JP6701202B2 - 呼び掛け回数を増やしたコヒーレント分光法およびこのような方法を実施するシステム - Google Patents

呼び掛け回数を増やしたコヒーレント分光法およびこのような方法を実施するシステム Download PDF

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Description

本発明は、呼び掛け回数を増やしたコヒーレント分光法およびこのような方法を実施するシステムに関する。本発明は、具体的に原子時計または物質波慣性センサなどの原子干渉計に適用される。
共鳴分光法とも呼ばれている、コヒーレント分光法において、以下にて量子系あるいはQS、例えば、コヒーレント原子または分子集団と呼ぶ二準位系(TLSs)のコヒーレント集団は、例えば、局部発振器(LO)とも呼ばれている外部源によって供給される、外部電磁場(EM場)、例えば、光場またはマイクロ波場によって一定の呼び掛け時間の間にコヒーレントに呼び掛けられる。呼び掛けは、呼び掛け時間中にEM場の位相展開とQSとを比較することにより行われる。例えば、外部EM場とQSとの位相差の投影は二つの準位のポピュレーション不均衡として測定される。
コヒーレント分光法における二準位系の二つの準位は、二つの「内部」状態、例えば、マイクロ波超微細遷移における磁気的低感度レベルに言及、または二つの運動「外部」状態、例えば、線形運動量の違いに言及することもできる。ラビ分光法、ラムゼイ分光法および一般的な核磁気共鳴(NMR)分光法は、コヒーレント分光法の例であり、これらにおける呼び掛けは量子系の二つの内部レベルの重ね合わせ状態で行われる。一方、ブラッグおよびラマン原子分光法は、呼び掛けが量子系の二つの外部レベルの重ね合わせ状態で行われるコヒーレント分光法の例である。
例えば、原子時計(マイクロ波と光学の両方)および物質波慣性センサ(例えば、重力計、グラジオメータ、ジャイロスコープ)など今日の多くの応用例は、コヒーレント分光法を実施している。これらの応用例では、正確な測定および量子系とEM場との相対位相の制御が重要な役割を果たす。
例えば、その構想を図1に示す原子時計では、LO信号の周波数(「LO周波数」)、周波数νのマイクロ波または光信号は、重ね合わせ状態にある原子量子系QSの周波数νegの原子遷移に繰り返し参照される。ここで呼び掛け時間Tの間、LO信号の位相展開を原子量子系QSの位相展開と比較し、LO周波数の適切なフィードバックを適用している(例えば、S. Haroche他、”Atomic clocks for controlling light fields”、Physics Today、66巻、1号、27、2013年参照)。位相の情報を入手するためにレーザSRCと光学検出器DETを用いて原子量子系QSを光学的にプローブし、周波数アクチュエータFQAを用いてLO周波数へフィードバックする制御ユニットMCUで情報を処理する。
呼び掛け中、各原子は重ね合わせ状態にあり、LO信号と原子量子系QSとの間の位相差φの投影は、これを二つのクロックレベルのポピュレーション不均衡(population imbalance)にマッピングすることにより測定される。量子系QSの二準位系TLSsは、最終的にはそれぞれがpgとpeの確率で基底状態または励起状態になり、これらは状態分解検出器によって与えられる統計値を累積することにより測定できる。
ここで
pg= 1 - pe = (1 - cosφ) / 2
φ = 2π(νeg -ν )T
とする。
図2(V. Gerginov他、”Uncertainty evaluation of the caesium fountain clock PTB-CSF2”、Metrologia 47巻、65ページ、2010年より)は、セシウム泉時計の一例における、遷移確率peを周波数離調νeg - νの関数として示している。図2に示すように、νはνegに広がっているため、確率pgとpeは、1/Tを尺度とする間隔の干渉縞を示す。ν = νegでの中央の縞にLO周波数をロックすることにより、原子内電子の規則正しい時間刻みにロックした時間標準を生じる。より狭い縞、従ってより良い周波数分解能を得るためにはTはより長くするべきである。このため、原子泉時計は、原子集団の重心の基準における速度分布がレーザ冷却によって1cm/s程度の幅となるように減らした遅い原子を呼び掛ける。結果として、縦方向に送り出した原子集団には、通常はマイクロ波空洞を使用してコヒーレント操作を加える縦方向に沿った領域における二つの進路の間で、数百msの時間間隔で呼び掛けることができる。図2に示すように、0.5秒の呼び掛け時間Tでは、縞間隔が2Hzとなる。一日にわたる信号を平均化すると、その間隔の10-5より良好な周波数安定化を達成する。結果として生じる、マイクロ波遷移周波数を考慮している時計の不確実性は、10-15であり、大雑把に3000万年に1秒である。宇宙年齢を通しての数秒間という尺度で、100倍小さい不確実性が近年光学時計を用いて達成された。
