JP6638733B2 - 判断装置、判断方法、および判断プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、判断装置、判断方法、および判断プログラムに関する。
従来、脈波を計測する技術がある。脈波は、身体組織のある部分への血液の流入によって生じる容積変化を体表面から波形として捉えたものである。脈波は生体情報の一つであり、人の生命反応を見るための重要な指標となる。脈波の計測方法としては、例えば、光電脈波法や顔脈拍測定法などがある。
先行技術としては、例えば、センサ装置により提供される患者の血液変数の測定値を時間tにわたる曲線として記憶し、該曲線から平均値を求めて、該平均値を使用して生理学的パラメータを求める技術がある。また、1拍ごとの偽ピークを検出し、偽ピークの影響を排除した心拍に相当する脈波間隔を計測するための技術がある。
また、例えば、検出した脈波波形の変化を監視し、脈波波形の変化の連続性が途切れた場合に不整脈発生と判定する技術がある。また、被験者の脈波を検出し、連続する2つの脈波の間隔の変化、および脈波振幅と脈波間隔の積、あるいは脈波振幅と脈波間隔の比を、それぞれに設定した閾値とを比較して脈波間隔の特異値を判定する技術がある。
特開2009−183715号公報 特開2012−161556号公報 国際公報第1997/038626号 特開2010−75461号公報
しかしながら、従来技術では、計測された脈波波形に体動等(体の動き)によるノイズが含まれるか否かを判断することが難しい。
一つの側面では、本発明は、ノイズを含む脈波波形を判別可能にする判断装置、判断方法、および判断プログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、取得した前記脈波波形と、心臓の拍動間隔と血流量との関係性を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、算出した前記第1の値に基づいて、前記脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断し、判断した判断結果を出力する判断装置、判断方法、および判断プログラムが提案される。
本発明の一側面によれば、ノイズを含む脈波波形を判別可能にすることができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1にかかる判断方法の一実施例を示す説明図である。 図2は、脈波波形の具体例を示す説明図である。 図3は、脈波分析システム300のシステム構成例を示す説明図である。 図4は、脈波分析装置301のハードウェア構成例を示すブロック図である。 図5は、サーバ302のハードウェア構成例を示すブロック図である。 図6は、脈波波形DB320の記憶内容の一例を示す説明図である。 図7は、分析結果DB330の記憶内容の一例を示す説明図である。 図8は、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の機能的構成例を示すブロック図である。 図9は、外れ値の具体例を示す説明図である。 図10は、脈波分析結果の具体例を示す説明図(その1)である。 図11は、脈波分析結果の具体例を示す説明図(その2)である。 図12は、脈波面積の具体例を示す説明図である。 図13は、個人脈波波形テーブル1300の記憶内容の一例を示す説明図である。 図14は、個人分析結果テーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。 図15は、閾値Thおよび所定範囲R2の決定例を示す説明図である。 図16は、閾値テーブル1600の記憶内容の一例を示す説明図である。 図17Aは、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。 図17Bは、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。 図18は、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の機能的構成例を示すブロック図である。 図19は、脈波波形の時間変化を示す説明図である。 図20は、各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比と脈波間隔との関係を示す説明図である。 図21は、近似平面の具体例を示す説明図である。 図22Aは、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。 図22Bは、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
以下に図面を参照して、本発明にかかる判断装置、判断方法、および判断プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる判断方法の一実施例を示す説明図である。図1において、判断装置100は、対象者について計測された脈波の分析を支援するコンピュータである。対象者は、脈波の計測対象となる者である。脈波は、身体組織のある部分への血液の流入によって生じる容積変化を波形として捉えたものである。
脈波は、人の生命反応を見るための重要な指標の一つである。例えば、脈拍数は、対象者の健康状態を表す指標となる。脈拍数が異常に高い状態(いわゆる、頻脈)が、心理的なストレス負荷がないにもかかわらず高頻度で発生したり持続したりする場合には、心臓の機能が正常に働いていないことが疑われる。また、脈拍のリズムが不規則になる不整脈は、心不全、脳梗塞などの重大な病気につながることがある。
このように、人の健康状態に関する多くの情報が脈波から得られる。このため、できるだけ簡便な計測方法により、日常的かつ継続的に、また、無意識に脈波を測定できることが望ましく、その計測方法や計測機器は非侵襲であることが望ましい。ここで、脈波の計測方法としては、例えば、光電脈波法や顔脈拍測定法などがある。
光電脈波法は、指や耳たぶなどの末梢血管に赤外線を照射し、その反射光が血流および吸光特性によって周期的に変動する光学的な変化から脈波を計測する方法である。顔脈拍測定法は、例えば、血液中のヘモグロビンが緑色の光を吸収する特性を利用して、血流から生じる顔表面の輝度変化を捉えて脈波を計測する方法である。
一方、光電脈波法や顔脈拍測定法などにより計測される脈波の波形には、体動(体の動き)によるノイズが含まれる場合がある。例えば、顔脈拍測定法では、脈波の信号が微弱なためノイズが乗りやすい。不整脈判定や脈拍数判定などの脈拍分析を行う際に、計測された脈波波形からノイズを除去できなければ、脈波分析の分析精度を確保できない。しかし、ノイズを含む脈波波形は、不整脈と同じように乱れた波形となり、従来技術では不整脈と区別することが難しい。
そこで、実施の形態1では、対象者について計測された脈波波形のうち、体動等によるノイズを含む脈波波形を判別可能する判断方法について説明する。以下、判断装置100の処理例について説明する。
(1)判断装置100は、対象者について計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得する。脈波の計測方法としては、例えば、光電脈波法や顔脈拍測定法などの既存のいかなる計測方法を用いることにしてもよい。具体的には、例えば、判断装置100は、対象者について計測された所定時間分(例えば、10秒間)の脈波の時間的変化を示す脈波波形110を取得する。
ここで、図2を用いて、脈波波形110の具体例について説明する。なお、脈波波形は、脈波の計測時にリアルタイムに取得されるものであってもよく、また、既に計測が完了した脈波の時間的変化を示すものであってもよい。
図2は、脈波波形の具体例を示す説明図である。図2において、脈波波形110は、計測された脈波の時間的変化を示す。図2中、実線の両向き矢印は、脈波の間隔を示している。また、点線の両向き矢印は、脈波の振幅を示している。脈波の間隔(脈波間隔)は、例えば、時系列に連続するピークとピークとの間の間隔である。脈波の振幅は、例えば、脈波信号の極大値(ピーク)と極小値との差である。
(2)判断装置100は、取得した脈波波形と関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す値を算出する。関数Fは、心臓の拍動間隔と血流量との関係性を表すものであり、具体的には、例えば、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数である。以下の説明では、脈波波形と関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す値を「合致度」と表記する場合がある。
ここで、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化は、例えば、グラフGに示すような形状となり、下記(i)〜(iii)のような特徴を有する。なお、横軸は、前回の拍動から次の拍動までの時間変化を示しており、脈波の間隔に相当する。縦軸は、心臓の拍動に伴う血流量を示しており、脈波の振幅と比例関係にある。
(i)心臓が拍動した後の一定期間は、次の拍動が起こらず、血液が流出しない区間が存在する。この区間は「不応期」と呼ばれ、150[ms]〜300[ms]程度である。(ii)心臓の収縮直後は、心臓内部と静脈との圧力差が大きいため、血液量の急激な流出が発生する。(iii)心臓の拡張にしたがって、心臓内部と静脈との圧力差が小さくなることにより、血液の流出が減少する。
関数Fは、例えば、上記(i)〜(iii)の関係をモデル化したものであり、前回の拍動から一定時間(上述した「不応期」に相当)経過後に単調増加していく血流量の時間的変化を表すものである。換言すれば、関数Fは、例えば、脈拍の振幅(あるいは、脈波面積)と脈拍間隔との対応関係を示す関数である。
具体的には、例えば、判断装置100は、取得した脈波波形から、脈波の振幅と脈波間隔との組合せを複数特定する。そして、判断装置100は、振幅と脈波間隔との複数の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、近似曲線120(関数F)の決定係数を算出する。
決定係数は、標本値から求めた回帰方程式のあてはまりの良さの尺度として利用される。このため、この決定係数を、脈波波形と関数Fにより表現されるモデルとの合致度として算出する。図1の例では、振幅と脈波間隔との複数の組合せ121〜126に基づく回帰分析が行われた結果、近似曲線120の決定係数として「0.45」が算出された場合を想定する。
(3)判断装置100は、算出した合致度に基づいて、脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断する。ここで、脈波波形と関数Fにより表現されるモデルとの合致度が高ければ高いほど、取得した脈波波形が、体動等によるノイズではなく、対象者の脈波を表す波形であるといえる。
このため、判断装置100は、例えば、算出した脈波波形と関数Fにより表現されるモデルとの合致度が閾値未満の場合に、脈波波形にノイズが含まれると判断することにしてもよい。なお、上記閾値(後述する「閾値Th」に相当)は、任意に設定可能であり、例えば、0.5程度の値に設定される。
ここで、上記閾値を「0.5」とする。この場合、図1の例では、判断装置100は、算出した脈波波形110と関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す決定係数「0.45」が閾値未満のため、脈波波形110にノイズが含まれると判断する。
