ(予定の深さ)に到達するまで繰り返し実行される。
つまり、ステップS62の処理で保存される掘削データは、その直前の第1ループ処理SL1で選定された掘削条件に則して掘削された結果(直前の第1ループ処理SL1のステップS64の処理の結果)得られる出力パラメータの各値である。
そこで、学習部35は、ステップS52において読み込んだ学習済みデータに対して、第1ループ処理SL1毎に得られる掘削データを加えて、SPTモデルを更新又は新たに生成することができる。
このSPTモデルの更新又は新たな生成は、掘削機1の掘削後にすることもできるが、掘削機1による掘削が行われている最中(第1ループ処理SL1の実行中)に、リアルタイム又は定時的に行うこともできる。
ステップS65において、掘削機1(より正確には掘削機1に内蔵される制御部31)は、所定の深さ毎に掘削を中止する。
ステップS66において、掘削機1は、深さに応じたロッドに変更する(又はロッドを増やす)処理を実行する。このような処理を、以下、「ロッドチェンジ」と呼ぶ。
なお以下、ステップS65とステップS66の処理をまとめて、以下、「第2ループ処理SL2」と呼ぶ。
第2ループ処理SL2が実行されると、第1ループ処理SL1が再度繰り返し実行される。
その後、さらに掘削の深さが所定の深さ(前回よりも深い)に到達すると、第2ループ処理SL2が再度実行される。
この場合、上述した図7の例は、現地システムがインターネット等に接続せず、掘削機1が単独で自立した環境(自立機能型の環境)に適した例である。
即ち、SPTモデルの生成又は更新や選定条件の設定等を目的とする機械学習は、現地システムがインターネット等に接続していない場合、掘削機1が単独で自立した環境(図7の環境)で繰り返し実行される。
図8は、現地システムがインターネット等に接続している環境における、図1の掘削機と制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、制御装置51は、掘削機1の遠隔の地に存在するサーバ61と、掘削機1の近辺に存在する現地システム62とが、インターネット等のネットワークに接続されることで構成されている。
サーバ61は、主に学習部35(図2)の機能を有する。現地システム62は、主に硬さ判定部や制御部31(図2)の機能を有する。
図9の例では、図8の例の環境が前提となっている。
ステップS81において、現地システム81は、学習済みデータの取得(要求)をサーバ61に対して行う。
ステップS82において、サーバ61は、学習済みデータを所定の形式等に変換して、現地システム81に送信する。
ステップS83において、現地システム81は、ステップS82において送信されてきた学習済みデータを読み込む。
図9の第1ループ処理SL3は、図7の第1ループ処理SL1と同様の処理である。
即ち、第1ループ処理SL3は、掘削の深さが所定の深さ(予定の深さ)に到達するまで繰り返し実行される。
この場合、サーバ61は、ステップS83において読み込んだ学習済みデータに対して、第1ループ処理SL3毎に得られる掘削データを加えて、SPTモデルを更新又は新たに生成することができる。
このSPTモデルの更新又は新たな生成は、掘削機1の掘削後にすることもできるが、掘削機1による掘削が行われている最中(第1ループ処理SL3の実行中)に、リアルタイム又は定時的に行うこともできる。
ここで、ステップS95及びステップS96の一連の処理を、以下、「第2ループ処理SL4」と呼ぶ。
図9の第2ループ処理SL4は、図7の第2ループ処理SL2と同様の処理である。
第2ループ処理SL4が実行されると、第1ループ処理SL3が再度繰り返し実行される。
その後、さらに掘削の深さが所定の深さ(前回よりも深い)に到達すると、第2ループ処理SL4が再度実行される。
即ち、現地システム62は、必要に応じてステップ89の処理を実行して、フィードバック(定期的なサーバ61(WEB)との同期)を実行する。
あまりに多くの種類の出力パラメータを用いて機械学習をすると過度に適合したSPTモデルが完成し、逆に精度が低くなってしまう「過学習」を招くおそれがある。そこで、このようなおそれをなくすように、適度な種類数の出力パラメータを用いると好適だからである。
さらに例えば、上述の図7乃至図9の例では、SPTモデルを例示として採用したが、当然に地層モデルを採用してもよい。
具体的に例えば、油圧ポンプ圧力については、油圧ポンプ圧力P1、油圧ポンプ圧力P2の他、油圧ポンプ圧力P3乃至油圧ポンプ圧力P6といったボーリング用の掘削機の種類に応じて油圧ポンプ圧力等のパラメータの数を増減することも可能である。
つまり、地層判断部34による地層の判断の手法は、制御部31による掘削の自動制御を実際に実行させ、その際に出力パラメータ取得部33により取得される出力パラメータのうち少なくとも1つの値を用いて地層を判断する手法であれば足りる。
本段落で述べた点は、図6の「各層に対する掘削設定の選択肢」に記載されているように、掘削対象の地面の固さ(SPT)に応じた可変制御でも同様である。
換言すると、図2の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した掘削の自動制御に必要な機能がシステム全体の中に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図2の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図2に特に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
つまり、制御部31乃至学習部35、並びに地層モデルDB41は、1つの筐体(例えば図1の制御盤13)に設けられる必要はなく、複数の筐体に独立して設けられていてもよい。さらにいえば、装置にとって筐体は必須な構成要素ではなく、制御部31乃至学習部35、並びに地層モデルDB41の少なくとも一部は、筐体なく設けられていてもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、又は各種デバイス等であってもよい。
即ち、本発明が適用される制御装置(例えば図2の制御装置51)は、
