JP6682984B2 - 自由視点映像表示装置 - Google Patents

自由視点映像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6682984B2
JP6682984B2 JP2016085214A JP2016085214A JP6682984B2 JP 6682984 B2 JP6682984 B2 JP 6682984B2 JP 2016085214 A JP2016085214 A JP 2016085214A JP 2016085214 A JP2016085214 A JP 2016085214A JP 6682984 B2 JP6682984 B2 JP 6682984B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
point
viewpoint
image
feature point
omnidirectional image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016085214A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017194857A (ja
Inventor
河合 直樹
直樹 河合
セドリック オドラ
セドリック オドラ
孝博 松原
孝博 松原
聡 田端
聡 田端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2016085214A priority Critical patent/JP6682984B2/ja
Publication of JP2017194857A publication Critical patent/JP2017194857A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6682984B2 publication Critical patent/JP6682984B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processing Or Creating Images (AREA)
  • Image Processing (AREA)
  • Image Generation (AREA)
  • Testing, Inspecting, Measuring Of Stereoscopic Televisions And Televisions (AREA)

Description

本発明は、自由視点映像表示装置に関し、特に、現実に存在する実空間について撮影した全方位画像を利用して、仮想空間上の任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する映像表示装置に関する。
博物館・美術館、テーマパーク、アミューズメント施設、観光地、商業施設など、現実に存在する実空間を対象として、魚眼レンズや全方位ミラーを装着した全方位カメラによる撮影を行い、得られた全方位画像を用いて仮想空間上を移動する体験を提供する映像表示装置は、既に、様々な分野において利用されている。このような装置では、通常、ユーザが進行方向、進行速度、視線方向などの指示操作を行うと、当該指示操作に基づいて、あたかも仮想空間上を実際に移動しているように、ユーザの指定に基づく自由視点における映像の表示が行われる。仮想二次元空間を移動できるようにしておけば、ユーザに対していわゆる「ウォークスルー」の体験を提供することができ、仮想三次元空間を移動できるようにしておけば、ユーザに対していわゆる「フライスルー」の体験を提供することができる。
たとえば、下記の特許文献1には、実空間上に予め設定された所定のルートに沿って全方位カメラを移動させながら撮影を行い、上記ルートに沿って仮想空間上を自由に移動する際の映像を表示させる自由視点映像表示装置が開示されている。また、特許文献2には、このような自由視点映像表示装置において、複数の経路を乗り継ぐ際に、画像の不連続に起因した違和感を感じさせないような動画提示を行う技術が開示されている。
一方、米国グーグル社がWeb上で提供しているサービス「Google Street View」では、現実に存在する街路などの実空間について、予め離散的な位置で全方位画像を撮影しておき、これら離散的な全方位画像を適宜切り替えながら、仮想空間上で移動している状態を映像表示する技術が利用されている。また、下記の非特許文献1には、所定のルート上の離散的な2地点で撮影された全方位画像に対して補間を行うことにより、当該2地点の間にある上記ルート上の中間地点から見た映像を表示する技術が開示されている。
特開2013−090257号公報 特開2013−183249号公報
Qiang Zhao, Liang Wan「Cube2Video: Navigate Between Cubic Panoramas in Real-Time」, IEEE Transactions on Multimedia, Vol. 15, No. 8, December 2013
上述した自由視点映像表示装置において、ユーザに対してできるだけ違和感のない写実的な映像を提示し、臨場感を高めるためには、ユーザの仮想空間上での移動自由度を高めるとともに、実空間上の撮影地点の密度を増やし、できるだけ多数の撮影地点における全方位画像を用意するのが好ましい。しかしながら、移動自由度を高め、かつ、撮影地点の密度を増やすと、撮影段階の作業負担が大幅に増加することになり、得られる全方位画像のデータ量も膨大なものになる。このため、装置全体が肥大化し、コストの高騰も避けられない。
上記特許文献1,2に開示された技術では、移動範囲を特定のルートに限定し、このルートに沿って移動する全方位カメラにより動画撮影を行うため、ルート上の撮影地点密度は十分なものになる。このため、仮想空間を上記ルートに沿って移動する限りは、写実的な映像提示が可能になる。しかしながら、仮想空間上でのユーザの移動自由度は、当該ルートのみに限定されてしまうため、ユーザが所望する任意の視点から見た画像を提示することはできない。したがって、順路が定まった美術館や博物館などを、特定のルート上から見学させるような用途には向いているが、より高い移動自由度が要求される用途では、十分な臨場感を提供することができない。
一方、上述した「Google Street View」では、離散的に定義された特定の撮影地点で撮影された全方位画像に基づいて映像提示が行われる。このように、撮影地点を離散的に設定すれば、撮影段階の作業負担を軽減し、必要な全方位画像のデータ量も低減させることができる。この「Google Street View」は、全世界規模の街路情報をWebを通じて提示するサービスであり、撮影地点を離散点として全データ量を低減させることは合理的な手法である。しかしながら、撮影地点の密度が低くなるため、写実的な映像を提示することは困難である。
前述したとおり、このような問題を解決するために、非特許文献1に新たな技術が開示されている。この技術によれば、離散的な2地点の撮影画像に基づいて、中間地点における仮想的な撮影画像を生成することができる。しかしながら、この技術は、2つの離散点を結ぶ直線上の1点についての仮想撮影画像を生成するためのものであるため、やはりユーザが所望する任意の視点から見た画像を提示することはできない。
もちろん、CGを用いて仮想空間を構築すれば、任意の視点から見た画像を自由に作成することが可能であるが、CG画像は制作コストが高く、また、現在の技術では写実性が不完全であり、実写画像を用いる技術には及ばない点がいろいろと指摘されている。
そこで本発明は、現実に存在する実空間について、離散的な撮影地点から撮影した全方位画像を利用して、仮想空間上の任意位置から見た視界を表示することが可能な自由視点映像表示装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する自由視点映像表示装置において、
実空間上の所定の撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影することにより得られる全方位画像を、実空間上に定義された単位領域図形の頂点を撮影地点とすることにより、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納する全方位画像格納部と、
単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点について、各全方位画像上での投影位置を示す特徴点投影位置情報と、各全方位画像が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、を格納した特徴点情報格納部と、
実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向を指定する位置方向指定部と、
撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する特徴点投影位置推定部と、
セル定義情報に基づいて、特徴点投影位置推定部によって推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、全方位画像格納部に格納されている全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、視点における全方位画像を生成する全方位画像生成部と、
位置方向指定部によって指定された視線方向に基づいて、全方位画像生成部が生成した視点における全方位画像から、その一部分を切り出す画像切出部と、
画像切出部によって切り出された画像を表示する画像表示部と、
を設けたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る自由視点映像表示装置において、
位置方向指定部が、仮想空間上で単位領域図形内の1地点からなる視点と当該視点を基準とした視線方向とを指定するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第1の態様に係る自由視点映像表示装置において、
位置方向指定部が、仮想空間上で単位領域図形外の1地点からなる視点と当該視点を基準とした視線方向とを指定するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像格納部が、互いに隣接して配置されるように定義された複数の単位領域図形の頂点を撮影地点とすることにより、個々の撮影地点のそれぞれについて撮影された全方位画像を、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納しており、
特徴点情報格納部が、1つの単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、を個々の単位領域図形ごとに格納しており、
位置方向指定部が、複数の単位領域図形のいずれかに包含される視点を指定する機能を有し、
特徴点投影位置推定部が、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報、および参照領域図形についての特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
全方位画像生成部が、参照領域図形についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、参照領域図形の頂点における全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を分割することにより得られる二次元図形によって構成されているようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第5の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形を構成する二次元図形が、XY平面をX軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる、X軸方向分割直線とY軸方向分割直線との交点を頂点とする四角形によって構成されており、
全方位画像格納部が、個々の交点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しているようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第4の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系における三次元空間を分割することにより得られる三次元図形によって構成されているようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第7の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形を構成する三次元図形が、XYZ三次元直交座標系からなる座標空間を、XY平面に平行なZ軸方向分割平面、XZ平面に平行なY軸方向分割平面、YZ平面に平行なX軸方向分割平面、によってそれぞれ分割することにより得られる複数の直方体によって構成されており、
全方位画像格納部が、複数の直方体の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しているようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第4〜第8の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から2組の頂点を参照頂点として選択し、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第9の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から、視点に最も近い頂点を第1の参照頂点Aとして選択し、視点に2番目に近い頂点を第2の参照頂点Bとして選択するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第9または第10の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、第1の参照頂点Aから第i番目の特徴点ξiへ向かう第1の参照ベクトルViaを、第1の参照頂点Aについての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求め、第2の参照頂点Bから第i番目の特徴点ξiへ向かう第2の参照ベクトルVibを、第2の参照頂点Bについての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求め、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibとの交点もしくはこれら両参照ベクトルに対して所定の近接位置にある近接点を第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qに配置された全方位カメラによって、推定された三次元位置にある第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第11の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
特徴点投影位置推定部が、第1の参照頂点Aから第i番目の特徴点ξiへ向かう第1の参照ベクトルViaを求める際に、第1の参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第1の参照方位角φiaおよび第1の参照仰角θiaを参照し、第1の参照頂点Aを起点として、第1の参照方位角φiaおよび第1の参照仰角θiaによって示される方向を向いたベクトルを第1の参照ベクトルViaとし、
特徴点投影位置推定部が、第2の参照頂点Bから第i番目の特徴点ξiへ向かう第2の参照ベクトルVibを求める際に、第2の参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第2の参照方位角φibおよび第2の参照仰角θibを参照し、第2の参照頂点Bを起点として、第2の参照方位角φibおよび第2の参照仰角θibによって示される方向を向いたベクトルを第2の参照ベクトルVibとし、
特徴点投影位置推定部が、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibとの交点もしくはこれら両参照ベクトルに対して所定の近接位置にある近接点を第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qを起点として、推定された三次元位置にある第i番目の特徴点ξiに向かう指示ベクトルの方位角φiqおよび仰角θiqを、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標と推定するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第4〜第8の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中からn組(n≧3)の頂点を参照頂点として選択し、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第13の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から、視点に近い順に、第1の参照頂点から第nの参照頂点を選択するようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第13または第14の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを第j番目の参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求める処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の参照ベクトルVi1〜第nの参照ベクトルVinを求め、求めたn本の参照ベクトルVi1〜Vinの交点もしくはこれらn本の参照ベクトルVi1〜Vinに対して所定の近接位置にある近接点を第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qに配置された全方位カメラによって、推定された三次元位置にある第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第15の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを求める際に、第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第j番目の参照方位角φijおよび第j番目の参照仰角θijを参照し、第j番目の参照頂点を起点として、第j番目の参照方位角φijおよび第j番目の参照仰角θijによって示される方向を向いたベクトルを第j番目の参照ベクトルVijとし、
特徴点投影位置推定部が、第1の参照ベクトルVi1〜第nの参照ベクトルVinの交点もしくはこれらn本の参照ベクトルVi1〜Vinに対して所定の近接位置にある近接点を第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qを起点として、推定された三次元位置にある第i番目の特徴点ξiに向かう指示ベクトルの方位角φiqおよび仰角θiqを、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標と推定するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第4の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中からn組(n≧3)の頂点を参照頂点として選択し、各参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を用いた補間演算により、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第17の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φij,θij)を抽出する処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の座標値(φi1,θi1)〜第nの座標値(φin,θin)からなるn組の座標値を抽出し、n組の参照頂点の位置と視点Qの位置との関係に基づいて、参照領域図形に対する視点Qの相対位置を示すパラメータを求め、抽出したn組の座標値と上記パラメータとを用いた補間演算により、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出するようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第18の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、X軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる、X軸方向分割直線とY軸方向分割直線との交点を頂点とする四角形によって構成されており、
全方位画像格納部が、個々の交点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しており、
参照領域図形を構成する四角形の左上頂点をA,右上頂点をB,左下頂点をC,右下頂点をDとし、視点をQとし、上辺ABおよび下辺CDがX軸に平行、左辺ACおよび右辺BDがY軸に平行となるように座標系を定義したときに、特徴点投影位置推定部が、頂点A,B,C,Dを参照頂点として選択し、
点Qを通りY軸に平行な垂直補助線Lyと上辺ABとの交点を中間点m1、垂直補助線Lyと下辺CDとの交点を中間点m2、点Qを通りX軸に平行な水平補助線Lxと左辺ACとの交点を中間点m3、水平補助線Lxと右辺BDとの交点を中間点m4とし、上辺ABもしくは下辺CDを中間点m1もしくは中間点m2が分割する按分割合をα:1−αとし、左辺ACもしくは右辺BDを中間点m3もしくは中間点m4が分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定め、
参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)とし、参照頂点Dを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φid,θid)としたときに、
特徴点投影位置推定部が、
中間点m1における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim1,θim1)を、
φim1=(1−α)・φia+α・φib
θim1=(1−α)・θia+α・θib
なる演算で求め、
中間点m2における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim2,θim2)を、
φim2=(1−α)・φic+α・φid
θim2=(1−α)・θic+α・θid
なる演算で求め、
視点を示す点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
φiq=(1−β)・φim1+β・φim2
θiq=(1−β)・θim1+β・θim2
なる演算で求めるようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第18の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、隙間なく分割することにより得られる三角形によって構成されており、
全方位画像格納部が、三角形の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しており、
参照領域図形を構成する三角形の各頂点をA,B,Cとし、視点を点Qとしたときに、特徴点投影位置推定部が、頂点A,B,Cを参照頂点として選択し、
点A,Qを通る直線と底辺BCとの交点を中間点mとし、底辺BCを中間点mが分割する按分割合をα:1−αとし、点A,mを結ぶ補助線Lを点Qが分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定め、
参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)としたときに、
特徴点投影位置推定部が、
中間点mにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim,θim)を、
φim=(1−α)・φib+α・φic
θim=(1−α)・θib+α・θic
なる演算で求め、
視点を示す点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
φiq=(1−β)・φia+β・φim
θiq=(1−β)・θia+β・θim
なる演算で求めるようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第4〜第20の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点投影位置推定部が、視点を包含する単位領域図形を参照領域図形として選択するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第12,第16,第18〜第20の態様に係る自由視点映像表示装置において、
位置方向指定部が、視線方向として、所定の方位角φeおよび所定の仰角θeを指定し、
画像切出部が、切出対象となる全方位画像上において、位置方向指定部によって指定された方位角φeおよび仰角θeで示される座標値をもつ点を切出中心点として、当該切出中心点の周囲の一部分を切り出すようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第4〜第22の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点情報格納部が、3つの特徴点を頂点とする三角形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を格納しており、全方位画像が、複数のセルの投影像からなる個々のセルによってメッシュ状に分割され、