(4)判断装置100は、判断した判断結果を出力する。具体的には、例えば、判断装置100、取得した脈波波形110と、脈波波形110にノイズが含まれることを示す判断結果とを対応付けて出力することにしてもよい。
このように、判断装置100によれば、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を関数Fによりモデル化し、計測された脈波波形(例えば、脈波波形110)がモデルに合致するかどうかで、脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断することができる。これにより、ノイズを含む脈波波形を判別可能にして、不整脈判定や脈拍数判定などの脈波分析の精度を向上させることができる。
なお、上述した説明では、判断装置100が、算出した合致度に基づいて、脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断することにしたが、これに限らない。例えば、判断装置100は、算出した合致度を、取得した脈波波形と対応付けて出力することにしてもよい。これにより、ユーザは、例えば、脈波波形と対応付けて出力される合致度から、脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断することができる。
(脈波分析システム300のシステム構成例)
つぎに、実施の形態1にかかる脈波分析システム300のシステム構成例について説明する。ここでは、図1に示した判断装置100を、脈波分析システム300の脈波分析装置301に適用した場合について説明する。
図3は、脈波分析システム300のシステム構成例を示す説明図である。図3において、脈波分析システム300は、複数の脈波分析装置301(図3では、4台)と、サーバ302と、を含む。脈波分析システム300において、脈波分析装置301およびサーバ302は、有線または無線のネットワーク310を介して接続される。ネットワーク310は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
脈波分析装置301は、脈波波形DB(データベース)320および分析結果DB330を有し、脈波の分析を行うコンピュータである。脈波分析装置301は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブル端末、ノート型PC(パーソナル・コンピュータ)、デスクトップ型PCなどである。
脈波波形DB320は、対象者について計測された脈波の振幅および脈波間隔を記憶する。分析結果DB330は、脈波分析の結果を記憶する。脈波波形DB320および分析結果DB330の記憶内容については、図6および図7を用いて後述する。
サーバ302は、個人特性DB340を有し、対象者ごとの脈波波形や脈波分析の結果を管理するコンピュータである。個人特性DB340は、後述の図13〜図16に示す個人脈波波形テーブル1300、個人分析結果テーブル1400、および閾値テーブル1600を含む。
なお、ここでは、脈波分析システム300が脈波分析装置301とサーバ302とを含むことにしたが、これに限らない。例えば、各脈波分析装置301が単独で脈波分析システム300の機能を実現することにしてもよい。この場合、脈波分析装置301は、個人特性DB340を有することにしてもよい。
(脈波分析装置301のハードウェア構成例)
図4は、脈波分析装置301のハードウェア構成例を示すブロック図である。図4において、脈波分析装置301は、CPU(Central Processing Unit)401と、メモリ402と、ディスクドライブ403と、ディスク404と、I/F(Interface)405と、ディスプレイ406と、入力装置407と、カメラ408と、を有する。また、各構成部はバス400によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU401は、脈波分析装置301の全体の制御を司る。メモリ402は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
ディスクドライブ403は、CPU401の制御に従ってディスク404に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク404は、ディスクドライブ403の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク404としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
I/F405は、通信回線を通じてネットワーク310に接続され、ネットワーク310を介して他の装置(例えば、図3に示したサーバ302)に接続される。そして、I/F405は、ネットワーク310と自装置内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。
ディスプレイ406は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。ディスプレイ406として、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)などを採用することができる。
入力装置407は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置407は、キーボードやマウスなどであってもよく、また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
カメラ408は、静止画または動画を撮影し、画像データとして出力する撮像装置である。カメラ408により撮影された画像は、例えば、画像データとしてメモリ402やディスク404などの記憶装置に記録される。カメラ408として、例えば、デジタルカメラやWebカメラなどを、脈波分析装置301の外部端子を介して接続することとしてもよい。
なお、脈波分析装置301は、上述した構成部のほかに、光電脈波法により脈波を計測する光電脈波センサを有することにしてもよい。また、脈波分析装置301は、上述した構成部のうち、例えば、ディスクドライブ403、ディスク404、カメラ408を有さないことにしてもよい。
(サーバ302のハードウェア構成例)
図5は、サーバ302のハードウェア構成例を示すブロック図である。図5において、サーバ302は、CPU501と、メモリ502と、I/F503と、ディスクドライブ504と、ディスク505と、を有する。また、各構成部は、バス500によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU501は、サーバ302の全体の制御を司る。メモリ502は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU501のワークエリアとして使用される。メモリ502に記憶されるプログラムは、CPU501にロードされることで、コーディングされている処理をCPU501に実行させる。
I/F503は、通信回線を通じてネットワーク310に接続され、ネットワーク310を介して他の装置(例えば、図2に示した脈波分析装置301)に接続される。そして、I/F503は、ネットワーク310と自装置内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。I/F503には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
ディスクドライブ504は、CPU501の制御に従ってディスク505に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク505は、ディスクドライブ504の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク505としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
なお、サーバ302は、上述した構成部のほかに、SSD(Solid State Drive)、キーボード、マウス、ディスプレイなどを有することにしてもよい。
(脈波波形DB320の記憶内容)
ここで、脈波分析装置301が有する脈波波形DB320の記憶内容について説明する。脈波波形DB320は、例えば、図4に示したメモリ402やディスク404などの記憶装置に記憶される。
図6は、脈波波形DB320の記憶内容の一例を示す説明図である。図6において、脈波波形DB320は、波形ID、ピーク検出時間、振幅および脈波間隔のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、脈波情報(例えば、脈波情報600−1,600−2)をレコードとして記憶する。
ここで、波形IDは、脈波波形を一意に識別する識別子である。ピーク検出時間は、脈波のピークが検出された時間である。ピーク検出時間は、例えば、ピークが検出された時刻により表される。振幅は、脈波信号の極大値(ピーク)と極小値との差である。脈波間隔は、隣り合うピーク間(時系列に連続する2つのピーク)の間隔である。
以下の説明では、脈波波形W1〜Wmのうちの任意の脈波波形を「脈波波形Wj」と表記する場合がある(j=1,2,…,m)。また、脈波波形Wjに含まれる、ピーク検出時間を「ピーク検出時間t1〜tn」と表記し、脈波信号の振幅を「振幅Ampi〜Ampn」と表記し、脈波間隔を「脈波間隔RRI1〜RRIn」と表記する場合がある(nは自然数)。
(分析結果DB330の記憶内容)
つぎに、脈波分析装置301が有する分析結果DB330の記憶内容について説明する。分析結果DB330は、例えば、図4に示したメモリ402やディスク404などの記憶装置に記憶される。
図7は、分析結果DB330の記憶内容の一例を示す説明図である。図7において、分析結果DB330は、分析時間、決定係数、b値および判断結果のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、分析結果(例えば、分析結果700−1〜700−3)をレコードとして記憶する。
ここで、分析時間は、分析対象の脈波波形が示す脈波が計測された時間である。分析時間は、例えば、脈波が計測された時刻により表される。決定係数は、分析対象の脈波波形と、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す値である。b値は、後述の下記式(1)に含まれる係数bの値である。判断結果は、分析対象の脈波波形が「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれであるかを示す。
(脈波分析装置301の機能的構成例)
図8は、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の機能的構成例を示すブロック図である。図8において、脈波分析装置301は、取得部801と、特定部802と、算出部803と、判断部804と、出力部805と、を含む構成である。取得部801〜出力部805は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図4に示したメモリ402、ディスク404などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F405により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ402、ディスク404などの記憶装置に記憶される。
