JP6770866B2 - スペクトルを修正するための方法 - Google Patents

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Description

本発明の技術分野は、電離放射線、特に、X線の線源により照射された物体を透過した放射線のスペクトルの処理である。本発明の目的は、ピクセル型検出器(pixelated detector)を用いて複数のスペクトルを取得すること、及び、散乱放射線を示す成分の影響を限定するために、スペクトルの全て又はいくつかの修正を行うことである。その応用例は、医用画像又は非破壊検査での利用である。
医療又は工業の分野でのX線による物体の検査が、非常に広範に利用されている。既存の方法は、放射線源と検出器との間に物体を配置して、線源を用いて物体を照射することにある。そして、検出器は、物体を透過した放射線の、一般に2次元の、画像を形成する。この画像は、線源により放出された放射線の、物体による減衰を示す。
物体を透過した放射線は、線源により放出された放射線の、物体による散乱の結果の成分を有する。そのことは、放射線のエネルギーが弱いとき、及び/又は、物体が大きな原子番号の材料からなるときに、より一層顕著になる。一般に散乱放射線と呼ばれるこの成分は、それだけが物体による減衰に間接的につながることから、画像の解釈を混乱させる。その上、1次放射線と呼ばれる非散乱放射線は、線源と検出器との間を直線軌道に沿って伝播するのに対して、散乱された放射線は、物体のどのような箇所からも発生し、発生のこの箇所からのその軌道は、異なる角度により分散される。それゆえ、検出器により計測された信号から散乱成分を抽出するために、画像を解釈することを目的として画像を処理する前に、この散乱成分を評価することが求められている。
線源と物体との間を直線軌道で伝播する、1次放射線と呼ばれる非散乱放射線を本質的に示す画像を得るために、これらの画像での散乱放射線の割合を評価し、削減することを試みる多くの方法が開発されてきた。
例えば、非特許文献1は、X線の線源と物体との間に、格子の形態を採る除去可能なマスクを挿入することを有する方法を記載する。非特許文献1は、そのようなマスクが、高い空間周波数において、1次放射線の顕著な空間変調を生じるのに対して、低い空間周波数において、散乱放射線へのその影響があまり顕著ではないことに基づいている。このように、周波数空間において、1次放射線と散乱放射線との間の区別を得ることは可能である。
その上、非特許文献2も、X線の線源と物体との間に除外可能なマスクを挿入することを有する方法を記載する。マスクは減衰を可能にし、マスクが線源と物体との間に配置されたときに、検出器により計測される放射線は、散乱放射線だけを示すと考えられる。言い換えると、このマスクは、全体として考えると、1次放射線の減衰を可能にする。
現在の検出器は、決して進歩を止めない品質を有する2次元の画像を得ることを可能にする。1つの最近の傾向は、スペクトル画像、すなわち、異なるエネルギー帯による画像の獲得を可能にする検出器の出現である。分光測定機能を有する半導体検出器にしばしば基づくこれらの検出器は、一般に2次元で得られる、獲得したデータにスペクトル次元を追加する。そのとき、物体を透過した、異なるエネルギー帯による放射線の画像を得ることが可能である。
Zhu L, "Scatter Correction Method for X-ray CT Using Primary Modulation: Theory and Preliminary Results", IEEE Transactions on Medical Imaging, (米), Dec 2006, Vol. 25, No. 12 Ning R, "X-ray Scatter Correction Algorithm for Cone Beam CT-Imaging", Med.Phys., (米), May 2004, 31 (5)
現在、上記方法は、スペクトル画像解析(spectral imaging)とは関係しない。本発明者は、検出器により検出された放射線から1次放射線を抽出し、しかも、それをいくつかのエネルギー帯において同時に行うために、検出器により検出された放射線の効果的な修正を可能にする、スペクトル画像解析に基づく、代わりの解決方法を提案する。明細書の最後に記載した試験は、方法の効果を証明する。
本発明は、添付した請求項のいずれか1つに係る、物体を透過した電離性電磁放射線(ionizing electromagnetic radiation)のスペクトルを修正する方法である。より正確には、本発明の目的は、物体を透過した電離性電磁放射線のスペクトルを修正するための方法であり、
物体は、放射線源と検出器との間に配置され、放射線源は、上記物体に向けて、入射放射線と呼ばれる電離性電磁放射線を放出することが可能であり、
検出器は複数の画素を備え、各画素は物体を透過して検出器に向かう放射線を検出して、それからスペクトルを獲得することができ、透過放射線は、物体中での入射放射線の散乱により生じた散乱放射線と、1次放射線とを有し、
方法は、次のステップを有する。
a)線源と物体との間にマスクを挿入し、いくつかの画素により、物体を透過した第1放射線の第1スペクトルを獲得するステップ。マスクは、上記入射放射線の一部を減衰することができる減衰要素を備え、マスクの検出器上への投影は第1グループの画素の境界を定める。
b)第1グループの画素の各画素について、上記マスクがない場合の、物体を透過して検出器に到達する第2放射線の第2スペクトルを取得するステップ。
c)上記第1グループの画素の各画素について、比較スペクトルを取得するために、第1スペクトルと第2スペクトルとを比較するステップ。
d)第1グループの画素の各画素において、あらかじめ得た遷移行列を上記比較スペクトルに適用し、物体を透過して上記画素に到達する1次放射線を示す、いわゆる1次スペクトルの評価値を得て、物体を透過した散乱放射線を示す、散乱スペクトルを評価するステップ。
e)検出器の全て又はいくつかの画素について、修正スペクトルを得るために、ステップd)で評価した各散乱スペクトルから、第2スペクトル又は第1スペクトルを修正するステップ。
マスクは、好ましくは、放射線源と物体との間に挿入される。
実施の形態によると、
ステップa)は複数の配置において実行され、各配置において及び各画素について第1スペクトルを得るために、各配置は、物体に対する検出器及び線源の位置と関連付けられ、各配置は、第1グループの画素とも関連付けられ、
配置と関連付けられた第1グループの画素の全て又はいくつかについて、ステップb)は、他の配置より得られる第1スペクトルから第2スペクトルを決定することを有する。
そのことは、除外可能なマスクを用いることを回避する。そして、画素が、1つの配置により第1グループの画素に属し、上記他の配置と関連付けられた第1グループの画素に属さず、放射線源に直接さらされるという事実が利用される。この他の配置によりそれらの画素が受ける放射線は、マスクがない場合に、上記配置において、それらが受ける放射線を示すものと考えられる。
この実施の形態によると、各配置はパラメータと関連付けられ、第1パラメータと関連付けられた配置による少なくとも1つの第2スペクトルは、第1パラメータとは異なる第2パラメータと関連付けられた他の配置により得られる第1スペクトルから得られる。このパラメータは、物体に対する線源及び/又は検出器の傾斜角であることができる。
断層撮影の(tomographic)実施の形態と呼ばれる1つの実施の形態によると、ステップa)〜e)は複数の配置により実行され、各配置において、複数の画素に関して修正スペクトルを得るために、各配置は、物体に対する検出器及び線源の位置と関連付けられ、各配置の修正スペクトルは、物体の断層再構成(tomographic reconstruction)を生成するために用いられる。そのことは、本発明を断層再構成に適用することを可能にする。
本発明の他の主題は、この出願で記載される方法を実行するための指令を有する情報記録媒体であり、これらの指令はマイクロプロセッサにより実行されることができる。
