JP6647882B2 - 電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法 - Google Patents

電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法に関し、例えば、廃液などに含まれるウランなどの分析対象元素を好適に分析できる電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法に関する。
従来、臨床検査などに用いられる多量分析方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の多量分析方法では、分光的な分析方法を用いることにより、被験者から収集したサンプル中に存在する被測定体の各種元素濃度を分析する。
特表2014−530358号公報
ところで、六ヶ所再処理工場においては、原子力燃料の再処理工程の工程管理に重要な分析項目であるウランの元素分析が一日に数百件程度の高い頻度でなされている。ウランの分析では、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)及び誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)などによる分析装置が一般的に用いられている。
しかしながら、従来のウランの分析方法では、多量の分析試料に対応するために、多数のICP−AES及びICP−MSを設置する必要があり、設備規模が巨大かつ高額になるという実情がある。また、ウランは、移動相を常時送液する高速液体クロマトグラフィーなどによっても分析できるが、連続的に排出される移動相を処理するために、ウランを含む廃液の廃液設備及びガラス固化設備に負担がかかる場合がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ウランなどの元素を簡素な設備で高い精度で分析可能な電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法を提供することを目的とする。
本発明の電気泳動型元素分析装置は、光線を透過する光線透過部を有する管路と、前記管路の両端部にそれぞれ設けられ、電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を介して前記管路内に電圧を印加する電極を有する電極部と、前記管路の一端側から被測定液を前記管路内に供給する被測定液供給部と、前記電気泳動溶液及び前記被測定液が供給された前記管路の両端から電圧を印加し、電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の一端側から他端側に移動させる電源供給部と、前記管路内を移動する前記分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する吸光度測定部と、を含むことを特徴とする。
本発明の電気泳動型元素分析装置によれば、管路内に導入された被測定液に含まれる分析対象元素のイオンが、錯体化溶液に含まれる錯体化試薬と錯体を形成しながら管路の一端側から他端側に向けて電気泳動により移動するので、被測定液に含まれる分析対象元素が被測定液中の共存成分から分離される。これにより、被測定液に含まれる分析対象元素を共存成分から分離した状態で、吸光度スペクトルを測定できるので、被測定液に含まれる分析対象元素を簡便な設備かつ高い精度で分析することが可能となる。
本発明の電気泳動型元素分析装置においては、前記錯体化試薬が、第四級アンモニウム塩及びクラウンエーテルからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この構成により、被測定液に含まれる分析対象元素と錯体化試薬とが形成する錯体と管路との相互作用、及び錯体の吸光度が増大するので、より高精度・高感度で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明の電気泳動型元素分析装置においては、前記管路は、内表面が炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を含むことが好ましい。この構成により、管路の内表面に導入された官能基によって、管路と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との相互作用が増大するので、被測定液に含まれる分析対象元素と共存成分とを電気泳動によってより効率よく分離でき、より高精度で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明の電気泳動型元素分析装置においては、前記管路は、ガラスからなることが好ましい。