JP6792763B2 - 薬用植物を用いた植物生長促進剤および植物生長促進方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薬用植物、特にナス科の薬用植物を用いた植物生長促進剤に関する。また本発明は、そのような植物生長促進剤を用いた植物生長促進方法に関する。
植物の生長を促進させる成分としては、肥料または肥料となりうる成分に加えて、植物体を活性化し、生長を促進し、発芽発根を促進することが可能な成分について、従来より種々検討が行われている。化学合成された成分や、天然由来成分などがそのような成分としてこれまでに検討がされている。
例えば、特開平4−59711号公報(特許文献1)では、特定の漢方由来のエキスに、イソシットヘキサン酸及び/又はコリン等の誘導体を含む植物生長促進剤が提案されている。
また、杉、桧、松およびオオバコのエキスを抽出した植物活力液といったものも既に市販されている。
このように、天然成分のなかでも、植物由来の成分についての植物の生長促進効果についての検討が進められている。
ナス科(Solanaceae)の薬用植物、中でもクコ(Lycium)属植物は、葉を香味野菜として食したり、乾燥して茶にしたり、果実を生食したりされており、さらにクコ飲料なども知られ、従来より食経験の有るものである。また古くから漢方薬としても、クコは、腎臓及び肝臓障害、貧血、眩暈及び耳鳴を含む様々な症状の治療に使用されてきたものである。例えば、文献(日本食品工業学会誌、第12巻第8号、313-319頁(1965年8月)(非特許文献1))には、クコの成分には乳酸菌の発育を促す作用があることが報告されており、また文献(J. Food Hyg. Soc. Janpan, Vol.39, No.6, pp.399-405, 1998(非特許文献2))には、クコの葉に抗菌作用があるとの報告がされている。
しかしながら、クコ属植物を含むナス科の薬用植物の植物生長促進効果について、特にこれら薬用植物に着目した検討は、本発明者等の知る限り、行われていない。
特開平4−59711号公報
「クコの成分に関する研究(第3報) クコ成分の乳酸菌発育におよぼす影響について」、日本食品工業学会誌、第12巻第8号、313-319頁(1965年8月) "Antimicrobial Components in Leaves of Lycium chinense Mill", J. Food Hyg. Soc. Janpan, Vol.39, No.6, pp.399-405, 1998
本発明は、天然の植物由来成分を使用したものであって、優れた植物生長促進効果を有する新たな植物生長促進剤および植物生長促進方法を提供することをその目的とする。
本発明者等は今般、ナス科の薬用植物、中でもクコ属植物の水抽出物が、植物の生長促進、具体的には、植物の主根の生長、塊根の形成および肥大化、地上部(茎葉)の生長、植物の活着、種子の発芽発根等について、非常に優れた促進活性を有することを予想外にも見出した。その効果は、市販品や既存の促進剤に比べても明らかに優れたものであった。
本発明はこれら知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
<1> ナス科の薬用植物の部分または抽出物を少なくとも含んでなる、植物生長促進剤。
<2> ナス科の薬用植物がクコ属植物である、前記<1>の植物生長促進剤。
<3> 他の植物の部分または抽出物をさらに含んでなる、前記<1>または<2>の植物生長促進剤。
<4> 水溶液、液剤、粉剤、または錠剤の形態である、前記<1>〜<3>のいずれかの植物生長促進剤。
<5> 前記<1>〜<3>の植物生長促進剤を含んでなる、肥料。
<6> 前記<1>〜<4>の植物生長促進剤、または請求項5に記載の肥料を、目的とする植物へ施用することを含む、植物生長促進方法。
<7> 目的とする植物への施用が、散布処理、土壌処理、種子処理、又は水耕処理である、前記<6>の植物生長促進方法。
