JP6615582B2 - 液体輸送システム - Google Patents

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Description

本発明は、液体輸送システムに関し、より詳細には、負圧力を使用して任意の液体を高所に輸送するためのシステムに関する。
従来、高圧ポンプを使用して水を高所に輸送する揚水装置が広く用いられている(例えば、特許文献1)。
一方で、樹木は地下から先端の葉まで導管を通して水を汲み上げていることが知られているが、樹木の中にはセコイアの樹のように高さが100mを越えるものもあり、吸い上げ式ポンプの高さの限界が10mであることからすると、樹木が水を10mを超える高所に汲み上げる現象の説明がつかない。
特開平5−171661号公報
本発明は、負圧力を使用して任意の液体を高所に輸送するための新規なシステムを提供することを目的とする。
本発明者は、樹木が導管を通して水を高所に汲み上げる現象を工学的に再現すべく長年にわたって検討を重ねてきた。その結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、液体を高所に輸送するための液体輸送システムであって、
輸送する液体の所定量を貯留するための容器であって、開放容器として構成される、液体供給容器と、
前記液体供給容器に前記輸送する液体の所定量を間欠的に供給する液体供給手段を含む、
輸送された液体を高所において回収するための容器であって、密閉容器として構成される、液体回収容器と、
前記液体供給容器と前記液体回収容器の間を接続する2以上の液体輸送管であって、前記輸送する液体が液柱の状態で移動する細管として構成される、2以上の液体輸送管と、
前記液体回収容器に連通する減圧手段であって、各前記液体輸送管を移動する前記液柱が移動の過程で分断されないように該液体回収容器の圧力を減圧する、減圧手段と、を含み、
各前記液体輸送管の全長にわたって複数のオリフィスが前記液柱の1つの長さよりも短い間隔をおいて設けられることを特徴とする、
液体輸送システムが提供される。
上述したように、本発明によれば、負圧力を使用して任意の液体を高所に輸送するための新規なシステムが提供される。
第1実施形態の液体輸送システムの構成を示す模式図。 対象液体が供給されてから高所において回収されるまでの流れを説明する図。 対象液体が供給されてから高所において回収されるまでの流れを説明する図。 第2実施形態の液体輸送システムの構成を示す模式図。 対象液体が供給されてから高所において回収されるまでの流れを説明する図。 第3実施形態の液体輸送システムの構成を示す模式図。
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である液体輸送システム100の構成を示す模式図である。本実施形態の液体輸送システム100は、負圧力を使用して任意の液体を高所に輸送するためのシステムであり、図1に示すように、液体供給手段10、液体供給容器20、液体輸送管30、液体回収容器40、連通管50、および減圧手段60を含んで構成されている。
液体供給手段10は、輸送の対象となる液体を液体供給容器20に供給するための手段である。以下においては、輸送の対象となる液体を“対象液体”という。本実施形態では、液体供給手段10から液体供給容器20に対して所定量の対象液体を間欠的に供給する。
液体供給容器20は、液体供給手段10から供給された所定量の対象液体を一時的に貯留するための容器であり、開放容器として構成される。ここで、開放容器とは、貯留された液体の液面の圧力を大気圧に維持する容器を意味する。
液体回収容器40は、対象液体を高所において回収するための容器であり、密閉容器として構成される。液体回収容器40の底部には、排液管42が接続されており、バルブ44を開放することによって、液体回収容器40内に回収された対象液体を取り出すことができるようになっている。
