JP6749459B2 - 試料をイオン化するための質量分析プローブおよびシステム - Google Patents

試料をイオン化するための質量分析プローブおよびシステム Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2014年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/926,713号、および2013年12月28日に出願されたインド特許出願第6137/CHE/2013号のそれぞれの利益および優先権を主張し、それぞれの内容は、その全体が本明細書において参考として援用される。
政府支援
本発明は、National Science Foundationによって与えられたCHE1307264の下での政府支援によりなされた。政府は、本発明について一定の権利を有する。
本発明は一般に、試料をイオン化するための質量分析プローブおよびシステムに関する。
質量分析における最近の進展は、イオン形成の方法の進歩に大きく依存してきた。最小の内部エネルギーを有する複雑な分子の安定な分子イオンの創製が、このような実験の主要目的となっている。これを実現するために最も広く使用されている方法は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)である。脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)などのより新しいアンビエントイオン化法は、試料を、最小限の試料前処理を用いて、または試料前処理なしでこれらの天然の状態で検査することを可能にする。これらの利点および得られる分析の速度は、アンビエントイオン化のおよそ50の異なる別形の導入に導いた。リアルタイム直接分析(DART)、抽出エレクトロスプレーイオン化(EESI)、脱離大気圧化学イオン化(DAPCI)、脱離大気圧光イオン化(DAPPI)、レーザーアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)、およびペーパースプレーイオン化は、過去10年にわたって導入された新しい方法の一部である。
これらの方法の多くは、周囲環境中でイオン化を実現するためにプローブに連結した高電圧源を使用する。高電圧を印加すると、イオン化プロセス中に標的分析物の望まれない断片化が時に引き起こされる場合がある。
本発明は、高電圧源を必要とすることなくイオンを生成するように構成された低電圧質量分析プローブを提供する。本発明の態様は、基材であって、基材の一部が材料で被覆されており、材料の一部が基材から突出する、基材を用いて達成される。一般に、これらの突起部は、ナノスケールであり、いずれの特定の理論または作用機序によっても限定されるものではないが、電極として作用する。突起部は、これらのナノスケール突起部において分析物を含有する微小な規模の溶液滴の電界放出を引き起こすのに十分高い電界強度をもたらす。そのようにして、本発明の質量分析プローブは、高電圧ではなく低電圧(例えば、3ボルトまたはそれ未満)の印加によって標的分析物をイオン化することができ、標的分析物の望まれない断片化を伴わないイオン化を可能にする。
ある特定の態様では、本発明は、基材を含む質量分析プローブを提供する。基材は、多孔質または非多孔質であり得る。例示的な基材は、濾紙から構成される基材などの紙基材
である。基材は、任意の形状を有することができる。ある特定の実施形態では、基材は、先端部へと先細りする平面部分を含む基材など、先端部へと先細りする。例示的な形状は、先端部へと先細りする三角形の基材である。
プローブは、基材の一部を被覆する材料をさらに含む。その材料の一部は、基材から突出する。ある特定の実施形態では、材料は、導電性材料であるが、それは不可欠ではない。理由は、材料を囲繞する溶媒が一部の場合では電解質であり得るためである。任意の導電性材料を本発明のプローブとともに使用してもよい。例示的な材料としては、カーボンナノチューブなどの導電性ナノチューブがある。典型的には、カーボンナノチューブは、基材の外面を被覆し、複数のカーボンナノチューブの遠位部分が基材の表面から突出する。カーボンナノチューブまたは任意の選択された材料の一部が基材に浸透することも可能である。
ある特定の実施形態では、基材は、電圧源に連結されている。ある特定の実施形態では、電圧源は、3ボルトもしくはそれ未満、例えば、2.9ボルトもしくはそれ未満、2.8ボルトもしくはそれ未満、2.7ボルトもしくはそれ未満、2.6ボルトもしくはそれ未満、2.5ボルトもしくはそれ未満、2.4ボルトもしくはそれ未満、2.3ボルトもしくはそれ未満、2.2ボルトもしくはそれ未満、2.1ボルトもしくはそれ未満、2ボルトもしくはそれ未満、1.5ボルトもしくはそれ未満、または1ボルトもしくはそれ未満などの電圧を生成するように構成されている。
本発明の別の態様は、基材を有する質量分析プローブであって、基材の一部が材料で被覆されており、材料の一部が基材から突出する、質量分析プローブを含むシステムを提供する。電圧源は、基材に連結されており、質量分析器は、システムに作動可能に付随しており、その結果それは、質量分析プローブから生成されるイオンを受け取る。ある特定の実施形態では、プローブは、溶媒のフローから別個になっている。ある特定の実施形態では、プローブは、空気圧支援を伴わずに作動する。質量分析器は、卓上質量分析計用またはミニチュア質量分析計用であり得る。
本発明の別の態様は、カーボンナノチューブを有する質量分析プローブと、プローブに連結した電圧源と、質量分析器とを含むシステムを提供する。ある特定の実施形態では、カーボンナノチューブだけでプローブを作り上げる。他の実施形態では、プローブは、基材(多孔質または非多孔質)をさらに含み、カーボンナノチューブは、基材に連結されている。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
基材を含む質量分析プローブであって、前記基材の一部が材料で被覆されており、前記材料の一部が前記基材から突出する、質量分析プローブ。
(項目2)
前記基材に連結された電圧源をさらに含む、項目1に記載のプローブ。
(項目3)
前記電圧源が、3ボルトまたはそれ未満の電圧を生成するように構成されている、項目2に記載のプローブ。
(項目4)
前記材料が導電性材料である、項目1に記載のプローブ。
(項目5)
前記導電性材料が、1つまたはそれ超の導電性ナノチューブを含む、項目4に記載のプローブ。
(項目6)
前記導電性ナノチューブが、カーボンナノチューブである、項目5に記載のプローブ。(項目7)
前記カーボンナノチューブが、前記基材の外面を被覆する、項目6に記載のプローブ。(項目8)
基材を含む質量分析プローブであって、前記基材の一部が材料で被覆されており、前記材料の一部が前記基材から突出する、質量分析プローブと、
前記基材に連結された電圧源と、
質量分析器と
を含むシステム。
(項目9)
前記電圧源が、3ボルトまたはそれ未満の電圧を生成するように構成されている、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記材料が導電性材料である、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記導電性材料が、1つまたはそれ超の導電性ナノチューブを含む、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記導電性ナノチューブが、カーボンナノチューブである、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記カーボンナノチューブが、前記基材の外面を被覆する、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記基材が、先端部へと先細りする、項目8に記載のシステム。
(項目15)
前記プローブが、溶媒のフローから別個である、項目8に記載のシステム。
(項目16)
前記プローブが、空気圧支援を用いずに作動する、項目8に記載のシステム。
(項目17)
前記質量分析器が、ミニチュア質量分析計である、項目8に記載のシステム。
(項目18)
カーボンナノチューブを含む質量分析プローブと、
前記プローブに連結された電圧源と、
質量分析器と
を含むシステム。
(項目19)
前記プローブが、基材をさらに含み、前記カーボンナノチューブが、前記基材に連結されている、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記基材が多孔質基材である、項目19に記載のシステム。
図1のパネルAは、カーボンナノチューブ(CNT)ペーパーからのイオン化の模式図である。パネルBは、接地電気的接続(grounding electrical connection)とともに紙の三角形体およびバッテリーを示すイオン化源の写真である。パネルCは、湿潤CNTペーパーからの3kV、3V、および1Vでのトリフェニルホスフィン(M)の質量スペクトルである。パネルDは、CNT被覆ペーパーの電界放出−走査電子顕微鏡法(FE−SEM)画像である。パネルEは、3Vにおけるプロトン化された分子の同位体分布である。パネルFは、m/z 263のプロダクトイオンMSである。
