<第1実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図17参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、後述する第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
ステージとは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出に統一性を持たせた演出モードのことで、本パチンコ機10では「街中ステージ」,「空ステージ」,「島ステージ」の3つのステージが設けられている。そして、後述する第1入球口64への入球(始動入賞)に伴って行われる変動演出やリーチ演出などの各種演出は、それぞれのステージに与えられたテーマに合わせて行われるように設計されている。ステージの変更は、変動演出が行われていない期間や高速変動中に遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に行われ、枠ボタン22が操作される度に「街中ステージ」→「空ステージ」→「島ステージ」→「街中ステージ」→・・・の順で繰り返し変更される。また、電源投入後の直後は、初期ステージとして「街中ステージ」が設定される。
一方、第3図柄表示装置81には、ノーマルリーチ演出が開始された場合に、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展させるときは、ノーマルリーチ中にスーパーリーチの演出態様の選択画面が表示されるように構成されており、その選択画面が表示されている間に、枠ボタン22が遊技者に操作されると、スーパーリーチ時の演出内容が変更される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する押しボタン式の打ち止めスイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび打ち止めスイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図17参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
本パチンコ機10では、球が第1入球口64へ入球した場合に特別図柄(第1図柄)の抽選が行われ、球が第2入球口67を通過した場合に普通図柄(第2図柄)の抽選が行われる。第1入球口64への入球に対して行われる特別図柄の抽選では、特別図柄の大当たりか否かの当否判定が行われると共に、特別図柄の大当たりと判定された場合にはその大当たり種別の判定も行われる。特別図柄の大当たりになると、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると共に、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放され、その開放が5回(5ラウンド)繰り返される。その結果、その特定入賞口65aに多量の球が入賞するので、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。特別図柄の大当たり種別としては、「大当たりA」、「大当たりB」の2種類が設けられており、特別遊技状態の終了後には大当たり終了後の付加価値として、これらの大当たり種別に応じた遊技上の価値(遊技価値)が遊技者に付与される。
また、特別図柄(第1図柄)の抽選が行われると、第1図柄表示装置37において特別図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、11秒〜60秒など)が経過した後に、抽選結果を示す特別図柄が停止表示される。第1図柄表示装置37において変動表示が行われている間に球が第1入球口64へ入球すると、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。第1図柄表示装置37において変動表示が終了した場合に、第1入球口64についての保留球数が残っていれば、次の特別図柄の抽選が行われると共に、その抽選に応じた変動表示が開始される。尚、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると開閉される特別入賞口65aは、第1入球口64の直ぐ下に設けられている。よって、特別遊技状態中は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第1入球口64にも球が多く入球する。従って、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、第1入球口64についての保留球数は最大(4回)になる。
一方、第2入球口67における球の通過に対して行われる普通図柄の抽選では、普通図柄の当たりか否かの当否判定が行われる。普通図柄の当たりになると、所定時間(例えば、0.2秒または1秒)だけ第1入球口64に付随する電動役物が開放され、第1入球口64へ球が入球し易い状態になる。つまり、普通図柄の当たりになると、球が第1入球口64へ入球し易くなり、その結果、特別図柄の抽選が行われ易くなる。
また、普通図柄(第2図柄)の抽選が行われると、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が開始されて、所定時間(例えば、3秒や30秒など)が経過した後に、抽選結果を示す普通図柄が停止表示される。第2図柄表示装置83において変動表示が行われている間に球が第2入球口67を通過すると、その通過回数は最大4回まで保留され、その保留球数が第1図柄表示装置37により表示されると共に、第2図柄保留ランプ84においても示される。第2図柄表示装置83において変動表示が終了した場合に、第2入球口67についての保留球数が残っていれば、次の普通図柄の抽選が行われると共に、その抽選に応じた変動表示が開始される。
上述したように、特別図柄の大当たり種別としては、「大当たりA」、「大当たりB」の2種類が設けられている。「大当たりA」、「大当たりB」はいずれも最大ラウンド数が8ラウンドの大当たりである。
「大当たりA」と「大当たりB」とは、大当たりの当選が確定した後で、抽選装置300(図5参照)によって行われる特別図柄の高確率状態への移行抽選において、流路切替弁331a,331b(図9参照)により、遊技球が通る流路を振り分け回転体341の手前側の流路(手前ルート)とするか奧側の流路(奥ルート)とするかという違いがある。即ち、「大当たりA」では、手前側の流路(手前ルート)に切り替えられ(図9(b)参照)、「大当たりB」では、奧側の流路(奥ルート)に切り替えられる(図9(a)参照)。
ここで、振り分け回転体341の「手前側」、および「奥側」とは、それぞれ遊技者にとって手前側か奥側かを指しており、手前側の流路(手前ルート)の場合はパチンコ機10で遊技を行っている遊技者にとって近い側(ベース板60に対して遠い側)の流路であり、奥側の流路(奥ルート)の場合は遊技者にとって遠い側(ベース板60に対して近い側)の流路である。
詳細については図5〜図16を参照して後述するが、奥側の流路であるか手前側の流路であるか(即ち、流路切替弁331a,331bの状態)と、流路切替弁331a,331bの直下に配設されている振り分け回転体341の状態とに応じて、振り分け回転体341の下方に設けられている時短入球口501、及び確変入球口502〜504のうちいずれの入球口へ遊技球が入球するかが振り分けられる。なお、遊技球が時短入球口501へ入球した場合には、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へ移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。一方で、遊技球が確変入球口502〜504のいずれかに入球した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する。
流路切替弁331aによって、手前側の流路(手前ルート)に設定されている場合には、抽選装置300の抽選用ゲート310へ入球した遊技球は振り分け回転体341によって確変入賞口502、及び確変入賞口504のどちらかに振り分けられる。よって、手前側の流路(手前ルート)に設定されている場合は必ず大当たり終了後には特別図柄の高確率状態へと移行する。一方、奥側の流路(奧ルート)に設定されている場合は、抽選装置300の抽選用ゲート310へ入球した遊技球は振り分け回転体341によって時短入球口501、及び確変入球口503のどちらかに振り分けられるので、時短入球口501に振り分けられた場合は大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へ移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。これに対して、振り分け回転体341によって遊技球が確変入球口503へ振り分けられた場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するのである。
ここで、「特別図柄の高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の特別図柄の大当たり確率がアップした状態、いわゆる特別図柄の確率変動中(特別図柄の確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。一方で、「特別図柄の低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「特別図柄の低確率状態」のうちの普通図柄の時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで普通図柄の当たり確率のみがアップして第1入球口64へ球が入球し易い遊技の状態のことをいう。なお、普通図柄の当たり確率を変更する代わりに、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口64に付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで電動役物が開放する回数を変更するものとしても良い。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数の発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、後述する主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、第1入球口64への入球(始動入賞)に伴って行われる特別図柄の抽選が実行中であるか否かを点灯状態により示すことによって変動表示を行ったり、変動終了後の停止図柄として、その特別図柄の抽選結果に応じた特別図柄(第1図柄)を点灯状態により示したり、第1入球口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を点灯状態により示すものである。
この第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が行われている間に球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、第3図柄表示装置81においても示される。なお、本実施形態においては、第1入球口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
7セグメント表示器37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態(特別図柄の高確率状態や、普通図柄の時短中など)を表示することができる。また、LED37aには、変動終了後の停止図柄として特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じた特別図柄(第1図柄)が示される。
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、LEDで構成された第2図柄表示装置83とが設けられている。この可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。例えば、第1入球口64へ球が入球(始動入賞)すると、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において特別図柄(第1図柄)の変動表示が実行される。更に、第3図柄表示装置81では、その特別図柄の変動表示に同期して、その特別図柄の変動表示に対応する第3図柄の変動表示が行われる。
第3図柄表示装置81は、8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態では、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、第3図柄表示装置81はその第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示が行われる。なお、表示装置に代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
ここで、図4を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図4は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図4(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図4(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄により構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にかんな、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図20参照)により行われる特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。抽選装置300の流路切替弁331a,331bが手前ルートに切り替えられる「大当たりA」の場合も、抽選装置300の流路切替弁331a,331bが奥ルートに切り替えられる「大当たりB」の場合も、「0」から「9」のうちいずれかの番号が付加された主図柄が揃う変動表示が行われる。つまり、第3図柄表示装置81において表示される主図柄からは、「大当たりA」であるのか、「大当たりB」であるのかを区別することができないように構成されている。なお、上述の通り、LED37aには、大当たり種別に応じた特別図柄(第1図柄)が表示される。一方、特別図柄の抽選結果が外れであった場合は、同一の主図柄が揃わない変動表示が行われる。
詳細については後述するが、流路切替弁331a,331bが手前ルートに設定された状態で遊技球が抽選装置300へ入球した場合は、入球口振り分け部340の手前側に配設されている確変入球口502、若しくは確変入球口504のどちらかに入球することとなり、いずれの入球口へ入球したとしても、大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行する。一方、流路切替弁331a,331bが手前ルートに設定された状態で遊技球が抽選装置300へ入球した場合は、入球口振り分け部340の奥側に配設されている時短入球口501、若しくは確変入球口503のいずれかに入球することとなり、大当たり後に特別図柄の低確率状態へと移行する可能性がある。よって、「大当たりA」へ当選する方が「大当たりB」に当選するよりも遊技者にとって有利であるため、遊技者に対して、「大当たりA」に当選することを期待して遊技を行わせることができる。
図4(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出、キャラクタおよび保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。この主表示領域Dmの中段部が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
一方、副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの小領域Ds1〜Ds3に等区分されている。このうち、小領域Ds1は、第1入球口64に入球された球のうち変動が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域であり、小領域Ds2およびDs3は、予告演出画像を表示する領域である。
実際の表示画面では、図4(b)に示すように、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、右の小領域Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の小領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。
一方、第3図柄表示装置81(第1図柄表示装置37)にて変動表示が行われている間に球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、副表示領域Dsの小領域Ds1においても示される。小領域Ds1には、保留球数1球につき1つの保留球数図柄が表示され、その保留球数図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。即ち、小領域Ds1に1つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が1球であることを示し、4つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が4球であることを示す。また、小領域Ds1に保留球数図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。
なお、本実施形態においては、第1入球口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。更に、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを最大保留数分の4つ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
図2に戻って、説明を続ける。第2図柄表示装置83は、球が第2入球口67を通過することに伴って行われる普通図柄の抽選が実行中であるか否かを点灯状態により示すことによって変動表示を行ったり、変動終了後の停止図柄として、その普通図柄の抽選結果に応じた普通図柄(第2図柄)を点灯状態により示すものである。
より具体的には、第2図柄表示装置83では、球が第2入球口67を通過する毎に、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。パチンコ機10は、第2図柄表示装置83における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止すると、第1入球口64に付随する電動役物が所定時間だけ作動状態となり(開放される)、その結果、第1入球口64に球が入り易い状態となるように構成されている。球が第2入球口67を通過した通過回数は最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37により表示されると共に第2図柄保留ランプ84においても点灯表示される。第2図柄保留ランプ84は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、普通図柄(第2図柄)の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67における球の通過は、第1入球口64と同様に、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしても良い。
可変表示ユニット80に対して正面視右方向には、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するか否かを抽選するための抽選装置300が配設されている。この抽選装置300には、大当たりに当選することに基づいて開放される抽選用ゲート310が設けられており(図5参照)、抽選用ゲート310が開放されている間に抽選用ゲート310へ入球した遊技球が、抽選装置300の内部の確変入球口502〜504のいずれかに入球することに基づいて、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へ移行する。一方、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が、抽選装置300内部の時短入球口501に入球した場合は、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へ移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。
この抽選装置300の詳細について、図5〜図16を参照して説明する。図5は、抽選装置300の外観を示す図である。図5に示す通り、抽選装置300は、抽選用ゲート310と、流路320と、進行方向振り分け部330と、入球口振り分け部340と、球排出部350とから構成されており、抽選用ゲート310へ入球した遊技球は、流路320、進行方向振り分け部330、および入球口振り分け部340を経て球排出部350を通じて抽選装置300の外部へ排出される。
進行方向振り分け部330の内部には、流路切替弁331a,331bが設けられており、流路切替弁331a,331bの向きに応じて、遊技球の流下位置を振り分け回転体341の手前側とするか奥側とするかが切り替えられる。また、入球口振り分け部340の内部には、振り分け回転体341が揺動可能に配設されている。詳細については後述するが、振り分け回転体341には4つの通路(誘導通路408a〜408d)が設けられており、各通路と時短入球口501、および確変入球口502〜504とが対応付けられている。
なお、進行方向振り分け部330の外壁部分であるカバー部332、および進行方向振り分け部330の内部に配設されている流路切替弁331a,331bはいずれも透明な部材(例えば、PS材等)で構成されている。同様に、入球口振り分け部340の外壁部分であるカバー部423、及び入球口振り分け部340の内部に配設されている振り分け回転体341も透明な部材で構成されている。よって、遊技者は遊技中に流路切替弁331a,331bや振り分け回転体341を視認することができる。これにより、遊技者は、流路切替弁331a,331bや振り分け回転体341を通過する遊技球を確認することができるので、遊技球が時短入球口501、及び確変入球口502〜504のうちいずれの入球口へ入球するのかを目視することができる。従って、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態となるか否かを容易に確認することができる。また、遊技球が流下する様子を目視することができるので、遊技者に対して、遊技球が流下している間に、確変入球口502〜504のいずれかへ入球することを期待させることができ、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。更に、遊技者に、いずれかの入球口へ入球するまでの遊技球の流下の様子を視認させることで、抽選が公正に行われていることを認識させることができ、遊技者がパチンコ機10やホールに対して不信感を抱いてしまうことを抑制することができる。
次に、図6を参照して、抽選装置300に設けられている流路320についての説明を行う。図6は、流路320の構成と、流路320へ進行した遊技球の動作とを示す模式図である。図6(a)に示す通り、流路320は、抽選用ゲート310より入球した遊技球が通過する誘導通路321と、通過する遊技球を進行方向振り分け部330へ誘導する誘導通路322と、通過する遊技球を外部へ排出する排出口へ誘導する球排出用通路323と、誘導通路322、または球排出用通路323のうちどちらか一方を閉鎖し、いずれか一方の通路へ遊技球を進行させるための通路閉鎖弁324とから構成されている。なお、通路閉鎖弁324は、図示しないソレノイドにより駆動し、大当たりの当選に基づいて図6(a)の向き(即ち、誘導通路322が開放され、球排出用通路323が閉鎖される向き)へと切り替わる。
大当たりの当選後、最初に抽選用ゲート310へ入球し、誘導通路321を流下した遊技球は、通路閉鎖弁324に到達すると(図6(a))、通路閉鎖弁324の短閉鎖弁324bに接触する。通路閉鎖弁324は、軸324cを中心に回動するように構成されているので、遊技球が短閉鎖弁324bに接触し、遊技球の重みによる負荷が短閉鎖弁324bへかかることにより、短閉鎖弁324bに対して下方向へ押し下げる向きの力が働き、短閉鎖弁324bは誘導通路322の内壁に当たるまで回動する。短閉鎖弁324bが回動することにより、遊技球は誘導通路322へ進行すると共に、長閉鎖弁324aによって誘導通路322が閉鎖され、球排出用通路323が開放される(図6(b))。
長閉鎖弁324aによって誘導通路322が閉鎖され、球排出用通路323が開放されることにより、その後に抽選用ゲート310へ入球し、誘導通路321を流下する遊技球はすべて球排出用通路323を経由して排出されることとなる(図6(c))。これにより、誘導通路322へ進行することができる遊技球を1球に制限することができるので、誘導通路322の後段に配設されている入球口振り分け部340へ進行する遊技球を確実に1球のみに限ることができる。よって、複数の遊技球が時短入球口501、及び確変入球口502〜504のいずれかの入球口へ複数回入球してしまうという不具合の発生を抑制することができる。
本実施形態では、通路閉鎖弁324が遊技球の重みで回動するように構成したが、遊技球の通過を公知のセンサ手段等を用いて検出し、そのセンサ手段の検出結果に基づいて誘導通路322,323の開放と閉鎖とを制御するように構成しても良い。以下、図7、及び図8を用いて、第1実施形態の流路320の変形例として、センサ手段を用いた流路320の構成について説明する。
図7、及び図8は、センサ手段を用いて進行方向振り分け部330以降へ進行することのできる遊技球を1球のみに制限することができる構成を模式的に示した模式図である。本変形例の流路320では、誘導通路321と誘導通路322との間に、スプロケット601と、球通過センサ602a,602bと、レバー604と、球通過センサ603bとが設けられ、更に通路閉鎖弁324に短閉鎖弁324bを設けていない点で第1実施形態と異なっている。
抽選用ゲート310へ入球した遊技球が誘導通路321を進行してスプロケット601へ到達すると、スプロケット601の凸部601aにより遊技球の進行を妨げられる。スプロケットにより進行が停止された遊技球は、球通過センサ602aの検出結果に基づいて流下が許可されるか否かを決定される。具体的には、抽選用ゲート310の開放後、球通過センサ602aにより球の通過が検出されるまでは球の通過が許可され、モーター手段等によりスプロケット601が時計回りに回転され、遊技球が誘導通路321を流下することができるようになる。
遊技球が1球誘導通路321を流下すると、球通過センサ602aにより球の流下が検出され、スプロケット601の凸部601aが誘導通路321へ突出する。よって、その後に抽選用ゲート310へ入球して誘導通路321を流下した遊技球は全てスプロケット601の凸部601aによって進行が妨げられることとなる。
一方、球通過センサ602aにより通過が検出された遊技球は、レバー604によって再び進行を妨げられる(図7(a))。レバー604は、球通過センサ602bや球通過センサ603a,603b、及び通路閉鎖弁324の状態等に応じて流路を塞いだり開放したりするように動作する。
レバー604は、まず、球通過センサ602bによりレバー604上部への球の到達が検出されることに基づいて、軸604を中心として反時計回りに回転する。そして、レバー604が十分に回転し、通路を妨げない状態となった場合には、レバー604の上部に停止していた遊技球は再び流下を開始する(図7(b))。そして、遊技球が誘導通路322を通過したことが球通過センサ603a,603bによって検出されることに基づいて、レバー604は軸604aを中心に時計回りに回転し、再度誘導通路321へ突出することにより、他の遊技球の進行を妨げる。また、球通過センサ603a,603bの検出結果に基づき、通路閉鎖弁324が球排出用通路323方向へ倒れ、球排出用通路323が開放される(図7(c))。これにより、先に誘導通路322へ進行した遊技球以外の遊技球が誘導通路322へ進行してしまうことを抑制し、遊技球を球排出用通路323から排出させることができる。
通路閉鎖弁324が倒れている状態の間、球通過センサ602bの検出結果によらずレバー604は動作しない(即ち、誘導通路322を塞いだ状態に保たれる)ように制御される。また、スプロケット601は、通路閉鎖弁324が倒れて球排出用通路323が開放されたことに基づいて時計回りに回動し、遊技球1球のみ誘導通路321を流下させる。そして、通路閉鎖弁324が倒れた状態においては、球通過センサ602a,602bにより遊技球の通過が検出される毎に遊技球を1球流下させるように制御される(図8(a)、図8(b))。
以上のように、抽選用ゲート310へ入球した遊技球を進行方向振り分け部330以降へ進行させるための、流路320の構成を説明したが、流路320の構成は本実施形態の構成に限られるものではない。その他の構成の例としては、例えば、第1実施形態の通路閉鎖弁324の代わりに、通路閉鎖弁324の軸324cから遊技球1個分だけ下流側に遊技球の通過を妨げることが可能なシャッターを設けておき、シャッター部分を閉じておくことで、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が1球のみシャッター部分で停留するように構成する。シャッター部分には遊技球1球分のスペースしか設けられていないので、遊技球をシャッター部分に停留させることで、その他の遊技球は誘導通路322へとつながるシャッター部分に停留することができず、球排出用通路324へと進行する。そして、抽選用ゲート310が閉鎖されてから十分に時間が経過した後でシャッター部分を開放し、シャッター部分に停留していた遊技球を誘導通路322へ進行させるように構成しても良い。このように構成すれば、振り分け回転体341へ進行する遊技球を1球のみに制限することができる。
次に、図9を参照して、流路320の誘導通路322を流下してきた遊技球が入球する進行方向振り分け部330について説明する。図9は、進行方向振り分け部330を模式的に示した模式図である。図9は、進行方向振り分け部330と、進行方向振り分け部330に接合されている流路320、および入球口振り分け部340とを遊技盤の側面方向から見た場合の断面図である。なお、図9(a)、及び図9(b)のいずれにおいても、向かって右方向にベース板60が配設されている。図9に示すように、進行方向振り分け部330は、流路切替弁331a,331b、及びカバー部332から構成されており、遊技球の進行方向を遊技盤に対して手前方向、又は奥方向のいずれかに振り分けるものである。
流路切替弁331a、及び331bはいずれも流路用ソレノイド265と電気的に接続され、同一方向に傾いて静止するように構成されている。図9(a)に示すように、流路切替弁331a,331bが右方向(即ち、遊技者にとって奥側)に傾斜している場合は、遊技球は右方向(即ち、遊技者にとって奥側)を進行し、振り分け回転体341の奥側へ流下する。一方、図9(b)に示すように、流路切替弁331a,331bが左方向(即ち、遊技者にとって手前側)に傾斜している場合は、遊技球は左方向(即ち、遊技者にとって手前側)を進行し、振り分け回転体341の手前側へ流下する。
次に、図10〜図16を参照して、抽選装置300の入球口振り分け部340について説明する。入球口振り分け部340は、遊技球を時短入球口501、又は確変入球口502〜504のうち、いずれかの入球口へ遊技球を振り分けるものである。本説明では、まず、各図の概要について説明する。
図10は、入球口振り分け部340内に揺動可能に配設されている振り分け回転体341の斜視図(図10(a),(b))、側面図(図10(c))、および上面図(図10(d))であり、図11は入球口振り分け部340全体の断面図である。また、図12〜図15は、時短入球口501、及び確変入球口502〜504のそれぞれに遊技球が入球する場合の、振り分け回転体341および遊技球の動作を模式的に示した模式図である。更に、図16は、振り分け回転体341を鉛直方向から見た場合の、振り分け回転体341と時短入球口501、及び確変入球口502〜504との位置関係を模式的に示した模式図である。
振り分け回転体341は、遊技球が通過可能な4つの誘導通路408a〜408dを有して構成されている(図10(b)参照)。また、振り分け回転体341は、軸406を中心として左右方向へ揺動可能に構成されており、誘導体341が揺動した方向に応じて、誘導通路408a,408bを遊技球が通過可能となる状態と、誘導通路408c,408dを遊技球が通過可能となる状態とが切り替わるものであり、初期配置では誘導通路408a,408bを遊技球が通過可能となる状態(即ち、図10(a)に示すような右側に振れた状態)となっている。なお、初期配置へは、電源投入時にRAM消去スイッチ122を操作した場合に、回動モータ264によって戻される。また、振り分け回転体341へ到達した遊技球が各入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504)へ入球することなく、入球口振り分け部340外へ飛び出してしまうことを抑制するために、振り分け回転体341はカバー部423により四方を囲まれている。
詳細については後述するが、誘導体341は、誘導通路408bを遊技球が通過する際に、遊技球が傾斜部403bを下って球止め部403aに達して静止することにより球の重みで揺動し、誘導通路408c,408dを遊技球が通過可能となる状態(図10(b))へと切り替わる。また、誘導体341は、誘導通路408cを遊技球が通過する際に、遊技球が傾斜部405bを下って球止め部405aに達して静止することにより球の重みで揺動し、誘導通路408a,408bを遊技球が通過可能となる状態(図10(a))へと切り替わる。そして、誘導通路408a,408dを遊技球が通過した場合には、振り分け回転体341は揺動せず、状態が切り替わることもない。
図11に示すように、振り分け回転体341は入球口振り分け部340の内部において、左方向(図11(b))、若しくは右方向(図11(a))へ傾いた状態で静止しており、左方向に傾いた状態(図11(a))で静止している場合は、誘導通路408c,408dの上端が入球口411の真下に位置するため、入球口411を通過した遊技球は、誘導通路408c、又は408dを通過する。一方、振り分け回転体341が右方向(図11(b))へ傾いた状態で静止している場合は、誘導通路408a,408bの上端が入球口411の真下に位置するため、入球口411を通過した遊技球は、誘導通路408a、または408bを通過する。
なお、誘導通路408aを通過した遊技球は、時短入球口501へ入球し、球排出用通路419を経て外部へ排出される。また、誘導通路408bを通過した遊技球は、確変入球口502へ入球し、球排出用通路416を経て外部へ排出される。更に、誘導通路408cを通過した遊技球は、確変入球口503へ入球し、球排出用通路417を経て外部へ排出される。そして、誘導通路408dを通過した遊技球は、確変入球口504へ入球し、球排出用通路418を経て外部へ排出される。いずれの入球口へ入球したかについては、各入球口の後段の球排出用通路416〜419にそれぞれ設けられている入賞センサ420a〜420dによって検出される。これらの入賞センサ420a〜420dの検出結果に基づいて、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態とへと移行させるか否かが決定される。また、球排出用通路416〜420は、下流で球排出用通路421に合流するように構成されている。この球排出用通路421には、排出する遊技球を検出するための排出球センサ422が設けられている。
また、振り分け回転体341の側面側には、振り分け回転体341を軸支している軸406に対して15mm上流側に、磁石407aが設けられている。また、入球口振り分け部340のカバー部423の内壁部分には、振り分け回転体341が右にも左にも振れていない状態(直立した状態)で、磁石407aと重なる位置に磁石407bが設けられている。また、磁石407aと磁石407bとは、振り分け回転体341が揺動し、直立した状態となる位置まで回転動作した場合に、互いに反発しあう向きに設置されている。よって、振り分け回転体341に対して振動が加わること等によって、振り分け回転体341が軸406を中心に多少揺動したとしても、振り分け回転体341の側面部分に設けられている磁石407aと、入球口振り分け部340の内壁部分に設けられた磁石407bとが互いに反発し合うので、振り分け回転体341が磁石407bの部分を越えて回転動作することを防止することができる。従って、遊技球が誘導通路408b、若しくは408cを通過していないにも関わらず、振り分け回転体341の状態が切り替わってしまうことを抑制することができる。なお、磁石407aは、振り分け回転体341の手前側と奥側とにそれぞれ設けられている。同様に、磁石407bは、カバー部423の手前側と奥側とにそれぞれ設けられている。
続いて、図12〜図15を参照して、振り分け回転体341の各通路を遊技球が通過した場合の振り分け回転体341と遊技球との動作について説明する。まず、図12を参照して、遊技球が誘導通路408aへ進行した場合(即ち、進行方向振り分け部330によって遊技球の進行方向が奥向きに振り分けられ、かつ振り分け回転体341が右方向に傾いた状態であった場合)について説明する。
誘導通路408aへ進行した遊技球は(図12(a))、通路壁402の奥側を床部401に沿って流下していき(図12(b))、振り分け回転体341の下端から落下して時短入球口501へ入球し、球排出用通路419を通過することとなる。このため、遊技球が誘導通路408aを通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へ移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。なお、誘導通路408aを通過する流路は、単に床部401に沿って流下していくだけなので、遊技球が誘導通路408aを通過することにより、振り分け回転体341を揺動させるような力が働くことはなく、振り分け回転体341は右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)を保ち続ける。よって、次に入球口411を通過する遊技球は、誘導通路408a,408bのいずれか一方を通過することとなる。なお、振り分け回転体341の下部には、仕切り板412が設けられている(図11参照)。この仕切り版412によって、誘導通路408aを流下した遊技球が奥側の時短入球口501に入球せずに手前側の確変入球口502へ入球してしまうことを抑制している。
次に、図13を参照して、遊技球が誘導通路408bへ進行した場合(即ち、進行方向振り分け部330によって遊技球の進行方向が手前向きに振り分けられ、かつ振り分け回転体341が右方向に傾いた状態であった場合)について説明する。
遊技球が誘導通路408bへと進入すると、まず、遊技球は床部401、及び傾斜部403bを経由して球止め部403aに達する。球止め部403aは床部401に対して垂直方向(即ち、遊技球の進行方向に対しても垂直方向)に伸びているため、遊技球は進行が妨げられ、球止め部403aに接触した状態で静止する(図13(a))。そして、遊技球が球止め部403aで静止すると、遊技球の重みによる負荷が球止め部403aにかかり、球止め部403aを下方向へ押し下げる向きの力が働く。
球止め部403aが押し下げられることにより、振り分け回転体341は軸406を中心に回転し、図13(b)の向きとなる。図13(b)の向きになると、球止め部403aは図13(b)において右下方向へ傾斜した状態となるため、遊技球は傾斜部413に沿って流下し、確変入球口502へ入球し、球排出用通路416を通過することとなる。このため、遊技球が誘導通路408bを通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する。なお、振り分け回転体341は、遊技球が落下後も図13(c)に示すような左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)を保ち続ける。よって、次に入球口411を通過する遊技球は、誘導通路408c,408dのいずれか一方を通過することとなる。また、上述の通り、振り分け回転体341の下部には、仕切り板412が設けられている(図11参照)ので、誘導通路408bを流下した遊技球が手前側の確変入球口501に入球せずに奥側の時短入球口501へ入球してしまうことを抑制している。
次に、図14を参照して、遊技球が誘導体通路408cへ進行した場合(即ち、進行方向振り分け部330によって遊技球の進行方向が奥向きに振り分けられ、かつ振り分け回転体341が左方向に傾いた状態であった場合)について説明する。
遊技球が誘導通路408cへと進入すると、まず、遊技球は床部401、及び傾斜部405bを経由して球止め部405aに達する。球止め部405aは床部401に対して垂直方向(即ち、遊技球の進行方向に対しても垂直方向)に伸びているため、遊技球は進行が妨げられ、球止め部405aに接した状態で静止する(図14(a))。そして、遊技球が球止め部405aで静止すると、遊技球の重みによる負荷が球止め部405aにかかり、球止め部405aを下方向へ押し下げる向きの力が働く。
球止め部405aが押し下げられることにより、振り分け回転体341は軸406を中心に回転し、図14(b)の向きとなる。図14(b)の向きになると、球止め部405aは図14(b)において左下方向へ傾斜した状態となるため、遊技球は傾斜部414に沿って流下し、確変入球口503へ入球し、球排出用通路417を通過することとなる。このため、遊技球が誘導通路408cを通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する。なお、振り分け回転体341は、遊技球が落下後も図14(c)に示すような右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)を保ち続けるので、次に入球口411を通過する遊技球は、誘導通路408a,408bのいずれか一方を通過することとなる。また、上述の通り、振り分け回転体341の下部には、仕切り板412が設けられている(図11参照)ので、誘導通路408cを流下した遊技球が奥側の確変入球口503に入球せずに手前側の確変入球口504へ入球してしまうことを抑制している。
次に、図15を参照して、遊技球が誘導通路408dへ進行した場合(即ち、進行方向振り分け部330によって遊技球の進行方向が手前向きに振り分けられ、かつ振り分け回転体341が左方向に傾いた状態であった場合)について説明する。
誘導通路408dへ進行した遊技球は(図15(a))、通路壁402の手前側を床部401に沿って流下していき(図15(b))、振り分け回転体341の下端から落下して確変入球口504へ入球し、球排出用通路418を通過することとなる。このため、遊技球が誘導通路408dを通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へ移行する。なお、誘導通路408dを通過する流路は、単に床部401に沿って流下していくだけなので、遊技球が誘導通路408dを通過することにより、振り分け回転体341を揺動させるような力が働くことはなく、振り分け回転体341は左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)を保ち続ける。よって、次に入球口411を通過する遊技球は、誘導通路408c,408dのいずれか一方を通過することとなる。また、上述の通り、振り分け回転体341の下部には、仕切り板412が設けられている(図11参照)ので、誘導通路408dを流下した遊技球が手前側の確変入球口504に入球せずに奥側の確変入球口503へ入球してしまうことを抑制している。
以上の通り、振り分け回転体341に設けられている4つの通路のうち、いずれの通路を通過するかに応じて、遊技球が時短入球口501、及び確変入球口502〜504のいずれかの入球口へと振り分けられる。
次に、図16を参照して、振り分け回転体341と時短入球口501、及び確変入球口502〜504との位置関係について説明する。図16(a)は、振り分け回転体341が右側へ揺動して静止した状態を、入球口振り分け部340の入球口411方向から見た場合を示した図であり、図16(b)は、振り分け回転体341が左側へ揺動して静止した状態を、入球口振り分け部340の入球口411方向から見た場合を示した図である。図16(a)、及び図16(b)に示す通り、振り分け回転体341の右奥側に時短入球口501が配設され、右手前側に確変入球口502が配設されている。よって、振り分け回転体341が右側に振れている場合は時短入球口501、若しくは確変入球口502のどちらかに入球する可能性がある。一方、振り分け回転体341の左奥側には確変入球口503が配設され、左手前側に確変入球口504が配設されている。よって、振り分け回転体341が左側に振れている場合は確変入球口503,504のどちらかに入球する可能性がある。
以上、図5〜図16を用いて説明した通り、抽選装置300は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行させるか、特別図柄の低確率状態へと移行させるかを、遊技球が入球した入球口(時短入球口501、確変入球口502〜504のいずれか)に基づいて特定するものである。遊技球は、流路切替弁331a,331bによる流路の状態と、振り分け回転体341の向き(右向きか左向きか)とに応じて、いずれかの入球口へと振り分けられる。
流路切替弁331a,331bの状態は、当選した大当たり種別に応じて手前ルートか奥ルートかが切り替わり、振り分け回転体341の向きは、遊技球が振り分け回転体341に設けられた誘導通路408a〜408dのうちいずれの通路を通ったかに応じて変化する。
振り分け回転体341が右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が誘導通路408aを通過した場合は、振り分け回転体341の状態が変わらずに(即ち、右側に振れた状態のままで)、遊技球が時短入球口501へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合も、振り分け回転体341が右側に振れた状態のままであり、遊技球が再度誘導通路408aに振り分けられれば、連続して特別図柄の低確率状態になってしまう場合がある。
また、振り分け回転体341が右側に振れた状態で遊技球が誘導通路408bを通過した場合は、遊技球の重みに基づいて振り分け回転体341が軸406を中心に左向きに回転すると共に、遊技球が確変入球口502へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合は、振り分け回転体341が左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が振り分け回転体341へ到達することになるので、次回の抽選では、確変入球口503、若しくは確変入球口504のうちいずれか一方へ遊技球が入球することとなる。つまり、誘導通路408bを遊技球が通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たりにおいても必ず大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するのである。