取得部801は、対象者について計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得する。具体的には、例えば、取得部801は、時間軸を区切った区間ごとに、当該区間内に計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形Wjを取得することにしてもよい。各区間の時間幅は、任意に設定可能であり、例えば、10秒程度に設定される。
ここで、脈波は、既存のいかなる計測方法により計測されたものであってもよい。例えば、脈波分析装置301が、カメラ408(図4参照)により撮影された身体の部位(例えば、顔)の動画像に含まれる輝度変化信号を生体の脈波として計測することにしてもよい。この場合、取得部801は、自装置で計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得する。
なお、顔脈拍測定法については、周知技術のため詳細な説明は省略するが、例えば、特開2014−200390号公報を参照することができる。
また、取得部801は、例えば、不図示の光電脈波センサにより計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得することにしてもよい。さらに、取得部801は、例えば、ネットワーク310を介して、外部のコンピュータから対象者について計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得することにしてもよい。
特定部802は、取得された脈波波形に基づいて、計測された脈波の脈波間隔を特定する。具体的には、例えば、まず、特定部802は、取得された脈波波形Wjのピーク検出を行い、検出した各ピークのピーク検出時間tiを特定する。ピーク検出は、脈波信号が規定値以上となるピーク(極大値)を検出する処理である。
そして、特定部802は、時系列に連続するピーク間のピーク検出時間間隔(ti−ti-1)を脈波間隔RRIiとして特定する。特定された脈波間隔RRIiは、例えば、脈波波形Wjの波形IDおよびピーク検出時間tiと対応付けて、図6に示した脈波波形DB320に記憶される。
また、特定部802は、取得された脈波波形に基づいて、計測された脈波の振幅を特定する。具体的には、例えば、特定部802は、脈波波形Wjの極大値(ピーク)と極小値とを検出し、時系列に連続する極大値と極小値(あるいは、時系列に連続する極小値と極大値)との差を振幅Ampiとして特定する。特定された振幅Ampiは、例えば、脈波波形Wjの波形IDおよびピーク検出時間tiと対応付けて、図6に示した脈波波形DB320に記憶される。
算出部803は、特定された脈波間隔のばらつき度合いを示す値を算出する。脈波間隔のばらつき度合いは、脈波波形における隣り合う脈波の間隔がどの程度ばらついているかを表す。以下の説明では、脈波間隔のばらつき度合いを示す値を「脈波間隔のばらつき度」と表記する場合がある。
具体的には、例えば、算出部803は、脈波波形DB320を参照して、脈波波形Wjにおいて隣り合う脈波の脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)を、脈波間隔のばらつき度として算出することにしてもよい。この際、算出部803は、例えば、脈波波形Wjに含まれる全ての脈波の脈波間隔比を算出することにしてもよい。
判断部804は、算出された脈波間隔のばらつき度に基づいて、取得された脈波波形が正常脈を示すか否かを判断する。ここで、脈波間隔は、通常心臓の鼓動の間隔(心拍間隔)に一致する。また、脈波間隔は一般的に揺らいでいるものの、健常者であれば、脈波の急激な変化は通常起こらないため、心臓の鼓動はほぼ一定のリズムで発生するといえる。
このため、判断部804は、例えば、脈波間隔のばらつき度が所定範囲R1内であれば、取得された脈波波形Wjが正常脈を示すと判断することにしてもよい。一方、判断部804は、脈波間隔のばらつき度が所定範囲R1外であれば、取得された脈波波形Wjが正常脈ではないと判断することにしてもよい。
より具体的には、例えば、判断部804は、脈波波形Wjに含まれる全ての脈波の脈波間隔比が所定範囲R1内であれば、脈波波形Wjが正常脈を示すと判断してもよい。また、判断部804は、例えば、脈波波形Wjに含まれる全ての脈波の脈波間隔比のうち、予め決められた割合以上(例えば、9割以上)の脈波間隔比が所定範囲R1内であれば、脈波波形Wjが正常脈を示すと判断してもよい。
これにより、脈波間隔のばらつき度合いが小さい脈波波形Wjを「正常脈」として分類することができる。なお、所定範囲R1は、任意に設定可能である。例えば、脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)を、脈波間隔のばらつき度とした場合には、所定範囲R1は、「0.9≦R1≦1.1」などの範囲に設定される。
判断された判断結果は、例えば、脈波波形Wjの分析時間Tjと対応付けて、図7に示した分析結果DB330に記憶される。
図7の例では、例えば、脈波波形W1が正常脈を示すと判断された結果、分析結果DB330内の分析時間および判断結果の各フィールドに、脈波波形W1の分析時間T1および判断結果「正常脈」が設定されて分析結果700−1が記憶されている。ただし、決定係数、b値の各フィールドは「−(null)」である。
算出部803は、取得された脈波波形と、関数Fにより表現されるモデルとの合致度を算出する。ここで、関数Fは、上述したように、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数である。関数Fとしては、例えば、下記式(1)を用いることができる。
ただし、Ampは、脈波の振幅である。RRIは、脈波間隔である。a,bは、係数である。すなわち、下記式(1)は、脈波間隔RRIから係数bの値(b値)を減算した値と脈波の振幅Ampとの関係を表す、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数である。
Figure 0006638733
具体的には、例えば、まず、算出部803は、脈波波形Wjが正常脈ではないと判断された場合、脈波波形DB320を参照して、脈波波形Wjにおける脈波の振幅Ampiと脈波間隔RRIiとのペアを複数特定する。より詳細に説明すると、例えば、算出部803は、脈波波形Wjにおける振幅Amp1〜Ampnと脈波間隔RRI1〜RRInとのそれぞれのペアを特定する。
以下の説明では、振幅Amp1〜Ampnと脈波間隔RRI1〜RRInとのそれぞれのペアを「ペアP1〜Pn」と表記する場合がある。
そして、算出部803は、上記式(1)を用いて、特定したペアP1〜Pnに基づく回帰分析を行うことにより、係数a,bの値および決定係数を算出する。ここで、決定係数は、独立変数(説明変数)が従属変数(被説明変数)のどれくらいを説明できるかを表す値であり、「寄与率」とも呼ばれる。
決定係数は、標本値から求めた回帰方程式のあてはまりの良さの尺度として利用される。このため、この決定係数を、脈波波形Wjの合致度として算出する。なお、決定係数は、例えば、下記式(2)を用いて求めることができる。ただし、残差は、標本値(脈波間隔RRIiに対する振幅Ampi)と回帰方程式による推定値との差である。
決定係数=1−(残差の二乗和)/(標本値の平均からの差の二乗和) …(2)
判断部804は、算出された合致度に基づいて、脈波波形Wjにノイズが含まれるか否かを判断する。具体的には、例えば、判断部804は、算出した合致度が閾値Th未満の場合に、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断することにしてもよい。閾値Thは、任意に設定可能であり、例えば、0.5程度の値に設定される。
これにより、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが低い脈波波形Wjを「ノイズ」として分類することができる。
また、例えば、判断部804は、脈波波形Wjが正常脈ではないと判断され、かつ、算出した合致度が閾値Th以上の場合には、脈波波形Wjに不整脈が含まれると判断することにしてもよい。これにより、脈波間隔のばらつき度合いが大きく、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが高い脈波波形Wjを「不整脈」として分類することができる。
また、判断部804は、算出された係数bの値(b値)が所定範囲R2外の場合には、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断することにしてもよい。所定範囲R2は、任意に設定可能であり、例えば、心臓の不応期に相当する「150[ms]≦R2≦300[ms]」などの範囲に設定される。
これにより、心臓の不応期に対応するb値が、一般的な不応期を表す所定範囲R2から外れる脈波波形Wjを「不整脈」として分類することができる。
判断された判断結果は、上述したように、例えば、脈波波形Wjの分析時間Tjと対応付けて、分析結果DB330に記憶される。
例えば、脈波波形W2が不整脈を含むと判断されると、脈波波形W2の分析時間T2および判断結果「不整脈」が分析結果DB330に記憶される。図7の例では、分析結果DB330内の分析時間および判断結果の各フィールドに、分析時間T2および判断結果「不整脈」が設定されて、分析結果700−2が記憶されている。また、分析結果700−2の決定係数、b値の各フィールドには、算出された決定係数「0.56」およびb値「288」が設定されている。
また、例えば、脈波波形W3がノイズを含むと判断されると、脈波波形W3の分析時間T3および判断結果「ノイズ」が分析結果DB330に記憶される。図7の例では、分析結果DB330内の分析時間および判断結果の各フィールドに、分析時間T3および判断結果「ノイズ」が設定されて、分析結果700−3が記憶されている。また、分析結果700−3の決定係数、b値の各フィールドには、算出された決定係数「0.33」およびb値「255」が設定されている。
また、算出部803は、算出した脈波波形Wjの合致度が閾値Th未満の場合、または、算出したb値が所定範囲R2外の場合には、ペアP1〜Pnのうちの外れ値となるペアPiを削除することにしてもよい。ここで、外れ値とは、データの全体的な傾向から大きく離れた値のことである。
具体的には、例えば、算出部803は、脈波波形DB320を参照して、ペアP1〜Pnのそれぞれについて、回帰分析により求めた近似曲線(回帰方程式)と比較して、最も離れた位置のペアを外れ値として削除することにしてもよい。また、例えば、算出部803は、標本値の平均から標準偏差の3倍以上離れているデータを外れ値として削除することにしてもよい。
そして、算出部803は、ペアP1〜Pnから外れ値となるペアPiを削除した削除後のペアに含まれる脈波間隔のばらつき度を算出し直すことにしてもよい。これにより、外れ値を除去したデータをもとにばらつき度を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
また、算出部803は、上記式(1)を用いて、ペアP1〜Pnから外れ値となるペアPiを削除した削除後のペアに基づく回帰分析を行うことにより、係数a,bの値および決定係数を算出し直すことにしてもよい。これにより、外れ値を除去したデータをもとに係数a,bの値および決定係数を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
