JP6613944B2 - 鉄系化合物、超伝導線材、及び鉄系化合物の製造方法 - Google Patents

鉄系化合物、超伝導線材、及び鉄系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規の鉄系化合物及びその製造方法に関する。
化学式(Ba1−x)FeAs又は(Sr1−x)FeAsで表される鉄系化合物が知られている。これらの鉄系化合物は、ThCrSi構造(空間群:体心正方晶I4/mmm)の結晶構造を有することが知られている。ここでは、化学式(Ba1−x)FeAsで表される鉄系化合物110を例にして、その結晶構造について説明する。
図10は、鉄系化合物110の結晶構造を示す斜視図である。鉄系化合物110は、BaFeAsのBaサイトの一部をKで置換することによって得られる化合物である。図10に示すように、鉄系化合物110は、第1のBaサイト111と、第2のBaサイト112と、Feサイト113と、Asサイト114とによって構成されている。第1のBaサイト111及び第2のBaサイト112の各々は、x=0であるBaFeAsにおいて、何れもBaが占有するサイトである。なお、鉄系化合物110において第1のBaサイト111と、第2のBaサイト112とは等価なサイトであるが、説明の便宜上、ここでは区別して記載する。
Baサイトを占有するBaの一部をKで置換する場合、Kは、第1のBaサイト111及び第2のBaサイト112の各々を区別しない。したがって、化学式(Ba1−x)FeAsで表される鉄化合物110において、第1のBaサイト111及び第2のBaサイト112の各々は、BaとKとの組成比によって決定される確率に基づいてKに占有されている。すなわち、鉄化合物110において、第1のBaサイト111におけるBaとKとの組成比、及び、第2のBaサイト112におけるBaとKとの組成比は、いずれも1−x:xで等しい。
これは、Baのイオン半径とKのイオン半径とが近いことに起因して、BaとKとがよく混ざり合うためである。鉄系化合物110においては、ThCrSi構造を保ったまま、置換量xを0≦x≦1の範囲内で連続的に変化させることができる。すなわち、鉄系化合物110においては、ThCrSi構造を保ったまま、BaとKとの組成比を、1:0から0:1の範囲内で連続的に変化させることができる。
また、鉄系化合物110は、置換量xが所定の範囲内にある場合に超伝導性を示すことでも知られている。鉄系化合物110において、超伝導臨界温度Tcは、置換量xに大きく依存する。具体的には、(1)置換量xがおよそ0.4(Ba又はSrとKとの組成比がおよそ3:2)である場合に、Tcが最も高くなる((Ba0.60.4)FeAsの場合、Tc〜38K)こと、(2)置換量xが0.4より多くても少なくてもTcは低下すること、が知られている。したがって、所望のTc(多くの場合、最高のTc)を有する鉄系化合物110を再現性よく製造するためには、製造時に置換量xを精密に制御することが求められる。
また、これらの鉄系化合物110は、パウダーインチューブ法を用いて粉体から線材へ加工することができるため、超伝導線材用の材料として有望視されている。パウダーインチューブ法とは、超伝導性化合物の粉体を金属管に充填した後に、その金属管を圧延により引き延ばすことによって長細い線状に加工する方法である。パウダーインチューブ法は、超伝導線材を製造するために多く用いられている方法である。非特許文献1,2には、パウダーインチューブ法を用いて作製した(Ba1−x)FeAsの超伝導線材が記載されている。
Qing-Ping Ding et.al., SUPERCONDUCTOR SCIENCE AND TECHNOLOGY, 25 (2012) 035019. J. D. Weiss et. al., NATURE MATERIALS, VOL.11, p.682, AUGUST2012.
しかしながら、化学式(Ba1−x)FeAs又は(Sr1−x)FeAsで表される鉄系化合物において、Ba及びK、或いは、Sr及びKの高い蒸気圧に起因して、Ba及びK、或いは、Sr及びKが製造時に蒸発しやすく、且つ、それぞれの蒸発の度合いが異なる。このため、鉄系化合物を製造するために同じ仕込み組成比を用いたとしても、製造するたびに置換量x、すなわちTcがばらつくという問題が生じる。言い換えれば、所望のTcを有する鉄系化合物を再現性よく製造することが難しいという問題を有する。非特許文献1,2に示すように、Tcが制御された鉄系化合物が得られたとしても、その化合物粉体を用いて製造された線材の加熱工程で、線材内部の鉄系化合物の置換量xがずれてTcが低下するという問題がある。
上述したように、これらの鉄系化合物のTcは、Ba又はSrとKとの組成比に大きく依存するため、この組成比がばらつきやすいということは、製造した超伝導線材のTcがばらつき、その結果、臨界電流密度Jcなどの線材の性能が大きくばらつくということを意味する。超伝導化合物の実用化を進めるためには、材料や線材の製造工程の多少の条件の違いによらず、安定したTcを有する超伝導性化合物が求められる。
また、非特許文献1,2に記載されているように鉄系化合物を用いて超伝導線材に加工した場合、原因の詳細は解明されていないものの組成比のずれが生じ、結果としてTcが低下することが知られている。上述したように、鉄系化合物において置換量xは、0≦x≦1の範囲内で連続的に変化することができるので、鉄系化合物を製造するたびに置換量xが異なり、結果としてTcが異なるという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、Tcのばらつきを抑制可能であり、且つ、Tcの高い鉄系化合物、鉄系化合物を利用した超伝導線材、及び鉄系化合物の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る鉄系化合物は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物であって、上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、AFeAs層とA’FeAs層とが交互に積層した結晶構造を有し、上記結晶構造の空間群は、単純正方晶P4/mmmである、ことを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る超伝導線材は、金属管と、当該金属管に充填された本発明に係る鉄系化合物とを備えている。