全方位画像生成部が、セル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、全方位画像格納部に格納されている全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、視点における全方位画像を生成するようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第4〜第22の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像生成部が、参照領域図形の頂点の中の1つの頂点を模写対象頂点として選択し、模写対象頂点についての全方位画像上で対応する対応セル内の部分画像を模写対象部分画像として選択し、この模写対象部分画像に基づいて新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成するようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第24の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像生成部が、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、所定画素の上記新たなセルに対する相対位置を求め、模写対象部分画像において上記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、所定画素の画素値を上記模写対象画素値に基づいて決定するようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述した第4〜第22の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像生成部が、参照領域図形の頂点の中から複数n個(n≧2)の頂点を模写対象頂点として選択し、n個の模写対象頂点についての全方位画像上で対応する対応セル内の部分画像をそれぞれ模写対象部分画像として選択し、選択されたn枚の模写対象部分画像に基づいて新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成するようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第26の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像生成部が、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、所定画素の上記新たなセルに対する相対位置を求め、n枚の模写対象部分画像において上記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値をそれぞれ模写対象画素値として抽出し、所定画素の画素値を、抽出したn組の模写対象画素値に基づいて決定するようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述した第27の態様に係る自由視点映像表示装置において、
全方位画像生成部が、新たな部分画像を構成する所定画素の画素値をn組の模写対象画素値に基づいて決定する際に、視点とn個の模写対象頂点との距離をそれぞれ求め、距離のより小さな模写対象頂点についての全方位画像から抽出された模写対象画素値に対してより大きな重みづけを付加してn組の模写対象画素値の加重平均値を算出し、この加重平均値に基づいて所定画素の画素値を決定するようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述した第25、第27、第28の態様に係る自由視点映像表示装置において、
特徴点情報格納部が、3つの特徴点を頂点とする三角形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を格納しており、全方位画像が、複数のセルの投影像からなる個々のセルによってメッシュ状に分割され、
新たなセルを構成する三角形Cqの頂点をξ1q,ξ2q,ξ3qとし、対応セルを構成する三角形Caの対応する頂点をξ1a,ξ2a,ξ3aとし、三角形Cq内の所定画素の位置を点Gqとしたときに、
全方位画像生成部が、
三角形Cqについて、頂点ξ3qと点Gqとを通る直線と、頂点ξ1qと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Bqと、の交点を中間点Rqとし、この中間点Rqが底辺Bqを分割する按分割合をa:bとし、点Gqが中間点Rqと頂点ξ3qとを結ぶ中間線分Lqを分割する按分割合をc:dとして、パラメータa,b,c,dを定め、
対応三角形Caについて、頂点ξ1aと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Baを按分割合a:bで分割する点として中間点Raを求め、この中間点Raと頂点ξ3aとを結ぶ中間線分Lbをc:dで分割する点として点Gaを求め、点Gaに位置する対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、
三角形Cq内の点Gqに位置する所定画素の画素値を、模写対象画素値に基づいて決定するようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述した第1〜第29の態様に係る自由視点映像表示装置において、
個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系に配置された二次元図形もしくは三次元図形によって構成され、更に、時間軸tを考慮することにより、同一の空間位置に時間の異なる複数通りの単位領域図形が定義されており、
全方位画像格納部には、時間の異なる複数通りの単位領域図形の頂点を撮影地点として、特定の撮影地点において、特定の時間に撮影された全方位画像が格納されており、
位置方向指定部が、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向に加えて、更に、任意の観測時間を指定する機能を有し、
特徴点投影位置推定部が、
上記観測時間に、上記視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
全方位画像生成部が、上記観測時間かつ上記視点における全方位画像を生成するようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述した第1〜第30の態様に係る自由視点映像表示装置を、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより構成したものである。
(32) 本発明の第32の態様は、任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する自由視点映像表示方法において、
必要なデータを準備する準備プロセスと、準備したデータを用いてコンピュータが映像表示を行う表示プロセスと、を有し、
準備プロセスは、
実空間上に単位領域図形を定義し、この単位領域図形の頂点位置に撮影地点を定義し、各撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報を設定する撮影地点定義段階と、
実空間上の各撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影し、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報に対応づけた全方位画像を用意する全方位画像撮影段階と、
単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点を定め、各特徴点について全方位画像上での投影位置を示す特徴点投影位置情報を求める特徴点設定段階と、
全方位画像が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を定めるセル定義段階と、
を有し、
表示プロセスは、
コンピュータが、実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向を指定する位置方向指定段階と、
コンピュータが、撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する特徴点投影位置推定段階と、
コンピュータが、セル定義情報に基づいて、特徴点投影位置推定段階で推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、視点における全方位画像を生成する全方位画像生成段階と、
コンピュータが、位置方向指定段階で指定された視線方向に基づいて、全方位画像生成段階で生成した視点における全方位画像から、その一部分を切り出す画像切出段階と、
コンピュータが、画像切出段階によって切り出された画像を表示する画像表示段階と、
を有するようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述した第32の態様に係る自由視点映像表示方法において、
撮影地点定義段階で、互いに隣接して配置された複数の単位領域図形を定義し、
全方位画像撮影段階で、各単位領域図形の頂点を撮影地点とする撮影を行うことにより、個々の頂点のそれぞれについての全方位画像を用意し、
特徴点設定段階で、個々の単位領域図形ごとに、当該単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点を定め、
セル定義段階で、個々の単位領域図形ごとに、各特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を定め、
位置方向指定段階で、複数の単位領域図形のいずれかに包含される視点を指定し、
特徴点投影位置推定段階で、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報および参照領域図形についての特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
全方位画像生成段階で、参照領域図形についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、参照領域図形の頂点における全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成するようにしたものである。
本発明の自由視点映像表示装置によれば、単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像が用意され、これらの画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す情報と、各特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義する情報が用意される。そして、これらの情報に基づいて、ユーザが指定した任意の視点で撮影した場合に得られるであろうと推定される全方位画像が生成され、提示される。このため、現実に存在する実空間について、離散的な撮影地点から撮影した全方位画像を利用して、仮想空間上の任意位置から見た視界を表示することが可能になる。
撮影地点Oに配置された全方位カメラによる撮影によって得られる一般的な全方位画像P(O)の一例を示す図である。 本発明の基本原理を説明する斜視図である。 本発明の基本的実施形態に係る自由視点映像表示装置の構成を示すブロック図である。 本発明における特徴点の具体的な定義方法を示す平面図である。 図3に示す特徴点投影位置情報161の具体例を示す図である。 図3に示す特徴点投影位置推定部120による第i番目の特徴点ξiの投影位置を推定する手順を示す平面図である。 図6に示す特徴点ξiの投影位置の推定を三角測量法に基づいて行う基本原理を示す斜視図である。 図7に示す基本原理に基づいて特徴点ξiの三次元位置を推定する第1の方法を示す斜視図である。 図7に示す基本原理に基づいて特徴点ξiの三次元位置を推定する第2の方法を示す斜視図である。 三角形のセルによって全方位画像P(A)をメッシュ状に分割した一例を示す平面図である。 三角形のセルによる分割態様を示す平面図である。 図10に示すセル分割に応じたセル定義情報162の具体例を示す表である。 図3に示す全方位画像生成部130によるセルC5に関する部分画像生成処理を示す平面図である。 三角形のセルに関する部分画像生成処理の具体的な処理手順を示す平面図である。 複数の単位領域図形を互いに隣接して配置し、各図形の頂点を撮影地点とした実施形態を示す斜視図である。 個々の単位領域図形ごとに、それぞれ共通特徴点の定義が行われる実例を示す平面図である。 複数の単位領域図形を隣接して配置する実施形態の第1の変形例を示す平面図である。 複数の単位領域図形を隣接して配置する実施形態の第2の変形例を示す平面図である。 単位領域図形を三次元図形によって構成した変形例を示す斜視図である。 時間軸tを考慮して単位領域図形を定義した変形例を示す斜視図である。 図6に示す特徴点ξiの投影位置の推定を線形補間法に基づいて行う基本原理を示す図である。 図21に示す線形補間法における内挿法と外挿法との違いを示す図である。 単位領域図形が四角形である場合に、図22に示す線形補間法(内挿法)を適用した具体例を示す平面図である。 単位領域図形が三角形である場合に、図22に示す線形補間法(内挿法)を適用した具体例を示す平面図である。 本発明に係る自由視点映像表示方法の処理手順を示す流れ図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 全方位カメラによる撮影原理 >>>
本発明は、現実に存在する実空間を対象として、全方位カメラによる撮影を行い、得られた全方位画像を用いて、ユーザに仮想空間上を移動する体験を提供する装置に係るものである。全方位カメラは、魚眼レンズや全方位ミラーを装着したカメラであり、通常、撮影地点の周囲360°の対象物を被写体とするいわゆるパノラマ画像を撮影することができる。このような全方位カメラそれ自身およびそれを用いた撮影によって得られる全方位画像の特徴は公知のものであるが、ここでは、便宜上、図1を用いて、全方位カメラによる撮影原理および全方位画像の特徴を簡単に説明しておく。
図1(a) は、全方位カメラによる撮影によって得られる円形画像と被写体との関係を説明するための模式図である。図には、三次元座標系の原点Oを撮影地点として、全方位カメラによる撮影を行った場合について、被写体がどのように投影されるかが示されている。図1(a) に示す円Sは、XY平面上に配置された撮像面であり、被写体の像は、この撮像面S上に結像する。この円形の撮像面Sの上方に描かれたドームHは、ここで生じる光学現象を説明するために用いる概念的な仮想図形であり、実在の光学系を示すものではない。図示のとおり、このドームHは、天頂点U(原点Oの直上の点)を頂点とする仮想半球をなす。
いま、図示の位置に、被写体上の任意の対象点10が存在するものとし、この対象点10が、全方位カメラによる撮影によって、撮像面Sのどの位置に結像するかを考えてみよう。なお、対象点10は実際には幾何学上の1点であるが、ここでは説明の便宜上、小さな星印によって対象点10の位置を示すことにする。魚眼レンズや全方位ミラーを装着したカメラの場合、図示のとおり、被写体上の対象点10は、撮像面S上の投影点11(やはり小さな星印によって示す)上に結像する。
この投影点11は、撮影地点Oを起点として対象点10に向かう視線ベクトルE(φe,θe)を定義した場合、この視線ベクトルE(φe,θe)と仮想半球Hとの交点hを結像面S上に投影した点になる。図示のとおり、視線ベクトルE(φe,θe)の向きは、方位角φeと仰角θeによって定まる。方位角φは、撮影地点となる原点Oを中心として、視線ベクトルEの撮像面S上の方位を示す角度であり、図示の例では、図の左方向の位置を方位角φ=0°にとり、反時計まわりに360°までの方位角φが定義されている。一方、仰角θは、視線ベクトルEが撮像面Sに対してなす角度であり、図示の例では、0〜90°の範囲の仰角θが定義されている。θ=90°の場合、視線ベクトルEは天頂点Uを指すベクトルになる。
なお、ここでは、0〜90°の範囲の仰角θを用いた例を述べることにするが、三次元空間をフライスルーする体験を提供する装置の場合、水平面から上方を0〜+90°の範囲の仰角θで示し、水平面から下方を0〜−90°の範囲の仰角θで示すこともできる。この場合、−90°〜+90°の範囲の仰角θが定義される。
結局、原点Oの位置に視点をおいた場合、図示の対象点10は、方位角φ=φe、仰角θ=θeの方向に観察される点ということになる。図1(b) は、図1(a) に示す円形の撮像面Sの平面図であり、対象点10の投影位置が星印の投影点11として示されている。撮像面S上の投影点11の位置は、方位角φeおよび仰角θeによって定められる。
上述したとおり、図示の例の場合、方位角φは図の左位置を起点0°として、反時計まわりに0〜360°が定義されており、円形の撮像面S上の円周方向に関する位置を示すパラメータになる。一方、仰角θは図の円周位置を0°、中心位置(原点Oの位置)を90°として、半径に沿って0〜90°が定義されており、円形の撮像面S上の半径方向に関する位置を示すパラメータになる。このように、撮像面S上の投影点11の位置は、(φe,θe)なる極座標形式で表現することができる。
このように、全方位カメラによる撮影によって得られた円形の撮像面S上の画像は、原点Oの周囲360°の景色を示す全方位画像に相当するが、実用上は、表示の便宜を考えて、これを図1(c) に示すような矩形の全方位画像P(O)に変換して用いるのが好ましい。図1(c) に示す全方位画像P(O)は、撮像面S上の方位を示す方位角φ(図1(b) における円周方向の位置)を横座標軸にとり、撮像面Sに対する仰角θ(図1(b) における半径方向の位置)を縦座標軸にとった画像である。この画像は、図1(b) における(φ,θ)なる極座標を直交座標(φθ二次元直交座標系)に変換することにより得られる画像であり、周囲360°の景色を示すパノラマ画像になる。
この図1(c) に示す全方位画像P(O)上においても、星印で示す投影点11の位置が座標値(φe,θe)で示されることに変わりはない。もっとも、図1(b) に示す円形画像が極座標系上の座標値(φ,θ)で示される画像であるのに対して、図1(c) に示す矩形の全方位画像P(O)は直交座標系上の座標値(φ,θ)で示される画像であるため、座標系の変換により、全方位画像P(O)には歪みが生じることになる。特に、天頂点Uの近傍(仰角θが90°に近い位置)の歪みは大きくなるので、通常は、図1(b) にハッチングを施したドーナツ状の領域(中心点Oの近傍を除外した領域)についてのみ座標変換を行い、矩形の全方位画像P(O)を得ることが多い。この場合、全方位画像P(O)の上辺近傍には画像は形成されないことになる。
このような全方位画像P(O)を用意しておけば、原点Oにおかれた視点から見た任意方向の視界を表示することができる。たとえば、星印で示す対象物10の方向の視界(図1(a) に示す視線ベクトルE(φe,θe)の方向の視界)を表示させたい場合は、方位角φeおよび仰角θeを指定すればよい。この場合、図1(c) に示すように、方位角φeおよび仰角θeで示される座標値(φe,θe)をもつ投影点11を切出中心点として、当該切出中心点11の周囲の一部分(図にハッチングを施して示す部分)を切出画像D(φe,θe)として切り出し、これをディスプレイ画面上に表示すればよい。
上述したように、全方位画像P(O)には歪みが生じているため、必要があれば、切出画像D(φe,θe)に対して歪み補正処理を施した上で、ディスプレイ画面上に表示することもできる。
以上、原点Oを撮影地点とする撮影によって得られた全方位画像P(O)の特徴と、この全方位画像P(O)を利用した画像提示の方法を述べた。同様の方法で、多数の撮影地点についての全方位画像を用意しておけば、当該撮影地点を視点とした任意方向の視界を表示することができる。
しかしながら、実用上は、撮影地点の数を無尽蔵に増やすことは困難であるため、所定のルート上に限定した撮影地点を定義するか、撮影地点の密度を減らして離散的に定義する手法が採られている。本発明は、離散的な撮影地点から撮影された全方位画像を利用しつつ、仮想空間上の任意位置から見た視界を表示することが可能な新たな手法を提案するものである。
<<< §2. 本発明の基本原理 >>>
図2は、本発明の基本原理を説明する斜視図である。ここでは、説明の便宜上、図示のようなXYZ三次元直交座標系を定義し、視点QをXY平面上の任意の位置に移動させたときに、当該視点Qから見た任意方向の視界を表示させる方法を説明する。
まず、図示のとおり、XY平面上に四角形ABCDを定義する。ここでは、この四角形ABCDを単位領域図形Fと呼ぶことにする。後述するように、単位領域図形Fは必ずしも四角形である必要はないが、ここでは最も基本的な実施形態として、単位領域図形Fとして四角形ABCDを用いた例を述べる。XYZ三次元直交座標系は、現実に存在する実空間上に定義された座標系であり、単位領域図形Fの4つの頂点A,B,C,Dも、実空間上の点になる。
そこで、この実空間上に定義された各頂点A〜Dをそれぞれ撮影地点として、それぞれ全方位カメラを用いた撮影を行い、全方位画像P(A)〜P(D)を得る。§1では、図1を参照しながら、原点Oを撮影地点とした撮影により全方位画像P(O)を得る例を説明したが、全く同じ方法により、各撮影地点A〜Dについて、それぞれ全方位画像P(A)〜P(D)を得ることができる。ここでも、各全方位画像P(A)〜P(D)は、図1(c) に示す各全方位画像P(O)と同様に、方位角φを横座標軸にとり、仰角θを縦座標軸にとった矩形のパノラマ画像であるものとする。図2では、このような全方位画像P(A)〜P(D)を矩形のブロックとして描き、白矢印で対応する頂点(撮影地点)を示してある。
図2に示すとおり、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系はグローバル座標系であり、当該グローバル座標系を用いることにより、XY平面上に定義された撮影地点Aは座標値(xa,ya)、撮影地点Bは座標値(xb,yb)、撮影地点Cは座標値(xc,yc)、撮影地点Dは座標値(xd,yd)でそれぞれ位置を特定することができる。同様に、XY平面上の任意の視点Qも座標値(xq,yq)で位置を特定することができる。これに対して、全方位画像P(A)〜P(D)上に定義されたφθ二次元直交座標系は、個々の撮影地点A〜Dごとのローカル座標系ということになる。ここでは、図1(c) に示す例と同様に、横軸φ=0〜360°、縦軸θ=0〜90°の範囲が定義されているものとする。
こうして、4つの撮影地点A〜Dについて、それぞれ全方位画像P(A)〜P(D)を用意しておけば、仮想空間上にも同様のXYZ三次元直交座標系を定義することにより、仮想空間上の撮影地点A〜Dのいずれかに配置された視点から見た任意方向の視界を表示することが可能である。本発明に係る自由視点映像表示装置では、それだけでなく、任意の位置Qに配置された視点から見た任意方向の視界も表示させることが可能になる。
図2には、任意の視点Q(xq,yq)を起点とする視線ベクトルE(φe,θe)が矢印で示されている。ここで、φeは、視線ベクトルEについての視点Qを中心としたXY平面(撮像面)上の方位角であり、θeは、視線ベクトルEのXY平面(撮像面)に対する仰角である。方位角φは、グローバル座標系における任意の方向を基準として、XY平面上に0〜360°の角度を定義すればよい。たとえば、Y軸負方向を0°とすれば、X軸正方向が90°、Y軸正方向が180°、X軸負方向が270°ということになる。
ここで、視点Qを起点とする任意の視線ベクトルE(φe,θe)の方向の視界を表示するためには、図2の下方に示すように、視点Qにおける全方位画像P(Q)が必要になる。この視点Qにおける全方位画像P(Q)は、いわば「全方位カメラを視点Qに配置し、視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう画像」ということになり、やはり横軸をφ、縦軸をθにとったφθ二次元直交座標系上に定義されるパノラマ画像になる。もっとも、そのような全方位画像P(Q)は実際には撮影されていないので、視点Qが定まった段階で、新たに生成する必要がある。
そこで、本発明では、既存の全方位画像P(A)〜P(D)の一部もしくは全部を利用して、全方位画像P(Q)を生成する処理が行われる。全方位画像P(Q)の具体的な生成処理については後に詳述する。こうして全方位画像P(Q)が生成されれば、そこから視線ベクトルE(φe,θe)に応じた一部分を切り出し、これを表示すればよい。
<<< §3. 本発明の基本的実施形態 >>>
図3は、本発明の基本的実施形態に係る自由視点映像表示装置100の構成を示すブロック図である。この自由視点映像表示装置100は、任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する装置であり、図示のとおり、全方位画像格納部110、特徴点投影位置推定部120、全方位画像生成部130、画像切出部140、画像表示部150、特徴点情報格納部160、位置方向指定部170を有している。もっとも、実際には、これらの各構成要素は、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。
全方位画像格納部110は、実空間上の所定の撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影することにより得られる全方位画像を、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納する構成要素である。しかも、実空間上に定義された単位領域図形Fの頂点を撮影地点とした全方位画像が、当該頂点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納されている。
たとえば、図2に示す例の場合、四角形ABCDからなる単位領域図形Fが定義されているため、全方位画像格納部110には、上述した4枚の全方位画像P(A)〜P(D)が、頂点A〜Dの位置を示す撮影地点位置情報とともに格納されることになる。図3では、全方位画像格納部110のブロック内に、矩形のブロックで示す4枚の全方位画像P(A)〜P(D)と、頂点A〜Dの位置を示すXYZ三次元直交座標系上での座標値A(xa,ya,0),B(xb,yb,0),C(xc,yc,0),D(xd,yd,0)が格納されている状態が示されている。前述したとおり、ここに示す実施例の場合、頂点A〜DはいずれもXY平面上の点であるため、Z座標値はいずれも0である。
矩形のブロックで示す全方位画像P(A)〜P(D)には、それぞれローカル座標系を構成する座標軸として、撮像面上の方位を示す方位角φの横座標軸と、撮像面に対する仰角θの縦座標軸がとられている点は、既に述べたとおりである。もちろん、実際には、各矩形のブロック内には撮影で得られたパノラマ画像が収容されている。
図3には、全方位画像P(A)〜P(D)を示す矩形のブロック内に特徴点ξ1,ξ2,ξ3が示されている。この特徴点ξ1,ξ2,ξ3は、各画像の被写体上に定義される所定の特徴をもった点である。ただ、ここでは、説明の便宜上、特徴点ξ1を小さな×印、特徴点ξ2を小さな三角印、特徴点ξ3を小さなハート印のマークで示すことにする。図示のとおり、特徴点ξ1,ξ2,ξ3は、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)のそれぞれに含まれているが、実際には、特徴点ξ1〜ξ3は、現実の被写体上の特定点であり、XYZ三次元直交座標系上の三次元空間に位置する実在の点である。
したがって、各全方位画像P(A)〜P(D)上に示されている特徴点ξ1〜ξ3は、実際には、被写体上の実在の特徴点ξ1〜ξ3を各撮像面上に投影した投影点ということになる。たとえば、図3に示す例において、全方位画像P(A)に×印で示された特徴点ξ1、全方位画像P(B)に×印で示された特徴点ξ1、全方位画像P(C)に×印で示された特徴点ξ1、全方位画像P(D)に×印で示された特徴点ξ1は、いずれも三次元空間に位置する実在の同一特徴点ξ1を各画像上に投影した投影点ということになる。
このように、本願にいう「特徴点ξ1〜ξ3」は、本来、実在する被写体上の点であり、各全方位画像P(A)〜P(D)に現れる点は、この本来の「特徴点ξ1〜ξ3」を各撮影地点における撮像面上に投影した「投影点」ということになる。ただ、以下の説明のでは、便宜上、この全方位画像P(A)〜P(D)に現れる「特徴点ξ1〜ξ3の投影点」についても、特に疑義が生じない限り、「特徴点ξ1〜ξ3」と呼ぶことにする。なお、図3には、便宜上、3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3しか示されていないが、実際には、後述するように、多数の特徴点が定義されることになる。
