以下、図面を参照しながら実施の形態について説明する。
先ず、被写体からの反射光の種類と性質について説明する。照明光を被写体に照射した際の反射光には表面反射光と拡散反射光とが存在する。先ず、表面反射光について説明する。
図1は、表面反射光を示す図である。
表面反射光は、被写体(例えば、手のひら)51と空気の屈折率の違いによって境界で発生する反射光である。一般に表面反射光は強い指向性を持ち、被写体51の表面形状にも依存する。つまり、表面反射光は、特定の方向に反射される傾向があり、角度が少しずれるとほとんど検出されない性質を持つ。
手のひら静脈など、生体内部の情報を撮影する為に偏光の性質を利用する方式が存在する。これは、特定の方向に偏光した照明光を被写体に照射し、カメラ側では照明と直交する方向の偏光フィルタを設定して撮影するものである。このように撮影することで、表面反射光の影響を取り除くことができる。
次に拡散反射光について説明する。偏光の性質を利用することで上記のように表面反射光を除くことができる。さらに、被写体が散乱体(例えば、手のひら等の生体)の場合には、偏光を利用した撮影方式を利用することができる。先ず、直線偏光した照明光を被写体に照射する。尚、ここでは偏光の方向(偏光角θ)を表す際に、照明光の偏光方向を偏光角θ=0°とする。
生体内に入った光は、散乱を繰り返して最終的に被写体外部に戻り、カメラで撮影される。このような光を拡散反射光と呼ぶ。生体に光が入射する際には直線偏光であったものが、生体内部に入ると散乱され、深い位置に行くにつれて偏光方向のバラつきが大きくなる。
図2は、生体内の偏光状態の変化を説明する図である。
図2に示すように、散乱モデル80は、散乱体(生体)82に入射光84のように、Z方向から所定の偏光が入射した場合の偏光状態のイメージを示している。偏光ばらつき状態86〜89は、円に近いほど、偏光のばらつきが大きいことを示している。散乱モデル80は、散乱体82内では、以下のようなモデルとなっている。すなわち、入射する際には直線偏光に近い状態であったものが、Z方向(深さ方向)に進むにしたがって、偏光ばらつき状態86〜89のように、偏光方向が徐々に様々な方向を含むようになり、偏光状態のばらつきが大きくなるというモデルである。
ここで、散乱体(生体)82を偏光角θ=0°の偏光フィルタを設置したカメラと偏光角θ=90°の偏光フィルタを設置したカメラにより撮影するとする。偏光角θ=0°の偏光フィルタを設置したカメラにより撮影された画像Ic(0°)と偏光角θ=90°の偏光フィルタを設置したカメラにより撮影された画像Ic(90°)を比較すると、画像Ic(0°)の方は浅い位置の情報を多く含み、画像Ic(90°)の方はより深い位置の情報を多く含んでいる。
この性質を利用することで複数の偏光状態の画像(Ic(0°)、Ic(90°))を撮影し、1つの生体から複数の情報(浅い位置の情報I0と深い位置の情報I90)を得ることができる。尚、この拡散反射光の偏光角θによる変化は、表面反射光とは異なり非常に緩やかな変化を示す。
手のひら静脈認証において、手のひらの浅い位置の情報I0および深い位置の情報I90を取得することで、1つの被写体(手のひら)から多くの特徴情報を取得することが出来、認証精度を高めることができる。
ここで、表面反射光に関しては生体認証用途として不向きなケースが存在する。表面反射光は被写体と照明、カメラの位置関係に依存して特定の方向にのみ発生するものである。特に手のひら静脈認証のように、非接触で認証する場合、被写体である手のひらの傾きによって表面反射光の検出される方向が変わる為、表面反射光は安定した特徴として利用し難いという問題がある。
(第1の実施の形態)
図3は、第1の実施の形態に係る生体認証装置の構成図である。
生体認証装置1101は、照明部1201、撮影部1301、管理部1401、画像処理部1501、特徴抽出部1601、照合部1701、メモリ部1801、および記憶部1901を備える。生体認証装置1101は、生体(例えば、手のひら)内の静脈パターンを撮影し、個人を認証する。生体認証装置1101は、生体撮影装置の一例である。
照明部1201は、被写体である生体の撮影時に偏光角θ=0°の光(直線偏光)を被写体に照射する。照明部1201は、発光部1211および偏光フィルタ1221を備える。照明部1201は、光源の一例である。
発光部1211は、光(例えば、近赤外線)を出力する。発光部1211は、例えば、Light Emitting Diode(LED)である。
偏光フィルタ1221は、照明用の偏光フィルタであり、発光部1211が出力した光のうち特定の方向(偏光角θ)の光を通過させる。偏光フィルタ1221の偏光角θは、0°とする。
照明部1201は、偏光フィルタ1221を用いて発光部1211が出力した光のうち特定の方向(偏光角θ=0°)の光を生体に照射する。
撮影部1301は、生体からの反射光を撮影する。詳細には、撮影部1301は、撮影部1301に入力された光(例えば、生体からの反射光)に基づいて、複数の偏光状態の画像を生成する。撮影部2301は、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影する。撮影部1301は、撮像素子1311および偏光フィルタ1321を含む。撮影部1301は、例えば、マルチ偏光カメラであり、カメラの一例である。
撮像素子1311は、偏光フィルタ1321を通過して入力される光を電気信号に変換し、撮影部1301は、変換した電気信号に基づいて画像を生成する。生成される画像はグレースケール画像であり、生成される画像の各画素の画素値は、各画素に対応する撮像素子1311の受光素子に入力された光の輝度値を示す。撮像素子1311は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサまたはComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサである。
偏光フィルタ1321は、複数の偏光方向の光を通過させる。偏光フィルタ1321は、例えば、偏光角θ=α°、90°の光をそれぞれ通過させる偏光フィルタが組み合わされたフィルタである。尚、α°は、0°より僅かに大きい微小な角度(例えば,α=5°)である。撮像素子1311は、画像の各画素に対応する複数の受光素子を有し、各受光素子には、偏光フィルタ1321のうち偏光角θ=α°または90°のいずれかの偏光フィルタを通過した光が入力される。偏光フィルタ1321の構造に詳細については、後述する。
管理部1401は、生体認証の処理を含む生体認証装置1101全体の処理を管理する。
画像処理部1501は、撮影部1301により撮影された画像の処理や管理を行う。画像処理部1501は、画像管理部1511を有する。
画像管理部1511は、撮影部1301により撮影された画像を管理する。
特徴抽出部1601は、撮影部1301により撮影された画像から認証に使用する生体特徴(例えば、手のひらの静脈網の形状を示す静脈パターン)を抽出する。
照合部1701は、照合処理を行う。詳細には、照合部1701は、特徴抽出部1601が抽出した生体特徴を用い、データベース1911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。そして、照合部1701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定に応じた処理を行う。
メモリ部1801は、生体認証装置1101が使用するデータやプログラム等を一時的に記憶する。メモリ部1801は、撮影部1301により撮影された画像を記憶する。メモリ部1801は、例えば、Random Access Memory(RAM)である。