しかしながら、ポピュレーション不均衡として測定したその投影からはっきりと求めるためには、位相差φを所定の間隔(以下「反転領域」と呼ぶ。)内に維持しなければならない。このような反転間隔は、φのうちの一方の投影のみが測定可能な場合に[-π/2:+π/2]であり、またはφの2つの直交する投影を求めることができる場合には、[-π:+π]である。従って、所定のLO雑音について、反転領域を超えた位相差を防ぐために、TLS遷移の呼び掛け時間Tは、十分短く維持する必要がある。現在、LO雑音は、イオンにおける呼び掛け時間(例えば、C. W. Chou他、”Frequency comparison of two high-accuracy Al+ optical clocks”、Phys. Rev. Lett. 104巻、070802、2010年参照)および光学格子時計(N. Hinkley他、”An atomic clock with 10-18 instability”、Science 341巻、1215ページ、2013年参照)を制限している。
この問題を解決するための標準的な手法は、局部発振器の品質を向上させることを含んでいる(Y. Y. Jiang他、”Making optical clocks more stable with 10-16-level laser stabilization”、Nature Photon、5巻、158ページ、2011年参照)。
代わりに、幾つかの原子集団を用いてLO位相展開を再構築すること(例えば、T. Rosenband他、”Exponential scaling of clock stability with atom number”、arXiv:1303.6357 [quantum-ph]、2013年参照)が近年提案されている。この論文では、多様な呼び掛け時間でN個の原子のM個の集団を組み合わせることで、どのように標準ラムジ時計の周波数分散を減らすことができるかが示されている。しかしながら、個別の原子集団を使用することを必要とし、クロストークを防ぐために各原子集団は別々のチャンバを使用するか、多数の原子の集まりを別々の集団に分ける技術を使用する。いずれの場合も重大な技術的問題となり、また実験をより複雑にしている。
原子量子系の位相に関して局部発振器信号の位相差を減らす方法も、志賀他による”Locking the local oscillator phase to the atomic phase via weak measurements”、New J. Phys. 、14巻、023034、2012年で提案されている。この論文で開示している方法は、同一原子QSに一連の弱測定を用いて呼び掛け時間を増やしており、それぞれが続けて局部発振器の周波数のフィードバックを受けている。このようにして、LO周波数に作用することによりLO信号と原子QSとの間の位相差が制御されており、ただスピンのコヒーレンスの破壊を最小限にしている。しかしながら、この方法では延長した呼び掛け間隔にわたる位相測定の信号対雑音比(SNR)は、中間呼び掛けと最終呼び掛けにおいて採用した弱測定の本質的に低いSNRによって制限されている。
原子時計に関し、物質波慣性センサでは一連の呼び掛けの終わりに位相を読み出している。この位相は、分離した軌道にわたる微分展開とその後の原子QSの外部波動関数と重力加速度または回転のような慣性効果との組み合わせの結果である(例えば、J. M. Hogan他、”Atom Optics and Space Physics”の”Light-pulse atom interferometry”、編集者E. Arimondo他、(アムステルダム:IOS)、411ページ、2009年参照)。
図3に示すように、マッハツェンダ構成における垂直重力計では、時間t=0で各原子を異なる軌道を有する二つの波束に分けており、これらをt=Tで偏向させてt=2Tで再結合させている。これらの操作では、二つの光子遷移を使用し、時空間図にて放射と物質波との相互作用が起きる位置にて各縦矢印対で示す2つの対立する伝搬レーザ光を作用させる。図3にて線31、32で示す各軌道の分離は、これらの遷移に関連した運動量移動に起因する。時間2Tにおける2つの進路の再結合は、各原子を干渉計の出力ポートと呼ばれる2つの分離した進路の一方に投影する。この2つの出力ポートでの原子ポピュレーション比は、次に検出システムで測定する、2つの位相間の差の投影の結果となる。第1位相φatは原子の垂直加速度によって生じ、有効二光子波数ベクトルをk、重力加速度をg、呼び掛け間隔の長さをTとするとkgT2に等しい。例えば、分離に採用した87RbのD2線上の2光子ラマン遷移の場合、この位相は1.5778x106 radに等しい(つまり、k = 1.61x107m-1、T = 100ms、g = 9.8ms-2)。原子時計の場合、2つの内部状態のエネルギー分離のため、この位相寄与は重ね合わせ状態における量子系で取得した位相と同等である。第2位相φLOは、2つの対立する伝搬光線(beam)によって形成した光回折格子の垂直加速度によって与えられる(図3に呼び掛けパルス時の横方向等間隔線G0、G1、G2で示す)。この位相は、2つの対立する伝搬光線の相対位相に作用することによって制御している。例えば、等加速度を生じるためには2つの光線の一方に周波数チャープを与える。垂直格子位相の展開を調整して、重力場における原子展開で求めた位相を補償する。これにより0に近い総干渉相を得る。したがって垂直光回折格子は、局部発振器が原子時計で前提としている役割を有する。原子時計でのLOについて起こることと同様に、垂直光回折格子の安定性が測定の感度を決める。例えば、2つのレーザ成分を供給する2つのコリメータの相対力学的加速度に起因する格子位相の雑音が、実加速度として解釈される信号を決める。一連の測定サイクルにおけるLO位相の系統的なシフトによって決まる縞信号の再構築に基づいて、これらの位相寄与には除去処理が存在する。