JP6781435B2 - 粘膜再生用デバイスおよびこれを利用する粘膜欠損の治療方法 - Google Patents

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Description

本発明は粘膜再生用デバイスに関し、更に詳細には、粘膜切除を行った後にその部分の狭窄防止と上皮化促進を同時に可能とすることができ、消化管癌等での広範囲内視鏡的粘膜層剥離術に利用しうる粘膜再生用デバイスおよびこれを利用する粘膜欠損の治療方法である。
胃癌、食道癌等の消化器に発生する癌の治療方法として、内視鏡治療、手術的治療、化学放射線療法等が行われている。
このうち、内視鏡治療は、主に病変がリンパ節転移の無い早期食道癌や海外ではバレット癌およびバレット食道と診断される病変に対しおこなわれており、これには、(1)内視鏡的粘膜切除術(EMR)と(2)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2つの方法がある。EMRとは、癌の下に生理食塩水などを注入して隆起させてからループ状のワイヤーをかけて、ワイヤーをしぼり高周波電流を流して癌を焼き切る手法であり、ESDは高周波メスや、ITナイフを用いて癌を切り取る方法で、EMRでは切除が困難な部位やサイズの大きな癌・腫瘍などに対して利用される手法である。
しかし、ESDによって広範な切除(例えば、食道の3/4周、3cm以上)を行った場合、術後に食道狭窄が発症することが知られている。従って、早期癌であっても広範囲の切除が必要な患者は、ガイドラインによりEMR/ESD治療が制限され、非常に侵襲の高い手術療法が選択される。患部が一定の大きさを超えるような食道癌では、患者に対する侵襲が非常に大きく、合併症の発生率が高い外科的食道切除術が選択される。
このような患者に対する侵襲の問題は、腹腔鏡と胸腔鏡を併用した手術法により改善されつつあるが、患者の負担が少ないESD等の適用範囲を広げることがより強く求められている。
ところで、上記のように癌や腫瘍を切除した場所は潰瘍(傷)になるわけであり、例えば、食道においてそれをそのままにしておくとこの粘膜欠損部の再生に伴う炎症性肉芽組織の形成と筋線維芽細胞の過剰な増殖により、病的な組織収縮が生じ、結食道狭窄を来す。このような部分を保護するための手法として、食道ESD部への温度応答性細胞培養器材を用いた細胞シート移植や、口腔粘膜上皮を用いた細胞シートの移植が注目されており、治療効果が確認されている。
しかしながら、温度応答性細胞培養器材を用いた細胞シートの作製には、これに対応した細胞調整センターが必要で、このために費用が極めて高額となるという問題があり、また、口腔内上皮を用いる細胞シートの作成のためには、正常な口腔粘膜を切除し、これから重層扁平上皮細胞を得ることが必要となるため非病変部への侵襲が必須となるという問題がある。
WO2012/026531 A1 特開2015−203018
従って本発明の課題は、簡便な方法で、しかも安価に、食道狭窄を防ぎつつESD術後の粘膜欠損部の上皮化(再被覆化)を促すことができるような手段を提供することである。
本発明者らは、ESDの適用範囲を広げるためには、食道狭窄を防ぎつつESD術後の潰瘍部分を保護しうる性質を有する材料を見出すことが必須であると考え、このような性質を有する物質を探索していた結果、コラーゲンビトリゲルと呼ばれるコラーゲン高密度ゲルにそのような性質があり、これを特定の形態に加工することで、広い面積部分についても容易に適用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、複数の縦長のコラーゲンビトリゲル薄膜片を連結して形成したコラーゲンビトリルゲルシートよりなり、前記連結した連結線に対して直交する一方の辺が二重に折り曲げた折り曲げ部であることを特徴とする粘膜再生用デバイスを提供するものである。
