JP6668133B2 - めっき付着量制御装置および制御方法 - Google Patents

めっき付着量制御装置および制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、めっき付着量制御装置および制御方法に関し、とりわけ鋼板替り等に伴うめっき付着量の目標値変更に際して、変更後のめっき付着量目標値を実現するための操作量を算出するプリセット制御の精度向上を実現するめっき付着量制御装置および制御方法に関する。
鉄鋼プロセスの連続めっきラインにおいて、鋼板に付着するめっきの量は概ね、ライン速度と呼ばれる鋼板の速度(板速)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)、ノズルから噴出すガスの圧力(ノズル圧力)で決定される。めっき付着量を自動制御する多くのプラントでは、オペレータの手動操作で決まる板速とノズルギャップに対して、上位計算機から送られてくる目標めっき付着量を実現するノズル圧力を、めっき付着量予測モデルを用いて計算し、自動制御している。
自動制御においてとりわけ問題となるのは、鋼板替り等でめっき付着量目標値が変更になるときに行われるプリセット制御である。プリセット制御結果が誤差を有していると、鋼板先端のめっき付着量精度が低下することのみならず、ここで生じためっき付着量の誤差は、その後、めっき付着量検出値を用いたフィードバック制御で徐々に解消されるが、誤差が大きいと解消に要するフィードバック制御回数が増大し、鋼板先端を含む鋼板長手方向の広い範囲で、めっき付着量精度が低下する。したがってプリセット制御の精度向上が重要であり、これを高精度化する従来手法として、以下の特許文献が知られている。
特許文献1には、目標制御量を実現する操作量指令値を、制御モデルを用いて算出する第1のプリセット部と、制御仕様の変化量に対して変更すべき操作量の値を計算し、現在の操作量指令値に対して加減算することで操作量指令値を算出する第2のプリセット部を設け、プリセット制御前後の制御仕様の類似度に応じて選択して使用する手法が示されている。具体的にはノズル圧力の計算方法をふたつ備え、めっき付着量の目標値の変化の大きさに着目して、選択して使用する手法が開示されている。
また特許文献2には、めっき付着量制御を高精度化する目的で、めっき付着量予測モデルに学習処理と適応処理を組合せてめっき付着量予測計算を行う手法が記載されている。
特開2004−13393号公報 特開2008−50680号公報
特許文献1における第2のプリセット部が良好な操作量を算出するための前提条件は、現在の操作量指令値が適切であることである。すなわち第2のプリセット部は現在の操作量指令値を基にして変更すべき操作量を加減算するので、現在の操作量指令値が適切でないと、計算された操作量も適切な値にならない。一方、めっき付着量制御では、オペレータがノズルギャップやライン速度を変化させた影響でノズル圧力が変化したり、オペレータがノズル圧力を直接手動操作した直後にプリセット制御タイミングを迎えた場合、現在のノズル圧力指令値が適切な値である保証はない。すなわち、現在の操作量指令値(めっき付着量制御ではノズル圧力指令値)が常に適切とは限らない。
特許文献1ではこの点に対する配慮がなされておらず、プリセット制御前後の制御仕様の類似度のみに着目してプリセット部を切替えているため、第2のプリセット部が選択されたときのノズル圧力指令値が不適切となる場合があり、めっき付着量精度を悪化させる問題があった。
加えて、めっき付着量予測モデルを学習により高精度化してプリセットを行うとき、前記第2のプリセット部が良好な操作量を算出するためには、使用する学習値が現在の制御の動作点(めっき付着量、ノズル圧力、ノズルギャップ、板速のいくつかを用いて定義される)で十分に学習された値であることが必要である。特許文献1および特許文献2にこの点に関する記載はなく、プリセット部で使用する学習値の適切性への配慮もなされていないので、同様に、第2のプリセット部が選択されたときのノズル圧力指令値が不適切となる場合があり、めっき付着量精度が低下する問題があった。
以上のことから本発明においては、めっき付着量精度を向上することができるめっき付着量制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では、めっき付着量目標値の変更に先立って目標めっき付着量を実現するためのノズル圧力指令値を算出するプリセット制御部に、めっき付着量予測モデルを用いてノズル圧力指令値を算出する絶対値制御部(前記第1のプリセット部に相当)、目標めっき付着量の仕様変化量に対して変更すべきノズル圧力を計算し、現在のノズル圧力指令値に加減算することでノズル圧力指令値を算出する相対値制御部(前記第2のプリセット部に相当)、これらを制御仕様の類似度だけでなく、現在のノズル圧力指令値の適切性や、プリセット制御で使用する学習値の適切性を考慮して選択する最適制御選択部、現在のノズル圧力指令値の良好度を定量化するノズル圧力良好性算出部、めっき付着量予測モデルとめっき付着量実績の乖離を補償するための学習値が現在のめっき付着量、ノズル圧、ノズルギャップ、板速の動作点に対応して進捗されている度合いを定量化する学習進捗度算出部を備えた。
本発明によれば、最適制御選択部は、現在めっき処理している鋼板と次回めっき処理する鋼板のめっき付着量の差だけでなく、ノズル圧力良好性算出部の出力と学習進捗度算出部の出力を総合して絶対値制御部と相対値制御部のどちらを選択するかを判断する。この結果、鋼板替りやめっき付着量目標値変更に先立って目標めっき付着量を実現するためのノズル圧力指令値を算出するプリセット制御の精度向上が実現できる。
さらに本発明の実施例によれば、プリセット制御で生じためっき付着量の誤差は、その後、めっき付着量検出値を用いたフィードバック制御で徐々に解消されるが、プリセット制御の精度を向上したことで誤差解消に要するフィードバック制御回数を低減できる。このため鋼板先端だけでなく、長手方向のめっき付着量誤差を低減できる。
本発明のめっき付着量制御装置の構成を示した説明図である。 プリセット制御部の構成を示した説明図である。 絶対値制御部の処理を示した説明図である。 学習値記憶部の構成を示した説明図である。 学習部の処理を示した説明図である。 相対値制御部の処理を示した説明図である。 ノズル圧力良好性算出部の処理を示した説明図である。 学習進捗度算出部の処理を示した説明図である。 最適制御選択部の処理を示した説明図である。 フィードフォワード制御部の処理を示した説明図である。 フィードバック制御部を示した説明図である。