液体輸送管30は、液体供給容器20に貯留された対象液体を高所に設置される液体回収容器40まで輸送するための細管であり、好ましくは可撓性材料で形成され、対象液体の輸送距離に応じた長さを有している。液体輸送管30は、管内に導入された対象液体を液柱の状態に維持することができる程度の微小径を有しており、対象液体が水の場合は、液体輸送管30は、好ましくは2.5mm以下の径を有する。液体輸送管30の一方の端は、液体供給容器20に接続され、他方の端は、液体回収容器40の上部空間に接続される。そして、液体回収容器40の上部空間に臨む液体輸送管30の先端部には、オリフィス32が設けられる。なお、液体輸送管30の先端部にオリフィス32を設ける理由については後述する。
減圧手段60は、液体輸送管30が接続される液体回収容器40の圧力を減圧することにより、液体輸送管30に導入された対象液体が秒速数ミリ程度の移動速度で液体輸送管30を等速移動するような負圧力を与えるための手段である。
本実施形態における減圧手段60は、バルブ61を備える密閉容器62と、密閉容器62の底部に接続される排液管64と、排液管64の流量を調整する手段であるバルブ65と、排液回収容器68を含んで構成されている。密閉容器62の内部には、任意の液体が貯留されており、密閉容器62の上部空間と液体回収容器40の上部空間は、連通管50を介して連通している。また、排液管64は、好ましくは可撓性材料で形成され、その排出口は、密閉容器62の底部から所定の距離Aだけ鉛直方向下方の位置に配置される。なお、密閉容器62の底部と排液管64の排出口の鉛直方向の離間距離Aについては後述する。
本実施形態では、対象液体を高所に輸送するに際、バルブ44およびバルブ61を閉じた状態で、バルブ65を少しだけ開いて密閉容器62の内部に貯留された液体を所定の微小流量で排液管64から滴下状態で排出する。液体の排出によって密閉容器62の液面が下がると、ボイルの法則に従って、密閉容器62に連通する液体回収容器40の圧力が減圧される。
排液回収容器68は、排液管64から自然排出された液体を回収するための容器であり、開放容器として構成される。以下においては、密閉容器62に貯留する任意の液体を“循環液体”という。なお、循環液体は、対象液体と同じ液体であってもよいし、別の液体であってもよい。
以上、本実施形態の液体輸送システム100の構成を説明してきたが、続いて、液体供給容器20に対象液体が供給されてから液体回収容器40に回収されるまでの流れを順を追って説明する。
最初に、図2(a)に示すように、液体供給手段10から所定量の対象液体を液体供給容器20に供給する。供給された対象液体は液体供給容器20に接続される液体輸送管30に導入され、図2(b)に示す状態となる。その後、循環液体の排出に伴う密閉容器62の液面降下により、密閉容器62ならびに液体回収容器40に連通する液体輸送管30の圧力が徐々に減圧されるが、対象液体の先端に作用する表面張力によって抵抗力が発生するため、その圧力損失分が減圧されるまでは、図2(b)に示す状態が維持される。
その後、密閉容器62のさらなる液面降下により、対象液体の先端に作用する表面張力による圧力損失分が減圧されると、対象液体は液体輸送管30をゆっくりと上昇し始める。その後、対象液体の後端が液体輸送管30の端部に到達した時点で、今度は、当該後端に作用する表面張力によって抵抗力が発生するため、その圧力損失分がさらに減圧されるまで、図2(c)に示す状態が維持される。
その後、密閉容器62のさらなる液面降下により、対象液体の後端に作用する表面張力による圧力損失分が減圧された時点で、対象液体に加わる重力による圧力、対象液体の前後端に作用する表面張力により発生する抵抗力および液体輸送管30内の摩擦抵抗の合計と、減圧手段60によって与えられる負圧力とが均衡した状態となり、その結果、対象液体は、図2(d)に示すように、液柱の状態で液体輸送管30をゆっくりと上昇し始める。なお、以下においては、液体輸送管30を液柱の状態で移動する対象液体を“液柱L”という場合がある。また、対象液体(液柱L)に加わる重力による圧力、対象液体(液柱L)の前後端に作用する表面張力により発生する抵抗力および液体輸送管30内の摩擦抵抗の合計に相当する損失のことを単に“対象液体(液柱L)に係る圧力損失”という場合がある。
