以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影する。
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。図2、図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、光軸方向に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、AF用及びOIS用のレンズ駆動装置1、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うカバー3等を備える。
カバー3は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20(図5参照)のベース23に固定される。なお、カバー3は、導電性を有する材料で形成され、OIS固定部20を介して接地されるようにしてもよい。
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側、すなわちOIS固定部20の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
図4は、レンズ駆動装置1を示す三面図である。図4Aは平面図、図4Bは左側面図、図4Cは正面図である。図5は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。図4、図5に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及びOIS用支持部30等を備える。
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネット部を有し、振れ補正時に、光軸に直交する光軸直交面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用コイル部を有し、OIS用支持部30を介してOIS可動部10を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1におけるOIS用駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS可動部10は、AF用駆動部を含む。OIS可動部10は、光軸方向に直交する面内で移動できるように、OIS固定部20に対して離間して配置される。ここでは、OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置される。
OIS用支持部30は、OIS固定部20とOIS可動部10を連結する。本実施の形態では、OIS用支持部30として、従来のサスペンションワイヤーではなく、エラストマー材料で形成されたリンク部材を採用している(以下「OIS用リンク部材30」と称する)。エラストマーとは、ゴム状の弾性体であり、熱硬化性エラストマー(ゴム)及び熱可塑性エラストマー(弾性を有するプラスチック)を含む。
図4、図5に示すように、OIS用リンク部材30は、上部枠体33、第1の側部支持体31、及び第2の側部支持体32を有する。なお、第1の側部支持体31と第2の側部支持体に共通する構成については、「側部支持体31、32」として説明する。
上部枠体33は、平面視で正方形状の枠体であり、OIS固定部20のベース23と光軸方向に対向して配置される。上部枠体33は、剛性の高い材料で形成される。上部枠体33には、金属材料又は樹脂材料を適用できるが、軽量化の観点から樹脂材料であることが好ましい。特に、上部枠体33には、液晶ポリマー(LCP樹脂)が好適である。上部枠体33を液晶ポリマーで形成することにより、軽量化を図りつつ、OIS可動部10の自重による沈み込みを防止でき、良好なチルト特性を確保することができる。
側部支持体31、32は、エラストマー材料で形成される。これにより、落下等の衝撃によって、側部支持体31、32が破損する危険性は、OIS用支持部としてサスペンションワイヤーを適用した場合に比較して、極めて低くなる。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、レンズ駆動装置1のOIS感度を高めることができる。また、エラストマーの減衰力を利用してOIS用駆動部の一次共振を抑えることができるので、サスペンションワイヤーを適用した場合に行われていたダンパー材を塗布する工程は不要となり、組立作業が容易化されるので、生産性が向上する。
エラストマー材料としては、ばね定数を小さく設計でき、かつ射出成形のできる量産性の高い熱可塑性エラストマー(例えばポリエステル系エラストマー)が好適である。ポリエステル系エラストマーは、耐熱性及び低温特性に優れ、温度が変化しても比較的安定した柔軟性を有する。
側部支持体31、32は、OIS可動部10を支持しうる強度を有する柱状の部材である。上部枠体33の4辺のそれぞれにおいて、第1の側部支持体31又は第2の側部支持体32が2つずつ配置される。なお、側部支持体31、32は、OIS可動部の側面を覆う板状の部材であってもよい。側部支持体31、32は、2つの軸を中心に屈曲することにより、OIS可動部10の光軸直交面内における平行移動を可能とする2軸ヒンジ構造を有する。
具体的には、第1の側部支持体31は、周囲よりも薄肉に形成され、Y方向を軸とする2つのYヒンジ部31a、31bを有する。ここでは、Yヒンジ部31a、31bは、第1の側部支持体31の外面に形成されたヒンジ溝で構成される。
第2の側部支持体32は、第1の側部支持体31と同様の形状を有する。すなわち、第2の側部支持体32は、周囲よりも薄肉に形成され、X方向に延びる2つのXヒンジ部32a、32bを有する。ここでは、Xヒンジ部32a、32bは、第2の側部支持体32の外面に形成されたヒンジ溝で構成される。
第1の側部支持体31及び第2の側部支持体32におけるヒンジ溝の形状は特に制限されないが、R形状を有することが好ましい。これにより、振れ補正時に繰り返し行われる屈曲動作に対する耐久性が向上する。
第1の側部支持体31は、上部枠体33のY方向に沿う2辺のそれぞれの端部に吊設される。第1の側部支持体31の一方の端部は上部枠体33に固定され、他方の端部はOIS可動部10(ここではマグネットホルダー121)に固定される。
