JP6658099B2 - 脳波信号処理システム、脳波信号処理方法及びプログラム - Google Patents

脳波信号処理システム、脳波信号処理方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、ユーザーの脳波を観測することによってユーザーの心理状態あるいは生理状態を知る際に用いて好適な脳波信号処理システム、脳波信号処理方法及びプログラムに関する
脳内活動の分布や変化を解析することによって、ユーザーの心理状態や生理状態を推定することができる。例えば、ブレイン・マシン・インタフェース(Brain−Machine Interface)は、ユーザーの脳内活動を解析することで当該ユーザーの意思を推定して装置の操作入力とするものである(非特許文献1)。脳内活動からユーザーの感情を推定しようとする試みも様々行われている(非特許文献2)。
脳内活動の状況を推定するために広く用いられている計測手段の一つは脳波計側である。頭皮上に複数個の脳波電極を装着し、複数チャンネルの増幅が可能な脳波アンプを用いることで、脳内活動の分布を反映した脳波信号が得られる。フーリエ変換などの周波数解析を用いて求められる脳波のパワースペクトルの変化や、電極間のパワースペクトルの差異を、脳内信号源の挙動を示す指標として、ユーザーの状態推定のために用いる方法が広く用いられている。脳の異なる部位の活動に対応する異なる電極位置で観測される複数チャンネルの脳波信号の相互関係性から、ユーザーの状態を推定する方法(非特許文献3)もある。脳内信号源の相互関係性は脳波チャンネル間の相互相関係数などで数値化することができる。
ただし、頭皮上に装着された電極を用いて計測される脳波信号(以下、観測信号と称する)は、脳内や脳外に散在する複数の信号源からの電気信号が混合されたものであり、脳内の特定部位の挙動を直接的に反映するものではない。複数の信号源が存在すると仮定される場合に、特定の事象に関係する信号源を分離して解析する方法として、信号源が発する原信号の統計的独立性を仮定した独立成分分析(特許文献1、非特許文献4)などのアルゴリズムを用いた信号源分離手法が知られている。
特許第4876988号公報
「脳を活かす」研究会編、ブレイン・マシン・インタフェース−脳と機械をつなぐ、オーム社2007/9 関 大輔、横澤 宏一、純正律和音が与える印象と脳磁界活動との関係性の評価、電子情報通信学会技術研究報告.NC、ニューロコンピューティング 111(483)、371−376、2012−03−07 武田 裕司、ガンマ帯域脳波で測る関心・好感度、産総研TODAY Vol.9、pp.20、2009 金山 範明、大平 英樹、開 一夫、独立成分分析を用いた視−触覚統合処理時の脳活動の分離検討、電子情報通信学会技術研究報告、HIP、ヒューマン情報処理 109(345)、119−123、2009
ところで、脳波は、ニューロンネットワークを流れたインパルスを外部から観測した電気信号である。脳波は、主要な振動信号の周波数によって、0.4〜4Hzのデルタ波、4〜8Hzのシータ波、8〜14Hzのアルファ波および14〜26Hzのベータ波に分類されている。ただし、脳波は、インパルス(1ms程度のパルス幅の信号)の集合によって発生された電気信号であるため、広い領域の周波数成分を含んでいる。一方、頭皮上に装着された電極を用いて計測される観測信号は次のような雑音信号を含んでいる。すなわち、雑音信号には、筋線維の活動電位の変化による信号、皮膚電気活動の変化による信号、商用電源周波数の信号等がある。雑音信号の主要な信号の周波数帯域は数Hz〜数十Hz程度であり、脳波の周波数帯域と重なる。信号源の分離を行うことによって、脳内にあると想定される複数の脳波信号源からの信号と合わせて、これらの雑音信号も分離することができる。脳波信号を、選択された周波数のみを通過させるフィルタに通して、周波数が限定された信号を生成し、この周波数が限定された信号を入力とした信号源の分離を行うことで、選択された以外の周波数における信号源の関係性を無視し、選択された周波数において相互に独立した信号源を分離することが出来る。異なったパワースペクトルを持つ信号源が多数存在するため、選択する周波数を変更することで、異なる組み合わせの信号源の分離が可能になる。発明者は、信号源の分離に適した周波数成分と、ユーザーの心理状態あるいは生理状態を知るために適した周波数成分とが異なる場合があることを見出した。特に、脳波信号源の分離に適した周波数成分が、ユーザーの心理状態あるいは生理状態を知るために適した周波数成分を含まない場合においては、信号源分離の結果信号をそのまま用いる事はできない。