記憶部1901は、生体認証装置1101が使用するデータやプログラム等を記憶する。記憶部1901は、データベース1911を記憶する。
データベース1911は、ユーザの生体(例えば、手のひら)の特徴を示す生体特徴(例えば、静脈パターン)が登録されている。データベース1911に登録されている生体特徴は、テンプレートと呼ばれる。
図4は、第1の実施の形態に係る偏光フィルタの構成図である。
撮影部1301は、例えば、マルチ偏光カメラであり、一般的なカラーカメラに搭載されるRGBカラーフィルタの代わりに、撮像素子1311の受光素子上に偏光角の異なる複数の偏光フィルタが組み合わされた図4に示すような偏光フィルタ1321を搭載したカメラである。
撮影部1301には、図4で示される2×2の偏光フィルタ1321が撮像素子全体に繰り返して搭載されている。偏光フィルタ1321は、偏光角θ=α°と90°の偏光フィルタにより構成されている。
撮像素子1311の各受光素子には、偏光角がα°または90°のいずれかの偏光フィルタを介して、偏光角がα°または90°の光が入力される。
撮影部1301は、偏光角の異なる複数の偏光フィルタが組み合わされた偏光フィルタ1321を用いることにより、異なる偏光状態の画像を一度に撮影することができる。撮影部1301は、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)と偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影する。
図5は、第1の実施の形態に係る偏光角に対する表面反射光および拡散反射光の輝度値を示す図である。
図5において、横軸は偏光角θを示し、縦軸は輝度値を示す。図5において、実線は表面反射光を示し、点線は拡散反射光を示す。
表面反射光は特定の方向にしか反射されず、照明光の偏光方向を維持して反射される。図5に示すように、表面反射光は偏光角θ=0°近辺にのみ存在している。つまり、生体認証装置の場合、表面反射光は偏光角θ=0°で撮影した画像に含まれる。
一方、認証に用いる拡散反射光は、偏光角θに対して緩やかな変化を示す。そのため、浅い位置を撮影する偏光フィルタの偏光角θとして、α°を用いることで、表面反射光を含まず偏光角θ=0°の画像に近い画像を撮影することができる。すなわち、撮影部1301の偏光フィルタ1321を構成する偏光フィルタを偏光角θ=α°に設定し、0°から僅かにずらすことで表面反射光を含まない拡散反射光を撮影することができる。
図4に示すようなフィルタ構成とすることで、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)と偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影し、簡単に浅い位置の情報I0と深い位置の情報I90を取得することができる。
また、図4に示すような偏光フィルタ1321を用いることで、撮影した画像の画質を高めることが出来る。この効果について説明する。
図6は、従来のマルチ偏光カメラを用いた場合の偏光画像の輝度値を示す図である。
ここで、図7に示すような偏光フィルタを搭載したマルチ偏光カメラで偏光角θ=0°、45°、90°、135°の偏光画像を撮影したとする。
図6の各偏光角θに対する画像の輝度値を示すグラフにおいて、白色領域は表面反射光を示し、斜線領域は拡散反射光を示す。
図6に示すように、偏光角θ=45°、90°、135°の画像には表面反射光は含まれず拡散反射光のみである。一方、偏光角θ=0°には、拡散反射光に加えて表面反射光が含まれている。ここで、撮像素子の露出時間設定について考える。画像を取得する際、輝度値が上限(例えば、輝度値255)を超えてしまうと情報は失われてしまう。そのため、露出時間は輝度上限を超えないように設定する必要がある。図6では、偏光角θ=0°の画像の輝度値が最も高くなる。これは、本来は不要な表面反射が含まれている為である。そのため、従来のマルチ偏光カメラでは、表面反射分を含んだθ=0°の輝度値が上限を超えないように露出時間を短く設定しなくてはならない。
図8は、第1の実施の形態に係る偏光フィルタを用いた場合の偏光画像の輝度値を示す図である。
撮影部1301は、偏光角θ=α°と90°の画像を撮影すると、図8に示すように偏光角θ=α°と90°の画像には、表面反射光は含まれず拡散反射光のみである。図4に示すような偏光フィルタ1321を用いた場合、被写体からの反射光のうち表面反射光が除外されて必要な拡散反射光のみが撮像素子1311に入力される。その為、露出時間を長く設定することができる。その結果としてノイズの少ない画像が得られ、認証精度が改善する効果が得られる。
次に偏光フィルタ1321に設定される偏光角θの値である「α」について説明する。
望ましいαの値を考える場合、2つの条件を考える必要がある。1点目は、偏光フィルタ1321の偏光角θをα°とすることで表面反射光を除去できることである。一般に表面反射光は偏光角をそのまま維持して反射するため、αとして0より大きく非常に小さい角度を設定すれば十分に表面反射光を除去することができる。2点目の条件は、偏光角α°で撮影した拡散反射光が、偏光角θ=0°で撮影した拡散反射光の近似となっていることである。以下では、2点目の条件について検討する。
生体のような散乱体を撮影した場合の偏光角θにおける拡散反射成分I(θ)は下式(1)のように求めることができる。
I(θ)=I(0°)cos2θ+I(90°)sin2θ ・・・(1)
I(0°)は、偏光角θ=0°の拡散反射成分であり、I(90°)は偏光角θ=90°の拡散反射成分である。
ここで、式(1)に撮影部1301の偏光フィルタ1321の偏光角αを代入すると下記(2)のようになる。
I(α)=I(0°)cos2α+I(90°)sin2α ・・・(2)
ここでI(0°)は、所望の成分である、偏光角θ=0°の拡散反射成分である。一方、I(90°)は、本来不要な成分(深い位置の情報を含む成分)である。上式(2)から、sin2αが十分に小さい値となる(あるいは逆にcos2αが十分に大きい値となる)角度αを設定すれば、I(α)をI(0°)の近似として、表面反射光を除去した上で利用することができる。
図9は、偏光角αに対するcos2αとsin2αを示す表であり、偏光角αとして様々な値(0°〜15°)を設定した時のcos2αおよびsin2αの値を示す。
ここで、α=5°に着目する。α=5°の場合、sin2α=0.008という値となり、I(α)におけるI(90°)の割合が1%未満となることが分かる(厳密にはα=5.74°以下に設定するとsin2αを0.01以下に設定することができる)。つまり、偏光角αとして大よそ5°以下を設定すれば、I(0°)の代わりにI(α)を利用してもほぼ同一の輝度値とみなすことができる(I(α°)の99%以上がI(0°)成分から成る)。以上から、第1の実施の形態における偏光フィルタ1321を構成する偏光フィルタの偏光角αとして、撮影画像Ic(α°)の輝度値の99%以上がI(0°)の成分となる、0°より大きく5°(詳細には5.74°)以下の角度を設定することが望ましい。
上述の望ましい偏光角αの値は、後述の第2および第3の実施の形態においても同様である。
図10は、第1の実施の形態に係る生体認証処理のフローチャートである。
ここで、生体認証装置1101は、手のひらの静脈パターンに基づいて、認証を行うとする。また、ユーザは、被写体である手のひらを所定の撮影位置に置いているとする。
