〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このウォータサーバ2は、ミネラルウォータや精製した水などの清浄な水Wを温度管理して貯め、利用者の要求に応じて外部に供給する。またウォータサーバ2は、温度管理された水に対して常温の水Wを混合させることで、利用者の所望の温度に近づけて供給する機能を備える。
このような機能を実現するウォータサーバ2は、たとえば水Wを供給する給水タンク4、貯留タンク6、貯留タンク6内の温度制御を行う温度制御手段7、給水タンク4から貯留タンク6に水Wを流す給水管路8、貯留タンク6内で温度管理された水を給水させる出水管路10、出水管路10に設置されて貯留タンク6内の水CWorHWと給水タンク4内の水Wを混合させる混合手段12、給水タンク4と混合手段12を繋ぐ給水管路14、外部に水を流す給水口16を備える。
給水タンク4は、ウォータサーバ2に対する水の給水手段の一例であり、常温の水Wを貯留している。給水タンク4は、利用者による給水要求に応じて、貯留タンク6から外部に給水した分の水Wを貯留タンク6に供給するほか、混合手段12に設定された常温の水Wの流入量に応じて、常温の水Wを混合手段12側に流す。この給水タンク4は、タンク内の水Wを全て流出することにより、外部から水Wを取り込み、または水Wが貯められた新たなタンクに交換される。ウォータサーバ2では、たとえば給水タンク4内の水Wの残量に応じて運転継続や給水指示、その他運転停止などを判断してもよい。
貯留タンク6は、給水タンク4から給水された水Wを加熱または冷却し、設定温度に温度管理して貯めるタンクの一例である。貯留タンク6には、給水された水Wを加熱または冷却する温度制御手段7を備える。この温度制御手段7は、たとえば温水HWを生成するための加熱手段であるヒータ、または冷水CWを生成するための冷却器などが含まれる。この温度制御手段7では、ウォータサーバ2が給湯する装置であるか、または給水する装置であるかに応じてヒータか冷却器かが採用される。
なお、ウォータサーバ2は、温水または冷水のいずれか一方のみを供給する装置のほか、両方を供給可能な装置であってもよい。つまりウォータサーバ2には、たとえば複数の貯留タンク6を備え、各貯留タンク6にそれぞれ異なる制御温度が設定された温度制御手段7を備えればよい。
混合手段12は、貯留タンク6内の水CWorHWと給水タンク4内の常温の水Wとを混合させて、所定温度の混合水MWを生成する手段の一例である。この混合手段12は、たとえば給水タンク4から取り込む水Wの流量を調整する図示しない流量調整手段や、常温の水Wを流す給水管路14と貯留タンク6から取り込んだ水CWorHWを流す出水管路10とを合流させる管路の合流部を備える。
このようにウォータサーバ2では、混合手段12において、貯留タンク6から供給された水CWorHWに対し、これらよりも温度が高いまたは温度が低い常温の水Wを混合させることで、利用者が望む、所謂ぬるま湯である低い温度のお湯や高い温度の水などの混合水MWが供給できる。
なお、ウォータサーバ2は、たとえば複数の貯留タンク6を備える場合、貯留タンク6の数に応じた数の混合手段12を備えてもよく、または常温の水Wを混合させる貯留タンク6と混合させない貯留タンク6を分別させて、混合手段の設置数を決めてもよい。
<第1の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
(1) 混合手段12に対する常温の水Wの取り込み量を決めることで、貯留タンク6側から取り込んだ水CWorHWの温度を調整でき、利用者が所望する温度での給水が可能となる。
(2) 混合手段12において常温の水Wと温度管理された水CWorHWとを混合させることで、水の清浄性が維持できるとともに、給水して容器などに貯めた高温の湯HWに水Wを混ぜるときの飛びはねなどが生じないので、利用者に対する安全性が確保できる。
(3) ウォータサーバ2の内部で常温の水Wと温度管理された水CWorHWを混合させて、混合前の水Wを外気に触れさせないことで、水の清浄性が確保できる。
(4) 外部から水道水などを混入させず、ウォータサーバ2内のミネラルウォータ同士を混合させて温度調整ができるので、供給される混合水MWの清浄性が維持できる。