図2は、3Vでのトリフェニルホスフィンの全範囲の質量スペクトルである。
図3は、3kVでのトリフェニルホスフィンのESI質量スペクトル(MeOH:HO、1:1)である。スペクトルは、CNT被覆ペーパー(図1のパネルC)と比較した、m/z 279における増強された酸化ピーク、およびm/z 221におけるそのC断片を示す。MS/MSスペクトルが挿入図に示されている。
図4は、矩形のCNT被覆ペーパーを使用して生成されるスペクトルであり、挿入図は、紙(質量分析計がその一面に向き合っている)の概略図を示す。
図5Aは、CNT被覆ペーパーについてのm/z 263ピークの強度の電圧による変動を示す。図5Bは、通常の紙についての同じものを示す。 図5Aは、CNT被覆ペーパーについてのm/z 263ピークの強度の電圧による変動を示す。図5Bは、通常の紙についての同じものを示す。
図6のパネルA〜Dは、3Vでの様々な分析物(M)についての希HClを添加した後の強度増強を示す。パネルAは、トリフェニルホスフィンを示す。パネルBは、トリブチルホスフィンを示す。パネルCは、ジフェニルアミンを示す。パネルDは、トリエチルアミンを示す。各プロットの上および下のトレースは、同じスケールであり、それぞれHClを添加する前後のスペクトルを示す。
図7のパネルA〜Bは、3Vでの事前形成されたイオン(陽および陰イオンモード)の分析を示す。パネルAは、塩化テトラメチルアンモニウムを示す。パネルBは、臭化テトラメチルアンモニウムを示す。
図8のパネルA〜Bは、3Vでの事前形成されたイオン(陽および陰イオンモード)の分析を示す。パネルAは、硝酸テトラメチルアンモニウムを示す。パネルB ヨウ化テトラブチルアンモニウム。
図9のパネルA〜Cは、オレンジの表面から個々に検査した農薬の検出を示す。パネルAは、カルボフランである。パネルBは、メチルパラチオンである。パネルCは、パラチオンである。
図10は、オレンジの表面からの3Vでの農薬混合物の分析を示す。ピークの同位体分布は、低強度に起因して明確に目に見えない。
図11のパネルA〜Cは、3VでのCNT被覆ペーパーからの錠剤の、これらの質量スペクトルデータおよびMSデータを用いた分析を示す。パネルAは、Crocine(パラセタモール)である。パネルAは、xyzal(レボセチリジン二塩酸塩)である。パネルAは、combiflam(パラセタモール)である。
図12のパネルA〜Hは、CNT被覆ペーパーにロードした様々なアミノ酸(90ng)の検出および3Vで記録したスペクトルを示す。パネルAは、フェニルアラニンである。パネルbは、メチオニンである。パネルCは、グルタミン酸である。パネルDは、グルタミンである。パネルEは、イソロイシンである。パネルFは、バリンである。パネルGは、プロリンである。パネルHは、セリンである。
図13のパネルA〜Cは、イオン化前後のCNT被覆ペーパーのラマン測定を示す。パネルAは、中性分子(MeOH/HO中30ppmのTTP)および事前形成されたイオン(臭化テトラメチルアンモニウム)を示す。パネルBは、陽イオンモードで示す。パネルCは、陰イオンモードで示す。
図14は、様々な異なるタイプの試料を分析するための本発明のシステムを例示する概略図である。質量分析プローブは、カーボンナノチューブで被覆されているように例示されている。
図15のパネルA〜Eは、1Vでの様々な酸のプロトン結合二量体の検出を示す。パネルAは、ギ酸である。パネルBは、酢酸である。パネルCは、プロピオン酸である。パネルDは、酪酸である。パネルEは、ペンタン酸である。文字「D」は、プロトン結合二量体を表す。
図16のパネルA〜Dは、様々な酸混合物の混合二量体の検出を示す。パネルAは、酢酸&酪酸である。パネルBは、プロピオン酸&酪酸である。パネルCは、酢酸&ペンタン酸である。パネルDは、ギ酸&ペンタン酸である。文字「D」は、プロトン結合二量体を表す。
図17のパネルA〜Bは、2種の異なる溶媒中の様々な酸についてのD/M比対電圧試験を示す。パネルAは、水中である。パネルBは、メタノール中である。
図18は、異なる溶媒中のプロピオン酸についてのD/M比対電圧を示す。
図19のパネルA〜Dは、1Vでの様々な陰イオンの水和物の検出を示す。パネルAは、塩化物であり、パネルBは、臭化物である。パネルCは、ヨウ化物である。パネルDは、アセテートである。
図20は、試験分析物として50ppmトリフェニルホスフィン溶液を使用する低電圧スプレー質量分析(CNT被覆ペーパースプレー)についてのスプレー電圧に対する信号対ノイズ比(S/N)のプロットである。このスプレーは、各実験について先端部上に分析物溶液5μLを送達することによって行った。CNT被覆ペーパー先端部は、MS入口からおよそ1mm離して配置した。
図21は、試験分析物としてメタノール中の50ppmトリフェニルホスフィン溶液を使用する、低電圧スプレー質量分析(CNT被覆ペーパースプレー)についてのスプレー電圧に対する信号強度のプロットである;矩形のCNTペーパースプレー、キャピラリー電圧およびチューブレンズ電圧 0V、MS入口からの距離 約0.5mm、5回の実験の平均値。
図22は、3VでのCNTペーパースプレー質量分析(上)および3.5kVでのペーパースプレー質量分析(下)を使用してBacillus subtilisから得たネガティブモード質量スペクトルを示す。スプレー溶媒(メタノール、10μL)を、紙の矩形体に塗り付けた数個のコロニーに添加した。
本発明は一般に、試料をイオン化するための質量分析プローブおよびシステムに関する。ある特定の実施形態では、本発明は、基材を含む質量分析プローブであって、基材の一部が材料で被覆され、材料の一部が基材から突出する、質量分析プローブを提供する。本発明のプローブを用いると、空気圧支援は、分析物を輸送するのに要求されず、むしろ、電圧(例えば、例えば3ボルトまたはそれ未満の低電圧)が、質量分析計の前部に把持されている基材に単に印加される。
ある特定の実施形態では、基材は、溶媒の連続フローなどの溶媒のフローから別個に(すなわち、分離して、または切り離して)保持される。代わりに、試料は、試料を含む表面から基材上にスポットされ、またはその上にスワブされる。次いでスポットまたはスワブされた試料は、電圧源に接続されて試料のイオンが生成され、イオンは、引き続いて質
量分析される。試料は、別途の溶媒フローを必要とすることなく基材によって輸送される。空気圧支援は、分析物を輸送するのに要求されず、むしろ、電圧が、質量分析計の前部に把持されている多孔質材料に単に印加される。
他の実施形態では、基材は、連続的な溶媒フローまたは溶媒リザーバーに連結され、その結果基材は、溶媒を連続的に供給され得る。このような例示的なセットアップは、例えば、Bareら(国際特許出願公開第WO2012/170301号)に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
溶媒は、分離/抽出およびイオン化を支援し得る。質量スペクトル分析に適合する任意の溶媒を使用してよい。特定の実施形態では、好都合な溶媒は、エレクトロスプレーイオン化にも使用されるものである。例示的な溶媒としては、水、メタノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフラン(THF)の組合せが挙げられる。有機含有量(水に対するメタノール、アセトニトリルなどの割合)、pH、および揮発性塩(例えば、酢酸アンモニウム)は、分析される試料に応じて変動し得る。例えば、薬物イマチニブのような塩基性分子は、より低いpHでより効率的に抽出およびイオン化される。シロリムスのようなイオン性基を有さないが、いくつかのカルボニル基を有する分子は、付加体形成に起因して溶媒中のアンモニウム塩でより良好にイオン化する。
基材の材料は、導電性であり得、またはこれは、絶縁体であり得る。基材は、多孔質材料もしくは非多孔質材料、またはこれらの組合せで構成することができる。非多孔質は、液体または気体が材料を通過して他方の反対側に出ることを可能にする貫通孔を含まない材料を指す。例示的な非多孔質材料としては、それらに限らないが、金属、プラスチック、ポリマー、ガラス、またはグラフェンがある。
多孔質材料は、例えば、Ouyangら(米国特許第8,859,956号)に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。ある特定の実施形態では、多孔質材料は、任意のセルロース系材料である。他の実施形態では、多孔質材料は、非金属多孔質材料、例えば、綿、リネンウール、合成織物、または植物組織(例えば、葉)などである。さらに他の実施形態では、多孔質材料は、紙である。紙の利点には:コスト(紙は、安価である);紙は完全に商品化されており、その物理的および化学的性質を調整することができること;紙は液体試料から微粒子(細胞および粉塵)を濾過することができること;紙は容易に成形されること(例えば、切断し、引き裂き、または折り畳むことが容易);毛細管作用の下で液体が紙に流入すること(例えば、外部のポンピングおよび/または電力供給装置を用いないで);ならびに紙は使い捨てであることが含まれる。
