以下において、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の大きさの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚み、寸法、大きさ等は以下の説明から理解できる技術的思想の趣旨を参酌してより多様に判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す本発明の第1〜第3の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための器具を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、本発明の第1〜第3の実施形態で記載された内容に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明特定事項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施形態)
図14に示すように、本発明の第1の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体は、それぞれが棟の方向に直交する複数の面内でアーチ状に曲がる同一形状、同一寸法を有し、棟の方向に沿ってそれぞれ配列された複数本のアーチ材33a〜33jと、この複数本のアーチ材33a〜33jのそれぞれと直交し、棟の方向に複数本配列された桁材35a〜35cとを備える。複数本のアーチ材33a〜33jと桁材35a〜35cとでビニールハウス本体の骨組み(以下において「ハウス骨組み」という。)を成している。
本明細書において「棟」とは、ハウス骨組みにおいて切り妻屋根(三角屋根)の頭頂の稜線に相当する部分を含む構造で、最も高さがある稜線の部分(頭頂部分)及びその周辺部分のことを指す。すなわち、「棟」とは、通常の建築構造の切り妻屋根においては棟木が通されるライン及びその周辺部分であり、「主棟」や「本棟」と呼ばれることもある。図14においては、桁材35aが棟木の役割を担う。
ハウス骨組みの屋根部が蒲鉾ドーム状等の丸型の場合は、棟の稜線は明確ではないが、曲面の母線のうち、最も高さがある母線が「棟」になる。ハウス骨組みの屋根部が屋根型の場合は、複数の傾斜部の交差する分水部分のラインになる。通常であれば「棟の方向」はハウス骨組みの長手方向と一致するはずである。逆に言えば、ハウス骨組みの屋根部は、用いられるアーチ材の種類によって、一様に曲面が続く場合もあれば、傾斜部が交差し分水部分を有する場合もあるが、いずれのタイプを用いても良い。この棟の方向に直交する複数の面内で、複数本のアーチ材33a〜33jのそれぞれがアーチ状を成す。
図14に示すように、第1の実施形態に係るビニールハウスは長手方向が棟の方向と平行な支持台14aを更に備える。支持台14aは、図15に示すように、棟の方向と平行な第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bと、第1の支持部22aと第2の支持部22bの間に設けられた凹部20を有する。第1の固定溝21aと凹部20は第1の支持部22aで接続され、第2の固定溝21bと凹部20は第2の支持部22bで接続されている。よって、第1の支持部22a及び第2の支持部22bは、支持台14aにおいて、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bより中央寄りに位置することとなる。第1の固定溝21aの凹部20の反対側となる凸部には、第1の固定溝21aに連続する矩形板状の第1の辺縁部23aが支持台14の一方の端部として設けられている。第2の固定溝21bの凹部20の反対側となる凸部には、第2の固定溝21bに連続する矩形板状の第2の辺縁部23bが支持台14aの他方の端部として設けられている。
図11に示すように、第1の辺縁部23aは、第1の固定溝21aの一方(右側)の壁に連続した矩形板状をなし、第2の辺縁部23bは第2の固定溝21bの一方(左側)の壁に連続した矩形板状をなしている。第1の辺縁部23aにおいて、支持台14aの短手方向の端部は、支持台14aにおける長辺の一方を定義する。第2の辺縁部23bについても第1の辺縁部23aと同様に、支持台14aにおける長辺の他方を定義する。
即ち、支持台14aは、短手方向の一端から順に、第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、第1の支持部22a、凹部20、第2の支持部22b、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bを有する段差形状である。図15から分かるように、支持台14aの長手方向から見た形状については、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bは間口の狭いU字型、即ちアリ溝型であり、凹部20はW型である。図15に示すように、支持台14aは、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部でハウス骨組みの屋根部と接続する。支持台14aの第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、第1の支持部22a、凹部20、第2の支持部22b、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bは、別々の部材であってもよいし、すべて又は一部が一体となった構造でもよい。
本明細書において、「支持台14aの長手方向」は棟の方向と一致する。即ち、「支持台14aの長手方向」とは、第1の固定溝21aの溝が走る方向を指す。支持台14aの長手方向の長さは、ビニールハウス本体の棟の長さと同一の長さ又は棟の長さより短い長さであるものとする。支持台の長手方向が棟の方向と一致することは、他の実施形態や変形例における支持台においても同様である。支持台14aの長手方向の長さが棟の長さよりも短い場合は、複数の支持台を連結させた全体の長手方向の長さが棟の長さと一致するようにしてもよい。支持台14aの長手方向の長さが短いほど、支持台14aの重量は小さくなるために持ち運びやすくなるが、設置の手間が幾度も生じて扱いが煩雑になりやすい。従って、複数の支持台を連結させる場合は、扱いやすさの観点から、支持台14aの長手方向の長さは1〜3m程度に調整するのが好ましい。ハウス骨組みに設置の際、支持台14aの長手方向はハウス骨組みの棟の方向に平行に配置されるので、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21b、凹部20はその棟の方向とも平行の関係となる。
図11に示す凹部20は、W型の溝であるので、中央の山型の両側に谷を2つ有する。支持台14aのハウス骨組みへの設置の際は、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部の他に、凹部20の2つの谷がハウス骨組みに接することになる。凹部20の存在により、上方からの荷重をより分散させることが出来るので、支持台14aの上部に設置される防護具10及び積雪した雪等によるハウス骨組みへの負担を軽減することが出来る。支持台14aは凹部20を有していた方が好ましい。支持台14aの長手方向から見た凹部20の形状は、支持台14aをアーチ状のハウス骨組みの棟付近に固定させるために、図11(b)のようにW型の溝であることが好ましい。凹部20として、W型以外では、底部がハウス骨組みの棟の形状に適合したアーチ形状を有する溝を採用することができる。図11に示す第1の支持部22aの上面は、第1の辺縁部23aの上面と同一平面上又は一定の曲率の同一曲面上に属することが好ましい。第2の支持部22bと第2の辺縁部23bとの関係も同様である。
図11に示す支持台14aについては、鋼板やプラスチック等、板状に加工できるものであればいずれでも素材として用いることができる。扱いやすさやコストの面で、鋼板や合成樹脂プレートを用いることが好ましい。鋼板としては、表面処理は必須ではないが、屋外で使用するため、耐食性を高める塗料等を焼き付けたものやメッキ処理を施したものの方がより好ましい。塗料の種類はポリエステル樹脂系やフッ素樹脂系等があるが、いずれでもよい。鋼板の炭素含量割合は、通常鋼板として用いられる程度である0.04〜2%程度であればいずれでもよい。
図11に示す支持台14aに合成樹脂プレートを用いる際は、メラミン樹脂や尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリカーボネートやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の強化プラスチック等、いずれでも用いることができる。特に耐候性や耐食性の観点から、アクリル樹脂や強化プラスチック系の樹脂が好ましい。又、ビニールハウス本体内への太陽光確保の観点からは、透明又は半透明であるアクリル樹脂や尿素樹脂が望ましい。
図11に示す支持台14aについて、ハウス骨組みの棟の方向に沿わせる長手方向の長さは、取り付けるハウス骨組みの棟の長さに合わせて自由に選択することが出来る。支持台14aの短手方向の長さについても、ハウス骨組みの規模等により自由に選択することが出来るが、雪割り効果や鳥害を防ぐ効果、荷重等を考慮すると、20〜60cm程度が好ましい。
図15の部分拡大図においては、支持台14aは、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21b、凹部20の2つの谷の部分において、ハウス骨組みと接続している。支持台14aの第1の固定溝21aの底部が、図14(a)のハウス骨組みのアーチ材33a〜33jのそれぞれと接する部分において、各種固定器具により固定されている。各種固定器具の図示は省略しているが、なべ型ネジやボルト等を用いることができ、固定方法に特に指定はない。支持台14aの第1の固定溝21aの底部とハウス骨組みのアーチ材33a〜33jの接する部分すべてで固定してもよいが、必ずしもすべてで固定する必要はなく、例えば1本置きのアーチ材の部分で固定してもよい。第1の固定溝21aの底部で説明したが、第2の固定溝21bの底部においても同様である。凹部20の2つの谷の部分とハウス骨組みとは、固定器具による固定はしてもよいが、しなくてもよい。
そして、図16に示すように、第1の実施形態に係るビニールハウスは、ハウス骨組み及び支持台14aを覆うビニールシート31を更に備える。本明細書においては、ハウス骨組みと、そのハウス骨組みに張られたビニールシートとで「ビニールハウス本体」が構成されるものとする。ビニールハウス本体の形状は、その構成部材であるハウス骨組みの形状とほぼ一致する。第1の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体においては、図14(a)に示すアーチ材33a〜33j及び桁材35a〜35cにより組まれるハウス骨組みと、図16(a)等に示すビニールシート31により、ビニールハウス本体が構成される。ハウス骨組みへのビニールシート31の固定方法は問わない。ビニールシート31は、図16に示すように、ハウス骨組みの棟の方向に平行な二筋の溝を構成するように、支持台14aの第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの内壁に沿って、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bに埋め込まれている。
図17に示すように、第1の固定溝21aに波型バネ等の押さえ器具83が嵌め込まれてビニールシート31を固定している。図示を省略しているが、第2の固定溝21bにも、同様に、押さえ器具が嵌め込まれてビニールシート31を固定している。図11(b)において、第1の固定溝21aの底部の最下端から第1の支持部22aの最上端までの高さを支持台14aの「高さ」と定義すると、支持台14aの高さは5〜20cm程度が好ましい。第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部の幅は、押さえ器具83が嵌め込まれる程度があればよい。
図16に示した二筋の溝は、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bに埋め込まれたビニールシート31の形状を示している。図17に示すような押さえ器具83を用いることにより、図18に示すように、ビニールシート31が支持台14aの第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bに密着するように固定される。図17に示すような押さえ器具83を設けることにより、ビニールシート31に固定用の孔や開口部を設けることなく、ハウス骨組みに対するビニールシート31の相対的位置が決定し、固定することが可能になるので、ビニールシート31による密閉性を高めることができる。