本発明によれば、優れた植物生長促進効果を有する新たな植物生長促進剤および植物生長促進方法が提供される。本発明による植物生長促進剤は、ナス科の薬用植物の部分または抽出物を使用するため、天然由来の成分を使用するものであることから、安全性が高く、対象とする植物への悪影響のほとんど無いマイルドな効果が期待できる。
本発明による植物生長促進剤は、ナス科の薬用植物、中でもクコ属植物を使用するが、これら植物は、生薬としても使用出来るものである。本発明では、生薬製造の際に日本薬局方などに基づく基準に適合しなかった原料も無駄なく使用することができるため、製造コストをより安価にすることが期待でき、また生薬には不適合で廃棄処分となる原料を使用出来ることから、環境負荷の低減にも役立つといえる。
本発明で使用されるナス科の薬用植物、中でもクコ属植物は、強健な植物であり、多年草、挿し木でも良く着き、剪定にも強いため、原料の採取が比較的容易なものである。
本発明の植物生長促進剤は、自然界にある植物と水のみを使用することから、有機JAS適合資材としても登録可能なものである。
実施例における試験1(シロバナタンポポ)の結果を示す。 実施例における試験1(クコ)の結果を示す。 実施例における試験1(クワンソウ)の結果を示す。 実施例における試験2(ショウガ)の結果を示す。 実施例における試験2(明日葉)の結果を示す。 実施例における試験3(バジル)の結果を示す。 実施例における試験3(アカミタンポポ)の結果を示す。 実施例における試験4(小松菜/水耕栽培)の結果を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。
植物生長促進剤
本発明による植物生長促進剤は、前記したように、ナス科の薬用植物の部分または抽出物を少なくとも含んでなるものである。このようなナス科の薬用植物としては、例えば、クコ属(例えば、クコ)、オオカミナスビ属(例えば、ベラドンナ)、チョウセンアサガオ属(例えば、チョウセンアサガオ)、キダチチョウセンアサガオ属(例えば、キダチチョウセンアサガオ)、トウガラシ属(例えば、唐辛子(生薬名:バンショウ))、ヒヨス属(例えば、ヒヨス)、タバコ属(例えば、タバコ)、ホオズキ属(例えば、ホオズキ(生薬名:サンショウコン、サンショウ))、ハシリドコロ属(例えば、ハシリドゴロ(生薬名:ロート葉、ロート根))、ナス科ナス属(例えば、ナス(生薬名:カシ))などの植物が挙げられる。本発明では中でも、クコ属植物が好ましい。
クコ属植物は、中国原産の低木で、ナス科(Solanaceae)に属し、秋に橙色/赤色になる長円形の小さい実をつけることが知られている。本発明では、クコ属植物のうち特に、クコ(Lycium barbarum、またはLycium chinense)を使用するのが好ましい。
また前記において、「ナス科の薬用植物の部分または抽出物を少なくとも含んでなる」とは、植物生長促進剤がナス科の薬用植物を必須の有効成分として含んでいれば、他の植物、例えば他の植物の部分または抽出物など他の成分を含んでいてもよいことを意味する。
したがって、本発明の好ましい態様によれば、本発明の植物生長促進剤は、ナス科の薬用植物の部分または抽出物に加えて、他の植物の部分または抽出物をさらに含んでなる。
ここで、他の植物とは、本発明の植物生長促進剤の有効成分であるクコ属植物の部分または抽出物による植物生長促進効果に否定的な影響を及ぼすものでなければ、特に制限はなく、クコ属植物以外のいずれの植物であっても使用可能である。したがって、他の植物としては、例えば、ナタ豆、どくだみ、ハブソウ、大麦、トウキ、ボウイ(オオツヅラフジ)、甘草、ハッカ、カミツレ(カモミール)、たんぽぽ、ビワ葉、ビワ種子、クマザサ、ウワウルシ、ウゾッコ、ウコン、オウギ、オウゴン、オウバク、オウレン、カイカ、葛根、カンゾウ、クジン、ケイガイ、五倍子、牛黄、ゴミシ、ザクロヒ、生姜、センキュウ、ダイオウ、大ソク陳皮、トウキ、トウガラシ、ニガキ、半夏、ビンロウジ、麻黄、リュウコツ、朝鮮人参、高麗人参、サルノコシカケ、舞茸、ダイダイ、夏みかん、タラ、ヒヨドリジョウゴ、キランソウ、桑、アケビ、三椏、ニンドウ、シュロ、キハダ、メグスリノキ、アカメガシワ、クマヤナギ、みこし草、エンメイソウ、レンセンソウ、アマチャヅル、オトギリソウ、昆布、紫蘇、マタタビ、サラシア、ツキミソウ、板藍根、サンザシ、イワジシャ、ユキノシタ、カノコソウなどの薬用植物に加えて、阿波晩茶、オリーブ葉、プーアル茶、大豆、黒豆、ひまわり、タマネギ、ほうれん草、レタス、チコリー、白菜、甘草、プラム、ぶどう、大豆、アーモンド、カシューナッツ、プラム、ナスビ、トウモロコシ、ペパーミント、クルミ、ベルガモット、イチョウ、ハーブ属(一般にハーブと称される植物の総称)、綿実、エノキダケ、きび、モリンガ、米、玄米、小麦、大麦、ごぼうなどであってもよい。
