JP6746617B2 - 延長された稼働寿命を有する質量フィルタ - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月29日に出願された英国特許出願第1509243.0号からの優先権およびその利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般に、質量分析計および/またはイオン移動度分光計、特に、特定の範囲の質量対電荷比内のイオンを選択的に透過する質量フィルタに関する。
特定の範囲の質量対電荷比内のイオンを選択的に透過するために四重極質量フィルタを使用することが知られている。四重極質量フィルタは、四重極電場内の安定条件を満足するイオンを透過し、安定条件は、無次元パラメータqおよびaによって次のように定義される:
Figure 0006746617
Figure 0006746617
式中、eはイオンの電荷であり、Vは四重極電極に印加されるRF電圧の振幅であり、rは、四重極のロッド間の内接半径であり、ωは四重極に印加されるRF電圧の角周波数(ラジアン/秒単位)であり、mはイオンの質量、およびUは分解DC電圧である。
不安定なイオン軌道となるaおよびqの値を有するイオンは、一般に、四重極のロッドに衝突して、失われる。この性質は、四重極ロッドセットが質量フィルタとして使用される場合に活用され、それにより、質量フィルタによって透過したくないイオンの大多数がロッド電極の内表面に衝突する。しかし、時間とともにロッドの内表面がイオンによって汚染され、電子電荷がそれらの表面上に蓄積する。最終的に、汚染された表面の局所的帯電により、質量フィルタの性能低下となる。これは、透過率の低下、分解能の損失または不良なピーク形状となり得る。これが生じると、質量フィルタは、真空槽から取り除いて清掃する必要がある。
従って、改善された質量分析計および/またはイオン移動度分光計、質量分析および/またはイオン移動度分光分析の改善された方法、ならびに改善された質量フィルタを提供することが望まれる。
英国特許出願2388705号
本発明の第1の態様から、
第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過するために第1の質量フィルタを使用して、イオンを質量フィルタリングすることと、
第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである、第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過する、第2の質量フィルタを使用して、第1の質量フィルタにより透過されたイオンを質量フィルタリングすることと
を含み、
第1の質量フィルタの少なくとも1つの電極は、電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または電極の一部にだけ伸びる凹部を含み、開口部および/または凹部は、第1の質量フィルタ内で不安定なイオンが、開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または凹部に入り、そのため第1の質量フィルタによって透過されないように、配置および構成される、
イオンを質量フィルタリングする方法を提供する。
本発明は、低分解能の第1の質量フィルタを高分解能の第2の質量フィルタの上流に提供する。第1の質量フィルタは、不必要な背景イオンの大多数を除去し、従って、これらのイオンが第2の質量フィルタの電極に衝突して表面帯電を生じるのを防ぎ得る。これは、第2の質量フィルタの性能を長期間に渡って維持する。表面帯電の第1の質量フィルタへの影響は、第2の質量フィルタに対する影響ほど重大ではなく、従って、第1の質量フィルタを使用すると、高分解能質量フィルタだけの使用と比較して、機器全体の透過特性が改善される。さらに、第1の質量フィルタの少なくとも1つの電極内の開口部および/または凹部は、第1の質量フィルタ内で不安定な軌道を有するイオンの一部もしくは全部が、電極を通過するか、または第1の質量フィルタの中心軸に最も近い電極の表面から離れている電極の表面上に衝突するように、構成される。そのため、第1の質量フィルタ上の表面帯電は、比較的低く維持され、それにより、第1の質量フィルタの良好な透過特性を維持する。
英国特許出願2388705号(特許文献1)は、分析フィルタの汚染を回避するために、高分解能分析フィルタの上流での低分解能犠牲フィルタの使用を開示する。しかし、犠牲フィルタは、犠牲フィルタ内で不安定なイオンが開口部または凹部に入るか、または通過するように、配置および構成される、全体に伸びる開口部またはその一部だけに伸びる凹部を有する電極を含んでいない。イオンは、イオン透過軸に近い犠牲フィルタ内の電極の表面に衝突し、これらの表面は比較的迅速に汚染されて、電極の表面帯電を生じる。そのため、犠牲フィルタの性能は、比較的迅速に低下する。
疑義の生じるのを避けるために、本発明の第1の態様に従った第2の範囲の質量対電荷比は、第1の範囲の質量対電荷比よりも狭く、第1の範囲の質量対電荷比内である。第2の範囲の質量対電荷比は、単一の質量対電荷比だけのイオンを透過することが可能であり得る。
第1の範囲の質量対電荷比は、第1の質量フィルタによって任意の所与の時に同時に透過可能な質量対電荷比の範囲であり得、第2の範囲の質量対電荷比は、第2の質量フィルタによって実質的に前記所与の時に同時に透過可能な質量対電荷比の範囲であり得る。
第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタは、四重極質量フィルタなどの、多極質量フィルタであり得る。
本方法は、透過したいイオンを電極間に閉じ込めて、透過したくないイオンを不安定にして、電極間に閉じ込めないために、RFおよびDC電圧を、第1の質量フィルタの電極および/または第2の質量フィルタの電極に印加することを含み得る。RFおよびDC電圧は、第1の質量フィルタ内で不安定なイオンの少なくとも一部が電極内の前記開口部および/または凹部に入るか、もしくは通過するように、印加され得る。
本方法は、同じ振幅および/または周波数を有するRF電圧を第1および第2の質量フィルタの電極に印加すること、ならびに第2の質量フィルタより低い振幅DC分解電圧を第1の質量フィルタに印加することを含み得る。
第1および/または第2の質量フィルタによって除去されたイオンの少なくとも一部は、それぞれ、第1および/または第2の質量フィルタの電極に衝突し得る。第1の質量フィルタより少ないイオンが、第2の質量フィルタの電極に衝突し得る。
第1の範囲の質量対電荷比は、第2の範囲の質量対電荷比と実質的に同じ質量対電荷比を中心とし得る。
第2の質量範囲は、第1の質量範囲のx%の幅を有し得、xは、95以上;90以上;85以上;80以上;75以上;70以上;65以上;60以上;55以上;50以上;45以上;40以上;35以上;30以上;25以上;20以上;15以上;10以上;および5以上:から成る群から選択される。
本方法は、(i)第1の質量フィルタによって透過されたイオンを、第1の質量フィルタと第2の質量フィルタとの間に、任意選択として直接間に、配置された第1のイオンガイドを使用して、第2の質量フィルタにガイドすること、および/または(ii)第1の質量フィルタの上流に、任意選択としてすぐ上流に、配置された第2のイオンガイドを使用して、イオンを第1の質量フィルタにガイドすること、を含み得る。任意選択として、第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイドは、RF電位のみが印加されてDC電位は印加されないRF専用イオンガイドである。
第1のイオンガイドに印加されるRF電圧の振幅は、第1および/または第2の質量フィルタの電極に印加されるRF電圧の振幅より小さいか、または同じであり得る。
第2のイオンガイドに印加されるRF電圧の振幅は、第1および/または第2の質量フィルタの電極に印加されるRF電圧の振幅より小さいか、または同じであり得る。
第1のイオンガイドに印加されるRF電圧の振幅は、第2のイオンガイドに印加されるRF電圧の振幅と同じであり得る。
第1のイオンガイドは、イオンが不安定になることなく第2の質量フィルタに入ることができるように、第2の質量フィルタの入口でフリンジ電場を制御するように、配置および提供され得る。
第2のイオンガイドは、イオンが不安定になることなく第1の質量フィルタに入ることができるように、第1の質量フィルタの入口でフリンジ電場を制御するように、配置および提供され得る。
第1および/または第2のイオンガイドは、四重極イオンガイドなどの、多極イオンガイドであり得る。しかし、イオンガイドの軸に沿って間隔を空けた、開口部を備えた複数の電極から形成されて、イオンが開口部を通ってガイドされるように操作される、イオントンネルイオンガイドなどの、他のイオンガイドも使用され得る。
本方法は、該第2の範囲の質量対電荷比の下限値以下の、第1の閾値以上の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように第1のイオンガイドを質量フィルタとして操作すること;および/または該第2の範囲の質量対電荷比以上の、第2の閾値以下の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように第1のイオンガイドを質量フィルタとして操作することを含み得る。
第1の閾値は、第1の範囲と第2の範囲の質量対電荷比の下限値の間であり得る。
第2の閾値は、第1の範囲と第2の範囲の質量対電荷比の上限値の間であり得る。
本方法は、前記第1の範囲の質量対電荷比の下限値以下の、第3の閾値以上の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように第2のイオンガイドを質量フィルタとして操作すること;および/または前記第1の範囲の質量対電荷比以上の、第4の閾値以下の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように第1のイオンガイドを質量フィルタとして操作することを含み得る。
第2の質量フィルタの電極の少なくとも1つおよび/もしくは第1のイオンガイドの電極の少なくとも1つおよび/もしくは第2のイオンガイドの電極の少なくとも1つは;電極全体に伸びる開口部を含み得かつ/または電極の一部だけに伸びる凹部を含み、開口部および/もしくは凹部は、第2の質量フィルタまたはイオンガイド内で不安定なイオンが、第2の質量フィルタまたはイオンガイドによって透過されないように、開口部に入るか、もしくは通過し、かつ/または凹部に入るように、配置および構成され得る。第2の質量フィルタがその電極の少なくとも1つにかかる開口部または凹部を含むことは、第2の質量フィルタによって除去されるイオンから開口部または凹部を備えた電極の汚染を低減するので、好都合である。しかし、例えば、イオンガイド内で不安定なイオンからの汚染を低減するためなど、第1および/または第2のイオンガイドの電極の少なくとも1つに開口部または凹部を提供することにより、何らかの利益も得られる。
開口部および/または凹部は、質量フィルタもしくはイオンガイド内で不安定な軌道を有するイオンの一部もしくは全部が電極を通過するか、または質量フィルタもしくはイオンガイドの中心軸に最も近い電極の表面から離れている電極の表面に衝突するように構成される。これは、質量フィルタまたはイオンガイドを通るイオン透過軸に近接した電極の表面帯電を排除または低減し、従って、良好なイオン透過特性を維持する。