図16に示すビニールシート31は、一般的に農業用ビニールハウス本体へ使用されるものであればいずれでも採用することができ、例えば、農業用ポリ塩化ビニルフィルム(農ポリ)や農業用ポリオレフィンフィルム(農POフィルム)、硬質タイプであるフッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。ビニールシート31は、図16に示すように、通常ビニールハウス本体の出入り口が設けられる蒲鉾型の互いに対向する2つの平面以外の部分、即ち、ハウス骨組みのアーチ状の部分について、ハウス骨組みの一方の下部から他方の下部まで一体となったものを張ってもよい。又、複数のビニールシートでハウス骨組み及び支持台14aの全面を覆ってもよい。例えば、支持台14aの第1の固定溝21aからそれに近い方のハウス骨組みの一方の下部までを1枚のビニールシートで覆い、第1の固定溝21aからハウス骨組みの他方の下部までをもう1枚のビニールシートで覆う等である。複数のビニールシートを使用する際は、ビニールシートが互いに重なり合う部分が生じてもよい。ビニールシートは、ハウス骨組みの肩より下方において、押さえ器具等によりハウス骨組みに固定されていてもよい。
更に、図19に示すように、第1の実施形態に係るビニールハウスは、支持台14aの上に、ビニールシート31を介して、防護具10を更に有する。防護具10は、長手方向が棟の方向と平行で、短手方向の両端部が第1及び第2の鉤爪形状であり、第1及び第2の鉤爪形状をなす端部が、ビニールシート31を挟んで、支持台14の第1の辺縁部23及び第2の辺縁部23bを包み込んでいる。即ち、図19に示す防護具10の右側端部が、図18に示した支持台14aの右側端部である第1の辺縁部23aを弾性力で包み込み、防護具10の左側端部が、図18に示した支持台14aの左側端部である第2の辺縁部23bを弾性力で包み込んでいる。図19に示すように、防護具10は、中央部に棟の方向に平行となる山型の雪割り部を有して突起部をなしている。本明細書においては、防護具と支持台とで「防護具ユニット」を構成するものとする。図19においては、防護具10及び支持台14aとで「防護具ユニット」を構成する。
防護具10の雪割り部(12a,12b)は、図9(a)及び(b)に示すように、第1の傾斜板12a及び第2の傾斜板12bから成る。第1の傾斜板12aと第2の傾斜板12bは、それぞれの長辺の一方で接している。第1の傾斜板12a及び第2の傾斜板12bはそれぞれ別の部材から製造されたものでもよいし、1枚の板を折り曲げて製造した一体となった構造でもよい。図9(b)に示すように、第1の傾斜板12aと第2の傾斜板12bとで内角θ2を成す。防護具10の雪割り部(12a,12b)の頂部は、丸みがある形状でもよいが、雪割り効果や鳥害を防ぐために、尖った形状がより好ましい。
防護具10の第1の鉤爪形状は、図9(a)及び(b)に示すように、第1の支持台15cの短手方向の一端と、それに連続する第1の折り返し部16cとで構成される。第1の折り返し部16cの端部の処理として、図10に示すように、更に折り返して潰した構造の縁留め部18cが設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。縁留め部18cのような端部の処理がされている場合は、ビニールシートに接触した際にビニールシートを破損するおそれが減少する。第2の鉤爪形状は、図9(a)及び(b)に示すように、第2の支持台15dの短手方向の一端と、それに連続する第2の折り返し部16dとで構成される。第2の折り返し部16dの端部の処理については、第1の折り返し部16cと同様である。防護具10の第1の支持台15cと第1の折り返し部16cとは、それぞれ別の部材であってもよい。第2の支持台15dと第2の折り返し部16dについても同様である。又、第1の支持台15cおよび第2の支持台15dが、雪割り部(12a,12b)と一体となった構造でもよいし、それぞれ別々の部材でもよい。
図9(a)及び(b)、(c)に示す防護具10は、図19(b)及び図20に示すように、支持台14aに嵌め込まれるため、長手方向は支持台14aの長手方向と同一の長さであり、短手方向は支持台14aの短手方向とほぼ同一の長さであることが好ましい。本明細書において防護具10の短手方向の長さとは、図9(b)における、第1の鉤爪形状の端部から第2の鉤爪形状の端部までの直線距離に等しい。
防護具10の長手方向の長さが支持台14aの長さよりも短い場合は、複数の防護具を連結させた全体の長手方向の長さが支持台14aの長さと一致するようにする。防護具10の長手方向の長さが短いほど、防護具10の重量は小さくなるために持ち運びやすくなるが、設置の手間が幾度も生じて扱いが煩雑になりやすい。従って、複数の防護具を連結させる場合は、支持台14aと同様、扱いやすさの観点から、防護具10の長手方向の長さは1〜3m程度に調整するのが好ましい。
図9に示す防護具10の雪割り部(12a,12b)の高さは、10〜20cm程度が好ましい。防護具10の第1の支持台15c及び第2の支持台15dの短手方向の各長さは、10〜20cm程度が好ましい。防護具10の第1の折り返し部16c及び第2の折り返し部16dの短手方向の長さは、1〜3cm程度が好ましい。
防護具10は、鋼板やプラスチック等、板状に加工できるものであればいずれでも素材として用いることができるが、扱いやすさやコストの面で、鋼板や合成樹脂プレートを用いることが好ましい。鋼板としては、表面処理は必須ではないが、屋外で使用するため、耐食性を高める塗料等を焼き付けたものやメッキ処理を施したものの方がより好ましい。塗料としてより好ましくは、太陽光による温度上昇の観点から、黒色の塗料である。塗料の種類はポリエステル樹脂系やフッ素樹脂系等があるが、いずれでもよい。鋼板の炭素含量割合は、通常鋼板として用いられる程度である0.04〜2%程度であればいずれでもよい。
防護具10の素材として合成樹脂プレートを採用する際は、支持台14aと同様の考え方で、メラミン樹脂や尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリカーボネートやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の強化プラスチック等、いずれでも用いることができる。特に耐候性や耐食性の観点から、アクリル樹脂や強化プラスチック系の樹脂が好ましい。又、ビニールハウス本体内への太陽光確保の観点からは、透明又は半透明であるアクリル樹脂や尿素樹脂が望ましい。
第1の実施形態に係るビニールハウスにおいては、図19(b)及び図20に示すように、ビニールハウス本体のビニールシート31とハウス骨組みとの間に支持台14aが設置され、ビニールシート31を挟むように防護具10が支持台14aに固定される。図20に示すように、防護具10の第1の支持台15cは、ビニールシート31を挟んで、支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aと間接的に接することになる。第2の支持台15dと第2の支持部22b及び第2の辺縁部23bとの関係についても同様である。従って、支持台14aとビニールシート31との間やビニールシート31と防護具10との間に隙間を生じないようにするためには、もし支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aの各上面が曲面であれば、防護具10の第1の支持台15cの下面も、同一の曲率を有する曲面であることが好ましい。第2の支持台15dについても同様のことが言える。もし支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aの各上面が平面であれば、防護具10の第1の支持台15cの下面も平面であることが好ましく、第2の支持台15dについても同様のことが言える。
防護具10を支持台14aに嵌め込む際は、防護具10の長手方向をハウス骨組みの棟の方向と平行にし、ビニールシート31を挟んで第1の鉤爪形状である端部を支持台14aの第1の辺縁部23aに嵌め込み、第2の鉤爪形状である端部を第2の辺縁部23bに嵌め込む。第2の鉤爪形状である端部の方を先に嵌め込んでもよい。防護具10の鉤爪形状である端部の嵌め込みの際には、一方の鉤爪形状である端部を嵌め込んだ後に、図9(b)における内角θ2を弾性(可撓性)を利用して静止状態より一時的に大きくするように、先に嵌め込んだ方の鉤爪形状である端部を支点として防護具10を短手方向へ引っ張り、他方の鉤爪形状である端部を嵌め込む。防護具10を短手方向に引っ張り、弾性を利用して内角θ2を一時的に広げることは人力で行えるため、防護具10の支持台14aへの嵌め込みも人力で行うことができる。
第1の実施形態に係るビニールハウスにおいては、図29(a)及び(b)に示すように、防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体30の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図29(a)においては、防護具10を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具10の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図29(b)に示すように、雪60の塊が防護具10の山型の雪割り部(12a,12b)を境に割れ、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
防護具10の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具10の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具10による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具10の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具10の温度がより上がりやすい。結果、防護具10を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30の倒壊を防ぐことができる。
又、第1の実施形態に係る防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具10とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図29(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第1の実施形態に係る防護具10を用いると、図19(a)に示すように、カラスやトンビ等の鳥が防護具10の上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
又、防護具10の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具10の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果を有する。
更に、第1の実施形態に係る防護具10は、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に防護具10の主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第1の実施形態に係る防護具10は、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
更に、第1の実施形態に係るビニールハウスにおいては、図19(b)及び図20に示すように、防護具10を支える支持具14aがビニールシート31の下方に位置するため、防護具10の設置箇所におけるビニールシート31のたわみが生じにくい。ビニールハウス本体30の棟付近においてビニールシート31のたわみが生じにくいので、たわみにおいて生じやすい水たまりやその凍結も生じにくい。
<ハウス骨組みの詳細>
第1の実施形態に係るハウス骨組みが成す全体形状には、特に屋根部の形状に着目すると、図14に示すような蒲鉾ドーム状の丸型の他、両屋根型(切り妻屋根型)、片屋根型等の屋根型等の形状が含まれる。丸型には蒲鉾型の肩の高さ(軒高)を上げた高軒高の形状も含まれる。よって、図14(a)に示すアーチ材33aの形状は、ハウス骨組みの形状が丸型の場合には蒲鉾状に折れ曲がった円弧状やU字型のものになり、両屋根型の場合には三角形(くの字)に折れ曲がった部分を含む形状になる。
ハウス骨組みが高軒高の形状であれば、アーチ材33aの形状は、例えば、曲がりの無い脚部、くの字型の肩部、くの字型の屋根部等の複数の部材の連結から成るものでも良い。小学館の『デジタル大辞泉』によれば、建造物における「アーチ」とは、上方へ弓形に曲がった梁(はり)で、半円・尖頭形・馬蹄形等があると記載されている。「アーチ」には、尖頭形が含まれるので、三角形の尖頭形もアーチである。その他のアーチ材33b〜33jにおいても同様である。
アーチ材33a〜33jの素材については、パイプ材が一般的であるが、パイプ材に限定されるものではない。H型鋼、C型鋼、L型鋼、半丸パイプ等でも構わない。一般にハウス骨組みが丸型の場合は丸パイプが使われ、ハウス骨組みが屋根型の場合は、角パイプ、H型鋼、L型鋼等が用いられる。アーチ材33a〜33jがパイプの場合は、中空の亜鉛メッキ鋼管等が使われる場合が多いが、H型鋼、C型鋼、L型鋼の場合はアルミニウムやアルミニウム合金等の軽量の金属が用いられる。竹をアーチ材として用いてもよく、竹を縦に半割した断面が半円形の材料をアーチ材33a〜33jに用いることも可能である。アーチ材33a〜33jのそれぞれは、1本のパイプから成るものでもよいし、複数のパイプを連結させたものでもよい。図14(a)に示す複数本のアーチ材33a〜33jの形状や本数は例示的なものであって、アーチ材は10本未満でも10本以上でもいずれでもよい。
