[1.パチンコ遊技機の全体構成]
以下、本発明の遊技機としてのパチンコ遊技機について図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は実施形態に係るパチンコ遊技機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図であり、図2はパチンコ遊技機の正面図であり、図3はパチンコ遊技機の背面図である。
パチンコ遊技機1は、図1〜図3に示すように、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され前側が開放された箱枠状の本体枠3と、本体枠3に前側から装着固定され遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100を有した遊技盤4と、本体枠3及び遊技盤4の前面を遊技者側から閉鎖するように本体枠3に対して開閉自在に軸支された扉枠5とを備えている。このパチンコ遊技機1の扉枠5には、遊技盤4の遊技領域1100が遊技者側から視認可能となるように形成された遊技窓101と、遊技窓101の下方に配置され遊技球を貯留する皿状の上皿301及び下皿302(図7を参照)と、上皿301に貯留された遊技球を遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むために遊技者が操作するハンドル装置500と、を備えている。
また、パチンコ遊技機1は、正面視において、外枠2、本体枠3、及び扉枠5がそれぞれ上下方向へ延びた縦長の矩形状に形成されており、それぞれの左右方向の横幅が略同じ寸法とされているとともに、上下方向の縦幅の寸法が、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の寸法が若干短く形成されている。そして、本体枠3及び扉枠5よりも下側の位置において、外枠2の前面に装飾カバー23が取り付けられており、扉枠5及び装飾カバー23によって外枠2の前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠2、本体枠3、及び扉枠5は、上端が略揃うようにそれぞれが配置されるとともに、外枠2の左端前側の位置で本体枠3及び扉枠5が回転可能に軸支されており、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の右端が前側へ移動することで開状態となるようになっている。
また、パチンコ遊技機1は、正面視において、略円形状の遊技窓101を介して遊技球が打ち込まれる遊技領域1100が臨むようになっており、その遊技窓101の下側に前方へ突出するように二つの上皿301及び下皿302が上下に配置されている。また、扉枠5の前面右下隅部には、遊技者が操作するためのハンドル装置500が配置されており、上皿301内に遊技球が貯留されている状態で遊技者がハンドル装置500を回転操作すると、その回転角度に応じた打球強さで上皿301内の遊技球が遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込まれて、遊技をすることができるようになっている。
扉枠5の遊技窓101は、透明なガラスユニット590によって閉鎖されており、遊技者から遊技領域1100内を視認することができるものの、遊技者が遊技領域1100内へ手等を挿入して遊技領域1100内の遊技球や障害釘、各種入賞口や役物等に触ることができないようになっている。
[2.外枠の全体構成]
次に、遊技ホールの島設備に設置される外枠2について、図4を参照して説明する。図4は外枠の正面斜視図である。外枠2は、図4に示すように、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13と、それぞれの枠板10,11,12,13の端部を連結する四つの連結部材14と、を備えており、連結部材14で各枠板10,11,12,13同士を連結することで縦長の矩形状(方形状)に組立てられている。外枠2における上枠板10及び下枠板11は、所定厚さの無垢材(例えば、木材、合板、等)により形成されている。なお、上枠板10における左側端部の上面及び前面には、後述する上支持金具20が取り付けられている。
一方、側枠板12,13は、一定断面形状の軽量金属型材(例えば、アルミ合金)とされている。なお、側枠板12,13の外側側面及び内側側面には、上下方向へ延びた複数の溝が形成されており、パチンコ遊技機1を遊技ホールのパチンコ島設備に設置する際等に、作業者の指掛りとなってパチンコ遊技機1を保持し易くすることができるようになっているとともに、外観の意匠性を高められるようになっている。
外枠2は、上枠板10の左端上面に固定される上支持金具20と、上支持金具20と対向するように配置され左側の側枠板12における下部内側の所定位置に固定される下支持金具21と、下支持金具21の下面を支持するように配置され左右の側枠板12,13を連結するように固定される補強金具22と、補強金具22の前面に固定される装飾カバー23と、を備えている。上支持金具20及び下支持金具21は、本体枠3及び扉枠5を開閉可能に軸支するためのものである。上支持金具20における支持鉤穴20cには、後述する本体枠3における上軸支金具630の軸支ピン633(図5を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。下支持金具21における支持突起21dには、後述する本体枠3の本体枠軸支金具644に形成された本体枠軸支が挿入されるようになっており、下支持金具21の支持突起21dを、本体枠3における本体枠軸支金具644の支持穴に挿入した後に、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を支持鉤穴20cに係止することにより簡単に本体枠3を開閉自在に軸支することができるようになっている。
また、外枠2は、右側の側枠板13の内側に、上下方向に所定距離離反して配置される二つの閉鎖板24,25(図1を参照)が取り付け固定されている。これら閉鎖板24,25は、平面視で略L字状に形成されている。この閉鎖板24,25は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000(施錠装置)のフック部1054,1065(図1を参照)と係合するものであり、詳細は後述するが、錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖板24,25との係合が外れて外枠2に対する本体枠3の閉鎖状態を解除することができるものである。
[3.本体枠の全体構成]
次に、外枠2の前面側に開閉自在に設けられる本体枠3について、図5及び図6を参照して説明する。図5は本体枠の正面斜視図であり、図6は本体枠における基板ユニットの背面斜視図である。本体枠3は、図5に示すように、本体枠3の骨格を形成するとともに前後方向に貫通し遊技盤4を保持するための矩形状の遊技盤保持口601を有した本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側端部の上端及び下端にそれぞれ取り付けられ外枠2に軸支されるとともに扉枠5を軸支するための上軸支金具630及び下軸支金具640と、本体枠ベース600の下部前面に取り付けられ遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むための打球発射装置650と、本体枠ベース600の後側に取り付けられ皿ユニット300の上皿301へ遊技球を払い出すための賞球ユニット700と、本体枠ベース600の前面に取り付けられ本体枠3に対して扉枠5が開いた時に賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断する球出口開閉ユニット790と、を備えている。
また、本体枠3は、本体枠ベース600の下部後面に取り付けられ遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に備えられた電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板851等を一纏めにしてユニット化した基板ユニット800と、本体枠ベース600における遊技盤保持口601の後側開口を覆う裏カバー900と、本体枠ベース600の正面視左側端部を被覆する側面防犯板950と、本体枠ベースの正面視右側端部に取り付けられ外枠2に対する本体枠3の開閉施錠、及び本体枠3に対する扉枠5の開閉施錠をする錠装置1000と、を主に備えている。
[3−1.本体枠ベース]
次に、本体枠ベース600について説明する。本体枠ベース600は、合成樹脂によって一体成形されており、正面視の外形が扉枠5の外形と沿った縦長の矩形状とされているとともに、前後方向に所定量の奥行きを有するように形成されている。本体枠ベース600は、上部から下部へ向かって全体の約3/4の範囲内が前後方向へ矩形状に貫通し遊技盤4の外周を嵌合保持可能な遊技盤保持口601と、本体枠ベース600の正面視左辺を除く前端外周を形成するコ字状の前端枠部602と、前端枠部602の前面から後方へ向かって窪み、扉枠5における扉枠ベース本体110の下端から後方へ突出した扉枠突片110c(図1を参照)、扉枠5の補強ユニット150における上側補強板金151の後方へ突出した上側の屈曲突片167(図1を参照)及び開放側補強板金153の後方へ突出した開放側外折曲突片164(図1を参照)が挿入係合される係合溝603と、を備えている。
また、本体枠ベース600は、遊技盤保持口601の下側から本体枠ベース600下端まで延出し前端枠部602の前端から所定量後側へ窪み左右方向へ板状に広がった下部後壁部604と、前端枠部602よりも内側で後方へ突出し遊技盤保持口601の内周壁を形成する周壁部605と、を備えている。周壁部605によって、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)同士が連結されるようになっており、本体枠ベース600の外形が枠状となるようになっている。
また、本体枠ベース600は、下部後壁部604の上端に遊技盤保持口601の下辺を形成すると共に遊技盤4が載置される遊技盤載置部606と、遊技盤載置部606の左右方向略中央から上方へ突出し遊技盤4における遊技パネル1150のアウト球排出溝と係合する位置決め突起607と、周壁部605における正面視右側内壁の所定位置に形成され遊技盤4の遊技盤止め具1120が止め付けられる遊技盤係止部と、周壁部605の上側内壁から下方へ垂下し下端が遊技盤4の上端と当接可能な板状で左右方向に複数配置された上端規制リブ609と、を備えている。本体枠ベース600の位置決め突起607は、遊技盤4のアウト球排出溝と嵌合することで、遊技盤4の下端が左右方向及び後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤係止部は、遊技盤4の遊技盤止め具1120が係止されることで遊技盤4の正面視右辺が前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、遊技盤4の正面視左辺は、詳細は後述するが、側面防犯板950の位置決め部材956によって前後方向への移動が規制されるようになっている。
また、本体枠ベース600は、下部後壁部604が前端枠部602の前面よりも後側へ一段窪んだ位置に形成されており、下部後壁部604の正面視右側前面に、打球発射装置650の発射ソレノイド654がソレノイド収容凹部内に収容されるように前側から打球発射装置650が取り付けられるようになっている。この下部後壁部604の前面に打球発射装置650を取り付けた状態では、打球発射装置650における発射レール660の上端よりも正面視左側に、左方向及び下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。本実施形態では、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540におけるファール球入口542e(図1を参照)が位置するようになっており、ファール空間626を下降した遊技球が、ファールカバーユニット540のファール球入口542eに受けられて、皿ユニット300における下皿302(図7を参照)へ排出されるようになっている。
また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の左右中央よりも左側に前後方向へ矩形状に貫通する開口部と、開口部の上側及び正面視左右両側に複数形成され前後方向に貫通した透孔615と、を備えている。この本体枠ベース600の開口部は、前側から中継端子板カバー692によって閉鎖されるようになっており、中継端子板カバー692の開口692aを通して、下部後壁部604の後面に取り付けられた基板ユニット800の主扉中継端子板880と周辺扉中継端子板882とが前側へ臨むようになっている。
また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の右端上部に前後方向に貫通した略円形のシリンダ錠貫通穴611の下側前面に、本体枠3に対する扉枠5の開放を検出するための扉枠開放スイッチ618が取り付けられており、本体枠3に対して扉枠5が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて扉枠5の開放を検出することができるようになっている。また、本体枠ベース600は、扉枠開放スイッチ618が取り付けられた位置よりも下側後面に、外枠2に対する本体枠3の開放を検出するための本体枠開放スイッチ619が取り付けられており、外枠2に対して本体枠3が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて本体枠3の開放を検出することができるようになっている。
[3−2.上軸支金具及び下軸支金具]
次に、上軸支金具630及び下軸支金具640について説明する。上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600の正面視左端上下後面の金具取付部に、所定のビスを用いてそれぞれ取り付けることで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができるとともに、外枠2に対して本体枠3を開閉可能に軸支させることができるものである。
上軸支金具630は、本体枠ベース600の上側の金具取付部に取り付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部631と、取付部631の上端から前方へ延出する板状の前方延出部632と、前方延出部632の前端付近から上方へ延びだすように突設された軸支ピン633と、軸支ピン633の正面視左側に配置され扉枠5の軸ピン155(図7を参照)が挿入される上下方向に貫通した扉枠軸支穴634と、前方延出部632の正面視左側端部から下方へ垂下し扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパと、を備えている。上軸支金具630は、取付部631、前方延出部632、及びストッパが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
下軸支金具640は、扉枠5を軸支するための扉枠軸支金具642と、扉枠軸支金具642の下側に配置され外枠2に対して本体枠3を軸支するための本体枠軸支金具644と、を備えている。下軸支金具640における扉枠軸支金具642は、本体枠ベース600の下側の金具取付部に取り付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部と、取付部の下端から前方へ延出する板状の前方延出部642bと、前方延出部642bの前端付近に上下方向へ貫通し扉枠5の軸ピン157(図7を参照)が挿入される扉枠軸支穴642cと、前方延出部642bの正面視左側端部から上方へ立設され扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ642dと、を備えている。この扉枠軸支金具642は、取付部、前方延出部642b、及びストッパ642dが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
また、下軸支金具640における本体枠軸支金具644は、本体枠ベース600の下側の金具取付部に取り付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部と、取付部の下端から前方へ延出する前方延出部644bと、前方延出部644b前端付近に上下方向へ貫通した本体枠軸支穴と、を備えている。本体枠軸支金具644もまた、取付部、及び前方延出部644bが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
下軸支金具640は、扉枠軸支金具642の取付部と本体枠軸支金具644の取付部とが前後方向に重なった(接した)状態とされるとともに、扉枠軸支金具642の前方延出部642bと本体枠軸支金具644の前方延出部644bとが上下方向に所定距離離間した状態で、本体枠ベース600における下側の金具取付部に取り付けられるようになっている。
上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取り付けた状態で、上軸支金具630の軸支ピン633と、下軸支金具640の本体枠軸支穴とが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における本体枠軸支金具644の本体枠軸支穴が、外枠2における下支持金具21の支持突起21d(図4を参照)に嵌合挿入されるように、本体枠軸支金具644の前方延出部644bを、下支持金具21の支持突出片21c(図4を参照)上に載置した上で、上軸支金具630の軸支ピン633を、外枠2における上支持金具20の支持鉤穴20c(図4を参照)内に挿入することで、本体枠3を外枠2に対して開閉可能に軸支させることができるようになっている。
また、上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取り付けた状態で、上軸支金具630の扉枠軸支穴634と、下軸支金具640の扉枠軸支穴642cとが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における扉枠軸支金具642の扉枠軸支穴642cに、扉枠5の軸ピン157が挿入されるように扉枠5の下軸支部158(図7を参照)を扉枠軸支金具642の前方延出部642b上に載置した上で、扉枠5の軸ピン155を、上軸支金具630の扉枠軸支穴634に挿入することで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができるようになっている。なお、本実施形態では、扉枠5の上側の軸ピン155は、上下方向へ摺動可能とされており、上軸支金具630の扉枠軸支穴634へ挿入させる際に、軸ピン155を一旦、下方へスライドさせて、扉枠5の上軸支部156と上軸支金具630の前方延出部632とが上下に重なるようにした上で、軸ピン155を上方へスライドさせることで扉枠軸支穴634へ挿入することができるようになっている。
[3−3.打球発射装置]
次に、打球発射装置650について説明する。打球発射装置650は、本体枠ベース600における下部後壁部604の前面所定位置に取り付けられる金属板の発射ベース652と、発射ベース652の下部後面に前側へ回転駆動軸654aが突出するように取り付けられる発射ソレノイド654と、発射ソレノイド654の回転駆動軸654aに一体回転可能に固定される打球槌656と、打球槌656の先端に固定される槌先658と、槌先658の移動軌跡上における所定位置を基端として正面視斜め左上へ延出し発射ベース652の前面に取り付けられる発射レール660と、発射レール660の基端上部に発射レール660との間で打球槌656先端の槌先658が通過可能とされると同時に遊技球が通過不能な隙間を形成し発射レール660の基端に遊技球を保持する球止め片662と、球止め片662によって発射レール660の基端に保持された遊技球を打球可能な打球位置よりも打球槌656(槌先658)が発射レール660側へ回動するのを規制するストッパ664と、を備えている。
この打球発射装置650における発射ソレノイド654は、詳細な図示は省略するが、回転駆動軸654aがハンドル装置500の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。また、打球発射装置650の打球槌656は、発射ソレノイド654の回転駆動軸654aに固定される固定部656aと、固定部656aから緩やかな円弧状に延出し先端が回転駆動軸654aの軸心に対して法線方向を向き先端に槌先658が固定される棹部656bと、棹部656bに対して固定部656aを挟んで反対側へ延出しストッパ664と当接可能なストッパ部656cと、を備えている。打球槌656のストッパ部656cがストッパ664と当接することで、先端の槌先658が打球位置(正面視で反時計周りの方向の回動端)よりも発射レール660側へ回動するのが規制されるようになっている。
打球発射装置650は、本体枠ベース600の下部後壁部604に取り付けた状態においては、発射レール660の上端が左右方向の略中央で下部後壁部604の上端、つまり、遊技盤載置部606(遊技盤保持口601の下辺)よりも下方に位置するようになっており、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4における外レール1111の下端との間で、左右方向に所定幅で下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。そして、打球発射装置650は、発射レール660よりも正面視左側のファール空間626を飛び越えるようにして遊技球を発射することで、遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むことができるようになっている。なお、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態においては、ファール空間626の下部に、扉枠5に取り付けられるファールカバーユニット540のファール球入口542eが位置するようになっており、遊技領域1100内へ打ち込まれずにファール球となった遊技球が、ファール空間626を落下してファール球入口542eへ受け入れられて、下皿302へ排出されるようになっている。
[3−4.賞球ユニット]
次に、賞球ユニット700について説明する。パチンコ遊技機1を設置するホールにおけるパチンコ島設備において、パチンコ島設備側からパチンコ遊技機1へ供給された遊技球を貯留した上で、所定の払出指示に基づいてパチンコ遊技機1の上皿301へ払い出すものである。この賞球ユニット700は、本体枠ベース600の後面に取り付けられる賞球ベース710と、賞球ベース710の後面上部に取り付けられパチンコ島設備側から供給される遊技球を受けると共に貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720の下側に配置され賞球タンク720に貯留された遊技球を整列させて下流側へ送るタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730によって整列された遊技球を所定の払出指示に基づいて払い出す賞球装置740と、賞球装置740によって払出された遊技球を皿ユニットの上皿301へ誘導することができると共に上皿301が遊技球で満タンになると払出された遊技球を下皿302側へ分岐誘導することができる満タン分岐ユニット770と、を主に備えている。
また、賞球ユニット700は、賞球ベース710の後面に取り付けられる外部端子板784と、外部端子板784の後側を覆う外部端子板カバー786と、を備えている。
[3−4−1.賞球タンク]
賞球タンク720は、底壁部721の外周が外周壁部722で囲まれており、底壁部721上に所定量の遊技球を貯留することができるようになっている。また、賞球タンク720は、底壁部721の上面が、排出口723へ向かって低くなるように傾斜しており、底壁部721上の遊技球が排出口723へ向かって転動するようになっている。
また、賞球タンク720は、軸部725に回動自在に軸支される二つの球ならし部材727を備えている。この球ならし部材727は、一端側が軸部725に軸支されるようになっていると共に内部に錘を保持しており、自重によって他端側が垂下するようになっている。この球ならし部材727は、後述するタンクレールユニット730内に垂下するようになっており、タンクレールユニット730内を流通する遊技球をならして整列させることができるものである。
[3−4−2.タンクレールユニット]
タンクレールユニット730は、賞球タンク720の下側に配置され左右方向へ長く延びたタンクレール731を備えている。このタンクレール731は、上方が開放された所定深さの樋状で前後方向に遊技球が二列で整列することが可能な幅(奥行)とされ、正面視左側(軸支側)端部が低くなるように底部が傾斜している。
また、タンクレールユニット730は、タンクレール731の排出口上部に回転可能に支持される整列歯車732と、整列歯車732の上部を覆う歯車カバー733と、歯車カバー733の正面視右端と連続しタンクレール731の上部を閉鎖する球押え板734と、タンクレール731内に進退可能とされタンクレール731内の遊技球が排出口側へ転動するのを停止させることが可能な球止片735と、を備えている。整列歯車732は、タンクレール731の仕切壁によって二列に仕切られた遊技球の二つの流路と対応するように、前後方向に並んで二つ備えられている。
[3−4−3.賞球装置]
賞球装置740は、タンクレールユニット730の排出口から排出供給された遊技球を、所定の払出指示に基づいて皿ユニット300の上皿301へ払い出すためのものである。賞球装置740は、上端に開口し遊技球の外形よりも若干広い幅で上下方向の中央よりもやや下側の位置まで延出する供給通路と、供給通路の下端と連通し所定広さの空間を有した振分空間と、振分空間の背面視左側(開放側)下端と連通し略く字状に曲がって背面視左側面に開口する賞球通路と、振分空間の背面視右側(軸支側)下端と連通し下方へ延出して下端に開口する球抜通路と、を備えている。この供給通路、振分空間、賞球通路、及び球抜通路は、後方へ開放された状態で形成されている。
賞球装置740は、払出モータ744の回転軸に一体回転可能に固定されモータ支持板の後側に配置される第1ギアと、第1ギアと噛合する第2ギアと、第2ギアと噛合する第3ギアと、第3ギアとともに一体回転し振分空間内に配置される払出回転体と、払出回転体とは第3ギアを挟んで反対側に一体回転可能に固定され周方向に等間隔で複数(本実施形態では、3つ)の検出スリットが形成された回転検出盤と、を備えるとともに、供給通路内の遊技球の有無を検出するための球切れスイッチ750と、賞球通路内を流下する遊技球を検出するための計数スイッチ751と、払出回転体と一体回転する回転検出盤に形成された検出スリットを検出するための回転角スイッチ752と、回転角スイッチ752を保持する回転角スイッチ基板753と、払出モータ744、球切れスイッチ750、計数スイッチ751、及び回転角スイッチ752と後述する払出制御基板との接続を中継する賞球ケース内基板754と、を備えている。
払出回転体は、周方向に等間隔でそれぞれ1つの遊技球を収容可能な大きさの3つの凹部を備えており、払出回転体が回転することで、供給通路から供給された遊技球が1球ずつ凹部に収容されて、賞球通路又は球抜通路側へ払い出すことができるようになっている。また、払出回転体と一体回転する回転検出盤に形成された3つの検出スリットは、回転検出盤の外周に等分(120度ごと)に形成されるとともに、払出回転体の凹部間と対応する位置にそれぞれ設けられており、検出スリットを回転角スイッチ752によって検出することで、払出回転体の回転位置を検出することができるようになっている。なお、本実施形態では、回転検出盤(払出回転体)の各検出スリット間(120度)の回転は、払出モータ744の18ステップの回転に相当するように設計されている。
賞球装置740は、払出モータ744によって払出回転体が背面視反時計周りの方向へ回転させられると、供給通路内の遊技球が、賞球通路へ払出されるようになっており、払出回転体の回転によって賞球通路へ払出された遊技球は、計数スイッチ751によって1球ずつ数えられた上で賞球通路へ受け渡されるようになっている。一方、球抜き操作部材がホールの店員等により操作されると、供給通路内の遊技球が球抜通路へ払出されるようになっており、球抜通路へ払出された遊技球は、球抜通路の下端から後述する満タン分岐ユニット770を介してパチンコ遊技機1の後側外部へと排出することができるようになっている。
[3−4−4.満タン分岐ユニット]
満タン分岐ユニット770は、全体が後端から前端へ向かうに従って低くなるような箱状に形成されており、後端上部における左右方向の略中央に上方へ向かって開口し賞球装置740の賞球通路を流下してきた遊技球を受ける賞球受口と、賞球受口の下側に配置され左右方向へ広がった分岐空間と、分岐空間における賞球受口の直下から前側へ向かって遊技球を誘導する通常通路と、通常通路を流通した遊技球を前方へ放出し前端の正面視右端に開口した通常球出口774と、分岐空間における賞球受口の直下よりも背面視右側へ離れた位置から前側へ向かって遊技球を誘導する満タン通路と、満タン通路を流通した遊技球を前方へ放出し通常球出口774の正面視左側に開口した満タン球出口776と、を備えている。
また、満タン分岐ユニット770は、後端上部の正面視左側端部に上方へ向かって開口し賞球装置740の球抜通路を流下してきた遊技球を受ける球抜受口と、球抜受口に受けられた遊技球を前側へ誘導する球抜通路と、球抜通路を流通した遊技球を前方へ放出し正面視左端で通常球出口774及び満タン球出口776よりも後方の位置で開口した球抜出口と、を備えている。
満タン分岐ユニット770は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、通常球出口774及び満タン球出口776が、それぞれ扉枠5におけるファールカバーユニット540の第一球入口542a及び第二球入口542c(図1を参照)と対向して連通するようになっており、通常球出口774から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第一球入口542aを通って皿ユニット300の上皿301へ供給され、満タン球出口776から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第二球入口542cを通って皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。また、球抜出口は、本体枠ベース600における本体枠ベース球抜通路の背面視右側上端と連通するように形成されており、球抜出口から放出された遊技球が本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路へ受け渡されるようになっている。
皿ユニット300の上皿301が遊技球で満タンとなった状態で、更に賞球ユニット700(賞球装置740)から遊技球が払出されると、ファールカバーユニット540の第一球出口から上皿301側へ出られなくなった遊技球が、ファールカバーユニット540の第一球通路内で滞り、やがて、満タン分岐ユニット770における通常球出口774を通して上流の通常通路内も一杯になる。この状態で、賞球受口から分岐空間内へ侵入した遊技球は、通常通路内へ侵入することができず、分岐空間内で横方向へ移動し始め、横方向へ移動した遊技球が満タン通路内へ侵入して、満タン球出口からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路、そして第二球出口を介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。
[3−5.基板ユニット]
次に、基板ユニット800について説明する。基板ユニット800は、図6に示すように、本体枠ベース600の下部後壁部の後面に取り付けられる基板ユニットベース810と、基板ユニットベース810の正面視左側後面に取り付けられるスピーカボックス820と、基板ユニットベース810の後面に取り付けられる電源基板ボックスホルダ840と、電源基板ボックスホルダ840の後面に取り付けられ後端がスピーカボックス820の後端と略同一面状となる大きさに形成される電源基板ボックス850と、電源基板ボックス850及びスピーカボックス820の後面に取り付けられる払出制御基板ボックス860と、払出制御基板ボックス860の正面視左側端部を覆うようにスピーカボックス820の後面に取り付けられる端子基板ボックス870と、基板ユニットベース810の前面に取り付けられる主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882と、を備えている。
電源基板ボックスホルダ840は、正面視で左右中央よりも左側前面に、上方へ開放され遊技盤4のアウト球排出部から排出された下方へ排出された遊技球を受ける排出球受部841と、排出球受部841で受けられた遊技球を下方へ誘導して排出する排出通路842と、排出通路842及び排出球受部841の横(正面視で右側)の前面に前方及び上方へ開放され電源基板ボックスホルダ840の後面全体が前側へ窪んだように形成され電源基板ボックス850の前端を収容可能なボックス収容部と、を備えている。
また、電源基板ボックスホルダ840は、排出通路842の開放された前端側が基板ユニットベース810の後面によって閉鎖されるようになっているとともに、基板ユニットベース810の開口部が排出通路842へ臨む位置に形成されており、本体枠ベース600における下部後壁部の後面に形成された本体枠ベース球抜通路を流通して基板ユニットベース810の開口部を通って基板ユニットベース810の後側へ流下した遊技球と、遊技盤4のアウト球排出部から排出されて排出球受部841で受けられた遊技球と、を排出通路842を通してパチンコ遊技機1の後側下方へ排出することができるようになっている。
電源基板ボックス850は、前方が開放された横長の箱状に形成されており、その前端開口を閉鎖するように取り付けられた電源基板851を備えている。この電源基板ボックス850は、電源基板851に取り付けられた各種電子部品が収容されるようになっており、上面及び下面に形成された複数のスリット850aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。なお、電源基板ボックス850の後面には、電源基板851に取り付けられた電源スイッチ852が臨むようになっている。
払出制御基板ボックス860は、横長で後方が開放された薄箱状のボックスベース861と、ボックスベース861内へ後側から嵌合し前方が開放された薄箱状のカバー862と、ボックスベース861の後面に取り付けられカバー862によって後面が覆われる払出制御基板4110と、を備えている。また、払出制御基板ボックス860は、背面視左端から外方へ突出しボックスベース861及びカバー862の双方に形成された複数の分離切断部863を備えており、複数の分離切断部863の一箇所でボックスベース861とカバー862とがカシメ固定されている。これによってボックスベース861とカバー862とを分離するためには、分離切断部863を切断しないと分離できないようになっており、払出制御基板ボックス860を開くと、その痕跡が残るようになっている。したがって、払出制御基板ボックス860が不正に開閉させられたか否かが判るようになっている。なお、本実施形態では、検査等のために払出制御基板ボックス860を一回だけ開閉することができるようになっている。
また、払出制御基板ボックス860は、払出制御基板4110に取り付けられた操作スイッチ860a(エラー解除部)、及び検査用出力端子860c等がカバー862を通して後方へ臨むようになっている。また、払出制御基板ボックス860は、主制御基板4100等と接続するための各種接続用の端子が、カバー862を通して後方へ臨むようになっている。なお、操作スイッチ860aは、電源投入時において払出制御基板4110のマイクロプロセッサに内蔵されるRAM、及び主制御基板4100のマイクロプロセッサに内蔵されるRAMをクリアする場合に操作されたり、電源投入後においてエラー報知されている際に、そのエラーを解除するために操作されたりするようになっており、電源投入時におけるRAMクリアを行う機能と、電源投入後(RAMクリアとして機能を奏する期間を経過した後)におけるエラー解除を行う機能と、を有している。この点についての詳細な説明を後述する。
端子基板ボックス870は、スピーカボックス820の後面に取り付けられる基板ベース871と、基板ベース871の後面に取り付けられ後方へ向かって周辺パネル中継端子872が固定された枠周辺中継端子板868と、基板ベース871の後面に取り付けられ後方へ向かってCRユニット中継端子873が固定された遊技球等貸出装置接続端子板869と、周辺パネル中継端子872とCRユニット中継端子873とが後側へ臨むように基板ベース871の後側を覆う基板カバー874と、を備えている。周辺パネル中継端子872は、パチンコ遊技機1を設置するパチンコ島設備側に備えられたパチンコ遊技機1の稼動状態等を表示するための度数表示器と接続するためのものであり、CRユニット中継端子873は、パチンコ遊技機1と隣接して設置されるCRユニットと接続するためのものである。
主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、本体枠3に取り付けられる遊技盤4に備えられた周辺制御基板4140や基板ユニット800の払出制御基板4110等と、扉枠5に備えられたハンドル装置500、各装飾基板や操作ユニット400等との接続を中継するためのものである。これら主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、基板ユニットベース810の前面に形成された基板取付部に取り付けることで、本体枠ベース600の前面から前側へ臨むようになっており、扉枠5から延びだした配線を接続することができるようになっている。
なお、主扉中継端子板880及び周辺扉中継端子板882は、本体枠ベース600の前面に取り付けられる中継端子板カバー692によってその前側が覆われるようになっているとともに、中継端子板カバー692の開口692aを通して、接続端子のみが前側へ臨むようになっており、本体枠3の前面がすっきりした外観となるようになっている。
また、主扉中継端子板880は、扉枠5側に配置される皿ユニット300における貸球ユニット360の貸球ボタン361、返却ボタン362、貸出残表示部363、ハンドル装置500のポテンショメータ512、タッチスイッチ516、発射停止スイッチ518、及びファールカバーユニット540の満タンスイッチ550と、本体枠3側に配置される払出制御基板4110との接続を中継するためのものである。なお、貸球ユニット360の貸球ボタン361、返却ボタン362、貸出残表示部363、ハンドル装置500のポテンショメータ512、タッチスイッチ516、発射停止スイッチ518、及びファールカバーユニット540の満タンスイッチ550についての説明を後述する。
また、周辺扉中継端子板882は、扉枠5側に配置される各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板、及び操作ユニット400に備えられた、ダイヤル駆動モータ414、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を各々検出する各種スイッチと、本体枠3側に配置される遊技盤4の周辺制御基板4140との接続を中継するためのものである。なお、扉枠5側に配置される各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板、及び操作ユニット400に備えられた、ダイヤル駆動モータ414、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を検出する各種スイッチについての説明は後述する。
[4.扉枠の全体構成]
次に、本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図7を参照して説明する。図7は扉枠の斜視図である。扉枠5は、図7に示すように、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状がやや縦長の円形状(楕円形状)とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の右外周に取り付けられる右サイド装飾ユニット200と、右サイド装飾ユニット200と対向し扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の左外周に取り付けられる左サイド装飾ユニット240と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部外周に取り付けられる上部装飾ユニット280と、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端下側に配置され扉枠ベースユニット100の前面に取り付けられる一対のサイドスピーカカバー290と、を備えている。
また、扉枠5は、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取り付けられる皿ユニット300と、皿ユニット300の上部中央に取り付けられる操作ユニット400と、皿ユニット300の右側に取り付けられる上皿側液晶表示装置470、皿ユニット300を貫通して扉枠ベースユニット100の右下隅部に取り付けられ遊技球の打込操作をするためのハンドル装置500と、扉枠ベースユニット100を挟んで皿ユニット300の後側に配置され扉枠ベースユニット100の後面に取り付けられるファールカバーユニット540と、ファールカバーユニット540の右側で扉枠ベースユニット100の後面に取り付けられる球送ユニット580と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取り付けられるガラスユニット590と、を備えている。
[4−1.扉枠ベースユニット]
次に、扉枠ベースユニット100について説明する。扉枠ベースユニット100は、外形が縦長の矩形状に形成されるとともに、前後方向に貫通し内周が縦長の略楕円形状に形成された遊技窓101を有する扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の上部中央に取り付けられ上部装飾ユニットを固定するための上部ブラケット120と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の下端左右両外側に取り付けられる一対のサイドスピーカ130と、扉枠ベース本体110の前面で正面視右下隅部に取り付けられハンドル装置500を支持するためのハンドルブラケットと、を備えている。
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強ユニット150(図1を参照)と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の下部を被覆するように取り付けられる防犯カバー180(図1を参照)と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の外周の所定位置に回動可能に取り付けられるガラスユニット係止部材190(図1を参照)と、背面視で左右方向の中央より左側(開放側)に配置され遊技窓101の下端に沿って扉枠ベース本体110の後面に取り付けられる発射カバー191(図1を参照)と、発射カバー191の下側で扉枠ベース本体110の後面に取り付けられ後述するハンドル装置500のポテンショメータ512と後述する遊技盤4に備えられた主制御基板4100との接続を中継するハンドル中継端子板192(図1を参照)と、ハンドル中継端子板192の後側を被覆するハンドル中継端子板カバー193(図1を参照)と、左右方向の中央を挟んで発射カバー191やハンドル中継端子板192等とは反対側(背面視で左右方向中央よりも右側(軸支側))に配置され扉枠ベース本体の後面に取り付けられる枠装飾駆動アンプ基板194(図1を参照)と、枠装飾駆動アンプ基板194の後側を被覆する枠装飾駆動アンプ基板カバー195(図1を参照)と、を備えている。
枠装飾駆動アンプ基板194は、サイドスピーカ130や左右のサイド装飾ユニット200,240の上部スピーカと電気的に接続されるとともに、後述する遊技盤4に備えられた周辺制御基板4140と電気的に接続されており、周辺制御基板4140から送られた音響信号を増幅して各スピーカ130へ出力する増幅回路を備えている。なお、具体的な図示は省略するが、本実施形態では、各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板、操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータやスイッチ、ハンドル中継端子板192、皿ユニット300の貸球ユニット360等と、払出制御基板4110や周辺制御基板4140等とを電気的に接続する配線が、枠装飾駆動アンプ基板194の背面視で右側(軸支側)の位置に集約して束ねられた上で後方へ延出して本体枠3の主扉中継端子板880や周辺扉中継端子板882に接続されるようになっている。
[4−1−1.扉枠ベース本体]
扉枠ベース本体110は、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で略楕円形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この遊技窓101は、左右側及び上側の内周縁が連続した滑らかな曲線状に形成されているのに対して、下側の内周縁は左右へ延びた直線状に形成されている。また、扉枠ベース本体110における遊技窓101の下側の内周縁には、軸支側(正面視で左側)にファールカバーユニット540の第一球出口を挿通可能な方形状の切欠部が形成され、遊技窓101の下辺の左右両外側に配置されサイドスピーカ130を取り付けて固定するためのスピーカ取付部、正面視で右下隅部に配置され前方へ膨出した前面の右側(開放側)端が後退するように斜めに傾斜しハンドルブラケットを取り付けるためのハンドル取付部、ハンドル取付部の所定位置で前後方向へ貫通しハンドル装置500からの配線が通過可能な配線通過口、ハンドル取付部の上側で前方へ向かって短く延びた筒状に形成され後述するシリンダ錠1010が挿通可能な錠穴116が形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強ユニット150の上側補強板金151、軸支側補強板金152、及び開放側補強板金153の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。
[4−1−2.補強ユニット]
補強ユニット150は、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金151(図1を参照)と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金152(図1を参照)と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金153(図1を参照)と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金154(図1を参照)と、を備えており、それらが相互にビスやリベット等で締着されて方形状に形成されている。
軸支側補強板金152の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン155を有する上軸支部156と、その下面に軸ピン157を有する下軸支部158と、を一体的に備えている。そして、上下の軸ピン155,157が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具630及び下軸支金具640に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に軸支されるようになっている。
また、開放側補強板金153の後側下部には、錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー165が備えられている。このフックカバー165は、本体枠3に対して扉枠5を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000(施錠装置)の扉枠用フック部1041と係合するものであり、錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動する(本体枠3を外枠2に対して開放する方向と反対方向に回転する)ことにより、扉枠用フック部1041とフックカバー165との係合が外れて本体枠3に対する扉枠5の閉鎖状態を解除することができるものである。
[4−2.皿ユニット]
次に、皿ユニット300について説明する。皿ユニット300は、賞球装置740から払出された遊技球を貯留するための上皿301及び下皿302を備えているとともに、上皿301に貯留した遊技球を球送ユニットを介して打球発射装置650へ供給することができるものである。
皿ユニット300の上皿上部パネル314の形状は、正面視で左方向から中央に向かって前方へ突出するように湾曲状に形成されるとともに、その中央から右方向に向かって直線上に前方へ突出して形成されている。皿ユニット300の上部中央には、操作ユニット400が取り付けられる操作ユニット取付部が形成され、この操作ユニット取付部の右側に上皿側液晶表示装置470を取り付けるための液晶取付部314dが形成される。液晶取付部314dが形成される上皿上部パネル314の形状は、板状に形成されており、この部分を例えば遊技者が手で下に向かって押しつけると下方向にたわむようになっており、その押しつける力が所定の力を超えると、上皿上部パネル314が壊れるようになっている。これは、上皿側液晶表示装置470が高価なものであるため、上皿側液晶表示装置470の画面を遊技者が手を押しつけた際に、その力を上皿上部パネル314で受けることにより上皿上部パネル314をたわませることで上皿側液晶表示装置470が破損しないようにしている。つまり、上皿側液晶表示装置470が破損する前に上皿上部パネル314が先に破損するという構造が採用されている。なお、上皿上部パネル314が破損した場合には、皿ユニット300を交換することとなる。この場合、壊れた上皿上部パネル314から上皿側液晶表示装置470を取り外して交換する皿ユニット300の上皿上部パネル314に取り付けて再利用する。
また、皿ユニット300には、上皿球抜きボタン341の操作に応じて上皿301に貯留された遊技球を下皿302へ抜くための上皿球抜き機構340と、下皿球抜きボタン354の操作に応じて下皿302に貯留された遊技球を下皿球抜き孔324bを介して下方へ抜くための下皿球抜き機構350と、パチンコ遊技機1に隣接して設置された図示しないCRユニットを作動させる貸球ユニット360と、を備えている。
[4−2−1.操作ユニット]
操作ユニット400は、正面視左右方向の略中央で上皿301の前面に配置され、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401(操作部)と、遊技者が押圧可能な押圧操作部405(操作部)と、を備えており、遊技状態に応じて遊技者の操作を受付けたり、ダイヤル操作部401が可動したりすることができ、遊技者に対して遊技球の打込操作だけでなく、遊技中の演出にも参加することができるようにするものである。ダイヤル操作部401の回転(回転方向)は、操作ユニット400に備える回転検出スイッチにより検出され、押圧操作部405の操作は、操作ユニット400に備える押圧検出スイッチにより検出されるようになっている。
また、操作ユニット400は、ダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計回りの方向へ回転させることができるようになっている。また、操作ユニット400は、ステッピングモータを用いたダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を、カクカクと段階的に回転させたり、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作した時に、その回転を補助したり、わざと回らないようにしたり、回転にクリック感を付与したりすることができるようになっている。また、操作ユニット400は、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転させる回転と逆転させる回転とを交互に繰返させることによりダイヤル操作部401を振動させるようにすることができるようになっている。
[4−2−2.貸球ユニット]
貸球ユニット360は、後方へ押圧可能な貸球ボタン361及び返却ボタン362を備えているとともに、貸球ボタン361と返却ボタン362の間に貸出残表示部363を備えている。貸球ボタン361が操作されると、球貸スイッチ365aにより検出され、返却ボタン362が操作されると、返却スイッチ365bにより検出されるようになっている。残度数表示器365cの表示内容は貸出残表示部363を介して視認することができるようになっている。なお、残度数表示器365cに隣接してCRユニットランプ365dが配置されており、CRユニットランプ365dの発光態様が貸出残表示部363を介して視認することができるようになっている。球貸スイッチ365a、返却スイッチ365b、残度数表示器365c、及びCRユニットランプ365dは、度数表示板365に実装されており、この度数表示板365は、貸球ユニット360の内部に取り付けられている。この貸球ユニット360は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられた球貸機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン361を押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の上皿301内へ貸出す(払い出す)ことができるとともに、返却ボタン362を押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。また、貸出残表示部363には、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数が表示されるようになっている。
[4−3.球送ユニット]
次に、球送ユニット580について説明する。球送ユニット580は、皿ユニット300における上皿301から供給される遊技球を1球ずつ打球発射装置650へ供給することができるとともに、上皿301内に貯留された遊技球を、上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の操作によって下皿302へ抜くことができるものである。
球送ユニット580は、皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球が、上皿301の上皿球排出口、扉枠ベース本体110の球送開口を通して供給され前後方向に貫通した侵入口、及び侵入口の下側に開口する球抜口を有し後方が開放された箱状の前カバーと、前カバーの後端を閉鎖するとともに前方が開放された箱状で、前後方向に貫通し前カバーの侵入口から侵入した遊技球を打球発射装置650へ供給するための打球供給口582aを有した後カバーと、後カバー及び前カバーの間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバーの後側で侵入口と球抜口との間を仕切る仕切部を有した球抜き部材と、球抜き部材の仕切部上の遊技球を1球ずつ後カバーの打球供給口582aへ送り前カバーと後カバーとの間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送部材と、球送部材を回動させる球送ソレノイド585と、を備えている。
球送ソレノイド585が駆動される(ONの状態)と、球送部材が遊技球を1球受け入れる一方、球送ソレノイド585の駆動が解除される(OFFの状態)と、球送部材が受け入れた遊技球を打球発射装置650側へ送る(供給する)ようになっている。
[4−4.ハンドル装置]
次に、ハンドル装置500について説明する。ハンドル装置500は、扉枠ベース本体110の前面に取り付けられたハンドルブラケットに固定され円筒状で前端が軸直角方向へ丸く膨出したハンドルベースと、ハンドルベースに対して相対回転可能にハンドルベースの前側に配置される環状の回転ハンドル本体後と、回転ハンドル本体後の前面に固定され回転ハンドル本体後と一体回転可能とされた回転ハンドル本体前506と、回転ハンドル本体前506の前面に配置されると共にハンドルベースに固定され、ハンドルベースと協働して回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後を回転可能に支持する前端カバー508と、を備えている。
また、ハンドル装置500は、回転ハンドル本体前の回転中心に前側から後側へ突出するように取り付けて固定され後端に非円形の軸受部を有した軸部材と、軸部材の軸受部と嵌合し回転可能とされた検出軸部を有しハンドルベースの前面に回転不能に嵌合されるポテンショメータ512と、ポテンショメータ512をハンドルベースとで挟むようにハンドルベースの前面に固定されポテンショメータ512の検出軸部が通過可能な貫通孔を有したスイッチ支持部材と、スイッチ支持部材の後面に取り付けられるタッチスイッチ516と、タッチスイッチ516とはスイッチ支持部材の後面の異なる位置に取り付けられる発射停止スイッチ518と、スイッチ支持部材に対して回転可能に軸支され発射停止スイッチ518を作動させる単発ボタンと、軸部材の外周を覆うように配置され回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後を原回転位置(正面視で反時計周りの方向への回転端)へ復帰するように付勢するハンドル復帰バネと、を備えている。なお、ポテンショメータ512は、回転ハンドル本体前506の回転位置に応じて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す強度を電気的に調節するためのものである。また、回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後は、原回転位置から正面視で時計周りの方向へ最大回転位置となる限界回転位置(正面視で時計周りの方向への回転端)まで回動する。
また、ハンドル装置500は、ポテンショメータ512が可変抵抗器とされており、回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後を回転させると、軸部材を介してポテンショメータ512の検出軸部が回転することとなる。そして、検出軸部の回転位置(回転角度)に応じてポテンショメータ512の内部抵抗が変化し、ポテンショメータ512の内部抵抗に応じて打球発射装置650における発射ソレノイド654の駆動力が変化して、回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後の回転角度、つまり回転ハンドル本体前506及び回転ハンドル本体後の回転位置に応じた(見合った)発射強度で遊技球が遊技領域1100内へ打ち込まれるようになっている。
[4−5.ファールカバーユニット]
次に、ファールカバーユニット540について説明する。ファールカバーユニット540は、扉枠ベースユニット100における遊技窓101よりも下側の後面に取り付けられ、賞球ユニット700から払出された遊技球や、打球発射装置650により発射されたにも関わらず遊技領域1100内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を、皿ユニット300の上皿301や下皿302へ誘導するものである。ファールカバーユニット540は、前側が開放され複数の遊技球の流路を内部に有したカバーベースと、カバーベースの前端を閉鎖する前カバーと、を備えている。
ファールカバーユニット540のカバーベースは、背面視で右上隅に配置され前後方向に貫通する第一球入口542aと、第一球入口と連通しカバーベース542の前端に向かうに従って正面視右側へ広がる第一球通路と、第一球入口542aの外側(背面視でで右側)に配置され第一球入口542aよりも大口の第二球入口542cと、第二球通路と連通しカバーベースの内部で、下方へ延びた上で正面視右下隅へ向かって低くなるように傾斜した第二球入口542cと、を備えている。この第一球入口542a及び第二球入口542cは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態で、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774及び満タン球出口776とそれぞれ対向する位置に形成されている。なお、カバーベースにおける第二球通路は、下端に沿って左右方向へ延びた部分の高さが、遊技球の外径に対して約3倍の高さとされており、所定量の遊技球を収容可能な収容空間が形成されている。
また、カバーベース542は、左右方向の略中央上部に配置され上方に開口したファール球入口542eと、ファール球入口542eと連通し第二球通路の下流付近の上部へ遊技球を誘導可能なファール球通路と、を備えている。また、カバーベースは、第二球入口の下側の後面に球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792を作動させるための開閉作動片を、備えている。この開閉作動片は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた時に、球出口開閉ユニット790における開閉クランクの球状の当接部と当接することで、開閉クランクを回転させて開閉シャッター792を開状態とすることができるものである。
ファールカバーユニット540の前カバーは、カバーベースの前面を閉鎖する略板状に形成されており、正面視左上隅に配置されカバーベースの第一球通路と連通し前後方向に貫通した第一球出口と、正面視右下隅に配置されカバーベース542の第二球通路の下流端と連通し前後方向に貫通した第二球出口と、を備えている。前カバーの第一球出口は、扉枠ベースユニット100の切欠部を通して皿ユニット300の上皿球供給口と接続されるようになっている。また、第二球出口は、扉枠ベース本体110の球通過口を通して皿ユニット300における下皿球供給樋の後端が接続されるようになっている。
ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774から第一球入口542aへ供給された遊技球を、第一球通路を通って第一球出口から皿ユニット300の上皿球供給口を介して上皿301へ供給することができるようになっている。また、ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の満タン球出口776から第二球入口542cへ供給された遊技球を、第二球通路を通って第二球出口から皿ユニット300の下皿球供給樋及び下皿球供給口を介して下皿302へ供給することができるようになっている。
また、ファールカバーユニット540は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態とすると、ファール球入口542eが本体枠3のファール空間626の下部に位置するようになっており、打球発射装置650により発射された遊技球が遊技領域1100内へ到達せずにファール球となってファール空間626を落下すると、ファール球入口542eによって受けられるようになっている。そしてファールカバーユニット540は、ファール球入口542eに受けられた遊技球を、ファール球通路及び第二球通路を通って第二球出口から皿ユニット300の下皿302へ排出(供給)することができるようになっている。
また、ファールカバーユニット540は、第二球通路における収容空間の上流側(正面視左側)側面を形成し収容空間内に貯留された遊技球によって揺動可能にカバーベースに軸支された揺動部材と、揺動部材の揺動を検出する満タンスイッチ550と、揺動部材が満タンスイッチ550によって非検出状態となる方向へ付勢するバネと、を備えている。この揺動部材は、カバーベースに対して下端が回動可能に軸支されているとともに、上端が正面視左側へ回動するようになっており、略垂直な状態で収容空間の左側側壁を形成するようになっている。また、揺動部材は、バネによって略垂直状態となる位置へ付勢されている。また、揺動部材は、収容空間側とは反対側の側面に外側へ突出する検出片が形成されており、この検出片が満タンスイッチ550よって検出されるようになっている。つまり、満タンスイッチ550からの検出信号に基づいて、収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判断することができるようになっている。
[5.遊技盤の全体構成]
次に、遊技盤4の全体構成について、図8及び図9を参照して説明する。図8は遊技盤の正面図であり、図9は図8の遊技盤を分解して前から見た分解斜視図である。遊技盤4は、図8及び図9に示すように、外レール1111及び内レール1112を有し、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画形成する枠状の前構成部材1110と、前構成部材1110の正面視右下隅部でパチンコ遊技機1へ取り付けた時に扉枠5の遊技窓101から遊技者側へ視認可能となる位置に配置された機能表示ユニット1180と、前構成部材1110の後側に遊技領域1100を閉鎖するように取り付けられ遊技領域1100と対応する位置に所定形状で前後方向へ貫通した複数の開口部1158を有した板状の遊技パネル1150と、遊技パネル1150の開口部1158に対して前側から取り付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取り付けられる裏ユニット3000と、を備えている。
また、遊技盤4は、遊技パネル1150と裏ユニット3000との間に配置され、遊技パネル1150を貫通するように複数穿設された発光装飾孔に対して遊技パネル1150の後側から挿入されるパネルレンズ部材2500と、裏ユニット3000の後側に脱着可能に取り付けられ遊技状態に応じて遊技者側から視認可能とされた所定の演出画像を表示可能な液晶表示装置と、裏ユニット3000の下部を後側から覆うように遊技パネル1150の後面下部に取り付けられる基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取り付けられる主制御基板ボックス1170と、を備えている。
[5−1.前構成部材]
次に、前構成部材1110について説明する。前構成部材1110は、外形が本体枠3の遊技盤保持口601内へ挿入可能な略矩形状とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域1100の外周が区画されるようになっている。この前構成部材1110は、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール1111と、外レール1111に略沿って外レール1111の内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール1112と、内レール1112の下端から滑らかに連続するように正面視反時計回りの周方向へ沿って外レール1111の終端(上端)よりも下側の位置まで円弧状に延びた内周レール1113と、内周レール1113の終端(上端)と外レール1111の終端(上端)とを結び外レール1111に沿って転動してきた遊技球が当接可能とされた衝止部1114と、内レール1112と内周レール1113との境界部で遊技領域1100の最下端に配置され後方へ向かって低くなったアウト口誘導面1115と、内レール1112の上端に回動可能に軸支され、外レール1111との間を閉鎖するように内レール1112の上端から上方へ延出した閉鎖位置と正面視時計回りの方向へ回動して外レール1111との間を開放した開放位置との間でのみ回動可能とされるとともに閉鎖位置側へ復帰するようにバネによって付勢された逆流防止部材1116と、を備えている。
前構成部材1110は、遊技盤4を本体枠3に取り付けた状態とすると、外レール1111と内レール1112との間の下端開口が、本体枠3の打球発射装置650における発射レール660(図1を参照)の延長線上に位置するようになっている。この外レール1111の下端と、発射レール660の上端との間には、左右方向及び下方へ広がった空間が形成されており、打球発射装置650の発射レール660に沿って打ち出された遊技球が、その空間を飛び越えて、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から外レール1111と内レール1112との間へ打ち込まれるようになっている。外レール1111と内レール1112との間に打ち込まれた遊技球は、その勢いに応じて外レール1111に沿って上方へ転動し、内レール1112の上端に軸支された逆流防止部材1116を、その付勢力に抗して開放位置側へ回動させることにより、遊技領域1100内へ侵入することができるようになっている。
また、打球発射装置650において遊技球を強く打球した場合、遊技領域1100内で外レール1111に沿って転動した遊技球が、外レール1111の終端に備えられた衝止部1114に当接するようになっており、この衝止部1114に遊技球が当接することで遊技球の転動方向を強制的に変化させることができ、外レール1111から内周レール1113へ連続して遊技球が転動するのを防止することができるようになっている。なお、遊技領域1100内へ侵入した(打ち込まれた)遊技球が、外レール1111と内レール1112との間へ戻ろうとしても、その前に逆流防止部材1116が付勢力によって閉鎖位置へ復帰することで、逆流防止部材1116によって遊技球の逆流が阻止されるようになっている。
また、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球は、表ユニット2000の始動口2101,2102や入賞口2103,2104,2201等に受け入れられなかった場合は、遊技領域1100の下端へと流下し、内レール1112と内周レール1113との境界のアウト口誘導面1115によって、遊技パネル1150のアウト口1151へ誘導され、アウト口1151から遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
一方、打球発射装置650から発射された遊技球が、内レール1112先端の逆流防止部材1116を越えて遊技領域1100内へ侵入することができなかった場合は、外レール1111と内レール1112との間を逆方向の下方へ向かって転動し、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から、発射レール660の上端と外レール1111の下端との間に形成されたファール空間626(図1を参照)を落下することとなり、ファール空間626の下部に位置する扉枠5に取り付けられたファールカバーユニット540のファール球入口542e(図1を参照)に受け入れられて、皿ユニット300における下皿302(図7を参照)へ排出されるようになっている。
なお、前構成部材1110における外レール1111は、その表面に金属板が取り付けられており、遊技球の転動による耐摩耗性が高められているとともに、遊技球が滑らかに転動するようになっている。また、衝止部1114は、表面にゴムや合成樹脂等の弾性体が配置されており、遊技球が外レール1111に沿って勢い良く転動してきて衝突しても、その衝撃を緩和させることができるようになっているとともに、遊技球を内側へ反発させることができるようになっている。
また、前構成部材1110は、正面視左端に上下方向へ離間して配置され前方から後方へ向かって窪むとともに左端に開放された一対の位置決め凹部1119と、正面視右端に上下方向へ離間して配置された一対の遊技盤止め具1120と、外レール1111の下端よりも正面視左側に配置され下方に開放されるとともに上側が円弧状に形成され前側から窪んだ固定凹部1121と、正面視下端の左側端部付近に下端から上方へ左右方向に長く延びた矩形状に切欠かれた球通路用切欠部1122と、を備えている。前構成部材1110の位置決め凹部1119は、本体枠3における側面防犯板950の内側に取り付けられた位置決め部材956(図5を参照)と嵌合させることで、遊技盤保持口601(図5を参照)に挿入された遊技盤4の正面視左端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤止め具1120は、本体枠3における本体枠ベース600の遊技盤係止部に対して着脱可能に係止することができるようになっており、遊技盤止め具1120を遊技盤係止部に係止させることで、本体枠3の遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視右端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、前構成部材1110の固定凹部1121は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態で、本体枠3の前面に軸支された遊技盤固定具690(図5を参照)を正面視で時計回りの方向へ回動させると、遊技盤固定具690の固定片690a(図5を参照)が挿入されるようになっており、遊技盤固定具690によって遊技盤4の下端が前方へ移動するのが規制されるようになっている。また、前構成部材1110の球通路用切欠部1122は、遊技パネル1150の同位置にも同様の球通路用切欠部1152が形成されており、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態では、球通路用切欠部1122,1152内に満タン分岐ユニット770(図5を参照)の前端が挿通されるようになっている。
なお、前構成部材1110の正面視右下には、後述する機能表示ユニット1180が配置されている。
[5−2.表ユニット]
次に、遊技盤4の表ユニット2000について説明する。表ユニット2000は、遊技領域1100内の左右方向略中央下部でアウト口1151の上側に配置され遊技パネル1150の前面に支持されるアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100の左方で遊技領域1100の外周に沿って配置され遊技パネル1150の前面に支持されるサイド入賞口部材2200と、遊技領域1100の略中央部分に配置され遊技パネル1150に支持される枠状のセンター役物2300と、を備えている。
この表ユニット2000は、遊技パネル1150における遊技領域1100と対応した位置に形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に取り付けられるようになっており、遊技パネル1150よりも前側へ突出した部分は、遊技領域1100内に位置するようになっている。これにより、表ユニット2000は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球と適宜位置で当接するようになっており、遊技パネル1150の前面に植設された障害釘と共に、遊技球の動きに対して変化を付与することができるようになっているものである。また、表ユニット2000は、遊技領域1100内を装飾することができるようになっている。
[5−2−1.アタッカユニット]
次に、表ユニット2000のアタッカユニット2100について説明する。アタッカユニット2100は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有しており、具体的には、左右方向の略中央に配置された上始動口2101と、上始動口2101の下側に配置された下始動口2102と、下始動口2102の下側に配置され上始動口2101や下始動口2102よりも左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2103と、大入賞口2103の左右両側やや上寄りに配置された一般入賞口2104と、を備えている。これら上始動口2101、下始動口2102、大入賞口2103、及び一般入賞口2104に受け入れられた遊技球は、遊技パネル1150の前面側から後面側へ誘導されるようになっている。
このアタッカユニット2100の上始動口2101は、上側が開放されており遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。一方、上始動口2101の下側に配置された下始動口2102は、上始動口2101との間に始動口ソレノイド2105(図99を参照)により拡開可能な一対の可動片2106が配置されており、一対の可動片2106が略垂直に立上った状態では上始動口2101と一対の可動片2106とによって下始動口2102へ遊技球が受入不能となるのに対して、一対の可動片2106が左右方向へ拡開した状態では下始動口2102へ遊技球が受入可能となるようになっている。つまり、一対の可動片2106により下始動口2102が可変入賞口(可変入賞装置)となっている。なお、一対の可動片2106は、後述するセンター役物2300におけるゲート部2350のゲートスイッチ2352による遊技球の通過の検出に基づいて始動口ソレノイド2105の駆動により開閉されるようになっている。
また、アタッカユニット2100の大入賞口2103は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2107によって開閉可能とされている。この開閉部材2107は、下辺が回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2103を閉鎖して遊技球を受け入れし難くすることができると共に、上辺が前側へ移動するように回動すると大入賞口2103を開放して遊技球を受け入れ易くすることができるようになっている。この開閉部材2107は、通常の遊技状態では大入賞口2103を閉鎖した状態となっており、上始動口2101や下始動口2102へ遊技球が受け入れられる(始動入賞する)ことで抽選される特別抽選結果に応じて(特別抽選の結果が「大当り」又は「小当り」の時に)アタッカソレノイド2108(図99を参照)の駆動により開閉するようになっており、可変入賞口(可変入賞装置)を構成している。
更に、アタッカユニット2100の一般入賞口2104は、上向きに開放されており、遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。
また、アタッカユニット2100は、詳細な図示は省略するが、下始動口2102へ受け入れられた遊技球を検出する下始動口スイッチ2109と、大入賞口2103へ受け入れられた遊技球を検出するカウントスイッチ2110と、を更に備えており、下始動口スイッチ2109やカウントスイッチ2110により検出された遊技球は、基板ホルダ1160の底壁部上に排出されるようになっている。なお、上始動口2101へ受け入れられた遊技球を検出する上始動口スイッチ3022と、一般入賞口2104へ受け入れられた遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020は、裏ユニット3000に備えられている。
[5−2−2.サイド入賞口部材]
次に、表ユニット2000のサイド入賞口部材2200について説明する。サイド入賞口部材2200は、遊技パネル1150における左右方向中央から左寄りの下部で、アタッカユニット2100が挿入固定される開口部1158よりも左側に形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものであり、アタッカユニット2100における正面視左側の一般入賞口2104と並ぶように遊技領域1100の外周に沿って互いに背向するようにされた2つの一般入賞口2201を備えている。これら2つの一般入賞口2201は、上方に開放され遊技球が常時受入(入賞)可能となっており、一般入賞口2201へ受け入れられた遊技球は、遊技パネル1150の前面側から後面側へ誘導された後に、後述する裏ユニット3000に備えられた一般入賞口スイッチ3020によって検出されるようになっている。
また、サイド入賞口部材2200には、その左上端部に左側の端部が遊技領域1100の外周と略接するような位置に配置され、右側の端部へ向うに従って低くなるように傾斜した第一棚部2202と、第一棚部2202とは2つの一般入賞口2201を挟んで反対側且つ下側に配置され遊技領域1100の左右方向中央側(アタッカユニット2100の下始動口2102や大入賞口2103側)へ向かって低くなる第二棚部2203と、を備えており、第一棚部2202によって遊技領域1100の外周に沿って流下してきた遊技球を遊技領域1100の中央側へ寄せることができるようになっている。
なお、2つの一般入賞口2201は、第一棚部2202の右側の端部よりも右側へ配置されており、第一棚部2202により遊技球が遊技領域1100の中央側へ寄せられても、一般入賞口2201へ入賞する可能性があるようになっている。また、2つの一般入賞口2201の間の上側にも、遊技領域1100の中央側へ向って低くなるように傾斜した第三棚部2204が備えられている。
このサイド入賞口部材2200は、全体的に透光性を有するように形成されており、詳細な図示は省略するが、第二棚部2203の後側にサイド入賞口装飾基板が備えられていると共に、サイド入賞口部材2200の後側に後述する裏ユニット3000におけるサイドランプ装飾基板3014が配置されるようになっており、これらサイド入賞口装飾基板及びサイドランプ装飾基板3014によってサイド入賞口部材2200が発光装飾可能とされている。
[5−2−3.センター役物]
次に、表ユニット2000のセンター役物2300について説明する。センター役物2300は、遊技パネル1150の略中央を貫通するように大きく形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものであり、遊技領域1100の大半を占める大きさで枠状に形成され、正面視右側の外周面は遊技領域1100の外周との間で遊技球の外径よりも若干大きい隙間が形成されるように円弧状に形成されていると共に、左側の外周面は遊技領域1100の外周との間で所定幅の領域が形成されるように垂下した略直線上に形成されている。
このセンター役物2300は、遊技パネル1150の前面に位置する前壁部の上側の外周面における左右方向中央のやや右寄りの位置から左側に、左方向へ向うに従って低くなるように傾斜した上棚部2301を備えており、遊技領域1100内の上部へ打ち込まれた遊技球が、上棚部2301へ流下するとセンター役物2300の左方を通って流下するようになっていると共に、上棚部2301よりも右側へ流下(侵入)した遊技球はセンター役物2300の右方を通って一気に遊技領域1100の下部へ流下するようになっている。つまり、センター役物2300における上棚部2301よりも右側へ遊技球が侵入するように遊技球を打ち込むと、遊技球の流下を楽しむ機会が少なくなるようになっているので、遊技球の打込強さを適宜調整させることができ、緊張感を維持させて漫然とした遊技となるのを抑制することができるようになっている。
また、センター役物2300は、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面に遊技領域1100を流下する遊技球が侵入可能とされたワープ入口2302と、ワープ入口2302に侵入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口(図示は省略)と、ワープ出口から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後にアタッカユニット2100の上側の遊技領域1100内へ放出させセンター役物2300における枠内の下辺上面に形成されたステージ2310と、を主に備えている。
このセンター役物2300におけるステージ2310は、詳細な図示は省略するが、ワープ出口から放出された遊技球が供給される第一ステージと、第一ステージの前側に配置され第一ステージから遊技球が供給されると共に遊技領域1100内へ遊技球を放出可能とされた第二ステージと、を備えている。このステージ2310は、左右方向の略中央が低くなるような湾曲面状に形成されている。また、第一ステージの左右方向略中央の後側には、遊技球が侵入可能なチャンス入口2313が形成されており、チャンス入口2313へ侵入した遊技球はセンター役物2300における最下端前面のチャンス出口2314から遊技領域1100内へ放出されるようになっている。このチャンス出口2314は、アタッカユニット2100における上始動口2101の直上に配置されており、チャンス出口2314から放出された遊技球は、高い確率で上始動口2101へ受け入れられる(入賞する)ようになっている。
なお、センター役物2300におけるステージ2310は、透明な部材で形成されており、このステージ2310を通して、裏ユニット3000におけるステージ2310よりも下側に配置された装飾体が遊技者側から視認できるようになっている。
また、センター役物2300には、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面でワープ入口2302よりも上側に、内レール1112と略接するように左方向へ延出する透明なアーチ部2315を更に備えている。このアーチ部2315は、前壁部の略前端から薄板状の延びだしており、アーチ部2315と遊技パネル1150の前面との間に遊技球が通過可能な空間を形成している。これにより、遊技領域1100の上部に打ち込まれて上棚部2301によってセンター役物2300の左方へ誘導された遊技球が、アーチ部2315の後側を通って下流側へ流下するようになっている。
更に、センター役物2300には、遊技パネル1150の前側に位置する前壁部の左側の外周面でアーチ部2315付近に遊技球の通過を検出するゲート部2350を備えている。このゲート部2350は、前壁部の左側の外周面でアーチ部2315の上側に配置され遊技領域1100を流下する遊技球が侵入可能とされたゲート入口と、ゲート入口に侵入した遊技球を検出するゲートスイッチ2352と、ゲートスイッチ2352で検出された遊技球を前壁部の外周面から遊技領域1100へ放出するゲート出口とを備えている。なお、本実施形態では、詳細な図示は省略するが、ゲート部2350のゲート出口が、アーチ部2315と同じ高さの位置に形成されており、ゲートスイッチ2352で検出された遊技球が、アーチ部2315をあたかも潜ったかのように見えるようになっている。
[5−3.パネルレンズ部材]
次に、遊技盤4のパネルレンズ部材2500について説明する。パネルレンズ部材2500は、遊技パネル1150における遊技領域1100内でセンター役物2300が挿入される開口部1158よりも外側の位置に円形や×形状で前後方向へ貫通するように形成された複数の発光装飾孔を発光装飾させるものである。このパネルレンズ部材2500は、センター役物2300の外周で左上側に形成された複数の発光装飾孔と対応した透明な上パネルレンズ2510と、上パネルレンズ2510の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された上パネルレンズ基板と、センター役物2300の外周で左下側に形成された複数の発光装飾孔と対応した透明な下パネルレンズ2520と、下パネルレンズ2520の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された下パネルレンズ基板とを備えている。
このパネルレンズ部材2500における上パネルレンズ2510及び下パネルレンズ2520は、板状のレンズベース部から前方へ突出し、挿入される発光装飾孔の形状と略同形状とされた複数の棒状の挿入導光部を備えている。この挿入導光部を遊技パネル1150の発光装飾孔へ後側から挿入した状態では、その先端が遊技パネル1150の前面と略一致するように形成されており、遊技パネル1150の前面を流下する遊技球に対して可及的に影響を及ぼさないようになっている。
パネルレンズ部材2500は、上パネルレンズ基板及び下パネルレンズ基板のLEDを適宜発光させることで、ベニア合板等の不透明な遊技パネル1150を用いても遊技球が流下する領域を発光装飾させることができ、これまでにない遊技パネル1150の装飾を遊技者に見せることができると共に、パチンコ遊技機1を目立たせて他のパチンコ遊技機との差別化を計ることができるようになっている。
[5−4.裏ユニット]
次に、遊技盤4の裏ユニット3000について説明する。裏ユニット3000は、遊技パネル1150の後面に取り付けて固定されており、遊技パネル1150から所定距離後側へ離れた位置に液晶表示装置1900を支持する裏箱3001と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の上側に配置される上部ユニット3100と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の右側に配置されるキャラクタユニット3400と、裏箱3001内で液晶表示装置1900の左側に配置される歯車装飾体ユニット3500と、を主に備えている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3001の左下前端付近で遊技パネル1150の前面に取り付けられた表ユニット2000におけるサイド入賞口部材2200と対応する位置に配置され、表面に複数のLEDが実装されたサイドランプ装飾基板3014と、裏箱3001の下部前端に取り付けられ、サイド入賞口部材2200の一般入賞口2201へ受け入れられた遊技球と、アタッカユニット2100における左側の一般入賞口2104へ受け入れられた遊技球とを下方へ誘導する左誘導部材3016と、左誘導部材3016の右側に配置され、アタッカユニット2100の上始動口2101及び右側の一般入賞口2104へ受け入れられた遊技球を下方へ誘導する右誘導部材3018と、を主に備えている。
更に、裏ユニット3000は、詳細な図示は省略するが、裏箱3001の後側下部に配置されランプ駆動基板4170を収容した横長矩形状のランプ駆動基板ボックス3423と、ランプ駆動基板ボックス3423の下側に配置されモータ駆動基板4180を収容した横長矩形状のモータ駆動基板ボックス3430と、裏箱3001の後側に固定されランプ駆動基板ボックス3423及びモータ駆動基板ボックス3430の背面視で左側に配置されたパネル中継端子板4161と、裏箱3001の後側上部に配置された横長矩形状の上部抵抗基板と、裏箱3001の後側に取り付けられ液晶表示装置1900を脱着可能に保持するロック部材と、を更に備えている。
この裏ユニット3000は、本実施形態では、表ユニット2000におけるセンター役物2300の枠内を通して遊技者側から視認することができるようになっており、所定の形状に造形された各ユニット3100,3400,3500等によってパチンコ遊技機1のコンセプトを特徴付けることができるようになっている。また、裏ユニット3000は、遊技状態に応じて各ユニット3100,3400,3500が、それぞれ独立、或いは、連係しながら可動するようになっており、その可動により遊技者に対して、遊技状態の変化やチャンスの到来等を示唆することができ、遊技者を楽しませることができるようになっている。
[5−4−1.裏箱]
次に、裏ユニット3000の裏箱3001について説明する。裏箱3001は、前側が開放された箱状に形成され、前端に外方へ突出するフランジ状の固定部3001aが複数備えられており、この固定部3001aを介して遊技パネル1150の後側に固定されるようになっている。また、裏箱3001は、後壁の略中央に矩形状の開口が形成されており、この開口を通して後側に支持される液晶表示装置1900が遊技者側から視認できるようになっている。更に、裏箱3001は、各ユニット3100,3400,3500や、各基板3014等を取り付けて固定するための取付部が適宜位置に形成されている。
また、裏箱3001は、図示は省略するが、背面視で開口の右側に、液晶表示装置1900の左右両辺から外方へ突出する一方(背面視で右辺)の固定片1902を挿入係止する液晶支持部を備えていると共に、開口の背面視で左側にロック部材が取り付けられており、ロック部材により液晶表示装置1900の他方(背面視で左辺)の固定片1902を支持することで、液晶表示装置1900が裏箱3001の後側に脱着可能に取り付けられるようになっている。
[5−4−2.誘導部材]
