JP6637741B2 - 化粧料へ配合するパール剤の選出方法 - Google Patents

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Description

本願発明は化粧料へ配合するパール剤の選出方法に関する。さらに詳細には、肌の色調を補正する効果を有する化粧料へ配合するパール剤の選出方法に関する。
肌の色調を補正するために、十分な着色能を有する化粧料を肌に塗布することによって着色する方法が行われていた。このため、化粧料やその配合原料による肌の色調を補正する効果は、素肌と化粧料塗布後の肌から得る色情報の差に基づき評価されていた(特許文献1)。
十分な着色能を有する化粧料を肌に塗布することによって着色する方法は、境目をぼかした自然な塗布方法や塗布量の調節に十分な技量を必要とし、不自然さが発生し得る。そこで、不自然さを抑制しながらも、肌の色調を各種の悩みや演出目的に応じて補正する効果を有する化粧料配合原料の開発および化粧料配合原料の選び方の検討が行われている。また一方で、着色とは異なり、鏡面反射光に特性を持たせることによる演出効果を化粧料に付与する原料として、干渉色を呈するパール剤の開発および選び方の検討が盛んに行われている。尚、ここでパール剤とは、無機の板状粉体であり、主に光沢を付与する目的で配合されるパール顔料を示す。その他、従来の化粧料配合原料の選び方においては、より簡便に短時間で見極めることが望まれていた。
特開2007−260246号公報
本願発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、化粧料へ配合するパール剤について、肌の色調を補正する効果を有するパール剤の選び方、すなわち、選出方法を提供することである。さらに詳細には、着色能が低いものでありながら、知覚される肌の色調を目的の方向に補正する効果を有するパール剤の選出方法を提供することである。
かかる課題を解決するために、本願発明者らは、顔面が撮影された画像について、肌の拡散反射成分を変化させずに、ハイライト部(最も明るい部分)に見える鏡面反射成分(反射干渉光)のみを着色する画像シミュレーションを行った結果、肌を着色する色調補正効果とは異なる色調補正効果として、ハイライト部と周囲部に色相対比が発生し、知覚される肌の色が異なって見える効果を見出した。これを実際の化粧料へ配合するパール剤について換言すれば、反射干渉色を有するパール剤は、パール剤の反射干渉色によりハイライト領域とそれ以外の肌領域(ハイライト部の周辺の肌の部分)との間に色相対比を起こし、着色能が低いものでありながら、知覚される肌の色を補正する効果を有し得ることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本願発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本願発明の一形態によれば、反射干渉色により肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、肌の色調を知覚的に補正する効果を有するパール剤の選出方法が提供される。この方法は、(a)任意の肌色補正方向を設定する工程と、(b)設定された肌色補正方向に補正する反射干渉色の色相範囲を限定する工程と、(c)該パール剤の光学指標値を取得する工程と、(d)該パール剤が前記効果を起こすために十分な光学特性を有するか否かを前記光学指標値により判定する工程と、を備える。この形態の方法によれば、対比効果によって目的の肌色補正方向に補正し得る色相範囲が限定され、パール剤が効果を起こすために十分な光学特性を有するか否かを光学指標値によって定量的に判定するので、目的の肌色補正方向に向けて補正するパール剤を客観的に選出することができる。換言すると、パール剤の反射干渉色を用いて肌の色調を補正する手法において、肌の色調補正効果の有無を客観的に判定することができる。なお、肌色補正方向とは、例えば、血色よく見せる、色白に見せる等の肌の見え方を変える方向である。
工程(c)において取得し、工程(d)において判定に用いる光学指標値は、(ア)反射干渉色の色相を採用することができる。この時、工程(d)における(ア)反射干渉色の色相の判定基準は、工程(b)において限定された色相範囲の範囲内であることとすることができる。この形態の方法によれば、肌色を目的の方向に補正するための適切な反射干渉色の色相を、該パール剤が有するか否かについて、取得された反射干渉色の色相値を基に判定するので、短時間でパール剤の評価を行うことができる。