図14(a)に示す通り、第1の実施形態に係るハウス骨組みを構成する桁材35a〜35cは、ハウス骨組みの構造を補強するために設けられ、複数本のアーチ材33a〜33jそれぞれに各種固定具により固定されている。桁材35a、35b、35cはそれぞれ、通常の建築物で言うところの、棟桁(棟木)、母屋桁、大桁に相当する。図14においては、図示の便宜のため、桁材35a〜35cは棟の手前側にしか図示されていないが、奥側にも同様の配置で桁材は設けられているものとする。
桁材35a〜35cの素材は、アーチ材33a〜33jと同様、パイプ材が採用可能であるが、パイプ材に限定されるものではない。一般に丸型のハウス骨組みの場合は丸パイプが使われ、屋根型のハウス骨組みの場合は、角パイプ、H型鋼、L型鋼等が用いられる。桁材35a〜35cがパイプの場合は、中空の亜鉛メッキ鋼管等が使われる場合が多いが、H型鋼、C型鋼、L型鋼の場合はアルミニウムやアルミニウム合金等の軽量の金属が用いられる。竹を桁材35a〜35cとして用いてもよく、竹を縦に半割した断面が半円形の材料を桁材35a〜35cに用いることも可能である。桁材35a〜35cのそれぞれは、1本のパイプから成るものでもよいし、複数のパイプを連結させたものでもよい。第1の実施形態に係るハウス骨組みについては、アーチ材33a〜33j及び桁材35a〜35c以外の構成要素の有無も問わず、又、基礎構造の有無、コンクリートの打設の有無等を問わない一般的なものである。
<ビニールハウスの設営方法>
本発明の第1の実施形態に係るビニールハウスの設営においては、まず、ハウス骨組みの組立工程を行う。そして、図14、図15に示すように、支持台14aを長手方向をハウス骨組みの棟の方向に対して平行に配置させ、ハウス骨組みの棟付近に設置する。その後、シート張り工程において、図16、図19に示すように、ハウス骨組み及び支持台14aを覆うようにビニールシート31を固定する。図16(a)に示した二筋の溝には、図17に示すように、波型バネである押さえ器具83が嵌め込まれ、ビニールシート31が支持台14aに固定される。更に、防護具の取付工程において、図19、図20に示すように、ビニールシート31を挟んで、防護具10の第1及び第2の鉤爪形状である両端部が支持台14aの第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bにそれぞれ嵌め込まれ、第1の実施形態に係るビニールハウスが完成する。
上記のような、第1の実施形態に係るビニールハウスの設営方法によれば、防護具10及び防護具ユニット(10、14a)は、ビニールハウス本体30を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、第1の実施形態に係るビニールハウスの設営方法によれば、既設のビニールハウス本体30のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。第1の実施形態に係るビニールハウスの設営方法によれば、防護具10及び防護具ユニット(10、14a)の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。第1の実施形態に係るビニールハウスの設営方法によれば、防護具10の嵌め込みと逆の工程を踏むことで、防護具10の取り外しも容易に行うことができる。
−−支持台の第1変形例−−
図12(a)に示すように、第1の実施形態に係るビニールハウスの支持台の第1変形例は、長手方向と平行な第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bを有し、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bにそれぞれ連続する矩形板状の第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bを有する支持台14bである。
第1変形例に係る支持台14bが有する第1の固定溝21a及び第2の固定溝21b、第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bは、支持台14aと同様の構造である。又、支持台14b以外の本発明のビニールハウス本体30を構成する部材である、ハウス骨組み及びビニールシート、防護具の構造及びこれらの部材間の接続関係等は、支持台14aを用いた第1の実施形態に係るビニールハウスと同様である。第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14bは、長手方向をハウス骨組みの棟の方向と平行に配置するため、棟の方向と第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bとは平行関係となる。又、第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、支持台14bは、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部でハウス骨組みの屋根部と接続する。
第1変形例に係る支持台14bが支持台14aと異なる点は、図12(a)に示すように、支持台14aが有する第1の支持部22a及び第2の支持部22b、凹部20の代わりに、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bとを繋ぐ支持部22cを有する点である。支持部22cは上面及び下面共に曲面から成り、長手方向に沿った中央部が山なり構造となっている。即ち、支持台14bは、支持台14aにおいて凹部20を設けない構造と言い換えることができる。
支持台14bは、短手方向の一端から順に、第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、支持部22c、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bを有する。支持台14bの第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、支持部22c、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bは、別々の部材であってもよいし、すべて又は一部が一体となった構造でもよい。支持台14bの素材や、長手方向及び短手方向等のサイズについては、支持台14aと同様である。
支持台14bが設置されたハウス骨組みには、支持台14aが設置された場合と同様に、図16(a)のように、ビニールシート31を張ることが出来る。更に、支持台14aが設置された場合と同様に、図19(a)のように、防護具10を設置することが出来る。
第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14bを用いたビニールハウスについては、図29(a)及び(b)に示すように、防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体30の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図29(a)においては、防護具10を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具10の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図29(b)に示すように、雪60の塊が防護具10の山型の雪割り部(12a,12b)を境に割れ、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
防護具10の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具10の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具10による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具10の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具10の温度がより上がりやすい。結果、防護具10を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30の倒壊を防ぐことができる。
又、第1の実施形態に係る防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具10とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図29(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14bを用いたビニールハウスは、図19(a)に示すように、カラスやトンビ等の鳥が防護具10の上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
又、防護具10の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具10の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果を有する。
更に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14b及び防護具10は、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に防護具10および支持台14bの主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14b及び防護具10は、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
更に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14b及び防護具10は、ビニールハウス本体30を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができ、又、既設のビニールハウス本体30のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14b及び防護具10の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。防護具10の嵌め込みと逆の工程を踏むことで、防護具10の取り外しも容易に行うことができる。
更に、第1の実施形態の第1変形例に係る支持台14bを用いたビニールハウスにおいては、図19(b)及び図20に示すのと同様に、防護具10を支える支持具14bがビニールシート31の下方に位置するため、防護具10の設置箇所におけるビニールシート31のたわみが生じにくい。ビニールハウス本体30の棟付近においてビニールシート31のたわみが生じにくいので、たわみにおいて生じやすい水たまりやその凍結も生じにくい。
−−支持台の第2変形例−−
図12(b)に示すように、第1の実施形態に係るビニールハウスの支持台の第2変形例は、長手方向と平行な第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bを有し、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bにそれぞれ連続する矩形板状の第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bを有する支持台14cである。
第2変形例に係る支持台14cが有する第1の固定溝21a及び第2の固定溝21b、第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bは、支持台14aと同様の構造である。又、支持台14c以外の本発明のビニールハウス本体30を構成する部材である、ハウス骨組み及びビニールシート、防護具の構造及びこれらの部材間の接続関係等は、支持台14aを用いた第1の実施形態に係るビニールハウスと同様である。第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14cは、長手方向をハウス骨組みの棟の方向と平行に配置するため、棟の方向と第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bとは平行関係となる。又、第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、支持台14cは、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部でハウス骨組みの屋根部と接続する。