ただし、回帰分析を行うためには少なくとも3個以上のデータが必要となる。このため、外れ値となるペアを削除する削除前のペア数が4以上の場合に、係数a,bの値および決定係数を再計算することができる。
ここで、図9を用いて、外れ値の具体例について説明する。
図9は、外れ値の具体例を示す説明図である。図9において、点線グラフ900は、ある脈波波形について回帰分析により求めた近似曲線を表している。データ901〜906は、ある脈波波形における振幅Ampと脈波間隔RRIとの各ペアに対応するデータである。
この場合、算出部803は、例えば、各データ901〜906と点線グラフ900とを比較して、点線グラフ900から最も離れたデータを外れ値として特定する。図9の例では、データ901が外れ値として特定される。そして、算出部803は、例えば、脈波波形DB320から、ある脈波波形のデータ901に対応する振幅Ampと脈波間隔RRIとのペアについての脈波情報を削除する。
図8の説明に戻り、出力部805は、判断された判断結果を出力する。具体的には、例えば、出力部805は、分析結果DB330を参照して、脈波波形Wjの分析時間Tjと、脈波波形Wjの判断結果とを対応付けて表す脈波分析結果を出力することにしてもよい。出力部805の出力形式としては、例えば、ディスプレイ406(図4参照)への表示、不図示のプリンタへの印刷出力、I/F405による外部装置への送信などがある。
ここで、図10を用いて、脈波分析結果の具体例について説明する。
図10は、脈波分析結果の具体例を示す説明図(その1)である。図10において、脈波分析結果1000は、各脈波波形W1〜Wmの分析時間T1〜Tmと、各脈波波形W1〜Wmの判断結果とを対応付けて表す。
脈波分析結果1000によれば、各分析時間T1〜Tmにおいて、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれの脈波が検出されたのかを判別することができる。各分析時間T1〜Tmは、例えば、各脈波波形W1〜Wmが計測された時刻、すなわち、計測開始時刻から計測終了時刻までの計測期間を特定する情報である。
例えば、ユーザは、分析時間T1の脈波波形W1が「正常脈」であることがわかる。また、ユーザは、分析時間T2の脈波波形W2には「不整脈」が含まれることがわかる。また、ユーザは、分析時間T3の脈波波形W3には「ノイズ」が含まれることがわかる。
また、出力部805は、脈波波形Wjの脈波分析結果とともに、脈波波形Wjを出力することにしてもよい。また、出力部805は、脈波波形DB320を参照して、脈波波形Wjの脈波分析結果とともに、脈波波形Wjの各ピークのピーク検出時間t1〜tnを出力することにしてもよい。
この際、出力部805は、ピーク検出時間t1〜tnのうち外れ値として削除されたペアに対応するピーク検出時間は出力しない。このため、例えば、脈波波形Wjが不整脈を含むと判断された場合、ユーザは、削除されていない残りのピーク検出時間に対応するピークが不整脈であると判断することができる。
また、脈波波形を取得する区間を時間軸上でどのように設定するかによって、不整脈やノイズに対応するピークを絞り込みやすくさせることができる。
例えば、区間の時間幅を10秒間とし、各区間を1秒ずつずらして設定したとする。また、脈波波形W1の判断結果が「正常脈」で、脈波波形W2の判断結果が「不整脈」であったとする。この場合、ユーザは、脈波波形W2の区間のうち、脈波波形W1の区間と重なっていない残りの区間(1秒間)内のピークが不整脈であると特定することができる。
例えば、区間の時間幅を10個のピークを含む長さとし、各区間をピーク1個分ずつずらして設定したとする。また、脈波波形W1の判断結果が「正常脈」で、脈波波形W2の判断結果が「不整脈」であったとする。この場合、脈波分析装置301は、脈波波形W2の区間内の10個のピークのうち、脈波波形W1の区間内のピークとは異なる最後のピークが不整脈であると特定することができる。
このように、各区間をピーク1個分ずつずらして設定することにより、各脈波波形Wjに含まれる最後のピークが「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれであるかを特定することができる。このため、出力部805は、例えば、図11に示すような脈波分析結果1100を出力することにしてもよい。
図11は、脈波分析結果の具体例を示す説明図(その2)である。図11において、脈波分析結果1100は、ピーク検出時間と判断結果とを対応付けて表す。脈波分析結果1100によれば、各ピークが「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれを示すものであるかを判別することができる。なお、ピーク検出時間は、ピークが検出された時刻(時:分:秒)を示す。
例えば、ユーザは、ピーク検出時間「13:01:00」に検出されたピークが「正常脈」を示すことがわかる。また、ユーザは、ピーク検出時間「13:01:01」に検出されたピークが「不整脈」を示すことがわかる。また、ユーザは、ピーク検出時間「14:13:49」に検出されたピークが「ノイズ」を示すことがわかる。
(振幅Ampiの換わりに脈波面積Siを用いる場合)
上述した説明では、振幅Ampiと脈波間隔RRIiとのペアに基づいて、脈波波形Wjの合致度を算出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、算出部803は、振幅Ampiの換わりに脈波面積Siを用いて、脈波面積Siと脈波間隔RRIiとのペアに基づいて、脈波波形Wjの合致度を算出することにしてもよい。
ここで、図12を用いて、脈波面積Siの具体例について説明する。
図12は、脈波面積の具体例を示す説明図である。図12において、脈波波形1200は、脈波の時間的変化を示す波形である。脈波面積Siは、例えば、脈波間の脈波信号の最小値(極小値)から最大値(極大値)までの面積(図12中、斜線で示す領域)として定義することができる。
この場合、算出部803は、例えば、脈波波形1200の最小値(極小値)の検出時間t’からピーク検出時間tiまでの区間について定積分することにより、脈波面積Siを算出することができる。すなわち、脈波面積Siは、振幅Ampiと比例関係にあり、振幅Ampiと同様に扱うことができる。なお、振幅Ampiの換わりに脈波面積Siを用いる場合、上記式(1)に含まれる「Amp」は「S」となる。
(閾値Thおよび所定範囲R2の決定例)
つぎに、閾値Thおよび所定範囲R2の決定例について説明する。上述した説明では、閾値Thおよび所定範囲R2として、全ての対象者に共通の値を用いることにしたが、これに限らない。例えば、脈拍信号が極めて弱い人は、決定係数(合致度)やb値が小さい値となり、毎回脈波波形にノイズが含まれると判断されてしまうおそれがある。
このため、まず、安静時に計測された対象者の脈波波形を対象として、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかを判断する。そして、「ノイズ」と判断されることはあっても、「不整脈」とは一度も判断されなかった場合に、閾値Thおよび所定範囲R2を変更することにしてもよい。
安静時に計測された脈波波形は、例えば、サーバ302が有する個人特性DB340内の個人脈波波形テーブル1300(後述の図13参照)に記憶される。また、安静時に計測された脈波波形を対象とした判断結果は、例えば、サーバ302が有する個人特性DB340内の個人分析結果テーブル1400(後述の図14参照)に記憶される。
図13は、個人脈波波形テーブル1300の記憶内容の一例を示す説明図である。図13において、個人脈波波形テーブル1300は、ユーザID、ピーク検出時間、振幅および脈波間隔のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、個人脈波情報(例えば、個人脈波情報1300−1〜1300−3)をレコードとして記憶する。
ここで、ユーザIDは、対象者を一意に識別する識別子である。ピーク検出時間は、脈波のピークが検出された時間である。振幅は、脈波信号の極大値(ピーク)と極小値との差である。脈波間隔は、時系列に連続するピークとピークとの間の間隔である。
脈波分析装置301は、サーバ302にアクセスすることにより、個人脈波波形テーブル1300を参照することができる。そして、脈波分析装置301は、安静時に計測された対象者の脈波波形を対象として、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかを判断する脈波分析を行うことができる。
判断された判断結果は、例えば、個人分析結果テーブル1400に記憶される。なお、個人脈波波形テーブル1300は、脈波分析装置301が有することにしてもよい。
図14は、個人分析結果テーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。図14において、個人分析結果テーブル1400は、ユーザID、分析時間、決定係数、b値および判断結果のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、個人分析結果(例えば、個人分析結果1400−1〜1400−3)をレコードとして記憶する。
ここで、ユーザIDは、対象者を一意に識別する識別子である。分析時間は、分析対象の脈波波形の分析を行った時間である。決定係数は、分析対象の脈波波形の合致度を示す値である。b値は、上記式(1)に含まれる係数bの値である。判断結果は、分析対象の脈波波形が「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれであるかを示す。
脈波分析装置301は、サーバ302にアクセスすることにより、個人分析結果テーブル1400を参照することができる。なお、個人分析結果テーブル1400は、脈波分析装置301が有することにしてもよい。
以下、図15を用いて、閾値Thおよび所定範囲R2の決定例について説明する。
図15は、閾値Thおよび所定範囲R2の決定例を示す説明図である。脈波分析装置301は、例えば、個人分析結果テーブル1400を参照して、決定係数の頻度分布1510を作成する。頻度分布1510は、各値の決定係数がどのような頻度で現れるかを表す。
つぎに、脈波分析装置301は、頻度分布1510に基づいて、決定係数の半値幅を算出する。半値幅は、山形の関数の広がりの程度を表す指標であり、山のピークのところから半分の高さのところの山の幅を示す。ここでは、決定係数の半値幅として「0.3〜0.7」が算出されたとする。この場合、脈波分析装置301は、例えば、決定係数の半値幅の下限値「0.3」を閾値Thに決定する。
また、脈波分析装置301は、例えば、個人分析結果テーブル1400を参照して、b値の頻度分布1520を作成する。頻度分布1520は、各値のb値がどのような頻度で現れるかを表す。つぎに、脈波分析装置301は、頻度分布1520に基づいて、b値の半値幅を算出する。ここでは、b値の半値幅として「50〜400」が算出されたとする。この場合、脈波分析装置301は、例えば、b値の半値幅「50〜400」を所定範囲R2に決定する。
決定された閾値Thおよび所定範囲R2は、例えば、対象者のユーザIDと対応付けて、図16に示す閾値テーブル1600に記憶される。
図16は、閾値テーブル1600の記憶内容の一例を示す説明図である。図16において、閾値テーブル1600は、ユーザID、Th、R2のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、閾値情報(例えば、閾値情報1600−1)をレコードとして記憶する。
