JP6654772B1 - 流動化処理土斜面保護構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】より環境保全に適した流動化処理土を用いて、安価・高品質で短期間に形成することができ、従来のモルタルやコンクリート製の保護工として利用可能な強度を備えた流動化処理土斜面保護構造物を提供する。また、特に、斜面崩壊防止に有効な流動化処理土斜面保護構造物を提供することを目的とする。【解決手段】布製型枠に流動化処理土が充填されて構成された流動化処理土斜面保護構造物であって、前記流動化処理土は、建設発生土又は建設泥土の少なくとも一方を含む調整泥水と、固化材とを含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は、流動化処理土斜面保護構造物に関し、特に、布製型枠に流動化処理土を注入して形成された流動化処理土斜面保護構造物に関するものである。
従来、法面保護工や護岸保護構造物のような土木、建築工事に用いられるコンクリート構造物を形成する工法として、場所打ちコンクリートやブロック工法等が用いられてきたが、このような従来の工法では施工の迅速性、省力化、経済性の点から工法の改良が望まれており、また、地質条件や環境に適した新たな工法の開発が期待されており、これらの課題を解決するために、所定の大きさの布製型枠にモルタルやコンクリート等のセメント系材料を充填して形成されたモルタル構造物、コンクリート構造物が知られている。
例えば、特許文献1には、「少なくとも上面地組織及び下面地組織の自由な選択が可能であり、厚さの変更も可能な繊維製型枠提供することを目的」(段落「0007」参照。)として、「複数の上面連結部を有する上面布地と、複数の下面連結部を有する下面布地と、前記上面布地及び前記下面布地のそれぞれの縁を連結する側面布地と、該側面布地に設けられた流動性モルタル又は流動性コンクリートの注入部と、を備える直方体状の繊維製型枠であって、前記上面連結部と前記下面連結部とが、タッチファスナー紐で連結されている繊維製型枠」(「請求項1」参照。)が記載され、また、この「繊維製型枠」に公知のモルタルやコンクリートを注入することが記載されている(段落「0051」参照。)。
また、特許文献2には、「急な勾配の法面、および布製コンクリート型枠が滑りやすい土質、岩質等の地盤に対して、安定に布製コンクリート型枠工法を施すことができる布製コンクリート型枠を提供することを目的」(段落「0007」参照。)ことを目的として、「上側布帛と下側布帛を有する布製コンクリート型枠であって、前記下側布帛は、前記上側布帛に直接または間接に固定された固定部と、前記上側布帛に固定されていない非固定部を有し、且つ、前記下側布帛は、下記式(1)を満足する領域xおよび領域yを含むことを特徴とする布製コンクリート型枠。Y<X・・・(1)式中、Xは前記非固定部内の直径3cmの円状の領域xにおける、前記下側布帛の内側から外側に漏出する液状コンクリートの漏出量を意味し、Yは前記固定部を含む直径3cmの円状の領域yにおける、前記下側布帛の内側から外側に漏出する液状コンクリートの漏出量(0の場合を含む)を意味する」(「請求項1」参照。)が記載され、「実施形態1に係る布製コンクリート型枠1を法面200に敷設して、液状コンクリート50を注入して固化させることにより保護用構造体100が法面に固定されている」(段落「0021」参照。)と記載されている。
また、特許文献3には「布製型枠を用いた施工に際して、材料コストが安価であり、施工面全面に植生、緑化を行うことが可能であり、さらには布製型枠の撤去にも費用がかからないようにする」(段落「0005」参照。)ことを課題として、「布製型枠の内部に改質土壌スラリーを注入して固化させた構造物であって、布製型枠が透水性布帛からなり、改質土壌スラリーが、土壌とポリマーエマルジョンを主成分として含む土壌固化剤と水からなるものであることを特徴とする布製型枠を用いた構造物」(「請求項1」参照。)が記載されている。