一方で、振り分け回転体341が左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が誘導通路408cを通過した場合は、遊技球の重みに基づいて振り分け回転体341が軸406を中心に右向きに回転すると共に、遊技球が確変入球口503へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合は、振り分け回転体341が右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が振り分け回転体341へ到達することになるので、次回の抽選では、時短入球口501、若しくは確変入球口502のうちいずれか一方へ遊技球が入球することとなる。つまり、次回の大当たりにおいては、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する可能性も、特別図柄の低確率状態へと移行する可能性もある。
更に、振り分け回転体341が左側に振れた状態で遊技球が誘導通路408dを通過した場合は、振り分け回転体341の状態が変わらずに(即ち、左側に振れた状態のままで)、遊技球が確変入球口504へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合も、振り分け回転体341が左側に振れた状態のままであるので、次回の抽選では、確変入球口503、若しくは確変入球口504のうちいずれか一方へ遊技球が入球することとなる。つまり、誘導通路408dを遊技球が通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たりにおいても必ず大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するのである。
このように、振り分け回転体341が左側に振れた状態であれば、遊技球が誘導通路408c,408dのいずれを通過したとしても、必ず大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行するので、遊技者は、振り分け回転体341が左側に振れた状態であることを確認するだけで、抽選装置300による抽選の結果が特別図柄の高確率状態となることを認識することができ、抽選装置300による抽選の様子を安心して確認することができる。
一方で、振り分け回転体341が右側に振れた状態である場合、特別図柄の高確率状態へと移行するか否かが確定しないので、抽選装置300による抽選結果を、特別図柄の高確率状態へと移行することに対する期待感と、特別図柄の低確率状態へと移行してしまうことに対する不安感との両方を抱きながら確認することとなる。
よって、振り分け回転体341の向きを確認し、左側に振れていれば遊技者に対して安心感を与えることとなり、右側に振れていれば遊技者に対して期待感と不安感とを与えることとなるので、メリハリのついた遊技を行わせることができる。
更に、遊技球が誘導通路408b、若しくは誘導通路408dに振り分けられれば、大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行することまでもが確定するので、遊技者に対して、今回の大当たり、次回の大当たり、および次回の大当たり後に移行する特別図柄の高確率状態で当選するであろう大当たりの3回分の出球が担保されていることを認識させることができ、遊技者に対して大きな満足感を与えることができ、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
図2に戻って説明を続ける。可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110で特別図柄の抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示される。また、第1入球口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
第1入球口64の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110で行われる特別図柄の抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した第3図柄の停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、通常時より多量の賞球の払い出しが行われる特別遊技状態(8ラウンドの大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、8回(8ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、特別遊技状態は上記した形態に限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
更に、遊技盤13には、アウト口66が設けられている。いずれの入賞口63,64,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとしたりすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図17参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図17参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
<第1実施形態における電気的構成について>
次に、図17を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図17は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
まず、ROM202の内容について、図19を参照して説明する。図19(a)に示すように、主制御装置110のROM202には、上記した固定値データの一部として、第1当たり乱数テーブル202a、第1当たり種別選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル202c、変動パターン選択テーブル202dが少なくとも記憶されている。
第1当たり乱数テーブル202a(図示せず)は、後述する第1当たり図示せず乱数カウンタC1の大当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。なお、この第1当たり乱数テーブル202aの詳細については、第1当たり乱数カウンタC1の説明と共に後述する。第1当たり種別選択テーブル202b(図19(b))は、大当たり種別を決定するための第1当たり種別カウンタC2の判定値が大当たり種別毎にそれぞれ設定されているデータテーブルである。なお、第1当たり種別選択テーブル202bの詳細については、第1当たり種別カウンタC2の説明と共に後述する。
第2当たり乱数テーブル202c(図19(c))は、普通図柄の当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。なお、この第2当たり乱数テーブル202cの詳細については、第2当たり乱数カウンタC4の説明と共に後述する。変動パターン選択テーブル202d(図示なし)は、変動パターンの表示態様を決定するための変動種別カウンタCS1の判定値が表示態様毎にそれぞれ設定されているデータテーブルである。なお、変動パターン選択テーブル202dの詳細については、変動種別カウンタCS1の説明と共に後述する。
図17に戻って説明を続ける。主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図18を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図25参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図34参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる特別図柄保留球格納エリア203aが設けられており、これらの各エリアには、第1入球口64への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜299)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜299の値を取り得るカウンタの場合は299)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜299の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜299の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図25参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図34参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この特別図柄大当たり乱数テーブルは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。尚、特別図柄の高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)と、特別図柄の低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図示せず)とは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
ここで、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜299の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は3個あり、その乱数値である「7,107,282」は、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が3なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/100」となる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は30個あり、その値である「4,11,28,38,45,52,64,78,83,99,106,112,122,134,140,151,168,176,183,197,207,218,222,231,249,256,263,270,285,299」は、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が30なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
尚、本実施形態では、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている大当たりとなる乱数値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている大当たりとなる乱数値とで、重複した値とならないように、それぞれの大当たりとなる乱数値を設定している。ここで、大当たりとなる乱数値としてパチンコ機10の状況にかかわらず常に用いられる値が存在すれば、その乱数値が外部より入力されて、不正に大当たりを引き当てられやすくなるおそれがある。これに対して、本実施形態のように、状況に応じて(即ち、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態か、特別図柄の低確率状態かに応じて)、大当たりとなる乱数値を変えることで、特別図柄の大当たりとなる乱数値が予測され難くすることができるので、不正に対する抑制を図ることができる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。そして、図19(b)に示すように、この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜49」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA」となる。また、値が「50〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB」となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、第1当たり種別カウンタC2が示す乱数の値によって、2種類の当たり種別(大当たりA、大当たりB)が決定されるように構成されている。なお、第1当たり種別カウンタC2の値(乱数値)から、特別図柄の大当たり種別を決定するための乱数値は、第1当たり種別選択テーブル202b(図19(b)参照)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
停止種別選択カウンタC3は、例えば0〜99の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり99)に達した後0に戻る構成となっている。本実施形態では、停止種別選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される外れ時の停止種別が選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば98,99)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば90〜97の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば0〜89の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止種別選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
なお、停止種別選択カウンタC3の値(乱数値)から、特別図柄の停止種別を決定するための乱数値は、停止種別選択テーブル(図示せず)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。また、本実施形態ではこのテーブルを、特別図柄の高確率時用と、特別図柄の低確率時用とに分けており、テーブルに応じて、外れの停止種別ごとに設定される乱数値の範囲を変えている。これは、パチンコ機10が特別図柄の高確率状態であるか、特別図柄の低確率状態であるか等に応じて、停止種別の選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜89と広い高確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が98,99と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も90〜97と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態であれば、第1入球口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が0〜79と狭い低確率時用のテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。
この停止種別選択テーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止種別に対応した乱数値の範囲が80〜97と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、演出時間の長いリーチ表示を多く行うことできるので、第1入球口64への球の入球時間を確保でき、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。尚、後者のテーブルにおいても、「前後外れリーチ」の停止種別に対応した乱数値の範囲は98,99に設定される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図34参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターンテーブル(図示せず)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
変動パターンテーブルには、例えば、外れ用の変動パターンとして、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB共用の変動パターンとして、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA用の変動パターンとして、「スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとして、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。そして、変動パターンテーブルに規定された各種変動パターンから、予測された抽選結果や、予測された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に応じて変動パターンが選定される。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される普通図柄当たり乱数テーブル(図示せず)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、普通図柄当たり乱数テーブルによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この普通図柄当たり乱数テーブルは、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
図19(c)に示すように、普通図柄の低確率時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5〜28」となっている。これら乱数値は、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている。このように普通図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、普通図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球が第2入球口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1入球口64が「0.2秒間×1回」だけ開放される。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1入球口64が「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、普通図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球が第2入球口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第1入球口64が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1入球口64の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1入球口64へ球が入球し易い状態となる。尚、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1入球口64が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図25参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図34参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図17に戻り、説明を続ける。RAM203は、図18に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図34参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図32参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図31参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図17に示すように、特別図柄保留球格納エリア203aと、普通図柄保留球格納エリア203bと、特別図柄保留球数カウンタ203cと、普通図柄保留球数カウンタ203dと、確変フラグ203eと、時短中カウンタ203fと、ラウンド数カウンタ203gと、抽選フラグ203hと、開放フラグ203iと、回転体フラグ203jとを有している。
特別図柄保留球格納エリア203aは、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入球口64へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。なお、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
本パチンコ機10では、球が第1入球口64へ入賞(始動入賞)し、その始動入賞に応じて各カウンタC1〜C3の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、その取得された各カウンタC1〜C3の各値から、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が予測(推定)される。このように、本来の特別図柄の抽選が行われる前に、始動入賞に対応するデータ(各カウンタC1〜C3の各値)に基づいて、本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報を予測することを、以後、特別図柄の抽選結果を先読みすると記載する。なお、各種情報としては、当否、停止種別、変動パターンなどが該当する。
そして、先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113へ送信される。入賞情報コマンドが音声ランプ制御装置113によって受信されると、音声ランプ制御装置113は、入賞情報コマンドから、当否、停止種別、および変動パターンを抽出し、それらを入賞情報としてRAM233の入賞情報格納エリア223aに格納する。
普通図柄保留球格納エリア203bは、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が左右何れかの第2入球口67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。なお、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
なお、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄保留球数カウンタ203cは、第1入球口64への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄保留球数カウンタ203cは、初期値がゼロに設定されており、第1入球口64へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図28のS404参照)。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図26のS205参照)。
この特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図26のS206、図28のS405参照)。保留球数コマンドは、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
なお、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に保留球数図柄を表示する。
普通図柄保留球数カウンタ203dは、第2入球口67を遊技球が通過することに基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、遊技球が第2入球口67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図30のS704参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図29のS605参照)。
球が左右何れかの第2入球口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203bに記憶される(図30のS705)。一方、球が左右何れかの第2入球口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203bには新たに何も記憶されない(図30のS703:No)。
確変フラグ203eは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態(特別図柄の高確率状態)であるか否かを示すフラグであり、確変フラグ203eがオンであれば、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であることを示し、確変フラグ203eがオフであれば、パチンコ機10が特別図柄の通常状態(特別図柄の低確率状態)であることを示す。この確変フラグ203eは、初期値がゼロに設定されており、特別図柄の大当たりに基づいて行われる抽選装置300による抽選において、確変入球口502〜504のいずれかに遊技球が入球したことに基づいてオンされる(図35のS1614)。一方、確変フラグ203eは、抽選装置300による抽選において、遊技球が時短入球口501へ入球した場合にオフされる(図35のS1620)。
MPU201によって特別図柄変動開始処理(図27参照)が実行されると、特別図柄の抽選が行われる。特別図柄変動開始処理では、確変フラグ203eの値が参照され、その状態がオンであれば、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに基づいて、特別図柄の抽選が行われる一方、確変フラグ203eがオフであれば、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに基づいて、特別図柄の抽選が行われる。
時短中カウンタ203fは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203fの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203fは、初期値がゼロに設定されており、特別図柄の大当たりに基づいて行われる抽選装置300による抽選において、遊技球が時短入賞口501へ入賞することに基づいて特定の値(例えば100)に設定される(図35のS1620参照)。その後、時短中カウンタ203fの値が0になるまで、特別図柄の変動演出が終了する毎に1が減算される(図26のS214)。
普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、時短中カウンタ203fの値が参照され、その値が1以上であれば、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに基づいて、普通図柄の抽選が行われる一方、時短中カウンタ203fの値が0であれば、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに基づいて、普通図柄の抽選が行われる(図29のS610,S611参照)。
ラウンド数カウンタ203gは、大当たり遊技中のラウンド数を示すカウンタであり、ラウンド数カウンタ203gの値が大当たり遊技における現在のラウンド数を示す。ラウンド数カウンタ203gは、大当たり開始時に値に0がセットされ、各ラウンドが開始する際に値が1ずつ加算される。
抽選フラグ203hは、抽選装置300による抽選を行うタイミングであるか否かを示すフラグであり、抽選を行うタイミングである場合にオンされる。一方、抽選フラグ203hは抽選装置300による抽選を開始するための諸設定を行った後でオフされる。即ち、抽選フラグ203hは、抽選装置300による抽選を行うタイミングであると判断されてから、実際に抽選を開始するまでの間にのみオンされるフラグである。
開放フラグ203iは、抽選装置300の抽選用ゲート310が開放されているか否かを示すフラグである。この開放フラグ203iがオンであれば、抽選用ゲート310が開放されていることを示し、オフであれば、抽選用ゲート310が閉鎖されていることを示す。開放フラグ203iは通常オフに設定されており、抽選装置300による抽選を行う際の諸設定の中で抽選用ゲート310の開放が設定された後でオンされる(図35のS1603,S1604)。一方、抽選装置300による抽選を検出し、抽選用ゲート310が閉鎖される場合にオフされる(図35のS1608,S1609)。
回転体フラグ203jは、抽選装置300の内部に配設されている振り分け回転体341の向きを示すフラグであり、電源の投入前後で振り分け回転体341の位置がずれてしまった場合に、振り分け回転体341の配置を電源オフする前の状態へ戻すために用いられる。この回転体フラグ203jがオンであれば、振り分け回転体341が左側に振れている状態であることを示し、オフであれば振り分け回転体341が右側に振れている状態であることを示す。この回転体フラグ203jは、位置検出センサ263による振り分け回転体341の配置に連動して切り替えられるものであり、位置検出センサ263により振り分け回転体341が左向きに振れた状態(裏向きの状態)であると検出された場合に回転体フラグはオンされ、振り分け回転体341が右向きに振れた状態(表向きの状態)であると検出された場合にオフされる。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置83、第2図柄保留ランプ84、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209、抽選装置300内の流路切替弁331a、及び331bを駆動して遊技球の流路を切り替えるための流路用ソレノイド265が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253、抽選装置300内の各入球口への遊技球の入球を検出する入賞センサ420、抽選装置300内の振り分け回転体341の向きを検出する位置検出センサ263、振り分け回転体341の向きを修正するための回動モータ264が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2、入賞センサ420より出力される入球信号や位置検出センサ263の検出信号等に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図31参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や連続予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
音声ランプ制御装置113のROM222には、変動パターンテーブル222aが格納されている。また、音声ランプ制御装置113のRAM223には、入賞情報格納エリア223aと、特別図柄保留球数カウンタ223bと、変動開始フラグ223cと、停止種別選択フラグ223dと、特別演出フラグ223eとが少なくとも設けられている。
変動パターンテーブル222aは、第3図柄表示装置81に表示される変動パターンの態様を決定するために用いられるテーブルである。ここで、主制御装置110からの変動パターンコマンドにより、「外れノーマルリーチ」、「共用ノーマルリーチ」、「共用スペシャルリーチ」等の大まかな変動パターンの態様が音声ランプ制御装置113に通知される。変動パターンテーブル222aは、変動パターンコマンドにより通知された大まかな変動パターンの態様に基づいて、変動パターンの詳細な態様を定めるために用いられるものであり、変動パターンコマンドにより通知される変動パターンの大まかな態様毎に、選択し得る複数の詳細な変動パターンの態様が規定されている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入球口64への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(図40のS1407参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
変動開始フラグ223cは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合にオンされ(図41のS2701参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図43のS1702参照)。変動開始フラグ223cがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図39参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223dは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図40のS1404参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図43のS1707参照)。また、停止種別選択フラグ223dは、パチンコ機10への電源供給が断された場合にもオフとなる。この停止種別選択フラグ223dがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に基づいて、停止種別が決定される。
特別演出フラグ223eは、抽選装置300の内部に配設されている振り分け回転体341が左に振れた状態となり(図11(a)参照)、次回の抽選において遊技球が入球可能な入球口が確変入球口503、若しくは確変入球口504のいずれかとなる状態(即ち、次回の抽選装置300による抽選で特別図柄の高確率状態へ移行することが確定している状態)の場合に、通常とは異なる特別な態様で変動パターン演出を行わせるためのフラグである。この特別演出フラグ223eは、主制御装置110より出力されるループ状態コマンドを受信した場合にオンされ(図42のS3702参照)、主制御装置110より出力される通常状態コマンドを受信した場合にオフされる(図42のS3704参照)。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図40参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示(変動演出)や連続予告演出を制御するものである。この表示制御装置114の詳細については、図20を参照して後述する。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図31参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、図20を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図20は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図44のS1801参照)の終了後に実行される初期化処理(図44のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図24参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図46(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入球口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図44のS1803,S1804参照)。
ここで、図21を参照して、電源投入時変動画像について説明する。図21は、表示制御装置114が電源投入直後において、常駐用ビデオRAM235に対して格納すべき画像データをキャラクタROM234から転送している間に、第3図柄表示装置81にて表示される電源投入時画像を説明する説明図である。
表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、図21(a)に示す電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、図21(b)に示すように、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、図21(c)に示すように、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は図21(b)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合は図21(c)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、図21(b)及び(c)に示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図20に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。
第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄(図4参照)に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入球口64への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233jを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア434に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、ラウンド演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。
デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、ラウンド演出、およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図22を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図22は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されているステージ(「街中ステージ」、「空ステージ」、「島ステージ」のいずれか)に対応する背面A〜Cのいずれかを表示させるか、背面A〜Cとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A〜Cとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、背面A〜Cのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A〜Cのうち遊技者によって指定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A〜Cとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図14の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図24参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図23を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図23は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図23のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図23のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図23の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図24参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図23の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図21(a)〜(c)に示す電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図44参照)の中でオンに設定される(図44のS1805参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図55(b)のS3405参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図46(b)のS2101参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図46(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図46(b)のS2109参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図47〜図51参照)および表示設定処理(図52〜図54参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図55(a)のS3301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図55(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図56参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図24参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図24参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図24参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図46(b)のS2103参照)の中で、ポインタ更新処理(図54参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される(図54のS3201参照)。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図24参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置341の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図24を参照して、描画リストの詳細について説明する。図24は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図24に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233kで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図46(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図52のS3007参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図44のS1802参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図46参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図56のS3513参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図56のS3514参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233jは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図47のS3602参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図46(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われる(図57のS3602参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
<第1実施形態における主制御装置の制御処理について>
次に、図25から図37のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図25は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99,99,239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37において表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行し(S104)、次いで、第1入球口64への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、および始動入賞処理の詳細は、図26〜図28を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置83において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、第2入球口67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。なお、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図29および図30を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図26を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図26は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S203)。次に、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0よりも大きいか否かを判別し(S204)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0であれば(S204:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図34参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S206の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、第1図柄表示装置37において変動表示を開始するための特別図柄変動開始処理を実行する(S208)。なお、特別図柄変動開始処理については、図27を参照して後述する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S209)。第1図柄表示装置37において実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S209:No)、本処理を終了する。
一方、S209の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S209:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S210)。停止図柄の設定は、図27を参照して後述する特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるかが決定される。