ここで、ユーザIDは、対象者を一意に識別する識別子である。Thは、閾値Thの値である。R2は、所定範囲R2の範囲である。閾値テーブル1600によれば、ユーザID「U1」の対象者の脈波分析を行う際に用いる閾値Thおよび所定範囲R2を特定することができる。
なお、上述した脈波分析装置301の各機能部は、図3に示したサーバ302により実現されることにしてもよい。この場合、ユーザは、例えば、脈波分析装置301を用いてサーバ302から出力される脈波分析結果(例えば、脈波分析結果1000,1100)を閲覧することができる。
(脈波分析装置301の脈波分析処理手順)
つぎに、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順について説明する。
図17Aおよび図17Bは、実施の形態1にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャートである。図17Aのフローチャートにおいて、まず、脈波分析装置301は、脈波波形Wjを取得する(ステップS1701)。
つぎに、脈波分析装置301は、取得した脈波波形Wjに基づいて、脈波の脈波間隔RRI1〜RRInを特定する(ステップS1702)。また、脈波分析装置301は、取得した脈波波形Wjに基づいて、脈波の振幅Amp1〜Ampnを特定する(ステップS1703)。
なお、特定された脈波間隔RRI1〜RRInおよび振幅Amp1〜Ampnは、例えば、脈波波形DB320に記憶される。
つぎに、脈波分析装置301は、脈波波形DB320を参照して、脈波波形Wjにおいて隣り合う脈波の脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)を算出する(ステップS1704)。そして、脈波分析装置301は、算出した脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)が所定範囲R1内であるか否かを判断する(ステップS1705)。
ここで、脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)が所定範囲R1内である場合(ステップS1705:Yes)、脈波分析装置301は、脈波波形Wjが正常脈を示すと判断する(ステップS1706)。そして、脈波分析装置301は、判断した判断結果を分析結果DB330に記録して(ステップS1707)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
また、ステップS1705において、脈波間隔比(RRIi+1/RRIi)が所定範囲R1外である場合(ステップS1705:No)、脈波分析装置301は、図17Bに示すステップS1708に移行する。
図17Bのフローチャートにおいて、まず、脈波分析装置301は、脈波波形DB320を参照して、脈波波形Wjにおける脈波の振幅Ampiと脈波間隔RRIiとのペアを複数特定する(ステップS1708)。
つぎに、脈波分析装置301は、上記式(1)を用いて、複数特定したペアP1〜Pnに基づく回帰分析を行うことにより、b値および決定係数を算出する(ステップS1709)。そして、脈波分析装置301は、算出した決定係数が閾値Th未満であるか否かを判断する(ステップS1710)。
ここで、決定係数が閾値Th未満の場合(ステップS1710:Yes)、脈波分析装置301は、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断して(ステップS1711)、ステップS1714に移行する。
一方、決定係数が閾値Th以上の場合(ステップS1710:No)、脈波分析装置301は、算出したb値が所定範囲R2内であるか否かを判断する(ステップS1712)。ここで、b値が所定範囲R2外である場合(ステップS1712:No)、脈波分析装置301は、ステップS1711に移行する。
一方、b値が所定範囲R2内である場合(ステップS1712:Yes)、脈波分析装置301は、脈波波形Wjに不整脈が含まれると判断する(ステップS1713)。そして、脈波分析装置301は、判断した判断結果を分析結果DB330に記録して(ステップS1714)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
これにより、脈波波形Wkを、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかに精度よく分類することができる。
なお、サーバ302が有する閾値テーブル1600に対象者固有の閾値Thが記憶されている場合には、ステップS1709において、脈波分析装置301は、閾値テーブル1600内の対象者固有の閾値Thを用いる。
また、サーバ302が有する閾値テーブル1600に対象者固有の所定範囲R2が記憶されている場合には、ステップS1710において、脈波分析装置301は、閾値テーブル1600内の対象者固有の所定範囲R2を用いる。
また、ステップS1710において、決定係数が閾値Th未満の場合(ステップS1710:Yes)、脈波分析装置301は、ペアP1〜Pnのうちの外れ値となるペアPiを削除することにしてもよい。そして、脈波分析装置301は、削除後のペア数が3以上であれば、ステップS1704に戻って、一連の処理を繰り返すことにしてもよい。一方、削除後のペア数が3未満の場合には、脈波分析装置301は、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断する。
同様に、ステップS1712において、b値が所定範囲R2外である場合(ステップS1712:No)、脈波分析装置301は、ペアP1〜Pnのうちの外れ値となるペアPiを削除することにしてもよい。そして、脈波分析装置301は、削除後のペア数が3以上であれば、ステップS1704に戻って、一連の処理を繰り返すことにしてもよい。一方、削除後のペア数が3未満の場合には、脈波分析装置301は、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断する。
これにより、回帰分析に用いるデータから外れ値を除去して脈波分析をやり直すことができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
以上説明したように、実施の形態1にかかる脈波分析装置301によれば、取得した脈波波形Wjに基づいて、脈波の脈波間隔RRIiを特定することができる。また、脈波分析装置301によれば、特定した脈波間隔RRIiに基づいて、脈波間隔のばらつき度を算出することができる。そして、脈波分析装置301によれば、算出した脈波間隔のばらつき度に基づいて、脈波波形Wjが正常脈を示すか否かを判断することができる。
これにより、脈波間隔のばらつき度合いが小さい脈波波形Wjを「正常脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、取得した脈波波形Wjに基づいて、脈波の振幅Ampiを特定することができる。そして、脈波分析装置301によれば、上記式(1)を用いて、ペアP1〜Pnに基づく回帰分析を行うことにより、係数a,bの値および決定係数を算出することができる。ペアP1〜Pnは、振幅Amp1〜Ampnと脈波間隔RRI1〜RRInとのそれぞれのペアである。
これにより、脈波波形Wjと、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す決定係数、および心臓の不応期に対応するb値(係数bの値)を求めることができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出した決定係数(合致度)が閾値Th未満の場合、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断することができる。これにより、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが低い脈波波形Wjを「ノイズ」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、脈波波形Wjが正常脈ではないと判断し、かつ、算出した決定係数が閾値Th以上の場合には、脈波波形Wjに不整脈が含まれると判断することができる。これにより、脈波間隔のばらつき度合いが大きく、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが高い脈波波形Wjを「不整脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出したb値(係数bの値)が所定範囲R2外の場合には、脈波波形Wjにノイズが含まれると判断することができる。これにより、心臓の不応期に対応するb値が、一般的な不応期を表す所定範囲R2から外れる脈波波形Wjを「不整脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出した脈波波形Wjの決定係数が閾値Th未満の場合、または、算出したb値が所定範囲R2外の場合には、ペアP1〜Pnのうちの外れ値となるペアPiを削除することができる。これにより、ペアP1〜Pnの中からデータの全体的な傾向から大きく離れたペアを除去することができる。
また、脈波分析装置301によれば、ペアP1〜Pnから外れ値となるペアPiを削除した削除後のペアに含まれる脈波間隔のばらつき度を算出し直すことができる。これにより、外れ値を除去したデータをもとにばらつき度を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
また、脈波分析装置301によれば、上記式(1)を用いて、ペアP1〜Pnから外れ値となるペアPiを削除した削除後のペアに基づく回帰分析を行うことにより、係数a,bの値および決定係数を算出し直すことができる。これにより、外れ値を除去したデータをもとに係数a,bの値および決定係数を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
これらのことから、実施の形態1にかかる脈波分析装置301によれば、脈波波形Wkを、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかに精度よく分類することができる。これにより、対象者について計測された脈波から体動等によるノイズを分離することができ、不整脈判定や脈拍数判定などの脈波分析を行う際の分析精度の向上を図ることができる。
また、例えば、顔脈拍測定法を用いて脈波を計測可能なウェアラブル端末などに脈波分析装置301を適用することにより、場所を選ばず無意識に脈波を測定することができる。これにより、病院の待ち時間や自宅の空き時間などに脈波を測定可能となり、不整脈の早期発見を実現するとともに、心不全や脳梗塞などの重大な病気の予防に貢献することができる。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる脈波分析装置301について説明する。なお、実施の形態1で説明した箇所と同様の箇所については、図示および説明を省略する。
上述した実施の形態1では、10秒程度の区間に計測された脈波の脈波波形を用いて、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかを判断する場合について説明した。ところが、顔脈拍測定法などを用いて脈波を計測する場合、10秒程度の時間継続して対象者の顔画像を撮影できず、10秒程度の脈波波形を1区間で確保できないことがある。