以下本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図1に本発明で実現されためっき付着量制御装置100とめっきプラント150の構成を示す。めっき付着量制御装置100の役割はめっきプラントであるめっきプラント150を制御し、鋼板151に所望の厚みのめっきを付着させることである。
まずめっきプラント150の構成を説明する。めっきプラント150は連続的に送られてくる鋼板151をポット152に溜められている溶融めっきに浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズル153で高圧ガスを噴き付け不要なめっきを落とすことにより、鋼板151に所望の量のめっきを付着させる。鋼板151同士は溶接で接続されており、連続的にめっき処理が施され、最終的には切断され、コイルとして巻き取られる。めっき付着量の目標値は鋼板151毎に決められているので、通常、溶接点156はめっき付着量の目標値の変化点と一致する。ただし、ひとつの母材鋼板から複数のコイルを生産する場合もあり、この場合は、溶接点156以外にもめっき付着量の目標値変化点が存在し、ひとつの鋼板が異なっためっき付着量目標値で制御される。以後、溶接点およびめっき付着量の目標値変化点を、仕様変更点と称する。
付着しているめっきの量は付着量検出器155により検出されるが、付着量検出器155はノズル153から隔たった位置に取り付けられており、また検出の方法として、板を幅方向にトラバースし幅方向の平均値を出力するのが一般的である。このためノズル圧力やノズルギャップを操作しても、その結果としての付着量を検出できるのは1〜2分程度後であり、仕様変更点に先立って次鋼板のめっき付着量を予測してノズル圧力を決定するプリセット制御の重要性が高い制御対象である。鋼板151は浴中ロール160やトップロール161により支持されている。
めっき付着量Wは種々の要因の影響で変化するが、主として鋼板の速度(板速)V、ノズル圧力(ノズルから噴出すガスの圧力)P、ノズルギャップ(ノズル吹き出し口と鋼板の距離)Dにより決定される。これらの関係は、例えば(1)式で表される。(1)式においてa0、a1、a2、a3は定数である。
[数1]
ln(W)=a0+a1×ln(P)+a2×ln(V)+a3×ln(D) (1)
(1)式において、ノズル圧力Pが鋼板151の表側と裏側で異なるときは、両方を平均した値をノズル圧力Pとすれば良い。同様に、ノズルギャップDが鋼板151の表側と裏側、右サイドと左サイドで異なるときは、これらを平均した値をノズルギャップDとすれば良い。めっき付着量は、通常、表側と裏側でそれぞれ計測されるが、めっき付着量の予測値と対応づけるときは両面平均(表側と裏側を平均した値)を使用すれば良い。さらに一般のめっき付着量制御装置ではノズル153と鋼板151の距離を測定する検出器は備えられていない場合が多い。しかしこの場合でも、鋼板151の表ノズルと裏ノズルの距離をそれぞれのノズルの位置情報から算出できるので、この距離の1/2をノズル鋼板距離、すなわちノズルギャップDとみなせば良い。
次に、めっき付着量制御装置100の構成を説明する。めっき付着量制御装置100は上位計算機140から、次回処理される鋼板151に対応した目標めっき付着量に加えて、その鋼板151の鋼種、板厚、板幅等の製造情報を受信する。製造情報としては、めっき付着量の上下限値や鋼板の規格情報等が含まれる場合もある。
めっき付着量制御装置100は、めっき付着量を予測するめっき付着量予測モデル135、上位計算機140から取込んだ鋼板151の目標付着量とめっきプラント150から取り込んだノズル圧力P、板速V、ノズルギャップD等からめっき付着量予測モデル135を用いた演算で、鋼板151を制御するためのノズル圧力の指令値を計算するプリセット制御部110、ノズルギャップや板速が変化したタイミングで、これがめっき付着量に及ぼす影響を相殺するノズル圧力の値をめっき付着量予測モデル135を用いて算出し、ノズル圧力の値を補正するフィードフォワード(FF)制御部120、めっき付着量の目標値と付着量検出器155から検出しためっき付着量との偏差を算出し、これが小さくなる方向にノズル圧力を変化させるフィードバック(FB)制御部130により構成される。本実施例では簡単のため、以下、めっき付着量制御装置100の操作量がノズル圧力のみの場合を例に説明する。
さらにめっき付着量制御装置100は、めっき付着量予測モデル135が予測しためっき付着量と付着量検出器155から実測しためっき付着量の乖離を補償し、めっき付着量の予測精度を高めることを目的とした学習部136、学習部136が算出した学習値をめっき付着量や板速等の制御の動作点に対応付けて記憶する学習値記憶部137を備えている。
図2にプリセット制御部110の構成と処理を詳細に示す。プリセット制御部110は、上位計算機140から、少なくとも次回処理される鋼板151に対応した目標めっき付着量を受信し、めっきプラント150から現在のノズルギャップと板速を取り込んで、めっき付着量予測モデル135を用いて目標めっき付着量に対応したノズル圧力指令値を算出する絶対値制御部111、同様に、上位計算機140から、少なくとも今回と次回処理される鋼板151に対応した目標めっき付着量を受信し、めっきプラント150から現在のノズルギャップ、板速、ノズル圧力指令値を取込んで、今回制御している鋼板151に対する目標めっき付着量と次回制御する鋼板151の目標めっき付着量の変化量に対して変更すべきノズル圧力を計算し、現在のノズル圧力指令値に加減算することでノズル圧力指令値を算出する相対値制御部112、めっきプラント150から現在のノズル圧力、ノズルギャップ、板速、めっき付着量実測値を取込み、めっき付着量予測モデル135を用いた演算で現在のノズル圧力指令値の良好度を算出するノズル圧力良好性算出部113、めっきプラント150から取込んだ少なくともノズルギャップと板速から制御の動作点(めっき付着量、板速、ノズルギャップ、ノズル圧力等の組合せの値)を特定するとともに、学習部136から取込んだ学習の実施タイミングを用いた演算で、学習値記憶部137に記憶されている現在の動作点に対応した学習値の進捗度を算出する学習進捗度算出部114、上位計算機140から取込んだ今回と次回処理される鋼板151の目標めっき付着量の相違量、ノズル圧力良好性算出部113の出力、および学習進捗度算出部114の出力から、プリセット計算に絶対値制御部111と相対値制御部112のどちらを使用すべきか判定する最適制御選択部115、最適制御部115の出力を受信し、絶対値制御部111と相対値制御部112を切替える切替部116を備えている。
