JP6778948B2 - セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体及びその製造方法並びに吸着材及び水浄化剤 - Google Patents

セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体及びその製造方法並びに吸着材及び水浄化剤 Download PDF

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Description

本発明は有機−無機複合(ハイブリッド)構造体に関し、特にセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体及びその製造方法とその水浄化剤への応用に関する。
無機と有機の構成要素とを組み合わせた機能的複合(hybrid)構造の持つ無数の自然パターンの構造的な複雑さ、作成の容易さ及び応用の可能性は常に研究者を魅了し、それらの組み立て過程を理解し制御する努力を鼓舞し続けてきた(非特許文献1〜3)。全体がミクロンスケールのサイズを持ち、構成する部位はナノスケールの複雑な部品からできている階層的複合構造を実験室ベースで合成しようというアプローチは、充分に定義された構造物を製造する際と同程度に精緻な水準で制御できていない(非特許文献4〜8)。生体分子から生成される有機−無機複合の「花状構造体」(生物無機複合体(bioinorganic hybrid)とも称する)は、その生触媒作用(biocatalysis)、薬物送達、バイオセンシング等の広い応用(非特許文献9〜12)を有するために、最近ますます関心を集めている。生体分子と無機材料との相互作用は、複合材料自体の持つ機能性をさらに増大させる役割を果たす。稠密構造の球体あるいは多面体のようなコンパクト構造と比較して、階層的な花状構造体ははるかに大きな表面積を有し、また多孔性を有していればその機能性がさらに一層拡大される(非特許文献9)。ナノスケールの花状構造体のコアに生体分子を固定し取り込むことで、溶液中を自由に動き回る分子に比べてより大きな活性、耐久性及び安定性を示すようになる(非特許文献9〜13)。また、複合構造体に含まれた生体分子を、構成する階層的モルフォロジーを壊すことなく取り除くことができれば、生体分子が入っていた場所は空き領域になり、多孔性及び表面積は増大する。このような手法によって作り出された構造体は、優れた触媒となりうる(非特許文献14)。
生物分子複合体はその組み合わせられた機能の応用によるだけではなく、化学的に多様であり、組成が柔軟であり、また生体適合性が良好であることから、これを製造することに多大な努力が注がれてきた。しかしながら、これまでに報告されたところでは、階層的な生物無機複合体の大部分は酵素分子を使用して作製されている。従って、多様な側面での可能性を探索するため、他の機能性生体分子を実現することが強く求められる。
天然の高分子であるシルク(絹)は大いに有望な生体ポリマーの一つであるが、シルクは数千年間に渡って織物業及び医療用途における伝統的な用途の面で豊かな歴史を有している(非特許文献15、16)。シルクは簡単に入手でき、機械的強度、光学特性及び生体適合性が良好であり、また劣化の管理が可能であることから、シルクは多機能先端材料の有望な候補となっている(非特許文献15〜17)。
最近の大きな進展により、フォトニクス(非特許文献18)、リソグラフィー用レジスト(非特許文献19)、微細構造パターン(非特許文献20)、生物医学的機器(非特許文献21)及び薬剤送達(非特許文献22)へのシルクの応用についての希望の持てる新たな可能性が明らかにされ、これによって、シルク応用のホストとして用いるためのシルクベース材料を多重スケールで作製するための革新的な手法を更に開発することが必要となった。蚕から得られたシルクは主に2種類のたんぱく質、すなわち繊維のコア部分のタンパク質であるフィブロイン(fibroin)及びセリシン(sericin)と呼ばれる膠質タンパク質(glue protein)からなる。セリシンは製品として供給される絹糸の主成分となるフィブロイン繊維上に連続した粘着性の層となって被覆し、シルク繊維同士を接着することによって繭を生成する。不溶性であるフィブロインとは異なり、繭のたんぱく質の30%を占めるセリシンはこれまでは産業廃棄物として取り扱われてきた。しかしながら、セリシンは良好な親水性、生分解性、並びに酸化、バクテリア及び紫外光への耐性などの独特な特性を有する(非特許文献23〜26)。セリシンはまた各種の生物学的活性及び薬理的機能を示す一方、培養基に添加することによって細胞の付着、成長及び増殖を増進する(非特許文献28、29)。
このような各種の有利な性質があるにもかかわらず、機能性構造の作製のためにセリシンを使用することは、セリシンを処理して有用な材料を得ることが困難であるために、これまでに充分に研究されてきたフィブロインに比較すると、その範囲は依然として限られている。しかし、最近のいくつかの研究でシルクのセリシンの興味深い応用が調べられ、セリシンの有用性についての新たな展望が開かれた(非特許文献29、30)。