開口部または凹部を有する電極は、質量フィルタもしくはイオンガイドの長さに沿った方向に細長くてもよく、開口部は、溝付き開口部であり得るか、または凹部は溝付き凹部である。
開口部および/または凹部は、電極の長さの一部にだけわたって伸び得る。複数のかかる開口部および/または凹部は、電極の長さに沿って配置され得ることも考えられる。代替として、開口部および/または凹部は、電極の長さ全体にわたって伸び得る。例えば、開口部は電極を2つの別個の部分に分割し得ると考えられる。
開口部または凹部は、断面積が質量フィルタまたはイオンガイドの中心軸から離れる方向に増大し得、例えば、その結果、断面積は、放射状に外側方向に漸減するように増大する。
前述のように、第1の質量フィルタ、第2の質量フィルタ、第1のイオンガイドまたは第2のイオンガイドのいずれか1つは、四重極ロッドセットなどの、電極の多極ロッドセットであり得る。全ロッド電極を含め、ロッドセット内の任意の数の電極は、本明細書で説明する開口部および/または凹部を含み得る。
本方法は、電極によって生じた電場をサポートするように、開口部または凹部の上またはその中に導電グリッドまたはメッシュを配置することを含み得る。
開口部または凹部に入るか、または通過するイオンは、検出されない可能性があり、中和または廃棄され得る。
第1の質量フィルタの電極の少なくとも1つおよび/または第2の質量フィルタの電極の少なくとも1つおよび/または第1のイオンガイドの電極の少なくとも1つおよび/または第2のイオンガイドの電極の少なくとも1つは;縦軸に沿って1つ以上の間隙によって間隔を空けたセグメントを含むように軸方向に分割され得、任意選択として、間隙は、質量フィルタまたはイオンガイド内で不安定なイオンが、質量フィルタまたはイオンガイドによって透過されないように、間隙に入るか、または通過するように配置および構成される。
第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタおよび/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイドの電極の全部が分割され得る。
電極セグメントの少なくとも一部は、前記開口部または凹部を含み得る。
第1の質量フィルタおよび/または第2のイオンガイドの電極の少なくとも一部は、加熱され得る。第1の質量フィルタおよび/または第2のイオンガイドを加熱すると、汚染が、第1の質量フィルタおよび/または第2のイオンガイドの電極上で凝縮するのを防ぐか、または抑制し、従って、これらの構成要素の表面帯電を低減する。電極を加熱すると、電極の熱膨張を引き起こし得る。しかし、第1の質量フィルタは第2の質量フィルタよりも低い分解能を有し、かつ第2のイオンガイドはイオンを分解する必要がないので、電極加熱の効果は、第2の質量フィルタの電極が加熱された場合よりも問題となることが少ない。例えば、第2の質量フィルタが加熱された場合、機器は使用前に数時間、安定させるためにそのままにしておく必要があり得る。
第2の質量フィルタは加熱されなくてもよい。これは、第2の質量フィルタ内の電極の熱膨張およびその分解能への関連した悪影響を回避する。
第1のイオンガイドは未加熱であり得る。これは、加熱した第1の質量フィルタと、未加熱の第2の質量フィルタとの間に断熱層を提供し、その結果として、第2の質量フィルタへの熱伝達を最小限にし、そうでなければ、その性能に悪影響を及ぼすであろう。しかし、第1のイオンガイドは加熱され得ると考えられる。
RF専用後置フィルタは、第2の質量フィルタの下流に提供され得、それは、未加熱であり得る。
任意選択として、第2のイオンガイドの電極の少なくとも一部は、加熱され得る。
望ましくはないが、第2の質量フィルタの電極の少なくとも一部は、加熱され得ると考えられる。
電極が加熱される実施形態では、電極は、以下から成る群から選択された温度まで加熱され得る:40℃以上; 50℃以上;60℃以上;80℃以上;100℃以上;120℃以上;140℃以上;160℃以上;180℃以上;200℃以上;および100℃〜300℃の間。
第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(任意選択で、および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)内の圧力は、実質的に同じであり得る。第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)内の圧力は、10−7ミリバール〜10−4ミリバールの範囲内であり得る。これらの装置全部は、同じ圧力で維持され得る。
第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(任意選択で、および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)内の圧力は、9×10−3ミリバール以下または10−7〜9×10−3ミリバールの間のいずれかであり得る。代替として、第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(任意選択で、および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)内の圧力は、以下から成る群から選択され得る:(i)0.0001ミリバール未満;(ii)0.0001〜0.001ミリバール;(iii)0.001〜0.01ミリバール;(iv)0.01〜0.1ミリバール;(v)0.1〜1ミリバール;(vi)1〜10ミリバール;(vii)10〜100ミリバール;(viii)100〜1000ミリバール;および(ix)1000ミリバール超。
第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(任意選択で、および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)は、単一の真空槽内に配置され得る。
本方法は、ACまたはRF電圧を、第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタ(任意選択で、および/または第1のイオンガイドおよび/または第2のイオンガイド)の電極に印加することを含み得、ACまたはRF電圧の周波数は1MHz未満、または1MHzを上回る。代替として、周波数は、以下から成る群から選択され得る:(i)100kHz未満;(ii)100〜200kHz;(iii)200〜300kHz;(iv)300〜400kHz;(v)400〜500kHz;(vi)0.5〜1.0MHz;(vii)1.0〜1.5MHz;(viii)1.5〜2.0MHz;(ix)2.0〜2.5MHz;(x)2.5〜3.0MHz;(xi)3.0〜3.5MHz;(xii)3.5〜4.0MHz;(xiii)4.0〜4.5MHz;(xiv)4.5〜5.0MHz;(xv)5.0〜5.5MHz;(xvi)5.5〜6.0MHz;(xvii)6.0〜6.5MHz;(xviii)6.5〜7.0MHz;(xix)7.0〜7.5MHz;(xx)7.5〜8.0MHz;(xxi)8.0〜8.5MHz;(xxii)8.5〜9.0MHz;(xxiii)9.0〜9.5MHz;(xxiv)9.5〜10.0MHz;および(xxv)10.0MHz超。
第1の質量フィルタは、第2の質量フィルタよりも長さが短くてもよい。
本方法は、第2の質量フィルタによって透過されたイオンを検出すること、および/または第2の質量フィルタによって透過されたイオンを質量分析すること、および/または第2の質量フィルタによって透過されたイオンをイオン移動度分析することを含み得る。
前述のように少なくとも1つの開口部または凹部を備えた電極を有する質量フィルタは、新規であり、それ自体で発明であると考えられる。
それに応じて、本発明の第2の態様は、
複数の電極から形成された質量フィルタにイオンを供給することであって、電極の少なくとも1つは、電極全体にわたって伸びる開口部を含み、かつ/または電極の一部だけに伸びる凹部を含むこと、ならびに
所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが電極によって閉じ込められ、質量フィルタに沿ってそれを透過するように、電極に電圧を印加することであって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは不安定であり、それらが質量フィルタによって除去されるように開口部に入るかもしくは通過し、かつ/または凹部に入ること
を含み、
開口部に入るかもしくは通過し、かつ/または凹部に入るイオンは検出されず、中和もしくは廃棄される、
イオンを質量フィルタリングする方法を提供する。
電極内に溝付き開口部を有する多極イオントラップが知られている。イオントラップから溝付き開口部を通してイオンを質量選択的放出するように、RF電圧が電極に印加される。イオンは次いで、イオン検出器で検出される。しかし、不要なイオンが電極の内表面に衝突して、表面帯電を生じるのを回避するために、開口部または凹部が、質量フィルタの電極内に提供でき、そうでなければ、質量フィルタの透過特性に影響を及ぼし得ることは認識されていない。
質量フィルタは、本発明の第1の態様に関して前述した第1および/または第2のフィルタの特徴のいずれかを有し得る。
例えば、質量フィルタの電極は、所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが、それに沿って透過される中心軸を画定し得、不安定なイオンは、前記開口部または凹部の入口に入り、かつ、前記入口は、中心軸に面した電極の表面内に配置される。
開口部および/または凹部は、質量フィルタ内で不安定な軌道を有するイオンの一部もしくは全部が電極を通過するか、または質量フィルタの中心軸に最も近い電極の表面から離れている電極の表面に衝突するように構成される。従って、電極の内表面は、不要なイオンによって汚染されず、従って、質量フィルタの透過特性に影響を及ぼさない。
開口部または凹部を有する電極は、質量フィルタの長さに沿った方向に細長くてもよく、開口部は溝付き開口部であり得るか、または凹部は溝付き凹部であり得る。
開口部および/または凹部は、電極の長さの一部にだけわたって伸び得る。複数のかかる開口部および/または凹部は電極の長さに沿って配置され得ることも考えられる。代替として、開口部および/または凹部は、電極の長さ全体にわたって伸び得る。例えば、開口部は電極を2つの別個の部分に分割し得ると考えられる。
開口部または凹部は、断面積が質量フィルタの中心軸から離れる方向に増大し得、例えば、その結果、断面積は、放射状に外側方向に漸減するように増大する。
開口部または凹部は、細長くてもよく、質量フィルタの縦軸に沿った方向に縦に伸び得る。代替として、開口部または凹部は、質量フィルタの周囲の周辺に、部分的に、または完全に伸び得る。
電極によって生じた電場をサポートするために、開口部または凹部の上もしくはその中に導電グリッドまたはメッシュを配置し得る。
質量フィルタは多極質量フィルタであり得、複数の電極は、ロッドセット電極であり得る。例えば、質量フィルタは、四重極質量フィルタであり得る。
全ロッド電極を含め、ロッドセット内の任意の数の電極は、本明細書で説明する開口部および/または凹部を含み得る。例えば、前記複数の電極の少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの各々は、前記開口部および/または凹部の1つを含む。