なお、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S210の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S211)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S211:Yes)、抽選フラグ203hをオンして(S212)、本処理を終了する。
S211の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S211:No)、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S213)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S213:Yes)、時短中カウンタ203fの値を1減算して(S214)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203fの値が0であれば(S213:No)、S214の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図27を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図27は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図25参照)の特別図柄変動処理(図26参照)の中で実行される処理であり、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理では、まず、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び、停止種別選択カウンタC3の各値を取得する(S301)。
次に、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり乱数テーブル202aとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S302)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、第1当たり乱数テーブル202aに格納されている乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の低確率時に特別図柄の大当たりとなる乱数値は、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに格納されている、「7,107,282」の3個であり、特別図柄の高確率時に特別図柄の大当たりとなる乱数値は、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに格納されている、「4,11,28,38,45,52,64,78,83,99,106,112,122,134,140,151,168,176,183,197,207,218,222,231,249,256,263,270,285,299」の30個である。
また、現在が特別図柄の低確率状態であるか、特別図柄の高確率状態であるかは、確変フラグ203eの状態を参照することにより判断することができる。具体的には、確変フラグ203eがオンであれば特別図柄の高確率状態であり、確変フラグ203eがオフであれば、特別図柄の低確率状態である。S302の処理では、第1当たり乱数カウンタC1の値と、確変フラグ203eの状態に応じた第1当たり乱数テーブル202aに格納された乱数値とを比較し、これらの値が一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。
S302の処理において、特別図柄の大当たりであると判定された場合は(S302:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいて、大当たり時の表示態様を設定する(S303)。より具体的には、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、第1当たり種別選択テーブル202bに格納されている乱数値とを比較し、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別がどちらであるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜49」の範囲にあれば、大当たりA(手前ルート大当たり)であると判定し、「50〜99」の範囲にあれば、大当たりB(奥ルート大当たり)であると判定する(図19(b)参照)。
このS303の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に共通の停止図柄が停止種別として設定される。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S304)。S304の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係は、テーブル等により予め規定されている。
例えば、外れ用の変動パターンとしては、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA用の変動パターンとしては、「スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。
S302の処理において、特別図柄の外れであると判定された場合には(S302:No)、外れ時の表示態様を設定する(S305)。S305の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別として、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。
ここでは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であれば、S301の処理で取得した停止種別選択カウンタC3の値と、高確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「90〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。一方、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であれば、停止種別選択カウンタC3の値と、低確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。
次に、外れ時の変動パターンを決定する(S306)。ここでは、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S304の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。
S304の処理またはS306の処理が終わると、次に、S304の処理またはS306の処理で決定した変動パターンを表示制御装置114へ通知するための変動パターンコマンドを設定する(S307)。次いで、S303又はS305の処理で設定された停止種別を表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定する(S308)。これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図24)のS1001の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、停止種別コマンドをそのまま表示制御装置114へ送信する。S308の処理が終わると、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図28のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図28は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第1入球口64への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタが示す値の保留処理と、その保留された各種乱数カウンタが示す値から、特別図柄における抽選結果の先読みを実行するための処理である。
始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S401)。ここでは、第1入球口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入球口64に入賞したと判別されると(S401:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S402)。そして、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S403)。
そして、第1入球口64への入賞がないか(S401:No)、或いは、第1入球口64への入賞があっても特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満でなければ(S403:No)、本処理を終了し、タイマ割込処理(図25参照)に戻る。一方、第1入球口64への入賞があり(S401:Yes)、且つ、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満であれば(S403:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1加算する(S404)。そして、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S405)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図34参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S405の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S406)。尚、S406の処理では、特別図柄保留球カウンタ203cの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S406の処理で格納された各種カウンタ値に基づいて、特別図柄における抽選の当否(大当たりか否か)と、その停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)と、その変動パターンとを予測する(S407)。ここで、特別図柄の大当たりか否かは、S406の処理で格納された第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり乱数テーブル202a(図19(a)参照)に格納されている乱数値(当たり値)とを1つ1つ比較することによって判定される。上述したように、特別図柄の低確率時に特別図柄の大当たりとなる乱数値は、低確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに格納されている、「7,107,282」の3個であり、特別図柄の高確率時に特別図柄の大当たりとなる乱数値は、高確率時用の第1当たり乱数テーブル202aに格納されている、「4,11,28,38,45,52,64,78,83,99,106,112,122,134,140,151,168,176,183,197,207,218,222,231,249,256,263,270,285,299」の30個である。
また、現在が特別図柄の低確率状態であるか、特別図柄の高確率状態であるかは、確変フラグ203eを参照することにより判断される。具体的には、確変フラグ203eがオンであれば特別図柄の高確率状態であり、確変フラグ203eがオフであれば、特別図柄の低確率状態である。S407の処理では、第1当たり乱数カウンタC1の値と、確変フラグ203eの状態に応じた第1当たり乱数テーブル202aに格納された乱数値とを比較し、これらの値が一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。
そして、特別図柄の大当たりであると判定された場合には、S406の処理で格納された第1当たり種別カウンタC2の値と、特別図柄大当たり種別テーブルに格納されている乱数値とを比較し、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別がどちらであるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜49」の範囲にあれば、大当たりA(抽選装置300内の流路が手前ルートに切り替わる大当たり、手前ルート大当たり)であると判定し、「50〜99」の範囲にあれば、大当たりB(抽選装置300内の流路が奥ルートに切り替わる大当たり、奥ルート大当たり)であると判定する(図19(b)参照)。
一方、特別図柄の外れであると判定された場合には、S406の処理で格納された停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別として、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを判定する。ここでは、確変フラグ203eがオンであれば、S406の処理で格納された停止種別選択カウンタC3の値と、高確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を判定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れであると判定し、「90〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチであると判定し、「98,99」であれば前後外れリーチであると判定する。一方、確変フラグ203eがオフであれば、停止種別選択カウンタC3の値と、低確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を判定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れであると判定し、「80〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチであると判定し、「98,99」であれば前後外れリーチであると判定する。
次に、第3図柄表示装置81における変動パターンを判定する。第3図柄表示装置81における変動パターンは、ROM202に格納された変動パターンテーブル(図示せず)の中から、予測された抽選結果や、予測された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に応じて選定される。変動パターンテーブルには、例えば、外れ用の変動パターンとして、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB共用の変動パターンとして、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA用の変動パターンとして、「スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとして、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。そして、変動パターンテーブルに規定された各種変動パターンから、予測された抽選結果や、予測された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に応じて変動パターンが選定される。
S407の処理によって、特別図柄における抽選の当否と、停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)と、変動パターンとが予測されたら、次に、予測した抽選の当否と、予測した停止種別と、予測した変動パターンとを含む入賞情報コマンドを設定し(S408)、タイマ割込処理(図25参照)へ戻る。
ここで設定された入賞情報コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図34参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、入賞情報コマンドを受信すると、その入賞情報コマンドから、当否と、停止種別と、変動パターンとを抽出し、それらの情報を入賞情報として入賞情報格納エリア223aに格納する。
次に、図29を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図29は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第2図柄表示装置83において行う第2図柄の変動表示や、第1入球口64に付随する電動役物の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S601)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされている最中と、第1入球口64に付随する電動役物の開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S601:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S601:No)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S602)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中でなければ(S602:No)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S603)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S604)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0であれば(S604:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0でなければ(S604:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1減算する(S605)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S606)。S606の処理では、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203bの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S607)。
次に、RAM203の時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定する(S608)。尚、時短中カウンタ203fは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203fの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。
時短中カウンタ203fの値が1以上である場合は(S608:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S609)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S609:Yes)、S611の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、普通図柄の抽選が当たりとなりにくくなるように構成されている。これは、特別図柄の大当たり中(即ち、特別遊技状態中)は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第1入球口64に付随する電動役物が開放されて、特別入賞口65aに入賞させようとした球が、第1入球口64に入ることをできるだけ抑制するためである。尚、特別入賞口65aは、第1入球口64の直ぐ下に設けられているので、特別図柄の大当たり中に第1入球口64に球が入ることを抑制していても、第1入球口64には球が多く入球する。その結果、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、第1入球口64についての保留球数は最大(4回)になる。
S609の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S609:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルと基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S610)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図19(c)参照)。
S608の処理において、時短中カウンタ203fの値が0である場合は(S608:No)、S611の処理へ移行する。S611の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S611)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通図柄当たり乱数テーブルに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,29〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図19(c)参照)。
次に、S610またはS611の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S612)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S612:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S613)。このS613の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S614)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S614:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S615)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S615:Yes)、S617の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第1入球口64に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物の開放回数および開放時間が設定される。
S615の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S615:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第1入球口64に付随する電動役物の開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S616)、S619の処理へ移行する。S614の処理において、時短中カウンタ203fの値が0である場合は(S614:No)、S617の処理へ移行する。S617の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第1入球口64に付随する電動役物の開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S617)、S619の処理へ移行する。
S612の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S612:No)、外れ時の表示態様を設定する(S618)。このS618の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S619の処理へ移行する。
S619の処理では、時短中カウンタ203fの値が1以上であるかを判定し(S619)、時短中カウンタ203fの値が1以上であれば(S619:Yes)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S620)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203fの値が0であれば(S619:No)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S621)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1入球口64の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1入球口64へ球が入球し易い状態となる。
S602の処理において、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であれば(S602:Yes)、第2図柄表示装置83において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S622)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置83において変動表示が開始される前に、S620の処理またはS621の処理によって予め設定された時間である。
S622の処理において、変動時間が経過していなければ(S622:No)、本処理を終了する。一方、S622の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S622:Yes)、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S623)。S623の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S613の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置83にいおいて停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S618の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置83にいおいて停止表示(点灯表示)されるように設定される。S623の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図34参照)の第2図柄表示更新処理(S1009参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S613の処理またはS618の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置83において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S624)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S624:Yes)、第1入球口64に付随する電動役物の開閉制御開始を設定し(S625)、本処理を終了する。S625の処理によって、電動役物の開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図34参照)の電動役物開閉処理(S1007参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S624の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S624:No)、S625の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図30のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図23は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第2入球口67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理では、まず、球が第2入球口67を通過したか否かを判定する(S701)。ここでは、第2入球口67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第2入球口67を通過したと判定されると(S701:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S702)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S703)。
球が第2入球口67を通過していないか(S701:No)、或いは、球が第2入球口67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満でなければ(S703:No)、本処理を終了する。一方、球が第2入球口67を通過し(S701:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満であれば(S703:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1加算する(S704)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S705)、本処理を終了する。尚、S705の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図31は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S801)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図32を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図32は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S902)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S903)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S904)、オンされていれば(S904:Yes)、処理をS913へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S904:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S905)、記憶されていなければ(S905:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS913へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S905:Yes)、RAM判定値を算出し(S906)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S907:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS913へ移行する。なお、図34のS1014の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S913の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S913)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S914,S915)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S914,S915)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S914,S915)を実行する。RAMの初期化処理(S914,S915)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S914)、その後、RAM203の初期値を設定する(S915)。RAM203の初期化処理の実行後は、S910の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S904:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S905:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S907:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S908)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S909)、S910の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
詳細については図33を参照して後述するが、S910の回転体位置初期化処理(図33参照)では、抽選装置300の内部に配設されている振り分け回転体341の位置を、必要に応じて修正する。この回転体位置初期化処理(S310)の終了後は、S911の処理へ移行して、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する(S911)。次いで、割込みを許可して(S912)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図33を参照して、上記した立ち上げ処理の中で主制御装置110内のMPU201により実行される回転体位置初期化処理(S910)について説明する。図33は、この回転体位置初期化処理(S910)を示すフローチャートである。
上述の通り、この回転体位置初期化処理(S910)は、抽選装置300の内部に配設されている振り分け回転体341の位置を必要に応じて修正する処理である。修正が必要な場合とは、例えば、パチンコ機10の電源をオフしてから次に電源をオンするまでの間に、振り分け回転体341の配置が変わってしまっていたような場合等である。なお、振り分け回転体341の取り得る配置は、右側に振れた状態(表向きの状態)の配置(図11(b)参照)と、左側に振れた状態(裏向きの状態)の配置(図11(a)参照)とが存在する。右側に振れた状態(表向きの状態)となるのは、初期化を行った場合(即ち、RAM消去スイッチ122がオンされた状態でパチンコ機10に対して電源を投入した場合)や、遊技球が振り分け回転体341に設けられた誘導通路408cを通過した場合である(図14参照)。一方、左側に振れた状態(裏向きの状態)となるのは、遊技球が振り分け回転体341に設けられた誘導通路408bを通過した場合である(図13参照)。
回転体位置初期化処理(S910)では、まず、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S1501)、オンされていると判別した場合は(S1501:Yes)、処理をS1502へ移行する。一方、S1501の処理において、RAM消去スイッチ122がオンされていない(即ち、オフである)と判別した場合は、更に、回転体フラグ203jがオンであるか否かを判別し(S1503)、オンでない(即ち、オフである)と判別された場合は、処理をS1502へ移行する。
S1502の処理では、振り分け回転体341を回動させるための回動モーター264を駆動して、振り分け回転体341が右側に振れている状態(表向きの状態)の配置(図11(b)参照)となるように軸406を中心に回動させ(S1504)、本処理を終了して立ち上げ処理へ戻る。
S1503の処理において、回転体フラグ203jがオンであると判別した場合は(S1503:Yes)、パチンコ機10の電源をオフする前の振り分け回転体341の状態が左側に振れている状態(裏向きの状態)の配置であったことを意味するので、振り分け回転体341を回動させるための回動モーター264を駆動して、振り分け回転体341を左側に振れている状態(裏向きの状態)の配置(図11(a)参照)とし、本処理を終了して立ち上げ処理へ戻る。
次に、図34を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図34は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1001〜S1009の各処理が実行され、その残余時間でS1012,S1013のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図25参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1001)。具体的には、タイマ割込処理(図25参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図26参照)や始動入賞処理(図28参照)で設定された保留球数コマンドや入賞情報コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図36参照)で設定されたラウンド数コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1002)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1003)、次いで、抽選装置300の抽選用ゲート310を開放又は閉鎖等を行うための抽選用ゲート処理を実行する(S1004)。抽選用ゲート処理(S1004)では、大当たりの停止図柄が第3図柄表示装置81に表示され、大当たりの発生が示された後で(即ち、特別図柄の高確率状態とするか否かの抽選が抽選装置300により行われるタイミングで)、抽選用ゲート310を開放する。また、抽選用ゲート内に遊技球が入球したことを検出するか、又は抽選用ゲート310の最大開放時間(例えば、30秒)が経過したことを検出すると、抽選用ゲート310を閉鎖する。更に、本処理では、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が時短入球口501、及び確変入球口502〜504のうちいずれの入球口へ入球したかを検出し、遊技球が入球した入球口に応じた処理を行う。なお、本実施形態では、抽選用ゲート処理(S1004)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
抽選用ゲート処理(S1004)が終わると、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1005)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。なお、本実施形態では、大当たり制御処理(S1005)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次に、抽選装置300の内部に配設されている振り分け回転体341の配置を、位置検出センサ263の検出結果に基づいて判別する回転体位置検出処理を行う(S1006)。なお、本実施形態では、回転体位置検出処理(S1006)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
回転体位置検出処理(S1006)が終わると、第1入球口64に付随する電動役物の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1007)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図29参照)のS625の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37の表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1008)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図27参照)のS304の処理またはS306の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37において開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図27参照)のS304の処理またはS306の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37において実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図27参照)のS303の処理またはS305の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37に停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置83の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1009)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図29参照)のS620の処理またはS621の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置83において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置83では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図29参照)のS623の処理によって第2図柄表示装置83の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置83において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図29参照)のS613の処理またはS618の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1010)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1010:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1011)、既に所定時間が経過していれば(S1011:Yes)、処理をS1001へ移行し、上述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1011:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1012,S1013)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1012)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1002の処理と同一の方法によって実行する(S1012)。
ここで、S1001〜S1009の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1010の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1010:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図31のNMI割込処理が実行されたということなので、S1014以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1014)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1015)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1016)、RAM203のアクセスを禁止して(S1017)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1010の処理は、S1001〜S1009で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1012とS1013の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1001の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1001の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S901)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1001の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
次に、図35のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される抽選用ゲート処理(S1004)を説明する。図35は、この抽選用ゲート処理処理(S1004)を示すフローチャートである。この抽選用ゲート処理(S1004)は、メイン処理(図34参照)の中で実行され、特別図柄の高確率状態へ移行させるか否かを抽選するための抽選装置300の抽選用ゲートの制御や、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が入球する入球口の検出を行うための処理である。
抽選用ゲート処理では、まず、抽選フラグ203hがオンか否かを判別する。抽選フラグ203hがオンであると判別した場合は(S1601:Yes)、特別図柄の高確率状態へ移行させるか否かの抽選を開始するタイミングであることを示すので、抽選装置300により抽選を行うための各種設定を行い(S1602〜S1604)、抽選フラグ203hをオフにして(S1605)、本処理を終了する。
なお、抽選装置300により抽選を行うための各種設定では、まず、大当たり種別に基づいて、流路切替弁331a,331bの状態を設定する(S1602)。具体的には、大当たり種別が「大当たりA」であれば、流路切替弁331a,331bを手前ルートに設定し、大当たり種別が「大当たりB」であれば、流路切替弁331a,331bを奥ルートに設定する。S1602の処理が終わると、抽選用ゲート310の開放を設定することで、遊技球が抽選装置300の内部へ入球可能な状態とする(S1603)。その後、開放フラグ203iをオンにすることで、抽選用ゲート310が開放されていることを示し(S1604)、各種設定を終了する。
一方、S1601の処理の結果、抽選フラグ203hがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S1601:No)、開放フラグ203iがオンであるか否かを判別し、開放フラグ203iがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S1606:No)、S1607〜S1612の処理をスキップしてS1613の処理へ移行する。一方、開放フラグ203iがオンであると判別した場合は(S1606:Yes)、抽選用ゲート310が開放されていることを示すので、抽選用ゲート310へ遊技球が入球したか否かを判別する(S1607)。