特定の実施形態では、多孔質材料は、濾紙である。例示的な濾紙としては、セルロース濾紙、無灰濾紙、ニトロセルロース紙、ガラスマイクロファイバー濾紙、およびポリエチレン紙がある。任意の孔サイズを有する濾紙を使用してもよい。例示的な孔サイズとしては、グレード1(11μm)、グレード2(8μm)、グレード595(4〜7μm)、およびグレード6(3μm)があり、孔サイズは、スプレー材料内部の液体の輸送に影響を及ぼすことになるだけでなく、先端部におけるテイラーコーンの形成にも影響し得る。最適な孔サイズは、安定なテイラーコーンを生成し、液体蒸発を低減することになる。濾紙の孔サイズは、濾過における重要なパラメータでもあり、すなわち、紙は、オンライン前処理デバイスとして作用する。低nm範囲の孔サイズを有する再生セルロースの市販の限外濾過膜は、1000Daという小さい粒子を保持するように設計されている。1000Da〜100,000Daの範囲の分子量カットオフを有する限外濾過膜を商業的に得ることができる。
本発明の基材は、任意の形状であり得、鋭く尖った先は、本発明のプローブを使用してイオンを生成するのに要求されない。例えば、本発明の基材は、矩形であり得、イオンは、矩形体の隅のポイントとは対照的に、矩形体の縁部に沿って生成され得る。特定の実施形態では、多孔質材料は、イオン生成のために、三角形のポイントなどの巨視的に鋭く尖った先を有するように成形される。本発明のプローブは、異なる先端幅を有し得る。ある特定の実施形態では、プローブの先端幅は、少なくとも約5μmまたはそれ超、少なくとも約10μmまたはそれ超、少なくとも約50μmまたはそれ超、少なくとも約150μmまたはそれ超、少なくとも約250μmまたはそれ超、少なくとも約350μmまたはそれ超、少なくとも約400μmまたはそれ超、少なくとも約450μmまたはそれ超などである。特定の実施形態では、先端幅は、少なくとも350μmまたはそれ超である。他の実施形態では、プローブ先端幅は、約400μmである。他の実施形態では、本発明のプローブは、円錐形などの3次元形状を有する。ある特定の実施形態では、基材は、先端部へと先細りする平面部分を含む基材など、先端部へと先細りする。例示的な形状は、先端部へと先細りする三角形の基材である。
本発明のプローブに関して、基材の一部または全体が材料で被覆されている。被膜は、材料の1つまたは複数の部分が基材から突出するように基材に塗布される。一般に、これらの突起部は、ナノスケール(ナノメートルの特徴物)であり、いずれの特定の理論または作用機序にも限定されるものではないが、電極として作用する。突起部は、これらのナノスケール突起部において分析物を含有する微小な規模の溶液滴の電界放出を引き起こすのに十分高い電界強度をもたらす。そのようにして、本発明の質量分析プローブは、高電圧ではなく低電圧(例えば、3ボルトまたはそれ未満)の印加によって標的分析物をイオン化することができ、標的分析物の望まれない断片化を伴わないイオン化を可能にする。
ある特定の実施形態では、材料は、導電性材料であるが、それは不可欠ではない。理由は、材料を囲繞する溶媒が一部の場合では電解質であり得るためである。任意の導電性材料を本発明のプローブとともに使用してもよい。例示的な材料には、導電性ナノチューブが含まれる。ナノチューブは、ナノメートルスケールチューブ様構造体である。例示的なナノチューブは、カーボンナノチューブ、シリコンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、または無機ナノチューブ(すなわち、金属酸化物もしくはIII族−窒化物から形成されるナノチューブ)である。典型的には、ナノチューブは、基材の外面を被覆し、複数のナノチューブの部分(遠位部分など)が基材の表面から突出する。ナノチューブまたは任意の選択された材料の一部が基材に浸透することも可能である。
ある特定の実施形態では、ナノチューブは、例えば、Monthiouxら(Carbon、44巻(
9号):1621頁、2006年)、Oberlinら(Journal of Crystal Growth、32
巻(3号):335〜349頁、1976年)、Endoら(Carbon、37巻(11号):1873頁、2002年)、Izvestiyaら(Metals、1982年、3巻、12〜17頁)、Tennent(米国特許第4,663,230号)、Iijimaら(Nature、354巻(6348号):56〜58頁、1991年)、Mintmireら(Phys. Rev. Lett.、68巻(5号):631〜634頁、1992年)、Bethune(Nature、363巻(6430号):605
〜607頁、1993年)、Iijimaら(Nature、363巻(6430号):603〜605頁、1993年)、Kratschmerら(Nature、347巻(6291号):354〜358頁、1990年)、およびKrotoら(Nature、318巻(6042号):162〜163
頁、1985年)に記載されているカーボンナノチューブであり、これらの文献それぞれの内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
カーボンナノチューブ(CNT)は、円柱状ナノ構造を有する炭素の同素体である。カーボンナノチューブは、フラーレン構造ファミリーのメンバーである。これらの名称は、グラフェンと呼ばれる炭素の1原子の厚さのシートによって形成される壁を有するこれら
の長い中空構造に由来する。これらのシートは、特定のかつ別個の(「キラル」)角度でロールされ、ローリング角および半径の組合せがナノチューブの性質;例えば、個々のナノチューブシェルが金属であるか、半導体であるかを決定する。カーボンナノチューブは、単層ナノチューブ(SWNT)および多層ナノチューブ(MWNT)として分類され、両方が本発明のプローブとともに使用され得る。
ほとんどの単層ナノチューブ(SWNT)は、1ナノメートルに近い直径を有し、何百万倍長くなり得るチューブ長を伴う。SWNTの構造は、グラフェンと呼ばれる1原子厚層のグラファイトを巻いて継ぎ目のない円筒にすることによって概念化することができる。グラフェンシートが巻かれる方法は、一対の指数(n,m)によって表される。整数nおよびmは、グラフェンのハニカム結晶格子内の2つの方向に沿った単位ベクトルの数値を表す。m=0である場合、ナノチューブは、ジグザグナノチューブと呼ばれ、n=mである場合、ナノチューブは、アームチェアナノチューブと呼ばれる。その他では、これらは、キラルと呼ばれる。理想的なナノチューブの直径は、以下の通りその(n,m)指数から計算することができる:
式中、a=0.246nmである。
多層ナノチューブ(MWNT)は、グラフェンの多数のロール層(同心チューブ)からなる。多層ナノチューブの構造を記述するのに使用することができる2つのモデルがある。Russian Dollモデルでは、グラファイトのシート、例えば、より大きい(0,17)単層ナノチューブ内に(0,8)単層ナノチューブ(SWNT)が同心円筒中に配列される。Parchmentモデルでは、グラファイトの単一のシートがそれ自体を囲むようにロールされ、羊皮紙の巻き物またはロールされた新聞紙に類似している。多層ナノチューブ中の層間距離は、グラファイト中のグラフェン層間の距離に近く、およそ3.4Åである。Russian Doll構造がより一般に観察される。その個々のシェルをSWNTと記述することができ、これらは、金属性または半導性であり得る。個々のチューブの相対的な直径に対する統計的な確率および制限のために、シェルの1つ、およびしたがってMWNT全体は、通常、ゼロギャップ金属である。
本明細書において用いられる場合、用語カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブおよびフラーレンの組合せであるカーボンナノバッドを含む。カーボンナノバッドでは、フラーレン様のバッドが下にあるカーボンナノチューブの外側側壁に共有結合している。このハイブリッド材料は、フラーレンおよびカーボンナノチューブの両方の有用な性質を有する。特に、これらは、並外れて良好な電界エミッターであることが判明している。複合材料では、付着したフラーレン分子は、ナノチューブのスリップを防止する分子アンカーとして機能を果たす場合があり、したがって複合体の機械的性質を改善する。
本明細書において用いられる場合、用語カーボンナノチューブは、グラフェン化(graphenated)CNTも含み、これらは、多層または竹スタイル(bamboo style)CNTの側壁に沿って成長する黒鉛状葉状物(graphitic foliate)を組み合わせるハイブリッドである。グラフェン化CNTは、例えば、Yuら(J. Phys. Chem. Lett.、13 2巻(
13号):1556〜1562頁、2011年)、およびStonerら(Appl. Phys. Lett.、18 99巻(18号):183104頁、2011年)に記載されており、これら
のそれぞれの内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
本明細書において用いられる場合、用語カーボンナノチューブは、窒素ドープカーボン