本方法は、イオンを質量フィルタリングするために、前記電極に、RF電圧だけを印加して、DC電圧を印加しないことを含み得る。代替として、本方法は、イオンを質量フィルタリングするために、前記電極に、RF電圧およびDC電圧を印加することを含み得る。
質量フィルタの電極の少なくとも一部は加熱され得る。電極(複数可)は、以下から成る群から選択された温度まで加熱され得る:40℃以上; 50℃以上;60℃以上;80℃以上;100℃以上;120℃以上;140℃以上;160℃以上;180℃以上;200℃以上;40℃〜220℃の間;および50℃〜200℃の間。
これまで、汚染および表面帯電を低減するために、開口部または凹部を備えた電極の使用を説明してきた。しかし、代替として、本明細書では、汚染および表面帯電を低減するために、電極は、軸方向に分割され得ることが考えられる。
それに応じて、第3の態様から、本発明は、
間隙によって分割される軸方向セグメントを有する電極の軸方向に分割された多極ロッドセットから形成された質量フィルタにイオンを供給すること、ならびに
所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが電極によって閉じ込められ、質量フィルタに沿ってそれを透過するように、電極に電圧を印加することであって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは不安定であり、それらが質量フィルタによって除去されるように間隙に入るかもしくは通過すること
を含む、イオンを質量フィルタリングする方法を提供する。
本方法および質量フィルタは、質量フィルタの電極が軸方向に分割されて、開口部または凹部を必ずしも含む必要がないことを除いて、本発明の第1または第2の態様に関して前述した任意の特徴を有し得る。しかし、任意の個々の軸方向セグメントは開口部または凹部の1つを含み得ると考えられる。
例えば、質量フィルタは、四重極質量フィルタであり得る。
透過したいイオンを電極間で閉じ込めて、透過したくないイオンを不安定にして、電極間に閉じ込めないために、質量フィルタの電極にRFおよびDC電圧が印加され得、例えば、不安定なイオンは放射状に励起され得る。
質量フィルタ内で不安定なイオンの少なくとも一部が電極内の前記間隙に入るか、またはそれを通過するように、RFおよびDC電圧が印加され得る。
本方法は、例えば、電極によって生じた電場をサポートするために、導電グリッドまたはメッシュを間隙の上に配置することを含み得る。
間隙に入るか、またはそれを通過するイオンは、検出されず、中和または廃棄される。
質量フィルタの電極の少なくとも一部は、例えば、以下から成る群から選択された温度まで加熱され得る:40℃以上; 50℃以上;60℃以上;80℃以上;100℃以上;120℃以上;140℃以上;160℃以上;180℃以上;200℃以上;および100℃〜300℃の間。
本方法は、ACまたはRF電圧を、質量フィルタの電極に印加することを含み得、ACまたはRF電圧の周波数は1MHz未満、または1MHzを上回る。
ロッドセットの少なくとも1つのロッドの軸方向セグメントの少なくとも一部は、同じDC電圧で維持され得る。代替として、または追加として、ロッドセットの少なくとも1つのロッドの軸方向セグメントの少なくともy%は、同じDC電圧で維持され得、yは、5以上;10以上;15以上;20以上;25以上;30以上;35以上;40以上;45以上;50以上;55以上;60以上;65以上;70以上;75以上;80以上;85以上;90以上;または95以上:から選択される。代替として、または追加として、DC電圧勾配は、質量フィルタに沿って維持されなくてもよい。
軸方向セグメントの少なくとも一部は、質量フィルタの縦軸に沿って以下から選択された厚さを有し得る:5mm以下;4mm以下;3mm以下;2mm以下;1mm以下;0.8mm以下;0.6mm以下;0.4mm以下;0.2mm以下;または0.1mm以下。質量フィルタによって透過したくない放射状に不安定なイオンが、電極に衝突するのではなく、セグメント間の間隙を通過できるようにするために、比較的薄い電極が使用され得る。
間隙の少なくとも一部は各々、0.5mm以上;1mm以上;1.5mm以上;2mm以上;2.5mm以上;3mm以上;3.5mm以上;4mm以上;4.5mm以上;5mm以上;6mm以上;7mm以上;8mm以上;9mm以上;または10mm以上:の、質量フィルタの縦軸に沿った長さを有し得る。質量フィルタによって透過したくない放射状に不安定なイオンが、電極に衝突するのではなく、セグメント間の間隙を通過できるようにするために、比較的大きな間隙が使用され得る。
本発明は、本明細書で説明する方法を含む、質量分析および/またはイオン移動度分光分析の方法も提供する。本方法は、質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンを検出すること、および/または質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンを質量分析すること、および/または質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンをイオン移動度分析することをさらに含み得る。
本発明の第1の態様は、
複数の電極を含む第1の質量フィルタ;
第1の質量フィルタによって透過されたイオンを受け取るために第1の質量フィルタの下流に配置された複数の電極を含む第2の質量フィルタ;
1つ以上の電圧源;および
コントローラであって、
第1の質量フィルタが第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過できるように、第1の質量フィルタに電圧を印加するように前記1つ以上の電圧源を制御することであって、第1の質量フィルタの電極の少なくとも1つは、電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または電極の一部だけに伸びる凹部を含み、前記電圧が第1の質量フィルタに印加されると、イオンが第1の質量フィルタ内で不安定になり、それらが、第1の質量フィルタによって第2の質量フィルタまで透過されないように、開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または凹部に入るように、開口部および/または凹部は配置および構成される、前記1つ以上の電圧源を制御すること、ならびに
第2の質量フィルタが第1の質量フィルタによって透過されたイオンを質量フィルタリングできるように、第2の質量フィルタに電圧を印加し、それにより、第2の質量フィルタは、第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように、前記1つ以上の電圧源を制御すること、
を行うようにセットアップされて構成されたコントローラ
を含む、質量分析計またはイオン移動度分光計も提供する。
分光計は、本明細書で説明する方法のいずれかを実行し得るように配置および構成され得る。特に、コントローラは、本明細書で説明する方法を実行するようにセットアップおよび構成され得る。
本発明の第2の態様は、
電極の少なくとも1つは、電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または電極の一部だけに伸びる凹部を含む、複数の電極;ならびに
所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが電極によって閉じ込められ、質量フィルタに沿ってそれを透過するように、電極に電圧を印加するように配置および構成された1つ以上の電圧源であって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンが不安定で、それらが質量フィルタによって除去されるように、開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または凹部に入る、1つ以上の電圧源
を備えた、質量フィルタであって、
質量フィルタは、開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または凹部に入るイオンが、検出されず、中和もしくは廃棄されるように、表面に衝突するように配置および構成される、
質量フィルタも提供する。
質量フィルタは、本発明の第2の態様に関して、本明細書で説明する方法のいずれかを実行するように配置および構成され得る。具体的には、質量フィルタは、本明細書で説明する方法を実行するようにセットアップおよび構成されたコントローラを有し得る。
本発明の第3の態様は、
間隙によって分割される軸方向セグメントを有する電極の軸方向に分割された多極ロッドセット、および
所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが電極によって閉じ込められ、質量フィルタに沿ってそれを透過するように、電極に電圧を印加するように配置および構成された1つ以上の電圧源であって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは不安定で、それらが質量フィルタによって除去されるように、間隙に入るか、もしくはそれを通過する、1つ以上の電圧源
を備えた、質量フィルタも提供する。
質量フィルタは、本発明の第3の態様に関して、本明細書で説明する方法のいずれかを実行するように配置および構成され得る。具体的には、質量フィルタは、本明細書で説明する方法を実行するようにセットアップおよび構成されたコントローラを有し得る。
例えば、質量フィルタは、ACまたはRF電圧を、質量フィルタの電極に印加するようにセットアップおよび構成され得、ACまたはRF電圧の周波数は1MHz未満、または1MHzを上回る。
質量フィルタは、ロッドセットの少なくとも1つのロッドの軸方向セグメントの少なくとも一部を、同じDC電圧で維持するようにセットアップおよび構成され得る。代替として、または追加として、質量フィルタは、ロッドセットの少なくとも1つのロッドの軸方向セグメントの少なくともy%を、同じDC電圧で維持するようにセットアップおよび構成され得、yは、5以上;10以上;15以上;20以上;25以上;30以上;35以上;40以上;45以上;50以上;55以上;60以上;65以上;70以上;75以上;80以上;85以上;90以上;または95以上:から選択される。代替として、または追加として、質量フィルタは、DC電圧勾配が、質量フィルタに沿って維持されないようにセットアップおよび構成され得る。
軸方向セグメントの少なくとも一部は、質量フィルタの縦軸に沿って以下から選択された厚さを有し得る:5mm以下;4mm以下;3mm以下;2mm以下;1mm以下;0.8mm以下;0.6mm以下;0.4mm以下;0.2mm以下;または0.1mm以下。質量フィルタによって透過したくない放射状に不安定なイオンが、電極に衝突するのではなく、セグメント間の間隙を通過できるようにするために、比較的薄い電極が使用され得る。
間隙の少なくとも一部は各々、0.5mm以上;1mm以上;1.5mm以上;2mm以上;2.5mm以上;3mm以上;3.5mm以上;4mm以上;4.5mm以上;5mm以上;6mm以上;7mm以上;8mm以上;9mm以上;または10mm以上:の、質量フィルタの縦軸に沿った長さを有し得る。質量フィルタによって透過したくない放射状に不安定なイオンが、電極に衝突するのではなく、セグメント間の間隙を通過できるようにするために、比較的大きな間隙が使用され得る。