ここで、本実施形態においては、液体供給容器20に対して一回あたりに供給する対象液体の所定量について説明する。
液体輸送管30で輸送しうる液柱Lの長さには上限があり、その理論上の上限値は、大気圧を(対象液体の密度×重力加速度)で除した値として求まる(例えば、水の場合、理論上の上限値は10mである)。したがって、本実施形態においては、液柱Lの長さがその上限を超えないように、液体供給容器20に供給する対象液体の所定量を決めることなる。
具体的には、対象液体の液柱Lの長さの理論上の上限値から圧力損失分を考慮した適切なマージンを減じた値に液体輸送管30の断面積を乗じてなる体積を上限量とし、その上限を超えない範囲で1回あたりに供給する対象液体の所定量を決める。
引き続き、図3を参照して説明を続ける。その後、液体輸送管30に導入された液柱Lは、液体回収容器40に向かって秒速数ミリ程度のゆっくりとした速度で上昇し、液体輸送管30の先端部に到達した時点で、図3(a)に示すように、オリフィス32を通過して液体回収容器40内に放出される。
本実施形態においては、対象液体が液体回収容器40に回収される際の液柱Lの増速を防ぐ目的で液体輸送管30の先端部にオリフィス32が設けられる。仮に、液体輸送管30の先端部にオリフィス32が設けられていない場合を考えると、液体輸送管30の先端から液体回収容器40に対象液体が回収され始めた時点から、回収された対象液体に加わる重力を支える圧力分だけ液体回収容器40の上部空間の圧力の方が、負圧力が大きくなり、その結果、液柱Lの移動速度が急激に増速する。液体輸送管30内で液柱Lの速度が急激に増速すると、液柱Lが細かな液滴に分断されてしまい、分断した複数の液滴が、その表面張力により発生する抵抗力のためにその場で動かなくなる。
この点につき、本実施形態においては、液体輸送管30の先端部に流量を制限するための絞り機構であるオリフィス32を設けているので、対象液体が液体回収容器40に完全に回収されるまで、その移動速度の増速が防止される。なお、オリフィス32に起因する圧力損失は流体密度に比例するため、オリフィス32は、液体輸送管30を移動する液体に対しては増速を防ぐ十分な抵抗として作用するが、液体輸送管30を移動する空気に対しては非常に小さい抵抗としてしか作用せず、本実施形態においては、その影響を無視することができる。
その後、図3(b)に示すように、対象液体が液体回収容器40に完全に回収されると、密閉容器62の圧力は大気圧に戻る。これを受けて、図3(c)に示すように、液体供給手段10から次の対象液体を液体供給容器20に供給する。液体供給容器20に供給された対象液体は、液体輸送管30に導入されて液柱Lとなり、当該液柱Lに係る圧力損失と丁度釣り合う負圧力が減圧手段60によってもたらされた時点で、液柱Lは秒速数ミリ程度のゆっくりとした速度で液体輸送管30を上昇し、液体回収容器40に回収される。以降、上述したサイクルを繰り返すことにより、液体回収容器40に対象液体が溜まっていくので、液体回収容器40の液面が液体輸送管30の先端部より高くなる前に、適時、液体回収容器40が大気圧に戻ったタイミングでバルブ44を開放して、液体回収容器40から対象液体を回収する。
一方、本実施形態においては、対象液体が液体回収容器40に回収される度に、液体輸送管30の全長の容積プラスαの量の循環液体が密閉容器62から排液回収容器68に回収されるので、密閉容器62の液面が排液管64が接続される底部より下に下がる前に、適時、バルブ61を開放して、排液回収容器68に回収された循環液体を密閉容器62の中に戻す。
なお、本実施形態においては、液体供給容器20に対する対象液体の供給、液体回収容器40からの対象液体の回収ならびに密閉容器62への循環液体の戻しは、基本的には人力で行うことが可能であるが、自動制御化してもよいし、その場合は、太陽光や風力などのクリーンエネルギーを利用してもよい。
以上、液体供給容器20に供給した対象液体が液体回収容器40に回収されるまでの流れを説明したが、続いて、図1に基づいて、減圧手段60における密閉容器62の底部から排液管64の排出口までの鉛直方向の距離Aの条件について説明する。