〔第2の実施の形態〕
図2は、第2の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。
このウォータサーバ20は、温水HWおよび冷水CWをそれぞれ温度管理しながら貯留し、利用者の要求に応じて供給する温水・冷水供給装置である。ウォータサーバ20は、たとえば本体の上部側に常温の水Wを貯留する給水ボックス22が設置されている。また筐体内部には、たとえば上段に冷水タンク28が配置され、下段に温水タンク30が設置されている。冷水タンク28および温水タンク30は、本開示の貯留タンクの一例であり、それぞれ設定温度に温度管理されて、冷水CWまたは温水HWを貯留している。
給水ボックス22は、本開示の給水タンクの一例であり、たとえばボール紙等で形成された外装ケース24と、この外装ケース24の内部に水Wを貯めた樹脂等の水容器26を備える、所謂バックインボックスである。この水容器26は、外部への給水に応じて収縮することで、水Wの流出に伴って内部に空気を混入させない構造である。給水ボックス22は、たとえば外装ケース24の外側に、水容器26から水Wを取り出す取水管32と、水Wの流出を仕切る給水栓34、取水管32と給水管38とを繋ぐコネクタ36を備える。給水管38は、ウォータサーバ20の上段側に配置された冷水タンク28に対して、水Wを取り込む管路である。給水管38は、コネクタ36を介して接続した取水管32を流れる常温の水Wを取り込んで冷水タンク28内に導く。
冷水タンク28は、たとえば給水管38を通じた水Wの流入を制御する手段として、弁機構40を備える。この弁機構40の開閉により、冷水タンク28に対し、給水管38を通じて水Wの流入または遮断が切替えられる。
この弁機構40は、たとえば給水管38の開口部分に接触し、または離間することで、水Wの流入と遮断とを切替える弁体42と、この弁体42を載置するとともに一端側が冷水タンク28や筐体の一部に回動可能に軸支された支持部44を備える。支持部44が回動可能に軸支されることで、支持部44の回動に応じて弁体42が給水管38の開口部に対して接触または離間する。また支持部44は、たとえば軸支されていない一端側にフロート46を備える。このフロート46は、冷水タンク28内の冷水CWの水面に浮遊する。
弁機構40は、フロート46の浮遊に応じて弁体42が給水管38を開閉する。つまり、弁機構40は、冷水タンク28内の水位の増加によってフロート46が上昇し、その上昇によって支持部44が支持軸を中心に回動し、弁体42が上方に変移する。そして、冷水タンク28内の冷水CWが所定の水位に達すると、弁体42が給水管38の開口部に達して接触する。これにより、弁体42が給水口を塞ぎ、給水ボックス22から水Wの流入を遮断する。また、給水の要求により冷水タンク28内の水位が低下すると、それに伴ってフロート46が下降していく。そうすると、このフロート46の下降によって支持部44が反対方向に回動することで弁体42を変移させ、給水管38の開口部から離間させる。これにより開口部が開放状態となり、給水管38を通じて給水ボックス22内の水Wが冷水タンク28に供給される。
この冷水タンク28は、たとえば少なくともフロート46や弁体42の厚さにより、給水管38への給水が遮断されたときに、冷水CWの水面と給水管38の開口部との間に空気層ができる。つまり、フロート46および弁機構40により、冷水タンク28内の冷CWと給水管38内の水Wを物理的にかつ熱的に接触させないので、冷水タンク28の冷水CWと給水ボックス22内の水Wとの間で熱による影響を与えることがない。
冷水タンク28の内部には、たとえば冷水タンク28の内径よりも小さい径の仕切り板48を備えている。この仕切り板48は、たとえば冷水タンク28の中央側の高さに配置されており、タンクの底部側に滞留する水とタンクの上部側の水とを仕切っている。つまり仕切り板48は、冷水タンク28の底部側に滞留する設定温度に冷却された冷水CWとタンクの上部側に滞留する設定温度に満たない冷水CWや給水された水Wとの接触量を抑えることで、貯留する冷水CWの温度変化を小さくしている。また、仕切り板48は、たとえば中央側に所定の径の開口部50が形成されおり、この開口部50を通じて温水タンク30に繋がる給水管52に接続されている。給水管52は、冷水タンク28内の水を温水タンク30側に流す管路の一例であり、仕切り板48の開口部50から冷水タンク28の底部を通過し、温水タンク30の下層側に開口部が配置される。
