JP6727496B2 - ブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置 - Google Patents

ブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置に関し、特に、ブドウの着色を向上させることができるブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置に関する。
従来、ブドウ果粒の肥大を図ることを目的として、ブドウ樹が栽培される棚面全体若しくはブドウ樹の新梢に向かって、夜間に光を照射することが知られている。
例えば、特許文献1には、ブドウ樹の主幹から分岐する一対の主枝を平行に伸ばし、互いに対向する一対の主枝から相手側の主枝に向かって夫々新梢を伸ばして整枝したブドウ棚の下方であって、一対の主枝の中間位置に光源を配置し、一対の主枝間に伸びる新梢に向かって光を照射するブドウ果房の育成方法が開示されている。
また、同文献には、複数の光源と、これら複数の光源を同一面上で所定間隔毎に配置する帯状の光源ホルダと、この光源ホルダを吊り下げるハンガーと、を備える電照装置が開示されている。同文献の電照装置は、ハンガーのフック部がブドウ棚の支線に引っ掛けられることによって、ブドウ棚から吊り下げられる。
特開2011−193760号公報
ブドウの成熟は、着色期の気象条件の影響を強く受ける。特に、着色期の高温は、果粒の着色不良及び成熟遅延の原因となる。そのため、高温条件になり易い初夏に着色期を迎える作型では、ブドウ果粒の着色不良等による品質低下が栽培上の重大な問題となる。
そこで、高温条件下において、ブドウ果粒の着色を高めてブドウを安定的に成熟させる技術が望まれていた。しかしながら、上記した従来技術は、この課題を解決できるものではなかった。即ち、特許文献1に開示されたブドウ果房の育成方法は、ブドウ果粒を肥大させることを目的としたものであり、ブドウ果粒の着色促進を目的としていない。また、同文献では、着色についての評価もなされていない。このように、従来、光の照射がブドウ果粒の着色に及ぼす影響についての知見は、何ら得られていなかった。
また、特許文献1に開示された電照装置にように、光源ホルダがブドウ棚の支線から吊り下げられる構成では、光源等をブドウの果房に接近して配置することが難しいとういう問題点もある。即ち、吊り下げ式の光源等をブドウの果房に接近させると、風等によって光源ホルダ等若しくはブドウの果房が揺れた際に、光源ホルダ等がブドウの果房に接触する恐れがある。光源ホルダ等がブドウの果房に接触すると、ブドウの果粒が損傷して品質が劣化するので好ましくない。
上記のように、光源等を吊り下げる方式では、光源をブドウの果房に近づけることが難しいので、ブドウの果粒に照射される光の強さ、即ちブドウ果粒近傍における光量子束密度を高めるためには、光源の出力を高める必要があった。
また、高温条件に起因するブドウの品質低下を抑制するために、空気調和機等を用いて栽培環境の低温化を図ることも考えられる。しかしながら、設備費用やエネルギー消費を考慮すると、より簡易な設備でエネルギー消費量の少ない解決手段が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効率的な光照射によってブドウ果粒の着色を促進することができるブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置を提供することにある。
本発明のブドウの栽培方法は、ブドウ樹の結果母枝を水平に整枝し、前記結果母枝から発生する新梢を互いに平行になるように誘引して結果枝とし、前記結果母枝に対して平行に配列される光源を前記結果枝に結実した果房の側方に設け、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期において、夜間に前記光源によって前記果房の横から前記果房に向けて光を照射することを特徴とする
また、本発明のブドウ栽培用照明装置は、所定の横断面形状で延在する長尺物状の光源支持具と、前記光源支持具に設けられて前記光源支持具の延在方向に沿って配列される複数のLED光源と、タイマ手段を有し前記LED光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、前記光源支持具は、ブドウ樹の水平に整枝された結果母枝に対して平行に配設されて、前記LED光源は、前記結果母枝から分岐する互いに平行な結果枝に結実した果房の側方に配置されて前記果房の横から前記果房に向けられ、前記制御装置は、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、前記LED光源を点灯させることを特徴とする。
また、本発明のブドウ栽培用照明装置は、所定の横断面形状で延在する長尺物状の光源支持具と、前記光源支持具に設けられて前記光源支持具の延在方向に沿って配列される複数のLED光源と、前記光源支持具に形成されて前記光源支持具の延在方向に対して垂直に起立する支持片と、ブドウ樹を支持する支持部材に取り付けられて前記支持片を支持する固定具と、タイマ手段を有し前記LED光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、前記光源支持具は、前記ブドウ樹の水平に整枝された結果母枝に対して平行に配設されて前記支持片が前記固定具に対して回動することにより前記光源支持具の延在方向を軸として回動して前記支持部材に対して角度調整自在に固定され、前記LED光源は、前記結果母枝から分岐する互いに平行な結果枝に結実した果房に向けられ、前記制御装置は、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、前記LED光源を点灯させることを特徴とする。