第2の側部支持体32は、上部枠体33のX方向に沿う2辺のそれぞれの端部に吊設される。第2の側部支持体32の一方の端部は上部枠体33に固定され、他方の端部はOIS固定部20(ここではコイル基板21)に固定される。
OIS用リンク部材30の上部枠体33は、第2の側部支持体32によってOIS固定部20の光軸方向受光側に架設された状態となる。また、OIS可動部10は、第1の側部支持体31によって上部枠体33に吊設された状態となる。
したがって、OIS可動部10がX方向に移動するときには第2の側部支持体32だけが弾性変形し、第1の側部支持体31は弾性変形しない。一方、OIS可動部10がY方向に移動するときには第1の側部支持体31だけが弾性変形し、第2の側部支持体32は弾性変形しない。すなわち、OIS可動部10は、X方向及びY方向に独立して移動することができる。
このように、OIS用支持部30は、光軸方向においてOIS固定部20と対向して配置される上部枠体33と、X方向(光軸方向に直交する第1の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体33とOIS可動部10を連結する第1の側部支持体31と、Y方向(光軸方向及び第1の方向に直交する第2の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体33とOIS固定部20を連結する第2の側部支持体32と、を有する。第1の側部支持体31は、周囲よりも薄肉に形成されY方向を軸とする2つのYヒンジ部31a、31bを有し、OIS可動部10のX方向への移動に伴い、2つのYヒンジ部31a、31bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(図11参照)。第2の側部支持体32は、周囲よりも薄肉に形成されX方向を軸とする2つのXヒンジ部32a、32bを有し、OIS可動部10のY方向への移動に伴い、2つのXヒンジ部32a、32bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(図12参照)。
OIS用支持部30として、エラストマーの弾性を利用した機械的ヒンジ構造を採用することにより、OIS可動部10を小さな力で移動させることができるので、省電力化を図ることができる。また、OIS可動部10の平行度が確保されるので、チルト特性が向上する。
図6は、OIS可動部10の分解斜視図である。図6に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、及びAF用支持部13等を備える。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、AF用支持部13によってAF固定部12と連結される。
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル部を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用マグネット部を有し、AF用支持部13を介してAF可動部10を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
AF可動部11は、レンズホルダー111及びAF用コイル部112を有する。
レンズホルダー111は、平面視で略正方形状の部材であり、円筒状のレンズ収容部111aにレンズ部2が接着又は螺合により固定される。レンズホルダー111は、X方向に沿う側面にコイル取付部111bを有する。レンズホルダー111は、Y方向に沿う2つの側面に、リンク取付部111cを有する。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの周面に、径方向外側に張り出すフランジ111dを有する。また、レンズホルダー111のY方向に沿う一方の側面には、AF可動部11の光軸方向の位置を検出する位置検出部113(例えばホール素子)が実装されたセンサー基板114が配置される。
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空心コイルであり、レンズホルダー111のコイル取付部111bに巻線される。AF用コイル部112の両端は、センサー基板114に接続される。AF用コイル部112は、長円形状を有し、コイル面が光軸と平行になるように、ここではXZ面がコイル面となるように配置される。AF用コイル部112は、マグネット部122(第1のマグネット122A)に対向する。
AF用支持部13は、AF固定部12に対してAF可動部11を支持する。本実施の形態では、AF用支持部13として、従来の板ばねではなく、OIS用リンク部材30と同様に、エラストマー材料で形成されたリンク部材を採用している(以下「AF用リンク部材13」と称する)。AF用リンク部材13は、レンズホルダー111の側方に配置され、レンズホルダー111を片持ち状態で支持する。
AF用リンク部材30は、マグネットホルダー固定部131及び2つのアーム132を有する。
アーム132は、レンズホルダー収容部111aの周面に沿う湾曲形状を有する。それぞれのアーム132は、上側アーム132A及び下側アーム132Bを有する。上側アーム132Aと下側アーム132Bの基端部(固定端)は、マグネットホルダー固定部131に接続され、間接的にAF固定部12に固定される。上側アーム132Aと下側アーム132Bの先端部(自由端)は、レンズホルダー固定部132Cによって連結される。上側アーム132Aと下側アーム132Bによって、フランジ収容空間が形成される。
上側アーム132A及び下側アーム132Bは、2つの軸を中心に屈曲することにより、AF可動部11の平行移動を可能とする2軸ヒンジ構造を有する。エラストマーの弾性を利用した機械的ヒンジ構造を採用することにより、AF可動部11を小さな力で移動させることができるので、省電力化を図ることができる。
具体的には、上側アーム132A及び下側アーム132Bは、周囲よりも薄肉に形成され、X方向を軸とする2つのヒンジ部132a、132bを有する。ここでは、ヒンジ部132a、132bは、上側アーム132A及び下側アーム132Bの外面に形成されたヒンジ溝で構成される。ヒンジ溝の形状は特に制限されないが、R形状を有することが好ましい。
