以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパの斜視図、図19は他の形態を示すストッパの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
本発明における本実施形態のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[1.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[1−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[1−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[1−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[1−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[1−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[1−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[1−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[2.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[2−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[2−2.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[2−3.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[3.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[4.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えばサブ基板510(図44参照))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパ117で止められている。このストッパ117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパ117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパ117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[5.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、サブ基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500とサブ基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、サブ基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、サブ基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[5−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[5−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[5−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409やサブ基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[5−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90
(図44参照)として説明する。
[5−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため高電圧(例えば、起動時は約800V、動作時は約600V)で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組合せて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[6.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[6−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品
(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[6−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[6−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、
(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[6−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,サブ基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害
(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[7.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号0番から20番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。また、図46では、リール帯321aが付されるリール301aを左リール、リール帯321bが付されるリール301bを中リール、リール帯321cが付されるリール301cを右リールとして示しており、以下の説明でも、必要に応じて左リール301a、中リール301b、右リール301cと表記する。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「スイカの図柄が施された「スイカ図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベルの図柄が施された「ベル図柄」」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。なお、ベル図柄は、ベルのなかに描かれた星の数によって、1個の星が描かれた「ベル1図柄」と2個の星が描かれた「ベル2図柄」とに分けることができる。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル1図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル2図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[8.枠部材]
図47は、正面視したスロットマシン1において図柄表示窓401を含む枠部材501付近を中心に拡大したところを示している。図47によれば、枠部材501の中央部には図柄表示窓401が形成され、図柄表示窓401の周囲にはランプやLED等による複数の表示器(後述する「各種表示器」に相当)が配置されていることが示されている。そして、図柄表示窓401を通して3本のリール(リール301a,301b,301c)の一部が視認可能にされる。また、枠部材501の上方には、画像表示体500の演出表示面が配置されていることが示され、画像表示体500に表示される画像等(動画を含む)が遊技者から視認可能となっている。以下では、図47に示した上記の各構成を詳しく説明する。
[8−1.図柄表示窓]
図47に示すように、図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組合せは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組合せ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組合せ態様(すなわちハズレの図柄の組合せ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1では、一例として、原則として3枚掛けによる遊技が規定又は推奨される(規定数3枚)。但し、ボーナス状態では、2枚掛けによる遊技が行われる(規定数2枚)。また、本実施形態のスロットマシン1における有効ラインは、右上がりの直線型の並び(右上がりライン)及び右下がりの直線型の並び(右下がりライン)の2ラインとする。具体的には、図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がり)ライン623aの2つのラインのみを有効ラインとしている。
なお、ベット数及び有効ラインは、上記例に限られるものではない。例えば、有効ラインは図柄表示窓401内で遊技者から視認可能なラインであればよく、例えば、1又は複数の直線型の並びの他、山型やV字型の並び等にしてもよい。また、有効ラインの数も2本に限られるものではなく、1本や複数本の有効ラインを設定してもよい。さらに、遊技におけるメダルのベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
図47の図柄表示窓401内に表示されている有効ライン上の図柄の組合せは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。なお、上述のリプレイ役(再遊技役)のように、有効ライン上では一見して成立役を把握し難いが図柄表示窓401全体で見れば当該成立役を把握し難い図柄組合せを用意することについては、他の当選役でも同様に図柄組合せを用意するようにしてもよい。このとき、有効ラインだけでは一見して成立役を把握し難くても、図柄表示窓401全体で見た場合に、当該当選役の入賞(当該当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されたこと)を遊技者に容易に把握させることが可能となる。
[8−2.各種表示器]
図47に示すように、表示パネル501には、図柄表示窓401の周囲に、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプやLED等による複数の表示器が配置されている。このような複数の表示器のうち、特別表示LED612以外の各種表示器について説明する。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等(これらを以後は「エラー」と呼ぶ)が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在エラーが生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持ったランプである。図47では、エラーランプ604の近傍に、エラーを略して「ERR」という文字が描かれている。なお、エラーランプ604による点灯や点滅だけでエラーの詳細を示すことは難しいことから、スロットマシン1は、別途備えられた特別表示LED612において、発生したエラーの詳細を示す情報を表示することができる。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技
(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持ったランプである。図47では、リプレイランプ606の近傍に、リプレイを略して「REP」という文字が描かれている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持ったランプである。図47では、スタートランプ608の近傍に、スタートを略して「STR」という文字が描かれている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持ったランプである。図47では、メダルINランプ610の近傍に、インサート(遊技用価値の投入)を略して「INS」という文字が描かれている。
貯留枚数表示LED613は、遊技者によるメダルの投入又はゲーム結果に伴うメダルの払出によって遊技者が利用可能なメダル(遊技用価値)が貯留されている場合に、その貯留数を表示することにより、遊技者にメダルの貯留枚数を知らせる役割を持った表示器であって、2つの横並びの7セグメントLED(左側が貯留枚数表示LED613a、右側が貯留枚数表示LED613b)によって構成される。例えば、遊技者が利用可能なメダルの貯留枚数の上限を50枚として、その上限枚数が貯留されている場合には、貯留枚数表示LED613aに「5」が表示されるとともに、貯留枚数表示LED613bに「0」が表示されることによって、「50」というメダルの貯留枚数が遊技者から識別可能に表示される。
BETランプ614(614a〜614c)は、ゲームの開始時に始動レバー210が操作される前に、規定数を上限としてメダル(遊技用価値)を賭けるBET操作が行われた場合に、そのBET数を表示することにより、1回のゲームにおける遊技用価値の賭け数(BET数)を知らせる役割を持った表示器であって、BET数に対応する3つのランプから構成される。具体的には、BET数が1枚のときはBETランプ614cが点灯し、BET数が2枚になるとBETランプ614cに加えてBETランプ614bが点灯し、BET数が上限の3枚(MAXBET)になると、さらにBETランプ614aが点灯することで全てのBETランプ614a〜614cが点灯する。
なお、上述したこれらの表示器は、メイン基板409によってその表示が制御されるとする(後述の図48を参照)。
また、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払出枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
また、貯留枚数表示LED613や特別表示LED612(後述)等の表示器は、当該表示器で表示すべき情報を表示可能でさえあれば、7セグメントLEDに限定されない。例えば、セグメントの個数は「7」とは異なる個数(14セグや16セグ)であってもよいし、LEDの代わりにLCD(液晶ディスプレイ)やVFD(蛍光表示管)や有機EL等が用いられてもよい。
[8−3.特別表示LED]
特別表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダル(遊技用価値)の払出がある場合に、その払出数を表示することにより、遊技者に遊技用価値の払出枚数を知らせる払出枚数表示の役割を持った表示器であって、2つの横並びの7セグメントLED(左側が特別表示LED612a、右側が特別表示LED612b)によって構成される。具体的には、特別表示LED612a,612bを用いて2桁の数字を表示することができ、ゲーム結果に伴って15枚のメダルが払出される場合には、メダルが1枚ずつ払い出されるタイミングに合わせて「01」、「02」、・・・、「15」というように表示内容を変化させていくことで、遊技用価値(メダル)の払出状況をリアルタイムで遊技者に知らせることができる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、特別表示LED612は、上記の払出枚数表示の役割とは別に、当該ゲームにおける「指示機能」による指示内容を表示する指示機能表示の役割を持つ。「指示機能」の詳細は後で説明するが、概要を示すと、本実施形態のスロットマシン1では、所定条件の成立時に「指示機能」による指示の発生が決定されると、特別表示LED612において、指示機能表示としてリール301a〜301cの押下位置や停止順(停止操作におけるリール停止ボタン211a〜211cの押し順や押し位置、と読み替えられる)等を示す情報が表示され、当該表示の内容に応じたリール301の停止操作が行われると、遊技者にとって有利なゲーム結果が提供される。
なお、指示機能において、指示の発生に影響を及ぼす性能(具体的には、指示機能に係る抽選及び状態遷移の管理等)は主基板409によって制御され、具体的には、指示機能に係る抽選や状態遷移の制御だけでなく、特別表示LED612における指示機能表示も、メイン基板409によって管理される。一方で、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409による決定結果に基づいて、指示機能表示の表示先以外の他の表示手段
(例えば画像表示体500)でも、同内容の指示機能の指示を表示させることも可能としているが、このような表示については、メイン基板409以外の周辺基板(例えばサブ基板510)によって制御されてもよい。特別表示LED612、メイン基板409、及びサブ基板510の接続関係は、図48に例示される。
具体例で説明すると、ARTゲーム中に押し順小役(本例では「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」の何れか)が当選役として選ばれた場合に、メイン基板409(特にCPU1110)の制御下で、当選した押し順小役に対応する「適正な押し順」の指示内容が特別表示LED612に表示される。したがって、遊技者は、特別表示LED612における指示機能表示の表示内容を解する場合に、適正な押し順を認識することができる。一方で、特別表示LED612における指示機能表示の表示内容と同様の情報が、メイン基板409からサブ基板510にコマンド等によって送信されることにより、当該コマンドを受信したサブ基板510のCPU1118は、「適正な押し順」を示す画像を画像表示体500に表示させることができる。指示機能表示の具体的な表示例は、[10−3−6]で後述する。
スロットマシン1では、このような指示機能表示を、表示パネル501における何れかの表示器で機能を兼用する態様で行うことを可能としている(本例では、払出枚数表示を行う特別表示LED612に表示される)。すなわち、特別表示LED612では、指示機能表示と払出枚数表示とが行われることになるが、例えばそれぞれの表示期間を分けることによって、両者を混同させることなく表示可能にしている。なお、本実施形態では払出枚数表示の機能と兼用しているが、その他の機能を有する表示器で兼用してもよいし、又は、指示機能表示専用の表示器を設けてもよい。
さらに、本実施形態のスロットマシン1では、異常状態としてエラーが検出された場合に、エラーランプ604が点灯してエラーの発生を通知する一方で、特別表示LED612が、当該エラーの種別を識別可能に表示するエラー情報表示の機能も有する。指示機能表示、払出枚数表示、及びエラー情報表示の表示タイミングについては、[10−3−7]等で後述する。
[9.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。メイン基板409は、遊技の結果(遊技用価値の獲得)に影響を与える機能、具体的には例えば、当選役、ボーナス、ART初当り等の抽選や、それらの抽選結果に基づく遊技状態の制御、指示機能による指示の決定、さらには入賞役に基づく払出等を管理する。
また、スロットマシン1は、図48では図示が省略された構成の一例として、扉形前面部材200の開放状態を検知する扉開放検知スイッチ、貯留解除スイッチ209(貯留メダル清算スイッチ)、メダルセレクタ207内に設けられたメダルセレクタ内レバー検出センサ、及び、リール停止ボタン211a〜211cのそれぞれの周囲で点灯可能な停止ボタンLED(停止ボタンLED_1,停止ボタンLED_2,停止ボタンLED_3)等を備える。これらの構成は、メイン基板409によって制御される。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、特別表示LED612、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される(後述の図80に示す「補助収納庫満タンエラー」に相当)。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組合せの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば1.5秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604、特別表示LED612、画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する(後述の図80に示す「払出メダルエンプティエラー」に相当)。なお、メイン基板409と各種表示器(エラーランプ604、スタートランプ608、特別表示LED612、貯留枚数表示LED613等)とは例えばハーネスで接続され、メイン基板409は対応ポートを介してこれらの各表示器における点灯や表示を操作することができる。
スロットマシン1は、メイン基板409とは異なる周辺基板としてサブ基板510を備えており、このサブ基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。サブ基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。なお、図48における接続構成は本実施形態のスロットマシン1における一例に過ぎない。例えばその他の接続構成として、メイン基板409だけでなく、メイン基板409以外の周辺基板(例えばサブ基板510)も外部中継端子板131に接続可能にするようにしてもよく、このような場合、外部中継端子板131に接続された各種の基板から、様々な信号を外部中継端子板131に送信し、外部中継端子板131を介してホールコンピュータ1200に出力することができる。具体的には、サブ基板510が管理する遊技上の諸情報や、サブ基板510が管理可能な緊急情報(例えば、スロットマシン1の構成部品等の誤作動や不具合を通知するエラー情報)をホールコンピュータ1200に出力することができるようになる。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。なお、上述したこれらのスイッチは、メイン基板409上に設置されてもよい。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組合せ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組合せ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様(図柄組合せ)が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)に所定の当選役に対応する図柄組合せが表示されているか否かが判断される。
なお、本例では有効ラインは2本として説明しているが、スロットマシン1が複数の有効ラインを有するとしたとき、当該複数の有効ラインの夫々で当選役に対応する図柄組合せが表示されているか否かが判断される。その結果、複数の当選役の図柄組合せが表示されていると判断された場合は、表示された各当選役に対応する払出数を合算した数量のメダルの払出が行われる。なお、スロットマシン1では、1回あたりのメダルの払出数の上限値として所定枚数(例えば15枚)を規定することができる。このような場合に、複数の有効ライン上に表示された各当選役に対応する払出数の合算が当該上限値を超えるときは、上限値の所定枚数のメダルが払い出され、上限値の超過分は切り捨てられる。また、上限値の超過分を次回以降のゲームに分割して払い出す等もしない。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組合せが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組合せとなることにより当選役に対応する図柄の組合せとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組合せ態様について説明する。
[9−1.当選役と図柄の組合せ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組合せについて、図49を用いて説明する。図49は、当選役の抽選に用いられる抽選テーブルの一例である。図49に示す抽選テーブル(当たり値判定テーブルともいう)は、予めROM1112等に格納されている。詳細は後述するが、スロットマシン1ではメイン基板409のCPU1110が当選役の抽選を行い、このような抽選は「内部抽選」とも呼ばれる。
なお、以下に説明する本実施形態のスロットマシン1は、遊技機が備える機能の一例として、押し順小役を利用したART機能を備えるとする。押し順ベル1〜6は、リール停止ボタン211が操作された順序が適正であるときに限りベル図柄揃いが表示され得る。ART機能を備えた遊技機では、メイン基板409(主にCPU1110)が行う抽選(ART初当り抽選)によってART初当りの当落が判定され、当該判定の結果ARTに当選した場合は、ARTゲームが実行される。ARTゲームでは、当選役の内部抽選で押し順ベル1〜6が当選役として選ばれた場合を中心に、最も多いメダルの払出に期待できる適正な押し順を教示又は告知することによって、当該教示に従ったリール停止操作を行った遊技者が多くのメダルを獲得できるようにする。一方、ARTゲーム以外の遊技期間(非ART)では、上記の押し順の教示又は告知を行わないことによって、適正な押し順でのメダル獲得を非確実なものにさせることができ、遊技状態ごとにメダルの期待獲得枚数やメダルの消費ペースに差異をもたらすことができる。このようなART機能は、スロットマシン1が備える指示機能の一例であり、その詳細な処理等は後述する。
また、押し順について補足すると、スロットマシン1では、3本のリール301a〜301cを用いていることから、その押し順(リール301の停止順)は、「左−中−右」、「左−右−中」、「中−左−右」、「中−右−左」、「右−左−中」、「右−中−左」の6通りが存在する。以下の説明では、それぞれの押し順を、順に、「順押し」、「挟み押し」、「中順押し」、「中逆押し」、「逆挟み押し」、「逆押し」と呼ぶ。なお、図49の備考1欄に記載された「押下順序123」は「左−中−右」の押し順(順押し)に相当し、「押下順序132」は「左−右−中」の押し順(挟み押し)に相当し、「押下順序312」は「右−左−中」の押し順(逆挟み押し)に相当し、「押下順序213」は「中−左−右」の押し順(中順押し)に相当し、「押下順序321」は「右−中−左」の押し順(逆押し)に相当し、「押下順序231」は「中−右−左」の押し順(中逆押し)に相当する。
本実施形態のスロットマシン1では、リール301を停止させる停止操作の手順として、ARTゲームが行われない期間(非ART)のように押し順の教示が行われない遊技の際は、左リール301aを最初に停止させる(すなわち、リール停止ボタン211aに対して最初に停止操作を行う)「左押し(「順押し」又は「挟み押し」)」を推奨するとし、中リール301bや右リール301cを最初に停止させる等して推奨手順に沿わない停止操作が行われた場合には、ART抽選の一時的な停止等、遊技者にとって不利な措置を行うようにしてもよい。
