JP6608187B2 - 増感色素、半導体電極、光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents

増感色素、半導体電極、光電変換素子および色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、増感色素、半導体電極、光電変換素子およびそれを用いた色素増感太陽電池に関する。
化石燃料に替わるエネルギー源として、太陽光を電力に変換する太陽電池が注目されている。近年、結晶系シリコン基板を含む太陽電池や、薄膜シリコンを含む太陽電池が実用化されている。
しかし、結晶系シリコン基板は、製造コストが高いという問題がある。一方、薄膜シリコンは、シリコンを含む原料ガスを特殊な装置で分解し、基板上にシリコンを堆積させて製造される。そのため、多大な設備投資が必要である。そこで、これらの太陽電池の光電変換効率を高め、発電出力当たりのコストを低減することが検討されている。しかし、その効果はいまだ十分ではない。
これに対して、1991年にグレッツェルらが提案した色素増感太陽電池は、光電変換効率が比較的高く、大掛かりな製造装置が不要であり、製造コストが低いという利点がある(非特許文献1参照)。色素増感太陽電池には通常、一対の電極と、当該電極間に配置された増感色素含有半導体層と、当該電極間に充填された電解質と、が含まれる。増感色素含有半導体層は、酸化チタン等の半導体の表面に増感色素を担持させた構造を有する。増感色素用化合物としては、ルテニウム錯体化合物、インドリン化合物、トリアリールアミン化合物、メロシアニン化合物、シアニン化合物、クマリン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等が多数提案されている。これら増感色素用化合物は通常、半導体表面に吸着するために、カルボキシル基、ホスホノ基などの酸性基、またはピリジル基などの塩基性基(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1〜4参照)を有する。
一方、上記酸性基を有する増感色素用化合物の複数種を半導体表面に担持させることにより、1種類の増感色素用化合物を担持させるものに比べ、色素増感太陽電池の光電変換効率を向上する提案がなされている(例えば、特許文献4)。
国際公開第1994/004497号 国際公開第2002/11213号 特開2012−144447号公報 特開2007−234580号公報
Nature、353、737(1991) The Journal of American Chemical Society Chemistry 128, 16701(2006) The Journal of Organic Chemistry, 72, 9550(2007) Angewandte Chemie International Edition, 50, 32, 7429(2011)
色素増感太陽電池の実用化に向けて、さらに高い光電変換効率を有する増感色素が求められている。
本発明の課題は、高い光電変換効率を有する増感色素や、この増感色素を含む半導体電極、当該電極を含む光電変換素子及び色素増感太陽電池等を提供することにある。
本発明者が鋭意検討した結果、半導体表面に担持させるための吸着サイトが異なる、一般式(1)で表される特定の亜鉛フタロシアニン錯体と、カルボン酸を有するアミン化合物を含む増感色素が吸着した半導体電極を用いた光電変換素子が、高い光電変換効率を有することを見出した。
本発明の第1は、下記一般式(1)で表される亜鉛フタロシアニン錯体(以下、化合物Aと記載する)と、カルボン酸を有するアミン化合物(以下、化合物Bと記載する)を含む増感色素に関する。
Figure 0006608187

(式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す。但し、X〜X及びY〜Yの全てが水素原子であることはない。)
本発明の第2は、導電性支持体と、前記導電性支持体の表面上に被覆された半導体層と、前記半導体層の半導体の表面に吸着した増感色素と、を備える半導体電極であって、増感色素として、上記、本発明の第1による増感色素を少なくとも一種含む半導体電極が提供される。
本発明の第3は、上記半導体電極と、前記半導体電極に対向する対向電極と、前記半導体電極及び対向電極との間に充填される電解質層と、を含む光電変換素子が提供される。
本発明の第4は、上記光電変換素子を1つ以上含む色素増感太陽電池が提供される。
特定の亜鉛フタロシアニン錯体と、カルボン酸を有するアミン化合物を含む増感色素を用いることにより、高い光電変換効率を有する光電変換素子が得られる。
(E−1)は、本発明の実施形態である化合物Aと対比するための例であって、亜鉛フタロシアニン錯体に直接ピリジン環が結合している化合物の構造式の例である。 化合物(A−4)で表される、本発明の実施形態である化合物Aのトルエン中で測定した吸収スペクトルを示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係る化合物(A−4)を使った光電変換素子の電流−電圧曲線に、化合物(A−4)と対比するための化合物(E−1)を使った光電変換素子の電流−電圧曲線を重ね書きして対比したグラフであり、(b)は、光電変換素子のIPCEスペクトルを重ね書きして対比したグラフである。 (a)は本発明の実施形態に係る化合物(A−3)を使った光電変換素子を、酸化チタンの膜厚により重ね書きして対比した電流−電圧曲線のグラフであり、(b)はIPCEスペクトルを、重ね書きして対比したグラフである。 (E−2)は、本発明の実施形態である化合物Aと対比するための例であって、亜鉛フタロシアニン錯体に直接カルボキシル基が結合している化合物の構造式の例である。 実施例5に係る、酸化チタンフィルムに共吸着された、本発明の実施形態である化合物(A−3)と化合物(B−1)吸収スペクトルを示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係る化合物(B−1)を使った光電変換素子の電流−電圧曲線に、本発明の実施形態である化合物(A−3)と化合物(B−1)を併用した光電変換素子の電流−電圧曲線を重ね書きして対比したグラフであり、(b)は、光電変換素子のIPCEスペクトルを重ね書きして対比したグラフである。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[増感色素]
本発明の増感色素は、色素増感太陽電池の吸収波長領域を拡大するため、可視光変換色素と近赤外光変換色素の組み合わせであれば特に限定されないが、カクテル型色素増感太陽電池用色素として共吸着した場合、半導体層の表面において、色素同士の競合を防ぐという観点から、好ましい色素としてピリジン環(ピリジン基)を有する近赤外光変換色素と、カルボン酸(カルボキシル基)を有する可視光変換色素を挙げることができる。
詳細には、ブレンステッド酸とルイス酸のような2種類の異なる吸着サイトを用いることにより、電極表面において選択的なサイトの吸着が可能となり、色素同士の競合を防ぐことになる。そのため、同一の吸着サイトを用いた場合と比較すると、色素の充填率が増加し、光電変換効率を向上させることができる。
なお、本発明において、電極とは、特に言及がないときは、酸化チタン電極の例を用いて説明することとする。ただし、電極が、酸化チタン電極に限定するという意味ではない。
<化合物A>
ピリジン環を有する近赤外光変換色素としては、下記一般式(1)で表される亜鉛フタロシアニン錯体(以下、化合物Aと記載する)である。
Figure 0006608187