スピンドル(例えば図1のスピンドル11)を少なくとも有するボーリング用の掘削機(例えば図1の掘削機1)に対する掘削の制御を実行する制御手段(例えば図2の制御部31)と、
前記制御手段による前記掘削の制御の実行の結果、前記スピンドルを含む前記掘削機から出力される1以上の出力パラメータの各値(例えば図4のステップS13に示すパラメータm乃至pの値)を取得する出力パラメータ取得手段(例えば図2の出力パラメータ取得部33)と、
前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値に基づいて、掘削対象の地層又は硬さを予測判断する判断手段(例えば図2の地層判断部34)と、
を備え、
前記制御手段は、複数のモードのうち、前記判断手段により予測判断された前記地層又は硬さに応じたモードで、掘削の制御を実行する、
制御装置であれば足りる。
このように、本発明が適用される制御装置は、掘削対象の地層又は固さに応じた可変制御を、掘削の自動制御として実行することができる。このような制御装置を実装することで、ボーリング用の掘削機に対する掘削の自動制御を実現化させることができる。
前記判断手段は、前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値に基づいて地層又は硬さを出力するモデルを用いて、前記掘削対象の地層又は硬さを予測判断し、
前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値を含む、複数のパラメータの値を説明変数として用いて機械学習を行うことで、前記モデルを生成又は更新する学習手段、
をさらに備えることができる。
これにより、掘削対象の地層又は固さをより適切に判断することができる。その結果、ボーリング用の掘削機に対する掘削の自動制御として、より適切な制御を実行することが可能になる。
前記制御手段の制御により新たに前記掘削が行われる前に前記モデルとして、第1モデルを生成又は更新しており(例えば上述の図7のステップS51や図9のステップS101)、
前記第1モデルの生成又は更新に用いられた前記複数のパラメータの値に加えて、さらに、前記制御手段の制御により新たに行われた前記掘削の際に前記出力パラメータ取得手段により取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値を説明変数として用いて機械学習を行うことで、生成又は前記第1モデルの更新の結果として第2モデルを出力する、
ことができる。
前記制御手段は、複数のモードのうち、前記判断手段により予測判断された前記地層又は硬さにおいて最も早く掘削を可能とする条件(例えば図7のステップS57や図9のステップS58で選定された選定条件)を示すモードで、掘削の制御を実行する、
ことができる。
前記掘削機の内部又は第1距離だけ離間して配置される第1情報処理装置(例えば図8の現地システム62)と、
前記第1距離よりも遠い第2距離だけ離間して配置され、前記第1情報処理装置と所定のネットワークにより接続される第2情報処理装置(例えば図8のサーバ61)と、
を備え、
前記第2情報処理装置は、少なくとも前記学習手段を有する、
ことができる。
さらに、
前記第1情報処理装置は、定期的に前記ネットワークを介して前記第2情報処理装置にアクセスして、情報の同期を図る、
ことができる。
Claims (7)
- 掘削機から出力される1以上の出力パラメータの各値を取得する出力パラメータ取得手段と、
前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値に基づいて、掘削対象の地層又は硬さを予測判断する判断手段と、
前記地層の層種毎に予め用意される自動掘削の第1制御モードと前記地層の深度毎に予め用意される自動掘削の第2制御モードとを有し、前記判断手段により予測判断された前記地層又は硬さに応じて前記第1制御モード又は第2制御モードに切替えて前記掘削機に対する掘削の制御を実行する制御手段と、
を備える制御装置。 - 前記判断手段は、
前記掘削機から学習用として取得される前記1以上の出力パラメータの各値を説明変数として用いて機械学習して地層判断を行った結果として得られた学習モデルであって、前記掘削機から処理対象として取得される前記1以上の出力パラメータの各値を入力すると、前記地層の層種及び硬さを出力する学習モデルを用いて、前記掘削対象の地層又は硬さを予測判断する、
請求項1に記載の制御装置。 - 前記制御手段の制御により新たに前記掘削が行われる前に前記学習モデルとして、第1学習モデルを生成又は更新し、
前記第1学習モデルの生成又は更新に用いられた前記複数のパラメータの値に加えて、さらに、前記制御手段の制御により新たに行われた前記掘削の際に取得された前記1以上の出力パラメータの各値のうち少なくとも1以上の値を説明変数として用いて機械学習を行うことで、生成又は前記第1学習モデルの更新の結果として第2学習モデルを出力する学習手段、
を備える請求項2に記載の制御装置。 - 前記制御手段は、
前記第1制御モード及び前記第2制御モードのうち、前記判断手段により予測判断された前記地層又は硬さにおいて最も早く掘削を可能とする条件を示す制御モードで、掘削の制御を実行する、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の制御装置。 - 前記制御装置は、
前記掘削機の内部又は第1距離だけ離間して配置される第1情報処理装置と、
前記第1距離よりも遠い第2距離だけ離間して配置され、前記第1情報処理装置と所定のネットワークにより接続される第2情報処理装置と、
を備え、
前記第2情報処理装置は、少なくとも前記学習手段を有する、
請求項3に記載の制御装置。 - 前記第1情報処理装置は、定期的に前記ネットワークを介して前記第2情報処理装置にアクセスして、情報の同期を図る、
請求項5に記載の制御装置。 - 前記掘削機が、
オシレータを内蔵したドリルヘッドを有する、
請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の制御装置。
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