次に、左誘導部材3016及び右誘導部材3018について説明する。左誘導部材3016は、サイド入賞口部材2200の一般入賞口2201と、アタッカユニット2100の左側の一般入賞口2104へ受け入れられた遊技球を、それぞれ異なる流路を通って下方へ誘導排出するようになっており、それぞれの流路に遊技球の通過を検出する一般入賞口スイッチ3020が備えられている。一方、右誘導部材3018は、アタッカユニット2100の上始動口2101と右側の一般入賞口2104へ受け入れられた遊技球を下端付近まではそれぞれ異なる流路を通って下方へ誘導排出されるようになっており、上始動口2101と対応した流路には上始動口スイッチ3022が、右側の一般入賞口2104と対応した流路には一般入賞口スイッチ3020が備えられている。また、右誘導部材3018には、磁気を検出可能な磁気検出スイッチ3024が備えられている。
これら左誘導部材3016及び右誘導部材3018によって下方へ誘導された遊技球は、基板ホルダ1160の底壁部上に排出され、基板ホルダ1160のアウト球排出部1161から遊技盤4の下方へ排出されるようになっている。
[5−4−3.上部ユニット]
次に、上部ユニット3100について説明する。上部ユニット3100は、全体的に横長に形成され、裏箱3001内で液晶表示装置1900が臨む開口の上側に取り付け固定されるものである。この上部ユニット3100は、左右方向の略中央で前面に配置され正面視で円形状の回転装飾体ユニット3200と、回転装飾体ユニット3200の後側に配置され回転装飾体ユニット3200を昇降させる昇降機構3250と、昇降機構3250の後側で左右方向の略中央に配置された揺動装飾体ユニット3300と、揺動装飾体ユニット3300の左右両側に配置された可動天井ユニット3350と、を主に備えている。
回転装飾体ユニット3200は、昇降機構3250によって、液晶表示装置1900の上部に位置する上昇位置と、液晶表示装置1900の略中央に位置する下降位置との間で上下方向へ移動することができるようになっている。この回転装飾体ユニット3200は、前面に配置された手裏剣状に形成された回転装飾体が回転するようになっているとともに、回転することでその遠心力により回転装飾体の回転半径が拡径するようになっている。
また、回転装飾体ユニット3200は、端に回転装飾体が回転するだけでなく、半径方向外側へ突出するようになっているため、回転装飾体全体の回転半径が拡径して見た目を大きく変化させることができるようになっており、遊技者に強いインパクトを与えることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるとともに、遊技者の関心を強く引付けることができ、他のパチンコ遊技機に対して大きく差別化して遊技するパチンコ遊技機としてパチンコ遊技機1を選択させ易くすることができるようになっている。
揺動装飾体ユニット3300は、上昇位置に位置した回転装飾体ユニット3200に隣接するようにその後側の左右に配置された揺動装飾体を備えており、遊技状態に応じて左右の揺動装飾体を一斉に左右方向へ揺動させることができるようになっている。
可動天井ユニット3350は、上部ユニット3100の左右両端に水平方向へ延びるような板状の天井装飾体を備えている。この天井装飾体は、前端側を中心として左右方向へ延びた軸周りに回動可能に形成されており、遊技状態に応じて、天井装飾体の後端側が下降する方向へ回動するようになっている。
[5−4−4.キャラクタユニット]
次に、裏ユニット3000のキャラクタユニット3400について説明する。キャラクタユニット3400は、忍者を模式化すると共に立体的に造形したキャラクタ体を備えており、遊技状態に応じて、キャラクタ体が右端の位置から、中央側へ寄った位置へ左右方向に移動することができるようになっている。また、キャラクタユニット3400のキャラクタ体は、左右方向へ移動する際に、その移動と共に上下方向へ延びた軸周りに所定角度回動するようになっている。
また、キャラクタユニット3400のキャラクタ体は、頭部が左右方向へ伸びた軸周りに往復回動することができるようになっていると共に、右腕が上下方向へ伸びた軸周りに往復回動することができるようになっている。これにより、頭部を往復回動させることで、あたかもキャラクタが頷いているような動作をさせることができるようになっている。また、右腕を水平方向へ往復回動させることで、あたかもキャラクタが手裏剣を投げているような動作をさせることができるようになっている。
[5−4−5.歯車装飾体ユニット]
次に、裏ユニット3000の歯車装飾体ユニット3500について説明する。歯車装飾体ユニット3500は、左右方向へ延びた軸周りに回転可能とされ上下方向に複数配置された歯車状の歯車装飾体を備えており、遊技状態に応じて、各歯車装飾体が一斉に回転するようになっている。
[5−4−6.液晶表示装置]
次に、遊技盤4の液晶表示装置1900について説明する。液晶表示装置1900は、裏ユニット3000の裏箱3001の後面に脱着可能に取り付けられるようになっており、遊技状態に応じて所定の演出画像を表示することができるようになっている。この液晶表示装置1900は、左右両側から外方へ突出した固定片1902を備えており、この固定片1902を介して裏箱3001に取り付けられるようになっている。
また、液晶表示装置1900は、詳細な図示は省略するが、その後側に周辺制御基板4140を収容した周辺基板ボックス1905を備えている。
[6.機能表示ユニット]
次に、遊技盤4における機能表示ユニット1180について図10を参照して説明する。この機能表示ユニット1180は、前構成部材1110の所定位置に取り付けて配置されるものである。図10はパチンコ遊技機に取り付けた状態で遊技盤における機能表示ユニットを拡大して示す正面図である。
機能表示ユニット1180は、図10に拡大して示すように、正面視左側端部に遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球によって変化する遊技状態を表示するための1つのLEDからなる遊技状態表示器1183と、遊技状態表示器1183の右側で上下方向へ並んだ2つのLEDからなり上始動口2101への遊技球の受け入れに関する保留数を表示するための上特別図柄記憶表示器1184と、上特別図柄記憶表示器1184の右側に配置され上始動口2101への遊技球の受け入れにより抽選された第一特別抽選結果を第一特別図柄として表示するための1つの7セグメントLEDからなる上特別図柄表示器1185と、上特別図柄表示器1185の右斜め上に配置され下始動口2102への遊技球の受け入れにより抽選された第二特別抽選結果を第二特別図柄として表示するための1つの7セグメントLEDからなる下特別図柄表示器1186と、下特別図柄表示器1186の右側で上下方向へ並んだ2つのLEDからなり下始動口2102への遊技球の受け入れに関する保留数を表示するための下特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。
機能表示ユニット1180の表示部1181には、下特別図柄表示器1186の直上から内周レール1113に略沿った円弧状に並んで配置され遊技球によるゲート部2350の通過に関する保留数を表示するための4つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、普通図柄記憶表示器の下側に配置され遊技球がゲート部2350を通過することで抽選された普通抽選結果を普通図柄として表示するための1つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、普通図柄記憶表示器1188の斜め右上側へ並んで配置され第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための2つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備えている。
遊技状態表示器1183は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なフルカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、様々な遊技状態(例えば、確率変動状態、時間短縮状態、確変時短状態、大当り遊技状態、小当り遊技状態、等)を表示することができるようになっている。
上特別図柄記憶表示器1184は、上特別図柄表示器1185において第一特別図柄を変動表示させることができない時に、上始動口2101へ遊技球が受け入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第一特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この上特別図柄記憶表示器1184は、所定のLEDからなる上特別図柄記憶ランプ1184aと、上特別図柄記憶ランプ1184bとを有しており、上特別図柄記憶ランプ1184a,1184bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が1つの時には上特別図柄記憶ランプ1184aが点灯して上特別図柄記憶ランプ1184bが消灯し、保留数が2つの時には上特別図柄記憶ランプ1184a,1184bがともに点灯し、保留数が3つの時には上特別図柄記憶ランプ1184aが点滅して上特別図柄記憶ランプ1184bが点灯し、保留数が4つの時には上特別図柄記憶ランプ1184a,1184bがともに点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
下特別図柄記憶表示器1187は、下特別図柄表示器1186において第二特別図柄を変動表示させることができない時に、下始動口2102へ遊技球が受け入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第二特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この下特別図柄記憶表示器1187は、所定のLEDからなる下特別図柄記憶ランプ1187aと、下特別図柄記憶ランプ1187bとを有しており、下特別図柄記憶ランプ1187a,1187bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が1つの時には下特別図柄記憶ランプ1187aが点灯して下特別図柄記憶ランプ1187bが消灯し、保留数が2つの時には下特別図柄記憶ランプ1187a,1187bがともに点灯し、保留数が3つの時には下特別図柄記憶ランプ1187aが点滅して下特別図柄記憶ランプ1187bが点灯し、保留数が4つの時には下特別図柄記憶ランプ1187a,1187bがともに点滅するようになっている。なお、本実施形態では、4つまで保留されるようになっている。
上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186は、上始動口2101や下始動口2102への遊技球の受け入れにより、抽選された第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を表示するものであり、7セグメントLEDが特別抽選結果に応じた所定の時間、変動した後に停止し、停止した7セグメントLEDの発光パターン(特別図柄)によって、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を遊技者側に認識させることができるようになっている(変動表示ゲーム)。
普通図柄表示器1189は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なフルカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、ゲート部2350を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果を表示することができるようになっている。なお、普通図柄表示器1189による普通図柄の表示も、特別図柄と同様に、所定時間変動表示した後に、普通抽選結果に対応した発光パターンで停止表示するようになっている。
普通図柄記憶表示器1188は、普通図柄表示器1189において普通図柄を変動表示させることができない時に、ゲート部2350を遊技球が通過した場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された普通図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この普通図柄記憶表示器1188は、下から並んで配置された4つの普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを備え、それぞれが所定のLEDとされており、保留数に応じて下から普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを順次点灯させることで普通図柄の保留数を表示させることができるようになっている。なお、本実施形態では、普通図柄の変動表示が4つまで保留(記憶)されるようになっている。
ラウンド表示器1190は、所定のLEDからなる2ラウンド表示ランプ1190aと、15ラウンド表示ランプ1190bとを備えており、それぞれのランプが点灯することで「大当り」遊技におけるラウンド数を表示することができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180は、図10に示すように、遊技盤4をパチンコ遊技機1に取り付けた状態で、扉枠5の遊技窓101を通して遊技者側から視認することができるようになっている。遊技状態表示器1183、上特別図柄記憶表示器1184、上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄記憶表示器1188、普通図柄表示器1189、及びラウンド表示器1190は、機能表示基板1191の前面に取り付けられている。なお、機能表示ユニット1180の後方突出部の後端には、機能表示基板1191と主制御基板4100とを接続するための接続端子が取り付けられている。
本実施形態では、機能表示ユニット1180を遊技盤4の前構成部材1110に備えるようにしているので、遊技パネル1150に取り付けられる表ユニット2000や裏ユニット3000に備えるようにした場合と比較して、機能表示ユニット1180を遊技盤4の基本構成として流用することができ、パチンコ遊技機1に係る構成を簡略化してコストが増加するのを防止することができるとともに、パチンコ遊技機1の機種(表ユニット2000や裏ユニット3000により具現化されパチンコ遊技機1の機種を特徴付けることが可能な遊技盤4の詳細構成)が異なっていても、機能表示ユニット1180の位置が変化しないので、遊技者や遊技ホールの店員等に対して、戸惑うことなく機能表示ユニット1180の位置を認識させることができるようになっている。
[7.主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について、図11〜図14を参照して説明する。図11は主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板のブロック図であり、図12は図11のつづきを示すブロック図であり、図13は周辺制御MPUの概略を示すブロック図であり、図14は液晶及び音制御部における音源内蔵VDP周辺のブロック図である。
パチンコ遊技機1の制御構成は、図11に示すように、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140から主として構成されており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板について説明し、続いて払出制御基板、電源基板、そして周辺制御基板について説明する。
[7−1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図11に示すように、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御するとともに電源投入時から所定時間が経過した後に実行されるとともに遊技動作を制御する主制御プログラムなどの各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU4100aと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための主制御出力回路4100cと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100dと、予め定めた電圧の停電又は瞬停の兆候を監視する停電監視回路4100eと、を主として備えている。
主制御MPU4100aには、その内蔵されているRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)や、その内蔵されているROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)のほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
また、主制御MPU4100aは、不揮発性の記憶手段が内蔵されている。この不揮発性の記憶手段には、主制御MPU4100aを製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性の記憶手段に記憶されるため、外部装置を用いても書き換えることができない。主制御MPU4100aは、不揮発性の記憶手段からIDコードを取り出して参照することができる。
主制御入力回路4100bは、その各種入力端子に各種検出スイッチからの検出信号がそれぞれ入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられず、リセット機能を有していない。このため、主制御入力回路4100bは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、主制御入力回路4100bは、その各種入力端子に入力されている各種検出スイッチからの検出信号に基づく情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく各種信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
主制御出力回路4100cは、エミッタ端子がグランド(GND)と接地されたオープンコレクタ出力タイプとして回路構成されており、その各種入力端子に各種信号を外部の基板等へ出力するための各種信号が入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられるリセット機能を有するリセット機能付き主制御出力回路4100caと、リセット端子が設けられていないリセット機能を有しないリセット機能なし主制御出力回路4100cbと、から構成されている。リセット機能付き主制御出力回路4100caは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力される回路として構成されている。つまり、リセット機能付き主制御出力回路4100caは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされることによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から全く出力されない回路として構成されている。これに対して、リセット機能なし主制御出力回路4100cbは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、リセット機能なし主制御出力回路4100cbは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
図8に示した、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109、及び一般入賞口2104に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020からの検出信号や停電監視回路4100eからの信号は、主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。また、図8に示した、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352、一般入賞口2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110、及び図9に示した裏ユニット3000に取り付けられて磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号は、遊技盤4に取り付けられたパネル中継端子板4161、そして主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
主制御MPU4100aは、これらの各スイッチからの検出信号に基づいて、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから主制御ソレノイド駆動回路4100dに制御信号を出力し、主制御ソレノイド駆動回路4100dからパネル中継端子板4161を介して始動口ソレノイド2105及びアタッカソレノイド2108に駆動信号を出力したり、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caからパネル中継端子板4161、そして機能表示基板1191を介して上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、及びラウンド表示器1190に駆動信号を出力したりする。
また、主制御MPU4100aは、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに遊技に関する各種情報(遊技情報)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから払出制御基板4110に各種情報(遊技情報)を出力したり、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに信号(停電クリア信号)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路4100caから停電監視回路4100eに信号(停電クリア信号)を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、ゲートスイッチ2352、及びカウントスイッチ2110には、非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口スイッチ3020,3020には、接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。これは、遊技球が上始動口2101や下始動口2102に頻繁に入球するし、ゲート部2350を頻繁に通過するため、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352には、寿命の長い近接スイッチを用いている。また、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、大入賞口2103が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、カウントスイッチ2110による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、カウントスイッチ2110にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2104,2201には、一般入賞口スイッチ3020,3020による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口スイッチ3020,3020には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
また、主制御MPU4100aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路4100cbに払い出しに関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路4100cbから払出制御基板4110に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。払出制御基板4110は、主制御基板4100からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(払主ACK信号)を主制御基板4100に出力する。この信号(払主ACK信号)が主制御入力回路4100bを介して主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力されるようになっている。
また、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして主制御入力回路4100bで受信することにより、主制御入力回路4100bからその所定のシリアル入力ポートの入力端子で各種コマンドをシリアルデータとして受信する。主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(主払ACK信号)を、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路4100caに出力し、リセット機能付き主制御出力回路4100caから払出制御基板4110に信号(主払ACK信号)を出力する。
また、主制御MPU4100aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路4100cbに遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路4100cbから周辺制御基板4140に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。
ここで、周辺制御基板4140へ各種コマンドをシリアルデータとして送信する主周シリアル送信ポートについて簡単に説明する。主制御MPU4100aは、主制御CPUコア4100aaを中心として構成されており、主制御内蔵RAMのほかに、主制御各種シリアルI/Oポートの1つである主周シリアル送信ポート4100ae等がバス4100ahを介して回路接続されている。主周シリアル送信ポート4100aeは、周辺制御基板4140へ各種コマンドを主周シリアルデータとして送信するものであり、送信シフトレジスタ4100aea、送信バッファレジスタ4100aeb、シリアル管理部4100aec等を主として構成されている。主制御CPUコア4100aaは、コマンドを送信バッファレジスタ4100aebにセットして送信開始信号をシリアル管理部4100aecに出力すると、このシリアル管理部4100aecが送信バッファレジスタ4100aebにセットされたコマンドを送信バッファレジスタ4100aebから送信シフトレジスタ4100aeaに転送して主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信開始する。本実施形態では、送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量として32バイトを有している。主制御CPUコア4100aaは、送信バッファレジスタ4100aebに複数のコマンドをセットした後にシリアル管理部4100aecに送信開始信号を出力することによって複数のコマンドを連続的に周辺制御基板4140に送信している。なお、周辺制御基板4140への各種コマンドの送信は、シリアルデータとして送信する方式に限定されず、パラレルデータとして通信する方式であってもよい。パラレルデータとして送信する場合、プログラム処理として、パラレルデータとして送信するための専用の処理を設け、所定タイミング(例えば、リングバッファにコマンドが格納されたタイミング若しくは格納されていることを条件)により実行することで、個々のコマンドを必要なタイミングで送信するようにしてもよい。
なお、主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)BC0を備えている。このキャパシタBC0により主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。主制御内蔵RAMに記憶される各種情報は、電源投入時から予め定めた期間内に後述する払出制御基板4110の操作スイッチ860aが操作されると、操作スイッチ860aからの操作信号(RAMクリア信号)が払出制御基板4110から出力され、主制御入力回路4100bを介して、主制御MPU4100aの所定の入力ポートの入力端子に入力され、これを契機として、主制御MPU4100aによって主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[7−2.周辺制御基板]
周辺制御基板4140は、図12に示すように、主制御基板4100からの各種コマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部4150と、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470の描画制御と本体枠3に設けた図5に示したスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の音制御とを行う液晶及び音制御部4160と、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するリアルタイムクロック(以下、「RTC」と記載する。)制御部4165と、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の音量をつまみ部を回動操作することにより調節する音量調整ボリューム4140aと、を備えている。
[7−2−1.周辺制御部]
演出制御を行う周辺制御部4150は、図12に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4150aと、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御するとともに電源投入時から所定時間が経過した後に実行されるとともに演出動作を制御するサブ制御プログラムなどの各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータを記憶する周辺制御ROM4150bと、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理をまたいで継続される各種情報(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に描画する画面を規定するスケジュールデータや各種LED等の発光態様を規定するスケジュールデータなどを管理するための情報など)を記憶する周辺制御RAM4150cと、日をまたいで継続される各種情報(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)を記憶する周辺制御SRAM4150dと、周辺制御MPU4150aが正常に動作しているか否かを監視するための周辺制御外部ウォッチドックタイマ4150e(以下、「周辺制御外部WDT4150e」と記載する。)と、を備えている。
周辺制御RAM4150cは、瞬停が発生して電力がすぐ復帰する程度の時間しか記憶された内容を保持することができず、電力が長時間遮断された状態(長時間の電断が発生した場合)ではその内容を失うのに対して、周辺制御SRAM4150dは、電源基板851に設けられた図示しない大容量の電解コンデンサ(以下、「SRAM用電解コンデンサ」と記載する。)によりバックアップ電源が供給されることにより、記憶された内容を50時間程度、保持することができるようになっている。電源基板851にSRAM用電解コンデンサが設けられることにより、遊技盤4をパチンコ遊技機1から取り外した場合には、周辺制御SRAM4150dにバックアップ電源が供給されなくなるため、周辺制御SRAM4150dは、記憶された内容を保持することができなくなってその内容を失う。
周辺制御外部WDT4150eは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御MPU4150aは、一定期間内(タイマがタイマアップするまで)に周辺制御外部WDT4150eのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御MPU4150aは、一定期間内にクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力するときには、周辺制御外部WDT4150eのタイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御MPU4150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100からの各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートから図示しない周辺制御出力回路を介してランプ駆動基板4170に送信したり、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路を介してモータ駆動基板4180に送信したり、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したり、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データを枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路、枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したりする。
主制御基板4100からの各種コマンドは、図示しない周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。また、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチからの検出信号、及び押圧操作部405の操作を検出するための押圧検出スイッチからの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、枠周辺中継端子板868、そして周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチ(例えば、フォトセンサなど。)からの検出信号は、モータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された可動体検出データが遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートに入力されている。周辺制御MPU4150aは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの入出力を切り替えることにより周辺制御基板4140とモータ駆動基板4180との基板間における各種データのやり取りを行うようになっている。
なお、周辺制御MPU4150aは、ウォッチドックタイマを内蔵(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)しており、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDT4150eとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
[7−2−1a.周辺制御MPU]
次に、マイクロコンピュータである周辺制御MPU4150aについて説明する。周辺制御MPU4150aは、図13に示すように、周辺制御CPUコア4150aaを中心として、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMA(Direct Memory Accessの略)コントローラ4150ac、周辺制御バスコントローラ4150ad、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御アナログ/デジタルコンバータ(以下、周辺制御A/Dコンバータと記載する)4150ak等から構成されている。
周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMAコントローラ4150acに対して、内部バス4150ahを介して、各種データを読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150akに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、各種データを読み書きする。
また、周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御ROM4150bに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み込む一方、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150dに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み書きする。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行う専用のコントローラであり、DMA0〜DMA3という4つのチャンネルを有している。
具体的には、周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに内蔵される周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置に対して、内部バス4150ahを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
また、周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに外付けされる、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び外部バス4150hを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
周辺制御バスコントローラ4150adは、内部バス4150ah、周辺バス4150ai、及び外部バス4150hをコントロールして周辺制御CPUコア4150aaの中央処理装置と、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の各種装置間において、各種データのやり取りを行う専用のコントローラである。
周辺制御各種シリアルI/Oポート4150aeは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポート、モータ駆動基板用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、主制御基板用シリアルI/Oポート、及び操作ユニット情報取得用シリアルI/Oポートを有している。
周辺制御内蔵ウォッチドックタイマ(周辺制御内蔵WDT)4150afは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせた場合には、一定期間内(タイマがタイマアップするまで)にそのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせて一定期間内にクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力するときには、タイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agは、遊技盤側モータ駆動ラッチ信号、扉側モータ駆動発光ラッチ信号等の各種ラッチ信号を出力するほかに、周辺制御外部WDT4150eにクリア信号を出力したり、遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチからの検出信号をモータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化して、このシリアル化された可動体検出データを遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートで受信するための可動体情報取得ラッチ信号を出力したり、扉枠5における上部装飾ユニット280の上部装飾基板に実装されたLEDの点灯信号を出力したりする。このLEDは、高輝度の白色LEDであり、大当り遊技状態の発生が確定している旨を伝えるための確定告知ランプとなっている。本実施形態では、LEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとが電気的に直接接続された構成を採用することにより、LEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとの経路を短くすることで遊技上重量な意味を持つLEDの点灯制御についてノイズ対策を講ずることができる。なお、LEDの点灯制御については、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理において実行されるようになっており、このLEDを除く他のLED等は、後述する周辺制御部定常処理において実行されるようになっている。
周辺制御A/Dコンバータ4150akは、音量調整ボリューム4140aと電気的に接続されており、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変し、つまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音楽や効果音が流れるようになっている。このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音楽や効果音が流れるようになっている。
なお、本実施形態では、音楽や効果音のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりする等。)ための告知音も本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
[7−2−1b.周辺制御ROM]
周辺制御ROM4150bは、周辺制御部4150、液晶及び音制御部4160、RTC制御部4165等を制御する各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジュールデータを予め記憶されている。各種スケジュールデータには、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に描画する画面を生成する画面生成用スケジュールデータ、各種LEDの発光態様を生成する発光態様生成用スケジュールデータ、音楽や効果音等を生成する音生成用スケジュールデータ、及びモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動態様を生成する電気的駆動源スケジュールデータ等がある。画面生成用スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に描画する画面の順序が規定されている。発光態様生成用スケジュールデータは、各種LEDの発光態様を規定する発光データが時系列に配列されて構成されている。音生成用スケジュールデータは、音指令データが時系列に配列されて構成されており、音楽や効果音が流れる順番が規定されている。この音指令データには、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルのうち、どの出力チャンネルを使用するのかを指示するための出力チャンネル番号と、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、どのトラックに音楽及び効果音等の音データを組み込むのかを指示するためのトラック番号と、が規定されている。電気的駆動源スケジュールデータは、モータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データが時系列に配列されて構成されており、モータやソレノイド等の電気的駆動源の動作が規定されている。
なお、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムは、周辺制御ROM4150bから直接読み出されて実行されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御プログラムコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されて実行されるものもある。また周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータも、周辺制御ROM4150bから直接読み出されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されるものもある。
また、周辺制御ROM4150bには、RTC制御部4165を制御する各種制御プログラムの1つとして、遊技盤側液晶表示装置1900の使用時間に応じて遊技盤側液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムが含まれている。この輝度補正プログラムは、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正するものであり、後述するRTC制御部4165の内蔵RAMから遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時、現在の日時、輝度設定情報等を取得して、この取得した輝度設定情報を補正情報に基づいて補正する。この補正情報は、周辺制御ROM4150bに予め記憶されている。輝度設定情報は、後述するように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものであり、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。
[7−2−1c.周辺制御RAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cは、図13に示すように、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150caと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccと、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムがコピーされたものを専用に記憶する各種制御プログラムコピーエリア4150cdと、周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジュールデータ等がコピーされたものを専用に記憶する各種制御データコピーエリア4150ceと、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっていないものを専用に記憶するバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfと、が設けられている。
なお、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)には、バックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0が強制的に書き込まれてゼロクリアされる一方、バックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccについては、パチンコ遊技機1の電源投入時に主制御基板4100からの電源投入コマンド(図15を参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時から予め定めた期間内に図11に示した操作スイッチ860aが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)であるときにはゼロクリアされる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150caは、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理において更新される各種情報である演出情報(1fr)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1fr)と、後述する1msタイマ割り込みが発生するごとに実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理において更新される各種情報である演出情報(1ms)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1ms)と、から構成されている。ここで、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く「0」は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150cbからバックアップ第2エリア4150ccに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(1fr)」は、後述するように、音源内蔵VDP4160aが1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力するようになっているため、Vブランク信号が入力されるごとに、換言すると、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1fr)や後述する演出バックアップ情報(1fr)についても、同一の意味で用いる)。「(1ms)」は、後述するように、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1ms)や後述する演出バックアップ情報(1ms)についても、同一の意味で用いる)。
Bank0(1fr)には、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150cae等が設けられている。ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaには、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATがセットされる記憶領域であり、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabには、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATがセットされる記憶領域であり、受信コマンド記憶領域4150cacには、主制御基板4100から送信される各種コマンドを受信してその受信した各種コマンドがセットされる記憶領域であり、RTC情報取得記憶領域4150cadには、RTC制御部4165(後述するRTC4165aのRTC内蔵RAM4165aa)から取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、スケジュールデータ記憶領域4150caeには、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて、この受信したコマンドと対応する各種スケジュールデータがセットされる記憶領域である。スケジュールデータ記憶領域4150caeには、周辺制御ROM4150bから各種制御データコピーエリア4150ceにコピーされた各種スケジュールデータが読み出されてセットされるものもあれば、周辺制御ROM4150bから各種スケジュールデータが直接読み出されてセットされるものもある。
Bank0(1ms)には、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、及び操作ユニット情報取得記憶領域4150cai等が設けられている。枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafには、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされる記憶領域であり、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagには、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされる記憶領域であり、可動体情報取得記憶領域4150cahには、遊技盤4に設けた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、操作ユニット情報取得記憶領域4150caiには、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる記憶領域である。
なお、Bank0(1fr)のランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa及び枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabと、Bank0(1ms)の枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf及びモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagとは、第1領域及び第2領域という2つの領域にそれぞれ分割されている。
ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaは、後述する周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域に、遊技盤側発光データSL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域、第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理においてランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域にセットした遊技盤側発光データSL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabは、周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域に、扉側発光データSTL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域、第2領域に扉側発光データSTL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理において枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域にセットした扉側発光データSTL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafは、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域に、扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域、第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理において枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域にセットした扉側モータ駆動データSTM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagは、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域に、遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域、第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理においてモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域にセットした遊技盤側モータ駆動データSM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報である演出情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccについて説明する。バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccは、2つのバンクを1ペアとする2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
また、本実施形態では、通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるようになっているが、これらの周辺制御DMAコントローラ4150acによる高速コピーを実行するプログラムは共通化されている。つまり本実施形態では、演出情報(1fr)、演出情報(1ms)を、共通の管理手法(共通のプログラムの実行)で情報を管理している。
[7−2−1d.周辺制御SRAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dは、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150daと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcと、が設けられている。なお、周辺制御SRAM4150dに記憶された内容は、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)に主制御基板4100からの電源投入コマンド(図15を参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時から予め定めた期間内に図11に示した操作スイッチ860aが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)ときにおいても、ゼロクリアされない。この点については、上述した周辺制御RAM4150cのバックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccがゼロクリアされる点と、全く異なる。また、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで、周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容(項目)ごとに(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴など。)クリアすることができる一方、周辺制御RAM4150cに記憶されている内容(項目)については、全く表示されず、設定モードにおいてクリアすることができないようになっている。この点についても、周辺制御RAM4150cと周辺制御SRAM4150dとで全く異なる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150daは、日をまたいで継続される各種情報である演出情報(SRAM)(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(SRAM)から構成されている。ここで、Bank0(SRAM)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、上述したように、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く「0」は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150dbからバックアップ第2エリア4150dcに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(SRAM)」は、周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている各種情報がバックアップ対象となっていることから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(SRAM)や後述する演出バックアップ情報(SRAM)についても、同一の意味で用いる)。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報である演出情報(SRAM)がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcについて説明する。バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcは、2つのバンクを1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容である演出情報(SRAM)は、演出バックアップ情報(SRAM)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
[7−2−2.液晶及び音制御部]
遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470の描画制御と本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の音制御とを行う液晶及び音制御部4160は、図12に示すように、音楽や効果音等の音制御を行うための音源が内蔵(以下、「内蔵音源」と記載する。)されるとともに遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470の描画制御を行う音源内蔵VDP(Video Display Processorの略)4160aと、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に表示される画面の各種キャラクタデータに加えて音楽や効果音等の各種音データを記憶する液晶及び音制御ROM4160bと、シリアル化された音楽や効果音等をオーディオデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するオーディオデータ送信IC4160cと、を備えている。この液晶及び音制御ROM4160bには、操作ユニット400の押圧操作部405(操作部)を操作すべき旨を促すための示唆表示物の表示に用いる示唆表示物画像データ、遊技者から見て本体枠3の背面における各部位の位置が視認可能な本体枠背面画像の表示に用いる本体枠背面画像データ、サービスモード画面の表示に用いるサービスモード画面画像データ、休憩タイマー設定画面の表示に用いる休憩タイマー設定画面画像データ、及び、休憩中画面の表示に用いる休憩中画面画像データが格納されている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する画面生成用スケジュールデータを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットし、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータの先頭の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、後述するVブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って先頭の画面データに続く次の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って、この画面生成用スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の画面データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
また、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットし、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、Vブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って先頭の音指令データに続く次の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って、この音生成用スケジュールデータに時系列に配列された音指令データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の音指令データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
[7−2−2a.音源内蔵VDP]
音源内蔵VDP4160aは、上述した内蔵音源のほかに、周辺制御MPU4150aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて、図14に示すように、液晶及び音制御ROM4160bから遊技盤側キャラクタデータ及び上皿側キャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを生成するためのVRAMも内蔵(以下、「内蔵VRAM」と記載する。)している。音源内蔵VDP4160aは、内蔵VRAM上に生成した描画データのうち、遊技盤側液晶表示装置1900に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置470に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置470に出力することで、遊技盤側液晶表示装置1900と上皿側液晶表示装置470との同期化を図っている。このように、周辺制御MPU4150aが遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に表示する1画面分(1フレーム分)の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力すると、音源内蔵VDP4160aは、この入力された画面データに基づいて液晶及び音制御ROM4160bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成し、この生成した描画データうち、遊技盤側液晶表示装置1900に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置470に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置470に出力する。つまり、「1画面分(1フレーム分)の画面データ」とは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成するためのデータのことである。
また、音源内蔵VDP4160aは、1画面分(1フレーム分)の描画データを、チャンネルCH1から遊技盤側液晶表示装置1900に出力するとともに、上皿側液晶表示装置470に対する画像データをチャンネルCH2から上皿側液晶表示装置470に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力する。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が出力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号が入力されたことを契機として、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理を実行するようになっている。ここで、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470の液晶サイズによって多少変化する。また、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合がある。
なお、音源内蔵VDP4160aは、フレームバッファ方式が採用されている。この「フレームバッファ方式」とは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470の画面に描画する1画面分(1フレーム分)の描画データをフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持し、このフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持した1画面分(1フレーム分)の描画データを、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470に出力する方式である。
また、音源内蔵VDP4160aは、主制御基板4100からのコマンドに基づいて周辺制御MPU4150aから上述した音指令データが入力されると、図14に示すように、液晶及び音制御ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データをトラックに組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定して本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
なお、音指令データには、音データを組み込むトラックの音量を調節するためのサブボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックには、音楽や効果音等の演出音の音データとその音量を調節するサブボリューム値のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音の音データとその音量を調節するサブボリューム値が組み込まれる。具体的には、演出音に対しては、上述した、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として設定され、報知音に対しては、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量がサブボリューム値として設定されるようになっている。演出音のサブボリューム値は、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで後述する設定モードへ移行して調節することができるようになっている。
また、音指定データには、出力するチャンネルの音量を調節するためのマスターボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルには、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値と、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力するようになっている。
本実施形態では、マスターボリューム値は一定値に設定されており、合成した演出音の音量が最大音量であるときに、マスターボリューム値まで増幅されることにより、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音量が許容最大音量となるように設定されている。具体的には、演出音に対しては、複数のトラックのうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームと、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力し、報知音に対しては、使用するトラックに組み込まれた報知音の音データと、使用するトラックに組み込まれた報知音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量と、を合成して、この合成した報知音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
ここで、演出音が本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音を流す制御について簡単に説明すると、まず演出音が組み込まれているトラックのサブボリューム値を強制的に消音に設定し、この演出音が組み込まれたトラックの音データと、その消音に設定したサブボリューム値と、報知音が組み込まれたトラックの音データと、報知音の音量が最大音量に設定されたサブボリューム値と、を合成し、この合成した演出音の音量と報知音の音量とを、実際に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音及び報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。
つまり、実際に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音は、最大音量の報知音だけが流れることとなる。このとき、演出音は消音となっているため、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れないものの、演出音は、上述した音生成用スケジュールデータに従って進行している。本実施形態では、報知音は所定期間(例えば、90秒)だけ本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れるようになっており、この所定期間経過すると、これまで消音に強制的に設定された音生成用スケジュールデータに従って進行している演出音の音量が、音量調整ボリューム4140aのつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として再び設定され(このとき、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行して調節されている場合には、その調節された演出音のサブボリューム値に設定され)、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れるようになっている。
このように、演出音が本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音が流れるときには、演出音の音量が消音になって報知音が本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れるものの、この消音となった演出音は、音生成用スケジュールデータに従って進行しているため、報知音が所定期間経過して本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れなくなると、演出音は、報知音が流れ始めたところから再び流れ始めるのではなく、報知音が流れ始めて所定期間経過した時点まで音生成用スケジュールデータに従って進行したところから再び流れ始めるようになっている。
[7−2−2b.液晶及び音制御ROM]
液晶及び音制御ROM4160bは、図14に示すように、遊技盤側液晶表示装置1900の表示領域に描画するための遊技盤側キャラクタデータと、上皿側液晶表示装置470の表示領域に描画するための上皿側キャラクタデータと、が予め記憶されるとともに、音楽、効果音、報知音、及び告知音等の各種の音データも予め記憶されている。
[7−2−2c.オーディオデータ送信IC]
オーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されるようになっている。
なお、オーディオデータ送信IC4160cは、周辺制御基板4140から枠装飾駆動アンプ基板194に亘る基板間を、左右それぞれ差分方式のシリアルデータとしてオーディオデータを出力することにより、例えば、左側オーディオデータのプラス信号、マイナス信号にノイズの影響を受けても、プラス信号に乗ったノイズ成分と、マイナス信号に乗ったノイズ成分と、を枠装飾駆動アンプ基板194で合成して1つの左側オーディオデータにする際に、互いにキャンセルし合ってノイズ成分が除去されるようになっているため、ノイズ対策を講じることができる。
[7−2−3.RTC制御部]
年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するRTC制御部4165は、図12に示すように、RTC4165aを中心として構成されている。このRTC4165aには、カレンダー情報と時刻情報とが保持されるRAM4165aaが内蔵(以下、「RTC内蔵RAM4165aa」と記載する。)されている。RTC4165aは、駆動用電源及びRTC内蔵RAM4165aaのバックアップ用電源として電池4165b(本実施形態では、ボタン電池を採用している。)から電力が供給されるようになっている。つまりRTC4165aは、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)からの電力が全く供給されずに、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)と独立して電池4165bから電力が供給されている。これにより、RTC4165aは、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても、電池4165bからの電力供給により、カレンダー情報や時刻情報を更新保持することができるようになっている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、RTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報や時刻情報を取得して上述した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットし、この取得したカレンダー情報や時刻情報に基づく演出を遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470で繰り広げることができるようになっている。このような演出としては、例えば、12月25日であればクリスマスツリーやトナカイの画面が遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470で繰り広げられたり、大晦日であれば新年カウントダウンを実行する画面が遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470で繰り広げられたりする等を挙げることができる。カレンダー情報や時刻情報は、工場出荷時に設定される。
なお、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報のほかに、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合にはLEDの輝度設定情報が記憶保持されている。周辺制御MPU4150aは、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、RTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得してバックライトの輝度調整をPWM制御により行う。輝度設定情報は、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれている。
また、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報、時刻情報や輝度設定情報のほかに、カレンダー情報、時刻情報、及び輝度設定情報をRTC内蔵RAM4165aaに最初に記憶した年月日及び時分秒の情報として入力日時情報も記憶されている。
周辺制御MPU4150aは、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470のバックライトが冷陰極管タイプのものが装着されている場合には、バックライトのON/OFF制御若しくはONのみとするようになっている。
RTC内蔵RAM4165aaに記憶される、カレンダー情報、時刻情報、輝度設定情報、及び入力日時情報等の各種情報は、遊技機メーカの製造ラインにおいて設定される。製造ラインにおいては、例えば遊技盤側液晶表示装置1900の表示テスト等の各種テストを行うため、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時として入力日時情報が製造ラインで入力された年月日及び時分秒である製造日時に設定される。
このように、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報のほかに、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合における輝度設定情報、及び入力日時情報等、パチンコ遊技機1の機種情報(例えば、低確率や高確率における大当り遊技状態が発生する確率など)とは独立して維持が必要な情報を記憶保持することができるようになっている。
また、RTC内蔵RAM4165aaに記憶保持される輝度設定情報等は、パチンコ遊技機1が設置されるホールの環境によっては製造日時に設定された遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度では明るすぎたり、暗すぎたりする場合もある。そこで、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行してバックライトの輝度を所定の輝度に調節することができるようになっている。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるほかに、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することでカレンダー情報、時刻情報を再設定したり、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を所望の輝度に調節したりすることができる。この調節された遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの所望の輝度は、輝度設定情報に記憶されるLEDの輝度としてそれぞれ上書き(更新記憶)されるようになっている。
なお、設定モードでは、周辺制御MPU4150aは、上述した輝度補正プログラムを実行することにより、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正する。周辺制御MPU4150aは、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、入力日時情報を取得して遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時を特定し、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定し、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度とを有する輝度設定情報を取得する。この取得した輝度設定情報を周辺制御ROM4150bに予め記憶されている補正情報に基づいて補正する。
例えば、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、遊技盤側液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。
なお、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、直接、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定してもいいし、後述する周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1002の現在時刻情報取得処理において周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにおける、カレンダー情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在のカレンダー情報と、時刻情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在の時刻情報と、を取得して現在の日時を特定してもいい。
[7−2−4.音量調整ボリューム]
音量調整ボリューム4140aは、上述したように、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の音量をつまみ部を回動操作することにより調節することができるようになっている。音量調整ボリューム4140aは、上述したように、そのつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変するようになっており、電気的に接続された周辺制御A/Dコンバータ4150akがつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、上述したように、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音楽や効果音が流れるようになっている。
このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音楽や効果音が流れるようになっている。また、本実施形態では、上述したように、音楽や効果音のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、遊技盤側液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したり等。)ための告知音も本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(音源内蔵VDP4160a)を制御して調整することができるようになっている。
このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。
また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
なお、本実施形態では、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節するようになっていることに加えて、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行して音楽や効果音の音量を調節することができるようになっている。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるほかに、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節することができる。具体的には、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、周辺制御A/Dコンバータ4150akがアナログ値からデジタル値に変換して、この変換した値に対して、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりすることができるようになっている。この調節された音量は、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、音楽や効果音等の演出音の音データが組み込まれたトラックに対して、サブボリューム値として設定更新されて演出音の音量の調節に反映されるものの、上述した報知音や告知音の音量に調節に反映されないようになっている。
このように、本実施形態では、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を直接回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりすることにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、の2つの方法がある。音量調整ボリューム4140aは、周辺制御基板4140に実装されているため、本体枠3を外枠2から必ず開放した状態にする必要がある。そうすると、音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作することができるのは、ホールの店員となる。ところが、ホールの店員が調節した音量では、遊技者にとって小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合もあるし、遊技者にとって大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合もある。そこで、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したり、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したりした場合には、設定モードを行うための画面が遊技盤側液晶表示装置1900に表示され、この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節することができるようになっている。これにより、遊技者は所望の音量に音楽や効果音の音量を調節することができるため、ホールの店員が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、ホールの店員が調節した音量を大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
また、本実施形態では、パチンコ遊技機1において遊技が行われていない状態が所定時間継続され、客待ち状態となって遊技盤側液晶表示装置1900によるデモンストレーションが繰り返し行われると(例えば、10回)、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量がキャンセルされて、音量が初期化されるようになっている。この音量の初期化では、ホールの店員が調節した音量、つまりホールの店員が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を直接回動操作して調節した音量となるようになっている。これにより、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量を大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
[8.主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンド]
次に、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて、図15及び図16を参照して説明する。図15は主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図16は図15の主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドのつづきを示すテーブルである。
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板4140に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図15及び図16に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。また、これらの各種コマンドには、周辺制御基板4140によって実行される演出の制御を行いための演出関連コマンドや、エラーの発生などを報知するための報知関連コマンドなどが含まれる。