ステップS101において、照明部1201は、偏光角θ=0°の光を被写体に照射する。撮影部1301は、被写体を撮影し、複数の偏光画像を生成する。詳細には、撮影部1301は、被写体からの反射光に基づいて、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)と偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を生成する。第1の実施の形態において、画像Ic(α°)を浅い位置の情報I0、画像Ic(90°)を深い位置の情報I90とする。
ステップS103において、特徴抽出部1601は、浅い位置の情報I0および深い位置の情報I90のそれぞれから、被写体の生体特徴(例えば、手のひらの静脈パターン)を抽出する。抽出処理としては、例えば、エッジ抽出、Matched Filter、または局所特徴量を用いる方法などを用いる。ステップS103の処理により、浅い位置の情報I0(画像Ic(α°))から手のひらの浅い位置の生体特徴が得られ、深い位置の情報I90(画像Ic(90°))から手のひらの深い位置の生体特徴が得られる。
ステップS104において、照合部1701は、特徴抽出部1601が抽出した生体特徴を用い、データベース1911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。類似度の算出方法は、相関係数、相互相関関数、または画像間の距離などを用いる。そして、照合部1701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
第1の実施の形態に係る生体認証装置によれば、生体からより多くの情報を取得することができる。すなわち、第1の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=α°および90°の光から偏光角に応じた複数の画像を得られる。それにより、多くの特徴情報を取得できるため、認証精度を向上させることができる。
上述のように、表面反射光は、被写体、照明部、および撮影部の位置関係に依存して特定の方向のみに発生する。そのため、例えば、手のひら静脈認証装置で非接触で認証を行う場合、手のひらの傾きによって表面反射光の検出される方向が変わるため、表面反射光から得られる特徴は、安定しておらず、認証に用いる特徴として利用し難い。
第1の実施の形態に係る生体認証装置によれば、表面反射光を含まない偏光角θ=α°の画像を用いることで、手のひらの傾き等に影響され難い安定した特徴を得ることが出来、認証精度が向上できる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る生体認証装置では、認証精度を向上させる効果が得られる一方、照明光の偏光角θに対するロバスト性が低いという課題がある。以下、この課題について説明する。
第1の実施の形態において、照明光の偏光角θは0°に設定される。しかし、実際の生体認証装置では厳密に偏光角θ=0°にすることは難しく、取り付け誤差により偏光角θ=δ°(δは微小な角度)に設定されてしまうことがある。
直線偏光の照明を得るためには偏光フィルタ等を利用するのが一般的であるが、これらの設置誤差によって偏光角θに誤差が生じる場合がある。照明光の偏光角θに誤差が存在する場合、偏光角θ=α°で撮影した画像Ic(α°)に表面反射成分が含まれてしまい、生体認証に不向きな画像となる場合がある。
図11は、照明光の偏光角に誤差が存在する場合の偏光角に対する表面反射光および拡散反射光の輝度値を示す図である。
図11において、横軸は偏光角θを示し、縦軸は輝度値を示す。図5において、実線は表面反射光を示し、点線は拡散反射光を示す。
図11に示すように、表面反射光は偏光角θ=δ°近辺にのみ存在している。取り付け誤差により照明光の偏光角θがδ°に設定され且つδ°とα°が近い値の場合、撮影部により撮影された偏光角θ=α°の画像に表面反射光が含まれてしまう。
このような照明光の偏光角θの取付け誤差が、異なる生体認証装置で生じた場合、互換性や認証精度に影響を与えることになる。例えば、生体認証装置Aの照明偏光方向がθ=0°(誤差なし)なのに対し、生体認証装置Bの照明偏光方向はθ=δ°であったとする。その場合、生体認証装置Aで撮影した偏光角θ=α°の画像には表面反射光が含まれないのに対し、生体認証装置Bで撮影した偏光角θ=α°の画像には表面反射光が含まれてしまう。そのため、生体認証装置Aで生体特徴を登録し、生体認証装置Bで照合する場合に、通常よりも多くのエラーが発生することが有りえる。生体認証装置Bで生体特徴を登録し、生体認証装置Aで照合する場合も同様に通常よりも多くのエラーが発生することが有りえる。
ここで、偏光角の誤差について補足説明をする。まず、撮影部(カメラ側)に搭載する偏光フィルタは撮像素子に直接搭載する形となるため、取り付け精度は一般に高い。特に図4に示すような偏光フィルタ1321を一括生成して撮像素子1311に搭載する場合、カメラ側の偏光フィルタ間の誤差(例えば、α°と90°の誤差)は非常に小さくなる。
一方、照明部(照明側)に関しては、LEDなどに偏光フィルタを追加搭載する構成が多く採用されている。そのため、照明側の偏光フィルタの偏光角の誤差が生じるケースが多い。
また、生体認証装置を安価に製造する場合、歩留まりを高めるために照明の偏光角に一定誤差の許容が求められ、ゼロにすることは難しい。このような誤差は、工場組み立て時に発生する場合、工場出荷後に振動などによって発生する場合の両方があり得る。また、どの程度誤差が発生するかは偏光フィルムの種類にも依存するため、偏光フィルムメーカーを変更した場合に誤差の傾向が変わることが有りえる。
図12は、第2の実施の形態に係る生体認証装置の構成図である。
生体認証装置2101は、照明部2201、撮影部2301、管理部2401、画像処理部2501、特徴抽出部2601、照合部2701、メモリ部2801、および記憶部2901を備える。生体認証装置2101は、生体(例えば、手のひら)内の静脈パターンを撮影し、個人を認証する。生体認証装置2101は、生体撮影装置の一例である。生体認証装置2101において、基準の方向(角度0°)が設定されているとする。基準の方向は、照明部2201が照射する光において、望ましい偏光方向である。下記の偏光フィルタ2221、2321の偏光角θは、基準の方向に対する角度である。
照明部2201は、被写体である生体の撮影時に偏光角θの光(直線偏光)を被写体に照射する。照明部2201は、発光部2211および偏光フィルタ2221を備える。照明部2201は、光源の一例である。
発光部2211は、光(例えば、近赤外線)を出力する。発光部2211は、例えば、Light Emitting Diode(LED)である。
偏光フィルタ2221は、照明用の偏光フィルタであり、発光部2211が出力した光のうち特定の偏光角の光を通過させる。偏光フィルタ2221は、偏光角θ=0°の照明光を照射するように設置されているが、実際の偏光角θには誤差が含まれる。
照明部2201は、偏光フィルタ2221と発光部2211を用いて、偏光角θ=0°に設定された直線偏光を生体に照射する。
撮影部2301は、生体からの反射光を撮影する。詳細には、撮影部2301は、撮影部2301に入力された光(例えば、生体からの反射光)に基づいて、複数の偏光状態の画像を生成する。撮影部2301は、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)、および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影する。撮影部2301は、撮像素子2311および偏光フィルタ2321を含む。撮影部2301は、例えば、マルチ偏光カメラであり、カメラの一例である。