このようなスロットマシン1における停止出目は、例えば、当選役が押し順小役(本例では押し順ベル)に相当する当選役の場合、リール停止ボタン211(個別にはリール停止ボタン211a,211b,211c)の押し順によって、停止出目の態様が異なるようにされている。このような停止出目の態様の差異は、例えば、以下のようにして実現することができる。すなわち、「押し順ベル」に相当する当選役として、それぞれに適正な押し順が関連付けられた複数種類の当選役(具体的には、図49に示す「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」に相当し、当選役が例えば「押し順ベル1」の場合は、順押し(左・中・右)が「適正な押し順」に相当する)が用意され、内部抽選によって選ばれた当選役それぞれで異なる組合せによって、複数種類の条件装置の作動が許容される。そしてこのとき、リール停止ボタン211の押し順に応じて、リール301を停止させる際の図柄の引き込み制御が異なる優先制御(例えば、「枚数優先制御」又は「図柄組合せ数優先制御」)のもとで実行されるように設定されることにより、上記押し順に基づいて停止出目の態様を異ならせることができ、結果として払出枚数にも差異を付けることができる。
ここで、「枚数優先制御」とは、複数の条件装置の作動が許容されているときに、入賞時(入賞役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されたとき)の払出枚数が最も多くなるような条件装置を優先し、「引き込み可能な図柄」のうちから当該条件装置に対応する図柄組合せの図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる引き込み制御のことをいう。また、「図柄組合せ数優先制御」とは、複数の条件装置の作動が許容されているときに、「引き込み可能な図柄」によって表示し得る図柄組合せの数が最も多くなるような条件装置を優先し、当該条件装置に対応する図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる引き込み制御のことをいう。
そして例えば、順押しを「適切な押し順」とする「押し順ベル1」が当選役として選ばれて、リール停止ボタン211の押下操作が「適正な押し順(左・中・右の順)」である場合には上記の「枚数優先制御」による引き込み制御を行い、「不適正な押し順」である場合には上記の「図柄組合せ数優先制御」による引き込み制御を行うと定める。このとき、「適正な押し順」の場合には、入賞時の払出枚数が最も多い9枚役の条件装置が優先され、9枚役の図柄組合せが有効ライン上に引き込まれる。一方「不適正な押し順」の場合には、1枚役の条件装置又は0枚役の条件装置が優先され、1枚役又は0枚役の図柄組合せが有効ライン上に引き込まれる。かくして、「押し順ベル1」が当選役として選ばれた場合に、「適正な押し順」でリール301が停止された場合には9枚役を入賞させられる一方で、「不適正な押し順」でリール301が停止された場合には9枚役よりも払出枚数が少ない役(1枚役,0枚役)を入賞させることができる。
なお、リール301の停止時に有効ライン上に引き込み可能な図柄は、リール停止ボタン211に対する停止操作を行った時点のリール301の位置に基づいて制限されるため
(具体的には例えば、最大4コマまでの引き込みが許容される)、この停止操作のタイミング(押しタイミング)次第で、引き込み可能な図柄と引き込み不能な図柄とが発生する。その結果、停止出目の態様は押しタイミングによっても異なるものであり、押しタイミングに応じた条件装置の優先度も予め設定される。
このように、スロットマシン1では、「適正な押し順」が関連付けられた当選役に当選した場合には、複数の条件装置の作動を許容するとともに、リール301における図柄の引き込み制御に関して異なる優先制御を設定することによって、「適正な押し順」に基づく遊技が行われた場合に、「不適正な押し順」に基づく遊技が行われた場合よりも、遊技者にとって有利な特典(例えば、比較的多くのメダルの払出)を付与し得る停止出目で停止させることができる。
また、図49には例示していないが、本実施形態のスロットマシン1は、他の押し順小役として、例えば押し順リプレイを用いるようにしてもよい。
以上が、本実施形態のスロットマシン1におけるART機能の概要である。なお、以下の説明では、上記したような押し順ベルを用いたARTゲームを遊技者にとって有利な特別遊技の一例とするが、スロットマシン1において遊技者にとって有利な特別遊技は、ARTゲームに限るものではなく、その他の有利遊技状態(例えば、ボーナスゲーム、ATゲーム、又はRTゲーム等)を含むものである。また、ART機能についても、押し順を利用したART機能に限定するものではなく、その他、例えば押し位置(リール停止ボタン211に対する停止操作のタイミングに基づいて付与される特典が変更され得る役)を利用したものであってもよい。
[9−1−1.当選役の種類]
図49に示した抽選テーブルについて説明する。スロットマシン1では、遊技状態に応じて異なる抽選テーブルが用意されており、図49には、スロットマシン1における遊技状態の一例として、一般状態、RT1、RT2、RT3、ボーナス内部状態、及びボーナス状態が示されている。ここで、一般状態は、ボーナスゲーム中でもRT中でもなく、かつ、ボーナスフラグが未成立の状態である。ボーナス内部状態は、内部抽選によってボーナス(具体的には、後述するBB1、BB2)に当選し、かつボーナス状態に移行せずにボーナスの当選成立状態が持ち越されている遊技状態である。ボーナス状態は、内部抽選によってボーナス(具体的には、後述するBB1、BB2)に当選し、当該ボーナスに対応する図柄組合せが表示されたことに基づいて移行する有利遊技状態である。なお、図49では、ボーナスとしてBB1、BB2が示されているが、スロットマシン1に搭載可能なボーナスは、他の種類であってもよく、RBボーナス、シングルボーナス(SB)等を備えるようにしてもよい。このような場合には、それぞれのボーナスに応じた遊技状態が用意される必要があるが、各遊技状態の詳細な説明は一般的な遊技機と同様であるため省略する。
図49に示すように、本実施形態によるスロットマシン1では、遊技状態ごとに各当選役についての当選確率(又は置数)が定められており、各遊技状態に対応して予め用意された抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。そして、スロットマシン1では、内部抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。そして、有効ライン上に表示された図柄組合せによって何らかの入賞役が示された場合は、当該入賞役に基づいたメダルの払出が行われる。入賞役に基づいたメダルの払出において、遊技状態や遊技の掛けメダル数(規定数)に応じてメダルの払出数が異なるように設定されてもよい。このとき、規定数に応じた抽選テーブルを別途用意することが好ましい。
本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄組合せ)を用意することが可能となる。
図49に示された当選役は、ボーナス役(BB1、BB2)、小役(スイカ、チェリー、ベル)、リプレイ役(再遊技役)に大別することができ、前述の何れの役にも当選しない場合に「はずれ」と呼ぶ。なお、「はずれ」は、厳密には当選役ではない。しかし、当選役に関する内部抽選の結果が図49に示された各当選役であった場合と同様に、当選役に関する内部抽選の結果が「リプレイ役」や「はずれ」であった場合は、当該結果に基づいて(すなわち、「リプレイ役」や「はずれ」という当選役に当選したかのようにして)その後の内部処理が設定されることから、以下では、便宜上、「リプレイ役」や「はずれ」を当選役に含めて説明することがある。
ここで、それぞれの役を簡単に説明すれば、「ボーナス役」は、ボーナスゲームの実行契機となる役であって、具体的には「BB1」及び「BB2」がボーナス役に相当する。「リプレイ役(再遊技役)」は、メダルを再投入することなく次回のゲームが実行可能にされる(再遊技)役である。「小役」は、その入賞によって所定枚数のメダルの払出が行われる役であって、有効ラインに表示された小役に応じて払い出されるメダル枚数が異なる。なお、前述したように、図49に示した当選役「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」は総称として「押し順ベル」とも呼ぶことがある。図49において押し順ベルの払出数が複数通りで記載されているのは、リール301の停止順や停止位置によって払出枚数が異なる可能性があるためである。一方、「共通ベル」は、押し順に拘わらず常にベル図柄を停止可能な押し順不問ベル役である。各当選役の詳細は後述する。
また、「はずれ」は、当選役に関する内部抽選の結果、何れの当選役も選ばれていないことを意味する。「はずれ」であった場合は、ボーナス役の成立状態が持ち越されている場合(すなわち、ボーナス内部状態)を除き、何れの当選役に対応する図柄組合せも停止されることはない。
押し順不問ベルは、押し順に拘わらず9枚の払出が行われるのに対し、押し順ベルは不適正な押し順であった場合に、1枚のメダルが払い出されるかまたは払出しが行われない。したがって、このように置数の振分を行うことで、ボーナス状態に制御されたとき(ボーナスゲーム)は、遊技者の手持ちメダルをほぼ減らすことなく、増加させることができる。
また、内部抽選の結果が「はずれ」ではなく、いずれかの役(ボーナス役、リプレイ役、小役)に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組合せは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓524内(より厳密には有効ライン623a,623b)に停止されるように狙って適正なタイミング(押し位置)で停止操作(リール停止ボタン211a〜211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組合せを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されなければ、「はずれ」が選ばれたときと同様に、後述する図50のステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。ただし、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナス役やレア小役(スイカ、チェリー)については適正なタイミング(押し位置)で停止操作が行われないと対応する図柄の組合せを有効ライン上に表示させることができないが、その他の一般小役(押し順ベル、共通ベル)やリプレイ役については、いかなるタイミングで停止操作されたとしても対応する図柄の組合せを有効ライン上に表示されることができるように図柄が配置されている(ただし、押し順を要求される役については適正な押し順で停止操作することも必要である)。なお、何らかの当選役に当選したにもかかわらずゲーム結果がハズレとなる場合に、無作為に「はずれ」の図柄組合せを表示させるのではなく、当該当選役に基づいた入賞を取り零したことを示す所定の図柄組合せ(停止出目)を図柄表示領域に表示させるように制御することにする。そして、このようなハズレ時に表示される図柄組合せ(停止出目)のことを、以下では「零し(又は、零し目)」と呼ぶ。
また、本実施形態に関する説明では、「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」に関して、「ベル零し(ベル零し目)」という表現が用いられる。ベル零しとは、当選役ごとに適正な押し順が定められた押し順ベルの当選時に、不適正な押し順で停止操作が行われたことによって、ベル揃い(厳密には、9枚の払出が得られるベル役の図柄組合せ)が停止されずに、ベル役を取り零したような別の図柄組合せが表示されることを意味する。このようなベル零しとなる場合、ベル零し目が停止出目として表示され、本来のベル揃いよりも少ない払出(払出なしを含む)が行われる。
また、本実施形態に関する説明では、以上の「零し(零し目)」とは別に、「ばらけ(ばらけ目)」という表現を用いることがある。「ばらけ(ばらけ目)」とは、停止出目の特徴を遊技者が比較的容易に認識し易い「揃い目」ではなく、一見ばらばらの図柄が組み合わされたような停止出目(所謂「ばらけ目」)であることを意味する。すなわち、「ばらけ目」は、図柄組合せの表示態様に関する区分の1つであり、ばらけ目であってもハズレとは限らないため、メダルの払出が行われることもある。
[9−1−2.当選役の当選形態]
図49で例示した当選役には、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される当選役(単独役)の他に、複数の当選役が同時に重複して選び出される当選役(同時当選役)も含まれている。単独役が当選した場合は、当該当選役に基づいた条件装置が作動することに基づいて、後のリール停止制御が行われる。しかし、同時当選役が当選した場合は、当該同時当選役に含まれるそれぞれの当選役に基づいた条件装置が同時に作動することに基づいて、後のリール停止制御が行われる。そして、同時当選役に当選したときのリール停止制御では、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。なお、遊技機の仕様や小役の組合せ、又は有効ラインの設定方法等によっては、同時当選役を共に入賞させるような制御が行われるようにしてもよく、同時入賞が発生した場合には夫々の入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。何れにしても、小役は、当選ゲームでのみ入賞し得る「非持ち越し役」であり、当選ゲームで入賞できなかった当選役の当選成立状態は、次ゲーム以降に持ち越されないことから、小役の同時当選が選ばれたとしても、当選ゲームで入賞できなかった小役に対しては、当該小役に応じたメダルの払い出しは行われない。
また、ボーナス役と小役とが同時当選した場合について、このような組合せで選ばれる役は重複役ともいう。ボーナス役と小役とが同時当選した場合も、小役同士の同時当選の場合と同様に、夫々の当選役に対応する条件装置が同時に作動し、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払出が行われる。但し、ボーナス役については、上述したように当選ゲームで対応する図柄組合せが表示されなかったとしても、次ゲーム以降に当該ボーナス役の図柄組合せが表示されるまで当該ボーナス役の当選成立状態が持ち越される「持ち越し役」とすることができる。具体的には、ボーナス役(BB1、BB2)は「持ち越し役」である。また、リプレイ役や小役(例えばベル役)は「非持ち越し役」である。このように重複役の当選によって「持ち越し役」と「非持ち越し役」とが同時当選したときも、何れの図柄組合せの表示を許容するかは、リール停止処理によって制御される。そして、当選ゲームで「持ち越し役」に対応する図柄組合せが表示されなかった場合は、「持ち越し役」の当選成立状態は次ゲーム以降に持ち越される。但し、このような「次ゲーム」において、別の小役に当選したときは、「持ち越し役」と「別の小役」との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会(ゲーム)において選び出されているから、重複役には相当しない。
なお、同時当選の場合に何れの当選役に対応する図柄の組合せが優先して有効ライン上に表示されるようになるかは、リール停止処理における優先順位の設定に基づいて決定される。
以下では、上記で大別した当選役について、詳細に説明していく。
[9−1−3.ボーナス役]
図49に示された当選役「BB1」及び「BB2」はボーナス役である。ボーナス役が当選役として選ばれると、対応する条件装置「BB1」が作動し、リール停止処理が行われ、表示された図柄組合せに基づいて特典が付与される。具体的には、条件装置「BB1」に対応する図柄組合せ(「赤7」揃い)が有効ライン上に表示されることで、ボーナスゲーム(BBゲーム)が実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームに亘って遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームであり、本実施例では例えば、遊技の規定数を2枚として、図49のボーナス状態に示された抽選テーブルを用いてボーナスゲームが進められる。そして、ボーナスゲームのゲーム数が規定の上限数(例えば30ゲーム)を経過するか、当該ボーナスゲームにおける払出の累計枚数が規定枚数(例えば200枚)を超えたときにボーナスゲームが終了する。ボーナスゲームが終了すると、遊技状態は、ボーナス状態から一般状態に移行する。
ここで、「BB1」及び「BB2」に対応する図柄組合せは、リール停止ボタン211に対する停止操作のタイミング次第では、必ずしも有効ライン上に引き込むことができない配列となっている(図46参照)。しかし、「BB1」及び「BB2」は当選フラグを持ち越し可能な持ち越し役であり、当選ゲームで対応する図柄組合せが表示されなかった(揃えられなかった)としても、次ゲーム以降に当選成立状態が持ち越され、当該図柄組合せが停止されるまで、ボーナス内部状態として遊技が行われる。
そして、ボーナス内部状態に制御されているときに、内部抽選の結果、リプレイ役や小役に当選した場合は、予め定められた優先順位に従って、表示され得る当選役が決定される。
[9−1−4.リプレイ役]
図49に示された当選役「リプレイ」は、リプレイ(再遊技役)の当選役である。リプレイ役の当選時には、リプレイ用の条件装置が作動し、有効ライン(ライン623a,623bの何れか)にリプレイ役に対応する図柄組合せの停止表示が許容され、これに基づいて、後述するリール停止処理(図50のステップS5)が行われる。スロットマシン1では、リプレイの当選時には、リプレイ役の図柄組合せが必ず有効ライン上に表示されるように制御されることで、リプレイの図柄組合せが揃ったと判定され、その結果、リプレイ役の特典として、次ゲームにおいて、改めてメダルを投入もしくはベット操作(貯留されたメダルを投入するための操作)をすることなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行する再遊技が可能となる。なお、リプレイの図柄組合せが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
リプレイ役には、維持リプレイ役(図49では「維持リプ」と表示)、上げリプレイ役(図49では「上げリプ」と表示)、下げリプレイ役(図49では「下げリプ」と表示)、7揃いリプレイ役(図49では「7揃いリプ」と表示)及び7揃いフェイクリプレイ役(図49では「7揃いフェイクリプ」と表示)がある。維持リプレイ役は、遊技状態が移行されず、現在の遊技状態を維持するリプレイ役である。上げリプレイ役には、RT1でのみ選び出されうる上げリプレイ役1と、RT2でのみ選び出されうる上げリプレイ役2とがあり、上げリプレイ役1はRT1からRT2への移行役として機能し、上げリプレイ役2はRT2からRT3への移行役として機能する。下げリプレイ役は、RT3でのみ選び出されうる役であり、RT3からRT2への移行役として機能する。7揃いリプレイ役は、RT3でのみ選び出されうるリプレイ役であり、RT3において7揃いリプレイ役が選び出されると、ARTゲームが上乗せされる役として機能する。7揃いフェイクリプレイ役は、7揃いリプレイ役と同様にRT3でのみ選び出され、内部抽選にて選び出されたとしてもARTゲームが上乗せされないリプレイ役である。なお、維持リプレイ役は内部抽選にて単独で選びされうる一方、上げリプレイ役1、上げリプレイ役2、下げリプレイ役、7揃いリプレイ役及び7揃いフェイクリプレイ役は、いずれも、内部抽選にて単独で選び出されることはなく、必ず維持リプレイ役と同時に重複して選び出される。
上げリプレイ役1と維持リプレイ役との同時当選役である「上げリプ1+維持リプ」が内部抽選にて選び出された場合、リール停止ボタン211が「右−中−左」の押し順(逆押し)で停止操作されると上げリプレイ役1に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、それ以外の押し順(順押し、挟み押し、逆挟み押し、中順押し、中逆押し)で停止操作されると維持リプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。
上げリプレイ役2と維持リプレイ役との同時当選役である「上げリプ2+維持リプ」が内部抽選にて選び出された場合、リール停止ボタン211が「右−左−中」の押し順(逆挟み押し)で停止操作されると上げリプレイ役2に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、それ以外の押し順(順押し、挟み押し、中順押し、逆押し、中逆押し)で停止操作されると維持リプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。
下げリプレイ役と維持リプレイ役との同時当選役である「下げリプ+維持リプ」が内部抽選にて選び出された場合、リール停止ボタン211が「中−左−右」の押し順(中順押し)で停止操作されると下げリプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、それ以外の押し順(順押し、挟み押し、逆挟み押し、逆押し、中逆押し)で停止操作されると維持リプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。
7揃いリプレイ役と維持リプレイ役との同時当選役である「7揃いリプ+維持リプ」が内部抽選にて選び出された場合、リール停止ボタン211が「右−中−左」の押し順(逆押し)且つ適正なタイミング(7図柄を引き込み可能なタイミング)で停止操作されると7揃いリプレイ役に対応する図柄組合せ(7図柄のゾロ目)が有効ライン上に表示され、それ以外の押し順(順押し、挟み押し、逆挟み押し、中順押し、中逆押し)で停止操作されたり、逆押しではあるものの適正でないタイミングで停止操作されなかったりすると、維持リプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。
7揃いフェイクリプレイ役と維持リプレイ役との同時当選役である「7揃いフェイクリプ+維持リプ」が内部抽選にて選び出された場合、リール停止ボタン211が「右−中−左」の押し順(逆押し)で停止操作されると7揃いフェイクリプレイ役に対応する図柄組合せ(7零し目)が有効ライン上に表示され、それ以外の押し順(順押し、挟み押し、逆挟み押し、中順押し、中逆押し)で停止操作されると維持リプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。
リプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを掛ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとっての不利益は少ない。従って、スロットマシン1では、通常状態(一般状態)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。そしてこのような場合、表示される当選役の優先順位を『再遊技(リプレイ役)>小役>ボーナス』とすれば、仮にリプレイ役の条件装置とその他の役(小役やボーナス役)の条件装置とが同時に作動したとしても、常にリプレイ役に対応する図柄組合せが停止表示されることになり、その他の役に対応する図柄組合せが停止表示されることはない。
[9−1−5.ベル役]
次に、入賞役としてのベル役について説明する。このベル役は、当選時にメダルの払出が期待できる入賞役である。本実施形態では、ベル役として、上述した押し順ベル1〜押し順ベル6の他に、押し順が不問の共通ベルがある。内部抽選にて共通ベルが選び出されると、いかなる順序でリール停止ボタン211が操作されたとしても、ベル図柄の組合せが有効ライン上に表示される。
[9−1−5−1.押し順不問ベル]
まず、当選時の入賞度合い(入賞率、及び入賞に基づくメダルの払出枚数)がリール301の押し順によって変化しない押し順不問ベル(共通ベル)について説明する。
図49に示した「押し順不問ベル」が当選役として選ばれたときは、リールの押し順及び押しタイミングに拘わらず、常に対応する何れかの図柄組合せが有効ライン上に停止されるように条件装置が作動する。したがって、このような条件装置が作動した場合は、遊技者によるリール停止ボタン211の停止順序及び停止タイミングに拘わらず、ベル役の図柄組合せが停止表示されることによってベル役に入賞し、当該入賞に応じたメダルの払出(9枚)が特典として付与される。
[9−1−5−2.押し順ベル]
次に、当選時の入賞度合い(入賞率、及び入賞に基づくメダルの払出枚数)がリール301の押し順によって変化し得る押し順ベルについて説明する。
図49に示した当選役「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」は、主にARTゲームで遊技者に確実に特典を付与し得るために用意される押し順ベルの当選役である。「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」には、上述したとおり、それぞれ6通りの適正な押し順のうちの何れかが関連付けられている(図49参照)。
なお、図49では、「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」の当選確率はそれぞれ等しくされ、それらを合算すると、「押し順ベル」の当選確率は20478/65536となるが、「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のそれぞれの当選確率は、上記合算値を満たす条件下で任意に振分けてもよい。このようにすると、「押し順ベル」における6通りの適正な押し順について、当選確率を均等配分できる(6択ベルの各当選確率を等しくすることができる)ことに限定されず、特定の押し順が適正な押し順に選ばれ難いようにしたりすることができる。このような場合、左リール301aを第1停止することが推奨される通常ゲームにおいて、押し順ベルが入賞する割合を抑制することができ、通常ゲームでの払出率を抑制する分だけARTゲーム等の特別遊技での払出率を高めること等も可能となる。
図49によれば、「押し順ベル1」は順押しを適正な押し順とする押し順ベル役の当選役であり、「押し順ベル2」は挟み押しを適正な押し順とする押し順ベル役の当選役であり、「押し順ベル3」は挟み押しを適正な押し順とする押し順ベル役の当選役であり、「押し順ベル4」は中順押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役であり、「押し順ベル5」は逆押しを適正な押し順とする押し順ベル役の当選役であり、「押し順ベル6」は中逆押しを適正な押し順とする押し順ベル役の当選役である。したがって、本実施形態における「押し順ベル」は、適正な押し順が6通りに分けられた所謂「6択ベル」となる。なお、当然ながらこのような適正な押し順の設定は、遊技機の設計段階で所定の制限内で自由に設定可能である。
このように、押し順ベルの「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」は、適正な押し順で停止操作が行われた場合にのみ、ベル役に入賞したとしての9枚のメダル払出が受けられる当選役であり、不適正な押し順で停止操作が行われた場合は「ベル零し目」が有効ライン上に表示されて、ベル役の入賞時よりも少ない特典(1枚又は0枚のメダル払出)が付与される。