各種コマンドは、図15及び図16に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、及びその他に区分されている。
[8−1.特図1同調演出関連]
特図1同調演出関連は、図11に示した上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図15に示すように、図11に示した機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185に関する、特図1変動パターン、特図1図柄種別、特図1同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンド等から構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「A*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、具体的には図15に示すものである)。
特図1変動パターンコマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特図1図柄種別コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、特図1同調演出終了コマンドは、特図1同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、特図1又は特図2の変動開始時における遊技状態(高確率状態、時短遊技状態等)を示すコマンドである。変動時状態指定コマンドは、遊技状態とモード値がそれぞれ対応した値となっており、変動開始時又は遊技状態が切り替わる際に送信される。また、その他の特図1同調演出関連のコマンドには、変動パターンに対応する変動タイプを特定する特図1変動タイプコマンド(ステータス「A3H」、モード「01H〜10H」)が含まれる。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図1変動パターンコマンドは、特別図柄1変動開始時に送信され、特図1図柄種別コマンドは、特図1変動パターンコマンドの直後に送信され、特図1同調演出終了コマンドは、特別図柄1変動時間経過時(特別図柄1確定時)に送信される。また、変動時状態指定コマンドは、特図1図柄種別コマンドの直後に送信される。特図1変動タイプコマンドは、特図1変動パターンコマンドの後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2.特図2同調演出関連]
特図2同調演出関連は、図11に示した下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図15に示すように、図11に示した機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186に関する、特図2変動パターン、特図2図柄種別、及び特図2同調演出終了という名称のコマンド等から構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「B*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、具体的には図15に示すものである)。
特図2変動パターンコマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特図2図柄種別コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、特図2同調演出終了コマンドは、特図2同調演出終了を指示するものである。また、特図1と同様に、変動パターンに対応する変動タイプを特定する特図2変動タイプコマンド(ステータス「B3H」、モード「01H〜10H」)が含まれる。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図2変動パターンコマンドは、特別図柄2変動開始時に送信され、特図2図柄種別コマンドは、特図2変動パターンの直後に送信され、特図2同調演出終了コマンドは、特別図柄2変動時間経過時(特別図柄2確定時)に送信される。また、前述したように、特図1の場合と同じく特図2の場合も同様に、変動時状態指定コマンドが特図2図柄種別コマンドの直後に送信される。特図2変動タイプコマンドは、特図2変動パターンコマンドの後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−3.大当り関連]
大当り関連という区分には、図15に示すように、大当りオープニング、大入賞口1開放N回目表示、大入賞口1閉鎖表示、大入賞口1カウント表示、大当りエンディング、大当り図柄表示、小当りオープニング、小当り開放表示、小当りカウント表示、及び小当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「C*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図15に示すものである)。
大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始を指示するものであり、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放中開始(図8に示した、アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放中又は開放開始)を指示するものであり、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、ラウンド間の大入賞口1閉鎖中開始(アタッカユニット2100の大入賞口2103のラウンド間の閉鎖中又は閉鎖開始)を指示するものであり、大入賞口1カウント表示コマンドは、カウント0〜10個をカウントした旨(図11に示したカウントスイッチ2110によって検出された、大入賞口2103に入球した遊技球の球数)を伝えるものであり、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始を指示するものであり、大当り図柄表示コマンドは、大当り図柄情報表示を指示するものである。
なお、図15に示す大当りエンディングコマンドでは、ステータス及びモードが1種類のみ設定されているが、大当り後の遊技状態に応じてモード値を設定可能としてもよい。例えば、大当り後の遊技状態が低確率非時短遊技状態の場合にはモード値に“01H”を設定し、大当り後の遊技状態が高確率時短遊技状態の場合にはモード値に“04H”を設定するなどして主制御基板4100側でエンディングを指定するようにしてもよい。また、大当り後の遊技状態が同じであっても複数のエンディングを指定できるようにしてもよい。例えば、遊技状態が高確率非時短遊技状態の場合には遊技者が特別抽選の当選確率を把握しにくくなっているため、主制御基板4100側で高確率の可能性が高いエンディングか低いエンディングかを指定できるようにしてもよい。このとき、大当りエンディングコマンドでエンディングを指定せずに、周辺制御基板4140側でエンディングを選択するようにしてもよい。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始を指示するものであり、小当り開放表示コマンドは、小当り開放中開始(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放中又は開放開始)を指示するものであり、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞演出(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された場合における演出)を指示するものであり、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始時に送信され、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放時)に送信され、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、大入賞口1閉鎖時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の閉鎖開始)に送信され、大入賞口1カウント表示コマンドは、大入賞口1開放時及び大入賞口1へのカウント変化時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時、及び大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始時に送信され、大当り図柄表示コマンドは、大入賞口開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信される。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始時に送信され、小当り開放表示コマンドは、小当り開放時(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信され、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞時(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2110によって検出された時)に送信され、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−4.電源投入]
電源投入という区分には、図15に示すように、電源投入という名称の各種コマンドから構成されている。この電源投入コマンドには、ステータスとして「D*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図15に示すものである)。
電源投入コマンドは、RAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時に払出制御基板4110の操作スイッチが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)。
電源投入コマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で電源投入コマンドが送信される。
[8−5.普図同調演出関連]
普図同調演出関連は、図11に示したゲートスイッチ2352からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図15に示すように、図11に示した機能表示基板1191の普通図柄表示器1189に関する、普図同調演出開始、普図柄指定、普図同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「E*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図15に示すものである)。
普図同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで普図同調演出開始を指示するものであり、普通図柄指定コマンドは、はずれ、ショート開放当り、ロング開放当りを指定するものであり、普図同調演出終了コマンドは、普図同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図同調演出開始コマンドは、普通図柄1変動開始時に送信され、普図柄指定コマンドは、普図同調演出開始の直後に送信され、普図同調演出終了コマンドは、普通図柄変動時間経過時(普通図柄確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、普図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−6.普通電役演出関連]
普通電役演出関連は、図11に示した始動口ソレノイド2105の駆動により開閉される図8に示した一対の可動片2106に関するものであり、その区分には、図15に示すように、普図当りオープニング、普電開放表示、及び普図当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「F*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図15に示すものである)。
普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始を指示するものであり、普電開放表示コマンドは、普電開放中開始(一対の可動片2106が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開した状態、又は拡開する時)を指示するものであり、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始時に送信され、普電開放表示コマンドは、普電開放時(一対の可動片2106が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開する時)に送信され、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−7.報知表示]
報知表示の区分には、図15及び図16に示すように、入賞異常表示、接続異常表示、断線・短絡異常表示、磁気検出スイッチ異常表示、扉開放、及び扉閉鎖という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「6*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図15及び図16に示すものである)。
入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時(大当り中でもないのに、アタッカユニット2100の大入賞口2103に遊技球が入球してその遊技球をカウントスイッチ2110が検出した時)に入賞異常報知の開始を指示するものであり、接続異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間に亘る経路において電気的な接続異常がある場合に接続異常報知の開始を指示するものであり、断線・短絡異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等との電気的な接続の断線・短絡が生じた場合に断線・短絡異常表示の開始を指示するものであり、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、図11に示した磁気検出スイッチ3024に異常が生じた場合に磁気検出スイッチ異常報知の開始を指示するものである。
また、扉開放コマンドは、図12に示した、払出制御基板4110を介して入力される扉枠開放スイッチからの検出信号(開放信号)に基づいて、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合に、扉開放報知を指示するものであり、扉枠閉鎖コマンドは、その扉枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合に扉開放報知終了を指示するものである。一方、本体枠開放コマンドは、図12に示した、払出制御基板4110を介して入力される本体枠開放スイッチからの検出信号(開放信号)に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合に、本体枠開放報知を指示するものであり、本体枠閉鎖コマンドは、その本体枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態である場合に本体枠開放報知終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時に送信され、接続異常表示コマンドは、主制御基板4100から払出制御基板4110へのコマンド送信時に払出制御基板4110からのACK返信(ACK信号)がなかった時に送信され、断線・短絡異常表示コマンドは、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、カウントスイッチ2110等のうち、いずれが断線または短絡状態となった時に送信され、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気検出スイッチ3024の異常を検知した時に送信される。また、扉開放コマンドは、扉開放を検知した時(扉枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合)に送信され、扉枠閉鎖コマンドは、扉閉鎖を検知した時(扉枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。本体枠開放コマンドは、本体枠開放を検知した時(本体枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合)に送信され、本体枠閉鎖コマンドは、本体枠閉鎖を検知した時(本体枠開放スイッチからの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−8.状態表示]
状態表示の区分には、図16に示すように、枠状態1コマンド(エラー発生コマンドに相当)、エラー解除ナビコマンド(エラー解除コマンドに相当)及び枠状態2コマンドという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「7*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図16に示すものである)。
枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンドは、それぞれ、払出制御基板4110から送信された1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、これらの詳細な説明は、後述する。なお、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、図16に示すように、「7*H」をステータスとして設定するとともに、その受信したコマンドをそのままモードとして設定する。つまり、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、これら受信したコマンドに付加情報である「7*H」を付加することにより、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドに整形する。
整形された、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これら整形された、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−9.テスト関連]
テスト関連の区分には、図16に示すように、テストという名称の各種コマンドから構成されている。このテストコマンドには、ステータスとして「8*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図16に示すものである)。
テストコマンドは、周辺制御基板4140の各種検査を指示するものである(例えば、図12に示した、周辺制御部4150、液晶及び音制御部4160、ランプ駆動基板4170、モータ駆動基板4180、及び枠装飾駆動アンプ基板194等の各種基板の検査を行うものである)。
テストコマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、払出制御基板4110の操作スイッチが操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理でテストコマンドが送信される。
[8−10.その他]
その他の区分には、図16に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」「5*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものであり、例えば、図16に示すものである)。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出の開始を指示するものであって、上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した場合、又は、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した場合に始動口への入賞を指示するものである。変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものである。高確率終了指定コマンドは、高確率状態から低確率状態への状態移行を指示するものである。特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1保留0〜4個(図8に示した上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2保留0〜4個(図8に示した下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(図8に示したゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。
特別図柄1保留数指定コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。特別図柄2保留数指定コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。また、特別図柄1保留数指定コマンド及び特別図柄2保留数指定コマンドは、モード値の上位4ビットが“1”の場合には先読みあり、モード値の上位ビットが“0”の場合には先読みなしを表している。特別図柄1保留数指定コマンドが先読みありの場合には、特別図柄1保留が機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄1保留に基づく上特別図柄表示器1185による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示する。同様に、特別図柄2保留数指定コマンドが先読みありの場合には、特別図柄2保留が機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄2保留に基づく下特別図柄表示器1186による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示する。図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド及び変動タイプ先読みコマンドは、特別図柄保留数指定コマンド送信時に送信される。なお、特別図柄保留数指定コマンドが先読みありの場合にのみこれらのコマンドを送信するようにしてもよい。
図柄種別先読みコマンドは、先読み時におけるはずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものである。変動パターン先読みコマンドは、先読み時におけるモードで演出パターン(変動パターン)を指定するものである。変動タイプ先読みコマンドは、先読み時におけるモードで変動タイプを指定するものである。
普通図柄種別先読み演出コマンドは、普通図柄保留が機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその普通図柄保留に基づく普通図柄表示器1189による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。また、普通図柄についても、先読みに対応する普通図柄記憶コマンド、普通図柄種別先読みコマンド及び普通図柄変動パターン先読みコマンドを用意するようにしてもよい。なお、特に断らない限り、単に「先読み」とした場合には特別図柄の先読みを指すものとする。
また、先読み判定を実行する場合には、後述するように、変動開始時と同じ処理を実行して演出パターンや図柄を含むコマンドを生成するが、変動開始時と同じコマンドを送信すると、これらのコマンドを受信した周辺制御基板4140が変動開始時か始動口入賞時かを区別することができなくなるため、モード値を同一としてステータス値のみを変化させている。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、始動口入賞コマンドは、始動口入賞時(上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、図5に示した本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカ130から主に音声でその旨を報知するために送信され、変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信される。高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信される。
特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部2350を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。普通図柄についても特別図柄と同様に先読みの有無によって変化する普通図柄保留数指定コマンドを送信するようにしてもよい。特別図柄と同様に、モード値の上位4ビットの当りにより先読みの有無を示すようにする。
普通図柄種別先読み演出コマンドは、普通図柄1作動保留球数増加時(ゲート部2350を遊技球が通過して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
さらに、普通図柄種別先読み演出コマンドに代えて、普通図柄変動パターン先読みコマンドと普通図柄種別先読みコマンドのように、普通図柄の変動パターンと普通図柄の図柄種別に関する先読みコマンドに分けて送信してもよい。本実施形態では、普通図柄種別先読み演出コマンドは、普通図柄保留数指定コマンドの送信直後に送信されるが、それに限定する必要はなく、予め決められていれば、普通図柄種別先読み演出コマンドを普通図柄保留数指定コマンドよりも先に送信してもよい。また、普通図柄種別先読み演出コマンドに代えて、普通図柄の変動パターン(普通図柄変動パターン先読みコマンド)と普通図柄の図柄種別(普通図柄種別先読みコマンド)に関する先読みコマンドを送信する場合も同様である。
ところで、始動口入賞コマンドは、上述したように、始動口入賞時(上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から主に音声でその旨を報知するために送信されるが、図12に示した周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドをどのように利用するかについては、パチンコ遊技機の仕様によって異なる場合もある。例えば、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音声で報知するほかに、不正行為の有無を監視するためにも利用するという仕様のものである。これに対して、他のパチンコ遊技機では、周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドを単に受信するだけで、本体枠3に設けたスピーカボックス820に収容されるスピーカ及び扉枠5に設けたスピーカ130から音声で報知しない仕様のものもある。
また、上述したコマンド以外にも、例えば、遊技機の機種情報などを含む遊技機関連情報を送信する遊技機関連情報コマンドを送信するようにしてもよい。遊技機関連情報コマンドは、所定契機として主基板から周辺基板に送信するようにする。遊技機関連情報コマンドを受信した周辺制御基板4140が遊技機関連情報に含まれる機種情報に応じた演出制御を実行することが可能となる。例えば、普通図柄保留に基づく先読み演出を実行する機種と実行しない機種がある場合に、主制御基板では常に普通図柄種別先読み演出コマンドを周辺制御基板4140に送信するように構成する。そして、周辺制御基板4140は遊技機関連情報コマンドに基づいて、普通図柄保留に基づく先読み演出を実行可能な機種であると判断した場合には、主制御基板4100から送信された普通図柄種別先読み演出コマンドを有効なコマンドとして処理して普図先読み演出を実行可能とする一方、普図先読み演出が実行不可能な機種であると判断した場合には、無効なコマンドとして当該コマンドを破棄する。このように構成することによって、普図先読み演出を実行可能な機種と実行不可能な機種がある場合であっても、主制御基板4100における処理を共通化することが可能となる。
なお、主制御基板4100は、遊技機関連情報コマンドを電源投入時に1回のみ実行される処理(図17のS10〜S46の手前までの何れか)などの所定のタイミングに送信するようにしてもよいし、遊技中に複数回(始動口入賞時、変動開始時、大当り(普図であれば、当り時)、遊技状態が変化するなどの所定条件成立時、タイマ割込処理の実行を契機とした定期的なタイミング)送信するようにしてもよい。電源投入時に送信する場合としては、電源投入時の処理の実行を契機として実行するものであればよく、電源投入時処理中に送信されることに限定されない。例えば、電源投入時に遊技機関連情報コマンドを生成してあらかじめコマンドバッファに格納し、電源投入時の処理が完了した後の定常処理(メイン処理、タイマ割込処理)が実行中にコマンドバッファに格納された遊技機関連情報コマンドが送信されることも含まれる。
このように、本実施形態によれば、主制御基板4100から送信されたコマンドに基づいて、周辺制御基板4140において実行可能な演出であれば有効なコマンドとして処理し、実行不可能な演出については無効なコマンドとして当該コマンドを破棄するように構成されている。したがって、遊技機の機種に応じて実行される演出が異なる場合であっても、主制御基板4100の制御プログラムを共通化することが可能となり、機種ごとに主制御基板4100の制御プログラムの開発を行う必要がなくなり、開発期間を短縮化したり、試験機関における試験期間を短縮化したりすることが可能となる。
[9.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、主制御基板4100が行う各種制御処理について、図17〜図41を参照して説明する。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて初期値更新型のカウンタの動き、主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理等の各処理について説明する。
[9−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態又は小当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いるための大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチ(リーチはずれ)を発生させるか否かの決定に用いるためのリーチ判定用乱数と、上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で変動表示される特別図柄の変動表示パターンの決定に用いるための変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される大当り図柄の決定に用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。なお、上述した大当り図柄用乱数は、小当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される小当り図柄の決定に用いられる小当り図柄用乱数としても利用される。一方、上述した大当り図柄用初期値決定用乱数は、この小当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための小当り図柄用初期値決定用乱数としても利用される。またこれらの乱数に加えて、一対の可動片2106を開閉動作させるか否かの決定に用いるための普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、普通図柄表示器1189で変動表示される普通図柄の変動表示パターンの決定に用いるための普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、チップに内蔵されたハードウェア(乱数生成回路)により構成されており、所定の演算式により最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内ですべての値が出現するように、一定の規則で更新される。これにより、偏りのない乱数値を抽出することができる。また、乱数値は、水晶発振器から出力される20MHzのクロックを主制御MPU4100aにて2分周した10MHzの内部システムクロックに基づいて更新される。さらに、1周期分の乱数列の更新が終了すると、新たな周期の乱数列の並びが他の周期の乱数列と異なるように更新される。このように、周期ごとに生成される乱数列の並びが異なるため、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。
前述した乱数は、いわゆるハードウェア乱数と呼ばれるものであるが、ソフトウェアによって更新(生成)される乱数(ソフトウェア乱数)であってもよい。具体的には、大当り判定用乱数を更新するカウンタを、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内で更新し、この最小値から最大値までに亘る範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に基づいて決定された初期値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数が一周期分の更新が完了する毎に、大当り判定用初期値決定用乱数に基づき大当り判定用乱数の次の周期の開始値(初期値)が決定され、決定された開始値から再度順次更新を繰り返す。このようなカウンタの更新方法を「初期値更新型のカウンタ」という。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得られる。一方、上述した普通図柄当り判定用乱数及び普通図柄当り判定用初期値決定用乱数も、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一の方法により更新される。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップされ終わると、上述したように、大当り判定用初期値決定用乱数に基づき大当り判定用乱数の次の周期の開始値(初期値)が決定され、決定された開始値から再度順次更新を繰り返しているが、払出制御基板4110の操作スイッチ952が電源投入時に操作された場合や、後述する、主制御側電源投入時処理において主制御MPU4100aの主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出して得たチェックサムの値(サム値)が主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致していない場合など、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合には、大当り判定用乱数は、主制御MPU4100a毎に内蔵して設定された主制御MPU4100a毎に異なる値であるIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数の開始値として設定し、この開始値から大当り判定用乱数が更新されるようになっている。このため、常に同一の固定値(IDコード)を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が常に上書き更新されるようになっている。このように、大当り判定用乱数にセットされる値は、IDコードを利用して導出されており、主制御MPU4100aを製造したメーカによって主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性の記憶手段にIDコードを主制御MPU4100a毎の個別情報として記憶させるとともに、IDコードが外部装置を用いても書き換えられないという第1のセキュリティ対策と、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合に初期値導出処理を実行することによってIDコードに基づいて大当り判定用乱数の開始値が常に主制御MPU4100a毎で同一の固定値を導出するという第2のセキュリティ対策と、による2段階のセキュリティ対策が講じられることよって解析されるのを防止している。なお、IDコードの代わりに大当り判定用乱数の初期値を前述したハードウェア乱数を抽出して設定するようにしてもよい。これにより、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合に同じ遊技盤であっても毎回異なる大当り判定用乱数の開始値を設定することが可能となり、よりセキュリティを強化することができる。
ここで、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性の記憶手段からIDコードを取り出し、この取り出したIDコードを大当り判定用乱数の初期値として用いる利点について説明する。例えば、賞球として払い出される遊技球を不正に獲得しようとする者が何らかの方法で遊技盤4を入手して分解し、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性の記憶手段に予め記憶されているIDコードを不正に取得し、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングを把握することができたとしても、そのIDコードが個体を識別するためのユニークな符号が付されたものであるため、他の遊技盤に備える主制御MPUに内蔵する不揮発性の記憶手段に予め記憶されているIDコードとまったく異なるものとなる。つまり他の遊技盤においては、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングも、入手した遊技盤4のものとまったく異なる。換言すると、入手した遊技盤4を分解して解析して得たIDコードは、他の遊技盤、つまり他のパチンコ遊技機において、まったく役に立たないものであるため、分解して解析した得た所定間隔ごとに瞬停を発生させ、その所定間隔ごとに、上始動口2101や下始動口2102に遊技球を入球させるという始動入賞を狙っても、大当り遊技状態を発生させることができない。
[9−2.初期値更新型のカウンタの動き]
初期値更新型のカウンタは、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合(RAMクリア時)に主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性の記憶手段からIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、1サイクル目として、この固定値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から固定値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数として大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、2サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、3サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値31768〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出されるようになっている。大当り判定用乱数を更新するカウンタは、本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767までに亘る予め定めた固定数値範囲を更新するようになっている。換言すると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)は、低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている。
ここで本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値10〜値209が設定され、高確率では値10〜値339が設定されている場合を例示する。つまり、低確率では、大当りとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が200個としており、高確率では、大当りとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が330個としている。ここで、本実施形態では、カウントして更新する複数の乱数同士が同期しないようにするため、乱数値の取得時期が異なる場合を除いて、同時に取得する他の乱数値の数を当該200個以外、例えば素数個としている。すなわち、本実施形態では、大当り判定用乱数とは乱数値の取得時期が異なれば、大当りとなる乱数値の数が素数でないようにすることができる。なお、本実施形態では、上述した小当りとなるのは、例えば、低確率での大当り図柄の個数(200個)を4で割った個数分(50個)の大当り判定用乱数としている。
そのような大当り判定値の範囲が設定されている場合について検討してみると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最小値側に寄った範囲に設定されることとなる。このような場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値10となる時期までに亘る期間と、この値10の次の値11から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最後の値(低確率では値209、高確率では値339)までに亘る範囲と、この最後の値の次の値(低確率では値210、高確率では値340)から最大値(値32767)となるまでに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。そうすると、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して上始動口2101や下始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が上始動口2101や下始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われると、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち、いずれかの値となる確率が高いと言える。
これに対して、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。そうすると、初期値更新型のカウンタは、値0から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲のうち、いずれかの値が初期値抽選処理により抽選された値となって上述した大当り判定用初期値決定用乱数にセットされることとなるため、この抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップすることとなる。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。
つまり、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間が不規則となり、ランダム性に富んだものとなっている。これにより、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して上始動口2101や下始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が上始動口2101や下始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われたとしても、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が低いと言える。
なお、初期値更新型のカウンタは、最小値から最大値までの範囲を繰り返し更新される。初期値から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)から2サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T0となる。時間T0から3サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T1となり、時間T0に比べて時間T1の方が短くなる。時間T1から4サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T2となり、時間T1に比べて時間T2の方が短くなる。このように、初期値更新型のカウンタでは、更新されるカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となる時間に対してゆらぎを持たせることによって(周期性を排除した状態にすることによって)遊技者に察知されないようになっている。
[9−3.主制御側電源投入時処理]
図17は、本実施形態の主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図18は図17の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、上述した主制御プログラムが、主制御基板4100の主制御MPU4100aによる制御の下、図17及び図18に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御プログラムは、主制御MPU4100aの制御の下、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、主制御プログラムが、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、主制御プログラムは、停電監視回路4100eに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS11)。この停電監視回路4100eは、電圧比較回路であるコンパレータMICと、DタイプフリップフロップMICと、から構成されている。電圧比較回路であるコンパレータMICは、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップMICのプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップMICのプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS11では、このDタイプフリップフロップMICのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をLOWとして、リセット機能付き主制御出力回路4100caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU4100aは、DタイプフリップフロップMICのラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップMICのプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS12に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4100eから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4100eから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップMICの出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS14で電源投入後に電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待っても停電予告信号の入力がなかったときには、主制御プログラムは、DタイプフリップフロップMICのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS15)。ここでは、停電クリア信号は、主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をHIとして、リセット機能付き主制御出力回路4100caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU4100aは、DタイプフリップフロップMICをラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップMICは、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS15に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って主制御内蔵RAM(遊技記憶部)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、まず、払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定では、主制御プログラムが、払出制御基板4110の操作スイッチ952が操作されたことに伴う操作信号(検出信号)に基づくエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)が主制御MPU4100aに入力されているか否かにより行う。主制御プログラムは、その操作信号の論理値に基づいて、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS16において、主制御プログラムは、上記操作スイッチ952が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットする(ステップS18)。一方、主制御プログラムは、ステップS16で操作スイッチ952が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS20)。すなわち、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技制御側電源投入時操作制御手段)。上述したRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU4100aの主制御内蔵RAM(遊技記憶部)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS20でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPU4100aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS18又はステップS20に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS22)。このウェイトタイマ処理2では、図7に示した、周辺制御基板4140の液晶及び音制御部4160による遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS22に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS24)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS26)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS26に続いて、主制御プログラムは、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS28)。一致しているときには、この主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS30)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等の遊技バックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、主制御プログラムは、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS32)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU4100aに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS32に続いて、主制御プログラムは、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS34)。この電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、或いはステップS28でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS36)。すなわち、主制御プログラムは、上述した操作スイッチ952の操作に伴う検出信号の入力を契機として遊技制御側RAMクリア処理を実行している(払出制御側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う。なお、その代わりに、主制御プログラムは、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい。また、主制御MPU4100aは、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がRAMクリアを指示するもので遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPU4100aの不揮発性の記憶手段に予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を行い、この固定値を、上述した大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数にセットする。
ステップS36に続いて、主制御プログラムは、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットされることにより実施される。
ステップS38に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS40)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための図15に示した電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板4140の各種検査を行うための図16に示したテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS34又はステップS40に続いて、主制御プログラムは、割り込み初期設定を行う(ステップS42)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS42に続いて、主制御プログラムは、割り込み許可設定を行う(ステップS44)。この設定によりステップS42で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS44に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間を経過すると、つまり、主制御側メイン処理が開始されると、操作スイッチ952(操作スイッチ)の操作に伴うエラー解除ナビコマンドの受け取りを契機とした遊技制御側RAMクリア処理の実行を規制することとなる(通常時操作制御手段)。以上のように、主制御プログラムは、操作スイッチ952の操作に伴って入力される検出信号を、タイムシェアリングの概念により、上述のように電源投入時から所定時間に亘ってエラー解除ナビコマンドの入力を契機としてRAMクリア処理を実行させたり(遊技制御側電源投入時操作制御手段)、当該所定時間の経過後は当該エラー解除ナビコマンドの入力があってもRAMクリア処理の実行を規制し(遊技制御側通常時操作制御手段)、発生したエラーに伴うエラー報知を解除するための解除スイッチとして取り扱っている。つまり、本来、払出動作に関して発生したエラーを解除するために使用されるはずであった操作スイッチ952(エラー解除部)を、電源投入時から所定時間に亘って、その代わりに、遊技記憶部としての主制御内蔵RAM(及び後述する払出記憶部としての払出制御内蔵RAM)の初期化を開始させるためのRAMクリア処理を実行するための操作部として機能させたり、当該所定時間の経過後に、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除するための操作部として機能させることができるようになっている。
次に主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS46)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS46に続いて、主制御プログラムは、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS48)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路4100eから入力される。ステップS48の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS48で停電予告信号の入力がないときには、主制御プログラムは非当落乱数更新処理を行う(ステップS50)。非当落乱数更新処理では、上述した、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS50に続いて、再びステップS46に戻り、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS48で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS50で非当落乱数更新処理を行い、ステップS46〜ステップS50を繰り返し行う。なお、このステップS46〜ステップS50の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS48で停電予告信号の入力があったときには、主制御プログラムは、割り込み禁止設定を行う(ステップS52)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS52に続いて、主制御プログラムは、停電クリア信号を出力開始する(ステップS53)。ここでは、ステップS11において停電クリア信号を出力開始した処理と同一の処理を行う。これにより、主制御プログラムは、主制御MPU4100aの制御の下、DタイプフリップフロップMICのラッチ状態を解除することができる。
ステップS53に続いて、主制御プログラムは、始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108A,2108B、上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190等に出力している駆動信号を停止する(ステップS54)。
ステップS54に続いて、主制御プログラムは、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS56)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS56に続いて、主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS58)。これにより、遊技バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS58に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS60に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU4100aにリセットがかかり、その後主制御MPU4100aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS52〜ステップS60の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU4100a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS28では主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS30では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報を2重にチェックすることにより遊技バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[9−4.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。主制御側タイマ割り込み処理は、図17及び図18に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。図19は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板4100では、主制御プログラムが、主制御MPU4100aの制御の下、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS46においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、主制御プログラムは、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより他の割り込みの発生が許容される。また、割込フラグのクリアについては、タイマ割込処理における全ての処理が完了してから実行するようにしてもよい。このようにすることで、タイマ割込処理中に他の割込が発生することによる多重割込が行われないようにすることで、割込処理の管理がより簡略化される。
ステップS72に続いて、主制御プログラムは、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御MPU4100aの各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、この主制御プログラムは、例えば、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020,3020からの各々の検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110からの検出信号、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109からの検出信号、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352からの検出信号、磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。また、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109からの検出信号をそれぞれ読み取ると、これと対応する図15に示したその他に区分される始動口入賞コマンドを送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。つまり、上始動口スイッチ3022からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるし、下始動口スイッチ2109からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるようになっている。
なお、本実施形態では、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3020,3020からの検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2110からの検出信号、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3022からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2109からの検出信号、及びゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2352からの検出信号は、このスイッチ入力処理が開始されると、まず1回目としてそれぞれ読み取られ、所定時間(例えば、10μs)経過した後、2回目としてそれぞれ再び読み取られる。そして、この2回目に読み取られた結果と、1回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを判定する。同結果でないものについては、さらに、3回目として再び読み取られ、この3回目に読み取られた結果と、2回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果でないものについては、さらに、4回目として再び読み取られ、この4回目に読み取られた結果と、3回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果とならないものについては、遊技球の入球がないものとして扱う。
このように、スイッチ入力処理では、主制御プログラムが、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号を、1回目〜3回目に亘って比較する2度読み取りと、2回目〜4回目に亘って比較する2度読み込みと、による計2回の2度読み取りを行うことによって、チャタリングやノイズ等の影響による誤検出を回避することができるようになっているため、一般入賞口スイッチ3020,3020、カウントスイッチ2110、上始動口スイッチ3022、下始動口スイッチ2109、及びゲートスイッチ2352からの検出信号の信頼性を高めることができる。
ステップS74に続いて、主制御プログラムは、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189が点灯する時間のほかに、主制御基板4100(主制御MPU4100a)が送信した各種コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、主制御プログラムは、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図17に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得ることができるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
本実施形態では、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数を、図17に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理、及び本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS78の当落乱数更新処理でそれぞれ更新しているが、割り込みタイマが発生するごとに本ルーチンの処理時間にムラが生じて次の割り込みタイマが発生するまでの残り時間内において主制御側メイン処理を繰り返し実行することによりステップS50の非当落乱数更新処理の実行回数がランダムとなる場合には、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数をステップS50の非当落乱数更新処理においてのみ更新する仕組みとしてもよい。
ステップS78に続いて、主制御プログラムは賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、主制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出すための賞球コマンドを作成したり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するためのセルフチェックコマンドを作成したりする。この主制御プログラムは、作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主払シリアルデータとして払出制御基板4110に送信する。
さらに賞球制御処理では、主制御プログラムが、そのプログラムコードの一部である賞球制御プログラムコードを実行し、例えば、大入賞口2103への遊技球の受け入れに伴ってカウントスイッチ2110から出力された検出信号に基づく検出情報が、大入賞口2103の数分に亘って1ビットずつ連続させて定義されている各々対応する定義ビット領域に書き込まれたことを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、払出制御基板4110(払出制御手段)に送信する。
本実施形態では、大入賞口として大入賞口2103の2個が設けられているため、主制御プログラムは、上述した定義ビット領域として、主制御RAM内に予め用意された複数の定義ビット領域のうちから、大入賞口2103用の2個分の各定義ビットを使用する。以下、順に「第一ビット領域」および「第二ビット領域」という。なお、大入賞口の数が例えば1個である遊技盤の場合には、1つの定義ビット領域が使用されることになる。これら使用される定義ビット領域は、例えば1ビットであり、互いに隣り合う領域とされている。大入賞口2103に遊技球が受け入れられると、カウントスイッチ2110から出力された検出信号に基づく検出情報として、例えば、「1」が例えば4ビット目である第一定義ビット領域に書き込まれる。その後、主制御プログラムは、遊技球が受け入れられたことを識別した大入賞口に対応する定義ビット領域を、例えば「0」を書き込んで初期化し、次の遊技球の受け入れに備える。
ここで、主制御プログラムは、どの定義ビット領域の状態を確認するかについても決定する。例えば主制御プログラムは、大入賞口2103のカウントスイッチ2110に対応する定義ビット領域を仮に4ビット目とした場合、本実施形態のように大入賞口が1個のみ設けられているパチンコ遊技機の場合、主制御プログラムは、4ビット目の定義ビット領域の情報を取得する。
さらに主制御プログラムは、このように取得した検出情報について、後述する大入賞口2103の賞球有効範囲に応じてマスク処理を実行して、賞球コマンドを作成して送信情報記憶領域に書き込んで払出制御基板4110に対して出力しないようにすべきか否かを決定する。この賞球コマンドが送信されるべきでないと決定した場合、主制御プログラムは、上述したカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報が書き込まれる各定義ビット領域に対してマスク処理として、例えば強制的にビットをOFF(「0」)に設定し、賞球コマンドを送信情報記憶領域に書き込まないようにしてもよい。
この賞球制御処理では、主制御プログラムが、第一特別遊技状態において、大入賞口2103に遊技球が1球受け入れられたことを示すカウントスイッチ2110からの検出信号に対応する検出情報が、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域に書き込まれていることを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、上述した送信情報記憶領域に書き込む。併せて、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込み、その後周辺制御基板4140に送信させて周辺制御MPU4150aに、スピーカーに、例えば「ポコン」という音を出力させる。
その一方、主制御プログラムは、第一特別遊技状態において、大入賞口2103に遊技球が1球受け入れられたことを示すカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報が、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域に書き込まれていないと、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成しない。この場合も、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込むが、賞球コマンドが払出制御基板4110(払出制御手段)に送信されて遊技球の払い出し動作が実行されないようにする。その後、主制御プログラムは、この大入賞口2103に対応する上記定義ビット領域を初期化して、カウントスイッチ2110からの検出信号に基づく検出情報をクリアすることにより遊技球の払い出しが許容される状態とする。
この際、主制御プログラムは、大入賞口2103への遊技球の受け入れに応じて払い出しうる規定払い出し数以上分の遊技球の払い出しがなされると、入賞過多異常コマンド(図16において図示を省略する)を上記送信情報記憶領域に書き込んで、その後コマンド送信処理(ステップS92)において周辺制御基板4140に送信する。すると、周辺制御MPU4150aがスピーカーに所定の報知を行わせる。
このようにすると、実質的に不正な遊技球の払い出しがなされないようになるため、遊技場(遊技ホール)が被る損害を最小限に抑制することができる。
一方、主制御プログラムは、その代わりに、大入賞口2103への遊技球の受け入れが検出された場合、即座に、入賞過多異常コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込んで、周辺制御MPU4150aの制御に、スピーカーに報知させるようにしてもよい。
その後、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域から賞球コマンドを読み出して、払出制御基板4110(払出制御手段)に送信する。
上述のようにすると、大入賞口2103について遊技球を受け入れた際に、対応するカウントスイッチ2110が機能しているか否かを聴覚により確認することができる。
一方、この主制御プログラムは、この賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されない場合、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成し、払出制御基板4110に送信する。
ステップS80に続いて、主制御プログラムは、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板4110では、払出制御プログラムが、状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンド(例えば、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を送信する。一方、後述するように払出制御プログラムは、払出動作にエラーが発生した場合にエラー発生コマンドを出力したり、操作スイッチ952の検出信号に基づいてエラー解除ナビコマンドを出力する。上述した枠コマンド受信処理では、主制御プログラムが、この各種コマンドを払主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を払出制御基板4110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、その正常に払主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し(図16の状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド))、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。なお、ここでいう枠状態1コマンドは第1のエラー発生コマンドに相当するとともに、エラー解除ナビコマンドは第1のエラー解除コマンドに相当する。
ステップS82に続いて、主制御プログラムは、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ2110によって大入賞口2103に遊技球が入球していると検知されたとき等には、主制御プログラムは、異常状態として図16に示した報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、主制御プログラムは、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、大当り用乱数値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている当り判定値と一致するか否かを判定する。さらに、主制御プログラムは、大当り図柄乱数値に基づいて確率変動状態に移行させるか否かを判定する。そして、確変移行条件が成立している場合には、その後、確率変動状態に移行させる一方、確変移行条件が成立していない場合には当該確率変動状態以外の遊技状態に移行させる(当選確率制御手段)。ここで、「確率変動状態」とは、上述した特別抽選の当選確率が通常遊技状態(低確率状態)と比較して相対的に高く設定された状態(高確率状態)をいう。特別図柄及び特別電動役物制御処理の詳細については、図20にて後述する。
次に、主制御プログラムは、特別図柄の種別に応じて、始動入賞時に決定した変動表示パターンに従って、上特別図柄表示器1185を点灯させるよう点灯信号の出力を設定したり、下特別図柄表示器1186を点灯させるよう点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、例えば大当り遊技状態に移行させる場合には、図15に示した大当り関連に区分される各種コマンド(大当りオープニングコマンド、大入賞口1開放N回目表示コマンド、大入賞口1閉鎖表示コマンド、大入賞口1カウント表示コマンド、大当りエンディングコマンド、及び大当り図柄表示コマンド)を作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、開閉部材2107を開閉動作させるようアタッカソレノイド2108A或いはアタッカソレノイド2108Bへの駆動信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、大入賞口2103が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、ラウンド表示器1190の2ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう2ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが6回であるときには、ラウンド表示器1190の6ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう6ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが12回であるときには、ラウンド表示器1190の12ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう12ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが16回であるときにはラウンド表示器1190の16ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう16ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。また、主制御プログラムは、確率変動状態への移行の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器1183への点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。
ところで、一般的なパチンコ遊技機においては、遊技球の始動入賞を契機として、その後特別図柄を変動表示を開始するとともに大当り抽選を実行し、所定の当選条件が成立しているともに所定の確変移行条件が成立している場合、遊技状態表示器としてのいわゆる確変ランプの点灯態様を変更するとともに確率変動状態に移行する。確率変動状態では、上述した大当り抽選の確率が通常遊技状態よりも相対的に高く設定されており、再度当選条件が成立して大当りとなることがほぼ保証されている。このように確率変動状態が終了した後にその後さらに確率変動状態に移行する可能性のある遊技機としては、主として、次に大当りとなるまで確率変動状態を継続してあたかも大当り遊技がループしているかのように挙動するものと(以下「ループ機」という)、大当り遊技が終了した後に特別図柄の変動回数が所定の回数になるまで確率変動状態を継続するもの(以下「ST(スペシャルタイム)機」という)とが存在している。このように確率変動状態の継続の仕方が異なる機種のパチンコ遊技機では、上述した遊技状態表示器の制御が異なっており、開発段階においては機種ごとに遊技状態表示器の制御を逐一設計しなければならず開発効率を向上しにくかった。
そこで、本実施形態では、主制御プログラムは、上始動口2101又は下始動口2102に遊技球が受け入れられると、その後当選条件が成立しているか否かを判定し、当選条件が成立している場合には通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる一方、当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合には当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させるとともに遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とする。主制御プログラムは、その後再度当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合、その確率変動状態が継続された状態で遊技状態表示器1183の表示態様をある特定の割り込み周期内に点灯状態から一旦消灯状態とさせた後、当該特定の割り込み周期と同一の割り込み周期内において遊技状態表示器1183の表示態様を消灯状態から再度点灯状態とする。
具体的に説明すると、まず、上述のように主制御プログラムは、上始動口2101又は下始動口2102に遊技球が受け入れられたことを契機として、その後当選条件が成立しているか否かを判定し(抽選手段)、当選条件が成立している場合、通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる一方、当選条件が成立しているとともに確変移行条件が成立している場合、当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させる(遊技状態制御手段)。主制御プログラムは、確率変動状態が継続している間に亘って遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とする一方、確率変動状態以外の遊技状態に移行すると遊技状態表示器1183の表示態様を消灯状態とする(点灯態様制御手段)。主制御プログラムは、上述した確率変動状態への移行を契機として遊技状態表示器1183の表示態様を点灯状態とし、その後再度当選条件が成立しているとともにさらに確変移行条件が成立している場合、その確率変動状態が継続された状態で遊技状態表示器1183の表示態様をある特定の割り込み周期内において点灯状態から一旦消灯状態とさせた後、当該特定の割り込み周期と同一の割り込み周期内において遊技状態表示器1183の表示態様を再度消灯状態から点灯状態とさせる(点灯状態継続制御手段)。なお、このように遊技者に確率変動状態が継続しているように視認させたいにもかかわらず、このように、ごく短時間に亘って遊技状態表示器1183の表示態様を変化させても、遊技者の視覚上、遊技状態表示器1183の表示態様が変わっていないように見せることができる。
このようにすると、遊技状態表示器1183の表示態様上、遊技者の目には、一旦消灯状態になったことが視認し難く、点灯状態が継続しているかのように視認される。すると、本実施形態におけるパチンコ遊技機1が、確率変動状態が連続的に継続するいわゆるループ機であっても、大当り遊技状態が終了した後特別図柄が規定の変動回数まで確率変動状態が継続するとともに当該規定変動回数内に当選条件が成立するとその後再度確率変動状態に移行するいわゆるST(スペシャルタイム)機であっても、互いに異なる機種間において遊技状態表示器1183の表示態様を制御するプログラムコードを共用することができる。これにより、互いに異なる機種のパチンコ遊技機の開発効率を向上することができるようになる。
さらに、特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラム(遊技制御手段)が、上述のように当選条件が成立している場合には通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる一方、さらに移行条件の一例としての確変移行条件が成立している場合には特定遊技状態の一例としての確変遊技状態にも移行させる(遊技状態制御手段)。ここで、主制御プログラムは、実質的に大当り遊技状態での遊技球の払い出しをほぼ行うことなく、特定遊技状態の一例としての確変遊技状態に移行させるようにしてもよい。なお、特定遊技状態としては、移行条件の他の一例としての時短作動条件が成立して時短機能が作動している状態であってもよいし、上述した確変遊技状態と併せて同時に両方の遊技状態であってもよい。主制御プログラムは、ある遊技状態から他の遊技状態に移行するまでの期間における特別図柄の変動表示回数の残り回数を管理しており、当該管理している遊技状態を表す遊技状態情報を送信情報として送信情報記憶領域に書き込むことによって、その後同一のタイマ割り込み周期内において、後述するコマンド送信処理S92において送信させる(遊技状態通知手段)。
具体的には、主制御プログラムが、上述した確変移行条件が成立している場合、遊技状態が確変遊技状態以外の遊技状態、例えば通常遊技状態に移行するまでに特別図柄が変動表示される残り回数に関する情報(以下「残り回数情報」という)を、始動条件が成立した後に開始条件が成立したことを契機として送信されるいずれかのコマンド、例えば変動パターンに対応する変動パターンコマンドに含めて送信情報として送信情報記憶領域に書き込むことによって、その後同一のタイマ割り込み周期内において、後述するコマンド送信処理S92において送信させている(残り変動回数通知手段)。なお、主制御プログラムは、上述した残り回数情報をその他のコマンドに含めたり、独立したコマンドとして周辺制御基板4140に送信させるようにしてもよい。
ところで、プログラムコードの集合によって構成されているプログラムモジュールであるサブルーチンは、一般的には、メインルーチンに含まれるCALL命令によって呼び出されてこのプログラムモジュールに含まれるプログラムコード群が実行された後に、最後にリターン命令でメインルーチンに戻るように構成されている。このようにすると、呼び出した戻しのための命令が必要となるため、一見すると、プログラム容量を低減することが困難であるようにも思える。
しかしながら、本実施形態では、メインルーチンが連続するサブルーチンを含む場合、例えば、メインルーチンが最初のサブルーチンをCALL命令で呼び出して実行した後、さらに連続して次のサブルーチンを別のCALL命令で呼び出す代わりに、最初のサブルーチンのプログラムコード群の最後にリターン命令を配置せずそのまま次のサブルーチンのプログラムコード群の最初に繋ぐようにしてもよい。このような構成のプログラムモジュールとすると、プログラム全体として容量を低減することができるようになる。
ステップS86に続いて、主制御プログラムは、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。普通図柄及び普通電動役物制御処理の詳細については、図36にて後述する。
普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート通過時処理を行う。ゲート通過時処理では、入力情報からゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
さらに、ゲート通過時処理に続いて、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報を読み出し、読み出したゲート情報から普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致するか否かを判定する(「普通抽選」という)。主制御プログラムは、判定結果(普通抽選による抽選結果)に応じて一対の可動片2106を開閉動作させるか否かを決定する。主制御プログラムは、この決定により開閉動作をさせる場合、一対の可動片2106が開放状態となることで下始動口2102へ遊技球が受け入れ可能となる遊技状態となって遊技者にとって有利な遊技状態に移行させる。
さらに、主制御プログラムは、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数の値に基づいて、上述した決定と対応する普通図柄の変動表示パターンを決定し、図15に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上記送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄の変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上記出力情報記憶領域に記憶する。
また、主制御プログラムは、取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致しているときには、図15に示した普通電役演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、一対の可動片2106を開閉動作させるよう始動口ソレノイド2105への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、主制御プログラムは、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致していないときには、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定し、図15に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、主制御プログラムはポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、この主制御プログラムが主制御MPU4100aの各種出力ポートの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。この主制御プログラムは、例えば、出力情報に基づいて主制御MPU4100aの所定の出力ポートの出力端子から、払出制御基板4110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板4110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口2103の開閉部材2107の開閉動作を行うアタッカソレノイド2108A,2108Bに駆動信号を出力したり、一対の可動片2106の開閉動作を行う始動口ソレノイド2105に駆動信号を出力したりするほかに、2ラウンド大当り情報出力信号、6ラウンド大当り情報出力信号、12ラウンド大当り情報出力信号、16ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を払出制御基板4110に出力したりする。