上記の課題を解決するために、本発明に係る鉄系化合物の製造方法は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物の製造方法であって、上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、出発原料である、A、A’、Fe、及びAsの各元素、又は、A、A’、Fe、及びAsを含む各化合物を混合する混合工程と、上記混合工程において混合された混合物を、容器中に密閉した状態で、700℃〜1000℃で加熱する加熱工程とを含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、Tcのばらつきを抑制可能であり、且つ、Tcの高い鉄系化合物及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る鉄系化合物の結晶構造を示す斜視図である。 (a)は、本発明に係る超伝導線材の構成を示す斜視図であり、(b)は、上記超伝導線材の製造工程の一工程である圧延工程の概略図である。 (a)〜(c)の各々は、本発明に係る鉄系化合物の実施例1〜3である鉄系化合物のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフであり、(d)は、比較例1である鉄系化合物のX線回折パターンパターンを示すグラフである。 図3の(b)に示したX線回折パターンをリートベルト法によって解析した結果を示すグラフである。 図3の(a)〜(c)に示した鉄系化合物の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。 (a)〜(b)の各々は、本発明に係る鉄系化合物の実施例4、5のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフであり、(c)は、比較例2である鉄系化合物のX線回折パターンを示すグラフである。 図6の(a)〜(b)に示した鉄系化合物の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。 (a)〜(b)の各々は、本発明に係る鉄系化合物の実施例1、6のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフであり、(c)は、実施例1、6の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。 (a)〜(b)の各々は、比較例1及び比較例3のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフであり、(c)は、比較例1、3の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。 本発明の一比較例に係る鉄系化合物の結晶構造を示す斜視図である。 (a)〜(b)の各々は、本発明に係る鉄系化合物の実施例7、8のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明に係る鉄系化合物の実施例7、8の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。
〔鉄系化合物〕
本発明に係る鉄系化合物は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物であって、上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、AFeAs層とA’FeAs層とが交互に積層した結晶構造を有し、上記結晶構造の空間群は、単純正方晶P4/mmmである。このような組成で、且つ、当該結晶構造を有することで、理由は後述するが、Tcのばらつきが抑制される。従って、Tcが安定した超伝導材料を再現性良く得ることができる。
本発明に係る鉄系化合物において、Aは、Caであり、A’は、K、Rb又はCsであることがより好ましい。つまり、本発明に係る鉄系化合物は、CaKFeAs、CaRbFeAs、又はCaCsFeAsであることがより好ましい。以下において、CaKFeAsのことをCaK1144とも表現し、CaRbFeAsのことをCaRb1144とも表現し、CaCsFeAsのことをCaCs1144とも表現する。
また、本発明に係る鉄系化合物において、Aは、Srであり、A’は、Rb又はCsであることがより好ましい。つまり、本発明に係る鉄系化合物は、SrRbFeAs又はSrCsFeAsであることがより好ましい。SrRbFeAsのことをSrRb1144とも表現し、SrCsFeAsのことをSrCs1144とも表現する。
また、本発明に係る鉄系化合物において、Aは、Euであり、A’は、Rb又はCsであることがより好ましい。つまり、本発明に係る鉄系化合物は、EuRbFeAs又はEuCsFeAsであることがより好ましい。EuRbFeAsのことをEuRb1144とも表現し、EuCsFeAsのことをEuCs1144とも表現する。
〔鉄系化合物の結晶構造〕
本実施形態に係る鉄系化合物の結晶構造について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る鉄系化合物10の結晶構造を示す斜視図である。
図1に示すように、鉄系化合物10は、Aが占有するサイトであるAサイト11と、A’が占有するサイトであるA’サイト12と、Feが占有するサイトであるFeサイト13と、Asが占有するサイトであるAsサイト14とAsサイト15とによって構成されている。鉄系化合物10の場合は、結晶学的に異なる二つのAsサイトが存在する。一方、鉄系化合物110の場合は、Asサイトは一つしか存在しない。AFeAs層16は、Aサイト11とFeサイト13とAsサイト14とによって構成されている。A’FeAs層17は、A’サイト12とFeサイト13とAsサイト15とによって構成されている。
鉄系化合物10において、Aイオンのイオン半径と、A’イオンのイオン半径とは、大きく異なる。このイオン半径の違いに起因して、AイオンがAサイト11を占有した場合、A’サイト12を占有することができず、A’イオンは、A’サイト12を占有し、Aサイト11を占有することができない。このように、Aサイト11と占有するイオンと、A’サイト12を占有するイオンとが異なるため、鉄系化合物10の結晶構造は、AFeAs層15とA’FeAs層16とが規則的に積層した積層構造をとる。その結果、鉄系化合物10が有する結晶構造の空間群は、従来から知られている鉄系化合物110が有する結晶構造の空間群である体心正方晶I4/mmmとは異なり、単純正方晶P4/mmmとなる。
鉄系化合物10においては、上記の結晶構造に起因してAとA’との組成比が1:1に固定されており、それ以外の組成比をとることができない。このことは、BaとKと(又はSrとKと)の組成比を、1:0から0:1の範囲内で連続的にとることができる従来の鉄系化合物110と全く異なり、AとA’との組成比のばらつきを抑制することができるという顕著な効果を奏する。結果として、鉄系化合物10のTcが鉄系化合物10に固有の値に保たれるため、鉄系化合物10を製造するときのTcのばらつきを抑制することができる。すなわち、鉄系化合物10を製造するときの歩留まりや品質の安定性を向上させることができる。