にもかかわらず、読み出しでの曖昧さを防ぐために雑音誘発位相は[-π/2:π/2]反転領域と比べて小さくなければならない。位相雑音を許容閾値未満に維持するための一般的な手法では、高い縞視認性を有するため、呼び掛け時間Tを制限することを含んでいる。近年、位相を反転させることのできる間隔の範囲は、周知の外部加速度計(S. Merlet他、”Operating an atom interferometer beyond its linear range”、Metrologia、46巻、87ページ、2009年)または第2相関原子干渉計(F. Sorrentino他、”Simultaneous measurement of gravity acceleration and gravity gradient with an atom interferometer”、Appl. Phys. Lett.、101巻、114106ページ、2012年)を使用することで拡張している。これらの解決策は、実験装置一式およびデータ分析アルゴリズムの一層の複雑さを代償として、干渉位相が一意的に求めることのできる領域をわずかに増加するのみである。
本発明の目的は、従来技術の制約を受けないでコヒーレント分光法およびこのようなコヒーレント分光法を実施するシステムを提案することである。より正確には、本発明はLOが量子系に位相ロックして明確な測定間隔を延長し、これにより感度を高めるコヒーレント分光法を提案する。
例えば、原子時計では、このような手法は局部発振器の雑音によって設定される制限を克服することを可能にするが、今日では最高の性能を有する時計の制限要因となっている。本発明は、志賀らの論文に記載されている構想と比べて、先に提案した構想を改善し、各呼び掛けサイクルでより良好な位相測定を実現し、よって時計に組み込んだ場合にはより良好な感度が得られる。またRosenbandらと比べて、有効呼び掛け時間が倍になる度に新たな集団を必要とするのではなく、単一原子集団で同等の性能をもたらす。
原子慣性センサなどの他の原子干渉計では、慣性力が展開する原子位相に対する原子展開の測定に使用する光回折格子の位相をロックすることで、より長い呼び掛け間隔およびより高い感度を可能にする。
第一態様によれば、一つ以上の実施例は、局部発振器(LO)が送信した信号と二準位系(TLSs)の第一コヒーレント集団である主量子系(主QS)が与えた信号との間の延長呼び掛け間隔にわたる総位相差を測定するコヒーレント分光法であって、
各TLSは2つの量子状態の重ね合わせ状態にあり、
連続呼び掛け部分間隔の終わりにLO信号の位相と二準位系の第二コヒーレント集団で
ある二次量子系(二次QS)の位相との間の略位相差に対応する中間エラー信号をコヒーレンス保存測定により読み出すことと、
各呼び掛け部分間隔の終わりにLO信号の位相を既知の修正値だけシフトすることにより、LO信号と二次QSの重ね合わせ状態との間の位相差が反転領域の限界に近づくことを防ぎ、これにより事前安定LOを作ることと、
事前安定LO信号の位相と主QSの重ね合わせ状態の位相との間の最終位相差を正確に測定して主量子系のコヒーレンスの破壊を制限することなく読み出すことと、
全連続呼び掛け部分間隔の合計として規定されている延長呼び掛け間隔にわたる、最終位相差と全適用位相修正の正負を逆にした値との合計として再構築されている、総位相差を再構築することとを含む方法に関する。
上記の方法では標準的なシステム(LO信号)を量子系に位相ロックすることが可能であり、従って計測学において量子粒子の基本振動に直接的なつながりをもたらして感度を向上させる。
一つ以上の実施例によれば、二次QSは、主QS自体であり、中間エラー信号はLO信号の位相と主QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差に対応する。これにより単一原子集団で良好な成果を得ることができる。
一つ以上の実施例によれば、主QSと二次QSは、同一遷移周波を有する2つの別々の量子系であり、中間エラー信号はLO信号の位相と二次QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差に対応する。
一つ以上の実施例によれば、主QSと二次QSは異なる遷移周波数を有する。
後者の各実施例において、主QSと二次QSが2つの別々の量子系の場合、二次QSについて行った中間測定は主QSを乱さないため、初期コヒーレンスは最終測定のために完全に維持される。二集団構想は、中間測定に使用しているコヒーレンス量と正確な最終測定のために取ってあるコヒーレンス量との間に良好なかね合いを探す必要性を無くすこともあり、これはむしろ単位集団構想の場合に当てはまる。
一つ以上の実施例によれば、LO信号の位相シフトは、測定エラー信号が所定値を超えた場合にのみ行うこともできる。これは、簡単な修正手順でより容易に実用的な実施を確定する。
一つ以上の実施例によれば、位相修正値は既定絶対値でもよく、符号は測定した位相ドリフトと逆である。この変形例は、簡単な位相アクチュエータで長期的な位相ドリフトを除去する利点がある。
一つ以上の実施例によれば、位相差をほぼ0にすべく、修正値は測定エラー信号に反比例することもある。この実施例は、各測定の後に最良の位相修正を適用し、そして延長呼び掛け間隔の際に反転領域を越えた位相偏差を有する可能性を最小にする。