本発明のブドウの栽培方法によれば、ブドウ樹の結果母枝を水平に整枝し、前記結果母枝から発生する新梢を互いに平行になるように誘引して結果枝とし、前記結果母枝に対して平行に配列される光源を設け、前記結果枝に結実した果房の果粒が肥大する果粒肥大期において、夜間に前記光源から前記果房に向けて光を照射する。このように、果粒肥大期の夜間に、ブドウの果房に光を照射することにより、ブドウ果粒の着色が向上する。また、ブドウ果粒の糖度が高められるという効果もある。よって、高温条件下における着色不良等が抑えられ、ブドウの品質を向上させることができる。
また、結果母枝を略水平に整枝して、結果枝を略平行に誘引することにより、結果枝に結実するブドウ果房の位置を略直線状に揃えることができる。そして、光源が結果母枝に対して略平行に配列されることにより、ブドウ果房の配列と光源の配列とを略平行にすることができる。これにより、ブドウの果房に対して効率的に光を照射することができる。
また、本発明のブドウの栽培方法によれば、前記光源は、前記果房の側方に配置されても良い。これにより、ブドウ果房の横から光が照射されることになり、ブドウ果房の表面上で光が照射される面積が増大し、光照射による着色及び成熟促進の効果が高められる。
また、本発明のブドウの栽培方法によれば、前記ブドウ樹の主枝から分岐する複数の前記結果母枝を1つまたは互いに平行な複数の列状に整枝しても良い。このように複数の結果母枝が略列状に整枝されることにより、結果母枝に対して略平行に配列される光源から効率的に光を照射することができる。
また、本発明のブドウの栽培方法によれば、複数の前記ブドウ樹を列状に植え付け、夫々の前記ブドウ樹の前記結果母枝を前記ブドウ樹の植え付け列方向に沿って列状に整枝しても良い。これにより、複数のブドウ樹に結実するブドウの果房が略直線状に配列されるので、略直線状に配列される光源からブドウの果房に対して効率的に光を照射することができる。
また、本発明のブドウ栽培用照明装置によれば、所定の横断面形状で延在する長尺物状の光源支持具と、前記光源支持具に設けられて前記光源支持具の延在方向に沿って配列される複数のLED光源と、タイマ手段を有し前記LED光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、前記光源支持具は、ブドウ樹の水平に整枝された結果母枝に対して平行に配設されて、前記LED光源は、前記結果母枝から分岐する互いに平行な結果枝に結実した果房に向けられ、前記制御装置は、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、前記LED光源を点灯させる。このような構成により、長尺物状の光源支持具に配列される複数のLED光源によって、略直線状に配列されるブドウの果粒に対して効率的に光を照射することができる。そして、果粒肥大期の夜間にブドウの果粒に光が照射されることにより、ブドウ果粒の着色及び成熟が促進される。
また、本発明のブドウ栽培用照明装置によれば、前記光源支持具に形成されて前記光源支持具の延在方向に対して垂直に起立する支持片と、前記ブドウ樹を支持する支持部材に取り付けられて前記支持片を支持する固定具と、を有し、前記光源支持具は、前記支持片が前記固定具に対して回動することにより前記光源支持具の延在方向を軸として回動して前記支持部材に対して角度調整自在に固定されても良い。このように、光源支持具が固定具によって、ブドウ樹を支持する支持部材に固定されることにより、光源支持具の揺れ等が抑えられ、光源支持具とブドウ果房との接触を防止することができる。これにより、光源支持具等がブドウの果房に接触することによるブドウ果房の損傷を抑止できる。
また、上記のように、光源支持具は、ブドウ果房と接触しないように支持部材に対して固定されるので、LED光源をブドウ果房に近づけて設置することが可能となる。これにより、ブドウの果粒に対して効率的に光を照射することができ、ブドウ果粒に照射される光のブドウ果粒近傍における光量子束密度を高めることができる。
また、光源支持具が支持部材に対して角度調整自在に固定されるので、LED光源の光軸を適切な方向に向けることができ、これにより、効率的な光の照射が可能となる。
また、本発明のブドウ栽培用照明装置によれば、夫々に前記LED光源が設けられる複数の前記光源支持具を有し、前記光源支持具の両端部近傍には、前記LED光源に電力を供給する配線が接続される接続端子が夫々設けられ、複数の前記光源支持具は、前記接続端子に接続される前記配線を介して互いに連結されても良い。これにより、所定の長さで略直線状に並ぶLED光源の配列を容易に形成することができる。よって、略直線状に配列するブドウ果房に対して、効果的に光を照射することができる。
また、本発明のブドウ栽培用照明装置によれば、太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルで発電された電力を蓄える蓄電池と、を備え、前記太陽電池パネルで発電されて前記蓄電池に蓄えられた電力によって前記LED光源を点灯させても良い。これにより、太陽電池パネルによって発電された電力を利用して、夜間に、ブドウの果房に光を照射することができる。よって、エネルギー消費を抑えつつ、ブドウ果粒の着色及び成熟促進を図ることができる。