S1607の処理において、抽選用ゲート310へ遊技球が入球したと判別した場合は(S1607:Yes)、抽選装置300による抽選を行うために必要な遊技球が抽選装置300内に入球したことを示すので、これ以降抽選装置300へ遊技球が入球しないようにするために、抽選用ゲート310を閉鎖し(S1608)、開放フラグ203iをオフして(S1609)、S1613の処理に移行する。
S1607の処理において、遊技球が抽選用ゲート310へ入球していないと判別した場合は(S1607:No)、抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立したか否かを判別する(S1610)。ここで、抽選用ゲート310へ遊技球が入球しない状態で抽選用ゲート310が閉鎖する条件は、抽選用ゲート310の最大開放時間(例えば、30秒)が経過したことである。抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立していない(即ち、抽選用ゲート310の最大開放時間以内である)と判別した場合は(S1610:No)、S1613の処理へ移行する。一方、抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立した(即ち、抽選用ゲート310の最大開放時間を経過した)と判別した場合は(S1610:Yes)、確変フラグ203eをオフし、時短中カウンタ203fに100をセットし(S1611)、時短大当たり遊技を設定する(S1612)。そして、抽選用ゲートを閉鎖し(S1608)、開放フラグ203iをオフして(S1609)、S1613の処理に移行する。
S1613の処理では、入賞センサ420a〜420dの検出結果に基づいて、確変入球口502〜504のうちいずれかの入球口へ遊技球が入球したか否かを判別する(S1613)。確変入球口502〜504のいずれかへ入球したと判別した場合は(S1613:Yes)、確変フラグ203eをオンし(S1614)、確変大当たり遊技の開始を設定する(S1615)。そして、遊技球が入球した入球口が確変入球口503であるか否かを判別し(S1616)、確変入球口503であると判別した場合は(S1616:Yes)、音声ランプ制御装置113へ送信するコマンドとして通常状態コマンドを設定して(S1618)、本処理を終了する。一方、S1616の処理において、遊技球が入球した入球口が確変入球口503ではない(即ち、確変入球口502、若しくは確変入球口504である)と判別した場合は(S1616:No)、音声ランプ制御装置113へ送信するコマンドとしてループ状態コマンドを設定し(S1617)、本処理を終了する。
ここで、通常状態コマンド、およびループ状態コマンドについて詳しく説明する。本実施例の遊技機では、遊技球が確変入球口503へ入球した場合は、遊技球が誘導通路408cを通過することに基づいて、振り分け回転体341が右側に振れた状態となる(図14参照)。振り分け回転体341が右側に振れた状態の場合、抽選装置300による次回の抽選では、遊技球は抽選装置300の右側に配設されている入球口である時短入球口501、若しくは確変入球口502のいずれかに入球することとなるため(図16(a)参照)、次回の大当たりの終了後には必ずしも特別図柄の高確率状態に移行するとは限らず、遊技球が時短入球口501へ入級した場合は、特別図柄の低確率状態へと移行してしまう。
一方で、遊技球が確変入球口502、若しくは確変入球口504へ入球した場合は、振り分け回転体341が左に振れた状態となるため(図13、図15参照)、抽選装置300による次回の大当たりの際の抽選において、遊技球が振り分けられる入球口は、抽選装置300の左側に配設されている入球口である確変入球口503、若しくは確変入球口504であり(図16(b)参照)、次回の大当たり後にも特別図柄の高確率状態へ移行する。即ち、遊技球が確変入球口503に入球するのに比べて、確変入球口502、若しくは確変入球口504へ入球した方が、遊技者にとって有利な状態となるのである。
よって、本実施形態では、確変入球口502、若しくは確変入球口504へ入球したことを検出すると(S1616:No)、音声ランプ制御装置113へ、遊技者にとって有利な状態であるループ状態へ移行したことを示すコマンド(ループ状態コマンド)を送信するように構成している。そして、詳細については図41を参照して後述するが、音声ランプ制御装置113は、ループ状態コマンドを受信することに基づいて、遊技者に対して現在が有利な状態であることを示唆する表示演出(ループ状態演出)を実行可能に構成している。よって、遊技者は、通常とは異なる演出であるループ状態演出が発生することにより、現在が有利な状態であることを容易に認識することができるので、遊技者にとって有利な状態であるループ状態中であるにも関わらず、有利な状態と気づかずに遊技を辞めてしまうことを抑制することができる。
一方、確変入球口503へ入球したことを検出した場合は(S1616:Yes)、音声ランプ制御装置113へ、現在の状態がループ状態でない(即ち、通常状態である)ことを示す通常状態コマンドを送信するように構成されている。音声ランプ制御装置113は、通常状態コマンド、およびループ状態コマンドのうちどちらを受信したかに基づいて、ループ状態演出を実行するか否かを判断することができる。
図35に戻って説明を続ける。S1613の処理において、遊技球が確変入球口502〜504のいずれにも入球していないと判別した場合は(S1613:No)、遊技球が時短入球口501へ入球したか否かを、入賞センサ420cの検出結果に基づいて判別し(S1619)、時短入球口501へ入球していないと判別した場合は(S1619:No)、本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、S1619の処理において、遊技球が時短入球口501へ入球したと判別した場合は、大当たり後に特別図柄の低確率状態へと移行するので、確変フラグ203eをオフし、時短中カウンタ203fに100をセットして(S1620)、時短大当たり遊技の開始を設定する(S1621)。そして、音声ランプ制御装置113へ出力するコマンドとして、現在がループ状態でない(即ち、通常状態である)ことを通知するための通常状態コマンドを設定して(S1622)、本処理を終了する。
次に、図36のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1005)を説明する。図27は、この大当たり制御処理(S1005)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1005)は、メイン処理(図34参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるかを判定する(S1101)。具体的には、抽選用ゲート処理(図35参照)のS1612、S1615、又はS1621の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始されると判定する。S1101の処理において、特別図柄の大当たりが開始される場合には(S1101:Yes)、ラウンド数カウンタ203gの値に0を設定して(S1102)、本処理を終了する。このラウンド数カウンタ203gによって、大当たり中のラウンド数が判断される。
一方、S1101の処理において、特別図柄の大当たりが開始されない場合には(S1101:No)、特別図柄の大当たり中であるかを判定する(S1103)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1103の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1103:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1103の処理において、特別図柄の大当たり中であれば(1103:Yes)、新たなラウンドの開始タイミングであるかを判定する(S1104)。新たなラウンドの開始タイミングであれば(S1104:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを開放し(S1105)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する(S1106)。ここで設定されたラウンド数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図34参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、ラウンド数コマンドを受信すると、そのラウンド数コマンドからラウンド数を抽出する。そして、抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用ラウンド数コマンドが受信されると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出が開始される。ラウンド数コマンドを設定した後は、ラウンド数カウンタ203gの値に1を加算することにより、新たに開始するラウンドのラウンド数とラウンド数カウンタ203gの値とを一致させ(S1107)、本処理を終了する。
一方、S1104の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでなければ(S1104:No)、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したかを判定する(S1108)。具体的には、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に所定時間(例えば、30秒)が経過した場合、または、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に球が所定数(例えば、10個)入賞した場合に、閉鎖条件が成立したと判定する。
S1108の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していないと判定した場合には(S1108:No)、本処理を終了する。一方、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したと判定した場合には(S1108:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖し(S1109)、ラウンド数カウンタ203gの値が8であるか否かを判別する(S1110)。S1110の処理において、ラウンド数カウンタの値が8でない(即ち、1〜7のいずれかである)と判別した場合は(S1110:No)、本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、ラウンド数カウンタの値が8であると判別した場合は(S1110:Yes)、現在が8ラウンド(即ち、最終ラウンド)の終了タイミングであるので、大当たりの終了を設定し(S1111)、本処理を終了してメイン処理に戻る。
次に、図37のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される回転体位置検出処理(S1006)について説明する。図37は、この回転体位置検出処理(S1006)を示したフローチャートである。この回転体位置検出処理(S1006)は、メイン処理(図34参照)の中で実行され、振り分け回転体341の配置を回転体フラグ203jに記憶させておき、パチンコ機10の電源がオフされても、復電時に振り分け回転体341の配置を、電源がオフされる直前と同じ配置に戻すことができるようにするための処理である。
この回転体位置検出処理(S1006)では、まず、回転体フラグ203jがオンであるか否かを判別する(S2501)。S2501の処理の結果、回転体フラグ203jがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S2501:No)、前回の回転体位置検出処理において振り分け回転体341の配置が表向きの状態(右に振れた状態)の配置であったことを示すので、位置検出センサ263の検出結果に基づいて、振り分け回転体341の現在の配置が表向きの状態(右に振れた状態)であるか否かを判別することにより、前回の回転体位置検出処理と今回の回転体位置検出処理との間に振り分け回転体341の配置が変化したか否かを判別する(S2502)。
そして、振り分け回転体341の現在の配置が表向きの状態(右に振れた状態)であると判別した場合は(S2502:Yes)、振り分け回転体341の配置は前回の回転体位置検出処理の時点から変化していないので、本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、振り分け回転体341の現在の配置が裏向きの状態(左に振れた状態)であると判別した場合は(S2502:No)、前回の回転体位置検出処理の時点から振り分け回転体341の配置が変化していることを示すので、回転体フラグ203jをオンして(S2503)、本処理を終了する。
S2501の処理において、回転体フラグ203jがオンであると判別した場合は(S2501:Yes)、位置検出センサ263の検出結果に基づいて、振り分け回転体341の現在の配置が表向きの状態(右に振れた状態)であるか否かを判別し(S2504)、振り分け回転体341の現在の配置が裏向きの状態(左に振れた状態)であると判別した場合は(S2504:No)、振り分け回転体341の配置は前回の回転体位置検出処理の時点から変化していないので、本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、振り分け回転体341の現在の配置が表向きの状態(右に振れた状態)であると判別した場合は(S2504:Yes)、前回の回転体位置検出処理の時点から振り分け回転体341の配置が変化していることを示すので、回転体フラグ203jをオフにして(S2505)、本処理を終了する。
<第1実施形態における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図38から図43を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図38を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図38は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1201)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1316の電源断処理(図39参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1202)。図39を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図39のS1313参照)、S1316の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1316の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1202:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1316の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1203)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1206の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1203:Yes)、S1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1203:No)、S1208へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1203:Yes)、S1204へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1316の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1203:No)、S1208へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1202:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1316の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1204の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1204)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1205:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1206)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1205:No)、RAM223の異常を報知して(S1207)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1208の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1208)。電源断フラグはS1316の電源断処理の実行時にオンされる(図39のS1315参照)。つまり、電源断フラグは、S1316の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1316の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1208:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1209)、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1208:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1209をスキップして、処理をS1210へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、メイン処理へ移行する。
なお、S1209のクリア処理をスキップするのは、S1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至った場合には、S1204の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図39を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図39は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1301の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1301)、1m秒以上経過していなければ(S1301:No)、S1302〜S1310の処理を行わずにS1311の処理へ移行する。S1301の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1302〜S1310が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1311のコマンド判定処理や、S1312の変動表示設定処理は短い周期で実行する方が好ましいからである。S1311の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1312の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1301の処理で1m秒以上経過していれば(S1301:Yes)、まず、S1303〜S1312の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1302)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1308の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1303)、その後電源投入報知処理を実行する(S1304)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1305の処理へ移行する。
S1305の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1306)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1307)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
また、変動演出が未実行の期間や、高速変動期間中に枠ボタン22が押された場合は、ステージを変更する処理を行い、表示制御装置114に対する背面画像変更コマンドを設定する。この背面画像変更コマンドに、変更後のステージに対応する背面画像の種別に関する情報を含めることにより、表示制御装置114において、第3図柄表示装置81に表示される背面画像を、ステージに応じた画像に変更する処理が行われる。また、変動表示開始時に予告キャラが出現した場合に枠ボタン22を押すことで今回の変動による大当たりの期待値を表示したり、リーチ演出中に枠ボタン22を押すことで大当たりへの期待感を持てる演出に変更したり、枠ボタン22を複数のリーチ演出のうち1のリーチ演出を選択するための決定ボタンとしても良い。なお、枠ボタン22が配設されていない場合には、S1307の処理は省略される。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1308)、その後音編集・出力処理を実行する(S1309)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1309の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1310)、S1311の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1308のランプ編集処理が実行される。なお、S1309の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S1311の処理では、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1311)。このコマンド判定処理の詳細については、図40を参照して後述する。コマンド判定処理(S1311)が終わると、変動表示設定処理が実行される(S1312)。変動表示設定処理では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。なお、この変動表示設定処理の詳細については、図43を参照して後述する。
S1312の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1313)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1313の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1313:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1315)、電源断処理を実行する(S1316)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1317)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1313の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1313:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1314)、RAM223が破壊されていなければ(S1314:No)、S1301の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1314:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図40を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1311)について説明する。図40は、このコマンド判定処理(S1311)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1311)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図39参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する処理である。
コマンド判定処理では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1401)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1401:Yes)、変動パターンコマンドに対応した変動パターンの態様を選択する変動パターン選択処理を実行して(S1402)、メイン処理に戻る。ここで選択された変動パターン種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図43参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の開始とその変動パターン種別を通知する表示用変動パターンコマンドを設定するために用いられる。
一方、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1401:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1403)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1403:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223dをオンに設定し(S1404)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1405)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図43参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1403:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1406)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1406:Yes)、受信した保留球数コマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(S1407)。また、S1407の処理では、更新された特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドを設定する。S1407の処理の終了後は、メイン処理に戻る。
ここで、保留球数コマンドは、球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1407の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値が主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を修正し、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値に合わせることができる。なお、S1407の処理が実行されると、更新された特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、表示制御装置114では、保留球数に応じた保留球数図柄が第3図柄表示装置81に表示される。
S1406の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1406:No)、次いで、主制御装置110より入賞情報コマンドを受信したか否かを判定する(S1408)。そして、入賞情報コマンドを受信した場合には(S1408:Yes)、受信した入賞情報コマンドから、各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を入賞情報として抽出する(S1409)。S1409の処理が終了したら、次に、S1409の処理で抽出した入賞情報(当否、停止種別、変動パターン)を、入賞情報格納エリア223aの空きエリア(第1エリア〜第4エリア)のうち最初のエリアに格納し(S1410)、メイン処理に戻る。
S1408の処理において、入賞情報コマンドを受信していない場合には(S1408:No)、次いで、主制御装置110よりラウンド数コマンドを受信したか否かを判定する(S1411)。そして、ラウンド数コマンドを受信した場合には(S1411:Yes)、受信したラウンド数コマンドからラウンド数を抽出し(S1412)、その抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを設定して(S1413)、本処理を終了する。ここで設定された表示用ラウンド数コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図39参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用ラウンド数コマンドを受信すると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出を開始する。
一方、S1411の処理において、ラウンド数コマンドを受信していない場合には(S1413:No)、次いで、現在の状態がループ状態であるか否かを判別する特別演出設定処理を実行する(S1414)。この特別演出実行処理による判別結果に基づいて、遊技者にとって有利な状態であるループ状態を示唆する特別な演出を行うか否かが判断される。
S1414の処理が終わると、次いで、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信した結果に応じた処理を実行して、(S1419)本処理を終了する。例えば、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図41を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動パターン選択処理(S1402)について説明する。図41は、変動パターン選択処理(S1402)を示したフローチャートである。この変動パターン選択処理(S1402)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理の中で実行されるもので(図40のS1402参照)、上述したように、主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81において実行される変動パターンの種別を選択するための処理である。
変動パターン選択処理(S1402)では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223cをオンし(S2701)、次いで、特別演出フラグ223eがオンか否かを判別する(S2702)。
そして、特別演出フラグ223eがオンであると判別された場合は、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに基づいた変動パターン種別のうち、ループ状態用の変動パターン種別を抽出し(S2703)、本処理を終了する。S2703の処理では、通常状態でも選択される変動パターン種別の他に、通常状態では選択されることがない変動パターン種別も選択可能とされる。よって、通常状態とは異なるループ状態専用の態様の変動パターン演出が選択され、第3図柄表示装置81に表示されることにより、遊技者に対して特別な状態であることを示唆することができる。なお、ループ状態専用の態様とは、例えば、第3図柄の変動中に通常状態では出現しないキャラクターが出現したり、通常状態とは異なる図柄が表示されたり、通常状態とは異なる効果音等の音声演出が行われること等である。
一方、特別演出フラグ223eがオンでない(即ち、オフである)と判別された場合は(S2702:No)、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに基づいた変動パターン種別のうち、通常状態用の変動パターン種別を抽出して(S2704)、本処理を終了する。S2703又はS2704の処理により抽出された変動パターン種別に基づいて、第3図柄表示装置81において変動パターン演出が実行される。
このように、本実施形態のパチンコ機10では、特別演出フラグ203eの状態に基づいて現在がループ状態であるか否かを判別し、ループ状態であると判断した場合は、遊技者に対して現在が有利な状態であることを示唆するための変動パターン演出の態様を選択可能に構成している。よって、遊技者は、変動パターン演出が通常とは異なる態様で実行されることにより、現在が有利な状態であることを容易に認識することができるので、遊技者にとって有利な状態であるループ状態中であるにも関わらず、有利な状態と気づかずに遊技を辞めてしまうことを抑制することができる。
なお、ループ状態中は、通常状態中に選択される変動パターン種別が全く選択されなくなるように構成しても良い。これにより、変動パターン演出が1回行われるだけで、遊技者は現在がループ状態中であるか否かを判断することができるので、ループ状態中であるにも関わらず、ループ状態であることに気づかずに遊技を辞めてしまうことを、より確実に抑制することができる。
次に、図42を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される特別演出設定処理(S1414)について説明する。図42は、特別演出設定処理(S1414)を示したフローチャートである。この特別演出設定処理(S1414)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理の中で実行されるもので(図40のS1414参照)、上述したように、現在の状態がループ状態であるか否かを判別し、ループ状態であるか否かに応じた演出態様で変動パターン演出を実行させるための処理である。
特別演出設定処理では、まず、ループ状態コマンドを受信したか否かを判別する(S3701)。ループ状態コマンドは、上述の抽選用ゲート処理(図35参照)において、遊技球が確変入球口502、若しくは確変入球口504のどちらかへ入球したことに基づいて音声ランプ制御装置113へ出力されるコマンドであり、今回の大当たり後のみならず、次回の大当たり後にも特別図柄の高確率状態へと移行するループ状態へ移行したことを示すコマンドである。
ループ状態コマンドを受信したと判別した場合は(S3701:Yes)、特別演出フラグ223eをオンすることで現在がループ状態であることを示し(S3702)、本処理を終了する。一方、ループ状態コマンドを受信していないと判断した場合は(S3701:No)、続いて、通常状態コマンドを受信したか否かを判別する(S3703)。通常状態コマンドは、上述の抽選用ゲート処理(図35参照)において、遊技球が時短入球口501、若しくは確変入球口503のどちらかへ入球したことに基づいて音声ランプ制御装置113へ出力されるコマンドであり、次回の大当たり後には特別図柄の高確率状態、および特別図柄の低確率状態のうちいずれの状態へも移行する可能性がある通常状態へ移行したことを示すコマンドである。
通常状態コマンドを受信したと判別した場合は(S3703:Yes)、特別演出フラグ223eをオフすることによって現在がループ状態でないことを示し(S3704)、本処理を終了する。一方、S3703の処理において、通常状態コマンドを受信していないと判別した場合は(S3703:No)、そのまま本処理を終了する。
上述の通り、変動パターン選択処理(図41参照)では、本処理で設定した特別演出フラグ223eの状態を判別して、ループ状態用の特別な態様で変動パターンを実行するか、通常状態用の態様で変動パターンを実行するかを判断している。これにより、ループ状態中は、変動パターン演出が通常とは異なる態様で実行されるので、遊技者は、現在が有利な状態であることを容易に認識することができる。よって、遊技者が、現在の状態がループ状態中であるにも関わらず、ループ状態であることに気づかずに遊技を辞めてしまうことを抑制することができる。
次に、図43を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1312)について説明する。図33は、この変動表示設定処理(S1312)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1312)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図39参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223cがオンか否かを判別する(S1701)。そして、変動開始フラグ223cがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1701:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1706の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223cがオンであると判別された場合(S1701:Yes)、変動開始フラグ223cをオフし(S1702)、次いで、変動パターン選択処理(図41参照)のS2703、またはS2704の処理において、変動パターンコマンドから抽出した変動演出における変動パターン種別を、RAM223より取得する(S1703)。
そして、取得した変動パターン種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1704)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
次いで、入賞情報格納エリア223aに格納されたデータをシフトする(S1705)。S1705の処理では、入賞情報格納エリア223aの第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S1706の処理へ移行する。
S1706の処理では、RAM233に設けられた停止種別選択フラグ223dがオンか否かを判別する(S1706)。そして、停止種別選択フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1706:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223dがオンであると判別された場合(S1706:Yes)、停止種別選択フラグ223dをオフし(S1707)、次いで、コマンド判定処理(図40参照)のS1405の処理において、停止種別コマンドから抽出された変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1708)。
次に、抽出された停止種別を、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定し(S1709)、設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定し(S1710)、本処理を終了する。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
<第1実施形態における表示制御装置の制御処理について>
次に、図44から図57を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図44を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図44は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S1801)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図45を参照して、ブート処理(S1801)について説明する。図45は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S1801)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S1901)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S1902)。これにより、MPU231は、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S1902の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S1902の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S1903)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S1904)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図44のS1801参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図44のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S1905)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S1801)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図45に示すブート処理では、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S1902の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
また、S1901の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S1901及びS1902の処理を含めて複数回繰り返した後、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S1901及びS1902の処理を行わずに、S1903〜S1905の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図44の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S1802)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S1803)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S1803の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S1804)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S1804の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S1805)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図55(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図55(a)のS3302参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図46(b)参照)において、図21に示す電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図46(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図46(b)のS2109参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入球口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、図21(b),(c)に示す電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかり、電源投入後に電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S1805の処理の後、割込許可を設定し(S1806)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S1806の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図46(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図46(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2001)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図46(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図46(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図24参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図46(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2101)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2101:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、図21に示した電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2102)を実行し、次いで、表示設定処理(S2103)を実行する。
コマンド判定処理(S2102)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図47〜図51を参照して後述する。
表示設定処理(S2103)では、コマンド判定処理(S2102)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。なお、この表示設定処理の詳細については、図52〜図54を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2104)。このタスク処理では、表示設定処理(S2103)もしくは簡易表示設定処理(S2109)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S2105)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図55、および図56を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2106)。この描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示とから、図24に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図57を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2107)。そして、V割込処理を終了する。S2107の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2101の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2101:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、図21に示した電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2108)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2109)を実行して、S2104の処理へ移行する。
