JP6611156B2 - 妊娠期母体腸内細菌攪乱による行動異常モデル動物の作製方法とその用途 - Google Patents

妊娠期母体腸内細菌攪乱による行動異常モデル動物の作製方法とその用途 Download PDF

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本発明は、概しては、行動異常モデル動物の作製方法とその用途に関し、より詳細には、妊娠した母親動物を用いてその仔動物として行動異常モデル動物を作製する方法、当該方法を応用して妊娠期間中の母親動物が摂取することにより産まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質をスクリーニングする方法、当該モデル動物を用いて神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質をスクリーニングする方法、等に関する。
腸内細菌叢の状態が宿主の行動、即ち中枢神経系の機能に影響することや、腸内細菌叢の異常が様々な疾患の原因となる可能性が知られている。例えば、SPF(Specific Pathogen Free)環境下で飼育されたマウス(成体オス)に非吸収性抗生物質(ネオマイシン、バシトラシン、ピマリシン)を飲水投与することにより腸内細菌叢の構成を攪乱したところ、探索行動の増加と、器質的変化として海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現の増加が観察されたことが報告されている(非特許文献1)。また、無菌マウスとSPFマウスに拘束ストレスを与えた時、無菌マウスでは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やコルチコステロンの上昇がSPFマウスと比べて顕著であり、腸内細菌叢の有無により同じストレスに対しての反応が異なることが示されている(非特許文献2)。更に、ヒト遅発性自閉症へのバンコマイシン(非吸収性抗生物質)の経口投与が症状を短期間であるが軽減すること(非特許文献3)や、自閉症(ASD)などのモデルとして用いられるMIA(maternal immune activation)マウスから生まれた仔マウスにおいて、ヒトの正常腸内細菌叢の構成菌の一つであるBacteroides fragilisの経口投与が血清中の代謝マーカーを正常に近付け、ASDの核となる行動症状を改善したこと(非特許文献4)が報告されている。これらの結果は、腸内細菌叢の状態が、新奇環境における探索行動や多動傾向、ストレス反応や不安傾向、および自閉症などにおける社会的行動異常と関連していることを示唆している。
しかしながら、妊娠期母体の腸内細菌叢の攪乱と子の精神神経発達異常や行動異常とを関連付ける報告はこれまでない。また、妊娠期母体の腸内細菌叢の攪乱が原因となる子の精神神経発達異常や行動異常を予防または治療する技術、またその技術開発に有用な実験動物モデルは未だ存在しない。
Bercik et al., Gastroenterology. 2011; 141(2): 599-609 Sudo et al., J. Physiol. 2004; 558: 263-75 Sandler et al., J. Child Neurol. 2000; 15(7): 429-35 Hsiao et al., Cell. 2013; 155(7): 1451-63
本発明は、新規の行動異常モデル動物、特には、妊娠期の異常な母体環境に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防または治療する技術の開発に寄与する行動異常モデル動物、ならびにその作製方法を提供することを課題とする。本発明はまた、当該作製方法を応用して、妊娠期の母親が摂取することにより、妊娠期の異常な母体環境に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防し得る物質をスクリーニングする方法、ならびに、当該モデル動物を利用して、神経発達障害または精神疾患(特には妊娠期の異常な母体環境に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患)を治療または予防し得る物質をスクリーニングする方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行い、妊娠期の母体における健全な腸内細菌叢が胎児や乳児の脳の健全な発生や発達に寄与するのではないか、即ち、母体の腸内細菌叢が攪乱されると、胎児や乳児の脳の健全な発生が妨げられ、神経発達障害や精神疾患に繋がるのではないか、という仮説を立てた。
本発明者らは上記の仮説を検証するために、妊娠期のマウスに非吸収性抗生剤を飲水投与して該マウスの腸内細菌叢を攪乱させた上で仔マウスを出産させ、離乳後の仔マウスの行動実験を行った。その結果、抗生剤を投与された母親から生まれた仔マウスは、概日リズムの異常、暗期低活動、新奇環境における低活動、不安傾向といった神経発達障害や精神疾患に見られる特徴を有意に示した。本発明者らはこれらの知見に基づいて更なる検討を行い、本発明を完成させるに至った。
本発明は即ち、以下の通りである。
[1]非ヒト哺乳動物を用いる行動異常モデル動物の作製方法であって、
(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、
(c)新生仔を出産させる工程
を含み、該仔動物が行動異常モデル動物となる、前記方法。
[2]更に、
(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程
を含む、上記[1]に記載の方法。
[3]前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記工程(b)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記工程(b)において、前記抗菌薬が飲水投与される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法により得られる、行動異常モデル非ヒト哺乳動物。
[9]前記行動異常が、神経発達障害または精神疾患に関連するものである、上記[8]に記載の動物。
[10]妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、
(iii)前記抗菌薬の投与期の前、間または後に、該動物に被験物質を投与する工程、
(iv)新生仔を出産させる工程、
(v)該仔動物において行動異常を調べる工程、および、
(vi)妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。
[11]前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、上記[10]に記載の方法。
