以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び超音波プローブを説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、ディスプレイ13と、装置本体100とを備える。超音波プローブ11は、後述する装置本体100が備える送受信回路110と通信可能に接続される。また、入力装置12、及びディスプレイ13は、装置本体100が備える各種の回路と通信可能に接続される。
超音波プローブ11は、ケーブルを介して装置本体100と接続される。また、超音波プローブ11は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ11は、超音波の送受信を行うための複数の圧電振動子(振動子或いは超音波振動子とも言う)を有する。これら複数の圧電振動子は、送受信回路110から供給される送信信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体Pの体内組織において反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ11は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を、送受信回路110へ送る。
なお、第1の実施形態は、超音波プローブ11は、被検体P内の2次元領域を走査(2次元走査)する1Dアレイプローブであっても、被検体P内の3次元領域を走査(3次元走査)するメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
入力装置12は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等に対応する。入力装置12は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100の各回路に対して適宜転送する。
ディスプレイ13は、操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく画像(超音波画像)等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。図1に示すように、装置本体100は、例えば、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、処理回路170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、記憶回路160、及び処理回路170は、互いに通信可能に接続される。
送受信回路110は、超音波プローブ11による超音波の送受信を制御する。例えば、送受信回路110は、送信回路111と受信回路112とを有し、後述する処理回路170の指示に基づいて、超音波プローブ11が行う超音波送受信を制御する。送信回路111は、送信波形データを作成し、作成した送信波形データから超音波プローブ11が超音波を送信するための送信信号を生成する。そして、送信回路111は、超音波プローブ11に送信信号を印加することで、超音波がビーム状に集束された超音波ビームを送信させる。また、受信回路112は、超音波プローブ11が受信した反射波信号に所定の遅延時間を与えて加算処理を行うことで、反射波信号の受信指向性に応じた方向から反射成分が強調された反射波データを生成し、生成した反射波データをBモード処理回路120及びドプラ処理回路130に送信する。
Bモード処理回路120は、受信回路112が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。Bモード処理回路120は、受信回路112から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点(観測点)ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路120は、生成したBモードデータを画像生成回路140へ送る。
また、Bモード処理回路120は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行なうための信号処理を行なう。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が知られている。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングには、スキャン方式として、振幅変調、位相変調が知られている。
ドプラ処理回路130は、受信回路112が受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値等を各サンプル点で抽出したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140へ送る。
画像生成回路140は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成したBモードデータから、反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。このドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
画像メモリ150は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶するメモリである。例えば、画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された超音波画像データを、被検体Pの心電波形に対応付けて記憶する。なお、画像メモリ150に記憶されるデータ量が画像メモリ150の記憶容量を超過する場合には、古いデータから順に削除され、更新される。