これら他の植物と組み合わせることで、より優れた植物生長促進効果が期待できる。例えば、ナタ豆、トウモロコシ、タンポポ、レンゲ、阿波晩茶について、より優れた効果が期待できる。
好ましくは、他の植物としては、どくだみ、大麦、ウワウルシ、ウゾッコ、ウコン、オウギ、オウゴン、オウバク、オウレン、カイカ、葛根、カンゾウ、クジン、ケイガイ、五倍子、牛黄、ゴミシ、ザクロヒ、生姜、センキュウ、ダイオウ、大ソク陳皮、トウキ、トウガラシ、ニガキ、半夏、ビンロウジ、麻黄、リュウコツ、朝鮮人参、高麗人参が挙げられる。
本発明の植物生長促進剤では、ナス科の薬用植物、中でもクコ属植物の部分または抽出物を使用する。
また使用可能な他の植物についてもその部分または抽出物を使用する。
ここで植物の「部分」とあるのは、植物の一部分のみを使用できるという意味であって、植物の全草を使用してもよい。またここで「部分」は、植物の根、茎(枝)、葉、実、種子のいずれであってもよく、部位は問わない。好ましくは「部位」は、茎、葉である。これら植物体の各種使用部位を個々にまたは組み合わせたものを用意し、生のまま又は乾燥したものを、そのまま又は粉砕して使用することができる。
またここで「抽出物」とは、水、温水、熱水またはアルコールによる抽出物であることができ、好ましくは水、温水または熱水による抽出物であり、より好ましくは、温水または熱水による抽出物であり、さらに好ましくは温水(例えば、10〜40℃)による抽出物である。また抽出物には、抽出液、該抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれかが含まれる。
抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。本発明では、通常、精製水を使用する。
抽出物を得るための方法については、その溶媒の温度や原料に対する溶媒の重量比率、又は抽出時間を適宜に設定することができる。
溶媒である水の温度としては1℃から100℃の範囲で任意に設定できるが、原料中に含まれる成分の安定性や抽出効率の観点から、10〜40℃付近が好ましい。
原料に対する溶媒の重量比率も、例えば原料:水が、4:1〜1:100の範囲内で任意に設定することができ、例えば1:1〜1:20の重量比率が好ましい。抽出時間は原料の状態や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
抽出に使用する原料としては、上記と同様に、全草を使用することができ、植物の根、茎、葉、実、種子のいずれであってもよく、部位は問わない。好ましくは「部位」は、茎または葉である。使用する植物原料については、適宜、粉砕、磨砕し、フィルターろ過や、遠心分離などを利用して成分を分けることができる。
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。なお、得られた抽出液はそのままでも生長促進剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすいことがある。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、抽出原料は特有の匂いと味を有している場合がありそれが望ましくない場合は、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能である。
精製は、具体的には、ゲルろ過によるクロマトグラフィー、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