(式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す。但し、X〜X及びY〜Yの全てが水素原子であることはない。)
なお、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。また、X〜X及びY〜Yは亜鉛フタロシアニン錯体のフタロシアニン骨格に直接結合している置換基(以下、置換基Qと記載する)を意味する。
化合物Aにおいて、一般式(1)のX〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基のいずれかを表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基のいずれかであってもよい。また、化合物Aにおいて、より好ましくは、X〜Xは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基であり、Y〜Yは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基が挙げられる。
さらに好ましくは、X〜Xは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基のいずれかであり、Y〜Yは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基が挙げられる。
特に好ましくは、X〜Xの全てが、水素原子であり、Y〜Yの全てが、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基である。
化合物Aにおける、X〜X及びY〜Yの具体例としては、特に限定されるものではないが、それぞれ独立に、以下のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などの例示を含むことができる。
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等ハロゲン原子が挙げられる。
直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、1−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、1−オクチルノニル基、n−オクタデシル基、1−ノニルデシル基、1−デシルウンデシル基、n−エイコシル基、n−ドコシル基、n−テトラコシル基、1−アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などの炭素原子と水素原子のみからなるアルキル基。
また、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基、n−ヘキシルオキシメチル基、(2−エチルブチルオキシ)メチル基、n−オクチルオキシメチル基、n−デシルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−n−ペンチルオキシエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−(2'−エチルブチルオキシ)エチル基、2−n−ヘプチルオキシエチル基、2−n−オクチルオキシエチル基、2−(2'−エチルヘキシルオキシ)エチル基、2−n−デシルオキシエチル基、2−n−ドデシルオキシエチル基、2−n−テトラデシルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−(n−ブトキシ)プロピル基、3−(n−ペンチルオキシ)プロピル基、3−(n−ヘキシルオキシ)プロピル基、3−(2'−エチルブトキシ)プロピル基、3−(n−オクチルオキシ)プロピル基、3−(2'−エチルヘキシルオキシ)プロピル基、3−(n−デシルオキシ)プロピル基、3−(n−ドデシルオキシ)プロピル基、3−(n−テトラデシルオキシ)プロピル基、3−シクロヘキシルオキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−n−プロポキシブチル基、4−イソプロポキシブチル基、4−n−ブトキシブチル基、4−n−ヘキシルオキシブチル基、4−n−オクチルオキシブチル基、4−n−デシルオキシブチル基、4−n−ドデシルオキシブチル基、5−メトキシペンチル基、5−エトキシペンチル基、5−n−プロポキシペンチル基、6−エトキシヘキシル基、6−イソプロポキシヘキシル基、6−n−ブトキシヘキシル基、6−n−ヘキシルオキシヘキシル基、6−n−デシルオキシヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、7−エトキシヘプチル基、7−イソプロポキシヘプチル基、8−メトキシオクチル基、10−メトキシデシル基、10−n−ブトキシデシル基、12−エトキシドデシル基、12−イソプロポキシドデシル基、テトラヒドロフルフリル基などの、アルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、(2−メトキシエトキシ)メチル基、(2−エトキシエトキシ)メチル基、(2−n−ブチルオキシエトキシ)メチル基、(2−n−ヘキシルオキシエトキシ)メチル基、(3−メトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−エトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ブチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ペンチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(4−メトキシブチルオキシ)メチル基、(6−メトキシヘキシルオキシ)メチル基、(10−エトキシデシルオキシ)メチル基、2−(2'−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2'−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2'−n−ブトキシエトキシ)エチル基、3−(2'−エトキシエトキシ)プロピル基、3−(2'−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(2'−イソプロピルオキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3'−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3'−エトキシプロピルオキシ)プロピル基などの、アルキルオキシアルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、ベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−フェネチルオキシエチル基、2−(4'−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−(2'−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−(4'−フルオロベンジルオキシ)エチル基、2−(4'−クロロベンジルオキシ)エチル基、3−ベンジルオキシプロピル基、3−(4'−メトキシベンジルオキシ)プロピル基、4−ベンジルオキシブチル基、2−(ベンジルオキシメトキシ)エチル基、2−(4'−メチルベンジルオキシメトキシ)エチル基などの、アラルキルオキシ基を有するアルキル基。
例えば、フェニルオキシメチル基、4−メチルフェニルオキシメチル基、3−メチルフェニルオキシメチル基、2−メチルフェニルオキシメチル基、4−メトキシフェニルオキシメチル基、4−フルオロフェニルオキシメチル基、4−クロロフェニルオキシメチル基、2−クロロフェニルオキシメチル基、2−フェニルオキシエチル基、2−(4'−メチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−エチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−メトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−クロロフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−ブロモフェニルオキシ)エチル基、2−(1'−ナフチルオキシ)エチル基、2−(2'−ナフチルオキシ)エチル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(2'−ナフチルオキシ)プロピル基、4−フェニルオキシブチル基、4−(2'−エチルフェニルオキシ)ブチル基、5−(4'−tert−ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6−(2'−クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8−フェニルオキシオクチル基、10−フェニルオキシデシル基、10−(3'−クロロフェニルオキシ)デシル基、2−(2'−フェニルオキシエトキシ)エチル基、3−(2'−フェニルオキシエトキシ)プロピル基、4−(2'−フェニルオキシエトキシ)ブチル基などの、アリールオキシ基を有するアルキル基。
例えば、n−ブチルチオメチル基、n−ヘキシルチオメチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、2−n−ブチルチオエチル基、2−n−ヘキシルチオエチル基、2−n−オクチルチオエチル基、2−n−デシルチオエチル基、3−メチルチオプロピル基、3−エチルチオプロピル基、3−n−ブチルチオプロピル基、4−エチルチオブチル基、4−n−プロピルチオブチル基、4−n−ブチルチオブチル基、5−エチルチオペンチル基、6−メチルチオヘキシル基、6−エチルチオヘキシル基、6−n−ブチルチオヘキシル基、8−メチルチオオクチル基などのアルキルチオ基を有するアルキル基。
例えば、フルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、6−フルオロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−プロピル基、1,1,3−トリヒドローパーフルオローn−プロピル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ブチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ペンチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ヘキシル基、6−フルオロヘキシル基、4−フルオロシクロヘキシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−デシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ドデシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−テトラデシル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ヘキサデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基、ジクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロシクロヘキシル基、7−クロロヘプチル基、8−クロロオクチル基、2,2,2−トリクロロエチル基などのハロゲン原子を有するアルキル基。
例えば、フルオロメチルオキシメチル基、3−フルオロ−n−プロピルオキシメチル基、6−フルオロ−n−ヘキシルオキシメチル基、トリフルオロメチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−プロピルオキシメチル基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−ブチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ペンチルオキシメチル基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキシルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−デシルオキシメチル基、1,1−ジヒドローパーフルオローn−テトラデシルオキシメチル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピルオキシメチル基、3−クロロ−n−プロピルオキシメチル基、2−(8−フルオロ−n−オクチルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)エチル基、2−(1,1,3−トリヒドローパーフルオローn−プロピルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−ペンチルオキシ)エチル基、2−(6−フルオロ−n−ヘキシルオキシ)エチル基、2−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−オクチルオキシ)エチル基、3−(4−フルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル基、3−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)プロピル基、3−(1,1−ジヒドローパーフルオローn−ドデシルオキシ)プロピル基、4−(パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ)ブチル基、4−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)ブチル基、6−(2−クロロエチルオキシ)ヘキシル基、6−(1,1−ジヒドロ−パーフルオロエチルオキシ)ヘキシル基などの、ハロゲノアルキルオキシ基を有するアルキル基。
さらには、フェニルオキシメチル基、4−メチルフェニルオキシメチル基、3−メチルフェニルオキシメチル基、2−メチルフェニルオキシメチル基、4−エチルフェニルオキシメチル基、4−n−プロピルフェニルオキシメチル基、4−n−ブチルフェニルオキシメチル基、4−tert−ブチルフェニルオキシメチル基、4−n−ヘキシルフェニルオキシメチル基、4−n−オクチルフェニルオキシメチル基、4−n−デシルフェニルオキシメチル基、4−メトキシフェニルオキシメチル基、4−エトキシフェニルオキシメチル基、4−ブトキシフェニルオキシメチル基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシメチル基、4−フルオロフェニルオキシメチル基、3−フルオロフェニルオキシメチル基、2−フルオロフェニルオキシメチル基、3,4−ジフルオロフェニルオキシメチル基、4−クロロフェニルオキシメチル基、2−クロロフェニルオキシメチル基、4−フェニルフェニルオキシメチル基、1−ナフチルオキシメチル基、2−ナフチルオキシメチル基、2−フリルオキシメチル基、1−フェニルオキシエチル基、2−フェニルオキシエチル基、2−(4'−メチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−エチルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−n−ヘキシルフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−メトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−n−ブトキシフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−フルオロフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−クロロフェニルオキシ)エチル基、2−(4'−ブロモフェニルオキシ)エチル基、2−(1'−ナフチルオキシ)エチル基、2−(2'−ナフチルオキシ)エチル基、2−フェニルオキシプロピル基、3−フェニルオキシプロピル基、3−(4'−メチルフェニルオキシ)プロピル基、3−(2'−ナフチルオキシ)プロピル基、4−フェニルオキシブチル基、4−(2'−エチルフェニルオキシ)ブチル基、4−フェニルオキシペンチル基、5−フェニルオキシペンチル基、5−(4'−tert−ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6−フェニルオキシヘキシル基、6−(2'−クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8−フェニルオキシオクチル基、10−フェニルオキシデシル基、10−(3'−メチルフェニルオキシ)デシル基などの、アリールオキシ基を有するアルキル基などがあげられる。
直鎖、分岐または環状のアルコキシ基としては、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導されるアルコキシ基が挙げられる。
未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントラセニル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、7−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基。
また、置換基を有するアリール基の具体例としては、例えば、1−メチル−2−ピレニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−(4'−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、2,4−ジメチルフェニル基などのアルキル基を有するアリール基。
例えば、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、2,6−ジブトキシフェニル基、2,6−ジオクチルオキシフェニル基、2,6−ジ−tert−ブトキシフェニル基、2,6−ジ−tert−オクチルオキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、3−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、2−フェニルオキシフェニル基などのアルコキシ基及びアリ−ルオキシ基を有するアリール基。
例えば、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、4−(2'−ナフチル)フェニル基、2−フェニル−1−ナフチル基、1−フェニル−2−ナフチル基、7−フェニル−1−ピレニル基などのアリ−ル基を有するアリール基。
例えば、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基などのハロゲン原子を有するアリール基。
さらには、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、4−パ−フルオロエチルフェニル基、4−メチルチオフェニル基、4−エチルチオフェニル基、4−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基などが挙げられる。
置換または未置換のアリ−ルオキシ基としては、前記に挙げた未置換のアリール基から誘導される未置換のアリールオキシ基と、前記に挙げた置換のアリール基の具体例として示した置換基から誘導される置換のアリールオキシ基が挙げられる。
次に、一般式(1)で表される化合物Aの特に好ましい形態であるX〜Xの全てが、水素原子であり、Y〜Yの全てが、炭素数4〜30の置換または未置換のアリールオキシ基である場合を、下記一般式(1−1)で示し、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006608187

