「第1の実施形態」
1.遊技機の構造
本発明の第1の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、本形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2(図4参照)とを備えている。遊技機枠50は、図2に示すように、外枠51と内枠52と前枠(ガラス扉枠)53とを備えている。外枠(基枠部)51は、パチンコ遊技機1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠(保持枠部)52は、外枠51の内側に配置されていて、遊技盤2を取付ける縦長方形状の枠体である。前枠(前枠部)53は、外枠51及び内枠52の前面側に配置されていて、遊技盤2を保持する縦長方形状のものである。
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えて構成されている。このヒンジ部54により、前枠53は、外枠51及び内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は、外枠51及び前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。これにより、前枠53と内枠52とは、これらが合わさって閉じられた閉状態と、ヒンジ部54を中心とした回転移動によって閉状態よりも互いに離れた開状態とをとることができる。前枠53と内枠52との閉状態では、これらが合わさることで、前枠53の内枠52側の部分と、内枠52の前枠53側の部分とがともに、パチンコ遊技機1の外部の空間から隔てられた状態となる。一方、前枠53と内枠52との開状態では、前枠53が内枠52に対して閉状態よりも開いていることで、前枠53の内枠52側の部分と、内枠52の前枠53側の部分とがともに、パチンコ遊技機1の外部の空間に開放される。内枠52と外枠51とについても同様、開状態と閉状態とをとることができる。また、前枠53の中央部には開口部53aが形成されていて、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように透明のガラス板55が開口部53aに取付けられている。
また、パチンコ遊技機1には、前枠開放検出センサ56と、内枠開放検出センサ57とが設けられている。本形態の前枠開放検出センサ56は、前枠53と内枠52とが閉状態のときには検出状態が「ON」となり、閉状態から前枠53が内枠52に対して回転移動された開状態において、検出状態が「OFF」となるセンサである。つまり、前枠開放検出センサ56が「ON」であるときには、前枠53と内枠52とが閉状態であると判断することができる。一方、前枠開放検出センサ56が「OFF」であるときには、前枠53と内枠52とが開状態であると判断することができる。また、本形態の内枠開放検出センサ57は、内枠52と外枠51とが閉状態のときには検出状態が「ON」となり、閉状態から内枠52が外枠51に対して回転移動された開状態において、検出状態が「OFF」となるセンサである。つまり、内枠開放検出センサ57が「ON」であるときには、内枠52と外枠51とが閉状態であると判断することができる。一方、内枠開放検出センサ57が「OFF」であるときには、内枠52と外枠51とが開状態であると判断することができる。なお、例えば、前枠開放検出センサ56および内枠開放検出センサ57は、閉状態のときに「OFF」となり、開状態のときに「ON」となるものであってもよい。
前枠53は、図1に示すように、上側に上側装飾ユニット200を備え、左側に左側装飾ユニット210を備え、右側に右側装飾ユニット220を備え、下側に操作機構ユニット230を備えて構成されている。左側装飾ユニット210及び右側装飾ユニット220の各上側には、音を出力するスピーカ67が設けられている。操作機構ユニット230には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また操作機構ユニット230には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63やセレクトボタン(十字キー)68が設けられている。なおセレクトボタン68は、上方向ボタンと下方向ボタンと左方向ボタンと右方向ボタンとによって構成されている。
上側装飾ユニット200は、図3(A)(B)に示すように、上側が開放した箱状の収容部290と、この収容部290に収容された左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rとを備えている。収容部290の左右方向の中央には前後方向に略沿った回転軸441が前方に向かって傾斜した状態で取付けられている。左側枠可動体600Lと右側枠可動体600Rとは、回転軸441に対して回転可能に取付けられている。
具体的には、左側枠可動体600Lは、図3(A)に示す収納位置から時計方向に90度回転することにより、図3(B)に示す突出位置に変位する。このような左側枠可動体600Lの変位に合わせて、右側枠可動体600Rは、図3(A)に示す収納位置から反時計方向に90度回転することにより、図3(B)に示す突出位置に変位する。左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rについて、本形態では、収納位置が原点位置であり、突出位置が原点位置から動作した後の動作位置である。そして、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rがそれぞれ収納位置にあるときに上側装飾ユニット200の上壁面の一部を形成していた面612L,612R(図3(A)参照)は、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rがそれぞれ突出位置にあるときには鉛直方向に略沿って互いに係合し、露出していない状態となる(図3(B)参照)。
また、図3(A)(B)には、左側枠可動体600Lを収納位置と突出位置との間で動作させる左側枠可動体駆動部500Lと、右側枠可動体600Rを収納位置と突出位置との間で動作させる右側枠可動体駆動部500Rとを示している。左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rはいずれも、動作により駆動力を発生させる電動モータである。より具体的には、本形態において、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rはいずれも、ステッピングモータである。このため、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rはいずれも、その動作時には、周囲に磁界を生じさせるものである。
左側枠可動体600Lの前面側には犬の顔の左半分の意匠が施されていて、右側枠可動体600Rの前面側には犬の顔の右半分の意匠が施されている。このため、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rがそれぞれ突出位置にあるときには、犬の顔の装飾形態が形成される。なお、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rには、犬の耳を模した耳部材614L,614Rがそれぞれ設けられている。耳部材614L,614Rは、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rがそれぞれ突出位置に変位した後に、各枠可動体600L,600Rの内部に格納された非突出状態から外部(上方)へ突出した突出状態になるものである。
ここで、本形態の左側枠可動体600Lと右側枠可動体600Rとは、図3(A)に示すように遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uよりも下方に位置する収納位置から、図3(B)に示すように遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に位置する突出位置に駆動(変位)可能となっている。そのため、左側枠可動体600Lと右側枠可動体600Rがそれぞれ突出位置にあることで、遊技者に強いインパクトを与えることが可能となっている。なお、左側枠可動体600L及び右側枠可動体600Rをまとめて「枠可動体600(演出可動体)」と呼ぶことにする。図3及び図5に示すように、遊技機枠50の外縁部分である枠縁50Wは、上側の上縁50Uと下側の下縁50Dと左側の左縁50Lと右側の右縁50Rとで構成されている。
また図3(A)(B)に示すように、収容部290の左部には、枠可動体復帰ボタン323が設けられている。枠可動体復帰ボタン323は、遊技者等の操作により、突出位置にある枠可動体600を収納位置(原点位置)に復帰(変位)させるためのボタンである。上述したように本パチンコ遊技機1では、枠可動体600が遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するため、遊技場(ホール)において当該パチンコ遊技機1の上方に設置された上方設置物(大当たり回数等を表示するデータカウンタ160等)と遊技者との間に、枠可動体600が位置することになる(図3(B)参照)。そのため、遊技者が上方設置物をほとんど視認できなくなるおそれがある。そこで枠可動体復帰ボタン323を設けることにより、遊技者等による任意の操作に基づいて突出位置にある枠可動体600を収納位置に復帰させ得るようにしている。
また図3(A)(B)に示すように、収容部290の前壁部291には、枠ランプ66が設けられている。具体的には、枠ランプ66は左側から右側に向かって順番に第1発光部66aと第2発光部66bと第3発光部66cと第4発光部66dとを備えている。第1発光部66aは正面視で「L」字形状であり、第2発光部66bは正面視で「O」字形状であり、第3発光部66cは正面視で「G」字形状であり、第4発光部66dは正面視で「O」字形状である。このようにアルファベット形状に形成された各発光部66a,66b,66c,66dによって、枠ランプ66は「LOGO」から成る一連の意味ある文字列を形成している。この「LOGO」とは、本パチンコ遊技機1の機種名の略称(「ロゴ」)であると共に、主人公キャラの名称を意味している。なお前枠53には、枠ランプ66の他に、後述する初期動作の実行中に点灯する初期動作用ランプ65(図10参照)が設けられている。
次に、図4を参照して遊技盤2について説明する。図4に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図10参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘(符号省略)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)及び停止表示に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8R等の変動表示及び停止表示を行う表示領域がある。表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄(数字図柄)からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図7参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目(大当たり停止態様)で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目(ハズレ停止態様)で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能である。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「演出図柄可変表示演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり遊技演出や、客待ち用の客待ち演出などを表示画面7aに表示する。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述する第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図7参照)にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10には、画像表示装置7の表示画面7aよりも前方で変位可能な盤可動体(演出可動体)15が設けられている。
盤可動体15は、図5(A)(B)に示すように、上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15Rとを備えて構成されている。上側盤可動体15Uは、遊技盤2の上部の後方(背後)に隠れるように取付けられている。そして上側盤可動体15Uは、図5(A)に示す退避位置から下方に向かって移動して、図5(B)に示す進出位置まで変位可能となっている。また左下盤可動体15Lは、遊技盤2の左下部の後方に隠れるように取付けられている。そして左下盤可動体15Lは、図5(A)に示す退避位置から右斜め上方に向かって移動して、図5(B)に示す進出位置まで変位可能となっている。また右下盤可動体15Rは、遊技盤2の右下部の後方に隠れるように取付けられている。そして右下盤可動体15Rは、図5(A)に示す退避位置から左斜め上方に向かって移動して、図5(B)に示す進出位置まで変位可能となっている。上側盤可動体15U、左下盤可動体15L、右下盤可動体15Rについて、本形態では、退避位置が原点位置であり、進出位置が原点位置から動作した後の動作位置である。
上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15Rとは、連動して(同じタイミングで)変位可能になっていて、図5(B)に示すように表示画面7aの大部分の領域(半分以上の領域)が隠れるようになっている。そのため、上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15Rとがそれぞれ進出位置にあることで、遊技者に強いインパクトを与えることが可能となっている。
また、上側盤可動体15Uの表面側(前面側)には犬の顔の上部分の意匠が施されている。左下盤可動体15Lの表面側には犬の顔の左下部分の意匠が施されている。右下盤可動体15Rの表面側には犬の顔の右下部分の意匠が施されている。このため、上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15Rがそれぞれ進出位置になるときには、まとまりのある犬の顔の装飾形態が形成される。
また、図5(A)(B)には、上側盤可動体15Uを退避位置と進出位置との間で動作させる上側盤可動体駆動部510Uと、左下盤可動体15Lを退避位置と進出位置との間で動作させる左下盤可動体駆動部510Lと、右下盤可動体15Rを退避位置と進出位置との間で動作させる右下盤可動体駆動部510Rとを示している。上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rはいずれも、動作により駆動力を発生させる電動モータである。より具体的には、本形態において、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rはいずれも、ステッピングモータである。このため、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rはいずれも、その動作時には、周囲に磁界を生じさせるものである。
ここで、盤可動体15(上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15R)が進出位置にあるときに形成される犬の顔は、本パチンコ遊技機1の主人公キャラの顔を示している。また図3(B)で示したように、枠可動体600が突出位置にあるときに形成される犬の顔も、本パチンコ遊技機1の主人公キャラの顔を示している。つまり、盤可動体15が進出位置にあるときに形成される装飾形態と、枠可動体600が突出位置にあるときに形成される装飾形態とは同じ形態(関連性のある形態)となっている。よって、盤可動体15が進出位置にあると共に、枠可動体600が突出位置にあるときには、遊技者に対して本パチンコ遊技機1を強くアピールすることが可能となっている。