[12]前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、上記[10]または[11]に記載の方法。
[13]前記工程(ii)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、上記[10]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記工程(ii)において、前記抗菌薬が飲水投与される、上記[10]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、上記[10]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]前記被験物質がプロバイオティクスまたはプレバイオティクスである、上記[10]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)上記[8]または[9]に記載の行動異常モデル非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)該動物に被験物質を投与する工程、
(iii)該動物において行動異常を調べる工程、および、
(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。
[18]前記被験物質がプレバイオティクスまたはプロバイオティクスである、上記[17]に記載の方法。
本発明によれば、新規の行動異常モデル動物、特には、妊娠期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される母体低栄養や母体低体重等)に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防または治療する技術の開発に寄与する行動異常モデル動物、ならびにその作製方法が提供される。また、本発明によれば、当該作製方法を応用して、妊娠期の母親が摂取することにより、妊娠期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される母体低栄養や母体低体重等)に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防し得る物質をスクリーニングする方法、ならびに、当該モデル動物を利用して、神経発達障害または精神疾患(特には妊娠期、授乳期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される妊娠期、授乳期の母体低栄養や母体低体重等)、また、異常な母体環境の結果として起こる母親の異常行動を原因とする不適切な養育等に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患)を治療または予防し得る物質をスクリーニングする方法が提供される。
実施例1の仔マウスの作製における、抗生剤投与期間中の母親マウスの飲水量を示す図である。 *1<0.0001 (Student's t-test), *2=0.0602 (Mann-Whitney U-test), *3=0.0298 (Student's t-test), vs. control。対照群(Control):15腹、抗生剤投与群(AB):14腹。 実施例1の仔マウスの作製における、抗生剤投与期間中の母親マウスの体重増加量を示す図である。*1<0.0001 (Student's t-test、vs. control)。対照群(Control):20腹、抗生剤投与群(AB):18腹。 試験例1で測定した、抗生剤投与4日目の母親マウスの糞便1gあたりの細菌量を示す図である。*1=0.0327 (one-tailed Student's t-test, vs. control)。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例1で決定した、抗生剤投与4日目の母親マウスの腸内細菌叢の構成細菌種とDice Ward法によるそのデンドログラムを示す図である。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例2で測定した、生後7日目の仔マウスの体重を示す図である。*1=0.0006 (Student's t-test, vs. control)。対照群(Control):n=36、抗生剤投与群(AB):n=25(雌雄含む)。 試験例2で測定した、生後28日目もしくは29日目の仔マウスの体重を示す図である。*2= 0.002(Mann-Whitney U-test, vs. control)。対照群(Control):n=28、抗生剤投与群(AB):n=18(雄のみ)。 試験例2で測定した、生後24日目の仔マウスの糞便1gあたりの細菌量を示す図である。Control:対照群、AB:抗生剤投与群、両群それぞれn=3。 試験例2で決定した、生後24日目の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種とPearson UPGMA法によるそのデンドログラムを示す図である。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例3の24時間ホームケージ活動性試験の結果を示す図である。*1=0.0645, *2=0.043, *3=0.0362。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例4のオープンフィールド試験における、各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、および30分毎の自発行動量の総和(下図)を示す図である。*1=0.001 (vs. control)、*2=0.0041, *3=0.0001, *4=0.0016, vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例4のオープンフィールド試験における、該図中に示すエリア(A+B)における仔マウスの滞在時間の解析結果を示す図である。左上図は2時間の試験中の滞在時間を示し、左下図は30分毎の滞在時間を示す。*1=0.0004 vs. control、*2=0.0197, *3=0.0005, *4=0.0002, *5=0.0004, vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例4のオープンフィールド試験における、該図中に示すエリアAにおける仔マウスの滞在時間の解析結果を示す図である。左上図は2時間の試験中の滞在時間を示し、左下図は30分毎の滞在時間を示す。