本発明における典型的な抽出法について以下に具体例を挙げて述べる。
まず、植物の原料体を乾燥処理した後、秤量して粉砕器でよく粉砕する。粉砕した原料全量を乳鉢に移し、精製水を適量加えてよく磨砕する。必要により、全量をミキサーで処理した後、ビーカー等へ移し、40℃の恒温槽で1日静置する。自然放熱させた後、冷凍庫で1日置いた後、室温で自然解凍し、40℃の恒温槽で4時間静置する。その後、遠心分離機(例えば、3,500rpm、15分間)にかけ、上澄みをろ過した後、ろ液をフィルターろ過する。フィルターろ過(例えば10μm)したろ液を、限外ろ過し、フィルター通過液を回収し、ゲルろ過によるクロマト精製を行い、目的とする領域(例えば低分子域)を回収して、目的とする抽出物を得る。
本発明の植物生長促進剤として、クコ属植物の抽出物を使用する場合、前記抽出物が植物生長促進効果を奏するのに十分な有効量を含むものとして使用される。
本発明による植物生長促進剤の適用対象植物は特に限定されない。植物生長促進剤の植物への施用形態は、散布処理、土壌処理、種子処理及び水耕処理のいずれであってもよい。植物生長促進剤は、そのまままたは希釈して用いることができる。
散布処理及び土壌処理(土壌散布を含む)の場合、植物生長促進剤を水で適宜希釈し(例えば100〜10000倍程度(好ましくは200〜500倍))、種子処理の場合、水で適宜希釈した植物生長促進剤(例えば500〜1000倍程度)中に種子を浸漬する。また、水耕処理の場合、植物生長促進剤を水で適宜希釈して循環水栽培するか(例えば100〜1000倍程度)、あるいは静置水培養する(例えば100〜1000倍程度)。
本発明による植物生長促進剤は、水溶液、水和剤、乳剤、液剤、油剤、フロアブル、粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、エアゾール又はペースト剤等の任意の形態とすることができ、好ましくは、水溶液、液剤、粉剤、または錠剤の形態とする。
また、本発明に係る植物生長促進剤は、ナス科の薬用植物の由来成分や、他の植物由来成分に加えて、植物生長作用を有することが知られている活性成分や、公知の製剤用添加剤を含むことができる。公知の製剤用添加剤としては、賦形剤、乳化剤、湿潤剤等を挙げることができる。
本発明による植物生長促進剤は、種子の発根・発芽を促進する作用及び根の伸長を促進する作用を有する。また、本発明に係る植物生長促進剤は、茎・葉の生長を促進し、果実数を増加させる作用も有する。さらに、本発明に係る植物生長促進剤は、移植植物の根の活着を促進して、移植後の枯れを防止するためにも用いることができる。
従って本発明の別の態様によれば、本発明による植物生長促進剤を、目的とする植物へ施用することを含む、植物生長促進方法が提供される。好ましくは、目的とする植物への施用が、散布処理、土壌処理、種子処理、又は水耕処理であり、より好ましくは、土壌への散布である。
本発明のさらに別の態様によれば、本発明による植物生長促進剤は、既存の肥料成分等と組み合わせて、肥料として提供されてもよい。
このように本発明が肥料として提供される場合、該肥料は、本発明による植物生長促進剤に加えて、例えば、公知の肥料成分と組み合わせて提供することができ、また既存の肥料製品(例えば、ハイポネックス)などと組み合わせて提供されてもよい。
本発明による植物生長促進剤は、例えば、活力剤、活力液といった製品態様で提供することができ、前記したように肥料と配合して、特殊肥料や配合肥料のような製品態様で提供することもできる。さらには、本発明による植物生長促進剤は、園芸土などに定着させて、培養土といった製品態様で提供することもできる。
以下において、本発明を下記の実施例によって詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
製造例1: 植物生長促進剤
(実施例1)
以下の手順によって、後述する試験において使用する植物生長促進剤を調整した。
まず原料体として、クコの茎(枝)と葉の部分を用意した。
