JP6611156B2 - 妊娠期母体腸内細菌攪乱による行動異常モデル動物の作製方法とその用途 - Google Patents
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本発明者らは上記の仮説を検証するために、妊娠期のマウスに非吸収性抗生剤を飲水投与して該マウスの腸内細菌叢を攪乱させた上で仔マウスを出産させ、離乳後の仔マウスの行動実験を行った。その結果、抗生剤を投与された母親から生まれた仔マウスは、概日リズムの異常、暗期低活動、新奇環境における低活動、不安傾向といった神経発達障害や精神疾患に見られる特徴を有意に示した。本発明者らはこれらの知見に基づいて更なる検討を行い、本発明を完成させるに至った。
[1]非ヒト哺乳動物を用いる行動異常モデル動物の作製方法であって、
(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、
(c)新生仔を出産させる工程
を含み、該仔動物が行動異常モデル動物となる、前記方法。
[2]更に、
(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程
を含む、上記[1]に記載の方法。
[3]前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記工程(b)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記工程(b)において、前記抗菌薬が飲水投与される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法により得られる、行動異常モデル非ヒト哺乳動物。
[9]前記行動異常が、神経発達障害または精神疾患に関連するものである、上記[8]に記載の動物。
[10]妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、
(iii)前記抗菌薬の投与期の前、間または後に、該動物に被験物質を投与する工程、
(iv)新生仔を出産させる工程、
(v)該仔動物において行動異常を調べる工程、および、
(vi)妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。
[11]前記抗菌薬が、非吸収性抗菌薬である、上記[10]に記載の方法。
[12]前記抗菌薬が、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生剤を含む、上記[10]または[11]に記載の方法。
[13]前記工程(ii)において、前記抗菌薬が前記胎児の神経発生発達期に投与される、上記[10]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記工程(ii)において、前記抗菌薬が飲水投与される、上記[10]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]前記非ヒト哺乳動物がマウスまたはラットである、上記[10]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]前記被験物質がプロバイオティクスまたはプレバイオティクスである、上記[10]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)上記[8]または[9]に記載の行動異常モデル非ヒト哺乳動物を提供する工程、
(ii)該動物に被験物質を投与する工程、
(iii)該動物において行動異常を調べる工程、および、
(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。
[18]前記被験物質がプレバイオティクスまたはプロバイオティクスである、上記[17]に記載の方法。
本明細書において、「行動異常」は、主に乳児期もしくは小児期、またはそれ以後にかけて、神経発達障害または精神疾患を呈するヒトにおいて特徴的に見られ得る行動上の異常(後述)を意味する。
本発明は、行動異常モデル非ヒト哺乳動物の作製方法(以下、本発明の作製方法ともいう。)を提供する。該方法は、(a)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、(b)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、および、(c)新生仔を出産させる工程を含み、該仔動物が行動異常モデル動物となる。該方法は、更に、(d)前記の仔動物において行動異常を調べる工程を含んでもよい。工程(d)は、通常、新生仔を一定期間哺乳させた後の離乳後の仔動物を用いて行われる。以下、各工程について説明する。
妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程は、父親と母親とを交尾させる工程を含むことができる。あるいは、既に妊娠した非ヒト哺乳動物を購入してもよい。
母親動物に抗菌剤を投与する期間は、胎児において行動異常を惹起し得る妊娠期間中の時期である限り、特に限定されない。投与は、胎児の神経発生発達期において行われることがより好ましい。胎児の神経発生発達期は、通常非ヒト哺乳動物の種類により、おおよそ決まっていることが知られている。例えば、マウスの大脳皮質の神経発生はE10頃(より広義にはE9頃)に始まり、神経発達は出生後も引き続き生じることが知られているので、抗菌剤の投与はE9またはE10から出産までの期間に行うことができる。それ以外の非ヒト哺乳動物についても、当業者であれば、その時期を容易に認識することができるであろう。