また本発明は、前記コラーゲンビトリゲル薄膜片の一又はそれ以上が薬剤を含浸したものである上に記載の粘膜再生用デバイスを提供するものである。
更に本発明は、粘膜欠損部に近い部分の粘膜下に前記の粘膜再生用デバイスの折り曲げ部を差し込み固定し、粘膜欠損部またはこれに近い粘膜に上記粘膜再生用デバイスの折り曲げ部と反対側を固定することを特徴とする上記再生デバイスの設置方法である。
更にまた本発明は、消化管内に粘膜欠損を生じた患者に対し、当該粘膜欠損部の一方の側の健全組織の粘膜下側に切込みを、当該粘膜欠損部の他方の側の健全組織にクリップ用トンネルを設け、前記切込みに上記粘膜再生用デバイスの折り曲げ部を差込み、クリップを介して粘膜再生用デバイスの他方の片を前記トンネルで止めることを特徴とする粘膜欠損の治療方法である。
従来、食道ESD後に生じる狭窄に対する予防法は確立されておらず、研究段階としても、食道ステントやバルーン拡張、ステロイドの局所注入、細胞シート移植が行われているが、これらの治療法の有効性は低く、感染や術後の疼痛といった問題点が存在する。
これに対し、本発明の粘膜再生用デバイスは、食道狭窄防止と上皮化促進を同時に可能とするものであり、広範囲粘膜切除を行った場合であっても十分にその部分を保護しうるものである。
そして本発明の粘膜再生用デバイスは、内視鏡治療が可能な医療施設であれば、その使用に特別な技能を必要とせず、煩雑な細胞調整も不要であるため、従来の細胞シート移植に比べ、特段の施設を必要とせず、経済的に調製できる。
更にその原料としてブタアテロコラーゲンを使用した場合であれば、抗原性を示すテロペプチドが取り除かれており、生体適合性は非常に高く、医療機器としての有利に製品化することができるものである。
本発明の粘膜再生用デバイスを模式的に示した平面図である。 本発明の粘膜再生用デバイスの折り曲げ部を拡大した左側面図である。 本発明の粘膜再生用デバイスを粘膜欠損部に設置する状況を、模式的に示した図面である。 本発明の粘膜再生用デバイスを粘膜欠損部に設置した場合のCTGF陽性細胞数を対照と比較した写真である。左は対照群(Cont)、右は本発明デバイス貼付群(CVP)で、上側は炎症性肉芽組織の領域、下側は線維組織の領域についてのものである。なお、右上図での矢印は、左上図では多数認められるCTGF陽性細胞に対応する少数の細胞の存在を示す。 本発明の粘膜再生用デバイスを粘膜欠損部に設置した場合のαSMA陽性筋線維芽細胞数を対照と比較した写真である。写真の配置は、図4と同一である。 炎症性肉芽組織領域でのCTGF陽性細胞数を対照と比較したヒストグラムを示す図面である。 線維組織領域でのαSMA陽性筋線維芽細胞数を対照と比較したヒストグラムを示す図面である。
以下、本発明の一態様を示す図面と共に、本発明を説明する。
図1は、本発明の粘膜再生用デバイスを模式的に示した平面図であり、図2は、その右側面図である。図中、1は粘膜再生用デバイス、2はコラーゲンビトリゲル薄膜、3は折り曲げ部、4は連結部を示す。
この図1に示すように、本実施態様の粘膜再生用デバイス1は、コラーゲンビトリゲルシート2の上部を二重に折り曲げ、折り曲げ部3とすることで形成される。本態様のコラーゲンビトリゲルシート2は、4枚の短冊形をしたコラーゲンビトリゲル薄膜片(2aから2d)をその長手方向で連結することにより調製される。
このコラーゲンビトリゲル薄膜片(コラーゲンキセロゲル膜ともいう)は、既に公知のコラーゲンビトリゲル膜を乾燥させることによる得られるもので、高密度コラーゲン線維の高凝集性膜である。このコラーゲンビトリゲル薄膜はその厚みも数十μm(マイクロメートル)程度である。
このコラーゲンビトリゲル薄膜片は、高密度コラーゲン線維の薄膜乾燥体であり、例えば、ブタ、ウシ等の動物由来のアテロコラーゲンを原料に、特許文献1に記載の方法により作成できるものである。