このような可能性は別としても、階層的な複合花状構造体を作成するためにセリシンを選択することを強く動機付ける2つの主要な理由がある。第1に、セリシンが有するアミノ酸の大部分は水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のような強い極性を持つ分子鎖を有している点にある。その結果、セリシンは水溶性を有し、金属と強く結合する特徴を持つ(非特許文献17、31)。第2には、セリシンは非常に安価であって豊富に得られる材料であって、通常は生糸製造の際の脱ガムプロセスの間の副産物として廃棄されてきた(非特許文献17)点にある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消し、生糸製造の際の副産物として充分に利用が進んでいなかったセリシンを使用して、複雑なナノ構造を有するセリシン−ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite、HAP)複合構造体(以下、セリシン−HAP複合花状構造体、あるいは単に複合花状構造体とも称する)を提供することをその課題とする。また、水に溶けた重金属イオンや発がん性のある繊維染色用染料のコンゴレッド(Congo Red、CR)等の染料類等の人体に有害な物質を良好に吸着することで排水中から除去する吸着材及び水浄化剤としてこの複合花状構造体を利用することにある。
本発明の一側面によれば、複数のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合ナノシートを有し、前記複数のナノシートが中心部から互いに異なる方向に伸びるように前記中心部で結合されたセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体が与えられる。
ここで、前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体は略球状の形状、もしくは、ポーラスな形状を有してよい。
また、平均サイズが2〜10μmの範囲であってよい。
また、前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合ナノシートの平均厚さは10〜25nmの範囲であってよい。
本発明の他の側面によれば、セリシンと塩化カルシウムとを溶解させたリン酸緩衝生理食塩水からの沈殿としてセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を製造する方法が与えられる。
ここで、セリシン濃度が0.1〜3mg/mLであり、塩化カルシウムの濃度が10〜300mMであってよい。
本発明の更に他の側面によれば、前記何れのセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体からなる重金属イオン及び染料の少なくとも一方を吸着するための吸着剤が与えられる。
ここで、前記重金属イオン及び染料はPb(II)、Cd(II)、Hg(II)及びコンゴレッドからなる群から選択される一または複数であってよい。
本発明の更に他の側面によれば、前記何れかの吸着剤からなる水浄化剤が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、前記何れかのセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を積層した膜状のフィルターからなる水浄化剤が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、重金属イオンを溶解させる試薬によって、前記吸着した重金属イオンを前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体から分離する、前記何れかの吸着材を再生する方法が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、重金属イオンを溶解させる試薬によって、前記吸着した重金属イオンを前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体から分離する、前記水浄化剤を再生する方法が与えられる。
本発明によれば、表面積が非常に大きい複合構造体を簡単に作製することができる。更に、この複合花状構造体は、その表面積が大きいことからPb(II)、Cd(II)、Hg(II)等の重金属イオンや有害な色素類などを良く吸着するため、水浄化剤として有用である。