本実施形態においては、輸送の過程で液柱Lの移動速度の増速を回避しなければならない。というのも、移動速度が秒速数ミリを超えて増速すると、液柱Lが細かな液滴に分断されてしまい、分断した複数の液滴が、その表面張力により発生する抵抗力のためにその場で動かなくなるからである。このような事態を回避するためには、液柱Lを秒速数ミリ程度の速度で等速移動させることが必要となる。そして、そのためには、対象液体に係る圧力損失と丁度釣り合うような負圧力を減圧手段60によって発生させる必要がある。
ここで、密閉容器62の底部から排液管64の排出口までの鉛直方向の距離をAとし、密閉容器62中の排液管の高さをh、密閉容器62に貯留される循環液体の密度をρ0、液体輸送管30を移動する対象液体の密度をρ1、液柱Lの長さをB、液体輸送管30中の摩擦損失と対象液体の表面張力による圧力損失の総和をploss1、排液管64(バルブ65を含む)の圧力損失をploss0とすれば、減圧手段60が対象液体に加わる重力による圧力と表面張力などから生じる圧力損失と丁度釣り合うような負圧力を発生しているときの密閉容器62の液面の圧力p0は
p0=―(ρ1・g・B+ploss1)
で表されると同時に、密閉容器62内の循環液体に対して損失を考慮したベルヌーイの式から
p0+ρ0・g・(A+h)=ploss0
が成り立つ。なお、流速が小さいことから、両式において単位体積の流体が持つ運動エネルギーの項は省略してある。
そして、両式より
ρ0・g・A=ρ1・g・B+ploss1+ploss0
A+h=(ρ1・g・B+ploss1+ploss0)/(ρ0・g)
=(ρ1/ρ0)B+(ploss1+ploss0)/(ρ0・g)
=(ρ1/ρ0)B+α
となる。なお、αは排出液の損失ヘッドであり、長さの次元を持つ。
つまり、減圧手段60が対象液体に加わる重力による圧力と表面張力などから生じる圧力損失と丁度釣り合うような負圧力を発生しているときの密閉容器62の底部から排液管64の排出口までの鉛直方向の距離Aと液柱Lの長さBの関係は、
A=(ρ1/ρ0)B+α−h
で表される。ここで、先述したように、液柱Lの長さBは、液体供給容器20に供給する対象液体の体積によって決まるので、結局のところ、1回あたりに供給する対象液体の体積に応じて距離Aを決めればよいことになる。そして、排液管64を可撓性材料で形成すれば、距離Aを簡単に変更することができるので、使いやすいシステムとなる。
以上、減圧手段60における距離Aの条件について説明したが、続いて、図1に基づいて、液体輸送システム100のエネルギー効率について説明する。
液体輸送管30を移動する対象液体の密度をρ1、液体輸送管30の断面積をaとして、液体輸送管30中の液柱の長さをB、輸送する高さをHとすると、減圧に必要な体積を無視した場合、連続の式より、
τ =(B+H)a
τ/(a・B) = 1+H/B
となる。
A+h=(ρ1/ρ0)・B+αであるとすれば、排出される循環液体が失うエネルギーは、
ρ0・τ・g・(A+h)=ρ0・(B+H)a・g・{(ρ1/ρ0)・B+α}
となり、
液体輸送管30内の対象液体が得るエネルギーは
ρ1・a・B・H・g
となるので、エネルギー効率は
{ρ1・a・B・H・g}/[ρ0・(B+H)a・g・{(ρ1/ρ0)・B+α}]
={(ρ1/ρ0)・B・H}/[(B+H)・{(ρ1/ρ0)・B+α}]
=1/[{(B/H)+1}・{1+(ρ0/ρ1)(α/B)}]
となる。
つまり、本実施形態の液体輸送システム100では、B/Hが小さくなるほど、すなわち、液柱の長さBに対して輸送する高さHが大きくなるほど、システムのエネルギー効率が良くなる。
なお、上述した実施形態では、密閉容器62の液面降下によって負圧力を発生させる減圧手段を採用したが、これは、電動ポンプを用いる減圧手段では微小流量を正確に維持することが非常に難しいことによる。この点につき、上述した減圧手段60は、あらかじめ設定する負圧力と微小流量の両者を自由に設定できるところに特長がある。液柱の長さを設定する負圧で持ち上げられる範囲に抑えてあれば、実際に作用する負圧力は、ボイルの法則により、自然に調整される。