次いで、図47〜図51を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2102)の詳細について説明する。まず、図47は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図47に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2201)、未処理の新規コマンドがなければ(S2201:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S2103)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2202)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2203)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2204)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2204:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2205)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図48を参照して、変動パターンコマンド処理(S2205)の詳細について説明する。図48は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2301)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2301の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S2301で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S2302)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S2301の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S2303)。表示設定処理では、S2303の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S2304)、ポインタ233fを0に初期化する(S2305)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S2306)、変動パターンコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S2305の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S2302の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S2304の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図47の説明に戻る。S2204の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2204:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2206)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2206:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2207)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図49を参照して、停止種別コマンド処理(S2207)の詳細について説明する。図49は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(各種大当たり、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れのいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S2401)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図46(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S2402)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S2402の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定し(S2403)、本処理を終了する。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S2402の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S2403によって設定された停止図柄判別フラグからS2402の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
尚、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2401の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS2402の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本実施形態のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図47に戻り、説明を続ける。S2206の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S2206:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S2208)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S2208:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S2209)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図50を参照して、ラウンド数コマンド処理(S2209)の詳細について説明する。図50は、ラウンド数コマンド処理を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2601)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S2602)。
そして、S2601の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S2603)、ポインタ233fを0に初期化する(S2604)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S2605)、ファンファーレコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
ここで、図47の説明に戻る。S2208の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S2208:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、背面画像変更コマンドがあるか否かを判別し(S2210)、背面画像変更コマンドがあれば(S2210:Yes)、背面画像変更コマンド処理を実行して(S2211)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図51(a)を参照して、背面画像変更コマンド処理(S2211)の詳細について説明する。図51(a)は、背面画像変更コマンド処理を示すフローチャートである。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面画像変更コマンド処理では、まず、オン状態で背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S3303)に通知する背面画像変更フラグをオンに設定する(S2801)。そして、背面画像種別(背面A〜C)毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンすると共に、その他の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオフに設定して(S2802)、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、S2801の処理により設定される背面画像変更フラグがオンされていることを検出すると、S2802の処理によって設定される背面画像判別フラグから、変更後の背面画像種別を特定する。そして、背面画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送するよう、画像コントローラ237に対する転送指示の設定を行う。
また、タスク処理では(S2104)、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A〜Cのいずれかを表示させることが規定されていた場合、S2802によって設定された背面画像判別フラグから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像に対応する、通常用ビデオRAM236のRAMアドレスを特定する。
尚、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2802の処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
ここで、図47の説明に戻る。S2210の処理において、背面画像変更コマンドがないと判別されると(S2210:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2212)、エラーコマンドがあれば(S2212:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2213)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図51(b)を参照して、エラーコマンド処理(S2213)の詳細について説明する。図51(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S2901)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S2902)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S2901の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S2902の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
なお、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S2902に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図47の説明に戻る。S2212の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2212:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2219)、S2201の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2201の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、再びS2202〜S2219の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2201〜S2219の処理が繰り返し実行され、S2201の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
なお、V割込処理(図46(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2109)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、図21に示す電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図48参照)および停止種別コマンド処理(図49参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図48参照)では、S2301の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S2302の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図52〜図54を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2103)の詳細について説明する。図52は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図52に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S3001)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S3001:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S3002〜S3004の処理をスキップし、S3005の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S3001:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S3002)、S3003〜S3004の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S3003の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S3003)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S3003:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S3004)。
ここで、図53を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図53は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S3101)。
タスク処理(S2104)では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S3101の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S3102)、表示設定処理に戻る。
ここで、図52の説明に戻る。警告画像設定処理(S3004)の後、又は、S3003の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S3003:No)、次いで、S3005の処理へ移行する。
S3005では、ポインタ更新処理を実行する(S3005)。ここで、図54を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図54は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S3201)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S3201の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S3202)。その結果、End情報であれば(S3202:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S3203)、デモ用表示データテーブルであれば(S3203:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3204)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S3205)、本処理を終了して表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S3203の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S3203:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S3206)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S3202の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S3202:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図52に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S3006)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S3006の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S3007)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S3008)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S3008:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S3008:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S3009)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S3009:No)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3010)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3011)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3012)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S3013)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S3014)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S3015)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S3015の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S3015によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S3009の処理において、確定表示フラグがオンであれば(S3009:Yes)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S3016)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S3016:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3017)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3018)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S3019)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S3020)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S3021)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S3016の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S3016:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図46(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2109)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像(図21(b)および(c)のいずれか)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図55及び図56を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2105)の詳細について説明する。まず、図55(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S3301)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S3301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S3302)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図55(b)を参照して後述する。
一方、S3301の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S3301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S3303)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図56を参照して後述する。
次いで、図55(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である常駐画像転送設定処理(S3302)について説明する。図55(b)は、この常駐画像転送設定処理(S3302)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S3401)、転送指示を送信していれば(S3401:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S3402)。このS3402の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3402の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3402:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3402:Yes)、S3403の処理へ移行する。また、S3401の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S3401:No)、S3403の処理へ移行する。
S3403の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S3403)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S3403:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S3404)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3403の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S3403:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S3405)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図46(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図46(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図46(b)のS2109参照)ではなく、コマンド判定処理(図47〜図51参照)および表示設定処理(図52〜図54参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図56参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図55(a)のS3301:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、第3図柄や、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図56を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である通常画像転送設定処理(S3303)について説明する。図56は、この通常画像転送設定処理(S3303)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2103)のポインタ更新処理(S3005)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S3501)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S3502)、転送データ情報であれば(S3502:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S3503)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S3504)、S3505の処理へ移行する。
また、S3502の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S3502:No)、S3503、およびS3504の処理をスキップして、S3505の処理へ移行する。S3505の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S3505)、転送指示を設定していれば(S3505:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S3506)。
このS3506の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3506の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3506:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3506:Yes)、S3507の処理へ移行する。また、S3505の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S3505:No)、S3507の処理へ移行する。
S3507の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S3507)、転送開始フラグがオンであれば(S3507:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S3508)、S3503の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S3513の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S3507:No)、次いで、背面画像変更フラグはオンか否かを判別する(S3509)。そして、背面画像変更フラグがオンではなく、オフであれば(S3509:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更フラグがオンであれば(S3509:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグをオフに設定した後(S3510)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグのうち、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S3511)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S3512)、S3513の処理へ移行する。
S3513の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S3513)。このS3513の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233jを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233jより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S3513の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S3513:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S3513の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S3513:Yes)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S3514)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3514の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S3515)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図57を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2106)の詳細について説明する。図57は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示から、図24に示す描画リストを生成する(S3601)。即ち、S3601の処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2105)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233kによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S3602)。ここでは、描画対象バッファフラグ233kが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233kが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S3602の処理の後、描画対象バッファフラグ233kを更新する(S3603)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233kの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図46(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、説明したように、本パチンコ機10では、「特別図柄の大当たり」と判定され、その「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が確定表示された後に、抽選装置300によって、大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行させるか否かの抽選が行われる。この抽選では、抽選装置300へ入球した遊技球が抽選装置300内に配設されている複数の入球口(時短入球口501、及び確変入球口502〜504)のうちいずれの入球口へ入球するかに基づいて特別図柄の高確率状態へ移行させるか否かが決定される。また、抽選装置300には、抽選装置300に入球した遊技球の進行方向を制御する流路切替弁331a,331b、及び振り分け回転体341が配設されており、これらの状態に応じて遊技球が入球する入球口が決まる。
流路切替弁331a,331bの状態は、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて定められており、大当たり種別が大当たりAの場合は、遊技球が振り分け回転体341の手前側に流下する向きに切り替わる(図9(b)参照)。一方で、大当たり種別が大当たりBの場合は、遊技球が振り分け回転体341の奥側に流下する向きに切り替わる(図9(a)参照)。また、振り分け回転体341の状態は、遊技球が振り分け回転体341に設けられた4つの誘導通路408a〜408dのうちいずれの通路を通過するかに応じて切り替えられる。
具体的には、振り分け回転体341が右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が誘導通路408aを通過した場合は、振り分け回転体341の状態が変わらずに(即ち、右側に振れた状態のままで)、遊技球が時短入球口501へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合も、振り分け回転体341が右側に振れた状態のままであり、遊技球が再度誘導通路408aに振り分けられれば、連続して特別図柄の低確率状態になってしまう場合がある。
また、振り分け回転体341が右側に振れた状態で遊技球が誘導通路408bを通過した場合は、遊技球の重みに基づいて振り分け回転体341が軸406を中心に左向きに回転すると共に、遊技球が確変入球口502へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合は、振り分け回転体341が左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が振り分け回転体341へ到達することになるので、次回は確変入球口503、若しくは確変入球口504のうちいずれか一方へ入球することとなる。つまり、誘導通路408bを遊技球が通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たりにおいても必ず大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するのである。
一方で、振り分け回転体341が左側に振れた状態(即ち、誘導通路408c,408dが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が誘導通路408cを通過した場合は、遊技球の重みに基づいて振り分け回転体341が軸406を中心に右向きに回転すると共に、遊技球が確変入球口503へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合は、振り分け回転体341が右側に振れた状態(即ち、誘導通路408a,408bが入球口411の直下に来る状態)で遊技球が振り分け回転体341へ到達することになるので、次回は時短入球口501、若しくは確変入球口502のうちいずれか一方へ入球することとなる。つまり、今回の大当たり後には特別図柄の高確率状態へと移行するものの、次回の大当たりにおいては、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する可能性も、特別図柄の低確率状態へと移行する可能性もある。
更に、振り分け回転体341が左側に振れた状態で遊技球が誘導通路408dを通過した場合は、振り分け回転体341の状態が変わらずに(即ち、左側に振れた状態のままで)、遊技球が確変入球口504へ入球する。よって、次回大当たりに当選した場合も、振り分け回転体341が左側に振れた状態のままであるので、次回は確変入球口503、若しくは確変入球口504のうちいずれか一方へ入球することとなる。つまり、誘導通路408dを遊技球が通過した場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たりにおいても必ず大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行するのである。
このように、振り分け回転体341が左側に振れた状態であれば、遊技球が誘導通路408c,408dのいずれを通過したとしても、必ず大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行するので、遊技者は、振り分け回転体341が左側に振れた状態であることを確認するだけで、抽選装置300による抽選の結果が特別図柄の高確率状態となることを認識することができ、抽選装置300による抽選の様子を安心して確認することができる。
一方で、振り分け回転体341が右側に振れた状態である場合、特別図柄の高確率状態へと移行するか否かが確定しないので、抽選装置300による抽選結果を、特別図柄の高確率状態へと移行することに対する期待感と、特別図柄の低確率状態へと移行してしまうことに対する不安感との両方を抱きながら確認することとなる。
よって、振り分け回転体341の向きを確認し、左側に振れていれば遊技者に対して安心感を与えることとなり、右側に振れていれば遊技者に対して期待感と不安感とを与えることとなるので、メリハリのついた遊技を行わせることができる。
更に、遊技球が誘導通路408b、若しくは誘導通路408dに振り分けられれば、大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行するだけでなく、次回の大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行することまでもが確定するので、遊技者に対して、今回の大当たり、次回の大当たり、次回の大当たり後に移行する特別図柄の高確率状態で当選するであろう大当たりの3回分の出球が担保されていることを認識させることができ、遊技者に対して大きな満足感を与えることができ、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機10では、振り分け回転体341が左に振れた状態となっていれば、次回の大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行する。つまり、特別図柄の高確率状態に連続して当選するので、遊技者にとって非常に有利な状態となる。そして、本実施形態のパチンコ機10では、有利な状態であることを遊技者に示唆するために、通常とは異なる態様の変動パターン演出を選択可能に構成している。よって、遊技者は、変動パターン演出が通常とは異なる態様で実行されることにより、現在が有利な状態であることを容易に認識することができるので、遊技者にとって有利な状態であるループ状態中であるにも関わらず、有利な状態と気づかずに遊技を辞めてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、抽選装置300が可変表示ユニット80に対して正面視右方向に配設されているが、この位置に限られるものではなく、遊技球が抽選用ゲート310へ入球可能な位置である限り、任意の位置に配設して良い。また、抽選用ゲート310として、図6に示すような、蓋状のゲートで構成しているが、これに代えて、シャッター状の上下に開閉するゲートを設けるようにしても良い。
また、本実施形態では、振り分け回転体341が遊技球の通過した誘導通路に応じて右に振れた状態に切り替わったり、左に振れた状態に切り替わったりできるように構成し、確変入球口502へ遊技球が入球した回の次の回の抽選では、確変入球口503、または確変入球口504へのみ入球可能な状態とすることで、特別図柄の高確率状態が連続して2回以上当選する構成としているが、制御的に実現しても良い。
例えば、第1当たり種別選択テーブル202bを、初当たり用(特別図柄の低確率状態で大当たりに当選した場合)の初当たり用第1当たり種別選択テーブル202b1と、特別図柄の高確率状態に当選した場合用のループ用第1当たり種別選択テーブル202b2とを設けておくように構成してもよい。この場合、初当たり用第1当たり種別選択テーブル202b1には、特別図柄の高確率状態へと移行し、次回の抽選ではループ状態用第1当たり種別選択テーブル202b2が用いられる大当たりと、特別図柄の低確率状態へと移行する大当たりとを規定しておき、一方で、ループ状態用第1当たり種別選択テーブル202b2には、特別図柄の高確率状態へと移行するが、次回の抽選には初当たり用第1当たり種別選択テーブル202b1が用いられる大当たりと、特別図柄の高確率状態へと移行し、次回の抽選にもループ状態用第1当たり種別選択テーブル202b2が用いられる大当たりとを規定しておけばよい。
本実施形態では、大当たり遊技が開始される前に抽選装置300による抽選を実行するように構成したが、大当たり遊技中に抽選装置300による抽選を実行するように構成しても良い。例えば、1ラウンド目に抽選装置300の抽選用ゲート310を開放するように構成しても良い。
この場合、抽選装置300の排出球検出センサ422によって、遊技球が1球検出される毎に遊技者に対して賞球を付与するように構成しても良い。そして、抽選が実行されるラウンドでは、他のラウンドにおける特定入賞口(大開放口)65aの動作と同様に、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで抽選用ゲート310が開放されるよう構成しても良い。即ち、抽選を行うラウンドでは、抽選装置300に特定入賞口(大開放口)65aの役割を兼ねさせるのである。大当たり遊技中に抽選装置300による抽選が実行されることにより、遊技者にとって、大当たり遊技が単に出玉を得るための作業となってしまうことを抑制でき、遊技者の大当たり遊技に対する興趣を向上させることができる。
また、大当たり遊技中に抽選装置300による抽選を行う構成とする場合、抽選が行われるラウンドでは、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖しておくように構成しても良い。つまり、抽選装置300に特定入賞口(大開放口)65aの役割を持たせるように構成しても良い。この場合、抽選装置300を第1特定入賞口、特定入賞口(大開放口)65aを第2特定入賞口と規定しておき、大当たり種別に応じて第1特定入賞口と第2特定入賞口との開放のパターンを変更するように構成しても良い。そして、流路の設定もラウンド毎に切り替えるように構成しても良い。
例えば、大当たり種別に関わらず、1ラウンド目では流路切替弁331a,331bを手前ルートの設定としておき、2ラウンド目では流路切替弁331a,331bを奥ルートの設定としておく。そして、大当たり種別が大当たりAであれば1ラウンドにおいて第1特定入賞口(抽選用ゲート310)のみを開放する設定とし、2〜8ラウンドでは第2特定入賞口(特定入賞口65a)のみを開放する設定としておく。手前ルートの設定となっている1ラウンド目にのみ第1特定入賞口(抽選用ゲート310)が開放されるので、抽選装置300による抽選において遊技球は必ず手前ルートを進行する。
一方、大当たり種別が大当たりBであった場合は、1ラウンド、および3〜8ラウンドで第2特定入賞口(特定入賞口65a)のみを開放する設定とし、2ラウンドでは第1特定入賞口(抽選用ゲート310)のみを開放する設定としておく。奥ルートの設定となっている2ラウンド目にのみ第1特定入賞口(抽選用ゲート310)が開放されるので、抽選装置300による抽選において遊技球は必ず奥ルートを進行する。
<第2実施形態>
次に、図58〜図64を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述した第1実施形態では、特別図柄の大当たり種別として、大当たりA、及び大当たりBの2種類のみを設け、大当たり種別に応じて流路切替弁331a,331bの状態を切り替えていた。
これに対して第2実施形態では、大当たりA、大当たりBに加えて、ラウンド数が2Rの大当たりである大当たりC、大当たりD、及びラウンド数が2ラウンドの小当たりである小当たりA、小当たりBを設けるように構成している。
小当たりA、小当たりBは、各小当たりの終了後に状態が変化しないものであり、特別図柄の低確率状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たり終了後にも特別図柄の低確率状態が維持され、逆に特別図柄の高確率状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たりの終了後にも特別図柄の高確率状態が維持される。また、時短状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たりの終了後も時短状態の続きから遊技が開始される。
本実施形態のパチンコ機10では、小当たりに当選した場合にも、小当たりの開始前に抽選装置300の抽選用ゲート310を開放するように構成しており、抽選用ゲート310の動作としては、大当たりA〜Dに当選した場合と全く同じになる。小当たりが大当たりと異なる点は、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が進行方向振り分け部330以降へ進行することなく、球排出用通路323より排出される点である。つまり、進行方向振り分け部330以降へ遊技球が進行するか否かを判断できるまで、当選したのが大当たりであるか小当たりであるかを遊技者が認識することができない。
よって、遊技者は、抽選用ゲート310が開放された場合は、まず、進行方向振り分け部330以降へ遊技球が進行すること(即ち、今回の当たりがいずれかの大当たりであること)を期待し、進行方向振り分け部330以降へ遊技球が進行した場合は、遊技球が確変入球口502〜504のいずれかへ入球することを期待し、更に、大当たり遊技の開始後は、出球の多い8ラウンドの大当たりであることを期待して遊技を行うこととなる。よって、定期的に遊技者の期待感を高めることができ、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