本発明の他の主題は、物体の画像を生成するための装置であり、当該装置は、
入射放射線と呼ばれる電離性電磁放射線を上記物体に向けて放出することができる放射線源と、
複数の画素を備え、各画素は、物体を透過して検出器に向かう放射線を検出し、それからスペクトルを獲得することができる、検出器と、
線源と物体との間に挿入されることができ、検出器上への投影が第1グループの画素の境界を定める、入射放射線の一部を減衰することができる減衰要素を備えるマスクと、
各画素により検出されたスペクトルを受け、この明細書に記載された方法のステップc)〜e)を実行することができるプロセッサと
を備える。
本発明は、次の図面に基づいて、以下に記載される例示の実施の形態からより良く理解されるであろう。
図1(a)、(b)は本発明の実行を可能にする装置を示す。図1(c)は装置が設けられ、更に、図1(a)に描かれた、マスクを示す。 図2(a)は検出器応答行列(detector response matrix)を示す。図2(b)、(c)はそれぞれ、この応答行列の行、列を示す。 本発明の実施の形態の主要なステップを示す。 図4(a)は本発明で実行される遷移行列を示す。図4(b)はこの遷移行列の列を示す。図4(c)はこの遷移行列を得ることを可能にする方法のステップを示す。 図5(a)、(b)は物体の断層再構成に適した本発明の実施の形態を示す。 図6(a)、(b)、(c)は物体の画像をシミュレートするモデル化の結果を示し、各画像は検出器の複数の画素により計測されたスペクトルに基づき、これらのスペクトルはそれぞれ、全放射線、1次放射線、本発明による1次放射線の評価値を示す。図6(d)は図6(a)、(b)、(c)のそれぞれの水平プロファイルを示す。 図7(a)、(b)、(c)、(d)は全放射線のスペクトル、1次放射線のスペクトル、本発明により評価された1次放射線のスペクトル、検出器の異なる画素により計測された1次放射線のスペクトルを示す。 図8(a)、(b)、(c)は異なるエネルギー範囲における断層再構成のモデル化を示し、断層再構成はそれぞれ、全放射線、1次放射線、本発明による1次放射線の評価値に基づいて生成される。 図9(a)、(b)、(c)は人体模型で行われた実験計測の画像を示し、各画像は検出器の複数の画素により計測されたスペクトルに基づき、これらのスペクトルはそれぞれ、全放射線、参考方法により評価された1次放射線、本発明による1次放射線の評価値を示す。図9(d)は図9(b)に示す水平線に沿ったプロファイルを示す。 図10(a)、(b)、(c)、(d)は全放射線、参考方法により評価された1次放射線、及び、本発明により得られた1次放射線のエネルギースペクトルを示し、これらのスペクトルは、図9(b)に示す4箇所に対応する。
図1(a)は、本発明に係る方法を実行する装置1の実施の形態を示す。
放射線源11は、入射放射線と呼ばれる、電離性電磁放射線Iを物体10に向けて放出する。物体10は、放射線源11と放射線検出器20との間に配置される。放射線検出器は、検出平面Pと呼ばれる平面上に配置された画素20i,jを備える検出器である。係数i,jは、検出平面の各画素の座標を示す。画素は行状に延在することができるが、一般には、それらは通常の2次元マトリックスに従って延在する。
物体10は、活き活きとした(living)生体組織、例えば、動物又は人間の体の一部であることができる。装置は医用撮像装置である。物体は、工業用部品又は手荷物であることもでき、そのとき、装置は非破壊検査目的で用いられる。この例では、物体は人体模型の一部であって、母体(matrix)10、2つの肺10、10、脊柱10、椎骨10、側面(dimension)10、腫瘍10、10、10を備える。
用語「電離性電磁放射線」は、1keVよりも高い、そして、好ましくは、5MeVよりも低いエネルギーの光子からなる電磁放射線を示す。電離放射線のエネルギー範囲は、1keVと2MeVとの間にあることができるが、それはしばしば、1keVと、150keV又は300keVとの間に拡がる。電離放射線は、X線又はγ線であることができる。好ましくは、電離放射線源は多エネルギー性(poly-energetic)であって、入射放射線は、一般に数十keV、更には数百keVに渡るエネルギー範囲により放出される。それは、特に、X線放出管である。
入射放射線Iを形成する光子の一部分は、物体と相互作用をすることなく、物体を通過して、検出器20に到達する。これらの光子は、1次成分又は一次放射線Iを形成する。入射放射線Iを形成する他の光子は、例えば、光電効果により、物体中で減衰される。最終的には、いくつかの光子はサンプル中で、コンプトン非弾性散乱タイプ又はレーリー弾性散乱タイプの散乱相互作用を経験する。非弾性、弾性にかかわらず、散乱は光子の向きに変化を生じさせる。
このように、線源11により照射された物体10は、透過放射線と呼ばれる放射線Iを検出器20に向けて透過し、放射線Iは、
物体と相互作用することがなく、線源からの軌道が直線である、直接成分又は1次放射線Iと、
物体中の入射放射線の散乱に基づく、散乱成分Idiff又は散乱放射線と
を備える。
物体を透過した放射線Iは、検出器20の画素に到達し、各画素はこの放射線の一部を検出する。物体を透過し、画素20i,jにより検出された放射線をIi,jで示す。
先行技術と関連付けて説明したように、散乱放射線Idiffは計測の解釈を混乱させる。実際に、1次放射線Iと比べて、散乱放射線は物体から検出器に向けて、いろいろな向きで伝播する。このように、検出器の各画素20i,jにより収集された放射線の一部は、放射線源11から直接生じず、散乱現象に由来する。画像の解釈は、普通、検出器による入射放射線の減衰に基づき、減衰は、所定のエネルギー範囲における、入射放射線Iの強度に対する1次放射線Iの強度の比により得られる。画像の良い解釈は、1次放射線Iの強度の知識を前提とするが、物体を透過し、検出器により計測される放射線Iは、上記1次放射線Iと散乱放射線Idiffとの合計値を有する。
各画素20i,jは放射線検出器を構成し、放射線検出器は、
物体を透過する放射線Iの光子と相互作用でき、シンチレータ(scintillator)タイプの材料、又は、好ましくは、CdTe、CdZnTeタイプの、外気温での使用に対応する半導体材料である、検出器材料と、
検出器材料中で相互作用する各光子により預けられるエネルギーに依存し、又は、好ましくは、比例する強度を有する信号を生成することができる電子回路と、
取得期間と呼ばれる期間に検出した信号のエネルギーのSi,jで示されるスペクトルを得ることができる、スペクトル測定回路(spectrometry circuit)と
を備える。
このように、画素が規則正しくマトリックス配列で配置されたときに、各画素は物体を透過した放射線のスペクトルSi,jを生成することができる。検出器は、各画像が所定のエネルギー範囲ΔEの各スペクトルの内容を示す、いくつかの画像を形成することができる。典型的には、各画像は、上記エネルギー帯における各スペクトルSi,jの積分値又は平均値を有する。検出器が空間的にもスペクトル的にも解像される(resolved)ので、用語「スペクトル画像解析」が適合する。
また、入射放射線Iによる照射の効果の下で、物体10は透過放射線と呼ばれる放射線Iをピクセル型分光検出器(pixelated spectrometric detector)20に向けて透過し、その各画素20i,jは、上記透過放射線Iを検出し、正しく検出した放射線Ii,jのエネルギースペクトルSi,jを形成することができる。
用語「エネルギースペクトル」は、スペクトルの取得期間に検出した信号の強度ヒストグラムに対応する。強度AとエネルギーEとの間の関係は、当業者に知られた原理による
E = g(A)
のようなエネルギー校正関数(energy calibration function)により得ることができる。それゆえ、エネルギースペクトルSi,jはベクトルであって、その各項Si,j(n)は、∂Eが各チャネルのスペクトル幅であるときの、エネルギー範囲E±∂E/2において、画素20i,jにより検出される放射線の量を示す。
