以下、図面を適宜参照して、実施の形態について説明する。本明細書の全体を通じて同一要素には、特に断らない限り、同一符号を付す。添付の図面と共に以下に記載される事項は、例示的な実施の形態を説明するためのものであり、唯一の実施の形態を示すためのものではない。例えば、実施の形態において動作の順序が示された場合、動作の順序は、全体的な動作として矛盾が生じない範囲で、適宜に変更されてもよい。
複数の実施形態及び/又は変形例を例示した場合、或る実施形態及び/又は変形例における一部の構成、機能及び/又は動作は、矛盾の生じない範囲で、他の実施形態及び/又は変形例に含まれてもよいし、他の実施形態及び/又は変形例の対応する構成、機能及び/又は動作に置き換えられてもよい。
また、実施の形態において、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、説明が不必要に冗長になること、及び/又は、技術的な事項又は概念が曖昧になることを回避して当業者の理解を容易にするために、公知又は周知の技術的な事項の詳細説明を省略する場合がある。また、実質的に同一の構成、機能及び/又は動作についての重複説明を省略する場合がある。
添付図面および以下の説明は、実施の形態の理解を助けるために提供されるものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、以下の説明で使われる用語は、当業者の理解を助けるために他の用語に適宜に読み替えられてもよい。
<実施の形態1>
[システム構成例]
図1は、実施の形態に係る介護記録支援システムの構成例を示す図である。図1に示す介護記録支援システム1は、例示的に、送信機10、受信機30、及び、情報処理装置70を備える。なお、送信機10及び受信機30は、いずれも無線機の一例である。「無線機」は、「無線装置」又は「無線局」と称されてもよい。
送信機10及び受信機30には、非限定的な一例として、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、又は、BLE(Bluetooth low energy)といった、免許及び登録が不要な小電力の無線通信規格に準拠した無線局が適用されてよい。
本実施の形態において、送信機10は、例えば特定の場所又は物体に固定設置された固定局であり、受信機30は、例えば人によって持ち運びが可能な移動局である。送信機10及び受信機30は、それぞれ、非限定的な一例として、幅(W)が数十ミリメートル(mm)、高さ(H)が数十mm、厚み(D)が十数mm、重さが数十グラム(g)程度の小型の送信機及び受信機である。固定局である小型送信機10は、「小型発信器10」と称されてもよい。
固定局10は、例示的に、周期的にビーコン信号を送信する。ビーコン信号は、無線電波による発信信号の一例である。固定局10は、複数の場所にそれぞれ設置されてよい。固定局10が設置される場所の一例としては、戸建て住宅における何れかの部屋、アパート又はマンションといった集合住宅における何れかの部屋、あるいは、介護施設における何れかの部屋のような、屋内空間が挙げられる。
複数の部屋の一部又は全部に、固定局10が設置されてもよい。例えば、固定局10は、少なくとも被介護者(又は「要介護者」と称されてもよい)が位置する部屋に設置されてよい。なお、固定局10の設置場所は、屋内に限られなくてよく、屋外あるいは屋外に設置された構造物に設置されてもよい。
一方、移動局30は、例えば、被介護者を介護する者(以下「介護者」と称する)によって携帯されてよい。介護者の一例としては、被介護者の親族に限られず、例えば、介護施設、あるいは、訪問介護といった介護サービスに従事する者(以下「介護スタッフ」あるいは「ヘルパー」と称することがある)が想定される。
介護スタッフは、介護サービスにおいて、例えば、移動局30を携帯して複数の介護者の家又は部屋を訪問する。介護スタッフの訪問に伴って移動局30は、図1に例示したように移動する。
このような移動(訪問)において、移動局30が訪問先の家又は部屋に設置された固定局10の通信エリア内に入った場合、移動局30は、固定局10の送信するビーコン信号を受信する。移動局30が移動によって固定局10の通信エリアから外れた場合、移動局30においてビーコン信号が受信されなくなる。
したがって、例えば、移動局30において、受信したビーコン信号(例えば、受信電波強度)を逐次的(別言すると、時系列)に記録(記憶)しておくことで、介護スタッフの訪問先および訪問先への出入時刻といった情報(又はデータ)を記録、管理できる。訪問先および訪問先への出入時刻といった情報から、介護スタッフの訪問順序および訪問先の滞在時間といった情報を解析(又は特定)して管理することもできる。なお、訪問順序から介護スタッフの移動経路が推定されてもよい。
なお、上述した情報の管理は、例えば、情報処理装置70において行われてよい。例えば、所定時間の介護サービスの終了(例えば、介護スタッフの勤務時間の終了)に応じて、移動局30において記録された情報が、情報処理装置70に提供されてよい。
情報処理装置70に対する情報又はデータの提供は、記録媒体に保存された形態での提供でもよいし、移動局30と情報処理装置70との間の有線又は無線による通信を介した提供でもよい。
情報処理装置70は、例示的に、PC(パーソナルコンピュータ)、ラップトップコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、又は、PDA(personal digital assistance)であってよい。サーバコンピュータは、クラウドサーバであってもよい。