イオンが、検出されず、中和または廃棄されるように、間隙に入るか、またはそれを通過するイオンが表面に衝突するように、質量フィルタは、配置および構成され得る。
本発明は、本明細書で説明する質量フィルタを含み、質量フィルタによって透過されたイオンを検出または分析するための検出器または分析器をさらに含む、質量分析計および/またはイオン移動度分光計も提供する。
本発明の第1の態様に関して説明する方法では、第1の質量フィルタは、電極全体に伸びる開口部および/または電極の一部にだけ伸びる凹部を必ずしも含む必要がないと考えられる。
それに応じて、第4の態様から、本発明は、
第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過するために第1の質量フィルタを使用してイオンを質量フィルタリングすること;および
第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過する、第2の質量フィルタを使用して、第1の質量フィルタによって透過されたイオンを質量フィルタリングすること
を含む、イオンを質量フィルタリングする方法を提供する。
第4の態様の方法は、第1の質量フィルタが、電極全体に伸びる開口部および/または電極の一部にだけ伸びる凹部を必ずしも含む必要がないことを除いて、本発明の第1の態様に関して説明する特徴のいずれかを含み得る。
本発明の第4の態様は、
第1の質量フィルタ;
第1の質量フィルタによって透過されたイオンを受け取るために第1の質量フィルタの下流に配置された第2の質量フィルタ;
1つ以上の電圧源;ならびに
コントローラであって、
第1の質量フィルタが第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過できるように、第1の質量フィルタに電圧を印加するように前記1つ以上の電圧源を制御すること、および
第2の質量フィルタが第1の質量フィルタによって透過されたイオンを質量フィルタリングできるように、第2の質量フィルタに電圧を印加し、それにより、第2の質量フィルタは、第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように、前記1つ以上の電圧源を制御すること
を行うように構成されたコントローラ
を備えた、質量分析計またはイオン移動度分光計も提供する。
第4の態様の分光計は、第1の質量フィルタが、電極全体に伸びる開口部および/または電極の一部にだけ伸びる凹部を必ずしも含む必要がないことを除いて、本発明の第1の態様に関して説明する特徴のいずれかを含み得る。
本明細書で説明する分光計は、
(a)以下から成る群から選択されたイオン源:(i)電子スプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス補助レーザー脱着イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザー脱着イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコン上脱着イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)フィールドイオン化(「FI」)イオン源;(xi)フィールド脱着(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝突(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオンマススペクトロメトリー(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱着電子スプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス補助レーザー脱着イオン化イオン源;(xviii)熱スプレーイオン源;(xix)大気サンプリンググロー放電イオン化(「ASGDI」)イオン源;(xx)グロー放電(「GD」)イオン源;(xxi)インパクタイオン源;(xxii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン源;(xxiii)レーザースプレーイオン化(「LSI」)イオン源;(xxiv)ソニックスプレーイオン化(「SSI」)イオン源;(xxv)マトリックス補助インレットイオン化(「MAII」)イオン源;(xxvi)溶媒支援インレットイオン化(「SAII」)イオン源;(xxvii)脱着電子スプレーイオン化(「DESI」)イオン源;および(xxviii)レーザーアブレーション電子スプレーイオン化(「LAESI」)イオン源;ならびに/または
(b)1つ以上の連続またはパルスイオン源;ならびに/または
(c)1つ以上のイオンガイド;ならびに/または
(d)1つ以上のイオン移動度分離装置および/もしくは1つ以上の非対称場イオン移動度分光計装置;ならびに/または
(e)1つ以上のイオントラップもしくは1つ以上のイオントラッピング領域;ならびに/または
(f)以下からなる群から選択された1つ以上の衝突、フラグメンテーションもしくは反応セル:(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーション装置;(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーション装置;(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーション装置;(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーション装置;(v)電子衝突または衝突解離フラグメンテーション装置;(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーション装置;(vii)レーザー誘起解離フラグメンテーション装置;(viii)赤外線放射誘起解離装置;(ix)紫外線放射誘起解離装置;(x)ノズルスキマーインタフェースフラグメンテーション装置;(xi)インソースフラグメンテーション装置;(xii)インソース衝突誘起解離フラグメンテーション装置;(xiii)熱もしくは温度源フラグメンテーション装置;(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置;(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置;(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーション装置;(xvii)イオン・イオン反応フラグメンテーション装置;(xviii)イオン分子反応フラグメンテーション装置;(xix)イオン原子反応フラグメンテーション装置;(xx)イオン準安定イオン反応フラグメンテーション装置;(xxi)イオン準安定分子反応フラグメンテーション装置;(xxii)イオン準安定原子反応フラグメンテーション装置;(xxiii)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン・イオン反応装置;(xxiv)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン分子反応装置;(xxv)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン原子反応装置;(xxvi)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン準安定イオン反応装置;(xxvii)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン準安定分子反応装置;(xxviii)イオンを反応させて付加イオンもしくはプロダクトイオンを形成するためのイオン準安定原子反応装置;および(xix)電子イオン化解離(「EID」)フラグメンテーション装置;ならびに/または
(g)以下からなる群から選択された質量分析器:(i)四重極質量分析器;(ii)2Dもしくは線形四重極質量分析器;(iii)ポールもしくは3D四重極質量分析器;(iv)ペニングトラップ質量分析器;(v)イオントラップ質量分析器;(vi)磁場型質量分析器;(vii)イオンサイクロトロン共鳴(「ICR」)質量分析器;(viii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器;(ix)クアドロ対数ポテンシャル分布を有する静電場を生成するように配置された静電質量分析器:(x)フーリエ変換静電質量分析器;(xi)フーリエ変換質量分析器;(xii)飛行時間質量分析器;(xiii)直交加速飛行時間質量分析器;および(xiv)線形加速飛行時間質量分析器;ならびに/または
(h)1つ以上のエネルギー分析器もしくは静電エネルギー分析器;ならびに/または
(i)1つ以上のイオン検出器;ならびに/または
(j)以下からなる群から選択された1つ以上の質量フィルタ:(i)四重極質量フィルタ;(ii)2Dまたは線形四重極イオントラップ;(iii)ポールまたは3D四重極イオントラップ;(iv)ペニングイオントラップ;(v)イオントラップ;(vi)磁場型質量フィルタ;(vii)飛行時間質量フィルタ;および(viii)ウィーンフィルタ;ならびに/または
(k)イオンをパルスするための装置もしくはイオンゲート;ならびに/または
(l)実質的に連続するイオンビームをパルスイオンビームへ変換する装置
を含み得る。
分光計は、誘導検出および時間領域信号を質量対電荷比領域信号もしくはスペクトルに変換する時間領域信号処理を採用する静電イオントラップまたは質量分析器を含み得る。前記信号処理は、フーリエ変換、確率解析、フィルタ対角化、順方向フィッティング(forward fitting)または最小二乗フィッティングを含み得るが、それらに制限されない。
分光計は、
(i)Cトラップおよび、クアドロ対数ポテンシャル分布をもつ静電場を形成する外側のバレル様電極と内側の同軸スピンドル様電極を備える質量分析器であって、第1の操作モードで、イオンは、C型トラップに送られ、次いで、質量分析器に注入され、第2の操作モードでは、イオンは、Cトラップに、次いで、衝突セルもしくは電子移動解離装置に送られて、少なくとも一部のイオンがフラグメントイオンにフラグメント化され、フラグメントイオンは、C型トラップに送られた後に、質量分析器に注入される、Cトラップおよび質量分析器、ならびに/または、
(ii)使用時にイオンを透過させる開口部を各々有する複数の電極を備える積層リング型イオンガイドであって、電極間の間隔がイオン通路の長さ方向に沿って増大し、イオンガイドの上流部分における電極内の開口部が第1の直径を有し、イオンガイドの下流部分における電極内の開口部が第1の直径よりも小さい第2の直径を有し、かつ、使用時に、連続する電極に、逆位相のAC又はRF電圧が印加される、イオンガイド
のいずれかを含み得る。
分光計は、ACまたはRF電圧を電極に供給するように配置および適合された装置を含み得る。ACまたはRF電圧は、好ましくは、以下からなる群から選択された振幅を有する:(i)50V未満のピークツーピーク;(ii)50〜100Vのピークツーピーク;(iii)100〜150Vのピークツーピーク;(iv)150〜200Vのピークツーピーク;(v)200〜250Vのピークツーピーク;(vi)250〜300Vのピークツーピーク;(vii)300〜350Vのピークツーピーク;(viii)350〜400Vのピークツーピーク;(ix)400〜450Vのピークツーピーク;(x)450〜500Vのピークツーピーク;および(xi)500V超のピークツーピーク。