(式中、X11〜X15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖または分岐のアルキル基、直鎖または分岐のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す。但し、X11〜X15の全てが水素原子であることはない。)
一般式(1−1)中において、より好ましくは、X11〜X15は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数6〜30の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜30の置換または未置換のアリールオキシ基が挙げられる。
さらに好ましくは、X11、X13、及びX15が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数6〜30の置換または未置換のアリール基のいずれかであり、X12とX14が、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。
特に、X11とX15が、炭素数4〜12の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数6〜30の置換または未置換のアリール基のいずれかであり、X12、X13及びX14が水素原子であることが好ましい。
特に、X11とX15が、炭素数4〜12の直鎖または分岐のアルコキシ基であり、X12、X13及びX14が水素原子であることが好ましい。
一般式(1−1)中における、X11〜X15の具体例としては、一般式(1)におけるX〜X及びY〜Yの例と同義であり、その好ましい態様も同様である。
以下、置換基Qについて詳細に説明する。
一般に、フタロシアニン錯体は、ポルフィリン錯体よりも共役環サイズが大きいことから、ππ相互作用による会合が強い。そのため、例えば、亜鉛フタロシアニン錯体は、強い分子間相互作用によって会合しやすい特性を持つ。
そこで、本発明のように、置換基Qを選択することで、例えば、亜鉛フタロシアニン錯体同士の会合を制御するだけでなく、異なる色素同士の会合までも抑制することが可能になり、電極表面上の充填密度を制御することができる。
特に、分岐のアルキル基、分岐のアルコキシ基、置換のアリール基、及び置換のアリールオキシ基を選択することで、立体障害が発生し会合を抑制することができる
次に、下記式(A−1)〜(A−3)で表される化合物Aの具体例でも説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

Figure 0006608187

Figure 0006608187

Figure 0006608187
置換基Qとして、例えば電子供与基としてtert−ブチル基等の分岐のアルキル基を導入した上記式(A−1)は、化合物同士の会合を抑制することができるので、溶液中での溶解性を向上させることが出来る。また、酸化チタン上に、高密度に吸着し単分子層を形成することができる。
なお、置換基Qとしては、立体障害が大きくなる分岐のアルコキシ基、置換のアリール基、及び置換のアリールオキシ基のような、いわゆる嵩高い置換基がより好ましい。また、嵩高い置換基の数が多い方がより好ましい。嵩高い置換基の数は、特に限定されないが、例えば、3以上が好ましく、6以上がより好ましい。嵩高い置換基を採用することで、立体障害の特性を利用することができる。これにより、色素を含む溶液中の会合と、電極表面上での会合の両方を抑制することが可能になる。
例えば置換のアリールオキシ基を導入した上記式(A−2)と上記式(A−3)のような例が好ましいが、上記式(A−2)で導入されたジフェニルアリールオキシ基のフェニル基よりも立体書害が小さい導入基を用いることで、電極上の吸着密度を高めることができる。さらに、ドナー供与性を有するアルコキシ基が導入された上記式(A−3)の場合は、非常に高い光電変換効率を得る事が可能になる。
さらに、置換基Qとして嵩高い置換基を導入することにより、例えば690nm付近における外部量子収率(IPCE)を向上させることができる。690nmにおけるIPCEは、特に限定されないが、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが100%とすることができる。IPCEを高くすることにより、鮮やかな緑色を示す色素増感太陽電池を得ることができる。これにより、色素増感太陽電池の特徴である太陽電池のデザイン性における多色化における緑色太陽電池としての利用が可能である。
次に、上記式(A−1)〜(A−3)で表される以外の一般式(1)で表される化合物Aの具体例として、下記式(A−4)〜(A−13)で表される化合物を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006608187