ナノチューブなどのドープカーボンナノチューブ(Kouvetakisら、Chemistry of Materials、6巻(6号):811頁、1994年;Zhongら、Journal of Physics and Chemistry of Solids、71巻(2号):134頁、2010年;Yinら、Advanced Materials、15巻(21号):1840頁、2003年;およびOkuら、Diamond and Related Materials、9巻(3〜6号):906頁、2000年);ならびにカーボンナノチューブ内部にフラーレンを捕捉するハイブリッド炭素材料であるカーボンピーポッド(Smithら、Nature、396巻:323〜324頁、1998年;およびSmithら、Chem. Phys. Lett.、321巻:169〜174頁、2000年)も含む。
本発明のカーボンナノチューブプローブを使用する例示的なシステムを図14に示す。以下の実施例に記載するように、カーボンナノチューブ(CNT)被覆/含浸ペーパーを使用して、3Vまたはそれ未満の電位で有機分子からイオンを生成することができる。オレンジの表面からの一般的な農薬、医薬錠剤の成分、およびアミノ酸などの様々な分析物が、本発明のプローブおよびシステムを使用して特徴付けられている。
ある特定の実施形態では、材料は、導電性繊維性材料であり、その結果、複数の繊維の部分が基材から突出する。例示的な繊維は、金属もしくは炭素繊維、または金属もしくは炭素ナノワイヤーである。これらの繊維は、中空または中実であり得る。ある特定の実施形態では、突起部は、基材上にナノメートル特徴物(プロセスで使用される材料に基づいて導電性であり、または導電性でない)として印刷される(印刷された被膜)。Gingerら(Angewandte Chemie International Edition、43巻(1号):30〜45頁、2004年)に記載されたディップペンナノリソグラフィーをこのプロセスに使用することができ、または例えば、Yueh-Linら(Appl. Phys. Lett.、81巻(3号):562〜5
64頁、2002年)に記載されたものなどの他の公知のプロセスを使用してもよく、これらの文献のそれぞれの内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
本発明の質量分析プローブは、典型的には電圧源に連結される。ある特定の実施形態では、電圧源は、低電圧源、すなわち、3ボルトもしくはそれ未満、例えば、2.9ボルトもしくはそれ未満、2.8ボルトもしくはそれ未満、2.7ボルトもしくはそれ未満、2.6ボルトもしくはそれ未満、2.5ボルトもしくはそれ未満、2.4ボルトもしくはそれ未満、2.3ボルトもしくはそれ未満、2.2ボルトもしくはそれ未満、2.1ボルトもしくはそれ未満、2ボルトもしくはそれ未満、1.5ボルトもしくはそれ未満、または1ボルトもしくはそれ未満などの電圧を生成するように構成されている電圧源である。他の実施形態では、高電圧源(例えば、3ボルト超)が本発明のプローブに連結されている。このような連結は、当技術分野で公知である。
本発明の質量分析プローブは、試料を分析するための質量分析計とインターフェースすることができる。上述したように、液滴を輸送するのに空気圧支援は要求されない。分析物のアンビエントイオン化は、これらの帯電液滴に基づいて実現され、溶液相試料を質量分析するための単純で好都合な手法を提供する。試料溶液は、いずれの前処理も伴うことなく質量分析計の入口の前部に把持されたプローブ上に直接塗布される。次いでアンビエントイオン化が、プローブに電位(高いまたは低い)を印加することによって実施される。
当技術分野で公知の任意のタイプの質量分析計を、本発明のプローブとともに使用することができる。例えば、質量分析計は、標準的な卓上質量分析計であり得る。他の実施形態では、質量分析計は、ミニチュア質量分析計である。例示的なミニチュア質量分析計は、例えば、Gaoら(Z. Anal. Chem.、2006年、78巻、5994〜6002頁)に
記載されており、その内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。数千ワットの電力を伴う実験室規模の計測器に使用されるポンプシステムと比較すると、ミニ
チュア質量分析計は一般に、Gaoらに記載されたシステムについての5L/分(0.3m
3/時間)のダイヤフラムポンプおよび11L/秒のターボポンプのみを用いた18Wポンプシステムなどのより小さいポンプシステムを有する。他の例示的なミニチュア質量分析計は、例えば、Gaoら(Anal. Chem.、80巻:7198〜7205頁、2008年)
、Houら(Anal. Chem.、83巻:1857〜1861頁、2011年)、およびSokolら(Int. J. Mass Spectrom.、2011年、306巻、187〜195頁)に記載され
ており、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。ミニチュア質量分析計は、例えば、Xuら(JALA、2010年、15巻、433〜439頁);Ouyangら(Anal. Chem.、2009年、81巻、2421〜2425頁);Ouyangら(Ann. Rev. Anal. Chem.、2009年、2巻、187〜214頁);Sandersら(Euro. J. Mass Spectrom.、2009年、16巻、11〜20頁);Gaoら(Anal. Chem.、2006年、78巻(17号)、5994〜6002頁);Mulliganら(Chem.Com.
、2006年、1709〜1711頁);およびFicoら(Anal. Chem.、2007年、79巻、8076〜8082頁).)にも記載されており、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
ある特定の実施形態では、本発明のシステムは、ミニチュア質量分析計で特に有用である不連続インターフェースを備えている。例示的な不連続インターフェースは、例えば、Ouyangら(米国特許第8,304,718号)に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。ある特定の実施形態では、分析中に試料を加熱することが有利である。したがって、ある特定の実施形態では、本発明の質量分析プローブは、Cooksら(米国特許出願公開第2013/0344610号)に記載されたもの
などの加熱素子とともに構成されており、この文献の内容は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
ある特定の実施形態では、本発明の方法およびシステムは、質量スペクトル分析のための分析物を把持および輸送するのに、多孔質材料、例えば、紙を使用する。試料中の分析物は、多孔質材料に電圧(低いまたは高い)を印加してイオンを生成するために、統合された様式で多孔質材料中で予め濃縮され、富化され、精製される。ある特定の実施形態では、別個の量の輸送溶液(例えば、1個の液滴または数個の液滴)が、多孔質材料を通じて分析物が移動するのを支援するために塗布される。ある特定の実施形態では、分析物は、多孔質材料に塗布される溶液中に既に存在する。このような実施形態では、追加の溶媒が多孔質材料に添加される必要はない。他の実施形態では、分析物は、表面をスワブすることによって容易に収集することができる粉末状試料中にある。本発明のシステムおよび方法は、植物もしくは動物組織、または生体内の組織の分析を可能にする。
本発明の方法およびシステムは、エピネフリン、セリン、アトラジン、メタドン、ロキシスロマイシン、コカイン、およびアンギオテンシンIを含めた多種多様な低分子、または分子複合体(例えば、タンパク質およびペプチド複合体)の分析に使用することができる。すべてが様々な多孔質表面からの高品質な質量およびMS/MSプロダクトイオンスペクトルを示す。本発明の方法およびシステムは、0.1〜10μg/mLの程度の分析物濃度(合計量の分析物50pg〜5ng)で、典型的には数μlの小体積の溶液の使用を可能にし、1〜数分続く信号を与える。
本発明の方法およびシステムは、タンパク質およびペプチドならびに生体分子複合体(bimolecular complex)(タンパク質またはペプチド複合体)を含めた多種多様な生体分子の分析にも使用することができる。本発明の方法は、ゲルからオリゴヌクレオチドを分析するのにも使用することができる。ゲル中のオリゴヌクレオチドを電気泳動で分離した後、目的の1つまたは複数のバンドが当技術分野で公知の方法を使用して多孔質材料にブロットされる。ブロッティングは、ゲル中のバンド内のオリゴヌクレオチドの少なくとも
一部の本発明のプローブへの移動をもたらす。次いでプローブは、電圧源に接続され、オリゴヌクレオチドは、イオン化され、質量スペクトル分析のために質量分析計へとスプレーされる。
本発明の方法およびシステムは、全血または尿などの複合混合物の分析に使用することができる。血液中の医薬品または他の化合物を分析するための典型的な手順は、分析の前に可能な限り多くの妨害を除去するように設計された多段階式プロセスである。最初に、血液細胞がおよそ1000×gで15分間の遠心分離を介して血液の液体部分から分離される(Mustard, J. R;Kinlough-Rathbone, R. L.;Packham, M. A.、Methods in
Enzymology;Academic Press、1989年)。次に、内部標準が得られる血漿中にス
パイクされ、液体−液体または固相抽出が、分析物のほとんどすべてを回収しながら可能な限り多くの基質化学物質を除去する目的で実施される(Buhrman, D. L.;Price, P.