本発明で用いるコラーゲンビトリゲル薄膜片としては、上記のアテロコラーゲンを原料とするアテロコラーゲンビトリゲル膜乾燥体が好ましく、特に、3型コラーゲンを1〜25%程度、好ましくは10%前後で含有するアテロコラーゲンビトリゲル膜乾燥体が好ましい。
このコラーゲンビトリゲル薄膜片は、任意の大きさ、サイズのものが利用できるが、例えば、それぞれ縦と横の比が、3:1ないし2:1程度の短冊形(縦長長方形)であることが好ましい。
本実施態様の粘膜再生用デバイス1の調製は、上記コラーゲンビトリゲルシート2を、コラーゲンビトリゲル薄膜片を連結させた場合の連結部4の線と直交する一端を折り曲げて折り曲げ部3を形成することにより行われる。
コラーゲンビトリル薄膜片間の連結は、特許文献2に記載の第2実施態様に準じて行うことができる。すなわち、コラーゲンビトリゲル薄膜片の連結させる所定幅の片部分にコラーゲンゾルを滴下、付着させ、この部分に他のコラーゲンビトリゲル薄膜片を接触させる。次いで、保温等により二枚のコラーゲンビトリゲル薄膜間のコラーゲンゾルをゲル化させ、これらコラーゲンビトリゲル薄膜を接着する。この工程を連結させるべきコラーゲンビトリゲル薄膜の枚数分だけ行う。更に、複数のコラーゲンビトリゲル薄膜の接着により得られたコラーゲンビトリゲル膜を乾燥することにより、ガラス化し、これに紫外線を照射し、結合部分での重層的結合を誘導させ、最終的に本発明の原料となるコラーゲンビトリゲルシート2を得る。
上記工程における紫外線の照射は、公知の紫外線照射装置を使用して行うことができる。また、紫外線の照射エネルギーは、単位面積あたりの総照射量が、70〜1,600mJ/cmであることが好ましく、400〜1,600mJ/cmであることがより好ましく、800〜1,600mJ/cmであることがさらに好ましい。この範囲の照射量であると、ビトリゲル薄膜間の接着を特に好ましいものとすることができる。
また、コラーゲンビトリゲルシート2の折り曲げ部3は、図2に示すようにその一端を、折り曲げ、次いで折り返し、さらに重ね合わせるように折り曲げることで形成される。この折り曲げ部3は、その断面が、大略「W」を横にしたような形状である。
以上説明した上記態様では、コラーゲンビトリゲル薄膜片は4枚であったが、その枚数はこれに限定されることなく適宜変更でき、例えば2〜5枚程度とすることが好ましい。なお、本発明の粘膜再生用デバイス1の大きさも、特に制限があるわけではないが、例えば、食道の粘膜欠損部に適用する場合であれば、3〜5×5〜5cm程度の大きさのものが好ましく、胃に使用する場合であれば、3〜5×3〜5cm程度のものが好ましい。大腸に使用する場合であれば、1〜3×1〜3cm程度のものが好ましい。
更に本発明の粘膜再生用デバイス1では、コラーゲンビトリゲル薄膜片の一部または全部に適当な薬剤、例えば、止血作用を目的としてトロンビン、フィトナジオン、トラネキサム酸などの止血薬、ステロイド、抗生物質、抗真菌薬、分子標的薬、細胞増殖因子等を含浸させ、薬効を奏させるようにしても良い。
例えば、再発を繰り返し、重篤な狭窄が予想される場合には、粘膜再生用デバイスの製造にあたり、抗炎症作用による狭窄抑制等を目的としてステロイド薬を含滲させたコラーゲンビトリゲル薄膜片を利用することも可能である。また、患者背景として感染症のリスクが高い場合は、上記ステロイド薬を含浸させたコラーゲンビトリゲルに加え、創部細菌感染や創部真菌感染予防を目的に抗生物質や抗真菌剤を付与したコラーゲンビトリゲル薄膜片を使用ないし組み合わせることで、患者ごとに特化した粘膜再生用デバイス1が簡単に作製可能である。さらに消化器癌の切除に起因する粘膜欠如の場合には、ゲフィチニブ、セツキシマブなどの血管新生分子標的薬(bFGF)や、分子標的併用予防薬であるHDAC阻害薬等を含浸させたコラーゲンビトリゲルを用いることも可能である。更にまた、ビトリゲルの作成過程でナノパーティクルも含滲可能であり、薬剤徐放性の粘膜再生用デバイスを製造することも可能である。