本発明は、上述したような事情を考慮してなされたものであり、信号源の分離に適した周波数成分と、ユーザーの心理状態あるいは生理状態を知るために適した周波数成分とが異なる場合であっても、観測信号が含む複数の脳内の信号源の各々からの信号成分を分離することができる脳波信号処理システム、脳波信号処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離する機能を備えた脳波信号処理システムであって、前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数推定部と、前記分離関数推定部が決定した前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算部と、を備えることを特徴とする脳波信号処理システムである。
本発明の一態様は、上記の脳波信号処理システムであって、前記信号成分の分離に独立成分分析を用いることを特徴とする。
本発明の一態様は、上記の脳波信号処理システムであって、前記信号成分の分離に主成分分析を用いることを特徴とする。
本発明の一態様は、上記の脳波信号処理システムであって、前記分離演算部が分離した前記各信号成分から解析に用いる周波数帯域の各信号を抽出する解析信号抽出部と、前記解析信号抽出部が抽出した前記各信号に基づき前記各信号源が発した信号間の関係性を数値化する相関演算部と、前記相関演算部が算出した前記各信号源が発した信号間の関係性に基づきユーザーの状態を推定するユーザー状態推定部とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様は、頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離する脳波信号処理方法であって、前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数決定工程と、前記分離関数決定工程で決定された前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算工程とを含むことを特徴とする脳波信号処理方法である。
本発明の一態様は、頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離するためのプログラムであって、前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数決定工程と、前記分離関数決定工程で決定された前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算工程とをコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明では、多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数が決定される。したがって、限定された周波数帯域を、例えば、決定した分離関数を用いて結果として各信号源からの信号を明瞭に分離することができ、かつ、解析対象の周波数とは異なる周波数領域に設定できれば、高い自由度で解析に適した分離関数を決定することができる。よって、本発明によれば、信号源の分離に適した周波数成分と、ユーザーの心理状態あるいは生理状態を知るために適した周波数成分とが異なる場合であっても、観測信号が含む複数の脳内の信号源信号源の各々からの信号成分を分離することができる。
本実施形態によるユーザー状態推定装置の構成例を示すブロック図である。 本実施形態による脳波計測部の構成例を示すブロック図である。 本実施形態による信号処理フローを示す図である。 4種の楽曲を聴取している時の脳波の複数チャンネルの内1チャンネルと他チャンネルとの4〜8Hzにおける相関係数の時系列変化を示すグラフである。 前記4種の楽曲を聴取している時の脳波の15〜40Hzの周波数成分を用いて独立成分分析を行って得られた独立成分の内1成分と他成分との相関係数の時系列変化を示すグラフである。 前記4種の楽曲を聴取した際の脳波の4〜8Hzの帯域を用いて独立成分分析を行って得た分離行列を用い、前記信号を分離して推定した信号源の内1個と他との8〜13Hzにおける相関係数の時系列変化を示すグラフである。