第2変形例に係る支持台14cが支持台14aと異なる点は、図12(b)に示すように、支持台14aが有する第1の支持部22a及び第2の支持部22b、凹部20の代わりに、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bとを繋ぐ支持部22dを有する点である。支持部22dは、中央部において2つの平板が合わさったような構造であり、長手方向に沿った中央部で山型構造を形成している。即ち、支持台14bにおける支持部22cの上面及び下面が曲面から成る構造であったのに対して、支持台14cの支持部22dの上面及び下面は平面から成る構造である。
支持台14cは、短手方向の一端から順に、第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、支持部22d、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bを有する。支持台14cの第1の辺縁部23a、第1の固定溝21a、支持部22d、第2の固定溝21b、第2の辺縁部23bは、別々の部材であってもよいし、すべて又は一部が一体となった構造でもよい。支持台14cの素材や、長手方向及び短手方向、高さ等のサイズについては、支持台14aと同様である。
支持台14cが設置されたハウス骨組みには、支持台14aが設置された場合と同様に、図16(a)のように、ビニールシート31を張ることが出来る。更に、支持台14aが設置された場合と同様に、図19(a)のように、防護具10を設置することが出来る。
第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14cを用いたビニールハウスにおいては、図29(a)及び(b)に示すように、防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体30の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図29(a)においては、防護具10を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具10の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図29(b)に示すように、雪60の塊が防護具10の山型の雪割り部(12a,12b)を境に割れ、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
防護具10の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具10の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具10による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具10の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具10の温度がより上がりやすい。結果、防護具10を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30の倒壊を防ぐことができる。
又、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14c及び防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具10とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図29(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第1の実施形態に係る防護具10を用いると、図19(a)に示すように、カラスやトンビ等の鳥が防護具10の上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
又、防護具10の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具10の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果を有する。
更に、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14c及び防護具10は、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に支持台14c及び防護具10の主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14c及び防護具10は、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
更に、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14c及び防護具10は、ビニールハウス本体30を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができ、又、既設のビニールハウス本体30のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14c及び防護具10の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。防護具10の嵌め込みと逆の工程を踏むことで、防護具10の取り外しも容易に行うことができる。
更に、第1の実施形態の第2変形例に係る支持台14cを用いたビニールハウス本体30においては、図19(b)及び図20に示すのと同様に、防護具10を支える支持具14cがビニールシート31の下方に位置するため、防護具10の設置箇所におけるビニールシート31のたわみが生じにくい。ビニールハウス本体30の棟付近においてビニールシート31のたわみが生じにくいので、たわみにおいて生じやすい水たまりやその凍結も生じにくい。
−−支持台の第3変形例−−
第1の実施形態に係るビニールハウスの支持台の第3変形例は、図13に示すように、長手方向と平行な第1の固定溝21aを有し、第1の固定溝21aに連続する矩形板状の第1の辺縁部23aを有する第1支持台14dと、図示は省略するが、第1支持台14dと同一形状の第2支持台から成る支持台である。第2支持台は、第1の固定溝21aと同一形状の第2の固定溝と、第1の辺縁部23aと同一形状の第2の辺縁部を有する。
第3変形例に係る第1支持台14dが有する第1の固定溝21a及び第1の辺縁部23aは、図11に示した第1の実施形態に係る支持台14aの第1の固定溝21a及び第1の辺縁部23aと同様の構造である。又、図示を省略した第3変形例に係る第2支持台が有する第2の固定溝及び第2の辺縁部は、支持台14aの第2の固定溝21b及び第2の辺縁部23bと同様の構造である。そして、第1支持台14d以外の本発明のビニールハウス本体30を構成する部材である、ハウス骨組み及びビニールシート、防護具の構造及びこれらの部材間の接続関係等は、支持台14aを用いた第1の実施形態に係るビニールハウスと同様である。第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台は、長手方向をハウス骨組みの棟の方向と平行に配置するため、棟の方向と第1の固定溝21a及び第2の固定溝とは平行関係となる。又、第1の実施形態に係る支持台14aと同様に、第1支持台14dは、第1の固定溝21aの底部でハウス骨組みの屋根部と接続し、第2支持台は、第2の固定溝の底部でハウス骨組みの屋根部と接続する。
第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台が支持台14aと異なる点は、図13に示すように、第1の実施形態に係る支持台14aが有する第1の支持部22a、凹部20及び第2の支持部22bがない点である。第1支持台14dは、第1の実施形態に係る支持台14aの第1の固定溝21a及び第1の辺縁部23aと同様の構造であり、ハウス骨組みへの設置位置は、支持台14aの第1の固定溝21aの底部がハウス骨組みと接する位置と一致する。第2支持台は、第1の実施形態に係る支持台14aの第2の固定溝21b及び第2の辺縁部23bと同様の構造であり、ハウス骨組みへの設置位置は、支持台14aの第2の固定溝21bの底部がハウス骨組みと接する位置と一致する。
第1支持台14dは、短手方向の一端から順に、第1の辺縁部23a、第1の固定溝21aを有し、第2支持台は、短手方向の一端から順に、第2の辺縁部、第2の固定溝を有する。第1支持台14dの第1の辺縁部23a及び第1の固定溝21aは別々の部材であってもよいし、一体となった構造でもよい。第2支持台の第2の辺縁部及び第2の固定溝についても同様である。第1支持台14d及び第2支持台の素材や、長手方向のサイズについては、支持台14aと同様である。
第1支持台14d及び第2支持台が設置されたハウス骨組みには、支持台14aが設置された場合と同様に、図16(a)のように、ビニールシート31を張ることが出来る。更に、支持台14aが設置された場合と同様に、図19(a)のように、防護具10を設置することが出来る。
第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いたビニールハウスにおいては、図29(a)及び(b)に示すように、防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体30の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図29(a)においては、防護具10を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具10の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図29(b)に示すように、雪60の塊が防護具10の山型の雪割り部(12a,12b)を境に割れ、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
防護具10の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具10の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具10による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具10の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具10の温度がより上がりやすい。結果、防護具10を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30倒壊を防ぐことができる。
又、第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いたビニールハウスにおいては、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具10とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図29(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いたビニールハウスにおいては、図19(a)に示すように、カラスやトンビ等の鳥が防護具10の上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
又、防護具10の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具10の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果を有する。
更に、第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台、防護具10は、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、第1の実施形態と同様にビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に第1支持台14d及び第2支持台、防護具10の主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いた場合であっても、1支持台14d及び第2支持台、防護具10は、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
更に、第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台、防護具10は、ビニールハウス本体30を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、既設のビニールハウス本体30のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。第1の実施形態の第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台、防護具10の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。防護具10の嵌め込みと逆の工程を踏むことで、防護具10の取り外しも容易に行うことができる。