以下、介護記録支援システム1に含まれる送信機10、受信機30、及び、情報処理装置70の構成例について、項目別に説明する。なお、以下の説明において、「・・・部」という文言は、「・・・回路」、「・・・デバイス」、又は、「・・・ユニット」といった用語に相互に読み替えられてよい。
[送信機の構成例]
図2は、送信機(固定局)10の構成例を示すブロック図である。図2に例示したように、送信機10は、例示的に、アンテナ101、無線部102、制御部103、及び、電源104を備える。
アンテナ101は、無線部102から出力された無線電波(例えば、周期的なビーコン信号)を空間へ放射する。
無線部102は、無線信号の処理を行う。無線部102は、例示的に、送信部121と、無線制御部123と、を備えてよい。
送信部121は、例えば、制御部103から入力された送信信号(例えば、ビーコン信号)に対して無線送信処理を行う。無線送信処理には、例示的に、変調、増幅、及び、アップコンバート等が含まれてよい。無線送信処理によって得られた無線信号(別言すると、無線電波)は、アンテナ101から空間へ放射される。
送信機10での無線送信処理には、例示的に、小電力データ通信技術に分類されるBLEのプロトコルが適用されてよい。BLEの無線電波には、例えば、2.4GHz帯の電波が用いられる。ただし、送信機10がアンテナ101から放射する無線電波の周波数は、2.4GHz帯に限られなくてよい。なお、「小電力データ通信技術」は、「近距離無線技術」又は「省電力無線技術」と称されることもある。
無線制御部123は、例えば、送信部121の動作を制御する。一例として、無線制御部123は、上述した送信部121による無線送信処理を制御する。
制御部103は、例えば、ベースバンド信号の処理を行う。制御部103は、例示的に、信号生成部131、及び、メモリ133を備えてよい。
信号生成部131は、例えば、電源104からの電力供給に応じて、受信機30へ送信する信号(例えば、ビーコン信号)を生成する。信号生成部131は、例示的に、プロセッサによって具現されてよい。
「プロセッサ」は、演算能力を備えた回路又はデバイスの一例である。「プロセッサ」には、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、及び、DSP(digital signal processor)の少なくとも1つが用いられてよい。プロセッサは、シングルコアプロセッサでもよいしマルチコアプロセッサでもよい。演算能力を備えた回路又はデバイスは、便宜的に「コンピュータ」と称されてもよい。
メモリ133には、例えば、ROM(read only memory)、EPROM(erasable programmable ROM)、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)、RAM(random access memory)、及び、RAM(random access memory)の少なくとも1つが用いられてよい。メモリ133は、プロセッサが実行する各種プログラム、および、各種データを記憶する。メモリ133は、プロセッサのワークメモリに用いられてよい。
電源104は、例えば、送信機10に動作電力を供給する。電源104は、例示的に、送信機10に内蔵の電池(バッテリ)であってもよいし、外部の交流(AC)電源又は直流(DC)電源であってもよい。バッテリは、充電式及び非充電式の何れであってもよい。
[受信機の構成例]
図3は、受信機(移動局)30の構成例を示すブロック図である。受信機30は、図3に例示したように、アンテナ301、無線部302、制御部303、及び、電源304を備えてよい。
アンテナ301は、無線電波(別言すると、無線信号)を受信し無線部302に出力する。
無線部302は、受信した無線信号の処理を行う。無線部302は、例示的に、受信部322、及び、無線制御部323を備えてよい。
受信部322は、アンテナ301で受信された無線電波に対して無線受信処理を行う。無線受信処理には、例示的に、増幅、ダウンコンバート、及び、復調等が含まれてよい。
無線制御部323は、例えば、受信部322の動作を制御する。例えば、無線制御部323は、受信部322による無線受信処理を制御する。
制御部303は、例えば、ベースバンド信号の処理を行う。制御部303は、例示的に、信号取得部332、及び、メモリ333を備えてよい。
信号取得部332は、例えば、受信部322から入力された受信信号を基に、無線電波の受信強度情報(例えば、RSSI)を測定する。「RSSI」は、「received signal strength indicator」の略記である。「測定」という用語は、「検出」又は「検知」といった他の用語に読み替えられてもよい。測定された受信強度情報は、例えば、メモリ333に記録(記憶)されてよい。
信号取得部332は、例示的に、プロセッサによって具現されてよい。「プロセッサ」は、演算能力を備えた回路又はデバイスの一例である。「プロセッサ」には、例えば、CPU、MPU、及び、DSPの少なくとも1つが用いられてよい。プロセッサは、シングルコアプロセッサでもよいしマルチコアプロセッサでもよい。
メモリ333は、例えば、ROM、及び、RAMを有し、上述した受信強度情報のほか、プロセッサが実行する各種プログラム、および、各種データを記憶する。メモリ333は、プロセッサのワークメモリに用いられてよい。
電源304は、例えば、受信機30に動作電力を供給する。電源304は、例示的に、受信機30に内蔵の電池(バッテリ)であってもよいし、外部の交流(AC)電源又は直流(DC)電源であってもよい。バッテリは、充電式及び非充電式の何れであってもよい。
[情報処理装置の構成例]
次に、図4のブロック図を参照して、情報処理装置70の構成例について説明する。図4に例示したように、情報処理装置70は、例えば、プロセッサ701、メモリ702、ストレージ703、通信装置704、入力装置705、出力装置706、及び、バス707を備えてよい。なお、「・・・装置」は、「・・・回路」、「・・・デバイス」、又は、「・・・ユニット」といった他の用語に相互に読み替えられてもよい。