図1に示すような結晶構造を有する化合物は、本発明の鉄系化合物に限らずこれまでに報告例がなく、本願の発明者らが初めて発見した化合物である。
〔製造方法〕
本発明に係る鉄系化合物の製造方法(以下、単に「本発明に係る製造方法」という。)は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物の製造方法であって、上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、 上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、出発原料である、A、A’、Fe、及びAsの各元素、又は、A、A’、Fe、及びAsを含む各化合物を混合する混合工程と、上記混合工程において混合された混合物を、容器中に密閉した状態で、700℃〜1000℃で加熱する加熱工程とを含んでいる。この製造方法によれば、本発明に係る鉄系化合物を好適に製造することができる。
〔出発原料〕
出発原料は、A、A’、Fe、及びAsの各元素、又は、A、A’、Fe、及びAsを含む化合物であればよく、少なくともAAs、A’As、及びFeAsを含むことがより好ましい。AAs、A’As、及びFeAsの各化合物は、高純度な化合物が市販されている。従って、これらの出発原料を用いることによって、本発明の一態様に係る鉄系化合物を現実的な価格で安定供給することができる。例えば、AがCaであり、A’がKである鉄系化合物を製造する場合、すなわち、CaK1144を製造する場合、出発原料としてCaAs、KAs、及びFeAsの組み合わせを採用することができる。なお、AとしてSr及びEuの両方を含む鉄系化合物を得る場合には、AとしてSrを含む出発原料及びAとしてEuを含む出発原料を混合して用いればよい。
出発原料の各々は、粉砕することにより粉体となり得ることが好ましい。出発原料の各々が粉体であることによって、混合工程において均一に混合することが容易になる。
〔混合工程〕
混合工程は、出発原料を混合する工程であればよく、例えば、不活性ガス雰囲気中で実施されることがより好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。不活性ガス雰囲気の環境は、例えばグローブボックス内に不活性ガスを充満させることによって実現できる。不活性ガス雰囲気中で混合工程を実施することにより、出発原料が混合工程において劣化(主には酸化)することを防止することができる。
なお、混合工程において用いる器具は、出発原料を混合可能な器具であれば特に限定されるものではない。例えば、当該器具として乳鉢を用いることができる。
〔加熱工程〕
加熱工程では、混合工程において混合された混合物を、容器中に密閉した状態で、700℃以上、1000℃以下で加熱すればよい。
混合物を密閉するために用いられる容器は、1000℃以上の高温において、混合物に含まれるA、A’、Fe、及びAs、並びに、酸素及び窒素と反応しにくい材料によって構成されていることが好ましい。混合物を密閉する容器の一例として、ステンレス管が挙げられる。混合物を密閉するために、当該ステンレス管の両端は、溶接することによって封止されていてもよいし、市販されている配管用のステンレスキャップを用いることによって封止されていてもよい。ステンレス管の両端を封止するためにステンレスキャップを用いることによって、ステンレス管の溶接が不要になり、混合物の密閉及び製造された鉄系化合物の取り出しを容易に行うことができる。また、ステンレス管と混合物との反応を避けるため、アルミナ坩堝(タンマン管)に混合物を入れて、それをステンレス管に密閉してもよい。
上記加熱工程において加熱のために用いられる炉は、加熱温度を所望の温度に制御可能な炉であればよい。炉の一例として、電気炉を挙げられるがこれに限定されるものではない。また、上記加熱工程において加熱のために用いられる炉は、炉の内部に不活性ガスを流すことができる炉であってもよい。この構成によれば、不活性ガス雰囲気中で加熱工程を実施することができ、加熱工程中に混合物を入れた容器が劣化することを防止できる。
上記加熱工程における加熱温度は、A及びA’の各々としてどの元素を選択するかに応じて、表1に示した温度範囲内において変化させることが好ましい。なお、表1に示した好ましい加熱温度は、鉄系化合物の製造工程を実施する環境等に依存して変化し得る。したがって、表1に示した温度範囲は、好ましい加熱温度のあくまでも一例であって、これに限定されるものではない。
Figure 0006613944
加熱工程における加熱時間は、1時間以上であることが好ましい。加熱時間を1時間以上とすることで、出発原料同士の反応を十分に進めることができる。また、上記加熱時間は、10時間以下であることが好ましい。加熱時間が1時間以上、10時間以下の範囲内では、加熱時間を長くすることに伴い、製造された試料中の鉄系化合物の純度が高まる傾向にある。10時間を超すと、試料中の鉄系化合物の純度が飽和する場合があるので、10時間以下とすることによって、十分な純度の試料を短時間で得ることができる。
本発明に係る製造方法は、試料に残る未反応の出発原料を減らし、製造された試料中の鉄系化合物の純度を更に向上させるために、加熱工程(1回目の加熱工程とも呼ぶ)の後に、粉砕・混合工程及び繰り返して実施して、その後に2回目以降の加熱工程をさらに行ってもよい。
粉砕・混合工程は、1回目の加熱工程によって得られた鉄系化合物であって、容器から取り出された鉄系化合物を粉砕し、且つ、粉砕された鉄系化合物の粉体を混合する工程である。粉砕・混合工程は、混合工程と同様に不活性ガス雰囲気中で実施されることが好ましい。
2回目以降の加熱工程は、粉砕・混合工程において混合された混合物を、容器中に密閉した状態で、700℃〜1000℃で加熱してもよい。2回目以降の加熱工程で用いる電気炉及び容器としては、1回目の加熱工程で用いる電気炉及び容器と同じものを採用すればよい。なお、2回目以降の加熱工程における加熱時間は、例えば1時間以上10時間以下であることが好ましい。2回目以降の加熱工程における加熱時間を、1時間以上とすることによって、製造された試料中の鉄系化合物の純度を更に高めることができ、10時間以下とすることによって、試料製造に要する時間が無用に長くなくことを防止することができる。
また、本発明に係る鉄系化合物の製造方法において、粉砕・混合工程、及び、粉砕・混合工程後の加熱工程の各々は、1度ずつに限られるものではなく、交互に繰り返されてもよい。
〔秤量工程〕
本発明に係る製造方法は、混合工程の前に、出発原料である各化合物を秤量する秤量工程を含むことがより好ましい。
