詳細な説明
[097] ここで、その例が添付図面において図示され、且つ本明細書において開示される例示のための実施形態を詳細に参照する。適宜、同一又は類似の部分を参照するために図面の全体を通して同一の参照符号が使用される。
[098] 本明細書では、イオンビーム療法を提供するシステム及び方法が提供される。以下の実施形態は、陽子療法との関係で記述されている。本明細書において使用される「陽子療法」は、最も一般的には癌の治療において、病変組織を照射するために陽子線を使用する粒子療法医療手順を意味する。本説明は、この治療手順を参照するが、本明細書における革新の意図された範囲は、療法又は医療手順に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明は、陽子線が任意の目的のために生成される任意の時点において適用することができる。加えて、本開示は、陽子線の生成に限定されず、且つ他の形態のイオンビーム生成にも適用される。
[099] 本開示に従って陽子線を生成するシステムは、1つ又は複数の電磁放射のソースを含み得る。本開示において使用される「電磁放射」は、任意の波長、周波数、エネルギー、パワー、偏光及び/又は空間若しくは時間プロファイルを有する任意の形態の電磁放射を意味し得る。いくつかの実施形態では、電磁放射は、ビームの形態で伝播することができる。例えば、電磁放射ビームは、所望の場所を照射するのに適した任意の形態の電磁放射であり得る。いくつかの実施形態では、陽子療法システムを提供するシステムは、電磁放射ビームを軌跡に沿って提供するように構成され得る。電磁放射ビームは、例えば、(更に詳細に後述するように)イオン生成ターゲット上の複数のパターン化された特徴を照射するか、又は(同様に更に詳細に後述するように)イオン生成ターゲット上の1つ又は複数のナイフエッジを照射するように構成され得る。
[0100] 電磁放射ビームは、定義されたエネルギー、波長、パワー、エネルギー、偏光(又はこれは、偏光されていなくてもよい)、空間プロファイル及び/又は時間プロファイルを含み得る。これらの特性のいずれかは、固定され得るか又は変化し得る。一例として、電磁放射ソースは、イオン生成ターゲットのプロパティに対して適合された特性を有するレーザービームを提供するように構成され得る。電磁放射ビームは、結果的に、パルス化された陽子線をもたらすためにパルス化され得るか、又は結果的に連続陽子線をもたらすために連続的なものであり得る。
[0101] 本開示による陽子線を生成するシステムは、イオン生成ターゲットを含むことができる。本開示において使用されるイオン生成ターゲットは、電磁放射に応答してイオンを生成するように構成された任意の材料、装置又は要素の組合せを意味し得る。後述するように、イオン生成ターゲットは、陽子線を生成するように構成され得るが、陽子線は、一例に過ぎない。いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲットに複数のパターン化された特徴を提供することができる。例えば、複数のパターン化された特徴は、イオン生成ターゲットの表面から延在する突出部を含み得る。いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲットは、1つ又は複数のナイフエッジでパターン化することができる。例えば、イオン生成ターゲットのナイフエッジは、尾根又はブレードのエッジに類似した1つ又は複数の狭いエッジを含み得る。
[0102] 本開示に従って陽子線を生成するシステムは、1つ又は複数のオプティクスコンポーネントを含むことができる。本開示において使用される1つ又は複数のオプティクスコンポーネントは、例えば、電磁照射ビームの成形、導波、フィルタリング、分割、遅延、変調、吸収、増幅、合焦、チョッピング及び/又は反射を含む任意の方式によって電磁放射ビームを操作及び/又は制御するための任意の1つ又は複数のコンポーネントを意味し得る。一例として、オプティクスコンポーネントは、例えば、電磁放射ソースとイオン生成ターゲットの表面との間において電磁放射ビームの軌跡に沿って位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、オプティクスコンポーネントは、例えば、結果として、結果的に得られる陽子線を生成するために、電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導くように構成され得る。更に、電磁放射ソースは、電磁放射ビームの形成を促進するための1つ又は複数のオプティクスコンポーネントを含むことができる。
[0103] 本開示に合致して、オプティクスコンポーネントは、1つ又は複数の適応型ミラーを含むことができる。本開示において使用される適応型ミラーは、適合され得る反射性表面を含む要素を意味し得る。例えば、適応型ミラーは、複数の面を含む変形可能ミラーであり得、複数の面のそれぞれは、デジタル論理回路によって独立して制御可能である。別の例として、適応型ミラーは、反射防止被覆された基材上に合焦されたレーザーパルスを含むプラズマミラーであり得、レーザーパルス及び反射防止被覆された基材の一方又は両方は、デジタル論理回路によって制御可能である。いくつかの実施形態では、適応型ミラーは、電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導くように構成され得るか、又はいくつかの例では、電磁放射ビームがイオン生成ターゲットを照射し、それにより陽子線の形成を促進することを生じさせるために電磁放射ビームと協働するように構成され得る。本開示による適応型ミラーは、電磁放射ビームの空間プロファイルを調節又は制御し、及び/又は電磁ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な位置及び向きの少なくとも1つを調節又は制御するように構成され得る。いくつかの例では、適応型ミラーは、電磁放射ビームの1つ又は複数のプロパティを調節することにより、電磁放射ビームを導くように構成され得る。例えば、調節は、電磁放射ビームの焦点を調節すること、電磁放射ビームを方向転換すること及び電磁放射ビームをスキャンすることの少なくとも1つによって実現することができる。
[0104] 本開示に合致して、陽子線を生成するシステムは、例えば、イオン生成ターゲットにわたって電磁放射ビームをラスタ走査するように構成され得る。本開示において使用されるラスタ走査は、任意の形状を有する表面又は容積上における連続的なスキャンのパターンを意味し得る。ラスタ走査は、例えば、電磁放射ビームが表面又は容積を連続的にスキャンすることを生じさせるように構成された1つ又は複数のモーターにより実現することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射ビームは、イオン生成ターゲットの個々のパターン化された特徴又はイオン生成ターゲットのナイフエッジにわたってラスタ走査することができる。いくつかの実施形態では、適応型ミラーは、イオン生成ターゲットの個々の特徴に当たるように電磁放射ビームを導くように構成され得る。
[0105] 本開示による陽子線を生成するシステムは、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネントを含むことができる。本開示において使用される1つ又は複数の陽子線調節コンポーネントは、例えば、陽子線の加速、分析、導波、成形、フィルタリング、分割、遅延、変調、吸収、増幅、合焦、チョッピング及び/又は反射を含む任意の方式によって陽子線を操作及び/又は制御するための任意の1つ又は複数のコンポーネントを意味し得る。例えば、陽子線調節コンポーネントは、1つ又は複数の四重極レンズ、円筒形ミラーレンズ/アナライザ(「CMA」)、球面ミラーレンズ/アナライザ(「SMA」)、コリメータ、エネルギーデグレーダ、飛行時間制御ユニット、磁気ダイポール又は帯電イオンの操作に適した任意の他のコンポーネントを含み得る。
[0106] 本開示に従って陽子線を生成するシステムは、陽子で治療容積を治療するためのシステムとの関連において使用することができる。医療的な治療の場合、容積は、細胞のグループ又は組織のエリアであり得る。医療分野以外において利用される場合、容積は、放射の適用を通して利益が実現され得る任意のエリア又は領域であり得る。
[0107] 本開示によれば、ガントリを提供することができる。ガントリは、ターゲットに向かう放射の導波を支援するように構成された任意の装置を意味し得る。照射対象のターゲットは、例えば、患者の身体内の腫瘍などの治療容積であり得る。本開示に合致する、陽子で治療容積を治療するシステムは、開示される陽子線を生成するシステムの一適用に過ぎないことから、これは、一例に過ぎないことを理解されたい。また、ガントリも、陽子線又は他の放射ビームを照射対象の任意のターゲットに向かって導くために使用することができる。
[0108] 本開示によれば、患者支持プラットフォームを提供することができる。患者支持プラットフォームは、照射療法時に患者を支持するように構成された任意の表面、土台又は他の構造を意味し得る。患者支持プラットフォームは、固定され得るか又は任意の次元において調節可能であり得る。
[0109] 本開示によるシステムの任意のものは、システム内に含まれている任意のコンポーネントの使用を監視、制御及び/又は促進するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。開示される実施形態に合致して、プロセッサは、例えば、用途固有の集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能な論理装置(PLD)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロプロセッサ又は他の類似の電子装置及び/又はこれらの組合せを含む任意の1つ又は複数の処理装置を意味し得る。プロセッサは、制御システムの1つ又は複数のモジュールを含むことができる。
[0110] 本開示に合致するいくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームが、イオン生成ターゲットの複数のパターン化された特徴を構成する個々のパターン化された特徴に当たり、且つそれにより結果的に得られる陽子線を生成することを生じさせるように構成され得る。本開示に合致するいくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームがイオン生成ターゲットの1つ又は複数のナイフエッジに当たり、且つそれにより結果的に得られる陽子線を生成することを生じさせるように構成され得る。
[0111] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソース及び/又はオプティクスコンポーネントの少なくとも1つを制御することができる。例えば、プロセッサ又はプロセッサのグループは、電磁放射ビームのエネルギー、電磁放射ビームのフラックス、電磁放射ビームの偏光、電磁放射ビームの空間プロファイル、電磁放射ビームの時間プロファイル又は電磁放射ビームの他の側面の少なくとも1つを制御することができる。更に詳細には、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームのスポットサイズを変更することにより、電磁放射ソースが電磁放射ビームの空間プロファイルを変更するようにするための命令を生成することができる。別の例として、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームのチャープを変更することにより、電磁放射ビームの時間プロファイルを変更することができる。更なる一例として、少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数のレーザーポンプソースのタイミングを変更することにより、電磁放射ビームの時間プロファイルを変更することができる。
[0112] 本開示に合致する実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、適応型ミラーが電磁放射ビームをイオン生成ターゲットの表面上の既定の場所に導くことを生じさせるように構成され得る。例えば、1つ又は複数のプロセッサは、電磁放射ビームがイオン生成ターゲットをラスタ走査することを生じさせるように構成され得る。このようなラスタ走査は、複数のパターン化された特徴を構成する連続的なパターン化された特徴にわたる電磁放射ビームの連続的なスキャンを含み得る。個々のパターン化された特徴に当たることは、例えば、イオン生成ターゲットの表面の連続的又は不連続的なスキャンを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、適応型ミラーが、パターン化された特徴に個々に当たるように電磁放射ビームを調節することを生じさせるように構成され得るか、又はプロセッサは、個々のパターン化された特徴に同時に当たるように構成され得る。
[0113] 本開示によれば、少なくとも1つのプロセッサは、システムの複数の態様を独立して又は同時に制御するように構成され得る。例えば、少なくとも1つのプロセッサは、陽子線のエネルギーを実質的に一定に保持しつつ、陽子線のフラックスを調節するように構成され得るか、又は陽子線のフラックスを実質的に一定に保持しつつ、陽子線のエネルギーを調節するように構成され得る。代わりに、少なくとも1つのプロセッサは、陽子線のフラックス及び陽子線のエネルギーを同時に調節するように構成され得る。
[0114] 図3は、陽子線を生成するための例示のためのシステムを含む、陽子療法を提供する例示のためのシステム300を描いている。また、システム300は、治療容積を陽子で治療するシステムの一例でもある。開示される実施形態によれば、システム300は、電磁放射ソース302、イオン生成ターゲット304、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308、ガントリ310、患者支持プラットフォーム312及び上述の任意の1つ又は複数と通信するように構成された制御システム314の1つ又は複数を含み得る。
[0115] 患者は、患者支持プラットフォーム312上において位置決めすることができる。患者支持プラットフォーム312は、システム300の他のコンポーネントと共に使用されるのに適し、且つ治療時に患者の支持に有用である任意の形状又は形態であり得る。患者支持プラットフォーム312は、ガントリ310に対して定位置に固定され得るか、又は患者支持プラットフォーム312は、治療前の又はその間の平行移動及び/又は回転のために構成され得る。いくつかの実施形態では、患者支持プラットフォーム312は、異なるサイズの患者を受け入れるか、又は陽子線の経路内において治療容積を位置決めするように調節することができる。更に、いくつかの実施形態では、患者支持プラットフォーム312は、陽子線に対して治療容積を再位置決めするために治療時に調節することができる。
[0116] ガントリ310は、患者の身体内の腫瘍などの治療容積に向かって陽子線を導くように構成され得る。ガントリ310は、陽子線の経路に影響を及ぼすために1つ又は複数の方法によって操作されるように構成され得、且ついくつかの材料から構成され得、且つ多数のコンポーネントを内蔵し得る。本開示の実施形態に合致するガントリ310の例について更に詳細に後述するが、これらは、限定を意図したものではない
電磁放射ソース302は、イオン生成ターゲット304に向かって導かれる例えばレーザービームなどの電磁放射ビーム316を放出することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射ソース302は、1つ又は複数のガスレーザー(例えば、CO2レーザー)、ダイオード励起型固体(DPSS)レーザー(例えば、イッテルビウムレーザー、ネオジミウムドープ型のイットリウムアルミニウムガーネットレーザー(Nd:YAG)若しくはチタニウム−サファイアレーザー(Ti:サファイア))及び/又はフラッシュランプ励起型の固体レーザー(例えば、Nd:YAG又はネオジミウムガラス)を含み得る。更に広い意味において、ターゲットからのイオンの放出をもたらす能力を有する任意の放射ソースを利用することができる。
電磁放射ソース302は、その強度、即ちパルスの持続時間及びイオン生成ターゲット304上のレーザーのスポットサイズによって除算されたエネルギーに基づいて選択することができる。同一の強度を依然として提供しつつ、空間プロファイル(例えば、スポットサイズ)、波長、持続時間及びエネルギーの様々な組合せを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、電磁放射ビーム316は、1J〜25000Jのエネルギー範囲及び400nm〜10000nmの波長範囲であり得る。電磁放射ビーム316は、例えば、10fs〜100nsのパルス幅の範囲によりパルス化することができる。電磁放射ビーム316は、様々なスポットサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、1μm2〜1cm2のスポットサイズを使用することができる。電磁放射ビーム316の空間プロファイルは、任意のビームプロファイルを有し得るが、いくつかの実施形態では、空間プロファイルは、ガウス、スーパーガウス、トップハット、ベッセル又は環状のビームファイルを含み得る。
[0117] いくつかの実施形態では、電磁放射ソース302は、1つ又は複数のプレパルス後にメインパルスを生成するように構成され得る。コントラスト比(即ちメインパルスと、メインパルス前に到達する「ペデスタル」と呼称されるプレパルスとの間の比率)は、陽子生成に影響を及ぼし得る。コントラスト比は、レーザーの強度が大きいほど、より具体的に定義することができる。一例として、100psよりも短い時間スケールにおいて、コントラスト比率は、10−8〜10−12の範囲をとり得る。
[0118] 更に具体的な一例として、電磁放射ソース302は、Ti:サファイアレーザーであり得る。Ti:サファイアレーザーの例では、電磁放射ビーム316は、約1J〜25Jのエネルギー範囲であり得、且つ約800nmの波長を有し得る。この例では、電磁放射ビーム316は、約10fs〜400fsのパルス幅範囲、約2μm2〜1mm2のスポットサイズ並びにガウス又はトップハットの空間プロファイルを有し得る。これらのプロパティは、例示を目的としたものに過ぎず、且つ他の構成が利用され得る。
[0119] 電磁放射ビーム316は、例えば、電磁放射ソース302とイオン生成ターゲット304との間において軌跡に沿って配設された1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306により、イオン生成ターゲット304に導くことができる。1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、スペクトルプロパティ、空間プロパティ、時間プロパティ、エネルギー、偏光、コントラスト比又は他のプロパティを含む、電磁放射ビーム316のプロパティを変更するように構成された1つ又は複数の光学的及び/又は機械的コンポーネントを含み得る。1つ又は複数のコンポーネント306は、例えば、電磁放射ビーム316の生成、最適化、操向、アライメント、変更及び計測又はシステム300の他の態様に関与し得る。1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、レンズ、ミラー、レーザー結晶及び他のレーザー発振材料、圧電起動型のミラー、プレート、プリズム、ビームスプリッタ、フィルタ、光パイプ、ウィンドウ、ブランク、光ファイバ、周波数シフタ、光増幅器、格子、パルス整形器、XPW、マズラー(又はダズラー)フィルタ、偏光器、ポッケルスセル、光学変調器、アパーチャ、飽和可能なアブゾーバ及び他の光学要素などの様々な光学要素を含み得る。