本発明の一実施例のセリシン−HAP複合花状構造体のSEM像及びTEM像。(a)セリシン−HAP複合構造体の集団のSEM像。(b)単一のセリシン−HAP複合構造体のSEM像。(c)上記(b)をさらに拡大した像。(d)単一のセリシン−HAP複合構造体のTEM像。(e)セリシン−HAP複合構造体を構成する花弁状ナノシートのTEM像。(f)花弁状ナノシートの結晶格子を示す高分解能TEM像(差し込み図は結晶格子縞の横方向構成を示す拡大像)。 左上の図は本発明の一実施例のセリシン−HAP複合花状構造体のHAADF−TEM像であり、残りの図はそのC、N、O、P及びCaの元素マッピングである。これらの元素は、濃度は異なるが何れも一様に分布していることがわかる。 (a)結晶性の複合構造体及びアモルファス状のシルクたんぱく質であるセリシンのXRDパターンを示す図。また、図の最下部には標準ヒドロキシアパタイトのXRDパターン(JCPDS 09−0432)を示す。複合構造体のXRDパターンとヒドロキシアパタイト結晶のピーク位置が同じであることから、複合花状物は主にヒドロキシアパタイトで形成されていることが示唆される。(b)結晶性複合構造体及びシルクたんぱく質であるセリシンのXPSスペクトルを示す図である。 (a)セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体と合成したヒドロキシアパタイト粉末の窒素ガス吸脱着曲線を示す図。セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体では表面積が2倍以上に増加している。(b)HAP複合花状物及び合成されたHAPの細孔径分布曲線を示す図。 (a)15mg/Lの濃度のPbイオン水溶液に対して、セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を5mg/20mLの比で混ぜて、時間に対して吸着による除去の割合をプロットした結果を示す図。挿入図は、水溶液中のPbイオン濃度を2mg/Lから60mg/Lへ変化させ、15分後の単位複合体あたりの吸着量をプロットした図。(b)各重イオン(Pb,Cd,Hg)(濃度:15mg/L)水溶液に対して、複合構造体(濃度5mg/20mL)によって吸着されて除去される割合を時間に対してプロットした図。 セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体の水溶液(5mg/L)に、Pbイオン(濃度15mg/L)が吸着することで構成されたPbナノロッドのSEM像。 (a)セリシン−HAP複合構造体上に成長した多数のナノロッドのTEM像。(b)STEM−EDXマッピング。(c)及び(d)Pbナノワイヤの形成を示すHAADF−TEM像(明るく見える部分がPbの存在を示し、やや明るい部分がCaの存在を示す)。 (a)階層的セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体の水溶液(2mg/L)に、コンゴレッドを0.05mg/mLほど混ぜた溶液で、コンゴレッド分子が複合構造体に吸着することで溶液中の濃度が低下して、吸収率が時間とともに変化する様子を示す吸収スペクトル。挿入図:吸着前後の溶液と複合体粉末の写真。(b)溶液の吸収率の時間的変化を示した図。 (a)セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を使用して水浄化を行うためのフィルターシステムの概念図。右上の差し込み図はそのフィルタ部分の写真。(b)フィルターシステムの全体写真。
本発明は、環境に優しいセリシン(有機材料)と骨や歯の主成分として知られるHAP(無機材料)との複合構造体を簡単に作り出す方法、及び当該構造体の有する水浄化機能に関するものである。
セリシンは水溶性のタンパク質であり、これを高い生体親水性を示す塩基性リン酸カルシウムとリン酸バッファー中で混合してシェイクした後、1日程度放置するだけで自己組織的に成長し、表面積が非常に大きな階層的な微細構造を生み出す。このセリシン−HAP複合構造体は薄片の集合体をなしており、全体として花のような外観を呈するので、本願ではこの形状を「花状」と呼ぶことにする。また、この複合花状構造体は吸着可能な表面積が200cm/gという大きな値を持ち、重イオンや染料が混入した水溶液に対して高い水浄化能力を有する。重イオンなどが吸着したセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体は、フィルターなどで簡単に取り除くことができるほか、1%程度の濃度の酢酸水溶液によって重イオンのみを取り除き再利用することも可能である。この複合花状構造体は親水性を有し、水に溶け込んだ有毒の重イオンや染料の除去剤、高効率の触媒材料、細胞培養の骨格、センサーや保水・保湿剤としての機能を持つ。
本発明では、環境にやさしくしかも簡単な共沈法を使用し、水溶性生体ポリマーであるシルクタンパク質、すなわちセリシンの好ましい材料特性を生かすことにより、階層的HAP複合構造体が作製される。セリシンは全質量の数%を占めるだけで花状のHAP複合構造体の形成に重要な役割を演じる。この合成された階層的構造体は大きなBET表面積を有し、排水からのPb(II)、Cd(II)、Hg(II)等の有毒な重金属イオンの優れた吸着特性を示す。これにより、本発明のセリシン−HAP複合構造体は水浄化用の優れた吸着材となる。この吸着材の最も重要な特性の一つとして、短時間(15分未満)のうちに水溶液中からPb(II)イオンの99%以上を吸着することが挙げられる。これは、吸着後にセリシン−HAP複合構造体の階層的な表面上にPbナノロッドが一様に分布して成長するという本願発明者が見出した現象のために、他の重金属に比べてPb(II)が効率的に吸着されることによるものである。更に、HAP複合構造体は発がん性の染料であるCRを汚染された水から除去するための有望な吸収特性を示した。