Figure 0006608187
上記、化合物Aはフタロシアニン骨格を有しているので700nm以上の近赤外領域でも、高い分光高度を備えているが、波長600〜1000nmの範囲に吸収極大波長を有することが好ましく、より好ましくは、波長600〜900nmの範囲に吸収極大波長を有することが好ましい。化合物Aが、上記波長範囲に吸収極大波長を有すると、化合物Aが太陽光によって十分に励起されやすい。また、近赤外色素の中に光や熱に対する耐久性もあり、安定した太陽電池特性を発揮することができる。
また、フタロシアニン錯体である化合物AのQ帯(例えば690nm)における分光感度は、特に限定されないが、例えば70%以上が好ましく、73%がより好ましく、75%以上がとくに好ましい。上限はとくに限定されないが、例えば100%以下、95%以下とすることができる。
[亜鉛フタロシアニン錯体の製造方法]
本実施形態に係る亜鉛フタロシアニン錯体の製造方法について説明する。当該亜鉛フタロシアニン錯体の製造方法は、とくに限定されないが、ピリジン環を有すフタロニトリル化合物a1を準備する工程と、置換基Qを有するフタロニトリル化合物a2を準備する工程と、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物存在下で、フタロニトリル化合物a1とフタロニトリル化合物a2とを混合して加熱することで、本実施形態に係る亜鉛フタロシアニン錯体を得る工程と、を有している。本実施形態において、フタロニトリル化合物a2は、異なる置換基Qを有している2種以上を含むことができる。亜鉛フタロシアニン錯体の複数種が混合された混合物から、通常の単離操作を行うことにより、目的とする骨格を有する亜鉛フタロシアニン錯体を単離することができる。
ここで、化合物Aは、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。具体的には、下記一般式(X1−a)〜(X1−d)で表されるフタロニトリル化合物をそれぞれ、等モル量を用いて酢酸亜鉛存在下で縮合反応させることによって行った。反応後は、数種類の混合物として反応物が得られているので、カラムクロマトグラフィーとHPLCを用い目的とする一般式(1)で表される化合物を単離することによって製造することができる。
Figure 0006608187

(式中、X〜XおよびY〜Yは、既述の一般式(1)中のX〜XおよびY〜Yと同じ意味を表す)
なお、製造例に付いては、実施例中にて記述する。
<化合物B>
カルボン酸を有する可視光変換色素としては、下記一般式(2)で表されるアミン化合物(以下、化合物Bと記載する)である。
Figure 0006608187
(式中、R、Rはそれぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換または未置換のアリール基のいずれかを表し、R、置換または未置換のアリーレン基を表し、RとRは、互いに結合してN原子とともに環を形成してもよく、Zは、Rに直接結合して、Rと共役するC=C結合を含み、かつ少なくともカルボン酸をひとつ含む基を表す。)
化合物Bは、特に限定されないが、本発明の実施形態における化合物Aの吸収波長を補完することができる可視光変換色素であることが好ましい。つまり、化合物Aは、近赤外光変換色素に対応しており、690nm付近における分光感度が高いが、550nm付近に分光感度が低い谷領域を有しているので、この谷の波長領域に高い分光感度を有することが好ましい。
さらに、化合物Bは、分光感度が高い波長領域として、例えば、特に限定されないが、400nm〜600nmが好ましく、450nm〜520nmがより好ましい。
これにより、可視光変換色素と近赤外光変換色素を導入した共生型色素増感太陽電池において、可視光領域(400nm〜770nm)に高い分光感度を示し、結果として、高い光電変換効率を得ることが可能になるので、可視光変換色素と近赤外光変換色素が同一電極上に共吸着させることができ、結果として色素増感太陽電池の吸収波長領域を拡大させることができる。
一般式(2)で表されるアミン化合物において、R、Rはそれぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換または未置換のアリール基を表し、R、置換または未置換のアリーレン基を表し、RとRは互いに連結して環を形成してもよい。また、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の前記ハロゲン原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基および炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基などが挙げられ、さらには、少なくともひとつのアリール基が炭素数1〜5の不飽和炭化水素基を介して置換していてもよい。
一般式(2)におけるR 、R の具体例としては、特に限定されるものではないが、直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、1−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、1−オクチルノニル基、n−オクタデシル基、1−ノニルデシル基、1−デシルウンデシル基、n−エイコシル基、n−ドコシル基、n−テトラコシル基、1−アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などの炭素原子と水素原子のみからなるアルキル基が挙げられ、置換または未置換のアリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4―n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、インダン−5−イル基、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル基、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−(4'−メチルフェニル)フェニル基、4−(4'−メトキシフェニル)フェニル基、4−ビニルフェニル基、4−スチリルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−エトキシナフタレン−1−イル基、6−n−ブチルナフタレン−2−イル基、6−メトキシナフタレン−2−イル基、7−エトキシナフタレン−2−イル基、アントラセン−1−イル基、アントラセン−2−イル基、アントラセン−9−イル基、テトラセン−2−イル基、フルオレン−2−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジ−n−プロピルフルオレン−2−イル基、9,9−ジ−n−ヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジ−(2−エチルヘキシル)フルオレン−2−イル基フラン−2−イル基、チオフェン−2−イル基、5−n−プロピルチオフェン−2−イル基、5−n−ブチルチオフェン−2−イル基、5−n−ヘキシルチオフェン−2−イル基、5−n−オクチルチオフェン−2−イル基、5−n−デシルチオフェン−2−イル基、5−n−トリデシルチオフェン−2−イル基、5−フェニルチオフェン−2−イル基、5−(チオフェン−2'−イル)チオフェン−2−イル基、5−(5'−n−ブチルチオフェン−2'−イル)チオフェン−2−イル基、5−(5'−n−ヘキシルチオフェン−2'−イル)チオフェン−2−イル基、5−(5'−n−デシルチオフェン−2'−イル)チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基などを挙げることができる。

一般式(2)で表されるアミン化合物において、RとRは、互いに連結してN原子とともに環を形成してもよく、
好ましくは、総炭素数4〜20の置換または未置換の含窒素複素環式脂肪族環、あるいは総炭素数4〜20の置換または未置換の含窒素複素環式芳香族環を形成してもよい。
含窒素複素環式脂肪族環の具体例としては、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環などを挙げることができる。
含窒素複素環式芳香族環の具体例としては、例えば、インドリン環、インドール環、カルバゾール環などを挙げることができる。
なお、形成される炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、複素環式脂肪族環、および複素環式芳香族環は置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基、炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基で単置換あるいは多置換されていてもよい。
前述の一般式(2)のZは、前述のRに直接結合して、Rと共役するC=C結合が含まれる。また、Zは少なくともカルボン酸がひとつ含む基であり、好ましくは一般式(Z−1)〜(Z−6)で表される基である。なお、一般式(Z−1)〜(Z−6)において、*は、Rへの結合位置を示す。
Figure 0006608187

一般式(Z−2)〜(Z−6)において、Zは、カルボン酸を含有する基を表す。式中のZは、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいはハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数4〜20のアリール基に、カルボン酸が結合した基であり、好ましくは炭素数1〜4の直鎖アルキル基にカルボン酸が結合した基であり、より好ましくはカルボキシメチル基またはカルボキシエチル基、またはこれらの塩であり、さらに好ましくは、カルボキシメチル基またはその塩である。
一般式(Z−2)〜(Z−6)において、Xは、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基のいずれかを示す。式中のXは、特に限定されないが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基であり、より好ましくは直鎖のアルキル基と、ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数4〜20のアリール基である。
また、一般式(Z−5)及び(Z−6)において、Wは、それぞれ独立にシアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基を表し、好ましくはシアノ基またはカルボキシ基である。
次に、本発明の一般式(2)で表されるアミン化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006608187

Figure 0006608187
上記、化合物Bは、波長300〜900nmの範囲に吸収極大波長を有することが好ましく、より好ましくは、波長400〜700nmの範囲に吸収極大波長を有することが好ましい。化合物Bが、上記波長範囲に吸収極大波長を有すると、化合物Bが太陽光によって十分に励起されやすい。
本発明の増感色素において、化合物Bの含有率は、特に限定されないが、増感色素全体に対して、好ましくは1重量%〜90重量%、さらに好ましくは10重量%〜80重量%である。
なお、化合物Bは複数種含有しても良い。
化合物Bは、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。具体的には、下記一般式(Y1−a)で表されるハロゲン化合物と、前述のZをパラジウム触媒存在下で反応させることによって製造することができる。
Figure 0006608187