I.;Rudewicz, P. J.、Journal of the American Society for Mass Spectrometry、1996年、7巻、1099〜1105頁)。抽出された相は典型的には、溶媒
を蒸発させることによって乾燥され、次いで高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相として使用される溶媒中に再懸濁される(Matuszewski, B. K.;Constanzer, M. L.;Chavez-Eng, C. M.、Ithaca、New York、1997年7月23〜25日;88
2〜889頁)。最後に、試料がおよそ5〜10分間HPLCを実行する過程で分離され、溶離液がエレクトロスプレーイオン化−タンデム質量分析法によって分析される(Hopfgartner, G.;Bourgogne, E.、Mass Spectrometry Reviews、2003年、22巻、
195〜214頁)。
本発明の方法およびシステムは、上記試料後処理ステップを回避する。本発明の方法およびシステムは、抽出手順をわずかに改良した同様の様式で乾燥血液スポットを分析する。最初に、特殊なデバイスが、各乾燥血液スポットからまったく同様にサイズ調整したディスクを打ち抜くのに使用される。次いでこれらのディスク上の材料が、内部標準を含有する有機溶媒中で抽出される(Chace, D. H.;Kalas, T. A.;Naylor, E. W.、Clinical Chemistry、2003年、49巻、1797〜1817頁)。抽出された試料が紙基材上で乾燥され、本明細書に記載するように分析が進行する。
本発明の方法およびシステムは、分析の前に試料調製を必要とすることなく、複合混合物中の個々のコンポーネント、例えば、尿中のカフェイン、ヒトの指上のコカイン50pg、デスクトップ表面上のヘロイン100pg、ならびにインタクトな副腎組織中のホルモンおよびリン脂質などを直接検出することができる。本発明の方法およびシステムは、紙に直接移された針生検組織切片を迅速に連続して検査することによって、単純なイメージング実験を実施することを可能にする。
溶液からの分析物は、検査のためにプローブに塗布され、溶液の溶媒コンポーネントは、エレクトロスプレー溶媒として機能を果たすことができる。ある特定の実施形態では、分析物(例えば、固体または溶液)は、多孔質材料、例えば、紙上に事前にスポットされ、溶媒は、質量スペクトル分析のためにスプレー中に分析物を溶解させ、輸送するために材料に塗布される。
ある特定の実施形態では、溶媒は、分離/抽出およびイオン化を支援するために多孔質材料に塗布される。質量スペクトル分析に適合する任意の溶媒が使用され得る。特定の実施形態では、好都合な溶媒は、エレクトロスプレーイオン化にも使用されるものであろう。例示的な溶媒には、水、メタノール、アセトニトリル、およびTHFの組合せが含まれる。有機含有量(水に対するメタノール、アセトニトリルなどの割合)、pH、および揮発性塩(例えば、酢酸アンモニウム)は、分析される試料に応じて変更される場合がある。例えば、薬物イマチニブのような塩基性分子は、より低いpHでより効率的に抽出およ
びイオン化される。シロリムスのようなイオン性基を有さないが、いくつかのカルボニル基を有する分子は、付加体形成に起因して溶媒中のアンモニウム塩でより良好にイオン化する。
ある特定の実施形態では、多次元手法が行われる。例えば、試料は、1つの次元に沿って分離され、その後別の次元でのイオン化が続く。これらの実施形態では、分離およびイオン化は、個々に最適化することができ、異なる溶媒を各相について使用することができる。
他の実施形態では、プローブ上の分析物の輸送は、電界と組み合わせて溶媒によって達成される。電位が印加されるとき、プローブ上の分析物の移動の方向は、溶液中のこれらの帯電形態の極性に関係することが見出されている。スプレー前の分析物の事前濃縮も、プローブ上の一ポイントに電極を配置することによってプローブ上で実現することができる。先端部付近に接地電極を配置することによって、DC電圧が印加されるとき、強い電界がプローブを通じて生成され、帯電分析物は、この電界下で前方に推進される。スプレーが開始される前に、特定の分析物がプローブのある特定の部分で濃縮されてもよい。
ある特定の実施形態では、化学物質が、プローブの化学的性質を改変するためにプローブに塗布される。例えば、異なる化学的性質を有する試料コンポーネントを異なって保持することを可能にする化学物質を塗布することができる。さらに、塩および基質効果を最小限にする化学物質を塗布することができる。他の実施形態では、酸性または塩基性化合物が、スポッティングの後の試料のpHを調整するために多孔質材料に添加される。pHの調整は、血液などの生体液の分析の改善に特に有用であり得る。さらに、選択された分析物のオンライン化学誘導体化を可能にする化学物質を、例えば、効率的なエレクトロスプレーイオン化のために非極性化合物を塩に変換するのに塗布することができる。
ある特定の実施形態では、多孔質材料を改変するのに塗布される化学物質は、内部標準である。内部標準は、定量分析のために内部標準を提供するために、材料中に組み込み、溶媒フロー中に既知の速度で放出することができる。他の実施形態では、多孔質材料は、質量スペクトル分析の前に目的の分析物の事前分離および事前濃縮を可能にする化学物質で改変される。
スプレー液滴は、陽イオンモードでの強い照射下で可視化することができ、ナノエレクトロスプレーイオン源(nESI)から放出される液滴とサイズが同等である。陰イオンモードでは、電子が放出され、ベンゾキノンのような気相電子捕捉剤を使用して捕捉され得る。
ここで記載した方法は、新生児(neotal)スクリーニング、治療薬監視、および組織生検分析を含めた臨床用途にとって望ましい特徴を有する。手順は、単純で迅速である。多孔質材料は、例えば、全血の分析中に血液細胞を保持するフィルターとして二次的役割を果たす。重要なことに、試料を多孔質材料上に貯蔵し、次いで分析前に多孔質材料から移す必要なく、後日に貯蔵された多孔質材料から直接分析することができる。本発明のシステムは、オープンラボ環境において実施される室内実験を可能にする。
参照による組み込み
他の文書、例えば、特許、特許出願、特許公開、定期刊行物、書籍、論文、webコンテンツなどへの参照および引用は、本開示全体にわたって行われている。すべてのこのような文書は、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
均等物
本明細書に示し、記載したものに加えて、本発明およびその多くのさらなる実施形態の様々な改変は、本明細書で引用した科学文献および特許文献への参照を含めて、本文献の全内容から当業者に明らかとなるであろう。本明細書の主題は、本発明の様々な実施形態およびこれらの均等物において本発明の実行に適応させることができる重要な情報、例証、およびガイダンスを含有する。
以下の実施例は、アンビエントイオン化が小電圧(≧1V)の影響下でカーボンナノチューブ(CNT)ペーパー表面からスプレーすることによって実現される本発明のある特定の実施形態を例示する。有機分子は、陽または陰イオンモードで断片化を伴わない単純な高品質質量スペクトルを与える。慣例的な電界イオン化が排除され、微小滴の電界放出が示される。CNTペーパーを顕微鏡検査すると、改変された紙表面におけるナノスケールの特徴が高電界を担っていることが確認される。ラマンスペクトルは、ナノチューブ中の相当な電流フローを暗示する。分析性能を揮発性および非揮発性化合物、ならびに様々な基質で示す。
(実施例1)
材料およびプローブ調製
CNTと呼ばれる多層カーボンナノチューブ(MWNT)を、本発明のプローブを形成するのに使用していた。これらを、ドデシル硫酸ナトリウム(6mg)を界面活性剤として使用して水中に分散させた(水25mL中2mg)(K. Moshammer、F. Hennrich、M. M. Kappes、Nano Res.、2009年、2巻、599〜606頁)。このCNT懸濁
液をワットマン42濾紙上にドロップキャストした(5mmを被覆するCNT懸濁液3μL)。次いで紙を空気中で乾燥させ、寸法2×5mm(底部×高さ)で三角形にカットした。CNT被覆ペーパー三角形体を3Vのバッテリーに接続し、質量分析計の入口の近く(2mm)で把持した。次いでこれに試料を装填した(典型的には30ppm溶液として)。使用した溶媒の体積は、2μLであり、同じ紙を使用する反復測定は、純粋な溶媒の同じアリコートを使用した。すべての測定は、3Vで行った。質量スペクトルは、事前形成したイオンを除くすべての分析物について陽イオンモードで記録した。塩に由来する事前形成したイオンについては、陽イオンモードスペクトルおよび陰イオンモードスペクトルの両方を±3Vで記録した。すべてのスペクトルを以下の実験条件下で記録した:溶媒 メタノール/水(1:1)、電源電圧 ±3V、キャピラリー温度 150℃、キャピラリー電圧 ±15V、およびチューブレンズ電圧 ±55V。