記憶回路160は、各種データを記憶する記憶装置である。例えば、記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160に記憶されるデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。
また、記憶回路160は、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140により生成されたデータを記憶する。例えば、記憶回路160は、操作者により指定された所定心拍分の超音波画像データを記憶する。なお、記憶回路160は、被検体Pを所定期間で走査して得られた複数の画像を記憶する記憶回路の一例である。
処理回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づいて、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140等の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150が記憶する超音波画像データをディスプレイ13に表示させる。
なお、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Preprocess Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
このように構成される超音波診断装置1では、例えば、位相が異なる超音波を複数回送信させて高調波成分を映像化する方法でのハーモニックイメージングを行なう場合がある。図2を用いて、位相が異なる超音波を複数回送信させて高調波成分を映像化する方法でのハーモニックイメージングを行なう場合の送信回路111と超音波プローブ11との間の送信信号の伝達について説明する。図2は、第1の実施形態を説明するための図である。図2では説明の便宜上、超音波診断装置1が有する構成要素のうち、超音波プローブ11と、送信回路111と、記憶回路160と、処理回路170とを図示する。また、図2に示すように、超音波診断装置1には、補正値算出回路2が接続される。
送信回路111は、図2に示すように、信号生成回路201と、DAC(Digital−Analog Converter)202と、増幅回路203とを有する。送信回路111は、送信波形データを作成し、作成した送信波形データから超音波プローブ11が超音波を送信するための送信信号を生成し、超音波プローブ11に出力する。
信号生成回路201は、送信波形データを作成し、作成した送信波形データをDAC202に出力する。なお、以下では、例えば、0度の位相の超音波と、180度の位相の超音波とを超音波プローブ11に送信させる場合について説明する。かかる場合、信号生成回路201は、0度の位相の超音波の送信波形データ(0deg送信波形データ)と、180度の位相の超音波の送信波形データ(180deg送信波形データ)とを作成する。すなわち、信号生成回路201は、和成分がゼロとなる複数の送信波形データを作成する。そして、信号生成回路201は、作成した0deg送信波形データと180deg送信波形データとをDAC202に出力する。
DAC202は、送信波形データをアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号の送信波形データを増幅回路203に出力する。増幅回路203は、アナログ信号の送信波形データを増幅して送信信号を生成し、生成した送信信号を超音波プローブ11に出力する。
超音波プローブ11は、図2に示すように、ケーブル301と、プローブ内回路302と、振動子303とを有する。ケーブル301は、送信回路111によって生成された送信信号をプローブ内回路302に出力する。プローブ内回路302は、ケーブル301を切り替える半導体スイッチ、振動子303を切り替える半導体スイッチ、インダクタ等で構成される直列または並列チューニング回路が含まれる。振動子303は、超音波診断装置1の装置本体100によって送信波形データから生成された送信信号に基づいて超音波を送受信する。
ところが、送信回路111において和成分がゼロとなる複数の送信波形データを作成しても、超音波プローブ11に印加される送信信号の和成分や超音波プローブ11から送信される超音波の和成分は、完全に相殺されずに残渣成分が生じる場合がある。
より具体的には、送信回路111の増幅回路203は、正孔をキャリアとするP形半導体と電子をキャリアとするN形半導体とで、位相極性が正の送信信号及び負の送信信号を作っている。このため、送信信号の位相極性の対称性を確保することが難しい。また、振動子303は、送信信号が正の振幅のときと負の振幅のときとでインピーダンスに変化が見られる。このため位相極性の非対称性が生じる。なお、振動子303での位相極性の非対称性は、特に大振幅になるほどその差が大きくなる。
そして、ハーモニック成分の周波数帯に送信信号の残渣成分が生じると、S/N(Signal to Noise)比が劣化するという問題があった。より具体的には、2つの送信信号で生体に超音波を送信して得られた反射波信号には、本来画像にしたい生体の非線形によるハーモニック成分と、送信信号の残渣成分に対する反射波信号とが含まれる。この送信信号の残渣成分に対する反射波信号は、キャンセルされずにノイズとして画像化される。
このようなことから、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の送信回路111は、送信条件に応じて超音波プローブ11から位相が異なる超音波を複数回送信させる際に、ケーブルと超音波振動子との間から検出された送信信号を利用して、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。例えば、送信回路111は、送信条件に応じて複数回送信される超音波それぞれに対応し、和成分がゼロとなる複数の補正前送信波形データと、送信条件に応じた補正値とに基づいて、送信波形データを作成する。