更に、第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いたビニールハウスにおいては、図19(b)及び図20に示すのと同様に、防護具10を支える第1支持台14d及び第2支持台がビニールシート31の下方に位置する。このため、第3変形例に係る第1支持台14d及び第2支持台を用いた場合でも防護具10の設置箇所におけるビニールシート31のたわみが生じにくい。ビニールハウス本体30の棟付近においてビニールシート31のたわみが生じにくいので、たわみにおいて生じやすい水たまりやその凍結も生じにくい。
――シート張り工程の第1変形例――
図21及び図22に示すように、第1の実施形態に係るシート張り工程の第1変形例においては、ハウス骨組み及び支持台14aの一部を覆うように一対のビニールシート31が固定される。図21(a)においては、支持台14a及びビニールシート31でハウス骨組みが覆われているので、ビニールシート31の陰に隠れるハウス骨組みの図示は省略する。一対のビニールシート31の一方は、支持台14aの第1の固定溝21aから、ハウス骨組みのアーチ形状を下り、ハウス骨組みの一方の下部まで張られている。又、一対のビニールシート31の他方は支持台14aの第2の固定溝21bから、ハウス骨組みのアーチ形状を下り、ハウス骨組みの他方の下部まで張られている。即ち、支持台14aのうち、第1の支持部22a、凹部20、第2の支持部22bには、一対のビニールシート31がかかっていない状態である。支持台14aの第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bには、図示は省略するが押さえ器具が嵌め込まれ、一対のビニールシート31のそれぞれの上端が固定されている。一対のビニールシート31は、ハウス骨組みの肩より下方において、他の押さえ器具(下方押さえ器具)によりハウス骨組みに固定されていてもよい。
第1の実施形態のシート張り工程の第1変形例においては、第1の実施形態のシート張り工程と比較して、ビニールシート31の張り方やサイズのみが異なるのであって、第1の実施形態に係るビニールハウスを構成するその他の部材を同様に用いることが出来る。又、第1の実施形態のシート張り工程の第1変形例を経て、第1の実施形態の防護具10を設置することができる。第1の実施形態のシート張り工程の第1変形例を経て完成されたビニールハウスは、第1の実施形態に係るビニールハウスと同様の効果を奏する。
第1の実施形態のシート張り工程の第1変形例においては、一対のビニールシートの一部に破損が生じた際に、一対のビニールシートの両方を全面にわたり交換しなくて済むため、ビニールシートの交換が容易かつ低コストで行えるメリットがある。
――シート張り工程の第2変形例――
図23及び図24に示すように、第1の実施形態に係るシート張り工程の第2変形例においては、ハウス骨組み及び支持台14aを覆うようにビニールシート31が固定される。図23(a)において、ハウス骨組み及び支持台14aは、ビニールシート31に全面を覆われているので、ビニールシート31の陰に隠れるハウス骨組み及び支持台14aの図示は省略する。図23においては、図16において確認されるハウス骨組みの棟の方向に平行に設けられた二筋の溝がない。図23においては、支持台14aの第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bにビニールシート31が入れ込まれていない構造である。ビニールシート31は、ハウス骨組みの肩より下方において、押さえ器具によりハウス骨組みに固定される。
第1の実施形態のシート張り工程の第2変形例においては、第1の実施形態のシート張り工程と比較して、ビニールシート31の張り方が異なるのであって、第1の実施形態に係るビニールハウスを構成する部材を同様に用いることが出来る。又、第1の実施形態のシート張り工程の第2変形例を用いて、第1の実施形態の防護具10を設置することができる。第1の実施形態のシート張り工程の第2変形例を経て完成されたビニールハウスは、第1の実施形態に係るビニールハウスと同様の効果を奏する。第1の実施形態のシート張り工程の第2変形例を用いた場合は、ハウス骨組みの屋根部において、押さえ器具を用いなくても済むため、ビニールシートの固定が容易かつ低コストで行えるメリットがある。
特に、第1の実施形態のシート張り工程の第2変形例を経て完成させたビニールハウスにおいては、防護具10を取り外した状態ではビニールハウス本体の表面に溝等の凹凸は無く、通常のビニールハウスと同様の外観を呈する。従って、雪割り効果や防鳥効果が不要となった際には、支持台14aを取り外さずに防護具10を取り外すだけで、通常のビニールハウスと同様に使用することが出来る状態とすることが出来る。
(第2の実施形態)
図25に示すように、本発明の第2の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体は、それぞれが棟の方向に直交する複数の面内でアーチ状に曲がる同一形状、同一寸法を有し、棟の方向に沿ってそれぞれ配列された複数本のアーチ材33a〜33hと、この複数本のアーチ材33a〜33hのそれぞれと直交し、棟の方向に複数本配列された桁材35a〜35cとを備える。複数本のアーチ材33a〜33hと桁材35a〜35cとでハウス骨組みを構成する。第2の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体は、第1の実施形態に係るハウス骨組みと同様のハウス骨組みと、ハウス骨組みを覆うように固定されたビニールシート31で構成されている。
図26に示すように、本発明の第2の実施形態に係るビニールハウスは支持台14aを更に有する。図27及び28に示すように、支持台14aは、長手方向が棟の方向と平行であり、棟の方向と平行に設けられた第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bの各底部でビニールシート31を介してビニールハウス本体の屋根部と接続する。支持台14aは、第1の固定溝21a及び第2の固定溝21bにそれぞれ連続する矩形板状の第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bを有する。
図27及び図28に示すように、第2の実施形態に係るビニールハウスは、防護具10を更に有する。防護具10の第1の折り返し部16cを有する第1の鉤爪形状の端部が第1の辺縁部23aに直接接し、第2の折り返し部16dを有する第2の鉤爪形状の端部が第2の辺縁部23bに直接接している点が、第1の実施形態に係るビニールハウスと異なる。防護具10は、第1の実施形態と同様に、中央部に棟の方向に平行に山型の雪割り部(12a,12b)を有する。
第2の実施形態に係るビニールハウスのビニールシート31、支持台14a、防護具10は、第1の実施形態に係るビニールハウスのビニールシート31、支持台14a、防護具10と同様のものであるが組み立ての積層順が異なる。即ち、第2の実施形態においては第1の実施形態における部材と同様の部材を用いるが、各部材間の接続関係や態様が、第1の実施形態に係るビニールハウスとは異なる。
第2の実施形態に係るビニールハウスでは、ハウス骨組み及びビニールシート31を用い、図25に示すビニールハウス本体が構成されるが、ビニールハウス本体は、新設のものでもよいし、既に使用中の既設のものでもよい。特に、第2の実施形態に係るビニールハウスは、既設のビニールハウス本体に支持台14aと防護具10を取り付ける場合に好適である。図26に示すように、支持台14aを、長手方向をビニールハウス本体の棟の方向に対して平行に配置させ、ビニールハウス本体の棟付近に設置する。
図28においては、支持台14aは、第1の固定溝21a、第2の固定溝21b及び凹部20の2つの谷部分の4箇所でビニールハウス本体のビニールシート31と接続している。支持台14aの第1の固定溝21aの底部が、ビニールシート31を挟んで、ビニールハウス本体のアーチ材33a〜33jと間接的に接する部分において、各種固定器具により固定されている。各種固定器具の図示は省略しているが、なべ型ネジやボルト等を用いることができ、固定方法に特に指定はない。
支持台14aの第1の固定溝21aの底部とビニールハウス本体のアーチ材33a〜33jが間接的に接する部分すべてで固定してもよいが、必ずしもすべてで固定する必要はなく、例えば1本置きのアーチ材の部分で固定してもよい。第1の固定溝21aの底部と同様に、第2の固定溝21bの底部もビニールハウス本体に固定される。凹部20の2つの谷部分が、ビニールシート31を挟んで、ビニールハウス本体のアーチ材33a〜33jと間接的に接する部分においては、固定してもよいが固定しなくても良い。固定する場合は、その固定方法に特に指定はない。第2の実施形態に係るビニールハウスでは、支持台14aをビニールハウス本体に固定する際は、各種固定器具を通すために、ビニールシート31に穴を開ける必要がある。ビニールシート31に開孔する穴は、各種固定器具で直接開けてもよいし、あらかじめ他の器具で開けてから各種固定器具で固定してもよい。ビニールシート31をハウス骨組みに張る前に、ビニールシート31に穴を開けてもよい。
図27及び図28に示すように、第2の実施形態に係るビニールハウスでは、防護具10が、ビニールシート31を介さずに、支持台14aに直接接して固定される。防護具10の第1及び第2の鉤爪形状である両端部が支持台14aの第1の辺縁部23a及び第2の辺縁部23bにそれぞれ嵌め込まれて固定される。防護具10及び支持台14aとで「防護具ユニット」を構成する。
図28に示すように、防護具10の第1の支持台15cは、支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aと直接的に接することになる。第2の支持台15dと第2の支持部22b及び第2の辺縁部23bとの関係についても同様である。従って、支持台14aと防護具10との間に隙間を生じないようにするためには、もし支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aの各上面が曲面であれば、防護具10の第1の支持台15cの下面も、同一の曲率を有する曲面であることが好ましく、第2の支持台15dについても同様のことが言える。もし支持台14aの第1の支持部22a及び第1の辺縁部23aの各上面が平面であれば、防護具10の第1の支持台15cの下面も平面であることが好ましく、第2の支持台15dについても同様のことが言える。
防護具10を支持台14aに嵌め込む際は、防護具10の長手方向をビニールハウス本体の棟の方向と平行にし、第1の鉤爪形状である端部を支持台14aの第1の辺縁部23aに嵌め込み、第2の鉤爪形状である端部を第2の辺縁部23bに嵌め込む。第2の鉤爪形状である端部の方を先に嵌め込んでもよい。防護具10の鉤爪形状である端部の嵌め込みの際には、一方の鉤爪形状である端部を嵌め込んだ後に、図9(b)における第1の傾斜板12aと第2の傾斜板12bとで内角θ2を、弾性(可撓性)を利用して静止状態より一時的に大きくすれば良い。先に嵌め込んだ方の鉤爪形状である端部を支点として防護具10を短手方向へ弾性を利用して引っ張り、他方の鉤爪形状である端部を嵌め込む。防護具10を短手方向に弾性を利用して引っ張り、内角θ2を一時的に広げることは人力で行えるため、防護具10の支持台14aへの嵌め込みも人力で行うことができる。
第2の実施形態に係るビニールハウスにおいては、第1の実施形態に係るビニールハウスと同様に、図29(a)及び(b)に示すように、防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体30の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図29(a)においては、防護具10を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具10の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図29(b)に示すように、雪60の塊が防護具10の山型の雪割り部(12a,12b)を境に割れ、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
防護具10の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具10の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具10による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具10の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具10の温度がより上がりやすい。結果、防護具10を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30の倒壊を防ぐことができる。
