JP6756981B2 - 吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機 - Google Patents

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この発明は、搬送スパイラルの周囲に張設した円筒状のろ過体を有するドラム型濃縮機において、ろ過体を走行自在な吸水ベルトで構成し、吸水ベルトからろ液を回収しつつ連続的に安定した濃縮汚泥を生成する吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機に関する。
従来、下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥を濃縮するベルト型濃縮機あるいはドラム型濃縮機は一般に知られている。ベルト型濃縮機あるいはドラム型濃縮機は連続的に汚泥を濃縮する装置であり、連続的に汚泥を装置に供給し、連続的に濃縮汚泥を装置から排出している。
特許文献1で開示されているように、無端ベルト状の吸水材上に汚泥類を載置して、汚泥中の水分を吸水材に吸収させた後に汚泥類を排除し、吸水材を圧縮して吸着した水を吐出する脱水処理方法は公知である。
特許文献2で開示されているように、螺旋翼をろ布で囲んだ円筒状のドラム式の脱水機において、内部に汚泥を供給して円筒体を回転させ、ろ布で固液分離を行いつつ螺旋翼で濃縮汚泥を搬送するドラム型濃縮機は公知である。
特許文献3で開示されているように、走行自在に配設した吸水性のある無端状のろ布を原液中に浸漬させ、吸水したろ布を濃縮槽外で脱水して原液を濃縮させる濃縮装置は公知である。
特開昭55−94694号公報 実開昭56−44819号公報 特許第3636355号公報
特許文献1のような吸水性ベルトで構成したベルト型濃縮機は、ベルト上に残留する固形分が大きく姿勢を変えることがないので、固形分内部および上面の水分までは吸収されることがなく濃縮度が低い。また、ベルト状にすき返し装置を配設して固形分の姿勢を変えることも可能であるが、ベルトの搬送距離が長くなり設置スペースが大きくなる。
特許文献2のようなドラム式の円筒体をろ布で構成している濃縮機は、目詰まりに対するろ布の洗浄が必要となる。円筒体の外部から圧縮空気を噴射して目詰まりを解消しているが、圧縮空気では洗浄効果が低く、電気代等によるコストも高くなる。
他に洗浄水でろ布を洗浄している事例もあるが、円筒体の外部からろ布洗浄を行うためには、内部に洗浄水が流入するため、濃縮運転を停止する必要がある。なお、洗浄水がろ布に含侵することにより、汚泥に吸着している液分の吸水性が悪くなるという課題もある。
また、特許文献3のような吸水ろ布を原液中に浸漬させて濃縮する濃縮装置は、濃縮槽内で濃縮された汚泥量を検知して所定量に達した場合に排出している。したがって、後行程に本濃縮装置で生成した濃縮汚泥を連的に供給することができない。さらに、原液の供給量が少ないと濃縮汚泥が濃縮槽内で留まる期間が長くなり、濃縮汚泥が濃縮槽内で変質して後行程での処理が安定しないという課題がある。
この発明は、濃縮性汚泥を安定して濃縮するために、吸水ベルト型濃縮機とドラム型濃縮機の優れた機能を組み合わせたもので、汚泥の姿勢を変化させつつ安定的に濃縮し、連続運転可能な吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機を提供する。
この発明は、周囲に吸水ベルトを張設したドラム体の内部に汚泥を供給し、ドラム体を回転させつつ汚泥を濃縮する吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機において、螺旋状のスパイラルと、スパイラルの前端部で蓋を備える外環と、スパイラルの後端部で開放された外環と、で回転自在なドラム体を構成し、スパイラルに掛け回し、吸水体で構成した走行自在な吸水ベルトと、吸水ベルトを押圧して吸収した水分を排出する脱水ロールと、吸水ベルトを巻き掛けたドラム体の内部で前端部の外環近傍に汚泥を供給する供給管と、を備えるので、ドラム体内で汚泥を揉み解し、圧密度を変化させることで効率的な固液分離が可能となる。
また、ベルトを無端状に構成し、スパイラルと駆動ロールに掛け回すとともに、吸水ベルトを洗浄するための洗浄装置を備えるので、連続的な濃縮運転が可能となる。
また、スパイラルの上方に一対のリターンロールを配設し、一対のリターンロールの間隔を、スパイラルの直径以下とすると、ベルト上に残留する汚泥が、ドラム体の底部からベルトの走行に沿って中心軸近くまで搬送された後、確実に自重によって底部に落泥する。落泥時の揉み解し作用により汚泥内部の液分が表面に抽出され、ベルトによる固液分離が促進される。
供給管を中心軸とし、中心軸に螺旋状のスパイラルを巻き掛けると、運転中に隣段への汚泥の越流の心配がなく、多量の処理運転にも対応できる。
この発明によれば、ドラム型濃縮機のろ過体を走行自在な吸水ベルトで構成しているので、吸水ベルトで定量の水分を吸収しつつ連続的な濃縮運転となる。
吸水ベルトの走行と、スパイラルの回転によってドラム体内で汚泥を揉み解し、圧密度を変化させることで、例えば、特に長尺な紐状をしている汚泥や繊維分が絡み合った汚泥でも、効率的な固液分離が可能となる。