本発明の実施形態に係るブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置の概略を示す図である。 本発明の実施形態に係るブドウの栽培方法を示すブドウ樹の(A)平面図、(B)正面図である。 本発明の実施形態に係るブドウ栽培用照明装置の光源ユニットの(A)斜視図、(B)横断面図、(C)端部近傍をLED光源側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係るブドウ栽培用照明装置の光源ユニットが連結された状態を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るブドウ栽培用照明装置の(A)固定具の斜視図、(B)光源ユニットの設置状態を示す斜視図である。 本発明のブドウの栽培方法に関する試験結果を示す表である。 本発明のブドウの栽培方法に関する試験結果を示す表である。 本発明のブドウの栽培方法に関する試験結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態に係るブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るブドウの栽培方法及びブドウ栽培用照明装置1の概略を示す図である。図1に示すように、ブドウ栽培用照明装置1は、ブドウ樹2のブドウ果房5に向けて光を照射し、ブドウ果房5の果粒の着色を促進させて品質を向上させるものである。
詳細については後述するが、本発明のブドウの栽培方法によれば、ブドウ果房5は、略水平に略直線状に配列される。ブドウ栽培用照明装置1は、ブドウ果房5の配列に略沿って略直線状に延在する光源ユニット10と、光源ユニット10に接続されて光源ユニット10に配設されるLED光源12の点灯を制御する制御装置20と、を有する。
制御装置20は、タイマ手段を有し所定の演算を実行する演算部と、LED光源12に電力を供給してLED光源12を点灯させる電源部と、を有し、予め設定された条件に基づいて所定の演算を実行して、所定のタイミングでLED光源12を点灯させる。
また、ブドウ栽培用照明装置1は、太陽電池パネル21と、太陽電池パネル21で発電された電力を蓄える蓄電池23と、太陽電池パネル21における発電及び蓄電池23の充放電を制御する充放電コントローラ22と、を有する。
充放電コントローラ22は、制御装置20に対して電力供給可能に接続されており、これにより、太陽電池パネル21で発電された電力を利用してLED光源12を点灯させることができる。また、蓄電池23を備えることにより、昼間に太陽電池パネル21によって発電された電力を蓄電池23に蓄え、その電力を利用して、夜間に、ブドウ果房5に光を照射することができる。このような構成により、エネルギー消費を抑えつつ、ブドウ果粒の着色及び成熟促進を図ることができる。
なお、制御装置20若しくは充放電コントローラ22に商用電源から電力を供給する電力線を接続して、太陽電池パネル21によって発電された電力と、商用電源からの電力を併用してLED光源12を点灯させる構成を採用しても良い。また、太陽電池パネル21を備えずに、商標電源から供給される電力のみによってLED光源12を点灯させる構成を採用することも勿論可能である。
また、本実施形態に係るブドウの栽培方法では、ブドウ樹2は、例えば、根域が制限され、根圏の養水分が積極的に制御される根圏制御栽培法によって栽培される。具体的には、排水性を高めるように中央部が盛り上げられた地面上に吸水防止シート36が敷設され、その上に重ねられるように不透根シート37が敷設される。
吸水防止シート36は、例えば、ビニールシート等の合成樹脂製のシートであり、これにより、ブドウ樹2の根とその下の土地とが縁切りされ、ブドウ樹2の根域が狭く制限される。その結果、地面から独立した系として、ブドウ樹2の水分及び養分等の制御、管理が可能となる。
不透根シート37は、例えば、不織布等からなるシートである。吸水防止シート36の上に不透根シート37が敷設されることにより、ブドウ樹2の根で吸水防止シート36が突き破られることが抑制される。また、不透根シート37は、後述する盛土38の下に溜まった水を毛細管現象で速やかに排出させる機能を有する。
不透根シート37の上には、略四角錐台または略円錐台等の盛土38が形成される。盛土38は、所定形状の図示しない型枠内に培土を充填する方法等によって形成される。培土としては、例えば、赤玉土とバーク肥料等の混合物等を用いることができる。
そして、盛土38にブドウ樹2の苗が植え付けられる。ここで、盛土38は、所定の間隔で、略直線状に並ぶように複数形成され、各盛土38に夫々1樹のブドウ樹2が植え付けられる。即ち、複数のブドウ樹2が略列状に植え付けられる。また、ブドウ樹2の植え付け列は、所定の間隔を設けて、略平行に複数形成されても良い。
また、本実施形態に係るブドウの栽培方法では、ブドウ樹2に灌水する図示しない灌水装置が用いられる。図示を省略するが、灌水装置は、灌水制御装置、液肥混入機、流量計及び電磁弁等を有し、所定の時間に、所定の水量及び施肥量で自動灌水を行う。即ち、灌水制御装置は、予め設定されるブドウ樹2の生育ステージに応じた所定の灌水量及び施肥量を昼間の複数回に分割して灌水するよう電磁弁や液肥混入機等を制御する。
なお、ブドウ栽培用照明装置1の制御装置20は、タイマ手段を有するので、制御装置20によって図示しない灌水装置の電磁弁等を操作して自動灌水の制御を行っても良い。即ち、制御装置20を前述の灌水制御装置としても良い。これにより、ブドウ樹2の栽培を制御、管理するため制御装置を共有化して、装置の簡略化を図ると共に、タイマ設定等の操作を容易化することができる。