このように、AF用支持部13は、AF可動部11の側方においてオートフォーカス固定部12に配置されるマグネットホルダー固定部131(側部壁体)と、マグネットホルダー固定部131とAF可動部11を片持ち状態で連結する2つのアーム132と、を有する。アーム132は、それぞれ、周囲よりも薄肉に形成されX方向(光軸方向と直交する方向)を軸とする2つのヒンジ部132a、132bを有し、AF可動部11の光軸方向への移動に伴い、2つのヒンジ部132a、132bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(図13参照)。これにより、オートフォーカス時に繰り返し行われる屈曲動作に対する耐久性が向上する。
図7は、AF用支持部13とAF可動部11の取付状態を示す三面図である。図7Aは平面図、図7Bは左側面図、図7Cは正面図である。図7に示すように、レンズホルダー111は、フランジ部111dがアーム132のフランジ収容空間に位置するように配置され、リンク取付部111dにAF用リンク部材13のレンズホルダー固定部132Cが固定される。
AF用リンク部材13は、レンズホルダー111の側面に近接して配置されるので、レンズ駆動装置1の平面視におけるサイズを抑制できるとともに、AF可動部11を安定した状態で支持することができる。
アーム132は、AF可動部11の光軸方向への移動を規制する規制部として機能する。すなわち、AF可動部11が光軸方向受光側に移動する際、フランジ111dの上面が上側アーム132Aに当接することにより、それ以上の移動が規制される。すなわち、フランジ111dから上側アーム132Aまでの距離が、AF可動部11の光軸方向受光側への移動可能範囲となる。また、AF可動部11が光軸方向結像側に移動する際、フランジ111dの下面が下側アーム132Bに当接することにより、それ以上の移動が規制される。すなわち、フランジ111dから下側アーム132Bまでの距離が、AF可動部11の光軸方向結像側への移動可能範囲となる。
図6に示すように、AF固定部12は、マグネットホルダー121及びマグネット部122を有する。
マグネット部122は、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bを有する。第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bは、両面4極の直方体状の永久磁石(符号略)である。すなわち、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bにおいては、6面すべてにおいて、N極とS極が等分に現れている。第1のマグネット122Aは、AF用コイル部112に対向するように、X方向に沿って配置される。第2のマグネット122BはY方向に沿って配置される。
AF用コイル部112における2つの長辺部分を、Y方向に互いに逆向きの磁界が横切るように、AF用コイル部122及び第1のマグネット122Aの大きさや位置が設定される。これにより、AF用コイル部122に通電が行われたとき、AF用コイル部122の2つの長辺部分には、Z方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。
このように、第1のマグネット122A(AF用マグネット部)は、両面4極の直方体形状を有し、X方向(光軸方向に直交する第1の方向)に沿って配置される。AF用コイル部112は、長円形状を有し、コイル面が第1のマグネット122Aに対向するとともに、2つの長辺部分を第1のマグネット122Aからの磁束が逆向きに交差するように配置される。AF用支持部13は、AF可動部11をAF用コイル部112とは反対側から支持する。
第1のマグネット122AとAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。また、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122BとOIS用コイル部211(図11参照)によって、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。つまり、第1のマグネット122Aは、AF用マグネット部とOIS用マグネット部を兼用する。
第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bは、光軸直交面内におけるOIS可動部10の位置検出に用いられる。また、第2のマグネット122Bは、光軸方向におけるAF可動部11の位置検出に用いられる。
マグネットホルダー121は、AF可動部11を収容可能な空間を有する、平面視で略正方形の四角筒体である。マグネットホルダー121は、X方向に沿う一方の面にマグネット収容部121aを有し、Y方向に沿う一方の面にマグネット収容部121bを有する。マグネット収容部121aに第1のマグネット122Aが配置され、マグネット収容部121bに第2のマグネット122Bが配置される。
マグネットホルダー121は、X方向に沿う他方の面に、AF用リンク固定部121cを有する。AF用リンク固定部121cに、AF用リンク部材13のマグネットホルダー固定部131が固定される。
マグネットホルダー121は、Y方向に沿う2辺のそれぞれの端部(計4箇所)に、OIS用リンク固定部121dを有する。それぞれのOIS用リンク固定部121dに、OIS用リンク部材30の第1の側部支持体31が固定される。
図8は、OIS固定部20の分解斜視図である。図8に示すように、OIS固定部20は、コイル基板21、センサー基板22、及びベース23等を備える。
コイル基板21は、平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口21aを有する。コイル基板21は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部211を有する。OIS用コイル部211は、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bに対応する第1のOISコイル211A及び第2のOISコイル211Bを有する。第1のOISコイル211Aは、長円形状を有し、コイル面が第1のマグネット122Aの光軸方向結像側の面と対向するとともに、2つの長辺部分を第1のマグネット122Aからの磁束が逆向きに交差するように配置される。第2のOISコイル122Bは、長円形状を有し、コイル面が第2のマグネット122Bの光軸方向結像側の面と対向するとともに、2つの長辺部分を第2のマグネット122Bからの磁束が逆向きに交差するように配置される。