又、第2の実施形態に係る防護具10をビニールハウス本体30に設置することで、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具ユニット(10、14a)とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図29(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
第2の実施形態においては、図30(a)及び(b)に示すように、ビニールシート31の下方へのたわみが生じることがある。この問題は、図30(c)に示すような板状のたわみ防止板85a及び85bを平行平板構造として用いることにより解消することが出来る。たわみ防止板85a及び85bは、本発明の「たわみ防止用具」のひとつとしての具体例である。ビニールハウス本体30の内側から、たわみ防止板85a及び85bを、ビニールシート31を挟んで、支持台14aに固定するのである。固定方法には特に指定は無い。たわみ防止板85a及び85bの側から、ビニールシート31を挟んで、なべ型ネジやボルト等により、ビニールシート31に穴を開ける方法により支持台14aに固定してもよい。支持台14a及びたわみ防止板85a及び85bが、共に磁性を帯びた素材であれば、磁力の引き合う力を利用して、ビニールシート31を挟んで、たわみ防止板85a及び85bを支持台14aに固定してもよい。これにより、ビニールシート表面の氷塊が更に生じにくくなる。ビニールシート31のたわみ防止のためには、図31に示すように、アーチ材33c〜33eの形状に沿った、たわみ防止板85a及び85bよりもサイズの大きいたわみ防止具87を用いても良い。たわみ防止具87も、本発明の「たわみ防止用具」のひとつの例示である。たわみ防止用具として他に、磁性を帯びた素材の支持台14aに対して、小型の磁石やマグネットテープを用いることができる。たわみ防止用具は、支持台14aに固定され、ビニールシート31の下方へのたわみを防止できればよく、形状や材質は問わない。
更に、第2の実施形態に係るビニールハウスを用いると、カラスやトンビ等の鳥が図27(a)の防護具10の上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
又、防護具10の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具10の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果を有する。
更に、第2の実施形態に係る防護具10及び支持台14aは、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に防護具10及び支持台14aの主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第2の実施形態に係る防護具10及び支持台14aは、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
更に、第2の実施形態に係る防護具10及び防護具ユニット(10、14a)は、ビニールハウス本体を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができ、又、既設のビニールハウス本体に対しても設置を容易に行えるという利点がある。防護具10及び防護具ユニット(10、14a)の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。防護具10の嵌め込みと逆の工程を踏むことで、防護具10の取り外しも容易に行うことができる。
(第3の実施形態)
図2に示すように、本発明の第3の実施形態に係るビニールハウスは、それぞれが棟の方向に直交する複数の面内でアーチ状に曲がる同一形状、同一寸法を有し、棟の方向に沿ってそれぞれ配列された複数本のアーチ材33a〜33hと、複数本のアーチ材33a〜33hのそれぞれと直交し、複数本のアーチ材33a〜33hとでハウス骨組みを構成するように棟の方向に複数本配列された桁材35a〜35cと、ハウス骨組みを囲み、棟の方向に沿って複数の固定用孔を開孔したビニールシート31を備える。アーチ材33a〜33h及び桁材35a〜35c、ビニールシート31とで「ビニールハウス本体」を構成する。第3の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体は、第1又は第2の実施形態と同様のビニールハウス本体である。第3の実施形態に係るビニールハウスは、ビニールハウス本体の棟の稜線を含むように棟の上に固定された、雪割り部を一体構造として有する防護具ユニット11を更に有する構造である。
第3の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体のアーチ材33a〜33h及び桁材35a〜35c、ビニールシート31には、第1及び第2の実施形態と同様の素材や形状、サイズ等であるアーチ材及び桁材、ビニールシートを用いることができる。
図2(a)に示す複数本のアーチ材33a〜33hの形状や本数は例示的なものであって、アーチ材は8本未満でも8本以上でもいずれでもよい。図2(a)においては、複数本のアーチ材33a〜33hは棟の手前側にしか図示されていないが、奥側にも当然アーチ状構造は続くものとする。
図1、図2及び図3に示すように、第3の実施形態に係るビニールハウスは、一体構造の防護具ユニット11をビニールハウス本体の棟の方向に沿って、棟の稜線を挟むように備えている点で、第1及び第2の実施形態に係るビニールハウスとは異なる。防護具ユニット11は、ビニールハウス本体の棟の稜線を挟むように、棟の形状に適合した凹部を下面とする支持台(15a、15b)と、この支持台(15a、15b)の上面がなす稜線に一体構造として接続した長尺板状の雪割り部となる防護具13を有する。防護具13は、矩形をなし、矩形の短辺の方向を鉛直方向として、矩形の長辺を支持台(15a、15b)の上面がなす稜線に一体構造をなすように接続されている。即ち、支持台(15a、15b)の上面に棟の方向に延在する稜線が定義されるが、片屋根式のビニールハウス本体の場合は、支持台(15a、15b)の上面の中央の位置に稜線が定義されるわけではなく、非対称に稜線の位置が定義される。
支持台(15a、15b)の下面がなす凹部は、棟の外形に適合した形状である必要があり、丸型のビニールハウス本体の場合は、棟の稜線を母線として含むビニールハウス本体の屋根部の曲率に適合した曲面を有することが好ましい。又、棟の稜線を母線として含むビニールハウス本体の屋根部の曲面に対する2つの接平面がなす角度に対応する内角θ1を有するように、支持台(15a、15b)の下面に凹部を設けてもよいが、この場合は、幾何学上、支持台(15a、15b)の下面とビニールハウス本体の屋根部の間に小さな空間(隙間)が発生することに留意が必要である。
一方、屋根型のビニールハウス本体の場合は、切り妻型に交わる2つの平面(天井面)がなす角度に、支持台(15a、15b)の下面の内角θ1を調整して、支持台(15a、15b)の下面がなす凹部の形状を、ビニールハウス本体の棟の外形に適合した形状にすればよい。即ち、第3の実施形態に係るビニールハウスを構成するビニールハウス本体は、ビニールハウス本体に載置された支持台(15a、15b)を、ビニールハウス本体の棟に固定するため、ビニールシート31には、予め複数の固定用孔が設けられている。即ち、第3の実施形態に係るビニールハウスは、防護具ユニット11を複数本のアーチ材33a〜33hのそれぞれにビニールシート31を挟んで固定する複数の固定具(41a、41b、43、45a、45b)を更に備える。
図1(a)及び(b)等に示すように、第3の実施形態に係る防護具ユニット11の支持台(15a、15b)は、への字型構造を呈する。支持台(15a、15b)は第1の固定板15a及び第2の固定板15bから成る。第1の固定板15aは矩形の板状部材であり、防護具13の下端部と長辺どうしで接続し、図1(b)で示すように、防護具13の長手方向から見た場合には、雪割り部となる防護具13と第1の固定板15aとが成す角度は鈍角となる。第2の固定板15bも第1の固定板15aと同様に防護具13と接続し、図1(a)及び(b)等に示すように、防護具13の短手方向が属する面に関して第1の固定板15aと互いに鏡像関係となる。雪割り部の短手方向が属する面を対称面とすると、第1の固定板15a及び第2の固定板15bは面対称の関係である。
図1(b)に示す内角θ1は、支持台を構成する第1の固定板15a及び第2の固定板15bが成す角度である。支持台(15a、15b)は、ビニールハウス本体に設置された際には、上面の中央において、棟の方向に延在する稜線を定義する。
図1(a)及び(b)に示すように、鉛直方向(垂直方向)に短手方向を配置した矩形の長尺板状である防護具13は、その下端部側の長辺を支持台(15a、15b)により定義された稜線に接続した構造である。図1(a)及び(b)等においては、防護具13は下端部から上端部へ向かうに従って、刃物状に尖った形状である。防護具13の尖った上端部から第1の固定板15a及び第2の固定板15bに続く傾斜面は、平面であっても、凸型又は凹型の曲面であってもいずれでもよい。
防護具ユニット11は、防護具13及び第1の固定板15a、第2の固定板15bのそれぞれ独立した部材を接続させて製造してもよいし、一体とした構造の第1の固定板15a及び第2の固定板15bに、後から防護具13を接続させて製造してもよい。又、防護具13及び第1の固定板15a、第2の固定板15bを元から一体となった一つの構造体として製造してもよい。
雪割り部として機能する防護具13は、矩形の板状部材2枚を組み合わせた構造でも良い。この場合は、上端部が尖った構造となるように、2枚の板状部材を上端部で接続し、各板状部材の下端部を第1の固定板15a及び第2の固定板15bにそれぞれ接続する。防護具13の矩形の板状部材2枚の間には空間が生じることとなる。
防護具13は、鋼板やプラスチック等、板状に加工できるものであればいずれでも素材として用いることができる。扱いやすさやコストの面で、鋼板や合成樹脂プレートを用いることが好ましい。鋼板としては、表面処理は必須ではないが、屋外で使用するため、耐食性を高める塗料等を焼き付けたものやメッキを施したものの方がより好ましい。塗料としてより好ましくは、太陽光による温度上昇の観点から、黒色の塗料である。塗料の種類はポリエステル樹脂系やフッ素樹脂系等があるが、いずれでもよい。鋼板の炭素含量割合は、通常鋼板として用いられる程度である0.04〜2%程度であればいずれでもよい。
合成樹脂プレートとしては、メラミン樹脂や尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリカーボネートやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の強化プラスチック等、いずれでも用いることができる。特に耐候性や耐食性の観点から、アクリル樹脂や強化プラスチック系の樹脂が好ましい。又、ビニールハウス本体内への太陽光確保の観点からは、透明又は半透明であるアクリル樹脂や尿素樹脂が望ましい。支持台を構成する第1の固定板15a及び第2の固定板15bにおいても、防護具13と同様の考え方で、種々の素材選択をすることができる。
防護具13の短辺(高さ)は10〜30cm程度、支持台を構成する第1の固定板15a及び第2の固定板15bの短辺も10〜30cm程度に、自由に調整して製造することができる。防護具13の下端部の厚さは、0.5〜3cm程度と様々に設定することができる。防護具13を2枚の矩形の板状部材から製造する場合は、下端部の厚さは10cmを超える程度までにも設定することができる。第1の固定板15a及び第2の固定板15bの厚さは、例えば0.5〜20mm程度と、素材の強度やサイズに応じて様々に設定することができる。第1の固定板15a及び第2の固定板15bは、ビニールハウス本体に直接接する部分であるので、ハウス骨組みやビニールシートに負荷をかけないよう、出来るだけ薄い素材が好ましい。
防護具ユニット11の長辺は、使用するビニールハウス本体のサイズに応じて適宜調整して製造することができる。一方で、あらかじめ一定の長辺で製造しておいた防護具ユニット11の設置個数を、使用するビニールハウス本体のサイズに応じて増減することも可能である。
図1に示すように、第1の固定板15aには貫通孔P1〜P8及びQ1〜Q8が設けられている。第2の固定板15bでも同様に、図示は大部分省略しているが、貫通孔R1をはじめ、複数の貫通孔が設けられている。貫通孔P1〜P8及びQ1〜Q8、R1の大きさは用いるボルト等の種類により、様々に設定することができる。貫通孔P1〜P8及びQ1〜Q8、R1はビニールシートの固定用孔に対応する位置に開孔される。
図2(b)及び図3に示すように、第3の実施形態に係る防護具ユニット11は、ビニールハウス本体の棟において、複数の固定具を用いて固定されている。複数の固定具は、図2(b)及び図3においては、第1の固定部15aを貫通する貫通孔P4及びQ4(図1(a)及び(c)に図示)に通されたボルト41a及び41b、ナット45a及び45b、U字金具43である。ボルト41a及び41bは、ビニールシート31に設けられた固定用孔、U字金具43の穴にも通され、上から順に第1の固定部15a、ビニールシート31、U字金具43を挟むようにして、ナット45a及び45bにより固定される。
