以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
1.パチンコ遊技機1の構造
本形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,遊技機枠50は,前方側から順に,前面枠51,内枠(不図示),外枠(不図示)によって構成される。
さらに,パチンコ遊技機1の遊技機枠50は,演出ボタン63と,演出レバー68と,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。演出ボタン63は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には打球供給皿61の上側前方に設けられる。演出レバー68は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には余剰球受皿62の左側前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,演出ボタン63および演出レバー68を容易に操作できる。
ハンドル60は,前面枠51中の右下側に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,ハンドル60を容易に操作できる。ハンドル60は,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度を,パチンコ遊技機1に入力する。打球供給皿61は,前面枠51の中央下側に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,ガラス板55,装飾用の枠ランプ66,およびスピーカ67を備えている。このうちガラス板55は,前面枠51の略中央部に取り付けられる。遊技者は,この透明なガラス板55を通してパチンコ遊技機1の前方から,遊技盤2の前面を視認可能になっている。
枠ランプ66は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,各種の演出の必要に応じて個別にあるいは同時に点灯する。スピーカ67は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1は,遊技制御中に演出に合わせて枠ランプ66を点灯し,スピーカ67から音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,パチンコ遊技機1は,その異常を報知するために,例えば,枠ランプ66を点灯し,スピーカ67からサイレン音を出力する。
次に,パチンコ遊技機1の遊技盤2について説明する。パチンコ遊技機1は,遊技盤2に,レール部材4と,複数の遊技くぎ(符号は省略)と,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が転動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,遊技領域3の下方から発射された遊技球を,遊技領域3の上方に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,画像を表示可能な演出表示装置7を備えている。遊技者は,パチンコ遊技機1の前方から,演出表示装置7に表示される様々な演出画像,予告画像,メッセージ,デモンストレーション画面等を視認できる。演出表示装置7の詳細な説明は後述する。
また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における演出表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第1特別図柄の抽選の契機となる。第1特別図柄の抽選は,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらに演出表示装置7を挟んでセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。
また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の後方であって演出表示装置7の前方に,ボール可動体320を備えている。なお,ボール可動体320は,可動式のいわゆるギミックのことである。ボール可動体320は,演出表示装置7の上部でセンター装飾体10に隠れて遊技者から視認困難に格納されている状態(図1の状態)から,センター装飾体10に隠されずに遊技者から視認可能な状態に変位可能である。ボール可動体320は,例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて変位する。ボール可動体320の詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の右下方に,普通可変入賞装置22を備えている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第2特別図柄の抽選の契機となる。第2特別図柄の抽選も,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。電チュー22は,可動部材23を備え,可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,可動部材23が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,可動部材23が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。この場合,第2始動口21の上側に到達した遊技球は,可動部材23の左右方向に弾かれる。つまり,第2始動口21は,可動部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,可動部材23が閉状態では開状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,可動部材23が閉状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,電チュー22よりも下方であって第1始動口20の右側の遊技領域3に,第1大入賞口30を有する第1大入賞装置31を備えている。さらに第1大入賞装置31は,開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材32が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材32が閉状態とは,開状態よりも第1大入賞口30に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材32が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30よりも上方の遊技領域3に,第2大入賞口35を有する第2大入賞装置36を備えている。さらに第2大入賞装置36は,開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材37が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材37が閉状態とは,開状態よりも第2大入賞口35に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材37が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
より詳細には,図2に示すように,第2大入賞装置36の内部には,第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な領域である特定領域39および非特定領域70が形成されている。また,第2大入賞装置36の内部には,遊技球の転動方向の特定領域39および非特定領域70よりも上流に,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第2大入賞口センサ35aが設けられている。また,特定領域39内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する特定領域センサ39aが設けられ,非特定領域70内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する非特定領域センサ70aが設けられている。
また,第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を通過した遊技球を,特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と,振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は,遊技盤2に対して左右方向に進退可能に取り付けられ,遊技球の特定領域39への転動と非特定領域70への転動とを切り換える。
具体的には,図2(A)に示すように,振分部材71が遊技球の特定領域39への転動を許容する位置に退避した状態(第1の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,特定領域39を通過することが可能になる。一方,図2(B)に示すように,振分部材71が特定領域39の入口を塞ぐことで遊技球の特定領域39への転動を規制した状態(第2の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,非特定領域70を通過する。
パチンコ遊技機1では,特定領域39への遊技球の通過が遊技状態を変更する契機となっている。パチンコ遊技機1の遊技状態および変更内容については後述する。これに対し,非特定領域70への遊技球の通過は,遊技状態の変更の契機とならない。
図1の説明に戻り,パチンコ遊技機1には,センター装飾体10の右下方であって電チュー22の上方の遊技領域3に,遊技球が通過可能なゲート28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は,電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄の抽選の契機となる。普通図柄の抽選の詳細についても後述する。なお,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方の遊技領域3にも,ゲート28と同じ機能を有する別のゲートを有する構成,すなわち複数のゲートを有する構成であってもよい。
また,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3内に,1ないし複数の普通入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側に位置する左遊技領域3Aと,右側に位置する右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。パチンコ遊技機1では,第1始動口20,第2始動口21,第1大入賞口30は,遊技領域3の左右方向の略中央に配置されており,左打ちでも右打ちでも入賞が狙い易い構成になっている。一方,第2大入賞口35は,右遊技領域3Bに配置されており,右打ちでに入賞が狙い易い構成になっている。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右下方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図3に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,普通図柄表示器42の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器44と,が含まれる。この他,表示器類40には,例えば,パチンコ遊技機1が特定の遊技状態か否かを表示する表示器や,大当たりの種類を表示する表示器が含まれていてもよい。
第1特別図柄の表示変更は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の表示変更は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,大当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。なお,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技の制御を行う。なお,大当たり遊技を特別遊技ともいう。大当たり遊技における第1大入賞口30および第2大入賞口35の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図3に示すように,8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,例えば「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から8番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数を取得し,自身のメモリの特定の記憶領域に記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞であった場合には,取得した大当たり乱数等を第1始動口20用の記憶領域(後述する図22に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第2始動口21への入賞であった場合には,取得した大当たり乱数等を第2始動口21用の記憶領域(後述する図22に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1では第1特図保留記憶部85a,第2特図保留記憶部85bともに,その上限数を4としている。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となる消化条件を満たしたことによって消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1がその大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の表示を実行することであり,停止図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,上限数までその入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1特図保留記憶部85aに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2特図保留記憶部85bに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第2特図保留とする。
なお,第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留に対する消化条件には,その第1特図保留よりも先に第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第1特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留に対する消化条件には,その第2特図保留よりも先に第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第2特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,パチンコ遊技機1では,第2特図保留の消化が第1特図保留の消化よりも優先される。そのため,第1特図保留に対する消化条件には,第2特図保留が無いことも含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図3に示すように,第1特図保留表示器43aが4個のLEDで構成されており,第2特図保留表示器43bも4個のLEDで構成されている。パチンコ遊技機1は,特図保留表示器43に各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲート28への遊技球の通過を契機に,普通図柄抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通図柄抽選の抽選結果に応じて,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図3に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。普通図柄表示器42は,普通図柄抽選の普通当たりに当選に対応する特定普通図柄の表示として,例えば「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って,両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,例えば「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って,左のLEDを点灯させる。なお,普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,ゲート28への遊技球の通過があると,その通過に対して普通図柄の抽選用の乱数である普通図柄乱数の値を取得し,その普通図柄乱数を自身のメモリの特定の記憶領域(後述する図22に示す普図保留記憶部86)に記憶する。記憶領域に記憶可能な普通図柄乱数の値の数には上限があり,パチンコ遊技機1では上限数を4としている。
記憶された普通図柄乱数は,その値に基づく普通図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。普通図柄乱数の値の消化とは,パチンコ遊技機1がその普通図柄乱数の値が普通当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための普通図柄の表示を実行することであり,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の表示がその通過後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく普通図柄の変動表示中や補助遊技の実行中に遊技球のゲート28の通過があった場合であっても,4個を上限として,その通過に対する普通図柄の抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,普図保留という。
なお,普図保留記憶部86に記憶された普図保留に対する消化条件には,その普図保留よりも先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が無いこと,すなわち先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が全て消化されたことが含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような普図保留の数を,普図保留表示器44に表示する。具体的には,普図保留表示器44は,図3に示すように,4個のLEDで構成されており,普図保留の数だけLEDを点灯させることで普図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1は,図1に示したように,演出表示装置7の表示画面7aには,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域が含まれる。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。
演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の演出図柄からなる。また,演出図柄には,アルファベットや特別なキャラクタ等,数字以外を表した図柄を含めてもよい。演出表示装置7は,左,中,右の演出図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,演出表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で演出図柄を表示する。また,「ハズレ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で演出図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握可能な他,演出表示装置7に表示される演出図柄の組み合わせによっても把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,演出表示装置7は,演出図柄の変動表示に際し,例えば,演出図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。また,演出図柄を回転させてもよい。
なお,演出表示装置7は,前述のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たりの抽選結果を予告する予告演出に用いる画像,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,各種の設定内容の表示に用いる画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,演出図柄等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,演出表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第1演出保留表示領域9Aと,第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第2演出保留表示領域9Bと,が含まれる。演出表示装置7は,演出保留画像の表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43よって把握可能な他,演出表示装置7の第1演出保留表示領域9Aおよび第2演出保留表示領域9Bに表示される演出保留画像の数によっても把握できる。
2.遊技盤ユニットの構成
続いて,図4〜図17に基づいて,パチンコ遊技機1が備える遊技盤ユニット2Aの構成について説明する。図4に示すように,遊技盤ユニット2Aは,遊技盤2の後面側(裏面側)に裏側演出ユニット200が一体となってユニット化されたものである。遊技盤ユニット2Aは,遊技機枠50の内部に取り付けられる。そして,遊技盤ユニット2Aは,ユニット化された状態で遊技機枠50から取り外すことが可能である。
遊技盤ユニット2Aは,図5に示すように,遊技盤2と,裏側演出ユニット200と,に分解可能である。遊技盤ユニット2Aは,遊技機枠50に取り付けられた際,遊技盤2が前側,裏側演出ユニット200が後側になるように配される。裏側演出ユニット200と,蓋の役割を果たす遊技盤2とによって,略ケース状になる。裏側演出ユニット200は,遊技盤2以外の様々な部材,例えば演出表示装置7,装飾部材,可動部材,駆動源,ハーネス,制御基板,を組付けまたは収容して纏めるものである。
また,遊技盤ユニット2Aは,裏側演出ユニット200においても,図6に示すように,前側演出ユニット300と,後側演出ユニット400とに分解可能である。裏側演出ユニット200は,遊技機枠50に取り付けられた際,前側演出ユニット300が前側,後側演出ユニット400が後側になるように配される。裏側演出ユニット200のうち前側演出ユニット300に設けられている遊技部品に不具合又は故障が生じた場合には,前側演出ユニット300を取り外して,修理済の又は新品の前側演出ユニット300を後側演出ユニット400に取り付けることが可能である。また裏側演出ユニット200のうち後側演出ユニット400に設けられている遊技部品に不具合又は故障が生じた場合には,後側演出ユニット400を取り外して,修理済み又は新品の後側演出ユニット400を前側演出ユニット300に取り付けることが可能である。
また,裏側演出ユニット200には,演出表示装置7が後側演出ユニット400の前方に組み付けられる。これにより,裏側演出ユニット200が遊技盤2に取り付けられた状態では,演出表示装置7の表示画面7aは,遊技盤2の中央の開口部2Hから前方に臨むことになる(図4および図5参照)。
次に,前側演出ユニット300の構成について説明する。前側演出ユニット300は,図6に示したように,ベース枠部材310と,ボール可動体320と,左側ボール直動機構330と,右側ボール直動機構340と,ロゴ部材350と,指部材360と,指ロック機構370(図7(B)参照)と,を備えている。
ベース枠部材310は,図6に示したように,矩形の枠状になっていて,合成樹脂で構成されている。ベース枠部材310は,上側にボール可動体320と指部材360と指ロック機構370とを組み付けており,下側にロゴ部材350を組み付けている。またベース枠部材310は,左側に左側ボール直動機構330を組み付けており,右側に右側ボール直動機構340を組み付けている。
ボール可動体320は,図7及び図8に示すように主に,ボール本体321と,ボールカバー322と,ボール支持部材323と,ボール回転用モータ324とを備えている。ボール可動体320は,上下方向に直動可能であると共に,ボールカバー322を回転させる機構を備えている。
ボール本体321は,正面視で楕円形状であり,図7(B)に示すように前後方向に延びる中空の柱状になっている。ボール本体321は光を透過可能な合成樹脂で構成されている。ボール本体321の内部には,図9に示すように,前方に向かって光を照射可能な複数のボール可動体LED328が配されている。そのため,ボールカバー322がボール本体321に対して回転するときに,各ボール可動体LED328が発光することで,遊技者に対してボール可動体320を派手に見せることが可能である。
ボールカバー322は,図7(A)に示すように正面視で楕円形状であり,図8(A)(B)に示すように,前後方向に延びる回転軸325を介してボール本体321の前面に回転可能に組み付けられている。ボールカバー322の前面には,野球のボールの形態が施されている。
ボール支持部材323は,ボール可動体320を支持するものであり,図7(A)に示すように左右方向に延びている。ボール支持部材323の左端部には,正面視でL字状の左側連結部材326が連結している。この左側連結部材326は,左側ボール直動機構330の左側ガイドパイプ332に上下動可能に組み付けられている。また,ボール支持部材323の右端部には,正面視でL字状の右側連結部材327が連結している。この右側連結部材327は,後述する右側ボール直動機構340の右側ガイドパイプ342に上下動可能に組み付けられている。こうしてボール支持部材323は,各連結部材326,327を介して各ガイドパイプ332,342に沿って上下方向に移動可能になっている。
ボール回転用モータ324は,ボールカバー322を回転させるための駆動源である。ボール回転用モータ324は,図8(A)及び(B)に示したように,ボール本体321の内部に配置されており,図示しないギヤ機構を介して上述した回転軸325と接続している。そのため,ボール回転用モータ324が回転すると,回転軸325が回転し,図9に示したように,ボールカバー322がボール本体321に対して回転する。
左側ボール直動機構330は,ボール可動体320を上下方向に直動させる機構であり,図7(B)及び図8(A)に示したように,左側支持部材331と,左側ガイドパイプ332と,左側ベルト333と,左上プーリー334と,左下プーリー335と,左側ボール直動用モータ336と,を備えている。左側支持部材331は,上下方向に延びていて,左側ガイドパイプ332を支持している。また,左側支持部材331の上端部には,左上プーリー334が回転可能に支持されていて,左側支持部材331の下端部には,左下プーリー335が回転可能に支持されている。
左側ガイドパイプ332は,図7(A)に示したように,上下方向に延びていて,上述したボール支持部材323の左端部に連結している左側連結部材326の上下動をガイドする。図8(A)に示したように,左上プーリー334と左下プーリー335とには,左側ベルト333が架け渡されている。左側ボール直動用モータ336は,図示しないギヤ機構を介して左下プーリー335と接続している。よって,左側ボール直動用モータ336が回転すると,左下プーリー335が回転して,左側ベルト333が左上プーリー334と左下プーリー335とに架け渡された状態で回転する。
右側ボール直動機構340は,左側ボール直動機構330と同様に,ボール可動体320を上下方向に直動させる機構であり,図7(A)及び図8(A)に示したように,右側支持部材341と,右側ガイドパイプ342と,右側ベルト343と,右上プーリー344と,右下プーリー345と,右側ボール直動用モータ346と,を備えている。右側ボール直動機構340の構成と,上述した左側ボール直動機構330の構成とは,ほとんど左右対称の構造であるため,詳細な説明を省略する。なお以下では,左側ボール直動用モータ336と右側ボール直動用モータ346とをまとめて,「ボール直動用モータ380」と呼ぶ。
ここで,ボール支持部材323の左端部に連結している左側連結部材326は,図8(B)に示したように,左側ベルト333に組み付けられる。また,ボール支持部材323の右端部に連結している右側連結部材327は,右側ベルト343に組み付けられる。そのため,ボール直動用モータ380が所定の正方向に回転すると,左側ベルト333及び右側ベルト343が正方向に回転する。これにより,各連結部材326,327及びボール支持部材323が下降して,ボール可動体320が,図7(A)に示す位置から図10(A)に示す位置,さらに図10(B)に示す位置まで移動(下降)することが可能である。
これに対して,ボール直動用モータ380が正方向とは逆の逆方向に回転すると,左側ベルト333及び右側ベルト343が逆方向に回転する。これにより,各連結部材326,327及びボール支持部材323が上昇して,ボール可動体320が,図10(A)に示す位置又は図10(B)に示す位置から,図7(A)に示す位置まで移動(上昇)することが可能である。
なお,以下の説明では,ボール可動体320の図7(A)に示す位置を,「上昇位置」と呼ぶ。上昇位置は,ボール可動体320の初期状態(電源投入時)の位置である。また,ボール可動体320の図10(A)に示す位置を「第1下降位置」と呼び,ボール可動体320の図10(B)に示す位置を「第2下降位置」と呼ぶ。
具体的に,上昇位置は,上下方向の位置が遊技盤2のセンター装飾体10と同じ位置に有り,ボール可動体320が上昇位置にあると,ボール可動体320がセンター装飾体10と重なって遊技者から隠される。一方,第1下降位置は,上下方向の位置が表示画面7aの略中央と同じ位置になり,ボール可動体320が第1下降位置にあると,ボール可動体320が表示画面7aの前に出現して遊技者に対して露出した状態となる。第1下降位置は,ボール可動体320が表示画面7aのほぼ中央に配置される位置であり,遊技者から表示画面7aを見難くする。すなわち,遊技者から見てボール可動体320が目立ち易い状態となる。また,第2下降位置は,上下方向の位置が表示画面7a中の下側の位置になる。そのため,ボール可動体320が第2下降位置にあると,第1下降位置と同じくボール可動体320が露出した状態となるが,第1下降位置よりもボール可動体320が目立ち難い状態となる。