図2(A)は、本実施形態に係るブドウの栽培方法を示すブドウ樹2の平面図である。図2(B)は、ブドウ樹2の正面図であり、図2(A)に示すA矢視図である。なお、図2ないし図4において、破線矢印は、LED光の照射方向を模式的に示したものである。
図2(A)及び(B)に示すように、ブドウ樹2は、1本主枝の垣根仕立てに整枝され、長梢剪定される。主枝6は、所定の高さ、例えば、約60cmの高さで水平方向に誘引され、そこから略水平且つ略直線状に延在し、所定の長さ、例えば、約1mの長さで先端が切除される。主枝6の延在方向は、複数植え付けられるブドウ樹2の植え付け列方向に略平行となる。
結果母枝7は、主枝6から発生した結果枝を主枝6とは逆方向に誘引することにより、主枝6に対して略平行に、即ち略水平に整枝される。結果母枝7は、1樹の主枝6に複数本、例えば、4〜6本形成され、主枝6の両側に振り分けられ、主枝6の両側で夫々略列状に配置される。即ち、主枝6から分岐する複数の結果母枝7は、互いに略平行な2つの略直線状に整枝される。なお、植え付け初年目のブドウ樹2では、略水平に誘引される主枝6を結果母枝として利用する。
ここで、ブドウ樹2は、図示しない支持部材に固定されて支持される。支持部材は、例えば、鋼管若しくは合成樹脂管等から構成され、地面に対して立設される略逆U字状の支柱部と、支柱部に固定されてブドウ樹2の植え付け列方向に略水平に配設される水平部と、を有する。結果母枝7は、前記支持部材の水平部に支持される。
結果母枝7から発生する新梢は、互いに略平行になるように誘引されて結果枝8となる。図2(B)に示す如く、結果枝8は、正面視で、即ち列方向に見て、略V字状になるよう斜め上方に誘引される。なお、結果枝8は、前記支持部材に張設される支線等に支持される。
上記のように、ブドウ樹2が整枝されることにより、図2(A)及び(B)に示すように、ブドウ果房5は、結果母枝7から略等距離となる位置の結果枝8に結実するので、略水平且つ略直線状に配列される。
そして、ブドウ果房5の側方であって、ブドウ樹2の植え付け列の幅方向の外側には、結果母枝7に対して略平行に配設されて略直線状に延在する光源ユニット10が設けられる。光源ユニット10は、光源ユニット10の延在方向に沿って所定の間隔で配列される複数のLED光源12を有し、LED光源12は、ブドウ果房5に向かって光を照射するよう光源ユニット10のブドウ樹2側の面に配列される。換言すれば、LED光源12の光軸は、ブドウ果房5側に向けられる。
上記のように、結果母枝7を略水平に整枝して、結果枝8を互いに略平行に誘引することにより、結果枝8に結実するブドウ果房5の位置を略直線状に揃えることができる。そして、LED光源12が結果母枝7に対して略平行に配列されることにより、ブドウ果房5の配列とLED光源12の配列とを略平行にすることができる。これにより、ブドウ果房5に対して効率的に光を照射することができる。
このような構成において、制御装置20(図1参照)は、ブドウ果房5の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、LED光源12を点灯させる。これにより、果粒肥大期の夜間にブドウ果房5の果粒にLED光が照射され、ブドウ果粒の着色及び成熟が促進される。
なお、LED光源12は、ブドウ果房5の側方に配置されるので、ブドウ果房5の横からLED光が照射されることになる。これにより、ブドウ果房5の表面上で光が照射される面積が増大し、LED光照射による着色及び成熟促進の効果が高められる。
また、上記のように、ブドウ樹2の主枝6から分岐する複数の結果母枝7が1つまたは互いに平行な複数の略列状に整枝されることにより、結果母枝7に対して略平行に配列されるLED光源12からブドウ果房5に対して効率的に光を照射することができる。
また、複数のブドウ樹2が略列状に植え付けられ、夫々のブドウ樹2の結果母枝7がブドウ樹2の植え付け列方向に沿って略列状に整枝されることにより、複数のブドウ樹2に結実するブドウ果房5が略直線状に配列される。これにより、略直線状に配列されるLED光源12からブドウ果房5に対して効率的に光を照射することができる。
図3(A)は、ブドウ栽培用照明装置1の光源ユニット10の斜視図であり、図3(B)は、光源ユニット10の横断面図、図3(C)は、光源ユニット10の端部近傍をLED光源12側から見た斜視図である。
図3(A)に示すように、光源ユニット10は、略水平に延在する長尺物状の光源支持具13と、図3(C)に示すように、光源支持具13に設けられて光源支持具13の長手方向に沿って延在するLEDモジュール11と、を有する。
LEDモジュール11は、略帯状の形態を成し、その延在方向に沿って所定の間隔で配列されるLED素子であるLED光源12を有する。LED光源12及びそれにつながる配線基板等は、透明の合成樹脂によって覆われて一体的にモールド成形されている。LEDモジュール11が光源支持具13に取り付けられことにより、LED光源12は、光源支持具13の延在方向に沿って所定の間隔で略直線状に配列されることになる。
なお、LEDモジュール11は、1つの光源支持具13に対して複数列、互いに略平行になるよう配設されても良い。複数列のLEDモジュール11が設けられることにより、ブドウ果房5に照射される光を強めることができ、且つブドウ果房5に対して均一的にLED光を照射することができる。
ここで、LED光源12は、例えば、ピーク波長435〜800nmの可視光を照射する光源である。LED光源12として、例えば、ピーク波長435〜480nmの青色LEDや、ピーク波長610〜750nmの赤色LED若しくは遠赤色LEDを利用することができる。