ステップS90に続いて、主制御プログラムは、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、この主制御プログラムが、上述した送信情報記憶領域からコマンドやデータなどの送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信する(コマンド送信手段)。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、図15に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド(例えば、大入賞口2103に入球した遊技球を検出した際にカウントスイッチ2110からの検出信号に基づく大入賞口カウントコマンドに相当する大入賞口1カウント表示コマンド)、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図16に示した、報知表示に区分される各種コマンド(扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンドなど)、状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンド)、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。
周辺制御基板4140に送信されるコマンドは、コマンド送信用のバッファとしてリングバッファの用に先に格納されたコマンドが先に出力される方式のものが使用される。主制御プログラムは、コマンド送信用のバッファにコマンドが格納された順序で周辺制御基板4140に送信する。例えば、同一タイマ割り込み処理内では特別図柄及び特別電動役物制御処理(ステップS86)が実行された後に普通図柄及び普通電動役物制御処理(ステップS88)が実行されるため、特図関連の先読みコマンドが普図関連の先読みコマンドよりも先にコマンド送信用のバッファに格納されることにより、特図関連の先読みコマンドの方が普図関連の先読みコマンドに優先して周辺制御基板4140に送信される。
周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から枠状態1コマンド(第1のエラー発生コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンド)を送信する(エラーコマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った枠状態1コマンドを、図16に示す形態の枠状態1コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110からエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140に対してエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンド)を送信する(エラーコマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取ったエラー解除ナビコマンドを、図16に示す形態のエラー解除ナビコマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
さらに、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から本体枠開放コマンド(第1の本体枠開放コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して本体枠開放コマンド(第2の本体枠開放コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第2の本体枠送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った本体枠開放コマンドを、図16に示す形態である本体枠開放コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から本体枠閉鎖コマンド(第1の本体枠閉鎖コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して本体枠閉鎖コマンド(第2の本体枠閉鎖コマンド)を送信する(本体枠コマンド送出手段、第2の本体枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った本体枠閉鎖コマンドを、図16に示す形態である本体枠閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
また、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から扉枠開放コマンド(第1の扉枠開放コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して扉枠開放コマンド(第2の扉枠開放コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第2の扉枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った扉枠閉鎖コマンドを、図16に示す形態である扉閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板4110から扉閉鎖コマンド(第1の扉閉鎖コマンド)を受信した場合、周辺制御基板4140(演出制御部)に対して扉閉鎖コマンド(第2の扉閉鎖コマンド)を送信する(扉枠コマンド送出手段、第2の扉枠コマンド送出手段、第2の特定枠コマンド送出手段)。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板4110から受け取った扉閉鎖コマンドを、図16に示す形態である扉閉鎖コマンドとして周辺制御基板4140に転送している。
ステップS92に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、主制御プログラムは、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU4100aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPU4100aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[9−5.特別図柄及び特別電動役物制御処理]
次に、特別図柄及び特別電動役物制御処理について説明する。図20は、本実施形態における特別図柄及び特別電動役物制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。特別図柄及び特別電動役物制御処理は、図19に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS86の処理で実行される。
特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述した大当り判定用乱数をカウンタにより+1ずつ更新しており、上始動口2101又は下始動口2102への遊技球の受け入れ、すなわち、始動入賞を契機として(始動条件の成立)、この始動条件が成立した始動記憶情報(始動情報)ごとに、上述したカウンタの値を取り出して大当り用乱数値とし、この大当り用乱数値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(抽選手段)。以下、この判定処理を「特別抽選」とも表現する。主制御プログラムは、抽選結果に基づいて大当り遊技状態を発生させるか否かを判定し、大当り用乱数値が大当り判定値と一致している(予め定められた当選条件が成立している)場合には通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる。大当り遊技状態は、特別遊技状態、第一特別遊技状態、第二特別遊技状態に相当し、これらを総称した遊技状態を示すものとする。
なお、主制御プログラムは、大当り遊技態様を決定する際、大当り遊技態様決定処理においてセットされる大当り遊技の態様を定義するためのデータとして、例えばラウンド数、ラウンド毎の大入賞口の開放時間、ラウンド毎の大入賞口の閉鎖時間、及び遊技球の入賞制限数カウント数を表す定義データ(テーブル)を、大入賞口の数に応じてオフセットさせたアドレスで指定される主制御内蔵RAMの一部の記憶領域である定義データ領域(図示せず)から読み出している。以下、図20に示したフローチャートに沿って特別図柄及び特別電動役物制御処理の手順を説明する。
特別図柄及び特別電動役物制御処理が開始されると、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、下大入賞口(大入賞口1)に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS100)。下大入賞口に遊技球が入賞した場合には(ステップS100の結果が「yes」)、下大入賞口に入賞したことを示す大入賞口入賞指定コマンドをセットする(ステップS102)。
同様に、主制御MPU4100aは、上大入賞口(大入賞口2)に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS104)。上大入賞口に遊技球が入賞した場合には(ステップS104の結果が「yes」)、上大入賞口に入賞したことを示す大入賞口入賞指定コマンドをセットする(ステップS106)。なお、大入賞口に遊技球が入球したか否かはカウントスイッチ2110によって検出される。さらに、各入賞指定コマンドをセットする場合には、カウントスイッチによって検出することのみに限定されず、該当する大入賞口が開放状態とされ、かつ、カウントスイッチによって検出されたときに各入賞指定コマンドをセットしてもよい。大入賞口が開放状態とされていると判定する条件としては、S142〜S146に係る遊技状態であるときとしてもよいし、特別図柄・特別電動役物動作番号がS142〜S146に該当する値であることとしてもよい。
さらに、主制御MPU4100aは、上ゲート(役連作動ゲート)を遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS112)。上ゲートを遊技球が通過した場合には(ステップS112の結果が「yes」)、上ゲートを遊技球が通過したことを示す役連作動ゲート通過コマンドをセットする(ステップS110)。
続いて、主制御MPU4100aは、始動入賞口(上始動口2101、下始動口2102)に遊技球が入賞したか否かを判定する。まず、入賞の判定の対象となる始動口を示す始動口識別エリアに始動口1識別値を設定する(ステップS112)。
そして、主制御MPU4100aは、上始動口2101に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS114)。上始動口2101に遊技球が入賞したか否かは、上始動口スイッチ3022からの検出信号があるか否かによって判定される。具体的には、図19に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS74のスイッチ入力処理で上始動口スイッチ3022からの検出信号の有無を読み取って主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶された入力情報に基づいて行われる。
主制御MPU4100aは、上始動口2101に遊技球が入賞した場合には(ステップS114の結果が「yes」)、始動口入賞時処理を実行する(ステップS116)。始動口入賞時処理では、始動口に新たに遊技球が入賞した場合に送信される始動口入賞コマンドを設定したり、大当り判定用乱数等を抽出して所定の領域に格納したり、特別図柄先読み演出を実行するための処理等を実行したりする。始動口入賞時処理の詳細については、図21にて後述する。
次に、主制御MPU4100aは、始動口識別エリアに始動口2識別値を設定し(ステップS118)、下始動口2102に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS120)。下始動口2102に遊技球が入賞した場合には(ステップS120の結果が「yes」)、上始動口2101の場合と同様に、始動口入賞時処理を実行する(ステップS122)。始動口1識別値、始動口2識別値とは、上始動口入賞時と下始動口入賞時とで共通する始動口入賞時処理を実行することが可能となるように、始動口入賞時処理内で各識別値に基づいて、実行中の処理が上始動口による入賞処理によるものか、下入賞口処理によるものかを識別するための情報であって、始動口入賞時処理内で参照又は設定されるデータテーブルや入賞情報を記憶するための領域を識別できるようにするために設定される値である。
続いて、主制御MPU4100aは、遊技の進行に応じて実行される分岐処理の種類が指定された遊技進行状態変数である特別図柄・電動役物動作番号に基づいて対応する処理を実行する(ステップS124)。遊技進行状態変数は、主制御内蔵RAMの遊技進行状態記憶領域に記憶されており、遊技の進行に応じて実行された各分岐処理において更新される。ステップS124の処理では、遊技進行状態記憶領域に記憶されている遊技進行状態変数の値に基づいて指定された分岐処理に移行し、移行した分岐処理を終えると、特別図柄及び特別電動役物制御処理を終了する。なお、遊技進行状態記憶領域に記憶される遊技進行状態変数の値等は、遊技情報であるため、主制御側電源断時処理においてバックアップされる。
ステップS130処理では、遊技進行状態変数の値に基づいて、分岐処理として、特別図柄変動待ち処理(ステップS130)、特別図柄変動中処理(ステップS132)、特別図柄大当り判定処理(ステップS134)、特別図柄はずれ停止処理(ステップS136)、特別図柄大当り停止処理(ステップS138)、大入賞口開放前インターバル処理(ステップS140)、大入賞口開放処理(ステップS142)、大入賞口閉鎖中処理(ステップS144)、大入賞口開放終了インターバル処理(ステップS146)、役連作動ゲート有効待ち処理(ステップS148)又は役連作動ゲート有効処理(ステップS150)が実行される。
特別図柄変動待ち処理(ステップS130)では、上始動口2101や下始動口2102に遊技球が入球したことに基づいて、上特別図柄表示器1185や下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示を開始させる処理等を行う。
特別図柄変動中処理(ステップS132)では、上特別図柄表示器1185や下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示を制御する処理等を行う。
特別図柄大当り判定処理(ステップS134)では、上始動口2101や下始動口2102に遊技球が入球したことに基づいて、変動を開始し確定停止した特別図柄が大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行う。
特別図柄はずれ停止処理(ステップS136)では、大当り遊技状態を発生させない場合に上特別図柄表示器1185や下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示を停止させてその旨を報知する処理等を行う。
特別図柄大当り停止処理(ステップS138)では、大当り遊技状態を発生させる場合に上特別図柄表示器1185や下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示を停止させてその旨を報知する処理等を行う。
大入賞口開放前インターバル処理(ステップS140)では、大当り遊技状態を発生させて大当り動作が開始される旨を報知するための処理等を行う。
大入賞口開放処理(ステップS142)では、開閉部材2006を閉じた状態から開いた状態とすることにより大入賞口2103に遊技球が入球容易とする大当り動作に関する処理等を行う。
大入賞口閉鎖中処理(ステップS144)では、開閉部材2006を開いた状態から閉じた状態とすることにより大入賞口2103に遊技球が入球困難とする大当り動作に関する処理等を行う。
入賞口開放終了インターバル処理(ステップS146)では、大当り動作が終了しているときにはその旨を報知する処理等を行う。
役連作動ゲート有効待ち処理(ステップS148)又は役連作動ゲート有効処理(ステップS150)では、上ゲート(役連作動ゲート)を有効化させたり、上ゲートの遊技球の通過を検出したりする。
[9−6.始動口入賞時処理]
次に、始動口入賞時処理について説明する。図21は、本実施形態における始動口入賞時処理の手順の一例を示すフローチャートである。始動口入賞時処理は、図20に示した特別図柄及び特別電動役物制御処理におけるステップS116(上始動口2101)及びS122(下始動口2102)の処理で実行される。
始動口入賞時処理では、上始動口2101又は下始動口2102への遊技球の受け入れを契機として、図16に示した始動口入賞コマンドを作成する。このとき、始動口入賞コマンドは始動入賞口ごとに設定されるものであってもよいし、始動入賞口にかかわらず共通のものであってもよい。主制御プログラムは、このように作成したコマンドを送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。
主制御プログラムは、まず、コマンドデータとして、始動口入賞コマンドを作成するための始動口入賞時コマンド作成データを設定し(ステップS200)、コマンドバッファ設定処理を実行する(ステップS202)。これにより、始動口入賞時コマンドを作成してコマンドバッファに記憶される。本実施形態の始動口入賞時コマンドは始動入賞口にかかわらず共通のものである。
さらに、主制御プログラムは、当該始動口入賞時処理開始前に選定された始動口1識別値又は始動口2識別値に基づいて、入賞した始動口に対応する始動口入賞時制御データテーブルを設定する(ステップS204)。始動口入賞時制御データテーブルには、始動入賞時に実行される処理に必要なデータが格納されている。以下、始動口入賞時制御データテーブルについて説明する。
図22は、本実施形態における始動口入賞時制御データテーブルの一例を示す図である。始動口入賞時制御データテーブルは、上始動口2101入賞時にセットされる始動口入賞時制御データテーブル1と下始動口2102入賞時にセットされる始動口入賞時制御データテーブル2とが定義されている。各テーブルは、特別図柄保留球数コマンドアドレステーブル、特別図柄作動保留球数エリア、保留履歴特図識別値及び保留情報記憶エリア参照用オフセット値が定義されており、同じ構造となっている。
本実施形態では、前述のように、ステップS204の処理において、ステップS112又はステップS118の処理で設定された識別値に基づいて、入賞した始動入賞口に対応する始動口入賞時制御データテーブルの先頭アドレスを、制御データアドレスとしてセットする。これにより、セットされた始動口入賞時制御データテーブルの先頭アドレスから所定の位置に必要なデータが格納されているため、上始動口と下始動口とで共通の処理で始動口に対応するデータを取得することができる。具体的には、主制御プログラムは、ステップS204の処理で設定された始動口入賞時制御データテーブルに設定された作動保留球数アドレスが示す領域に格納された保留球数を取得する(ステップS206)。作動保留球数アドレスは図22における作動保留球数アドレス(特別図柄作動保留球数エリア)に対応し、作動保留球数アドレスに格納された内容が保留球数として取得される。
そして、主制御プログラムは、取得された保留球数が上限値(本実施形態では、4)以上であるか否かを判定する(ステップS208)。保留球数が上限値以上の場合には(ステップS208の結果が「yes」)、本処理を終了する。
一方、主制御プログラムは、保留球数が上限値未満の場合には(ステップS208の結果が「no」)、保留球数を1加算する(ステップS210)。さらに、特図1保留数と特図2保留数の合計である特別図柄合計作動保留数(特別図柄合計作動保留数エリアの内容)を1加算する(ステップS212)。
さらに、主制御プログラムは、始動入賞によって抽出される大当り判定用乱数等の各種乱数の格納場所(特別図柄保留記憶エリア)を特定する。ここで、特別図柄保留記憶エリアの構成について説明する。図23は、上始動口2101と下始動口2102に関わる特別図柄保留記憶エリア(ソースコード)の一例を示す図である。なお、図23の各行の右側に「特別図柄1〜」と記載されている行については、上始動口2101に関する特別図柄保留記憶エリアであり、「特別図柄2〜」と記載されている行については、下始動口2102に関する特別図柄保留記憶エリアである。また、「特別図柄1変動パターン用乱数記憶Nエリア」となっている場合には「N」が保留数に対応する。各エリアには、対応する乱数値が1個ずつ格納される。
図23を参照しながら具体的に説明すると、まず、特別図柄1大当り判定用乱数記憶1エリアのアドレス(B_HIT_M1)を基準アドレスとしてセットする。そして、加算値として、保留球数に応じた値(具体的には保留球数に格納領域のサイズ(_TMEM1_KO)を乗算した値)に、保留記憶エリアインデックス値(保留情報記憶エリア参照用オフセット値)を加算する。保留記憶エリアインデックス値は、始動口識別エリアの値が始動口1識別値であれば“00H”、始動口2識別値であれば特別図柄2大当り判定用乱数記憶エリアとなるようにオフセット値(_TMEM_ADD)が設定される。最後に、算出された加算値を基準アドレスに加算し、大当り判定用乱数の格納場所(転送先アドレス)を算出することができる。このように、インデックス値を用いることによって始動口が異なっていても共通の処理で適切な格納場所を指定することができる。また、共通の処理を実行するタイミングによってインデックス値を異ならせることで、それぞれ別の記憶領域にデータを格納させることも可能である。例えば、先読み処理時と変動開始時とで大当り判定を行う場合に、それぞれ異なるインデックス値を設定することによって大当り判定に必要な情報をそれぞれ別の記憶領域に格納することが可能となる。
ここで、図21のフローチャートの説明に戻ると、主制御プログラムは、特別図柄保留記憶エリアに大当り判定用乱数を格納する(ステップS214)。具体的には、大当り判定用乱数エリアに格納された値を(大当り判定用乱数のカウンタ値)を保留球数に対応した特別図柄保留記憶エリアに格納する。また、大当り判定用乱数以外にも、大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン用乱数(変動パターン用乱数1、変動パターン用乱数2、変動タイプ用乱数)、特別図柄用乱数といった変動時に当落判定又は変動パターンを決定するための乱数が始動口入賞時に抽出され、対応する記憶エリアに記憶される。例えば、特別図柄1保留球数が0の場合には、指定された格納場所であるB_HIT_M1を先頭アドレスとし、大当り判定用乱数がB_HIT_M1に、リーチ判定用乱数がT_RIT_M1に、変動パターン用乱数1がT_HP1_M1に、変動パターン用乱数2がT_HP2_M1に、変動タイプ用乱数がT_HTP_M1に、特別図柄用乱数がT_ZUG_M1に記憶される。
続いて、主制御プログラムは、特別図柄合計作動保留数に基づいて、新たな保留記憶における図柄変動の変動パターンを選択するための特図識別値を、対応する保留識別履歴エリア(特別図柄保留識別エリア)に格納する(ステップS216)。特別図柄保留識別エリアは、特別図柄保留識別エリア1から特別図柄保留識別エリア8まで1バイトずつ連続した領域が割り当てられており、特別図柄保留識別エリア1を基準として特別図柄合計作動保留数から1減算した値の分だけシフトしたアドレスが新たな保留記憶に対応する領域となる。特別識別値は、ステップS204の処理で設定された始動入賞時制御データテーブルに含まれている。特別図柄保留識別エリアは、上始動口(特別図柄1)又は下始動口(特別図柄2)に入賞した順を記憶する領域であり、変動開始時に、特別図柄保留識別エリアの先頭エリアの値を判別することで、特別図柄の変動開始が可能か否かを判断している。
最後に、主制御プログラムは、特図先読み演出を実行するための記憶先読み処理を実行する(ステップS218)。特図先読み演出は、特別図柄の変動表示を開始する前に特別抽選の抽選結果を事前に暗示させる演出である。記憶先読み処理では、特別図柄の変動表示を開始する前に各種乱数を取得し、取得した乱数値に基づいて特別図柄先読み演出を周辺制御基板で決定するための情報(当落情報、図柄種別、変動パターン番号等)を生成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。この際、主制御プログラムは、特別抽選の抽選結果そのものの代わりに、大当り遊技の種別を示唆している情報として特別図柄の停止図柄に関する情報をコマンドに含めるようにしてもよい。例えば、変動パターンのうちのSPリーチ群、ノーマルリーチ群、図柄種別のうちの潜確当り群、小当り群といった、最終的に決定される前の段階の情報を先読みコマンドとして送信してもよい。記憶先読み処理の詳細については、図24にて後述する。
[9−7.記憶先読み処理]
続いて、始動口入賞時処理における記憶先読み処理(ステップS218)の詳細について説明する。図24は、本実施形態における記憶先読み処理の手順の一例を示すフローチャートである。記憶先読み処理では、特別抽選の結果をあらかじめ取得する先読みを実行するための処理を行う。記憶先読み処理によって取得された特別抽選の結果に基づいて、周辺制御基板4140に所定のコマンド(特別図柄保留数指定コマンド)を送信することで、特別図柄の変動表示が開始される前に結果を示唆する特図先読み演出を実行することが可能となる。
記憶先読み処理が開始されると、主制御プログラムは、まず、制御データ(始動入賞時制御データテーブル)のアドレスを退避させる(ステップS240)。さらに、保留コマンドとして先読み無し時保留コマンドを設定する(ステップS242)。
続いて、主制御プログラムは、始動入賞のタイミングと、実際に変動が開始されるタイミングとで、変動パターンを選択するためのテーブルが変化するか否かを判定する(ステップS244)。具体的には、変動パターンを選択するためのテーブルが、始動入賞時と変動開始時とで異なるか否かを判定し、変動パターンを選択するためのテーブルが異なる場合に先読みを禁止する。例えば、時短状態の維持回数(ゲーム数)又は変動テーブルの維持回数(ゲーム数)が保留数の上限数(例えば、特別図柄が1個の場合で保留数の上限数が4個の場合には4回、特別図柄が2個の場合で、各保留数の上限数の合算値が8個の場合8回、特別図柄が2個の場合でも、一方の図柄を優先して変動表示を開始する場合には、優先する側の保留数の上限数等)以内の場合には先読みを禁止する。主制御プログラムは、変動パターンを選択するためのテーブルが変化する場合には(ステップS244の結果が「yes」)、先読みに関する処理を実行せずに、ステップS282以降の処理を実行する。
一方、主制御プログラムは、変動パターンを選択するためのテーブルが変化しない場合には(ステップS244の結果が「no」)、先読み判定禁止期間であるか否かを判定する(ステップS246)。
ここで、先読み判定禁止期間の判定について説明する。先読み判定禁止期間であるか否かは図25に示した予告許可判定データアドレステーブルに基づいて判定される。具体的には、入賞した始動口(始動口識別エリアの設定値)に対応する予告許可判定データアドレステーブルをセットし、特別図柄・電動役物動作番号、時短中フラグに応じた予告許可判定データを取得する。取得した予告許可判定データが“00H”(_RENZOCK_OK)であれば先読み許可、“01H”(_RENZOCK_NG)であれば先読み禁止とする。予告許可判定データについては、図25に示す。
図25は、予告許可判定データに関連するテーブルの一例であり、(A)は予告許可判定データアドレステーブル、(B)は予告許可判定データの一例を示す。予告許可判定データアドレステーブルは、特別図柄1に対応した判定テーブル(RNEZO_CK1_W)と、特別図柄2に対応した判定テーブル(RNEZO_CK2_W)とが定義されている。また、予告許可判定データは、特別図柄動作番号(T_JOB_NO)に基づくデータ(RENZO_CK1_B)と、時短中フラグ(JITAN_FG)に基づくデータ(RENZO_CK2_B,RENZO_CK3_B)とが定義されている。
予告許可判定データアドレステーブルの基本構造としては、1バイト目は当該テーブルを参照する回数、2バイト目は参照元となる情報(参照先のRAMエリアの下位アドレス)、3、4バイト目は先読み禁止期間判定の参照テーブルアドレスとなっている。2〜4バイト目(3バイト)のデータを基本単位として、参照する回数分この基本単位のデータが設定される。本実施形態では、参照する回数として2回分のデータが設定されているが、当然のことながら、2回に限定されず、1回分であってもよいし、3回以上であってもよい。このようなデータ構造にすることで、プログラムコードの修正をすることなくデータ値のみの修正でどのような仕様にも対応できるようになっている。
例えば、特別図柄・電動役物動作番号が特別図柄変動中(HEND)であれば、予告許可判定データが“00H”(_RENZOCK_OK)となり、先読みが許可される。なお、特別図柄・電動役物動作番号は数値データであり、例えば、特別図柄の変動中を示すHENDは1となり、その他、特別図柄の変動待ち(IDOL)では0などとなる。また、上始動口2101に遊技球が入賞して時短状態(時短フラグ(JITAN_FG)が1)であれば、予告許可判定データ2(RENZO_CK2_B)が先読み禁止期間判定の参照テーブルとして選択され、時短フラグに対応した値が決定される。このとき、時短フラグが1であるので、予告許可判定データ2の2行目のデータである_RENZOCK_NG(“01H”=先読み判定禁止期間に対応)が選択され、ステップS246の判定処理において先読みが規制される。予告許可判定データ3(RENZO_CK3_B)は、特図2に対応した先読み禁止期間の参照テーブルであり、データの選択については、予告許可判定データ2(RENXO_CK2_B)と同様であるため詳細な説明については省略する。
なお、図25に示した例では、特別図柄1と特別図柄2とで別々の判定テーブルで定義しているが、内容が同じであれば共通のテーブルを使用してもよいし、特別図柄ごとにまったく異なる内容としてもよい。
また、予告許可判定データアドレステーブルによる判定結果に関わらず、特図先読み演出が実行中の場合には、重複して先読み演出を実行しないようにするために、先読み判定禁止期間と判定してもよい。
ここで図24の記憶先読み処理のフローチャートの説明に戻る。主制御プログラムは、先読み判定禁止期間の場合には(ステップS246の結果が「yes」)、先読み判定を行わず、ステップS282以降の処理を実行する。
一方、主制御プログラムは、先読み判定禁止期間でない場合には(ステップS246の結果が「no」)、入賞した始動口及び保留球数に対応した特別図柄保留記憶エリア(保留数毎の乱数を記憶するエリアの総称)に記憶された乱数値を保留1個分の対応した特別図柄保留記憶エリア分(本実施形態では7バイト分)設定された特別図柄保留記憶バッファ(大当り判定用乱数バッファから特別図柄用乱数バッファの総称)に格納する(ステップS248)。そして、特別図柄保留記憶バッファに格納された乱数に基づいて、先読み判定と変動開始時の判定を行う。すなわち、先読み時には、保留数に対応させて記憶した特別図柄保留記憶エリアの内容を当該バッファに記憶させ、変動開始時には特別図柄保留記憶エリアの先頭のエリアの情報を当該バッファに記憶させることで、先読み時と変動開始時とで共通の参照先で判定が可能となり、いずれの場合であっても以降の処理(大当り判定等の処理)を共通化して使用することが可能となる。
特別図柄保留記憶エリアは、特別図柄1及び時別図柄2について、大当り判定用乱数記憶Nエリア、リーチ判定用乱数記憶Nエリア、変動パターン用乱数1記憶Nエリア、変動パターン用乱数2記憶Nエリア、変動タイプ用乱数記憶Nエリア及び特別図柄用乱数記憶Nエリアを含む(Nは1〜4)。また、特別図柄保留記憶バッファは、大当り判定用乱数バッファ、リーチ判定用乱数バッファ、変動パターン用乱数1バッファ、変動パターン用乱数2バッファ、変動タイプ用乱数バッファ及び特別図柄用乱数バッファを含む。
ステップS248の処理では、例えば、特別図柄1の3個目の保留記憶を特別図柄保留記憶バッファに格納する場合には、特別図柄1大当り判定用乱数記憶3エリアの値を大当り判定用乱数バッファ、特別図柄1リーチ判定用乱数記憶3エリアの値をリーチ判定用乱数バッファ、特別図柄1変動パターン用乱数1記憶3エリアの値を変動パターン用乱数1バッファ、特別図柄1変動パターン用乱数2記憶3エリアの値を変動パターン用乱数2バッファ、特別図柄1変動タイプ用乱数記憶3エリアの値を変動タイプ用乱数バッファ、特別図柄1特別図柄用乱数記憶3エリアの値を特別図柄用乱数バッファに格納する。
そして、主制御プログラムは、ステップS248の処理で設定された特別図柄保留記憶バッファに格納された各乱数を参照して、特別抽選の結果を判定する特別図柄大当り判定処理を実行する(ステップS250)。特別図柄大当り判定処理の詳細については、図27にて後述する。
さらに、主制御プログラムは、特別抽選の結果(大当り)の種類(特別図柄)を判定する特別図柄判定処理を実行する(ステップS252)。特別図柄判定処理の詳細については、図28にて後述する。
続いて、主制御プログラムは、大当りフラグ格納エリアとして、大当りフラグバッファを設定する(ステップS254)。大当りフラグバッファ(特別図柄当選フラグバッファ(T_HIT_FGBF))とは、先読み判定時に大当りフラグ等を記憶する領域である。なお、変動開始時には、大当りフラグエリア(特別図柄当選フラグエリア)に大当り判定結果が記憶される。
特別抽選の先読みに係るバッファには、特別図柄当選フラグバッファ(T_HIT_FGBF)の他に、大当り図柄種別バッファ(BRZ_TPBF)、変動パターンバッファ(T_HD_PTBF)、変動タイプ種別バッファ(T_HD_TPBF)、図柄種別コマンドバッファ(TZTP_CMBF)、特別図柄識別フラグバッファ(T_MOV_FGBF)及び特別図柄作動保留球数バッファ(T_SID_CTBF)が含まれる。
なお、普通抽選についても、特別抽選の場合と同様に、普通抽選の先読みに係るバッファが設けられている。普通抽選の先読みに係るバッファには、当りフラグバッファ(F_HIT_FGBF)、普通図柄種別エリアバッファ(F_FZ_TPBF)及び普通図柄作動保留球数バッファ(F_SID_CTBF)が含まれる。このようにバッファを設けることによって、特別抽選の場合と同様に、先読み時と変動開始時とで処理を共通化することが可能となる。
さらに、主制御プログラムは、変動パターンを選択するための情報を保持する特別図柄変動振分情報源アドレステーブルとして、特別図柄変動振分情報源アドレステーブル1を設定する(ステップS256)。その後、特別図柄の変動パターンを選択する変動パターン選択判定処理を実行する(ステップS258)。なお、変動パターン選択判定処理の詳細については、図29にて後述する。
変動パターン選択判定処理が終了すると、主制御プログラムは、変動パターンバッファに抽出された変動パターン値を設定し(ステップS260)、さらに、変動タイプ種別値を取得する変動タイプ判定処理を実行する(ステップS262)。変動タイプ種別値とは、各変動パターンに定義された変動タイプを特定するためのパラメータである。一の変動パターンには、一又は複数の変動タイプを定義可能となっている。変動タイプは、例えば、擬似連続変動に対応する変動パターンが選択された場合における、擬似連続変動の種類に対応する。主制御プログラムは、変動タイプ種別値が選択されると、当該選択された変動タイプ種別値を変動タイプ種別バッファに設定する(ステップS264)。
その後、主制御プログラムは、大当り判定用乱数バッファから特別図柄用乱数バッファまでの値をクリアする(ステップS266)。これは、大当り判定を行う際に値が残ることで誤動作することを防ぐためである。
さらに、主制御プログラムは、先読み結果を示すコマンド(図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド及び変動タイプ先読みコマンド)を、周辺制御基板4140に送信するためのコマンドバッファに設定する(ステップS268〜S278)。さらに、先読み有り時保留コマンド参照値を保留コマンド参照値に設定する(ステップS280)。
そして、主制御プログラムは、ステップS240の処理で退避されていた制御データ(始動入賞時制御データテーブル)のアドレスを復帰させる(ステップS282)。最後に、設定された保留コマンド参照値に基づいて、保留球数コマンドを取得し(ステップS284)、当該取得された保留球数コマンド(特別図柄保留球数指定コマンド)をコマンドバッファに設定する(ステップS286)。
ここで、保留球数コマンド(特別図柄保留球数指定コマンド)を取得する手順についてさらに説明する。ステップS282の処理で復帰させた制御データのアドレスには、遊技球が入賞した入賞口(始動口識別エリアの値)に対応する始動口入賞時制御データテーブルのアドレスが設定されている。前述のように、始動口入賞時制御データテーブルの構造が始動口識別エリアの値にかかわらず共通となっているため、以降の処理を共通化することが可能となっている。
図26は、特別図柄保留球数コマンドに関連するテーブルを示す図であり、(A)は特別図柄保留球数コマンドアドレステーブル、(B)は特別図柄保留球数指定コマンド作成テーブルの一例である。始動口入賞時制御データテーブルには、図22に示したように、特別図柄保留球数コマンドアドレステーブルのアドレスが含まれており(各データテーブルの先頭アドレスに設定されたデータ(T1_SCT_CM_W,T2_SCT_CM_W))、当該アドレスから特別図柄保留球数コマンドアドレステーブルを参照することができる。
主制御プログラムは、入賞した始動口に対応して特別図柄1に対応する特別図柄1保留球数コマンドアドレステーブル(T1_SCT_CM_W)又は特別図柄2に対応する特別図柄2保留球数コマンドアドレステーブル(T2_SCT_CM_W)を参照し、ステップS242又はステップS280の処理でセットされた保留コマンド参照値に基づいて、特別図柄保留球数コマンドアドレステーブルから対応する特別図柄保留球数指定コマンド作成データのアドレスを特定する。図26(B)に示すように、特別図柄保留球数指定コマンド作成データは、特別図柄ごとに、先読み禁止時の保留コマンド生成テーブルと(上段、T1_SCT_CM1_B,T2_SCT_CM1_B)、先読み許可時の保留コマンド生成テーブルと(下段、T1_SCT_CM2_B,T2_SCT_CM2_B)が定義されている。
そして、主制御プログラムは、特別図柄保留球数指定コマンド作成データに基づいて特別図柄保留球数指定コマンドを作成する。特別図柄保留球数指定コマンド作成データ(T1_SCT_CM1_B、T1_SCT_CM2_B、T2_SCT_CM1_B、T2_SCT_CM2_B)のデータ構成は、3バイトのデータで構成される。1バイト目のデータが保留数を参照する記憶領域(RAM)の下位アドレス、2バイト目のデータがコマンドのモードデータとして設定する値のデフォルト値、3バイト目のデータがコマンドのステータスデータ値となる。例えば、特別図柄1保留記憶数(T1_SID_CT)が3(保留数3の場合)で、先読みありの場合の特別図柄保留球数指定コマンドは、特別図柄1保留球数指定コマンド作成データ2(T1_SCT_CM2_B)に基づいて作成される。具体的には、ステータス値が“62H”、モード値が“02H”(保留数3−1)+“11H”(デフォルト値)=“13H”となり、特別図柄保留球数指定コマンドは“6213H”となる。最後に、作成した特別図柄保留球数指定コマンドをコマンドバッファに設定する。
また、図26(B)に示したように、特別図柄保留球数指定コマンド作成データの2バイト目のデータ(モード値のデフォルト値)は、先読み禁止の場合には“01H”、先読み許可の場合には“11H”となっている。したがって、特別図柄保留球数指定コマンドのモード値の上位ビットは、保留数を加算した後であっても先読み禁止の場合には“0”、先読み許可の場合には“1”となる。そのため、特別図柄保留球数指定コマンドを受信した周辺制御基板4140は、特別図柄保留球数指定コマンドのモード値を参照することによって、先読みの有無を判断することができる。これにより、周辺制御基板4140は、特別図柄保留球数指定コマンドを受信してモード値を参照することによって、特図先読み演出を実行するために必要な情報(コマンド)を受信するまで待機するか否かを決定することができる。すなわち、特別図柄保留球数指定コマンドのモード値の上位ビットが“0”であれば、先読み関連のコマンドを受信せずに処理を継続することが可能となる。なお、特別図柄保留球数指定コマンド作成データに設定されるデータ構成の順序は、当該記載順に限定されず、例えば、2バイト目に保留数を参照する記憶領域の下位アドレスが設定される等、予め定められた順に設定されていればよい。さらには、3バイト(3情報)に限定されず、予め定められたデータ構成であれば、保留数コマンド出力に伴うような他の情報について設定されていてもよい。
[9−8.特別図柄大当り判定処理]
続いて、記憶先読み処理における特別図柄大当り判定処理(ステップS250)について説明する。図27は、本実施形態における特別図柄大当り判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。特別図柄大当り判定処理は、始動入賞時に抽出された大当り判定用乱数に基づいて、特別抽選の結果が大当りか否かを判定する。本処理は、特別抽選の先読み時と、特別図柄の変動開始時(変動表示確定時)に共通して使用される。
主制御プログラムは、まず、大当り判定用乱数バッファから大当り判定用乱数を取得する(ステップ300)。続いて、特別図柄大当り判定下限値データ(大当り判定用の下限値テーブル)から確変フラグに基づいて、特別抽選を行うための特別図柄大当り判定下限値を取得する(ステップS302)。特別図柄大当り判定下限値データ(大当り判定用の下限値テーブル)には、確変フラグに対応して特別図柄大当り判定下限値が定義されている。確変フラグは、確率状態が通常確率(低確率)か高確率かを示す情報であって、低確率であれば“00H”、高確率であれば“01H”が設定されている。特別図柄大当り判定下限値データは、確率状態に応じた値が設定されており、確変フラグに基づいて下限値データが選択され、下限値データを異ならせることで抽選確率を異ならせることが可能となっている。
続いて、主制御プログラムは、ステップS300の処理で取得された大当り判定用乱数が、ステップS302の処理で取得された大当り判定下限値よりも小さいか否かを判定する(ステップS304)。大当り判定用乱数が大当り判定下限値よりも小さくない場合(ステップS304の結果が「no」)、すなわち、大当り判定用乱数が大当り判定下限値以上の場合には、大当り判定用乱数が大当り判定上限値より大きいか否かを判定する(ステップS306)。なお、本実施形態では、大当り判定用乱数が生成される範囲が0から上限値までとなっており、さらに、大当りと判定される乱数の範囲が大当り判定下限値から上限値までの範囲となっている。そのため、本来であれば、大当り判定用乱数が大当り判定下限値以上であれば大当りと判定してもよいが、ノイズ等の影響で大当り判定用乱数に上限値を超えた値が設定されてしまった場合にも大当りと判定されてしまうおそれがある。本実施形態ではこのような誤動作を防止するために、上限値とも比較している。
主制御プログラムは、大当り判定用乱数が大当り判定上限値より大きくない場合(ステップS306の結果が「no」)、すなわち、大当り判定用乱数が大当り判定上限値以下の場合には、大当りフラグに大当り当選を設定する(ステップS308)。具体的には、フラグ設定値として大当り当選を設定し、大当りフラグ格納エリアに当該フラグ設定値を格納する。なお、大当りフラグ格納エリアは、前述のように、変動開始時には大当りフラグエリア(特別図柄当選フラグエリア)、先読み判定時には大当りフラグバッファ(特別図柄当選フラグバッファ)となっている。
一方、主制御プログラムは、大当り判定用乱数が大当り判定下限値よりも小さい場合(ステップS304の結果が「yes」)、又は、大当り判定用乱数が大当り判定上限値よりも大きい場合には(ステップS306の結果が「yes」)、大当りフラグに当選なし(はずれ)を設定する(ステップS310)。これにより、上限値よりも大きいと判断された場合においても下限値よりも小さいと判断された場合のように、大当りフラグがはずれとなる値が設定されることで、上限値を超えた値が設定されたとしても、誤って大当りと判定されることを防止している。以上のように、大当りフラグが設定されると、特別図柄大当り判定処理を終了する。
[9−9.特別図柄判定処理]
続いて、記憶先読み処理における特別図柄判定処理(ステップS252)の詳細について説明する。図28は、本実施形態における特別図柄判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。特別図柄判定処理は、始動入賞時に抽出された大当り図柄判定用乱数に基づいて特別図柄を特定する。
主制御プログラムは、まず、大当りフラグ格納エリア(大当りフラグエリア又は大当りフラグバッファ)から大当りフラグを取得する(ステップS320)。そして、大当りフラグの内容が大当り当選か否かを判定する(ステップS322)。大当りフラグの内容が大当り当選でない場合には(ステップS322の結果が「no」)、特別図柄番号値にはずれ図柄コマンド値(0)をセットする(ステップS330)。さらに、特別図柄番号値を図柄種別コマンドのモード値に設定し(ステップS332)、特別図柄判定処理を終了する。
一方、主制御プログラムは、大当りフラグの内容が大当り当選の場合には(ステップS322の結果が「yes」)、大当り図柄乱数に基づいて、特別図柄判定データアドレステーブルから大当り図柄番号及び大当り図柄種別番号を取得する(ステップS324)。大当り図柄は複数定義されているために、大当り図柄乱数に基づいて特別図柄判定データアドレステーブルから大当り図柄番号が取得される。大当り図柄種別番号は、大当りの種類に一対一に対応した番号である。例えば、16R出球あり確変大当り(01H)、16R出球あり非確変大当り(02H)、16R出球なし確変大当り(時短なし:潜伏確変、03H)、16R出球なし確変大当り(時短あり:突確、04H)、小当り(05H)などである。また、大当り図柄番号は、図柄種別番号に対し複数設けられた値である。例えば、16R出球あり確変大当りには01H〜10Hが、16R出球あり非確変大当りには11H〜26Hが、16R出球なし確変大当り(時短なし:潜伏確変)には27H〜3FHが、16R出球なし確変大当り(時短あり:突確)には40H〜55Hが、小当りには56H〜5FHが設けられている。このように、大当り図柄番号が同一の大当り種別に対して複数備えられるのは、大当り図柄番号に基づいて、機能表示ユニット1180の上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186に表示される特別図柄(本特図)が遊技者から視認し難くするためである。一方、はずれ図柄は1種類のため、テーブルから選択されるのではなく、はずれ図柄番号には所定の値(はずれ図柄コマンド値(0))が設定される。
さらに、主制御プログラムは、大当り図柄種別番号に基づいて、大当り図柄を周辺制御基板4140に通知するための図柄種別コマンドを設定する(ステップS326)。最後に、大当り図柄番号に基づいて特別図柄番号値を設定し(ステップS328)、特別図柄判定処理を終了する。
[9−10.変動パターン選択判定処理]
続いて、記憶先読み処理における変動パターン選択判定処理(ステップS258)の詳細について説明する。図29及び図30は、本実施形態における変動パターン選択判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。変動パターン選択判定処理は、特別図柄の変動表示における変動パターンを選択するための処理である。なお、本処理は先読み時と同様に変動開始時にも実行され、先読み時と変動開始時とで同じ変動パターンテーブルを参照する。
主制御プログラムは、まず、変動テーブル番号に基づいて変動情報源テーブルを取得する(ステップS340)。変動テーブル番号は、変動情報源アドレステーブルから変動情報源テーブルを選択(取得)するための値である。変動情報源テーブルは、遊技状態に応じた特別図柄1と特別図柄2の、当り(当り変動選択情報状態テーブル)、はずれ(はずれ変動選択情報状態テーブル)、リーチ(リーチ変動選択情報状態テーブル)、リーチ確率(特別図柄リーチ確率テーブル)、変動タイプ(変動タイプ判定データテーブル)を参照するためのテーブル情報が記憶されたデータテーブルである。
続いて、主制御プログラムは、特別図柄識別値を取得し、変動パターン選択値変動特別識別エリアに格納する(ステップS342)。さらに、特別図柄識別値と特別図柄別変動振り分け情報源テーブルの1ブロック分のデータ数に基づいて、変動情報源テーブルの特別図柄(特別図柄1又は特別図柄2)に対応する領域を特定する(ステップS344)。続いて、特別抽選の結果を導出するための当り判定値(先読み時であれば特別図柄当選フラグバッファ又は変動開始時であれば特別図柄当選フラグエリアに格納された当落結果の値(例えば、00H:はずれ、01H:大当り、02H:小当り)を取得する(ステップS346)。
主制御プログラムは、当り判定値が大当り値若しくは小当り値と一致するか否かを判定することによって大当り若しくは小当りに当選したか否かを判定する(ステップS350)。大当り若しくは小当りに当選した場合には(ステップS350の結果が「yes」)、状態フラグに基づいて、当り変動選択情報状態テーブルから大当り変動選択情報種別テーブルを検索する(ステップS352)。このとき、検索された大当り変動選択情報種別テーブルのアドレスを退避しておく。大当り変動選択情報種別テーブルは、大当り変動種別(大当り変動パターンを決定する前の段階の変動グループであって、例えば、SP1系リーチ、SP2系リーチ等のように、最終的に決定される変動パターン群をグループ単位でまとめられたもの)を選択するためのテーブルである。特別抽選の結果が小当りに当選した場合と大当りに当選した場合とで、変動パターンの選択は、大当り図柄種別に設定された値に基づいて決定しており、大当り図柄種別番号は大当りと小当りとで異なる値が設定されていることから大当りと小当りとで共通の処理により変動パターンを選択することが可能となっている。
次に、主制御プログラムは、大当り図柄種別(先読み時であれば大当り図柄種別バッファ、又は、変動開始時であれば大当り図柄種別エリアに格納された値)を取得する(ステップS354)。設定された大当り図柄種別はステップS358の変動情報番号検索処理で使用される。
続いて、主制御プログラムは、変動パターン選択時変動特図識別エリアの値に応じた、変動パターン振分用図柄種別設定データ選択テーブルを選択する。(ステップS356)。変動パターン振分用図柄種別設定データ選択テーブルとは、大当り変動選択情報種別テーブルから当り時変動パターン選択値データテーブルを決定するための種別を、(当り)図柄種別の値に基づいて決定するためのテーブルである。
次に、主制御プログラムは、ステップS354の処理で取得された大当り図柄種別を比較値として変動情報番号検索処理を実行することによって変動情報番号(大当り変動選択情報種別テーブルから当り時変動パターン選択値データテーブルを決定するための種別値)を取得する(ステップS358)。さらに、退避していた大当り変動選択情報種別テーブルを検索データとして設定する(ステップS360)。また、ステップS358の処理によって、変動情報番号検索処理の結果である変動情報番号を選択値として設定する(ステップS362)。
一方、主制御プログラムは、大当り若しくは小当りに当選していない場合には(ステップS350の結果が「no」)、検索データとして特別図柄リーチ確率テーブルを設定する(ステップS364)。そして、特別図柄リーチ確率テーブルから状態フラグに対応する特別図柄リーチ確率データを検索する(ステップS366)。状態フラグとは、遊技状態に対応して数値化されたデータが設定されており、本実施形態においては、00H(低確率非時短(通常遊技)状態)、01H(高確率時短状態)、02H(低確率時短状態)、03H(高確率非時短状態)の何れかの値が設定されている。これにより、遊技状態に応じた特別図柄のリーチ確率を選択することが可能となっている。さらに、特別図柄リーチ確率データ及び保留球数(当該先読み若しくは変動が特別図柄1か特別図柄2かに対応した保留球数)に基づいて、リーチを発生させるか否かを判定するためのリーチ判定しきい値を取得する(ステップS368)。続いて、主制御プログラムは、検索データとしてリーチ変動選択情報状態テーブルを設定する(ステップS370)。
続いて、主制御プログラムは、始動入賞に対応する変動表示においてリーチを発生させるか否かを判定する(ステップS372)。具体的には、リーチ判定用乱数バッファからリーチ判定用乱数を取得し、ステップS368の処理で取得されたリーチ判定しきい値と比較する。リーチ判定用乱数よりもリーチ判定しきい値が大きい場合にリーチを発生させる。
主制御プログラムは、当該変動表示においてリーチを発生させない場合には(ステップS372の結果が「no」)、検索データとしてはずれ変動選択情報状態テーブルを設定する(ステップS374)。さらに、はずれ変動選択情報状態テーブルから状態フラグに対応するはずれ変動選択情報保留テーブルを検索し(ステップS376)、検索されたはずれ変動選択情報保留テーブルを検索データとして設定する(ステップS378)。さらに、選択値に保留球数(当該先読み若しくは変動が特別図柄1か特別図柄2かに対応した保留球数)を設定する(ステップ380)。
ステップS374からステップS380の処理は、リーチが発生しない通常はずれの場合に変動パターンを選択する処理である。通常はずれの場合には、変動パターンを保留数に応じて変化させる必要があり、例えば、保留数が多い場合には、少ない場合と比較して、変動時間が短い変動パターンが選択される可能性が高くなるように設定された変動パターンテーブルが選択される。
一方、主制御プログラムは、当該変動表示においてリーチを発生させる場合には(ステップS372の結果が「yes」)、選択値として状態フラグを設定する(ステップ382)。リーチを発生させる場合には、保留数で変動時間の長短を決定していないが、通常はずれの場合と同様に保留数によって変動時間を変化させてもよい。具体的には、同じリーチ変動でも、保留数が多い場合には、少ない場合と比較して所定の変動時間(例えば、変動開始直後の高速変動時間)を調整するようにしてもよい。この場合には、変動時間が異なることから、異なる変動パターンコマンドが設定されることになる。
主制御プログラムは、ステップS362、ステップS380又はステップS382の処理が終了すると、このとき設定されている検索データから選択値に対応する変動パターン選択値データテーブルを選択する(ステップS384)。具体的には、特別抽選の結果が大当りの場合には(ステップS362)、検索データとして大当り変動選択情報種別テーブルが設定され、選択値としてステップS358の変動情報番号検索処理の検索結果である変動パターン振分用図柄種別値が設定される。また、特別抽選の結果がはずれ、かつ、リーチが発生する場合には(ステップS382)、検索データとしてリーチ変動選択情報状態テーブルが設定され、選択値として状態フラグが設定される。さらに、特別抽選の結果がはずれ、かつ、リーチが発生しない場合には(ステップS380)、検索データとしてはずれ変動選択情報保留テーブルが設定され、選択値として保留球数が設定される。
続いて、主制御プログラムは、変動パターン用乱数1を取得し(ステップS386)、変動情報番号検索処理を実行する(ステップS388)。変動情報番号検索処理によって変動パターン選択値データテーブルから変動パターン選択データ選択値が取得される。さらに、主制御プログラムは、変動パターン選択データアドレステーブルから変動パターン選択データ選択値に対応する変動パターン選択値データテーブルを取得する(ステップS390)。
続いて、主制御プログラムは、変動パターン用乱数2を取得し(ステップS392)、変動パターン用乱数2及びステップS390の処理で取得された変動パターン選択値データテーブルに基づいて、変動情報番号検索処理を実行する(ステップS394)。その後、変動情報番号検索処理の結果に基づいて変動パターンを選択し(ステップS396)、本処理を終了する。
変動パターン選択データテーブルは、変動パターン用乱数2下限値と変動パターン設定値を一組のデータとして、一ないし複数組のデータで構成されている。変動情報番号検索処理を実行することにより、変動パターン用乱数2と、変動パターン選択データテーブルに設定された変動パターン用乱数2下限値とを比較し、変動パターン用乱数2下限値よりも変動パターン用乱数2の値の方が大きいと判定された場合に、その変動パターン用乱数2下限値に対応した変動パターン設定値が選択される。変動パターン用乱数2下限値よりも変動パターン用乱数2の値の方が小さい場合には、次に設定された変動パターン用乱数2下限値と比較し、変動パターン用乱数2の値の方が大きいと判定されるまで変動パターン用乱数2下限値を変更しながら繰り返し実行される。
本実施形態では、変動パターン用乱数1(ステップS386)及び変動パターン用乱数2(ステップS392)の2種類の乱数によって2段階で変動パターンが選択される。まず、変動パターン用乱数1に基づいて変動パターンの種別(○○系リーチといった変動パターン群)を選択する。さらに、変動パターン用乱数2に基づいて変動パターン用乱数1によって選択した変動パターン群から、最終的に変動表示する変動パターン(変動パターンコマンドに設定される値)が選択される。なお、2段階で抽選する方法に限定されず、3段階以上で抽選する方式でもよいし、一の変動パターン用乱数で直接変動パターンを選択するようにしてもよい。なお、現状の各変動パターン用乱数は1バイトで構成されているため、二つの乱数で判定することによって合計2バイト分の乱数で判定した結果と同じになる。一の変動パターン用乱数で変動パターンを選択する場合には、変動パターン用乱数を2バイトで構成すればよい。
[9−11.変動タイプ判定処理]
続いて、記憶先読み処理における変動タイプ判定処理(ステップS262)の詳細について説明する。図31は、本実施形態における変動タイプ判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。変動タイプ判定処理は、前述のように、特別図柄の変動表示における変動パターンに定義された変動タイプを選択するための処理である。
主制御プログラムは、まず、変動タイプ判定データテーブルから状態フラグに対応する変動タイプ判定データを検索する(ステップS400)。続いて、変動パターン設定値を復帰させて比較値として設定し(ステップS402)、変動情報番号検索処理を実行する(ステップS404)。
変動タイプ判定データテーブルは、遊技状態に応じて異なる変動タイプ判定データが設定されており、ステップS400の処理により遊技状態に対応した変動タイプ判定データが選択される。また、変動タイプ判定データは、変動パターン下限値と変動タイプ選択データ選択値を一組のデータとして、一ないし複数組のデータで構成されている。そして、変動情報番号検索処理を実行することにより、変動パターン選択値と、変動タイプ判定データに設定された変動パターン下限値とを比較し、変動パターン下限値よりも変動パターン選択値の方が大きいと判定された場合に、当該変動パターン下限値に対応した変動タイプ選択データ選択値が選択される。変動パターン下限値よりも変動パターン選択値の方が小さい場合には、次に設定された変動パターン下限値と比較し、変動パターン選択値の方が大きいと判定されるまで変動パターン下限値を変更しながら繰り返し実行される。なお、変動タイプ判定処理を実行する前に、変動情報源アドレステーブルが入力パラメータとして事前に設定されており、この変動情報源アドレステーブルに設定されている変動タイプ判定データテーブルに基づいて変動タイプが判定される。
次に、主制御プログラムは、ステップS404の変動情報番号検索処理によって取得された変動タイプ選択データ選択値に対応する変動タイプ選択データ(のアドレス)を変動タイプ判定データアドレステーブルから検索する(ステップS406)。
続いて、主制御プログラムは、変動タイプ用乱数を比較値として設定し(ステップS408)、変動情報番号検索処理を実行する(ステップS410)。このとき、ステップS406の処理で取得された変動タイプ選択データが検索データとして設定されており、変動情報番号検索処理によって変動タイプ設定値が取得される。
変動タイプ選択データは、変動タイプ用乱数下限値と変動タイプ設定値を一組のデータとして、一ないし複数組のデータで構成されている。変動情報番号検索処理を実行することにより、変動タイプ用乱数と、変動タイプ選択データに設定された変動タイプ用乱数下限値とを比較し、変動タイプ用乱数下限値よりも変動タイプ用乱数の方が大きいと判定された場合に、その変動タイプ用乱数下限値に対応した変動タイプ設定値が選択される。変動タイプ用乱数下限値よりも変動タイプ用乱数の値の方が小さい場合には、次に設定された変動タイプ用乱数下限値と比較し、変動タイプ用乱数の値の方が大きいと判定されるまで変動タイプ用乱数下限値を変更しながら繰り返し実行される。
[9−12.特別図柄変動待ち処理]
続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理における特別図柄変動待ち処理(ステップS130)の詳細について説明する。図32及び図33は、本実施形態における特別図柄変動待ち処理の手順の一例を示すフローチャートである。特別図柄変動待ち処理では、特別図柄の変動表示が実行されていない状態で実行され、当該変動表示が保留されている場合には、特別図柄の変動表示を開始する準備を行う。
主制御プログラムは、まず、特別図柄の変動表示が保留されているか否かを判定する(ステップS420)。具体的には、特別図柄保留識別エリアの先頭に格納された値から次回実行される変動表示に対応する特別図柄保留識別値(特別図柄保留識別1エリアの値)が0でないか否を判定する。主制御プログラムは、ロードされた値が0の場合、すなわち、特別図柄の変動表示が保留されていない場合には(ステップS420の結果が「no」)、特別図柄の変動表示を開始しないので本処理を終了する。
一方、特別図柄の変動表示が保留されている場合には(ステップS420の結果が「yes」)、主制御プログラムは、特別図柄の変動表示を開始するための処理を実行する。具体的には、まず、下始動口2102に遊技球が入球した場合(特別図柄2)の変動表示が優先して実行されるため、始動口識別値に特別図柄2をセットし(ステップS422)、変動設定データとして特別図柄2変動設定データを設定する(ステップS424)。換言すると、変動設定データに特別図柄2変動設定データを設定する。さらに、特別図柄2作動保留球数エリアから特別図柄2保留球数を取得する(ステップS426)。
そして、主制御プログラムは、特別図柄2保留球数が0でない(1以上)か否かを判定する(ステップS428)。特別図柄2保留球数が0の場合には(ステップS428の結果が「no」)、始動口識別値に特別図柄1をセットし(ステップS430)、変動設定データとして特別図柄1変動設定データを設定する(ステップS432)。
変動設定データは、特別図柄1若しくは特別図柄2における変動開始処理を実行するために参照されるRAMやデータデーブルアドレスで構成されており、参照先としては特別図柄1と特別図柄2とで異なる値が設定可能とされ、データ構造(設定されたデータの個数)は共通となっている。これにより、特別図柄1と特別図柄2とで共通の変動開始処理を実行することが可能となっている。
本実施形態における特別図柄1及び特別図柄2の変動設定データは13バイトで構成されており、具体的には次のようになっている。1バイト目は作動保留球数アドレスの下位バイト、2及び3バイト目は保留球数指定コマンド作成データアドレス、4及び5バイト目は保留記憶エリア転送時転送元アドレス、6及び7バイト目は保留記憶エリア転送時転送先アドレス、8及び9バイト目は保留4記憶エリア転送時転送元アドレス、10及び11バイト目は保留4記憶エリア転送時転送先アドレス、12及び13バイト目は変動中設定データアドレスである。
変動設定データを設定すると、主制御プログラムは、特別図柄識別フラグエリアに始動口識別値を格納する(ステップS434)。続いて、特別図柄の変動を開始するため、始動口識別値に対応した作動保留球数と特別図柄合計作動保留数エリアに格納された特別図柄合計作動保留数を1減算する(ステップS436)。
次に、主制御プログラムは、コマンドデータとして保留球数指定コマンドをセットし(ステップS438)、コマンドバッファに設定する(ステップS440)。その後、コマンドバッファに設定された保留球数指定コマンドが、主制御側タイマ割り込み処理における周辺制御基板コマンド送信処理(ステップS92)によって送信される。なお、保留球数指定コマンドを作成するためのコマンド作成テーブル(図26(A))は先読み時と共通であり、先読み時と変動開始時とで同じテーブルを用いることによってプログラム容量を節約している。
続いて、主制御プログラムは、特別図柄・フラグ設定処理を実行する(ステップS442)。特別図柄・フラグ設定処理では、始動口入賞時に取得された大当り判定用の乱数などに基づいて、特別抽選を実行する。特別図柄・フラグ設定処理の詳細については、図34にて後述する。
さらに、主制御プログラムは、特別図柄変動パターン設定処理を実行する(ステップS444)。特別図柄変動パターン設定処理では、特別抽選の結果に基づいて、変動パターンを設定する。特別図柄変動パターン設定処理の詳細については、図35にて後述する。
次に、主制御プログラムは、特別図柄保留記憶エリア(図23)に格納されたデータを順次シフトさせる(ステップS446)。特別図柄保留記憶エリアには、始動入賞によって抽出される大当り判定用乱数等の各種乱数を含む保留記憶(始動記憶)が入賞した始動口ごとに保留数分格納されている。保留記憶に基づく特別図柄の変動が開始される際に変動が開始される保留記憶をクリアし、残りの保留記憶をシフトする。例えば、保留数が最大4個の場合、特別図柄保留記憶2エリアに格納された保留記憶を特別図柄保留記憶1エリアにシフトし、同様に特別図柄保留記憶3エリア及び特別図柄保留記憶4エリアに格納された保留記憶を特別図柄保留記憶2エリア及び特別図柄保留記憶3エリアシフトさせる。その後、特別図柄保留記憶4エリアをクリアする(ステップS448)。特別図柄保留記憶エリアのシフト処理は、変動設定データに設定された、保留記憶エリア転送時転送元アドレスに設定された値を保留記憶エリア転送時転送先アドレスに格納するとともに、保留記憶エリア転送時転送元アドレスと保留記憶エリア転送時転送先アドレスを次のアドレスに更新して、各保留記憶エリアに記憶されたデータを順次シフトする。
続いて、主制御プログラムは、設定データアドレスとして変動設定データに設定された変動中データ設定アドレスを設定し、次の割り込み処理で実行される特別図柄変動中処理を実行するために必要な情報を所定の記憶領域に設定する(ステップS450)。
さらに、主制御プログラムは、周辺制御基板4140に送信するための変動パターンコマンドを作成する。具体的には、まず、コマンド値として、特別図柄識別フラグに対応する特図変動パターン基準コマンドの上位バイトを設定する。例えば、特別図柄識別フラグが特別図柄2であれば特図2変動パターン基準コマンドの上位バイトを設定し、特別図柄1であれば特図1変動パターン基準コマンドの上位バイトを設定する(ステップS452〜S456)。
さらに、主制御プログラムは、下位のコマンドデータとして、変動パターンエリアに格納された変動パターン値を取得する(ステップS458)。さらに、変動タイプ種別エリアから変動タイプ種別値を取得し(ステップS460)、ステップS452又はステップS456の処理で設定されたコマンド値に変動タイプ種別値を加算することによって変動タイプに応じた変動パターンコマンドの上位バイトを算出する(ステップS462)。ステップS450からステップS462の処理によって変動パターンコマンドが作成され、作成されたコマンドデータを所定の領域に格納するコマンド格納処理を実行する(ステップS464)。
続いて、主制御プログラムは、周辺制御基板4140に送信するための図柄種別コマンドを設定する。具体的には、特別図柄識別フラグが特別図柄1であれば図15に示す特別停止図柄1指定コマンドをコマンドバッファに設定し、特別図柄2であれば図15に示す特別停止図柄2指定コマンドを設定する(ステップS466〜S472)。
次に、主制御プログラムは、周辺制御基板4140に送信するための変動時状態指定コマンドをコマンドバッファに設定する(ステップS474、S476)。なお、生成された各コマンドは、生成された順序(コマンドバッファに格納された順序)で送信されるため、送信順序を変更する場合にはコマンドの生成順序(コマンドバッファへの格納順序)を変更すればよい。例えば、変動パターンコマンドよりも図柄種別コマンドを先に送信したい場合には、ステップS466からステップS472までの処理を、ステップS458からステップS464までの処理よりも先行して実行すればよい。
次に、主制御プログラムは、変動表示が実行された保留記憶に対応する特別図柄保留履歴をクリアし、特別図柄保留履歴をシフトさせる(ステップS478)。本実施形態では、8個分(特別図柄1及び特別図柄2、各4個分)の特別図柄保留履歴を記憶する領域が割り当てられており、先頭の保留記憶に対応する変動表示が開始されると、後続の変動表示に対応する特別図柄保留履歴を順次シフトさせる。具体的には、2番目の領域(特別図柄保留履歴識別2エリア)に格納された特別図柄保留履歴を先頭に移動させる。各特別図柄保留履歴識別エリアは連続した領域に割り当てられているので、7個分の特別図柄保留履歴を格納した領域をシフトさせればよい。最後に、特別図柄保留履歴識別エリアの最後の領域(特別図柄保留履歴識別8エリア)をクリアし(ステップS480)、特別図柄変動待ち処理を終了する。
[9−13.特別図柄・フラグ設定処理]
続いて、特別図柄変動待ち処理における特別図柄・フラグ設定処理(ステップS442)の詳細について説明する。特別図柄・フラグ設定処理では、変動開始時に特別図柄の変動表示結果を設定する。図34は、本実施形態における特別図柄・フラグ設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
主制御プログラムは、まず、特別抽選の大当り判定を行うための乱数(特別図柄大当り判定用乱数)を大当り判定用乱数バッファ(変動用乱数記憶エリア)に格納する(ステップS500〜S506)。具体的には、特別図柄識別フラグに基づいて、変動表示を開始する特別図柄を特定し、対応する特別図柄大当り判定用乱数記憶1エリア(特別図柄1大当り判定用乱数記憶1エリア又は特別図柄2大当り判定用乱数記憶1エリア)に格納された特別図柄大当り判定用乱数を設定する。そして、設定された特別図柄大当り判定用乱数を大当り判定用乱数バッファ(変動用乱数記憶エリア)に格納(転送)する。
すなわち、変動開始の対象となる特別図柄保留記憶エリアを特定し、格納された乱数値を特別図柄保留記憶バッファの対応する領域に格納する。特別図柄1(特別図柄2)大当り判定用乱数記憶1エリアに格納された特別図柄大当り判定用乱数以外にも、特別図柄1(特別図柄2)リーチ判定用乱数記憶1エリアに格納された乱数値をリーチ判定用乱数バッファに、特別図柄1(特別図柄2)変動パターン用乱数1記憶1エリアに格納された乱数値を変動パターン用乱数1バッファに、特別図柄1(特別図柄2)変動パターン用乱数2記憶1エリアに格納された乱数値を変動パターン用乱数2バッファに、特別図柄1(特別図柄2)変動タイプ用乱数記憶1エリアに格納された乱数値を変動タイプ用乱数バッファに、特別図柄1(特別図柄2)特別図柄用乱数記憶1エリアに格納された乱数値を特別図柄用乱数バッファに格納する。
続いて、主制御プログラムは、大当りフラグ格納エリア(特別図柄当選フラグエリア)として大当りフラグエリアを設定する(ステップS508)。さらに、大当りフラグエリアに格納された大当りフラグに基づいて、特別抽選の結果を判定する特別図柄大当り判定処理を実行する(ステップS510)。特別図柄・フラグ設定処理は変動開始時に実行される処理であり、大当りフラグエリア(特別図柄当選フラグエリア)のアドレス値をセットして特別図柄大当り判定処理を実行する。一方、特別図柄大当り判定処理が先読み時に実行される場合(記憶先読み処理のステップS250の処理で実行される場合)には、前述のように、大当りフラグとして大当りフラグバッファ(特別図柄当選フラグバッファ)が設定される。このように、特別図柄大当り判定処理を実行する前に参照/記憶するRAMの領域を先読み時と変動時とで事前に設定することによって、「特別図柄大当り判定処理」を先読み時と変動時とで共用することが可能となっている。なお、特別図柄大当り判定処理の手順については、図27にて説明した通りである。
さらに、主制御プログラムは、特別抽選の結果(大当り)の種類(特別図柄)を判定する特別図柄判定処理を実行する(ステップS512)。特別図柄判定処理は、記憶先読み処理におけるステップS252の処理と共通であり、特別図柄大当り判定処理と同様に先読み時と変動時とで共用可能となっており、処理内容については図28にて説明した通りである。そして、主制御プログラムは、特別図柄番号設定値として、特別図柄判定処理で設定された特別図柄番号値を設定する(ステップS514)。
次に、主制御プログラムは、特別停止図柄設定作業領域アドレステーブルから特別図柄識別フラグに対応する特別図柄停止エリア(特別図柄1停止エリア又は特別図柄2停止エリア)を検索する(ステップS516)。さらに、ステップS516の処理によって検索された特別図柄停止エリアに特別図柄番号設定値を格納する(ステップS518)。
そして、主制御プログラムは、特別図柄表示器(7セグ等)に表示する表示パターンを選択するための特別図柄変換処理を実行する(ステップS520)。なお、決定した図柄番号をそのまま特別図柄表示器の表示データとして設定すると一定の表示パターンになり、特別図柄表示器に表示された態様で当りの種類を遊技者に容易に識別されてしまうおそれがあるため、演算によって一定の表示パターンとならないように表示パターンを取得している。また、表示パターンが一定にならないように専用のテーブルで図柄番号から表示パターンを選択させることも可能であるが、図柄種別の種類が増加するとその分だけ表示パターンを保持する必要があり、表示パターンを格納するための記憶容量が増大してしまう。そこで、演算によって表示パターンを取得することで、遊技者に表示パターンを識別されることを防止しながら記憶容量の増大を抑制することを可能としている。
主制御プログラムは、最後に、特別図柄変換処理によって取得された図柄情報値を、ステップS516の処理で検索された特別図柄停止エリアに対応する領域(検索された特別図柄停止エリアのアドレスに1加算したアドレスに対応する領域)に格納し(ステップS522)、特別図柄・フラグ設定処理を終了する。
[9−14.特別図柄変動パターン設定処理]
続いて、特別図柄変動待ち処理における特別図柄変動パターン設定処理(ステップS444)の詳細について説明する。特別図柄変動パターン設定処理では、特別図柄の変動表示における変動パターンを設定するための処理である。図35は、本実施形態における特別図柄変動パターン設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
主制御プログラムは、まず、特別図柄識別フラグに対応した特別図柄作動保留球数を特別図柄作動保留球数バッファに格納する(ステップS530〜S536)。具体的には、特別図柄識別フラグに基づいて、変動表示を開始する特別図柄に対応する特別図柄作動保留球数エリア(特別図柄1作動保留球数エリア又は特別図柄2作動保留球数エリア)を特定し、格納値に特別図柄作動保留球数エリアの値(特別図柄作動保留球数)を設定する(ステップS530〜S534)。そして、設定された格納値を特別図柄作動保留球数バッファに格納する(ステップS536)。
続いて、主制御プログラムは、大当りフラグ格納エリアに大当りフラグエリアを設定する(ステップS538)。さらに、変動パターンを選択するための情報を保持する特別図柄変動振分情報源アドレステーブルとして、特別図柄変動振分情報源アドレステーブル1を設定する(ステップS540)。その後、特別図柄の変動パターンを選択する変動パターン選択判定処理を実行する(ステップS542)。変動パターン選択判定処理は、記憶先読み処理におけるステップS258の処理と共通であり、特別図柄大当り判定処理と同様に先読み時と変動時とで共用可能となっており、図29及び図30にて説明した通りである。変動パターン選択判定処理が終了すると、主制御プログラムは、抽出された変動パターン値を変動パターンエリアにセットする(ステップS544)。
次に、主制御プログラムは、特別図柄変動時間データから変動パターン値に対応するデータ(変動時間値)を検索する(ステップS546)。このとき取得された変動時間値が基準の変動時間値となり、基準の変動時間値を退避しておく。
さらに、主制御プログラムは、変動タイプ種別値を取得する変動タイプ判定処理を実行し(ステップS548)、取得された変動タイプ種別値を変動タイプ種別バッファに設定する(ステップS550)。変動タイプ判定処理は、記憶先読み処理におけるステップS262の処理と共通であり、特別図柄大当り判定処理と同様に先読み時と変動時とで共用可能となっており、図31にて説明した通りである。
続いて、主制御プログラムは、変動時間加算値データから変動タイプ種別値に対応する変動時間加算値を検索する(ステップS552)。変動時間加算値は変動タイプに対応する加算時間であり、例えば、疑似連回数に応じた加算時間などに相当する。そして、主制御プログラムは、ステップS546の処理で検索された基準の変動時間値にステップS552の処理で検索された加算値を加算し、最終的な変動時間を取得する(ステップS554)。最後に、最終的な変動時間を特別図柄・電動役物動作タイマエリアに格納し(ステップS556)、特別図柄変動パターン設定処理を終了する。
[9−15.普通図柄及び普通電動役物制御処理]
次に、普通図柄及び普通電動役物制御処理について説明する。図36は、本実施形態における普通図柄及び普通電動役物制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。普通図柄及び普通電動役物制御処理は、図19に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS88の処理で実行される。
普通図柄及び普通電動役物制御処理が開始されると、主制御プログラムは、まず、ゲート部(普図ゲート)2350を遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS800)。ゲート部2350を遊技球が通過すると、図19に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS74のスイッチ入力処理でゲートスイッチ2352からの検出信号の有無を読み取って、主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に入力情報が書き込まれる。主制御プログラムは、書き込まれた入力情報を参照し、遊技球の通過を判定する。
主制御プログラムは、ゲート部2350を遊技球が通過した場合には(ステップS800の結果が「yes」)、ゲート通過時処理を実行する(ステップS802)。ゲート通過時処理では、普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。ゲート通過時処理の詳細については、図37にて後述する。
主制御プログラムは、ゲート部2350を遊技球が通過していない場合には(ステップS800の結果が「no」)、又は、ゲート通過時処理が終了した場合には、普通図柄・普通電動役物動作呼出しテーブルから普通図柄・電動役物動作番号に対応する処理を検索し(ステップS804)、検索された処理を実行する(ステップS810)。
ステップS810処理では、普通図柄・電動役物動作番号に基づいて、普通図柄変動待ち処理(ステップS812)、普通図柄変動中処理(ステップS814)、普通図柄大当り判定処理(ステップS816)、普通図柄はずれ停止処理(ステップS818)、普通図柄当り停止処理(ステップS820)、普通電動役物開放閉鎖処理(ステップS822)又は普電作動終了インターバル処理(ステップS824)が実行される。
普通図柄変動待ち処理(ステップS812)では、ゲート部2350を遊技球が通過したことに基づいて、普通図柄表示器1189における普通図柄の変動表示を開始させる処理等を行う。
普通図柄変動中処理(ステップS814)では、普通図柄表示器1189における普通図柄の変動表示を制御する処理等を行う。
普通図柄当り判定処理(ステップS816)では、ゲート部2350を遊技球が通過したことに基づいて、普通抽選の当選判定等を行う。
普通図柄はずれ停止処理(ステップS818)では、普通抽選に当選しない場合に普通図柄表示器1189における普通図柄の変動表示を停止させてその旨を報知する処理等を行う。
普通図柄当り停止処理(ステップS820)では、普通抽選に当選する場合に普通図柄表示器1189における普通図柄の変動表示を停止させてその旨を報知したり、一対の可動片(普通電動役物)2106の開閉態様を設定したりする処理等を行う。
普通電動役物開放閉鎖処理(ステップS822)では、下始動口2102へ遊技球が受け入れ可能となるように一対の可動片(普通電動役物)2106を開放状態にしたり、閉鎖状態にして下始動口2102に遊技球が受け入れできないようにしたりする動作に関する処理等を行う。
普電作動終了インターバル処理(ステップS824)では、可動片(普通電動役物)2106の作動が終了したか否かを判定し、終了しているときにはその旨を報知する処理等を行う。
[9−16.ゲート通過時処理]
続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理におけるゲート通過時処理(ステップS802)の詳細について説明する。ゲート通過時処理では、ゲート部2350への遊技球の通過を検出した場合に送信されるコマンドを設定したり、普通抽選用乱数等を抽出して所定の領域に格納したり、先読み演出を実行するための処理等を実行したりする。
ゲート通過時処理では、前述のように、ゲート部2350への遊技球の通過を検出し、普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
ゲート情報記憶領域には、第0区画〜第3区画(4つの区画)が設けられており、第0区画、第1区画、第2区画、そして第3区画の順にゲート情報が格納されるようになっている。例えばゲート情報がゲート情報記憶の第0区画〜第2区画に格納されている場合、ゲートスイッチ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶の第3区画に格納する。
ゲート情報はゲート情報記憶の第0区画に格納されているものが主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。このゲート情報がセットされると、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画に、ゲート情報記憶の第3区画のゲート情報がゲート情報記憶の第2区画に、それぞれシフトされてゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶の第1区画〜第2区画にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画にそれぞれシフトされてゲート情報記憶の第2区画及びゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。ここで、ゲート情報記憶の第1区画〜第3区画にゲート情報が格納されていると、格納されたゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。以下、図37に示したフローチャートに沿ってゲート通過時処理の手順を説明する。
ゲート通過時処理が開始されると、主制御プログラムは、まず、普通図柄作動保留球数エリアの値を作動保留球数として取得する(ステップS830)。そして、作動保留球数が上限値である4以上であるか否かを判定する(ステップS832)。作動保留球数が上限値以上の場合には(ステップS832の結果が「yes」)、ゲート通過時処理を終了する。
一方、作動保留球数が上限値未満の場合には(ステップS832の結果が「no」)、主制御プログラムは、普通図柄作動保留球数バッファに作動保留球数を格納する(ステップS834)。さらに、普通図柄作動保留球数エリアの内容に1加算し、普通図柄作動保留球数を更新する(ステップS836)。
続いて、主制御プログラムは、当り判定用乱数と当り図柄用乱数を保留数に対応した普通図柄乱数記憶エリアの所定の領域に格納する(ステップS838)。具体的には、普通図柄乱数記憶エリアは、所定単位で第0区画から第3区画に区画され、各々の区画が普通図柄の保留数に対応した記憶エリアとなっている、本実施形態では、ゲート通過毎に普通図柄乱数記憶エリアに普通図柄の当落を判定するための当り判定用乱数と普通図柄の当り図柄を判定するための当り図柄乱数を記憶する。当り判定用乱数と当り図柄用乱数は、それぞれ1バイトで構成されているため、所定単位が2となる。なお、普通図柄用として記憶する乱数は、当該乱数に限定するものではなく、例えば、特別図柄のように普通図柄用のリーチ判定用乱数や、変動パターン用乱数を備えているときには、これらをゲート通過毎に記憶する構成とすることができる。
最後に、主制御プログラムは、新たに記憶された普通図柄の保留記憶に基づく普通図柄先読み処理を実行する(ステップS840)。普通図柄先読み処理の詳細については、図38にて後述する。
[9−17.普通図柄先読み処理]
続いて、ゲート通過時処理における普通図柄先読み処理(ステップS848)の詳細について説明する。図38は、本実施形態における普通図柄先読み処理の手順の一例を示すフローチャートである。普通図柄先読み処理では、新たに記憶された普図保留記憶に基づいて普通図柄の変動表示を開始する前に各種乱数を取得し、取得した乱数値に基づいて普図先読み演出を周辺制御基板で決定するための情報(図16に示す普通図柄種別先読み演出コマンド)を生成し、周辺制御基板4140に対応するコマンドを送信するなどの処理を行う。周辺制御基板4140では、普通図柄種別先読みコマンドを受信すると、普図先読み演出の実行可否を判定し、判定結果に応じた処理を行う。
主制御プログラムは、普通図柄先読み処理が開始されると、先読み判定値を先読み禁止に仮設定する(ステップS850)。さらに、処理実行時に先読み判定禁止期間となっているか否かを判定する(ステップS852)。
ここで、先読み判定が禁止された期間について説明する。図39は、先読み判定が禁止される期間の一例を示す図である。本実施形態では、可動片2106(普通電動役物)の動作(開放)状態によって普通抽選の先読み判定が禁止されるか否かが決定される。
図39に示すように、普通電動役物の動作状態は、遊技状態及び特別先読み演出の態様によって決定される。また、遊技状態には、特別抽選の当選確率に対応する確率状態と、普通抽選における変動時間、当選確率及び普通電動役物の動作態様に対応する時短状態と、が含まれる。確率状態には、低確率状態(通常状態)と、低確率状態よりも特図抽選の当選確率が高い高確率状態(確変状態)とがある。また、時短状態には、非時短状態と、非時短状態よりも遊技者にとって有利な時短状態とがある。本実施形態における時短状態では、非時短状態よりも、普通図柄の変動時間が短く、普図抽選の当選確率が高くなっており、さらに、普通電動役物の動作時間(下始動口2102に遊技球が入球可能となる時間)が長くなるように構成されている。
また、本実施形態の普通電動役物の開放態様には、時短状態における開放態様の他に、遊技球が下始動口2102に入球しにくいショート開放と、遊技球が下始動口2102に十分に入球可能なロング開放の2種類の動作態様がある。さらに、ショート開放とロング開放の開放態様は、非時短状態と時短状態とで異なる態様にしてもよい。非時短状態におけるショート開放は、始動口への入球がしにくい開放態様であるものの、時短状態においては、ロング開放と同様に始動口への入球がし易い開放態様としてもよい。また、ロング開放は、非時短状態と時短状態とで異なる開放態様とし、非時短状態と比較して時短状態の方がさらに始動口への入賞する割合が増える開放態様としてもよい。ショート開放の場合には遊技者が狙って遊技球を下始動口2102に入球させることが難しいため、ロング開放の場合のみ普図先読み演出が実行されるようになっている。
これに対し、ショート開放の場合にも先読み演出を実行するようにしてもよい。例えば、ロング開放とショート開放とで同一の先読み演出を実行させることで、遊技者がロング開放なのかショート開放なのかが分かりづらくなり、先読み演出による期待感をより増幅させることができる。また、ショート開放とロング開放とで先読み演出の態様を異ならせる若しくは一部のみ異ならせることで、遊技者は何れの開放パターンとなるかを識別可能となり、開放パターンに対応した発射操作を行うことで、遊技に対する興趣を高めることができる。
さらに、先読み演出については、ロング、ショートを問わず、ガセ演出を設けてもよい。ガセ演出とは、先読み演出が実行されるものの、最終的には演出が成功しない(失敗する)ことで、結果的に普通電動役物の開放が行われないことを遊技者に報知するようにしてもよい。ガセ演出は、結果的に遊技者にとって落胆するものとはなるものの、ガセ演出を設けないと先読み演出が行われたときには必ず開放動作が行われるため、先読み演出が実行されることによる遊技者の期待感をより増幅させることを目的とする。また、先読み演出でショート開放かロング開放の何れかが必ず実行されるような確定演出としての先読み演出を設けてもよい。確定演出については、通常の先読み演出とは異なる態様とすることで、遊技者に対し、より期待感を増幅させることができる。
なお、時短状態の場合には、普図抽選の当選確率が高く、また、普通電動役物の開放時間が長いため、ロング開放を報知する利益が遊技者にとって乏しいため、普図先読み演出を実行しないようにしてもよい。
さらに、特図先読み演出が実行されている場合には、普図先読み演出の実行を規制してもよい。本実施形態では、保留表示の態様を変化させる特図先読み演出が実行されている場合には、普図先読み演出を並行して実行することを許可している。一方、背景表示を変化させる特図先読み演出が実行されている場合には、確率状態が低確率であれば普図先読み演出の実行を許可し、確率状態が高確率であれば普図先読み演出の実行を規制している。高確率状態における特図先読み演出では、特別抽選が当選することに対する期待感が高いため、普図先読み演出の効果が低下している可能性があるためである。しかし、普図先読み演出を実行することによって、特図先読み演出が実行されている間に遊技者が遊技球の発射を停止させずに発射の継続を促すことができるため、普図先読み演出を実行するようにしてもよい。また、遊技状態に応じて普図先読み演出の実行を規制してもよく、例えば、大当り遊技状態の場合には普図先読み演出の実行を規制してもよい。
ここで、図38のフローチャートの説明に戻る。主制御プログラムは、先読み判定禁止期間となっている場合には(ステップS852の結果が「yes」)、ステップS868以降の処理を実行する。一方、先読み判定禁止期間となっていない場合には(ステップS852の結果が「no」)、先読み判定を実行するために、先読み対象となる当り判定用乱数記憶エリアの内容を当り判定用乱数バッファに格納する(ステップS854)。具体的には、まず、保留球数に対応した区画0〜3の何れかの普通図柄乱数記憶エリアに記憶された乱数値を普通図柄用乱数バッファに格納する。普通図柄用乱数バッファは、ゲート通過時に普通図柄乱数記憶エリアに記憶される乱数値に対応して構成される。本実施形態では、当り判定用乱数と当り図柄用乱数の2バイト分の領域が確保されており、当り判定用乱数バッファと当り図柄用乱数バッファによって構成される。具体的に保留球数が2の場合について説明すると、普通図柄乱数記憶エリアの区画1に記憶された当り判定用乱数と当り図柄用乱数がそれぞれ、当り判定用乱数バッファと当り図柄用乱数バッファに格納される。このように、抽選に係る乱数値を当り判定用乱数バッファに格納し、当り判定用乱数バッファに格納された乱数値に対して「普通図柄当り判定処理」を実行することによって、先読み時の当り判定と変動開始時の当り判定とを共通の処理で行うことが可能となる。
