JP6692089B2 - 抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソーム - Google Patents

抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソーム Download PDF

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Description

本発明は、抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームに関する。
血液に含まれる低比重リポタンパク質(LDL)が酸化を受けて酸化LDLに変化すると、冠動脈疾患の進展につながることが知られている。このため、LDLなどの脂質の酸化を抑制することが健康維持のために重要であると考えられ、昨今、抗酸化能を有する素材、機能性食品などの利用に関心が高まってきている。
LDLなど脂質に対して抗酸化能を有する物質の探索方法として、いくつか提案がされてきた。
非特許文献1には、抗酸化物質の抗酸化能を評価する方法であるORAC法及びDPPP法が記載されている。また、非特許文献2、3では、レシチンなどから抽出した脂質を用いてリポソームを作製することにより、脂質に対する抗酸化能を評価する方法が報告されている。また、非特許文献4では、LDLの酸化状態をCNT電極により評価する方法が報告されている。
木村英生ら、山梨県工業技術センター研究報告No.25(2011)p64−67 Food Chemistry,Vol.60,No.2,pp. 165−175,1997 J.Agric.Food Chem.2014,62,6726−6735 Sensors and Actuators B 166−167(2012)833−836
しかしながら、非特許文献1に記載のORAC法及びDPPP法による抗酸化能の測定値は、同じ抗酸化物質を用いて実際のLDLなどの脂質に対する抗酸化能を測定した場合の値と相関しないことが示されている(IEEE SENSORS JOURNAL,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 2014,532−537)。また、非特許文献2、3に記載の方法では、原料ロットにより脂質の酸化状態が異なり、また、LDLに対する抗酸化能との相関も得られていない。また、非特許文献4に記載の方法では、ヒト由来の試料であるLDLを用いるため、保存性、廃棄など汎用性の点で課題を残していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る抗酸化能測定用リポソームは、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
(式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
(式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
ことを特徴とする。
例えば、R、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。
例えば、R及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。
本発明の第2の観点に係る抗酸化能測定方法は、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
(式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
(式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれるリポソームに、対象物質を接触させ、および前記リポソームを酸化させる工程と、
前記リポソームの酸化の度合を測定する工程と、
を含む。
例えば、R、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。
例えば、R及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。
本発明の第3の観点に係るリポソームは、
一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
(式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
(式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
ことを特徴とする。
例えば、R、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。
例えば、R及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。
本発明によれば、簡便かつ高精度に抗酸化能を測定することのできる抗酸化能測定用リポソーム、抗酸化能測定方法及びリポソームを提供することができる。
飽和脂肪酸の含有濃度がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。 不飽和脂肪酸の長さ及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。 飽和脂肪酸の長さがリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。 飽和脂肪酸の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響を示したグラフ図である。 様々な抗酸化剤のLDL又はリポソームに対する抗酸化能を示したグラフ図である。 リポソームの保存性について示したグラフ図である。 異なる作製方法によって作製されたリポソームについて酸化の度合を示したグラフ図である。