図3に絶対値制御部111が実行する処理を示す。図3の最初の処理ステップS3−1では、めっきプラント150から現在の板速VcとノズルギャップDcを取り込む。次に処理ステップS3−2で、上位計算機140から次回めっき処理される鋼板151の目標めっき付着量Wnを取り込む。さらに処理ステップS3−3で、学習値記憶部137から学習値δWnを取り込む。学習値記憶部137の構成と、学習値記憶部137を構築する学習部136の処理は、この後、図4、図5で示す。処理ステップS3−3では、上位計算機140から取り込んだ目標めっき付着量Wnとめっきプラント150から取込んだ板速Vcから学習値記憶部137の該当層別を特定し、該当層別に格納されている学習値をδWnとして取り込む。最後に、処理ステップS3−4で(2)式により、ノズル圧力のプリセット値Prefを算出する。
[数2]
Pref=f-1(Wn-δWn、Vc、Dc) (2)
本実施例で学習値δWnは、めっき付着量予測モデル135が予測した付着量が実績付着量より小さい状態を、正の値と定義している。ここで、(3)式の関係を利用して(2)式は(4)式のように変形することができ、ノズル圧力のプリセット値Prefを決定することができる。
[数3]
W=f(P、V、D)
=exp(a0+a1×ln(P)+a2×ln(V)+a3×ln(D)) (3)
[数4]
Pref=exp{(ln(Wn-δWn)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (4)
図4に学習値記憶部137の構成を示す。本実施例で学習値記憶部137はテーブルであり、めっき付着量と板速(鋼板151の速度)で層別されている。図4の例では、例えばめっき付着量が片面あたり50〜60g/m2、板速が90〜100mpmのとき、学習値としてδW25が格納されていることが示されている。
図5に学習部136の処理を示す。学習部136はたとえば、めっきの付着量検出器155で新しい付着量が検出されるたびに起動される。学習部136は処理ステップS5−1でめっきプラント150から現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力指令値Pc、実績めっき付着量Wcを取り込む。処理ステップS5−2で学習条件の成立を判定する。学習条件の成立は、前回の学習の後、概ね同一の板速、ノズルギャップ、ノズル圧力の下で、一定鋼板距離に対するめっき処理が行われたことで判定するのが一般的であるが、めっき付着量の実績値と目標めっき付着量の偏差がある値以下であることを加味したり、一定鋼板距離の代わりに一定時間に着目して学習条件成立判定することも考えられる。学習条件が成立していないときは、処理を終了する。
学習条件が成立しているときは、処理ステップS5−3で現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力指令値Pcから(1)式にしたがって、めっき付着量Weを推定する。(1)式を変形することにより、めっき付着量は(5)式により推定できる。
[数5]
We=exp{a0+a1×ln(P)+a2×ln(V)+a3×ln(D)} (5)
処理ステップS5−4でめっきプラント150から取り込んだ実績めっき付着量Wcと板速Vcから学習値記憶部137の該当層別を特定し、該当層別に格納されている学習値δWcを取り込む。処理ステップS5−5で実績めっき付着量Wcと推定めっき付着量Weの偏差を算出し、これとδWcから学習値をδWccに更新し、該当層別に格納する。
実績めっき付着量Wcと推定めっき付着量Weの偏差はめっき付着量予測モデル135の誤差に相当する。すなわち現時刻において、(5)式で与えられる推定めっき付着量に含まれている誤差を示している。学習値の更新式はたとえば(6)式で与えられる。
[数6]
δWcc = (1-α)×(Wc-We)+α×δWc (6)
(6)式で、αは学習係数(0〜1の定数)である。学習係数αは、学習値記憶部137の該当層別に現在格納されている学習値δWcと、直近得られた実績めっき付着量Wcと推定めっき付着量Weの偏差のそれぞれを、どれくらいの重みで考慮し、新しい学習値δWccを算出するかに対応する定数で、学習係数αが0のとき、現在格納されている学習値の情報は失われ、直近得られた誤差の値が学習値記憶部137の該当層別に、新たに格納される。逆に学習係数αが1のとき、直近のめっき処理状態で計算された誤差の値は無視され、学習値記憶部137に格納されている値が維持される。学習係数αが0〜1の中間値のとき、これらを学習係数αに対応した値を按分した値が学習値記憶部137に記憶される。
図6に相対値制御部112が実行する処理を示す。処理ステップS6−1で、めっきプラント150から現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力指令値Pcを取り込む。次に処理ステップS6−2で、上位計算機140から現鋼板の目標めっき付着量Wcと次に処理される鋼板の目標めっき付着量Wnを取り込む。さらに処理ステップS6−3で、学習値記憶部137から現在の動作点に対応した層別から学習値δWcを取り込む。現在の動作点に対応した層別とは、学習値記憶部137において、現鋼板の目標めっき付着量Wcと現在の板速Vcに対応した層別であり、ここに格納されている学習値をδWcとして取り込む。処理ステップS6−4で(7)式により、ノズル圧力のプリセット値Prefを算出する。
[数7]
Pref=Pc+f-1(Wn-δWc、Vc、Dc)-f-1(Wc-δWc、Vc、Dc) (7)
相対値制御部112の計算式の第1項は、めっきプラント150で現在制御に使用している圧力指令値Pcで、(7)式では、Pcを基準に、次に処理される鋼板の目標めっき付着量を実現するノズル圧力(第2項)と現在処理されている鋼板の目標めっき付着量を実現するノズル圧力(第3項)の差分を加算してPrefを算出している。絶対値制御部の計算と同様、(7)式は(8)式のように変形される。すなわち(8)式によりPrefを決定することになる。