このように、製造が簡単で低コストであること、大きな表面積を有すること、非常に高速で且つ大量の吸着能力を有すること、また分離が容易であること等の多様な利点により、本発明のセリシン−HAP複合花状構造体は水浄化のための魅力的な吸着剤であることがわかる。更には、生体適合性を有する、シルク由来のセリシンは培養媒体への応用が良く知られており、他方、HAPベースの材料は生物医学分野で広く応用されてきている。従って、階層的な多孔質構造体を形成する両者の組み合わせは生物医学に応用できる可能性のある複合材料として、相乗効果を発揮する態様での非常に有効な足場となる。全体的に見て、本発明のHAP複合構造体は、環境面また経済面の利益についての大きな可能性を有する高付加価値の材料を開発するという点で、産業廃棄物であるセリシンの実り豊かな活用となるであろう。
以下実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。当然のことであるが、以下の実施例は本発明の理解を助けるために提示するものであって、これによって本発明を特定の形態に限定するという意図はないことに注意されたい。
[セリシン−HAP複合花状構造体の作製]
共沈反応の前駆体試薬として高純度のセリシン(和光純薬株式会社)、塩化カルシウム二水和物(シグマアルドリッチジャパン)及びリン酸緩衝生理食塩水(ロンザ(Lonza)、1X PBS 17-516F)を使用した。貯蔵液を調製するため、Milli-Q純粋脱イオン水を使用した。
200μLのCaCl水溶液(100mM)を、セリシンを0.5mg/mLの濃度で含有する4mLの1X PBS(pH7.4)に添加し、その混合液を数分間静かに振蕩させた。その後、25℃で24時間保持した。これにより生成された白い花状複合構造体の沈殿を収集し、脱イオン水で繰り返し洗浄した後、室温で乾燥した。全ての作業は、室温(25℃)で実施した。したがって、水溶液も同様の温度である。
[作製したセリシン−HAP複合花状構造体の特性測定]
<SEMによる解析>
作成したセリシン−HAP複合花状構造体を充分に水洗した後、高濃度の溶液をガラス基板上に堆積させて乾燥し、その後白金コーティングを施した。Hitachi S4800及びSU8000電界放射顕微鏡を使用してそのSEM像を得た。
<TEMによる解析>
セリシン−HAP複合花状構造体の希釈分散液2μLをモリブデン及び銅製のTEMグリッドに与え、室温で乾燥させた。その後、JEOL JEM-2100F高分解能電子顕微鏡を使用し、動作電圧200kVでTEM像を得た。また、走査型透過電子顕微鏡(STEM)モードにて、HAADF(high angle annular dark field)像及びEDXマッピングを得た。
<XRD解析>
Rigaku Rint 2000 Ultima IIIX線回折計によりCu Kα放射(λ=1.5406Å、40kV/40mA)を使用してXRD解析を行った。2θ走査範囲は0.02°ステップで1°〜80°とし、走査速度は1°/分とした。
<XPS解析>
Thermo Fisher ScientificのTheta Probeシステムを使用してXPS解析を行った。
<熱重量(TG)分析>
熱重量分析はSII Exstar TG/DTA 6200熱分析計により、二窒素動的雰囲気(dynamic atmosphere of dinitrogen)(流速=30cm/分)で行った。試料はアルミナるつぼ中で5℃/分の速度で25℃から500℃まで加熱した。
<表面積及び穴サイズ測定>
比表面積は、試料を100℃で20時間真空乾燥させた後、Auantachrome Autosorb iQ2自動化ガス収着解析装置を使用して得られた窒素吸着脱等温線から、Brunauer-Emmett-Teller(TET)法により求めた。セリシン−HAP複合花状構造体の細孔サイズ分布曲線は、窒素等温線の脱着ブランチ(desorption branch of nitrogen isotherm)に基づいて、Barrett-Joyner-Halenda(BHJ)法を使用して計算した。
<重金属イオン吸着測定>
重金属イオン源としてPb(NO、Cd(NO・4HO及びHg(NO・HOを水に溶解することにより、夫々各種の濃度のPb(II)、Cd(II)及びHg(II)イオンの水溶液を準備した。5mgのセリシン−HAP複合花状構造体を上記重金属水溶液(初期濃度15mg/L)に夫々混合し、室温で2時間攪拌した。特定の期間が終了した後、溶液を取り出し遠心分離により直ちに固形物と上澄み液体とに分離した。上澄み溶液中に残る金属イオン濃度を、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって分析した。これは、複合構造に吸着せずに溶液中に残留する金属イオンの濃度を示すものである。Pb(II)についてはその初期濃度を変化させ(2〜60mg/L)て、室温で一定時間攪拌することで、吸着等温線を求めた。