また、LED光源12によって照射されるLED光のブドウ果房5近傍における光量子束密度は、10〜150μmol・m−2・s−1であり、好ましくは、20〜100μmol・m−2・s−1、より好ましくは、30〜90μmol・m−2・s−1である。
光量子束密度が10μmol・m−2・s−1よりも低いと、着色促進効果が安定しない。他方、光量子束密度が150μmol・m−2・s−1よりも高いと、着色促進効果は得られるものの、消費エネルギーが増大し、設備費も増大するので好ましくない。
また、LED光源12によって照射されるLED光のブドウ果房5近傍における光量子束密度は、LED光源12が青色LED若しくは赤色LEDの場合には、80〜90μmol・m−2・s−1でも良く、LED光源12が遠赤色LEDの場合には、10〜30μmol・m−2・s−1でも良い。
また、ブドウ果房5の近傍において所定の光量子束密度が確保されれば、光源ユニット10とブドウ果房5との距離については、特に限定されない。しかしながら、光源ユニット10とブドウ果房5との接触を回避しつつ、LED光源12の出力を抑えて消費電力及び設備費を抑える観点から、光源ユニット10とブドウ果房5との距離は、10〜50cm、好ましくは、10〜30cmが良い。
図3(B)に示すように、光源支持具13は、上下幅方向の両端部近傍が曲折されて横断面略コ字状に形成される板状材であり、例えば、アルミニウム等の金属板をプレス加工することにより形成される。これにより、光源支持具13は、所定の曲げ剛性を有し且つ軽量に形成される。なお、光源支持具13の形状は、この例に限定されるものではなく、例えば、略角管状若しくは略円管状等に形成されても良く、横断面形状が略H字状、略T字状等に形成されても良い。また、光源支持具13は、板金プレス加工の他、例えば、押出成形等によって形成されても良い。
また、図3(A)及び(B)に示すように、光源支持具13には、光源支持具13の幅方向でLEDモジュール11の両側に配列され且つ光源支持具13の延在方向に略列状に配列される複数の貫通孔17が形成される。これにより、光源支持具13の軽量化を図ることができる。
また、図3(A)に示すように、光源支持具13の長手方向の両端部近傍には、光源支持具13の延在方向に対して略垂直に起立する支持片14が形成される。支持片14は、ブドウ樹2(図2参照)を支持するための図示しない支持部材に光源ユニット10を固定するための部分である。支持片14には、後述する締結部品34(図5(B)参照)が挿通される貫通孔である固定孔15が形成される。光源ユニット10の固定方法の詳細については後述する。
また、図3(C)に示すように、光源支持具13の長手方向の両端部近傍には、LED光源12に電力を供給する配線24、25が接続される接続端子16が設けられる。なお、図3(C)では、一方の端部近傍のみを示すが、前述のとおり、接続端子16は、光源支持具13の両端部近傍に設けられる。
接続端子16は、配線24、25の端子26が嵌合可能な略角穴状の形態をなし、LEDモジュール11のLED光源12につながる一対の電極を有する。配線24、25の端子26を接続端子16に差し込むことにより、配線24、25を容易に接続することができる。
図4は、ブドウ栽培用照明装置1の光源ユニット10が連結された状態を示す概略図である。
図4に示すように、夫々にLED光源12が配列される複数の光源ユニット10は、配線24、25を介して連結自在である。例えば、図4において右端に配置される光源ユニット10について説明すれば、光源ユニット10の一方の端部近傍の接続端子16には、制御装置20につながる配線24が接続される。そして、前記光源ユニット10の他方の端部近傍の接続端子16には、他の光源ユニット10、詳しくは図4において左隣に配置される光源ユニット10、につながる配線25が接続される。
また、光源ユニット10は、接続端子16に接続される配線25を介して互いに連結されても良い。例えば、1つの光源ユニット10は、両端部近傍の接続端子16が配線25を介して夫々他の光源ユニット10に接続されても良い。つまり、複数の光源ユニット10を略直列状に連結することができる。この時、連結された各光源ユニット10のLED光源12は、夫々電気的に並列接続されることになる。
このような構成により、所定の長さで略直線状に並ぶLED光源12の配列を容易に形成することができる。よって、略直線状に配列するブドウ果房5に対して、効果的に光を照射することができる。
図5(A)は、ブドウ栽培用照明装置1の固定具30の斜視図であり、図5(B)は、光源ユニット10の設置状態を示す斜視図である。
固定具30は、ブドウ樹2(図2参照)を支持する支持部材35に光源ユニット10を固定するための部材である。図5(A)に示すように、固定具30は、例えば、金属製等の略帯状体から曲折形成され、略円筒状の嵌合部31と、嵌合部31の円周方向の両端部から外側に向かって立ち上げられる一対の固定片32と、を有する。固定片32には、図5(B)に示す締結部品34が挿通される固定孔33が形成されている。
図5(B)を参照して、固定具30の嵌合部31には、支持部材35が挿通される。ここで、支持部材35は、ブドウ樹2を支持する支持部材またはそれら支持部材に固定される部材であり、例えば、鋼管や合成樹脂管等から構成される。
光源ユニット10は、光源支持具13の両端部近傍に立設される支持片14が固定具30の一対の固定片32によって挟まれるように、または一方の固定片32に沿うように配置される。そして、支持片14の固定孔15(図3(A)参照)と、固定具30の固定孔33(図5(A)参照)と、を合致させて、その固定孔15、33に、例えば、ナットと螺合するボルト等の締結部品34が挿通される。締結部品34を締結することによって光源支持具13の支持片14と固定具30の固定片32が固定される。