単層カーボンナノチューブ(SWNT)も測定のために使用した。以下のパラメータ:電源電圧 −5kV、シースガス(窒素)流量 8(製造者の単位)、溶媒フロー速度 2μL/分をすべてのESI実験に使用し、すべての他のパラメータは、ペーパースプレーと同じであった。すべてのESI質量スペクトルは、100スキャンの平均値に対応する。
SWCNTおよびMWCNTは、Nanocyl s.a、USAから購入し、;SDSは、RFCL Ltd.、Gujarat、インドから購入し;トリフェニルホスフィンは、Spectrochem Pvt. Ltd.、Mumbai、インドから購入し;トリブチルホスフィンは、和光純薬工業株式会社から購入し;ジフェニルアミンおよびトリエチルアミンは、Merck Ltd.、Mumbai、インドから購入した。農薬、カルボフラン、メチルパラチオン、およびパラチオンは、Sigma Aldrich、インドから購入した。使用したすべての医療錠剤(Crocin、Combiflam、およびXyzal、すべて商標名)は、地元の薬局から購入した。実験で使用したアミノ酸は、Sisco Research Laboratories Pvt. Ltd.、Mumbai、インドから購入した。すべての分析物(農薬および錠剤以外)は、3
0ppmの濃度で使用した。HPLCグレードメタノール(Sigma Aldrich)およびMeOH/水 1:1を、溶媒として使用した。
すべての質量スペクトルは、イオントラップLTQ XL(Thermo Scientific、San Jose、CA)を使用して記録した。衝突誘起解離を使用するMS分析を実施してイオンの同一性を確認した。ラマン測定は、532nmおよび633nmのレーザー励起を用いてWitec GmbH Confocal Raman Microspectrometer、ドイツを使用して行った。FEI製電界放出SEMを、CNT被覆ペーパー試料を画像化するのに使用した。
(実施例2)
本発明のプローブを使用する試料分析
本実施例は、イオン化を、ほんの数ボルトの電位で、カーボンナノチューブ(CNT)で被覆/含浸された基材から実現することができることを示す。小さいCNT突起部において生成される高い電界が、帯電微小滴の電界放出によって起こると思われる低電圧イオン化の理由であることが示唆されている(Xuら、Anal. Chem.、1996年、68巻、4244〜4253頁;およびWangら、Anal. Chim. Acta、2000年、406巻、53〜65頁)。被覆された紙の先端部に塗布される様々な分析物が少量で検出可能である。中性分子は、典型的には、これらのプロトン化または脱プロトン化体として出現し、一方、塩は、陽イオンおよび陰イオンの両方を生じる。高電圧(HV)が必要とされないという事実が、この方法を他のスプレーアンビエントイオン化法から際立たせる。
実験は、MeOH/水で湿らせ、3Vのバッテリーに接続されたCNT被覆ペーパーの三角形体を用いて行った(図1のパネルA〜B)。CNTペーパーおよび3Vのバッテリー源を使用してトリフェニルホスフィン(TPP)について記録した質量スペクトル(図1のパネルC)は、プロトン化されたトリフェニルホスフィン、[M+H]に起因してm/z 263でピークを呈した。スペクトルは、溶媒2μLを使用して2〜3秒間収集することができた。CNT被覆ペーパー上のTPPの全範囲の質量スペクトル(図2)は、3kVで記録したESI質量スペクトルと同様である(図3)。3Vでの分子イオンの強度は、ESIにおいて見られるものより104分の1も低いが、条件は、厳しくなく、特に、m/z 279における酸化生成物および微量の同族の不純物のもの(m/z 293における生成物)は、m/z 203およびm/z 219におけるこれらの断片化生成物が存在しないのと同様に存在しない。さらに、質量スペクトルは、分子イオンのはっきりした同位体パターンを示し(図1のパネルE)、その構造の確認は、タンデム質量分光学データから得られ(図1のパネルF)、これは、衝突誘起解離後の予期されるベンゼンの喪失およびHの関連したさらなる喪失を示す。
印加電位を増大させるとイオン強度が増大し、4kVで飽和し、このポイントで信号は、ESI信号とほとんど同じ規模であった。しかし、追加の特徴は観察されなかった。図1のパネルCに示した2つのスペクトル(3kVおよび3Vにおける、ともにCNT被覆ペーパーから)は、観察されるイオンの観点から同一である。3Vの最小印加電圧が、検出可能なイオン信号にとって必須である。対照実験により、CNTが3Vでのイオン化プロセスを支援した事実を確認した。しかし、同様にカットし、同じ溶媒を使用する濾紙(CNT被膜を有さない)は、最大で500Vでさえ一連の分析物で検出可能なイオンを生成することにおいて有効でなかった。紙の縁部を精査すると、突出するナノチューブが示される(図1のパネルD)。これらの結果および以下に記載した実験から、分析物を含有する微小な規模の溶液滴の電界放出がこれらのナノスケール突起部で起こり、これが観察されるイオン化事象を担っていることが示唆される。
追加の実験をイオン化の機構を探索するために行った。明らかに、質量スペクトル中に
断片イオンが存在しないことは、ソフトなイオン化事象の発生に起因し得る。3Vでのイオン化の発生は、非常に高い電界と関連したプロセスを強く暗示する。電界は、濾紙の表面から突出し、電極として作用する小さい導電性CNT構造(図1のパネルD)に起因するに違いない(Gruenerら、J. Fortagh, Phys. Rev. A: At., Mol., Opt. Phys.、2009年、80巻)。CNT電極で印加される電圧(バッテリーから)は、紙先端部と質量分析計入口との間に電界を誘発する。電界強度は、紙先端部で高く、そこでイオン化が起こる。
突出するCNT構造および巨視的な紙の先のイオン化への寄与を区別するために、別の実験を行い、ここでは、CNT被覆ペーパーの矩形部分を質量分析計入口の前部に把持し(長い辺の一方をMS入口に向けて)、TPPのイオン化を試みた。紙の形状を除くすべての他のパラメータは、一定に把持した。質量スペクトルは、この紙の矩形体からの3VでのTPPのイオン化を示した(図4)。これは、尖った紙先端部のこの場合における関与はないが、突出するCNTは、イオン化を担うことを証明し、電界放出を引き起こすのに十分高い電界強度をもたらすことにおけるナノスケールCNTの役割を明らかにする。図5Aおよび5Bは、それぞれCNT被覆ペーパー三角形体および通常の紙三角形体についての電圧による分子イオンピークの強度の変化を示す。これらの紙の両方のイオン信号は、高電圧で飽和するが、CNTを用いると、イオン排出の開始ははるかにより早い。したがって、これらの実験から、より低い電圧で、CNTがイオン化の役割を果たし、電圧の増大とともに、紙先端部におけるテイラーコーン形態が形成され、巨視的電界がイオン化を担うと結論付けることが合理的である。
慣例的な電界イオン化(Luoら、Chem. Phys. Lett.、2011年、505巻、126〜129頁;およびGoodsellら、Arch., Phys.、2010年、1〜12頁)では、強電
界中に配置された気相分子は、電子を失い、正に帯電したラジカル陽イオンを形成する。使用される分析物の多くは、単純な揮発性有機分子であり、これは、この機構によってイオン化される場合、M+.ラジカル陽イオン、例えば、トリフェニルホスフィン(triphenylphospine)の場合では、観察されるm/z 263ではなく、m/z 262を与えることが予期される。気相トリエチルアミンの電界イオン化が寄与し得るか否かを試験するために、トリエチルアミン(蒸気圧、20℃でρ=57トル)をアセトン(20℃でρ=184.5トル)中に溶解させ、蒸気として電界(CNTとMS入口とのギャップ)中に導入し、イオン化を低電圧で試みた。結果は、分析物の蒸気は、検出可能なイオン化を与えないことを示した。すべての場合において[M+H]のみが検出され、ラジカル陽イオンM+.は、検出されなかったので、電界放出は溶媒和した分析物または液滴から起こると結論付けた。
提案した帯電液滴機構の電界放出をさらに試験するために、TPPおよび3種の他の分析物を用いた実験を、添加されるプロトン酸の存在下および非存在下で繰り返した(Cech, C. G. Enke、Mass Spectrom Rev、2001年、20巻、362〜387頁)。酸の添加は、塩を生成することになり、単純な電界イオン化(M+.を与える)を阻害するはずであるが、それは、液滴からの電界放出/イオン化(M+Hを与える)を増大させるはずである。この理由で、塩基性官能基を含有する特定の分析物を選択し(ホスフィンおよびアミン)、これらを、希酸(HCl)を添加する前後に分析した。図6は、塩基性官能基を含有する分析物に希酸を添加した後のプロトン化された分子の相対強度の増強を示す。この増強は、溶媒和した種のイオン化を支持する。
様々な事前形成したイオン(塩である塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム(tertramethylammoniun nitrate)、