図4に示す遊技盤2の説明に戻る。図4に示すように、遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、入球口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、入球口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー、可変入球手段)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
電チュー22は、可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図9参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開状態であるときのみ遊技球が入球可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。
また遊技領域3における第1始動口20の右上方には、第1大入賞口(特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置、特別入賞手段)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図9参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
また遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置、特別入賞手段)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図9参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図6(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39及び非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39及び非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73(図9参照)とを備えている。
図6(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図6(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1の状態(退避状態)にある。振分部材71が第1の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図6(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図6(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2の状態(進出状態)にある。振分部材71が第2の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。
遊技領域3の下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。
また図4に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。図7に示すように、表示器類40には、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器(識別図柄表示手段)41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)が行われる。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図9参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85aに記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85bに記憶される。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43は、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図7参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図9参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
また、図4に示すように、本形態のパチンコ遊技機1は、磁気センサ700を有している。パチンコ遊技機1の磁気センサ700は、上下方向および左右方向について、画像表示装置7の中央付近に配置されている。さらに、磁気センサ700は、画像表示装置7の後方に配置されている。このため、磁気センサ700は、遊技者に視認できないように設けられている。磁気センサ700は、磁気検出領域701の内側の磁界の強度に応じた検出値を検出して出力することのできる検出器である。本形態で使用している磁気センサ700は、磁気検出領域701内に生じている磁界の強度が高いほど、検出値として高い値を検出するものである。そして、磁気センサ700は、磁石などの磁力を用いた不正行為の検知に用いることのできるものである。
具体的に、磁気センサ700を用いた不正行為の検知は、磁気センサ700が検出する検出値が、予め定めた磁気許容範囲内であるか否かにより行うことができる。すなわち、磁気センサ700の検出値が、磁気許容範囲内であるときには、磁力による不正行為が行われていないと判断することができる。一方、磁気センサ700の検出値が、磁気許容範囲外であるときには、磁気検出領域701内に不正に形成された磁界が存在しており、磁力を用いた不正行為が行われていると判断することができる。なお、磁気許容範囲は、磁気基準値を基準として定められる範囲である。さらに、磁気基準値は、磁気センサ700の検出値に基づいて定められるものである。
また、本形態の磁気センサ700は、磁気検出領域701の大きなものである。すなわち、磁気センサ700とは異なる従来の磁気センサは、例えば、第1始動口20の付近に配置されていた場合には、その第1始動口20の付近の磁界の強度だけを検出することができるようなものである。このような従来の磁気センサに対し、本形態の磁気センサ700は、図4に示すように、遊技領域3の大部分を占めるような広範囲の磁気検出領域701をもつものである。
また、図8には、磁気センサ700および磁気検出領域701とともに、枠可動体600、盤可動体15の動力源である左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rを示している。図8に示すように、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rは、磁気センサ700の磁気検出領域701の内側に配置されている。このため、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rの動作時に発生する磁界はいずれも、磁気センサ700の検出値に影響する。左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rの動作時に生じる磁界発生領域の少なくとも一部が、磁気センサ700の磁気検出領域701に含まれているからである。
また、本形態では、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510Uについては、磁気センサ700の磁気検出領域701の外側に位置している。しかし、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510Uの動作時に生じる磁界発生領域はいずれも、それぞれ少なくとも一部が、磁気センサ700の磁気検出領域701に含まれている。このため、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510Uの動作時に発生する磁界もいずれも、磁気センサ700の検出値に影響する。
すなわち、本形態において、枠可動体600、盤可動体15の動力源である左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rのそれぞれの動作時に生じる磁界はいずれも、磁気センサ700の検出値に影響するものである。具体的には、これら各駆動部の動作により磁界が形成されているときには、磁界が形成されていないときよりも、磁気センサ700によって高い検出値が検出される。また、磁界を生じさせている駆動部が多いほど、磁気センサ700によって高い検出値が検出される。このため、磁気センサ700の検出値によって磁力を用いた不正行為を適切に検出するためには、これら駆動部によって生じる磁界の影響を考慮しなければならない。そして、本形態のパチンコ遊技機1では、磁力を用いた不正行為を適切に検出するため、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rのそれぞれの動作時に生じる磁界の影響が考慮されている。この点については、後に詳述する。
2.遊技機の電気的構成
次に図9及び図10に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図9及び図10に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、盤可動体15、枠可動体600等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151により、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ(電源投入手段)155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切換えられる。つまり、電源スイッチ155は、パチンコ遊技機1へ電力が供給される供給状態と、パチンコ遊技機1への電力の供給が遮断された遮断状態とで切り替えることのできるものである。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしても良い。
図9に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85と普図保留記憶部86とが設けられている。さらに、本形態のRAM84には、磁気基準値記憶部710が設けられている。磁気基準値記憶部710は、磁気センサ700の検出値による不正行為の検知に係る磁気基準値を記憶するためのものである。なお、ROM83は外付けであってもよい。
また主制御基板80には、RAM84に記憶されている情報をCPU82にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ89が実装されている。主制御基板80を含めて本パチンコ遊技機1が備えている各種の基板は、本パチンコ遊技機1の裏面側(後面側)に配されている。従って、遊技機枠50を開放することが可能な遊技場の従業員等でなければ、電源スイッチ155やRAMクリアスイッチ89を操作することはできない。すなわち、電源投入手段としての電源スイッチ155は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。
また主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。また、前枠開放検出センサ56、内枠開放検出センサ57についても、中継基板88を介して主制御基板80に接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。前枠開放検出センサ56は、前述したように、前枠53と内枠52との開状態、閉状態を検出するものである。また、内枠開放検出センサ57は、前述したように、内枠52と外枠51との開状態、閉状態を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また、主制御基板80には、磁気センサ700が接続されている。このため、遊技制御用マイコン81のCPU82は、磁気センサ700の検出値を受信することができる。つまり、遊技制御用マイコン81は、磁気センサ700の検出値より、磁気検出領域701の内側に発生している磁界の強度を把握することができる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)への操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図10に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
また、サブ制御基板90には、リアルタイムクロック(RTC)99が実装されている。RTC99は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC99は、図示しない外部電源供給装置(島電源供給装置)から電力が供給(投入)されているときには、その電力によって動作し、外部電源供給装置からから電力が供給されていないときには、電源基板150が備えるバックアップ電源回路151から供給される電力によって動作する。このため、RTC99は、パチンコ遊技機1に対して電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC99に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けてもよい。バックアップ電源回路には、コンデンサや内臓電池(ボタン電池等)を含む回路を採用することができる。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音声データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音声データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音声データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66、盤ランプ5等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された盤可動体15を動作させる。つまり、上側盤可動体15Uと左下盤可動体15Lと右下盤可動体15Rをそれぞれ駆動するため、上側盤可動体駆動部510Uと左下盤可動体駆動部510Lと右下盤可動体駆動部510Rとを動作させる。詳細には演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める盤可動体動作パターンデータに基づいて、上側盤可動体駆動部510Uと左下盤可動体駆動部510Lと右下盤可動体駆動部510Rとの動作を制御する。
本形態において盤可動体動作パターンデータには、ともに遊技の進行に合わせて使用される、盤可動体駆動データと盤可動体復帰データとがある。演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の駆動データバッファに盤可動体駆動データをセットすると、盤可動体15を図5(A)に示す退避位置から図5(B)に示す進出位置へ駆動(変位)させることが可能である。一方、演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の復帰データバッファに盤可動体復帰データをセットすると、盤可動体15を進出位置から退避位置へ復帰(変位)させることが可能である。なお盤可動体15が進出位置に駆動された後に、盤可動体復帰データがセットされない限り、盤可動体15が進出位置にある状態が維持されるようになっている。また、本形態の盤可動体動作パターンデータには、遊技の進行に合わせて使用される盤可動体駆動データおよび盤可動体復帰データに加え、パチンコ遊技機1の電源の投入に基づいて実行される初期動作用の盤可動体初期動作データがある。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠中継基板98を介して接続された枠可動体600を動作させる。つまり、左側枠可動体600Lと右側枠可動体600Rを駆動するための左側枠可動体駆動部500Lと右側枠可動体駆動部500Rとを動作させる。詳細には演出制御用マイコン91は、枠可動体600の動作態様を決める枠可動体動作パターンデータに基づいて、左側枠可動体駆動部500Lと右側枠可動体駆動部500Rとの動作を制御する。