一方、図示の全方位画像P(A)には、3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3を頂点とする三角形によって、セルC1(図にハッチングを施して示す領域)が構成されている状態が示されている。他の全方位画像P(B),P(C),P(D)についても、同様に、3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3を頂点とする三角形によってセルが構成される。
特徴点情報格納部160は、このような特徴点に関する情報を格納する構成要素である。具体的には、この特徴点情報格納部160には、図示のとおり、特徴点投影位置情報161とセル定義情報162とが格納されている。
ここで、特徴点投影位置情報161は、図2に示す単位領域図形Fの頂点A,B,C,Dを撮影地点とする複数の全方位画像P(A)〜P(D)上に共通して現れている被写体上の特徴点ξ1,ξ2,ξ3について、各全方位画像P(A)〜P(D)上での投影位置を示す情報である。たとえば、図3には、特徴点投影位置情報161として、3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3について、各全方位画像P(A)〜P(D)上での位置座標(φ,θ)が格納されている状態が示されている。
図3に示す特徴点投影位置情報161の表の各欄には、便宜上、この位置座標をすべて「(φ,θ)」と記載しているが、実際には、表の各欄には、それぞれ異なる位置座標が収容される。たとえば、この特徴点投影位置情報161の表における画像P(A)についてのξ1の欄には、全方位画像格納部110内に示されている全方位画像P(A)における×印で示された特徴点ξ1の当該全方位画像P(A)についてのローカル座標系での座標値(φ,θ)が収容されている。
上述したとおり、実際には、特徴点ξ1は、XYZ三次元直交座標系上の三次元空間に位置する実在の点であるが、各全方位画像P(A)〜P(D)は、それぞれ異なる撮影地点から撮影された画像であるため、画像P(A)〜P(D)上に現れる特徴点ξ1の投影位置は、個々の画像ごとに若干異なることになる。したがって、特徴点投影位置情報161の表に示された座標値(φ,θ)は、個々の欄ごとに異なった値になる。
なお、特徴点ξ1,ξ2,ξ3は、単位領域図形Fの4頂点を撮影地点とする複数の全方位画像P(A)〜P(D)上に共通して現れている点として定義されるので、画像P(A)〜P(D)のすべてに特徴点ξ1,ξ2,ξ3が存在することになる。別言すれば、一部の全方位画像には現れていない点(たとえば、何らかの物体の陰に隠れている点)は、特徴点としては選出されないことになる。
一方、セル定義情報162は、特徴点を頂点とする図形からなるセルを定義する情報である。図3には、3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3を頂点とする三角形からなるセルC1が定義された例が示されている。このため、図3の例では、セル定義情報162として、「セルC1の頂点となる特徴点がξ1,ξ2,ξ3である」ことを示す情報が格納されている。実際には、より多数の特徴点が定義され、より多数のセルが定義されることになる。セル定義情報162は、このような多数のセルのそれぞれについて、頂点となる特徴点群を示す情報になる。
後述するように、各全方位画像P(A)〜P(D)は、この多数のセルによってメッシュ状に分割される。したがって、セル定義情報162は、各全方位画像P(A)〜P(D)が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、各特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義する情報と言うことができる。
位置方向指定部170は、この自由視点映像表示装置100によって映像表示を行う際に、実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点Qと当該視点Qを基準とした任意の視線方向Eを指定する構成要素である。たとえば、図2に示す点Q(xq,yq)を視点として指定し、視線ベクトルE(φe,θe)を視線方向として指定する場合は、位置方向指定部170によって、視点Qを示す情報として、座標値Q(xq,yq,0)が指定され、視線方向Eを示す情報として、点Qを起点とする視線ベクトルEの方位角φeと仰角θeとが指定される。図示の位置方向指定部170のブロック内には、このような指定が行われた例が示されている。
もちろん、実際には、ユーザ自身が座標値(xq,yq,0)や角度(φe,θe)を数値として入力するわけではない。位置方向指定部170は、実際には、自由視点映像表示装置100を構成するコンピュータの一部として機能するジョイスティックなどの操作入力機器およびそのインターフェイスによって構成され、ユーザが仮想空間上を移動する体験を行う際には、この操作入力機器に対して所定の指示操作を行うことにより、移動方向、移動速度、視線の向きなどを指示することになる。操作入力機器のインターフェイスを構成するプログラムは、このような指示操作に応じて、視点Qの座標値や視線方向Eの角度を増減させる変更処理を行うことになる。
なお、位置方向指定部170による視点Qおよび視線方向Eの指定は、必ずしもユーザの操作入力に基づいて行う必要はなく、所定のアルゴリズムに従って自動的に指定がなされるようにしてもかまわない。たとえば、予め定められた所定のルートに沿って移動しながら、予め定められた所定の方向を観察した場合の視界が自動的に表示されるようなプログラムを用意しておけば、ユーザの操作入力なしに、自動的に視点Qおよび視線方向Eが指定されることになる。もちろん、ランダムに視点Qおよび視線方向Eを変化させるプログラムを用意しておけば、いわゆる「ランダムウォーク」の状態を表示することができる。
特徴点投影位置推定部120および全方位画像生成部130は、位置方向指定部170によって任意の視点Qが指定された場合に、「当該視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」を生成するための構成要素である。前述したとおり、全方位画像格納部110内には、単位領域図形Fの4頂点A,B,C,Dについての全方位画像P(A)〜P(D)しか用意されていないので、位置方向指定部170によって任意の視点Qが指定された場合、全方位画像P(A)〜P(D)の一部もしくは全部を利用して、新たに全方位画像P(Q)を用意する処理が行われる。
新たに全方位画像P(Q)を用意する処理は、次の2段階のステップによって行われる。第1段階のステップは、特徴点投影位置推定部120によって行われる特徴点投影位置推定段階であり、第2段階のステップは、全方位画像生成部130によって行われる全方位画像生成段階である。以下、この2段階のステップを順に説明する。
まず、特徴点投影位置推定部120によって、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」に現れるべき特徴点の投影位置が推定される。図示のとおり、特徴点投影位置推定部120には、全方位画像格納部110に格納されている撮影地点位置情報と、特徴点情報格納部160に格納されている特徴点投影位置情報161と、位置方向指定部170により指定された視点Qが与えられる。特徴点投影位置推定部120は、撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報161に基づいて、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する処理を行うことになる。
特徴点投影位置推定部120は、図2に示すXYZ三次元直交座標系上において、4つの撮影地点A〜Dの位置座標と指定された視点Qの位置座標とを認識することができるので、これらの情報に対して幾何学的な手法を適用して、全方位画像P(Q)上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する。具体的な推定方法については、§5で詳述する。
図3に示す特徴点投影位置推定部120のブロック内には、準備画像PP(Q)内に、3つの特徴点ξ1〜ξ3の投影位置ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)が推定された状態が示されている(特徴点ξ1〜ξ3についての座標値(φ,θ)の値は、それぞれ異なる特定の値になる)。
ここで、準備画像PP(Q)は、全方位画像P(Q)の生成に用いられる概念的な空画像であり、実体のある画像ではない。すなわち、この準備画像PP(Q)は、特徴点ξ1〜ξ3の投影位置ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)を図示するための便宜上の画像であり、特徴点投影位置推定部120による推定処理によって得られるデータは、投影位置ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)の座標値だけである。もちろん、準備画像PP(Q)の縦横の座標軸は、生成する全方位画像P(Q)の各座標軸に一致し、横座標軸は方位角φ(0〜360°)、縦座標軸は仰角θ(0〜90°)である。
図3の準備画像PP(Q)には、全方位画像P(A)〜P(D)と同様に、3つの特徴点ξ1〜ξ3の投影位置が、×印、三角印、ハート印で示されている。前述したとおり、実際には、特徴点ξ1〜ξ3は、現実の被写体上の特定点であり、準備画像PP(Q)上に求められた点ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)は、特徴点ξ1〜ξ3を、視点Qを撮影地点とした撮像面上に投影した投影点ということになる。特徴点の撮像面上の投影位置は、個々の撮影地点によってそれぞれ異なるため、たとえば、同じ×印で示す特徴点ξ1であっても、その投影位置の座標(φ,θ)は、全方位画像P(A)〜P(D),P(Q)のそれぞれで異なる。
全方位画像生成部130は、こうして準備画像PP(Q)上に得られた各特徴点ξ1〜ξ3の投影位置を利用して、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」を生成する。
具体的には、まず、特徴点情報格納部160に格納されているセル定義情報162に基づいて、特徴点投影位置推定部120が推定した特徴点の投影位置ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)を頂点とする新たなセルを生成する。図示の例の場合、セル定義情報162には、「3つの特徴点ξ1,ξ2,ξ3をもつ三角形によってセルC1が構成される」旨の情報が含まれているので、全方位画像生成部130は、準備画像PP(Q)上に得られた3つの投影点ξ1(φ,θ)〜ξ3(φ,θ)を頂点とする三角形からなる新たなセルC1′を生成することができる。図3の全方位画像生成部130のブロック内には、こうして生成された新たなセルC1′がハッチング領域として示されている。
続いて、全方位画像生成部130は、全方位画像格納部110に格納されている全方位画像P(A)上の対応するセルC1内の部分画像(ハッチング部分)に基づいて、新たなセルC1′内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を実行する。
新たなセルC1′と、全方位画像P(A)上の対応セルC1とは、「特徴点ξ1〜ξ3の投影点を頂点とする三角形からなるセル」という点で互いに対応関係を有しているセルであるが、その位置や形状は若干異なっている。したがって、対応セルC1内の部分画像を、そのまま新たなセルC1′内に割り付けることはできない。そこで、実際には、対応セルC1内の部分画像を模写対象部分画像として、この模写対象部分画像を若干変形して新たなセルC1′内に割り付ける処理が行われる。このような処理の具体的な方法は、§6において詳述する。
なお、図3では、全方位画像P(A)上の対応セルC1内の部分画像に基づいて、新たなセルC1′内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する例を示したが、もちろん、全方位画像P(B)〜P(D)上の対応セル内の部分画像に基づいて、新たなセルC1′内に割り付けるべき新たな部分画像を生成してもかまわない。また、§6で述べるとおり、複数の全方位画像上の対応セル内の部分画像を合成して、セルC1′内に割り付けるべき新たな部分画像を生成してもかまわない。
図3では、説明の便宜上、3つの特徴点ξ1〜ξ3と、これらを頂点とする1つのセルC1を用いた単純な例が示されているが、実際には、より多数の特徴点が定義され、より多数のセルが定義される。したがって、全方位画像生成部130は、生成した多数のセルについて上記処理を実行する。全方位画像は、この多数のセルによってメッシュ状に分割された画像になるため、メッシュを構成するすべてのセルについて上記処理を実行すれば、全方位画像P(Q)を生成することができる。全方位画像生成部130は、このような手順により、全方位画像P(Q)を生成する。
なお、視点Qが、たまたま、単位領域図形Fの頂点A,B,C,Dのいずれかの位置に一致した場合、全方位画像P(Q)は、全方位画像格納部110内に格納されている全方位画像P(A)〜P(D)と一致するので、新たな全方位画像P(Q)を生成する処理を行う必要はない。したがって、この場合、特徴点投影位置推定部120は特徴点投影位置の推定処理を行う必要はなく、全方位画像生成部130は、全方位画像格納部110内に格納されている全方位画像P(A)〜P(D)のいずれかを、そのまま全方位画像P(Q)として出力すればよい。
画像切出部140は、位置方向指定部170によって指定された視線方向Eに基づいて、全方位画像生成部130が生成した「視点Qにおける全方位画像P(Q)」から、その一部分を切り出す処理を行う。
ここで述べる実施形態の場合、位置方向指定部170は、視線方向Eとして、所定の方位角φeおよび所定の仰角θeを指定する。そこで、画像切出部140は、切出対象となる全方位画像P(Q)上において、位置方向指定部170によって指定された方位角φeおよび仰角θeで示される座標値(φe,θe)をもつ点を切出中心点として、当該切出中心点の周囲の一部分の所定領域を、切出画像D(φe,θe)として切り出す処理を行うことになる。当該切出処理は、図1(c) を参照して、§1で既に説明したとおりである。なお、全方位画像P(Q)には歪みが生じているため、必要があれば、切出画像D(φe,θe)に対して歪み補正処理を施すこともできる。
画像表示部150は、こうして画像切出部に140よって切り出された切出画像D(φe,θe)を表示する構成要素である。この画像表示部150は、実際には、コンピュータを構成するディスプレイ装置およびそのインターフェイスによって構成される。
以上述べた特徴点投影位置推定部120による特徴点投影位置推定の処理と、全方位画像生成部130による全方位画像生成の処理は、位置方向指定部170によって新たな視点Qの指定が行われるたびに繰り返し実行され、そのたびに、画像切出部140によって新たな切出画像が切り出され、画像表示部150による表示が行われる。したがって、ユーザに対しては、リアルタイムで仮想空間内を移動している情景が提示されることになる。
このように本実施例に係る自由視点映像表示装置100の全方位画像格納部110内には、離散的な撮影地点A,B,C,Dから撮影した全方位画像P(A)〜P(D)が用意されているだけであるが、仮想空間上の任意の視点Qから見た視界を表示することが可能になる。
なお、図2には、仮想空間上で単位領域図形Fの内部に位置する視点Qと当該視点Qを基準とした視線方向Eが指定された例が示されているが、位置方向指定部170は、必ずしも単位領域図形F内の視点Qを指定する必要はなく、単位領域図形Fの外側に位置する視点Qを指定してもかまわない。
本発明における単位領域図形Fは、その頂点が撮影地点になるという点において、複数の撮影地点が同一グループ(同一の単位領域図形Fの頂点グループ)に所属することを示す意味がある。後の§7では、複数の単位領域図形Fを配列する実施形態が述べられるが、そのような実施形態においても、1つの単位領域図形Fに所属する頂点は、1つのグループに所属する撮影地点になる。そして、同一グループに所属する撮影地点で撮影された複数の全方位画像は、同一グループに所属する全方位画像ということになり、この同一グループに所属する全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点について、特徴点投影位置情報161やセル定義情報162が用意される。
このように、本発明における単位領域図形Fは、全方位画像をグループ分けする上での指標になるものであり、視点Qの位置は、必ずしもこの単位領域図形Fの内側に制限されるものではない。したがって、本発明の実施にあたって、視点Qは、図2に例示するように、単位領域図形Fの内部(単位領域図形Fの輪郭線上も含む)にあってもよいし、単位領域図形Fの外部にあってもよい。
後述するように、特徴点投影位置推定部120は、視点Qが単位領域図形Fの内部に位置する場合も、外部に位置する場合も、特徴点投影位置の推定を行うことができる。後述するように、本願では、単位領域図形Fの内部に位置する視点Qについて、特徴点投影位置の推定を行う方法を内挿法と呼び、単位領域図形Fの外部に位置する視点Qについて、特徴点投影位置の推定を行う方法を外挿法と呼んでいる。
<<< §4. 特徴点の具体的な定義方法 >>>
§3で述べたとおり、特徴点情報格納部160には、各全方位画像上での特徴点の投影位置を示す特徴点投影位置情報161と、特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報162と、が格納されている。図3では、単純な例として3つの特徴点ξ1〜ξ3を定義した例を示したが、ここでは、より具体的な特徴点の定義方法を述べる。
前述したように、本発明における特徴点は、現実の被写体上において所定の特徴を有する特定の点であり、XYZ三次元直交座標系上の三次元空間に位置する実在の点である。ただ、特徴点を定義する作業は、各撮影地点A〜Dで撮影された全方位画像P(A)〜P(D)上で行われる。別言すれば、本発明において特徴点を定義する処理は、実際には、全方位画像P(A)〜P(D)上に共通して現われている「特徴点の投影点」を指定する作業によって行われる。ここでは、担当者が、撮影された全方位画像P(A)〜P(D)を見ながら人間の判断で各投影点を定義する作業を行う例を以下に説明する。
図4は、本発明における特徴点の具体的な定義方法を示す平面図である。図4(a) は、撮影地点Aで撮影された全方位画像P(A)上に、手作業で12個の特徴点ξ1〜ξ12を定義した状態を示す平面図である。図に×印で示されている点が個々の特徴点ξ1〜ξ12に相当する。なお、正確に言えば、これら×印で示されている点は、「被写体上の特徴点ξ1〜ξ12の全方位画像P(A)上に現われた投影点」であるが、ここでは便宜上、単に「特徴点ξ1〜ξ12」と呼ぶ。
このように、全方位画像P(A)上に、手作業で各特徴点ξ1〜ξ12を定義するには、たとえば、コンピュータの画面上に全方位画像P(A)を表示させた状態で、マウスなどのポインティングデバイスを用いて、特徴点として設定すべき位置をクリック操作などで指示してゆけばよい。
特徴点としては、画像上で何らかの特徴のある部分を任意に選択することができるが、一般的には、被写体となる物の角、辺の一点、特定部位の中心点などを適宜選択すればよい。図4(a) に示す例の場合、ドアの角の点として特徴点ξ1,ξ2が定義され、ドアノブの中心点として特徴点ξ3が定義され、額縁の四隅の点として特徴点ξ4〜ξ7が定義されている。また、額縁の左右の辺の延長線(破線で示す)とテーブルの上辺の交点として特徴点ξ8,ξ9が定義され、人物の両目の中心点として特徴点ξ10,ξ11が定義され、襟の合わせ目として特徴点ξ12が定義されている。
図4(b) は、撮影地点Bで撮影された全方位画像P(B)上に、同様の方法で12個の特徴点ξ1〜ξ12を定義した状態を示す平面図である。ここで重要なことは、全方位画像P(B)上に定義される特徴点ξ1〜ξ12が、全方位画像P(A)上に定義された特徴点ξ1〜ξ12と1対1に対応するようにする点である。図4(a) に示す全方位画像P(A)と図4(b) に示す全方位画像P(B)とは、同一の被写体を撮影した全方位画像であるが、撮影位置が異なっているため、被写体の位置にずれが生じている。しかしながら、被写体が同一であるため、両画像上に共通して現れている特徴点を定義することができる。図示の特徴点ξ1〜ξ12は、このように両画像上に共通して現れている特徴点である。
図示されていないが、撮影地点Cで撮影された全方位画像P(C)および撮影地点Dで撮影された全方位画像P(D)上にも、同様の方法により、特徴点ξ1〜ξ12が定義される。結局、特徴点ξ1〜ξ12は、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)のすべてに共通して現われている被写体上の特定点ということになる。
図5(a) は、図3に示す特徴点投影位置情報161の具体例を示す図であり、図4に示す12組の特徴点ξ1〜ξ12についての投影位置を示すものである。図5(b) は、図2に示す単位領域図形F(四角形ABCD)の平面図であり、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)は、この四角形ABCDの各頂点を撮影地点として撮影された画像である。図5(a) に示す表のP(A)の欄には、撮影地点Aについての全方位画像P(A)上における各特徴点ξ1〜ξ12の投影点の位置座標が示されている。
たとえば、P(A)の欄の1行目の座標値(φ1a,θ1a)は、図4(a) に示すドアの左上角の特徴点ξ1のφθ座標系における座標値であり、2行目の座標値(φ2a,θ2a)は、図4(a) に示すドアの右上角の特徴点ξ2のφθ座標系における座標値である。同様に、P(B)の欄の1行目の座標値(φ1b,θ1b)は、図4(b) に示すドアの左上角の特徴点ξ1のφθ座標系における座標値であり、2行目の座標値(φ2b,θ2b)は、図4(b) に示すドアの右上角の特徴点ξ2のφθ座標系における座標値である。
上述したとおり、マウスなどのポインティングデバイスを用いて、各特徴点の位置をディスプレイ画面上で指定する操作を行えば、コンピュータは、指定された点の座標値を自動入力して、図5(a) に例示するような特徴点投影位置情報を作成することができる。このとき、全方位画像P(A)上で指定された座標値は、図5(a) の表のP(A)の欄に収容され、全方位画像P(B)上で指定された座標値は、図5(a) の表のP(B)の欄に収容され、全方位画像P(C)上で指定された座標値は、図5(a) の表のP(C)の欄に収容され、全方位画像P(D)上で指定された座標値は、図5(a) の表のP(D)の欄に収容される。
また、図示の例の場合、4組の座標値(φ1a,θ1a),(φ1b,θ1b),(φ1c,θ1c),(φ1d,θ1d)は、いずれも同一の特徴点ξ1についての投影位置を示す情報であるので、これら4組の座標値は、図5(a) の表における同一行に収容して対応づける必要がある。このため、マウスクリックなどで各特徴点についての投影位置を指定する操作を行う際には、コンピュータに、どの特徴点についての操作であるかを認識させる必要がある。そのためには、たとえば、コンピュータに対して、同一の特徴点の投影位置が連続的に入力されるようなインターフェイスを用意しておけばよい。具体的には、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)について、ドアの左上角の特徴点ξ1の投影位置を順にクリックしてゆく操作を一連の作業として行えば、当該作業に基づいて、コンピュータは、図5(a) の表における第1行目のデータを作成することができる。
§3で述べたとおり、本発明における特徴点は、セルの頂点として利用される。したがって、定義される特徴点の密度を高めれば、セルの密度も高まることになる。視点Qについて生成される全方位画像P(Q)上に生じる画像の歪みを低減する上では、セルの密度は高い方が好ましく、そのためには、特徴点の密度を高めるのが好ましい。しかしながら、特徴点やセルの密度を高めると、1枚の全方位画像上の特徴点やセルの数が増え、演算負担は増大する。したがって、実用上は、画像の歪み低減に必要と思われるセルを形成するのに必要最低限の特徴点を定義するのが好ましい。
以上、人間の手作業によって、特徴点およびその位置を設定する処理を述べたが、この処理をコンピュータによる自動作業によって行うようにすることも可能である。
一般に、任意の画像について特徴点を自動抽出する処理には、様々なアルゴリズムのものが知られている。たとえば、画像上に現れる輝度勾配を解析することにより、図4(a) に示すドア,額縁,人物といった対象物の輪郭線を抽出する技術が知られている。したがって、このような輪郭線の折れ曲がり箇所として、図4(a) に示す特徴点ξ1,ξ2,ξ4〜ξ7などを自動抽出することが可能である。また、人物の目の位置を自動認識するアルゴリズムも知られており、このようなアルゴリズムを利用すれば、図4(a) に示す特徴点ξ10,ξ11を自動抽出することも可能である。
また、2つの画像から抽出した特徴点について、その周囲の輝度勾配などを解析することにより、同一性を自動判定するアルゴリズムも知られている。このようなアルゴリズムを利用すれば、たとえば、図4(a) に示す全方位画像P(A)から自動抽出した特徴点ξ1と、図4(b) に示す全方位画像P(B)から自動抽出した特徴点ξ1とが、被写体上の同一の特徴点ξ1の投影点であることを自動認識することができる。もちろん、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)から各特徴点を自動抽出した後に、全画像に共通して現われている特徴点のみを残し、それ以外の特徴点を自動削除することも可能である。
したがって、これまで、人間の手作業による位置指定操作に基づいて、図5(a) に示す特徴点投影位置情報161を作成する例を述べてきたが、これをコンピュータによる自動処理によって行うことも可能である。この場合、所定の解析プログラムが組み込まれたコンピュータに、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)の画像データを与えることにより、図5(a) に示すような特徴点投影位置情報161が自動的に作成されることになる。
もっとも、現在の画像解析技術では、コンピュータによる完全な自動処理によって、理想的な特徴点投影位置情報161を作成することは困難である。したがって、実用上は、コンピュータによる自動処理を行った後、人間の目視確認により、適宜修正を加えることにより、図5(a) に例示するような特徴点投影位置情報161を作成するのが好ましい。
なお、上述したとおり、演算負担を軽減するためには、特徴点の数は、画像の歪み低減に必要と思われるセルを形成するのに必要最低限の数に抑えるのが好ましい。したがって、実際には、コンピュータが自動抽出した特徴点のうち、不要と思われる特徴点については、適宜、間引く処理を行うようにするのが好ましい。
こうして、図5(a) に例示するような特徴点投影位置情報161が作成できれば、この情報を利用して、特徴点投影位置推定部120による特徴点投影位置の推定処理および全方位画像生成部130による全方位画像P(Q)の生成処理が行われる点は、既に述べたとおりである。
図4(c) は、図4(a) に示す全方位画像P(A)上の特徴点ξ3の位置と、図4(b) に示す全方位画像P(B)上の特徴点ξ3の位置に基づいて、視点Qについての準備画像PP(Q)上に特徴点ξ3の推定位置をプロットした状態を示す。図示の例の場合、特徴点ξ3はドアノブの中心点であり、図5(a) の特徴点投影位置情報161に示されているとおり、全方位画像P(A)上の特徴点ξ3の位置は、座標値(φ3a,θ3a)であり、全方位画像P(B)上の特徴点ξ3の位置は、座標値(φ3b,θ3b)である。これらの座標値の情報と、図5(b) に示す撮影地点A,撮影地点B,視点QのXYZ三次元直交座標系上での座標値の情報と、を用いれば、図4(c) に示すように、準備画像PP(Q)上の特徴点ξ3の位置を推定することができる。具体的な推定方法は、§5で詳述する。