情報処理装置70の構成は、図4に例示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
例えば、プロセッサ701は図4において1つ示されているが、複数のプロセッサ701が情報処理装置70に備えられてもよい。また、プロセッサ701は、シングルコアプロセッサでもよいしマルチコアプロセッサでもよい。情報処理装置70による1つ又は複数の処理は、1つ又は複数のプロセッサ701によって逐次的に実行されてもよいし、並列的に実行されてもよい。
情報処理装置70が備える1つ又は複数の機能は、例えば、プロセッサ701が、メモリ702及びストレージ703の少なくとも1つに記憶されたプログラムを読み取ってプログラムに従った演算処理を実行することで具現される。なお、「プログラム」は、「ソフトウェア」又は「アプリケーション」と称されてもよい。
プロセッサ701は、例えば、オペレーティングシステム(OS)を動作させて情報処理装置70の動作を制御する。例えば、プロセッサ701は、通信装置704による通信、又は、メモリ702及びストレージ703の少なくとも1つに記憶されたデータの読み出し及び書き込みの少なくとも1つを制御してよい。
プロセッサ701は、周辺装置とのインタフェース(IF)、制御装置、演算装置、及び、レジスタの少なくとも1つを含むCPUによって構成されてよい。プロセッサ701には、代替的又は追加的に、MPU、DSP、及び、GPU(graphics processing unit)の少なくとも1つが用いられてよい。
また、プロセッサ701は、プログラム(又は、プログラムコード)、及び、ソフトウェアモジュール又はデータの少なくとも1つを、ストレージ703及び通信装置704の少なくとも1つからメモリ702に読み出し、読み出した情報に従って各種の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介して情報処理装置70において受信されてもよい。
メモリ702は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、及び、RAMの少なくとも1つを用いて構成されてよい。メモリ702は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ、又は、主記憶装置と称されてもよい。メモリ702には、後述する介護記録に関わる処理を実行するためのプログラム(又は、プログラムコード)、及び、ソフトウェアモジュールの少なくとも1つを記憶する。
ストレージ703は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(compact disc ROM)のような光ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、又は、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ、及び、磁気ストリップの少なくとも1つを用いて構成されてよい。ストレージ703は、補助記憶装置と称されてもよい。
通信装置704は、例えば、有線又は無線によって受信機30と通信するためのインタフェースを提供する。通信装置704は、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、又は、通信モジュールと称されてもよい。通信装置704には、受信機(移動局)30が送信した信号(例えば、メモリ333に記憶した受信強度情報)を受信する受信部が備えられてよい。
入力装置705は、外部から情報の入力を受け付ける。入力装置705には、例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、及び、センサの少なくとも1つが含まれてよい。また、入力装置705には、フレキシブルディスクドライブ、フラッシュメモリドライブといった、記録媒体を読み取り可能な周辺装置が含まれてよい。既述のとおり、当該記録媒体に、移動局30において測定された受信電波強度情報が記憶されていてよい。
出力装置706は、外部へ情報を出力する出力デバイスである。出力装置706には、例えば、ディスプレイ、スピーカ、及び、LEDランプの少なくとも1つが含まれてよい。なお、入力装置705及び出力装置706は、例えば、タッチパネルディスプレイのように一体に構成されてもよい。
上述した情報処理装置70における構成要素は、情報を通信するためのバス707によって接続されてよい。バス707は、単一のバスによって構成されてもよいし、構成要素間で異なるバスによって接続されてもよい。
また、情報処理装置70は、例えば、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)、及び、FPGA(field programmable gate array)の少なくとも1つのハードウェアを含んで構成されてもよい。当該ハードウェアによって、情報処理装置70が有する各種機能の一部又は全部が実現されてもよい。例えば、プロセッサ701は、ASIC、PLD、及び、FPGAの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
[動作例]
次に、図5及び図6を参照して、実施の形態1の動作例について説明する。なお、以下の説明においては、情報処理装置70の一例としてPCを例にする。