このウォータサーバ20では、温水タンク30への水の補充と、冷水タンク28への水の補充とが一連の流れで生じる。温水タンク30は、冷水タンク28内にある水を取り込んで給水するものである。つまり、温水タンク30に対する温水の給水要求に対して湯を供給すると、湯の出湯量に合わせて温水タンク30内の水位が低下する。温水タンク30の水位低下に対し、給水管52内の水が温水タンク30に流れ込むとともに、冷水タンク28内の水が給水管52を通じて流される。このような冷水タンク28内の水の水位変化により、既述の弁機構40が開となり給水ボックス22の水Wが冷水タンク28内に貯留される。このような処理により、給水ボックス22に水Wがある限り、冷水タンク28内および温水タンク30内を満水状態に維持させることができる。
そのほか冷水タンク28には、貯められた水CWを設定温度として、たとえば6〜12〔℃〕に冷却する蒸発器(evaporator)54や、水CWの温度を監視するための冷水センサ56が設置されている。蒸発器54は、たとえば冷水タンク28の周囲に巻回された管路で構成されており、内部に流れる冷媒によって水が冷却される。冷水センサ56は、たとえばサーミスタ温度計で構成されており、この検出データが制御装置90である電装基板に取り込まれる。そして、冷水タンク28は、たとえば制御装置90からの指示に基づいて、冷水タンク28内の水Wの温度が所定の温度以下になっていない場合、冷水供給制限等を行う。
冷水タンク28の底部側には冷水管58が設置され、冷水タンク28内の冷水CWが給水口60側に流される。この冷水管58は、本開示の出水手段の一例であり、管路途中に冷水CWの給水を制御する冷水電磁弁62が設置され、冷水管58の流量など、流れを制御している。
温水タンク30には、外部周囲にヒータ64が巻き付けられ、内部の水を加熱している。このヒータ64は、たとえば電熱式ヒータなどが用いられる。また温水タンク30には、タンク内の温度を監視する温水センサ66を備えており、温水温度管理や温水側の温水供給制限などに利用される。
また温水タンク30には、たとえば上部側に温水管68が接続され、給水の要求に応じて、温水タンク30内の温水HWが給水口70側に流される。この温水管68は、本開示の出水手段の一例であり、管路途中に温水HWの給水を制御する温水電磁弁72が設置されるとともに、温水電磁弁72と温水タンク30との間に給水ボックス22内の常温の水Wを流す注水管路74が接続される。
この注水管路74は、たとえば給水ボックス22に接続された取水管32に接続され、冷水タンク28側に水Wを流す給水管38と分岐した管路であって、温水HWに対して所定量の常温の水Wを流す。注水管路74上には、流量調整弁76が備えられる。この流量調整弁76は、本開示の混合手段の一部である流量調整手段の一例であり、給水ボックス22から水Wの取り込みを切替えるとともに、水Wの取り込み量を調整する。流量調整弁76は、たとえば手動操作により開閉および開度を切替え可能な機械式の弁を用いてもよく、または比例弁を用いてもよい。注水管路74と温水管68との合流部78は、本開示の混合手段を形成する連結部の一例であり、温水HWと水Wとを混ぜ合わせて所望の混合水MWを生成する手段である。
そのほか、ウォータサーバ20は、蒸発器54との間で冷媒を流す冷却装置80が本体底部側に配置される。この冷却装置80は、たとえばコンプレッサ82、ドライヤ84、コンデンサ86、キャピラリチューブ88が冷媒管によって連結される。またウォータサーバ20は、弁の開閉制御や冷水タンク28および温水タンク30内の温度制御を行う制御装置90を備える。この制御装置90は、給水および給湯の操作、温度表示、温度設定などの操作手段や状態表示手段を備える操作パネル93を備える。操作パネル93には、たとえば流量調整弁76の開度を設定する混合調整手段である操作レバー104が設置される。
図3、図4は、流量調整手段の一例を示している。
<機械式の流量調整手段>