本発明に係る吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の概略正面図である。 同じく、吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の概略縦断側面図である。 同じく、吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の背面図である。 他の実施例1の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の概略正面図である。 他の実施例2の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の正面図である。 他の実施例3の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の正面図である。 他の実施例4の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の一部縦断側面図である。
図1は吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の正面図である。平板を螺旋状に成形したリボン状の中空スパイラル1の外周端に、吸水体(吸水ベルト2)を走行自在に巻き掛けてドラム体3を構成している。吸水ベルト2は横軸のスパイラル1の底部を含んで覆うように掛け回す。吸水ベルト2は不織布、スポンジ等で外部から内部に液分を吸収し、内部に保水する公知の材質を使用できる。
吸水ベルト2の走行方向に向かって、ドラム体3の下流側には一対の脱水ロール4,4を配設している。脱水ロール4で吸水ベルト2を押圧し、吸水ベルト2内部に吸水したろ液を排出する。脱水ロール4の下方には、圧縮された吸水ベルト2から落水するろ液を貯留あるいは配送するろ液受け5を配設している。
図2は吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の一部縦断側面図である。スパイラル1の前後端は、円環状の外環6,6に接続しており、円筒状にドラム体3を形成している。外環6は、吸水ベルト2両端の走行代を確保するために、軸方向に所定の幅を有している。
前端部の外環6には内部の汚泥が漏れないよう蓋7を施している。蓋7には汚泥の供給管8を挿通している。蓋7から挿通された供給管8は、前端部の外環6近傍に汚泥を供給する。供給管8は図示しない供給装置に接続している。なお、蓋7は外環6すべてを覆う必要はなく、内部の汚泥が溢れ出ない高さを有していればよい。
前端部の外環6にはスプロケットを形成しており、チェーン9によりスパイラル駆動機10と連結されている。前後端の外環6,6およびスパイラル1は一体的に回転自在な構成としている。スパイラル1の回転により、内部に供給された汚泥は周囲に掛け回されている吸水ベルト2により水分を吸収されつつ、液分が減少した濃縮汚泥は後端部の外環6方向に搬送される。
後端部の外環6は開放されており、濃縮された汚泥は、外環の下方に配設された濃縮汚泥受け11に排出される。
図3は吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の背面図である。蓋7の中心部に有する開口12から汚泥の供給管8を挿通しているので、スパイラル1と一体的に蓋7が回転しても供給管8は固定した状態で安定してドラム体3の内部に汚泥を供給できる。
実施例では、スパイラル1をチェーン9で回転自在に駆動しているが、プーリーや歯車等、公知の継ぎ手を用いることができる。
図4は、他の実施例1のドラム型濃縮機の概略正面図である。吸水ベルト2は、例えば図4(a)のように、スパイラル1と駆動ロール14に無端状に巻き掛けて走行させてもよく、図4(b)のように、駆動ロール14により一方から他方へ巻き取られるように構成してもよい。
図5は、他の実施例2の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の正面図であって、スパイラル1の上方には、一対のリターンロール13,13と駆動ロール14および従動ロール15を配設し、リターンロール13の内側と、駆動ロール14および従動ロール15の外側から吸水ベルト2を掛け回して無端状に張設している。駆動ロール14には図示しないロール駆動機を接続してあり、駆動ロール14を回転させることで無端状の吸水ベルト2で形成した吸水体を走行自在に構成している。駆動ロール14と従動ロール15間には吸水ベルト2を洗浄するための洗浄装置18を配設している。
ドラム体3の下方には、吸水ベルト2に摺接するように一対のサポートロール17,17を配設している。なお、サポートロール17の位置や数は、ドラム体3の直径や汚泥の供給量等に応じて適宜配設する。
吸水ベルト2の走行方向に向かって、ドラム体3の下流側には一対の脱水ロール4,4を配設している。脱水ロール4で吸水ベルト2を押圧し、吸水ベルト2内部に吸水したろ液を排出する。
なお、本装置に係る構成要件をサポートする部材、例えば、フレーム、軸受、リブ等は、仕様や条件に応じて適宜配設する。
汚泥は図示しない汚泥供給ポンプ等で供給管8を介してドラム体3内部の前端の外環6近傍に供給される。内部に供給された汚泥は、重力濃縮作用により吸水ベルト2から液分を吸水される。
吸水ベルト2上に残留する汚泥は、ドラム体3の底部から吸水ベルト2の走行に沿って中心軸近くの高さまで搬送された後、自重によって底部に落泥する。この時、汚泥の揉み解し作用により汚泥内部の液分が表面に抽出され、吸水ベルト2による固液分離が促進される。
ドラム体3内で吸水ベルト2に追随して移動する汚泥を自重によって底部に落泥させるために、スパイラル1に巻き掛けている吸水ベルト2は上方に向かって走行させる。リターンロール13,13の間隔をスパイラル1の直径以下に配置して、吸水ベルト2をスパイラル1の中心軸の上方まで巻き掛けることが望ましい。また、吸水ベルト2の巻き掛け角度、張力等に応じて、リターンロール13の間隔、高さを適宜設定する。