*1=0.0043 vs. control、*2=0.0294, *3=0.008, *4=0.0023 vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例4のオープンフィールド試験における、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、および30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を示す図である。*1=0.0023 vs. control、*2=0.0049, *3=0.0014, *4=0.0006, vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例5で測定した、生後56-61日目の仔マウスの体重を示す図である。*1=0.0054。対照群(Control):n=28、抗生剤投与群(AB):n=18(雄のみ)。 試験例6の生後56-61日目の仔マウスに対する24時間ホームケージ活動性試験の結果を示す図である。*1=0.0654, *2=0.0603。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例7の生後54-59日目の仔マウスに対するオープンフィールド試験における、各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、および30分毎の自発行動量の総和(下図)を示す図である。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例7の生後54-59日目の仔マウスに対するオープンフィールド試験における、該図中に示すエリア(A+B)における仔マウスの運動量の解析結果を示す図である。左上図は2時間の試験中の運動量を示し、左下図は30分毎の運動量を示す。*1=0.063 vs. control、*2=0.0783, *3=0.0319, *4=0.1463, *5=0.8325, vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例7の生後54-59日目の仔マウスに対するオープンフィールド試験における、該図中に示すエリアAにおける仔マウスの運動量の解析結果を示す図である。左上図は2時間の試験中の運動量を示し、左下図は30分毎の運動量を示す。*1=0.0398 vs. control、*2=0.334, *3=0.0358, *4=0.0095, *5=0.9313, vs. control。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。 試験例7の生後54-59日目の仔マウスに対するオープンフィールド試験における、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、および30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を示す図である。Control:対照群、AB:抗生剤投与群。
(定義)
本明細書において、「行動異常」は、主に乳児期もしくは小児期、またはそれ以後にかけて、神経発達障害または精神疾患を呈するヒトにおいて特徴的に見られ得る行動上の異常(後述)を意味する。
本明細書において、「神経発達障害」は、脳または中枢神経系の成長または発達における障害を意味する。神経発達障害には、例えば、感情、学習能力、自己制御および記憶に影響する脳機能の障害が含まれる。神経発達障害を呈するヒトにおいて特徴的に見られ得る行動上の異常としては、以下に限定されないが、例えば、自閉症スペクトラム障害(例:従来型自閉性障害、アスペルガー症候群、レット症候群、小児崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害等)、胎児性アルコールスペクトラム障害、運動障害(例:協調運動発達障害、常同性運動障害、チック障害等)、コミュニケーション、発話および言語障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、新奇環境下低活動等が挙げられる
本明細書において、「精神疾患」は、日常生活において苦痛または機能障害を引き起こす精神的または行動上のパターンまたは異常性を伴う状態を意味する。精神疾患には、例えば、統合失調症、うつ病や双極性障害等の気分障害、不安障害等が含まれる。精神疾患を呈するヒトにおいて特徴的に見られ得る行動上の異常としては、以下に限定されないが、例えば、意識障害、知的障害、記憶障害、知覚障害、思考障害、感情・気分の障害(例:抑うつ状態、感情鈍麻、興奮、不安、怒り等)、食欲低下、睡眠障害(概日リズム障害)等が挙げられる。
本明細書において、「行動異常モデル動物」は、ヒトの行動異常の病態を表すことができる実験動物を意味する。
本明細書において、「非ヒト哺乳動物」は、ヒト以外の哺乳動物であれば特に制限はなく、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サルなどが挙げられる。なかでも行動異常モデル動物作製の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、繁殖が容易な齧歯動物が好ましく、とりわけマウス(例えば、純系としてC57BL/6系統、BALB/c系統、DBA2系統など、交雑系としてB6C3F1系統、BDF1系統、B6D2F1系統、ICR系統など)およびラット(例えば、Wistar、SDなど)が好ましい。また、ヒトにより近いという点でサル(例えば、オランウータン科、テナガザル科、オナガザル科、マーモセット科またはオマキザル科などのサル)も好ましい。
本明細書において、「妊娠」は、子宮内または外への受精卵の着床を意味する。
本明細書において、「妊娠期間」は、交尾後または受精卵の着床から、出産するまでの期間、あるいは体内に受精卵またはそれが発育した胎児を包容している期間を意味する。
本明細書において、「母親」は、妊娠させる非ヒト哺乳動物または妊娠した非ヒト哺乳動物を意味し、「父親」は、母親の妊娠に必要な精子を提供する非ヒト哺乳動物を意味する。
本明細書において、「胎児」は、母胎内で生育中の幼体を意味する。
本明細書において、「新生仔」は、母親から生まれて間もない、通常は離乳前の仔を意味し、母胎内の胎児と区別される。
本明細書において、「仔動物」は、前記の新生仔および離乳後の該個体を包括する意味で用いられる。
本明細書において、「神経発生発達期」は、胎児において神経幹細胞や前駆細胞から神経細胞やグリア細胞が分化し、分化した細胞の移動を経て脳神経系が発生する神経発生期、および、神経系の細胞の極性化、軸索形成、樹状突起形成、シナプス形成やそのリファインメントを通じて神経系が発達する神経発達期を包括する時期を意味する。上記の神経発生期はまた、より広義には、胎児において、神経細胞への分化は起こらないが神経幹細胞(より正確にはより根源的な神経上皮細胞)が分裂する時期を含んでもよい。
本明細書において、「出産」は、流産や死産なく仔が出生することを意味する。