この流量調整弁76は、たとえば利用者の手動操作により注水管路74の開度調整を行う手段の一例であり、図3のAに示すように、注水管路74の側面に平面部を向けて配置された平板状の受け板94と、この受け板94の平面部に対して注水管路74を挟んで平行に配置された弁体96と、一端が弁体96の左右両端にそれぞれ接続された複数の支持軸98と、支持軸98の他端側に係合して、注水管路74に対する支持軸98の突出長を変動させる作動部100と、操作パネル93に設置される操作レバー104と係合し、操作レバー104の変移操作に連動して作動部100を回動させる作動軸部102を備える。
注水管路74は、たとえば少なくとも流量調整弁76の弁体96が接触する部分または全体が樹脂等の軟性の材質で形成されており、弁体96との接触状態に応じて断面積が変動可能となっている。つまり、注水管路74は、接触させた流量調整弁76の弁体96によって管径が圧縮されることで、流れる水Wの流量が調整される。
受け板94は、注水管路74の支持手段の一例であり、弁体96が接触する対向面を支持して注水管路74の配置位置を維持させる。これにより注水管路74は、流量調整において、弁体96が管径方向に押圧しても変位せず、一部が弁体96によって押し潰されて、流路の断面積が圧縮される。
弁体96は、注水管路74を押圧し、断面積を変動させる手段の一例であり、たとえば図3のBに示すように、支持軸98の変位に応じて注水管路74の管径方向に向けて変位する。弁体96は、少なくとも注水管路74に対する接触面が曲面形状に形成されており、注水管路74に対する損傷を防止している。
支持軸98は、弁体96と作動部100とを接続し、突出長の変動によって弁体96支持し、その距離を変位させるアーム(Arm)の一例である。支持軸98は、たとえば巻回可能な軟性部材、または紐などで形成されており、一端側が作動部100に係止されている。作動部100は、たとえば注水管路74に対して直交方向に配置され、中心部が軸支された円筒部材であって、操作パネル93に配置された操作レバー104の操作を受けた作動軸部102に連動して回動する。支持軸98は、たとえば回動する作動部100によって巻回させることで、アームの突出長が変化し弁体96を変位させている。
これにより流量調整弁76は、利用者が操作した操作レバー104の操作量に応じて、弁体96を変位させることで水Wの取り込み量、すなわち温水HWに対する水Wの混合量を調整している。
また、支持軸98を固定長の硬質部材で構成し、作動部100の回動に連動するようにし、操作レバー104と支持軸98の角度を維持することにより弁体96を変位させてもよい。
<比例弁による流量調整手段>
この流量調整弁108は、たとえば図4に示すように、比例弁を利用して注水管路74の流量調整を行う。流量調整弁108は、弁筐体110に注水管路74が接続されるとともに、その管路の途中に形成された空間部に流路断面を開放しまたは閉塞させる弁体112が設置される。この弁体112は、たとえば比例弁のアクチュエータを構成するモータ114の駆動により突出量が比例制御される。弁体112は、たとえば操作パネル93の混合スライドスイッチ136(図7)のスライド量に応じて、突出量が制御されればよい。この弁体112の突出量に応じて水Wの取り込み量、すなわち温水HWに対する水Wの混合量が調整される。
<ウォータサーバの外観構成>
図5は、ウォータサーバの外観構成例を示している。
このウォータサーバ20には、たとえば図5に示すように、本体部の上部に給水ボックス22を載置する載置部が形成され、その前面側に給水を切替える給水栓34やコネクタ36が露出している。給水ボックス22の交換時には、給水栓34を閉じ、コネクタ36から給水管38を取り外せばよい。また、給水栓34やコネクタ36等には、たとえば図示しないカバーを配置してもよい。
本体部の前面側には、たとえば筐体の傾斜面に温度表示や給水・給湯操作等を行う操作パネル93が配置される。この筐体の傾斜面は、たとえば本体部の高さ等に基づいて、利用者が表示内容を視認し易く、かつ操作し易い角度が設定される。操作パネル93よりも下方側には給水部が形成され、冷水CWを流す給水口60および温水HWを流す給水口70が配置される。
<制御装置の構成例>
図6は、ウォータサーバの制御装置の構成例を示している。図6に示す構成は一例であり、これに限定されない。