また、抗菌薬は、腸管内の細菌叢を効果的に攪乱し得るという観点から、非吸収性のものが好ましい。本明細書において、「非吸収性」の抗菌薬とは、対象動物に経口投与された場合、腸管において吸収されにくく、腸管から門脈に移行し、さらに肝臓を経て右心室、肺循環をへて左心室まで到達する薬剤の割合、すなわち生体内利用率がゼロに近い(例えば0.01%以下、好ましくは0.0001%以下)抗菌薬を意味する。具体的には、非吸収性の抗菌薬として、例えば、ネオマイシン等のアミノグリコシド系抗菌薬、ならびにバシトラシン、ピマリシン等が好ましい薬剤として使用できる。
更に、より広い抗菌スペクトルを実現するという観点から、複数の抗菌薬を組み合わせて使用することも好ましい。該組み合わせとしては、構造分類が異なる抗菌薬、また作用様式の異なる抗菌薬の組み合わせが好ましく、具体的には例えば、ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンの組み合わせが好ましいものとして挙げられる。
出産させる工程は、各種の哺乳動物について一般に用いられている方法に従って行うことができる。出産は自然分娩(即ち、経膣分娩)または帝王切開であってよい。妊娠期間はマウスであれば18〜20日、ラットであれば21〜24日であり、通常1〜2時間以内に出産を終了する。
行動異常のテストは、前記の仔動物を一定期間哺乳した後に離乳させ、離乳後の動物に対して行うことができる。哺乳は、自然分娩した新生仔にはそのまま母親により哺乳を継続させればよく、帝王切開により出産した場合は、産仔は別途用意した哺乳用雌(通常に交配・分娩した雌非ヒト哺乳動物)に哺乳させることができる。また、特に出産後数日は母親を静かな環境におくことが好ましい。出産後、離乳まで哺乳を継続する。離乳の時期は、例えばマウスまたはラットの場合、通常3〜4週齢程度である。離乳後は、雌雄を分けて飼育することが好ましい。行動異常のテストは、スクリーニング方法に関して後述する方法により行うことができる。
また、上述したような妊娠期の異常な母体環境は、妊娠期そのものばかりではなく、出産後の(離乳までの)時期にも母親に影響を与え、その出産後の何らかの要因が仔の行動発達に影響を与える可能性がある。その影響としては母体の低栄養、低体重などの肉体的変化に加え、母親の不安などが亢進し、その結果として母親の育児放棄や虐待などの不適切な養育につながる等の可能性が考えられる。そしてそれらの(いずれかの、もしくは複合的な)結果として、仔の行動に変化を生じ得る。従って、本発明による行動異常モデル動物は、妊娠期のみならず、授乳期の異常な母体環境に起因する仔の神経発達障害または精神疾患のモデル動物としても利用することができる。
本発明はまた、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法(以下、本発明のスクリーニング方法Iともいう。)を提供する。該方法は、(i)妊娠した非ヒト哺乳動物を提供する工程、(ii)妊娠期間中の該動物に抗菌薬を投与する工程、(iii)前記抗菌薬の投与期の前、間または後に、該動物に被験物質を投与する工程、(iv)新生仔を出産させる工程、(v)該仔動物において行動異常を調べる工程、および、(vi)妊娠した動物に該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親動物が摂取することにより生まれてくる仔動物の神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程を含む。以下、各工程について説明する。
本発明はまた、前記の行動異常モデル動物を用いて、神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質をスクリーニングする方法(以下、本発明のスクリーニング方法IIともいう。)を提供する。該方法は、(i)前記の行動異常モデル非ヒト哺乳動物を提供する工程、(ii)該動物に被験物質を投与する工程、(iii)該動物において行動異常を調べる工程、および、(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該動物の行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程を含む。
妊娠9-16日目のC57BL/6J系統のSPFマウスに非吸収性抗生剤溶液(抗生剤投与群)または対照としてSPFマウス用通常飲水(対照群)を飲水投与した。非吸収性抗生剤としては、SPFマウス用飲水に溶解した、5 mg/mlネオマイシン三硫酸塩水和物(N6386-25G, Sigma)、5 mg/mlバシトラシン(B0125-1250KU, Sigma)、および1.25 μg/mlピマリシン(P9703-25MG, Sigma; ピマリシン(5 mg/ml)の酢酸(0.075% (v/v), 純度99%, 08845-45, Nacalai Tesque)溶液をストックとして調製後(4℃保存)、全体の溶液量の1/4000量を加えたもの)を用いた(調整後のpH: 4.46±0.01 (n=11))。投与期間中の妊娠マウスの飲水量を図1に示す(対照群15腹、抗生剤投与群14腹)。該図に見られる通り、7日間の投与期間の初期(1-2日目)には対照群のマウスと比べて抗生剤投与群のマウスの飲水量は有意に少ないが、3-4日目には両群に飲水量の差はなかった。5-6日目以後は抗生剤投与群のマウスの飲水量が有意に多くなった。その後、仔マウスを出産させて生後23日目に離乳し、生後4週目(28-34日目)の仔マウス(雄)に対して後述の行動実験を行った。また生後4週目で行動実験を行ったマウスに対して、生後7−8週目においても後述の行動実験を行った。