図5の上段には、一例として、#1宅、#2宅、及び、#3宅それぞれの一室に送信機(固定局)10が設置され、受信機(移動局)30を携帯した介護スタッフが、#1宅、#2宅、及び、#3宅に訪問して介護サービスを行う事例が模式的に示される。
例えば、介護スタッフは、#1宅、#2宅、及び、#3宅の順に、それぞれにおいて固定局10が設置された部屋を訪問した場合、移動局(受信機)30において受信した周期的なビーコン信号の受信強度情報が逐次的にメモリ333に記録される。
移動局30のメモリ333に記録された受信強度情報を例えばPC70において解析することで、図5の下段に例示したように、#1宅、#2宅、及び、#3宅のそれぞれについて介護スタッフの入室時刻および退室時刻を特定(あるいは判定、推定又は検出)できる。
入室時刻および退室時刻から#1宅、#2宅、及び、#3宅のそれぞれにおける介護スタッフの滞在時間を特定することもできる。また、介護スタッフが、#1宅、#2宅、及び、#3宅の順に訪問したこと(別言すると、介護スタッフの移動経路)も併せて特定できる。
図5には、非限定的な一例として、介護スタッフの#1宅への入室(IN)時刻が9:00、#1宅からの退室(OUT)時刻が10:20(滞在時間=1時間20分)であることが示される。同様に、図5において、#2宅への入室(IN)時刻は11:00、#2宅からの退室(OUT)時刻は11:55(滞在時間=55分)であることが例示され、#3宅への入室(IN)時刻は14:00、#3宅からの退室(OUT)時刻は15:30(滞在時間=1時間30分)であることが例示される。
なお、特定された訪問順を基に介護スタッフの訪問介護に伴う移動の経路が推定されてもよい。推定された移動経路が、例えば図5の左下に模式的に示すように、#1宅、#2宅、及び、#3宅を含むマップ上に示されてもよい。
また、推定可能な時刻の刻み幅(別言すると、粒度)は、例えば、移動局30において記録される受信強度情報の周期に依存する。例えば、固定局10によるビーコン信号の送信周期(以下「ビーコン周期」と称することがある)が短いほど受信強度情報の記録周期が短くなるため、推定可能な時刻の粒度が短くなる。別言すると、時刻の推定(又は判定)精度が向上する。
その一方で、固定局10のビーコン周期を短くするほど、固定局10の消費電力が増える。このように、ビーコン周期と固定局10の消費電力とは、相互にトレードオフの関係にある。ビーコン周期は、求められる情報の精度と固定局10の消費電力とのバランスに応じた適切な周期に設定されてよい。
非限定的な一例として、ビーコン周期が1秒の場合、固定局10は、数年程度(例えば、6年)の期間、バッテリ交換又は再充電せずに連続使用が可能である。ビーコン周期を2秒に設定した場合、固定局10の連続使用可能期間は、例えば、ビーコン周期が1秒の場合に比して、約1.5〜2.0倍程度に延長できる。
なお、図5には、同じ介護スタッフが#1宅、#2宅、及び、#3宅へ順に訪問する例を示したが、#1宅、#2宅、及び、#3宅へ訪問する介護スタッフは、#1宅、#2宅、及び、#3宅の一部又は全部について異なる介護スタッフであってもよい。また、#1宅、#2宅、及び、#3宅は、例えば、同じ建物や施設内の異なる部屋#1、部屋#2、及び、部屋#3に読み替えられてもよい。これらの点は、以降の説明においても同様である。
次に、図6を参照して、移動局30による受信強度情報(例えば、RSSI)の記録について説明する。
図6(a)には、#1宅、#2宅、及び、#3宅それぞれの一室に設置された固定局10#1、10#2及び10#3がビーコン信号を所定周期(例えば、1秒周期)で送信する例が示される。なお、#1〜#3は、それぞれ、#1宅、#2宅、及び、#3宅に設置された固定局10の識別情報(別言すると、送信元ID)を表すと捉えてよい。ビーコン信号には、当該IDが含まれてよい。
例えば、#1宅に設置された固定局10は、ID=#1を含むビーコン信号を周期的に送信する。同様に、#2宅に設置された固定局10は、ID=#2を含むビーコン信号を周期的に送信し、#3宅に設置された固定局10は、ID=#3を含むビーコン信号を周期的に送信する。
図6(b)には、介護スタッフの携行する移動局30が、電源ON後、無線電波(例えば、ビーコン信号)の連続受信待ち受け状態にあることが示される。
図6(c)には、連続受信待ち受け状態にある移動局30において測定されるRSSIの距離変化が示される。距離変化とは、例えば、ビーコン信号の発信元である固定局10からの距離に応じたRSSIの変化を表す。
一例として、図6(c)には、介護スタッフの携行する移動局30が、固定局10に接近するにつれてRSSIが増加し、固定局10から離れるにつれてRSSIが減少する例が示される。
図6(d)には、移動局30においてRSSIが単位時間(例えば1秒)毎に記録される例が示される。なお、移動局30におけるRSSIの記録先は、既述のとおり、例えばメモリ333でよい。
図6(d)に例示したように、移動局30は、受信したビーコン信号のRSSIと、当該ビーコン信号に含まれる送信元ID(以下「ビーコンID」と略称することがある)と、を、単位時間毎に時系列に記録する。
例えば、図6(d)において、t1,t2,・・・,t21,・・・は、単位時間毎の時刻(タイミング)を表し、RSSI1,RSSI2,・・・,RSSI21,・・・は、それぞれ、時刻t1,t2,・・・,t21,・・・において記録されたRSSIを表す。
なお、時刻(又は、タイミング)t1,t2,・・・,t21は、絶対時刻でもよいし、或る時刻からの相対時刻によって表されてもよい。「或る時刻」とは、例示的に、移動局30においてRSSIの記録が開始された時刻でもよいし、PC70に移動局30での記録(データ)が取り込まれた時刻でもよい。