ACまたはRF電圧は、好ましくは、以下からなる群から選択された周波数を有する:(i)100KHz未満;(ii)100〜200KHz;(iii)200〜300KHz;(iv)300〜400KHz;(v)400〜500KHz;(vi)0.5〜1.0MHz;(vii)1.0〜1.5MHz;(viii)1.5〜2.0MHz;(ix)2.0〜2.5MHz;(x)2.5〜3.0MHz;(xi)3.0〜3.5MHz;(xii)3.5〜4.0MHz;(xiii)4.0〜4.5MHz;(xiv)4.5〜5.0MHz;(xv)5.0〜5.5MHz;(xvi)5.5〜6.0MHz;(xvii)6.0〜6.5MHz;(xviii)6.5〜7.0MHz;(xix)7.0〜7.5MHz;(xx)7.5〜8.0MHz;(xxi)8.0〜8.5MHz;(xxii)8.5〜9.0MHz;(xxiii)9.0〜9.5MHz;(xxiv)9.5〜10.0MHz;および(xxv)10.0MHz超。
分光計は、イオン源の上流にクロマトグラフィーまたは他の分離装置を含み得る。クロマトグラフィー分離装置は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー装置を含み得る。分離装置は:(i)キャピラリー電気泳動(「CE」)分離装置;(ii)キャピラリー電気クロマトグラフィー(「CEC」)分離装置;(iii)実質的に剛性のセラミックベース多層微小流体基板(「セラミックタイル」)分離装置;または(iv)超臨界流体クロマトグラフィー分離装置、を含み得る。
イオンガイドは、以下からなる群から選択された圧力で維持され得る:(i)0.0001ミリバール未満;(ii)0.0001〜0.001ミリバール;(iii)0.001〜0.01ミリバール;(iv)0.01〜0.1ミリバール;(v)0.1〜1ミリバール;(vi)1〜10ミリバール;(vii)10〜100ミリバール;(viii)100〜1000ミリバール;および(ix)1000ミリバール超。
分析物イオンは、電子移動解離フラグメンテーション装置において電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションを受け得る。分析物イオンは、イオンガイドまたはフラグメンテーション装置内のETD試薬イオンと相互作用させられ得る。
任意選択として、電子移動解離を起こさせるために:(a)試薬イオンと相互作用すると、分析物イオンがフラグメント化されるか、もしくは解離を誘起されて、プロダクトイオンもしくはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(b)電子が1つ以上の試薬アニオンつまり負の電荷を持つイオンから1つ以上の多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンに移動されると、多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンの少なくとも一部が解離を誘起されて、プロダクトイオンまたはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(c)中性試薬ガス分子もしくは原子または非イオン性試薬ガスと相互作用すると、分析物イオンがフラグメント化されるか、もしくは解離を誘起されて、プロダクトイオンもしくはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(d)電子が1つ以上の中性、非イオン性または非荷電塩基性ガスもしくは蒸気から1つ以上の多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンに移動されると、多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンの少なくとも一部が解離を誘起されて、プロダクトイオンもしくはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(e)電子が1つ以上の中性、非イオン性または非荷電超塩基試薬ガスもしくは蒸気から1つ以上の多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンに移動されると、多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンの少なくとも一部が解離を誘起されて、プロダクトイオンまたはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(f)電子が1つ以上の中性、非イオン性または非荷電アルカリ金属ガスもしくは蒸気から1つ以上の多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンに移動されると、多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンの少なくとも一部が解離を誘起されて、プロダクトイオンまたはフラグメントイオンを形成し;かつ/または(g)電子が1つ以上の中性、非イオン性または非荷電ガス、蒸気もしくは原子から1つ以上の多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンに移動されると、多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンの少なくとも一部が解離を誘起されて、プロダクトイオンまたはフラグメントイオンを形成し、1つ以上の中性、非イオン性または非荷電ガス、蒸気もしくは原子は:(i)ナトリウム蒸気もしくは原子;(ii)リチウム蒸気もしくは原子;(iii)カリウム蒸気もしくは原子;(iv)ルビジウム蒸気もしくは原子;(v)セシウム蒸気もしくは原子;(vi)フランシウム蒸気もしくは原子;(vii)C60蒸気または原子;および(viii)マグネシウム蒸気もしくは原子:から成る群から選択される。
多価分析物カチオンつまり正の電荷を持つイオンは好ましくは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または生体分子を含む。
任意選択として、電子移動解離を起こさせるために:(a)試薬アニオンつまり負の電荷を持つイオンは芳香族多環式炭化水素もしくは置換芳香族多環式炭化水素から導出され;かつ/または(b)試薬アニオンつまり負の電荷を持つイオンは:(i)アントラセン;(ii)9,10ジフェニルアントラセン;(iii)ナフタレン;(iv)フッ素;(v)フェナントレン;(vi)ピレン;(vii)フルオランテン;(viii)クリセン;(ix)トリフェニレン;(x)ペリレン;(xi)アクリジン;(xii)2,2’ジピリジル;(xiii)2,2’ビキノリン;(xiv)9−アントラセンカルボニトリル;(xv)ジベンゾチオフェン;(xvi)1,10’−フェナントロリン;(xvii)9’アントラセンカルボニトリル;および(xviii)アントラキノン、から成る群から導出され;かつ/または(c)試薬アニオンつまり負の電荷を持つイオンは、アゾベンゼンアニオンもしくはアゾベンゼンラジカルアニオンを含む。
電子移動解離フラグメンテーションのプロセスは、分析物イオンを試薬イオンと相互作用させることを含み得、試薬イオンは、ジシアノベンゼン、4−ニトロトルエンまたはアズレン試薬イオンを含む。
本発明の実施形態によれば、低性能分解四重極が主要で分析的な四重極の前に配置される。主要で分析的な四重極は、低性能四重極によって透過された質量対電荷比値のサブセットを透過するように設定される。両方の四重極は、対象の質量対電荷比を実質的に中心とする透過窓を備えて設定される。主要で分析的な四重極によって透過される質量対電荷比値の範囲は、低性能四重極によって透過されるものよりも著しく小さい。第1の、低性能四重極内で不安定な軌道を持つイオンは、低性能四重極のロッドに引き込まれる。これは、不必要な背景イオンの大多数が主要で分析的な四重極のロッドを汚染するのを防ぎ、従って、分析的な四重極の性能が長期間にわたって維持される。
四重極ロッド電極の局所帯電の主要な影響は、高分解能での透過が影響を受けることである。例えば、分析的な四重極は、対象のイオンを中心として、0.2〜2amuの質量対電荷比透過範囲で操作され得る。しかし、分析的な四重極が、著しく低分解能で、例えば、対象の質量対電荷比を中心として10〜50amuの質量対電荷比透過範囲で操作される場合、対象の質量対電荷比の透過への表面帯電の影響はほとんど深刻ではない。
ここで、本発明の様々な実施形態を、ほんの一例として、添付の図を参照して、説明する。
主要で分析的な四重極の上流に置かれた前置フィルタを含む従来技術の機器の概略図を示す。 前置フィルタと主要で分析的な四重極との間に低分解能の分析的な四重極を含むことを除いて、図1に示す配置に対応する、本発明の第1の実施形態に従った機器の概略図を示す。 低分解能の分析的な四重極と主要で分析的な四重極との間に前置フィルタを含むことを除いて、図2に示す実施形態に対応する、本発明の別の実施形態に従った機器の概略図を示す。 本発明の一実施形態に従った、溝付き開口部を備えた電極を有する四重極ロッドセットの断面図を示す。 本発明の一実施形態に従った、溝付き凹部を備えた電極を有する四重極ロッドセットの断面図を示す。 本発明の一実施形態に従って、軸方向に分割される四重極ロッドセットの斜視図を示す。 異なる機器を通るイオンの相対的な透過を示す。 イオンがロッド電極上に衝突する機器内の位置を示す。 イオンが分析的な四重極内のロッド電極上に衝突する位置を示す。 イオンが前置フィルタ四重極内のロッド電極上に衝突する位置を示す。 帯域通過フィルタの一実施形態を示す。 低質量カットフィルタの一実施形態を示す。
図1は、主要で分析的な四重極4のすぐ上流に置かれた短いRF専用前置フィルタまたはブルーベイカーレンズ2を含む、従来技術の機器の概略図の(y−z平面における)断面図を示す。このRF専用前置フィルタ2は、主要で分析的な四重極質量フィルタ4に印加されるRF電圧の振幅の略50〜90%を有するRF電圧を供給される。前置フィルタの目的は、イオンが、不安定になることまく、また、主要で分析的な四重極質量フィルタ4に印加される分解DCの影響を最初に経験することなく、RF閉じ込め環境に入るのを可能にするために、主要な分解四重極の入口でのフリンジング場を制御することである。イオンを質量フィルタリングするために、RF電圧およびDC分解電圧が主要で分析的な四重極質量フィルタ4に印加される。RF専用後置フィルタ6も、下流の装置(図示せず)への受け入れのためにイオンを調整するために、分析的な四重極質量フィルタ4の出口で提供される。
図2は、本発明の一実施形態に従った機器の概略図の(y−z平面における)断面図を示す。本機器は、主要で分析的な四重極質量フィルタ4のすぐ上流に配置された、比較的短い、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8をさらに含むことを除いて、図1に示すものに似ている。短いRF専用前置フィルタまたはブルーベイカーレンズ2は、短い分析的な四重極質量フィルタ8のすぐ上流に配置され得る。1つ以上のRF専用後置フィルタ6は、主要で分析的な四重極質量フィルタ4の下流に配置され得る。