まず、本実施形態に係るリポソームについて詳細に説明する。
本実施形態に係るリポソームは、ジアシルホスファチジルコリン(以下「α成分」という)と、ジアシルホスファチジルエタノールアミン(以下「β成分」という)と、を構成成分として含む。
本実施形態に係るリポソームに含まれるα成分は、下記一般式1で示される。下記の通り、α成分は、極性基としてフォスファチジルコリン基を有する。なお、本願明細書において、α成分(ジアシルホスファチジルコリン)を単に「不飽和脂肪酸」と称する場合がある。
上記式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表す。R、Rは、好ましくは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である。R、Rとして、例えば、9−ヘキサデセノイル、9−オクタデセノイル、11−エイコセノイル、13−ドコセノイル、15−テトラコセノイル、9,12−オクタデカジエノイル(リノール酸)、11,14−エイコサジエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル(α―リノレン酸)、6,9,12−オクタデカトリエノイル(γ―リノレン酸)、エイコサトリエノイル、4,8,12,16−エイコサテトラエノイル、5,8,11,1−エイコサテトラエノイル(アラキドン酸)等の直鎖状又は分枝状の不飽和脂肪酸由来のものが挙げられる。特に、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸が好ましく、さらにアラキドン酸が好ましい。なお、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい。
本実施形態に係るリポソームに含まれるβ成分は、下記一般式2で示される。下記の通り、β成分は、極性基としてエタノールアミン基を有する。なお、本願明細書において、β成分(ジアシルホスファチジルエタノールアミン)を単に「飽和脂肪酸」と称する場合がある。
上記式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表す。R及びRは、好ましくは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である。R及びRとして、例えば、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル(ミリスチン酸)、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル(パルミチン酸)、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル(ステアリン酸)等の直鎖もしくは分枝状の飽和脂肪酸由来ものが挙げられる。特に、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましい。なお、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい。
本実施形態に係るリポソームに含まれるα成分とβ成分との組み合わせの好適例は、以下の通りである。
・α成分のR及びR:アラキドン酸、β成分のR及びR:ミリスチン酸
・α成分のR及びR:アラキドン酸、β成分のR及びR:パルミチン酸
・α成分のR及びR:アラキドン酸、β成分のR及びR:ステアリン酸
・α成分のR及びR:α−リノレン酸、β成分のR及びR:ミリスチン酸
・α成分のR及びR:α−リノレン酸、β成分のR及びR:パルミチン酸
・α成分のR及びR:α−リノレン酸、β成分のR及びR:ステアリン酸
・α成分のR及びR:リノール酸、β成分のR及びR:ミリスチン酸
・α成分のR及びR:リノール酸、β成分のR及びR:パルミチン酸
・α成分のR及びR:リノール酸、β成分のR及びR:ステアリン酸
なお、R及びRがアラキドン酸の場合、α成分は、DAPC(20−4)(ジアラキドニルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。
また、R及びRがα−リノレン酸の場合、α成分は、DLNPC(18−3)(ジリノレノイルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。
また、R及びRがリノール酸の場合、α成分は、DLPC(18−2)(ジラウロイルホスファチジルコリン)であり、下記式で表される。
また、R及びRがミリスチン酸の場合、β成分は、DMPE(14−0)(ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。
また、R及びRがパルミチン酸の場合、β成分は、DPPE(16−0)(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。
また、R及びRがステアリン酸の場合、β成分は、DSPE(18−0)(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)であり、下記式で表される。
本実施形態に係るリポソームには、α成分とβ成分とが重量比75〜95:25〜5で含まれる。α成分:β成分の重量比は、例えば、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5等である。