この第2実施形態におけるパチンコ機10が第1実施形態におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、主制御装置110において、ROM202の第1当たり種別選択テーブル202bの内容が一部変更されている点、小当たり種別選択テーブル202eが追加されている点、及びRAM203に小当たりフラグ203kが設けられている点である。また、主制御装置110のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図25)、およびメイン処理(図34)に含まれる一部処理が、第1実施形態におけるパチンコ機10と相違する。その他の構成や、主制御装置110によって実行されるその他の処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される各種処理、および表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については第1実施形態におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1実施形態のパチンコ機10と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
<第2実施形態における電気的構成について>
まず、図58を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図58は、第2実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態の主制御装置110の有するRAM203は、第1実施形態におけるRAM203の構成に加えて、小当たりフラグ203kが設けられている。その他の構成については、第1実施形態のパチンコ機10と同一であるため、その説明を省略する。
小当たりフラグ203kは、小当たりに当選した場合に、抽選装置300の抽選用ゲート310の開放タイミングであるか否かを示すフラグであり、抽選用ゲート310を開放するタイミングである場合にオンされる。一方、小当たりフラグ203kは抽選用ゲート310の開放を設定した後にオフされる。
次いで、図59を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110の有するROM202の内容について説明する。図59は、第2実施形態におけるパチンコ機10の制御装置110の有するROM202の構成を示している。本実施形態のパチンコ機10では、第1実施形態におけるROM202の構成に加えて、小当たり種別選択テーブル202eが設けられている(図59(a),(c))。また、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて、「大当たりA」、「大当たりB」に加えて、「大当たりC」、及び「大当たりD」のテーブルが追加されている点で第1実施形態のパチンコ機10と相違している。
本実施形態のパチンコ機10では、図59(b)に示すように、第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜39」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA」となる。また、乱数値が「50〜89」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB」となる。更に、乱数値が「40〜49」であった場合の大当たり種別は、「大当たりC」となり、乱数値が「90〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりD」となる。なお、本実施形態のパチンコ機10で追加された「大当たりC」、及び「大当たりD」はいずれも最大ラウンド数が2ラウンドの大当たりである。
「大当たりC」と「大当たりD」とは、大当たりの当選が確定した後で、抽選装置300(図5参照)によって行われる特別図柄の高確率状態への移行抽選において、流路切替弁331a,331b(図9参照)により遊技球が通る流路を振り分け回転体341の手前側の流路(手前ルート)とするか奧側の流路(奥ルート)とするかという違いがある。即ち、「大当たりC」では、手前側の流路(手前ルート)に切り替えられ(図9(b)参照)、「大当たりD」では、奧側の流路(奥ルート)に切り替えられる(図9(a)参照)。
「大当たりC」、及び「大当たりD」は、「大当たりA」、「大当たりB」に比べてラウンド数の少ない(即ち、遊技者が獲得できる賞球数が少ない)大当たりであるので、抽選装置300内に遊技球が入球し、遊技球がいずれかの入球口に入球することにより大当たり遊技が開始したとした場合には、遊技者はより多くの賞球の払い出しが期待できる8ラウンドの大当たり(「大当たりA)、または「大当たりB」)を期待する。よって、遊技者の期待通り8ラウンドの大当たりであった場合には、より大きな満足感を与えることができる。
小当たり種別選択テーブル202eは、小当たり種別毎に小当たりに当選する場合の第1当たり乱数カウンタC1の乱数値を規定したものである(図59(c))。第1当たり乱数カウンタC1において、乱数値が「15〜24」であった場合の小当たり種別は、「小当たりA」となる。また、乱数値が「141〜150」であった場合の小当たり種別は、「小当たりB」となる。
上述の通り、「小当たりA」、「小当たりB」は、各小当たりの終了後に状態が変化しないものであり、特別図柄の低確率状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たり終了後にも特別図柄の低確率状態が維持され、逆に特別図柄の高確率状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たりの終了後にも特別図柄の高確率状態が維持される。また、時短状態でいずれかの小当たりに当選した場合は、小当たりの終了後も時短状態の続きから遊技が開始される。
また、「小当たりA」と「小当たりB」とは、小当たりの当選が確定した後で、抽選装置300(図5参照)によって抽選用ゲート310が開放される際(高確率状態への移行抽選を行うと見せかけて実際には抽選を行わないフェイクの動作を行う際)に、流路切替弁331a,331b(図9参照)の状態を手前側の流路(手前ルート)とするか奧側の流路(奥ルート)とするかという違いがある。即ち、「小当たりA」では、手前側の流路(手前ルート)に切り替えられ(図9(b)参照)、「小当たりB」では、奧側の流路(奥ルート)に切り替えられる(図9(a)参照)。
実際には、各小当たりに当選したとしても、流路切替弁331a,331bの配設されている進行方向振り分け部330以降へ遊技球が進行することはないので、流路切替弁331a,331bを切り替えたとしても遊技に直接的に影響はないが、各種大当たりに当選した場合と同様に流路切替弁331a,331bの切り替え動作を行うことにより、当選したのが大当たりであるか小当たりであるか遊技者に判別しにくくし、大当たりに当選していることに対する期待感をより長く持続させることができる。
<第2実施形態における制御処理について>
次いで、図60〜図64を参照して、第2実施形態における主制御装置110のMPU201により実行される各種処理について説明する。まず、図60は、第2実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理(S104)のうち、S201〜S211、およびS213,S214の各処理では、それぞれ第1実施形態における特別図柄変動処理(図26)のS201〜S211、およびS213,S214の各処理と同一の処理が実行される。そして、第2実施形態における特別図柄変動処理では、S211の処理において、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりでないと判断された場合は(S211:No)、次に、今回の抽選結果が特別図柄の小当たりであるか否かを判別する(S221)。そして、特別図柄の小当たりでないと判別された場合は(S221:No)、S213の処理へ移行する。一方、特別図柄の小当たりであると判別された場合は(S221:Yes)、小当たりフラグ203kをオンとし(S222)、本処理を終了する。
小当たりフラグ203kをオンとすることにより、図62を参照して後述する小当たり用ゲート処理(S1021)において、小当たりの開始前に抽選装置300の抽選用ゲート310を開放して、特別図柄の高確率状態への移行抽選を行うかのように見せかけることができる。よって、今回当選したのが小当たりか大当たりかを遊技者が認識可能となるタイミングを遅らせることができるので、遊技者の大当たりに対する期待感や、特別図柄の高確率状態に対する期待感をより長く保たせることができる。
次いで、図61を参照して、第2実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行されるメイン処理について説明する。図61は、主制御装置110のメイン処理を示すフローチャートである。
この主制御装置110のメイン処理のうち、S1001〜S1004、およびS1006〜S1017の各処理では、それぞれ第1実施形態における主制御装置110のメイン処理(図34参照)のS1001〜S1004、およびS1006〜S1017の各処理と同一の処理が実行される。そして、第2実施形態における主制御装置110のメイン処理では、S1004の処理が完了すると、小当たり用ゲート処理(S1021)を実行する。図62を用いて後述するが、小当たり用ゲート処理(S1021)は、小当たりに当選した場合に、抽選装置300の抽選用ゲート310を開放して、あたかも特別図柄の高確率状態へ移行するか否かが抽選されるかのように動作させるための処理である。
小当たり用ゲート処理が終了すると、次いで、第1実施形態における大当たり制御処理(図36)に代えて、大当たり制御処理2(S1022)を実行する。この大当たり制御処理2は、大当たり制御処理(図36)と同様に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
更に、大当たり制御処理2(S1022)が終了すると、小当たり制御処理(S1023)を実行する。この小当たり制御処理(S1023)は、小当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。小当たり制御処理(S1023)が終了すると、S1006の処理へ移行する。
次に、図62を参照して、主制御措置110のMPU201により実行される小当たり用ゲート処理(S1021)について説明する。小当たり用ゲート処理(S1021)は、上述の通り、小当たりに当選した場合に、抽選装置300の抽選用ゲート310を開放して、あたかも特別図柄の高確率状態へ移行するか否かの抽選が行われるかのように動作させるための処理である。
小当たり用ゲート処理(S1021)では、まず、小当たりフラグ203kがオンであるか否かを判別する(S3801)。小当たりフラグ203kがオンであると判別した場合は(S3801:Yes)、小当たりに当選したことに基づいて、特別図柄の高確率状態への移行抽選のフェイクを行うための設定を行う。具体的には、まず、流路切替弁331a,331bを、小当たり種別に応じて定められたルートに切り替え(S3802)、抽選用ゲート310の開放を設定する(S3803)。次いで、開放フラグ203iをオンし(S3804)、小当たりフラグをオフして(S3805)、本処理を終了する。
一方、小当たりフラグ203kがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S3801:No)、次いで、開放フラグ203iがオンであるか否かを判別し(S3806)、開放フラグ203iがオンであれば(S3806:Yes)、抽選用ゲート310が開放されていることを示すので、抽選用ゲート310への入球が検出されたかを判別する(S3807)。
抽選用ゲート310へ遊技球が入球したことを検出した場合は(S3807:Yes)、抽選用ゲート310へ遊技球が追加で入球しないように、抽選用ゲート310を閉鎖して(S3808)、開放フラグ203iをオフし、S3812の処理へ移行する。
一方、抽選用ゲート310へ遊技球が入球したことを検出していない場合は(S3810:No)、抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立したか否かを判別する(S3810)。遊技球が入球すること以外の抽選用ゲート310の閉鎖条件とは、抽選用ゲート310の最大開放期間(例えば、30秒)を経過することである。
S3810の処理の結果、抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立したと判別した場合は(S3810:Yes)、小当たり遊技の開始を設定して(S3811)、抽選用ゲート310の閉鎖を設定し(S3808)、開放フラグ203iをオフして(S3809)S3812の処理へ移行する。一方、抽選用ゲート310の閉鎖条件が成立していないと判別された場合は(S3810:No)、S3808,S3809,S3811の処理をスキップしてS3812の処理へ移行する。また、S3806の処理において、開放フラグ203iがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S3806:No)、S3807〜S3809の処理をスキップしてS3812の処理に移行する。
S3812の処理では、球排出用通路323を遊技球が通過したか否かを判別し(S3812)、遊技球が球排出用通路323を通過したと判別された場合は、小当たり遊技の開始を設定して(S3813)、本処理を終了する。一方、球排出用通路323を遊技球が通過していないと判別された場合は、そのまま本処理を終了する。
抽選用ゲート310への入球を検出したタイミングで小当たり遊技の開始を設定した場合、遊技球が進行方向振り分け部330へ到達するか否かを判別する間もなく小当たり遊技が開始してしまい、遊技球が進行方向振り分け部330へ進行することに対する期待感を抱かせることなく、遊技者に今回の当たりが小当たりであることが認識されてしまい、興趣がそがれてしまう虞があった。これに対して、本実施形態では、小当たりであっても、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が、球排出用通路323を通過したと判別するまでは小当たり遊技が開始されないので、小当たりであるか、大当たりであるか判断が可能となるタイミングを遅らせて、遊技者に対してより長く大当たりに対する期待感を持続させることができるように構成している。
次に、図63を参照して、第2実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される大当たり制御処理2(S1022)について説明する。図63は、この大当たり制御処理2(S1022)を示すフローチャートである。
この大当たり制御処理2のうち、S1101〜S1111の各処理では、第1実施形態における大当たり制御処理(図36参照)のS1101〜S1111の各処理と同一の処理が実行される。そして、第2実施形態における大当たり制御処理2では、S1109の処理が完了すると、大当たり種別が大当たりA、または大当たりBであるか否かを判別し(S1121)、大当たりA、または大当たりBであると判別した場合は(S1121:Yes)、S1110の処理に移行する。
一方、今回の大当たりが大当たりAでも大当たりBでもない(即ち、大当たりC、または大当たりDである)と判別した場合は(S1121:No)、次いで、ラウンド数カウンタの値が2であるか否か(即ち、2ラウンド目であるか否か)を判別し(S1122)、ラウンド数カウンタの値が2である(即ち、2ラウンド目である)と判別した場合は(S1122:Yes)、ラウンド数が2ラウンドの大当たりである大当たりC、または大当たりDの終了タイミングであることを意味するので、S1111の処理に移行して大当たりの終了を設定し(S1111)、本処理を終了する。これに対して、ラウンド数カウンタの値が2でない(即ち、1である)と判別した場合は(S1122:No)、2ラウンド目の大当たり遊技が残っているため、そのまま本処理を終了する。
本実施形態のパチンコ機10では、ラウンド数の異なる大当たり種別を設けているが、この大当たり制御処理2(S1022)のS1121,S1122の処理を行うことにより、大当たり種別に応じたラウンド数の大当たり遊技を実行することができる。
次いで、図64を参照して、第2実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される小当たり制御処理(S1023)について説明する。図64は、この小当たり制御処理(S1023)を示すフローチャートである。上述の通り、この小当たり制御処理(S1023)は、小当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
小当たり制御処理(S1023)では、まず、小当たりA、または小当たりBの開始タイミングであるか否かを判別する(S3901)。なお、小当たり用ゲート処理(図62参照)のS3811、またはS3813の処理において小当たりの開始が設定される。
S3901の処理の結果、小当たりA、または小当たりBの開始タイミングであると判別した場合は(S3901:Yes)、ラウンド数カウンタ203gの値に0を設定して本処理を終了する。一方、小当たりAの開始タイミングでも、小当たりBの開始タイミングでもないと判別した場合は(S3901:No)、次いで、現在が小当たり遊技中であるか否かを判別する(S3903)。
そして、現在が小当たり遊技中でないと判別した場合は(S3903:No)、本処理を終了してメイン処理へ戻る。一方、現在が小当たり遊技中であると判別した場合は(S3903)、新たなラウンドの開始タイミングであるか否かを判別する(S3904)。そして、新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合は(S3904)、特定入賞口(大開放口)65aを開放し(S3905)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する(S3906)。ここで設定されたラウンド数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図61参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、ラウンド数コマンドを受信すると、そのラウンド数コマンドからラウンド数を抽出する。そして、抽出したラウンド数に応じた表示用ラウンド数コマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114によって表示用ラウンド数コマンドが受信されると、第3図柄表示装置81において新たなラウンド演出が開始される。ラウンド数コマンドを設定した後は、ラウンド数カウンタ203gの値に1を加算することにより、新たに開始するラウンドのラウンド数とラウンド数カウンタ203gの値とを一致させ(S3907)、本処理を終了する。
一方、S3904の処理において、新たなラウンドの開始タイミングでなければ(S3904:No)、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したかを判定する(S3908)。具体的には、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に所定時間(例えば、30秒)が経過した場合、または、特定入賞口(大開放口)65aを開放した後に球が所定数(例えば、10個)入賞した場合に、閉鎖条件が成立したと判定する。
S3908の処理において、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立していないと判定した場合には(S3908:No)、本処理を終了する。一方、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立したと判定した場合には(S3908:Yes)、特定入賞口(大開放口)65aを閉鎖し(S3909)、ラウンド数カウンタ203gの値が2であるか否かを判別する(S3910)。S3910の処理において、ラウンド数カウンタの値が2でない(即ち、1である)と判別した場合は(S3910:No)、本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、ラウンド数カウンタの値が8であると判別した場合は(S3910:Yes)、現在が2ラウンド(即ち、最終ラウンド)の終了タイミングであるので、小当たりの終了を設定し(S3911)、本処理を終了してメイン処理に戻る。
以上、説明したように、第2実施形態におけるパチンコ機10では、「特別図柄の大当たり」の種別として、大当たり遊技中のラウンドが8ラウンドの大当たりA、大当たりBに加えて、大当たり遊技中のラウンドが2ラウンドの大当たりC、大当たりDを設ける構成としている。獲得できる賞球の少ない2ラウンドの大当たりを設けることにより、遊技者に対して、払い出される賞球数の多い8ラウンドの大当たりに当選することを期待して遊技を行わせることができる。よって、遊技者の期待通りに8ラウンドの大当たりに当選した場合に、遊技者に対してより大きな満足感を与えることができる。つまり、出球の少ない大当たりC、大当たりDを設けることにより、出球の多い大当たりA、大当たりBに当選することに対する喜びが増し、大当たりA、大当たりBのありがたみを引き立てることができる。
また、本実施形態のパチンコ機10では、各種大当たりとは別に、小当たりA、小当たりBを設けている。各種大当たりに当選した場合は、抽選装置300により行われる抽選結果に基づいて、大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行するか、特別図柄の低確率状態へ移行すると共に普通図柄の時短状態となるが、小当たりの場合は、小当たりへの当選直前の状態が小当たり遊技の終了後も継続される。即ち、小当たりA、または小当たりBに当選した場合は、抽選装置300により、特別図柄の高確率状態へ移行するか否かの抽選が行われることはない。
一方で、本実施形態のパチンコ機10では小当たりA、または小当たりBに当選した場合も、小当たり遊技が開始される前に、抽選装置300の抽選用ゲート310を開放し、抽選装置300の内部に遊技球を入球させることができるように構成している。また、流路切替弁331a,331bに関しても、大当たりに当選した場合と同様に、手前ルート、または奥ルートへ切り替えるようにしている。そして、入球した遊技球を、進行方向振り分け部330以降へ流下させることなく、排出用通路323より排出させるように構成している。これにより、各種小当たりに当選した場合も、遊技者に対して、抽選装置300に入球した遊技球により特別図柄の高確率状態へ移行させるか否かの抽選が行われるかのように思わせることができる。よって、遊技者は、遊技球が進行方向振り分け部330以降へ流下したか否かを確認するまでは、当選したのが大当たりなのか小当たりなのかを識別することができず、大当たりへの期待感をより長く持続させることができる。そして、遊技者の期待通り大当たりであった場合には、より大きな満足感を与えることができる。つまり、特別図柄の高確率状態への移行抽選が行われない小当たりA、小当たりBを設けることにより、特別図柄の高確率状態へ移行する可能性のある各種大当たりに当選することに対する喜びが増し、各種大当たりのありがたみを引き立てることができる。
なお、遊技者は、抽選装置300の進行方向振り分け部330内に設けられている流路切替弁331a,331bの状態が手前ルートの状態であるか、奥ルートの状態であるかを遊技中に視認することができる。また、遊技者は、抽選装置300の入球口振り分け部340内に設けられている振り分け回転体341の状態が左向きに振れた状態であるか右向きに振れた状態であるかについても遊技中に視認することができる。そして、流路切替弁331a,331bが奥ルートに切り替えられた状態であり、且つ、振り分け回転体341が右側に振れた状態の場合、抽選装置300に入球した遊技球は、時短入球口501に入球してしまう。即ち、特別図柄の低確率状態へと移行してしまう。よって、かかる場合には、遊技者は、遊技球が進行方向振り分け部330以降へ進行して欲しくないと感じるので、今回の当たりが小当たりであることを期待して、抽選装置300内に入球した遊技球の行方を確認することとなる。
このように、第2実施形態のパチンコ機10では、第3図柄が揃ってから流路切替弁331a,331bが切り替わるまでは、遊技者にとって有利な状態である手前ルートへ切り替わることを期待させて遊技者に遊技を行わせることができる。遊技球が手前ルートを流下する場合、確変入球口502、または確変入球口504のいずれかに入球することとなるので、振り分け回転体341の状態は左側に振れた状態となり(図13,図15参照)、次回の抽選でも特別図柄の高確率状態へと移行するためである。
また、流路切替弁331a,331bが手前ルートへ切り替わってから、抽選装置300へ遊技球が入球するまでは、遊技球が進行方向振り分け部330以降へ進行すること(つまり、今回の当たりが大当たりであること)を期待させて遊技者に遊技を行わせることができる。更に、大当たり遊技が開始してから、第2ラウンドの終了タイミングまでは、第3ラウンドへ突入することを期待させて遊技者に大当たり遊技を行わせることができる。大当たり種別には、8ラウンドの大当たりと2ラウンドの大当たりとの2種類しか設けていないため、3ラウンド目に突入した段階で、8ラウンドの大当たりであることが確定するためである。
一方、当たり(各種大当たり、および各種小当たりのいずれか)に当選した際に、流路切替弁331a,331bが奥ルート側に切り替わった場合は、遊技球が進行方向振り分け部330へ進行すると、奥ルートを流下することとなる。よって、振り分け回転体341の状態が右側に振れた状態となってしまい(図12,図14参照)、左側に振れた状態に比較して不利な状態となるので、遊技球が進行方向振り分け部330以降へ進行しない(即ち、今回の当たりが小当たりである)ことを期待させて遊技者に遊技を行わせることができる。
したがって、流路切替弁331a,331bの状態や振り分け回転体341の状態等の条件に応じて、様々なタイミングで、遊技者に対して種々の期待感を抱かせながら遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、図65〜図72を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述した第2実施形態では、特別図柄の大当たりに当選した場合に、特別図柄の高確率状態へと移行するか否かの抽選を行うための抽選装置300を、可変表示ユニット80に対して正面視右方向に配設し、大当たり遊技の開始前に特別図柄の高確率状態へと移行させるか否かを抽選するように構成していた。これに対して、第3実施形態のパチンコ機10では、抽選装置300の抽選用ゲート310を特定入賞口(大開放口)65aの内部に設け、大当たり遊技が開始して、特定入賞口(大開放口)65aが開放された場合に抽選装置300に遊技球を入球させることができるように構成している。
抽選用ゲート310が特定入賞口(大開放口)65aの内部に配設されるため、抽選用ゲート310の開閉の状態や、特定入賞口(大開放口)65aに入球した遊技球が抽選用ゲート310へ入球したか否かは、遊技者からは見えにくくなるが、流路320以降の抽選装置300の各構成に関しては、他の実施形態同様に遊技者が視認可能に構成されている。
また、特定入賞口(大開放口)65a内には、抽選装置300とは別に、遊技球が通過した場合に特定入賞口(大開放口)65aへ入球した遊技球を排出することができる球排出用通路701(図示せず)が設けられており、抽選用ゲート310が閉鎖されている場合は、この球排出用通路701を経由して遊技球が排出されるように構成されている。一方、抽選用ゲート310が開放されている場合に特定入賞口(大開放口)65aへ抽選用ゲート310内へ遊技球が入球すると、抽選用ゲート310より抽選装置300内へ遊技球が入球できるようになる。抽選装置300内へ入球した遊技球は、球排出用通路323、または球排出用通路421より排出される。なお、抽選用ゲート310が開放されている場合であっても、特定入賞口(大開放口)65a内へ入球した遊技球の軌道によって抽選用ゲート310へ入球せずに排出用通路701へ進行する場合がある。
上記した構成とすることで、特定入賞口(大開放口)65aを狙って遊技球を打ち出すだけで、賞球を獲得しながら抽選装置300による抽選の機会を得ることができる。
また、第2実施形態のパチンコ機10では、特別図柄の大当たり種別として、大当たりA、大当たりB、大当たりC、大当たりDの4種類を設け、大当たり種別に応じて流路切替弁331a,331bの状態や大当たり遊技におけるラウンド数を切り替えていたが、第3実施形態のパチンコ機10では、大当たり種別を6種類(手前ルート大当たりA、手前ルート大当たりB、手前ルート大当たりC、奥ルート大当たりA、奥ルート大当たりB、奥ルート大当たりC)に増やしている。
手前ルート大当たりA、手前ルート大当たりBは、大当たりのラウンド数が8ラウンドの大当たりである。また、手前ルート大当たりCは、大当たりのラウンド数が2ラウンドの大当たりである。なお、手前ルート大当たりA〜Cは、流路切替弁331a,331bが、遊技球を手前ルートに振り分ける向きに設定されている場合に、抽選用ゲート310が開放される。
奥ルート大当たりA、奥ルート大当たりBは、大当たりのラウンド数が8ラウンドの大当たりである。また、奥ルート大当たりCは、大当たりのラウンド数が2ラウンドの大当たりである。なお、奥ルート大当たりA〜Cは、流路切替弁331a,331bが、遊技球を奥ルートに振り分ける向きに設定されている場合に、抽選用ゲート310が開放される。
なお、詳細については図66を参照して後述するが、各大当たりでは、大当たりのラウンド数に応じて、流路切替弁331a,331bの状態を手前ルート、または奥ルートに切り替えている。
この第3実施形態におけるパチンコ機10が第2実施形態におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、主制御装置110において、ROM202の第1当たり種別選択テーブル202bの内容が変更されている点、およびRAM203に設けられていた小当たりフラグ203kに代えて、ラウンド開始フラグ203l、閉鎖フラグ203m、抽選実行フラグ203n、大当たり終了フラグ203o、通路開放フラグ203pが設けられている点である。また、主制御装置110のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図25)、およびメイン処理(図61)に含まれる一部処理が、第2実施形態におけるパチンコ機10と相違する。その他の構成や、主制御装置110によって実行されるその他の処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行される各種処理、および表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については第2実施形態におけるパチンコ機10と同一である。以下、第2実施形態のパチンコ機10と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
<第3実施形態における電気的構成について>
まず、図65を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図65は、第2実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態の主制御装置110の有するRAM203は、第2実施形態におけるRAM203に設けられていた小当たりフラグ203kに代えて、ラウンド開始フラグ203l、閉鎖フラグ203m、抽選実行フラグ203n、大当たり終了フラグ203o、通路開放フラグ203pが設けられている。その他の構成については、第2実施形態のパチンコ機10と同一であるため、その説明を省略する。
ラウンド開始フラグ203lは、抽選用ゲート310を開放するか否かの判断をするタイミングを示すフラグであり、大当たりや小当たりにおいて新たなラウンドが開始される場合にオンされ(図69のS1134参照)、抽選用ゲート310の開放を設定した後にオフされる(図71のS4007参照)。
閉鎖フラグ203mは、大当たり遊技において抽選装置300の抽選用ゲート310を閉鎖するタイミングであるか否かを示すフラグであり、大当たり中にラウンドが終了して特定入賞口(大開放口)65aが閉鎖された場合にオンされる(図69のS1135参照)。一方、大当たり開始の際、および抽選用ゲート310の閉鎖を設定した場合にオフされる。
抽選実行フラグ203nは、抽選装置300によって、特別図柄の高確率状態への移行抽選が実行されたか否かを示すフラグであり、遊技球が時短入球口501、または確変入球口502〜504のうちいずれかの入球口へ入球したことを検出した場合にオンされ、大当たり開始時にオフされる(図69のS1133参照)。
大当たり終了フラグ203oは、大当たりの終了が設定された場合にオンされ(図69のS1137参照)、大当たりの開始時にオフされる(図69のS1134参照)。また、通路開放フラグ203pは、抽選用ゲート310が開放され、誘導通路321へ遊技球が入球できる状態であるか否かを示すフラグであり、抽選用ゲート310が開放された場合にオンされ(図71のS4006参照)、大当たり開始時や抽選用ゲート310を閉鎖した場合にオフされる(図71のS4005,S4014参照)。
次いで、図66を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110の有するROM202の内容について説明する。図66は、第3実施形態における制御装置110の有するROM202に設けられている第1当たり種別選択テーブル202bの構成を示している。第2実施形態の第1当たり種別選択テーブル202bにおいては、第1当たり種別カウンタの乱数値と大当たり種別との対応関係が規定されていたが、第3実施形態では、これに加えて、大当たりのラウンド数毎の、流路切替弁331a,331bの状態と、抽選用ゲート310の状態とが大当たり種別毎に規定されている。
図66に示すように、第3実施形態では、第1当たり種別カウンタC2の乱数値が0〜9の範囲の場合に手前ルート大当たりAに当選する。また、手前ルート大当たりAでは、1ラウンド目、3ラウンド目、5ラウンド目、7ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲート310が開放され、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。
一方、2ラウンド目、4ラウンド目、6ラウンド目、8ラウンド目では、流路切替弁331a,331bの状態が、奥ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲートは開放されず、従って、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
第1当たり種別カウンタC2の乱数値が10〜59の範囲の場合には、手前ルート大当たりBに当選する。また、手前ルート大当たりBでは、2ラウンド目、4ラウンド目、6ラウンド目、8ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドのうち、2ラウンド目以外のラウンドで抽選装置300の抽選用ゲート310が開放され、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。
一方、1ラウンド目、3ラウンド目、5ラウンド目、7ラウンド目では、流路切替弁331a,331bの状態が、奥ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲートは開放されず、従って、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
第1当たり種別カウンタC2の乱数値が60〜69の範囲の場合には、手前ルート大当たりCに当選する。手前ルート大当たりCでは、2ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられるとともに、抽選装置300の抽選用ゲート310が開放されて、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。一方、1ラウンド目では流路切替弁331a,331bの状態が、奥ルートの状態に切り替えられる。そして、抽選装置300の抽選用ゲートが開放されないので、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
第1当たり種別カウンタC2の乱数値が70〜74の範囲の場合は、奥ルート大当たりAに当選する。奥ルート大当たりAでは、1ラウンド目、3ラウンド目、5ラウンド目、7ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が、奥ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲート310が開放され、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。
一方、2ラウンド目、4ラウンド目、6ラウンド目、8ラウンド目では、流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲートは開放されず、従って、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
第1当たり種別カウンタC2の乱数値が75〜95の範囲の場合には、奥ルート大当たりBに当選する。また、奥ルート大当たりBでは、2ラウンド目、4ラウンド目、6ラウンド目、8ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が、奥ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドのうち、2ラウンド目以外のラウンドで抽選装置300の抽選用ゲート310が開放され、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。
一方、1ラウンド目、3ラウンド目、5ラウンド目、7ラウンド目では、流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられる。また、これらのラウンドで抽選装置300の抽選用ゲートは開放されず、従って、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
第1当たり種別カウンタC2の乱数値が96〜99の範囲の場合には、奥ルート大当たりCに当選する。奥ルート大当たりCでは、2ラウンド目で、流路切替弁331a,331bの状態が奥ルートの状態に切り替えられるとともに、抽選装置300の抽選用ゲート310が開放されて、誘導通路321へ遊技球が入球可能となる。一方、1ラウンド目では流路切替弁331a,331bの状態が、手前ルートの状態に切り替えられる。そして、抽選装置300の抽選用ゲートが開放されないので、誘導通路321へ遊技球が入球することはできない。
上記の通り、抽選用ゲート310が開放されていたとしても、特定入賞口(大開放口)65aへ入球した遊技球が必ず抽選用ゲート310内へ進行できるわけではなく、球排出用通路701へ入球する場合がある。また、1回のラウンドで特定入賞口(大開放口)65aへ1球も入球することなくラウンドが終了する場合もある。これらの理由により、特定入賞口(大開放口)65aの内部において抽選用ゲート310が開放されているラウンドで遊技球が抽選用ゲート内に入らなかった場合は、遊技者は、抽選用のラウンドだったのか否かを判別できないので、流路切替弁331a,331bの状態を確認するだけでは手前ルートの大当たり(手前ルート大当たりA〜C)なのか、奥ルートの大当たり(奥ルート大当たりA〜C)なのか判別できない。よって、現在の大当たりが、遊技者にとって有利な手前ルートの大当たりであるかどうかという期待感をより長く持続させることができる。
なお、小当たりAに当選した場合は、流路振り分け弁331a,331bの動作は手前ルート大当たりCと同一の切り替わり方をするが、小当たりの間抽選用ゲート310が開放されることはない。また、小当たりBに当選した場合は、流路振り分け弁331a,331bの動作は奥ルート大当たりCと同一の切り替わり方をするが、小当たりの間抽選用ゲート310が開放されることはない。
このように、大当たりの場合の一部と、小当たりの場合とで流路振り分け弁331a,331bの動作を共通にすることで、流路振り分け弁331a,331bの動作を確認しただけでは大当たり小当たりかを判別しにくくすることができる。よって、大当たりへの期待感をより長く持続させることができる。
第1当たり種別選択テーブル202bは図66の組み合わせに限られるものではない。例えば、抽選用ゲート310を開放するラウンドを、大当たり種別によらず1ラウンドだけに限っても良い。また、例えば、通路切替弁331a,331bの動作は共通とし、抽選用ゲート310を開放するラウンドのみを変更するように構成しても良い。
<第3実施形態における制御処理について>
次いで、図67〜図72を参照して、第3実施形態における主制御装置110のMPU201により実行される各種処理について説明する。まず、図67は、第3実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図25参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理(S104)のうち、S201〜S211,S221、およびS213,S214の各処理では、それぞれ第2実施形態における特別図柄変動処理(図60)のS201〜S211,S221、およびS213,S214の各処理と同一の処理が実行される。そして、第3実施形態における特別図柄変動処理では、S211の処理において、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであると判断された場合は(S211:Yes)、次に、大当たり遊技の開始を設定して(S231)、本処理を終了する。更に、第3実施形態では、S221の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の小当たりであると判別された場合に(S221:Yes)、小当たり遊技の開始を設定して(S232)、本処理を終了する。
次いで、図68を参照して、第3実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行されるメイン処理について説明する。図68は、主制御装置110のメイン処理を示すフローチャートである。
この主制御装置110のメイン処理のうち、S1001〜S1003、およびS1006〜S1017の各処理では、それぞれ第2実施形態における主制御装置110のメイン処理(図61参照)のS1001〜S1003、およびS1006〜S1017の各処理と同一の処理が実行される。そして、第3実施形態における主制御装置110のメイン処理では、S1003の処理が完了すると、第2実施形態における大当たり制御処理2(図63)に代えて、大当たり制御処理3(S1031)を実行する。この大当たり制御処理3は、大当たり制御処理2(図63)と同様に、大当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
また、大当たり制御処理3が終了すると、第2実施形態における小当たり制御処理(図64)に代えて、小当たり制御処理2(S1032)を実行する。この小当たり制御処理2(S1032)は、第2実施形態における小当たり制御処理(図64)と同様に、小当たりに応じた各種演出の実行や、特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための処理である。
小当たり制御処理2(S1032)が終了すると、次いで、流路切替処理(S1033)が実行される。この流路切替処理(S1033)は、流路切替弁331a,331bや、抽選用ゲート310の設定を行う処理である。この流路切替処理(S1033)が終了すると、小当たり設定処理(S1034)が実行される。この小当たり設定処理(S1034)は、小当たり中に流路切替弁331a,331bの状態を切り替える処理である。小当たり設定処理(S1034)が終了すると、S1006以降の各処理が実行される。
次に、図69を参照して、第2実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される大当たり制御処理3(S1031)について説明する。図69は、この大当たり制御処理3(S1031)を示すフローチャートである。
この大当たり制御処理3のうち、S1101〜S1111、およびS1122の各処理では、第2実施形態における大当たり制御処理2(図63参照)のS1101〜S1111、およびS1122の各処理と同一の処理が実行される。そして、第3実施形態における大当たり制御処理3では、S1102の処理が完了すると、ラウンド開始フラグ203l、閉鎖フラグ203m、抽選実行フラグ203nがそれぞれオフされる(S1131〜S1133)。また、大当たり終了フラグ203oや通路開放フラグ203pに関しても、S1102の処理の後でオフされる(図示なし)。
また、大当たり制御処理3では、S1105の処理が終了すると、ラウンド開始フラグ203lをオンとし(S1134)、流路切替弁331a,331bや抽選用ゲート310の開閉の状態を設定するタイミングであることを示してからS1106以降の処理へ移行する。このS1134の処理によりラウンド開始フラグがオンとされることに基づいて、後述の流路切替処理(S1033)により大当たり種別に応じた各種設定が行われる。
更に、大当たり制御処理3では、S1109の処理が終了すると、閉鎖フラグ203mをオンとして、抽選用ゲート310の閉鎖タイミングであることを示す(S1135)。次いで、現在の大当たり遊技が奥ルート大当たりC、または手前ルート大当たりCであるか否か(即ち、2ラウンドの大当たりであるか否か)を判別する(S1136)。S1136の処理の結果、奥ルート大当たりC、および手前ルート大当たりCのどちらでもない(即ち、8ラウンドの大当たりである)と判別した場合は(S1136:No)、S1110の処理に移行する。
一方、S1136の処理の結果、奥ルート大当たりC、または手前ルート大当たりCであると判別した場合は(S1136:Yes)、ラウンド数カウンタ203gの値が2であるかを判別し(S1122)、2でなければ(即ち、1であれば)本処理を終了する。これに対して、ラウンド数カウンタ203gの値が2であれば(S1122:Yes)、大当たりの終了を設定し(S1111)、大当たり終了フラグ203oをオンとして(S1137)、本処理を終了する。
次いで、図70を参照して、第3実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される小当たり制御処理2(S1032)について説明する。図70は、この小当たり制御処理2(S1032)を示すフローチャートである。
この小当たり制御処理2のうち、S3901〜S3911の各処理では、第2実施形態における小当たり制御処理(図64参照)のS3901〜S3911の各処理と同一の処理が実行される。そして、第3実施形態における小当たり制御処理2では、S3902の処理が完了すると、ラウンド開始フラグ203lをオフして(S3921)、本処理を終了する。また、S3905の処理が終了すると、後述の小当たり設定処理(図72参照)において、小当たり種別に応じた流路切替弁331a,331bの設定を行わせるために、ラウンド開始フラグ203lをオンとし(S3922)、S3906以降の処理を実行する。
次に、図71を参照して、第3実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される流路切替処理(S1033)について説明する。図71は、この流路切替処理(S1033)を示すフローチャートである。流路切替処理(S1033)は、流路切替弁331a,331bや、抽選用ゲート310の設定を行う処理である。