両群のマウスにおける投与期間(妊娠9-16日目)中の体重増加量を図2に示す(対照群20腹、抗生剤投与群18腹)。該図に見られる通り、投与期間中の母体体重増加量には両群で有意な差があった。
また、16S rRNA遺伝子全細菌universal primerを用いたReal-time PCRによるコピー数推定法を用いて、投与期間中の母親マウスの糞便中の細菌量を調べた。投与4日目の母親マウスの糞便1 gあたりの細菌量を図3に示す。抗生剤投与群のマウスでは糞便中の細菌量が対照群の母親マウスの細菌量の0.115%にまで減少した(両群それぞれn=3)。
更に、16S rRNA遺伝子部分塩基配列に対する制限酵素Bsl IによるT-RFLP (terminal restriction fragment length polymorphism)法により(Nagashima et al., Appl. Environ. Microbiol. 69(2): 1251-62 (2003))、母親マウスの腸内細菌叢の構成細菌種を解析した。投与4日目の母親マウスの腸内細菌叢の構成細菌種、およびDice Ward法を用いて作成したそのデンドログラムを図4に示す。デンドログラムは、対照群と抗生剤投与群とで2つのグループに分かれることを示し、両群のマウスの腸内細菌叢の構成細菌種は定性的に異なることが分かった。
生後7日目および28-29日目(行動実験開始時)の仔マウスの体重を測定した結果をそれぞれ図5および図6に示す。生後7日目において、抗生剤投与群の母親から生まれた仔マウスの体重は対照群の母親から生まれた仔マウスの体重と比べて有意に少なかった。生後28-29日目において、両群間で仔マウスの体重の差異はかなり小さくなるが、まだ認められた。
また、16S rRNA遺伝子全細菌universal primerを用いたReal-time PCRによるコピー数推定法を用いて、仔マウスの糞便中の細菌量を調べた。生後24日目の仔マウスの糞便1 gあたりの細菌量を図7に示す。抗生剤投与群の母親マウスからの仔マウスと対照群の母親マウスからの仔マウスとの間で、生後24日目(行動実験開始の4日前)における糞便中の細菌量に有意差は認められず、両群の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種には定量的な差異がないことが分かった(0.220, one-tailed Student's t-test; 両群それぞれn=3)。
更に、上記と同様にT-RFLP法により両群の母親マウスからの仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種を解析した。生後24日目の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種(1つのサンプルは3-4匹の仔マウスの糞便サンプルのプール)、およびPearson UPGMA法を用いて作成したそのデンドログラムを図8に示す。デンドログラムは、対照群と抗生剤投与群とで明瞭なグループに分類されず、両群の仔マウスの腸内細菌叢の構成細菌種には定性的な差異がないことが分かった。
被験マウスを9:30までにホームケージに入れ、9:30から翌日の12:30まで27時間行動を記録した。12:00〜翌日12:00の24時間の各時間帯の行動を解析した(対照群:8匹の母親からの28個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの1時間毎の移動距離を図9に示す。抗生剤投与群からの仔マウスでは、対照群からの仔マウスと比較して暗期の低活動が観察され、いくつかの時間帯では有意差が認められた。このことは抗生剤投与群からの仔マウスは概日リズムの異常を呈すことを示す。
一辺48 cmの何もない空間に被験マウスを置き、15:00〜17:00の2時間にわたって新奇環境における行動解析を行った(対照群:7匹の母親からの22個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、30分毎の自発行動量の総和(下図)を図10に示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して新奇環境における行動量が少なく、新奇環境における低活動が認められた。
また、図11および図12に、該図中に示すフィールド内の各エリア(それぞれエリアA+B、エリアA)での仔マウスの滞在時間の解析結果を示す。図11および図12のそれぞれにおいて、上図は2時間の試験中のそれぞれのエリアにおける滞在時間を示し、下図は30分毎の滞在時間を示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して空間中心部で過ごす時間が少なく、不安傾向が強いことが認められた。
更に、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を図13に示す。抗生剤投与群からの仔マウスは対照群からの仔マウスと比較して後ろ脚立ちの回数が少なく、この結果は新奇環境における低活動を反映している可能性がある。
生後4週で上記の行動実験を受けた仔マウス(雄)について、生後56-61日目の体重を測定した結果を図14に示す。生後8週齢(生後56-61日目)において、抗生剤投与群の母親から生まれた仔マウスの体重と対照群の仔マウスの体重との差異は極めて小さくなるが、未だ統計的に有意な差が認められた。