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、ART状態ではない非ART状態において、左押し(順押し又は挟み押し)を推奨している。したがって、非ART状態で推奨手順による遊技が行われた場合は、左押し(順押し又は挟み押し)以外を適正な押し順とする押し順ベル(具体的には、押し順ベル1〜押し順ベル6)に当選したとしても、ベル役に対応する図柄組合せを有効ライン上に表示させることはできない。しかし、ART状態になれば、適正な押し順が教示され、当該教示内容に従った停止操作が許容されることで、押し順ベルの当選時に容易にベル役を入賞させることが可能となる。なお、非ART時に、遊技者が推奨手順と異なる停止操作を行ってメダルを不当に得てしまった場合には、ART抽選の一時的な停止等の措置を行うことで、全体的なメダル払出の期待値を適正に調整するようにしてもよい。
また、スロットマシン1では、上述のように特定の押し順を推奨しなくてもよい。例えば、ART中等の指示機能で指示される場合を除いて、特定の押し順を推奨手順としないとき、遊技者は任意の押し順で停止操作を行ってよく、また、このような場合には、推奨手順が存在しないことから、上述したような「推奨手順と異なる停止操作を行ってメダルを不当に得てしまった場合」の調整(ART抽選の一時的な停止等の措置)も不要となる。なお、特定の押し順を推奨手順としない場合には、押し順小役における押し順ごとの当選確率を同じにする方が望ましい。押し順ごとの当選確率を同じにすることで、どの押し順で遊技を行ったとしても出玉の期待値を均等にできるため、遊技者に好みの押し順で安心して遊技を楽しませることができる。
[9−1−6.レア小役]
入賞役としてのレア小役には、チェリー役及びスイカ役がある。チェリー役は、対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されると、メダルの払出(2枚)が期待できる入賞役である。スイカ役は、対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されると、メダルの払出(10枚)が期待できる入賞役である。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組合せ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組合せ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
例えば、ボーナス役と小役(又はリプレイ役)との重複当選が設定されてもよいし、適正な押し順でリール301が停止された場合に限りリプレイ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される押し順リプレイ役を設けてもよい。
また、小役(本実施形態ではベル役)に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるか否かが、リール停止ボタン211が停止操作された順序にもとづいて決定される押し順小役の代わりに、リール停止ボタン211が停止操作されたタイミングにもとづいて決定される押し位置小役を用意してもよい。詳細な説明は省略するが、押し位置小役とは、リール停止ボタン211の停止操作が、適正な停止タイミング(押し位置)で行われたときと不適正な停止タイミングで行われたときとで、異なる入賞態様を示すような小役である。このような押し位置小役を搭載する場合には、ARTゲームにおいて、適正な押し位置を遊技者が容易に認識できるような教示又は告知を行うようにすることで、押し位置小役の当選時に、遊技者が対応役を容易に入賞させることができるようにし、多くのメダル獲得を可能にすることができる。
なお、スロットマシン1の遊技者は、当選役の抽選確率(図49)、当選役に対応する図柄組合せ、その払出枚数、および図柄の配列(図46)等に基づいて、内部抽選によって選ばれた当選役を知り得ない状況において最大の払出を期待できるような遊技方法を見出すことができる場合がある。このような遊技方法を、以下では「最大効率打法」と仮称する。最大効率打法で遊技を行うときは、リールの停止位置によっては、当選役に対応する最も払出枚数が多い図柄組合せを有効ライン上に引き込むことが困難となるような役(スイカ役、チェリー役、チャンス目役等)について、それらの当選確率や払出枚数を考慮して、期待値的に最大の払出となるような特定のタイミングで何れかのリール停止ボタン211の押下操作を行い、停止した図柄態様に応じた適切なタイミングで、残りのリール停止ボタン211の押下操作を行うことで、複数種類の当選役に対応する図柄組合せを引き込み可能にして多くの払出を獲得する。換言すれば、最大効率打法は、当選役の取りこぼしを極力抑制するような遊技方法といえる。
[10.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図50は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。バックアップデータが存在しない場合には、所定の初期値を設定する等、予め定められた処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、スロットマシン1を、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚掛け専用機とする場合には、1枚投入ボタン205が備えられなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、以降のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次いで、ステップS31では、ARTの指示機能(所謂、ARTナビ)に関する処理として指示機能処理を行う。指示機能処理では、ARTゲームの当選及びその開始等が決定されるだけでなく、ARTゲーム中であれば押し順等を遊技者に教示するARTナビが実行される。指示機能処理の詳細については、図53等を参照しながら後述する。
本例の指示機能処理では、ART機能に関する中心的な制御(ART初当り抽選、ARTゲーム数の決定、ARTゲームの実行、遊技状態の遷移、指示機能の表示等)を全てメイン基板409が管理する。一方、ART機能に関する補助的な制御(画像表示体500におけるナビ表示等)はサブ基板510が管理するものとするが、このような場合でも、サブ基板510が画像表示体500等に表示させるナビ表示の表示内容は、メイン基板409による指示機能の決定結果に従ったもの(指示機能表示と相違ない内容)に制限される。なお、スロットマシン1において、指示機能による指示内容(指示機能表示の表示内容と読み替えてもよい)は、メイン基板409が当該ゲームにおける当選役に基づいて決定する。また、メイン基板409に制御されて特別表示LED612に表示される指示機能表示の表示内容と、サブ基板510に制御されて画像表示体500等に表示されるナビ表示の表示内容とは、1対1の対応関係に限定されず、1対n(複数パターン)の対応関係であってもよい。すなわち、メイン基板409によって特別表示LED612で何らかの指示機能表示が行われるとき、サブ基板510は、画像表示体500等におけるナビ表示について、当該指示機能表示に対応する表示態様でナビ表示を実行させるものの、ナビ表示の具体的な表示態様は1種に限定される必要はなく、当該指示機能表示に対応する複数種類の表示態様のうちの何れかの表示態様でナビ表示を行うようにさせてもよい。このような場合、何れの表示態様によるナビ表示を行うかは、サブ基板510が決定してもよいし、メイン基板409が指定してもよい。また、スロットマシン1は上記構成に限定されるものではなく、例えば、指示機能処理に関する全ての処理をメイン基板409が行うようにしてもよい。
また、本例に示すステップS31の指示機能処理では、ステップS3における内部抽選処理の結果に基づいて、ARTの指示機能に関する処理内容を決定するものとする。ここで、内部抽選処理はゲームが実行される都度行われるものであるから、内部抽選処理の結果にもとづいて行われるART初当り抽選についてもゲームが実行される都度行われることとなる。また、指示機能処理は、次段で説明するステップS4のリール回転処理が開始されるよりも前に終了することが好ましい。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全てのライン301a〜301cが停止状態になったと判定した時点で、「有効ライン」上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組合せ態様が表示されているか)に基づいて、当選役の判定を行う判定処理を実行する。具体的には、「有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組合せ態様)」と「当選役に対応して有効ライン上に停止することが許容される図柄組合せ」とを照合することによって当選役を判定する。また、ステップS6の判定処理は、「有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組合せ態様)」のみに基づいて判定するようにしてもよい。なお、本実施形態のスロットマシン1では、図47に示した「ベル図柄−リプレイ図柄−ベル図柄」が表示されているライン(右下がりライン623a)、及び「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(右上がりライン623b)の2つのラインを「有効ライン」とする。ただし、有効ラインの数はこれに限られない。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また、ステップS6で判定された当選役が2種BBのように遊技状態の変更を伴う当選役である場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等による各種遊技特典の付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)〜ステップS4(リール回転処理)は、遊技者によって行われる一連の外部操作(始動操作)を契機として内部処理が行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS31、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[10−1.始動処理]
図51は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、規定数3枚の遊技の場合は3枚以上のメダルの投入、規定数2枚の遊技の場合は2枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、例えば規定数3枚のとき3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行ってもよいし、他にも例えば、所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をONにする。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図49に示されるとおりである。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブル(抽選テーブル)を決定する。すなわち、当該ゲームにてON状態となっているゲーム状態フラグ(遊技状態フラグ)に対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグは、遊技状態に応じたフラグがそれぞれ用意されているとし、例えば、一般状態中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがあるとする。そして、ボーナス内部中フラグ及びボーナス中フラグのいずれもOFF状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(作動/成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組合せを揃えることが可能となる。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組合せも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図50のステップS3)に相当する。
なお、図50で前述したように、本実施形態のスロットマシン1では、ステップS31に示した指示機能処理が行われる。図51には不図示であるが、この指示機能処理は、図51のステップS107のフラグ処理の一部として実行されても良いし、又は、ステップS107のフラグ処理が完了してから、ステップS108でウェイトタイマタイムアップがタイムアップするまでの間に実行されてもよい。
また、本実施形態のスロットマシン1では、フラグ処理又は指示機能処理が実行される所定のタイミングで、当選役に基づいて作動が許容された条件装置のグループや、発生する指示機能の指示内容等、メイン基板409側で決定される情報の少なくとも一部が、それぞれコマンド通信によってメイン基板409から周辺基板(例えば、サブ基板510)に通知される(後述の「指示情報コマンド」に相当)。なお、これらの情報を通知するためのコマンドは、適宜纏められたコマンドであってもよい。
また、本実施形態のスロットマシン1において指示機能処理が行われた結果としてメイン基板409から周辺基板(例えばサブ基板510)に送信されるコマンドは、以下のようなコマンド態様を採用することができる。すなわち、当選役をその種別やリール停止ボタン211の押し順などに基づいてグループ分けしておき、内部抽選によって選ばれた当選役に対し、当該当選役が含まれるグループを識別可能な形態でメイン基板409から周辺基板(例えばサブ基板510)にコマンドを送信することができる。なお、当選役のグループ化における分類基準は、上記の例に限定されるものではなく、任意に設定することができる。例えば、押し順の有無を分類基準に加えた場合、押し順ベルに含まれる全てのベル役(押し順ベル1〜押し順ベル6)を1つのグループにし、押し順不問ベルとしての共通ベル役を別のグループにすることで、押し順の有無によってベル役をグループに分けることができる。このとき、ベル役は押し順ベルのグループと押し順不問ベルのグループとに分かれることになる。また、リプレイ役についても同様であって、例えば、押し順リプレイのグループと通常リプレイのグループ(押し順不問)とに分けられるようにしてもよい。また、全ての当選役を押し順の有無だけでグループ化してもよく、このような場合は、全ての当選役を押し順有りのグループ又は押し順無しのグループに分けることができる。また、当選役をグループ化するのではなく、当選役に基づいた条件装置をグループ化するようにしてもよい。以下では、このようなグループ化された当選役を通知するコマンドについて、より詳細に説明する。
まず、グループ化された当選役を通知するコマンド送信について、指示機能表示が実行される場合、グループ化された当選役の内訳が全て分かるようなコマンド(所謂、「完全ナビ」が可能なコマンド)を送信するようにしてもよい。このとき、コマンドを受信したサブ基板510は、選ばれた当選役がどのような種別の役であってどのような押し順であるかといった情報を認識できることから、遊技者にとって有利なリール停止方法を確実に教示可能なナビ表示(所謂、「完全ナビ」)を表示させることができる。
また、グループ化された当選役を通知するコマンド送信について、指示機能表示が実行される場合、グループ化された当選役の内訳の一部が分かるようなコマンド(例えば第1停止のみを教示可能な「部分ナビ」)を送信するようにしてもよい。このとき、コマンドを受信したサブ基板510は、選ばれた当選役に関して一部の情報を認識できることから、遊技者にとって有利なリール停止方法を部分的に教示可能なナビ表示(例えば第1停止のみを教示可能といった、所謂「部分ナビ」)を表示させることができる。
また、グループ化された当選役を通知するコマンド送信について、指示機能表示が実行されない場合には、グループ化された当選役の内訳がわからないようなコマンドを送信するようにしてもよい。このとき、コマンドを受信したサブ基板510は、当該コマンドが示すグループに基づいて、選ばれた当選役が当該グループに含まれる当選役であることや指示機能表示の実行可否は認識可能であるものの、それ以上の情報を認識できない。例えば、当選役が押し順ベルの何れかであることは分かるものの、その適正な押し順や具体的な当選役の内訳(「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」の何れの当選役であるか)については分からない、という程度で認識することができる。なお、このような指示機能表示が実行されない場合にグループ化された当選役を通知するコマンドを、「条件装置コマンド」として考えてもよい。
さらに、指示機能表示が実行される場合には、グループ化される小役を押し順ベルに限定する必要はなく、他の役(例えば押し順リプレイ)を含めてグループ化するようにしてもよい。すなわち、この場合、当選役として押し順ベルが選ばれた場合でも、他の役が選ばれた場合でも、適正な押し順が同じである場合には、同じグループを示すコマンドが送信されることを意味する。また、指示機能表示が実行されない場合にも、グループ化される小役を押し順ベルに限定する必要はなく、他の役を含めてグループ化するようにしてもよいが、このような場合には、当該コマンドを受信した周辺基板(例えばサブ基板510)では当選役の種別(他の役なのかベルなのか)が判別不能になり、指示機能表示とは関係ない状態での当選役の教示ができない(例えば、指示機能が実行されない場合に、他の役に当選したことを示すナビを画像表示体500に表示させることなどができない)ことから、押し順ベルと他の役(例えば押し順リプレイ)とを別個とするなど、押し順小役の種別ごとにグループ化してコマンドを送信するほうが望ましい。
本実施形態のスロットマシン1は、このようにグループ化された当選役を通知するコマンドを送信することによって、メイン基板409で消費される容量を軽減できるとともに、周辺基板側が独自に当選役及びその押し順を判断することを抑止することができる。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[10−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から65535までの整数値(つまり、2の16乗=65536個の乱数)等と決めることができる。なお、本実施形態では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から65535までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では「0」から「65535」まで)内の乱数値のうち、当選役「BB1」に対応する乱数値が選ばれた場合に、内部抽選の結果は「BB1に当選した」ということになり、条件装置であるBB1が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びBB1に対応する乱数値から、BB1の当選確率(BB1が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。図49の例では、一般状態におけるBB1の当選確率は、〔BB1に対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数〕が384/65536となる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、図49に示したように、一の当選役のみに当選する単独役(例えばBB1、BB2、スイカ、チェリー、共通ベル、維持リプレイ)が用意されているが、このような単独役の他に、複数の当選役が同時に当選する同時当選役が用意されても良いことは前述した通りである。そして、このような重複役を用意する場合、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、同時当選役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(例えば2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が同時当選役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。このとき、複数当選役のそれぞれの当選役に対応する条件装置が同時に成立する(作動が許容される)。ただし、各当選役に対応する複数の条件装置が同時に成立したとしても、同時当選役に対する条件装置の優先度が設定されるため、実際には、成立した条件装置に対応する図柄組合せの全てが有効ライン上に停止し得るとは限らない。例えば、リプレイ役とボーナス役とが同時当選した場合、リプレイ役の引き込みが優先されるとすれば、ステップS5のリール停止処理はリプレイ役の引き込みを優先するように行われ、さらに、リプレイ役に対応する図柄組合せは押し順や押しタイミングに拘わらず常に有効ライン上に停止可能であることから、結果として、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止することはできず、常にリプレイ役の図柄組合せが停止されることになる。
また、図49によれば、ボーナス中は、停止操作における押しタイミング及び押し順に依存することなく入賞(又は成立)が期待できる押し順不問ベル(共通ベル)の当たり値が抽出範囲の全てを占めている。そして、本実施形態において、リプレイが成立した場合はメダルを消費することなく次の遊技が提供され、押し順不問ベルが入賞した場合は9枚のメダルが払い出される。したがって、ボーナスゲームが実行されると、当該ボーナスゲームの実行期間(ボーナス中)に、多量のメダルが払い出されることとなる。
[10−3.遊技状態の制御処理]
以下では、スロットマシン1において行われる遊技状態の制御処理について説明する。
[10−3−1.遊技状態移行制御処理]
図52は、遊技状態の移行を示すブロック図の一例である。なお、遊技状態の移行制御はメイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される。
メイン基板409に搭載されたRAM1114におけるデータ値がクリア(RAMクリア)されると、一般状態(非RT)となる。一般状態におけるリプレイ合成確率(維持リプレイ役、上げリプレイ役1、上げリプレイ役2、下げリプレイ役、7揃いリプレイ役及び7揃いフェイクリプレイ役の合成確率)は、約7.3分の1である。このような一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。なお、図52では、リプレイ合成確率をRP合成確率と表記している。
一般状態において、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されたにもかかわらず適正な順序でリール停止ボタン211が停止操作されずに0枚ベル零し目が有効ラインに表示されると、CPU1110は、一般状態からRT1に遊技状態が移行されるよう制御する。RT1におけるリプレイ合成確率は、非RT約7.3分の1である。このようなRT1では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、一般状態と同様、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。
RT1において、内部抽選にて「上げリプ1+維持リプ」が選び出されて上げリプ1の当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、CPU1110は、RT1からRT2に遊技状態が移行されるよう制御する。遊技状態がRT1からRT2に移行されると、基本ARTゲームが開始され、基本ART中となる。この明細書において、基本ART中、後述する特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中におけるゲームの総称をARTゲームと称する。ただし、ART初当り抽選に当選していない状態でRT1からRT2に移行した場合は、基本ARTゲーム中とはならず、後述する指示機能表示やARTゲーム数上乗せ抽選が行われることはない。
ARTゲーム中は、ART機能によるARTゲームが実行される。具体的には、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されると、CPU1110は、後述する指示機能表示が行われるよう制御する。また、メイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿った表示が行われるようサブ基板510によっても制御される。また、RT2におけるリプレイ合成確率は、約1.6分の1である。このようなRT2では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数よりもゲームの結果として払い出されるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、指示機能表示が行われるRT2では、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が増加していく遊技状態である。ただし、ARTゲームは、後述するARTゲーム数上乗せ抽選に当選しない限り100ゲームで終了する。具体的には、ARTゲーム数上乗せ抽選に当選しなかった場合、基本ARTゲームが開始されてから100ゲーム消化されるまでは後述する指示機能表示が行われるが、100ゲーム消化されると、指示機能表示が終了する。また、あわせて、メイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿ったサブ基板510による表示も終了する。すなわち、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されたとしても、リール停止ボタン211の適正な停止操作順序が明示されない。そして、ベル零し目が有効ラインに表示されると、CPU1110は、RT2からRT1に遊技状態が移行されるよう制御する。なお、基本ARTゲームが終了したとしてもベル零し目が有効ラインに表示されるまではRT2が維持されるため、リプレイゲームを実行する権利は高い頻度で与えられるものの、指示機能表示が行われないこととなる。
なお、本例では、100ゲームといった規定ゲーム数が消化されるまでARTゲームが継続するゲーム数管理を行っているが、これに代えて、例えば純増100枚といった規定枚数のメダルが純増されるまでARTゲームが継続する枚数管理を行うようにしてもよい。
なお、基本ART中は、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されるとリール停止ボタン211の適正な停止操作順序が指示機能表示によって明示されるため、この指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作する限り、遊技状態はRT2に維持される(ただし上げリプ2に対応する図柄組合せが表示されるとRT3に移行する)。しかし、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されてリール停止ボタン211の適正な停止操作順序が指示機能表示によって明示されたにもかかわらず、この指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作しなかった場合にはベル零し目が有効ラインに表示されて、メイン基板409のCPU1110の制御によってRT2からRT1に遊技状態が移行される。