秤量工程において秤量する出発原料の仕込み組成比は、製造する鉄系化合物、製造方法等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、A:A’:Fe:As=1:1:4:4を基本とすればよい。ただし、以下に述べるようにこれに限定されるものではない。Feのモル数に対する、Aのモル比、A’のモル比、及びAsのモル比は、所定の範囲内において適宜変更することができる。
秤量工程で秤量するAのFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下であり、秤量するA’のFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下である、ことが好ましい。
本発明に係る鉄系化合物では、Aのイオン半径とA’のイオン半径とが大きく異なる。そのため、A’がAサイトに配置されることはなく、且つ、AがA’サイトに配置されることはない。従って、秤量した出発原料の仕込み組成比がA:A’:Fe:As=1:1:4:4から多少ずれていたとしても、製造された試料中の鉄系化合物におけるAとA’との組成比は、1:1となる。このように、本発明に係る製造方法によれば、本発明に係る鉄系化合物を製造することができる。
なお、秤量する出発原料の仕込み組成比がA:A’:Fe:As=1:1:4:4からずれていることに起因して、製造された試料の内部には、鉄系化合物10とは異なる物質(異相)が生じることがある。異相は、多くの場合超伝導を示さない。この場合であっても、超伝導部分を構成するAA’FeAsの組成比は、A:A’:Fe:As=1:1:4:4からずれないため、鉄系化合物10のTcは物質固有の値に維持される。
また、秤量工程で秤量するAのFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、秤量するA’のFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、秤量するAsのFeに対するモル比は、1を上回り1.2以下であることがより好ましい。
加熱工程において、A、A’、及びAsの各々は、わずかに蒸発する可能性がある。このA、A’、及びAsの蒸発を考慮して、Feに対して、A、A’、及びAsの各々を所定の量より多く秤量することによって、製造された試料に含まれる異相の量を抑制することができる。
〔成形工程〕
本発明に係る製造方法は、混合工程の後に成形工程を含んでもよい。成形工程では、混合工程において混合された混合物を所望の形状に成形すればよく、例えば、ペレット状に加圧成形することがより好ましい。混合工程の後に成形工程を実施することによって、出発原料同士の反応が促進されることにより加熱時間を短縮することができるとともに、加熱後、容器からの試料の取り出しが容易になる。
なお、上述した成形工程及び混合物を容器に密閉する工程は、混合工程と同様に、不活性ガス雰囲気中で実施されることが好ましい。これらの工程を不活性ガス雰囲気中で実施することにより、混合物が劣化することを防止できる。
〔本発明に係る製造方法の効果〕
本発明に係る製造方法によれば、再現性良く、線材応用などに十分な純度の鉄系化合物10を得ることができる。
〔その他の製造方法〕
本発明に係る鉄系化合物は、上述の本発明に係る製造方法以外の方法で製造してもよい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレイション法等で薄膜を形成する方法が挙げられる。
真空蒸着法を用いて本発明に係る鉄系化合物を製造する場合、AAs、A’As、及びFeAsの各々の化合物をソースとする3元蒸着、あるいは、A、A’As、Fe元素をソースとする4元蒸着を採用すればよい。例えば上述の3元蒸着を用いる場合、Aの成膜速度、A’の成膜速度、Asの成膜速度、及びFeの成膜速度の各々をモニターすることによって、組成比がA:A’:Fe:As=1:1:4:4である鉄系化合物を成膜可能である。
スパッタリング法又はレーザーアブレイション法を用いて鉄系化合物を製造する場合、一旦、本発明に係る製造方法によって製造した、鉄系化合物をターゲットの形に加圧成形したものを、ターゲットとして用いればよい。
以上のように、薄膜の鉄系化合物も製造可能であるため、超伝導線材などのバルク材料を用いた応用に加えて、電子デバイスへも応用することができる。
〔超伝導物質としての利用〕
本発明に係る鉄系化合物は、温度及び外部磁場を制御することによって超伝導状態とすることができる。したがって、超伝導状態にある鉄系化合物も本発明の範疇に含まれる。
本発明に係る鉄系化合物を超伝導状態にすることができる温度の条件は、本発明に係る鉄系化合物の態様、外部磁場の大きさによっても異なるが、例えば、外部磁場が0であるときに、20K以上、38K以下という高い温度でも超伝導状態にすることができる。当業者は、本発明に係る鉄系化合物を超伝導状態にするための温度及び外部磁場の条件を適宜見出すことができる。
このように、本発明に係る鉄系化合物は、外部磁場が0であるときに、20K以上、38K以下という高い温度でも超伝導性を示すものであることが好ましく、外部磁場が0であるときに30K以上、38K以下という高い温度でも超伝導性を示すものである。このような性質を有することによって、例えば超伝導線材や超伝導素子などに利用できるという利点がある。本発明に係る鉄系化合物は、上述の本発明に係る製造方法以外の方法で製造してもよいが、本発明に係る製造方法によれば、外部磁場が0であるときに30K以上、38K以下という高い温度領域において超伝導性を示すものを得ることができる。
本発明に係る超伝導線材は、金属管と、当該金属管に充填された本発明に係る鉄系化合物とによって構成されている。
本発明に係る超伝導線材の一実施形態である超伝導線材1について、図2を参照して説明すると次の通りである。図2の(a)は、超伝導線材1の構成を示す斜視図であり、図2の(b)は、超伝導線材1の製造工程の一工程である圧延工程の概略図である。
図2の(a)に示すように、超伝導線材1は、本発明に係る鉄系化合物が充填されている複数の内側金属管2(特許請求の範囲に記載の金属管)と、複数の内側金属管2をまとめて収納する外側金属管3を備えている。本実施形態において、内側金属管2の内部には鉄系化合物10が充填されている。
また、内側金属管2と鉄系化合物10との間には、図2の(a)に図示しない反応防止層を備えていてもよい。内側金属管2と鉄系化合物10とが反応することを抑制できるからである。超伝導線材の製造段階において、A及びA’の何れかが金属管を構成する金属と反応した場合であっても、超伝導線材中に形成された本発明の鉄系化合物におけるAとA’との組成比は、1:1から変化しない。したがって、超伝導線材への加工の前後においてAとA’との組成比を一定に保つことができるため、加工前の鉄系化合物と同等のTcを有する超伝導線材を再現性よく製造することができる。