(式中、R〜Rは、既述の一般式(2)中のR〜Rと同じ意味を表し、Dはハロゲン原子を表す。)
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、その導電性支持体表面上を被覆した半導体層と、その半導体層の半導体表面に吸着した本発明の光電変換材料(増感色素)から構成される半導体電極、電荷移動層(電解質層)及び対極(対向電極)を備える。半導体層は単層構成でも積層構成でもよく、目的に応じて設計される。また、導電性支持体の導電層と半導体層の境界、半導体層と移動層の境界等、この素子における境界においては、各層の構成成分は相互に拡散、または混合していてもよい。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるもの、または表面に導電剤を含む導電層を有するガラスあるいはプラスチックの支持体を用いることができる。後者の場合、導電剤としては白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、炭素、あるいはインジウム−スズ複合酸化物(以降「ITO」と略記する)、フッ素をドーピングした酸化スズ等の金属酸化物(以降「FTO」と略記する)等が挙げられる。導電性支持体は、光を10%以上透過する透明性を有していることが好ましく、50%以上透過することがより好ましい。この中でも、ITOやFTOからなる導電層をガラス上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。
透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で、金属リード線を用いてもよい。金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、透明支持体に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法、あるいは透明導電層上に金属リード線を設置する。
半導体層の膜厚の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。また、当該膜厚の上限値は、特に限定されないが、例えば、20μm以下とすることができ、10μm以下が好ましく、9μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。半導体層の膜厚を適切に制御することにより、光電変換効率を向上させることができる。
半導体としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムから選ばれる金属酸化物が好ましい。半導体電極の形成方法は問わないが、例えば、半導体電極となるべき酸化物の微粒子を形成し、これを適当な溶媒に分散させる。
得られた分散液の塗布方法としては、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤーバー等、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、あるいはスプレー法を挙げることができる。
更に半導体層は、単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布し、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。また、一度の塗布で膜厚が不足する場合には多層塗布は有効な手段である。
半導体層に増感色素(光電変換材料)を吸着させる方法としては、色素溶液中あるいは色素分散液中に半導体微粒子を含有する作用電極を浸漬する方法、色素溶液あるいは分散液を半導体層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
本実施形態において、化合物Aと化合物Bとを同じ電極の表面上に共吸着させる工程は、特に限定されないが、例えば、化合物Bを含む溶液に浸漬して、化合物Bを吸着させた電極を、さらに、化合物Aを含む溶液に浸漬する工程を用いることができる。この場合、浸漬の順序、時間および温度は適宜選択可能であるが、それぞれの色素を吸着させた後は、トルエン等の溶剤で電極を洗浄することにより、物理的に吸着している色素を除去することがより好ましい。これにより、2種類の色素が吸着された半導体電極を得ることができる。また、浸漬する工程に代えて、塗布する工程を利用してもよい。
増感色素を溶解、あるいは分散する溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、N、N―ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、アセトニトリル、エタノール、メタノール、tert−ブタノール、水、等を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。色素溶液の濃度としては、0.1〜5mM/Lとすることが好ましい。
これらを用い、増感色素を吸着あるいは浸漬させる際の時間としては、0.5〜100時間が好ましく、2〜50時間が更に好ましい。浸漬の際の温度としては、0〜100℃であることが好ましく、10〜50℃であることがより好ましい。
また、本実施形態において、化合物Aと化合物Bと電極の表面上に吸着させる順序としては、カルボン酸(プレンステッド酸)を有する化合物B(可視光変換色素)を最初に吸着させることが好ましい。
増感色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、半導体層に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホニル基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド系化合物やスルホン酸塩類等が挙げられる。
ステロイド系化合物の量は、増感色素1質量部に対して0.01 〜 1000質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
陽極(対向電極)は、導電性を有している限り特に制限はないが、例えば、透明導電性ガラス上に微量の白金又は導電性カーボンを付着させたものを好適に用いることができる。
電解質層としては、例えばレドックス系を含有する溶液若しくは固体、またはイオン性液体を使用することができる。
電解質層に使用される電解液は、電解質、溶媒、及び添加物から構成されることが好ましい。好ましい電解質は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム等の金属ヨウ化物−ヨウ素の組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、テトラプロピルヨーダイド(TPAI)、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせ、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物−臭素の組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムブラマイド、ピリジニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムパークロレート(TBAP)等の4級アンモニウム化合物もしくは臭素塩−臭素との組み合わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等が挙げられる。上述の電解質は単独の組み合わせであっても混合であってもよい。また、電解質として、室温で溶融状態の塩を用いることもできる。この溶融塩を用いた場合は、特に溶媒を用いなくともよい。
電解液における電解質濃度は、0.05〜20M/Lが好ましく、0.1〜15M/Lが更に好ましい。電解液に用いる溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が好ましい。
電解質は、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマー架橋反応等の手法によりゲル化させることもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合の好ましいポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等を挙げることができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合の好ましいゲル化剤としては、ジベンジルデン−D−ソルビトール、コレステトール誘導体、アミノ酸誘導体、トランス−(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミンのアルキルアミド誘導体、アルキル尿素誘導体、N−オクチル−D−グルコンアミドベンゾエート、双頭型アミノ酸誘導体、4級アンモニウム誘導体等を挙げることができる。
電解質の形成方法としては、マイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等を用いることができる。固体電解質又はp型半導体を用いる場合は、任意の溶媒を用いた溶液にした後、上記方法を用いて塗工し、基材を任意の温度に加熱して溶媒を蒸発させる等により形成する。
[光電変換素子の用途]
前述の光電変換素子は、主に色素増感太陽電池に利用されるが、色素増感光センサー等にも利用される。光電変換素子は、単独で発電システム等に適用されてもよいが、複数の光電変換素子を組み合わせた光電変換素子モジュールが、発電システムに適用されることが好ましい。発電システムに、光電変換素子モジュールが含まれると、発電容量が高まり、発電システムを種々の用途に適用できる
光電変換素子モジュールには、前述の光電変換素子のみが複数含まれてもよく、前述の光電変換素子と他の光電変換素子とが含まれてもよい。互いに異なる波長帯の光を光電変換可能な光電変換素子が二種以上含まれると、太陽光スペクトルの広い波長帯の光を有効活用でき、発電容量が高まりやすい。前述の光電変換素子と組み合わせる他の光電変換素子は、従来の増感色素が含まれる色素増感光電変換素子や、シリコン系光電変換素子等でありうる。
光電変換素子モジュールの構造は特に制限されず、電気的に接続された複数の光電変換素子が、二枚の透明基板(例えばガラス基板)の間に挟み込まれた構造等でありうる。各光電変換素子の間には、必要に応じて樹脂が充填される。光電変換素子モジュールにおける、光電変換素子の配置方法等は、光電変換素子モジュールの用途に応じて適宜選択される。光電変換素子は、平面状に並列に配置されてもよく、複数層積層されてよい。
前述の光電変換素子や、光電変換素子モジュールが含まれる発電システムは、例えば、電子機器、移動体、動力装置、建設機械、工作機械等に利用される。当該発電システムには、通常、光電変換素子の他に、蓄電池や、直流交流変換素子や、配電盤等が含まれる。
発電システムが含まれる電子機器の例には、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品等、各種工業製品が含まれる。また、発電システムが含まれる移動体の例には、自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船、宇宙探査機、人工衛星等が含まれる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
先ずは、本発明の実施形態を形成するピリジン環を有する亜鉛フタロシアニン錯体(化合物A)について実施例と比較例を用いて説明する。
図1に示される化合物(E−1)は、本発明の特徴である化合物Aの構造において、ピリジン環(ピリジン基)が直接フタロシアニン骨格に結合した化合物の分子構造式であり、前記、化合物(A−4)との相違点は、アセチレン基を介してピリジン環が結合しているか否かの点にあるので、その効果について対比する。
[合成例:化合物(A−4)]
50mL−四つ口フラスコ中に、下記式(X1−aA4)で表される化合物165mg(0.2mmol)、下記式(X1−d)で表される化合物8mg(33.6μmol)、酢酸亜鉛14mg(75.0μmol)及びジメチルアミノエタノール4mLを加え、窒素気流下4時間165℃で加熱および撹拌した。
当該反応溶液を室温まで冷却後、残渣を、活性アルミナ(和光200メッシュ、和光純薬品)を用いたカラムクロマトグラフィーで、ジクロロメタンとメタノールの混合溶液(300:1v/v)で精製し、次いで、リサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(リサイクル分取HPLC、日本分析工業株式会社製)にて、クロロホルムを溶離液として精製した。得られた粉末を乾燥させて、下記式(A−4)で表される化合物3.7mg(収率4%)を得た。
Figure 0006608187