ロゴ部材350は,金色のプレート状の部材であり,前面にパチンコ遊技機1の機種名を示す絵が印刷されている。図8(A)及び(B)に示したように,ベース枠部材310の下側には,上下方向に延びる2つのガイド孔310aが形成されており,ロゴ部材350は,各ガイド孔310aに沿って上下動可能に組み付けられている。また,ベース枠部材310の左下部には,ロゴ直動用モータ351が組み付けられており,ロゴ直動用モータ351は,図示しないギヤ機構を介してロゴ部材350と接続している。よって,ロゴ直動用モータ351が回転すると,ロゴ部材350が各ガイド孔310aに沿って上下方向に移動する。
指部材360は,左右一対で指の形状になっている。各指部材360は,図7(B)に示したように,前後方向に延びていて,前端部にて下方に屈曲している。よって,各指部材360は,ボール本体321及びボールカバー322の上側に引っ掛かるようになっている。これにより,各指部材360がボール本体321及びボールカバー322の上側に引っ掛かっている状態では,2つの指で野球のボールを握っているという意匠を形成している。
また,指部材360は,図7(A)及び(B)に示したように,指支持部材361によって支持されている。指支持部材361は,ボール支持部材323の上方で左右方向に延びている。そして,図10(A)及び(B)に示したように,指支持部材361の左端部には,正面視でL字状の左側取付部材362が取り付けられる。左側取付部材362は,左側ボール直動機構330の左側ガイドパイプ332に上下動可能に組み付けられる。また,指支持部材361の右端部には,正面視でL字状の右側取付部材363が取り付けられる。右側取付部材363は,右側ボール直動機構340の右側ガイドパイプ342に上下動可能に組み付けられる。よって各指部材360は,指支持部材361及び各取付部材362,363を介して各ガイドパイプ332,342に沿って上下動可能になっている。なお,指部材360は,モータ等の駆動源と接続されておらず,自重による落下やボール可動体320の移動に伴って,上下方向に移動することになる。
また,指支持部材361は,図11(A)及び(B)に示すように,左右方向の中間に湾曲した湾曲部361aを有している。この湾曲部361aの後側には,指ロック機構370(図7(B)および図12参照)の係止部材371に係止される係止溝361bが形成されている。よって,指支持部材361の係止溝361bに指ロック機構370の係止部材371が係止している限り,指支持部材361は,図10(A)に示す位置から自重で落下しないようになっている。
指ロック機構370は,係止部材371と指支持部材361の係止溝361bとが係止した状態と係止しない状態とを切り替える。指ロック機構370は,図12(A)及び(B)に示すように,係止部材371と,回転部材372と,指ロック解除用ソレノイド373と,上側ハウジング374と,下側ハウジング375とを備えている。係止部材371は,指ロック解除用ソレノイド373が通電されていない状態において,図12(A)に示したように,上側ハウジング374及び下側ハウジング375よりも僅かに前方に飛び出ていて,指支持部材361の係止溝361bに係止可能となっている。
また,係止部材371は,図12(B)に示したように,回転部材372に組み付けられ,回転部材372が矢印X方向に回転すると,矢印Y方向に移動するようになっている。回転部材372は,上下方向に延びる支持軸376周りに回転可能である。また,回転部材372は,指ロック解除用ソレノイド373のプランジャ373aに連結している。指ロック解除用ソレノイド373は,通電されていない状態ではプランジャ373aを左方に延ばしていて,通電された状態ではプランジャ373aを右方に引っ込めるようになっている。
こうして,係止部材371と指支持部材361の係止溝361bとが係止しているときに,指ロック解除用ソレノイド373が通電されると,プランジャ373aの右方への引っ込みに伴って,回転部材372が図12(B)に示す矢印X方向に回転する。これにより,係止部材371が図12(B)に示す矢印Y方向に移動して,係止部材371と指支持部材361の係止溝361bとの係止が解除される。このとき,図10(B)に示したように,ボール可動体320が第2下降位置にあれば,指部材360と指支持部材361と各取付部材362,363は,各ガイドパイプ332,342に沿って自重により落下することになる。そして,図13(A)に示すように,指部材360と指支持部材361と各取付部材362,363は,指支持部材361がボール支持部材323に当接する位置まで移動する。
なお,パチンコ遊技機1は,指部材360及び指支持部材361を上昇させるための駆動源が設けられていない。そのため,図13(B)に示すように,指部材360及び指支持部材361は,ボール可動体320が上昇するのに伴って,共に上昇する。そして,上昇した指部材360及び指支持部材361は,係止部材371が指支持部材361の係止溝361bに係止することで,図7(A)に示した位置に留まる。
次に,後側演出ユニット400の構成について説明する。後側演出ユニット400は,図6に示したように,ベース体410と,装飾体ホルダー420と,固定演出部材430と,顔可動体440と,左側顔直動機構450と,右側顔ガイド機構460,表示装置ホルダー470と,を備えている。
ベース体410は,透明な合成樹脂で構成されていて,後方側にて起立している背面部411を有し,図6に示すように背面部411の左側に左面部412を有し,背面部411の上側に上面部413を有している。ベース体410は,背面部411の前面に装飾体ホルダー420を組み付けており,左面部412の内側に左側顔直動機構450を組み付けている。
装飾体ホルダー420は,図14(A)及び(B)に示すように,白色の合成樹脂で構成され,正面視で横長の長方形状であり,前面で固定演出部材430を組み付ける。また,装飾体ホルダー420は,右側に右側顔ガイド機構460を組み付ける。また,装飾体ホルダー420の左上部と右上部には,それぞれ冷却ファン421が設けられる。
各冷却ファン421は,演出表示装置7と固定演出部材430との間に形成される内部空間に籠る熱を拡散させて,演出表示装置7に熱による動作不良(オーバーヒート)が生じるのを防ぐ。すなわち上述の内部空間には,演出表示装置7の表示用LED790又は役物用ライト791(図19参照)が点灯することにより,熱が籠り易くなっている。そのため,パチンコ遊技機1では,各冷却ファン421が駆動されることで,内部空間において局所的に高温になるのを回避して,演出表示装置7が動作不良になるのを防ぐ。
固定演出部材430は,光を透過可能な透過性を有する透明な合成樹脂板で構成されていて,図14(A)及び(B)に示したように,正面視で略長方形状になっており,上下方向および左右方向の位置が演出表示装置7の表示画面7aと同じになるように配置される。すなわち,前方から見て固定演出部材430と演出表示装置7の表示画面7aとが重なるように配置される。また,固定演出部材430には,上下左右の周縁から中央に向かう光の軌跡を示す模様が施されている。そして固定演出部材430には,金色の合成樹脂で構成されたミット装飾体431が取り付けられる。
ミット装飾体431は,略C字状になっていて,キャッチャーミットの形態(意匠)を示している。固定演出部材430には,前方に向かって光を照射可能な複数の固定演出部材LED432が配される。そのため,演出表示装置7の前方からミット装飾体431を遊技者に視認させる演出を実行しているときに,各固定演出部材LED432が発光することで,ミット装飾体431を派手に見せることが可能である。
顔可動体440は,ミット装飾体431よりも前方に配されており,上下方向に直動可能である。顔可動体440は,図14(A)及び(B)に示したように,パチンコ遊技機1における主人公キャラの顔の一部の形態を示しており,ほとんどが肌色の合成樹脂で構成されている。但し,主人公キャラの顔のうち目の部分だけが透明色になっており,目の部分の後方にそれぞれ顔可動体LED441が配されている。そのため,演出表示装置7の前方から顔可動体440を視認させる演出を実行しているときに,各顔可動体LED441が発光することで,主人公キャラの目が光っているように見せることが可能である。
顔可動体440の左上部には,正面視でL字状の左側組付部材442が連結している。左側組付部材442は,左側顔直動機構450の左方ガイドパイプ452に上下動可能に組み付けられる。また,顔可動体440の右上部には,正面視でL字状の右側組付部材443が連結している。右側組付部材443は,右側顔ガイド機構460のガイドレール(図示省略)に上下動可能に組み付けられる。こうして顔可動体440は,各組付部材442,443を介して左方ガイドパイプ452と図示しないガイドレールに沿って上下方向に移動可能である。
左側顔直動機構450は,顔可動体440を直動させる機構であり,図15に示すように,左方支持部材451と,左方ガイドパイプ452と,左方ベルト453と,上側プーリー454と,下側プーリー455と,顔直動用モータ456と,を備えている。左方支持部材451は,上下方向に延びていて,左方ガイドパイプ452を支持している。また左方支持部材451の上端部には,上側プーリー454が回転可能に支持されていて,左方支持部材451の下端部には,下側プーリー455が回転可能に支持されている。
左方ガイドパイプ452は,上下方向に延びていて,上述した顔可動体440の左上部に連結している左側組付部材442の上下動をガイドする。上側プーリー454と下側プーリー455とには,左方ベルト453が架け渡されている。顔直動用モータ456は,図示しないギヤ機構を介して下側プーリー455と接続する。よって,顔直動用モータ456が回転すると,下側プーリー455が回転して,左方ベルト453が上側プーリー454と下側プーリー455とに架け渡された状態で回転する。
右側顔ガイド機構460は,上下方向に移動する顔可動体440の右側をガイドする機構である。上述したように右側顔ガイド機構460には,上下方向に延びるガイドレール(図示省略)が設けられている。そして,このガイドレールに沿って,顔可動体440の右上部に連結している右側組付部材443がスライド可能に組み付けられている。なお本形態の右側顔ガイド機構460には,左側顔直動機構450のようにベルト,プーリー,直動用モータ等が設けられていないが,ベルト,プーリー,直動用モータ等を設けて,左側顔直動機構450と左右対称の構造にしても良い。
ここで,顔可動体440の左上部に連結している左側組付部材442は,左側顔直動機構450の左方ベルト453に組み付けられる(図示省略)。そのため,顔直動用モータ456が所定の正方向に回転すると,左方ベルト453が正方向に回転する。これにより,各組付部材442,443が上昇して,顔可動体440が,図14(A)に示す位置から,図16に示す位置まで移動(上昇)する。
これに対して,顔直動用モータ456が正方向とは逆の逆方向に回転すると,左方ベルト453が逆方向に回転する。これにより,各組付部材442,443が下降して,顔可動体440が,図16に示す位置から,図14(A)に示す位置まで移動(下降)する。なお,以下では,顔可動体440の図14(A)に示す位置を,「退避位置」と呼ぶ。退避位置は,顔可動体440の初期状態(電源投入時)の位置である。また,顔可動体440の図16に示す位置を,「駆動位置」と呼ぶ。
駆動位置は,前方から見て顔可動体440が固定演出部材430と重なる位置である。すなわち,顔可動体440の上下方向および左右方向の位置が固定演出部材430および演出表示装置7の表示画面7aと同じとなる。一方,退避位置は,前方から見て顔可動体440の大部分が遊技盤2等によって隠れる位置である。すなわち,顔可動体440の上下方向の位置が固定演出部材430および演出表示装置7の表示画面7aよりも下方となる。
表示装置ホルダー470は,図17に示すように,演出表示装置7の四隅部分を取り付けるためのものである。表示装置ホルダー470は,ベース体410の背面部411の四隅にそれぞれ設けられていて,正面視でL字状になっている。よって演出表示装置7は,各表示装置ホルダー470に対して前方から嵌め込むように取り付けられる。これにより,演出表示装置7と固定演出部材430との間に内部空間が形成される。
3.演出表示装置7の構成
続いて,演出表示装置7の構成について,図18および図19を参照しつつ説明する。本形態の演出表示装置7は,前方から見て,演出表示装置7よりも後方を視認可能な状態と,演出表示装置7よりも後方を視認困難な状態と,を切替え可能な装置である。図18は,演出表示装置7の分解斜視図である。演出表示装置7は,図18に示すように主に,フレーム枠700と,上側構造部710と,下側構造部720と,左側構造部730と,右側構造部740と,導光板750と,液晶パネル760と,透過性フィルム770と,保護パネル780とを備えている。
フレーム枠700は,演出表示装置7の外郭を構成するものであり,上側に上面部701を有し,下側に下面部702を有し,左側に左面部703を有し,右側に右面部704を有し,前側に前面部705を有している。上面部701と下面部702とは,上下対称の形状になっていない。つまり上面部701は長方形状になっている。これに対して下面部702は,平面視で凹状になっており,後方側に切り欠かれている切欠部分702aを有している。左面部703と右面部704とは,左右対称の形状になっていて,それぞれ長方形状になっている。前面部705は矩形の枠状になっていて,中央の開口部にて液晶パネル760を前方に臨ませるようになっている。
フレーム枠700は,金属のうち熱伝導率が比較的高いアルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。そのため,フレーム枠700を介して散熱し易くなっている。また,フレーム枠700のうち,左面部703及び右面部704には,多数の貫通孔703a,704aが形成されており,下面部702にも多数の貫通孔(図示省略)が形成されている。これら貫通孔703a,704aにより,フレーム枠700よりも外側にある空気が後述する各ヒートシンク712,722,732に触れ易くなり,各ヒートシンク712,722,732の冷却性能を向上させる。
上側構造部710は,フレーム枠700の上面部701の内側(下面側)に組み付けられる。この上側構造部710は,図18に示したように,上側制御基板711と,上側ヒートシンク712と,上側組付カバー713とを備えている。上側制御基板711の上方に上側ヒートシンク712を載置して,これら上側制御基板711及び上側ヒートシンク712に対して下方から上側組付カバー713を組み付けることで,上側制御基板711と上側ヒートシンク712と上側組付カバー713とが一体化されている。
上側制御基板711は,前端側の縁部に,左右方向に沿って多数の上側表示用LED714を実装している。各上側表示用LED714は,導光板750の周面のうちの上面に向かって,表示用の光を下方へ照射するものである。よって上側制御基板711は,上側表示用LED714の点灯及び消灯を制御することで,上側表示用LED714による表示用の光が導光板750の上面に供給される状態と,供給されない状態とを切替えることが可能である。
また,上側制御基板711は,上側表示用LED714よりも後方に,左右方向に沿って多数の上側役物用ライト715を実装している。上側役物用ライト715は,下方に向かって照明用の光を照射して,顔可動体440やミット装飾体431を照らすものである。よって上側制御基板711は,上側役物用ライト715の点灯及び消灯を制御することで,顔可動体440やミット装飾体431を上側役物用ライト715による照明用の光で照らす状態と,照らさない状態とを切替えることが可能である。
下側構造部720は,フレーム枠700の下面部702の内側(上面側)に組み付けられる。この下側構造部720は,図18に示したように,下側制御基板721と,下側ヒートシンク722と,下側組付カバー723とを備えている。下側ヒートシンク722の上方に下側制御基板721を載置して,これら下側制御基板721及び下側ヒートシンク722に対して上方から下側組付カバー723を組み付けることで,下側制御基板721と下側ヒートシンク722と下側組付カバー723とが一体化されている。
下側構造部720と上側構造部710とは,上下対称の形状になっていない。つまり,上側構造部710の上側制御基板711と上側ヒートシンク712と上側組付カバー713は,平面視で略長方形状になっている。これに対して,下側構造部720の下側制御基板721と下側ヒートシンク722と下側組付カバー723は,平面視で凹状になっていて,それぞれ後方側に,切り欠かれている切欠部分721a,722a,723aを有している。これら切欠部分721a,722a,723aの位置と,上述したフレーム枠700の下面部702の切欠部分702aの位置とは,左右方向及び前後方向に一致するようになっている。
下側制御基板721は,前端側の縁部に,左右方向に沿って多数の下側表示用LED724を実装している。各下側表示用LED724は,導光板750の周面のうちの下面に向かって,表示用の光を上方へ照射するものである。よって下側制御基板721は,下側表示用LED724の点灯及び消灯を制御することで,下側表示用LED724による表示用の光が導光板750の下面に供給される状態と,供給されない状態とを切替えることが可能である。なお上述したように,上側制御基板711には上側役物用ライト715が実装されていたが,下側制御基板721には役物用ライトが実装されていない。これは,下側制御基板721の後方側に切欠部分721aが形成されていて,下側表示用LED724よりも後方に役物用ライトを実装するスペースが無いためである。
左側構造部730は,フレーム枠700の左面部703の内側(右面側)に組み付けられる。この左側構造部730は,図18に示したように,左側制御基板731と,左側ヒートシンク732と,左側組付カバー733とを備えている。左側制御基板731の左方に左側ヒートシンク732を載置して,これら左側制御基板731及び左側ヒートシンク732に対して右方から左側組付カバー733を組み付けることで,左側制御基板731と左側ヒートシンク732と左側組付カバー733とが一体化されている。
左側制御基板731は,前端側の縁部に,上下方向に沿って多数の左側表示用LED734を実装している。各左側表示用LED734は,導光板750の周面のうちの左面に向かって,表示用の光を右方へ照射するものである。よって左側制御基板731は,左側表示用LED734の点灯及び消灯を制御することで,左側表示用LED734による表示用の光が導光板750の左面に供給される状態と,供給されない状態とを切替えることが可能である。
また,左側制御基板731は,左側表示用LED734よりも後方に,上下方向に沿って多数の左側役物用ライト735を実装している。左側役物用ライト735は,右方に向かって照明用の光を照射して,顔可動体440やミット装飾体431を照らすものである。よって左側制御基板731は,左側役物用ライト735の点灯及び消灯を制御することで,顔可動体440やミット装飾体431を左側役物用ライト735による照明用の光で照らす状態と,照らさない状態とを切替えることが可能である。
右側構造部740は,フレーム枠700の右面部704の内側(左面側)に組み付けられる。この右側構造部740は,図18に示したように,右側制御基板741と,右側ヒートシンク742と,右側組付カバー743とを備えている。右側制御基板741には,上下方向に沿って多数の右側表示用LED744と,多数の右側役物用ライト745が実装されている。右側構造部740と左側構造部730の構造とは,左右対称で同様であるため,詳細な説明を省略する。
なお,以下の説明では,上側表示用LED714と下側表示用LED724と左側表示用LED734と右側表示用LED744とをまとめて,「表示用LED790」と呼ぶ。また,上側役物用ライト715と左側役物用ライト735と右側役物用ライト745とをまとめて,「役物用ライト791」と呼ぶことにする。
導光板750は,光を透過可能な透過性を有する透明な合成樹脂板で構成されていて,長方形状である。この導光板750は,表示用LED790からの表示用の光を周面(上面,下面,左面,右面)を通して入射する。そして,入射した表示用の光を内部で反射させて,前面751から出射させる。なお,導光板750の後面には,表示用の光を前方に向かって反射させるための凹凸状の粗面(図示省略)が形成されている。
演出表示装置7は,図18および図19に示すように,導光板750の前方に透過性フィルム770が配されており,透過性フィルム770の前方に液晶パネル760が配されている。従って,表示用LED790が点灯すると,表示用の光が導光板750の前面751から面発光として出射される。そして導光板750の前面751から面発光された表示用の光を,透過性フィルム770を介して液晶パネル760に供給可能となっている。以下では,表示用LED790と導光板750とをまとめて,「バックライト792」と呼ぶことにする。さらに,表示用LED790を点灯させた状態を,バックライト792の「点灯状態」とし,表示用LED790を消灯させた状態を,バックライト792の「消灯状態」とする。
なお,バックライト792の消灯状態とは,点灯状態よりも暗く照明する状態(例えば点灯状態と比較して,個々のLEDの発光量が少ない状態や発光しているLEDの数が少ない状態)であればよく,表示用LED790に含まれる全てのLEDを完全に消灯させる構成でなくてもよい。役物用ライト791が消灯している状態についても同様に,点灯状態よりも暗く照明する状態(例えば点灯状態と比較して,個々のLEDの発光量が少ない状態や発光しているLEDの数が少ない状態)であればよく,役物用ライト791に含まれる全ての光源を完全に消灯させる構成でなくてもよい。
液晶パネル760は,マトリックス状に配されている多数の画素を有し,各画素で透過率を制御する。これにより液晶パネル760は,バックライト792からの表示用の光を前方に透過させて,前面(表示画面7a)にて画像を表示することが可能である。すなわち,液晶パネル760の各画素に,バックライト792からの表示用の光が供給されると,表示画面7aに表示される画像を前方から視認できるようになっている。液晶パネル760は,長方形の薄板状になっていて,フレーム枠700の前面部705の後側に組み付けられている。
ここで液晶パネル760の構造について,図20(A)及び(B)に基づいて説明する。液晶パネル760は,図20(A)に示すように,前方に前方偏光板761を備え,後方に後方偏光板762を備え,前方偏光板761と後方偏光板762との間に液晶分子763を多数封入している。なお,図20(A)では,説明を簡単にするため,カラーフィルタを省略している。
前方偏光板761及び後方偏光板762は,表示用の光のうちそれぞれ固有の振動面で振動している光(偏光)を取り出すものである。前方偏光板761と後方偏光板762とは,取り出す光の振動面が90度異なるものである。従って,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,液晶分子763によって振動面が90度変わると,前方偏光板761を通過することができる。言い換えれば,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,振動面が変わらずにそのまま前方偏光板761に向かうと,前方偏光板761を通過することができない。
液晶分子763は,電圧の作用によって配列を変えることにより,光の透過率を変えるものである。液晶分子763に作用する電圧は,上述した各制御基板711,721,731,741によって制御される。この液晶分子763は,図示しない複数の配向膜によって,前後方向に渡って90度ねじられるように配列している(図示省略)。そのため,液晶分子763に電圧が作用していない状態では,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,振動面を90度変える。このようにして,液晶分子763によって振動面が90度変えられた光は,前方偏光板761を通過することができる。その結果,表示用の光が供給された画素では,白色に見えることになる。
一方,液晶分子763は,電圧が作用すると振動面を変えずに光を透過し易いように配列する。そのため,液晶分子763に電圧が作用している状態では,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,振動面を変えずにそのまま前方偏光板761に向かう。これにより,液晶分子763によって振動面が変わらない光は,前方偏光板761を通過することができない。その結果,表示用の光が供給されない画素では,黒色に見えることになる。なお,供給される表示用の光が少なくなるほど,白色(高明度の色)から黒色(低明度の色)に近づくことになる。
次に,図20(B)に基づいて,液晶パネル760がカラーフィルタを備えている場合について説明する。図20(B)に示すように,液晶パネル760では1画素のうち,赤カラーフィルタ764に対応するサブ画素767と,緑カラーフィルタ765に対応するサブ画素768と,青カラーフィルタ766に対応するサブ画素769とが設けられている。
例えば,サブ画素767に対応する液晶分子763に電圧を作用させないと,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,振動面を90度変えると共に,赤色になる。これにより赤色の光は前方偏光板761を通過して,サブ画素767に到達する。また,サブ画素768に対応する液晶分子763に電圧を作用させないと,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光は,振動面を90度変えると共に,緑色になる。これにより緑色の光は前方偏光板761を通過して,サブ画素768に到達する。これに対して,サブ画素769に対応する液晶分子763に電圧を作用させると,表示用の光のうち後方偏光板762によって取り出された光が,青色になるものの前方偏光板761を通過できない。
以上により,サブ画素767に到達した赤色の光と,サブ画素768に到達した緑色の光とによって,サブ画素767,768,769を含む1画素では,黄色に見えることになる。上記した例では,黄色の見え方について説明したが,その他の色の見え方については,実質的に同様の原理であるため,説明を省略する。なお,サブ画素767,768,769にそれぞれ赤色の光と緑色の光と青色の光が到達すると,サブ画素767,768,769を含む1画素では,白色に見えることになる。
つまり,液晶パネル760に白色の表示を指示した場合,液晶パネル760の後面から入射した光が前面から出射される。すなわち,光が液晶パネル760を透過することになり,液晶パネル760の後方を視認し得る。そのため,以下の説明では,白色を「透過色」ともいう。また,透過色で構成された画像を「透過画像」ともいう。一方,黒色のような光を透過し難い色を「不透過色」ともいう。また,不透過色で構成された画像を「不透過画像」ともいう。なお,不透過色は,透過色よりも,液晶パネル760の後方を視認困難な色であればよく,完全に視認できない色でなくてもよい。
また,透過性フィルム770は,図18に示すように,長方形の薄板状になっており,液晶パネル760と導光板750との間に介在し,2つのフレキシブルプリント基板(FPC)775を介して上側制御基板711に接続されている。そのため,上側制御基板711は,フレキシブルプリント基板775を介して透過性フィルム770に電圧を作用させることが可能である。
ここで透過性フィルム770の構造について,図21(A)及び(B)に基づいて説明する。透過性フィルム770は,図21(A)及び(B)に示すように,前後に2つのプラスチックフィルム771を備え,これらプラスチックフィルム771の内側に2つの透明電極772を備えている。2つの透明電極772の間には,高分子773が張り巡らされていて,高分子773の中に多数の液晶分子774が不規則に配置されている。そして,2つの透明電極772には,上側制御基板711からフレキシブルプリント基板775を介して電圧が作用されるようになっている。
図21(A)に示すように,各透明電極772に電圧が作用していない状態では,液晶分子774は不規則に配置されたままである。そのため,一方側のプラスチックフィルム771から入射した光は,液晶分子774によって拡散する。従ってこの状態では,透過性フィルム770は乳白色になっており,透過性フィルム770よりも後方を視認困難になる。
一方,図21(B)に示すように,各透明電極772に電圧が作用している状態では,液晶分子774が各透明電極772に対して垂直に並ぶことになる。これにより,一方側のプラスチックフィルム771から入射した光は,液晶分子774によって拡散せずに,他方側のプラスチックフィルム771から出射する。従ってこの状態では,透過性フィルム770は透明になっており,透過性フィルム770よりも後方を視認可能になる。
つまり,透過性フィルム770に電圧が作用している状態では透過性フィルム770は透明であり,透過性フィルム770の後方を視認し得る。一方,透過性フィルム770に電圧が作用していない状態では透過性フィルム770は乳白色であり,透過性フィルム770の後方が視認困難である。そのため,透過性フィルム770について,電圧が作用しており後方を視認可能な状態を「透過状態」(視認可能状態の一例)とし,電圧が作用しておらず後方を視認不可能な状態を「不透過状態」(視認困難状態の一例)とする。
なお,不透過状態を,透過性フィルム770よりも後方を完全に視認できない状態とする必要は無く,透過状態よりも後方を視認困難ではあるものの僅かに視認できる状態としても良い。例えば,不透過状態では,透過状態よりも各透明電極772に作用させる電圧を低くして,不透過状態が透過状態よりも後方を視認し難い状態にしても良い。つまり,不透過状態は,透過状態よりも,透過性フィルム770の後方を視認困難な状態であればよく,完全に視認できない状態でなくてもよい。
また,透過性フィルム770の不透過状態は,透過性フィルム770の後方を遊技者から視認困難にする状態であって,光の透過を完全に遮断する状態ではない。すなわち,不透過状態であっても,バックライト792からの光は透過性フィルム770によって拡散されて液晶パネル760に到達する。そのため,透過性フィルム770を不透過状態にすることで,バックライト792を点灯状態とした際に液晶パネル760全体を均一に照らし得る。
前述したように演出表示装置7は,透過性フィルム770が不透過状態であれば,表示画面7a(透過性フィルム770)よりも後方が視認困難になり,透過性フィルム770の後方を遊技者から隠すことができる。これに対して,透過性フィルム770が透過状態であれば,透過性フィルム770よりも後方が視認可能になり,バックライト792が消灯状態であれば,バックライト792よりも後方にある顔可動体440やミット装飾体431に注目させることが可能になる。
また,保護パネル780は,図18に示すように,透過性フィルム770の後側に組み付けられていて,演出表示装置7の後方からの外力に対して透過性フィルム770,導光板750,及び液晶パネル760を保護するものである。この保護パネル780は,光を透過可能な透過性を有する透明な合成樹脂板で構成されていて,長方形状になっている。
4.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図22および図23を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,画像制御基板100と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,遊技盤2に取り付けられ,特別図柄や普通図柄の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,遊技盤2に取り付けられ,演出表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。画像制御基板100は,演出表示装置7に表示される画像やスピーカ67から出力される音声に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