この構成により、管路の内表面に存在するシラノール基の水酸基と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との水素結合によって管路と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との相互作用が増大するので、被測定液に含まれる分析対象元素と共存成分とを電気泳動によってより効率よく分離でき、より短時間で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明の元素分析方法は、光線を透過する光透過性部を有する管路の一端側から電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を導入する第1工程と、前記電気泳動溶液を導入した前記管路の一端側から前記管路内に被測定液を導入する第2工程と、前記被測定液が導入された前記管路内に電圧を印加して電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の他端側に移動させる第3工程と、前記管路の他端部を流れる前記被測定液中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する第4工程とを含むことを特徴とする。
本発明の元素分析方法によれば、管路内に導入された被測定液に含まれる分析対象元素が、電気泳動溶液に含まれる錯体化試薬と錯体を形成しながら管路の一端側から他端側に向けて電気泳動により移動するので、被測定液に含まれる分析対象元素が被測定液中の共存成分から分離される。これにより、被測定液に含まれる分析対象元素を共存成分から分離した状態で、吸光度スペクトルを測定できるので、被測定液に含まれる分析対象元素を簡便かつ高感度で分析することが可能となる。
本発明の元素分析方法においては、前記錯体化試薬が、第四級アンモニウム塩及びクラウンエーテルからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この方法により、被測定液に含まれる分析対象元素と錯体化試薬とが形成する錯体の吸光度が増大するので、より高感度で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明の元素分析方法においては、前記管路は、内表面に炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を有することが好ましい。この方法により、管路の内表面に導入された官能基によって、管路と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との相互作用が増大するので、被測定液に含まれる分析対象元素と共存成分とを電気泳動によってより効率よく分離でき、より高感度で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明の元素分析方法においては、前記管路は、ガラスからなることが好ましい。この方法により、管路の内表面に存在するシラノール基の水酸基と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との水素結合によって管路と分析対象元素及び錯体化試薬の錯体との相互作用が増大するので、被測定液に含まれる分析対象元素と共存成分とを電気泳動によってより効率よく分離でき、より高感度で分析対象元素を分析することが可能となる。
本発明によれば、ウランなどの元素を簡素な設備で高い精度で分析可能な電気泳動型元素分析装置及び元素分析方法を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る電気泳動型元素分析装置の模式図である。 図2は、本実施の形態に係る分析方法の概略を示すフロー図である。 図3は、本実施の形態に係る元素分析方法の第1工程の説明図である。 図4は、本実施の形態に係る元素分析方法の第2工程の説明図である。 図5Aは、本実施の形態に係るウランとクラウンエーテルとの錯体を示す図である。 図5Bは、本実施の形態に係るウランとアンモニウム塩との錯体を示す図である。 図6は、本実施の形態に係る元素分析方法の第3工程の説明図である。 図7は、本実施の形態に係る元素分析方法の第3工程の説明図である。 図8は、本実施の形態に係る元素分析方法の第4工程の説明図である。 図9は、本実施の形態に係る吸光度測定部による吸光度スペクトルの測定結果の例を示す概念図である。 図10Aは、本実施の形態に係る管路の一例を示す断面模式図である。 図10Bは、本実施の形態に係る管路の一例を示す断面模式図である。 図11は、本実施の形態に係る電気泳動型元素分析装置の管路の説明図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。また、以下の各実施の形態は適宜組み合わせて実施可能である。また、各実施の形態において共通する構成要素には同一の符号を付し、説明の重複を避ける。
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気泳動型元素分析装置1の模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る電気泳動型元素分析装置1(以下、単に、「元素分析装置1」ともいう)は、被測定液11a及び被測定液に含まれる分析対象元素を電気泳動させる電気泳動溶液11bを導入した管路11内に直流電圧を印加し、電気泳動により被測定液中の分析対象元素を分離して吸光度スペクトルを測定することにより、分析対象元素を分析するものである。