各エネルギースペクトルSi,jは、雑音項内で(to within a noise term)、S i,jで示される1次放射線のスペクトルと、散乱放射線のスペクトルSdiff i,jとの合計であると考えることができる。また、
i,j ≒ SP i,j + Sdiff i,j (1)
である。記号「≒」は、雑音項内で等しいことを意味し、この雑音は特に、検出器に由来する、又は、2つの入射光子が同時に検出されたときに起こる、いわゆるスタッキング効果に由来することができる。
本発明の1つの目的は、散乱成分Sdiff i,jを削減し、S* i,j ≒ SP i,jとなるような修正スペクトルS* i,jを得るために、各画素で計測されたスペクトルを修正することである。言い換えると、修正スペクトルS* i,jは、画素20i,jに到達する1次放射線のスペクトルの評価値
に対応する。
装置は、更に、線源11と検出器20との間、この例では、線源11と物体10との間に配置され、好ましい配置を構成するマスク15を備える。このマスクは、マスクが延在する表面15上に空間的に分散された減衰要素15を備える。各減衰要素は、照射源により生成された入射放射線Iの一部分を部分的に減衰することができる。減衰要素は離散的に分散され、2つの隣り合う減衰要素は、上記減衰要素よりもより少なく減衰する。言い換えると、減衰要素は、減衰係数att 15、attx’ 15の離散的な空間分布を定義し、2つの隣り合う減衰要素15、15X’の間では、減衰係数att 15は、各減衰要素と関連する減衰係数att 15、attx’ 15よりも小さい。
用語「減衰係数」は当業者に知られている。減衰係数は、I(E)がエネルギーEで減衰要素15上に入射する入射放射線Iの強度を示し、I(E)が上記エネルギーEで減衰要素15を透過する入射放射線Iの強度を示す場合に、式
att 15(E) = −ln[I(E)/I(E)]
で表される。
一般に、線源と検出器との間にマスクを挿入することは、マスクなしの配置と比べて、検出器から生じる散乱放射線を著しく変化させない方が良い。また、好ましくは、各減衰要素は、前に定義したように、減衰係数が、入射放射線Iが放出されるエネルギー範囲の1つのエネルギーにおいて、又は、このエネルギー範囲の平均エネルギーにおいて、0.05と1.5との間にあることを示す。このように、散乱を無視することにより、各減衰要素は、好ましくは、線源により生成され、及び/又は、マスクの減衰要素の間に拡がる空間でマスクを通過する入射放射線Iの5〜80%を減衰する。好ましくは、減衰係数は1よりも小さく、更には0.5よりも小さく、好ましくは0.3よりも小さい。このように、各減衰要素は、線源により生成された放射線の、又は、マスクの減衰要素の間を通過した放射線の、60%よりも少ない、又は、40%よりも少ない、好ましくは、30%よりも少ない量をそれぞれ減衰する。線源により生成された放射線の5%の減衰に対応する、0.05に等しい減衰係数以下では、本発明者は減衰は不十分であると考える。言い換えると、マスク15は、それゆえ、減衰要素15と、上記減衰要素の間に拡がる空間との間の減衰の差異(attenuation contrast)を得ることを可能にし、減衰要素は、上記空間を通過する放射線の5〜30%、更には40%、更にはそれ以上を減衰する。
加えて、又は、代わりに、マスクにより減衰された入射放射線の割合による充填率(filling factor)の結果の形態で、マスク15の減衰全体(global attenuation)を定義することが可能であり、充填率は、照射線源11により放出された入射放射線Iのエネルギー範囲のエネルギーにおいて、又は、この範囲の平均エネルギーにおいて決定される。充填率は、マスクの全表面領域に対する、減衰要素15の組みにより占められるマスクの表面領域の割合に対応する。このように定義したマスクの減衰全体は、好ましくは、1%よりも大きく、10%よりも小さい。このように、この条件を満足するマスクは0.08に等しい充填率を有することができ、マスクの各要素15は、前に定義したように、0.08(8%)に等しいマスクの減衰全体を与える、入射放射線の10%を減衰する、。
各減衰要素は、いかなる形状を有することもできるが、それが延在する表面15の方向の少なくとも1つの大きさは、5mmよりも小さく、好ましくは2mmよりも小さく、更には、1mmよりも小さい。前に説明した実施の形態の全てにおいて、マスクは、好ましくは、検出器の画素が延在する平面に平行なXY平面上に延在する。
上記マスク上の2つの隣り合う減衰要素の間隔は、5mmよりも小さく、好ましくは、1〜5mmの間にあることができる。一般に、検出器20上に投影した後の2つの隣り合う減衰要素の間隔は、有利には、1〜10cmの間にあって、好ましくは、5cmよりも小さく、又は、3cmよりも小さい。以下で説明するように、各減衰要素15の検出器上への投影は基本陰影領域(elemental shadow zone)の境界を定める。各基本陰影領域は、中心点の周りに拡がる。有利には、2つの隣り合う基本陰影領域の複数の中心点の間の空間は、1〜10cmの間にあり、好ましくは、1〜5cmの間にある。「投影」は、線源により放出された放射線の伝播の方向での投影を意味すると理解されるべきである。
マスクの例を図1(b)に示す。各減衰要素15は、平行六面体の(parallelepipedal)ブロックであり、マスクが延在する表面15上の各減衰要素の領域は、1mm×1mmであり、各要素15の中心の間隔はそれぞれ、第1方向Yにおいて3mmであり、第1方向と直角の第2方向Xにおいて2.2mmである。この例では、マスクを形成する材料はアルミニウムであり、その厚さは2mmであり、入射放射線の10%が減衰する、0.9〜100keVの減衰係数に対応する。その厚さは、マスクが延在する表面に直角の方向に伸びる。一般に、マスクは、1次放射線の十分な部分を減衰するような十分に減衰する材料で生成される。しかしながら、入射放射線が物体に到達する前に、入射放射線の顕著な散乱を生じる、例えば、鉛のような、重金属タイプの過剰に密度の高い材料は、好ましくは、避けるべきである。マスクに好ましい材料には、アルミニウム、銅、黒鉛、ホウ素が含まれる。
例えば、異なる減衰要素の間の不規則な間隔、又は、各減衰要素の不規則な幾何学的配置(geometry)を考えることにより、他の幾何学的配置を想像することができる。メッシュを定義する格子形状のマスクもまた可能であり、減衰要素は各メッシュの間に配置される。
各減衰要素の間の、マスクが延在する表面15は、好ましくは、考えられるエネルギー範囲において光子を透過すると考えられる材料からなる。それは、薄い、プラスチック、紙、又は、軽金属、アルミニウム、鉄、銅、又は、自由な、空気が占める空間であることができる。このように、各減衰要素15の間で、前に定義したように、減衰係数は、好ましくは、0.5よりも小さく、更に、0.2又は0.1よりも小さい。好ましくは、各減衰要素の間で、減衰係数は無視しても良い。
減衰要素の数は、検出器の観察領域に覆うように設定される。説明した例では、減衰要素は、17×3要素、全51要素のマトリックスにより分散される。
マスクは、除外又は固定できる。除外できるマスクを有することにより、図1(b)に示すように、マスクなしのスペクトルを生成することが可能になる。
マスクが線源と検出器との間に挿入されたときに、マスクの、入射放射線Iの伝播の方向での、検出器上への投影は、上記伝播の方向における、各減衰要素15に対して位置合わせされた検出器の画素20 i,jをグループ化する陰影領域の境界を定める。特に、前に説明したように、入射放射線の伝播の方向での各減衰要素15の投影は、検出器上に基本陰影領域を形成する。基本陰影領域の組みは、上記陰影領域を構成する。陰影領域の画素は、Gで示される第1グループの画素を構成する。この第1グループGは、線源と検出器との間に物体がなくても、計算により又は実験によりあらかじめ決定することができる。この第1グループに属さない画素