一方、特許文献4には、「攪拌装置を備えたアジテータ車のみならず、攪拌装置を備えていないバキュームによっても移送可能であり、且つ、200kN/m2を超える、より望ましくは強固な地盤と言われる240kN/m2を超える高い一軸圧縮強度を実現することが可能な流動化処理土による埋め戻し方法の提供を図る」(段落「0006」参照。)ことを目的として、「汚泥に対して、セメント、セメント系固化材、セメント・石灰複合系固化材、及び石灰の中から選択した固化材を加えることにより、ブリージング率3%以下の流動化処理土を製造すると共に、製造した流動化処理土で埋め戻しを行なう方法において、上記汚泥に対して調整汚泥製造工程と混練処理工程を行なうものであり、上記調整汚泥製造工程は、汚泥に対する水分調整を行なうことで、比重1.18以上1.28未満に調整した調整汚泥を得る工程であり、上記混練処理工程は、上記調整汚泥1m3に対して上記固化材を150kg以上260kg未満の範囲で加えて混練する工程であり、これらの工程によって、材齢28日の一軸圧縮強度が200kN/m2以上の流動化処理土を製造し、上記流動化処理土を、移送すると共に、ポンプによって埋め戻し空間に充填し、材齢28日の一軸圧縮強度が200kN/m2以上の埋め戻し状態を得ることを特徴とする流動化処理土による埋め戻し方法」(「請求項1」参照。)が記載されている。
また、特許文献5には、「流動化処理土の普及を促進するために、流動化処理土を低コストで効率よく製造するために、従来、流動化処理土の製造のために必要不可欠であった混練のための強制二軸ミキサや一軸連続ミキサ等の専用のミキサ装置の設備投資(機械費用,電力費用等)を不要とすることを新たな課題として設定し、この新たな課題を解決するための流動化処理土の製造方法を提供することを目的」(段落「0011」参照。)として、「土質材料に水を加えて解泥するとともに礫を除去した解泥水と、セメントを水に溶解させたセメントミルクの所定量を、それぞれトラックミキサに供給して混練することを特徴とする流動化処理土の製造方法」(「請求項1」参照。)が記載されている。
特開2011−106096号公報 特開2016−061128号公報 特開2006−037445号公報 特開2013−064314号公報 特開2018−021378号公報
特許文献1〜3に記載された発明は、従来の場所打ちコンクリート工法やブロック工法等の施工の迅速性、省力化、経済性の問題点の改良や、土壌や環境に適した新たな工法の開発を目的として形成されたいわゆる「布製型枠」に関するものであるが、この「布製型枠」に注入されるのは、いずれの発明も「モルタル」、又は、「コンクリート」等のセメント系材料であるので、この「モルタル」や「コンクリート」が注入されて形成された「布製型枠」を用いて構成された「コンクリート(モルタル)構造物」は、製造工程が多いので工期(施工期間)が長くなり、したがって、製造コストの低減化が困難である。また、従来工法では、コンカレント・機械化施工可能等の施工の迅速性の課題、省人化・ポンプ車不要等の省力化の課題、災害斜面・河川切換などフレキシビリティー(柔軟性)と性能発揮(品質)下で適用といった信頼性(品質)の課題、作業人口の低減など省人による労務負荷低減の課題、セメント使用量・ポンプ車不要・省人化などによるCO2低減といった環境負荷低減の課題がある。
また、主要な成分がモルタルやコンクリートであるから、従来の「布製型枠」にモルタルやコンクリートを充填して形成された法面保護工等の構造物は、産業廃棄物となる場合があり、産業廃棄物として処分する際には、莫大な処理費用が発生してしまう。
一方、特許文献4、5に記載の流動化処理土は、建築工事や土木工事において発生した現場発生土(「建設発生土」、「建設泥土」の総称)を利用するので、高価なモルタルやコンクリートを使用する場合に比べ、低コスト化が期待され、モルタルやコンクリートに比べれば、格段に環境に優しい材料であるものの、特許文献4、5に記載されているように、流動化処理土は、もっぱら、建築工事や土木工事において発生した現場発生土の「埋め戻し」を行うことを目的としており、流動化処理土を、布製型枠に充填して保護構造物を形成するという発想は全くなかった。
また、特許文献1〜5には、斜面災害とその防止に関しては何ら開示も示唆もされていない。斜面災害は、斜面の崩壊によって発生する。なお、斜面とは、自然斜面と人工斜面の総称であり、人工斜面には、切土斜面と盛土斜面がある。
ここで、斜面崩壊について説明する。まず、斜面崩壊の特徴であるが、斜面崩壊は、地滑り・崩壊・落石・土石流があり、切土斜面で大規模で緩慢な移動を地滑り、中・小規模で比較的急激に崩壊するものを崩壊、岩塊が単独・複数で落下するものを落石とされている。崩壊は、比較的外力が小さく対策としては少ない(地滑りに対して)が、急激に発生することにより人災につながる重大災害も発生している。