さらに、工程(c)において取得する光学指標値は、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度、(エ)反射干渉色の彩度を(ア)と組み合わせることができる。この形態の方法によれば、パール剤が前記色調補正効果を起こすために十分な光学特性を有するか否かを測定された光学測定値を基に判定するので、より短時間でパール剤の評価を行うことができる。
ここで、前記光学指標値の(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度は、黒紙上に両面テープを貼り付けパール剤を化粧用ブラシにて均一に塗布したものを測定用試料として作成し、該測定用試料から光沢計によって受光角毎の受光量を測定し、得られるデータを、式(1)にフィッティングさせることによって得てもよい。この形態の方法によれば、鏡面反射強度、鏡面反射角度依存性の定量的な指標値を得るので、短時間で解析結果を得ることができる。
(式1)R=S×cosθ^α+d
但し、Rは受光量、Sは鏡面反射強度(光学指標値(ウ))、θは受光角の正反射角からのずれ角、αは鏡面反射角度依存性(光学指標値(イ))、dは補正値を示す。
ここで取得できる(イ)鏡面反射角度依存性の判定基準は工程(a)より適宜選択され、特に限定されないが、化粧料のメイキャップ効果として対比効果を付与できる点から15以上が好ましい。この形態の方法によれば、鏡面反射角度依存性の定量的な判定基準を設定するので、パール剤が前記効果を起こすために十分な鏡面反射角度依存性を有するか否かを短時間で判定することができる。
同様に、(ウ)鏡面反射強度の判定基準も工程(a)により適宜選択され、特に限定されないが、化粧料のメイキャップ効果としてさらに対比効果を付与できる点から7以上が好ましい。この形態の方法によれば、鏡面反射強度の定量的な判定基準を設定するので、パール剤が前記効果を起こすために十分な鏡面反射強度を有するか否かを短時間で判定することができる。
また、実際には本願発明の(ア)反射干渉色の色相、(エ)反射干渉色の彩度は、該パール剤をシリコン樹脂に5%配合した厚さ20μmのフィルムを測定用試料として作成し、分光光度計によって白色の硫酸バリウムにおける正反射光の分光反射率を基準とした前記測定用試料の正反射光の分光反射率を測定し、得られる分光反射率からL*C*h値を算出し、それぞれ、(ア)反射干渉色の色相をh値、(エ)反射干渉色の彩度をC*値としてもよい(L*は明度)。この形態の方法によれば、正反射光の光学特性を定量的に評価することができる。尚、測定用試料の作成方法は、例えば、前述の黒紙上に両面テープを貼り付けパール剤を化粧用ブラシにて均一に塗布する方法であってもよいが、背面に反射物が存在することによって反射干渉色だけでなく透過干渉色の影響も大きくなるため、反射干渉色に限定された値を取得するためには上述のパール剤をシリコン樹脂に5%配合した厚さ20μmのフィルムを作成する方法がより好ましい。
この時の(エ)反射干渉色の彩度の判定基準は、工程(a)により適宜選択され、特に限定されないが、化粧料のメイキャップ効果として血色のよい印象を付与できる点から5以上が好ましい。この形態の方法によれば、反射干渉色の彩度の定量的な判定基準を設定するので、パール剤が前記効果を起こすために十分な反射干渉色の彩度を有するか否かを短時間で判定することができる。
本願発明の方法では工程(a)により、工程(b)における色相範囲と、工程(c)及び工程(d)における光学指標値と光学指標値の範囲を適宜設定すればよい。例えば肌色補正効果の方向として、肌色を明るく血色よくするとしてもよい。この形態の方法によれば、パール剤における「パール剤の反射干渉色により肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、知覚される肌の色調を明るく血色よく補正する」効果を客観的に評価することができる。
この「パール剤の反射干渉色により肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、知覚される肌の色調を明るく血色よく補正する」効果を起こすために、(ア)反射干渉色の色相の判定基準は、(ア)が140°〜200°の範囲内であることとしてもよく、本願発明の方法では、パール剤の適切な色相範囲を短時間で判定することができる。