は、減衰要素15により減衰されていない放射線を受け、この第1グループに属する、上記画素と放射線源11との間に伸びる線上に位置する各画素20 i,j∈G1は、減衰要素15により減衰された放射線を受ける。
装置は更に演算部、又は、例えば、マイクロプロセッサのようなプロセッサ21を備え、それは、検出器の画素により計測された各スペクトルSi,jを処理することができる。特に、プロセッサは、この明細書で説明するスペクトル処理及び演算動作を実行するための指令のシーケンスを記憶したプログラム可能なメモリ22に接続したマイクロプロセッサである。これらの指令は、プロセッサにより読み出し可能な、ハードディスク、CDROM又は他の種類のメモリの記録媒体上にバックアップをとることができる。プロセッサは、例えば、スクリーンのような、表示部24に接続されることもできる。
検出器は、検出の不完全性を示す、検出器応答行列Dにより特徴付けられることができる。大きさN×N(Nは、検出器により形成される各スペクトルのチャネル数を示す)の、この行列を図2(a)に示す。この例では、N = 150であるが、一般にチャネル数は2よりも大きく、更に10よりも大きく、数千に及ぶことができる。この行列の各項D(u,v)は、検出器に入射するエネルギーvの光子が、検出器によって、エネルギーuを有すると判断される可能性を示す。
言い換えると、図2(b)に示すような行列の各行D(u,・)は、エネルギーuの光子を検出したときに、検出器に到達した光子のエネルギーvの可能性の分散に対応する。図2(b)は、行列Dの行70を示す。同様に、図2(c)に示すような行列の各列D(・,v)は、検出器に到達した光子がエネルギーvを有するときに、検出器により検出されたエネルギーuの可能性の分散を示す。図2(c)は、行列Dの列70を示す。検出器のエネルギー解像度が高いほど、この行列が対角線行列になる傾向が大きくなる。完全な検出器の場合には、行列Dは恒等行列(identity matrix)である。
ここで、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る、方法の主要なステップを説明する。
(ステップ100) 第1スペクトルの獲得
マスク15が、線源11と検出器20との間に挿入される。各画素20i,jは、マスクの存在下で物体を透過した第1放射線と呼ばれる放射線Iに曝され、第1スペクトルS i,jと呼ばれる、そのスペクトルを獲得する。減衰要素15の延長上に位置する画素20i,j∈G1は第1グループGに属し、他の画素
と比べて、減衰した放射線を検出する。第1グループの画素により獲得された第1スペクトルはS i,j∈G1で示される。第1グループに属さない画素により獲得された第1スペクトルは
で示される。
(ステップ110) 第1グループGの各画素20i,j∈G1について、線源と物体との間に挿入されたマスクなしに、物体を透過した第2放射線Iを示す第2スペクトルS i,j∈G1を取得すること
この第2スペクトルは、図1(b)に示す、マスクが除外された配置により、実験的に取得することができる。この第2スペクトルは、第1グループGに属さず、減衰要素により減衰されていない放射線を受ける第1スペクトル
から、評価により取得することができる。この評価は、例えば、線形補間又は多項式補間のような補間により行うことができる。それは、実験計測を行う必要なしに、マスクが存在しない場合に、第1グループの画素により受けられる第2スペクトルS i,j∈G1を評価することを可能にする。
図5(a)、5(b)に関連して、後で説明する他の実施の形態によると、各計測は対応する計測配置Cを有し、それは、物体に対する検出器及び/又は線源の位置を示す。この計測配置Cは2つの連続する計測の間で変化する。配置Cによる、検出器の第1グループの画素が受ける第2スペクトルS2,C i,j∈G1,Cは、上記画素が減衰要素の延長上になく、他の配置において第1グループG1,C’に属していない、他の配置C’において生成される第1スペクトル
から評価できる。この特別な場合については、図5(a)、5(b)の記載において、後でより詳細に説明する。
(ステップ120) 第1グループGの各画素20i,j∈G1に関して、同じ画素について第1スペクトルS i,j∈G1と第2スペクトルS i,j∈G1とを比較することにより得られる、いわゆる比較スペクトルΔSi,j∈G1を決定すること
例えば、比較は減算であって、その場合に、
ΔSi,j∈G1 = S i,j∈G1 − S i,j∈G1 (2)
である。スペクトルを減算することは、ベクトル減算(vector subtraction)タイプの、各チャネルの内容の減算を意味すると理解されるべきである。
(ステップ130) 上記画素と線源との間に配置されたマスクなしで、第1グループの各画素について、いわゆる1次スペクトル
を評価すること
そのようなスペクトルは、第1グループGの画素に到達する第2スペクトルS i,j∈G1の1次成分を示す。この評価は、このグループの各画素について、行列積
を介して、ステップ120で決定した比較スペクトルΔSi,j∈G1を検討することにより行われる。
Mは、あらかじめ決定され、ステップ120で決定した比較スペクトルと、マスクなしの場合に第1グループの画素20i,j∈G1に到達した放射線Iの1次成分の評価
との間の関係を得る、遷移行列である。
この評価は、本発明の重要な態様を構成する。その起源は、マスクあり及びマスクなしでそれぞれ第1グループの画素20i,j∈G1が計測したスペクトルS i,j∈G1、S i,j∈G1を説明することにある。それは、マスクあり又はマスクなしでの散乱放射線のスペクトルSdiff i,j∈G1の変化を無視できるとする推定に基づく。それゆえ、その有効性は、前に説明したように、減衰し散乱しないマスクの利用を条件としている。
式(1)を用いて、S i,j∈G1は、
i,j∈G1 = S1P i,j∈G1 + S1diff i,j∈G1 (4)
の形式で表現でき、S1P i,j∈G1及びS1diff i,j∈G1はそれぞれスペクトルS i,j∈G1の直接又は散乱スペクトルを示す。
であり、Dは前に説明した検出器応答行列を示し、Sは入射放射線Iのスペクトルを示し、att10、att15はそれぞれスペクトルの各エネルギーで画素20i,jに到達した放射線の物体10及びマスク15中での減衰を示す。
att10 = Σμ
att15 =l15Xμ15X
であり、lは物体10の各要素10q中での移動距離であり、μはスペクトルの各エネルギーにおける、各要素10qの線形減衰係数のベクトルであり、l15Xは画素20i,jと結合した減衰要素15中での移動距離であり、μ15Xはスペクトルの各エネルギーにおける、線形減衰係数のベクトルである。×は行列積を示し、
はアダマール積を示す。線形減衰係数μは次の定義
μ(E) = −ln[I(E)/I0,q(E)]
を証明し、I0,q、Iはそれぞれ厚さlの物体の要素10qに入射した放射線及び透過された放射線を示す。当業者に知られたそのような線形減衰係数は、エネルギー及び要素10qを構成する材料に依存する。
スペクトルS i,j∈G1は、減衰スクリーン15なしの獲得に対応するので、
i,j∈G1 = S2P i,j∈G1 + S2diff i,j∈G1 (6)
である。
このため、推定により、
2diff i,j∈G1 =S1diff i,j∈G1
なので、
である。このため、
であり、1は1だけを備えるベクトルである。したがって、
であり、このため、
ΔSi,j∈G1 = D × wS2P i,j∈G1 (12)
で、
w = (1−e−att15) (13)
である。
−1で示す、大きさN×Nの正方行列を構成することが可能であり、この行列の項は、ゼロである対角線上に位置せず、対角線の各項nは、値
−1(n,n) = 1/(1−e−att15(n))’ (14)
を有し、att15(n)はランク(rank)nのチャネルに対応するエネルギーでのスクリーン15の減衰を示す。係数nはスペクトルのチャネルのランクを示し、それはエネルギー値Eに例えることができる。減衰は、減衰材料を構成する材料の線形減衰係数により乗算される減衰要素の厚さに対応する。