本明細書において、「腸内細菌叢」の文脈で使用される場合の「腸」は、小腸および/または大腸を意味する。小腸は、十二指腸、空腸、回腸を含み得る。大腸は、盲腸、結腸、直腸を含み得る。本発明に従って抗菌薬の投与により腸内細菌叢を攪乱される「腸」は、小腸および大腸の両方を含むことがより好ましい。
本明細書において、「腸内細菌叢」は、上記で定義される腸の内部において常在する微生物が形成している生態系を意味する。上記の微生物には、細菌のみならず、酵母や菌類、細菌に感染するファージ等も含まれてよい。常在性微生物の具体的な種類は、動物種や個体によっても大きく変動するが、例えば、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ラクトバシラス(Lactobacillus)属、バクテロイデス(Bacteroides)属、プレボテラ(Prevotella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、ユーバクテリウム(Eubacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ベイロネラ(Veillonella)属、バチルス(Bacillus)属等の菌が挙げられる。これらの菌は、乳酸菌、酪酸菌または糖化菌であり得る。該微生物は、グラム陽性または陰性のいずれであってもよく、また嫌気性(例:通性嫌気性、偏性嫌気性)または好気性のいずれであってもよい。
本明細書において、「プロバイオティクス」は、宿主に保健効果を示す活きた微生物、またはそれを含む食品を意味する。プロバイオティクスとしては、例えば、「腸内細菌叢」に関して上述した菌等のうちで有用なものを用いることができ、より具体的には、乳酸菌(例:ビフィドバクテリウム属、ラクトバシラス属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属の菌等)、酪酸菌(例:Clostridium butyricum)、糖化菌(例:Bacillus subtilis、Bacillus polyfermenticus、Bacillus natto等)等が用いられ得る。プロバイオティクスは、例えば、ヨーグルトや乳酸飲料等の発酵乳製品、キムチや浅漬け、ピクルス等の発酵植物食品等の形態であり得る。
本明細書において、「プレバイオティクス」は、腸内常在菌の生育や活性を助ける作用を持つ物質、またはそれを含む食品を意味する。プレバイオティクスは、通常、消化管上部で分解・吸収されない。プレバイオティクスとしては、以下に限定されないが、例えば、デンプン類(例:難消化性デンプン、じゃがいもデンプン、修飾デンプン(例えば、カルボキシル化、アセチル化、プロピオン化またはブチル化されたデンプン))、非消化性オリゴ糖類(例:フルクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ダイズオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ミルクオリゴ糖、イヌリンオリゴ糖等)、食物繊維(例:ポリデキストロース、イヌリン、グルコマンナン、アラビノキシラン等)等が挙げられる。
その他の用語の定義は、必要に応じて以下において与えられる。また、本明細書中で定義されていない用語は、当該分野において通常把握される意味で理解され得る。
(行動異常モデル動物とその作製方法)
本発明は、行動異常モデル非ヒト哺乳動物の作製方法(以下、本発明の作製方法ともいう。)を提供する。該方法は、(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、(c)新生仔を出産させる工程を含み、該仔動物が行動異常モデル動物となる。該方法は、更に、(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程を含んでもよい。工程(d)は、通常、新生仔を一定期間哺乳させた後の離乳後の仔動物を用いて行われる。以下、各工程について説明する。
(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程
妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程は、父親と母親とを交尾させる工程を含むことができる。あるいは、既に妊娠した非ヒト哺乳動物を購入してもよい。
父親と母親とを交尾させる工程は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。父親と母親とを長期間同居させて交尾させてもよいし、初めに父親と母親とを別々の檻で飼育した後、繁殖期に一緒の檻で飼育してもよい。同居は、例えば、父親1匹に対して母親1匹または複数匹とすることができる。交尾年齢は非ヒト哺乳動物の種類や雌雄に応じて異なるが、当業者であればその年齢を容易に認識できる。また、非ヒト哺乳動物の飼育は当業者に公知の方法に従って行うことができる。
例えばマウスの場合、繁殖適期は、雄で50〜90日齢程度、雌で40〜80日齢程度であるが、繁殖はこの時期以外でも可能である。発情徴候がみられる雌を繁殖適期の雄のケージに入れるか、または雄1匹に雌2〜6匹を一緒に飼育して交尾させることができる。交配は、近交系、クローズドコロニー、交雑系のいずれであってもよいが、好ましくは近交系である。
妊娠判定は、対象とする哺乳動物種に応じて当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、マウスまたはラットの場合、交尾した雌は高確率で妊娠するので、膣栓を確認した日を妊娠0日(E0)とすることができる。他の哺乳動物種についても用いることができる妊娠判定の方法としては、体重の増大の観測、子宮の増大の観測(触診、エコー像の観察などによる)などが挙げられる。妊娠した雌を個別分娩ケージに収容して飼育することが好ましい。
(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程
母親動物に抗菌剤を投与する期間は、胎児において行動異常を惹起し得る妊娠期間中の時期である限り、特に限定されない。投与は、胎児の神経発生発達期において行われることがより好ましい。胎児の神経発生発達期は、通常非ヒト哺乳動物の種類により、おおよそ決まっていることが知られている。例えば、マウスの大脳皮質の神経発生はE10頃(より広義にはE9頃)に始まり、神経発達は出生後も引き続き生じることが知られているので、抗菌剤の投与はE9またはE10から出産までの期間に行うことができる。それ以外の非ヒト哺乳動物についても、当業者であれば、その時期を容易に認識することができるであろう。