動作中、RF電圧源12はRF電圧を前置フィルタまたはブルーベイカーレンズ2の電極に印加する。前置フィルタまたはブルーベイカーレンズ2は、四重極ロッドセットを含み得る。DC電圧は前置フィルタまたはレンズ2に印加されなくてもよい。RF電圧源14およびDC電圧源16は、RFおよびDC電圧を、それぞれ、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8の電極に印加し、それにより、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8は第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過できる。RF電圧源18およびDC電圧源20は、RFおよびDC電圧を、それぞれ、主要で分析的な四重極質量フィルタ4の電極に印加し、それにより、主要で分析的な四重極質量フィルタ4は、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8によって透過される第1の範囲の質量対電荷比よりも狭い、第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過できる。RF電圧源22は、RF電圧を、四重極ロッドセットを含み得る、後置フィルタ6の電極に印加する。DC電圧は、後置フィルタ6に印加されなくてもよい。コントローラ24は、前述の電圧源を制御するために提供される。
使用中、イオンは、前置フィルタまたはレンズ2に送られ、前置フィルタまたはレンズ2を通って、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8にガイドされる。前置フィルタまたはレンズ2に印加されるRF電圧は、フリンジ場に起因した低性能の分析的な四重極質量フィルタ8への入口での透過損失を低減するために、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8および/または主要で分析的な四重極質量フィルタ4に印加されるRF電圧よりも低い振幅であり得る。RF電圧源13は、特定のカットオフ質量対電荷比を上回るイオンだけを放射状に閉じ込めるRF電圧を印加するように制御され得るので、RF専用前置フィルタまたはレンズ2は、低質量カットフィルタとしても機能し得る。
イオンは、次いで、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8に送られる。質量フィルタ8に印加されるRFおよびDC電圧は、第1の範囲の質量対電荷比内のイオンだけを、放射状に閉じ込め、従って、質量フィルタ8の出口に送る。この範囲外の質量対電荷比を有するイオンは、質量フィルタ8によって、例えば、質量フィルタ8の電極に放射状に励起されることにより、除去される。これらのイオンは、質量フィルタ8の出口に送られない。
第1の範囲の質量対電荷比内のイオンは、次いで、主要で分析的な質量フィルタ4に送られる。主要で分析的な質量フィルタ4に印加されるRFおよびDC電圧は、第2の、もっと狭い範囲の質量対電荷比内のイオンだけを、放射状に閉じ込め、従って、主要で分析的な質量フィルタ4の出口に送る。第2の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは、主要で分析的な質量フィルタ4によって、例えば、質量フィルタ4の電極に放射状に励起されることにより、除去される。これらのイオンは、主要で分析的な質量フィルタ4の出口に送られない。低性能の分析的な四重極質量フィルタ8を提供すると、第2の範囲外の質量対電荷比の多くのイオンが主要で分析的な質量フィルタ4の上流で除去できる。そのため、これらのイオンは、主要な分析フィルタ4によって除去される必要がなく、従って、主要な分析フィルタ4の電極に衝突しない。これは、主要な分析フィルタ4の汚染を防ぐのに役立ち、そのイオン透過特性を低下し得る、主要な分析フィルタ4の表面帯電を低減する。
低性能の分析的な四重極質量フィルタ8は、主要な分析フィルタ4と同じ振幅および周波数RF電圧を備え得る。従って、それらは同じRF電圧源を有し得ることが理解されるであろう。しかし、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8は、主要な分析フィルタ4よりも低い振幅DC電圧を備え得、それにより、低性能の分析的な四重極質量フィルタ8に対する分解能は、主要で分析的な質量フィルタ4よりも低いが、両方の質量フィルタ8、4の設定した質量透過窓は、実質的に同じ質量対電荷比値を中心とし得る。
主要な質量フィルタ4によって透過される第2の範囲の質量対電荷比内のイオンは、下流に、例えば、後置フィルタ6に送られる。後置フィルタに印加されるRF電圧は、これらのイオンを放射状に閉じ込め、その結果、それらは下流にガイドされる。
低分解能質量フィルタ8と主要で分析的な質量フィルタ4との間のフリンジング場は、主要で分析的な質量フィルタ4の性能低下を引き起こし得ることが認識されている。より詳細には、動作可能な質量分解能における主要で分析的な質量フィルタの透過は、これらのフリンジング場によって低減され得る。図3は、これを克服するための実施形態の概略図を示す。
図3は、本発明の別の実施形態に従った機器の概略図を示す。この機器は、さらにRF専用前置フィルタ30が、低性能の四重極質量フィルタ8と主要で分析的な質量フィルタ4との間に直接配置されることを除いて、図2に示すものに対応する。前置フィルタ30は、四重極ロッドセットを含み得る。RF電圧源32は、イオンを前置フィルタ30内に放射状に閉じ込めて、それらを低分解能質量フィルタ8と主要で分析的な質量フィルタ4との間にガイドするために、RF電圧を前置フィルタ30の電極に印加するように、コントローラ24によって制御される。RF専用前置フィルタ30は、主要で分析的な質量フィルタ4を低分解能質量フィルタ8から効果的に遮断する。この機器では、主要で分析的な質量フィルタ8の性能は、従って、損なわれない。
動作中、前置フィルタ2および30に印加されるRF電圧の振幅は、同じであり得る。そのため、電圧源12および32は、同じ供給であり得る。前置フィルタ2および30に印加されるRF電圧は、例えば、低性能質量フィルタ8および/または主要で分析的な四重極4に印加されるRF電圧の振幅の略67%であり得る。
典型的な動作パラメータを使用した操作例をここで説明する。所与の周波数ωで、主要で分析的な質量フィルタ4の電極に印加される、RF電圧、Vの振幅は、質量対電荷比Mを有する対象のイオンがq=0.706の値をもつように設定され得る。これは、主要で分析的な質量フィルタ4に対するマシュー安定線図の頂点の真下の点であり得る。
RF専用前置フィルタ2は、q>0.908のような質量対電荷比値を有するイオンが不安定になって、前置フィルタ2の電極に引き込まれるように、低質量カットオフとして機能する。
前置フィルタ2、30に印加されるRF電圧の振幅が主要で分析的な質量フィルタ4の電極ロッドに印加されるものの67%である場合、前置フィルタ2、30の低質量カットオフ値Mは、次の式によって与えられる:
Figure 0006746617
従って、Mを下回る質量対電荷比を有する全てのイオンは、前置フィルタ2の電極に引き込まれる。
低分解能質量フィルタ8は、通常、20Daの質量対電荷比透過窓で動作し得る。これらの条件下では、質量透過窓が対象の質量対電荷比Mを中心とすると仮定して、M+/−10Daの質量対電荷比値だけが主要で分析的な質量フィルタ4に送られる。主要で分析的な質量フィルタ4は通常、0.5〜1Daの質量対電荷比透過窓で動作し、それも、対象の質量対電荷比Mを中心とし得る。
前述のように、低分解能質量フィルタ4の存在は、不要なイオンの大多数が、主要で分析的な質量フィルタ4の電極に衝突しないことを確実にし、従って、主要で分析的な質量フィルタ4の電極の汚染およびそれに続く帯電を最小限にする。
多数の不要なイオンは、前置フィルタ2および低分解能質量フィルタ8の電極の表面に衝突する。これらの装置の両方の性能は、(例えば、それらは比較的低分解能で動作されるので)表面汚染および帯電に対してより堅牢であるが、これらの装置は最終的には、それらを通したイオン透過が影響を受けるほど十分に汚染され得る。これらの構成要素の表面汚染を低減するために、細長い溝付き開口部または溝付き凹部がロッド電極内に提供され得、それにより、これらの装置内で不安定な軌道を有するイオンの全部または一部が、ロッド電極を通過するか、または中心イオン透過軸に最も近い表面から離れているか、もしくはそれから遮断されている、表面に衝突する。
図4は、前述した低性能質量フィルタ8の一実施形態の(x−y平面における)断面図を示す。質量フィルタ8は、z方向に伸びる縦軸を有する4つの細長いロッド電極42〜48を含む。RF電圧源14は、当技術分野で周知のように、逆位相のRF閉じ込め電圧を異なるロッド電極に供給するために提供される。DC電源16は、当技術分野で周知のように、反極性のDC分解電圧を異なるロッド電極に供給するために提供される。ロッド電極42〜48の各々は、質量フィルタを通るイオン光軸に面したイオン入口開口部から、質量フィルタから放射状に外側に向いたイオン出口開口部まで、電極全体に伸びる、先細になった溝付き開口部43を含む。スロット43は、イオン入口開口部からイオン出口開口部の方向へ外側に先細になる、すなわち、スロット43は、イオン入口開口部からイオン出口開口部の方向へ増大するx−z平面における断面積を有する。従来型の四重極ロッド電極、すなわち、スロット43を有していないロッド電極、の電場特性を実質的に維持するために、グリッドまたはメッシュ電極45が、各スロット43のイオン入口開口部の上に提供され得る。
図4は、質量フィルタ8が透過させるように設定される質量対電荷比よりも高い質量対電荷比を有する正イオンの、すなわち、第1の範囲外の質量対電荷比のイオンに対する、軌道47を示す。これらのイオンは、質量フィルタ8をy方向にスロット43から出る。図4は、質量フィルタ8が透過させるように設定される質量対電荷比よりも低い質量対電荷比を有する負イオンの、すなわち、第1の範囲外の質量対電荷比のイオンに対する、軌道49も示す。これらのイオンは、質量フィルタ8をx方向にスロット43から出る。従って、質量フィルタ8は、これらのフィルタ処理されたイオンが電極42〜48に衝突することなく、それ故、フィルタ処理されたイオンが電極42〜48の表面汚染および帯電を生じることなく、イオンを除去できることが理解されるであろう。フィルタ処理されたイオンの一部は、電極42〜48、イオン入口開口部とイオン出口開口部との間の溝付き開口部43の側壁に衝突し得る。しかし、たとえこれが表面汚染および帯電を生じても、これは、質量フィルタ8を通るイオン光軸から離れて起こり、従って、問題となることは少ない。
図5は、低性能質量フィルタ8の別の実施形態の(x−y平面における)断面図を示す。この実施形態は、ロッド電極42〜48の各々は、電極全体に伸びる開口部43ではなく、電極の内表面に溝付き凹部50を含むことを除いて、図4に関して示して説明したものと同じである。各凹部50は、質量フィルタ8を通るイオン光軸に面したイオン入口開口部から、質量フィルタ8から放射状に外側に向いたイオン出口開口部まで、そのそれぞれの電極42〜47の一部に伸びる。凹部50は、イオン入口開口部からイオン出口開口部(図示せず)の方向へ外側に先細になり得る、すなわち、凹部50は、イオン入口開口部からイオン出口開口部の方向へ増大するx−z平面における断面積を有し得る。従来型の四重極ロッド電極、すなわち、凹部50を有していないロッド電極、の電場特性を実質的に維持するために、グリッドまたはメッシュ電極45が、各凹部50のイオン入口開口部の上に提供され得る。