本願発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、上述した評価方法の少なくとも一部の工程を実現する装置や、コンピュータープログラムや、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体などの形態で実現することができる。
本実施形態における、化粧料へ配合するパール剤についての、反射干渉色により肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、肌の色調を知覚的に補正する効果を有するパール剤を選出する方法の手順を示すフローチャートである。 ステップS110において、パール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲を限定する方法の手順を示すフローチャートである。 肌色領域の周囲に色相の異なる色を配置した画像である。 肌色を補正する方向を被験者に提示するために参照チャートである。 肌色を明るく血色よくするためにパール剤が有するべき反射干渉色の色相値を170.41±30.40(SD)°と示した図である。
A.実施形態
A1.パール剤の選出方法:
図1は、本実施形態における、化粧料へ配合するパール剤についての、反射干渉色による肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、肌の色調を知覚的に補正する効果を有するパール剤を選出する方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、化粧料とは、化粧下地や、ファンデーションや、おしろいなどの皮膚に塗布し得る任意の化粧料を意味する。なお、以降では、「反射干渉色による肌領域とハイライト領域の間に色相対比を起こし、肌の色調を知覚的に補正する効果」を、単に「色調補正効果」とも呼ぶ。
図1に示すように、まず、任意の色調補正方向を設定する(ステップS105)。このとき、色調補正方向は、明るく、暗く、血色よく(彩度を高く)、彩度を低く、色相を赤く、色相を黄色くといった種々の色調補正方向を設定することができる。また、これらの色調補正方向を組み合わせて設定することもできる。
次に、任意の色調補正効果へ補正するためにパール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲を限定する(ステップS110)。特に、ステップS105において色調補正方向を、肌色を明るく血色よくすると設定した場合は、前記色相範囲はL*C*h色空間におけるh値が140°〜200°の範囲に限定される。この限定方法は、例えば、被験者による心理物理実験によって行うことができ、色相対比効果による色調補正方向を調べる種々の実験方法を用いることができる。
次に、パール剤の光学指標値を取得する(ステップS115)。かかる光学指標値としては、(ア)反射干渉色の色相、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度、(エ)反射干渉色の彩度を採用する。
前記光学指標値のうち、(ア)反射干渉色の色相、(エ)反射干渉色の彩度については、該パール剤をシリコン樹脂に5%配合した厚さ20μmのフィルムを作成し、分光光度計によって白色の硫酸バリウムにおける正反射光の分光反射率を基準とした前記フィルムの正反射光の分光反射率を測定し、得られる分光反射率からL*C*h値を算出し、h値を(ア)反射干渉色の色相、C*値を(エ)反射干渉色の彩度として採用する。分光光度計を用いた正反射光の分光反射率の測定方法としては、例えば市販の装置である日本分光株式会社製の紫外可視赤外分光光度計V―660に、手動ステージ付き絶対反射率測定ユニットを取りつけることで行うことができる。
前記光学指標値のうち、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度については、黒紙上に両面テープを貼付し、該パール剤を両面テープ上にブラシにて均一に塗布したものから、光沢計によって各受光角における受光量を取得し、得られるデータを前記式(1)にフィッティングさせて算出する。フィッティングは、例えば、公知のソフトウェアgnuplot(www.gnuplot.info)によって行うことができる。また光沢計としては、市販の光沢計を用いることができ、例えば、スガ試験機社製デジタル変角光沢計UGP5APを用いることができる。