なお、本実施形態においては、超伝導線材1が複数の内側金属管2を備えているものとして説明したが、1本の内側金属管2によって構成されていてもよい。
また、超伝導線材1は、断面形状が円形である丸線のまま用いることもできるし、断面形状が長方形であるテープ状の超伝導線に加工して用いることもできる。超伝導線材1を圧延する方法の一例としては、図2の(b)に示すような一対のローラーを用いて圧延する方法が挙げられる。また、上記一対のローラーに代えてプレス機を用いることもできるし、一対のローラーとプレス機とを組み合わせることもできる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔付記事項〕
以上のように、本発明に係る鉄系化合物では、上記Aは、Caであり、上記A’は、K、Rb又はCsであることがより好ましい。
また、本発明に係る鉄系化合物では、上記Aは、Srであり、上記A’は、Rb又はCsであることがより好ましい。
また、本発明に係る鉄系化合物では、上記Aは、Euであり、上記A’は、Rb又はCsであることがより好ましい。
また、本発明に係る鉄系化合物の製造方法では、上記混合工程の前に、上記各化合物を秤量する秤量工程を含み、上記秤量工程において、秤量するAのFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下であり、秤量するA’のFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下であることがより好ましい。
また、本発明に係る鉄系化合物の製造方法では、上記秤量工程において、秤量するAのFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、秤量するA’のFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、秤量するAsのFeに対するモル比は、1を上回り1.2以下であることがより好ましい。
また、本発明に係る鉄系化合物の製造方法では、上記出発原料は、少なくともAAs、A’As、及びFeAsを含むことがより好ましい。
〔実施例1〜3〕
実施例1〜3の鉄系化合物は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物のAとしてCaを選択したものである。つまり、実施例1の鉄系化合物は、A’としてKを選択し、実施例2の鉄系化合物は、A’としてRbを選択し、実施例3の鉄系化合物は、A’としてCsを選択した。以下では、実施例1の鉄系化合物をCaK1144と記載し、実施例2の鉄系化合物をCaRb1144と記載し、実施例3の鉄系化合物をCaCs1144と記載する。
表2に、実施例1〜3で製造したCaK1144、CaRb1144、及びCaCs1144の各々の格子定数a,c及びTcを示す。
Figure 0006613944
CaK1144を製造するための出発原料として、CaAs、KAs、FeAs、及びFeAsの各化合物の粉体を用いた。
秤量工程において、CaAs、KAs、FeAs、及びFeAsのモル比が1.1:1.1:1.8:0.4となるように各化合物を秤量した。これは、加熱工程においてCa,K,Asの一部が蒸発することを見込んだためである。加熱工程におけるこの蒸発を見込まない場合には、CaAs、KAs、及びFeAsのモル比が1:1:2になるように各化合物を秤量すればよい。
混合工程において、乳鉢を用いて秤量したCaAs、KAs、及びFeAsを混合することによって混合物とした。
成形工程において、混合工程において混合された混合物をペレット状に加圧成形した。加圧成形するためには、一軸性の加圧成形器を用い、約100MPaの圧力を用いた。
ペレット状に加圧成形した混合物をステンレス管の内部に挿入したあと、ステンレス管の両端をステンレスキャップで封止した。ステンレスキャップとしては、配管用のものを用いた。
なお、混合工程、成形工程、及びステンレス管に混合物を封止する工程の各々は、窒素ガスを充満させたグローブボックス内、すなわち、窒素ガス雰囲気中において実施した。
加熱工程において、混合物を封止したステンレス管を箱形電気炉で加熱した。CaK1144を製造するために、加熱温度を920℃に設定し、加熱時間を5時間に設定した。試料の粉砕、加圧成形、ステンレス管封止、加熱工程をもう一度繰り返した。
以上の製造方法を用いて実施例1のCaK1144を製造した。
出発原料のKAsをRbAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を900℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、実施例2のCaRb1144を製造した。
また、出発原料のKAsをCsAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を860℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、実施例3のCaCs1144を製造した。
〔比較例1〕
化学式(Ba0.50.5)FeAsで表される鉄系化合物を製造した。化学式(Ba0.50.5)FeAsで表される鉄系化合物をBaK1144と記載する。
出発原料のCaAsをBaAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を800℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、比較例1であるBaK1144を製造した。
〔結晶構造〕
図3の(a)は、第3の実施例のCaCs1144のX線回折パターンを示すグラフであり、図3の(b)は、第2の実施例のCaRb1144のX線回折パターンを示すグラフであり、図3の(c)は、第1の実施例のCaK1144のX線回折パターンを示すグラフである。図3の(d)は、比較例1のBaK1144のX線回折パターンパターンを示すグラフである。
図3の(d)に示されるように、BaK1144のX線回折パターンからは、面指数(hkl)とした場合に、h+k+lが偶数となる回折ピークのみが確認された。これは、BaK1144が有する結晶構造の空間群がI4/mmmであり、エックス線回折における消滅則が適用されたためである。
それに対して、図3の(a)に示されるように、CaK1144のX線回折パターンからは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピークも確認された。なお、図3の(a)において、h+k+lが奇数となる回折ピークには、矢印を付した。
このことと、後述するX線回折パターンをリートベルト法を用いて解析した結果とから、CaK1144は図1に示した結晶構造を有し、その結晶構造の空間群はP4/mmmであると結論づけられた。結晶構造の空間群がP4/mmmである場合、エックス線回折における消滅則が適用されないため、X線回折パターンにh+k+lが奇数となる回折ピークも現れると考えられる。