本実施形態に係るリポソームは、前述のα成分及びβ成分が上記の重量比で含まれ、かつ所望の効果を発揮する限り、前述のα成分及びβ成分に加えて、他のジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン等を含んでもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、他の成分として、例えば、膜安定化剤としてコレステロール、コレスタノール等のステロール類を、荷電物質としてジアルキルホスフェート、ジアシルホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ステアリルアミン等を含んでいてもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、他の成分として、ビオチンを結合させたリン脂質、蛍光物質を結合させたリン脂質、ローダミン(脂溶性色素、酸化されることで退色するため抗酸化能の評価が可能である)等を含んでいてもよい。また、本実施形態に係るリポソームは、対象物質(被検物質)の抗酸化能を測定するために用いられるので、酸化防止剤を含まないことが好ましい。
本実施形態に係るリポソームは、エクストルーダー(市販品)を用いて作製してもよく、公知の超音波照射による方法や、高速攪拌法等を用いて作製してもよい。本発明の効果を奏する限り、任意の方法で作製され得る。また、本実施形態に係るリポソームの粒径は、例えば、30〜200nm程度である。
本実施形態に係るリポソームの作製方法について例示する。以下、α成分としてDAPC、β成分としてDMPEを、重量比DAPC:DMPE=75:25で含むリポソームの作製方法について例示する。DAPC(α成分)(10mg/mL)320μL、DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、本実施形態に係るリポソームを作製する。リポソーム溶液のフィルター膜の通過回数は12回とする。
本実施形態に係るリポソームの他の作製方法について例示する。α成分及びβ成分からなるリポソームと、β成分からなるリポソームと、を混合することでリポソームを作製してもよい。以下、α成分としてDAPC、β成分としてDMPEを含むリポソームの作製方法について例示する。まず、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、DMPE(β成分)(10mg/mL)3.6μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、リポソーム溶液を作製する。次に、DMPE(β成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させる。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、60℃で超音波処理によりDMPEリポソーム溶液(脂質懸濁液)を作製する。最後に、前述の通り作製したリポソーム溶液80μLに緩衝溶液55μL、DMPEリポソーム溶液25μLを混合して、本実施形態に係るリポソームを作製する。
また、本実施形態に係るリポソームは、α成分のみからなるリポソームと、β成分のみからなるリポソームと、を混合することによっても作製され得る。
本実施形態に係るリポソームは、公知のリポソームの保存方法で保存され得、例えば、脱気及びアルゴン置換後4℃で保存することができる。なお、光酸化を抑制するために、遮光保存することが望ましい。
次に、本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームについて説明する。
本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームは、対象物質(脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質)の抗酸化能を測定するために用いられるものである。前述の“脂質酸化抑制剤の抗酸化能を測定する”とは、脂質酸化抑制剤がどの程度の抗酸化能を有するのかについて評価することを表し、前述の“脂質酸化抑制剤の候補物質の抗酸化能を測定する”とは、脂質酸化抑制効果を有することが予想される「脂質酸化抑制剤の候補物質」が抗酸化能を有するか否かを評価すること及び「脂質酸化抑制剤の候補物質」がどの程度の抗酸化能を有するのかについて評価することを表す。この場合、脂質酸化抑制剤は、好ましくは、低比重リポタンパク質(LDL)の酸化抑制剤である。本明細書において「抗酸化能」は、(リポソームの酸化とともに過酸化脂質が生成するが)リポソームの酸化に伴う過酸化脂質の生成が、対象物質(脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質)によってどの程度抑制されるかを表す。過酸化脂質の生成を抑制する程度が高いほど、対象物質の抗酸化能は高くなる。なお、本実施形態に係る抗酸化能測定用リポソームとして、前述のリポソームが使用される。
前述のリポソームを用いた抗酸化能測定の具体的方法については、後述する。
次に、本実施形態に係る抗酸化能測定方法について説明する。
次に、本実施形態に係る対象物質の抗酸化能測定方法について説明する。
本実施形態に係る対象物質の抗酸化能測定方法は、
(a)前述のリポソームに、対象物質を接触させ、およびリポソームを酸化させる工程と、
(b)リポソームの酸化の度合を測定する工程と、
を含む。
上記工程(a)において、対象物質は、前述の通り、脂質酸化抑制剤又は脂質酸化抑制剤の候補物質であり、例えば、低比重リポタンパク質(LDL)に対して酸化抑制効果を有する物質又はLDLに対して酸化抑制効果を有することが予想される物質であってもよい。対象物質は、例えば、化合物、タンパク質、ペプチド、これらの混合物等である。
上記工程(a)における「接触」とは、前述のリポソームに、対象物質が抗酸化能を有しているならば該対象物質が抗酸化能を発揮できるように、該対象物質を近接させることを意味し、例えば、リポソームを含む溶液に該対象物質を添加すること等によってなされ得る。