光学指標値が得られると、該パール剤が色調補正効果を起こすために十分な光学特性を有するか否かを光学指標値(ア)〜(エ)に対して各個判定する(ステップS140)。全ての光学指標値において設定された基準内であるかもしくは基準以上であった場合に、該パール剤が十分な光学特性を有すると判定する。
ステップS120において、(ア)反射干渉色の色相の判定基準は、ステップS110において限定された色相範囲の範囲内であることとし、該パール剤が目的の肌色補正方向に補正するための反射干渉色の色相を有するか否かを判定する。
ステップS120において、(イ)鏡面反射角度依存性の判定基準は、15以上であることとし、該パール剤が色調補正効果を起こすために十分な鏡面反射角度依存性を有するか否かを判定する。
ステップS120において、(ウ)鏡面反射強度の判定基準は、7以上であることとし、該パール剤が色調補正効果を起こすために十分な鏡面反射強度を有するか否かを判定する。
ステップS120において、(エ)反射干渉色の彩度の判定基準は、5以上であることとし、該パール剤が色調補正効果を起こすために十分な反射干渉色彩度を有するか否かを判定する。
以上のように色調補正効果を有するパール剤を選出することができるので、化粧料を開発する際に、色調補正効果を考慮することができる。具体的には、複数のパール剤を用意し、これらパール剤を対象として上述した処理を行うことにより各パール剤の色調補正効果を把握して、いずれのパール剤を配合するか否かを決定することができる。
また、パール剤の光学指標値を基に色調補正効果を有するか否かを判断するので、短期間でパール剤の選出を行うことができる。
A2.色相範囲の限定方法:
図2は、上述したステップS110において、パール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲を限定する方法の手順を示すフローチャートである。上述したように、本実施形態のステップS105において肌色の色調補正方向を肌色を明るく血色よくすると設定した場合は、ステップS110においてパール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲はL*C*h色空間におけるh値が140°〜200°の範囲に限定される。かかる色相範囲は、以下のようにして決定することができる。
まず、肌色領域の周囲に、等輝度、等彩度で色相の異なる色を配置する画像群を作成した(ステップS205)。肌色領域と周囲領域の配置は、周囲領域を縦および横の大きさが512ピクセルの正方形として作成し、その上に縦および横の大きさが256ピクセルとした肌色領域を中心に揃えて重ねる方法を採用した(図3)。また肌色は一例として、L*:85.0、C*14.0、h72.0として設定し、周囲領域の色はL*値、C*値を固定し、h値を変数とする色群を採用した。実際の試験では、肌の色h72.0、すなわち色相の72°を除く19色(90°、108°、126°、144°、162°、180°、198°、216°、234°、252°、270°、288°、306°、324°、342°、360°、18°、36°、54°)を、周囲領域の色として採用した。
肌色を補正する方向を被験者に提示するために参照チャート(図4)を作成し、このチャートにより肌色の明度・彩度を共に上げる方向を矢印により、72dpiの提示装置から1mの距離で画像を示した。次いでステップ205で得られた画像群を周辺領域の色相が90°間隔である4枚を順に画像で同様に提示し、4種類の中で最も肌色の明度・彩度を共に上げる方向であるものを選択してもらった。
次いで、周辺領域の色相について、選択画像の色相をほぼ中心とし色相角度を90°から間隔を狭めて4種の画像を用いて同じ選択を行った(4択絞り込み法)。これを3回繰り返し、被験者(13名)が最も肌色の明度・彩度を共に上げると感じた周辺領域の色相を特定した(ステップS210)。なお、色相範囲の限定方法としては、最も任意の補正方向に肌色を補正する色相を回答させ、その標準偏差により得られる範囲を採用した。また、被験者はいずれも裸眼または矯正された状態であり、正常の視力を有していた。