およびヨウ化テトラブチルアンモニウムに由来する)を、同じ条件下で試験した。提案した機構に一致して、陽イオンおよび陰イオンの両方がCNT由来質量スペクトルにおいて
観察された(図7のパネルA〜Bおよび図8のパネルA〜B)。断片化は観察されなかった。他のソフトイオン化法と比較してさえプロセスの極端なソフト性が、水和したハロゲン化物陰イオンの存在によって示される。これらの試験は、事前形成したイオンは、液滴中の表面から排出される場合もあり、慣例的な電界イオン化は、イオン形成を担っていないことを示す。
CNT−イオン化技法をさらに特徴付けるために、これを農薬、抗生物質、およびアミノ酸を含めた様々な分析物の定性分析に使用した。すべてが特徴的な質量スペクトルを与えた。したがってこの低電圧イオン化法は、多様な分析のニーズにとって有用であることが示される。果実上の様々な汚染物質の直接分析が、この方法を用いて可能である。果実を保護するために使用される3種の一般的な殺虫剤(カルボフラン、メチルパラチオン、およびパラチオン)を、50ppmの濃度でオレンジの表面に塗布した。次いでCNT被覆ペーパーで表面上をこすり、分析のためにMS入口の前部に把持した。図9のパネルA〜Cは、バッテリー駆動スプレーMS法を使用する異なる農薬の分子イオンピークを示す。こすっている間に果実表面から抽出される試料の量は、塗布される量より数桁低い場合があり、したがって検出限界は、塗布される試料濃度よりはるかに低い場合があることが可能である。図10は、これらの農薬の混合物からのこれらのそれぞれの分子イオンピークを示す。
同じ方法を、薬を分析するのに使用した。CNT被覆ペーパーで3種の市販の医薬錠剤、すなわち、crocin、combiflam、およびxyzal(商標名)の表面上をこすり、3VのバッテリーセットアップとともにMS入口の前部に把持した。図11のパネルA〜Cは、crocinおよびcombiflamがともに、主要な成分としてパラセタモール(アセトアミノフェン)を含有することを示す。CNT被覆ペーパーを使用するこれらの錠剤の直接分析は、プロトン化されたパラセタモールに対応するピークを与えた。他の錠剤、xyzalは、非鎮静抗ヒスタミン剤であり、活性成分としてレボセチリジン二塩酸塩(levocetrizine dihydrochloride)を含有する。同じ条件下でのこの錠剤の分析(図11のパネルB)は、プロトン化されたレボセチリジン(levocetricine)
を示した。分析物の同一性は、MS試験によって確認した(挿入図に示したデータ)。
アミノ酸の直接分析も、CNT被覆ペーパーからスプレーすることによって可能である。いくつかのアミノ酸(30ppm)を、マイクロピペットでCNT被覆ペーパーの先端部上に垂らした(10ngの総装填量に対応する体積3μLを注射した)。図12のパネルA〜Hは、アミノ酸の強いプロトン化された分子のピークを示す。アミノ酸の双性イオンの特質は、電界中でのナノチューブ先端部からのイオンの容易な抽出をもたらし得る。
紙電極自体に対するイオン化事象の効果を調べる(probe)ために、CNT被覆ペーパーのラマンスペクトルを一連の実験(20分の期間にわたる3VでのTPPのイオン化)の前後で記録した(図13のパネルA)。Costaら、Mater. Sci.-Pol.、2008年、26巻、433〜441頁;およびNaeemiら、Annu. Rev. Mater. Res.、2009
年、39巻、255〜275頁を参照。データは、DおよびGバンドにおいて大きなレッドシフトを示し(Leeら、J. Phys. Chem. Solids、2011年、72巻、1101〜
1103頁;およびBhaleraoら、Phys. Rev. B: Condens. Matter Mater. Phys.、2012年、86巻)、それは、ポジティブモードイオン化中のCNT中の電子の取得を暗示する(Scheibeら、Mater. Charact.、2010年、61巻、185〜191頁)。
イオン化が起こるにつれて、電荷が電界支援イオン化について予期されるように増大すると思われる(Luoら、Chem. Phys. Lett.、2011年、505巻、126〜129頁;およびGoodsellら、Arch., Phys.、2010年、1〜12頁)。しかし、発生中の微小
滴からCNTへの電子移動;有効には、CNT中の電子の高い電界および移動度ならびにその大きい電子親和性によって推進される長い薄いCNT繊維(図1のパネルDを参照)
中の電子の分極があると思われる(Shamsipurら、Electroanalysis、2012年、24巻、357〜367頁)。正に帯電した液滴が離脱するにつれて、残留する電荷が、レッドシフトしたDおよびGバンドとしてラマンスペクトルにおいて反映されているようにCNTの還元をもたらすと思われる。溶媒の帯電した微小滴からCNTへの電子移動についてのこの推測は、溶媒および電位のみをCNT被覆ペーパーに同じ時間にわたって施し、ラマン測定を実施したブランク実験によって支持された。スペクトルは、DおよびGバンドにおいてレッドシフトを示した。
ナノチューブ試料のラマンスペクトルも、陽イオンモードおよび陰イオンモードの両方で、塩である臭化テトラメチルアンモニウムをイオン化する前後に記録した。図13のパネルBは、陽イオンモード測定の場合におけるCNT被覆ペーパーについてのDおよびGバンドのレッドシフトを示す。これは、以前のように、微小滴中で溶媒和したイオンの排出を引き起こすのに必要とされる高い電界に起因し得る。陰イオンモード測定については、ラマン測定がシフトしていないDおよびGバンドを示しているのでこのような還元はなかった(図13のパネルC)。理由は、おそらく、CNTがこの条件下で既に電子に富み、電界が失われた電荷を補充するためである。
ここで提示した結果は、多様な化学種を直接分析するための多用途のストラテジーを示唆する。方法は、様々な分析の要件に適するように改変することができる。高電圧電力供給装置を3Vのバッテリーと置換すると、ナノスケールアンテナからのイオン形成によって質量分析が単純化される。CNTイオン化法を、相対的に低い濃度で、果実表面、医療錠剤、ならびにアミノ酸、抗生物質、および農薬を含む一連の有機分子を含めた異なる源に由来する様々な試料に適用してきた。
(実施例3)
1V電源を使用して本発明のプローブを使用する試料分析
カーボンナノチューブを使用する低電圧(1V)イオン化を、様々な壊れやすい種を検出することに拡張した。これらには、様々な酸二量体および異なる陰イオン種の水和物が含まれる。これらの壊れやすい種は、その低い内部エネルギーによって特徴付けられ、その結果これは、断片化がごくわずかである場合、低電圧で容易に検出することができる。
ギ酸からペンタン酸の5種の異なる酸をネガティブモードで検出した。スペクトルを図15のパネルA〜Eに示す。各スペクトルは、分子イオンピークに沿ったプロトン結合二量体の存在によって特徴付けられる。別の知見は、低電圧での混合二量体の検出であった。ここでは、様々な酸の組合せを作製し、1Vの低電圧で分析した。結果を図16のパネルA〜Dに実証する。ここでは、様々な混合二量体が、予期される個々の酸二量体とともに見られた。
電圧によるこれらの酸二量体の強度の変動(D/M比対電圧)を試験した。結果は、非常に高い電圧に向かうにつれて酸二量体の強度の段階的な減少を示す。図17のパネルA〜Bは、D/M比を、2種の異なる溶媒(水およびメタノール)中の5種の異なる酸について電圧の関数としてプロットした結果を表す。同様の試験を、異なる溶媒中の単一の酸についても実施した。ここでは、プロピオン酸を異なる溶媒中に取り込み、D/M比を1V〜3kVの電圧の範囲について書き留めた。結果を図18に示す。
別のセットの試験を異なる陰イオン種について低電圧(1V)で実施し、ここで目的は、陰イオンの様々な水和物を検出することであった。結果を図19のパネルA〜Dに示す。結果は、塩化物から酢酸塩までの異なる陰イオン種の様々な水和物の存在を示す。
(実施例4)
スプレー形成
本実施例は、低電圧スプレーの機構を調査する。このスプレーの機構を確立するために、例えば、低電圧を中程度の高電圧(500V)に増大させた後の信号対ノイズ比の変化の試験、第2に、スプレー中にビデオをキャプチャーすることによる2つの経路を採用した。これらの研究に加えて、研究を支持するためのコンピューターによる試験にある程度の努力を注いだ。非常に低い電圧で信号をもたらすのに、いくつかの機構が関与している(独立して、または共同で作動して)場合があることが提案されている。低電圧での微生物の検出を、この方法の応用として示す。
機構を理解するために、いくつかの実験を実施した。トリフェニルホスフィン(PPh)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジブチルアミン、トリブチルアミンなどの分析物を実験で利用した。1つのこのような例を以下に示す。
一実験では、50ppmのPPh 5μLを質量分析計中にスプレーした。スプレー電圧は、2Vから500Vまで変更した。この調査は、2つの理由で500Vで中止した。第1に、CNT被覆ペーパー先端部から生じるいかなる放電も回避するため。第2に、500Vのスプレー電圧より上で、信号強度が急速に増大し、通常のペーパースプレーと同等の値に到達した。