撮像素子2311は、偏光フィルタ2321を通過して入力される光を電気信号に変換し、撮影部2301は、変換した電気信号に基づいて画像を生成する。生成される画像はグレースケール画像であり、生成される画像の各画素の画素値は、各画素に対応する撮像素子2311の受光素子に入力された光の輝度値を示す。撮像素子2311は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサまたはComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサである。
偏光フィルタ2321は、複数の偏光方向の光を通過させる。偏光フィルタ2321は、例えば、偏光角θ=α°、−α°、90°の光をそれぞれ通過させる偏光フィルタが組み合わされたフィルタである。尚、α°は、0°より僅かに大きい微小な角度(例えば,α=5°)である。撮像素子2311は、画像の各画素に対応する複数の受光素子を有し、各受光素子には、偏光フィルタ2321のうち偏光角θ=α°、−α°、または90°のいずれかの偏光フィルタを通過した光が入力される。偏光フィルタ2321の構造に詳細については、後述する。
管理部2401は、生体認証の処理を含む生体認証装置2101全体の処理を管理する。
画像処理部2501は、撮影部2301により撮影された画像の処理や管理を行う。画像処理部2501は、画像管理部2511および画像演算部2521を有する。
画像管理部2511は、撮影部2301により撮影された画像を管理する。
画像演算部2521は、撮影部2301により撮影された画像を用いて演算を行い、浅い位置の情報I0に対応する画像を生成する。
特徴抽出部2601は、撮影部2301により撮影された画像および画像演算部2521により生成された画像から認証に使用する生体特徴(例えば、手のひらの静脈網の形状を示す静脈パターン)を抽出する。
照合部2701は、照合処理を行う。詳細には、照合部2701は、特徴抽出部2601が抽出した生体特徴を用い、データベース2911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。そして、照合部2701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
メモリ部2801は、生体認証装置2101が使用するデータやプログラム等を一時的に記憶する。メモリ部2801は、撮影部2301により撮影された画像や画像演算部2521により生成された画像を記憶する。メモリ部2801は、例えば、Random Access Memory(RAM)である。
記憶部2901は、生体認証装置2101が使用するデータやプログラム等を記憶する。記憶部2901は、データベース2911を記憶する。
データベース2911は、ユーザの生体(例えば、手のひら)の特徴を示す生体特徴(例えば、静脈パターン)が登録されている。データベース2911に登録されている生体特徴は、テンプレートと呼ばれる。
図13は、第2の実施の形態に係る偏光フィルタの構成図である。
撮影部2301は、例えば、マルチ偏光カメラであり、一般的なカラーカメラに搭載されるRGBカラーフィルタの代わりに、撮像素子2311の受光素子上に偏光角の異なる複数の偏光フィルタが組み合わされた図13に示すような偏光フィルタ2321を搭載したカメラである。
撮影部2301には、図13で示される2×2の偏光フィルタ2321が撮像素子全体に繰り返して搭載されている。偏光フィルタ2321は、偏光角θ=α°、−α°、および90°の偏光フィルタにより構成されている。
撮像素子2311の各受光素子には、偏光角がα°、−α°、または90°のいずれかの偏光フィルタを介して、偏光角がα°、−α°、または90°の光が入力される。
撮影部2301は、偏光角の異なる複数の偏光フィルタが組み合わされた偏光フィルタ2321を用いることにより、異なる偏光状態の画像を一度に撮影することができる。撮影部2301は、偏光角θ=+α°の画像Ic(+α°)、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)、および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影する。
次に、第2の実施の形態における浅い位置の情報I0の算出方法について説明する。
画像演算部2521は、偏光角θ=+α°の画像Ic(+α°)の各画素の画素値と偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)の各画素の画素値との平均値を算出し、算出した平均値を各画素の画素値とする平均画像を生成し、当該平均画像を浅い位置の情報I0とする。
すなわち、浅い位置の情報I0は、I0=(1/2)*(Ic(+α°)+Ic(−α°))となる。このように浅い位置の情報I0を算出することで、照明光の偏光角θに誤差が発生する場合、すなわち照明光の偏光角θが0以外の場合にも安定して浅い位置の情報I0を取得することが出来る。以下、この効果の詳細について説明する。
最初に幾つか定数を定義する。まず、照明光の偏光角の”誤差の大きさ”を表す定数としてδを定義する。δは0または正の値を取るものとする(δ≧0)。また、αは第2の実施の形態の偏光フィルタ2321で用いられる偏光角であり、正の値を取る(α>0)。表面反射成分をIspと表現する。表面反射成分Ispは、照明光の偏光角と撮影部2301の偏光フィルタ1321の偏光角の差が0に近い角度でのみ撮影される。
次に照明光の偏光角の誤差θに関して3つのケース(偏光角θ=−δ、0、+δ)それぞれの浅い位置の情報I0の輝度値L(θ=−δ)、L(θ=0)、L(θ=+δ)を示す。
偏光フィルタに関し、図4に示す第1の実施の形態と図13に示す第2の実施の形態の2つのケースを比較する。
ここで、θ=0°の場合は、誤差がないケースである。また、θ=−δの場合は表面反射光の偏光角(−δ)と撮影側の偏光フィルタの偏光角(+α)の差が大きくなる方に誤差が発生する場合である。一方、θ=+δは、照明光の偏光角θが撮影側の偏光角(+α)に近づくケースであり、図11の場合に相当する。
(1)第1の実施の形態の場合、すなわち撮影部1311の偏光フィルタ1321の偏光角が+α°、90°の場合
(a)θ=−δの場合
L(θ=-δ)=L0cos(-δ-α)=L0(δ+α)
(b)θ=0の場合
L(θ=0)=L0cos(-α)=L0(α)
(c)θ=−δの場合
L(θ=+δ)=L0cos(δ-α)+Isp(δ-α)
(2)第2の実施の形態の場合、すなわち撮影部2311の偏光フィルタ2321の偏光角が+α°、−α°、90°の場合
(a)θ=−δの場合
L(θ=-δ)=(1/2)*(L0cos(-δ-α)+L0cos(δ+α)+Isp(δ-α))
=(L0/2)*(cos(δ+α)+cos(δ-α))+(1/2)*Isp(δ-α))
=L0cos(δ)cos(α)+(1/2)*Isp(δ-α))
(b)θ=0の場合
L(θ=0)=(1/2)*(L0cos(-α)+L0cos(+α))=L0cos(α)
(c)θ=−δの場合
L(θ=+δ)=(1/2)*(L0cos(+δ-α)+L0cos(+δ+α)+Isp(δ-α))
=(L0/2)*(cos(δ+α)+cos(δ-α))+(1/2)*Isp(δ-α))
=L0cos(δ)cos(α)+(1/2)*Isp(δ-α))
上記式を見ると表面反射成分Ispは、Isp(δ-α)の項のみが現れる。これは、他の角度の組み合わせ(“δ+α“や”α“)の場合、角度差が0よりも十分大きくなり、表面反射成分を0とみなせると仮定している為である。また、L0の項が表しているのは拡散反射成分である。拡散反射成分の強度は、偏光角角度差のコサインで表される。尚、L0は、偏光角角度差(照明部の偏光フィルタの偏光角と撮影部の偏光フィルタの偏光角との差)が0の場合の拡散反射強度である。