次に、本発明の粘膜再生用デバイス1の使用方法について、食道癌ないし腫瘍にESDを適用した場合を例に取り、図3を用いて説明する。
全周性の食道粘膜切除では、再生粘膜において口側Aよりも肛門側(胃側)Bの狭窄率が高いことが、本発明者らの予備実験で明らかとなっている。従って、この肛門側B部分にステント様の力学的強度を持たせることが、狭窄を抑制するために好ましい。
そこで、食道の粘膜欠損部に本発明の粘膜再生用デバイス1を固定する場合、強度の高い折り曲げ部3側を肛門側Bに取り付け、口側Aには反対側部分を取り付けることが好ましい。
具体的には、食道の粘膜欠損部の口側Aは、粘膜下にヒアルロン酸を注射して膨隆させ、そこにクリップ用の小さいトンネルを電気メスで作製し、折り曲げ部3の反対側をクリップ5で固定する。一方、肛門側Bでは、折り曲げ部3を粘膜6の下に形成した切込み部に少しだけ(例えば、2mm程度)差し込み、その上部の粘膜をクリップ5と共に固定する。
このように、折り曲げ部3があることで、本発明の粘膜再生用デバイス1を粘膜欠損部に容易に固定することができるようになるのである。
本発明の粘膜再生用デバイス1は、上記のように折り曲げ部3を有することで、特別な器具を用いることなく、粘膜切除面まで内視鏡により把持することが可能であり、また、その部分で固定することが可能になるのである。
上では消化管のうち、食道についての粘膜再生デバイスの使用について説明したが、それ以外の消化管においても広く使用可能である。
例えば、胃噴門部の粘膜欠損部に本発明の粘膜再生用デバイス1を固定する場合、強度の高い折り曲げ部3側を肛門側Bに取り付け、口側Aには反対側部分を取り付けることが好ましく、胃幽門部の粘膜欠損部に本発明の粘膜再生用デバイス1を固定する場合、強度の高い折り曲げ部3側を肛門側Bに取り付け、口側Aには反対側部分を取り付けることが好ましい。
また、十二指腸の粘膜欠損部に本発明の粘膜再生用デバイス1を固定する場合、強度の高い折り曲げ部3側を肛門側Bに取り付け、口側Aには反対側部分を取り付けることが好ましい。
さらに、直腸の粘膜欠損部に本発明の粘膜再生用デバイス1を固定する場合、強度の高い折り曲げ部3側を口側Bに取り付け、肛門側Aには反対側部分を取り付けることが好ましい(直腸では大腸ファイバーが使用されるので、胃カメラとは口側と肛門側が逆になる)。
ところで、現在市販されているコラーゲン材料は、フリーズドライ法を用いたコラーゲンスポンジが主体である。そして、アテロコラーゲンを原料とした場合には、スポンジ状態では力学的強度が著しく低く、使用に際してシリコン膜の補強が必要となるという問題があり、更に、強度を上げるために素材を厚くすると内視鏡や、オーバーチューブの内部を通過させることは不可能である。また、把持した状態で創部にアプローチする場合、粘液や血液の付着により形状が保てず、創部への貼付が困難であるという問題が考えられる。
これに対し、本発明の粘膜再生用デバイスによれば、高い力学的強度と形状の自由度を有し、粘液や血液に付着しても高い強度を有するコラーゲン膜を利用し、かつ把持部としての折り曲げ部3を有するため、ロール状に巻き上げた状態(図示せず)での内視鏡内の通過も可能で、しかも目的の位置への貼付が容易な扱いやすいものである。
[作用・機能]
本発明の治療対象臓器である食道粘膜等の消化器管粘膜は重層扁平上皮細胞層により被覆されており、皮膚組織と同様の細胞成分から構成される。本発明で用いたコラーゲンビトリゲル薄膜は、皮膚の広範囲欠損に対して、上皮化を促進した。更に線維化関連蛋白質の発現を抑制することで、筋線維芽細胞の増殖による創部の過剰収縮、即ち瘢痕形成を抑制した。本発明の粘膜再生用デバイスも食道内等での粘膜欠損部の病的収縮を抑制したことより、皮膚の再生促進作用と同様の機序が働いていると考えられる。