第二態様によれば、一つ以上の実施例は、局部発振器(LO)が送信した信号と二準位系(TLSs)の第一コヒーレント集団である主量子系(主QS)が与えた信号との間の延長呼び掛け間隔にわたる総位相差を測定するコヒーレント分光法であって、
各TLSは2つの量子状態の重ね合わせ状態にあり、
連続呼び掛け部分間隔の終わりにLO信号の位相と二準位系の第二コヒーレント集団、二次量子系(二次QS)、の位相との間の略位相差に対応する中間エラー信号コヒーレンス保存測定により読み出すことと、
各呼び掛け部分間隔の終わりに二次QSの位相を既知の修正値だけシフトすることにより、LO信号と二次QSの重ね合わせ状態との位相差が反転領域の限界に近づくことを防ぐことと、
LOの位相と主QSの重ね合わせ状態の位相との間の最終位相差を正確な測定により主量子系のコヒーレンスの破壊に制約を与えることなく読み出すことと、
全連続呼び掛け部分間隔の合計として規定されている延長呼び掛け間隔にわたる、最終位相差と全適用位相修正の正負を逆にした値と合計として再構築されている、総位相差を再構築することとを含む方法に関する。
第二態様の一つ以上の実施例によれば、二次QSは、主QSそのものであり、中間エラー信号はLO信号の位相と主QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差に対応する。
第二態様の一つ以上の実施例によれば、主QSと二次QSは、同一遷移周波を有する2つの別々の量子系であり、中間エラー信号はLO信号の位相と二次QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差に対応する。
第二態様の一つ以上の実施例によれば、主QSと二次QSは異なる遷移周波数を有する。
一つ以上の実施例によれば、第一態様または第二態様のいずれかによる方法の各ステップは、所定回数の連続する呼び掛けサイクルNcだけ繰り返し、平均した総位相差を求め、これにより測定感度のNc 1/2の向上を確定する。
一つ以上の実施例によれば、本明細書による方法は分光計測において実施もでき、その場合、総位相差の合計値は周波数変遷を求めるために直接使用する。
一つ以上の実施例によれば、本明細書による方法は原子時計において実施もできる。その際本方法は、総位相差を延長呼び掛け間隔で割ることにより、延長呼び掛け間隔の終わりにLO信号の周波数を変えることをさらに含む。
一つ以上の実施例によれば、本明細書による方法は物質波慣性センサにおいて実施もできる。その際本方法は、物理的パラメータ(例えば、重力加速度およびその傾き、回転)を総位相差から求めることをさらに含む。
一つ以上の実施例によれば、本明細書による方法は、原子干渉計を基にしたセンサと連続読み出しのできる第2センサを組み合わせたハイブリッド慣性ナビゲーションシステム(例えば、回転測定の場合にはレーザジャイロスコープ)において実施もできる。そして本方法は、延長呼び掛け間隔にわたって測定した総位相差で表す物質波センサの絶対読み出しを用いて、各延長呼び掛け間隔の終わりで連続読み出しのできるセンサの出力を校正することをさらに含む。
さらなる態様によれば、一つ以上の実施例は、上記にようにコヒーレント分光法を実施するためのシステムに関する。
一つ以上の実施例によれば、システムは、二準位系(TLSs)の第一コヒーレント集団である主量子系(主QS)、を含む、
各TLSは二つの量子状態の重ね合わせ状態にあり、局部発振器(LO)は発振器信号(LO信号)を送達して、さらに
呼び掛け部分間隔の後にLO信号の位相と二準位系の第二集団、二次量子系(二次QS)、の位相との間の略位相差に対応する中間エラー信号を読み出すコヒーレンス保存測定プローブと、
LO信号の位相と二次QSの重ね合わせ状態の位相との位相差が反転領域の限界に近づくことを防ぐべく、各呼び掛け部分間隔の終わりにLO信号の位相を既知の修正値だけシフトして、これにより事前安定局部発振器を作る位相アクチュエータ、
事前安定LO信号の位相と主QSの重ね合わせ状態の位相との間の最終位相差を主量子系のコヒーレンスの破壊に制約を与えることなく読み出す精密測定プローブと、
全連続呼び掛け部分間隔の合計として規定されている延長呼び掛け間隔にわたる総位相差を、最終位相差の合計および全適用位相修正の正負を逆にした値として再構築する制御ユニットとを含んでいる。
一つ以上の実施例によれば、二次QSは、主QS自体である。
一つ以上の実施例によれば、二次QSと主QSは同一遷移周波数を有する別々の集団であり、コヒーレント保存測定プローブは、LO信号の位相と二次QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差に対応する中間エラー信号を読み出すことを可能にする。
一つ以上の実施例によれば、二次QSと主QSは異なる遷移周波数を有する別々の集団である。
一つ以上の実施例によれば、本開示に記載の各システムは原子時計として使用することもでき、その場合LOが送信する信号が時計信号であり、本システムは総位相差の関数として、時計信号の周波数を変更するための周波数アクチュエータをさらに含んでいる。
一つ以上の実施例によれば、本開示に記載の各システムは、重力計、グラジオメータ、ジャイロスコープなどの物質波慣性センサとして使用することもでき、その場合、物理的パラメータ(それぞれ、重力加速度、加速度勾配および回転率)は総位相差から求める。
本発明の他の利点および特徴は以下の図面に示す説明を読むことにより明らかになる。図面内において、同一要素は同一符号を付している。