制御装置90は、たとえばマイクロコンピュータなどで構成されており、プロセッサ120、メモリ122、I/O(Input/Output)124などを備えている。
プロセッサ120は、たとえばCPU(Central Processing Unit )で構成され、メモリ122に記憶されているOS(Operating System)や水の冷却制御、加熱制御、弁開閉制御に関する制御プログラムなどの演算処理が行われる。メモリ122は、たとえばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成される。ROMには、既述のウォータサーバ20の制御プログラムや検出した温度データなどが格納される。また、RAMは、制御プログラムの演算が行われるワークエリアとして機能する。
I/O124は、ウォータサーバ20の各機能部と制御装置90との間のインターフェースの一例である。制御装置90は、I/O124を介して、冷水センサ56、温水センサ66からの検出温度情報が取り込まれるほか、冷水電磁弁62、温水電磁弁72、コンプレッサ82、ヒータ64、流量調整弁76、108等に対する制御指示を出力する。また制御装置90は、たとえばI/O124を介して操作パネル93と接続しており、ロック解除スイッチ130、冷水スイッチ132、温水スイッチ134、混合スライドスイッチ136に対する操作入力を受けて各処理を実行するとともに、ロック解除表示ランプ140、温水表示ランプ142、高温表示ランプ144、冷水表示ランプ146等に対する動作指示を出力する。
制御装置90からの動作指示によって冷水タンク28および温水タンク30の温度制御が実行される。
<操作パネル93>
図7は、操作パネルの一例を示している。
この操作パネル93は、たとえば図7に示すように、常温の水Wを流す注水管路74に比例弁による流量調整弁108を用いる場合の構成例を示している。操作パネル93には、たとえば冷水スイッチ132、温水スイッチ134のロック解除するロック解除スイッチ130、冷水供給指示を出す冷水スイッチ132、温水供給指示を出す温水スイッチ134を備える。また、流量調整弁108の開度を調整する混合スライドスイッチ136を備える。混合スライドスイッチ136は、たとえば上下、もしくは左右方向などにスイッチを変位させることで、このスイッチの位置に比例してモータ114の動作量が決まることで弁体112の突出量が設定される。また混合スライドスイッチ136には、たとえば最大値(MAX)と最小値(0)が設けられている。最大値(MAX)の設定は、弁体112の開度を最大にすることで、温水HWに対し常温の水Wを多く混合させ、所謂ぬるま湯を給水させる。最小値(0)の設定は、弁体112の回動を最小値、すなわち注水管路74を閉塞させることで、温水タンク30に設定された温度の温水HWを給水させる。
<給水処理>
図8は、ウォータサーバの給水処理の一例を示している。図8に示す処理内容、処理点順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
図8に示す処理は、本開示のウォータサーバの給水方法の一例である。この処理では、冷水タンク28および温水タンク30での温度管理処理、常温の水Wの混合量の設定処理、冷水タンク28または温水タンク30からの給水処理を含む。
各タンクの温度管理処理として、温水タンク30内の温水HWを所定温度T1に保温する(ステップS1)とともに、冷水タンク28内の冷水CWを所定温度T2に保温する(ステップS2)。この所定温度T1は、たとえば温水設定温度として、80〜90〔℃〕または90〜93〔℃〕に設定する。また、所定温度T2は、たとえば冷水設定温度として、6〜12〔℃〕または12〜16〔℃〕に設定する。所定温度T1、T2は、たとえば利用者の設定操作により決まり、または季節や月に応じて設定温度を変化させてもよい。
常温の水Wの混合量の設定として、常温水混合量設定が変更されているかを判断する(ステップS3)。この判断処理では、たとえば混合スライドスイッチ136の設定位置が変更されたかを判断する。混合量の設定が変更された場合(ステップS3のYES)、設定された混合量に比例弁を調整する(ステップS4)。つまり、流量調整弁108のモータ114を駆動させて弁体112を移動させる。