以下、本発明の脳波信号処理システムの実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、一例として、独立成分分析による脳内信号源分離を行うととともに、脳内信号源が発した信号間の相関変化を用いたユーザー状態推定を行う構成を備えている。図1は、本発明の脳波信号処理システムの一実施形態であるユーザー状態推定装置の概略構成を示すブロック図である。ユーザー状態推定装置1は、コンピュータ10と、脳波計測部11と、表示装置19とを備える。コンピュータ10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置である。図1に示した例は、コンピュータ10の外部に表示装置19を設けているが、コンピュータ10は表示装置19を内蔵していてもよい。
図1に示したコンピュータ10は、前段周波数フィルタ12と、分離行列推定部13と、分離演算部14と、後段段周波数フィルタ15と、相関演算部16と、ユーザー状態推定部17と、表示部18とを備える。前段周波数フィルタ12、分離行列推定部13、分離演算部14、後段段周波数フィルタ15、相関演算部16およびユーザー状態推定部17は、コンピュータ10を構成するCPU(中央処理装置)、記憶装置等のハードウェアと、CPUが実行するソフトウエアとから構成されている。
図2は、図1に示した脳波計測部11の概略構成を示す。脳波計測部11は接地電極21と計測チャンネルと同数以上の脳波電極22を含む。また、脳波計測部11は、増幅器24とAD(アナログ/デジタル)変換器25とを含む。接地電極21および脳波電極22は、ユーザーの頭部7にバンド22a、キャップ、ジェル剤等を用いて装着される。増幅器24は、微弱な電気信号である脳波を増幅し、AD変換器25の入力とする。AD変換器25は、増幅器24で増幅されたアナログ脳波信号をデジタル変換し、コンピュータ10の入力となるデジタル化された観測信号を生成する。ここで、観測信号は、複数チャンネルのデジタル脳波信号を含む。デジタル脳波信号は、脳波と雑音とを含むアナログ脳波信号をデジタル化した信号である。
AD変換器25は、各チャンネルのアナログ脳波信号を、例えば、4000回/秒のレートでサンプリングして、サンプリングした1サンプルを1チャンネル当たり16ビットのデジタルデータに変換する。この場合、2kHzまでの脳波信号が計測可能である。
図1に示した構成例において、前段周波数フィルタ12は、例えば高次チェビシェフ特性を持つデジタル無限インパルス応答(IIR)フィルタである。各チャンネルのデジタル脳波信号に対してフィルタリング演算を行い、例えば帯域通過フィルタの場合、低域遮断周波数と高域遮断周波数の間の周波数成分のみを含むデジタル脳波信号(帯域信号)を出力する。前段周波数フィルタ12は、観測信号に含まれる全周波数成分のうち一部の周波数成分を抽出して出力する。すなわち、前段周波数フィルタ12は、多チャンネルの観測信号から限定された周波数帯域の多チャンネルの信号(帯域信号)を出力する。
分離行列推定部13は、前段周波数フィルタ12によってフィルタリング処理された帯域信号に対して独立成分分析を実行し、分離行列を推定する。すなわち分離行列推定部13は、多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号(帯域信号)を用いて分離行列を決定する。観測信号と信号源信号の関係が線形であるとの仮定で信号源分離を行った場合、nチャンネルの観測信号をxa=(xa、xa、…、xa)(ここで、xaは前段周波数フィルタ12で帯域制限された観測信号である)、推定されたm個の信号源が発する信号をs=(s、s、…、s)とすると、xa=Asとなるn×mの混合行列Aと、s=Wxaとなるm×nの分離行列Wが得られる。
分離演算部14は、脳波計測部11が取得した観測信号xと、分離行列推定部13で推定された分離行列Wとを用いて、脳内信号源が発する信号を推定する。すなわち、分離演算部14は、分離行列推定部13が決定した分離行列を用いて、多チャンネルの観測信号から複数の信号源が発した各信号成分を分離する。分離演算部14は、帯域制限されていない観測信号x=(x、x、…、x)と、分離行列Wとを用いて、m個の信号源が発する信号ν=Wxを求める。この信号νは、観測信号の全帯域を含む。
後段周波数フィルタ15は、分離演算部14で分離された全ての周波数成分を含む信号から、解析に用いる周波数成分を抽出する。すなわち、後段周波数フィルタ15は、分離演算部14が分離した各信号成分から解析に用いる周波数帯域の各信号(目的信号)を抽出して出力する。