続いて、主制御プログラムは、当りフラグ格納エリアとして当りフラグバッファを設定する(ステップS856)。参照/設定先の基準アドレスとして当りフラグバッファのアドレスを設定し、「普通図柄当り判定処理」を実行することで、当り結果、当り図柄、保留数がそれぞれ、当りフラグバッファ、普通図柄種別エリアバッファ、普通図柄作動保留球数バッファに設定/参照されることになる。さらに、主制御プログラムは、普通図柄の当り判定を行う普通図柄当り判定処理を実行する(ステップS858)。普通図柄当り判定処理の詳細については、図40にて後述する。その後、当り判定用乱数バッファと当り図柄乱数バッファをクリアする(ステップS860)。
主制御プログラムは、当り判定用乱数バッファと当り図柄乱数バッファをクリアすると、コマンドデータとして普通図柄種別先読みコマンド作成データを設定し(ステップS862)、普通図柄種別先読みコマンド作成データの内容を参照して普通図柄の先読みコマンド(図16における普通図柄種別先読み演出コマンドに該当)を生成し、コマンドバッファに設定する(ステップS864)。さらに、先読み判定値を先読み許可に再設定する(ステップS866)。
主制御プログラムは、ステップS866の処理終了後、又は、先読み判定禁止期間の場合には(ステップS852の結果が「yes」)、コマンドデータとして普通図柄作動保留球数コマンド作成データ1を仮設定する(ステップS868)。さらに、先読み判定値が先読み禁止であるか否かを判定し(ステップS870)、先読み判定値が先読み禁止でない場合(ステップS870の結果が「no」)、すなわち、先読み判定値が先読み許可の場合には、コマンドデータとして普通図柄作動保留球数コマンド作成データ2を再設定する(ステップS872)。このように、普通図柄作動保留球数コマンドは、先読み許可時と先読み禁止時とで異なるコマンドが作成され、例えば、先読みの許可又は禁止によって異なるモードが設定される。最後に、主制御プログラムは、ステップS868又はステップS872の処理で設定されたコマンドデータに基づき先読み許可時又は先読み禁止時の普通図柄作動保留球数コマンドを生成してコマンドバッファに設定する(ステップS874)。
[9−18.普通図柄当り判定処理]
続いて、普通図柄先読み処理における普通図柄当り判定処理(ステップS858)の詳細について説明する。図40は、本実施形態における普通図柄当り判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。普通図柄当り判定処理では、普通抽選の結果を判定する処理を行う。
主制御プログラムは、普通図柄当り判定処理が開始されると、まず、当り判定用乱数バッファの値を比較値として設定する(ステップS900)。さらに、時短遊技状態か否かに基づいて普通図柄当り判定下限値データテーブルから当り値の下限等を選択し、普通図柄当り判定下限値データを設定する(ステップS902)。なお、普通図柄は、時短中に高確率となり、時短中における当り値の数は、非時短中の当り値の数よりも多くするため、下限等の値が時短中の方が小さい値となる(当り値の総数が多くなる)ようになっている。さらに、主制御プログラムは、普通図柄当選判定値にデフォルト値として普通図柄当選なしを仮設定する(ステップS904)。
続いて、主制御プログラムは、ステップS900の処理で設定された比較値がステップS902の処理で設定された当り判定下限値よりも小さいか否かを判定する(ステップS906)。比較値が当り判定下限値よりも小さい場合には(ステップS906の結果が「yes」)、普図抽選に当選しなかったので、当りフラグ格納エリアに仮設定された普通図柄当選判定値(普通図柄当選なし)を格納する(ステップS922)。さらに、普通図柄種別格納エリアにも普通図柄当選判定値を格納する(ステップS924)。すなわち、はずれ時には、当りフラグ格納エリアと普通図柄種別格納エリアにそれぞれはずれ値である“0”(普通図柄当選なし)を設定する。
一方、主制御プログラムは、比較値が当り判定下限値以上の場合には(ステップS906の結果が「no」)、さらに、比較値が当り判定上限値よりも大きいか否かを判定する(ステップS908)。比較値が当り判定上限値よりも大きい場合には(ステップS908の結果が「yes」)、普図抽選に当選しなかった場合と同様にはずれと判断し、当りフラグエリアと普通図柄種別エリアにそれぞれはずれ値である“0”を設定する。なお、特図の場合と同様に、本来であれば、当り判定用乱数が当り判定下限値以上であれば当りと判定してもよいが、ノイズ等の影響で当り判定用乱数に上限値を超えた値が設定されてしまう誤動作に対応するために、上限値とも比較している。
主制御プログラムは、比較値が当り判定上限値以下の場合には(ステップS908の結果が「no」)、普図抽選に当選したと判断し、普通図柄当選判定値として、普通図柄当選(“1”)を設定する(ステップS910)。そして、普通図柄当選判定値(普通図柄当選)を当りフラグ格納エリアに格納する(ステップS912)。
続いて、主制御プログラムは、検索データとして普通図柄判定データ1を設定する(ステップS914)。さらに、比較値として、当り図柄用乱数を設定し(ステップS916)、変動情報番号検索処理を実行する(ステップS918)。変動情報番号検索処理によって当り図柄乱数バッファの値に基づいて普通図柄判定データ1を検索して当り図柄種別を決定し、決定した当り図柄種別を普通図柄種別格納エリアに格納する(ステップS920)。
以上のように、普通図柄当り判定処理では、当りフラグ格納エリア及び普通図柄種別格納エリアに判定結果を格納する。そして、当りフラグ格納エリア及び普通図柄種別格納エリアに、先読み時と変動時とで異なる領域を事前に設定することによって、先読み時と変動時とで処理を共用することが可能となっている。具体的には、普通図柄の変動開始時には当りフラグ格納エリアに当りフラグエリアを設定し、普通図柄種別格納エリアに普通図柄種別エリアを設定する。一方、先読み時には当りフラグ格納エリアに当りフラグバッファを設定し、普通図柄種別格納エリアに普通図柄種別エリアバッファを設定する。以上のように構成することによって、本実施形態では、特別抽選の場合と同様に、普通抽選についても、先読み時と変動開始時とで処理を共通化することが可能となっている。
以上、主制御基板4100において実行される特別抽選及び普通抽選にかかる主な処理について説明した。本実施形態における遊技制御を実行するためのプログラムは、複数のモジュールによって構成されている。図41は、本実施形態における主制御プログラムのモジュール構成を説明する図である。図41では特別図柄及び特別電動役物制御処理と普通図柄及び普通電動役物制御処理の一部のモジュールを抜粋して示している。
本実施形態の遊技機における制御プログラムでは、機能ごとに分割してモジュール化されている。汎用的なモジュールについては各処理で共通に利用される。例えば、図41に示すように、主制御基板4100から周辺制御基板4140にコマンドを送信する場合に実行されるコマンドバッファ設定処理は、特別図柄及び特別電動役物制御処理の始動口入賞時処理や特別図柄変動待ち処理などで利用されているだけでなく、普通図柄及び普通電動役物制御処理の普通図柄先読み処理などでも利用されるように構成されている。このように構成することによって、コマンドの種類にかかわらず、コマンド作成時に共通のモジュール、バッファ等を使用することが可能となり、遊技機の資源を有効に利用することが可能となる。
さらに、所定のテーブルからデータ(変動情報番号)を検索する処理(変動情報番号検索処理)も共通に利用可能となっている。これは、検索対象のテーブルの構成を共通化し、検索範囲、検索パラメータを指定することによって実現されている。このようにモジュールを共通化して構成することによって、プログラムの開発効率やメンテナンス効率を向上させることが可能となる。
また、コマンドバッファ設定処理や変動情報番号検索処理は、比較的少ない手順のモジュールを共通化したものであるが、本実施形態に係る遊技機では、特別図柄の大当り判定などの処理を先読み時(始動入賞時)と変動開始時で共通化している。
具体的に説明すると、前述したように、先読み時(記憶先読み処理)と変動開始時(特別図柄変動待ち処理)において、特別図柄大当り判定処理(図27)、特別図柄判定処理(図28)、変動パターン選択判定処理(図29,30)、変動タイプ判定処理(図31)が共通して使用されている。これらの処理では、指定されたアドレスに格納された値を参照するように構成されており、処理実行前に参照アドレスを指定することによって、先読み時と変動開始時とで異なる領域に記憶された値に基づいて処理を実行することが可能となる。また、値だけでなく、テーブルの参照先を指定するようにしてもよい。例えば、遊技状態に応じて異なるテーブルを参照する処理に適用すれば、遊技状態によらずに共通の処理とすることができる。
また、本実施形態では、普通図柄に関連する処理においても普通抽選の当り判定を行う普通図柄当り判定処理を共通化している。普通図柄当り判定処理では、普図抽選の結果を示す当りフラグを当りフラグ格納エリアから取得して処理を行うが、普通図柄先読み判定処理から実行される場合には、当りフラグバッファのアドレスを参照アドレスとして設定するが、普通図柄変動待ち処理から実行される場合には、当りフラグエリアのアドレスを参照アドレスとして設定している。
以上のように、本実施形態では、上記したような比較的処理の多いモジュールを共通化することを可能とし、プログラムの開発効率やメンテナンス効率を向上させている。
[10.周辺制御基板の各種制御処理]
次に、図16に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御基板4140の各種処理について、図42〜図45を参照して説明する。図42は周辺制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図43は周辺制御部Vブランク割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図44は周辺制御部1msタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図45は周辺制御部コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御基板4140は、図12に示したように、周辺制御部4150と液晶及び音制御部4160とを含み、ここでは、周辺制御部4150の各種制御処理について説明する。まず、周辺制御部電源投入時処理について説明し、続いて周辺制御部Vブランク割り込み処理、周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。なお、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部停電予告信号割り込み処理が最も高く設定され、続いて周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、そして周辺制御部Vブランク割り込み処理という順番に設定されている。
[10−1.周辺制御部電源投入時処理]
まず、周辺制御部電源投入時処理について、図42を参照して説明する。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図12に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図42に示すように、周辺制御部電源投入時処理を行う。この周辺制御部電源投入時処理が開始されると、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、初期設定処理を行う(ステップS1000)。この初期設定処理では、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150a自身を初期化する処理と、ホットスタート/コールドスタートの判定処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。周辺制御MPU4150aは、まず自身を初期化する処理を行うが、この周辺制御MPU4150aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPU4150aを初期化することができる。これにより、周辺制御MPU4150aは、割り込み許可が設定された状態となることによって、例えば、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理において、主制御基板4100から出力される、図15及び図16に示した、遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。また、当該周辺制御MPU4150a自身を初期化する処理においては、周辺制御MPU4150aが、音源内蔵VDP4160aにその内蔵VRAMの記憶領域に、例えば「0」を書き込ませることによってその内蔵VRAMを初期化する。
ホットスタート/コールドスタートの判定処理では、図13に示した周辺制御RAM4150cついては、そのバックアップ第1エリア4150cbにおける、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、そのバックアップ第2エリア4150ccにおける、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、この比較した内容が一致しているときには図13に示した周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)に対してBank1(1fr)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1fr)と、Bank0(1ms)に対してBank1(1ms)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1ms)と、をそれぞれコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)に対してそれぞれ値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。
またホットスタート/コールドスタートの判定処理では、周辺制御SRAM4150dについても、そのバックアップ第1エリア4150dbにおける、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較するとともに、そのバックアップ第2エリア4150dcにおける、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較する。この比較した内容が一致しているときには周辺制御SRAM4150d(図12参照)の通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対してBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(SRAM)をコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御SRAM4150dの通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対して値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。このようなホットスタート又はコールドスタートに続いて、周辺制御RAM4150c(図13参照)のバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0を強制的に書き込んでゼロクリアする。そして周辺制御MPU4150aは、この初期化設定処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150e(図12参照)と、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
さらに、この周辺制御部電源投入時処理では、タッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に内蔵されている電源投入時接触感度調整機能が次のように作動する。すなわち、この電源投入時接触感度調整機能では、タッチパネルモジュール246a自身が、電源制御部によって電力の供給が開始されたことを契機としてタッチパネル246の接触面における接触感度を調整する(初期接触感度調整手段)。具体的には、まず、タッチパネルコントローラ481のコントロールレジスタ481aには、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における静電容量としての接触判定用閾値が記憶されている。タッチパネルコントローラ481は、電源制御部によって電力の供給が開始されたことを契機として、コントロールレジスタ481aに記憶されている接触判定用閾値を予め定められた接触判定用閾値の初期値(以下「初期接触判定用閾値」ともいう)で更新する。
ステップS1000に続いて、演出制御プログラムは現在時刻情報取得処理を行う(ステップS1002)。この現在時刻情報取得処理では、図12に示したRTC制御部4165のRTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaから、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して、図13に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadに、現在のカレンダー情報としてカレンダー情報記憶部にセットするとともに、現在の時刻情報として時刻情報記憶部にセットする。また、現在時刻情報取得処理では、液晶表示装置の輝度設定処理も行う。この液晶表示装置の輝度設定処理では、周辺制御MPU4150aがRTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得して、この取得した輝度設定情報に含まれるLEDの輝度となるように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する処理を行う。輝度設定情報は、上述したように、遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものである。
液晶表示装置の輝度設定処理では、具体的には、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が80%で遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。なお、この液晶表示装置の輝度設定処理では、上述した、遊技盤側液晶表示装置1900の使用時間に応じて遊技盤側液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムと同様な補正が全く行われないようになっている。これは、この液晶表示装置の輝度設定処理に輝度補正プログラムと同様な補正プログラムが組み込まれることにより、液晶表示装置の輝度設定処理が実行されるごとに、LEDの輝度が100%に向かって補正されるのを防止するためである。
本実施形態では、周辺制御MPU4150aがRTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報と時刻情報とを取得するのは、電源投入時の1回のみとなっている。また周辺制御MPU4150aは、この現在時刻情報取得処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1002に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットする(ステップS1006)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、後述する周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。Vブランク信号検出フラグVB−FLGは、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。このステップS1006では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットすることによりVブランク信号検出フラグVB−FLGを一度初期化している。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットした後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1006に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1008)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1でない(値0である)ときには、再びステップS1008に戻ってVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを繰り返し判定する。このような判定を繰り返すことにより、周辺制御部定常処理を実行するまで待機する状態となる。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定した後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行するときには、まず定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS1009)。この定常処理中フラグSP−FLGは、周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1009に続いて、演出制御プログラムは1ms割り込みタイマ起動処理を行う(ステップS1010)。この1ms割り込みタイマ起動処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理を実行するための1ms割り込みタイマを起動するとともに、この1ms割り込みタイマが起動して周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするための1msタイマ割り込み実行回数STNに値1をセットして1msタイマ割り込み実行回数STNの初期化も行う。この1msタイマ割り込み実行回数STNは周辺制御部1msタイマ割り込み処理で更新される。
ステップS1010に続いて、演出制御プログラムは、ランプデータ出力処理を行う(ステップS1012)。このランプデータ出力処理では、演出制御プログラムが図12に示したランプ駆動基板4170へのDMAシリアル連続送信を行う。ここでは、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図13に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに、遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの先頭アドレスに格納された遊技盤側発光データSL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに格納された残りの遊技盤側発光データSL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またランプデータ出力処理では、演出制御プログラムが、図12に示した枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図13に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの先頭アドレスに格納された扉側発光データSTL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに格納された残りの扉側発光データSTL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1012に続いて、演出制御プログラムは、操作ユニット監視処理を行う(ステップS1014)。この操作ユニット監視処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理における操作ユニット情報取得処理において、図12に示した操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる図13に示した周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに基づいて、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を監視し、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作の状態を遊技演出に反映するか否かを適宜決定する。
ステップS1014に続いて、演出制御プログラムは、表示データ出力処理を行う(ステップS1016)。この表示データ出力処理では、後述する表示データ作成処理で音源内蔵VDP4160aの内蔵VRAM上に生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを音源内蔵VDP4160aがチャンネルCH1,2から遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に出力する。これにより、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244にさまざまな画面が描画される。なお、表示データ出力処理では、音源内蔵VDP4160aの描画能力を超える描画を行った場合には、生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に出力することをキャンセルするようになっている。これにより、処理時間の遅れを防止することができるが、いわゆるコマ落ちが発生することとなるものの、ステップS1012のランプデータ出力処理による、遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLED、及び扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDによる演出と、後述する音データ出力処理による、図5に示した本体枠3に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカー及び図2に示した扉枠5に設けたスピーカーから各種演出に合わせた音楽や効果音等による演出と、の同期を優先することができる仕組みとなっている。
ステップS1016に続いて、演出制御プログラムは、音データ出力処理を行う(ステップS1018)。この音データ出力処理では、演出制御プログラムが、後述する音データ作成処理で音源内蔵VDP4160aに設定された音楽及び効果音等の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したり、音楽及び効果音のほかに報知音や告知音の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したりする。このオーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠3に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカー及び扉枠5に設けたスピーカーから各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されたりするほかに報知音や告知音もステレオ再生されたりする。
ステップS1018に続いて、演出制御プログラムはスケジューラ更新処理を行う(ステップS1020)。このスケジューラ更新処理では、演出制御プログラムが図13に示した周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた各種スケジュールデータを更新する。例えば、スケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された画面データのうち、先頭の画面データから何番目の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、先頭の発光データから何番目の発光データを各種LEDの発光態様とするのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された、音楽や効果音等の音データ、報知音や告知音の音データを指示する音指令データのうち、先頭の音指令データから何番目の音指令データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、先頭の駆動データから何番目の駆動データを出力対象とするのかを指示するために、ポインタを更新する。電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データは、後述する、1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるモータ及びソレノイド駆動処理で更新される。この1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行されるモータ及びソレノイド駆動処理では、ポインタが指示する駆動データに従ってモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、自身の処理を実行するごとに、ポインタを更新する。つまり、モータ及びソレノイド駆動処理において更新したポインタの指示する駆動データは、スケジューラ更新処理において強制的に更新される仕組みとなっているため、仮に、モータ及びソレノイド駆動処理においてポインタが何らかの原因で本来指示するはずの駆動データから他の駆動データを指示することとなっても、スケジューラ更新処理において強制的に本来指示するはずの駆動データに指示するように強制的に更新されるようになっている。
ステップS1020に続いて、演出制御プログラムは、受信コマンド解析処理を行う(ステップS1022)。受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、主制御基板4100から送信された各種コマンドを、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理(コマンド受信手段)において受信した各種コマンドの解析を行う(コマンド解析手段)。すなわち、演出制御プログラムは、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されたコマンドが、例えば、始動口入賞演出の開始を指示するための始動口入賞コマンド、普通図柄の保留数(0〜4個)を識別するための普通図柄記憶コマンド、図柄同調演出の開始を指示するための図柄同調演出開始コマンド、始動保留数が変化すると出力される図柄記憶コマンド、大入賞口2103に遊技球が受け入れられる度に出力された大入賞口1カウント表示コマンド(大入賞口カウントコマンド)、又は、図16に示される満タンという内容を示す枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンド、満タンエラー発生コマンド)であるか否かを解析し(コマンド解析手段)、現在、どの遊技状態であるかを認識する。また、この演出制御プログラムは、電源投入時から所定時間が経過した後、周辺制御部コマンド受信割り込み処理によって受信されたコマンドが本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンド、扉枠開放コマンド又は扉枠閉鎖コマンドであるか否かを解析する。主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されて図13に示した周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されるようになっており、受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、受信コマンド記憶領域4150cacに記憶された各種コマンドの解析を行う。各種コマンドには、図15に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図16に示した、報知表示に区分される各種コマンド、上述した扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド及び本体枠閉鎖コマンド並びにエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンドに相当)及び枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンドに相当)などの状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある。
ステップS1022に続いて、演出制御プログラムが警告処理を行う(ステップS1024)。警告処理では、さらに、演出制御プログラムが、上述のようにステップS1022の受信コマンド解析処理で解析したコマンドに、図16に示した報知表示に区分される各種コマンドが含まれているときには、各種異常報知を実行するための異常表示態様に設定されている、画面生成用スケジュールデータ、発光態様生成用スケジュールデータ、音生成用スケジュールデータ、及び電気的駆動源スケジュールデータ等を、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットする。なお、警告処理では、複数の異常が同時に発生した場合には、予め登録した優先度の高い順から異常報知から行われ、その異常が解決して残っている他の異常報知に自動的に遷移するようになっている。これにより、一の異常が発生した後であってその異常を解決する前に他の異常が発生して一の異常が発生しているという情報を失うことなく、複数の異常を同時に監視することができる。
さらに、警告処理では、電源投入時から所定時間が経過した後に、演出制御プログラムが、受信コマンド解析処理(ステップS1022)において解析したコマンドが、図16に示した状態表示に区分される各種コマンド、例えばエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンド)である場合、演出動作に伴う通常の演出態様とは異なる態様で液晶及び音制御部4160を制御することにより、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900(演出装置)、上皿側液晶表示装置244(演出装置)、ランプ(演出装置)を用いて視覚的に外部に警告したり、一対のサイドスピーカ(演出装置)を用いて聴覚的に外部に警告する(エラー報知手段)。このようにすると、悪意のある遊技者が、遊技状態であるにも拘わらず払出制御基板4110の操作スイッチ952を操作することにより主制御基板4100にエラー解除ナビコマンドを入力しようと試行した際に、パチンコ遊技機1が外部に警告を行う構成となっているため、遊技の進行に影響を及ぼしかねない主制御基板4100に対する不正行為が抑止されるようになる。
次に、ステップS1024の処理に続いて、演出制御プログラムは、RTC取得情報更新処理を行う(ステップS1025)。RTC取得情報更新処理では、演出制御プログラムが、ステップS1002の現在時刻情報取得処理で取得して図13に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットした、カレンダー情報記憶部に記憶されたカレンダー情報と時刻情報記憶部に記憶された時刻情報とを更新する。このRTC取得情報更新処理により、時刻情報記憶部に記憶される時刻情報である時分秒が更新され、この更新される時刻情報に基づいてカレンダー情報記憶部に記憶されるカレンダー情報である年月日が更新される。
ステップS1025に続いて、演出制御プログラムは演出制御処理を行う(ステップS1026)。演出制御処理では、演出制御プログラムが、実行中の演出の進行状態に基づく処理の実行を指示する。例えば、変動表示ゲームが実行されていない状態でデモ画面を表示したり、特図同調演出のコマンドを受信した場合には特図同調演出の進行を制御する。また、変動表示ゲームの結果に基づいて大当り遊技演出などを実行する。演出制御処理の詳細については、図49にて後述する。
ステップS1026に続いて、演出制御プログラムは特図先読み演出制御処理を行う(ステップS1027)。特図先読み演出制御処理では、演出制御プログラムが、特図先読み演出の実行開始時の設定を行う。特図先読み演出制御処理の詳細については、図66にて後述する。
ステップS1027に続いて、演出制御プログラムは普図先読み演出制御処理を行う(ステップS1028)。普図先読み演出制御処理では、演出制御プログラムが、普図先読み演出の実行開始時の設定と進行の制御を行う。普図先読み演出制御処理の詳細については、図72にて後述する。
ステップS1027に続いて、演出制御プログラムはランプデータ作成処理を行う(ステップS1028)。ランプデータ作成処理では、演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、そのポインタが指示する発光データに基づいて、遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図13に示した周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaにセットするとともに、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成して、図13に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabにセットする。
ステップS1028に続いて、演出制御プログラムは表示データ作成処理を行う(ステップS1030)。表示データ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されることにより、演出制御プログラムが、周辺制御MPU4150aに、上記画面生成用スケジュールデータを構成するデータであって時系列に配列された画面データのうち当該ポインタが示す画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。この音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて液晶及び音制御ROM4160bから少なくとも1つのキャラクタデータを抽出するとともに当該抽出した少なくとも1つのキャラクタデータからスプライトデータを作成し、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM(フレームバッファに相当)上に生成する。
ところで、従来のパチンコ遊技機では、遊技の進行に応じて、各フレームにおいて背景画像に多数の素材画像を重ねて構成した映像を表示することにより、遊技者の興味が尽きにくい態様としようとしており、より多彩な映像を表示すべくさらに多数の素材画像を各フレームに含めるように表示制御を実行することが要請されているものの、各フレームに多数の素材画像を含めることは、一見すると、表示制御に大きな負担が掛かるように思える。
そこで本実施形態では、多数の素材画像を含むフレームの表示制御を簡素化して処理負担を軽減することを目的として、演出制御プログラムが、描画データに基づいて表示される各フレームと、各フレームに表されうる複数の素材画像との対応関係が予め定義されている対応関係情報を管理する一方、各フレームのうちの所定のフレームを表示させようとした際に当該対応関係情報を参照し当該所定のフレームに含めて表すべき少なくとも1つの所定の素材画像を特定し、音源内蔵VDP4160aに、上記所定の素材画像を含めるとともに当該所定の素材画像を除いた他の素材画像を含めずに描画データを生成させて内蔵VRAM(フレームバッファ)に格納し、この内蔵VRAMに格納された描画データに基づく当該所定フレームを遊技盤側液晶表示装置1900(表示手段)に表示させている。以下、具体的に説明する。
まず、本実施形態においては、各フレームを構成する多数の背景画像の表示に用いる多数の背景画像データのうち、少なくとも一部の背景画像データ(以下「特定の背景画像データ」ともいう)は、この特定の背景画像データに基づく背景画像上において少なくとも1つのスプライトなどの素材画像(以下「特定のスプライト」ともいう)が、本来配置されるべき位置(以下「本来の配置位置」という)において、視認できない表示態様(以下「秘匿状態」という)で表されるように、次のように管理されている。
まず、周辺制御基板4140においては、周辺制御ROM4150bに、次のような対応関係紐付けテーブル(対応関係情報管理手段)が格納されており、周辺制御MPU4150a及び音源内蔵VDP4160aなどがこの対応関係紐付けテーブルを参照する。この対応関係紐付けテーブルにおいては、音源内蔵VDP4160aによって生成される各描画データに基づいて表示される各フレームと当該各フレーム(若しくは所定数のフレーム群グループ)に表されうる少なくとも1つのスプライトとの対応関係を、当該少なくとも1つのスプライトの視覚的な秘匿状態を解除させる秘匿解除コマンド(秘匿解除指令)とともに、予め定義した対応関係情報が管理されている。この対応関係紐付けテーブルにおいては、スプライト番号を用いて各スプライト(や各背景画像)が識別可能とされているとともに、上記対応関係情報の一部として、各フレームの表示範囲における各スプライトの座標値が管理されている。
この対応関係紐付けテーブルでは、このような対応関係情報として、例えば、音源内蔵VDP4160aによって生成される各描画データに基づいて表示される各フレームに表されうるスプライトなどの少なくとも1つの素材画像と、当該少なくとも1つの素材画像の視覚的な秘匿状態を解除させる秘匿解除コマンドとの対応関係が予め定義されている。以下の説明では、当該少なくとも1つの素材画像を「所望のスプライト」という。
上述したように周辺制御MPU4150aは、スケジューラデータに基づいて音源内蔵VDP4160aにスプライトデータから描画データを生成させる機能を有する(描画管理手段)。演出制御プログラムは、始動条件の成立を契機として実行された所定の演出抽選の結果に応じて所定のフレームを表示させようとした際に、周辺制御MPU4150aの制御によって対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照し、当該所定のフレームに含めて表すべき所望のスプライトを特定する(素材画像特定手段)。
さらに演出制御プログラムは、スケジュールデータに従って所定のフレームに所望のスプライトを表すべき場合に対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照することによって、当該所望のスプライトに対応する秘匿解除コマンドを特定し、この特定した秘匿解除コマンドを音源内蔵VDP4160aに出力する(秘匿解除指示手段)。この秘匿解除コマンドには、上記所定のフレームにおいて秘匿状態を解除すべき所望のスプライトを識別可能なスプライト番号(以下「所望のスプライト番号」という)が含められている。このような秘匿解除コマンドの出力によって名札情報の表示状態フラグは、初期状態としてオフであったものがオンに更新される。この名札情報及びその表示状態フラグは、各フレームに表されうる各スプライトごとに用意されており、音源内蔵VDP4160aが描画処理を実行する際に参照される。
ここで、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって所定のフレームを表示させようとした際、次のように音源内蔵VDP4160a(描画制御手段)を動作させる。すなわち、音源内蔵VDP4160aは、上記秘匿解除コマンドを受け取っていない場合、上記対応関係紐付けテーブルの対応関係情報に基づき当該所定のフレームに含められうる所望のスプライトを秘匿状態としたままの表示態様とするための描画データをフレームバッファに生成する。これにより、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって、遊技盤側液晶表示装置1900に、当該所望のスプライトが視認できない態様のフレームを表示させることができる。
一方、音源内蔵VDP4160aは、上記秘匿解除コマンドを受け取った場合には、この秘匿解除コマンドを受け取ってこれに含まれる所望のスプライト番号に対応する名札情報の表示状態フラグがオンに更新されたことを契機として、対応関係紐付けテーブルの対応関係情報を参照し当該秘匿解除コマンドに対応する所望のスプライトを特定する。さらに音源内蔵VDP4160aは、この特定された所望のスプライトの秘匿状態を解除して当該所望のスプライトを視覚的に認識しうる表示態様とするための描画データをフレームバッファに生成する。これにより、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの制御によって、遊技盤側液晶表示装置1900に、当該所望のスプライトが本来の配置位置に視認可能な表示態様のフレームを表示させることができる。
このようにすると、演出制御プログラムは、対応関係紐付けテーブルの存在によって、あるシーンのフレーム群を表示させる際に各フレームに表されうるスプライト群がどれであるかを細かく管理しなくても良くなる一方、周辺制御MPU4150aに秘匿解除コマンドを出力させるか否かという、従前の表示制御に比べると非常に簡単な制御によって、音源内蔵VDP4160aに、各所望のスプライトを表したフレームを描画させたり所望のスプライトを表さないフレームを描画させることができる。これにより、多数のスプライトを含むフレームの表示制御を簡素化して処理負担を軽減することができる。
しかも、上述した対応関係紐付けテーブルによって、上記所望のスプライトを含むスプライト群と演出制御プログラム(によって発行される秘匿解除コマンド群)とをリンクさせて対応関係を管理する構成を採用しているため、スプライトデータの創作作業と演出制御プログラムの設計作業とを独立させて完全に分離でき、表示制御に関係する設計作業を簡素化することができる。
ところで、上述したようにパチンコ遊技機に搭載されうる検知デバイスとしては、一般的に電源投入時に初期処理として感度の調整が実施され、その後当該感度で作動するものが多い。このように初期処理において接触感度の調整が実施されたとしても、その後の遊技環境次第では、一見すると、徐々に感度が適切でなくなってしまうことも考えられる。
そこで本実施形態では、この表示データ作成処理においてさらに、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によって、上皿側液晶表示装置244(第2の表示手段)に、タッチパネル246(接触型入力手段)の操作面への接触を促す態様の表示動作を実行させる上記演出コマンド(演出実行指令)を出力する一方、タッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に、タッチパネル246の接触面の接触感度を調整させる機能(接触感度調整手段)を有効にする閾値設定コマンド(感度調整指令)と、を出力する(指令出力手段)。すなわち、演出制御プログラムは、演出コマンド(演出実行指令)として、上皿側液晶表示装置244に、タッチパネル246の操作面に指で触れることを催促する態様の画面(接触型入力手段の操作面への接触を促す態様)の表示動作を実行させるコマンドを送信情報記憶領域に書き込み、その後、液晶及び音制御部4160に出力する(接触催促指令手段)。次に、この液晶及び音制御部4160では、当該コマンドを受け取ると、演出制御プログラム(の制御によって表示制御プログラム)が当該コマンドに基づいて、タッチパネル246(接触型入力手段)の操作面に指で触れることを催促する態様の画面を、上皿側液晶表示装置244に表示させる。
次にステップS1030に続いて、演出制御プログラムは、タッチパネル処理を行う(ステップS1031)。このタッチパネル処理では、主として、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、タッチパネル246のタッチパネルモジュール246aから受け取った検知信号としての接触検知信号に基づいて、タッチパネル246の操作面における接触状態を検知する(接触状態検知手段)。つまり、この演出制御プログラムは、タッチパネル246の操作面における接触状態を検出するタッチパネルドライバ(接触状態検出手段)としての機能も有する。この演出制御プログラムは、上記接触状態に基づく接触部分の中心を示すタッチパネル246の操作面の座標値を取得し、この座標値で表される位置を検出ポイントとして特定し(検出ポイント取得手段)、この初期位置を含む操作情報を取得する。なお、この演出制御プログラムは、このような座標値を取得するのみならず操作面の範囲(以下、接触範囲という)を取得するようにしてもよい。
このタッチパネル処理では、上述した懸念事項への対処として、さらに、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によって、上述した演出コマンド(演出実行指令)とは別途、その後、タッチパネルコントローラ481のコントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値を更新させるための閾値設定コマンド(感度調整指令)を所定のタイミングで上記送信情報記憶領域に書き込み、その後、タッチパネルモジュール246a(接触入力制御手段)に出力する(感度調整指令手段)。
具体的には、演出制御プログラムは、上述した所定のタイミングとして、主制御MPU4100aから、特別図柄1(第一特別図柄)の変動時間が経過した際に特図1同調演出終了コマンド(図15参照)を最後に受け取ってから所定時間(例えば1分間)が経過したことを契機として、又は、特別図柄2(第二特別図柄)の変動時間が経過した際に特図2同調演出終了コマンド(図15参照)を最後に受け取ってから所定時間(例えば1分間)が経過したことを契機として、上述した閾値設定コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでタッチパネルモジュール246aのタッチパネルコントローラ481に対して送信する。
演出制御プログラムは、このタッチパネルモジュール246aを制御し、タッチパネルコントローラ481がその外部の一例としての周辺制御MPU4150aから出力された閾値設定コマンド(感度調整コマンド)を受信したことを契機として、タッチパネル246の接触面における接触感度を調整させる。つまり、この演出制御プログラムは、タッチパネルモジュール246aのタッチパネルコントローラ481に、周辺制御MPU4150aから閾値設定コマンドを受け取ったことを契機として、この閾値設定コマンドに基づいて、コントロールレジスタ481aに記憶されている接触判定用閾値を更新させることにより、タッチパネル246による接触感度を調整させる。具体的には、タッチパネルコントローラ481は、この閾値設定コマンドを受け取ったことを契機として、タッチパネルセンサ482が出力する検知信号に基づく静電容量を取得し、この静電容量を、タッチパネル246の接触面が非接触状態にある場合における新たな接触判定用閾値であるとみなすとともに、コントロールレジスタ481aに記憶済の接触判定用閾値を、当該新たな接触判定用閾値で更新する。
すると、それ以降、タッチパネルコントローラ481は、コントロールレジスタ481aにおいて更新された新たな接触判定用閾値と、上述したように接触状態が検知される度に取得される検知静電容量とを比較し、この検知静電容量が接触判定用閾値未満であると判定した場合には接触面が非接触状態にあると判断する一方、この検知静電容量が接触判定用閾値以上であると判定した場合には接触面が接触状態にあると判断する。
上記同様、タッチパネルコントローラ481は、接触面が接触状態にあると判断した場合、接触面における検知座標値が含められた接触検知情報を周辺制御基板4140に対して出力する。この周辺制御基板4140では、この接触検知情報を受け取ると、周辺制御MPU4150aが、当該受け取った接触検知情報に含まれる検知座標値に基づいて、上述した接触面における接触位置を把握することができる。
以上のようにすると、タッチパネルコントローラ481が、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aによって出力された閾値設定コマンド(感度調整指令)を受け取ったことを契機とした所望のタイミングで、タッチパネル246の接触感度を定める接触判定用閾値が更新されるため、周辺制御MPU4150aによる閾値設定コマンドの出力タイミングが適切に制御されれば、所望のタイミングでタッチパネル246(接触型入力手段)の接触感度が調整されるようになる(キャリブレーション)。このため、演出制御プログラムが、遊技者による遊技に影響を与えるおそれのある出力タイミングを外して閾値設定コマンドをタッチパネルコントローラ481に受け取らせることにより、遊技に影響を与えることなく、常に、タッチパネル246における接触状態の検知を適切な作動態様とさせることができる。
演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御によってタッチパネルコントローラ481に閾値設定コマンドを出力すべきタイミングとしては、上述したように、例えば、特別図柄の変動表示が終了すると出力される特図1同調演出終了コマンド又は特図2同調演出終了コマンドを受け取ってから所定の時間(例えば1分間)が経過しており、遊技者が遊技を中止しているためタッチパネル246の操作面に接触している可能性が低いタイミングを例示することができる。すなわち、このような接触感度の調整は、タッチパネル246を用いた演出を実行するかもしれない特別図柄の変動表示中には極力実行を控え、その変動表示が終了したことに伴って行うようにしている。
また、閾値設定コマンドを出力すべきタイミングとしては、その他にも、演出制御プログラムが主制御MPU4100aから、普通図柄変動時間が経過した時に送信される普図同調演出終了時コマンド(図15参照)を受け取ってから所定の時間(例えば1分間)が経過したタイミングであってもよい。
一方、既述のようにタッチパネル246は、静電容量型であるとともに、多数の遊技球を貯留可能であって静電気が発生しやすい上皿301に設けられているものの、電源投入後も必要に応じて所定のタイミングで感度調整が実施されるため、このような周辺環境の変化を原因とするものであり遊技者の操作によるものでない場合でも、静電容量に変化が生じたものと誤検知しにくくなる。
ステップS1031に続いて、演出制御プログラムは音データ作成処理を行う(ステップS1032)。音データ作成処理では、演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された音指令データのうち、そのポインタが指示する音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから音指令データが入力されると、液晶及び音制御ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データを組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定する。
なお、音データ作成処理では、この音データ作成処理を行うごとに(つまり、周辺制御部定常処理を行うごとに)、図13に示した周辺制御A/Dコンバータ4150akを起動し、音量調整ボリューム4140aのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理しており、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して、上述したステップS1018の音データ出力処理で音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力することにより、本体枠3に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカー及び扉枠5に設けたスピーカーから音楽や効果音が流れるようになっている。
また、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム4140aのつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカボックス920に収容されるスピーカー及び扉枠5に設けたスピーカーから流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。従って、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
ステップS1032に続いて、演出制御プログラムはバックアップ処理を行う(ステップS1034)。このバックアップ処理では、演出制御プログラムが、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図13に示した、バックアップ管理対象ワークエリア4150caにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1fr)に含まれる、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150caeに記憶されている内容である演出情報(1fr)を、演出バックアップ情報(1fr)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
またバックアップ処理では、周辺制御SRAM4150dについて、図13に示した、バックアップ管理対象ワークエリア4150daにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出情報(SRAM)を、演出バックアップ情報(SRAM)として、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(SRAM)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1034に続いて、WDTクリア処理を行う(ステップS1036)。このWDTクリア処理では、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1036に続いて、演出制御プログラムが、周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットし(ステップS1038)、再びステップS1006に戻り、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットして初期化し、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理においてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで、ステップS1008の判定を繰り返し行う。つまりステップS1008では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで待機し、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行い、再びステップS1006に戻る。このように、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行うようになっている。ステップS1009〜ステップS1038の処理を「周辺制御部定常処理」という。
周辺制御部定常処理は、演出制御プログラムが、まずステップS1009で周辺制御部定常処理を実行中であるとして定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることから開始し、ステップS1010で1ms割り込みタイマ起動処理を行い、ステップS1012、ステップS1014、・・・、そしてステップS1036の各処理を行って最後にステップS1038において周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすると、完了することとなる。周辺制御部定常処理は、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるときに実行される。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっている。
[10−2.周辺制御部Vブランク信号割り込み処理]
次に、図12に示した、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部Vブランク信号割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図18に示すように、定常処理中フラグSP−FLGが値0であるかを判定する(ステップS1045)。この定常処理中フラグSP−FLGは、上述したように、図42の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1009〜ステップS1038の周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり周辺制御部定常処理を実行中であるときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したときには、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットし(ステップS1050)、このルーチンを終了する。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。
本実施形態では、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定し、周辺制御部定常処理を実行完了したときにはステップS1050でVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットするようになっているが、これは、周辺制御部定常処理を実行中であるときに、Vブランク信号が入力されてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットすると、図42の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で周辺制御部定常処理を実行するものとして、現在実行中の周辺制御部定常処理を途中で強制的にキャンセルして周辺制御部定常処理を最初から実行開始するため、これを防止する目的で、図42の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1009で定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることで周辺制御部定常処理を実行中である旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えるとともに、図42の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1038で定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすることで周辺制御部定常処理を実行完了した旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えることにより、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理におけるステップS1045の判定で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定するようになっている。換言すると、Vブランク信号が入力されて次のVブランク信号が入力されるまでに周辺制御部定常処理を実行完了することができず、いわゆる処理落ちした場合の処置である。
これにより、今回の周辺制御部定常処理においては、約33.3msという時間でその処理を完了できず処理落ちした場合には、図42の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で次回のVブランク信号が入力されるまで待機する状態となる。つまり、処理落ちした今回の周辺制御部定常処理を実行するための時間が約66.6msとなる。通常、図42の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理は1回の周辺制御部定常処理に対して32回だけ実行されるものの、上述した処理落ちした今回の周辺制御部定常処理が存在する場合には、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が64回ではなく、32回だけ実行されるようになっている。つまり、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。従って、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても演出の進行状態を確実に整合させることができる。
[10−3.周辺制御部1msタイマ割り込み処理]
次に、図42の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する周辺制御部1msタイマ割り込み処理について説明する。この周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されると、図12に示した周辺制御部4150では、演出制御プログラムが周辺制御MPU4150aの制御の下、図42に示すように、1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいか否かを判定する(ステップS1100)。この1msタイマ割り込み実行回数STNは、上述したように、図42の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするカウンタである。本実施形態では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっているため、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを起動した後、次の周辺制御部定常処理が実行されるまでに、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が32回だけ実行されるようになっている。具体的には、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマが起動されると、まず1回目の1msタイマ割り込みが発生し、2回目、・・・、そして32回目の1msタイマ割り込みが順次発生することとなる。
ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、演出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部1msタイマ割り込み処理の方が周辺制御部Vブランク割り込み処理と比べて高く設定されているものの、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルするようになっている。換言すると、本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。そして、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。
一方、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいときには、1msタイマ割り込み実行回数STNに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS1102)。この1msタイマ割り込み実行回数STNに値1が足されることにより、図42の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数が1回分だけ増えることとなる。
ステップS1102に続いて、演出制御プログラムはモータ及びソレノイド駆動処理を行う(ステップS1104)。このモータ及びソレノイド駆動処理では、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに従って、演出制御プログラムが、枠装飾駆動アンプ基板194及びモータ駆動基板4180のモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、このモータ及びソレノイド駆動処理を実行するごとに、ポインタを更新する。
具体的には、モータ及びソレノイド駆動処理では、演出制御プログラムが枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでは、演出制御プログラムは、周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、図12に示した操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図13に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの先頭アドレスに格納された扉側モータ駆動データSTM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafに格納された残りの扉側モータ駆動データSTM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またモータ及びソレノイド駆動処理では、モータ駆動基板4180へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、遊技盤4に設けられる各種可動体を可動させるためのモータやソレノイドへの駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図13に示した周辺制御RAM4150cのモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にモータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの先頭アドレスに格納された遊技盤側モータ駆動データSM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagに格納された残りの遊技盤側モータ駆動データSM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1104に続いて、可動体情報取得処理を行う(ステップS1106)。この可動体情報取得処理では、遊技盤4に設けた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、原位置履歴情報、可動位置履歴情報など。)を作成し、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの可動体情報取得記憶領域4150cahにセットする。この可動体情報取得記憶領域4150cahにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報から遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得することができる。
ステップS1106に続いて、操作ユニット情報取得処理を行う(ステップS1108)。この操作ユニット情報取得処理では、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)を作成し、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットする。この操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報からダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を取得することができる。
ステップS1108に続いて、演出制御プログラムは、描画状態取得処理(S1110)を行い、続いてバックアップ処理を行い(ステップS1112)、このルーチンを終了する。バックアップ処理では、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図13に示した、バックアップ管理対象ワークエリア4150caにおける、1ms割り込みタイマが発生するごとに、つまり本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1ms)に含まれる、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、及び操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶されている内容である演出情報(1ms)を、演出バックアップ情報(1ms)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1ms)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
このように、周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、1msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1104〜ステップS1108の演出に関する各種処理を実行している。これに対して、図42の周辺制御部電源投入時処理における周辺制御部定常処理では、約33.3msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1012〜ステップS1032の演出に関する各種処理を実行している。周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが値33より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、そのままこのルーチンを終了するようになっているため、仮に、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合でも、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルし、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。つまり、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。従って、演出の進行状態を確実に整合させることができる。
また、上述したように、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置244の液晶サイズによって多少変化するし、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合もある。本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。つまり本実施形態では、Vブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合であっても、33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルすることによって、このVブランク信号が出力される間隔が多少変化することによる時間ズレを吸収することができるようになっている。
[10−4.周辺制御部コマンド受信割り込み処理]
次に、主制御基板4100からの各種コマンドを受信する周辺制御部コマンド受信割り込み処理について説明する。図12に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの各種コマンドがシリアルデータとして送信開始されると、これを契機として主周シリアルデータを周辺制御MPU4150aに内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、周辺制御部コマンド受信割り込み処理を行う。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されており、1バイト目としてステータスが割り振られ、2バイト目としてモードが割り振られ、3バイト目としてステータスとモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。
周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1200)。この1バイト受信期間タイマは、主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、周辺制御MPU4150aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1202)、受信カウンタSRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1204)。この受信カウンタSRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、主周シリアルデータの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタSRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1204に続いて、受信カウンタSRXCが値3であるか否か、つまり主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1206)。この判定では、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3でないとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、まだ主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1208)、このルーチンを終了する。ステップS1208で1バイト受信期間タイマがセットされることで、主周シリアルデータの2バイト目であるモード又は主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3であるとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタSRXCに初期値0をセットし(ステップS1210)、サム値を算出する(ステップS1212)。この算出は、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスと、主周シリアルデータの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1212に続いて、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1214)。ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値は、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値であるため、ステップS1212で算出したサム値と一致しているはずである。ところが、パチンコ遊技機1は、パチンコ島設備から遊技球が供給されており、遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受けやすり環境下にある。そこで、本実施形態では、周辺制御部4150側において、受信した主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間において、主周シリアルデータがノイズの影響を受けて正規と異なる主周シリアルデータに変化したか否かを判定することができる。
ステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとを、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶し(ステップS1216)、このルーチンを終了する。この受信コマンド記憶領域4150cacは、リングバッファとして用いており、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとは、受信コマンド記憶領域4150cacの周辺制御部受信リングバッファに記憶される。この「周辺制御部受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1216で周辺制御部受信リングバッファに記憶する際に、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄する。
一方、ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[10−5.変動パターン]
続いて、本実施形態における演出について説明する。図47は、本実施形態における変動パターンテーブルの一例を示す図である。変動パターンテーブルは、主制御基板4100における特別図柄の変動表示(変動表示ゲーム)と同調して周辺制御基板4140によって実行される特図同調演出のパターン(変動パターン)を管理するテーブルである。特図同調演出は、変動表示ゲームに対応して、周辺制御基板4140が遊技盤側液晶表示装置1900に装飾図柄を変動表示させたり、キャラクタを表示させたりするなどの演出が含まれる。また、装飾図柄の変動表示中に可動役物を動作させたり、ランプなどの発光体を発光させたり、スピーカーから音声を出力するなどの演出を含むようにしてもよい。本実施形態の変動パターンに対応する演出には、ストーリーリーチ、擬似連続変動(擬似連)などが含まれる。また、複数の変動表示ゲームにまたがる変動パターンを定義してもよい。
ストーリーリーチは、装飾図柄がリーチ態様となり、実行中の変動表示ゲームの期待度(大当りとなる可能性)に応じた特定演出が一又は複数回実行される演出である。本実施形態では、特定演出の実行回数が多いほど大当りの期待度が高くなるように設定されている。なお、特定演出は、リーチ発生前から実行されるようにしてもよいし、リーチ発生後にのみ実行されるようにしてもよい。また、特定演出の演出態様としては、例えば、キャラクタの登場などの画面表示(カットイン)、セリフ(画面表示、音声出力)、可動役物の動作、ランプの発光などの種類の演出が含まれる。また、同じ種類の演出には、期待度に応じた複数の異なる演出態様が定義されていてもよい。
擬似連続変動は、装飾図柄(識別図柄)の変動表示が一旦停止(仮停止)し、再変動を行う演出である。仮停止及び再変動は、一又は複数回繰り返される。本実施形態では、停止回数が多いほど大当りの期待度が高くなるように設定されている。また、擬似連続変動を実行する場合には、装飾図柄の仮停止時にキャラクタを登場させるなどの演出を実行させてもよいし、装飾図柄の変動表示中に演出を実行するようにしてもよい。また、擬似連続変動の最終変動でリーチが発生する場合には最終変動におけるリーチの種類を合わせて定義するようにしてもよい。
変動パターンは、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信される特図1変動パターンコマンド又は特図2変動パターンコマンドの(以下、特図1変動パターンコマンドと特図2変動パターンコマンドとをあわせて「特図変動パターンコマンド」とする)モードに設定された値(演出パターン)と、特図1図柄種別コマンド又は特図2図柄種別コマンド(以下、特図1図柄種別コマンドと特図2図柄種別コマンドとをあわせて「特図図柄種別コマンド」とする)のモードに設定された値(変動表示ゲームの結果)などに基づいて選択される。また、特図1(2)変動パターンコマンド及び特図1(2)図柄種別コマンドの組み合わせに対し、一の変動パターンが対応してもよいし、複数の変動パターンが対応してもよい。複数の変動パターンが対応する場合には、乱数値を取得して抽選して選択してもよいし、遊技状態などの所定の条件に基づいて選択してもよい。
変動パターンテーブルには、変動パターン名、当落情報、変動時間、演出挿入数(シナリオ回数)、演出選択パターン、再抽選などの項目が含まれる。「変動パターン名」は、変動パターンを識別する名称である。「当落情報」は、実行される変動表示ゲームの結果であり、特図1図柄種別コマンド又は特図2図柄種別コマンドのモードに設定された値に対応する。なお、「当落情報」の代わりに遊技状態(例えば、「通常状態」「確変状態」「時短状態」)としてもよい。
「変動時間」は、特別図柄の変動表示が行われる変動時間(変動表示ゲームの実行時間)に対応する。また、始動記憶数に応じて変動時間を変更してもよい。例えば、始動記憶数が多い場合(例えば、始動記憶数が3以上)には、変動時間を短縮してもよい。なお、機能表示ユニット1180の上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186における特別図柄(識別図柄)の変動時間と同じである。また、変動時間を短縮した場合であっても同様である。
「演出挿入数」は、ストーリーリーチにおいて変動表示中に実行される特定演出の実行回数、又は、擬似連続変動において特別図柄が仮停止(仮停止時の演出の実行有無は問わない)される回数である。「演出選択パターン」は、ストーリーリーチにおいて実行される特定の演出の候補を選択したり、擬似連続変動において仮停止時に実行される演出を選択したりするための定義情報である。本実施形態では、高信頼度の変動パターンが選択されるほど、高信頼度の特定演出が選択されやすい演出選択パターンが設定されている。「演出選択パターン」の具体例については、図54にて後述する。
「再抽選」は、特別図柄の変動表示が終了した後、停止した特別図柄を再抽選する処理を実行するか否かを定義する情報である。本実施形態では、「再抽選」は、変動表示ゲームの結果が特別結果(例えば、大当り)になった場合に実行される。
[10−6.受信コマンド解析処理]
続いて、受信コマンド解析処理(図42のステップS1022の処理)について、図48を参照しながら説明する。図48は、本実施形態の受信コマンド解析処理の一例を示すフローチャートである。
受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが周辺制御基板4140(周辺制御MPU4150a)に実行されることによって、まず、主制御基板4100から送信されたコマンドが周辺制御部受信リングバッファに記憶されているか否かを判断する(ステップS1401)。
本実施形態にかかる周辺制御基板4140は、主制御基板4100からコマンドを受信すると、周辺制御部コマンド受信割り込み処理(図45)を発生させ、この周辺制御部コマンド受信割り込み処理において、主制御基板4100からの各種コマンドを周辺制御基板4140に備えられる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(周辺制御部受信リングバッファ)に記憶する。なお、周辺制御部受信リングバッファには複数の領域が設けられており、主制御基板4100から送信された各種コマンドが受信された順序でそれぞれ記憶される。
周辺制御MPU4150aは、周辺制御部受信リングバッファにコマンドが記憶されている場合には(ステップS1401の結果が「Yes」)、主制御基板4100からの受信順序が最も早いコマンドを周辺制御部受信リングバッファから読み出す(ステップS1402)。
次いで、周辺制御MPU4150aは、ステップS1402の処理で読み出したコマンドが特図変動パターンコマンド(特図1変動パターンコマンド又は特図2変動パターンコマンド、図15)であるか否かを判定する(ステップS1403)。特図変動パターンコマンドであると判定された場合には(ステップS1403の結果が「Yes」)、周辺制御基板4140の変動表示パターン格納領域(RAM)に特図変動パターンコマンドを記憶するとともに、変動パターン受信フラグをセットし(ステップS1404)、受信コマンド解析処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、読み出したコマンドが特図変動パターンコマンドでない場合には(ステップS1403の結果が「No」)、該読み出したコマンドが特図図柄種別コマンド(特図1図柄種別コマンド又は特図2図柄種別コマンド、「はずれ」「特定大当り」「非特定大当り」を示す当選情報コマンド、図15)であるか否かを判定する(ステップS1405)。特図図柄種別コマンドであると判定された場合には(ステップS1405の結果が「Yes」)、周辺制御基板4140の当選情報格納領域(RAM)に当落情報を記憶し(ステップS1406)、受信コマンド解析処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、読み出した演出コマンドが特図図柄種別コマンドでない場合には(ステップS1405の結果が「No」)、該読み出したコマンドが特図先読み演出を指示するコマンド(特別図柄1保留数指定コマンド又は特別図柄2保留数指定コマンド(先読み有)、図16)であるか否かを判定する(ステップS1407)。特図先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数(特別図柄2作動保留球数)が増加したタイミングで主制御基板4100から送信される。後述するように、読み出した演出コマンドが特図先読み演出を指示するコマンドである場合には、特図先読み演出の実行を示す特図先読み演出実行フラグが設定される。したがって、前述のステップS1407の処理における「Yes」の判定は、読み出した演出コマンドが「先読み有」の特別図柄1(2)保留数指定コマンドである場合に限る。「先読み無」の特別図柄1(2)保留数指定コマンドである場合は「No」の判定となる。なお、ステップS1407の処理における判定対象の特図先読み演出コマンドとして、特別図柄1(2)保留数指定コマンド以外の特図先読み演出を指示するコマンド(図柄種別先読み、変動パターン先読み、変動タイプ先読み)も含めて、これら全ての特図先読み演出を指示するコマンドを受信している場合に「Yes」の判定を行うようにしてもよい。
さらに、周辺制御MPU4150aは、読み出した演出コマンドが特図先読み演出コマンドの場合には(ステップS1407の結果が「Yes」)、特図先読み演出実行フラグを設定し(ステップS1408)、受信コマンド解析処理を終了する。特図先読み演出実行フラグが設定されると、周辺制御部定常処理において実行される特図先読み演出制御処理(図42のステップS1027)において、特図先読み演出の実行可否が決定され、特図先読み演出を実行するために必要な設定を行う。なお、特図先読み演出を実行するか否かを主制御基板4100で判定するようにしてもよい。
一方、周辺制御MPU4150aは、読み出した演出コマンドが特図先読み演出コマンドでない場合には(ステップS1408の結果が「No」)、読み出したコマンドが普図先読み演出コマンド(普通図柄種別先読みコマンド、図16)であるか否かを判定する(ステップS1409)。普図先読み演出コマンドは、普通図柄作動保留球数が増加したタイミングで主制御基板4100から送信される。また、普図先読み演出コマンドには、普図抽選の結果に対応する情報が含まれる。普図先読み演出コマンドを受信すると、普通図柄種別先読み演出(普図先読み演出)の開始を指示する普図先読み演出実行フラグを設定する。普図先読み演出実行フラグが設定されると、周辺制御部定常処理において実行される普図先読み演出制御処理(図42のステップS1028)において、普図先読み演出の実行可否が決定され、普図先読み演出を実行するために必要な設定を行う。なお、普図先読み演出を実行するか否かを主制御基板4100で判定するようにしてもよい。また、普図先読み演出を実行しない機種の場合には、受信したコマンドを破棄する。