このため、実施の形態2では、それぞれ異なる区間に計測された脈波の脈波波形を組み合わせて、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかを判断する判断方法について説明する。ただし、脈波を計測する区間が異なると、対象者の心臓の状態や計測環境などが異なることがある。このため、各区間で計測される脈波の振幅の大きさに差異が生じ、単純に脈波間隔と振幅(あるいは、脈波面積)とのペアを用いた回帰分析では脈波分析の分析精度が低下するおそれがある。
そこで、実施の形態2では、脈波の振幅(あるいは、脈波面積)を単純に用いるのではなく、各区間内の隣り合う脈波の振幅比(あるいは、面積比)を用いることにより、計測時の心臓の状態や計測環境などの違いにより生じる振幅の大きさの違いを吸収して脈波分析の分析精度の低下を防ぐ。
(脈波分析装置301の機能的構成例)
図18は、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の機能的構成例を示すブロック図である。図18において、脈波分析装置301は、取得部1801と、特定部1802と、算出部1803と、判断部1804と、出力部1805と、を含む構成である。取得部1801〜出力部1805は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図4に示したメモリ402、ディスク404などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F405により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ402、ディスク404などの記憶装置に記憶される。
取得部1801は、それぞれ異なる区間に計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得する。区間同士は、時系列に連続していてもよく、また、時系列に非連続であってもよい。また、各区間の時間幅は、任意に設定可能であり、区間同士で時間幅が異なっていてもよい。ただし、各区間には、脈波のピークが少なくとも3つ以上含まれるものとする。
以下の説明では、それぞれ異なる区間を「区間S1〜SK」と表記する場合がある。Kは、3以上の自然数であり、例えば、10程度である。また、区間S1〜SKのうちの任意の区間を「区間Sk」と表記する場合がある(k=1,2,…,K)。また、各区間S1〜SKの脈波波形を組み合わせたものを「脈波波形W」と表記する場合がある。
ここで、図19を用いて、それぞれ異なる区間の具体例について説明する。
図19は、脈波波形の時間変化を示す説明図である。図19において、区間S1,S2は、対象者の脈波が計測されたそれぞれ異なる区間である。区間S1,S2は、時系列に非連続な区間である。また、各区間S1,S2には、脈波のピークがそれぞれ3つ含まれている。
図18の説明に戻り、特定部1802は、取得された各区間Skの脈波波形から隣り合う脈波の振幅比と脈波間隔との組合せを特定する。
図19に示した区間S1,S2を例に挙げると、まず、特定部1802は、区間S1内の隣り合う脈波の脈波間隔RRI(1)1,RRI(1)2を特定する。つぎに、特定部1802は、区間S1内の隣り合う脈波の振幅Amp(1)1,Amp(1)2を特定する。そして、特定部1802は、区間S1内の隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(1)=Amp(1)2/Amp(1)1」を算出する。
これにより、区間S1内の隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(1)=Amp(1)2/Amp(1)1」と脈波間隔RRI(1)1,RRI(1)2との組合せを特定することができる。
同様に、特定部1802は、区間S2内の隣り合う脈波の脈波間隔RRI(2)1,RRI(2)2を特定する。つぎに、特定部1802は、区間S2内の隣り合う脈波の振幅Amp(2)1,Amp(2)2を特定する。そして、特定部1802は、区間S2内の隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(2)=Amp(2)2/Amp(2)1」を算出する。
これにより、区間S2内の隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(2)=Amp(2)2/Amp(2)1」と脈波間隔RRI(2)1,RRI(2)2との組合せを特定することができる。各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比(AmpRatio(k))と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との関係は、例えば、図20に示すような関係となる。
図20は、各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比と脈波間隔との関係を示す説明図である。図20の例では、区間S1〜S5について、各区間S1〜S5内の隣り合う脈波の振幅比AmpRatioと脈波間隔RRI1,RRI2との対応関係を示すデータ2001〜2005が3次元座標系に示されている。
なお、以下の説明では、区間Skの隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(k)=Amp(k)2/Amp(k)1」と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との組合せを「組合せCk」と表記する場合がある。
図18の説明に戻り、算出部1803は、特定された脈波間隔のばらつき度を算出する。具体的には、例えば、算出部1803は、各区間Skにおいて隣り合う脈波の脈波間隔比(RRI(k)2/RRI(k)1)を、脈波間隔のばらつき度として算出することにしてもよい。
判断部1804は、算出された脈波間隔のばらつき度に基づいて、脈波波形Wが正常脈を示すか否かを判断する。具体的には、例えば、判断部1804は、脈波間隔のばらつき度が所定範囲R1内であれば、脈波波形Wが正常脈を示すと判断することにしてもよい。一方、判断部1804は、脈波間隔のばらつき度が所定範囲R外であれば、脈波波形Wが正常脈ではないと判断することにしてもよい。
より具体的には、例えば、判断部1804は、脈波波形Wに含まれる各区間Skの脈波間隔比(RRI(k)2/RRI(k)1)が全て所定範囲R1内であれば、脈波波形Wが正常脈を示すと判断してもよい。また、判断部1804は、例えば、脈波波形Wに含まれる全区間の脈波間隔比のうち、予め決められた割合以上(例えば、9割以上)の脈波間隔比が所定範囲R1内であれば、脈波波形Wが正常脈を示すと判断してもよい。
これにより、脈波間隔のばらつき度合いが小さい脈波波形Wを「正常脈」として分類することができる。
算出部1803は、脈波波形Wと、関数Fにより表現されるモデルとの合致度を算出する。ここで、関数Fは、上述したように、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数である。関数Fとしては、例えば、下記式(3)を用いることができる。ただし、AmpRatioは、各区間内の隣り合う脈波の振幅比である。Ampは、脈波の振幅である。RRIは、脈波間隔である。a,bは、係数である。
Figure 0006638733
具体的には、例えば、まず、算出部1803は、脈波波形Wが正常脈ではないと判断された場合、上記式(3)を用いて、特定された組合せC1〜CKに基づく回帰分析を行うことにより、b値(係数bの値)および決定係数を算出する。この決定係数は、脈波波形Wの合致度に相当する。
具体的には、決定係数は、各区間Skにおける各脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2からb値を減算した値と脈波の振幅比AmpRatio(k)との関係が、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数の比により表現されるモデルに合致する度合いを示す。この回帰分析により、例えば、図21に示すような近似曲線が求まる。
図21は、近似平面の具体例を示す説明図である。図21において、近似平面2100は、図20に示したデータ2001〜2005に基づく回帰分析により求まる近似平面(回帰方程式)である。図21の例では、決定係数は「0.89」であり、b値は「198」である。
図18の説明に戻り、判断部1804は、算出された合致度に基づいて、脈波波形Wにノイズが含まれるか否かを判断する。具体的には、例えば、判断部1804は、算出した合致度が閾値Th未満の場合に、脈波波形Wにノイズが含まれると判断することにしてもよい。
これにより、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが低い脈波波形Wを「ノイズ」として分類することができる。
また、例えば、判断部1804は、脈波波形Wが正常脈ではないと判断され、かつ、算出した合致度が閾値Th以上の場合には、脈波波形Wに不整脈が含まれると判断することにしてもよい。これにより、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが高い脈波波形Wを「不整脈」として分類することができる。
また、判断部1804は、算出されたb値が所定範囲R2外の場合には、脈波波形Wにノイズが含まれると判断することにしてもよい。これにより、心臓の不応期に対応するb値が、一般的な不応期を表す所定範囲R2外となる脈波波形Wを「不整脈」として分類することができる。
また、算出部1803は、算出した脈波波形Wの合致度が閾値Th未満の場合、または、算出したb値が所定範囲R2外の場合には、組合せC1〜CKのうちの外れ値となる組合せCkを削除することにしてもよい。
具体的には、例えば、算出部1803は、組合せC1〜CKのそれぞれについて、回帰分析により求めた近似平面(回帰方程式)と比較して、最も離れた位置の組合せを外れ値として削除することにしてもよい。また、例えば、算出部1803は、標本値の平均から標準偏差の3倍以上離れているデータを外れ値として削除することにしてもよい。
そして、算出部1803は、上記式(3)を用いて、組合せC1〜CKから外れ値となる組合せCkを削除した削除後の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、b値および決定係数を算出し直すことにしてもよい。これにより、外れ値を除去したデータをもとにb値および決定係数を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
ただし、回帰分析を行うためには少なくとも3個以上のデータが必要となる。このため、外れ値となる組合せを削除する削除前の組合せ数が4以上の場合に、b値および決定係数を再計算することができる。
出力部1805は、判断された判断結果を出力する。具体的には、例えば、出力部1805は、脈波波形Wの分析時間Tと、脈波波形Wの判断結果とを対応付けて表す脈波分析結果を出力することにしてもよい。分析時間Tとして、例えば、各区間Skの計測期間を特定する情報を出力することにしてもよい。
また、分析時間Tとして、各区間Sk内のピークのピーク検出時間を出力することにしてもよい。この際、外れ値として削除された組合せに対応するピークのピーク検出時間は出力されない。このため、例えば、脈波波形Wが不整脈を含むと判断された場合、ユーザは、削除されていない残りのピーク検出時間に対応するピークが不整脈であると判断することができる。