上記式の結果をまとめると図14に示す表のようになる。
ここで、図14において、第1の実施の形態と第2の実施の形態との違いに注目する。まず、表面反射成分に関しては、照明偏光角の誤差が存在する場合(θ=±δ)でも、第2の実施の形態のIsp強度は半分(1/2)に抑えられている。また、誤差の影響が最も大きくなるθ=−δとθ=+δの違いに着目すると、第1の実施の形態の場合、表面反射成分の有無だけでなく、拡散反射成分の値も異なっている。一方、第2の実施の形態の場合、両者で同じ値が得られる。これは、照明光の偏光角θの誤差に対してロバストであることを示している。
また、条件により浅い位置の情報I0の算出方法を変更してもよい。
Ic(+α°)の各画素の画素値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値との差分の合計値の絶対値が閾値未満の場合に、画像演算部2521は、浅い位置の情報I0をI0=(1/2)*(Ic(+α°)+Ic(−α°))により算出する。すなわち、|Ic(+α°)−Ic(−α°)|<閾値の場合、I0=(1/2)*(Ic(+α°)+Ic(−α°))とする。
Ic(+α°)の各画素の画素値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値との差分の合計値の絶対値が閾値以上の場合に、画像演算部2521は、画像Ic(+α°)の各画素の画素値の合計値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値の合計値を比較する。そして、画像演算部2521は、合計値の小さいほうの画像Ic(+α°)またはIc(−α°)を浅い位置の情報I0とする。すなわち、|Ic(+α°)−Ic(−α°)|≧閾値の場合、I0=min(Ic(+α°),Ic(−α°))とする。
Ic(+α°)の各画素の画素値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値との差分の合計値の絶対値が閾値以上の場合、どちらか一方に表面反射光が含まれていると考えられる。例えば、振動などにより偏光フィルタがずれた結果、一方の偏光フィルタに表面反射光が想定以上に入ってきた場合が該当する。この場合には、画素値の合計が小さい方の画像を浅い位置の情報I0として採用する。表面反射光が含まれていると考えられる画像は利用せず、残りの画像を利用することで安定した認証処理を行うことができる。
図15は、第2の実施の形態に係る生体認証処理のフローチャートである。
ここで、生体認証装置2101は、手のひらの静脈パターンに基づいて、認証を行うとする。また、ユーザは、被写体である手のひらを所定の撮影位置に置いているとする。
ステップS201において、照明部2201は、偏光角θ=0°に設定された直線偏光を被写体に照射する。撮影部2301は、被写体を撮影し、複数の偏光画像を生成する。詳細には、撮影部2301は、被写体からの反射光に基づいて、偏光角θ=α°の画像Ic(+α°)、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)、および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を生成する。
ステップS202において、画像演算部2521は、画像Ic(+α°)および画像Ic(−α°)を用いて画像生成処理を行う。画像生成処理により、手のひらの浅い位置の情報I0が得られる。尚、画像生成処理の詳細は、後述する。また、画像Ic(90°)を深い位置の情報I90とする。
ステップS203において、特徴抽出部2601は、浅い位置の情報I0および深い位置の情報I90のそれぞれから、被写体の生体特徴(例えば、手のひらの静脈パターン)を抽出する。抽出処理としては、例えば、エッジ抽出、Matched Filter、または局所特徴量を用いる方法などを用いる。ステップS203の処理により、浅い位置の情報I0から手のひらの浅い位置の生体特徴が得られ、深い位置の情報I90から手のひらの深い位置の生体特徴が得られる。
ステップS204において、照合部2701は、特徴抽出部2601が抽出した生体特徴を用い、データベース2911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。類似度の算出方法は、相関係数、相互相関関数、または画像間の距離などを用いる。そして、照合部2701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
図16は、第2の実施の形態に係る画像生成処理の詳細なフローチャートである。
ステップS211において、画像演算部2521は、画像Ic(−α°)の各画素の画素値と画像Ic(+α)の各画素の画素値との差分の合計を算出し、当該合計が閾値Th以上か否か判定する。当該合計が閾値Th以上の場合、制御はステップS212に進み、当該合計が閾値Th未満の場合、制御はステップS213に進む。
ステップS212において、画像演算部2521は、浅い位置の情報I0を画像Ic(+α°)とする。
ステップS213において、画像演算部2521は、画像Ic(+α°)の各画素の画素値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値との差分の合計を算出し、当該合計が閾値Th以上か否か判定する。当該合計が閾値Th以上の場合、制御はステップS214に進み、当該合計が閾値Th未満の場合、制御はステップS215に進む。
ステップS214において、画像演算部2521は、浅い位置の情報I0を画像Ic(−α°)とする。
ステップS215において、画像演算部2521は、画像Ic(−α°)の各画素の画素値と画像Ic(+α°)の各画素の画素値との平均値を算出し、当該平均値を各画素の画素値とする平均画像を生成する。画像演算部2521は、浅い位置の情報I0を当該平均画像とする。
上述の第2の実施の形態に係る画像生成処理において、ステップS211〜S214を省略してもよい。すなわち、常に浅い位置の情報I0を画像Ic(−α°)の各画素の画素値と画像Ic(+α°)の各画素の画素値との平均から求めてもよい。
第2の実施の形態に係る生体認証装置によれば、生体からより多くの情報を取得することができる。すなわち、第2の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=±α°および90°の光から偏光角に応じた複数の画像を得られる。それにより、多くの特徴情報を取得できるため、認証精度を高めることができる。
第2の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=α°の画像と偏光角θ=−α°の画像から被写体の浅い位置の情報を示す画像を生成することで、照明光の偏光角の誤差に対するロバスト性が向上する。
(第3の実施の形態)
図17は、第3の実施の形態に係る生体認証装置の構成図である。
生体認証装置3101は、照明部3201、撮影部3301、管理部3401、画像処理部3501、特徴抽出部3601、照合部3701、メモリ部3801、および記憶部3901、3951を備える。生体認証装置3101は、生体(例えば、手のひら)内の静脈パターンを撮影し、個人を認証する。生体認証装置3101は、生体撮影装置の一例である。生体認証装置3101において、基準の方向(角度0°)が設定されているとする。基準の方向は、照明部3201が照射する光において、望ましい偏光方向である。下記の偏光フィルタ3221、3321の偏光角θは、基準の方向に対する角度である。