また、上述した実施形態では、液柱が液体回収容器40に回収される度に、系全体が大気開放され、密閉容器62の上部空間の容積が増大するので、必要な負圧力を得るために排出する循環液体の体積が増大するが、1つの液柱が液体回収容器40に回収される度に、バルブ61を開放して、排液回収容器68に回収された循環液体を密閉容器62の中に戻すことでこの問題を回避することができる。あるいは、図1右下に示すように、液体供給容器20と液体輸送管30の接続部にオリフィス32を設け、液柱が液体回収容器40に回収される直前(すなわち、系全体が大気開放される直前)に、次の対象溶液を液体供給容器20に供給することでこの問題を回避することができる。後者の方法の場合、液体輸送管30に導入された後続の液柱は、オリフィス32がもたらす抵抗のおかげで、ゆっくりと圧力バランスの位置まで上昇する。
以上、説明したように、本実施形態によれば、負圧力を使用してエネルギー損失少なく任意の液体を高所に輸送することができる
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、専ら、第1実施形態との相違点について説明し、共通する事項については適宜その説明を省略するものとする。
(第2実施形態)
第1実施形態では、液柱Lが液体回収容器40に回収される度に、密閉容器62の圧力が大気圧に戻っていた。この点につき、第2実施形態では、液体輸送管30を使用して同時にN個(Nは2以上の整数)の液柱Lを輸送する。
図4は、第2実施形態の液体輸送システム200の構成を示す模式図である。液体輸送システム200においては、図4に示すように、液体回収容器40の上部空間に臨む液体輸送管30の先端部に設けられるオリフィス32をはじめとして、液体輸送管30の全長にわたって複数のオリフィス32が等間隔に設けられている。ここで、複数のオリフィス32は、同時に輸送する2以上の液柱Lのそれぞれの長さよりも短い間隔をおいて設けられる。さらに、液体輸送システム200においては、液体回収容器40に、内部を大気開放するためのバルブ46が設けられ、液体回収容器40と密閉容器62を分離するためのバルブ51が連通管50に設けられる。
ここで、本実施形態においては、液体輸送管30を同時に移動するN個(Nは2以上の整数)の液柱Lの長さの合計の理論上の上限値は、大気圧を(対象液体の密度×重力加速度)で除した値として求まるので、その理論上の上限値から圧力損失分を考慮した適切なマージンを減じた値Bを液柱の個数Nで除した値B/Nに液体輸送管30の断面積を乗じてなる体積を上限量とし、その上限を超えない範囲で液体供給容器20に1回あたりに供給する対象液体の所定量を決める。
なお、密閉容器62の底部から排液管64の排出口までの鉛直方向の距離をAとし、液体輸送管30を同時に移動するN個の液柱Lの長さの合計をBとし、密閉容器62に貯留される循環液体の密度をρ0、液体輸送管30を移動する対象液体の密度をρ1、排出液の損失ヘッドをαとすると、密閉容器62の底部から排液管64の排出口までの鉛直方向の距離AとBの関係は、
A=(ρ1/ρ0)B+α−h
となる。
続いて、本実施形態の液体輸送システム200において、液体供給容器20に対象液体が供給されてから液体回収容器40に回収されるまでの流れを図5に基づいて順を追って説明する。
本実施形態では、対象液体を高所に輸送するに際、バルブ44、46およびバルブ61を閉じ、バルブ51を開放した状態で、バルブ65を少しだけ開いて密閉容器62の内部に貯留された液体を所定の微小流量で排液管64から滴下状態で排出する。
図5は、液体輸送管30を使用して同時に2個の液柱Lを輸送するケースを示す。図5(a)に示すように、最初の対象液体が液体供給容器20に供給されると、当該対象液体は、液体輸送管30に導入されて液柱L1となる。その後、液柱L1に係る圧力損失と丁度釣り合う負圧力が減圧手段60によってもたらされた時点で、液柱L1が上方へ等速で移動しはじめる。