なお、混合量の設定処理において、機械式の流量調整弁76を利用する場合には、利用者による操作レバー104の操作に連動して弁体96を変位させ、注水管路74の断面を変化させればよい。
給水処理として、温水利用要求か(ステップS5)、または冷水利用要求か(ステップS9)を監視する。温水または冷水の利用要求の監視は、たとえば操作パネル93の冷水スイッチ132が押下されたか、または温水スイッチ134が押下されたか否かを判断すればよい。
温水利用要求の場合(ステップS5のYES)、タンク内の温水HWが所定の温度T1か否かを判断する(ステップS6)。所定温度T1の場合(ステップS6のYES)、温水電磁弁72を開放して(ステップS7)、給水口70から給水させる。このとき、温水管68には、温水タンク30から所定温度T1の温水HWが供給されるとともに、設定された常温水混合量に応じて、注水管路74に給水ボックス22から常温の水Wが流入して、混合される。そして、給水口70には、温水HWと水Wの混合水MWが流れる。
また温水利用要求に対して温水タンク30内の温水HWが所定温度T1でない場合(ステップS6のNO)、給湯準備が完了していないとして、温水電磁弁72を閉止状態にして給水を行わない(ステップS8)。
また、冷水利用要求の場合(ステップS9のYES)、タンク内の冷水CCWが所定の温度T2か否かを判断する(ステップS10)。所定温度T2の場合(ステップS10のYES)、冷水電磁弁62を開放して(ステップS11)、給水口60から給水させる。また冷水利用要求に対して冷水タンク28内の冷水CWが所定温度T2でない場合(ステップS10のNO)、給水準備が完了していないとして、冷水電磁弁62を閉止状態にして給水を行わない(ステップS8)。
なお、ウォータサーバ20は、たとえば温水タンク30や冷水タンク28内の温度が所定温度T1またはT2に達していない場合であっても、給湯または給水の要求に応じて、給水を行ってもよい。この場合、たとえば設定温度に達していないことを操作パネル93に表示させてもよい。
〔第2の実施の形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 流量調整弁76、108により、温水HWに対して水Wを混合させて、所望の温度の湯を提供することができる。
(2) 機械式の流量調整弁を用いることで、新たな電力消費を発生させずに温度調整を行うことができ、運転時の低コスト化および省エネ化を実現できる。
(3) 比例弁による流量調整弁108を用いて水の混合量の調整を行うことで、利用者の設定操作に対して精度よく混合比率の調整を行うことができる。
(4) ウォータサーバ20の管路内で温水HWと水Wとを混合させて、外部に給湯させることで、温水HWの混合時の飛びはねなどを生じさせず、安全性が高められる。
(5) ウォータサーバ20内で温水HWと水Wを混合させ、出湯まで外気に触れさせないことで、湯の清浄化が維持できる。
(6) 外部から水道水などを混入させず、ウォータサーバ20内のミネラルウォータ同士を混合させて温度調整ができるので、供給される混合水MWの清浄性が維持できる。
(7) 操作レバー104や混合スライドスイッチ136は、利用者が感覚的に混合する水Wの割合を把握でき、所望の温度の要求操作が容易であることから、利便性が高められる。
〔第3の実施の形態〕
図9は、第3の実施の形態に斯かるウォータサーバの構成例を示している。図9に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この実施の形態では、温水HW側にのみ常温の水Wを混合させる場合に限らず、冷水CW側に対しても常温の水Wを混合させる構成である。
このウォータサーバ148は、たとえば図9に示すように、冷水管58に対して常温の水Wを流す注水管路150を備える。この注水管路150は、たとえば入側が冷水タンク28側に水Wを流す給水管38と分岐した管路であって、温水管68側に水Wを流す注水管路74と並列に形成されている。また注水管路150の出側は、冷水管58に対し冷水タンク28と冷水電磁弁62との間に接続される。