(既に説明している)図1は、従来技術による原子時計の概略的な構想を示す。 (既に説明している)図2は、セシウム泉時計で取得したラムゼイ縞を示す。 (既に説明している)図3は、従来技術による原子慣性センサの概略的な構想を示す。 図4は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施するようになっているシステムの第1実施例の概略的な構想を示す。 図5は、ブロッホ球形式を使用した本明細書の実施例によるコヒーレント分光法を示す。 図6は、本明細書による方法における一連の操作を時間を関数とした一例を通じて示す。 図7は、図5に示すコヒーレント分光法の第1変形例を示す。 図8は、図5に示すコヒーレント分光法の第2変形例を示す。 図9は、図5に示すコヒーレント分光法の第3変形例を示す。 図10Aには、本明細書によるコヒーレント分光法を実施するようになっているシステムの第2実施例の概略的な構想を示す。 図10Bには、本明細書によるコヒーレント分光法を実施するようになっているシステムの第2実施例の概略的な構想を示す。 図11は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する一連の干渉の際の自由落下する原子集団についての時空図を示す。 図12は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する一連の干渉の際の浮揚する原子集団についての時空図を示す。 図13Aから図13Eは、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する原子ジャイロスコープにおける一連の操作を示す。
図4は、本明細書の一つの実施例によるコヒーレント分光法の実施に適したシステムの概略的な構想を示す。
図4に示すシステム100は、量子系(QS)として本明細書にて二準位系(TLSs)と称するコヒーレント集団QSを含んでいる。
以下にて説明するコヒーレント分光法の顕著な例は、原子TLSsを使用するが、ほんの一例として分子TLSs、量子ドットおよびイオンなどの他のシステムを使用することもある。
例えば、図4に示すシステムは、分光計測、つまり原子遷移周波数の測定を達成し、または原子時計として使用するのに適合されていても良い。後者の場合に量子系は、例えば、各原子が、原子遷移周波数νegと時計遷移を定義している2つのエネルギー固有状態で操作される原子集団である。
システム100は、周波数νの発振器信号SLO、また原子時計の場合は時計信号を供給する局部発振器10(”LO”)をさらに含む。発振器信号は、例えば、光場またはマイクロ波場でも良い、電磁場である。発振器信号SLOの周波数νは、原子遷移の周波数νegに近いため、LO雑音が原因で2つの発振器の間の位相差φはゆっくりとドリフトする。
発振器信号SLOは、詳細に説明するQSのコヒーレント操作のために、制御パルス(「呼び掛け電磁場」)の生成に使用もできる。この制御パルスは発振器信号を増幅したあるいは増幅していないバージョンである。
システム100は、発振器信号SLOの位相をシフトする位相アクチュエータ18または位相調整器をさらに含んでいる。マイクロ波領域におけるこのような位相アクチュエータは、マイクロ波伝送線でもよく、その長さはアナログ式にあるいはデジタル式に制御でき、さらに光領域ではこのような位相アクチュエータは電気−光学位相変調器であっても良い。
システム100は、コヒーレンス保存測定(”CPM”)プローブ(16,17)をさらに含んでいる。このプローブは、発振器信号SLOの位相とコヒーレント集団QSの重ね合わせ状態の位相との間の略位相差(φ)に対応するエラー信号を読み出すことを目的としている。コヒーレント集団QSは、量子系QSのコヒーレンスに小さい変化しか無くまたは変化の無い原子集団についてのポピュレーション不均衡にマップされている。CPMを実行するためにはいくつかの方法がある。集団ポピュレーション不均衡を測定するために自由空間放射プローブを使用する場合、自然放出によって誘導されたデコヒーレンスを制限すべく原子共鳴からの大きな離調を採用することもできる。空洞共振器を用いた検出の場合、測定品質は集団的共同性の大きさによって設定され、またプローブと集合との間の共鳴状態(on-resonance)相互作用体制さえも集団の限られたデコヒーレンスでポピュレーション不均衡読み出しを提供できる。位相シフトの測定あるいはレーザ上に起きた偏光回転、または高フィネス共振器における各モードの周波数シフトの測定のように、集団ポピュレーション不均衡のCPMを実施するいくつかの方法を実験的に採用できる。例えば、T. Vanderbruggentらによる”Feedback control of trapped coherent atomic ensembles”、Phys. Rev. Lett.、110巻、210503、2013年には、異なる周波数成分で二準位ポピュレーションを分散的に測定すべくヘテロダインプローブを採用して、フォトダイオード上に光学的拍動でポピュレーション差信号を生成している。クロック遷移に使用する二つの超微細準位(つまり、|F=1, mF=0> → |F=2, mF=0>52S1/2電子状態)の釣り合いの取れたポピュレーションは、ゼロ読み出し信号を決定し、またポピュレーション不均衡から線形的従属を決定する。コヒーレンス保存プローブは、QSに対する影響を最小限に抑えて相対位相を測定する。これは、測定誘導破壊性が低いことを意味し、例えば、自然放出によって与えられているため、QSコヒーレンスの減少はほんの僅かである。結論として、プローブの後もQSの位相は規定されており、位相測定は連続測定との間の時間相関で続くことができる。