RT2において、内部抽選にて「上げリプ2+維持リプ」が選び出されて上げリプレイ役2に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、RT3に遊技状態が移行されるよう制御する。遊技状態がRT2からRT3に移行されると、特化ゾーン中となり、高い確率でARTゲームの上乗せが行われることとなる(詳細は後述する)。このRT3においても、メイン基板409に搭載されたCPU1110は、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されたときに、後述する指示機能表示が行われるよう制御する。また、メイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿った表示が行われるようサブ基板510によっても制御される。
なお、特化ゾーンは5ゲームで終了する。具体的には、内部抽選にて「下げリプ+維持リプ」が選びされたときに、特化ゾーン中であれば(5ゲーム消化されていなければ)、維持リプレイ役に対応する図柄組合せが表示されるように、後述する指示機能表示が行われるよう制御する。一方、内部抽選にて「下げリプ+維持リプ」が選びされたときに、特化ゾーンが開始されてから5ゲーム消化されていれば、下げリプレイ役に対応する図柄組合せが表示されるように、後述する指示機能表示が行われるよう制御する(いずれも図49参照)。そして、下げリプレイ役に対応する図柄組合せが表示されると、CPU1110は、RT3からRT2に遊技状態が移行されるよう制御する。また、RT3においてベル零し目が有効ラインに表示されたときには、CPU1110は、RT3からRT1に遊技状態が移行されるよう制御する。RT3におけるリプレイ合成確率は、約1.6分の1である。なお、特化ゾーンが開始されてから5ゲーム消化されたものの未だ下げリプレイ役に対応する図柄組合せが表示されていないときは、RT3の遊技状態下で基本ARTゲームに制御される。このときのART中抽選状態は高確率状態である。したがって、特化ゾーン中や特化ゾーン準備中においても、基本ART中と同様に、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されるとリール停止ボタン211の適正な停止操作順序が指示機能表示によって明示され、この指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作する限り遊技状態はRT3に維持されることとなるが、指示機能表示にしたがわずにリール停止ボタン211を操作してベル零し目が有効ラインに表示されたときはRT1に移行されることとなる。
一般状態、RT1、RT2及びRT3のいずれにおいても、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2)に当選してボーナス役に対応する条件装置が作動すると(ボーナス成立すると)、ボーナス内部中となる。ボーナス内部中とは、ボーナスフラグが成立しているものの未だボーナスゲームが開始されていない状態である。すなわち、内部抽選においてボーナス役に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降において、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。ボーナス内部中におけるリプレイ合成確率は、約7.3分の1である。そして、ボーナス内部中においてボーナス図柄に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると(ボーナス入賞すると)、ボーナスゲームが開始されて、ボーナス中となる。このようなボーナス中は、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数よりもゲームの結果として払い出されるメダル枚数の方が多くなる。そして、ボーナスゲームが終了すると一般状態に戻る。
このように、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409によって、一般状態(非RT状態)、RT1状態、RT2状態、RT3状態、ボーナス内部状態及びボーナス状態のうち何れかの遊技状態に制御される。一方、前述したように、本実施形態のスロットマシン1はART機能を備えており、ART機能によるARTゲームの実行は、基本的には、このような遊技状態の制御とは別系統で制御される。このようなART機能によるARTゲームは、上述したとおり、RT2やRT3において主として実行されるが、ARTゲームの実行条件が成立すれば(例えばART実行抽選に当選するなど)、何れの遊技状態においても、ARTゲームを実行することができる。但し、規則等の制限に抵触する場合はその限りではなく、例えば、ボーナス状態ではARTゲームを実行できないとする。以下では、ART機能に関する遊技状態の制御処理について詳しく説明する。
[10−3−2.ARTにかかわる抽選]
本実施形態のスロットマシン1では、ARTにかかわる抽選として以下の抽選が行われる。先ず、ARTゲーム中でもボーナス中でもない通常の遊技状態時に行われるARTにかかわる抽選として、ART初当り抽選と、ART初当り抽選状態移行抽選とがある。また、ARTゲーム中(基本ART中、特化ゾーン中または特化ゾーン準備中)に行われるARTにかかわる抽選として、特化ゾーン抽選と、ARTゲーム数上乗せ抽選とがある。また、メイン基板409に搭載されたCPU1110は、ARTゲーム中でもボーナス中でもない通常の遊技状態において、ARTにかかわる抽選状態として、ART初当り抽選の有利度合いが異なる複数の抽選状態(非ART中低確率状態、非ART中高確率状態)のうちいずれかに制御し、通常の遊技状態でもボーナス中でもないときARTゲーム中には、特化ゾーン抽選やARTゲーム数上乗せ抽選の有利度合いが異なる複数の抽選状態(ART中低確率状態、ART中高確率状態、特化ゾーン中、特化ゾーン準備中)のうちいずれかに制御する。
CPU1110は、ARTゲーム中でもボーナス中でもない通常の遊技状態時に、ARTにかかわる抽選状態を、非ART中低確率状態と非ART中高確率状態とのうちいずれかに制御する。非ART中低確率状態及び非ART中高確率状態の総称を、非ART中抽選状態と称する。非ART中低確率状態は、通常(ARTフラグオフ)時に行われるART初当り抽選における当選確率が相対的に低確率で行われる抽選状態である。非ART中高確率状態は、通常(ARTフラグオフ)時に行われるART初当り抽選における当選確率が相対的に高確率で行われる抽選状態である。ART初当り抽選における具体的な当選確率は、後述する図60に示すとおりである。ART初当り抽選は、通常時において、非ART中低確率状態であるか非ART中高確率状態であるかに応じて、内部抽選の結果としての条件装置毎に、毎ゲーム行われる。ただし本実施形態では、非ART中低確率状態及び非ART中高確率状態のいずれにおいても、内部抽選にてスイカまたはチェリーが選ばれた場合に限りART初当りに当選しうるように構成されている。ART初当り抽選に当選すると、それ以降のゲームにおける内部抽選にて「上げリプ1+維持リプ」が選び出されたときに、リール停止ボタン211が「右−中−左」の押し順(逆押し)で停止操作されるように、CPU1110によって指示機能表示が行われるとともに、メイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿った表示がサブ基板510によって行われる。この指示にしたがって遊技者がリール停止ボタン211を停止操作すると、上げリプレイ役1に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されて、遊技状態がRT1からRT2に移行し、ARTゲーム(具体的には基本ARTゲーム)が開始される。
CPU1110は、通常時における非ART中抽選状態を、上記の非ART中低確率状態と非ART中高確率状態とのうちいずれに制御するかについて、非ART中抽選状態移行抽選の結果に基づいて決定する。この非ART中抽選状態移行抽選は、後述する図61に示される非ART中抽選状態移行抽選テーブルを用いて行われる。非ART中低確率状態においては、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、非ART中高確率状態への移行抽選が行われる。また、非ART中高確率状態においては、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、非ART中低確率状態への移行抽選が行われる。非ART中抽選状態移行抽選における具体的な移行確率は、後述する図61に示されるとおりである。なお、図61に示される「低」は「非ART中低確率状態」を意味し、同じく図61に示される「高」は「非ART中高確率状態」を意味する。ART初当り抽選及び非ART中抽選状態移行抽選は、いずれも、内部抽選が行われる都度(ゲームが実行される都度)実行される。
また、CPU1110は、ARTゲーム中に、ARTにかかわる抽選状態を、ART中低確率状態とART中高確率状態と特化ゾーン準備状態と特化ゾーン状態とのうちいずれかに制御する。ART中低確率状態、ART中高確率状態、特化ゾーン準備状態及び特化ゾーン状態の総称を、ART中抽選状態と称する。ART中低確率状態は、通常時でない(ARTフラグオン)時に行われる特化ゾーン抽選やARTゲーム数上乗せ抽選における当選確率が相対的に低確率で行われる抽選状態である。ART中高確率状態は、通常時でない(ARTフラグオン)時に行われる特化ゾーン抽選やARTゲーム数上乗せ抽選における当選確率が相対的に高確率で行われる抽選状態である。特化ゾーン準備状態は、特化ゾーン抽選に当選したものの未だ特化ゾーンが開始されていない場合の抽選状態(すなわち、特化ゾーン抽選に当選したものの、未だRT3に遊技状態が移行されていない状態)である。特化ゾーン状態は、特化ゾーン中の抽選状態である。
なお、上述したとおり、特化ゾーン状態及び特化ゾーン準備状態は、いずれも、ART中低確率状態又はART中高確率状態において特化ゾーン抽選に当選したときに制御されるARTにかかわる抽選状態である。また、CPU1110は、ART中低確率状態及びART中高確率状態に制御されているときに限って、基本ART中(特化ゾーン中でも特化ゾーン準備中でもないARTにかかわる抽選状態)におけるART中抽選状態を、上記のART中低確率状態とART中高確率状態とのうちいずれに制御するかについて、ART中抽選状態移行抽選の結果に基づいて決定する。このART中抽選状態移行抽選は、後述する図62に示されるART中抽選状態移行抽選テーブルを用いて行われる。ART中低確率状態においては、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、ART中高確率状態への移行抽選が行われる。また、ART中高確率状態においては、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、ART中低確率状態への移行抽選が行われる。ART中抽選状態移行抽選における具体的な移行確率は、後述する図62に示されるとおりである。
特化ゾーン抽選における具体的な当選確率は、後述する図63に示されるとおりである。特化ゾーン抽選は、通常時でないときに、ART中抽選状態及び内部抽選の結果として作動した条件装置に応じて、毎ゲーム行われる。特化ゾーン抽選に当選すると、それ以降のゲームにおける内部抽選にて「上げリプ2+維持リプ」が選び出されたときに、リール停止ボタン211が「右−左−中」の押し順(逆挟み押し)で停止操作されるように、CPU1110によって指示機能表示が行われるとともに、メイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿った表示がサブ基板510によって行われる。この指示にしたがって遊技者がリール停止ボタン211を停止操作すると、上げリプレイ役2に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されて、遊技状態がRT2からRT3に移行し、特化ゾーンが開始される。ただし本実施形態では、ART中低確率状態またはART中高確率状態における内部抽選にてスイカ、チェリー、はずれが選び出された場合に限り特化ゾーンに当選しうるように構成されている。したがって、特化ゾーン状態及び特化ゾーン準備状態においては、特化ゾーン抽選の結果は常に非当選となる。なお、特化ゾーン状態は、上述したとおり5ゲームで終了する。その後、上述したとおり、下げリプレイ役に対応する図柄組合せが表示されるとRT3からRT2に遊技状態が移行されるが、このときのART中抽選状態は高確率状態に制御される。
ARTゲーム数上乗せ抽選は、ART中抽選状態及び内部抽選の結果として作動した条件装置に応じて、特化ゾーン抽選に非当選だった場合に限り行われる。ARTゲーム数上乗せ抽選には、ARTゲーム数の上乗せを行うか否かを決定する上乗せ決定抽選と、ARTゲーム数の上乗せを行う旨が決定されたときに上乗せされるゲーム数を決定する上乗せゲーム数決定抽選とが含まれる。上乗せ決定抽選における具体的な当選確率は、後述する図55に示されるとおりである。また、上乗せゲーム数決定抽選における具体的な当選確率は、後述する図56〜図59に示されるとおりである。
上乗せゲーム数決定抽選は、上乗せ決定抽選に当選した場合に行われる抽選であり、上乗せゲーム数決定抽選における具体的な抽選確率は、ART中低確率状態であるときには、後述する図56を用いて、内部抽選の結果に応じて上乗せするゲーム数を決定する。また、ART中高確率状態であるときには、後述する図57を用いて、内部抽選の結果に応じて上乗せするゲーム数を決定する。同様にして、特化ゾーン中であるときには、後述する図58を用いて、内部抽選の結果に応じて上乗せするゲーム数を決定し、特化ゾーン準備中であるときには、後述する図59を用いて、内部抽選の結果に応じて上乗せするゲーム数を決定する。
[10−3−3.指示機能処理]
図50のステップS31で説明したように、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409が、ステップS3における内部抽選処理によって当選役を選び出した後(抽選テーブルについては図49参照)、メイン基板409によって指示機能処理の中心的な処理が行われ、特別表示LED612で指示の発生が表示される場合には(指示機能表示)、周辺基板(例えばサブ基板510)が同内容の指示機能の指示を他の表示器等で演出表示させることができる(ナビ表示、指示発生演出)。なお、指示機能表示及びナビ表示の表示態様は様々であってよいが、どちらの表示もメイン基板409によって決定された指示機能の指示内容に沿った表示内容であることが求められる。
図53は、指示機能処理の大まかな処理の流れを説明するための図である。図53では、スロットマシン1で行われる指示機能処理に関して、メイン基板409で実行される一連の処理と、メイン基板409からのコマンドを受けてサブ基板510で実行される一連の処理とが併記されている。図54は、図53に示す指示機能処理のうち、メイン基板409によって実行される指示機能の発生にかかわる処理手順を含めてゲームの流れを示すフローチャートである。ここでは、まず、図53を参照しながら、指示機能処理の概要を説明し、[10−3−4]以降では、図54等を参照しながら、指示機能の発生にかかわる処理手順を含めてゲームの流れについて説明する。
なお、以下の指示機能処理に関する説明では様々なフラグが用いられるが、これらのフラグは、指示機能処理を実行する基板内のメモリ(例えば、メイン基板409のRAM1114、及びサブ基板510のRAM1122)で保持される内部フラグであり、各基板のCPU等(例えば、CPU1110やCPU1118)によって値の書き換えや読み取りが行われる。また、メイン基板409と周辺基板(例えばサブ基板510)との間で同名のフラグが用いられるとき、基本的にこれらの内部フラグは共通のデータ形式を有するとし、メイン基板409から周辺基板側にコマンド等の信号が送信されることによって、当該フラグの値が同期されるものとする。
また、上記の内部フラグの他に、変数データが用いられることもあるが、これらの変数データも、当該変数データを参照する基板のメモリ(例えば、メイン基板409の場合はRAM1114、サブ基板510の場合はRAM1122)に保持されるとし、その値は、CPU等(例えば、メイン基板409の場合はCPU1110、サブ基板510の場合はCPU1118)によって、読み込み又は書き換えが行われるとする。
まず、図53のステップS61では、メイン基板409が、指示機能を発生させるか否かに関する処理(指示機能の発生にかかわる処理)を実行する。より具体的には、ART初当り抽選の当落を決定したり、ARTゲームの開始可否やARTゲームの継続数を決定したりする。さらに、本実施形態ではARTゲームの前兆演出は行われないが、ARTゲームの前兆演出が実行されるスロットマシンにおいては、かかる前兆演出を実行するか否かについても、指示機能の発生にかかわる処理で決定する。
そして、指示機能の発生にかかわる処理が行われた結果、指示機能を発生させると決定された場合は、メイン基板409は、当該ゲームの当選役に基づいた指示機能表示を特別表示LED612に表示させる処理を行う(ステップS62)。この指示機能表示によって、ART中に成立した押し順小役の適正な停止順を示したり、所定の図柄を所定の停止順で揃えるべきことを示したりすることができる。
なお、ステップS61においてメイン基板409が指示機能表示を行う必要がないと判断したゲームの場合、ステップS62において特別表示LED612での具体的な指示機能表示は行われない。
メイン基板409は、ステップS61の指示機能の発生にかかわる処理の結果に基づいてステップS62で指示機能表示を行う一方で、指示機能表示における表示内容(指示内容)と同様の情報を、コマンド等によって周辺基板(例えば、サブ基板510)に送信する(指示情報コマンド)。なお、指示機能表示が行われない場合は、その旨を指示情報コマンドで通知してもよいし、指示情報コマンドを送信しないようにしてもよい。但し、指示情報コマンドが送信されない場合は、受信側で所定の時間経過後に当該コマンドの未受信を判定する必要がある。このようにすることで、周辺基板(サブ基板510)では、指示情報コマンドの受信に基づいて、当該ゲームにおいて指示機能表示が行われるか否かを認識可能となるだけでなく、指示機能表示の表示内容(指示内容)も把握することができる。
そして、メイン基板409から指示情報コマンドを受信した周辺基板(ここではサブ基板510)は、当該指示情報コマンドに含まれる情報に基づいて、図53のステップS63〜S65に示す処理を行う。なお、図53に示した指示機能処理では、メイン基板409によって指示機能の発生にかかわる処理(ステップS61)が初めに実行されるが、その後のメイン基板409及びサブ基板510による処理(具体的には、ステップS62の処理、及びステップS63〜S65の処理)については、互いの処理の実行タイミングを制限するものではない。
まず、ステップS63では、周辺基板(例えば、サブ基板510)が、当該ゲームで指示機能表示が行われる(又は行われた)か否かを判定し、指示機能表示が行われる(又は行われた)と判定した場合には(ステップS63のYES)、ステップS64の処理として指示発生演出処理を行う。また、周辺基板(例えば、サブ基板510)は、ステップS63において、指示機能表示が行われない(又は行われなかった)と判定した場合には(ステップS63のNO)、ステップS65の処理として指示機能関連処理を行う。
ステップS64における指示発生演出処理は、画像表示体500やその他の表示器等において、リール301の停止順や停止位置(狙う図柄すなわち停止操作するタイミング)等を遊技者に教示する「指示発生演出」を表示させるための処理であり、所謂、ARTナビ等を表示させるための処理である。なお、指示発生演出によって遊技者に示される教示内容は、指示機能表示処理によって特別表示LED612に表示される表示内容に沿ったものに制限される。例えば、指示機能表示によって特別表示LED612で「順押し」を示す指示内容が表示されたにも拘わらず、指示発生演出内容によって示される教示内容が「逆押し」であるといったことは許容されない。また、特別表示LED612で「順押し」を示す指示内容が表示されて、指示発生演出内容による教示として「左リール301aを第1に停止すべき」旨が示されたとしても、その後の第2に停止すべきリール301bが教示されないような場合も許容されない。また、指示発生演出による教示内容が特別表示LED612に表示される表示内容に沿ったものに限定されることは、上述した押し順だけに限定されるものではなく、指示機能表示で押し場所の目安が決定された場合にも適用される。すなわち、例えば、指示機能表示によって特別表示LED612で「全リールで赤7図柄を狙うべき」ことを示す指示内容が表示されたにも拘わらず、指示発生演出内容によって示される教示内容が「BAR図柄を狙わせる」ものであったり、「一部のリールでのみ赤7図柄を狙わせる」ものであったりすることは許容されない。
また、指示発生演出の具体的な演出形態については、押し順や図柄を液晶画面に表示させたり、各リール301a〜301cに対応付けられたLEDを点灯させたり等、様々な演出形態が従来知られており、それらの何れか又は組合せを利用すればよい。
ステップS65における指示機能関連処理は、特別表示LED612において指示機能表示が表示されない場合(例えば、非ART中のゲームや、ART中でも押し順不問当選役に当選したゲーム等)に、指示機能に関連する所定の演出画面の表示等を行うための処理である。なお、上記の「押し順不問当選役」のなかには、押し順不問ベルのように当選時に如何なる遊技方法で遊技しても最大枚数の払出が期待できるような当選役だけでなく、遊技方法次第では最大枚数の払出に期待できなかったり、払出が得られなかったりするような当選役も含まれている。詳しく説明すると、最大の払出を期待できるような遊技方法(前述の「最大効率打法」に相当)で遊技した場合に獲得可能な当選役(例えば、スイカ役)が含まれるだけでなく、「最大効率打法」で遊技した場合には獲得できない当選役(例えば、上記のスイカ役の図柄組合せとはリール301の図柄配列上で反対側に配置された図柄を利用した図柄組合せが用意され、当該図柄組合せの停止によって入賞と判定するような1枚役であって、所謂、チャンス目役)も含まれる。
以上のステップS61〜S65の処理が行われることによって、指示機能処理は終了する。以下では、メイン基板409のCPU1110による指示機能処理として行われる各処理(ステップS61〜ステップS65)について詳細に説明する。
[10−3−4.指示機能の発生にかかわる処理]
図53のステップS61に示した指示機能の発生にかかわる処理を含めてゲームの流れについて、抽出テーブルの具体例を示しながら詳しく説明していく。
まず、図54のステップS601では、ARTフラグがONであるか否かが判定される。ARTフラグは、ARTゲーム中であるか否かを示すための内部フラグであって、オンである場合にはART中であることを意味し、オフである場合には、ART中ではない、すなわち、非ART中であることを意味する。ARTフラグがオンである場合は(ステップS601のYES)、図63の特化ゾーン抽選テーブルを用いて、上述した特化ゾーン抽選を行う(ステップS602)。ステップS602の特化ゾーン抽選に当選した場合には(ステップS603におけるYES)、ステップS604に進み、CPU1110は、遊技状態移行処理を行う。このステップS604の遊技状態移行処理では、指示機能が発生する。具体的には、上述したとおり、内部抽選にて「上げリプ2+維持リプ」が選び出されたときに、リール停止ボタン211が「右−左−中」の押し順(逆挟み押し)で停止操作されるように指示機能表示を行う。この指示にしたがって遊技者がリール停止ボタン211を停止操作すると、上げリプレイ役2に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、CPU1110は、遊技状態がRT2からRT3に移行されるよう制御する。なお、特化ゾーン抽選に当選したとき、ART抽選状態は、ART中低確率状態またはART中高確率状態から特化ゾーン準備状態に移行される。そして、上げリプレイ役2に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されると、特化ゾーン準備状態から特化ゾーン状態に移行される。
ステップS605では、上乗せ決定抽選が行われる。ステップS605における上乗せ決定抽選では、まず、ARTゲーム数を上乗せするか否かが抽選され、さらに、上乗せすると決定した場合は(ステップS606におけるYES)、ステップS607の上乗せゲーム数決定抽選に進み、何ゲームを上乗せするかが抽選される。そして、上乗せゲーム数決定抽選にて決定された上乗せゲーム数の上乗せが行われる(ステップS608)。上述したとおり、上乗せ決定抽選は図55を用いて行われ、上乗せゲーム数決定抽選は図56〜図59を用いて行われる。図55は上乗せ決定抽選に用いられる抽選テーブルの一例であり、図56はART中低確率状態であるときに上乗せゲーム数決定抽選に用いられる抽選テーブルの一例であり、図57はART中高確率状態であるときに上乗せゲーム数決定抽選に用いられる抽選テーブルの一例であり、図58は特化ゾーン中に上乗せゲーム数決定抽選に用いられる抽選テーブルの一例であり、図59は特化ゾーン準備中に上乗せゲーム数決定抽選に用いられる抽選テーブルの一例である。
ステップS609では、図62に示されるART中抽選状態移行抽選テーブルを用いてART中抽選状態移行抽選が行われる。このART中抽選状態移行抽選は、上述したとおり、基本ART中におけるART中抽選状態を、ART中低確率状態とART中高確率状態とのうちいずれに制御するかについて決定する抽選である。詳述すると、ART中低確率状態においては、図62の「低→高」を参照し、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、ART中高確率状態への移行抽選が行われ(ステップS609)、この移行抽選に当選すると(ステップS610におけるYES)、ART中高確率状態に移行制御され(ステップS611)、この移行抽選に落選すると(ステップS610におけるNO)、ステップS611がスキップされて、指示機能の発生にかかわる処理が終了し、ART中低確率状態が維持される。また、ART中高確率状態においては、図62の「高→低」を参照し、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、ART中低確率状態への移行抽選が行われ(ステップS609)、この移行抽選に当選すると(ステップS610におけるYES)、ART中低確率状態に移行制御され(ステップS611)、この移行抽選に落選すると(ステップS610におけるNO)、ステップS611がスキップされて、指示機能の発生にかかわる処理が終了し、ART中高確率状態が維持される。ステップS609のART中抽選状態移行抽選は、図62に示されるART中抽選状態移行抽選テーブルを用いて行われる。図62は、ART中抽選状態移行抽選に用いられる抽選テーブルである。なお、図62に示される「低」は「ART中低確率状態」を意味し、同じく図62に示される「高」は「ART中高確率状態」を意味する。ART中抽選状態移行抽選は、ART中高確率状態及びART中低確率状態のいずれにおいても、内部抽選が行われる都度(ゲームが実行される都度)実行される。