ここで、例えば、記憶回路160は、送信条件に応じた補正値を記憶する。例えば、補正値は、THI、CHI、位相変調等のモードに応じて設定される。そして、例えば、ディスプレイ13に表示されたGUIを介して操作者からモードの選択を受付けた場合、送信回路111は、選択されたモードの補正値を読み出して、送信波形データを作成する。また、補正値は、送信電圧と送信周波数とに対応付けて設定されてもよい。かかる場合、例えば、ディスプレイ13に表示されたGUIを介して操作者から送信電圧と送信周波数の選択を受付けた場合、送信回路111は、対応する補正値を読み出して、送信波形データを作成する。
以下では、補正値の算出処理について説明する。なお、第1の実施形態では、例えば超音波診断装置1の出荷前に超音波診断装置1以外の装置により補正値が算出される場合について説明する。ここでは、補正値算出回路2が補正値を算出するものとして説明する。なお、補正値を算出する処理は、例えば、水中、ファントムなど生体に近い音響インピーダンスを持つものに超音波プローブ11を当接して行われることが望ましい。また、補正値算出回路2は、算出回路の一例である。
送信回路111は、送信条件に応じて複数回送信される超音波それぞれに対応し、和成分がゼロとなる複数の補正前送信波形データを作成し、作成した複数の補正前送信波形データに対応する複数の補正前送信信号を生成する。ここで、例えば、信号生成回路201により作成された補正前送信波形データから生成された送信信号は、振動子303に印加されるまでの間にノイズ等が混入し変形する。すなわち、信号生成回路201により作成された補正前送信波形データを、ノイズ等の混入を排除して理論的に変換した送信信号と、実際に振動子303に印加される送信信号とは異なるものとなる。
より具体的には、理論的に変換した送信信号は、DAC202や増幅回路203等による処理過程や、超音波プローブ11のプローブ内回路302を通過する過程で、ノイズ等が混入する。ここで、信号生成回路201により作成された補正前送信波形データを、ノイズ等の混入を排除した理論的な送信信号に変換すると仮定した場合、位相0度の理論的な送信信号をSinpと表記し、位相180度の理論的な送信信号をSinnと表記する。
そして、補正値算出回路2は、生成直後から超音波プローブ11が有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点で取得された複数の補正前送信信号の和成分、又は、当該複数の補正前送信信号により超音波プローブ11が送信した時点で取得された複数の補正前超音波の和成分を、補正前和成分として取得する。例えば、補正値算出回路2は、プローブ内回路302から複数の補正前送信信号を取得し、取得した複数の補正前送信信号を加算して補正前送信信号の和成分を取得する。ここで、取得した位相0度の補正前送信信号をSopと表記し、取得した位相180度の補正前送信信号をSonと表記すると、補正前送信信号の和成分は時間軸の波形ΔSo(t)として、「Sop(t)+Son(t)」により表される。そして、補正値算出回路2は、取得した補正前和成分に基づいて、補正値を算出する。すなわち、ΔSo(t)は、キャンセルできなかった送信波形の残渣成分であり、このΔSo(t)が所定の範囲内となるように送信波形データの補正値を算出する。以下では、ΔSo(t)が最小となる補正値を算出する場合を説明する。
例えば、補正値算出回路2は、ΔSo(t)をFFT(Fast Fourier Transform)して、周波数スペクトラムΔSo(ω)に変換する。そして、補正値算出回路2は、周波数軸上で、キャンセルさせたい必要な周波数帯に重み付けした周波数窓関数を掛ける。例えば、補正値算出回路2は、2ndハーモニック成分(2次高調波成分)を中心とする生体の非線形成分の周波数帯に周波数窓関数を掛ける。すなわち、補正値算出回路2は、補正前和成分の周波数スペクトラムのうち、送信条件に応じた所定の周波数帯域に重み付けした周波数スペクトラムを導出する。
続いて、補正値算出回路2は、補正前和成分の周波数スペクトラムのうち、送信条件に応じた所定の周波数帯域に重み付けした周波数スペクトラムと、変換関数とから算出した変換スペクトラムから変換成分を算出する。ここで、変換関数は、生成直後から超音波プローブ11が有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点の波形、或いは、複数の補正前送信信号により超音波プローブ11が送信した時点の波形をノイズも含めて補正して当該波形の発生に用いた送信波形データの波形に戻す関数である。言い換えると、変換関数は、生成直後から超音波プローブ11が有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点の波形の周波数スペクトラム、或いは、複数の補正前送信信号により超音波プローブ11が送信した時点の波形の周波数スペクトラムを当該波形の発生に用いた送信波形データの波形の周波数スペクトラムに戻す変換関数である。
ここで、位相0度の補正前送信信号Sopに対する変換関数をHinvp(ω)と表記し、位相180度の補正前送信信号Sonに対する変換関数をHinvn(ω)と表記する。なお、変換関数は、送信条件ごとに設定される。例えば、変換関数は、送信条件の送信電圧と送信周波数とで決まる。また、変換関数は、モードごとに設定されてもよい。例えば、CHI法の変換関数、THI法の変換関数が設定される。
そして、例えば、補正値算出回路2は、変換関数により、補正前和成分を変換した変換成分に基づいて、補正値を算出する。より具体的には、補正値算出回路2は、周波数窓関数を掛けたΔSo(ω)に、変換関数Hinvp(ω)又はHinvn(ω)を掛けてΔSin(ω)を導出する。ここで、補正値算出回路2は、ΔSo(t)を1/2にしたものをそれぞれSop(t)、Son(t)の非線形成分とみなして、Sop(t)に変換関数Hinvp(ω)を掛け、Son(t)に変換関数Hinvn(ω)を掛けてもよい。或いは、補正値算出回路2は、ΔSo(t)をSop(t)の非線形成分とみなして、Sop(t)に変換関数Hinvp(ω)を掛けてもよく、また、ΔSo(t)をSon(t)の非線形成分とみなして、Son(t)に変換関数Hinvn(ω)を掛けてもよい。