斜面崩壊は、斜面の構成要因へトリガー要因が働き発生する。斜面の構成要因は、(1)土質・岩質などの物性、(2)地層・断層などの地質構造、(3)地下水・表面水などの水、の3つがあり、トリガー要因としては、(1)設計、施工から維持管理の不備などの人為的要因、(2)集中豪雨、雪溶、台風などの降水要因、(3)動的な外力の滑動要因、の3つがある。
斜面崩壊は、大規模と受け取られているが、斜面崩壊実態調査によると、斜面崩壊の90%は崩壊厚さ2.9m以下であり、70%は1.4m以下である。つまり、崩壊土は、表土で70%が1.4m以下であり、90%まで拡げると2.9mになり、いずれにしても大半は規模の小さいものである。斜面崩壊の誘因は、降雨が17,640件(93%)、地震が648件(3%)であり、斜面崩壊の土質は、表土が60%、崩壊土が14%であることから、斜面災害の発生が表層部の小規模なものが多いことを裏付けている。また、設計・施工の不具合など初期不適合が収まると耐久不足など終盤期の耐久不足による斜面崩壊の原因が問題となる。
斜面崩壊を防止するには、(1)災害要因を排除し、災害誘因を低減させ、(2)表土など表層の斜面崩壊の耐力を向上させること、(3)そして、調整池、排水路と管理用道路など維持管理施設への影響防止を図ること、が重要であり、災害要因を排除するためには、表土などの表層の耐力を向上させ、斜面防護機能を向上させ、重量負荷による耐力と表面被覆による洗掘防止が有用であり、災害誘因を低減するためには、重量負荷による地震耐力と表面被覆による洗掘防止が有用である。
以上のように、本願出願人は、特に、斜面崩壊(災害)の防止という観点から、従来技術の課題について検討したのであるが、上記特許文献1〜5には、上記の斜面崩壊(災害)の防止という観点については何ら開示も示唆もされていない。
このため、本発明では、より環境保全に適した流動化処理土を用いて、安価で短期間に形成することができ、従来のモルタルやコンクリートに比べ格段に環境に優しく、そして、従来のモルタルやコンクリート製の斜面保護工の代替として利用可能な流動化処理土斜面保護構造物を提供することを目的とする。
また、本発明では、特に、斜面崩壊防止に有効な流動化処理土斜面保護構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、布製型枠に流動化処理土が充填されて構成された流動化処理土斜面保護構造物であって、前記流動化処理土は、建設泥土を解泥して生成された調整泥水、又は、建設発生土の粘性土を解泥して生成された調整泥水の少なくともいずれか一方と、固化材とを含むことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流動化処理土斜面保護構造物であって、前記布製型枠は、マット状に構成され、少なくとも、合成繊維、天然繊維、生分解性プラスチック繊維のいずれかからなる素材で形成されている
ことを特徴とする。
また、請求項3の発明では、流動化処理土斜面保護構造物の製造方法であって、流動化処理土を製造する第1の工程と、布製型枠を保護対象物に敷設する第2の工程と、敷設された前記布製型枠に、前記流動化処理土を充填する第3の工程と、を備え、前記流動化処理土を製造する第1の工程は、建設泥土を解泥して生成された調整泥水、又は、建設発生土の粘性土を解泥して生成された調整泥水の少なくともいずれか一方と、固化材とを混練する第4の工程と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明は、斜面上に布製型枠を用いた構造物を配置する流動化処理土斜面保護工の施工方法であって、前記布製型枠を用いた構造物の製造工程が、透水性布帛からなる前記布製型枠に流動化処理土を注入する工程を含み、前記流動化処理土を製造する工程が、建設泥土の含水率を所定密度に調整された調整泥水と、固化材と、混和剤とを混練して製造される工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、斜面上に布製型枠を用いた構造物を配置する流動化処理土斜面保護工の施工方法であって、前記布製型枠を用いた構造物の製造工程が、透水性布帛からなる前記布製型枠に流動化処理土を充填する工程を含み、前記流動化処理土を製造する工程が、建設発生土と、該建設発生土を解泥した調整泥水と、固化材とを混練して製造される工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、斜面に被覆された布製型枠に流動化処理土が充填されて構成され、斜面の崩壊を防止する流動化処理土斜面保護構造物であって、前記流動化処理土は、建設発生土又は建設泥土の少なくとも一方を含む調整泥水と、固化材とを含むことを特徴とする。