Figure 0006608187

Figure 0006608187
分光光度計(JASCO V−650、日本分光株式会社製)により、トルエン中で吸収スペクトルを測定した結果、λmax(logε)=702(4.95)であった。
NMR分光計(AVANCE 400FT、ブルカー・オプティクス株式会社製)を用いて、CDCl溶液中の399.65MHzでの1HNMRスペクトルを測定した。内部TMSに関連して化学シフトが観測された。1H NMRスペクトル(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=9.0(2H,br,Pc−H),8.3−8.5(6H,m,Pc−H),6.7−7.1(23H,m,Pc−H ArH),4.0(24H,t,CHO),1.2−1.7(144H,m,−CH−),0.8(36H,t,−CH)。
マトリックス剤としてジスラノールを用いて、オートフレックス分光器(ブルカー・オプティクス株式会社製)にて、MALDI−TOFMSを測定したところ、計算値(C17123518Zn:m/z=2761.71)に対し、m/z=2768.12(M+H)であった。
なお、オリゴマーのフタロシアニン集合体に相当する分子イオンのピークが観測されなかったため、ピリジン環をアンカーとする化号物が、分子間配位結合の形成を介してフタロシアニン集合体を形成しないことを表している。
さらに、化合物(A−4)は、前記の一般式(1−1)のX11とX15の位置に、アルコキシ基が導入された化合物なので、亜鉛フタロシアニン骨格のマクロ環付近の立体的な込み合いによって、別の亜鉛フタロシアニン錯体のピリジン環が、中心金属の亜鉛に近づくことを防ぐことができると考えられる。
図2は、分光光度計(JASCO V−650、日本分光株式会社製)により、トルエン中で測定した吸収スペクトルを示す。
図2の吸収スペクトルは、690nmと700nm付近にQ帯の分裂が見られるが、この分裂の幅は、ピリジンユニットが亜鉛フタロシアニンにおいて強力な電子受容体として作用する事を示し、ドナーアクセプター置換による非対称「プルプッシュ」型亜鉛フタロシアニンとして、会合が抑制されている事を示している。
(実施例1):化合物(A−4)を増感色素とした光電変換素子の作製
酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide T/SP(ソラロニクス社製)及びTi−Nanoxide D/SP(ソラロニクス社製)の混合物)をFTOガラス基板(導電性支持体)上に膜厚3〜7μmになるように塗布した。その後、500℃で30分間焼成し、半導体層を得た。
化合物(A−4)の濃度が0.5mM/Lとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、前述の半導体層を25℃で48時間浸漬し、酸化チタンに増感色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
ここで、酸化チタンフィルムを前述の増感色素含有溶液に浸漬し、増感色素で染色したフィルムの吸収スペクトルを測定した。その結果、酸化チタンフィルムに吸着された化合物(A−4)の吸収スペクトルは、鋭いQ帯が見とめられ、その吸収スペクトルは、トルエン溶液中のスペクトルと同様であった。これにより、酸化チタン表面に吸着された化合物(A−4)を含む層中における、色素の分子凝集を防ぐことが示された。
なお、酸化チタンフィルムに吸着された色素濃度は、酢酸含有のTHF溶液に浸漬することにより、酸化チタンフィルムから脱着させた化合物(A−4)のQ帯における吸光度を測定して吸着密度を求めた。
一方、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.025M、t−ブチルピリジン0.5M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.6Mのアセトニトリル溶液を電解液として準備した。さらに、ガラス板上に白金をスパッタリングした対向電極を準備した。そして、上記で得られた半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を得た。
光電変換素子について、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果を表1に示す。
次に、比較例として、図1に示される化合物(E−1)の合成手順と光電変換素子の作製手順を示す。
(比較例1):化合物(E−1)
化合物(E−1)の合成は、化合物(A−4)の合成手順における式(X1−d)で表される化合物の代わりに、4‐ピりジル−1,2−ジシアノベンゼンを用いる点を除き、他は、化合物(A−4)の合成方法及び光電変換素子の作製手順について説明した前述の方法と同じであるので、記載を省略し、得られた光電変換特性の結果も表1に示す。
Figure 0006608187
表1に示されたように、光電変換効率の数値が、化合物(E−1)< 化合物(A−4)であった。これは酸化チタン表面の増感色素の吸着密度と一致する。従って、化合物(E−1)は、アセチレン基を介してピリジン環が結合していない事により吸着密度が減少していると言え、アセチレン基を介する事で光電変換効率が向上するとも言える。
図3(a)は、本発明の実施形態に係る化合物(A−4)を使った光電変換素子の電流−電圧曲線(I−V曲線:実線)に、化合物(E−1)を使った光電変換素子の電流−電圧曲線(I−V曲線:点線)を重ね書きして対比したグラフである。
図3(b)は、本発明の実施形態に係る化合物(A−4)を使った光電変換素子の入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル:実線)に、化合物(E−1)を使った光電変換素子の入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル:点線)を重ね書きして対比したグラフである。
表1に示されたように、ピリジン環(ピリジン基)が直接フタロシアニン骨格に結合するのではなく、アセチレン基を介してピリジン環が結合するだけで、いずれをとっても優れた結果を示している。
次いで、半導体層の膜厚による本実施形態の効果を、以下の合成例で得られる化合物(A−3)を用いて説明する。
[合成例:化合物(A−3)]
50mL−四つ口フラスコ中に、下記式(X1−aA3)で表される化合物120mg(0.2mmol)、下記式(X1−d)で表される化合物8mg(33.6μmol)、酢酸亜鉛14mg(75.0μmol)及びジメチルアミノエタノール4mLを加え、窒素気流下4時間165℃で加熱および撹拌した。
当該反応溶液を室温まで冷却後、残渣を、活性アルミナ(和光200メッシュ、和光純薬品)を用いたカラムクロマトグラフィーで、ジクロロメタンとメタノールの混合溶液(300:1v/v)で精製し、次いで、リサイクル分取ゲル浸透クロマトグラフィー(リサイクル分取HPLC、日本分析工業株式会社製)にて、クロロホルムを溶離液として精製した。得られた粉末を乾燥させて、下記式(A−3)で表される化合物5mg(収率7%)を得た。
Figure 0006608187