そして、補正値算出回路2は、変換成分であるΔSin(ω)を逆FFTして、時間軸に戻し、補正値を導出する。補正値算出回路2は、導出した補正値を記憶回路160に格納する。また、送信回路111は、例えば、補正前送信波形データから補正値を減算することで、送信波形データを作成する。なお、補正値算出回路2は、補正した送信波形データで超音波を送信した結果に、同様の補正処理を繰り返してもよい。例えば、補正値算出回路2は、所定の回数に達するまで補正処理を繰り返すようにしてもよいし、ΔSoが所定値以下になるまで補正処理を繰り返すようにしてもよい。
図3は、第1の実施形態に係る補正値算出処理の手順を示すフローチャートである。送信回路111は、0deg送信波形データを作成し(ステップS101)、作成した0deg送信波形データを超音波プローブ11に送信させる(ステップS102)。続いて、補正値算出回路2は、0deg超音波を抽出する(ステップS103)。
また、送信回路111は、180deg送信波形データを作成し(ステップS104)、作成した180deg送信波形データを超音波プローブ11に送信させる(ステップS105)。続いて、補正値算出回路2は、180deg超音波を抽出する(ステップS106)。そして、補正値算出回路2は、0deg超音波と180deg超音波との和成分を取得する(ステップS107)。
補正値算出回路2は、和成分が所定の範囲内であるか否かを判定する(ステップS108)。ここで、補正値算出回路2は、和成分が所定の範囲内であると判定した場合(ステップS108、Yes)、処理を終了する。一方、補正値算出回路2は、和成分が所定の範囲内であると判定しなかった場合(ステップS108、No)、和成分をFFTする(ステップS109)。
続いて、補正値算出回路2は、窓関数を掛け(ステップS110)、逆伝達関数を掛ける(ステップS111)。そして、補正値算出回路2は、逆FFTにより補正値を算出する(ステップS112)。補正値算出回路2は、補正値を記憶回路160に格納する(ステップS113)。ステップS113の終了後、ステップS101に移行する。
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、送信条件に応じて超音波プローブ11から位相が異なる超音波を複数回送信させる際に、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。このため第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、位相の異なる複数の超音波を送信して生成する高調波成分の画像からノイズを低減することができる。より具体的には、生体からの非線形成分を画像にする場合に、補正前送信信号の非線形性によりキャンセルされない残渣成分が生じることによるS/N劣化を改善する。補正前送信信号の和成分は、送信電圧が小さいときは、増幅回路203の影響が強く、送信電圧が高くなるにつれて、振動子303側の影響が強くなる傾向がある。このため、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によって、振動子303の特性も含めて補正することができる。
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ケーブル301と振動子303との間から検出された送信信号を利用して、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。これにより、ケーブル301のインピーダンスの影響を受けない送信波形データを作成することが可能になる。
より具体的には、増幅回路203とケーブル301との間から検出された送信信号を利用して、送信波形データを作成する場合、ケーブル301に入力される直前の送信信号の位相極性は対称である。しかし、ケーブル301を通過した後の送信信号は、ケーブル301のインピーダンスの影響を受けるので、送信信号の位相極性は非対称性になる。このため、増幅回路203とケーブル301との間から検出された送信信号を利用して、超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成しても、振動子303での送信信号の位相極性は対称にはならない。一方、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ケーブル301と振動子303との間から検出された送信信号を利用して、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。すなわち、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ケーブル301のインピーダンスの影響を加味して送信波形データを作成する。この結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、振動子303での送信信号の位相極性は対称になる。
また、ハーモニックイメージングとして、造影剤のバブルを割らずにバブルの非線形挙動を捕らえるために小さい振幅で超音波を送信するCHI法と、生体の実質の非線形を発生させるために大きい振幅で超音波を送信するTHI法とがある。このため、送信回路111は、CHI法とTHI法との両方の条件下で、位相反転時の正負の対称性を維持することが求められる。上述した第1の実施形態によれば、送信条件に応じて超音波プローブ11から位相が異なる超音波を複数回送信させる際に、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。この結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、小さい振幅で超音波を送信するCHI法でも、大きい振幅で超音波を送信するTHI法でも、位相反転時の正負の対称性を維持することが可能である。これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、造影剤の非線形性を画像化する小振幅送信の用途にも、生体の実質の非線形性を画像化する大振幅の用途にも、同様に補正して、S/Nを改善できる。