元素分析装置1は、電気泳動溶液及び被測定液が導入される管路11と、管路11の両方の端部側に設けられ、管路11の両端部にそれぞれ設けられ、電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液11bを介して管路11内に電圧を印加する電極121a,121bを有する電極部12a,12bと、管路11の一方の端部側に設けられ、管路11内に被測定液11aを供給する被測定液供給部13と、管路11内に直流電圧を印加する電源供給部14と、管路11の他方の端部側を流れる被測定液11a中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する吸光度測定部15と、吸光度測定部15で測定された吸光度スペクトルを演算処理する演算処理部16とを備える。
管路11としては、キャピラリーなどの毛細管が用いられる。管路11としては、透光性部材であれば特に制限はなく、石英ガラス(溶融石英)などの各種ガラスなどが用いられる。管路11に各種ガラス部材を用いることにより、詳細については後述するように、管路11内壁に存在するシラノールに由来する水酸基と分析対象元素の錯体とが相互作用をするので、分析対象元素を被測定液中の共存元素から効率良く分離して高い精度で分析することができる。なお、管路11としては、必ずしも管路11全体が光透過性を有する必要はなく、管路11の一部に被測定液11a中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定可能な光線透過部を有するものであってもよい。管路11は、被測定液11a及び電気泳動溶液11bが導入された後に、両方の端部が電極部12の電気泳動溶液11b内に浸漬される。管路11の内径としては、分析対象元素を効率良く分離して高精度で分析できる観点から、25μm以上100μm以下が好ましく、25μm以上50μm以下がより好ましい。また、管路の全長としては、分析対象元素を効率良く分離して高精度で分析できる観点から、100mm以上1000mm以下が好ましく、300mm以上1000mm以下がより好ましい。管路11としては、全長が長いもの用いることにより分析対象元素の分解能が向上し、全長が短いものを用いることにより分析時間を短縮できる。
電極部12は、電気泳動溶液11bを管路11内に供給する。電気泳動溶液11bとしては、電解質、錯体化試薬及び溶媒を混合した電気泳動溶液11bが用いられる。電解質としては、被測定液中の分析対象元素を分析できるものであれば特に制限はない。電解質としては、例えば、リン酸及びリン酸2水素ナトリウムの混合物、又は、硫酸及び硫酸水素ナトリウムの混合物などを適宜組み合わせて用いられる。これらの中でも、電解質としては、分析対象元素を効率良く分離して精度良く分析できる観点から、リン酸及びリン酸二水素ナトリウムの混合物が好ましい。
錯体化試薬としては、第四級アンモニウム塩及びクラウンエーテルなど分析対象元素と錯体を形成する化合物が用いられる。第四級アンモニウム塩としては、ウランと効率良く錯体を形成してウランを高い感度で分析できる観点から、テトラブチルアンモニウム塩などの炭素数4以上6以下のアルキルアンモニウム塩が好ましく、テトラヘキシルアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩がより好ましい。なお、アンモニウム塩としては、上述したアンモニウム塩の他に、分析対象元素の種類に応じて、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、及びセチルトリメチルアンモニウム塩などを単独又は上述したアンモニウム塩と併用してもよい。
クラウンエーテルとしては、ウランと効率良く錯体を形成してウランを高い感度で分析できる観点から、18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6及びジシクロヘキサノ−24−クラウン−8からなる群から少なくとも1種が好ましい。また、クラウンエーテルとしては、側鎖に二重結合を含む置換基を有するクラウンエーテルも用いることもできる。このようなクラウンエーテルを用いることにより、紫外線を用いた吸光度スペクトルが高感度で得られるので、分析対象元素を高い精度で分析することができる。なお、クラウンエーテルとしては、上述したクラウンエーテルの他に、分析対象元素の種類に応じて、12−クラウン−4及び15−クラウン−5などを単独又は上述したクラウンエーテルと併用してもよい。
溶媒としては、上述した電解質及び錯体化試薬を溶解して被測定液と混合するものであれば特に制限はない。溶媒としては、イオン交換水及び蒸留水などの水、並びに、メタノール及びエタノールなどのアルコール、並びに、アセトニトリルなどの水溶性溶媒が挙げられる。これらの中でも、溶媒としては、電解質及び錯体化試薬を溶解して被測定液と混合する観点から、水が好ましい。