一方、ろ過フィルター材料として、セリシン−HAP複合体を使用した。市販の紙フィルターの上に、複合体粉末約10mg程度を堆積させた。この簡易フィルターに鉛イオン水溶液(濃度15mg/L)を透過させ、透過した溶液中のイオン濃度を誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって分析することによって、ろ過能力を評価した。
重イオンが吸着した複合体から、重イオンを低濃度酢酸溶液を用いて再溶解して回収する実験を実施した。
<コンゴレッド染料吸着測定>
セリシン−HAP複合花状構造体の染料吸着特性は、染料分子の時間依存UV吸着を検討することによって調べた。典型的な実験では、6mgのセリシン−HAP複合花状構造体を3mLのコンゴレッド水溶液(0.05mg/mL)に添加した。UV測定は各種の保持時間の試料についてUV-VIS-NIR Spectrophotometer(V-570, JASCO)を使って行った。
[実験結果及び解析・検討]
本発明の一実施例のハイブリッド複合構造体は、先ず、CaClの水溶液をシルクタンパク質であるセリシンの透明溶液を含むPBS中に加えるという、二つの要素の単純な混合により作成された。これによりできた混合物を次に数分間穏やかに振蕩して室温(約25℃)に保持した。24時間後、白っぽく、また多孔質で一様に成長した花状の形態を有する沈殿が現れていた。図1(a)及び(b)はこの複合構造体の全体的な形態をSEMで観察した像を示す。図1(c)の高分解能のSEM像は、花状の形態中の、厚さが10〜15nmの範囲での階層的な構成を明確に示す。この花状の形態では、複数枚の花弁が中心部からいろいろな方向に延びている。セリシン自体は各種のナノ粒子を形成するように自己組織化させる機能を有する。一方、塩化カルシウム自体を1X PBSに混入するだけでは、沈殿して塊状の大きな結晶を形成したが、花状の形態を有する構造物は形成されなかった。
合成された状態での複合花状物のTEM像を図1(d)〜(f)に示す。図1(e)に示すナノシートでできた花弁は湾曲し波打った形状であり、隣り合う花弁同士の間に多くの空隙を有している。図1(f)に示す高分解能TEM像中の格子縞はその構造体の周期性に対応している。
複合花状物のエネルギー分散X線(EDX)分光分析により、元素C、N、O、P及びCaの存在が明らかになった。EDX元素マッピングの示すところでは、図2に示すように、HAP材料の主要な要素である元素Ca、P及びOは複合花状物を構成するナノシートでできた花弁中で他の元素に比べて卓越して分布していた。更に、図2より、セリシンたんぱく質由来の元素C及びNは、花弁に一様に分布していることも示された。
X線回折(XRD)を用いて、複合花状物の結晶構造体の特徴を調べた。図3(a)に示すように、複合花状物の鋭い回折ピークとアモルファス状のシルクセリシンのブロードな回折ピークの比較から、複合花状物の高い結晶性が確認された。また、これも図3(a)に示す通り、複合花状物の回折ピークは天然のHAP材料の回折ピーク(JCPSD No.09−0432)と良く一致した。
更に、X線光電子分光分析(XPS)により、複合花状物の表面特性を調べた。図3(b)に示すところの0〜1400eVの範囲でスキャンした試料のXPSプロファイル
は、元素C、N、O、P及びCaの存在を示した。C1s及びN1sの高分解能XPSスペクトルはシルクたんぱく質であるセリシンの特徴的な官能基の存在をはっきり示した。一方、Caの結合エネルギーデータはリン酸カルシウムの存在を示しており(Ca2p:347eV、350.5eV)、また主要な2つの要素であるO1sピーク(531.5eV)及びP2pピーク(133.3eV)はPO −3基によると考えられる。従って、特徴結合エネルギーピークは、複合構造体中にタンパク質分子及びリン酸カルシウムが存在していることを明確に示している。
熱重量分析(TGA)を行い、複合花状物中の各種の成分の割合を、これらの要素の重量損失ステップが異なることを利用して解析することによって調べた。温度範囲25℃〜200℃での初期重量損失は約5.6%であったが、これは物理的に吸着され結合されていた水分子が除去されることによる。2番目の重量損失ステップは200℃〜450℃で起こったが、これは複合花状物のセリシン分子が完全に分解されたことによると考えられる(非特許文献32)。この温度範囲における重量損失の大きさはほぼ5%であったが、これはこの複合材料中のセリシン分子の全重量パーセントに相当すると考えるべきである。一方、熱処理の後の残余の質量は複合構造体中の無機成分に対応していて、その量は約89.4%と計算された。この現象は前駆体材料であるセリシンのTG解析によりさらに確認された。