図5は、質量フィルタ8が透過させるように設定される質量対電荷比よりも高い質量対電荷比を有する正イオンの、すなわち、第1の範囲外の質量対電荷比のイオンに対する、軌道52を示す。これらのイオンは、y方向に移動して、質量フィルタ8の電極42、46内の凹部50に入る。図5は、質量フィルタ8が透過させるように設定される質量対電荷比よりも低い質量対電荷比を有する負イオンの、すなわち、第1の範囲外の質量対電荷比のイオンに対する、軌道54も示す。これらのイオンは、x方向に移動して、質量フィルタ8の電極44、48内の凹部50に入る。従って、質量フィルタ8は、これらのフィルタ処理されたイオンが、イオン透過軸に面した電極42〜48の内表面に衝突することなく、それ故、フィルタ処理されたイオンが、これらの表面で、電極42〜48の表面汚染および帯電を生じることなく、イオンを除去できることが理解されるであろう。そのため、質量フィルタ8を通る安定した軌道をもつイオンは、汚染した領域上の表面帯電から遮断される。
図6は、低性能質量フィルタ8の別の実施形態の斜視図を示す。質量フィルタ8は、質量フィルタ8の電極42〜48が開口部43または凹部52を含む必要がないことを除いて、前述の質量フィルタと同じ方法で構成されて動作する。質量フィルタ8のロッド電極42〜48の各々は、縦方向(z方向)に、ロッドセットの軸方向セグメント間に間隙60を置いて、分割される。質量フィルタ8は、前述と同じ方法で操作され、それにより、第1の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは安定して閉じ込められず、質量フィルタ8によって透過されない程度まで放射状に励起される。間隙60は、不安定なイオンが衝突し得る電極42〜48の表面積を減少させ、従って、これらの電極42〜48の表面帯電および汚染を低減する。質量フィルタ8の要求される分解能が、フィルタ処理されたイオンによって汚染され得る表面積を最小限にするために維持されるという条件で、縦方向(z方向)での電極セグメント間の軸方向間隔が、可能な限り大きくなるように選択され得、かつ/または縦方向(z方向)での電極セグメントの厚さは、可能な限り小さくなるように選択され得る。
電極42〜48は(x−y平面において)円形断面を有するが、他の形状も使用され得る。例えば、電極は、実質的に(x−y平面において)双曲線であり得るか、または実質的に円形の内輪を有し得る(例えば、輪状であり得る)。
図4および図5に示す構成は、質量フィルタ8のイオン光軸に近い汚染をさらに低減するために、図6に関して示して説明する方法で軸方向に分割され得るとも考えられる。
質量フィルタ8の電極内に溝付き開口部および/または溝付き凹部を提供すると、質量分解能が増大するにつれて対象のイオンの透過を低減し得るので、四重極質量フィルタの分析性能に影響を及ぼし得る。しかし、低分解能では、四重極の透過は著しくは影響されず、従って、この配置は、高分解能の分析的な四重極質量フィルタ4を保護するために使用される低分解能帯域通過質量対電荷比フィルタ8としての使用に少なくとも適する。
RF専用前置フィルタ装置2内の低質量対電荷比イオンの不安定性は、分解四重極質量フィルタの場合のように、方向性ではない可能性がある。しかし、溝付き開口部および/または溝付き凹部が、かかる前置フィルタ2に提供され得るか、または前置フィルタ2は、表面汚染の程度を低減し、表面帯電の影響を低下させるために、分割され得る。
図3に示す機器の動作の原理を示すために、イオン光学モデル(SIMION 8)が構築された。RF専用四重極フィルタ2および30、ならびに低分解能の分析的な四重極質量フィルタ8は各々、16mmの長さであった。分析的な四重極質量フィルタ4は130mmの長さであった。全部のロッド電極は、6mmの半径を有し、半径5.33mmの内接円を形成するように配置された。全てのロッドに印加されるRF電圧の周波数は1.185MHzに設定された。主要で分析的な質量フィルタ4は、556の質量対電荷比を透過するように設定された。これは、1601.8VのRF振幅(0ピーク)に対応する。同じ振幅のRF電圧が低分解能質量フィルタ8に印加された。低分解能質量フィルタ8は、先細ではない溝付き開口部をモデルとした。スロットの各々は、x方向またはy方向のいずれかで1mmの幅を有した。RF専用フィルタ2および30に印加されるRF電圧の振幅は、主要で分析的な質量フィルタ4の振幅の67%、すなわち、1073.2V(0ピーク)に設定された。四重極組立体に入るイオンの運動エネルギーは、1eVとしてモデル化された。268.7Vの分解DC電圧が主要で分析的な質量フィルタ4に印加され、その結果、略0.5Daの質量対電荷比透過窓となった。機器全体を通して556の質量対電荷比を有するイオンの透過への影響を調べるために、異なるDC分解電圧が、60、40、20および10Daの論理上の質量対電荷比透過窓に対応する低分解能質量フィルタ8に印加されているとしてモデル化された。
図7は、前述したモデルの結果を示す。それは、低分解能質量フィルタ8の異なる条件下での、m/z=554.4〜m/z=555.6の狭い四重極スキャンに対して、556の質量対電荷比を有するイオンの集合(ensemble)の相対的な透過を示す。グラフ70は、図1に示す従来技術の機器の配置に対する556の質量対電荷比を有するイオンの相対的な透過を示す。3つの密接したグラフ72、74、76は、図3に示す本発明の実施形態に対する相対的な透過を示す。これらの透過グラフ72、74、76は、この装置の論理上の分解能が、それぞれ80Da、40Daおよび20Daになるように、低分解能質量フィルタ8に対して設定されたDC分解電圧で生成された。これらの設定に対してイオン透過における全体的な急低下は見られなかった。しかし、グラフ78は、低分解能質量フィルタ8への10amuの論理上の透過窓の結果を示し、透過における40〜50%の低下となる。
図8は、586の質量対電荷比を有するイオンが図3の四重極4、8、および30によって境界された内接円の半径を出るzおよびy方向の位置を示す。溝付き低分解能質量フィルタ8は、556の質量対電荷比を中心として、20Daの質量対電荷比を透過するように設定された。図8から、586の質量対電荷比を持つ(透過されるように設定された中心質量対電荷比よりも30amu高い)全イオンの97%が、ロッド内の1mmのスロットの位置に対応する、y方向に+/−0.5mmの放射状範囲内で、かつ低分解能質量フィルタ8の長さに対応する、z方向に16mm内で、ロッドの内表面に到達することがわかる。586の質量対電荷比を有するイオンは、RF専用前置フィルタ30に入射しないことがわかる。586の質量対電荷比を有するイオンの3%だけが主要で分析的な質量フィルタ4の電極にその長さの最初の16mm内で入射する。従って、低分解能質量フィルタ8は、主要で分析的な質量フィルタ4が586の質量対電荷比を持つ不要なイオンによって汚染されるのを保護することは明らかである。
図9は、y方向に移動して、低分解能質量フィルタ8のロッドの表面に達するイオンの数対、ロッド内のスロット43の中心に対するそれらのx方向での位置のヒストグラムを示す。データは、1080の質量対電荷比を有するイオンに対して、図8に関して説明したのと同じ条件下で、モデル化された。イオンの大多数はロッド内の1mm幅のスロットを通過し、そのため、ロッド上の表面汚染の大きな一因とはならないことが分かる。式3に関して前述したように、289(=556×0.52)を下回る質量対電荷比はRF専用前置フィルタ2内で不安定になり、前置フィルタ2のロッド電極に引き込まれる。
図10は、y方向に移動して、前置フィルタ2のロッドの表面に達するイオンの数対、ロッドの中心に対するそれらのx方向での位置のヒストグラム100を示し;また、x方向に移動して、前置フィルタ2のロッドの表面に達するイオンの数対、ロッドの中心に対するそれらのy方向での位置のヒストグラム102を示す。データは、184の質量対電荷比を有するイオンに対して、図8に関して説明したのと同じ条件下で、モデル化された。図10から、放出は、図9に示す分解四重極に対するものよりも方向性が少ないが、この質量対電荷比のイオンは、xおよびy次元の両方においてロッドに向かって放出されることが分かる。この場合、前置フィルタロッド2の各々における2mm幅のスロットによって、低質量イオンの略50%がそのスロットを通過する結果となり、従って、前置フィルタ2における表面汚染の大きな一因ではないことが分かる。このRF前置フィルタ2には、装置の性能に著しい影響を及ぼすことなく、さらに大きいスロットでさえ備えられ得、表面汚染のさらなる低減となる。
RF専用前置フィルタ30は、主要で分析的な質量フィルタ4に入る条件を、主要で分析的な質量フィルタ4の透過および分解能に理想的な状態に維持するために、溝付き開口部または溝付き凹部を有していなくてもよい。この前置フィルタ30は、前置フィルタ2と同じRF振幅で維持され得る。そのため、前置フィルタ30内のロッド電極の表面に入射するイオンは実質的にないであろう。
説明した条件下で、586Daより大きくて、526より小さい質量対電荷比を持つかなりの数のイオンは、低分解能の分析的な質量フィルタ8または前置フィルタ2のスロットに入るか、またはそれを通過することが予期され得ることが理解されるであろう。従って、これらのイオンは、汚染および表面帯電に起因した性能低下の大きな一因ではないであろう。
低性能質量フィルタ8は、より高性能の分析的な質量フィルタ4の稼働寿命を保護して延ばすために使用されていると説明してきたが、説明する開口部は、低質量カットオフまたは質量対電荷比帯域通過が要求される他の多くの用途に対して使用され得る。
例えば、図11は、低減された表面汚染特性を有する低分解能帯域通過質量フィルタを示す。本機器は、前述したタイプの縦の溝付き開口部または溝付き凹部を有する第1のRF専用フィルタ110、その後に、前述したタイプの溝付き開口部または溝付き凹部を有する低性能の分析的な質量フィルタ112、その後に、前述したタイプであるが、溝付き開口部も溝付き凹部も有していない、第2のRF専用質量フィルタ114を含む。この機器は、例えば、前述したような主要で分析的な質量フィルタ4以外の、またはそれに加えて、別の下流の分析装置の前に、堅牢な帯域通過フィルタとして使用され得る。例えば、下流の分析装置は、イオントラップまたは飛行時間質量分析器であり得る。
代替として、図11の機器は、別個の分析装置の下流に配置された低性能の堅牢な帯域通過フィルタとして使用され得る。例えば、帯域通過フィルタは、イオン移動度分離器(IMS)の下流に配置され得る。帯域通過フィルタによって通される質量対電荷比の範囲は固定であり得るか、または上流装置からのイオンの引渡しと同期してスキャンされ得る。例えば、帯域通過フィルタは、特定の荷電状態に対応する上流のIMS装置から溶出するイオンを選択するために使用され得る。これは、所与の荷電状態のイオンは、イオン移動度と質量対電荷比との間の関係に従う傾向があり、IMS装置および帯域通過フィルタは、かかる関係に従うイオンだけを透過させるために組み合わせて使用され得るので、達成され得る。