電気泳動溶液11b中の電解質の濃度としては、例えば、10mM(mol/m−3、以下同様)以上100mM以下が好ましい。また、電気泳動溶液11b中の錯体化試薬の濃度としては、1mM以上10mM以下が好ましい。
被測定液供給部13は、分析対象元素を含む被測定液を管路11に供給する。被測定液としては、例えば、原子力燃料再処理施設などにおけるプロセス溶液などが用いられる。分析対象元素としては、錯体化試薬によって錯体を形成して吸光度スペクトルを測定できるものであれば特に制限はなく、ウラン、プルトニウム、鉄、銅、ニッケル及びクロムなどの各種元素を挙げることができる。これらの中でも、分析対象元素としては、錯体化試薬によって安定した錯体を形成し、かつ、錯体が高い吸光度を有して高感度で高い精度で分析できる観点から、ウランが好ましい。分析対象元素の濃度としては、錯体化試薬によって分析対象元素が錯体を形成できる範囲であれば特に制限はない。
電源供給部14は、電流線141を介して電極部12a,12bの電気泳動溶液11b内に配置された電極121a,121bに電気的に接続される。電源供給部14は、電極12a,12bを介して管路11内に直流電圧を印加する。直流電圧としては、被測定液中の分析対象元素を電気泳動によって分離できる範囲であれば特に制限はなく、例えば、10kV以上100kV以下である。また、直流電圧の印加時間としては、被測定液中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定できる範囲であれば特に制限はなく、例えば、100秒以上1000秒以下である。電極121a,121bとしては、直流電圧を印加でき、かつ自身が溶出及び酸化をしない材質であれば特に制限はなく、例えば、白金電極及び炭素電極などの各種電極を適宜使用することができる。
吸光度測定部15は、管路11内に印加された直流電圧による電気泳動で管路11内を移動した管路11他端部の被測定液の吸光度スペクトルを測定する。吸光度測定部15は、管路11内に光線を照射する光源と、光源から照射された光線が管路11内の被測定液を透過した透過光を測定する分光光度計とを備える。光源としては、被測定物質により光線が吸収されるものであれば特に制限はなく、重水素ランプ、タングステンランプ、及びレーザ発振器によるレーザ光などを用いることができる。分光光度計としては、被測定物質の透過光の吸光度スペクトルが測定できるものであれば特に制限はなく、例えば、紫外分光光度計、可視分光光度計、紫外可視近赤外分光光度計及び蛍光分光光度計などを用いることができる。これらの中でも、吸光度測定部としては、光源にレーザ発振器を用いると共に、蛍光分光光度計を用いて測定時間を時間分解して測定することにより、分析対象元素(被測定元素)がウランである場合に特に高い検出感度を得ることが可能となる。
演算処理部16は、測定した吸光度スペクトルから被測定液11a中の分析対象元素に基づく信号値(ピーク)から分析対象元素の元素濃度を算出する。演算処理部16では、吸光度スペクトルを時間分解により分析することにより、錯体化溶液により錯体を形成して電気泳動により管路11内を移動した分析対象元素を高精度で分析することが可能となる。
次に、上述した実施の形態に係る元素分析装置1を用いた元素分析方法について説明する。図2は、本実施の形態に係る分析方法の概略を示すフロー図である。図2に示すように、本実施の形態に係る元素分析方法は、管路11の一端側から電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液11bを管路11内に導入する第1工程ST11と、電気泳動溶液11bを導入した管路11の一端側から被測定液11aを管路11内に導入する第2工程ST12と、被測定液11aが導入された管路11内に電圧を印加して電気泳動により被測定液11aを管路11の一端側に移動させる第3工程ST13と、管路11の一端部を流れる被測定液11aの吸光度スペクトルを測定する第4工程ST14とを含む。
図3は、本実施の形態に係る元素分析方法の第1工程の説明図である。図3に示すように、第1工程ST11では、管路11の一端側を管路の一端側に設けられた電極部12a内の電気泳動溶液11bに浸漬させた状態で、管路11の一端部の電極部12aを空気で加圧することにより、電極部12aが管路11の一端側から管路11内に電気泳動溶液11bを供給して充填する。ここでは、管路11の他端側は、管路11の他端側に設けられた電極部12bの電気泳動溶液11bに浸漬させる。