[0120] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、固定され得るか又は適応型であり得る。例えば、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、変形可能ミラー、プラズマミラー、ポッケルスセル、位相シフタ、光学変調器、アイリス、シャッタ(手動型及びコンピュータ制御型)及び他の類似のコンポーネントなどの1つ又は複数の能動型の、適応型の又は再構成可能なコンポーネントを含み得る。適応型のプロパティは、変形可能ミラー又はプラズマミラーの場合のように、光学コンポーネント自体を操作し得る。また、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306の向きは、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306を平行移動させるか、又は回転軸を中心として1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306を回転させるなどにより調節可能であり得る。調節は、手動的なものであり得るか又は自動化され得る。一例として、制御システム314は、フィードバック信号を受け取ることができ、且つこれに応答して、制御信号を電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との間において配置された1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306に接続されたモーターに提供することができる。その結果、モーターの移動により、(例えば、レーザー−ターゲット相互作用の場所を再位置決めすることにより)電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との間の相対的な向きを変更するために1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306を調節することができる。
[0121] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306内において利用され得る変形可能ミラーの例は、例えば、セグメント型のミラー、連続的なフェースプレートミラー、磁気ミラー、MEMSミラー、メンブレインミラー、バイモルフミラー及び/又は磁性流体ミラーを含む。また、電磁放射ビームの波面を変更する能力を有する任意の数の他のミラー技術を使用することもできる。
[0122] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306内において利用され得るプラズマミラーの例は、パルスのより低い強度のバックグラウンドから高強度のピークを反射及び分離するようにイオン化する、反射防止被覆された基材上に合焦されたレーザーパルスを含む。一例として、プラズマミラーは、レーザーパルスを、反射防止被覆された基材の前面に配置されたパラボラミラーに向かって導くことにより、確立することができる。また、プラズマミラーを実装する他の方法も当業者に既知であり、且つ本明細書において記述されているシステム及び方法の実施形態と共に使用するのに適している。
[0123] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、意図されているビームと関係するパラメータに対して適合させることができる。例えば、オプティクスコンポーネント306は、意図されているビームの波長、強度、時間的なパルス形状(例えば、パルス幅)、空間サイズ及びエネルギー分布、偏光及び他のプロパティの観点において適合させることができる。このようなビームパラメータは、オプティクス基材材料、サイズ(例えば、横方向のサイズ又は厚さ)、被覆材料(存在する場合)、形状(例えば、平坦、球面又はその他)、ビームとの関係における向き又は他の仕様に関係し得る。
[0124] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、例えば、平行移動及び回転のみならず、他の自由度などの適切な程度の精度における要素の位置決めを許容しつつ、要素を定位置に保持するように構成された1つ又は複数の対応するホルダを含み得る。一実施形態では、このようなホルダは、光学テーブル又は任意の他の機械的ホルダによって定位置に保持された光機械マウントを含み得る。このような自由度は、手動により又は電気モーターなどの任意の適切な自動手段を介して操作することができる。
[0125] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、真空及び/又は1つ又は複数のガスによって浄化された環境などの特定の環境条件に配設することができる。更に、オプティクスコンポーネント306は、電磁放射ソース302とイオン生成ターゲット304との間の電磁放射ソース302の経路に沿った様々な場所において、又は光学コンポーネントが望まれるシステム300の任意の他のシステム内において配設することができる。1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、レーザービームの操向、レーザービームの診断、レーザー−ターゲット相互作用の診断及び/又はイオン生成ターゲットの観察及び位置決めなどの様々な使用法のために構成され得る。
[0126] いくつかの実施形態では、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306の寿命は、変化し得る。1つ又は複数のいくつかのオプティクスコンポーネント306は、多数回にわたって再使用される長期間のための機器であり得る。代わりに又は加えて、1つ又は複数のいくつかのオプティクスコンポーネント306は、消費可能なものであり得、より少ない回数使用された後に交換される。このような分類は、レーザーの強度及びデブリ/汚染の存在などのいくつかの要因に基づき得る。いくつかの実施形態では、頻繁な交換のニーズを低減するために、高価な又はデリケートなオプティクスの近傍にデブリ遮蔽体を設置することができる。損傷が疑われるオプティクスについて、定期的な検査を実行することができる。リスク状態にあるオプティクスを検査するために専用の光学システムを設置することができる。
[0127] 1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、手動で、自動的に又はこれらの任意の組合せにより操作することができる。オプティクスコンポーネント306を操作するための入力タイプは、高電圧信号、トリガ信号、光学ポンピング又は任意の他の形態の入力を含み得る。更に、オプティクスコンポーネント306は、CCDカメラなどの1つ又は複数のカメラによって監視することもできる。例えば、制御システム314によって提供される1つ又は複数の信号に応答して1つ又は複数の適応型ミラーの自動的な操作が実行され得る。制御システム314は、例えば、1つ又は複数のモーター、1つ又は複数の圧電要素、1つ又は複数のマイクロ電気機械(MEMS)要素及び/又は変形可能ミラーと関連するこれらに類似したものを制御することができる。代わりに又は加えて、制御システム314は、例えば、1つ又は複数のレーザーパルス、1つ又は複数の反射防止被覆された基材及び/又はプラズマミラーと関連するこれらに類似したものを制御することができる。
[0128] いくつかの実施形態では、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、複数の面を有する変形可能ミラーなどの適応型の変形可能ミラーを含み得、複数の面のそれぞれは、独立して制御可能である。面は、制御システム314内に含まれているデジタル制御論理回路などのデジタル制御論理回路によって制御することができる。別の例として、適応型ミラーは、反射防止被覆された基材をイオン化させ、それによりレーザーパルスのより低い強度のバックグラウンドから高強度のピークを反射及び分離するために、合焦されたレーザーパルスを使用するプラズマミラーであり得る。レーザーパルス及び/又は反射防止被覆された基材は、制御システム314内に含まれているデジタル制御論理回路などのデジタル制御論理回路によって制御することができる。
[0129] 適応型ミラーは、電磁放射ビームの焦点を調節すること、電磁放射ビームを方向転換すること及び電磁放射ビームをスキャンすることの1つ又は複数により、電磁放射ビーム316を導くように構成され得る。適応型ミラーは、当業者に明らかな任意の方法によって電磁放射ビームの焦点を調節するように構成され得る。例えば、電磁放射ビーム316は、変形可能ミラーの複数の面に当たり得るか、又は電磁放射ビーム316は、プラズマミラーに当たり得る。いくつかの構成では、電磁放射ビーム316が導かれる場所の調節又は電磁放射ビーム316のプロパティの調節が望ましい場合がある。変形可能ミラーの複数の面は、所望の場所におけるそのスポットサイズが、変形可能なミラーに当たる直前のそのスポットサイズよりも小さくなるか、大きくなるか又は異なる方式で成形されるように電磁放射ビーム316を反射するように制御することができる。同様に、プラズマミラーも、所望の場所におけるそのスポットサイズが、プラズマミラーに当たる直前のそのスポットサイズよりも小さくなるか、大きくなるか又は異なる方式で成形されるように電磁放射ビーム316を反射するように制御することができる。
[0130] また、適応型ミラーは、電磁放射ビーム316を方向転換するように構成され得る。例えば、システム300は、電磁放射ビーム316が、連続的に又は同時に、イオン生成ターゲット304上の複数の場所又はシステム300内の異なる場所において配設された複数のイオン生成ターゲット304に当たるように構成され得る。このような構成では、適応型ミラー又は1つ又は複数の他のオプティクスコンポーネント306は、ビームを複数の場所及び/又は複数のイオン生成ターゲット上に導くために電磁放射ビーム316の経路を変更することができる。例えば、適応型ミラー又は1つ又は複数の他のオプティクスコンポーネント306は、段階的な方式によるものなどのように、連続的又は不連続的に所定のパターンにおいて電磁放射ビーム316を1つの場所から隣接する場所に連続的に方向転換(例えば、スキャン)することができる。自動化されたプロセスでは、制御システム314は、適応型ミラーが電磁放射ビーム316をイオン生成ターゲット304の表面上の既定の場所に導くことを生じさせるように構成され得る。例えば、イオン生成ターゲット304の表面において提供されたイオン生成特徴のパターン化されたアレイ上において電磁放射ビーム316をスキャンすることが有利である場合がある。また、イオン生成ターゲット304の表面から離れて実質的に延在する突出部など、実質的に共通軸に沿って方向付けられた複数のイオン生成構造を含むイオン生成ターゲット304上において電磁放射ビーム316をスキャンすることが有利である場合もある。また、尾根又はブレードのエッジに類似した狭いエッジを有する1つ又は複数の特徴を含むイオン生成ターゲットなど、1つ又は複数のナイフエッジでパターン化されたイオン生成ターゲット304上において電磁放射ビーム316をスキャンすることが有利である場合もある。適応型ミラーは、一例として記述されている。当業者は、1つ又は複数の他のオプティクスコンポーネント306が、適応型ミラーを参照して上述したものと同一又は類似の機能を実行し得ることを認識するであろう。
[0131] 本開示によれば、イオン生成ターゲットは、イオンの生成を促進するように構成され得る。例えば、イオン生成ターゲットは、1つ又は複数のイオン生成構造又は特徴を有する表面を含み得る。このような構造又は特徴は、氷(雪とも呼称される)、プラスチック、シリコン、ステンレス鋼又は様々な金属の任意のもの、炭素及び/又はイオンビームがそれから生成され得る任意の他の材料を含む1つ又は複数の適切な材料から構成され得る。このような構造は、ランダムに配列され得、成長又は堆積プロセスによって定義されるように配列され得、及び/又はパターン化されたアレイとして配列され得る。代わりに又は加えて、このような構造は、尾根又はブレードエッジに類似した1つ又は複数の狭いエッジを含むこともできる。構造は、電磁放射ビームの1つ又は複数の属性に基づいて構成され得る。例えば、このような構造は、レーザーなどの電磁放射ビームの波長よりも小さい寸法を有し得る。
[0132] イオン生成ターゲット304は、電磁放射ビーム316が当たると、電子、陽子、X線及び他の粒子を含む様々な粒子を放出し得る。イオン生成ターゲット304は、様々な材料から構成され得る。イオン生成ターゲット304は、電磁放射ビーム316と相互作用するように構成された1つ又は複数の個々の特徴を含むように構成され得る。代わりに又は加えて、イオン生成ターゲット304は、電磁放射ビーム316との相互作用に好ましい材料から形成された連続的な表面又はテクスチャを含むこともできる。当業者は、電磁放射ビームとの相互作用時に粒子を放出するために利用され得る多数の構成が存在し、開示される実施形態が例示に過ぎないことを理解するであろう。
[0133] いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲット304は、事前に製造することができる。他の実施形態では、イオン生成ターゲット304は、システム300又は付着しているサンプル調製システム内で原位置において生成することができる。例えば、イオン生成ターゲット304は、後述する相互作用チャンバ1000などの相互作用チャンバ内において配設することができる。これには、基材上におけるこのような材料の形成を含む、イオン生成ターゲットを適切な材料から形成することが伴い得る。このような材料は、蒸発、物理蒸着、化学蒸着、分子ビームエピタキシー、原子層堆積及びこれらに類似したものなどの技法において一般的に既知であるタイプの任意のガス、固体又は液体化学ソースを含み得る。例えば、イオン生成ターゲット304が氷を含む実施形態では、イオン生成ターゲットを形成するために使用される材料は、水蒸気(H2O)、水素ガス(H2)及び/又は酸素ガス(O2)を含み得る。更に、イオン生成ターゲット304がシリコンを含む実施形態では、イオン生成ターゲット304を形成するために使用される材料は、例えば、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリクロロシラン(SiHCl3)又は任意の他のシリコンソースを含み得る。更に、イオン生成ターゲット304がプラスチックを含む実施形態では、ソースは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーソース材料又は任意の他のPTFEソースを含み得る。当業者が認識するように、これらは、多くの利用可能なターゲット材料及びターゲットソース材料のいくつかの例示のための例に過ぎない。加えて、相互作用チャンバも、利用されるターゲットの形態に適するように構造において変化し得る。例えば、ターゲットが氷である場合、相互作用チャンバは、具体的には、氷を支持するための適切な温度を維持するように構成され得る。それぞれのターゲット材料は、異なる持続要件を有し得、且つ従って、相互作用チャンバの構造は、ターゲットに適するように変化し得る。
[0134] 図4は、イオン生成ターゲット304として利用され得る例示のためのイオン生成ターゲットを描いている。例えば、図4Aは、中空の砂時計形状のコーン406上において配置されたキャップ構造404を含むイオン生成ターゲット402を示す。一実施形態では、コーンの少なくとも2つの反対側の地点間の距離は、約15pm未満であり得る。特定の例では、この距離は、約1pm未満であり得る。いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲット402の特徴は、自立型であり得る。このような特徴は、例えば、コーン、ピラミッド、半球及びキャップを有する構造を含む任意の数の形状を含み得る。図4に示されている例示のためのイオン生成ターゲット402(及びイオン生成ターゲット304の他の実施形態)の構造は、フォトリソグラフィ技法などのリソグラフィ技法を使用することにより形成することができる。具体的な例では、イオン生成ターゲットコーン406は、シリコンウエハ408上において製造され得、次いで1つ又は複数の金属410によって被覆され得る。いくつかの実施形態では、陽子は、裏面の開口部412から放出することができる。図4Bは、本発明と共に使用されるイオン生成ターゲット304として適した別の例示のためのイオン生成ターゲットを描いている。図4Bは、その表面上において1つ又は複数のマイクロコーンターゲット420を有するイオン生成ターゲットの一部分を描いている。それぞれのマイクロコーンターゲット420は、高エネルギーで低発散の粒子ビームを生成するのに適し得る。一実施形態では、マイクロコーンターゲット420は、外側表面424、内側表面426、ほぼフラットな且つ丸いオープンエンド型のベース428及び頂点を定義する先端430を有する実質的にコーン形状のボディ422を含み得る。コーン形状のボディ422は、ほぼフラットな且つ丸いオープンエンド型のベース428から、頂点を定義する先端430まで、その長さに沿ってテーパー化され得る。外側表面424及び内側表面426は、ベース428を先端430に接続することができる。
[0135] 図4C、図4D及び図4Eは、本発明の実施形態と共に使用するのに適した他の例示のためのイオン生成ターゲット304を描いている。具体的には、図4C、図4D及び図4Eは、氷の結晶から形成され得る雪ターゲットの表面を描いている。氷は、イオン生成ターゲットとして使用するのに有利であり得、なぜなら、水は、水素が豊富であるからである。更に、図4Cに示されているように、イオン生成ターゲット上の構造は、針様の形状を示し得る。このような形状は、電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との相互作用によって生成される電界を改善し得る。イオン生成ターゲット304上の個々の針様の構造は、電磁放射ビーム316の波長とほぼ同一であり得る。一例として、構造は、約1μm〜10μmであり得る。
[0136] イオン生成ターゲット304の表面上の個々のパターン化された特徴は、連続的にスキャンされ得るようにイオン生成ターゲット304上において物理的に構成され得る。例えば、このような構造は、ほぼ平坦な表面上においてアレイとして構成され得る。個々の構造は、図4Cに示されているように、表面全体にわたって均等にパターンを形成するように分散させることができる。代わりに、構造は、図4D及び図4Eに示されているように、構造間に空間を有する反復パターンとして構成することもできる。