なお、上述した実施形態では、補正値算出回路2は、生成直後から超音波プローブ11が有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点で取得された複数の補正前送信信号の和成分を補正前和成分として取得する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、補正値算出回路2は、複数の補正前送信信号により超音波プローブ11が送信した時点で取得された複数の補正前超音波の和成分を補正前和成分として取得してもよい。かかる場合、補正値算出回路2は、例えば、ハイドロフォンによって測定された複数の補正前超音波を取得し、取得した複数の補正前超音波を加算して補正前超音波の和成分を取得する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波診断装置1以外の外部の装置が、例えば工場出荷前に補正値を算出し、記憶回路160に補正値を記憶させる場合について説明した。第2の実施形態では、超音波診断装置が補正値を算出する場合について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aの構成例を示すブロック図である。図4に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aは、超音波プローブ11aと、入力装置12と、ディスプレイ13と、装置本体100aとを備える。なお、図4に示す超音波診断装置1aが有する各構成要素のうち、図1に示す各部と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。また、図1と同様に、図4における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
装置本体100aは、超音波プローブ11aが受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。装置本体100aの構成は、送受信回路110a及び処理回路170aの構成が異なる点を除いて、第1の実施形態に係る装置本体100の構成と同様である。すなわち、装置本体100aは、図4に示すように、例えば、送受信回路110aと、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、処理回路170aとを有する。なお、図4に示す装置本体100aが有する各構成要素のうち、図1に示す各部と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
送受信回路110aは、超音波プローブ11aによる超音波の送受信を制御する。例えば、送受信回路110aは、送信回路111aと受信回路112とを有し、後述する処理回路170aの指示に基づいて、超音波プローブ11aが行う超音波送受信を制御する。なお、第2の実施形態に係る送受信回路110aは、送信回路111aの一部の構成が異なる点を除いて、第1の実施形態に係る送受信回路110の構成と同様である。なお、第2の実施形態に係る送信回路111aは、第1の実施形態に係る送信回路111と同様に、送信波形データを作成し、作成した送信波形データから超音波プローブ11aが超音波を送信するための送信信号を生成し、超音波プローブ11aに出力する。ここで、送信回路111aは、送信条件に応じて複数回送信される超音波それぞれに対応し、和成分がゼロとなる複数の補正前送信波形データと、送信条件に応じた補正値とに基づいて、送信波形データを作成する。
処理回路170aは、超音波診断装置1aの処理全体を制御する。第2の実施形態に係る処理回路170aの構成は、算出機能171を有する点を除いて、第1の実施形態に係る処理回路170の構成と同様である。算出機能171は、処理回路170aが算出機能171に対応するプログラムを記憶回路160から読み出し実行することで、実現される機能である。また、算出機能171は、算出回路の一例である。なお、図4においては単一の処理回路170aにて算出機能171にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
以下では、図5を用いて、超音波プローブ11a、送信回路111a、及び処理回路170aについて説明する。図5は、第2の実施形態を説明するための図である。図5では説明の便宜上、超音波診断装置1aが有する構成要素のうち、超音波プローブ11aと、送信回路111aと、記憶回路160と、処理回路170aとを図示する。
超音波プローブ11aは、後述する装置本体100aが備える送受信回路110aと通信可能に接続される。この超音波プローブ11aは、複数の補正前送信信号を算出機能に出力する抽出回路304を更に備える。例えば、超音波プローブ11aは、図5に示すように、ケーブル301と、プローブ内回路302と、振動子303と、抽出回路304と、アッテネータ305と、バッファ306とを有する。なお、超音波プローブ11aが有する構成要素のうち、第1の実施形態に係る超音波プローブ11と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