また,パチンコ遊技機1は,電源基板150を備えている。電源基板150は,主制御基板80,サブ制御基板90,画像制御基板100,および払出制御基板110に対する電力の供給制御を行い,これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。
電源基板150には,バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は,パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合,すなわち主電源がオフであったり停電が生じた場合に,後述する主制御基板80のRAM84等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。従って,主制御基板80のRAM84等に記憶されている情報は,パチンコ遊技機1に外部から電力が供給されていない場合も,バックアップ電源回路151から電力を供給できる間,一時的に保持される。なお,各制御基板に対する専用のバックアップ電源回路をそれぞれ設けてもよい。また,電源基板150には,電源スイッチ155が接続されている。この電源スイッチ155の操作により,主電源のオンオフが切り換えられる。
また,電源基板150には,RAMクリアスイッチ156が接続されている。RAMクリアスイッチ156は,電源基板150に付設され,パチンコ遊技機1の後面に配置される。すなわち,RAMクリアスイッチ156は,通常,パチンコ遊技機1の前面側にいる遊技者から視認できず,遊技者が操作できない位置にある。そのため,RAMクリアスイッチ156は,通常,ホールのスタッフによって操作される。パチンコ遊技機1は,RAMクリアスイッチ156が押下された状態で起動されると,主制御基板80のRAM84およびサブ制御基板90のRAM94を初期化する。これにより,RAM84およびRAM94に記憶されている情報が失われる。
主制御基板80には,図22に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通図柄の抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられる。また,特図保留記憶部85には,第1始動口20を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2始動口21を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,取得した乱数を記憶する小領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球が始動口に入賞することに起因して,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の4つの乱数を取得する。そのため,各小領域には,それら4つの乱数が記憶される。各乱数の詳細については後述する。
また,普図保留記憶部86も,保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数が4であることから,普図保留記憶部86には,4つの記憶領域が設けられる。さらに各領域には,取得した乱数を記憶する記憶領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球がゲートを通過することに起因して,普通当たり乱数を取得する。そのため,上述の記憶領域には,普通当たり乱数が記憶される。普通当たり乱数の詳細については後述する。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,ゲートセンサ28a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,特定領域センサ39a,非特定領域センサ70a,および普通入賞口センサ27a,がある。
第1始動口センサ20aは,第1始動口20の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1始動口20を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2始動口センサ21aは,第2始動口21の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2始動口21を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。ゲートセンサ28aは,ゲート28の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特定領域センサ39aは,特定領域39内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。非特定領域センサ70aは,非特定領域70内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
普通入賞口センサ27aは,各普通入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各普通入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,第2大入賞口ソレノイド38,および振分部材ソレノイド73,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の可動部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。振分部材ソレノイド73は,第2大入賞装置36の振分部材71を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b,および普図保留表示器44,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞による払い出しの賞球数は3球であり,第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,普通入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者によるハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,発射装置112を制御する。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
また,主制御基板80には,外部端子板190が接続されている。外部端子板190は,遊技制御用マイコン81から受信した信号に基づく各種の信号を,データ表示器910やホールコンピュータ900といったパチンコ遊技機1の外部に配された外部装置に対して出力する。具体的に外部端子板190には,外部出力用の複数のチャネル(CN)が設けられている。そして,各チャネル(CN)に対応するコネクタと,データ表示器910側のコネクタとはケーブルによって接続される。各コネクタからは,それぞれ一つの信号が外部に出力される。外部端子板190では,例えば,大当たりが当選したことを示す大当たりカウント信号,パチンコ遊技機1の遊技状態を示す信号,遊技機枠50が開放されていることを示す枠開放信号,所定数(例えば10球)の賞球がなされたことを示す信号,想定外の入賞があったことを示すセキュリティ信号,がそれぞれ別のチャネルから出力される。
サブ制御基板90には,図23に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,I/Oポートによって構成される入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,保留抽選情報を記憶する特図保留記憶部95が設けられる。保留抽選情報には,主制御基板80の特図保留記憶部85に記憶される各乱数に基づく情報が含まれ,具体的には1回の始動口への入賞によって主制御基板80から出力される始動入賞コマンドが含まれる。特図保留記憶部95はさらに,第1特図保留に基づく第1始動入賞コマンドを記憶する第1特図保留記憶部95aと,第2特図保留に基づく第2始動入賞コマンドを記憶する第2特図保留記憶部95bと,が設けられる。また,RAM94には,演出図柄変動演出での演出内容に関する情報を記憶する変動演出記憶部96が設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,2つの小領域が設けられている。具体的にパチンコ遊技機1では,始動口の入賞に基づいて特定される始動入賞コマンドと,演出保留画像の表示態様を示すデータと,を各小領域に記憶する。
また,サブ制御基板90には,画像制御基板100,盤可動部中継基板108,ランプ中継基板107,演出ボタン検出スイッチ63x,演出レバー押込検出スイッチ68x,演出レバー回転検出スイッチ68y,演出ボタン振動モータ221,および演出レバー振動モータ222が電気的に接続されている。そのため,サブ制御基板90には各スイッチに基づく信号が入力され,各基板やモータにはサブ制御基板90から信号が出力される。
画像制御基板100には,プログラムに従って演出表示装置7およびスピーカ67の出力を制御する画像制御用ワンチップマイコン101が実装されている。以下,画像制御用ワンチップマイコン101を,画像制御用マイコン101とする。画像制御用マイコン101には,演出の進行に伴って表示画像を制御するためのプログラムや,演出表示装置7に表示される静止画や動画,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データや,スピーカ67を介して出力される音声,楽曲,効果音,などの音声データを記憶したROM103,ワークメモリとして使用されるRAM104,ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102,が含まれる。画像制御用マイコン101は,I/Oポートによって構成される入出力回路105を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路105は,画像制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。また,ROM103は,外付けであってもよい。
また,画像制御基板100には,演出表示装置7およびスピーカ67が電気的に接続されている。演出表示装置7は,前述したように,液晶パネル760と,バックライト792の表示用LED790と,透過性フィルム770と,役物用ライト791とを備える。演出表示装置7やスピーカ67には,画像制御基板100からの信号が入力される。そのため,例えば,演出表示装置7は,入力された信号に基づいて,液晶パネル760に各種の画像を表示させ,バックライト792の表示用LED790の点灯ないし消灯を制御し,透過性フィルム770の状態を制御し,役物用ライト791の点灯ないし消灯を制御する。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100の画像制御用マイコン101に演出表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御用マイコン101のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データや音声データを読み出す。そして,読み出した画像データを演出表示装置7に表示させ,読み出した音声データに基づいて音声をスピーカ67から出力させる。
なお,音声を出力する構成として,サブ制御基板90およびスピーカ67と電気的に接続される音声制御基板を備え,演出制御用マイコン91が,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,その音声制御基板を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる構成でもよい。この場合,音声データは,サブ制御基板90のROM93に記憶すればよい。
また,サブ制御基板90には,遊技盤2に取り付けられた各種の中継基板を介して,ボール回転用モータ324,ボール直動用モータ380,顔直動用モータ456,指ロック解除用ソレノイド373,および冷却ファン421が電気的に接続される。なお,個々の駆動体および構成要素と,サブ制御基板90と,を中継する基板は,それぞれ別体として遊技機枠50内に設けられているが,これらを纏めて「盤可動部中継基板108」と呼ぶ。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,盤可動部中継基板108を介して電気的に接続された個々の駆動体および構成要素の動作制御を行う。例えば,演出制御用マイコン91は,顔直動用モータ456の動作態様を決める動作パターンデータをROM93から読み出し,その動作パターンデータに基づいて,盤可動部中継基板108を介して顔直動用モータ456の駆動制御を行う。
また,サブ制御基板90には,遊技機枠50に取り付けられた各種の中継基板を介して,枠ランプ66,ボール可動体LED328,顔可動体LED441,および固定演出部材LED432が,電気的に接続される。なお,個々の光源および構成要素と,サブ制御基板90と,を中継する基板は,それぞれ別体として遊技機枠50内に設けられているが,これらを纏めて「ランプ中継基板107」と呼ぶ。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ中継基板107を介して,枠ランプ66,ボール可動体LED328,顔可動体LED441,および固定演出部材LED432の点灯制御を行う。例えば,演出制御用マイコン91は,顔可動体LED441の発光態様を決める発光パターンデータをROM93から読み出し,その発光パターンデータに基づいてランプ中継基板107を介して顔可動体LED441の発光制御を行う。
演出ボタン検出スイッチ63xは,演出ボタン63に対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63が押下されると,演出ボタン検出スイッチ63xからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63に関する信号が出力される。演出ボタン検出スイッチ63xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出ボタン63が押下されたか否かを判断できる。演出レバー押込検出スイッチ68xおよび演出レバー回転検出スイッチ68yは,演出レバー68に対応する検出スイッチである。そのため,演出レバー68が押し込まれると,演出レバー押込検出スイッチ68xからサブ制御基板90に対して,演出レバー68が押下された方向に関する信号が出力される。演出レバー押込検出スイッチ68xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出レバー68が押し込まれたか否かを判断できる。また,演出レバー68が捻られると,演出レバー回転検出スイッチ68yからサブ制御基板90に対して,演出レバー68が回転された方向に関する信号が出力される。演出レバー回転検出スイッチ68yから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出レバー68が捻られたか否かを判断できる。
演出ボタン振動モータ221は,演出ボタン63内に収容され,演出ボタン63の外装体を振動させる部材である。演出レバー振動モータ222は,演出レバー68の後側に配置され,演出レバー68の外装体を振動させる部材である。なお,演出ボタン振動モータ221は,演出ボタン63の外装体を振動させず,演出ボタン63に収容される構造物のみを振動させてもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,演出ボタン振動モータ221の動作態様を決める動作パターンデータと,演出レバー振動モータ222の動作態様を決める動作パターンデータと,それぞれを作成し,それらの動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ221および演出レバー振動モータ222の動作制御を行う。
5.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞を契機に,大当たりの抽選を行う。第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第1特別図柄表示器41aに表示され,第1特別図柄(特図1)の抽選ともいう。また,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第2特別図柄表示器41bに表示され,第2特別図柄(特図2)の抽選ともいう。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,取得した大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1が行う大当たりの抽選の結果には,「大当たり」と「ハズレ」とがある。大当たり乱数は,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図24に示すように,通常確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜205の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりの当選確率が異なる2つの遊技状態,すなわち通常確率状態と高確率状態とがあり,高確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜1023の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断する。遊技状態の詳細については後述する。
パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合には,特別図柄表示器41に,大当たりに対応する特別図柄である「大当たり図柄」を停止表示させる。大当たりには,幾つかの種類があり,種類に応じた「大当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合には,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,ハズレに対応する特別図柄である「ハズレ図柄」を停止表示させる。
さらにパチンコ遊技機1は,大当たりに当選した場合,大当たりの種類に応じた開放パターンにて,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放する制御である「大当たり遊技」を実行する。なお,以下の説明では,第1大入賞口30および第2大入賞口35を総称する場合,「大入賞口」という。
大当たり遊技は,1回または複数回のラウンド遊技と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニングと,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディングと,を含んでいる。各ラウンド遊技は,オープニングの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始し,次のラウンド遊技の開始またはエンディングの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間であるインターバル時間は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
パチンコ遊技機1では,大当たりの種別として,「16R特別大当たり」と,「6R特別大当たり」と,「4R通常大当たり」とがある。パチンコ遊技機1では,大当たりに当選した場合,大当たり種別の抽選も行う。大当たり種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜9までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図25に示すように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜4の範囲内の値であれば,6R特別大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であれば4R通常大当たりと判断する。一方,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜3の範囲内の値であれば,16R特別大当たりに当選したと判断し,大当たり種別乱数が4〜5の範囲内の値であれば,6R特別大当たりに当選したと判断し,それら以外の数値であれば4R通常大当たりと判断する。なお,以下の説明では,16R特別当たりおよび6R特別大当たりを総称する場合,「特別大当たり」という。一方,4R通常大当たりを省略して「通常大当たり」ともいう。
特別大当たりは,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。通常大当たりは,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が実質的に不可能な開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には,図26に示すように,「16R特別大当たり」は,総ラウンド数が16ラウンド(R)である。1R目から4R目までの各ラウンドおよび7R目から16R目までの各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放する。また,5R目および6R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。なお,振分部材71は,大当たり遊技の開始またはラウンド遊技の開始から,前述した図2(A)に示す第1状態,または図2(B)に示す第2状態に一定の周期で変動している。そのため,5R目および6R目の各ラウンドでは,第2大入賞口35を通過した遊技球を,第2大入賞口35を介して特定領域39内に通過させることが可能である。また,「6R特別大当たり」は,総ラウンド数が6ラウンド(R)である。そして,16R特別大当たりと同様に,5R目および6R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。そのため,16R特別大当たりと同様に,5R目および6R目の各ラウンドでは,第2大入賞口35を通過した遊技球を,第2大入賞口35を介して特定領域39内に通過させることが可能である。
これに対して,「4R通常大当たり」は,総ラウンド数が6Rであるものの,実質的な総ラウンド数は4Rである。つまり,1R目から4R目までの各ラウンドは,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放するが,5R目および6R目は,0.08秒しか第2大入賞口35を開放しない。従って,4R通常大当たりでは,5R目および6R目の各ラウンドは,大入賞口の開放時間が極めて短く,賞球が見込めないラウンドとなっている。その結果,4R通常大当たりは,実質4Rの大当たりとなっている。
また,4R通常大当たりにおける5R目および6R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,仮に遊技球が第2大入賞口35を通過してもその遊技球が特定領域39を通過することができないタイミング,すなわち振分部材71が第2の状態(図2参照)になったタイミングで,第2大入賞装置36の開閉部材37を開放する。このため,4R通常大当たりにおける5R目および6R目の各ラウンドでは,特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能になっている。
パチンコ遊技機1では,大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて,その大当たり遊技の終了後の遊技状態を,高確率状態に移行させる。つまり,前述の特別大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過することで,大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して,通常大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39をほぼ通過できないため,大当たり遊技後の遊技状態は,通常確率状態となる。このようにパチンコ遊技機1では,通常大当たりよりも,特別大当たりの方が,遊技者にとって有利となるように設定されている。
パチンコ遊技機1では,図25に示したように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)における大当たりの振分率は,6R特別大当たりが50%,4R通常大当たりが50%となっている。これに対して,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)における大当たりの振分率は,16R特別大当たりが40%,6R特別大当たりが20%,4R通常大当たりが40%となっている。すなわち,後述する電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく大当たりの抽選により大当たりに当選した場合には,第1始動口20への入賞に基づく大当たりの抽選と比較して,特別大当たりになる確率が高くなる。このようにパチンコ遊技機1では,第1特別図柄の抽選よりも,第2特別図柄の抽選の方が,遊技者にとって有利となるように設定されている。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数および変動パターン乱数がある。
リーチ乱数は,大当たり判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決定するために用いられる乱数である。リーチとは,複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって,変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たりの当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態,例えば「7↓7」(「↓」は変動中を意味する)といった状態,のことである。なお,リーチ状態において停止表示されている演出図柄は,表示画面7a内で多少揺れているように表示されてもよい。すなわち,演出図柄が完全に停止していなくてもよい。リーチ乱数は,0〜127までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図27に示すように,非時短状態では,リーチ乱数が0〜13の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。また,時短状態では,リーチ乱数が0〜5の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
変動パターン乱数は,特別図柄の変動時間を含む変動パターンを決定するために用いられる乱数である。変動パターン乱数も,0〜127までの範囲内の値となる。図28および図29は,変動パターン乱数と変動パターンとの関係を示すテーブルである。本形態では,変動パターンによって,疑似連続変動演出(疑似連演出ともいう)の実行可否や,疑似連演出を行う場合の再変動表示の実行回数や,リーチ演出の実行可否や,リーチ演出を行う場合の態様が決められる。
疑似連演出とは,大当たりの抽選の1回分の特別図柄の変動表示期間において,演出表示装置7に,少なくとも1つの表示箇所に演出図柄を仮停止表示させ,その後,演出図柄の全ての表示箇所を再変動表示させる演出である。仮停止表示とは,演出図柄の表示箇所において演出図柄が変動表示されていないが,完全には停止しておらず僅かに動いている表示態様である。疑似連演出を行う場合,変動パターンには,演出図柄の再変動表示の実行回数の情報が含まれ,「疑似連×2」は,1回の再変動表示によって,1回分の変動表示期間中,疑似的に2回連続して変動表示が生じているように見せる疑似連演出を意味する。「疑似連×3」は,2回の再変動表示によって,1回分の変動表示期間中,疑似的に3回連続して変動表示が生じているように見せる疑似連演出を意味する。
疑似連演出は,再変動表示の回数が多いほど,すなわち「疑似連×3」の方が「疑似連×2」よりも,大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。また,疑似連演出は,再変動表示の回数が多いほど,遊技者に有利な種類の大当たりに当選している,すなわち通常大当たりよりも特別大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。
また,変動パターンに含まれるリーチ演出の態様としては,「通常リーチ」と,通常リーチよりも変動時間が長い「スーパーリーチ(SPリーチ)」と,がある。リーチ演出についても,「SPリーチ」の方が「通常リーチ」よりも,大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。また,SPリーチには複数の種類があり,SPリーチの種類も変動パターンによって割り振られている。パチンコ遊技機1では,「第1SPリーチ」,「第2SPリーチ」,「第3SPリーチ」,「第4SPリーチ」,のシナリオが異なる4つのSPリーチが設けられている。各SPリーチの演出の詳細については後述する。パチンコ遊技機1では,変動パターン乱数の他,特別図柄の種類,時短状態か非時短状態か,大当たりやリーチの抽選結果,に基づいて,変動パターンを決定する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づいて取得される乱数として,普通当たり乱数がある。普通当たり乱数は,電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選に用いられる乱数である。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図30に示すように,非時短状態では,普通当たり乱数が0〜2の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。また,時短状態では,普通当たり乱数が0〜254の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。すなわち,普通当たりの抽選は,非時短状態ではほとんどハズレとなり,時短状態ではほとんど普通当たりとなる。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
6.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選(特別図柄表示器41)および普通当たりの抽選(普通図柄表示器42)に関して,それぞれ「確率変動機能」と「変動時間短縮機能」とを有している。