システム100はまた、原子状態の破壊について何ら制限されることなくエラー信号を読み出すために精密測定(”PM”)プローブ(14,15)を含んでいる。
システム100はさらに、平均したエラー信号を処理して、位相アクチュエータに、ひいては周波数アクチュエータへ信号を送信する制御ユニット12を含んでいる。
原子時計の場合、延長呼び掛け間隔にわたって測定した総位相差の関数としてクロック信号の周波数を変えるべく、システム100は周波数アクチュエータ20をさらに含むこともできる。
図5は、ブロッホ球形式(ブロッホ球形式は、例えば、F. T. Arecchi他、”Atomic Coherent States in Quantum Optics”、Phys. Rev. A6、2211、1972年に記載されている)を用いた本明細書の実施例によるコヒーレント分光法を示す。図5に示す方法は、例えば、図4に示すシステムを使用して実施することもでき、分光計測値を取得するために、または原子時計としての使用に適合している。
局部発振器LOと量子系QSとの間の位相ロックは、繰り返される53-56ステップの時間相関のあるラムゼイ呼び掛けおよびフィードバックを使用して実現してもよい。
この一連の事象は、光ポンピングを介して量子系QS、例えば、超微細レベル|↓>における同一純粒子状態(コヒーレントスピン状態(CSS)(coherent spin state)と呼ばれる)にあるNat二準位原子の集合状態を準備すること(ステップ51)から始まる。。コヒーレントスピン状態CSSは、ブロッホ形式において長さJ=Nat/2を有するベクトルJによって表す擬スピンを形成する。
LO−原子相対位相の比較は、y軸回りのπ/2マイクロ波パルスがCSSを2つの超微細レベル|↓>および|↑>のバランスの取れた重ね合わせに至らせる時に始まり、これはブロッホ球の赤道面上のベクトルJによって表される(ステップ52)。ここでJzはポピュレーションの差を表し、φ=arcsin(Jy/Jx)はLOの位相と重ね合わせ状態の位相との間の位相差である。
相対位相φは、LO雑音が原因で展開する。結果としてブロッホ球の赤道面上でのベクトルJの回転φとなる(ステップ53)。
呼び掛け部分間隔Tiの後、φの投射がx軸回りの第2のπ/2パルス(投射パルス)によりポピュレーション差上にマップされ、コヒーレンス保存光プローブで読み出される(ステップ54)。縦軸上のブロッホベクトルの投射である投射Jz=Jsin(φ)を測定する。上記にて説明しているように、コヒーレンス保存光プローブは、原子の量子状態を無視できる程度にのみ投射して集団コヒーレンスを保存する。
破壊的測定と異なり、逆π/2パルス(再導入パルス)を使用して一旦投射パルスの作用を反転させるとφの呼び掛けは相関して継続でき、これによりQSを以前のコヒーレント重ね合わせにする(ステップ55)。
各コヒーレンス保存測定および再導入パルスの後に、読み出した位相は使用でき、フィードバックをLOの位相に適用できる(ステップ56)。
LOとQSとの間の位相ロックループは、ステップ53から56を繰り返すことにあり、これはQSが残存コヒーレンスを示すまで可能である。
図6は、本明細書による方法における一連の操作の時間を関数とした一例を通して示す。
図7は、図5に示すようなコヒーレント分光法の第1変形例を図示する。各図には、ブロッホ球の赤道面が描かれている。
この変形例によれば、QSはブロッホ球のx軸に沿った矢印で示す重ね合わせ状態で最初に準備されており(71)、この操作では原子サンプルと局部発振器との位相差を0に初期化する。呼び掛け部分間隔Tiの後に、コヒーレンス保存測定手段を用いてQSとLOとの間の位相差φを測定し(72)、予め設定した大きさ(この例ではπ/4)の位相修正φ(i) FBとφの反対符号を局部発振器の位相または原子集団にマイクロ波パルスを通じて与え(73)、制御ユニットに格納する。この一連の操作の繰り返しにより、反転領域の端部へ向かった位相差φのドリフトを防ぐ。
図8は、図5に示すようなコヒーレント分光法の第2変形例を図示する。ここでも各図には、ブロッホ球の赤道面が描かれている。
QSはここでもブロッホ球のx軸に沿った矢印で示す重ね合わせ状態で最初に準備されている(81)。呼び掛け部分間隔Tiの後に、局部発振器は、QSについての位相差φを累積し(82)、この角度はコヒーレンス保存測定手段を用いて測定して結果はφmeasとなる。この変形例によれば、位相差を測定した角度と等しい角度だけシフトすることにより修正し(83)、これによりスピンは測定の不確実性の範囲内でx軸に沿って向く。この一連の操作は最後の破壊的読み出しまで何回か繰り返し、適用した各位相シフトを制御ユニット内に格納する。
図9は、図5に示すようなコヒーレント分光法の第3変形例を図示する。ここでも各図には、ブロッホ球の赤道面が描かれている。
先と同様に、QSはブロッホ球のx軸に沿った矢印で示す重ね合わせ状態で最初に準備されている(91)。この変形例において、相対位相が既定の角度、この例では、例えばπ/4を超える場合にのみ位相シフトを与えることにより位相差φのドリフトを防ぐ(92)。修正位相は、例えば、同じ既定の角度と等しく、ベクトルがほぼ初期構成となるように方向を選択する(93)。