このように、光源支持具13が固定具30によって、ブドウ樹2を支持する支持部材35に固定されることにより、光源支持具13の揺れ等が抑えられ、光源ユニット10とブドウ果房5とが接触してしまうことが防止される。これにより、光源支持具13等がブドウ果房5に接触することによるブドウ果房5の損傷等を抑止できる。
また、光源ユニット10は、ブドウ果房5と接触しないように支持部材35に対して固定されるので、LED光源12をブドウ果房5に近づけて設置することが可能となる。これにより、ブドウ果房5の果粒に対して効率的に光を照射することができ、ブドウ果粒に照射される光のブドウ果粒近傍における光量子束密度を高めることができる。
また、光源支持具13は、支持片14が固定片32に対して回動することにより光源支持具13の延在方向を軸として回動して支持部材35に対して角度調整自在に固定される。これにより、LED光源12の光軸を適切な方向に向けることができ、効率的なLED光の照射が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下に挙げる実施例によって何ら限定されるものではない。
図6ないし図8は、本発明のブドウの栽培方法の実施例及び比較例についての試験結果を示す表であり、図6は試験例1の結果を、図7は試験例2の結果を、図8は試験例3の結果を示す。
[試験例1]
図6に示すように、試験例1では、LED光の照射時期及び光色を変えた5つの処理区で供試ブドウを栽培し、収穫期にそれらブドウ果粒の品質を比較することにより、照射時期及び光色がブドウ果粒の着色等に及ぼす影響についての評価を行った。
試験例1に示す試験は、栃木県農業試験場の果樹栽培ハウスにおいて行われた。供試ブドウ樹は、品種が「安芸クイーン」であり、自根の8年生樹である。
供試ブドウ樹の栽培方法は、図1及び図2を参照して既に説明した根圏制御栽培法である。具体的には、図1を参照して、地面上に吸水防止シート36としてのビニールシートを敷設し、その上に不透根シート37を敷設し、不透根シート37の上に、盛土38を形成して、苗を植え付けている。盛土38は、赤玉土とバーク肥料を容積比2:1で混合した培土を、1樹当たり60L使用して、高さ約20cmに形成されている。
供試したブドウ樹2の栽培距離は、株間1m、列間2mであり、栽培密度は、10a当たり500本である。ブドウ樹2の仕立ては、図2に示すように、1本主枝の垣根仕立て、長梢剪定であり、結果枝8を列方向に見て略V字状に斜め上方に誘引している。1樹当たりのブドウ果房5の着房数は10房とし、植え付け列の幅方向の両側に5房ずつ配置した。そして、片側のブドウ果房5に対して、植え付け列の幅方向の外側からLED光源12による光を照射した。
ブドウ樹5への灌水は、点滴方式とし、1日20回に分けて、朝5時から30分間隔で行った。1樹当たりの1日の灌水量は、加温開始から水あげまでは8L、水あげから展葉期までは1L、展葉期から開花終までは2L、開花終から着色始までは10L、着色始から収穫期までは8Lとした。なお、着色期以降、曇雨天日には、1日当たりの灌水量を1Lに制限した。
肥料については、1樹当たり、ようりん(溶成リン肥)150g、苦土炭酸カルシウム48g、塩化カリウム67g、微量要素複合肥料(FTE(登録商標))15gを休眠期に土壌混和した。窒素としては、硝酸アンモニウムを毎日の灌水1回に液肥として混入し、その混入量は、1日1樹当たり催芽から開花終までは0.13g、開花終から着色始までは0.27g、着色始から収穫期までは0.13gとした。
図6を参照して、試験例1では、照射時期及び光色を変えてその影響を評価した。具体的には、処理区1、2では果粒肥大期に、処理区3、4では着色期に、夫々LED光を照射した。また、処理区1、3では、ピーク波長約633nmの赤色LED光を、処理区2、4では、ピーク波長約470nmの青色LED光を、夫々照射した。また、処理区5は、比較例としてLED光を照射せずに栽培を行った。
LED光の照射時間、照射位置及び強さは、処理区1〜4共通である。具体的には、LED光の照射時間は、夜間、詳しくは午前2時30分から午前5時30分までの3時間である。照射位置は、ブドウ果房5の側方であり、ブドウ果房5とLED光源12との距離は、10〜15cmである。ブドウ果房5の果粒近傍における光量子束密度は、80〜90μmol・m−2・s−1である。
図6に示す試験結果より、果粒肥大期にLED光を照射した処理区1、2では、無照射の処理区5と比べて、果皮色の指数a*が高くなっている。なお、果皮色は、KONIKA MINOLTA社製の色彩色差計CR-200で計測しており、国際照明委員会(CIE)のLab表色系の明度L*及びクロマネティクス指数a*、b*で表している。前述の指数a*は、赤方向の色相及び彩度を示している。
他方、着色期にLED光を照射した処理区3、4では、無照射の処理区5と比べて、果皮色の指数a*が低くなった。以上より、果粒肥大期にブドウ果房5の果粒にLED光を照射することにより、ブドウ果粒の着色が向上することが分かる。
また、果粒肥大期にLED光を照射した処理区1、2では、無照射の処理区5と比べて、ブドウ果粒の糖度が高くなっている。特に、赤色LED光を照射した処理区1では、糖度が最も高い。よって、果粒肥大期にブドウ果房5にLED光を照射することにより、ブドウ果粒の糖度が高められることが期待され、特に、糖度の向上には、赤色LED光が好適であることが示唆された。
[試験例2]