これらの階層的複合構造体の形成機構は、最近公表されたたんぱく質ベースの同計算複合花状物の論文(非特許文献33〜37)と同様である。図3(a)に示すように複合体構造体のXRDパターン中のピーク位置はHAP結晶についてのピーク位置と同じであり、また図1(f)に示すようにナノシートである花弁のHR−TEM像中に広範囲で一様に配列された格子構造も観察されることから、複合花状物の花弁はHAP材料の規則的な配列によって形成されていると結論付けることができる。セリシンたんぱく質の元素C及びNが一様に分布していることは、花弁のHAPフレームがセリシン層によっておおわれていることを示している。本来的に親水性のたんぱく質であるセリシンは主にアミノ酸バックボーンの配位機構によりHAP表面と錯体を形成し、ナノシートである花弁を形成するための接着剤として働く。これらのナノシートは更に自己組織化して、花状の形態を有する階層的多孔質構造体を形成する。HAPセリシンなしでは階層的構造体を形成しないので、たんぱく質であるセリシンは自己組織化成長において重要な役割を演じる。
階層的構造体の比表面積、平均細孔サイズ及び細孔容積は材料の吸着能力の増強にあたって顕著な役割を演じる。これらの合成花状階層的複合材料は大きな表面積を有すると期待された。この表面積は標準的なBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定された。図4(a)は本発明の複合構造体及び合成された状態でのHAPの典型的な窒素吸着脱等温線を示す。調査の結果によれば、作成された状態での3次元HAP複合花状物は非常に大きなBET表面積である373.2m/gを明らかに有していて、これは合成された状態での前駆体であるHAP材料のBET表面積である153.9m/gよりも非常に大きいというだけではなく、これまでに報告された階層的HAP構造体(非特許文献38〜41)から顕著に増加している。吸着結果はタイプIVの等温線を示し、それが有する特徴的なヒステリシスループは、微細構造中にメソ細孔が存在することを示していて(非特許文献41、42)、これらのメソ細孔は比較的狭く、主に3〜20nmの範囲内に中心を有するメソ細孔サイズ分布を有し、図4(b)に示すように、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)脱着法から、1.239cm/gの累積細孔容積を有する。
[重金属及び有機染料の吸着]
本発明に係る複合花状物はそのままで重金属や有機染料を吸着することができ、従ってこれらで汚染された水を浄化する水浄化剤として使用することができる。典型的な重金属イオンであるPb(II)、Cd(II)及びHg(II)を吸着対象として選択し、これらの水溶液との接触時間及び水溶液中の吸着質であるこれらのイオンの濃度を変化させて実験を行った。選択したこれらの重金属イオンは水資源中の環境面で有害で高度に有毒な主要汚染物質の一角を占めており、これらを効率的に除去することは飲料水の安全性確保のために非常に重要である(非特許文献43〜49)。
図5(a)に、本発明の上記実施例で作製した階層的花状物への初期濃度Cが15mg/LのPb(II)イオンの吸着速度、すなわち各時点でのPb(II)イオン濃度をCとしたときのC/Cの時間変化を示す。これより、吸着過程は急速に進行し、吸着開始から15分以内で平衡状態に到達することがわかった。この迅速な吸着速度は重金属イオンの濃度を変化させても観察できた。吸着特性を更に調べるため、Pb(II)の初期濃度を2mg/L〜60mg/Lの範囲で変化させ、各種の時間間隔でHAP複合花状物の吸着等温線の実験(試料を20mL当たり5mg投入)を行った。その結果の一部を図5(a)の差し込み図に示す。HAP複合花状物のPb(II)に対する最大吸着容量は248mg/gと計算されたが、これはこれまでに報告された、同等な実験条件下でのHAP構造の最大吸着容量(非特許文献39〜41)よりもはるかに高い値であり、また高速であった。更には、比較基準として、作製されたままの状態のバルクHAPの同等な実験条件下での吸着の能力を調べたが、バルクHAPの吸着速度は2時間の吸着を行った時点でもHAP複合花状物よりもはるかに低かった。これにより、優れた吸着効率のための大表面積を有するセリシン介在複合花状物構造の必要性を他の側面からも確認できる。
更に、図5(b)に示すように、この階層的複合花状物は汚染された水からCd(II)、Hg(II)等の他の危険な重金属を除去するための効率的な吸着剤となることがわかった。この場合もまた、最初の15分内で急速な吸着過程が観察され、その後の吸着は比較的ゆっくりと進行して平衡状態が達成された。しかしながら、これらのイオン間で吸着速度を比較するとかなりの差があり、速度が遅い順に並べるとHg(II)<<Cd(II)<Pb(II)となった。また、図5(b)に示すように、吸着開始から15分経過後のこれら重金属イオンHg(II),Cd(II)及びPb(II)の除去率は夫々42.5%、89%及び99.9%であった。この結果は、Pb(II)に対する吸着効率はCd(II)よりもかなり高いことを明示しており、また同じ吸着時間で見たとき、Hg(II)の吸着効率は他の2種の重金属イオンと比較して非常に低いことが示された。