本形態において枠可動体動作パターンデータには、ともに遊技の進行に合わせて使用される、枠可動体駆動データと枠可動体復帰データとがある。演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の駆動データバッファに枠可動体駆動データをセットすると、枠可動体600を図3(A)に示す収納位置から図3(B)に示す突出位置へ駆動(変位)させることが可能である。一方、演出制御用マイコン91は、RAM94の所定の復帰データバッファに枠可動体復帰データをセットすると、枠可動体600を突出位置から格納位置へ復帰(変位)させることが可能である。なお枠可動体600が突出位置に駆動された後に、枠可動体復帰データがセットされない限り、枠可動体600が突出位置にある状態が維持されるようになっている。また、本形態の枠可動体動作パターンデータには、遊技の進行に合わせて使用される枠可動体駆動データおよび枠可動体復帰データに加え、パチンコ遊技機1の電源の投入に基づいて実行される初期動作用の枠可動体初期動作データがある。
なお変更例として、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、そのCPUにランプの点灯制御を実行させてもよい。またランプ制御基板107に枠可動体600を接続して、ランプ制御基板107に枠可動体600の動作を制御させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
サブ制御基板90には、枠中継基板98を介して、収納位置検出センサ74a、突出位置検出センサ74b、演出ボタン検出SW(スイッチ)63a、セレクトボタン検出スイッチ68a、及び枠可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが接続されている。収納位置検出センサ74aは、枠可動体600が図3(A)に示す収納位置に復帰していることを検出するものである。突出位置検出センサ74bは、枠可動体600が図3(B)に示す突出位置に駆動されていることを検出するものである。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン検出スイッチ68aは、セレクトボタン68(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。詳細には、セレクトボタン検出スイッチ68aは、上方向ボタンが押下操作されたことを検出する上方向検出スイッチと、下方向ボタンが押下操作されたことを検出する下方向検出スイッチと、左方向ボタンが押下操作されたことを検出する左方向検出スイッチと、右方向ボタンが押下操作されたことを検出する右方向検出スイッチとから構成されている。枠可動体復帰ボタン検出スイッチ323aは、枠可動体復帰ボタン323(図3(A)(B)参照)が押下操作されたことを検出するものである。各ボタン(演出ボタン63、セレクトボタン68、枠可動体復帰ボタン323)が押下操作されると、各スイッチ(演出ボタン検出スイッチ63a、セレクトボタン検出スイッチ68a、枠可動体復帰ボタン検出スイッチ323a)からサブ制御基板90に対して信号が入力される。
またサブ制御基板90には、ランプ制御基板107を介して、退避位置検出センサ64a及び進出位置検出センサ64bが接続されている。退避位置検出センサ64aは、盤可動体15が図5(A)に示す退避位置に復帰していることを検出するものである。進出位置検出センサ64bは、盤可動体15が図5(B)に示す進出位置に駆動されていることを検出するものである。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図11に示す通りである。図11に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。特定大当たりと通常大当たりである。特定大当たりを「Vロング大当たり」ともいい、通常大当たりを「Vショート大当たり」ともいう。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が容易に可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rでは、第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rでは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2の状態(図6(B)参照)から第1の状態(図6(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
但し、通常確率状態に制御された場合であっても、後述する時短状態が付与される。この場合の時短回数は100回に設定される。時短回数とは、時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
図11に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。
特図1の抽選によって「Vロング大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_特定図柄」が停止表示され、「Vショート大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。これに対して特図2の抽選によって当選した場合には、必ずVロング大当たりであって、第2特別図柄表示器41bに「特図2_特定図柄」が停止表示される。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図12(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図12(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である(図13(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図15参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図15参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、大当たり遊技の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図16〜図21に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。カウンタの初期値は「0」であり、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」である。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源が投入されると、ROM83から図16に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず後述する電源投入時処理(S001)を行う。
そして、電源投入時処理(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図12に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[電源投入時処理]図17に示すように、電源投入時処理(S001)では、まずRAM84へのアクセスの許可設定を行う(S011)。これにより、RAM84に対する情報の書き込みや読み出しが可能になる。続いて、遊技制御用マイコン81は、RAMクリアスイッチ89が操作されたか否か(ONか否か)を判定する(S012)。RAMクリアスイッチ89がONであれば(S012でYES)、ステップS018に進む。これに対して、ONでなければ(S012でNO)、続いて電源断フラグがONであるか否かを判定する(S013)。電源断フラグは、電断の発生を示すフラグであり、後述する電源断監視処理(図19参照)でONにされるフラグである。
電源断フラグがONでなければ(S013でNO)、正常に電源が遮断されていない可能性があるため、ステップS018に進む。一方、電源断フラグがONであれば(S013でYES)、チェックサムを算出して(S014)、これを電断時に算出しておいたチェックサム(図19のステップS2902参照)と比較する(S015)。チェックサムは、RAM84に記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計が算出されたものである。チェックサムの値が一致しなければ(S015でNO)、RAM84の記憶内容が正常でないため、ステップS018に進む。これに対して、チェックサムの値が一致すれば(S015でYES)、RAM84の記憶内容が正常であると判断し、ステップS016に進む。
ステップS016では、復電時におけるRAM84の作業領域の設定管理を行う。この設定処理では、ROM83から復電時情報を読み出し、この復電時情報をRAM84の作業領域にセットする。その後、遊技制御用マイコン81は、電源断フラグをOFFして(S017)、ステップS021に進む。
一方、ステップS018では、RAM84に記憶されている全ての遊技情報をクリアする(S018)。その後、遊技制御用マイコン81は、RAM84の作業領域の初期設定を行う(S019)。この初期設定の処理では、ROM83から読み出された初期設定情報がRAM84の作業領域にセットされる。続いて遊技制御用マイコン81は、RAMクリアを行ったことを通知するためのRAMクリア通知コマンドをサブ制御基板90に対して出力して(S020)、ステップS021に進む。
ステップS021では、遊技制御用マイコン81は、電源投入コマンド設定処理を行う。電源投入コマンド設定処理(S021)では、電源投入コマンドをRAM84の所定の出力バッファにセットする。セットされた電源投入コマンドは、後述する出力処理(S101)にてサブ制御基板90に出力されるようになっている。電源投入コマンド設定処理(S021)の後、ステップS022ではその他の初期設定として、例えばCPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等を行う。また、本形態では、ステップS022において、この後に説明する磁気基準値設定処理(S109)で使用する磁気検出値取得カウンタの値を「1」に設定する。そして、本処理を終える。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図18に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図9参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。また、入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図16の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図12に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、始動口センサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)を行う。始動口センサ検出処理(S104)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図12(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ28aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図12(B)参照)を取得する。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図13(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図15参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)、特定領域センサ検出処理(S107)を行う。特別動作処理(S106)では、始動口センサ検出処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図11,図13(A)(B),図14参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。また、当たり種別に応じた特図停止図柄データ(図11)や、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図11参照)に従って大入賞口を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行に際しては、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S106)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン91に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
特定領域センサ検出処理(S107)では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し、それが所定のV有効期間におけるものであれば、VフラグをONにする。また、VフラグがONであれば、次に実行される特別動作処理(S106)において、確変フラグがONにされる。これにより、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に制御される。
特定領域センサ検出処理(S107)に次いで、後述する電源断監視処理(S108)、磁気基準値設定処理(S109)、磁気異常検知処理(S110)を実行する。さらに、磁気異常検知処理(S110)の後、その他の処理(S111)を実行する。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S111)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図16参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[電源断監視処理]電源断監視処理(S108)では、図19に示すように、まず電源断信号の入力の有無を判定し(S2901)、入力がなければ(S2901でNO)処理を終了する。電源断信号は、電断により電源電圧が低下し始めたときに遊技制御用マイコン81に入力される信号である。ステップS2901において電源断信号の入力があれば(S2901でYES)、チェックサムを算出してRAM84の所定の記憶領域に格納するとともに(S2902)、電源断フラグをONする(S2903)。そして、RAM84へのアクセスの禁止設定を行う(S2904)。これにより、RAM84に対する情報の書き込みや読み出しが不可能になる。その後はメイン側タイマ割り込み処理(図18参照)に戻ることなくループ処理を行う。
[磁気基準値設定処理]磁気基準値設定処理(S109)では、図20に示すように、まず磁気検出値取得カウンタの値が250以下であるか否かを判定する(S3001)。磁気検出値取得カウンタの値が250以下である場合(S3001でYES)、磁気センサ700が検出している磁気検出値を取得する(S3002)。ステップS3002で取得された磁気検出値は、RAM84の所定領域に記憶される。
次に、磁気検出値取得カウンタの値が250であるか否かを判定する(S3003)。磁気検出値取得カウンタの値が250である場合(S3003でYES)、ステップS3002で取得し、RAM84に記憶されている磁気検出値の平均値を算出する(S3004)。本形態では、このステップS3004に至るまでに、磁気検出値は250個、取得後にRAM84に記憶されている。また、RAM84に記憶されている磁気検出値は、4msec間隔で取得されたものである。つまり、ステップS3004では、1secの間に取得された250個の磁気検出値の平均を算出する。そして、算出した磁気検出値の平均値を、磁気基準値に設定する(S3005)。また、設定された磁気基準値を、磁気基準値記憶部710に記憶させる。つまり、磁気基準値記憶部710に記憶されている磁気基準値が、初期設定値から更新される。続いて、磁気検出値取得カウンタに1を加算し(S3006)、本処理を終える。