この流路切替処理(S1033)では、まず、ラウンド開始フラグ203lがオンか否かが判別され(S4001)、ラウンド開始フラグ203lがオンであると判別した場合は(S4001:Yes)、大当たり種別と第1当たり種別選択テーブル202bとに基づいて、流路切替弁331a,331bの設定を行う(S4002)。例えば、大当たり種別が手前ルート大当たりBであって、ラウンドカウンタ203gの値が5であった場合(即ち、5ラウンド目の開始タイミングであった場合)は、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて”▲”の符号が付されており、奥ルートの流路であることが規定されているので、流路切替弁331a,331bの設定を奥ルートに切り替える。
なお、本実施形態では、各種大当たりにおけるラウンド開始タイミングでも、各種小当たりにおけるラウンド開始タイミングでもラウンド開始フラグ203gをオンとしているので、小当たりのラウンド開始タイミングとなることに基づいてラウンド開始フラグ203gがオンされて、S4002の処理へと移行する場合があるが、この場合は、大当たりでない(つまり、小当たりである)ことを判別して本処理を終了するように構成されている。
S4002の処理が終了すると、大当たり種別と第1当たり種別選択テーブル202bとに基づいて、抽選用ゲート310を開放するか否かを特定する(S4003)。例えば、大当たり種別が手前ルート大当たりBであって、ラウンドカウンタ203gの値が5であった場合(即ち、5ラウンド目の開始タイミングであった場合)は、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて”▲”の符号が付されており、誘導通路323へ遊技球が進行できないように、抽選用ゲート310を閉鎖することが規定されているので、抽選用ゲート310の閉鎖を示すものであると特定する。
S4003の処理が終了すると、次いで、抽選用ゲート310を開放するか否かの特定結果が抽選用ゲート310の閉鎖を示すものであるか否かを判別し(S4004)、特定結果が閉鎖を示すものであった場合は(S4004:Yes)、抽選用ゲート310を閉鎖して、通路開放フラグ203pをオフとし(S4005)、S4007の処理へ移行する。一方、特定結果が閉鎖でない、即ち、抽選用ゲート310の開放を示すものであった場合は(S4004:No)、抽選用ゲート310を開放して、通路開放フラグ203pをオンとし(S4006)、S4007の処理に移行する。このS4007の処理では、ラウンド開始フラグ203gをオフとして(S4007)、本処理を終了する。
S4001の処理において、ラウンド開始フラグ203lがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S4001:No)、閉鎖フラグ203mがオンであるか否かを判別する(S4008)。そして、閉鎖フラグがオンでない(即ち、オフである)と判別した場合は(S4008:No)、S4009〜S4014の処理をスキップしてS4015の処理へ移行する。
一方、閉鎖フラグ203mがオンであれば(S4008:Yes)、大当たり終了フラグ203oがオンであるか否かを判別し(S4009)、オンでなければ(即ち、オフであれば)大当たりの終了タイミングではないことを意味するので、S4010,S4011の処理をスキップしてS4012の処理へ移行する。
これに対して、大当たり終了フラグ203oがオンであれば(S4009:Yes)、抽選実行フラグ203nがオンであるか否かを判別する(S4010)。抽選実行フラグ203nがオンであれば(S4010:Yes)、既に抽選装置300内のいずれかの入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504のいずれか)に遊技球が入球し、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが決定されているため、S4011の処理をスキップして、S4012の処理へ移行する。
一方、抽選実行フラグ203nがオフであれば(S4010:No)、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが決定されていないことを意味するので、大当たり終了後の状態が決まらないまま大当たりが終了しないように、確変フラグ203eをオフし、時短中カウンタ203fに100をセットして(S4011)、S4012の処理へ移行する。即ち、大当たりの終了後に特別図柄の高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが大当たりの終了間際になっても決定されていない場合は、時短入球口501に遊技球が入球したのと同じ状態になるのである。
S4012の処理では、通路開放フラグ203pがオンであるか否かを判別し(S4012)、通路開放フラグ203pがオンであれば(S4012:Yes)、抽選用ゲート310が開放されているので、開放されている抽選用ゲート310を閉鎖し(S4013)、通路開放フラグ203pをオフとして(S4014)、S4015の処理へ移行する。一方、通路開放フラグ203pがオンでなければ(即ち、オフであれば)、S4013,S4014の処理をスキップしてS4015の処理へ移行する。
次いで、4015の処理では、確変入球口502〜504のいずれかの入球口へ遊技球が入球したか否かを、入賞センサ420a〜420dの検出結果に基づいて判別し(S4015)、いずれかの確変入球口への入球を検出したと判別した場合は(S4015:Yes)、大当たり後に特別図柄の高確率状態へ移行させるために、確変フラグ203eをオンとして(S4016)、更に、抽選実行フラグ203nをオンとして本処理を終了する。
一方、確変入球口502〜504のいずれの入球口へも遊技球が入球していないと判別した場合は(S4015:No)、遊技球が時短入球口501へ入球したか否かを、入賞センサ420a〜420dの検出結果に基づいて判別し(S4017)、入球したと判別した場合は(S4017)、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へ移行させるとともに、普通図柄の時短状態とするために、確変フラグ203eをオフとし、時短中カウンタに100をセットして(S4018)、さらに、抽選実行フラグ203nをオンとして本処理を終了する。また、S4017の処理において、時短入球口501へ入球していないと判別した場合は、そのまま本処理を終了してメイン処理へ戻る。
次いで、図72を参照して、第3実施形態における主制御装置110のMPU201によって実行される小当たり設定処理(S1034)について説明する。図72は、この小当たり設定処理(S1034)を示すフローチャートである。小当たり設定処理は、小当たり中に流路切替弁331a,331bの状態を切り替える処理である。
この小当たり設定処理(S1034)では、まず、ラウンド開始フラグ203gがオンであるか否かを判別し(S4101)、ラウンド開始フラグ203gがオンであると判別すれば(S4101:Yes)、ラウンドカウンタ203gの値と、小当たり種別とに基づいて流路切替弁331a,331bの設定を行う(S4102)。なお、上述の通り、小当たりAと手前ルート大当たりCとは、各ラウンドにおける流路切替弁331a,331bの設定が共通である。つまり、小当たり種別が小当たりAであれば、ラウンドカウンタ203gの値が1であっても2であっても(即ち、1ラウンド目であっても2ラウンド目であっても)、流路切替弁331a,331bの設定を手前ルートに切り替える(図66参照)。同様に、小当たりBと奥ルート大当たりCとは、各ラウンドにおける流路切替弁331a,331bの設定が共通である。つまり、小当たり種別が小当たりBであれば、ラウンドカウンタ203gの値が1であっても2であっても(即ち、1ラウンド目であっても2ラウンド目であっても)、流路切替弁331a,331bの設定を奥ルートに切り替える(図66参照)。
S4101の処理によって流路切替弁331a,331bの設定を行ったら、次いで、抽選用ゲート310を閉鎖して、誘導通路323へ遊技球が入球できないようにし(S4103)、ラウンド開始フラグ203lをオフして(S4104)、本処理を終了する。一方、S4101の処理において、ラウンド開始フラグ203lがオフであると判別した場合は、S4102〜S4104の処理をスキップしてそのまま本処理を終了する。
以上説明した通り、第3実施形態におけるパチンコ機10では、抽選装置300の抽選用ゲート310を特定入賞口(大開放口)65aの内部に設ける構成としている。抽選装置300の抽選用ゲート310と、特定入賞口(大開放口)65aとを別々の位置に設け、抽選装置300による抽選結果が確定するまで特定入賞口(大開放口)65aへ遊技球を入球させる事ができない構成とすると、遊技球が抽選用ゲート310に上手く入らなかった場合に、遊技球を消費してしまうこととなり、遊技者に損をしたと感じさせてしまうおそれがある。
これに対して本実施形態では、大当たり遊技の開始後に、特定入賞口(大開放口)65aを狙って遊技球を打ち出すだけで、出球を獲得しながら抽選装置300による抽選の機会を得ることができる。よって、抽選装置300によって抽選を行わせるために多くの遊技球を消費してしまうことがないので、遊技者に損をしたと感じさせてしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、大当たり遊技中に抽選装置300による抽選も合わせて行う構成としており、また、ラウンドに応じて流路切替弁331a,331bが切り替わり、その流路切替弁331a,331bの切り替わりのパターンも大当たり種別に応じて異ならせているので、抽選装置300による抽選が行われるラウンドを遊技者が把握しにくくなっている。
よって、遊技者に対して、抽選装置300の状態を注意深く確認させながら大当たり遊技を行わせることができるので、大当たり遊技が単に出球を得るためだけの単調な作業のようになってしまうことを抑制することができる。
本実施形態では、特定入賞口(大開放口)65aの開放と抽選用ゲート310の開放(誘導通路321の開放)とをほぼタイムラグなく行っていた。また、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖と抽選用ゲート310の閉鎖とに関しても同様に、ほぼタイムラグなく行っていた。これに対して、特定入賞口(大開放口)65aの開閉のタイミングを、ラウンドの開始のタイミングからずれるように構成してもよい。また、誘導通路321の開閉のタイミングを、特定入賞口(大開放口)65aの開閉のタイミングからずれるように構成してもよい。
この開閉のタイミングのズレについて、図73を参照して詳述する。図73は、大当たり遊技中の1回のラウンドにおける、特定入賞口(大開放口)65aの開閉のタイミングと、誘導通路321(抽選用ゲート310)が開閉されるタイミングとを示すタイミングチャートである。図73(a)、および図73(b)において、「大開放口」と記載されているチャートが、特定入賞口(大開放口)65aの開閉の状態を示しており、「誘導通路」と記載されているチャートが、誘導通路321の開閉の状態(抽選用ゲート310の開閉の状態)を示している。また、各チャートにおいて、「開」が開放されている状態を示し、「閉」が閉鎖されている状態を示している。
図73(a)は、大当たり種別が手前ルート大当たりA〜Cのいずれかであって、且つ、流路切替弁331a,331bの状態が手前ルートの状態となっている場合と、大当たり種別が奥ルート大当たりA〜Cのいずれかであって、且つ、流路切替弁331a,331bの状態が奥ルートの状態となっている場合と(即ち、遊技球を誘導通路321へ入球可能な状態とするラウンドの場合)における特定入賞口(大開放口)65aの開閉のタイミングと、誘導通路321(抽選用ゲート310)が開閉されるタイミングとを示すタイミングチャートである。
図73(a)に示す通り、ラウンドの開始タイミングに対して、特定入賞口(大開放口)65aが開放されるまでにはタイムラグ(例えば、3秒)が生じるように構成されている。そして、特定入賞口(大開放口)65aが開放されてから誘導通路321(抽選用ゲート310)が開放されるまでにはタイムラグ(例えば、2秒)が生じるように構成されている。これにより、流路切替弁331a,331bの設定が確実に切り替わってから遊技球を誘導通路321へ入球させることができるので、流路切替弁331a,331bの切り替わり途中で遊技球が進行方向振り分け部330を通過してしまい、流路切替弁331a,331bの設定とは逆のルートを遊技球が進行してしまうことを抑制することができる。
また、特定入賞口(大開放口)65aが閉鎖されてから誘導通路321(抽選用ゲート310)が閉鎖されるまでにもタイムラグ(例えば、2秒)が生じるように構成されている。これにより、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖条件が成立する間際に特定入賞口(大開放口)65aへ入球した遊技球も誘導通路321(抽選用ゲート310)へ入球させることができるので、特定入賞口(大開放口)65aへ入球した遊技球が誘導通路321(抽選用ゲート310)に到達する前に誘導通路321(抽選用ゲート310)が閉鎖されてしまうことで、遊技者が不満感を抱いてしまうことを抑制することができる。
図73(b)は、大当たり種別が手前ルート大当たりA〜Cのいずれかであって、且つ、流路切替弁331a,331bの状態が奥ルートの状態となっている場合と、大当たり種別が奥ルート大当たりA〜Cのいずれかであって、且つ、流路切替弁331a,331bの状態が手前ルートの状態となっている場合と(即ち、遊技球を誘導通路321へ入球できない状態とするラウンドの場合)における特定入賞口(大開放口)65aの開閉のタイミングと、誘導通路321(抽選用ゲート310)が開閉されるタイミングとを示すタイミングチャートである。
図73(b)に示す通り、特定入賞口(大開放口)65aが開放される前に誘導通路321(抽選用ゲート310)が一定時間(例えば、2秒間)開放され、特定入賞口(大開放口)65aは、誘導通路321(抽選用ゲート310)が閉鎖されるタイミングで開放されるように構成されている。これにより、遊技球が誘導通路321(抽選用ゲート310)内に入球することを抑制することができる。また、前述の通り、特定入賞口(大開放口)65a内で誘導通路321(抽選用ゲート310)が開放される様子を遊技者が認識できるように構成しているため、遊技者に対して、抽選が行われないラウンドであっても、今回のラウンドで抽選が行われるのかもしれない、という期待感を与えることができる。
なお、誘導通路321(抽選用ゲート310)内へ遊技球を入球可能にするラウンドであるか否かによって、誘導通路321(抽選用ゲート310)が開放されるタイミングを、特定入賞口(大開放口)65aが開放される前にしたり後にしたりするのでなく、全ラウンドで誘導通路321(抽選用ゲート310)が開放されるタイミングを特定入賞口(大開放口)65aが開放される前にしても良い。
そして、遊技球を誘導通路321(抽選用ゲート310)へ入球可能とするラウンドで、流路切替弁331a,331bの設定が完全に終わってから遊技球を入球させるために、流路切替弁331a,331bの設定を新たなラウンドの開始と同時に行わせるように構成しても良い。
このように構成することで、誘導通路321(抽選用ゲート310)の開放タイミングを確認したとしても、誘導通路321(抽選用ゲート310)内へ遊技球を入球可能にするラウンドであるか否かを判別することができないので、今回のラウンドが特別図柄の高確率状態への移行抽選を行うラウンドであるのか否かを分かり難くすることができ、遊技者の期待感をより長く持続させることができる。
<第3実施形態の変形例>
次いで、第3施形態のパチンコ機10の変形例について説明する。第3実施形態の遊技機では、特定入賞口(大開放口)65aの内部に抽選装置300を設け、抽選用ゲート310へ入球した遊技球のうち、誘導通路322へ進行できる遊技球が1球に制限されるように通路閉鎖弁324を設けていた。そして、通路閉鎖弁324によって誘導通路322への進行が制限された遊技球に関しては、球排出用通路323を通じて抽選装置300の外部へ排出されるように構成していた。
これに対して、本変形例では、抽選用ゲート310へ入球した遊技球が全て誘導通路322へ進行できるように構成している。即ち、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324を設けない構成として、抽選用ゲート310へ入球した全ての遊技球が振り分け回転体341へ到達できるように構成している。
更に、本実施例では、抽選用ゲート310が開放されてから最初に遊技球が入球した入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504のいずれか)に基づいて、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態とするか、特別図柄の低確率状態とするのかを決定するように構成している。
このように構成することにより、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324を省略することができるので、抽選装置300をコンパクト化することができる。よって、特定入賞口(大開放口)65a、およびその内部に設けられた抽選装置300の配置の自由度を高めることができる。
以下、図9〜図15を再度参照し、抽選用ゲート310が開放されるラウンドにおいて、特定入賞口(大開放口)65aへ入球した遊技球の動作について説明する。
上述の通り、本変形例では、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324が設けられていないので、特定入賞口(大開放口)65aへ入球し、開放されている抽選用ゲート310へと入球した遊技球は、全て進行方向振り分け部330へ到達する。上述の通り、進行方向振り分け部330では、遊技球の進行するルートが大当たり種別に応じて決められており、手前ルート大当たりA〜Cの場合には、進行方向振り分け部330の流路切替弁331a,331bの状態が図9(b)に示す状態(手前ルートの状態)となる。よって、遊技球は振り分け回転体341の手前側に流下する。一方、奥ルート大当たりA〜Cの場合には、進行方向振り分け部330の流路切替弁331a,331bの状態が図9(a)に示す状態(奥ルートの状態)となる。よって、遊技球は振り分け回転体341の奥側に流下することとなる。
まず、奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態について、図12を参照して説明する。奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態の場合、振り分け回転体に最初に到達する遊技球は誘導通路408aを進行することとなる(図12(a))。上述の通り、誘導通路408aを進行した遊技球は(図12(b))、振り分け回転体341を揺動させずにそのまま落下し、時短入球口501へ入球する(図12(c))。つまり、特定入賞口(大開放口)65aに入球した遊技球が最初に入球する入球口は時短入球口501となる。これにより、大当たり終了後は、特別図柄の低確率状態へと移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。
また、大当たりの同一ラウンド内で、その後に振り分け回転体341へ到達した遊技球も同様に誘導通路408aを進行するので、全ての遊技球は振り分け回転体341を揺動させることなく入球口501へ入球する。よって、ラウンド開始時に奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態であった場合は、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324が設けられている場合と同様に、大当たり終了の時点で振り分け回転体341が右に振れた状態となっており、かつ、特別図柄の低確率状態へと移行すると共に所定の変動回数の間(たとえば、変動回数が100回)普通図柄の時短状態となる。
また、手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態について、図13、図15を参照して説明する。手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態の場合、振り分け回転体に最初に到達する遊技球は誘導通路408bを進行することとなる。上述の通り、誘導通路408bを進行した遊技球は、球止め部403aにより進行を妨げられる(図13(a))。その後、球止め部403aに対して遊技球の重みがかかることに基づいて、振り分け回転体341が左側に振れた状態となるまで回転動作し(図13(b))、振り分け回転体341の回転動作の完了後に遊技球が落下して確変入球口502へ入球する。つまり、特定入賞口(大開放口)65aに入球した遊技球が最初に入球する入球口は確変入球口502となる。これにより、大当たり終了後は、特別図柄の高確率状態へと移行する。
一方で、大当たりの同一ラウンド内で、その後に振り分け回転体341へ到達した遊技球は、振り分け回転体341の向きが左向きに変化したことによって誘導通路408dを進行することとなる(図15)。そして、上述の通り、誘導通路408dを流下する遊技球は(図15(a))、振り分け回転体341を揺動させることなく確変入球口504へ入球する(図15(c))。よって、抽選用ゲート310に入球した遊技球は、最初に振り分け回転体341へ到達した遊技球を除き、振り分け回転体341を揺動させることなく確変入球口504へ入球する。
従って、ラウンド開始時に手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が右側に振れた状態であった場合は、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324が設けられている場合と同様に、大当たり終了の時点で振り分け回転体341が左に振れた状態となっており、かつ、特別図柄の高確率状態へと移行する。
また、奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態について、図12、図14を参照して説明する。奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態の場合、振り分け回転体に最初に到達する遊技球は誘導通路408cを進行することとなる。上述の通り、誘導通路408cを進行した遊技球は、球止め部405aにより進行を妨げられる(図14(a))。その後、球止め部405aに対して遊技球の重みがかかることに基づいて、振り分け回転体341が右側に振れた状態となるまで回転動作し(図14(b))、振り分け回転体341の回転動作の完了後に遊技球が落下して確変入球口503へ入球する。つまり、特定入賞口(大開放口)65aに入球した遊技球が最初に入球する入球口は確変入球口503となる。これにより、大当たり終了後は、特別図柄の高確率状態へと移行する。
一方で、大当たりの同一ラウンド内で、その後に振り分け回転体341へ到達した遊技球は、振り分け回転体341の向きが右向きに変化したことによって誘導通路408aを進行することとなる(図12)。そして、上述の通り、誘導通路408aを流下する遊技球は(図12(a))、振り分け回転体341を揺動させることなく時短入球口501へ入球する(図12(c))。よって、抽選用ゲート310に入球した遊技球は、最初に振り分け回転体341へ到達した遊技球を除き、振り分け回転体341を揺動させることなく時短入球口501へ入球する。なお、上述の通り、最初に入球した入球口の種別に基づいて大当たり終了後の状態が設定されるので、最初に振り分け回転体341に到達した遊技球以外の遊技球が時短入球口501へ何球入球しようとも、大当たり終了後の状態の設定が上書きされてしまうことはない。
従って、ラウンド開始時に奥ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態であった場合は、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324が設けられている場合と同様に、大当たり終了の時点で振り分け回転体341が右に振れた状態となっており、かつ、特別図柄の高確率状態へと移行する。
次いで、手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態について、図15を参照して説明する。手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態の場合、振り分け回転体に最初に到達する遊技球は誘導通路408dを進行することとなる(図15(a))。上述の通り、誘導通路408dを進行した遊技球は(図15(b))、振り分け回転体341を揺動させずにそのまま落下し、確変入球口5034へ入球する(図15(c))。つまり、特定入賞口(大開放口)65aに入球した遊技球が最初に入球する入球口は確変入球口504となる。これにより、大当たり終了後は、特別図柄の高確率状態へと移行する。
また、大当たりの同一ラウンド内で、その後に振り分け回転体341へ到達した遊技球も同様に誘導通路408dを進行するので、全ての遊技球は、振り分け回転体341を揺動させることなく確変入球口504へ入球する。よって、ラウンド開始時に手前ルートの状態、かつ、振り分け回転体341が左側に振れた状態であった場合は、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324が設けられている場合と同様に、大当たり終了の時点で振り分け回転体341が左に振れた状態となっており、かつ、特別図柄の高確率状態へと移行する。
以上の通り、本実施例では、抽選用ゲート310が開放されてから最初に遊技球が入球した入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504のいずれか)に基づいて、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態とするか、特別図柄の低確率状態とするのかを決定するように構成することにより、振り分け回転体341へ複数の遊技球が進行したとしても、抽選装置300による抽選結果を他の実施形態と同一の結果とすることができる。また、大当たりの終了時点での振り分け回転体341の配置についても、他の実施形態と同一の状態とすることができる。
これにより、球排出用通路323、および通路閉鎖弁324を省略し、抽選装置300をコンパクト化することができるので、特定入賞口(大開放口)65aの配置の自由度を高めることができる。
上記第3実施形態、および第3実施形態の変形例では、特定入賞口(大開放口)65aの内部に抽選装置300を設ける構成とし、抽選用ゲート310の開放パターンと流路の切り替えのパターンとを大当たり種別に応じて変更していた。これに対して、抽選装置300を特定入賞口(大開放口)65aの外部に設けておき、抽選装置300と特定入賞口(大開放口)65aとをそれぞれ特定入賞口として用いても良い。この場合、抽選装置300を第1特定入賞口、特定入賞口(大開放口)65aを第2特定入賞口と規定しておき、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて抽選用ゲート310を開放して誘導通路321へ遊技球を入球可能とするラウンドには、第1特定入賞口(抽選装置300)を開放して第2特定入賞口(特定入賞口65a)を閉鎖する。一方、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて抽選用ゲート310を閉鎖して誘導通路321への遊技球を制限するラウンドでは、第1特定入賞口(抽選装置300)を閉鎖して第2特定入賞口(特定入賞口65a)を開放すればよい。
上記第3実施形態、および第3実施形態の変形例では、1つの特定入賞口(大開放口)65aの内部に抽選装置300を設ける構成としたが、特定入賞口(大開放口)を2つ設けておき(特定入賞口(大開放口)65a1,65a2)、特定入賞口(大開放口)65a1に入賞した遊技球は振り分け回転体341の手前側に流下するように構成し、特定入賞口(大開放口)65a2に入賞した遊技球は振り分け回転体341の奥側に流下するように構成しても良い。そして、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて抽選用ゲート310を開放することが規定されているラウンドでは、特定入賞口(大開放口)65a1を開放して特定入賞口(大開放口)65a2を閉鎖する。一方、第1当たり種別選択テーブル202bにおいて抽選用ゲート310を閉鎖することが規定されているラウンドでは、特定入賞口(大開放口)65a1を閉鎖して特定入賞口(大開放口)65a2を開放すればよい。この構成とすることにより、抽選用ゲート310、および進行方向振り分け部330を設ける必要がなくなるので、抽選装置300をコンパクトにすることができる。
<第4実施形態>
次に、図74〜図81を参照して、第4実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述した第1実施形態では、確変入球口502、若しくは確変入球口504へ入球したことを検出すると、音声ランプ制御装置113へ、遊技者にとって有利な状態であるループ状態へ移行したことを示すコマンド(ループ状態コマンド)を送信するように構成している。そして、音声ランプ制御装置113は、ループ状態コマンドを受信することに基づいて、ループ状態用の特別な態様で変動パターンを実行し、遊技者に対して現在が有利な状態であることを示唆できるように構成していた。
これに対して、第4実施形態のパチンコ機10では、変動パターン演出に加えて、大当たり中に第3図柄表示装置81によって実行される表示演出を抽選装置300の状態等に応じた態様で実行できるように構成している。
また、第1実施形態のパチンコ機10では、大当たりの停止図柄が停止した後、大当たり遊技の開始前に抽選装置300によって特別図柄の高確率状態へと移行させるか否かの抽選を行うように構成していたが、本実施形態では、最終ラウンドである8ラウンド目の開始時に抽選装置300の抽選用ゲート310が開放されて特別図柄の高確率状態へと移行させるか否かの抽選を行うように構成されている。
この第4実施形態におけるパチンコ機10が第1実施形態におけるパチンコ機10と構成上において相違する点は、音声ランプ制御装置113において、ROM222に大当たりバトル変動パターンテーブル222bと、大当たりバトル中選択テーブル222cとが設けられている点、およびRAM223に状態フラグ223fが設けられている点である。また、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図40)に含まれる一部処理が、第1実施形態におけるパチンコ機10と相違する。その他の構成や、主制御装置110によって実行される各種処理、音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるその他の処理、および表示制御装置114のMPU231によって実行される各種処理については第1実施形態におけるパチンコ機10と同一である。以下、第1実施形態のパチンコ機10と同一の要素には同一の符号を付し、その図示と説明とを省略する。
<第4実施形態における電気的構成について>
まず、図74を参照して、第4実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について説明する。図74は、第4実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態の音声ランプ制御装置113の有するROM222は、第1実施形態におけるROM222の構成に加えて、大当たりバトル変動パターンテーブル222bと、大当たりバトル中選択テーブル222cとが設けられている。また、本実施形態の音声ランプ制御装置113の有するRAM223は、第1実施形態におけるRAM223の構成に加えて、状態フラグ223fが設けられている。その他の構成については、第1実施形態のパチンコ機10と同一であるため、その説明を省略する。
大当たりバトル変動パターンテーブル222bは、変動パターンテーブル222aと同様に変動パターンコマンドにより通知された大まかな変動パターンの態様に基づいて、変動パターンの詳細な態様を定めるために用いられるものであり、変動パターンコマンドにより通知される変動パターンの大まかな態様毎に、選択し得る複数の詳細な変動パターンの態様が規定されている。この大当たりバトル変動パターンテーブル222bと変動パターンテーブル222aとの相違点としては、大当たりバトル変動パターンテーブル222bには大当たりの当選が報知される変動パターン演出の演出態様が規定されている点である。
大当たりバトル中選択テーブル222cは、大当たり中に第3図柄表示措置81において行われる表示演出の態様を規定したものであり、抽選装置300の状態等に応じて選択可能な演出態様を異ならせている。
状態フラグ223fは、後述の図示しない状態設定テーブルに規定された状態A〜状態Fのうち現在がいずれの状態であるのかを示すフラグであり、大当たりバトル変動パターンテーブル222bから変動パターンの態様を選択する場合(図80のS2713参照)や、大当たり中バトル選択テーブル222cから大当たり中の演出態様を選択する場合(図81のS4206参照)には本フラグが参酌される。
次いで、図75〜図78を参照して、本実施形態において大当たりとなる場合に第3図柄表示装置81に表示される演出や、大当たり中に第3図柄表示装置81に表示される表示演出の演出態様について説明する。
図75は、本実施形態のパチンコ機10の演出の流れを示す状態設定テーブルである。この状態設定テーブルは、ROM222に設定されている。本実施形態のパチンコ機10には、第3図柄表示装置81によって大当たりとなる変動パターン演出が実行される際の状態として、状態A、状態C、状態Eの3つの状態が存在し、各状態では選択される変動パターン演出の演出態様が異なっている。
また、本実施形態のパチンコ機10には、大当たり遊技中に第3図柄表示装置81によって表示演出が実行される際の状態として、状態B、状態D、状態Fの3つの状態が存在し、各状態では、選択される表示演出の演出態様が異なっている。
状態A〜状態Fでは、それぞれストーリー性のある演出が実行され、実行される演出の結果に応じてループ状態であるか否かや特別図柄の高確率状態へ移行するか否かを示唆するように構成されている。以下、本実施形態のパチンコ機10において、第3図柄表示装置81に表示される演出の演出態様を状態Aから順に説明する。
状態Aは、通常状態中(即ち、特別図柄の低確率状態中)を指し、状態Aに滞在している間に当選した大当たりの大当たり種別が大当たりAであっても、大当たりBであっても共通の演出が実行される。具体的には、状態Aにおいて大当たりに当選すると、大当たりが報知される変動パターン演出において、盾と剣とを持った主人公のキャラクターが、敵であるモンスターを探索し、出会うまでの演出が行われる。この演出では、モンスターと出会うことができ、戦闘(バトル)が開始するタイミングで大当たりを示す停止図柄が確定表示される。また、大当たりを示す停止図柄が確定表示され、大当たり遊技が開始されると、状態Bへ移行する(図75の状態A参照)。
なお、外れ変動演出においては、主人公が敵を探索するが、敵が見つからない(敵に出会えない)という演出が実行される。これにより、敵を探索する演出が開始された時点では大当たりとなるのか外れとなるのかが判断できないので、遊技者に対して第3図柄表示装置81により行われる演出に最後まで注目させることができる。
図76(a)は、状態Aで行われる演出において、停止図柄が確定表示された場合の表示内容を示している。図76(a)に示すように、主人公と敵とがにらみ合っている場面の上方に「バトル開始!!」という文字が表示され、これから主人公と敵とのバトルが開始されることが遊技者に対して報知される。また、第3図柄表示装置81の右上には、「8」図柄が3つ揃った状態が表示される。なお、上述の通り、大当たり時の停止図柄は「8」に限られるものではない。
主人公、および敵の下方には、それぞれのキャラクターのヒットポイントを示すHPゲージが表示されている。HPゲージは、それぞれのキャラクターの生命力を表すゲージであり、主人公と敵とのバトルにおいて、相手から攻撃を受けるとゲージが減少し、ゲージが0となるとノックアウト状態となる。詳細については後述するが、敵の攻撃によって主人公のHPゲージが枯渇した場合は、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へと移行することを遊技者に対して示唆し、逆に主人公の攻撃によって敵のHPゲージが0になった場合は、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行することを遊技者に対して示唆するものである。
状態Bは、状態Aにおいて大当たりを示す停止図柄が確定表示され、大当たり遊技が開始された状態である。この状態Bでは、大当たりの最終ラウンドである8ラウンド目に主人公と敵とのバトル演出の決着がつき、特別図柄の高確率状態へと移行させるか特別図柄の低確率状態へと移行させるかが示唆される。
具体的には、主人公が敵を攻撃して敵のHPゲージを0にし、敵を撃破することができた場合には、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行することが示唆される。一方、主人公が敵に攻撃され、主人公のHPゲージが0になってしまった場合は、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へと移行することが示唆される。また、状態Bにおいて特別図柄の高確率状態へ移行した場合は状態Cへと移行するが、特別図柄の低確率状態へ移行した場合は、状態Aへと移行する。つまり、大当たりAに当選し、特別図柄の高確率状態へ移行しない限り、状態Aと状態Bとが繰り返されるのである(図75の状態B参照)。
状態Cは、状態Bにおいて主人公が敵に勝利する演出が行われ、その勝利演出が行われた大当たり遊技の終了後に移行する状態であり、実行される演出としては状態Aと同一である。状態Aとの相違点としては、状態Aにおいて大当たりに当選した場合は大当たりを示す図柄が確定表示された後で状態Bに移行するのに対し、状態Cにおいて大当たりに当選した場合は、大当たりを示す図柄が確定表示された後で状態Dに移行するという点が異なっている(図75の状態C参照)。
状態Dは、状態Cにおいて大当たりを示す停止図柄が確定表示され、大当たり遊技が開始された状態である。この状態Dでも、状態Bと同様に大当たりの最終ラウンドである8ラウンド目に主人公が敵のヒットポイントを0とすることができれば、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行させることが示唆される。
一方、状態Bとは異なり、状態Cにおいては、主人公が敵の攻撃を受けたとしてもHPゲージが完全に0とならずに、ピンチの状態となる。状態Dは、状態Bにおいて特別図柄の高確率状態へ移行した場合にのみ移行する状態であるが、状態Bにおいて特別図柄の高確率状態へと移行した場合とは、抽選装置300へ入球した遊技球が振り分け回転体341の状態を左向きの配置に回動させた後に確変入球口501へ入球した場合である(図13参照)。よって、状態Dにおいて行われている大当たり遊技の終了後は、大当たり種別によらず特別図柄の高確率状態へ移行することが確定しており、特別図柄の低確率状態へと移行することを示唆する、主人公のHPゲージが0となる演出を行なう必要がないのである。
しかし、振り分け回転体341が左側に振れた状態で、大当たりBに当選した場合、抽選装置300へ入球した遊技球は振り分け回転体341の誘導通路408cに振り分けられることとなり、振り分け回転体341の状態を右向きの配置に回動させた後に確変入球口503へ入球するので(図14参照)、次回も大当たりBに当選してしまった場合には特別図柄の低確率状態へと移行してしまう可能性がある状態になる。
このため、状態Dにおいて大当たり種別が大当たりBであった場合には、次回の大当たり後に特別図柄の低確率状態へ移行する虞があることを示唆するために、表示演出において主人公が敵からの攻撃を受けてピンチとなってしまう演出を実行するように構成している。また、ピンチとなってしまう演出が実行され、その大当たりが終了した後は、状態Eへと移行する(図75の状態D参照)。
図76(b)は、状態Cにおいて大当たりBに当選し、状態Dへ移行した場合に、その大当たりBの最終ラウンド(8ラウンド目)で行われる演出を示したものである。図76(b)に示すように、主人公が敵の突進による攻撃を受けてしまい、HPが大幅に減少してしまった状態を示している。第3図柄表示装置81に表示される演出によって主人公をピンチの状態とすることにより、遊技者にとって不利な状態(振り分け回転体341が右に振れた状態)になってしまったことを遊技者に容易に認識させることができるのである。
なお、図76(b)において敵の突進による攻撃を受けた後、突進の衝撃で主人公は遠方へ吹き飛ばされてしまい、主人公、および敵の双方がお互いを見失ってしまう。よって、詳細については後述するが、大当たり遊技の終了後に移行する状態Eでは、再び主人公が敵の探索を行う演出が行われる。
また、状態Dにおいて、大当たり種別が大当たりAであった場合は、抽選装置300へ入球した遊技球が誘導通路408dを流下するので、振り分け回転体341の配置は左側に振れた状態のまま変わらないので(図15参照)、再び状態Cへと移行する。つまり、大当たりBに当選し、特別図柄の低確率状態へ移行しない限り、状態Cと状態Dとが繰り返されるのである(図75の状態D参照)。
状態Eは、状態Cにおいて大当たりBに当選し、状態Dにおいて主人公が敵の攻撃を受けてピンチとなる演出が行われた後で移行する状態であり、状態Aや状態Cと同様に、主人公が敵を探索し、敵に出会うことができれば大当たりが確定するという演出が実行される。一方、状態Eでは、敵を探索している最中や敵と出会った際に、状態Aや状態Cでは行われない予備的な演出が行われる。
具体的には、主人公が敵の探索中に薬草を発見したり(図77(a)参照)、敵と出会った際に、主人公の仲間である犬のキャラクターが主人公に加勢する演出が行われる(図77(b)参照)。薬草を発見すれば、状態Dにおいて敵から受けた攻撃によるダメージを回復できる可能性があることを示唆することができ、仲間が加勢すれば敵に対する対抗力が向上することを示唆できる。
これらの演出は、状態Eにおいて当選した大当たりが大当たりAであれば行われやすく、また、当選した大当たりが大当たりBであれば行われにくく構成されているので(図75の状態E参照)、いずれかの演出が行われることにより、遊技者の敵を撃破することに対する期待感を高めることができる。なお、状態Eにおいて大当たりに当選した場合は、大当たりを示す図柄が確定表示された後で状態Fに移行する(図75の状態E参照)。
状態Fは、状態Eにおいて大当たりを示す停止図柄が確定表示され、大当たり遊技が開始された状態である。この状態Fでも、状態Bや状態Dと同様に、敵に攻撃して敵のHPゲージを0とすれば、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行させることが示唆される。ただし、状態Fにおいては、HPゲージが減少していたり、仲間のキャラクターが合流している場合があるので、状態Bや状態Dとは態様が異なっている。
具体的には、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態に移行する場合は、図78(a)に示すような表示の態様で敵を撃破する演出が実行され、大当たり終了後に特別図柄の低確率状態に移行する場合は、図78(b)に示すような表示の態様で敵に敗北する演出が実行される。なお、敵に勝利した場合は大当たり終了後に状態Cへと移行し、敵に敗北した場合は大当たり終了後に状態Aへと移行する。
なお、状態Fにおいて敵に勝利する場合は、勝利後にHPゲージが回復してHPが万全の状態に復活する演出が行われる。これにより、状態Cでは必ずHPが万全の状態となるので、主人公のHPを確認するだけで現在が有利な状態(即ち、振り分け回転体341が左に振れた状態)であるか否かを確認することができる。
<第4実施形態における制御処理について>
次いで、図79〜図81を参照して、第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される各種処理について説明する。まず、図79は、第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221によって実行されるコマンド判定処理(S1312)を示すフローチャートである。このコマンド判定処理(S1312)は、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図39参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する処理である。
この音声ランプ制御装置装置113のコマンド判定処理のうち、S1401,S1403〜S1410、およびS1419の各処理では、それぞれ第1実施形態における音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図40参照)のS1401,S1403〜S1410、およびS1419の各処理と同一の処理が実行される。そして、第4実施形態における音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理では、S1401の処理が完了すると、第1実施形態における変動パターン選択処理(図41)に代えて、変動パターン選択処理2(S1421)を実行する。この変動パターン選択処理2は、上述した状態A、状態C、状態Eのそれぞれに応じた変動パターン演出を選択するための処理である。
また、S1408の処理における判断結果がNoであった場合は、大当たり遊技に関するコマンドを受信したか否かを判定する(S1422)。大当たり遊技に関するコマンドには、ラウンド数コマンドやオープニングコマンド、インターバルコマンド等の大当たりに関する全てのコマンドが含まれる。
S1422の処理において、大当たり遊技に関するコマンドを受信したと判定した場合は(S1422:Yes)、大当たり演出処理を実行して(S1423)、本処理を終了する。この大当たり演出処理(S1423)は、上述の状態B、状態D、状態Fにおいて大当たり中の表示演出を設定するための処理である。一方、大当たり遊技に関するコマンドを受信していないと判定した場合は(S1422:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行して(S1419)、本処理を終了する。
次いで、図80を参照して、第4実施形態における音声ランプ制御装置114のMPU221によって実行される変動パターン選択処理2(S1421)について説明する。図80は、この変動パターン選択処理2を示すフローチャートである。
この変動パターン選択処理2(S1421)のうち、S2701の処理では、第1実施形態における変動パターン選択処理2(図41)のS2701の処理と同一の処理が実行される。そして、第4実施形態における変動パターン選択処理2では、S2701の処理が終了すると、次に、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが大当たりの変動パターンを示すものであるか否かを判別する(S2711)。
S2711の処理において、大当たりの変動パターンを示すものであると判別した場合は(S2711:Yes)、次に、状態設定テーブル(図75)と大当たり種別とから状態フラグ223fを設定し(S2712)、次いで、状態フラグ223fの設定内容に基づいて、大当たり用の変動パターンを選択し(S2713)、本処理を終了する。例えば、状態フラグ223fが状態Eを示すものであり、大当たり種別が大当たりAである場合は、薬草を取得する演出や仲間が加勢に来る演出を伴って敵に出会う演出が行われる。
S2711の処理において、大当たりの変動パターンを示すものでない(即ち、外れの変動パターンである)と判別した場合は、受信したコマンドから外れ用の変動パターンを抽出して(S2714)、本処理を終了する。