本実施例では一対の脱水ロール4,4を配設して吸収した水分を排出しているが、リターンロール13、駆動ロール14あるいは従動ロール15に対向して脱水ロール4を単独で配設してもよい。また、必要に応じて吸水ベルト2を洗浄するための洗浄装置18を配設してもよい。
吸水ベルト2の走行と独立して、螺旋状のスパイラル1の回転作用により、内部の汚泥は排出側に搬送され、その間にも揉み解し作用を受けてさらに濃縮される。スパイラル1のピッチや平板の高さ等は、搬送する汚泥が隣段に越流しないよう供給量等に応じて適宜設定する。
濃縮度はスパイラル1の回転速度あるいは吸水ベルト2の走行速度を制御することによって調整できる。
スパイラル1の回転速度を遅くすると、内部の汚泥の滞留時間が長くなり、濃縮度が高くなる。逆に、スパイラル1の回転速度を速くすると、内部の汚泥の滞留時間が短くなり、濃縮度が低くなる。
吸水ベルト2の走行速度を速くすると、水分を吸収した部分が早期に通り過ぎ、内部に液分を含んでいない吸水ベルト2に汚泥が接触する割合が多くなり、濃縮度が高くなる。逆に、吸水ベルト2の走行速度を遅くすると、水分を吸収した部分が長く滞留し、内部に液分を含んでいない吸水ベルト2に汚泥が接触する割合が少なくなり、濃縮度が低くなる。
図6は、他の実施例3の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の正面図であって、2台のドラム体3,3を並設し、1枚の無端状の吸水ベルト2を2台のドラムに掛け回している。
吸水ベルト2を一方のスパイラル1に掛け回し、その上方のリターンロール13で反転させた後、他方のスパイラル1の上方のリターンロール13を介して他方のスパイラル1に掛け回し、それぞれのリターンロール13から駆動ロール14および従動ロール15に掛け回している。
駆動ロール14をロール駆動機で駆動することで吸水ベルト2が複数のスパイラル1,1間を走行する。
それぞれのドラム体3の吸水ベルト2の走行方向に向かって下流側に、一対の脱水ロール4,4を配設しており、ドラム体3で汚泥から吸水した水分を排出する。
なお、スパイラル1の回転は、それぞれに独立したスパイラル駆動機10,10を接続してもよく、あるいは、並設したスパイラル1,1を1巻のチェーン9で接続し、単機のスパイラル駆動機10で同時に回転させてもよい。
図7は、他の実施例4の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機の一部縦断側面図であって、平板で形成したリボン状の中空スパイラルに代わって、中心軸19に螺旋状のスパイラル1aを巻き掛けて形成してもよい。この場合、中心軸19をドラム体3から延出させ、中心軸19をスパイラル駆動機10と接続してもよい。
汚泥の供給は、中心軸19を中空として、汚泥の供給管8を兼用する。中心軸19の前縁の外環6近傍に供給口20を開口する。中心軸19に螺旋状のスパイラル1aを巻き掛けると、隣段への汚泥の越流の心配がない。
この発明に係る吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機は、複雑な形状をしている固形分を含む汚泥でも連続的に濃縮することができる装置である。例えば、特に長尺な紐状をしている汚泥や繊維分が絡み合った汚泥でも、安定的に濃縮することができ、後段のスクリュープレスやベルトプレス等による脱水処理に負荷が掛からず、全体の管理性が向上するものである。
1,1a スパイラル
2 吸水ベルト
3 ドラム体
4 脱水ロール
6 外環
7 蓋
8 供給管
13 リターンロール
14 駆動ロール
18 洗浄装置
19 中心軸

Claims (4)

  1. 周囲に吸水ベルト(2)を張設したドラム体(3)の内部に汚泥を供給し、ドラム体(3)を回転させつつ汚泥を濃縮する吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機において、
    螺旋状のスパイラル(1)と、スパイラル(1)の前端部で蓋(7)を備える外環(6)と、スパイラル(1)の後端部で開放された外環(6)と、で回転自在なドラム体(3)を構成し、
    スパイラル(1)に掛け回し、吸水体で構成した走行自在な吸水ベルト(2)と、
    吸水ベルト(2)を押圧して吸収した水分を排出する脱水ロール(4)と、
    吸水ベルト(2)を巻き掛けたドラム体(3)の内部で前端部の外環(6)近傍に汚泥を供給する供給管(8)と、
    を備えたこと
    を特徴とする吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機。

  2. 前記吸水ベルト(2)を無端状に構成し、スパイラル(1)と駆動ロール(14)に掛け回すとともに、
    吸水ベルト(2)を洗浄するための洗浄装置(18)を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機。
  3. 前記スパイラル(1)の上方に一対のリターンロール(13,13)を配設し、
    リターンロール(13,13)の間隔を、
    スパイラル(1)の直径以下とする
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機。
  4. 前記供給管(8)を中心軸(19)とし、
    中心軸(19)に螺旋状のスパイラル(1a)を巻き掛けた
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の吸水ベルト走行式ドラム型濃縮機。
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