一方、図4(d) は、図4(a) に示す全方位画像P(A)上の特徴点ξ3の近傍画像、もしくは、図4(b) に示す全方位画像P(B)上の特徴点ξ3の近傍画像を、準備画像PP(Q)上の特徴点ξ3の近傍にコピーすることにより、全方位画像P(Q)の一部が生成された状態を示している。この例の場合、特徴点ξ3はドアノブの中心点であるため、図4(d) には、このドアノブの中心点の近傍画像がコピーされた状態が示されている。近傍画像のコピーは、図4(a) に示す全方位画像P(A)から行ってもよいし、図4(b) に示す全方位画像P(B)から行ってもよい。もちろん、図示されていないが、全方位画像P(C)や全方位画像P(D)から行ってもよいし、複数の全方位画像を合成して割り付けてもかまわない。
もっとも、実際には、図4(d) に示すように「特定の特徴点の近傍画像をコピーする」という手法を採る代わりに、§3で述べたとおり、「特徴点を頂点とする図形からなる多数のセルを定義し、個々のセル内の部分画像をコピーする」という手法を採ることになる。このような処理の具体的な方法は、§6において詳述する。
<<< §5. 特徴点投影位置の推定(三角測量法) >>>
ここでは、図3に示す特徴点投影位置推定部120によって行われる特徴点投影位置推定処理の具体的な処理手順を説明する。§3で述べたとおり、特徴点投影位置推定部120は、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」に現れるべき特徴点の投影位置を推定する処理を実行する。図3の特徴点投影位置推定部120のブロック内には、3つの特徴点ξ1〜ξ3の推定投影位置が示されている。また、図4には、図4(a) に示す全方位画像P(A)内の特徴点ξ3の位置と図4(b) に示す全方位画像P(B)内の特徴点ξ3の位置とに基づいて、図4(c) に示すように、準備画像PP(Q)上に特徴点ξ3の位置を推定した例が示されている。ここでは、このような推定を行うための具体的な方法を述べる。
いま、図5(b) に示すように、実空間上に定義された四角形の単位領域図形Fの各頂点A〜Dを撮影地点とする撮影により、全方位画像P(A)〜P(D)が得られており、これらの各画像上の特徴点投影位置情報161(図5(a) 参照)によって示される座標位置に、合計12組の特徴点ξ1〜ξ12が定義されているものとしよう。なお、ここでは、後述する§7で説明する「複数の単位領域図形を配列する実施形態」との関係上、図示の単位領域図形Fを「参照領域図形」と呼ぶことにする。ここで「参照領域図形」とは、視点位置の全方位画像P(Q)を生成する際に参照されることになる単位領域図形Fを意味する。ここに示す基本的実施形態は、単一の単位領域図形Fのみを想定した実施形態であるため、当該単一の単位領域図形Fが「参照領域図形」になる。
さて、ここで、図5(b) に示すような視点Qが指定された場合、特徴点投影位置推定部120が行うべき処理は、図5(a) に示す特徴点投影位置情報161と、図3のブロック110内に示されている撮影地点位置情報とに基づいて、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」に現れるべき12組の特徴点ξ1〜ξ12の投影位置を推定することである。
そのため、特徴点投影位置推定部120は、まず、参照領域図形Fの4頂点A〜Dの中から2組の頂点を参照頂点として選択する。そして、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき12組の特徴点ξ1〜ξ12の投影位置を推定する処理を行う。
なお、参照頂点としては、理論的には、参照領域図形Fの4頂点A〜Dのいずれを選択してもかまわないが、実用上は、参照領域図形Fの頂点の中から、視点Qに最も近い頂点を第1の参照頂点として選択し、視点に2番目に近い頂点を第2の参照頂点として選択するのが好ましい。これは、後述するように、2組の参照頂点についての全方位画像を利用して、視点Qについての全方位画像P(Q)上の特徴点の投影位置を推定する処理を行う際に、視点Qにできるだけ近い位置にある頂点を参照頂点として選択した方が、より誤差の少ない正確な推定が期待できるためである。
図5(b) に示す例の場合、参照領域図形Fの4頂点A〜Dのうち、視点Qに最も近い頂点は頂点Aであり、2番目に近い頂点は頂点Bである。そこで、以下、頂点Aを第1の参照頂点として選択し、頂点Bを第2の参照頂点として選択した場合の例について説明を行うことにする。
図6は、図3に示す特徴点投影位置推定部120による第i番目の特徴点ξiの投影位置を推定する手順を示す平面図である。図6(a) に示す全方位画像P(A)は、図5(b) に示す第1の参照頂点Aで撮影された画像であり、図6(b) に示す全方位画像P(B)は、図5(b) に示す第2の参照頂点Bで撮影された画像である。図5(a) の表のP(A)の欄およびP(B)の欄には、これら各画像P(A),P(B)上に定義された12組の特徴点ξ1〜ξ12の投影位置を示す座標値が収容されている。
すなわち、ここに示す実施例の場合、iは1〜12の範囲の値をとり、図6(a) の全方位画像P(A)上に示されている第i番目の特徴点ξiの投影点ξia(φia,θia)は、図5(a) の表のP(A)の欄に収容されている各座標値(φ1a,θ1a)〜(φ12a,θ12a)に対応する位置の点になる。同様に、図6(b) の全方位画像P(B)上に示されている第i番目の特徴点ξiの投影点ξib(φib,θib)は、図5(a) の表のP(B)の欄に収容されている各座標値(φ1b,θ1b)〜(φ12b,θ12b)に対応する位置の点になる。
全方位画像P(A)上の投影点ξia(φia,θia)も、全方位画像P(B)上の投影点ξib(φib,θib)も、実空間上に実在する同一の特徴点ξiを投影した点であるが、撮影地点が異なるため、φθ座標系上では異なる位置の点になる。特徴点投影位置推定部120が行う推定処理は、投影点ξia(φia,θia)の情報と投影点ξib(φib,θib)の情報とを利用して、図6(c) に示す準備画像PP(Q)上に投影点ξiq(φiq,θiq)を求めることである。ここで、投影点ξiq(φiq,θiq)は、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定される点である。
以下、このような推定を行う方法の一例として、三角測量法に基づく方法を説明する。図7は、図6(c) に示す投影点ξiq(φiq,θiq)の位置の推定を三角測量法に基づいて行う基本原理を示す斜視図である。図示されているXYZ三次元直交座標系は、図2に示す座標系と同様に、実空間上に定義されたグローバル座標系であり、四角形の単位領域図形F(参照領域図形)は、この座標系におけるXY平面上に定義されている。図7には、この単位領域図形Fの4頂点のうちの第1の参照頂点Aおよび第2の参照頂点Bが示されており、更に、視点Qが示されている。
ここで、第1の参照頂点Aは、座標値(xa,ya,0)で示される位置に配置され、第2の参照頂点Bは、座標値(xb,yb,0)で示される位置に配置され、視点Qは、座標値(xq,yq,0)で示される位置に配置されている。点A,B,Qは、いずれもXY平面上に位置し、そのZ座標値は0である。図には、各点A,B,Qを中心点とした仮想半球Ha,Hb,Hqが描かれており、これら仮想半球Ha,Hb,Hqの底面には、それぞれ撮像面Sa,Sb,Sqが描かれている。
図1で説明したとおり、点Aについての全方位画像P(A)は、撮像面Saに形成された円形画像に基づいて作成されたパノラマ画像であり、点Bについての全方位画像P(B)は、撮像面Sbに形成された円形画像に基づいて作成されたパノラマ画像である。そして、これから生成する点Qについての全方位画像P(Q)は、もし、点Qを撮影地点として撮影を行ったとしたら、撮像面Sqに形成されるであろう円形画像に基づいて作成されるべきパノラマ画像ということになる。
いま、図示のとおり、このXYZ三次元直交座標系が定義された実空間上の1点に、第i番目の特徴点ξiが存在するものとしよう。特徴点ξiは、座標値(xξi,yξi,zξi)で示される位置に配置されている。この場合、点Aから特徴点ξiを望むと、図示のとおり、方位角φia,仰角θiaの方向に観測されることになるので、全方位画像P(A)上における特徴点ξiの投影位置は、座標値(φia,θia)で示される投影点ξiaになる。また、点Bから特徴点ξiを望むと、図示のとおり、方位角φib,仰角θibの方向に観測されることになるので、全方位画像P(B)上における特徴点ξiの投影位置は、座標値(φib,θib)で示される投影点ξibになる。
同様に、もし、点Qから特徴点ξiを望んだとすると、図示のとおり、方位角φiq,仰角θiqの方向に観測されることになるので、全方位画像P(Q)上における特徴点ξiの投影位置は、座標値(φiq,θiq)で示される投影点ξiqになるはずである。
このようなモデルを前提とすれば、特徴点投影位置推定部120は、次のような手順により、図6(c) に示す投影点ξiqの座標値(φiq,θiq)を求めることができる。
まず、図7に示すように、第1の参照頂点Aから第i番目の特徴点ξiへ向かう第1の参照ベクトルViaを、第1の参照頂点Aについての撮影地点位置情報(座標値(xa,ya,0))および特徴点投影位置情報(座標値(φia,θia))に基づいて求める。すなわち、第1の参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像P(A)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第1の参照方位角φiaおよび第1の参照仰角θiaを参照し、座標値(xa,ya,0)をもつ第1の参照頂点Aを起点として、第1の参照方位角φiaおよび第1の参照仰角θiaによって示される方向を向いたベクトルを第1の参照ベクトルViaとすればよい。
次に、第2の参照頂点Bから第i番目の特徴点ξiへ向かう第2の参照ベクトルVibを、第2の参照頂点Bについての撮影地点位置情報(座標値(xb,yb,0))および特徴点投影位置情報(座標値(φib,θib))に基づいて求める。すなわち、第2の参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像P(B)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第2の参照方位角φibおよび第2の参照仰角θibを参照し、座標値(xb,yb,0)をもつ第2の参照頂点Bを起点として、第2の参照方位角φibおよび第2の参照仰角θibによって示される方向を向いたベクトルを第2の参照ベクトルVibとすればよい。
こうして、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibが求まったら、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibとの交点を幾何学的な演算によって求め、この交点を、第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定すればよい。かくして、特徴点ξiの三次元座標値(xξi,yξi,zξi)が求まる。
最後に、視点Qに配置された全方位カメラによって、上記方法によって推定された三次元位置(xξi,yξi,zξi)にある第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定すればよい。
具体的には、図7に示されているように、座標値(xq,yq,0)をもつ視点Qを起点として、上記方法によって推定された三次元位置(xξi,yξi,zξi)にある第i番目の特徴点ξiに向かう指示ベクトルViqを求め、当該指示ベクトルViqの方位角φiqおよび仰角θiqを、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標(φiq,θiq)と推定すればよい。このような手順により、図6(c) に示す投影点ξiqの座標値(φiq,θiq)が得られることになる。
なお、図7に示す例の場合、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibとが交差しているため、その交点を、第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定することができるが、実際には、両参照ベクトルVia,Vibは、必ずしも交差するとは限らず、両者がねじれの位置の関係にあることも少なくない。これは、全方位画像P(A),P(B)には、個々の位置に固有の歪みが含まれており、また、この画像上に特徴点を定義する際に、位置的誤差が生じる可能性があるためである。
そこで、実用上は、第1の参照ベクトルViaと第2の参照ベクトルVibとが交差せず、両参照ベクトルの交点が求められない場合は、図8に示す例のように、これら両参照ベクトルに対して所定の近接位置にある近接点を、第i番目の特徴点ξiの三次元位置(xξi,yξi,zξi)と推定すればよい。図8に示す例では、第1の参照ベクトルVia上の第2の参照ベクトルVibに対する最近接点Naと、第2の参照ベクトルVib上の第1の参照ベクトルViaに対する最近接点Nbとを求め、これら最近接点Naと最近接点Nbとを結ぶ線分の中間点を第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定している。
以上、第1の参照頂点Aおよび第2の参照頂点Bという2個の参照頂点を用いて、第i番目の特徴点ξiの三次元位置を推定する方法を説明したが、3以上の参照頂点を用いて特徴点ξiの三次元位置を推定することも可能である。理論的には、より多数の参照頂点を用いた推定方法の方が、より正確な推定が可能になる。そこで、以下、3以上の参照頂点を用いて、図6(c) に示す投影点ξiqの座標値(φiq,θiq)を求める方法を述べておく。
この方法では、参照領域図形の頂点の中からn組(n≧3)の頂点が参照頂点として選択される。そして、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する処理を行うことになる。この場合も、推定精度を高めるために、特徴点投影位置推定部120は、参照領域図形の頂点の中から、視点に近い順に、第1の参照頂点から第nの参照頂点を選択するようにするのが好ましい。
具体的には、特徴点投影位置推定部120は、第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを、第j番目の参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求める処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の参照ベクトルVi1〜第nの参照ベクトルVinを求める。図7に示す例は、n=2に設定した例ということになる。
第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを求めるには、第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第j番目の参照方位角φijおよび第j番目の参照仰角θijを参照し、第j番目の参照頂点を起点として、第j番目の参照方位角φijおよび第j番目の参照仰角θijによって示される方向を向いたベクトルを第j番目の参照ベクトルVijとすればよい。
続いて、求めたn本の参照ベクトルVi1〜Vinの交点もしくはこれらn本の参照ベクトルVi1〜Vinに対して所定の近接位置にある近接点を、第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定する。図9は、n=4の場合に、第i番目の特徴点ξiの三次元位置(xξi,yξi,zξi)を求めた例である。図5(b) に示す例のように、四角形の単位領域図形Fを参照領域図形とした場合、n=4に設定すると、4頂点A,B,C,Dのすべてが参照頂点として選択されることになる。
図9に示す参照ベクトルViaは、頂点Aを起点として、全方位画像P(A)上に現れている特徴点ξiの投影点ξiaの座標値(φia,θia)で示される方向を向いたベクトルであり、参照ベクトルVibは、頂点Bを起点として、全方位画像P(B)上に現れている特徴点ξiの投影点ξibの座標値(φib,θib)で示される方向を向いたベクトルである。同様に、参照ベクトルVicは、頂点Cを起点として、全方位画像P(C)上に現れている特徴点ξiの投影点ξicの座標値(φic,θic)で示される方向を向いたベクトルであり、参照ベクトルVidは、頂点Dを起点として、全方位画像P(D)上に現れている特徴点ξiの投影点ξidの座標値(φid,θid)で示される方向を向いたベクトルである。
図示の例の場合、これら4本の参照ベクトルVia〜Vidのすべてに対して所定の近接位置にある近接点が、第i番目の特徴点ξiの三次元位置(xξi,yξi,zξi)として求められている。
こうして、特徴点ξiの三次元位置(xξi,yξi,zξi)が推定されたら、視点Qに配置された全方位カメラによって、推定された三次元位置にある第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置ξiq(φiq,θiq)と決定する点は、前述したn=2に設定した方法と同様である。
<<< §6. 全方位画像の生成 >>>
続いて、図3に示す全方位画像生成部130による全方位画像の生成処理の具体的な手順を説明する。§3で述べたとおり、全方位画像生成部130は、準備画像PP(Q)上に得られた各特徴点の投影位置を利用して、「視点Qを撮影地点とする撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)」を生成する処理を行う。この処理は、特徴点を頂点とする多数のセルによって画像をメッシュ状に分割し、個々のセル単位で部分画像をコピーするという手法によって行われる。そこで、まず、多数のセルによって画像をメッシュ状に分割する具体的な態様を述べる。
§4では、図4(a) を参照しながら、全方位画像P(A)上に12個の特徴点ξ1〜ξ12を定義した例を説明した。ここでは、この例を利用して、画像を多数のセルによってメッシュ分割する一例を示そう。
図10(a) は、図4(a) と全く同じ図であり、全方位画像P(A)上に12個の特徴点ξ1〜ξ12が定義された状態が示されている。図10(b) は、この特徴点ξ1〜ξ12を頂点とする合計12個の三角形のセルC1〜C12によって、全方位画像P(A)をメッシュ状に分割した一例を示す平面図である。セルC1〜C12は、大きさや形状がそれぞれ異なる図形であるが、いずれも図10(a) に示す12個の特徴点ξ1〜ξ12の中の3点を頂点とする三角形になっている。
なお、図10(a) に示す例は、特徴点の定義方法を示すために、単純な絵柄を用いて説明を行った例であるため、全方位画像P(A)の外枠近傍には特徴点が定義されていない。このため、図10(b) に示す分割例の場合、画像の外枠近傍には十分なセル定義がなされておらず、画像の中央部分のみがメッシュ状に分割された状態になっている。しかしながら、実際には、画像の外枠近傍にも何らかの被写体が写っており、特徴点を定義することが可能である。したがって、実際は、図10(c) に×印で示すように、画像全体に分布するように、多数の特徴点が定義されることになる。
図10(d) は、図10(c) に×印で示す特徴点を用いて多数のセルを定義し、画像をメッシュ状に分割した例を示す図である。やはり個々のセルは、大きさや形状がそれぞれ異なる図形であるが、いずれも図10(c) に×印で示す特徴点を頂点とする三角形になっている。なお、実用上は、画像の外枠の4頂点を特徴点として取り扱ってもかまわない。外枠の4頂点は、実在の被写体とは無関係の点であり、被写体上の特徴点ではないため、いずれの全方位画像も共通して有している点であるため、便宜上、特徴点の1つとして取り扱ってもかまわない。
もちろん、図10(d) に示すメッシュ状の分割態様は、図10(c) に×印で示す特徴点を用いた分割態様の一例を示すものであり、同じ特徴点を用いて別な態様で分割を行うことも可能である。別言すれば、図10(c) に×印で示す特徴点を頂点にもつ三角形のセルの組み合わせは1通りではなく、様々な組み合わせが考えられる。
たとえば、図11(a) に示すように、4つの特徴点ξ1〜ξ4をそれぞれ連結して四角形を作成し、当該四角形を2つに分割して、三角形からなる2組のセルを作成する場合を考えてみよう。この場合、図11(b) のように縦に分割してセルC1,C2を作成することもできるし、図11(c) のように横に分割してセルC1,C2を作成することもできる。いずれの方法を採っても、2組のセルC1,C2が作成される。
ただ、実用上は、できるだけ扁平な三角形を避けるような分割態様を採用するのが好ましい。図示の例の場合、図11(b) のように縦に分割すると、扁平率の高いセルC1,C2が作成されるのに対して、図11(c) のように横に分割すると、扁平率の低いセルC1,C2が作成される。したがって、この例の場合、図11(c) のように横に分割して扁平率の低いセルC1,C2を作成するのが好ましい。これは、後述するように、セル単位で部分画像をコピーする際に、セルが扁平な三角形であると、部分画像の歪みが大きくなるためである。
なお、図10(c) に示す多数の特徴点に基づいて、図10(d) に示す多数のセルを定義する処理は、人間が目視しながら三角形の組み合わせを指定してゆく操作によって行うことも可能であるが、実用上は、コンピュータによる自動処理に委ねるのが好ましい。このような自動処理を行うための具体的なアルゴリズムは、公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
図3に示すとおり、特徴点情報格納部160には、特徴点投影位置情報161とセル定義情報162が格納されている。ここで、特徴点投影位置情報161は、各全方位画像P(A)〜P(D)上での特徴点の投影位置を示す情報であり、図10(a) に示すような12個の特徴点ξ1〜ξ12が定義された場合、前述したとおり、図5(a) の表に示すような特徴点投影位置情報161が用意されることになる。一方、セル定義情報162は、これら特徴点を頂点とするセル(画像をメッシュ状に分割するセル)を定義するための情報であり、具体的には、各セルを構成する頂点(いずれかの特徴点)を特定する情報ということになる。
図3の例では、便宜上、1つのセルC1のみが示されているため、ブロック160内に格納されているセル定義情報162は、セルC1の頂点となる特徴点ξ1,ξ2,ξ3を示す情報のみになっているが、実際には、個々のセルについて、それぞれ頂点となる特徴点が列挙されることになる。
図12は、図10(a) に示す12個の特徴点ξ1〜ξ12に基づいて、図10(b) に示すように12組のセルC1〜C12を定義する場合のセル定義情報162を示す表である。このセル定義情報162によれば、12組のセルC1〜C12のそれぞれについて、頂点となる3個の特徴点が特定されている。このように、セル定義情報162は、実空間の被写体上に定義された特徴点の組み合わせ(四角形以上のセルの場合には、更に、特徴点相互の接続関係)により個々のセルの構成を定義する情報であるが、各全方位画像上に現れた特徴点(の投影点)の組み合わせ(および相互の接続関係)により構成される画像上のセルを定義する役割も担うことになる。
図5に示す特徴点投影位置情報161および図12に示すセル定義情報162を参照すれば、各全方位画像P(A)〜P(D)のそれぞれの上に、図10(b) に示すような12組のセルC1〜C12を配置することができ、これらのセルによって、画像をメッシュ状に分割することができる。全方位画像生成部130は、全方位画像P(Q)を生成するための準備画像PP(Q)上に、特徴点投影位置情報161およびセル定義情報162に基づいて新たなセルを生成し、全方位画像P(A)〜P(D)の対応するセル内の部分画像に基づいて、当該新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を実行する。
要するに、ここで述べる実施形態の場合、特徴点情報格納部160には、3つの特徴点を頂点とする三角形からなる複数のセルを定義するセル定義情報162が格納されており、各全方位画像は、この複数のセルの投影像からなる個々のセルによってメッシュ状に分割されることになる。そして、全方位画像生成部130は、このセル定義情報162に基づいて、特徴点投影位置推定部120によって推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、全方位画像格納部110に格納されている全方位画像P(A)〜P(D)上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を実行する。このような処理を、生成した各セルについて実行すれば、視点Qにおける全方位画像P(Q)を生成することができる。
図13は、図10(b) に示すセルC5に関する部分画像の生成処理を示す平面図である。図13(a) は、図10(a) に示す全方位画像P(A)上に、3つの特徴点ξ4,ξ5,ξ6を頂点とするセルC5を配置した状態を示す図である。ここでは、説明の便宜上、全方位画像P(A)上に位置する特徴点ξ4,ξ5,ξ6(の投影点)を、それぞれ特徴点ξ4a,ξ5a,ξ6aと呼び、これら特徴点ξ4a,ξ5a,ξ6aを頂点とする三角形からなるセル(全方位画像P(A)上に位置するセル)をセルC5aと呼ぶことにする。
このセルC5aは、図12の表(セル定義情報162)の「C5」の行に示されている3つの特徴点ξ4,ξ5,ξ6についての全方位画像P(A)上の投影点ξ4a,ξ5a,ξ6aを頂点とする三角形であり、各頂点の座標は、図5(a) の表に記載されている。たとえば、頂点ξ4aの座標は、図5(a) の表(特徴点投影位置情報161)の「ξ4」の行の「P(A)」の欄に記載されている(φ4a,θ4a)ということになる。セルC5aの内部には、図示のとおり、実際の撮影により得られた全方位画像P(A)の一部となる部分画像(図のハッチング部分:風景画の一部)が存在する。
一方、図13(b) には、視点Qにおける全方位画像P(Q)の生成に用いられる準備画像PP(Q)が示されている。前述したとおり、この準備画像PP(Q)は、概念的な空画像であり、いわば全方位画像P(Q)を描くためのキャンバスに相当するものである。図示の例では、この準備画像PP(Q)上に、特徴点ξ4q,ξ5q,ξ6qと、これら特徴点ξ4q,ξ5q,ξ6qを頂点とする三角形からなるセルC5qが示されている。
ここで、特徴点ξ4q,ξ5q,ξ6qは、実在の被写体上の特徴点ξ4,ξ5,ξ6が全方位画像P(Q)上に現れるであろうと予想される投影点であり、特徴点投影位置推定部120によって推定された点である。また、セルC5qは、図12に示すセル定義情報162に基づいて、準備画像PP(Q)上に新たに生成されたセルである。すなわち、図12に示す表の「C5」の行を参照すれば、3つの頂点ξ4,ξ5,ξ6によってセルC5が定義される旨の情報が得られるので、当該情報に基づいて、準備画像PP(Q)上の3つの特徴点ξ4q,ξ5q,ξ6qを頂点とする新たなセルC5qを生成することができる。
視点Qにおける全方位画像P(Q)を生成するには、この新たに生成したセルC5qの内部(図のハッチング部分)に、図13(a) に示す全方位画像P(A)上の対応するセルC5a内の部分画像(図のハッチング部分)をコピーして割り付ける処理を行えばよい。図13(c) には、このようなコピーが完了した状態が示されている。実際には、準備画像PP(Q)上に、新たなセルが多数生成され、準備画像PP(Q)は、これら多数のセルによってメッシュ状に分割された状態になる。そこで、新たに生成された個々のセルについて、同様の方法により、図13(a) に示す全方位画像P(A)上の対応するセル内の部分画像をコピーして割り付ける処理を行えば、目的となる全方位画像P(Q)が生成されることになる。