抽出回路304は、プローブ内回路302から複数の補正前送信信号を取得し、アッテネータ305を介して、取得した複数の補正前送信信号を算出機能171に出力する。アッテネータ305は、抽出回路304によって抽出された複数の補正前送信信号が大振幅で直接バッファ306に取り込めない場合に、補正前送信信号をアッテネートする。バッファ306は、アッテネータ305から出力された補正前送信信号をADC204に出力する。
また、図5に示すように、送信回路111aは、信号生成回路201と、DAC202と、増幅回路203と、ADC(Analog−Digital Converter)204とを有する。なお、送信回路111aが有する構成要素のうち、第1の実施形態に係る送信回路111と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
ADC204は、バッファ306から出力された補正前送信信号をデジタル変換して、算出機能171に出力する。
算出機能171は、第1の実施形態に係る補正値算出回路2と同様の機能を有する。すなわち、算出機能171は、生成直後から超音波プローブ11aが有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点で取得された複数の補正前送信信号の和成分、又は、当該複数の補正前送信信号により超音波プローブ11aが送信した時点で取得された複数の補正前超音波の和成分を、補正前和成分として取得する。例えば、算出機能171は、抽出回路により出力された複数の補正前送信信号を取得し、取得した複数の補正前送信信号を加算して補正前送信信号の和成分を取得する。或いは、算出機能171は、例えば、ハイドロフォンによって測定された複数の補正前超音波を取得し、取得した複数の補正前超音波を加算して補正前超音波の和成分を取得する。そして、算出機能171は、取得した補正前和成分に基づいて、補正値を算出する。
ここで、算出機能171が複数の補正前送信信号を取得する場合、複数の補正前送信信号は、抽出回路304、アッテネータ305、バッファ306、及びADC204を経由する。なお、抽出回路304、アッテネータ305、バッファ306、及びADC204のことを補正用回路とも言う。このため、算出機能171が取得する複数の補正前送信信号には、補正用回路を経由する過程でノイズが混入している可能性がある。このため、算出機能171は、取得する補正前送信信号の和成分に補正用回路用の変換関数を掛けて、補正用回路を経由する間に混入するノイズの影響を取り除いた補正前送信信号の和成分ΔSo(t)を導出する。なお、この補正用回路用の変換関数は、算出機能171が取得する補正前送信信号の和成分をノイズも含めて補正してプローブ内回路302から出力された時点の補正前送信信号の和成分に戻す関数である。
そして、算出機能171は、ΔSo(t)を求めれば、第1の実施形態に係る補正値算出回路2と同様にして補正値を算出する。
補正用回路の伝達関数と、第1の実施形態で説明した変換関数Hinvp(ω)及び変換関数Hinvn(ω)とを予め導出しておけば、複数の補正前送信信号の取得から補正値算出及び減算補正を超音波診断装置1a内で実行することが可能である。このため、送信条件、たとえば波数、周波数、電圧等や、超音波プローブ11aの個体ごとに、容易に補正値を求めることができる。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aによれば、予め補正値を計算しておかなくても、リアルタイムに補正値を算出して、複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成することができる。また、これにより、モード切り替えごとに適切な補正値を算出することが可能になる。この結果、モード切り替えごとに、複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成することができる。
また、超音波プローブ11aだけを新たに購入した場合、既存の装置本体100aとの間で、補正用回路の伝達関数と、変換関数Hinvp(ω)及び変換関数Hinvn(ω)とを導出するだけで、適切な補正値を算出することが可能になる。この結果、複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成することができる。
なお、補正用回路は、すべての振動子に設けなくてもよい。すなわち、補正回路は、少なくとも1チャンネルの補正前送信信号で代表させてもよい。言い換えると、抽出回路304は、超音波プローブ11aが有する複数の振動子303の所定の振動子に出力される複数の補正前送信信号を抽出するようにしてもよい。また、超音波プローブ11a内に抽出回路304、アッテネータ305、及びバッファ306を実装する場合、消費電力によってプローブの温度上昇に影響を与えないよう必要最小限の回路数にするのが望ましい。
また、算出機能171は、算出した補正値が所定の範囲外である場合に、異常である旨を通知するようにしてもよい。例えば、異常値によって音響パワー規制を超えないように、予め補正値として設定可能な範囲を設定しておく。そして、算出機能171は、補正値が、この範囲を超える値になった場合、異常とみなしてエラーを報知し、超音波の送信を行わないようにする。通常、補正値は振幅の3%以下と小さいので、音響パワーのデフォルト値をその分あらかじめ下げておけば、規制値を超えることはなく、感度への影響はきわめて小さく、問題とならない。
なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aは、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と同様に、ケーブル301と振動子303との間から検出された送信信号を利用して、当該複数回送信される超音波の和成分が所定の範囲内となる送信波形データを作成する。これにより、ケーブル301のインピーダンスの影響を受けない送信波形データを作成することが可能になる。この結果、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aによれば、振動子303での送信信号の位相極性は対称になる。