母親動物に投与される抗菌薬は、該動物の腸内細菌叢の攪乱を惹起し得る限り、特に限定されない。従って、抗菌薬は、「腸内細菌叢」に関して上述した属の菌のいずれかを標的とするものであり得る。抗菌薬は、殺菌性であってもよいし、静菌性であってもよい。また、抗菌薬は天然抗菌薬(即ち、抗生物質)であってもよいし、合成もしくは半合成の抗菌薬であってもよい。抗菌薬としては、以下に限定されないが、例えば、β-ラクタム系(例:ペニシリン系薬、セフェム系薬、カルバペネム系薬、モノバクタム系薬、ペネム系薬、等)、アミノグリコシド系(例:カナマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、等)、テトラサイクリン系(例:テトラサイクリン等)、リンコマイシン系(例:リンコマイシン等)、クロラムフェニコール系(例:クロラムフェニコール等)、マクロライド系(例:エリスロマイシン等)、ケトライド系(例:テリスロマイシン等)、ポリペプチド系(例:コリスチン、ポリミキシン、バシトラシン等)、グリコペプチド系(例:バンコマイシン、テイコプラニン等)、ポリエン系(例:ピマリシン(ナタマイシン)、アムホテリシンB、ナイスタチン、フィリピン等)、ピリドンカルボン酸(キノロン)系(例:ナリジクス酸およびその誘導体、等)、ニューキノロン系(例:ロメフロキサシン、シプロフロキサシン等)、オキサゾリジノン系(例:リネゾリド等)、サルファ剤系(例:葉酸代謝阻害剤等)等のものを用いることができる。これらのうち、腸内細菌は多様な性質をもつ細菌種により構成されることから、抗菌スペクトルの広範なもの(例えば、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の両方を標的とするもの、等)が好ましく使用され得る。
また、抗菌薬は、腸管内の細菌叢を効果的に攪乱し得るという観点から、非吸収性のものが好ましい。本明細書において、「非吸収性」の抗菌薬とは、対象動物に経口投与された場合、腸管において吸収されにくく、腸管から門脈に移行し、さらに肝臓を経て右心室、肺循環をへて左心室まで到達する薬剤の割合、すなわち生体内利用率がゼロに近い(例えば0.01%以下、好ましくは0.0001%以下)抗菌薬を意味する。具体的には、非吸収性の抗菌薬として、例えば、ネオマイシン等のアミノグリコシド系抗菌薬、ならびにバシトラシン、ピマリシン等が好ましい薬剤として使用できる。
更に、より広い抗菌スペクトルを実現するという観点から、複数の抗菌薬を組み合わせて使用することも好ましい。該組み合わせとしては、構造分類が異なる抗菌薬、また作用様式の異なる抗菌薬の組み合わせが好ましく、具体的には例えば、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンの組み合わせが好ましいものとして挙げられる。
母親動物への抗菌薬の投与は、当業者に一般に知られている方法を用いて行うことができる。例えば、経口的もしくは非経口的(例:直腸内への直接投与等)な投与を用いることができ、好ましくは非吸収性抗菌薬の経口投与を用いることができる。非吸収性抗菌薬の経口投与は、非吸収性抗菌薬を飲水に溶解し、pHを適宜調整することで非吸収性抗菌薬溶液を調製し、それを母親動物に飲水投与することで行うことができる。
抗菌薬の投与量は、薬剤の種類、動物種、体重、投与形態などによって異なるが、例えば0.01〜5000mg/kg体重/日の範囲から適宜選択することができ、当該量を1日1回ないし数回(例:2回、3回、4回など)に分けて投与することができる。投与は、例えば、胎児の神経発生発達期を通じて連日または隔日とすることができる。
(c)新生仔を出産させる工程
出産させる工程は、各種の哺乳動物について一般に用いられている方法に従って行うことができる。出産は自然分娩(即ち、経膣分娩)または帝王切開であってよい。妊娠期間はマウスであれば18〜20日、ラットであれば21〜24日であり、通常1〜2時間以内に出産を終了する。
任意に、(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程
行動異常のテストは、前記の仔動物を一定期間哺乳した後に離乳させ、離乳後の動物に対して行うことができる。哺乳は、自然分娩した新生仔にはそのまま母親により哺乳を継続させればよく、帝王切開により出産した場合は、産仔は別途用意した哺乳用雌(通常に交配・分娩した雌非ヒト哺乳動物)に哺乳させることができる。また、特に出産後数日は母親を静かな環境におくことが好ましい。出産後、離乳まで哺乳を継続する。離乳の時期は、例えばマウスまたはラットの場合、通常3〜4週齢程度である。離乳後は、雌雄を分けて飼育することが好ましい。行動異常のテストは、スクリーニング方法に関して後述する方法により行うことができる。
以上に従って得られた新生仔または仔は、上述したような行動障害の特徴を呈し得る。本発明の作製方法により得られ得る行動異常モデル動物は、特には、妊娠期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される母体低栄養や母体低体重等)に起因する神経発達障害または精神疾患に付随する行動異常を呈し得る。
また、上述したような妊娠期の異常な母体環境は、妊娠期そのものばかりではなく、出産後の(離乳までの)時期にも母親に影響を与え、その出産後の何らかの要因が仔の行動発達に影響を与える可能性がある。その影響としては母体の低栄養、低体重などの肉体的変化に加え、母親の不安などが亢進し、その結果として母親の育児放棄や虐待などの不適切な養育につながる等の可能性が考えられる。そしてそれらの(いずれかの、もしくは複合的な)結果として、仔の行動に変化を生じ得る。従って、本発明による行動異常モデル動物は、妊娠期のみならず、授乳期の異常な母体環境に起因する仔の神経発達障害または精神疾患のモデル動物としても利用することができる。
(妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法)
本発明はまた、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法(以下、本発明のスクリーニング方法Iともいう。)を提供する。該方法は、(i)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、(ii)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、(iii)前記抗菌薬の投与期の前、間または後に、該動物に被験物質を投与する工程、(iv)新生仔を出産させる工程、(v)該仔動物において行動異常を調べる工程、および、(vi)妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程を含む。以下、各工程について説明する。
工程(i)において、妊娠した非ヒト哺乳動物は本発明の作製方法の工程(a)と同様にして用意することができ、好ましい態様についても同様である。
工程(ii)における妊娠期間中の該動物への抗菌薬の投与は、本発明の作製方法の工程(b)と同様にして行うことができ、好ましい態様についても同様である。