一方、周辺制御MPU4150aは、読み出した演出コマンドが普図先読み演出コマンドでない場合には(ステップS1409の結果が「No」)、受信したコマンドに対応したフラグをセットするなどの処理を実行し(ステップS1411)、受信コマンド解析処理を終了する。
なお、主制御基板4100から受信するコマンドには、図15及び図16にて説明したように、例えば、特別図柄の変動表示を停止させる特図同調演出終了コマンド(特図1同調演出終了コマンド又は特図2同調演出終了コマンド)や、変動表示ゲームの結果が大当りとなった場合に、大当り遊技終了後の遊技状態(確変状態、時短状態、通常遊技状態)を指定する変動時状態指定コマンドが含まれる。特図同調演出終了コマンドを受信した場合には、同調演出終了フラグを設定する。また、変動表示ゲームの結果に応じて、大当り遊技の開始時の演出の実行を指示する大当りオープニングコマンドや大当り遊技の終了時の演出の実行を指示する大当りエンディングコマンド等が含まれる。
さらに、上始動口2101又は下始動口2102に遊技球が入賞した場合には、主制御基板4100から始動口入賞コマンドが送信され、始動口に遊技球が入賞したことを報知する始動口入賞演出(例えば、音声出力)の開始が指示される。また、上始動口2101への遊技球の入賞や上特別図柄表示器1185における特別図柄の変動表示の開始によって特別図柄1作動保留球数が変化した場合には、特別図柄1記憶コマンドを主制御基板4100から受信する。同様に、下始動口2102への遊技球の入賞や下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示の開始によって特別図柄2作動保留球数が変化した場合には、特別図柄2記憶コマンドを主制御基板4100から受信する。
また、特別図柄1記憶コマンド(特別図柄2記憶コマンド)には特別図柄1作動保留球数(特別図柄2作動保留球数)が含まれており、ステップS1107の処理に基づいて遊技盤側液晶表示装置1900における特別図柄1作動保留球数(特別図柄2作動保留球数)に対応する表示を更新するように設定される。
また、演出関連コマンド以外のエラー発生などを報知する報知コマンドを受信した場合には、所定の記憶領域にフラグ等をセットし(ステップS1407)、警告処理など(図42のステップS1024)によって対応する処理を実行する。
さらに、前述したコマンドの他に、主制御基板4100に対する電源の供給が遮断された場合には、電断コマンドが送信される。なお、主制御基板4100には、パチンコ島設備などの外部からの電源供給が停止した場合であっても電源基板851に備えられたキャパシタ(バックアップ電源)から所定時間電源が供給されるため、主制御基板4100のRAMに記憶された情報を保持し、周辺制御基板4140等に電断コマンド等のコマンドを送信することができる。また、外部からの電源供給が再開された場合には、電源投入コマンドが送信される。周辺制御基板4140は、電断コマンド又は電源投入コマンドを受信すると、状態に応じた処理を実行する。これらの処理の詳細については後述する。
[10−7.演出制御処理]
続いて、演出制御処理(図42のステップS1026の処理)について、図49を参照しながら説明する。図49は、本実施形態の演出制御処理の一例を示すフローチャートである。
演出制御処理は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値に基づいて、装飾図柄変動開始処理(ステップS1500)、装飾図柄変動処理(ステップS1600)、及び大当り表示処理(ステップS1700)のいずれかの処理を選択的に行う。
処理選択フラグが「0」の場合に実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1500)では、受信コマンド解析処理のステップS1404(図48参照)の処理にて変動パターン受信フラグがセットされている場合に、装飾図柄の変動表示を含む特図同調演出を開始するための処理を行う。例えば、変動パターンや変動表示ゲームの当落情報に基づいて演出内容(装飾図柄の停止図柄、リーチ演出の種類、予告演出の実行可否の判定、予告演出態様、延長演出の有無など)を決定し、決定した演出内容に応じた設定等を行う。また、特図同調演出が実行されない場合にデモ演出を実行するように制御する。装飾図柄変動開始処理の詳細については図50にて後述する。
また、処理選択フラグが「1」の場合に実行される装飾図柄変動処理(ステップS16000)では、特図同調演出(装飾図柄の変動表示)が開始されていることを条件に、変動表示ゲームと同調して実行される特図同調演出を制御する。また、特図同調演出終了コマンドを受信した場合には、特図同調演出を終了させて確定停止させるための処理を実行する。すなわち、装飾図柄変動処理では、特図同調演出が開始されてから終了するまでの演出制御を行う。装飾図柄変動処理の詳細については図52にて後述する。
また、特図同調演出終了コマンドの受信時には、装飾図柄の変動表示を伴う特図同調演出を終了させるため、演出制御プログラムは、変動表示ゲームの結果に基づく装飾図柄を確定停止させる。最後に、演出制御プログラムは、変動表示ゲームの結果に基づいて、処理選択フラグを設定する。具体的には、変動表示ゲームの結果が「大当り」の場合には処理選択フラグを[2]に設定し、変動表示ゲームの結果が「はずれ」の場合には処理選択フラグを[0]に設定する。
特図同調演出終了条件を満たすまでの間は、特図同調演出を継続するため、演出制御プログラムは、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900で表示中のシーン(映像)を切り替えたり、キャラクタを登場させたりするなどの演出を実行する。また、変動パターンに依存しない演出を独立して実行するようにしてもよく、例えば、次回以降に実行される変動表示ゲームの結果を示唆する先読み演出などを実行する。
また、処理選択フラグが「2」の場合に実行される大当り表示処理(ステップS1700)では、ステップS1407(図48参照)の処理で設定される大当り時のインターバル演出コマンドに対応したフラグや、大当り開始コマンドに対応したフラグがセットされていることを条件に、大入賞口2003が開放されることを遊技盤側液晶表示装置1900に示す表示や、大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせる制御をそれぞれ行う。また、当該処理の終了時には、大当り時のインターバル演出コマンドに対応したフラグや、大当り開始コマンドに対応したフラグがリセットされる。
[10−8.装飾図柄変動開始処理]
次に、処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1500)について説明する。図50は、本実施形態における装飾図柄変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
図50に示すように、装飾図柄変動開始処理では、演出制御プログラムは、まず、ステップS1404(図48参照)の処理で設定される変動パターン受信フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1501)。すなわち、ステップS1501の処理では、主制御基板4100側で所定の始動条件(所定条件)が成立したことに基づいてステップS1404(図49参照)の処理で変動パターン受信フラグがセットされるまで待機する。そして、変動パターン受信フラグがセットされるまでの間(すなわち、変動表示ゲームが開始されるまで)、ステップS1511からステップS1513までの処理によってデモ演出にかかる制御を実行する。
具体的に説明すると、変動パターン受信フラグがセットされていない場合には(ステップS1501の結果が「No」)、演出制御プログラムは、遊技盤側液晶表示装置1900においてデモ演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS1511)。そして、デモ演出の実行中でないと判定した場合には(ステップS1511の結果が「No」)、前回の図柄変動などの表示演出が終了してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1512)。所定時間が経過した場合には(ステップS1512の結果が「Yes」)、遊技盤側液晶表示装置1900においてデモ演出を開始させるデモ演出表示フラグを設定する(ステップS1513)。
一方、所定時間が経過していないと判定された場合には(ステップS1512の結果が「No」)、演出制御プログラムは、当該装飾図柄変動開始処理を一旦終了し、変動パターン受信フラグがセットされるか(ステップS1501の結果が「Yes」)、所定時間が経過するか(ステップS1512の結果が「Yes」)のいずれかの条件が満たされるまで待機する。
また、演出制御プログラムは、遊技盤側液晶表示装置1900においてデモ演出を実行していると判定された場合には(ステップS1511の結果が「Yes」)、そのままデモ演出の実行を継続する。
これに対し、変動パターン受信フラグがセットされている場合には(ステップS1501の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、変動パターン受信フラグをクリアする(ステップS1502)。そして、受信した特図変動パターンコマンド及び特図図柄種別コマンドに基づいて、実行される演出の内容を設定するための演出設定処理を実行する(ステップS1503)。演出設定処理の詳細については図51にて後述する。最後に、演出制御プログラムは、処理選択フラグを[1]に更新する(ステップS1504)。このように制御することによって、装飾図柄変動開始処理は、特図同調演出の実行開始時に1回だけ実行されるようになる。
[10−9.演出設定処理]
続いて、演出設定処理について説明する。演出設定処理は、特図同調演出の開始時に演出内容を設定するための処理である。主制御基板4100から送信された特図変動パターンコマンドに基づいて、対応するフラグの設定やパラメータの設定を行う。図51は、本実施形態における演出設定処理の一例を示すフローチャートである。
演出制御プログラムは、まず、主制御基板4100から受信した特図変動パターンコマンドに基づいて変動パターンを特定する(ステップS1520)。このとき、現在の遊技状態(例えば、確率変動状態、時間短縮状態、確変時短状態、通常遊技状態等、演出態様のみに関連する演出モードのようなものであってもよい)に基づいて、変動パターンを選択するようにしてもよい。具体的には、図47に示した変動パターンテーブルに遊技状態の項目を設け、遊技状態ごとに演出態様の異なる変動パターンを定義するようにしてもよい。
そして、演出制御プログラムは、変動パターンに対応する演出の設定を行う。具体的には、まず、特定された変動パターンが、ストーリーリーチであるか否かを判定する(ステップS1521)。ストーリーリーチである場合には(ステップS1521の結果が「Yes」)、ストーリーリーチの実行に必要なデータを設定するためのストーリーリーチ設定処理を実行する(ステップS1530)。ストーリーリーチ設定処理の詳細については、図53にて後述する。
一方、演出制御プログラムは、特定された変動パターンが、ストーリーリーチでない場合には(ステップS1521の結果が「No」)、変動パターンが擬似連続変動であるか否かを判定する(ステップS1522)。擬似連続変動である場合には(ステップS1522の結果が「Yes」)、擬似連続変動の実行に必要なデータを設定するための擬似連続変動設定処理を実行する(ステップS1550)。
一方、演出制御プログラムは、特定された変動パターンが、擬似連続変動でない場合には(ステップS1522の結果が「No」)、当該変動パターンに基づく演出を実行するために必要な情報を設定する(ステップS1523)。
変動パターンに対応する演出の設定が完了すると、変動パターンとは独立して演出内容を設定可能な連続先読み演出を実行するための連続先読み演出設定処理を実行する(ステップS1524)。連続先読み演出設定処理では、図42のステップS1027の特図先読み演出制御処理で連続先読み演出が実行されることが決定された場合に、決定された演出内容に基づいて連続先読み演出の進行を制御する。連続先読み演出設定処理の詳細については後述する。
最後に、演出制御プログラムは、遊技状態に応じた演出パターン及び停止図柄を設定し(ステップS1525)、演出設定処理を終了する。遊技状態に応じた演出パターンとしては、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900で表示されている画像の背景、スピーカーから出力されている音楽や音声などを遊技状態に応じて設定する。ステップS1524の処理で設定された停止図柄は、主制御基板4100から特図同調演出終了コマンドを受信したタイミングで、装飾図柄変動処理において確定表示される。
最後に、演出制御プログラムは、遊技状態に応じた演出パターン及び停止図柄を設定し(ステップS1525)、演出設定処理を終了する。遊技状態に応じた演出パターンとしては、例えば、遊技盤側液晶表示装置1900で表示されている画像の背景、スピーカーから出力されている音楽や音声などを遊技状態に応じて設定する。また、演出パターンには、変動パターンに対応した予告態様も含まれる。例えば、変動表示の結果を示唆するために、特定のキャラクタを登場させたり、背景色を通常とは異なる色に設定したりする。ステップS1524の処理で設定された停止図柄は、主制御基板4100から特図同調演出終了コマンドを受信したタイミングで、装飾図柄変動処理において確定表示される。
演出設定処理が終了すると、特図同調演出を実行するために必要な情報が設定される。そして、周辺制御部定常処理(図42)のランプデータ出力処理(ステップS1012)、表示データ出力処理(ステップS1016)、音データ出力処理(ステップS1018)、ランプデータ作成処理(ステップS1028)、表示データ作成処理(ステップS1030)、音データ作成処理(ステップS1032)などが実行されることによって、装飾図柄の変動表示などの特図同調演出が開始される。
[10−10.装飾図柄変動処理]
次に、処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS1600)について説明する。図52は、本実施形態における装飾図柄変動処理の一例を示すフローチャートである。
装飾図柄変動処理は、装飾図柄変動開始処理が実行されて処理選択フラグが「1」の場合に実行される。そして、装飾図柄変動処理では、特図同調演出(装飾図柄の変動表示)が開始されていることを条件に、変動表示ゲームと同調して実行される特図同調演出を制御する。
装飾図柄変動処理が開始されると、演出制御プログラムは、まず、装飾図柄の変動表示を終了させる条件、すなわち、特図同調演出の終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS1601)。特図同調演出の終了条件としては、例えば、主制御基板4100から特図同調演出終了コマンド(図柄確定コマンド)を受信した場合に特図同調演出を終了してもよいし、特図同調演出の開始から所定時間経過した場合に特図同調演出を終了してもよい。また、特図同調演出終了コマンドの受信及び特図同調演出の開始からの経過時間の両方を特図同調演出の終了条件としてもよく、例えば、特図同調演出の開始から所定時間を経過していなくても、特図同調演出終了コマンドを受信した場合には、変動表示を強制的に終了し、装飾図柄を確定停止させるように表示画面を切り替えるようにしてもよい。
演出制御プログラムは、特図同調演出の終了条件が成立した場合には(ステップS1601の結果が「Yes」)、特図図柄種別コマンドに対応する装飾図柄で変動表示を停止(確定停止)させる(ステップS1602)。そして、変動表示ゲームの結果に基づいて処理選択フラグを設定する(ステップS1602)。具体的には、変動表示ゲームの結果が「はずれ」の場合には処理選択フラグを「0」、「大当り」の場合には処理選択フラグを「2」に設定する。また、「小当り」がある場合には別の処理選択フラグ(例えば、「3」)に設定する。
一方、演出制御プログラムは、特図同調演出の終了条件が成立していない場合(ステップS1601の結果が「Yes」)、すなわち、装飾図柄の変動表示を継続する場合には、まず、変動パターンの種類がストーリーリーチか否かを判定する(ステップS1604)。変動パターンの種類がストーリーリーチの場合には(ステップS1604の結果が「Y」)、ストーリーリーチの進行を制御するためのストーリーリーチ制御処理を実行する(ステップS1610)。本実施形態では、ストーリーリーチで実行されるシナリオ演出は変動表示の開始時(ストーリーリーチ設定処理)にすべて選択されるが、シナリオ演出実行直前にそれぞれシナリオを選択する場合には、ストーリーリーチ制御処理で選択される。また、操作ユニット400の操作に基づいてシナリオ演出の進行が制御される場合には、ストーリーリーチ制御処理において操作ユニット400の操作状況を検出し、当該操作状況に応じた制御が実行するようにすればよい。
演出制御プログラムは、変動パターンの種類がストーリーリーチでない場合には(ステップS1604の結果が「No」)、変動パターンの種類が擬似連続変動であるか否かを判定する(ステップS1605)。変動パターンの種類が擬似連続変動の場合には(ステップS1604の結果が「Yes」)、擬似連続変動の進行を制御するための擬似連続変動制御処理を実行する(ステップS1630)。擬似連続変動制御処理の詳細については後述する。
さらに、演出制御プログラムは、変動パターンの種類が擬似連続変動でない場合には(ステップS1605の結果が「No」)、スペシャルリーチなどの変動パターンに対応する特図同調演出の制御処理を実行する(ステップS1660)。例えば、遊技盤側液晶表示装置1900で表示中のシーン(映像)を切り替えたり、キャラクタを登場させたりするなどの演出を実行する。また、変動パターンに依存しない演出を独立して実行するようにしてもよく、例えば、次回以降に実行される変動表示ゲームの結果を示唆する先読み演出などを実行してもよい。変動パターンに対応する演出の制御が完了すると、本処理を終了する。
[10−11.周辺制御部停電予告信号割り込み処理]
次に、主制御基板4100の停電監視回路4100eからの停電予告信号(周辺停電予告信号)が主制御基板4100から入力されたことを契機として実行する周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。図46は、周辺制御部停電予告信号割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されると、図12に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、まず2マイクロ秒タイマを起動し(ステップS1300)、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1302)。この判定で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS1302で停電予告信号が入力されているときには、2マイクロ秒経過したか否かを判定する(ステップS1304)。この判定では、ステップS1300で起動したタイマが2マイクロ秒経過した否かを判定している。ステップS1304で2マクロ秒経過していないときには、ステップS1302に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、停電予告信号が入力されていないときにはそのままこのルーチンを終了する一方、停電予告信号が入力されているときには、再びステップS1304で2マイクロ秒経過したか否かを判定する。つまりステップS1304の判定では、本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているか否かを判定している。
ステップS1304で本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているときには、節電処理を行う(ステップS1306)。この節電処理では、遊技盤側液晶表示装置1900及び上皿側液晶表示装置470のバックライトの消灯、遊技盤4に設けられるモータやソレノイドへの励磁OFF、各種LEDの消灯等を順次実行することによりパチンコ遊技機1のシステム全体の消費電力を抑えることによって、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても周辺制御MPU4150aが動作可能な時間である20ミリ秒の期間だけ安定動作を確保している。
ステップS1306に続いて、コマンド受信待機処理を行う(ステップS1308)。このコマンド受信待機処理では、主制御基板4100が送信中の各種コマンドがある場合を想定して、送信中のコマンドを周辺制御MPU4150aが受信することができるように、少なくとも、17ミリ秒の期間だけ待機するようになっている。コマンドを受信すると、上述した、周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されて、図13に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(周辺制御部受信リングバッファ)に受信したコマンドが記憶される。
ステップS1308に続いて、コマンドのバックアップ処理を行う(ステップS1310)。このコマンドのバックアップ処理では、図13に示した、バックアップ管理対象ワークエリア4150caにおけるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図13に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御CPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1310に続いて、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1312)。この判定で停電予告信号が入力されているときには、WDTクリア処理を行う(ステップS1314)。このWDTクリア処理では、周辺制御MPU4150aは、図13に示した周辺制御内蔵WDT4150afと、図12に示した周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにする。
一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されていないとき、又はステップS1314に続いて、再びステップS1312に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。つまり、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを無限に判定し続けることとなる。このように無限に判定し続けることにより、ステップS1312で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、周辺制御MPU4150aは、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力することができなくなり、周辺制御MPU4150aにリセットがかかる一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されているときには、ステップS1314でWDTクリア処理を行い、周辺制御MPU4150aにリセットがかからない。なお、周辺制御MPU4150aにリセットがかかると、図42に示した周辺制御部電源投入時処理が再び開始されることとなる。
このように、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続する場合には、ステップS1314でWDTクリア処理が実行されることによって停電状態になる直前で周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようになっている。これに対して、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続されず解除された場合には、WDTクリア処理が実行されないため、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力が中断されるようになっている。これにより、ノイズなどで本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が誤って開始され、そのノイズが2マイクロ秒の期間を超えて発生することでステップS1302の判定を通過したとしても、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続されず解除された場合には、ステップS1314のWDTクリア処理が実行されないことにより周辺制御MPU4150aにリセットがかかるようになっているため、そのようなノイズに対して自動的にリセット復帰することで対応することができるようになっている。
[11.ストーリーリーチ]
続いて、変動パターンとしてストーリーリーチが選択された場合について説明する。本実施形態における遊技機では、主制御基板4100における特別図柄の変動表示(変動表示ゲーム)と同調して、周辺制御基板4140によって特図同調演出が実行される。変動パターンとしてストーリーリーチが選択された場合には、特図同調演出において、所定のタイミングで実行中の変動表示ゲームの期待度を示唆する演出(特定演出)が一回又は複数回実行(挿入)される。
また、ストーリーリーチにかかる演出では、装飾図柄がリーチ態様となるが、特定演出の実行タイミングはリーチ演出の前であってもよいし、リーチ演出の後であってもよい。なお、本実施形態では、リーチ発生後にストーリーリーチにおける特定演出が実行されるように構成されている。以下、変動パターンとしてストーリーリーチが選択された場合の演出について説明する。
[11−1.ストーリーリーチ設定処理]
まず、ストーリーリーチにおける演出制御について説明する。図53は、本実施形態におけるストーリーリーチ設定処理の一例を示すフローチャートである。ストーリーリーチ設定処理は、演出設定処理(図51)のステップS1530の処理で実行される。なお、図53に示すストーリーリーチ設定処理では、所定のタイミングで実行される特定演出の設定に関する処理を説明し、その他のリーチ演出などの特図同調演出の設定については、他の変動パターンが選択された場合と同様に処理されるため、説明を省略する。
ストーリーリーチ設定処理が実行されると、演出制御プログラムは、まず、変動パターンテーブル(図47)から演出挿入数及び演出選択パターンを取得する(ステップS1531)。このとき、変動表示ゲームの確率状態(確変状態、通常状態)や普通電動役物の作動状態(時短状態)などの遊技状態に応じて演出挿入数及び演出選択パターンを変更してもよい。さらに、本処理で設定している特定演出の数(カウンタ)を示す選択演出数に初期値(“0”)に設定する(ステップS1532)。続いて、特定演出のシナリオを演出挿入数だけ選択する(ステップS1533〜ステップS1539)。本実施形態では、最後に実行される特定演出から順次選択し、最初に実行される特定演出を最後に選択する。
演出制御プログラムは、選択演出数が演出挿入数以上であるか否か、すなわち、すべての特定演出に対してシナリオを選択したか否かを判定する(ステップS1533)。選択演出数が演出挿入数未満の場合には(ステップS1533の結果が「No」)、シナリオが未選択の特定演出が残っているため、シナリオを選択するための処理(ステップS1534〜ステップS1538)を実行する。
演出制御プログラムは、特定演出を選択するための乱数値(演出選択情報)を取得する(ステップS1534)。そして、ステップS1531の処理で取得された演出選択パターン及びステップS1534の処理で取得された乱数値に基づいて、演出選択パターンテーブル(図54)から特定演出を選択する(ステップS1535)。
ここで、特定演出を選択する手順についてさらに詳しく説明する。本実施形態のストーリーリーチで実行される演出は、変動パターンに対応して演出選択パターンが設定されている(図47)。図54は、本実施形態のストーリーリーチにおける演出選択パターンの一例を示す図である。
本実施形態では、ストーリーリーチが実行される場合、シナリオ1からシナリオ6のいずれかの特定演出が実行され、また、シナリオ1からシナリオ6の順で変動表示ゲームの結果が大当りとなる期待度(可能性)が高くなるように設定されている。
また、図54に示すように、パターン1からパターン3の順で期待度の高いシナリオが選択されやすくなっている。具体的には、パターン1では相対的に期待度の高いシナリオ5及びシナリオ6は選択されないように設定されており、また、パターン3では、相対的に期待度の低いシナリオ1及びシナリオ2が選択されないように設定されている。
さらに、各シナリオには乱数の範囲が設定されており、図53のステップS1534の処理で取得された乱数値に基づいて各シナリオが選択される。なお、特定のシナリオが選択されないように設定するのではなく、すべてのシナリオを選択可能とし、対応する乱数の範囲を調整することによって各シナリオの選択率を調整するようにしてもよい。
また、演出選択パターンは、遊技状態ごとに保持するようにしてもよい。例えば、特別図柄の変動表示が当選する確率の高い高確率状態では、期待度の高いシナリオが選択されやすいようにし、より遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。さらに、所定条件の成立によって複数の演出選択パターン(抽選テーブル)を選択するようにしてもよい。この所定条件は、例えば、前述した遊技状態であってもよいし、所定の変動パターンに基づく変動表示の実行回数(例えば、SPリーチの実行回数)であってもよいし、大当り遊技における大入賞口への遊技球の入賞数であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
特定演出を選択するための乱数は、所定の範囲(本実施形態では“0”から“1000”の範囲)から抽出される。そのため、期待度の高いシナリオが選択された後に、期待度の低いシナリオが選択されることで(成り下がり)、ストーリーリーチそのものの信頼度を遊技者が把握しにくくなってしまうおそれがあった。例えば、変動パターンとして「ストーリーリーチ2」が選択された場合について説明すると、演出選択パターンとしてパターン1が選択され、挿入演出数が3となる。このとき、最初に実行される特定演出に対応するシナリオが「シナリオ2」、次に実行されるシナリオが「シナリオ3」、最後に実行されるシナリオが「シナリオ1」が選択されたとする。この場合、2回目に実行される特定演出(「シナリオ3」)の後に実行される特定演出が相対的に期待度の低い「シナリオ1」となってしまう。このため、遊技者は実行中の変動表示ゲームの期待度が「シナリオ1」に相当するのか、「シナリオ3」に相当するのかを判断できず、予告演出としてのストーリーリーチの信頼度が損なわれてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、ステップS1613の処理で取得される乱数値の抽出範囲を調整することによって、上述したような成り下がりが発生することを防止する。図55は、本実施形態における乱数抽出範囲の変化を時系列順に示す図である。
前述のように、本実施形態では、最後に実行される特定演出から順次選択する。変動パターンとして「ストーリーリーチ2」が選択された場合(挿入演出数3)、まず、最後(3番目)に実行される特定演出を実行する。このとき、ステップS1534の処理では、0から1000までの範囲(規定の範囲)で乱数値が抽出される(図55(A))。このとき抽出された乱数値を“550”とした場合、図54の演出選択パターン選択テーブルを参照すると、「シナリオ3」が選択される。そして、演出制御プログラムは、周辺制御基板4140の周辺制御RAM4150cに割り当てられた所定の記憶領域に選択されたシナリオの識別情報を記憶する(ステップS1536)。なお、選択されたシナリオの画像データや音声データなどの情報は周辺制御ROM4150bなどに記憶されている。そして、選択演出数に1を加算する(ステップS1537)。
続いて、演出制御プログラムは、2番目に実行される特定演出を選択するために抽出される乱数の範囲(上限値)を設定する(ステップS1538)。前述したように、最後に実行される特定演出では「シナリオ3」が選択されているため、2番目に実行される特定演出で「シナリオ4」が選択されてしまうと、成り下がりが発生してしまう。そこで、図55(B)に示すように、乱数値の生成範囲を規定の0から1000まで範囲ではなく、「シナリオ1」から「シナリオ3」だけが選択されるように、乱数値の生成範囲を0から600まで範囲に設定する。再設定された上限値“600”は、「シナリオ3」が選択される上限値であり、上限値を“600”に設定することによって、「シナリオ4」が選択されないようにする。なお、図55(B)では、実線の範囲(“0”から“600”)が乱数の抽出可能な範囲となり、破線の範囲(“600”から“1000”までの範囲)が乱数の抽出不可能な範囲となっている。
ここで、2番目に実行される特定演出を選択するための乱数値として“150”が抽出されると、特定演出のシナリオとして「シナリオ2」が選択される。そこで、演出制御プログラムは、最初に実行される特定演出に成り下がりが発生しない「シナリオ1」又は「シナリオ2」が選択されるように、抽出される乱数値の範囲の上限値を“200”に設定する。その後、例えば、乱数値として“85”が抽出されると、「シナリオ1」が設定される(図55(C))。
そして、ステップS1538の処理で選択演出数の値が3となり、選択演出数の値と演出挿入数の値が一致するため、ステップS1533の処理の結果が「Yes」となり、演出制御プログラムは、特定演出の選択を終了する。最後に、変更された乱数の範囲(上限値)を規定値(0〜1000)に設定し(ステップS1539)、ストーリーリーチ設定処理を終了する。
図53のストーリーリーチ設定処理における手順では、変動開始時(演出制御処理→装飾図柄変動開始処理→演出設定処理→ストーリーリーチ設定処理)にて乱数の範囲を設定していたが、他のタイミングで乱数の範囲を設定してもよい。
例えば、最初に特定演出が実行されるタイミングで(特定演出の実行開始時)、すべての特定演出のシナリオを選択するようにしてもよい。この場合には、装飾図柄変動処理(図52)のストーリーリーチ制御処理(ステップS1610)で、最初の特定演出を実行するタイミングで上述したストーリーリーチ設定処理を実行すればよい。
このとき、変動開始から特定演出が実行されるまでに主制御基板4100から送信された始動入賞コマンドや先読み演出関連のコマンドなどに基づいて、選択パターンを再設定するようにしてもよい。このように構成することによって、後に実行される変動表示ゲームの期待度を示唆する演出を実行することも可能となり、演出のバリエーションを多彩にすることができる。なお、特定演出の実行(挿入)がリーチ発生後であれば、リーチ演出の開始時に特定演出を選択するようにしてもよい。
また、特定演出を選択するタイミングで、演出挿入数に対応する数の乱数値を抽出し、昇順に並び替えて特定演出の実行順序を決定してもよい。例えば、乱数値を3回抽出し、“550”、“85”、“150”が抽出された場合には、“85”(シナリオ1)、“150”(シナリオ2)、“550”(シナリオ3)の順序で特定演出が実行されるようにしてもよい。
さらに、特定演出が実行されるたびに乱数値の抽選を行うようにしてもよい。例えば、スケジュールデータに特定演出の実行タイミングが定義されており、当該特定演出の実行タイミングでシナリオを選択するための乱数値を抽出する。この場合には、特定演出のシナリオを選択した後、乱数の下限値を設定する。図54に示した演出選択パターンテーブルでは、乱数値が大きいほど期待度の高い演出が実行されるように設定されているため、実行される特定演出を実行順に選択する場合には、上限値ではなく、下限値を再設定する。具体的には、最初にシナリオ2が選択された場合には、次の特定演出を選択時には成り下がりが発生しないように下限値を“100”とし、“100”から“1000”の範囲で乱数値を発生させるようにする。このように制御することによって、変動開始時などに特定演出を選択する場合と同様にストーリーリーチを実行することができる。なお、特定演出の選択が終了すると、周辺制御RAM4150cに設定された下限値を保持し、次の特定演出を実行する場合に利用する。さらに、最後の特定演出が選択されたタイミング又は変動表示ゲーム(特図同調演出)が終了したタイミングで下限値をクリア(0に設定)すればよい。なお、さらに具体的な手順については、後述する擬似連続演出における制御にて説明する。
さらに、特定演出の選択時に下限値及び上限値をともに設定可能としてもよい。こうすることによって、特定の順序でシナリオが実行されやすくなるように制御することが可能となる。例えば、シナリオ1が選択された後、下限値を“0”、上限値を“200”に設定することによって、「シナリオ1」又は「シナリオ2」のみを選択することが可能となる。また、下限値を“101”、上限値を“200”と設定することによって、必ず「シナリオ2」が選択されるようにすることも可能となる。なお、変動開始時などにすべての特定演出を選択する場合についても同様に処理することができる。さらに、演出選択パターンテーブルに、上限値(又は下限値)のみを設定する、若しくは、上限値及び下限値を設定するなどの項目を設け、演出選択パターンごとに設定可能としてもよい。
なお、下限値が“0”でない場合には、“0”から“下限値−上限値”までの乱数値を生成させ、抽出した乱数値に下限値を加算してもよい。例えば、下限値が“101”、上限値が“200”の場合には、“0”から“99(=下限値−上限値)”までの乱数を発生させ、下限値“101”を加算した結果を抽出した乱数としてもよい。
[11−2.演出例]
以上の処理によって、成り下がりが発生しないように、ストーリーリーチにおいて実行される特定演出を選択することができる。続いて、変動パターンとしてストーリーリーチが選択された場合における演出の具体例について説明する。
図56は、本実施形態のストーリーリーチにおいて実行される特定演出の一例を示す図である。本実施形態のストーリーリーチでは、装飾図柄の変動表示においてリーチが発生した後、所定のタイミングで特定演出が実行される。特定演出が実行されると、装飾図柄1910が縮小されて右上部に移動し、始動記憶表示部1911の上方に領域1912が形成される。領域1912は、実行される特定演出のシナリオに対応するセリフが表示される。
図57は、本実施形態のストーリーリーチにおいて実行される特定演出のシナリオ(セリフ)の一例を示す図である。(A)はシナリオ1、(B)はシナリオ2、(C)はシナリオ3、(D)はシナリオ4、(E)はシナリオ5、(F)はシナリオ6を示す。前述のように、シナリオ1からシナリオ6の順で実行中の変動表示ゲームの期待度が高いことを示す。具体的には、シナリオ1では期待度が低いことを示すセリフ(「ダメっぽい!!」)が表示され、順次、期待感が高くなるようにセリフが設定されている。シナリオ5では、大当りを示唆するセリフ(「当たりかな?」)が設定され、シナリオ6では大当りが確定したことを示唆するセリフ(「大当りだ〜!!」)が設定されている。なお、シナリオ6は大当りが確定している場合にのみ選択されるようにしてもよい。
続いて、ストーリーリーチの画面遷移について説明する。図58及び図59は、本実施形態のストーリーリーチの画面遷移の一例を示す図である。まず、主制御基板4100から特図1変動パターンコマンドを受信すると、図58(A)に示すように、装飾図柄の変動表示を伴う特図同調演出が開始される。また、変動パターンとしてストーリーリーチが選択されているため、画面(B)に示すように、所定のタイミングでリーチが発生する。
その後、最初の特定演出を実行するタイミングになると、領域1912にセリフ(シナリオ2)が表示される特定演出が実行される(画面(C))。その後、二番目の特定演出を実行するタイミングになると、画面(D)に示すように、より期待度の高いシナリオ3が選択され、対応する演出態様で特定演出が実行される。
ここで、乱数の生成範囲を調整しない場合には、最後に実行される特定演出において、画面(E−1)に示すように、以前に実行された特定演出よりも期待度の低い特定演出が実行されてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、成り下がりを防止するように制御されるため、以前に実行された特定演出と期待度が同じ又は高い特定演出が必ず実行される(画面(E−2))。なお、本実施形態の手順では、最後に実行される特定演出から順にシナリオが選択されるため、最後にシナリオ1が選択される場合には、すべての特定演出においてシナリオ1が選択される。このような場合、同じ特定演出が連続して実行されてしまうため、同じ期待度に対応するシナリオを複数用意し、同じ特定演出が連続して実行されないようにしてもよい。
[12.擬似連続変動]
本実施形態における遊技機では、変動パターンとして擬似連続変動が選択された場合には、特図同調演出において、装飾図柄の仮停止と再変動が1回以上実行され、所定のタイミングで抽選によって選択されたシナリオに基づく演出が実行される。シナリオに基づく演出は、前述したストーリーモードと同様に、実行中の変動表示ゲームの期待度を示唆する演出(特定演出)が実行される。
装飾図柄の仮停止とは、装飾図柄の変動があたかも停止したように遊技者から認識されるが、実際には変動を継続している状態である。例えば、左図柄、右図柄、中図柄の順で装飾図柄が停止する場合に、最後に停止する中図柄がわずかに上下動している状態であり、この状態から再変動を開始する。
また、装飾図柄の仮停止については、左図柄、右図柄、中図柄の他に、遊技者が認識しにくい態様で第4図柄を表示し、左図柄、右図柄、中図柄が停止した状態で第4図柄の変動表示を継続し、停止した図柄を再変動させるようにしてもよい。この場合、変動表示の結果態様を、左図柄、右図柄、中図柄に加えて第4図柄の停止態様を含めて示すようにしてもよい。このとき、左図柄、右図柄、中図柄を同じ装飾図柄で停止させ、第4図柄の相違のみで異なる結果態様としてもよい。このように構成することによって、大当りの結果態様の一部と小当りの結果態様とを類似させて当り遊技を実行することで、当り遊技終了後の遊技状態(変動表示ゲームの当選確率など)を遊技者に認識しにくくすることが可能となり、演出のバリエーションを増加させることができる。
本実施形態におけるストーリーリーチでは、変動開始時に実行されるシナリオをすべて決定していたが、本実施形態における擬似連続変動では、特定演出(シナリオ演出)を実行するタイミングでシナリオを抽選して選択する。また、擬似連続変動では、最後の再変動において、リーチが発生する場合には、擬似連続変動が発生しなくても実行可能な通常のリーチ演出(例えば、SPリーチ)を実行するようにしてもよいし、擬似連続変動の場合のみ実行されるリーチ演出としてもよい。また、擬似連続変動では、最後の変動でリーチを発生させなくてもよい。以下、変動パターンとして擬似連続変動が選択された場合の演出について説明する。
[12−1.擬似連続変動設定処理]
まず、擬似連続変動における演出制御について説明する。擬似連続変動では、前述のように、特定演出(シナリオ演出)を実行する直前に演出内容を抽選する。そのため、変動開始時には、擬似連続変動を実行するために必要な初期設定を行う。図60は、本実施形態における擬似連続変動設定処理の一例を示すフローチャートである。擬似連続変動設定処理は、演出設定処理(図51)のステップS1550の処理で実行される。なお、図60に示す擬似連続変動設定処理では、所定のタイミングで実行される特定演出の設定に関する処理を説明し、その他のリーチ演出などの特図同調演出の設定については、他の変動パターンが選択された場合と同様に処理されるため、説明を省略する。
擬似連続変動設定処理が実行されると、演出制御プログラムは、まず、変動パターンテーブル(図47)から演出挿入数(仮停止回数)及び演出選択パターンを取得し(ステップS1551)、周辺制御RAM4150cの所定の領域に格納する。
さらに、演出制御プログラムは、擬似連続変動において実行される特定演出の残り実行回数である残り演出数に初期値として演出挿入数を設定する(ステップS1552)。最後に、特定演出のシナリオを選択するための乱数の範囲(上限値及び下限値)を初期化するために、規定値を設定する(ステップS1553)。本実施形態では、シナリオ演出実行時に演出内容を抽選し、最初に実行されるシナリオ演出から順次選択されるため、シナリオ選択抽選用乱数の範囲として下限値が初期化される。このとき、選択されるシナリオを限定するために、上限値も設定するようにしてもよい。
なお、ストーリーモードの場合と同様に、変動開始時にすべてのシナリオ演出を選択するように、擬似連続変動設定処理ですべてのシナリオを抽選してもよい。シナリオ演出を抽選する手順は、ストーリーモードと同様である。
[12−2.擬似連続変動制御処理]
続いて、装飾図柄変動処理において実行される擬似連続変動制御処理について説明する。図61は、本実施形態における擬似連続変動制御処理の一例を示すフローチャートである。擬似連続変動制御処理は、装飾図柄の変動表示が開始されてから停止するまでの間に実行され、擬似連続変動における仮停止の実行やシナリオ演出の実行を制御する。擬似連続変動制御処理は、装飾図柄変動処理(図52)のステップS1630の処理において実行される。
本実施形態の擬似連続変動演出では、仮停止のタイミングにあわせて押圧操作部(演出ボタン)405の操作入力受付期間が設定され、当該操作入力受付期間に押圧操作部405が操作されると、シナリオ演出が実行される。なお、図61に示す手順では、押圧操作部405が操作されない場合には、シナリオ演出を実行せずに通常の演出が継続される。
演出制御プログラムは、まず、押圧操作部操作受付可能フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1631)。押圧操作部操作受付可能フラグは、シナリオ演出を実行するために押圧操作部405の操作入力を受付可能な状態となっている場合にセットされる。すなわち、押圧操作部操作受付可能フラグがセットされている間に押圧操作部405が操作されると、シナリオ演出を実行するための処理が実行される。
押圧操作部操作受付可能フラグがセットされていない場合には(ステップS1631の結果が「No」)、演出制御プログラムは、押圧操作部405の操作受付が可能となるタイミングであるか否かを判定する(ステップS1646)。押圧操作部405の操作受付が可能となるタイミングでない場合には(ステップS1646の結果が「No」)、擬似連続変動制御処理を終了する。
押圧操作部405の操作受付が可能となるタイミングとなっている場合には(ステップS1646の結果が「Yes」)、押圧操作部405の操作入力が受付可能になったことを示唆する(押圧操作部405の操作を要求する)演出を実行するための設定を行う(ステップS1647)。さらに、押圧操作部操作受付可能フラグをセットし(ステップS1648)、擬似連続変動制御処理を終了する。なお、押圧操作部405の操作受付が可能となるタイミングは、装飾図柄の仮停止のタイミングに合わせて設定される。例えば、装飾図柄が仮停止される所定時間前に設定される。
一方、押圧操作部操作受付可能フラグがセットされている場合には(ステップS1631の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、押圧操作部操作フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1632)。押圧操作部操作フラグは、実際に押圧操作部405が操作された場合に設定される。具体的には、押圧操作部405の操作は周辺制御部1msタイマ割り込み処理の操作ユニット情報取得処理(ステップS1108)で取得され、押圧操作部操作フラグは、周辺制御部電源投入時処理(図42)における周辺制御部定常処理に含まれる操作ユニット監視処理(ステップS1014)でセットされる。
押圧操作部操作フラグがセットされている場合には(ステップS1632の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、設定された上限値及び下限値の範囲の乱数値を取得する(ステップS1633)。さらに、取得した乱数値に基づいて、演出パターンテーブルから特定演出として実行されるシナリオを取得する(ステップS1634)。演出パターンテーブルの形式は、ストーリーリーチの場合と同様である。図62は、本実施形態における擬似連続変動の場合のシナリオを選択するための演出パターンテーブルの一例を示す図である。本実施形態では、期待度の低いシナリオが選択されやすいように乱数の範囲が設定されている。
演出制御プログラムは、シナリオが選択されると、選択されたシナリオを基づく演出(特定演出)を実行するために必要な画像データや音データなどに関連する演出情報を設定するシナリオ実行設定処理を実行する(ステップS1635)。シナリオ実行設定処理で設定された演出情報は、周辺制御部定常処理のランプデータ作成処理(ステップS1028)、表示データ作成処理(ステップS1030)、音データ作成処理(ステップS1030)を実行した後、ランプデータ出力処理(ステップS1012)、表示データ出力処理(ステップS1016)、音データ作成処理(ステップS1018)によって実際に演出が実行される。
その後、演出制御プログラムは、ステップS1633の処理で取得された乱数値に基づいて、演出内容の成り下がりが発生しないように、次に実行されるシナリオを選択するための乱数値の範囲の下限値を設定する(ステップS1636)。具体的には、ステップS1634の処理で選択されたシナリオよりも期待度の低いシナリオが選択されないように、すなわち、少なくとも同程度のシナリオが選択されるように、乱数の下限値を設定する。例えば、図62を参照しながら、演出パターン12が選択された場合について説明する。取得された乱数値が“450”とすると、シナリオ2が選択される。このとき、下限値を“301”に設定することによって、次の抽選で必ずシナリオ2と同等以上の期待度のシナリオが選択される。また、下限値を“301”ではなく、“501”に設定することによって、必ず成り上がるように設定することができる。
一方、演出制御プログラムは、押圧操作部操作フラグがセットされていない場合には(ステップS1632の結果が「No」)、演出制御プログラムは、押圧操作部操作受付可能期間計測タイマがタイムアップしているか否かを判定する(ステップS1638)。タイムアップしていない場合には(ステップS1638の結果が「No」)、擬似連続演出制御処理を終了し、継続して押圧操作部405の操作入力を受け付ける。一方、押圧操作部操作受付可能期間計測タイマがタイムアップした場合には(ステップS1638の結果が「Yes」)、ステップS1640以降の処理を実行する。
押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405の操作入力が受け付けられた場合、又は、押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405の操作入力が受け付けられずにタイムアップした場合には、演出制御プログラムは、押圧操作部操作示唆演出を終了させる(ステップS1640)。さらに、押圧操作部操作受付可能フラグをクリアし(ステップS1641)、残り演出回数を1減算する(ステップS1642)。
最後に、演出制御プログラムは、残り演出数が0になったか否かを判定する(ステップS1643)。残り演出数が0になった場合には(ステップS1643の結果が「Yes」)、最後の特定演出が実行されたため、乱数の上限値を規定値に設定し(ステップS1645)、擬似連続演出制御処理を終了する。
一方、残り演出数が0でない場合には(ステップS1643の結果が「No」)、演出制御プログラムは、次の押圧操作部に対する操作入力タイミングを設定するために、押圧操作部操作受付可能時間計測タイマをセットする(ステップS1644)。
以上より、押圧操作部操作受付可能時間計測タイマがタイムアップしていない状態で、かつ、押圧操作部操作受付可能フラグが設定されている状態で、押圧操作部が操作された場合に特定演出が実行されるように制御される。なお、シナリオを基づく演出(特定演出)の実行タイミングは、装飾図柄が仮停止した後であってもよいし、押圧操作部405の操作直後であってもよい。例えば、装飾図柄が仮停止した後であれば、押圧操作部操作受付可能時間計測タイマがタイムアップしてからシナリオ実行設定処理が実行されるように制御を変更し、シナリオ実行設定処理後に押圧操作部操作フラグがクリアされるようにすればよい。
[12−3.擬似連続変動の演出例]
続いて、擬似連続変動の演出例について説明する。本実施形態の擬似連続変動では、装飾図柄の変動表示においてリーチが発生する前、装飾図柄の仮停止のタイミングにあわせて特定演出が実行される。具体的には、装飾図柄が仮停止する所定時間前から押圧操作部示唆演出が開始され(押圧操作部405に対する操作受付が可能な状態になる)、仮停止のタイミングで押圧操作部示唆演出が終了する(押圧操作部405に対する操作受付が不能になる)。押圧操作部405に対する操作受付が可能な状態(押圧操作部操作受付可能期間)に押圧操作部405が操作された場合には、装飾図柄の仮停止後、識別図柄の再変動が開始されるまでの間に特定演出が実行される。
特定演出はストーリーリーチと同様であり、特定演出が実行されると、装飾図柄1910が縮小されて右上部に移動し、始動記憶表示部1911の上方に領域1912が形成される。領域1912は、実行される特定演出のシナリオに対応するセリフが表示される。
図63は、本実施形態の擬似連続変動における演出の一例を示す図である。まず、主制御基板4100から特図1変動パターンコマンドを受信すると、装飾図柄の変動表示を伴う特図同調演出が開始され、図63(A)に示すように、左図柄、右図柄の順で装飾図柄が停止する。そして、図63(B)に示すように、押圧操作部操作受付可能期間となり、押圧操作部(演出ボタン)405の操作を促す押圧操作部示唆演出が開始される。押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405が操作されると、図63(C)に示すように、擬似連続変動が実行されることを示す継続図柄が中図柄として停止し、その後、図63(D)に示すように、特定演出が実行される。
その後、図63(E)に示すように、装飾図柄の再変動が開始され、図63(B)と同様に、押圧操作部示唆演出が開始される(図63(F))。このとき、押圧操作部405が操作されない場合には、装飾図柄の仮停止後(図63(G))、特定演出を実行せずに再変動が開始される(図63(H))。その後、最後の装飾図柄の仮停止を行うと(図63(I))、リーチ演出が実行される(図63(J))。図63(J)に示す例では、擬似連続変動が実行されない場合にも実行可能なSPリーチ3が実行されるが、このとき実行されるリーチは擬似連続演出に特化した演出であってもよい。また、最後の仮停止の前にも押圧操作部示唆演出を実行し、特定演出の実行後、リーチ演出を実行するようにしてもよい。
また、図63に示した例では、押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405が操作されない場合には、特定演出を実行せずに再変動を開始するが、所定時間経過後に特定演出を実行するようにしてもよい。
[12−4.擬似連続変動のタイミングチャート]
さらに、擬似連続変動における演出の実行タイミングについて説明する。図64及び図65は、本実施形態における擬似連続変動の制御のタイミングを説明する図である。
図64は、図63に示した演出例に対応するタイミングチャートである。図64(A)は押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作した場合を示している。
まず、時刻t10において、始動口2101,2102に遊技球が入賞し、主制御基板4100における特別図柄の変動表示(上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186における特別図柄(識別図柄)の変動表示、変動表示ゲーム)が開始される。このとき、主制御基板4100から周辺制御基板4140に特図変動パターンコマンド及び特図図柄種別コマンド等が送信される。周辺制御基板4140はコマンドを受信し、擬似連続演出を実行する変動パターンを選択する。
装飾図柄の変動開始(特図同調演出の開始)から所定時間が経過すると、装飾図柄が仮停止する前のタイミングで押圧操作部(演出ボタン)405の操作入力の受付期間(押圧操作部操作受付可能期間)が開始され、押圧操作部示唆演出が開始される(時刻t11)。押圧操作部操作受付可能期間は装飾図柄の仮停止が完了する時刻t13まで継続する。このとき、実行するシナリオ演出を抽選する(図61のステップS1634)。
そして、押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405が操作されると(時刻t12)、装飾図柄の仮停止が終了するタイミング(装飾図柄の再変動を開始するタイミング、時刻t14)で、抽選されたシナリオに基づく特定演出を実行する。
同様に、時刻t15でシナリオ3の特定演出が実行され、時刻t15でシナリオ3、時刻t16でシナリオ4の特定演出が実行される。その後、最後の仮停止が終了すると、リーチ演出が開始される(時刻t17)。そして、リーチ演出終了後、主制御基板4100における特別図柄の変動表示の終了と同調して装飾図柄の変動が終了し、確定図柄が表示される(時刻t18)。
続いて、押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作しない場合について説明する。図64(B)は1回目の押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作せずに対応する特定演出の実行がスキップされた場合を示している。
図64(B)に示す例では、時刻t12のタイミングで押圧操作部405を操作しないため、シナリオ1に基づく特定演出は実行されない。なお、時刻t15のタイミングで実行される特定演出は、乱数の下限値が再設定されていないため、候補となるすべてのシナリオが選択可能になっている。
次に、図65を参照しながら変形例について説明する。図65は、本実施形態における擬似連続変動の変形例のタイミングチャートである。図65(C)は押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作した場合を示している。
図65(C)に示す例では、押圧操作部405を操作しない場合であっても、装飾図柄の再変動開始時に特定演出を実行する。また、押圧操作部405を操作した場合には、最変動開始前に特定演出を実行するように構成されている。このように構成されることによって、遊技者の操作したタイミングで特定演出を実行することが可能となり、違和感のない演出を実行することができる。
図65(D)に示す例では、押圧操作部405を操作しない場合には特定演出を実行せずにスキップし、その後に発生した押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作した場合には、スキップした分の特定演出を実行する。
図65(D)を参照すると、2回目の押圧操作部操作受付可能期間に押圧操作部405を操作せずに、3回目の押圧操作部操作受付可能期間で押圧操作部405を操作した場合を示している。この場合、2回目の仮停止時に実行される特定演出はスキップされるが、3回目の仮停止時にはスキップされた分の特定演出も実行される。
図65(D)に示す例では、最初の仮停止時にシナリオ1に基づく特定演出が実行され、2回目の仮停止時に実行される特定演出がスキップされる。3回目の押圧操作部操作受付可能期間で押圧操作部405が操作されると、スキップされた分も含めて特定演出が選択される。装飾図柄の仮停止後、選択された特定演出(シナリオ3、シナリオ4)が順次実行される。
以上のように、本実施形態における擬似連続演出では、先行する特定演出を抽選した乱数に基づいて、後続の特定演出を抽選する乱数の範囲(下限値)を設定することによって、先行して実行される特定演出の期待度よりも低い期待度の演出が実行される成り下がりを防止することができる。
また、押圧操作部405の操作によって特定演出の実行可否を遊技者が選択できるので、遊技者の意図に沿った演出を実行させることができる。
[12−5.擬似連続変動の変形例]
[12−5−1.シナリオ選択タイミングの変形例]
以上説明した擬似連続変動の例では、装飾図柄が仮停止するタイミングに合わせて押圧操作部操作可能期間を設定し、押圧操作部405が操作されたタイミングで特定演出を実行するためのシナリオを選択していた。これに対し、前述したストーリーリーチのように、特定演出を実行するためのシナリオを変動開始時にすべて選択する場合について説明する。
変動開始時にシナリオをすべて選択する場合には、演出設定処理(図49)で実行される擬似連続変動設定処理(ステップS1550、図60)において、ストーリーリーチ設定処理(図53)におけるステップS1533からステップS1538と同様の処理を実行する。このように構成することによって、特定演出に対応するすべてのシナリオが設定された状態で装飾図柄の変動表示が開始される。
上記のように、変動開始時にすべてのシナリオが決定している場合に、押圧操作部操作可能期間において押圧操作部405が操作されなかったときには、実行されなかった特定演出の実行を規制(スキップ)してもよい。この場合、後の押圧操作部操作可能期間において押圧操作部405が操作された場合には、再抽選を実行してシナリオを再度選択してもよい。また、再抽選を実行せずに規制された特定演出を実行せずにスキップして、あらかじめ設定されていた特定演出を実行してもよいし、規制を解除してスキップされたシナリオに基づく特定演出を実行してもよい。
なお、最後の特定演出が実行される場合には、途中で実行されるはずの特定演出が規制された場合であっても、遊技者に最終的な期待度を報知するために、変動開始時に決定されたシナリオに基づく特定演出を実行するようにしてもよい。
また、押圧操作部405を操作しない場合であっても所定期間経過後に特定演出を実行するようにしてもよい。
[12−5−2.特定演出実行条件の変形例]
以上説明した実施形態では、押圧操作部405を操作することによって、装飾図柄の仮停止のタイミングで特定演出が実行されていたが、その他の条件に基づいて、特定演出を実行するようにしてもよい。
その他の条件とは、例えば、確定停止する図柄で構成され、ハズレ時には出現しない組み合わせの図柄、いわゆるチャンス目で停止した場合には、押圧操作部405を操作しなくても特定演出を実行してもよい(このとき、押圧操作部405の操作を要求しなくてもよい)。また、チャンス目ではなく、擬似連の仮停止時のみ出現する擬似連専用図柄を含む組み合わせで装飾図柄が停止した場合に特定演出を実行するようにしてもよい。この場合、最終停止図柄が擬似連専用図柄でければならないのではなく、表示する図柄列のうちいずれかの図柄が擬似連専用図柄で停止すればよい。また、通常のハズレ時の図柄(いわゆるハズレ目)で停止した場合に特定演出を実行してもよい。
また、特定演出実行のタイミングは、所定の可動体(可動役物)が動作したり、所定の発光体(ランプ、LEDなど)が発光したり、所定の音声が出力されたりした場合であってもよい。
さらに、本実施形態の遊技機の操作ユニット400には、押圧操作部405の他に、ダイヤル操作部401が備えられている。ダイヤル操作部401は、前述のように、左右に回転可能に構成されており、例えば、所定のタイミングでダイヤルを回転させた場合に特定演出を実行するようにしてもよい。また、ダイヤルの回転方向に応じて演出の態様を変化させるようにしてもよい。
その他の操作手段として、例えば、操縦桿のようなレバータイプの操作部が上皿301の前面に配置し、所定のタイミングでレバーを操作することによって特定演出を実行するようにしてもよい。
さらに、上皿側液晶表示装置470の表面にタッチパネルを搭載し、このタッチパネルから遊技者の操作入力を可能とし、上皿側液晶表示装置470を操作することによって特定演出を実行するようにしてもよい。また、タッチパネルでは、多様な入力を可能とするため、特定演出の選択だけでなく、操作内容によって特定演出の演出態様を変更するようにしてもよい。
以上のような接触型の操作手段だけでなく、非接触センサなどの非接触型の操作手段を利用するようにしてもよい。例えば、遊技機の前面側に非接触センサを配置し、遊技盤の前方に手をかざすなどの動作を遊技者が行うことによって特定演出を実行するようにしてもよい。
[13.特図先読み演出]
続いて、特別図柄の変動表示が開始される前に、変動表示の結果を示唆する先読み演出について説明する。本実施形態における先読み演出は、始動口に遊技球が入賞したタイミングで実行される通常先読み演出と、先読み演出の対象となる始動記憶が消化されるまでの間に所定のタイミングで当該始動記憶に基づく変動表示の期待度が示唆される連続先読み演出とが実行可能に構成されている。
通常先読み演出は、例えば、先読み対象の始動記憶の保留表示を通常とは異なる態様で表示する。また、連続先読み演出では、先行して変動表示される始動記憶が消化されるたびに、先読み対象の始動記憶の保留表示の態様が変化するように構成される。なお、始動記憶の保留表示の態様を変化させるだけではなく、ストーリーリーチや擬似連続変動における特定演出を保留表示の態様を変化させるタイミングで実行するようにしてもよい。
[13−1.特図先読み演出制御処理]
まず、周辺制御部電源投入時処理(図42)における周辺制御部定常処理の特図先読み演出制御処理(ステップS1027)について説明する。図66は、本実施形態における特図先読み演出制御処理の一例を示すフローチャートである。特図先読み演出制御処理では、通常先読み演出を実行するための処理と、連続先読み演出を実行するか否かを決定するための処理を実行する。なお、特図先読み演出制御処理は、受信コマンド解析処理で先読み演出コマンドを受信した場合に実行するようにしてもよい。
演出制御プログラムは、まず、特図先読み演出実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2001)。特図先読み演出実行フラグは、前述のように、主制御基板4100から先読み演出コマンドを受信した場合に、受信コマンド解析処理(図42のステップS1022)でセットされる(図48のステップS1408)。特図先読み演出実行フラグが設定されていない場合には(ステップS2001の結果が「No」)、先読み演出を実行しないので、特図先読み演出制御処理を終了する。
一方、演出制御プログラムは、特図先読み演出実行フラグがセットされている場合には(ステップS2001の結果が「Yes」)、先読み対象の始動記憶に対応する先読み演出コマンドの内容に基づいて、通常先読み演出の態様を選択する(ステップS2002)。このとき、先読み対象の始動記憶に対応する特別図柄の変動表示においてリーチ演出が実行される場合にのみ通常先読み演出の態様を変化させるようにしてもよい。
図67は、本実施形態における通常先読み演出抽選テーブルの一例を示す図である。通常先読み演出では、始動口に遊技球が入賞すると、保留されている始動記憶の数が0の場合を除いて、現在実行中の特別図柄の変動表示の進行にかかわらず、保留表示の態様を所定の割合で変化させる。
先読み演出が実行されていない場合には保留表示は「白」となっているが、通常先読み演出が実行されると、保留表示の表示色が「白」から大当りとなる期待度に応じて所定の確率(図67)で「青」、「緑」、「赤」、「虹」に変化する。また、変動表示ゲームの結果が大当りの場合には、はずれの場合よりも高い確率で保留表示の色が変化するように設定されている。
演出制御プログラムは、保留表示の色が選択されると、選択された色に変化させるための設定を行う通常先読み演出設定処理を実行する(ステップS2003)。通常先読み演出設定処理では、保留表示の表示色を変化させる設定を行うとともに、変化のタイミングで効果音を出力させたり、ランプを点灯させたり、役物を可動させたりするための設定を行う。その後、特図先読み演出実行フラグをクリアする(ステップS2004)。これにより、一の始動記憶に対して複数回の通常先読み演出が実行されることを防止することができる。
本実施形態では、通常先読み演出を実行する場合に限り、連続先読み演出を実行するように構成されている。すなわち、遊技者は始動口に遊技球が入賞したタイミングで通常先読み演出によって期待感を抱くようになり、遊技の進行によって保留表示の態様がさらに変化すると、より大きな期待感を抱くようになる。なお、通常先読み演出を実行せずに連続先読み演出を実行させるようにしてもよく、例えば、保留されている始動記憶数が多い場合には通常先読み演出を実行せずに連続先読み演出を実行させるようにしてもよい。特に、上始動口と下始動口とが常時入賞可能であって、これらの始動口に交互に入賞可能に構成されて始動記憶を8個まで保留可能な場合に有効である。
演出制御プログラムは、通常先読み演出を実行するか否かを判定する(ステップS2005)。通常先読み演出を実行しない場合には(ステップS2005の結果が「No」)、すなわち、保留表示の色が「白」のまま変化しない場合には、連続先読み演出を実行せずに、特図先読み演出制御処理を終了する。
通常先読み演出を実行する場合には(ステップS2005の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、主制御基板4100から受信した先読み演出コマンドに含まれる各種情報に基づいて、連続先読み演出抽選テーブル(図67)から対応する情報を取得し(ステップS2006)、連続先読み演出を実行するか否かを抽選する(ステップS2007)。各種情報には、例えば、変動パターン及び当落情報が含まれる。また、始動記憶数(特別図柄作動保留球数)は先読み演出コマンド同様のタイミングで送信される特別図柄記憶コマンドに含まれる。抽選の結果、連続先読み演出を実行しない場合には(ステップS2007の結果が「No」)、特図先読み演出制御処理を終了する。
図68は、本実施形態における連続先読み演出抽選テーブルの一例を示す図である。本実施形態の連続先読み演出は、複数の変動にまたがって、保留表示の態様が変化するため、始動記憶数が3以上の場合に実行されるようになっている。また、始動記憶に基づく変動表示の結果が大当り(又は大当りの可能性が高い)の場合には、連続先読み演出が実行されやすく、また、連続先読み回数が多くなりやすくなるように設定されている。
なお、連続先読み演出を実行するか否かの抽選(ステップS2007)は、連続先読み演出実行確率に基づいて抽選される。また、先読み対象の始動記憶にリーチが発生しない場合には、連続先読み演出が実行されないように設定されている。なお、図68の連続先読み演出実行確率の単位は%である。
演出制御プログラムは、連続先読み演出を実行する場合には(ステップS2007の結果が「Yes」)、連続先読み演出抽選テーブルから取得された演出選択パターンをセットする(ステップS2008)。さらに、残り演出数(残り先読み回数)に連続先読み演出実行回数をセットする(ステップS2009)。
さらに、演出制御プログラムは、連続先読み演出を選択するための乱数の範囲(上限値及び下限値)を規定値(初期値)に設定する(ステップS2010)。最後に、連続先読み演出実行フラグをセットし(ステップS2011)、特図先読み演出制御処理を終了する。
[13−2.連続先読み演出設定処理]
続いて、装飾図柄変動処理において実行される連続先読み演出設定処理について説明する。連続先読み演出設定処理は、先読み演出の対象となる始動記憶に対する先読み演出を制御する処理である。本実施形態では、前述のように、先読み演出対象の始動記憶よりも先行して変動表示ゲームが実行される始動記憶が消化されるタイミングで先読み演出対象の始動記憶の保留表示を変更するなどの処理を実行する。
図69は、本実施形態の連続先読み演出設定処理の一例を示すフローチャートである。連続先読み演出設定処理は、演出設定処理(図51)のステップS1524の処理において実行される。
演出制御プログラムは、まず、連続先読み演出実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2101)。連続先読み演出実行フラグは、連続先読み演出を実行する場合に、特図先読み演出制御処理(図66)のステップS2011の処理で設定される。連続先読み演出実行フラグがセットされていない場合には(ステップS2101の結果が「No」)、連続先読み演出を実行しないため、連続先読み演出処理を終了する。
一方、連続先読み演出実行フラグがセットされている場合には(ステップS2101の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、実行する先読み演出(特定演出)を選択するための乱数値を取得する(ステップS2102)。さらに、取得された乱数値に基づいて、連続先読み演出態様選択テーブル(図70)から特定演出の態様を取得し(ステップS2103)、特定演出設定処理を実行する(ステップS2104)。特定演出設定処理では、連続先読み演出(特定演出)を実行するための設定を行う。
本実施形態における連続先読み演出(特定演出)は、保留表示の形状を期待度に応じて変化させる。また、通常先読み演出が実行された状態で連続先読み演出が実行されるため、保留表示の色が変化した状態で形状が変化するように制御される。図70は、本実施形態の連続先読み演出(特定演出)における保留表示の態様を選択するための連続先読み演出態様選択テーブルの一例を示す図である。
図70に示すように、本実施形態では、期待度に応じて6種類の特定演出が定義され、各特定演出に乱数の範囲が設定されている。例えば、演出選択パターンが「パターン2」の場合には、乱数値が0〜200の場合には特定演出1、201〜400の場合には特定演出2、・・・、901〜1000の場合には特定演出6が選択される。
また、パターン1では、期待度の高い特定演出5及び特定演出6が選択されないようになっており、また、パターン1では、すべての特定演出が実行可能となっているが、期待度の高い特定演出が選択されにくいように乱数の範囲が設定されている。これに対し、パターン4では、期待度の低い特定演出1が選択されないようになっているとともに、期待度の高い特定演出4や特定演出5が選択されやすいようになっている。図68に示すように、パターン1は、期待度の低い変動パターンで選択されるようになっている一方、パターン4は変動表示ゲームの結果が大当りの場合に選択されるようになっている。
なお、先に実行された連続先読み演出と同じ形状が選択された場合には、連続先読み演出が実行されなかったものとしてそのまま遊技を進行させるようにしてもよいし、保留表示を一時的に点滅させるなどして、連続先読み演出が実行された旨を遊技者に報知するようにしてもよい。
ここで、図69のフローチャートの説明に戻る。特定演出設定処理を実行すると、演出制御プログラムは、残り演出数を1減算する(ステップS2105)。そして、残り演出数が0になったか否か、すなわち、すべての連続先読み演出(特定演出)が実行されたか否かを判定する(ステップS2106)。残り演出数が0になった場合には(ステップS2106の結果が「Yes」)、すべての連続先読み演出が実行されたので、連続先読み演出実行フラグをクリアする(ステップS2107)。最後に、乱数の下限値を規定値(例えば、“0”)に設定し(ステップS2108)、連続先読み演出設定処理を終了する。
一方、演出制御プログラムは、残り演出数が0でない場合(ステップS2106の結果が「No」)、すなわち、連続先読み演出がすべて実行されていない場合には、ステップS2102の処理で取得された乱数値に基づいて、乱数の下限値を設定する(ステップS2109)。例えば、演出選択パターンが「パターン3」で抽出された乱数値が“350”の場合には、特定演出3が選択されるため、特定演出1又は特定演出2が選択されないように、すなわち、成り下がりが発生しないように、乱数の下限値を特定演出3が選択される場合の下限値“201”を設定する。これにより、次の連続先読み演出が実行される場合には、ステップS2102の処理で“201”〜“1000”の範囲の乱数値が抽出され、連続先読み演出で先行して実行された演出よりも期待度の低い演出が実行されることを防止することができる。
なお、連続先読み演出において、段階的に保留表示が変化するように、乱数の抽出範囲を調整するようにしてもよい。例えば、演出選択パターンが「パターン3」で連続先読み実行回数が「3」の場合には、最初に実行される特定演出が1〜4となるように下限値を“0”、上限値を“600”とする。このとき、最初に実行される特定演出が2であれば、2回目に実行される特定演出を選択するための乱数値の下限値を“201”、上限値を“800”に設定する。すなわち、特定演出が3〜5のいずれかが選択されるように設定される。こうすることによって、必ず期待度が高くなるように(成り上がるように)特定演出が実行され、さらに、特定演出5が選択された場合であっても、次回(最後)の特定演出では特定演出6が選択されるようになり、成り下がりを防止するとともに、確実に期待度が高くなるように特定演出を実行することができる。なお、確実に成り上がるように設定すると、遊技者の期待感を大きく高めることが可能となるため、大当りの場合にのみ確実に成り上がるように制御してもよい。
[13−3.演出例]
以上の処理によって、連続先読み演出において、成り下がりが発生しないように特定演出を選択することができる。続いて、連続先読み演出の具体例について説明する。図71は、本実施形態の連続先読み演出の画面遷移の一例を示す図である。
図71(A)は、先読み演出が実行されていない状態で装飾図柄の変動表示が実行されている状態である。図71(B)は、図71(A)の状態で上始動口2101に遊技球が入賞した結果、通常先読み演出が実行された状態を示している。その後、図71(C)に示すように、装飾図柄が確定表示される。
その後、図71(D)に示すように、保留されている始動記憶が消化され、次の変動表示が開始される。このとき、1回目の連続先読み演出が実行され、特定演出3が実行されている。さらに、図71(D)〜(G)に示すように、保留されている始動記憶が消化されて変動表示が開始されるたびに特定演出4、特定演出5が実行され、保留表示の形状が変化する。
そして、先読み演出の対象となる始動記憶が消化され、装飾図柄の変動表示が開始されると(図71(H))、リーチが発生する(図71(I))。図71(J)に示す例では、SPリーチ3が実行される。
以上のように、本実施形態によれば、遊技の進行に基づいて先読み演出を実行可能とする(演出態様を変化させる)ことによって、遊技を継続する過程で遊技者の期待感をより高めることが可能となる。特に、始動口に遊技球が入賞したタイミングで先読み演出(通常先読み演出)が実行された後、先読み演出の対象となっている始動記憶が消化されるまでの間に実行される変動表示ゲームに対する遊技興趣が低下してしまうおそれがあるが、変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の態様が変化することで、遊技者の期待感を継続して高めることが可能となり、遊技興趣の低下を防止することができる。
[13−4.特図先読み演出の変形例]
[13−4−1.特図先読み演出制御の変形例]
なお、通常先読み演出と連続先読み演出とを区別しなくてもよい。前述した実施形態では、最初の先読み演出(通常先読み演出)では始動口に遊技球が入賞したタイミングで保留表示の態様(色)が変化し、2回目以降の先読み演出(連続先読み演出)では保留消化時に保留表示の態様(形状)が変化する。この場合、連続先読み演出を実行するか否かだけを始動口に遊技球が入賞したタイミングで判定し、保留消化時に特定演出(保留表示の変化)の内容を抽選していた。
これに対し、ストーリーリーチのように、始動入賞時にすべての特定演出の内容(シナリオ)を抽選するようにしてもよい。例えば、特図先読み演出制御処理(図42のステップS1027、図66)ですべての特定演出を抽選する。受信コマンド解析処理(図48)の特図先読み演出実行フラグを設定する処理(ステップS1408)において、すべての特定演出の内容を抽選するようにしてもよい。
また、始動入賞時に保留記憶数が2以下、かつ、変動表示が実行中の場合には、連続先読み演出の実行回数を1とし、保留記憶数が3以上の場合には連続先読み演出抽選テーブル(図68)に基づいて連続先読み演出の態様を選択すればよい(連続先読み演出抽選テーブルですべてのパターンを網羅できるようにしてもよい)。この場合、最初の先読み演出(通常先読み演出と同じ)において保留表示の色を変化させてもよいし、最初から形状を変更させてもよく、また、色及び形状の両方を変化させてもよい。
また、先読み演出の回数が1回の場合、すなわち、始動入賞時に保留表示の態様が変化し、その後、保留表示の態様が変化しない場合にはきわめて期待度の低いガセ演出としてもよい。すなわち、保留態様の変化の回数が多いほど大当りの期待度が高まるが、1回のみの場合には期待度が低いように構成してもよい。
[13−4−2.特図2優先消化]
本実施形態では、上始動口2101に遊技球が入賞した場合に上特別図柄表示器1185で特別図柄が変動表示される第1特図変動表示ゲームと、下始動口2102に遊技球が入賞した場合に下特別図柄表示器1186で特別図柄が変動表示される第2特図変動表示ゲームと、が実行される。また、本実施形態では、下始動口2102に遊技球が入賞した場合のほうが、上始動口2101に遊技球が入賞した場合よりも優先して変動表示が開始される。したがって、上始動口2101に遊技球が入賞した始動記憶に基づいて先読み演出が実行されている場合に、下始動口2102に遊技球が入賞すると、先読み演出対象の始動記憶の消化が遅れることになる。
このように、先読み対象の変動表示が割り込まれた場合には、直前に実行された特定演出を継続して実行するようにしてもよい。また、抽選されたシナリオに基づく特定演出を実行し、最後に実行される特定演出を割り込まれた分だけ連続して実行するようにしてもよい。
また、割り込まれた分だけ、シナリオを再選択するようにしてもよい。このとき、演出内容が成り下がりとならないように、実行済みの特定演出に対応するシナリオに対応して乱数の範囲を設定し、シナリオを新たに抽選してもよいし、実行済みのシナリオを無視し、乱数の範囲を初期化して新たにシナリオを抽選するようにしてもよい。
さらに、下始動口2102に遊技球が入賞した場合には、特定演出を実行せずに、上始動口2101に入賞した始動記憶に対応する変動表示のみ特定演出を実行するようにしてもよい。
また、第1特図変動表示ゲームと、第2特図変動表示ゲームと、が同時に実行可能に構成されている場合には、例えば、第1特図変動表示ゲームの実行に合わせて特定演出を実行すればよい。
また、本実施形態では、普通図柄の変動表示が当選した場合に、始動口ソレノイド2105が駆動して可動片2106が開閉されることにより、下始動口2102に遊技球が入賞可能となっているが、遊技球が上始動口2101及び下始動口2102に交互に入賞し、第1特図変動表示ゲームと、第2特図変動表示ゲームと、が交互に実行される場合には、割り込みが発生しない。この場合、第1特図変動表示ゲームのみを実行する場合と同様に制御すればよいが、最大8回分の変動表示を保留することができるため、これらの変動表示ゲームを区別せずに、長期間におよぶ一連の特定演出を実行することが可能となり、さらにバリエーションに富んだ演出を実行することができる。
[13−4−3.特図先読み演出態様の変形例]
以上説明した実施形態では、保留表示の態様が変化させていたが、遊技盤側液晶表示装置1900の画面の背景を変化させるようにしてもよい。具体的には、単に背景色を変更してもよいし、装飾図柄やキャラクタなどの後方に特別な態様の構造物や自然物を配置してもよい。例えば、雲を表示させ、大当りの期待度に応じて雲の色を変化させたり、雲から雷を発生させたりするようにしてもよい。
[14.乱数抽選の変形例]
以上説明した演出例では、乱数を生成する範囲(上限値、下限値)を変更することによって、成り下がりを防止するように構成していたが、これ以外の方法で成り下がりを防止するようにしてもよい。なお、図54に示した演出選択パターンのパターン1が選択された場合について説明する。
例えば、乱数の生成範囲は変更せずに(すなわち、“0”から“1000”の範囲のままで)、抽出された乱数値を演算等の処理により変換することによって特定演出を選択するようにしてもよい。以下、具体例について説明する。
本発明では、特定演出として「シナリオ3」が選択されると、直前に実行される特定演出は「シナリオ1」から「シナリオ3」のいずれかとなる。このような例について説明すると、成り下がりを防止するために、“0”から“600”までの範囲で乱数が生成されるように設定される。ここで、“0”から“1000”までの範囲で乱数を生成させ、“600/1000”で乗算することによって(小数点以下切捨て)、“0”から“600”までの範囲の乱数を生成させることができる。
また、“0”から“600”までの範囲の乱数を生成させる場合に、“0”から“1000”までの範囲で生成された乱数に対し、“600”で除算した余りを乱数値としてもよい。この場合、“0”から“400”までの値が重複するため、乱数のばらつきが偏ってしまうが、例えば、除算結果が1以上の場合には、乱数の生成範囲と重複する範囲との差分(ここでは600−400=200)を乱数値に加算することによって(すなわち、重複範囲を“200”から“600”にする)、期待度の高いシナリオを実行する可能性が高くなるように設定して遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
さらに別の例として、“0”から“1000”までの範囲の乱数を生成する場合に、“0”から“100”までの範囲で生成された乱数を10回生成し、各生成された乱数を加算することによって、“0”から“1000”までの範囲の乱数を生成するようにしてもよい。このように構成することによって、生成する乱数の範囲に応じて乱数の生成回数を設定して加算することによって、実際に生成する乱数の範囲を一定にしながら多様な乱数の範囲を設定することができる。また、乱数を所定回数生成するのではなく、所定倍してもよい。例えば、“0”から“100”までの範囲で生成された乱数を10倍することによって“0”から“1000”までの範囲の乱数を生成してもよい。きめ細かい振り分けはできなくなるが、乱数が一様乱数であれば同様の結果を得ることが可能となる。また、演出選択パターンに応じて乱数の抽出方法を変更してもよく、必要に応じて抽出される乱数の精度を調整してもよい。
また、最初に実行される特定演出を選択するための乱数を抽出した後、後続の特定演出を選択するための乱数は、先行する特定演出を選択するための乱数に加算するようにしてもよい。このとき、加算後の乱数値が上限値を超えないように乱数の生成範囲を調整するようにしてもよいし、上限値の超過分を切り捨てるようにしてもよい。
[15.成り下がりの許容(法則崩れ)]
[15−1.演出例]
以上説明した実施形態では、連続して実行される特定演出について、演出内容の期待度が低下する成り下がりを防止できるように構成されている。しかしながら、成り下がりが発生しなくても必ずしも変動表示の結果が大当りになるとは限らない。また、最初に期待度の高い特定演出が実行された場合には、以降の演出の流れが遊技者に予測されてしまい、遊技の興趣を高められない可能性もあった。
そこで、所定の条件を満たす場合には、成り下がりを許容し、通常実行される演出パターンに変化をもたらす変形例について説明する。成り下がりを許容する条件は、例えば、変動表示の当選確率の確率状態や普通電動役物の作動状態(時短状態)などの遊技状態に応じて行うか否かを決定してもよい。具体的には、変動表示の結果が大当りとなる確率が高い場合(高確率状態、確変状態)、又は、時短状態のように遊技者に有利な状態の場合に乱数の生成範囲を調整せずに成り下がりを許容してもよい。逆に、確変状態や時短状態以外の遊技者に有利でない状態の場合に乱数の生成範囲を調整せずに成り下がりが発生するようにしてもよい。
また、変動表示ゲームの結果が大当りの場合に限り、成り下がりを許容するようにしてもよい。すなわち、期待度が低くなる演出が実行されてがっかりするところで、逆に大当りが確定することを遊技者が認識できるようになる。このように、通常の流れでは実行されない演出が実行された場合に逆に期待度が高くなるようにすることによって、演出のバリエーションを増加させ遊技の興趣を高めることができる。なお、成り下がりが発生しにくく制御しながら通常時にも成り下がりを(低確率で)許容し、変動表示ゲームの結果が大当りの場合に成り下がりが発生する確率を高くするようにしてもよい。
さらに、変動表示ゲームの結果ではなく、変動パターンに応じて成り下がりを許容するか否かを決定するようにしてもよい。例えば、信頼度の高いリーチ(例えば、ストーリーリーチ、擬似連続演出後のSPリーチ3など)が発生する場合には、信頼度の低いリーチよりも成り下がりが発生しやすくしてもよい。一方、信頼度の低いリーチが発生する場合に、信頼度の高いリーチよりも成り下がりが発生しやすくしてもよい。このように、変動表示ゲームの結果ではなく、成り下がりの許容可否を演出内容に対応させてもよい。
また、変動表示ゲームの結果が大当りの場合における変動パターンの信頼度で成り下がりを許容してもよい。例えば、高信頼度の変動パターン(リーチ)のほうが低信頼度の変動パターン(リーチ)が選択された場合よりも成り下がりが発生する可能性が高くなるように設定する。逆に、低信頼度の変動パターン(リーチ)のほうが高信頼度の変動パターン(リーチ)が選択された場合よりも成り下がりが発生する可能性が高いようにしてもよい。
また、大当り遊技が終了した後に変動表示ゲームの確率状態が通常状態か確変状態かを明確に報知しない不明瞭モードを実行されている場合に、実際の確率状態が通常状態の場合に限り、乱数の生成範囲を調整するようにしてもよい。この場合、確率状態が確変状態であれば、成り下がりが発生しても変動表示ゲームの当選確率が高いため、結果的に遊技者を落胆させることが少ないし、通常状態であれば、成り下がりが発生しないため、ストーリーリーチの演出によって遊技者を落胆させることが少なくなる。逆に、確変状態の場合に限り、乱数の生成範囲を調整して成り下がりを防止するようにしてもよい。このように構成することによって、成り下がりが発生したことで遊技者は現在の確率状態が通常状態(低確率)であることを認識することができる。
さらに、不明瞭モードでは乱数の生成範囲を調整せずに成り下がりが発生した場合に明示的に確率状態を報知するようにしてもよい。また、不明瞭モードに乱数の生成範囲を調整するモードと、乱数の生成範囲を調整しないモードの2種類のモードを設定可能としてもよい。さらに、これらのモードを遊技者が選択できるようにしてもよい。このように構成することによって、遊技者は確率状態を早期に認識可能とするか、落胆の少ない演出が実行できるようにするかを選択することが可能となる。
[15−2.制御例]
続いて、成り下がりを許容する制御について説明する。本実施形態では、成り下がりを防ぐために、乱数の生成範囲を調整していたが、具体的な手順について説明する。
例えば、成り下がりを許容する場合には、乱数の上限値又は下限値を規定値(初期値)に再設定する。この場合、成り下がりとならない可能性もあるが、大当りの報知演出として成り下がりを発生させる場合には、必ず成り下がりを発生させるように乱数の範囲を設定すればよい。また、乱数の上限値又は下限値を規定値(初期値)までではなく所定段階戻すように設定してもよい。このようの構成することによって、成り下がりの発生確率や段階を調整することができる。
また、前述したように、所定範囲の乱数を重複して発生させることで偏った分布の乱数を発生させてもよい。この場合、重複範囲を成り下がりを発生させる範囲としたり、逆に成り上がりを発生させる範囲としたりすることによって、成り下がり(成り上がり)の発生確率を調整してもよい。さらに、乱数のカウンタの初期値、最小値及び最大値を設定することによって生成される乱数の範囲を調整するようにしてもよい。
また、乱数を更新するカウンタは、前述のように、所定のタイミング(タイマ割り込み処理)で1ずつ加算されているが、これを遊技状態に応じて加算する数値を変更してもよい。例えば、通常遊技状態では1加算し、高確率状態(確変状態)では別の乱数を抽出して加算する。このように乱数カウンタの更新方法を変化させることによって、遊技状態に応じて成り下がりの発生頻度を変化させることが可能となる。
[16.電源遮断時の処理]
ここで、受信コマンド解析処理において、電断コマンド又は電源投入コマンドを受信した場合の処理について説明する。
前述のように、電断コマンドは、主制御基板4100に外部からの電源供給が停止した場合に送信される。なお、電断コマンドが送信される前には、前述のように、主制御基板4100から停電予告信号が出力され、周辺制御部停電予告信号割り込み処理が実行されることによってコマンドのバックアップ等の処理が実行される。