図6(d)の例では、時刻t1〜t5の期間において、固定局10#1が送信したビーコン信号(ビーコンID=#1)のRSSI1〜RSSI5が、移動局30において記録される。また、時刻t8〜t12の期間において、固定局10#2が送信したビーコン信号(ビーコンID=#2)のRSSI8〜RSSI12が、移動局30において記録される。更に、時刻t17〜t21の期間において、固定局#3が送信したビーコン信号(ビーコンID=#3)のRSSI17〜RSSI21が、移動局30において記録される。
なお、図6(a)〜図6(d)の一部又は全部は、例えば、PC70の出力装置(例えば、ディスプレイ)706による表示(あるいは印刷でもよい)の一例と捉えてもよい。
移動局30(例えば、メモリ333)に記録されたRSSIのデータ(以下「RSSIデータ」と称することがある)は、適宜のタイミングにおいてPC70に提供されてよい。PC70において、例えば、RSSIデータを解析することで、介護スタッフの訪問先、訪問時刻、訪問先での滞在時間といった情報を生成し出力(例えば、画面表示や印刷)できる。
なお、移動局30によるRSSIの記録周期(又は記録頻度)は、例えば、移動局30のメモリ容量、及び/又は、バッテリ消費量を基に設定されてよい。例えば、長時間の行動記録をとりたい場合は、1秒よりも長い単位、例えば10秒以上の単位の記録周期に設定し、1周期の中でのRSSIの最大値を移動局30において記録する。このように、記録周期を1秒よりも長い周期に設定することで、例えば、ビーコン電波の瞬時変動に伴う記録のバラツキを抑制できる。
また、記録周期を1秒よりも長い周期、例えば10秒に設定した場合、移動局30のビーコン受信動作を例えば2秒単位でON/OFFすることで、バッテリ消費を節約できる(例えば、移動局30の動作時間を2倍にできる)。この場合、移動局30は、10秒間の中で2秒毎に5値のRSSIを取得し、5値の中の最大値をメモリ333に記録してよい。
以上のように、実施の形態1によれば、介護スタッフによる介護に伴う行動(例えば、訪問先への訪問など)を、電子的に、また自動的に、記録できる。したがって、介護スタッフによる訪問記録の失念や記録ミスを低減することができ、また、記録作業の負担を軽減できる。
また、正確な記録が得られるため、例えば、介護サービスの監督責任者は、予定どおりに介護スタッフが実際に要介護者宅に訪問、滞在したか否かといった、介護に伴う行動の適正性を確認、検証できる。また、電子的な記録であるため、例えば、要介護者、介護スタッフ、及び、監督責任者(以下「介護サービス関係者」と総称することがある)の間での情報共有も容易である。
したがって、例えば、介護スタッフと要介護者との間の訪問に関する話の食い違いを、正確な記録を基に検証でき、介護スタッフの精神的負担の軽減、介護関係者の間の信頼関係の構築、及び/又は、介護サービスに対する安心感の向上に資する。
また、例えば、監視カメラを用いて要介護者宅あるいは介護スタッフを監視しなくてもよいので、要介護者および介護スタッフのプライバシーを保護できる。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、移動局30において記録されたRSSIデータを基に、介護スタッフの訪問先、訪問時刻、滞在時間といった情報に加えて、訪問先での介護サービスの内容を、特定(判定、推定又は検出)する例について説明する。
図7は、個々の固定局10と移動局30との間の距離に対する移動局30での受信強度情報の関係およびエリア区分の一例を示す模式図である。
図7に符号91を付して例示したように、移動局30において測定される受信電波強度は、自由空間において、移動局30と固定局10との間の距離の2乗に反比例して減衰する。この減衰曲線(「理論カーブ」とも称する)91において、受信電波強度が測定されなくなる位置が、固定局10の通信エリアの限界(境界)に相当する。
一方、通信エリアの境界内側における減衰曲線91に着目すると、移動局30の固定局10に対する近接度によって減衰度が異なることが理解できる。この点に着目して、固定局10の通信エリアは、例えば、固定局10を中心とした同心円状の複数のエリア(又はゾーン)に区分できる。
非限定的な一例として、図7には、固定局10の通信エリア(別言すると、要介護者が所在するエリア)を3つのエリアA〜Cに区分した例が示される。エリアCは、例えば、固定局10に対する移動局30の近接度が他の区分エリアA及びBに比べて低いエリアである。エリアCは、例えば、建物内(室内)ではないが建物の敷地内に移動局30が位置しているケースに対応付けられる。
エリアAは、例えば、固定局10に対する移動局30の近接度が他のエリアに比べて高いエリアである。エリアAは、例えば、建物内(室内)であって移動局30が被介護者に近接しているケースに対応付けられる。
エリアBは、例えば、エリアAとエリアCとの中間的なエリアに相当し、移動局30が建物内に位置しているケースに対応付けられる。なお、図6において、エリアDは、固定局10の通信エリア外のエリア(以下「圏外エリアD」と称することがある)を示す。
また、このような固定局10に対する移動局30の近接度に応じたエリア区分(又はエリア設定)において、例えば、個々のエリアA〜Cに対して介護スタッフによる介護サービスの内容が関連付けられてよい。
非限定的な一例として、エリアA〜Cには、それぞれ、下記の表1に例示したように、「直接(身体介護)」、「訪問(生活支援)」および「立ち寄り(安否確認)」が関連付けられてよい。なお、表1に例示した情報又はデータ(以下、便宜的に「区分エリア対介護サービステーブル」と称することがある)は、例えば、PC70のストレージ703あるいはメモリ702に記憶されてよい。
「直接」(身体介護)の非限定的な一例としては、要介護者に対する清拭・整容、排泄介助、移動支援、及び、食事介助といった、要介護者に対する身体的な接触を伴う作業が挙げられる。