工程(iii)において投与される被験物質の種類は特に限定されず、例えば、公知の合成化合物、ペプチド、蛋白質等の薬剤、上記のプロバイオティクスやプレバイオティクス、食品素材、栄養補助食品(サプリメント)等であってよい。被験物質の投与方法は特に制限されない。例えば、被験物質を固形、半固形、液状、エアロゾル等の形態で経口的もしくは非経口的(例:静脈内、筋肉内、腹腔内、動脈内、皮下、皮内、気道内など)に投与することができる。被験物質の投与量は、化合物の種類、動物種、体重、投与形態などによって異なり、例えば、0.01〜5000mg/kg/日の範囲から適宜選択することができ、当該量を1日1回ないし数回に分けて投与することができる。投与期間も特に制限されないが、例えば1〜14日間連日もしくは2〜4日おきに投与することができる。投与の時期は、前記抗菌薬の投与期の前、間および/または後となるよう当業者により適宜決定され得る。
工程(iv)における新生仔の出産は、本発明の作製方法の工程(c)と同様にして行うことができ、好ましい態様についても同様である。
工程(v)における行動異常のテストは、本発明の作製方法の工程(d)に関して上述した通り、前記の仔動物を一定期間哺乳した後に離乳させ、離乳後の動物に対して行うことができる。該テストに供する動物の齢は、試験の目的等に応じて適宜設定することができ、例えば、離乳後間もなくもしくは性的成熟前の動物、または一定期間生育させた後(例えば、性的成熟後)の動物を用いることができる。行動異常の評価法としては、対象とする動物種やスクリーニングの目的とする症状に応じて、行動薬理学の分野で慣用の任意の行動試験などを用いることができる。具体的には、例えば、社会的相互作用の質的欠如を示すための試験として3チャンバー社会的相互作用試験、コミュニケーションの異常を調べるための試験として超音波啼鳴反応試験、常同性を調べるためのモリス水迷路などを用いた逆転学習試験、同じく常同性を調べるためのT迷路を用いた逆転学習試験、また常同性を調べるためのオープンフィールド試験等における後ろ脚立ち行動や毛繕いの定量化などが挙げられる(例えば、Silverman et al., (2010) Nat. Rev. Neurosci., 11, 490-502; Moy et al., (2007) Behav. Brain Res., 176, 4-20を参照。)。また不安傾向、多動傾向などを調べるための試験としてはオープンフィールド試験が、また同じく睡眠障害(概日リズム障害)などを調べるための試験としては24時間ホームケージ活動性試験が挙げられる。
工程(vi)において、工程(v)で調べた行動異常の程度を、被験物質を適用しなかった動物の場合と比較する。比較は、好ましくは有意差の有無に基づいて行われる。その結果、妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する。以上に従って選択される候補物質は、特に、妊娠期の母親が摂取することにより、妊娠期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される母体低栄養や母体低体重等)に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を予防し得る物質の候補として有用である。該候補物質はまた、上述したような授乳期の異常な母体環境に起因する仔の神経発達障害または精神疾患を予防し得る物質の候補としても有用である。
(神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法)
本発明はまた、前記の行動異常モデル動物を用いて、神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質をスクリーニングする方法(以下、本発明のスクリーニング方法IIともいう。)を提供する。該方法は、(i)前記の行動異常モデル非ヒト哺乳動物を提供する工程、(ii)該動物に被験物質を投与する工程、(iii)該動物において行動異常を調べる工程、および、(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程を含む。
工程(i)における行動異常モデル非ヒト哺乳動物は、上述した本発明の作製方法に従って用意することができる。
工程(ii)において投与される被験物質の種類は特に限定されず、例えば、公知の合成化合物、ペプチド、蛋白質等の薬剤、上記のプロバイオティクスやプレバイオティクス、食品素材、栄養補助食品(サプリメント)等であってよい。被験物質の投与方法は特に制限されない。例えば、被験物質を固形、半固形、液状、エアロゾル等の形態で経口的もしくは非経口的(例:静脈内、筋肉内、腹腔内、動脈内、皮下、皮内、気道内など)に投与することができる。被験物質の投与量は、化合物の種類、動物種、体重、投与形態などによって異なり、例えば、0.01〜1000mg/kg/日の範囲から適宜選択することができ、当該量を1日1回ないし数回に分けて投与することができる。投与の時期や期間も化合物の種類等に応じて変動し得るため特に制限されないが、例えば、出生後から行動異常のテストの数時間前までの期間に、1〜14日間連日もしくは2〜4日おきに投与することができる。
工程(iii)における行動異常のテストは、本発明のスクリーニング方法Iの工程(v)に関して上述した方法により行うことができる。
工程(iv)において、工程(iii)で調べた行動異常の程度を、被験物質を適用しなかった動物の場合と比較する。比較は、好ましくは有意差の有無に基づいて行われる。その結果、該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する。以上に従って選択される候補物質は、特に、妊娠期の異常な母体環境(例えば、妊娠期母体腸内細菌叢の攪乱、およびそれにより惹起される母体低栄養や母体低体重等)に起因する仔動物の神経発達障害または精神疾患を治療または予防し得る物質の候補として有用である。該候補物質はまた、上述したような授乳期の異常な母体環境に起因する仔の神経発達障害または精神疾患を治療または予防し得る物質の候補としても有用である。
以下に実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等により限定されるものではない。
実施例1:妊娠マウスへの非吸収性抗生剤の飲水投与による行動異常仔マウスの作製