なお、図13に示す実施例では、準備画像PP(Q)上に生成された新たなセルC5qの内部に、全方位画像P(A)上の対応するセルC5a内の部分画像をコピーする例を示したが、コピー元となる画像は、必ずしも全方位画像P(A)である必要はない。ここに示す基本的実施形態では、図5(b) に示すとおり、参照領域図形Fの4頂点A,B,C,Dを撮影地点として、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)が用意されているので、この4枚の全方位画像P(A)〜P(D)のいずれをコピー元の画像として利用してもかまわない。
本願では、このようなコピー元として利用される全方位画像のことを「模写対象画像」と呼ぶことにし、この模写対象画像の中のセル内の部分画像を「模写対象部分画像」と呼ぶことにする。また、当該模写対象画像の撮影地点を「模写対象頂点」と呼ぶことにする。図13に示す実施例は、図5(b) に示す参照領域図形Fの左上頂点Aを模写対象頂点とすることにより、全方位画像P(A)を模写対象画像として選択した例であり、図13(b) にハッチングを施して示す新たなセルC5q内に、図13(a) にハッチングを施して示す対応セルC5a内の模写対象部分画像をコピーして割り付ける処理が行われている。
結局、図13に示す実施例の場合、全方位画像生成部130が、参照領域図形Fの頂点A,B,C,Dの中の1つの頂点Aを模写対象頂点として選択し、この模写対象頂点Aについての全方位画像P(A)上で対応する対応セルC5a内の部分画像(ハッチング部分)を模写対象部分画像として選択し、この模写対象部分画像に基づいて新たなセルC5q内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を行うことになる。
ところで、上述の説明では、「新たなセルC5qの内部に対応セルC5a内の部分画像をコピーして割り付ける」という表現を用いたが、ここで言う「コピー」とは、「対応セルC5a内の模写対象部分画像をそっくりそのまま複写する」という意味ではない。前述したように、実在する被写体上の同一の特徴点ξであっても、撮影地点が異なる複数の全方位画像上に現れる投影点の位置は若干異なってくる。このため、図13(b) に示す新たなセルC5qの形状や大きさは、図13(a) に示す対応セルC5aの形状や大きさとは完全には一致しない。したがって、対応セルC5a内の模写対象部分画像を、そっくりそのまま新たなセルC5q内に割り付けることはできず、実際には、新たなセルC5qの形状や大きさに合致するよう、若干の変形処理を加えた上で割り付ける必要がある。
したがって、図13(c) に示す新たなセルC5q内に割り付けられている部分画像は、図13(a) に示す対応セルC5a内の模写対象部分画像に対して若干の変形処理を加えた画像になっている。このように、所定の割付枠の形状に合致するように画像に対して変形を加える処理方法としては、種々のアルゴリズムに基づく方法が知られているが、ここでは、新たなセルC5q内に割り付けるべき部分画像を生成する具体的な方法を1つ例示しておく。
この方法の特徴は、新たなセルC5q内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、当該所定画素の当該新たなセルC5qに対する相対位置を求め、模写対象部分画像において上記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、当該所定画素の画素値をこの模写対象画素値に基づいて決定する点にある。具体的な処理内容としては、新たなセルC5q内の各画素の画素値を、模写対象部分画像の対応位置の画素の画素値に基づいて決定する手順を踏むことになるが、概念的には、模写対象部分画像に若干の変形処理を加えて新たなセルC5q内に割り付ける処理が行われたことになる。
ここでは、上記方法を実施する上で、模写対象部分画像の対応位置にある対応画素を決定する具体的な手順の一例を、図14を参照しながら説明しておく。いま、図14(a) に示すような対応セルCaと新たなセルCqとが与えられた場合を考えてみよう。新たなセルCqは、準備画像PP(Q)上に定義された3つの特徴点ξ1q,ξ2q,ξ3qを頂点とする三角形であり、図13(b) のセルC5qに相当するものである。一方、対応セルCaは、模写対象画像として選択された全方位画像P(A)上に定義されたセルのうち、新たなセルCqに対応するセルである。図示のとおり、この対応セルCaは、3つの特徴点ξ1a,ξ2a,ξ3aを頂点とする三角形であり、図13(a) のセルC5aに相当するものである。
ここで行う処理の目的は、対応セルCa内の模写対象部分画像(ハッチング部分)を、若干の変形処理を加えた上で、新たなセルCq内に割り付けることである。このような処理は、結局、新たなセルCq内の個々の画素の画素値を、対応セルCa内の対応する画素の画素値に基づいて決定する作業によって行うことができる。そこで、以下、図示のとおり、新たなセルCq内の任意の位置に点Gqを設定し、この点Gqの位置にある画素の画素値を決定する手順を説明する。
図14(a) に示すとおり、新たなセルを構成する三角形Cqの頂点は、ξ1q,ξ2q,ξ3qであり、これに対応するセルを構成する三角形Caの各対応頂点は、それぞれξ1a,ξ2a,ξ3aである。そして、三角形Cq内には、所定画素の位置を示す点Gqが定義されている。このような前提において、全方位画像生成部130は、次のような手順で、点Gqの位置にある画素の画素値を決定することができる。
まず、図14(b) に示すとおり、三角形Cqについて、頂点ξ3qと点Gqとを通る直線を引き、当該直線と、頂点ξ1qと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Bqと、の交点Rqを求める。そして、この交点Rqを中間点として、中間点Rqが底辺Bqを分割する按分割合をa:bとする。また、点Gqが中間点Rqと頂点ξ3qとを結ぶ中間線分Lqを分割する按分割合をc:dとする。こうして、三角形Cqについて、4つのパラメータa,b,c,dを定める。これらのパラメータは、点Gqの位置にある画素についての三角形Cqに対する相対位置を示している。
続いて、これら4つのパラメータa,b,c,dを用いて、対応する三角形Caに対して等価な相対位置にある点を求める。そのためには、図14(c) に示すとおり、対応三角形Caについて、まず、頂点ξ1aと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Baを按分割合a:bで分割する点として中間点Raを求める。そして、この中間点Raと頂点ξ3aとを結ぶ中間線分Laを、c:dで分割する点として点Gaを求める。こうして求めた点Gaの対応三角形Caに対する相対位置は、点Gqの三角形Cqに対する相対位置と等価になる。したがって、三角形Cq内の点Gqの位置にある画素には、三角形Ca内の点Gaの位置にある画素の画素値を与えればよい。
そこで、三角形Ca内の点Gaに位置する対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、三角形Cq内の点Gqに位置する所定画素の画素値を、この模写対象画素値に基づいて決定すればよい。基本的には、模写対象画素値を点Gqに位置する所定画素の画素値としてそのままコピーすればよいが、必要に応じて、何らかの修正処理を加えるようにしてもかまわない。
以上、参照領域図形Fの頂点A,B,C,Dの中の1つの頂点Aを模写対象頂点として選択し、この模写対象頂点Aについての全方位画像P(A)を模写対象画像として、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する手順を示したが、模写対象画像は、必ずしも1枚だけに限定する必要はない。
すなわち、全方位画像生成部130は、参照領域図形Fの4頂点A,B,C,Dの中から複数n個(n≧2)の頂点を模写対象頂点として選択し、このn個の模写対象頂点についての全方位画像上で対応する対応セル内の部分画像をそれぞれ模写対象部分画像として選択すれば、選択されたn枚の模写対象部分画像に基づいて新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することができる。たとえば、n=2に設定し、参照領域図形Fの4頂点A,B,C,Dの中から、2組の頂点A,Bを模写対象頂点として選択すれば、全方位画像P(A)およびP(B)が模写対象画像として選択されることになる。
この場合、全方位画像生成部130は、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、当該所定画素の新たなセルに対する相対位置を求め、n枚の模写対象部分画像において上記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値をそれぞれ模写対象画素値として抽出し、所定画素の画素値を、抽出したn組の模写対象画素値に基づいて決定すればよい。
たとえば、n=2に設定し、全方位画像P(A)およびP(B)を模写対象画像として選択する場合、図13(b) に示す新たなセルC5qに割り付けるべき新たな部分画像は、全方位画像P(A)内の模写対象部分画像から抽出した模写対象画素値と、全方位画像P(B)内の模写対象部分画像から抽出した模写対象画素値との双方に基づいて決定すればよい(たとえば、両者の平均値とする)。
理論的には、模写対象頂点の数nが多くなれば、より多くの模写対象部分画像から抽出した模写対象画素値を参照して、新たな部分画像の画素の画素値を決定することができるので、より適切な全方位画像P(Q)を生成することが可能になる。
なお、新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を複数n組の模写対象画素値に基づいて決定する場合、視点Qとn個の模写対象頂点との距離をそれぞれ求め、距離のより小さな模写対象頂点についての全方位画像から抽出された模写対象画素値に対してより大きな重みづけを付加してn組の模写対象画素値の加重平均値を算出し、この加重平均値に基づいて当該所定画素の画素値を決定することもできる。
たとえば、図5(b) に示す例の場合、n=4に設定して、参照領域図形Fの4頂点A,B,C,Dすべてを模写対象頂点とすることが可能である。この場合、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)がいずれも模写対象画像となり、それぞれから抽出された4組の模写対象画素値に基づいて、新たな部分画像の画素の画素値が決定されることになる。このとき、抽出された4組の模写対象画素値の単純平均値を算出して、新たな画素値とすることもできるが、視点Qに近い頂点Aについての全方位画像P(A)から抽出された模写対象画素値には大きな重みづけをし、視点Qに遠い頂点Dについての全方位画像P(D)から抽出された模写対象画素値には小さな重みづけをして、重みを考慮した加重平均値を算出して、これを新たな画素値としてもよい。
一般的には、視点Qに近い頂点Aで撮影された全方位画像P(A)は、視点Qに遠い頂点Dで撮影された全方位画像P(D)に比べて、視点Qで撮影した場合に得られるであろう全方位画像P(Q)を生成する上でより適切な画像情報を有していると考えられる。したがって、上記加重平均値を用いる実施例を行えば、より適切な全方位画像P(Q)が得られる。
<<< §7. 複数の単位領域図形を配列する実施形態 >>>
これまで、図2に示すように、XYZ三次元直交座標系のXY平面に単一の単位領域図形Fを定義し、この単位領域図形Fの各頂点A,B,C,Dを撮影地点として、4枚の全方位画像P(A)〜P(D)を用意する基本的実施形態を述べてきた。本発明の基本原理は、この基本的実施形態に集約されているが、実用上は、複数の単位領域図形を定義するのが好ましい。これは、撮影対象となる実空間が広くなった場合、単一の単位領域図形Fのみを定義した基本的実施形態では、任意の視点Qにおける全方位画像P(Q)を生成する精度が低下するおそれがあるためである。
既に述べたとおり、本発明における単位領域図形Fは、その頂点が撮影地点になるという点において、複数の撮影地点をグループ化する意味をもつ。そして、同一グループに所属する撮影地点(同一の単位領域図形Fの頂点)で撮影された複数の全方位画像は、同一グループに所属する全方位画像となり、これらに共通して現れている被写体上の特徴点について、特徴点投影位置情報やセル定義情報が用意される。
しかしながら、実空間上の広い領域全体をカバーするような単一の単位領域図形Fを定義した場合、各頂点を撮影地点として得られた複数の全方位画像に共通して現れている特徴点を定義することが困難になってくる。これは、実空間上では、通常、複数の被写体が重なり合って存在するため、特定の撮影地点から観察した場合、ある被写体が別な被写体の陰に隠れて見えなくなる、という現象が生じるためである。実際、都市全体をカバーするような広大な単位領域図形Fを設定した場合、全方位画像に共通して現れている特徴点を見つけることは非常に困難である。
そこで、実用上は、互いに隣接して配置された複数の単位領域図形を定義するのが好ましい。図15は、XYZ三次元直交座標系のXY平面に、複数の単位領域図形F11,F12,F13,... を、互いに隣接するように配置した例を示す斜視図である。図示の点A〜Lは、各単位領域図形F11,F12,F13,... の頂点であり、本発明を実施する上での撮影地点になる。したがって、全方位画像格納部110には、互いに隣接して配置されるように定義された複数の単位領域図形の頂点を撮影地点とすることにより、個々の撮影地点のそれぞれについて撮影された全方位画像が、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納される。
この図15に示す例では、個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を分割することにより得られる二次元図形によって構成されている。したがって、XY平面は、複数の単位領域図形F11,F12,F13,... によって隙間なく埋め尽くされている。
特に、図15に示す実施例は、個々の単位領域図形を構成する二次元図形を四角形によって構成した例であり、各四角形は、XY平面をX軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる。このため、各四角形は、X軸方向分割直線とY軸方向分割直線との交点を頂点とする図形になっており、全方位画像格納部110には、これら各交点を撮影地点として撮影された全方位画像が格納されている。
もちろん、ここで述べる実施形態の場合も、ユーザに対して、実空間をXY平面に沿って自由に移動している状態を体験させることができる点に変わりはない。位置方向指定部170は、XY平面上の任意の点を視点Qとして指定することができる。上述したとおり、XY平面は、複数の単位領域図形F11,F12,F13,... によって隙間なく埋め尽くされているため、位置方向指定部170によって指定された視点Qは、複数の単位領域図形のいずれかに包含されることになる。図15には、単位領域図形F12内に視点Qが指定された例が示されている。この場合、視点Qは、単位領域図形F12内に包含される。
このように、複数の単位領域図形F11,F12,F13,... を定義した実施形態の場合、特徴点情報格納部160には、1つの単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、が個々の単位領域図形ごとに格納される。
図16は、個々の単位領域図形ごとに、それぞれ共通特徴点の定義が行われた実例を示す平面図であり、図15に示す単位領域図形のうち、4つの単位領域図形F11,F12,F21,F22の部分のみが示されている。各頂点位置からの吹き出し内には、当該頂点を撮影地点とする撮影で得られた全方位画像上に現れている特徴点が記載されている。たとえば、頂点Aからの吹き出し内には「ξ1,ξ2,ξ3」なる記載があるが、これは頂点Aから撮影した全方位画像P(A)上に特徴点ξ1,ξ2,ξ3が現れていることを示している。吹き出し内に記載されている特徴点は、個々の頂点ごとに異なっている。これは、撮影地点によっては、特定の特徴点が別な被写体の陰に隠れて観察できなくなる、という現象が生じるためである。
このように、全方位画像上に現れる特徴点は、個々の頂点ごとに異なるが、1つの単位領域図形については、固有の共通特徴点が定められ、当該固有の共通特徴点に基づいて固有のセルが定義される。たとえば、図示の例の場合、単位領域図形F11については共通特徴点ξ1,ξ2,ξ3が定められ、単位領域図形F12については共通特徴点ξ2,ξ3,ξ4が定められ、単位領域図形F21については共通特徴点ξ2,ξ3,ξ6が定められ、単位領域図形F22については共通特徴点ξ3,ξ4,ξ7が定められている(もちろん、実際には、より多数の共通特徴点が定義される。)。
単位領域図形F11についての共通特徴点ξ1,ξ2,ξ3は、頂点Aの全方位画像P(A)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3」、頂点Bの全方位画像P(B)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ4」、頂点Eの全方位画像P(E)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ6」、頂点Fの全方位画像P(F)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ4,ξ6,ξ7」について共通する特徴点ということになる。単位領域図形F11については、これら共通特徴点ξ1,ξ2,ξ3の各画像P(A),P(B),P(E),P(F)上の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とするセルを定義するセル定義情報と、が用意される。
同様に、単位領域図形F12についての共通特徴点ξ2,ξ3,ξ4は、頂点Bの全方位画像P(B)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ4」、頂点Cの全方位画像P(C)上に現れている特徴点群「ξ2,ξ3,ξ4,ξ5」、頂点Fの全方位画像P(F)上に現れている特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ4,ξ6,ξ7」、頂点Gの全方位画像P(G)上に現れている特徴点群「ξ2,ξ3,ξ4,ξ7」について共通する特徴点ということになる。単位領域図形F12については、これら共通特徴点ξ2,ξ3,ξ4の各画像P(B),P(C),P(F),P(G)上の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とするセルを定義するセル定義情報と、が用意される。
単位領域図形F21や単位領域図形F22についても同様である。§7で述べる複数の単位領域図形を配列する実施形態の場合、特徴点情報格納部160には、図16に例示するとおり、1つの単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、が個々の単位領域図形ごとに格納される。
もっとも、ここで「個々の単位領域図形ごとに格納される」という意味は、第k番目の単位領域図形Fkに着目した場合に、当該単位領域図形Fkの頂点についての全方位画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す情報と、これらの特徴点を頂点とするセルを定義するセル定義情報とが、特徴点情報格納部160内のどこかに格納されている、という意味であり、個々の単位領域図形ごとにそれぞれ専用格納区画を設け、第k番目の単位領域図形Fkについての特徴点投影位置情報およびセル定義情報を、第k番目の専用格納区画に格納する、という意味ではない。
別言すれば、隣接して配置された単位領域図形は、互いに共通する頂点を有しているので、当該共通する頂点についての特徴点投影位置情報は、特徴点情報格納部110内の異なる格納区画に重複して格納しておく必要はない。たとえば、図16に示す例において、頂点Fは、4つの単位領域図形F11,F12,F21,F22に共通する頂点であるが、この頂点Fについての特徴点群「ξ1,ξ2,ξ3,ξ4,ξ6,ξ7」の画像P(F)上の投影位置を示す特徴点投影位置情報は、特徴点情報格納部110内のどこか1箇所に格納しておけば足り、単位領域図形F11についての特徴点投影位置情報、単位領域図形F12についての特徴点投影位置情報、... というように、個々の単位領域図形ごとの情報として別個に格納する必要はない。
以上、この§7で説明する実施形態における全方位画像格納部110および特徴点情報格納部160についての留意点を述べた。続いて、この実施形態における特徴点投影位置推定部120および全方位画像生成部130についての留意点を述べる。
まず、特徴点投影位置推定部120は、複数の単位領域図形の中から、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、この参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報およびこの参照領域図形についての特徴点投影位置情報に基づいて、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する。
たとえば、図15の例に示すように、単位領域図形F12内に位置する視点Qが指定された場合に、視点Qを包含する単位領域図形F12を参照領域図形として選択すれば、これまで述べてきた基本的実施形態と同様の方法で、特徴点の投影位置を推定することができる。すなわち、図15に示す四角形BCFGを、図2に示す四角形ABCDとして取り扱えば、以降の処理は、これまで述べてきた基本的実施形態と全く同様である。
この場合、全方位画像生成部130が実行する処理も、これまで述べてきた基本的実施形態と全く同様である。すなわち、全方位画像生成部130は、参照領域図形F12についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、参照領域図形F12の頂点BCFGにおける全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、生成した新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することになる。
一方、特徴点投影位置推定部120は、視点Qを包含する単位領域図形ではなく、別な単位領域図形を参照領域図形として選択することも可能である。たとえば、図15に示す例のように、単位領域図形F12内に位置する視点Qが指定された場合、視点Qを包含する単位領域図形F12ではなく、単位領域図形F21やF22など、別な単位領域図形を参照領域図形として選択してもかまわない。たとえば、単位領域図形F21を参照領域図形として選択した場合は、図15に示す四角形EFIJを、図2に示す四角形ABCDとして取り扱えばよい。
このような取り扱いは、図2に示す例において、視点Qが単位領域図形Fの外側に位置する場合と等価になる。§3の最後に述べたように、特徴点投影位置推定部120は、視点Qが単位領域図形Fの内部に位置する場合も、外部に位置する場合も、特徴点投影位置の推定を行うことができる。ここでは、単位領域図形Fの内部に位置する視点Qについて、特徴点投影位置の推定を行う方法を内挿法と呼び、単位領域図形Fの外部に位置する視点Qについて、特徴点投影位置の推定を行う方法を外挿法と呼んでいる。
§5では、図7を参照して、視点Qの位置で撮影された全方位画像P(Q)上に現れるであろう特徴点の投影位置を、三角測量法によって求める方法を説明した。この三角測量法では、内挿法も外挿法も違いはない。すなわち、図7には、単位領域図形Fの2頂点A,Bは示されているが、残りの2頂点C,Dは示されていない。これは、この図7に示す三角測量法を実施する上で、2頂点C,Dの位置は無関係であり、視点Qが単位領域図形Fの内側の点であっても、外側の点であっても、三角測量法の基本原理に違いはないことを示している。
このような基本原理に鑑みれば、図15に示す例において、視点Qを含まない単位領域図形F21を参照領域図形として選択し、たとえば、頂点Iおよび頂点Jを利用して、全方位画像P(Q)上に現れるであろう特徴点の投影位置を推定することも可能である。この場合、頂点Iおよび頂点Jを、図2に示す頂点Aおよび頂点Bとして取り扱えばよい。もちろん、全方位画像生成部130によって、全方位画像P(Q)を生成する際にも、たとえば、参照領域図形F21の頂点Jを模写対象頂点として選択し、全方位画像P(J)上で対応する対応セル内の部分画像を模写対象部分画像として抽出し、全方位画像P(Q)を形成するための新たなセル内に割り付けることが可能である。
結局、原理上は、視点Qの位置にかかわらず、任意の単位領域図形を参照領域図形として選択することができる。しかしながら、実用上は、視点Qを包含する単位領域図形を参照領域図形として選択するようにするのが好ましい。
その第1の理由は、視点Qの位置が参照領域図形から離れれば離れるほど、特徴点投影位置推定部120によって推定される特徴点の投影位置に含まれる誤差が大きくなるためである。たとえば、図15に示す例において、視点Qについての特徴点の投影位置を推定する際には、近くに位置する頂点F,Gについての特徴点の位置情報を利用した方が、遠くに位置する頂点I,Jについての特徴点の位置情報を利用する場合に比べて、より精度の高い結果が得られることは、容易に想像がつくであろう。
そして第2の理由は、視点Qの位置が参照領域図形から離れれば離れるほど、画像上の特徴点の分布が偏在するようになるためである。たとえば、図15に示す例において、視点Qを包含する単位領域図形F12を参照領域図形として選択した場合、位置の推定対象となる特徴点は、4つの頂点B,C,F,Gについての全方位画像上に共通して現れる特徴点ということになり、通常、視点Qの周囲全体に分布する点になる。これに対して、視点Qを包含しない単位領域図形F21を参照領域図形として選択した場合、位置の推定対象となる特徴点は、4つの頂点E,F,I,Jについての全方位画像上に共通して現れる特徴点ということになり、視点Qから見ると、図における左下方向に分布する点が多くなることが予想される。
結局、視点Qに対して遠く離れた単位領域図形を参照領域図形に指定すると、特徴点投影位置推定部120によって推定される特徴点の位置が、準備画像PP(Q)上で偏在することになる。このように、特徴点の分布に粗密が生じると、これら特徴点を頂点として定義される多数のセルに大小の差が生じることになる。これは、抽出される個々の部分画像の歪みの程度にバラツキが生じることを意味し、生成される全方位画像P(Q)の画質を低下させる要因になる。
このように、視点Qから遠い単位領域図形を参照領域図形に指定すると、種々の問題が生じることになる。このような問題を避けるためには、視点Qに最も近い単位領域図形、すなわち、視点Qを包含する単位領域図形を参照領域図形として選択するのが好ましい。
なお、ここで述べる実施形態の場合、図16の例に示すように、個々の単位領域図形ごとに、それぞれ別個の共通特徴点群が定義され、それぞれ別個のセル定義がなされるので、画像を分割するメッシュ構成も、個々の単位領域図形ごとに異なることになる。一方、視点Qを包含する単位領域図形を参照領域図形として選択する運用を採る場合、視点Qが単位領域図形の境界線を越えて移動すると、全方位画像P(Q)を分割するメッシュ構成が切り替わることになる。しかしながら、全方位画像P(Q)の内容自体は連続的に変化するため、視点Qが境界線を越えて移動した際に、ユーザに違和感を与えることはない。
以上、図15に示すように、XY平面を縦横に分割して、多数の四角形からなる単位領域図形を構成した実施例を述べたが、単位領域図形は必ずしも四角形にする必要はない。
たとえば、図17は、複数の単位領域図形を隣接して配置する実施形態の第1の変形例を示す平面図である。この変形例は、各単位領域図形F1〜F8を三角形によって構成した例である。やはり各三角形の頂点A〜Iが撮影地点となり、個々の撮影地点で撮影された全方位画像P(A)〜P(I)が用意されることになる。三角形は四角形と同様に、同一図形によって平面を埋め尽くすことが可能な形であるので、複数の図形を平面上に隣接して配置するのに適している。