[0137] 図3を再度参照すると、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、イオン生成ターゲット304によって生成された陽子から陽子線318を形成し、且つ陽子線をガントリ310及び患者内の治療容積に導くように構成された1つ又は複数のコンポーネントを含み得る。陽子線調節コンポーネント308は、陽子などの帯電粒子を操作する能力を有する任意の機器を含み得る。例えば、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、電磁コンポーネントを含むことができる。更に詳細には、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、四重極レンズ、円筒形ミラーレンズ/アナライザ(「CMA」)、球面ミラーレンズ/アナライザ(「SMA」)、コリメータ、エネルギーデグレーダ、飛行時間制御ユニット、磁気ダイポール又は帯電イオンを操作するのに適した任意の他のコンポーネントなどの1つ又は複数の電磁構成要素を含み得る。また、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、陽子線318の1つ又は複数のプロパティを調節することもできる。例えば、ビーム調節コンポーネント308は、フラックス又はスポットサイズなどのプロパティを操作することができる。また、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、特定のエネルギーを有する粒子をフィルタリングし得るか、又は様々な粒子のエネルギーを低減し得る。
[0138] 1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308は、相互作用チャンバの内側、陽子線ラインに沿ったところ、ガントリ310の内部又はこれらの任意の組合せを含む、システム300内の様々な場所において配設することができる。例えば、陽子線調節コンポーネントは、イオン生成ターゲット304とガントリ310との間において延在するビームラインに沿って配設することができる。ビームラインは、温度、圧力(例えば、真空)又は陽子線318を伝播及び/又は操作するために有用である1つ又は複数の他の状態などの様々な状態を維持するように構成され得る。ビームラインは、限定を伴うことなしに、ビームダンプ、ビーム減衰器及び保護遮蔽体などの要素を含む、帯電粒子ビームを収容するための他のコンポーネントを更に含み得る。
[0139] 制御システム314は、システム300の様々な態様を監視及び/又は制御することができる。例えば、制御システム314は、電磁放射ソース302、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306、イオン生成ターゲット304、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308、ガントリ310及び/又は患者支持プラットフォーム312と関連する様々な検出器を監視することができる。また、制御システム314は、技術者又は他の操作者などのシステム300のユーザーから入力を受け付けることもできる。また、制御システム314は、例えば、システム300の任意の機能の開始及び維持を含む、システム300に関係する動作を受け付け、保存し、且つ実行し得る。また、制御システム314は、1つ又は複数の検出器とシステム300の様々なコンポーネントの1つ又は複数との間においてフィードバックを実装するように構成することもできる。例えば、このようなフィードバックは、システム300又はその動作の精度、効率、速度及び/又は他の態様を改善し得る。このようなフィードバックの例について更に詳細に後述する。
[0140] 図5は、制御システム314と関連し得、且つ開示される実施形態に合致し得る構成を示す例示のための演算システム500の図である。当業者であれば理解するように、制御システム314と関連する機能のいくつか又はすべては、演算システム500と関連するソフトウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組合せによって実行又は促進することができる。一実施形態では、演算システム500は、1つ又は複数のプロセッサ520、1つ又は複数のメモリ540及び1つ又は複数の入出力(I/O)装置530を有し得る。いくつかの実施形態では、演算システム500は、サーバー、汎用コンピュータ、カスタマイズされた専用コンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップ、モバイル装置又はこれらのコンポーネントの任意の組合せの形態を有することができる。特定の実施形態では、演算システム500(又は演算システム500を含むシステム)は、開示される実施形態に合致する1つ又は複数の動作を実行し得るソフトウェア命令の保存、実行及び/又は実装に基づいて特定の装置、システム又はこれらに類似したものとして構成され得る。演算システム500は、スタンドアロン型であり得るか、又はこれは、更に大きいシステムの一部分であり得るサブシステムの一部分であり得る。
[0141] プロセッサ520は、用途固有の集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能な論理装置(PLD)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、他の電子ユニット並びにこれらの組合せなどの1つ又は複数の既知の処理装置を含み得る。例えば、プロセッサ520は、Intel(商標)によって製造されるPentium(商標)又はXeon(商標)ファミリー、AMD(商標)によって製造されるTurion(商標)ファミリー又はSun Microsystemsによって製造される様々なプロセッサの任意のものからのプロセッサを含み得る。プロセッサ520は、単一のコアを構成し得るか、又は並列プロセスを同時に実行する複数のコアプロセッサを構成し得る。例えば、プロセッサ520は、仮想処理技術によって構成されたシングルコアプロセッサであり得る。特定の実施形態では、プロセッサ520は、複数のプロセスを同時に実行及び制御するために論理的プロセッサを使用することができる。プロセッサ520は、複数のソフトウェアプロセス、アプリケーション、プログラムなどの実行、制御、稼働、操作、保存などを行う能力を提供するために仮想機械技術又は他の既知の技術を実装することができる。プロセッサ520は、演算システム500が複数のプロセスを同時に実行することを許容するために、並列処理機能を提供するように構成された複数コアプロセッサ構成(例えば、デュアル又はクアッドコアなど)を含み得る。当業者は、本明細書において開示される能力を提供する他のタイプのプロセッサ構成が実装され得ることを理解するであろう。開示される実施形態は、プロセッサのいずれかのタイプに限定されない。
[0142] メモリ540は、開示される実施形態に関係する機能を実行するためにプロセッサ520によって使用される命令を保存するように構成された1つ又は複数のストレージ装置を含み得る。例えば、メモリ540は、プロセッサ520によって実行された際に1つ又は複数の動作を実行し得る、1つ又は複数のプログラム550などの1つ又は複数のソフトウェア命令によって構成され得る。開示される実施形態は、専用のタスクを実行するように構成された別個のプログラム又はコンピュータに限定されない。例えば、メモリ540は、演算システム500の機能を実行するプログラム550を含み得るか、又はプログラム550は、複数のプログラムを含むこともできるであろう。加えて、プロセッサ520は、演算システム500から離れたところに配置された1つ又は複数のプログラムを実行することもできる。例えば、コントローラ314は、演算システム500(又はその変形)を介して、実行された際に特定の開示される実施形態に関係する機能を実行する1つ又は複数のリモートプログラムにアクセスすることができる。プロセッサ520は、データベース570内に配置されている1つ又は複数のプログラムを更に実行することができる。いくつかの実施形態では、プログラム550は、演算システム500の外部に配置されているサーバーなどの外部ストレージ装置内において保存され得、且つプロセッサ520は、プログラム550をリモート実行することができる。
[0143] また、メモリ540は、システムが、開示される実施形態に合致する動作を実行するために使用され得る任意のフォーマットにおいて、任意のタイプの情報を反映し得るデータを保存することができる。メモリ540は、プロセッサ520が、サーバーアプリケーション、ネットワーク通信プロセス及び任意の他のタイプのアプリケーション又はソフトウェアなどの1つ又は複数のアプリケーションを実行することを可能にする命令を保存し得る。代わりに、命令やアプリケーションプログラムなどは、ローカルエリアネットワーク又はインターネットを含む、適切なネットワークを介して演算システム500との通信状態にある外部ストレージ(図示されていない)内において保存することもできる。メモリ540は、揮発性又は不揮発性、磁気、半導体、テープ、光、着脱自在、非着脱自在又は他のタイプのストレージ装置又は有体の(即ち非一時的)コンピュータ可読媒体であり得る。
[0144] メモリ540は、データ560を含むことができる。データ560は、システム300を介してイオン(例えば、陽子)療法の治療を制御する際にコントローラ314によって使用される任意の形態のデータを含み得る。例えば、データ560は、システム300の様々なコンポーネントの動作に関係するデータ、オペレーティングシステム300の様々なコンポーネントと関連するフィードバックパラメータ、システム300と関連する1つ又は複数の検出器から収集されたデータ、特定の患者又は特定の疾病のための治療計画、システム300の様々なコンポーネントのための較正データなどを含み得る。
[0145] I/O装置530は、データの演算システム500による受信及び/又は送信を許容するように構成された1つ又は複数の装置を含み得る。I/O装置530は、図3に示されているシステム300の他のコンポーネントなどの演算システム500が他の機械及び装置と通信することを許容する1つ又は複数のデジタル及び/又はアナログ通信装置を含み得る。例えば、演算システム500は、インターフェイスコンポーネントを含み得、インターフェイスコンポーネントは、1つ又は複数のキーボード、マウス装置、ディスプレイ、タッチスクリーン、カードリーダー、生体計測リーダー、カメラ、スキャナ、マイクロフォン、無線通信装置及びこれらに類似したものなどの1つ又は複数の入力装置に対するインターフェイスを提供し得、この結果、演算システム500は、コントローラ314の操作者から入力を受け取ることができる。更に、I/O装置は、制御システム314が有線又は無線通信チャネルなどを通してシステム300の様々な装置の1つ又は複数と通信することを許容するように構成された1つ又は複数の装置を含み得る。
[0146] また、演算システム500は、1つ又は複数のデータベース570を含むこともできる。代わりに、演算システム500は、通信自在に1つ又は複数のデータベース570に通信自在に接続することもできる。演算システム500は、有線又は無線ネットワークなどのネットワークを介して1つ又は複数のデータベース570に通信自在に接続することができる。データベース570は、情報を保存し、且つ演算システム500を通してアクセス及び/又は管理される1つ又は複数のメモリ装置を含み得る。
[0147] 図6は、例示のための電磁放射ソース302の概略図である。図6に示されているように、電磁放射ソース302は、1つ又は複数の発振器602、ポンプソース604、オプティクスコンポーネント606、診断コンポーネント608、ストレッチャ610、増幅器612、コンプレッサ614及びコントローラ616を含むことができる。図6の構成は、一例に過ぎず、且つ開示された実施形態に合致して、電磁放射ソース302、システム300のコンポーネント又は他のコンポーネントの1つ又は複数を内蔵する多数の他の構成を実装することができる。
[0148] 発振器602は、電磁放射ビーム316の要件に到達するように操作(例えば、成形及び/又は増幅)される初期レーザーパルス618を生成するための1つ又は複数のレーザーを含み得る。商用のレーザーシステムを含む様々なレーザー又はレーザーシステムを発振器602として使用することができる。
[0149] ポンプソース604は、エネルギーをレーザーパルス618に転送するように構成された独立したレーザー又は1つ若しくは複数のレーザーシステムを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプソース604は、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306を内蔵する光学ビームラインにより、発振器602の出力に接続することができる。加えて又は代わりに、ポンプソース604は、フラッシュランプ、ダイオードレーザー及びダイオード励起型固体(DPSS)レーザー又はこれらに類似したものなどの他のポンプメカニズムを含むこともできる。いくつかの実施形態では、ポンプソース604は、電磁放射ビーム316の時間プロファイルを変更するように構成され得る。例えば、制御システム314は、ポンプソース604のタイミングを制御し、それにより電磁放射ビームのプレパルス及びペデスタルのタイミングを制御するように構成され得る。
[0150] オプティクスコンポーネント606は、オプティクスコンポーネント306との関係において記述されたコンポーネントの任意のものを含むことができ、且つオプティクスコンポーネント306との関係において記述された役割及び/又は機能の任意のものを実行することができる。
[0151] 診断608は、例えば、その時間及び空間プロパティ、スペクトルプロパティ、タイミング及び/又は他のプロパティなどのレーザーパルス618を監視するように設計された光学的、光機械的又は電子的コンポーネントを含み得る。更に詳細には、診断608は、1つ又は複数のフォトダイオード、オシロスコープ、カメラ、スペクトルメータ、位相センサ、自己相関器、相互相関器、パワーメータ又はエネルギーメータ、レーザー位置及び/又は方向センサ(例えば、ポインティングセンサ)、ダズラー(又はマズラー)などを含み得る。また、診断608は、オプティクスコンポーネント606との関係において上記で識別されているコンポーネントの任意のものを含み得るか又は内蔵し得る。
[0152] ストレッチャ610は、レーザーパルス618をチャーピング又はストレッチングするように構成され得る。更に詳細には、ストレッチャ610は、1つ又は複数の回折格子を含み得るか、又はプリズム、チャーピングされたミラー及びこれらに類似したものなどの他の分散コンポーネントを含み得る。
[0153] 増幅器612は、例えば、チタニウムサファイア結晶、CO2ガス又はNd:YAG結晶などの増幅媒体を含むことができる。また、増幅器612は、増幅媒体のためのホルダを含むこともできる。ホルダは、位置決め、温度及び他のものなど、支持環境の状態と適合するように構成され得る。増幅器612は、エネルギーをポンプソース604から受け取り、且つこのエネルギーをレーザーパルス618に転送するように構成され得る。
[0154] コンプレッサ614は、レーザーパルス618を例えば最終的な持続時間まで時間的に圧縮するように構成された光学コンポーネントを含み得る。コンプレッサ614は、ホルダ上において位置決めされ、且つ真空チャンバ内において位置決めされた回折格子から構築することができる。代わりに、コンプレッサ614は、例えば、分散ファイバ又はプリズムから構築することもできる。加えて、コンプレッサ614は、ミラー又は他のオプティクスコンポーネント306並びにモーター及び他の電子的に制御された光メカニクスを含むこともできる。
[0155] コントローラ616は、電磁放射ソース302の様々なコンポーネントを制御及び/又は同期化する1つ又は複数の電子システムを含み得る。コントローラ616は、コントローラ、電源、コンピュータ、プロセッサ、パルス生成器、高電圧電源及び他のコンポーネントの任意の組合せを含み得る。一例として、コントローラ616は、1つ又は複数の演算システム500を含み得、これらの演算システムは、電磁放射ソース302に専用のものであり得るか、又はシステム300の他のコンポーネントとの間において共有され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ616の機能の一部分又はすべては、システム300のコントローラ314によって実行することができる。
[0156] コントローラ616は、様々な通信チャネルを介して、電磁放射ソース302の様々なコンポーネント及びシステム300の他のコンポーネントとインターフェイスすることができる。通信チャネルは、放射ソース302又はシステム300と関連する様々な光学的及び光機械的コンポーネントを制御するために電気又は他の信号を送信するように構成され得る。通信チャネルは、高電圧、電気トリガ、様々な有線又は無線通信プロトコル、光通信及び他のコンポーネントと適合した導体を含み得る。コントローラ616は、電磁放射ソース302に沿った光学的及び機械的診断器から、且つシステム300の他の部分に沿った診断器608から入力を受け取ることができる。更に、コントローラ616は、例えば、ユーザーによって入力された患者治療計画に基づく信号などのユーザーからの入力から又はそれに基づいて信号を受け取ることもできる。
[0157] 図7は、本開示の実施形態に合致するガントリ700の一例を描いている。いくつかの実施形態では、ガントリ310(図3)は、ガントリ700の形態において構成され得るが、これは、限定を意図したものではなく、且つ他のガントリ設計を利用することもできる。ガントリ700は、陽子線318をアイソセンタ712に供給することができる。いくつかの実施形態では、アイソセンタ712は、治療容積の場所又は治療容積内の場所を表し得る。また、ガントリ700は、治療前又はその間に陽子線318を適切に導くためにビームの調節及び再構成のために構成することもできる。ガントリ700は、ソレノイド704、カプリング706、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント708、1つ又は複数のコリメータ718及び1つ又は複数のスキャニング磁石710を含み得る。高さ714及び幅716は、ガントリ700の多数の可能な構成に基づいて幅広に変化し得る。いくつかの実施形態では、高さ714及び幅716のいずれか又は両方は、2.5メートルほどに小さいものであり得る。
[0158] いくつかの実施形態では、ガントリ700は、壁702又は他の障壁により、システム300の他のコンポーネントから分離することができる。壁702は、陽子線318及び陽子線318を供給するように構成された任意のビームライン又は他の機器の通過を許容するために1つ又は複数の開口部(図示されていない)を含み得る。壁702の場所は、いくつかの要因に応じて変化し得、且ついくつかの実施形態では、壁702は、存在していなくてもよい。