連続位相ロックにおける修正位相の適用についての上述の全ての変形例において、延長呼び掛け時間にわたる総位相差について高精度の測定を維持しながら最終測定SNRを最大化するためにいくつかの影響を有利に考慮すべきである。詳細には、以下のパラメータを最小にしなければならない:ブロッホ球のコヒーレント処理を操作してQSを呼び掛けるために必要な時間間隔;中間位相評価のための測定導入デコヒーレンス;位相修正に使用する位相シフタの不正確さ。
図10Aおよび10Bには、2つの原子集団が同じLOを使用する、本明細書の別の実施例によるコヒーレント分光法を実施するシステムの概略的な構想を示す。
二次量子系(QS2)は、LOで位相フィードバックアルゴリズムを実施するために情報を提供する。結果として得られるLOの修正位相は反転領域に残り、この事前安定LOは一連の標準ラムゼイ事象で主量子系(QS1)を呼び掛けるために使用される。この仕組みでは、中間測定値の数と最終測定値のSNRの2つの問題を分けることによりこれらの一方を犠牲にする必要性が無くなる。
図10Aに示すシステムでは、主量子系と二次量子系とは同一遷移周波数νegを有する。局部発振器10の周波数νでの呼び掛け電磁場を主量子系QS1と二次量子系QS2との両方を呼び掛けるために使用することもできる。
図10Bに示すようなシステムでは、主量子系と二次量子系とは異なる遷移周波数νeg1とνeg2とを有する異なる種類の集団を含んでいる。図10Bに示すように、周波数νでのLO信号にロックされた周波数ν’位相での呼び掛け電磁場を二次量子系QS2の呼び掛けに使用することもでき、一方でLO信号の周波数νでの呼び掛け電磁場を主量子系QS1の呼び掛けに使用できる。2つの周波数信号νとν’との間での位相ロック状態のおかげで、LO信号の位相と二次量子系QS2の周波数との位相差は、周波数ν’での信号を用いて実施したQS2についての呼び掛けから取得することもできる。
図4から図10を参照して説明した方法は、局部発振器と二次量子系との位相差が反転領域の限界に近づくことを防ぐために、各呼び掛け部分間隔Tiの終わりで局部発振器信号の位相を既知の修正値だけシフトするステップを含んでいる。また一方で、LO信号とQSの重ね合わせ状態との位相差が反転領域の限界に近づくことを防ぐために、各呼び掛け部分間隔の終わりで量子系の位相を上述の既知の相関値だけシフトさせることにより記載の全実施例において同様の効果が適用される。このような方法は、上記にて説明した同一遷移周波数または2つの異なる周波数を有する2つの別々の量子系について実施する場合に、直接主QSの位相をシフトすることまたは二次QSの位相をシフトすることを含むことができることに注意されたい。
図11は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する一連の干渉で自由落下する集団に呼び掛ける、原子重力計についての時空図を示す。
一連の事象は、第1の部分において図3に示すような標準マッハツェンダ構成をたどる。t=0におけるπ/2レーザパルスは、2光子遷移と関連した運動量移行に起因して異なる2つの軌道にわたる原子波動関数を分割することにより重ね合わせ状態を作成する。原子時計では、このステップは図5における52と同等であり、分割は内部状態について起きる。t=Tにおいて、πレーザパルスは2つの軌道を収束させるようにこれらを偏向させる。図5の52に関連した運動量の分離は無視できるため、この作用と同等のものは原子時計にない。一旦波動関数の2つの部分がt=2Tで重なると、2つの干渉計進路間の相対位相を、コヒーレンス保存測定(CPM)を用いてプローブする。このステップは、例えば、干渉計位相をポピュレーション不均衡にマップするための一連の投射π/2パルス、Jzの非破壊測定、量子系をブロッホ球の赤道面に戻すための再導入π/2パルス(図5のステップ54および55)で実施できる。CPMを実現するための別の手法は、コントラスト干渉計手法の非破壊バージョンを用いて干渉計位相を測定すること(例えば、S. Gupta他、”Contrast Interferometry using Bose-Einstein Condensates to Measure h/m and α”、Phys. Rev. Lett. 89巻、140401、2002年参照)を含んでいる。CPMに続いて、例えば、原子軌道の操作に使用する光格子の位相上に、作用することにより、反転領域内の読み出し位相を維持すべくフィードバックを適用する(図5のステップ56)。2つの原子進路は再び分かれてt=3Tでπレーザパルスを使用して再度向きを変えて、π/2パルスが原子集団を投射するとt =4Tで二度目の重ね合わせが起き、これにより相対位相情報がポピュレーション不均衡上にマップされて後に正確な測定が読み出される。1回ではなくN回の中間コヒーレント保存測定を実施するために、これに応じてN倍長い呼び掛け時間だけ、この一連の事象を簡単に延長することができる。このため干渉計の範囲、従って感度がNとともに線形で向上する。
図12は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する一連の干渉の際に集団を浮揚させる、原子重力計の時空図を示す。