このように、画素20Si,j∈G1について、比較スペクトルΔSi,j∈G1を決定する式(13)(14)に従い、あらかじめ定義した検出器応答行列D及び行列W−1を用いて、式
により、1次スペクトル
を評価することが可能である。
この式は、次のように書き換えることができ、
それは、前に書いた式(3)に対応する。
ここで、Mは、
M = D × W−1 × D−1 (17)
のような遷移行列である。
検出器応答行列D及びマスク15の減衰を考慮した行列から生成された遷移行列Mは、減衰あり及び減衰なしでそれぞれ決定されたスペクトルS i,j∈G1、S i,j∈G1の間の比較ΔSi,j∈G1から第1グループの画素20i,j∈G1に減衰なしで到達する放射線の1次スペクトル
を評価することを可能にする。この例では、比較はこれらの2つのスペクトルの間の差異である。比較スペクトルΔSi,jから減衰がない1次スペクトルの評価に分析的に取り組むことを可能にすることから、この遷移行列を用いることは、本発明の重要な要素である。
遷移行列Mは、分析的に決定することができるが、本発明者は、以下で説明するように、それを実験的に評価することを可能にする方法を提案した。
(ステップ140) 第1グループの各画素20i,j∈G1についての散乱スペクトル
の評価
第1グループの各画素20i,j∈G1について、M及びΔSi,j∈G1からスペクトル
を評価することにより、(6)を用いて、このグループの各画素20i,j∈G1に影響を及ぼす散乱スペクトルを評価することで可能である。
(ステップ150) 検出器の各画素20i,jについての散乱スペクトルの
の評価
第1グループの各画素20i,j∈G1の散乱スペクトルを評価することにより、散乱放射線の空間的変化の頻度は小さいとする推定が基礎として用いられる。言い換えると、1つの画素から他の隣の画素への、散乱放射線のスペクトルの変動は、突然に変化しない。そして、第1グループGの画素の散乱スペクトル
の補間により、検出器の全ての画素の散乱スペクトル
を評価することが可能である。第1グループに入らない画素については、これらの画素がマスクによる減衰を受けないので、散乱スペクトルはマスクあり及びマスクなしで当然同じである。
補間の前に、いくつかの任意の前処理動作を実行することが可能である。同じ減衰要素15の陰に配置された画素として20i,j∈kを例に挙げる。これらの画素は核(kernel)kを形成し、核kの中心画素と呼ばれる1つの画素20が中心を構成する。この核を示す散乱スペクトル
を評価し、それを中心画素に割り当てることが可能である。核kを示すこのスペクトルは
であって、Cは核kの画素数を示す。スペクトル
は、核kの画素の散乱スペクトルの評価の中心値を示す。補間は、各核kを示す各スペクトル
を考慮して行われる。
他の任意の前処理動作は、検出器の全ての画素に到達する散乱スペクトルは同じ形状を有する、つまり、画素毎に同様であるとする推定に基づく、各核kを示す各スペクトル
の拡大縮小(scaling)にある。この推定は、検出器の表面領域が小さい、典型的には数cm又はそれよりも小さいときに、なお一層正当化される。この拡大縮小は、核kを示す散乱スペクトル
の各チャネルnにスカラーak,nを適用することにあり、このスカラーは式
により決定される。
Kは核kの数を示す。そして、各チャネルnについて、
で示される修正スペクトルを取得するような方法で、各核kでの散乱を示すスペクトル
を修正することが可能である。
2次元XYに配置された検出器の画素を用いて、X方向について、次に他方のY方向について、又は、X方向及びY方向の両方について同時に、スペクトル
に基づいて、用いる変数により、補間が行われる。補間はエネルギーチャネル毎に行われる。それは多項式であることができる。検討する例では、検出器は64×640画素を備える。補間は、640画素の各行について4次多項式に従って、次に、64画素の各列について2次多項式に従って行われる。
(ステップ160) 物体を透過した1次放射線のスペクトルを示す修正スペクトルS i,jを取得するための、検出器の画素20i,jの全て又はいくつかについての第2スペクトルS i,j(又は、第1グループに属さない画素についての第1スペクトルS i,j)の修正
言い換えると、もしもS i,jが物体を透過して画素20i,j上に到達した1次放射線のスペクトルを示すならば、
である。
このステップは単純に、各画素20i,jについて、第2スペクトルから(又は、第1グループに属さない画素についての第1スペクトルから)、散乱スペクトル
の評価値を減算することにより行われる。
すなわち、第1グループの画素20i,j∈G1について、
であり、第1グループに属さない画素
について、
である。
そして、検出器の各画素について、物体を透過した1次放射線のスペクトルの評価値を示すスペクトルS i,jが得られる。そして、各画素により検出された、1つ又は複数のエネルギー(E)における1次放射線の強度、すなわち、スペクトル画像の意味を示す画像Im(E)を得ることが可能である。それは、計測が解釈されるこのスペクトル画像に基づく。
断層再構成の場合には、前に説明したように、方法は異なる配置Cで実行されるが、各配置は、断層再構成が生成されることに基づく、対応するスペクトル画像又は対応する複数のスペクトル画像Im(E)を有する。
どのような実施の形態であれ、異なるチャネルEがグループ化されて、スペクトル帯(spectral band)ΔEを構成することができる。そして、これらのスペクトル帯のそれぞれについて、画像Im(ΔE)を取得することが可能である。
(遷移行列を得ること)
本発明の重要な要素の1つは、ステップ130で用いる遷移行列Mである。この行列は式(17)による計算により取得することができる。しかしながら、本発明者は、遷移行列を実験的に得ることが好ましいと評価した。行列Mの各行M(c,n)は、
M(c,c) = 1/(1−e−att15(C)) (25)
のような、対角項M(c,c)の一方の側での変形を促進する関数であると考えることができる。
このように、行M(c,n)の各項は、式
M(c,n) = [1/(1−e−att15(C))] × f(c,n,α・・・α) (26)
により説明することができ、ここで、fは変形関数であり、α・・・αは変形関数fのパラメータである。
遷移行列を得るには、変形関数fの分析的表現(analytical expression)を定義する必要がある。そのために、シミュレーションが異なる校正配置(calibration configuration)により行われるが、各校正配置Calibは既知の性質及び厚さの材料に対応する。これらの配置は、校正の基礎(calibration base)を構成する。各校正配置Calibについて、第1グループGに属する検出器の複数の画素を考慮して、図4(c)に関連して説明するように、次のステップが行われる。
(ステップ90) 1組みのパラメータ(α・・・α)によりパラメータ化された、関数fの分析形態の選択
(ステップ92) 各校正配置Calibについての、1次放射線のスペクトルSCalib,P i,j∈G1の、シミュレーションによる決定
(ステップ94) 各配置についての、マスクあり及びマスクなしで検出器に到達した放射線のスペクトルの、シミュレーション又は計測による決定、及び、これらの2つのスペクトルの間の差異を示す、比較スペクトルΔSCalib i,j∈G1の計算
(ステップ96) 異なる校正配置に対応するスペクトルSCalib,P i,j∈G1を用いた、式
によるパラメータ(α・・・α)の組みの決定。ここで、
は、パラメータ(α・・・α)によりパラメータ化された遷移行列Mを式
により実行することにより得られる1次スペクトルSCalib,P i,j∈G1の評価値であり、ψはスペクトルSCalib,P i,j∈G1の組みと、パラメータ(α・・・α)によりパラメータ化された遷移行列Mを用いて得られた、それらのそれぞれの評価値
との間の誤差を示す関数である。それは、2次誤差(quadratic error)のタイプの関数であることができる。