[0159] ソレノイド704は、イオン生成ターゲット304によって放出された陽子をキャプチャするように構成され得る。いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲット304によって放出された陽子は、大きい発散を示し得る。一例として、イオン生成ターゲット304から放出された陽子のビームサイズは、1cmなどの短い距離において100の倍率で膨張し得る。ソレノイド704は、陽子線318の収束を低減するように構成され得る。
[0160] ソレノイド704は、例えば、9〜15Tにおける超電導ソレノイドなどの高磁界ソレノイドを含み得る。磁界強度は、ソレノイドの長さ及び結果的に得られるビームサイズに関係し得る。ソレノイドの磁界強度が大きいほど、結果的にソレノイド704において必要とされるビームサイズ及びアパーチャが小さくなり得る。ソレノイド704は、磁界強度及び他の要因に基づいて長さが変化し得る。いくつかの実施形態では、ソレノイド704は、アパーチャが4cm〜20cmである状態において、長さが0.55m〜0.85mであり得る。いくつかの実施形態では、ソレノイド704は、1つ又は複数のコリメータとの関連において使用することができる。更に、いくつかの実施形態では、ソレノイド704に加えて又はその代わりに、1つ又は複数の四重極を利用することができる。
[0161] カプリング706は、軸716などの回転軸を中心とした回転などのガントリ700の物理的移動を促進するように構成された任意の機械的且つ光学的な接続であり得る。ガントリは、制御システム314によって制御され得るモーター及び/又はアクチュエータの任意の適切な構成によって物理的に移動するように構成され得る。カプリング706は、1つ又は複数のベアリング又はブッシングを含み得、且つ陽子線318を搬送するビームラインに接続され得、及び/又はこの内部に統合され得る。従って、カプリング706は、ビームライン内の真空状態又は他の環境状態の損失を防止するために封止体又は他の障壁を維持するように構成され得る。更に、カプリング706は、例えば、ガントリ位置の関数としてのチューニング依存性を低減するために、回転の観点において不変であるオプティクスを含むことができる。
[0162] ガントリ700は、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント708を更に含み得る。ビーム調節コンポーネント708は、ガントリを通して陽子線318を導波するように構成された上述のビーム調節コンポーネント308のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、ビーム調節コンポーネント708は、ガントリ700を通して陽子線318を方向転換するように構成された、ダイポール及び/又は四重極などの電磁石を含み得る。ビーム調節コンポーネント708は、常伝導ダイポール、超強磁性超電導ダイポール、ストリップラインダイポールなどを含み得る。
[0163] いくつかの実施形態では、ビーム調節コンポーネント708は、矩形(又は矩形若しくは別の所望の形状を形成するための角度の任意の他の組合せ)を形成するために、(例えば、それぞれ約45°だけ陽子線318を折り曲げる)ダイポールペアを含み得る。ダイポールペアは、約4.8Tにおいて動作することができ、且つ長さが約0.6mであり得る。ダイポールペア間の直線のセクションを独立して調節し、それによりチューニング範囲、柔軟性並びに従って電磁オプティクス内のカスタマイズを提供することができる。90°の曲がりを2つに分割することにより、それぞれのダイポールが、例えば、単一電源上におけるシャントを介して独立して調節されるときに基準軌跡制御が改善され、それにより少なくとも10%の変動(2つを考慮した場合には20%の合計相対変化)を提供することができる。従って、ダイポールペアは、ガントリ700のそれぞれのアーム上における独立した軌跡補正を促進し、それによりトレランス及び費用を減少させることができる。
[0164] また、ガントリ700は、1つ又は複数のコリメータ718を含み得る。コリメータ718は、所望の方向において移動する及び/又は所望の移動量を有する陽子のみが通過することを許容されるように、陽子線318をフィルタリングするように構成され得る。コリメータ718は、ガントリ700内の様々な場所において配設することができる。例えば、ビーム調節コンポーネント708が下流のビームに対して望ましくない効果を生成する無色プロパティを有する場合、コリメータ718は、このような効果を相殺するように構成され得る。
[0165] ガントリ700は、1つ又は複数のスキャニング磁石710を更に含み得る。スキャニング磁石710は、空間内のアイソセンタ712の場所を調節するように構成されたビーム調節コンポーネント308又は708などのビーム調節コンポーネントを含むことができる。スキャニング磁石710は、例えば、治療容積に提供される治療の場所を調節するように制御システム314によって制御することができる。スキャニング磁石710は、ガントリ700内のいくつかの場所の任意ものにおいて配設することができる。例えば、スキャニング磁石710は、図7に示されているように、ビーム調節コンポーネント708の1つ又は複数の上流に位置し得、すべてのビーム調節コンポーネントの下流に位置し得るか、又はこのような上流及び下流の場所の組合せとして位置し得る。
[0166] システム300は、スキャニング磁石が、患者内の治療の場所を制御するために他のコンポーネントとの協働状態において動作するように構成され得る。例えば、制御システム314は、スキャニング磁石710の任意の組合せ、ガントリ700の移動及び患者支持プラットフォーム312の移動を制御することができる。1つ又は複数のコンポーネントは、特定の次元及び/又は自由度の制御のために構成され得る。例えば、患者支持プラットフォームは、この第1の次元に直交する別の次元においてスキャニング磁石710が調節している間、1つの次元において患者位置を調節するように構成され得る。
[0167] 代わりに又は加えて、システム300は、所与の次元における、微細調節ではなく、粗い調節が異なるコンポーネントによって実行され得るように構成することもできる。例えば、特定の次元における粗い調節は、微細調節がスキャニング磁石710によって実行され得る状態において、特許支持プラットフォーム312を操作するように構成されたモーターにより実行することができる。このような調節の多数の組合せが当業者に明らかになるであろう。
[0168] 図8は、ガントリ800の更なる例を描いている。ガントリ800は、ソレノイド704、カプリング706、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント708、1つ又は複数のコリメータ718及び1つ又は複数のスキャニング磁石710などのガントリ700と同一のコンポーネントのいくつか又はすべてを含むことができ、且つ更なる四重極要素802を更に含むことができる。四重極要素802は、磁気ビームラインの一部分であり、且つ治療容積への陽子線の供給を支援する磁気要素である。四重極要素802は、通常、多くの場合に陽子線を折り曲げるための折り曲げ磁石として使用され得る、いくつかのより大きいダイポールとは対照的に、帯電粒子のビームを合焦又は合焦解除するために使用される。四重極要素802は、(例えば、希土類元素及び/又は他の磁性材料から製造された)永久磁石、常伝導電磁石、超電導電磁石、パルス化磁石又は適切な固定された若しくはチューニング可能な磁界を提供する能力を有する他の装置であり得る。
[0169] 図9は、陽子線形成のためのプロセス900の例示のためのフローチャートである。ステップ902において、電磁放射ソース(例えば、ソース302)は、電磁放射ビーム(例えば、ビーム316)を放出し得る。ステップ904において、電磁放射ビームは、イオン生成ターゲット(例えば、ターゲット304)に当たり得る。ステップ906では、イオン生成ターゲットとの電磁放射ビームの相互作用により、陽子を含む粒子を生成することができる。ステップ908において、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント(例えば、コンポーネント308)は、粒子から陽子線(例えば、ビーム318)を形成することができ、且つ陽子線を患者内の治療容積に導くことができる。プロセス900のステップは、制御システム314などにより自動的に実行することができる。また、プロセス900のステップは、制御システムなどを通してユーザー入力に応答して実行され得るか、又は様々なコンポーネントの自動及び手動動作の組合せにより実行され得る。いくつかの実施形態では、プロセス900は、治療計画における仕様に基づいて実行され得、この仕様は、特定の患者、治療タイプ及び/又は治療容積に基づいて様々な程度でカスタマイズすることができる。
[0170] ステップ902において放出される電磁放射ビームは、例えば、図6との関係において記述されているコンポーネントの様々な組合せなど、放射ビーム生成の能力を有する任意のコンポーネントを介して生成することができる。
[0171] ステップ904において、電磁放射ビームは、イオン生成ターゲットに当たり得る。例えば、イオン生成ターゲット304は、イオン生成ターゲットを外部環境から隔離する相互作用チャンバ内において配設することができる。イオン生成ターゲット304に当たると、電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との相互作用は、陽子線318において使用され得る陽子を含む様々な粒子を生成し得る。いくつかの実施形態では、陽子は、約10〜100μmのスポットサイズに合焦された電磁照射ビーム316が当たったイオン生成ターゲット304上の場所から、約250MeVの陽子エネルギーを有する状態で放出され得る。イオン生成ターゲット304から放出された陽子の2次元発散角度は、約0.2ラジアン(即ち約11度)であり得る。加えて、陽子エネルギー角度分布∂Ω/∂E及び陽子数エネルギー分布∂N/∂Eは、エネルギー角度分布及び陽子数エネルギー分布が合理的に一定となるように非常に小さいものであり得る。一例として、電磁放射ビームのパルスは、108個の陽子の放出を結果的にもたらすことができ、且つパルスは、10〜1000Hzのレートにおいて反復させることができる。従って、パルス化された電磁放射ビーム316は、それによりパルス化された陽子線318を生成し得る。また、陽子のパルスは、陽子「群」と呼称することができる。
[0172] 本開示によれば、イオン生成ターゲットは、相互作用チャンバによって支持され得、及び/又はその内部において収容され得る。本開示において使用される相互作用チャンバは、ターゲットを周辺条件から隔離し、且つイオン生成のための適切な環境を提供するように構成された任意の構造を意味し得る。
[0173] 本開示によれば、相互作用チャンバは、例えば、ターゲットステージを含むことができる。本開示において使用されるターゲットステージは、イオン生成ターゲットを支持するように構成された任意の構造を意味し得る。いくつかの実施形態では、ターゲットステージは、ターゲットステージと電磁放射ビームとの間の相対的な移動を生じさせるように構成されたプロセッサによって制御することができる。
[0174] 本開示によれば、相互作用チャンバは、1つ又は複数の検出器を含み得る。本明細書において使用される検出器は、サンプルチャンバ状態、電磁放射ソース又はビーム、陽子線及び/又はレーザー−ターゲット相互作用の1つ又は複数のプロパティを検出する装置を意味し得る。検出器は、例えば、相互作用チャンバ内及び/又はその近傍の任意の状態を観察することができる。いくつかの実施形態では、陽子線を生成するシステムは、相互作用チャンバとは別個の他の検出器を含み得る。一例として、検出器は、少なくとも1つのレーザー−ターゲット相互作用プロパティを計測するように構成され得る。
[0175] 本開示において使用されるレーザー−ターゲット相互作用は、イオン生成ターゲットとの電磁放射ビームの相互作用に関係する観察可能なプロパティを意味し得る。レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、例えば、陽子線プロパティ、二次電子放出プロパティ、X線放出プロパティ、陽子線エネルギー、陽子線フラックス及び/又は電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相互作用を示す他のプロパティを含み得る。
[0176] 図10は、相互作用チャンバ1000の一例を描いている。相互作用チャンバ1000は、任意のサイズ及び形状を有することができ、且つレーザー−ターゲット相互作用時にターゲットを収容する能力を有する任意の1つ又は複数の材料から構築することができる。ステンレス鋼は、相互作用チャンバ1000を構築するために使用され得る材料の一例である。
[0177] 相互作用チャンバ1000は、イオン生成ターゲット304及び/又は1つ又は複数のオプティクスコンポーネント、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント、検出器又はこれらに類似したものなどの相互作用チャンバ1000内の他の機器を支持するように構成された1つ又は複数のステージ1002を含み得る。1つ又は複数のステージ1002は、固定され得るか又は調節可能であり得る。調節可能なステージは、1つ又は複数の軸に沿った平行移動及び/又は回転のために構成され得る。1つ又は複数のステージ1002の調節は、手動であり得るか又は自動化され得る。自動化された調節は、例えば、制御システム314によって提供される1つ又は複数の信号に応答して実行することができる。1つ又は複数のステージ1002は、任意選択により、イオン生成ターゲット304を加熱するか、冷却するか又はその温度を維持するように構成され得る。温度制御は、例えば、イオン生成ターゲット304の温度を監視し、且つ計測された温度に応答してイオン生成ターゲット304の温度を上昇させるか、降下させるか又は維持することにより実現することができる。温度監視は、例えば、1つ又は複数の熱電対、1つ又は複数の赤外線温度センサ及び/又は温度を計測するために使用される任意の他の技法により実現することができる。温度調節は、例えば、加熱要素を通して流れる電流の量を調節することにより実施することができる。加熱要素は、例えば、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンニオビウム及び/又はこれらの合金などの高融点金属であり得る。また、温度調節は、例えば、直接又は間接的にイオン生成ターゲット304との熱連通状態において配置されたコンジットを通して、水又は低温流体などの冷媒(液体酸素、液体ヘリウム、液体窒素など)を流すことにより実施することもできる。当業者であれば理解するように、温度を調節するこれらの例示のための方式は、互換性を有し且つ組み合わされ得る。当然のことながら、これらの温度調節方法は、限定を目的としたものではなく、イオン生成ターゲット304を加熱し、冷却し、且つその温度を維持するための任意の他の既知の方法を本明細書における開示と共に使用することができる。
[0178] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数の関連する真空ポンプ1004を含み得る。例えば、サンプル調製及び陽子線形成のいずれか又は両方は、大気圧以下の雰囲気圧力要件を有するか、又は大気圧以下の圧力の特定の範囲内において最適な性能を実現する場合がある。相互作用チャンバ1000内の圧力状態及び/又は相互作用チャンバ1000と関連するコンポーネントに対して影響を及ぼすために1つ又は複数の真空ポンプ1004を使用することができる。例えば、1つ又は複数の真空ポンプ1004は、真空状態又は真空に近い状態を相互作用チャンバ1000内において維持することができる。1つ又は複数の真空ポンプ1004の例は、1つ又は複数のターボ分子ポンプ、低温ポンプ、イオンポンプ又はダイアフラム若しくはルーツポンプなどの機械的ポンプを含み得る。1つ又は複数の真空ポンプ1004は、1つ又は複数の圧力調節器(図示されていない)との関連において動作することができる。
[0179] 相互作用チャンバ1000は、オプティクスコンポーネント1006を含み得る。電磁放射ビーム316を更に導くために、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306との関係において上述したコンポーネントの任意のものを相互作用チャンバの内側において使用することができる。例えば、図10に示されているように、相互作用チャンバは、電磁放射ビーム316をイオン生成ターゲット304に向かって導くように構成されたミラー1006aを含み得る。一実施形態では、相互作用チャンバ1000は、電磁放射ビーム316をイオン生成ターゲット304上に合焦するように構成されたパラボラミラー1006bを含み得る。
[0180] 相互作用チャンバ800は、任意の数の陽子線調節コンポーネント308を含み得る。例えば、図8に示されているように、相互作用チャンバ1000は、コリメータ1010を含み得る。当業者は、代わりに又は加えて、1つ又は複数の他の陽子線調節コンポーネント308が相互作用チャンバ800内において含まれ得ることを理解するであろう。様々な実施形態では、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント308の任意のものを相互作用チャンバ1000に内蔵することができる。
[0181] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308との関連において上述したように、ビームライン1012を含むことができ、且つこれとインターフェイスすることができる。ビームライン1012は、陽子線318の伝播を促進するために、大気圧以下の圧力において維持されたコンジットを含み得る。ビームライン812は、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308との関係において以上において参照された要素の任意のものなどの陽子線調節コンポーネントを含み得る。また、ビームライン812は、大気圧以下の状態を実現及び/又は維持するために、1つ又は複数の真空ポンプ1004との関係において記述したポンプの任意のものなどの真空ポンプを含み得る。
[0182] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数の弁1014を含み得る。1つ又は複数の任意の適切な弁が使用され得、且つ例えば相互作用チャンバ1000の様々な部分間において又は相互作用チャンバ1000とシステム300の他のコンポーネント又はその周辺環境との間に配置され得る。1つ又は複数の弁1014は、例えば、1つ又は複数の真空ポンプ1004又はビームライン1012を隔離するように構成され得る。1つ又は複数の弁1014は、手動的なもの又は自動的なものであり得る。自動的な弁は、例えば、ガス圧的なもの/又は電子的なものであり得る。1つ又は複数の弁1014は、2位置ゲート弁などの単純な開閉弁であり得るか、1つ又は複数の弁1014は、部分的に開放するように構成され得る。1つ又は複数の真空ポンプ1004と関連する1つ又は複数の弁1014は、例えば、開放状態と閉鎖状態との間において連続的に変化し得る1つ又は複数のバタフライ弁を含み得る。1つ又は複数の弁1014は、圧力を維持し、材料を保持又は放出し、及び/又はイオン生成ターゲットの一部分の維持又は置換のために相互作用チャンバ800に対するアクセスを許容するように構成され得る。