続いて、図5(b)に示すように、高所まで輸送された液柱L1が液体回収容器40に回収される前に、次の対象液体が液体供給容器20に供給されると、当該対象液体は、液体輸送管30に導入されてL2となる。この時点で液柱L1と液柱L2の移動が一旦停止する。このとき液柱L1と液柱L2の間の空間は大気圧となる。その後、減圧手段60によって、液柱L1に係る圧力損失と液柱L2に係る圧力損失の合計と丁度釣り合う負圧力がもたらされた時点で、液柱L1と液柱L2が上方へ等速で移動しはじめる。
その後、図5(c)に示すように、液柱L1が液体回収容器40に回収され始めた時点から、回収された対象液体に加わる重力を支える圧力分だけ液体回収容器40の上部空間が減圧されることにより、液体回収容器40の圧力が液柱L1と液柱L2の間の空間の圧力より低くなる。
その後、図5(d)に示すように、液柱L1が液体回収容器40に完全に回収されてしまうと、液柱L2に係る圧力損失に対して過大な負圧力が液柱L2に作用する。ただし、本実施形態においては、液体輸送管30の全長にわたって複数のオリフィス32が1つの液柱Lの長さよりも短い間隔をおいて設けられているため、液柱L2は常に少なくとも1つのオリフィス32に接触していることになり、結果として、移動速度の増速が抑制される。
その後、図5(e)に示すように、高所まで輸送された液柱L2が液体回収容器40に回収される前に、次の対象液体が液体供給容器20に供給されると、当該対象液体が液体輸送管30に導入されて液柱L3となる。以降、上述したサイクルを繰り返すことにより、液体回収容器40に対象液体が溜まっていくので、液体回収容器40の液面が液体輸送管30の先端部より高くなる前に液体回収容器40から対象液体を回収する。具体的には、バルブ51を閉じて液体回収容器40と密閉容器62を分離した後にバルブ46を開けて液体回収容器40を大気圧開放し、その後、バルブ44を開けて液体回収容器40から対象液体を回収する。
なお、本実施形態においては、液体輸送管30に同時にN個の液柱Lが存在するように、液体供給容器20に対して、適切な時間間隔で間欠的に対象液体を供給する。例えば、100mの液体輸送管30を使用して同時に20個の液柱Lを輸送するケースでは、液柱Lの移動速度を5mm/sとすると、1つの液柱Lの輸送にかかる時間は20000sになるので、20000÷20=1000s間隔で対象液体を液体供給容器20に供給すればよい。なお、液体供給容器20に対する対象液体の供給は、先述したように、人力で行っても、自動制化してもよいが、本実施形態においては、鹿威しのような単純な装置を用いて対象液体の供給を行うことができる。
また、本実施形態においては、液体輸送管30の全長にわたって設けられた複数のオリフィス32が液柱Lの移動速度の増速を抑制するので、滴下するほどの微小流量を正確に維持しなくてもよくなる。よって、本実施形態においては、既存の電動ポンプへの供給電圧をスライダックで低電圧として、流量を極限的に抑えることができれば、使用可能となる。実例として金魚の水槽用のエアポンプにスライダックで低電圧を供給して、流量を極限まで抑えることにより、利用可能となった。
なお、減圧手段として電動ポンプを使用する場合、液体輸送管30を同時に移動するN個(Nは2以上の整数)の液柱Lの長さの合計の理論上の上限値は、電動ポンプの減圧最大値を(対象液体の密度×重力加速度)で除した値で求まる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、最上位の液柱Lが液体回収容器40に回収された後も、密閉容器62が負圧に維持されるので、液柱の表面張力やオリフィス32に関する圧力損失の増加分を差し引いても、システム全体で見れば、エネルギー損失が小さくなる。また、液体供給容器20に対象液体を供給するタイミングについて過度な厳密さが求められないので、対象液体を連続して間欠的に供給するシステムの構築が容易になる。
以上、本発明の第2実施形態について説明してきたが、続いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、専ら、第2実施形態との相違点について説明し、共通する事項については適宜その説明を省略するものとする。
(第3実施形態)