以上のことから、CaK1144が図1に示した結晶構造を有していること、すなわち、空間群がP4/mmmであり、Aサイト11がCaのみで占有されており、A’サイト12がKのみで占有されていることが分かった。CaK1144とBaK1144との決定的な違いは、この点である。
図3の(b)及び(c)を参照すれば、CaRb1144及びCaCs1144のX線回折パターンの各々からは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピーク(矢印参照)も確認された。したがって、CaRb1144及びCaCs1144の各々が図1に示した結晶構造、すなわち空間群がP4/mmmである結晶構造を有していることが分かった。
実施例2であるCaRb1144のX線回折パターンをリートベルト法を用いて解析した結果を、図4を参照して説明する。図4は、CaRb1144のX線回折パターンをリートベルト法によって解析した結果を示すグラフである。図4の上図に示した点プロットは、測定したX線回折パターンを示し、図4の上図に示した実線は、その測定したX線回折パターンのフィッティング結果を示し、図4の下図は、測定したX線回折パターンとフィッティング結果との差分を示すグラフである。
リートベルト法を用いた解析の結果より、CaRb1144の結晶構造は、空間群がP4/mmmである図1に示すような結晶構造の回折パターンを用いて、高精度に再現できることが分かった。
この解析の結果より、CaRb1144の結晶構造パラメータを、表3の通りに決定した。
Figure 0006613944
〔超伝導特性〕
実施例1〜3のCaK1144、CaRb1144、及びCaCs1144の各々の超伝導特性について、図5を参照して説明する。図5は、CaK1144、CaRb1144、及びCaCs1144の各々の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。
ここでは、超伝導特性を反映する物理量である帯磁率を用いて、CaK1144、CaRb1144、及びCaCs1144の超伝導特性を検証した。
図5に図示したプロット21a、プロット22a、及びプロット23aの各々は、磁場中冷却(FC)を行ったCaCs1144、CaRb1144、及びCaK1144の帯磁率を表し、プロット21b、プロット22b、及びプロット23bの各々は、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行ったCaCs1144、CaRb1144、及びCaK1144の帯磁率を表す。
図5によれば、CaK1144、CaRb1144、及びCaCs1144の各々は、31K以上35K以下の範囲内に収まるTcを有することが分かった。このTcは、超伝導線材が利用される場合の温度として想定される温度(4.2〜20K)に比べて十分に高いことが分かった。また、これらのTcは、非特許文献1に記載された超伝導線材であって、化学式(Ba1−x)FeAsで表される鉄系化合物110を用いて加工された超伝導線材のTc(34K)と比べても遜色がないことが分かった。
〔実施例4、5〕
実施例4、5の鉄系化合物は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物のAとしてSrを選択したものである。そのうえで、実施例4の鉄系化合物は、A’としてRbを選択し、実施例5の鉄系化合物は、A’としてCsを選択した。以下では、実施例4の鉄系化合物をSrRb1144と記載し、実施例5の鉄系化合物をSrCs1144と記載する。
出発原料のCaAsをSrAsに変更し、KAsをRbAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を880℃に変更した以外は、実施例1と同じ操作を行なうことで実施例4のSrRb1144を製造した。また、出発原料のCaAsをSrAsに変更し、KAsをCsAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を850℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、実施例5のSrCs1144を製造した。
表4に、実施例4、5で製造したSrRb1144及びSrCs1144の各々の格子定数a,c及びTcを示す。
Figure 0006613944
〔比較例2〕
化学式(Sr0.50.5)FeAsで表される鉄系化合物を製造した。化学式(Sr0.50.5)FeAsで表される鉄系化合物をSrK1144と記載する。
出発原料のCaAsをSrAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を800℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、比較例2であるSrK1144を製造した。
〔結晶構造〕
図6の(a)〜(b)の各々は、実施例4、5であるSrRb1144及びSrCs1144のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフである。図6の(c)は、第2の比較例であるSrK1144のX線回折パターンパターンを示すグラフである。
図6の(c)を参照すれば、SrK1144のX線回折パターンからは、面指数(hkl)とした場合に、h+k+lが偶数となる回折ピークのみが確認された。これは、SrK1144が有する結晶構造の空間群がI4/mmmであり、エックス線回折における消滅則が適用されたためである。
それに対して、図6の(a)を参照すれば、SrRb1144のX線回折パターンからは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピークも確認された。なお、図6の(a)において、h+k+lが奇数となる回折ピークには、矢印を付した。したがって、SrRb1144が図1に示した結晶構造、すなわち空間群がP4/mmmである結晶構造を有していることが分かった。
図6の(b)を参照すれば、SrCs1144のX線回折パターンからは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピーク(矢印参照)も確認された。したがって、SrCs1144が図1に示した結晶構造、すなわち空間群がP4/mmmである結晶構造を有していることが分かった。
〔超伝導特性〕
実施例4、5であるSrRb1144及びSrCs1144の各々の超伝導特性について、図7を参照して説明する。図7は、SrRb1144及びSrCs1144の各々の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。