Pb(II)の吸着効率が高いことは、HSAB則(hard and soft acid-base theory)(非特許文献50、51)を使って解釈できる可能性がある。水溶液中ではPb(II)イオンはCd(II)イオン及びHg(II)イオンよりも硬く、境界的なルイス酸(borderline Lewis acid)として振る舞う。これにより、Pb(II)イオンは複合花状物中の境界的なルイス塩基(borderline Lewis base)であるオルトリン酸イオンと優先的に相互作用する。更には、重金属イオンについてのこの階層的な構造体の吸着機構が実現されるには、静電的相互作用、表面錯体形成、柔軟性及び/またはイオン交換が関与すると考えられることに注意しなければならない(非特許文献52〜54)。作製されたままの状態でのHAP複合体の優れた性能は、大表面積でかつ重金属除去のための非常に多くの活性サイトを提供するところのシルクのセリシン由来の豊富な表面官能基を有する階層的な構造によるものであるとすることができる。
一般に、HAP表面への金属の結合は、Ca(II)イオンをM+2イオン、つまりPb(II)、Cd(II)、Hg(II)等と交換するイオン交換機構により説明できる(非特許文献55〜57)。Ca(II)のようなアルカリ土類金属は、イオン交換現象により変化しやすいという性質により、二価の金属イオンにより容易に置換される(非特許文献55〜57)。しかしながら、各種の重金属についての吸着過程の効率について観察された差異は、イオン交換機構を補助する電気陰性度とイオン半径との組み合わせの効果に依存する。
更に、非常に速い吸着過程(15分未満)及び吸着後のHAP複合体の花状構造の破壊もまたイオン交換機構の関与を示す(非特許文献55、58)。上で述べたように、Pb(II)は以前の報告(非特許文献59)とよく一致するところのHAP複合体への強い親和性を有する。他の重金属と比較したときの複合花状物へのPb(II)イオンの相対的に大きな吸着はPb(II)イオンの電気陰性度及びイオン半径が適切であることによるものであって、これが水溶液中のPb(II)イオンとセリシンが介在した階層的な多孔質構造体中のHAPのCa(II)イオンとのより良好な陽イオン交換を促進しているのかもしれない。従って、大量のPb(II)イオンが複合花状物上に非常に迅速に集積され、次いで六角形の面を有する一連の長手方向に伸びたナノロッドが成長を始めた。稠密に充填された20nm〜200nmの直径を有するナノロッド構造がHAP複合花状物の階層的な表面上に特有な成長を起こすのを見るのは興味深いことである(図6、図7)。
走査型透過電子顕微鏡(STEM)によるEDX解析及びシーケンシャルな元素マッピングにより、図7(b)〜(d)に示すように、新たに成長したナノロッド形態中にPbが存在することが確認できた。Pb(II)イオンの初期濃度が低い場合には、検知可能なナノロッド形態は観察されなかったが、もっと高い濃度では、多数のナノロッドが複合花状物上に成長した。しかし、結晶質の硝酸鉛は水溶液中から六方晶系の微小構造物を形成した。ナノロッドの成長の程度及び形態上の差異は、結晶成長のために表面上及び表面近傍上に吸着されたPb(II)イオンの濃度の違いによるものであった(非特許文献60)。この結果は、吸着材表面への非常に高速で強固な重金属イオンの固定及びその結果として起こるナノロッド形態の成長の直接の実験的な証拠であることが判明した。その反対に、Cd(II)イオンあるいはHg(II)イオンについては電気陰性度及びイオン半径があまり好ましくないため、吸着剤とこれらの重金属イオンとの間の陽イオン交換現象が比較的不活発となり、複合花状物の表面には同じ実験条件下でもこれらの重金属は非常に少量しか集積せず、上述のような対応する重金属のナノロッドの特有の成長は起こらなかった。このことは、水からの危険な陽イオンの完全かつ迅速な除去及び吸着剤からの浸出を避けるための安全な廃棄のために非常に重要である。更に、ナノロッドが稠密に一様分布した構造は、取り込まれた重金属を回収し再利用するための手段を提供する可能性がある。
更には、セリシンを埋め込んだHAP複合体を汚染された危険な染料の除去に拡張することをも試みた。ベンジジンベースの陰イオン染料であるコンゴレッド(CR)は主に繊維工業の工場から排出されるものであるが、この染料を除去対象の具体例として取り上げた(非特許文献62、63)。CRは水性生物に急性毒性を示し、また人間に対する発がん性を有する(非特許文献61)。従って、水を環境へ放出する前にその中に残留しているCRを除去することは非常に重要である。図8は階層的HAP複合構造体を使って初期濃度が50mg/LのCR染料を吸着した実験の結果を示す。図8(a)の差し込み図の上側はCR水溶液(左は吸着開始直前、右は吸着開始から12時間経過)を、また下側は階層的HAP複合構造体粉末(左はCR水溶液への投入前、右は12時間吸着を行った粉末を取り出したもの)からわかるように、染料分子の大部分は水から吸着剤へ移動し、12時間後には水溶液の色がかなり薄くなり淡い赤色(図8(a)はモノクロ化してあるため、灰色に見える)を呈するだけになった。図8(b)に示すように、吸着開始後の最初の4時間で、染料分子のほとんど50%が吸着され、その後の吸着速度は低下した。初期段階における大きな吸着速度は、おそらくCR分子が吸着剤の外表面の活性サイトに急速に接触することによると考えられる。階層的HAP複合体は一般に、シルクセリシンのアミノ酸骨格に由来する水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の各種の表面活性基により覆われている。従って、アミノ基及びスルホン基で官能基化されたCR染料は、静電相互作用あるいは水素結合によって、セリシンが介在したHAP複合体との強い相互作用を有し、これによってこの危険な染料の顕著な除去を引き起こす可能性がある(非特許文献62)。