ステップS601においてARTフラグがオフである場合は(ステップS601のNO)、メイン基板409のCPU1110は、図60のART初当たり抽選テーブルを用いてART初当り抽選を行う(ステップS612)。ステップS612のART初当り抽選に当選すると(ステップS613におけるYES)、ARTフラグをオンにし(ステップS614)、遊技状態移行処理を行う(ステップS615)。このステップS614の遊技状態移行処理では、指示機能が発生する。具体的には、上述したとおり、内部抽選にて「上げリプ1+維持リプ」が選び出されたときに、リール停止ボタン211が「右−中−左」の押し順(逆押し)で停止操作されるように指示機能表示を行う。この指示にしたがって遊技者がリール停止ボタン211を停止操作すると、上げリプレイ役1に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、CPU1110は、遊技状態がRT1からRT2に移行されるよう制御する。なお、RT1からRT2に移行されたとき、ART中抽選状態はART中低確率状態に制御される。
ステップS612のART初当り抽選に落選したとき(ステップS613におけるNO)、メイン基板409のCPU1110は、図61の非ART中抽選状態移行抽選テーブルを用いて、非ART中抽選状態移行抽選を行う(ステップS616)。この非ART中抽選状態移行抽選は、上述したとおり、通常時(一般状態、RT1)における非ART中抽選状態を、非ART中低確率状態と非ART中高確率状態とのうちいずれに制御するかについて決定する抽選である。詳述すると、非ART中低確率状態においては、図61の「低→高」を参照し、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、非ART中高確率状態への移行抽選が行われ(ステップS616)、この移行抽選に当選すると(ステップS617におけるYES)、非ART中高確率状態に移行制御され(ステップS618)、この移行抽選に落選すると(ステップS617におけるNO)、ステップS618がスキップされて、指示機能の発生にかかわる処理が終了し、非ART中低確率状態が維持される。また、非ART中高確率状態においては、図61の「高→低」を参照し、内部抽選の結果に対応して作動した条件装置に応じた確率で、非ART中低確率状態への移行抽選が行われ(ステップS616)、この移行抽選に当選すると(ステップS617におけるYES)、非ART中低確率状態に移行制御され(ステップS618)、この移行抽選に落選すると(ステップS617におけるNO)、ステップS618がスキップされて、指示機能の発生にかかわる処理が終了し、非ART中高確率状態が維持される。なお、図61に示される「低」は「非ART中低確率状態」を意味し、同じく図61に示される「高」は「非ART中高確率状態」を意味する。非ART中抽選状態移行抽選は、非ART中高確率状態及び非ART中低確率状態のいずれにおいても、通常時(一般状態、RT1)において内部抽選が行われる都度(ゲームが実行される都度)実行される。
[10−3−5.引き戻しモード処理]
本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲーム(基本ART、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中におけるゲームの総称)が終了したのち、ARTゲームが終了したときの遊技状態に応じて、メイン基板409のCPU1110の制御によって引き戻しモードAまたは引き戻しモードBに制御する。この引き戻しモードA及び引き戻しモードBは、本来的には非ART中抽選状態の一態様となる。ただしここでは、通常の遊技状態において制御される非ART中抽選状態(非ART中高確率状態、非ART中低確率状態)と区別するために、ARTゲームが終了したのちに制御される抽選状態を、ARTゲーム終了後抽選状態と称する。
ARTゲーム終了後抽選状態において制御される引き戻しモードA及びBは、いずれも、非ART中低確率状態のみならず、非ART中高確率状態と比べてもART初当り抽選の当選確率が高められた状態である。以下に引き戻しモード処理について説明する。
本実施形態のスロットマシン1では、基本ART中は、原則的に遊技状態がRT2からRT1に移行されることはないが、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されてリール停止ボタン211の適正な停止操作順序が指示機能表示によって明示されたにもかかわらず、この指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作しなかったことでベル零し目が有効ラインに表示されると、メイン基板409のCPU1110の制御によってRT2からRT1に遊技状態が移行されることは上述したとおりである。本例では、図64のARTゲーム終了後抽選状態決定テーブルに示されるように、ARTゲームの最終ゲームが終了したときの遊技状態がRT1であれば、ARTゲームが終了したのちの非ART中抽選状態が引き戻しモードAに制御され、ARTゲームの最終ゲームが終了した時点での遊技状態がRT2であれば、ARTゲームが終了したのちの非ART中抽選状態が引き戻しモードBに制御されるようにしている。ARTゲーム終了後抽選状態は、ARTゲームの最終ゲームが終了した時点での遊技状態に応じて決定されるため、ARTゲームの最終ゲームが開始された時点の遊技状態がRT2であったとしても、この最終ゲームにおいてベル零し目が有効ラインに表示された場合には、遊技状態がRT2からRT1に移行されるので、引き戻しモードAに制御されることとなる。
引き戻しモードA及び引き戻しモードBにおけるART初当り抽選の当選確率は、図65の引き戻しモードにおけるART初当り抽選テーブルに示されるとおりである。この図65と図60とを比較しても分かるように、ARTゲーム終了後抽選状態においては、引き戻しモードA及び引き戻しモードBのいずれにおいても、非ART中抽選状態よりもART初当り抽選の当選確率が高く設定されている。また、引き戻しモードAと引き戻しモードBとを比べると、引き戻しモードAよりも引き戻しモードBの方が、ART初当り抽選に当選しやすい点で有利である。
このように引き戻しモードAまたは引き戻しモードBに制御されるARTゲーム終了後抽選状態は、ゲームが実行される都度、メイン基板409のCPU1110によって維持抽選が行われる。この維持抽選は、ARTゲーム終了後抽選状態が引き戻しモードAである場合には50分の49の確率で当選するように維持抽選が行われ(すなわち50分の1の確率で転落する)、ARTゲーム終了後抽選状態が引き戻しモードBである場合には20分の19の確率で当選するように維持抽選が行われる(すなわち20分の1の確率で転落する)。したがって、引き戻しモードAと引き戻しモードBとを比較した場合、引き戻しモードBの方がART初当り抽選に当選しやすいものの、この引き戻しモードBは、引き戻しモードAよりもARTゲーム終了後抽選状態(ART初当り抽選が非ART中抽選状態よりも有利に行われる状態)に維持され難い状態となる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、基本ART中、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中は、指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作する限り遊技状態がRT2やRT3からRT1に移行されることはないものの、指示機能表示にしたがわずにリール停止ボタン211を操作すると、RT2やRT3からRT1に移行してしまうことが生じうる。すなわち、ARTゲーム終了後抽選状態を、引き戻しモードAに制御されるようにするか引き戻しモードBに制御されるようにするかを、遊技者に選択権が与えられたゲーム性であるといえる。したがって、ARTゲーム終了後抽選状態を、ART初当り抽選には当選し難いけれどもARTゲーム終了後抽選状態が維持されやすい(非ART中抽選状態に移行され難い)引き戻しモードAと、ART初当り抽選には当選しやすいけれどもARTゲーム終了後抽選状態が維持され難い(非ART中抽選状態に移行されやすい)引き戻しモードBとのうち、いずれの状態でゲームが行われるようにするかを、遊技者自らが選択することが可能となる。これにより、単にゲームを消化するだけの単調となりがちなARTゲームにおける興趣の低下を抑制することが可能となる。また、指示機能表示にしたがわずにリール停止ボタン211を操作したがためにRT2やRT3からRT1に移行してしまったとしても、ARTゲーム終了後には、ARTゲーム終了後抽選状態が維持されやすい(非ART中抽選状態に移行され難い)引き戻しモードAに制御されるので、興趣の低下を抑制することが可能となる。
とくに、基本ART、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中において指示機能表示にしたがってリール停止ボタン211を操作する限りは、ARTゲーム終了後抽選状態は引き戻しモードAに制御されるため、引き戻しモードBを選択する遊技者は、非ART中抽選状態に移行されやすいもののART初当り抽選に当選しやすいといった、引き戻しモードAと比べてハイリスクハイリターンの遊技を選択することとなる。このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、ARTゲーム終了後抽選状態を、相対的にローリスクローリターンの状態とするか相対的にハイリスクハイリターンの遊技とするかを、遊技者の所望により選択することができる。
ただし、相対的にハイリスクハイリターンの引き戻しモードBを遊技者が選択しようとした場合には、リプレイ合成確率が相対的に高いRT2やRT3から、リプレイ合成確率が相対的に低いRT1に移行されるというリスクを負う必要がある。ARTゲームの残りゲーム数が多い段階であれば、ARTゲームが終了するまでの間に、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出される可能性は高いものの、その分、ARTゲーム中に遊技者に払い出される賞としてのメダル枚数が少なくなってしまう(場合によっては、賞として払い出されるメダル枚数よりもゲームの実行に消費されたメダル枚数の方が多くなってしまう)というリスクが伴う。その一方、ARTゲームの残りゲーム数が少ない段階であれば、ARTゲーム中に遊技者に払い出される賞としてのメダル枚数をより多く獲得しうるものの、ARTゲームが終了するまでの間に、内部抽選にて「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されなくなってしまうというリスクが伴う。本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲームの最終ゲームが終了した時点での遊技状態に応じてARTゲーム終了後抽選状態が決定されるようにしているため、ARTゲームの最後のゲームにおいてRT1に移行されることが好ましい。しかし、ARTゲームの最終ゲームにおける内部抽選にて必ずしも「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」のいずれかが選び出されるとは限らない。そのため、引き戻しモードBを選択しようとする遊技者にとっては、ARTゲームの最終ゲームに近づくギリギリまでRT1に移行されないように粘るのが好ましいけれども、早い時点でRT1に移行させることも可能であるため、どの時点でRT1に移行させようかという楽しみができる。
また、遊技者によっては、相対的にハイリスクハイリターンの引き戻しモードBを自らは所望しないものの、基本ART、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中において行われた指示機能表示にしたがわずに誤ってリール停止ボタン211を操作してしまう場合もあるが、かえってそれが基本ART中、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中におけるゲームに緊張感を与えることができる。しかも、遊技者が引き戻しモードBを希望していなかったとしても、ART初当り抽選確率が相対的に高い状況下でゲームが行われるため、遊技者に損失感を与えることもない。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、基本ART中、特化ゾーン中及び特化ゾーン準備中にRT2やRT3からRT1に遊技状態が移行してしまったときに、上乗せゲーム数決定抽選を行いつつARTゲーム等の進行を止めずに消化を継続したとしても、ART初当り抽選確率が相対的に高い引き戻しモードBにARTゲーム終了後抽選状態が制御されるため、興趣の低下を抑制することができる。
なお、ARTゲーム終了後抽選状態の維持抽選に落選して非ART中抽選状態に移行することが決定した場合、移行先は次のように決定される。図66は、ARTゲーム終了後抽選状態の維持抽選に落選して非ART中抽選状態に移行することが決定した場合の移行先を決定するための抽選テーブルである。図66によると、引き戻しモードAにおいて維持抽選に落選した場合は、非ART中低確率状態への移行確率と非ART中高確率状態への移行確率が同じとなっている。一方、引き戻しモードBにおいて維持抽選に落選した場合は、非ART中低確率状態への移行確率よりも非ART中高確率状態への移行確率の方が高くなっている。このように、引き戻しモードBは、引き戻しモードAよりもARTゲーム終了後抽選状態(引き戻しモードB)に維持され難い点で相対的にハイリスクではあるものの、非ART中抽選状態に移行すべき旨が決定されたとしても、非ART中低確率状態と非ART中高確率状態とのうち非ART中高確率状態に移行される確率が高くなっており、そのリスク度合いが軽減されている。そのため、遊技者にとっては、引き戻しモードAよりも引き戻しモードBの方が有利度合いが高くなっており、遊技者に引き戻しモードBを促すことができ、単にゲームを消化するだけの単調となりがちなARTゲームにおける興趣の低下を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態のスロットマシン1におけるメイン基板409のCPU1110は、ボーナス中でもなくARTゲーム中でもない通常の遊技状態におけるゲームの実行回数をカウントする機能を備えている(ゲーム数カウント手段)。このゲーム数カウント手段によりカウントされたゲーム数が予め定められた規定ゲーム数(例えば1600ゲーム)に達すると、ART初当り抽選に当選していなくとも、ARTゲームが開始される。ただし、ゲーム数カウント手段は、ARTゲームが終了したのちの遊技状態がRT2やRT3であるときにはゲームの実行回数のカウントを不実行とし、ARTゲームが終了したのちの遊技状態がRT1であるときに限りゲームの実行回数をカウントするようにしている。ここで、「ゲームの実行回数のカウントを不実行」とは、規定ゲーム数に向けてのゲームの実行回数のカウントを不実行とすることであり、規定ゲーム数は設定されるもののゲームの実行がカウントされない態様、及び、実行されたゲーム数はカウントするもののRT2やRT3に制御されている間は規定ゲーム数を設定せずにRT1に移行されてから規定ゲーム数を設定する態様の両方を含む。なお、規定ゲーム数は、予め定められていてもよいし、複数のうちいずれかに抽選で決定するようにしてもよい。
[10−3−8.当選時の演出処理]
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果にもとづいて演出作動抽選を行い、この演出作動抽選の結果に基づいて遊技者に期待感を与えうる演出が実行されるように構成されている。具体的には、内部抽選の結果情報がメイン基板409から周辺基板(例えばサブ基板510)にコマンド送信され、このコマンドを受信したサブ基板510は、内部抽選の結果情報にもとづいて演出作動抽選を行い、この演出作動抽選により決定された演出態様が画像表示体500等に表示されるよう制御するとともに、あわせて音声演出も行われる。
図67はRT1において内部抽選に当選したときの演出作動抽選テーブル、図68はRT2において内部抽選に当選したときの演出作動抽選テーブル、図69はRT3において内部抽選に当選したときの演出作動抽選テーブルである。図67〜図69を参照すると分かるように、内部抽選において、BB1、「BB1+スイカ」、「BB1+チェリー」、BB2、「BB2+スイカ」、「BB2+チェリー」、スイカ、チェリー、「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」、共通ベル、維持リプレイ、「上げリプ1+維持リプ」、「上げリプ2+維持リプ」、「下げリプ+維持リプ」、「7揃いリプ+維持リプ」及び「7揃いフェイクリプ+維持リプ」といった複数の役のうちいずれかに当選した場合に、演出が実行されうるように構成されている。これらの複数の役のうち、維持リプレイ及び「上げリプ1+維持リプ」を除く他の役については、遊技状態がRT1〜RT3のうちいずれであったとしても、内部抽選にて当選したときの演出作動確率は同じとなっている。一方、維持リプレイ及び「上げリプ1+維持リプ」については、遊技状態がRT1〜RT3のうちいずれであるかに応じて、内部抽選にて当選したときの演出作動確率が異なっている。
なお、図67〜図69の当選役の欄には、RT1〜RT3の各状態において当選しうる役(図49参照)についてのみ記載している。演出作動抽選に用いられるテーブルは、必ずしも、図67〜図69に示されるようにRT1〜RT3それぞれに対応する演出テーブルが用意されているものに限られない。例えば、演出作動確率が同じデータについては共通のテーブルとして用意し、演出作動確率が異なるデータについてのみ、RT1〜RT3それぞれに対応するテーブルが用意されるようにしてもよい。図70は、演出作動抽選テーブルの別例である。図70を用いて説明すると、例えば図49の当選役の欄に示される当選役のうち、「維持リプレイ」、「上げリプ1+維持リプ」、「上げリプ2+維持リプ」、「下げリプ+維持リプ」、「7揃いリプ+維持リプ」及び「7揃いフェイクリプ+維持リプ」を除く当選役については、図70(a)に示されるように共通の演出作動抽選テーブルとして用意し、図49の当選役の欄に示される当選役のうち、「維持リプレイ」、「上げリプ1+維持リプ」、「上げリプ2+維持リプ」、「下げリプ+維持リプ」、「7揃いリプ+維持リプ」及び「7揃いフェイクリプ+維持リプ」については、図70(b)〜図70(d)に示されるようにRT1〜RT3それぞれに応じた演出作動確率が設定されたテーブルを用意するようにしてもよい。例えば、図67〜図69に示されるようにRT1〜RT3それぞれに対応する演出テーブルが用意されている場合には、「RT状態の数×当選役(条件装置)の数』分の抽選テーブルが必要となるため、データ容量が膨大になり、多大な検証期間等が必要となり開発期間の延長に繋がるという課題が発生する。これに対し、ボーナスが成立していない状態であって且つリプレイ合成確率が異なる複数の遊技状態(RT1〜RT3)がある中で、これらの複数の遊技状態間を移行する可能性のある当選役(上げリプ1、上げリプ2、下げリプ)に当選したときの演出作動確率は変更するものの、複数の遊技状態間を移行する当選役ではない当選役(チェリーやスイカなどのレア小役)が当選した時の演出作動確率は変わらないようにすることで、データ容量を削減できるという作用効果を奏する。すなわち、遊技状態によって当選確率が変わる当選役(リプレイ役)については、当選確率によって演出作動確率を変えないと、演出が作動してもリプレイが頻出して期待できないという演出異常状態が生じるが、遊技状態によって当選確率が変わらない当選役(リプレイ役)についてはいくつも抽選テーブルを用意する必要がないため、データ容量の削減を図ることができる。とくに、メイン409で制御しなければならない場合には、容量に制限があるため、とくに顕著な作用効果となる。
具体的には、遊技状態がRT1であるとき、内部抽選にて維持リプレイまたは「上げリプ1+維持リプ」に当選したときは、概ね2分の1の確率で演出が行われる。ARTゲーム開始前の通常の遊技状態(ART初当り抽選に当選して上げリプ1に対応する図柄組合せが有効ラインに表示される前の遊技状態)もRT1であるから、このような遊技状態において、概ね2分の1の確率で演出が行われることとなる。一方、遊技状態がRT2やRT3においては、RT1と比べて極めて低い確率でしか演出が行われないように構成されている。以下、RT1をリプレイ合成確率が相対的に低い低リプ状態と称するとともに、RT2やRT3をリプレイ合成確率が相対的に高い高リプ状態と称する。
上記の低リプ状態と高リプ状態とを比較した場合、高リプ状態の方がリプレイ合成確率が高いものの、高リプ状態は、低リプ状態よりも演出が行われ難い状態となる。演出が行われるとき、遊技者は、ボーナス(BB1、BB2)やART初当りが期待できるレア小役(スイカ、チェリー)に当選したのではないかと期待する。しかし、高リプ状態において演出が頻繁に行われると、演出が行われるときにこのような期待を遊技者が抱くことがなくなってしまうおそれがあるだけでなく、演出自体が煩わしいものとなってしまうおそれがある。そこで、本例では、高リプ状態においては、低リプ状態よりも演出が行われ難くすることで、演出が行われたときに遊技者に好適に期待感を与えることが可能となる。なお、このようなゲーム性は、ARTゲーム終了後の遊技状態を、高リプ状態に制御されるようにするか低リプ状態に制御されるようにするかを、遊技者に選択権が与えられたゲーム性であるともいえる。したがって、ARTゲーム終了後の遊技状態を、特定役(本例ではリプレイ)には当選し難いけれども演出作動確率が高いRT1と、特定役(本例ではリプレイ)には当選しやすいけれども演出作動確率が低いRT2やRT3とのうち、いずれの状態でゲームが行われるようにするかを、遊技者自らが選択することが可能となる。このように考えた場合でも、単にゲームを消化するだけの単調となりがちなARTゲームにおける興趣の低下を抑制することが可能となる。また、ARTゲーム終了後の遊技状態を、高い頻度で演出が行われうるRT1を選択したいとする遊技者にとっては、ARTゲームの最終ゲームに近づくギリギリまでRT1に移行されないように粘るのが好ましいけれども、早い時点でRT1に移行させることも可能であるため、どの時点でRT1に移行させようかという楽しみができる。このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、ARTゲーム中にRT2やRT3からRT1に遊技状態が移行してしまったときに、上乗せゲーム数決定抽選を行いつつARTゲーム等の進行を止めずに消化を継続したとしても、ARTゲーム終了後の遊技状態において高い頻度で期待感の高い演出が行われるようになるため、興趣の低下を抑制することができる。
以上、図54に示した各ステップの処理が行われることによって、メイン基板409による指示機能の発生にかかわる処理(図53のステップS61)が行われ、当該処理の結果に基づいて、図53に示した指示機能の発生にかかわる処理のステップS62以降の処理が行われる。
[10−3−6.指示機能表示処理]
本実施形態のスロットマシン1において、メイン基板409は、指示機能発生処理の結果、指示機能を発生させると決定した場合(具体的には例えば、ARTゲーム中の押し順小役当選時など)に、当該ゲームの当選役に基づいた指示内容を指示機能表示として特別表示LED612に表示させる(指示機能表示処理)。指示機能表示処理において、メイン基板409は、予め用意された複数の表示態様(例えば、ROM1112等に表示用データを保持)のうちから、特別表示LED612に表示させる指示機能表示の表示態様を選択する。以下では、特別表示LED612を用いて表示される指示機能表示について、詳しく説明する。
まず、本実施形態のスロットマシン1における指示機能表示の一例を説明する。スロットマシン1は、図47に示したように、横並びに配置された2個の7セグメントLED(特別表示LED612a,612b)を備えるとし、この特別表示LED612a,612bを用いて2桁の文字や数字を表示することによって指示機能表示を行う。
図71,図72は、指示機能表示を説明するための図である。図71は特別表示LED612aの表示態様を示し、図72は特別表示LED612bの表示態様を示している。図71,図72ともに、「セグ表示」欄には、7セグメントLEDに表示される英数字が示され、「内容」欄には、表示された英数字が意味する内容が示されている。さらに、図72では、「ナビ表示」欄に、対応する指示機能表示が行われるときに画像表示体500等における演出表示(ナビ表示)の表示概要が示され、「使用用途」欄に、当該表示が使用される場面や状況が示されている。サブ基板510によって制御されるナビ表示については後述する。
本例の指示機能表示では、指示機能表示に関するルールの一例として、以下の規則を設けるとする。
(1)7セグメントLED(7セグ)を2個使って指示機能表示を行う(特別表示LED612a,612b)。特別表示LED612aは押し場所の目安を示す情報を表示し、特別表示LED612bは押し順を示す情報を表示する。
(2)指示機能表示が行われる期間について、少なくともリール停止ボタン211a〜211cに対する押下操作(リール停止操作)の受付が開始されるまでに、指示機能表示が開始され、回転中の最後のリール301に対応するリール停止操作が行われたリール停止ボタン211から遊技者の手が離れたタイミングで、特別表示LED612における表示は、指示機能表示から払出枚数表示に切り替えられる。すなわち、指示機能表示の期間と払出枚数表示の期間とは重複しない。なお、当該ゲームの結果、遊技用価値(メダル)の払出がなかった場合、すなわち払出枚数が「0」であった場合は、払出枚数表示を行わなくてもよい。補足要件として、指示機能表示が行われ、かつ、払出枚数表示が行われない場合、払出枚数表示が行われる場合と同じタイミングで指示機能表示を解除する(非表示)ものとするが、別例として、払出処理が完了するまで指示機能表示を継続する等してもよい。
(3)特別表示LED612で指示機能表示が行われているゲームにおいて、回転中のリール301a〜301cのうちから何れかのリールが第1停止された際に、停止されたリールが指示機能表示(特別表示LED612b)で第1停止すべきリールとして示されたリールではなかった場合(すなわち、指示内容とは異なるリールが第1停止された場合)や、リール停止ボタン211の押下タイミングが指示機能表示(特別表示LED612a)で押し場所の目安として示された位置に対応しないタイミングであった場合(すなわち、指示内容とは異なる位置でリールの停止操作が行われた場合)であっても、全てのリール301に対する停止操作が終了するまで特別表示LED612における表示態様は変更しない。
なお、本実施形態のスロットマシン1において、指示機能を発生させると決定した場合に、指示機能表示として特別表示LED612a,612bにどのような指示内容を表示させるかは、メイン基板409が当該ゲームにおける当選役に基づいて決定する。まず、メイン基板409が決定可能な指示内容について、図71,図72を用いて簡単に説明する。