周辺制御基板4140では、電源が遮断される態様に応じた処理を実行する。具体的には、外部からの電源供給が停止して遊技機全体(主制御基板4100及び周辺制御基板4140)に電源の供給が遮断された場合、主制御基板4100にのみ電源の供給が遮断された場合、周辺制御基板4140にのみ電源の供給が遮断された場合がある。以下、それぞれの場合について説明する。
[16−1.周辺制御基板のみ電源が遮断された場合]
配線の接触不良などの要因で周辺制御基板4140のみに対して電源の供給が遮断された場合、主制御基板4100における遊技制御は継続されている。このとき、周辺制御RAM4150cの記憶内容が消失していない場合、すなわち、周辺制御RAM4150cの記憶内容がバックアップ管理対象ワークエリア4150caの記憶内容と一致している場合には、前述したように、ホットスタートとして演出制御を再開(継続)する。
なお、ホットスタートで演出制御を再開した場合であっても、周辺制御基板4140において電源供給が一時的に遮断されたことを報知してもよい。電源供給遮断の報知は、例えば、電源投入時の初期画面を表示してもよいし、電源が遮断されたことを報知する画面を表示してもよい。
また、電源の遮断によって、主制御基板4100における時間計測(タイマ)と、周辺制御基板4140における時間計測との間でずれが生じてしまうおそれがある。例えば、主制御基板4100における特別図柄の変動表示と、周辺制御基板4140における装飾図柄の変動表示の変動開始からの経過時間がずれてしまう可能性がある。この場合には、装飾図柄の変動表示のほうが遅く終了するため、特図同調演出終了コマンドを受信した時点で特図同調演出を終了させてもよい。また、変動開始時に初期図柄を表示する必要がある場合には、デフォルトのハズレ図柄又は所定の図柄を表示する。所定の図柄は、大当り以外の図柄であればよく、停電発生時専用の図柄であってもよい。
また、大当り遊技の実行時に電源が遮断された場合には、次のラウンドに移行することを示す大入賞口閉鎖表示コマンドやエンディングコマンドなどを受信したタイミングで時間計測のずれを修正すればよい。
なお、周辺制御RAM4150cの記憶内容が消失してしまった場合には、周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域に値0を書き込んでコールドスタートとして演出制御を再開する。
コールドスタートとして演出制御が再開されたタイミングで特定演出を伴う演出(変動パターン)が実行されていた場合には、一連の特定演出の実行を中断する。一方、ホットスタートの場合には、特定演出の進行情報が保持されていればそのまま演出を継続してもよいし、シナリオの抽選結果を破棄し、シナリオを再抽選してもよい。各特定演出実行時にシナリオを抽選する場合には、各特定演出の内容に齟齬が生じないように、最後の特定演出がすべて終了するタイミングまで、以降の特定演出を実行するためのシナリオを抽選せずに、特定演出を実行しないようにしてもよい。なお、コールドスタート又はホットスタートのいずれであっても、周辺制御基板の電源が遮断された場合には特定演出の実行を中止するようにしてもよい。
[16−2.主制御基板のみ電源が遮断された場合]
主制御基板4100の電源のみが遮断され、周辺制御基板4140の電源が供給されている場合には、前述のように、主制御基板4100から電断コマンドが周辺制御基板4140に送信される。このとき、周辺制御基板4140は、実行中の演出表示を電源遮断時の画面表示(異常報知画面)に切り替える。その後、主制御基板4100に電源の供給が再開されると、電源投入コマンドとともに、遊技状態を通知するコマンドを周辺制御基板4140に送信する。なお、遊技状態を通知するコマンドは電源投入コマンドと一体となっていてもよい。
周辺制御基板4140は、電源投入コマンドとともに通知された遊技状態が現在実行中の演出内容と一致する場合には、演出画面に復帰させてそのまま演出を継続する。このとき、電源投入コマンドとともに通知された情報だけでは演出画面に復帰できない場合には、遊技者が誤認しないような演出を実行する。例えば、実行中の演出に復帰できない場合とは、例えば、装飾図柄の変動表示の停止結果を表示している状態や大当り遊技中のラウンド演出などである。遊技者が誤認しないような演出とは、例えば、装飾図柄の変動表示中であれば、すべての装飾図柄を高速に変動表示させたり、異常時専用の装飾図柄を表示させたりする。また、大当り遊技中であれば、ラウンド数を表示せずに大当り遊技中であることだけを表示すればよい。
また、遊技状態と現在演出中の表示状態が異なっていれば、異常報知画面を表示する。そして、主制御基板4100から正常なコマンドを受信した場合に受信したコマンドに対応した演出を行うことで正常な状態に復帰する。なお、異常報知画面について、遊技者が異常を生じたことを認識できる程度の表示であればよい。このとき、擬似連続変動やストーリーリーチの変動パターンで変動表示が実行されている場合には特定演出の実行は中止され、連続先読み演出が継続中の場合でも以降の特定演出の実行(シナリオの抽選)は中止される。
[16−3.主制御基板及び周辺制御基板の電源が遮断された場合]
遊技機に対する電源が遮断された場合、主制御基板4100にはバックアップ電源から電源が供給され、RAMに記憶された内容は所定期間保持される。前述のように、主制御基板4100から電断コマンドが周辺制御基板4140に送信される。
その後、遊技機に再び電源が供給されると、主制御基板4100は電源投入コマンドを周辺制御基板4140に送信する。このとき、主制御基板4100から周辺制御基板4140に遊技状態が通知され、客待ち状態のような遊技停止状態でない場合には、周辺制御基板4140は、電源の遮断が発生したことを報知する演出を実行した後、客待ち等の遊技者に誤認を与えないような演出に切り替える。その後、主制御基板4100から正常なコマンドを受信すると、受信したコマンドに対応した演出を行うことで正常な状態に復帰する。この場合、擬似連続変動やストーリーリーチの変動パターンで変動表示が実行されている場合には特定演出の実行は中止され、連続先読み演出が継続中の場合でも以降の特定演出の実行(シナリオの抽選)は中止される。
[16−4.電源遮断時のまとめ]
以上のように構成することによって、主制御基板4100や周辺制御基板4140への電源供給が遮断された場合であっても、擬似連続変動やストーリーリーチの変動パターンで変動表示の実行を継続するか否かを適切に判断することができる。
[17.普図先読み演出]
続いて、普通図柄種別先読み演出(普図先読み演出)について説明する。本実施形態では、主制御基板4100から普通図柄種別先読み演出コマンドを受信すると、普図先読み演出が実行される。図72は、本実施形態における普図先読み演出制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。図73は、本実施形態の普図先読み演出の一例を示す図である。
演出制御プログラムは、普図先読み演出制御処理が開始されると、まず、普図先読み演出実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2201)。普図先読み演出実行フラグは、前述のように、普通図柄種別先読み演出コマンドを受信した場合に、受信コマンド解析処理(図48)において設定される。演出制御プログラムは、普図先読み演出実行フラグがセットされていない場合には(ステップS2201の結果が「No」)、普図先読み演出を実行しないため、本処理を終了する。
一方、演出制御プログラムは、普図先読み演出実行フラグがセットされている場合には(ステップS2201の結果が「Yes」)、普図先読み演出を現在実行中であるか否かを判定する(ステップS2202)。普図先読み演出を実行中の場合には(ステップS2202の結果が「Yes」)、実行中の普図先読み演出を継続するため、ステップS2207以降の処理を実行する。
演出制御プログラムは、普図先読み演出を実行中でない場合には(ステップS2202の結果が「No」)、普図先読み演出の実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2203)。普図先読み演出の実行条件は、例えば、遊技状態や他の演出の実行状況などに応じて成立可否を判定する。演出制御プログラムは、普図先読み演出の実行条件が不成立の場合には(ステップS2203の結果が「No」)、普図先読み演出実行フラグをクリアし(ステップS2209)、本処理を終了する。
また、本実施形態では、普図先読み演出を実行するタイミングを特に限定していない。例えば、特別図柄の変動表示に対応する装飾図柄の変動表示(特図同調演出)の実行状態とは独立して実行させてもよい。図73(A)に示すように、特別図柄に対応する装飾図柄が変動表示している間であっても、図73(B)に示すように、普図先読み演出が実行される。また、普図先読み演出の実行タイミングは、装飾図柄が停止表示されているタイミングであってもよい。また、図73に示すように、特図先読み演出が実行されている間であっても、並行して普図先読み演出を実行してもよい。
一方、主制御基板から4100から普図先読み演出の実行を指示するコマンド(普通図柄種別先読み演出コマンド)を受信した場合であっても周辺制御基板4140が普図先読み演出の実行可否を判定することが可能となっている。例えば、遊技者が注目する演出(例えば、リーチ演出など)が実行されている場合や、普図先読み演出の実行中に特別な演出が実行される場合には、普図先読み演出の実行条件を不成立として、普図先読み演出の実行を規制してもよい。また、複数種類の予告演出が同時に実行されないように、特別抽選の先読み予告演出が実行されている場合には周辺制御基板4140側の処理で普通抽選の先読み予告演出の実行を規制するようにしてもよい。
本実施形態における普図先読み演出では、図73(B)に示すように、画面右上部に星形状の普図先読み演出領域が表示され、領域内で図柄が変動表示するように構成される(図73(C))。そして、変動表示の結果、当りに対応する図柄(「当」、図73(D))やはずれに対応する図柄(「−」、図73(E))が停止表示され、普図抽選の結果が報知される。遊技者は、普図先読み演出領域で当りを示す図柄が停止した場合に可動片2106を備える下始動口2102を狙って遊技球を発射すればよい。また、当りを示す図柄が停止した場合には、下始動口2102を狙って遊技球を発射するように遊技者に報知してもよい。このとき、演出制御プログラムは、遊技者が下始動口2102を狙って発射する時間を確保するために、可動片2106が左右方向に拡開される所定時間前に、普図先読み演出の結果が表示されるように制御する。
さらに、普通抽選の当りの種類によって可動片2106の可動態様が複数設定されている場合には、遊技者にとっての有利度(下始動口2102への遊技球の入賞しやすさ)に応じて普図先読み演出の実行条件が成立したか否かを決定してもよい。例えば、可動片2106の可動態様として、可動片2106が左右方向に拡開している時間を長く設定したり(ロング開放)、可動片2106が可動する回数が多くなるように設定したりする。このとき、ロング解放などの遊技者に有利な可動態様の場合に限り、普図先読み予告を実行するようにしてもよい。
また、当りとはずれ以外の複数種類の図柄を定義し、普通抽選が大当りとなる期待度に応じて停止図柄を設定するようにしてもよい。さらに、停止図柄を可動片2106の可動態様に対応させてもよい。普図抽選が当りとなった結果、ロング開放の態様で可動片2106が可動する場合には当りとして報知する停止図柄を設定し、短時間の開放態様の場合には、当りでもはずれでもない別の停止図柄としてもよい。
なお、普通図柄の変動時間が短い時短状態の場合には、普通図柄種別先読み演出を実行しなくてもよい。当選確率が高く、普通抽選の結果を予告しても遊技者にとっての利益が少なく、また、普通図柄の変動時間が短いため、普図先読み演出を実行する時間を十分に確保できないからである。すなわち、遊技状態に応じて普図先読み演出の実行可否を決定するようにしてもよい。
演出制御プログラムは、普図先読み演出の実行条件が成立した場合には(ステップS2203の結果が「Yes」)、普図先読み演出領域を表示する(ステップS2204)。そして、普図先読み演出における図柄を変動表示させる時間を設定するために、普図先読み演出タイマをセットし(ステップS2205)、普図先読み演出を開始する(ステップS2206)。なお、普図先読み演出タイマがタイムアップするまでの時間は固定でもよいし、遊技状態に応じてもよいし、普通図柄の変動時間応じてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
さらに、演出制御プログラムは、普図先読み演出が実行中の場合には(ステップS2202の結果が「yes」)、普図先読み演出タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS2207)。普図先読み演出タイマがタイムアップしていない場合には(ステップS2207の結果が「no」)、普図先読み演出を継続するため、本処理を終了する。
一方、演出制御プログラムは、普図先読み演出タイマがタイムアップした場合には(ステップS2207の結果が「Yes」)、普図抽選の先読み結果を表示するため、変動中の図柄を停止表示させる(ステップS2208)。最後に、普図先読み演出実行フラグをクリアし(ステップS2209)、本処理を終了する。
なお、以上説明した普図先読み演出は、遊技盤側液晶表示装置1900の画面上にて実行されていたが、上皿側液晶表示装置470の画面にて実行するようにしてもよい。また、普図先読み演出は、表示装置に表示するだけでなく、可動役物を動作させたり、ランプなどの発光体を発光させたり、スピーカーから音声を出力させたりするなど複数の演出装置で実行可能としてもよく、これらの複数の演出装置による組み合わせであってもよい。複数の演出装置による組み合わせて普図先読み演出を実行する場合、複数の演出装置で同時に実行する場合以外にも、複数の演出装置のうちいずれかの演出装置で普図先読み演出を実行するようにしてもよい。例えば、画面表示と音声出力で普図先読み演出を行う場合、画面表示によって普図先読み演出を実行することができない状態(例えば、エラー報知中、別の(先読み)演出を実行している場合等)の場合には、表示装置による演出の実行を規制し、音声出力による普図先読み演出のみを実行する。また、普図先読み演出の実行を規制するのではなく、普図先読み演出を他の演出と重複させて実行するようにしてもよい。この場合、普図先読み演出の演出態様を変化させる。例えば、画面表示を半透明にして普図先読み演出を実行してもよいし、ボリュームを絞って音声出力を行うようにしてもよい。
[18.効果等]
以上のように、本実施形態によれば、遊技状態などに応じて動的に乱数値の範囲を変更することによって、制御を複雑化させずに成り下がりを防ぐなど、矛盾のない連続演出を実行することができる。
また、特定演出を含む演出の実行中に所定の初期化条件が成立すると、特定演出を実行するためのフラグや乱数初期値がクリアされる。所定の初期化条件は、例えば、演出の実行中に電源の供給が遮断され、演出を継続することができない場合などである。
また、演出の実行中に大当りや小当りなどを発生させる始動入賞があった場合、特定の変動パターン(例えば、期待度の高いレアな変動パターンなど)を発生させる始動入賞があった場合、遊技状態(遊技モード)の移行条件が成立した場合にも特定演出を含む演出の実行を中止し、フラグや乱数初期値をクリアする。
例えば、前述した下始動口2102に遊技球が入賞したことに基づく変動表示が上始動口2101に入賞した場合よりも優先して実行される仕様において、優先して実行される変動表示の結果が大当りなどの上記初期化条件を満たす場合に、フラグや乱数初期値をクリアし、特定演出を含む演出の実行を中止する。このように構成することによって、大当りの発生や遊技状態の変化などのイベントが発生することで特定演出が中断され、中途半端な状態で再開されることを防止することができる。
また、成り下がりを防止するためだけでなく、連続的に実行され、順序性を有する演出を実行する場合に本発明を適用してもよい。
例えば、大当り遊技でラウンドごとの演出を選択する場合に適用してもよい。この場合、大当り遊技の開始時に各ラウンドの演出を選択してもよいし、所定数のラウンドごと(例えば、15ラウンドの大当り遊技で3ラウンドごと)に演出内容を選択するようにしてもよい。また、途中のラウンド(例えば、15ラウンド中の7ラウンド)までは、共通の演出を実行し、以降のラウンド(例えば、8ラウンド以降)については、演出内容を選択するようにしてもよい。このとき、例えば、大当り遊技終了後に実行される変動表示ゲームの始動記憶に大当りとなる始動記憶が含まれている場合には、特別な演出が実行されやすい演出パターンを選択して、連続大当りであることを遊技者に示唆(報知)してもよい。
以上説明したように、本発明の特徴は、遊技状態などに応じて動的に乱数値の範囲を変更することによって、制御を複雑化させずにバリエーションに富んだ演出を実行することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ストーリーリーチ、擬似連続変動、連続先読み演出における特定演出の選択パターンをすべて網羅した予告抽選テーブルを保持する必要がないため、演出の多様化に伴う記憶容量の増大を抑制することが可能となる。
[19.特図先読み(判定・演出)の禁止]
ここでは、主制御基板4100の主制御MPU4100aが特図先読み判定を禁止する制御と周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aが特図先読み演出を禁止する制御とについて説明する。
[19−1.主制御基板側の制御(特図先読み判定の禁止)]
[19−1−1.コマンド]
まず、図74及び図75は、主制御基板から周辺制御基板へ送信されるコマンドのうち特図先読みに係るコマンドについての詳細な内容を説明するテーブルの一例である。図74は、図16にて前述した「8−10.その他」のコマンド変形例を示すテーブルの一例である。図75は、図15にて前述した「8−1.特図1同調演出関連」の特図1図柄種別コマンド及び「8−2.特図2同調演出関連」の特図2図柄種別コマンドの詳細を示すテーブルの一例である。なお、前述と同様の構成については説明を省略する。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出の開始を指示するものである。ここでは、上始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した場合はモード値を「01H」とし、下始動口スイッチ2109からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した場合はモード値を「02H」とする。
次に、前述(図16)では、特別図柄1保留数が変化したタイミング(上始動口2101への遊技球入賞による保留数(始動記憶数)の増加タイミング、又は、上特別図柄表示器1185における変動表示による保留数の減少タイミング)で、特別図柄1記憶コマンドが周辺制御MPU4150aに送信され、さらに、特別図柄1保留数が増加する場合(上始動口2101への遊技球入賞時)は特別図柄1保留数指定コマンドが送信されていた。したがって、特別図柄1記憶コマンドは0〜4個の保留数情報を有し、これに合わせてモード値「00H」〜「04H」が設定されている。また、前述したように、特別図柄1保留数指定コマンドは増加時の保留数だけでなく先読み演出の有無を通知する。特別図柄1保留数指定コマンドは、モード値の上位4ビットが「1」の場合には「先読み有」情報を表し、モード値の上位ビットが「0」の場合には「先読み無」情報を表している。そして、特別図柄1保留数指定コマンドが「先読み有」の場合には、先読み演出の開始を指示する役割も果たす。なお、特別図柄2記憶コマンド及び特別図柄2保留数指定コマンドは、特別図柄1とステータス値が異なるだけで同様の構成である。
これに対し、変形例(図74)では、特別図柄1保留数が減少する場合(変動開始時)と増加する場合(始動口入賞時)とで送信されるコマンドが異なる。特別図柄1保留数が減少したタイミング(上特別図柄表示器1185における変動表示による保留数の減少タイミング)、すなわち、該変動表示の開始タイミングで、保留球数を示す変動開始時特別図柄1記憶コマンドが送信される。したがって、保留数減少時に送信される変動開始時特別図柄1記憶コマンドは0〜3個の保留数情報を有し、これに合わせてモード値「01H」〜「04H」が設定される。一方、特別図柄1保留数が増加したタイミング(上始動口2101への遊技球入賞による保留数の増加タイミング)では、保留球数及び先読みの有無を示す先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドが送信される。したがって、保留数増加時に送信される先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドは1〜4個の保留数情報を有し、これに合わせてモード値「*2H」〜「*5H」が設定される。なお、モード値の上位4ビット「*」は、「先読み無」の場合に「0」が設定され、「先読み有」の場合に「1」が設定される。これら先読みの有無情報の設定は、後述の記憶先読み処理(図76)のステップS242の処理(「先読み無」)及びステップS280の処理(「先読み有」)にて行われる。先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドと前述の特別図柄1保留数指定コマンド(図16)とは、周辺制御MPU4150aに送信する情報は同じであるが、コマンドを構成するステータス値及びモード値の設定が異なる。なお、変動開始時特別図柄2記憶コマンド及び先読み時特別図柄2記憶先読みコマンドは、特別図柄1とステータス値が異なるだけで同様の構成である。
また、先読み有り時の場合(すなわち、先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドのモード値の先頭アドレスが「1」である場合)に限り、図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド及び変動タイプ先読みコマンドが送信される。なお、変形例では、変動振り分けテーブル情報先読みコマンドも送信される。したがって、変形例では、前述の記憶先読み処理(図24)に、先読み判定を行った場合に変動振り分けテーブル情報先読みコマンドの送信を設定する処理が追加される。
ここで、図76を参照して、変形例の記憶先読み処理について説明する。図76は、変形例の記憶先読み処理の一例を示すフローチャートである。なお、前述の記憶先読み処理(図24)と共通する処理については同じ符号を付し説明を省略する。
変形例では、前述したように、先読み判定を行った場合に変動振り分けテーブル情報先読みコマンドを送信する。したがって、主制御MPU4100aは、先読み結果を示すコマンド(図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド及び変動タイプ先読みコマンド)を、周辺制御基板4140に送信するためのコマンドバッファに設定する(ステップS268〜S278)ときに、変動振り分けテーブル情報先読みコマンドも該コマンドバッファに設定する(ステップS279a及びS279b)。変動振り分けテーブル情報先読みコマンドについては、図74を参照して後述する。また、ステップS284の処理において取得するコマンドは、対応する特図の先読み時特別図柄記憶先読みコマンド(図74)が対象となる。前述したように、先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドは、特別図柄1(2)保留数指定コマンド(図16)と保持する情報は同じである。
図74に戻る。図柄種別先読みコマンドは、記憶先読み処理(図76)の特別図柄大当り判定処理(ステップS250、図27)及び特別図柄判定処理(ステップS252、図28)の結果に応じて、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するコマンドである。同様に、変動開始時に実行される特別図柄・フラグ設定処理(図34)の特別図柄大当り判定処理(ステップS510、図27)及び特別図柄判定処理(ステップS512、図28)の結果に応じて、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するコマンドとして、特図1(2)図柄種別コマンドがある。これらのコマンドの詳細な構成について説明する。
図柄種別先読みコマンド(図74)及び特図1(2)図柄種別コマンド(図75)のモード値には、はずれ又は大当り図柄種別0〜48が対応付けられている。図柄種別先読みコマンドは、はずれに対しモード値「01H」が設定され、特定大当りを示す大当り図柄種別0〜44に対して図柄種別毎にモード値「02H」〜「46H」が設定され、非特定大当り(小当り)を示す大当り図柄種別45〜48に対して同一のモード値「50H」が設定される。一方、特図1(2)図柄種別コマンドは、非特定大当り(小当り)を示す大当り図柄種別45〜48に対しても図柄種別毎にそれぞれモード値「47H」〜「50H」が設定される。
変動パターン先読みコマンドは、前述したとおり、演出パターン(変動パターン)を指定するコマンドである。変動パターンを示す変動パターン値(変動パターン番号)は、記憶先読み処理(図76)の変動パターン選択判定処理(ステップS258、図29、図30)において変動パターン用乱数1及び変動パターン用乱数2を用いて設定される。変動パターン用乱数1は複数から演出モードを設定するために用いられ、変動パターン用乱数2は、設定された演出モードに応じた詳細の演出内容(演出パターン)を設定するために用いられる。
変動タイプ先読みコマンドは、設定された変動パターンに対して疑似連続変動を行うか否かの情報(時間の加算値)を指定するコマンドである。時間の加算値は、記憶先読み処理(図76)の変動タイプ判定処理(ステップS262、図31)において変動タイプ用乱数を用いて設定される。変動タイプ用乱数によって疑似連続変動を行わないと判定された場合には、設定された変動パターンの変動時間を維持する。また、変動タイプ用乱数によって疑似連続変動を行うと判定された場合は、該変動タイプ用乱数によって、設定済みの変動パターンに対応する変動タイプ(タイプA〜Cのいずれか)に応じた疑似連続変動の実行回数(1〜3回)が決定される。このとき、疑似連続変動の実行回数に応じて時間の加算値が対応付けられているので、タイプ別の実行回数が決定されることで時間の加算値が設定されることになる。したがって、疑似連続変動が行われる場合には、変動パターンに設定される変動時間が延長される。
変動振り分けテーブル情報先読みコマンドは、変動開始時に変動パターン選択判定処理(図29)において変動パターンを決定するときに用いられる変動振り分けテーブルを指定するコマンドである。前述したように、変動振り分けテーブルには、大当りとなる場合(ステップS350にて「yes」)に用いられる大当り変動選択情報種別テーブル(大当り振り分けテーブル)、はずれとなるがリーチ演出を行う場合(ステップS372にて「yes」)に用いられるリーチ変動選択情報状態テーブル(リーチ振り分けテーブル)、及び、はずれとなりリーチ演出を行わない場合(ステップS372にて「no」)に用いられるはずれ変動選択情報テーブル(非リーチ振り分けテーブル)が設けられている。そして、変動振り分けテーブル情報先読みコマンドに設定される変動開始時の変動振り分けテーブルには、前述の3つの振り分けテーブルの他に、リーチ又は非リーチ振り分けテーブルがある。リーチ又は非リーチ振り分けテーブルは、先読み時と変動開始時とで保留球数が変化するとリーチ演出を行うか否かのリーチ判定の結果が変わる可能性があるリーチ判定用乱数を有する保留(始動記憶)に対して設定されるテーブルである。
ここで、図77を参照して、先読みコマンドの一つとして変動振り分けテーブル情報先読みコマンドを送信するメリットについて説明する。図77は、(A)変動パターン選択判定処理(図29)を前述の変動振り分けテーブルに着眼して簡素化した略式フローチャートの一例であり、(B)リーチ判定用乱数と比較値の相関に応じたリーチ実行可否テーブルの一例である。
図77(A)に示すように、変動パターン選択判定処理では、大当り判定用乱数によって大当り判定が行われ、大当りとなる場合には大当り振り分けテーブルが設定される。一方、大当り判定の結果がはずれとなる場合には、リーチ判定用乱数によってリーチ判定が行われる。リーチ判定では、リーチ判定用乱数の値が比較値(リーチしきい値)よりも小さい場合にリーチ振り分けテーブルが設定され、リーチ判定用乱数の値が比較値よりも大きい場合に非リーチ振り分けテーブルが設定される。その後、設定されたテーブルを用いて変動パターン用乱数1から演出モードが決定され、該演出モードにおいて変動パターン用乱数2から変動パターンが決定される。
リーチ判定では、図77(B)に示すように、比較値(リーチしきい値)が判定時の保留球数に応じて変動する。ここでは、判定時の保留球数が4個である場合の比較値を10とし、保留球数が1個減少するごとに比較値が10加算されるとする。この場合、リーチ判定用乱数が0〜9の場合は、保留球数が0〜4個のいずれであってもリーチ振り分けテーブルが設定されることになる。しかし、リーチ判定用乱数が10〜49の場合は、保留球数に応じてリーチ判定の結果が異なるので、リーチ振り分けテーブル及び非リーチ振り分けテーブルのどちらかが設定されることになる。また、リーチ判定用乱数が50以上の場合は、保留球数に関係なく常に非リーチ振り分けテーブルが設定されることになる。
したがって、変動振り分けテーブル情報先読みコマンドのモード値には、大当り判定結果が大当りとなる場合「01H」、はずれとなる場合において、リーチ判定用乱数が0〜9のとき「02H」、リーチ判定用乱数が10〜49のとき「03H」、リーチ判定用乱数が50以上のとき「04H」が設定される。
このように、先読み時に主制御基板から周辺制御基板に変動振り分けテーブル情報先読みコマンドを送信することで、周辺制御MPU4150aは、モード値が「03H」の保留に対して先読み時と変動開始時とで保留球数が変動するとリーチ判定の結果が異なる可能性があることを考慮した先読み演出制御を実行することが可能となる。なお、記憶先読み処理(図76)において、変動振り分けテーブル情報先読みコマンドのモード値が「03H」となる場合には、ステップS280の先読み有り時の保留コマンド参照値を設定する処理を行わず、ステップS242の先読み無し時の保留コマンド参照値を設定した状態を維持するようにしてもよい。すなわち、主制御MPU4100aは、先読み判定は行うが先読み判定結果情報を周辺制御基板4140に送信しない。この場合は、「先読み無」の特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを周辺制御基板に送信する。これにより、周辺制御MPU4150aによる先読み演出制御を簡素化することができ、制御負担を軽減することができる。
以上のように、上始動口2101(下始動口2102)への遊技球入賞時に主制御基板から周辺制御基板へ送信される特別図柄1記憶先読みコマンド(特別図柄2記憶先読みコマンド)には、保留球数情報とともに先読み演出を行うか否か(「先読み有」又は「先読み無」)の情報が含まれる。そして、「先読み有」の場合にのみ図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド、変動タイプ先読みコマンド及び変動振り分けテーブル情報先読みコマンドが送信され、「先読み無」の場合にはこれらの先読みコマンドは送信されない。周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aは、始動口入賞発生時に送信される特別図柄1記憶先読みコマンド(特別図柄2記憶先読みコマンド)さえ受信すれば、他の先読みコマンドの受信を待つことなく先読み演出の実行対象か否かを判別することができる。周辺制御MPU4150aは、「先読み有」の特別図柄1記憶先読みコマンド(特別図柄2記憶先読みコマンド)を受信した場合(特定の遊技情報を受信した場合)には、他の先読みコマンドの受信や特図先読み演出実行フラグのセット(受信コマンド解析処理のステップS1408、図48)を行って先読み演出の実行条件を成立させる処理(第一事前処理)を実行した上で、特図先読み演出制御処理(図42のステップS1027、第二事前処理)を実行し、先読み演出を実行する。また、周辺制御MPU4150aは、「先読み無」の特別図柄1記憶先読みコマンド(特別図柄2記憶先読みコマンド)を受信した場合は、後に先読みコマンドが送信されてこないことを把握することができるので、その他の先読みコマンドの受信を待つことなく先読み演出の不実行決定(特図先読み演出実行フラグをセットしない)を即断することができる。すなわち、この場合、周辺制御MPU4150aは、第一事前処理を実行せずに第二事前処理である特図先読み演出制御処理(図66)を実行することになり、特図先読み演出実行フラグがセットされていないことから(ステップS2001にて「No」)先読み演出を実行することなく当該特図先読み演出制御処理を終了する。
また、主制御基板4100側で先読み判定が行われなかった場合(「先読み無」のコマンドを受信した場合)は、周辺制御基板4140に先読み演出の設定に必要なコマンド(図柄種別先読みコマンド、変動パターン先読みコマンド、変動タイプ先読みコマンド及び変動振り分けテーブル情報先読みコマンド)が送信されないので、始動口入賞時(先読み時)に送信されるコマンドが簡潔になるとともに、周辺制御MPU4150aが先読み演出を実行してしまう誤制御を未然防止することができる。また、後述するように遊技の進行において発生し得る先読み演出の不具合に対してバックアップ機能を有する主制御基板4100が先読みの有無情報を周辺制御基板4140に送信可能なことで、適切な先読み演出の実行を促進することができる。なお、特別図柄1(2)記憶先読みコマンドに「先読み無」が設定される条件(すなわち、主制御基板4100が先読みを禁止する条件)については、図78にて後述する。
また、始動口入賞時(先読み時)に送信される図柄種別先読みコマンドは、条件装置の作動を伴う特定大当り(第一特定結果)は特定大当り種類毎に異なるモード値が設定されるが、条件装置の作動を伴わない所謂小当りとされる非特定大当り(第二特定結果)は非特定大当り種類に関係なく共通のモード値が設定される。すなわち、主制御基板4100は、先読み判定結果が特定大当り(第一特定結果)の場合には特定大当りの種類を特定可能にモード値が設定されたコマンド(第一特定情報)を周辺制御基板4140に送信するが、先読み判定結果が非特定大当り(第二特定結果)の場合には非特定大当り種類を特定不能にモード値が統一されたコマンド(第二特定情報)を送信する。そして、変動開始時に送信される特図1(2)図柄種別コマンドは、非特定大当りも非特定大当り種類毎に異なるモード値が設定される。これにより、所謂小当りとされる非特定大当りとなる保留に関しては変動開始時までその種類を周辺制御基板4140すら把握することができないので、該保留の先読み演出から遊技者に小当りの種類が読み取られる虞がない。よって、適度に期待度を高める先読み演出を提供でき、遊技の興趣低下を抑制することができる。
例えば、小当りを契機に大入賞口が開放され、該大入賞口内の特定領域(Vゾーン)への遊技球入賞(V入賞)によって大当りが発生する2種羽根物のVゾーン入賞構造を備えるパチンコ機では、小当りの種類に応じて特定領域への遊技球入賞の容易さが異なる。すなわち、小当りの種類に応じて大当りが導出され得るか否かが決まる。また、小当りの種類に応じて導出される大当りの種類が異なるので、遊技者が獲得可能な特典(時短回数等)が異なる。このため、遊技者にとって小当りの種類情報がより重要になる。このようなパチンコ機において小当り種類を把握可能な先読み演出を行うと、遊技者は小当り種類に応じて打ち分けを行い、容易に大当りや特定の特典を狙うことが可能になってしまう。したがって、小当り種類に応じた先読み演出が実行されないようにすることで、変動開始されるまで遊技者には何ら予測可能な要素(情報)が与えられないようにする。これにより、遊技の公平性を保ち、遊技の興趣を高めることができる。
[19−1−2.先読み判定の禁止条件]
図78は、(A)変形例の主制御基板4100が先読みを禁止する条件を示すテーブルの一例であり、(B)状態移行時に先読みを禁止する効果について説明する図である。
前述の記憶先読み処理(図76)では、遊技球の始動入賞のタイミングと、実際に変動が開始されるタイミングとで変動パターンを選択するテーブルが異なる場合(ステップS244にて「yes」)、又は、テーブルが変化せずとも先読み判定禁止期間である場合(ステップS246にて「yes」)に、先読み判定を禁止している。そして、先読み判定を禁止した場合は、特別図柄1(2)記憶先読みコマンドに「先読み無」が設定される。
ここで、図78(A)に示すように、変動パターンを選択するテーブルが異なる場合(ステップS244にて「yes」)とは、具体的には始動入賞時の確率状態が変動開始時の確率状態と異なる場合や始動入賞時の時短状態が変動開始時には非時短状態となる場合等が挙げられ、確率状態や時短状態の状態維持回数(ゲーム数)又は変動パターンを選択するテーブルの状態維持回数(ゲーム数)が4回以内に該当するときを示す。この場合は、特別図柄の種類に関係なく先読み判定を禁止する。
また、先読み判定禁止期間である場合(ステップS246にて「yes」)とは、上始動口(特図1始動口)2101への遊技球入賞時の遊技状態が時短状態又は条件装置の作動を伴う大当り遊技状態である場合や下始動口(特図2始動口)2102への遊技球入賞時の遊技状態が非時短状態又は大当り遊技状態である場合を示す。なお、本パチンコ遊技機1では、下始動口(特図2始動口)2102への遊技球入賞(特別図柄2保留の発生)が時短状態に限定されることから、下始動口(特図2始動口)2102への遊技球入賞時の遊技状態が非時短状態(時短状態でない状態)である場合に先読み判定を禁止している。また、大当り遊技中に発生した特別図柄保留に対して先読み判定を行っても、大当り遊技中はそれまでの遊技状態に関係なく通常(低)確率状態及び非時短状態となるので、該特別図柄保留が消化されるときの遊技状態(該大当り遊技後の遊技状態)と異なる可能性が高く、先読み判定の精度低下を招く懸念がある。このため、上始動口2101又は下始動口2102への遊技球入賞時(特別図柄保留発生時)の遊技状態が大当り遊技中である場合も、先読み判定を禁止している。
図78(B)に示すように、状態Aが100回の変動消化を契機に状態Bに移行する場合、状態Aの維持回数(残り変動回数)が4回となるタイミングで(状態Aにおける97回目の変動開始時)に先読み判定を禁止する。そして、状態Aから状態Bに移行するまでを先読み判定禁止期間とする。
状態Aにおける97回目の変動が開始される直前に発生した入賞1は、保留記憶1〜4エリア全てに保留がなければ97回目の変動として消化されるが、保留記憶1〜3エリアに保留があれば2〜4つ目の保留としてそれぞれ保留記憶2〜4エリアに記憶される。そして、98〜100回目の変動として消化される。また、保留記憶1〜4エリア全てに保留が記憶されていればオーバーフロー入賞となり記憶されない。
このように、入賞1は、変動消化が遅い場合であっても状態Aにおいて変動が実行される。入賞時と変動開始時とで状態移行がない場合、入賞時によって決定される先読み情報(大当り判定結果、変動パターン等)は、変動開始時に決定される変動情報と違わない。しかしながら、入賞1の後、すなわち、状態Aにおける97回目の変動開始後に発生した入賞2は、入賞発生時の保留球数によって入賞時と変動開始時とで状態が移行してしまうことが起こり得る。入賞2発生時の保留球数が3個であって、入賞2が4つ目の保留として保留記憶4エリアに記憶される場合は、入賞時は状態Aであっても変動開始時は状態Bとなる。これでは、入賞時に決定される先読み情報と変動開始時に決定される変動情報とでは、各種判定の前提とする状態が異なるので、同一とならない可能性がある。特に、状態Aが状態Bよりも遊技者にとって有利な状態である場合は、先読み情報に基づく先読み演出では期待度の高い演出が行われていたにも関わらず、実際は期待度の低い変動となり、遊技者を大幅に落胆させてしまう事象が発生し得る。
そこで、入賞発生時の保留球数によって入賞時と変動開始時とで状態移行が発生し得る期間、すなわち、状態Aにおける97回目の変動開始後から100回目の変動が終了して状態Aから状態Bに移行するまでの期間を先読み禁止とする。このように、変動パターンを選択するテーブルが変更になるまでの期間が所定期間(ここでは、状態の残り維持回数4変動)となった場合に先読み演出が行われないようにする。これにより、実際の変動に比較して過度な(乖離した)先読み演出が実行されることで遊技の興趣低下を招くことを防止することができるとともに、先読み演出の信頼度を上げることができる。よって、遊技の興趣の低下を抑制することができる。
なお、状態移行には、ST回数消化による高確率状態から通常確率状態への移行、時短回数消化による時短状態から非時短状態への移行、変動回数に応じた演出モード遷移による状態移行等が挙げられる。これらの状態移行により入賞時(先読み時)と変動開始時とで変動パターンを選択するテーブルが変化することが起こり得る場合は、主制御MPU4100aは、先読み判定を行わず、周辺制御MPU4150aに入賞した始動口に対応する特別図柄の保留球数と先読み無しの情報のみを送信する。
このような状態移行時の先読み禁止制御を主制御MPU4100aが行うことで、例えば、時短状態中に電断が発生して復電した場合に、周辺制御MPU4150aは、従来、残りの時短回数を把握できないため復電後は禁止していた先読み演出を実行することができるようになる。具体的には、前述したように時短状態と非時短状態とでは変動パターンを選択するテーブルが異なる。また、時短状態における変動回数(時短回数)は、主制御MPU4100aがカウントするが、時短回数情報は周辺制御基板4140側には送信されない。したがって、復電したときに周辺制御MPU4150aは、時短状態である情報は受信するが時短状態の進捗状況(残りの時短回数)は把握することができなかった。このため、時短状態から非時短状態への状態移行前の残り時短回数が4回以下になった場合に先読み演出を禁止しようとしても、その判定ができず、復電後は時短状態が終了するまで先読み演出を禁止せざるを得なかった。これに対し、本発明では、主制御MPU4100aが状態移行時の先読み禁止制御を行う。主制御MPU4100aは、時短状態から非時短状態への状態移行前の残り時短回数が4回(所定回数)以下になった場合は、先読み判定を行わないので、先読み演出に必要な先読みコマンドを周辺制御基板4140に送信しない。したがって、周辺制御MPU4150aが先読み演出を行うことはない。これにより、周辺制御MPU4150aは、時短状態中に電断が発生して復電した場合であっても、主制御MPU4100aから送信されるコマンドに従って時短状態中の先読み演出を実行することができる。よって、先読み演出が行われない期間を削減することでき、遊技の興趣低下を抑制することができる。
また、変動振り分けテーブル情報先読みコマンド(図74、図77)の説明において、モード値が「03H」となる場合には、先読み時と変動開始時とで保留球数が変動するとリーチ判定の結果が異なる可能性がある、すなわち、変動パターンを選択するテーブルが変化する可能性があると前述した。リーチ判定の結果によって変動パターンを選択するテーブルが変化する可能性があるか否かは、リーチ判定用乱数とリーチ判定に用いる比較値の上下限値によって判断可能である。比較値は、特別図柄リーチ確率データと保留球数から設定される。特別図柄リーチ確率が予め決められていれば、これらの値は、先読み判定によって変動振り分けテーブル情報先読みコマンドを設定せずとも取得可能である。このような場合は、記憶先読み処理(図76)において先読み判定(ステップS248〜280)を実行する前に先読み対象とするか否か判定する対象としてもよい。リーチ又は非リーチ振り分けテーブルのどちらも選択される可能性がある場合は、主制御MPU4100aは変動パターンを選択するテーブルが異なる場合(ステップ244にて「yes」)と判定する。
なお、本発明のパチンコ機1は、特別図柄2保留が特別図柄1保留よりも優先消化され、それぞれ上限4個まで保留記憶可能な構成であるため、移行前の状態維持回数(ゲーム数)が残り4回以下となる場合に先読みを禁止しているが、これに限らない。パチンコ機1に適用される仕様に応じて判定しきい値の回数(ここでは4回)を変更すればよい。また、前述した主制御基板側で行う特図先読み判定を実行しない制御は、後述する周辺制御基板側で特図先読み演出を行わない制御としてもよい。
[19−2.周辺制御基板側の制御(特図先読み演出の禁止)]
続いて、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aが特図先読み演出を禁止する制御について説明する。
前述では、主制御基板4100の主制御MPU4100aによる特図先読み禁止制御について述べたが、主制御MPU4100aによる先読み禁止制御だけでは、先読み演出に係る不具合発生を防止するには不十分である。例えば、パチンコ遊技機1が電断から復電した場合は、主制御MPU4100aは復電時情報(遊技バックアップ情報)を把握することが可能であるが、周辺制御MPU4150aは把握することができない。電断発生時に保留が存在していた場合に、主制御MPU4100aは、保留球数の情報を周辺制御基板4140に送信するが、該保留球数分の先読み情報(結果情報、変動パターン等、先読みコマンドの内容)までは送信しない。したがって、周辺制御MPU4150aは、電断時に保留状態となっていた電断時保留に対して先読み演出を実行することができない。また、復電後に発生した保留に対する先読み情報は主制御MPU4100aから送信されるが、電断時保留が全て消化されるまでは復電後に発生した保留の先読み演出の実行に懸念がある。
例えば、復電後の確率状態が高確率状態であって、電断時保留の中に低確率状態になる当り保留が含まれる場合に、主制御MPU4100aは復電後に発生した保留の先読み判定を高確率状態において実行するが、該当り保留の変動実行によって確率状態は高確率状態から低確率状態となる。すなわち、復電後に発生した保留が消化されるときは低確率状態である。したがって、復電後に発生した保留の先読み演出が期待度の高い演出であっても、該保留の変動演出は通常はずれ演出となる可能性があり、遊技者の期待を著しく裏切ることになり遊技の興趣低下を招く虞がある。
そこで、変形例1では、復電時を含む電源投入後、所定回数(8回)の変動が開始されるまで、周辺制御MPU4150aは、特図先読みコマンドを受信しても先読み演出を禁止する。所定回数は、特別図柄1保留と特別図柄2保留の保留上限数とする。また、前述したように、受信した先読み時変動振分テーブル情報コマンドのモード値が「03H」である場合にも先読み演出を禁止する。以下では、図79及び図80を参照して、変形例1の周辺制御MPU4150aによる先読み演出禁止制御について説明する。
また、変形例2として、電源投入時に不明保留(電断時保留)がある場合は、該不明保留が消化されるまで、周辺制御MPU4150aは、特図先読みコマンドを受信しても先読み演出を禁止する。また、変形例2では、遊技状態に限らず周辺制御MPU4150aが「先読み無」の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信した場合は、該コマンドの保留を不明保留として扱い、同様に、該不明保留が消化されるまで先読み演出を禁止する。以下では、図81〜図84を参照して、変形例2の周辺制御MPU4150aによる先読み演出禁止制御について説明する。
[19−2−1.変形例1(電源投入時、所定変動回数先読み禁止)]
まず、変形例1について説明する。図79は、変形例1の受信コマンド解析処理の一例を示すフローチャートである。なお、前述の受信コマンド解析処理(図48)と共通の処理は同一の符号を付し、説明を省略する。また、図80は、変形例1の受信コマンド解析処理における先読み禁止カウント処理の一例を示すフローチャートである。
前述したように、受信コマンド解析処理において、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの各種コマンドを周辺制御基板4140に備えられる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(周辺制御部受信リングバッファ)に記憶する。そして、主制御基板4100からの受信順序が最も早いコマンドを周辺制御部受信リングバッファから読み出し(ステップS1402)、読み出したコマンドに応じた処理を実行する。
変形例1において、周辺制御MPU4150aは、読み出したコマンドが電源投入時状態コマンドである場合に(ステップS1421にてYes)、投入後8変動先読み禁止フラグと、その他コマンドに対応するフラグを設定し(ステップS1422)、受信コマンド解析処理を終了する。パチンコ機1の電源投入後は、まず、主制御基板4100の電源投入時に主制御MPU4100aは、遊技バックアップ情報に応じた各種コマンド(演出開始と遊技状態の指示)を周辺制御基板4140へ送信する。したがって、電源投入後、周辺制御基板4140が最初に受信するコマンドは、電源投入時状態コマンドである。
そして、周辺制御MPU4150aは、読み出したコマンドが特図変動パターンコマンドである場合に(ステップS1403にてYes)、先読み禁止カウント処理を実行する(ステップS1430)。その後、周辺制御基板4140の変動表示パターン格納領域(RAM)に特図変動パターンコマンドを記憶するとともに、変動パターン受信フラグをセットし(ステップS1404)、受信コマンド解析処理を終了する。
ここで、図80を参照して、先読み禁止カウント処理について説明する。先読み禁止カウント処理は、電源投入後に特別図柄変動表示ゲームが8回実行開始されたか否かを特図先読みコマンドを受信したときも判定可能にするための設定を行う処理である。
まず、周辺制御MPU4150aは、投入後8変動先読み禁止フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1431)。そして、フラグがセットされている場合には(ステップS1431にてYes)、周辺制御RAM4150cに設けられる減算方式の先読み禁止カウントに「8」をセットする(ステップS1432)。その後、投入後8変動先読み禁止フラグを解除する(ステップS1433)。これにより、電源投入後、最初の特別図柄変動表示ゲーム開始時に、先読み禁止カウントの設定が完了する。
また、周辺制御MPU4150aは、投入後8変動先読み禁止フラグがセットされていない場合には(ステップS1431にてNo)、後述のステップS1434の処理に移行する。
次に、周辺制御MPU4150aは、先読み禁止カウントが「0」であるか否かを判定する(ステップS1434)。先読み禁止カウントが「0」でない場合は(ステップS1434にてNo)、先読み禁止カウントを1減算して更新し(ステップS1435)、先読み禁止カウント処理を終了する。一方、先読み禁止カウントが「0」である場合は(ステップS1434にてYes)、そのまま先読み禁止カウント処理を終了する。
時間経過に沿って説明する。電源投入後、1回目の変動開始時にステップS1431にてYes→ステップS1432→ステップS1433の処理が実行され、電源投入後の変動回数をカウントする先読み禁止カウントの設定が行われる。その後、ステップS1434にてNo→ステップS1435の処理が実行され、先読み禁止カウントは「7」になる。その後、2回目の変動開始時ではステップS1431にてNo→ステップS1434にてNo→ステップS1435の処理が実行され、先読み禁止カウントは「6」になる。3〜8回目の変動開始時にも同様の処理が繰り返され、8回目の変動開始時には先読み禁止カウントが「0」になる。したがって、その後の変動開始時ではステップS1431にてNo→ステップS1434にてYesの処理が繰り返される。
このように、先読み禁止カウント処理では、先読み禁止カウントの値と電源投入後の変動回数とを関連付けて連動させることで、先読み禁止カウントの値から先読み禁止状態か否かを判定できるようにしている。
図79に戻る。周辺制御MPU4150aは、読み出したコマンドが特図先読み演出コマンド(先読み有の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンド、先読み時図柄種別先読みコマンド、先読み時変動パターン先読みコマンド、先読み時変動タイプ先読みコマンド、先読み時変動振分テーブル情報コマンド)である場合に(ステップS1407にてYes)、該特図先読み演出コマンドとしてステータス値「69H」かつモード値「03H」の曖昧コマンド(リーチ又は非リーチ振り分けテーブルを示す先読み時変動振分テーブル情報コマンド)を受信しているか否かを判定する(ステップS1441)。そして、該曖昧コマンドを受信している場合には(ステップS1441にてYes)、先読み演出を実行しないので、そのまま受信コマンド解析処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、曖昧コマンドを受信していない、すなわち、他のモード値の先読み時変動振分テーブル情報コマンドを受信している場合には(ステップS1441にてNo)、先読み禁止カウントが「0」であるか否かを判定する(ステップS1442)。そして、先読み禁止カウントが「0」でない場合には(ステップS1442にてNo)、電源投入後に8回変動開始されていない(先読み禁止状態である)ので、先読み演出を実行しない。よって、そのまま受信コマンド解析処理を終了する。
また、周辺制御MPU4150aは、先読み禁止カウントが「0」である場合には(ステップS1442にてYes)、電源投入後の8回変動開始が終了しているので、先読み演出の実行を指示する特図先読み演出実行フラグをセットし(ステップS1408)、受信コマンド解析処理を終了する。特図先読み演出実行フラグが設定されると、周辺制御MPU4150aは、周辺制御部定常処理(図42)において実行する特図先読み演出制御処理(ステップS1027、図66)において、特図先読み演出を実行するために必要な設定を行う。
このように、変形例1の先読み演出禁止制御では、電源投入後、保留上限数である所定回数の変動開始が実行されるまでは、先読み演出を行わない。このため、電断時の保留が復電後に発生する保留の先読み演出に影響を与えることがない。したがって、前述したような課題を解決することができ、遊技の興趣低下を抑制するとともに適切な先読み演出を提供することができる。また、所定回数を特別図柄1保留と特別図柄2保留の合計保留上限数に設定するので、確実に電断時の保留が消化(変動開始)された後に、先読み演出を許可することができる。
なお、電源投入後は必ず先読み演出禁止制御を行うとしたが、前述した課題は電断からの復電による電源投入時に発生する。主制御基板4100でRAMクリアを実行するような通常の電源投入時には発生しない。主制御基板4100からは双方を区別したコマンドが送信されるが、周辺制御基板4140では処理の簡潔にするため双方の区別をつけていない。しかし、課題が発生しないRAMクリア時まで先読み演出を禁止することも遊技の興趣低下を招きかねない。そこで、周辺制御基板4140においてRAMクリア時であるか否かの判定を行い、RAMクリア時である場合には先読み演出を許可するようにしてもよい。このように不要な先読み演出禁止を解除することで、遊技の興趣低下を抑制するとともに適切な先読み演出を提供することができる。
例えば、復電後の確率状態が高確率状態であって、電断時保留の中に低確率状態になる当り保留が含まれる場合に、主制御MPU4100aは復電後に発生した保留の先読み判定を高確率状態において実行するが、該当り保留の変動実行によって確率状態は高確率状態から低確率状態となる。すなわち、復電後に発生した保留が消化されるときは低確率状態である。したがって、復電後に発生した保留の先読み演出が期待度の高い演出であっても、該保留の変動演出は通常はずれ演出となる可能性があり、遊技者の期待を著しく裏切ることになり遊技の興趣低下を招く虞がある。
[19−2−2.変形例2(不明保留消化されるまで先読み禁止)]
次に、変形例2について説明する。図81は、変形例2の受信コマンド解析処理の一例を示すフローチャートである。なお、変形例1の受信コマンド解析処理(図79)と共通の処理は同一の符号を付し、説明を省略する。また、図82は、変形例2の受信コマンド解析処理における投入時不明フラグ設定処理の一例を示すフローチャートである。図83は、変形例2の受信コマンド解析処理における不明カウント処理の一例を示すフローチャートである。図84は、変形例2の受信コマンド解析処理における特図先読み実行判定処理の一例を示すフローチャートである。
前述したように、変形例2では、周辺制御MPU4150aは、変形例1の電源投入時の保留(電断時保留)とともに、主制御基板4100から先読み無の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信した場合の保留を、先読み演出を実行するための先読み情報が不明な「不明保留」として扱う。そして、不明保留が消化されるまでを先読み演出禁止とする。
図81を参照して、変形例2の受信コマンド解析処理について説明する。まず、周辺制御MPU4150aは、ステップS1402の処理で読み出したコマンドが電源投入時状態コマンドである場合に(ステップS1421にてYes)、不明保留による先読み禁止(不明フラグ)を設定する投入時不明フラグ設定処理を実行する(ステップS1450)。その後、その他コマンドに対応するフラグを設定し(ステップS1423)、受信コマンド解析処理を終了する。
ここで、図82を参照して、投入時不明フラグ設定処理(ステップS1450)について説明する。まず、周辺制御MPU4150aは、周辺制御RAM4150cに特別図柄毎に設けられる減算方式の特1不明カウント及び特2不明カウントに、それぞれ特図1保留数(不明保留数)及び特2保留数(不明保留数)を設定する(ステップS1451)。電断発生からの復電時の場合は、復電時情報(バックアップ遊技情報)として電断時の保留数が設定されることになる。
続いて、周辺制御MPU4150aは、設定した特1不明カウントが「0」であるか否かを判定する(ステップS1452)。そして、特1不明カウントが「0」でない場合には(ステップS1452にてNo)、特1保留の先読み演出禁止を示す特1不明フラグをセットして(ステップS1453)、ステップS1454の処理に移行する。一方、特1不明カウントが「0」である場合は(ステップS1452にてYes)、電断時の特1不明保留が存在しなかった、又は、復電時ではなく初期始動であることを意味するので、フラグをセットせずステップS1454の処理に移行する。
同様に、周辺制御MPU4150aは、設定した特2不明カウントが「0」であるか否かを判定する(ステップS1454)。そして、特2不明カウントが「0」でない場合には(ステップS1454にてNo)、特2保留の先読み演出禁止を示す特2不明フラグをセットして(ステップS1455)、投入時不明フラグ設定処理を終了する。一方、特2不明カウントが「0」である場合は(ステップS1454にてYes)、電源時の特2不明保留が存在しなかった、又は、復電時ではなく初期始動であることを意味するので、フラグをセットせず、投入時不明フラグ設定処理を終了する。
このように、パチンコ機1に電源が投入されると、投入時の状態に応じて特別図柄毎に不明保留の有無に基づいた先読み演出禁止設定(不明フラグセット)が行われる。具体的には、電断時保留があった場合に該電断時保留の対象となる特別図柄の先読み演出禁止設定が行われる。
図81に戻る。
次に、周辺制御MPU4150aは、ステップS1402の処理で読み出したコマンドが特図変動パターンコマンドである場合に(ステップS1403にてYes)、不明カウント処理を実行する(ステップS1460)。その後、周辺制御基板4140の変動表示パターン格納領域(RAM)に特図変動パターンコマンドを記憶するとともに、変動パターン受信フラグをセットし(ステップS1404)、受信コマンド解析処理を終了する。
ここで、図83を参照して、不明カウント処理(ステップS1460)について説明する。不明カウント処理は、不明保留の消化によって先読み禁止を解除する(不明フラグをクリアする)か否かを判定する処理である。具体的には、変動開始対象の特別図柄の不明カウントを減算して不明保留の消化判定(先読み演出禁止の解除判定)を行い、消化された場合には不明フラグ(先読み演出禁止)を解除する。
周辺制御MPU4150aは、まず、変動開始対象の特別図柄の不明フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1461)。そして、対象特図の不明フラグがセットされていない場合には(ステップS1461にてNo)、不明カウント処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、対象特図の不明フラグがセットされている場合には(ステップS1461にてYes)、対象特図の不明カウントを1減算更新し(ステップS1462)、更新後の対象特図の不明カウントが「0」であるか否かを判定する(ステップS1463)。そして、不明カウントが「0」でない場合は(ステップS1463にてNo)、不明カウント処理を終了する。一方、不明カウントが「0」である場合は(ステップS1463にてYes)、対象特図の不明フラグをクリア解除して(ステップS1464)、不明カウント処理を終了する。
このように、不明カウント処理では、不明カウントの値と不明保留が消化されるまでの変動回数(不明保留情報受信時の保留球数)とを関連付けて連動させ、不明保留の有無を示す不明カウントの値が「0」になった場合に不明フラグを解除する。これにより、後述の特図先読み実行判定処理(図81のステップS1470、図84)において、不明フラグの状態から先読み禁止状態か否かを判定可能にし、発生した保留の先読み演出実行の可否を判定することができるようにしている。
図81に戻る。
ところで、変形例2では、電断時保留に限らず、主制御基板4100から先読み無の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信した場合の保留を「不明保留」として扱う。したがって、不明保留の発生による不明フラグの設定(先読み演出禁止設定)は、電源投入時だけでなく、電源投入後に発生する保留(上始動口2101及び下始動口2102への遊技球入賞)の先読みコマンド受信時にも行われる。
周辺制御MPU4150aは、ステップS1402の処理で読み出したコマンドが始動口入賞発生時の保留球数と発生した保留の先読み情報の有無を示す先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドである場合に(ステップS1469にてYes)、特図先読み実行判定処理を実行する(ステップS1470)。特図先読み実行判定処理では、受信したコマンドの先読み情報の有無に応じて特別図柄別の不明フラグの設定(先読み演出禁止設定)をしたり、先読み情報及び不明フラグの状態に応じて先読み演出実行フラグの設定をしたりする。
ここで、図84を参照して特図先読み実行判定処理についての詳細を説明する。周辺制御MPU4150aは、まず、受信した先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドが特別図柄1を対象としたコマンドか否かを判定する(ステップS1471)。そして、特別図柄1のコマンドであった場合は(ステップS1471にてYes)、該コマンドが「先読み有」であるか否かを判定する(ステップS1472a)。具体的には、受信した先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドのモード値の先頭が「1」であるか否かを判定する。
そして、周辺制御MPU4150aは、受信した先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドが「先読み有」でない場合には(ステップS1472aにてNo)、その他の先読みコマンド(先読み時図柄種別先読みコマンド、先読み時変動パターン先読みコマンド、先読み時変動タイプ先読みコマンド、先読み時変動振分テーブル情報コマンド)が主制御基板4100から送信されない不明保留なので、特1先読み演出を禁止する特1不明フラグをセットし(ステップS1473a)、このときの先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドの保留球数を特1不明カウントにセットして(ステップS1474a)、特図先読み実行判定処理を終了する。なお、すでに特1不明フラグが設定されている場合にはステップS1473aの処理でセット状態を確認するとともに、ステップS1474aの処理で特1不明カウントの値を新たな保留球数の値に書き換える処理を行う。常に記憶順の新しい不明保留の消化が先読み演出禁止の解除条件となるように更新する。
一方、周辺制御MPU4150aは、受信した先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドが「先読み有」である場合には(ステップS1472aにてYes)、その他の先読みコマンドが主制御基板4100から送信されているので、そのうちの先読み時変動振分テーブル情報コマンドとして「6903H」(曖昧コマンド)を受信しているか否かを判定する(ステップS1475a)。これは、前述の変形例1の受信コマンド解析処理(図79)のステップS1441の処理と同じである。そして、曖昧コマンドを受信している、すなわち、「6903H」の先読み時変動振分テーブル情報コマンドを受信している場合には(ステップS1475aにてYes)、特図先読み実行判定処理を終了する。
また、周辺制御MPU4150aは、曖昧コマンドを受信していない、すなわち、「03H」以外のモード値の先読み時変動振分テーブル情報コマンドを受信している場合には(ステップS1475aにてNo)、特1不明フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1476a)。そして、特1不明フラグがセットされている場合には(ステップS1476aにてYes)、特1先読み演出実行禁止中なので、特図先読み実行判定処理を終了する。
また、周辺制御MPU4150aは、特1不明フラグがセットされていない場合には(ステップS1476aにてNo)、特1先読み演出実行許可中なので、特1先読み演出の実行を指示する特図先読み演出実行フラグをセットし(ステップS1477a)、特図先読み実行判定処理を終了する。特図先読み演出実行フラグが設定されると、周辺制御MPU4150aは、周辺制御部定常処理(図42)において実行する特図先読み演出制御処理(ステップS1027、図66)において、特図先読み演出を実行するために必要な設定を行う。
なお、ステップS1471の処理において、受信した先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドが特別図柄1を対象としていない、すなわち特別図柄2を対象としたコマンドである場合(ステップS1471にてNo)に実行されるステップS1472b〜ステップS1477bの処理は、前述の特別図柄1を対象としたステップS1472a〜ステップS1477aの処理から対象を特別図柄2に変えたものである。
特図先読み実行判定処理では、先読み無の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信した場合は対象の特別図柄の不明フラグをセットし、対応する不明保留が消化されるまで該対象の特別図柄の先読み演出を禁止する。したがって、先読み有の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信しても対象の特別図柄の不明フラグがセットされている間は、先読み演出を実行しない。また、受信した先読み時変動振分テーブル情報コマンドが曖昧コマンドの場合も、先読み演出を実行しない。
このように、変形例2の先読み演出禁止制御では、電源投入時に復電情報として受信する電断時の保留を「不明保留」とし、復電しても先読み演出の実行対象としない。また、不明保留がある場合(すなわち先読み情報(特定遊技情報)が送信されず周辺制御MPU4150aが先読み判定結果を特定不能な保留がある場合)に、該不明保留が消化されるまで対象の特別図柄における先読み演出を行わない。そして、不明保留が消化されれば、先読み演出を許可する。このため、電断時の保留(不明保留)が復電後の先読み演出に影響を与えることがない。また、不明保留数に応じて特別図柄毎に先読み演出の禁止期間を設定するので、より適切な先読み演出禁止制御を実行することができる。よって、先読み演出効果及び遊技の興趣低下を抑制することができる。
また、主制御基板4100から先読み無の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信した場合も対応する保留を「不明保留」とし、該不明保留が消化されるまで対象の特別図柄における先読み演出を禁止するので、この先読み演出禁止制御を前述の主制御基板4100による状態移行時の先読み判定禁止制御とともに実行することで、より適切な先読み演出を遊技者に提供することができる。例えば、前述の状態移行時において時短状態から非時短状態に移行する際、時短状態の維持回数が残り4変動以下になった場合は、主制御MPU4100aは先読み判定を禁止する。このため、先読み判定禁止期間に発生した特別図柄2保留は先読み判定されず、不明保留として周辺制御MPU4150aに認識される。したがって、残り4変動の時短状態中に発生した特別図柄2保留(上限4個)が消化されるまでは、状態移行後の非時短状態において特別図柄2における先読み演出が禁止となる。そして、特別図柄2優先消化のパチンコ機1においては状態移行後、特別図柄1より先に不明保留の特別図柄2が消化される。このように、移行状態直前4変動中に発生した保留を主制御基板4100側で先読み判定の対象とせず、周辺制御基板4140側でも該保留が消化されるまでは先読み演出可能な保留を受け取っても先読み演出の対象としないことで、確実に不具合が生じやすい期間の先読み演出の実行を禁止することができる。なお、状態移行後の非時短状態で発生する保留は主に特別図柄1保留である。このとき、先読み演出禁止制御は、特別図柄毎に実行されるので、特別図柄2保留に対するものである。したがって、非時短状態における特別図柄1側の先読み演出の実行を妨げない。
また、変形例2において、電断時保留以外の不明保留に対する先読み演出禁止制御は、保留数の変化があったタイミングで行われる。具体的には、先読み演出禁止は、先読み無の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンド(不明コマンド)を受信したタイミングで開始され、該不明コマンドに対応する不明保留が消化されて変動開始するタイミングで解除される。このように、保留記憶エリア内に不明保留が発生したときに先読み演出が禁止され、最後の不明保留が消化されると同時に先読み演出が許可される。よって、より正確な先読み演出禁止制御を実行することができ、先読み演出効果及び遊技興趣の低下を抑制することができる。
また、変形例1でも述べたように、電源投入時の先読み演出禁止制御はRAMクリア時を対象としなくてもよい。この場合は、前述の投入時不明フラグ設定処理(図82)においてS1451の処理の前に、RAMクリアコマンドの受信を確認する判定処理を追加し、RAMクリアコマンド受信時(RAMクリア時)はその後の処理を実行せず、投入時不明フラグ設定処理を終了すればよい。通常、周辺制御基板4140は、RAMクリアコマンドを受信してはいるが、RAMクリア時と電源投入時との制御を共通化するため受信コマンド記憶領域4150cacから読み出していない。このように、RAMクリア時は先読み演出を許可するように制御することで、不要な先読み演出禁止を排除することができ、遊技の興趣低下を抑制するとともに適切な先読み演出を提供することができる。
また、変形例1及び変形例2では、発生した先読み有りの保留に対しては、曖昧コマンド(リーチ又は非リーチ振り分けテーブルを示すモード値「03H」の先読み時変動振分テーブル情報コマンド)を受信している場合に、先読み演出の対象としないが、これに限らない。例えば、変形例2において、高確率状態において非特定当り(小当り)となる保留の発生を契機に先読み演出を禁止してもよい。具体的には、前述の特図先読み実行判定処理(図84)において、先読み有の先読み時特別図柄1記憶先読みコマンドを受信した場合に(ステップS1472aにてYes)、小当り(モード値「50H」)の図柄種別先読みコマンド(ステータス値「66H」)を受信したか否かを判定する処理と、受信した場合に現在の確率状態が高確率状態であるか否かを判定する処理とを追加実行し、コマンド受信かつ高確率状態である場合にはステップS1473a及びステップS1474aの処理を実行すればよい。ここで、先読み時の段階では主制御基板4100から小当りの種別情報は周辺制御基板4140に送信されない。小当り種類の中には高確率状態を低確率状態(通常確率状態)に戻してしまうものも含まれる。このような低確率状態への移行を誘発する小当りとなる保留が発生した後も先読み演出を行ってしまうと、該小当り保留の後に発生し、高確率状態での先読み時に大当り判定となった保留が、該小当りを契機に移行した低確率状態での変動開始時にはずれ判定となる事象が起こり得る。このとき先読み演出で当り確定演出が行われてしまうと実際の変動結果(はずれ)は遊技者の期待を著しく落胆させるだけでなく、遊技演出への不信感を招いてしまう虞がある。そこで、先読み有の先読みコマンドを受信しても、小当りの図柄種別先読みコマンド「6650H」を高確率状態において受信している場合には、該小当りの結果が判定する変動開始時(保留消化)まで先読み演出を禁止する。これにより、実際の変動結果に対して過度な(間違った)先読み演出が実行されることによる遊技の興趣低下や遊技者の演出への不信感を招くことを防止することができるとともに、先読み演出の信頼度を上げることができる。
[19−2−3.大当り遊技開始時(先読み情報クリア)]
ところで、大当り中に発生する保留は、主制御MPU4100aによって先読み判定が実行されないので先読み演出が禁止されるが、大当り開始時に既に発生して記憶されている保留は、発生時の遊技状態に応じた先読み判定により先読み情報を有しており、周辺制御MPU4150aは先読み演出可能である。しかしながら、大当り開始時の保留の消化(変動開始)される大当り後の遊技状態は、先読み判定時の遊技状態とは異なる(変動パターンテーブルが異なる)可能性があるので、大当り開始時の保留に対して適切な先読み演出とならない虞がある。そこで、周辺制御MPU4150aは、大当り開始時の保留について、主制御基板4100から受信した先読みコマンドの保留情報を保持する一方、該保留情報に基づいて設定していた先読み演出情報を大当り開始時にクリアすることで、適切な先読み演出が行われない不具合発生を未然に防止する。以下、図85及び図86を参照して、周辺制御MPU4150aによる制御処理を説明する。
図85は、大当り表示処理の一例を示すフローチャートである。大当り表示処理は、前述の演出制御処理(図49)において実行される処理(ステップS1700)である。
周辺制御MPU4150aは、まず、大当り開始コマンドに応じて大当りオープニング表示処理を実行する(ステップS1710)。次に、大入賞口2003が開放されることを遊技盤側液晶表示装置1900に示す表示や、大当り遊技状態中の表示演出(例えば、ラウンド表示等)を行う大当り中表示処理を実行する(ステップS1720)。その後、大当り遊技状態の終了演出を行う大当りエンディング表示処理を実行し(ステップS1730)、処理選択フラグを「0」に更新したのち(ステップS1740)、大当り表示処理を終了する。
図86は、大当りオープニング表示処理の一例を示すフローチャートである。大当りオープニング表示処理は、前述の大当り表示処理(図85)において実行される処理(ステップS1710)である。
周辺制御MPU4150aは、まず、開始フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1711)。開始フラグは、前述の受信コマンド解析処理(図48)のステップS1411の処理において主制御基板4100から送信された大当りオープニングコマンドを受信した場合に設定されるフラグである。そして、開始フラグがセットされていない場合には(ステップS1711にてNo)、大当りオープニング表示処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、開始フラグがセットされている場合は(ステップS1711にてYes)、周辺制御RAM4150c内のスケジュールデータ記憶領域4150cae(所定の記憶領域)から先読みコマンドに対応する演出情報(事前報知態様)をクリアする(ステップS1712)。スケジュールデータ記憶領域4150caeには、主制御基板4100から受信したコマンドに対応する各種スケジュールデータが設定される記憶領域であり、周辺制御MPU4150aはスケジュールデータ記憶領域4150caeに記憶されている演出情報に基づいて演出制御を行っている。したがって、周辺制御MPU4150aは、所定の記憶領域に先読み演出情報(事前報知態様)を特定可能に設定する機能(事前報知態様特定可能設定手段)と、大当り遊技の実行を条件に当該事前報知態様を特定不能に設定する機能(事前報知態様特定不能設定手段)とを兼ね備えている。ここでクリアされる演出情報は、先読みコマンドを受信したときの演出モードや演出パターン選択テーブルに基づいて設定されたものである。
次に、周辺制御MPU4150aは、再度、今回の大当りを契機に切り替え設定される演出モードや演出パターン選択テーブルに基づいて先読みコマンドに対応する演出情報をスケジュールデータ記憶領域4150caeに設定する(ステップS1713)。
続いて、周辺制御MPU4150aは、開始フラグをクリアして(ステップS1714)、ファンファーレ演出といったオープニング表示を設定する表示設定処理を実行したのち(ステップS1715)、大当りオープニング表示処理を終了する。その後、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時に主制御基板4100から送信される大当り図柄表示コマンドを受信すると、次の大当り中表示処理(図85のステップS1720)を実行する。
このように、大当りオープニング表示処理では、大当り開始を表す演出表示が行われるとともに、大当り開始時に記憶されている保留の先読み演出情報が保留発生時の遊技状態に応じたものから大当り遊技状態に応じたものに書き換えられる。具体的には、例えば、周辺制御MPU4150aは、保留発生時に通常確率状態のもと選択していた先読み演出情報を削除し、大当りを契機に切り替えられる高確率状態のもとで再度先読み演出情報を選択し直す。また、ステップS1712の演出情報クリア処理の対象となるのは先読み演出情報であって、主制御基板4100から受信した先読みコマンドの保留情報(保留球数、先読み有無、図柄種別、変動パターン、変動タイプ、振り分けテーブル)は保持するので、次のステップS1713の演出情報設定処理で該保留情報に基づく演出情報を再設定可能である。なお、再設定のタイミングは、大当り開始時に限らない。例えば、大当りラウンド確定演出までに再設定されていればよい。これにより、大当り開始時の保留に対して状況に合わせた適切な先読み演出を実行することができ、先読み演出効果及び遊技の興趣の低下を抑制することができる。
なお、前述の演出情報クリア処理(ステップS1712)の対象は、大当り開始時に記憶されている保留に限らない。主制御基板4100から先読み有の先読み時特別図柄1(2)記憶先読みコマンドを受信し、その他の先読みコマンドを受信している場合であっても、異常な保留数の変化(前回受信時は保留数情報0個であったのに今回受信の保留数情報が4個に増加している等)が生じたときは、このとき記憶されている保留の演出情報をクリアするようにしてもよい。異常判定条件を設けて、成立したときに記憶されている保留を演出情報クリア処理(ステップS1712)の対象とすれば、該保留に対する先読み演出の不具合を事前に防止することができ、適正な先読み演出の提供につながる。
なお、前述した周辺制御基板側で行う特図先読み演出を実行しない制御は、主制御基板側で特図先読み判定を行わない制御としてもよい。
[20.演出モード移行]
ところで、前述の受信コマンド解析処理(図48、図79、図81)では、ステップS1402の処理にて読み出したコマンドが特図変動パターンコマンドであった場合に(ステップS1403にてYes)、ステップS1404の処理で変動パターン受信フラグがセットされる。そして、変動パターン受信フラグがセットされた場合に、装飾図柄の変動表示を含む特図同調演出を開始するための装飾図柄変動開始処理(図52)が行われる。そして、周辺制御MPU4150aは、複数のうち遊技状態に対応する演出モードに基づいて、主制御基板4100から受信した変動パターンや当落情報に対応する演出パターン(装飾図柄の停止図柄、リーチ演出の種類、予告演出の実行可否の判定、予告演出態様、延長演出の有無など)を決定し、特図同調演出として該演出パターンの演出を実行する。
具体的に、図87を参照して、時短回数が64回付与された確変時短状態における演出遷移の一例を説明する。図87は、確変時短状態における演出遷移の一例を示す図である。遊技状態が確変時短状態に突入すると、時短回数1回〜30回までは特定A演出モードの特図同調演出(時短時演出)が実行され、時短回数31回以降は特定B演出モードの特図同調演出(確変確定演出)が実行される。特定A演出モードの特図同調演出では、時短回数が10回、20回、30回となる変動において時短状態が継続されるか否かの継続演出が実行され、その他の変動では通常演出が実行される。
このとき、主制御MPU4100aは、時短回数を管理し、該時短回数に応じた変動パターン(通常演出パターン、継続演出パターン、確変確定演出パターン)を変動パターンコマンドに設定する。具体的には、主制御MPU4100aは、時短回数(時短状態における抽選遊技実行回数)に応じて、まず、複数設けられたテーブルから一のテーブルを選択する。このとき、時短回数に応じて選択されるテーブルが異なる。そして、選択したテーブルから抽選遊技に応じた変動パターン(遊技パターン)を選択する。図87に示すように、確変時短状態において時短回数1〜9回、11回〜19回、21回〜29回となる変動パターンは通常演出パターンが設定されるテーブルから選択され、時短回数10回、20回及び30回となる変動パターンは継続演出パターンが設定されるテーブルから選択され、時短回数31回以降となる変動パターンは確変確定演出パターンが設定されるテーブルから選択される。また、継続演出パターンには、時短状態が継続する成功演出パターンと、時短状態が終了する失敗演出パターンとが設けられている。したがって、周辺制御MPU4150aは、自身が時短回数(変動回数)を管理していなくても受信した変動パターンに従うことで時短回数(変動回数)に対応した演出を決定、実行することが可能である。これにより、周辺制御MPU4150aは、電断時など周辺制御基板4140側のデータがクリアされても復電時に適切な演出を実行することが可能である。なお、各演出の演出態様は、周辺制御MPU4150aによって設定される演出モードによって異なる。図87では、周辺制御MPU4150aは、時短回数1〜30回では特定A演出モードにおける演出態様を選択し、時短回数31回以降は特定B演出モードにおける演出態様を選択する。
以下に、図88を参照して、演出の決定だけでなく、演出モードの移行も主制御MPU4100aから送信される変動パターンコマンドに基づいて実行される演出モード移行処理について説明する。
図88は、周辺制御MPU450aによって実行される演出モード移行処理の一例を示すフローチャートである。演出モード移行処理は、例えば、前述の装飾図柄変動開始処理(図46)において主制御基板4100から変動開始時に送信される変動パターンコマンドを受信したときに実行される。なお、演出モードの移行は、前述の図87の特定A演出モードから特定B演出モードへの移行を例とする。
周辺制御MPU4150aは、まず、演出モードが特定A演出モード中であるか否かを判定する(ステップS1751)。ここで、特定A演出モードとは、時短状態であって所定回数毎に継続演出(成功or失敗)が実行され、継続成功演出が3回実行されることを特定B演出モードへの移行条件とする演出モードである。周辺制御MPU4150aは、現在、特定A演出モードでない場合には(ステップS1751にてNo)、演出モード移行処理を終了する。
そして、周辺制御MPU4150aは、現在、特定A演出モードである場合には(ステップS1751にてYes)、主制御基板4100から継続演出パターンのうち成功演出パターンを示す成功コマンド(変動パターンコマンド)を受信したか否かを判定する(ステップS1752)。そして、成功コマンドを受信していない場合には(ステップS1752にてNo)、演出モード移行処理を終了する。
一方、周辺制御MPU4150aは、成功コマンドを受信した場合には(ステップS1752にてYes)、成功回数のカウントを1加算更新する(ステップS1753)。そして、更新後の成功回数が3回になったか否かを判定する(ステップS1754)。成功回数が3でない場合には(ステップS1754にてNo)、演出モード移行処理を終了する。成功回数が3である場合には(ステップS1754にてYes)、演出モードを特A演出モードから特B演出モードに移行する(ステップS1755)。その後、演出モード移行処理を終了する。なお、成功回数のカウントは、特A演出モード中に加算可能とし、特A演出モード終了時にカウントクリアされるものとする。
このように、周辺制御MPU4150aは、主制御MPU4100aから所定回数の特定変動パターンコマンドを受信したときに演出モードを切り替え、主制御MPU4100aから受信する変動パターンコマンドに応じて特定遊技状態(ここでは時短状態)における変動回数を把握していなくても一連の演出モード(特定A演出モード)における遷移演出(通常演出、継続成功演出、継続失敗演出)を適宜決定することが可能である。周辺制御MPU4150aは、常に遊技情報がバックアップされている主制御基板4100側から受信するコマンドに基づいて適切な演出を決定可能なので、電断時など周辺制御基板4140側のデータがクリアされても復電時に該適切な演出を実行することが可能である。
[21.特図先読み演出の切替制御]
ここでは、特図先読み演出が実行されている間に、新たに大当りの期待度の高い始動記憶が発生した場合に、先行して実行されている特図先読み演出を、新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出に切り替える(上書きする)制御について説明する。なお、ここまでの説明と重複する内容については記載を省略する。
[21−1.主制御基板側の制御(特図先読み演出の切替制御)]
記憶先読み処理(図24)にて説明したように、本実施形態では、遊技球が始動入賞したときに先読み判定禁止期間でなければ、特図先読み演出を実行するために必要なコマンド(特別図柄保留数指定コマンド、特図変動パターンコマンド等)を送信する。特図先読み演出の切替制御を実行する場合であっても、図24に示した記憶先読み処理と同様に、先読み判定禁止期間であるか否かを判定することで特図先読み演出の実行可否を判定し、特図先読み演出の実行に必要なコマンドを生成し、周辺制御基板4140に送信する。このように、主制御基板4100は、始動入賞後、最初に特図先読み演出の実行可否を判定する第1の先読み判定手段をなしている。
[21−2.周辺制御基板側の制御(特図先読み演出の切替制御)]
周辺制御基板4140は、主制御基板4100から特図先読み演出を実行するためのコマンドを受信すると、コマンドの内容や特図先読み演出の実行状況に基づいて特図先読み演出を実行する。
また、本実施形態の遊技機では、前述した保留表示を変化させる通常先読み演出など、期待度の高い始動記憶を示唆する特図先読み演出の他に、液晶表示装置1900に表示されている画像の背景を変化させたり(背景先読み演出)、変動パターンに対応する演出とは独立してキャラクタを登場させたりする(キャラクタ先読み演出)などの特図先読み演出が実行可能となっている。背景先読み演出は特定の保留表示を明示して演出を実行しなくてもよく、現在保留されている始動記憶(実行中の始動記憶を含んでもよい)のいずれかが大当りの期待度が高いことを示すものであってもよい。本実施形態では、先読み対象の保留表示を変化させる先読み演出(通常先読み演出、連続先読み演出、合わせて「保留先読み演出」とする)とともに、背景を変化させる背景先読み演出を実行する。背景先読み演出の例については、図93から図95にて後述する。
続いて、特図先読み演出を実行するための周辺制御基板4140による制御について説明する。具体的には、特図先読み演出を設定するための特図先読み演出設定処理について説明する。その他の処理については、これまでに説明した処理と共通である。
[21−2−1.特図先読み演出制御処理(特図先読み演出の切替制御)]
図89は、本実施形態の特図先読み演出の切替制御を含む特図先読み演出制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図66に示した特図先読み演出制御処理と同様に、周辺制御部電源投入時処理(図42)における周辺制御部定常処理のステップS1027で実行される処理である。
特図先読み演出の切替制御を含む特図先読み演出制御処理では、図66に示した保留表示を変更する通常先読み演出を実行するための処理と、変動表示ごとに保留表示の表示態様を変化可能な連続先読み演出を実行するか否かを決定するための処理の他に、背景先読み演出実行するための処理が含まれる。背景先読み演出を実行するための処理では、先行して実行されている背景先読み演出を、新たに発生した始動記憶に基づく背景先読み演出に切り替える(上書きする)ことが可能となっている。以下、具体的な手順について説明するが、図66に示したフローチャートと共通する処理については適宜説明を省略する。
演出制御プログラムは、まず、特図先読み演出実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS2001)。特図先読み演出実行フラグは、前述のように、主制御基板4100から先読み演出コマンドを受信した場合に、受信コマンド解析処理(図42のステップS1022)でセットされる(図48のステップS1408)。特図先読み演出実行フラグがセットされていない場合には(ステップS2001の結果が「No」)、特図先読み演出を実行しないので、特図先読み演出制御処理を終了する。
一方、演出制御プログラムは、特図先読み演出実行フラグがセットされている場合には(ステップS2001の結果が「Yes」)、先読み対象の始動記憶に対応する先読み演出コマンドの内容に基づいて、先読み演出の種類及び態様を選択する(ステップS2020)。具体的には、始動記憶の保留表示の表示態様を変更する通常先読み演出、又は、液晶表示装置1900に表示された画像の背景を変更する背景先読み演出のいずれかを選択し、選択された特図先読み演出の演出態様を決定する。
次に、演出制御プログラムは、通常先読み演出が選択されたか否かを判定する(ステップS2021)。通常先読み演出が選択された場合には(ステップS2021の結果が「Yes」)、ステップS2005以降の処理を実行する。ステップS2005以降の処理については、図66にて説明したとおりである。なお、図66に示した処理とは、特図先読み演出実行フラグをクリアするタイミングが異なっている。
一方、演出制御プログラムは、通常先読み演出が選択されなかった場合(ステップS2021の結果が「No」)、すなわち、背景先読み演出が選択された場合には、実際に背景先読み演出を実行するか否かを判定する(ステップS2022)。実際に背景先読み演出を実行するか否かは、例えば、当該始動記憶に対応する変動パターンの期待度が所定の期待度以上であるか否かを判定する。また、期待度が高い場合に特図先読み演出を実行しやすくするなど、期待度に応じて先読み演出を実行するか否かを抽選するようにしてもよい。
なお、特図先読み演出は、基本的には全ての変動パターンにおいて実行することが可能であるものの、変動パターンに応じて、実行の可否を判定するための抽選データの割り振りを異ならせている。例えば、通常はずれ変動の場合、保留先読み演出の当選(実行)確率が1/100(はずれが99/100)に対して、ノーマルリーチの場合は、25/100(はずれが75/100)、スーパーリーチはずれの場合は、50/100(はずれが50/100)、スーパーリーチ当りの場合は99/100(はずれが1/100)となるように設定された抽選テーブルに基づいて決定される。
さらに、実際の演出態様(シナリオ)は、別のシナリオテーブルを演出の実行回数に対応させたテーブルに基づいて決定される。例えば、演出回数が2回の場合には、そのシナリオ毎に抽選確率が設定されたテーブルを備える。なお、シナリオテーブルに応じて選択されるシナリオの演出内容、シナリオ数、抽選確率は異なっている。