[0183] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数のシャッタ1016を含み得る。1つ又は複数のシャッタ1016は、例えば、チャンバ1000内への電磁放射ビーム1016を阻止又は許容するように構成され得る。1つ又は複数のシャッタ1016は、例えば、単純な開放/閉鎖シャッタであり得る。また、1つ又は複数のシャッタ1016は、適宜、電磁放射ビーム316をチョッピングするように構成され得る。1つ又は複数のシャッタ1016の動作は、手動的なものであり得るか又は自動化され得る。自動化された動作は、例えば、制御システム314によって提供される1つ又は複数の信号に応答して発生し得る。
[0184] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数のウィンドウ1018を含み得る。ウィンドウ1018は、相互作用チャンバ1000と関連する圧力、温度及び他の環境要因に適した任意の材料から構成され得る。
[0185] 上述のように、相互作用チャンバ1000は、イオン生成ターゲットを原位置において形成するように構成され得る。また、システム300は、相互作用チャンバ1000に接続され、且つターゲットの調製及び/又はコンディショニングのために構成された別個の又は実質的に別個の調製チャンバ(図6又は図10には示されていない)を含み得る。調製チャンバは、蒸発、物理蒸着、化学蒸着、分子ビームエピタキシー、原子層堆積及びこれらに類似したものを実行するシステム内において見出され得る機器など、イオン生成ターゲットを調製するための様々な機器及び装置を含み得る。また、調製チャンバは、イオン生成ターゲット304又はイオン生成ターゲット304を形成するためのテンプレートとして機能することになるターゲット基材を保持する1つ又は複数のステージを含み得る。また、調製チャンバは、調製に続いて、イオン生成ターゲットを相互作用チャンバ内の場所に転送するメカニズムも含み得る。別個の又は実質的に別個の調製チャンバの使用の代わりに又はそれに加えて、相互作用チャンバ1000は、サンプルの調製又はコンディショニングが相互作用チャンバ1000内において発生し得るような装備を同様に有することもできる(図6又は図10には示されていない)。
[0186] また、調製チャンバは、(ステージ1002との関係において記述されている)温度制御要素、真空システムに当業者に周知の転送アーム又は任意の他の転送装置などの1つ又は複数のサンプル転送メカニズムも含み得る。また、システム300は、サンプル調製チャンバと相互作用チャンバ1000との間においてロードロックを含むこともできる。
[0187] 相互作用チャンバ1000は、加熱及び/又は冷却要素(図10には示されていない)を更に含み得る。サンプル調製及び粒子ビーム形成のいずれか又は両方は、温度要件を有するか、又は特定の範囲の温度において最適な性能を実現する場合がある。相互作用チャンバは、このような温度状態を実現及び維持するように構成された加熱要素及び/又は冷却要素を含み得る。加熱及び冷却要素は、1つ又は複数のステージ1002との関係において記述されているが、但し、相互作用チャンバ1000の他の部分の又は相互作用チャンバ1000の全体の温度状態を制御するように構成された温度制御機器及び/又は方法の任意のものを含み得る。
[0188] 相互作用チャンバ1000は、1つ又は複数の検出器1020を含み得る。検出器1020は、相互作用チャンバ1000と関連する状態を計測するように構成され得る。いくつかの実施形態では、計測値は、1つずつ取得され得る。即ち、検出器1020は、電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との間の個々の相互作用と関連するプロパティを計測するように構成され得る。また、検出器1020は、例えば、処理の後の結果の提供などのように、より連続的な方式で同一又は異なるプロパティを計測することもできる。
[0189] 検出器1020の配置は、計測の空間制約及び最適な場所を含むいくつかの要因に基づいて変化し得る。図10に示されているように、検出器1020は、(検出器1020aなどのように)相互作用チャンバ1000の外側壁に沿って、(検出器1020b及び1020cなどのように)イオン生成ターゲット304の近傍において又は(1020dなどのように)陽子線318に沿って配置することができる。
[0190] いくつかの検出器1020の場合、イオン生成ターゲット304及び従って電磁放射ビーム316とイオン生成ターゲット304との間の相互作用(レーザー−ターゲット相互作用)の近傍における検出には、利点が存在し得る。一実施形態では、システム300は、時間と共に安定することになり、その後、このような近接性は、不要となり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出器1020は、相互作用チャンバ1000の外側において取り付けることができる。例えば、図10は、ウィンドウ1018の近傍の相互作用チャンバ1000の外側における検出器1020eを描いている。検出器1020は、本質的に計測が意図されているプロパティに対して曝露されるか、又は相互作用チャンバ1000内の状態が計測を促進するように変更され得るように配設することができる。例えば、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント1006は、ウィンドウ1018を通して、相互作用エリアから、検出器1020eなどの検出器に信号を一時的に又は間欠的に偏向させるように構成された操向ミラーを含み得る。上述の検出器配置は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ多数の他のものが当業者に明らかとなり得る。
[0191] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出器1020は、電磁放射ビーム316又は陽子線318の1つ又は複数のレーザー−ターゲット相互作用プロパティを計測するように構成され得る。いくつかの実施形態では、検出器1020は、四重極アナライザ、球面ミラーアナライザ(「SMA」)、円筒形ミラーアナライザ(「CMA」)、二次電子検出器、光電子増倍管、シンチレータ、固体検出器、飛行時間検出器、レーザーオンターゲット光学診断検出器、X線検出器、カメラ、ファラデーカップ又は他の検出器を含み得る。検出器1020は、吸収又は反射などのプロパティ、二次電子放出プロパティ、電子温度及び/又は密度などのプラズマプロパティ及び/又はX線放出プロパティを検出し得る。電子及び/又はX線の放出などの二次放出は、レーザー−ターゲット相互作用プロパティ及び/又は陽子線318のプロパティを示し得る。例えば、電子及び/又はX線のエネルギースペクトル及び/又はフラックスは、陽子線プロパティを示し得る。この結果、これらの信号は、例えば、更に詳細に後述するように、電磁放射ソース302、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308及びイオン生成ターゲット304の位置/向きの1つ又は複数を調節することにより、レーザー−ターゲット相互作用を変更するためのフィードバックループにおいて入力として使用することができる。
[0192] 検出器1020は、陽子線の方向、空間スプレッド、強度、フラックス、エネルギー、陽子エネルギー及び/又はエネルギースプレッドを検出するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、トンプソンパラボラを利用することができる。このような実施形態では、陽子線318は、磁界及び電界が陽子を検出スクリーン上の場所に偏向させるエリア内に導くことができる。陽子がスクリーンと接触した場所は、陽子エネルギーを示し得る。このようなスクリーンの場合、CR−39プレート、画像プレート及び/又は(CCDカメラなどの撮像装置に結合された)シンチレータなど、任意の陽子に感度を有する装置を使用することができる。別の例として、空間陽子線分布は、CR−39及び画像プレートなど、陽子に感度を有するスクリーンにより検出され得るか、又は検出装置(カメラなどの)を有するシンチレータが使用され得る。
[0193] また、検出器1020は、飛行時間検出器を含むこともできる。飛行時間検出器は、平均陽子エネルギーを計測することができる。いくつかの実施形態では、飛行時間検出器は、陽子シンチレータと、光電子増倍管(PMT)など、十分な時間分解能を有する検出器とを含み得る。陽子シグネチャがPMT上において検出された時点は、陽子速度と、従って陽子エネルギーとを示し得る。
[0194] また、検出器1020は、電子温度及び密度を検出するように構成されたX線スペクトロメータ又はプラズマ密度を検出するように構成された干渉計など、プラズマ診断のために構成された装置を含むこともできる。光学診断は、レーザー吸収効率を計測するための反射されたレーザービームの撮像を含み得る。これらの検出器は、初期システム設計、較正及び試験時に使用され得、且つこれらは、任意選択により、最終的なシステム内に含まれ得る。
[0195] 再度図9を参照すると、ステップ906において、イオン生成ターゲット(例えば、304)との電磁放射ビーム(例えば、316)の相互作用は、陽子を含む粒子を生成し得る。いくつかの実施形態では、イオン生成ターゲット304の表面を電磁放射ビーム316によってスキャンすることができる。例えば、電磁ビーム316は、連続的又は不連続的なラスタリング、階段状のスキャニング又は所望の任意の他のスキャニング波形により、イオン生成ターゲット304の表面上において連続的にスキャンすることができる。代わりに、電磁ビーム316は、イオン生成ターゲット304の表面上において不連続的にスキャンされ得る。電磁放射ビームのスキャンは、電磁放射ソース302とイオン生成ターゲット304との間において配置された1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306を手動又は自動で調節することにより実現することができる。1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306の自動的な調節は、例えば、制御システム314によって提供される1つ又は複数の信号に応答して実現することができる。制御システム314によって提供される1つ又は複数の制御信号は、演算システム500内において保存されているプログラムなどのプログラムにより既定され得るか、又は1つ又は複数の検出器などのシステム300の様々な要素から受け取られた1つ又は複数のフィードバックに応答して提供され得る。例えば、システム300内の1つ又は複数の検出器からの情報は、レーザー−ターゲット相互作用のサイトの場所の変更が望ましいことを示し得る。フィードバックのこの及び他の例について更に詳細に後述する。
[0196] ステップ908において、システム300は、粒子から陽子線318を形成することができ、且つ陽子線318を治療容積に導くことができる。ステップ906において生成された陽子は、当初、有用な構成又は軌跡において配設されていない場合がある。陽子は、例えば、1つ又は複数のビーム調節コンポーネント308により、陽子線として形成することができる。陽子線のプロパティは、システム300の構成に基づいて且つ使用間において変化し得る。一実施形態では、陽子エネルギーは、上述のように、約250MeVであり得、且つ例えば60〜250MeVの範囲を有し得る。陽子フラックスは、約2Gy/分であり、且つ陽子パルス持続時間は、100psec未満であり得る。また、システム300によって生成された陽子は、対称的な位相空間プロファイルを有し得、それにより加速器に基づく陽子生成システムと比較して陽子線の操向及びフィルタリングの改善が許容され、それにより陽子線供給及び治療の精度及び効率が改善される。当然のことながら、上述の範囲は、例に過ぎず、且つこれらの具体的なエネルギー及びフラックスは、構成の詳細に基づいて変化し得る。
[0197] 本開示によれば、陽子線の1つ又は複数のプロパティを調節するためにフィードバックを使用することができる。本開示において使用されるフィードバックは、1つ又は複数のシステム出力が、「原因と結果」のチェーンの一部分として、1つ又は複数の入力としてシステム内に戻される(即ちシステム内にフィードバックされる)制御プロトコルを意味し得る。例えば、(上述の)プロセッサは、電磁放射ビーム、陽子線及び/又はレーザー−ターゲット相互作用の態様を制御するためにフィードバック信号を生成するように構成され得る。このようなフィードバック信号は、例えば、電磁放射ビーム、陽子線及び/又はレーザー−ターゲット相互作用の1つ又は複数のプロパティに基づき得る。いくつかの実施形態では、フィードバック信号は、電磁放射ソース、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント及び/又はイオン生成ターゲットとの関係における電磁放射ビームの位置及び向きの少なくとも1つを調節することにより、陽子線を変更することができる。フィードバックは、いくつかの例では、イオン生成ターゲットの構造を判定するために使用することができる。
[0198] フィードバック信号は、電磁放射ビームの態様を変更するように構成され得る。例えば、プロセッサは、電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するために電磁放射ソースを調節するように構成された1つ又は複数のフィードバック信号を生成することができる。更に、電磁放射ソースは、電磁放射ビームのメインパルス及びプレパルスを生成するように構成され得、且つプロセッサは、電磁放射ソースがフィードバック信号に応答してメインパルスに対するプレパルスのコントラスト比を変更することを生じさせるように構成され得る。
[0199] 更に、プロセッサは、電磁放射ビームのエネルギー又は電磁放射ビームの空間又は時間プロファイルを変更するためにフィードバック信号を生成するように構成され得る。例えば、1つ又は複数のオプティクスコンポーネントは、フィードバック信号に応答して電磁放射ビームのスポットサイズを変更することができる。いくつかの実施形態では、モーターは、フィードバック信号に応答して電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な向きを変更することができる。また、いくつかの実施形態では、適応型ミラーは、フィードバック信号に応答して電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導くことができる。
[0200] いくつかの実施形態では、フィードバックは、陽子線318のプロパティを調節するために使用することができる。図11は、このようなフィードバックを利用するための例示のためのプロセス1100におけるプロセスフローを描いている。ステップ1102において、システム300は、レーザー−ターゲット相互作用プロパティの所望の値を判定し得るか、又はこれによってプログラミングされ得る。レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、上述の検出器1020の任意のものによって検出されるプロパティの任意のものに基づき得る。所望の値は、例えば、陽子線318における所望の品質に関係する公称値、治療計画における所望のプロパティに基づく値、システム300の最適な動作状態に関係する公称値などに基づき得る。
[0201] ステップ1104において、システム300は、検出されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティに基づいて1つ又は複数のフィードバック信号を生成することができる。フィードバックは、制御システム314により受け取られ得、及び/又は処理され得る。例えば、制御システム314は、レーザー−ターゲット相互作用プロパティをステップ1102において確立されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティの所望の値と比較することにより、システム300の様々なコンポーネントに対する調節を算出することができる。いくつかの実施形態では、調節及び比較は、PID(比例−積分−微分)制御ループなどのフィードバック制御アルゴリズムに従って実行することができる。1つ又は複数のフィードバック信号によって定義される1つ又は複数の関係は、線形であり得る(例えば、パルス持続時間の増大は、逆比例して陽子エネルギーに対して影響を及ぼし得る
)。フィードバック信号は、多くの場合、(例えば、スタートアップ又はアイドル期間において)ゼロに設定され得、調節が不要であることを示す初期値に設定され得るか、又は初期状態を示す既定値に設定され得る。
[0202] ステップ1106において、システム300は、フィードバック信号に基づいて1つ又は複数のシステムコンポーネントを調節することができる。例えば、いくつかの実施形態では、制御システム314は、フィードバック信号に基づいて電磁放射ビーム316のプロパティを調節するように構成され得る。生成されたフィードバックは、モーターが電磁放射ビーム316の経路を調節するようにすることができる。モーターは、例えば、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306の1つ又は複数を調節することができる。このような調節は、例えば、電磁放射ビーム316がより望ましい1つ又は複数の場所においてイオン生成ターゲット304に当たるようにし、それにより電磁放射ビーム316がイオン生成ターゲット304に当たった結果として得られる陽子線318のプロパティを変更することができる。また、このような調節は、特徴が所望のレートにおいて照射されるように、電磁放射ビームがイオン生成ターゲット304の複数の連続的な特徴に連続的に当たるようにすることもできる。加えて、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント306は、電磁放射ビーム316をイオン生成ターゲット304の表面上においてスキャンするように構成することもできる。別の例として、イオン生成ターゲット304は、6つの自由度のいずれかにおいてイオン生成ターゲット304を移動させるためのフィードバック信号に基づいてモーターにより操作することができる。