注水管路150は、たとえば給水ボックス22から流す水Wの流量を調整する流量調整弁152を備えている。そして冷水管58と注水管路150との合流部154には、設定温度に温度管理された冷水CWと常温の水Wが設定された流量で供給されて合流し、混合状態となる。そして混合された混合水MWが給水口60側に流される。
この注水管路74、150には、たとえば少なくともそれぞれの流量調整弁76、152より上流である、取水管32との間に水Wが満たされている。給水または給湯の要求に応じて冷水電磁弁62または温水電磁弁72が開状態となるのに応じて、注水管路74、150から水Wが流れる。
流量調整弁152は、たとえば利用者の手動操作により弁開度を調整する機械式の弁機構を利用してもよい。機械式の弁機構には、たとえば図示しないが、ウォータサーバ148の本体内部に、注水管路150の側面に平面部を向けて配置された平板状の受け板、この受け板の平面部に対して注水管路150を挟んで平行に配置された弁体、弁体の左右両端にそれぞれ接続された複数の支持軸と、注水管路150に対する支持軸の突出長さを変動させる作動部を備えればよい。
操作パネル93は、たとえば図10に示すように、注水管路150側の流量調整弁152の開度を設定する手段として、操作レバー160を備えてもよい。これにより操作パネル93は、たとえば冷水スイッチ132の近くに冷水側に水Wを注水させる操作レバー160が設置され、温水スイッチ134の近くに温水側に水Wを注水させる操作レバー104が配置される。ウォータサーバ148は、操作レバー104、160の設定位置が「0」の場合には冷水スイッチ132または温水スイッチ134の操作に応じて、設定温度で冷水CWまたは温水HWを給水する。また、ウォータサーバ148は、それぞれの操作レバー140、160が0以外の位置に設定された場合、流量調整弁76、152が操作位置に応じた開度で開くとともに、冷水スイッチ132または温水スイッチ134の押下に応じて注水管路74または注水管路150を通じて流した水Wを混合した湯または水を給水する。
また、流量調整弁は、たとえば比例弁により形成され、注水管路150の流量調整を行ってもよい。この流量調整弁153には、たとえば図11に示すように、弁筐体110に注水管路150が接続されるとともに、その管路の途中に形成された空間部に流路断面を開放しまたは閉塞させる弁体112が設置される。この弁体112は、たとえば比例弁のアクチュエータを構成するモータ114の駆動により突出量が比例制御されればよい。図11において、流量調整弁108、153が対向して近傍に配置された場合を示したがこれに限らない。流量調整弁108、153は、ウォータサーバ148の本体内部の配置構成に応じて、それぞれ異なる位置に配置すればよく、さらに、注水管路74、150の入側からの設置距離がそれぞれ異なってもよい。
図12は、比例弁による流量調整弁153を用いた場合の操作パネル93の一例である。この操作パネル93には、冷水スイッチ132の近傍に冷水側の流量調整弁153の開度を調整する混合スライドスイッチ136Cが設置され、温水スイッチ134の近傍に温水側の流量調整弁108の開度を調整する混合スライドスイッチ136Hが設置される。
これによりウォータサーバ148は、それぞれの混合スライドスイッチ136C、136Hが0以外の位置に設定された場合、流量調整弁108、153がスライド位置に応じた開度になるように制御する。そして冷水スイッチ132または温水スイッチ134の押下に応じて注水管路74または注水管路150を通じて流した水Wを混合した湯または水が給水される。
<温水側および冷水側に水Wを供給する場合の他の構成例>
図13は、ウォータサーバの構成例を示している。このウォータサーバ170は、温水側および冷水側に常温の水Wを混合して給水可能であって、水Wの注水量を調整する流量調整手段を単一とした場合を示す。
このウォータサーバ170は、たとえば図13に示すように、入側が給水管38と分岐した単一の注水管路172を備える。注水管路172は、その管路上に流量調整弁174が設置されており、設定した開度調整に応じて決まる注水量の水Wが流れる。また注水管路172は、出側が分岐されており、第1の注水管路176が冷水管58に接続され、第2の注水管路178が温水管68に接続される。注水管路172は、たとえば第1の注水管路176と第2の注水管路178と内の圧力差が大きく成らない位置や長さ、高さを考慮して分岐位置を設定すればよい。