それぞれのOISコイル211における2つの長辺部分を、Z方向に互いに逆向きの磁界が横切るように、OIS用コイル部211及びマグネット部122の大きさや位置が設定される。これにより、OIS用コイル部211に通電が行われたとき、OIS用コイル部211の2つの長辺部分には、X方向又はY方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。
センサー基板22は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口22aを有する。センサー基板22は、AF用コイル部112、OIS用コイル部211、及び位置検出部24に給電するための電源ライン(図示略)、並びに位置検出部24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)等を有する。
センサー基板22には、位置検出部24が実装される。位置検出部24は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子である(以下「ホール素子24」と称する)。ホール素子24は、センサー基板22の隣接する2辺において、それぞれの略中央に配置される。主としてマグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子24で検出することにより、光軸直交面内におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、位置検出用磁石をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。
ベース23は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口23aを有する。ベース23は、開口23aの周縁に、起立壁23bを有する。起立壁23bによって、ベース23に対してコイル基板21及びセンサー基板22が位置決めされる。
ここで、第1のOIS用コイル211A及び第2のOIS用コイル211Bは、図9に示すように、長円状の上側コイル層211a(第1のコイル層)と、上側コイル層211aを長手方向に2つに分割した下側コイル層211b(第2のコイル層)からなる2層構造を有する。上側コイル層211aと下側コイル層211bは、例えば1本の巻線で形成され、流れる電流の向きは同じである。なお、上側コイル層211aと下側コイル層211bを異なる巻線で形成してもよい。この場合、流れる電流の向きが同じとなるように配線される。ホール素子24は、下側コイル層211bの分割部分に対応する位置に配置される。「分割部分に対応する位置」とは、分割部分の間はもちろん、分割部分から光軸方向にずれた位置を含む。
図10に示すように、上側コイル層211a及び下側コイル層211bに矢印方向の電流Iが流れると、上側コイル層211aによる磁界B1は、ホール素子24を下から上に横切る。一方、下側コイル層211bによる磁界B2は、ホール素子24を上から下に横切る。したがって、上側コイル層211a及び下側コイル層211bによってホール素子24の周りに形成される磁界は相殺される。
これにより、OIS用コイル部211に通電が行われたときに、OIS用コイル部211で磁束が生じても、ホール素子24に入射する磁束は小さくなるため、ホール素子24に対するOIS用コイル部211による磁界の影響が抑制される。すなわち、電気的な共振が抑制され、さらには150〜200Hzでフィードバック制御を行う場合でも低周波数帯域におけるゲインが向上する。したがって、ホール素子24による検出感度が向上し、OIS用駆動部のセトリングタイムも短くなり、振れ補正の精度も向上する。
また、上側コイル層211aは分割されていないので、OIS用コイル部211の全体を分割構造とする場合に比較して、OIS用コイル部211には大きなローレンツ力が生じる。したがって、振れ補正の感度も向上する。
レンズ駆動装置1において、OIS用コイル部211に通電すると、マグネット部122の磁界とOIS用コイル部211に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル部211にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Z方向)とOIS用コイル部211の長辺部分に流れる電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。
OIS用コイル部211は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。具体的には、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部(例えばジャイロセンサー、図示略)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、振れ補正用コイル部211の通電電流が制御される。このとき、位置検出部24の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
図11Aに示すようにOIS用コイル部211に通電することにより、OIS可動部10にX方向の力が作用すると、図11Bに示すように、OIS用リンク部材30の第1の側部支持体31が屈曲する。すなわち、図11Bに示すように、第1の側部支持体31のYヒンジ部31bより下方に位置する部分は、OIS可動部10(マグネットホルダー121)とともにX方向に移動するが、Yヒンジ部31aより上方に位置する部分は、上部枠体33及び第2の側部支持体32を介して間接的にOIS固定部20に接続されているので、移動しない。したがって、第1の側部支持体31は、Yヒンジ部31a、31bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
一方、図12Aに示すようにOIS用コイル部211に通電することにより、OIS可動部10にY方向の力が作用すると、図11Bに示すように、OIS用リンク部材30の第2の側部支持体32が屈曲する。すなわち、第2の側部支持体32のXヒンジ部32aより上方に位置する部分は、OIS可動部10(マグネットホルダー121)とともにY方向に移動するが、Xヒンジ部32bより下方に位置する部分は、OIS固定部20のベース23に接続されているので、移動しない。したがって、第2の側部支持体32は、Xヒンジ部32a、32bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