[0203] いくつかの実施形態では、ステップ1108において、制御システム314は、電磁放射ソース302がフィードバック信号に応答して電磁放射ビーム316のエネルギー、波長又は時間若しくは空間プロファイルを変更するようにすることができる。また、制御システム314は、電磁放射ソース302がフィードバック信号に応答してメインパルスに対するプレパルスのコントラスト比を変更するようにすることもできる。電磁放射ソース302を介した電磁放射ビーム316のこのような調節は、例えば、1つ又は複数のコントローラ616を介して、1つ又は複数の発振器602、1つ又は複数のポンプソース604、オプティクス606、1つ又は複数のストレッチャ610、1つ又は複数の増幅器612並びに1つ又は複数のコンプレッサ614の1つ又は複数を調節することにより実現することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射ソース302又は1つ若しくは複数のオプティクスコンポーネント306の任意の光学要素又は他のコンポーネントは、フィードバック信号に基づいて変更されるか、移動されるか、方向付けられるか、又は他の方法で構成され、それにより任意の数の変化を結果的にもたらすことができる。上述の例は、限定を意図したものではない。
[0204] ステップ1108において、システム300は、図9に示されているプロセス900のステップ902及び904との関係において、例えば上述したようにイオン生成ターゲット304に当たるように電磁放射ビーム316を導くことができる。
[0205] ステップ1110において、システム300は、レーザー−ターゲット相互作用プロパティを検出することができる。検出されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティは、検出器1020との関係において上述したプロパティ及び/又は電磁放射ビーム316、陽子線318、レーザー−ターゲット相互作用、障害状態又はシステムの任意のコンポーネントによって生成される任意の他の信号との関係において検出された任意のプロパティの任意の1つ又は複数を含み得る。
[0206] ステップ1110において検出されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティは、ステップ1104に戻すことができ、且つプロセス1100は、任意の回数にわたって反復することができる。例えば、プロセス1100は、標準的な固定された回数、制御システム314によって予め設定された回数、治療計画によって定義されている回数又はリアルタイムで判定された可変の回数にわたって反復し得る。
[0207] いくつかの実施形態では、特定のエネルギー及び/又はフラックスの陽子の選択が望まれ得る。例えば、陽子療法の利点との関係において上述したように、患者内の特定の深さの治療容積の治療が望まれ得る。治療の深さは、特定のエネルギーレベル又はエネルギーレベルの範囲の陽子を選択的に放出することにより規定することができる。治療容積に供給される放射の線量は、部分的に陽子線のフラックスに依存している。従って、システム300によって生成される陽子フラックス及び陽子エネルギーを調節することが望ましい場合がある。
[0208] 本開示によれば、帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、イオンソースを含み得る。本開示において使用されるイオンソースは、連続的な又はパルス化されたイオンビームを生成するように構成された任意の構造又は装置を意味し得る。パルス化イオンビームは、少なくとも1つのイオン群(例えば、イオンのクラスタ)を含むイオンの任意のグループを意味し得る。いくつかの実施形態では、イオンソースは、上述のように、少なくとも放射ビーム及びイオン生成ターゲットを含み得るが、この例は、限定を目的としたものではない。例えば、本開示に合致する帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、(例えば、サイクロトロン、シンクロトロン又は他の粒子加速器を含む)任意の方法又は装置によって生成された帯電粒子の任意のビームと共に使用することができる。
[0209] 更に、本開示によれば、帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、少なくとも1つの電磁石を含み得る。本明細書において使用される電磁石は、電磁界を生成するように制御可能な任意の装置を意味し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電磁石は、パルス化イオンビームの軌跡に沿って直列の複数の電磁石を含み得る。
[0210] 更に、本開示に合致して、帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、少なくとも電磁石の近傍のゾーンを含み得る。本開示において使用される電磁石の近傍のゾーンは、電磁石によって生成された電磁界が、ゾーン内において配置されている帯電粒子の軌跡を変更する能力を有する任意の場所を意味し得る。例えば、電磁石の近傍のゾーンは、イオンビームがそれを通して横断し得るように方向付けられた任意の場所を含み得る。いくつかの実施形態では、ゾーンは、電磁石の起動によって生成された電磁界内の場所を含み得る。ゾーンのサイズは、いくつかの要因に応じて変化し得るが、いくつかの実施形態では、ゾーンは、約1インチよりも小さい寸法を有することができる。
[0211] 本開示によれば、帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、少なくとも1つの自動化されたスイッチを含み得る。本開示において使用される自動化されたスイッチは、電磁石に電気的に接続されるように構成され、且つ信号によってトリガされた際に少なくとも1つの電磁石を選択的に起動又は停止するように構成された装置を意味し得る。自動化されたスイッチは、選択的に起動又は停止され得る任意のスイッチであり得る。例えば、自動化されたスイッチは、光伝導半導体スイッチ又はスパークスイッチを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの自動化されたスイッチは、複数の自動化されたスイッチを含み得る。個々の自動化されたスイッチは、異なる電磁石と関連付けられ得るか、又は同一の電磁石と関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、第1の電磁石は、オリジナルの軌跡から、方向転換された軌跡にパルス化イオンビームの一部分を方向転換するように構成され得る。いくつかの実施形態は、第1電磁石と直列であり、且つ方向転換された軌跡から、オリジナルの軌跡と実質的に平行な経路にパルス化イオンビームの方向転換された一部分の少なくとも一部を再方向転換するように構成された第2電磁石を更に含み得る。
[0212] 本開示によれば、帯電粒子のパルス化ビームを導くシステムは、放射トリガソースを含み得る。本開示において使用される放射トリガソースは、少なくとも1つの自動化されたスイッチを起動又は停止するために、放射トリガを生成する能力を有する任意の構造を含み得る。例えば、放射トリガソースは、イオンソース、X線ソース、電子ソース及び光源(例えば、レーザー)の1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態では、放射トリガソースによって生成された放射トリガは、自動化されたスイッチを起動又は停止し、且つイオン生成ターゲットを照射し、それによりパルス化イオンビームを生成するように構成され得る。
[0213] 本開示によれば、少なくとも1つのプロセッサは、イオン群が電磁石の近傍のゾーンを横断するときに少なくとも1つの電磁石を起動するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、上述のプロセッサの任意のものを含むことができ、且つイオン群が一連の電磁石を横断するときに複数の自動化されたスイッチを順番に起動するように構成され得る。
[0214] 本開示によれば、制御された遅延ラインを提供することができる。本開示において使用される制御された遅延ラインは、放射のビーム又は帯電粒子がそれを横断するのに所要する時間を延長するように構成された経路を意味し得る。例えば、制御された遅延ラインは、イオン群が電磁石の近傍のゾーンを横断する時点を遅延させるために使用することができる。別の例として、制御された遅延ラインは、放射ビームが自動化されたスイッチを起動する時点を遅延させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、制御された遅延ラインは、放射ビームが電磁石の自動化されたスイッチを起動する時点をパルス化イオンビームが電磁石の近傍のゾーンを横断する時点と同期化させるように構成され得る。
[0215] 図12は、例えば、陽子線318内の陽子群などのイオン群における陽子エネルギープロファイルの例示のためのグラフである。図12に示されているパルス(即ち「群」)1202は、システム300及びイオン生成ターゲット304との関係において上述したように生成することができる。但し、イオン生成ターゲット304の使用は、一例に過ぎず、且つ限定を意図したものではない。他のイオンソース及びイオンのタイプを使用することもできる。
[0216] 陽子療法に関連して、患者内の特定の深さにおいて位置した治療容積を照射するために特定のエネルギーの陽子が望まれ得る。所望のエネルギーの陽子を隔離するために、システム300は、陽子線から他のエネルギーを有する陽子を除去することにより、所望のエネルギーを有する陽子を患者に供給するために陽子線318をフィルタリングすることができる。例えば、エネルギー1206〜エネルギー1208のエネルギーを有する陽子1204を供給するために、システム300は、エネルギー1206未満且つエネルギー1208超のエネルギーを有するすべての陽子を除去することにより、陽子群1202をフィルタリングすることができる。
[0217] このようなフィルタリングは、特定の陽子線調節コンポーネント308を組み合わせることにより実現することができる。例えば、陽子線調節コンポーネント308は、特定のエネルギーを有する陽子が、他のエネルギーを有する陽子と異なる軌跡に沿って方向転換されるように陽子線318を操作することができる。これは、いくつかの方法で実現することができる。例えば、陽子線調節コンポーネント308は、エネルギー1206〜エネルギー1208のエネルギーを有する陽子を隔離するための帯域通過フィルタとして構成され得る。別の実施形態では、陽子線調節コンポーネント308は、エネルギー1206又は1208など、エネルギーカットオフ超のエネルギーを有する陽子を隔離するための高域通過フィルタとして構成され得る。別の実施形態では、陽子線調節コンポーネント308は、エネルギー1206又は1208など、エネルギーカットオフ未満のエネルギーを有する陽子を隔離するための低域通過フィルタとして構成され得る。
[0218] 上述の実施形態は、組み合わされ得、且つ複数のフィルタが使用され得る。例えば、帯域通過フィルタを生成するために低域通過フィルタ及び高域通過フィルタを直列に組み合わせることができる。このような実施形態では、低域通過フィルタは、エネルギー1208未満のエネルギーを有する陽子を隔離するように構成され得、且つ高域通過フィルタは、エネルギー1206超のエネルギーを有する陽子を隔離するように構成され得る。これは、狭いエネルギー帯域、特にスタンドアロンの帯域通過フィルタが対応し得るものよりも狭いエネルギー帯域内の陽子を選択するのに特に有利であり得る。
[0219] 陽子エネルギーのフィルタリングを実現するために、陽子線調節コンポーネント308の1つ又は複数は、スパークスイッチ又は光伝導スイッチなどの1つ又は複数の自動化されたスイッチにより、選択的に起動及び/又は制御することができる。選択的な起動は、自動化されたスイッチ及び陽子線調節コンポーネント308との間のインターフェイスを有し得るコントローラ314によって制御することができる。自動化されたスイッチは、コントローラ314によって生成される信号により起動又は停止することができる。信号は、上述のフィードバックの形態の任意のものなどのフィードバックに基づいて生成することができる。
[0220] 加えて又は代わりに、いくつかの実施形態では、自動化されたスイッチは、レーザー又は別の光源などの電磁放射による起動又は停止のために構成することもできる。例えば、自動化されたスイッチは、電磁放射ビーム316の経路に沿って配設された光伝導半導体スイッチを含むことができる。代わりに、電磁放射ビーム316は、オプティクスコンポーネント306の1つ又は複数によって方向転換され得るか、又はオプティクスコンポーネント306によって複数のビームに分割され得、複数のビームの1つ又は複数は、自動化されたスイッチに送達される。このような実施形態では、自動化されたスイッチは、電磁放射ビーム316が当たると、起動又は停止することができる。従って、電磁放射ビームは、自動化されたスイッチの起動及び陽子線318を生成するためのイオン生成ターゲット304の照射の両方のために構成され得る。
[0221] 他の実施形態では、スイッチング電磁放射ソースは、電磁放射ソース302又は電磁放射ソース316と関連しないものであり得る。例えば、制御システム314は、別個のスイッチング電磁放射ソースが1つ又は複数の光伝導半導体スイッチ又はスパークスイッチを照射し、それにより1つ又は複数の陽子エネルギーフィルタの陽子線調節コンポーネント308を起動又は停止することを生じさせ得る。
[0222] 陽子エネルギーフィルタ内における自動化されたスイッチの起動と関連するタイミングには、少なくとも部分的に、放射ビームが自動化されたスイッチを起動する時点を調節するように構成された制御された遅延ラインなどの飛行時間制御ユニットにより、影響を及ぼすことができる。例えば、制御された遅延ラインは、自動化されたスイッチのタイミングを放射ビームと同期化させるように構成され得る。加えて又は代わりに、陽子エネルギーフィルタ内における自動化されたスイッチの起動と関連するタイミングは、例えば、ユーザーコマンドに応答して、システム300からのフィードバック信号に応答して又は既定のプログラムに従って制御システム314により制御することもできる。
[0223] 以上の説明は、陽子が陽子療法システム内においてフィルタリングされる用途を想定しているが、当業者は、これらのフィルタリングシステム及び方法が広い適用性を有することを理解するであろう。例えば、陽子のフィルタリングに関連して記述されているこれらの方法及びシステムは、任意の様々な他のシステム及び用途において使用される任意の様々な他の帯電粒子をフィルタリングするために使用することもできる。
[0224] 図13は、上述のように陽子エネルギーの選択を実現するように構成された陽子線調節コンポーネント308の構成の一例を描いている。このような構成は、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント1302及び1306と、ビームダンプ1304とを含み得る。
[0225] いくつかの実施形態では、ビーム調節コンポーネント1302及び1306は、陽子線318の軌跡に沿って直列に配設された複数の電磁石を含み得る。複数の自動化されたスイッチを1つ又は複数の異なる磁石又は磁石のグループと関連付けることができる。制御システム314は、陽子線318を操作するために、様々な組合せにおいて、このような複数のスイッチを起動するように構成され得る。例えば、制御システム314は、陽子群が複数の電磁石の磁石を横断するとき、自動化されたスイッチを順番に起動することができる。一実施形態では、ビーム調節コンポーネント1302は、オリジナルの軌跡から、方向転換された軌跡に陽子線318の一部分を方向転換するように構成され得る。ビーム調節コンポーネント1302は、方向転換された軌跡から、オリジナルの軌跡に実質的に平行な経路にパルス化陽子線の方向転換された一部分の少なくとも一部を再方向転換するように構成され得る。
[0226] 図13に示されているように、陽子線318は、陽子線調節コンポーネント1302の近傍のゾーンを通過し得る。ゾーンは、任意のサイズであり得るが、いくつかの実施形態では1インチ未満の寸法を有し得る。陽子線調節コンポーネント1302の近傍のゾーンは、陽子線318(例えば、連続ビーム又はパルス1202などのパルスを含むパルス化ビーム)がゾーンを横断するように構成及び/又は方向付けすることができる。陽子調節コンポーネント1302は、例えば、ダイポール、CMA、SMA又は飛行時間アナライザなどの電磁石など、陽子線調節コンポーネント308の任意のものを含み得る。陽子線が陽子線調節コンポーネント1302の近傍のゾーンを横断するとき、自動化されたスイッチは、図13Aに示されているように、所望のエネルギーを有する陽子が軌跡1310に沿ってビーム調節コンポーネント1306に向かって方向転換されるように、陽子線調節コンポーネント1302を起動することができる。陽子線318からフィルタリングによって除去されるべきエネルギーを有する陽子が陽子線調節コンポーネント1302の近傍のゾーンを横断するとき、自動化されたスイッチは、起動されなくてもよく、又は代替スイッチが起動され得、従って、陽子は、図13Bに示されているように、軌跡1308に沿ってビームダンプ1304に向かって移動し得る。所望のエネルギーを有する陽子は、ビーム調節コンポーネント1306を通過し得、これらは、ビームライン軌跡1312に沿って且つ最終的に治療容積に向かって戻るようにリダイレクトされる。
[0227] (図示されていない)いくつかの実施形態では、陽子エネルギーフィルタは、単一のビーム調節コンポーネントと、ビームダンプとのみを含み得る。所望のエネルギーを有する陽子を第2電磁要素に向かって方向転換する代わりに、所望のエネルギーを有する陽子は、方向転換されることなしに、陽子線調節コンポーネントの近傍のゾーンを通過するように許容することができる。陽子線からフィルタリングによって除去されるべきエネルギーを有する陽子が陽子線調節コンポーネントの近傍のゾーンを通過するとき、それらは、軌跡に沿ってビームダンプに向かって方向転換させることができる。
[0228] いくつかの実施形態では、陽子エネルギーフィルタは、エネルギーデグレーダを含み得る。例えば、エネルギーデグレーダは、ビームダンプ1304の一部分として使用することができる。加えて、エネルギーデグレーダは、ビームダンプに向かって方向転換されない陽子のエネルギー及び/又はフラックスを低減するために使用することができる。エネルギーデグレーダを使用して陽子をフィルタリングするために、陽子は、デグレーダを通して方向転換され得、この場合、これらの陽子は、デグレーダと相互作用する。陽子の軌跡に沿ってデグレーダを透過した陽子は、その結果、低減されたエネルギーを有し、それにより陽子線のエネルギーが低下する。そ他の陽子は、エネルギーデグレーダによって吸収され得るか、又は陽子線の軌跡から方向転換され得、それによりもはや透過された陽子線の一部分を形成せず、且つそれにより透過した陽子線のフラックスが低減される。エネルギーデグレーダは、例えば、炭素、プラスチック、ベリリウム、銅若しくは鉛などの金属又は陽子線のエネルギー若しくはフラックスの低減において有効である任意の材料を含み得る。また、エネルギーデグレーダは、ウェッジ、(空気又は別の材料によって充填され得る)ギャップによって分離されたダブルウェッジ、円筒体、矩形又はビームを劣化させる能力を有する任意の他の材料若しくは構成を含む、陽子線のエネルギー又はフラックスの低減に有効な任意の形状から構成され得る。