ここでは、超伝導特性を反映する物理量である帯磁率を用いて、SrRb1144及びSrCs1144の超伝導特性を検証した。
図7に図示したプロット31a及びプロット32aの各々は、磁場中冷却(FC)を行ったSrRb1144及びSrCs1144の帯磁率を表し、プロット31b及びプロット32bの各々は、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行ったSrRb1144及びSrCs1144の帯磁率を表す。
図7によれば、SrRb1144及びSrCs1144の各々は、34K以上37K以下の範囲内に収まるTcを有することが分かった。このTcは、超伝導線材が利用される場合の温度として想定される温度(4.2〜20K)に比べて十分に高いことが分かった。
〔実施例6〕
実施例6の鉄系化合物は、実施例1のCaK1144と同様に、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物のAとしてCaを選択し、A’としてKを選択したものである。実施例6の鉄系化合物を、CaK1.50.544と記載する。
本実施例のCaK1.50.544は、実施例1のCaK1144と比較して、秤量工程において仕込むCa、K、Fe、及びAsの組成比、すなわち仕込み組成が異なる。実施例1のCaK1144の仕込み組成は、Ca:K:Fe:As=1.1:1.1:4:4.4であった。それに対して、本実施例のCaK1144の仕込み組成として、Ca:K:Fe:As=1.5:0.5:4:4を採用した。すなわち、本実施例では、CaとKとの仕込み組成を1:1から著しくずらす構成を採用した。
図8の(a)は、実施例1のCaK1144のX線回折パターンを示すグラフであり、図3の(c)と同じグラフである。図8の(b)は、本実施例のCaK1144のX線回折パターンを示すグラフである。
図8の(b)を参照すれば、CaとKとの仕込み組成を1:1から著しくずらした場合であっても、CaとKの組成比が1:1であるCaKFeAsに由来する回折ピークがX線回折パターンに現れることが分かった。この回折ピークから計算した格子定数は、実施例1の試料とほぼ同じであった。
また、図8の(b)を参照すれば、Caの仕込み組成がKより著しく多い場合、CaFeAsに由来するピークが現れることが分かった。
以上のことから、CaとKとの仕込み組成を1:1から著しくずらして製造した試料であっても、その内部には、CaとKの組成比が1:1であるCaKFeAsが形成されていることが分かった。なお、仕込み組成において、Kに対してCaが著しく多いために、過剰なCaがCaFeAsを形成していることも確認された。
図8の(c)は、実施例1のCaK1144及び本実施例のCaK1.50.544の各々の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。図8の(c)に図示したプロット41a及びプロット41bの各々は、それぞれ、磁場中冷却(FC)を行った実施例1のCaK1144、及び、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行った実施例1のCaK1144の帯磁率の温度依存性を示す。プロット41a,41bは、図5に示したプロット21a,21bと同じプロットである。図8の(c)に図示したプロット42a及びプロット42bの各々は、それぞれ、磁場中冷却(FC)を行った本実施例のCaK1.50.544、及び、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行った本実施例のCaK1.50.544の帯磁率の温度依存性を示す。
図8の(c)を参照すれば、CaとKとの仕込み組成を1:1から著しくずらした本実施例のCaK1.50.544であっても、CaとKとの仕込み組成を1:1とした実施例1のCaK1144と同程度のTcを示すことが分かった。
この結果は、本発明に係る鉄系化合物を製造する過程において、AとA’との組成比がずれた場合であっても、製造した試料の内部にはAとA’との組成比が1:1であるAA’FeAsと、AFeAs又はA’FeAsが形成され、A1−xA’FeAsは、形成されないことを意味する。したがって、本発明に係る鉄系化合物は、仕込み組成のずれ、及び、製造工程の途中で生じる組成のずれに対して、安定してTcを維持することができるため、超伝導線材に加工する場合や、薄膜を作製する場合などに大変有利である。
〔比較例3〕
比較例3の鉄系化合物は、化学式(Ba1−x)FeAsで表される鉄系化合物であって、仕込み組成をBa:K:Fe:As=1.5:0.5:4:4とした鉄系化合物である。すなわち、本比較例の鉄系化合物は、BaとKとの仕込み組成が1:1から著しくずれている。本比較例の鉄化合物をBaK1.50.544と記載する。
本比較例の鉄系化合物の製造方法は、仕込み組成を変更した以外、比較例1のBaK1144の製造方法と同様である。
図9の(a)は、比較例1のBaK1144のX線回折パターンを示すグラフであり、図3の(d)と同じグラフである。比較例1のBaK1144において、BaとKとの仕込み組成は、1:1である。図9の(b)は、本比較例の鉄系化合物110のX線回折パターンを示すグラフである。
図9の(a)と(b)とを参照すれば、本比較例の鉄系化合物のX線回折パターンは、格子定数が大きく変化することに起因してピークの位置がシフトしている点を除いて、比較例1のBaK1144のX線回折パターンと同じように指数付けできた。空間群がI4/mmmである結晶構造を有するBa1−xFeAsにおいて、BaとKとの仕込み組成を1:1からずらした場合には、その仕込み組成に応じた単相のBa1−xFeAsのみが形成され、BaFeAs又はKFeAsが形成されないためと考えられる。
このことは、図8に示した実施例6のCaK1144のX線回折パターンにCaFeAsに由来するピークが現れていたことと全く異なる。
図9の(c)は、比較例1のBaK1144及び本比較例の鉄系化合物110の各々の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。図9の(c)に図示したプロット151a及びプロット151bの各々は、それぞれ、磁場中冷却(FC)を行った比較例1のBaK1144、及び、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行った比較例1のBaK1144の帯磁率の温度依存性を示す。図9の(c)に図示したプロット152a及びプロット152bの各々は、それぞれ、磁場中冷却(FC)を行った本比較例のBaK1144、及び、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行った本比較例のBaK1144の帯磁率の温度依存性を示す。