ビニールシート31に設けられた固定用孔の周りには、ワッシャ状の裏打ちを、表面若しくは裏面、又は両面に貼り付けて、固定用孔の開孔部分のビニールシート31の機械的強度を高め、固定用孔の開孔部分から切れ目、裂け目が発生するのを防止するのが好ましい。
ボルト41a及び41bの箇所からの水漏れ、雨漏れ或いは空気の流出/流入を防止するためには、ボルト41a及び41bと第1の固定部15aの間に防水ワッシャや防水シール座金を挟めば良い。防水ワッシャとボルト41a及び41bの間に更に平座金を挟んでも良い。繊維状の材質のワッシャに防水接着剤やコーティング剤を含ませたケミカルタイプの防水ワッシャ等でも構わない。更にビニールシート31と第1の固定部15aとの間に帯状の防水材を挟ませて、ボルト41a及び41bの箇所からの水漏れ防止、雨漏れ防止或いは空気の流出/流入防止の性能を高めるようにしてもよい。
U字金具43のU字部分にはアーチ材33dが嵌められ、ボルト41a及び41bはアーチ材33dを挟んで向かい合うように位置することになる。アーチ材33dでの固定部分を例に説明したが、アーチ材33a〜33c及び33e〜33hでの固定部分においても同様の機構で第1の固定部15aがビニールハウス本体へ固定される。図示を省略したが、第2の固定部15bの固定についても同様である。
第3の実施形態に係る防護具ユニット11をビニールハウス本体に固定するボルト41a及び41b、ナット45a及び45bについては、素材や大きさは問わない。防護具ユニット11をビニールハウス本体に固定するU字金具43については、金属製や樹脂製等を問わず、又、大きさはパイプの太さにより任意に選択することができる。U字金具43は通常サドルバンドと呼ばれているもの等を使用することができる。
第3の実施形態に係る防護具ユニット11のビニールハウス本体への固定の仕方については、既設のビニールハウス本体のアーチ材の間隔に合わせて第1の固定部15a及び第2の固定部15bの貫通孔を開け、固定することができる。既設のビニールハウス本体のビニールシートに後から固定用孔を開孔し、防護具ユニット11を固定することも可能である。防護具ユニット11をビニールハウス本体に固定する際に、図3に表れていない器具を追加して固定してもよい。
第3の実施形態に係る防護具ユニット11においては、図4に示すように、ビニールハウス本体に設置することで、積もった雪60をビニールハウス本体の屋根部から比較的早く、手間もかからずに下に落とすことができる。図4(a)においては、防護具ユニット11を覆い隠す程に積雪した状態であるが、防護具ユニット11の上端部の尖った部分で雪60の塊に亀裂が入りやすくなり、図4(b)に示すように、雪60の塊が防護具ユニット11を境に割れ、ビニールハウス本体の屋根部の斜面を滑り落ちやすくなる。
第3の実施形態に係る防護具ユニット11の主たる素材が鋼板である場合、太陽光やビニールハウス本体30の内部からの熱供給により、防護具ユニット11の温度が上がって雪60が融けやすくなり、防護具ユニット11による雪割り効果と、ビニールハウス本体30の屋根部の斜面からの雪の滑り落ち効果を高めることとなる。特に防護具ユニット11の主たる素材が黒色鋼板である場合、太陽光からの熱供給を受けやすく、防護具ユニット11の温度がより上がりやすい。結果、防護具ユニット11を設置していない場合と比較して、早期に積雪した雪を除去できることとなり、雪の重みによるビニールハウス本体30の倒壊を防ぐことができる。
又、第3の実施形態に係る防護具ユニット11をビニールハウス本体30に設置することで、通常であればビニールハウス本体30の棟付近に生じやすい、ビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具ユニット11とのわずかな隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪60とが接触していないため、図4(b)に示すような雪60の滑り落ちがあった際にも、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第3の実施形態に係る防護具ユニット11を用いると、図2に示すように、カラスやトンビ等の鳥が上端部の尖った部分に飛来したとしても、くちばしがビニールシート31まで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシート31の破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
図5に示すように、防鳥糸75a及び75bを用いるとより鳥害防止効果が増す。第3の実施形態に係る防護具ユニット11の長手方向の一方の末端の尖った部分等に防鳥糸75a及び75bのそれぞれの一方の端部を固定し、防鳥糸75a及び75bのそれぞれの他方の端部を、ビニールハウス本体30の縁の肩部分に設置した防鳥糸固定棒71及び73にそれぞれ固定する。ビニールハウス本体30の長手方向の両端のアーチ材の上には鳥が留まりやすいことが知られており、防鳥糸75a及び75bが張られていることで鳥の飛来をより効果的に防ぐのである。又、防護具ユニット11の主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、鋼板の素材にもよるが、夏期には防護具ユニット11の表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果も有する。
更に、第3の実施形態に係る防護具ユニット11は、ビニールハウス本体30の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体30の温室効果を妨げない。特に防護具ユニット11の主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体30の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第3の実施形態に係る防護具ユニット11は、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
第3の実施形態に係るビニールハウスにおいて、防護具ユニット11は、ビニールハウス本体30を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、既設のビニールハウス本体30のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。更に、防護具ユニット11の設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。
(第3の実施形態の第1変形例)
図6に示すように、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aは、ビニールハウス本体の棟の稜線を挟むように、棟の形状に適合した凹部を下面とする支持台(15a、15b)と、この支持台(15a、15b)に一体構造として接続した長尺板状の防護具13aを有する。防護具13aは、支持台(15a、15b)の下面に対向する上面の形状がなす上面の稜線に沿って、支持台(15a、15b)の上面に雪割り部として接続されている。
防護具ユニット11aと第3の実施形態に係る防護具ユニット11との構造上の相違点は、図6における鉛直方向(垂直方向)に短手方向を配置した防護具13aの形状である。防護具13aの板状形状は、上端部から下端部まで厚さが一定である。支持台を構成する第1の固定板15a及び第2の固定板15bには構造上の相違点はない。防護具13a及び第1の固定板15a、第2の固定板15bの素材は、図1(a)及び(b)等に示す第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様のものを用いることが出来る。
図6における防護具13aの短辺(高さ)は10〜30cm程度、第1の固定板15a及び第2の固定板15bの短辺も10〜30cm程度に、自由に調整して製造することができる。防護具13a及び第1の固定板15a、第2の固定板15bの厚さは、例えば0.5〜20mm程度と、素材の強度やサイズに応じて様々に設定することができる。第1の固定板15a及び第2の固定板15bは、ビニールハウス本体に直接接する部分であるので、ハウス骨組みやビニールシートに負荷をかけないよう、出来るだけ薄い素材が好ましい。
第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aのビニールハウス本体への設置は、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様に行うことができ、そのビニールハウス本体の構造は、防護具ユニット11が設置できるビニールハウス本体の構造と何ら変わるところはない。ビニールハウス本体への設置の際の固定具についても、防護具ユニット11の設置の際の固定具と何ら変わるところはない。
第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aにおいては、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、防護具ユニット11aを設置していない場合と比較して、早期にビニールハウス本体に積雪した雪を除去でき、雪の重みによるビニールハウス本体の倒壊を防ぐことができる。
又、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aにより、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体のビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具ユニット11aとの隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪とが接触していないため、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aを用いると、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、カラスやトンビ等の鳥が上端部に飛来したとしても、くちばしがビニールシートまで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。又、防護具ユニット11aの主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、素材にもよるが、夏期には防護具ユニット11aの表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果も有する。
更に、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体の温室効果を妨げない。特に防護具ユニット11aの主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
第3の実施形態の第1変形例に係るビニールハウスにおいて、防護具ユニット11aは、ビニールハウス本体を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、既設のビニールハウス本体のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。更に、防護具ユニット11aの設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。
(第3の実施形態の第2変形例)
図7に示すように、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bは、ビニールハウス本体の棟の稜線を挟むように、棟の形状に適合した凹部を下面とする支持台(15a、15b)と、この支持台(15a、15b)に一体構造として接続した長尺板状の防護具13aを有する。防護具13aは、支持台(15a、15b)の下面に対向する上面の形状がなす上面の稜線に沿って、支持台(15a、15b)の上面に雪割り部として接続されている。
図1(a)及び(b)等に示す第3の実施形態に係る防護具ユニット11との構造上の相違点は、図7における鉛直方向(垂直方向)に短手方向を配置した防護具13aの形状と、その防護具13aの長手方向と平行に、防護具13aの上部に設けられた棒状の回転体81である。第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bの防護具13aは、図6における第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aと同様、上端部から下端部まで厚さが一定である。支持台を構成する第1の固定板15a及び第2の固定板15bには構造上の相違点はない。防護具13a及び第1の固定板15a、第2の固定板15bの素材は、図1(a)及び(b)等に示す第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様のものを用いることが出来る。防護具13a及び第1の固定板15a、第2の固定板15bのサイズは、第3の実施形態の第1変形例に係る防護具ユニット11aと同様に設定することができる。