[数8]
Pref=Pc+exp{(ln(Wn-δWc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1}
-exp{(ln(Wc-δWc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (8)
相対値制御部112で計算されたノズル圧力指令値が適切であるためには、圧力指令値Pref計算の基準となるPcが現在の付着量実績Wcと十分に対応した値であること、計算に使用する学習値δWcが現在の動作点に対応した値であること、の2つの条件を満足する必要がある。本発明では、以下、2つの条件の成立性に着目して絶対値制御部111と相対値制御部112を使い分ける方式について、説明する。
図7にノズル圧力良好性算出部113が実行する処理を示す。ノズル圧力良好性算出部113は処理ステップS7−1で、めっきプラント150から現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力指令値Pc、実績付着量Wcを取り込む。次に処理ステップS7−2で、学習値記憶部137から現在の動作点に対応した層別から学習値δWcを取り込む。現在の動作点に対応した層別とは、図4の学習値記憶部137において、現在のめっき付着量Wcと現在の板速Vcに対応した層別であり、ここに格納されている学習値をδWcとして取り込む。処理ステップS7−3で現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力指令値Pcをめっき付着量予測モデル135に代入し、取り込んだδWcで補正することで、対応するめっき付着量を推定する。すなわち、(9)式により、推定めっき付着量Weを算出する。
[数9]
We=exp{a0+a1×ln(P)+a2×ln(V)+a3×ln(D)}+δWc (9)
処理ステップS7−4で現在の実績付着量Wcと推定めっき付着量Weの偏差の大きさから、現在のノズル圧力設定値Pcの良好度Gnを定量化する。たとえば、(10)式のように、定量化すればよい。ここで、abs()は絶対値を表している。
[数10]
Gn=abs(Wc-We)/{(Wc+We)/2} (10)
なお、図7では推定めっき付着量と実績めっき付着量の偏差の大きさからノズル圧力設定値Pcの良好度Gnを定量化する例を示したが、ノズル圧力を推定してノズル圧力設定値と比較したり、板速やノズルギャップを推定して、それぞれの実績と比較することでも、現在のノズル圧力設定値Pcの良好度を定量化できる。
図8に学習進捗度算出部114が実行する処理を示す。本実施例では学習の進捗度を、めっき処理されている鋼板の学習回数を積算し、次回めっき処理される鋼板のためのプリセット計算を行うタイミングで、現在の動作点に対応して積算された学習回数にしたがって定量化する例を示す。すなわち、当該動作点で十分な回数の学習が行われたことをもって学習が進捗したと判定し、そうでないとき学習の進捗度を不十分と判定する。
学習の進捗度は、鋼板151毎に定量化する必要があるため、図8の処理も鋼板151毎に行う。処理ステップS8−1で、学習部136が学習を行ったかどうかを判定する。学習が行われた場合は、処理ステップS8−2で学習回数を積算する。処理ステップS8−3〜8−4で動作点の変更を判定する。処理ステップS8−3で、めっきプラント150から現在の板速Vcと実績付着量Wcを取り込み、記憶する。処理ステップS8−4で板速Vcと実績付着量Wcを前回記憶したVcおよびWcと比較し、いずれかが一定以上異なるとき、動作点の変更があったと判定し、処理ステップS8−5で積算していた学習回数をリセットする。処理ステップS8−6で次回処理される鋼板151のプリセット計算を行うタイミングかどうかを判定する。プリセットタイミングでないとき、処理ステップS8−1〜8−5の計算を繰り返す。プリセットタイミングのときは処理ステップS8−7に進み、積算されている学習回数から学習進捗度を定量化する。
積算されている学習回数は相対値制御部112が(7)式あるいは(8)式で使用するδWcが、何回の学習更新処理の結果得られたかを示しており、これが多いとき、当該層別で十分な学習が行われたことを示している。積算されている学習回数をNとすると、学習進捗度Gmは例えば(11)式で評価できる。ここでαは、(6)式で用いたと同じ学習係数(0〜1の定数)である。
[数11]
Gm=1-αN (11)
図9に最適制御選択部115が実行する処理を示す。最適制御選択部115は現在めっき処理されている鋼板と次回めっき処理される鋼板のめっき付着量の差の大きさに加え、ノズル圧力良好性算出部113の出力と学習進捗度算出部114の出力を総合的に判断し、ノズル圧力指令値を絶対値計算部111と相対値計算部112のどちらをプリセット制御部の出力にするかを選択する。
処理ステップS9−1で上位計算機140から、現在めっき処理されている鋼板151の目標付着量Wcと次回処理される鋼板151の目標めっき付着量Wnを取り込む。処理ステップS9−2でWcとWnの差である目標値変更量が大きいかどうかを判定する。目標値変更量があらかじめ定められた値より大きい場合は、処理ステップS9−8に進み、絶対値制御部111を選択し、切替え信号を切替部116に出力する。目標値変更量が大きいかどうかの判定に使用する値は、定数でも良いし、めっきの種類や目標付着量により異なる値でも良い。また目標付着量の差でも良いし、目標付着量の比率にしたがって判定しても良い。目標値変更量があらかじめ定められた値より大きくない場合は、処理ステップS9−3に進みノズル圧力良好性算出部113からノズル圧力良好度判定結果Gnを取り込む。処理ステップS9−4でGnがあらかじめ定められた値より小さい場合は、現在のノズル圧力設定値は良好ではないと判断することで処理ステップS9−8に進み、絶対値制御部111を選択し、切替え信号を切替部116に出力する。同様にGnと比較する値は定数でも良いし、めっきの種類や目標付着量により異なる値でも良い。Gnがあらかじめ定められた値より大きくない場合は、処理ステップS9−5に進み学習進捗度判定部114から学習進捗度Gmを取り込む。処理ステップS9−6でGmがあらかじめ定められた値より小さい場合は、学習は進捗していないと判定することで処理ステップS9−8に進み、絶対値制御部111を選択し、対応する切替え信号を切替部116に出力する。同様にGmと比較する値は定数でも良いし、めっきの種類や目標付着量により異なる値でも良い。処理ステップS9−6で学習が進捗していると判断された場合は処理ステップS9−7に進み、相対値制御部112を選択し、切替え信号を切替部116に出力する。すなわちめっき付着量の目標値変更量が小さく、現在のノズル圧力設定値が良好で、学習が進捗しているとき、プリセット制御部110のプリセット信号として、相対値制御部112が選択される。