もっとも、本発明を実施する上では、各単位領域図形は、必ずしも同一図形によって構成する必要はない。図18は、複数の単位領域図形を隣接して配置する実施形態の第2の変形例を示す平面図である。図示の例では、3つの単位領域図形F1,F2,F3が隣接して配置されているが、個々の単位領域図形F1,F2,F3は、大きさも形状も異なっている。この変形例においても、各頂点A〜Hが撮影地点となり、個々の撮影地点で撮影された全方位画像P(A)〜P(H)が用意される点に変わりはない。
<<< §8. 単位領域図形の次元拡張 >>>
図17および図18には、単位領域図形Fのバリエーションとして、様々な形状の図形を例示した。これらの図形はいずれも二次元図形であり、これまで、XYZ三次元直交座標系上のXY平面に配置する例を述べてきた。ここでは、このような単位領域図形Fの次元を拡張した変形例を述べる。
<8−1.三次元図形への拡張>
図19は、単位領域図形を三次元図形によって構成した変形例を示す斜視図であり、直方体からなる単位領域図形F10が示されている。この単位領域図形F10は8個の頂点A〜Hを有しており、これらの頂点がそれぞれ撮影地点となる。したがって、図示のように、単一の単位領域図形F10を用いる実施例の場合、各頂点を撮影地点とする撮影によって得られた8枚の全方位画像P(A)〜P(H)が用意されることになる。
このような三次元図形からなる単位領域図形F10を定義すると、視点Qの移動の自由度も三次元に拡張することができる。図には、この単位領域図形F10内の三次元の任意の位置に視点Qが示されている。視点Qは座標値(xq,yq,zq)で示される三次元空間上の任意の位置の点である。これまで述べた基本的実施形態は、二次元図形からなる単位領域図形Fを定義し、視点Qを二次元平面内で自由に移動させることにより、ユーザに仮想空間内のウォークスルーを体験させる装置であるが、ここで述べる変形例は、三次元図形からなる単位領域図形F10を定義し、視点Qを三次元空間内で自由に移動させることにより、ユーザに仮想空間内のフライスルーを体験させる装置ということになる。
このようなフライスルーを体験させる装置の場合、各撮影地点で撮影する全方位画像には、水平面より上方の半球空間(これまで述べてきたように、仰角θ=0〜+90°の空間)を仰ぎ見る視界だけでなく、水平面より下方の半球空間(仰角θ=0〜−90°の空間)を俯瞰する視界も含ませるようにするのが好ましい。この場合、たとえば、図の頂点Fの位置を撮影地点とする撮影によって得られる全方位画像P(F)は、図示のとおり、横座標軸が方位角φ=0〜360°、縦座標軸が仰角θ=−90〜+90°の範囲をとる画像になる。
このように、垂直方向に角度180°のレンジ、水平方向に角度360°のレンジをもつ全方位画像を撮影するには、水平面より上方の半球空間を撮影する上方全方位カメラと、水平面より下方の半球空間を撮影する下方全方位カメラとを装着したドローンなどを飛行させ、所定の頂点位置の空間で撮影を行うようにすればよい。
このように、三次元図形からなる単位領域図形F10を定義した場合でも、各構成要素の基本動作に変わりはない。撮影地点は三次元空間上に配置されることになるが、撮影される全方位画像は二次元画像であり、この画像上に特徴点やセルが定義される点も、これまで述べた基本的実施形態と同じである。
なお、実用上は、§7で述べた実施形態と同様に、三次元空間上に互いに隣接して配置されるように、三次元図形からなる単位領域図形を複数定義するのが好ましい。すなわち、個々の単位領域図形を、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系における三次元空間を分割することにより得られる三次元図形によって構成すればよい。
個々の単位領域図形として、図19に示すような直方体状の三次元図形を利用するのであれば、XYZ三次元直交座標系からなる座標空間を、XY平面に平行なZ軸方向分割平面、XZ平面に平行なY軸方向分割平面、YZ平面に平行なX軸方向分割平面、によってそれぞれ分割すればよい。そうすれば、分割によって、それぞれが直方体によって構成される三次元の単位領域図形が得られる。全方位画像格納部110は、この複数の直方体の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納することになる。
上述したとおり、この全方位画像は、横座標軸が方位角φ=0〜360°、縦座標軸が仰角θ=−90〜+90°の範囲をとる画像にするのが好ましい。もちろん、この場合、位置方向指定部170は、視点Qの位置として、座標値(xq,yq,zq)で示される三次元空間上の任意の位置を指定することができ、視線方向として、0〜360°の範囲内の任意の方位角φと、−90〜+90°の範囲内の任意の仰角θを指定することができる。
<8−2.時間軸を付加する拡張>
続いて、単位領域図形に時間軸を追加した変形例を述べる。上述した§8−1では、単位領域図形を、三次元に拡張して立体図形により構成した例を述べたが、この三次元の単位領域図形に、更に時間軸の概念を追加すれば、四次元に拡張した取り扱いが可能になる。たとえば、三次元空間の座標軸X,Y,Zに、第4の座標軸として時間軸tを加えれば、単位領域図形を四次元図形として把握することができる。
図20は、このような時間軸tを考慮して単位領域図形を定義した変形例を示す斜視図である。図示の直方体は、いずれも図19に示す三次元図形からなる単位領域図形F10であるが、それぞれ空間上に存在する時刻が異なっている。すなわち、図の左に示す単位領域図形F10(t1)は、時刻6:10に存在した単位領域図形であり、図の中央に示す単位領域図形F10(t2)は、時刻6:20に存在した単位領域図形であり、図の右に示す単位領域図形F10(t3)は、時刻6:30に存在した単位領域図形である。なお、図では四次元空間を描くことができないため、便宜上、第4の座標軸である時間軸tを水平方向にとっている。
この変形例の場合も、単位領域図形F10を構成する直方体の各頂点を撮影地点として全方位画像が撮影されることになるが、図形上は同一の頂点であっても、時間軸上の位置が異なる複数の頂点が存在することになる。たとえば、図19に示す頂点Aについては、A(t1),A(t2),A(t3),... というように、異なる時刻(この例では10分間隔)に存在する複数の頂点が定義され、これらの頂点のそれぞれが撮影地点となる。結局、ここに示す例の場合、空間的に同一地点を示す頂点Aにおいて、10分間隔で全方位画像が撮影されることになる。
全方位画像格納部110には、このように撮影時刻が異なる複数の画像を含めて、単位領域図形F10の各頂点位置で撮影された全方位画像が格納される。もちろん、美術館などの室内において無人の状態で撮影を行ったような場合は、撮影時刻が異なってもほとんど同じ画像が撮影されることになるが、一般的な街路などで撮影を行えば、人や車の変化や日照状態の変化などにより、時々刻々と変わる全方位画像が得られることになる。
このように、時間軸を含めた四次元図形として単位領域図形を定義した場合、視点Qの指定も四次元で行われる。たとえば、図20の下段には、座標値(xq,yq,zq,tq)をもつ視点Qが定義された状態が示されている。ここで、座標値(xq,yq,zq)は視点Qの空間上の位置を示しているが、座標値tqは視点Qが存在した時間(図示の例の場合、時刻6:17)を示している。
したがって、ここで述べる変形例の場合、位置方向指定部170は、視点Qの空間上の位置(xq,yq,zq)に加えて、時間軸上の位置tqを指定する機能を有している。時間の指定は、たとえば、フライスルーの体験を提示する場合には、リアルタイムでの時間経過をそのまま反映して、座標値tqを実時間の経過に応じて自動的に変化させてゆくようにすればよい。また、ユーザの指示に基づいて、座標値tqを任意の値に変更できるようにすれば、タイムマシンで瞬時に過去や未来へと移動するような体験も提示できる。
このように、時間軸を含めた四次元図形からなる単位領域図形を定義した場合でも、各構成要素の基本動作に変わりはない。概念的には、§8−1で述べた三次元図形からなる単位領域図形F10を四次元図形に拡張した処理を行うだけである。具体的には、特徴点情報格納部160に格納する撮影地点位置情報や特徴点投影位置情報は、時間軸上の位置を含めた四次元の位置情報にすればよい。この場合、特徴点としては、同じ単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点が選択されることになるが、個々の単位領域図形は、時間軸を含めた四次元図形であるから、同一時刻に撮影された全方位画像上に共通して現れている特徴点が選択され、当該特徴点に基づいてセルの定義がなされる。したがって、画像を分割するためのセル構成は、時間ごとに異なったものになる。
また、特徴点投影位置推定部120は、空間上の三次元位置に加えて、時間軸上の位置も考慮して、視点Q(xq,yq,zq,tq)の位置で撮影した場合に得られるであろう全方位画像P(Q)上の特徴点の位置を推定することになる。§5では、このような推定を行うための三角測量法の一例を図7を参照しながら説明した。この図7に示す手法は、三次元空間上において、頂点A,Bについての全方位画像P(A),P(B)に基づいて、視点Qについての全方位画像P(Q)上に現れるであろう特徴点ξiの投影位置を推定するものであるが、これに時間軸を加え、点A,B,Qを四次元空間上の点として扱う処理を行えばよい。全方位画像生成部130による処理も同様である。
なお、図20には、同一時刻には単一の単位領域図形F10のみが存在する例を示したが、もちろん、同一時刻において、互いに隣接して配置されるように定義された複数の単位領域図形を定義してもかまわない。
以上、X,Y,Z,tの4座標軸をもつ四次元空間上の図形として単位領域図形を定義する変形例を述べたが、もちろん、X,Y,tの3座標軸をもつ三次元空間(通常の三次元空間ではなく、二次元空間+時間の概念をもつ空間)上の図形として単位領域図形を定義することも可能である。この場合は、§3〜§7で述べたように、単位領域図形として二次元図形を定義する実施形態に、時間軸tを加えた取り扱いを行うことになる。
結局、この§8−2で述べる時間軸を付加する拡張を適用した変形例では、個々の単位領域図形を、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系に配置された二次元図形もしくは三次元図形によって構成し、更に、時間軸tを考慮することにより、同一の空間位置に時間の異なる複数通りの単位領域図形を定義すればよい。その結果、全方位画像格納部110には、時間の異なる複数通りの単位領域図形の頂点を撮影地点として、特定の撮影地点において、特定の時間に撮影された全方位画像が格納されることになる。
また、位置方向指定部170には、任意の視点Qと当該視点Qを基準とした任意の視線方向Eに加えて、更に、任意の観測時間tqを指定する機能が付加される。そして、特徴点投影位置推定部120は、当該指定された観測時間tqに、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する処理を行い、全方位画像生成部130は、当該観測時間tqかつ視点Qにおける全方位画像P(Q)を生成する処理を行うことになる。
<<< §9. 特徴点投影位置の推定(線形補間法) >>>
§5では、特徴点投影位置推定部120によって特徴点の投影位置を推定する方法として、図7を参照しながら三角測量法を適用する例を述べた。この三角測量法を適用する方法は、幾何学的な論理に則った方法であり、理論的には正確な推定結果が得られる。しかしながら、この三角測量法に基づく演算を実行するには、多大な演算負荷がかかることになる。たとえば、図7に示す図において、参照ベクトルVia,Vibを求めるためには、方位角φia,φibおよび仰角θia,θibを用いた三角関数演算が必要になる。同様に、指示ベクトルViqについての方位角φiqおよび仰角θiqを求める際にも三角関数演算が必要になる。また、図8や図9に示す第i番目の特徴点ξiの三次元位置を決定する際にも複雑な幾何学演算が必要になる。
一般に、コンピュータは幾何学演算が苦手であり、上述したような幾何学演算を実行させると多大な演算負荷がかかることになる。このため、演算能力の低いコンピュータでは、リアルタイムでの処理が間に合わなくなる可能性もでてくる。本発明に係る自由視点映像表示装置の主要な用途は、ユーザに対して、仮想空間上を移動させる疑似体験を提供することにある。このような用途では、ユーザが位置方向指定部170に対して何らかの指示操作を与えたときに、その結果がディスプレイ画面上に即座に反映されるようにするのが好ましい。特徴点投影位置推定部120による推定演算に多大な時間がかかると、画面上での結果表示に遅延が生じ、好ましくない。
そこで、ここでは、§5で述べた三角測量法に代えて利用することができる線形補間法について説明する。この線形補間法の目的は、§5で述べた三角測量法の目的と同様に、視点Qを撮影地点として撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)上に現れる特徴点の投影位置を推定することである。具体的には、全方位画像格納部110に格納されている撮影地点位置情報(図3のブロック110の右側に示された情報)と、特徴点情報格納部160に格納されている特徴点投影位置情報161(図5の表に示された情報)に基づいて、特徴点の投影位置の推定が行われることになる。
図6に示す例の場合、図6(a) に示す全方位画像P(A)上に現れている特徴点ξiaの座標値(φia,θia)と、図6(b) に示す全方位画像P(B)上に現れている特徴点ξiaの座標値(φib,θib)とが、特徴点投影位置情報161に相当する。また、撮影地点A,Bの撮影地点位置情報は、A(xa,ya,0)およびB(xb,yb,0)なる座標値として与えられることになり、視点Qの位置情報は、Q(xq,yq,0)なる座標値として与えられることになる。図6に示す例の場合、これらの情報に基づいて、図6(c) に示す準備画像PP(Q)上に現れる特徴点ξiqの座標値(φiq,θiq)を求める必要がある。
結局、特徴点投影位置推定部120は、3点A,B,Qの座標値A(xa,ya,0),B(xb,yb,0),Q(xq,yq,0)と、特徴点ξiaの座標値(φia,θia)と、特徴点ξibの座標値(φib,θib)と、に基づいて、視点Q上に現れると推定される特徴点ξiqの座標値(φiq,θiq)を求める処理を行う必要がある。三角測量法を利用すれば、このような処理が可能になることは、既に§5で述べたとおりである。ここでは、より演算負担の軽い線形補間法によって同様の処理を行う方法を述べる。
ここでは、説明の便宜上、まず、図21(a) に示すように、2点ABを結ぶ線分上に視点Qが存在する単純な例を考えてみる。点Aについては全方位画像P(A)が撮影されており、その上に特徴点ξa(被写体上の特徴点ξの画像P(A)上の投影点)が定義されている。同様に、点Bについては全方位画像P(B)が撮影されており、その上に特徴点ξb(被写体上の特徴点ξの画像P(B)上の投影点)が定義されている。ここで行う処理の目的は、このような前提において、視点Qの位置で撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξq(被写体上の特徴点ξの画像P(Q)上の投影点)の位置を推定することにある。
ここで、特徴点ξaの位置は座標値(φa,θa)として与えられており、特徴点ξbの位置は座標値(φb,θb)として与えられている。また、3点A,B,Qの座標値も、それぞれ座標値A(xa,ya,0),B(xb,yb,0),Q(xq,yq,0)として与えられている。したがって、2点AQ間の距離および2点QB間の距離は簡単な演算で算出できる。そこで、2点AB間の距離を1として、2点AQ間の距離αと2点QB間の距離(1−α)を求める。点Aおよび点Bは、四角形からなる単位領域図形Fの頂点であるので、2点AB間は、この単位領域図形Fの範囲に一致する。
ここで述べる線形補間法では、上述した既知の値を利用して、図21(b) に示す演算式に基づく演算が行われ、特徴点ξqの座標値(φq,θq)が算出される。すなわち、
φq=(1−α)・φa+α・φb
θq=(1−α)・θa+α・θb
なる演算が実行される。なお、方位角φに関しては、φ=360°とφ=0°とを等価とする取り扱いを行うようにする。この式は、一般にバイリニア補間法という線形補間法に利用される式であり、ここで述べる線形補間法は、正に、このバイリニア補間法を利用した方法ということができる。
もっとも、本発明において、特徴点投影位置推定部120による推定処理にバイリニア補間法を適用することは、理論的には正しい方法ではない。バイリニア補間法は、本来、線形関係が前提となる系に適用されるべき補間法であり、非線形関係が前提となる系には適用すべきでない。そもそも、図21(a) に示す系は、線形関係が前提となる系ではない。すなわち、値φa,φq,φbは、2点ABを結ぶ直線上に定義された座標に関して線形変化をする量ではなく、値θa,θq,θbも、2点ABを結ぶ直線上に定義された座標に関して線形変化をする量ではない。これは、そもそも角度φ,θの値と、その三角関数値sin φ,sin θなどの値との間に、線形関係がないためである。
したがって、一般当業者の常識からすると、図21(a) に示す系は、バイリニア補間法の適用対象となる系ではなく、この系に、バイリニア補間法を適用するという着想を得るにあたっては、大きな阻害要因が存在する。ただ、本願発明者が、このような阻害要因の存在にもかかわらず、敢えてバイリニア補間法を適用してみたところ、正確ではないにせよ、実用上は、大きな支障が生じない程度の結果が得られることが判明した。本願発明者は、その理由として、本発明に係る自由視点映像表示装置では、そもそも撮影によって得られる全方位画像自体が歪みをもった画像であるため、バイリニア補間法を適用することにより、更に歪み成分が加わったとしても、全体的には大きな悪影響が生じないという事情があるのではないかと考えている。
図21(a) は、線分ABの内部に視点Qが定義されており、いわゆる「内挿法」と呼ばれる形式で線形補間が行われているが、線分ABの外部に視点Qが定義されている場合は、いわゆる「外挿法」と呼ばれる形式で線形補間を行うことができる。図22は、図21に示す線形補間法における内挿法と外挿法との違いを示す図である。
図22(a) の内挿法は、図21(a) に示した方法であり、線分ABの内部に視点Qが定義されている。上述したとおり、2点AB間は、単位領域図形Fの範囲に一致するので、この内挿法は、視点Qが単位領域図形Fの内部に位置する場合に適用される方法ということになる。この場合、図示のとおり、線分ABの長さを1として、2点AQ間の距離がα、2点QB間の距離が(1−α)となるように、パラメータαの値が定められる。
これに対して、図22(b) の外挿法は、線分ABの外部に視点Qが定義されている場合、すなわち、視点Qが単位領域図形Fの外部に位置する場合に適用される方法ということになる。この場合、図示のとおり、線分ABの長さを1として、2点AQ間の距離がα、2点BQ間の距離が(α−1)となるように、パラメータαの値が定められる。
このように、図示すると、図22(a) ,(b) のように、内挿法と外挿法との間に若干の相違が見られるが、2点ABを通る直線を座標軸と考え、この座標軸に沿って左から右へ向かう方向を正、逆に右から左へ向かう方向を負、として、2点間の距離に符合を付して考えることにすれば、点Aから点Qへ向かう距離をα、点Qから点Bへ向かう距離を(1−α)と定義する取り扱いをすれば、内挿法の場合も外挿法の場合も、パラメータαの定義に相違はない。したがって、内挿法の場合も外挿法の場合も、図21(b) に示す式に基づいて、特徴点ξqの座標値(φq,θq)を算出することができる。
以上、図21(a) に示すように、2点ABを結ぶ線分上に視点Qが存在する単純な例について説明したが、実際には、視点Qは任意の位置に指定されることになる。その場合は、上述した一次元に関するバイリニア補間法を二次元に拡張すればよい。図23は、単位領域図形Fが四角形である場合に、図22に示す線形補間法(内挿法)を適用した具体例を示す平面図である。
図23において、4つの頂点A,B,C,Dは、1つの単位領域図形Fを構成する四角形の頂点である。前述のとおり、この単位領域図形Fは、XYZ三次元直交座標系上のXY平面に定義される。ここでは、図示の方向にX軸およびY軸が定義されているものとする。すなわち、四角形ABCDの上辺および下辺はX軸平行な線分になり、左辺および右辺はY軸に平行な線分になる。
ここで、点Aについては全方位画像P(A)、点Bについては全方位画像P(B)、点Cについては全方位画像P(C)、点Dについては全方位画像P(D)がそれぞれ撮影されている。また、各全方位画像P(A)〜P(D)の上には、それぞれ特徴点ξa〜ξd(被写体上の特徴点ξの各画像P(A)〜P(D)上の投影点)が定義されている。ここでは、図示のとおり、単位領域図形F内の任意の位置に視点Qが与えられたときに、この視点Qの位置で撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξq(被写体上の特徴点ξの画像P(Q)上の投影点)の位置を推定する手順を考えてみよう。
まず、図示のように、視点Qを通りY軸に平行な垂直補助線Lyを引き、上辺ABとの交点位置に中間点m1を定義し、下辺CDとの交点位置に中間点m2を定義する。同様に、視点Qを通りX軸に平行な垂直補助線Lxを引き、左辺ACとの交点位置に中間点m3を定義し、右辺BDとの交点位置に中間点m4を定義する。ここでも、2点AB間の距離を1とすれば、中間点m1は上辺ABをα:1−αの比率で按分する点になり、中間点m2は下辺CDをα:1−αの比率で按分する点になる。同様に、2点AC間の距離を1とすれば、中間点m3は左辺ACをβ:1−βの比率で按分する点になり、中間点m4は右辺BDをβ:1−βの比率で按分する点になる。
このような前提をおくと、中間点m1上の準備画像PP(m1)上に現れる特徴点ξの投影位置は、図21に示すバイリニア補間法による演算によって求めることができる(図21(a) の視点Qを中間点m1に置き換えればよい)。同様に、中間点m2上の準備画像PP(m2)上に現れる特徴点ξの投影位置も、図21に示すバイリニア補間法による演算によって求めることができる(図21(a) の点A,Q,Bを、それぞれ点C,m2,Dに置き換えればよい)。
もちろん、中間点m1,m2について、全方位画像P(m1),P(m2)を生成することも可能であるが、実際に必要なのは、視点Qについての全方位画像P(Q)であるので、中間点m1,m2については、特徴点ξが投影された準備画像PP(m1),PP(m2)を得れば十分である。
こうして、中間点m1における準備画像PP(m1)および中間点m2における準備画像PP(m2)が得られれば、視点Q上の全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξの投影位置を、図21に示すバイリニア補間法による演算によって求めることができる(図21(a) の点A,Q,Bを、それぞれ点m1,Q,m2に置き換え、αをβに置き換えればよい)。視点Qについての特徴点ξの投影位置を示す画像は、準備画像PP(Q)ということになる。全方位画像生成部130が、この準備画像PP(Q)に基づいて全方位画像P(Q)を生成する処理を行うことは、既に述べたとおりである。
このように線形補間法を用いれば、特徴点投影位置推定部120は、図21(b) に示すような単純な線形補間演算を行うだけで、全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξの投影位置(φq,θq)を算出することができる。
上述した線形補間法は、単位領域図形Fが三角形である場合にも適用可能である。図24は、単位領域図形Fが三角形である場合に、図22に示す線形補間法(内挿法)を適用した具体例を示す平面図である。
図24において、3つの頂点A,B,Cは、1つの単位領域図形Fを構成する三角形の頂点である。ここで、点Aについては全方位画像P(A)、点Bについては全方位画像P(B)、点Cについては全方位画像P(C)がそれぞれ撮影されている。また、各全方位画像P(A)〜P(C)の上には、それぞれ特徴点ξa〜ξc(被写体上の特徴点ξの各画像P(A)〜P(C)上の投影点)が定義されている。ここでは、図示のとおり、単位領域図形F内の任意の位置に視点Qが与えられたときに、この視点Qの位置で撮影を行った場合に得られるであろう全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξq(被写体上の特徴点ξの画像P(Q)上の投影点)の位置を推定する手順を考えてみよう。
まず、図示のように、2点AQを通る直線と底辺BCとの交点位置に中間点mを定義する。そうすると、底辺BCの長さを1とすれば、中間点mは底辺BCをα:1−αの比率で按分する点になる。また、2点A,m間を結ぶ線分を補助線Lとし、その長さを1とすれば、視点Qは補助線Lをβ:1−βの比率で按分する点になる。
このような前提をおくと、中間点m上の準備画像PP(m)上に現れる特徴点ξの投影位置は、図21に示すバイリニア補間法による演算によって求めることができる(図21(a) の点A,Q,Bを、それぞれ点B,m,Cに置き換えればよい)。ここでも、中間点mについて、全方位画像P(m)を生成することも可能であるが、実際に必要なのは、視点Qについての全方位画像P(Q)であるので、中間点mについては、特徴点ξが投影された準備画像PP(m)を得れば十分である。
こうして、中間点mにおける準備画像PP(m)が得られれば、視点Q上の全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξの投影位置も、図21に示すバイリニア補間法による演算によって求めることができる(図21(a) の点A,Q,Bを、それぞれ点A,Q,mに置き換え、αをβに置き換えればよい)。視点Qについての特徴点ξの投影位置を示す画像は、準備画像PP(Q)ということになる。全方位画像生成部130が、この準備画像PP(Q)に基づいて全方位画像P(Q)を生成する処理を行うことは、既に述べたとおりである。
このように線形補間法は、単位領域図形Fが三角形である場合にも適用可能であり、特徴点投影位置推定部120は、図21(b) に示すような単純な線形補間演算を行うだけで、全方位画像P(Q)上に現れる特徴点ξの投影位置(φq,θq)を算出することができる。
以上、図23および図24を用いて、単位領域図形Fが四角形および三角形である場合に線形補間法を適用した例を説明したが、この線形補間法は、任意の形状をもつ単位領域図形Fに適用することが可能である。たとえば、五角形からなる単位領域図形Fに適用する場合は、当該五角形を複数の三角形に分割して、図24に示す線形補間法を適用すればよい。もちろん、図19に示す例のように、単位領域図形Fが三次元図形である場合にも線形補間法を適用することが可能である。この場合は、バイリニア補間法の代わりにトリリニア補間法を用いた線形補間を行えばよい。
また、図23および図24は、視点Qが単位領域図形Fの内部にある例であるため、バイリニア補間法を行う際に、図22(a) に示す内挿法が適用されることになるが、視点Qが単位領域図形Fの外部にある場合には、図22(b) に示す外挿法を適用すればよい。前述したとおり、内挿法も外挿法も、実質的な演算処理に変わりはない。図15に例示するように、複数の単位領域図形を配置する実施形態の場合、視点Qを包含する単位領域図形を参照領域図形として選択した場合は内挿法が適用され、視点Qを包含しない単位領域図形を参照領域図形として選択した場合は外挿法が適用されることになるが、いずれの場合も、この§9で述べる線形補間法を用いた簡易演算が可能である。