第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bの回転体81は、図7の矢印方向に回転することができる棒状部材である。回転体81の防護具13aへの固定は、例えば、回転体81自体は防護具13aとは直接接することなく、回転体81の長軸方向に沿って中心に軸が設けられており、その軸を防護具13aへ固定する等の方法により行う。回転については、図7の矢印方向と逆方向にも行うことができてもよい。回転体81の回転方法については、図示は省略するが、回転体81の端部に、回転体81を回転させる機構を接続させて回転させる。例えば、ビニールハウスのビニールシートの巻き上げ機のような、手動で操作可能な器具が相当するが、手動でなく自動で回転させる機構であってもよい。回転体81の表面には輪状やらせん状に溝が設けられていてもよく、又、輪状やらせん状に突起が設けられていてもよい。
第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bのビニールハウス本体への設置は、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様に行うことができ、そのビニールハウス本体の構造は、防護具ユニット11が設置できるビニールハウス本体の構造と何ら変わるところはない。ビニールハウス本体への設置の際の固定具についても、防護具ユニット11の設置の際の固定具と何ら変わるところはない。
第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bにおいては、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、防護具ユニット11bを設置していない場合と比較して、早期にビニールハウス本体に積雪した雪を除去でき、雪の重みによるビニールハウス本体の倒壊を防ぐことができる。更に、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bにおいては、回転体81の回転が防護具ユニット11bの上方に積雪した雪に亀裂を入れるきっかけとなり、回転体81を設置していない場合と比較し、早期に雪割りと雪の滑り落ちを実現することができる。特に回転体81に溝や突起が設けられている場合は、更に雪割りと雪の滑り落ちの効果が高まる。
又、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bにより、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体のビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具ユニット11bとの隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪とが接触していないため、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bを用いると、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、カラスやトンビ等の鳥が上端部に飛来したとしても、くちばしがビニールシートまで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。又、防護具ユニット11bの主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、素材にもよるが、夏期には防護具ユニット11bの表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果も有する。
更に、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体の温室効果を妨げない。特に防護具ユニット11bの主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第3の実施形態の第2変形例に係る防護具ユニット11bは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
第3の実施形態の第2変形例に係るビニールハウスにおいて、防護具ユニット11bは、ビニールハウス本体を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、既設のビニールハウス本体のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。更に、防護具ユニット11bの設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。
(第3の実施形態の第3変形例)
図8に示すように、第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cは、ビニールハウス本体の棟の稜線を挟むように、棟の形状に適合した凹部を下面とする支持台(17a〜17f、19a〜19f)と、この支持台(17a〜17f、19a〜19f)に一体構造として接続した長尺板状の防護具13aを有する。防護具13aは、支持台(17a〜17f、19a〜19f)の下面に対向する上面の形状がなす上面の稜線に沿って、支持台(17a〜17f、19a〜19f)の上面に雪割り部として接続されている。
図1(a)及び(b)等に示す第3の実施形態に係る防護具ユニット11との構造上の相違点は、図8における鉛直方向(垂直方向)に短手方向を配置した防護具13aの形状と、支持台を構成する第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)及び第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)の構成である。第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cの防護具13aは、図6における第1変形例に係る防護具ユニット11aと同様、上端部から下端部までの厚さが一定である。第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)及び第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)は、図8に示す通り、それぞれ複数の櫛歯片17a〜17f及び19a〜19fから成り、防護具13aの下端部に櫛背を接続した構造である。
複数の櫛歯片17a〜17f及び19a〜19fは、防護具13aの短手方向が属する面に関して互いに鏡像関係となる。複数の櫛歯片17a〜17f及び19a〜19fは、それぞれビニールシートの複数の固定用孔に対応する位置に貫通孔を有し、この貫通孔によりビニールハウス本体に固定できる仕組みである。第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cのビニールハウス本体への設置は、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様に行うことができ、そのビニールハウス本体の構造は、防護具ユニット11が設置できるビニールハウス本体の構造と何ら変わるところはない。ビニールハウス本体への設置の際の固定具についても、防護具ユニット11の設置の際の固定具と何ら変わるところはない。
防護具13a及び第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)、第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)の素材は、図1(a)及び(b)等に示す第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様のものを用いることが出来る。
図8における防護具13aの短辺(高さ)は10〜30cm程度、第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)及び第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)の各短辺も10〜30cm程度に、自由に調整して製造することができる。防護具13a及び第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)、第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)の厚さは、例えば0.5〜20mm程度と、素材の強度やサイズに応じて様々に設定することができる。第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)及び第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)は、ビニールハウス本体に直接接する部分であるので、ハウス骨組みやビニールシートに負荷をかけないよう、出来るだけ薄い素材が好ましい。
第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cにおいては、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、防護具ユニット11cを設置していない場合と比較して、早期にビニールハウス本体に積雪した雪を除去でき、雪の重みによるビニールハウス本体の倒壊を防ぐことができる。
又、第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cにより、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体のビニールシート表面の氷塊が生じにくくなる。又、仮にビニールシートと防護具ユニット11cとの隙間に氷塊が生じたとしても、生じた氷塊と雪とが接触していないため、氷塊の滑り落ちによるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。
更に、第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cを用いると、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、カラスやトンビ等の鳥が上端部に飛来したとしても、くちばしがビニールシートまで届かないため、くちばしの突き(つつき)によるビニールシートの破損が生じない。ビニールシートの破損部分を起点にビニールシートが大きく裂けてしまったり、雨漏りしたりする等、様々な問題を防ぐことができる。又、防護具ユニット11cの主素材として鋼板を用いた場合、特に黒色鋼板を用いた場合には、素材にもよるが、夏期には防護具ユニット11cの表面温度が50〜80℃と非常に高温となるため、鳥の飛来自体を防ぐ効果も有する。
更に、第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、ビニールハウス本体の屋根部の一部分のみに設置されるため、ビニールハウス本体の温室効果を妨げない。第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11より、第1の櫛歯状固定板(17a〜17f)及び第2の櫛歯状固定板(19a〜19f)でビニールハウス本体を覆う面積が少ないため、温室効果をより高く保つことができる。特に防護具ユニット11cの主素材として半透明のプラスチック樹脂等を用いた場合には、ビニールハウス本体の内部に陰が出来ることがないため、温室効果の妨害はほとんど起こらない。
更に、第3の実施形態の第3変形例に係る防護具ユニット11cは、第3の実施形態に係る防護具ユニット11と同様の仕組みで、冬期は雪の重みに耐えることができ、冬期以外でも温室効果の妨げとならずに使用できることから、季節ごとに着脱する手間が生じない。積雪対策用器具と鳥害対策用器具とを併用する手間も生じない。
第3の実施形態の第3変形例に係るビニールハウスにおいて、防護具ユニット11cは、ビニールハウス本体を新設する際に特別な手間や時間を生じさせずに設置することができる。又、既設のビニールハウス本体のビニールシート張替えの際でも設置を容易に行えるという利点がある。更に、防護具ユニット11cの設置は、他の特別な設置用機材等を用いることなく、1人から数人程度の工事要員で行うことができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施形態及びそれらの変形例等によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替本発明の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
又、本発明の第1〜第3の実施形態及びそれらの変形例等で説明したそれぞれの技術的思想の一部を適宜、互いに組み合わせることも可能である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈しうる、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。