本実施例では、めっき付着量の目標値変更量の差、ノズル圧力良好度判定結果Gn、学習進捗度Gmの3つの指標を用いて絶対値制御部111と相対値制御部112を選択したが、これらのうちのいずれかひとつまたはふたつの指標のみで、選択しても良い。
図10にフィードフォワード(FF)制御部120の処理を示す。FF制御部120の処理は、たとえば所定の時間間隔で定周期実行される。FF制御部120は処理ステップS10−1で、めっきプラント150から現在の板速Vc、ノズルギャップDc、ノズル圧力Pc、付着量検出器155で計測した付着量Wcを取り込む。処理ステップS10−2で板速VcとノズルギャップDcの少なくともどちらかに変更があったかを判定する。どちらも変更ない場合は、処理を終了する。変更があった場合は処理ステップS10−3で、上位計算機から現在処理されている鋼板151の目標付着量Wcを取りこむ。さらに処理ステップS10−4で学習値記憶部137から、図6と同様に形態で、現在の動作点に対応した層別から学習値δWcを取り込む。
処理ステップS10−5で板速およびノズルギャップの変更量がめっき付着量に与える影響を相殺するノズル圧力変更量を算出し、現在のノズル圧力指令値Pcに加算し、FF制御実行後のノズル圧力指令値Prefを算出する。Prefは相対値制御部112の計算と同様に、(12)式により算出できる。右辺の第2項と第3項により、板速およびノズルギャップの変更量がめっき付着量に与える影響を相殺するノズル圧力変更量を求めることができる。ここで、Vcpは変更前の板速、Dcpは変更前のノズルギャップである。
[数12]
Pref=Pc+exp{(ln(Wc-δWc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1}
-exp{(ln(Wc-δWc)-a0-a2×ln(Vcp)-a3×ln(Dcp))/a1} (12)
図11にフィードバック(FB)制御部130の処理を示す。FB制御部130の処理は、たとえば所定の時間間隔で定周期実行される。FB制御部120は処理ステップS11−1で、めっきプラント150から付着量検出器155で計測した付着量Wcを取り込む。処理ステップS11−2でFB制御の実行条件が成立したかどうかを判定する。FB制御の実行条件が成立は、たとえば前回のノズル圧力の指令値変更から、一定時間経過したことを条件に判定すれば良い。あるいはノズル圧力指令値の変更時にノズル位置にあった鋼板151の部位が、付着量検出器155を通過し、変更後のノズル圧力に対応しためっき付着量が検出されたことを条件に判定することもできる。FB制御の実行条件が成立していない場合は、処理を終了する。FB制御の実行条件が成立している場合は処理ステップS11−3で、上位計算機から現在処理されている鋼板151の目標付着量Wcを取りこむ。
そして処理ステップS11−4で(13)式により、目標付着量Wcと計測した付着量Wcとの偏差を減じるノズル圧力変更量を算出し、現在のノズル圧力指令値Pcに加算し、FB制御実行後のノズル圧力指令値Prefを算出する。ここでβは制御ゲインである。右辺の第2項により、めっき付着量偏差を減じるためのノズル圧力変更量を求めることができる。
[数13]
Pref=Pc+β×(Wc−Wc) (13)
最終的にめっき付着量制御部100からは、プリセット制御部100、FF制御部120、FB制御部130の出力を総合した値が、ノズル圧力指令値としてめっきプラント150に出力される。
本実施例では、制御の操作量がノズル圧力の場合を例に説明したが、実際のプラントでは操作量がノズルギャップの場合もあるし、ノズル圧力とノズルギャップの両方の場合もある。いずれの場合も、本発明の考え方をそのまま適用できる。また学習値記憶部137をめっき付着量と板速の二つの項目で層別されたテーブルとしたが、層別項目を減らしたり、逆にノズルギャップ等を追加して増やしたり、板速をノズルギャップで差し替えた構成とすることも可能である。あるいは層別することなく、学習値を定数で記憶しても良い。いずれの場合も、本発明をそのまま適用できる。
本実施例では、(5)式あるいは(6)式の第3項の計算に、現在処理されている鋼板の目標めっき付着量Wcを使用したが、代わりにめっきプラント150から取り込んだめっき付着量の実績値Wcを使用することも考えられる。現鋼板の処理が進むにしたがって後で述べるフィードバック制御の効果により、めっき付着量の実績値Wcは現鋼板の目標めっき付着量Wcと、概ね一致するからである。このとき、(5)式、(6)式は以下の(14)式、(15)式のように書き直される。
[数14]
Pref=Pc+f-1(Wn-δWc、Vc、Dc)-f-1(Wc-δWc、Vc、Dc) (14)
[数15]
Pref=Pc+exp{(ln(Wn-δWc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1}
-exp{(ln(Wc-δWc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (15)
この例でノズル圧力指令値Prefは、(15)式により算出される。さらに本実施例では、図4の学習値記憶部137から、現鋼板のめっき付着量と現在の板速に対応した層別に格納される学習値を抽出し、(5)式あるいは(6)式の第2項および第3項の計算に使用したが、代わりに次回処理される鋼板の目標めっき付着量Wnと現在の板速Vcに対応した層別に格納される学習値δWnを抽出し、使用することも考えられる。このとき、(5)式、(6)式は以下の(16)式、(17)式のように書き直される。この例でノズル圧力指令値Prefは、(17)式により算出される。
[数16]
Pref=Pc+f-1(Wn-δWn、Vc、Dc)-f-1(Wc-δWn、Vc、Dc) (16)
[数17]