相関演算部16は、後段周波数フィルタ15で抽出された周波数帯域の目的信号を用いて、信号源が発した信号間の当該周波数帯域での相関係数を算出する。相関係数は信号間の関係性の強さを示す指標の一つである。この信号間の関係性の強さを示す指標としては他に位相差などを利用することができる。したがって、相関演算部16は、後段周波数フィルタ15が抽出した各信号に基づき各信号源が発した信号間の関係性を数値化するものである、ということができる。なお、信号源は、脳波電極22の各々と電気的に異なる関係を有すると仮定される信号の発生元である。
ユーザー状態推定部17は、信号源が発した信号間の相関係数で表される関係性の時系列変化に基づいて、ユーザーの状態を推定する。すなわち、ユーザー状態推定部17は、相関演算部16が算出した各信号源が発した信号間の関係性の強さを示す指標の時系列変化に基づきユーザーの状態を推定する。ユーザー状態推定部17は、例えば、予め実験的手法等によって各心理評価値の変化と各信号源が発した信号間の相関係数の時系列変化との関係を求めておくことで、信号源が発した信号間の相関係数の時系列変化から各心理評価軸での指標値を求めることができる。心理評価軸は例えば、ストレス度、関心度、嗜好度などである。分離行列や混合行列から各脳内信号源の空間位置を推定することで、脳の機能部位との関連付けを行っても良い。
表示部18は、ユーザー状態推定部17が推定したユーザーの状態を、時系列グラフや二次元マップなど、ユーザーや他の実験者が認識可能な形式で表示する画像を生成し、液晶ディスプレイ等の表示装置19に表示する。表示部18は、例えば、ストレス度、関心度、嗜好度の時系列的変化をグラフ表示する。
次に、本実施形態における信号分離処理の流れを図3を用いて説明する。また、適宜、図2を参照して説明した本実施形態の構成例について補足説明を行う。観測信号61は、例えばユーザーの前頭部3箇所の脳波電極22で計測された、3チャンネルの脳波をデジタル変換したデジタル脳波信号である。図3では、横軸を周波数、縦軸をパワーとした観測信号61のパワースペクトルを図示している。
前段周波数フィルタ12は、観測信号61の所定の周波数帯域のみを通過させ、周波数帯域が制限された帯域信号62を生成する。前段周波数フィルタ12は、上述したように例えば高次のチェビシェフ特性を持つデジタル無限インパルス応答(IIR)帯域通過フィルタであるが、バターワース特性などの他の特性の周波数フィルタであってもよい。また、前段周波数フィルタ12は、帯域通過フィルタに限るものではなく、低域通過フィルタや高域通過フィルタ、あるいは、それらの組み合わせであってもよい。前段周波数フィルタ12は、デジタル無限インパルス応答(IIR)フィルタに限るものでは無く、例えば、フーリエ変換やコサイン変換などを用いても良い。前段周波数フィルタ12は、例えば音響用イコライザーのように、特定の周波数成分を減衰あるいは強調するものであってもよい。
帯域信号62は、観測信号61から前段周波数フィルタ12によって周波数帯域が制限された脳波デジタル信号であり、計測チャネル数分のチャネル数を有する。図3では、横軸を周波数、縦軸をパワーとした帯域信号62のパワースペクトルを図示している。網掛けして示した領域は前段周波数フィルタ12を通過した周波数帯域を示し、破線で示した曲線は前段周波数フィルタ12によって阻止された周波数帯域を示す。
分離行列推定部13では帯域信号62に対して独立成分分析を実行し、分離行列63を生成する。帯域信号62から得られる独立成分64は、前段周波数フィルタ12によって阻止された周波数帯域を含まない。
分離演算部14では、観測信号61と分離行列63を用いて分離演算を行い、信号源が発する信号65を求める。信号源が発する信号65は、前段周波数フィルタ12によって阻止される周波数帯域を含む。
上述したように、本実施形態によれば、信号源が発する信号65は、観測信号の全ての帯域を含むため、信号源が発する信号の任意の目的帯域を用いた解析が可能となる。