「訪問」(生活支援)の非限定的な一例としては、掃除、調理、洗濯、服薬確認、及び、衣類整理といった、固定局10が設置された部屋あるいは別部屋において要介護者に対してある程度の距離が保たれた状態での作業(別言すると、要介護者に対する身体的な接触を伴わない作業)が挙げられる。
「立ち寄り」(安否確認)は、例えば、要介護者が居住する建物の敷地内に介護スタッフが訪問して要介護者の安否確認を行ったという作業である。
以上のように、RSSIの距離変化に応じて区分されたエリアA〜Cのそれぞれに介護サービスの内容を関連付けることで、移動局30において記録されたRSSIデータを基に、例えばPC70において、介護スタッフが訪問先で実施した介護サービス内容を特定できる。別言すると、RSSIデータを基に、介護スタッフと要介護者との関わりの程度(「関わり度」あるいは「介護度」と称してもよい)を特定できる。
なお、RSSIの変化(増加)が区分エリアCへの進入を示した場合の時刻が、介護スタッフの要介護者宅への入り時刻に相当し、RSSIの変化(減少)が区分エリアCからの離脱を示した場合の時刻が、要介護者宅からの出時刻に相当すると捉えてもよい。
別言すると、既述の実施の形態1において、介護スタッフが訪問先へ何時訪問し何時訪問先から退去したかという情報は、要介護者に対する関わり度に関する情報の一態様と捉えることができる。
なお、圏外エリアDには、例えば、介護スタッフが要介護者宅に訪問していないことを示す情報が関連付けられてもよいし、「移動中」といった、介護サービスに関連する作業とは異なる何らかの作業が関連付けられてもよい。
移動局30が区分エリアA〜Cおよび圏外エリアDの何れに属するかという判定(以下「エリア判定」又は「ゾーン判定」と称することがある)は、例示的に、RSSIの閾値判定によって行われてよい。
ここで、図7に符号92を付して例示したように、移動局30において測定される実際のRSSI(以下「RSSI実測値」と称することがある)は、周辺反射や人体の影響等によって、固定局10と移動局30との位置関係および時間に応じて変動し得る。
そのため、本実施の形態において、「エリア判定」には、例えば、その区分エリアに入らない限り到達しないRSSIの最大値が用いられてよい。別言すると、移動局30は、単位時間毎にRSSIの最大値を記録してよい。なお、図7において、理論カーブ91は、符号92で示した距離に応じたRSSI実測値の最大値をトレースした軌跡に相当すると捉えてもよい。
区分エリアA〜C及び圏外エリアDのエリア判定には、図7において例示したように、RSSIに対する3つの閾値Th1,Th2及びTh3(Th1>Th2>Th3)が用いられてよい。
図8は、閾値Th1,Th2及びTh3を用いたエリア判定の一例を示すフローチャートである。図8に例示したように、PC70は、例えば、移動局30からRSSIデータの入力を受ける(S11)。
そして、PC70は、例えば、RSSIデータと閾値Th1,Th2及びTh3とを比較する(S12,S13,S14)。比較の結果がRSSI≧Th1の場合(S12でYes)、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、エリアA内に位置すると判定してよい(S15)。あるいは、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、少なくともエリアB、C及びDの何れかには位置していないと判定してもよい。
比較の結果がTh2≦RSSI<Th1の場合(S12でNoかつS13でYes)、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、エリアB内に位置すると判定してよい(S16)。あるいは、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、少なくともエリアC及びDの何れかには位置していないと判定してもよい。
同様に、比較の結果がTh3≦RSSI<Th2の場合(S13でNoかつS14でYes)、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、エリアC内に位置すると判定してよい(S17)。あるいは、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、少なくとも圏外エリアDには位置していないと判定してもよい。
また、比較の結果がRSSI<Th3の場合(S14でNo)、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、圏外エリアDに位置すると判定してよい(S18)。あるいは、PC70は、介護スタッフ(の携行する移動局30)が、少なくともエリアA、B及びCの何れかには位置していないと判定してもよい。
S15〜S18に示した判定結果の何れかが得られた場合、PC70は、例えば、未処理のRSSIデータが存在するか否かを確認する(S19)。未処理のRSSIデータが存在する場合(S19でYes)、PC70は、処理をS12に戻す。未処理のRSSIデータが存在しない場合(S19でNo)、PC70は、処理を終了してよい。
なお、エリアBおよびエリアCの範囲は、それぞれ、固定局10が設置された訪問先の建物構造によって異なり得るため、実運用における閾値Th1,Th2およびTh3は、使用環境に応じて(例えば、訪問先宅毎に)個別に設定されてよい。
また、PC70は、例えば図8のフローチャートに示した判定条件と判定結果とをテーブル化し、テーブル引きによって、上述したエリア判定を行ってもよい。当該テーブルは、例えば図4に示したストレージ703あるいはメモリ702に記憶されてよい。
図9に、図5の比較例として、実施の形態2の動作例を模式的に示す。