大当たりの抽選で確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい,作動していない状態を「通常確率状態」という。高確率状態では,図24に示したように,大当たりに当選する確率が通常確率状態よりも高い。すなわち,確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,大当たりの抽選で大当たりとなる確率が高くなる。
また,大当たりの抽選における変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい,作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では,特別図柄表示器41での特別図柄の変動時間,すなわち変動表示の開始時から表示結果の停止表示時までの時間が,非時短状態よりも短くなり易い。具体的にパチンコ遊技機1は,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,図27に示したように,リーチ有りと判定されるリーチ乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が少なくなる判定テーブルを用いて,リーチの判定を行う。つまり,時短状態では,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,特別図柄が停止表示されるまでの時間が長いリーチになる確率が低くなる。また,図28および図29に示したように,リーチ無しハズレとなった場合,非時短状態よりも時短状態の方が,変動時間が短い変動パターンが選択され易い。つまり,変動時間短縮機能が作動していると,作動していないときと比較して,変動時間が短くなり易い。その結果,時短状態では,特図保留の消化のペースが速くなり,特図保留として記憶され得る始動口への有効な入賞が発生し易くなる。そのため,遊技者は,スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことが可能となる。
大当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,同時に作動してもよいし,一方のみが作動してもよい。普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,大当たりの抽選における変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち,普通当たりの抽選における確率変動機能および変動時間短縮機能は,時短状態において作動し,非時短状態において作動しない。よって,時短状態では,普通当たり抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。具体的にパチンコ遊技機1は,図30に示したように,普通当たりと判定される普通当たり乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が多くなる判定テーブルを用いて,普通当たりの抽選を行う。つまり,確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,普通当たりの抽選で普通当たりとなる確率が高くなる。
また,時短状態では,普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短い。パチンコ遊技機1では,例えば,非時短状態の変動時間が30秒であり,時短状態の変動時間が1秒である。また,時短状態では,補助遊技における電チュー22の開放時間が,非時短状態よりも長くなっている。すなわち,電チュー22の開放時間延長機能が作動している。一方,時短状態でも非時短状態でも,補助遊技における電チュー22の開放回数は同じである。つまり,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能が作動していない。なお,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能を作動してもよい。
かくして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では,これらの機能が作動していない場合と比較して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することになる。その結果,遊技球の発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい,作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では,遊技者は,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御,いわゆる電サポ制御が実行されている状態ともいえる。
なお,高ベース状態は,前述した複数の機能が全て作動するものでなくてもよい。すなわち,普通当たりに抽選における確率変動機能,普通当たりの抽選における変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,1つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また,高ベース状態は,時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
パチンコ遊技機1では,特別大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態が,その大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過したことを条件に,高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態となる。この遊技状態を特に,「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また,パチンコ遊技機1では,通常大当たりへの当選による大当たり遊技の遊技状態が,その大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過することが困難なことから,通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態になる。この遊技状態を特に,「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では50回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお,パチンコ遊技機1の電源投入後の遊技状態は,通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確低ベース状態」という。また,大当たり遊技の実行中の状態を「大当たり遊技状態」と称する。なお,大当たり遊技状態を「特別遊技状態」ともいう。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では,右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されているため,低ベース状態と比べて電チュー22が開放され易くなっており,第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,普通当たり抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ,第2始動口21へ入賞させるべく右打ちを行う。これにより,左打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
これに対して,低ベース状態では,左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されていないため,高ベース状態と比べて電チュー22が開放され難くなっており,第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,第1始動口20へ入賞させるべく左打ちを行う。これにより,右打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
7.SPリーチの演出
続いて,パチンコ遊技機1におけるSPリーチの演出について説明する。パチンコ遊技機1では,SPリーチの演出として,演出表示装置7の液晶パネル760での演出画像の表示と,各種の可動体の動作と,を組み合わせる。また,パチンコ遊技機1では,SPリーチの演出として,透過性フィルム770を透過状態とし,演出表示装置7の液晶パネル760の画像の表示と,液晶パネル760よりも後方にある顔可動体440やミット装飾体431と,を組み合わせた演出を行う。また,パチンコ遊技機1では,SPリーチの演出として,演出ボタン63や演出レバー68の操作を遊技者に要求する。
以下,第1SPリーチから第4SPリーチの詳細ついて説明する。始めに,第1SPリーチのシナリオについて,図31から図38を参照しつつ説明する。なお,以下の説明では,大当たりの抽選に当選した場合の演出として説明する。
第1SPリーチシナリオにおいて,図31(A)に示すように,パチンコ遊技機1は先ず,演出表示装置7の表示画面7aに,リーチとなった状態の演出図柄8L,8C,8Rを表示する。本形態では,演出図柄8Lおよび8Rを同じ演出図柄で停止表示し,演出図柄8Cを変動表示する。図31中の演出図柄8Cの「↓」は,演出図柄の変動表示中であることを意味する。
また,図31(A)では,パチンコ遊技機1は,演出内での課題が記された演出画像7P1を表示する。なお,演出図柄8L,8C,8Rおよび演出画像7P1は,液晶パネル760が表示する。つまり,図31(A)は,遊技者に演出画像7P1を見せる期間である。そのため,演出表示装置7は,液晶パネル760に演出画像7P1を表示させ,バックライト792を点灯状態とし,透過性フィルム770を不透過状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。つまり,バックライト792を点灯状態とし,透過性フィルム770を不透過状態とすることで,遊技者に対して,液晶パネル760に表示される画像を見易くし,さらにバックライト792の後方を見難くする。
次に,図31(B)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の表示画面7aに,主人公キャラクタの顔のアップの画像に,演出レバー68の操作を予告する画像を含む演出画像7P2を表示する。演出レバー68の操作を予告する画像は,例えば,演出レバー68に鎖が巻かれた画像が該当する。これにより,パチンコ遊技機1は,現在は演出レバー68を操作するタイミングではないが,SPリーチの演出中に演出レバー68の操作が有ることを,遊技者に示唆し得る。なお,図31(B)は,図31(A)と同様に,遊技者に液晶パネル760の画像を見せる期間である。そのため,演出表示装置7の各構成部材(液晶パネル760,バックライト792,透過性フィルム770,役物用ライト791)の状態も,図31(A)と同様である。
次に,図31(C)に示すように,パチンコ遊技機1は,表示画面7aの中央部分を透過色とし,他の部分を不透過色とする演出画像7P3と,表示画面7a全体を視認不可能にする演出画像7P3Bとを,演出表示装置7の表示画面7aに交互に表示する。
具体的に演出画像7P3では,表示画面7aの中央部分を白色で表示し,白色の領域を囲む領域を黒色で表示する。つまり,演出画像7P3は,中央部分に透過画像が含まれる。一方で,演出画像7P3Bでは,表示画面7aの全体を黒色で表示する。なお,演出画像7P3Bは,バックライト792の後方を視認困難になる画像であればよく,黒色のベタ画像に限るものではない。例えば,黒色の背景にエフェクト画像を合成した画像であってもよい。パチンコ遊技機1は,顔可動体440の一部を視認可能にする状態と,表示画面7a全体を視認不可能にする状態とを交互に繰り返し,顔可動体440が点滅するような演出を行うことで,遊技者に対する顔可動体440の注目度をより高める。
図31(C)では,演出画像7P3と演出画像7P3Bとを切り換えるタイミングは,所定時間以下(例えば1秒以下)の周期であって,遊技者が画面の切り換えを認識し得る程度の所定フレーム数ごと(例えば,1フレームごと)に切り換えればよい。また,本形態では,演出画像7P3と演出画像7P3Bとは,表示時間が均等であるが,表示時間に差を設けてもよい。
さらに,図31(C)では,パチンコ遊技機1は,退避位置にある顔可動体440を,駆動位置に変位させる。顔可動体440の駆動位置は,図16に示したように,上下方向および左右方向の位置が,演出表示装置7の表示画面7aの中央部分と一致する。そのため,演出画像7P3を表示すると,遊技者は,演出画像7P3のうちの透過画像の部分を介して,顔可動体440を視認できる。
つまり,演出画像7P3は,図32に示すように,表示画面7aのうち,中央部分であって,顔可動体440の駆動位置と上下方向および左右方向の位置が重なる部分7C(遊技者から見て構造物と重なる領域。構造物を見せる領域ともいう。)内に,透過画像7P3Tが配置され,透過画像7P3Tを囲む部分に不透過画像7P3Nが配置された構成になる。つまり,図31(C)では,主人公キャラクタの顔は,実体である顔可動体440であり,その周りの黒色領域および帽子は,液晶パネル760が表示する画像である。なお,演出画像7P3では,顔可動体440全体が見える必要は無く,顔可動体440が認識できる程度であればよい。そのため,透過画像7P3Tのサイズは,顔可動体440よりも小さくてよい。これにより,遊技者は,演出画像7P3のうち透過画像7P3Tを通して,顔可動体440の少なくとも一部を視認可能になる。従って,図31(C)では,実体の主人公キャラクタが画面の後ろに隠れているような演出となる。
なお,顔可動体440を変位させるタイミングは,演出表示装置7の後方を視認可能にする前であっても後であってもよい。本形態では,演出画像7P3を表示する前に顔可動体440の駆動位置への変位を完了させる。すなわち,演出画像7P2の表示中に顔可動体440を変位させておく。また,演出画像7P3の表示中,顔可動体LED441を点灯状態にする。これにより,遊技者に対する顔可動体440の注目度を高める演出となり得る。
上述したように,図31(C)のうち演出画像7P3を表示する期間は,遊技者に顔可動体440を見せる期間である。そのため,演出表示装置7は,液晶パネル760に透過画像を表示させ,バックライト792を消灯状態とし,透過性フィルム770を透過状態とし,役物用ライト791を点灯状態とする。つまり,バックライト792を消灯状態とし,透過性フィルム770を透過状態とすることで,バックライト792の後方を視認可能とし,液晶パネル760に透過画像を表示することで,透過画像を通して遊技者に顔可動体440を見せる。一方,演出画像7P3Bを表示する期間は,遊技者に顔可動体440を見せる期間ではないが,黒色画像を表示することでバックライト792の後方を視認困難としていることから,演出表示装置7の各構成部材の状態は変化しない。なお,演出画像7P3Bを表示する期間中,役物用ライト791は消灯状態としてもよい。
すなわち,図31(C)では,パチンコ遊技機1は,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とに高速で交互に切り換える際,透過性フィルム770を透過状態かつバックライト792を消灯状態としたまま,顔可動体440を見せる領域に透過画像を含む演出画像7P3の表示と,全体が不透過画像の演出画像7P3Bと,を交互に切り換える。これにより,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とを高速に切り換える際,パチンコ遊技機1は,透過性フィルム770の状態の切り換えタイミングの誤差の影響を受け難い。さらに,液晶パネル760に演出画像7P3を表示して顔可動体440を視認可能な状態とした際には,役物用ライト791も点灯状態とし,顔可動体440をより視認し易くする。
また,図31(C)で表示される演出画像7P3は,駆動位置にある顔可動体440の少なくとも一部を見せる領域が透過画像であり,他の領域が不透過画像である。すなわち,図31(C)では,顔可動体440を視認可能にするために,演出表示装置7の表示画面7aのうち,顔可動体440を見せる領域の少なくとも一部を透過画像とし,その周りを囲む残りの部位を不透過画像で表示している。表示画面7a全てを透過色で表示してしまうと,顔可動体440の後側に位置するミット装飾体431の一部等,本来隠しておきたいものまで視認可能になってしまい,演出の興趣性を損なう。そこで,パチンコ遊技機1は,駆動位置にある顔可動体440を含む領域のみを透過色で表示し,その領域を囲む領域を不透過色で表示して,演出に不要な領域を視認困難にする。
また,演出画像7P3のように,表示画面7aのうち一部のみを透過画像とし,その他の領域を不透過画像とすると,液晶パネル760が表示する画像と演出表示装置7の後方の領域とが分離したように見え,遊技者に何かを隠しているような印象を与え易い。特に透過色の領域と不透過色の領域との境界,すなわち実体と画像との境界が目立ってしまうほど,そのような印象を与え易くなる。そこで,パチンコ遊技機1は,図33に示すように,透過画像7P3Tと不透過画像7P3Nとの境界7P3Eを動かすような動画を表示し,境界7P3Eの形状が連続して変化しているような演出を行う。例えば,図33に示したような炎が燃え上がっている動画を表示したり,波のような動画を表示するとよい。このように境界7P3Eを可変にすることで,境界7P3Eが演出の一部として捉えられ,遊技者に何かを隠しているような印象を与え難くできる。
さらに,演出画像7P3では,図33に示したように,境界7P3Eを構成する炎の画像を,先端ほど明度が高くなる表示に,すなわち透過色から不透過色へと徐々に変化しているようなグラデーション表示にする。これにより,透過画像7P3Tと不透過画像7P3Nとの境界がぼかされ,より不自然な印象が薄れ,境界7P3Eを目立ち難く,遊技者に何かを隠しているような印象を与え難くできる。なお,透過画像7P3Tと不透過画像7P3Nとの境界を可変としたり,ぼかしたりする演出は,その境界全体であってもよいし,演出画像7P3のように境界の一部であってもよい。
次に,図34(D)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の表示画面7aに,演出レバー68の操作を予告する画像を含む演出画像7P4を表示する。演出画像7P4に表示される演出レバー68の操作を予告する画像は,例えば,演出レバー68に鎖が解かれた画像が該当する。これにより,パチンコ遊技機1は,演出レバー68を操作するタイミングが,演出画像7P2(図31(B)参照)を表示しているタイミングよりも近いことを示唆し得る。なお,図34(D)は,液晶パネル760の画像を遊技者に見せる期間である。そのため,演出表示装置7の各構成部材の状態は,図31(A)と同様である。
また,パチンコ遊技機1は,演出画像7P4を表示中,顔可動体440を退避位置まで変位させる。すなわち,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7のバックライト792よりも後方の領域を視認困難としている間,次の演出に備えて顔可動体440を元の位置に戻す。
次に,図34(E)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の表示画面7aに,演出レバー68の操作を指示する画像を含む演出画像7P5を表示する。演出レバー68の操作を指示する画像は,例えば,表示画面7aの中央に演出レバー68を描いた画像が該当する。また,演出レバー68の操作を指示するメッセージも表示する。これにより,パチンコ遊技機1は,演出レバー68を操作するタイミングであることを,遊技者に対して示唆し得る。なお,図34(E)も,液晶パネル760の画像を遊技者に見せる期間である。そのため,演出表示装置7の各構成部材の状態も,図31(A)と同様である。
演出レバー68が遊技者によって操作される,あるいは操作されないまま演出画像7P5が所定時間以上表示された後,図34(F)に示すように,パチンコ遊技機1は,ミット装飾体431を描いた画像を含む演出画像7P6を,演出表示装置7の表示画面7aに表示する。ミット装飾体431を描いた画像は,上下方向および左右方向がミット装飾体431と同じであって遊技者から見てミット装飾体431と重なる位置(ミット装飾体431を見せる領域)に表示される。また,ミット装飾体431を描いた画像は,ミット装飾体431と同じ寸法の画像,すなわちミット装飾体431を投影した画像である。なお,ミット装飾体431の画像以外にも各種のエフェクト画像を表示してもよい。図34(F)では,中央から広がる放射状の線7P6Fがエフェクト画像に該当する。エフェクト画像を合成することで,遊技者に様々な印象を付与できる。また,ミット装飾体431の画像は,必ずしもミット装飾体431と完全一致させる必要はなく,色合いやサイズ等が多少異なっていてもよい。
図34(F)では,液晶パネル760によってミット装飾体431が描かれた画像を遊技者に見せており,ミット装飾体431自体を見せていない。そのため,演出表示装置7は,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。一方で,バックライト792よりも後方の領域にあるミット装飾体431が多少透けて見えても演出上許容される。そこで,透過性フィルム770の透過状態への切り換えをスムーズに行うために,すなわち透過性フィルム770の透過状態への変化の遅延を抑制するために,透過性フィルム770を透過状態とする。
また,パチンコ遊技機1は,図34(F)での演出画像7P6の表示中,ボール可動体320を上昇位置から第1下降位置に変位させる。具体的に,パチンコ遊技機1は,ボール可動体320を,上下左右方向の位置がミット装飾体431の略中央に位置するように配置する。なお,図34(F)では,ボール可動体320のみを変位させ,指部材360は変位させない。つまり,指部材360は,指ロック機構370の係止部材371によって,図7(A)に示した位置に留まっている。
演出画像7P6を1〜3数秒程度表示した後,図35(G)に示すように,パチンコ遊技機1は,表示画面7a全体で演出表示装置7の後方が視認し得る画像である演出画像7P7を,演出表示装置7の表示画面7aに表示する。図35(G)では,パチンコ遊技機1は,ミット装飾体431を見せる期間である。そのため,パチンコ遊技機1は,液晶パネル760に演出画像7P7を表示させ,バックライト792を消灯状態とし,透過性フィルム770を透過状態にする。これにより,遊技者は,演出画像7P7を通して,ミット装飾体431を視認可能になる。このとき,役物用ライト791および固定演出部材LED432も点灯状態とする。
さらに,図35(G)では,パチンコ遊技機1は,液晶パネル760にエフェクト画像を表示させる。つまり,演出画像7P7は,演出表示装置7の表示画面7a全体を透過画像とした画像にエフェクト画像を合成した画像である。図35(G)では,図34(F)と同様に,中央から広がる放射状の線7P7Fがエフェクト画像に該当し,実体であるミット装飾体431と液晶パネル760にて表示されるエフェクト画像とが同時に遊技者に見える。エフェクト画像を合成することで,遊技者に様々な印象を付与できる。
また,図35(G)では,パチンコ遊技機1は,ボール可動体320を回転させる。さらには,演出画像7P7の表示中,固定演出部材LED432を点灯状態にする。これにより,遊技者に対するボール可動体320およびミット装飾体431の注目度を高める演出となり得る。
パチンコ遊技機1は,実体であるミット装飾体431を見せる直前に,図34(F)にてミット装飾体431を描いた画像を,液晶パネル760に表示させている。そのため,図35(G)にてミット装飾体431を視認可能に切り換えた際に,何を見せているかを遊技者が理解し易い。そのため,バックライト792の後方に配されるミット装飾体431を見せる演出効果が高まる。
なお,演出画像7P7でも,図31(C)の演出画像7P3と同様に,ミット装飾体431を見せる領域以外の領域を不透過色で表示し,バックライト792よりも後方の領域のうちミット装飾体431以外の領域を遊技者から隠してもよい。この場合,特に退避位置にある顔可動体440を,遊技者から隠すことができる。すなわち,パチンコ遊技機1は,液晶パネル760の表示領域7aのうち,透過画像の範囲を,遊技者に見せる対象となる役物の位置およびサイズによって変化させるとよい。具体的には,図35(G)のように,ミット装飾体431を遊技者に見せる役物とする場合には,遊技者から見て少なくともミット装飾体431の全部または一部と重畳する領域に透過画像を表示し,その周りに不透過画像を表示する。また,図31(C)のように,顔可動体440を遊技者に見せる役物とする場合には,遊技者から見て少なくとも顔可動体440の全部または一部と重畳する領域に透過画像を表示し,その周りに不透過画像を表示する。一方で,図35(G)に示したように,表示画面7a全体を透過色で表示することで,透過画像と不透過画像との境界が生じず,遊技者に何かを隠しているような印象を与え難い。また,全体が明るくなり,演出が派手になり易い。
演出画像7P7を数秒間表示した後,図35(H)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の表示画面7aを暗転させる演出画像7P8を,演出表示装置7の表示画面7aに表示する。演出画像7P8としては,例えば,表示画面7a全体が黒色の画像あるいはその黒色の画像にエフェクト画像を加えた画像,が該当する。図35(H)では,中央から広がる放射状の模様7P8Fがエフェクト画像に該当する。
なお,図35(H)では,液晶パネル760の画像を遊技者に見せているものの,次の演出に備えて,バックライト792は消灯状態のままであり,透過性フィルム770も透過状態のままである。また,図35(H)では,次の演出に備えて,ボール可動体320を,第1下降位置から第2下降位置に変位させる。
次に,図35(I)に示すように,パチンコ遊技機1は,顔可動体440を再び駆動可能位置に変位させる。そして,パチンコ遊技機1は,顔可動体440の動きに合わせて透過画像の位置を下から上に変化させる演出画像7P9を,演出表示装置7の表示画面7aに表示する。これにより,遊技者は,演出画像7P9のうち透過画像の部位を通して,顔可動体440の少なくとも一部を再び視認可能になり,さらに透過画像の位置が顔可動体440の動きに連動して変化することで,顔可動体440が動作していることも把握できる。
演出画像7P9でも,図31(C)の演出画像7P3と同様に,透過画像と不透過画像との境界を変化させ,さらにグラデーション表示することで,遊技者に何かを隠しているような印象を与え難くするとよい。また,図35(I)では,顔可動体440の動きに合わせて透過画像の位置を変化させることで,遊技者から隠す領域を適宜変更でき,顔可動体440に遊技者の注意を集められる。また,遊技者の注意が顔可動体440に向けられることで,ミット装飾体431等,遊技者に見せる対象となっていないものが遊技者から見え難くなり得る。
また,演出画像7P9を表示中,パチンコ遊技機1は,指ロック機構370の係止状態を解除し,指部材360を自重で落下させる。これにより,指部材360がボール可動体320と組み合わされ,ボール可動体320が単体の状態と比較して,遊技者に異なる印象を与えられる。また,指部材360が遊技者から見て急に落下してくることから,遊技者に強い印象を付与し得る。なお,図35(I)での演出表示装置7の各構成部材の状態は,図35(H)と同様である。
次に,図36(J)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出画像7P10と,演出画像7P11とを,演出表示装置7の表示画面7aに交互に表示する。図37は,第1SPリーチシナリオでの,図36(J)以降における演出表示装置7の各構成部材の状態の変化をタイミングチャートで示しており,図37中の(J)は,図36(J)の期間に相当する。
具体的に,演出画像7P10を表示する期間は,遊技者に対して顔可動体440を見せる期間である。そのため,演出画像7P10は,図31(C)の演出画像7P3と同様に,顔可動体440の駆動位置に合わせた領域,すなわち顔可動体440を見せる領域が透過画像であり,その透過画像を囲む領域が不透過画像である。そして,演出画像7P10を表示する期間では,バックライト792を消灯状態とし,透過性フィルム770を透過状態とし,役物用ライト791を点灯状態とする。
一方,演出画像7P11を表示する期間は,遊技者に対して顔可動体440をモチーフとした画像を見せる期間である。そのため,演出画像7P11は,上下方向および左右方向が顔可動体440の駆動位置と同じ位置に,すなわち演出画像7P10と同様に顔可動体440を見せる領域に,顔可動体440を描いた画像(主人公キャラクタの顔画像)を表示する。つまり,遊技者から見て,顔可動体440と重なる位置に顔可動体440と同じ寸法の画像を表示する。演出画像7P11を表示する期間は,液晶パネル760に表示される画像を見せる期間であり,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。なお,透過性フィルム770は透過状態のままとする。
つまり,図36(J)では,パチンコ遊技機1は,遊技者に対して顔可動体440を見せる期間と,遊技者に対して液晶パネル760が表示する画像を見せる期間と,を高速で切り換える。これにより,実体である顔可動体440と,液晶パネル760が表示する画像と,が同時に遊技者に認識されるような演出となり得る。
さらに,演出画像7P11では,エフェクト画像として,顔可動体440が表す主人公キャラクタの目の位置に,炎7P11Fを表示する。また,例えば,主人公キャラクタの顔の周りに,放射状の模様7P11Gを表示する。エフェクト画像としては,炎7P11Fや放射状の模様7P11Gに限らず,遊技者に対して様々な印象を付与する画像であればよい。例えば,主人公キャラクタの顔に涙や汗の画像を重ねて表示することで,遊技者に対して炎7P11Fを表示した場合と異なる印象を付与できる。また,例えば,主人公キャラクタの背景に吹雪の画像を表示することで,遊技者に対して放射状の模様7P11Gと異なる印象を付与できる。これらのエフェクト画像は,同じ画像が繰り返し表示されてもよいし,演出ごとや,1回の表示ごとに,変更してもよい。また,エフェクト画像は,大当たりに当選する期待度に応じて異なる色で表示してもよい。
すなわち,図36(J)では,パチンコ遊技機1は,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とに高速で交互に切り換える際,透過性フィルム770を透過状態としたまま,バックライト792を消灯状態でかつ液晶パネル760に透過画像を表示する組み合わせ(顔可動体440が視認可能な状態)と,バックライト792を点灯状態でかつ液晶パネル760に透過画像を表示しない組み合わせ(顔可動体440が視認困難な状態)と,を切り換える。これにより,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とを高速に切り換える際,パチンコ遊技機1は,透過性フィルム770の状態の切り換えタイミングの誤差の影響を受け難い。
さらに,液晶パネル760に演出画像7P10を表示して顔可動体440を視認可能な状態とした際,パチンコ遊技機1は,役物用ライト791も点灯状態とする。これにより,顔可動体440が視認し易くなる。