また、レンズ駆動装置1において、AF用コイル部112に通電すると、第1のマグネット122Aの磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Y方向)とAF用コイル部112に流れる電流の方向(X方向)に直交する方向(Z方向)である。この力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。合焦位置は、例えば、AF可動部11を移動させながら撮像部(図示略)で取得される複数の画像情報を解析し、コントラスト評価を行うことによって調整される。
なお、ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部11は、AF用リンク部材13によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)で保持される。すなわち、OIS可動部10においては、AF可動部11(レンズホルダー111)が、AF用リンク部材13によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に支持される。ピント合わせを行うときには、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
図13Aに示すようにAF用コイル部112に通電することにより、AF可動部11にZ方向の力が作用すると、図13Bに示すようにAF用リンク部材13のアーム132が屈曲する。すなわち、図13Bに示すように、アーム132のヒンジ部132bより左方に位置する部分は、AF可動部11とともにZ方向に移動するが、ヒンジ部132aより右方に位置する部分は、マグネットホルダー固定部131を介してAF固定部12に接続されているので、移動しない。したがって、アーム132は、ヒンジ部132a、132bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるマグネット部122(振れ補正用マグネット部)と、マグネット部122から離間して配置されるOIS用コイル部211(振れ補正用コイル部)と、OIS用コイル部211を含むOIS固定部20(振れ補正固定部)に対してマグネット部122を含むOIS可動部10(振れ補正可動部)を光軸方向に離間した状態で支持するOIS用支持部30(振れ補正用支持部)とを有し、OIS用コイル部211とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、OIS固定部20に対してOIS可動部10を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備える。OIS可動部10は、レンズ部2の周囲に配置されるAF用コイル部112(オートフォーカス用コイル部)と、AF用コイル部112に対して径方向に離間して配置される第1のマグネット122A(オートフォーカス用マグネット部)と、第1のマグネット122Aを含むAF固定部12(オートフォーカス固定部)に対してAF用コイル部112を含むAF可動部11(オートフォーカス可動部)を支持するAF用支持部13(オートフォーカス用支持部)とを有し、AF用コイル部112と第1のマグネット122Aとで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、AF固定部12に対してAF可動部11を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を含む。OIS用支持部30は、エラストマー材料で形成され、OIS可動部10を光軸に直交する面内で移動可能に支持する2軸ヒンジ構造を有し、AF用支持部13は、エラストマー材料で形成され、AF可動部11を光軸方向に移動可能に2軸ヒンジ構造を有する。
レンズ駆動装置1によれば、落下等の衝撃によって、OIS用支持部30やAF用支持部13が破損する危険性は極めて低くなる。また、従来に比較して構造が簡単であり、部品点数も少ない。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、OIS感度を高めることができ、さらには組立作業を容易化することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、OIS用支持部30及びAF用支持部13は、エラストマー材料で形成され、2軸ヒンジ構造を有していればよく、実施の形態で示した支持構造に限定されない。
また例えば、OIS可動部10の光軸直交面内の位置を検出する位置検出部24は、図14に示すように、コイル基板21に実装してもよい。この場合、第1のOISコイル211A及び第2のOISコイル211Bは、長手方向に分割された構造を有し、分割部分にホール素子が配置され、モールドにより固定される。コイル基板21は、AF用コイル部112、OIS用コイル部211、及び位置検出部24に給電するための電源ライン(図示略)、並びに位置検出部24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)等を有する。
実施の形態のように、センサー基板22に実装されるホール素子24は、パッケージ化されている(いわゆるホールIC)。これに対して、図14に示す例では、コイル基板21に配線パターン及びランドを形成し、ホール素子24をチップとして実装するため、ホールICを実装する場合に比較して、低背化を図ることができる。また、コイル基板21は、積層構造とすることにより、ホール素子24をコイル基板21に容易に埋め込むことができるとともに、複雑な配線パターンを容易に形成することができる。
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
図12は、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図12Aは自動車Vの正面図であり、図12Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図12に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。