一方、磁気検出値取得カウンタの値が250以下でない場合(S3001でNO)、本処理では、磁気検出値取得カウンタの加算(S3006)だけが行われる。また、磁気検出値取得カウンタの値が250未満である場合(S3001でYES、かつ、S3003でNO)には、磁気検出値の取得(S3002)および磁気検出値取得カウンタの加算(S3006)だけが行われる。すなわち、本形態の磁気基準値設定処理(S109)では、電源投入後の1secの間の磁気検出値に基づいて磁気基準値が算出される。
[磁気異常検知処理]磁気異常検知処理(S110)では、図21に示すように、まず磁気センサ700が検出している磁気検出値を取得する(S3101)。次に、取得した磁気検出値が、その許容範囲内であるか否かを判定する(S3102)。磁気検出値についての許容範囲は、磁気基準値を基準として定められる範囲である。磁気検出値が許容範囲内である場合(S3102でYES)、磁気異常が生じていない正常状態である。このため、本形態では、そのまま遊技が可能な状態が維持される。
一方、磁気検出値が許容範囲外である場合(S3102でNO)、磁気異常であると検知し、発射モータ駆動禁止コマンドをセットする(S3103)。さらに、磁気異常報知コマンドをセットする(S3104)。セットされた発射モータ駆動禁止コマンドおよび磁気異常報知コマンドはそれぞれ、次の出力処理(S101)において、払出制御基板110およびサブ制御基板90へと出力される。
なお、発射モータ駆動禁止コマンドを受信した払出制御基板110は、それ以降、発射装置112の発射モータ113の駆動を制限し、遊技領域3に遊技球が供給されることがないようにする。これにより、本形態では、磁力による不正行為を磁気異常として検知するとともに、その不正行為を続行できないようになされている。発射モータ113の駆動制限は、例えば、別に設けられた発射制限の解除コマンドの受信や、遊技場の従業員等による発射制限の解除操作が行われるなどの所定の条件により、解除できるようにしておけばよい。
また、磁気異常報知コマンドを受信したサブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、画像制御基板100のCPU102に、磁気異常であることを報知する画像を画像表示装置7に表示させる。磁気異常であることを報知する画像は、予め画像制御基板100のROM103に記憶させておけばよい。すなわち、磁気検出値が許容範囲外であり、磁気異常が生じている場合(S3102でNO)、本形態では、遊技者が遊技を続行できないようにするとともに、これを周囲に報知する。これに加え、磁気異常が生じている場合には、スピーカ67より警告音を発するなどの処置を行うこととしてもよい。
6.演出可動体の初期動作
次に、演出制御用マイコン91の動作の説明に先立って、演出可動体としての盤可動体15及び枠可動体600の初期動作について説明する。本形態において、演出可動体の初期動作は、電源投入後の所定期間内に1度だけ実行される動作であり、盤可動体15、枠可動体600を駆動させる各駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)を制御するために必要となる位置情報の取得を目的として実行される。盤可動体15の初期動作と枠可動体600の初期動作とは、移動対象の位置が異なるだけであるため、ここでは盤可動体15の初期動作を代表して説明する。
盤可動体15の初期動作では、電源が投入されたときに先ず当該盤可動体15が原点位置である退避位置にあるか否かが判断される。そして、盤可動体15が退避位置にいなければ、盤可動体15を退避位置へ復帰させて、盤可動体15が退避位置にあることが確認される。つまり、盤可動体15の原点位置となる位置情報が取得される。その後、盤可動体15の実際の動作を確認すべく、退避位置にある盤可動体15を進出位置へ駆動させて、続いて、進出位置にある盤可動体15を退避位置へ復帰させる。この一連の動作が、通常の盤可動体15の初期動作である。この一連の動作は、盤可動体初期動作データによって定められている。また、枠可動体600の初期動作に係る一連の動作についても、枠可動体初期動作データによって定められている。
7.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図22〜図29に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図22に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。
同図に示すように、サブ制御メイン処理では、サブ側電源断フラグ(電断時にONされるフラグ)がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4001)。そしてこの判定結果がNOであれば、つまり、サブ側電源断フラグがONでない場合、又はサブ側電源断フラグがONであってもRAM94の内容が正常でない場合には、RAM94の初期化をして(S4002)、ステップS4003に進む。
一方、判定結果がYESであれば(S4001でYES)、つまり、電断によりサブ側電源断フラグがONとなったがRAM94の内容が正常に保たれている場合には、続いて、RAMクリア通知コマンドを受信しているか否かを判定する(S4011)。RAMクリア通知コマンドを受信していれば(S4011でYES)、主制御基板80のRAM84はクリアされている。そのため、サブ制御基板90のRAM94をクリアして(S4002)、ステップS4003に進む。これに対して、RAMクリア通知コマンドを受信していなければ(S4011でNO)、RAM94をクリアすることなく、ステップS4003に進む。
ステップS4003では、その他の初期設定を行う。その他の初期設定では例えば、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。また、サブ側電源断フラグがONであればOFFにする。また、本形態では、ステップS4003において、この後に説明する駆動制御処理(S4203)で使用する初期カウンタの値を「1」に設定する。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理(S4006)では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や、オープニング演出、ラウンド演出およびエンディング演出からなる大当たり演出等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5、枠ランプ66、初期動作用ランプ65を発光させる。また、枠中継基板98を介して枠可動体600を駆動させたり、ランプ制御基板107を介して盤可動体15を駆動させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)は、ストローブ信号(STB信号)がON、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されると実行される。そして、受信割り込み処理(S4008)では、図23に示すように、主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきた各種のコマンドをRAM94に格納する(S4101)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図24に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a(図10参照)、セレクトボタン検出スイッチ68a、枠可動体復帰ボタン検出スイッチ323aからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータおよびレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、画像演出等の演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5等を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4504)で作成したランプデータをランプ制御基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って各ランプを所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理(S4203)、ウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。ウォッチドッグタイマ処理(S4204)では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
[駆動制御処理]駆動制御処理(S4203)は、盤可動体動作パターンデータ(盤可動体駆動データ、盤可動体復帰データ等)に従って、盤可動体15を所定の動作態様で変位させたり、枠可動体動作パターンデータ(枠可動体駆動データ、枠可動体復帰データ等)に従って、枠可動体600を所定の動作態様で変位させる処理である。図25に示すように、駆動制御処理(S4203)ではまず、初期動作フラグがOFFであるか否かを判定する(S4301)。初期動作フラグは、後に説明する受信コマンド解析処理(S4501)で主制御基板80から電源投入コマンドを受信したときにONになるフラグである。
初期動作フラグがOFFであれば(S4301でYES)、演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作タイミングであるか否かを判定する(S4302)。盤可動体15の動作タイミングであるか否かの判定は、後に説明する変動演出開始処理(S4604)で変動パターンに合わせて選択された盤可動体駆動データ、盤可動体復帰データに基づいて行う。そして、盤可動体15の動作タイミングであると判定される場合には(S4302でYES)、盤可動体15の上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rを動作させる(S4303)。具体的には、ステッピングモータである上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rの励磁相の切り替えを行う。
盤可動体15に続いて、枠可動体600の動作タイミングであるか否かを判定する(S4304)。枠可動体600の動作タイミングであるか否かの判定についても、後に説明する変動演出開始処理(S4604)で変動パターンに合わせて選択された枠可動体駆動データ、枠可動体復帰データに基づいて行う。そして、枠可動体600の動作タイミングであると判定される場合には(S4304でYES)、左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rを動作させる(S4305)。具体的には、ステッピングモータである左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rの励磁相の切り替えを行う。これにより、本処理を終える。
また、駆動制御処理(S4203)において、初期動作フラグがOFFでない場合、すなわち初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)、演出制御用マイコン91は、初期カウンタの値が2000以上であるか否かを判定する(S4306)。初期カウンタの値が2000以上である場合(S4306でYES)、後述する初期動作処理を行い(S4307)、初期カウンタの値に1を加算する。一方、初期カウンタの値が2000以上でない場合、すなわち2000未満であれば(S4306でNO)、初期動作処理(S4307)を行わずに、初期カウンタの値に1を加算する。これにより、本処理を終える。
[初期動作処理]初期動作処理(S4307)は、演出可動体(盤可動体15及び枠可動体600)の初期動作を行うための処理である。図26に示すように、初期動作処理(S4307)ではまず、初期動作用ランプ65が点灯(発光)中であるか否かを判定し(S4401)、点灯中でない場合には(S4401でNO)点灯させる(S4402)。次に、初期動作を終了させるか否かを判定する(S4403)。初期動作の終了タイミングであり、初期動作を終了させる場合には(S4403でYES)、点灯している初期動作用ランプ65を消灯させ(S4406)、初期動作フラグをOFFとし(S4407)、本処理を終える。
一方、初期動作の終了タイミングでなく、初期動作を終了させない場合(S4403でNO)、盤可動体15の上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rに初期動作を行わせる(S4404)。さらに、枠可動体600の左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rに初期動作を行わせる(S4405)。これら初期動作においても、変動パターンに合わせた動作(S4303、S4305)と同様、各ステッピングモータの励磁相の切り替えを行う。また、盤可動体15の初期動作は盤可動体初期動作データに基づいて行い、枠可動体600の初期動作は枠可動体初期動作データに基づいて行う。
ここで、本形態の駆動制御処理(S4203)では、初期動作フラグがONであっても(S4301でNO)、初期カウンタの値が2000未満である場合(S4306でNO)、初期動作処理(S4307)を行うことなく、初期カウンタの加算(S4308)だけが行われる。そして、初期カウンタの値が2000以上となったときに(S4306でYES)、初期動作処理(S4307)が開始される。また駆動制御処理(S4203)は、1msタイマ割り込み処理で実行される処理である。つまり、本形態において、初期動作処理(S4307)は、初期動作フラグがONとなった後、2secが経過したときに開始される処理である。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図27に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4501)を行う。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4502)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4503)を行う。
その後、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4504)として、後述の受信コマンド解析処理(S4501)での演出選択結果に応じて、ランプデータ(各ランプの点灯を制御するデータ)を作成したり、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力をしたりする。また、各種の演出決定用乱数を更新したりする。
[受信コマンド解析処理]図28に示すように、受信コマンド解析処理(S4501)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から電源投入コマンドを受信したか否か判定し(S4601)、受信していれば初期動作フラグをONにする(S4602)。