第2実施形態では、全長にわたって複数のオリフィス32が設けられた1本の液体輸送管30に対して、固有の液体供給容器20、液体回収容器40および減圧手段60を設けていたが、第3実施形態では、複数の液体輸送管30が液体供給容器20、液体回収容器40および減圧手段60を共有する。図6は、第3実施形態の液体輸送システム300の構成を示す模式図である。
図6に示すように、液体輸送システム300は、液体供給手段10、液体供給容器20、M本(Mは2以上の整数)の液体輸送管30、液体回収容器40、連通管50、および減圧手段60を含んで構成されている。本実施形態においては、M本(Mは2以上の整数)の液体輸送管30が1つの液体供給容器20と1つの液体回収容器40を接続しており、液体回収容器40の上部空間と減圧手段60が連通管50を介して連通している。
ここで、本実施形態においては、1本の液体輸送管30を同時に移動するN個(Nは2以上の整数)の液柱Lの長さの合計Bの理論上の上限値から圧力損失分を考慮した適切なマージンを減じた値を液柱の個数Nで除した値に液体輸送管30の断面積を乗じて体積を求め、当該体積に液体輸送管30の本数Mを乗じた値を上限量とし、その上限を超えない範囲で液体供給容器20に1回あたりに供給する対象液体の所定量を決める。また、その一方で、減圧手段60は、N個の液柱Lに係る圧力損失と概ね釣り合う程度の負圧力が発生する。なお、本実施形態においては、減圧手段60として、密閉容器の液面降下によって負圧力を発生させる減圧手段を用いてもよいが、Mを大きな値として、維持すべき流量を増やせば、電動ポンプを用いることがより容易になる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、システム全体の液体の時間当たりの輸送量を増大することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうるその他の実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…液体供給手段
20…液体供給容器
30…液体輸送管
32…オリフィス
40…液体回収容器
42…排液管
44,46…バルブ
50…連通管
51…バルブ
60…減圧手段
61…バルブ
62…密閉容器
64…排液管
65…バルブ
68…排液回収容器
100,200,300…液体輸送システム

Claims (2)

  1. 液体を高所に輸送するための液体輸送システムであって、
    輸送する液体の所定量を貯留するための容器であって、開放容器として構成される、液体供給容器と、
    前記液体供給容器に前記輸送する液体の所定量を間欠的に供給する液体供給手段を含む、
    輸送された液体を高所において回収するための容器であって、密閉容器として構成される、液体回収容器と、
    前記液体供給容器と前記液体回収容器の間を接続する2以上の液体輸送管であって、前記輸送する液体が液柱の状態で移動する細管として構成される、2以上の液体輸送管と、
    前記液体回収容器に連通する減圧手段であって、各前記液体輸送管を移動する前記液柱が移動の過程で分断されないように該液体回収容器の圧力を減圧する、減圧手段と、を含み、
    各前記液体輸送管の全長にわたって複数のオリフィスが前記液柱の1つの長さよりも短い間隔をおいて設けられることを特徴とする、
    液体輸送システム。
  2. 負圧力を使用して液体を高所に輸送する方法であって、
    所定量の液体を貯留する開放容器に前記液体の所定量を間欠的に供給するステップと、
    前記開放容器と高所に設置される密閉容器との間を前記液体が液柱の状態で移動する2以上の細管で接続するステップであって、該細管の全長にわたって複数のオリフィスが前記液柱の1つの長さよりも短い間隔をおいて設けられる、ステップと、
    前記密閉容器の圧力を前記細管を移動する前記液柱が移動の過程で分断されないように減圧するステップと、
    を含む、方法。
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