図9の(c)を参照すれば、BaとKとの仕込み組成を1:1から著しくずらした本比較例の鉄系化合物110は、BaとKとの仕込み組成を1:1とした第1の比較例のBaK1144と比較して、著しく低いTcを示すことが分かった。すなわち、本比較例の鉄系化合物は、比較例1のBaK1144と比較して、超伝導特性が著しく劣化していることが分かった。
〔実施例7、8〕
実施例7、8の鉄系化合物は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物のAとしてEuを選択したものである。そのうえで、実施例7の鉄系化合物は、A’としてRbを選択し、実施例8の鉄系化合物は、A’としてCsを選択した。以下では、実施例7の鉄系化合物をEuRb1144と記載し、実施例8の鉄系化合物をEuCs1144と記載する。
出発原料のCaAsをEuAsに変更し、KAsをRbAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を900℃に変更した以外は、実施例1と同じ操作を行なうことで実施例7のEuRb1144を製造した。また、出発原料のCaAsをEuAsに変更し、KAsをCsAsに変更したうえで、加熱工程における加熱温度を880℃に変更した以外は実施例1と同じ操作を行なって、実施例8のEuCs1144を製造した。
表5に、実施例7、8で製造したEuRb1144及びEuCs1144の各々の格子定数a,c及びTcを示す。
Figure 0006613944
〔結晶構造〕
図11の(a)〜(b)の各々は、実施例7、8であるEuRb1144及びEuCs1144のX線回折パターンをそれぞれ示すグラフである。
図11の(a)を参照すれば、EuRb1144のX線回折パターンからは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピークも確認された。なお、図11の(a)において、h+k+lが奇数となる回折ピークには、矢印を付した。したがって、EuRb1144が図1に示した結晶構造、すなわち空間群がP4/mmmである結晶構造を有していることが分かった。
図11の(b)を参照すれば、EuCs1144のX線回折パターンからは、h+k+lが偶数となる回折ピークに加えて、h+k+lが奇数となる回折ピーク(矢印参照)も確認された。したがって、EuCs1144が図1に示した結晶構造、すなわち空間群がP4/mmmである結晶構造を有していることが分かった。
〔超伝導特性〕
実施例7、8であるEuRb1144及びEuCs1144の各々の超伝導特性について、図12を参照して説明する。図12は、EuRb1144及びEuCs1144の各々の帯磁率の温度依存性を示すグラフである。
ここでは、超伝導特性を反映する物理量である帯磁率を用いて、EuRb1144及びEuCs1144の超伝導特性を検証した。
図12に図示したプロット71a及びプロット71bの各々は、磁場中冷却(FC)を行ったEuRb1144及びEuCs1144の帯磁率を表し、プロット72a及びプロット72bの各々は、ゼロ磁場中冷却(ZFC)を行ったEuRb1144及びEuCs1144の帯磁率を表す。
図12によれば、EuRb1144及びEuCs1144の各々は、34K以上37K以下の範囲内に収まるTcを有することが分かった。このTcは、超伝導線材が利用される場合の温度として想定される温度(4.2〜20K)に比べて十分に高いことが分かった。
なお、15K付近の温度領域において、A=Sr、Caの場合には見られなかった帯磁率の変化が確認された。この帯磁率の変化は、磁性元素であるEuの磁気秩序が温度低下に伴い生じたことに起因するものであり、超伝導に伴う反磁性とは無関係なものである。
本発明は、化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物、超伝導線材、及び鉄系化合物の製造方法に利用することができる。
1 超伝導線材
2 内側金属管(金属管)
3 外側金属管
10 鉄系化合物
11 Aサイト
12 A’サイト
13 Feサイト
14、15 Asサイト
16 AFeAs
17 A’FeAs

Claims (6)

  1. 化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物であって、
    上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、
    上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
    AFeAs層とA’FeAs層とが交互に積層した結晶構造を有し、
    上記結晶構造の空間群は、単純正方晶P4/mmmである、
    鉄系化合物。
  2. 金属管と、当該金属管に充填された請求項1に記載の鉄系化合物とを備えている、超伝導線材。
  3. 化学式AA’FeAsで表される鉄系化合物の製造方法であって、
    上記AはCaであり、上記A’はK、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、又は、
    上記AはSr及びEuから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記A’はRb及びCsから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
    出発原料である、A、A’、Fe、及びAsの各元素、又は、A、A’、Fe、及びAsを含む各化合物を混合する混合工程と、
    上記混合工程において混合された混合物を、容器中に密閉した状態で、700℃以上、1000℃以下で加熱する加熱工程とを含む、
    鉄系化合物の製造方法。
  4. 上記混合工程の前に、上記各化合物を秤量する秤量工程を含み、
    上記秤量工程において、
    秤量するAのFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下であり、
    秤量するA’のFeに対するモル比は、0.125以上0.375以下である、
    請求項3に記載の鉄系化合物の製造方法。
  5. 上記秤量工程において、
    秤量するAのFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、
    秤量するA’のFeに対するモル比は、0.25を上回り0.3以下であり、
    秤量するAsのFeに対するモル比は、1を上回り1.2以下である、
    請求項4に記載の鉄系化合物の製造方法。
  6. 上記出発原料は、少なくともAAs、A’As、及びFeAsを含む、請求項3〜5の何れか1項に記載の鉄系化合物の製造方法。
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