また,図36(J)では,実体である顔可動体440と,顔可動体440の画像とを,遊技者に交互に見せている。そのため,遊技者の視覚には両方が同時に認識され,バックライト792よりも後方の領域にある顔可動体440と,バックライト792よりも前方に表示される顔可動体440の画像と,が組み合わされ,顔可動体440が前後に移動しているような新たな印象を与え得る。また,両方が同時に認識されることで,顔可動体440を見せる際に,顔可動体440の色味が補填される。すなわち,顔可動体440を見せるために液晶パネル760に透過色である白色のベタ画像の表示を繰り返すと,白色の印象が強くなり,顔可動体440が白っぽく映り易くなる。そこで,図36(J)のように,顔可動体440の画像を挟むことで,顔可動体440の本来の色味を補填し得る。
また,図36(J)では,顔可動体440の画像を遊技者に見せている期間に,不透過色のエフェクト画像7P11F,7P11Gを表示している。つまり,図36(J)では,実体である顔可動体440と,顔可動体440をモチーフとした画像およびエフェクト画像7P11F,7P11Gとを,遊技者に交互に見せている。そのため,遊技者の視覚には両方が同時に認識され,バックライト792よりも後方の領域にある実体の顔可動体440と,バックライト792よりも前方に表示される顔可動体440をモチーフとした画像およびエフェクト画像7P11F,7P11Gと,が組み合わされたような新たな演出となる。つまり,顔可動体440にエフェクト画像が組み合わされた印象を与え得る。また,エフェクト画像7P11F,7P11Gによって,遊技者に与える顔可動体440の印象を変え得る。また,エフェクト画像の色,サイズ,種類によって,大当たりの予告を示唆する演出にもなり得る。
なお,図36(J)において,演出画像7P10と演出画像7P11とを切り換えるタイミングは,図37の(J)の期間に示すように,所定時間以下(例えば1秒以下)の周期であって,遊技者が画面の切り換えを認識し得る程度の所定フレーム数ごと(例えば,1フレームごと)に切り換えればよい。また,本形態では,演出画像7P10と演出画像7P11とは,表示時間が均等であるが,表示時間に差を設けてもよい。
次に,図36(K)に示すように,パチンコ遊技機1は,図36(J)とは異なる態様で,演出画像7P12と演出画像7P13とを,演出表示装置7の表示画面7aに交互に表示する。具体的に,演出画像7P12を表示する期間および演出画像7P13を表示する期間は,ともに遊技者に対して主人公キャラクタの画像を表示する期間である。ただし,演出画像7P13を表示する期間は,顔可動体440を見せる期間も兼ねる。そのため,演出画像7P13を表示する期間は,主人公キャラクタの画像と顔可動体440とが重なって見える。図36(K)では,同一のモチーフの画像であって遊技者に対する印象が異なる2つの画像を液晶パネル760に交互に表示することで,遊技者に対してそのモチーフの新たな印象を与える演出を行う。
図36(K)中,演出画像7P12を表示する期間は,液晶パネル760による演出画像7P12のみを見せる期間である。一方,演出画像7P13を表示する期間は,液晶パネル760による演出画像7P13と顔可動体440とを重ねて見せる期間である。演出画像7P12には,顔可動体440の駆動位置に合わせて,すなわち顔可動体440を見せる領域に,主人公キャラクタの顔が描かれる。さらには主人公キャラクタの顔から放射状に延びる模様7P12Gのエフェクト画像が描かれる。そして,演出画像7P12を表示する期間中,パチンコ遊技機1は,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。つまり,顔可動体440を視認困難にする。なお,透過性フィルム770は,透過状態のままである。
一方,演出画像7P13にも,演出画像7P12と同様に,顔可動体440の駆動位置に合わせて,すなわち顔可動体440を見せる領域に,主人公キャラクタの顔が描かれる。さらには主人公キャラクタの顔から放射状に延びる模様のエフェクト画像7P13Gや主人公キャラクタの目の位置に炎のエフェクト画像7P13Fが描かれる。しかしながら,演出画像7P13を表示する期間は顔可動体440を見せる期間を兼ねることから,パチンコ遊技機1は,バックライト792を消灯状態とし,透過性フィルム770を透過状態のままとし,役物用ライト791を点灯状態とする。
つまり,演出画像7P13を表示する期間では,透過性フィルム770を透過状態でかつバックライト792が消灯状態であるため,液晶パネル760の後方が演出画像7P13を透かして僅かに視認可能になる。これにより,遊技者の視覚には演出画像7P13と顔可動体440との両方が認識され,両者が組み合わされたような新たな演出が可能になる。
また,図36(K)では,同じモチーフの画像である演出画像7P12と演出画像7P13とを交互に表示するが,同じ色を表現する場合に,色の濃度が,演出画像7P13の方が,演出画像7P12よりも薄い。つまり,色の明度が高い。明度が変わる色は,一部の色であってもよいし,全ての色であってもよい。例えば,両画像ともに主人公キャラクタの眉の色を赤色とする場合,演出画像7P12の眉7P12Bの赤色を第1値の明度表現し,演出画像7P13の眉7P13Bの赤色を第1値よりも高い第2値の明度で表現する。演出画像7P13を表示する期間は,画像と重ねて顔可動体440を見せる期間であり,画像の色が濃すぎると顔可動体440が目立ち難い。そこで,演出画像7P13を表示する期間は,演出画像7P12を表示する期間よりも色の明度を高くして,顔可動体440を目立たせる。
なお,演出画像7P12および演出画像7P13の表示期間は,図37の(K)に示すように,演出画像7P13の表示期間の方を,演出画像7P12の表示期間よりも長くする。すなわち,演出画像7P13と演出画像7P12との表示時間を均等にしてしまうと,液晶パネル760の画像を表示している期間が長いために,顔可動体440の印象が弱くなる。そのため,顔可動体440が見える期間を長くすることで,遊技者に顔可動体440の印象も与え易い。
次に,図36(L)に示すように,パチンコ遊技機1は,主人公キャラクタの顔のアップの画像を含む演出画像7P14を表示する。演出画像7P14に含まれる主人公キャラクタの顔のアップの画像は,図31(B)に示した演出画像7P2に含まれる主人公キャラクタの顔のアップの画像と同じである。この期間では,液晶パネル760に表示される画像を見せる期間であり,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。ただし,図36(L)の後,再び(J)および(K)の表示を繰り返すため,透過性フィルム770は,透過状態のままとする。
また,図36(L)では,演出画像7P2と同じデザインの演出画像7P14を表示するが,同じ色を表現する場合に,その色の濃度が,演出画像7P14の方が,演出画像7P2よりも濃い。例えば,主人公キャラクタの目の周りの炎7P14Fを赤色で表現する場合であっても,演出画像7P14の赤色の方が,演出画像7P2の赤色よりも色が濃い。すなわち,演出画像7P2では赤色の明度を第1値として表現し,演出画像7P2では赤色の明度を第1色よりも低い第2値として表現する。透過性フィルム770を透過状態として液晶パネル760に画像を表示する場合,バックライト792からの光が拡散せずに液晶パネル760に入射する。そのため,透過性フィルム770を不透過状態として液晶パネル760の画像を表示する場合と比較して,画像が目立ち難い。そこで,演出画像7P14では,透過性フィルム770を不透過状態として表示される演出画像7P2と比較して,特定の色あるいは全ての色について,色の明度を低くして,画像を目立たせる。
図36(L)の後,パチンコ遊技機1は,もう一度(J)および(K)の表示を行う。このように主人公キャラクタの顔を表示する演出を繰り返すことにより,主人公キャラクタの顔を,遊技者に強く印象付け得る。なお,(L)を含めて演出を繰り返してもよいし,(J)と(K)とのいずれか一方のみを行ってもよい。
その後,図38(M)に示すように,演出画像7P16を,演出表示装置7の表示画面7aに表示する。図38(M)は,液晶パネル760が表示する画像を見せる期間である。そのため,図31(A)と同様に,バックライト792を点灯状態とし,透過性フィルム770を不透過状態とし,役物用ライト791を消灯状態とする。また,パチンコ遊技機1は,演出表示装置7の表示画面7aに,大当たりの抽選結果の演出図柄8L,8C,8Rを表示する。つまり,演出図柄8Cも停止表示する。このとき,大当たりの抽選に当選していれば,演出図柄8L,8C,8Rを全て同じ図柄で表示し,ハズレの場合は,演出図柄8Cを,演出図柄8L,8Rとは異なる図柄で表示する。
また,図38(M)では,パチンコ遊技機1は,演出画像7P16を表示中,ボール可動体320を変位させる。具体的に,パチンコ遊技機1は,ボール可動体320を,第2下降位置から上昇位置に戻す。このとき,指部材360もボール可動体320の変位に伴って元の位置に戻され,指ロック機構370によって係止される。
その後,図38(N)に示すように,パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選結果の演出図柄8L,8C,8Rを,表示画面7aの中央に大きく表示し,第1SPリーチシナリオによるSPリーチの演出を終了する。
続いて,SPリーチの演出の別のシナリオである第2SPリーチシナリオについて説明する。第2SPリーチシナリオでは,第1SPリーチシナリオと比較して,図36に示した(K)および(L)の期間の動作が異なり,その他の動作は同じである。そのため,第1SPリーチシナリオと同じ動作については説明を省略する。
第2SPリーチシナリオでは,図39(K’)に示すように,第1SPリーチシナリオの(K)および(L)の期間の代わりに,バックライト792を消灯状態とし,役物用ライト791を点灯状態とし,液晶パネル760に図36(J)に示した演出画像7P10を表示させる。つまり,図39(J)および(K’)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出画像7P10と演出画像7P11とを,演出表示装置7の表示画面7aに交互に表示した後,一定期間,顔可動体440を遊技者に見せる演出画像7P10を表示する。そして,(J)と(K’)とが繰り返される。
(K’)における一定期間は,少なくとも(J)において,演出画像7P10と演出画像7P11とを表示する1周期分の長さよりも長い時間であって,遊技者が顔可動体440をはっきりと認識できる時間である。なお,本形態では,(J)での各演出画像の表示期間が1フレームであることから,1周期分は2フレームであり,一定期間を6フレーム分とする。
すなわち,第2SPリーチシナリオでは,実体である顔可動体440と,顔可動体440の画像とを,遊技者に交互に見せる制御(J)を行った後,一定期間,透過画像を含む演出画像7P10を表示する制御(K’)を行うことで,顔可動体440を見せる期間を確保する。透過画像を含む演出画像7P10を一定期間表示することで,透過画像の影響による白色の残像が解消され易く,遊技者の視覚に,演出画像と顔可動体440との両方が認識され易い。また,顔可動体440を見せる期間が長くなることから,遊技者に顔可動体440を強く印象付けることができる。
続いて,SPリーチの演出の別のシナリオである第3SPリーチシナリオについて説明する。第3SPリーチシナリオでも,第1SPリーチシナリオと比較して,図36に示した(K)および(L)の期間の動作が異なり,その他の動作は同じである。そのため,第1SPリーチシナリオと同じ動作については説明を省略する。
第3SPリーチシナリオでは,図40(K”)に示すように,第1SPリーチシナリオの(K)および(L)の期間の代わりに,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とし,液晶パネル760に図36(J)に示した演出画像7P11を表示させる。つまり,図40(J)および(K”)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出画像7P10と演出画像7P11とを,演出表示装置7の表示画面7aに交互に表示した後,一定期間,顔可動体440の画像を含む演出画像7P11を表示する。そして,(J)と(K”)とが繰り返される。
(K”)における一定期間は,少なくとも(J)において,演出画像7P10と演出画像7P11とを表示する1周期分の長さよりも長い時間である。なお,本形態では,(J)での各演出画像の表示期間が1フレームであることから,1周期分は2フレーム分であり,所定時間を8フレームとする。
すなわち,第3SPリーチシナリオでは,実体である顔可動体440と,顔可動体440の画像とを,遊技者に交互に見せる制御(J)を行った後,一定期間,顔可動体440の画像を含む演出画像7P11を表示する制御(K”)を行うことで,顔可動体440の画像を遊技者に見せる期間を確保する。顔可動体440の画像を含む演出画像7P11を一定期間表示することで,遊技者に顔可動体440の画像,すなわち主人公キャラクタの顔の画像を強く印象付けることができる。
なお,図40(K”)の期間中に表示される顔可動体440の画像には,演出画像7P11とは異なる各種のエフェクト画像を含めてもよい。また,エフェクト画像を含めなくてもよい。すなわち,図40(K”)では,液晶パネル760にて表示される画像を見せる期間を確保できればよく,表示される演出画像は,先の演出にて表示された演出画像7P11と同じであってもよいし,異なっていてもよい。例えば,図36(L)に示した演出画像7P14であってもよい。エフェクト画像を変えることで,遊技者に与え得る印象のバリエーションが豊富になる。
続いて,SPリーチの演出の別のシナリオである第4SPリーチシナリオについて説明する。第4SPリーチシナリオでも,第1SPリーチシナリオと比較して,図36に示した(K)および(L)の期間の動作が異なり,その他の動作は同じである。そのため,第1SPリーチシナリオと同じ動作については説明を省略する。
第4SPリーチシナリオでは,図41(K’)および(K”)に示すように,第1SPリーチシナリオの(K)および(L)の期間の代わりに,第2SPリーチシナリオの(K’)と同様に,バックライト792を消灯状態とし,役物用ライト791を点灯状態とし,液晶パネル760に図36(J)に示した演出画像7P10を表示させる期間と,第3SPリーチシナリオの(K”)と同様に,バックライト792を点灯状態とし,役物用ライト791を消灯状態とし,液晶パネル760に図36(J)に示した演出画像7P11を表示させる期間と,の両方を設ける。つまり,第4SPリーチシナリオでは,パチンコ遊技機1は,演出画像7P10と演出画像7P11とを,液晶パネル760に交互に表示した後,一定期間,顔可動体440を遊技者に見せる期間と,一定期間,顔可動体440を投影した画像を遊技者に見せる期間とを,それぞれ設ける。そして,(J)と(K’)と(K”)とが繰り返される。
すなわち,第4SPリーチシナリオでは,実体である顔可動体440と,顔可動体440の画像とを,遊技者に交互に見せる期間の後,一定期間,透過画像を含む演出画像7P10を表示する制御(K’)と,一定期間,顔可動体440の画像を含む演出画像7P11を表示する制御(K”)と,を行うことで,実体である顔可動体440を遊技者に見せる期間と,顔可動体440の画像を遊技者に見せる期間と,の両方を確保する。これにより,遊技者に対して,実体の顔可動体440と,顔可動体440の画像と,の両方を強く印象付けることができる。
なお,(J)と(K’)と(K”)との順序は,これに限るものではなく,例えば,(K’)と(K”)とが逆順であってもよい。また,(J),(K’),(J),(K”)のように,演出画像7P10と演出画像7P11とを,液晶パネル760に交互に表示させる期間の後が,実体である顔可動体440を遊技者に見せる期間と,顔可動体440の画像を遊技者に見せる期間と,で交互になるように構成してもよい。
8.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図42のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の主電源がオフからオンになったことを契機に,すなわち電源スイッチ155がオンになり,電源基板150を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,初期動作を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,RAM84へのアクセスを許可する。また,RAMクリアスイッチ156が押下されている場合や正常に主電源がオフされていなかった場合に,RAM84の初期化を行う。これにより,各種のフラグやステータスが初期値となり,RAM84に記憶されていた各種の情報が失われる。また,サブ制御基板90側のRAM94等を初期化するためのRAM初期化コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。この他,S001では,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定を行う。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS003では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,S005のメイン側タイマ割り込み処理について,図43のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等,パチンコ遊技機1内の主制御基板80以外のデバイスに出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,払い出しに関する情報を更新する(S102)。具体的にS102では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,普通入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S102の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S103)。S103の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S103の後,遊技制御用マイコン81は,各種のセンサから出力された信号に基づいて,始動口等の所定の領域への遊技球の通過を検出するセンサ検出処理を実行する(S111)。S111の詳細は後述する。
S111の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄に関する動作である普通動作処理を実行する(S121)。具体的にS121では,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選条件を満たしている場合に,普図保留記憶部86に記憶されている普通当たり乱数,および図30に示す普通当たり判定テーブルを用いて,普通当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた普図停止図柄データおよび遊技状態に応じた変動パターンを決定し,普通図柄表示器42に普通図柄の表示を行わせる。さらに普通当たりに当選した場合には,遊技状態に応じた電チュー22の開放パターンを決定し,電チュー22を作動させる。
S121の普通動作処理の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄に関する動作である特別動作処理を実行する(S131)。具体的にS131では,遊技制御用マイコン81は,大当たりの抽選条件を満たしている場合に,特図保留記憶部85に記憶されている大当たり乱数,および図24に示す大当たり判定テーブルを用いて,大当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた特別図柄および遊技状態に応じた変動パターンを決定し,特別図柄表示器41に特別図柄の表示を行わせる。さらに大当たりに当選した場合には,大当たり遊技を実行する。なお,S121とS131とは逆順であってもよい。S131の詳細は後述する。
S131の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留数,第1特図保留数,第2特図保留数,の各保留数に基づいて,特図保留表示器43および普図保留表示器44の表示を更新させる(S161)。
S161の後,遊技制御用マイコン81は,RAM84の外部出力バッファにセットされたコマンドに基づいて,外部端子板190を介して各種の信号を出力する(S171)。例えば,大当たりの抽選にて大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,大当たり信号を外部装置に出力する。
S171の後,遊技制御用マイコン81は,主電源を正常にオフさせるための電源断監視処理を実行する(S181)。具体的にS181では,遊技制御用マイコン81は,例えば,電源スイッチ155がオフになったことを検知した場合に,正常に主電源がオフされたことを示す情報をRAM84に記憶する。そして,RAM84へのアクセスを制限する。S181の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
[センサ検出処理]
次に,図43のS111のセンサ検出処理について,図44のフローチャートを参照しつつ説明する。
センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,ゲートセンサ28aから出力された信号に基づいて,遊技球がゲート28を通過したか否かを判断する(S201)。遊技球がゲート28を通過していた場合(S201:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数が4個未満か否かを判断する(S202)。
普図保留の数が4個未満であれば(S202:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数を1つ加算し(S203),さらに普通当たり乱数の値を取得する(S204)。遊技制御用マイコン81は,取得した普通当たり乱数の値を,普図保留記憶部86に記憶する。
S204の後,あるいは普図保留の数が4個以上の場合(S202:NO),あるいは遊技球がゲート28を通過していない場合(S201:NO),遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1始動口20を通過したか否かを判断する(S211)。遊技球が第1始動口20を通過していた場合(S211:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S212)。
第1特図保留の数が4個未満であれば(S212:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留数に1を加算し(S213),さらに大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得する(S214)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第1特図保留記憶部85aに記憶する。
S214の後,遊技制御用マイコン81は,図45に示す第1始動口20の入賞における第1始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S214にて取得した各乱数の値に基づいて第1始動入賞コマンドを特定し,その第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S215)。例えば,非時短状態であって,大当たり乱数が「1」,大当たり種別乱数が「1」,リーチ乱数が「1」,変動パターン乱数が「1」,であった場合,第1始動入賞コマンドとして「C010」が特定される。第1始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図24,図25,図27,図28に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,第1始動入賞コマンドには,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,疑似連演出を行うか否か,さらにはSPリーチを行うか否か,SPリーチの種類,の各情報が含まれる。
なお,出力バッファにセットされた第1始動入賞コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図43参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。つまり,S214にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前であっても,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S215の後,あるいは第1特図保留の数が4個以上の場合(S212:NO),あるいは遊技球が第1始動口20を通過していない場合(S211:NO),遊技制御用マイコン81は,第2始動口センサ21aから出力された信号に基づいて,遊技球が第2始動口21を通過したか否かを判断する(S221)。遊技球が第2始動口21を通過していた場合(S221:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S222)。
第2特図保留の数が4個未満であれば(S222:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留数に1を加算し(S223),さらにS214と同様に,大当たりに関する各乱数の値を取得する(S224)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第2特図保留記憶部85bに記憶する。
S224の後,遊技制御用マイコン81は,図46に示す第2始動口21の入賞における第2始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S224にて取得した各乱数の値に基づいて第2始動入賞コマンドを特定し,その第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S225)。第2始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図24,図25,図27,図29に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,S215と同様に,S224にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。
S225の後,あるいは第2特図保留の数が4個以上の場合(S222:NO),あるいは遊技球が第2始動口21を通過していない場合(S221:NO),遊技制御用マイコン81は,特定領域センサ39aから出力された信号に基づいて,遊技球が特定領域39を通過したか否かを判断する(S251)。
遊技球が特定領域39を通過していた場合(S251:YES),遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオンとし(S252),さらにV通過コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S253)。Vフラグは,特定領域39への遊技球の通過の判断に用いられる。なお,出力バッファにセットされたV通過コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図43参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S253の後,あるいは遊技球が特定領域39を通過していない場合には(S251:NO),センサ検出処理を終了する。
[特別動作処理]
次に,図43のS131の特別動作処理について,図47のフローチャートを参照しつつ説明する。
特別動作処理では,特別図柄表示器41,第1大入賞装置31,および第2大入賞装置36に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1か否か(S901),2か否か(S911),3か否か(S921),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。特別動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1であれば(S901:YES),特別図柄待機処理を実行する(S902)。特別動作ステータスが2であれば(S911:YES),特別図柄変動中処理を実行する(S912)。特別動作ステータスが3であれば(S921:YES),特別図柄確定処理を実行する(S922)。一方,特別動作ステータスが4であれば(S921:NO),大当たり遊技処理を実行する(S932)。以下,特別動作処理にて実行される各処理について説明する。
[特別図柄待機処理]
図48は,図47のS902の特別図柄待機処理の手順を示している。特別図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第2特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1001)。第2特図保留の数が0であれば(S1001:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1020)。つまり,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留に関する処理を,第1特図保留に関する処理よりも優先する。
第1特図保留の数も0であれば(S1020:YES),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出が開始されているか否かを判断する(S1031)。客待ち演出は,待機状態中,複数の待機画面やデモンストレーション画像を,演出表示装置7に表示させる演出である。客待ち演出が開始されていれば(S1031:YES),特別図柄待機処理を終了する。
客待ち演出が開始されていなければ(S1031:NO),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出を開始させるための客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1032)。出力バッファにセットされた客待ち待機コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。S1032の後,特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0でなければ(S1001:NO),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判定する(S1011)。具体的にS1011では,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留記憶部85bの先頭に記憶されている大当たりに関する各乱数の値を読み出し,図24に示した大当たり判定テーブルを用いて,読み出した大当たり乱数に基づいて,大当たり,ハズレの判定を行う。また,大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,図25に示した大当たり種別テーブルを用いて,読み出した大当たり種別乱数に基づいて,大当たりの種類の判定を行う。