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態では、超音波プローブ11aから複数の補正前送信信号を抽出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、残渣を生じる支配的な要因が増幅回路203であり、超音波プローブ11aによるノイズの混入の影響を加味しなくてもよい場合には、例えば、送信回路111a内の増幅回路203の出力から複数の補正前送信信号を抽出してもよい。
図6は、第2の実施形態の変形例を説明するための図である。第2の実施形態の変形例に係る送信回路111aは、信号生成回路201と、DAC202と、増幅回路203と、ADC204と、抽出回路205と、アッテネータ206と、バッファ207とを有する。なお、第2の実施形態の変形例に係る送信回路111aが有する構成要素のうち、第2の実施形態に係る送信回路111aと同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
抽出回路205は、アッテネータ206を介して、増幅回路203により出力された複数の補正前送信信号を算出機能171に出力する。アッテネータ206は、抽出回路205によって抽出された複数の補正前送信信号の和成分が大振幅で直接バッファ207に取り込めない場合に、補正前送信信号をアッテネートする。バッファ207は、アッテネータ206から出力された補正前送信信号をADC204に出力する。
第2の実施形態の変形例に係る算出機能171が複数の補正前送信信号を取得する場合、複数の補正前送信信号は、抽出回路205と、アッテネータ206と、バッファ207、及びADC204を経由する。なお、抽出回路205と、アッテネータ206と、バッファ207、及びADC204のことを補正用回路とも言う。このため、算出機能171が取得する複数の補正前送信信号には、補正用回路を経由する過程でノイズが混入している可能性がある。このため、算出機能171は、取得する補正前送信信号の和成分に補正用回路用の変換関数を掛けて、補正用回路を経由する間に混入するノイズの影響を取り除いた補正前送信信号の和成分ΔSo(t)を導出する。なお、この補正用回路用の変換関数は、算出機能171が取得する補正前送信信号の和成分をノイズも含めて補正して増幅回路203から出力された時点の補正前送信信号の和成分に戻す関数である。
そして、算出機能171は、ΔSo(t)を求めれば、第1の実施形態に係る補正値算出回路2と同様にして補正値を算出する。
なお、上述した実施形態では、算出機能171は、生成直後から超音波プローブ11aが有する振動子303に与えられる直前までのいずれかの時点で取得された複数の補正前送信信号を加算して、複数の補正前送信信号の和成分を補正前和成分として取得する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、算出機能171は、複数の補正前送信信号により超音波プローブが送信した時点で取得された複数の補正前超音波を加算して、複数の補正前超音波の和成分を補正前和成分として取得してもよい。かかる場合、算出機能171は、例えば、ハイドロフォンによって測定された複数の補正前超音波を取得し、取得した複数の補正前超音波を加算して補正前超音波の和成分を取得する。
なお、第2の実施形態では、算出機能171が処理回路170a内に設けられる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図5及び図6に示す送信回路111a内に、算出機能と同様の機能を有する算出回路が設けられてもよい。
(その他の実施形態)
さて、これまで第1〜第2の実施形態について説明したが、上記した第1〜第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、位相0度と位相180度の2回の超音波を送信する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、位相0度、位相120度、位相240度の3回の超音波を送信して、基本波成分と2次高調波成分とを除去して3次高調波成分のみを抽出する場合にも適用可能である。
また、例えば、THIでは、受信信号に含まれる2次高調波成分と差音成分とを用いて映像化を行なう方法(Differential THIとも呼ばれる)が実用化されている。上述した実施形態は、差音成分を用いた映像化法にも適用可能である。この差音成分を用いた映像化法では、例えば、中心周波数が「f1」の第1基本波と、中心周波数が「f1」より大きい「f2」の第2基本波とを合成した合成波形の送信超音波を、超音波プローブ11(11a)から送信させる。この合成波形は、2次高調波成分と同一の極性を持つ差音成分が発生するように、互いの位相が調整された第1基本波の波形と第2基本波の波形とを合成した波形である。送信回路111(111a)は、合成波形の送信超音波を、位相を反転させながら、例えば、2回送信させる。かかる場合、例えば、Bモード処理回路120は、2つの受信信号を加算することで、基本波成分が除去され、差音成分及び2次高調波成分が主に残存したハーモニック成分を抽出した後、包絡線検波処理等を行なう。
なお、上述した実施形態では、変換関数を周波数成分として説明したが、時間軸の関数としてもよい。かかる場合、ΔSo(t)に時間軸の関数である変換関数を掛けて補正値を算出する。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション(医用画像診断装置)等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、位相の異なる複数の超音波を送信して生成する高調波成分の画像からノイズを低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。