図7に示すように、試験例2では、LED光の照射時間及び照射位置を変えた7つの処理区で供試ブドウを栽培し、それらブドウ果粒の品質を比較することにより、照射時間及び照射位置がブドウ果粒の着色等に及ぼす影響についての評価を行った。
試験例2では、試験例1と同様の試験場所で行われ、9年生樹の「安芸クイーン」を供試ブドウ樹としている。供試ブドウ樹の栽培方法及び仕立ては、前述の試験例1と同等である。
供試ブドウ樹への灌水管理も試験例1と略同等であるが、1樹当たりの1日の灌水量について、開花終から着色始までを8L、着色始から収穫期までを6Lとした点が試験例1と異なる。
また、施肥管理については、1樹当たり、ようりん75g、苦土炭酸カルシウム48g、塩化カリウム67gを休眠期に土壌混和し、硝酸アンモニウムを試験例1と同等の条件で施用した。
LED光の照射時間について、処理区6〜9では、早朝、詳しくは午前2時00分から午前5時00分までの3時間とし、処理区10、11では、夕方、午後7時00分から午後10時00分までの3時間とした。また、処理区12は、比較例として、LED光を無照射としている。なお、LED光の照射時期は、何れの処理区も果粒肥大期である。
照射されるLED光は、試験例1と同様に、ピーク波長約633nmの赤色LED光である。照射位置は、処理区6、7、10、11については、試験例1と同様に、ブドウ果房5(図2参照)の側面である。
処理区8、9については、比較例として、ブドウ樹2(図2参照)の葉にLED光を照射した。詳しくは、処理区8では、結果枝8(図2参照)の下から第7番目の葉、処理区9では、結果枝8の下から第14番目の葉にLED光を照射した。ブドウ果房5若しくは葉とLED光源12との距離は、試験例1と同様に、10〜15cmであり、ブドウ果房5若しくは葉近傍における光量子束密度は、処理区6、10では、100μmol・m−2・s−1とし、処理区7〜9、11では、10μmol・m−2・s−1とした。
図7に示す試験結果より、ブドウ果房5にLED光を照射した処理区6、7、10、11では、無照射の処理区7と比べて、果皮色の指数a*が高くなっており、LED光の照射による着色の向上が認められる。詳しくは、処理区7、11の結果より、光量子束密度10μmol・m−2・s−1でも着色改善の効果があり、処理区6、10の結果より、光量子束密度100μmol・m−2・s−1の方が着色向上の効果が高いことが分かる。
また、早朝にLED光を照射した処理区7と、夕方にLED光を照射した処理区11を比較すると、処理区11の方が処理区7よりも着色が良く、この結果より、LED光の照射時間は、夕方の方が好ましいことが示唆される。
また、光量子束密度100μmol・m−2・s−1でLED光を照射した処理区6、10では、ブドウ果粒の一粒重も増大しており、果粒肥大効果も認められる。特に、夕方にLED光を照射した処理区10では、果粒肥大効果が大きい。
ブドウ樹2の葉にLED光を照射した処理区8、9の結果を見ると、果皮色の指数a*が僅かに高くなる傾向はあるものの、その値は、ブドウ果房5にLEDを照射した処理区7と比べると低い。よって、ブドウ樹2の葉にLED光を照射するよりも、ブドウ果房5にLED光を照射する方が着色改善の効果が高い。
[試験例3]
試験例3では、遠赤色LED光を照射して、遠赤色LED光の照射がブドウ果粒の着色等に及ぼす影響についての評価を行った。試験例3で照射した遠赤色LED光は、ピーク波長約720nmであり、光量子束密度は、10μmol・m−2・s−1である。その他の試験条件は、試験例2と同様である。
図8に示すように、試験例3では、LED光の照射時間を変えた2つの処理区で供試ブドウを栽培した。即ち、処理区13では早朝に、処理区14では夕方に、LED光を照射した。なお、処理区15は、比較のために、試験例2における無照射の処理区12と同一のデータを再掲したものである。
図8に示す試験結果より、ブドウ果房5(図2参照)に遠赤色LED光を照射した処理区13、14では、無照射の処理区15と比べて、果皮色の指数a*が高くなっている。よって、遠赤色LED光の照射によってブドウ果粒の着色が向上することが認められる。
処理区13、14では、無照射の処理区15と比べると、ブドウ果粒の一粒重も増加しており、遠赤色LED光の照射による果粒肥大効果も認められる。
また、早朝にLED光を照射した処理区13と、夕方にLED光を照射した処理区14を比較すると、夕方に照射した処理区14の方が着色向上効果及び果粒肥大効果が大きい。この結果より、遠赤色LED光の照射時間は、夕方の方が好ましいことが示された。
また、遠赤色LED光の照射した試験例3の処理区13、14と、赤色LED光を照射した試験例2の処理区7、11(図7参照)を比べると、遠赤色LED光を照射した処理区13、14の方が果皮色の指数a*が高く、一粒重も大きい。この結果より、光量子束密度が低い条件において、赤色LED光よりも、遠赤色LED光の方が、着色向上効果及び果粒肥大効果が高いことが分かる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の例では、図2を参照して、光源ユニット10は、ブドウ果房5に対して、ブドウ樹2の植え付け列の幅方向の外側に配設される構成を挙げたが、光源ユニット10は、ブドウ果房5に対して植え付け列の幅方向の内側に配設されても良い。即ち、光源ユニット10は、主枝6側に配設され、植え付け列の幅方向の外側に並ぶブドウ果房5に向かって光を照射するようLED光源12が植え付け列の幅方向の外側に向けられても良い。