S1011の後,遊技制御用マイコン81は,読み出した変動パターン乱数およびリーチ乱数に基づいて,変動パターンを決定する(S1012)。具体的にS1012では,遊技制御用マイコン81は,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)にて大当たりに当選している場合は,大当たりの種類と,変動パターン乱数と,図29に示した変動パターンテーブルとを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1013)。
S1013の後,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数を1つ減算する(S1014)。このとき遊技制御用マイコン81は,第2特図保留記憶部85bにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。これにより,第2特図保留が保留された順に消化される。
S1014の後,遊技制御用マイコン81は,S1012にて決定した変動パターンに従って,第2特別図柄表示器41bに特別図柄の変動表示を開始させる(S1015)。このとき遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。変動開始コマンドには,停止図柄データの情報や変動パターンの情報が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が実行される。S1015の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0であり(S1001:YES),第1特図保留の数が0でなければ(S1020:NO),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の場合と同様に,大当たりに当選したか否かを判定する(S1021)。S1021は,S1011と同様の処理であるが,判定値となる各乱数は,第1特図保留記憶部85aから読み出す。
S1021の後,遊技制御用マイコン81は,変動パターン乱数等の各種乱数と図28に示した変動パターンテーブルに基づいて,変動パターンを決定する(S1022)。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1023)。S1023の後,遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数を1つ減算する(S1024)。このとき遊技制御用マイコン81は,第1特図保留記憶部85aにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。これにより,第1特図保留が保留された順に消化される。
S1024の後,遊技制御用マイコン81は,S1022にて決定した変動パターンに従って,第1特別図柄表示器41aに特別図柄の変動表示を開始させる(S1025)。このとき遊技制御用マイコン81は,S1015と同様に,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。S1025の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
[特別図柄変動中処理]
図49は,図47のS912の特別図柄変動中処理の手順を示している。特別図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S1501)。変動時間は,前述した特別図柄待機処理のS1012あるいはS1022によって決定された変動パターンによって決められる。特別図柄の変動時間が経過していない場合(S1501:NO),特別図柄変動中処理を終了する。すなわち,特別図柄の変動表示が継続される。
一方,特別図柄の変動時間が経過した場合(S1501:YES),遊技制御用マイコン81は,変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が実行される。S1502の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを3に変更する(S1503)。
S1503の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を停止させる(S1504)。そして,遊技制御用マイコン81は,特別図柄を一定時間にわたって停止表示させるための停止時間をセットし(S1505),特別図柄変動中処理を終了する。
[特別図柄確定処理]
図50は,図47のS922の特別図柄確定処理の手順を示している。特別図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した特別図柄変動中処理のS1505でセットされた停止時間が経過したか否かを判断する(S1601)。停止時間が経過していなければ(S1601:NO),特別図柄確定処理を終了する。
停止時間が経過していれば(S1601:YES),遊技制御用マイコン81は,確変フラグがオンか否かを判断する(S1701)。確変フラグは,確率変動機能が作動しているか否か,すなわち高確率状態か通常確率状態かを示すフラグであり,高確率状態であればオンであり,通常確率状態であればオフである。確変フラグがオンでなければ(S1701:NO),遊技制御用マイコン81は,時短フラグがオンか否かを判断する(S1711)。時短フラグは,変動時間短縮機能が作動しているか否か,すなわち時短状態か非時短状態かを示すフラグであり,時短状態であればオンであり,非時短状態であればオフである。
時短フラグがオンであれば(S1711:YES),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタを1つ減算する(S1712)。時短カウンタは,通常確率状態かつ時短状態のとき(本形態では通常大当たりの大当たり遊技が終了した後の状態のとき)に大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,時短カウンタはS1712にて1ずつ減算される。S1712の後,遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断する(S1713)。時短カウンタの値が0であれば(S1713:YES),遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオフとする(S1714)。これにより,パチンコ遊技機1は,非時短状態に移行する。
S1714の後,あるいは時短カウンタの値が0でない場合(S1713:NO),あるいは時短フラグがオフの場合(S1711:NO),あるいは。確変フラグがオンであれば(S1701:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判断する(S1611)。
大当たりに当選していれば(S1611:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを4に変更する(S1612)。そして,遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオフとし(S1613),時短フラグをオフとする(S1614)。そして,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始する(S1615)。つまり,大当たり遊技の実行中,パチンコ遊技機1は,通常確率状態かつ非時短状態として制御される。S1615では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技が開始されることになる。
一方,大当たりに当選していなければ(S1611:NO),大当たりの抽選結果がハズレであり,大当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを1に変更する(S1631)。S1631あるいはS1615の後,特別図柄確定処理を終了する。
[大当たり遊技処理]
図51は,図47のS932の大当たり遊技処理の手順を示している。大当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,大当たり遊技が終了したか否かを判断する(S2001)。大当たり遊技が終了していなければ(S2001:NO),遊技制御用マイコン81は,S1615にて開始した大当たり遊技を継続することから,大当たり遊技処理を終了する。
一方,大当たり遊技が終了していれば(S2001:YES),特別動作ステータスを1に変更する(S2011)。S2011の後,遊技制御用マイコン81は,Vフラグがオンか否かを判断する(S2051)。Vフラグがオンであれば(S2051:YES),遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオフにする(S2052)。さらに,確変フラグをオンにする(S2053)。これにより,パチンコ遊技機1は,高確率状態に移行する。
S2053の後,遊技制御用マイコン81は,時短フラグをオンにする(S2054)。これにより,パチンコ遊技機1は,時短状態に移行する。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していた場合には,遊技状態が,高確率状態かつ時短状態となる。
一方,Vフラグがオンでなければ(S2051:NO),遊技制御用マイコン81は,時短カウンタに50をセットする(S2061)。さらに時短フラグをオンにする(S2054)。これにより,時短状態で連続して最大50回の大当たりの抽選が可能になる。一方で,遊技制御用マイコン81は,確変フラグをオンにしない。そのため,高確率状態に移行しない。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していない場合には,遊技状態が,通常確率状態かつ時短状態となる。さらに大当たりに当選しないまま連続して50回の大当たりの抽選が行われると,時短状態が解除される。S2054の後,大当たり遊技処理を終了する。
9.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図52のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,初期動作を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,を行う。また,S4001では,遊技制御用マイコン81からRAM初期化コマンドを受信していた場合,演出制御用マイコン91は,RAM94を初期化する。これにより,RAM94に記憶されていた各種の情報が失われる。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
サブ側起動処理中のS4011〜S4014は,S4001での初期動作の一部を示している。演出制御用マイコン91は,初期動作として先ず,演出表示装置7を透過表示させる透過コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4011)。セットされた透過コマンドは,後述するサブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに応じて演出表示装置7の各構成要素について,透過性フィルム770を透過状態とし,バックライト792を消灯状態とし,液晶パネル760に透過画像を表示させ,役物用ライト791を点灯状態とする。詳細には,演出表示装置7の表示画面7a全体に透過画像を表示させる。これにより,演出表示装置7よりも後方の視認性,特に顔可動体440の動作やミット装飾体431の視認性が良好になる。
S4011の後,演出制御用マイコン91は,固定演出部材LED432,顔可動体LED441,ボール可動体LED328等,各種の演出用の光源を点灯状態にする(S4012)。なお,点灯態様は,連続点灯であっても点滅点灯であってもよい。
S4012の後,演出制御用マイコン91は,ボール可動体320および顔可動体440のテスト動作を開始させる(S4013)。具体的に演出制御用マイコン91は,ボール可動体320を上昇位置から第1下降位置に変位させ,さらに第2下降位置に変位させ,その後,上昇位置に変位させる動作と,顔可動体440を退避位置から駆動位置に変位させ,その後,退避位置に変位させる動作と,を交互に行うテスト動作を実行する。このテスト動作では,ボール可動体320を第1下降位置に変位させた後,指部材360の係止を解除して指部材360を落下させる。テスト動作は少なくとも1回行えばよく,複数回にわたって行ってもよい。S4013にてテスト動作を開始した後,演出制御用マイコン91は,テストフラグをオンにする(S4014)。テストフラグは,テスト動作の実行中か否かを示すフラグであり,テスト動作の実行中はオンになる。テストフラグの初期値はオフである。
すなわち,パチンコ遊技機1は,演出のシナリオと関係のないタイミングで,現在の表示状態が演出表示装置7の後方を見せる状態か見せない状態かに拘らず,演出表示装置7を強制的に透過表示させる透過コマンドを有している。そして,その透過コマンドを,電源オン時のテスト動作時に,顔可動体440やミット装飾体431を視認可能にするために出力する。
S4014の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,演出図柄乱数,変動演出パターン乱数,予告演出乱数,予告演出種類乱数,の各種の乱数の値を更新する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,そのコマンドに従って演出表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させ,スピーカ67に各種の音声を出力させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出や,客待ち演出等を実行する。
なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,演出制御用マイコン91は,ランプ中継基板107を介して枠ランプ66,役物用ライト791,ボール可動体LED328等の演出用の光源を点灯させたり,ボール回転用モータ324,ボール直動用モータ380等の演出用の駆動源を駆動させたりする。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。
S4007の後,演出制御用マイコン91は,テストフラグがオンか否かを判断する(S4021)。テストフラグがオンの場合(S4021:YES),演出制御用マイコン91は,テスト動作の結果に応じた処理を行う(S4022)。S4022の詳細については後述する。
S4022以降,あるいはテストフラグがオフの場合(S4021:NO),演出制御用マイコン91は,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,サブ側2msタイマ割り込み処理(S4009),サブ側10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,そのコマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[テスト処理]
次に,図52のS4022のテスト処理について,図53のフローチャートを参照しつつ説明する。テスト処理では,演出制御用マイコン91は先ず,テスト動作が終了したか否かを判断する(S4041)。テスト動作が終了した場合(S4041:YES),演出制御用マイコン91は,テストフラグをオフにする(S4042)。さらに,演出制御用マイコン91は,固定演出部材LED432,顔可動体LED441,ボール可動体LED328等,各種の演出用の光源を消灯状態とする(S4043)。
S4043の後,演出制御用マイコン91は,演出表示装置7を不透過表示させる不透過コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4044)。セットされた不透過コマンドは,S4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに応じて演出表示装置7の各構成要素について,透過性フィルム770を不透過状態とし,バックライト792を点灯状態とし,液晶パネル760にデモンストレーション画像を表示させ,役物用ライト791を消灯状態とする。
一方,テスト動作が終了していない場合(S4041:NO),演出制御用マイコン91は,テスト動作中に,エラーが検知されたか否かを判断する(S4051)。エラーが検知されていた場合(S4051:YES),演出制御用マイコン91は,エラー内容に応じたメッセージを演出表示装置7に表示させるエラー報知コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4052)。セットされた変動演出終了コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。
エラー報知コマンドを受信した画像制御基板100は,図54に示すように,演出表示装置7の液晶パネル760に,エラーメッセージ7P20cおよび警告マーク7P20mを含む画像7P20を表示させる。エラーメッセージ7P20cおよび警告マーク7P20mは,表示画面7aの略中央に表示されるように配置し,透過画像等の他の画像よりも優先的に上位に表示する。テスト動作中に表示されるメッセージとしては,例えば,可動体や光源の動作不良,RAMの初期化報知,磁気検出,遊技機枠50の開放,振動検出,が該当する。
また,テスト動作中,演出表示装置7の液晶パネル760は,透過コマンドに基づいて表示画面7a全体を透過色とする透過画像を表示しており,その透過画像にエラーメッセージ7P20cおよび警告マーク7P20m等の報知情報を重ねて表示する。このとき,透過画像を表示していることから,バックライト792の後方が視認可能になっている。そのため,報知情報と,バックライト792の後方にあるミット装飾体431や顔可動体440とが,前方のメンテナンススタッフ等から見て重なり,ミット装飾体431等の視認性を低下させる。
そこで,画像制御基板100は,図55に示すように,エラーメッセージ7P20cを構成する文字7mを,黒色等の不透過色で縁取りした透過色で表示する。文字7mの一部を不透過色とすることで,文字7mの全部を透過色とした場合と比較して文字7mが目立ち,エラーメッセージ7P20cが出力されていることをメンテナンススタッフ等が気付き易くなる。一方で,文字7mの一部を透過色とすることで,文字7mの全部を不透過色とした場合と比較してバックライト792の後方を遮蔽する面積が減り,メンテナンススタッフ等が演出表示装置7の後方を見易くなる。警告マーク7P20mについても同様に,不透過色で縁取りした透過色で表示する。
なお,テスト動作では,液晶パネル760にてテスト画像(例えば,カラーパターン画像)を表示する動作等,透過画像以外の画像を表示してもよい。この場合,エラーメッセージ7P20cや警告マーク7P20mは,それらの画像と重ねて表示し,さらにそれらの画像よりも優先度を高く表示する。すなわち,エラーメッセージ7P20cや警告マーク7P20mは,優先度が高い情報であり,画面の最も手前に表示される。
また,エラーメッセージの文字7mの表示態様は,透過色の文字を不透過色で縁取りした態様に限るものではない。すなわち,文字7mの一部を透過色で表示すればよく,例えば,文字7mの上半分を不透過色で表示し,下半分を透過色で表示する態様や,文字7mを不透過色のドットパターンで表示する態様であってもよい。
エラーが検知されていない場合(S4051:NO),演出制御用マイコン91は,その他の処理を実行する(S4061)。S4061としては,例えば,エラーメッセージの出力終了条件を満たしている場合に,メッセージの表示を消去する処理が該当する。S4061後,S4052の後,あるいはS4044の後,テスト処理を終了する。
[サブ側2msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側2msタイマ割り込み処理について,図56のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン検出スイッチ63x,演出レバー押込検出スイッチ68x,および演出レバー回転検出スイッチ68yからの出力信号に基づいて,演出ボタン63および演出レバー68への操作の有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。なお,パチンコ遊技機1にこれら以外の入力部材が設けられている場合,その入力部材の入力の有無の情報もスイッチデータに含める。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述するサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,枠ランプ66,役物用ライト791等,各種の光源を,点灯ないし消灯させるための各光源の制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じくサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成される可動体駆動データに従って,ボール可動体320ないし顔可動体440を変位させるための各モータの制御を行う(S4203)。
S4203の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4299)。S4299の後,サブ側2msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側10msタイマ割り込み処理について,図57のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析するサブ側受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。S4301の詳細については後述する。S4301の後,演出制御用マイコン91は,特図保留の数の変化に応じて,演出保留画像に関する演出を行う(S4302)。
S4302の後,演出制御用マイコン91は,サブ側2msタイマ割り込み処理のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4303)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,各種の入力部材への操作に応じたスイッチ制御を行う(S4304)。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,枠ランプ66,役物用ライト791等,各種の光源の点灯制御を行うためのランプデータをそれぞれ作成する(S4305)。さらに,演出制御用マイコン91は,ボール可動体320ないし顔可動体440を変位させるモータの駆動制御を行うための可動体駆動データをそれぞれ作成する(S4306)。
S4306の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),サブ側10msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側受信コマンド解析処理]
図58は,図57のS4301のサブ側受信コマンド解析処理の手順を示している。サブ側受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドもしくは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判断する(S4401)。第1始動入賞コマンドは,第1始動口20への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。第2始動入賞コマンドは,第2始動口21への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。
主制御基板80から始動入賞コマンドを受信した場合(S4401:YES),演出制御用マイコン91は,受信した始動入賞コマンドをRAM94に記憶する(S4402)。具体的にS4402では,受信した始動入賞コマンドが,第1始動口20への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば,第1特図保留記憶部95aに記憶し,第2始動口21への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば,第2特図保留記憶部95bに記憶する。なお,始動入賞コマンドは,各特図保留記憶部において設けられている4つの記憶領域のうち,始動入賞コマンドが記憶されていない記憶領域に記憶される。
S4402の後,演出制御用マイコン91は,S4402にて始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を加算する(S4403)。保留カウンタは,第1特図保留記憶部95aに対応する第1特図保留カウンタと第2特図保留記憶部95bに対応する第2特図保留カウンタとの2種類有り,始動入賞コマンドが記憶が受信される度に,始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタが1つ加算される。つまり,保留カウンタは,特図保留記憶部ごとに,記憶される始動入賞コマンドの数をカウントするカウンタである。
S4403の後,演出制御用マイコン91は,先読み演出を実行する(S4404)。先読み演出とは,特図保留記憶部に保留中の大当たり乱数の中に,大当たりに当選する予定の大当たり乱数が有るか否かを判定し,その判定結果を出力する演出である。例えば,パチンコ遊技機1は,大当たり乱数を取得した際,その大当たり乱数に基づく情報をRAM84に加えてRAM94にも記憶する。そして,演出図柄変動演出中に先読みを行う際,演出制御用マイコン91は,RAM94に記憶されている大当たり乱数の情報に大当たりに当選する予定の大当たり乱数が有るか否かを判定する。先読み演出では,パチンコ遊技機1は,その判定結果に応じて,例えば,演出保留画像を変化させたり,特別な効果音を出力する。また,連続予告の実行を決定してもよい。連続予告は,大当たりの抽選結果を予告する演出の1つであり,複数の演出図柄変動演出にわたって連続して1つの大当たり乱数についての大当たりの抽選結果を予告する演出である。なお,演出制御用マイコン91は,先読みの判定結果を表示する各種の演出の実行有無を乱数によって決定する。
S4404の後,あるいは主制御基板80から始動入賞コマンドを受信していない場合(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4411)。変動開始コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を開始するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動開始コマンドを受信した場合(S4411:YES),演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドの記憶領域をシフトする(S4412)。具体的にS4412では,演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い始動入賞コマンドを記憶していた特図保留記憶部に記憶される各始動入賞コマンドを,現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。
4412の後,演出制御用マイコン91は,S4412にてシフトされた始動入賞コマンドを記憶する特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を減算する(S4413)。S4413の後,演出制御用マイコン91は,RAM94に記憶する始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い1つの始動入賞コマンドを用いて,演出図柄変動演出等の演出を開始させる変動演出開始処理を実行する(S4414)。S4414の詳細については後述する。
S4414の後,あるいは主制御基板80から変動開始コマンドを受信していない場合(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,変動停止コマンドを受信したか否かを判断する(S4421)。変動停止コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を終了するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動停止コマンドを受信した場合(S4421:YES),演出制御用マイコン91は,変動演出終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4422)。セットされた変動演出終了コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。
S4422の後,あるいは主制御基板80から変動停止コマンドを受信していない場合(S4421:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,客待ち待機コマンドやV通過コマンドがある。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になった場合に,主制御基板80から出力される。客待ち待機コマンドを受信した場合,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する。V通過コマンドは,例えば,遊技球が特定領域39を通過した場合に,主制御基板80から出力される。V通過コマンドを受信した場合,演出制御用マイコン91は,その旨を演出表示装置7に通知させる。この他,前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,各種の異常報知コマンド,余剰球受皿62の満杯報知コマンドが該当する。S4499の後は,受信コマンド解析処理を終了する。
[変動演出開始処理]
次に,図58のS4414の変動演出開始処理について,図59のフローチャートを参照しつつ説明する。
変動演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,変動開始コマンドの内容を解析し,変動演出パターンの選択を行う(S4701)。変動開始コマンドには,図48のS1012あるいはS1022にて決定された変動パターンの情報が含まれる。つまり,始動入賞コマンドと同様に,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,疑似連演出を行うか否か,さらにはSPリーチを行うか否か,SPリーチの種類,の各情報が含まれる。選択された変動演出パターンは,変動演出記憶部96に記憶される。