次いで、その原料体を乾燥処理した後、10gを秤量し、粉砕器でよく粉砕した。粉砕した原料全量を乳鉢に移し、精製水を20mL加えよく磨砕した。さらに精製水を合計30mL加えて磨砕した。
次いで、得られた全量をミキサーで1分間処理した後、ビーカー等へ全量移し、ラップフィルムを施し、40℃の恒温槽で1日静置した。その後、自然放熱させた後、冷凍庫で1日置いた。次いで、室温で自然解凍し、40℃の恒温槽で4時間静置した。
得られた抽出液を、遠心分離機(3,500rpm、15分間)にかけ、上澄みをろ過した。
フィルターろ過したものを、限外ろ過(3K MWCO)し、フィルター通過液を回収した。得られた液について、ゲルろ過でクロマト精製を行い、脱色と脱臭をした低分子(1 kDa未満)の抽出物を得た。
得られた抽出物を、本発明に従う植物生長促進剤(製造例1)とした。
(比較例)
比較例として市販品である以下のものを使用した。
・メネデール(商品名、メネデール株式会社製)
・HB101(商品名、株式会社フローラ製)
・ハイポネックス(商品名、株式会社ハイポネックスジャパン社より入手可)
試験1:露地に植えた植物による試験
試験手順
露地に、シロバナタンポポ、クコ、クワンソウ、の各品目を、それぞれ同じ数だけ植え付けたものを用意した。
製造例1で得られた植物生長促進剤について、その100倍希釈品を40mLのアンプル容器に充填し、作物の株もとに設置した。
栽培期間は、2018.05.25〜2018.09.18であった。
アンプルは、5月25日に初期設置し、7月13日に新たに設置しなおした。
市販品のHB101、メネデールを処理する場合も、同じく100倍希釈品を40mLのアンプル容器に充填し、株元に設置した。
上記栽培期間を経た後に、各品目の植物について、栽培後の各株を取り出し、その平均生重量を測定し、また主根や葉茎、塊根等の生長の様子を目視で確認した。結果は、本発明の植物生長促進剤を適用して栽培したものと、比較例またはコントロールの場合の栽培例とについて、分けて評価した。
品目毎の試験とそれら結果は下記のとおりであった。
シロバナタンポポ
シロバナタンポポの苗20株を露地へ植えつけ、ここに上記試験手順に従って本発明の植物生長促進剤を加えた。
結果は、図1に示されるとおりであった。
結果(図1)にあるように、何も施さない「通常栽培」(コントロール)に比べて、本発明のものについては、全草の収穫量(生重量g)が大幅に向上した。
クコ
クコの苗1本を露地へ植えつけ、ここに上記試験手順に従って本発明の植物生長促進剤および比較例の成分を加えた。
結果は、図2に示されるとおりであった。
図2にあるように、通常栽培(コントロール)では活着はなく、比較例であるメネデールおよびHB101を使用した場合に比べて、本発明の植物生長促進剤を使用した場合については、低木植物への明らかな生長促進効果が見られた。
クワンソウ
クワンソウの苗10株を露地へ植えつけ、ここに上記試験手順に従って本発明の植物生長促進剤および比較例の成分を加えた。
結果は、図3に示されるとおりであった。
図3にあるように、通常栽培(コントロール)、比較例であるメネデールおよびHB101を使用した場合に比べて、本発明の植物生長促進剤を使用した場合については、葉茎に対する明らかな生長促進効果が見られた。
試験2:プランターへ植え付けられた植物による試験
ショウガ
ショウガ種芋5株をプランター(培養土)へ植えつけ、ここに本発明の植物生長促進剤を1000倍希釈にて週1回散布した。
栽培期間は、2018.07.07〜2018.10.30であった。
結果は、図4に示されるとおりであった。
図4にあるように、ショウガ地下部の合計収量(生重量g)について比較すると、通常栽培(コントロール)に比べて、本発明の植物生長促進剤を使用した場合については塊根の形成と肥大に関して、明らかな促進効果が見られた。
明日葉
明日葉の苗3株をプランター(赤玉土)へ植えつけ、ここに本発明の植物生長促進剤を1000倍希釈にて週1回散布した。同様に比較例として、HB101とハイポネックスとをそれぞれ1000倍希釈にて週1回散布した。
栽培期間は、2018.07.02〜2018.11.16であった。
収穫を3回に分けて行い、地上部を根元から切り取った。