次に、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4603)、受信していれば後述の変動演出開始処理(S4604)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4605)、受信していれば変動演出終了処理(S4606)を行う。変動演出終了処理(S4606)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4607)、受信していればオープニング演出選択処理(S4608)を行う。オープニング演出選択処理(S4608)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4609)、受信していればラウンド演出選択処理(S4610)を行う。ラウンド演出選択処理(S4610)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出(開放遊技演出)のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4611)、受信していればエンディング演出選択処理(S4612)を行う。エンディング演出選択処理(S4612)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4613)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、V通過を示すV通過コマンドに基づいてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理を終える。
[変動演出開始処理]図29に示すように、変動演出開始処理(S4604)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S4701)。変動開始コマンドには、特別動作処理(S106)でセットされた変動パターンの情報や、特図停止図柄データの情報が含まれている。なお、これらの情報を別々のコマンドで取得する構成としてもよい。また、ここで演出制御用マイコン91が取得した情報は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能なものとする。
次に演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4702)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図14のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、変動演出の時間、装飾図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、装飾図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。つまり、変動演出パターンが決まれば、盤可動体駆動データ、盤可動体復帰データに基づいて行われる盤可動体15の上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rの動作の有無やそのタイミングが決定される。さらに、枠可動体復帰データに基づいて行われる枠可動体600の左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500Rの動作の有無やそのタイミングについても決定される。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する装飾図柄(演出図柄)8L,8C,8Rの選択を行う(S4703)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、装飾図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される装飾図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S4704)。具体的には、予告演出決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
そして、選択した変動演出パターン、演出図柄、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S4705)、変動演出開始処理を終了する。ステップS4705でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
8.本形態の効果
ここで、前述したように、本形態では、磁気基準値は、遊技制御用マイコン81が実行する磁気基準値設定処理(S109)において、電源投入後の1secの間の磁気検出値に基づいて算出されている。この磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得期間を、本形態では、基準期間とする。また、本形態において、初期動作処理(S4307)は、演出制御用マイコン91が実行する駆動制御処理(S4203)にて初期動作フラグがONとなった後、2secが経過したときに開始される。さらに、初期動作フラグは、演出制御用マイコン91が実行する受信コマンド解析処理(S4501)にて主制御基板80から電源投入コマンドを受信したときにONとされる。電源投入コマンドは、遊技制御用マイコン81が実行する電源投入時処理(S001)の電源投入コマンド設定処理(S021)に基づいてセットされたものである。つまり、本形態において、初期動作処理は、電源投入後、2secが経過したときに開始される。これにより、本形態のパチンコ遊技機1では、基準期間の経過後、すなわち遊技制御用マイコン81によって磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得が行われた後に、演出制御用マイコン91によって初期動作が開始されている。このことの効果について説明する。
まず、本形態とは異なる従来の一例について、図30により説明する。図30は、基準期間中(磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得中)に、初期動作を開始した場合の磁気検出値の推移の例を示した図である。図30では、横軸に時間を、縦軸に磁気センサ700が検出した磁気検出値を示している。図30では、電源が投入された時刻t0から、その後の時刻tkまでの間の磁気検出値を取得し、その取得した磁気検出値の平均により、磁気基準値Mbを算出している。そして、図30では、磁気基準値Mbよりも磁気加算値Maだけ高い磁気上限値Muによって、その許容範囲を定めている。すなわち、図30では、磁気上限値Mu以下が、磁気検出値の許容範囲である。
また、図30では、初期動作を、時刻tsにおいて開始させている。時刻tsは、基準期間が終了する時刻tkよりも早い時刻である。このため、図30では、基準期間中の時刻tsにおいて、それ以前よりも、磁気検出値が上昇している。時刻tsから、初期動作に係る左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510Rの動作が開始されているためである。よって、図30では、磁気基準値Mbとして、高い値が設定されている。従って、図30では、磁気検出値の許容範囲の上限である磁気上限値Muについても、高い値となってしまっている。
また、図30に示す時刻t1、t2は、遊技者によって遊技が開始された後の時刻である。時刻t1では、不正行為が行われていない。このため、時刻t1における磁気検出値は、それほど高いものではなく、当然、磁気上限値Mu以下の許容範囲内である。そして、その後の時刻t2は、不正行為を行う者が磁石を遊技盤2に近づけ、不正行為を開始した時刻である。この磁力による不正行為は、例えば、遊技球を前枠53のガラス板55越しに磁石の磁力によって吸引し、例えば、第1始動口20や第1大入賞口30等へと誘導する行為である。また、磁力による不正行為としては、例えば第1大入賞口30の上流で多数の遊技球を磁力によって滞留させた(いわゆる、ぶどうの形成)後、滞留させた多数の遊技球を磁力の影響下から解放して、第1大入賞口30への過剰な遊技球の入賞を狙う行為も考えられる。
そして、図30に示すように、時刻t2においては、磁気検出値が大きく上昇している。不正に係る磁石が遊技盤2に近づけられ、その磁石によって形成された磁界が、磁気センサ700の磁気検出領域701の内側にまでおよんでいるからである。しかし、図30では、時刻t2において磁気検出値が異常なほど上昇しているにも関わらず、その値は、磁気上限値Mu以下の許容範囲内である。これにより、図30では、磁力による不正行為を、適切に検知できないことがわかる。これは、前述したように、磁気基準値Mbが高く設定されてしまったために、磁気上限値Muが高い値となっているからである。すなわち、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得中に初期動作を開始してしまったために、磁気基準値として高い値が設定されてしまったからである。
これに対し、図31には、本形態に係るパチンコ遊技機1における磁気検出値の推移の例を示している。本形態に係る図31でも、基準期間は時刻t0から時刻tkまでである。つまり、電源が投入された時刻t0から、その後の時刻tkまでの間の磁気検出値を取得し、その取得した磁気検出値の平均により、磁気基準値Mbを算出している。図31における基準期間は、具体的には、1secである。また、図31にも、磁気基準値Mbおよび磁気加算値Maによって定められる磁気上限値Muを示している。本形態において、磁気加算値Maは、予め実験等によって取得しておき、遊技制御用マイコン81のROM83に記憶させておく等しておけばよい。
また、図31では、初期動作を、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得が終了した時刻tkよりも後の時刻tsにおいて開始させている。本形態において、時刻t0から時刻tsまでの時間は、具体的には、2secである。つまり、基準期間の終了する時刻tkから初期動作が開始される時刻tsまでの時間は、具体的には、1secである。このため、図31では、基準期間中には磁気検出値が上昇しておらず、基準期間の経過後に上昇している。よって、図31では、磁気基準値Mbとして、初期動作が行われていない間の磁気検出値に基づいて、適切な値が設定されている。従って、図31では、磁気検出値の許容範囲の上限である磁気上限値Muについても、適切な値となっている。
また、図30では、不正行為が行われることなく正常に遊技が行われている時刻t1において、磁気検出値が、磁気上限値Mu以下の許容範囲内である。そして、不正行為が開始された時刻t2においては、磁気検出値が、磁気上限値Muを超えて許容範囲外となっている。よって、本形態のパチンコ遊技機1では、磁力による不正行為を正確に検知可能である。
また、本形態のパチンコ遊技機1では、磁気検出値取得カウンタを磁気基準値設定処理(S109)において加算しつつ(S3006)、その値が250に至るまで(S3001でYES)、磁気基準値の算出に用いる磁気検出値を取得(S3002)している。さらに、磁気検出値取得カウンタは、電源投入時処理(S001)のその他の初期設定(S022)において「1」に設定されている。すなわち、本形態のパチンコ遊技機1では、初期動作が行われる前の、電源投入後の極めて初期に、磁気基準値の設定に用いる磁気検出値の取得を済ませている。このため、本パチンコ遊技機1は、電源投入後ただちに、磁力による不正行為を正確に検知可能なものである。
9.変更例
次に、本発明の変更例について説明する。まずは、本発明の実施形態の1つとして上記で説明した第1の実施形態の変更例について説明する。具体的に、第1の実施形態の変更例としては、例えば、以下の「変更例1−1」、「変更例1−2」、「変更例1−3」が挙げられる。よって、これら3つの変更例について順に説明する。
「変更例1−1」について
変更例1−1においても、基本的な機器の構成等については上記の第1の実施形態で説明した通りである。このため、変更例1−1については、上記の第1の実施形態の説明とは異なる点について説明する。すなわち、上記の第1の実施形態の説明における遊技制御用マイコン81は、基準期間における磁気基準値に基づいて磁気基準値を設定するとともに、演出制御用マイコン91は、基準期間を経過した後に初期動作を開始する。これに対し、変更例1−1において、遊技制御用マイコン81は、磁気基準値の設定に用いる磁気検出値の検出終了後、演出制御用マイコン91へとコマンドを送信する。さらに、演出制御用マイコン91は、そのコマンドの受信に基づいて初期動作を開始させる。このような変更例1−1では、磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)が、上記の第1の実施形態と異なる。変更例1−1の磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)について、それぞれ図32、図33、図34により説明する。
[磁気基準値設定処理]図32に示すように、変更例1−1の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値設定処理(S109)において、磁気基準値の設定(S3005)後、磁気基準値設定終了コマンドをセットする(S3007)。セットされた磁気基準値設定終了コマンドは、次の出力処理(S101)において、サブ制御基板90へと出力される。
[駆動制御処理]図33に示すように、変更例1−1の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)、初期動作処理を行う(S4307)。初期動作処理(S4307)そのものについては、上記で図26により説明した通りである。
[受信コマンド解析処理]図34に示すように、変更例1−1の演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4501)において、主制御基板80から磁気基準値設定終了コマンドを受信したか否か判定し(S4614)、受信していれば初期動作フラグをONにする(S4602)。
そして、変更例1−1においても、遊技制御用マイコン81は、初期動作の非実行中における磁気検出値に基づいて、磁気基準値を設定することができる。演出制御用マイコン91が、初期動作を、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得が終了した後にセットされた磁気基準値設定終了コマンドに基づいて、開始させているからである。よって、変更例1−1においても、磁気基準値を適切に設定することができるため、磁力による不正行為を正確に検知可能である。また、本変更例1−1においても、初期動作が行われる前の、電源投入後の極めて初期に、磁気基準値を適切に設定することができる。このため、電源投入後ただちに、磁力による不正行為を正確に検知可能な状態となる。
「変更例1−2」について
変更例1−2においても、基本的な機器の構成等については上記の第1の実施形態で説明した通りである。このため、変更例1−2についても、上記の第1の実施形態の説明とは異なる点について説明する。すなわち、変更例1−2において、演出制御用マイコン91は、一旦開始した初期動作を基準期間の間、中断し、基準期間の経過後に再開する。なお、変更例1−2においても、遊技制御用マイコン81は、電源投入後の基準期間に、磁気基準値の設定に用いる磁気検出値の検出を行う。このような変更例1−2では、磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)が、上記の第1の実施形態と異なる。変更例1−2の磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)について、それぞれ図35、図36により説明する。
[磁気基準値設定処理]図35に示すように、変更例1−2の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値設定処理(S109)において、まず磁気検出値取得カウンタの値が1250を超過しているか否かを判定する(S3010)。磁気検出値取得カウンタの値が1250を超過している場合(S3010でYES)、さらに磁気検出値取得カウンタの値が1500以下であるか否かを判定する(S3011)。そして、磁気検出値取得カウンタの値が1500以下である場合(S3011でYES)、磁気センサ700が検出している磁気検出値を取得する(S3002)。
次に、磁気検出値取得カウンタの値が1500であるか否かを判定する(S3012)。磁気検出値取得カウンタの値が1500である場合(S3012でYES)、磁気検出値の平均値を算出し(S3004)、算出した磁気検出値の平均値を、磁気基準値に設定する(S3005)。続いて、磁気検出値取得カウンタに1を加算し(S3006)、本処理を終える。