Figure 0006608187

Figure 0006608187
分光光度計(JASCO V−650、日本分光株式会社製)により、トルエン中で吸収スペクトルを測定した結果、λmax(logε)=702(4.98)であった。
マトリックス剤としてジスラノールを用いて、オートフレックス分光器(ブルカー・オプティクス株式会社製)にて、MALDI−TOFMSを測定したところ、計算値(C12313918Zn:m/z=2094.96)に対し、m/z=2094.65(M+H)であった。なお、オリゴマーのフタロシアニン集合体に相当する分子イオンのピークは観測されなかった。
NMR分光計(AVANCE 400FT、ブルカー・オプティクス株式会社製)を用いて、CDCl3溶液中の399.65MHzでの1HNMRスペクトルを測定した。内部TMSに関連して化学シフトが観測された。1H NMR(CDCl、400.13MHz):δ(ppm)=9.1(2H,br,Pc−H) 8.3〜8.5(6H,m,Pc−H),6.8〜7.4(23H,m,Pc−H ArH),4.0(24H,t,CHO),1.2〜1.6(48H,m,−CH−),0.8(36H,t,−CH
(実施例2−1):化合物(A−3)を増感色素とした光電変換素子の作製
酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide T/SP(ソラロニクス社製)及びTi−Nanoxide D/SP(ソラロニクス社製)の混合物)をFTOガラス基板(導電性支持体)上に膜厚が、3〜7μmになるように塗布した。その後、500℃で30分間焼成し、半導体層を得た。なお、酸化チタン層の膜厚は6.6μmであった。
ついで、化合物(A−3)の濃度が0.5mM/Lとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、前述の半導体層を25℃で48時間浸漬し、酸化チタンに増感色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
一方、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.025M、t−ブチルピリジン0.5M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.6Mのアセトニトリル溶液を電解液として準備した。さらに、ガラス板上に白金をスパッタリングした対向電極を準備した。
そして、上記半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を得た。
光電変換素子について、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果について、表2に示すが、曲線因子(FF)は0.74であった。
(実施例2−2):化合物(A−3)を増感色素とした光電変換素子の作製
酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide T/SP(ソラロニクス社製)及びTi−Nanoxide D/SP(ソラロニクス社製)の混合物)をFTOガラス基板(導電性支持体)上に膜厚が、13〜14μmになるように塗布した。その後、500℃で30分間焼成し、半導体層を得た。なお、酸化チタン層の膜厚は12.6μmであった。
化合物(A−3)の濃度が0.5mM/Lとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、前述の半導体層を25℃で48時間浸漬し、酸化チタンに増感色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
一方、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.025M、t−ブチルピリジン0.5M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.6Mのアセトニトリル溶液を電解液として準備した。さらに、ガラス板上に白金をスパッタリングした対向電極を準備した。
そして、上記半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を得た。
光電変換素子について、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果について、表2に示すが、曲線因子(FF)は0.74であった。
Figure 0006608187
表2に示されたように、光電変換効率の数値が、(実施例2−2)<(実施例2−1)であった。従って、化合物(A−3)は、半導体層の膜厚が6μmになっても、配位結合を介して亜鉛フタロシアニン骨格から酸化チタン電極の伝導帯へ電子の注入が効率的に行われていることを示唆している。
図4(a)は、酸化チタン層(半導体層)の厚みを6.6μmとした実施例(2−1)の電流−電圧曲線(I−V曲線:実線)に、酸化チタン層の厚みを12.6μmとした実施例(2−2)の電流−電圧曲線(I−V曲線:点線)を重ね書きして対比したグラフである。
図4(b)は、酸化チタン層(半導体層)の厚みを6.6μmとした実施例(2−1)の入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル:実線)に、酸化チタン層の厚みを12.6μmとした実施例(2−2)の入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル::点線)を重ね書きして対比したグラフである。
表2に示されたように、本発明の実施形態である亜鉛フタロシアニン錯体(化合物A)は、半導体層の膜厚を薄くすることができるので、光電変換素子を作成する場合に、該素子を薄くすることができ、加工性にすぐれるともいえる。
さらに、亜鉛フタロシアニン錯体(化合物A)の吸着サイトについて、以下に示す実施例と比較例を用いて説明する。
(実施例3):吸着サイトがピリジル基である亜鉛フタロシアニン錯体
化合物(A−3)の濃度が0.5mMとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、実施例1と同様にして得た半導体層を25℃で48時間浸漬し、酸化チタンに増感色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
ここで、酸化チタンフィルムを前述の増感色素含有溶液に浸漬し、増感色素で染色したフィルムの吸収スペクトルを測定した。
酸化チタンフィルムに吸着された色素濃度は、酢酸含有のTHF溶液に浸漬することにより、酸化チタンフィルムから脱着させた化合物(A−3)のQ帯における吸光度を測定して吸着密度を求めた。
一方、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.025M、t−ブチルピリジン0.5M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.6Mのアセトニトリル溶液を電解液として準備した。さらに、ガラス板上に白金をスパッタリングした対向電極を準備した。
そして、上記半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を得た。
光電変換素子について、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果を表3に示す。
図5に示される化合物(E−2)は、カルボキシル基が直接フタロシアニン骨格に結合した化合物の分子構造式であり、吸着基が、アセチレン基を介したピリジン環に相違点がある。
次に、比較例として、化合物(E−2)の合成手順と光電変換素子の作製手順を示す。
(比較例2):吸着サイトがカルボキシル基である亜鉛フタロシアニン錯体
化合物(E−2)の合成は、化合物(A−3)の合成手順における式(X1−d)で表される化合物の代わりに、4‐カルボキシル−1,2−ジシアノベンゼンを用いる点を除き、他は、化合物(A−3)の合成方法及び光電変換素子の作製手順について説明した前述の方法と同じであるので、記載を省略し、得られた光電変換特性の結果も表3に示す。
Figure 0006608187
表3に示されたように、ピリジル基を吸着サイトとする化合物(A−3)の吸着密度は、カルボキシル基を吸着サイトとする化合物(E−2)の約5分の1であり、亜鉛フタロシアニン錯体の酸化チタン表面での充填率は、吸着サイトがピリジル基である場合は、吸着サイトがカルボキシル基である場合よりも低いことが示されている。これは、ピリジル基およびカルボキシル基のそれぞれの吸着サイトを有する2つの色素間では、吸着平衡定数が大きく異なることを示唆している。従って、化合物(A−3)の吸着密度が低いために、電解質のアクセプター種が酸化チタン表面の空サイトに近づくことができる。
ゆえに、酸化チタンフィルムの深層に注入された電子は酸化チタンと電解質との界面において電荷再結合により、FTO電極に移動しないと推察される。
最後に、本発明の実施形態について、説明する。
(実施例4):化合物(B−1)を増感色素とした光電変換素子の作製
化合物(B−1)の濃度が0.25mMとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、実施例1と同様にして得た半導体層を25℃で48時間浸漬し、酸化チタンに増感色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
同様に、酸化チタンフィルムを前述の増感色素含有溶液に浸漬し、増感色素で染色したフィルムの吸収スペクトルを測定し、酸化チタンフィルムに吸着された色素濃度も合わせて測定した。