結果は、図5に示されるとおりであった。
図5にあるように、通常栽培(コントロール)、比較例であるHB101とハイポネックスを使用した場合(生重量g)に比べて、本発明の植物生長促進剤を使用した場合については、葉茎に対する明らかな生長促進効果が見られた。
試験3:種子の活着、発芽・発根に関する試験
バジル
バジル種子を露地へ10粒植えつけた。植えつけに際して、本発明の植物生長促進剤の1000倍希釈のものまたは水に、予めバジル種子を湿潤させておいたものを使用した。本発明の植物生長促進剤で種子を湿潤させたものの一部については、さらに本発明の植物生長促進剤を1000倍希釈物で追加散布する区も設けた。追加散布は1000倍希釈物を1週間に1回のペースで行った。
栽培期間は、2018.06.15〜2018.09.21であった。
各区についての活着を、活着率(%)を算出することによって確認した。
なお活着率(%)は、発芽して試験期間内に枯死せずに生育した株数を計測し、下記のようにして算出した。

・活着率(%)=(発芽して試験期間内に枯死せずに生育した株数/播種した種の数)×100
結果は、図6に示されるとおりであった。
アカミタンポポ
アカミタンポポ種子10粒をそれぞれ、紙ウエス(キムタオル(商品名)、日本製紙クレシア株式会社製))を敷いたシャーレにのせ、紙ウエスに、本発明の植物生長促進剤の1500倍希釈したもの、メネデールを100倍希釈したもの、HB101を1000倍希釈したもの、リギダスを1000倍希釈したもの、および水のみをしみこませ、それぞれについて種子を湿潤させた。なお前記の各試験区について、紙ウエスが乾燥しそうな場合は、各試験区の液を50mL追加で添加した。
これらについて、種子からの発根数を経時的に目視で観察した。
なお発芽(発根)しているか否かについては、種皮が割れ、種子内の組織が突起物状に種皮外に現れ出た状態のものを発芽(発根)したものと判断して計測した。
栽培期間は、2018.07.30〜2018.08.13であった。
結果は、図7に示されるとおりであった。
試験4:水耕栽培による試験
小松菜
顆粒ハイポネックスを元肥として3g/4Lとなるように調整し、そこに、本発明の植物生長促進剤を1000倍希釈したもの、HB101を1000倍希釈したものをそれぞれ加えた。また、何も加えず、3g/4Lの顆粒ハイポネックスのみとしたものを用意した。
これらそれぞれにおいて、小松菜の種子を発根させ、簡易水耕栽培器(エアレーション有)を用いて、得られた小松菜3株を栽培した。
なお、本発明の植物生長促進剤またはHB101を加えたものについては、2週間に一度、本発明の植物生長促進剤またはHB101を追加で4mLずつ加えた。
また前記の簡易水耕栽培器の条件は下記の通りであった:
4L容量。白色LED光5時点灯、20時消灯。エアレーション5分作動、55分停止の繰り返し。
栽培期間は、2018.12.21〜2019.01.30であった。
栽培期間終了時において、各区における葉の枚数、草丈(cm)、地上部重量(生重量g)を測定し確認した。
結果は、図8に示されるとおりであった。



Claims (6)

  1. クコの葉および/もしくは茎またはその水、温水もしくは熱水による抽出物を少なくとも含んでなる、植物生長促進剤。
  2. 他の植物の部分または抽出物をさらに含んでなる、請求項1に記載の植物生長促進剤。
  3. 水溶液、液剤、粉剤、または錠剤の形態である、請求項1または2に記載の植物生長促進剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物生長促進剤を含んでなる、肥料。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物生長促進剤、または請求項4に記載の肥料を、目的とする植物へ施用することを含む、植物生長促進方法。
  6. 目的とする植物への施用が、散布処理、土壌処理、種子処理、又は水耕処理である、請求項5に記載の植物生長促進方法。
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