本発明の流動化処理土斜面保護構造物、及び、流動化処理土斜面保護構造物の製造方法によれば、より環境保全に適した流動化処理土を用いて、安価・高品質で短期間に形成することができ、従来のモルタルやコンクリート製の保護工の代替として利用可能な流動化処理土斜面保護構造物を提供することができる。
本発明の一実施形態における流動化処理土斜面保護構造物の断面概略図である。 本発明の一実施形態における流動化処理土斜面保護構造物の要部拡大図である。 本発明の一実施形態における流動化処理土の製造工程を示すフロー図である。 本発明の一実施形態における流動化処理土斜面保護構造物の製造工程を示す製造フロー図である。 本発明の別の実施形態における流動化処理土斜面保護構造物の断面概略図である。
以下、本発明の流動化処理土斜面保護構造物の一実施形態として、法面保護工を例にして説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施形態)
図1は、道路2の山側の法面4に形成された法面保護工1の断面概略図である。道路2は、地山(又は、地盤)3を平坦に整地・転圧され、アスファルト舗装されて形成されている。アスファルト舗装は、一般に、地山(地盤)3上に、路床2a、路盤2b、基層2c、表層2dが形成されている。なお、道路2の構造は、コンクリート舗装であっても、無舗装であっても構わない。
道路2の山側の側壁には、法面4が切土によって形成され、この法面4上には、布製型枠5が敷設されている。布製型枠5の大きさは、法面全体を被覆する大きさであってもよく、また、法面4の一部を被覆する大きさであってもよく、必要に応じて適宜決められればよい。布製型枠5の下端部は、道路2の山側端部に形成された擁壁6の上端部に接するように形成され、布製型枠5の上・下端部は、法面4の上・下端部に、例えば、鉄杭A等で固定されている。必要に応じて、布製型枠5の中間部分の複数個所に所定の間隔で鉄杭Aを打ち込んで、布製型枠5を法面4に固定してもよい。
法面4に敷設された布製型枠5には、建設泥土を解泥した調整泥水と、固化材と、混和剤(材)からなる流動化処理土7が充填されている。
図2(a)は、布製型枠5で構成された法面保護工1の要部拡大図である。布製型枠5は、上側布帛2uと、下側布帛2bとを備え、流動化処理土の充填口(不図示)を除いて布製型枠5の周囲が縫合されて、マット形状の袋体に形成されている。また、布製型枠5の上側布帛2uと下側布帛2bとは、所定の間隔で、連結糸等で間接的に連結されており、充填された流動化処理土7が、布製型枠5内を流動可能に形成されている。
上側布帛2uと下側布帛2bのそれぞれには、孔径がミクロンオーダーの透水孔Mが複数設けられている。充填された流動化処理土に含まれる水分が透水孔Mを透過して外部に流出することで、流動化処理土の硬化を早めることができるように形成されている。透水孔Mを上側布帛2uと下側布帛2bに設けることで、下側布帛2bだけに設ける場合よりも流動化処理度の硬化時間をさらに早めることができる。流動化処理土処理土の硬化を早めることで法面保護工1の工完を短縮でき、法面災害防止対策を短期間で行うことができる。図2(a)において、透水孔Mは、一部分のみ示している。透水孔Mは、上側布帛2a、下側布帛2bのそれぞれの全面に施されてもよいし、一部分に施されてもよい。
図2(b)は、布製型枠50で構成された植生工10の要部拡大図である。植生工10も流動化処理土斜面保護構造物である。図2(b)において、植生工10を構成する布製型枠50は、図2(a)の布製型枠5に、複数の中空状のスリット部S1を設けたものである。このスリット部S1には、流動化処理土7が充填されないので、植生工10として構成した後に、例えば、このスリット部S1に覆土し、植生物Vを植生することで、法面や護岸等の緑化を行うことができる。