具体的にS4701では,演出制御用マイコン91は,変動演出パターン乱数を取得し,変動パターンの種類に応じて分類される複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した変動演出パターン乱数を判定することにより,変動演出パターンを選択する。これにより,演出表示装置7によって表示される画像の種類やその表示タイミング,枠ランプ66,役物用ライト791等の各種の演出用の光源の点灯の有無やその点灯タイミング,ボール可動体320や顔可動体440の変位の有無やその変位タイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば,変動演出の時間,演出図柄の変動表示態様,リーチ演出の有無,リーチ演出の内容,演出中のボタン操作の有無,演出の展開構成,背景の種類等,変動演出の詳細,すなわち演出図柄変動演出を含む変動中の演出のシナリオが決まることになる。
例えば,変動開始コマンドに第1SPリーチの情報が含まれていた場合,演出制御用マイコン91は,第1SPリーチシナリオに基づいて,演出表示装置7によって表示される画像の種類やその表示タイミング,バックライト792や役物用ライト791等の光源の点灯タイミング,ボール可動体320や顔可動体440等の可動物の駆動タイミング,を決定する。変動開始コマンドに第2SPリーチの情報が含まれていた場合,演出制御用マイコン91は,第2SPリーチシナリオに基づいて,これらを決定する。変動開始コマンドに第3SPリーチや第4SPリーチの情報が含まれていた場合も,同様に各SPリーチの種類に応じたシナリオに基づいて,これらを決定する。
S4701の後,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する演出図柄を選択する(S4711)。S4711の後,演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドの内容を解析し,大当たりの抽選結果に対する予告演出の選択を行う(S4731)。具体的にS4731では,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中の予告演出の実行有無を判定し,予告演出を実行する場合には,予告演出乱数や予告演出種類乱数を取得し,これらの乱数を判定することにより,予告演出を選択する。これにより,いわゆるステップアップ予告演出の内容が決定される。選択された予告演出の情報は,変動演出記憶部96に記憶される。
S4731の後,演出制御用マイコン91は,選択された数字図柄,変動演出パターン,および予告演出,を含む変動演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4741)。セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,演出表示装置7にその画像を表示させる。これにより,演出図柄変動演出が開始される。
S4741の後,演出制御用マイコン91は,テストフラグがオンか否かを判断する(S4751)。テストフラグがオンの場合(S4751:YES),すなわち顔可動体440等のテスト動作中の場合,演出制御用マイコン91は,テスト動作を終了する(S4752)。そして,テストフラグをオフにする(S4753)。さらに,演出制御用マイコン91は,固定演出部材LED432,顔可動体LED441,ボール可動体LED328等,各種の演出用の光源を消灯状態とする(S4754)。
そして,演出制御用マイコン91は,演出表示装置7を不透過表示させる不透過コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4755)。セットされた不透過コマンドは,S4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに応じて透過性フィルム770を不透過状態とし,バックライト792を点灯状態として,液晶パネル760にデモンストレーション画像を表示させる。なお,液晶パネル760に表示する画像は不透過色の画像であればよく,遊技中に表示される演出画像であってもよい。S4755の後,あるいはテストフラグがオフの場合(S4751:NO),変動演出開始処理を終了する。
すなわち,パチンコ遊技機1は,演出のシナリオと関係のないタイミングで,現在の表示状態が演出表示装置7の後方を見せる状態か見せない状態かに拘らず,演出表示装置7を強制的に不透過表示させる不透過コマンドを有している。そして,その不透過コマンドを,テスト動作における演出表示装置7の透過表示時に演出図柄変動演出が開始された場合(つまり遊技者が遊技を開始したと推測される場合)に,液晶パネル760による演出画像を視認可能にし,演出表示装置7の後方を視認困難にするために出力する。
なお,パチンコ遊技機1は,不透過コマンドに応じて,バックライト792を点灯状態に加えて,透過性フィルム770を不透過状態としているが,透過性フィルム770の状態は変更しなくてもよい。ただし,透過性フィルム770を不透過状態とする方がより不透過度合が高まるため,透過性フィルム770を不透過状態とする方がより好ましい。
10.実施の形態の効果
実施の形態におけるパチンコ遊技機1は,透過性フィルム770を不透過状態(視認困難状態)とした場合,透過性フィルム770によってバックライト792からの光が拡散されて液晶パネル760に表示される画像が見易くなるが,透過性フィルム770を透過状態(視認可能状態)とした場合,バックライト792からの光の拡散が抑えられて画像が見難くなる。そこで,パチンコ遊技機1は,図36(L)の演出画像7P14のように,透過性フィルム770を透過状態として液晶パネル760に画像を表示させる場合に,図31(B)の演出画像7P2のように,透過性フィルム770を不透過状態とした場合と比較して,特定の色あるいは全ての色について,色の明度を低くする(濃度を濃くする)。これにより,液晶パネル760に表示される画像を目立たせることができ,その画像の見易さが改善される。
11.実施の形態の変形例
続いて,実施の形態のパチンコ遊技機1の変形例について説明する。変形例では,第1SPリーチシナリオの図36(J)において,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とに交互に切り換える際の,透過性フィルム770の制御が異なる。すなわち,実施の形態では,図36(J)において,透過性フィルム770を透過状態としたまま,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とに交互に切り換えているが,変形例では,顔可動体440を見せる状態と見せない状態とで,透過性フィルム770の状態を変化させる。
変形例では,図60(J’)に示すように,パチンコ遊技機1は,演出画像7P10と演出画像7P11とを,2フレームごとに液晶パネル760に交互に表示させる。そして,少なくとも演出画像7P10が表示されている間は,透過性フィルム770が透過状態となり,演出画像7P11が表示されている間は,できる限り透過性フィルム770が不透過状態となるように,透過性フィルム770の状態を制御する。
具体的に,図60(J’)に示したように,透過性フィルム770に対して透過状態になる旨の信号を出力してから,透過性フィルム770の見え方が実際に透過状態になるまで,約1フレーム分の時間がかかる。このような状態変化の遅延(タイムラグ)は,バックライト792や液晶パネル760では,透過性フィルム770と比較して極めて小さい。そこで,変形例では,透過性フィルム770に対して透過状態になる旨の信号を出力するタイミングを,バックライト792に対して消灯状態になる旨の信号を出力するタイミングや,液晶パネル760に対して演出画像7P10を表示させる信号を出力するタイミングよりも,1フレーム分だけ早める。これにより,顔可動体440を見せる期間には,透過性フィルム770も透過状態になり得る。
一方,液晶パネル760に表示される演出画像7P11を見せる期間では,少なくともバックライト792が点灯状態になれば,透過性フィルム770が透過状態であっても,顔可動体440を視認困難な状態にできる。また,透過性フィルム770の見え方が実際に透過状態から不透過状態になるまでの時間は,不透過状態から透過状態になるまでの時間と比較して短い。そのため,本変形例では,透過性フィルム770に対して不透過状態になる旨の信号を出力するタイミングを,バックライト792に対して消灯状態になる旨の信号を出力するタイミングや,液晶パネル760に対して演出画像7P10を表示させる信号を出力するタイミングと同じにする。勿論,透過性フィルム770に対して不透過状態になる旨の信号を出力するタイミングについても,透過性フィルム770に対して透過状態になる旨の信号を出力するタイミングと同様に,透過性フィルム770の状態が変化する時間を考慮して,バックライト792に対して消灯状態になる旨の信号を出力するタイミングや,液晶パネル760に対して演出画像7P11を表示させる信号を出力するタイミングよりも,所定時間だけ早めてもよい。
変形例のように,液晶パネル760に表示される演出画像7P11を見せる期間では,透過性フィルム770を不透過状態とする方が,遊技者にとって演出画像7P11を見易い。一方,実施の形態のように,透過性フィルム770を透過状態のままとする方が,状態変化のタイミングが高精度であり,さらに制御がシンプルである。
なお,透過性フィルム770に対して透過状態になる旨の信号を出力するタイミングを,バックライト792に対して消灯状態になる旨の信号を出力するタイミング等よりも早くする調整時間は,1フレーム分に限るものではない。すなわち,透過性フィルム770に対して透過状態になる旨の信号を出力してから,透過性フィルム770の見え方が実際に透過状態になるまでの時間に応じて適宜設定すればよい。但し,少しでも早い方が,顔可動体440を見せる期間に透過性フィルム770が透過状態になっている可能性が高まる。好ましくは,調整時間は,透過性フィルム770が不透過状態から透過状態に移行するまでに必要な時間の80%から110%の範囲内とする。
また,変形例の制御は,演出表示装置7の後方を見せる状態と見せない状態とを交互に切り換える演出に適用可能であり,第1SPリーチシナリオの(J)の制御に限らず,例えば,(C)の制御に適用してもよい。
12.実施の形態のその他の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(抽選回数,各種テーブルの設定値,各種の保留数の上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。
また,実施の形態では,いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが,当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また,いわゆる1種2種混合機や,ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は,遊技機のゲーム性を問わず,種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また,実施の形態では,ミット装飾体431や顔可動体440の視認性を高める部材として,ミット装飾体431等を斜め前方から照明する役物用ライト791を配置しているが,この他,例えば,ミット装飾体431自体を光らせる光源を備えてもよい。
また,実施の形態では,バックライト792の後方に位置する役物として,1つの可動体(顔可動体440)と,1つの固定演出部材430(ミット装飾体431)とを配置しているが,可動体も固定演出部材もそれぞれ複数あってもよい。その場合,遊技者に見せる対象に合わせて透過画像を表示し,遊技者に見せる対象でない領域を不透過画像にすることで,遊技者に対して限定的に役物を見せることができ,効果的な演出になり得る。
また,実施の形態では,透過性フィルム770を導光板750と液晶パネル760との間にのみ配置しているが,導光板750の後方にも配置してもよい。透過性フィルム770を導光板750の後方にも配置し,液晶パネル760の画像を遊技者に見せている期間中に不透過状態とすることで,導光板750から後方に漏れた光の一部が液晶パネル760側に向かうことになり,光の損失を少なくして液晶パネル760をより明るく照らすことができる。なお,この場合,透過性フィルム770を透過状態とするタイミングで,導光板750の後方にも配置された透過性フィルムも透過状態にする。これにより,所望のタイミングでバックライト792の後方が視認可能になる。
また,実施の形態では,電源オン時に顔可動体440等のテスト動作を行っているが,テスト動作は,その他のタイミングで実行してもよい。例えば,メンテナンススタッフによるテスト動作の実行指示が,任意のタイミングでパチンコ遊技機1に入力されたことに応じてテスト動作の実行を開始してもよい。この場合,演出制御用マイコン91は,テスト動作の実行指示が入力されたことに応じて,透過コマンドを出力する。また,メンテナンススタッフによるテスト動作の終了指示が,任意のタイミングでパチンコ遊技機1に入力されたことに応じてテスト動作を終了してもよい。この場合,演出制御用マイコン91は,テスト動作の終了指示が入力されたことに応じて,不透過コマンドを出力する。
また,実施の形態では,変動開始コマンドを受信した場合に,不透過コマンドを出力しているが,不透過コマンドを出力する条件としては,これに限るものではない。例えば,始動入賞コマンドを受信した場合でもよいし,遊技球がゲート28を通過した際に出力されるコマンドを受信した場合でもよいし,システム設定の操作を受け付けた場合であってもよい。
また,実施の形態では,図31(C)に示した演出画像7P3や,図35(I)に示した演出画像7P9のように,顔可動体440を見せる領域を含む画像では,その領域を透過画像とし,それ以外の領域を不透過画像としているが,顔可動体440を見せる領域以外の全てを不透過画像とする必要はない。すなわち,少なくとも顔可動体440を見せる領域を囲う領域を不透過画像とすればよく,例えば,表示画面7aの縁辺周辺を透過画像としてもよい。
また,実施の形態では,図33に示したように,透過画像7P3Tと不透過画像7P3Nとを表示する演出画像7P3では,両者の境界7P3Eを動かして,境界7P3Eの形状を変化させているが,境界7P3Eを動かさなくてもよい。例えば,図61に示すように,色の濃度が徐々に変化するグラデーション表示を行って,境界そのものをぼかしてもよい。
また,実施の形態では,第1SPリーチシナリオ中,図34(F)での演出画像7P6の表示と図35(G)での演出画像7P7の表示とを1回のみ行っているが,図36(J)のように交互に繰り返してもよい。すなわち,ミット装飾体431を遊技者に見せる際にも同様に,実体と画像とを交互に繰り返し見せてもよい。これにより,遊技者に対して,実体であるミット装飾体431と,ミット装飾体431の画像とを同時に認識させることができる。なお,この場合,図31(F)のような実体を見せる前にその実態の画像を見せる期間を,実体と画像とを交互に見せる期間のうちの画像を見せる期間よりも長くするとよい。これにより,遊技者が実体の画像を認識し易い。
また,実施の形態では,図34(F)において,透過性フィルム770を透過状態としているが,ミット装飾体431を投影した画像を含む演出画像7P6を目立たせるために,不透過状態のままであってもよい。
また,実施の形態では,図34(F)や図36(J)において,ミット装飾体431等の実体を投影した画像を表示しているが,必ずしも実体と同じに見える画像でなくてもよい。すなわち,実体とモチーフが同じ画像であればよく,色やサイズが多少異なっていてもよい。また,実体が人物等のキャラクタであれば,そのキャラクタの表情が多少異なっていてもよい。なお,実体を投影した画像とすることで,画像から実体になるという新たな演出が可能になる。
また,実施の形態では,図36(J)や(K)において,演出画像を切り換えるタイミングを,所定フレーム数ごととしている,すなわち各演出画像の表示時間を均等としているが,いずれか一方の表示時間を長くしてもよい。例えば,液晶パネル760の画像を見せる期間を長くすることで,透過色の影響(白っぽい印象の付与)を弱め得る。一方で,例えば,顔可動体440を見せる期間を長くすることで,顔可動体440の印象を遊技者に対して強くし得る。
また,実施の形態では,図36(K)において,全ての色について,演出画像7P13を表示する期間の方が,演出画像7P12を表示する期間よりも,薄くしている(色の明度を高くしている)が,全ての色について薄くする必要はなく,例えば,遊技者から見て顔可動体440と重なる位置に表示される色については,顔可動体440を目立たせるために濃度を薄くし,重なる位置に表示されない色については薄くしない構成であってもよい。あるいは,演出表示装置7の表示領域7a顔可動体440を見せる領域についてのみ,色の濃度を薄くしてもよい。
また,実施の形態では,図36(K)において,演出画像7P13を表示する期間の方が,演出画像7P12を表示する期間よりも,色を薄くして(明度を高くして)後方の顔可動体440を目立たせているが,反対に色を濃くして(明度を低くして)もよい。例えば,顔可動体440を見せている間にエフェクト画像を表示する場合には,そのエフェクト画像も目立つ方が好ましい。そのため,少なくともエフェクト画像に利用する色については色を濃くするとよい。また,顔可動体440を見せる領域,すなわち遊技者から見て顔可動体440と重なる位置に表示される色の濃度を濃くし,重なる位置に表示されない色については濃くしない(もしくは薄くする)構成であってもよい。この構成によれば,顔可動体440と重なる画像を目立たせることになり,構造物と組み合わされる画像が鮮明になり,演出の興趣性が高まり得る。
また,実施の形態では,第1SPリーチシナリオ中,透過性フィルム770を透過状態とする必要がある演出の合間に行われる演出について,図36(L)のように透過性フィルム770を透過状態のままとしているが,このような透過性フィルム770を透過状態のまま演出画像を表示する態様は,SPリーチ中のような1つの演出図柄変動演出中に限るものではない。例えば,ある演出図柄変動演出について,先行する演出図柄変動演出の終了時と後続する演出図柄変動演出の開始時とでともに透過性フィルム770を透過状態とする必要がある場合に,その演出図柄変動演出について透過性フィルム770を透過状態のままとしてもよい。この場合,液晶パネル760に表示される演出画像について,透過性フィルム770を不透過状態にする場合と比較して,色の明度を低くするとよい。色の明度を低くして画像を目立たせる。
また,実施の形態では,SPリーチ中に行われる演出に本発明を適用しているが,SPリーチに限るものではない。例えば,通常のリーチ中に行われる演出や,リーチ状態でない場合の演出に本発明を適用してもよい。また,大当たり遊技中に実行される演出に本発明を適用してもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1に本発明を適用しているが,液晶パネルにより画像を表示する演出表示装置を備え,1ゲームの結果を演出表示装置に表示するパチスロ遊技機(スロットマシン)に本発明を適用してもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板80の遊技制御用マイコン81のCPU82,サブ制御基板90の演出制御用マイコン91のCPU92,および画像制御用マイコン101のCPU102によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101の少なくとも1つにおいて複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101の処理の一部を,他のマイコンが実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101,これらを包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて濃度切換手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
13.本明細書に開示される発明
本明細書には,以下に示す第1から第17の構成の発明が開示されている。以下に記す構成の説明では,上記した実施の形態における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し,各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
先ず,第1の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする第1の画像(演出画像7P3)と,前記第1の画像よりも前記画像表示部材の後方を視認困難にする第2の画像(演出画像7P3B)と,を交互に切り換えて表示させる画像切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(C),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,透過性フィルムの視認可能状態と視認困難状態とを交互に繰り返し,役物を点滅表示させる演出が考えられる。しかしながら,透過性フィルムの視認困難状態から視認可能状態への切り換えには時間がかかることがある。この切換時間の誤差によって,役物が見難くなることがある。
そこで,第1の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,画像表示部材の画像表示領域に,画像表示部材の後方を視認可能にする第1の画像と,画像表示部材の後方を視認困難にする第2の画像と,を交互に切り換えて,照明部材および透過部材よりも後方に位置する構造物の点滅表示を行う。画像表示部材による画像の切り換えは,透過部材の状態の切り換えよりも速く,構造物が見える状態への切り換えに遅延が生じ難い。そのため,構造物が見える状態と見えない状態とを高精度に制御でき,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記画像切換手段は,所定のフレーム数ごとに,前記第1の画像と前記第2の画像とを交互に切り換えるとよい。定期的に画像を切り換えることで,画像表示部材の画像の切り換え制御が容易になる。
また,第1の構成にかかる遊技機において,前記画像切換手段は,1秒以下の周期で,前記第1の画像と前記第2の画像とを交互に切り換えるとよい。遊技者が点滅と認識し得る程度の高速な周期で切り換えることで,効果的な点滅表示になり得る。
また,第1の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記構造物照明部材は,前記画像表示部材が前記第1の画像を表示している期間中,前記構造物を照明するとよい。構造物照明部材は,構造物を外側から照明する部材であってもよいし,構造物自身が照明となる部材であってもよい。構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第2の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記透過部材を視認可能状態とした状態で,特定色を前記画像表示部材の画像表示領域に表示させる場合,前記透過部材を視認困難状態とした状態と比較して,色の明度を低くする濃度切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(B)および(L),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,透過性フィルムの後方を視認させることはできるが,その状態で液晶パネルの画像を重ねて表示する場合,その画像の色味が透過性フィルムが視認困難状態のときと比較して薄くなる。そのため,液晶パネルに表示される画像が見難い。
そこで,第2の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態とした状態で,特定色を画像表示部材の画像表示領域に表示させる場合,透過部材を視認困難状態とした状態と比較して,色の明度を低くする(濃度を濃くする)。これにより,画像表示部材の画像を目立たせることができ,その画像の見易さが改善される。
また,第2の構成にかかる遊技機は,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)を備え,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記構造物が視認可能になるとよい。画像表示部材に表示される画像が構造物と重なると,より画像が見難くなり得ることから,第2の構成が好適に作用する。
また,第2の構成にかかる遊技機において,前記特定色は,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に表示される画像に含まれる色であるとよい。構造物を見せる領域に表示される画像に含まれる色の濃度を濃くすることで,構造物と組み合わされる画像が鮮明になり,演出の興趣性が高まる。
また,第2の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記構造物照明部材は,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態の期間中,前記構造物を照明するとよい。構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
また,第2の構成にかかる遊技機の応用形態として,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記透過部材を視認困難状態とした場合,特定の画像を,第1の色で前記画像表示部材の画像表示領域に表示させ,前記透過部材を視認可能状態とした場合,前記特定の画像を,前記第1の色よりも色の明度が低い第2の色で前記画像表示部材の画像表示領域に表示させる画像明度切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(B)および(L),S4701,S4741)と,を備えることを特徴とする遊技機(パチンコ遊技機1)も開示されている。
すなわち,第2の構成にかかる遊技機の応用形態では,特定の画像を,透過部材を視認困難状態とした状態では,第1の色で表示し,透過部材を視認可能状態とした状態では,第1の色よりも明度が低い第2の色で表示する。これにより,透過部材を視認可能状態とした場合であっても,画像表示部材に表示される画像を目立たせることができ,その画像の見易さが改善される。
また,第2の構成にかかる遊技機の応用形態は,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)を備え,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記構造物が視認可能になるとよい。画像表示部材に表示される画像が構造物と重なると,より画像が見難くなり得ることから,第2の構成が好適に作用する。
また,第2の構成にかかる遊技機の応用形態は,前記透過部材を視認可能状態とした場合,前記特定の画像のうち前記構造物を見せる領域に表示される部分を,前記第1の色よりも色の明度が低い第2の色で前記画像表示部材の画像表示領域に表示させるとよい。構造物を見せる領域に表示される画像に含まれる色の濃度を濃くすることで,構造物と組み合わされる画像が鮮明になり,演出の興趣性が高まる。
また,第2の構成にかかる遊技機の応用形態は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記構造物照明部材は,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態の期間中,前記構造物を照明するとよい。構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第3の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間中に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,演出画像(演出画像7P11)を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える制御切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(J),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。一方で,液晶パネルは様々な画像を表示する演出が可能であるが,透過性フィルムを視認可能状態にして役物を見せている間,透過色の画像である透過画像を表示しているのみであり,能力を十分に発揮できていない。
そこで,第3の構成にかかる遊技機では,透過部材が視認可能状態の期間中,演出画像と構造物とを交互に見せることで,遊技者の視覚には両方が認識される。これにより,画像と構造物とが組み合わされたような新たな演出が可能になり,画像表示部材の画像と構造物とを効果的に見せる演出となり得る。
また,第3の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第4の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,演出画像(演出画像7P11)を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える点滅表示期間と,一定期間,前記構造物表示制御を継続する照明消灯期間と,を繰り返す制御切換手段(画像制御基板100,第2SPリーチシナリオの(J)および(K’),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,液晶パネルの画像と役物とを交互に見せることで,両者を疑似的に同時に見せる演出が考えられる。しかしながら,液晶パネルを介して役物を見せる際,液晶パネルには透過色である白色の画像を表示することになるが,この白色の画像の間欠表示を行うと,白色の残像が生じ易く,遊技者が構造物を認識し難い。
そこで,第4の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態として演出画像と構造物とを交互に表示する際,途中に,照明部材の消灯状態を一定期間,継続する期間を設ける。これにより,構造物を見せる期間が確保され,その結果として,白色の残像が解消され易く,遊技者の視覚に両方が認識され易い。従って,画像表示部材の画像と構造物とを効果的に見せる演出となり得る。
また,第4の構成にかかる遊技機のうち前記一定期間は,前記点滅表示期間にて前記画像表示制御と前記構造物表示制御とを行う1周期分の時間以上であるとよい。少なくとも1周期分の時間,透過色の画像を表示しない期間を確保することで,透過色の残像を解消し,構造物を認識する期間を確保し易い。
また,第4の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第5の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,第1の演出画像(演出画像7P12)を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記第1の演出画像と比較して色の明度が高い第2の演出画像(演出画像7P13)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える制御切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(K),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。一方で,液晶パネルは様々な画像を表示する演出が可能であるが,透過性フィルムを視認可能状態にして役物を見せている間,透過色の画像である透過画像(例えば,白色のベタ画像)を表示しているのみであり,能力を十分に発揮できていない。そのため,透過性フィルムの後方に配置された役物を見せる演出には改善の余地がある。