メイン基板409は、特別表示LED612aに表示される「押し場所の目安」の指示内容について、当該ゲームの当選役に基づいた「適正な押し場所」を否定しない範囲で、任意に指示内容を決定することができる。具体的には例えば、「BB1(赤7図柄揃い)」が当選役として選ばれたとき、メイン基板409は、特別表示LED612aに「2」
(赤7図柄)を表示させるような指示内容を決定してもよいが、それ以外にも、「赤7図柄」を狙った遊技方法を否定しないことから、「0」(指定なし)を表示させるような指示内容を決定してもよい。
また、メイン基板409は、「押し場所の目安」の指示内容と同様に、特別表示LED612bに表示される「押し順」の指示内容について、当該ゲームの当選役に基づいた「適正な押し順」を否定しない範囲で、任意に指示内容を決定することができる。例えば、順押しを「適正な押し順」とする「押し順ベル1」が当選役として選ばれたゲームで指示機能を発生させるとする。このとき、メイン基板409は、「押し順」の指示内容を「左・中・右」(6択押し順)に決定することができ、図72の表示例(詳細は後述する)によれば、特別表示LED612bに「1」が表示される。また、第2停止及び第3停止を明らかにせず、第1停止の「左」だけを明らかにする指示内容として、「左第一(2択)」を指示内容としてもよく、このとき、図72の表示例(詳細は後述する)によれば、特別表示LED612bに「A」が表示される。また、「適正な押し順」を否定しない範囲という条件から、押し順の指示内容には、「適正な押し順」による遊技手順が少なくとも含まれていればよい。すなわち、左リール301aが第1停止される可能性を有する指示内容として、「左第一or右第一」(図72のセグ表示「E」)や「左第一or中第一」(図72のセグ表示「F」)を指示内容としてもよいし、さらには、押し順を不明とする指示内容(図72のセグ表示「0」)としてもよい。
次に、図71,図72に示す表示例を具体的に説明する。まず、図71を参照すると、押し場所の目安として、「0(指定なし)」、「1(chance図柄)」、「2(赤7図柄)」、「3(BAR図柄)」の4通りの数字が表示設定されている。なお、押し場所の目安として「0」が表示される場合は、押し順の目安を指定しない、すなわち、当該ゲームにおいて特定の停止タイミングによる操作を指示しないことを意味するが、このような場合であっても、停止タイミングを意識せずにリール停止ボタン211の押下操作(不特定の停止操作)を行った場合に必ずしも何らかの当選役に基づいた図柄組合せが有効ライン上に揃うとは限らない。すなわち、「指定なし」が選択されたゲームにおいて当選役に基づいた図柄組合せを確実に停止させようとする場合は、前述した最大効率打法のように当選役の取りこぼしを防ぎ得る所定の停止タイミングで停止操作を行うことが求められる。具体的には例えば、ART中に「押し順ベル1」〜「押し順ベル6」に当選した場合などは、特別表示LED612aには「0」が表示されるが、押し順ベルは適正な押し順による停止操作でさえあれば停止タイミングには関係なく(取りこぼしなく)ベル役の図柄組合せを揃えることができる。一方、例えば、当選役が停止タイミングによっては取りこぼす可能性がある役(例えばスイカ役)であるときに特別表示LED612aに「0」と表示されるような場合は、停止タイミングを考慮せずにリール停止ボタン211の押下操作を行ってしまうとスイカ役を取りこぼす可能性があり、確実にスイカ役を入賞させるためには、スイカ役の図柄組合せを構成する図柄が引き込み可能な範囲にあるときの適切なタイミングでリール停止ボタン211の押下操作を行う必要がある。
ここで、押し場所の目安とされる図柄は、リール301が回転中に、遊技者が比較的視認しやすい図柄であることが好ましいが、適切なタイミングで目安とされた図柄を狙って停止操作させたとしても、必ずしも当該図柄を有効ライン上に停止させる必要はない。
また、図71に示した「1」〜「3」にそれぞれ対応する図柄については、その対応図柄を任意に変更してもよい。例えば、「1」で対象となる「chance図柄」は、「正」図柄や「義」図柄としてもよし、その他の図柄に適用させてもよい。また、「2」の対象図柄を赤7図柄ではなく「青7」図柄としてもよい。なお、図71に示すセグ表示は一例に過ぎず、特別表示LED612aで表示可能な範囲でセグ表示のパターンを増減させて設定することができる。例えば、図71に例示した以外の図柄(例えばスイカ図柄)についてセグ表示を追加してもよい。また、押し場所の目安として設定される図柄は、1つに限定するものではなく、例えば、押し場所の目安として「赤7図柄又は青7図柄の何れか」とするようなセグ表示を設定してもよい。また、図71,図72に共通するが、「内容」と「セグ表示」との対応関係は1対1である必要はなく、同一の「内容」を示す複数の「セグ表示」が用意されてもよい。
次に、図72を参照すると、16通りの表示パターンが表示設定されており、セグ表示の表示内容として「0」〜「9」,「A」〜「F」の英数字が割り当てられている。以下に、各表示パターンが意味する内容を細かく説明する。なお、7セグメントに表示するとき、大文字の「B」及び「D」は、それぞれ数字の「8」及び「0」と区別ができない可能性があるため、図72では「b」及び「d」の小文字で表示することにしている。
特別表示LED612bにおける表示「0」は、押し順を限定しない(押し順不問)ときに用いられる。但し、「使用用途」欄に記載されているように、押し順不問の当選役であるときのみ使用されるわけではなく、択一によって入賞し得る当選役であるときに、敢えて押し順を教示しない場合にも使用することができる。押し順不問の当選役には、押し順ベルやリプレイが含まれる他、チャンス目やスイカ、チェリー等の低当選役(レア役)も含まれる。したがって、レア役の当選時に指示機能表示が行われる場合、特別表示LED612bにおける表示は「0」となるが、このとき、ナビ表示において、「チャンス!」等の期待表示やレア役の種別表示を行わせるようにしてもよい。このような表示を行うことで、通常とは異なる期待度の高いゲームであることを遊技者に示唆又は教示することができる。また、択一によって入賞し得る当選役のときに敢えて押し順を教示しない、という後者の場合には、適正な押し順が教示されないことから、ナビ表示例は「?・?・?」となる。
特別表示LED612bにおける表示「1」〜「6」は、適正な押し順として、3つのリール301a〜301cそれぞれの停止順が定められる場合に用いられるもので、所謂6択の押し順を表示することができる。指示機能表示で6択の押し順が表示されるとき、ナビ表示では、少なくとも、第1に停止すべきリール及び第2に停止すべきリールが教示される。第3に停止すべきリールは、消去法的には明らかとなるが、敢えて明示してもよい。
また、特別表示LED612bにおける表示「7」〜「9」は、適正な押し順として、3つのリール301a〜301cのうち何れかのリールを第1に停止すればよいかが定められる場合に用いられるもので、所謂3択の押し順を表示することができる。指示機能表示で3択の押し順が表示されるとき、ナビ表示では第1に停止すべきリールが教示される。
特別表示LED612bにおいて上記「1」〜「9」のような押し順が表示される場合、特別表示LED612aにおける表示と特別表示LED612bにおける表示との両方に従った停止操作が行われると、最も多い払出枚数となる停止形で押し順ベルが入賞するなど、遊技者に有利な遊技結果が提供される。なお、最も多い払出枚数となる停止系を得るためには、取りこぼしが発生し得る当選役の場合に適切なタイミングでの停止操作が必要となることは前述した通りである。
また、前段落で述べた「遊技者に有利な遊技結果が提供される」ことには、「遊技者に不利な遊技結果が提供されることを抑制する」ことが含まれる。以下に、具体例を挙げて説明する。例えば、押し順によって異なる図柄組合せが停止するような押し順リプレイが用意され、当該押し順リプレイの当選時には、「特定の押し順」による停止操作が行われた場合に、青7図柄揃いが停止し得るとする。この青7図柄揃いは、例えばART中に当該押し順リプレイに当選し、ARTゲーム数が上乗せされることが内部的に決定された場合に、当該上乗せを教示する演出の1つとして用いられるとする。このような押し順リプレイの当選時、ARTゲーム数が上乗せされる場合に「特定の押し順」を指示機能表示することは、「遊技者に有利な遊技結果」の提供に繋がる。一方、当該押し順リプレイに当選しながらもARTゲーム数が上乗せされない場合に「特定の押し順」を指示機能表示してしまうと、当該指示に従った停止操作によって青7図柄揃いが停止したとしても、ARTゲーム数の上乗せという「遊技者に有利な遊技結果」が提供されないため、「遊技者に不利な遊技結果」が提供されてしまう。本実施形態のスロットマシン1では、このような「遊技者に不利な遊技結果」の提供を抑制するために、上記の押し順リプレイ当選時にARTゲーム数が上乗せされない場合には、「特定の押し順」を避けるような押し順を指示機能表示させることができる。このような指示機能表示に沿って遊技が行われることで、ARTゲーム数が上乗せされない青7図柄揃いが現出されることがなくなるため、「遊技者に不利な遊技結果が提供されることを抑制する」ことができ、結果として「遊技者に有利な遊技結果が提供される」ことになる。
一方、特別表示LED612bにおける表示「A」〜「F」は、「1」〜「9」が表示される場合とは異なり、遊技者に有利な遊技結果に繋がり得る押し順の「一部」を表示させる場合に用いられる。例えば、表示「A」の場合、左リール301aを第1に停止させるべきことだけを示すものであって、中リール301b又は右リール301cの何れを第2に停止させるべきかは示さないため、遊技者は、第2停止させるリールを選択(2択一)しなければならない。また例えば、表示「d」の場合、左リール301aを第1に停止させてはならないことだけが示され、中リール301b又は右リール301cの何れを第1に停止させるべきかは示されない。そして、第1停止で適正な押し順(例えば中リール301b)を選択したとしても、第2停止では再び、回転中の残り2つのリール301(この場合は左リール301a又は右リール301c)の何れを停止させるかを選ばせることで、結果的に4択一とすることができる。なお、第1停止での選択だけで適正な押し順を満たすとすれば、2択一にできる。
このように、特別表示LED612bにおいて上記「A」〜「F」のような押し順が表示される場合は、表示内容に従った停止操作を行ったとしても、必ずしも適正な押し順になるとは限らないが、最終的に適正な押し順を選ぶことができた場合には、最も多い払出枚数となる停止形で押し順ベルが入賞するなど、遊技者に有利な遊技結果が提供される。
以上、特別表示LED612a,612bそれぞれにおける表示例を説明したが、実際には、これらを組合せた2桁の値が特別表示LED612に表示されることで当該ゲームにおける指示内容が示される。
そして、本実施形態のスロットマシン1では、このような第1例の指示機能表示が行われることによって、指示内容を把握し易い表示態様で指示機能表示が行われることから、遊技者は、特別表示LED612a,612bを見ながら適正なリール停止操作を実行することができ、指示機能表示が行われない場合よりも有利な遊技結果に期待することができる。また、このような指示機能表示が行われる表示器に対して、遊技者の注目を集め易くすることで、従来の遊技機にはなかった遊技性を創出することができる。
また、図71,図72に示したような表示例は、押し場所の目安とする図柄及び押し順を必ずしも全て必要とせず、適宜、図柄や押し順がグルーピングされている。このような表示例を採用することによって、メイン基板409が指示機能表示を行うために必要とするデータの容量を軽減することが期待できる。
[10−3−7.指示発生演出処理]
本実施形態のスロットマシン1において、メイン基板409は、指示機能発生処理の結果に基づいて特別表示LED612で指示機能表示を行う一方で、指示機能表示における表示内容(指示内容)と同様の情報を指示情報コマンドで送信することによって、周辺基板(例えば、サブ基板510)に指示内容を通知する。そして、このような指示情報コマンドを受信したサブ基板510は、指示機能表示の表示内容に沿った指示発生演出(所謂、ナビ表示)を画像表示体500等で表示させる(指示発生演出処理)。
すなわち、本実施形態のスロットマシン1は、指示機能を発生させる際、特別表示LED612で指示機能表示を行う一方で、当該指示機能における指示内容と同内容のナビ表示を画像表示体500に表示させることによって、より遊技者が認識しやすい態様で当該指示内容を告知する。
また、図50のステップS31の説明等で前述したように、サブ基板510が制御するナビ表示の表示態様は、メイン基板409が制御する指示機能表示の表示態様に対して1対1の関係である必要はなく、指示機能表示による指示内容に反しない表示内容であれば、サブ基板501が複数の表示態様のうちからナビ表示させる表示態様を決定するようにしてよい(1対nの対応関係)。
ナビ表示の表示例としては、例えば内部抽選にて「押し順ベル2」が選び出されたとき、左リール301aの対応位置に「1」、中リール301bの対応位置に「3」、右リール301cの対応位置に「2」と表示することで、左・右・中の挟み押しの停止順が教示される。このナビ表示では、さらに、押し順ベルが当選しているという指示情報コマンドの内容に基づいて、停止順を示す画像の表示色をベルを想起させる黄色にしたり、次に停止させるべきリール(例えば、全てのリール301が回転中のときは、第1に停止させるリールであり、2つのリールが回転中のときは、第2に停止させるリールに相当)を他の停止順を示す画像よりも強調表示したりしてもよい。
また、本実施形態のスロットマシン1におけるナビ表示では、画像表示体500に表示する指示内容を音声出力によって通知(又は補佐)するようにしてもよく、具体的には、第1に停止させるリールが左リール301aであるとき、リールの第1停止が行われる前のタイミングで「左だ!」といった音声を出力するような例が挙げられる。音声出力を行うときは、当選役の種別(ベル役、リプレイ役、レア役など)や抽選状態(非ART高確率状態や非ART低確率状態など)等に基づいて、異なる音声出力(例えば、キャラクタ、台詞、イントネーション等が異なる)を使い分けることができる。このように音声出力も含めたナビ表示を行うことによって、遊技者に対する指示内容の通知をより確実にするとともに、遊技状況に応じた変化のあるナビ表示を提供して遊技者の興趣を高めることに期待できる。
このように、本実施形態のスロットマシン1では、指示機能表示とナビ表示とを並行して表示可能にすることで、指示機能による指示内容をより確実に遊技者に伝えることができる。
図73は、各種の表示器等による表示期間の一例を示すタイミングチャートである。図73では、縦軸に各種の表示器等が記載され、横軸方向に示された1回のゲームの進行過程のどのタイミングで表示や送信が行われるか等の表示期間が示されている。
まず、図73の縦軸に記載された各項目について説明する。指示情報801は、指示情報コマンドに相当し、指示情報801がONのときは「送信」を意味し、メイン基板409からサブ基板510に指示情報コマンドが送信される。指示情報801がOFFのときは「待機」を意味し、メイン基板409からサブ基板510に対して指示情報コマンドは送信されない。
指示機能802は、メイン基板409によって制御される指示機能に相当し、指示機能802がONのときは「表示」を意味し、特別表示LED612で指示機能表示が行われる。指示機能802がOFFのときは「非表示」を意味し、特別表示LED612で指示機能表示は行われない。
払出枚数803は、遊技の結果として払い出される遊技用価値の数に相当し、払出枚数803がONのときは「表示」を意味し、特別表示LED612で払出枚数表示が行われる。払出枚数803がOFFのときは「非表示」を意味し、特別表示LED612で払出枚数表示は行われない。なお、払出枚数に関する情報は、メイン基板409のRAM1114に格納され、RAM1114内の格納場所やプログラム処理によっては、電源断等を経ても再表示可能にすることができる。
セグエラー804は、エラーが検出されたときに当該エラーの詳細(例えば種別や内容)がセグメントLEDに表示されることに相当し、セグエラー804がONのときは「表示」を意味し、特別表示LED612においてエラーの詳細が報知される(エラー表示)。セグエラー804がOFFのときは「非表示」を意味し、特別表示LED612においてエラー表示は行われない。
液晶ナビ805は、サブ基板510によって制御される指示機能のナビ表示に相当し、液晶ナビ805がONのときは「表示」を意味し、画像表示体500の液晶画面においてナビ表示が行われる。液晶ナビ805がOFFのときは「非表示」を意味し、画像表示体500の液晶画面においてナビ表示は行われない。なお、液晶ナビ805では、指示機能802における表示内容に反しない内容でナビ表示が行われる。なお、詳細な説明は省略するが、液晶ナビ805の表示などサブ基板510による表示に関するデータは、サブ基板510のRAM1122に格納され、電源断などが発生しても適宜データを読み戻すことができるとする。
液晶エラー806は、エラーが検出されたときに当該エラーの詳細(例えば種別や内容)が液晶ディスプレイに表示されることに相当し、液晶エラー806がONのときは「表示」を意味し、画像表示体500の液晶画面においてエラーの詳細が報知される。液晶エラー806がOFFのときは「非表示」を意味し、画像表示体500の液晶画面においてエラーの詳細は報知されない。なお、液晶エラー806では、セグエラー804における報知に反しない内容でエラーの報知が行われる。
エラー発生807は、エラーの発生状況を示すものであるが、本図ではメイン基板409が当該エラーを検出していることと読み替えてよい。エラー発生807がONのときは、ONになったタイミングでエラーが発生した(エラーを検出した)ことを意味し、エラー発生807がOFFのときは、エラーが発生していない(エラーを検出していない)ことを意味する。なお、エラー発生807がONになった後にOFFになった場合には、OFFになったタイミングでエラーが解消されたことを意味する。
なお、指示情報801からセグエラー804までの表示や送信は、メイン基板409によって管理され、液晶ナビ805及び液晶エラー806の表示は、サブ基板510によって管理される。
また、図73及びその他の図面において、「第一停止ボタン」は、回転中のリール301a〜301cに対応するリール停止ボタン211a〜211cのうち、最初に押下操作が行われたリール停止ボタン211のことを意味する。同様に、「第二停止ボタン」は、2番目にリール301の停止操作が行われたリール停止ボタン211のことを意味し、「第三停止ボタン」は、3番目(すなわち最後)にリール301の停止操作が行われたリール停止ボタン211のことを意味する。
次に、図73に示された各表示器等の表示期間(送信期間などを含む)について説明する。図73のタイミングチャートは、指示機能が実行されるAT中にエラーが発生することなくゲームが行われ、かつ、当該ゲームで払出が発生しなかった状況下で示されている。
図73において、指示情報801によれば、指示情報コマンドは、始動レバー210の押下操作が行われたときに送信される。また、指示機能802によれば、特別表示LED612における指示機能表示は、リール停止ボタン211の押下操作が受付可能になるタイミングから、全てのリール301に対する停止操作が終了する(第三停止ボタン押下)まで表示される。また、液晶ナビ805によれば、ナビ表示は、リール301の回転開始時から表示開始され、表示終了のタイミングは指示機能表示と同じになっている。なお、図73の例では、ナビ表示の開始が指示機能表示の開始よりも先になっているが、ナビ表示は指示情報コマンドの内容に基づいて表示され、かつ、指示情報コマンドの内容は指示機能表示における指示内容と同様であることから、指示機能表示と相違ない内容でナビ表示が行われることに変わりはない。但し、必ずしもこのような表示順序に限定するものではない。
また、図73のタイミングチャートでは、「停止ボタン押下受付開始」のタイミングと指示機能802がONになるタイミングとが同じように見えるが、厳密には、リール停止ボタン211の押下受付を開始した後に、特別表示LED612で指示機能の表示が開始されることはない。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、「停止ボタン押下受付開始」のタイミングよりも先に、指示機能802の「表示」が行われるものであり、メイン基板409のCPU1118によるプログラム上の処理においても、停止ボタン押下受付開始となるタイミングよりも先に、指示機能表示が実行される。このような「停止ボタン押下受付開始」と「指示機能表示」とのタイミングは、他の例で示すタイミングチャートでも同様である。
また、図73では、特別表示LED612における指示機能表示の開始タイミングをリール停止ボタン211の押下操作が受付可能になるタイミングとし、画像表示体500におけるナビ表示の開始タイミングをリール301の回転開始時としたが、これらは表示タイミングの一例である。すなわち、スロットマシン1では、始動レバー210の押下操作が行われたときからリール停止ボタン211の押下操作が受付可能になるまでの期間における任意のタイミングで、上記表示(指示機能表示及び表示ナビ)を開始させるようにしてよい。
次に、図73とは異なる状況での表示期間例を説明する。図91は、各種の表示器等による表示期間の別例を示すタイミングチャートである。図91のタイミングチャートは、指示機能が実行されるAT中にエラーが発生することなくゲームが行われた点は図73と同じであるが、当該ゲームで払出が発生した状況を示している点で異なる。図91では、図73の横軸に示された遊技経過の他に、リール全停止の後に、遊技用価値(メダル)の払出が開始される「払出開始」と、払出が完了した「払出完了」と、次ゲームの開始のための「メダル投入(BET可)」とが追加されている。
図91によれば、遊技用価値の払出が行われる際、特別表示LED612において払出枚数表示が行われるが、当該表示は、同じく特別表示LED612で「第三停止ボタン押下」まで表示される指示機能表示と重複しない表示期間となることが分かる。また、図91では、指示機能802が表示される期間を「第三停止ボタン押下」までとしているが、別例として、「払出開始」まで継続して表示させるようにしてもよい。このような場合でも、指示機能802の表示期間は、払出枚数803の表示期間とは重複しない。
ここまで
[10−4.リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図73では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)は、前述したように、「順押し」、「挟み押し」、「中順押し」、「中逆押し」、「逆挟み押し」、「逆押し」の6通りに分けられるが、図73に関する以下の説明では、便宜上、これらの押し順を、第1に押下操作が行われたリール停止ボタン211に着目して3通りの押し順に分類する。すなわち、第1停止リールが左リール301aである場合を「順押し」、中リール301bである場合を「中押し」、右リール301cである場合を「逆押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON
(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[10−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、リプレイ役や押し順不問の共通ベル等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる。これは、リプレイ役、ベル役等のそれぞれに対応する図柄組合せを構成する図柄について、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである(前述の図46参照)。リールの引き込み制御において、最大引き込み数が4個(4コマ)とされるとき、上述のように最大4個分の間隔で配置された図柄は、押しタイミング(押し位置)に拘わらず、常に有効ラインに引き込むことが可能となる。
具体的には例えば、所定のリプレイ役の当選時にリプレイ図柄が中段に揃うとするとき、リプレイ図柄について着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役であるような場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組合せが表示されたとしても、当該ボーナス役の成立状態が次ゲーム以降に維持され、次ゲーム以降の小役(又はリプレイ役)が成立しなかったゲームにおいて、当該ボーナス役に対応する図柄組合せが表示される。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[10−5.判定処理]
リール停止処理が終了すると、メイン基板409は、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組合せ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図75では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリール301が停止状態となった場合の停止目は停止出目と呼ばれる。
まず、ステップS301では、ボーナスゲーム中であるかを判定する。これは、所定のゲーム状態フラグ(例えばボーナスゲーム中フラグ)のON状態、OFF状態を判定することである。ボーナスゲーム中フラグがONとなっていると、ステップS301の判定が満たされるので、ステップS302の処理に移行する。また、ボーナスゲーム中フラグがOFFとなっていると、ステップS301の判定が満たされず、ステップS312の処理に移行する。
ステップS302では、有効ライン上に停止した図柄組合せがボーナス図柄(ボーナス役に対応する図柄組合せ)であるか否かを判定する。図柄組合せの判定を具体例で説明すると、ボーナスを図49等に示したBB1とすれば、BB1に対応する図柄組合せとは、有効ライン上に「赤7」の図柄並びであり、何れかの斜めライン上にこのような図柄並びが停止しているときに、2種BB図柄(ボーナス図柄)が停止したと判定できる。このようにして、ボーナス図柄の図柄組合せが有効ライン上に停止したと判定した場合は(ステップS302のYES)、ボーナスゲームの開始に関するボーナスゲーム開始処理を行い(ステップS303)、その後、処理を終了する。ボーナスゲーム開始処理については、図76を参照して後述する。一方、ステップS302において有効ライン上に停止した図柄組合せがボーナス図柄ではないと判定した場合は(ステップS302のNO)、ステップS304の処理に移行する。
ステップS304では、有効ライン上に停止した図柄組合せがリプレイ図柄(リプレイ役に対応する図柄組合せ)であるか否かを判定し、リプレイ図柄であると判定した場合は、リプレイゲーム処理を実行する(ステップS305)。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。ステップS305の処理後は、リプレイ当選フラグをOFFにして(ステップS306)、処理を終了する。
ステップS304において有効ライン上に停止した図柄組合せがリプレイ図柄ではないと判定した場合は(ステップS304のNO)、次なる判定処理として、当該図柄組合せが小役図柄(小役の入賞を示す図柄組合せ)であるか否かを判定する(ステップS308)。ステップS308で小役図柄であると判定した場合は、ステップS309の処理として、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。そして、ステップS309の処理が終了した後は、該当する小役当選フラグをOFFにして(ステップS310)、処理を終了する。