重力加速度に対して波動関数を浮揚させる(K. J. Hughes 他、”Suspension of Atoms Using Optical Pulses, and Application to Gravimetry”、Phys. Rev. Lett. 102巻、150403、2009年参照)ために設定されているπ/2およびπレーザパルスのタイミングを除いて一連の操作は図11について説明しているものと類似している。CPMは2つの原子軌道が重なるたびに、つまりt=2Tの倍数時ごとに行うことができる。この図において、一つの中間CPMを示すが、N回連続するCPMsを実施するようにこの一連の事象を延長することができる。延長した呼び掛け時間および器具の感度はNとともに線形に増加する。
図13は、本明細書によるコヒーレント分光法を実施する捕捉原子ジャイロスコープにおける一連の操作を示す。そこで物質波が伝搬する原子ガイドは太い円で表している。時間t=0において、π/2レーザパルスを使用して原子波動関数を分割する(図13A)。重ね合わせ状態にある2つの波束がガイドに沿って反対速度で移動し(図13B)、時間Tの倍数時に半円展開ごとに定期的に重なる。2つの進路が重なると、2つの軌道上に累積した相対位相はCPMを用いて測定し、反転領域内の読み出しを維持すべくフィードバックの適用のために修正できる(図13C)。後者の操作は、例えば、原子軌道の操作に使用する光格子の位相を変更することにより実施できる。2つの波束は、軌道が原子ガイド内で展開を続けた(図13D)後に再び重なり(図13E)、正確なプローブを使用して最終位相測定を行う。次に延長呼び掛け間隔にわたる総位相シフトを、最後の正確な測定値および中間位相修正の反対を加えることにより再構築する。ここで単一中間CPMを実施するこの一連の事象で簡単にN回の中間CPMに延長でき、これにはN倍長い呼び掛け時間とN倍高い感度が伴う。
上述の方法は、特定数の詳細で例示的な実施例を通じて説明しているが、測定値が量子系のコヒーレント展開に依存し、このような展開によって求められた位相はその幾何学的な投射をポピュレーション不均衡として測定することにより得られるあらゆる検出システムで実施もできる。
上述の方法およびシステムは当業者に明らかに明確となる異なる変形例、変更および改善を含み、これらの異なる変形例、変更および改善は、以下の請求項に定義するように本発明の範囲の一部を形成することを理解されたい。

Claims (15)

  1. 前記主および前記二次量子系は、同一あるいは異なる遷移周波数を有する2つの別々の量子系であり、前記中間エラー信号は前記発振器信号の前記位相と前記二次量子系の前記重ね合わせ状態の位相との間の前記略位相差(φ)に対応する、請求項1に記載のコヒーレント分光法。
  2. 前記二次量子系は、前記主量子系自体であり、前記中間エラー信号は前記発振器信号の前記位相と前記主量子系の前記重ね合わせ状態の前記位相との間の前記略位相差(φ)に対応する、請求項1に記載のコヒーレント分光法。
  3. 前記局部発振器信号の前記位相をシフトすることは、前記測定エラー信号が反転領域内の前記所定値を超えた場合にのみ行う、請求項1から3のいずれかに記載のコヒーレント分光法。
  4. 前記修正値は既定絶対値であり、その符号は前記測定相対位相の符号と逆である、請求項1から4のいずれかに記載のコヒーレント分光法。
  5. 前記位相差をほぼ0にすべく、前記修正値は前記測定エラー信号に反比例する、請求項1から4のいずれかに記載のコヒーレント分光法。
  6. 前記総位相差を前記延長呼び掛け間隔で割ることにより、前記延長呼び掛け間隔の終わりに前記局部発振器信号の前記周波数を変えることをさらに含む、原子時計に実施する請求項1から7のいずれかに記載のコヒーレント分光法。
  7. 前記延長呼び掛け間隔にわたって測定した前記総位相差から加速度、加速度勾配または回転などの物理量を求めるために使用する物質波慣性センサにおいて実施する、請求項1から7のいずれかに記載のコヒーレント分光法。
  8. 原子干渉計を基にしたセンサと連続読み出しをする第2センサを組み合わせたハイブリッド慣性ナビゲーションシステムにおいて実施する、請求項1から7のいずれかに記載のコヒーレント分光法であって、
    前記延長呼び掛け間隔にわたって測定した前記総位相差で表す前記物質波センサの前記絶対読み出しを用いて、各前記延長呼び掛け間隔の終わりで連続読み出しする前記センサの前記出力を校正することをさらに含む、方法。
  9. 前記主量子系と前記二次量子系は同一または異なる遷移周波数を有する2つの別々の量子系であり、
    前記中間エラー信号は前記発振器信号の前記位相と前記二次量子系の前記重ね合わせ状態の前記位相との間の前記略位相差(φ)に対応する、請求項11に記載のコヒーレント分光法を実施するシステム。
  10. 前記局部発振器が送信する前記信号が前記時計信号であり、
    前記総位相差の関数として、前記時計信号の周波数を変更する周波数アクチュエータをさらに含む、請求項11または12に記載のコヒーレント分光法を実施するシステムを含んでいる原子時計。
  11. 前記延長呼び掛け間隔にわたって測定した前記総位相差から加速度、加速度勾配または回転などの物理量を求めるべく使用する、請求項11または12に記載のコヒーレント分光法を実施するシステムを含んだ物質波慣性センサ。
  12. 連続読み出しをする第2センサと組み合わせた、請求項11または12に記載のコヒーレント分光法を実施するシステムを含んだハイブリッド慣性ナビゲーションシステム。
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