(ステップ98) ステップ96でパラメータが決定された関数fを用いて、及び、式(26)を用いて、行列Mを取得すること
(他の実施の形態)
図5(a)、5(b)に関連して説明する、1つの実施の形態によれば、物体に対する検出器及び/又は線源の位置は、2つの連続する計測の間で変化する。更に、各計測は対応する配置Cを有し、各配置は、前に定義したように、物体10に関する検出器20及び/又は線源11の相対位置により特徴付けられる。各配置は、物体に関する検出器及び/又は線源の位置を示すパラメータPにより特徴付けられる。このパラメータは、スカラー又はベクトルであることができる。図5(a)、5(b)に示す例では、線源は検出器に対して固定され、線源及び検出器からなる組立物は、XZ平面に直角なY軸上で、初期位置に対して角度Θで、物体の周りを回転する。この角度は、各計測配置のパラメータPを構成する。
図5(a)に示す第1配置Cでは、Θ=0である。画素20は、マスク15の減衰要素15により遮蔽される。図5(b)に示す第2配置C’では、Θ=Θ’>0である。画素20は、マスク15により遮蔽されない。そのような実施の形態において、画素lについて、図5(a)に示す配置Cにより第1スペクトルS1,C が得られ、第2スペクトルS2,C が配置C’により得られる第1スペクトルS1,C’ に対応する。言い換えると、
2,C = S1,C’
である。この実施の形態は、線源と物体との間に固定マスクを保持することを可能とし、画素20i,jの第2スペクトルS2,C i,jが、配置C’の第1スペクトルS1,C’ i,jの計測により得られる。第1配置Cでは、画素20i,jは第1グループG1,Cに属し、第2配置C’では、この画素は第1グループG1,C’に属さない。
好ましくは、これらの2つの配置は、第2配置で画素20により計測されたスペクトルに十分に匹敵し、第1配置のマスクなしの放射線を示す。このように、好ましくは、配置C、C’にそれぞれ関連付けられたパラメータP、P’は類似する。「類似」は、それらの相対偏差(relative deviation)が所定のしきい値、例えば、10又は20%を超えないことを意味すると理解されるべきである。
1つの実施の形態によると、各配置において、複数の画素について、修正スペクトルS*,C i,jを取得するために、方法は、各配置が物体に対する検出器及び線源の関連位置をそれぞれ有するような、複数の配置Cにより実行される。各配置と関連付けられた修正スペクトルS*,C i,jは、物体10の断層再構成を生成するために用いられる。各配置は、線源−検出器組立物及び物体により形成される角度を示す、パラメータP=Θによりパラメータ化されることができる。
再構成は、物体を形成する要素10qの形状、及び、それらの線形減衰係数μ又は減衰を表す何らかの他の係数を再構成することを目的とする。それは、各エネルギーEに対応するスペクトル画像Im(E)に基づいて、既知の逆転アルゴリズム(inversion algorithm)を実行することにより生成され、各画像は上記エネルギーでの放射線量を示し、この量は修正スペクトルS*,C i,jにより得られる。これらの修正スペクトルを用いることは、以下の例で説明するように、断層再構成の質を顕著に改善することを可能にする。
再構成の前に、スペクトル帯のそれぞれについてスペクトルS*,C i,j(ΔE)を形成し、スペクトル帯に対応するスペクトル画像Im(ΔE)を取得するために、典型的には数十keVのスペクトル帯ΔEのスペクトルのグループ化を進めることができる。
(例)
次に、計算コード(computation code)により実行されるシミュレーションに基づく、X線撮影での応用例及び断層撮影での応用例に係る、本発明の例示的な実施の形態の説明を続ける。まず、遷移行列Mを得ることの例を説明する。
図4(c)に関連して説明するように、遷移行列は1つ以上の材料を備える校正の基礎を用いて決定される。この例では、2つの材料(水及びアルミニウム)が検討され、検討された厚さは、
アルミニウムについては、ピッチ0.1cmで0〜0.2cm
水については、ピッチ0.5cmで0〜20cm
である。関数fの解析形式は
のように選択される。
係数c及びnは、遷移行列の行及び列とそれぞれ関連付けられる。
その上、各校正配置について、比較スペクトルΔSCalib i,j∈G1を形成するために、実行された検出器の第1グループの画素に到達した1次スペクトルSCalib,P i,j∈G1はモデル化され、スペクトルの模擬計測(simulated measurement)はマスクあり及びマスクなしで実行された。そして、前に説明したように、値α、αが決定された。結果は、α=0.2であり、0.04≦α≦0.18であった。図4(a)は取得した遷移行列Mを示し、図4(b)はこの行列の座標n=45の列を示す。
次に、図1(a)、1(b)に示す装置を実行するシミュレーションの説明を続ける。物体は、人間の胴体をまねた人体模型である。それは、母体10を備え、XZ平面に平行な平面での、母体の断面は楕円形であり、Z軸上及びX軸上での最大の大きさはそれぞれ20cm及び40cmである。この母体10は体を表し、水でできている。母体10内部に配置された第1要素10及び第2要素10は肺を示す。XZ平面に平行な平面での、それらの断面は楕円形であり、Z軸上及びX軸上での最大の大きさはそれぞれ11cm及び15cmである。これらの要素は空気からなる。第3要素10は脊柱を示す。XZ平面に平行な平面での、その断面は直径3cmの円盤の形状である。長方形の第4要素10は椎骨を示す。その構成材料は骨であり、国際放射線単位測定委員会(ICRU:International Commission on Radiation Units and Measurements)のデータベースによりモデル化される。最後に、楕円形の断面の環状の骨からなる母体の周辺10は側面を示す。その厚さは1cmである。直径2cmの実質的に球状の介在物(spherical inclusion)10、10、10は、第1要素及び第2要素の高さに配置され、肺を示す。これらの介在物はPMMA(ポリメチルメタクリレート)からなり、癌性腫瘍を示す。
線源11は、電圧110kVを受ける、タングステンアノードを有するX線管である。検出器20は(X軸上で)640画素×(Y軸上で)64画素であり、各画素は厚さ5mmのCdTeを備える。検出器が延在するXY平面での各画素の表面領域は、1mm×1mmである。検出器はエネルギー分析され、各画素は、1keVのエネルギーチャネルによりスペクトルを取得することを可能にする。用いられるマスク15は、図2に示すものである。
図6(a)、6(b)、6(c)は、検出器の全ての画素上の、マスクなしでの全放射線、1次放射線、及び、図3に示す方法により本発明を実行することにより評価された1次放射線をそれぞれ示す。方法の実行中に、図2に示すように、線源から10cmの距離に位置するマスクをシミュレーションすることにより、第2スペクトルS i,j∈G1が得られる。各画素20i,jに対応し、色コード(colour code)により示される量は、
のような、減衰値Ai,jである。ここで、
i,jは、検出器が線源に直接さらされたときに、画素20i,jにより計測されるスペクトルである。それは、入射放射線Iのスペクトルを示す。
S’i,jは、画素20i,jにより計測される、目的のスペクトルである。
図6(a)では、S’i,jは、マスクなしで、物体を透過した放射線のスペクトルを示す。
S’i,j=Si,j
図6(b)では、S’i,jは、マスクなしで、線源と検出器との間に配置された物体を透過した放射線の1次スペクトルを示す。
S’i,j=S i,j
図6(c)では、S’i,jは、本発明により修正されたスペクトルを示し、それは、1次スペクトルSi,jの評価値に対応する。
各量Ai,jは、物体中での全減衰(global attenuation)を示し、用語「全(global)」は、それがスペクトルの全てのエネルギーチャネルで決定されるという事実を説明する。そのことは、図示を簡単にする、スカラーにより目的の各スペクトルS’i,jを示すことを可能にする。図6(a)、6(b)、6(c)は次のことを示す。