図4は、本実施の形態に係る元素分析方法の第2工程の説明図である。図4に示すように、第2工程ST12では、電気泳動溶液11bを導入した管路11の一端を被測定液供給部13の被測定液11aに浸漬し、被測定液供給部13が管路11の一端側から管路11内に被測定液11aを供給して導入する。ここでは、被測定液11aは、図3に示したように、必要に応じて被測定液供給部13内を空気で加圧して導入してもよい。第2工程ST12では、被測定液供給部13は、例えば、管路11内の全容積に対する1%以上10%以下の被測定液11a(例えば、管路11の10mm相当)を導入すればよい。ここでは、被測定液11aが管路11内に導入されて分析対象元素が電気泳動溶液11bと接触する。これにより、例えば、分析対象元素がウランであり、クラウンエーテルとして18−クラウン−6を含む錯体化溶液12aを用いた場合には、ウランとクラウンエーテルとが結合して錯体21を形成する(図5A参照)。これにより、ウランの吸光度が他のイオンと比較して向上するので、効率良くウランを分析することができる。また、例えば、分析対象元素がウランであり、第四級アンモニウム塩としてテトラヘキシルアミン塩を含む電気泳動溶液11bを用いた場合には、ウランとテトラヘキシルアミン塩とが結合して錯体22を形成する(図5B参照)。
図6は、本実施の形態に係る元素分析方法の第3工程の説明図である。図6に示すように、第3工程ST13では、電気泳動溶液11b及び被測定液11aが導入された管路11内に、電源供給部14が電圧を印加する。これにより、管路11に導入された被測定液11aに含まれる分析対象元素を含む各種元素のイオンXが電気泳動により管路11の他端側に向けて移動する。このとき、被測定液11aに含まれる各種元素のイオンXは、管路11をそれぞれ異なる速度で管路11の他端側に向けて移動するので、被測定液11aに含まれる各種元素を分離することができる。ここでは、分析対象元素の錯体21又は錯体22が存在している場合には、図7に示すように、管路11の内表面に存在するシラノールなどの水酸基と、管路11内の内面側に存在する錯体21又は錯体22の相互作用が大きくなる。これにより、錯体21又は錯体22を形成していない他のイオンよりも電気泳動による移動速度が小さくなるので、効率良く分析対象元素のイオンXを分離することが可能となる。
図8は、本実施の形態に係る元素分析方法の第4工程の説明図である。図8に示すように、第4工程ST14では、管路11の他端部側に移動した管路11内のイオンXに対して吸光度測定部15が光源から光線L1を照射すると共に、分光光度計などによってイオンXを透過した透過光L2の吸光度スペクトルを測定する。図9は、吸光度測定部15による吸光度の時間変化の測定結果の例を示す概念図である。なお、図9では、分析対象元素がウランである場合を示している。図9に示すように、第4工程では、電気泳動したイオンXに含まれる各種元素が分離されているので、電気泳動溶液11bの吸光度の時間変化を測定することにより、ウランの吸光度ピークSと他の元素の吸光度ピークNとに分析することができる。したがって、分析対象となる元素を効率良く測定することが可能となり、被測定液11aに含まれる分析対象元素を簡便かつ高感度で分析することが可能となる。
なお、管路11としては、図10Aに示すように、管路11の内面に炭素数1以上8以下の官能基を導入する化学修飾によって化学修飾層111を設けたものを用いてもよい。これにより、分析対象元素の錯体22が存在している場合には、図10Bに示すように、管路11の内表面に存在するシラノールなどの水酸基に加えて、化学修飾層111のアルキル基Rと錯体22のアルキル基とが相互作用するので、錯体22と管路11との相互作用がより大きくなる。これにより、上述した相互作用により錯体を形成しない他のイオンの電気泳動による移動速度の差を大きくできるので、分析対象元素のイオンXをより効率良く分離することが可能となる。なお、管路11に化学修飾層111を設ける場合には、必ずしも管路の全区間に亘って化学修飾層111を設ける必要はなく、図11に示すように、管路11の少なくとも1部の範囲R1に設けてもよく、管路11の複数の範囲に化学修飾層111を設けてもよい。
炭素数1以上8以下の官能基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基などのアルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上8以下の官能基としては、上述した化学修飾層111と錯体22との相互作用をより大きくして吸光度スペクトルの分解能を向上する観点から、エチル基及びオクチル基が好ましい。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、管路11内に導入された被測定液11aに含まれる分析対象元素が、電気泳動溶液11bに含まれる錯体化試薬と錯体を形成しながら管路11の一端側から他端側に向けて電気泳動により移動するので、被測定液11aに含まれる分析対象元素が被測定液11a中の共存成分から分離される。これにより、被測定液11aに含まれる分析対象元素を共存成分から分離した状態で、吸光度スペクトルを測定できるので、被測定液11aに含まれる分析対象元素を簡便かつ高感度で分析することが可能となる。この結果、例えば、1回の分析対象元素の分析に要する被測定液11aの使用量を低減(例えば、10μl)し、電気泳動溶液11bの使用量を低減(例えば、2ml)することができるので、分析によって発生する廃液の削減が可能となり、廃液処理設備及びガラス固化設備の負担を大幅に低減することが可能となる。