また、上記のように、光源ユニット10が主枝6側に配設される場合において、1つの光源支持具13の水平幅方向の両面にLED光源12が配列される構成を採用しても良い。つまり、1つの光源ユニット10から水平幅方向の両側に向かって光を照射し、これにより、植え付け列の幅方向の両側に並ぶブドウ果房5にLED光を当てても良い。このような構成により、光源ユニット10の設置数を削減しつつ、ブドウ果房5に対して効率的に光を照射して、ブドウ果粒の着色促進を図ることができる。
また、以上の説明では、ブドウ樹2を垣根仕立てとした根圏制御栽培法の例を挙げたが、ブドウ樹2の仕立てや基本的な栽培方法はこれに限定されない。例えば、ブドウ樹は、ブドウ棚に仕立てられても良いし、地植え栽培法によって栽培されても良い。ブドウ樹がブドウ棚に仕立てられる場合も、ブドウ樹の結果母枝を水平に整枝し、結果母枝から発生する新梢を互いに平行になるように誘引して結果枝とすることにより、ブドウ果房が略直線状に配列される。そして、結果母枝に対して略平行に配設される長尺物状の光源ユニット10からブドウ果房に向かって効率的にLED光を照射することができる。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
1 ブドウ栽培用照明装置
2 ブドウ樹
5 ブドウ果房
6 主枝
7 結果母枝
8 結果枝
10 光源ユニット
11 LEDモジュール
12 LED光源
13 光源支持具
14 支持片
16 接続端子
20 制御装置
21 太陽電池パネル
22 充放電コントローラ
23 蓄電池
24 配線
25 配線
30 固定具
31 嵌合部
32 固定片
35 支持部材
36 吸水防止シート
37 不透根シート
38 盛土

Claims (8)

  1. ブドウ樹の結果母枝を水平に整枝し、
    前記結果母枝から発生する新梢を互いに平行になるように誘引して結果枝とし、
    前記結果母枝に対して平行に配列される光源を前記結果枝に結実した果房の側方に設け、
    前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期において、夜間に前記光源によって前記果房の横から前記果房に向けて光を照射することを特徴とするブドウの栽培方法。
  2. 前記ブドウ樹の品種が「安芸クイーン」であることを特徴とする請求項1に記載のブドウの栽培方法。
  3. 前記ブドウ樹の主枝から分岐する複数の前記結果母枝を1つまたは互いに平行な複数の列状に整枝することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブドウの栽培方法。
  4. 複数の前記ブドウ樹を列状に植え付け、
    夫々の前記ブドウ樹の前記結果母枝を前記ブドウ樹の植え付け列方向に沿って列状に整枝することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のブドウの栽培方法。
  5. 所定の横断面形状で延在する長尺物状の光源支持具と、
    前記光源支持具に設けられて前記光源支持具の延在方向に沿って配列される複数のLED光源と、
    タイマ手段を有し前記LED光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、
    前記光源支持具は、ブドウ樹の水平に整枝された結果母枝に対して平行に配設されて、前記LED光源は、前記結果母枝から分岐する互いに平行な結果枝に結実した果房の側方に配置されて前記果房の横から前記果房に向けられ、
    前記制御装置は、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、前記LED光源を点灯させることを特徴とするブドウ栽培用照明装置。
  6. 所定の横断面形状で延在する長尺物状の光源支持具と、
    前記光源支持具に設けられて前記光源支持具の延在方向に沿って配列される複数のLED光源と、
    前記光源支持具に形成されて前記光源支持具の延在方向に対して垂直に起立する支持片と、
    ブドウ樹を支持する支持部材に取り付けられて前記支持片を支持する固定具と、
    タイマ手段を有し前記LED光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、
    前記光源支持具は、前記ブドウ樹の水平に整枝された結果母枝に対して平行に配設されて前記支持片が前記固定具に対して回動することにより前記光源支持具の延在方向を軸として回動して前記支持部材に対して角度調整自在に固定され、
    前記LED光源は、前記結果母枝から分岐する互いに平行な結果枝に結実した果房に向けられ、
    前記制御装置は、前記果房の果粒が肥大する果粒肥大期に、夜間の所定の時間、前記LED光源を点灯させることを特徴とするブドウ栽培用照明装置。
  7. 夫々に前記LED光源が設けられる複数の前記光源支持具を有し、
    前記光源支持具の両端部近傍には、前記LED光源に電力を供給する配線が接続される接続端子が夫々設けられ、
    複数の前記光源支持具は、前記接続端子に接続される前記配線を介して互いに連結されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のブドウ栽培用照明装置。
  8. 太陽電池パネルと、
    前記太陽電池パネルで発電された電力を蓄える蓄電池と、を備え、
    前記太陽電池パネルで発電されて前記蓄電池に蓄えられた電力によって前記LED光源が点灯することを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載のブドウ栽培用照明装置。
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