Pref=Pc+exp{(ln(Wn-δWn)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1}
-exp{(ln(Wc-δWn)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (17)
まためっき付着量予測精度が低下する恐れはあるが、簡単のため、学習値を使用しない計算でノズル圧力指令値Prefを算出することも考えられる。このとき絶対値制御部111が計算するノズル圧力指令値Prefは、(18)式で表され、また相対値制御部112が計算するノズル圧力指令値Prefは、(19)式となる。いずれの場合も、本発明をそのまま適用することができる。
[数18]
Pref=exp{(ln(Wn)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (18)
[数19]
Pref=Pc+exp{(ln(Wn)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1}
-exp{(ln(Wc)-a0-a2×ln(Vc)-a3×ln(Dc))/a1} (19)
本実施例ではめっき付着量予測モデル135が(1)式で表される場合を例に説明したが、現実のめっき付着量は、ポット152内の溶融めっきや鋼板151の温度、ノズル153の溶融めっきからの液面高さ、ノズル153の鋼板151に対するガス噴射角等によっても変化するため、これらを考慮した数式も種々提案されている。めっき付着量予測モデル135がこのように多数の変数を考慮した数式であったとしても、本発明をそのまま適用できる。
本発明はめっき付着量の目標値を変更しながら連続的にめっき処理を行うめっき付着量制御に、広く適用することができる。
100:めっき付着量制御装置
110:プリセット制御部
111:絶対値制御部
112:相対値制御部
113:ノズル圧力良好性算出部
114:学習進捗度算出部
115:最適制御選択部
116:切替部
120:フィードフォワード制御部
130:フィードバック制御部
135:めっき付着量予測モデル
136:学習部
137:学習値記憶部
140:上位計算機
150:めっきプラント
151:鋼板
153:ノズル
155:付着量検出器

Claims (10)

  1. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルと、該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するプリセット制御部を備えためっき付着量制御装置であって、
    前記プリセット制御部は、前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出する絶対値制御部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出する相対値制御部と、
    めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから、前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値かどうかを評価するノズル圧力良好性算出部と、
    前記ノズル圧力良好性算出部の評価結果にしたがい、現在のノズル圧力指令値が良好なときは前記第3のノズル圧力を、良好でないときには前記第1のノズル圧力をプリセット制御部の出力として選択する最適制御選択部を備えたこと
    を特徴とするめっき付着量制御装置。
  2. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルと、該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するプリセット制御部を備えためっき付着量制御装置であって、
    前記プリセット制御部は、前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出する絶対値制御部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出する相対値制御部と、
    めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出する学習部と、
    前記学習値を、めっき付着量、鋼板速度、ノズルギャップ、ノズル圧力のうちのいくつかで層別される制御の動作点に対応付けて格納する学習値記憶部と、
    現在の制御の動作点に対応した前記学習部の学習回数から学習の進捗度を定量化し、前記めっき付着量予測モデルの予測精度を十分に高められる程に学習が進捗しているかどうかを評価する学習進捗度算出部と、
    前記学習進捗度算出部の出力にしたがい、学習値が進捗しているときは前記第3のノズル圧力を、そうでないときには前記第1のノズル圧力をプリセット制御部の出力として選択する最適制御選択部を備えたこと
    を特徴とするめっき付着量制御装置。
  3. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルと、該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するプリセット制御部を備えためっき付着量制御装置であって、
    前記プリセット制御部は、前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出する絶対値制御部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出する相対値制御部と、
    めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから、前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値かどうかを評価するノズル圧力良好性算出部と、
    めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出する学習部と、
    前記学習値を、めっき付着量、鋼板速度、ノズルギャップ、ノズル圧力のうちのいくつかで層別される制御の動作点に対応付けて格納する学習値記憶部と、