なお、上述した説明では、区間Skの隣り合う脈波の振幅比と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との組合せCkに基づいて、脈波波形Wの合致度を算出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、算出部1803は、振幅比の換わりに、区間Skの隣り合う脈波の面積比(脈波面積の比)を用いて、面積比と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との組合せCkに基づいて、脈波波形Wの合致度を算出することにしてもよい。振幅比の換わりに面積比を用いる場合、例えば、上記式(3)に含まれる「Amp」は「S(脈波面積)」となる。
(脈波分析装置301の脈波分析処理手順)
つぎに、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順について説明する。
図22Aおよび図22Bは、実施の形態2にかかる脈波分析装置301の脈波分析処理手順の一例を示すフローチャートである。図21のフローチャートにおいて、まず、脈波分析装置301は、各区間S1〜SKに計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得する(ステップS2201)。
つぎに、脈波分析装置301は、取得した各区間S1〜SKの脈波波形に基づいて、各区間Sk内の隣り合う脈波の脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2を特定する(ステップS2202)。また、脈波分析装置301は、取得した各区間S1〜SKの脈波波形に基づいて、各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅Amp(k)1,Amp(k)2を特定する(ステップS2203)。
そして、脈波分析装置301は、各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比AmpRatio(k)(=Amp(k)2/Amp(k)1)を算出する(ステップS2204)。また、脈波分析装置301は、各区間Sk内の隣り合う脈波の脈波間隔比(RRI(k)i+1/RRI(k)i)を算出する(ステップS2205)。
そして、脈波分析装置301は、算出した各区間Skの脈波間隔比(RRI(k)i+1/RRI(k)i)が所定範囲R1内であるか否かを判断する(ステップS2206)。ここで、脈波間隔比(RRI(k)i+1/RRI(k)i)が所定範囲R1内である場合(ステップS2206:Yes)、脈波分析装置301は、脈波波形Wが正常脈を示すと判断する(ステップS2207)。
そして、脈波分析装置301は、判断した判断結果を分析結果DB330に記録して(ステップS2208)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。なお、脈波波形Wは、各区間S1〜SKの脈波波形を組み合わせたものである。
また、ステップS2206において、脈波間隔比(RRI(k)i+1/RRI(k)i)が所定範囲R1外である場合(ステップS2206:No)、脈波分析装置301は、図22Bに示すステップS2209に移行する。
図22Bのフローチャートにおいて、まず、脈波分析装置301は、上記式(3)を用いて、各区間Skの組合せCkに基づく回帰分析を行うことにより、b値および決定係数を算出する(ステップS2209)。組合せCkは、区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比AmpRatio(k)と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との組合せである。
なお、後述のステップS2211において、外れ値を削除した場合には、脈波分析装置301は、外れ値を削除した削除後の各区間Skの組合せCkに基づく回帰分析を行う。
そして、脈波分析装置301は、算出した決定係数が閾値Th未満であるか否かを判断する(ステップS2210)。ここで、決定係数が閾値Th未満の場合(ステップS2210:Yes)、脈波分析装置301は、各区間Skの組合せCkから外れ値となる組合せを削除する(ステップS2211)。
そして、脈波分析装置301は、外れ値を削除した削除後の各区間Skの組合せ数が3以上であるか否かを判断する(ステップS2212)。ここで、削除後の各区間Skの組合せ数が3未満の場合(ステップS2212:No)、脈波分析装置301は、脈波波形Wにノイズが含まれると判断して(ステップS2213)、ステップS2216に移行する。
一方、削除後の各区間Skの組合せ数が3以上の場合(ステップS2212:Yes)、脈波分析装置301は、図22Aに示したステップS2206に戻る。そして、脈波分析装置301は、外れ値を削除した各区間Skの脈波間隔比(RRI(k)i+1/RRI(k)i)が所定範囲R1内であるか否かを判断する。
また、ステップS2210において、決定係数が閾値Th以上の場合(ステップS2210:No)、脈波分析装置301は、算出したb値が所定範囲R2内であるか否かを判断する(ステップS2214)。ここで、b値が所定範囲R2外である場合(ステップS2214:No)、脈波分析装置301は、ステップS2211に移行する。
一方、b値が所定範囲R2内である場合(ステップS2214:Yes)、脈波分析装置301は、脈波波形Wに不整脈が含まれると判断する(ステップS2215)。そして、脈波分析装置301は、判断した判断結果を分析結果DB330に記録して(ステップS2216)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
これにより、各区間S1〜SKに計測された脈波を組み合わせた脈波波形Wを、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかに精度よく分類することができる。
以上説明したように、実施の形態2にかかる脈波分析装置301によれば、各区間Skの脈波波形に基づいて、各区間Skの隣り合う脈波の脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2を特定することができる。また、脈波分析装置301によれば、特定した脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2に基づいて、脈波間隔のばらつき度を算出することができる。そして、脈波分析装置301によれば、算出した脈波間隔のばらつき度に基づいて、脈波波形Wが正常脈を示すか否かを判断することができる。
これにより、脈波間隔のばらつき度合いが小さい脈波波形Wを「正常脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、各区間Skの脈波波形に基づいて、各区間Skの隣り合う脈波の振幅比「AmpRatio(k)=Amp(k)2/Amp(k)1」を算出することができる。また、脈波分析装置301によれば、脈波波形Wが正常脈ではないと判断された場合、上記式(3)を用いて、特定された組合せC1〜CKに基づく回帰分析を行うことにより、b値(係数bの値)および決定係数を算出する。なお、組合せCk(k=1,2,…,K)は、振幅比「AmpRatio(k)=Amp(k)2/Amp(k)1」と脈波間隔RRI(k)1,RRI(k)2との組合せである。
これにより、脈波波形Wと、心臓の拍動(収縮・拡張)に伴う血流量の時間的変化を表す関数Fにより表現されるモデルとの合致度合いを示す決定係数、および心臓の不応期に対応するb値(係数bの値)を求めることができる。また、脈波の振幅の換わりに、各区間Sk内の隣り合う脈波の振幅比AmpRatio(k)を用いて回帰分析を行うことにより、計測時の心臓の状態や計測環境などの違いにより生じる振幅の大きさの違いを吸収することができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出した決定係数(合致度)が閾値Th未満の場合に、脈波波形Wにノイズが含まれると判断することができる。これにより、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが低い脈波波形Wを「ノイズ」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、脈波波形Wが正常脈ではないと判断し、かつ、算出した決定係数が閾値Th以上の場合には、脈波波形Wに不整脈が含まれると判断することができる。これにより、脈波間隔のばらつき度合いが大きく、心臓の拍動に伴う血流量の時間的変化を表すモデルとの合致度合いが高い脈波波形Wを「不整脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出したb値(係数bの値)が所定範囲R2外の場合には、脈波波形Wにノイズが含まれると判断することができる。これにより、心臓の不応期に対応するb値が、一般的な不応期を表す所定範囲R2から外れる脈波波形Wを「不整脈」として分類することができる。
また、脈波分析装置301によれば、算出した脈波波形Wの決定係数が閾値Th未満の場合、または、算出したb値が所定範囲R2外の場合には、組合せC1〜CKのうちの外れ値となる組合せCkを削除することができる。これにより、組合せC1〜CKの中からデータの全体的な傾向から大きく離れた組合せを除去することができる。
また、脈波分析装置301によれば、上記式(3)を用いて、組合せC1〜CKから外れ値となる組合せCkを削除した削除後の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、b値および決定係数を算出し直すことができる。これにより、外れ値を除去したデータをもとに係数a,bの値および決定係数を再計算することができ、脈波分析の分析精度の向上を図ることができる。
これらのことから、実施の形態2にかかる脈波分析装置301によれば、それぞれ異なる区間S1〜SKの脈波を組み合わせた脈波波形Wを、「正常脈」、「不整脈」および「ノイズ」のいずれかに精度よく分類することができる。これにより、例えば、10秒程度の脈波波形を1区間で確保できないような場合であっても、対象者について計測された脈波から体動等によるノイズを分離することができ、不整脈判定や脈拍数判定などの脈波分析を行う際の分析精度の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した判断方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本判断プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本判断プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
取得した前記脈波波形と、心臓の拍動間隔と血流量との関係性を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
算出した前記第1の値に基づいて、前記脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断し、
判断した判断結果を出力する、
制御部を有することを特徴とする判断装置。
(付記2)前記制御部は、
前記脈波波形に基づいて、脈波間隔のばらつき度合いを示す第2の値を算出し、
算出した前記第2の値に基づいて、前記脈波波形が正常脈を示すか否かを判断する、ことを特徴とする付記1に記載の判断装置。