結局、この§9で述べる線形補間法を適用する場合、特徴点投影位置推定部120は、参照領域図形(単位領域図形)の頂点の中からn組(n≧3)の頂点を参照頂点として選択し、各参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を用いた補間演算により、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出する処理を行えばよい。図23に示す四角形に適用した例はn=4に設定し、4頂点A,B,C,Dを参照頂点として選択した例であり、図24に示す三角形に適用した例はn=3に設定し、3頂点A,B,Cを参照頂点として選択した例である。
既に述べた基本的実施形態の場合、全方位画像格納部110には、撮像面S上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、撮像面Sに対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像が格納されている。
この場合、特徴点投影位置推定部120は、第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φij,θij)を抽出する処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の座標値(φi1,θi1)〜第nの座標値(φin,θin)からなるn組の座標値を抽出することになる。そして、n組の参照頂点の位置と視点Qの位置との関係に基づいて、参照領域図形に対する視点Qの相対位置を示すパラメータα,βを求め、抽出したn組の座標値とパラメータα,βとを用いた補間演算により、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出すればよい。
図15に示す例のように、個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、X軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる、X軸方向分割直線とY軸方向分割直線との交点を頂点とする四角形によって構成されている場合は、全方位画像格納部110には、これら個々の交点を撮影地点として撮影された全方位画像が格納されていることになる。
この場合、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、線形補間法によって算出する具体的な処理手順は、次のようになる。
まず、図23に示すように、参照領域図形を構成する四角形の左上頂点をA,右上頂点をB,左下頂点をC,右下頂点をDとし、視点をQとし、上辺ABおよび下辺CDがX軸に平行、左辺ACおよび右辺BDがY軸に平行となるようにXY座標系を定義する。そして、特徴点投影位置推定部120は、頂点A,B,C,Dを参照頂点として選択し、次のような処理を行えばよい。
はじめに、点Qを通りY軸に平行な垂直補助線Lyと上辺ABとの交点を中間点m1、この垂直補助線Lyと下辺CDとの交点を中間点m2とする。また、点Qを通りX軸に平行な水平補助線Lxと左辺ACとの交点を中間点m3、この水平補助線Lxと右辺BDとの交点を中間点m4とする。そして、上辺ABもしくは下辺CDを中間点m1もしくは中間点m2が分割する按分割合をα:1−αとし、左辺ACもしくは右辺BDを中間点m3もしくは中間点m4が分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定める。
続いて、参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像P(A)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像P(B)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像P(C)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)とし、参照頂点Dを撮影地点とする全方位画像P(D)上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φid,θid)とする。
上記前提において、特徴点投影位置推定部120は、中間点m1における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim1,θim1)を、
φim1=(1−α)・φia+α・φib
θim1=(1−α)・θia+α・θib
なる演算で求め、
中間点m2における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim2,θim2)を、
φim2=(1−α)・φic+α・φid
θim2=(1−α)・θic+α・θid
なる演算で求め、
視点を示す点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
φiq=(1−β)・φim1+β・φim2
θiq=(1−β)・θim1+β・θim2
なる演算で求めればよい。
一方、個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、隙間なく分割することにより得られる三角形によって構成されている場合は、全方位画像格納部110には、これら三角形の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像が格納されていることになる。
この場合、視点Qにおける全方位画像P(Q)上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、線形補間法によって算出する具体的な処理手順は、次のようになる。
まず、図24に示すように、参照領域図形を構成する三角形の各頂点をA,B,Cとし、視点を点Qとしたときに、特徴点投影位置推定部120は、頂点A,B,Cを参照頂点として選択し、次のような処理を行えばよい。
はじめに、点A,Qを通る直線と底辺BCとの交点を中間点mとし、底辺BCを中間点mが分割する按分割合をα:1−αとし、点A,mを結ぶ補助線Lを点Qが分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定める。
続いて、参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)とする。
上記前提において、特徴点投影位置推定部120は、中間点mにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim,θim)を、
φim=(1−α)・φib+α・φic
θim=(1−α)・θib+α・θic
なる演算で求め、
視点を示す点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
φiq=(1−β)・φia+β・φim
θiq=(1−β)・θia+β・θim
なる演算で求めればよい。
<<< §10. 方法発明としての把握 >>>
最後に、本発明を、任意位置の視点Qから見た任意方向Eの視界を表示する自由視点映像表示方法という方法発明として捉えた場合の処理手順を、図25の流れ図を参照しながら述べる。図示のとおり、この方法は必要なデータを準備する準備プロセス(ステップS1〜S4)と、準備したデータを用いてコンピュータが映像表示を行う表示プロセス(S5〜S10)と、を有している。
まず、準備プロセスの最初のステップである撮影地点定義段階S1は、実空間上に単位領域図形を定義し、この単位領域図形の頂点位置に撮影地点を定義し、各撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報を設定する段階である。続く全方位画像撮影段階S2は、実空間上の各撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影し、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報に対応づけた全方位画像を用意する段階である。そして、特徴点設定段階S3は、単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点を定め、各特徴点について全方位画像上での投影位置を示す特徴点投影位置情報を求める段階である。最後のセル定義段階S4は、全方位画像が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義する段階である。
以上の準備プロセスに属する各段階S1〜S4は、人間が手作業によって行うこともできるし、コンピュータによる自動処理によって行うこともできる。もちろん、コンピュータによる自動処理の結果に対して、人間が手作業による補正を施すことによって行うこともできる。この準備プロセスが完了したら、得られた各データをコンピュータに格納することにより、以下の表示プロセスを実施する準備が完了する。
表示プロセスは、コンピュータがユーザに対して、任意位置の視点から見た任意方向の視界を提示するプロセスであり、ユーザは、必要に応じてコンピュータに対して所望の指示を与える操作を行うことになる。
表示プロセスの最初のステップである位置方向指定段階S5は、コンピュータが、実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向を指定する段階である。当該指定は、ユーザからの操作入力に基づいて行うこともできるし、予め定められた所定のアルゴリズムに基づいて自動的に行うこともできる。続く特徴点投影位置推定段階S6は、コンピュータが、準備プロセスで用意された撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する段階である。
次の全方位画像生成段階S7は、コンピュータが、準備プロセスで用意されたセル定義情報に基づいて、特徴点投影位置推定段階S6で推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、準備プロセスで用意された全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、生成した新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、視点における全方位画像を生成する段階である。
そして、画像切出段階S8は、コンピュータが、位置方向指定段階S5で指定された視線方向に基づいて、全方位画像生成段階S7で生成した、視点における全方位画像から、その一部分を切り出す段階であり、画像表示段階S9は、コンピュータが、画像切出段階S8によって切り出された画像を表示して、ユーザに提示する段階である。
図示のとおり、最後のステップS10では、ここで処理を終了するか否かが判定され、終了しない場合は、再びステップS5へ戻り、新たに指定された視点および視線方向に基づいて、同様の処理が繰り返されることになる。
なお、§7で述べた実施形態のように、複数の単位領域図形を用いる場合は、準備プロセスにおける撮影地点定義段階S1で、互いに隣接して配置された複数の単位領域図形を定義し、全方位画像撮影段階S2で、各単位領域図形の頂点を撮影地点とする撮影を行うことにより、個々の頂点のそれぞれについての全方位画像を用意し、特徴点設定段階S3で、個々の単位領域図形ごとに、当該単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点を定め、セル定義段階S4で、個々の単位領域図形ごとに、各特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義すればよい。
また、表示プロセスにおける位置方向指定段階S5で、複数の単位領域図形のいずれかに包含される視点を指定し、特徴点投影位置推定段階S6で、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、この参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、全方位画像生成段階S7で、参照領域図形についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、参照領域図形の頂点における全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成すればよい。
10:被写体上の対象点
11:対象点の撮像面上の投影位置(投影点)
100:自由視点映像表示装置
110:全方位画像格納部
120:特徴点投影位置推定部
130:全方位画像生成部
140:画像切出部
150:画像表示部
160:特徴点情報格納部
161:特徴点投影位置情報
162:セル定義情報
170:位置方向指定部
A〜L:単位領域図形の頂点(撮影地点)
a〜d:按分割合を示すパラメータ
A(xa,ya,0):撮影地点A/その位置情報
B(xb,yb,0):撮影地点B/その位置情報
C(xc,yc,0):撮影地点C/その位置情報
D(xd,yd,0):撮影地点D/その位置情報
Ba,Bq:三角形のセルの底辺
C1〜C12:セル
C1′:新たなセル
Ca,C5a:対応セル
Cq,C5q:新たなセル
D(φe,θe):切出画像
E,E(φe,θe):視線方向/視線ベクトル
F,F1〜F23:単位領域図形
F10(t1),F10(t2),F10(t3):各時間における単位領域図形
Ga,Gq:画素の位置を示す点
H,Ha,Hb,Hq:仮想半球
h:仮想半球Hと視線ベクトルE(φe,θe)との交点
L:補助線
La,Lq:中間線分
Lx:水平補助線
Ly:垂直補助線
m,m1〜m4:中間点
Na:参照ベクトルVia上の参照ベクトルVibに対する最近接点
Nb:参照ベクトルVib上の参照ベクトルViaに対する最近接点
O:XYZ三次元座標系の原点
P(A)〜P(F):各頂点(撮影地点)A〜Fで撮影された全方位画像
P(O):原点Oを撮影地点とした撮影で得られる全方位画像
P(Q):視点Qにおける撮影で得られるであろうと推定される全方位画像
PP(Q):全方位画像P(Q)の生成に用いられる準備画像
PP(m),PP(m1),PP(m2):中間点における準備画像
Q,Q(xq,yq,0),Q(xq,yq,zq):視点
Q(xq,yq,zq,tq):時間tqにおける視点
Ra,Rq:中間点
S,Sa,Sb,Sq:撮像面
S1〜S10:流れ図の各ステップ
t:時間軸
U:天頂点
Via:第i番目の特徴点ξiに関する第1の参照ベクトル
Vib:第i番目の特徴点ξiに関する第2の参照ベクトル
Viq:第i番目の特徴点ξiに関する指示ベクトル
X:XYZ三次元直交座標系の座標軸
xa〜xq,xξi:座標軸Xに関する座標値
Y:XYZ三次元直交座標系の座標軸
ya〜yq,yξi:座標軸Yに関する座標値
Z:XYZ三次元直交座標系の座標軸
zξi:座標軸Zに関する座標値
φ,φa,φb,φq:方位角
φia:第i番目の特徴点ξiに関する第1の参照方位角
φib:第i番目の特徴点ξiに関する第2の参照方位角
φiq:第i番目の特徴点ξiに関する指示方位角
φe:視線方向Eの方位角
θ,θa,θb,θq:仰角
θia:第i番目の特徴点ξiに関する第1の参照仰角
θib:第i番目の特徴点ξiに関する第2の参照仰角
θiq:第i番目の特徴点ξiに関する指示仰角
θe:視線方向Eの仰角
α,β:按分割合を示すパラメータ
ξ1〜ξ12:特徴点
ξ1(φ,θ):特徴点ξ1の投影像
ξ2(φ,θ):特徴点ξ2の投影像
ξ3(φ,θ):特徴点ξ3の投影像
ξa(φa,θa):特徴点ξの投影像
ξb(φb,θb):特徴点ξの投影像
ξq(φq,θq):特徴点ξの投影像
ξi,ξi(xξi,yξi,zξi):第i番目の特徴点
ξia,ξia(φia,θia):第i番目の特徴点ξiの画像P(A)上の投影点
ξib,ξib(φib,θib):第i番目の特徴点ξiの画像P(B)上の投影点
ξiq,ξiq(φiq,θiq):第i番目の特徴点ξiの画像P(Q)上の投影点

Claims (33)

  1. 任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する自由視点映像表示装置であって、
    実空間上の所定の撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影することにより得られる全方位画像を、前記実空間上に定義された単位領域図形の頂点を撮影地点とすることにより、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納する全方位画像格納部と、
    前記単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点について、各全方位画像上での投影位置を示す特徴点投影位置情報と、各全方位画像が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、前記特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、を格納した特徴点情報格納部と、
    前記実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向を指定する位置方向指定部と、
    前記撮影地点位置情報および前記特徴点投影位置情報に基づいて、前記視点における全方位画像上に現れるべき前記特徴点の投影位置を推定する特徴点投影位置推定部と、
    前記セル定義情報に基づいて、前記特徴点投影位置推定部によって推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、前記全方位画像格納部に格納されている全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、前記新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、前記視点における全方位画像を生成する全方位画像生成部と、
    前記位置方向指定部によって指定された視線方向に基づいて、前記全方位画像生成部が生成した前記視点における全方位画像から、その一部分を切り出す画像切出部と、
    前記画像切出部によって切り出された画像を表示する画像表示部と、
    を備えることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  2. 請求項1に記載の自由視点映像表示装置において、
    位置方向指定部が、仮想空間上で単位領域図形内の1地点からなる視点と当該視点を基準とした視線方向とを指定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  3. 請求項1に記載の自由視点映像表示装置において、
    位置方向指定部が、仮想空間上で単位領域図形外の1地点からなる視点と当該視点を基準とした視線方向とを指定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  4. 請求項1に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像格納部が、互いに隣接して配置されるように定義された複数の単位領域図形の頂点を撮影地点とすることにより、個々の撮影地点のそれぞれについて撮影された全方位画像を、当該撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報とともに格納しており、
    特徴点情報格納部が、1つの単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点の投影位置を示す特徴点投影位置情報と、これらの特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報と、を個々の単位領域図形ごとに格納しており、
    位置方向指定部が、前記複数の単位領域図形のいずれかに包含される視点を指定する機能を有し、
    特徴点投影位置推定部が、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、前記参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報、および前記参照領域図形についての特徴点投影位置情報に基づいて、前記視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
    全方位画像生成部が、前記参照領域図形についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、前記参照領域図形の頂点における全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、前記新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  5. 請求項4に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を分割することにより得られる二次元図形によって構成されていることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  6. 請求項5に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形を構成する二次元図形が、XY平面をX軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる、前記X軸方向分割直線と前記Y軸方向分割直線との交点を頂点とする四角形によって構成されており、
    全方位画像格納部が、前記個々の交点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納していることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  7. 請求項4に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系における三次元空間を分割することにより得られる三次元図形によって構成されていることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  8. 請求項7に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形を構成する三次元図形が、XYZ三次元直交座標系からなる座標空間を、XY平面に平行なZ軸方向分割平面、XZ平面に平行なY軸方向分割平面、YZ平面に平行なX軸方向分割平面、によってそれぞれ分割することにより得られる複数の直方体によって構成されており、
    全方位画像格納部が、前記複数の直方体の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納していることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  9. 請求項4〜8のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から2組の頂点を参照頂点として選択し、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  10. 請求項9に記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から、視点に最も近い頂点を第1の参照頂点Aとして選択し、視点に2番目に近い頂点を第2の参照頂点Bとして選択することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  11. 請求項9または10に記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、第1の参照頂点Aから第i番目の特徴点ξiへ向かう第1の参照ベクトルViaを、前記第1の参照頂点Aについての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求め、第2の参照頂点Bから前記第i番目の特徴点ξiへ向かう第2の参照ベクトルVibを、前記第2の参照頂点Bについての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求め、前記第1の参照ベクトルViaと前記第2の参照ベクトルVibとの交点もしくはこれら両参照ベクトルに対して所定の近接位置にある近接点を前記第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qに配置された全方位カメラによって、前記推定された三次元位置にある前記第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、前記視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  12. 請求項11に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、前記撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
    特徴点投影位置推定部が、第1の参照頂点Aから第i番目の特徴点ξiへ向かう第1の参照ベクトルViaを求める際に、前記第1の参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第1の参照方位角φiaおよび第1の参照仰角θiaを参照し、前記第1の参照頂点Aを起点として、前記第1の参照方位角φiaおよび前記第1の参照仰角θiaによって示される方向を向いたベクトルを前記第1の参照ベクトルViaとし、
    特徴点投影位置推定部が、第2の参照頂点Bから第i番目の特徴点ξiへ向かう第2の参照ベクトルVibを求める際に、前記第2の参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第2の参照方位角φibおよび第2の参照仰角θibを参照し、前記第2の参照頂点Bを起点として、前記第2の参照方位角φibおよび前記第2の参照仰角θibによって示される方向を向いたベクトルを前記第2の参照ベクトルVibとし、
    特徴点投影位置推定部が、前記第1の参照ベクトルViaと前記第2の参照ベクトルVibとの交点もしくはこれら両参照ベクトルに対して所定の近接位置にある近接点を前記第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qを起点として、前記推定された三次元位置にある前記第i番目の特徴点ξiに向かう指示ベクトルの方位角φiqおよび仰角θiqを、前記視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標と推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  13. 請求項4〜8のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中からn組(n≧3)の頂点を参照頂点として選択し、当該参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて、視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  14. 請求項13に記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中から、視点に近い順に、第1の参照頂点から第nの参照頂点を選択することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  15. 請求項13または14に記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを前記第j番目の参照頂点についての撮影地点位置情報および特徴点投影位置情報に基づいて求める処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の参照ベクトルVi1〜第nの参照ベクトルVinを求め、求めたn本の参照ベクトルVi1〜Vinの交点もしくはこれらn本の参照ベクトルVi1〜Vinに対して所定の近接位置にある近接点を前記第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qに配置された全方位カメラによって前記推定された三次元位置にある前記第i番目の特徴点ξiを撮影した場合に全方位画像上に投影される点を、前記視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置と推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  16. 請求項15に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、前記撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