生後4週で上記の24時間ホームケージ活動性試験を受けたマウスに対して、生後56-61日目において再び24時間ホームケージ活動性試験を行った。被験マウスを9:30(一部は9:34)から翌日の12:30(一部は12:34)までの27時間、ホームケージ内での行動を記録した。12:00〜翌日12:00の24時間の各時間帯の行動を解析した(対照群:8匹の母親からの28個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの1時間毎の移動距離を図15に示す。対照群と抗生剤投与群との間で明暗期の移行時間帯や暗期半ばにおける行動量に差異が観察されたが、有意差が得られるほどではなかった。
生後4週で上記のオープンフィールド試験を受けたマウスに対して、生後54-59日目において再びオープンフィールド試験を行った。一辺48 cmの何もない空間に被験マウスを置き、15:00〜17:00の2時間にわたって新奇環境における行動解析を行った(対照群:7匹の母親からの21個体;抗生剤投与群:5匹の母親からの18個体)。
各群からの仔マウスの2時間の自発行動量の総和(上図)、30分毎の自発行動量の総和(下図)を図16に示す。対照群と抗生剤投与群との間で新奇環境における行動量に有意差は認められなかった。
また、図17および図18に、該図中に示すフィールド内の各エリア(それぞれエリアA+B、エリアA)での仔マウスの行動量の解析結果を示す。図17および図18のそれぞれにおいて、上図は2時間の試験中のそれぞれのエリアにおける行動量を示し、下図は30分毎の行動量を示す。両群の仔の間に2時間のエリア全体における自発的行動量に差異は認められないにもかかわらず、抗生剤投与群の仔マウスは対照群の仔マウスと比較して空間中心部における行動量が少なく、不安傾向が強いことが認められた。
更に、仔マウスの2時間の後ろ脚立ちの回数の総和(上図)、30分毎の後ろ脚立ちの回数の総和(下図)を図19に示す。対照群と抗生剤投与群との間で後ろ脚立ちの回数に有意な差は認められなかった。
Claims (12)
- 行動異常モデルマウスの作製方法であって、
(a)妊娠したマウスを提供する工程、
(b)妊娠期間中の該マウスにネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンを投与する工程、および、
(c)新生仔マウスを出産させる工程
を含み、該仔マウスが行動異常モデルマウスとなる、前記方法。 - 更に、
(d)前記の仔マウスにおいて行動異常を調べる工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記工程(b)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが前記妊娠期間中のマウス内の胎児の神経発生発達期に投与される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記工程(b)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが飲水投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られる、行動異常モデルマウス。
- 前記行動異常が、神経発達障害または精神疾患に関連するものである、請求項5に記載のマウス。
- 妊娠期間中の母親マウスが摂取することにより生まれてくる仔マウスの神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)妊娠したマウスを提供する工程、
(ii)妊娠期間中の該マウスにネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンを投与する工程、
(iii)前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンの投与期の前、間または後に、該マウスに被験物質を投与する工程、
(iv)新生仔マウスを出産させる工程、
(v)該仔マウスにおいて行動異常を調べる工程、および、
(vi)妊娠したマウスに該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該仔マウスの行動異常が改善されたときに、該被験物質を、妊娠期間中の母親マウスが摂取することにより生まれてくる仔マウスの神経発達障害または精神疾患に対して予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。 - 前記工程(ii)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが前記妊娠期間中のマウス内の胎児の神経発生発達期に投与される、請求項7に記載の方法。
- 前記工程(ii)において、前記ネオマイシン、バシトラシンおよびピマリシンが飲水投与される、請求項7または8に記載の方法。
- 前記被験物質がプロバイオティクスまたはプレバイオティクスである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
(i)請求項5または6に記載の行動異常モデルマウスを提供する工程、
(ii)該マウスに被験物質を投与する工程、
(iii)該マウスにおいて行動異常を調べる工程、および、
(iv)該被験物質を適用しなかった場合と比較して、該マウスの行動異常が改善されたときに、該被験物質を神経発達障害または精神疾患に対して治療または予防効果を有する物質の候補として選択する工程
を含む、前記方法。 - 前記被験物質がプレバイオティクスまたはプロバイオティクスである、請求項11に記載の方法。
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