以下実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
粘膜再生用デバイスの調製
特許文献1(再表2012−026531)に記載のコラーゲンビトリゲル膜の作製法に従い、内径60mm外径64mmの壁面鋳型(底面積:28.26cm)内に、1.0%ブタアテロコラーゲン溶液(関東化学製)と無血清培養液を等量混和した0.5%アテロコラーゲンゾル28mLを注いでゲル化およびガラス化した。次いで、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBS)で再水和することで単位面積(1.0cm)当たりに5.0mgのアテロコラーゲンを含有する直径60mmの円形型アテロコラーゲンビトリゲル膜を作製した。
次に、特許文献2(特開2015−203018)に記載のコラーゲンビトリゲル膜の接着方法に従い、この直径60mmの円形型アテロコラーゲンビトリゲル膜から、50mm×9mmの形状でアテロコラーゲンビトリゲル膜(ビトリゲル膜片)を切り取った。同様にして計4枚のビトリゲル膜片得、これを利用して、コラーゲンビトリゲルシートを調製した。具体的には、一枚目のビトリゲル膜片の被接着部分に、上に上述の0.5%アテロコラーゲンゾル840μLを滴下し、被接着部分全体に行き渡るように広げた後、もう1枚のビトリゲル膜片の接着部分を重ね合わせた。この操作を、繰り返して、計4枚のビトリゲル膜片を接着した。次いで、このものを再度ガラス化することでその乾燥体を作製し、この乾燥体に片面あたり800mJ/cm(両面で1,600mJ/cm)の紫外線を照射することで、4枚のビトリゲル膜片が接着した、単位面積(1.0cm)当たりに10.0mgのアテロコラーゲンを含有させたコラーゲンビトリゲルシートの乾燥体1枚を作製した。
このコラーゲンビトリゲルシートの乾燥体PBSで再水和した。この長方形型のコラーゲンビトリゲルシートの短辺の10mm程度を二重に折り返すことで、粘膜再生用デバイスを調製した。
この作製した粘膜再生用デバイスを、折り返し部を内側にして直径15.5mmの円柱を有する25mLピペット(Falcon)の外周(48.7mm)が長方形の長辺で覆われるように巻き付けて再度ガラス化した後に外すことで、内視鏡の把持部を内側に有する直径15.5mm円筒型粘膜再生用デバイスを作製した。
この円筒型粘膜再生用デバイスは、内視鏡で容易に把持できるものであり、またオーバーチューブで容易に取り扱うことができるものであった。
実 施 例 2
内視鏡的粘膜層剥離術部への新デバイスの適用
以下の方法により、実施例1で調製した粘膜再生用デバイスを内視鏡的粘膜層剥離術部に適用した。
[実験方法]
動物: ブタ 雌 30〜35kg 6頭(対照群3頭、被験群3頭)
処置:
(1)全身麻酔下で、上部消化管用内視鏡を用いて食道粘膜切除術を行う。具体的には、長軸方向に3cmの全周性病変を想定する。粘膜下層に生理食塩水で希釈したヒアルロン酸ナトリウムを局注し、十分に筋層との距離を確保した後、内視鏡治療用の電気メスを用いて食道粘膜を切開する。粘膜下層が露出したら、直接粘膜下層を視認しながら粘膜下層の剥離を行い、仮想病変の切除を行う。切除後の人工潰瘍は約2週間で完全に狭窄し食物の通過障害をきたす。
(2)術後1週間目に内視鏡で狭窄の程度を確認する(麻酔下)。
(3)術後2週目に内視鏡で狭窄の程度を確認した後、安楽死させる。
[解析方法]
開存率の評価、上皮化の定量、形態および免疫染色を用いた線維化の評価により解析を行った。
[ 結 果 ]
1.本発明品は貼付後1週間では肉眼的に創部への遺残が認められた。2週目には遺残像は明瞭でなかった。