図9の上段には、図5と同様に、一例として、#1宅、#2宅、及び、#3宅それぞれの一室に送信機(固定局)10が設置され、受信機(移動局)30を携帯した介護スタッフが、#1宅、#2宅、及び、#3宅に訪問して介護サービスを行う事例が模式的に示される。
図9の中段には、例えば図7に示した区分エリアA〜Cが、それぞれ、#1宅、#2宅、及び、#3宅に設置された固定局10によって形成される例が模式的に示される。
図9の下段には、介護スタッフが、#1宅に9:00に訪問し、9:00〜10:20の間に、時間経過に応じて、区分エリアC(立ち寄り)、区分エリアB(訪問)及び区分エリアCの順に位置(移動)した例が示される。この場合、介護スタッフは、区分エリアBに位置する間に、例えば、要介護者に対する生活支援(掃除、調理、洗濯、服薬確認、衣類整理など)を行ったことが特定される。
また、#2宅には、介護スタッフが11:00に訪問し、11:00〜11:55の間、区分エリアC(立ち寄り)に位置した例が示される。この場合、介護スタッフは、区分エリアCに位置する間に、例えば、要介護者に対する安否確認を行ったことが特定される。
また、#3宅には、介護スタッフが14:00に訪問し、14:00〜15:55の間に、時間経過に応じて、区分エリアC(立ち寄り)、区分エリアB(訪問)、区分エリアA(直接)、区分エリアB、区分エリアCの順に位置(移動)した例が示される。
この場合、介護スタッフは、区分エリアBに位置する間に、例えば、要介護者に対する生活支援(表1参照)を行い、区分エリアCに位置する間に、例えば、要介護者の身体介護(表1参照)を行ったことが特定される。
なお、#1宅、#2宅、及び、#3宅へ訪問する介護スタッフは、#1宅、#2宅、及び、#3宅の全部について同じ介護スタッフでもよいし、#1宅、#2宅、及び、#3宅の一部又は全部について異なる介護スタッフであってもよい。
以上のように、実施の形態2によれば、介護スタッフの携行する移動局30において記録されたRSSIデータに基づいて、例えばPC70において、区分エリアに応じた介護スタッフと要介護者との関わり度を特定できる。
したがって、実施の形態1と同様の作用効果が得られるほか、次のような作用効果が得られる。
・介護スタッフは、訪問先での要介護者に対する関わり度(例えば、介護サービス内容)を個別に記録しなくてもよいので、記録作業の負担を軽減できる。
・正確な記録が得られるため、例えば、介護サービスの監督責任者は、介護スタッフが訪問先においてどのような介護サービスを行ったかといった、介護サービス内容の適正性を確認、検証できる。
・電子的な記録であるため、例えば、介護サービス関係者の間での情報共有も容易である。
・したがって、例えば、介護スタッフの要介護者に対する放置や虐待、ネグレクト、要介護者の「盗られ妄想」といったトラブルの検証、当該トラブルに対する適正な対応、当該トラブルの未然防止などに資する。
・例えば、介護スタッフと要介護者との間の介護に関する話の食い違いを、正確な記録を基に検証でき、介護スタッフの精神的負担の軽減、介護関係者の間の信頼関係の構築、及び/又は、介護サービスの質や安心感の向上に資する。
・また、例えば、監視カメラを用いて要介護者あるいは介護スタッフを監視しなくてもよいので、要介護者および介護スタッフのプライバシーを保護できる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について、図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は、複数の固定局10の通信エリアが相互にオーバーラップする態様を模式的に示す図である。
図10に例示したように、固定局10が設置された複数の建物が近接しているために、各固定局10の通信エリアが相互に部分的にオーバーラップすることがある。また、図11に例示したように、同じ建物(例えば、介護施設)内の複数の部屋に設置された固定局10の通信エリアどうしが相互に部分的にオーバーラップすることがある。
このように、複数の固定局10の通信エリアどうしが部分的にオーバーラップする場合、移動局30において、単位時間(例えば、1分)毎にRSSIの大きい方の値(例えば、最大値)を記録することで、通信エリアを選別できる。
例えば、移動局30は、異なる固定局10の通信エリアがオーバーラップするエリアにおいて、複数の固定局10からのビーコン信号を受信することになるが、受信した各ビーコン信号のRSSIのうち大きい方の値(例えば、最大値)をメモリ333に記録する。
このような最大値記録によって、例えば、実施の形態1と同様に、介護スタッフの訪問先および訪問先への出入時刻といった情報(又はデータ)を記録、管理でき、また、実施の形態2と同様のエリア判定を行うこともできる。
<介護記録情報の活用例>
次に、図12〜図15を参照して、移動局30において記録されたRSSIデータの活用例について説明する。当該活用例は、上述した実施の形態1及び実施の形態2の何れに適用されてもよい。なお、図12〜図15に例示した図は、それぞれ、例えば、PC70の出力装置(例えば、ディスプレイ)706による表示画面(あるいは印刷)の一例と捉えてもよい。
図12は、介護施設において、複数の介護スタッフ(介護者)及び/又は複数の利用者(被介護者)の別に、RSSIデータに基づく入退室記録およびエリア判定結果の一例を時系列に示した図である。
例えば図12の上段には、介護スタッフ#A〜#Cの別に、訪問先(利用者#1〜#3の何れか)の部屋が時系列に示される。例えば、スタッフ#Aについては、深夜1時頃から3時頃までの間に、利用者#1の部屋を訪問し、深夜4時頃から早朝6時頃までの間に、利用者#3の部屋を訪問し、早朝6時頃から7時頃まで間に、利用者#2の部屋を訪問したことが示される。スタッフ#B及びスタッフ#Cについても同様である。