以上のように、本実施形態のユーザー状態推定装置1(脳波信号処理システム)は、頭部に装着された2個以上の脳波電極22を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離する機能を備える。また、本実施形態のユーザー状態推定装置1は、多チャンネルの観測信号61から抽出された限定された周波数帯域の各信号(帯域信号62)を用いて分離行列(分離関数)を決定する分離行列(分離関数)推定部13と、分離行列推定部13が決定した分離行列を用いて、多チャンネルの観測信号61から各信号源が発する信号65(各信号成分)を分離する分離演算部14とを備える。これによれば、多チャンネルの観測信号61から抽出された限定された周波数帯域の各信号(帯域信号)62を用いて分離行列が決定される。ここで、限定された周波数帯域は、例えば次のようにして設定することができる。すなわち、限定された周波数帯域は、例えば、分離演算部14、相関演算部16等の演算結果を確認しながら周波数帯域を変化させる試行を複数回繰り返し、複数回分の結果を比較することで相対的に決定することができる。結果の比較は、例えば、分離された各信号の時系列変化または演算された各信号間の相関係数の時系列変化の類似点や特徴点の数量に基づいて行うことができる。なお、限定された周波数帯域は、例えば次のような領域となる場合があると推察される。すなわち、限定された周波数帯域は、例えば、観測しようとする脳波と一定の関連性の存在が推定される信号波の周波数成分が存在する周波数領域である可能性がある。あるいは、限定された周波数帯域は、例えば、観測しようとする脳波の低周波成分や高周波成分が一定程度存在する周波数領域である可能性がある。
なお、本実施形態では、独立成分分析を用いているが、周波数帯域が限定された帯域信号から、分離関数を決定し、同関数を用いて、限定された周波数帯域と限定された周波数帯域以外の周波数成分とを含む信号から、複数の信号源からの信号を分離する方法であれば、例えば、主成分分析や非線形関数などの異なる方法でもよい。したがって、分離関数は、独立成分分析の場合のように分離行列となる場合に限らず、例えば、分離パラメータの形態で算出されることもある。
また、本実施形態では、信号源が発した信号間の相関からユーザーの状態を推定しているが、フーリエ変換などの周波数解析を用いてユーザーの状態を推定しても良い。この場合においても、本実施形態の信号源分離手法により、周波数解析に用いる帯域に縛られること無く、任意の周波数帯域を用いての信号源分離が可能となるため、解析の自由度が向上する。
上述したように、本実施形態は、ユーザーに装着された脳波電極22を用いて取得された観測信号61から前段周波数フィルタ12を用いて周波数帯が限定された信号(帯域信号62)を生成し、この帯域信号62を用いて分離行列(分離関数)63を決定し、決定した分離行列63を用いて、限定された周波数帯域とその限定された周波数帯域以外の周波数成分を含む信号(観測信号61)を各信号源が発する信号65に分離し、信号源の挙動を解析することにより、ユーザーの心理状態あるいは生理状態を推定する。一般に、独立成分分析を用いる場合において、信号源分離に用いる周波数成分が、解析に用いられようとする周波成分(目的信号)を包含しない場合、本実施形態と異なる通常の処理結果として得られる独立成分には目的周波成分が含まれない。この場合、分離された各信号源の目的周波数における挙動を解析することができない。これに対し、本実施形態によれば、脳内信号源の分離に用いる帯域信号の周波数帯域が、脳内信号源の挙動の解析に用いる目的信号の周波数帯域を含まない場合においても脳内信号源の挙動の解析が可能となる。すなわち、脳内信号源の分離に用いる帯域信号の周波数帯域と、ユーザーの状態推定のために用いる目的信号の周波数帯域とを任意に選択可能となり、解析の自由度が向上し、ユーザーの状態推定の精度や感度を向上できる。
次に、本実施形態の実施例について図4〜図6を用いて説明する。図4および図5は本実施形態の実施例(図6)との比較例を示す。図4は、4種の楽曲を2分間ずつ連続して聴取した際の脳波を、複数電極で計測した観測信号の内1チャンネルと他チャンネルとの8〜13Hzの周波数帯域における相関係数の時系列変化を示している。時間経過に伴い相関係数の変化が認められるが、いずれのチャンネルペアにおいても変化の特徴は類似しているため、ユーザーの状態変化に対応する脳波特徴量は限定されたものとなる。
図5は、4〜45Hzの帯域通過フィルタを用いて観測信号の帯域を制限した後、その帯域を制限した信号に基づいて分離行列を決定し、決定した分離行列を用いて観測信号の8〜13Hzの周波数成分について独立成分分析を行って得た独立成分の内の1成分と他成分との相関係数の時系列変化を示している。独立成分の何れのペアにおいても相関係数は極めて小さい。