2.本発明品は未処置群と比較して、口側(66.7±14% vs 22.5±10%)及び肛門側(49.7±9.5 vs 22.2±8.8%)のいずれにも統計的に有意な開存率の向上(狭窄予防)効果を認めた。
3.本発明品は未処置群と比較して、統計的に有意な上皮化率を示した(58.7±25.9% vs 14.6±5.3%)。
4.本発明品は未処置群と比較して、統計的に有意な炎症性肉芽組織形成(149.4±23.3μm vs 423.6±95.5μm)および線維化抑制効果を示した(757.5±68.0μm vs 1477.3±360.8μm)。
5.本発明品は未処置群と比較して、統計的に有意なαSMA陽性の筋線維芽細胞の出現抑制効果を示した。ハイパワーフィールド(High power field)10視野における筋線維芽細胞数/紡錐形細胞数(25.1±7.0% vs 69.7±9.9%)。
実 施 例 3
線維化抑制及び組織収縮抑制の確認
実施例1で得られた粘膜再生用デバイスについて、以下のように線維化抑制及び組織収縮抑制効果を確認した。
まず、SPF家畜仔豚の食道に長軸方向に3cmの全周性病変を想定する。粘膜下層に生理食塩水で希釈したヒアルロン酸ナトリウムを局注し、十分に筋層との距離を確保した後、内視鏡治療用の電気メスを用いて食道粘膜を切開する。粘膜下層が露出したら、直接粘膜下層を視認しながら粘膜下層を長軸方向で約3mm、全周性に剥離し、この部分を仮想病変部(潰瘍部)とする。このようにして作製した仮想病変部に実施例1で得た本発明の粘膜再生用デバイスを貼付し、14日間放置した。
14日経過後、デバイスを貼付した潰瘍部の状況を内視鏡により観察した後に、仔豚を安楽死させ、その状態で食道を摘出した。摘出食道は直ちにホルマリン固定を行い、ホルマリン固定完了後、このデバイスを貼付した潰瘍部を中心に、病理カセットサイズに切り出しを行い、パラフィン包埋、薄切することにより組織切片を作製した。
この組織切片を、抗CTGF抗体および抗αSMA抗体による免疫染色を行い、それぞれ線維化を促進する蛋白質を産生するGTGF陽性細胞と、組織収縮の主体となるαSMA陽性筋線維芽細胞を、顕微鏡(オリンパス製BX53;対物レンズ10ないし20倍)を使用して観察し、それぞれの細胞数を測定した。対照としては、本発明デバイスを貼付しなかった実験的潰瘍部分の組織を使用した。
この結果を図4から図7に示すが、この結果から明らかなように、比較(Cont)に比べ、本発明デバイスを貼付した部分(CVP)では、炎症性肉芽組織部分においても、また線維組織部分においても、GTGF陽性細胞(図4)及びαSMA陽性筋線維芽細胞(図5)が少なかった。
また、炎症性肉芽組織領域でのCTGF陽性細胞数を対照と比較すると、50%以下と大きく減少しており(図6)、さらに線維組織領域でのαSMA陽性筋線維芽細胞数を対照と比較すると、約25%とより大きく減少していた(図7)。
1 … … 粘膜再生用デバイス
2 … … コラーゲンビトリゲル薄膜
3 … … 折り曲げ部
4 … … 連結部

Claims (4)

  1. 複数の縦長のコラーゲンビトリゲル薄膜片を連結して形成したコラーゲンビトリルゲルシートよりなり、前記連結した連結線に対して直交する一方の辺が二重に折り曲げた折り曲げ部であることを特徴とする粘膜再生用デバイス。
  2. 前記コラーゲンビトリゲル薄膜片の一又はそれ以上が薬剤を含浸したものである請求項1に記載の粘膜再生用デバイス。
  3. 薬剤が、止血薬、ステロイド、抗生物質、抗真菌薬、分子標的薬または細胞増殖因子から選ばれたものである請求項2記載の粘膜再生用デバイス。
  4. 薬剤を2種以上使用し、それらを異なるコラーゲンビトリゲルに含浸させた請求項2または3記載の粘膜再生用デバイス。
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