そこで,第5の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態として演出画像と構造物とを交互に表示することで,遊技者の視覚には両方が認識され,演出画像と構造物とが組み合わされたような新たな演出が可能になる。また,透過部材を視認可能状態かつ照明部材を消灯状態とした場合,すなわち画像表示部材の後方を視認させている場合に,演出画像の色の明度を高くする。これにより,構造物が見易くなり,構造物を認識させつつ演出画像を見せることができ,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第5の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第6の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,演出画像(演出画像7P11(特にエフェクト画像))を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える制御切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(J),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。一方で,液晶パネルは様々な画像を表示する演出が可能であるが,透過性フィルムを視認可能状態にして役物を見せている間,透過色の画像である透過画像(例えば白色のベタ画像)を表示しているのみであり,能力を十分に発揮できていない。そのため,透過フィルムの後方に配置された役物を見せる演出には改善の余地がある。
そこで,第6の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態として,画像表示領域のうち構造物を見せる領域に演出画像を表示し,その演出画像と透過画像とを交互に見せる。これにより,遊技者の視覚には演出画像と構造物との両方が重なって同時に認識され,構造物に複雑な印象を付与する効果的な演出になり得る。
また,第6の構成にかかる遊技機は,前記構造物を斜め前方から照明する構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第7の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記構造物を示唆する構造物示唆画像(演出画像7P11(特に主人公キャラクタの画像))を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える制御切換手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(J),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,透過性フィルムの視認可能状態と視認困難状態とを交互に繰り返し,役物を点滅表示させる演出が考えられる。しかしながら,液晶パネルを介して役物を見せる際,液晶パネルには透過色である白色の画像を表示することになるが,この白色の画像の表示を繰り返すと,白色の印象が残り易い。
そこで,第7の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態として,画像表示部材の画像表示領域のうち構造物を見せる領域に構造物示唆画像を表示し,その構造物示唆画像と構造物とを交互に表示する。これにより,構造物を見せる際に,構造物の色味が補填される。その結果として,白色の印象の低減が期待でき,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第7の構成にかかる遊技機のうち前記構造物示唆画像は,前記構造物を投影した画像であるとよい。遊技者からの距離が,構造物示唆画像と構造物とで異なることから,疑似的に構造物が前後に移動しているような奥行きがある新たな映像を表現できる。また,前記構造物示唆画像は,前記構造物を投影した画像に,演出に用いる画像を合成した画像であってもよい。演出に用いる画像を合成することで,構造物の印象が異なる様々な演出が可能になる。また,前記構造物示唆画像は,前記構造物とモチーフが同じ画像であってもよい。すなわち,モチーフが同じであればよく,必ずしも構造物と同じに見える画像でなくてもよい。
また,第7の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第8の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記画像表示部材の画像表示領域のうち,前記構造物を見せる領域である第1の領域には,前記画像表示部材の後方を視認可能にする第1の画像(演出画像7P3(特に透過画像7P3T))を表示させ,前記第1の領域を囲う領域である第2の領域には,前記第1の画像よりも前記画像表示部材の後方を視認困難な状態にする第2の画像(演出画像7P3(特に不透過画像7P3N))を表示させる構造物表示手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(C),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,透過性フィルムの後方にある役物以外の領域も視認できてしまう。透過性フィルムの後方を広範囲に視認できてしまうと,待機中の役物やその役物を動作させるための機構等,遊技者に見せない方が好ましい物の配置の制約が大きい。
そこで,第8の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態かつ照明部材を消灯状態として構造物を見せる際,構造物を見せる領域を含む第1の領域に第1の画像を表示し,構造物を見せる領域ではない第2の領域に第2の画像を表示する。これにより,構造物を見せる際であっても遊技者から隠される領域が増え,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第8の構成にかかる遊技機のうち前記構造物表示手段は,前記画像表示部材の表示領域のうち,前記第1の画像が表示される位置を,表示対象の構造物の位置に応じて変化させるとよい。遊技者から隠す領域を変化させることで,演出の自由度が高まる。
また,第8の構成にかかる遊技機のうち前記構造物は,上下方向と左右方向との少なくとも一方の位置が変化する可動物であり,前記構造物表示手段は,前記画像表示部材の表示領域のうち,前記第1の画像が表示される位置を,前記構造物の変位に応じて変化させるとよい。可動体の動きに合わせて遊技者に見せる領域および見せない領域を変化させることで,構造物をより効果的に見せる演出となり得る。
また,第8の構成にかかる遊技機のうち前前記構造物には,前記構造物には,第1の構造物(顔可動体440)と,前記第1の構造物に対して位置とサイズとの少なくとも一方が異なる第2の構造物(ミット装飾体431)と,が含まれ,前記構造物表示手段は,前記画像表示部材の表示領域のうち,前記第1の構造物が表示対象であれば,前記第1の構造物を見せる領域に前記第1の画像を表示させ,前記第2の構造物が表示対象であれば,前記第2の構造物を見せる領域に前記第1の画像を表示させるとよい。表示対象の切り換えに合わせて遊技者に見せる領域および見せない領域を変化させることで,構造物をより効果的に見せる演出となり得る。
次に,第9の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記画像表示部材の画像表示領域のうち,前記構造物を見せる領域である第1の領域には,前記画像表示部材の後方を視認可能にする第1の画像(演出画像7P3(特に透過画像7P3T))を表示させ,前記第1の領域を囲う領域である第2の領域には,前記第1の画像よりも前記画像表示部材の後方を視認困難な状態にする第2の画像(演出画像7P3(特に不透過画像7P3N))を表示させ,前記第1の画像と前記第2の画像との境界をグラデーション表示する構造物表示手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(C),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,透過性フィルムの後方にある役物以外の領域も視認できてしまう。そのため,一部の領域を視認困難状態とし,視認可能範囲を制限することも考えられる。しかしながら,視認可能状態の領域と視認困難状態の領域との境界ができてしまい,遊技者に対して不自然な印象を与え得る。さらには,視認困難状態の領域に何かを隠しているような印象を与えかねない。
そこで,第9の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態かつ照明部材を消灯状態として,画像表示部材の画像表示領域のうち構造物を見せる領域である第1の領域に第1の画像を表示し,構造物を見せる領域ではない第2の領域に第2の画像を表示し,両画像の境界を色の濃度が徐々に変化するようにグラデーション表示する。これにより,不自然な印象が薄れ,遊技者に不要な印象を与える可能性を低減でき,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第9の構成にかかる遊技機のうち前記構造物表示手段は,前記画像表示部材の表示領域のうち,前記第1の画像が表示される位置を,表示対象の構造物の位置に応じて変化させるとよい。遊技者から隠す領域を変化させることで,演出の自由度が高まる。
次に,第10の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記画像表示部材の画像表示領域のうち,前記構造物を見せる領域である第1の領域には,前記画像表示部材の後方を視認可能にする第1の画像(演出画像7P3(特に透過画像7P3T))を表示させ,前記第1の領域を囲う領域である第2の領域には,前記第1の画像よりも前記画像表示部材の後方を視認困難な状態にする第2の画像(演出画像7P3(特に不透過画像7P3N))を表示させ,前記第1の画像と前記第2の画像との境界を可変表示する構造物表示手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(C),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,透過性フィルムの後方にある役物以外の領域も視認できてしまう。そのため,一部の領域を視認困難状態とし,視認可能範囲を制限することも考えられる。しかしながら,視認可能状態の領域と視認困難状態の領域との境界ができてしまい,遊技者に対して不自然な印象を与え得る。さらには,視認困難状態の領域に何かを隠しているような印象を与えかねない。
そこで,第10の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態かつ照明部材を消灯状態として,画像表示部材の画像表示領域のうち構造物を見せる領域である第1の領域に第1の画像を表示し,構造物を見せる領域ではない第2の領域に第2の画像を表示し,両画像の境界を可変表示する。これにより,第2の画像が演出画像の一部として表現され,遊技者に不要な印象を与える可能性を低減でき,構造物を効果的に見せる演出となり得る。
また,第10の構成にかかる遊技機のうち前記構造物表示手段は,前記画像表示部材の表示領域のうち,前記第1の画像が表示される位置を,表示対象の構造物の位置に応じて変化させるとよい。遊技者から隠す領域を変化させることで,演出の自由度が高まる。
次に,第11の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P7)を表示させる構造物表示手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(G),S4701,S4741)と,前記構造物表示手段にて前記透過画像を表示する前に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に,前記構造物を示唆する構造物示唆画像(演出画像7P6)を表示させる事前表示手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(F),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,透過性フィルムの視認可能状態と視認困難状態とを交互に繰り返し,役物を点滅表示させる演出が考えられる。しかしながら,役物の視認可能な期間が短くなると,役物が分かり難くなることがある。
そこで,第11の構成にかかる遊技機では,透過性フィルムの後方に位置する構造物を表示する前に構造物示唆画像を表示する。これにより,遊技者は構造物を認識した上で実際の構造物を見ることになり,遊技者にとって構造物が認識し易くなる。そのため,構造物を効果的に見せる演出になり得る。
また,第11の構成にかかる遊技機のうち前記構造物示唆画像は,前記構造物を投影した画像であるとよい。画像から実物になるという新たな演出が可能になる。また,前記構造物示唆画像は,前記構造物を投影した画像に,演出に用いる画像を合成した画像であってもよい。演出に用いる画像を合成することで,構造物の印象が異なる様々な演出が可能になる。また,前記構造物示唆画像は,前記構造物とモチーフが同じ画像であってもよい。すなわち,モチーフが同じであればよく,必ずしも構造物と同じに見える画像でなくてもよい。
また,第11の構成にかかる遊技機において,前記事前表示手段では,前記透過部材を視認可能状態とするとよい。透過部材を早期に視認可能状態としておくことで,構造物を表示する際の透過部材の状態の変化の遅延を抑制できる。
また,第11の構成にかかる遊技機は,前記構造物表示手段による前記透過画像の表示と,前記事前表示手段による前記構造物示唆画像の表示と,を交互に繰り返すとよい。実体と画像とを交互に遊技者に見せることで,演出の興趣性が向上する。
また,第11の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)と,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする照明制御手段(画像制御基板100,第1SPリーチシナリオの(F)および(G),S4701,S4741)と,を備えるとよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第12の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材を視認困難状態かつ前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に演出画像(演出画像7P11)を表示させる画像表示制御と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に繰り返す制御切換手段であって,前記透過部材に対して状態を視認可能状態に移行させる透過命令を,前記照明部材に対して状態を消灯状態に移行させる消灯命令よりも,所定時間だけ早くに出力する,前記制御切換手段(画像制御基板100,変形例の第1SPリーチシナリオの(J’),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,役物の表示と画像の表示とを交互に繰り返し,役物と画像とを疑似的に同時に認識させる演出が考えられる。しかしながら,透過性フィルムの視認困難状態から視認可能状態への切り換えには時間がかかることがある。この切換時間の誤差によって,役物が見難くなることがある。
そこで,第12の構成にかかる遊技機では,透過部材への透過命令を照明部材への消灯命令より早めに出力する。これにより,透過部材にて視認可能状態への移行に時間がかかったとしても,照明部材にて消灯状態に移行するタイミングまでに視認可能状態への移行が完了する可能性が高まる。その結果として,透過部材よりも後方に位置する役物が見難くなる可能性が低減され,役物を効果的に見せる演出になり得る。
また,第12の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とするとよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第13の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が視認可能状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,第1演出画像(演出画像7P11)を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える点滅表示期間と,一定期間,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記第1演出画像あるいは前記第1演出画像と異なる第2演出画像(演出画像7P14)を表示させる照明点灯期間と,を繰り返す制御切換手段(画像制御基板100,第3SPリーチシナリオの(J)および(K”),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,透過性フィルムを視認可能状態にしたまま,液晶パネル用のバックライト(照明部材の一例)の点灯状態と消灯状態とを繰り返し,バックライトを点灯状態にした際には演出画像を表示することで,役物と演出画像とを疑似的に同時に見せる演出が考えられる。しかしながら,透過性フィルムを視認可能状態として液晶パネルに演出画像を表示した場合,演出画像の色味が弱く,強い印象を与え難い。
そこで,第13の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態して演出画像と構造物とを交互に表示する際,途中に,演出画像の表示を一定期間,継続する期間を設ける。これにより,演出画像の印象を強くし,遊技者の視覚に両方が認識され易い。その結果,画像表示部材の画像と構造物とを効果的に見せる演出となり得る。
また,第13の構成にかかる遊技機のうち前記構造物表示制御では,前記画像表示部材の画像表示領域のうち少なくとも前記構造物を見せる領域に,前記透過画像を表示させるとよい。すなわち,画像表示領域の全てを透過画像とする必要はなく,構造物を見せる領域を透過画像とすることで,他の領域を隠すことができる。
また,第13の構成にかかる遊技機のうち前記一定期間は,前記点滅表示期間での前記画像表示制御と前記構造物表示制御とを行う1周期分の時間以上であるとよい。少なくとも1周期分の時間にわたって演出画像が表示されることで,演出画像の印象を強くする期間を確保し易い。
また,第13の構成にかかる遊技機のうち前記第2演出画像は,前記第1演出画像と同じモチーフの画像であるとよい。この構成によれば,第1演出画像の印象を強めることができる。前記第1演出画像と前記第2演出画像との少なくも一方は,前記構造物を示唆する画像であるとよい。この構成によっても,構造物の印象を強めることができる。
また,第13の構成にかかる遊技機のうち前記第1演出画像は,前記構造物を見せる領域に表示されるとよい。この構成によれば,構造物と演出画像とが組み合わされた新たな演出を実現できる。
また,第13の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第14の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,前記透過部材が透過状態の期間に,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,第1演出画像(演出画像7P11)を表示させる画像表示制御と,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像(演出画像7P10)を表示させる構造物表示制御と,を交互に切り換える点滅表示期間と,第1の期間,前記照明部材を消灯状態とし,前記透過画像を表示する照明消灯期間と,第2の期間,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材に前記第1演出画像または前記第1演出画像とは異なる第2演出画像(演出画像7P14)を表示させる照明点灯期間と,を繰り返す制御切換手段(画像制御基板100,第4SPリーチシナリオの(J)および(K’)および(K”),S4701,S4741)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,後方に配置された役物を視認させることはできるが,単に見せるだけでは演出が単調になり易い。そこで,液晶パネルの演出画像と役物とを交互に見せることで,両者を疑似的に同時に見せる演出が考えられる。しかしながら,液晶パネルの演出画像を表示する期間が短いと,その演出画像の印象が,実物である役物と比較して弱くなり易い。一方で,役物を表示する期間が短いと,役物の印象が弱くなり易く,さらに透過性フィルムを透過状態にした際の白色画像の影響が残り,白色の印象が残り易い。
そこで,第14の構成にかかる遊技機では,透過部材を視認可能状態して演出画像と構造物とを交互に表示する際,途中に,演出画像を表示する期間と,構造物を表示する期間と,を設けている。これにより,演出画像と構造物とのそれぞれの印象を強くし,遊技者の視覚に両方が認識され易い。その結果,画像表示部材の画像と構造物とを効果的に見せる演出となり得る。
また,第14の構成にかかる遊技機のうち前記構造物表示制御では,前記画像表示部材の画像表示領域のうち少なくとも前記構造物を見せる領域に,前記透過画像を表示させるとよい。すなわち,画像表示領域の全てを透過画像とする必要はなく,構造物を見せる領域を透過画像とすることで,他の領域を隠すことができる。
また,第14の構成にかかる遊技機のうち前記第1の期間は,前記点滅表示期間での前記画像表示制御と前記構造物表示制御とを行う1周期分の時間以上であるとよい。少なくとも1周期分の時間にわたって構造物が視認可能になることで,構造物の印象を強くする期間を確保し易い。
また,第14の構成にかかる遊技機のうち前記第2の期間は,前記点滅表示期間での前記画像表示制御と前記構造物表示制御とを行う1周期分の時間以上であるとよい。少なくとも1周期分の時間にわたって演出画像が表示されることで,演出画像の印象を強くする期間を確保し易い。
また,第14の構成にかかる遊技機のうち前記第2演出画像は,前記第1演出画像と同じモチーフの画像であるとよい。この構成によれば,第1演出画像の印象を強めることができる。また,前記第1演出画像と前記第2演出画像との少なくも一方は,前記構造物を示唆する画像であるとよい。この構成によれば,構造物の印象を強めることができる。
また,第14の構成にかかる遊技機のうち前記第1演出画像は,前記画像表示部材の画像表示領域のうち前記構造物を見せる領域に表示されるとよい。この構成によれば,構造物と演出画像とが組み合わされた新たな演出を実現できる。
また,第14の構成にかかる遊技機は,前記構造物の視認性を高める構造物照明部材(役物用ライト791)を備え,前記制御切換手段は,前記照明部材が消灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を点灯して前記構造物を照明する点灯状態とし,前記照明部材が点灯状態では,前記構造物照明部材を,前記構造物照明部材の光源を消灯するもしくは前記構造物照明部材の点灯状態よりも暗く前記構造物を照明する消灯状態とする,とよい。照明部材が消灯状態にある間は,構造物照明部材を点灯できることから,構造物を照明することで,構造物がより見易くなる。
次に,第15の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,本明細書に開示される遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記画像表示部材の画像表示領域の少なくとも一部に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像を表示させる透過表示手段(画像制御基板100,サブ制御基板90,S4011)と,前記透過画像が表示される領域中に文字とマークとの少なくとも一方で構成される報知情報を表示させる報知手段であって,前記報知情報に含まれる各文字あるいはマークの一部を,前記画像表示部材の後方を視認可能にする第1の色で表示し,残りの部位を前記第1の色よりも前記画像表示部材の後方を視認困難にする色である第2の色で表示する,前記報知手段(画像制御基板100,サブ制御基板90,S4052)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,透過性フィルムの後方を視認させることはできるが,その状態のまま液晶パネルに文字等の報知情報を表示した場合に問題が生じる。すなわち,報知情報の視認性を優先して透過性が低い色で報知情報を表示すると,透過性フィルムの後方がその報知情報に隠されて視認し難くなる。一方で,透過性が高い色で報知情報を表示すると,その報知情報が視認し難く,さらに報知情報が表示されていることを遊技者あるいは遊技場のスタッフが気付けなくなる。
そこで,第15の構成にかかる遊技機では,透過画像の表示中に文字等を表示する際,その文字等の一部を第1の色とし,残りを第1の色と視認性が異なる第2の色とする。これにより,全てを第2の色とする場合と比較して照明部材の後方の視認性を確保でき,照明部材の後方の状態を確認し易い。一方で,全てを第1の色とする場合と比較して,文字等の視認性を確保でき,報知情報が表示されていることを認識し易い。従って,透過部材の後方の視認性と,画像表示部材に表示された報知情報の視認性と,の両方を確保し得る。
また,第15の構成にかかる遊技機において,前記報知手段は,前記報知情報に含まれる各文字あるいはマークを,前記第1の色の文字あるいはマークに,前記第2の色で縁取りした表示とするとよい。この構成によれば,文字等を認識し易い。
また,第15の構成にかかる遊技機のうち前記報知情報は,異常報知で表示する際の情報であるとよい。異常報知は表示優先度が高く,視認性の確保の必要度合いが高い。そのため,第15の構成を適用して,認識し易くする方が好ましい。
また,第15の構成にかかる遊技機は,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する構造物(顔可動体440,ミット装飾体431)を備え,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記構造物が視認可能になるとよい。画像表示部材の報知情報が構造物と重なると,より報知情報が見難くなり得ることから,第15の構成が好適に作用する。
また,第15の構成にかかる遊技機において,前記画像表示部材は,複数の画像を重ねて表示し,前記報知手段によって表示される報知情報の画像を,他の画像よりも優先して表示するとよい。この構成によれば,報知情報を報知し易い。
次に,第16の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記透過部材を視認可能状態とし,前記照明部材を消灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像を表示させるコマンドである透過コマンドを,所定の入力があったことに応じて出力する出力手段(サブ制御基板90,S4011)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,透過性フィルムの後方を視認させることはできるが,透過性フィルムの視認可能状態と視認困難状態とを切り換える制御は,演出のシナリオの一部として行われる。そのため,演出に関係のないタイミングで,液晶パネルの後方の領域を遊技場(ホール)のスタッフやメンテナンスのスタッフ等が確認できない。
そこで,第16の構成にかかる遊技機では,画像表示部材に,画像表示部材の後方を視認可能にする透過画像を表示させる透過コマンドを,所定の入力があったことに応じて出力にする。そのため,演出に関係のない任意のタイミングで,ホールのスタッフやメンテナンスのスタッフ等が画像表示部材の後方の領域を確認できる。
また,第16の構成にかかる遊技機のうち前記所定の入力は,電源スイッチの入力であるとよい。電源投入時に透過コマンドを出力することで,ホールのスタッフやメンテナンスのスタッフ等が画像表示部材の後方の領域の状態を確認し易い。
また,第16の構成にかかる遊技機は,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する可動物(顔可動体440,ミット装飾体431)を備え,前記透過部材を視認可能状態かつ前記照明部材を消灯状態とした状態で,前記可動物が視認可能になるとよい。可動物の動作確認時に画像表示部材の後方が視認可能である必要があるため,第16の構成が好適に作用する。
また,前記所定の入力は,前記可動物の動作確認命令の入力であるとよい。可動物の動作確認時に透過コマンドを出力することで,ホールのスタッフやメンテナンスのスタッフ等が可動物の動作を確認し易い。
次に,第17の構成にかかる遊技機(パチンコ遊技機1)は,後方からの光を前方に透過する透過性を有し,画像を表示する画像表示部材(液晶パネル760)と,前記画像表示部材の後方に位置し,光源を点灯して前記画像表示部材を後方から照明する点灯状態と,前記光源を消灯するもしくは点灯状態よりも暗く前記画像表示部材を照明する消灯状態とを,電気的に切り換える照明部材(バックライト792)と,前記画像表示部材の後方に位置し,後方を視認可能にする視認可能状態と,前記視認可能状態よりも後方を視認困難な状態にする視認困難状態とを,電気的に切り換える透過部材(透過性フィルム770)と,前記照明部材を点灯状態とし,前記画像表示部材の画像表示領域に,前記画像表示部材の後方を視認困難にする演出画像を表示させるコマンドである変更コマンドを,所定の入力があったことに応じて出力する出力手段(サブ制御基板90,S4755)と,を備えることを特徴としている。
透過性フィルムを視認可能状態にすることで,透過性フィルムの後方を視認させることはできるが,透過性フィルムの視認可能状態と視認困難状態とを切り換える制御は,演出のシナリオの一部として行われる。そのため,演出に関係のないタイミングで,液晶パネルの後方の領域を遊技者等から隠すことができない。
そこで,第17の構成にかかる遊技機では,画像表示部材に,画像表示部材の後方を視認困難にする演出画像を表示させる変更コマンドを,所定の入力があったことに応じて出力する。そのため,演出に関係のない任意のタイミングで照明部材の後方の領域を隠すことができる。
また,第17の構成にかかる遊技機のうち前記不透過コマンドには,前記透過部材を視認困難状態にするコマンドが含まれるとよい。画像表示部材の後方を隠す上で,透過部材を視認困難状態にする方がより好ましい。
また,第17の構成にかかる遊技機は,前記照明部材および前記透過部材よりも後方に位置する可動物(顔可動体440,ミット装飾体431)と,電源が投入されたことに応じて,前記可動物の動作確認制御を行う動作確認手段(サブ制御基板90,S4013,S4022)と,を備え,前記所定の入力は,前記動作確認制御を行っている期間中の,遊技球の特定領域への入賞であるとよい。遊技者が遊技を開始したと判断できる場合には,画像表示部材の後方を強制的に隠す方が好ましい。なお,特定領域は,始動口でも,ゲートでも,普通入賞口でもよい。