つまり、変更例1−2では、磁気検出値取得カウンタの値が、1250超過、1500以下の範囲内である場合に(S3010およびS3011でともにYES)、磁気検出値の取得(S3002)が行われる。一方、磁気検出値取得カウンタの値が1250以下である場合(S3010でNO)、または、磁気検出値取得カウンタの値が1500を超過している場合(S3011でNO)、本処理では、磁気検出値の取得(S3002)が行われることはない。すなわち、変更例1−2の磁気基準値設定処理(S109)では、電源投入後の5sec経過後から6sec経過以前までの1sec間の磁気検出値に基づいて磁気基準値が算出される。つまり、変更例1−2においては、電源投入後の5sec経過後から6sec経過以前までの1sec間が、基準期間である。
[駆動制御処理]図36に示すように、変更例1−2の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)、初期カウンタの値が4000以下であるか否かを判定する(S4310)。初期カウンタの値が4000以下であれば(S4310でYES)、初期動作処理を行う(S4307)。また、初期カウンタの値が4000を超過していた場合(S4310でNO)、さらに初期カウンタの値が7000以上であるか否かを判定する(S4311)。初期カウンタの値が7000以上である場合(S4311でYES)、初期動作処理を行う(S4307)。そして、初期動作処理(S4307)を行った後、初期カウンタに1を加算し(S4308)、本処理を終える。
つまり、変更例1−2では、初期カウンタの値が4000以下(S4310でYES)、または、7000以上(S4311でYES)のどちらかである場合に、初期動作処理(S4307)が行われる。一方、初期カウンタの値が、4000超過、7000未満の範囲内である場合には(S4310およびS4311でともにNO)、本処理では、初期カウンタの加算(S4308)だけが行われる。すなわち、変更例1−2では、初期動作が、電源投入後の4sec経過以前と、電源投入後の7sec経過以後とに分けて行われる。そして、電源投入後の4sec経過後から7sec経過前までの3sec間では、初期動作が中断される。
図37には、変更例1−2における磁気検出値の推移の例を示している。図37には、電源投入時の時刻t0、基準期間の開始時刻tk1、基準期間の終了時刻tk2、初期動作の中断時刻ts1、初期動作の再開時刻ts2を示している。基準期間の開始時刻tk1、基準期間の終了時刻tk2、初期動作の中断時刻ts1、初期動作の再開時刻ts2の時刻t0からの時間はそれぞれ、5sec、6sec、4sec、7secである。すなわち、変更例1−2では、電源投入とともに開始された初期動作が、基準期間よりも前に中断され、基準期間の経過後に再開されていることがわかる。このため、変更例1−2においても、基準期間中には磁気検出値の上昇が生じていない。
つまり、変更例1−2においても、遊技制御用マイコン81は、初期動作の非実行中における磁気検出値に基づいて、磁気基準値を設定することができる。演出制御用マイコン91が、初期動作を開始後、開始した初期動作を基準期間中、中断するとともに、中断した初期動作を基準期間の経過後に再開しているからである。
このため、磁気基準値として適切な値が設定されている。従って、磁気検出値の許容範囲の上限である磁気上限値Muについても適切な値となっているため、不正行為が開始された時刻t2においては、磁気検出値が、磁気上限値Muを超えて許容範囲外となっている。よって、変更例1−2においても、磁力による不正行為を正確に検知可能である。また、変更例1−2においても、初期動作が終了する前の、電源投入後の初期に、磁気基準値を適切に設定することができる。このため、変更例1−2においても、電源投入後ただちに、磁力による不正行為を正確に検知可能である。
「変更例1−3」について
変更例1−3においても、基本的な機器の構成等については上記の第1の実施形態で説明した通りである。このため、変更例1−3についても、上記の第1の実施形態の説明とは異なる点について説明する。すなわち、変更例1−3において、遊技制御用マイコン81は、磁気基準値の設定に用いる磁気検出値の検出終了後、演出制御用マイコン91へとコマンドを送信する。さらに、演出制御用マイコン91は、一旦開始した初期動作を予め定められた基準タイミングよりも前に中断し、中断した初期動作を、遊技制御用マイコン81からのコマンドの受信に基づいて初期動作を再開させる。このような変更例1−3では、磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)が、上記の第1の実施形態と異なる。変更例1−3の磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)について、それぞれ図38、図39、図40により説明する。
[磁気基準値設定処理]図38に示すように、変更例1−3の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値設定処理(S109)において、まず磁気検出値取得カウンタの値が1250を超過しているか否かを判定する(S3010)。磁気検出値取得カウンタの値が1250を超過している場合(S3010でYES)、さらに磁気検出値取得カウンタの値が1500以下であるか否かを判定する(S3011)。磁気検出値取得カウンタの値が1500以下である場合(S3011でYES)、磁気センサ700が検出している磁気検出値を取得する(S3002)。
次に、磁気検出値取得カウンタの値が1500であるか否かを判定する(S3012)。磁気検出値取得カウンタの値が1500である場合(S3012でYES)、磁気検出値の平均値を算出し(S3004)、算出した磁気検出値の平均値を、磁気基準値に設定する(S3005)。続いて、磁気基準値設定終了コマンドをセットし(S3007)、磁気検出値取得カウンタに1を加算して(S3006)、本処理を終える。
つまり、変更例1−3の磁気基準値設定処理(S109)では、変更例1−2と同様、電源投入後の5sec経過後から6sec経過以前までの1sec間の磁気検出値に基づいて磁気基準値が算出される。そして、磁気基準値の取得(S3002)の終了後には、変更例1−1と同様、磁気基準値設定終了コマンドがサブ制御基板90へと出力される。
[駆動制御処理]図39に示すように、変更例1−3の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)、初期カウンタの値が4000以下であるか否かを判定する(S4310)。初期カウンタの値が4000以下であれば(S4310でYES)、初期カウンタの値が4000であるか否かを判定する(S4320)。初期カウンタの値が4000である場合には(S4320でYES)、初期動作中断フラグをONとして(S4321)、初期動作処理を行う(S4307)。初期カウンタの値が4000でない場合には(S4320でNO)、初期動作中断フラグをON(S4321)とすることなく(すなわちOFFのまま)、初期動作処理を行う(S4307)。また、初期カウンタの値が4000を超過していた場合(S4310でNO)、初期動作中断フラグがOFFであるか否かを判定する(S4322)。初期動作中断フラグがOFFである場合には(S4322でYES)、初期動作処理を行う(S4307)。そして、初期動作処理(S4307)を行った後、初期カウンタに1を加算し(S4308)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図40に示すように、変更例1−3の演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4501)において、主制御基板80から磁気基準値設定終了コマンドを受信したか否か判定し(S4614)、受信していれば初期動作中断フラグをOFFにする(S4615)。
つまり、変更例1−3では、初期カウンタの値が4000以下(S4310でYES)の場合と、初期カウンタの値が4000を超過しており(S4310でNO)、かつ、初期動作中断フラグがOFF (S4322でYES)の場合とに、初期動作処理(S4307)が行われる。一方、初期カウンタの値が4000を超過し、かつ、初期動作中断フラグがONである場合には(S4310およびS4322でともにNO)、本処理では、初期カウンタの加算(S4308)だけが行われる。また、初期動作中断フラグは、初期カウンタの値が4000であるときにONとされ(S4321)、磁気基準値設定終了コマンドを受信したときに(S4614でYES)OFFとされる(S4615)。すなわち、変更例1−3では、初期動作が、電源投入後の4sec経過以前と、磁気基準値設定終了コマンドの受信後とに分けて行われる。そして、電源投入後の4sec経過後から磁気基準値設定終了コマンドの受信以前までの間では、初期動作が中断される。
そして、変更例1−3では、初期動作の中断期間において、遊技制御用マイコン81に、磁気基準値の算出のための磁気検出値の取得を行わせることができる。演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81が磁気基準値の算出のための磁気検出値の取得を開始するタイミングよりも前に、初期動作を中断している。その後、演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81が磁気基準値の算出のための磁気検出値を取得後に出力したコマンドの受信に基づいて、初期動作を再開しているからである。
そして、変更例1−3においても、遊技制御用マイコン81は、初期動作の非実行中における磁気検出値に基づいて、磁気基準値を設定することができる。演出制御用マイコン91が、初期動作の開始後、開始した初期動作を磁気基準値の算出のための磁気検出値の取得が開始されるタイミングよりも前に中断するとともに、中断した初期動作を、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得が終了した後にセットされた磁気基準値設定終了コマンドに基づいて、再開させているからである。よって、変更例1−3においても、磁気基準値を適切に設定することができるため、磁力による不正行為を正確に検知可能である。また、本変更例1−3においても、初期動作が終了する前の、電源投入後の初期に、磁気基準値を適切に設定することができる。このため、変更例1−3においても、電源投入後ただちに、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能である。
以上詳細に説明したように、第1の実施形態およびその変更例に係るパチンコ遊技機1は、電源スイッチ155、遊技制御用マイコン81、演出制御用マイコン91を有している。また、演出制御用マイコン91には、演出に伴って動作する枠可動体600、盤可動体15の各駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)が接続されている。さらに、遊技制御用マイコン81には、磁気検出領域701の磁界に応じた磁気検出値を検出する磁気センサ700が接続されている。磁気センサ700の磁気検出領域701は、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部の動作に伴って発生する各磁界の発生領域の少なくとも一部を含んでいる。そして、演出制御用マイコン91は、電源投入後の所定期間に、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部に初期動作を行わせる。また、遊技制御用マイコン81は、磁気センサ700の磁気検出値が、磁気基準値を基準として設けられた許容範囲外であるとき(すなわち磁気上限値よりも高いとき)に、磁気異常を検知する。さらに、遊技制御用マイコン81は、初期動作の非実行中における磁気検出値に基づいて、磁気基準値を設定する。これにより、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能な遊技機が提供されている。
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態とは異なる本発明の実施形態である第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のパチンコ遊技機についても、「1.遊技機の構造」、「2.遊技機の電気的構成」、「3.大当たり等の説明」、「4.遊技状態の説明」、「6.演出可動体の初期動作」については上記の第1の実施形態と同様である。そして、第2の実施形態では、「5.遊技制御用マイコン81の動作」、「7.演出制御用マイコン91の動作」の一部が異なる。よって、第2の実施形態について、以下、第1の実施形態と異なるところについて具体的に説明する。
なお、第2の実施形態の特徴は、端的には、演出制御用マイコン91が、遊技制御用マイコン81から所定のコマンドを受信した際に、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部に動作を行わせることがない非動作モードに移行することである。このような第2の実施形態では、磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)が、上記の第1の実施形態と異なる。第2の実施形態の磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)について、それぞれ図41、図42、図43により説明する。
[磁気基準値設定処理]図41に示すように、第2の実施形態の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値設定処理(S109)において、まず磁気検出値取得カウンタの値が1を超過しているか否かを判定する(S3030)。磁気検出値取得カウンタの値が1である場合(S3030でNO)、すなわち電源投入後の最初の磁気基準値設定処理(S109)では、磁気基準値設定開始コマンドをセットし(S3031)、磁気検出値取得カウンタに1を加算して(S3006)、本処理を終える。
電源投入後の2回目以降の磁気基準値設定処理(S109)では、磁気検出値取得カウンタの値が1を超えているため(S3030でYES)、次に、磁気検出値取得カウンタの値が250を超過しているか否かを判定する(S3032)。磁気検出値取得カウンタの値が250を超過している場合(S3032でYES)、さらに磁気検出値取得カウンタの値が500以下であるか否かを判定する(S3033)。磁気検出値取得カウンタの値が500以下である場合(S3033でYES)、磁気センサ700が検出している磁気検出値を取得する(S3002)。
次に、磁気検出値取得カウンタの値が500であるか否かを判定する(S3034)。磁気検出値取得カウンタの値が500である場合(S3034でYES)、磁気検出値の平均値を算出し(S3004)、算出した磁気検出値の平均値を、磁気基準値に設定する(S3005)。続いて、磁気検出値取得カウンタに1を加算し(S3006)、本処理を終える。
つまり、第2の実施形態では、磁気検出値取得カウンタの値が、250超過、500以下の範囲内である場合に(S3032およびS3033でともにYES)、磁気検出値の取得(S3002)が行われる。一方、磁気検出値取得カウンタの値が250以下である場合(S3032でNO)、または、磁気検出値取得カウンタの値が500を超過している場合(S3033でNO)、本処理では、磁気検出値の取得(S3002)が行われることはない。すなわち、第2の実施形態の磁気基準値設定処理(S109)では、電源投入後の1sec経過後から2sec経過以前までの1sec間の磁気検出値に基づいて磁気基準値が算出される。
[駆動制御処理]図42に示すように、第2の実施形態の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、まず、非動作フラグがOFFであるか否かを判定する(S4330)。非動作フラグは、後に説明する受信コマンド解析処理(S4501)で主制御基板80から磁気基準値設定開始コマンドを受信したときにONになるフラグである。
非動作フラグがOFFである場合(S4330でYES)、次に、初期動作フラグがOFFであるか否かの判定を行う(S4301)。初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)、初期動作処理を行い(S4307)、本処理を終える。