図12は、単純で、堅牢な低質量カットフィルタ120を示す。本フィルタは、表面汚染を最小限にするために、前述したタイプの縦のスロットまたは溝を有するRF専用四重極ロッドのセットを含む。この装置は、例えば、あるイオン移動度ドリフト時間および(例えば、最大)質量対電荷比値を持つイオンが下流の質量分析器に到達するのを防ぐために、IMS装置の下流で使用され得る。同じ荷電状態であるが、異なる質量対電荷比を有するイオンはフィルタで受け取られ得るが、質量対電荷比値の1つのイオンだけが透過され得るので、これは、異なる荷電状態のイオンを分け隔てるために使用され得る。
説明する配置の全てにおいて、電極、または軸方向に分割された電極内に、溝付き開口部または溝付き凹部が存在すると、電極の表面汚染を低減させ、従って、様々な質量フィルタおよび/または下流の質量分析器もしくはイオン移動度分析器の稼働寿命を延ばす。
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、形式および詳細における様々な変更が、添付の特許請求の範囲に明記する本発明の範囲から逸脱することなく、行われ得ることが理解されるであろう。
例えば、ロッド内の溝付き開口部および/もしくは溝付き凹部は、ロッドの長さの一部だけにわたって存在し得るか、またはロッドの全長にわたって存在し得る。
低分解能質量フィルタ8の上流にRF専用前置フィルタ2が存在することは、操作のために必須でなくてもよい。これは、質量フィルタ8は比較的低分解能で動作し、従って、入る条件は、質量対電荷比透過窓の中心のイオンに対して透過に著しい影響を与えない可能性があるからである。この場合、低質量対電荷比は、1つのセットの溝付き開口部から放出され得、高質量対電荷比は、質量フィルタ8の別のセットの溝付き開口部から放出され得る。
異なるロッドセットの内接半径は異なり得ると考えられる。
各ロッドセットを通るイオンのエネルギーを制御するために、異なるDC電圧が異なるロッドセットに印加され得る。
イオンが不安定になると、イオンが溝付き開口部または凹部の方向に移動するのを支援するために、双極子励起電圧が、低分解能質量フィルタ8および/またはRF専用フィルタ2に印加され得る。
主要で分析的な質量フィルタ4は、表面汚染を低減するために、低分解能質量フィルタ8に関して説明したように、開口部もしくは凹部を含むか、または軸方向に分割され得るとも考えられる。

Claims (18)

  1. 第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過するために第1の質量フィルタを使用して、イオンを質量フィルタリングすることと、
    前記第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである、第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過する、第2の質量フィルタを使用して、前記第1の質量フィルタによって透過された前記イオンを質量フィルタリングすることと
    を含み、
    前記第1の質量フィルタの少なくとも1つの電極は、前記電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または前記電極の一部にだけ伸びる凹部を含み、前記開口部および/または凹部は、前記第1の質量フィルタ内で不安定なイオンが、前記第1の質量フィルタによって透過されないように、前記開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または前記凹部に入るように、配置および構成され、
    前記第1の質量フィルタによって透過された前記イオンが、前記第1の質量フィルタと前記第2の質量フィルタとの間に配置されたRF専用イオンガイドを使用して、前記第2の質量フィルタ内にガイドされる、
    イオンを質量フィルタリングする方法。
  2. 前記第1の質量フィルタおよび/または第2の質量フィルタは、四重極質量フィルタなどの、多極質量フィルタである、請求項1に記載の方法。
  3. 透過したいイオンを前記電極間に閉じ込めて、透過したくないイオンを不安定にして、前記電極間に閉じ込めないために、RFおよびDC電圧を、前記第1の質量フィルタの電極および/または前記第2の質量フィルタの電極に印加することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の質量フィルタの上流に配置された第2のイオンガイドを使用して、前記イオンを前記第1の質量フィルタにガイドすること
    を含む、請求項1〜3のうちのいずれか一に記載の方法。
  5. 前記第2の質量フィルタの前記電極の少なくとも1つは、前記電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または前記電極の一部だけに伸びる凹部を含み、前記開口部および/もしくは凹部は、前記第2の質量フィルタ内で不安定なイオンが、前記第2の質量フィルタによって透過されないように、前記開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または前記凹部に入るように、配置および構成される、請求項1〜4のうちのいずれか一に記載の方法。
  6. 前記開口部または凹部を有する前記電極は、前記質量フィルタの長さに沿った方向に細長く、かつ、前記開口部は、溝付き開口部であるか、または前記凹部は溝付き凹部である、請求項1〜5のうちのいずれか一に記載の方法。
  7. 前記電極によって生じた電場をサポートするために、前記開口部または凹部の上またはその中に導電グリッドまたはメッシュを配置することを含む、請求項1〜6のうちのいずれか一に記載の方法。
  8. 前記開口部または凹部に入るか、またはそれを通過するイオンは、検出されず、中和または廃棄される、請求項1〜7のうちのいずれか一に記載の方法。
  9. 前記第1の質量フィルタの前記電極の少なくとも一部は加熱される、請求項1〜8のうちのいずれか一に記載の方法。
  10. 間隙によって分割される軸方向セグメントを有する電極の軸方向に分割された多極ロッドセットから形成された質量フィルタにイオンを供給することと、
    所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが前記電極によって閉じ込められ、前記質量フィルタに沿ってそれを透過するように、前記電極に電圧を印加することであって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは不安定であり、それらが前記質量フィルタによって除去されるように、前記間隙に入るかまたはそれを通過する、前記電極に電圧を印加することと
    を含む、イオンを質量フィルタリングする方法。
  11. ACまたはRF電圧を、前記質量フィルタの前記電極に印加することを含み、前記ACまたはRF電圧の周波数は1MHz未満、または1MHzを上回る、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ロッドセットの少なくとも1つのロッドの前記軸方向セグメントの少なくとも一部は、同じDC電圧で維持され、かつ/または、
    前記ロッドセットの少なくとも1つのロッドの前記軸方向セグメントの少なくともy%は、同じDC電圧で維持され、yは、5以上;10以上;15以上;20以上;25以上;30以上;35以上;40以上;45以上;50以上;55以上;60以上;65以上;70以上;75以上;80以上;85以上;90以上;もしくは95以上:から選択され、かつ/または、
    DC電圧勾配は、前記質量フィルタに沿って維持されない、
    請求項10または請求項11に記載の方法。
  13. 前記軸方向セグメントの少なくとも一部は、前記質量フィルタの前記縦軸に沿って、5mm以下;4mm以下;3mm以下;2mm以下;1mm以下;0.8mm以下;0.6mm以下;0.4mm以下;0.2mm以下;または0.1mm以下:から選択された厚さを有する、請求項10、請求項11または請求項12に記載の方法。
  14. 前記間隙の少なくとも一部は各々、0.5mm以上;1mm以上;1.5mm以上;2mm以上;2.5mm以上;3mm以上;3.5mm以上;4mm以上;4.5mm以上;5mm以上;6mm以上;7mm以上;8mm以上;9mm以上;または10mm以上:の前記質量フィルタの前記縦軸に沿った長さを有する、請求項10〜請求項13のいずれか一に記載の方法。
  15. 前記質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンを検出すること、および/または質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンを質量分析すること、および/または前記質量フィルタ(複数可)によって透過されたイオンをイオン移動度分析することをさらに含む、請求項1〜14のうちのいずれか一に記載の方法を含む質量分析および/またはイオン移動度分光分析の方法。
  16. 複数の電極を含む第1の質量フィルタと、
    前記第1の質量フィルタによって透過されたイオンを受け取るために前記第1の質量フィルタの下流に配置された、複数の電極を含む第2の質量フィルタと、
    前記第1の質量フィルタと前記第2の質量フィルタとの間に配置され、前記第1の質量フィルタによって透過された前記イオンを前記第2の質量フィルタ内にガイドするRF専用イオンガイドと、
    1つ以上の電圧源と、
    コントローラであって、
    前記第1の質量フィルタが第1の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを質量選択的透過できるように、前記第1の質量フィルタに電圧を印加するように前記1つ以上の電圧源を制御することであって、前記第1の質量フィルタの前記電極の少なくとも1つは、前記電極全体に伸びる開口部を含み、かつ/または前記電極の一部だけに伸びる凹部を含み、前記電圧が前記第1の質量フィルタに印加されると、イオンが前記第1の質量フィルタ内で不安定になり、それらが、前記第1の質量フィルタによって前記第2の質量フィルタに透過されないように、前記開口部に入るか、もしくはそれを通過し、かつ/または前記凹部に入るように、前記開口部および/または凹部は配置および構成される、前記1つ以上の電圧源を制御することと、
    前記第2の質量フィルタが前記第1の質量フィルタによって透過されたイオンを質量フィルタリングできるように、前記第2の質量フィルタに電圧を印加し、それにより、前記第2の質量フィルタは、前記第1の範囲の質量対電荷比のサブセットである第2の範囲の質量対電荷比を有するイオンだけを透過するように、前記1つ以上の電圧源を制御することと、
    を行うようにセットアップされて構成されたコントローラと
    を備える、質量分析計。
  17. 間隙によって分割される軸方向セグメントを有する電極の軸方向に分割された多極ロッドセットと、
    所望の範囲内の質量対電荷比を有するイオンが前記電極によって閉じ込められ、前記質量フィルタに沿ってそれを透過するように、前記電極に電圧を印加するように配置および構成された1つ以上の電圧源であって、前記所望の範囲外の質量対電荷比を有するイオンは不安定であり、それらが前記質量フィルタによって除去されるように、前記間隙に入るか、またはそれを通過する、1つ以上の電圧源と
    を備える、質量フィルタ。
  18. 請求項17に記載の質量フィルタを含み、前記質量フィルタによって透過されたイオンを検出または分析するための検出器または分析器をさらに含む、質量分析計。
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