上記工程(b)において、リポソームの酸化の度合を測定する方法としては、電極(CNT電極等)を用いて電位応答を測定する方法、蛍光物質を用いた方法(DPPP法等)などが例示されるが、リポソームの酸化の度合を測定することができる限り、測定方法は限定されない。
上記工程(b)において、酸化を開始させた状態でリポソームの酸化の度合を測定してもよい。酸化を開始させる手段としては、酸化剤(硫酸銅等)を添加する方法、光(紫外線等)を照射する方法、熱を加える方法、既知のラジカル発生剤を添加する方法等が挙げられる。酸化を開始させるタイミングは、工程(a)及び(b)のいずれでもよい。すなわち、工程(a)では、リポソームに対象物質を接触させる前に酸化を開始してもよく、リポソームに対象物質を接触させた後に酸化を開始してもよく、工程(b)では、リポソームの酸化の度合を測定する前に酸化を開始させてもよい。
本実施形態に係る抗酸化能測定方法は、脂質酸化抑制剤のスクリーニング方法を含む。脂質酸化抑制剤のスクリーニング方法を具体的に説明する。前述のリポソームに、脂質酸化抑制剤の候補物質(例えば、化合物、タンパク質、ペプチド、これらの混合物等)を接触させおよびリポソームを酸化させて、リポソームの酸化の度合を測定し、例えば、リポソームの酸化の度合が標準的な脂質酸化抑制剤のそれと同等以上であれば、該候補物質が脂質酸化抑制剤として使用可能であることが判明する。
以上説明したように、本実施形態に係るリポソームを用いることで、簡便に抗酸化能を測定することが可能である。より具体的には、対象物質の抗酸化能(脂質酸化抑制効果)を評価する場合、従来のヒト由来のLDLを用いると廃棄等の点で不利であったが、汎用性が高いリポソームを用いることで簡便に、また、効率良く抗酸化能の評価が可能であり、本実施形態に係るリポソームを、いわばLDLの代替品として用いることができる。また、ヒトLDLは10日程度しか保存できないが、本実施形態に係るリポソームは作製後2ヵ月間にわたって安定的に保存可能であることが示されており、保存性に優れている。
また、本実施形態に係るリポソームによる抗酸化能の測定値と、ヒトLDLによるそれと、の間で良好な相関が示されているため、対象物質の抗酸化能を精度高く評価することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
種々のリポソームを作製し、酸化の度合について評価した。
(リポソームの材料)
α成分(極性基:ホファチジルコリン基)として、以下に示される化合物を使用した。
・DAPC(20−4):ジアラキドニルホスファチジルコリン
・DLNPC(18−3):ジリノレノイルホスファチジルコリン
・DLPC(18−2):ジラウロイルホスファチジルコリン
また、β成分(極性基:エタノールアミン基)として、以下に示される化合物を使用した。
・DMPE(14−0):ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン
・DPPE(16−0):ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン
・DSPE(18−0):ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン
また、β成分の比較例として、以下に示される化合物を使用した。
・DMPC(14−0)(コリン型):ジミリストイルホスファチジルコリン
・DMP(14−0)(リン酸型):ジミリストイルホスファチジル酸
・DMPS(14−0)(セリン型):ジミリストイルホスファチジルセリン
・DMPOH(14−0)(グリセロール型):ジミリストイルホスファチジルグリセロール
なお、上記のかっこ内の最初の数字は炭素数、その後の数字は二重結合の数を表し、例えば、(14−0)は炭素数14で二重結合を有しない脂肪酸を表す。
(β成分の含有濃度がα成分含有リポソームの酸化に与える影響)
β成分としてDMPE(14−0)(以下、DMPEとする)を用いて、種々のDMPE含有濃度のリポソームを作製し、β成分の含有濃度がリポソームの酸化に与える影響について検討した。
α成分としてDAPC(20−4)(以下、DAPCとする)、β成分としてDMPEを、以下の重量比で含む各リポソーム(DMPE25、DMPE15、DMPE5、DMPE2、DMPE0)を作製した。
・DMPE25; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=25:75
・DMPE15; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=15:85
・DMPE5 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=5:95
・DMPE2 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=2:98
・DMPE0 ; DMPE(β成分):DAPC(α成分)=0:100
各リポソームの作製方法について以下説明する。