水浄化のために使用できるろ過フィルターの材料として、セリシン−HAP複合体を使用した。市販の紙フィルターの上に複合体粉末約10mg程度を堆積させた(図9(a)参照)。この簡易フィルターシステム(図9)に鉛イオン水溶液(濃度15mg/L)を透過させると、複合体に鉛イオンが吸着して浄化される。透過した溶液中のイオン濃度を誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)によって分析することによって、ろ過能力を評価した。ほぼろ過する前の水に含まれた鉛イオン濃度は、9.02mg/Lからろ過後に0.01mg/Lとほぼ100%に近い効率でろ過された。
重イオンが吸着した複合体から、低濃度酢酸溶液を用いて重イオンの再溶解・回収する実験を実施した。まず、鉛イオン濃度(15mg/L)の水溶液20mLに、ハイブリッド複合体5.7mgを混ぜて、30分間攪拌して、複合体に鉛イオンを吸着させる。遠心分離によって、鉛イオンが吸着した複合体を分離し、そこに濃度1%の酢酸水溶液20mLを加える半日放置した後、溶液と複合体を遠心分離によって分離し、上澄み液中の鉛イオン濃度をICP−OESによって調べると、6.70mg/Lであった。鉛イオンの分離に成功した。これは、鉛イオンの分離・再利用の可能性を示すものである。
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Claims (12)

  1. 複数のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合ナノシートを有し、
    前記複数のナノシートが中心部から互いに異なる方向に伸びるように前記中心部で結合されたセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体。
  2. 略球状の形状、もしくは、ポーラスな形状を有する、請求項1に記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体。
  3. 平均サイズが2〜10μmの範囲である、請求項1または2に記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体。
  4. 前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合ナノシートの平均厚さは10〜25nmの範囲である、請求項1から3の何れかに記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体。
  5. セリシンと塩化カルシウムとを溶解させたリン酸緩衝生理食塩水からの沈殿として請求項1から4の何れかに記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を製造する方法。
  6. セリシン濃度が0.1〜3mg/mLであり、塩化カルシウムの濃度が10〜300mMである、請求項5に記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を製造する方法。
  7. 請求項1から4の何れかに記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体からなる重金属イオン及び染料の少なくとも一方を吸着するための吸着剤。
  8. 前記重金属イオン及び染料はPb(II)、Cd(II)、Hg(II)及びコンゴレッドからなる群から選択される一または複数である、請求項7に記載の吸着材。
  9. 請求項7または8に記載の吸着剤からなる水浄化剤。
  10. 請求項1から4の何れかに記載のセリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体を積層した膜状のフィルターからなる水浄化剤。
  11. 重金属イオンを溶解させる試薬によって、前記吸着した重金属イオンを前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体から分離する、請求項7から9の何れかの吸着材を再生する方法。
  12. 重金属イオンを溶解させる試薬によって、前記吸着した重金属イオンを前記セリシン−ヒドロキシアパタイト複合構造体から分離する、請求項9または10の水浄化剤を再生する方法。
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