また、図2(c)は、法面4に湧水が発生した際に、この湧水を外部に流出させる効果をより高めた法面保護工110の要部拡大図である。図2(d)は、図2(c)のスリット部S2周辺の断面要部拡大図である。図2(c)のスリット部S2は、図2(d)に示すように、上側布帛2uと下側布帛2bとが直接連結されている。当然、スリット部S2を形成する上側布帛2u及び下側布帛2bにも透水孔Mが形成されている。通常は、流動化処理土7中に含まれる水分を、上側布帛2u及び下側布帛2bに形成された透水孔Mを介して外部に流出させるが、法面4に湧水11が発生したときは、スリット部S2に形成された透水孔Mを介して湧水11を外部に流出させることができる。法面4に発生する湧水11は法面崩壊の要因であるが、透水孔Mが形成されたスリット部S2を設けることで、湧水11を早期に外部に流出させることで、法面災害を防止することができる。
本実施形態の上側布帛2u、下側布帛2bの素材としては、必要に応じて、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維、麻、木綿等の天然繊維、又は、生分解性プラスチック繊維の中から選択された素材が用いられる。一例としては、施工現場の要求強度に対応して、合成繊維のうち高強度合成繊維が用いられる。天然繊維や生分解性プラスチック繊維は、合成繊維に比べ、現在は高価ではあるが、より環境保全に適した素材である。上側布帛2u、下側布帛2bは、それぞれ、複数枚が重ね合わせられて構成されていてもよい。
なお、布製型枠は、所定の大きさの布製型枠ユニットを作成・貯蔵しておき、流動化処理土斜面保護構造物の大きさに合わせて、施工現場で、複数の布製型枠ユニットを組み合わせて用いるようにしてもよい。
図3は、流動化処理土の製造工程を示すフロー図である。本実施形態の流動化処理土の製造方法は、周知の流動化処理土の製造方法を用いるので、詳細な説明は省略し、概略について説明する。
(ステップ1)
まず、ステップ1の工程では、土木工事現場、建築工事現場等で発生した現場発生土を受け入れる。現場発生土は、国土交通省令に基づいており、第1種建設発生土〜第4種建設発生土からなる建設発生土と、建設泥土(「汚泥」、「建設汚泥」ともいう。)に区分される。現場発生土は、土木工事現場や、建築工事現場等の基礎工事で、副次的に発生するもので、礫質土(礫、砂礫)、砂質土(砂、礫質砂)、粘性土(シルト、粘土)等が含まれる。流動化処理土を製造する場所と上記の工事現場は、同じ場所であってもよいし、遠隔地の工事現場から現場発生土を車両等により輸送し、流動化処理土を製造する場所に、搬入して製造しても構わない。なお、受入時には、化学分析試験を行い、土壌環境基準値に基づいて、非汚染土のみを受け入れている。その後、抜き取りにより溶出試験(物理試験(判別分離試験))を行い、粒度・密度・含水比・pH値等を試験する。
ステップ1では、建設泥土を受け入れるものと想定する。
(ステップ2)
ステップ1で受け入れた非汚染の建設泥土を解泥して所定密度に含水率が調整された調整泥水を製造する。製造された調整泥水は、濃縮汚泥層に常時撹拌にて貯留される。ここで、解泥する前に不要な骨材とゴミ等夾雑物はアクアセパレータ、ハイパーシェイク分離機で除去する。この工程では、粘性土と砂質土の配合確認、加水量の確認、フロー値・密度の確認等を行う。また、1mm目の調整ふるいを行う。
(ステップ3)
出荷時に貯留槽から調整泥水を流動化プラントに送り、固化材と混和剤を加えて混練り機(ミキサー)で均質に混合し、所定の品質の流動化処理土を製造する。固化材は、例えば、セメントであってよい。ここでは、フロー試験と密度試験を行い所定の品質であることを確認する。
なお、ステップ1において、建設発生土を受入れる場合には、ステップ2において、受け入れた建設発生土の細分が多く含まれた粘性土に水分を加えて所定の密度になるよう解泥し、調整泥水を製造する。ここで、解泥する前に、不要な夾雑物は取り除かれる。そして、ステップ3では、ステップ2で製造した調整泥水に、不要な夾雑物が除去された砂礫質の建設発生土、及び、固化材を投入して混練する。混合の比率は、必要に応じて適宜設定されてよい。建設発生土を用いる場合にも、上述の試験・確認が行われる。また、現場発生土に、石炭灰、石粉などを利用してもよい。
以上、流動化処理土の製造方法の代表例を示したが、流動化処理土については、他の公知の製造方法で製造されてよい。
次に、図4において、この流動化処理土を用いて法面保護工を製造する方法を説明する。必要に応じて、図1を参照されたい。
(ステップ4)