    特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点から第i番目の特徴点ξiへ向かう第j番目の参照ベクトルVijを求める際に、前記第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す第j番目の参照方位角φijおよび第j番目の参照仰角θijを参照し、前記第j番目の参照頂点を起点として、前記第j番目の参照方位角φijおよび前記第j番目の参照仰角θijによって示される方向を向いたベクトルを前記第j番目の参照ベクトルVijとし、
    特徴点投影位置推定部が、第1の参照ベクトルVi1〜第nの参照ベクトルVinの交点もしくはこれらn本の参照ベクトルVi1〜Vinに対して所定の近接位置にある近接点を前記第i番目の特徴点ξiの三次元位置と推定し、視点Qを起点として、前記推定された三次元位置にある前記第i番目の特徴点ξiに向かう指示ベクトルの方位角φiqおよび仰角θiqを、前記視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標と推定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  17. 請求項4に記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、参照領域図形の頂点の中からn組(n≧3)の頂点を参照頂点として選択し、各参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を用いた補間演算により、視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  18. 請求項17に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像格納部が、撮像面上の方位を示す方位角φを横座標軸にとり、前記撮像面に対する仰角θを縦座標軸にとった全方位画像を格納しており、
    特徴点投影位置推定部が、第j番目の参照頂点を撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φij,θij)を抽出する処理を、j=1〜nのそれぞれについて行うことにより第1の座標値(φi1,θi1)〜第nの座標値(φin,θin)からなるn組の座標値を抽出し、n組の参照頂点の位置と視点Qの位置との関係に基づいて、参照領域図形に対する前記視点Qの相対位置を示すパラメータを求め、抽出した前記n組の座標値と前記パラメータとを用いた補間演算により、前記視点Qにおける全方位画像上に現れるべき前記第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を算出することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  19. 請求項18に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、X軸に平行なX軸方向分割直線およびY軸に平行なY軸方向分割直線によって縦横に分割することにより得られる、前記X軸方向分割直線と前記Y軸方向分割直線との交点を頂点とする四角形によって構成されており、
    全方位画像格納部が、前記個々の交点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しており、
    参照領域図形を構成する四角形の左上頂点をA,右上頂点をB,左下頂点をC,右下頂点をDとし、視点をQとし、上辺ABおよび下辺CDがX軸に平行、左辺ACおよび右辺BDがY軸に平行となるように座標系を定義したときに、特徴点投影位置推定部が、前記頂点A,B,C,Dを参照頂点として選択し、
    点Qを通りY軸に平行な垂直補助線Lyと上辺ABとの交点を中間点m1、前記垂直補助線Lyと下辺CDとの交点を中間点m2、点Qを通りX軸に平行な水平補助線Lxと左辺ACとの交点を中間点m3、前記水平補助線Lxと右辺BDとの交点を中間点m4とし、上辺ABもしくは下辺CDを中間点m1もしくは中間点m2が分割する按分割合をα:1−αとし、左辺ACもしくは右辺BDを中間点m3もしくは中間点m4が分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定め、
    参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)とし、参照頂点Dを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φid,θid)としたときに、
    特徴点投影位置推定部が、
    中間点m1における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim1,θim1)を、
    φim1=(1−α)・φia+α・φib
    θim1=(1−α)・θia+α・θib
    なる演算で求め、
    中間点m2における全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim2,θim2)を、
    φim2=(1−α)・φic+α・φid
    θim2=(1−α)・θic+α・θid
    なる演算で求め、
    視点を示す点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
    φiq=(1−β)・φim1+β・φim2
    θiq=(1−β)・θim1+β・θim2
    なる演算で求めることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  20. 請求項18に記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系におけるXY平面を、隙間なく分割することにより得られる三角形によって構成されており、
    全方位画像格納部が、前記三角形の各頂点を撮影地点として撮影された全方位画像を格納しており、
    参照領域図形を構成する三角形の各頂点をA,B,Cとし、視点を点Qとしたときに、特徴点投影位置推定部が、前記頂点A,B,Cを参照頂点として選択し、
    点A,Qを通る直線と底辺BCとの交点を中間点mとし、底辺BCを中間点mが分割する按分割合をα:1−αとし、点A,mを結ぶ補助線Lを点Qが分割する按分割合をβ:1−βとして、パラメータα,βを定め、
    参照頂点Aを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φia,θia)とし、参照頂点Bを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φib,θib)とし、参照頂点Cを撮影地点とする全方位画像上の第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値を(φic,θic)としたときに、
    特徴点投影位置推定部が、
    中間点mにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φim,θim)を、
    φim=(1−α)・φib+α・φic
    θim=(1−α)・θib+α・θic
    なる演算で求め、
    視点を示す点Qにおける全方位画像上に現れるべき第i番目の特徴点ξiの投影位置を示す座標値(φiq,θiq)を、
    φiq=(1−β)・φia+β・φim
    θiq=(1−β)・θia+β・θim
    なる演算で求めることを特徴とする自由視点映像表示装置。
  21. 請求項4〜20のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点投影位置推定部が、視点を包含する単位領域図形を参照領域図形として選択することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  22. 請求項12,16,18〜20のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    位置方向指定部が、視線方向として、所定の方位角φeおよび所定の仰角θeを指定し、
    画像切出部が、切出対象となる全方位画像上において、前記位置方向指定部によって指定された方位角φeおよび仰角θeで示される座標値をもつ点を切出中心点として、当該切出中心点の周囲の一部分を切り出すことを特徴とする自由視点映像表示装置。
  23. 請求項4〜22のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点情報格納部が、3つの特徴点を頂点とする三角形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を格納しており、全方位画像が、前記複数のセルの投影像からなる個々のセルによってメッシュ状に分割され、
    全方位画像生成部が、前記セル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、全方位画像格納部に格納されている全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、前記新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、視点における全方位画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  24. 請求項4〜22のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像生成部が、参照領域図形の頂点の中の1つの頂点を模写対象頂点として選択し、前記模写対象頂点についての全方位画像上で対応する対応セル内の部分画像を模写対象部分画像として選択し、この模写対象部分画像に基づいて新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  25. 請求項24に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像生成部が、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、前記所定画素の前記新たなセルに対する相対位置を求め、模写対象部分画像において前記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、前記所定画素の画素値を前記模写対象画素値に基づいて決定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  26. 請求項4〜22のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像生成部が、参照領域図形の頂点の中から複数n個(n≧2)の頂点を模写対象頂点として選択し、前記n個の模写対象頂点についての全方位画像上で対応する対応セル内の部分画像をそれぞれ模写対象部分画像として選択し、選択されたn枚の模写対象部分画像に基づいて新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  27. 請求項26に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像生成部が、新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を構成する所定画素の画素値を定める際に、前記所定画素の前記新たなセルに対する相対位置を求め、n枚の模写対象部分画像において前記相対位置に対応する位置にある対応画素の画素値をそれぞれ模写対象画素値として抽出し、前記所定画素の画素値を、抽出したn組の模写対象画素値に基づいて決定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  28. 請求項27に記載の自由視点映像表示装置において、
    全方位画像生成部が、新たな部分画像を構成する所定画素の画素値をn組の模写対象画素値に基づいて決定する際に、視点とn個の模写対象頂点との距離をそれぞれ求め、距離のより小さな模写対象頂点についての全方位画像から抽出された模写対象画素値に対してより大きな重みづけを付加してn組の模写対象画素値の加重平均値を算出し、この加重平均値に基づいて前記所定画素の画素値を決定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  29. 請求項25,27,28のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    特徴点情報格納部が、3つの特徴点を頂点とする三角形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を格納しており、全方位画像が、前記複数のセルの投影像からなる個々のセルによってメッシュ状に分割され、
    新たなセルを構成する三角形Cqの頂点をξ1q,ξ2q,ξ3qとし、対応セルを構成する三角形Caの対応する頂点をξ1a,ξ2a,ξ3aとし、前記三角形Cq内の所定画素の位置を点Gqとしたときに、
    全方位画像生成部が、
    前記三角形Cqについて、頂点ξ3qと点Gqとを通る直線と、頂点ξ1qと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Bqと、の交点を中間点Rqとし、この中間点Rqが前記底辺Bqを分割する按分割合をa:bとし、点Gqが前記中間点Rqと頂点ξ3qとを結ぶ中間線分Lqを分割する按分割合をc:dとして、パラメータa,b,c,dを定め、
    前記対応三角形Caについて、頂点ξ1aと頂点ξ2qとを結ぶ底辺Baを按分割合a:bで分割する点として中間点Raを求め、この中間点Raと頂点ξ3aとを結ぶ中間線分Lbをc:dで分割する点として点Gaを求め、前記点Gaに位置する対応画素の画素値を模写対象画素値として抽出し、
    前記三角形Cq内の点Gqに位置する前記所定画素の画素値を、前記模写対象画素値に基づいて決定することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  30. 請求項1〜29のいずれかに記載の自由視点映像表示装置において、
    個々の単位領域図形が、実空間上に定義されたXYZ三次元直交座標系に配置された二次元図形もしくは三次元図形によって構成され、更に、時間軸tを考慮することにより、同一の空間位置に時間の異なる複数通りの単位領域図形が定義されており、
    全方位画像格納部には、時間の異なる複数通りの単位領域図形の頂点を撮影地点として、特定の撮影地点において、特定の時間に撮影された全方位画像が格納されており、
    位置方向指定部が、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向に加えて、更に、任意の観測時間を指定する機能を有し、
    特徴点投影位置推定部が、
    前記観測時間に、前記視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
    全方位画像生成部が、前記観測時間かつ前記視点における全方位画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示装置。
  31. 請求項1〜30のいずれかに記載の自由視点映像表示装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  32. 任意位置の視点から見た任意方向の視界を表示する自由視点映像表示方法であって、
    必要なデータを準備する準備プロセスと、準備したデータを用いてコンピュータが映像表示を行う表示プロセスと、を有し、
    前記準備プロセスは、
    実空間上に単位領域図形を定義し、この単位領域図形の頂点位置に撮影地点を定義し、各撮影地点の位置を示す撮影地点位置情報を設定する撮影地点定義段階と、
    実空間上の前記撮影地点に全方位カメラを配置して被写体を撮像面に投影して撮影し、個々の撮影地点のそれぞれについて、当該撮影地点の位置を示す前記撮影地点位置情報に対応づけた全方位画像を用意する全方位画像撮影段階と、
    前記単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている被写体上の特徴点を定め、各特徴点について全方位画像上での投影位置を示す特徴点投影位置情報を求める特徴点設定段階と、
    前記全方位画像が複数のセルの投影像によってメッシュ状に分割されるように、前記特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を定めるセル定義段階と、
    を有し、
    前記表示プロセスは、
    コンピュータが、前記実空間に対応する仮想空間上で、任意の視点と当該視点を基準とした任意の視線方向を指定する位置方向指定段階と、
    コンピュータが、前記撮影地点位置情報および前記特徴点投影位置情報に基づいて、前記視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定する特徴点投影位置推定段階と、
    コンピュータが、前記セル定義情報に基づいて、前記特徴点投影位置推定段階で推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、前記全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、前記新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成する処理を、生成した各セルについて実行することにより、前記視点における全方位画像を生成する全方位画像生成段階と、
    コンピュータが、前記位置方向指定段階で指定された視線方向に基づいて、前記全方位画像生成段階で生成した前記視点における全方位画像から、その一部分を切り出す画像切出段階と、
    コンピュータが、前記画像切出段階によって切り出された画像を表示する画像表示段階と、
    を有することを特徴とする自由視点映像表示方法。
  33. 請求項32に記載の自由視点映像表示方法において、
    撮影地点定義段階で、互いに隣接して配置された複数の単位領域図形を定義し、
    全方位画像撮影段階で、各単位領域図形の頂点を撮影地点とする撮影を行うことにより、個々の頂点のそれぞれについての全方位画像を用意し、
    特徴点設定段階で、個々の単位領域図形ごとに、当該単位領域図形の頂点を撮影地点とする複数の全方位画像上に共通して現れている特徴点を定め、
    セル定義段階で、個々の単位領域図形ごとに、前記特徴点を頂点とする図形からなる複数のセルを定義するセル定義情報を定め、
    位置方向指定段階で、前記複数の単位領域図形のいずれかに包含される視点を指定し、
    特徴点投影位置推定段階で、特定の単位領域図形を参照領域図形として選択し、前記参照領域図形の頂点についての撮影地点位置情報および前記参照領域図形についての特徴点投影位置情報に基づいて、前記視点における全方位画像上に現れるべき特徴点の投影位置を推定し、
    全方位画像生成段階で、前記参照領域図形についてのセル定義情報に基づいて、推定された特徴点の投影位置を頂点とする新たなセルを生成し、前記参照領域図形の頂点における全方位画像上の対応するセル内の部分画像に基づいて、前記新たなセル内に割り付けるべき新たな部分画像を生成することを特徴とする自由視点映像表示方法。
JP2016085214A 2016-04-21 2016-04-21 自由視点映像表示装置 Active JP6682984B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085214A JP6682984B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 自由視点映像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085214A JP6682984B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 自由視点映像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017194857A JP2017194857A (ja) 2017-10-26
JP6682984B2 true JP6682984B2 (ja) 2020-04-15

Family

ID=60155624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016085214A Active JP6682984B2 (ja) 2016-04-21 2016-04-21 自由視点映像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6682984B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3496387A1 (en) * 2017-12-05 2019-06-12 Koninklijke Philips N.V. Apparatus and method of image capture
JP7204511B2 (ja) 2019-02-12 2023-01-16 キヤノン株式会社 電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
JP7439398B2 (ja) * 2019-06-18 2024-02-28 大日本印刷株式会社 情報処理装置、プログラム及び情報処理システム
CN117423109A (zh) * 2023-10-31 2024-01-19 北京代码空间科技有限公司 一种图像关键点标注方法及其相关设备

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002213984A (ja) * 2001-01-12 2002-07-31 Oojisu Soken:Kk パノラマ画像による案内システム、中央装置及び端末装置、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017194857A (ja) 2017-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9626790B1 (en) View-dependent textures for interactive geographic information system
US9754410B2 (en) System and method for three-dimensional garment mesh deformation and layering for garment fit visualization
CN109658365B (zh) 图像处理方法、装置、系统和存储介质
JP6515985B2 (ja) 三次元画像結合方法及び三次元画像結合装置
CN106296783B (zh) 一种结合空间全局3d视图和全景图片的空间展示方法
EP3534336B1 (en) Panoramic image generating method and apparatus
US8390617B1 (en) Visualizing oblique images
JP4392507B2 (ja) 3次元サーフェス生成方法
US20140218354A1 (en) View image providing device and method using omnidirectional image and 3-dimensional data
JP6682984B2 (ja) 自由視点映像表示装置
US20020113865A1 (en) Image processing method and apparatus
US20170278293A1 (en) Processing a Texture Atlas Using Manifold Neighbors
JPH0816783A (ja) 画像処理装置及び方法
US9165397B2 (en) Texture blending between view-dependent texture and base texture in a geographic information system
KR101591427B1 (ko) 3차원 지형 영상 가시화에서의 적응형 렌더링 방법
KR20200043458A (ko) 3d 장면의 이미지를 생성 및 수정하기 위한 방법
CN109685879A (zh) 多视影像纹理分布的确定方法、装置、设备和存储介质
US20180213215A1 (en) Method and device for displaying a three-dimensional scene on display surface having an arbitrary non-planar shape
CN111524230A (zh) 一种三维模型与展开全景图联动浏览方法及计算机系统
JP2013090257A (ja) 自由視点映像表示装置
JP2000076488A (ja) 3次元仮想空間表示装置及びテクスチャオブジェクト設定情報作成装置
US10699372B2 (en) Image generation apparatus and image display control apparatus
CN109461116B (zh) 一种基于opengl的720全景展开监控方法
US10275939B2 (en) Determining two-dimensional images using three-dimensional models
CN106484850B (zh) 全景地图显示方法和装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190225

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190621

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20191030

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6682984

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150