妊娠9-16日目のC57BL/6J系統のSPFマウスに非吸収性抗生剤溶液(抗生剤投与群)または対照としてSPFマウス用通常飲水(対照群)を飲水投与した。非吸収性抗生剤としては、SPFマウス用飲水に溶解した、5 mg/mlネオマイシン三硫酸塩水和物(N6386-25G, Sigma)、5 mg/mlバシトラシン(B0125-1250KU, Sigma)、および1.25 μg/mlピマリシン(P9703-25MG, Sigma; ピマリシン(5 mg/ml)の酢酸(0.075% (v/v), 純度99%, 08845-45, Nacalai Tesque)溶液をストックとして調製後(4℃保存)、全体の溶液量の1/4000量を加えたもの)を用いた(調整後のpH: 4.46±0.01 (n=11))。投与期間中の妊娠マウスの飲水量を図1に示す(対照群15腹、抗生剤投与群14腹)。該図に見られる通り、7日間の投与期間の初期(1-2日目)には対照群のマウスと比べて抗生剤投与群のマウスの飲水量は有意に少ないが、3-4日目には両群に飲水量の差はなかった。5-6日目以後は抗生剤投与群のマウスの飲水量が有意に多くなった。その後、仔マウスを出産させて生後23日目に離乳し、生後4週目(28-34日目)の仔マウス(雄)に対して後述の行動実験を行った。また生後4週目で行動実験を行ったマウスに対して、生後7−8週目においても後述の行動実験を行った。
試験例1:投与期間中の母親マウスの解析
両群のマウスにおける投与期間(妊娠9-16日目)中の体重増加量を図2に示す(対照群20腹、抗生剤投与群18腹)。該図に見られる通り、投与期間中の母体体重増加量には両群で有意な差があった。
また、16S rRNA遺伝子全細菌universal primerを用いたReal-time PCRによるコピー数推定法を用いて、投与期間中の母親マウスの糞便中の細菌量を調べた。投与4日目の母親マウスの糞便1 gあたりの細菌量を図3に示す。抗生剤投与群のマウスでは糞便中の細菌量が対照群の母親マウスの細菌量の0.115%にまで減少した(両群それぞれn=3)。
更に、16S rRNA遺伝子部分塩基配列に対する制限酵素Bsl IによるT-RFLP (terminal restriction fragment length polymorphism)法により(Nagashima et al., Appl. Environ. Microbiol. 69(2): 1251-62 (2003))、母親マウスの腸内細菌叢の構成細菌種を解析した。投与4日目の母親マウスの腸内細菌叢の構成細菌種、およびDice Ward法を用いて作成したそのデンドログラムを図4に示す。デンドログラムは、対照群と抗生剤投与群とで2つのグループに分かれることを示し、両群のマウスの腸内細菌叢の構成細菌種は定性的に異なることが分かった。
試験例2:仔マウスの解析
生後7日目および28-29日目(行動実験開始時)の仔マウスの体重を測定した結果をそれぞれ図5および図6に示す。生後7日目において、抗生剤投与群の母親から生まれた仔マウスの体重は対照群の母親から生まれた仔マウスの体重と比べて有意に少なかった。生後28-29日目において、両群間で仔マウスの体重の差異はかなり小さくなるが、まだ認められた。
また、16S rRNA遺伝子全細菌universal primerを用いたReal-time PCRによるコピー数推定法を用いて、仔マウスの糞便中の細菌量を調べた。生後24日目の仔マウスの糞便1 gあたりの細菌量を図7に示す。抗生剤投与群の母親マウスからの仔マウスと対照群の母親マウスからの仔マウスとの間で、生後24日目(行動実験開始の4日前)における糞便中の細菌量に有意差は認められず、両群の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種には定量的な差異がないことが分かった(0.220, one-tailed Student's t-test; 両群それぞれn=3)。
更に、上記と同様にT-RFLP法により両群の母親マウスからの仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種を解析した。生後24日目の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種(1つのサンプルは3-4匹の仔マウスの糞便サンプルのプール)、およびPearson UPGMA法を用いて作成したそのデンドログラムを図8に示す。デンドログラムは、対照群と抗生剤投与群とで明瞭なグループに分類されず、両群の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種には定性的な差異がないことが分かった。
試験例3:24時間ホームケージ活動性試験(24-hour home cage activity test)
被験マウスを9:30までにホームケージに入れ、9:30から翌日の12:30まで27時間行動を記録した。12:00〜翌日12:00の24時間の各時間帯の行動を解析した(対照群:8匹の母親からの28個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの1時間毎の移動距離を図9に示す。抗生剤投与群からの仔マウスでは、対照群からの仔マウスと比較して暗期の低活動が観察され、いくつかの時間帯では有意差が認められた。このことは抗生剤投与群からの仔マウスは概日リズムの異常を呈すことを示す。
試験例4:オープンフィールド試験(Open field test)
一辺48 cmの何もない空間に被験マウスを置き、15:00〜17:00の2時間にわたって新奇環境における行動解析を行った(対照群:7匹の母親からの22個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、30分毎の自発行動量の総和(下図)を図10に示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して新奇環境における行動量が少なく、新奇環境における低活動が認められた。
また、図11および図12に、該図中に示すフィールド内の各エリア(それぞれエリアA+B、エリアA)での仔マウスの滞在時間の解析結果を示す。図11および図12のそれぞれにおいて、上図は2時間の試験中のそれぞれのエリアにおける滞在時間を示し、下図は30分毎の滞在時間を示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して空間中心部で過ごす時間が少なく、不安傾向が強いことが認められた。
更に、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を図13に示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して後ろ脚立ちの回数が少なく、この結果は新奇環境における低活動を反映している可能性がある。
以上の試験結果から、非吸収性抗生剤を飲水投与した母親マウスから生まれたマウスでは、通常の生活環境における暗期の活動低下が観察され、新奇環境においても低活動が観察され、更に不安傾向が観察された。生後4週のマウスは未就学児童や小学校低学年に相当する。この時期の低活動や不安傾向は、更なる発達、学習の阻害要因となり得る。
試験例5:生後8週齢の仔マウスの解析