ステップS308において有効ライン上に停止した図柄組合せが小役図柄ではないと判定した場合(ステップS308のNO)、上記のステップS302,S304,S308のいずれの判定も満たされず、有効ライン上にはいずれの当選役図柄も揃っていない。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組合せ態様)」とも呼ばれる。このような場合には、ハズレ処理を実行する(ステップS311)。ハズレ処理では、この時点でON状態となっている当選フラグがボーナスを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFFにする。また、いずれの当選フラグもONとなっていない場合(このときはハズレフラグがONとなっている)には、ハズレフラグをOFFにする。ステップS311のハズレ処理の後は、判定処理を終了する。
上記のステップS302からステップS311までの処理は、遊技状態が一般状態又はボーナス内部状態に制御されている場合に実行する処理となる。次に、ステップS301の判定が満たされなかった場合に行われるステップS312以降の処理について説明する。ここでの処理は、遊技状態がボーナス状態に制御されたボーナスゲーム(BBゲーム)中に実行する処理である。
ステップS312では、有効ライン上にボーナスゲーム時払出図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「ボーナスゲーム時払出図柄」とは、ボーナスゲーム中に揃うことでメダルの払出が行われる図柄組合せの総称を意味し、具体的には、ボーナスゲーム時払出役(本例では、一般状態又は内部状態において払出が規定された小役と同じとしているが、特別なボーナス専用役を用意してもよい)に対応する図柄組合せである。ステップS312で肯定判定が得られた場合は、揃っているボーナスゲーム時払出図柄に応じた規定枚数のメダルの払出処理を実行する(ステップS313)。メダルの払出処理では、メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出すとともに、メダルの払出枚数を払出枚数表示LED612に表示する。このようなメダルの払出処理によって、遊技者には当該ボーナスゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS313に次いで、ステップS314では、当該ボーナスゲームを終了させるか否かを判定するボーナスゲーム終了判定処理を実行し(詳細は図77を参照して後述する)、その後、判定処理を終了する。
ステップS312においてボーナスゲーム時払出図柄が停止していないと判定した場合は(ステップS312のNO)、当該成立フラグをOFFにして(ステップS315)、処理を終了する。ステップS312でNOとなるパターンとしては、ボーナスゲーム時払出役に当選したが取り零した場合、及び、ボーナスゲーム時払出役に当選しなかった場合が考えられる。ステップS315の処理において、前者の場合は、ボーナスゲーム時払出役の成立フラグをOFFにし、後者の場合は、ハズレフラグをOFFにする。なお、ボーナスゲーム中に必ず当選するようなボーナス専用役が用意され、さらに、そのボーナス専用役の当選時には取り零しなく当該役の入賞を可能とするような場合には、ステップS315の処理を省略してもよい。
以上のステップS301〜S315の処理が、メイン基板409(特にCPU1110)によって行われる遊技状態の判定処理であるが、その後、ステップS320でARTゲーム判定処理を行う。
本実施形態のスロットマシン1は、前述したようにART機能を備えているため、1回の遊技ごとに、ARTゲームの継続、終了、及びゲーム数管理等に関する判定処理(ARTゲーム判定処理)を行う必要がある。ARTゲーム判定処理は、指示の発生に影響を及ぼす性能の処理に相当するため、メイン基板409が実行する。
なお、ARTゲーム判定処理が行われるタイミングは、図75に示す判定処理のうちの適当なタイミングであれば良いが、ここでは、一例として、ステップS306,S310,S311,S314,S315の各処理の後に、ステップS320のARTゲーム判定処理が行われるとする。ARTゲーム判定処理の詳細については、図78を参照しながら後述する。
[10−5−1.ボーナスゲーム開始処理]
前述の図75のステップS302の判定が満たされた場合、ボーナスゲーム開始処理を実行する。このボーナスゲーム開始処理について図76を用いて説明する。
まず、ステップS401では、ボーナスフラグ(例えば、BBフラグ)がONとなっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、ボーナスゲーム中フラグをONにするとともに、ボーナスフラグをOFFにする。次いでステップS406にて、ボーナスゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、ボーナスゲームの規定数(本例ではBBゲームの規定数は2枚)のベット数でボーナスゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、ボーナスフラグがOFFであるにも関わらず、ボーナス図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[10−5−2.ボーナスゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図75のステップS314のボーナスゲーム終了判定処理について図77を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図75のステップS313にてメダルの払い出しがあったことを受けて、ボーナスゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数がボーナスごとに規定された総払出枚数(例えば200枚)を超えたか否かを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、ボーナスゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
一方、ステップS452の判定が満たされなかった場合は、ボーナスゲーム中フラグをOFFにし(ステップS460)、処理を終了する。
[10−5−3.ARTゲーム判定処理]
図78は、ARTゲーム判定処理の処理手順を示すフローチャートである。[10−3−3]等で前述したように、ARTゲームは、ART抽選でARTに当選したことに基づいて実行されるゲームであり、ARTゲームが実行されているときに押し順小役(押し順ベル)の当選役に当選すると、「適正な押し順」等の指示情報が特別表示LED612に表示される(指示機能表示)とともに、当該指示機能表示に沿った教示演出(ナビ表示)が画像表示体500等に表示される。ARTゲーム判定処理は、このようなARTゲームの開始、継続、並びに終了等に関する判定処理であり、ARTの制御主体であるメイン基板409(特にCPU1110)によって実行される。以下では、図78を参照してARTゲーム判定処理の一例を説明する。
まず、ARTゲームの概要を説明する。ARTゲームは、ARTゲームの開始条件が成立した場合に開始され、ARTの終了条件が成立するまでの間、以降のゲーム期間で継続して実行される。[10−3−3]以下の指示機能処理で説明したように、ARTゲームの開始条件が満たされた場合には、所定の内部フラグ(ARTフラグ)がONにされてARTゲームが開始され、ARTゲームの終了時にはARTフラグはOFFにされる。なお、ARTフラグのようなARTゲームに関する内部フラグや後述するARTゲーム数等の情報は、ARTゲームを制御するメイン基板409内のメモリ(例えば、RAM1114)で保持されるが、サブ基板510内のメモリ(例えば,RAM1122)でも同様の情報が保持されるようにしてもよい。
ARTゲームが開始される条件(ARTフラグがONになる条件)については、[10−3−2]以下で詳述した通りであるが、簡単に言えば、ART初当り抽選でARTに当選することである。
図78のステップS501では、ARTゲーム判定処理の最初の処理として、現在のARTフラグを前ゲームのARTゲーム判定処理におけるARTフラグと比較して、ARTフラグがONになったか否かを判定する。すなわち、ステップS501では、前ゲームから現ゲームにかけて、ARTフラグがOFFからONになったか否かを判定する。前ゲームのARTゲーム判定処理におけるARTフラグの値は、別途記憶されているとする。ARTフラグがONになったと判定された場合は(ステップS501のYES)、ART開始時のARTゲーム数をセットし(ステップS502)、処理を終了する。ART開始時のARTゲーム数(所謂、初期ゲーム数)は、固定ゲーム数が予め設定されるようにしてもよいし、ART当選時にゲーム数が抽選されてもよいし、その他の方法によって決定されてもよいが、ここでは一例として、前述の指示機能処理で決定済みの初期ゲーム数がART開始時のARTゲーム数としてセットされるとする。
このようなステップS502の処理が行われることで、次ゲームからARTゲームが開始される。なお、ARTゲームの開始時には、ARTゲームの開始、及びARTゲーム数を遊技者に明示する演出が行われる(例えば、ART開始画面の表示)。
一方、ステップS501でARTフラグがONになったとは判定されなかった場合、すなわち、ARTフラグがOFFであるか、ARTフラグが前ゲームからONである場合は(ステップS501のNO)、ARTフラグがONであるか否かを判定し(ステップS505)、ARTフラグがONであれば(ステップS505のYES)、特化ゾーン中でないか否かを判定する(ステップS506)。ここで、ARTフラグがONであると判定され且つ特化ゾーン中でないと判定された場合は(ステップS505のYES且つステップS506のNO)、ARTゲーム中の1ゲームが行われたということであるから、ARTゲーム数の値を「1」減算する処理を行う(ステップS507)。ステップS506において特化ゾーン中であると判定された場合は(ステップS506のYES)、ARTゲーム数の減算は行われないので、ステップS507をスキップし、ステップS508に進む。ステップS505においてARTフラグがONではないと判定された場合は(ステップS505のNO)、ARTゲーム中ではないので、そのまま処理を終了する。
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲーム開始時に決定された開始時ゲーム数とは別に、ARTゲーム中に所定の条件を満たしたことに基づいて、ARTゲーム数を追加する上乗せ機能を有しているとする。ARTゲーム数の上乗せが行われる際は、所定の内部フラグ(上乗せフラグ)がONにされるとともに、追加されるARTゲーム数(上乗せゲーム数)が決定される。なお、上乗せが決定される条件は特に限定せず、役抽選における特定の当選役の当選であってもよいし、別の何らかの抽選結果に基づいて決定される等してもよい。また、上乗せゲーム数の決定方法についても、特段の方法に限定しない。そして、以下のステップS508〜S510の処理は、ARTゲーム数の上乗せ機能を有する場合に行われる処理である。
まず、ステップS508では、上乗せフラグがONであるか否かを判定する。上乗せフラグがONであった場合は(ステップS508のYES)、現在のARTゲーム数に上乗せゲーム数を加算する処理を行い(ステップS509)、上乗せフラグをOFFにする(ステップS510)。この結果、残りのARTゲーム数が上乗せ分だけ増加することになり、遊技者にとって有利なARTゲームの継続期間が延長される。
ステップS510の処理後(上乗せ機能を有しない場合は、ステップS506の処理後)、現在のARTゲーム数が「0」であるか否かを判定し(ステップS511)、「0」であった場合は、ARTゲームの終了条件を満たすことになるので、ARTフラグをOFFにして(ステップS512)、処理を終了する。なお、このとき、ARTゲームの終了を遊技者に明示するだけでなく、一連のARTゲームに関する情報(例えば、当該ARTゲームにおける払出メダルの総数やARTゲーム継続数等)も遊技者に明示するようにしてよい。
ステップS511の判定で、現在のARTゲーム数が「0」ではなかった場合は(ステップS511のNO)、ARTゲームの終了条件を満たしていないため、ARTフラグを変更せずに処理を終了する。その結果、以降のゲームでもARTゲームが継続される。
なお、図78で説明したARTゲーム判定処理は、ARTゲーム用の遊技状態に制御されるゲーム期間(ARTゲーム期間)が、1ゲームごと1カウント減算される方式である場合の処理例であるが、ARTゲーム期間が他の減算方式(例えば、ARTナビの出現回数によってARTゲーム期間が定められる方式)によって管理される場合は、当該減算方式に応じた適切なARTゲーム判定処理を行うことが望ましい。
また、本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲーム判定処理のために、ARTゲームの開始を示す内部フラグ(例えばART開始フラグ)をARTフラグとは別に用意してもよい。ART開始フラグは、ART初当り抽選に当選してARTゲームの開始条件が満たされたときにONにされる内部フラグとする。このような場合、ARTゲーム判定処理による一連の処理において、ステップS501でART開始フラグがONであるか否かを判定し、ART開始フラグがONであった場合は、ステップS502でARTの初期ゲーム数をセットした後に、ARTフラグをONにするとともにART開始フラグをOFFにするような処理を行えばよく、ステップS501でART開始フラグがOFFであった場合は、ステップS505以降の処理を行うようにすればよい。
[10−6.演出動作の制御]
以上は、主にメイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせてサブ基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、サブ基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがボーナス役であった場合やART初当り抽選で当選した場合等に、「ボーナス確定!」や「ART当選!」等、遊技に関する結果を遊技者に明確に知らせることのできるものである。この演出は、特にボーナスやARTなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できる可能性があるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がART初当り等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
なお、以上に述べた各種の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[10−7.異常状態発生時の処理]
本実施形態のスロットマシン1において異常状態が発生した際に行われる処理について詳しく説明する。
スロットマシン1では、遊技中に異常状態が発生すると、検出されたエラーの種別に応じてエラーの告知が行われる。特に、メイン基板409が検出可能なエラーの場合は、エラーランプ604が点灯(又は点滅)するとともに、特別表示LED612で当該エラーの種別を示すエラー表示を行うことができる。なお、特別表示LED612では、通常は指示機能表示及び払出枚数表示が行われる。また、エラー検出されない場合もあるが、急な電源断も異常状態に含まれる。
上記のような異常状態が発生した場合、通常のゲーム状態に復帰させるためには、エラー解除を行う必要がある(電源断の場合は、電源復帰後にエラー表示が残らなければよい)。エラー解除の方法は発生したエラーによって異なるが、電源断(OFF/ON)を必要とする場合も多い。
[10−7−1.RAMクリア]
ここで、メイン基板409に搭載されたRAM1114におけるデータ値のクリア(RAMクリア)を説明する。
本実施形態のスロットマシン1では、設定変更や電源のOFF/ON等の特定の操作時に、それぞれの操作に応じたアドレス範囲で、メイン基板409のRAM1114に保持されるデータの値を消去又は初期値に書き換えるクリア処理(RAMクリア)が行われる。したがって、エラー解除処理が行われる際も、電源のOFF/ONを伴う場合には、RAM1114の保持データの一部がクリアされる可能性がある。
しかし、指示機能表示中にエラー解除処理が行われたり、メダルの払出中に電源断が発生したりした際、RAMクリアによって指示機能表示や払出枚数表示のために用いられるデータがクリアされると、遊技の継続に支障を与えるケースが想定される。スロットマシン1では、このような課題に鑑みて、RAM1114におけるRAMクリアの対象範囲を予め定めている。
図79は、RAMのデータブロックを説明するための図である。図79には、RAM1114の内部的なイメージが示されており、上端をメモリアドレスの始端とし、下端をメモリアドレスの終端としている。例えば、未使用領域1114zは、データの読み書きが行われていないデータ領域(換言すれば、使用済領域以外のデータ領域)であって、メモリアドレスの終端側にまとまっている。図79に示すように、RAM1114では、格納するデータの種類に応じて複数の「エリア」が予め定められている。また、RAMクリアの対象範囲として、「クリア範囲0」〜「クリア範囲4」の5通りが定められている。なお、それぞれのクリア範囲には、未使用領域1114zが含まれるようにしてもよい。
まず、RAMクリアのクリア範囲について説明する。「クリア範囲0」は、基本的には実施されることがない、全消去に相当する対象範囲を意味する。すなわち、クリア範囲0でのRAMクリアは、通常のメンテナンスやエラー処理では行われることはない。別の視点で言えば、設定値データエリア1114aは、クリア範囲0でRAMクリアが行われるとき以外はデータ値がクリアされることはない。このことは、設定値データエリア1114aは基本的にクリアされないことを意味する。
「クリア範囲1」は、設定キースイッチ1112tを操作して行われる設定変更開始時にRAMクリアが行われる対象範囲を意味する。具体的には、図79に示す使用済領域内のデータエリアのうち、扉フラグエリア1114b以下の全てのデータエリアが対象となり、設定値データエリア1114aはクリアされない。
「クリア範囲2」は、リセットスイッチ112uを操作して行われるリセット時にRAMクリアが行われる対象範囲を意味する。具体的には、図79に示す使用済領域内のデータエリアのうち、ランプONデータエリア1114d以下のデータエリアが対象となり、設定値データエリア1114a〜扉監視タイマエリア1114cはクリアされない。
「クリア範囲3」は、ボーナス終了時にRAMクリアが行われる対象範囲を意味する。クリア範囲0〜クリア範囲2までのRAMクリアは、それぞれのRAMクリアが実行される契機としてホール店員等による作業が必要であるが、ボーナス終了時のRAMクリアは、ボーナス終了後の内部処理で自動的に実行される。ボーナス終了時のRAMクリアでは、具体的には、図79に示す使用済領域内のデータエリアのうち、リプレイ投入枚数エリア1114j以下のデータエリアが対象となり、設定値データエリア1114a〜指示機能表示エリア1114iはクリアされない。
なお、「クリア範囲3」は、単なる電源のOFF/ONを行った時にRAMクリアが行われる対象範囲でもある。すなわち、設定変更やリセット操作が行われることなく電源のOFF/ONが行われた場合には、「クリア範囲3」で対象範囲とされるデータエリアがクリアされる。そして、指示機能表示エリア1114iは「クリア範囲3」には含まれないため、電源のOFF/ONによって指示機能の指示内容が消去されない。
「クリア範囲4」は、毎ゲームの開始時にRAMクリアが行われる対象範囲を意味する。毎ゲーム開始時のRAMクリアは、例えば、メダルの賭け数が決定された状態で始動レバー210が操作されたときの内部処理で自動的に実行される。毎ゲーム開始時のRAMクリアでは、具体的には、図79に示す使用済領域内のデータエリアのうち、表示フラグエリア1114l以下のデータエリアが対象となり、設定値データエリア1114a〜割込チェック用タイマエリア1114kはクリアされない。
次に、図79に示された各データエリアを簡単に説明する。設定値データエリア1114aには、スロットマシン1で設定されている設定値が格納される。
扉フラグエリア1114bには、扉形前面部材200(又は前面開閉部材90)の開閉状態を示す情報が格納され、扉監視タイマエリア1114cには、扉形前面部材200(又は前面開閉部材90)が開いていることを認識するための時間情報が格納される。
ランプONデータエリア1114dには、ランプ(例えば、リプレイランプ606やスタートランプ608等、表示パネル501に配置された表示器)の点灯に関する情報が格納される。クレジット枚数エリア1114eには、クレジット枚数(メダル貯留枚数)を示す情報が格納される。クレジット表示エリア1114fには、メダル貯留枚数を貯留枚数表示LED613に表示させるための情報が格納される。ペイアウト枚数エリア1114gには、当該ゲームで何枚の遊技用価値が払い出されたかというペイアウト枚数(メダル払出枚数)を示す情報が格納される。ペイアウト表示エリア1114hには、メダル払出枚数を特別表示LED612に表示させるための情報が格納される。指示機能表示エリア1114iには、指示機能表示を特別表示LED612に表示させるための、指示機能による指示内容に相当する情報が格納される。
リプレイ投入枚数エリア1114jには、リプレイ動作時に投入する遊技用価値の数(リプレイ時のメダル投入数)が格納される。割込チェック用タイマエリア1114kには、割込処理を実行するために必要なタイマ情報が格納される。
表示フラグエリア1114lには、特別表示LED612に表示されたエラー表示状態を示す情報が格納される。メダル払出枚数エリア1114mには、当該ゲームの結果として払い出す遊技用価値の払出枚数が格納される。投入可能枚数エリア1114nには、遊技用価値の投入が可能か否かの状態を示す情報が格納される。メダル投入枚数エリア1114oには、ゲームの開始前に投入された遊技用価値の枚数が格納される。乱数格納エリア1114pには、条件装置で使用する乱数が格納される。
このように、メイン基板409のRAM1114では、様々な行動(設定変更時や電源OFF/ON時など)ごとにRAMクリアが行われる範囲を設定することによって、効率良いメモリ制御の実現に期待できる。
なお、RAM1114は、遊技機におけるメイン基板409の記憶領域として利用可能な範囲(容量)が規定されており、プログラム等のデータは当該規定された範囲内に格納しなければならない。しかし、近年では、試験信号に係る処理及び不正に関する処理については、当該処理のためのプログラムに関するデータを上記規定された範囲外の未使用領域(例えば、図79の未使用領域1114z)に格納することが許されている。但し、このような未使用領域の利用は、指示機能を有する遊技機に限られるとする。
また、スロットマシン1において、電源断等を経てRAMクリアが行われた後に、RAMクリア前に表示されていたデータを再表示するか否かは、メイン基板409のCPU1110(又はサブ基板510のCPU1118)が、データの種別ごとに決定することができる。すなわち、CPU1110(又はCPU1118)は、電断復帰時に、RAMクリアされなかったデータエリアに格納されたデータを参照して可能な限りデータを再表示するようにしてもよいし、特定のデータ(例えば、払出枚数表示に関するデータやナビ表示に関するデータ等)については、理論的には再表示することができても、プログラム制御によって再表示しないようにしてもよい。なお、このとき、RAM1114のスタックポイントに退避したデータを参照することも含まれる。
[10−7−2.エラー表示]
次に、特別表示LED612におけるエラー表示について説明する。図80は、特別表示LEDによるエラー表示を説明するための図である。スロットマシン1では、図80の「報知種別」欄に記載されたエラー(後述するが、エラーではないものも一部含む)が検出された際に、特別表示LED612で「SEG」欄に示したような所定のセグメント表示をすることによって、検出されたエラーの種別を識別可能に報知する。図80の「報知種別」欄に示された各エラーのうち、サブ基板510で検出される「通信異常(シリーズコードエラー時)」以外の各エラーは、その発生時に各エラーの検出信号がメイン基板409に通知される。なお、図80に示したエラーは、スロットマシン1で検出可能なエラーの一部であり、図示したエラーの他にも、メイン基板409又はサブ基板510で検出可能なエラーが存在する。
以下に、図80の「報知種別」欄に示した各エラーの概要を説明する。
「RAMエラー」は、メイン基板409のRAM1114が壊れているときに報知されるエラーである。一方、「通信異常(シリーズコードエラー時)」は、メイン基板409からサブ基板510に送信されるシリーズコードに異常があったときに検出されるが、サブ基板510によって検出されるため、特別表示LED612にはエラー表示されない。
「設定変更中」又は「設定確認中」は、エラーではないが、その作業中に「設定値」が特別表示LED612に表示(報知)されることから、図80に記載されている。スロットマシン1の設定値は、例えば、RAM1114の設定値データエリア1114aに格納されている。なお、「設定変更中」による報知タイミングは、所定の設定変更操作の開始時とし、「設定確認中」による報知タイミングは、所定の設定確認操作の開始時とする。
「不正払出エラー」は、異常な払出があったときに報知されるエラーである。具体的には、メダル放出装置110が有する駆動手段(不図示)の作動によってホッパ110bからメダルが払い出されるとき以外に払出カウントスイッチ(不図示。メダルの払出枚数をカウントするためのスイッチで、例えばメダル放出装置110に設けられる)がON状態になったときに検出される。なお、図80では、当該エラーを検出したタイミングが「メイン遊技非停止時」であるか「メイン遊技停止時」であるかによって、その報知優先度が異なって設定され、具体的には、「メイン遊技非停止時」に検出したほうが高い優先度とされている。但し、何れのタイミングに検出しても、特別表示LED612では同じ「HF」がセグメント表示される。
「投入メダル通過時間1エラー」、「投入メダル通過時間2エラー」、「メダル通過順序1エラー」、「メダル通過順序2エラー」、「メダル通過間隔時間エラー」、及び「投入メダル逆行エラー」は、メダルがメダル投入口203から投入されてホッパ1110bに到達するまでの過程に異常があったときに報知されるエラーである。ここでいう異常には、メダルの通過経路に関する異常の他、メダル以外の異物投入等による異常等も含まれる。
スロットマシン1では、メダル投入口203から投入されたメダルは、投入センサ207bで通過を検出された場合に(ソレノイド207aがOFF状態の場合)、その後、レバーセンサ、セレクタセンサ、シュートセンサの各センサで通過を検出されながらホッパ110bに到達する。レバーセンサ、セレクタセンサ、シュートセンサは、メダルセレクタ207に設けられるセンサであって、それぞれが設けられた所定位置においてメダルの通過を検出する(不図示)。また、ソレノイド207aがON状態の場合は、投入センサ207bへの経路がロックアウトされることにより、メダルは、メダル投入口203から投入されても、メダルセレクタ207及び返却樋213を経由してメダル用受皿201に戻される。投入センサ207bで通過を検出されたメダルがこのような正常な過程(規定メダル通過シーケンス)を経て移動しなかったときに、メイン基板409では、各センサにおける検出の有無や検出時間等に基づいて上記の各エラーを検出する。