前述の結果から、心理物理実験から、肌色を明るく血色よくするためにパール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲は、L*C*h色空間におけるh値が図5に示すように170.41±30.40(SD)°と算出され、本願発明では140°〜200°の範囲であると設定した。
以上のようにパール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲を限定するので、目的の色調補正方向に補正する反射干渉色の色相範囲を、人の知覚に準じて得ることができる。
実施例では、化粧料へ配合するパール剤の候補として、下記に示すパール剤1〜6の6種類のパール剤を用意した。
(パール剤1)BASF社製フラメンコサミットグリーン
(パール剤2)パール剤1に粒子径200nm〜400nmの球状有機粉体を全体の7.5重量%被覆して得たパール剤
(パール剤3)BASF社製フラメンコサミットブルー
(パール剤4)BASF社製フラメンコターコイズ
(パール剤5)メルク社製ティミロンシルクブルー
(パール剤6)メルク社製ティミロンシルクグリーン
まず、ステップS105において、肌色の色調補正方向を肌色を明るく鮮やかにすると設定し、ステップS110において、肌色を明るく血色よくするためにパール剤が有するべき反射干渉色の色相範囲は、前述の心理物理実験に示したようにL*C*h色空間におけるh値が140°〜200°の範囲に限定した。
次に、前述のステップS115において、前記パール剤1〜6について各々、光学指標値(ア)〜(エ)を取得した(表1)。(ア)反射干渉色の色相、(エ)反射干渉色の彩度の具体的な取得方法としては、パール剤1〜6について各々シリコン樹脂(信越シリコーン社製KE1300Tを90重量%、同社製CAT1300を10重量%混合して成るシリコン樹脂)に5%配合した厚さ20μmのフィルムを測定用試料として作成し、分光光度計によって白色の硫酸バリウムにおける正反射光の分光反射率を基準とした該測定用試料の正反射光の分光反射率を測定し、得られる分光反射率からL*C*h値を算出し、h値を(ア)反射干渉色の色相、C*値を(エ)反射干渉色の彩度とした。フィルムの作成方法として具体的には、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度の具体的な取得方法としては、黒紙上に両面テープを貼付し、パール剤1〜6についてそれぞれ両面テープ上にブラシにて均一に塗布した測定用試料から、光沢計によって各受光角における受光量を取得し、黒紙上に両面テープを貼付し、該パール剤を両面テープ上にブラシにて均一に塗布したものから、光沢計によって各受光角における受光量を取得し、得られるデータを前記式(1)にフィッティングさせ、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度とした。
ステップS120において、(ア)反射干渉色の色相が140°〜200°の範囲内、(イ)鏡面反射角度依存性は15以上、(ウ)鏡面反射強度は7以上、(エ)反射干渉色の彩度が5以上であるとする判定基準をもとに判定した結果、パール剤2のみが十分な光学特性を有すると判定された。換言すれば、パール剤2は着色能が低いものでありながら反射干渉色によって肌色を明るく血色よく補正する効果を有するパール剤として選出することができた。
パール剤1〜6について各々、5重量%配合したクリームを調製し、該クリームを試験用ドール(株式会社ビューラックス製 バイオスキンドール F−100)に塗布して撮影し、撮影した画像をもとに3名の専門家による評価を行った。表2で示す評価結果は、対比効果の発生条件である反射干渉光の知覚および、肌色を明るく血色よく補正する効果の2項目について、明確に知覚可能であるかを1〜5のスコアで官能評価した。その結果の平均値を、「4.0以上:◎」、「3.0以上4.0未満:○」、「2.0以上3.0未満:△」、「2.0未満:×」として示したものである。
表2に示す通り、前述のステップS120において選出されたパール剤2は反射干渉色の知覚、肌色を明るく血色よくする効果の双方において明確に知覚可能であった。また、前記パール剤1については、表1に示す通り(ア)反射干渉色の色相が判定基準の範囲内であるために肌色を明るく血色よくする対比効果の方向性を有するものの、(イ)鏡面反射角度依存性が判定基準を満たさず、表2に示す通り対比効果の発生条件である反射干渉色の知覚が困難であった。また、前記パール剤3については、表1に示す通り前記光学指標値(イ)〜(エ)が判定基準を満たすために、表2に示す通り反射干渉光の知覚は明確に知覚可能であったが(ア)反射干渉色の色相が判定基準の範囲外であるために、表2に示す通り肌色を明るく血色よくする効果は知覚されなかった。その他パール剤4〜6については、同様に判定基準を満たさないために、反射干渉光の知覚が困難又は不可能であり、肌色を明るく血色よくする効果は知覚されなかった。