先端部は、質量分析計(mass spec)入口から約0.5mm離して把持した。スペクトルを収集および分析し、増大するスプレー電圧に対する信号対ノイズ比(S/N)および信号強度をプロットした(図20および21)。分布を、4つの領域に分割する。領域1、分析を開始した2Vスプレー、信号なし。スプレー電圧を3、4、または5Vに増大させると、S/N比は、急速な増大を示す(領域2)。領域3、8〜500V、S/N比は、定常状態にある。500Vを超えると(領域4)、信号/ノイズは、急速に上昇するが、示していない。理由は、それが通常のペーパースプレー値に向かう傾向があるためである。500Vの後、信号は、低電圧スプレーと比較して2または3桁増大し、したがって通常のペーパースプレー(PS)がこの電圧で作用するようになる。
分析物信号の出現は、2つの要因、基材の高電界(エミッター)エリアへのイオン化された分子(溶液の薄膜中)の電界放出および電界誘起輸送(field-induced transport)によって制御される。仮説は、非常に低い電圧(領域1)において、高電界スポットで既に存在している少数の分子がおそらく微小滴中での電界放出によってイオン化されることである。これは、小さい物理的寸法(1nmの程度)と組み合わせた制限された電圧を必要とする。したがって1nmでの5Vは、電界放出のちょうど範囲内である5×10V/mの電界強度を与える(Beckey、Field Ionization Mass Spectrometry、Pergamon
、London、1971年)。領域2(5〜300V)は、信号の観点からのS/N比の観点からおよそ定常状態領域であり、2つのサブ領域、信号が低下する5〜100V、および信号がわずかに上昇する100〜300Vがある。これらのデータは、電界放出が遅く、律速であるか、または電界誘起輸送が遅いことを意味する。電圧による電界放出の増大が予期される(電界強度がイオン形成に必要なものを超えるエリアが増大しているという事実以外の理由がなければ)。しかし、輸送が有効でない場合、この信号は、より高い電界エリアから材料が先に除去されるため、電圧の増大ともに低下し得る。PPhのみに関係する材料の輸送が、100V付近で有効となることが提案される。300Vでのブレイクは、溶液相対薄膜、またはここでのイオンへの変換および非常に有効な輸送など、輸送の様々な機構に起因し得る。
(実施例5)
本発明のプローブを使用する微生物分析
微生物については、bioMerieux,Inc.(Hazelwood、MO)に
よって供給された細菌分離株を、クライオチューブ中のTSAB上で−80℃にて貯蔵した凍結試料から培養した。すべての実験は、改正されたInstitutional Review Board guidelines IBC protocol #07-004-10「Novel tissue, Biological fluid and Bacteria Evaluation by Mass Spectrometry」の下で実施した。5つのタイプの微生
物を本試験で使用した。これらは、Escherichia coli(グラム陰性菌)、Citrobacter farmeri(グラム陰性菌)、Staphylococcus aureus(グラム陽性菌)、Bacillus subtilis(グラム陽性菌)、Saccharomyces cerevisiae(酵母)である。これらの一般的な微生物を、生物圏全体にわたるその広範な存在に起因して選択する。
微生物試料(この場合、Bacillus subtilis)を、CNTスプレーおよびペーパースプレーを使用して分析した。Bacillus subtilisは、CNT被覆ペーパーを使用して、低電圧スプレーを使用して検出することができ、これらの質量スペクトルは、伝統的なペーパースプレーと同等である(図22)。しかし、3Vにおいて、質量スペクトル強度は、通常のペーパースプレー信号より通常3桁強さが低い(図22の下のパネル)。再現性を、Citrobacter fameriを7回分析することによって試験した。各質量スペクトルにおいて、同様の相対存在量の脂質が得られた。

Claims (20)

  1. 試料を分析するための方法であって、該方法が、
    紙基材を含む質量分析プローブを提供する工程であって、前記紙基材の表面の一部が導電性材料で被覆されており、前記導電性材料での前記表面の前記被覆が、前記導電性材料で被覆された前記紙基材の前記表面の前記一部から突出する複数のナノスケールの特徴物を形成し、前記複数のナノスケールの特徴物が、複数の電極として作用し、3ボルトまたはそれ未満の電圧を印加すると、前記複数のナノスケールの特徴物において微小な規模の液滴の電界放出を引き起こすのに十分高い電界強度をもたらす工程;
    前記質量分析プローブを電圧源に連結する工程であって、前記電圧源が、3ボルトまたはそれ未満の電圧を生成するように構成されている工程;
    前記質量分析プローブを試料と接触させる工程;
    前記質量分析プローブを接触させた前記試料をイオン化する工程;
    前記イオン化された試料を質量分析計において分析する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記導電性材料が、1つまたはそれ超の導電性ナノチューブを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記導電性ナノチューブが、カーボンナノチューブである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記カーボンナノチューブが、前記紙基材の外面を被覆する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記イオン化工程の前に、前記方法が、溶媒を前記質量分析プローブに適用する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記溶媒が、前記質量分析プローブに連続的に供給される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記質量分析プローブが、前記溶媒とは別個である、請求項5に記載の方法。
  8. 前記溶媒が、前記試料の分離、抽出、およびイオン化のうちの少なくとも1つを支援する、請求項5に記載の方法。
  9. 前記質量分析プローブを通って前記試料を輸送するための空気圧支援が必要ではない、請求項1に記載の方法。
  10. 前記紙が濾紙である、請求項1に記載の方法。
  11. 試料を分析するための方法であって、該方法が、
    紙基材を含む質量分析プローブを提供する工程であって、前記紙基材の表面の一部が複数のカーボンナノチューブで被覆されており、前記複数のカーボンナノチューブのそれぞれの一部が、前記複数のカーボンナノチューブで被覆された前記紙基材の前記表面の前記一部から突出し、前記複数のカーボンナノチューブのそれぞれの突出する部分が、複数の電極として作用し、3ボルトまたはそれ未満の電圧を印加すると、前記複数のカーボンナノチューブのそれぞれの突出部分において微小な規模の液滴の電界放出を引き起こすのに十分高い電界強度をもたらす工程;
    前記質量分析プローブを電圧源に連結する工程であって、前記電圧源が、3ボルトまたはそれ未満の電圧を生成するように構成されている工程;
    前記質量分析プローブを試料と接触させる工程;
    前記質量分析プローブを接触させた前記試料をイオン化する工程;
    前記イオン化された試料を質量分析計において分析する工程
    を包含する、方法。
  12. 前記カーボンナノチューブが、前記紙基材の外面を被覆する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記イオン化工程の前に、前記方法が、溶媒を前記質量分析プローブに適用する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
  14. 前記溶媒が、前記質量分析プローブに連続的に供給される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記質量分析プローブが、前記溶媒とは別個である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記溶媒が、前記試料の分離、抽出、およびイオン化のうちの少なくとも1つを支援する、請求項13に記載の方法。
  17. 前記質量分析プローブを通って前記試料を輸送するための空気圧支援が必要ではない、請求項11に記載の方法。
  18. 前記紙が濾紙である、請求項11に記載の方法。
  19. 前記濾紙が尖った先端部を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記濾紙が尖った先端部を含まない、請求項18に記載の方法。
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