・DMPE25:DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、約20秒間ボルテックスした後、エクストルーダー(Avanti Mini−Extruder;Avanti Polar Lipids社)(30nmフィルター)を一定温度(42〜47℃)になるように加温して、リポソームを作製した。リポソーム溶液のフィルター膜の通過回数は12回とした。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE15:DMPE(β成分)(10mg/mL)27μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、5μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.44mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE5:DMPE(β成分)(10mg/mL)11μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、5μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.40mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に、5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液で2倍に希釈した。
・DMPE2:DMPE(β成分)(10mg/mL)2.7μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)120μL、2.8μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.58mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に希釈せずにそのまま使用した。
・DMPE0:DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、3.7μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.75mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。電極による電位測定時に希釈せずにそのまま使用した。
リポソーム酸化の度合の測定方法について説明する。37℃のリポソーム溶液100μLに、CNT電極(後述)及び銀塩化銀電極(参照電極)を浸し、CNT電極の電位測定を開始した。電位測定開始500秒後から1000秒後の間に、硫酸銅(酸化剤)を2.5μMになるように添加し、撹拌して酸化を開始させた。参照電極に対する電位変化量から、酸化の程度を評価した。つまり、リポソームに硫酸銅を添加すると、脂質の酸化とともに過酸化脂質が生成されて、電極の電位が正方向にシフトする。グラフ図において、プラス方向の電位が大きくなるほど酸化が進行していることを示している。
CNT電極の作製方法について説明する。まず、PET素材の基板上にカーボンペースト(CP)を施し、Ag/AgClペーストで印刷、加熱してCP電極を作製した。使用前に、CNT分散溶液をCP電極上に滴下乾燥し、CNT電極として用いた。
結果を図1に示す。図1において、“0”はDMPE0、“2”はDMPE2、“5”はDMPE5、“15”はDMPE15、“25”はDMPE25を表す。酸化開始後、DMPE(β成分)を含むDMPE25、DMPE15、DMPE5では、時間の経過とともに電位応答の顕著な増加が見られた。DMPE(β成分)含有濃度が増加するにつれて、電位応答が大きくなったが、DMPE15とDMPE25とではその差は小さかった。一方、DMPE(β成分)を少量含むDMPE2では、電位応答はわずかしか見られず、また、DMPE(β成分)を含まないDMPE0では、電位応答は見られなかった。
以上より、DMPE(β成分)とDAPC(α成分)とが重量比で25〜5:75〜95含まれるリポソームが酸化を受けやすいことが示された。
(α成分の不飽和脂肪酸の鎖長及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響)
次に、α成分の鎖長及び二重結合の数がリポソームの酸化に与える影響について検証した。
β成分としてDMPE(14−0)(以下、DMPEとする)、α成分としてDAPC(20−4)、DLNPC(18−3)又はDLPC(18−2)を用いて、以下の通り、各リポソーム(DAPC(20−4)、DLNPC(18−3)、DLPC(18−2))を作製した。
・DAPC(20−4):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。
・DLNPC(18−3):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DLNPC(18−3)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。
・DLPC(18−2):DMPE(β成分)(10mg/mL)110μL、DLPC(18−2)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を1mL添加して、上記同様にリポソームを作製した。
リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。
結果を図2に示す。図2において、“DAPC”はDAPC(20−4)、“DLPC”はDLPC(18−2)、“DLNPC”はDLNPC(18−3)を表す。酸化のピークが観察されるまでの時間は、DAPC(20−4)では酸化開始後約9000秒、DLNPC(18−3)では約20000秒、DLPC(18−2)では20000秒以上であった。
以上より、α成分の不飽和脂肪酸の鎖長が長く二重結合の数が多いほうが、リポソームの酸化の進行が速いことが示された。
(β成分の飽和脂肪酸の鎖長がリポソームの酸化に与える影響)
次に、β成分の鎖長がリポソームの酸化に与える影響について検証した。
β成分としてDMPE(14−0)、DPPE(16−0)、DSPE(18−0)、α成分としてDAPC(20−4)を用いて、以下の通り、各リポソーム(DMPE(14−0)、DPPE(16−0)、DSPE(18−0))を作製した。