次いで、図81を参照して、第4実施形態における音声ランプ制御装置114のMPU221によって実行される大当たり演出処理(S1423)について説明する。図81は、この大当たり演出処理を示すフローチャートである。
大当たり演出処理(S1423)では、まず、オープニングコマンドを受信したか否かを判別し(S4201)、オープニングコマンドを受信したと判別した場合は(S4201:Yes)、状態設定テーブル(図75)と、大当たり種別とから状態フラグを設定する(S4202)。例えば、状態フラグ223fが状態Cを示すものであり、大当たり種別が大当たりBである場合は、状態フラグを状態Dを示すものに更新する(図75の状態D参照)。
そして、設定された状態フラグ223fの状態に基づいて大当たり演出のパターンを設定し(S4203)、本処理を終了する。例えば、状態フラグ223fが状態Dを示す設定であり、大当たり種別が大当たりBであれば、主人公が敵の攻撃を受け、ピンチとなる演出が大当たり演出として設定される。
S4201の処理において、オープニングコマンドを受信していないと判断した場合は、状態フラグ223fの設定と異なる入球口へ入球したか判別する(S4204)。例えば、状態フラグ223fの設定が状態Bを示すものであり、大当たり種別が大当たりBである場合には、遊技球は時短入球口501へ入球するはずであるが、パチンコ機10に対して振動が加わった等の理由により、確変入球口502〜504のいずれかに入球してしまった場合は、主人公が敗北する演出が行われることが決定しているにも関わらず、大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行してしまうので、遊技者に対して違和感を与えてしまう虞がある。
そこで、S4204の処理において、状態フラグ223fの設定と異なる入球口へ入球したことを判別した場合は(S4204:Yes)、異なる入球口の種別に応じて、敵の攻撃を受けて倒れた主人公が、最後の力を振り絞って立ち上がり、敵に攻撃を与えて撃破する演出を設定したり、逆に、倒した敵が起き上がって主人公に攻撃し、主人公が逆転負けしてしまう演出を設定したりして(S4205)、本処理を終了する。
S4205の処理を行うことで、大当たりの終了後の遊技状態と、大当り中の表示演出の結果とを一致させることができるので、大当たりの終了後の遊技状態と、大当り中の表示演出の結果とに齟齬が生じることによって、遊技者に対して違和感を与えることを抑制することができる。
S4204の処理において、状態フラグ223fの設定と異なる入球口へ入球していない(即ち、状態フラグ223fの設定通りの入球口へ入球した)ことを判別した場合は(S4204:No)、S4203の処理において設定された大当たり演出パターンに基づいて大当たり中の表示演出の態様を設定し(S4206)、本処理を終了する。
以上説明した通り、第4実施形態におけるパチンコ機10では、抽選装置300の振り分け回転体341の状態や、当選した大当たり種別等に基づいて、ストーリー性のある一連の演出を実行するように構成している。また、これらの一連の演出は、大当たりの停止図柄が表示される変動パターン演出と、その変動パターン演出後に実行される大当たり遊技中の表示演出とにおいて実行するように構成している。
これにより、抽選装置300の抽選用ゲート310へ入球した遊技球が、各入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504)のうちいずれの入球口へ入球したのかを見逃してしまったとしても、第3図柄表示装置81において実行されている表示演出の結果を確認することにより、大当り終了後に特別図柄の高確率状態に移行するのか否かを容易に認識することができる。
また、本実施形態でも、抽選装置300の振り分け回転体341は遊技者に視認可能に構成されており、遊技者は、振り分け回転体341を確認することにより、遊技者にとって有利な状態(即ち、振り分け回転体341が左に振れた状態)であるか否かを認識できるように構成されている。しかし、遊技に慣れていない遊技者が遊技を行う場合は、振り分け回転体341が右に振れた状態と左に振れた状態とで何が異なるのか分からずに遊技を行ってしまう場合もある。
これに対して本実施形態では、大当たり遊技中の表示演出によって、大当たり後に特別図柄の高確率状態へと移行するか否かを示唆できるだけでなく、特別図柄の高確率状態において、主人公のHPが十分である万全な状態であるか、HPが減少しているピンチの状態であるかによって現在が有利な状態であるか否かを認識可能に構成している。よって、遊技に慣れていない遊技者であっても、現在が有利な状態であるか否かを容易に認識することができる。
本実施形態では、主人公のHPゲージがピンチの状態か万全な状態かの2種類しか設けていなかったが、他の状態を設けておいても良い。例えば、万全の状態と、ピンチの状態との他に、HPゲージが2割程度減った状態と、HPゲージが半分に減った状態と、HPゲージが7割程度減った状態とを追加しても良い。この場合において、主人公のHPゲージの状態を、RAM223に記憶しておくことができるように構成し、特別図柄の高確率状態が継続している間は、HPゲージを保持しておき、特別図柄の低確率状態へ移行した場合にリセットするように構成しても良い。これにより、HPゲージも含めて自然な流れで表示演出を推移させることができるので、遊技者に対して違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
本実施形態では、8ラウンド目で抽選装置300による抽選を行うように構成しているが、他のラウンドで抽選を行うように構成してもよい。また、大当りを示す停止図柄が確定表示された後、大当たり遊技の開始前に抽選を行うように構成しても良い。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、複数の大当たり種別を設け、大当たり種別に応じて流路切替弁331a,331bの向きを変更することにより、遊技球が通過するルートを手前ルートとするか奥ルートとするかを決定していた。これに対して、抽選装置300に入球した遊技球が通過するルートを手前ルートとするか奥ルートとするかがランダムに選択されるように構成しても良い。即ち、大当たり種別が、抽選装置300内を流下する遊技球の流路に影響を与えないように構成しても良い。遊技球の流路をランダムに振り分けるための構成としては、例えば、2つの貫通孔を有する公知のクルーン手段(2つ穴クルーン)を、流路切替弁331a,331bに代えて設けておけばよい。そして、2つ穴クルーンに到達した遊技球が、2つ穴クルーンの有する2つの貫通孔のうち、一方の貫通孔を通過すると、振り分け回転体341の手前側に流下し、他方の貫通孔を通過すると、振り分け回転体341の奥側に流下するように構成すればよい。このように構成することで、遊技球が実際に2つ穴クルーンのいずれかの貫通孔を通過するまで、遊技球が振り分け回転体341の手前側へ流下するのか、奥側へ流下するのかが判別できないようにすることができる。よって、遊技者にとって有利な手前側のルートを遊技球が通過することに対する期待感を、遊技者により長く抱かせ続けることができる。
また、上記実施形態では、RAM消去スイッチ122がオンされた状態でパチンコ機10の電源投入が行われた場合に、振り分け回転体341の設定を右側に振れた状態(表向きの状態)にリセットするように構成していたが、振り分け回転体341の配置を変更せずに、各入球口(時短入球口501、および確変入球口502〜504)と、大当たり終了後に移行する状態との対応関係を変更するように構成しても良い。即ち、位置検出センサ263の検出結果に基づいて、振り分け回転体341の状態が左に振れた状態(表向きの状態)であると判別した場合は、時短入球口501に遊技球が入球すると大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する設定に変更し、かつ、確変入球口504に遊技球が入球すると大当たり終了後に特別図柄の低確率状態へと移行する設定に変更する。これにより、パチンコ機10に対する電源投入による立ち上げの際に、入球口の設定をソフト的に変更するだけで初期設定を行うことができるので、振り分け回転体341を初期位置に戻すための回動モータ264を省略することができ、パチンコ機10の製造コストを削減することができる。
上記実施形態では、振り分け回転体341を、長方形の形状の床部401に、長方形の形状の一対の通路壁402と、誘導通路408b,408cにおいて、軸406の下方の床部401から床部401に対してして斜め方向に伸びた1対の傾斜部403b,405bと、傾斜部403b,405bの床部401とは逆側の端に設けられた球止め部403a,405aとによって構成されていたが、振り分け回転体341は、この形状に限られるものではない。例えば、風車状の形状にしても良い。
上記実施形態では、振り分け回転体341の誘導通路408aと、誘導通路408dとを軸406の下流側まで伸ばして構成しており、誘導通路408a、または誘導通路408dを流下した遊技球は軸406を通過したとしても、床部401の上を流下するように構成されていた(図12(b)、図15(b)参照)。これに対して、誘導通路408aと、誘導通路408dのうち、軸406よりも下流側の通路を廃止しても良い。なお、振り分け回転体341の軸406の下流側の通路を削除する代わりに、軸406より下流側の通路をカバー部423側に設けるように構成しておいても良い。つまり、カバー部423の正面視右奥側と、カバー部423の正面視左手前側に、誘導通路408a、および誘導通路408dの、軸406よりも下流側部分を設けておく。そして、振り分け回転体341が軸406を中心として右に振れた場合は、振り分け回転体341の誘導通路408aと、カバー部423の正面視右奥側の通路とが契合して、上記実施形態の誘導通路408aと同様の誘導通路を形成するように構成する。また、振り分け回転体341が軸406を中心として左に振れた場合は、振り分け回転体341の誘導通路408dと、カバー部423の正面視左手前側の通路とが契合して、上記実施形態の誘導通路408dと同様の誘導通路を形成する。これにより、軸406よりも下流側において、通路に対して遊技球の重みによる負荷がかかることを抑制することができるので、遊技球が誘導通路408a、または誘導通路408dを通過した場合に、振り分け回転体341が遊技球の重みで回転してしまい、逆側に振れてしまうことを確実に防止することができる。
上記第4実施形態では、第3図柄表示装置81に表示される演出の態様として、主人公と敵とが戦う演出が実行されるように構成し、大当たり遊技中の表示演出において主人公が敵に勝利することで今回の大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行することと、次回の大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行することとを示唆していた。これに対して、敵との対戦結果を最後まで確認しなくとも、主人公が勝利することが明らかとなる演出を用意しておいても良い。例えば、今回、および次回の大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行する場合に、一定の確率(例えば10%)で手のひらサイズの敵が出現するように構成しても良い。通常の敵に比べてサイズが著しく小さい敵が出現することにより、遊技者に対して、敵が出現した時点で主人公が勝利することを確信させることができる。また、状態Aや状態Cや状態Eにおいて大当たりとなる変動演出中に、一定の確率(例えば大当たりAに当選した場合の10%)で主人公が敵と出会わずに、財宝の入った宝箱を発見する演出が行われるように構成しても良い。そして、財宝を発見する演出が行われた後の大当たり遊技中の演出では、財宝を家族の元へ持ち帰る演出が行われるように構成しても良い。財宝を発見する演出が行われることにより、遊技者に対して、大当たり遊技が開始する前に、今回、および次回の大当たり終了後に特別図柄の高確率状態へと移行することを確信させることができる。このように、演出に複数のバリエーションを持たせることにより、特別図柄の高確率状態が連続することに対する期待感だけでなく、珍しい演出が行われることに対する期待感を抱かせることもできるので、遊技者の遊技に対する興趣をより向上させることができる。
また、本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、スロットマシンやパチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしてもよい。
パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップスイッチの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、上記した各実施形態の一部またはすべてをそれぞれ組み合わせたパチンコ機としてもよい。
以下に、本発明のパチンコ機に加えて、上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<特徴A群>(2回分の確変を確定させるための役物の構造)
遊技球が入球可能な入球口と、その入球口へ入球した遊技球が入球可能な第1領域および第2領域と、その第1領域および第2領域のどちらか一方へ前記入球口に入球した遊技球を振り分ける振分手段とを備え、前記第1領域へ遊技球が入球したことに基づいて、前記第2領域へ遊技球が入球した場合よりも遊技者に有利な特別遊技状態へと移行する遊技機において、前記振分手段は、前記第1領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第1状態と、前記第1領域または第2領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第2状態とに可変させることが可能な可変手段と、前記第1状態である場合に、遊技球が通過可能とされる第1流路と第2流路と、前記第2状態である場合に、遊技球が通過可能とされる第3流路と第4流路とを備えており、前記可変手段は、前記第2流路を遊技球が通過した場合に、前記第1状態から前記第2状態へと前記振分手段を可変させ、前記第3流路を遊技球が通過した場合に、前記第2状態から前記第1状態へと前記振分手段を可変させるものであることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、可変手段により、振分手段が、第1領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第1状態と、第1領域または第2領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第2状態とに可変される。そして、第1状態では、第1流路と第2流路とを遊技球が通過可能とされ、第2状態では、第3流路と第4流路とを遊技球が通過可能とされる。ここで、遊技球が第2流路を通過した場合に、可変手段によって振分手段の状態が第1状態から第2状態へと可変され、遊技球が第3流路を通過した場合に、可変手段によって振分手段の状態が第2状態から第1状態へと可変される。これにより、振分手段が第1状態へと可変されれば、振分手段によって行われる次回の振り分けにおいて、遊技球が第1領域へと振り分けられて特別遊技状態へ移行することを遊技者に対して認識させることができる。よって、振分手段が第1状態へと可変されてから、次に振分手段によって振り分けが行われるまでの間、遊技者に対し、特別遊技状態へと移行することに対する安心感と満足感を抱かせながら遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機A1において、前記第3流路は、通過した遊技球を第1領域へ入球させるものであり、前記第4流路は、通過した遊技球を第2領域へ入球させるものであることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第3流路を通過した遊技球は第1領域へ入球し、第4流路を通過した遊技球は第2領域へ入球するので、遊技球が第3流路を通過すれば、遊技球が第1領域へ入球して特別遊技状態へ移行し、振分手段の状態が第1状態へと可変する。よって、遊技者にとって有利な特別遊技状態へ連続して移行させることができるので、遊技球が第3流路を通過したことに基づいて特別遊技状態へと移行したことを認識した遊技者に対して、特別遊技状態が連続することに対する安心感と満足感とを抱かせることができるという効果がある。
遊技機A1又はA2において、前記可変手段は、通過する遊技球の重さに基づいて振分手段の状態を可変させることが可能であることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A1又はA2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、通過する遊技球の重さに基づいて振分手段の状態が可変手段により可変されるので、可変手段により振分手段の状態を自然な動作で可変させることができる。よって、振分手段の状態が不自然なタイミングで可変されてしまい、遊技者が遊技機やホールに対して不信感を抱いてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機A1〜A3において、前記可変手段は、遊技球が通過していない状態で振分手段の状態が可変することを抑制する可変抑制手段を備える事を特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A1〜A3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技球が通過していない状態での振分手段の状態の切り替わりが可変抑制手段によって抑制されるので、可変手段により振分手段が可変されるタイミングと異なるタイミングで振分手段が第1状態から第2状態へと切り替わってしまい、遊技者に損害を与えてしまったり、遊技機やホールに対する不信感を抱かせてしまったりすることを抑制することができる。
<特徴B群>(2回ループ用の流路及び構造体の状態に応じた表示演出を行う)
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報の演出態様を特定する演出態様特定手段と、所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行された後に、実行される遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらの状態とするかを特定する遊技状態特定手段と、を有した遊技機において、前記遊技状態特定手段を前記第2遊技状態が複数回続けて特定され易い継続状態に設定する継続設定手段と、その継続設定手段により前記継続状態が設定されている場合に、設定されている前記継続状態を終了し、前記遊技状態特定手段により前記第1遊技状態が特定され易い状態である転落状態に設定する転落設定手段と、前記継続設定手段により前記継続状態が設定されているか、前記転落状態設定手段により前記転落状態が設定されているかに基づいて、前記演出態様特定手段により特定される演出態様を変更する演出態様変更手段と、を有していることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、継続設定手段により遊技状態特定手段が、第2遊技状態とされることを複数回続けて特定され易い継続状態に設定される。そして、遊技状態特定手段が継続状態に設定されている場合は、転落設定手段により継続状態が終了され、第1遊技状態が特定され易い状態である転落状態に設定される。ここで、演出態様変更手段により、継続設定手段により継続状態が設定されているか、転落状態設定手段により転落状態が設定されているかに基づいて、演出態様特定手段により特定される演出態様が変更される。これにより、遊技者は、表示手段に表示される演出態様を確認するだけで、現在が継続状態であるか否かを判別することができるので、演出態様として継続状態を示す態様が表示されることにより、遊技者に対して第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態であることに対する安心感を抱かせることができるという効果がある。
遊技機B1において、前記所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後であって、前記特典遊技実行手段による前記特典遊技の実行が終了する前に、前記遊技状態特定手段により特定された状態を示唆する示唆演出を表示するように前記表示手段を制御する示唆表示制御手段を備え、その示唆表示制御手段は、前記遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であることを示唆する表示演出を前記表示手段へ表示させるように制御する場合に、前記継続設定手段により前記継続状態が設定されているか、前記転落状態設定手段により前記転落状態が設定されているかに基づいて、表示させる示唆演出を特定するものであることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であることを示唆する表示演出を表示手段へ表示させるように制御する場合に、示唆表示制御手段により、所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後であって、特典遊技実行手段による特典遊技の実行が終了する前に、遊技状態特定手段により特定された状態を示唆する示唆演出を表示するように表示手段が制御されるので、表示手段に対して示唆演出が表示されることにより、遊技者に対して第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態であることに対する安心感を抱かせることができるという効果がある。また、遊技者に対して、特典遊技中に表示手段に示唆演出が表示されることを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機B2において、前記継続設定手段は、前記遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であった場合に前記継続状態を設定するものであることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であった場合に、継続設定手段により継続状態が設定されるので、継続状態となる場合は第2遊技状態を経ることとなる。継続状態となってから最初に遊技状態特定手段により特定が行われるまでの間の状態が第1遊技状態となってしまうことを抑制することができるので、遊技者が第1遊技状態が継続されることに耐えきれず、最初に遊技状態特定手段により特定が行われるよりも前に遊技を辞めてしまうことを抑制することができる。
遊技機B3において、前記示唆表示制御手段は、前記示唆演出において、前記継続設定手段により前記継続状態に設定されたことを示唆可能であることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、示唆演出において、継続設定手段により継続状態に設定されたことが示唆表示制御手段により示唆されるので、遊技者は継続状態に設定されたことを容易に認識することができる。よって、継続状態に設定されたことにより、第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態となったことを認識することができるので、遊技者に対して安心して遊技を行わせることができるという効果がある。
<特徴C群>(確変抽選時に2段階の振り分け)
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定の結果が所定の結果になったことに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行された後に、実行される遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらの状態とするかを特定する遊技状態特定手段と、を有した遊技機において、前記遊技状態特定手段は、第1抽選とその第1抽選とは異なる第2抽選とに基づいて、前記第1遊技状態と前記第2遊技状態とをそれぞれ特定するものであり、前記第1抽選として、前記第2遊技状態よりも前記第1遊技状態が特定され易い状態となる第1特定状態と、その第1特定状態よりも前記第2遊技状態が特定され易い状態となる第2特定状態とのいずれを設定するかを抽選する第1抽選手段と、前記第2抽選として、前記第2特定状態が設定されている場合にも、前記第2遊技状態よりも前記第2遊技状態が特定され易い特別状態を設定するか否かを抽選する第2抽選手段とを有するものであることを特徴とする遊技機C1。
遊技機C1によれば、第1抽選とその第1抽選とは異なる第2抽選とに基づいて、遊技状態特定手段により第1遊技状態と第2遊技状態とがそれぞれ特定される。そして、第1抽選として、第2遊技状態よりも第1遊技状態が特定され易い状態となる第1特定状態と、その第1特定状態よりも第2遊技状態が特定され易い状態となる第2特定状態とのいずれを設定するかが、第1抽選手段により抽選される。ここで、第2抽選として、第2特定状態が設定されている場合にも、第2遊技状態よりも第2遊技状態が特定され易い特別状態を設定するか否かが第2抽選手段により抽選される。これにより、遊技状態特定手段による1回の遊技状態の特定において、第1抽選手段による抽選と第2抽選手段による抽選との2回の抽選の機会が与えられるので、遊技者に対して抽選を受ける機会が増えたと感じさせることができる。また、第1抽選手段による抽選の結果が第1特定状態を示すものであったとしても、遊技者を落胆させることなく、第2抽選手段により特別状態を設定する抽選結果となることを期待して遊技を行わせることができるので、遊技状態特定手段による状態の特定を十分に楽しませることができるという効果がある。
遊技機C1において、前記第2抽選手段は、前記遊技状態特定手段によって特定が行われることに基づいて、次回の前記遊技状態特定手段による特定の際に特別状態を設定するか否かを抽選するものであることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技状態特定手段によって特定が行われることに基づいて、次回の遊技状態特定手段による特定の際に特別状態を設定するか否かが第2抽選手段によって抽選される。これにより、第1抽選手段による抽選結果が第1特定状態を示すものであったとしても、第2抽選手段により特別状態に設定されることが抽選されれば、第1抽選手段によって第1特定状態が抽選されたことに対する遊技者の落胆を軽減することができ、次回の遊技状態特定手段による特定の際に特別状態で特定が行われることを楽しみにして遊技を行わせることができる。また、第1抽選手段による抽選結果が第2特定状態を示すものであり、第2抽選手段による抽選結果が特別状態を示すものであった場合は、遊技者にとって有利な状態が連続することを遊技者が認識することができるので、遊技者に対して安心感と満足感とを与えることができるという効果がある。
遊技機C1又はC2において、前記遊技状態特定手段は、遊技球が入球可能な入球口と、その入球口へ入球した遊技球が入球することに基づいて、前記特典遊技実行手段による前記特典遊技の実行後に実行される遊技状態を第1遊技状態とすることが特定される第1領域と、前記入球口へ入球した遊技球が入球することに基づいて、前記特典遊技実行手段による前記特典遊技の実行後に実行される遊技状態を第2遊技状態とすることが特定される第2領域とを備え、前記第1抽選および前記第2抽選は、前記入球口へ入球した遊技球の流下方向を可変させることにより遊技球を前記第1領域へ誘導するか第2領域へ誘導するかを決定するものであることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C1又はC2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、入球口へ入球した遊技球が第1領域へ入球することに基づいて、特典遊技実行手段による特典遊技の実行後に実行される遊技状態を第1遊技状態とすることが遊技状態特定手段により特定される。そして、入球口へ入球した遊技球が第2領域へ入球することに基づいて、特典遊技実行手段による得点遊技の実行後に実行される遊技状態を第2遊技状態とすることが遊技状態特定手段により特定される。ここで、入球口へ入球した遊技球の流下方向を可変させることにより遊技球を第1領域へ誘導するか第2領域へ誘導するかが第1抽選および第2抽選により決定される。これにより、遊技者は遊技球の流下方向を確認するだけで第1抽選および第2抽選による抽選の結果を容易に判断することができるという効果がある。
遊技機C3において、前記第2抽選手段は、遊技球を第1領域または第2領域へ振り分けたことに基づいて、特別状態を設定するか否かを抽選するものであること特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第1領域または第2領域へ振り分けたことに基づいて、特別状態を設定するか否かが第2抽選手段により抽選されるので、遊技者が、第2抽選手段により行われる抽選のタイミングを容易に認識することができるという効果がある。
遊技機C4において、前記特別状態である場合に、遊技球が通過可能とされる第1流路と第2流路と、前記特別状態である場合に、遊技球の通過が制限される第3流路と第4流路とを備えており、前記第2抽選手段は、前記第3流路を遊技球が通過した場合に、前記特別状態に設定することを判定し、前記第2流路を遊技球が通過した場合に、前記特別状態を解除することを判定するものであることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特別状態である場合に、遊技球が第1流路や第2流路を通過することが可能になる。そして、特別状態である場合に、遊技球が第3通路や第4通路を通過することが制限される。ここで、第3流路を遊技球が通過した場合に、特別状態に設定することが第2抽選手段により判定される。また、第2流路を遊技球が通過した場合に、特別状態を解除することが第2抽選手段により判定される。これにより、遊技者は、遊技球が第3流路を通過することを確認するだけで、特別状態に設定されたと判別することができるので、遊技球が第3流路を通過することを確認した遊技者に対して、遊技状態特定手段による次回の特定において、特別状態で特定が行われることに対する安心感と満足感を抱かせながら遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機C5において、前記第3流路は、通過した遊技球を第2領域へ入球させるものであり、前記第4流路は、通過した遊技球を第1領域へ入球させるものであることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第3流路を通過した遊技球が第2領域へ入球し、第4流路を通過した遊技球が第1領域へ入球するので、遊技者は、第3流路を通過することを認識することにより、第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態へ移行することと、次に第2抽選手段により行われる抽選が特別状態で行われることとを認識することができる。よって、遊技球が第3流路を通過したことを認識した遊技者に、有利な状態が連続することに対して大きな満足感と安心感とを与えることができるという効果がある。
<特徴D群>(2球以上の遊技球が振分手段へ進入することを抑制)
遊技球が入球可能な入球口と、その入球口へ入球した遊技球が入球可能な第1領域および第2領域と、その第1領域および第2領域のどちらか一方へ前記入球口に入球した遊技球を振り分ける振分手段と、所定条件の成立に基づいて前記入球口へ遊技球が入球することを所定の期間許可する入球許可状態に切り替える切替手段と、前記第1領域へ遊技球が入球したことに基づいて、前記第2領域へ遊技球が入球した場合よりも遊技者に有利な特別遊技状態へと移行させる移行手段とを備えるものであり、前記振分手段は、前記第1領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第1状態と、第2領域へと遊技球が振り分けられ易い第2状態とに可変させることが可能な可変手段とを備え、前記入球口へ入球した一の遊技球が振分手段に到達した場合に、その遊技球の後に前記入球口へ入球した遊技球が振分手段へ到達することを、少なくとも入球許可状態である間制限する制限手段を備えることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、入球口へ入球した遊技球が振分手段により第1領域および第2領域のどちらか一方へ振り分けられ、所定条件の成立に基づいて入球口へ遊技球が入球することが切替手段により所定の期間許可される。そして、第1領域へ遊技球が入球したことに基づいて、移行手段により、第2領域へ遊技球が入球した場合よりも遊技者に有利な特別遊技状態へと遊技状態が移行される。また、可変手段により、振分手段が、第1領域へと遊技球を振り分け可能な状態である第1状態と、第2領域へと遊技球が振り分けられ易い第2状態とに可変される。ここで、入球口へ入球した一の遊技球が振分手段に到達した場合に、その遊技球の後に入球口へ入球した遊技球が振分手段へ到達することが、少なくとも入球許可状態である間は制限手段により制限される。これにより、振分手段による1回の振り分けにおいて2球以上の遊技球が振分手段により第1領域、または第2領域へ振り分けられてしまうことを抑制することができる。よって、1回の振り分けにおいて複数個の遊技球が別々の領域に振り分けられてしまい、遊技機が誤作動を起こしてしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機D1において、抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段を備え、その当否判定手段の判定結果が所定の結果であった場合に、前記制限手段による制限を解除する制限解除手段を備えるものであることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、抽選条件の成立に基づいて、当否判定手段により当否判定が実行される。そして、当否判定手段の当否判定結果が所定の結果であった場合に、制限手段による制限が制限解除手段により解除される。これにより、当否判定手段による判定結果が所定の結果となる毎に、振分手段による振り分けを行わせることができるので、遊技者は、当否判定手段による当否判定の結果と振分手段による振り分けの結果とを別々に確認することができる。よって、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機D1又はD2において、前記制限手段により振分手段へ到達することが制限された遊技球を、遊技領域外へ排出する排出手段を備えることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、制限手段により振分手段への到達を制限された遊技球が排出手段により遊技領域外へと排出されるので、振分手段への到達を制限された遊技球が遊技領域内に留まり、その留まっていた遊技球が次回の振分手段による振り分けの際にそのまま使用されてしまうことを抑制することができる。これにより、振分手段による振り分けが行われる場合は毎回遊技者に対して入球口へ遊技球を打ち出させることができるので、遊技者の好みのタイミングで振分手段による振り分けを行わせることができ、遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機D1〜D3のいずれかにおいて、前記可変手段は、前記振分手段により前記入球口へ入球した遊技球が前記第1領域および前記第2領域のうちどちらか一方へ振り分けられたことに基づいて、前記第1状態と前記第2状態のうちどちらか一方へ可変させるものであることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1〜D3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、入球口へ入球した遊技球が振分手段により第1領域および第2領域のうちどちらか一方へ振り分けられたことに基づいて、可変手段により振分手段が第1状態と第2状態のうちどちらか一方へ可変される。振分手段の状態を切り替えるタイミングが定められていることにより、振分手段が切り替わるタイミングを遊技者が見逃してしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機D4において、前記振分手段に前記遊技球が到達していない状態で前記可変手段により前記第1状態と前記第2状態のうちどちらか一方へ可変されることを抑制する可変抑制手段を備える事を特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、振分手段に遊技球が到達していない状態で可変手段により第1状態と第2状態のうちどちらか一方へ可変されることが可変抑制手段により抑制される。これにより、可変手段により振分手段が可変されるタイミングと異なるタイミングで振分手段が第1状態から第2状態へと切り替わってしまい、遊技者に損害を与えてしまったり、遊技機やホールに対する不信感を抱かせてしまったりすることを抑制することができる。
遊技機A1からA4,B1からB4,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA4,B1からB4,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA4,B1からB4,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて大当たりとなるか否かを抽選し、確率変動状態へと移行するか否かについては大当たり中に別途抽選することにより、大当たりが出球を多く得るための単なる作業となることを抑制し、確率変動状態へ移行することに対する期待感を持って大当たり中の遊技を行わせ、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図っているものがある。
上記した遊技機の中には、確率変動状態の抽選を行う場合にのみ遊技球の進入が可能となる所定領域に遊技球が通過可能な複数のルートが設けられているものがある。この遊技機では、所定領域に設けられた複数のルートのうち、遊技球がいずれのルートに振り分けられたかに応じて、大当たり終了後に確率変動状態となるか否かを決定する。(例えば、特許文献1:特開2003−180999号公報)
しかしながら、かかる遊技機において、今回の大当たり後に確率変動状態へと移行させるか否かを抽選することはできても、次回の大当たり後に確率変動状態へと移行することまでをも確定させることはできなかった。これにより、大当たりの度に、遊技者に対して確率変動状態の抽選に漏れてしまうのではないか、といった不安感を抱かせることとなり、大当たりに当選しても遊技者の気が休まらないという問題点があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、確率変動状態の抽選を行うための複数のルートのうち、遊技球が通過したルートに応じて、次回の確率変動状態の抽選の際に遊技球が通過することのできるルートを変更可能に構成することにより、確率変動状態へと移行するルート以外のルート(低確率状態へと移行するルート)への遊技球の進行が制限されるパターンを設けることが可能な構成とし、大当たりの度に遊技者に対して不安感を与えてしまうことを抑制することができる遊技機を提供することを目的としている。
また、かかる遊技機において、大当たり後に確率変動状態へと移行させるか否かの抽選の際に、確率変動状態へと移行するルート以外のルート(低確率状態へと移行するルート)へ遊技球が進行してしまうと、逆転の余地なく低確率状態へと移行していた。これにより、抽選が味気ないものとなってしまい、遊技者が十分に抽選を楽しむことができない虞があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、確率変動状態へ移行させるか否かの抽選を行う場合に、複数段階の抽選を行うように構成することにより、1の抽選結果が遊技者にとって不利な結果を示すものであったとしても、別の抽選の結果によっては確率変動状態への当選が期待できるようにし、遊技者が抽選を十分に楽しむことができる遊技機を提供することを目的としている。
更に、かかる遊技機において、1回の確率変動状態へ移行させるか否かの抽選で、抽選用の所定領域に2以上の遊技球が入球してしまった場合、1回の抽選で遊技球が複数のルートを通過してしまい、遊技機が誤動作してしまう虞があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技球を用いて確率変動状態へ移行させるか否かの抽選を行う場合に、抽選を行うための所定領域へ2球以上の遊技球が入球してしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的としている。
<その他2>
パチンコ機等の遊技機には、始動入賞口への遊技球の入賞に基づいて大当たりとなるか否かを抽選し、確率変動状態へと移行するか否かについては大当たり中に別途抽選することにより、大当たりが出球を多く得るための単なる作業となることを抑制し、確率変動状態へ移行することに対する期待感を持って大当たり中の遊技を行わせ、遊技者の遊技に対する興趣の向上を図っているものがある。
上記した遊技機の中には、確率変動状態の抽選を行う場合にのみ遊技球の進入が可能となる所定領域に遊技球が通過可能な複数のルートが設けられているものがある。この遊技機では、所定領域に設けられた複数のルートのうち、遊技球がいずれのルートに振り分けられたかに応じて、大当たり終了後に確率変動状態となるか否かを決定する(例えば、特許文献1:特開2003−180999号公報)。
しかしながら、かかる遊技機において、今回の大当たり後に確率変動状態へと移行させるか否かを抽選することはできても、次回の大当たり後に確率変動状態へと移行することまでをも確定させることはできなかった。これにより、大当たりの度に、遊技者に対して確率変動状態の抽選に漏れてしまうのではないか、といった不安感を抱かせることとなり、大当たりに当選しても遊技者の気が休まらないという問題点があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、確率変動状態の抽選を行うための複数のルートのうち、遊技球が通過したルートに応じて、次回の確率変動状態の抽選の際に遊技球が通過することのできるルートを変更可能に構成することにより、確率変動状態へと移行するルート以外のルート(低確率状態へと移行するルート)への遊技球の進行が制限されるパターンを設けることが可能な構成とし、大当たりの度に遊技者に対して不安感を与えてしまうことを抑制することができる遊技機を提供することを目的としている。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示される表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報の演出態様を特定する演出態様特定手段と、所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行された後に、実行される遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらの状態とするかを特定する遊技状態特定手段と、を有した遊技機において、前記遊技状態特定手段を前記第2遊技状態が複数回続けて特定され易い継続状態に設定する継続設定手段と、その継続設定手段により前記継続状態が設定されている場合に、設定されている前記継続状態を終了し、前記遊技状態特定手段により前記第1遊技状態が特定され易い状態である転落状態に設定する転落設定手段と、前記継続設定手段により前記継続状態が設定されているか、前記転落状態設定手段により前記転落状態が設定されているかに基づいて、前記演出態様特定手段により特定される演出態様を変更する演出態様変更手段と、を有している。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後であって、前記特典遊技実行手段による前記特典遊技の実行が終了する前に、前記遊技状態特定手段により特定された状態を示唆する示唆演出を表示するように前記表示手段を制御する示唆表示制御手段を備え、その示唆表示制御手段は、前記遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であることを示唆する表示演出を前記表示手段へ表示させるように制御する場合に、前記継続設定手段により前記継続状態が設定されているか、前記転落状態設定手段により前記転落状態が設定されているかに基づいて、表示させる示唆演出を特定するものである。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記継続設定手段は、前記遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であった場合に前記継続状態を設定するものである。
技術的思想4の遊技機は、技術的思想3記載の遊技機において、前記示唆表示制御手段は、前記示唆演出において、前記継続設定手段により前記継続状態に設定されたことを示唆可能である。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、継続設定手段により遊技状態特定手段が、第2遊技状態とされることを複数回続けて特定され易い継続状態に設定される。そして、遊技状態特定手段が継続状態に設定されている場合は、転落設定手段により継続状態が終了され、第1遊技状態が特定され易い状態である転落状態に設定される。ここで、演出態様変更手段により、継続設定手段により継続状態が設定されているか、転落状態設定手段により転落状態が設定されているかに基づいて、演出態様特定手段により特定される演出態様が変更される。これにより、遊技者は、表示手段に表示される演出態様を確認するだけで、現在が継続状態であるか否かを判別することができるので、演出態様として継続状態を示す態様が表示されることにより、遊技者に対して第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態であることに対する安心感を抱かせることができるという効果がある。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であることを示唆する表示演出を表示手段へ表示させるように制御する場合に、示唆表示制御手段により、所定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後であって、特典遊技実行手段による特典遊技の実行が終了する前に、遊技状態特定手段により特定された状態を示唆する示唆演出を表示するように表示手段が制御されるので、表示手段に対して示唆演出が表示されることにより、遊技者に対して第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態であることに対する安心感を抱かせることができるという効果がある。また、遊技者に対して、特典遊技中に表示手段に示唆演出が表示されることを期待して遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技状態特定手段による特定の結果が第2遊技状態であった場合に、継続設定手段により継続状態が設定されるので、継続状態となる場合は第2遊技状態を経ることとなる。継続状態となってから最初に遊技状態特定手段により特定が行われるまでの間の状態が第1遊技状態となってしまうことを抑制することができるので、遊技者が第1遊技状態が継続されることに耐えきれず、最初に遊技状態特定手段により特定が行われるよりも前に遊技を辞めてしまうことを抑制することができるという効果がある。
技術的思想4記載の遊技機によれば、技術的思想3記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、示唆演出において、継続設定手段により継続状態に設定されたことが示唆表示制御手段により示唆されるので、遊技者は継続状態に設定されたことを容易に認識することができる。よって、継続状態に設定されたことにより、第2遊技状態が複数回続けて特定されやすい状態となったことを認識することができるので、遊技者に対して安心して遊技を行わせることができるという効果がある。