これらに対し、本実施形態の実施例を示す図6は、図1に示した前段周波数フィルタ12の通過帯域を4〜8Hzとし、後段周波数フィルタの通過帯域を8〜13Hzとした場合の相関係数の時系列変化を示す。すなわち、図6は、4〜8Hzと8〜13Hzの2種の帯域通過フィルタを用い、観測信号の4〜8Hzの帯域成分について独立成分分析を行って得た分離関数を用いて観測信号を分離して推定した信号源の内1個と他との8〜13Hzの周波数帯における相関係数の時系列変化を示している。相関係数の変化に加えて、信号源ペア毎の異なる特徴が現れており、ユーザーの状態変化に対応する多くの脳波特徴量を得ることができる。
図4に示した、観測信号のチャンネル間の相関には、楽曲の聴取に伴う変化が認められるが、いずれのチャンネルペアにおいても変化の特徴は類似している。一方、図6に示した、観測信号の4〜8Hzの周波数帯を用いて得た分離関数を用い、観測信号を分離して推定した信号源の内1個と他との8〜13Hzの周波数帯における相関には、信号源ペア毎の異なる特徴が見られ、本実施形態がユーザーの状態変化に対応する脳波特徴量の拡充に寄与することが示されている。
なお、本発明における脳波信号処理システムの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより信号分離処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
1…ユーザー状態推定装置
7…ユーザーの頭部
10…コンピュータ
11…脳波計測部
12…前段周波数フィルタ
13…分離行列推定部
14…分離演算部
15…後段周波数フィルタ
16…相関演算部
17…ユーザー状態推定部
18…表示部
21…接地電極
22…脳波電極
24…増幅器
25…AD変換器
61…観測信号
62…帯域信号
63…分離行列
64…独立成分
65…信号源が発する信号

Claims (6)

  1. 頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離する機能を備えた脳波信号処理システムであって、
    前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数推定部と、
    前記分離関数推定部が決定した前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算部と
    を備えることを特徴とする脳波信号処理システム。
  2. 前記信号成分の分離に独立成分分析を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の脳波信号処理システム。
  3. 前記信号成分の分離に主成分分析を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の脳波信号処理システム。
  4. 前記分離演算部が分離した前記各信号成分から解析に用いる周波数帯域の各信号を抽出する解析信号抽出部と、
    前記解析信号抽出部が抽出した前記各信号に基づき前記各信号源が発した信号間の関係性を数値化する相関演算部と、
    前記相関演算部が算出した前記各信号源が発した信号間の関係性に基づきユーザーの状態を推定するユーザー状態推定部と
    を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の脳波信号処理システム。
  5. 頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離する脳波信号処理方法であって、
    前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数決定工程と、
    前記分離関数決定工程で決定された前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算工程と
    を含むことを特徴とする脳波信号処理方法。
  6. 頭部に装着された2個以上の電極を用いて取得された多チャンネルの観測信号から、各々の前記電極と電気的に異なる関係を有すると仮定される複数の信号源からの複数の信号成分をそれぞれ分離するためのプログラムであって、
    前記多チャンネルの観測信号から抽出された限定された周波数帯域の各信号を用いて分離関数を決定する分離関数決定工程と、
    前記分離関数決定工程で決定された前記分離関数を用いて、前記多チャンネルの観測信号から前記各信号成分を分離する分離演算工程と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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