まず、地山3の法面4を整地しておく。そして、法面4に布製型枠5(布製型枠50,60でもよい。)を敷設する。布製型枠5の敷設工程では、所定の大きさの布製型枠ユニットを作成・貯蔵しておき、法面保護工の大きさに合わせて、敷設現場で、複数の布製型枠ユニットを組み合わせて用いるようにしてもよい。この布製型枠5の法面4への敷設工程においては、布製型枠5を法面4に固定するための作業も行われる。この固定作業は、布製型枠5の上端部、下端部、中間部の適当な位置に鉄杭A等を打ち込み、布製型枠5と法面4とを固定するものである。
(ステップ5)
次に、ステップ4で法面4に敷設した布製型枠5の充填口から、上側布帛2uと下側布帛2bとの間に、ステップ3で製造した流動化処理土を充填する。流動化処理土の充填が完了したら充填口を閉塞する。
(ステップ6)
最後に、充填した流動化処理土を所定時間かけて固化処理を行う。流動化処理土は、水分を多く含んでいるが、布製型枠5の上側布帛2u及び下側布帛2bには、水分のみが透過可能な透水孔Mが形成されているので、固化を早めることができる。流動化処理土の固化が完了すれば、流動化処理土斜面保護構造物としての法面保護工1の完成である。
本発明の流動化処理土斜面保護構造物、及び、流動化処理土斜面保護構造物の製造方法によれば、効果として以下の特徴を有する。
(1)高品質;布製型枠が透水性を有するために混練水の余剰分が絞り出され、水セメント比(W/C)が改善されるので、硬化時間の短縮と高密度・高強度の硬化体を創生することができる。
(2)工期短縮・省人化;規制の布製型枠に流動化処理土を注入するため従来工法(現場打ちコンクリートブロック、プレキャストブロック工法など)に比べて短時間・少人数での施工を実現することができる。このため、災害復旧において顕著な効果を奏する。
(3)高品質;勾配の異なった複雑な地形にもなじみ、均一な厚みがえられる。加えて、斜面又は平坦部にかかわらず、広範囲を一度に押さえることができる。
(4)安全・労務負荷;布製型枠が軽量なので、運搬保管が容易で安全かつ労務負荷を低減することができる。
(5)工期短縮;水セメント比の改善と初期強度が高く養生期間を短縮することができる。
(6)多用途;水中工にも適用することができる。
(7)災害復旧時は流水などの状況下での施工が求められるが、このような状況下でも本流動化処理土斜面保護構造物は、従来の工法に対して高い機械化施工比率で稼働することができるので、被災した自然斜面、法面など厳しい条件下でも施工することができる。
(別の実施形態)
図5は、流動化処理土斜面保護構造物の別の実施形態を示す概略断面図である。図5では、流動化処理土斜面保護構造物として、河川Rに設置された護岸工100を示している。護岸工100は、法面保護工1と同様に、河川Rの堤防Eの法面40に設置されるが、布製型枠150は、陸上部分だけでなく、水中W部分にも敷設することができる。その余の点については、法面保護工1と同様であるので、説明は省略する。効果についても法面保護工1と同様である。
1,110 法面保護工
2 道路
2a 路床
2b 路盤
2c 基層
2d 表層
3 地山(地盤)
4,40 法面
5,50,150 布製型枠
6 擁壁
7 流動化処理土
10 植生工
11 湧水
2b 下側布帛
2u 上側布帛
100 護岸工
A 鉄杭
E 堤防
R 河川
S1,S2 スリット部
V 植生物
W 水中

Claims (3)

  1. 布製型枠に流動化処理土が充填されて構成された流動化処理土斜面保護構造物であって、
    前記流動化処理土は、建設泥土を解泥して生成された調整泥水、又は、建設発生土の粘性土を解泥して生成された調整泥水の少なくともいずれか一方と、固化材とを含むことを特徴とする流動化処理土斜面保護構造物。
  2. 前記布製型枠は、マット状に構成され、少なくとも、合成繊維、天然繊維、生分解性プラスチック繊維のいずれかからなる素材で形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の流動化処理土斜面保護構造物。
  3. 流動化処理土を製造する第1の工程と、
    布製型枠を保護対象物に敷設する第2の工程と、
    敷設された前記布製型枠に、前記流動化処理土を充填する第3の工程と、を備え、
    前記流動化処理土を製造する第1の工程は、建設泥土を解泥して生成された調整泥水、又は、建設発生土の粘性土を解泥して生成された調整泥水の少なくともいずれか一方と、固化材とを混練する第4の工程と、を備えている
    ことを特徴とする流動化処理土斜面保護構造物の製造方法。
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