・DMPE(14−0):DMPE(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DPPE(16−0):DPPE(16−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DSPE(18−0):DSPE(18−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。
結果を図3に示す。図3において、“DPPE”はDPPE(16−0)、“DMPE”はDMPE(14−0)、“DSPE”はDSPE(18−0)を表す。DSPE(18−0)>DPPE(16−0)>DMPE(14−0)の順に酸化のピーク時間が長くなっていた。
以上より、β成分の飽和脂肪酸の鎖長が長いほうが、酸化時間が長くなる傾向にあることが示された。
(β成分の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響)
次に、β成分の極性基部分がリポソームの酸化に与える影響について検討した。
β成分として鎖長が同じで極性基部分が異なるDMPE(14−0)(エタノールアミン型)、DMP(14−0)(リン酸型)、DMPC(14−0)(コリン型)、DMPOH(14−0)(グリセロール型)、DMPS(14−0)(セリン型)、α成分としてDAPC(20−4)を用いて、以下の通り、各リポソーム(実施例:DMPE、比較例:DMP、DMPC、DMPOH、DMPS)を作製した。
・DMPE:DMPE(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMP:DMP(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPC:DMPC(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPOH:DMPOH(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
・DMPS:DMPS(14−0)(β成分)(10mg/mL)110μL、DAPC(20−4)(α成分)(10mg/mL)320μL、10μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れて、上記同様にリポソームを作製した。
リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を2.5μMになるように添加して、上記同様に行った。
結果を図4に示す。極性基としてエタノールアミン基を有するDMPEでは、酸化による電位変化が観察された。一方、エタノールアミン型ではない極性基を有するDMP、DMPC、DMPOH、DMPS(比較例)では、電位変化は観察されなかった。
以上より、酸化を評価可能なリポソームの作製には、エタノールアミン基を有するβ成分の添加が必須であることが示された。
(実施例2)
市販の抗酸化剤8種類について、実施例1にて作製したリポソームとヒトLDLとで抗酸化能を比較した。
抗酸化剤として、グルタチオン(GSH)、Trolox、カテキン、ルテオリン、アピゲニン、クエン酸、ダイゼイン及びナリンギンを用いた。
リポソームとして、実施例1で作製したDAPC(20−4):DMPE(14−0)=75:25(重量比)のリポソームを用いた。LDLとして、20歳代の健康な男女から採血により得られたLDLを用いた(Clin Chem Lab Med 2015; aop,Rojeet Shrestha et al,Identification of molecular species of oxidized triglyceride in plasma and its distribution in lipoproteins,DOI 10.1515/cclm−2014−1088 Received November 6,2014;accepted February 11,2015,p1−p11に記載の条件下で超遠心法によりLDLの分画を得た)。
リポソーム酸化及びLDL酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、実施例1と同様に行った。
抗酸化能を以下の通り評価した。DMSOに溶解した抗酸化剤を100μMになるようにリポソーム又はLDLに添加した場合(A)と、抗酸化剤の代わりにDMSOのみを添加した場合(C)と、の電位変化を測定し、酸化開始後10000秒後の電位変化の比(Aの電位変化/Cの電位変化×100)を抗酸化能の測定値とした。
結果を図5に示す。図5において、横軸はLDLに対する抗酸化能の測定値、縦軸はリポソームに対する抗酸化能の測定値を表している。LDLに対する抗酸化能と、作製したリポソームに対する抗酸化能と、では、R=0.95と良い相関が得られた。
以上より、抗酸化能についてリポソームとLDLで良い相関が得られたことが示され、本実施例によるリポソームを、LDLの酸化抑制物質をスクリーニングするための、LDLの代替品として利用できることが示された。
(実施例3)
作製したリポソームの保存性について検討した。
リポソームとして、実施例2と同様のものを用いた。リポソーム作製後、1、8、35、72日後のリポソームに酸化剤(硫酸銅)を5μMとなるように添加して、37℃で0、4、8時間後の過酸化脂質量をDPPP法(K.Akasaka,T.Suzuki,H. Ohrui and H.Meguro,Anal Lett.,20,731−745,797−807(1987))により測定した。