照明部3201は、被写体である生体の撮影時に偏光角θの光(直線偏光)を被写体に照射する。照明部3201は、発光部3211および偏光フィルタ3221を備える。照明部3201は、光源の一例である。
発光部3211は、光(例えば、近赤外線)を出力する。発光部3211は、例えば、Light Emitting Diode(LED)である。
偏光フィルタ3221は、照明用の偏光フィルタであり、発光部3211が出力した光のうち特定の偏光方向の光を通過させる。偏光フィルタ3221は、偏光角θ=0°の照明光を照射するように設置されているが、実際の偏光角θには誤差が含まれる。
照明部3201は、偏光フィルタ3221と発光部3211を用いて、偏光角θ=0°に設定された直線偏光を生体に照射する。
撮影部3301は、生体からの反射光を撮影する。詳細には、撮影部3301は、撮影部3301に入力された光(例えば、生体からの反射光)に基づいて、複数の偏光状態の画像を生成する。撮影部3301は、偏光角θ=α°の画像Ic(α°)、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)、および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を撮影する。撮影部3301は、撮像素子3311および偏光フィルタ3321を含む。撮影部3301は、例えば、マルチ偏光カメラであり、カメラの一例である。
撮像素子3311は、偏光フィルタ3321を通過して入力される光を電気信号に変換し、撮影部3301は、変換した電気信号に基づいて画像を生成する。生成される画像はグレースケール画像であり、生成される画像の各画素の画素値は、各画素に対応する撮像素子3311の受光素子に入力された光の輝度値を示す。撮像素子3311は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサまたはComplementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサである。
偏光フィルタ3321は、複数の偏光方向の光を通過させる。偏光フィルタ3321は、例えば、偏光角θ=α°、−α°、90°の光をそれぞれ通過させる偏光フィルタが組み合わされたフィルタである。偏光フィルタ3321は、第2の実施の形態の偏光フィルタ2321と同様の構成である。尚、α°は、0°より僅かに大きい微小な角度(例えば,α=5°)である。撮像素子3311は、画像の各画素に対応する複数の受光素子を有し、各受光素子には、偏光フィルタ3321のうち偏光角θ=α°、−α°、または90°のいずれかの偏光フィルタを通過した光が入力される。
管理部3401は、生体認証の処理を含む生体認証装置3101全体の処理を管理する。
画像処理部3501は、撮影部3301により撮影された画像の処理や管理を行う。画像処理部3501は、画像管理部3511および画像演算部3521を有する。
画像管理部3511は、撮影部3301により撮影された画像を管理する。
画像演算部3521は、偏光フィルタ情報3952に基づいて、撮影部3301により撮影された画像を用いて演算を行い、浅い位置の情報I0に対応する画像を生成する。
特徴抽出部3601は、撮影部3301により撮影された画像および画像演算部3521により生成された画像から認証に使用する生体特徴(例えば、手のひらの静脈網の形状を示す静脈パターン)を抽出する。
照合部3701は、照合処理を行う。詳細には、照合部3701は、特徴抽出部2601が抽出した生体特徴を用い、データベース3911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。そして、照合部3701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
メモリ部3801は、生体認証装置3101が使用するデータやプログラム等を一時的に記憶する。メモリ部3801は、撮影部3301により撮影された画像や画像演算部3521により生成された画像を記憶する。メモリ部3801は、例えば、Random Access Memory(RAM)である。
記憶部3901は、生体認証装置3101が使用するデータやプログラム等を記憶する。記憶部3901は、データベース3911を記憶する。
データベース3911は、ユーザの生体(例えば、手のひら)の特徴を示す生体特徴(例えば、静脈パターン)が登録されている。データベース3911に登録されている生体特徴は、テンプレートと呼ばれる。
記憶部3951は、生体認証装置3101が使用するデータ等を記憶する。記憶部3951は、偏光フィルタ情報3952を記憶する。
偏光フィルタ情報3952は、偏光角θ=−α°、+α°で撮影された画像がそれぞれ有効であるか否かを示す。また、偏光フィルタ情報3952は、偏光角θ=−α、+αで撮影された画像それぞれに表面反射光が含まれているか否かを示す。
尚、記憶部3951は、記憶部3901と同一の装置であってもよい。
図18は、偏光フィルタ情報の形式を示す図である。
偏光フィルタ情報3952は、項目として、偏光フィルタおよびキャリブレーション情報を有する。偏光フィルタ情報3952には、偏光フィルタおよびキャリブレーション情報が対応付けられて記載されている。
偏光フィルタは、偏光フィルタを識別する情報であり、また偏光フィルタを介して撮影された画像を識別する情報である。第3の実施の形態において、偏光フィルタには、「偏光角θ=−α」と「偏光角θ=+α」が記載されている。
「偏光角θ=−α」は、偏光フィルタ3321のうちの偏光角θ=−α°の偏光フィルタを示し、また当該偏光フィルタにより撮影された偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)を示す。
「偏光角θ=+α」は、偏光フィルタ3321のうちの偏光角θ=+α°の偏光フィルタを示し、また当該偏光フィルタにより撮影された偏光角θ=+α°の画像Ic(+α°)を示す。
キャリブレーション情報は、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像が有効であるか否か示し、当該偏光フィルタを通過する光に表面反射光が含まれるか否かを示す。すなわち、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像に表面反射光が含まれるか否かを示す。キャリブレーション情報には、「有効」または「無効」が記載されている。
「有効」は、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像が有効であり、当該偏光フィルタを通過する光に表面反射光が含まれていないことを示す。すなわち、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像に表面反射光が含まれていないことを示す。
「無効」は、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像が無効であり、当該偏光フィルタを通過する光に表面反射光が含まれていることを示す。すなわち、対応する偏光フィルタを介して撮影された画像に表面反射光が含まれていることを示す。
照明部3201の偏光フィルタ3221の偏光方向誤差によって偏光角θ=+α°、または偏光角θ=−α°の画像に表面反射成分が入光する場合がある。第3の実施の形態では、工場出荷時のキャリブレーションとしてこの情報を検出し、記憶部3951に保存する。工場出荷時には、所定の検査用被写体を用いてキャリブレーションを行うため、動的に表面反射光の有無を判断するよりも正確な情報を得ることができる。