注水管路176と注水管路178は、同等の管径に形成される場合に限らない。管路内の圧力差や分岐位置から冷水管58または温水管68までの長さの差に応じて、管径を異ならせてもよい。また、分岐した注水管路176、178は、たとえば常温の水Wを混合して利用する用途などに応じて管径を異ならせてもよい。具体的には、温水HW側を水Wによって冷まして給水にする用途が多い場合や、水Wの混合量を多くして、設定できる温度の範囲を広げる場合には、注水管路178を注水管路176よりも大きく形成してもよい。
図14は、比例弁を利用した流量調整手段の一例を示している。
この流量調整弁174には、たとえば図14に示すように、弁筐体110に注水管路172が接続されるとともに、その管路の途中に形成された空間部に流路断面を開放しまたは閉塞させる弁体112が設置される。この弁体112は、たとえば比例弁のアクチュエータを構成するモータ114の駆動により突出量が比例制御されればよい。そして、注水管路172は、たとえば流量調整弁174から所定の長さをとって第1の注水管路176と第2の注水管路178とに分岐されている。この分岐位置は、たとえば流量調整弁174を通過した水Wの流れが安定する流路距離に設定すればよい。
なお、このウォータサーバ170は、比例弁を利用した流量調整弁174を備えた場合を示したがこれに限らず、既述のように、機械式の弁機構を用いてもよい。
<第3の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
(1) 温水HWまたは冷水CWに対して水Wを混合させることができ、ウォータサーバ170が給水できる温度範囲が広がり、利便性が高められる。
(2) 冬期など冷水CW側の利用頻度が低くなる季節であっても、冷水CWに常温の水Wを混合可能にすることで冷水CWの利用が拡大され、冷水タンク28内の冷水CWが長時間利用されない状態になるのを防止できる。
(3) ウォータサーバ170内で温水HWまたは冷水CWと水Wとを混合させることで、利用者が所望の温度の水または湯を得るまでに外気に晒される時間を少なくでき、湯又は水の清浄性が維持できる。
(4) 外部から水道水などを混入させず、ウォータサーバ170内のミネラルウォータ同士を混合させて温度調整ができるので、供給される混合水MWの清浄性が維持できる。
(5) 操作レバーや混合スライドスイッチは、利用者が感覚的に混合する水Wの割合を把握でき、所望の温度の要求操作が容易であることから、利便性が高められる。
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、常温の水Wを供給する給水ボックス22がウォータサーバ2、20、148、170の本体上部側に設置される場合を示したがこれに限らず、給水ボックス22が本体部の中央部分や底部側に配置されてもよい。
(2) 上記実施の形態では、温水HWまたは冷水CWと常温の水Wとを混合させる手段として、冷水管58や温水管68に注水管路74、150、176、178が接続させる構成を示したがこれに限らない。ウォータサーバは、たとえば冷水管58や温水管68と注水管路74、150、176、178との合流部分に混合タンクなどの滞留領域を介在させてもよい。これにより、温水HWや冷水CWと水Wとの混合状態を安定化させ、給水開始時に混合しない温水や冷水または水Wのみが流出するのを防止できる。
(3) 上記実施の形態では、冷水タンク28を上側に配置し、温水タンク30を下側に配置する場合を示したが、これに限らない。ウォータサーバは、たとえば冷水タンク28と温水タンク30を同じ高さに並べて配置してもよく、または温水タンク30を冷水タンク28よりも上に配置してもよい。
(4) 上記実施の形態では、ウォータサーバに対する給水手段として、バックインボックスを用いる場合を示したが、これに限らない。給水手段は、たとえばガロンボトルを用いてもよい。この場合、注水管路側に常温の水Wを流すために、たとえば注水管路等に外気を取り込む空気取り込み部を設ければよい。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。