結果を図6に示す。図6において、縦軸はDPPPによる過酸化脂質量、横軸はリポソーム作製後の経過日数を表している。また、横軸の“0”、“4”、“8”は酸化時間を表しており、酸化0時間ではDPPPの反応がなく(リポソーム酸化が進行していない状態)、酸化時間が4時間、8時間と長くなるに従いDPPPによる過酸化脂質量が増加する(リポソーム酸化が進行している状態)。リポソーム作製8日後では作製1日後に比して酸化の進行が若干速まる傾向が見られたものの、作製72日後まで酸化の進行の程度に大きな差は見られなかった。
以上より、本実施例のリポソームでは、作製2か月後まで酸化の特性が維持されており、保存性に優れていることが示された。ヒト由来のLDLの保管可能期間は10日前後であるので、本実施例のリポソームでは、大幅に保存性が高まったことがわかる。
(実施例4)
異なる方法によって作製されたリポソームの酸化の度合について評価した。
(DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソーム(A液)の調製)
DMPE(β成分)(10mg/mL)3.6μL、DAPC(α成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、上記同様にリポソームを作製し、A液とした。電極による電位測定時、緩衝溶液で1.88倍に希釈して使用した。
(“DMPE液”の調製)
DMPE(β成分)(10mg/mL)160μL、3.6μLコレステロール(1mg/mL)をナスフラスコに入れてエバポレーターで溶媒を留去して、凍結乾燥機で18時間以上乾燥させた。脱ガスした5μMグリシンを含むPBS緩衝溶液を0.390mL添加して、60℃で超音波処理によりリポソーム(脂質懸濁液)を作製し、DMPE液とした。
(“A液+DMPE溶液”の調製)
A液80μLに緩衝溶液55μL、DMPE液15μLを混合して、A液+DMPE溶液とした。
リポソーム酸化の度合の測定については、硫酸銅(酸化剤)を5μMになるように添加したことを除き、上記同様に行った。
結果を図7に示す。図7中、「2+DMPE」は“A液+DMPE溶液”を、「2」は“DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソーム(A液)”を表す。「2+DMPE」では、「2」に比して酸化を受けやすいことが示され、DMPEを添加することにより、DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比98:2のリポソームが、DAPC(α成分)とDMPE(β成分)とが重量比80:20のリポソームとなり、酸化が促進されたことが明らかとなった。
以上より、2種類の組成の異なるリポソーム溶液を混合する作製方法で作製されたリポソームについても、酸化を受けやすいことが示された。

Claims (9)

  1. 一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
    (式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
    (式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
    ことを特徴とする抗酸化能測定用リポソーム。
  2. 、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の抗酸化能測定用リポソーム。
  3. 及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗酸化能測定用リポソーム。
  4. 一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
    (式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
    (式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれるリポソームに、対象物質を接触させ、および前記リポソームを酸化させる工程と、
    前記リポソームの酸化の度合を測定する工程と、
    を含む抗酸化能測定方法。
  5. 、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の抗酸化能測定方法。
  6. 及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の抗酸化能測定方法。
  7. 一般式1で示されるジアシルホスファチジルコリンと、
    (式中、R及びRは、二重結合を2〜6有する炭素数16〜24の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    一般式2で示されるジアシルホスファチジルエタノールアミンと、
    (式中、R及びRは、炭素数10〜18の直鎖状又は分岐状の飽和脂肪酸残基を表し、R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい)
    を構成成分として含み、前記ジアシルホスファチジルコリンと前記ジアシルホスファチジルエタノールアミンとが重量比75〜95:25〜5で含まれる、
    ことを特徴とするリポソーム。
  8. 、Rは、二重結合を2〜4有する炭素数18〜20の直鎖状の不飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項7に記載のリポソーム。
  9. 及びRは、炭素数14〜16の直鎖状の飽和脂肪酸残基である、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載のリポソーム。
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