尚前記パール剤1〜6を配合したクリームを塗布した試験用ドールを撮像した画像群について、反射干渉光の影響が見られない非ハイライト領域の画素値を比較したところ、パール剤の違いによる画素値の色差は知覚される色差に比べ微小であった。即ち、該色調補正効果は着色能に依るものではなく、対比効果によって知覚的に生じているものといえる。
C.変形例
上述した実施形態及び実施例では、ステップS115において、4つの光学指標値を採用していたが、(ア)反射干渉色の色相以外の(イ)〜(エ)については、反射干渉光を知覚するためにある程度の光学量が必要な要素として採用されているため、化粧料に配合したパール剤から反射干渉光を知覚し得ることが事前に目視などによって確認されている場合には、これを省略することができる。この場合、ステップS120は、「パール剤の(ア)反射干渉色の色相について十分な光学特性を有するか否かを判定する」工程を行う。
本願発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。

Claims (8)

  1. 化粧料へ配合するパール剤について、反射干渉色によりハイライト領域と肌領域との間に色相対比を起こし、肌の色調を知覚的に補正する効果を有するパール剤の選出方法であって、(a)任意の肌色補正方向を設定する工程、(b)設定された肌色補正方向に補正する反射干渉色の色相範囲を限定する工程、(c)該パール剤の光学指標値を取得する工程、(d)該パール剤が前記効果を起こすために十分な光学特性を有するか否かを前記光学指標値によって判定する工程を備えるパール剤の選出方法であり、工程(c)で取得し、工程(d)において判定に用いる光学指標値は、(ア)反射干渉色の色相であり、工程(b)において限定された色相範囲の範囲内であり、かつ工程(c)で取得し、工程(d)において判定に用いる光学指標値として、(イ)鏡面反射角度依存性、(ウ)鏡面反射強度、(エ)反射干渉色の彩度、を(ア)反射干渉色の色相と組み合わせることによるパール剤の選出方法。
  2. 工程(c)で取得する(イ)鏡面反射角度依存性と(ウ)鏡面反射強度は、黒紙上に両面テープを貼り付け、その上に該パール剤を化粧用ブラシにて均一に塗布した試料から、光沢計によって受光角毎の受光量を測定し、得られるデータを式(1)にフィッティングさせることによって得る値とする請求項1記載のパール剤の選出方法。
    (式1) R=S×cosθ^α+d
    但し、R:受光量、S:鏡面反射強度(光学指標値(ウ))、θ:受光角の正反射角からのずれ角、α:鏡面反射角度依存性(光学指標値(イ))、d:補正値
  3. 工程(d)で判定する(イ)鏡面反射角度依存性の判定基準が15以上であることとする請求項1〜2いずれか一項記載のパール剤の選出方法。
  4. 工程(d)で判定する(ウ)鏡面反射強度の判定基準が7以上であることとする請求項1〜3いずれか一項記載のパール剤の選出方法。
  5. 工程(c)で取得する(ア)反射干渉色の色相と(エ)反射干渉色の彩度は、該パール剤をシリコン樹脂に5%配合した厚さ20μmのフィルムを測定用試料として作成し、分光光度計によって白色の硫酸バリウムにおける正反射光の分光反射率を基準として正反射光の分光反射率を測定したときに得られる分光反射率から算出されるL*C*h値で、h値を(ア)反射干渉色の色相、C*値を(エ)反射干渉色とする請求項1〜4いずれか一項記載のパール剤の選出方法。
  6. 工程(d)で判定する(エ)反射干渉色の彩度の判定基準が5以上であることとする請求項1〜5いずれか一項記載のパール剤の選出方法。
  7. 工程(d)で判定する(ア)反射干渉色の色相の判定基準が140°〜200°の範囲内であることとする請求項1〜6いずれか一項記載のパール剤の選出方法。
  8. 工程(a)における肌色補正方向が、肌色を明るく血色よくすることであることを特徴とする請求項7記載のパール剤の選出方法。
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