[0229] 当業者は、上述の陽子線のフィルタ構成は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ本明細書において記述されている実施形態に合致して他の構成が想定されることを認識するであろう。
[0230] 本開示によれば、陽子で治療容積を治療するシステムは、陽子ソースを含み得る。本開示において使用される陽子ソースは、放出可能な陽子を有するか又は陽子を放出する能力を有する任意の材料、システム又はサブシステムを意味し得る。陽子ソースは、陽子エネルギースプレッド内の複数の陽子エネルギーを有する陽子線を提供するように構成され得る。
[0231] 更に、本開示によれば、陽子で治療容積を治療するシステムは、3次元座標系の2つの次元において陽子線と治療容積との間の相対的な移動を制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、例えば、上述のプロセッサの任意のものを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、実質的に固定された座標を他の2つの次元において維持しつつ、3次元座標系の第3の次元において治療容積の深さを調節するように陽子エネルギースプレッドを制御するように構成され得る。例えば、3次元座標系の第3の次元は、陽子線軌跡の適切な方向を意味し得、且つ他の2つの次元は、第3の次元に直交するプレーンを意味する。
[0232] 3次元座標系の2つの次元における陽子線と治療容積との間の相対的な移動の制御は、多数の方法によって実現することができる。例えば、陽子線と治療容積との間の相対的な移動の制御は、ガントリを回転させることにより実現することができる。代わりに又は加えて、陽子線と治療容積との間の相対的な移動の制御は、電磁石によって陽子線を導くこと及び/又は患者支持プラットフォームを移動させることにより実現することができる。
[0233] 同様に、エネルギースプレッド及び分布又は陽子の制御も様々な方法によって実現することができる。本開示によれば、エネルギースプレッドの制御は、例えば、磁気アナライザ、飛行時間制御ユニット及びエネルギーデグレーダの1つ又は複数を介して実現することができる。
[0234] システム300は、他のものが実質的に固定状態において留まっている状態において、陽子線318の1つ又は複数のプロパティを変化させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、このような変動は、プロセス1100との関係において記述したものなどのフィードバックを介して実現することができる。例えば、制御システム314は、陽子線318のエネルギーを独立して調節しつつ、陽子線318のフラックスを実質的に一定に保持し得るか、又はそのフラックスを独立して調節しつつ、陽子線318のエネルギーを実質的に一定に保持し得る。このような独立した調節は、その大きいサイズ及び低速の応答時間に起因して、加速器に基づくシステムでは実現不能であり得る。但し、本明細書において開示されるシステム及び方法は、電磁放射ビーム316及びレーザー−ターゲット相互作用のプロパティを再構成し、それにより陽子線318のエネルギー及びフラックを独立して調節するために、(上述の)フィードバックを(同様に上述の)システム300の調節可能なコンポーネントと結合することにより、独立したエネルギー及びフラックスの制御を実現することができる。従って、正確な治療を従来のシステムよりも迅速に供給することができ、それにより治療において消費される患者の時間が低減され、且つ患者のスループットが増大する。更に、より正確に且つ健康な組織に対するより少ない損傷を伴って治療を提供することができる。代わりに、本明細書において開示されるシステム及び方法は、電磁放射ビーム316及びレーザー−ターゲット相互作用のプロパティを再構成し、それにより陽子線318のエネルギー及びフラックスを同時に調節するために、(上述の)フィードバックを(同様に上述の)システム300の調節可能なコンポーネントと結合することにより、エネルギー及びフラックスの同時制御を実現することもできる。
[0235] 一実施形態では、陽子線318のエネルギー及びフラックスは、電磁放射ビーム316の強度、イオン生成ターゲット304上の電磁放射ビームの場所、電磁放射ビーム316の時間プロファイル、放射ビーム316の空間プロファイル、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308の設定及び選択肢に従って調節することができる。一例として、陽子線318のエネルギーは、電磁放射ビーム316の強度に比例し得、且つ陽子線318のフラックスは、電磁放射ビーム316のエネルギーに比例し得る。これは、以下の関係:、
及び
φp〜EL (2)
によって表現することができ、ここで、ILは、電磁放射ビーム316の強度であり、ELは、電磁放射ビーム316の強度であり、Aは、電磁放射ビーム316の空間プロファイル(例えば、スポットサイズ)を表し、Δτは、電磁放射ビーム316の時間プロファイル(例えば、パルス持続時間)を表し、Epは、陽子線318のエネルギーであり、且つφpは、陽子線318のフラックスである。従って、電磁放射ビーム316のエネルギー、空間プロファイル及び時間プロファイルの1つ又は複数を適切に調節することにより、陽子線318のフラックスが変化する状態において陽子線318のエネルギーを実質的に一定に保持することができ、且つ逆も真である。例えば、陽子フラックスを変更することなしに陽子線318の陽子エネルギーを変更するために、イオン生成ターゲット304におけるパルス持続時間及び/又はスポットサイズを変化させつつ、電磁放射ビーム316のエネルギーを約1MeVにおいて一定に保持することができる。
[0236] 代わりに又は加えて、適宜、1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308を選択又は調節することにより、陽子線318のエネルギー及びフラックスを独立して変更することもできる。例えば、これは、図13との関係において上述したフィルタリングシステム及び方法の1つを使用することにより又は例えば1つ又は複数のエネルギーデグレーダを使用することにより実現することができる。
[0237] 陽子線318のフラックスを独立して調節する際、使用可能な陽子線318のエネルギーの変動は、±25%以上という大きいものであり得、この場合、陽子線318が最初に形成され、且つシステム300は、このような変動をビームラインの更に下流において約±5%以下に低減する能力を有し得る。陽子線318のエネルギーを独立して調節する際、使用可能な陽子線318のフラックスの変動は、±25%以上という大きいものであり得、この場合、陽子線318が最初に形成され、且つシステム300は、このような変動をビームラインの更に下流において約±5%以下に低減する能力を有し得る。
[0238] 陽子線318のエネルギー及びフラックスの独立した調節の代替として、適宜、例えば1つ又は複数の陽子線調節コンポーネント308を選択又は調節することにより、陽子線318のエネルギー及びフラックスを同時に変更することができる。例えば、これは、図13との関係において上述したフィルタリングシステム及び方法の1つを使用することにより又は例えば1つ又は複数のエネルギーデグレーダを使用することにより実現することができる。
[0239] プロセス変数が動作時に変動することから、陽子線318のエネルギー及びフラックスの独立した変化は、図11との関係において上述したフィードバック調節から大きい利益を享受する。例えば、動作時、検出されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティがステップ1108において変化するとき、制御システム314は、ステップ1110において判定されたフィードバック信号を介して、ステップ1104においてシステム300を相応して自動的に調節することができる。
[0240] システム300は、治療容積のシステマチックな治療のためのプロセスにおいて、陽子線318の他のプロパティを固定状態で保持しつつ、このような陽子線318の1つ又は複数のプロパティの変動を利用するように構成され得る。図14は、このようなシステマチックな治療のためのプロセス1400の一例を描いている。ステップ1402において、制御システム314は、3次元座標系の2つの次元において治療容積に対して陽子線(例えば、ビーム318)を位置決めすることができる。例えば、第3の次元は、ガントリ(例えば、ガントリ310)を離脱するとき、陽子線の軌跡により定義することができ、且つ3次元座標系の2つの次元は、ガントリ310を離脱するとき、陽子線318の軌跡に垂直のプレーンにより定義することができる。2つの次元における陽子線318と治療容積との間の相対的な移動は、システム300の1つ又は複数のコンポーネントによって制御することができる。例えば、相対的な移動は、ガントリ310と関連する1つ又は複数のモーター及び/又は磁石及び/又は患者支持プラットフォーム312と関連する1つ又は複数のモーターの任意の組合せによって制御することができる。更に詳細には、制御システム314は、ガントリ310の回転、スキャニング磁石710の調節及び患者支持プラットフォーム312の再位置決めの1つ又は複数を制御することにより、陽子線318と治療容積との間の相対的な移動を制御するように構成され得る。
[0241] ステップ1404において、制御システム(例えば、システム314)は、3次元座標系の第3の次元において陽子線と治療容積との間の相対的な移動を制御するように構成され得る。制御システム314は、実質的に固定された座標を他の2つの次元において維持しつつ、第3の次元においてこのような相対的な移動を制御するように構成され得る。例えば、制御システム314は、他の2つの次元における陽子線318の位置を固定状態で残しつつ、治療の深さを調節するように陽子エネルギーを制御することができる。ステップ1404における陽子エネルギーの制御は、(上述の特定の構造の参照を伴って又は伴うことなしに)上述の技法の1つ又は複数を介して実現することができる。例えば、電磁放射ビーム316のエネルギー、時間プロファイル及び空間プロファイルの少なくとも1つが上述の式1に従って調節され得、図12及び図13における陽子エネルギーの選択が使用され得、及び/又は磁気アナライザ、飛行時間制御ユニット及びエネルギーデグレーダの1つ又は複数が使用され得る。
[0242] ステップ1404の一例が図15A、図15B及び図15Cにおいて示されており、これらの図は、治療容積1506に治療を提供するために患者1504の皮膚1502を貫通する陽子線318を描いている。図15A、図15B及び図15Cは、開示される実施形態に合致する一連の治療の場所を表し得る。システム300は、図15Bにおいて示されているように、且つ陽子線318のエネルギーを低減することによりエリア1510を治療し、且つ次いで陽子線318のエネルギーを更に低減することにより、図15Cにおいて示されているエリア1512を治療する前に、第3次元においてより大きい距離である(即ち患者1504の皮膚1502から離れた)、図15Aにおいて示されているエリア1508を治療するように構成され得る。代わりに、図15Cのエリア1512を治療し、次いで陽子線318のエネルギーを増大して図15Bのエリア1510を治療し、次いで陽子線318のエネルギーを更に増大して図15Aのエリア1508を治療することにより、順序を逆転させることもできる。
[0243] ステップ1404では、図15A、図15B及び図15Cにおいて示されているエリア1508、1510及び1512前、その後又はその間において治療の更なる場所を含むことができる。また、制御システム314は、特定の順序の効果を考慮するために治療を最適化するように構成することもできる。例えば、エリア1508を治療するように意図された(即ち図15Aに示されている)治療容積1506を通過する陽子は、1508に到達する前に、エリア1510及び1512に対する何らかの付随した治療を提供し得る。制御システム314は、患者の治療計画における線量を相応して調節することより、エリア1510及び1512に投与される付随した線量を考慮することができる。例えば、制御システム314は、エリア1508などの他のエリアを直接的に治療しつつ、エリア1510及び1512に供給されることになる付随した線量のすべてを積算し、且つエリア1510及び1512の治療に適するように直接的な線量からその付随した線量を減算するように構成され得る。この結果、より正確な治療を実現することができる。
[0244] ステップ1406において、制御システム(例えば、制御システム314)は、別の位置が治療を必要としているかどうか、又は治療が完了したかどうかを判定することができる。治療が完了している場合(ステップ1006:はい)、プロセス1400は、終了することができる。治療が完了していない場合(ステップ1006:いいえ)、プロセス1000は、ステップ1002に戻り得、それにより、図15Dに示されているように、2つの次元に対して陽子線318が再位置決めされ、且つ陽子線318のエネルギーを変化させることにより、第3の次元における深さのスキャンのプロセスが反復される。
[0245] 本明細書では、例示のための実施形態について記述されているが、その範囲は、本開示に基づいて当業者が理解するように、均等な要素、変更形態、省略形態、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組合せ、適合形態及び/又は改変形態を有する任意の且つすべての実施形態を含む。例えば、例示のためのシステムにおいて示されているコンポーネントの数及び向きを変更することができる。更に、添付図面において示されている例示のための方法との関係において、ステップの順序及び順番を変更することができ、且つステップを追加又は削除することができる。
[0246] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、イオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導いて、それにより結果的に得られる陽子線を生じさせるように構成された1つ又は複数のオプティクスコンポーネントと、少なくとも1つのレーザー−ターゲット相互作用プロパティを計測するように構成された検出器と、検出器によって計測された少なくとも1つのレーザー−ターゲット相互作用プロパティに基づいてフィードバック信号を生成し、且つ電磁放射ソース、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント並びにイオン生成ターゲットに対する電磁放射ビームの相対的な位置及び向きの少なくとも1つの少なくとも1つを調節することにより、陽子線を変更するように構成されたプロセッサとを含む。
[0247] レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、例えば、陽子線エネルギーや陽子線フラックスなどの陽子線プロパティを含むことができ、且つこのプロパティは、二次電子放出プロパティを含むこともできる。別の例として、レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、X線放出プロパティを含むことができる。
[0248] 電磁放射ソースは、パルス化電磁放射ビームを提供し、且つそれによりパルス化陽子線を生成するように構成され得る。
[0249] 相互作用チャンバは、イオン生成ターゲットを支持するためのターゲットステージを含むことができ、且つプロセッサは、ターゲットステージと電磁放射ビームとの間の相対的な移動を生じさせるように更に構成され得る。
[0250] イオン生成ターゲットの構造は、少なくとも部分的に、計測されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティから生成される、生成されたフィードバック信号に基づいて判定され得る。
[0251] 電磁放射ソースは、フィードバック信号に応答して電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するように構成され得、及び/又はメインパルス及びプレパルスを生成するようにも構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースがフィードバック信号に応答してメインパルスに対するプレパルスのコントラスト比を変更することを生じさせるように構成され得る。
[0252] フィードバック信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースが電磁放射ビームの1つ又は複数のもののエネルギー又は電磁放射ビームのスポットサイズを変更することを生じさせるように構成され得る。
[0253] 少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数のオプティクスコンポーネントがフィードバック信号に応答して電磁放射ビームのスポットサイズを変更し、及び/又はモーターがフィードバック信号に応答して電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な向きを変更することを生じさせるように構成され得る。
[0254] また、本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、イオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームを相互作用チャンバ内のイオン生成ターゲットに導いて、それにより陽子線を生成するように構成された適応型ミラーと、電磁放射ビームのスポットサイズ並びに電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な位置及び向きの少なくとも1つの少なくとも1つを調節するように適応型ミラーを制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0255] 適応型ミラーは、電磁放射ビームの焦点を調節すること、電磁放射ビームを方向転換すること及び電磁放射ビームをスキャンすることの少なくとも1つにより、電磁放射ビームを導くように構成され得る。また、適応型ミラーは、イオン生成ターゲットにわたって電磁放射ビームをラスタ走査するようにも構成され得る。適応型ミラーは、複数の面を含み得、複数の面のそれぞれは、デジタル論理回路によって独立して制御可能である。適応型ミラーは、反射防止被覆された基材上に合焦されたレーザーパルスを含み得、レーザーパルス及び反射防止被覆された基材の一方又は両方は、デジタル論理回路によって制御可能である。
[0256] 少なくとも1つのプロセッサは、適応型ミラーがフィードバック信号に応答して電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導き、及び/又は適応型ミラーが電磁放射ビームをイオン生成ターゲットの表面上の既定の場所に導くことを生じさせるように構成され得る。イオン生成ターゲットの表面は、パターン化されたアレイ及び/又は実質的に共通軸に沿って方向付けられた複数のイオン生成構造を含み得る。代わりに又は加えて、イオン生成ターゲットの表面は、1つ又は複数のナイフエッジを含み得る。