一方、非動作フラグがOFFでない場合、すなわち非動作フラグがONであれば(S4330でNO)、非動作カウンタに1を加算し(S4331)、非動作カウンタの値が3000であるか否かの判定を行う(S4332)。第2の実施形態において、非動作カウンタは、RAM94に設けられており、サブ制御メイン処理のその他の初期設定(S4003)において「1」に設定されている。非動作カウンタの値が3000である場合(S4332でYES)、非動作フラグをOFFにし(S4333)、本処理を終える。一方、非動作カウンタの値が3000でない場合(S4332でNO)、非動作フラグをOFF(S4333)にすることなく、本処理を終える。
すなわち、非動作フラグがONとなった後、3secの間、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)が動作することのない状態とされる。すなわち、第2の実施形態では、非動作フラグがOFFであるときには、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部が演出に伴って動作可能であるとともに、初期動作についても可能な通常モードとなる。これに対し、非動作フラグがONとなることにより、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部が動作することのない非動作モードに移行する。
[受信コマンド解析処理]図43に示すように、第2の実施形態の演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4501)において、主制御基板80から磁気基準値設定開始コマンドを受信したか否か判定し(S4620)、受信していれば非動作フラグをONにする(S4621)。
つまり、第2の実施形態の演出制御用マイコン91は、電源投入後、まず、遊技制御用マイコン81がセットした磁気基準値設定開始コマンドを受信するため、非動作モードに移行する。その移行後3secが経過したときには、非動作モードから通常モードへと切り替わる。そして、遊技制御用マイコン81は、前述したように、電源投入後の1sec経過後から2sec経過以前までの1sec間の磁気検出値に基づいて磁気基準値を算出する。すなわち、第2の実施形態の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値を、演出制御用マイコン91によって非動作モードに設定されている間の磁気検出値に基づいて算出することができる。
このため、第2の実施形態においても、磁気基準値として適切な値が設定されている。従って、磁気検出値の許容範囲の上限である磁気上限値についても適切な値となっているため、不正行為が開始された時刻においては、磁気検出値が、磁気上限値を超えて許容範囲外となる。これにより、第2の実施形態においても、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能である。
また、第2の実施形態においても、磁気検出値取得カウンタを磁気基準値設定処理(S109)において加算しつつ(S3006)、その値が250を超えたときに(S3032でYES)、磁気基準値の算出に用いる磁気検出値の取得(S3002)を開始している。さらに、磁気検出値取得カウンタは、電源投入時処理(S001)のその他の初期設定(S022)において「1」に設定されている。すなわち、第2の実施形態においても、磁気基準値を算出するための磁気基準値の取得を、電源投入に基づいて開始している。このため、電源投入後の初期(すなわち、初期動作が行われるような電源投入後の早い段階)に、磁気基準値を適切に設定することができる。これにより、電源投入後、ただちに、磁力による不正行為を正確に検知できる状態とすることができる。
次に、第2の実施形態の変更例について説明する。具体的に、第2の実施形態の変更例としては、例えば、以下の「変更例2−1」、「変更例2−2」が挙げられる。よって、これら2つの変更例について順に説明する。
「変更例2−1」について
変更例2−1においても、基本的な機器の構成等については上記の第2の実施形態と同様である。このため、変更例2−1については、上記の第2の実施形態の説明とは異なる点について説明する。すなわち、上記の第2の実施形態において、演出制御用マイコン91は、非動作モードから通常モードへと移行する条件が、非動作カウンタの値が所定値になったこと、すなわち予め定めた時間の経過により成立している。これに対し、変更例2−1において、演出制御用マイコン91は、非動作モードから通常モードへと移行する条件が、遊技制御用マイコン81が磁気基準値の算出に用いる磁気基準値の取得終了後にセットするコマンドの受信に基づいて成立する。このような変更例2−1では、磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)が、上記の第2の実施形態と異なる。変更例2−1の磁気基準値設定処理(S109)、駆動制御処理(S4203)、受信コマンド解析処理(S4501)について、それぞれ図44、図45、図46により説明する。
[磁気基準値設定処理]図44に示すように、変更例2−1の遊技制御用マイコン81は、磁気基準値設定処理(S109)において、磁気基準値の設定(S3005)後、磁気基準値設定終了コマンドをセットする(S3007)。セットされた磁気基準値設定終了コマンドは、次の出力処理(S101)において、サブ制御基板90へと出力される。
[駆動制御処理]図45に示すように、変更例2−1の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、非動作フラグがONであれば(S4330でNO)、本処理を終える。つまり、非動作モードであるため、初期動作処理(S4307)等が行われることはない。
[受信コマンド解析処理]図46に示すように、変更例2−1の演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4501)において、主制御基板80から磁気基準値設定終了コマンドを受信したか否か判定し(S4614)、受信していれば非動作フラグをOFFにする(S4622)。
そして、変更例2−1においても、遊技制御用マイコン81は、磁気基準値を、演出制御用マイコン91によって非動作モードに設定されている間の磁気検出値に基づいて算出することができる。演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81が磁気基準値の算出に用いる磁気基準値の取得を開始する前に、磁気基準値設定開始コマンドの受信によって非動作モードとなる。さらに、演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81が磁気基準値の算出に用いる磁気基準値の取得を終了した前に、磁気基準値設定終了コマンドの受信によって通常モードとなるからである。よって、変更例2−1においても、磁気基準値を適切に設定することができるため、磁力による不正行為を正確に検知可能である。また、本変更例2−1においても、初期動作が行われる前の、電源投入後の極めて初期に、磁気基準値を適切に設定することができる。このため、変更例2−1においても、電源投入後ただちに、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能である。
「変更例2−2」について
上記の第2の実施形態では、遊技制御用マイコン81は、磁気基準値を算出するための磁気基準値の取得を、電源投入に基づいて開始している。これにより、磁気基準値の設定を、電源投入後の初期に行うものとしている。これに対し、変更例2−2では、電源投入後の初期だけでなく、電源投入後、ある程度の時間が経過したような場合にも、磁気基準値の設定を行うことが可能である。すなわち、変更例2−2の遊技制御用マイコン81は、前枠53、内枠52、外枠51の開閉操作が行われた後にも、磁気基準値の設定を行う。
具体的に、変更例2−2の遊技制御用マイコンは、メイン側タイマ割り込み処理(S005)のその他の処理(S111)において、前枠53と内枠52とが開状態から閉状態となる閉動作が行われた否かを判定するとともに、内枠52と外枠51とが開状態から閉状態となる閉動作が行われた否かについても判定する。前枠53と内枠52との閉動作は、前枠開放検出センサ56の検出状態によって判定可能である。内枠52と外枠51との閉動作は、内枠開放検出センサ57の検出状態(ON、OFF)によって判定可能である。
そして、前枠53と内枠52との閉動作、内枠52と外枠51との閉動作のいずれかが検出された場合に、磁気検出値取得カウンタの値を「1」に設定する。よって、変更例2−2では、前枠53、内枠52、外枠51の閉動作後の磁気基準値設定処理(S109)において、磁気検出値カウンタの値が250を超えたときに、磁気基準値を算出するための磁気基準値の取得(S3002)を開始する。そして、変更例2−2の演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4203)において、非動作フラグをOFF(S4333)とするとともに、非動作カウンタを「0」に設定する。これにより、変更例2−2の演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81が前枠53、内枠52、外枠51の開閉操作を条件に磁気基準値の取得(S3002)を行っている間にも、非動作モードに切り替わる。よって、変更例2−2においても、磁気基準値を適切に設定することができるため、磁力による不正行為を正確に検知可能である。
そして、変更例2−2においては、前枠53、内枠52、外枠51の開閉操作が行われたときの周囲の環境の磁気状態にあわせて、磁気基準値を設定することができる。よって、変更例2−2においては、パチンコ遊技機1の周囲の磁気状態が電源投入後に変化するような場合であっても、その開閉操作が行われる度に、そのときの磁気状態に合わせて適切な磁気基準値を設定することができる。
以上詳細に説明したように、第2の実施形態およびその変更例に係るパチンコ遊技機1は、電源スイッチ155、遊技制御用マイコン81、演出制御用マイコン91を有している。また、演出制御用マイコン91には、演出に伴って動作する枠可動体600、盤可動体15の各駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)が接続されている。さらに、遊技制御用マイコン81には、磁気検出領域701の磁界に応じた磁気検出値を検出する磁気センサ700が接続されている。磁気センサ700の磁気検出領域701は、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部の動作に伴って発生する各磁界の発生領域の少なくとも一部を含んでいる。また、遊技制御用マイコン81は、磁気センサ700の磁気検出値が、磁気基準値を基準として設けられた許容範囲外であるとき(すなわち磁気上限値よりも高いとき)に、磁気異常を検知する。さらに、遊技制御用マイコン81は、磁気基準値の設定に用いる磁気基準値の取得を開始する前に、磁気基準値設定開始コマンドをセットし、これをサブ制御基板90に出力する。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、各駆動部の動作モードとして、各駆動部が演出に伴う動作や初期動作が可能な通常モードと、各駆動部に動作を行わせることがない非動作モードとを設定可能である。そして、演出制御用マイコン91は、磁気基準値設定開始コマンドの受信に基づいて、非動作モードに切り替わり、非動作モード中に予め定めた動作条件が成立したときに、通常モードに切り替わる。これにより、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能な遊技機が提供されている。
なお、上記で説明した第1の実施形態や第2の実施形態、およびこれらの変更例に係る構成同士は、適宜組み合わせることも可能である。
また上記では、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部だけが、磁気センサ700の磁気検出値に影響する磁界を生じさせる構成のものとして説明している。しかし、磁気センサ700の磁気検出値に影響する磁界を生じさせる駆動構成がその他にもある場合、その駆動構成の制御についても、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部と同様にすればよい。磁気センサ700の磁気検出値に影響する磁界を生じさせる駆動構成としては、例えば、枠可動体600、盤可動体15の各駆動部の他にも、スピーカ67、発射モータ113等が挙げられる。
すなわち、例えば、スピーカ67の動作時(音楽、音声、効果音などの音の発生時)に磁界が生じ、その磁界が磁気センサ700の磁気検出領域701に含まれる場合には、スピーカ67の動作についても、上記で説明した枠可動体600、盤可動体15の各駆動部と同様にすればよい。具体的に、第1の実施形態のスピーカ67にも初期動作を行わせる場合において、遊技制御用マイコン81は、スピーカ67の初期動作の非実行中に取得した磁気検出値に基づいて、磁気基準値を設定すればよい。すなわち、例えば、第1の実施形態において、演出制御用マイコン91は、スピーカ67の初期動作を、基準期間(磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得期間)の経過後に開始させることとすればよい。また例えば、第2の実施形態において、演出制御用マイコン91は、非動作モード中には、スピーカ67の動作についても行わないようにすればよい。
また上記では、磁気異常検知処理(S110)において、許容範囲外の磁気検出値が1つでも検出された場合には、磁気異常を検知することとしている。しかし、磁気センサ700の検出値は必ずしもすべてが正確なものであるとは限らない。つまり、磁気センサ700の検出値には、ノイズが含まれること等により、誤差が存在する場合がある。よって、例えば、許容範囲外の磁気検出値が、予め定めた所定数、連続して検出された場合に、磁気異常と検知するものとしてもよい。また例えば、連続する所定数の磁気検出値のうち、許容範囲外の磁気検出値の数が許容範囲内の磁気検出値の数よりも多かった場合に、磁気異常を検知するものとしてもよい。また例えば、連続する所定数の磁気検出値の平均値が、許容範囲外である場合に、磁気異常を検知するものとしてもよい。
また上記では、磁気異常検知処理(S110)において、磁気検出値が許容範囲外であることにより磁気異常が検知された場合(S3102でNO)の対処として、発射モータ113の駆動の制限(S3103)と、磁気異常の報知(S3104)とのみを行うこととしている。しかし、磁気異常が検知された場合に適切なその他の対処を行うことも可能である。例えば、磁気異常が検知された場合には、これが解除されるまで、メイン側タイマ割り込み処理(S005)における一部の処理を行わないようにしてもよい。具体的には、始動口センサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、特定領域センサ検出処理(S107)を行わないようにしてもよい。磁力を用いた不正行為により利益を得ることを防止することができるからである。また、当然、磁気異常の検知時には、上記の対処を適宜組み合わせて行うこととしてもよい。
また上記では、磁気基準値設定処理(S109)における、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得(S3002)、磁気基準値の算出(S3004)、磁気基準値の設定(S3005)をいずれも、初期動作が行われる期間外に行っている。しかし、磁気基準値の算出(S3004)や設定(S3005)については、初期動作が行われる期間内に行うことも可能である。すなわち、磁気基準値を算出するための磁気検出値の取得(S3002)を初期動作が行われる期間外に行えば、磁気基準値を正確に設定可能である。
また上記では、磁気センサ700の位置を、上下方向および左右方向について画像表示装置7の中央付近に、前後方向について画像表示装置7の後方に配置されている者として説明した。しかし、磁気センサ700の配置位置は、これに限られるものではなく、適宜、調整可能である。また、磁気センサ700の磁気検出領域701の大きさについても、単なる一例を示したにすぎず、異なる大きさのものを用いることもできる。また、磁気センサ700の個数は当然、1つに限られるものではなく、適宜、複数の磁気センサを設けることとしてもよい。