偏光フィルタ情報3952は、偏光角θ=−α°、+α°の画像の有効または無効を示し、有効か無効かは表面反射光の有無によって判断される。撮影部3301は、所定のキャリブレーション物体を撮影し、偏光角θ=−α°の画像の輝度値が所定閾値よりも高い場合は表面反射が入光していると判断して、偏光角θ=−α°に対応するキャリブレーション情報を「無効」とする。また、偏光角θ=−α°の画像の輝度値が所定閾値以下の場合は、偏光角θ=−α°に対応するキャリブレーション情報を「有効」とする。偏光角θ=+αの画像についても同様に偏光角θ=+α°の画像の輝度値に基づいて、偏光角θ=+αに対応するキャリブレーション情報を「有効」または「無効」にする。
1方向のフィルタのみ(例えば、偏光角θ=−α°)が有効の場合、該当方向の画像のみを浅い位置の情報I0として用いる。そのため、2方向のフィルタ(偏光角θ=+α°、−α°)が有効な撮影部2301よりも画質は低下する(ノイズは増える)。しかし、「有効」に対応する偏光フィルタには表面反射が入らないことは保証される。そのため、1方向の偏光フィルタの画像のみを浅い位置の情報I0として用いる場合であっても、生体認証装置として安定して動作させることが出来る。また、偏光角θ=−α°、+α°の画像の両方ともに表面反射が入ることは無い為、本構成により歩留まりを高めてセンサコストを低減することができる。
図19は、第3の実施の形態に係る生体認証処理のフローチャートである。
ここで、生体認証装置3101は、手のひらの静脈パターンに基づいて、認証を行うとする。また、ユーザは、被写体である手のひらを所定の撮影位置に置いているとする。
ステップS301において、照明部3201は、偏光角θの光を被写体に照射する。撮影部3301は、被写体を撮影し、複数の偏光画像を生成する。詳細には、撮影部3301は、被写体からの反射光に基づいて、偏光角θ=α°の画像Ic(+α°)、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)、および偏光角θ=90°の画像Ic(90°)を生成する。
ステップS302において、画像演算部3521は、偏光フィルタ情報3952に基づいて、画像Ic(+α°)および画像Ic(−α°)を用いて画像生成処理を行う。画像生成処理により、手のひらの浅い位置の情報I0が得られる。尚、画像生成処理の詳細は、後述する。また、画像Ic(90°)を深い位置の情報I90とする。
ステップS303において、特徴抽出部3601は、浅い位置の情報I0および深い位置の情報I90のそれぞれから、被写体の生体特徴(例えば、手のひらの静脈パターン)を抽出する。抽出処理としては、例えば、エッジ抽出、Matched Filter、または局所特徴量を用いる方法などを用いる。ステップS303の処理により、浅い位置の情報I0から手のひらの浅い位置の生体特徴が得られ、深い位置の情報I90から手のひらの深い位置の生体特徴が得られる。
ステップS304において、照合部3701は、特徴抽出部3601が抽出した生体特徴を用い、データベース3911に登録されている生体特徴(テンプレート)と撮影された画像から得られた生体特徴とがどの程度似ているかを表す類似度を算出する。類似度の算出方法は、相関係数、相互相関関数、または画像間の距離などを用いる。そして、照合部3701は、算出した類似度に基づいて、認証の成否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
図20は、第3の実施の形態に係る画像生成処理の詳細なフローチャートである。
ステップS311において、画像演算部3521は、偏光角θ=+α°の画像Ic(+α°)のみが有効であるか否か判定する。詳細には、画像演算部3521は、偏光フィルタ情報3952を参照し、偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」且つ偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」であるか判定する。偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」且つ偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」である場合、制御はステップS314に進む。偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」でないまたは偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」でない場合、制御はステップS312に進む。
ステップS312において、画像演算部3521は、偏光角θ=−α°の画像Ic(−α°)のみが有効であるか否か判定する。詳細には、画像演算部3521は、画像演算部3521は、偏光フィルタ情報3952を参照し、偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」且つ偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」であるか判定する。偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」且つ偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」である場合、制御はステップS316に進む。偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」に対応するキャリブレーション情報が「有効」でないまたは偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応するキャリブレーション情報が「無効」でない場合、制御はステップS313に進む。ステップS311,S312により、偏光フィルタ=「偏光角θ=−α」と偏光フィルタ=「偏光角θ=+α」に対応する2つのキャリブレーション情報が両方とも「有効」の場合に、制御はステップS313に進む。
ステップS313において、画像演算部3521は、画像Ic(−α°)の各画素の画素値と画像Ic(+α°)の各画素の画素値との差分の合計を算出し、当該合計が閾値Th以上か否か判定する。当該合計が閾値Th以上の場合、制御はステップS314に進み、当該合計が閾値Th未満の場合、制御はステップS315に進む。
ステップS314において、画像演算部3521は、浅い位置の情報I0を画像Ic(+α°)とする。
ステップS315において、画像演算部3521は、画像Ic(+α°)の各画素の画素値と画像Ic(−α°)の各画素の画素値との差分の合計を算出し、当該合計が閾値Th以上か否か判定する。当該合計が閾値Th以上の場合、制御はステップS316に進み、当該合計が閾値Th未満の場合、制御はステップS317に進む。
ステップS316において、画像演算部3521は、浅い位置の情報I0を画像Ic(−α°)とする。
ステップS317において、画像演算部3521は、画像Ic(−α°)の各画素の画素値と画像Ic(+α°)の各画素の画素値との平均値を算出し、当該平均値を各画素の画素値とする平均画像を生成する。画像演算部3521は、浅い位置の情報I0を当該平均画像とする。
第3の実施の形態に係る生体認証装置によれば、生体からより多くの情報を取得することができる。すなわち、第3の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=±α°および90°の光から偏光角に応じた複数の画像を得られる。それにより、多くの特徴情報を取得できるため、認証精度を高めることができる。