本発明を実行することによる、1次放射線のスペクトル
の評価値(図6(c))は、モデル化された1次放射線のスペクトルS i,j(図6(b))と一致する。
1次放射線のスペクトル(図6(b)、6(c))は、全放射線のスペクトル(図6(a))よりも大きなコントラストを示す。1次放射線のスペクトルの分離は、異なる減衰を示す領域のより良い空間的な分離を可能にする。そのことは、密度の高い要素10、10(骨)に対応する、画像の中央部分で特に観ることができる。1次放射線のスペクトルに頼ることは、現実に近い減衰値(attenuation value)を取得することを可能にする。
これらの結果は、これらの画像のそれぞれの中心形状を同一の値y=32で示す、図6(d)で確かめられる。この図では、係数A、B、Cはそれぞれ図6(a)、6(b)、6(c)を言及する。
図7(a)、7(b)、7(c)、7(d)は、それぞれ、検出器の座標(i,j)=(100,15)、(192,38)、(32,55)、(320,32)の画素20i,j上の、全放射線のスペクトルSi,j、本発明によりモデル化された1次放射線のスペクトルS i,j、本発明により評価された1次放射線のスペクトル
を示す。これらの画像のそれぞれにおいて、係数1、2、3はそれぞれ全放射線のスペクトルSi,j、本発明によりモデル化された1次放射線のスペクトルS i,j、本発明により評価された1次放射線のスペクトル
を示す。ポイントのそれぞれにおける、本発明によりモデル化された1次放射線のスペクトルと、本発明により評価された1次放射線のスペクトルとの間の一致は、注目されるであろう。図7(d)に示す、(i,j)=(320,32)の画素は、検出された放射線のほとんど全てが散乱放射線であり、1次放射線の寄与は無視できる点において注目に値する。この画素は、強く減衰する骨要素10、10に面して位置している。そのことは、この画素により計測される放射線が、基本的に、物体から発する散乱放射線からなることを意味している。本発明の目的及び効果は、ここにおいて判断される。
散乱スペクトルを修正するための方法の効果は、散乱線対1次線比(Scatter-to-Primary-Ratio)の略語SPRで示される指数により、しばしば計測される。
この指数の、積分表現(integral expression)と呼ばれる第1の表現は
SPR = [ΣΣi,jnSi,j(n)/ΣΣi,jnS i,j(n)] × 100 (33)
である。
用語「積分」は、指数が全ての画素及びエネルギーチャネルに基づくという事実を説明する。
この指数はピクセル化される、すなわち、検出器の各画素20i,jと関連付けられることができ、その場合には、それは空間表現(spatial expression)と呼ばれる、第2の表現
SPR(i,j) = [ΣnSi,j(n)/ΣnS i,j(n)] × 100 (34)
により説明される。
それは、更に、検出器の全ての画素上のエネルギーの関数として表現されることができ、その場合には、スペクトル表現(spectral expression)と呼ばれる第3の表現
SPR(n) = [Σi,jnSi,j(n)/Σi,jnS i,j(n)] × 100 (35)
により説明される。
その表現が積分、空間、スペクトルのいずれであっても、係数SPRが小さくなるほど、画素20i,jにおいて、又は、エネルギー範囲nにおいて、検出器の全ての上で散乱される割合(share)は小さくなる。
更に、検出器の各画素20i,jについての評価の有効性を反映する、規格化微分指数(normalized differential indicator)Ind_diffにより1次放射線のスペクトルの評価の有効性を定量化することが可能である。前に説明した係数SPRと同様に、この指数Ind_diffは、それぞれ、表現
により、積分、空間、スペクトルの形式で表現することができる。
その表現が積分、空間、スペクトルのいずれであっても、係数Ind_diffが小さくなるほど、評価値は良くなる。
表1は、検出器の全ての画素上での、上で説明した異なる指数を示す。
検討した画像において、信号対1次積分比(signal to primary integral ratio)は20%に近い。係数Ind_diffは平均してとても小さいことがわかり、そのことは、評価の良い品質を証明する。
物体の周辺での、Z軸に平行な回転軸での、計測装置(線源、マスク、検出器)の回転をシミュレーションすることにより、そして、1度の各角度間隔での獲得を実行することにより、図1に示す物体の断層再構成が生成された。再構成の前に、スペクトルのチャネルは、23〜110keVの間で、21keV幅の4つのスペクトル帯にグループ化される。これらのスペクトル帯は、23〜44keV、45〜66keV、67〜88keV、89〜110keVである。図8(a)、8(b)、8(c)は、それぞれ、
全放射線のスペクトルSi,j
シミュレーションした1次放射線のスペクトルS i,j
各角度間隔で、マスクあり及びマスクなしの計測をシミュレーションした後に、本発明により評価された1次放射線のスペクトル
に基づいて、再構成された物体の減衰の断面図を示す。
各スペクトルは、1keVのスペクトル解像度によりモデル化された。そして、前に説明した4つのスペクトル帯を取得するためにチャネルのグループ化が実行された。各スペクトル帯による再構成を図8(a)、8(b)、8(c)に示す。
シミュレーションされた1次放射線に基づいて生成された再構成と、本発明により評価された1次放射線に基づいて生成された再構成との間の良い一致は、注目されるであろう。1次放射線を考慮することは、エネルギーが低いときに相対的により大きな効果を有することを観ることができる。
人の胸部を示す擬人化された人体模型(擬人化された胸部人体模型(Anthropomorphic thorax phantom))を用いて、実験試験が行われた。実験条件は、以下の通りである。
線源:X線管YXLON Y.TU 160-D06 動作電圧110kV
検出器: 128×1画素MutliX ME 100エネルギー分解CdTe検出器 間隔0.8mm 厚さ3mm 線形検出器が128×451画素の2次元画像を獲得するために変形された。
直径2mm、高さ2mmのアルミニウムシリンダの11×21のアレイからなるマスク、2つの隣り合うシリンダーの間の距離は5mmである。
アルミニウムシリンダ及び直径2cmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いて得られた遷移行列M。アルミニウムシリンダの厚さは、0〜16cmの間で4cmずつ変化する。PMMAシリンダの厚さは、0〜3cmの間で1cmずつ変化する。
図9(a)、9(b)、9(c)は、それぞれ、式(32)に関連して説明したように、エネルギー範囲25〜110keVの範囲で、次のものに基づいて計算された減衰Ai,jを示す。
各画素20i,jにより計測された、透過放射線のスペクトル
散乱放射線の評価値が減算された、透過放射線のスペクトル。この評価は、ビームストップ(Beam Stop)と呼ばれる、減衰帯を設けることによりなされる。この減衰帯に面して位置する画素が、散乱スペクトルを示すスペクトルを計測する。このスペクトルは、次に、各画素についての1次スペクトルの評価値を得るために、透過スペクトルから減算される。これは、参照修正方法(reference correction method)である。
各画素20i,j上での、本発明により評価された1次放射線のスペクトル
図9(b)及び図9(c)において良い一致を観ることができ、そのことは、本発明による修正の有効性を証明する。
図9(b)に、水平線を示す。図9(d)は、この線に沿った、図9(a)〜9(c)のそれぞれの上の強度プロファイルを示す。図9(b)及び図9(c)から得られるプロファイルの間に良い一致を観ることができる。この図において、係数A、B、Cはそれぞれ図9(a)、9(b)、9(c)を言及する。