一方、実施例2と同様にして得た対向電極を、上記半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を作製し、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果を表4に示す。
太陽光の赤色領域での有機色素の応答を高めるために、酸化チタン表面で、化合物Aと化合物Bが有する2種類のサイトを選択的に吸着させることで、色素の充填率を上げて光電変換効率の向上を試みた。
酸化チタン表面のブレンステッド酸サイトは、カルボキシル基をアンカーとした化合物Bに占有されてもよく、残るルイス酸サイトに、ピリジン基をアンカーとした化合物Aが吸着するようになる。手順として、化合物Bのトルエン溶液に酸化チタン電極を24時間浸漬することで、まず酸化チタン電極を化合物Bで覆い、続いて、化合物Aのトルエン溶液に24時間浸漬した。具体的には、以下の実施例5で説明する。
(実施例5):化合物(A−3)と化合物(B−1)を増感色素とした光電変換素子の作製
酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide T/SP(ソラロニクス社製)及びTi−Nanoxide D/SP(ソラロニクス社製)の混合物)をFTOガラス基板(導電性支持体)上に膜厚3〜7μmになるように塗布した。その後、500℃で30分間焼成し、半導体層を得た。
化合物(B−1)の濃度が0.25mMとなるように、トルエンに溶解させて得られた増感色素含有溶液に、前述の半導体層を25℃で24時間浸漬し、酸化チタンにカルボキシル基をアンカーとした色素を吸着させて、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
次いで、上記半導体電極に、化合物(A−4)の濃度が0.5mMとなるようにトルエンに溶解させた増感色素溶液に、上記半導体電極を25℃で24時間浸漬し、酸化チタンに2種類のアンカーを有する増感色素が共吸着された、導電性支持体と、増感色素担持半導体層とを有する半導体電極を得た。
ここで、酸化チタンフィルムを前述の増感色素含有溶液に浸漬し、増感色素で染色したフィルムの吸収スペクトルを測定した。
図6は、分光光度計(JASCO V−650、日本分光株式会社製)により測定された、酸化チタンフィルムに共吸着された化合物(A−3)と化合物(B−1)の吸収スペクトルを示す。
なお、酸化チタンフィルムに共吸着された化合物(A−3)と化合物(B−1)の濃度は、酢酸含有のTHF溶液に浸漬することにより、酸化チタンフィルムから脱着させたそれぞれの化合物のQ帯における吸光度を測定して吸着密度を求めた。
一方、ヨウ化リチウム0.1M、ヨウ素0.025M、t−ブチルピリジン0.5M、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム0.6Mのアセトニトリル溶液を電解液として準備した。さらに、ガラス板上に白金をスパッタリングした対向電極を準備した。そして、上記で得られた半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を得た。
光電変換素子について、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(IPCE)を測定した。疑似太陽光の光源は、ソーラーシミュレーター(三永電気製作所社製(XES−70S1))とした。得られた光電変換特性の結果を表4に示す。
Figure 0006608187
ここで、表4から明らかなように、共吸着させた後でも化合物(A−3)と化合物(B−1)の色素吸着量は変化しなかったことから、化合物(A−3)と化合物(B−1)が酸化チタン表面のサイトに対して選択的に吸着したことが分かる。
これは、可視光変換色素(化合物B)と近赤外光変換色素(化合物A)が同一の電極上に共吸着させることができ、結果として、色素増感太陽電池の吸収波長領域を拡大させることができるといえる。
また、化合物(B−1)を単独で吸着させた場合にくらべて、化合物(A−3)と化合物(B−1)を共吸着させた場合、光電変換材料は2倍近くの短絡電流密度を示しさらに高い光電変換特性を示した。
図7(a)は、実施例4に示した化合物(B−1)単独の光電変換材料による、電流−電圧曲線(I−V曲線:点線)に、実施例5で示した、化合物(A−3)と化合物(B−1)を併用した光電変換材料による、電流−電圧曲線(I−V曲線:実線)を重ね書きして対比したグラフである。
図7(b)は、実施例4に示した化合物(B−1)単独の光電変換材料による、入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル:点線)に、実施例5で示した、化合物(A−3)と化合物(B−1)を併用した光電変換材料による、入射単位光当たりの光電変換率(IPCEスペクトル:実線)を重ね書きして対比したグラフである。
(実施例6〜実施例20)光電変換素子の作製
下記表5に記載の化合物Aと化合物Bを、実施例5と同様に酸化チタン上に共吸着させた半導体電極を得た。
一方、実施例5と同様にして得た対向電極を、上記半導体電極と対向電極とを対向させて配置し、これらの電極間に電解液を充填して、光電変換素子を作製し、半導体電極側から擬似太陽光(AM1.5G、照射強度100mW/cm)を照射し、電気化学測定装置にて、電流−電圧曲線における短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、および光電変換効率(PCE)を測定したところ、異なるアンカー基を有する亜鉛フタロシアニン錯体とアミン化合物を、単独でなく、併用することにより、実施例5と同様に、非常に光電変換特性に優れた色素増感太陽電池を得られることが示された。
Figure 0006608187
以上、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
特定の亜鉛フタロシアニン錯体と、カルボン酸を有するアミン化合物を含む増感色素を用いた光電変換素子は、異なる吸着サイトを有することから、半導体に対する吸着性が優れ、光電変換効率が非常に高い。したがって、色素増感太陽電池や各種発電システムに適用可能である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される亜鉛フタロシアニン錯体と、
    カルボン酸を有するアミン化合物と、を含む増感色素。
    Figure 0006608187
    (式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基を表す。但し、X〜X及びY〜Yの全てが水素原子であることはない。)
  2. 前記一般式(1)において、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基のいずれかを表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリールオキシ基のいずれかである、請求項1に記載の増感色素。
  3. 前記一般式(1)において、X〜Xの全てが、水素原子を表し、Y〜Yの全てが、置換または未置換のアリールオキシ基である、請求項1または2に記載の増感色素。
  4. 前記カルボン酸を有するアミン化合物が、下記一般式(2)で表されるアミン化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の増感色素。
    Figure 0006608187
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に、直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換または未置換のアリール基のいずれかを表し、R、置換または未置換のアリーレン基を表し、RとRは、互いに結合してN原子とともに環を形成してもよく、Zは、Rに直接結合して、Rと共役するC=C結合を含み、かつ少なくともカルボン酸をひとつ含む基を表す。)
  5. 前記一般式(2)において、前記Zが下記一般式(Z−1)〜(Z−6)のいずれかで表される基である、請求項4に記載の増感色素。
    Figure 0006608187
    (式中、Xは、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、あるいは置換または未置換のアリール基のいずれかを表し、Zは、カルボン酸を含有する基を表し、Wは、それぞれ独立に、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基のいずれかを表す。なお、式中の*は、Rへの結合位置を示す。)
  6. 導電性支持体と、
    前記導電性支持体の表面上に被覆された半導体層と、
    前記半導体層の半導体の表面に吸着した増感色素と、を備える半導体電極であって、
    前記増感色素が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の増感色素を少なくとも一種を含む、半導体電極。
  7. 前記半導体が、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムから選ばれる金属酸化物を少なくとも1種含む、請求項6に記載の半導体電極。
  8. 請求項6または7に記載の半導体電極と、
    前記半導体電極に対向する対向電極と、
    前記半導体電極と前記対向電極との間に充填される電解質層と、を含む、光電変換素子。
  9. 請求項8に記載の光電変換素子を1つ以上含む、色素増感太陽電池。
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