また上記では、磁気基準値の初期値(初期設定値)を「1」としている。しかし、磁気基準値の初期値を「1」以外の値としてもよい。例えば、磁気基準値の初期値は、予めパチンコ遊技機1の出荷前に電源投入を行い、その際の磁気基準値設定処理(S109)で設定(S3005)された値としてもよい。
また上記では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域をRAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。また上記では、本発明を適用したパチンコ遊技機の例について説明している。しかし、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)に本発明を適用することも可能である。
10.上記した実施の形態に示されている発明
上記した第1の実施形態、第2の実施形態およびこれら実施形態の変更例には、以下の手段1〜10の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
手段1に係る発明(第1の実施形態およびその変更例)は、
機内へ電力が供給される供給状態と機内への電力の供給が遮断された遮断状態とで切り替える電力切替部(電源スイッチ155)と、
遊技の進行に伴って行われる演出に伴って動作する駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)と、
前記駆動部の動作に伴って磁界が発生する磁界発生領域の少なくとも一部を含む領域を検出領域(磁気検出領域701)とし、前記検出領域の磁界に応じた磁気検出値を検出する磁気検出手段(磁気センサ700)と,
前記遮断状態から前記供給状態となった後の所定期間内に、前記駆動部に初期動作を行わせる初期動作実行手段(初期動作処理(S4307)を実行するサブ制御基板90)と、
前記磁気検出値が、基準値を基準として設けられた許容範囲外であるときに磁気異常を検知する磁気異常検知手段(磁気異常検知処理(S110)を実行する主制御基板80)と、
前記所定期間内の前記初期動作の非実行中における前記磁気検出値に基づいて、前記基準値を設定する基準設定手段(図20、図32、図35、図38のいずれかの磁気基準値設定処理(S109)を実行する主制御基板80)と、を有することを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、磁気異常検知の基準値を、初期動作の非実行中の磁気検出値に基づいて行うことが可能である。このため、基準値を、駆動部の初期動作に伴って発生する磁界の影響を受けることなく正確に設定可能である。よって、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能である。また、遮断状態から供給状態となった後、すなわち電源投入後の早い段階で、基準値の設定が可能である。このため、磁力を用いた不正行為の正確な検知を、電源投入後の早期から正確に行うことが可能である。
手段2に係る発明(第1の実施形態)は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記初期動作実行手段は、
前記初期動作を、前記所定期間内に設定された基準期間が経過した後に開始するもの(図25の駆動制御処理(S4203)で初期カウンタの値が2000以上となったときに(S4306でYES)初期動作処理(S4307)を実行するサブ制御基板90)であり、
前記基準設定手段は、
前記基準期間における前記磁気検出値に基づいて、前記基準値を設定するもの(図20の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が250以下であるときに(S3001でYES)磁気検出値を取得し(S3002)、その平均値により磁気基準値の設定を行う(S3004,S3005)主制御基板80)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値として初期動作の開始前のものを用いることで、正確な不正行為の検知を、より早期に行える状態とすることが可能である。
手段3に係る発明(変更例1−1)は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記磁気異常検知手段および前記基準設定手段を有するとともに、前記磁気検出手段が接続されており、遊技の進行を制御するメイン制御部(主制御基板80)と、
前記初期動作実行手段を有するとともに、前記駆動部が接続されており、前記演出を制御するサブ制御部(サブ制御基板90)と、を有し、
前記メイン制御部は、
前記磁気検出手段により、前記基準設定手段の前記基準値の設定に用いられる前記磁気検出値の検出が終了した後、前記サブ制御部に終了コマンドを送信する終了送信手段(図32の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が250のときに(S3003でYES)磁気基準値設定終了コマンドをセットする(S3007)主制御基板80)を有し、
前記初期動作実行手段は、
前記初期動作を、前記サブ制御部が前記終了コマンドを受信したことに基づいて開始するもの(図34の受信コマンド解析処理(S4501)で磁気基準値設定終了コマンドを受信していれば(S4614でYES)初期動作フラグをONし(S4602)、図33の駆動制御処理(S4203)で初期動作フラグがONであれば(S4301でNO)初期動作処理(S4307)を実行するサブ制御基板90)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値として初期動作の開始前のものを用いることで、正確な不正行為の検知を、より早期に行える状態とすることが可能である。
手段4に係る発明(変更例1−2)は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記初期動作実行手段は、
前記初期動作を開始後、開始した初期動作を前記所定期間内に設定された基準期間中、中断するとともに、中断した前記初期動作を前記基準期間の経過後に再開するもの(図36の駆動制御処理(S4203)で初期カウンタの値が4000以下(S4310でYES)、または、7000以上(S4311でYES)のどちらかであるときに初期動作処理(S4307)を実行するサブ制御基板90)であり、
前記基準設定手段は、
前記基準期間における前記磁気検出値に基づいて、前記基準値を設定するもの(図35の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が1250超過、1500以下の範囲内であるときに(S3010およびS3011でともにYES)磁気検出値の取得を行う(S3002)主制御基板80 )であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値として初期動作の終了前のものを用いることで、正確な不正行為の検知を、早期に行える状態とすることが可能である。
手段5に係る発明(変更例1−3)は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記磁気異常検知手段および前記基準設定手段を有するとともに、前記磁気検出手段が接続されており、遊技の進行を制御するメイン制御部(主制御基板80)と、
前記初期動作実行手段を有するとともに、前記駆動部が接続されており、前記演出を制御するサブ制御部(サブ制御基板90)と、を有し、
前記メイン制御部は、
前記磁気検出手段により、前記基準設定手段の前記基準値の設定に用いられる前記磁気検出値の検出が終了した後、前記サブ制御部に終了コマンドを送信する終了送信手段(図38の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が1500のときに(S3012でYES)磁気基準値設定終了コマンドをセットする(S3007)主制御基板80)を有し、
前記初期動作実行手段は、
前記初期動作を開始後、開始した初期動作を前記所定期間内に設定された基準タイミングよりも前に中断するとともに、中断した前記初期動作を前記サブ制御部が前記終了コマンドを受信したことに基づいて再開するもの(図39の駆動制御処理で初期カウンタの値が4000以下(S4310でYES)のときと、初期カウンタの値が4000を超過して(S4310でNO)初期動作中断フラグがOFF(S4322でYES)のときとに初期動作処理(S4307)を行うとともに、初期動作中断フラグを、初期カウンタの値が4000のときにONし(S4321)、図40の受信コマンド解析処理(S4501)で磁気基準値設定終了コマンドを受信していれば(S4614でYES) 初期動作中断フラグをOFFする(S4615)サブ制御基板90)であり、
前記基準設定手段は、
前記基準タイミング以降における前記磁気検出値に基づいて、前記基準値を設定するもの(図38の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が1250超過、1500以下の範囲内であるときに(S3010およびS3011でともにYES)磁気検出値の取得を行う(S3002)主制御基板80)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値として初期動作の終了前のものを用いることで、正確な不正行為の検知を、早期に行える状態とすることが可能である。
手段6に係る発明(第2の実施形態およびその変更例)は、
機内へ電力が供給される供給状態と機内への電力の供給が遮断された遮断状態とで切り替える電力切替部(電源スイッチ155)と、
遊技の進行を制御するメイン制御部(主制御基板80)と、
遊技の進行に伴って行われる演出を制御するサブ制御部(サブ制御基板90)と、
前記サブ制御部に接続され、前記演出に伴って動作する駆動部(左側枠可動体駆動部500L、右側枠可動体駆動部500R、上側盤可動体駆動部510U、左下盤可動体駆動部510L、右下盤可動体駆動部510R)と、
前記メイン制御部に接続され、前記駆動部の動作に伴って磁界が発生する磁界発生領域の少なくとも一部を含む領域を検出領域(磁気検出領域701)とし、前記検出領域の磁界に応じた磁気検出値を検出する磁気検出手段(磁気センサ700)と、を有し、
前記サブ制御部は、
前記駆動部の動作を制御する駆動制御手段(図42または図45の駆動制御処理(S4203)または初期動作処理(S4307)の実行)を有するものであり、
前記メイン制御部は、
前記磁気検出値が、基準値を基準として設けられた許容範囲外であるときに磁気異常を検知する磁気異常検知手段(磁気異常検知処理(S110)の実行)と、
予め定めた取得条件が成立したことに基づいて前記磁気検出値を取得し、取得した前記磁気検出値に基づいて前記基準値を設定する基準設定手段(図41または図44の磁気基準値設定処理(S109)の実行)と、
前記基準設定手段が前記基準値の設定に用いる前記磁気検出値の取得を開始する前に、前記サブ制御部に開始コマンドを送信する開始送信手段(図41または図44の磁気基準値設定処理(S109)での磁気基準値設定開始コマンドのセット(S3031))と、を有し、
前記駆動制御手段は、
前記駆動部の制御モードとして、前記駆動部に動作を行わせることが可能な通常モード(図42または図45の駆動制御処理(S4203)で非動作フラグがOFFのとき(S4330でYES)に盤可動体15の駆動部の動作(S4303)、枠可動体600の駆動部の動作(S4305)、初期動作処理(S4307)が可能な状態)と前記駆動部に動作を行わせることがない非動作モード(図42または図45の駆動制御処理(S4203)で非動作フラグがOFFのとき(S4330でNO)に盤可動体15の駆動部の動作(S4303)、枠可動体600の駆動部の動作(S4305)、初期動作処理(S4307)が不可能な状態)とを設定可能であるとともに,
前記通常モード中に前記サブ制御部が前記開始コマンドを受信したことに基づいて、前記非動作モードに切り替わり(図43または図46の受信コマンド解析処理(S4501)で磁気基準値設定開始コマンドを受信していれば(S4620でYES)非動作フラグをONする(S4621))、
前記非動作モード中に予め定めた動作可能条件が成立したときに、前記通常モードに切り替わるものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動制御手段は、磁気異常検知の基準値の設定に用いる磁気検出値の取得前に、非動作モードに設定される。このため、駆動部の動作に伴って発生する磁界の影響を受けることのない状態で、基準値の設定に用いる磁気検出値の取得を開始可能である。これにより、基準値を、正確に設定可能である。よって、磁力を用いた不正行為を正確に検知可能である。
手段7に係る発明(第2の実施形態)は、
手段6に記載の遊技機であって、
前記駆動制御手段は、
前記非動作モードに切り替えてから予め定めた停止時間が経過したときに,前記動作可能条件が成立するもの(図42の駆動制御処理(S4203)で非動作カウンタが3000のときに非動作フラグをOFFする(S4333)サブ制御基板90)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値の取得を、駆動部の動作に伴って発生する磁界の影響を確実に受けることのない状態で実施可能である。
手段8に係る発明は(変更例2−1)、
手段6に記載の遊技機であって、
前記メイン制御部は、
前記基準設定手段が前記基準値の設定に用いる前記磁気検出値の取得を終了した後、前記サブ制御部に終了コマンドを送信する終了送信手段(図44の磁気基準値設定処理(S109)で磁気検出値取得カウンタの値が500のときの(S3034でYES)磁気基準値設定終了コマンドのセット(S3007))を有し、
前記駆動制御手段は、
前記サブ制御部が前記終了コマンドを受信したことに基づいて,前記動作可能条件が成立するもの(図46の受信コマンド解析処理(S4501)で磁気基準値設定終了コマンドを受信していれば(S4614でYES)非動作フラグをOFFする(S4622)サブ制御基板90)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、基準値の設定に用いる磁気検出値の取得を、駆動部の動作に伴って発生する磁界の影響を確実に受けることのない状態で実施可能である。
手段9に係る発明(第2の実施形態)は、
手段6から手段8までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記基準設定手段は、
前記遮断状態から前記供給状態への切り替わりに基づいて、前記取得条件が成立するもの(電源投入時処理(S001)のその他の初期設定(S022)で磁気検出値取得カウンタの値を1に設定する主制御基板80)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、遮断状態から供給状態となった後、すなわち電源投入後、駆動部が初期動作を行うような早い段階であっても、磁気異常検知の基準値を正確に設定可能である。これにより、磁気異常検知手段による正確な磁気異常の検知を、電源投入後の早期に開始することが可能である。
手段10に係る発明(変更例2−2)は、
手段6から手段9までのいずれかに記載の遊技機であって、
機内の少なくとも一部の内部領域を外部に開放する開状態と前記内部領域を機外の空間から隔てる閉状態とをとることが可能な開閉部(前枠53、内枠52)を有し、
前記メイン制御部は、
前記開閉部が前記開状態から前記閉状態となった閉動作を検出する閉動作検出手段(前枠開放検出センサ56、内枠開放検出センサ57)を有し、
前記基準設定手段は、
前記閉動作検出手段が閉動作を検出したことに基づいて、前記取得条件が成立するもの(メイン側タイマ割り込み処理(S005)のその他の処理(S111)で、前枠53と内枠52、内枠52と外枠51とが開状態から閉状態となる閉動作が行われたときに磁気検出値取得カウンタの値を1に設定する主制御基板80)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、開閉部が開状態から閉状態となったことに基づいて、磁気異常検知の基準値を設定可能である。このため、開閉部が開状態から閉状態となったときの遊技機における磁気状態に合わせて、基準値を正確に設定可能である。