一方、図12の下段には、利用者#1〜#3の別に、それぞれの部屋に訪れたスタッフ(#A〜#C)が時系列に示される。なお、図12において、エリア判定結果に応じた介護度が、例えば色分けによって表示(別言すると、強調表示)されてもよい。
なお、利用者#1〜#3の区別は、例えば、RSSIデータにおける固定局10のIDに基づいて行われてよい。また、介護スタッフの区別は、例えば、移動局30のIDに基づいて行われてもよいし、PC70において移動局30からRSSIデータを取り込む際に、RSSIデータに介護スタッフの識別情報を付与することで行われてもよい。
次に、図13には、或る介護スタッフ(又は職員)が、訪問した部屋番号と入退室時刻とが時系列に示される。図13の表示態様は、例えばPC70のディスプレイ706において、介護スタッフ毎に選択的に又は並行して表示されてもよい。
次に、図14には、被介護者の部屋(部屋番号)毎に、“01”〜“24”の番号によって識別される介護スタッフ(又は職員)のうちの誰が何時から何時まで訪問し滞在したかが時系列に示される。また、介護スタッフの滞在時間毎に、例えば、RSSIが色分けによって、あるいは、RSSIに基づく既述のエリア判定結果に対応した介護度が色分けによって重畳的に示されてよい。
なお、図14において、ハッチングを付した時間帯が、色分け表示されることを示している。図14において、色分けを示すハッチングは、部分的に付されているが、全体的にRSSIあるいはエリア判定結果に応じた色分けがなされてもよい。
次に、図15には、或る特定の介護スタッフ(又は職員)についての部屋(部屋番号)毎のRSSIデータ(あるいはRSSIデータに基づく既述のエリア判定結果でもよい)が時系列に示される。RSSIデータは、強弱に応じて複数の段階に色分け表示されてもよい。なお、図15において、異なる種類のハッチングを付した部分が、RSSIの強弱に応じて異なる色が付されることを示している。
図12〜図15に例示した表示態様の一部又は全部が、例えばPC70において、選択的に、並行して、あるいは統合して、ディスプレイ706に表示されることで、介護サービス関係者間の情報共有が容易になる。したがって、例えば、介護スタッフによる介護サービスの適正性を検証することが容易になり、また、トラブル対応の適正化、トラブルの未然防止といった介護サービスの質や安心感の向上に資する。
なお、図12〜図15に例示したような視覚化による情報の提示は、上述した例とは異なる他の態様によって行われてもよい。
また、PC70におけるエリア判定、エリア判定結果に応じた介護度(あるいは介護サービス内容)の関連付けといった処理には、例えば、人工知能(artificial intelligence, AI)が用いられてもよい。
また、上述した各実施の形態においては、送信機10を要介護者が在宅(位置)するエリア(例えば、建物や部屋)に設置し、受信機30を介護者が携行する例について説明したが、両局の関係が逆転してもよい。例えば、受信機30を要介護者が位置するエリア(例えば、建物や部屋)に設置し、送信機10を介護者が携行する態様であってもよい。その場合、例えば、要介護者の在宅エリアにおいて受信機30によって記録されたRSSIデータが、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットなどの通信回線を介して情報処理装置70へ送信されてよい。
また、上述した各実施の形態においては、送信機10が固定局である例について説明したが、例えば、送信機10は、位置が変化し得るエリアや物体に設置されて移動可能であってもよい。例えば、送信機10は、車椅子や可変式ベッドといった、要介護者が利用する移動体に設置されてもよいし、要介護者に携帯されてもよい。
<他分野での応用例>
上述した介護記録支援システム1は、介護分野に限らず、他の分野に応用されてもよい。
例えば、上述したシステム1は、自動販売機における商品の補充又は入れ替えに関する作業を記録することに応用されてもよい。例えば、固定局10を自動販売機の内部に設置し、作業員が移動局30を携行する。作業員が自動販売機の扉を開いた場合、固定局10からのビーコン信号の移動局30による受信電波強度が急増する(例えば、既述の区分エリアAに相当)。したがって、作業員がどの自動販売機に対していつ補充や入れ替えといった作業を行ったかを記録できる。
また、上述したシステムは、例えば、展示会などにおける客(観覧者)の展示ブースへの立ち寄り記録に応用されてもよい。例えば、展示ブースに固定局10を設置しておき、客が例えば貸与により移動局30を携行する。展示ブースに客が近づくほど移動局30におけるビーコン信号の受信電波強度が増加する。したがって、例えば、客が展示ブースに立ち寄った時刻、滞在した時間を記録できる。
また、展示ブースを受信電波強度が高いエリアAと低いエリアBとに区分することで、当該展示ブースを区分したエリアAに配置された展示品への近接を判定できる。したがって、例えば、展示ブース内において、客の興味、関心度が高い展示品への近接(例えば、直接触った時間や展示品の説明員と関わった時間など)を記録、特定できる。
また、上述したシステムは、例えば、工場や保守現場での作業記録に応用されてもよい。例えば、保守や作業の対象である台車やトレイのそれぞれに送信機10を取り付けておくことで、台車やトレイ毎に、受信機30を携帯する作業員や保守員による作業にかかった時間、メンテナスにかかった時間などを記録できる。
以上のように、上述した各実施の形態に係るシステムは、送信機10及び受信機30ともに、接続可能なネットワークや電源の有無などに左右されない「ロケーションフリー」な活用が可能である。そのため、例えば、送信機10の車椅子への設置や工場などにおける台車やトレイへの取り付けといった活用も容易であり、実用性が高い。