(付記3)前記制御部は、
前記脈波波形が正常脈ではないと判断した場合に、前記脈波波形と前記モデルとの合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする付記2に記載の判断装置。
(付記4)前記制御部は、
算出した前記第1の値が閾値未満の場合に、前記脈波波形にノイズが含まれると判断し、
算出した前記第1の値が前記閾値以上の場合には、前記脈波波形に不整脈が含まれると判断する、ことを特徴とする付記3に記載の判断装置。
(付記5)前記関数は、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数であり、
前記制御部は、
前記脈波波形から脈波の振幅または脈波面積と脈波間隔との組合せを複数特定し、
特定した複数の組合せに基づいて、脈波間隔から所定値を減算した値と脈波の振幅または脈波面積との関係が、前記関数により表現されるモデルに合致する合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の判断装置。
(付記6)前記制御部は、
前記複数の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、前記関数に含まれる前記所定値を示す係数の値を算出し、
算出した前記係数の値が、所定の範囲外の場合には、前記脈波波形にノイズが含まれると判断する、ことを特徴とする付記5に記載の判断装置。
(付記7)前記制御部は、
前記複数の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除し、
前記外れ値となる組合せを削除した削除後の組合せに基づいて、前記第1の値を算出する、ことを特徴とする付記5または6に記載の判断装置。
(付記8)前記制御部は、
算出した前記第1の値が前記閾値未満の場合、または、算出した前記係数の値が前記範囲外の場合に、前記複数の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除する、ことを特徴とする付記7に記載の判断装置。
(付記9)前記関数は、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数であり、
前記制御部は、
それぞれ異なる区間に計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
前記各区間の脈波波形から隣り合う脈波の振幅比または面積比と脈波間隔との組合せを特定し、
特定した前記各区間の組合せに基づいて、前記各区間における各脈波間隔から所定値を減算した値と脈波の振幅比または面積比との関係が、前記関数の比により表現されるモデルに合致する合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の判断装置。
(付記10)前記制御部は、
前記各区間の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、前記関数に含まれる前記所定値を示す係数の値を算出し、
算出した前記係数の値が、所定の範囲外の場合には、前記脈波波形にノイズが含まれると判断する、ことを特徴とする付記9に記載の判断装置。
(付記11)前記制御部は、
前記各区間の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除し、
前記外れ値となる組合せを削除した削除後の組合せに基づいて、前記第1の値を算出する、ことを特徴とする付記9または10に記載の判断装置。
(付記12)前記制御部は、
算出した前記第1の値が前記閾値未満の場合、または、算出した前記係数の値が前記範囲外の場合に、前記各区間の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除する、ことを特徴とする付記11に記載の判断装置。
(付記13)前記脈波波形は、撮像装置により撮像された対象者の動画像に含まれる輝度変化信号を生体の脈波として計測したものである、ことを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の判断装置。
(付記14)コンピュータが、
計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
取得した前記脈波波形と、心臓の拍動間隔と血流量との関係性を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
算出した前記値に基づいて、前記脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断し、
判断した判断結果を出力する、
処理を実行することを特徴とする判断方法。
(付記15)コンピュータに、
計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
取得した前記脈波波形と、心臓の拍動間隔と血流量との関係性を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
算出した前記値に基づいて、前記脈波波形にノイズが含まれるか否かを判断し、
判断した判断結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする判断プログラム。
100 判断装置
110,W,W1〜Wm,Wj 脈波波形
300 脈波分析システム
301 脈波分析装置
302 サーバ
320 脈波波形DB
330 分析結果DB
340 個人特性DB
801,1801 取得部
802,1802 特定部
803,1803 算出部
804,1804 判断部
805,1805 出力部
1000,1100 脈波分析結果
1300 個人脈波波形テーブル
1400 個人分析結果テーブル
1600 閾値テーブル

Claims (13)

  1. 計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
    取得した前記脈波波形と、前回の心臓の拍動から一定時間経過後に単調増加していく前記心臓の血流量の時間的変化を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
    算出した前記第1の値が閾値未満の場合に、前記脈波波形にノイズが含まれると判断し、
    判断した判断結果を出力する、
    制御部を有することを特徴とする判断装置。
  2. 前記制御部は、
    前記脈波波形に基づいて、脈波間隔のばらつき度合いを示す第2の値を算出し、
    算出した前記第2の値に基づいて、前記脈波波形が正常脈を示すか否かを判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の判断装置。
  3. 前記制御部は、
    前記脈波波形が正常脈ではないと判断した場合に、前記脈波波形と前記モデルとの合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする請求項2に記載の判断装置。
  4. 前記制御部は、
    算出した前記第1の値が前記閾値以上の場合には、前記脈波波形に不整脈が含まれると判断する、ことを特徴とする請求項3に記載の判断装置。
  5. 前記関数は、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数であり、
    前記制御部は、
    前記脈波波形から脈波の振幅または脈波面積と脈波間隔との組合せを複数特定し、
    特定した複数の組合せに基づいて、脈波間隔から所定値を減算した値と脈波の振幅または脈波面積との関係が、前記関数により表現されるモデルに合致する合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の判断装置。
  6. 前記制御部は、
    前記複数の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、前記関数に含まれる前記所定値を示す係数の値を算出し、
    算出した前記係数の値が、所定の範囲外の場合には、前記脈波波形にノイズが含まれると判断する、ことを特徴とする請求項5に記載の判断装置。
  7. 前記制御部は、
    前記複数の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除し、
    前記外れ値となる組合せを削除した削除後の組合せに基づいて、前記第1の値を算出する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の判断装置。
  8. 前記関数は、原点を通り、かつ、上に凸の単調増加の関数であり、
    前記制御部は、
    それぞれ異なる区間に計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
    前記各区間の脈波波形から隣り合う脈波の振幅比または面積比と脈波間隔との組合せを特定し、
    特定した前記各区間の組合せに基づいて、前記各区間における各脈波間隔から所定値を減算した値と脈波の振幅比または面積比との関係が、前記関数の比により表現されるモデルに合致する合致度合いを示す第1の値を算出する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の判断装置。
  9. 前記制御部は、
    前記各区間の組合せに基づく回帰分析を行うことにより、前記関数に含まれる前記所定値を示す係数の値を算出し、
    算出した前記係数の値が、所定の範囲外の場合には、前記脈波波形にノイズが含まれると判断する、ことを特徴とする請求項8に記載の判断装置。
  10. 前記制御部は、
    前記各区間の組合せのうちの外れ値となる組合せを削除し、
    前記外れ値となる組合せを削除した削除後の組合せに基づいて、前記第1の値を算出する、ことを特徴とする請求項8または9に記載の判断装置。
  11. 前記脈波波形は、撮像装置により撮像された対象者の動画像に含まれる輝度変化信号を生体の脈波として計測したものである、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の判断装置。
  12. コンピュータが、
    計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
    取得した前記脈波波形と、前回の心臓の拍動から一定時間経過後に単調増加していく前記心臓の血流量の時間的変化を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
    算出した前記第1の値が閾値未満の場合に、前記脈波波形にノイズが含まれると判断し、
    判断した判断結果を出力する、
    処理を実行することを特徴とする判断方法。
  13. コンピュータに、
    計測された脈波の時間的変化を示す脈波波形を取得し、
    取得した前記脈波波形と、前回の心臓の拍動から一定時間経過後に単調増加していく前記心臓の血流量の時間的変化を表す関数により表現されるモデルとの合致度合いを示す第1の値を算出し、
    算出した前記第1の値が閾値未満の場合に、前記脈波波形にノイズが含まれると判断し、
    判断した判断結果を出力する、
    処理を実行させることを特徴とする判断プログラム。
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