1 電気泳動型元素分析装置
11 管路
111 化学修飾層
11a 被測定液
11b 電気泳動溶液
12a,12b 電極部
121a,121b 電極
13 被測定液供給部
14 電源供給部
141 電流線
15 吸光度測定部
16 演算処理部
21,22 錯体

Claims (10)

  1. 光線を透過する光線透過部を有する管路と、
    前記管路の両端部にそれぞれ設けられ、電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を介して前記管路内に電圧を印加する電極を有する電極部と、
    前記管路の一端側から被測定液を前記管路内に供給する被測定液供給部と、
    前記電気泳動溶液及び前記被測定液が供給された前記管路の両端から電圧を印加し、電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の一端側から他端側に移動させる電源供給部と、
    前記管路内を移動する前記分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する吸光度測定部と、を含むと共に、
    前記錯体化試薬が、第四級アンモニウム塩である、電気泳動型元素分析装置。
  2. 前記管路は、内表面に炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を含む、請求項1に記載の電気泳動型元素分析装置。
  3. 光線を透過する光線透過部を有する管路と、
    前記管路の両端部にそれぞれ設けられ、電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を介して前記管路内に電圧を印加する電極を有する電極部と、
    前記管路の一端側から被測定液を前記管路内に供給する被測定液供給部と、
    前記電気泳動溶液及び前記被測定液が供給された前記管路の両端から電圧を印加し、電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の一端側から他端側に移動させる電源供給部と、
    前記管路内を移動する前記分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する吸光度測定部と、を含むと共に、
    前記管路は、内表面に炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を含む、電気泳動型元素分析装置。
  4. 前記錯体化試薬が、クラウンエーテルからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項3に記載の電気泳動型元素分析装置。
  5. 前記管路は、ガラスからなる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電気泳動型元素分析装置。
  6. 光線を透過する光線透過部を有する管路の一端側から電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を導入する第1工程と、
    前記電気泳動溶液を導入した前記管路の一端側から前記管路内に被測定液を導入する第2工程と、
    前記被測定液が導入された前記管路内に電圧を印加して電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の他端側に移動させる第3工程と、
    前記管路の他端部を流れる前記被測定液中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する第4工程とを含むと共に、
    前記錯体化試薬が、第四級アンモニウム塩である、元素分析方法。
  7. 前記管路は、内表面に炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を有する、請求項6に記載の元素分析方法。
  8. 光線を透過する光線透過部を有する管路の一端側から電解質と錯体化試薬とを含む電気泳動溶液を導入する第1工程と、
    前記電気泳動溶液を導入した前記管路の一端側から前記管路内に被測定液を導入する第2工程と、
    前記被測定液が導入された前記管路内に電圧を印加して電気泳動により前記被測定液中の分析対象元素を前記管路の他端側に移動させる第3工程と、
    前記管路の他端部を流れる前記被測定液中の分析対象元素の吸光度スペクトルを測定する第4工程とを含むと共に、
    前記管路は、内表面に炭素数1以上8以下の官能基の導入により化学修飾された化学修飾層を有する元素分析方法。
  9. 前記錯体化試薬が、クラウンエーテルからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項8に記載の元素分析方法。
  10. 前記管路は、ガラスからなる、請求項から請求項のいずれか1項に記載の元素分析方法。
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