図90は、特図先読み演出(保留先読み演出)の演出回数が2回の場合において保留表示の色が変化するシナリオと変動パターンとの関係を説明する図である。各シナリオは、例えば、シナリオ1(青→青)、シナリオ2(青→緑)、シナリオ3(青→赤)、シナリオ4(赤→金色)とし、シナリオ1からシナリオ4の順で期待度の高い特図先読み演出となる。なお、シナリオ4については、大当り時のみに抽選されるように設定しており、大当り時専用のシナリオである。また、連続演出回数は2回に限定されるのではなく、例えば、3回以上でもよく、連続演出回数に応じてシナリオと変動パターンとの対応を示す表を用意するようにしてもよい。
本実施形態では、シナリオ抽選確率が設定されたテーブルに基づいて実行するシナリオを決定する。また、変動パターンとは別に、大当りの場合には、大当りの種別に応じてシナリオ抽選用のテーブルを備えていてもよい。なお、変動パターンと大当り図柄とが一義的に決定されるような場合には、変動パターンに基づいたテーブルのみがあればよく、大当り種別により決定するテーブルを設ける必要はない。
また、保留表示を変化させる特図先読み演出(保留先読み演出)に限定されず、背景先読み演出であっても同様に、抽選テーブルやシナリオテーブルを備える。図91は、背景先読み演出の演出回数が2回の場合におけるシナリオと変動パターンの関係を説明する図である。各シナリオは、例えば、シナリオA(薄曇り→薄曇り)、シナリオB(薄曇り→雨雲)、シナリオC(雨雲→雷雲)、シナリオD(雨雲→晴れ)とし、シナリオAからシナリオDの順で期待度の高い特図先読み演出となる。なお、シナリオDについては、大当り時のみに抽選されるように設定しており、大当り時専用のシナリオである。また、連続演出回数は2回に限定されるのではなく、例えば、3回以上でもよく、連続演出回数に応じてシナリオと変動パターンとの対応を示す表を用意するようにしてもよい。
演出制御プログラムは、背景先読み演出を実行しない場合には(ステップS2022の結果が「No」)、特図先読み演出実行フラグをクリアし(ステップS2027)、本処理を終了する。
一方、背景先読み演出を実行する場合には(ステップS2022の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、現在、背景先読み演出を実行しているか否かを判定する(ステップS2023)。背景先読み演出を実行しているか否かの判定は、例えば、背景先読み演出の実行が開始(もしくは決定/選択)されたタイミングでフラグを設定し、背景先読み演出が終了したタイミング(例えば、背景先読み演出を実行する始動記憶に基づく変動表示が開始(終了)したタイミング)でクリアするフラグを設け、このフラグに設定された値に基づいて行えばよい。
上記フラグの一例としては、先読み演出態様(保留先読みや背景先読み)の期待度毎にフラグ(先読み期待度フラグ)を用意してもよい。例えば、演出態様に応じて大当りとなる期待度が高・中・低のように異なる場合には、それぞれの期待度に応じた先読み期待度フラグを用意する(例えば、高期待度先読み予告フラグ、中期待度先読み予告フラグ、低期待度先読み予告フラグのようにする)。さらに、期待度に応じてフラグを分けるのではなく、一のフラグに設定される情報に応じて期待度を分けてもよい(例えば、フラグの値が“1”のときは低期待度、“2”のときは中期待度、“3”の時は高期待度のようにする)。これらの例はあくまでも一例を示したに過ぎず、期待度として3種類に限定するものである必要はなく、3種類以上であってもよいし、2種類のみであってもよい。つまり、先読み演出態様(背景先読み)の実行の可否を期待度に応じて判別(判定)ができるものであればよい。
なお、先読み期待度フラグを設ける場合には、特図先読み演出を切り替えるときに実行中の特図先読み演出の先読み期待度フラグを保持しておき、新たに実行する特図先読み演出のフラグと比較すればよい。例えば、実行中の特図先読み演出の先読み期待度フラグが期待度中の場合には、新たに実行する特図先読み演出の先読み期待度フラグが期待度高であれば新たな特図先読み演出に切り替える。新たに実行する特図先読み演出のフラグとしては、上記のシナリオ毎に設定されるような情報(数値情報等)としてもよい。
演出制御プログラムは、背景先読み演出が実行されている場合には(ステップS2023の結果が「Yes」)、実行中の背景先読み演出を、新たに実行する背景先読み演出に切り替えるか否かを判定する(ステップS2024)。
本実施形態では、新たに実行する背景先読み演出の期待度と、実行中の背景先読み演出の期待度とを比較し、新たに実行する背景先読み演出のほうが期待度が高い場合に背景先読み演出を切り替える。なお、「期待度」は、基本的に特別図柄の変動表示の結果が大当りとなる期待度であるが、大当りの種類(図柄)の期待度や大当り後の遊技状態の期待度としてもよい。さらに、特別図柄の変動表示の結果ではなく、演出としての期待度(例えば、通常はずれ、ノーマルリーチ、SPリーチ等)を含んでもよい。例えば、変動パターン先読みコマンドから変動パターンを特定し、変動パターンに基づいて判定してもよい。具体的には、変動パターンテーブル(図47)の項目に「期待度」を追加して変動パターンごとの期待度をあらかじめ定義しておいてもよいし、実行されるリーチ演出(ノーマルリーチ、SPリーチ等)に対応して期待度を設定してもよい。また、SPリーチのように期待度の高いリーチ演出は変動時間が長いため、変動時間が長いほど期待度が高いと判定してもよい。また、期待度が同じ場合には、いずれの始動記憶を優先してもよく、抽選で決定してもよい。なお、両方とも大当りになる場合には、大当り遊技中に特図先読み演出を実行することができないため、実行中の特図先読み演出を優先する。
また、両方大当りのように、遊技者が多大な利益を獲得可能となる場合については、単体の先読み抽選では出現することのない、特別な先読み演出表示態様に切り替えるようにしてもよい。期待度については、大当りのみに限定する必要はなく、大当りの種類に応じて期待度を分けるものであってもよい。例えば、大当り遊技のラウンド数や大当り後の特別抽選の当選確率、遊技者にとって有利な遊技状態(確変状態、時短状態)の継続回数のように、大当り時における獲得可能な利益量や大当り後の遊技状態に応じて期待度を分けてもよい。
さらには、決定されたシナリオ毎に優先度を設け、シナリオ毎に設定された優先度に基づいて判断してもよい。例えば、シナリオ毎に数値情報を設定し、数値が大きくなる程期待度が大きくなるようにする。シナリオ情報をRAMに設定記憶する場合には、数値情報として記憶することから、その値自体で期待度の高低を表すことが可能になる。この数値情報は、例えば、演出態様を決定するための情報(数値)と期待度を示す情報(数値)とが該当し、これらの情報に基づいて数値情報を設定すればよい。この場合、特図先読み演出が終了するまでシナリオの数値情報を保持し、新たに実行する特図先読み演出のシナリオに対応する数値情報と比較することによって、特図先読み演出を切り替えるか否かを判定すればよい。
演出制御プログラムは、実行中の背景先読み演出を継続して新たな背景先読み演出に切り替えない場合には(ステップS2024の結果が「No」)、特図先読み演出実行フラグをクリアし(ステップS2027)、本処理を終了する。この場合には、実行中の特図先読み演出が中断されることなく継続して実行されることになる。
一方、実行中の背景先読み演出を新たな背景先読み演出に切り替える場合には(ステップS2023の結果が「Yes」)、演出制御プログラムは、実行中の背景先読み演出の設定情報を新たな背景先読み演出を実行するために初期化する(ステップS2025)。なお、実行中の背景先読み演出が最後まで実行された場合にも当該背景先読み演出の設定情報が初期化される。設定情報の初期化のタイミングは、例えば、実行中の背景先読み演出に係る始動記憶が消化されるタイミングなどである。
演出制御プログラムは、実行中の背景先読み演出の設定情報を初期化した後(ステップS2025)、又は、背景先読み演出が実行中でない場合には(ステップS2023の結果が「No」)、背景先読み演出設定処理を実行する(ステップS2026)。なお、複数の背景先読み演出を並行して実行することはできないため、背景先読み演出設定処理で無条件に背景先読み演出の設定情報を初期化するようにしてもよい。最後に、演出制御プログラムは、特図先読み演出実行フラグをクリアし(ステップS2027)、本処理を終了する。
なお、ステップS2025の処理で、実行中の背景先読み演出の設定情報を初期化して新たな背景先読み演出を実行するのではなく、実行中の背景先読み演出に継続して新たな背景先読み演出を実行するようにしてもよい。このとき、背景先読み演出が継続(延長)したことを遊技者が認識できるようにしてもよいし、認識できないように(認識しにくく)してもよい。例えば、背景先読み演出が継続(延長)したことを遊技者が認識できなければ期待度の高い状態が長く継続していると感じるため、期待感を長く維持させることができる。このとき、もともと実行されていた特図先読み演出に対応する始動記憶の変動表示がはずれとなった後でも期待度の高い状態維持され、さらに、後に実行される変動表示において、より期待度の高い変動パターンに基づく演出が実行されるため、遊技者を落胆させにくくすることができる。
また、特図先読み演出が切り替えられた場合に、切り替えられたことを報知する演出を実行するようにしてもよい。例えば、特図先読み演出の切り替え時に通常の演出では実行されない演出(表示・音・発光・駆動体等)を実行することによって遊技者が認識できるようにしてもよい。さらに、特図先読み演出の切り替えが発生することを示唆する演出を実行してもよい。この場合、特図先読み演出の切り替えを行うと判定した後の変動開始時に当該演出を実行するのではなく、切り替えが発生しても、実行中の特図先読み演出を継続しつつも、実行中の先読み演出を認識できる程度の演出(画面フラッシュ、表示画面の周囲のみ色が異なる、装飾図柄自体が変化(色、形状)する、サブリミナル的な演出等)を実行し、遊技者に特図先読み演出の切り替えが発生したことを認識できる程度の演出であればよい。
本実施形態では、通常先読み演出は、複数の始動記憶に対して並行して実行可能であるが、背景先読み演出は並行して実行不可能となっている。そこで、ステップS2021の処理は、通常先読み演出を実行するか否かではなく、並行して実行可能な先読み演出であるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、並行して実行可能な先読み演出を第1グループ、並行して実行不可能な先読み演出を第2グループとし、ステップS2020の処理で選択された先読み演出が第1グループに属するか、第2グループに属するかによって処理を分岐させるようにしてもよい。なお、並行して実行可能な先読み演出であっても、実行中の先読み演出を新たに発生した始動記憶に基づく先読み演出に切り替える(上書きする)ようにしてもよい。
また、背景先読み演出と通常先読み演出(保留先読み演出)とを同時に実行してもよい。図92は、背景先読み演出と通常先読み演出(保留先読み演出)とを同時に実行可能な特図先読み演出制御処理の手順を示すフローチャートである。
背景先読み演出と保留先読み演出とを同時に実行する場合には、ステップS2020の処理で、通常先読み演出又は背景先読み演出、若しくはその両方を選択可能とする。この点で図89に示した特図先読み演出制御処理のステップS2020の処理と相違する。さらに、図89のステップS2021の処理が削除され、保留先読み演出の設定処理の完了後、背景先読み演出の設定処理を実行する。すなわち、ステップS2011の処理の後、ステップS2022からステップ2026までの処理を実行すればよい。
また、特定の状態に限り、複数の通常先読み演出を並行して実行するようにしてもよい。例えば、先行して実行されている通常先読み演出が新たに実行される通常先読み演出よりも期待度が低い場合に限り、複数の通常先読み演出を並行して実行するようにしてもよい。
また、受信した特別図柄保留コマンドに含まれる特図先読み演出の実行可否を示す情報と、周辺基板側で記憶している現在の遊技状態(ここでいう遊技状態とは、確変、時短に限定されず、変動中、リーチ中、大当り中(オープニング、エンディング、大入賞口作動中等)、客待ち中等のゲームに係るいずれかの状態が該当する)との整合性に基づいて、いずれを優先して特図先読み演出を実行するか否かを判断してもよい。特別図柄保留コマンドを優先する場合には、遊技状態にかかわらず特別図柄保留コマンドに含まれる特図先読み演出の実行可否を示す情報を優先し、遊技状態(確率状態や実行中の特図先読み演出など)を優先する場合には、特別図柄保留コマンドに特図先読み演出の実行を許可する情報が含まれていても特図先読み演出を実行しないようにしてもよい。
また、特別図柄保留コマンドに特図先読み演出の実行を許可する情報が含まれていても特図先読み演出を実行しない場合には、例えば、専用の先読み抽選テーブル(不一致専用テーブル)を設け、当該不一致専用テーブルに基づいて特図先読み演出の実行可否を抽選するようにしてもよい。このとき、この不一致専用テーブルでは、通常態様(特図先読み演出が実行されていない状態)に戻すシナリオを選択する確率が高くなるように設定されており、その他、段階的に期待度が低くなるように演出態様が変化したり、通常の特図先読み演出では実行されない態様の演出が実行されたりする。なお、特別図柄保留コマンドに含まれる特図先読み演出の実行可否を示す情報と、周辺基板側で記憶している現在の遊技状態とが整合しない場合には、遊技者に誤解を与えないように、強制的に通常の演出態様に戻してもよい。
また、受信した特別図柄保留コマンドに含まれる特図先読み演出の実行可否を示す情報と、遊技状態との整合性が合わない場合には、プログラムのバグや静電気ノイズ等の誤動作の可能性があるために、単に特図先読み演出の実行をしないように制御するよりも通常時には実行されえない演出を実行することによって異常の発生を発見しやすくすることが可能となり、開発時におけるデバッグ、耐久試験等の遊技機検査に役立てることができる。
以上のように、周辺制御基板4140は、主制御基板4100(第1の先読み判定手段)によって特図先読み演出の実行可否が判定された後に、遊技状態や他の始動記憶などに基づいて特図先読み演出の実行可否や演出内容を判定可能な第2の先読み判定手段をなしている。
[21−3.演出例]
続いて、以上説明した制御によって実行される特図先読み演出(背景先読み演出)の具体例について説明する。図93は、本実施形態における特図先読み演出(背景先読み演出)の一例を示す図である。図93で説明する特図先読み演出は背景が変化する背景先読み演出であり、期待度に応じて所定のタイミングで背景がさらに変化することが可能となっている。以下、背景先読み演出の具体例について図93を参照しながら説明する。
図93(A)は、背景先読み演出が実行される前の状態を示しており、装飾図柄(特別図柄)1910の変動表示が終了し、特別図柄が確定した時点を示している。図93(A)に示す状態では、特別図柄1の始動記憶が4個分保留されている。
特別図柄の停止後、保留されていた始動記憶が消化され、特別図柄の変動表示が開始される。そして、図93(B)に示すように、背景先読み演出が開始された状態を示している。このとき、背景先読み演出の対象となる始動記憶は保留されている3個の始動記憶のいずれかである。背景先読み演出が開始されたタイミングで特図先読み演出の対象となる始動記憶を遊技者が特定できるようにしてもよいし、背景先読み演出の対象となっている始動記憶が消化されるタイミングで報知するようにしてもよい。なお、背景先読み演出の対象となっている始動記憶では期待度の高い変動パターンが選択されていようにすれば、装飾図柄の変動表示中(例えば、リーチ発生時)に当該変動が背景先読み演出の対象となっていることを遊技者が把握することができる。
本実施形態の背景先読み演出では、背景に雲が出現する。また、背景先読み演出による背景の変化が段階的に進行するように構成されており、出現した雲が段階的に変化する。背景(雲)が変化するパターンは、大当りの期待度に応じて決定するようにしてもよい。具体的には、装飾図柄の変動が停止し(図93(C))、保留された始動記憶が消化され、次の変動が開始されると、図93(D)に示すように、雲の色が濃くなることで雨雲に変化する。その後、図93(E)に示すように、雷雲に変化し、さらに雷が発生して大嵐となる。このとき、リーチの発生とともに保留表示を縮小もしくは非表示とする。なお、本実施形態では、雲の色が濃いほど期待度が高く、雷雲が発生した場合が最も期待度が高くなるが、特別な演出(例えば、大当り確定)として雲が消え去って太陽が現れるようにしてもよい(図93(F))。
また、背景が最初に変化するタイミングは、遊技球が始動入賞口(上始動口2101、下始動口2102)に入賞したタイミングであってもよいし、装飾図柄の変動開始時としてもよい。本実施形態では、装飾図柄の変動開始時としており、さらに、所定状態(例えば、通常遊技状態)において複数始動口に入賞したとしても、その複数の始動口への入賞が判別可能なように表示するものの、所定状態とは異なる状態においては複数始動口へ入賞したとしても、その複数の始動口への入賞が判別不能もしくは困難としており、所定状態とは異なる状態の場合に、装飾図柄が変動している間に複数の遊技球が始動入することで、遊技者はいずれの始動記憶の期待度が高いのかを認識しにくくなっている。
また、保留数が所定数以上(例えば、3以上)の場合など、期待度の高い始動記憶が発生してから変動が開始されるまで一定の猶予があり、背景先読み演出の実行タイミングが複数設定可能な場合には、一定の期間経過後に背景先読み演出を開始するようにしてもよい。例えば、保留数が3以上で発生した特図先読み演出について、保留1、保留2消化時には何も演出を実行せず、保留3が消化したタイミングで特図先読み演出を開始してもよい。この場合、特図先読み演出のシナリオとして、「変化なし→変化なし→先読みA」のようなシナリオを設定すればよく、変動ごとに抽選してもよい。変動ごとに抽選する場合には、前述したように、成り下がりが発生しないようにすることで遊技の興趣が低下することを防ぐことができる。
以上のように構成することによって、遊技者は特図先読み演出の対象となった始動記憶を把握しにくくなり、期待度の高い変動パターンの変動表示が開始されるまでに実行されるすべての変動表示に対して期待感を維持させることが可能となり、遊技の興趣を高めることができる。
さらに、背景が段階的に変化するタイミングは装飾図柄の変動開始ごとに変化させてもよいし、装飾図柄の変動開始タイミングに関わらず、所定時間ごとに変化させるようにしてもよい。これにより、先行して消化される始動記憶の数が少ない場合であっても背景を複数の段階で変化させることが可能となる。また、装飾図柄の変動表示においてリーチが発生した場合には、背景先読み演出と並行してリーチ演出を実行してもよいし、背景先読み演出を中止してリーチ演出を実行してもよい。
続いて、背景先読み演出が実行されている間に、新たに大当りの期待度の高い始動記憶が発生した場合に、先行して実行されている背景先読み演出を、新たに発生した始動記憶に基づく背景先読み演出に切り替える(上書きする)場合の演出例について説明する。図94は、実行中の特図先読み演出(背景先読み演出)を新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出に切り替える場合の一例を示す図である。
図94(A)は、図93(A)と同様に、特図先読み演出(背景先読み演出)が実行される前の状態を示しており、装飾図柄(特別図柄)1910の変動表示が終了し、図柄が確定した時点を示している。特別図柄1の始動記憶が4個分保留されている。
また、図94(B)は、図93(B)と同様に、保留されていた始動記憶を新たに消化して特別図柄の変動表示を開始し、背景先読み演出を開始した状態を示している。その後装飾図柄の変動表示が停止し(図94(C))、保留されていた始動記憶を消化して装飾図柄の変動を開始するとともに背景を段階的に変化させ(図94(D))、装飾図柄の変動表示を停止させる(図94(E))。このとき、装飾図柄の変動表示とは独立して背景を変化させてもよい。
このとき、図94(E)に示すように、特別図柄の変動表示中に新たに2個の遊技球が始動入賞口に入賞し、特別図柄1の保留数は再び4個になっている。そして、図94(B)で開始された背景先読み演出、すなわち、実行中の背景先読み演出の期待度よりも、新たに発生した始動記憶が大当りとなる期待度が高い場合には、実行中の背景先読み演出を中断し、新たに発生した始動記憶に基づく背景先読み演出を実行する。
例えば、特図先読み演出の実行中に、新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出の抽選を可能としてもよい。この抽選は常に可能であってもよいし、特定条件(例えば、現在演出されている先読み演出の内容、装飾図柄の変動内容もしくは停止図柄、さらには乱数抽選で抽選の可否を判断する等)成立により可能としてもよい。新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出の抽選に当選した場合に、当該特図先読み演出の表示態様を決定する。決定した表示態様と実行中の特図先読み演出の表示態様とを比較し、新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出の表示態様の方が、期待度の高い表示態様の演出である場合には、所定タイミング(次の変動開始、リーチ発生、図柄停止等)で、新たに実行される特図先読み演出の表示態様に切り替えて実行する。また、新たに実行される特図先読み演出の表示態様が実行中の特図先読み演出の表示態様よりも期待度が低い場合には、新たに実行される特図先読み演出の表示態様に切り替えることなく実行中の特図先読み演出の表示態様を継続してもよいし、実行中の特図先読み演出を停止してもよい。
本実施形態の背景先読み演出では“天気”に関連した演出態様としているが、新たに実行される後続の特図先読み演出は“天気”に直接関連しないものとしてもよい。例えば、実行中の特図先読み演出が“天気”に関するものであったときに、後続の特図先読み演出の内容が全く関係しないカーレース関するものであってもよい。実行中の特図先読み演出に関連する特図先読み演出を実行することによって、遊技者は一連のシナリオを実行しているように感じられ、先読み演出の期間が延長されたように感じさせることができる。
また、新たに実行される後続の特図先読み演出のシナリオにおいて、実行中の特図先読み演出のシナリオを比較し、特に実行中の特図先読み演出のシナリオを進行状況からこれらのシナリオを組み合わせて新たなシナリオを組み合わせてもよい。例えば、実行中の特図先読み演出のシナリオが「曇り→雨雲→積乱雲」、後続の特図先読み演出のシナリオが「薄曇り→雪雲→大嵐」とした場合(大当り期待度は、薄曇り<くもり<雨雲<積乱雲<大嵐とする)、実行中の特図先読み演出の表示態様が「雨雲」のときに後続の特図先読み演出のシナリオに切り換えることで、先読み演出態様の全体の流れとしては、「くもり→雨雲→薄曇り→雷雲→大嵐」のような演出となり、切り替わり時点で一旦期待度が低くなるものの、その後に続く表示態様で一旦低下した期待度がより高くなることになる。この場合、虚偽(ガセ)の特図先読み演出として「くもり→雨雲→薄曇り」の順で変化するシナリオを用意しておくことによって、薄曇りの後に出現する「雷雲」により、遊技者の大当りへの期待度をより高めることができる。
なお、後続の特図先読み演出のシナリオとして関連性のないシナリオの特図先読み演出を実行する場合、新たに期待度の高い始動記憶が発生したことを遊技者に示唆することができるため、実行中の特図先読み演出に対応する抽選の結果がはずれであっても、後続の始動記憶に基づく特図先読み演出に対応する抽選の結果がわかるまで遊技者の期待感を維持することができる。
図94(F)は、新たに発生した始動記憶に基づく背景先読み演出が開始された状態を示している。その後、図94(G)に示すように、雲の色が濃くなるように変化し、図94(H)に示すように、さらに黒くなった雲から雷が出現する。
なお、図94(F)では、図94(E)よりも雲の色が薄くなり、背景先読み演出の進行が前段階に戻っている。このように、背景先読み演出の進行が前段階に戻った場合には、遊技者はより期待度の高い始動記憶が追加されたことを認識することができ、期待感をさらに高めさせることができる。なお、これらの雲の変化の演出にはシナリオとして演出態様をあらかじめ設定されており、複数のシナリオを組み合わせ可能としてもよいし、あらかじめ組み合わせられたシナリオを用意しておいてもよい。
一方、背景先読み演出の進行を前段階に戻さずに、中断する背景先読み演出に継続するように、後続の背景先読み演出を開始するようにしてもよい。このように制御することによって、遊技者は大当りの期待感が継続した状態をより長い時間維持させることができる。
なお、中断された背景先読み演出に対応する変動表示においてもリーチが発生するが、この場合には、リーチ演出が実行され、次の変動表示が開始された後にも継続して背景先読み演出を実行すればよい。
なお、背景を変化させる特図先読み演出(背景先読み演出)を、前述した期待度の高い始動記憶の保留表示の表示態様を変化させる特図先読み演出(通常先読み演出)と並行して実行するようにしてもよい。背景先読み演出に対応する始動記憶を遊技者に把握されてしまう場合があるが、この場合には、単に保留表示の表示態様が変化した場合よりも期待度が高くなるようにして、遊技者の期待感をさらに高めるようにしてもよい。
以上のように、本実施形態では、特図先読み演出が実行されている間に、より大当りの期待度の高い始動記憶が発生した場合には、先行して実行されている特図先読み演出を、新たに発生した始動記憶に基づく特図先読み演出に切り替える(上書きする)ことによって、本来の大当りの期待感を遊技者に与えることが可能となり、先読み演出の効果を最大限発揮させることができる。これにより、遊技の興趣が低減することを抑制することが可能となる。
最後に、保留先読み演出と背景先読み演出とを並行して実行する場合の演出例について説明する。図95は、保留先読み演出と背景先読み演出とが並行して実行され、実行中の背景先読み演出を新たに発生した始動記憶に基づく背景先読み演出に切り替える演出例を示す図である。図95に示す演出例では、保留先読み演出に関連する背景先読み演出が実行される。
図95(A)は、先読み演出が実行される前の状態を示しており、装飾図柄(特別図柄)の変動表示が終了し、はずれ図柄が確定した時点を示している。図95(A)に示す状態では、始動記憶が3個分保留されている。図95(B)は、保留されていた始動記憶が消化されて保留数が3から2に変化し、特別図柄の変動表示が開始された状態を示している。
その後、図95(B)の特別図柄の変動中に始動入賞口に遊技球が1個入賞し、当該始動入賞における先読み演出の実行抽選に当選する。図95(C)は、特別図柄の変動が継続し、保留先読み演出が実行された状態を示している。このとき、保留3の保留表示が通常の丸形状ではなく、「積乱雲」の形状に変化する。また、保留先読み演出が実行されている始動記憶では、保留先読み演出と並行して背景先読み演出が実行される。背景先読み演出では、背景が「曇り」から「雨雲」に変化し、最後に「雷雲(積乱雲)」に変化する。このように、保留先読み演出によって保留表示が「積乱雲」に変化し、背景が最終的に「積乱雲」に関連する「雷雲」に変化するようになっている。
図95(D)は、特別図柄の変動表示が終了した状態である。続いて、図95(E)は、次の保留始動記憶が消化され、特別図柄が変動表示している状態を示している。このとき、背景先読み演出として、背景に「曇り」を示す雲を表示する。その後、図95(F)に示すように、特別図柄の変動表示が終了する。このとき、背景に表示された雲をそのまま残しておいてもよいし、一旦消去してもよい。遊技者が背景先読み演出が実行されたことを認識できればよい。
図95(G)は、さらに次の保留始動記憶が消化され、特別図柄が変動表示されている状態を示している。このとき、保留表示は、保留1が「積乱雲」、保留2が「通常」、保留3が「嵐」、保留4が消灯された状態となっている。さらに、背景先読み演出として背景が「雲」が「雨雲」に変化する。また、特別図柄の変動表示中に2個の遊技球が始動入賞口に入賞し、2個目の始動記憶(保留3)が先読み演出の実行抽選に当選した結果、保留表示が「嵐」を示す形状に変化する。さらに、保留3に対応する始動記憶に基づいて背景先読み演出が実行される。このとき、背景が「薄曇り」から「雷雲」に変化し、最後に「大嵐」に変化するシナリオが選択される。保留表示が「積乱雲」の始動記憶よりも、保留表示が「嵐」の始動記憶のほうが大当りとなる期待度が大きいため、背景先読み演出の切り替え(上書き)が実行される。図95(H)は、特別図柄の変動表示が終了した状態であり、背景には雨雲が継続して表示されている。
図95(I)は、保留表示が「積乱雲」であった始動記憶が消化され、特別図柄が変動表示されている状態を示している。また、背景先読み演出が継続されていれば積乱雲(雷雲)が表示されるはずであるが、保留表示が「嵐」の始動記憶に基づく背景先読み演出に切り替えられているため、背景は「薄曇り」に変更される。このとき、保留表示は、保留1が「通常」、保留2が「嵐」、保留3及び保留4が消灯された状態となっている。
その後、図95(J)に示すように、保留表示が「積乱雲」であった始動記憶に基づいてリーチが発生し、リーチ演出が実行される。このとき、背景及び保留表示は変化せずにそのままとなっている。
図95(J)のリーチ変動が終了すると、図95(K)に示すように、特別図柄の変動表示の結果がはずれとなる。このとき、背景は薄曇りの状態のままとなっている。
そして、図95(L)に示すように、次の変動が開始されると、背景が雷雲に変化する。その後、図95(M)に示すように、特別図柄の変動が終了する。このとき、背景と保留表示は図95(L)に示した状態と同じである。
さらに、保留表示が「嵐」の始動記憶を消化すると、図95(N)に示すように、特別図柄の変動表示が開始される。このとき、保留表示はすべて消灯した状態になり、背景は「大嵐(雷+暴風雨)」に変化する。そして、図95(O)に示すように、特別図柄の変動表示が確定停止し、大当りが発生する。
なお、本実施形態では、保留先読み演出と背景先読み演出とを関連付けて、シナリオの最終段階の表示にあわせて行うことによって、保留表示が変化した時点で最終的にどのように背景が変化するか(どのようなシナリオが選択される(発生する)か)を事前に判別することが可能となっている。また、保留表示に対応する表示態様がシナリオの最終段階に対応しなくてもよく、最初又は途中の段階であってもよい。途中段階であれば、最終段階でより期待度の高い表示態様に変化する可能性があり、遊技者の期待感を高めることができる。
[22.レベル管理による演出制御を行う変形例]
以上、演出実行時に成り下がりを防止する制御について説明してきたが、変動パターンごとに所定のタイミングで演出を実行する場合、演出のバリエーションが多くなると、演出データが膨大な量となり、管理が困難になる。また、前述の成り下がり防止の処理などの演出制御も複雑化し、例えば、レアな演出を実行する場合に演出データに誤りがあっても発見することが困難になってしまうおそれがある。さらに、すべてのパターンについてテストを実行するためには膨大な工数が必要となる。
そこで、本実施形態の変形例3として、演出を階層的に管理することによって演出データの管理を容易にすることを可能とする遊技機を提案する。これにより、演出を実行するために必要なデータの容量を削減し、演出データの設定の誤りを防止することを目的とする。
本実施形態の変形例3では、始動入賞時に主制御基板4100から送信された先読みコマンドや変動開始時に送信される特図同期演出開始コマンドに対応して実行可能な演出の内容に対応する「レベル(演出基準情報)」を定義する。演出内容はレベルに基づいて決定される。以下、レベルに基づいて予告演出や変動時の演出を選択する例について説明する。
[22−1.変動パターン]
まず、以降の説明を簡略化するために、簡略化した変動パターンを定義する。図96は、本実施形態の変形例3の変動パターンの種類の一例を示す図である。図96に示すように、変動パターンコマンドはステータス(STS)とモード(MODE)によって構成されており、これらを組み合わせて変動パターンコマンドとする。
さらに、変動パターン1を「通常はずれ」、変動パターン2を「ノーマルリーチ(はずれ)」、変動パターン3を「ノーマルリーチ(当たり)」、変動パターン4を「SPリーチ(はずれ)」、変動パターン5を「SPリーチ(当たり)」となっている。各変動パターンに付加される枝番は、擬似連回数に対応する。具体的には、枝番が1の場合には擬似連回数が1、・・・、枝番が4の場合には擬似連回数が4となっている。なお、本実施形態の変形例3では、最大4回の擬似連続変動を実行可能としている。したがって、本実施形態の変形例3では図96に示すように、ステータス(STS)が擬似連回数に対応し、モード(MODE)が変動パターンに対応している。
なお、リーチ態様について、ノーマルリーチよりもSPリーチのほうが大当りとなる期待度が大きく、また、擬似連続変動の場合には、擬似連回数が多くなるほど大当りとなる期待度が大きくなる。
[22−2.シナリオ]
また、各変動パターンには、対応するシナリオ(変動シナリオ)が定義されている。本変形例における変動シナリオとは、特別図柄が変動表示されている間に実行される演出において、予告演出の実行可否、予告演出が実行されるタイミング及び予告演出の種類等が定義されるものである。以下、本変形例における変動シナリオについて図97及び図98を参照しながら説明する。
図97は、本実施形態の変形例3の特別図柄の変動表示における予告演出の実行パターンに対応する変動シナリオの一例を示す図である。シナリオ1は変動パターン1に対応し、シナリオ2は変動パターン2及び変動パターン3に対応し、シナリオ3は変動パターン4及び変動パターン5に対応する。さらに、シナリオ4は変動パターン1−1に対応し、シナリオ5は、変動パターン2−1〜2、変動パターン3−1〜3、変動パターン4−1〜3及び変動パターン5−1〜4に対応する。このように、本実施形態の変形例3では、変動パターンに対して変動シナリオが対応付けられている。なお、一の変動パターンに複数のシナリオが設定され、抽選で選択するようにしてもよいし、複数の変動パターンに共通のシナリオが設定されるようにしてもよい。以下、各変動シナリオの内容について説明する。
各変動シナリオは、各予告の実行可否と実行タイミングが設定されている。本変形例では、予告の実行可否を示す実行フラグがONに設定されている場合には、対応する実行タイミングで予告演出が実行可能となっている。予告演出には予告演出Aから予告演出Dの4種類が含まれる。予告演出Aから予告演出Dには種類ごとに一又は複数の演出が対応付けられており、対応する予告タイミングで実行される予告演出を、抽選して決定する。また、予告演出Aには対応する予告Aフラグに演出内容が設定されており、実行タイミングにおいて予告Aフラグを参照し、設定された予告演出を実行する。このとき、複数の演出から抽選で選択して実行するようにしてもよい。予告演出Bから予告演出Dについても予告Bフラグから予告Dフラグが対応し、同様に制御される。
以下、変動シナリオごとの予告演出の実行タイミングについて説明する。図98は、本実施形態の変形例3の各変動シナリオの予告演出を実行するタイミングを説明する図である。本変形例では、予告演出を実行するタイミングは期間1から期間4まで設定可能となっており、各期間は予告演出Aから予告演出Dに対応している。予告演出の実行可能な期間は、前述のように、実行フラグ及び実行タイミングによって変動シナリオごとに決定される。以下、各変動シナリオについて具体的に説明する。
シナリオ1は、リーチが発生しない通常はずれであるため、期間1のみで終了する。期間1は、特別図柄の変動開始から変動停止までの期間である。シナリオ1が選択された場合、特別図柄の変動開始から2000ms経過したタイミングで予告演出Aの内容を示す予告Aフラグを参照し、対応する予告演出を実行する。このとき、予告Aフラグ設定時に決定された演出を実行するようにしてもよいし、予告演出Aに対応する一又は複数の演出から抽選によって実行する予告演出を選択するようにしてもよい。また、予告演出を実行しないことを選択可能としてもよい。また、予告演出の選択は、常に特定の確率で抽選してもよいし、後述するレベル(演出基準情報)に基づいて抽選するようにしてもよい。なお、予告演出Aを実行するタイミングは、期間1内であればいつでもよく、選択された演出に応じてタイミングを変更してもよいし、一定のタイミングとしてもよい。また、予告Aフラグを参照するタイミング(特別図柄の変動開始から2000ms経過したタイミング)は期間1内のタイミングである。例えば、期間1全体は5000msであり、期間1の開始(特別図柄の変動開始)から2000ms経過したタイミングで予告Aフラグを参照し、予告演出を抽選する。
シナリオ2は、ノーマルリーチが発生する場合である。特別図柄の変動時間は、リーチが発生するまでの期間1(前半変動)とリーチ発生開始から特別図柄の変動停止までの期間2によって構成されている。そして、変動開始から2000ms経過したタイミングで予告演出Aの内容を示す予告Aフラグを参照し、予告演出Aを実行する。同様に、7500ms経過したタイミングで予告演出Bの内容を示す予告Bフラグを参照し、予告演出Bを実行する。
シナリオ3は、SPリーチが発生する場合である。本変形例のSPリーチは、前半部と後半部によって構成されており、リーチ発生後、所定時間経過後にSPリーチに発展する。シナリオ3は、リーチが発生するまでの期間1、リーチ発生からSPリーチに発展するまでの期間2、SPリーチ前半部の期間3及びSPリーチ後半部の期間4となっている。そして、変動開始から2000ms経過したタイミングで予告演出Aの内容を示す予告Aフラグを参照し、予告演出Aを実行する。同様に、7500ms経過したタイミングで予告演出Bの内容を示す予告Bフラグを参照し、予告演出Bを実行する。さらに、20000ms経過したタイミングで予告演出Cの内容を示す予告Cフラグを参照し、予告演出Cを実行し、30000ms経過したタイミングで予告演出Dの内容を示す予告Dフラグを参照し、予告演出Dを実行する。
シナリオ4は、擬似連ガセが発生する場合である。擬似連ガセとは、特別図柄の変動表示が開始されてから仮停止した後、再変動してもリーチが発生せずに変動表示が終了する変動である。シナリオ4は、特別図柄の変動開始から仮停止するまでの期間1、特別図柄の変動表示が終了するまでの期間2によって構成されている。そして、変動開始から2000ms経過したタイミングで予告演出Aの内容を示す予告Aフラグを参照し、予告演出Aを実行する。同様に、8000ms経過したタイミングで予告演出Bの内容を示す予告Bフラグを参照し、予告演出Bを実行する。
なお、擬似連続表示の仮停止が開始されてから擬似連続表示が終了するまで(変動停止又はリーチ発生)の間が期間2に対応する。この場合、期間2に特別図柄の仮停止が一又は複数回実行され、例えば、仮停止の回数が3回の場合には、初回仮停止〜2回目の仮停止期間を期間2―1とし、このとき実行される予告演出を予告演出B―1とする。同様に、2回目の仮停止期間〜3回目の仮停止(リーチ)期間を期間2―2とし、予告演出B−2が実行される。各予告演出の実行タイミングは、図97に示したタイミング(8000ms)を基準として演出内容に応じて決定される。
シナリオ5は、擬似連続変動からSPリーチに発展する場合である。この場合には、期間1が特別図柄が仮停止するまでの時間となり、期間2が仮停止からSPリーチが発生するまでの時間となる。期間3及び期間4は、通常のSPリーチ発生時と同様である。
シナリオ5は、擬似連続変動からSPリーチに発展する場合であり、特別図柄の変動開始から仮停止するまでの期間1と、リーチが発生するまでの期間2と、リーチ発生からSPリーチに発展及びSPリーチ前半部の期間3と、SPリーチ後半部の期間4とによって構成されている。期間2については、シナリオ4で説明したように、仮停止の回数に対応して期間が分割される。また、期間3についてもリーチ発生からSPリーチに発展するまでの期間と、SPリーチ前半部とを分割してもよい。
シナリオ5では、変動開始から2000ms経過したタイミングで予告演出Aの内容を示す予告Aフラグを参照し、予告演出Aを実行する。同様に、7500ms経過したタイミングで予告演出Bの内容を示す予告Bフラグを参照し、予告演出Bを実行する。さらに、30000ms経過したタイミングで予告演出Cの内容を示す予告Cフラグを参照し、予告演出Cを実行し、40000ms経過したタイミングで予告演出Dの内容を示す予告Dフラグを参照し、予告演出Dを実行する。
なお、図面では各シナリオの代表的な例のみを示しており、各シナリオは、それぞれについて複数種類定義可能である。例えば、ノーマルリーチであれば、シナリオ2が1種類だけ定義されているのではなく、シナリオ2−1、シナリオ2−2、シナリオ2−3のように、演出などのバリエーションに応じて複数のシナリオが定義可能となっている。同様に、SPリーチの種類ごとに複数のシナリオが定義されていたり、変動時間の同じ種類のSPリーチであっても演出などのバリエーションに応じて複数のシナリオが定義されていたりする。
[22−3.抽選ポイント]
本実施形態の変形例3では、前述のように、変動パターンに対応する変動シナリオに基づいて演出内容を抽選する(抽選ポイント)。抽選ポイントには、特別図柄の変動表示の期待度に応じたレベル(演出基準情報)が段階的に設定され、対応する変動シナリオが抽選される。図99は、本実施形態の変形例3の抽選ポイントの予告の内容の一例を示す図である。本変形例では、図99に示すように、「先読み」、「前半変動」、「擬似連」、「テンパイ時」、「SP前半」、「SP後半」がある。
「先読み」は、保留先読み、背景変化、その他先読み予告の実施可否及び期待度の強弱を抽選する。具体的には、保留先読みのみ実行する場合や保留先読みと背景変化を同時に実行する場合なども抽選可能となっており、さらに実行する先読み予告の種類(強弱)を決定する。また、先読み予告が特定のキャラクタ等の登場であってもよく、当該キャラクタの登場回数を決定したり、登場タイミングを決定したりしてもよい。
また、前述のように、始動入賞口に遊技球が入賞すると、主制御基板4100は、取得した乱数値により当落判定、変動パターン種別(リーチカテゴリー)又は変動パターン(最終変動パターン)を決定し、これらを先読み情報としてサブ基板にコマンド送信する。なお、先読み時の当落判定、変動パターン種別又は変動パターンの決定方法は、特別図柄の変動開始時と同様に処理され、同じ処理ルーチンを使用することによって、プログラム容量の圧縮を行っている。
周辺制御基板4140は、主制御基板4100から受信した先読み情報に基づき、先読み演出の実行可否、先読み態様(保留先読み、背景変化、ゾーン先読み)、決定した先読み態様における演出態様を決定する。なお、保留先読みは保留表示の表示態様を変化させる予告演出であり、表示色や表示色の変化順序(例えば、青⇒緑⇒赤)が演出態様として定義される。また、背景変化であれば、背景画像の種類や背景画像の変化順序(例えば、雨雲⇒雷雲⇒雷)が定義される。ゾーン先読みであれば、ゾーン演出の種類が定義される。これらの演出態様は、変動開始タイミング毎に切り替えられるが、これに限定されずに、変動開始からの経過時間、特定の達成条件(ミッション)等を達成することによって切り替わるようにしてもよい。
「前半変動」は、特別図柄の変動開始からリーチが発生するまで又は特別図柄が仮停止するまでの期間であって、この期間に実行される予告演出の実行可否及び期待度の強弱を抽選する。
「擬似連」は、特別図柄が仮停止し、再変動を繰り返すごとに予告態様を変化させるパターンを抽選する。予告態様の変化パターンは、変動開始時に一括して抽選される。予告態様を変化させるパターンには、実行される予告の期待度が徐々に高くなるようにしたり、期待度を一定にしたりするようなパターンが含まれる。このとき、擬似連の進行に応じて期待度が低下する成り下がりを防止するようにこれらのパターンを定義してもよい。なお、変動開始時に一括して抽選せずに、所定のタイミング(例えば、予告態様の変化タイミング)ごとに予告態様を抽選するようにしてもよい。このように構成することで、期待度が低くなる予告態様を抽選範囲からあらかじめ除外することが可能となり、成り下がりの発生を防止することができる。また、意図的に成り下がりを発生させることで遊技者に何らかの有益な情報(例えば、遊技状態)を示唆してもよい。例えば、遊技者が高確率状態である低確率状態であるかが把握できない確率状態の場合に、成り下がりが発生すると、高確率状態であることを示唆するようにしてもよい。大当りの期待感が低下しても遊技者に有益な情報を示唆することによって興趣の低下を抑制することができる。
「テンパイ時」は、特別図柄の変動表示中に発生し、大当りを示唆するイベント(テンパイ)であって、このイベントの発生時に実行される予告演出の実行可否及び期待度の強弱を抽選する。「SP前半」は、SPリーチの前半部分で実行される予告演出の期待度の強弱を抽選し、「SP後半」は、SPリーチの後半部分で実行される予告演出の期待度の強弱を抽選する。
[22−4.レベル(演出基準情報)]
続いて、変動パターンとレベル(演出基準情報)との関係について説明する。本実施形態の変形例3では、レベルが高いほど、大当りの期待度が高くなるように設定されているため、変動パターンの期待度と対応してレベルが設定される。図100は、本実施形態の変形例3の変動パターンとレベルとの関係を説明するための図である。図100に示すように、各変動パターンには基本レベルが設定されており、変動パターン1にはレベル(LV)1、変動パターン2にはLV2、変動パターン3にはLV3、変動パターン4にはLV3、変動パターン5にはLV4が設定されている。
本実施形態の変形例3では、基本レベルが設定されているが、実際には変動パターンと擬似連の回数に基づいてレベルを設定している。例えば、図100に示すように、変動パターン3の場合には、基本レベルにLV3が設定されているが、擬似連の回数が3回の場合には基本レベルよりも高いLV4を選択するように設定されている。変動パターン3は、ノーマルリーチが実行されて大当りが発生する場合であるが、ノーマルリーチでは実行されないはずの演出を実行することによって遊技者の期待感を高めることができる。一方、変動パターン4では、擬似連の回数が少ない場合には基本レベルよりも低いLV2が設定されている。変動パターン4は、SPリーチが実行されるが変動表示の結果がはずれになるため、演出の期待度を低くすることによって期待感を過剰に煽ることを防止することができる。
以上のように、変動パターンと擬似連の回数に基づいてレベルが設定されていることから、本実施形態の変形例3では変動パターンコマンドにレベルが対応するようになっている。また、変動パターン決定時に、基本レベルを設定するか擬似連回数に対応するレベルを設定するかを抽選するようにしてもよい。
また、本実施形態の変形例3では、変動パターン及び遊技状態に基づいてレベルを設定することが可能となっている。図101は、本実施形態の変形例3の変動パターンと遊技状態との関係を説明するための図である。本変形例では、前述したように、変動表示の確率状態(低確率状態(通常状態)、高確率状態)、普通電動役物の作動状態(時短状態)が遊技状態として設定される。具体的には、低確率非時短状態、低確率時短状態、高確率非時短状態(いわゆる潜伏確変)、高確率時短状態(いわゆる確変状態)である。
遊技状態に応じてレベルを基本レベルと異なるレベルに設定する場合には、例えば、遊技者が遊技状態を把握していない場合に、当該遊技状態を示唆するようにしてもよい。具体的には、高確率非時短状態で遊技者が高確率状態であるか低確率状態であるかを把握できない場合に、図101に示すように、基本レベルとは異なるレベルを設定する。例えば、高確率非時短状態で変動パターン1が選択された場合には基本レベル(LV1)よりも高いレベル(LV2)を設定し、変動パターン4の場合には基本レベル(LV3)よりも低いレベル(LV1)を設定することで、通常では実行されない演出を実行するように制御、遊技者に高確率状態であることを示唆する。
なお、高確率非時短状態(いわゆる潜伏確変)について説明したが、遊技性で基本レベルとは異なるレベルを設定するようにしてもよい。例えば、遊技状態が高確率時短状態であって、変動パターン5で高確率状態に移行しない通常大当りが発生する場合には、基本レベルよりも低いレベルを設定し、期待度の低い演出を実行することによって高確率状態から転落してしまうことを示唆することができる。
また、擬似連の進行とともにレベルを変更してもよい。これにより、期待度の低い変動パターンが選択されても、変動表示の結果が大当りであれば、演出の進行に応じてレベルを昇格させることで期待度の高い演出を実行することが可能となるため、遊技者の興趣を段階的に高めることができる。具体的には、特別図柄の仮停止時に実行される演出のレベルを後半で高くなるように設定してもよい。
さらに、レベルの選択は、大当り図柄(大当りの種類)に基づいて決定するようにしてもよい。例えば、確変状態に移行して多量の賞球のある大当りであれば、レベルを高く設定し、確変状態に移行しない大当りであったり、賞球のない(少ない)大当りであれば、相対的に低いレベルに設定する。これに遊技状態を加味し、確変状態でありながら、通常状態に移行してしまう大当りの場合にはレベルを低く設定するようにしたり、確変状態に移行又は確変状態を維持する場合には高いレベルに設定するようにしたりしてもよい。
また、本実施形態の変形例3では、設定されたレベルに応じて演出の実行可否及び実行される演出の種類が異なるようになっている。図102は、本実施形態の変形例3のレベルごとに予告演出の実行可否を設定するテーブルの一例を示す図である。図102では、特別図柄の変動表示における大当りの期待度を示唆する演出(予告演出)の実行可否を示している。
図102を参照しながら具体的に説明すると、予告演出の例として、可動役物(役物A、役物B)、表示画面の背景(背景画像A、背景画像B)が実行可能となっており、役物Aよりも役物Bによる演出のほうが期待度が高いことを示唆し、同様に背景画像Aよりも背景画像Bが表示されたほうが期待度が高いことを示唆している。
前述のように、レベルが高いほうが大当り期待度が高い予告演出が実行されるため、最も低いレベル1の場合には、期待度の低い役物Aによる予告演出が実行されるのみである。一方、レベル4の場合にはすべての予告演出を実行可能となっており、いずれかの予告演出が実行されるようにしてもよいし、可動役物による予告演出と表示画面の背景変更による予告演出の重複実行を許可するようにしてもよいし、可動役物の動作が互いに阻害しなければ可動役物による演出を重複して実行するなど、各予告演出を並行して実行するようにしてもよい。
なお、予告演出が実行可(“○”)となっている場合であっても、必ず実行するのではなく抽選により実行可否を決定するようにしてもよい。予告演出が実行される場合のほうがされない場合よりも大当りの期待度が高いため、レベルが高いほど予告演出を実行する確率が高くなるように設定されており、レベルに応じた抽選確率が設定されている。
また、図102に示すテーブルを各予告演出の実行時に参照し、実際に予告演出を実行してもよいか否かを判定するようにしてもよい。これにより、本来実行すべきでない予告演出が実行されることを防止することが可能となる。レベル4の場合のように、すべて実行可能な場合にはこのような判定を行わなくてもよい。
なお、役物による予告演出や背景画像による予告演出は、実行中の変動表示(当該変動)の結果を示唆するものであってもよいし、変動表示が開始されていない保留記憶に対する予告(先読み予告)であってもよい。
[22−5.予告演出の抽選]
次に、各抽選タイミングで選択される予告の選択手順について説明する。図103は、本実施形態の変形例3の予告演出の内容を選択するためのテーブルの一例を示す図であり、(A)は前半変動時、(B)はリーチ後又は擬似連発生時、(C)はリーチ後の発展前半又は擬似連発生後のリーチ前半、(D)はリーチ後の発展後半又は擬似連発生後のリーチ後半の予告演出の抽選確率と演出フラグの設定値を示している。
図103(A)では、特別図柄の変動前半時に実行される予告Aの抽選確率を示している。レベル1では、50%の確率で予告Aを実行せず、50%の確率で予告A−1を実行する。予告Aが実行されない場合には、予告Aフラグのフラグ設定値に0が設定され、同様に、予告A−1が実行される場合には1、予告A−2が実行される場合には2、予告A−3が実行される場合には3、予告A−4が実行される場合には4が設定される。予告A−1からA−4の順に大当りの期待度が高くなり、期待度の高いレベルが選択された場合により期待度の高い予告演出が選択されやすくなるように設定されている。なお、大当りの確定演出としてフラグ設定値が5に設定される予告演出(例えば、A−5)を追加してもよい。
なお、予告Aは、必ずしも1種類の予告演出ではなく、例えば、変動前半に行われる複数種類の演出が含まれる。このとき、演出の種類に応じて予告Aテーブルを複数種類定義する。具体的には、図104にて後述するセリフ予告、複数のキャラクタが表示されるキャラクタ群予告、段階的に期待度の高くなる画像が表示されるステップアップ予告などがあり、予告の種類に応じて予告Aテーブルを定義する。また、これらの予告演出が重複して実行可能であれば並行して複数の予告演出を実行してもよい。一方、並行して実行できない場合には、予告の種類ごとに優先順位を設定し、優先順位の高い予告演出を実行してもよいし、実行する演出を抽選で決定してもよい。なお、後述する予告Bから予告Dについても同様に複数の演出を定義可能となっている。
図103(B)はリーチ後又は擬似連発生時に実行される予告B、(C)はリーチ後の発展前半又は擬似連発生後のリーチ前半に実行される予告C、(D)はリーチ後の発展後半又は擬似連発生後のリーチ後半に実行される予告Dの抽選確率及び演出フラグの設定値を示している。概ね各予告演出は予告Aの場合と同様の傾向で設定されており、予告Dのように実行された時点で大当りの期待度が高い場合にはより期待度の高い予告演出が実行されやすくなるように設定されており、遊技者の期待感を高めるようにしている。なお、レベル1では予告Dが実行されないため、「なし」に100%設定されている。
[22−6.セリフ演出]
続いて、特別図柄の変動表示中に実行される予告演出のうち、液晶表示装置1900にキャラクタを表示するなどして、期待度を示唆するセリフを表示及び音声出力するセリフ演出について説明する。なお、キャラクタ等を表示せずに音声出力のみであってもよい。また、セリフ演出は、例えば、図103に示した例では前半変動の予告Aに対応させることができる。
図104は、本実施形態の変形例3のセリフ予告演出の一例を説明する図であり、(A)は従来のセリフ予告演出の選択テーブル、(B)は本発明のセリフ予告演出の選択テーブルである。なお、図103に示した例では、演出内容の選択を抽選確率によって示していたが、図104(B)では乱数値よって示している。
従来のセリフ予告演出は、主制御基板4100によって通知された変動パターンに基づいて実行可否及びセリフの内容が決定されていた。具体的には、変動パターンが通知されると、乱数値を取得し、出力するセリフを抽選する。図104(A)に示す例では、0から1000の乱数が取得され、通知された変動パターンと取得された乱数値に対応するセリフを選択し、セリフ演出を実行する。具体的には、変動パターン3では、0から750までの乱数値が抽出された場合にはセリフ2が選択され、751から1000までの乱数値が抽出された場合にはセリフ3が選択される。例えば、抽出された乱数値が500であれば、セリフ2が選択される。
一方、本発明にかかるセリフ予告演出では、変動パターンが通知されると、前述のように、通知された変動パターンに基づいてレベルを選択する。さらに、乱数値を取得し、取得された乱数値と選択されたレベルに基づいてセリフを選択する。
従来のセリフ予告は変動パターンごとに選択する必要があったため、変動パターンの数が多い場合には、図104(A)に示すように、膨大なデータ量となる選択テーブルを必要としていた。一方、本実施形態の変形例3では、図104(B)に示すように、変動パターンに対応するレベルごとにセリフ予告の内容を選択するため、データ量を大幅に削減することが可能となる。
[22−7.予告演出制御]
続いて、予告演出を選択するための抽選を行う制御について説明する。図105は、本実施形態の変形例3の予告演出を選択する抽選を行うレベル設定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、周辺制御部定常処理(図42)において、主制御基板4100から送信されたコマンド(先読み演出開始コマンド、特図同期演出開始コマンド)に基づいて実行される。本処理の実行タイミングは、例えば、先読み予告の演出内容や当該変動の演出内容が決定される前、すなわち、演出制御処理(ステップS1026)や特図先読み制御処理(ステップS1027)の前に実行するようにしてもよいし、演出制御処理(ステップS1026)や特図先読み制御処理(ステップS1027)の内部で実行するようにしてもよい。
レベル設定処理が開始されると、まず、周辺制御基板4140(周辺制御MPU4150a)は、始動入賞時に送信される先読み演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS3000)。レベル設定処理を受信コマンド解析処理の後に実行する場合には、先読み演出開始コマンドを受信したか否かを、先読み演出実行フラグがセットされているか否かによって判定することができる。
先読み演出開始コマンドを受信した場合には(ステップS3000の結果が「Yes」)、周辺制御MPU4150aは、先読み予告演出のシナリオ(先読みレベルシナリオ)を抽選する(ステップS3001)。先読みレベルシナリオは、先読み演出開始コマンドの内容に対応する変動パターンに基づいて決定する。さらに、擬似連続変動の回数や遊技状態などに基づいてレベルを決定するようにしてもよい。
本変形例では、先読み予告演出に保留予告と背景予告とがある。保留予告の先読みレベルシナリオには、実行可否、保留表示の段階的な変化の有無及びタイミングなどが含まれる。また、背景予告の先読みレベルシナリオには、同じく、実行可否、背景画像の段階的な変化の有無及びタイミングなどが含まれる。さらに、先読みレベルシナリオには、レベルが設定されており、段階的に変化する場合には変化するタイミングごとにレベルが設定されている。なお、先読み演出に係る予告演出は可動役物の動作によるものであってもよく、また、ランプの点灯や音の出力であってもよい。
また、先読み演出開始コマンド受信時と、当該先読み演出開始コマンドに対応する変動表示開始時の遊技状態が異なる場合には(例えば、所定回数継続する高確率状態が終了する場合等)、予告演出と変動表示の結果に齟齬が生じるおそれがあるため、レベルを1に設定することで、不当に期待度の高い演出が実行されることによる遊技者の落胆を防ぐことができる。また、必ずしもレベルを1にする必要はなく、例えば、変動表示の結果が大当りであれば、レベルを最大値に設定してもよい。
次に、周辺制御MPU4150aは、抽選されたレベルに基づいて、保留予告の演出態様を抽選する(ステップS3002)。保留予告は、表示画面上の特別図柄変動の保留表示の態様を変更することによって遊技者に当該保留の大当りの期待度を示唆する演出である。具体的には、保留表示の表示色を変更したり、形状を変更したりする。なお、前述した通常先読み演出が保留予告に対応する。保留予告の抽選は、乱数値を抽出し、抽出された乱数に基づいて、所定のテーブルから保留表示の態様を特定する。さらに、保留表示の態様に対応するフラグ設定値を取得する。そして、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を保留予告の実行可否及び種類を示す保留予告フラグとして設定する(ステップS3003)。なお、保留予告を実行しない場合には、保留予告の抽選をスキップし、保留予告フラグに0を設定する。
続いて、周辺制御MPU4150aは、抽選されたレベルに基づいて、背景予告の演出態様を抽選する(ステップS3004)。背景予告は、表示画面の背景の表示態様を変更することによって遊技者に当該保留の大当りの期待度を示唆する演出である。背景予告の抽選は、乱数値を抽出し、抽出された乱数に基づいて、所定のテーブル(図103)から背景画像を特定する。さらに、背景画像に対応するフラグ設定値を取得する。そして、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を背景予告の実行可否及び種類を示す保留予告フラグとして設定する(ステップS3005)。なお、背景予告を実行しない場合には、背景予告の抽選をスキップし、背景予告フラグに0を設定する。
一方、先読み演出開始コマンドを受信していない場合には(ステップS3000の結果が「No」)、周辺制御MPU4150aは、特別図柄の変動開始時に送信される特図同期演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS3010)。なお、レベル設定処理を受信コマンド解析処理の後に実行する場合には、特図同期演出開始コマンドを受信したか否かを、変動パターン受信フラグがセットされているか否かによって判定することができる。特図同期演出開始コマンドを受信していない場合には(ステップS3011の結果が「No」)、周辺制御MPU4150aは、本処理を終了する。
特図同期演出開始コマンドを受信した場合には(ステップS3010の結果が「Yes」)、周辺制御MPU4150aは、特図同期演出開始コマンドの内容に基づいて、当該変動レベルシナリオを抽選する(ステップS3011)。具体的には、特図同期演出開始コマンドに対応する変動パターンに基づいて抽選する。また、当該変動に対応する先読みレベルシナリオに基づいて、当該変動レベルシナリオを抽選してもよい。さらに、図100及び図101に示したように、擬似連続変動の回数や遊技状態などに基づいてレベルを決定するようにしてもよい。当該変動レベルシナリオには、演出が実行されるポイントごとにレベルが設定されている。
ここで、特図同期演出開始コマンドに基づいて抽選された当該変動レベルシナリオに設定されたレベルが、始動入賞時(先読み演出開始コマンド受信時)に抽選された先読みレベルシナリオに設定されたレベルと矛盾が生じていないかを判定し、矛盾が生じている場合には、始動入賞時に決定したレベルを選択するようにしてもよい。これにより、変動パターンによって複数のレベルを選択可能な場合に、先読み時の演出内容と齟齬が生じることを防ぐことが可能となる。なお、変動表示の結果が大当りになることが確定している場合には、レベルが高くなるように設定してもよい。この場合には、先読み演出よりも当該変動における演出の期待度が高くなっても遊技者の期待感を損なうことがないからである。
当該変動レベルシナリオが抽選されると、周辺制御MPU4150aは、特図同期演出における識別図柄の変動前半時に実行される予告Aを設定する(ステップS3012)。予告Aの実行タイミングは、擬似連続変動が実行されない場合のリーチが発生する前まで、及び、擬似連続変動が開始されるまでの間である。予告Aの抽選は、乱数値を抽出し、抽出された乱数に基づいて、所定のテーブル(図103(A)、図104(B))から実行する予告Aの種類を特定する。さらに、予告Aの種類に対応するフラグ設定値を取得する。そして、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を予告Aフラグとして設定する(ステップS3013)。
次に、周辺制御MPU4150aは、リーチ発生後又は擬似連続変動の開始時に実行される予告Bを設定する(ステップS3014)。予告Bの抽選は、予告Aの場合と同様に、所定のテーブル(図103(B))から実行する予告Bの種類を特定し、フラグ設定値を取得する。続いて、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を予告Bフラグとして設定する(ステップS3015)。
次に、周辺制御MPU4150aは、リーチ後の発展演出の前半又は擬似連続変動の開始後のリーチ演出の前半に実行される予告Cを設定する(ステップS3016)。予告Cの抽選は、予告Aの場合と同様に、所定のテーブル(図103(C))から実行する予告Cの種類を特定し、フラグ設定値を取得する。続いて、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を予告Cフラグとして設定する(ステップS3017)。
次に、周辺制御MPU4150aは、リーチ後の発展演出の後半又は擬似連続変動の開始後のリーチ演出の後半に実行される予告Dを設定する(ステップS3018)。予告Dの抽選は、予告Aの場合と同様に、所定のテーブル(図103(D))から実行する予告Dの種類を特定し、フラグ設定値を取得する。続いて、周辺制御MPU4150aは、取得したフラグ設定値を予告Dフラグとして設定する(ステップS3019)。すべての予告フラグを設定すると、本処理を終了する。
続いて、本実施形態の変形例3における先読み予告(保留予告、背景予告)を実行制御について説明する。本実施形態の変形例3における先読み予告演出では、先読み演出制御処理(ステップS1027)において保留予告フラグ及び背景予告フラグを参照して先読み演出の実行を制御する。図106は、本実施形態の変形例3における先読み演出制御処理の手順を示すフローチャートである。
周辺制御MPU4150aは、まず、保留予告フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS3021)。保留予告フラグがセットされていない場合には(ステップS3021の結果が「No」)、ステップS3024以降の処理を実行する。
一方、保留予告フラグがセットされている場合には(ステップS3021の結果が「Yes」)、周辺制御MPU4150aは、保留予告設定処理を実行する(ステップS3022)。保留予告設定処理では、画面上に表示された保留表示の態様を保留予告フラグの設定値に基づいて変更する。保留予告設定処理の終了後、保留予告フラグをクリアする(ステップS3023)。
保留予告フラグがセットされていない場合(ステップS3021の結果が「No」)、又は、保留予告の設定が終了した後、周辺制御MPU4150aは、背景予告フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS3024)。背景予告フラグがセットされていない場合には(ステップS3024の結果が「No」)、本処理を終了する。
背景予告フラグがセットされている場合には(ステップS3024の結果が「Yes」)、周辺制御MPU4150aは、背景予告フラグに対応する背景画像を画像ROMから取得し、セットする(ステップS3025)。最後に、背景予告フラグをクリアし(ステップS3026)、本処理を終了する。
なお、先読み予告演出のレベルが設定された後に、当該変動開始前までに電源が遮断された場合には、先読み予告演出のレベルに関する情報は電断処理で初期化するとともに、所定回数の変動(保留上限数分以内(最大8個))は、当該変動のレベルを最下位レベル(レベル1)として予告抽選を行う。
具体的には、電源投入時に、電源投入時コマンドに続けて保留数コマンドを受信した場合には、受信した保留数コマンドに基づく保留数(特図二個タイプは合計数)分当該変動のレベルを最下位レベルとする。また、電源投入時に、電源投入時コマンドに続けて保留数コマンドが受信していない場合には、所定数(特図二個タイプは8個)分当該変動のレベルを最下位レベルとする。
以上のように、本実施形態によれば、変動パターンに対応したレベル(演出基準情報)を設定することによって、階層的に演出データを管理することが可能となる。これにより、演出データの設定の誤りを削減することが可能となる。特にレアな演出パターンなどの発見しにくい誤りの発生を防ぐことが可能となるため、遊技機の動作試験の効率も向上させることが可能となる。そして、安定して動作する遊技機を提供することによって、遊技の興趣の低減を抑制することができる。
また、レベルに基づいて演出内容を抽選することによって、予告(先読み)の内容と、特図同期演出(当該変動)の演出の内容とが一致しないことを防止することができる。これにより、遊技者が予告発生時に高まった期待感が変動開始後に低下してしまうことによって遊技の興趣が低下することを防止することができる。
[23.レベル管理によるシナリオ演出制御手順]
ここで、前述したレベル管理による演出制御についてさらに詳細な手順を第4の変形例として説明する。信頼度レベルは、主制御基板4100から送信された情報に基づいて設定される。また、信頼度レベルは、先読み予告と当該変動の予告を実行するために抽選し、各々の場合について設定する。以下、信頼度レベルを設定するための手順の概要について説明する。
[23−1.先読み予告演出の抽選]
先読み予告の信頼度レベルは、遊技球が始動入賞口に入賞した時(保留入賞時)に設定される。遊技球が始動入賞口に入賞すると、主制御基板4100から先読み情報が演出制御基板4140に送信される。演出制御基板4140は、受信した先読み情報に基づいて、擬似連続変動の種類(擬似連種別)や一又は複数の先読み予告演出の種類を抽選する。先読み情報には、変動パターンコマンドや特別図柄の変動表示の結果の種類(大当りの種別)を示す図柄種別先読みコマンドなどが含まれる。
[23−1−1.擬似連続変動の種類(擬似連種別)の選択]
ここで、擬似連続変動の種類(擬似連種別)の選択について説明する。擬似連続変動の実行可否及び変動回数は保留入賞時に決定され、先読み情報とともに演出制御基板4140に送信される。そして、演出制御基板4140は、擬似連続変動の実行可否及び変動回数に応じて擬似連続変動の種類(擬似連種別)を抽選する。
図107及び図108は、本変形例における擬似連続変動の種類(擬似連種別)の一例を示す図である。本変形例の擬似連続変動は最大4回となっており、擬似連回数ごとに変動パターンに応じて実行される擬似連種別の選択確率が定義されている。図107は擬似連回数が0の場合、図108は擬似連回数が4回の場合を示している。なお、擬似連回数1回から3回の場合については抽選確率が異なるのみなので図示を省略する。
本変形例における擬似連続変動には、STORY(ストーリー)擬似連、必殺技擬似連、ハイパー擬似連の3種類があり、それぞれの場合において実行すると見せかけて実行しないガセ演出が実行可能となっている。また、擬似連の実行なしも選択できるようになっている。そして、変動パターンに応じて抽選確率が定義されている。
また、擬似連回数が多いほど、大当りの期待度が高くなるため、図107及び図108を比較すると、擬似連回数が4回の場合のほうが擬似連が実行される確率が高くなるように設定されている。また、擬似連回数が4回の場合にはリーチが発生しない変動を除いていわゆるガセ演出が実行されないようになっている。
[23−1−2.入賞時信頼度レベルの抽選]
擬似連続変動の種類(擬似連種別)が決定されると、演出制御基板4140は、決定された擬似連続変動の種類と、先読み情報に含まれる図柄種別先読みコマンドに基づいて、入賞時信頼度レベルを抽選する。前述した例では、変動パターンに基づいて信頼度レベルを設定していたが、本変形例では、変動パターン情報とともに大当りの種別に基づいて入賞時信頼度レベルを決定する。すなわち、特別図柄の変動表示の結果を考慮して決定される。
本変形例における入賞時信頼度レベルは、特別図柄の種別(大当り図柄、図柄種別先読みコマンド)に対応する図柄グループ及び変動パターン(変動パターン先読みコマンド)に対応して決定される。図109は、本変形例における図柄グループの種類の一例を説明する図である。図110は、本変形例における図柄グループの定義の一例を説明する図である。
本変形例では、図109に示すように、3種類の図柄グループが定義されている。具体的には、グループ1がはずれの図柄用、グループ2が最大ラウンドの大当りを除く大当りの図柄用、グループ3が最大ラウンドの場合の大当り図柄用である。
続いて、図110を参照すると、図柄先読みコマンド値(図柄種別先読みコマンドのモード値)に対応する図柄グループが定義されている。なお、図柄先読みコマンド値は図柄名称(大当りの種類)に対応する。なお、出玉のない大当りは、はずれ図柄用のグループ1に対応する。また、特図1で最大ラウンド(10R)となる「05H」「09H」「0AH」、特図2で最大ラウンド(16R)となる「0EH」にグループ3が設定されている。
以上のように、主制御基板4100から通知された図柄先読みコマンド値に基づいて払い出される遊技球数など(遊技者に提供される遊技価値)に応じたグループに分類し、分類されたグループに応じて入賞時信頼度レベルを設定することができる。
本変形例では、図柄グループ及び擬似連回数に応じて入賞時信頼度レベル抽選テーブルが設定されている。図柄グループ及び擬似連回数が決定されると、対応する入賞時信頼度レベル抽選テーブルを特定する。そして、特定された入賞時信頼度レベル抽選テーブルに基づいて、入賞時信頼度レベルを決定する。以下、入賞時信頼度レベルを決定する手順について説明する。
まず、入賞時信頼度レベルについて具体的に説明する。図111は、本変形例における入賞時信頼度レベルの一例を示す図である。図111に示すように、大当りの期待度(信頼度)が低い順にレベル(LV)0からレベル7までの入賞時信頼度レベルが設定される。
入賞時信頼度レベルに応じた演出内容としては、レベル0の場合には演出は実行されず、レベル1の場合にはガセ演出が実行される。そして、レベルが高くなるごとに信頼度が高くなり、レベル6では高信頼度のキャラクタ(てんとう虫)が登場し、レベル7では大当り確定を示すプレミアム演出が実行される。
続いて、入賞時信頼度レベル抽選テーブルの一例について説明する。図112から図117は、本変形例における入賞時信頼度レベル抽選テーブルの一例を示す図である。図112は図柄グループ1で擬似連回数0回の場合、図113は図柄グループ1で擬似連回数4回の場合、図114は図柄グループ2で擬似連回数0回の場合、図115は図柄グループ2で擬似連回数4回の場合、図116は図柄グループ3で擬似連回数0回の場合、図117は図柄グループ3で擬似連回数4回の場合である。なお、擬似連回数1回から3回の場合については抽選確率が異なるのみなので図示を省略する。なお、本変形例では擬似連回数別に入賞時信頼度レベル抽選テーブルを設けるようにしているが、さらに擬似連の種類ごとに入賞時信頼度レベル抽選テーブルを設けるようにしてもよい。
本変形例では、主制御基板4100から通知された変動パターンに基づいて、図112から図117に示した入賞時信頼度レベル抽選テーブルから入賞時の信頼度レベルを抽選する。例えば、図柄グループ2が選択され、擬似連回数が4回の場合において、変動パターンが「キャラショートリーチ大当り」(PTNが21)の場合には、図115の入賞時信頼度レベル抽選テーブルを取得する。そして、レベル4が30%、レベル5が30%、レベル6が40%の確率で選択される。
このように特別図柄の変動表示の結果を考慮して入賞時信頼度レベルを抽選することによって、例えばレベル7の予告(出現すると大当りが確定する特別な予告であるプレミアム予告)を最大出玉数となる大当り変動が発生する場合にのみ出現させることが可能となり、出玉数の少ない大当りや高確率状態に移行しない大当りなど、比較的遊技者に有利でない大当りを発生させる変動には、入賞時信頼度レベルに低いレベルを設定することで、遊技者の期待感を過剰に煽ることを防止することができる。
[23−1−3.先読み演出組み合わせ抽選]
以上のようにして入賞時信頼度レベルが選択されると、実行される先読み演出(先読み予告)を抽選する。本変形例では、先読み演出として、背景表示を変更するなど特定の演出を実行する先読み演出と、保留表示を変化させる先読み演出とが実行可能となっている。また、先読み演出は、先読み演出の対象となる変動が開始されるまでの間に実行するものであるため、先読み演出の実行可能な変動回数に応じた演出が実行される。
特定の演出を実行する先読み演出は、複数の演出を組み合わせて実行することが可能となっており、入賞時信頼度レベルに応じて一又は複数の先読み演出(先読み予告)を組み合わせて実行する。本変形例では、所定の予告演出を実行する「ストーリーエフェクト先読み予告」「必殺技レベル先読み」「ハイパーエフェクト先読み予告」や期待度の大きい変動までのカウントダウン表示を行う「カウントダウン先読み予告」、同色の識別図柄を停止させたり、変動停止時に特定の演出を行ったりするうことで後続の変動が高期待度であることを示唆する「同色図柄停止先読み」「変動停止時先読み予告」、導光板を利用する「導光板先読み」、背景に雷雲を表示する「雷雲モード」などが実行可能となっている。
図118から図125は、本変形例の先読み演出組み合わせ抽選の一例を示す図であり、実行される擬似連の種類及び先読み演出を実行可能な変動数に応じて抽選テーブルが設定されている。図118は擬似連なし、当該変動の場合、図119は擬似連なし、先読み可能変動数が4回の場合を示す。図120は擬似連種別がSTORY擬似連、当該変動の場合、図121は擬似連種別がSTORY擬似連、先読み可能変動数が4回の場合を示す。図122は擬似連種別が必殺技擬似連、当該変動の場合、図123は擬似連種別が必殺技擬似連、先読み可能変動数が4回の場合を示す。図124は擬似連種別がハイパー擬似連、当該変動の場合、図125は擬似連種別がハイパー擬似連、先読み可能変動数が4回の場合を示す。なお、先読み可能変動数が1回から3回の場合については抽選確率が異なるのみなので図示を省略する。
本変形例では、擬似連種別に対応する先読み演出が実行され、例えば、図120に示すように、STORY擬似連が実行される場合にはストーリーエフェクト先読み予告が実行される。同様に、必殺技擬似連が実行される場合には必殺技レベル先読みが実行され、ハイパー擬似連が実行される場合にはハイパーエフェクト先読み予告が実行される。
また、カウントダウン先読み予告、同色図柄停止先読み、変動停止時先読み予告、導光板先読み及び雷雲モードは、それぞれ単独又は他の演出と組み合わせて実行可能となっている。本変形例では、先読み演出を実行しない場合(レベル0の場合)を含めて25パターンの組み合わせで先読み予告が実行可能となっている。さらに、パターン(PTN)1からパターン25の順で大当りの期待度が高くなるように設定されており、複数の先読み演出が実行されやすくなっており、パターン25ではカウントダウン先読み予告、同色図柄停止先読み、変動停止時先読み予告がそれぞれ実行されるように設定されている。
図を参照しながら具体的に説明すると、例えば、擬似連種別が「必殺技擬似連」に決定され、入賞時信頼度がレベル2(LV2)の場合には(図122)、30%の確率で先読み演出を実行せず(PTN1)、3%の確率で「必殺技レベル先読み」を実行する(PTN2)。また、「カウントダウン先読み予告」「同色図柄停止先読み」「変動停止時先読み予告」「導光板先読み」「雷雲モード」がそれぞれ3%の確率で実行される(PTN3〜PTN7)。さらに、「必殺技レベル先読み」とともに、「カウントダウン先読み予告」「同色図柄停止先読み」「変動停止時先読み予告」がそれぞれ10%の確率で実行される(PTN8〜PTN10)。
[23−1−4.先読み入賞時保留抽選]
続いて、保留表示を変化させる先読み演出について説明する。保留表示は、始動口に遊技球が入賞した場合に表示装置上に保留されている変動数分だけ所定の形状で表示される。保留表示は、通常の表示(通常保留)以外に、先読み予告として別の色彩や形状で表示することが可能となっている。本変形例では、通常保留が白色となっており、期待度に応じて白点滅、青、緑、紫、赤、虹(レインボー)に変化する。
図126から図129は、本変形例の先読み入賞時保留抽選の一例を説明する図である。図126は始動入賞時に当該変動の開始時の保留表示可能な態様を抽選するための表を示す図である。本変形例では、保留表示の変化の上限色、すなわち、始動入賞後から当該変動が開始されるまでの間に保留表示が最終的に変化可能な態様を、入賞時信頼度レベルに基づいて、図126に示した表から始動入賞時に抽選する。なお、当該変動の保留は、変動開始前の保留表示とは異なる領域(例えば、保留表示領域に隣接して設けられる領域)に表示され、当該変動前の状態における表示態様がどのような態様であったかが遊技者に認識できるようになっており、さらに、当該変動の間に変化することによって期待度の高低を報知することができる。
図127は始動入賞時の保留数が1、図128は始動入賞時の保留数が2、図129は始動入賞時の保留数が4の場合を示し、それぞれの保留色を抽選するための表を示す図であり、図126に示した表によって決定した、保留表示の変化の上限色に基づいて、始動口入賞時に抽選する。例えば、始動入賞時の保留数が4であって、かつ、決定済みの保留表示の変化の上限色が青色であれば、図129に示した表に基づいて始動入賞時の保留表示の態様を抽選し、具体的には、50%の確率で通常保留、30%の確率で白点滅、20%の確率で青に保留表示される。なお、保留数が3の保留が消化されるにつれて段階的に保留表示を変化させることで遊技者の期待感を高めるこ場合については抽選確率が異なるだけなので図示を省略する。
本変形例では保留が消化されるにつれて段階的に保留表示を変化させることで遊技者の期待感を高めることができる。そのため、保留数が少なければ保留変化の契機が少なくなる。そこで、保留数が0の場合には図126に示したテーブルに基づいて保留表示が行われて変化せずに変動表示が開始される。一方、保留数が1の場合には、始動入賞時の保留表示の態様が図126に示したテーブルに基づいて抽選され、遊技の進行に応じて(例えば、保留されている変動表示が開始された場合)、保留表示を変化させる。さらに、保留数が多い場合(例えば、4の場合)には、保留が消化されるたびに保留表示を変化させることができる。このとき、始動入賞時に抽選された変化の上限を超えないように保留表示を変化させる。保留表示は所定の契機ごとに抽選して変化させるようにしてもよいし、変化の上限まで段階的に変化させてもよい。また、一段階ずつ変化させる必要はなく、青から紫に変化させるようにしてもよいし、最後の契機に通常保留から上限(例えば、レインボー)まで一気に変化させるようにしてもよい。
さらに、保留表示の段階的な変化は、期待度が低くならない(成り下がらない)ようにしてもよいし、一旦成り下がってから最終的に変化開始から最も期待度が高くなるように変化させてもよい。また、保留表示が段階的に変化する態様をあらかじめ定義した保留表示変化シナリオを、保留表示の最終的な態様に基づいて抽選で選択するようにしてもよい。これにより、保留消化のたびに表示態様を抽選する必要がなくなり、制御を簡略化することができる。また、成り下がりの発生しない保留表示変化シナリオのみを選択可能とすることで成り下がりの発生を防止するための制御を不要にすることができる。
以上のように、遊技球の始動入賞後に抽選された入賞時信頼度レベルに基づいて、先読み予告を実行することによって、変動パターンや大当り図柄、また、これらの組み合わせごとに演出パターンを定義する必要がなくなるため、演出制御データの管理を容易にすることができる。
[23−2.当該変動時 予告シナリオ抽選]
次に、当該変動時の予告シナリオの抽選手順について説明する。まず、当該変動時の予告シナリオの抽選は、変動開始時に抽選される。具体的には、主制御基板4100から送信された特図同期演出開始コマンドを受信した後に決定される。決定済みの入賞時信頼度レベルを用いて、予告シナリオを抽選し、個別の予告演出を抽選するまでの流れを具体的に説明する。
[23−2−1.変動パターン分類抽選]
演出制御基板4140は、特図同期演出開始コマンドを受信すると、保留入賞時に設定された入賞時信頼度レベルと、受信した特図同期演出開始コマンド(変動パターン)に基づいて、変動パターン分類を抽選する。変動パターン分類は変動パターンを細分化するものであり、より詳細に演出期待度を調整した変動パターンを選択可能になっている。図130及び図131は、本変形例の変動パターン分類の一例を説明する図であり、図130は入賞時信頼度レベルが0の場合の抽選表となり、図131は入賞時信頼度レベル7の場合の抽選表を示す。なお、他の入賞時信頼度レベルについては、抽選確率もしくは各演出の信頼度レベルを異ならせているだけであるため、図示及び詳細な説明を省略する。
なお、当該変動時の予告レベルの抽選に使用する入賞時信頼度レベルは、始動入賞時に決定された入賞時信頼度レベルを使用するが、先読み禁止(非時短中の特図2、時短中の特図1、大当り中、主制御側の遊技状態の変化前又は変化後若しくは変化前及び変化後の所定変動数分、電源投入時所定変動数分の全ての条件又はいずれかの条件の組み合わせ)等で始動入賞時に信頼度レベルが作成できない場合には、特図同期演出開始コマンドを用いて、始動入賞時に入賞時信頼度レベルを決定する手順と同様に入賞時信頼度レベルを作成する。また、始動入賞時に入賞時信頼度レベルを決定するのではなく特図同期演出開始コマンドの図柄種別コマンドに基づいてのみ信頼度レベルを抽選してもよいし、さらに、始動(保留)入賞時と変動開始時とで、個別に信頼度レベルを抽選(決定)してもよい。この場合、入賞時信頼度レベルと変動開始時の信頼度レベルとは、一定の関連性を持たせて抽選(決定)する。一定の関連性とは、変動開始時の信頼度レベルを入賞時信頼度レベル以上もしくは以下となるように抽選(決定)するようにしたり、作成済みの入賞時信頼度レベルを特図同期演出開始コマンドの内容と比較し、保留入賞時に決定した入賞時信頼度レベルを補正するようにする。このように構成することにより、入賞時信頼度レベルと変動開始時の信頼度レベルとが乖離することを防止し、遊技者に違和感を抱かせることを防ぎ、遊技の興趣低下を抑制することができる。
入賞時信頼度レベルが0の場合には大当りとなる期待度が低いため、例えば、変動パターンが「キャラショートリーチはずれ」であれば、図130を参照すると、信頼度の低い「キャラショートリーチ信頼度5%」と「キャラショートリーチ信頼度20%」のいずれかが50%の抽選確率で選択され、より信頼度の高い変動パターン分類は選択されないようになっている。
一方、入賞時信頼度レベルが7の場合には大当りとなる期待度が高いため、例えば、変動パターンが同じ「キャラショートリーチはずれ」であっても、図131を参照すると、「信頼度の低い「キャラショートリーチ信頼度5%」は20%の確率で「キャラショートリーチ信頼度20%」は30%、「キャラショートリーチ信頼度50%」は50%の抽選確率で選択され、より信頼度の高い変動パターン分類が選択されるようになっている。なお、変動パターン分類の信頼度は信頼度値に応じた信頼度値を持つ予告が抽選されるようになっている。
このように、変動パターン分類を設定することによって、主制御基板4100から同じ変動パターンを指定するコマンドを受信した場合であっても、入賞時信頼度レベルに応じた詳細な演出内容(変動パターン分類)を選択することが可能となり、先読み予告とより整合した演出を実行することができる。変動パターン分類を設定しない場合、先読み予告時に抽選で信頼度の高い演出が実行される場合に、当該変動時の予告演出で抽選によって信頼度の低い演出を実行してしまう可能性がある。これに対し、本変形例では、変動パターンとともに入賞時信頼度レベルに基づいて演出を決定することによって演出内容に齟齬が生じにくくすることが可能となり、遊技者の興趣低下を抑制することができる。
なお、変動パターン分類は、図96に示したように、枝番のない変動パターンが変動パターンそのものに対応し、一方、枝番が付与された変動パターンが変動パターン分類に対応するとしてもよい。このとき、変動パターン分類についても主制御基板4100で決定されることとしてもよい。
[23−2−2.抽選ポイントと予告レベル]
本変形例では、変動全体を4分割し、分割した区間ごとに抽選ポイントを設けて、抽選ポイント毎に予告レベルを抽選する、分割する区間は、変動中(変動開始時からテンパイ時まで)、テンパイ時(リーチ発生時)、SPリーチ前半、SPリーチ後半である。
図132から図135は、本変形例の各抽選ポイントにおける予告レベルを示す予告レベル表の一例を示す図であり、図132は当該変動における変動中の予告レベル表、図133はテンパイ時の予告演出の予告レベル表、図134はSPリーチ前半における予告演出の予告レベル表、図135はSPリーチ後半における予告演出の予告レベル表を示す。予告レベルのレベルと入賞時信頼度レベルは一対一の関係を持っており、入賞時信頼度レベルのLV7はプレミアムと定義しているが、予告レベルのLV7も同様にプレミアムと定義している。これは入賞時信頼度レベルを用いて予告レベルを抽選することで、変動中の予告を入賞時信頼度レベルで決定済みの先読み予告及び保留抽選とより整合した演出で実行するためである。
図132から図135に示す予告レベル表には、信頼度レベルとして演出パターンの内容が付加されて設定されており、さらに、具体的な説明をあわせて示している。なお、実際のプログラムでは、パターン番号(PTN)を用いて制御される。例えば、変動中レベルのパターン1は、信頼度レベルが1であり、5秒変動でガセ予告を出現させることから「変動中_LV1_5」となっている。
また、同じ信頼度レベルであっても演出内容(変動パターン)に応じて複数のパターンを割り当てることが可能となっており、例えば、変動中の信頼度レベル1には、パターン1から7が割り当てられている。同様に、パターン8から12には信頼度レベル2、パターン13から17には信頼度レベル3、パターン18から22には信頼度レベル4、パターン23から27には信頼度レベル5、パターン28から32には信頼度レベル6、パターン33から37には信頼度レベル7が割り当てられている、複数のパターンに関して、図132に示した変動中LV2を用いて説明すると、パターン8は疑似連を行わないリーチが確定する変動に割り当てられ、またパターン9はリーチが確定し且つ疑似連変動を1回行う変動に割り当てられることとなる、パターン10〜12に関しても同様に疑似連回数と一対一となっている。
また、SPリーチは信頼度レベルが3以上の場合にのみ実行されるため、図134及び図135に示すように、予告レベル表には信頼度レベルが3以上の場合が定義される。
[23−2−3.予告レベル組み合わせシナリオ抽選]
続いて、選択された変動パターン分類に基づいて予告レベル組み合わせシナリオを抽選する。図136から図139は、予告レベル組み合わせシナリオの一例を示す図である。図136は擬似連回数が0回(擬似連なし)であって通常変動又はノーマルリーチの場合の抽選表の一例であり、図137は擬似連回数が0回であってSPリーチに発展する場合の抽選表の一例である。図138は擬似連回数が4回であって通常変動又はノーマルリーチの場合の抽選表の一例であり、図139は擬似連回数が4回であってSPリーチに発展する場合の抽選表の一例である。なお、擬似連回数が1から3回の場合については図示を省略する。
具体的に変動パターン分類抽選について説明する。例えば、「SP発展_キャラSP後半信頼度80%」が選択された場合には、図139を参照すると、10%の抽選確率でPTN5が抽選される。この場合、予告レベル「変動中LV」には「変動中_LV4_4回擬似連」が、「テンパイ時LV」には「テンパイ_LV5」が、「SPリーチ前半_予告LV」には「SPリーチ前半LV5」が、「SPリーチ後半_予告LV」には「SPリーチ後半LV5」が選択される。
このように変動パターン分類ごとに複数の予告レベルを組み合わせてシナリオ化したパターンを複数持つことで、特別図柄の変動開始から終了までの間、多種多様な演出を実行することが可能となり、予告演出の期待度を効果的に変化させることができる。
[23−2−4.予告レベル別予告抽選]
続いて、選択された各抽選ポイントの予告レベルに基づいて予告演出の内容を抽選する。図140及び図141は、複数ある予告抽選表の一例を抜粋した図であり、図140は「変動開始時ウインドウ予告」の抽選表を示す図である。図141は「SP後半カットイン予告」の抽選表を示す図である。「変動開始時ウインドウ予告」は予告ポイントの変動中に区分され、既に決定済みの「変動中LV」の内容によって抽選が行われる。具体的には、「変動中LV」に「変動中_LV7」が選択された場合には、図140を参照すると、「激熱枠赤」は30%の確率で「プレミア枠虹」は50%の確率で選択されるようになっている。また「SP後半カットイン予告」は予告ポイントのSPリーチ後半に区分され、既に決定済みの「変動中LV」の内容によって抽選が行われる。具体的には、「SPリーチ後半_予告LV」に「SPリーチ後半LV6」が選択された場合には、図141を参照すると、「赤の星7個」は20%の確率で「赤の星33個」は80%の確率で選択されるようになっている。なお、抽選ポイントごとのレベルに基づいて予告内容を決定するのではなく、変動パターンコマンドや図柄種別コマンド、入賞時信頼度レベル、変動パターン分類に基づいて直接抽選を行ってもよい。
なお、変動パターン分類を抽選せずに、予告レベル組み合わせシナリオを直接変動パターンコマンドに関連付けるようにしてもよい。
[24.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ遊技機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ遊技機に限定されるものではなく、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。