第3の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=±α°の画像に表面反射光が含まれていない場合に、偏光角θ=α°の画像と偏光角θ=−α°の画像から被写体の浅い位置の情報を示す画像を生成することで、照明光の偏光角の誤差に対するロバスト性が向上する。
第3の実施の形態に係る生体認証装置によれば、偏光角θ=±α°の画像のいずれかに表面反射光が含まれている場合、表面反射光が含まれている画像を使用しないことで、認証精度を高めることができる。
以上、第1〜第3の実施の形態について説明したが、第1〜第3の実施の形態に係る生体認証装置の構成は、上述の説明に限定されるものではない。例えば、下記のような構成としても良い。
第1〜第3の実施の形態では、照明部は所定の偏光角の照明光を照射し、撮影側に異なる偏光角の偏光フィルタを搭載した撮影部を用いていた。ここで、照明部と撮影部の役割を逆の構成としてもよい。つまり、撮影部は所定の偏光方向の光のみを通過させる偏光フィルタを搭載する。照明側は、異なった偏光方向の照明を照射する機構を備える。各偏光方向(偏光角θ=+α°、−α°、90°)の偏光フィルタを持つ照明を別個に用意し、点灯を切り替えて光を照射する。このようにすることで、安価に構築することができる。
尚、第1〜第3の実施の形態のように撮影部に異なった方向の偏光フィルタを搭載すると異なる深さ情報の画像を同時に撮影できる利点がある。同時に撮影することによって、画像上のある点に着目した際、該当する点の様々な深さ情報を得ることができる利点がある。
第2および第3の実施の形態の偏光フィルタの構成について補足説明する。第2および第3の偏光フィルタは、偏光角θ=+α°、−α°、90°の偏光フィルタを含む構成である。ここで、偏光θ=0°近傍に関しては表面反射光の影響を受ける為、+α°、−α°という2方向の偏光フィルタを持つ構成とすることでロバスト性を高めている。表面反射光は僅かな誤差により、強度が大きく変わるためである。
一方で、偏光角θ=90°の画像に関しては表面反射光が入る可能性は非常に少ない。また、拡散反射光は偏光θに対して緩やかな依存性を示す。そのため、偏光角θ=90°の画像に関しては、照明光の偏光角の誤差が存在する場合でも大きな影響を受けることはない。そのため、第2および第3の実施の形態では、照明光の偏光角の誤差が存在する場合でも偏光角θ=90°の偏光フィルタを持つ構成としている。
しかし、第2および第3の実施の形態において、偏光角θ=90°の偏光フィルタの代わりに偏光角θ=(90°―α°)、(90°+α°)の偏光フィルタを用いる構成としても良い。また、偏光角θ=90°に限定されるものではなく、例えば、偏光角θ=80°等を利用しても良い。
図21は、情報処理装置(コンピュータ)の構成図である。
実施の形態の生体認証装置1101,2101、3101は、例えば、図21に示すような情報処理装置(コンピュータ)1によって実現可能である。
情報処理装置1は、CPU2、メモリ3、入力装置4、出力装置5、記憶部6、記録媒体駆動部7、及びネットワーク接続装置8を備え、それらはバス9により互いに接続されている。
CPU2は、情報処理装置1全体を制御する中央処理装置である。CPU2は、管理部1401、画像処理部1501、特徴抽出部1601、および照合部1701として動作する。
メモリ3は、プログラム実行の際に、記憶部6(あるいは可搬記録媒体10)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRead Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等のメモリである。CPU2は、メモリ3を利用してプログラムを実行することにより、上述した各種処理を実行する。メモリ3は、メモリ部1801、2801、3801に対応する。
この場合、可搬記録媒体10等から読み出されたプログラムコード自体が実施の形態の機能を実現する。
入力装置4は、ユーザ又はオペレータからの指示や情報の入力、情報処理装置1で用いられるデータの取得等に用いられる。入力装置4は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カメラ、またはセンサ等である。入力装置4は、撮影部1301、2301,3301に対応する。
出力装置5は、ユーザ又はオペレータへの問い合わせや処理結果を出力する、またはCPU2による制御により動作する装置である。出力装置5は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、または照明装置等である。出力装置5は、照明部1201、2201、3201に対応する。
記憶部6は、例えば、磁気ディスク装置、半導体記憶装置、光ディスク装置、テープ装置等である。情報処理装置1は、記憶部6に、上述のプログラムとデータを保存しておき、必要に応じて、それらをメモリ3に読み出して使用する。記憶部6は、記憶部1901、2901、3901、3951に対応する。
記録媒体駆動部7は、可搬記録媒体10を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬記録媒体としては、メモリカード、フレキシブルディスク、Compact Disk Read Only Memory(CD−ROM)、光ディスク、光磁気ディスク等、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体が用いられる。ユーザは、この可搬記録媒体10に上述のプログラムとデータを格納しておき、必要に応じて、それらをメモリ3に読み出して使用する。
ネットワーク接続装置8は、Local Area Network(LAN)やWide Area Network(WAN)等の任意の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換を行う通信インターフェースである。ネットワーク接続装置8は、通信ネットワークを介して接続された装置へデータの送信または通信ネットワークを介して接続された装置からデータを受信する。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
偏光角θの光を生体に照射する光源と、
偏光角θ±α°及びθからの角度差90°の偏光フィルタと、
前記偏光フィルタを通過した前記生体からの反射光を撮影するカメラと、
を備えたことを特徴とする生体撮影装置。
(付記2)
前記カメラにより撮影された偏光角θ+α°の第1の画像と偏光角θ−α°の第2の画像に基づいて、第3の画像を生成する処理部をさらに備えることを特徴とする付記1記載の生体撮影装置。
(付記3)
前記処理部は、前記第1の画像の各画素の画素値と前記第2の画像の各画素の画素値との平均値を算出し、前記平均値を前記第3の画像の各画素の画素値とすることを特徴とする付記2記載の生体撮影装置。
(付記4)
前記処理部は、前記第1の画像の各画素の画素値と前記第2の画像の各画素の画素値との差分の合計の絶対値を算出し、前記絶対値が閾値未満の場合に、前記第3の画像を生成することを特徴とする付記2または3記載の生体撮影装置。
(付記5)
前記反射光のうちの偏光角θ+α°の光および偏光角θ−α°の光のそれぞれに表面反射光が含まれているか否かを示す偏光フィルタ情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記処理部は、前記偏光フィルタ情報が前記反射光のうちの偏光角θ+α°の光および偏光角θ−α°の光に表面反射光が含まれていないことを示す場合、前記第1の画像および前記第2の画像に基づいて前記第3の画像を生成することを特徴とする付記2乃至4のいずれか1項に記載の生体撮影装置。