[0257] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、イオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導いて、それにより結果的に得られる陽子線を生じさせるように構成された1つ又は複数のオプティクスコンポーネントと、少なくとも1つのレーザー−ターゲット相互作用プロパティを計測するように構成された検出器と、検出器によって計測された少なくとも1つのレーザーターゲット相互作用プロパティに基づいてフィードバック信号を生成し、且つ電磁放射ソース、1つ又は複数のオプティクスコンポーネント並びにイオン生成ターゲットに対する電磁放射ビームの相対的な位置及び向きの少なくとも1つの少なくとも1つを調節することにより、陽子線を変更するように構成された1つ又は複数のプロセッサとを含む。
[0258] レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、二次電子放出プロパティを含み得る、例えば陽子線エネルギー及び/又は陽子線フラックスなどの陽子線プロパティを含むことができる。別の例として、レーザー−ターゲット相互用プロパティは、X線放出プロパティを含み得る。
[0259] 電磁放射ソースは、パルス化電磁放射ビームを提供し、且つそれによりパルス化陽子線を生成するように構成され得る。
[0260] 相互作用チャンバは、イオン生成ターゲットを支持するためのターゲットステージを含むことができ、且つ1つ又は複数のプロセッサは、ターゲットステージと電磁放射ビームとの間の相対的な移動を生じさせるように更に構成され得る。
[0261] イオン生成ターゲットの構造は、少なくとも部分的に、計測されたレーザー−ターゲット相互作用プロパティから生成される、生成されたフィードバック信号に基づいて判定され得る。
[0262] レーザー−ターゲット相互作用プロパティは、陽子線エネルギー及び/又は陽子線フラックスを含み得る。
[0263] フィードバック信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースが電磁放射ビームのエネルギー、電磁放射ビームの時間プロファイル及び/又は電磁放射ビームの空間プロファイル(例えば、電磁放射ビームのスポットサイズ)を変更することを生じさせるように構成され得る。
[0264] フィードバック信号に応答して、少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数のオプティクスコンポーネントが電磁放射ビームのエネルギー、電磁放射ビームの時間プロファイル及び/又は電磁放射ビームの空間プロファイル(例えば、電磁放射ビームのスポットサイズ)を変更することを生じさせるように構成され得る。
[0265] 電磁放射ソースは、フィードバック信号に応答して電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するように構成され得、及び/又は少なくともメインパルス及びプレパルスを生成するようにも構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースがフィードバック信号に応答してメインパルスに対するプレパルスのコントラスト比を変更することを生じさせるように構成され得る。
[0266] 少なくとも1つのプロセッサは、モーターがフィードバック信号に応答して電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な向きを変更することを生じさせるように構成され得る。
[0267] また、本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、イオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームを相互作用チャンバ内のイオン生成ターゲットに導いて、それにより陽子線を生成するように構成された適応型ミラーと、電磁放射ビームの空間プロファイル及び電磁放射ビームとイオン生成ターゲットとの間の相対的な位置及び向きの少なくとも1つの少なくとも1つを調節するように適応型ミラーを制御するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0268] 適応型ミラーは、電磁放射ビームの焦点を調節すること、電磁放射ビームを方向転換すること及び電磁放射ビームをスキャンすることの少なくとも1つにより、電磁放射ビームを導くように構成され得る。また、適応型ミラーは、イオン生成ターゲットにわたって電磁放射ビームをラスタ走査するように構成され得る。適応型ミラーは、複数の面を含み得、複数の面のそれぞれは、デジタル論理回路によって独立して制御可能である。適応型ミラーは、反射防止被覆された基材上に合焦されたレーザーパルスを含み得、レーザーパルス及び反射防止被覆された基材の一方又は両方は、デジタル論理回路によって制御可能である。
[0269] 少なくとも1つのプロセッサは、適応型ミラーがフィードバック信号に応答して電磁放射ビームをイオン生成ターゲットに導き、及び/又は適応型ミラーが電磁放射ビームをイオン生成ターゲットの表面上の既定の場所に導くことを生じさせるように構成され得る。イオン生成ターゲットの表面は、パターン化されたアレイ及び/又は実質的に共通軸に沿って方向付けられた複数のイオン生成構造を含み得る。代わりに又は加えて、イオン生成ターゲットの表面は、1つ又は複数のナイフエッジを含み得る。
[0270] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、ターゲット場所においてイオン生成ターゲットを支持するように構成されたイオン生成チャンバと、軌跡に沿って電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースであって、電磁放射ビームは、エネルギー、偏光、空間プロファイル及び時間プロファイルを有する、電磁放射ソースと、電磁放射ソースとイオン生成ターゲットの表面との間において電磁放射ビームの軌跡に沿って位置決めされた1つ又は複数のオプティクスコンポーネントであって、電磁放射ビームがイオン生成ターゲットを照射し、それによりエネルギー及びフラックスを有する陽子線の形成を促進することを生じさせるために電磁放射ビームと協働するように構成されている1つ又は複数のオプティクスコンポーネントと、陽子線のエネルギーを実質的に一定に保持している間の陽子線のフラックス及び陽子線のフラックスを実質的に一定に保持している間の陽子線のエネルギーの少なくとも1つを調節するために、電磁放射ソース及び1つ又は複数のオプティクスコンポーネントの少なくとも1つを制御して、それにより電磁放射ビームのエネルギー、電磁放射ビームの偏光、電磁放射ビームの空間プロファイル及び電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0271] 更に、本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、ターゲット場所においてイオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、軌跡に沿って電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースであって、電磁放射ビームは、エネルギー、偏光、空間プロファイル及び時間プロファイルを有する、電磁放射ソースと、電磁放射ソースとイオン生成ターゲットの表面との間において電磁放射ビームの軌跡に沿って位置決めされた1つ又は複数のオプティクスコンポーネントであって、電磁放射ビームがイオン生成ターゲットを照射し、それによりエネルギー及びフラックスを有する陽子線の形成を促進することを生じさせるために電磁放射ビームと協働するように構成されている1つ又は複数のオプティクスコンポーネントと、陽子線のエネルギーを変更している間の陽子線のフラックス並びに陽子線のフラックスを変更している間の陽子線のエネルギーの少なくとも1つを調節するために、電磁放射ソース及び1つ又は複数のオプティクスコンポーネントの少なくとも1つを制御して、それにより電磁放射ビームのエネルギー、電磁放射ビームの偏光、電磁放射ビームの空間プロファイル及び電磁放射ビームの時間プロファイルの少なくとも1つを変更するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0272] 少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームのスポットサイズを変更することにより、電磁放射ビームの空間プロファイルを変更するように構成され得る。
[0273] 少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームのチャープを変更することにより、電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するように構成され得る。
[0274] 少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数のポンプソースのタイミングを変更することにより、電磁放射ビームの時間プロファイルを変更するように構成され得る。
[0275] 電磁放射ビームは、偏光されていなくてもよい。
[0276] 電子放射ソースは、パルス化電磁放射ビームを提供し、且つそれによりパルス化陽子線を生成するように構成され得る。
[0277] 少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースが電磁放射ビームのエネルギー及び電磁放射ビームの時間プロファイルを変更することを生じさせるように構成され得る。また、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースが電磁放射ビームのエネルギー及び電磁放射ビームの空間プロファイルを変更することを生じさせるように構成され得る。また、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ソースが電磁放射ビームのエネルギーを変更し、且つ1つ又は複数のオプティクスコンポーネントが電磁放射ビームの空間プロファイルを変更することを生じさせるように構成され得る。また、少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数のオプティクスコンポーネントが電磁放射ビームのエネルギー及び電磁放射ビームの空間プロファイルを変更することを生じさせるように構成され得る。
[0278] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、複数のパターン化された特徴が提供されたイオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、複数のパターン化された特徴を照射するための電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームが複数のパターン化された特徴の個々の1つに当たり、且つそれにより結果的に得られる陽子線を生成することを生じさせるように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0279] また、本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、少なくとも1つのナイフエッジでパターン化されたイオン生成ターゲットを支持するように構成された相互作用チャンバと、イオン生成ターゲットの少なくとも1つのナイフエッジを照射するための電磁放射ビームを提供するように構成された電磁放射ソースと、電磁放射ビームが少なくとも1つのナイフエッジに当たり、且つそれにより結果的に得られる陽子線を生成することを生じさせるように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0280] 電磁放射ソースは、波長を有するレーザービームを提供するように構成され得、且つ複数のパターン化された特徴の少なくとも1つは、レーザービームの波長よりも小さい寸法を有することができる。同様に、ナイフエッジも、レーザービームの波長よりも小さい寸法を有することができる。複数のパターン化された特徴は、イオン生成ターゲットの表面から離れて延在する突出部を含み得る。
[0281] 少なくとも1つのプロセッサは、イオン生成ターゲットをラスタ走査するように構成され得る。更に、少なくとも1つのプロセッサは、電磁放射ビームが、例えば、モーター及び/又は適応型ミラーを制御することにより、イオン生成ターゲットの表面を連続的又は不連続的にスキャンすることを生じさせるように構成され得る。イオン生成ターゲットの表面は、例えば、複数のパターン化された特徴及び/又は1つ又は複数のナイフエッジを含むことができ、且つ例えば氷、シリコン、炭素、プラスチック又は鋼を含むことができる。少なくとも1つのプロセッサは、モーター及び/又は適応型ミラーが、複数のパターン化された特徴の個々の1つに連続的又は同時に当たるように又はナイフエッジに当たるように電磁放射ビームを調節することを生じさせるように構成され得る。更に、少なくとも1つのプロセッサは、複数のパターン化された特徴の連続的な1つにわたる電磁放射ビームの連続的なスキャンを生じさせるように構成され得る。
[0282] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、少なくとも1つのイオン群を含むパルス化されたイオンビームを生成するように構成されたイオンソースと、少なくとも1つの電磁石と、電磁石の近傍のゾーンであって、パルス化ビームがそれを通して横断するように方向付けられたゾーンと、少なくとも1つの電磁石を選択的に起動するために少なくとも1つの電磁石に電気的に接続された少なくとも1つの自動化されたスイッチと、少なくとも1つの自動化されたスイッチを起動するように構成された放射トリガソースと、イオン群がゾーンを横断するときに少なくとも1つの電磁石を起動するように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0283] 放射トリガソースは、イオン、X線、電子及びレーザー放射のソースの1つ又は複数を含み得る。
[0284] 電磁石は、電磁界を生成するように構成され得、且つゾーンは、電磁石が起動されたるときに電磁界内にあるように方向付けられ得る。ゾーンは、約1インチよりも小さい寸法を有し得る。
[0285] イオンソースは、放射トリガソース及びイオン生成ターゲットを含むことができ、且つ放射トリガソースは、自動化されたスイッチを起動することと、イオン生成ターゲットを照射して、パルス化イオンビームを生成することとの両方を行うように構成され得る。
[0286] 放射トリガソースが自動化されたスイッチを起動する時点は、制御された遅延ラインによって調節され得る。制御された遅延ラインは、例えば、放射トリガソースが自動化されたスイッチを起動する時点をパルス化イオンビームと同期して調節するように構成され得る。
[0287] 自動化されたスイッチは、光伝導半導体スイッチ又はスパークスイッチを含み得る。
[0288] 少なくとも1つの電磁石は、パルス化イオンビームの軌跡に沿って直列の複数の電磁石を含み得、且つ少なくとも1つの自動化されたスイッチは、複数の自動化されたスイッチを含み得、複数の自動化されたスイッチのそれぞれは、複数の電磁石の異なる1つと関連付けられている。少なくとも1つのプロセッサは、イオン群がそれぞれの電磁石を横断するときに複数の自動化されたスイッチを順番に起動するように構成され得る。
[0289] 直列における1つ又は複数の電磁石の第1の電磁石は、オリジナルの軌跡から、方向転換された軌跡にパルス化イオンビームの一部分を方向転換するように構成され得、且つ直列における1つ又は複数の電磁石の第2の電磁石は、方向転換された軌跡から、オリジナルの軌跡に実質的に平行な経路にパルス化イオンビームの方向転換された一部分の少なくとも一部を再方向転換するように構成され得る。
[0290] 本発明の態様は、陽子線を生成するシステムを含み得、システムは、陽子エネルギースプレッド内の複数の陽子エネルギーを有する陽子線を提供するように構成された陽子ソースと、3次元座標系の2つの次元における陽子線と治療容積との間の相対的な移動を制御することと、実質的に固定された座標を他の2つの次元において維持しつつ、3次元座標系の第3の次元において治療容積の深さを調節するように陽子エネルギースプレッドを制御することとを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサとを含む。
[0291] 少なくとも1つのプロセッサは、例えば、ガントリを回転させること、電磁石で陽子線を導くこと及び/又は患者支持プラットフォームを移動させることにより、陽子線と治療容積との間の相対的な移動を制御するように構成され得る。
[0292] 陽子で治療容積を治療するシステムは、磁気アナライザ、飛行時間制御ユニット及びエネルギーデグレーダの少なくとも1つにより、陽子エネルギースプレッド及び陽子エネルギー分布を制御するように構成され得る。
[0293] 本明細書及び請求項は、「プロセッサ」又は「検出器」などのように単数形において要素を参照している場合がある。この表記法は、複数のこのような要素を包含することを意図していることを理解されたい。即ち、特定の機能は、同一の基板又はシステム上において配置された複数のプロセッサにわたって分割され得るか、又は別のボード上若しくは別のシステム内において遠隔配置され得る。プロセッサに対する参照は、「少なくとも1つのプロセッサ」として解釈することを要し、これは、引用された機能が複数のプロセッサにわたって発生し得、且つ依然として本開示及び請求項の範囲に含まれるものと見なされ得ることを意味するものとして理解されたい。これは、本明細書及び請求項の全体を通して単数形において記述及び参照されている検出器及び他の要素についても当てはまる。
[0294] 更に、上述の説明は、例示を目的として提示されたものである。これは、すべてを網羅したものではなく、且つ正確な開示される形態及び実施形態に限定することを意図したものでもない。本明細書の検討及び開示される実施形態の実施から変更形態及び適合形態が当業者に明らかになるであろう。例えば、陽子の生成がイオン生成ターゲットのレーザーによる照射との関係において上述されている場合、高周波結合などの他の陽子生成プロセスを使用することができる。更に、上述の説明の一部分は、放射線療法の治療としての医療における陽子の使用法に関係しているが、本明細書において記述されているシステム及び方法は、陽子線の他の用途及び陽子以外の他のイオンを伴う用途でも使用することができる。
[0295] 請求項は、請求項において利用されている言語に基づいて広く解釈することを要し、且つ本明細書において記述されている例に限定されず、これらの例は、非排他的なものとして解釈することを要する。更に、開示される方法のステップは、ステップの再順序付け及び/又はステップの挿入又は削除によるものを含む任意の方式により変更することができる。