各エラーの概要を説明する。「投入メダル通過時間1エラー」は、投入センサ207bの付近にメダル(メダル以外の異物等も含む)が滞留したときに報知されるエラーであり、具体的には、投入センサ207bによるメダル検出が所定時間(例えば100ms)継続したときに検出される。「投入メダル通過時間2エラー」は、レバーセンサの付近にメダル(メダル以外の異物等も含む)が滞留したときに報知されるエラーであり、具体的には、レバーセンサによるメダル検出が所定時間(例えば500ms)継続したときに検出される。なお、「投入メダル通過時間2エラー」の検出対象期間は常時とするが、当該エラーの報知タイミングはメダル受付開始時(払出処理完了後などの遊技終了時でもよい)とする。
「メダル通過順序1エラー」は、レバーセンサによるメダル検出が未検出(OFF)であるのに、セレクタセンサによるメダル検出が行われたときに報知されるエラーである。より具体的には、セレクタセンサによってメダル通過が検出された以前の所定期間(例えば300ms)に、レバーセンサによるメダル検出がされていなかった場合に、当該エラーが検出される。「メダル通過順序2エラー」は、セレクタセンサによるメダル検出の後、シュートセンサによるメダル検出が行われなかったときに報知されるエラーである。より具体的には、セレクタセンサによってメダル通過が検出された後の所定期間(例えば400ms)に、シュートセンサによるメダル検出がされなかった場合に、当該エラーが検出される。
「メダル通過間隔時間エラー」は、正常時には想定されない態様でメダルが通過したような場合に報知されるエラーである。具体的には、メダルセレクタ207に設けられた各センサにおいて、正常時に想定される最短のメダル通過間隔(すなわち、連続でメダルが投入された場合の通過間隔)よりも短い通過間隔で何らかの物体が通過したという状況が所定頻度(例えば、5回連続)に亘って検出された場合に、当該エラーが検出される。
「投入メダル逆行エラー」は、メダルが規定メダル通過シーケンス以外の経路で移動し、特に、逆行する動きを検出した場合に報知されるエラーである。具体的には、メダルセレクタ207に設けられた各センサ(投入センサ207b、レバーセンサ、セレクタセンサ、シュートセンサ等)によるメダル検出の検出順序に基づいて検出される。
また、「払出メダルジャムエラー」、「払出メダルエンプティエラー」、及び「補助収納庫満タンエラー」は、メダルの払出や貯留に関する異常があったときに報知されるエラーである。各エラーの概要を説明すると、まず、「払出メダルジャムエラー」は、ホッパ110bからのメダル払出中にメダルが詰まったときに報知されるエラーである。具体的には、払出カウントスイッチが所定期間(例えば200ms)以上、ON状態になった場合に、当該エラーが検出される。また、「払出メダルエンプティエラー」は、ホッパ110b内のメダルが空になったときに報知されるエラーである。具体的には、ホッパ110bからのメダルが正常に払い出されず払出の再試行(払出リトライ)が行われるとき、払出リトライ後の所定期間(例えば1500ms)以上に亘って払出カウントスイッチがON状態にならなかった場合に、当該エラーが検出される。また、「補助収納庫満タンエラー」は、メダル用補助収納箱111が満タンになったときに報知されるエラーである。具体的には、メダル用補助収納箱111のメダル満タンセンサ111aが所定基準を超えるメダルの収納を検出した場合に、当該エラーが検出される。
図80の「優先度」欄は、エラー間での報知の優先度合いを示す。本例では、上記優先度は、同時に複数のエラーが検出された場合の優先度合いを意味するとし、仮に1つのエラーが検出された後に当該エラーよりも優先度の高いエラーが検出されたとしても、表示内容は変更しないとする。但し、スロットマシン1におけるエラー表示の優先度は、これに限定されるものではなく、前記例において、後で検出された優先度の高いエラーの表示に切り替えるように定めてもよい。また、「SEG」欄には、特別表示LED612における表示例が示されている。なお、何れにしても、スロットマシン1では、複数のエラーが検出された場合には、それらのエラーが解除されない限りは、遊技を再開する(次ゲームを行う)ことはできない。
また、「報知方法」欄において、「映像」が「○」になっているときは、例えば画像表示体500でエラーを報知する画像が表示される。但し、「映像」による報知画像は、特別表示LED612におけるエラー表示と相違ない表示内容であることが求められる。「音」が「○」になっているときは、例えばスピーカ512から報知音が出力される。「ランプ」が「○」になっているときは、例えばエラーランプ604が点灯又は点滅する。なお、音出力やランプ出力等による報知では、検出されたエラーの優先度に応じて報知態様を変更してもよく、例えば、優先度の高いエラーを検出した場合は、優先度が低いエラーに比べて強調されるような報知態様にしてよい。
また、「リセット解除」欄には、リセットスイッチ112uを操作して行われるリセットによって当該エラーを解除可能か否かが示されている。リセット解除が可能なエラーは、リセットによってエラー解除する際、RAM1114に格納されているデータのうち、「クリア範囲2」のデータエリア(図79参照)がクリアされることになる。
また、「応答性」欄に「即」と記載されている場合は、スロットマシン1が動作中であるときに当該エラーをメイン基板409側で検出可能であることを意味する。例えば、不正払出エラーが検出されると、メイン基板409は、当該検出を通知するコマンドを即時発行する。すなわち、「即」と記載されていても、当該エラーの検出時に必ずしも即時でエラー表示をしなくてもよく、例えば、遊技の結果が得られた後(払出処理の終了後、又は、払出処理の開始前)にエラー表示をするようにしても良い。なお、不正払出エラーは、遊技用価値が不正に払い出されていることを意味する緊急性の高いエラーである。
[10−7−3.エラー発生時処理]
以下では、スロットマシン1において前章で説明したエラーが遊技中に発生した際の処理(エラー発生時処理)について説明する。エラー発生時処理の具体的な詳細は、スロットマシン1がエラーに関してどのような要件定義を備えているかによって異なる。ここでは、スロットマシン1は、以下に示すようなエラーに関する要件定義(第1の要件定義)を備えるとし、このような場合に行われるエラー発生時処理の詳細を説明する。
(1)複数のエラーに対して重要度に基づいたグループ分け(例えば、強エラーと弱エラー)を行わない。
(2)ゲーム中にエラーを検出しても、当該ゲームの進行を継続し、当該ゲーム終了後に当該エラーを表示する。
(3)ゲーム中にエラーを検出しても、指示機能表示を継続して表示する。
図81,図82は、本実施形態におけるエラー発生時処理を説明するためのフローチャート(その1,その2)である。図81及び図82は合わせて1つのフローチャートになっており、このフローチャートは、1ゲームの全体的な処理手順は図50で示した処理手順に基づいて、さらに、エラー発生時に行われる処理を詳しく示している。なお、図81,図82では、非電断時(すなわち、電源がOFFにならない状態)でゲームが進行するときの処理手順例を示している。一方、後述する図83は、本実施形態における電断復帰処理の処理手順例を示すフローチャートである。図83は、図81,図82の処理において電源OFF/ONが行われたときにもその処理手順が適用される。
[10−7−3−1.エラー発生時処理(非電断時)]
図81,図82を参照しながら、エラー発生時処理を含む1ゲームの処理手順(非電断時)を説明する。なお、全体的な処理の流れは図50に示した一連の処理と重複するため、説明済の処理については、詳細な説明を省略する。また、特段の記載がない場合は、図81,図82の各処理はメイン基板409(主にCPU1110)によって実行される。また、各処理が行われる状況を分かりやすくするため、図74に示した「遊技機の状態」との対応も示す。
まず、図81では、図50のBET処理で説明したように遊技用価値(具体的にはメダル)が規定数投入された後、遊技者による始動レバー210の押下操作が行われることによってゲームが開始される(ステップS801)。このような遊技の流れは、図74に示した「メダル投入」から「始動レバー押下」に対応している。
始動レバー210の押下操作が行われてゲームが開始されると、内部抽選処理が行われ
(ステップS802)、当選役に基づいて作動が許容される条件装置が取得される(ステップS803)。
次に、ステップS804では、特別表示LED612で指示機能表示が可能な区間であるか否かが判定される。ここで、指示機能表示が可能な区間とは、指示機能による指示機能表示を実行可能なゲーム(例えば、ARTゲーム中)を意味する。なお、これまでは、指示機能表示がARTゲーム中に行われることを主に説明してきたが、本実施形態のスロットマシン1では、ARTゲーム以外の特定のゲーム期間(例えば、ARTに比較的当選しやすいチャンスゾーン(CZ)等)であっても指示機能表示を行うようにしてもよい。このような場合、ARTゲーム以外のゲームでも、ステップS804で肯定判定が得られる。
ステップS804において指示機能表示が可能な区間であると判定された場合(具体的には、メイン基板409が指示機能による指示を行うと判定した場合)には(ステップS804のYES)、ステップS803で取得された条件装置に基づいて、指示機能による指示内容を決定する(ステップS805)。次いで、ステップS805で決定された指示内容をRAM1114の指示機能表示エリア1114iに格納する(ステップS806)。
その後、リール301の回転を開始させる(ステップS807)。ステップS807のタイミングは、図74に示した「リール回転開始」に対応する。そして、サブ基板510に指示情報コマンドを送信することによって、指示機能による指示内容を通知する(ステップS808)。この結果、サブ基板510は、受信した指示情報コマンドに基づいて、ナビ表示に関する所定の表示タイミングで、画像表示体500等にナビ表示を行わせることができる。なお、スロットマシン1において、ステップS808における指示情報コマンドの送信は、リール301の回転開始(ステップS807)よりも前のタイミングで行うようにしてもよい。
その後、ステップS806でRAM1114に格納した指示内容を、指示表示機能に関する所定の表示タイミングで特別表示LED612に表示させる(指示機能表示)(ステップS809)。指示機能表示の具体的な表示例は、図71や図72に示した通りである。また、「ナビ表示」や「指示機能表示」に関する所定の表示タイミングについては、図74を参照しながら前述した通りである。そして、ステップS809における指示機能表示の後、ステップS810では、リール停止ボタン211a〜211cの押下操作の受付が開始される。
一方、ステップS804において指示機能表示が可能な区間ではないと判定された場合
(具体的には、メイン基板409が指示機能による指示を行うと判定しなかった場合)には(ステップS804のNO)、ステップS805,S806,S808,S809に示したような指示機能に関する処理が行われることなく、リール301の回転が開始され(ステップS811)、リール停止ボタン211aの押下操作の受付が開始される(ステップS812)。
ステップS810及びステップS812は、図74に示した「リール停止ボタン押下受付可」に対応する。そして、ステップS810又はステップS812の処理が行われた後は、ステップS813の処理に進む。
ステップS813では、遊技者によって第一停止ボタンの押下(リール停止ボタン211a〜211cのうち1番目の停止操作)が行われる。このとき、停止操作が行われたリール停止ボタン211に対応するリール301に対して、図73で説明したようなリール停止処理が行われる。ステップS813のタイミングは、図74に示した「第一停止ボタン押下」に対応する。
次いで、メイン基板409は、ステップS813における第一停止ボタンの押下から、その後行われる第二停止ボタンの押下までの間において、エラーが検出されたか否かを判定する(ステップS814)。ステップS814でエラーが検出されなかった場合は(ステップS814のNO)、ステップS815の処理が行われる。ステップS814でエラーが検出された場合は(ステップS814のYES)、ステップS819の処理が行われる。図82では、ステップS814でエラーが検出された場合は、回転中の残りのリール301に対応するリール停止ボタンの停止操作を待つことなくステップS819の処理が行われるように示されているが、残りのリール301に対するリール停止操作を行ってからステップS819の処理が行われるようにしてもよい。これはステップS816の場合も同様である。このようなエラー検出以後の処理は、エラーの種別に応じて優先度(重要度)に差異を設け、当該優先度に基づいて処理を使い分けるようにしてもよい。例えば、「HF(不正払出エラー)」のように普通に遊技している状況では発生しにくいエラーは、優先度の高いエラーとするべきである。そして、このような優先度の高いエラーが検出された場合には、回転中の残りのリール301に対応するリール停止ボタン211の停止操作を待つことなくステップS819の処理が行われるようにするほうが好ましい。
ステップS815では、遊技者によって第二停止ボタンの押下(リール停止ボタン211a〜211cのうち2番目の停止操作)が行われる。このとき、停止操作が行われたリール停止ボタン211に対応するリール301に対して、図73で説明したようなリール停止処理が行われる。ステップS815のタイミングは、図74に示した「第二停止ボタン押下」に対応する。
次いで、メイン基板409は、ステップS815における第二停止ボタンの押下から、その後行われる第三停止ボタンの押下までの間において、エラーが検出されたか否かを判定する(ステップS816)。ステップS816でエラーが検出されなかった場合は(ステップS816のNO)、ステップS817の処理が行われる。ステップS816でエラーが検出された場合は(ステップS816のYES)、回転中の残りのリール301に対応するリール停止ボタンの停止操作を待つことなく、ステップS819の処理が行われる。
ステップS817では、遊技者によって第三停止ボタンの押下(リール停止ボタン211a〜211cのうち3番目の停止操作)が行われる。このとき、停止操作が行われたリール停止ボタン211に対応するリール301に対して、図73で説明したようなリール停止処理が行われる。ステップS817のタイミングは、図74に示した「第三停止ボタン押下」に対応する。
次いで、メイン基板409は、ステップS817における第三停止ボタンの押下後から所定時間が経過するまでの間(例えば、全リール301が停止するまでの間)に、エラーが検出されたか否かを判定する(ステップS818)。その後、ステップS818におけるエラー検出の有無に拘わらず、ステップS819の処理が行われる。
ステップS819では、特別表示LED612における指示機能表示を終了させる。但し、ステップS804において指示機能表示が可能な区間ではないと判定された場合(ステップS804のNO)には、ステップS809における指示機能表示が行われていないため、ステップS819では特段の処理を行う必要はない。
その後、ステップS820では、全リール301(リール301a〜301c)が停止し、有効ライン上に停止した図柄組合せに基づいた入賞の判定が可能になる。ステップS820のタイミングは、図74に示した「全リール停止」に対応する。
なお、図82に示したように、ステップS819及びステップS820の処理は、それまでの遊技中におけるエラー検出の有無に拘わらず行われるが、その後の処理は、エラーが検出されたと判定されたか否かによって異なる。具体的には、それまでの遊技中にエラーが検出されていない場合には、ステップS821からの処理が行われ、それまでの遊技中にエラーが検出された場合には、ステップS825からの処理が行われる。
まず、それまでの遊技中にエラーが検出されていない通常時の処理として、ステップS821では、遊技用価値の払出の有無が判定される。遊技用価値の払出では、有効ライン上に停止した図柄組合せに基づいて入賞役の停止が確認された場合に、当該入賞役に応じた遊技用価値が払い出される。ステップS821で払出がないと判定された場合は(ステップS821のNO)、エラーも検出されていないので、当該ゲームを終了する。ステップS821で払出があると判定された場合は(ステップS821のYES)、特別表示LED612における払出枚数表示を開始する(ステップS822)とともに、遊技用価値(メダル)の払出処理を行う(ステップS823)。その後、エラーは検出されていないので、当該ゲームを終了する。
一方、それまでの遊技中にエラーが検出されていたときの処理としては、まず、遊技用価値の払出の有無が判定される(ステップS824)。
ステップS824の処理は、エラーが検出されなかった場合の処理(ステップS821)と同じであり、払出があると判定された場合(ステップS824のYES)に行われるステップS822(払出枚数表示)及びS823(払出処理)の処理も同じである。
但し、それまでの遊技中にエラーが検出されていたときは、特別表示LED612にエラー表示を行わせるためにステップS826,ステップS827の処理が行われる。なお、ステップS823で払出処理が行われた場合は、払出処理の終了後、特別表示LED612に表示されていた払出枚数表示をクリア(ステップS825)してから、ステップS826以降の処理が行われる。ステップS824で払出がないと判定された場合は、そのままステップS826以降の処理が行われる。
ステップS826では、特別表示LED612に、それまでに検出されたエラーの種別を表示させる(エラー表示)。エラー表示の表示例は、図80に示した通りである。その後、ホール店員や営業所等によってエラー表示で報知されたエラーに応じたエラー解除処理が行われ(ステップS827)、ゲームが終了する。
以上、図81,図82に示した処理が行われることによって、本実施形態のスロットマシン1では、ゲーム中にエラーが検出された場合に、特別表示LED612において、指示機能表示や払出枚数表示を遮ることなく、エラー表示を行って検出されたエラーの種別を遊技者又はホール店員等に報知することができる。
きる。
なお、本実施形態に記載されたパチンコ遊技機1に代表される遊技機は、以下の技術思想としてあらわすことができる。
[技術思想1]
技術思想1の遊技機は、回転可能な複数のリールと、回転状態にあるリールを停止させることが可能な停止操作手段とを備え、該停止操作手段が操作されたことに基づいて前記リールの停止制御を実行可能な遊技機であって、通常の遊技状態よりも遊技者に有利な有利ゲームの実行にかかわる抽選を行う抽選手段と、前記抽選に当選しており且つ開始条件が成立したことにもとづいて、複数のゲームにわたって前記有利ゲームを実行可能な有利ゲーム実行手段と、前記複数のゲームにわたって実行される前記有利ゲームが終了したのちの遊技状態を制御する有利ゲーム終了後状態制御手段と、を備え、前記有利ゲーム実行手段は、前記有利ゲームの実行中においても前記抽選が行われる態様で前記有利ゲームを実行するとともに、前記有利ゲームの実行中に前記停止操作手段が特定の操作態様で操作されたことに起因して特定条件が成立したときには、遊技者にとっての有利度合いが相対的に低下したかたちでゲームを実行するように構成されてなり、前記遊技機は、当選したときに遊技者に特典が付与される特典付与抽選を行う特典付与抽選手段と、前記特典付与抽選の結果にかかわる拘抽選を行う特典拘抽選手段とをさらに備えるとともに、前記有利ゲーム終了後状態制御手段は、前記有利ゲームが終了したのちの遊技状態を、前記特典付与抽選における当選確率は相対的に高いものの前記拘抽選での当選確率が相対的に低い第1遊技状態と、前記特典付与抽選における当選確率は相対的に低いものの前記拘抽選での当選確率が相対的に高い第2遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちいずれかに制御可能であり、前記有利ゲームの実行中に前記特定条件が成立することなく前記有利ゲームが終了したときに、該有利ゲームが終了したのちの遊技状態を前記第1遊技状態に制御するように構成されてなり、前記抽選手段は、前記有利ゲームが終了したのちの遊技状態が前記第1遊技状態に制御されたときには、前記有利ゲームの実行にかかわる抽選を、前記通常の遊技状態よりも高い確率で当選しうるように行う高確抽選手段を有することを特徴とするものである。
技術思想1に記載の遊技機は、有利ゲームの実行にかかわる抽選に当選して開始条件が成立したことにもとづいて有利ゲームが実行される。この有利ゲームは、複数ゲームにわたって実行可能であり、例えばARTゲームやATゲームなどが相当する。このような有利ゲームは、有利ゲームの実行にかかわる抽選に当選したらただちに実行されるわけではなく、例えば、特定の図柄組合せが有効ラインに表示されたり、前兆演出を行うために必要なゲーム数が実行されたり、特定の役(例えばリプレイ役)の当選確率がより高い遊技状態への変更を行ったりといった開始条件が成立したことにもとづいて有利ゲームの実行が開始されるようになっている。なお、有利ゲーム中にも有利ゲームの実行にかかわる抽選が行われる。
なお、上記の有利ゲームの実行にかかわる抽選とは別に行われる内部抽選にてボーナス役に当選し且つ所定の開始条件が成立したことにもとづいてボーナスゲームを実行するようにしてもよいが、このようなボーナスゲームの実行は必須の要件ではない。ただし、内部抽選は、例えば小役やリプレイ役など複数の当選役のなかからいずれかを選び出す抽選として毎ゲーム実行される。また、有利ゲームの実行にかかわる抽選は、内部抽選の結果に応じて当選確率が異なるなど、内部抽選の結果にもとづいて行われる。
上記の内部抽選の結果には、適正な手順での停止操作が要求される当選役が含まれている。このような当選役は、通常の遊技状態(有利ゲームやボーナスゲームや高リプ状態といった遊技者に有利な状態でない状態)において当選したとしても、適正な停止操作の手順が遊技者に示されなかったり、示されたとしても相対的に低い頻度でしか示されない。しかし、有利ゲームの実行中にこのような当選役に当選した場合には、適正な停止操作の手順が相対的に高い頻度で示されるようになっている。なお、適正な手順での停止操作が要求される当選役に当選した場合、適正な手順で停止操作された場合と、適正な手順で停止操作されなかった場合とでは、有効ライン上に表示される図柄組合せが異なる。
また、適正な手順での停止操作が要求される当選役には、停止操作手順に応じて遊技状態が変更される特定の当選役が含まれている。内部抽選にて特定の当選役が選び出された場合、適正な手順での停止操作が行われたか否かに応じて、現在の有利な状態が維持されたり(例えばRT2が維持されたり)、現在の有利な状態より遊技者に有利な遊技状態に移行されたり(例えばRT2からRT3に移行されたり)、現在の有利な状態より遊技者に不利な遊技状態に移行されたり(例えばRT2からRT1に移行されたり)する。上記の「特定の当選役」は、実施形態の「上げリプ1+維持リプ」、「上げリプ2+維持リプ」、「下げリプ+維持リプ」に相当する。
なお、上述したとおり有利ゲームの実行中は、適正な停止操作の手順が相対的に高い頻度で示され、とくに特定の当選役に当選した場合には、現在の有利な状態より遊技者に不利な遊技状態に移行されないように、適正な停止操作の手順が必ず示されるようになっている。したがって、示された手順で停止操作を行う限り、有利ゲームの実行中に、遊技者に不利な遊技状態に移行されることはない。ただし、特定の当選役に当選し、適正な停止操作の手順が示されたにもかかわらずこれに背いて不適正な手順での停止操作を行った場合には、不利な遊技状態への移行契機となる図柄組合せが有効ラインに表示される。その後、有利ゲームは継続されるものの、遊技状態が遊技者に不利な遊技状態に移行されることとなる。具体的には、適正な手順での停止操作が要求される当選役に当選した場合に適正な停止操作の手順が示されるものの、遊技者に不利な遊技状態でのゲームが実行されることとなる。ただし、有利な遊技状態への移行役に当選し、適正な手順で停止操作が行われると、有利な遊技状態への移行契機となる図柄組合せが有効ラインに表示され、再び有利な遊技状態に移行される。上記の「不適正な手順での停止操作」が技術思想に記載された「特定の操作態様」に相当し、上記の「不利な遊技状態への移行契機となる図柄組合せが有効ラインに表示される」ことが技術思想に記載された「特定条件」に相当する。また、上記の「不利な遊技状態」は実施形態の「RT1」に相当し、上記の「有利な遊技状態」は実施形態の「RT2」に相当し、上記の「有利な遊技状態への移行役」は実施形態の「上げリプ1+維持リプ」に相当する。
また、本技術思想の遊技機は、上当選したときに遊技者に特典が付与される特典付与抽選と、この特典付与抽選の結果にかかわる拘抽選とが行われる。そして、有利ゲームが終了したのちの遊技状態は、特典付与抽選における当選確率は相対的に高いものの拘抽選での当選確率が相対的に低い第1遊技状態と、特典付与抽選における当選確率は相対的に低いものの拘抽選での当選確率が相対的に高い第2遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちいずれかに制御される。上記の「特典」は実施形態の「ARTゲーム」に相当し、上記の「拘抽選」は実施形態の「維持抽選」に相当し、上記の「第1遊技状態」は実施形態の「引き戻しモードB」に相当し、上記の「第2遊技状態」は実施形態の「引き戻しモードA」に相当する。なお、有利ゲームが終了したのちの遊技状態としての複数の遊技状態は、実施形態では第1遊技状態及び第2遊技状態だけであるが、第1遊技状態及び第2遊技状態の他に第3遊技状態があってもよい。
本技術思想の遊技機では、有利ゲームの実行中において、特定条件が成立することなく有利ゲームが終了したときには、有利ゲームが終了したのちの遊技状態を、第1遊技状態に制御するようにしている。この第2遊技状態は、上述したとおり、特典付与抽選における当選確率は相対的に低いものの拘抽選での当選確率が相対的に高い抽選状態であり、すなわち、有利ゲームには相対的に当選し難いものの、有利ゲームが終了したのちの遊技状態(通常よりも有利な状態)を維持抽選に相対的に当選されやすい状態である。
そして、このように有利ゲームが終了したのちの遊技状態が第1遊技状態に制御されたときには、有利ゲームの実行にかかわる抽選が、通常の遊技状態よりも高い確率で当選しうるように行われるようにしている。
このような本技術思想の遊技機によれば、興趣の低下を抑制することが可能となる。また、単にゲームを消化するだけの単調となりがちな有利ゲームにおける興趣の低下も抑制することが可能となる。
なお、本技術思想に記載された「特典」は実施形態の「ARTゲーム」に相当し、「拘抽選」は実施形態の「維持抽選」に相当し、「第1遊技状態」は実施形態の「引き戻しモードB」に相当し、「第2遊技状態」は実施形態の「引き戻しモードA」に相当すると上述したが、これに代えて、本技術思想に記載された「特典」は実施形態の「再ゲーム」に相当し、「拘抽選」は実施形態の「演出作動抽選」に相当し、「第1遊技状態」は実施形態の「RT2」に相当し、「第2遊技状態」は実施形態の「RT1」に相当すると解釈した場合であっても、上記と同様の効果を奏することができる。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。