生後4週で上記の行動実験を受けた仔マウス(雄)について、生後56-61日目の体重を測定した結果を図14に示す。生後8週齢(生後56-61日目)において、抗生剤投与群の母親から生まれた仔マウスの体重と対照群の仔マウスの体重との差異は極めて小さくなるが、未だ統計的に有意な差が認められた。
試験例6:生後8週齢の仔マウスの24時間ホームケージ活動性試験(24-hour home cage activity test)
生後4週で上記の24時間ホームケージ活動性試験を受けたマウスに対して、生後56-61日目において再び24時間ホームケージ活動性試験を行った。被験マウスを9:30(一部は9:34)から翌日の12:30(一部は12:34)までの27時間、ホームケージ内での行動を記録した。12:00〜翌日12:00の24時間の各時間帯の行動を解析した(対照群:8匹の母親からの28個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの1時間毎の移動距離を図15に示す。対照群と抗生剤投与群との間で明暗期の移行時間帯や暗期半ばにおける行動量に差異が観察されたが、有意差が得られるほどではなかった。
試験例7:生後8週齢の仔マウスのオープンフィールド試験(Open field test)
生後4週で上記のオープンフィールド試験を受けたマウスに対して、生後54-59日目において再びオープンフィールド試験を行った。一辺48 cmの何もない空間に被験マウスを置き、15:00〜17:00の2時間にわたって新奇環境における行動解析を行った(対照群:7匹の母親からの21個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、30分毎の自発行動量の総和(下図)を図16に示す。対照群と抗生剤投与群との間で新奇環境における行動量に有意差は認められなかった。
また、図17および図18に、該図中に示すフィールド内の各エリア(それぞれエリアA+B、エリアA)での仔マウスの行動量の解析結果を示す。図17および図18のそれぞれにおいて、上図は2時間の試験中のそれぞれのエリアにおける行動量を示し、下図は30分毎の行動量を示す。両群の仔の間に2時間のエリア全体における自発的行動量に差異は認められないにもかかわらず、抗生剤投与群の仔マウスは対照群の仔マウスと比較して空間中心部における行動量が少なく、不安傾向が強いことが認められた。
更に、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を図19に示す。対照群と抗生剤投与群との間で後ろ脚立ちの回数に有意な差は認められなかった。
以上の試験結果から、非吸収性抗生剤を飲水投与した母親マウスから生まれたマウスについて生後4週目において観察された不安傾向は、生後7-8週(成体)においても持続的であることが確かめられた。

Claims (12)

  1. 行動異常モデルマウスの作製方法であって、
    (a)妊娠したマウスを提供する工程、
    (b)妊娠期間中の該マウスにネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンを投与する工程、および、
    (c)新生仔マウスを出産させる工程
    を含み、該仔マウスが行動異常モデルマウスとなる、前記方法。
  2. 更に、
    (d)前記の仔マウスにおいて行動異常を調べる工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(b)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが前記妊娠期間中のマウス内の胎児の神経発生発達期に投与される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程(b)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが飲水投与される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により得られる、行動異常モデルマウス。
  6. 前記行動異常が、神経発達障害または精神疾患に関連するものである、請求項に記載のマウス。
  7. 妊娠期間中の母親マウスが摂取することにより生まれてくる仔マウスの神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
    (i)妊娠したマウスを提供する工程、
    (ii)妊娠期間中の該マウスにネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンを投与する工程、
    (iii)前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンの投与期の前、間または後に、該マウスに被験物質を投与する工程、
    (iv)新生仔マウスを出産させる工程、
    (v)該仔マウスにおいて行動異常を調べる工程、および、
    (vi)妊娠したマウスに該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔マウスの行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親マウスが摂取することにより生まれてくる仔マウスの神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程
    を含む、前記方法。
  8. 前記工程(ii)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが前記妊娠期間中のマウス内の胎児の神経発生発達期に投与される、請求項に記載の方法。
  9. 前記工程(ii)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが飲水投与される、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記被験物質がプロバイオティクスまたはプレバイオティクスである、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
    (i)請求項またはに記載の行動異常モデルマウスを提供する工程、
    (ii)該マウスに被験物質を投与する工程、
    (iii)該マウスにおいて行動異常を調べる工程、および、
    (iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該マウスの行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程
    を含む、前記方法。
  12. 前記被験物質がプレバイオティクスまたはプロバイオティクスである、請求項11に記載の方法。
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