    現在の制御の動作点に対応した前記学習部の学習回数から学習の進捗度を定量化し、前記めっき付着量予測モデルの予測精度を十分に高められる程に学習が進捗しているかどうかを評価する学習進捗度算出部と、
    前記現在のノズル圧力指令値が良好で、
    かつ、現在の制御の動作点に対応する学習が進捗しており、
    かつ、現在めっき処理されている鋼板の目標めっき付着量と、次回めっき処理される鋼板の目標めっき付着量の差が予め与えられた値より小さいとき、
    プリセット制御部の出力として前記第3のノズル圧力を選択し、それ以外のときは前記第1のノズル圧力を選択する最適制御選択部を備えたこと
    を特徴とするめっき付着量制御装置。
  4. 請求項3に記載のめっき付着量制御装置であって、
    前記ノズル圧力良好性算出部は、
    前記めっきプラントから少なくとも鋼板速度、ノズル圧力、ノズルギャップを取り込み、
    前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値について、現在の動作点に対応する学習値を取り込み、
    取り込んだ値を前記めっき付着量予測モデルに入力することでめっき付着量を予測し、
    予測しためっき付着量と前記めっきプラントから取り込んだめっき付着量実績値との乖
    離が小さいことに対応付けてノズル圧力指令値の良好性を評価することを特徴とするめっき付着量制御装置。
  5. 請求項2または請求項3に記載のめっき付着量制御装置であって、
    前記学習部は前記めっきプラントから少なくとも鋼板速度、ノズル圧力、ノズルギャップの値を取り込み、
    前回の学習の後、同一の鋼板速度、ノズル圧力、ノズルギャップの下で、一定の鋼板距離に対するめっき処理が行われたことで学習条件の成立を判定し、
    学習条件が成立したとき、前記取り込んだ値を前記めっき付着量予測モデルに入力してめっき付着量を予測し、
    予測しためっき付着量と前記めっきプラントから取り込んだめっき付着量実績値の偏差を用いて学習値記憶部の前記制御の動作点に対応する層別の学習値を更新し、
    前記学習進捗度算出部は、各鋼板について、前記学習部が学習した回数を積算するとともに、前記制御の動作点が変わると積算値をリセットする処理を繰り返し、
    プリセット制御のタイミングで、現在の動作点で積算された学習回数が多いことに対応付けて学習進捗度を評価すること
    を特徴とするめっき付着量制御装置。
  6. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルと、該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するプリセット制御部を備えためっき付着量制御装置であって、
    前記プリセット制御部は、
    めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出する学習部と、
    前記学習値を、めっき付着量、鋼板速度、ノズルギャップ、ノズル圧力のうちのいくつかで層別される制御の動作点に対応付けて格納する学習値記憶部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取り込み、前記学習値記憶部から次回のめっき処理に対応した制御の動作点の第1の学習値を取り込み、前記めっき付着量予測モデルと前記第1の学習値を用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第4のノズル圧力を算出する絶対値制御部と、
    前記めっきプラントから現時点の少なくとも鋼板速度とノズルギャップを取り込み、前記学習値記憶部から今回のめっき処理に対応した制御の動作点の第2の学習値を取り込み、前記めっき付着量予測モデルと前記第2の学習値を用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第5のノズル圧力を算出し、前記めっき付着量予測モデルと前記第2の学習値を用いて今回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第6のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第5のノズル圧力を加算し、前記第6のノズル圧力を減じることで第7のノズル圧力を算出する相対値制御部と、
    めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから、前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値かどうかを評価するノズル圧力良好性算出部と、
    前記ノズル圧力良好性算出部の評価結果にしたがい、現在のノズル圧力指令値が良好なときは前記第4のノズル圧力を、良好でないときには前記第7のノズル圧力をプリセット制御部の出力として選択する最適制御選択部を備えたこと
    を特徴とするめっき付着量制御装置。
  7. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルと、該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するプリセット制御部を備えためっき付着量制御装置であって、
    前記プリセット制御部は、
    めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出する学習部と、
    前記学習値を、めっき付着量、鋼板速度、ノズルギャップ、ノズル圧力のうちのいくつかで層別される制御の動作点に対応付けて格納する学習値記憶部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取り込み、前記学習値記憶部から次回のめっき処理に対応した制御の動作点の第1の学習値を取り込み、前記めっき付着量予測モデルと前記第1の学習値を用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第4のノズル圧力を算出する絶対値制御部と、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取り込み、前記学習値記憶部から今回のめっき処理に対応した制御の動作点の第2の学習値を取り込み、前記めっき付着量予測モデルと前記第2の学習値を用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第5のノズル圧力を算出し、前記めっき付着量予測モデルと前記第2の学習値を用いて今回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第6のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第5のノズル圧力を加算し、前記第6のノズル圧力を減じることで第7のノズル圧力を算出する相対値制御部と、
    めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから、前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値かどうかを評価するノズル圧力良好性算出部と、
    前記現在のノズル圧力指令値が良好で、
    かつ、現在の制御の動作点に対応する学習が進捗しており、
    かつ、現在めっき処理されている鋼板の目標めっき付着量と、次回めっき処理される鋼板の目標めっき付着量の差が予め与えられた値より小さいとき、
    プリセット制御部の出力として前記第4のノズル圧力を選択し、それ以外のときは前記第7のノズル圧力を選択する最適制御選択部を備えたことを特徴とするめっき付着量制御装置。
  8. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、
    少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルを備え、
    該めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するめっき付着量制御方法であって、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出し、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出し、
    めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから、前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値かどうかを評価し、
    現在のノズル圧力指令値が良好なときは前記第3のノズル圧力を、良好でないときには前記第1のノズル圧力を前記めっきプラントに出力すること
    を特徴とするめっき付着量制御方法。
  9. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、
    少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測モデルを備え、
    前記めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するめっき付着量制御方法であって、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出し、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出し、
    めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出し、
    前記学習値を、めっき付着量、鋼板速度、ノズルギャップ、ノズル圧力のうちのいくつかで層別される制御の動作点に対応付けて格納し、
    現在の制御の動作点に対応した学習の学習回数から学習の進捗度を定量化し、前記めっき付着量予測モデルの予測精度を十分に高められる程に学習が進捗しているかどうかを評価し、
    学習値が進捗しているときは前記第3のノズル圧力を、そうでないときには前記第1のノズル圧力を出力すること
    を特徴とするめっき付着量制御方法。
  10. 連続的に送られてくる鋼板を溶融めっきの浴槽に浸し、溶融めっきが付着した鋼板にノズルから高圧のガスを吹き付け、不要なめっきを落とすことで鋼板に所望の厚みのめっきを付着させるめっきプラントを制御するために、
    少なくとも鋼板速度、ガスの圧力(ノズル圧力)、ノズルと鋼板の距離(ノズルギャップ)と、これに対応して鋼板に付着するめっき付着量の関係を記述しためっき付着量予測
    モデルを備え、
    前記めっき付着量予測モデルを用いた演算で、次回めっき処理される鋼板に所望の量のめっきを付着させるためノズル圧力を算出するめっき付着量制御方法であって、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて次回めっき処理される鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第1のノズル圧力を算出し、
    前記めっきプラントから少なくとも現時点の鋼板速度とノズルギャップを取込み、前記めっき付着量予測モデルを用いて今回めっき処理されている鋼板に対して所望のめっき付着量を実現する第2のノズル圧力を算出し、前記めっきプラントから取り込んだ現在のノズル圧力指令値に前記第1のノズル圧力を加算し、前記第2のノズル圧力を減じることで第3のノズル圧力を算出し、
    前記現在のノズル圧力指令値が現在めっき処理されている鋼板に所望のめっきを付着させるための良好な値であることを、めっき付着量、ノズル圧力、板速、ノズルギャップのいずれかについて、現時点におけるその実測値と前記めっき付着量予測モデルを用いて求めた推定値の偏差の大きさから評価し、
    かつ、現在の制御の動作点に対応する学習が進捗していることを、めっき付着量の実績値と推定値の偏差を用いて、前記めっき付着量予測モデルの予測精度に関する学習値を算出し、現在の制御の動作点に対応した学習の学習回数から学習の進捗度を定量化して評価し、
    かつ、現在めっき処理されている鋼板の目標めっき付着量と、次回めっき処理される鋼板の目標めっき付着量の差が予め与えられた値より小さいとき、
    前記第3のノズル圧力を出力し、それ以外のときは前記第1のノズル圧力を出力することを特徴とするめっき付着量制御方法。
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