図10(a)、10(b)、10(c)、10(d)は、図9(b)に示す各点1、2、3、4上の、透過放射線のスペクトル、参照方法により修正された透過放射線のスペクトル、本発明により修正された透過放射線のスペクトルを示す。これらの図面のそれぞれにおいて、係数1、2、3はそれぞれ、全放射線のスペクトルSi,j、参照方法を用いた1放射線のスペクトルS i,j、本発明により評価された1放射線のスペクトル
を示す。
本発明は、医療応用例のために、又は、より一般的に、上記物体の内部構造を調査することを目的とする、物体の非破壊検査において、電離放射線、特に、X線又はガンマ線を提供するスペクトル画像解析方法に適用することができる。物体は、例えば、荷物、工業製品、例えば、パイプラインのような設備の構造要素、核廃棄物などであることができる。
本発明は、このように、散乱放射線の影響を限定して、放射線の1次成分の評価を可能にする。取得した画像の質、特に、空間解像度が、改善される。その結果は、より正確な結果であり、調査した物体に対してより共形(conformal)な結果である。
方法を実行することは簡単であり、現存する装置に適合させることができる。その上、遷移行列をあらかじめ得ることができ、大きな計算時間を必要としないで、方法の速やかな実行を可能にする。その上、方法は、同業者費用(industrial rate)での実行に適している。

Claims (17)

  1. 物体を透過した電離性電磁放射線のスペクトルを修正するための方法であって、
    物体は、放射線源と検出器との間に配置され、放射線源は、前記物体に向けて、入射放射線と呼ばれる電離性電磁放射線を放出するために設けられ、
    検出器は複数の画素を備え、各画素は、物体を透過して検出器に向かう放射線を検出し、そのスペクトルを獲得するために設けられ、透過放射線は、物体中での入射放射線の散乱より生じた散乱放射線と、1次放射線とを有し、
    方法は、次のステップを有する。
    a)線源と物体との間にマスクを挿入し、いくつかの画素により、物体を透過した第1放射線の第1スペクトルを獲得するステップ。マスクは、前記入射放射線の一部分を減衰することができる減衰要素を備え、マスクの検出器上への投影は、第1グループの画素の境界を定める。
    b)第1グループの画素の各画素について、前記マスクなしの場合に、物体を透過して検出器に到達する第2放射線の第2スペクトルを取得するステップ。
    c)前記第1グループの画素の各画素について、比較スペクトルを取得するために、第1スペクトルと第2スペクトルとを比較するステップ。
    d)第1グループの画素の各画素において、あらかじめ得た遷移行列を前記比較スペクトルに適用し、物体を透過して前記画素に到達した1次放射線を示す、いわゆる1次スペクトルの評価値を取得し、物体を透過した散乱スペクトルを示す散乱スペクトルを評価するステップ。
    e)検出器の全て又はいくつかの画素について、修正スペクトルを取得するために、ステップd)で評価した各散乱スペクトルから、第2スペクトル又は第1スペクトルを修正するステップ。
  2. ステップe)は、修正の前に、検出器の全ての画素について、散乱スペクトルを評価することを有する
    請求項1記載の方法。
  3. ステップe)は、各画素について、第2スペクトル又は第1スペクトルから、評価した散乱スペクトルを減算することを有する
    請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. ステップb)において、第1グループの各画素について、
    前記画素により第2スペクトルを獲得することによって、又は、
    前記第1グループに属さない少なくとも1つの画素により獲得された、少なくとも1つの第1スペクトルに基づく評価によって、
    第2スペクトルを取得する
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
  5. ステップa)は複数の配置で実行され、各配置において、各画素について、第1スペクトルを取得するために、各配置は物体に対する検出器及び線源の位置と関連付けられ、各配置は更に第1グループの画素と関連付けられ、
    ステップb)は、配置と関連付けられた第1グループの全て又はいくつかの画素について、他の配置により取得された第1スペクトルから第2スペクトルを決定することを有する
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
  6. 各配置はパラメータと関連付けられ、第1パラメータと関連付けられた配置による少なくとも1つの第2スペクトルは、第1パラメータとは異なる第2パラメータと関連付けられた他の配置により取得された第1スペクトルから取得される
    請求項5記載の方法。
  7. 前記パラメータが、物体に対する線源及び/又は検出器の傾斜角である
    請求項6記載の方法。
  8. ステップd)において、1次スペクトルの評価値は、各比較スペクトルによる前記遷移行列の行列積を有する
    請求項1乃至7のいずれか1項記載の方法。
  9. 各減衰要素は、それが曝される放射線の5〜80%を減衰するように設けられる
    請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。
  10. マスクは表面に沿って延在し、各減衰要素は、1cmよりも小さな距離により、他の減衰要素から離れている
    請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
  11. ステップa)〜e)は複数の配置により実行され、各配置において、複数の画素について、修正スペクトルを取得するために、各配置は、物体に対する検出器及び線源の位置と関連付けられ、各配置の修正スペクトルは、物体の断層再構成を生成するために用いられる
    請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法。
  12. ステップa)〜e)は、次のステップにより補われる、
    f)少なくとも1つのエネルギー又はエネルギー範囲を選択するステップ。
    g)画像の各画素が、選択されたエネルギー内、又は、選択されたエネルギー範囲内の、検出器の画素と関連付けられた、修正スペクトルから取得したデータを有する、画像を生成するステップ。
    請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法。
  13. ステップg)において、画像の各画素は、選択されたエネルギー範囲内の前記修正スペクトルの積分値又は平均値と関連する情報項目を有する
    請求項11記載の方法。
  14. マスクが、放射線源と物体との間に挿入される
    請求項1乃至13のいずれか1項記載の方法。
  15. 遷移行列は、複数のいわゆる校正計測を実行することにより取得され、各校正計測は、放射線源と検出器との間に既知の性質及び厚さを有する材料を挿入することにより実行される
    請求項1乃至14のいずれか1項記載の方法。
  16. 請求項1乃至14のいずれか1項記載の方法のステップc)〜e)を実行するための、マイクロプロセッサにより実行可能な指令を有する
    情報記録媒体。
  17. 入射放射線と呼ばれる電離性電磁放射線を物体に向けて放出することができる放射線源と、
    物体を透過して検出器に向かう放射線を検出し、そのスペクトルを獲得することができる画素を備える検出器と、
    線源と物体との間に挿入されることができ、検出器上への投影が第1グループの画素の境界を定める、入射放射線の一部を減衰することができる減衰要素を備える、マスクと、
    各画素により検出されたスペクトルを受け、請求項1乃至14のいずれか1項記載の方法のステップc)〜e)を実行することができるプロセッサと
    を備える、物体の画像を生成するための装置。
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